2021年9月10日 23:05
2人の母を持つ女性作家・森美樹さんが最新刊『母親病』を語る。「私には実母と継母がいるんです」#1
森さんこの作品を書く前に、私の母が股関節の手術をして入院していたことがあったんです。母は6人部屋に入院しており、私と姉は頻繁にお見舞いに行っていたんですね。同じようにご家族が病院にいらっしゃる方もいれば、誰もお見舞いに来られない方もいて、たった6人の小さなコミュニティの中でもいろいろな家族像があることを実感しました。そのときに生まれた感覚や想いが「やわらかい棘」の執筆につながりました。
私は2013年に「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞してデビューしたのですが、受賞時のインタビューで「ミステリーを書いてみたい」と発言したんです。ミステリーの執筆にはずっと憧れがあり、今回、ほんのさわり程度なのですが挑戦してみました。
物語のきっかけの1つは自身の複雑な家庭
――「やわらかい棘」は、園枝の娘の珠美子の視点でお話が進んでいきます。
森さん私は女姉妹で育ち、父は亡くなっていて母と娘だけの家族なんです。
母とは女対女として言い合いになったこともありますし、息子と母親よりも、娘と母親のほうがドラマになりやすいかもしれないと思いました。
――ちなみに、言い合いになることもあるというお母様とはどんな関係なのでしょうか。