2020年9月9日 06:00
加藤綾菜が向き合った志村けんさんの死「限りある命」痛感
重度の認知症の方は歯磨きの介助で口を開けていただくことも容易ではない。介護の本当の大変さをまだ私は理解していない。そう感じてどこかの施設で職員として働きたいと願っていたら、受け入れていただける先があったんですよ」
そう目を輝かせる綾菜さんだが、7月に入職できるはずが、コロナ禍で延期に。それまでの間に大学の通信教育も開始したが、茶さんの食事作りを怠らない綾菜さんの一日は、それだけで十分忙しい。
「出かけるときに彼の食事を冷蔵庫に入れるのはダメなんです。彼は『お皿がいっぱいあって、どれを食べたらいいかわからなかった』と食べずに過ごしてしまう。だから作ったらキッチンに置いて、保冷剤をたくさん載せて。お皿はそのまま置いておいてもらえばどれだけ減ったかわかります」
綾菜さんにとって介護の修業も大事だが、あくまで“加トちゃんファースト”がモットー。
この気持ちが強くなった要因には、志村けんさんの急逝もあった。「命には限りがある。一緒に過ごせる時間の大切さ」を痛感したという。
「彼は当初、とても落ち込んでご飯も食べられない状態でした。最近は少し元気を取り戻して、ご飯も1膳ぐらいなら食べられるようになったので、彼が生きていられるだけでありがたいと思うようになりました。