6月22日(木)~25日(日)まで有楽町にて開催された「フランス映画祭2017」。このほど、11本の新作上映作の中から観客が選ぶエールフランス観客賞に、『夜明けの祈り』が選出。映画祭団長であるカトリーヌ・ドヌーヴほか、イザベル・ユペール、トラン・アン・ユン監督、ポール・ヴァーホーヴェン監督など、そうそうたる顔ぶれが来日した映画祭が大盛況の内に閉幕した。今年で、実に25回の節目を迎えた「フランス映画祭」。初日6月22日には、『大統領の料理人』のカトリーヌ・フロとの共演作『ルージュの手紙』を引っさげ、カトリーヌ・ドヌーヴが団長としてオープニングセレモニーと上映前舞台挨拶に登壇。フランスの大女優の登場に、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。ステージ上で花束を受け取ったドヌーヴは、「25回目のフランス映画祭の団長を務めることができ、大変感動しておりますし、今年もフランスの映画を多く皆さんにお見せすることができます。今回11作品が選ばれていますが、そのうち4作品は女性監督のものであります。これは大変重い、意味があるものだと思います。また新しいことでもあり、私はこのチョイスに賛同いたします」と挨拶。そしてステージ上に各作品のゲストが登場すると、同じくフランスを代表する『エル ELLE』のイザベル・ユペールと笑顔で抱き合い、ステージ上でお互いに来日できたことを喜んでいた。さらに、「フランス映画祭2017」の親善大使の北野武監督が登壇、「僕にとってフランス映画は、ジャン・ギャバンから始まって、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの『ガラスの墓標』、それから大女優のカトリーヌ・ドヌーヴさんの『昼顔』『シェルブールの雨傘』などから影響を受けています」と、ドヌーヴからも影響を受けたことを告白。「映画には観終わった後に恋人同士や友達同士で語り合って、お互いの見方を知っていく、そういう役目もあると思うので、その点ではフランスの映画は語り合うのに適しています。大女優さんと大監督が揃って、25回目を迎えられたことは本当におめでたいことですし、私もこの壇上で挨拶させてもらうことは非常に光栄に思っています」とスピーチすると、ドヌーヴも笑顔を見せていた。そして、『ルージュの手紙』や『エル ELLE』、マリオン・コティヤール&ルイ・ガレル共演『愛を綴る女』(ニコール・ガルシア監督)、オドレイ・トトゥ&メラニー・ロラン&ベレニス・ベジョの3大女優共演『エタニティ永遠の花たちへ』(トラン・アン・ユン監督)など、上映された新作映画全11作品の中から、見事エールフランス観客賞に輝いたのは、『ココ・アヴァン・シャネル』『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンテーヌ監督による最新作『夜明けの祈り』。1945年、第二次世界大戦が終結した年。ポーランドの修道院で起きた悲劇的な事件により、心身共に傷ついた修道女を救うために尽力した医師マドレーヌ・ポーリアックの知られざる史実を映画化。主演には、類いまれな美貌と実力を兼ね備えた新星女優ルー・ドゥ・ラージュを迎え、神の意のままに生きようとする修道院長をアガタ・クレシャ、マチルドと固い友情で結ばれていくシスター・マリア役をアガタ・ブゼクが務めた。自らの危険を顧みず、無償の人道支援に身を投じたヒロインの勇気ある行動、そして彼女たちの情熱と祈りがたぐり寄せる、奇跡のような“夜明け”のラストが多くの観客の心を揺さぶり、高い評価につながった様子だ。フランス映画祭の観客賞といえば、これまで『最強のふたり』『タイピスト!』『エール!』、そして昨年は『92歳のパリジェンヌ』など、日本において記録的大ヒットとなったり、根強いファンに愛されている作品ばかり。本作も、さらに大きな注目を集めるはずだ。『夜明けの祈り』は8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。『ルージュの手紙』は今冬、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:夜明けの祈り 2017年8月5日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開(C) 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES
2017年06月28日第70回の記念大会の幕を閉じた、カンヌ国際映画祭。12日間の華やかな、ときに悲しいニュースもあった世界一の映画の祭典をふり返ってみよう。韓国のホン・サンス監督はコンペティション部門に『The Day After』(原題)、特別上映に昨年のカンヌ期間中に撮影されたイザベル・ユペール主演『KEUL-LE-EO-UI KA-ME-LA』(原題)の2本が入り、注目を集めた。というのも、どちらの作品にも出演している女優キム・ミニとホン・サンス監督の不倫が昨年発覚し、大きなスキャンダルに発展した経緯があるからだ。『The Day After』は夏目漱石の小説から題名を借りた、不倫を題材にしたコメディ・ドラマ。公式記者会見でホン・サンス監督は、キム・ミニに対し「彼女は素晴らしい女優ですし、私は彼女を愛しています」と、愛情をストレートに表現。レッドカーペットにも、堂々と手をつないで登場した。56歳の大物監督と、『お嬢さん』などの35歳の人気女優の熱愛ぶりは、華やかなカンヌらしい光景ともいえる。男優賞を受賞したホアキン・フェニックスは、授賞式に恋人ルーニー・マーラと参加。公の席に二人で姿を見せたのは初めて。受賞会見でも「カンヌにくる前、ガールフレンドに『カンヌは良い経験になるはずだ。きっとぼろくそに叩かれるだろうから』と話していたんだよ。それなのにまさか受賞してしまうなんて驚きだった」とルーニーの名前こそ出さなかったが、ご機嫌に語った。ちなみにルーニーは、2年前に『キャロル』で女優賞を受賞している。映画祭中盤の23日には、70回記念ソワレ(夜会)が開かれ、歴代の受賞者、審査員らが100名以上大集合。イザベル・ユペールの司会のもと、カトリーヌ・ドヌーヴ、ニコール・キッドマン、シャーリーズ・セロン、ウィル・スミス、ベネチオ・デル・トロ、マッツ・ミケルセン、ケン・ローチ、クロード・ルルーシュ、ジャン=ピエール・レオら錚々たる面々が顔を揃え、ハッピー・バースデーを合唱した。ソワレ前には前夜に起きたマンチェスター・テロ事件の被害者を悼み、1分間の黙祷が捧げられ、映画祭は公式に「文化イベントへの攻撃は許さない」と抗議声明を発表。カンヌ映画祭でも今年は空港と同じような金属探知機が設置されるなど警備は物々しかった。それでも20日にクリント・イーストウッドが登壇した『許されざる者』25周年記念上映終了直後には、危険物が発見される騒ぎがあった。また映画祭2日目には、カンヌを訪れていた釜山国際映画祭のキム・ジソク副委員長が心臓発作で客死という、不幸な出来事もあった。まだ57歳だった。71回目のカンヌには悲しい事件がないことを祈りたい。(photo / text:Ayako Ishizu)(photo / text:Ayako Ishizu)
2017年05月31日『美女と野獣』のエマ・トンプソンと、『未来を花束にして』のブレンダン・グリーソンが、ペンと葉書だけを武器にヒトラー政権に抵抗した実在の夫婦を演じる『ヒトラーへの285枚の葉書』。このほど、その夫婦をとらえたポスタービジュアルが解禁、さらに彼らを追い詰める秘密国家警察(ゲシュタポ)の警部を演じた、ドイツを代表する実力派イケメン俳優ダニエル・ブリュールの場面写真も解禁となった。フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに1通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置く、というささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それをかぎつけたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の捜査が夫婦に迫りつつあった――。イギリスを代表する名優2人が、ナチス政権に抵抗した平凡な労働者夫婦を演じる本作。監督を務めるのは、『インドシナ』(’92)で大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、『王妃マルゴ』(’94)ではイザベル・アジャーニの相手役を務め、カルラ・ブルーニ(サルコジ前仏大統領の妻)らと浮名を流した90年代フランス映画界きってのフェロモン俳優、ヴァンサン・ペレーズ。フランスの美男俳優として知られたペレーズ監督の長編3作目となる。原作は、ドイツの小説家ハンス・ファラダが、わずか4週間足らずで書き上げたという600ページを越す大著「ベルリンに一人死す」。ドイツでは戦後すぐの1947年に出版されたが、ペレーズ監督は2007年に出版されたフランス語版で初めて読み、その内容に感銘を受けた。やがて映画化へと動き出すが、資金繰りに難航。その後、2010年にアメリカ、イギリスで英語版が発売されるやベストセラーとなり、状況が好転し、英語での映画製作が進みはじめる。本作が英語映画になったことに対し、ペレーズ監督は「どこの国、いつの時代でも極端な人間が急に現れる可能性がある、大切なのは、あらゆる場所に住む人たちにこの話を伝えることだ。そして、誰でも闘うことができる、そして闘うには勇気が必要になると示すことが大切だった。だったら、英語の作品にするほうがよいだろうと感じた。そうすることでみんなの計画が進むし、この話はいろいろな人に知ってもらうべきだからね」と、前向きな姿勢を語る。しかも、母親がドイツ人であるペレーズ監督は本作の製作過程で、本作の主人公クヴァンゲル夫妻との共通点を知ることになった。クヴァンゲル夫妻は、まだ若いひとり息子をロシア戦線で失ったことで、戦争とヒトラーの政策に疑問を持ち、葉書にメッセージを書いて世間の人々へと訴え始める。ペレーズ監督の叔父も、同じくロシア戦線で当時17歳で亡くなったという。そして、もう1人の叔父は戦時中、精神病院に収容されており、後にガス室に送られて亡くなったそうだ。また、監督の父親はスペイン人であり、祖父は25歳のときに、右翼政党党員に射殺されている。それらのことが重なり、本作の映画製作に使命を感じた監督は、長い年月をかけ完成を実現させた。さらに注目は、『グッバイ、レーニン!』で一躍注目され、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などハリウッド作品にも出演しているドイツの美男俳優ダニエル・ブリュールの出演だ。ブリュールが演じるのは、夫妻を追い詰めていく頭脳明晰なエッシェリヒ警部役。彼は父親がドイツ人、母親がスペイン人でバルセロナ生まれだが、生後すぐに移ったドイツのケルンで育っている。『イングロリアス・バスターズ』ではナチスの兵士を演じていたブリュールは、本作でも渾身の演技で魅せてくれそうだ。『ヒトラーへの285枚の葉書』は7月8日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年04月04日フランスの魅力やカルチャーを楽しめるイベント「フランスフェア(わたしのパリ)」を、3月16日から4月27日まで、横浜ベイクォーターにて開催する。同フェアは横浜ベイクォーターが年間を通じて世界各国・都市のライフスタイルを紹介するプロモーション企画である「ワールド・トリップ」の第1弾で、会期中はフレンチ・シネマ上映会や蚤の市、マルシェといったフランスの精神が感じられる様々なイベントが予定されている。イベント初日となる3月16日は、同日オープンとなるフランス生まれのブーランジェリー「デリフランス」のオープニングセレモニーが開催される。日本初導入となる新スタイルの店内では、3日間限定でクロワッサンなどの人気のパンの詰め合わせでお得な福袋が先着順で販売される他、花の都・パリをイメージしたバラがプレゼントされる。また、3月28日、4月18日には同施設で初の試みとなるフレンチ・シネマ 上映会(前売券:800円/当日券:1,000円)が開催される。3月28日には「シェルブールの雨傘」、4月18日には「ロシュフォールの恋人たち」とパリジェンヌのアイコンである女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演の2作品が上映される。開場では紅茶やシャンパンを楽しみながら鑑賞することが可能だ。その他、4月16日にはNPO法人であるフランセ・デュ・モンドとコラボした「フランス古本市」や、ヴィンテージポスター、アートが出品される1日限りの「プチ・蚤の市」が、3月25日と4月22日には新鮮な野菜やフランスからの輸入食品が並ぶ「かもめマルシェ トレ・ビアン!」が、4月8日、9日にはオーガニックな美容を気軽に体験できる「ビューティーマルシェ」が開催されるなど、多彩なイベントが登場する。さらに、3月16日、26日、4月16日、23日にはアコーディオンとバイオリンによるストリートライブなどが行われ、会期中の館内はフランス気分を満喫することができる。【イベント情報】「フランスフェア(わたしのパリ)」会期:3月16日~4月27日開場:横浜ベイクォーター住所:神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10時間:ショップは11:00~20:00、レストランは11:00~23:00
2017年03月12日2015年、第68回カンヌ国際映画祭においてエマニュエル・ベルコが女優賞を獲得し、日本でも「フランス映画祭」で絶賛を浴びた『Mon Roi』が、『モン・ロワ愛を巡るそれぞれの理由』として2017年3月25日(土)より日本公開されることが決まった。弁護士として活躍するトニー(エマニュエル・ベルコ)はスキー事故で大けがを負い、リハビリセンターに入院する。リハビリを続ける中、ジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)との波乱に満ちた関係を振り返る。これほどまでに深く愛した男はいったい何者だったのか。なぜ、ふたりは愛し合うことになったのか。10年前、トニーはかつて憧れていたレストラン経営者のジョルジオとクラブで再会し、激しい恋に落ちる。瞬く間に意気投合したふたりは、電撃的に結婚を決め、トニーは妊娠するが…。『ベティ・ブルー愛と激情の日々』『ポンヌフの恋人』をはじめ、女性たちの心をグッと掴んできた数々のフランスの恋愛映画に、新たに大人の恋の傑作が誕生。運命的な再会を果たした男と女の恋愛と結婚、別れようとしても離れることができない情熱的な深い愛。愛し合っているのに、なぜ男と女はすれ違うのか、普遍的な男と女の愛の問題を官能的に描き出す。監督を務めたのは、リュック・ベッソンの『レオン』『フィフィス・エレメント』などに出演し、自らが監督と出演を務めた『パリ警視庁:未成年保護部隊』でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、その美貌のみならず、現在のフランス映画界をリードする若き才能として注目が高まっている多彩な才能の持ち主、マイウェン。本作は、第41回セザール賞でも主要8部門にノミネートされた。主人公のトニーには、第68回カンヌ国際映画祭にて、カトリーヌ・ドヌーヴ主演『太陽のめざめ』で女性監督として史上2度目のオープニングフィルムを飾ったことも話題となったエマニュエル・ベルコ。本作では女優として、情熱的な愛の喜びと激しい愛ゆえにつきまとう不安に揺れながら、ケガによる痛みからも立ち直っていく主人公を体当たりで熱演する。また、『ブラック・スワン』をはじめ『ジェイソン・ボーン』『五日物語-3つの王国と3人の女』など、幅広く活躍するヴァンサン・カッセルが、セクシーで魅力たっぷりなジョルジオに扮している。さらに、フィリップ・ガレル監督の愛息子であるルイ・ガレルや、マイウェン監督の実の妹、『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』のイジルド・ル・ベスコなど、注目の若手キャストが脇を固める。お手本にしたくなるような、シンプルなパリジェンヌスタイルを堪能できることにも注目だ。『モン・ロワ愛を巡るそれぞれの理由』は2017年3月25日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年12月02日第68回カンヌ国際映画祭監督週間で上映され絶賛された、フィリップ・ガレル監督の最新作『パリ、恋人たちの影』。“ゴダールの再来”と呼ばれたその才能と、「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」の歌姫・ニコとの運命的な出会いと別れでも知られる名匠は、自身の愛の痛みと向き合い、数々のアーティストに影響を与えながら60年、70年代のアートシーンを歩んできた。作品を見つめると時代が浮かび上がってくる…そんなフィリップ・ガレル監督の魅力に迫った。夫・ピエールの才能を信じ、二人三脚でドキュメンタリー映画を製作する妻・マノン。映画製作に行き詰まりを感じていたある日、ピエールは若い研修生のエリザベットと偶然出会い、恋に落ちる。あるときエリザベットは、ピエールの妻マノンも浮気相手と会っているところを目撃し、彼に告げる。思い描いていた未来とは少し違う現在に、満たされない想い抱え、愛されたいと彷徨う男と女たち。愛の痛みだけでなく、愛する喜びが、モノクロームの映像の中に軽やかに浮かび上がるーー。本作は、ヌーヴェルヴァーグの次世代の旗手として活躍を続けるフィリップ・ガレル監督の最新作。共同脚本をゴダール、ブニュエルらとタッグを組んできたジャン=クロード・カリエール、撮影監督をロメール、ルイ・マルの世界を映し出してきたレナート・ベルタが務めるなど、映画界を牽引してきた錚々たるスタッフが集結している。■“宿命の女”「ヴェルヴェッド・アンダーグラウンド」の歌姫ニコとの出会いそんなガレルが注目を集めたのは、16歳で制作した短編だった。そして、68年のフランス五月革命を機にパリを離れる。69年のニューヨーク、ガレルはアメリカン・ポップカルチャーの中心人物であるアンディ・ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」に出入りするように。そこで、デヴィッド・ボウイなど数々のアーティストに影響を与え、近年では宮沢りえ主演『紙の月』主題歌としても起用された「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」の歌姫・ニコと運命的に出会う。当時、ボブ・ディラン、ブライアン・ジョーンズ、レナード・コーエンらと浮名を流していたニコはすでに伝説と化していた。2人はその後、結婚。公私ともにパートナーとなり、その生活が破たんする78年までの間に、ガレルはニコを主演に迎えた『内なる傷痕』『孤高』など7本の映画を製作。また、認知されることはなかったが、ニコはアラン・ドロンとの間に息子アリーを生んでおり、ガレルは『秘密の子供』の重要なモチーフとして描く。そして、88年に事故によりニコが急逝すると、彼女と過ごした私的な記憶から生まれた『ギターはもう聞こえない』を発表、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた。ガレル自身が「愛の産物」と呼ぶこれらの作品は、いまもなお色褪せることなく、カルト的な人気を博している。■ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメール、ジーン・セバーグ…時代の寵児たちに愛されたニコだけでなく、これまで時代を代表するさまざまなアーティストから愛されてきたガレル監督。その交友関係がもたらした経験によって、私的かつ、時代の空気感を醸し出すガレル独特の作風が確立されていく。<ガレルをめぐる監督たち>◇エリック・ロメール…ヌーヴェルヴァーグ運動の中心人物として知られるロメールから個人レッスンを受けたガレル。彼から「映画」を学ぶ。◇ジャック・ドワイヨン…ガレルの親友であり、同じく“ポスト・ヌーヴェルヴァーグ”の一人として知られる。ガレル監督『彼女は長い時間太陽の下で過ごした』に出演もしている。◇ジャン=リュック・ゴダール…「ゴダールの再来」と呼ばれたことについて「ガレルは息をするように映画を撮る」と賛辞を贈っている。これまで、ゴダールの常連スタッフであるラウル・クタール(撮影監督)、フランソワ・ミュジー(録音)などとも仕事を重ねる。そのほか、オリヴィエ・アサイヤス監督、レオス・カラックス監督らとも親交が深い。<ガレルを愛したミューズたち>◇ジーン・セバーグ…ゴダールのデビュー作『勝手にしやがれ』でヒロインを演じ人気を博す。ガレルが愛した女性の一人で監督作『孤高』では、ニコとも共演を果たしている。出演の5年後、悲劇的な死を迎える。◇カトリーヌ・ドヌーヴ…『シェルブールの雨傘』『終電車』など、映画史に燦然と輝く数々の傑作に出演。主演を務めたガレル監督『夜風の匂い』では、ドヌーヴ自らが「あなたと映画を作りたい」とラブ・コールを送りつづけてついに実現した。■映画界を牽引してきたスタッフと共に撮り上げた最新作はフィリップ・ガレルの新境地最新作となる『パリ、恋人たちの影』は、これまで愛に光を当て続けてきたガレルがとらえた、傷つきながらも宝石のように輝く恋人たちの姿を、俯瞰的に描いた新境地。『昼顔』『ブルジョワジーの密かな愉しみ』などで知られる巨匠ジャン=クロード・カリエールが脚本に参加。また、『満月の夜』『さよなら子供たち』などで高い評価を受けるレナード・ベルタが撮影監督を務め、フィリップ・ガレルの世界をより高みへと引き上げる。「これは、フィリップ・ガレル監督の最高傑作だ! 観る者の情感を揺さぶり、まっすぐに訴えかけてくる」(カイエ・ドゥ・シネマ)、「監督の私的な記憶から輝いたものが生まれ、ありふれた男女の人生が、宝石のようになる」(ル・モンド)など、絶賛を受けている本作。今回は、35mmフィルムで過去作が観られる特集上映の開催も決定しており、私的な愛の記憶をフィルムに描き出してきた彼の世界を改めてスクリーンで堪能してみては?『パリ、恋人たちの影』は2017年1月21日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月27日60年代から活躍する名匠フィリップ・ガレル監督の最新作にして、第68回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品された『パリ、恋人たちの影』。このほど、2017年1月21日(土)より日本公開することが決定し、ビジュアルが解禁となった。夫・ピエールの才能を信じ、二人三脚でドキュメンタリー映画を制作する妻・マノン。ピエールは映画制作に行き詰まりを感じていたある日、若い研修員のエリザベットと偶然出会い、恋に落ちる。だが、愛しているのは彼女の体だけ。自分を信じ、裏切ることのない妻と別れるつもりはない。ピエールは罪悪感もないままに、2 人と関係を続けることにする。また、エリザベットは、予期せずピエールの妻マノンが浮気相手と会っているところを目撃し、彼に告げる。思い描いていた未来とは少し違う現在に、満たされない想いと孤独を抱える男と女たち。愛されたいと彷徨う3人が行きつく先とは…。本作は、ヌーヴェルヴァーグの次世代の旗手として注目を集め、60年代から現在まで活躍を続けるガレル監督の最新作。共同脚本をゴダール、ブニュエルらとタッグを組んできたジャン=クロード・カリエール、撮影監督をロメール、ルイ・マルの世界を映し出してきたレナート・ベルタが務めるなど、映画界を牽引してきた錚々たるスタッフが集結。ゴダールに「ガレルは息をするように映画を撮る」と言わしめ、レオス・カラックスらも心酔してきた独自の世界を、圧倒的な感性と技術力でより高みへと引き上げる。これまで、自身が過ごしてきた時代の空気感、そして美しくも痛みと哀愁に満ちた私的な記憶を作品に反射させてきたガレル監督。本作は、男と女の愛の普遍性を俯瞰的に描いた新境地となり、痛みだけではない、愛することの喜びをモノクロームの画面の中に浮かび上がらせ、「最高傑作だ!」(カイエ・ドゥ・シネマ)とも言われている。今回完成したビジュアルは、3人の男と女のただならぬ愛の行方を予感させるものに。モノクロームの世界観は、新しさがありつつも、どこか60年代の匂いを感じさせている。また、本作の公開に併せ、フィリップ・ガレルの過去作を貴重な35mmフィルムで上映する特集も同時開催が決定。カトリーヌ・ドヌーヴ主演『夜風の匂い』、ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞の『恋人たちの失われた革命』などがラインナップする。『パリ、恋人たちの影』は2017年1月21日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。フィリップ・ガレル監督の35mmフィルムによる特集上映同時開催。(text:cinemacafe.net)
2016年11月06日美容大国フランスには、数多くのコスメブランドが存在し女性のスキンケアへの意識も高い。にも関わらず、意外にもパリにはコスメやスキンケア用品のセレクトショップはなく、大手デパートや各ブランドの路面店で購入するのが主流だった。そんなパリに初となるコスメティックストア「オー・マイ・クリーム(Oh My Cream!)」が2012年に誕生し、多くのパリジェンヌを虜にしている。上品で落ち着いた店内には、世界中から厳選されたコスメ・スキンケア・ヘアケアアイテムが陳列されている。オーガニックはもちろん、石油化学物質、防腐剤、着色料などのケミカルな成分は一切使用しないアイテムが中心。オー・マイ・クリーム取締役のマリオン(Marion)は「世の中には多くの商品が混在しますが、とにかくたくさん使えばいいというわけではありません。上質で長く愛用できる、本当に肌にいい物を届けたいと思っています」と教えてくれた。オー・マイ・クリーム取締役のマリオンさんセレクトされたアイテムは、薬局や百貨店では見かけたことのない商品がほとんど。中には「オー・マイ・クリーム」が独占販売している物もあり、まさに“知る人ぞ知る”ブランドが集まっているのだ。美容に対して深い造詣を持つ店員が商品のことや肌質の相談にも的確なアドバイスをくれるため、信頼度が高いのも人気の秘密だろう。大量生産をしないニッチなブランドや薬事法の関係で日本では輸入不可なアイテムなど、ここでしか手に入れることのできない特別なコスメが狙い目!スキンケアをしない女性はほとんどいないため、お土産にも喜ばれること間違いなし。マリオンは、アジア人と欧米人との肌質の違いや肌悩みに関しても詳しく、丁寧に一つひとつの商品について説明をしてくれた。そんな彼女が教える、お土産リストに追加すべき、日本人にオススメの日本未入荷コスメブランド3つがコチラ。ジョエル・シェッコ(JOELLE CIOCCO)パリでは「オー・マイ・クリーム」でのみ販売が許可されているブランド。上皮細胞の研究を重ねてきたジョエルが、医療の観点からスキンケア用品を開発。アンチエイジングに着目した保湿成分の高い製品が多く、空気が乾燥しているヨーロッパに暮らす女性にとっては救世主的存在。ジョエル・シェッコでは、アンチエイジングに着目した保湿成分の高い製品をそろえるスザンヌ・カウフマン(SUSANNE KAUFMANN)オーストリアの自然派コスメブランド。スキンケアアイテムからスパアイテムまで幅広い品揃え。「特に私のオススメは、ヒアルロンセラム(Hyaluron Serum)。アルプスの山でのみ育つ花から抽出されたセラムは、希少価値がとっても高く、まさに自然からの恵み」。ゼリーのようなテクスチャーが肌に吸い込まれるように浸透し、しっかり栄養補給ができる。オーストラリアの自然派コスメブランド、スザンヌ・カウフマンクリストフ・ロバン(Christophe Robin)カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やペネロペ・クルス(Penelope Cruz)など大物女優のカラーリストとして有名なクリストフが立ち上げたヘアケアブランド。スペシャルケアとしてオススメのヘアマスクは、髪が生き返ったかのようにしなやかさを取り戻し、ダメージケアができるのだとか。ヘアケアブランド、クリストフ・ロバン【オー・マイ・クリーム】()トゥルノン店(Concept-Store Tournon)住所:Retrouvez Lisa, Laetitia & Elsa au 3 rue de Tournon, 75006 Paris営業時間:火曜日~土曜日 10:30~19:30 TEL:01-43-54-80-83 アベス店(Concept-Store Abbesses)住所:Retrouvez Marie & Candice au 4 rue des Abbesses, 75018 Paris営業時間: 月曜日~土曜日 10:30~19:30/日曜日 13:30~19:00 TEL : 09-86-24-36-51
2016年10月17日トム・ヒドルストン、ジェレミー・アイアンズ、ルーク・エヴァンスら人気英国俳優が集い、傑作SFミステリーを完全映画化した『ハイ・ライズ』。本作でヘアメイクを担当したのは、ロンドン在住の日本人ヘアメイク・吉原若菜。昨年の大ヒット作『シンデレラ』をはじめ、『007 スカイフォール』や『ダイアナ』など数々の映画やTVドラマを支える売れっ子が、本作の日本公開に寄せ、キャラクターの造形作りや気になる俳優たちのマル秘エピソードについて語ってくれた。誰もがうらやむ新築タワーマンション(=ハイ・ライズ)を舞台に、閉鎖的な理想郷の崩壊と階級闘争を、ミステリアスに描き出す本作。登場人物それぞれのビジュアルを作る上で、衣装とヘアメイクは切っても切れないもの。吉原さんが、衣装を担当したオディール・ディックス=ミローや監督のベン・ウィートリーと行った取り組みは、台本を受け取った時点で想像したものや形にしたい雰囲気を相手に視覚的に伝えるため、キャラクターごとにムードボード(他者にデザインのイメージをより分かりやすく視覚的に共有する目的で作るもの)を作成したことだった。それをもとに、監督や脚本家、ヒドルストンら役者陣と相談しながらキャラクターを作り上げていったという。本作の舞台となる1970年代は、男性では長髪や髭、もみあげが流行った時代で、女性はカラフルなメイク、つけまつげや多量のマスカラ、ボリューミーな髪型やボーイッシュなスタイルが流行していた時代。「ムードボードを作成する上で参考にしたのは、写真家による作品」だそうで、「ヘルムート・ニュートン、ギイ・ブルダン、サラ・ムーンなどの名カメラマンの世界観に共感を得た」という吉原さん。例えば、マンション上層階に住む女優ジェーン(シエンナ・ギロリー)には、シャーロット・ランプリングやカトリーヌ・ドヌーヴといった名女優の往年の写真を参考にしたという。しかし、ヒドルストン演じる若き医師ラングのように、自身のスタイルに強いこだわりがあり、流行にあまり流されないようなキャラクターは、これに当てはめることができない。そこで、19~20世紀半ばまでの医療分野でのノーベル賞受賞者たちの髪型を調べたそうで、彼らが時代に関係なく短く整った髪型をしていたことを参考に、すっきりした短髪を選択した。住人同士の階級闘争が激化し、ラングの身だしなみも崩れていく映画の後半では、ジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドといった名優たちの、整った髪型が乱れたり、無精髭があったりするさまざまなパターンの写真を調べ、ラングにも取り入れた。また、アイアンズ演じる“ハイ・ライズ”を設計した建築家ロイヤルをはじめ、中年や年配のキャラクターには、舞台より少し昔の1940~60年代の流行りを意識するなど、キャラクターによって細かく変化がつけたという。監督の撮影がスピーディだったことから、本来なら充分時間をもらえるメイクにもスピードが求められたそうだが、「難しいというよりは楽しかったですね」と吉原さんはふり返る。映画の後半、ラングの顔がペンキまみれになるシーンがあるが、これはヒドルストン自身による“独創的パフォーマンス”。限られた時間の中、彼が自らペンキまみれの手でその顔を塗りたくったのだ。そんなヒドルストンの髪は、吉原さんによると「とても柔らかい髪質」だそう。前髪に少し艶が出るように見せるため「ハイライトを入れたい」と伝えたところ、彼は休日に海に出かけ、自然の力でハイライトに仕上げてくれたとか。また、エヴァンスが演じる階級闘争の鍵を握るワイルダーで印象的なのは、太いもみあげ。強靱で、たくましく、勇敢さに長けて好戦的といったキャラクターを象徴するアイコンとなっている。エヴァンスはもともと顔の毛が濃くなく、自前でもみあげを作ることができないため、撮影時にメイクで取りつけていたという。そのため、ワイルダーがたびたびプールに飛び込むシーンでは「もみあげから目が離せなかった」とか。ちなみにアイアンズは、クロスワードパズルが大好きで、メイク室でも常にやっており、時には撮影現場のスタッフたちを巻き込むほど本格的なものにも取り組んでいたそう。それぞれ魅力の異なるキャラクターや場面ごとに、細かく計算し尽くされたヘアメイクをはじめ、衣装や内装など、人物像が投影される細部にも注目することで、本作はまたひと味違った楽しみ方ができそうだ。『ハイ・ライズ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年08月15日ユニクロ(UNIQLO)が、ファッションモデルでデザイナーのイネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)とのコラボレーション第6弾となる16-17AWコレクションを9月9日より順次発売する。パリジャン・シックの代名詞であり、ファッションアイコンであるイネスコレクションの今季のテーマは、“60年代ファッション変革期のパリ”。“クラシック&エレガンス”、“シック&ノワール”、“70’sスタイル&ロック”という3つの要素をモチーフに全70アイテムを展開する。今季のコアカラーは、コレクション初のチャコールやダークグレーなど、グレーのグラデーションカラー。そこにビビッドなブルーやレッド、深みのあるローデングリーンやコニャックといったトレンドカラーをアクセントとして取り入れた。イネスのシグネチャーカラーであるネイビーとともに、表情豊かなパリジャン・シックを演出。エレガントでありながらも開放感のあるビンテージムードを漂わせたスタイルが楽しめる。“クラシック&エレガンス”では、いつの時代も多くの女性が憧れるエレガントで洗練されたブルジョワスタイルを表現。ゴダールの映画に出てくるような、ピーコックブルーや鮮やかなレッドの上品なカシミアのニットのアンサンブル、ベルベットやツイードのテイラードジャケット、しなやかな風合いが特徴のレーヨンのソフトスタンディングカラーやフリルシャツ、シルエットが美しいストレートパンツ、カトリーヌ・ドヌーヴを彷彿させる髣髴とさせるような帽子つきのステンカラーコートを揃えた。シンプルな中に個性が光るモードスタイル“シック&ノワール”では、パリの人々が昔から愛用してきた伝統的なワークウェアを美しいパイピングやヴィンテージ風のプリントでアレンジしたユニークなアイテムを用意。チェスターコートやダークカラーのポンチョ、ニットジャケットがラインアップする。“70’sスタイル&ロック”は、文化や趣向の異なるモチーフをミックスしたスタイル。アースカラーのコーデュロイシャツや裾の広がったフレアパンツやミニスカート、フランネルシャツのワンピース、鮮やかなカラーブロックのバリエーションが楽しめるモヘアのアーガイル柄ニットといった70年代ならではの開放感あふれるアイテムに加え、スタジャンタイプのブルゾンやチャンキーニットなど旬なアイテムも登場する。取り扱いは一部のユニクロ店舗およびユニクロオンラインストアにて。第2弾は10月21日、第3弾コレクションは 11月11日の発売を予定している。また、ユニクロ銀座店12階では9月9日から9月28日まで、コレクションのスペシャルフロアもオープンする。
2016年08月14日フランスでも“ゆとり”世代が現れた?今年2月、セザール賞授賞式の中継で、新人賞にあたる有望男優賞に輝いたロッド・パラドの受賞スピーチを聞いた第一印象だ。初めての映画出演で、生涯一度しか機会のない賞を受賞した喜びを、うれし涙をこらえて声をつまらせながら、「すっげえ感謝します」みたいな口調で語る。子どもの頃から賢そうな話し方を心得ている国の人にはめずらしい、素直な感情のほとばしりを会場は温かく見守った。これまでのセザールで見たことのない新鮮な光景だった。『太陽のめざめ』で彼が演じたのは非行少年、マロニー。奔放で無責任な母親のもとで愛に餓えて育ち、暴行や無免許運転などトラブルを起こしてばかりの少年が裁判所の判事と保護司の尽力を受け、本当の愛を見つけて更生の道を歩んでいく。寂しさを暴力という形でしか表現できず、荒れ狂う少年を全力で演じたロッドは、アラン・ドロンやリヴァー・フェニックスの再来と評される期待の新人。6月にフランス映画祭2016での作品上映に合わせて来日した。リセ在学中、休み時間にたまたまオーディション担当のスタッフに勧められたのをきっかけに、その後30回近いテストを重ねて役を勝ち取った。だが、最初は軽い気持ちで受けたのかというと、「最初から本気だった。受かるわけないって気もしていたけど、やれるだけのことはやろうと、全力で挑戦した」と言う。もともと演技に興味はあったが、経験はゼロ。「学校の劇に出たこともなかった。映画は普通に好きだったけど、俳優になるなんて想像もしてなかった。ただ小さい頃から、みんなを笑わせるのは得意だったんだ。人を楽しませることができるのは自覚していたけど、仕事にするなんて考えたこともなかった」。マロニーを幼い頃から知り、更生させようと寄り添う判事を演じるのはカトリーヌ・ドヌーヴ。そこにいるだけで凄まじいスター・オーラを放つ大女優に気後れはしなかったのか。「全然しなかった。撮影チーム全体が家族みたいな雰囲気だったから」とケロッとしているが、それにしても相手はドヌーヴ。「そうなんだけど」と笑いながら、「すぐに打ち解けられたよ」と言う。最初の対面はカメラテストのときだった。「『あなたいくつ?』と聞かれたので、『18歳です』と答えて、『あなたは?』と返したら、ちゃんと教えてくれたよ。お母さんみたいな雰囲気でいてくれたから、緊張せずにいられたんだと思う」。保護司を演じるのは、本作でセザール賞最優秀助演男優賞を受賞したブノワ・マジメル。「彼とはオーディションのときから会っていたし、友だちみたいな関係。というか本当に友だちになって、いまでも時々会ってるよ」。演技未経験者が映画の主演に抜擢されるのは、素のままでカメラの前に立つことを求められての場合が多い。だが、ロッドは最初から“演じる”ことを求められ、それに見事応えている。そこに到るまでは厳しい道のりだった。まずは2か月半、演技コーチと一緒に脚本を読み込んだ。「ストーリーについて、マロニーの感情について。どうしてそうなるのか?を徹底的に考えて、台詞も頭に叩き込んだ。撮影に入ってからは、エマニュエル・ベルコ監督の望むものを演じられるように全力で食らいついていった」。マロニーについては「愛情深い少年。特に母親に対して」」と分析する。「同時に、愛の欠如に苦しんでいて、だから激しい怒りにかられているんだ」。ロッドはパリ郊外のサン・ドゥニに生まれ育った。やや治安の悪い地域もあり、「マロニーみたいな少年たちは僕の住んでいる界隈にもいる」と言う。ロケで訪れたリヨンの少年院では強烈な体験もした。「本物の施設だから、撮影時にも実際に収容されている少年たちがいて、罵詈雑言を浴びたこともあった。『お前は映画で再現してるだけで、俺らにとってはこれが現実だから』と言われたよ。でも、その経験も糧になった」。暴力的な行動に潜む、怒りだけではない感情。不器用な愛。これだけ複雑な役を迫真の演技で表現しきった。そこには、彼と同じように十代で映画主演デビューを飾ったブノワ・マジメルとの、劇中の関係と重なる交流があった。「撮影中もいろいろアドバイスしてくれた。『集中して、マロニーになり切って、しっかり聴け』って。演じるとき、共演者の言葉を聴くことはとても重要なんだ。台詞を忘れたとしても、相手の言葉に耳を傾けていれば、何を言うべきかが分かる。すると、作られたものじゃなくて自然な流れができて、より真実味が増すんだ」。そして「好きな言葉があるんだ」とスマートフォンを取り出す。「アルバン・ルノワールという俳優のSNSの自己紹介文で“自分じゃない者として生きたい男”とあるんだけど。俳優ってそういうものだと僕は思う」。仕事の本質を理解し、的確なアドバイスをすぐに実践する順応性と、プレッシャーに動じない度胸も備わっている。俳優は天職なのかも、と伝えると「ありがとう」と照れ笑いをしながら、「この仕事、本当に好きなんだ」と言う。「ただ、もて囃されるのはちょっと苦手かな。レッドカーペットでキャーキャー言われて、写真を撮られたりするのは、本当はストレスなんだ。自分のことは、その辺を歩いてる普通の人間だと思ってるから、急にこんなことになっちゃって…」。スターになっても家族は以前と変わらずに接してくれるが、「友だちは2人しかいないことが分かった」と言う。「いや、僕には友だちはいない。友だちっていうのはあいさつするだけの関係で、毎日一緒にいるのが親友。僕には2人いる。彼らとの関係も全然変わらない。彼らにとって僕はただのロッドなんだ。映画祭とか華やかな場所にも行くけど、僕は自分が何者なのか、どこから来ているのかはちゃんと分かってる。それが大切なことだと思う」。素顔のロッドは人懐こく、初めて会った相手にも友だちのように接する。本人も自認しているが、自然と人を喜ばせることのできる真のエンターテイナーであり、警戒心むき出しのマロニーとはかなり違う。「自分でも全然似てないと思う。マロニーと近い点があるとすれば、ちょっと神経質なところかな。気が短いんだ。僕はとても社交的だけど、一方で些細なことですぐイライラする。たとえば、昨日このホテルに着いたとき、これが…」と窓辺のブラインドを指差す。「部屋に着いたら、カーテンが閉まっていて、それは簡単に開けられたけど、ブラインドが全然上がらなくて。1人でイラついてたよ」と身ぶりをまじえて再現する。このサービス精神はまさにマロニーと正反対。「そう。全然違う。でも愛については似ているかな。本当の共通点は…愛情深いところなんじゃないかな」。(text:Yuki Tominaga)
2016年08月05日1993年から開催されている「フランス映画祭2016」が今年も開催され、6月24日(金)、オープニングセレモニーが行われた。10年ぶりの来日となったイザベル・ユペールのほか、スペシャルゲストに浅野忠信、是枝裕和監督らが出席した。「フランス映画祭」は毎年日本で行われている映画祭で、日本初公開となるフランス映画の新作を中心に上映される。本年もクラシック作品1本を含む全13本がスクリーンを彩り、記念すべきオープニング作品には、カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務めた『太陽のめざめ』がラインナップされた。団長に就任したイザベルは、ジェラール・ドパルデューと共演した『愛と死の谷』と『Asphalte』(原題)に出演している。赤いジャケットに黒いパンツ姿で颯爽と登場したイザベルは「こんばんは。わたし、とても、しあわせです」と日本語で話すとフランス語で「(日本語を)頑張りました。次回はもっと頑張ります。フランスでは日本の映画が大好きだから、日本でぜひ撮影したいです」と、日本での映画出演に意欲を見せ、キュートにほほ笑んだ。カンヌ国際映画祭<ある視点>部門に正式出品した映画『海よりもまだ深く』でメガホンをとった是枝監督は、花束ボーイとして登場。緊張した面持ちで花束をイザベルに手渡しながら、「フランス映画史そのもののような女優さんです」と讃え、「いろいろな形でお互いの国の映画が交流し合って、刺激できればと思います」と、日仏映画の架け橋になれればと抱負を語った。さらに、同じく本年度カンヌ国際映画祭<ある視点>部門 審査員賞に輝いた『淵に立つ』の深田晃司監督と主演を務めた浅野さんも壇上に上がり、カンヌを賑わせた日本人が揃った。浅野さんは、イザベルさんの横に立つと終始そわそわで、「僕はイザベルの大ファンで、本当に今日うれしくて。僕は映画のことは分かっていなくて、何しろイザベルさんに会えるということで来ました。ぜひ深田監督に僕とイザベルさんの映画を撮ってほしく、そのために来たようなものです」と、少年のような笑顔で語り、これにはイザベルさんも浅野さんに向き直り“快諾”かに見える拍手を送っていた。そのほか、フランソワ・ファヴラ、ローラン・ラフィット、パスカル・プザドゥー、マルト・ヴィラロンガ、ギヨーム・ニクルー、マイウエン、ウニー・ルコント、ニコラ・サーダ、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール、ルシール・アザリロヴィック、ロッド・パラドが登壇した。「フランス映画祭2016」は6月24日(金)~27日(月)まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇で開催。(cinamacafe.net)
2016年06月24日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は5月29日、ブラジル・リオデジャネイロで、ブラジルモダニズム建築の父と称される建築家のオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)が設計したニテロイ現代美術館を会場に、2017クルーズ・コレクションのランウエイショーを開催した。ゲストには、女優のアリシア・ヴィキャンデル(Alicia Vikander)、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)、ゼンデイヤ(Zendaya)、モデルのリウ・ウェン(Liu Wen)、ミロスラヴァ・デュマ(Miroslava Duma)のほか、日本から女優・モデルのTAOや中田英寿、また韓国から女優のペ・ドゥナらが招かれた。ストリーミング引用元: (ルイ・ヴィトンオフィシャルYoutube:
2016年05月30日『昼顔』『シェルブールの雨傘』『暗くなるまでこの恋を』『8人の女たち』…数々の名作で鮮烈な印象を残す、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴをご存知ですか?そんな彼女が、今度はゴリラと恋に落ちる主婦(!)を演じたことでも話題の映画『神様メール』が、5月27日に全国ロードショー。神様はベルギーにいる?ブリュッセルのアパートに住む神様の娘エアは、父親がパソコンで面白半分に世界を管理していることに腹を立て、運命に縛られずに生きてほしいとの願いから、下界の人間たちに余命を知らせるメールを送信します。ところが、彼女の意図に反して人々は大パニックに。そんな世界を救うため、旅に出たエアは、使徒となる6人の男女を探しつつ、小さくてヘンテコな奇跡を起こし続け――。全体的にファンタジックでかわいいんだけど、どこかブラック。痛快、且つミラクルな本作の公開に先立ち、5月25日、コラムニストの辛酸なめ子さんと女装家のブルボンヌさんによるトークイベントが行われました。もしも自分の余命がわかったら?イベントでは様々な話題が飛び出したのですが、その中でも印象的だったのが、「余命ものの映画は泣かせる方向の作品が多いのに、『神様メール』は笑わせる方向に持っていっているからいい」という会話。この作品の登場人物たちも、寿命を知って悲嘆にくれたり、限られた時間をいかに過ごすかと真剣に考えたりはするのですが、実際に取った行動がかなりぶっ飛んでいるので、ジメッとした感じにはならないんです。ある人はスナイパーに転職し、ある人は鳥を追いかけて北極へ旅立ち、ある人はゴリラと恋に落ち…うん、みんなちょっとヘン。また、作中で神様が退屈しのぎに作った「普遍的な不快の法則」にまつわるお話も魅力的でした。「不快の法則」というのは、例えば「お風呂に入った瞬間に電話が鳴る」「ジャムつきパンが落ちるときは、ジャムがついた側が下になる」など、実際に起きたら思わず舌打ちしたくなりそうな、あんなことやこんなこと。辛酸なめ子さんは、この手の法則に振り回されやすいタイプなのか、「作成中の文章を保存していないときに限ってパソコンがフリーズする」「フェスで何か食べると食べ物をこぼす。そういうときは薄い色の服を着てるし、バッグの中のおしぼりも全部乾いてる」などと語って、会場中を笑いの渦に巻き込んでいました。なお、前述した通り、カトリーヌ・ドヌーヴはこの作品の中でゴリラと恋に落ちる女性を演じたのですが、ブルボンヌさんいわく「カトちゃん(ドヌーヴ)は喜んだはずよ。ああいう大女優ってゴリラとか好きなのよ」とのこと。彼女がゴリラ好きかどうかは謎ですが…カトちゃんのインタビューを入手したので、その一部をご紹介します。大女優はゴリラがお好き?Q:ゴリラと寝るシーンがあるとわかったときはどう思いましたか?ドヌーヴ「実はその部分だけ、はじめはわかっていなかったの。ある夫婦がいて、夫が多忙なビジネスマンでという、よくある設定のお話だったのよ。それが、いきなりゴリラと出会い、一目惚れするという展開で、その素敵なお猿さんに会いに行ったり、ベッドインしたりと、非現実的なものが物語に収まっていくのがおかしくて、とにかく気に入ったのよ」Q:迷わず、その小さなお話に入り込めたというわけですね。ドヌーヴ「小さなお話ではなくて、ゴリラが恋の相手になるという立派なラブストーリーよ。今回は超現実的でどこかズレた表現をしてみたの。はじめは無理だと思ったけれど、演じてみた結果、とても楽しかったの。そうすることで意外にも、ゴリラが登場するシーンの撮影がリラックスした、楽しい雰囲気になったのよ」確かにゴリラ、わりと好きそうですね。美熟女と心優しいゴリラ…不思議だし、普通に考えたらあり得ないけど、なんだか温かくて応援したくなるカップルなので、これはこれでアリかも。誰にだって幸せになる権利があるちなみに作中では、カトちゃん演じる主婦とゴリラ以外にも何組かのカップルが誕生します。殺し屋は不死身の美女に巡り合い、セックス依存症の男は、その原因となった運命の人に再会し…。幸せになることを自ら放棄していたような、孤独な男女が恋をすることによって、本当の幸福を手にする様子をも描くこの作品は、「恋がしたいけど踏み出せない」という人や「自分には幸せになる価値なんてない」と思いこんでいる、世の人々の背中をそっと押してくれそうです。世界を救うにはあまりにも小さくてヘンテコな、でも人々に笑顔をもたらす少女エアの奇跡。その奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの「最高にハッピー」なメールとは?みなさんも予想できない展開と、ラストに起こる、このうえなく愛おしく壮大な奇跡を目撃しに、映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。【STORY】神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!エアが大パニックな世界を救う旅にでると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決していく。会社員は鳥を追い北極まで大冒険、殺し屋は不死身の美女にめぐりあい、主婦はゴリラと恋に落ち……皆、それぞれの生きがいを見つけていく。しかしエアが最後に出会ったウィリーは死期が迫っていて――。小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への[最高にハッピー]なメールとは?5月27日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他〈ミラクル〉ロードショー!監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル出演:ピリ・グロワーヌ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ブノワ・ポールヴールドほか配給:アスミック・エース『神様メール』(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Après le déluge/Juliette FilmsCaviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage★オリジナルグッズプレゼント★映画『神様メール』より、作品の世界観をイメージした「特製クリアファイル」を5名様にプレゼントします!応募・詳細はこちらから♪※プレゼント応募にはcocoloni PROLOの会員登録が必要です。ご応募期限:2016年6月20日(月)
2016年05月28日キュートな“神様の娘”エアが、人間界で奮闘する痛快なミラクル・コメディ『神様メール』。このほど、本作に登場するいじわるな神様が作った、“普遍的な不快の法則”を紹介する本編映像が解禁となった。ブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいる神様は、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!エアが大パニックな世界を救う旅に出ると、彼女が起こす小さくてヘンテコな奇跡は、思いがけず人々のお悩みを解決していく。しかし、エアが最後に出会った少年ウィリーは、死期が迫っていて――。カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞『トト・ザ・ヒーロー』(’91)、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞『八日目』(’96)、そしてジャレッド・レト主演のヴェネチア国際映画祭正式出品『ミスター・ノーバディ』(’09)のジャコ・ヴァン・ドルマル監督が手がける、6年ぶり4本目となる本作。寡作の鬼才が、キュートな子役ピリ・グロワーヌや大女優カトリーヌ・ドヌーヴらと贈るのは、本年度ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ノミネート、ベルギーアカデミー賞(マグリット賞)主要4部門受賞など絶賛を受けている、痛快でシュールなコメディ映画。本作の魅力といえば、“神様”はブリュッセルの古アパートに住んでおり、パソコンでいたずらに世界を操作している、という設定の面白さだ。今回届いた映像では、この神様がつくった、なんともいじわるな“不快の法則”を紹介。「なんか今日は、ツイてない!」と思ったら、もしかしたら、この法則のせいなのかもしれない?『神様メール』は5月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月12日「フランス映画祭 2017」が、2017年6月22日(木)から25日(日)まで、東京・有楽町の有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇で開催される。第25回という記念すべき年の団長に決定したのは、2007年以来、2度目の団長を務めることとなるフランスの国民的女優カトリーヌ・ドヌーヴ。そしてオープニング作品には、力強く自由に生きる女性を演じたカトリーヌ・ドヌーヴの最新作『The Midwife(英題)』が決定している。その他、期間中にはバラエティ豊かなフランス映画が多数上映されるほか、監督や俳優たちも数多く来日し、トークイベントなども行われる予定だ。【開催概要】「フランス映画祭 2017」開催期間:2017年6月22日(木)〜25日(日)会場:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇■オープニング作品『The Midwife(英題)』ストーリーフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴと、『大統領の料理人』他で知られ『偉大なるマルグリット』でセザール賞主演女優賞を受賞したカトリーヌ・フロの豪華競演作。実直な性格の助産師・クレール。父親の昔の愛人・ベアトリスから連絡が入り、彼女の余命が僅かであることを知ることに。30年間姿を消していたベアトリスの登場にクレールは動揺し、正反対の性格ゆえに、二人はぶつかり合う。しかし互いの過去の秘密が明かされる時、新たな絆がうまれるー。監督:マルタン・プロヴォ出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、カトリーヌ・フロ2017年12月シネスイッチ銀座ほかロードショー
2016年04月21日女優カトリーヌ・ドヌーヴの主演映画『Standing tall』(原題)が、『太陽のめざめ』の邦題で8月に日本公開されることがこのほど、明らかになった。本作は、ネグレクトにより心に傷を負い、非行を繰り返す少年マロリーを助けるために奮闘する大人たちの姿を描く感動の物語。第68回カンヌ国際映画祭オープニング作品を飾り、最優秀女優賞を獲得したエマニュエル・ベルコ監督最新作で、女性監督の作品が同映画祭の開幕を飾るのは、1987年以来28年ぶりで史上2度目の快挙となっていた。また、カトリーヌの主演映画が日本公開されるのは『しあわせの雨傘』(10年)以来、6年ぶりとなる。カトリーヌが演じるのは、少年に手を差し伸べる、愛のある家庭裁判所の判事。マロニー役は、演技未経験にも関わらずエマニュエル監督にスカウトされ、本作が映画初出演となるロッド・パラドが務める。少年の繊細さと危うさを演じ、フランス国内で権威ある二大映画賞のリュミエール賞とセザール賞で有望新人賞を受賞。『プレミエール』などの現地メディアからも「フランス映画界に風穴を開けたロッド・パラドに注目を。彼は今年最大のハート泥棒だ!」といった評価を受けている。さらに、元不良という過去をもつ教育係に、『ピアニスト』(02年)のブノワ・マジメル。彼もセザール賞の助演男優賞を受けた。このほか、『ゲンズブールと女たち』(11年)のサラ・フォレスティエ、ラリー・クラーク監督の新作『The smell of us』(原題)に出演したディアーヌ・ルーセルらが登場する。(C)2015 LES FILMS DU KIOSQUE - FRANCE 2 CINEMA - WILD BUNCH - RHONE ALPES CINEMA – PICTANOVO
2016年04月08日今年は特に、ヨーロッパ各国の映画が豊作だ。イタリアからは公開中の<a href="">『これが私の人生設計』</a>をはじめ<a href="">『母よ、』</a><a href="">『グランドフィナーレ』</a>、英国からはアカデミー賞にシャーロット・ランプリングが初ノミネートされた『さざなみ』、史実に基づく『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』『ロイヤル・ナイト英国王女の秘密の外出』、フランスからはギャスパー・ノエ監督の衝撃作<a href="">『LOVE【3D】』</a>やアカデミー賞「外国語映画賞」にノミネートされた『裸足の季節』、デンマーク発<a href="">『獣は月夜に夢を見る』</a>、ノルウェー発<a href="">『ハロルドが笑う その日まで』</a>ほか北欧映画も続き、これから初夏にかけ、ヒューマンコメディからミステリーまでバラエティに富んだ珠玉作が目白押し。そこで今回は、“ヨーロッパのへそ”と呼ばれるベルギーとそのお隣オランダから、独自の世界観にジワジワ引き込まれ、見れば元気が湧いてくる3作品をピックアップした。■自分らしい生き方とは?オランダ発・人生やり直しドラマ『孤独のススメ』まずは、ロッテルダム映画祭やモスクワ映画祭で「観客賞」を受賞するなど、多くの人々の心をとらえた<a href="">『孤独のススメ』</a>。妻に先立たれ、田舎町でおひとりさまの単調な日々を送るフレッドが、ある日突然現れた“言葉も過去も持たない男”によって、本当に大切なことに気づいてゆく様をユーモアたっぷりに描く。コメディアンとしての経歴も持つオランダ人監督のディーデリク・エビンゲは、本作が長編デビュー作ながら、友人同士の個性派俳優陣たちと共に人生の可笑しさと感動を絶妙なバランスで創り上げ、世界中の観客を虜にした。ベルギーでロケを行ったフレッドが暮らす村の、まるでおとぎ話のような風景も見どころ。■現代の神様はPCを操り、愛娘との関係に苦悩する!?『神様メール』ジャレッド・レト主演の『ミスター・ノーバディ』以来6年ぶりとなる、ジャコ・ヴァン・ドルマン監督の新作は、神話とインターネット社会を結び付けた奇抜なファンタジー<a href="">『神様メール』</a>。ブリュッセルのあるアパートで家族と一緒に暮らしている神様は、自分の部屋のパソコンで“世界”を管理し、勝手気ままに人間の運命を操っていた。そんな父に憤慨した10歳の娘エアは、それまで一歩も出たことがなかった街に出ることを決意するのだが…。イマジネーションとユーモア、慈愛が入り交じる本作は、ゴールデン・グローブ賞ノミネートをはじめ、世界の映画祭を驚嘆させている。大女優カトリーヌ・ドヌーヴのまさかの出演も要チェックだ。■自殺を決めた主人公に待ち受けるサプライズ!?『素敵なサプライズブリュッセルの奇妙な代理店』“オランダのウェス・アンダーソン”とも称され、「キャラクター孤独な人の肖像」で第70回アカデミー「外国語映画賞」を受賞したマイケ・ファン・ディムが監督・脚本を手がけるコメディ『素敵なサプライズブリュッセルの奇妙な代理店』。自殺ほう助を行う謎の旅行代理店で巻き起こる騒動を描き、本国で大ヒットした。その代理店を訪れ、いつどのように死ぬか分からない“サプライズコース”を選んだ孤独な大富豪が、同じコースを選んだ女性と出会い、やがて生きる意味を見出していくのだが…。主演を務めるのは、『LOFT-完全なる嘘(トリック)-』などに出演する“オランダの大泉洋”のような存在イェルン・ファン・コーニンスブルッヘ。チャーミングでハートフルなラブ・コメディにも、ぜひ注目を。『孤独のススメ』は4月9日(土)よりシネマカリテほか全国にて順次公開。『神様メール』は5月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。『素敵なサプライズブリュッセルの奇妙な代理店』は5月28日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月04日本国ベルギーで『マッドマックス怒りのデス・ロード』を超える大ヒットを記録し、フランス、スイスでも初登場No1、ゴールデン・グローブ賞「外国語映画賞」にノミネートされた奇想天外ミラクル・コメディ『神様メール』が、5月27日(金)より日本公開されることが決定。名女優カトリーヌ・ドヌーヴのあらぬ姿(?)も収められたハッピーなオーラ全開の予告編と、“神様”の娘が微笑むポスタービジュアルが解禁となった。ある日、ブリュッセルのアパートに住んでいる“神様”の娘・10歳のエアは、父がパソコンでいたずらに世界を管理していることに腹立ちを覚え、人間たちには運命に縛られずに生きてほしいと、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを一斉送信。しかし、彼女の意図に反して、世界中は大パニックになってしまう!エアはそんな世界を救うため旅に出るが、彼女ができることは寂しい男女に小さくてヘンテコな恋の奇跡を起こすだけ。会社員は鳥を追って北極まで大冒険へ、殺し屋は不死身の美女と恋に落ち、ある美しい主婦はゴリラと恋に落ちる――。そして、ついにエア自身も、”恋の奇跡”ウィリーに巡り会い…!?本作は、カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞『トト・ザ・ヒーロー』(‘91)や、同主演男優賞受賞『八日目』(‘96) の鬼才ジャコ・ ヴァン・ドルマル監督による、6年ぶり4本目となる最新作。日本とベルギーの友好150周年記念作でもあるとともに、神様の10歳の娘を演じた天才子役ピリ・グロワーヌの熱演や、名女優カトリーヌ・ドヌーヴの予想だにしない衝撃シーンが早くも映画ファンの間で話題に。神様役の『チャップリンからの贈りもの』『ココ・アヴァン・シャネル』のブノワ・ポールヴールドや『エール!』の“お父さん”フランソワ・ダミアン、『カミーユ、恋はふたたび』『ミックマック』のヨランド・モローら個性派俳優たちの競演も見逃せない。そんな本作から解禁となった予告編映像には、ナイトガウン姿の冴えない神様と、お年ごろにさしかかったその娘が織りなす、奇想天外の出来事が続々。“神様メール”で自らの余命を知ってパニックに陥った人間たちの、トンデモ選択には爆笑&失笑の連続だ。世界が驚き、笑い、そして涙した予想できない物語の展開と、ヘンテコだけど愛おしい奇跡を壮大な映像の力で見せる本作。神様のパソコンからの人類への、予想外の奇跡の“メール”をいまから楽しみにしていて。『神様メール』は5月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月26日ハイジュエリーメゾンの役割はファッションを越えて、芸術文化の継承までをも担っている。1906年より続くヴァン クリーフ&アーペルは、パリが誇る指折りのハイジュエラー。創業より自然やクチュール、ダンスを主なインスピレーションの源にしており、最近では文学作品もコレクションのテーマとして取り上げている。毎年ファンが待ち望むハイジュエリーコレクション。日本で発表されたばかりの最新コレクション「ポーダンヌ」のテーマは17世紀に活躍したフランスの詩人シャルル・ペローが書いた古いおとぎ話「ろばの皮」。ヴァン クリーフ&アーペルは、この物語を映画化した70年代の『ロバと王女』のデジタル修復も支援しており、新作のハイジュエリーコレクションはこれら両作品へオマージュを捧げたものとなる。『ロバと王女』の主演を務めたのは稀代の名女優カトリーヌ・ドヌーヴ。フランスの人に馴染み深い、ポエティックで魔法がかった物語と映画の世界観を、宝石を使ったアート作品へと昇華させた。メゾンのクリエーションと技術の持てる限りを尽くして、独自の「ろばの皮」の世界を表現した「ポーダンヌ」コレクション。それはダイアモンド、サファイヤ、エメラルド、ガーネット、ルビーなど眩い貴石の生み出す煌めきと、芸術の域に達す繊細なクラフトマンシップが出会い生み出される、夢のような世界。ポーダンヌが自身を映し出してうっとりするシーンの手鏡からインスピレーションを得た「ミロワール アンシャンテ」ネックレスをはじめ、シャトーや妖精、色とりどりの姫のドレスのクリップなど多くのジュエリーを発表。昨年秋よりヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデントを務めるアルバン・ベロワー氏は、コレクションに捧げる想いを「毎年発表するハイジュエリーコレクションは、メゾンのクリエイティビティーとイノベーションの源。ヴァン クリーフ&アーペルはハイジュエリーなしでは語れない」と話し、ハイジュエリーコレクションの発表の場を、歴史を経て革新を続けるメゾンの真髄を伝える良い機会であると考えている。ヴァン クリーフ&アーペルは宝石のオーセンティックな伝統文化を守りながら、常にモダニティを模索している。ハイジュエリーコレクションはメゾンの普遍性と将来性の結晶と言えるだろう。【問い合わせ先】ヴァン クリーフ&アーペル ル デスクTEL:0120-10-1906
2016年01月29日小津安二郎より5歳年下で、黒澤明より2歳年上、現役最高齢監督として知られ、世界中の映画作家から尊敬を集めながら、今年106歳で逝去した巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督。101歳のときに発表した作品『アンジェリカの微笑み』が、12月5日(土)より公開される。本作は、世紀の巨匠と呼ばれるオリヴェイラ監督が101歳のときに発表し、日本では長い間、映画ファンから公開が待たれていた、狂おしくも甘美な、かなわぬ恋を描く幻の傑作だ。若くして夭逝した絶世の美女アンジェリカの、最後の写真撮影を依頼された青年イザク。白い死に装束に身を包み花束とともに横たわるその娘にカメラを向けると、娘は突然瞼を開きイザクに微笑みかける。その瞬間、イザクは雷に打たれたように“ひとめ惚れの恋”に落ちてしまった。神秘に満ちた美しすぎる微笑みに心奪われ、昼夜を問わず亡きアンジェリカに想いを馳せるイザク。そしてある晩、イザクの一途な想いに応えるように、この世とあの世の境界を飛び越えてアンジェリカの幻影があらわれる。愛の波動は一瞬にして二つの魂を引き寄せ、すっかりアンジェリカの虜になってしまった青年イザクのてん末は――?1908年12月11日生まれ。現役最高齢監督として国際的に知られたオリヴェイラ監督は、今年4月2日に、惜しまれつつも106歳で永眠した。80歳を超えてからも驚異的なペースで映画を撮り続け、国際映画祭はその新作をこぞって奪い合い、カトリーヌ・ドヌーヴやジャンヌ・モローなど名だたる俳優たちが出演を切望したほど。本作は、オリヴェイラ監督お気に入りの人気ピアニスト、アリア・ジョアン・ピリスが奏でる流麗なショパンのピアノ曲が甘美で優雅な世界を際立たせる、ミステリアスで瑞々しい愛のファンタジー。決して手に入れることができない相手への狂喜のひと目ぼれと、時空を超えた運命の恋に悩む青年の愛のドラマには、日本の各界の巨匠や気鋭の俳優たちからも、絶賛の声が続々と寄せられている。100歳を超え、当然、自らの死も見据えた巨匠が逝く前に描いた本作で描かれる“理想の恋”に、思いを馳せてみて。<以下、著名人コメント(順不同)>■若尾文子(女優)怖いけれど美しい。美しいからこそ怖い。日本の牡丹灯篭や雨月物語に一脈通じるものがあると思う。この映画を観たら、不思議な夢を見られるのではないかしら。■村上淳(俳優)へんてこりんなキャメラ・アングルに痺れ、突き抜けたユーモアにヤラれ、映画に満ち溢れた気持ちでいつも劇場を出て…。ぜひ、劇場で見てください。■奥田瑛二(映画監督)理想の恋がここにあるのかもしれない。現実か幻か?映画創作者の永遠のテーマでもある。オリヴェイラ監督はこの作品でそれを見事に描き出した。■柄本佑(俳優)オリヴェイラは映画を撮ることで性欲を満たしていたのかしら?なんでこんなHなのか?なんでこんな豊かなのか?なんでこんな面白いのか?101歳の頭の中はワカラナイ。ただ大傑作であることはワカリマシタ。■吉行和子(女優)オリヴェイラ監督には惑わされ続けて来ました。まるでアンジェリカのように私を別世界に連れて行ってくれるのです。『アンジェリカの微笑み』は12月5日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年11月23日ヘンリー・カビル演じるプレイボーイのお調子者スパイと、アーミー・ハマー演じるクリヤキンの生真面目な慎重派スパイが“禁断”のコンビを組むことでも話題の『コードネーム U.N.C.L.E.』。本作から、60年代のファッションとラグジュアリーな世界観を堪能できるメイキング映像“スタイル編”が到着した。まず、CIAの有能なスパイ・ソロ(ヘンリー・カビル)のスタイルは、オーダーメイドの高級スーツ。一方、KGBのエリートスパイ・クリヤキン(アーミー・ハマー)のスタイルはタートルネックのセーターがポイント。本作の衣装を務めた、スティーブン・スピルバーグ監督とのタッグでも知られるジョアンナ・ジョンストンは、このソロの衣装について「自分の外見が、高価で容姿端麗で上品であることだけが大事な見栄っ張りなの」と分析、そのキャラクターを踏まえて、ソロが着こなすスーツは全てイギリスの仕立屋「ティモシー・エベレスト(TIMOTHY EVEREST)」で作ってもらったという。靴は「ジョージ・クレバリー(GEORGE CLEVERLEY)」と「クロケット&ジョーンズ(CROCKETT&JONES)」だ。一方、超がつくほど真面目で神経質な性格をもつクリヤキンは、組み合わせを楽しむセパレート型。「控えめでさりげなくセクシーなものに抑えた」と語り、タートルネックはTVシリーズでのクリヤキンのトレードマークだったこともあり、今回もアイテムに加えた。また、それに合わせるジャケットは「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」のヴィンテージ物で、なんとアーミーのサイズにもぴったりだったという。アーミーはクリヤキンの人物像を作り上げるのに、衣装が大いに役立ったことを明かす。「衣装だと感じなかった。出しゃばらないから、自分の洋服みたいに感じるんだ」。また、ヘンリーも同様に「最高の生地で作られていて、袖を通した途端に、ナポレオン・ソロになった気がした」と、そのスタイルに大満足だった様子だ。女性キャラクターのスタイルは、「ヴァレンティノ(Valentino)」からインスピレーションを受けているという。アリシア・ヴィキャンデル演じるギャビーは、最初こそ車の整備士で機能的な仕事着を着たお転婆娘として登場するものの、すぐにオートクチュールを着こなす女性へと変身していく。彼女の衣装は60年代らしい鮮やかな色を用いたものが印象的で、オレンジとシロのドレスは「クレージュ(Courreges)」のオリジナルドレス。その一方、エリザベス・デビッキ演じる冷淡な美女ヴィクトリアのスタイルは、ギャビーとは対照的な白と黒のスタイル。ジョアンナは「ヴィクトリアは彼女独自の方法で、考え抜いて応用し自分のイメージを洋服に投影するソロに匹敵する。彼女はヘビだわ。自分の巣穴に人を引き寄せたいの」と分析、「ベストとブラウスのコンビネーションは、『昼顔』でカトリーヌ・ドヌーヴが着ている衣装からインスピレーションを受けた。靴は『ロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)』を何足かつかっているわ」と明かす。この衣装についてエリザベスは、「ヴィクトリアの衣装は最高の60年代ファッションを代表している。彼女はキラキラ光るものとベルトが好きなの。大金持ちだから、私たちは、何の制限も必要ないと感じたわ。それに、悪役だから自分を楽しませることなら何でもやれるの」と語っている。高級メゾンとヴィンテージが巧みに融合し、キャラクターそのものを形づくる本作のラグジュアリーな世界観を、こちらの映像からも堪能してみて。『コードネーム U.N.C.L.E.』は11月14日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:コードネーム U.N.C.L.E. 2015年11月14日より全国にて公開(C) 2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
2015年11月11日シャネル(CHANEL)が2015-16秋冬プレタポルテコレクションでフィーチャーされたバイカラーシューズにフォーカスした4本のショートムービーを公開した。ブラックドレスやツイードのスーツ、キルティングバッグなどのアイテムが定番となっていた1957年に、ガブリエルシャネルが女性の美しさを引き出す新たなアイテムとして提案したバイカラーの「スリングバッグシューズ」。様々な装いに合わせやすいベージュとブラックのバイカラーパンプスは、カトリーヌ・ドヌーヴ、ロミー・シュナイダー、ブリジット・バルドーを始めとした著名人らも魅了し、世界中に広まった。2015-16秋冬プレタポルテコレクションでは、メインシューズとして、ブラックのトゥにストラップとスクエアヒールが印象的なベージュパンプスを再解釈したバイカラーシューズが登場。スリムカットのレザーパンツからツイードのドレス、テーラードスーツ、ジーンズまで様々なスタイルに合わせられる。ティルダ・スウィントンや、グイ・ルンメイ、パク・スジュなどがいち早く着用。今回公開された4本のムービーでは、パリジェンヌが様々な場面でバイカラーシューズを履きこなす様子が描かれた。パリジェンヌが身に着けたシューズは、屋内に屋外、朝に夜、ドレスにジーンズなど様々な場面や装いに馴染んでいる。また、4本のイメージムービーに加え、バイカラーシューズのメイキングムービーも公開されている。
2015年09月27日女優の綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずらが14日、是枝裕和監督最新作『海街diary』(6月13日公開)がコンペティション部門に正式出品されることを受けて、フランス・カンヌで開催されている第68回カンヌ国際映画祭に出席した。現地の天候は晴れ。綾瀬はスパンコールをあしらった花柄の白いドレス、長澤はスタイルのよさを生かしたタイトな淡い紫色のドレス、夏帆は色鮮やかなプリントのボリュームスカートがポイントのドレス、広瀬は淡い水色の清楚なドレスに身を包み登場。世界中から集まったカメラマンたちを前に、笑顔で応えた。映画の上映は、現地時間の16:00に実施。会場の2300席はすべて埋まり、女優のカトリーヌ・ドヌーヴや『アーティスト』(2011年)のミシェル・アザナヴィシウス監督の姿も。上映中は、コミカルなシーンには笑いが起こるなど、温かい雰囲気に包まれた。映画が終わると、会場からはスタンディングオベーションが起こり、5人は感激した様子を見せていた。上映を終え、夏帆は「本当に貴重な体験をさせていただいた。夢のような体験。みなさんの反応が温かくて、すごくすてきな上映だったなと思いました」と感慨深く語ると、長澤も「たくさんの人の心に何かが届いたのかなと思って、すごくうれしかった」とコメントした。今回、「この4人にこの映画祭を体験してもらいたいというのが強くあった」と語っていた是枝監督。綾瀬が「また来てみたいなと思いました」と思いを語り、広瀬も「大人になって、またこの舞台に立てるような女優さんになりたいなと思いました」と目標を見据えたように、女優たちにとって貴重な経験となったようだ。上映されたメイン会場に向かうレッドカーペットでは、タキシードできめた是枝監督を筆頭に、綾瀬はクリスチャン・ディオールのオートクチュールで、胸元のラインが際立つ白のクラシカルなドレス、長澤はステラマッカートニーの深いグリーンとブルーのタイトなロングドレス、夏帆はイヴ・サンローランの鮮やかな藍色のシックなロングドレスに、広瀬はオリジナルで水色と白のチェック柄の爽やかなシフォンドレスにと着替えて登場。四姉妹が手をつないで横一列になって歩くなど、映画の雰囲気そのままにメイン会場へと進んでいた。(C)2015吉田秋生・小学館/「海街diary」製作委員会
2015年05月15日第68回カンヌ国際映画祭が13日(現地時間)、南仏・カンヌで開幕した。ランベール・ウィルソンが進行役を務めた開幕式には、昨年『マップ・トゥ・ザ・スター』で女優賞を受賞したものの授賞式に出席できなかったジュリアン・ムーアが登場。『アリスのままで』のオスカーに続いて、ようやく栄冠を受け取り、会場を沸かせた。コンペ作品19本を審査するメンバーは、アメリカの兄弟監督ジョエル&イーサン・コーエンを審査委員長に、ソフィー・マルソー(仏)、ジェイク・ギレンホール(米)、シエナ・ミラー(英)、ロッシ・デ・パルマ(スペイン)、ギレルモ・デル・トロ(メキシコ)、グザヴィエ・ドラン(カナダ)ら映画人と、マリの歌手で作曲家ロキア・トラオレという顔ぶれ。記者会見でスウェーデン人記者に今年のアイコンであるイングリッド・バーグマンをどう思うかと聞かれたジェイク・ギレンホールは「僕もスウェーデン人だから、彼女と遠い親戚だったらいいなと思う。母がバーグマンの大ファンだからポスターをもらってきてね、と頼まれた。でもスウェーデン人なのはうちの父の方なんだけどね」と言って、笑いを誘った。ジョエル・コーエンは「僕たちは批評家ではないから、映画を楽しみながら議論をしたい。その上で、独自のアート・フォームを見せてくれる作品を選びたい」と委員長としての抱負を語った。オープニング作品はフランスの女優出身監督であるエマニュエル・ベスコが、非行少年の更正に尽力する人々を描いた『LA TETE HAUTE(胸をはって)』。近年『グレース・オブ・モナコ公妃の切り札』、『華麗なるギャツビー』など華やかな大作が続いたが、今年は社会派のドラマで幕を開けた。少年裁判所の判事カトリーヌ・ドヌーヴ、保護司を演じたブノワ・マジメル、そして非行をくり返す少年マロニーを演じた新星ロッド・パラドらが会見に出席。影に日向に少年を支える判事を演じたドヌーヴは「少年犯罪の報道は多いけれど、彼らを更正させようと努力する人々がいることに日を当てた脚本に惹かれました。彼らは何度失敗しても諦めないのです」と出演の動機を語った。デビュー当時のレオナルド・ディカプリオを彷彿とさせるロッドは、職業訓練高校に通うところを発掘された超新星。「自分が俳優になるなんて思ってもみなかった。やってみると面白いし色々な人と会えるし、これからも演技を続けていきたい」とはにかみながら語ると、ドヌーヴが目を細めていたのが印象的だった。またシャルリー・エブド誌の最新号の表紙が、ドヌーヴを揶揄する風刺画だったことについて聞かれたドヌーヴは「まだ見てないわ。でも笑える絵だったらいいわね」と語り、報道陣から拍手喝采を浴びていた。14日には是枝裕和監督の『海街diary』が、パルムドールを競うコンペティション部門の筆頭を飾り、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずの4姉妹がレッドカーペットに登場する予定。カンヌ映画祭は24日(現地時間)まで開催。(photo / text:Ayako Ishizu)
2015年05月14日パリのラグジュアリーアクセサリーメゾンであるロジェ ヴィヴィエ(Roger Vivier)は、3月18日から24日まで、東京の松屋銀座にて「ロジェ ヴィヴィエ-Icons Connected(アイコンズ コネクティッド)」回顧展を開催する。会場は松屋銀座1階スペース・オブ・ギンザ。本展はこれまでブランドが歩んできた歴史へのオマージュと、伝説的な靴職人で創始者であるロジェ・ヴィヴィエ(1907-1998)と現クリエーティブ・ディレクター、ブルーノ・フリゾーニの輝かしい瞬間を切り取る回顧展。過去の象徴的なテーマを取り上げ、ブランドヒストリーを紐解いていく。メゾンの道程を振り返る中で、同メゾンの名を世に知らしめたエピソードも紹介。例えば、アイコン的バックルパンプス「ベル ヴィヴィエ(Belle Vivier)」は、1967年公開のフランス映画『昼顔』で主演女優のカトリーヌ・ドヌーヴの足元を飾ったことで一躍有名になり、世界で一番コピーされたシューズとして今もファッション史に語り継がれている。また同回顧展では、1953年に女王エリザベス2世の戴冠式のためにデザインされたシューズのレプリカや、バックルをモチーフに元大統領夫人カーラ・ブルーニ・サルコジのためにデザインされたバッグ「ミス ヴィヴ」のアーカイブなど、映像や写真、貴重なヴィンテージアイテムを展示することで、アクセサリーメゾンの真髄を描き出す。会場では同時に、これらアイコンを受け継ぐ今シーズンのアイテムも展示販売する。今回、新作のひとつとして店頭に並ぶ、イネス・ド・ラ・フレサンジュがカスタマイズした「ミス ヴィヴ(Miss Viv')」(45万から49万9,000円)は、日本の桜をモチーフにしたエンブロイダリーがバッグ全面に咲くデザイン。他にこの回顧展を記念した限定商品もラインアップ。ダークなカメオカラーに染め上げられたパイソン素材の「ミス ヴィヴ」(37万3,000円)と「ベル ヴィヴィエ」(12万9,000円)が、本展の限定バージョンとして発売される。デジタル技術を生かした仕掛けも面白い。いくつかのディスプレイにはQRコードが付けられており、会場ではご自身のスマートフォンを使い、ロジェ ヴィヴィエのシューズをバーチャルでも鑑賞できる。
2015年03月11日ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul GAULTIER)がオートクチュールライン「ゴルチエパリ(GAULTIER PARIS)」15SSコレクションショーを、本社ビルにて開催した。会場には、カトリーヌ・ドヌーヴやカーラ・ブルーニ・サルコジ、ピエール&ジルなどが駆け付けた。プレタポルテからの撤退を宣言して初のクチュールコレクションは、「Ouiというための61の方法」と題し、61体のマリエ(ウエディングドレス)で構成。ゴルチエの気迫が伝わってくるかのような力強いコレクションとなった。主軸となるアイデアは、別々の二つのものを左右にドッキングさせる折衷法。右半分がテイラードのパンツスーツで、左半分がショールカラーのワンピース、あるいは半分がスモーキングで半分がホースヘア入りのホルターネックドレス、右半分だけプリーツが掛かっているワンピースなど、ゴルチエらしいユニークなウェディングが招待客達を楽しませた。また、パイソンをモチーフにしたアイテムが多く見られ、パイソン柄を玉留めだけで表現したカーディガンドレスや、スワロフスキーのクリスタルを組み合わせてパイソンモチーフを描いたワンピース、丸いウッドビーズのみでガラガラヘビのモチーフを描いたカーディガンなどが登場。ショーの中盤には、80年代に活躍したクリスティーヌやヴィオレッタ、スザンヌ等がドレスをまとって現れ会場を盛り上げたが、61体目のブーケドレス姿のナオミ・キャンベルがランウエイを歩くと、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
2015年02月11日ロサンゼルスでルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のエキシビション「LOUIS VUITTON SERIES 2―Past, Present, Future」が2月6日よりスタートした。ノースハイランドアベニュー1135番地にて22日まで。2014年9月にルイ・ヴィトン新宿店で行われた「SERIES1―THAT WAS THEN, THIS IS NOW」のようにアーティスティックディレクター、ニコラ・ジェスキエールのクリエーションを展覧する。新宿でも見られたマネキンがバッグを携えるシュールな会場やポスターの部屋、マジックトランクなどに加え、新たに15SSコレクションショーの大規模な映像演出、バックステージの様子、15SSモチーフのステッカーによるウオールなどが設えられ、ニコラ3シーズン目のコレクション世界を体験できる空間となっている。5日に行われたレセプションにはニコラはもちろん、ルイ・ヴィトンの広告キャンペーンに出演しているジェニファー・コネリー、シャルロット・ゲンズブールの他カトリーヌ・ドヌーヴ、アレクサ・チャンらが姿を見せた。
2015年02月08日「私が寝る時、身にまとうのはシャネルNo5を数滴」。余りにも有名なマリリン モンロー(Marilyn Monroe)が放ったこの言葉は当時の女性たちを魅了し、No5をこれまで以上に特別なフレグランスへと昇華させました。その歴史的インタビューから半世紀以上経った今なお、シャネル No5は世界中の女性たちに愛され続けているのです。1921年のNo5誕生から93年。シャネルNo5のミューズとなったのは、マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)だけではありません。その時代を代表する女性たちがNo5を纏い、イメージを表現し続けてきました。初めて広告ヴィジュアルを飾ったのは、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)本人。レディースファッションの概念を根本から変えた彼女は、フレグランスにおいても革新をもたらしました。単一の香りが主流であった当時、80種以上のエッセンスで創られた抽象的な香りは驚きをもたらしました。既成概念にとらわれず、新しいスタイルを生み出した彼女は、この革新的なフレグランスを表現するのに最もふさわしい存在だったのです。1952年にはマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)によるNo5の伝説が誕生しました。彼女は戦後間もない激動の時代だった50年代、人々の理想の女性でした。“セクシーさの中に垣間見える可愛らしさ”をもつ彼女のウィットにとんだ発言は、たちまち世界じゅうをかけめぐりました。その後、スージー・パーカー(Suzy Parker)、アリ・マッグロー(Ali MacGraw)、ローレン・ハットン(Lauren Hutton)、キャンディス・バーゲン(Candice Bergen)、シェリル・ティーグス(Cheryl Tiegs)など次々と時代を象徴する女性たちがミューズをつとめました。60年代後半から、世界一の美女と謳われたパリジェンヌであるカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)を抜擢。ポップでカラフルな服装に身を包んだ彼女は、まさに70年代のファッションアイコン的な存在。スクリーンの中で、ガーリーなファッションを纏い恋に命を懸けるその姿は女性の憧れそのものでした。ベッティナ・ランス監督は、彼女の独白というスタイルで、凛とした女性像を表現したコマーシャルフィルムを作成しました。そして1980年代から90年代にかけては、キャロル・ブケーがを10年以上にわたってミューズをつとめました。その変わらぬ美貌と魅力、そして聡明さ…単なる「キレイ」や「カワイイ」だけでは表現しきれない大人のスタイルに、女性たちは新世代の理想像を見たのです。
2014年11月28日――“美しさ”とはなんだろうか?こと映画の中でいえば、その佇まいであり、匂い立つような色気であり、それでも失われない自然体の雰囲気といえるだろう。先日、“Beau Garcon(ボー・ギャルソン=美しい男)”と呼ばれ注目を集める、フランスの俳優ピエール・ニネが主演作『イヴ・サンローラン』を携えて来日した際に、ファッション通の女子たちが軒並みハートを奪われたのは記憶に新しい。しかし、“美の国”フランスが世界に誇る俳優はもちろん男子だけではない。むしろ、フランス出身の女優たちこそ今、ハリウッドを始め世界中が注目しているのだ。今回は、フランス映画界に咲いた美しき3人の“新星”女優をご紹介!まずは、今週末より公開されるフランス映画『美女と野獣』(公開:11月1日)で主演を務める、レア・セドゥ。誰もが知るファンタジーの名作を実写化した本作で、レアは野獣の城に囚われの身となるヒロイン・ベルを演じている。若手女優の中でも群を抜く実力派で、出演作『アデル、ブルーは熱い色』で第66回カンヌ国際映画祭で史上初となる女優として「パルムドール(最高賞)」を受賞した。また、その妖艶なミステリアスな魅力でフランスのみならず、数々の話題作に出演し、ハリウッド進出作となった『イングロリアス・バスターズ』以降も、『007/スカイフォール』『ミッドナイト・イン・パリ』『マリー・アントワネットに別れをつげて』『グランド・ブダペスト・ホテル』など大作~ミニシアターまで幅広い役柄で、さらに『007』シリーズの最新作では『Bond24』(原題)ではボンドガールに抜擢されており、今後も注目必至の女優となりそうだ。次に紹介するのは、そんなレアと共にカンヌ「パルムドール」受賞で世界を沸かせたのが、若干20歳のアデル・エグザルコプロス。さらに、初の長編映画となったのがジェイン・バーキンが監督作というのだから、その魅力は間違いないだろう。巨匠に見い出されたという点においては、フランス映画界の旗手フランソワ・オゾン監督が新たなる“美の女神(ミューズ)”として大抜擢した、マリーヌ・ヴァクトを外すことはできないだろう。「イヴ・サンローラン」や「ルイ・ヴィトン」など名だたるブランドの広告モデルとして活躍してきたモデル出身の女優だ。カトリーヌ・ドヌーヴやリュディヴィーヌ・サニエなどの才能を見抜き、スクリーンの中で“女”そのものとして撮りあげるオゾン監督が彼女を起用した映画『17歳』がカンヌで上映されて以降、「ELLE」や「VOGUE」といったハイ・ファッション誌を始め、カルチャー誌や映画誌など世界中のマスコミがマリーヌに飛びついた。その見目麗しい容姿と肢体がスクリーンに映えることは言うまでもなく、2015年にはマチュー・アマルリックらと共演した映画『Belles familles』(原題)が公開される予定だ。表情豊かなフランスのスクリーンに咲く女優たち。彼女たちのほかにも、「世界で最も美しい顔100人」の常連にして、アカデミー賞「主演女優賞」の栄冠に輝いたことのあるマリオン・コティヤールを始め、ラース・フォン=トリアー監督が描く官能映画『ニンフォマニアック』で注目を集めるステイシー・マーティンや、いまや国際女優となったメラニー・ロランなどなど、その畑を見渡してみれば豊作が続くフランス映画界。美と実力を兼ね備えた彼女たちのこれからに要注目だ。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美女と野獣 2014年11月1日よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国にて公開(C) 2014 ESKWAD - PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTIONACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH - 120 FILMS
2014年10月28日