【『不適切にもほどがある!』感想2話】柔らかいのに息苦しい、現代社会への処方箋
脚本家・宮藤官九郎の鋭い聴覚は、働き方改革の狭間に落ちた人たちの、言葉にならない深いため息を捉えたのだと思う。
象徴的なのが「独りで抱え込まないでね」「出来ることがあったらなんでも言ってね」といった、よくある親切かつ配慮に満ちた言葉である。
そう、親切だしありがたいが、現実にはあまり問題を解決しない不思議な言葉である。
その「役に立たない」言葉を、クドカンは小川の一つのセリフできちんと機能させる。
「あんたが今、してほしいことが俺に出来ることだよ!」
独りで抱え込む人は希望をうまく言葉に出来ないのだとしたら、それを言葉にさせる為にスイッチを切り替える。
そして他人に配慮のない、距離感の近すぎる昭和の男がそのスイッチになった。
最終的に「働き方なんて自分で決めさせろ」という結論、排すべきは同調圧力という展開は実に鮮やかで胸熱だった。
初回で驚かされたミュージカルの場面も、2話目になって、不思議と「きたきた!」という感じで楽しみになってきた。
今回は渚の元夫・谷口を演じた柿澤勇人がメインで朗々と歌い踊り、突然ミュージカルが始まる違和感も粉々に吹き飛ばす豪華さだった。