今回のテーマは「漫画を描くために行った練習、勉強したこと」についてである。漫画家というのは絵が描けるのが大前提であるが、全員がすごくうまいというわけでもない。もちろんうまい人の方が多いと思うが、「ヘタウマ」という作風でヒットを出している作家も少なくはない。私の漫画を読んだことがある人ならご存じの通り、当方の作風は、ヘタウマからウマを引いたものである。しかし5年の作家生活を経て、私の絵も「常軌を逸したヘタ」から「普通のヘタ」へとランクアップし、余計に売れなくなった。デビューの際、私は最初の担当編集者から「絵はうまくならなくていい」と言われ、1~2年はそのアドバイスを忠実に守ってきたのだが、今思えばそのアドバイスを守り続けた方が良かったのかもしれない。しかし、個人的にはやはり漫画家たるもの、絵がうまいに越したことはない、と思う。○絵の練習にありがちな"オウンゴール"を避けるために絵をうまくするにはどうしたらいいか、と絵が描ける人に尋ねると、大抵の人が「とにかく描くこと」と答えるだろう。しかし、私も約5年間、ほぼ365日休まず絵を描いてきた。それにしては上達がなさすぎるが、ここでただ単に才能がない、と断じてはいけない(私の心が折れる)。肝心なのは「向上心を持って正しい絵をとにかく描くこと」であり、自分の描きたい絵だけを自分の手癖のままに描き続けても、サッカーのルールを一切覚えず必殺シュートの練習だけするようなもので、試合に出てもオウンゴールを連発するだけである。よって、まず正しい漫画の描き方の教本通りに描いてみる必要がある。そういった本を買うと「ダイエット本を買っただけで痩せた気になるデブ根性」が発動するという人は、ネットで絵の描き方を調べれば、そういったページがたくさん見つかるだろう。また、技術うんぬんはしゃらくさい、とにかく描きたいという人は、うまい人の絵を模写してもいいし、トレースするだけでもやり続ければ、おのずと手が覚えていく。私は以上のことを一切やらずに、今現在の「印象に残らないヘタ」という作風を完成させたので、そのポジションを目指す人は参考にしてほしい。特に、練習として模写やトレースをしたことはほぼないと言って良い。○絵を描くことの「喜び」は人それぞれ「絵や漫画を描くのが好き」と言っても、「絵を描く作業自体が好き」「満足する絵が描けたときの達成感が好き」など、どこに楽しみを見いだしているかは人それぞれだ、そして、その中には「絵を人に見せて褒められるのが好き」という人も含まれている。そこで「絵を褒めてもらいたい」→「上達するために努力する」という方向に行く人はうまくなる。しかしその過程をすっ飛ばして、「とにかく絵を褒められたい」という人はうまくならない。私は典型的な後者のタイプでああるそういうタイプの人間は、模写やトレースはしない。そうやってうまく描けても自分の絵として公開できず、人から褒めてもらえないからだ。時々、模写やトレースで描いた物を自分の絵として公開してしまう過激派もいるが、見つかれば叩かれるし、商業作家がやったら命取りになる。よって、自己流の絵で褒められようとするものの、練習をコツコツやらないから大して上達せず、当然ながら褒められることはないのである。「努力せずに結果だけ得ようとしてもダメ」という当たり前のことを、5年もかけて証明できたことだけが不幸中の幸いだ。他山の石としてほしい。○カレー沢作品に突如"美少女"が登場、読者の反応は?しかし、私にも全く向上心がないというわけではない、このままじゃダメだと思う時もある、もちろん自然にそう思うわけではなく、アンケートや単行本の売り上げが具体的にダメな時になって初めて考えるのだ。だが、「とにかく結果だけ得ようとする派」の私は、どれだけピンチに陥っても、今さらスケッチブックで絵の練習など始めない。ならばどうするかというと、原稿上で試行錯誤を始めてしまうのである。前話と明らかにキャラの造形が変わっていたり、ひどい時はコマ単位で顔が変わっていたりすると言う手探り状態を、そのまま雑誌に載せてしまうのである。数年前、連載作品の調子が芳しくなく、担当から「このままでは打ち切り」と言われたことがあった。それまで「うまくならなくていい」を実践していた自分も、やはり絵はうまいに越したことはないのではないかと思い直し、次の原稿では極力うまく描こうとした。まだそれだけなら良かったのかもしれないが、「カワイイ女の子が登場したら人気が出るのでは」という安易すぎる発想から、ヒロインの顔を別人のように変えて登場させたのである。その結果、評価は散々だった。平素、良くも悪くも話題にのぼらない自分の漫画が某大型掲示板でたたかれたほどである。そもそも、突然うまい絵やカワイイ女の子が描けるわけがなく、それまで応援してくれていた読者にまで「元に戻してくれ」と言われるありさまであった。私のみならず、突然作風が変わる漫画があったら、それは不人気によるテコ入れか、作家が突然このままじゃダメだと思い、見切り発車したかのどちらかである。既存ファンからしたら「余計なことを」と思うかもしれないが、こうした試行錯誤は作家が一応持っている向上心の表れであり、作品をよりよくしようという気持ちから生じているのである。ただ、焦って前に進もうとして、ギアがバックになっているのに気付かずアクセルを踏んでしまっただけなのだ。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。2015年2月下旬に最新作「やわらかい。課長起田総司」単行本第1巻が発売され、全国の書店およびWebストアにて展開されている。
2015年04月28日今回のテーマは「漫画家と結婚生活の両立について」だが、両立できてないのでこの話は終了、解散である。しかし両立の定義を「離婚していない」にまで広げていいなら、確かに両立していると言えなくもない。では、両立のコツはと聞かれたら、配偶者に「焼きゴテを押しつけられても眉ひとつ動かさない我慢強い人間を選ぶこと」としか言えない。○作家業界の「常識」自分で言うのもなんだが、私の夫はえらいと思う、どこがえらいかというと、なんと働いている。そんなの当たり前ではないか、と思うだろう。私もそう思う。私の友人・知人、親族の中にも、そんな褒め方をする人はひとりもいない。だが、漫画編集者などは本気で「カレー沢さんの旦那さんは、ちゃんと働いているからえらいですよね」と言うのである。そんなに女性作家の旦那というのは働いていないものなのだろうか。話を聞いてみると、もちろん、ちゃんと働いている人も多いという。しかし、最初はまともだった人も、嫁が作家として大成し収入差が広がるにつれ、ヒモ化したりマネージャーきどりになってしまったりする人もいる、とのことである。つまり、私の夫が未だまともに働いているのは、全て私が全然成功していないおかげなのだ。普通に働いている人間と結婚しただけで「男を見る目がある!」などと言われ、「カレー沢さんは夜寝て朝起きているから偉い」と斜め下の角度から褒められることを考えると、やはり作家業界というのは特殊な世界である。もしくは私にそういうところ以外褒める部分がないのだろう。○カレー沢家の分業体制現在、結婚生活5年目。昼間はお互い会社で、夜は私が仕事部屋にこもりっきりとなる。一緒にいる時間は10分にも満たないため、端から見れば家庭内別居と思われてもおかしくない。家事分担に関しては、最初は半々ぐらいだったと思うが、今では夫の方が圧倒的にやっている、特に掃除はほぼ夫がやっており、彼が掃除を放棄したら、我が家は瞬時に異臭を放ち、今ごろ行政の訪問を受けているところである。しかし、当然夫も暇ではない、正直いつ彼がブチ切れるのではと冷や冷やしているし、一緒にいると怒られる(怒られる覚えは5億個ぐらいある)気がするので、時間があろうがなかろうが、3分以上は一緒にいないように心掛けているぐらいだ。しかし今のところ夫に怒られたことと言えば「トイレを綺麗に使え」「たまには仕事部屋の換気をしろ」ぐらいである。"ぐらいである"、と言っても、このふたつが十分酷い。「お前はクソの仕方が汚い、と焼きゴテを押されても眉ひとつ動かさない」「俺でも耐えられないほど貴様の部屋は臭い、そのうち自分の臭いで死ぬカメムシみたいになるぞ」 と言われているのである。とても大人の女性が怒られる内容ではない。亭主関白を貫く一家の大黒柱でも、ここまで配偶者の手を煩わせないだろう。その上、当方の柱としてのスペックは先述の通りである。 反省してトイレはキレイに使うように心掛けているが、部屋は未だに臭い。このような状態なので、少なくとも「共働きでも家事は女が主にやるもの」という意識をもった相手ではとっくに家庭崩壊しているだろうし、顔を合わす時間はあっても、ゴミの山で相手の顔が見えないという事態になることは容易に想像できる。○「作家の家族」の受難また、作家の配偶者というのは、勝手にエッセイなどに登場させられている場合が多い。私も、こういった文章やエッセイ漫画などにたびたび夫を登場させているが、全て無許可である。女性作家というのは男に比べてえげつなくプライベートをネタにする傾向があるので、例え夫が酒におぼれようが、ギャンブルで大借金しようが、浮気をしようが、離婚になろうが、転んでもただでは起きない。それで1冊本を出してしまうのである。そして、出した方には印税が入るが、描かれた方はただただ酷い男であると全世界に晒されるだけである。スキャンダル暴露本ではなく、ほのぼの家庭エッセイなら良いかもしれないとも思うが、それを出した後に離婚という事態になったら、夫の側はしばらくお天道様の下を歩けない(そして元嫁はまたそれをネタに本を出す)。作家自身は覚悟の上で私生活を切り売りしているだろうが、知らないうちに切ったり売られたりしているのが作家の家族というものなのである。仮にフィクション作家だったとしても、時として自分の嫁が信じられない下ネタ漫画を描いているのを粛々と見守らなければいけない場合もあるのだ。個人的には、夫には私の描くものについては何も言って欲しくないと思っている。エッセイものに関しては苦言を呈する権利はあると思うが、少なくともフィクションに関しては何も言って欲しくない。夫もそれを察してか、今まで作品内容について、何か言ってきたことは一度もない。しかしよくよく考えると、夫は、ジャンプ、マガジン、サンデーを愛読し、「進撃の巨人」のコミックスを集めているメジャー嗜好である、私の描くマイナー漫画に対する感想は最初からないのかもしれないし、そもそも読んでいないのかもしれない。だが、それがお互いにとって一番幸せな状態である。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。2015年2月下旬に最新作「やわらかい。課長起田総司」単行本第1巻が発売され、全国の書店およびWebストアにて展開されている。
2015年04月21日今回は漫画家と編集者の関係についてである。漫画家と編集者と言えば、喧々諤々の打ち合わせを経て共に作品を作り上げているというイメージもあるかもしれないが、私と編集者のやりとりはあっさりとしている場合が多い。ネーム(ネタ)を編集に見せる→OKが出る(修正が入る場合もある)→完成原稿をチェックしてもらう→OKが出る(修正が入る場合もある)→データを渡す、これで終了である。月刊連載の場合、月2、3回のメールのやり取りで終わってしまうことも珍しくない。連載当初は「ここはこうしたら良いのではないか」など修正を入れてきた編集も、3回目あたりになると「こいつは何言っても無駄だ」と思うのか、何も言わなくなる。私の担当は全員諦めが早いのか、私が諦めさせるのが早いのかわからないが、とにかくあまり修正が入らないのだ。描く側としては楽なのだが、あまりに何も言われないと本当にこれでいいのかと不安になるものである。○編集者から修正が来た場合のワークフローでは逆に修正が来た時はどうするかというと、まずひとりで怒る。尋常じゃなく怒る。この話の面白さがわからないコイツが悪いとマジ切れである。冷静に考えて、自分が描いた漫画を読むのは、全員が読者と言う他人である。ならば他人の意見は聞くべきなのであるが、修正が来た瞬間はそうは思えないものだ。そこで一旦、部屋の物を全部破壊するなどのクールダウンをしてから、再度修正案を読み、そう言われればそうだ、と思えば直すし、どうしてもそうは思えない場合は、編集を説得して初案を通す。それでも向こうが折れない場合は再度部屋の物を木っ端みじんにしてから修正をする。納得のいかない修正をする時がないとは言わないが、ネタがスベッた時に編集のせいにできるという利点もあるので、やはり編集の意見はある程度聞くべきなのである。○インターネット時代が可視化した"骨肉の争い"それにしても昔に比べ、漫画家、編集者という存在がずいぶん可視化されてきたと思う。今ではホームページ、ブログ、SNSなどを一切やっていない作家の方が珍しいと思うし、編集者がTwitterなどで作品の宣伝を行うことも少なくない。作家と編集は宣伝ができて、読者も作家と直接交流できたり、製作の裏側を知ることができたりと、おおむねWin-Winの関係であるが、何せ魑魅魍魎が跋扈するネット上のことなので、作家の不用意な発言が炎上したり、編集があまりにも前に出過ぎて叩かれるなどの弊害もなくはない。また、作家と編集のマジ喧嘩が始まり、それが読者に丸見えという事態も起こりうる。作品の美しさに魅かれて作家のTwitterアカウントをフォローしたのに、いきなり骨肉の争いを見せられるということもままあるのである。この場合、ケンカと言っても大体作家が一方的に編集への不満をぶちまけている場合がほとんどである。もちろん、編集が常に一方的に悪いというわけではない。編集をぶん殴りたいという作家の数だけ、あるいはそれ以上、漫画家を土に埋めたいと思っている編集がいるはずである。ただ、作家は個人であるが、編集は企業の一員なので、作家の言う事に編集が個人として反論することはできないのだろう。では編集は一方的に言われて不利だ、立場が弱いと思われるかもしれないが、ネットで内情を暴露してダメージを受けるのは作家の方である。暴露することでその出版社との仕事が切れる危険はもちろん、「何かあったらネットで言っちゃう作家」というイメージがつけば他の出版社からも敬遠されるであろう。それは暴露する作家も重々承知のはずだ。よほど後先考えない性格でない限り、いきなり不特定多数に向けて内情をぶちまけたりはしないはずである(漫画家になる時点で先を考えないタイプとも言えるが)。それでもなぜ言ってしまうかと言うと、もう「怒っているから」としか言いようがなく、ハナから得しようなどとは思っていない。むしろ、怒りと作家生命を天秤にかけて「終わっていい」と判断できるほどの、混じりっ気なし、100%純国産、「私が怒りました」と顔写真つきのシールを貼って良いほどの「怒り」がそこにあるのだろう。○作品の成否が関係を決める?こう書くと、漫画家は年中編集に対して怒り続けているように思えるかもしれないが、おそらく大半の作家と編集が良好、もしくは、仲良くもないがもめもしないというドライな関係だと思う。ちなみに個人的な意見だが、やはり作品自体が上手く行っていれば、作家と編集の関係はおおむね良好なのではないかと思う。作品の調子が悪ければ、編集は何とかしようとあれこれ助言をするだろうが、作家はそれに焦ったり反感を覚えたりするものだ。逆に作品が絶好調であれば、「先生、今週も最高です」と打ち合わせもそこそこに夜の街に繰り出し、ふたりで仲良く女体盛りをつついたりできるはずである。そんなことはない、売れたら売れたでもっともめる、と言われるかもしれないが、何せ売れたことがないのでわからない。どうせもめるなら売れてもめたいところである。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。2015年2月下旬に最新作「やわらかい。課長起田総司」単行本第1巻が発売され、全国の書店およびWebストアにて展開されている。
2015年04月07日3月19日22:00より放送されるFM西東京のラジオ番組『漫学~Nちゃんねる(仮)』に、漫画家・のむらしんぼ氏と、漫画誌『コロコロアニキ』(小学館)編集部の石井宏一氏がゲスト出演する。『コロコロアニキ』は子供の頃に漫画雑誌『月刊コロコロコミック』を楽しんでいた大人のために企画された新雑誌で、第一号が昨年10月に発売。売り切れ続出となり、急きょ重版が決定するなど大きな話題を呼んだ。そして、ラジオ番組『漫学~Nちゃんねる(仮)』は、漫画家や編集者、書店員など漫画に携わる人物をゲストに迎え、ディープなトークを繰り広げる"漫画探求番組"。FM西東京で昨年12月まで放送され、一旦終了していたが、今回スペシャル番組として復活する。パーソナリティーは疋田しおりが務める。番組では、14日に発売となった『コロコロアニキ』第2号を記念して、「第2号発売記念!! コロコロアニキにおける特別漫学!」と題した番組を1時間にわたって放送。ゲストに『月刊コロコロコミック』創刊当時から活躍する漫画家・のむらしんぼ氏と、コロコロアニキ編集部の石井宏一氏を迎えて、『コロコロアニキ』創刊秘話などを披露する。番組はラジオのほか、インターネットやスマートフォンでも視聴することができる。のむらしんぼ氏が出演する第一部では、昨年の『コロコロアニキ』創刊時のエピソードのほか、大反響となった第一号の反響などについてトーク。第二部には『コロコロアニキ』編集部の石井宏一氏が出演。自らもコロコロを読んで育ったという石井氏の熱い思いや、「小学生お断り!」というキャッチコピーに込められた意味、第二号の見どころなどが語られる。ゲストの二人がそろう第三部では、のむらしんぼ氏とその担当編集である石井氏が『コロコロ創刊伝説』を毎回どのように作り上げているのかという創作裏話も。さらに、のむらしんぼ氏からは『月刊コロコロコミック』が創刊された当時の話も披露される。『コロコロアニキ』第2号は現在好評発売中。徳田ザウルス氏の『ダッシュ!四駆郎』を、『シャーマンキング』の武井宏之氏が描くほか、こしたてつひろ氏の『爆走兄弟レッツ&ゴー!!Return Racers!!』も掲載。2大ミニ四駆漫画の共演が実現している。さらに天樹征丸原作・石蕗永地作画の「Yの箱船」を始めとする豪華連載作品がずらり。付録として「ダッシュ!四駆郎」に登場するミニ四駆「ダッシュ3号・流星」のゴールドメッキボディが用意されている。『漫学~Nちゃんねる(仮)~』はラジオでの視聴のほか、放送エリア外であってもインターネットやスマートフォンで視聴が可能。FM西東京市の公式サイト(にアクセスすると自動的に再生開始。スマートフォンでは、アプリ「TuneIn Radio」から「FM西東京」を選ぶことで聴くことができる。『第2号発売記念!! コロコロアニキにおける特別漫学!』は、3月19日22:00より放送スタート。
2015年03月18日文化庁メディア芸術祭「マンガ部門大賞」を始め、第9回手塚治虫文化賞「新生賞」を受賞した漫画家・こうの史代の「この世界の片隅に」をアニメーション映画として映像化するプロジェクトが立ち上がった。このプロジェクトは、サイバーエージェントが手がけるクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」で設立されたが、5日間ですでに資金援助の金額は1,500万円を超え、Makuakeの支援金額歴代5位の記録となっている。こうの氏が第二次世界大戦前後の広島県呉市を舞台に描き、「漫画アクション」(双葉社)にて2007年~2009年の間に掲載された同名コミックを原作とする本作。絵を描くことが好きな少女・すずと、彼女が突然嫁ぐことになった海軍勤務の周作の夫婦のやりとりを通して、戦時中の庶民の日常を丁寧に描き出す。監督には映画『マイマイ新子と千年の魔法』などで知られる片渕須直。監督は、在学中から宮崎作品に脚本家として参加。『魔女の宅急便』(’89)では演出補を務め、その後もTVシリーズ「名犬ラッシー」(’96)、「BLACK LAGOON」(’06)など数々のヒット作を乱してきた。片渕監督は、今回のプロジェクトについて「空を飛ぶものに憧れて、自由に大空を舞う姿を描き出したいと思った頃もありました。けれど、ぽつんと雲の上に浮かぶことが孤高に見えても結局は一人ぼっちなのだと気づいてからは、地の上で暮らす人の姿を画面に描き出したいと思うようになりました。すずさんこそそういう人です。そしてそんなすずさんは、原作漫画を読んだ人みんなから愛されています。すずさんは戦時中の世界で、毎日の暮らしを営み続ける人です」とコメントを寄せる。さらに戦時下の時代を描く本作について「『戦時中の物語』『空襲の登場する映画』というと『小学校の頃、体育館で見せられた教育映画みたいなもの?』と誤解してしまう向きもあるようですが、そうではありません。原作『この世界の片隅に』は、さまざまに新しい漫画表現を凝らして活躍する、こうの史代さんが心血注いだ力作なのです。愛すべきすずさんのいとおしさを、彼女がそこですごす『世界の片隅』のありさまを、そこに流れた大切な時間を、自分にできる限りの理解をした上で、映画の画面の上に描き出してみたい。そう思っています」と語っている。そんな想いを抱えた片渕監督と本作のアニメーションを制作するのは「坂道のアポロン」(’12)、「残響のテロル」(’14)などのTVアニメを手がけてきた「MAPPA(マッパ)」。また、本作の準備にはすでに4年もの歳月が費やされているとのこと。集まった資金は、作品のためのスタッフの確保や、パイロットフィルムの制作に使用されるとのことだ。資金援助は「すでに1,000万円」と前述で紹介したが、プロジェクトの目標金額は「2,000万円」。片渕監督の想い描く世界が映像となってスクリーンいっぱいに広がる日に期待したい。(text:cinemacafe.net)
2015年03月13日はじめまして、漫画家のカレー沢薫と申す者です。と名乗った所で誰も知らないので、あらためて自己紹介させてもらう。漫画家兼会社員生活6年目、「売れたら会社を辞める」が目標だったが、最近では「会社を辞めなくて本当に良かった」が口癖の、まあ木っ端作家である。そんな華やかじゃない方の漫画家の生活を華のない文章でつづるのが当コラムだ。○漫画家をめざしたきっかけ絵を描くことは幼少のころから好きだったが、小学二年生の時に読んださくらももこ氏の代表作「ちびまるこちゃん」の単行本に収録された「作者が漫画家になるまでのエッセイ漫画」を読んで、初めて漫画家という職業を意識し、目指すようになったと思う。その後一貫して「漫画家になりたい」と言い続けてきたが、恐ろしいことにそれから約20年間、私は1回も漫画を最後まで書き上げたことがなかった。漫画家になりたい、と言いながら、キャラクターの設定だけ凝りに凝った漫画の冒頭2ページだけを描いたり、末期になると自分の作品は一切書かず、ひたすら既存のアニメやゲームのキャラクターのキメ顔ばかり書いていた、親に高い金を出させ、美術系専門学校に通わせてもらったにも関わらずである。ボンクラすぎる、と思われたかもしれないが、こういう「漫画を描かない漫画家志望」というふざけた奴らは結構多いのである。ただこういうボンクラどもを一概に責めてはいけない。何故なら漫画を描くと言うのは超面倒くさい行為なのだ。「描き上げる」というだけでも多大な才能がいる、ボンクラに出来るわけがない、むしろ出来る方がおかしいと言ってもいい。しかしこの超面倒くさかった「漫画を描く」という作業も、パソコンツールの発展によりだいぶ緩和されてきた。正直私はパソコン以外で漫画を描いたことがない。もしいまだに漫画がつけペンにインクでしか描けない代物だったら、私は100%漫画家になれていないし、なった所で、原稿は3歳児100人に囲まれて描いたのかと思われるほどさんさんたる物になっていたであろう。私が現在使っているマンガ製作ソフトは「ComicStudioEX 4.0」。ペンタブはワコムの「Cintiq 12WX」を使用している。パソコンは多くのクリエイターがMacを使う中不動のWindowsで、机が狭すぎるためノートパソコンである。こういったソフトのおかげで、黒く塗りつぶす「ベタ塗り」「トーン貼り」などがワンクリックで可能になった。今でこそ当たり前のことであるが、昔は手でイチイチ黒く塗っていたし、トーンはカッターで切ったり貼ったりしていたのだ。この時点でボンクラどもは原稿を投げ出して、アニメキャラクターの模写を始めるところである。○漫画家デビューは規格外の"フォトショ原稿"こうしたツールのおかげで、描かない漫画家志望だった私は初めて投稿作を描き上げることができた、と言いたい所だが、全くそんなことはなかった。応募した漫画賞が「なんでもあり」をうたっており、完成原稿でなくてもOK、漫画原作でも小説でもOK、もちろん何を使ってどんな規格で描いてあってもOKという、間口ガバガバだったのである。今までの漫画投稿と言えばB4サイズにA4の枠を取り、断ち切りサイズは云々、黒インク使用、ボールペン薄墨不可…等々、それだけでバカ野郎の頭を破裂させるに十分なものだったため、正直冒頭2ページどころか枠線さえ満足に描いたことがなかった。しかし、このなんでもありの漫画賞を見た私(当時26歳無職)は、本当に何でもいいんだろうと思い、ブログに載せていた未完の漫画(B4とか一切無視でPhotoshopを使って描かれたもの)をプリントアウトしそのまま投稿したのである。その4カ月後、その原稿がデビュー作として誌面に載り3年の連載となった。こう書くとサクセスストーリー自慢のようだが、その漫画自体は特にサクセスしてないので許してもらいたい。(今後もサクセスの予定はない)このように、漫画家になる術というのは昔より大幅に広がっているのだ、昔であれば限られた雑誌のページを奪いあう形であったが、今ではWebという無限の容量があるし、何で描かれていても問題なく、逆に趣味でWebに発表していたものが出版社の目に止まり書籍化というケースも珍しくない。さらに何が売れてもおかしくない時代なので、たまたまインフルエンザとノロウイルスに同時に罹っていた編集者が、私のような者を「ワンチャンあるかも」と勢いでデビューさせてしまうこともままあるのだ。また前述の通り、漫画を描くソフトの発展も目覚ましいため、近い将来全く絵の描けない人間でも、ツールを駆使すれば漫画家として活躍できる時代がくるかもしれない。と言いたいが、私の漫画を見てもらえればわかるように、最新のツールを使っても、いまだに使い手の技術によるところが大きいのである。漫画制作ツールの開発者の方はもっと頑張ってほしい、私は限界だ。カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。2015年2月下旬に最新作「やわらかい。課長起田総司」単行本第1巻が発売され、全国の書店およびWebストアにて展開されている。
2015年03月03日高知県高知市の高知県立県民文化ホール、ザ・クラウンパレスホテル新阪急高知、得月楼、須崎市の須崎市深浦漁港などで、多くの漫画家たちが集合する「全国漫画家大会議2015 inまんが王国・土佐」が行われる。開催日は2月21日、22日の2日間。○さいとう・たかをや、ちばてつやなど、豪華な顔ぶれ同イベントでは、21人の漫画家と中川翔子さん、水木一郎氏、堀江美都子さん、影山ヒロノブ氏をゲストに迎え、トークショーや講演、ミニライブなどさまざまな催しが行われる。参加する漫画家は、『ゴルゴ13』で知られるさいとう・たかを氏、『あしたのジョー』のちばてつや氏、『釣りバカ日誌』の北見けんいち氏、やささき十三氏、『GTO』の藤沢とおる氏、『包丁人味平』のビッグ錠氏、『アリエスの乙女たち』の里中満智子さん、『毎日かあさん』の西原理恵子さんなど。21日には、オープニングに先立って、北見けんいち氏、やささき十三氏、うえやまとち氏と釣りを楽しめる「釣り好き漫画家との交流イベント」を実施する。高知県立県民文化ホールでは12時~13時まで、オープニングを開催。その後、13時30分~15時まで「世界へ飛び出せ! まんが王国ニッポンの未来を語る!」と題したトークショーと、中川翔子さんのミニライブが行われる。そのほか、15時30分~17時30分まで、ザ・クラウンパレスホテル新阪急高知で「高知家の食卓をマンガで語れ!」、18時~20時には得月楼において「夜さ濃いトークショー」も開催される。22日は、高知県立県民文化ホールにおいて、10時~12時20分まで、ちばてつや氏、里中満智子さんによる事前応募作品への公開アドバイスや、魚戸おさむ氏、安倍夜郎氏がプロの漫画家の技術と発想について講義する「本日開校!まんが大学」を実施。「編集者が明かす売れる漫画家への道」、「日本職業漫画家選手権漫画家甲子園」に続いて、16時からアニソン界のカリスマと言われる「アニソンBIG3」水木一郎氏、堀江美都子さん、影山ヒロノブ氏による「まんが王国・土佐スーパーステージ」が行われ、イベントのフィナーレを飾る。
2015年02月20日手塚治虫タッチのパロディー漫画『神罰』で知られ、著名作家の絵柄をまねたシモネタギャグを得意とする漫画家の田中圭一氏。デビュー当時からサラリーマンを兼業する"二足のわらじ漫画家"としても有名で、現在はBookLiveに勤務する一方で、京都精華大学の講師も務める。そのほか、「田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-」(ぐるなび)、「うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~」(文芸カドカワ/note)、「ハピラジ!」(ニコニコ生放送)など、インターネットを中心に幅広く活動している田中氏。今回、紙からインターネットへ移行した経緯や、インターネットの魅力、漫画家としての今後の展開などをインタビューした。――田中先生はインターネットを積極的に活用されていて、2013年に漫画発表の場を紙媒体からインターネットに移されたとのことですが、どういった経緯だったのでしょうか。ちょうどその少し前から僕の紙の本が売れなくなってきていて、世間でも、雑誌も売れない単行本も売れないという傾向が顕著になってきてますよね。だから、これから先、漫画家で食べていくのに希望的な状況じゃないなと思ったんです。そんな時に、電車で周りを見渡すとみんなスマホをいじっていたんですね。新聞や漫画雑誌を読んでる人はずいぶん減ったけどスマホは見ている。だったらスマホの中で自分の存在感を大きくすることが生き残りの1つの手だなと感じたんです。当初は、特にマネタイズは考えていなかったんですが、Twitterで面白いネタをつぶやいたり面白い画像を載せるとフォロワーが増えるし、これから先スマホやインターネットでみんなもっと情報を得るようになっていくだろうから、その中で生き残るための第1歩と考えたんです。――編集者で漫画原作者の竹熊健太郎さんにも後押しされたとか。竹熊さんが2010年くらいから、これからは「街のパン屋さんのような漫画家を目指せ」とおっしゃっていて。彼が紙の本からの仕事がなくなってスランプになっていた時期に、周りから勧められて『たけくまメモ』というブログを立ち上げたんですよ。そうしたら一気に固定ファンが数万人できて。これからの漫画家は、大手のメジャー雑誌に載ってミリオンセラーを出して豪邸を建ててというのが年々難しくなってくるから、数万人でもいいから固定ファンを捕まえてその人たちが欲しいもの、望むものを提供することでマネタイズをしていくのが良いと。それはすごく正しいなぁと思っていて。それを見ていたから、最初は自分も興味本位でおもしろ画像などを上げている内に、リツイートが増えて、フォロワーが増えて、「あー、これはメディアなんだ」とわかったです。――実際にSNSを始められて実感したんですね。当時、前の会社で「コミPo!」という漫画制作ソフトを発表する際に、プロモーションムービーを作って発売前に一部の関係者用にWEBにアップしたんですよ。その時にアルファブロガーの小飼弾さんにも見てもらったんだけど、「発表会が来週ありますよ」という告知をした時に、「ようやく発表ですね」と一部の関係者しか公開していなかったムービーのURLをうっかりTwitterに載せてしまって…。そしたら一気にダーッとリツイートされてサーバーもパンクして、その時にツイートをエゴサーチするとドンドン話題が増えていくのがリアルタイムで見れて、「バズられるってこういうことなんだ」とわかったんです。それまでもバズるとかバイラルっていう言葉は知っていたんだけど、1秒に何十人もリツイートされるという経験を初めてしたんですよ。――個人がすごい影響力を持つ、と。「コミPo!」でコンテストをした時、中に1人すごく面白い漫画を作ってくる人がいて、それがダ・ヴィンチ・恐山さんでした。彼は芸能人でもない普通の人なんだけど、彼のツイートはものすごく面白くて、それがドンドンとバズられて多くのフォロワーが付いたんです。その時、「Twitterって、有名人でなくてもバズられればフォロワーが集められるんだ」とあらためて思ったんですよ。僕も初めは、なにげなくおもしろ画像を投稿していたら、ついっぷるの人気画像ランキングに入って、僕のフォロワーじゃない人の目にも触れてドンドンとリツイートされて、フォロワーも増えたので、「これは面白いな」と思いました。ツイートや画像を何時ごろに上げればバズられやすいかとか、どんなネタが受けるのかとか、Twitterを使って、個人でのマーケティングリサーチをできることに気付いたんですね。――ご自身でマーケティングリサーチまでされているなんて驚きです。私はこれまで雑誌のアンケート結果ってあまり教えてもらえなかったんですよ。ギャグ漫画でページが少ないとアンケート上位に行くことは難しくて、編集さんも気を遣ってくれて「一部では好評みたいですよ」くらいしか教えてくれなかった。ただ、個人的には、今回こういうネタだからこういう反響があった、というデータが欲しかったんですね。この時間にこのタイミングでこのネタを上げたらリツイートされた、勝因は何だろう、自信満々のネタが全然ウケなかった、敗因は何だろう、みたいな。こんなことを繰り返し、ずーっと自分のデータとして蓄積していったんです。そこから、もちろんマネタイズは無視して、「ウケたいという気持ちだけで、いかに多くの人を笑わせられるか?」ということをやり始めたんです。――ファンの方と直接的な交流が生まれたんですね。そんなことをしているうちに、僕のネタ画像を見た編集者からWEBでの連載依頼が来て、そこに載った作品をTwitterやFacebookで情報発信してバズられて…という良いスパイラルになった。紙の雑誌に固執していたら、世の中に作品を発表できなかったかもしれない。これによって、「田中圭一をフォローしておくと面白いものが色々とくるぞ」というフォロワーとの信頼関係ができたっていうのは、これから電子化が進むという時期に、うまくSNSの波に乗れたなと思いますね。――そうしてインターネットの影響力を実感される中で、電子書籍の可能性と課題についてもお聞かせください。日本の家電メーカーにぜひ言いたいのは、日本って世界的に珍しく国民がすごく本を読む国だということ。日本人は知識欲が旺盛で、本を読むことが好きですよね。にもかかわらず、なんで電子書籍デバイスを日本人に合う形で作らないのかと思うんですよ。スマホはアメリカ製か韓国製で、手帳サイズで、さすがに漫画を読むにはきついですよね。タブレットは、サイズはちょうどいいですけど重い。だったら、もっと薄くて軽くてペラペラで、筒から巻物のように液晶画面がひゅっと出せて、雑誌の見開きサイズで読めるような端末ができるといいですよね。日本のメーカーが本気出せば簡単にできそうなもんじゃないですか。それによって電子書籍の市場ってもっと広がりそうなのに、やらないでしょ、どこも。電子書籍の漫画が読みづらいという人もいますが、新しいデバイスなら解決できる。ガラパゴスでもいい。日本市場って本に関しては大きいはずなので。――デバイスの進化には期待ですね。コンテンツ側で電子書籍に期待することはありますか。たくさん言いたいことはありますね。昔、ケータイコミックなどで音が出るものがありましたが、あまり流行らなかった。デジタルならではの面白い仕組みはあったんですが、それを最大限に使う作品・キラーコンテンツがなかった。やはりこういったものを普及させるのはキラーコンテンツありきですよ。例えば、デジタルデータなんだから、1ページ目からラストまで1本道である必要はないですよね。ゲームが得意としているストーリーの分岐とか、最初に自分の名前を登録すると、漫画の主人公の名前が自分の名前になるとか。分岐に関しても、アドベンチャーのように選ばせるのもあれば、ランダムに変わるというのもあるとか。そういった仕様も技術的には難しくない。問題は、そういう面白い仕組みを活かしたキラーコンテンツがあるかどうか。器を作ったら、器に見合う料理を考えなきゃいけなくて、漫画家さんなりクリエイターさんが、新しい仕組みに見合う作品を作って、1作品でもヒットが出れば、「この手法があるなら俺ならこう活用するぜ」という人が続々と出てくる。それが電子デバイスで本を読む新しい形にならないかなと思っています。――田中先生もそういう作品を作ってみたいですか。作りたいですね。たとえば、(主人公が複数存在し物語が並行して進む)ザッピングの作品ができないか、とか。とある夫婦が登場する作品で、奥さん目線では幸せなストーリーなんだけど、旦那さん目線では悲劇だとか。他には、最初のページで「あなたはどの漫画家が好きですか」というアンケートがついていて、手塚治虫とか松本零士とか選択肢を選んでもらって、ストーリーは同じでも、選んだ作家の絵柄に変わるとか。手塚治虫の絵で読んだ後に松本零士の絵に切り替えると微妙に違っていて、「こう違うんだ」というようなところを楽しむとか。デジタルの時代の表現方法の1つだと思います。――いろんな可能性がまだまだあるんですね。あるんですよ。誰かがキラーコンテンツを出して、そればブレイクした時こそ、新時代が来ると思います。僕も実験的に、なにかやってみたいと思うんですよね。ホラー漫画は僕の絵じゃ合わないかもしれないけど、じつはやりたいんですよ。例えば作品の中に、"読んだら死んじゃう漫画"というものが登場して、登場人物がその漫画を読んで次々に死んでいくというストーリー。これは、当然フィクションなので、実際にこのデジタル漫画を読んだ読者が死ぬわけじゃない。でも、ストーリーを読み進めていくと、最後に「この漫画は絶対に読み返してはいけない」と書いてあるページが開かれて、作品は終わる。それを、たまたま2回目に読んだ読者がいたとしたら、冒頭に「なぜ読み返すなと言ったのに読んだのか!」と書いてあって、つまり1回目に読んだときと中身が変わってしまっている。この恐怖ってハンパないと思います。これで読者が作品の中にイッキに引き込まれていくとか。――田中先生は現在、電子書籍の「BookLive!」にお勤めですが、最近話題の漫画家さんへのインタビューコーナー「わが生涯に一片のコマあり」についても教えてください。どういった経緯で始まった企画なんですか。BookLiveの社員の方から、以前に私が実施した藤田和日郎先生のインタビューがすごく好評だったので、ああいうものを定期的にできないかという依頼があったんです。コーナー化するにあたっては、ネットで読ませるための文字数の上限やテーマ設定など、いろいろと改良が必要な点がありました。そうした時にある方から、「"作者の渾身の1コマ"に絞ってはどうですか」というアイデアが出た。それならワンテーマだし文章も短くて済むし、焦点もはっきりする。他でもやっていないと。そして別の方が「わが生涯に一片のコマあり」というぴったりのタイトルを考えてくれた。そうしてこのインタビュー企画が始まりました。第1回ゲストの新條まゆ先生が、こちらが望んでいたとおりのお話をしてくれましてね。新條先生の連載が打ち切りになりそうだった時期に、「渾身の1コマ」を描くことで盛り返して人気が回復して行った、というような。そこで弾みがついてコーナーが続いています。――このコーナーはTwitterなどでもすごく評判なのですが、インタビュー時にこういうことを聞こうというのは何かあるのでしょうか。そうですね。僕も漫画家なので、この作品のここはすごく苦労して描いててるなっていうのがわかるんです。例えば東村アキコさんの場合は、『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ/秋田書店)や岡田あーみんさんの漫画が大好きで、それが引き出しになっていて今の作品を描いているとおっしゃっていて。自分もギャグ漫画家として、小さい頃好きだった漫画はあれとこれとこれで、それが組み合わさって今の漫画になっているというのがあるので、すごくわかるというか、お互い「そうだよね」というのがあるのは作家同士ならではだと思いますね。――なるほど。漫画家同士だからこそわかる世界観が、あのインタビューを生んでいるんですね。そうした幅広い活動をされている田中先生ですが、今年から京都精華大学で「ギャグマンガコース」の講師もされています。そのお話もぜひ聞かせてください。本当は竹熊健太郎さんの助手で入る予定だったんだけど、急きょ竹熊さんが休学されるということになって、あとは任せたと(笑)。経験もないし、忙しくて準備もできてないしで、バタバタとしたスタートでした。始めてみて思ったのは、生徒に教えるためにはロジックを自分で整理して伝えなきゃいけないということ。今まで直感で、つまり右脳でやっていたものをロジカルに整理することで自分にも気づきがあったんです。例えば、読者に「こっちだよ」とわざと思考をミスリードさせておいて、実はこっちだったみたいな意外性というかギャップが笑いを生むんだ…とかね。――教えることを通じて、田中先生ご自身も表現の理論を改めて整理できたんですね。どうしてこれは面白いんだろう、と常に分析しながら見るという視点も持つようになって、他の仕事にも良い効果が生まれましたね。先ほどのインタビューコーナーも、この作品はどうして泣けるんだろう、とか分析しながら作品を読んでいますし、今ぐるなびで連載している『ペンと箸』も、事実をそのままの順番で漫画にするのではなく、話の順番を入れ替えることでより感動が伝わるな、とか。いろいろと並行してやっている仕事がそれぞれ役に立っているんです。――これまで若い漫画家志望の方に教える機会はあったのでしょうか。今まで何人か、漫画家志望の若いアシスタントが来たことはあったけど、あまりギャグ漫画家になりたいという人はいなかったから、教えられることがあまりなかったですね。でも今は、大学でギャグ漫画家になりたいという人に教える訳だからやりがいもあります。京都精華大には「ストーリーマンガコース」と「ギャグマンガコース」があって、ストーリーマンガコースに落ちたからギャグマンガコースに来た人もいるんだけど、そうした中にもすごくギャグセンスのある学生もいる。プロになろうと思ってなくてもポテンシャルがあったり、センスを秘めている人はいっぱいいて、そういう人には「君はギャグに向いているから磨いていこうよ」という話もできますよね。――違う道を目指そうとしていた人が、ギャグ漫画家になって良い作品を生み出して、読者を楽しませていくというのは素晴らしいですね。本人もたぶん、ストーリーマンガコースに行ってたら生徒数も多くて競争率が高かったりで挫折してしまったかもしれないけど、ギャグマンガコースは人数も少ないから、その中で「イケてるぞ」となれば、自信もつくんじゃないでしょうか。竹熊健太郎さんが「電脳マヴォ」っていう無料の漫画サイトをやってるんですが、ギャグマンガコースで才能を持った人はそこでも紹介していきたいと言っていて、生徒さんが納得してくれればそこに作品をアップして世の中の多くの人に見てもらう機会を持つというのも、ありかなと思っています。そこで編集者の目に止まって商業誌デビューを果たす、という道もあるかもしれないですし。――インターネットならではの作品の見せ方ですよね。「note」っていうSNSで人気の『岡崎に捧ぐ』という漫画がものすごく読まれていて、作者の山本さほさんは、現在いろんなところから引っ張りになっているんですよ。内容は「ちびまる子ちゃん」的な作品なんですが、「ちびまる子ちゃん」よりももう20才くらい下の世代にすごくささっていて。ちびまる子って10年ごとに、つまり年代ごとに作ればいいんじゃないかと思ったりね(笑)。とにかくその漫画、面白いんですよ。ネットで人気を博して商業誌に行くっていうのもあるんですよね。こういう言い方はよくないんだけど、漫画家志望って編集さんとそりが合わなくて、デビューはしたものの連載を取れないまま何年かの時間をすり減らしてしまうこともある。でもネットに上げると、支持してくれる人が何人いるかが数字でわかるので、結果が悪ければすべて自分の責任です。冷酷ではあるものの非常に平等な発表の仕方ですよね。そういう方法でのデビューもあると思ってまして、竹熊さんの「電脳マヴォ」などからデビューするというのもあると思うんですね。――このようにファンの方と直接つながれる時代に、出版社の役割とは何だとお考えでしょうか。やっぱり大手の出版社の編集さんって、すごく特殊なノウハウを貯めている方がいて、新人が持ち込みしてきてから一人前にして世に送り出すまでのトレーナーとして一流な人もたくさんいるんですよ。それを分っていない人は編集者を軽視する発言をしがちですよね。WEBとかブログで人気になった漫画家さんが10年、20年と食べていけるかというのは、トレーナーの力量も大きいと思います。あとはアシスタントに入ってそこの先生に学ぶとかね。そういう道のメリットもたくさんあると思いますよ。ネットはそういう工程をすっとばせるから便利だと言われがちですけど、最初はビギナーズラックでヒットを打てても、2打席目から打てない人もいて、とにかく編集者や師匠から教えや、漫画家としての基礎体力作りを軽視してはいけないと思いますね。――ある作家エージェントの方がおっしゃっていたんですが、「0を1まで売るのはエージェントの役割だけど、1を100にするのはやはり出版社さんが強い」と。どちらが良いではなくて、それぞれ役割があるということでしょうか。大手の出版社さんって編集者が優秀だからミリオンセラーが出ると思われていますが、それに加えて営業の方のスキルも高いからだと思いますよ。僕も営業やっていたからわかるんですが、良いものを良いと伝えて書店さんを説得するのは営業さんの力なんですよね。だから1万部を100万部にするのは、販促やキャンペーンも含めた営業力だと思うんですよ。ネットで作品を出した人がそこまで行けるかというと、営業さんが後押ししてくれないとなかなか難しいですよね。ネットでヒットした『きょうの猫村さん』(ほしよりこ/マガジンハウス)とか、『となりの801ちゃん』(小鳥アジコ/宙出版)とかは、紙の本になって初めて大きくマネタイズができたわけじゃないですか。ネットだとただの人気者で終わってたかもしれない。だから、出版社が今も作家さんにお金をもたらす重要な役割を担っているのは確かですよね。今後は電子書籍ストアとか先ほどの「note」とかで作家が直接売るというの時代が来るかもしれませんが、それはそれで作家自身の営業力が必要だと思いますよ。ネット上には様々なコンテンツがものすごくたくさんあるので。――田中先生が先日から参加されている「ハピラジ!」についても教えてください。ニコ生(ニコニコ生放送)で「ハピラジ!」というWEBラジオを始めることになりまして。この番組というかシリーズは、声優さんを中心にやってきて、漫画家は僕が初かもしれません。番組としては、企画の担当者が面白いコーナーとかを考えてくれていて、ニコ生を使うので、音だけじゃなくて時々絵を描いたり大喜利のようなこともやっていきます。僕が描いた絵に声優さんが声を当てたり、4コマ漫画の3コマまでを僕が描いて4コマ目を募集とか。ラジオなんだけど、ところどころ絵も入っている感じで今の時代ならではの番組ですね。――田中先生はTwitterやFacebookも活用されていますが、ニコ生をやろうと思ったのはなぜですか。もともとニコ生は個人でもやりたかったんですが忙しくて手をつけられていなかったところに、ハピラジ!のお話をいただいてぜひやらせてくださいと。一人で全部やるのは大変ですからね。FacebookとTwitterとニコ生は個人で出来るプロモーションとして、3つでセットと考えています。Twitterは瞬発力、バイラル力はあるけど、すぐタイムラインが流れてしまう。Facebookはもう少し滞留しますし、もう少しお友達限定というクローズドな部分がある。音声は生放送でリアルタイム性がある。この3つを組み合わせるのが1番効果的だと思っていたんです。だから、ニコ生を始めたのはちょうどいいタイミングでした。今後、以前に勤めていたソフト会社で企画していた『ライブアニメ』という、音声に反応してアニメのキャラが操作できるソフトを使った放送などもやってみたいなと思っています。アニメキャラによる生放送です。――次々と新しい取り組みをされている田中先生ですが、最後に、漫画家・田中圭一としての今後の展開について教えてください。僕が今52歳だから、健康にペンが握れるのはあと20年なんですよね。土日しか描いてないから、計算するとあと単行本15冊しか死ぬまでに出せないな、と最近考えています。つまり、残された時間と描ける作品数は限られています。なので、山のようにある「やりたい企画や作品」の中から「何を諦めて、何をやるか」を考えなきゃいけない歳なんですよね、52歳って。これまで温めて実現できていない企画の中で早めに着手しないとダメなものを、優先的にやっていきたいと思っています。ここ2、3年はそこに力を注ぎたいなと。さっき言ったインタラクティブな漫画もその1つなのでぜひ実現したいですね。
2014年12月26日© wisut ponnimitタムくんの愛称で知られるタイの漫画家でアーティストのウィスット・ポンニミット氏は12月19日(金)~ 翌年1月18日(日)まで展覧会「マムアンちゃんHAPPY NEW ME」を六本木ヒルズA/Dギャラリーにて開催する。今回は、新作のドローイングと版画作品を展示。また展覧会に合わせてウィスット氏本人も来日、同氏を代表するキャラクター「マムアンちゃん」のアニメーションを使ったライブイベントを開催する予定だ。タムくん漫画でおなじみの女の子「マムアンちゃん」は、実はウィスット氏が2003年から2年半の日本滞在中に創りだしたキャラクター。悲しいことがあったら泣き楽しいことがあったら笑うピュアで愛らしい女の子で、LINEスタンプや、ファッションブランドne-netとコラボ、雑誌「BIG ISSUE」や「翼の王国」に登場するなど、タイや日本をはじめとするアジアで人気を博している。年末年始のタイミングで、マムアンちゃん、そしてタムくん自身の、柔らかで優しい世界観の中、心のリセットをしてみてはいかがだろうか。【作家プロフィール】ウィスット・ポンニミット / 1976年、タイ・バンコク生まれ。愛称はタム。1998年バンコクでマンガ家としてデビュー。2003年から2006年神戸在住の後、現在バンコクを拠点に作品制作中。「マムア ン」シリーズ、『ブランコ』(小学館)、『ヒーシーイット』 (ナナロク社)など作品多数。2009年『ヒ ーシーイットアクア』が文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞。アニメーションの制作や音楽 活動もしており、2013年には原田郁子(クラムボン)と共にCD「Baan」を発表。>>公式ホームページ
2014年12月05日漫画『ツルモク独身寮』などで人気の漫画家・窪之内英策氏が、9月6日~14日に台湾で初めて個展を開くことが明らかになった。台湾では今年、窪之内氏原作の漫画『ショコラ』(長澤まさみ主演)がTVドラマ化され、ヒットした事を受けての開催となる。会場内には漫画連載時の原稿や原画を展示し、ライブドローイング、サイン会、生原画のオークション等が行われる予定だという。もともと台湾を含むアジア圏では、『ツルモク独身寮』や『ショコラ』(日本での放送はホームドラマチャンネルにて8月28日より毎週木曜日深夜1:15~2:15/全22話)などの翻訳版が刊行されており、熱烈なファンが多い。今年の1月には長澤まさみ主演で『ショコラ』がドラマ化、また数年前には『ツルモク独身寮』もドラマ化されており、共に大きな話題となった。特に「ショコラ」については視聴率も良く、台湾の人気ドラマの一つになっている。『ツルモク独身寮』は、1988年から1991年まで漫画誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載された同氏の代表作で、「ツルモク家具」の新入社員・宮川正太と、彼が住む独身寮の住人たちとの人間模様を描いたラブコメ漫画。『ショコラ』は、ケーキ屋に転身した元暴力団員と、そこに転がり込んできた16歳の娘が織りなす人間ドラマを描いた作品で、漫画誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて1999年から2003年まで連載された。イベントではこれら漫画作品の原稿や原画展示のほか、イベント初日である6日~7日には、窪之内氏自身も滞在し、ライブドローイングやサイン会、生原画のオークションが行われる予定だ。日本では今年4月、吉祥寺で行われた窪之内英策氏の初の個展「まむがや大図鑑」が開催され、大盛況となった。その個展に対して、海外のファンから「見に行けなくて残念だ」「ぜひ日本以外でも行ってほしい」等の要望が多数寄せられたことが、今回の台湾開催のきっかけになったと関係者は話している。また、窪之内英策氏はTwitterやFacebookでも積極的にイラストを発表しており、こうしたネットでの活動に対して、日本だけでなく海外(特に台湾)からも大きな反響があるのだという。今回の個展「漫画屋大図鑑」は、9月6日~14日にかけて、台北にて開催される。会場の詳細などは以下の通り。■窪ノ内英策台湾初個展 - "漫画屋大図鑑"Kubonouchi First Taiwan Personal Exhibition-"Mamugaya Daizukan"展出資訊/Exhibition Info -日期/Date - 2014/09/06~09/14時間/Hour - 13:30~22:00地點/Place- Paradise Taipei 台北市敦化南路一段187巷17號地下室- Paradise Taipei No.17, Lane 187, Sec 1, Dun Hua, S. Rd., Taipei
2014年09月02日漫画家による仏の世界展実行委員会は3月20日~4月6日、京都府京都市・東寺にて、「漫画家による仏の世界展」を開催する。○日本の漫画家50名が、独自のタッチで「仏」を描く展覧会同展は、 日本の漫画家50名が、独自のタッチで「仏」を描く展覧会。日本の「漫画」は、今やこの国を代表する文化として世界を席けんしている。同委員会は、この世界に誇れる漫画文化の継承として、現在活躍中の著名な漫画家にそれぞれのタッチで「仏」を描いてもらい、有名寺院などで展示会を開催するプロジェクトを展開、今回が1回目の開催となる。今回の開催地は、漫画の祖といわれる「鳥獣人物戯画」が生み出された京都にこだわり、東寺(教王護国寺)となる。漫画家の中には、キャンパスに描く前にみそぎをし、今回の作画に臨んだ人もいるという。出展漫画家は、赤塚不二夫、いがらしゆみこ、池上遼一、板橋しゅうほう、植田まさし、ウノカマキリ、浦沢直樹、江口寿史、桜夛吾作、荻野真、一峰大二、神谷和子、木村直巳、クミタリュウ、小島功、さいとう・たかを、佐伯かよの、里中満智子、志賀公江、ジョージ秋山、管ナオコ、ちばてつや、土山しげる、手塚プロ、寺沢武一、中山星香、永野のりこ、西田淑子、西村宗、新田たつお、花村えい子、林家木久扇、バロン吉元、臂美恵、ビッグ錠、藤井龍二、牧美也子、牧野圭一、松本零士、三浦みつる、南久美子、宮島幸次、本宮ひろ志、森田拳次、やの功、矢野徳、山根青鬼、六田登、渡辺みちお、ほかの各氏(敬称略・五十音順)。展示作品は、絵の大きさが基本B3サイズ(漫画家により別サイズのものもあり)で、作品とともに、画題や、各氏の写真と紹介、それぞれの絵に対する想いやコメントが添えられている。開催日時は、3月20日~4月6日 9時~17時(閉館30分前まで入場可能)。会場は、世界遺産 京都 教王護国寺(東寺) 東寺 食堂(京都府京都市南区九条町1番地)。入場料は、大人500円、子供(中学生以下)300円。今後は、全国の寺院で順次開催を予定しており、漫画家が描いた様々な「仏」=「こころの世界」が観覧可能となる。第2回開催は、5月1日~13日、東京 増上寺 本堂下三縁ホールでの開催を予定している。その他、詳細は同展Webページを参照のこと。(C) 護留護天(さいとう・たかを)、弁財天(小島功)、レレレ千手観音(赤塚不二夫)、エル菩薩と春助地蔵菩薩(三浦みつる)
2014年02月28日漫画家による仏の世界展実行委員会は、日本の漫画家50名が、独自のタッチで「仏」を描く展覧会「漫画家による仏の世界展」を全国の有名寺院などで開催する。第1回の開催地は京都 東寺(教王護国寺)。会期は3月20日~4月6日。開館時間は9:00~17:00(閉館30分前まで入場可能)。入場料は大人500円、子ども(中学生以下)300円。この催しは、今や日本を代表する文化として世界を席巻している「漫画」文化を継承すべく行われるもの。現在活躍している著名な漫画家たちが、それぞれのタッチで「仏」を描いた作品を展示する。展示作品は主にB3サイズで、画題や各漫画家のプロフィール、それぞれの絵に対する想いやコメントが添えられている。作品の中には、「ゴルゴ13」で知られるさいとう・たかをが描いた「護留護天」や、赤塚不二夫が「天才バカボン」に登場するレレレのおじさんを元に描いた「レレレ千手観音」などがある。第1回目となる今回の開催地は、日本最古の漫画と称される「鳥獣人物戯画」が生み出された京都にこだわり、京都市南区九条町にある世界遺産、東寺(教王護国寺)にて開催。その後も全国の寺院にて順次開催が予定されている。第2回は東京都・港区の増上寺にて、5月1日~5月13日にかけて開催される。なお、出展漫画家は、赤塚不二夫、いがらしゆみこ、池上遼一、板橋しゅうほう、植田まさし、ウノカマキリ、浦沢直樹、江口寿史、桜夛吾作、荻野真、一峰大二、神谷和子、木村直巳、クミタリュウ、小島功、さいとう・たかを、佐伯かよの、里中満智子、志賀公江、ジョージ秋山、管ナオコ、ちばてつや、土山しげる、手塚プロ、寺沢武一、中山星香、永野のりこ、西田淑子、西村宗、新田たつお、花村えい子、林家木久扇、バロン吉元、臂美恵、ビッグ錠、藤井龍二、牧美也子、牧野圭一、松本零士、三浦みつる、南久美子、宮島幸次、本宮ひろ志、森田拳次、やの功、矢野徳、山根青鬼、六田登、渡辺みちおといった面々となっている。
2014年02月27日竹書房はこのほど、書籍『まだ間に合う30代からの貯金改革』を発売した。著者は漫画家のマキヒロチ氏とファイナンシャルプランナーの大竹のり子氏。価格は1,155円。人気漫画『いつかティファニーで朝食を』の著者のマキヒロチ氏を、ファイナンシャルプランナーの大竹のり子氏が指南。「『自分にとって大切なもの』をあきらめずに、まずは"100万円"貯める方法」を伝授する。家計の簡単な把握&見直し方法をはじめ、30代の年収の現状、税金との上手な付き合い方、自分に合った銀行の選び方、損をしない保険の選び方など、「貯金体質」になるために必要な方法を紹介している。マキヒロチ氏は第46回小学館新人コミック大賞入選。『ビッグコミックスピリッツ』にてデビュー。『CANCAM』『SEDA』『コミックバンチ』『女性セブン』『本当にあった笑える話』などで活躍している。著書に『旅する缶コーヒー+』(実業之日本社)などがある。大竹のり子氏はエフピーウーマン代表取締役、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。出版社の編集者を経て、2005年4月に女性による、女性のためのお金のクリニック・エフピーウーマンを設立。雑誌、講演、メディア出演も多数行っている。
2014年01月30日永谷園は11月中旬より順次、生姜入り紅茶飲料『「冷え知らず」さんの生姜チャイ』(秋冬期間限定)と漫画家、安野モヨコがコラボレーションした限定デザインボトルを、JR東日本・JR西日本の自動販売機と全国コンビニエンスストアにて発売する。○安野モヨコ描き下しのオリジナルイラストを採用『「冷え知らず」さんの生姜シリーズ』は、オフィスで働く女性をターゲットに2007年6月に発売した商品シリーズ。今回は、『働きマン』『ハッピーマニア』などで、働く女性に人気の高い漫画家・安野モヨコ氏との初コラボ商品となる。働く女性のオシャレで凛々しい表情と、「冬だからって、冷えてる場合!?」というオリジナルコピーをデザイン。イラストは同商品のためだけに新たに描き下ろしたオリジナルのイラストとなっている。なお同デザインボトルは、2013年の限定デザインとなる。価格は150円。
2013年11月11日東日本大震災において、日本中だけでなく世界各国からもさまざまな支援の活動が展開されています。そのなかから、漫画大好き派の一人として、日本の漫画家たちの支援活動をまとめてみました。■応援メッセージイラスト・漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)の公式ウェブサイト(では、『ドラゴンボール』の作者・鳥山明さんをはじめ、『ONE PIECE(ワンピース)』の作者・尾田栄一郎さん、『HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)』の作者・冨樫義博(とがし・よしひろ)さんら同誌で連載する漫画家たちから寄せられたメッセージイラストが掲載されています。・講談社のウェブサイト(には、「がんばろう!日本。」と題し、講談社のコミック誌に登場する約20体のキャラクターがそろったイラストが掲載されています。『はじめの一歩』(森川ジョージ)の主人公・幕之内一歩、『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子)の主人公・野田恵、千秋真一らの顔がずらっと並んで壮観です。・講談社の青年漫画誌『モーニング』の公式サイト『MORNING MANGA.com』(では、同誌に連載をしている『20世紀少年』、『BILLY BAT(ビリー・バット)』の作者・浦沢直樹さんや、『チーズスイートホーム』の同・こなみかなたさんら漫画家36名が、次々と被災者へエールを送るイラストをアップしています。・講談社の公式ポータルサイト「講談社コミックプラス」内の青年漫画誌『アフタヌーン』のウェブサイト(では、『謎の彼女X』の作者・植芝理一さんや、『ハトのおよめさん』の同・ハグキさんら12名が、青年漫画誌『イブニング』のウェブサイト(でも、『係長島耕作』の作者・弘兼憲史(ひろかね・けんし)さん、『よんでますよ、アザゼルさん。』の同・久保保久(くぼ・やすひさ)さんらによる同様の活動が展開されています。・小学館内のウェブサイト(では、『僕は妹に恋をする』の作者・青木琴美さんや、『砂時計』の同・芦原妃名子さん、『ココロ・ボタン』の同・宇佐美真紀さん、『君と恋を知った』の同・吉永ゆうさんらの応援メッセージが掲載されています。・『Kanon(カノン)』(TVアニメーション東映版)や『Air(エアー)』(劇場アニメ版)のプロデューサーであり、イラストレーターの横田守さんは、自身のツイッター(を通じて、「いろいろ悩んだが、今日日曜日にアニメを見れない子供達に・・と・・すこしでも元気ずけられれば・・・(自分のフォロワーさんはお父さんが多いみたいなので・・)」(原文そのまま)とコメントし、『ONE PIECE(ワンピース)』(尾田栄一郎)や『戦国BASARA(バサラ)』(CAPCOM)など、さまざまな作品のキャラクターを「趣味」で描いた自己流のイラストを発表しています。・『旅ボン』(ゴマブックス)の作者でイラストレーターのボンボヤージュさんは、自身のウェブサイト(で、「なにもできませんが少しでも元気になれる手助けができればと思い…(略)…必要な方がいらっしゃれば自由に持って行って下さい」という手描きメッセージを添えて応援イラストをアップしています。■チャリティー漫画の販売・少女漫画雑誌『なかよし』(講談社)に連載している漫画家有志らが中心となり、被災者支援を目的としたチャリティー同人誌が制作されることが決定しています。作家陣の中には、漫画『のだめカンタービレ』の作者・二ノ宮知子さんや、『GTO』の同・藤沢とおるさんらが参加とのことです。この活動では、「東日本大震災チャリティー同人誌(仮)」と名づけたチャリティーサイト(が設立され、趣旨に賛同した漫画家らが協力しています。ほかにも、『ホタルノヒカリ』の作者・ひうらさとるさん、『スクールランブル』の作者・小林尽(こばやし・じん)さん、『FAIRY TAIL(フェアリーテイル)』の作者・真島ヒロさんらが名を連ね、印刷費などの経費を除いた同人誌の売り上げの全額を寄付するとしています。・『パフェちっく!』(集英社)などの作者で少女誌『マーガレット』(同)に連載中の作者・ななじ眺(ななじ・ながむ)さん、『お嬢様はお嫁様』(集英社)の同・葉月めぐみさんほか有志の漫画家がチャリティー漫画本を発行し、その売り上げ全額を寄付するという動きもあります。■応援イラストのアイテム化・漫画『スラムダンク』、『バガボンド』などの作者・井上雄彦(いのうえ・たけひこ)さんが、東日本大震災発生直後の3月12日から「Smile」と題した笑顔のイラストを続々とツイッター(にて公開し続けて話題になっています。その主旨に賛同した人気アパレルブランド「BEAMS(ビームス)」が、Tシャツ専門レーベル『BEAMS T』で同イラストをプリントした「"Smile"チャリティーTシャツ」(税込2,940円)を発売開始(。制作費を差し引いた収益の全額を義援金として、緊急支援団体「CIVIC FORCE(シビック・フォース)」へ寄贈します。また「Smile」のポストカード集「Smiles」(16枚セット3種類、各900円)が、4月15日より全国の書店などで発売され、収益が義援金として寄付されます。漫画家の皆さん、ありがとうございます!次々と展開される皆さんの支援活動情報に触れるにつれ、日々元気をもらっています。私も感謝を込めて、チャリティー漫画雑誌や同人誌を購入して支援に参加したいと思います。(品川緑/ユンブル)【関連リンク】【コラム】絵本でつながる被災地支援【コラム】ファン必見!漫画『ONE PIECE』の泣けるシーンランキング!【コラム】あなたが選ぶ史上最強の「ギャグ漫画」と言えば?
2011年04月04日『締め切りに間に合わないわー!きゃー!!』……私の職業、ライターでもこういった修羅場はよくありますが、もっと有名なのは漫画家さんの修羅場。それは想像を絶するものだとか……?果たしてその現場とは!?■先生が消えた(アシスタント・Hさん)「アシスタントが仮眠から起きたら、先生の姿が消えていた。まさかの脱走!?と思っていたら、押し入れの中から、犬の鳴き声が。開けてみたら先生が犬を抱いて眠っていた」聞いてみたら、押し入れの中に入った記憶も寝た覚えもないとのこと。どうして押し入れで寝ているのか聞いたら「寝ているのが見つかったら怒られると思ったんだろうな」と先生。お気持ちお察しします……。■悪夢(漫画家・Sさん)「締め切り直前に寝ると『やってもやっても終わらない原稿をずっとやってる夢』を見ます。実際には原稿が終わってもまだその夢を見ますが。修羅場中は強迫観念が強くなるからでしょうね。終わっても終わった気がしません」原稿が終わって、「これで解放された!」と思って眠るのに、夢の中でエンドレスな原稿作成なんて、悪夢以外のなんでもありませんね……。休んだ気がしなさそう。■幻覚?(イラストレーター/漫画家・Hさん)「幻覚を見ます。実際の風景の影部分が漫画の原稿でよく使うトーンのドット模様で見えることがあります。トーンを見すぎて瞼にドットが焼きついて残ってるのかもしれないんですが」風景の影が全部ドットって、気が変になりそうですね。■恐怖で心がマヒ(アシスタント・Aさん)「とにかく厳しい先生で、仕事中ずっと怒られっぱなし。勉強にはなるんだけれど、迫りくる締め切りと、先生からの叱咤にずーっとビクビクしている。締め切り明けは感情が無の状態に。もうあの現場は行きたくない……とも思うんだけど、締め切りを乗り越えるたびに上達しているのが分かるからやめられない」その逃げようとしない心意気がいつか必ず大成功を呼びこんでくれる?■聞き間違いに気付かない(アシスタント・Sさん)「修羅場中って睡眠不足と締め切りという縛りで、体力的にも、精神的にもギリギリのところにいるので聞き間違いが増えます。そして間違いに気付きません」普段なら絶対にしないような聞き間違いも多いのだとか……。今回お話を伺った皆さんがつらいエピソードを紹介してくださいましたが、なぜかこの仕事を辞めたくはないご様子。聞くと、修羅場はつらく苦しいものだけれど、それを乗り越えると必ず成長しているのだとか。「これまでは1週間かかっていた原稿制作が3日で描けるようになった」、「風景画の腕が断然あがった」どんな分野であれ、成長のためには修羅場は越えてみるべきかも?(ふくだりょうこ/プレスラボ)【関連リンク】アナタが体験した“修羅場”を教えてください!!声優さんとキャラクターの声がマッチしてると思うアニメは?【悩み】忙しい職場だけど、どうしても早く帰りたい
2010年05月20日太宰治×堺雅人×小畑健×マッドハウス=!?文豪たちの名作を人気漫画家のデザインでアニメーション化、当代一の人気俳優・堺雅人をナビゲーターに迎えて深夜枠で日本テレビにて放送中の「青い文学」。10月より本番組の第1弾として、太宰治の名作と人気漫画「DEATH NOTE」、「バクマン。」などで知られる小畑健のコラボレーションで放送され、大きな話題を呼んだ「人間失格」が『人間失格 ディレクターズカット版』として12月12日(土)より劇場公開されることが決まった。元々、太宰生誕100周年を迎え若い層を中心にした文学熱の高まりの中で、集英社が恒例の“ナツイチ文庫”で、小畑健、許斐剛(「テニスの王子様」)、久保帯人(「BLEACH」)ら人気漫画家の書き下ろしによるスペシャルカバーを展開。これが大ヒットを記録したことを受け、このスペシャルカバーで描かれたキャラクターを基に、日本屈指のクリエイター集団「マッドハウス」が文豪たちの小説をアニメーション化したのが「青い文学」シリーズである。先に挙げた「人間失格」に「桜の森の満開の下」(原作・坂口安吾×キャラクター原案・久保帯人)、「こころ」(夏目漱石×小畑健)、「走れメロス」(太宰治×許斐剛)、「蜘蛛の糸」、「地獄変」(共に芥川龍之介×久保帯人)など錚々たる作品が放送される予定。また、アニメーションの質の高さに加えて、人気俳優の堺雅人が番組のナビゲーターを務めると同時に、主人公の声優の声を演じていることも話題に。このTVシリーズでの大きな反響を受けて、このたび「人間失格」がディレクターズカット版という形で映画化される。『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』、『パンドラの匣』など次々と太宰作品が映画化される中、アニメーションという形で太宰文学の新境地を開く!新旧の才能がせめぎあい、作り上げられた『人間失格 ディレクターズカット版』。シネ・リーブル池袋にて12月12日(土)より、12月19日(土)よりテアトル梅田にて公開。■関連作品:ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 2009年10月10日より全国東宝系にて公開© 2009 フジテレビジョンパパドゥ新潮社日本衛星放送パンドラの匣 2009年10月10日よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開© 「パンドラの匣」製作委員会■関連記事:広末の丸メガネ姿に堤真一萌え?浅野忠信は浮気願望をポロリ『ヴィヨンの妻』初日【どちらを観る?】太宰のイメージを裏切る二作『ヴィヨンの妻』&『パンドラの匣』『パンドラの匣』仲里依紗インタビュー「時々、自分が分からなくなります(笑)」フルCGのミッキー・カーチスが見どころ?『パンドラの匣』宮城先行公開変わりやすい?女心と秋の空vol.1『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』
2009年11月02日