第67回グラミー賞ノミネート! 宅見将典インタビュー “グラミー賞を目指す”と公言してから実現までのサクセスストーリー
ただ、そういう音楽はアメリカに浸透していなかったし、やっている人もいなかった。後はNAOKI TATEさんの声も大きかったと思います。彼はパーカッション奏者なんですが、声がすごくよくて。別の仕事でお会いしたんですが、「ワールドミュージック的な音楽をやるときは、絶対にこの人の声が必要だ」と思っていたんです。自由に歌ってもらったテイクから選ばせてもらったんですが、歌詞がなくても伝わるものがあって。楽器の中に声を混ぜるブレンド術が、『Sakura』の最大の発明だったかもしれないです。
――先ほど「まだ他人事のよう」と仰ってましたが、グラミー賞を取ったことで、活動の状況はかなり変わったのでは?
そうですね。以前から「グラミーは人生を変えてしまうよ」と言われることがあったんですよ。
ノミネートされるだけでチヤホヤされて、ちょっとおかしくなってしまうような人もいたり。でも自分の場合は(受賞後も)軸はまったく変わってなくて。日本だとちょっとメディアに出るだけで芸能人みたいな扱いになりがちですけど、僕はあくまでも音楽家ですからね。昔のSirenでの経験も関係していると思います。バンドが上手くいかなくなったのは自分のせいだという思いもあるし、反省もあって……。