「私が眠っていると、父は寝室にそっと入ってきて下腹部などを触るようになりました」
そして、幼い体をなめ回した。間もなく父は、性器まで挿入してくるようになる。
「当時は、まだ小学生ですから、その行為が何を意味するのかわかりません。でも、『絶対、お母さんには言うな』って言われて。すごく嫌だったけど、従っていれば、いつもは怖い父が優しかった。私は、父に自分を差し出すことで、居場所を確保していたんです」
父がしてくる行為を、<おかしい>と感じたゆかりさんは、何度も父に、「これは間違ったことじゃないの?」と尋ねたが、「ほかの家でもよくあることだ」と言われ、どうすることもできなかった。
しかし、中学2年生の保健体育の授業で、男女の体の違いを学んだゆかりさん。父からされてきたことは、子どもをつくる行為ではないか、と気づく。
「それまで、私は父親とどこまでのことをしているのか、よくわかりませんでした。でも、取り返しのつかないことをしたのかも、と思うとパニックになって……」
父に抱いていた“不信感”が激しい憎悪と侮蔑に変わった。
「初めてハッキリ父に『やめて!』と言いました。それでも父は、何度も部屋に忍び込んでくる。