2021年9月10日 23:05
2人の母を持つ女性作家・森美樹さんが最新刊『母親病』を語る。「私には実母と継母がいるんです」#1
森さん実母は私が10歳のときに亡くなっているんです。今の母は実母が他界した1年後に父が再婚した相手なので、ちょっと複雑なところはあるかもしれないですね。
――物語の中の園枝は、仕事に励む珠美子を「女は、旦那様に一生愛されるのが幸せなのよ」と誇らしげに諭し、「女であること以外の仕事なんて」と娘の生き方をうっすらと笑いながら否定する、いわゆる“毒親”ですよね。
森さんそうです。園枝は美人ですし、男の人が抗えないような雰囲気のある女性です。もし私と同世代だったら、友だちにはなりたくないタイプですね。その娘の珠美子は母親に対するコンプレックスを跳ね返すような形で、今風の合理的な生き方をしているように思います。不倫はしていますが相手に貢ぐようなことはないですし、堅い会社に勤めて生活の基盤もしっかりしていますから。
母となった女性は“母親としてのポリシー”を持っている
――園枝が「家と身なりを整えて、常に子どもの自慢でいることよ」と母親としての役割を堂々と語る場面では、自分の価値観に固執するしかない女性の怖さや悲しみのようなものが垣間見えたような気がします。
森さん「家と身なりを整えて、常に子どもの自慢でいること」