「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会で、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。国連加盟国では、自閉症(自閉症(※以下、ASD/自閉スペクトラム症)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うよう求められています。日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。ASD(自閉スペクトラム症)や発達障害についての認知は、日本でも近年急激に高まってきています。しかし、今もなお偏ったイメージを持っていたり、正確ではない情報が存在しています。ASD(自閉スペクトラム症)を含む発達障害の研究は現在も続いていますが、はっきりとした原因はまだ特定されていません。何らかの脳機能の障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないことは分かっています。ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもは、さまざまなこだわりを持っていることが多いです。また、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性がある場合も多くあります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる保護者も少なくありません。しかし周囲のASD(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、ASD(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活を送ることができます。「世界自閉症啓発デー」は、この社会で、多くの人が自閉スペクトラム症(ASD)への理解を深めることで、ASD(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。「Warm Blue2024キャンペーン」に参加しよう!Upload By 発達ナビニュース「世界自閉症啓発デー」には、シンボルカラーがあります。「癒し」や「希望」などを表すブルーが、その色です。毎年4月2日は、ナイアガラの滝やピラミッドなど、世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。日本でも、東京タワーやスカイツリーをはじめ、各地のシンボルとなっている建物などが、例年、青く染め上げられています。Upload By 発達ナビニュース4月2日には、シンボルカラーである「青い」ものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。世界自閉症啓発デー #WB_2024 #2024TT #2024blueart#発達ナビ投稿したブルーの写真やメッセージは、下記のSNSアカウントなどでシェアされる予定です。東京都自閉症協会X(旧twitter)東京都自閉症協会facebook Blueギャラリー | 東京都自閉症協会Upload By 発達ナビニュース発達ナビでは、コラム連載陣に「青」をテーマにイラストを書き下ろしてもらい、SNSで発信中です。イラストは、発達ナビのSNSアカウントや各連載ライターのアカウントから、リポストやシェアもOK!みなさんのメッセージを添えて、ぜひSNSでシェアしてください。多くの人たちに届くことを願っています。Upload By 発達ナビニュースWarm Blueをコンセプトにした絵画やイラスト、写真などのアートコンテストも開催されます。参加方法は、X(旧Twitter)に「#2024blueart」のハッシュタグをつけてブルーをテーマにした作品を投稿するという方法が採用されています。画家やデザイナーなど各界で活躍する審査員が選考し、入選作品は、ギャラリーサイトに展示されるほか、オンラインイベントなどでも紹介される予定です。Upload By 発達ナビニュース世界自閉症啓発デー当日の4月2日には、さまざまなブルーアクションを紹介するオンライン生配信が企画されています。今年で4回目を迎える同イベントの司会は、発達障害当事者の不破ふわおさんと、2024ミス日本「海の日」の有馬佳奈さんが務めます。日時:2024年4月2日17:30配信スタート(予定)司会:不破ふわお(発達障害当事者)、有馬佳奈(2024ミス日本「海の日」)協力:明治安田こころの健康財団イベントの詳細は東京都自閉症協会X(旧twitter)をチェックしてみてくださいね!東京都自閉症協会X(旧twitter)(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月30日太郎が自宅で過ごす場所ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、主に2つの部屋で過ごしている。1つは学習用品を置く場所で、ばあばと共同の部屋。もう1つは完全に太郎専用の部屋で、太郎の好きな物がたくさん置かれている部屋だ。そこに、勉強机とパソコンも設置されている。ちなみに太郎の寝室はまた別の部屋であり、完全に1人の寝室である。Upload By まゆん太郎専用の部屋を用意した理由太郎専用の部屋は、プライベートを大切にさせたいと思い、太郎が9歳の頃に用意をした。最初の頃、太郎はあまり利用していなかったが、徐々にブロックや駒で遊ぶ場所として、思考が停止した時などの切り替え部屋として利用する時間が長くなっていった。ばあばと共同の部屋は6畳の小さな部屋であり、テレビも置かれている。なので広いリビングよりも家族全員がそこに集まってテレビを観ることもある。太郎はそこで宿題をする日もあれば、もっと集中力を高めたい時などはもう1つの太郎専用の部屋に移動して宿題をしている。太郎専用の部屋は5畳と狭いが、逆にその閉塞感が太郎には落ち着くのではないかと推測している。長い時では1日の半分をその部屋で過ごし駒を回したり宿題をしたりねんどで何かを作成したりして過ごしている。環境調整には第三者が必要太郎は集中しすぎてお腹がすいていることに気づかないことがあるので、私から声かけを行うことも多い。また、寒い日でも遊びに集中しすぎてエアコンもつけずに半袖で数時間遊んでいることが何回もあった。身体は冷たくなっていたが本人は鈍感なのか「寒くない」と言っていた。逆に夏の暑い日も集中しすぎてエアコンをつけずに汗だくで遊んでいたので、私がこまめに気をつかい、エアコンの状況を見に行くようにしている。環境や服装の調整も難しいのだなあと感じる日々だ。Upload By まゆん小学校の頃、太郎は特別支援学級に通っていて、教室の中には切り替えの場所が設けられていた。教室の隅にパーテーションで狭く区切られた2~3畳ほどの広さの空間には、ブロックや跳躍器具、本などが置かれていた。そして机は、一人ひとり隣が見えないように仕切りが立て付けられていた。Upload By まゆんわが家はそれを意図していたわけではなく、たまたま部屋があっただけだが、太郎には良い環境になっているのではないかと思えている。以前は分からない宿題があればすぐに私や祖母にヘルプを出しに来ていたが、最近はそういうことが減った。部屋に引きこもってなにやら集中力を高めている(のか、何をしているのか……)。空調の調整は、温度計と湿度計を部屋に置き、それを確認しつつ太郎の感覚と意見を確認しながら行っています。太郎はだいたいが「NO」とは言わないため、結果的に私の判断で調整することが多いです。いまだに、自分で時と場合に応じた服選びも行いません。したくないから行わないのではなく、環境に応じた服選びというものが難しいようです。寒いから厚手の服を着る、暑いから冷房をつけるなど物事と物事を結びつけることも苦手としているようです。以前、専門家の方から受けた社会的年齢の低さの指摘はこういう日常生活を1人で行えるのか?というところからの指摘でもありました。4月からは中学3年生。先のことをいろいろ考えています。(執筆:まゆん)(監修:鈴木先生より)温度環境に応じた服選びが難しい場合、温度帯ごとに服を並べてその中から選ばせるという支援方法があります。例えば室温が17℃なら15℃から20℃の間にある服を着て、外が8℃なら外出するときは5℃から10℃の間にある服を選ぶということです。気温の数字を見える化し、視覚的に訴える方法です。また、知的障害のあるお子さんには感覚鈍麻の傾向がみられることもあります。もし気になる保護者の方がいらっしゃいましたら、IQ検査を受けてみるのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月28日中学校からの着信ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、現在中学2年生。特別支援学級に在籍しているが、基本的に授業は交流学級で行われている(※)。一学期の終わり、私の仕事がちょうど終わった頃に携帯に着信が入った。(※)授業の受け方や支援方法などは地域によって異なりますUpload By まゆん「〇〇中学校」太郎が通っている中学校からの着信だった。学校からの着信は珍しくはない。しかし何度かかってきても胸がざわつくもの。「今回は何があったのだろう」と、毎回不安になりながら電話に出ている。「もしもし。いつもお世話になっております。太郎の母です」私は冷静な声で電話に出るよう努めた。「こんにちは」聞き慣れた声は、太郎の担任の先生だった。太郎の担任の先生は、いつもであれば落ち着いてゆっくりと話す方である。しかしこの時は少し様子が違った。「えーっとですね」言葉に詰まっている様子から、何かあったのだと想像ができた。先生は続けて話を始めた。「今日の音楽はリコーダーのテストだったんですが……。それがみんなの前で吹くというテストで、太郎くんはそこで固まってしまって……」話は続き、リコーダーのテストは前もって生徒たちに伝えていたらしいが、太郎は「知らなかった」と言い「急な出来事」になってしまったようだということだった。Upload By まゆんみんなの注目を浴びた太郎は固まって動かなくなり、特別支援学級の先生に誘導されて少人数のクラスへ移動したとのことだった。音楽の授業は午前中に行われたが、特別支援学級に移動したあとも緘黙状態は続いたという。そしてようやく放課後になると表情は和らぎ、そのまま迎えに来た放課後等デイサービスのスタッフと学校を出たということだった。次に、今後のテストの受け方についての方針の相談があった。リコーダーのテストは受けなければ評価をできないため、必ず受けてほしいということだった。どうしたら受けることができるかと先生と話をした。本来はみんなと同じ条件でクラスメイトの前でテストを受ける形であるが、注目を浴びることで緘黙状態になるのであれば個人的にテストを受けることも可能ということだった。そして、最終的には本人の意見を聞いて、どういう形でテストを受けるか決めることになった。先生もここまで緘黙状態が続くとは思っていなかったようで、2人で教室にいて話をしようとしても太郎の口からは言葉がほとんど出てこなかったとのことだった。先生の声から、衝撃が伝わってくるようだった。すぐに私が電話したのは電話を切ったあと、すぐに放課後等デイサービスに連絡した。太郎がどんな様子だったかを知りたいというのが1番で、学校での出来事も情報共有したかった。タイミングよく太郎の担当の先生が対応してくださった。放課後等デイサービスでは、太郎自らリコーダーのテストについて話を少ししたらしいが、その後は何もなかったかのようにいつも通り過ごしていたということだった。Upload By まゆんそして次は、家にいるばあば(私の母)に電話をした。太郎に何かあって事情を話している時、ばあばはいつも冷静に「ほう。ほう。ふむふむ」と聞いてくれる。そしてばあばはこう言った。「さっきデイサービスから帰ってくるなり、リコーダーのテストができんかったって言ってたけど、自分から言えてるけん大丈夫やろー」私はこの言葉にまた安心した。その後、太郎と私は家でリコーダーの練習を一緒に行い、無事にテストを受けることができた。結局テストは、先生が太郎と話し合ってくださり、特別支援学級まで音楽の先生が来てくれて一対一で実施したという。テスト終了後の太郎は、特にその出来事を口にする訳でもなく、いつものように穏やかに過ごしていた。Upload By まゆん多方面からの支え問題が発生した時、こうして多方面からの支えがあることで私と太郎は生活ができているのだと思います。また、日頃から周りには感謝しているのですが、こういう問題発生時により強く周りの方の力というものを感じることができています。今回も学校の先生方、放課後等デイサービスのスタッフの方、私の母、そして太郎に力をもらい乗り越えることができました。太郎の特性については情報共有シートに記載して学校の先生に渡してあるのですが、どのような時にどのような場面緘黙になるのか、実際目の当たりにしないとよく分からないものだと思います。今回の件は、太郎を知ってもらうという意味では良い機会になったのではと考えています。今後も同じような場面が学校に限らず出てくると思いますが、その時その時で対処の仕方も変化していくと予想しています。引き続き、周りの人と連携をとりつつ今後も過ごしていきたいです。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くんのリコーダーテストをめぐる出来事から、情報共有について、また太郎くん・まゆんさんを支えるネットワークに関するエピソードをありがとうございます。特性についてあらかじめ情報共有していてもすべてをフォローできるわけではなく、学校はさまざまなイベントがあり、また子どもたちも日々変化・成長があるものです。こうして、何かあった際に、担任の先生と保護者の方との間ですぐに共有し、対応を検討できるのはいいですね。また、太郎くんの緘黙度合いがなかなか長時間にわたったことから、関係する方々ともその後の様子を聞き取りされたのもいいことだと感じました。保護者がお子さんの様子を常に見ているわけにもいかず、また、場や人によってお子さんも出し方を変えるかもしれない。リコーダーのテストにうまく対応できなかったという、いつもとは違う展開があったことを関係者が知っておくだけでも大事ですし、中心にいる太郎くんの様子を確認できたのは安心につながります。お子さんは自分の身に起きたこと、自分の気持ちをすべて説明できるわけでもないので、それぞれで様子をよく見てもらう意味でも、そして今後似たような出来事への予習としても情報共有は大事であると感じるお話でした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月31日「見た目」が変わっていると見失う?わが家の長男、タケル(ASD/自閉スペクトラム症・現在23歳)はASDの特性からか、物を見つけることがとても苦手です。タケルが机の上に置いていったものを、私がどこかに移動させたりすると、どんなに近くてももう見つけきれません。横向きに置いてあった財布を、自分でうっかり縦向きにしていただけで見失ったこともあります。Upload By 寺島ヒロタケルの記憶の中の「カタチ」が少しでも変わっていると、「違うモノ」と思い込んでしまうようです。だから、目の前にあるものでも、見つからないなんてことがしょっちゅうあります。帰省のついでに読まない本を持って帰ろうと……さて、昨年のお正月のことです。久しぶりに大分県の自宅に帰れることになったので(私たち家族は息子の通学のために大阪府に家を借りて普段はそちらで暮らしています)、大阪の家のリビングの本棚にあった、もう読まない私の本を持ち帰ることにしました。2段の棚に入っていた本は、中くらいの段ボール箱ちょうど1個分になりました。大分の自宅まではおよそ500キロ。車で8時間半の道のりです。私と夫で交代しながら、丸一日かけて帰省しました。大分の家では、長らく放っておいた部屋の掃除、そして近所の方へのご挨拶、地元でしか買えない調味料などを買いに行くなどして忙しく働きました。その間、子どもたちはそれぞれの部屋を掃除し、大阪に持って行きたいものを物色したりなどしていました。イリュージョン? ないはずの本が本棚に!?翌日また一日かけて大阪に帰宅しました。タケルといっちゃんは、2人とも重そうな紙袋を持っています。大分の家で見つけたもう一度やりたいゲームや本などを持って帰ったとのこと。大阪の家は借りている家ですから、あまり荷物を増やしたくないんだがなあ……とは思いましたが、気持ちは分かります。「仕方ないなあ、自分で置き場所を決めて片付けるのよ」と言い渡して、その日は寝てしまいました。翌朝、目を覚ますと……なんと! リビングの本棚に、私が大分の家に持って帰ったはずの本が詰まっているではありませんか!そう、タケルが大分の家で見つけて「めっちゃいい本があった!」と思い、大阪の家に持って帰ってしまったのです!タケル「ちょうど良い感じに棚が空いてた」って! 違うヨ!その本、以前からここにあったんだヨゥ……。Upload By 寺島ヒロ意識するかどうかの差?ほかにも持って帰ったり、持って行ったりしたいものがあったのに……。この本たちが往復1000キロも無駄に旅したのかと思うと、膝が抜けるくらいガックリしました。一度ちらっと見ただけの漢字やテレビCMを完璧に記憶していたりすることもあるのに、ずっと目の前にあった本の背表紙は覚えてないタケル。これもASD特有の感覚や、認知特性によるものなんでしょうか。発達障害、まだまだ謎なことが多いです。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)もしかしたら、ASDだけではなく不注意優勢に存在するADHDの要素もあるのかもしれませんね。物をなくしたり、見つけにくかったりする人はいつも同じ場所にしまう習慣をつけるか、透明のケースに入れておくような工夫が必要です。色で分けたりファイル化したりすることで見つけやすくなるかもしれません。これを逆に考えると、例えばテレビを過度に見すぎているお子さんの場合、テレビを大きな布で覆っておくのもよいかもしれません。布で覆うことで視界に入らなくなるため、テレビの存在に気付かず見ようとしなくなる可能性もあるからです。このように、ASDの特性を踏まえた発想ができるとよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月18日自閉症息子、分かりづらい気持ちを、表情マークで表現現在、小学2年生の長男けんとは、自閉スペクトラム症と3歳の時に診断を受けました。けんとには構音障害もあり、言葉が不明瞭なことに加え、思っていることを言葉に出して伝えるのが苦手です。楽しそうな時は笑顔でピョンピョン飛び跳ねたり、イヤそうな時は、その場から逃げ出したりするので、その様子を見て親が気持ちを察知。「うれしかったね」とか「怖かったのかな?」と予想した気持ちをけんとに質問していましたが、うれしいのか、悲しいのか、何が怖くて、イヤだったのか、どんな感情を持っているのかというのは、小さな頃からとても分かりづらい子でした。Upload By ゆきみ小学校2年生から通い始めた放課後等デイサービスでは、その日の終わりに「今日の感想、気分」を提出する課題があります。感想を書けるようになっている記入欄と、その下にニコニコ笑顔のマーク、プンプン怒り顔のマーク、悲しそうな泣き顔のマーク、困っている顔のマークが書いてあり、その日の気分に自分で丸をつけます。けんとは、放課後等デイサービスでの活動を楽しんでいることが多く、感想のところには「かくれんぼが楽しかった」などと書き、その下はほぼ毎回、ニコニコ笑顔マークに丸がついています。ニコニコしていたのに、怒っていた?Upload By ゆきみ通っている放課後等デイサービスでは、迎えに行った時、今日の子どもの様子を聞けるフィードバックがあります。ある日「今日の感想、気分」を書く課題で、けんとが珍しくプンプン怒り顔のマークに丸をつけていました。その課題を見た先生がけんとに、なぜプンプンマークに丸をつけたのか事情を聞き、フィードバックの時に私に教えてくださいました。どうやらお友達に押されてしまったらしく、それが嫌だったようです。しかし、その日の放課後等デイサービスでのけんとは、とてもニコニコ楽しそうに過ごしていたらしく、「怒っている素振りがあったり、嫌な気持ちを抱えていたり」という様子は一切感じられなかったとのこと。言葉で上手く表現できないだけでなく、態度でも分かりづらい感情が隠れているのだと知りました。それ以来「けんとの他にも隠れている感情が見つかるかもしれない……。そして、この表情マークで気持ちを伝え合うことで、人の気持ちに気づくきっかけになるかもしれない…」と思い、不定期ですが、家族でどこかへ遊びに行ったあとなどに、けんとに感想を聞いて、本人が気分マークに丸をつけるというやり取りを始めてみることにしました。『自分の気持ち』『人の気持ち』伝えて分かることUpload By ゆきみ休日、家族でアスレチックへ行った時のことです。身体をいっぱい動かして帰宅し、家族でテーブルに集まり、さっそく今日の感想や気分をみんなで伝え合うことをしてみました。まずは私の番。その日、アスレチックの途中でヘビに遭遇したので、その出来事に触れながら「ママは、今日はとっても楽しかったのでニコニコ笑顔マークに丸!だけど、途中でヘビがいてビックリもしたし、怖かったし……、たくさんの気分があったよ」と、私の気持ちを伝えました。そして、けんとの気持ちを聞いてみると、「ビックリしたけど、ヘビに会えてうれしかった」と言いながら、なんとニコニコ笑顔のマークに丸をつけたのです。私は怖くて必死でしたが、けんとの言葉を聞きながらその様子を思い返してみると、ヘビを見つけた時、確かにけんとは笑っていました。「怖くなかったの?」と聞いてみると「怖くなかった」と。けんとにとっては、初めてヘビが見られてうれしかったのだと知ることができました。私は、自分がヘビが怖いからといって、「けんとも怖かっただろう」と勝手に決めつけていたのです。でも、それは、私の感想。人の思いはそれぞれなのだと、私自身も改めて気づかされた出来事になりました。人に気持ちを伝えようとしている?「イヤだよ、やめて」が言えるようにけんとは小学2年生になりました。最近、本人が以前よりも「人に伝えよう」という気持ちを持つようになったと感じます。学校や放課後等デイサービスなどで、人との関わりを通してさまざまなことを学び、その成果がでてきているのか、つたないながらも自分の気持ちを伝えてくれることが増えてきました。Upload By ゆきみ1年生の頃は学校でギュっとお友達に後ろから抱えられた時、されるがままだったのですが、最近ではお友達に「イヤだよ。やめて」と言えるようになってきたようです。気持ちを伝えられることが増えてきたことで、新たな友達とのトラブルも出てきたりしているようですが、成長したからこそだと思っています。とは言え、まだまだ気持ちを言葉や態度で伝えることが苦手そうな、けんと。その時の感情を伝えたり、隠れた想いを態度で表現したりする方法などを、これからも少しずつ学んでいってくれたらと祈りながら、長い目で成長を見守りたいです。私もこれから起こる出来事を通して、子どもたちと一緒に、その時に感じた想いを伝え合ったりしながら、十人十色な人の感じ方を話し合っていけたらいいなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:藤井先生より)自閉スペクトラム症の特徴の一つに自分の気持ちを表現するのが苦手ということがあります。言葉の有無に関係なく、表情の理解や、自分の気持ちを理解するのが難しいお子さんもいます。今回のコラムのように、ゆきみさんとけんとさんが感情を表現する絵カードなどで表現を促すのも良い方法ですね。構音障害があるとのことなので、音声で表現するのが難しい場合には絵カードを用いたコミュニケーション(PECS)なども有効かもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月26日老齢の猫がいるわが家。でも自閉症のミミは興味がないようで……わが家には、ペットがたくさんいます。猫が2匹、ヤモリ、カマキリ、クワガタ、カブトムシ……などなど、とてもにぎやかです。なかでも猫は、長男のミミが生まれる前から暮らしています。もう10歳以上と老齢ですが、まだまだ元気でいてくれています。でも、そんなわが家の家族として欠かせない猫に対して、ミミはなかなか興味をもちませんでした。興味がないので可愛がることもなく、(ミミが猫と遊ぶ日はくるのかな?)と私は気になっていました。猫に「あっち行け!」やつあたりをしてしまうミミUpload By taekoミミが3歳になった頃からでしょうか、猫に少しずつ興味を持ち始めてくれました。ですが、「興味を持つ=ちょっかいを出す」になってしまい、猫が嫌がっていてもミミはお構いなし。追いかけたり、さわりに行ってしまいます。また、ミミは自分の機嫌が悪いとき寄ってきた猫に「あっち行け!こっち来るな!」と八つ当たりしてしまって……。一方、猫もやられっぱなしではありません。猫がミミを引っかいたり噛みついたり反撃することもあり、ミミは傷だらけに。ちょっかいを出さないように言っても、忘れてしまうのか1週間ほどするとまたちょっかいを出してしまうミミ。一時的に猫の隔離も試したのですが、わが家は狭いマンションなので完全な隔離はできませんでした。私は、ミミが猫に暴言を言う度に「猫は良いこととか悪いこととか、どんなことを言っているのかとかちゃんと分かってるんだよ。ミミの言葉は猫に伝わっているんだよ」と話し続けました。おやつやりで仲良くなったかと思いきや……そんな関係が長く続きましたが、ミミが小学3年生になってすぐのことです。テレビのCMを見て「猫におやつをあげてみたい」と言うミミ。これは仲良くなるチャンスだと思いミミに猫のおやつを渡すと、猫はミミがあげたおやつをペロリとあっという間に完食!これが新鮮だったのでしょう。翌日もミミはおやつをやりたがったため、猫に「おやつだよ」と声をかけてもらったところ、猫は「にゃ~」とミミにすり寄ってきてくれました。これを見たミミは「かわいい~」と大喜び。この光景には私もかわいいと感動!それからはいつも決まった時間にミミが猫のおやつを用意することになりました。ですが、このおやつの習慣が1ヶ月くらい経った頃から、ミミがうっかりしておやつを与え忘れることが増えました。また相変わらず猫が嫌がることをやったり、暴言を吐いたり……。そんなミミの様子を目撃したパパから「もう猫に近づくな!」と叱られて、ミミはおやつ係を返上することになってしまいました。Upload By taeko3年生後半になって訪れたミミと猫の転機そしてミミが3年生後半になったある日のことです。ミミの歯磨きをしていると猫が近づいてきました。私は猫のしっぽの付け根あたりを軽くトントンと叩きました(こうすると猫がとっても喜びます)。すると、歯磨き中のミミの顔に猫のもふもふのシッポが触れ、ミミは「気持ちいい~」とニコニコ。ほほえましく見ていたのですが、この日の翌日から歯磨きをする度に猫が来るようになり、猫のしっぽがミミを撫でて……。これがミミにとって歯磨きが楽しみになるきっかけになってくれました。Upload By taekoこの時間がきっかけで、ミミと猫の関係は少しずつ改善していきました。ミミは猫にちょっかいを出さなくなり、4年生になった今は猫をとっても可愛がるようになりました。ミミは、少しずつですが猫の様子を気にしてくれるようになりました。猫が窓の近くに居たら「開けてあげるね」とカーテンを開け外が見えるようにしたり、餌の時間になると餌をくれるパパの近くに来て甘えた声で鳴く猫を見て「ご飯が欲しいんだね」と声をかけたり、寒い季節に猫が布団に入って足元で丸まると、「寒いもんね。お布団の中だと温かいね」ととっても喜ぶようになりました。ただ、猫トイレに排泄物があると、ミミは排泄物が見えるのがイヤなので「片して」と言ってきます。まだ自分で片づけるということは難しいようです。私は「ミミがやってくれても良いんだよ~。ペットを飼うときはトイレのお世話もしてあげるんだよ」と伝えつつ片づけています。学校での疲れを癒してくれる欠かせない存在にUpload By taeko今のミミは「学校なんて壊してやる!」と言いながらもなんとか登校している状態です。1日学校で頑張って帰宅したミミは、一番に猫の元へ行き猫撫で声でほっぺをすりすり……。猫が嫌がる時は「ごめんね」と言って優しく謝ります。いつの間にか、ミミにとって猫は癒しの存在になりました。数年間は猫への対応にヒヤヒヤしましたが、弟のふーにも、猫を大事にするよう教えてくれるミミの姿に成長を感じて一安心です。放課後等デイサービスがある日は学校で6時間授業をして帰宅した後、休む時間も短い中すぐにデイサービスに向かうため行き渋りがあるミミ。でも猫を撫でて元気をもらって登室する様子を見て、ミミにとって猫は本当に本当に大事な家族なんだなとしみじみと思っています。執筆/taeko(監修:森先生より)ペットの気持ちを理解するということは、自分と異なる感じ方をする存在を受け入れるということ。自閉症のある方の特性として、他者の感じ方が理解しづらい傾向があります。人間同士では、姿形が似ているために、かえって違いがあることを受け入れにくいこともありえます。同じ人間だから「気持ちをわかってくれて当然」と考えてしまい、「なんでわかってくれないんだ!」という苛立ちをおぼえることもありえますが、動物であれば「自分と感じ方が違って当然」と思えるでしょう。ペットと仲良くなるためにペットの感じ方を理解しようとすることは、社会での他者の感じ方を考えたり、関係性を築くための良い訓練となるでしょう。ペットとの触れ合いはそれ自体が癒しになって心の安定につながりますし、人とのコミュニケーションにも役に立つはずですよ。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月04日特に苦手なのが、作文自閉スペクトラム症の太郎は、勉学で特に苦手としているものがある。それは作文だ。小学生の頃から中学生になった今でも、先生に手助けをしてもらわないと作文を仕上げることができない。具体的には、先生に例文を挙げてもらい太郎が考えてみるのだが、結局ほぼ例文と同じような文章に仕上がっていることが多いようだ。作文は自分の気持ちを整理して文章に表す。太郎にとって、これは超高度な作業だ。自分が何を感じたか、今自分がどういう心境なのか、自身を見つめることを不得意とする太郎なのだ。Upload By まゆん言語化がスムーズな時と難しい時しかし、言語化することがまったくできないというわけではない。時と場合によって、太郎もすらすらと言語化することができる。気持ちを伝えることもできる。たとえば家庭内では日常のコミュニケーションに困難さはない。「今日のシチューおいしいね!誰がつくったの?」「星三つやね!」と流暢に気持ちを言葉にする。Upload By まゆんしかし、そのシチューを皿ごとひっくり返してしまった時。こぼれたシチューを前に、太郎は固まって動けなくなってしまう。こうしたイレギュラーな出来事が起こった時に太郎の特性はハッキリと見えてくる。「どうしよう!こぼしてしまった!」「おいしいシチューがなくなった!」「つくってもらったのに!」など考えているに違いない(これは憶測)。その後、しばらくすると声をあげずにその場をウロウロと回り出す場合と、そのまま微動だにしなくなる場合がある。完全に固まってしまうのは、慣れない環境で多く見られる傾向にある。Upload By まゆん社会科見学のことを3年後に…?小学4年生の行事で社会科見学があり、感想を作文にする課題が出た。その時も、太郎は感想が出てこないため作成にずいぶん苦労したと先生から聞いた。その社会科見学から3年後、社会科見学を行った工場の前をプライベートでたまたま通った。すると太郎がその時のことを自ら話し出した。「ここは小学4年の時に学校のみんなと来たところで……」と、見学したその日のことを詳しく話し続けた。感想ではなく、事実を話していた。Upload By まゆん当時は、「社会科見学どうだった?」「何を見て来た?」といった質問をしても、「覚えていない」「分からない」と答えていた太郎。3年後に急に話し出す様子を見て、不思議だなあと感じ印象に残っている。緘黙になる太郎を見ていると太郎が3年後に言葉にしたことを、文章に表せるかといったらあやしいところです。いまだに放課後等デイサービスの先生がつきっきりで作文作成を手伝ってくださっているからです。社会科見学のことだけでなく、日常の中で何年も前の出来事をつい最近のことのように話し出すことが時々あります。太郎には頭の中にはたくさんの気持ちや感覚が記憶されているんだろうと思っています。言語化につまっている太郎に歯がゆさを感じることも以前は多々ありました。それは言語化につまるだけではなく癇癪も伴っている時期でした。太郎の癇癪がおさまってきた頃にはある程度の「YES」「NO」のやり取りができていたので、私も落ち着いて接することができるようになりました。緘黙になる太郎を見ていると胸がつまることもありますが、「今の太郎はどういう状況なのだろう」と私が見守ることで、太郎の気持ちも変わってくるのではないかと思い、客観的に太郎と自分の状況を見るように心がけています。執筆/まゆん(監修:森先生より)発達障害のある方の中には、頭の中での情報が多すぎて処理に時間がかかり、周りから見るとフリーズしているように見えることがあります。本人の中である程度パターン化して蓄積されているケースでは問題がなくても、「こぼしてしまった時」など、あまり経験がないアクシデントに遭遇するとパターン化されていないために情報処理に時間がかかってしまいます。さて、その意味で、作文はかなり複雑な課題となります。基本的には初めての経験に対して、まず事実関係を本人の中で整理して、その中で書くべきことを選別しないといけません。そしてその事実に対しての感想を書くわけですが、「作文向き」でないといけないわけです。たとえば学校行事で工場見学に行った場合、本人としては「〇〇線の電車に初めて乗った、電車内のこんな出来事が印象に残った」「工場の案内をしてくれた人の口癖がこんなふうで面白かった」など、実際には大量の事実と感想があるわけです。しかし、作文として提出するには、その中から先生の期待する事実と感想を選び出して「工場見学の感想文」らしく仕上げないといけません。これは、特に発達障害のある子どもにとっては重い作業です。たとえ感想を述べることが苦手であっても、本人の中ではしっかりと記憶に残っていて、多くのことを感じているので、安心して見守りましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月03日中学生になった自閉スペクトラム症の太郎自閉スペクトラム症の太郎が通う中学校の特別支援学級では、授業は基本的に交流学級にて行い、小学生の時のような個別の指導がほぼなくなる。Upload By まゆん中学校に進学するにあたって、私はそこに不安を抱いていた。学習面の遅れは元々あり、ギリギリで追いついている感じだった。個別指導だったからこそ追いつけている部分があったと思う。いざ、中学生になり太郎の学習面の遅れは著しかった。テストも個別の部屋ではなく交流学級で受けることになり、ますます点数は下がった。しかし、提出物と宿題だけは放課後等デイサービスや祖母の支えもあり、ほぼクリアできていた。太郎自身は交流学級での生活は楽しんでいる様子であり、特別支援学級での友達関係や担任の先生との関わりも楽しそうだった。しかし、中学校生活が半年も経つ頃には、宿題の多さに不満を漏らすことが増えてきた。ただ、不満を漏らすものの提出期限には間に合わせることができていた。しかし、宿題と提出物でいっぱいいっぱいで、ほかの学習に手をつけることはできなかった。私は、「勉強をするように」というような声かけはしなかった。怠けて勉強をしてないから点数を取れないわけではないと理解していたからだ。太郎は学習したことをすぐに忘れてしまう。指導されたその時は理解したと思っていても時間が経つともう忘れてしまう。そんなところも、今後の生活にどう影響するのかと心配があった。太郎が感情を出せる場所小学生の頃から太郎は、放課後等デイサービスの先生たちに心を開いている。中学校に進学後、太郎は週に4日から5日、放課後等デイサービスへ通っている。私に話さないこと、見せない面を、スタッフの人たちが知っていることもある。特に宿題や学習について不満を漏らすことが多かったようで、「宿題が多すぎる……」とつぶやいていたと先生たちから聞いた。Upload By まゆん太郎は普段1人で行動をすることが少ない。家にいるか、放課後等デイサービスか学校だ。太郎が感情を出せる場所が家庭だけでなくて良かったと思う。放課後等デイサービスという場所があって本当に良かった。Upload By まゆんそう思うと同時に、そろそろ本当に限界なのではないだろうか……そう気づき始めた。私の予感が、その後どうなったかはまた時間を置いてつづりたいと思う。あとがき中学生になり、学習もより複雑になってきました。小学生まではなんとかついていけていましたが、中学生になり周りとの差は明らかなものになっています。お話しがあったのがワーキングメモリー、知的の部分でした。今、かかりつけ医に相談し、より詳しい検査をすすめている段階です。これから高校進学、就労の話も出てくると思うので重要なポイントになると思っています。執筆/まゆん(監修:森先生より)成長するにつれて、保護者の方だけで支えることのできる範囲にも限界が出てきますよね。学校の勉強はどんどん複雑になりますし、提出物や宿題のサポートを受けられると心強いですね。また、思春期に入ったお子さんは保護者の方にはなかなか相談できない部分も出てくるものです。放課後等デイサービスのように、お子さんにとって、学校とも家庭とも違う自分を出せる場所があると、心の平穏につながりますね。保護者には見せられない感情を出してリラックスできる場があると、日常で生じるストレスともうまく付き合えるようになるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月03日息子のハジュは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断されました現在小学3年生のわが家の長男ハジュ、赤ちゃんの頃はとてもよく眠る子でした。お腹が空く時間になってもまったく目覚める気配がなく、よく起こして授乳をしていました。あるとき、何度起こしても目を覚まさないため、寝ているにもかかわらず授乳をしてみたら……口からミルクがダバー。あとになって分かるのですが、ハジュには感覚鈍麻があったようで空腹や満腹の感覚がかたよっていたのかもしれません。そして、いつも上機嫌!あやさなくてもニコニコとよく笑い、誰もいない場所に向かって笑っていることもあったので妖精さんでも見えているのかな?と思っていました(のんきな母)。夜泣きもそれなりにありましたが、基本的によく寝る子どもだったので、とても育てやすく感じました。今思えば、いつもニコニコしているので呼びかけに反応していると思い込んでいたのかもしれません。Upload By スパ山まるで爆弾!?急な癇癪、吐くまで泣き続けた1歳を過ぎた頃なんか変だな?と思ったのは1歳を過ぎた頃でした。3歳年上の長女が1歳だった頃に比べて、意味のある言葉は何も話さないし、指さしもしないことに気がつきました。そして、何か気に入らないことがあると、激しく頭を壁や家具にぶつけたり、地面へ叩きつけたりしていました。しかも、何が気に入らないのかが親にはさっぱり分からない。まるでいつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようでした。スイッチも解除方法もわからない!吐くまで泣き続けていました。「誰か爆発物に詳しい方はいらっしゃいませんかー!?」と叫び出したいような状況でした。かかりつけの小児科の先生に予防接種のついでに相談したところ「まあ、男の子はいろいろ遅いって言うから」と言われ、「なるほど男の子とはそういうものなんだ」と思っていました(のんきな母再び)。Upload By スパ山遅れて受けた1歳半健診……療育と出合う転勤族のわが家は、1歳半健診のタイミングと引っ越しがかぶり、現住所でも転居先の健診日でも、1歳半では受けることができませんでした。ようやく受けることができたのは、ハジュが1歳11ヶ月の時でした。そして健診の日。健診会場にいるのはほとんどが1歳半の子どもたち。お膝に座って絵本を読んだり、「かして、どうぞ」とお話する子どもまで……!えっと、確認ですがみなさん生まれて1年と半年ってことでOK?と混乱する私。いっぽうで息子のハジュは広い会場に大興奮!端から端まで走ったり、机に上ったり。落ち着かせようとしても、空を舞う竜のごとく腕の中を通り抜けてあっという間に廊下へ!!長女も1歳半健診は受けていますが、明らかにハジュは何かが違う……感じたのでした。健診で診察をしてくれたお医者さんが「え!?もうすぐ2歳!?一個も言葉出てない!?」と驚いたように話したことで、「男の子はいろいろ遅い」説は一体なんなんだ!?みんなこうじゃないの!?と、どんどん不安になっていきました。そして心理士さんと面談し、療育と出合うことになったのでした。Upload By スパ山やっと出た自分の言葉!3歳の頃3歳になったハジュは、グループ療育に通いつつ、地域の幼稚園に入園しました。この頃は、石や砂、粘土、ビーズなどを口に入れるようになり、加配の先生についてもらい、危険のないように園生活を見守っていただきました。そして幼稚園入園後、ずっと喃語状態だったハジュが「(は)い!」と返事をするように。みるみる言葉が増え、不明瞭だったり、オウム返しだったりしながらも、受け答えできるようになってきました。数字も大好きになり、「おかあさん」より先に1~100を言えるようになりました。いっそのこと私の名前を数字に改名したかったです。そして初めておしゃべりらしい言葉が出たのが「今日の給食なんだった?」に対しての「すっぱらっちぃ(スパゲッティ)」です。はい、もう耳を疑いました。大号泣です。(あまりにもうれしくて「スパ」を取って現在のペンネームにしました。そしてしょっちゅうスパゲッティが食卓に登場)Upload By スパ山現在は特別支援学級へ現在ハジュは、地域の小学校の特別支援学級の3年生です。相変わらず数字が大好きで、お友達もたくさんでき、元気に過ごしています。私も、信頼できる先生や、SNSを通じてママ友と出会うことができ、みんなから支えられてひとりじゃないんだなと思うことができました。こんな私たち家族の日常をお届けし、「自分だけじゃないんだ」と少しでも共感してもらえるような記事を書いていけたらと思っております。そして、あわよくばクスっとしていただければ幸いです。執筆/スパ山(監修:室伏先生)ハジュくんの乳児期から現在に至るまでの成長のご様子を、お母様のお気持ちを交えて共有くださり、ありがとうございました。発達障害を抱えるお子さんの多くは、乳児期には特性が分かりづらいことが多いです。乳児期を過ぎると、違和感やあれ?と思うことが増えていくのですが、親御さんは、療育や診断に繋がり見立てや診断がつくまで、不安や戸惑い、迷いなどを感じられ、診断がついてからは落胆や見通しがたたない先々への不安など、さまざまな想いを抱えられると思います。それらを乗り越えて、頑張られている親御さんのお気持ちやその変化、そしてハジュくんの成長の様子や、毎日を楽しく過ごすハジュくんの今を共有くださることは、多くの親御さんにとって安心や励みになることと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月03日人間と物を分け隔てしない友達が自転車に乗っていて転んだとき、自閉スペクトラムの特性がある子どもが自転車に「大丈夫?」と声をかけたという話があります。多くの人はそのような場面で、まず人間のことを心配します。しかし、人間と物を同列に見て、「友達は平気そうだけど、自転車は壊れたかも」と考える人もいるのです。自閉スペクトラムの特性がある子どもが、人に興味がないわけではありません。そうではなくて、人間と物を分け隔てしない。平等に考えるのです。そう理解したほうが、お子さんの心理を想像しやすくなると思います。※「特性=障害」とはならないため、障害(Disorder)を除いて、「自閉スペクトラム(AS)」、「注意欠如多動(ADH)」ということもあります。このコラムのなかでも、『マンガでわかる発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』と同様に「自閉スペクトラム」と表記しています。自閉スペクトラムの子のアタッチメント「人間と物を平等に見ている」ということが、親子の「アタッチメント(愛着)」を形成する場面にも表れることがあります。一般的には「愛着形成」というと、子どもが親に見守られて安心・安全を感じて、親子関係に愛着を持っていくような流れのことを指しますが、自閉スペクトラムの特性がある子の場合、対人関係が必ずしも重要なわけではありません。それよりもむしろ一貫性や継続性、法則性を安心・安全の根拠にするところがあります。自閉スペクトラムの特性がある子は親との関係に対して、情緒的に特別な意味を持たないことがあるのです。「この人は母親だから特別」という形で愛着を持つというよりは、「この人はいつも同じようにふるまってくれる」という点で相手を信頼し、愛着が生まれていくようなところがあります。大人の同じふるまい、予想通りの行動に安心感相手の行動に一貫性があることで安心し、安全だと感じて、相手を信頼していく傾向があるのです。そのため、愛情深くても気まぐれな人に対しては安心を感じにくいところがあります。それよりも、いつも同じようにふるまう人、自分の予想通りの行動をとる人のほうが信頼できるわけです。Upload By 本田秀夫ルーティンのある生活が安心材料になるですから、決まったルーティンの生活をすることが、自閉スペクトラムの特性がある子にとっては安心材料となります。幼児期にまるで判で押したように「パターン化」した暮らしをして、情緒的に安定して育つと、大きくなってから多少のイレギュラーが起こっても、メンタルに影響しにくくなります。生活の基本的な部分が安定しているので、情緒的に揺れにくくなるのですね。親のもともとの生活スタイルもあると思いますが、子どもが望む一貫性や継続性などを考慮して、親子で平和に過ごせるルーティンをつくっていくことをおすすめします。「いろいろな経験をさせたい」で情緒不安定になることも反対に、小さい頃から「早くいろいろなことに慣れさせなきゃ」と言われて、習い事などに頻繁に連れ出されていた子の中には、情緒不安定になる子もいます。もちろん、新しい課題も多少はあってもいいのですが、毎日予想外のことが起きて、気持ちが疲れてしまうような生活を送っていたら、「いつもと同じ」を好むタイプの子はなかなか安心できません。情緒的に安定した暮らしが送れなくなってしまうわけです。「北風」よりも「太陽」のようなサポートを私は、自閉スペクトラムの特性がある子への接し方は「北風と太陽」でいうところの「太陽」がよいと考えています。「北風」を吹かせるようなやり方で無理やり特定の活動をさせようとしても、かえってこだわりが強くなり、抵抗されることが多いです。それよりも「太陽」のようにあたたかくサポートしながら、本人が動き出すのを待つほうがいいでしょう。Upload By 本田秀夫自閉スペクトラムの特性がある子はルーティン化した生活をしていると、自分のほうからパターンに飽きて、新しいことに取り組み出すことがあります。人間は安心・安全を保障されると、慣れるのも飽きるのも早いのです。こだわりの強い子も、安心感のある環境で育つと、自発的に行動パターンを広げていきます。一人で好きな遊びを楽しむのを見守るという愛情自閉スペクトラムの特性がある子に、新しい経験をさせること自体が悪いわけではありません。子どもが安心して新しい経験に取り組めることが重要なのです。その安心感を自閉スペクトラムの特性がある子は対人関係というよりは、一貫性のある生活の中で感じ取っていきます。子どもが人にあまり興味を示さず、一人で遊んでいると、周りの人から「もっと愛情をかけて」「接する時間が足りないのでは」などと言われることがあるかもしれません。しかし、話しかけることだけが愛情の示し方ではありません。子どもが1人で好きな遊びを楽しんで、安心して暮らせるように見守ることが、最大の愛情表現になることもあるのです。あるお子さんが親御さんに、こう言ったそうです。「お母さん、何も話さないで見ていてくれるのも『好き』っていうことなんだよ」親子でこのような信頼関係を意識できると、お互いに安心して、穏やかな暮らしができるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月29日「今日もまた、長男に怒ってしまった……」。そんなことを毎日のように思いながら、自閉症スペクトラム疑いの長男の子育てに奮闘しています。ある日、私が長男にイライラしてしまったことを、同じ自閉症スペクトラムの子どもがいる先輩ママに話すと、意外なひと言が返ってきたのです……。 自閉症スペクトラム疑いの長男うちの4歳の長男は、かんしゃくがひどく感覚過敏もあることなどから、医師から「自閉症スペクトラムの疑い」と診断されています。長男は、自分の思い通りにことが進まないとかんしゃくを起こすことがよくあり、それに対して私もイライラしてしまうことも……。 ある日、同じ自閉症スペクトラムの息子さんが2人いる先輩ママと遊んだときに子育ての話になり、私が「いっつも息子のこと怒ったあと、自己嫌悪になっちゃうんですよね。怒らないようにしよう、って思っているのに……」と話すと、先輩ママから意外なひと言が返ってきたのです。 先輩ママの意見その先輩ママは「え? 怒っていいんだよ。怒られるようなことをしてるんだから。それに、怒るに至るまでにあなたなりの我慢をしてるんだから、必要なときはちゃんと怒っていいと思う。頭ごなしに怒るのはだめだし、“叱る”が理想だけど、ママの気持ちも知ってほしいし、怒ること自体はだめじゃないんじゃないかな」と、言ってくれたのです。 その言葉を聞いて、私は「怒ってもいいんだ」と、気持ちがすーっとラクになりました。それまで、私には子どもを怒ること=良くないこと、母親の自分の我慢が足りていないから、という考えがあったので、子どもを怒ってしまった日の夜は必要以上に自分を責めてしまうこともありました。 先輩ママから「必要なときは、子どもに怒っていいんだよ」と言われたことで、私の子育てに対する精神的な負担は大分軽くなったような気がします。私が子どもを怒ってしまったことで、必要以上に自己嫌悪な気持ちになることもなくなり、先輩ママの言葉にとても助けられたと思っています。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! イラスト/ふくふく監修/助産師 松田玲子著者:吉川 みきな
2023年09月22日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。しぇーちゃんは学校生活において、なかなか量を減らしてもらえない給食や、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手で、つらいと感じてしまうようです。話し合いの末、今後も学校に通うか、家で勉強するか、しぇーちゃん自身に学校へ行って確かめてきてもらうことに。翌朝、マミヤさんに付き添われ登校したものの、学校が見えた途端に表情が曇ってしまうしぇーちゃん。しかし、下校時には思いのほか晴れ晴れとした表情で「大丈夫だった。来週から行けると思う」と話してくれました。 しかし週末、自宅で過ごしていると「月曜日は無理して5時間目までは頑張ろう」と独り言のように、度々つぶやくようになったしぇーちゃん。 日曜日の夜、「明日ね、私頑張って無理してでも学校行くから安心してね」としぇーちゃんが言ってきました。それまで悶々と悩んでいたマミヤさんでしたが、しぇーちゃんから“ママを安心させるために学校へ行く”というような発言を聞いて、瞬間的に「そんな理由なら、行かなくていい」と思ったそうです。 しぇーちゃんを抱きしめ「無理して学校行かなくていいよ。ママのために行かなくていいんだよ? 学校、行きたくないんだよね?」と改めて確認。すると、涙を流しながら「そうなの……。私、学校に行くのがつらいの」と正直な気持ちを伝えてくれて……。 この判断でよかったんだよね… ※「二次障害」:発達障害(一次障害)の特性について周囲からの理解を得づらい環境の中、繰り返し注意されることで自信を失ってしまい、ストレスや不安によって身体症状(頭痛・腹痛など)や精神症状(うつ病・不安障害など)、不登校、ひきこもりなど、別の問題が出てきてしまう状態のこと。(※医学的な専門用語ではありません) 将来や学習面の不安もあるものの、優先すべきは「しぇーちゃんが心身ともに健康であること」。マミヤさんご本人の経験から、限界ギリギリまで頑張ってしまうのではなく、あえて早めに不登校という選択をしました。 いろいろな不安が頭をよぎる中、マミヤさんは優先順位を明確にすることで、不登校を決断できたそうです。子どものことを決めるのは、簡単ではありません。しかし、「学校休んでいい」と聞いて安心して眠りについたしぇーちゃんの穏やかな寝顔を見ていると、この選択がしぇーちゃんの気持ちを落ち着かせたのだと思えますよね。 この選択が正しかったかどうかは、すぐにはわかりません。しかし、マミヤさん一家のように悩みにぶつかったら、まずは子どもと向き合い、家族でしっかりと話し合って、その都度、最善の選択をしていくことで、後悔することは少なくなるかもしれません。 今回、しぇーちゃんの心身を守ることを第一に考えて、学校を休ませる選択したマミヤさん。これから先、また悩むことがあっても、家族でしっかりと向き合って乗り越えていくことでしょう。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月20日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンを続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。翌日も何とか登校できたのですが、1時間目の終わりにおなかが痛くなり、早退することに。しぇーちゃんは、「私、学校アレルギーかも」と言い、どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。マミヤさんはしぇーちゃんと改めて話し合うことにしました。しぇーちゃんは学校生活において、なかなか量を減らしてもらえない給食や、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手で、つらいと感じてしまうようです。話し合いの末、今後も学校に通うか、家で勉強するか、しぇーちゃん自身に学校へ行って確かめてきてもらうことに。 翌朝、マミヤさんに付き添われ登校したものの、学校が見えた途端に表情が曇ってしまうしぇーちゃんでしたが、下校時には晴れ晴れとした表情で「大丈夫だった。来週から行けると思う」と話してくれたのです。 しかし週末、自宅で過ごしていると「月曜日は無理して5時間目までは頑張ろう」「月曜日は5限までで大変だけど、無理して行くんだよ」というしぇーちゃんの独り言が聞こえてきます。気になったマミヤさんが質問してみると、しぇーちゃんは「え? 私、そんなこと言ってた?」と、自分の発言に気づいていなかったのです……! 翌日から学校を休ませるべきか、本人が頑張ろうとしているのならサポートするべきか、悩み続けるうちに夜になって……。 学校、行きたくないんだよね? 日曜日の夜、「明日ね、私頑張って無理してでも学校行くから安心してね」としぇーちゃんが言ってきました。 それまで悶々と悩んでいたマミヤさんでしたが、しぇーちゃんから“ママを安心させるために学校へ行く”というような発言を聞いて、瞬間的に「そんな理由なら、行かなくていい」と思ったそうです。 そしてしぇーちゃんを抱きしめ、「無理して学校行かなくていいよ。ママのために行かなくていいんだよ? 学校、行きたくないんだよね?」と改めて確認。すると、涙を流しながら「そうなの……。私、学校に行くのがつらいの」と正直な気持ちを伝えてくれました。 しゃーちゃんの本音を聞き出せたマミヤさんと、きちんと自分の気持ちを言葉にできたしぇーちゃん。月曜日に、つらい思いをしながら無理して登校する前に、しぇーちゃんの本当の気持ちを確認できて本当によかったですね。 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月19日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。翌日も何とか登校できたのですが、1時間目の終わりにおなかが痛くなり、早退することに。しぇーちゃんは、「私、学校アレルギーかも」と言い、どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。マミヤさんはしぇーちゃんと改めて話し合うことにしました。しぇーちゃんは学校生活において、なかなか量を減らしてもらえない給食や、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手で、つらいと感じてしまうようです。話し合いの末、今後も学校に通うか、家で勉強するか、しぇーちゃん自身に学校へ行って確かめてきてもらうことに。 翌朝、マミヤさんに付き添われ登校したものの、学校が見えた途端に表情が曇ってしまうしぇーちゃんでしたが、下校時には思いのほか晴れ晴れとした顔をしていました。そして、「大丈夫だった。来週から行けると思う」と話してくれたのです。 しかし翌日の土曜日、自宅で過ごしていると「月曜日は無理して5時間目までは頑張ろう」というしぇーちゃんの言葉が聞こえてきます。しかもマミヤさんに伝える様子でもなく、独り言のよう。土日の2日間で10回は言っていたそうで、マミヤさんはとても気になって……。 無意識のうちに自己暗示!? 日曜日にも、「月曜日は無理して頑張らないとだね」「月曜日は5限までで大変だけど、無理して行くんだよ」などつぶやくしぇーちゃん。気になったマミヤさんが確認すると、なんと、しぇーちゃんは自分の発言に気づいていないようなのです……! 「今までの行きしぶり発言は私に対して言っていたのですが、このときは本当にどこを見て言っていたのか……。この状態で頑張らせて乗り越えられるのか、そうしてはいけないのか、かなり悩みました」とマミヤさんは振り返ります。 時はすでに日曜日の夕方。この状態が続くとどうなるのか、専門家でもない限り判断が難しいところですよね。 このような場合、ひとりで抱え込まず、月曜日になってから学校の先生をはじめ、医療機関や、カウンセリングを受けることができる専門機関に相談するのも1つの方法です。正解はひとつではありません。子どもにとってより良い状態や環境を目指して、周りの大人たちがサポートしながら乗り越えていけるといいですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月18日もうすぐ3歳。髪が伸びてきたけれど…長女のまゆみは生まれたころから髪が薄く、2歳になっても赤ちゃんのような髪質のままでした。伸びるのも遅かったので、私は毎日まゆみのパヤパヤの髪の毛をブラシでとかしながら三つ編みやお団子で可愛くヘアアレンジできる日を心待ちにしていました。2歳10ヶ月、ちょうどまゆみに自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたころ、ようやく髪の毛が肩につくくらいになりました。夢だったヘアアレンジをしようとするも…まゆみは気に入らない様子。褒めちぎり、なだめすかしてようやく2つに結んでも、すぐにまゆみがヘアゴムをかなぐり捨ててしまうので5秒ともちません。Upload By にれ何度か試してみて、本人が嫌なら仕方ないとヘアアレンジはあきらめましたが、伸びた髪をそのままにしておくのは下を向いたときに視界を狭めてしまうため、初めてのヘアカットを思い立ちました。美容室探ししかし、1つ問題がありました。私はものすごく不器用なのです。それまでもまゆみの前髪カットはしていましたが、毎回アバンギャルドな仕上がりにしてしまうので「オン眉アシメバングかわいい~!」と口では言いながら心の中でまゆみに謝るのが恒例になっていました。セルフカットで頑張っているお母さんがたくさんいらっしゃる中、私はどうしても娘の髪のバックやサイドにハサミを入れる勇気が持てず、特性があっても受け入れてくれる美容院を探すことにしました。私の考えた条件は2つです。(1)ほかのお客さんの迷惑にならないよう+まゆみも落ち着けるよう、まゆみ(と母親と美容師さん)だけの空間にできること(2)家からの距離や料金的に、今後も通えるお店であることUpload By にれしかし、田舎住まいのためプライベートサロンが少なく、あったとしてもカット代が高額だったりして当時育休中だった私には手が出せませんでした。あきらめてセルフカットに挑戦するか悩んでいたころ、こじんまりとした理髪店がすぐ近所にあることに気づきました。カット用のチェアが2台ある、店主さん一人で切り盛りされている「町の床屋さん」といった風情のお店です。もしかしてここなら…と、ダメ元で娘の状態を話してカット可能か聞いてみたところ、「一度やってみましょう」と引き受けてもらえることになりました。初めてのヘアカット予約は人の少ない平日の遅い時間に取りました。行動予告にと、まゆみにヘアカットの動画を見せて「今からチョキチョキしてもらおうね」と伝えましたが…通じているのかいないのか、いつも通りの様子に一抹の不安を抱えながら理髪店に向かいました。お店に入るとキョロキョロウロウロ。なかなか椅子に座りません。やっと座ったと思ったらケープを掛けられたことに驚いて逃げ出してしまいました。そして二度と座ろうとしません。仕方がないので、私が椅子に座って膝に乗せることにしました。薄手のレインコートを持ってきていたので、私はレインコート、まゆみはタオルのみ首に巻いた状態でカットが始まりました。ハサミを見て逃げようとするまゆみですが、私が強く抱きかかえているため動けません。当然暴れますが、自分で髪を切ってあげるだけの技量がない私としては予防接種と似たイメージで「お店でのヘアカットはまゆみの人生に必要なこと」という意識がありました。Upload By にれほかに押さえつけられたような経験がないため、おそらくまゆみも予防接種のようなイメージが湧いたと思います。けれど、多少泣かれても「注射とは違って痛いことはされなかった、大丈夫だった」という経験を一度させてみるつもりでした。一旦は嫌な思いをさせてしまうのでこのやり方には賛否があるでしょうし、お子さんの性格や特性に合わせて慎重になる必要があるかと思いますが、ともかくまゆみの初めてのヘアカットはどうにか終えることができました。綺麗に整えてもらった髪をまゆみにも見せて、頑張ったことをその場でべた褒めしました。わが子を褒めるのに気兼ねいらずな点でも、周りにほかのお客さんがいない環境はありがたかったです。家でも、祖父母宅でも、療育先でも、会う人会う人みんながまゆみのイメチェンを褒めてくれたのも助かりました。無表情を貫いていたまゆみも、内心はきっとうれしかったのではないかと思います。二度目、三度目と回数を重ねて…それから3ヶ月ほど経ち、二度目のトライです。店主さんも覚えていてくれて、時間はまた平日の夕方に。お店に入ると、記憶がよみがえったのかまゆみが泣き出してしまいました。嫌な場所としてインプットされるといけないので、二度目はあまり頼りたくなかったスマホ動画に頼ることにしました。また私の膝に乗ってのカットで、動画のおかげで前回ほど暴れず、ときどきまゆみが店主さんをギロッとにらむ以外は和やかな雰囲気でカットできました。さらに数ヶ月後、三度目のカットではぐずりながらも自分からカット用チェアに座ってくれて、親子ともども髪の毛にまみれる必要がなくなりました。感覚過敏のためかカット用ケープは着けられませんが、それでも動画を見ながら一人で座ってくれています。思い出したように立ち歩くことはあるものの、まゆみが座っている短い間に店主さんが素早い手さばきでいつものボブヘアに仕上げてくれました。そうして回数を重ねるうち、まゆみも慣れてくれてヘアカットも平気でこなせるようになりました。多動があるので長い時間は座っていられませんが、5歳になった今では袖つきのケープなら着られるようになり、新しくわが家で導入した幼児向けの知育パッド(使用は病院の待合か床屋さんなどここぞというときに限っています)をつつきながら髪の毛を切らせてくれます。Upload By にれ正解がないヘアカット問題わが家の場合、まゆみがある程度は順応してくれるタイプだったことと、近所に理解のある理髪店があったため初回のような荒療治でも結果的に上手くいきましたが、あとから思い返しても押さえつけての散髪はあまりおすすめできません。二回目にお店を見て泣いてしまったので、失敗といっていいかもしれません。自宅で親がカットするケース、寝ている隙にカットするケースなど、お子さんの性格や特性によって合った方法はさまざまなので「こうしたらいい」というのは安易にいえませんが、「親子がなるべく楽なようにお店でヘアカットする」という目的でわが家の反省点を挙げるなら、以下の点です。・できれば押さえつけずに済む方法をもっと模索すればよかった・嫌な印象を持たせてしまうくらいなら、初回から動画頼りでもよかった・動画頼りになるなら、幼児向け知育パッドの導入はもっと早くてもよかった・ケープに慣れないなら、子ども用のレインコートを着せればよかったまた、美容室や理髪店の利用をお考えの方で、プライベートサロンが見つからない場合は、早めの夕食をとって少人数制のお店の最後の時間の予約を取ると親も子もかなり気楽にカットしてもらえるのでおすすめです。きっと正解はないこのヘアカット問題、お子さんも保護者の方も、それぞれに負担のない道が見つかるといいなと思っています。執筆/にれ(監修:室伏先生)ヘアカットの問題、同じように苦労されている読者の方もたくさんいらっしゃるかと思います。にれさん、まゆみちゃんの試行錯誤のプロセスを具体的に共有してくださり、ありがとうございました。自閉スペクトラム症のあるお子さんにとっては、感覚過敏、新しい場所・人への不安、新しい経験への抵抗感など、たくさんのハードルがありますよね。にれさんがまゆみちゃんの感じ方やお気持ちに寄り添い、理解されようとするご様子が伝わってきました。初回はにれさんもまゆみちゃんも大変だったことと思いますが、にれさんの工夫とまゆみちゃんの頑張りにより克服できたこと、素晴らしいですね!動画をみせることに罪悪感を抱いてしまうご家族の方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、場所や時間を決めて利用されると、育児の救世主になりますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月18日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。翌日も何とか登校できたのですが、1時間目の終わりにおなかが痛くなり、早退することに。しぇーちゃんは、「私、学校アレルギーかも」と言い、どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。マミヤさんはしぇーちゃんと改めて話し合うことにしました。しぇーちゃんが学校で苦手だと感じてしまうことは、なかなか量を減らしてもらえない給食、運動会の練習、騒がしい支援級……。学校生活において、つらいと感じるシーンが多いようです。 マミヤさんはしぇーちゃんに、ゲームや動画視聴の時間制限を設けた上で、学校には行かずにママと一緒に家で勉強をすることを提案。学校に通うか、家で過ごすか、翌日の金曜日に学校に行って、しぇーちゃん自身に確かめてきてもらうことになりました。 金曜日、マミヤさんが付き添って登校しましたが、学校が見えた途端に表情が消え、無口になるしぇーちゃん。つらそうな姿を目の当たりにし、きっと学校へ行かない選択をするだろうと感じたマミヤさんは、「これが最後のランドセル姿かも……」と涙ぐむのでした。 しかし、その後まさかの展開に!? 週末、娘に異変が…! 予定通り、お迎えの時間。先生が配慮してくれたこともあってか、晴れ晴れとした顔で学校を出てきたしぇーちゃん。「大丈夫だった。来週から行けると思う」と話してくれました。「私が深刻に捉えすぎていたのかな?」と拍子抜けするマミヤさんだったのですが、小さな異変が出てきます。 翌日の土曜日、しぇーちゃんが「月曜日は無理して5時間目までは頑張ろう」と言っているのが聞こえてきました。しかもマミヤさんに伝える様子でもなく、独り言のよう。土日で10回は言っていたそうで、マミヤさんはとても気になります。 決意表明の独り言なのか。自分に言い聞かせているのか。ママに伝えようとしているのか。それとも、自分でも知らないうちに口に出しているのか……。 こういう場合、子どもが自分で頑張ろうとしているのに引き留めてしまっていいものか、それとも頑張りすぎているから引き留めなければいけないのか、判断に迷うところですよね。みなさんなら、どういう判断をしますか? 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月17日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。翌日も何とか登校できたのですが、1時間目の終わりにおなかが痛くなり、早退することに。しぇーちゃんは、「私、学校アレルギーかも」と言い、どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。マミヤさんはしぇーちゃんと改めて話し合うことにしました。しぇーちゃんにとって学校の何が苦手なのか、じっくり話を聞いてみると、なかなか量を減らしてもらえない給食、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手だということが明らかに。つまり、しぇーちゃんにとって、学校がつらくなってしまうきっかけはたくさんあったのです。 マミヤさんはしぇーちゃんに、ゲームや動画視聴の時間制限を設けた上で、学校には行かずにママと一緒に家で勉強をすることを提案。そして改めて、しぇーちゃんには「学校に行く権利」はあるけど、「義務」ではないこと、しかし親には「子どもに教育を受けさせる義務」があることを説明しました。 話し合いの末、学校に通うか、家で過ごすか、翌日の金曜日に学校に行って、しぇーちゃん自身に確かめてきてもらうことになったのですが……。 さっきまで普通だったのに…!? 昨夜の様子も問題なく、朝も平気そうだったので、マミヤさんが付き添って登校することに。しかし、学校が見えた途端に表情が消えて無口に……!? しぇーちゃんがつらくなる様子を目の当たりにし、「娘は学校へ行かない選択をする」と感じたというマミヤさん。これが最後の登校かと思い、思わずしぇーちゃんの後ろ姿を写真に収めたそうです。 つらい気持ちを抱えながらも、頑張って登校するしぇーちゃん。そしてその後ろ姿を見守るマミヤさん。子どもがつらい思いをしているのに、親が直接何かをしてあげられないとき、もどかしい気持ちになることもあるでしょう。きっと、こうしてマミヤさんが見守ってくれているおかげで、しぇーちゃんは勇気を出して学校へ行き、自分の気持ちを確かめようと思えたのかもしれませんね。 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月16日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。不安を抱えつつも、翌日は何とか登校できたのですが、午前中のうちに担任の先生からマミヤさんへ電話がかかってきました。マミヤさんの不安は的中。先生いわく、しぇーちゃんは1時間目の終わりにおなかが痛くなり、今は保健室にいるとのことでした。しかし、マミヤさんが慌てて保健室へ駆けつけると、元気そうに保健室の先生とお話をしているしぇーちゃん……。 どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。マミヤさんはしぇーちゃんと改めて話し合うことにしました。 そして、しぇーちゃんにとって学校の何が苦手なのか、じっくり話を聞いてみると、なかなか量を減らしてもらえない給食、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手だということが明らかに。 つまり、しぇーちゃんにとって、学校がつらくなってしまうきっかけはたくさんあったのです。「あかん、ほぼ全滅じゃん…」と頭を抱えるマミヤさんは……。 学校がつらいなら、家でママと過ごそう しぇーちゃんの話をじっくりと聞いたマミヤさん。「しぇーちゃんにとって、学校にはつらいことや我慢することが多い」と実感しました。そして、ゲームや動画視聴の時間制限を設けた上で、学校には行かずにママと一緒に家で勉強をすることを提案します。 「学校に行くことがすべてではない」。言葉ではわかっていても、わが子に「学校に行かなくていいよ」と提案するのは、親にとって勇気がいることのように思います。しぇーちゃんの言葉をひとつも否定せずに受け止めて、しぇーちゃんが過ごしやすいような代案を伝えるマミヤさんは本当に懐が深い……! 何か問題にぶつかったとき、選択肢があることを知らずに限界まで我慢するのと、他の方法を選択するのとでは、心理的な負担がまったく違いますよね。相手を追い詰めるのではなく、マミヤさんのように選択肢を提示できるような人でありたいものです。 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月15日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できたと思っていたら、「学校で体中痛くなって……体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰宅したしぇーちゃん。不安を抱えつつも、翌日は何とか登校できたのですが、午前中のうちに担任の先生からマミヤさんへ電話がかかってきました。マミヤさんの不安は的中。先生いわく、しぇーちゃんは1時間目の終わりにおなかが痛くなり、今は保健室にいるとのことでした。 マミヤさんが慌てて学校へ向かい、保健室へ駆けつけると、しぇーちゃんは元気そうに保健室の先生とお話をしていました。 どうやら学校に行くと調子が悪くなってしまう様子。「心因性の体調不良か、仮病か……。しぇーちゃんとよく話し合わないと」と、マミヤさんは考え込みます。帰宅後、「もしかしたら私、学校アレルギーかもしれない」と不安を吐露したしぇーちゃんに対し、マミヤさんとパパの反応は……。 「休みな」って言うだけなら簡単だけど… しぇーちゃんに寄り添った言葉をかけてくれる夫にも「言うのは簡単だけどさ……」と思ってしまうほど、悩み思い詰めていたマミヤさん。しぇーちゃんにとって学校の何が苦手なのか、じっくり話を聞くことにしました。なかなか減らしてくれない給食、運動会の練習、騒がしい支援級が苦手。学校で楽しいことは、鉄棒と玄関前のメダカに挨拶することだと教えてくれました。しぇーちゃんにとって、学校がつらくなってしまうきっかけはたくさんあったのです。悩み事があったとき、その原因を書き出すと頭の中が整理され、客観的に見ることができる場合も。しぇーちゃんが学校でつらいことをじっくりと聞き出し1つずつ書いていくことで、なんとなくつらい……」という状況から、原因が明確になりましたね。自分のことをきちんと理解してマミヤさんに言葉にして伝えられるしぇーちゃん、素晴らしいですね。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月14日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。そして2学期が始まった途端、「学校で体がおかしくなっちゃった」と言い始めたのです。「明日も学校で体中痛くなったらどうしよう……」と不安がるしぇーちゃんに、マミヤさんは「じゃあ、木曜日はお休みしようか」と、あえて翌々日の計画的休みを提案。これまで、お休みの日が約束されていたら、それ以外の日は学校へ行けていたのだそうです。 翌日、しぇーちゃんは登校しましたが、マミヤさんの不安が的中。担任の先生から、「しぇーちゃんは1時間目の終わりにおなかが痛くなって、今は保健室にいます」との連絡が入りました。マミヤさんが急いでお迎えに行くと……。 心因性の体調不良か、仮病か… ※訂正:(誤)お母さんの→(正)お母さんが マミヤさんが慌てて保健室へ駆けつけると、中からとても明るい笑い声が! しぇーちゃんは保健室の先生と元気いっぱいお話をしていました。家に帰っても元気なしぇーちゃんを見て、「心因性の体調不良か、仮病か……。しぇーちゃんとよく話し合わないと」と、解決策が思い浮かばないとマミヤさんは考え込みます。 しぇーちゃんは、「学校の5時間目までを想像したら、おなかが痛くなったんだよね……」と振り返り、「もしかしたら私、学校アレルギーかもしれない」と不安を吐露したのでした。 「『学校に行きたくない』と言われたら話し合えるのですが、『学校に行くと体調が悪くなる』と言われると、どう対応していいかわからなかった」と、マミヤさんは振り返ります。体調そのものはそれほど悪くなさそうなとき、子どもを激励して学校に行かせるべきか、とりあえず家でゆっくり休ませるべきか、悩むところですよね。皆さんは、もし同じ状況になった場合、どのように対応しますか? 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月13日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。そして2学期が始まった途端、「学校で体がおかしくなっちゃった」と言い始めて……!?夏休みが終わり、あっという間に2学期が始まりました。 心配していた行き渋りもなくスムーズに登校できていたのですが、ある日「体中が痛くて、なんか体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら帰ってきたしぇーちゃん。 マミヤさんが、何があったのか詳しく聞いてみると……。 これは今までとは違う… 「明日も学校で体中痛くなったらどうしよう……」と不安がるしぇーちゃんに、マミヤさんは「じゃあ、木曜日はお休みしようか」と、あえて翌々日の計画的休みを提案。これまで、お休みの日が約束されていたら、それ以外の日は学校へ行けていたのだそうです。 連絡帳にも詳細を書いて、しぇーちゃんにもすぐにお迎えに行けることを伝えて、ランチの約束もキャンセルして……。もし学校から電話があったとしても、すぐに対応できるように万全の態勢を整えていたマミヤさん。予感が的中し、しぇーちゃんは1時間目の終わりにお腹が痛くなって保健室にいると学校から連絡があったため、「これは今までと違う」と感じたマミヤさんは、急いで迎えに行ったのでした。 マミヤさんが応援してくれていたからこそ、しぇーちゃんは次の日も学校に行こうと思えたのかもしれません。何か不安なことがあったとき、家族がここまで寄り添ってサポ―トをしてくれていると思うと、とても心強いものですね。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月12日マミヤさんの長女・2014年生まれの自閉症スペクトラムのしぇーちゃんが小学2年生のときのお話です。 毎日楽しく過ごしていましたが、学校が始まるまでのカウントダウンをし続け、夏休みの終わりが近づくと愚痴をこぼすように。そして2学期が始まった途端、「学校で体がおかしくなっちゃった」と言い始めて……!?1学期が終わり、待ちに待った夏休みがスタート!毎日とても楽しく過ごしているしぇーちゃんですが、なんだかずっとカウントダウンしてる……? あれ…2学期、大丈夫かな? 2学期が始まり、行き渋りもなくスムーズに登校できていたのですが……。 ある日、「体中痛くて、なにか体がおかしくなっちゃったの!」と戸惑いながら、支援級の先生との交換日記を読んでほしいと手渡してきたしぇーちゃん。しぇーちゃんが授業中に具合が悪くなったと訴えてきたのは、入学して以来、初めてのことだったそうです。 行き渋りがなかったとしても、本人が気づいていないだけで心はとても頑張っていたのかも。急に体に異変を感じたしぇーちゃんは、とても驚いたことでしょう。先生に交換日記に詳細を書いてもらうことで、学校での自分の様子をお母さんに伝えたかったようです。 大人でも休み明けはリズムを取り戻すのに苦労することがありますよね。生活リズムや環境が変わるときは、自分でも気づかない間に緊張状態が続いて、心も体も疲れてしまいがち。できるだけリラックスして過ごし、たっぷり睡眠をとるなど、無理をしないよう心がけたいものですね。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター マミヤ
2023年06月11日自閉スペクトラム症(ASD)とは?治療方法はある?自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあり、幼少期に気づかれることが多いと言われています。自閉スペクトラム症の症状は3歳くらいまでにあらわれることが多いと言われています。主に他者との社会的関係形成に困難さがあったり、言葉や発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものにこだわりがある、などが特徴です。知的障害を伴わない場合は、幼児期に気づかれず、成人期に症状が顕在化することもあります。自閉スペクトラム症自体の原因を治療することはまだ不可能と言われています。ですが、早期から療育や環境調整を通して接し方を工夫することで、日常生活における本人の困りごとの解消につながります。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは一人ひとりに合った環境づくりを行います。早期から「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの発達支援施設で療育的支援や適切な教育を行ったり、苦手なことに対する対応方法を工夫していくなどの特性に合わせたサポートで子どもが自分らしく成長していけるように環境を整えていくことが重要です。投薬については、自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば、自閉スペクトラム症(ASD)の特性によって起きることが多い、癇癪、衝動性、こだわり、睡眠障害など、社会生活を送るうえで困難を感じる症状に対して、薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)ほか、神経発達症(発達障害)に処方されるのはどのような薬?自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとした神経発達症(発達障害)による症状によって困難さがある場合に処方される薬を解説していきます。中枢神経刺激薬は中枢神経系に作用してその機能を活発化させ、非中枢神経刺激薬は主に前頭前野に働きかけ神経伝達物質の働きを強めます。多動性・衝動性や不注意に作用します。・代表的な薬例:中枢神経刺激薬/コンサータ、ビバンセ非中枢神経刺激薬/インチュニブ、アトモキセチン(ストラテラ)抗精神病薬は脳内のドパミン神経系の活動を抑えることにより症状を改善していく作用があります。定型抗精神病薬(従来型)と非定型抗精神病薬(新規)に分かれており、定型抗精神病薬は陽性症状に作用しますが、非定型抗精神病薬は陽性症状と陰性症状の両方に効果があると言われています。・代表的な薬例:定型抗精神病薬/ハロペリドール、クロールプロマジン、ピモジド非定型抗精神病薬/リスパダール、アリピプラゾール(エビリファイ)、オランザピンなど抗不安薬は感情と関係する脳の動きなどを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善し、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は脳内で神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害しセロトニンの働きが増強されることで抑うつなど気持ちの落ち込みやイライラなどに作用します。・代表的な薬例:SSRI/フルボキサミン・エスシタロプラムなど抗てんかん薬は、脳内の興奮系物質の働きを抑える、抑制系物質の働きを強めるなどの作用機序があります。また、その2つとは違う新しい作用をもつ抗てんかん薬などもあります。・代表的な薬例:ダイアップ、バルブロ酸ナトリウム、トピラマートなど子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の代表薬・衝動性や癇癪を抑える「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」子どもの自閉スペクトラム症の易刺激性による癇癪や他害などを抑える代表的な薬として「リスパダール」「アリピプラゾール(エビリファイ)」があります。リスパダールは、リスペリドン主成分からできている抗精神病薬で、自閉スペクトラム症がある子どもや統合失調症がある人などに処方されます。自閉スペクトラム症の症状のひとつの易刺激性(不機嫌、無視、怒りっぽさ、癇癪、泣き叫ぶ、暴力や暴言、器物破損、抑うつ気分、気分の変わりやすさ、自傷などの行動を起こしやすいなどの症状)を抑える作用があります。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)もリスパダール同様に、易刺激性をやわらげる抗精神病薬です。ドパミン神経系を安定させる効果があり、躁状態およびうつ状態への効果が期待されています。副作用として主に眠気や食欲増多などがあります。アリピプラゾール(エビリファイ)とリスパダールは、どちらも易刺激性をやわらげる薬ですが、働きかける脳内の伝達物質が異なります。アリピプラゾール(エビリファイ)がドパミン神経系を安定させるのに対して、リスパダールはドパミンとセロトニンの両方に働きかけることで、ドパミン神経系に作用し、陽性症状、陰性症状両方の状態を抑えます。リスパダールは、原則として5歳以上18歳未満、アリピプラゾール(エビリファイ)は6歳以上18歳未満の子どもに使うことができます。また、子どもの体重に合わせて用法用量が定められています。神経発達症(発達障害)のある子どもの不眠に「メラトベル」「ラメルテオン(ロゼレム)」自閉スペクトラム症のある人に多くみられる睡眠の悩み。睡眠障害に対しては、子どもの不眠に処方される「メラトベル」と大人の不眠に処方される「ラメルテオン(ロゼレム)」などがあります。メラトベルは、神経発達症(主に自閉スペクトラム症)から起こる睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなど)に処方されます。6歳から15歳までの神経発達症(主に自閉スペクトラム症)のある子どもに対して処方され、就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。ラメルテオン(ロゼレム)も睡眠障害に処方される薬です。メラトベルが小児も使えるのに対して、ラメルテオン(ロゼレム)は成人に処方されます。(※監修注:15歳から処方は可能だが、18歳より処方するのが望ましい)就寝前(寝たい時間の直前)に服用をします。関連リンク・その他、発達障害のときに処方される薬って?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月11日「授業中にフリーズ」自閉スペクトラム症のある太郎自閉スペクトラム症のある太郎は、小学校1年生時、国語、算数、図画工作の授業は特別支援学級で個別に受けていた。特別支援学級の先生の判断だけではなく交流学級の先生と情報交換しながら、「太郎にあった授業」というものを考えてくださっていた。Upload By まゆんUpload By まゆん交流学級での太郎の様子を先生はこう言っていた。・黒板の文字を写すことに時間がかかる・周りについていけずにフリーズする・そのことを引きずりそのあとの授業にまで影響がある・図画工作では手先の不器用さが目立つ・テーマにそって何かを創作するということが難しい・そしてフリーズする・そのことを引きずるその繰り返しだと。個別授業では、太郎のペースに合わせてノートを取れるように待ってくださったり分からない個所への助言をしてくださったので、通常学級の授業の進行ペースに間に合うように勉学を進められた。フリーズすることは変わらずあったそうだが、切り替えの時間を設けたり太郎が納得するまで問題を一緒に考えてくださったりした。最高の相談者先生の言葉で覚えていることがある。「太郎ちゃんはとにかくこだわりが強いので、納得がいくまでは固まって動きません」「適当ということがないので、そこがいいところでもあるのですが、もう少し柔軟性が出ると本人もきつさが和らぐのだと思うのですが」先生の言葉には共感がわいた。太郎に真剣に向き合っているからこそ分かる特性だったし、私が悩んでいることとまったく同じで喜びがわいてきたのだと思う。最高の相談者、味方ができたと心強くなった。特別支援学級の先生は、交流学級での太郎の授業の様子もみにきてくださっていた。先生が太郎にアドバイスをしやすいように、太郎の交流クラスでの席は決まって一番前の廊下側の席だった。太郎もきっと先生が来ると安心していたのではないかと思う。Upload By まゆん面談時に、先生が私に弱音を吐くこともあった。図画工作の時間でどうしても太郎がテーマにそって絵を描かなかったときのこと。先生が参考になる絵を用意したところ、太郎が真似して時間をかけて描いたと思ったらなんと勢い良く消し始めたとのことだった。「お母さんー、こんなことがあったんですよー、すっごくうまく、やっと描けたのにですねー、もうほんっとにもうー」とベソをかいていた。Upload By まゆん私も先生の苦労が身に染みて分かっていたのだが、なんて言っていいのか分からず、とにかく感謝の気持ちを伝えた。「先生ありがとうございます」すると先生は「大変ですけど、太郎ちゃんかわいいですし、楽しいです」ますます感謝の気持ちがこみあげてきた。Upload By まゆん先生に出会えたことを本当に幸せに思っていた。特別支援学級でどのような配慮をしてくださるのか。学校や先生によって対応も違うだろうし「どんなものなのだろう」と思っていました。太郎が入学した年に特別情緒障害支援学級が設立された学校だったため、事前情報が一つもないまま入学しました。不安な気持ちを持っていたのは保護者の私もですが、先生も模索しながらの日々だったことと想像しています。生徒の一人ひとりに違った個性がある特別支援学級。先生の太郎に対する対応には、何一つ不満はありませんでした。先生は太郎に試みたことを根拠から太郎の様子、評価までありのままを話してくださいました。小学校低学年のころは、まめに私の仕事が終わる時間に情報共有として電話連絡をいただいていました。そんな日々を振り返り、とても安心できる環境に置かれていたのだと実感しています。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)理解と知識のある先生に出会えたようですね。黒板の文字を写すのに時間がかかるのは、同時処理やワーキングメモリーの低さからくるものと思われます。WISCというIQテストでその程度は分かります。私の外来では板書が写せないお子さんには、タブレットなどで写真を撮ってそこに記入するようにすすめています。学校側の理解と配慮が必要となります。また、手先の不器用さは、発達性協調運動症のあるお子さんによく見られます。病院などで、リハビリを行う作業療法士(OT)さんによる感覚統合訓練を受けることができます。それには医師の診断が必要になります。症状だけで療育や教育を続けているお子さんが目立ちます。これは羅針盤を使わずに航海しているようなものです。しっかりと診断してそれに向けて将来の対策を講じることが大切だと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月24日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日「床の色が変わると歩けない」息子のこだわりが生んだ独自ルールUpload By べっこうあめアマミみなさんは、何らかの施設内を歩いているとき、床の色の切り替わりに注目することはあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人はないと思います。しかし、息子はそういった床の色の切り替わりに敏感で、歩く場所の色が変わると急に足を止めて踏み出せなくなってしまうことがよくありました。子どものころ、遊びの延長的に、「同じ色の場所を踏んで歩く」というルールを自分に課して学校などから帰った経験がある人はいませんか?もしかしたら、それを極端に強固にしてしまったものが、息子の床へのこだわりなのかもしれません。息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。療育のお部屋が床の張り替え!「一歩」を踏み出せなくなった息子Upload By べっこうあめアマミ息子が未就学児のころ、療育で通っていた発達支援施設で、一部の床の張り替えをしたことがありました。息子がいつも使っていた教室の床も張り替えられ、きれいな教室で過ごせてうれしいな…と思っていない人が一人。息子です。いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。歩く場所は作ってあげればいい、先生が出した魔法のアイテムそんなとき、救世主が現れました。一人の先生が、息子の両足が乗るくらいの大きさの色のついた丸い紙を、何枚か持ってきてくれたのです。そして、その紙を息子の前に置き、ここに乗るようにと息子を促しました。Upload By べっこうあめアマミ目の前に現れた、別の色の床(紙)。息子はそこで気持ちが切り替えられたのか、先生がおいた紙に興味を持ち、その上に乗りました。そして、先生がさらにもう一歩前に紙を置くと、息子は新たに置かれた紙の上に進みました。息子が新たな紙の上に乗ると、後ろには戻らないように、さりげなく先生が後ろの紙を取っていきます。その後は先生の華麗な誘導と紙さばきで、どんどん前に進んでいった息子。床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。Upload By べっこうあめアマミこだわりと上手につきあっていくために障害の有無にかかわらず、私たちは誰しも、何かしらのこだわりを持っているのではないでしょうか。そのこだわりを無理になくそうとしたり、本人の意思に反した動きを無理やりさせようとしても、お互いにイライラがたまってうまくいかないことは多いと思います。療育で、先生の見事な誘導により、息子がストレスなく自然と苦手な床の上を移動できたのを見て、私はこだわりを「なくす」のではなく「上手につきあっていく」大切さを感じました。そうはいっても現実は、同じ方法を使ってもうまくいかないこともありますし、どうにもならずに無理やり動かすしかないシーンは多々あります。それでも、できるだけ息子の気持ちを尊重し、親として息子のこだわりとつきあっていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育の先生のアイディアに至るには、べっこうあめアマミさんが、息子さんのこだわりに気づいていたことが大事だと思いました。急に道端で立ち止まったり、療育に参加しなかったりという状態だけを見ると、床の色にこだわっているという点にはすぐに気がつかない可能性もあります。息子さんの行動と、その状況を観察されたことで、こだわりの詳細な内容に気づかれたのだと思いました。その観察力が素晴らしいと思いました。こだわりを「上手につきあっていく」という視点で考えると、できる工夫が浮かんでくることがありますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月24日「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会で、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。国連加盟国では、自閉症(自閉スペクトラム症/ASD)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うよう求められています。日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。自閉症(自閉スペクトラム症)についての認知は、日本でもここ最近高まってきています。しかし、今もなお偏ったイメージを持っていたり、正確ではない情報が存在しています。自閉症(自閉スペクトラム症)の研究は現在も続いていますが、はっきりとした原因はまだ特定されていません。何らかの脳機能の障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないといわれています。自閉症(自閉スペクトラム症)のある子どもは、さまざまなこだわりを持っていることが多いです。また、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性がある場合も多くあります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる保護者も少なくありません。しかし周囲の自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、自閉症(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活をすることができます。「世界自閉症啓発デー」は、この社会で、多くの人が自閉症(自閉スペクトラム症)への理解を深めることで、自閉症(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。「世界自閉症啓発デー」には、シンボルカラーがあります。「癒やし」や「希望」などを表すブルーが、その色です。毎年4月2日は、ナイアガラの滝やピラミッドなど、世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。日本でも、東京タワーやスカイツリーをはじめ、各地のシンボルとなっている建物などが、例年、青く染め上げられています。SNSを「ブルー」にそめよう!Warm Blue2023キャンペーンUpload By 発達ナビニュース4月2日には、シンボルカラーである「青い」ものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。#自閉症啓発デー #WB_2023 #2023TT #LIUB #発達ナビ投稿したブルーの写真やメッセージは、下記のSNSアカウントなどでシェアされる予定です。東京都自閉症協会twitter東京都自閉症協会facebook Blueギャラリー | 東京都自閉症協会発達ナビ連載陣にも「青」をテーマにイラストを描きおろしてもらい、SNSで発信中です。青いイラストとともに、みなさんのメッセージを添えて、ぜひシェアをしてください。多くの人たちにメッセージを伝えてみてほしいと思います!4月2日、さまざまなイベントが開催!2023年4月2日は、オンラインで、さまざまなブルーアクションを紹介する生配信が企画されています。日本各地の当事者団体や賛同する企業などの取り組みに注目です!日時:2023年4月2日17:30配信スタート(予定)司会:不破ふわお、東海林杏朱ゲスト:東ちづる、天道清貴ほか2023も企業や自治体、当事者団体、自閉症のある仲間たちなど、さまざまな参加を予定しております。また今年はウクライナ・ヘルソンの自閉症のあるご家族の団体が、世界自閉症啓発デーに向けて動画を寄せてくださったそうです。ぜひご覧ください。参考:ウクライナから届いた動画| 東京都自閉症協会参考:東京都自閉症協会コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月29日自閉症のたつきくんは、家ではモリモリ食べるのに、発達支援センターの給食はまったく食べません。お母さんのNEGIさんはなんとか食べさせたくて、給食の時間だけ毎日通ってサポートしますが、たつきくんに変化はありませんでした。支援センターの先生とのやりとりで絶望的になることもありましたが、NEGIさんは諦めませんでした。ある日、じいじからもらった巨峰が家にあったので、NEGIさんは、たつきくんに差し出しました。けれども見たことのない食べ物を見たたつきくんは、拒否。たつきくんは見た目で判断して食べないこともあることを思い出し、NEGIさんは巨峰の皮をむいてみました。しかし、たつきくんはやっぱり食べません。 ところが、巨峰の汁が口元にくっつくと……!? 初めて拒絶していたものを… ※乳幼児にミニトマトやぶどうなどの球状のつるつるした食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります。4等分にカットするなどして、よくかんで食べさせることが大切です。 ぶどうジュースは大好きだけれど、見た目の問題で家ですら巨峰が食べられなかったたつきくん。しかし、NEGIさんが口元に当てた巨峰の汁をなめたたつきくんは、味はぶどうだということがわかり、その流れで舌でぺろぺろと味を確かめ始めます。 そしてこの日、拒絶していた巨峰を初めて食べることに成功。 NEGIさんはそこで、 「給食を食べたくないわけではなく、本当は食べたいんだ」「このやり方で進めていけば給食も、もしかしたら……!」 自宅でできることも、場所が違うとできなくなるというのがたつきくんの特性でもありましたが、NEGIさんは一抹の期待を寄せました。 そんな中、ついに給食にぶどうが出る日がやってきたのです。 「食べることができたという経験によって、ぶどうだけは他の食べ物とは違う存在になっているんじゃないか……?」 と仮説を立てたNEGIさんは給食の時間、たつきくんと1時間向き合います。 しかしたつきくんは変わらず食べません。それどころかその場にいなければ、「ぶどうだよー」という先生の話も聞いていません。 「でも今日は! 今日だけは!! 諦めるわけにはいかない!!」と決心しているNEGIさん。 以前家で巨峰を食べられたとき、自ら“舐める”という小さな行動に移せたことで、結果たつきくんがぶどうのおいしさを覚えたはずだと考えました。 そして、そんなぶどうは家庭で食べても給食で食べても同じ味。だから、たまねぎ園で食べられるようになるには、ぶどうは近道なはずだと、すがる思いでねばります。 たつきくんの口元にNEGIさんがぶどうを近づけたとき、ぶどうはするんっと口をすり抜けて入っていきました。そして、たつきくんはすぐに飲み込んでしまいました。 ぶどうを口に入れた、舐めた、飲んだ(食べた)という経験を通して、たつきくんの「給食を食べない」というこだわりは崩れていきました。こうして、この日を境に、「給食を食べたい」という気持ちが芽生え、少しずつ給食を食べるようになっていったのでした。 長い間、「給食を食べない」というこだわりを持っていたたつきくん。NEGIさんがいろいろな角度から物事を考えて行動に移し、それを通してたつきくん自身が体験・経験していくことによって、たつきくん「給食を食べない」というこだわりから解かれることができました。どうにか打開策を見つけたいという一心で、辛抱強く見守ったNEGIさんの努力に脱帽です。子どもごとに特性や性格は違い、解決までの道のりもそれぞれ違うと思います。NEGIさんのように、周囲にも相談して力を借りること、そしてよく子どもを観察して見守る姿勢というのが大事なのかもしれませんね。 著者:マンガ家・イラストレーター NEGI知的障害を伴う自閉症長男との日常漫画を投稿中。Instagramやブログを中心に、過去と現在の話や日々のおもしろ話を描いてます!
2023年03月08日イギリスに住む夫婦に、2人目の赤ちゃんが誕生しました。赤ちゃんは女の子で、夫婦の息子さんにとっては妹ができたことになります。この日、息子さんが生まれたばかりの妹と初対面をすることになりました。息子さんは自閉症をもっているのだそう。両親は息子さんが初めて会う妹に対してどんな反応を示すのか、まったく予想ができなかったといいます。両親はその記念すべき瞬間を残そうと、動画を撮影することにしました。母親が待つ病室に入って来る息子さん。母親に会えたのが嬉しいのか、笑顔ではしゃいでいます。そこで母親が赤ちゃんを見せると、息子さんは…こちらをご覧ください。初めて会う妹の顔に優しくキスをした息子さん。愛情あふれる行動に、両親は驚き、涙ぐんでいます。母親が「あなたは妹のことが好きなのね」というと、息子さんは「そうだよ」というように、もう一度妹にキスをしました。親子の喜びは、動画を見た人たちにも伝わったようです。・お父さんが泣いているのが愛おしい。・なんて美しい瞬間。心温まる動画だ。・この子は赤ちゃんが自分の妹だと分かっているんだろうね。はしゃいでいた息子さんは、妹を見た瞬間に静かになり、ためらうことなくキスをしました。言葉で説明しなくても、赤ちゃんが自分の妹だと理解していたのかもしれませんね。こんなに優しいお兄さんがそばにいてくれたら、妹さんは幸せに成長していくことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年02月24日多動だった太郎Upload By まゆん太郎が3歳のころの保育参加。太郎は教室内での催しの際、いきなり教室を1人飛び出して大好きなお兄ちゃんがいる年長クラスへ駆け出した。その行動は注意したからといっておさまるものではないとすぐに分かった。根本的に周りの状況を理解していないのが分かった。私は一応太郎のあとを追いかけたが、私にとめられるような多動ではなかった。その後、なんとか教室へ戻って来た太郎。だが。固まる太郎Upload By まゆん次は保護者と子どもがペアになりスキンシップをとりながら運動をするという時間があった。私のところに太郎が来ないので私はポツンと座っていた。太郎はというと長机の下に隠れて黙って教室のみんなを見ていた。呼んでも、手招きしても出てこない。私とも目を合わさない。ずっと教室にいるたくさんの人をみていた。そしてそのまま固まって動かなかった。そんなとき、私の膝に保護者が保育参加に来ていない園児が座りに来た。それでも太郎は私のことを見向きもしない。Upload By まゆんつらかった。なぜつらかったのだろうか。明らかに周りと違う太郎をまだ受け入れられていなかったのかもしれない。周りとの違いを目の当たりにし衝撃を受けたのは事実であった。そして「ひとり」を感じる私がいるのに、私の存在がないかのような様子の太郎を見るのもきつかった。あまりにもつらく、当時夫に「保育参加に一緒に参加してほしい」と言ったが、夫は1度も参加することはなかった。さらに「ひとり」を感じた。Upload By まゆん感情があふれた瞬間保育参加は4ヶ月に1回ほど行なわれていた。別の保育参加の日も、太郎は変わらず自分のペースで動いていた。もうつらくて私も呆然としていた。そのとき。「太郎ちゃんママ、大丈夫?」声を掛けてくれたのはママ友だった。誰にもこのつらさを伝えられてなかったのにママ友は気づいてくれた。自分の子どもが可愛いくて、夢中で見ていたいはずなのに私のことを気にかけてくれた。Upload By まゆんそんな声かけに一気に涙があふれた。「大丈夫じゃない」「だよね、つらいよね」Upload By まゆん太郎は4歳のときに、自閉スペクトラム症の診断がおりました。3歳のころは「発達障害ではないか」という不安を感じていたものの診断前だったので周りの人にも伝えられておらず、というかまだママ友らしき人もほぼいない状態だったので相談する相手もいませんでした。みんな働いている保護者だったこと、交流の場が少なかったことも要因だったと思います。今回の「大丈夫!?」の声かけは忘れられない言葉の一つです。この一言は私をいっきに癒すものとなりました。「ひとり」を感じて、自分でもわけが分からなくなっている感情を表に出させてくれたものとなりました。その後、保護者との交流も自然と増えていき太郎について理解をしてもらうきっかけが多くなりました。そうなることで私の気持ちも楽になり、保育参加へのつらさも次第に軽減されていきました。保育参加へのつらさの原因はなんだったのか…今振り返ってみると、ほかの園児と違う行動をする太郎をどんな風にみたらいいのか分かからなかったからだと思います。どんな風に対応したらいいのか悩みました。保護者として「おちついて」と注意しなければという問題でもないし、でも周りは「なんであのお母さん自分の子どもなのに注意しないの?」なんて思われてないだろうかとか。太郎を見る目、周りの目、いろいろと悩む時期でした。(執筆/まゆん)(監修:藤井先生より)ママ友からの問いかけに「大丈夫じゃない」と言ったまゆんさんの言葉は、悩んでいるまゆんさんのSOSだったのかもしれませんね。そこから、少しずつほかの保護者さんとの交流も増え、保育参加のつらさも軽減されてよかったですね。保育参加、運動会見学、お遊戯会を見るのがつらいという相談は発達外来でもよく聞かれます。周りからどう見られているかという不安、パートナーが一緒に育児をしてくれない寂しさ、子どもの特性を受け入れいれられない自己嫌悪など、さまざまな感情が混ざっていて、親御さん自身でもどうしたら良いのか分からないということもあると思います。今回はママ友と話すことをきっかけに、感情を表に出すことができ、ご自身の気持ちの整理が少しついたのかもしれませんね。パートナー、友人、園の先生、療育先のスタッフ、主治医などに、お子さんを見ていてつらいことを話すことで、親御さん自身の気持ちが整理できて、一歩前に進むことができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
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