障がいを“飯のタネ”に生き延びる見世物小屋の人たち『五色の舟』(漫画:近藤ようこ、原作:津原泰水/KADOKAWA エンターブレイン)12年ほど前に、スペインのセビリアに短期留学しました。初めてのスペイン、初めてのアンダルシア。イスラム文化が色濃く残る魔法の国のような街で、見るものすべてが新鮮でした。その中で驚いたことがあります。それは、片足がないとか、片手がないとか、指が三本(妖怪人間ベムを地でいく感じ)の、いわゆる障がい者が街にたくさんいたことです。そのときに「今まで日本で、こんなにたくさんの障がい者を見たことがあったかな?ここが障がい者の多い街なのか、それとも日本の障がい者が外に出ないだけなのか?」と疑問に思いました。その答えはまだ出ません。「障がい」という言葉は少々ネガティブに響きます。でも、大勢の人とは異なると考えれば、それは「個性」とも言えます。『五色の舟』は、いわゆる障がい者たち5人が家族として暮らしているお話です。両膝から下を切断したお父さん、身体は小さいけれど怪力の昭助兄さん、下半身が合体している結合双生児だった桜、肩から直接指が生えていて耳の聞こえない和郎(かずお)、両膝の関節が前後ろ逆についている清子さん。5人は第二次世界大戦のさなか、見世物小屋で興業しています。自分たちの個性的な身体に加えて、いくつかの芸を見せることで収入を得ているのです。彼らは、酔狂な金持ちに呼ばれて密かに催しを続け、戦争末期にもかかわらず食うに困ることはありません。桜は全身にウロコの入れ墨を入れ、ヘビ女としてカエルを飲み込み、また吐き出す芸を。和郎は手の代わりに器用に足を使って絵を描いたり食事をするさまを見せます。お父さんをはじめ、家族たちに悲壮感はありません。お父さんは、桜と和郎のまぐわいを見世物のひとつとしていて、いつか桜か和郎か、それとも両方に似た子が生まれるのを望んでいます。「それなら一生食べるに困らないから」。清子さんは、家族の一員になるときに「今までいやなことばかりだったから、これからはこれでお金を稼いで、笑って暮らしてやるのさ」と言います。異形に生まれた自分を肯定し、受け入れるたくましさ(c)martinak15両足を切断してしまったお父さんは歩けないので、怪力の昭助兄さんがいつでも担いで歩いています。それは当たり前のことで、「いつもすまない」みたいなことはありません。お父さんは歩けないから昭助兄さんが担ぐ、和郎は腕がないから足を使う。和郎は桜のことを「生来無いところをほかで勝手に補ってしまうような逞しさがない」と言っています。つまりほかの4人には、そうした逞しさがあるというのです。自分を受け入れ、個性として自分たちの身体を見世物にすらして揚々と生きている彼らに「障がい」という言葉は浮かびません。物語は、少しだけ不思議な設定です。「もし~だったら」という仮想の世界が存在し、その世界へは「くだん」という牛と人間のあいのこが連れて行ってくれるのです。そして「くだん」によって別の未来を手に入れた家族たちは、新しい身体を手に入れても、「見世物小屋の一座にいたことを恥ずかしいとは思いません。みんな自分の力で一生懸命生きていましたから」と否定をしないのです。私は、特段、障がいと言えるようなものを持っていません。でも、特に頭がいいわけでもなく、視力も良くないし、よく風邪を引く平々凡々な人間です。けれども、自分を肯定するのがとても難しいのです。必要なのはキレイで性能のいい入れ物ではなく、力強い精神だということはわかってはいても、なかなか実践できません。『五色の舟』は、津原泰水による原作小説が発表されたとき、世間に大変な衝撃を与えたそうです。それを漫画化した“近藤ようこ版”は、原作の世界をそのままに、違和感なく彼女らしい補足をしてあります。ラストは不思議な展開ですが、考え方によってさまざまな受け取り方ができるのではないかと思います。秋の夜長にひとりじっくりと味わいたい作品です。Text/和久井香菜子
2015年10月15日次々と関係を結ぶ二条は一見ビッチ、だけど…『後宮』(海野つなみ/講談社 KC KISS)全5巻人は誰でも、自立願望があると思います。自分の行動や言葉に責任を持ち、自分のことは自分でやる。失敗したときは辛いけど、誰のせいでもなくて次へのステップになるし、成功すれば達成感があるから。精神的自立と経済的自立はイコールではないけれど、かなり近い関係にあるでしょう。誰かに金銭的に負われていると、その人の意志にかなり自分の人生が左右されるからです。「金は出すけど口は出さない」人はあんまりいないし、自分の身を削って支払いしないと、自分への自信にもつながりません。『後宮』は、平安時代に成立した『とはずがたり』を原作にした作品です。『とはずがたり』は、後深草院(御所様)に仕えた女房の二条の日記的物語です。その中で、御所様のほか、西園寺実兼、性助法親王(御室)との関係が描かれていきます。御所様は、閨(ねや)の教育係だった典侍大(すけだい)のことが忘れられません。その典侍大が亡くなり、忘れ形見だった二条を引き取ります。自分のものにするために手元で育てることにしたのです。まるで『源氏物語』の紫の上ですね。初めて御所様と一夜を過ごしたときの二条の困惑も、『源氏物語』を彷彿とさせます(ていうか『あさきゆめみし』のシーンを思い出しました)。はじめに読んだときは、「二条はビッチでした物語」なのかな?と考えていました。だって、御所様に入内しているにもかかわらず、実兼さまとも御室とも近衛の大殿とも、次々と関係を結んでいくのです。もう彼らとの関係は、ティーンズラブコミックを読んでいるかのようです。御室のストーカーまがいの熱情や、二条への思いを遂げるための策略はかなり萌えです。それ以上にすごいのが、近衛の大殿。二条が実兼と深夜に逢瀬をしたあとに、彼女を部屋に押し戻し、衝立に隠れている実兼の目の前で押し倒します。その次の日は、御所様の前で押し倒します。そのたびに二条は「声を出しちゃダメ」「早く終わって」とこらえてます。禁断のナントカって感じですね。二条が男を選べないのは、経済的に自立できないから(c)Bridget H「誰かに見られちゃう」「あの人にみだらな姿を見られるなんて!」は女性萌えの王道らしくて、エッチなシーンが多い少女漫画にはつきものだったりします。『後宮』は、ティーンズラブコミックでもエロ漫画でもない上に実際の人物の日記ですが、「現実は小説よりもエロなり」って感じですね。しかし、じっくり読んでみると、気付くことがあります。二条が、いやよいやよと思いながら逆らえないのは、彼女自身が誰かに後ろ盾になってもらわないと生きていけないからです。近衛の大殿が二条と関係するのは、彼女の後ろ盾となるためでした。その上、御所様といい実兼といい、二条を好きだ好きだと言いながら、他に女がいて、子どもも産ませてます。そこへ自分ひとりを愛してくれる御室が現れたら、なびいてしまうのもムリはないでしょう。二条は、男に経済的に依存しなければ生きていけないのです。そしてそのためには、求められたら自分の身体を差し出すしかない。強く拒むことができないために何人もの男性と関係を持つことになりました(まあ生涯4人だけなら現代では別に普通かもしれないけど)。『あさきゆめみし』で紫の上は、「源氏に愛し愛され、自分は果たして幸せだったのか」と自問して亡くなっていきます。ハッキリ言って源氏に振り回される人生だったわけです。当時、女性は誰かに頼って生きるしかなかったのかもしれませんが、もしも自立ができたとしたら、源氏を選んだかどうか。二条も同様です。御所での地位を顧みなければ実兼ひとりを選んでいたかもしれないし、そもそも他にも女がいる実兼は選ばなかったのかもしれない。「何もかも捨てて御室と一緒になる勇気」はなかったけれど、何も捨てないのなら御室を選んだかもしれない(近衛の大殿は論外だけどね)。こうした女流文学を読むたびに思うのは、女の自立です。自分は、経済的・精神的に自立できているか。経済的自由を手に入れる代わりに、精神的自由を失ってはいないか。ティーンズラブ風味のサービスシーンも堪能しつつ、ちょっと振り返ってみてはいかがでしょうか。Text/和久井香菜子
2015年10月09日他人の人生にとって、自分は「脇役」だと気付くとき『ヒロイン失格』(幸田もも子/集英社 マーガレットコミックス)全10巻「世界は自分のために回っている」なんていう言葉があります。子どもの頃は「そんなわけないじゃん」と思ってましたが、大人になると「ゲッ!自分、どう考えても“世界は自分のために回ってる”って思ってたよな」って気付きました。排他的で、思い通りにならないと気が済まなくて。自分以外の他人にとっては、主人公は私ではなくその人で、自分は脇役なんだということがわかりました。まあこういうことに気付くのが、大人への第一歩ですよね。すみません、正直『ヒロイン失格』というタイトルを最初に見たとき、「はいはい、どうせ胸キュンお涙青春恋愛物語なんでしょ?」と思ってました。薄汚れた大人には楽しめないでしょ、と。でも、食わず嫌いはいけないですね、おもしろかったです。ストーリーは、子ども丸出しの恥ずかしい勘違いをしている主人公・はとりの成長物語です。幼なじみの利太のことを好きなはとりは、自分こそが利太の彼女にふさわしいと思いこんでます。モテる利太に彼女ができても大丈夫。かるーく付き合ってかるーく別れるを繰り返しているので、「快楽を求めて女を変えてるけど、最後は真実(あたし)の愛に気付くの」と思っています。幼なじみの余裕ですよ。なんで幼なじみが余裕かと言えばもちろん、少女漫画では幼なじみが最強だからです。テレビや雑誌の取材で「少女漫画でよくある出会いは?」とか聞かれるんですが、意外と「衝撃の出会い」って少なくて、同級生、幼なじみ、同僚あたりの平凡な感じです。遅刻しそうになって食パンかじりながら走ってる最中にイケメンとぶつかるとか、とりあえず読んだことないです。いったいなんのマンガのシーンだったんでしょうか。で、利太ですが、ぜんぜん彼のタイプじゃない、そして目立つ美人でもないメガネっ子の安達さんと付き合うことになります。そして意外と彼女が強敵だった。今まではとりは、利太の彼女を「脇役」だと思っていたけど、「あれ……?なんか利太のヒロイン、安達さんっぽくね?むしろ自分が脇役?」と気付きます。このときの、はとりの友達・中島の指摘が鋭い。「安達さんはちゃんと告白というオーディションを受けて正当に寺坂(利太)のヒロインになったの。あんた(はとり)は、オーディションも受けてないのに何故か自分がヒロインだと勘違いしてる、舞台にも上がれないただの劇団員」と。胸に刺さりました。私も告白オーディション受けたことないです。告白どころか、いろんなことのオーディションを避けてきた気がします。それじゃあいつまで経ってもヒロインになれないのですね。「笑い」のセンスと知性が、作品のクオリティを左右する(c)kaizen.nguyễnはとりは、自分が一番利太をわかっている、彼が欲しいものをあげている無二の存在と思いこんでるけど、利太にとってはとりは単なる幼なじみだったわけです。「自分と同じように他人も考えているに違いない」ってのは子どもの頃によくやる間違いですよね。そうこうするうちに、イケメンの弘光くんが登場、利太と弘光くんの間ではとりの気持ちは揺れ動きます。この作品のおもしろいのは、ヒーローの2人が女ったらしで、いわゆる少女漫画的優等生じゃないところ。そしてはとりが表情豊かで、めちゃくちゃ変顔が多いところ。全体的にコミカルです。これでシリアスムードだったら、よくある少女漫画の片思い(そのうちくっつく)系の作品なのね、と思うけれど、この軽いノリが「どういう展開になるかわからないぞ」と思わせてくれます。それから、マンガヲタ、アニメヲタにもお勧めです。『北斗の拳』『アタックNo.1』『ゴルゴ13』『ドラえもん』『キャンディ・キャンディ』とヲタネタがてんこ盛り。たとえ本筋のストーリーに興味がなくても、ここだけでも読む価値があるというものです。いやおもしろい。若いうちなんて、自分が世界のヒロインだと思ってるから、恥ずかしいこと山ほどしでかします。そういうことを笑いに落とし込んで恋愛や人間関係を語ってるところがこの作品のみどころです。「マンガは娯楽だから笑いがないといけないよね」っていうことを実感します。どんなにシリアスなことや説教を語りながらも、笑いの要素がある作品が好きです。笑いはセンスと知性のたまものだから、イコールそれが作品のクオリティなんだと思うんですよ。はとりがどんなに真剣に告白しても振り向かない利太とか、はとりを口説いてるくせに他の女ともイチャイチャする弘光くんとか、男性キャラがいまいち思い通りに動かないところも、リアルでいいですね。でもストーリーは、ゆるやかに「少女漫画の王道」へと移行していき、読者を裏切る展開にはなりません。冒頭の元気の良さが光る作品です。Text/和久井香菜子
2015年10月01日日本人はセックスを直接話し合うのが苦手…?『情熱のアレ』(花津ハナヨ/集英社 クイーンズコミックス)全4巻※現在はkindle版でのみ発売 少女漫画は、基本的に“寸止め”と“愛”でできています。男子となんやかや心の交流を描いて、盛り上がってきたら寸止め、焦らしに焦らして(ここが見せ場)大爆発、みたいな。やっちゃったあとはなんかトーンダウン、という少女漫画は少なくないですよね。で、そのあと、ラブラブだった頃を通り過ぎて、もしかしたらやってくるかもしれないのが「セックスレス」です。日本人は特に多そうです。だいたい日本は、性に関して語ることがあまりオープンでない風潮があります。男同士は下ネタ活発らしいですが、女同士は生々しい話はあまりしません。また、男性はAVでセックスの勉強をする人も多く、乱暴でいたわりのない行為によって、女にとって苦痛でしかないものに成り下がっている場合もあります。読売新聞でセックスレスの悩み相談企画があるんですが、どれを読んでもとても深刻です。「セックスの話ばかり」「そんなことしか頭にないの?」と否定され、ますます相談ができなくなることもあるようです。もっともコミュニケーションを必要とする行為なのに、話し合いができないのでは、うまく行くはずがないでしょう。知恵袋系のネット相談を読んでいても、「それ、本人と話し合えば解決するんじゃね?」というのが大半です。どうやら、本人を目の前にして自分の気持ちを伝えるという能力が、日本人にはさっぱり抜け落ちているようです。ということで『情熱のアレ』は、男女のセックスに関するあれやこれやのお話です。主人公マキは、類と同棲して3年経ちますが、現在レス2年目です。マキは、母親が経営する大人のおもちゃ問屋の手伝いをすることになります。初めはあられもないグッズの数々を目の前にして、嫌悪感でいっぱいでした。しかし、そこに関わる人たちの真摯な思いや、おもちゃを使うことの意外な効果、オープンに話し合うことのメリットを感じはじめます。「セックスを楽しむ」と「性にだらしない」は別モノ!(c)Pedro Ribeiro Simõesハッキリ言って類は排他的で保守的で、「あれするな」「これするなんて信じられない」と否定的なことばっかり言います。こういう男そこら中にいそうだけど、パートナーとしては最悪です。だって、自分を受け入れて、認めてくれる人だからこそ一緒にいたいわけだし、自分をさらけ出す価値があるわけでしょう。いちいち否定されたら萎縮しちゃって何もできなくなってしまう。楽しくない、幸せな気分になれない相手と一緒にいる意味ってありますか?そうしてマキは、パートナーとの関係の築き方を模索していきます。そうそう、問題はきちんと相手と向き合わないといけません。知恵袋に相談するのもいいけど、そこで自分の思いを告げられるなら、パートナーにだって言えるはず。で、全然話を聞いてくれないならおひとりさまを選べばいいんです。それから、「セックスについてフラットに語ること」と「セックスにだらしがないこと」はまったくの別物です。頭が妄想にまみれたおっさんたちは、女が性について語ると、とたんにセクハラしてきたりしますが、こういう勘違いも、性に対して向き合ってこなかったことから起きるのでしょう。作品では繰り返し、性について語ることのメリットと必要性、セックスを楽しむこととだらしない関係でいることは別物だ、ということが語られます。なかなか誤解なく伝えるのが難しそうなテーマだけど、結婚するお友達に教科書としてプレゼントするとかはどうですかね。「イケメンが都合のいいことだけしてくれる」少女漫画とは違い、なかなか考えさせられます。ところで余談ですが、作品中、実際の企業を思わせるブランド名や商品がたくさん出てきます。そのひとつがTENGAですが、ここは取材に行くたびにオナホールを何本もくれるんです。「ありがとうございます!」とか言ってもらってきて、現在うちに6~7本あるんですけど、心底どうしたらいいのか悩んでます。捨てるのはもったいないし、かといって「ねえきみ、独身なの?じゃああげるね」は失礼なような気もするし、「使いたいからクレ」って言われるのも気持ち悪いし……。と書いてみて、ああ自分もぜんぜん性に関してフラットじゃないなと思いました。……ふう。Text/和久井香菜子
2015年09月25日「PSYCHO-PASS サイコパス」常守朱役をはじめ、多くの作品でメインキャラクターやヒロインを務め、アーティストとしても大活躍中の人気声優・花澤香菜が、シリーズ12シリーズ目となる「Go!プリンセスプリキュア」の映画『映画Go!プリンセスプリキュアGo!Go!!豪華3本立て!!!』に、オリジナルキャラクターとして出演することが決定。併せて劇中歌も担当することが分かった。花澤さんは、「東京喰種トーキョーグール」神代利世役、「寄生獣 セイの格率」村野里美役、「監獄学園 プリズンスクール」緑川花役、『屍者の帝国』ハダリー・リリス役と数々のアニメ作品でメインキャラクターを担当。さらに、声優の単独公演としては8人目となる日本武道館ライブを成功させるなどアーティストとしてもその活躍は目覚ましく、今年3月には自身初となる主演実写映画『君がいなくちゃだめなんだ』に出演。その躍進は留まるところを知らないほどの人気を誇っている。今作では、『パンプキン王国のたからもの』に登場する“パンプキン王国”のプリンセス・パンプルル姫を演じる花澤さん。儚くも優しく強い心を持ったプリンセスを表現するという。プリキュアへの参加は初となる花澤さんは「プリキュアシリーズは私にとって憧れの番組なので、関われることがとても嬉しかったです!!パンプキン王国の様子や妖精たちやパンプルル姫の衣装など、全部が可愛くて、改めて、女の子の素敵!!と思うツボをがっちり掴んでくれる作品だなぁと思いました。心暖まる感動の物語です。観終わった後、家族でかぼちゃプリンを食べたくなると思います♪」と、お姫様役らしく可愛らしいコメントを寄せた。また、本作の王様役には、洋画の吹き替えやアニメ作品でも多く活躍し、「ONE PIECE」ブルック役で知られる声優のチョー、お妃様役として「テニスの王子様」の華村葵役など多くのアニメや吹き替えにも出演しており、本作では“秋之桜子”として脚本も手掛けている、山像かおりがそれぞれキャスティング。豪華ゲスト声優が3名揃う形となった。花澤さんは本作では劇中歌も担当。既出の『プリキュアとレフィのワンダーナイト!』のレフィ役を務める上垣ひなたが劇中歌を歌うことも決定しており、各話のヒロインがそれぞれの作品の挿入歌を担当するという、プリキュア映画史上初の試みにも注目だ。『映画Go!プリンセスプリキュアGo!Go!!豪華3本立て!!!』は10月31日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年09月18日疲れたキャリア女性からの支持率高し! かつてTVドラマ化や韓国で映画化もされて話題となった『きみはペット』をあらためて読み返すと、癒しとドキドキに引き裂かれた恋愛の本質が描かれた名作でした。ドキドキ感と安心感を両立できない恋愛のジレンマ(c)『きみはペット』(小川彌生/講談社 KC KISS)全14巻よく「恋は成就するまでが一番楽しい」とか言いますね。相手に対する期待が全然ないから「××してくれないなんて」とか「××するなんて信じられない」といった不満もない。会うだけで、メッセージが来るだけでキュウンとなって嬉しくてたまらない。一方で、ちょっと返事が遅くなったりすると「嫌われちゃったのかな」と心配になったり。ジェットコースターみたいにスリリングで、やってる最中は「もう辛いからどっちかハッキリして!」なんて思うけれど、周りから見ると「ハイハイ、自慢お疲れさま」って感じ。でも付き合うなら、安心感のある人がいい。一緒に住んでいるときに「こんなこと言ったら嫌われるかも」「××しないと怒られる」なんていちいち考えてたら、気が休まらないもの。もちろん、相手を尊重することが人間関係の大前提だから、「相手の考え方を見下さない」といったマナーは当然守った上で、ですけど。だけど残念ながら、うまく行くかわからないからドキドキするわけなんで、「ドキドキ感」と「安心感」は両立しないんですよね。どちらが欲しいかは、そのときのその人の精神状態によるんでしょう。結婚して何年か経ったら、よそでドキドキしたくなるんでしょうしね。ところが、ドキドキ感と安心感を両方手に入れちゃった女性の物語があります。それが『きみはペット』です。これ、本当におひとりさまが癒される作品です。主人公のスミレちゃんは、新聞社に勤める、高収入・高学歴・高身長のエリートです。人間関係でちょっと不器用なところがあって、物語がスタートしたところではいきなり左遷されてます。周りからは「気が強い」「エリートは扱いにくい」と言われているけど、どうしたらいいのかわかりません。スミレちゃんには婚約者がいましたが、「君といると安らげない」と言われ、浮気されて相手が妊娠して破談になりました。最低パターンです。外に泣く場所はなくて、辛いのに誰にも本音が言えない。真面目に働く女なら、たいていそんな経験があるんじゃないでしょうか。自分を本当に理解し、許容してくれるのは誰……!?by Adikosそんなときに、自宅の前でひとりのカワユイ年下男子を拾います。彼のことをモモと名付けて、ペットとして飼い始めるんですが、このモモが、めちゃくちゃかわいい。スミレちゃんが「お手」だの「取ってこい」だのを命令しても、素直に言うことを聞いてくれます。でもこれ、淋しくて傷ついてるスミレちゃんを癒すためのモモの気遣いなんですよね。スミレちゃんは、会社でどんなにストレスにまみれようが、家に帰ってモモと一緒に過ごすだけで、とんでもなく癒されるようになっていきます。でも、モモはあくまで「ペット」なんで、スミレも恋愛はよそでします。その相手が同じ会社に勤めるエリートの蓮實さんです。彼とはドキドキそわそわ、初恋みたいな初々しい恋愛です。蓮實さんとスミレちゃんとの恋愛話だけで話が成り立ちそうなくらい、よくすれ違ってます。これはこれでワクワクしておもしろい。でも、蓮實さんとスミレちゃんがすれ違っているのは、スミレちゃんが蓮實さんに本心を見せられないから。どちらが悪いわけでもなく、これは相性だから仕方がない。どう考えたって、モモとスミレちゃんのほうが相性がいいし、想い合ってるってのは読者にはわかるので、そこがまたもどかしいんです。この作品の根底にあるのは、「人の肩書きや外見、上っ面の行動だけではその人のことはわからないよ」ってことなんじゃないかと思います。スミレちゃんが強気を装っていても実は血を吐くほどストレスにまみれていたり、スミレの幼なじみユリちゃんが、口は悪いけど本当は傷つきやすくて優しいんだってことだったり。「自分を理解して、許容してもらえる幸せ」は、誰となら得られるのか。それができる相手をパートナーにするのが、一番の幸せですよね。とまあ、手放しに私はこの作品、名作だと思うんですけど、男性からは非常に評判が悪いです。『きみはペット』というタイトルのせいですかね。「オレ様が女のペットになるだとう?」ってこと? 「ペット=性奴隷」みたいなイメージなの?スミレちゃんとモモは、一緒に住んではいるけどプラトニックです。やっちゃったら女にとってそこに癒やしはありません。モモはスミレちゃんが好きなので、欲望を抑えてとにかく癒し役に徹してるところが、読み手には萌えです。つまり、いちばん情けない役どころを演じてるモモが、いちばん包容力があって大人なんですよってことなんだけど、こういうの、男性には通じないかな~。Text/和久井香菜子
2015年09月18日かわうそのけなげな奥さんぶりに思わずほっこり(c)『かわうそは僕の嫁』(街子マドカ/新書館 ウィングス・コミックス・デラックス)既刊1巻突然ですが私、猛烈に結婚したくなりました。前にもSoftBankの白犬おとうさんに胸焦がして、おとうさんと結婚したいと思ってたことがあるんですが、今、結婚したい相手はかわうそです。かわうその嫁が欲しいです。そんなステキな気持ちにさせてくれたのが『かわうそは僕の嫁』です。まんま、かわうそが妻という話です。夫はカフェの店長さんで、人が良さそうな眼鏡のイケメンです。かわうそは小さな身体で、お買い物に行ったりコーヒーを運んだりして夫の仕事をお手伝いしてます。おうちに帰るとお料理をしてくれます。ホットケーキは食べたことがないようだけど、けっこう料理上手そうです。でも、かわうそはときどき、人間としての知識が足りないときがあります。河原育ちなので、雑誌やマンガはエッチなものだと思っているふしがあるようです(一級河川の河原にはエロい雑誌が捨ててあるから)。むきゅっとしたW型の口元がおバカだけど、素直で頑張り屋さんで、もうかわいい、かわいいよ、かわうそ!! 『伝染るんです』に騙されてた自分が憎い。また、かわうそは社会に溶け込んで生活しているので日本語をしゃべります。ネコ語もカラス語もハト語もわかるそうです。かわうそのお父さんは長生きしたら日本語が喋れるようになったそうなので、かわうそは妖怪の一種かもしれません。かわうそは人間界のことはよく知らないけど、自然界のことはとっても詳しいです。そんなことでマスターとかわうそは、お互い新鮮な情報を交換し合ってます。かわうそは主人公なのに名前がなくて、「妻」と呼ばれてます。夫も「マスター」とか「あなた」とか呼ばれてて、名前が出てきません。でも2人はとっても仲がいいんです。いつでもいっしょで、お互いを尊重してて、相手のことが大好きなんです。もう理想の夫婦です。動物とだから描けるピュアな理想の夫婦像さて、ここで大人として「かわうそと人間が結婚して、夜の夫婦生活はどうするんだ?」と気になる人はいますでしょうか。この漫画のいいところは、妻がかわうそだってことで「エロが一切ない」という安心感があることです。変に避けるでもなく、しないことにいいわけをするでもなく、当たり前のようにお色気シーンがありません。「夜の生活は」なんて考える方が薄汚れてる気になってきます。まあ、『かわうそは僕の嫁』というタイトルを見て、エロを期待して買う人はものすごいマニア以外にはいないと思うけど、「シュールでおもしろい」って感覚はもちろん、「理想の夫婦像」という疑似恋愛感覚でも楽しめる作品です。その上、お勉強要素もあるんです。妻のかわうそは、ニホンカワウソであるようです。カワウソ自体は世界中にいるらしいですが、ニホンカワウソは絶滅してしまったそうです。自然と動物保護の気持ちがわいてきます。ネットで「かわうそ」画像を検索してみてください。漫画のかわうそに負けないくらい、恐ろしく可愛い画像がぼろぼろ出てきます。そして、かわうそは東アジアを中心に「人を化かす妖怪だ」という伝承があるらしいです。「かわうその嫁入り」みたいな話も各地に残ってて、たとえばかわうそが貴族の女性に産ませた子どもの子孫が、清の始皇帝ヌルハチなんですって。スゲー。……と、ほのぼの漫画を読みながら、かわうそのあまりの愛おしさにかわうそ博士になってしまいそうなほど、溺れてます。Text/和久井香菜子
2015年09月10日声優としてはもちろん、音楽のソロ活動でも高い評価を得る花澤香菜が、ライブツアーとはまた一味違った、朗読と、アコースティック編成による歌と演奏で全国9カ所を巡るサーキット、題して『かなめぐり ~歌って、読んで、旅をして~』を開催する。『かなめぐり』は、"極上の「声」を一人でも多くの人に届けたい。花澤香菜を身近に感じてほしい"、そんな想いをコンセプトに、息づかいや空気の振動が直接伝わるような大きさの空間で、花澤香菜の「声」の魅力を存分に感じられるプレミアムなイベント。トップクラスの声優ならではの「本物の」朗読を各地ゆかりの名作や花澤香菜お勧めの作品で堪能できる朗読パートと、最小限の楽器ユニットの演奏によるアコースティックライブで構成される。イベントは、2015年11月7日の「なら100年会館 中ホール」(奈良)を皮切りに、岩手、愛媛、沖縄など全国9カ所にて開催予定。チケット料金は5,940円(税込 / 全席指定)で、9月12日(土)の12:00よりイープラスにてチケット最速先行予約がスタートする。○『かなめぐり ~歌って、読んで、旅をして~』日程・会場・2015年11月7日(土) …… なら100年会館 中ホール (奈良)・2015年11月14日(土) …… 入間市市民会館 (埼玉)・2015年12月6日(日) …… プラザおでって おでってホール (岩手)・2015年12月12日(土) …… 松山ビビットホール (愛媛)・2015年12月27日(日) …… NIIGATA LOTS (新潟)・2016年1月16日(土) …… 岡山さん太ホール (岡山)・2016年1月30日(土) …… 桜坂劇場 ホールA (沖縄)・2016年2月13日(土) …… 桑名市民会館 小ホール (三重)・2016年2月28日(日) …… 横須賀市文化会館 (神奈川)開場16:30 / 開演17:00 / チケット料金:5,940円(税込 / 全席指定)チケット最速先行予約:9月12日(土)12:00~9月20日(日)21:00 ※抽選先行
2015年09月09日あるあるをどこで裏切るかが作者の力量!(c)『花街鬼』(桜田雛/小学館 Cheeseフラワーコミックス)既刊2巻少女漫画でも映画でもなんでも、「よくあるパターン」ってありますよね。「気になってる男の子となんか事情があって同居することに!」とか(これホント少女漫画頻出ですが)、「ケンカばっかりしてたあいつが気になりだした!」とか。でも、ストーリー全体がよくあるパターンまみれだと、今話題のロゴパクリ問題と同じく大炎上になってしまいます。なのでクリエイターは、あるあるパターンを組み込みつつ、「どこで読者を裏切るか」で作者の力量を見せるわけです。裏切ると言っても、読者がガッカリして怒り出さないようなパターンじゃないといけないので、ここもセンスと技術が必要です。で、今回紹介する『花街鬼』は、江戸時代の遊郭が舞台です(遊郭ものに弱いんです、すみません)。社会派遊郭ものほど重くもなく、ティーンズラブ遊郭ものほどエロシーンもなく(ていうかほぼゼロ)、なんとも異様なムードのお話です。「蜃気楼」の楼主・芭蕉には、なにやら不思議な力があるようです。遊女が困っていたり病んでいたりすると願いを叶えてくれるんです。どうしてそういう力があるのかはわかっていません。それは謎っぽくもなってなくて、ただ、当たり前のように不思議な力を使います。先の読めない“変態男子くん”たちの言動が新感覚芭蕉は別にすごくいい人ってわけでもなく、でも情がないってほどでもなく、ものすごくチャラチャラユラユラしてます。途中から遊女の瑠璃をかわいがって側に置くんですが、普通に初見世には出すし、少女漫画にありがちなえこひいきをしません。見世の遊女に手を出してうまいことやったりするんですが、「その人のことを愛していたか」と聞かれると、「楼主が女郎なんかにほれるかよ」とびしゃり。少女漫画的にはギリギリラインですね。彼は、『るろうに剣心』の緋村剣心みたいなざんばら髪でイケメンなんだけど、「この人の側にいたら幸せそう♪」みたいな妄想が膨らむでもないので、読んでいてなにをどう思えばいいのか妙な感じです。この『花街鬼』だけではなく、作者の桜田雛さんの作品はどれもこれも「よくある設定」なのに、先が予想できなくて「えっ?」ってなります。新感覚だなーと思います。登場する男子キャラも、「すげえイケメン!」という王道キャラはいません。たいてい変態です。ドアップでニヘ~っと笑ったりします。顔くしゃくしゃにして泣いたりします。あまりに主人公への執着が激しいキャラばっかりなので、山本耕史が無頓着な人に思えてきます。お話によって男子たちの変態ベクトルが違うので、そこがストーリーを予測できない理由のひとつになってるんですよね。あと、女の子のポーズや服のシワがいちいちエロい!エロいけど、本当にエロいシーンは描かないので、妙にムーディです。現在、「Cheese!」で、『黒源氏物語』という、これまた光る君がメンヘラっぽいという新解釈源氏物語を連載していて、これもまた斬新です。少女漫画もホント新世代が出てきたなーと思います。Text/和久井香菜子
2015年09月03日皇帝の側室ヒュッレムが愛した男は、皇帝の側近だった!?(c)『夢の雫、黄金の鳥籠』(篠原千絵/小学館 フラワーコミックスα)既刊7巻少女漫画の基本は、≪自分はフラフラしても、相手は自分ひとりに一途≫です。自分が男の排泄所になるというのが、女にとってもっとも屈辱なのです。だから、たいていの少女漫画に登場する男子は、主人公に対して誠実です。……という大前提を覆す作品が登場しました。『夢の雫、黄金の鳥籠』です。オスマン帝国の皇帝スレイマン1世の寵姫ヒュッレムを主人公にした歴史ドラマ。『天は赤い河のほとり』の作者が描くトルコもの第2弾です。『天河』は、主人公が架空の人物だったのでファンタジー色が強いのですが、今作は実在の人物が主人公。作者初の本格的な歴史物語と言えそうです。ヒュッレムはスレイマンの妾ですが、好きな人はスレイマンの小姓頭イブラヒムさまです。イブラヒムさま好き好きと思っているのに、夜のお伽はスレイマンさまなのです。Oh……。じゃあスレイマンさまがヒュッレムだけを愛する一途な人なのかというとそんなことはなくて、ハーレム持ってるスルタン(皇帝)です。一般的な少女漫画は、主人公はどっちの男にしようかフラフラしてても、男は主人公ひとりに命をかけなければいけないというのに、スレイマンさまときたら、よその女を孕ませてます。これ、現代だと「ごめん、彼女が妊娠したから、お前とは別れて彼女と結婚するわ」みたいな展開でしょう。おおお、女がもっとも体験したくないシーンですね。それでも、スレイマンさまは金髪をきらきらとなびかせてて、クールで物腰が柔らかでとてもかっこいいです。とてもハーレムでやりまくってる人とは思えません。実際に、トルコの軍事博物館でスレイマンの肖像画を見たときには衝撃でした。うん、お前ならハーレムに入り浸っててもおかしくない風貌だよ、ひげもじゃスレイマンくん!これ見て、改めて少女漫画って夢があっていいなと思いました。ちなみにけっこうお気に入りなのが、ヒュッレムのお小姓シャフィークです。耳が聞こえないため口がきけないんですが、寡黙に仕事をこなすところがステキです。話の長い男性があまり好きではないのでね……。イブラヒムさまももちろんかっこいいですね。奴隷からその才覚だけで出世をしたやり手です。自分を教育し、指針を与えてくれたイブラヒムさまを、ヒュッレムが慕ってしまうのもムリはないでしょう。腐女子向けにスレイマンさまとハマム(公衆浴場)でイチャイチャするところも見ものです。奴隷からハーレム、そして……逆境をのし上がるヒュッレムに学べこのストーリーをいいなと思うのは、ヒュッレムがたいそう勉強家だということです。人は誰でも年を取ります。老いるということは、美しさを失うということです。過剰に美しさにこだわるのは、失われていくものに追いすがり、勝てない戦を挑むようなものです。だって、どんなに若作りしたって、本当に若い人には勝てないんだから。だけど、手に入れたら一生失わないものがあります。それが知識です。でも知識を得ただけでは意味がありません。それをどう使うかが問題です。ヒュッレムはイブラヒムさまから与えられたチャンスを、自分の努力で活用していきます。少女漫画では時折、なんの努力もしないでなんとなく偉そうなこと言って偶然それが大当たりしてうまく行く浅はかなストーリーがあったりしますが、そういう話に騙されないようにしましょう。スレイマンさまは「わたしはオスマンの血族ゆえ皇帝などやっているがイブラヒムは違う、自分ひとりの才覚でその地位を手に入れた」と言っています。ヒュッレムもイブラヒムも、たいそうな逆境からのし上がっています。この話、けっこうなお説教ストーリーだと思うんですよ。つまり、親が貧乏でも学歴がなくても、スタートがマイナスでも、知恵と教養を身につければのし上がれるんです。それは現代でも同じでしょう。ヒュッレムは、自分が望んだわけではないけれど、ハーレムに入ることになりました。「そんなのいやだ」と言って拗ねるのは簡単です。でも、それでは天変地異並みのラッキーがなければ幸せにはなりません。いつかくるチャンスをものにするために、とにかく知識を頭に詰め込んで、自分の頭で考える。ヒュッレムがハーレムでのし上がっていくのは、容貌が美しいからでも、スレイマンに愛されたからでもなく、知恵と知識をフル活用しているからです。少女漫画特有の「甘さ」が控えめなところも好感が持てます。スレイマンはオスマン帝国の最盛期を作り上げたスルタンなので、お仕事がいっぱいで女とイチャイチャする時間はあまりありません。長期の遠征も当たり前。その間、ストーリーは「戦場でのイブラヒムの戦略」と「ハーレムでのヒュッレムの攻防」が交互に描かれていきます。少女漫画には珍しく、イブラヒムの魅力を描くために1巻ほぼ戦闘、みたいなこともあります。『ロードス島戦記』あたりの塩野七生先生の話を読むのが辛い人は、この作品でよいかもしれません。また、「ヒュッレムはこれからどうなるの?イブラヒムと添えるの?それともスレイマンさま?」とヤキモキしている方は、『寵妃ロクセラーナ』(渋沢幸子)を読んでみるといいかも。この漫画のベースとなっているように思います。それからヒュッレムは、「フルレム」と表記されることもあるようなので、調査中の方は情報お見逃しなく。ちなみに、イスタンブルには「ヒュッレム・スルタン・ハマム」というサウナがあります。もちろんこのヒュッレムのことで、建物は作品にも出てくる建築家シナンの設計です。現地で名前を見たときには大騒ぎしましたが、値段もスルタン級だったので、中だけ覗いて他のハマムに行きました。生ぬるいファンですみません……。Text/和久井香菜子
2015年08月26日声優としてはもちろん、音楽活動においても、2012年に1stシングルをリリースして以来、高い評価と人気を集める花澤香菜。そんな彼女が、2015年5月3日に開催した自身初となる日本武道館ライブの模様が、Blu-ray「Live Avenue Kana Hanazawa in Budokan」となって11月4日にリリースされる。4月22日にリリースされた3rdアルバム「Blue Avenue」を携え、日本武道館公演を皮切りに開催された全国ツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」。このツアーでは、「Blue Avenue」の楽曲を中心に過去作品も織り交ぜた選曲を行い、ステージ上にNew Yorkを思わせるセットを組むことで、アルバムの世界観が再現された。アンコールでは「恋愛サーキュレーション」を本邦初披露。バリエーション豊かに、花澤香菜の魅力が詰まったライブとなった。2015年11月4日リリースされるBlu-ray「Live Avenue Kana Hanazawa in Budokan」は、日本武道館ライブの映像(ライブパートを完全収録)に加え、ツアー各地の舞台裏や撮り下ろしを含むスペシャル映像、2015年3月に行われた女性限定リリースイベント「かなまつり」の模様など、豪華特典映像が収録されるほか、初回仕様限定特典として「フォトブックレット(48P)」や「ミニクリアファイル」などが用意される。価格は7,000円(税込)。
2015年08月24日遊郭に売られた少女たちの生きざまが辛すぎる…!『新装版 親なるもの 断崖』(曽根富美子/宙出版 ミッシィコミックス)全2巻先日、海外で十数年ぶりに痴漢に遭いまして、腹の底から怒りがわき上がっています。まさか今さらそういう対象になるとは思ってもみなかったので油断してました。で、「久しぶりに痴漢被害に遭ったわ」と知り合いの男性に文句言ったら、「女として認められて嬉しいんじゃないの?」と言われて耳を疑いました。無神経なイメージでもない人から言われたので、なおさら衝撃です。あんなもの嫌悪感と屈辱以外の何ものでもないのですが……。最近、スマホでネットを見てると、やたら『親なるもの 断崖』という漫画の広告が目に入りませんか。しかも「お前は女郎だ!」とか「男に抱かれるためだけに生きながらえてるおらたちはなんなんだ。牛か?馬か?それ以下だべ」とかいう辛そうで悲しそうな場面がバンバン出てきて、気になって仕方がない人がいっぱいいるみたいですね。知恵袋で質問の嵐です。ええ、私もそのひとり。買って読んでみましたよ。舞台は、昭和初期の室蘭。松恵、お梅、武子、道子の4人は東北から遊郭に売られてきた少女たちです。物語では彼女たちの生き様を綴っていきます。松恵は到着してすぐに客を取らされ、そのショックで首を吊って自殺。松恵の妹のお梅は、松恵の墓代のために11歳で客を取る。武子はその器量と才覚を見込まれ、芸妓としての修行に明け暮れている。道子は器量が悪く、身体も健康ではないことから女郎にも芸妓にもなれずに下働きのままです。彼女は、綺麗な着物を着て美味しいものが食べられるお梅や武子が羨ましくて仕方がありません。こうして生き残った3人が、三様の人生を歩んでいきます。読んでいて辛いのは、どの立場になっても幸せがないことです。膣がすり切れて腫れあがるほど客を取らされる女郎も、身体を売ることはないがやはり自由がなくひたすら芸の道に励む芸妓(とはいえこれが一番ましかな)も、自分で稼ぐことができないために食事すらまともに与えられない下働きも。自分の身体をモノ扱いされる恐怖、男性にわかる?Andrés Carreño少女漫画は、もともとは少女たちに夢を与える媒体でした。お姫様や王子様がランランと歌い踊り、貧乏人が金持ちになる……少女漫画を読まない男性たちが思い浮かべる「少女漫画」は、まあこんなもんでしょう。でも、少女漫画が発展するなかで、「女の人生を問う」社会的な漫画を描く作家さんたちも出てきました。山岸凉子さんとか津雲むつみさんとか、ささやななえこさんとか、この作品の作者である曽根富美子さんもそう。ハッピーエンドが待っているわけでもなく、無駄に不幸をあおるでもなく、ひたすら読者に問いかけるような息苦しい物語。性が絡むことが非常に多いのも特徴ですね。お梅、武子、道子の3人は与えられた境遇の中で、もがいて苦しんで、自分の環境と戦っていきます。全2巻中、2巻はお梅の産んだ娘が主人公です。後半トーンが落ちるかな、と思ってましたが、遊郭内輪話から戦時中内輪話へ舞台を変えてどんどん読ませます。1巻は吐き気がして泣く暇がないんだけど、2巻のラストはぐっときます。さて、どうして室蘭に遊郭があるかというと、開拓者や鉄工所があったためなのだそうです。男の集まるところに遊郭あり。以前、追い込みやってる男性から聞いた話ですが、借金返済ができなくなった人をマグロ漁船に連れていくというのは、本当にある話なのだそうです。で、次のセリフが恐ろしかった。「それが女性だと喜ばれるんですよ」。その女性がどんな目に遭うのか推して知るべし。海に囲まれ逃げ場はなく、周りは欲情しきった獣だらけ。心底寒気がしました。愉快なエロエロ少女漫画などでは、「彼の目的は私の身体なんじゃないかしら?」なんて悩むシーンが散見されます。性的行為が「愛ゆえの行為」かどうかは、女にとって至上命題なのです。相手からの愛があるからこそ、多少の我慢はできるし、リスクも負える。でも遊郭に入ったら、男の目的は100%身体なんです。自分をモノ扱いされることのむなしさ、絶望感は男性には想像がつかないものでしょうか。だから「痴漢に遭って嬉しいんじゃないか」なんていう意見が出るんですかね。まあ、だいたい性についての話になると、男とは言い合いになって分かち合うところがないので、この作品も恐らくそんな感じかなーと予想しております。どなたか男性の意見をくださいませ。Text/和久井香菜子
2015年08月18日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。王女と奴隷でありながら運命で結ばれた2人『女王の花』(和泉かねよし/小学館 フラワーコミックス)既刊11巻男性から「運命の出会いだ」とか言われたことってあります?私、過去に何度かあるんですけど、それ言った相手とは現在、全員音信不通です。いったいどんな運命だったんですかね。どうも考えるに、男性には「女は運命って言葉に弱いから言っとけ」みたいな風潮があるように思います。まあ、少女漫画には蘭世と真壁くんみたいに、「2000年前からの縁があって運命だ」みたいな展開があったりするので、あながち間違いじゃないんですけどね。でもね、とってつけたようにそんなセリフだけ言われても「ふうん」です。「運命」は、2人の仲の後押しであって、理由ではないのです。お互いの環境がとても似ていたり、相手の考えを尊重できて、とても大切だと思う相手がいるって幸せですよね。「自分のことをこの人以上にわかってくれる人はいない」とか「こんなに自分を許容してくれるのはこの人だけ」なんて人がいたら、ガッチリとっ捕まえて離しません。それこそ「運命の人」だと思います。そういう相手に「お前以外には考えられない!」なんて言われるのは憧れです。まあ、そんなもんは滅多にいないからたいていの相手とは別れちゃうし、今現在おひとりさまなんですけど。ところがまさに、そんな「運命の人」と出会う話があります。それが『女王の花』です。舞台は架空の古代・中国。主人公の亜姫(あき)は、元気いっぱいの亜国の王女様です。でも、宮中で立場が弱く、 寒くて暗くて汚い部屋に住み、母親は病気です。お先真っ暗ですね。食事もまともなものがもらえません。そんな亜姫が、故人と呼ばれる金髪碧眼の少年・薄星(はくせい)と出会います。薄星は、その見た目から周囲に奇異の目で見られている奴隷です。亜姫はその薄星の髪や瞳を「美しい」と言います。亜姫にとって、何があっても自分を守ってくれる薄星は唯一の味方です。薄星にとって亜姫は、自分を「美しい」と言って認めてくれる唯一の人です。もう、この2人の関係がすごい。薄星は犬のように亜姫を慕い、「一生離れない」「俺が守る」とでかいこといっぱい言います。一生離れないかどうかは人生終わってみなければわからないけど、「まあ大丈夫なんじゃないかな」と思えるんです。お互いの味方はお互いしかいないからです。あの信頼関係の太さ、深さは心底シビれます。呼べば来る、振り向けばいる、言えばわかる。こういうのを「運命の人」というんだと思います。架空の中国史を通して描かれる壮大な大河ロマンmartinak15だけど、この漫画のすごいところは、そんな喉が熱くなるくらい猛烈に甘ったるいロマンス主従関係を描きながら、ものすごく国家間の政略が丹念に描かれていることです。舞台となっている架空の中国では、亜、曾、黄、土という4つの国が勢力を争っています。亜姫は、黄から来た黄妃(こうひ)と亜の国王の娘です。しかし亜の宮中では土妃(どひ)が幅をきかせています。土は、国土が大きく勢力が大きいためです。この土に対抗するために、亜と黄、曾がどのように対応するのか、その国家間の攻防戦は、少女漫画の範疇を大きく超えているように思います。そして、なんやかんやあって国を追放された亜姫は、いずれ王位を継承して国に帰るために、地道に周りの信頼を勝ち取っていきます。この頭の良さがすごい。駆け引きに次ぐ駆け引きで、状況を読む力や対応力は『デス・ノート』の夜神月なみかそれ以上。こんなに頭のよい少女漫画の主人公は滅多に見たことがありません。だけど、戦の現場やここぞという場面では密かに心折れそうになったりする普通の女の子でもあります。そんな状況を、また薄星がよく見破って助けてくれるんですよ。いらない時に余計な口を出さず、必要な時には何も言わずに気付いてくれるのは、少女漫画のヒーローの必須能力。まあリアルにはいませんけどね。主従関係を越えて亜姫を慕う薄星が、思いあまって亜姫を押し倒すシーンがあります。そこで薄星は「(亜姫の身体は小さいから)抱きつぶしちゃいそうだ」と言うんですが、読んでて悶えました。抱きつぶしちゃいそう=大切に扱うってことですよ。こういう、気の利いた言い回しは少女漫画ならではの魅力です。亜姫には、王位を継ぐという大きな目標があり、そのためには奴隷の薄星なんかとくっついてる場合じゃありません。政略結婚だって必須でしょう。亜姫が使命を選ぶのか恋を選ぶのか(コーエーの『アンジェリーク』と同じテーマだ!)、それもこの作品の楽しみなところです。Text/和久井香菜子
2015年08月05日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。現実ではうんざりな年の差婚だけど、漫画では?『マダム・プティ』(高尾滋/白泉社 花とゆめCOMICS)既刊6巻芸能人の「24歳年の差結婚」とか聞くと、「まったく、男は若い女が好きだねこりゃ」と、情けない気持ちになりますね。自分と対等な立場でものを考えたり、努力をしないと相手に追いつけない切迫感とかいらないんですかね。見た目がきれいならそれでいいというわけですか……と、ドス黒い気持ちになったりもします。一方で女性はといえば、若い男は恋愛対象としてあんまり興味がないことが多いです。てか、同年代の男でもこんなに苦労するのに、10年も20年も経験値低かったらどれだけ大変か。先日、「平成生まれとデートしちゃったよう~」と周りに自慢したんですが、「いいなあ」という女子は一人もいませんでした。みんな「で、支払いはどっち?」とな。女は恋愛に現実的ですね……。で、先日、某世界的大企業の役員様と話しているとき、「妻に先立たれた経営者が若い奥さんをもらうとするでしょう?そうすると、本人は若い奥さんを連れ歩いて自慢できるし、奥さんは数年から十数年我慢すれば莫大な遺産が手に入るし、みんな幸せなんですよ」と言っていました。うーむ、理解はできるけど、少女漫画脳にはどうにも打算的に思えてついていけないなー……。結婚って愛でしょ?しかも永遠の!なんて。そんなこんなで、今回紹介する『マダム・プティ』は、16歳の少女・万里子が、30歳も年上の男性と結婚するお話です。19世紀、結婚した2人はイスタンブールからオリエント急行に乗ってヨーロッパにハネムーンへ出かけます。そしてしょっぱな、夫が電車の中で亡くなってしまうのです。あー、年寄りと結婚するとこういうリスクがあるのか……。ところが、この夫の死には疑惑がありました。なぜか夫の遺体をなかなか見せてもらえないのです。そこにはどんな謎が潜んでいるのでしょう……?というのがこの物語の第一関門です。少女漫画らしからぬ展開で「おお!」となりました。夫亡き後も自力で切り拓く万里子の生き方がかっこいい!(c)Ludoそして列車はパリへ。万里子は異国の地で、置き引きに遭ったりしていろいろ大変そうです。しかし頼りになるべき夫はすでにいません。ここで、イケメンがしゃしゃり出てきてかっこいいところを見せたりすると盛り上がるんでしょうけど、万里子になんの能力もないというのも、カッコ悪くて感情移入しづらいですよね。萌えと共感のバランスは難しいところです。その点、万里子は優秀な女なんですよ!語学がやたら堪能で、フランス語はもちろん、ドイツ語、(たぶん)英語も、ネイティブ並みにペラペラです。誰に習ったかと思えば、“旅行前に夫から”。夫もどれだけ優秀なんですか!ていうか、自分で喋るだけでなく、相手の言っていることも齟齬なく理解できるようになるまで、まあ半年や1年、現地に住んで毎日使わないと無理です。少なくとも私は無理でした。イスタンブールに1ヶ月住んで、毎日トルコ語学校に通いましたが、実用どころか挨拶くらいしかできるようになりませんでしたね。そこそこ不自由なく英語を使えるようになるまで、どれだけ金と時間を費やしたか……。万里子は語学のスクールでも開くといいと思います。まあ、漫画は音声が必要ないので、語学の問題はスルーすることが多いのですが、語学に長く苦しんでいる身からすると、万里子の流暢な語学さばきには、腹の底からメラメラとわき上がるものがありますね。さて、本作に出てくるめぼしいイケメンはといえば、列車で一緒になったニーラムです。インドの超絶大富豪。個人的にインドの人の濃ゆい顔立ちが大好物なので、もう存在だけで萌えです。その上、万里子と一晩一緒にベッドで過ごしてもなんにも起こしません。万里子の夫も、万里子には手を出していません。幼妻をもらってもイヤミがないのはこのプラトニックさゆえです。この作品は、今のところ完全エロ系シャットアウトで、そこも安心感があります。万里子の夫だって、やろうと思えばできたはずだけど、ビシッと自制心を発揮してくれたところには好感が持てます。これ、一度でもいかがわしいことしてたら、作品として台無しですもん。でも、プラトニックのあり方が不自然だと、それはそれでまた気持ちが悪いので、“爽やかプラトニック”に仕上がっているところは、作者のセンスの良さだと思います。本作は現在も連載中で、絶賛ニーラムのトラウマが暴かれてます。脳天気そうに見えたのに、いろいろある子だったのねニーラム……。Text/和久井香菜子
2015年07月29日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。女3人集まれば、必ず出てくる「ダメ男あるある」『深夜のダメ恋図鑑』(尾崎衣良/小学館 フラワーコミックスアルファ)女3人集まってかしましくおしゃべり。とっても楽しいですよね。先日は、少女漫画に詳しい女3人で寄り集まって、ひとしきり新旧入り交じった漫画感想会をいたしまして、あまりに楽しくてえらい酔っぱらいました。そして、女が集まってダメ男の悪口かしましくするのもまた楽しいものです。大人になって現在おひとりさまの女性たちには、間違いなく1つや2つや10つ、男に対する鬱憤がたまっているはずです。それがたいてい「あるある」だから、女同士は盛り上がります。だけど悲しいかな、それを張本人の男に言えることってほとんどないんですよね。そういう「あるある」と願望を入り交えて、爆笑かつ溜飲下げる名作が『深夜のダメ恋図鑑』です。少女漫画育ちの千代、元ヤンだけど処女の円(まどか)、派手じゃないけど彼氏が途切れない佐和子の3人が、深夜に寄り集まってダメ男の報告をしあっています。少女漫画育ちの千代は、「男は少女漫画の王子様みたいな人が理想」です。で、どうにも現実と少女漫画のギャップが大きくて、いいムードになってる男性となかなか一線を越せません。少女漫画のラブシーンって美しいからねえ。パンツ脱いだりチャック開けたりという些末な行為は描かれないし……ああ、わき毛ももちろん生えてないし。そのうち、男性のほうが「彼女の理想が王子様」と聞き、自ら王子様になるべく頑張りはじめます。まずは乗馬を習うことから。乗馬姿を見た千代の感想がまた(男性的には)想定外ですが、そこは実際に読んでみてください。この2人は、ほのぼのしていてかわいいです。ダメ男をガンガンこき下ろすさまにスッキリ爽快!(c)Charlotteあとの2人は、とにかくダメ男に出会い、そして相手が立ち直れないくらいにガンガン言い負かしていきます。これがもう実に爽快です。この作品に出てくるダメ男は、以下のような人たちです。・既婚者のくせにいけしゃあしゃあと言い寄ってくる・学歴しか自慢できない男が上から目線・浮気三昧の男が「浮気は男の本能」とか言いやがる・冗談にならないセンスのないウソをつく・勘違い妄想男が女につきまとう・何もかも女にやらせて動かない・女をやたら年増扱いする・別れた女にのうのうとよりを戻そうと提案する・自分の常識のみが一般常識だと思いこんでいる・目の前で土下座する・自分のことを棚に上げて女に説教する……ね、いますよね、こういう男。思い出しますよね、会社や合コンや親戚の集まりにこういうのがいたことを。でも、たいていこういうヤツに面と向かって仕返しできたことってないですよね。それが彼らを増長させてきたのかもしれないわけで、女としては悔しい限りです。こういう男たちに、彼女たちはバチンと一発食らわせます。ぜひみなさんも、次にこういうダメ男に遭ったとき泣き寝入りしないためにも、これを読んで準備をしておきましょう。かっこいいのに現実のすべてを電車にたとえる鉄男くんが、「Hのときに『キミの中にかけこみ乗車だ…発射オーライ♪』って言いそう」という3人の妄想には、ツバ飛ばして笑いました。「あいつこれやりそう」「あれやりそう」って女はよく言いますよね。軽快なツッコミはとてもテンポがよくて、たとえば新井理恵さんの漫画が好きな人なら、この作品もどんぴしゃでしょう。ねえねえ、ところでATMってなんの略か知ってます?(答えは作品にて!)Text/和久井香菜子
2015年07月22日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。若い頃は大人の“懐の深さ”“愛ある厳しさ”に気付けない『かくかくしかじか』(東村アキコ/集英社)全5巻芸能人の恋愛ゴタゴタニュースを見ていると、なんとも息苦しくなります。だって、誰にだってひとつやふたつ、恥ずかしい恋愛の「やっちゃった」話くらいあるでしょう。「別れたくない」と泣いてすがってみたり、女に「××くんは私の彼なんだから、話しかけないでよ!」とかケンカ売ったりさ。ポエム調の手紙を書いて、あまつさえ誰かに送っちゃった人もいるんじゃないでしょうか。それらは一般人だったから闇に葬れたわけだけど、もし自分の過去の恋愛沙汰が逐一公表されたら、たいていの人は生きていけません。まあ、得てして若いうちなんて自己中心的だし、他人がどれだけ自分を許してくれているかなんてまったく気付かない。自分の視野が狭くて他人を正当に評価できないから、安易に大人たちを小バカにしたりもするものです。アラフォーくらいになってようやく、「ああ、なんて自分は奢った人間だったんだ!」とか「地球は自分のために回ってるとか、俺のことだった!」と気付いて、また頭を抱えるわけですけど。そんなけで、今回の『かくかくしかじか』は、贖罪の物語です。美大受験でデッサンを教わったことから始まる、作者の東村アキコさんとその恩師・日高先生との長い交流を描いています。日高先生は、とにかくサボって怠けたがる若者を叱咤して絵を描かせるスパルタ講師です。竹刀で叩いたりして有無を言わさずひたすら描かせます。家族以外の居場所、親以外の保護者がいる大切さBridget H社会に出る前は、自宅と学校以外に自分の居場所(習い事とか塾とかクラブ活動とか)があったほうが、精神的な逃げ道ができて安全です。自宅や学校で問題があっても、もうひとつ居場所があればなんとかなるかもしれません。また、大人になる頃には親以外の保護者がいたほうが救いになります。親がわかってくれなくても、尊敬できなくても、親の言うことは聞けなくても、無責任な関係の保護者になら、慕ってついていこうと思えたりするものです。東村さんにとって日高先生は、家と学校以外の居場所であり、親以外の保護者であったようです。この作品では、自分の過去の葬り去りたい恥ずかしい思い出で読者を爆笑させつつ、自分の浅はかな態度と、今だから言える敬愛をこれでもかと描いて読者を嗚咽させます。右に左に感情を揺さぶられる名作です。若いうちの苦労は買ってでもしろというけれど、体力がある若いうちに努力する基礎を作れたら、その後の人生どうとでもできるものです。日高先生にしごかれた人たちは、きっとどこででも生きていけるでしょう。そして、そんなふうに愛を注いでもらった恩人にですら、若いうちは人が死ぬなんて想像もしないから、不義理ができるもんです。それを突然失って後悔するんです。途中から物語のラストが読めてくると、笑ってばかりいられなくなって辛いです。それにしても東村さん、美大に現役入学して、その後も描き続けたらしいので、真面目な美術系の絵がとても見たくなりました。で、基本的にこの作品は自伝なので、萌えとかラブシーンとかはないんですが、彼氏の西村くんはかっこいいです。作者は、あまりに西村君がかっこいいので、似顔絵描いたり、漫画のモデルにしたりしたそうです。若気の至りの数々を披露していて、それもまたすがすがしいというか、痛いというか。いや~、ホント、若い頃の恋愛話なんて思い出したくないですね。ましてや人に暴露するとか……(でも金になるなら前向きに検討するな)。Text/和久井香菜子
2015年07月16日声優として、アーティストとして幅広く活躍する花澤香菜が実写映画初主演を果たした『君がいなくちゃだめなんだ』。6月3日の本作のBlu-ray&DVDリリースに引き続き、ファン待望の映像配信が8月5日(水)より「PlayStation Video」にてスタートすることが決定。さらに、本作の原作が電子書籍化され、同時配信されることが明らかとなった。楓アンは絵本作家。処女作が偶然にも新人賞を獲ってしまい周囲に期待されるも、その後は泣かず飛ばずでスランプ状態に陥っていた。しかし元々の気ままな性格のせいもあって、担当編集者のトモエとも軽ふざけをして日々の時間を潰す始末で創作の進む気配はない。ある日、楓は失踪した飼い猫のペローを探す街角で見かけた伝言版で「ペローを蘇らせる代わりにこの世界から太陽を頂くよ。いいのかい?アン?」と書かれた謎のメッセージを見つける。そして他にも街のあちこちの伝言板に残された不思議なメッセージたちを次々と探しだしていく楓。楓はそれが幼い頃に失踪した小説家だった父・光平の文章であることに気づくのだが…。監督は、花澤さんのミュージックビデオを多数手がけてきたムラカミタツヤ。脚本は、「サンダンス・NHK 国際映像作家賞2009」にてグランプリを受賞した倉田健次が担当し、本作のために書き下ろした。共演者には、父親役に「一世風靡セピア」のリーダーとして活動し、現在は俳優として映画やテレビで活躍する小木茂光など実力派キャスト陣を迎え、花澤さんの熱演の詰まった一作となった本作。今回、映像配信は配信ストア「PlayStation Video」にて8月5日(水)よりレンタル形式で実施。同日より、本作の原作本「君がいなくちゃだめなんだ -Waltz for Life Will Born-」が、ソニーの電子書籍ストア「Reader Store」ほか、主要電子ストアにて配信される。また、本作では主題歌「君がいなくちゃだめなんだ」も担当した花澤さんだが、本楽曲が収録された最新アルバム「Blue Avenue」を引っさげて5月3日に行われた初の日本武道館ワンマンライブ「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue" in 日本武道館」の様子が、「MUSIC ON! TV(エムオン!)」にて8月24日(月)20時より放送決定。本番組では、舞台裏の模様もあわせて90分の大ボリュームとなっており、ファン必見の内容となるようだ。『君がいなくちゃだめなんだ』映像配信&原作本の電子書籍配信は8月5日(水)よりスタート。(text:cinemacafe.net)
2015年07月13日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。刀剣乱舞をきっかけに、『風光る』にも再びハマった!『風光る』(渡辺多恵子/小学館 フラワーコミックス)既刊37巻最近、また新選組にほんのりハマっています。その理由は「刀剣乱舞」というオンラインゲームです。イケメンの姿をした刀剣を育てて戦わせるという夢いっぱいのゲームです。バカはまりです。それまで新選組隊士の持ってる刀なんてまったく興味がなかったけど、今や「和泉守兼定」やら「大和守安定」やら「堀川国広」やら、刀剣男子で頭がいっぱいです。ちなみに、私の推し刀剣は「骨喰藤四郎」です。というわけで、『風光る』です。刀剣つながりで読み返してます。この作品は、とある事情があって男子と偽って新選組に入隊した少女の物語です。作者の渡辺多恵子さんは短編がとても上手な作家さんですが、もう18年も連載してます。リアル新選組の活動自体はせいぜい5年とかなので、幕末5年の歴史に40巻近くかかっていて、『サザエさん』現象とまでは行かないけど、限りなく光速に近づいてる感じはしますね。あまりに連載が長いので、当初、主人公のセイが新選組に入隊した理由とかは、最近もうホントどうでもいい感じです。ちなみに雑誌連載では現在、沖田総司はさすがにヨレヨレです。『薄桜鬼』は史実を見事にファンタジーにアレンジしているところが魅力のひとつだったわけですが、『風光る』は、恋愛部分以外はちゃんと描いているようなので、この先どうなるかがわかっているぶん切ないです。ちなみに、土方が兼定を手に入れたくだり(これはフィクションのようだけど)とか、刀の種類についてとか、刀剣うんちくネタもいくつか出てくるので、審神者の方々にもお勧めです。司馬遼太郎、『新撰組!』、『銀魂』……移り変わる新撰組のイケメンイメージhydropeekそんなこんなで先日、「日野市立新選組のふるさと歴史館」に行ってきました。そのときやっていた展示が、新選組漫画の変遷というもので、とてもおもしろかったのです。現在の新選組像を作ったのは司馬遼太郎大先生。“司馬新選組”以前は、土方歳三たち隊員をおっさんが演じてたりしたそうです。もったいないことです。しかし、“司馬土方歳三”があまりにかっこよかったので、以来すっかり新選組=イケメン集団という、今日の新選組イメージの基礎ができあがったのだとか。その後数十年、“司馬新選組”が日本を支配していましたが、大河ドラマ『新選組!』で近藤勇が主人公として描かれ、ようやく新選組は司馬色から脱出し始めたらしいです。そして『銀魂』です。沖田と土方は試衛館の門弟です。沖田は土方よりも年下だけれども、試衛館での段位は上だったのだとか。しかし新選組では、当たり前のように土方が副長になっていて、そりゃ沖田としたらおもしろくないでしょうよ、という前提で描かれたのが、ちょっとひねくれた沖田像だそうです。その理由が「なるほど納得」だったため、『銀魂』以来、それまで素直で明るかった沖田総司像が、ちょっとひねくれ意地悪沖田に変わったのだとか。“司馬新選組”の信者たちは、“司馬新選組”こそ史実だと思って止まない傾向にあるそうですが、“司馬新選組”もかなり創作が入っているのは周知の事実。しかし、“司馬新選組”が浸透したのは史実だからではなく、単純におもしろかったから。そして、おもしろい新選組作品が出るたびに、新しい新選組イメージに塗り替えられていくというのです。この『風光る』は、かなり作者が勉強して描かれていて、史実を少女漫画風にがっちりアレンジしてくれています。男子の集団に紛れ込むとか、男子と互角にやり合うとか、でも本当に頼れる人には守ってもらえるとか、女子の好きなテイストが盛りだくさん。勉強嫌いの娘さんに読ませるとよいでしょう。土方歳三は豪快で明るく、近藤勇は実物そっくりにエラが張ってて、斉藤一は無口で真面目なキャラです。私は明るく元気な男子キャラにはそれほど惹かれないので、『風光る』では沖田総司よりも斉藤一のほうが好きなんですが、Wikipediaの彼の写真を見て後悔しました。ああ、ほんとうに少女漫画って夢があっていいですよね……。Text/和久井香菜子
2015年07月08日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。イケメン高校生が料理男子になったわけ『銀のスプーン』(小沢真理/講談社 KCコミックス Kiss)既刊12巻「一人暮らしの経験のない男なんか絶対にイヤ」という女子は多いです。実家住まいで、家事をやったことがない男ほど面倒くさそうなのはいないからです。タオルが自動で洗い立てになるわけではなく、冷蔵庫の食料は自動的に湧いてくるわけではないことは、知っていても実感はなかなかできません。何日掃除をさぼると部屋が汚れるのかなんてのも、自分でやっていなければわからないでしょう。その割に男子は、一人暮らしの重要性を意識してないみたいだけどさ。『銀のスプーン』は、農業高校に通う男子が食の大切さを学ぶ話……嘘です。なんか似たような時期に似たようなタイトルの作品が出てきていて、なんの策略かと思いました。『銀のスプーン』は、超絶イケメン男子の律が、弟妹のためにご飯を作ったり、衝撃を受けたり、彼女ができたり振られたりする話です。しょっぱな、律の母親が入院することになり、律は弟妹たちのために料理をはじめます。これが、イケメン高校生の律が料理男子になるきっかけです。この家にはすでに父親がいないので、一家の切り盛りを長子である律がやることになったわけですね。家事って、料理がいちばん派手な種類で、ほかに掃除とか洗濯とか掃除とか掃除とか、めちゃくちゃ地味な作業もたっぷりあるんですが、作品には登場しません。リアルに家事をまかされたら「トイレが汚れるから座ってしてくれよ!」とかいう絵にならない話とかも出てきそうですけどね。そこは美しきかな、少女漫画です。出来がよすぎて振られちゃう律の悲劇Tony Alter律はシュッとしたイケメンで、これがもうとんでもなくかっこいいです。母親の入院で受験勉強が遅れたにもかかわらず、志望校を京大から都内の国立大に変更しただけであっさり合格。大してガリガリ勉強しないのにテストで点が取れるのは少女漫画的イケメンの条件ですな。しかも料理上手で、なんだかかわいらしい食べ物をいっぱい作ってます。『きのう何食べた?』のレシピがひたすら実用的なのに比べて、律が作るレシピは、小指が立っちゃいそうなシャレオツレシピです。簡単そうなんだけど、どこかロッジなペンション風。リアルの料理上手男って、他人の作ったもんにガタガタうんちく言ったり文句つけたりするので面倒だけど、律はかっこいいのでそんなことはしません。そもそも律はあんまり喜怒哀楽を表現しないので、バカ笑いもしないけど、ブリブリ怒ったりもしません。そしてちょっと事情があってアンニュイです。感情的な男はただ面倒なだけなので、セリフじゃなくてト書きが多いくらいの男子は女の理想です。律はイケメンの条件をすべて取りそろえておりますね。ところがですよ。少々ネタバレだけど、律は彼女に「あなたはあまりに出来がよくて辛い」と言われて彼女に振られてしまいます。ああ、なんてもったいない!でもこれ、よくわかります。いい男とっ捕まえてセレブになろうとかいう他力本願な女なら、出来がよくて恵まれてる男を捕まえて「ラッキー♪」でしょうが、自分の人生を自分で切り開こうと思っていたら、自分の凡庸さと相手を比較してしまい、辛いでしょう。ようは身の丈に合った相手が一番楽だということです。そして、いい男を捕まえて幸せになりたかったら、自分の人間的レベルを上げるしかないのです。ところでこの作品、昼ドラになってて驚きました。絵が洗練されてるのであんまり意識してなかったけど、確かに出生の問題や児童虐待など、ドロドロ要素たっぷり。見せ方、切り口って大事ですね。ぜんぜんイメージ変わります。Text/和久井香菜子
2015年06月23日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。幼女じゃないとプラトニックものは成立しない!?『明治緋色綺譚』(リカチ/講談社 BE LOVE KC)全13巻70年代の少女漫画は、平和でよかったなと思います。高校生がするのはせいぜいチューどまり、体つきも中性的で、性的ないかがわしさとはほぼ無縁でした。それが今や、学校は愛の楽園と化し、廊下でチューチュー校庭でチューチュー、図書館に至っては密室扱いで組んずほぐれつですよ。そのうち保健室で出産するんじゃないですかね。もちろん、イケメンとイチャイチャするシーンが楽しみ、という場合もあります。しかし私は、真剣なエロシーンが苦手です。乳首を見るとどうにも笑ってしまうんです。70年代のマンガは乳首が解禁じゃなかったせいなんですかね。オスカルさまとか、よくすっぽんぽんで衝撃的に考え込んだりしてましたが、全身つるりとしてたので、なんだか漫画における人の裸って、ああいうもんだと思っているみたいです。そういう意味でも、完全なプラトニックものはとても安心できます。そして、女子高生でも性を描くのが当たり前になってしまった今、主人公は第二次性徴前にしとかないとプラトニックにしにくいのかもしれません。『明治緋色綺譚』は、文明開化の明治時代、とっても頭のいい津軽というイケメンと、鈴子というこれまたとても頭のいい童女が、鈴子の住む場所でなんやかんや揉める話です。そしてふたりは、ご近所の小さな悩み事を解決しているうちに、どんどん大きな事件に関わるようになっていきます。鈴子は、姉と一緒に遊郭に売られていた没落華族の娘です。彼女を遊郭に売り飛ばしたのは、実の兄・春時。このへんの人間関係が作品のキモです。ちなみに私、病んでる人が好きなので、春時兄さんは好みです。病んでるといっても少女漫画なので、面倒くさいことは言いません。津軽がまたかっこいいんです。幼女を遊郭から身請けしたにもかかわらず、色気めいた感情は一切なし。お風呂を覗いたりとか体中なで回したりとか、そういう気持ち悪いことは絶対にしません。春時兄さんは、鈴子にぬるっとしたことしようとしてますが、鈴子一筋なので、まあいいでしょう。春時兄さんにしても津軽にしても、あまり感情を顔に出さないところがいいですね。男がいちいち怒ったり拗ねたりすると面倒くさいんで。思慮深く知性があって禁欲的な津軽がかっこいい!J3SSL33鈴子は、「津軽はあたしの知ってる男の人とは誰とも違う。他はたいてい見栄っ張りで強欲か、身勝手で好色か」と言ってますが、まあたいていの女にとって、男に対する感覚ってこんな感じですよね。だから、少女漫画に出てくる男は、見栄っ張りでもなく強欲でもなく、身勝手でもなく好色でもないのが多いんです。中盤で、春時と津軽が、ロリコンおっさんたちを交えて「手本引」という賭博で勝負をするシーンがあります。津軽は「賭け事にあせりは禁物だよ。熱くなったほうが負けだ」と言い、ディーラーの春時と津軽はお互いの手を読みあって勝負します。この2人が熱くなることはないので、もちろん2人の目的通りの結果になるのですが、このへんのやりとりがたいへん頭がよさそうでかっこいいです。知性と教養がある人ってステキ。この作品のいいところは、登場する男子がクールでかっこいいだけではなく、謎解きがおもしろいだけでなく、ちょっぴり説教要素があるところです。鈴子は、どんな環境になろうが「どうやったって幸せになる」と言います。幸せは環境ではなく考え方だとはよく聞きますが、本当にそう思って行動できる人ってなかなかいないと思うんですよ。なんか物事がうまく回る人、運がいい人、人生に悩みのなさそうな人って、基本的な考え方がポジティブだからだと思います。劣悪な環境に陥ろうが、年をとろうが、自分の可能性をつぶさない人が幸せをつかむのです。鈴子の姉や、春時兄さんがいまいち不幸せなのは、彼らが卑屈で後ろ向きだからです。人生フレキシブルに前向きに生きましょう。Text/和久井香菜子
2015年06月18日世の中の酸いも甘いもわからない少女にカレシがいない場合、「恋に恋する状態」などと言ったりします。でも、30歳過ぎて彼氏ナシの場合、どんな理由があるのでしょう。「いたって大していいもんじゃねえしな」なんて意見もありそうです。辛い現実を知ってしまったわけです。この際、シングルを満喫しきるために、心の萌えは現実ではなく少女マンガで消化しましょう、ええ、そうしましょう。「これさえあれば、男なんかいらないわ……」っていう少女マンガ、ご紹介します。父の葬儀で初めて知った異母妹の存在『海街diary1 蝉時雨のやむ頃』(吉田秋生/小学館 フラワーコミックス)既刊6巻突然ですがわたくし、40過ぎて反抗期がやって来まして、何年か家族と縁を切ってました。なんか、いろいろ我慢していたことに気付いて馬鹿らしくなって、「次に会うのは葬式でいいや」と思ってたんです。結局、多少仲直りはしたけど、根本的解決はなさそうなので、この先もなんとなくモヤモヤしていると思います。家族って、「気が合うから一緒にいる」わけでもないのに付き合いが長いし、「どうせ縁は切れないだろう」という甘えがあるから馴れ合ってるし、しみじみ面倒くさいですね。で、『海街Diary』です。私、吉田秋生さんの描く、家族の話がとても好きです。というか、割といろんな話に、家族の問題を取り上げているので、ご本人になにか思うところがあるのかもしれません。ストーリーは、鎌倉に住む幸(サチ)、佳乃(よしの)、千佳(チカ)の三姉妹のところへ、15年も前に出奔した父親が亡くなったという知らせが入るところから始まります(姉妹の母は父の出奔のあとにこれまた出奔していて別居中)。姉妹がお葬式に出席するために山形に行ってみると、そこにはすずという異母姉妹にあたる女子中学生の妹がいてナニコレびっくり……という展開です。幸は看護師のお仕事をしています。人の死に多く立ち会ってきた看護師らしく、お葬式では、家族の死と向き合うこと、難病を得た子どもたちのことなど、生と死に関わる見地を話してくれます。この作品、雑誌の連載開始から読んでるんですが、そのラストですずが号泣するシーンがありました。カフェかなんかで読んでたんですが、思わずしゃくり上げ泣きしました。おい、周りドン引きだよ、どうしてくれるんだ吉田せんせいよ。恋愛や家族のベースに流れる“生と死”を描くGarry Knightすずは、三姉妹の父親が浮気相手の女と駆け落ちしてできた子どもです。2人が駆け落ちしたあと、すずの母はすぐに亡くなり、のちに父が再婚します。すずは実の父と継母と、その連れ子たちと家族になりました。で、その継母というのがそれは自立心のない馬鹿女なんですよ。いろんな本を読んでいてしみじみ思いますが(この作品はフィクションだけど)、母親が馬鹿だと子どもが苦労します。間違いないです。母親の甘えを請け負う羽目になるのは子どもだからです。自立心がなく、考えの浅い人間というのは、自分に甘える言い訳を大量に持っているのです。そして自分が甘えた分、苦労するのは周り。特に、他に逃げ道を持たない子どもです。この作品で言えば、すずです。自分を理解してくれる人がいるって、どれだけ幸せだろうと思います。お葬式のあと、三姉妹はすずに「鎌倉で一緒に住まない?」と持ちかけます。すずは即答。そりゃあついていきますよ、自分が安心して身をゆだねられる大人が目の前に現れたんだから。そして、すずが鎌倉の三姉妹の元へやってきて、本格的に話が始まります。この作品は、コミックスの裏表紙には「家族の絆を描く」と説明書きがあり、どこかの紹介文には「恋愛ストーリー」と書いてあった気がするのですが、初めて読んだ時に感じたのは、「生と死」を見つめた話なんだな、ということです。幸が看護師であること(幸は後に終末期ケア病棟に異動)、父の死、さまざまな形で関わる相続の問題など、「生きる」「死ぬ」を見つめた話が非常に多いです。生きているから恋をして、トラブルが起こり、そして病と闘い、亡くなれば遺産の問題が起きる。四姉妹の体験を通して、そういう生と死にまつわる出来事を語っているように思います。逆境と挫折を抱えて自分と向き合う朋章にも注目この話は、非常に考えどころが多いので、萌えだの壁ドンだの軽薄な感想が全然思いつかないんだけど、強いて言うなら序盤に登場する朋章くんです。彼は、『ラヴァーズ・キス』という作品のメインキャストでした。時系列から言うと、『海街Diary』のあとに『ラヴァーズ・キス』という順番なのですが、となると両作品を読んでいる読者は、彼がこのあとどうなるかを知ってるわけです。読み進めながら、一生懸命登場人物たちに突っ込みを入れてしまいます。しかしこの朋章くん、いろいろ人生大変そうです。朋章は、死ぬギリギリのところで生きてきたような人なので、まさしくこの作品に登場するにふさわしい感じがします。いえね、でも順風満帆で失敗の経験のない男は、なんにも考えてないし思い上がっててあとあと面倒くさいので、やっぱり女はトラウマ抱えて頑張ってる男子が好きなんですよね。Text/和久井香菜子
2015年06月12日アユートは6日、ハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤー「Astell&Kern AK100II」と声優・花澤香菜さんのコラボレーションモデルに、オリジナル曲のハイレゾ音源を収録すると発表した。「Astell&Kern AK100II 花澤香菜コラボレーションモデル」の発売日と価格は未定。同製品は、Astell&Kern AK100IIをベースとしたコラボモデル。花澤香菜さんの新曲を24bit/192kHzハイレゾ音源でプリインストールするほか、本体に今回のコラボを記念して製作されたオリジナルロゴを刻印する。イタリアンポリウレタンレザー製のケースが付属する。Astell&Kern AK100IIは2014年7月発売で、直販価格は税込109,800円。PCM最大384kHz/32bitのハイレゾ音源(ネイティブは192kHz/24bitまで)に対応する。
2015年06月08日女優でモデルの山田優が22日、東京・新宿ステーションスクエアで行われた、映画『新宿スワン』のガールズトークイベントに出席した。和久井健の同名漫画を実写化した本作は、新宿歌舞伎町を舞台に、スカウトマンたちの熾烈な抗争を描く作品。スカウト稼業に足を踏み入れた白鳥龍彦(綾野剛)は、頂点を目指して成り上がろうとする男たちの中で試練に挑む――というストーリーで、映画は30日から全国公開する。高級クラブのママ・涼子を演じた山田は、龍彦の巨大像を前に、「ものすごく熱くて、一人ひとりが魅力的な作品。男性陣が本当に格好良いです!」と笑顔でアピール。また、イベントには、ギャルモデルの桜井莉菜、杉山佳那恵も登場し、ガールズトークを展開。登場キャラクターの中での好みを聞くと、「一緒にいて幸せになれそうなのは龍彦だけど、関さんみたいに女性に優しい人が良い。男らしく守ってくれそう」と言う山田をはじめ、深水元基演じる関大介に軍配が上がった。一方、"良い女"のイメージについて、「男の人を立ててあげて、表で大きく羽ばたかせる人。自分のところでは甘えてもらって癒すみたいな」と本音を語った山田。現在、夫で俳優の小栗旬との間に生まれた第1子の子育て真っ最中で、「子どもが成長していくにつれ、色んなことが出来るようになると母親になったんだと実感する」と母親の顔を覗かせる場面も。続けて、「いずれ離れていっちゃうと思うと、すでに寂しい……」と溺愛している様子を見せ、「出来れば5人欲しい。たくさんの方が楽しいと思う」と更なる子作りに意欲満々だった。
2015年05月23日数々のアニメ作品で活躍する声優・花澤香菜が、2015年5月3日(日)、ライブツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」の初日を迎え、自身初となる日本武道館でのライヴを開催した。本人名義でデビューを果たした2012年から約3年、いつかは立ちたいと思っていた夢のステージである日本武道館。人気声優として多忙な日々を送るかたわら、展開してきた音楽活動において、送り出されてきた8作のシングル、3作のアルバムの作品群は、彼女の声優人気だけに依らず、徹底的にこだわり抜いて産み落とされてきた。そして、作品ごとに急速に成長を遂げ、"アーティスト・花澤香菜"と呼ぶにふさわしい表現力を得た今、その集大成ともいえる日本武道館でのライヴをついに実現させたのである。開演時間を迎え、G.北川勝利(ROUND TABLE)をバンマスとする「デスティネーションズ」(花澤香菜のバックを務める際のバンド名)、そして初登場となるホーンセクションがそれぞれの位置につき、一曲目「I ♥ NEW DAY !」のイントロを奏でる。アルバム「Blue Avenue」でもオープニングを飾るこの曲、タイトル通り新しい何かが始まる空気が会場を包む。セット中央に組まれた階段に花澤香菜が登場すると大歓声が湧きあがる。衣装は黄色のワンピースに帽子、動物などをモチーフにした手造りの飾りが散りばめられている。バンドが繰り出すミディアムテンポのグル―ヴと彼女の心地よい歌声に呼応する観客。多くのその手にはブルーのサイリウム。本格派の都会的なグルーヴとアニソンの流儀の融合……花澤香菜のライヴだからこその光景、楽しみ方は自由。皆、アルバムを聴き込んできていると見えて、レスポンスもバッチリで、早くも会場に一体感が生まれた。「ほほ笑みモード」「運命の女神」と立て続けに披露する花澤。「とうとう来ちゃいました武道館!」……緊張よりもライヴを心から楽しんでいる表情が伺える。そして、やくしまるえつこトータルプロデュースの「こきゅうとす」で、武道館全体を<やくしまるえつこ×花澤香菜>の世界へといざなう。ライヴではお馴じみの「CALL ME EVERYDAY」では、ゴージャス感たっぷりのゴールドのワンピースに衣装チェンジした花澤が「もしもし」とステージに登場。曲中でも"もしもしタイム"で客席と電話で話しているかのような楽しいやりとりを繰り広げる。「タップダンスの音が聴こえてきたら」では、花澤自らタップダンスに挑戦。また、ジェームス・ブラウンの有名なフレーズ"ゲロッパ"を、花澤が"メロンパン"と言い換えて、バンドとの濃密でファンキーなセッションを始めるなど、さまざまな仕掛けに会場はさらなる盛り上がりをみせる。「音楽活動を始めて3年、最初は緊張していたけど、今はもうみんなが友達(のような存在)だから大丈夫! あなたたちに支えれています。これからも宜しくお願いします」と深々と一礼して、本編ラストとなる「君がいなくちゃだめなんだ」を歌い上げる花澤。旋律とアレンジの美しさが、この楽しい時間が終わることの切なさを高めていく。そして花澤は、ステージを端から端まで動きながら会場の人すべてにありがとうを伝え、ステージを後にした。観客からのアンコールの声を受けてステージに登場した花澤は、「しーっ」と鼻に人差し指をあてる素振りをしている。そして、♪せーの♪――その後の一瞬の間に「おおお!?」とどよめく客席。そして♪でもそんなんじゃダメ♪と歌い始めた花澤。そう、TVアニメ『化物語』で花澤自身が演じた千石撫子のキャラソン神曲「恋愛サーキュレーション」だ。長きに渡る封印が解かれた瞬間、客席が堰を切ったようにとてつもない盛り上がりを見せる。多くのファンがこの瞬間を待っていた。祝祭のごとき熱狂が武道館を覆い尽くす。歌詞の通り♪神様ありがとう♪というオーディエンスの感喜の叫びが、この日のライヴで最も大きな歓声となってこだました。興奮冷めやらぬ中、ライヴ定番曲「Saturday Night Musical」、そして5thシングル「恋する惑星」で残り僅かなこの空間と時間を愛おしむかのように、ステージと客席がより一体感が増していく。最後のMCでは、武道館に至るまでの自らの歩みを振り返りながら、感極まった花澤は号泣。自分を見出してくれたマネージャーと、ここまで応援してくれたファンへの感謝を伝え、会場全体が感動的な雰囲気に包まれる中、ソロデビュー曲である「星空☆ディスティネーション」がスタート。ラストサビ前のキャノン砲は、花澤香菜自身と彼女と歩んできたファンのたくさんの時間への祝砲となった。ライブが終了し、観客も帰り支度をしていたその瞬間、花澤香菜とバンドが再登場。「もう一曲やっていい?」という花澤のまさかの問いかけに、観客は割れんばかりの拍手で応え、予定外のアンコールとして、オープニングでも披露された「I ♥ NEW DAY !」をふたたび熱唱。花澤香菜初の日本武道館ライヴは大成功の内に幕を閉じた。
2015年05月06日8thシングル「君がいなくちゃだめなんだ」を2015年2月25日に発表した声優・花澤香菜。このシングルの購入者を対象としたイベントが、3月14日に神奈川・Bay Side Yokohamaで行われた。イベントは1時間半を超える盛りだくさんの内容で、ライブコーナーでは北川勝利(G / ROUND TABLE)と末永華子(Key)の演奏をバックに、ニューシングル「君がいなくちゃだめなんだ」からの楽曲のみならず、過去のレパートリーもたっぷりと披露。さらには4月に発売される3rdアルバム「Blue Avenue」に収録される新曲「I ♥ New Day」「We Are So in LOVE」「Night And Day」も一足早くアコースティックアレンジでお披露目された。またトークコーナーでは、3月下旬より公開される自身の主演映画『君がいなくちゃだめなんだ』撮影時の写真をステージ背面のスクリーンに映しながら、撮影時のマル秘エピソードを告白。映画のクランクインが行われたニューヨークではひそかにアルバムレコーディングも同時進行していたとのことで、同行した北川からも現地でのレコーディングセッションの様子が明かされた。さらに後半のトークコーナーでは会場のファンから事前に集められた「あなたにとって、君がいなくちゃだめなんだ!!と思う存在は何ですか?」というアンケートに対する回答を紹介。「香菜ちゃんのライブがきっかけで出会った彼と近々入籍します!」「月並みですが、うちの嫁でしょ!」といったラブラブな回答には花澤も思わずハイテンションに。最後に読まれた「やはり花澤香菜ちゃんです!」という回答には、客席から大きな歓声が上がった。全11曲を歌った花澤が名残惜しそうにステージを去ると、客席からはすぐにアンコールを求める拍手と声援が巻き起こる。花澤は「どうもありがとうございまーす! ……そうだよね。終われないよね!」と、さらにもう1曲「パパ、アイ・ラブ・ユー!!」を披露。コール&レスポンスで一体感を作り上げ、最後は「みんなでいっせーのでジャンプするよ!」の合図で元気よく飛び跳ねてフィニッシュを迎えた。花澤の主演映画『君がいなくちゃだめなんだ』は3月28日より東京・テアトル新宿にて先行上映がスタート。その後もMOVIX仙台、109シネマズ名古屋、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ博多と各地の劇場で順次公開される。また上映劇場では花澤が演じる絵本作家「楓アン」の処女作として作中に登場する絵本「The Cat Brothers」が特製前売券として映画公開に先がけて販売中となっている。今回のライブで披露された新曲を含む3rdアルバム「Blue Avenue」は4月22日に発売。このアルバムを引っさげて行われるライブツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」は、彼女にとって初めての日本武道館ワンマンライブで幕を開ける。
2015年03月18日声優として数々のアニメ作品に出演し、音楽活動でも高い評価と人気を誇る花澤香菜が、2015年4月22日に3rdアルバム「Blue Avenue」をリリースするが、この度、同作のアートワークが発表された。今作のテーマは"NewYork"。アルバムのサウンドにはNew Yorkを感じさせるジャズ、フュージョン、クロスオーバー、ブロードウェイ、ビッグバンド、ハウスミュージック……といった要素が織り込まれているという。そして、そのサウンドを体現するかのような、クールなアートワークが完成。ジャケットはモノトーンの写真に青文字のタイトルが配され、数多のジャズの名盤へのオマージュのようなデザインとなっており、テーマに基づいて、フォトセッションもNYで行われた。デビュー以来花澤香菜を撮り続けているフォトグラファー・樂満直城氏によって引き出された、普段の雰囲気とは違うアンニュイな花澤の表情が、大人っぽさを感じさせる。また、一部の楽曲のバックトラックのレコーディングもNYで行われた。海外の大物アーティストが楽曲を提供し、名プレイヤーが演奏で参加。クレジットは追ってアナウンスされるという。自身初の日本武道館公演を控え、アーティストとしての大きな飛躍を感じさせる花澤香菜。「Blue Avenue」は、そんな彼女の、サウンド面&ビジュアル面での新たな魅力が詰まった作品となっている。
2015年03月18日花澤香菜が初主演を務める映画『君がいなくちゃだめなんだ』の舞台あいさつが3月28日(土)にテアトル新宿で開催される。『君がいなくちゃだめなんだ』その他の画像本作は、『PSYCHO-PASS サイコパス』などの声優で知られ、アーティストとしても活躍する花澤の初主演作。街のあちこちで不思議なメッセージを発見していく絵本作家と、幼い頃に生き別れた父親、それぞれの想いを紡ぎ出す。花澤のミュージック・クリップを手がけてきたムラカミタツヤが監督を務め、花澤は主題歌も担当している。舞台あいさつには、花澤香菜、他が登壇する。チケットは、プレリザーブ(先行抽選)が受付中。一般発売は、3月21日(土)午前10時より開始される。『君がいなくちゃだめなんだ』舞台あいさつ3月28日(土)会場:テアトル新宿13:30の回上映後/15:30の回上映前登壇者(予定):花澤香菜、他料金:2500円(税込)※舞台あいさつ限定特典ブロマイド4種セット付プレリザーブ:受付中~3月20日(金)11:00AMまでチケット発売:3月21日(土)10:00AMより
2015年03月14日声優・花澤香菜の8thシングル「君がいなくちゃだめなんだ」が自身の誕生日である本日2月25日に発売。既報の通り、この曲は花澤香菜が実写作品では初主演となる映画『君がいなくちゃだめなんだ』の主題歌であり、先日ミュージックビデオのショートver.がYoutube上にて公開されているが、そんな8thシングルの発売に続き、3rdアルバムの発売とライブツアー決定の情報が発表された。3rdアルバムとなる「Blue Avenue」は2015年4月22日のリリース。2ndアルバム「25」以来、約1年2カ月ぶりとなるアルバムだが、収録曲や作家陣などの詳細情報はまだ明らかにされておらず、今後の続報に注目したい。そして、本アルバムをひっさげてのライブツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」の日程は下記の通り。開催のアナウンスはあったものの、日程など詳細の情報が待たれていた自身初の日本武道館公演のほか、ツアーとして初となる福岡・仙台を含む全国5カ所での開催となる。■「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」◆2015年5月3日(日) …… 日本武道館(東京)◆2015年6月6日(土) …… 福岡市民会館 大ホール(福岡)◆2015年6月14日(日) …… グランキューブ大阪(大阪)◆2015年6月20日(土) …… 日本特殊陶業市民会館(名古屋)◆2015年7月12日(日) …… イズミティ21 大ホール(仙台)全公演 開場17:00 / 開演18:00【チケット料金】全席指定 7,344円(税込)なお、8thシングル「君がいなくちゃだめなんだ」の初回生産限定盤と通常盤には、「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」の先行抽選申込券が封入されている。なお、申込受付期間は、2015年2月25日(水)10:00 ~ 2015年3月4日(水)21:00となっている。
2015年02月25日声優として2004年に活動を開始して以来、アニメ・ゲームなどを含む100を超える作品に出演し、高い人気を誇る花澤香菜。そんな彼女の、実写では初主演となる映画『君がいなくちゃだめなんだ』の公開と、本映画の主題歌も担当することが決定したことは既報の通りである。3月下旬の公開が予定されている映画『君がいなくちゃだめなんだ』だが、その公開に先立って特設サイトが本日2月20日(金)の12時00分にオープン。作品に関するさまざまな情報や最新ニュースが随時アップされていく予定で、公開に先駆けて映画『君がいなくちゃだめなんだ』の世界をひと足早く感じられるサイトとなっている。また、同時に主題歌『君がいなくちゃだめなんだ』ミュージックビデオ(MV)のYoutube上での公開がスタート。MVは同映画の本編映像から構成されており、いわば映画のトレーラー的な内容となっている。今回はショートサイズでの公開であるが、来週2月25日(水)に発売される主題歌シングルCD『君がいなくちゃだめなんだ』初回生産限定盤には、MVのフルサイズを収録したDVDが同梱される。来週主題歌シングルCDリリース、3月下旬映画公開を控え、徐々に全貌が明らかになっていく『君がいなくちゃだめなんだ』だが、花澤香菜も自身初となる日本武道館ライブ開催がアナウンスされており、詳細発表が待たれるところ。声優としての活動のみならず、さまざまなフィールドで活躍の幅を広げる花澤香菜の今後も要注目だ。映画『君がいなくちゃだめなんだ』は、2015年3月28日(土)にテアトル新宿にて先行上映。4月4日(土)よりシネ・リーブル梅田、109シネマズ名古屋、MOVIX仙台、T・ジョイ博多にて上映開始。(C)君がいなくちゃだめなんだプロジェクト
2015年02月20日声優として2004年に声優活動を開始して以来、アニメ・ゲームなどを含む100を超える作品に出演し、その演技力の高さと声質の良さでファンからの支持を集める花澤香菜が、3月下旬よりテアトル新宿にて先行公開される実写映画『君がいなくちゃだめなんだ』に主役・楓アン役で出演、さらに本映画の主題歌も担当することが決定した。花澤が実写映画に主役として出演するのは今回が初めて。本映画は、花澤香菜のミュージックビデオを手掛けてきたムラカミタツヤを監督に起用し、脚本は「サンダンス・NHK 国際映像作家賞2009」にてグランプリを受賞した倉田健次が本作のために書きおろした。そして、父親役には一世風靡セピアのリーダーとして活動し、現在は俳優として映画やテレビで活躍する小木茂光を迎え、ムラカミ監督ならではの映像美溢れるフィルムに花澤香菜の熱演が詰まった中篇作品となっている。声優としてアニメ作品の主役を多数演じてきた花澤だが、実写映画の主役出演は大きなチャレンジとなり、本映画での熱演は女優・花澤香菜として新境地を開くこととなる。またアーティスト・花澤香菜として主題歌も担当。映画と同タイトルとなる主題歌「君がいなくちゃだめなんだ」は、花澤のシングルでは初めてのバラード作品となり、切なくも前を向く力がもらえる楽曲となっている。父と娘を中心に想いと人がつながる物語を描く映画の世界観にマッチした、主題歌としてこれ以上ない仕上がりとなる本作は、作詞・岩里祐穂、作曲/編曲・北川勝利(ROUND TABLE)という、花澤ファンにも馴染み深い作家陣によって制作された。初回生産限定盤に同梱される「君がいなくちゃだめなんだ」ミュージックビデオDVDは、同名映画の本編映像から構成されており、公開に先駆けていち早く映画を感じることができるファン必見のダイジェスト映像となっているので、こちらも注目したい。また、昨年3月にひな祭りにちなんで開催され大好評を博した女子会イベント「かなまつり」が今年も開催決定。2015年3月1日(日)に渋谷・JZ Brat SOUND OF TOKYOにて開催される本イベントは、アニプレックスの通販サイト「アニプレックスプラス」で8thシングル「君がいなくちゃだめなんだ」初回生産限定盤もしくは通常盤を予約購入すると抽選で招待される。詳しくは花澤香菜公式サイトをチェックしてほしい。実写映画初主演を始め、先日発表された日本武道館ワンマンライブなど、2015年も様々なチャレンジをする花澤香菜の今後に注目しておきたい。
2015年01月23日