第67回グラミー賞ノミネート! 宅見将典インタビュー “グラミー賞を目指す”と公言してから実現までのサクセスストーリー
非常に落ち込んだし、コロナもあって、「これ以上は無理かもな」とも思って……。
――大きな挫折を経験した。
はい。それからしばらく経って「『HERITAGE』って英語だよな」と思って。遺産っていう意味なんですけど、英語にした時点で、日本の遺産とは取ってもらえない。そこから今度はアメリカ人が知ってる日本語をリサーチして。その中のひとつが『Sakura』だったんですよね。その後「もう1度頑張ってみよう」と思い立ち、2021年はお休みして、2022年(『第65回グラミー賞』)にチャレンジしたんです。
和楽器の要素をさらに増やしたし、後はエントリーする部門も変えて。「ワールドミュージック」が「グローバル・ミュージック」に名称が変更されたタイミングだったし、そっちでいってみようと。
――そして見事に受賞した、と。『Sakura』には和楽器の要素もたっぷり入っていますが、トラック自体は低音がしっかり効いていて、ヒップホップやR&Bに近い作りになってますよね。
そこは思いきり意識していました。「トラックにはしっかりローエンド(音域の低い部分)が出ていて、上物は日本的な楽器とアプローチ」というバランス自体は、日本の音楽シーンにはずっと前からあったと思うんですよ。