川崎市「風の谷の幼稚園」子供本位の教育にかける天野優子園長の情熱
だから、今後は『いいですか?』という聞き方はやめてくださいね。そんなお母さんを子供は見てますよ」
たしかに厳しいかもしれないが、これも「子供への熱さ」から来るものと語るのは、年少の花組担任の金丸友紀先生(31)。
「厳しい園長ですが、保護者の方も職員もついていくのは、自分の時間のほとんどを子供のために使っているのを見ているから。ほかの園では園長は現場は若手に任せることも多いですが、梅もぎでも芋掘りでも、天野先生はいつも先頭に立って誰より汗をかいています」
天野園長本人は、こう語る。
「私は多くの差別がまかり通っている時代に生まれて、理不尽な思いを抱えていましたが、誰も理解してくれなかった。その原体験があるから、いつも子供を前にしても、未熟な存在ではなく、一人の人間として相対しています。
幼児期に“情”がちゃんと育っていれば、その後の親子関係や社会での人間関係はおかしくならない。逆に、今はなんでも“自由”“のびのび”“褒めて育てる”で、きつい言い方かもしれませんが、実は大人が、その責任から逃げているのでは。
この時期に子供と向き合うことから手を抜くと、あとでしっぺ返しがきます」
■たまたま20年ぶりに卒園した女性が訪れて。