2021年11月3日 18:00
心臓病で旅立った翔平ちゃんの母明かす大谷翔平との“キャッチボール”
健康な子となんでも同じことができるようになるわけではないのです。
息子が成長したときに、『あなたのために、素晴らしい選手がお見舞いに来てくれて、抱いてくれたんだよ』、そう言ってあげたかったのです」
そんな静葉さんの思いが伝わったのかもしれない。「えっ、僕が抱っこしてもいいんですか?」、大谷選手は、看護師さんにサポートされながら、翔平ちゃんを抱きしめ、こうつぶやいたのだ。
「あったかいね……」
翔平ちゃんも大谷選手の腕のなかが気に入ったのか、ずっとおとなしくしていたという。
大谷選手はプレゼントを用意してくれていた。真っ白なボールに《翔平くんへ》という名前とサインを書くと、翔平ちゃんの手に、ちょこんとのせてくれた。翔平ちゃんにとっては初めての革の手ざわりだったのだろう。興味深そうにボールをじいっと見つめていた。
そんな翔平ちゃんのほうへ大谷選手が片手をゆっくりと差し出すと、まるでその瞬間を待っていたかのように、翔平ちゃんがぽいっとボールを手放したのだ。
「おおっ、キャッチボールだ」
大谷選手がボールを受け止めたとき、部屋のなかでそんなどよめきが起こった。
一瞬、驚いていた大谷選手はニコリと一言、「野球しよっか!」。