質問:一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?30代半ばの主婦です。父方、母方両方の祖母が、脳卒中が原因で、認知症になったり、亡くなったりしました。私自身はお酒もたばこもたしなみませんが、一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?また、早期発見できた場合とできなかった場合、どれだけの医療費の負担差が予想されるでしょうか?滋賀県:atuさん(35)回答:年齢と「脳血管疾患」の関係についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子一般的には、脳梗塞などの脳血管疾患は、中高年や高齢者に発症することが多いです。一方、脳血管疾患の一つであるくも膜下出血は、40代、50代の働き盛りにも起きますので、特定の年代に限ったものではありません。では、脳血管疾患の危険因子を見てみましょう。■高血圧最も危険な原因は「高血圧」です。軽度の高血圧者(上の血圧が140~159mmHgほど)が脳卒中で死亡する危険度は、至適血圧者(してきけつあつ:理想的な血圧の値のこと)(110~119mmHg)と比べ、約3倍になります。重度の高血圧者(上の血圧が180mmHg以上)の場合、リスクは7倍以上に高まります。その他の要因は下記が挙げられます。 ■不整脈 「心房細動」という不整脈は、心臓が原因で起こる脳梗塞の最大の原因になります。きちんと脈を刻めない心臓は、流れが滞り、血液の塊ができてしまいます。その塊が脳へと飛び、脳梗塞になるのです。主な原因は高血圧、心筋症、心臓に酸素を送る冠動脈の動脈硬化です。しかし、過度な喫煙、飲酒、過労なども発作を誘発する場合があります。■脂質異常症動脈硬化を引き起こすLDLが高いと危険です。■高血糖状態糖尿病により高血糖状態が継続し、脂質が高い状態も加わると、動脈硬化を促します。脳の毛細血管まで硬化すると、脳梗塞のリスクが高まります。■喫煙たばこを吸わない人に比べて2.0~2.5倍も危険性が高いといわれています。喫煙をすると、血圧が上昇し脳の虚血が進行します。一酸化炭素やニコチン、タールなどが身体に入り、全身の血管が収縮するためです。 ■過度な飲酒お酒は、ほどよく飲む分には身体のリラックスや食欲の増進、血の巡りをよくするといった、プラスの効果があります。ですが、過度な飲酒は、肥満・動脈硬化・高血圧・糖尿病を引き起こし、また脳卒中のリスクを高めます。上記以外にも、家族に脳血管疾患になった人がいる場合は、脳卒中になる危険性が高くなります。遺伝の問題のため予防は難しいですが、発症のリスクが高いことを知っておいてください。<早期発見できた場合とできなかった場合の治療費>また、早期発見できた場合とできなかった場合の治療費の差、ということですが、脳血管疾患の一つである脳梗塞の場合を見てみましょう。この場合は早期の対応が重要になります。発病から3時間以内であれば、t-PAという薬を使用し、原因となった血栓を溶かすことが可能だからです。この条件に当てはまった50代の男性の場合、入院10日、治療費負担額30万円ほどで済んだのですが、t-PAを使用した治療を行うことができなかった70代の男性は、脳の血管が狭くなった部分を広げるためにステントという器具を入れる手術を行い、25日入院しました。結果、80万円ほど負担することになったのです。早期発見で、しかも血栓溶解療法が適応できた場合には、そうでない場合と比べ、治療費に大きな差が見られます。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:会社の健康診断で生活習慣病と言われました…会社の健康診断で生活習慣病と言われました。私には高脂血症と糖尿病があり経過観察項目がありました。55歳という年齢で、いつ何が起こっても不思議ではないなと思うようにもなり、脳のMRIを撮ったところ画像には白い点が4つ並んでいて、すぐにも精密検査と言われています。この年齢から具体的にどのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?千葉県:かずこさん(55)回答:「高脂血症」と「糖尿病」についてお答えします。―――生活のなかでできること現在、高脂血症と糖尿病は内服薬なしで経過観察ということでしょうか。脳のMRI所見では小さな梗塞巣(こうそくそう)があり、精密検査の予定なのですね。精密検査は頚(頸)動脈の超音波検査を行って動脈硬化を調べたり、脳内の血管をCTで表現する3DCTなどで狭窄(きょうさく)や石灰化がないか確認したりすると思います。高脂血症と糖尿病に対して、生活のなかでご自身でも実践できることがありますのでご紹介します。・減量まず、肥満があるかチェックしましょう。BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められた数字が、22±2であれば標準です。それ以上であれば肥満ということになります。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で求められます。肥満と分かれば適正体重を目指して、減量していきましょう。・食事前述の標準体重に25~30kcalをかけたものが1日の摂取カロリーの目安となります。例えば、身長175cmの場合、1.75×1.75×22×25(~30)となり、おおよそ1,700~2,000kcalとなります。こう書くと難しく感じるかもしれませんので、まずは表示されているカロリーを気にすることから始めてみましょう。商品のパッケージの裏面や側面に、成分表がありカロリーが記載されています。それも面倒という場合は、間食をやめる、寝る2時間前からは食べない、お酒は飲まないといったように食生活の改善を始めましょう。・運動ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を始めてみましょう。強さの目安は多少息切れはするものの、人と話しながら続けられる程度です。なお、運動療法を始める前に、運動が可能か心臓の状態を調べる必要があります。・禁煙ニコチン自体が強力な血管収縮作用を持つため、血管が狭くなり、血圧が上昇し血流は低下します。また、煙に含まれる一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、全身の組織が酸素欠乏状態になってしまいます。このため二次性の多血症が起こって血液粘稠度(けつえきねんちょうど)が増し、血栓ができやすい状態になります。たばこに含まれる活性酸素も血管内皮を害するため、さらに血栓や塞栓症の発症を促します。活性酸素により酸化変性を来たした脂質は、動脈硬化を悪化させます。施設によっては禁煙外来を開設しています。喫煙されていて、自力で禁煙するのが難しい場合はご利用ください。<生活習慣の見直しを実践していきましょう>やはり、生活習慣を見直すことが一番の治療です。見直したら実践する、文字にすると簡単ですがなかなか大変です。頑張っていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか不整脈と言われたことはありませんが、健康診断の血圧、脈拍の項で再検査や要観察となることがあります。不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか?また、3カ月前に歩行中に車に接触し、転倒してアスファルトに後頭部を強打する事故に合いました。しばらくめまいが続きましたが今は回復しています。事故の後で脳出血の原因となることはありますか?埼玉県:みのりさん(44)回答:「不整脈」と「脳血管疾患」の関連性についてお答えします。―――「不整脈」と「脳血管疾患」の関係まず、一つ目は、不整脈と脳血管疾患の関連性に関するご質問ですね。不整脈は脳梗塞の原因として非常に重要なものと考えられていますが、すべての不整脈が脳梗塞を起こすわけではありません。健康な人にも不整脈は起こることがありますが、危険な不整脈が起こると脳梗塞を起こしたり、倒れたりすることがあります。脳梗塞と特に関連が深いと考えられている不整脈は「心房細動」と呼ばれる不整脈です。この心房細動について、少しご説明しましょう。心臓は身体の各部に血液を送り出すポンプの働きをする臓器で、左右二つずつの心室と心房とからなります。心臓の筋肉が拡張と収縮を繰り返している時、微弱な電流が発生します。心電図検査はこの電流の活動を読み取ることで、心臓の各部の働きを調べる検査になります。正常な心臓であれば、心房の収縮→心室の収縮→心室の収縮の終了、と規則的に波が出現しますが、心房細動の状態になると心房の筋肉が不規則に収縮し、小刻みに震えたような状態になります。このため、心房の中の血液の流れが滞り、主に左心房の壁の一部に血の塊(血栓)ができてこれが血流に乗って脳などに運ばれ、脳梗塞を起こすことが知られています。このメカニズムにより、心房細動のある人は、ない人に比べて脳梗塞の発症率は5倍も高いといわれています。心房細動は女性より男性に多い傾向があり、加齢とともに増えてくる傾向があります。また、高血圧や糖尿病、強いストレスなどがあると心房細動が発症しやすく、遺伝性もあることが知られています。食生活や運動習慣、適切なストレスの解消といった予防を心がけることが、脳梗塞を避けるための第一歩といえるでしょう。もちろん、もし心房細動を発症してしまったら、薬物療法はじめ適切な治療を続けることは非常に重要です。<脳の出血について>また、二つ目の、頭を強く打った数カ月後に脳に出血が起こる可能性に関するご質問ですが、頭部を強く打った後しばらくしてから、脳と脳を覆っている硬膜との間に徐々に血腫ができ、さまざまな症状が出る「慢性硬膜下血腫」という病気が知られています。高齢者に多い傾向がありますが、若い方に発生することもあり、頭痛や歩行障害、片麻痺や物忘れなどで気づかれることがあります。頭を打ったあとにある程度時間が経過していても、「おかしいな」と思われたらぜひ脳神経外科を受診してください。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日オレンジページはこのほど、エクササイズ本『元気な脳と体をつくる! ボール1つでジャグササイズ』(1,200円・税別)を刊行した。ジャグササイズとは、ものを自由自在に操るパフォーマンス「ジャグリング」に、エクササイズ(運動)を組み合わせた運動。ジャグリングの第一人者であるダンディGOさんが考案した。ボール1つで行えるため、子どもから高齢者まで、スポーツが苦手な人でも楽しく続けることができるという。ジャグササイズは、ボールを繰りながら体を動かすという2つの動作を同時に行うことで、脳が活性化する。記憶力・集中力・判断力のUPなどが期待できるという。また、全身を使うので、ダイエットや猫背・肩こり・むくみの改善が期待できるほか、代謝がアップする効果もあるとのこと。認知症治療のスペシャリストである高瀬義昌医師は、「ジャグササイズをすることで、メタボリックシンドロームや認知症の予防ができます」とコメントしている。同書は、ジャグササイズの考案者であるダンディGOさんが監修。「脚を一緒に動かして脳トレ」「肩こり解消」「二人で一緒に脳トレ」といったジャグササイズを紹介している。詳しい動きやポイントを動画でわかりやすく解説したDVD付きなので、気軽に始められるとのこと。なお同書には、ジャグササイズに使用するボールはついていない。ボールは、テニスボールや軟式野球のボールくらいの大きさの握りやすいもので、落として足に当たっても痛くないものがよいという。ビニールコーティングの専用ボールもネットで購入可能。また、くつ下と米などでも簡単に作ることができるとのこと。
2016年11月02日人間は24時間、絶えずなんらかの仕事をしていて、なにもしていないときでさえ「なにもしていない」という作業をしているもの。だからこそ、脳と身体に備わっているスケジュールを知り、そこに自分のスケジュールを噛みあわせることが大切。そうすれば仕事でもプライベートでも、やりたいことにしっかりと力を注ぐことができるようになる。そう主張するのは、『脳にいい24時間の使い方』(菅原洋平著、フォレスト出版)の著者です。「作業療法士」と呼ばれるリハビリテーションの専門家として、脳と体の力を最大限に引き出し、ひとつひとつの作業を充実して行えるようにサポートしているのだそうです。また、クリニックでの臨床や、全国規模の企業研修も行っているのだとか。■人間が持つ「2つの基本的な原理」で治療そんな著者は、患者さんの能力を引き出すために、人間が持つ「2つの基本的な原理」に従って治療をするのだといいます。ひとつ目は、人間は同じ作業でも、より能力が発揮される時間帯に行ったほうが上達が早いということ。2つ目は、すべての作業を行う際に、脳と体にとって最適な時間帯があるということ。なお、この科学的根拠をもとにして、ビジネスパーソンが生産性の高い仕事をするためにやることはいたってシンプル。まず、脳には「この時間帯に、この仕事をすれば、質もスピードも上がる」という時間の使い方があるということを知ったうえで、仕事のスケジュールを組む。そのために、脳と体が正常にリズムを刻むための「コンディションを整える習慣」を生活のなかに持つ。それが大切だというのです。つまり本書では、“無理”“ムダ”“根性論”なしでこれらを実践できる方法を紹介しているのです。■脳は「1日に2回」働かない時間帯がある生体リズムには「睡眠—覚醒」リズムがあり、私たちの脳は1日に2回働かなくなる時間帯があるのだそうです。それは、起床から8時間後と22時間後。最初の「起床8時間後」は、午後の時間帯にあたります。昼食後は眠くなるものですが、生体リズムの研究では、たとえ昼食を摂っていなくても、あるいは少量の食事を2時間おきに摂り続けるという条件でも、起床8時間後には眠くなることが明らかになっているというのです。そして2回目の眠気は、普段の起床時間の2時間前であり、多くの人にとって明け方にあたる時間。どうしても眠れなくても、明け方にはウトウト眠っていたという体験をしたことがある人も多いはずですが、それはこういう理由があるからだというのです。■「深部体温」もパフォーマンスに影響するさらに、内臓の温度である「深部体温」の影響も。人間は深部体温が上がるほど元気にハイパフォーマンスになり、下がるほど眠くなるといいます。なお深部体温が最高になるのは、起床から11時間前後。6時に起床していたら夕方の17時がいちばん体が元気に働く時間帯であり、この時間帯には眠気が起こらないということ。これらの組み合わせにより、私たちは「午前」に冴えて「午後」に眠くなり、「夕方」に元気になって、「眠る前」に眠くなるというリズムになるわけです。■「4・6・11の法則」で脳は鍛えられるつまり人間の理想的なリズムは、午前に頭を使い、午後に短い睡眠をとり、夕方に体を使うと、夜には質の高い睡眠が取れるということ。著者はこれを、起床から4時間以内に光を見て、6時間後に目を閉じ、11時間後に姿勢をよくする「4・6・11睡眠の法則」として、さまざまな現場での安全な業務と生産性の向上に活用しているのだそうです。生体リズムには、ひとつのリズムが整うと、それが基準となって他のリズムが同調する仕組みがあるのだといいます。ですから、4・6・11の時間、すべてのことを実行する必要はないのだとか。■もっともやりやすいことだけを実行すべしそこで、どれかひとつ、もっともやりやすいことだけを実行してみることを著者は勧めています。たとえば夕方に運動したり、帰りの電車で一駅前で降りて歩いたり、体温を上げることをすると、自然に朝、目覚めやすくなるというのです。また、朝は目覚めたら窓から1メートル以内に入るようにすれば、昼間はいつも眠かったとしても、やがて理想的な就寝時間に眠くなるようになっていくそうです。たったひとつのリズムが基準となって、他のリズムが同調していくということ。なお、生体リズムを整えるときには、まず4日続けてみることが大切だと著者はいいます。*医療現場や企業研修で実証されたことだということもあり、強い説得力が本書にはあります。仕事のパフォーマンスを向上させたい人は、読んでみるといいかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※菅原洋平(2016)『脳にいい24時間の使い方』フォレスト出版
2016年09月22日『人生が劇的に変わる脳の使い方』(加藤俊徳著、PHP研究所)の著者は、脳の専門家として活躍する医学博士。これまでにも、『アタマがみるみるシャープになる! 脳の強化書』(あさ出版)など多くのベストセラーを生み出しています。そんな著者は現在50代。30年以上にわたる脳研究の結果、「すべては『脳の使い方』で決まる」という結論に達したのだそうです。そしてそれが、本書のテーマにもなっています。ほんの小さな変化の積み重ねが自分の行動を変え、やがて自分の脳を変えていくというのです。そればかりか、いずれは他人の行動をも変えていくことになるのだとか。そして著者は、脳の成長にとって重要なのは「勉強」ではなく「経験」だとも主張しています。小さな気づきが、“経験=日常のすべて”を脳の成長に変えるという考え方。「脳の使い方」とは、「他人につけられるスコアではなく、自分で自分にスコアをつけて脳をデザインする」こと。いいかえれば、「学校脳」から「社会脳」への転換を図ることが大切だというのです。学校を卒業して自由なはずなのに、学歴や他人の評価ばかりを気にして、自分らしい生き方をできていない……。そういう現実が、多くの人々を苦しめる脳のクセだということ。そのために必要なメソッドを、ひとつご紹介しましょう。■「未来から来た人になる」思考をすべし成長を続けるためにもっとも大切なことは、「未来から来た人になる」思考をすることだと著者はいいます。すなわち、自分が設定したゴールから、すべての行動を完全に逆算して考えていくということ。なぜなら目標が具体的でないと、脳はいつまでも取りかかる準備をはじめないから。そのため、締め切り間際になってようやく取りかかり、「あと1週間あればなんとかなったのに……」と、いつも後悔してしまうわけです。別な表現をするなら、脳は漠然と考えているだけでは、いつまでたっても行動に移そうとはしないということ。「最近体力が落ちてきたから、体を動かさないとな」「やっぱり英語くらいは話せるようにしておかないとな」などと、あいまいに「そのうち」「いつか」で考えているだけでは、脳は働かないのです。大切なのは、1年後(あるいは10年後)の自分が「マラソンを完走する体力をつけている」「TOEIC(R)で800点をとっている」などの具体的なゴールを設定すること。そして、目標を達成している“未来の自分”が、“いまの自分”になにをやってもらいたいのかを考える。それが、「未来から来た人になる」という発想。■数値化すればいまの状況が正確にわかる具体的にいえば、自分の置かれた状況を必ず「数値」に置き換えて、できる限り正確につかむということ。著者の場合は、目標までの日数と月数を正確に数え、「きょうは345日目で12カ月前だ」とか、「あと408日で14カ月を切った」というように管理しているそうです。上記のTOEIC(R)の例について「TOEIC(R)で800点をとる」という目標を設定したとしましょう。目標を達成するための問題集を買い、試験日から逆算して○月○日までに計3回演習しようと計画を立てたなら、「1日あたり○ページ」という数値が出ます。そして、これを遂行するにあたっては、・現在、目標達成率は何%か・予定スケジュールから何%遅れて(進んで)いるか・遅れを取り戻すにはどうすればよいかというようなことを定期的にチェックすることが大切だというのです。■最低でも週1で目標数値はふり返るべしまた、それらの具体化した数値を手帳に書き込むなどして、できれば毎日、少なくとも週に一度は振り返るようにすることが大切。そうすることで、新しい気づきが生まれるからです。さらに残りの日数もつけると、1日のモチベーションを保つことができるので、できるだけ細かい進捗状況を記録していくと効果的だそうです。いわば定期的に目標達成率をふり返り、少し遅れがあるならペースを上げるなど対処することによって、締め切り間際に焦るというようなことがないように自分を律していくということです。なお、「いますべきことが見当たらない」のであれば、「夏季休暇でスウェーデン旅行へ行くために12カ月(1年)で50万円貯める」などの目標でもかまわないそうです。趣味であっても、数値で客観的に把握する習慣が身につけば、仕事においても「やる気が出ない」「追い込まれてテンパッてしまう」という事態を回避できるようになるわけです。*全体的に「学校脳」の人と「社会脳」の人を対比しながら話が進められるので、とても理解しやすい内容。脳を使いこなすために、ぜひ読んでみてください。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※加藤俊徳(2016)『人生が劇的に変わる脳の使い方』PHP研究所
2016年09月11日「どれだけ眠っても疲れがとれない」「集中力が続かない」……。そんなことを感じる人は脳が疲労している証拠。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』(久賀谷亮著、ダイヤモンド社)によると、睡眠をとったり、ゆったりと過ごすなどしたりしても脳の疲れは回復することはないといいます。脳は体重の2%ほどの大きさでありながら、身体が消費するエネルギーの20%をも消費しています。しかも、脳の消費エネルギーの60~80%はデフォルト・モード・ネットワークという、脳が意識的な活動をしてきないときにも動き続ける脳回路に使われているのです。そのため、ただ何もせずぼんやりしていても脳はどんどん疲れていくそう。そんな脳を休息させることができるのが「マインドフルネス」。これは、瞑想などを通じた脳の休息法の総称。Googleをはじめ、有名企業でも多く採用されているこの方法の効果は科学的な裏付けが進みつつあります。今回は本書の中から、その一部をご紹介します。■1:脳が疲れたら「現在」を意識する注意散漫になったり、無気力になったりするのは脳が疲れているサイン。このような状態のときは「こうすればよかった」や「こうなったらどうしよう」などと知らず知らずのうちに意識が過去や未来にばかり向かっています。このように意識が「いまここ」にない状態が続くと、心はどんどん疲弊していくのです。そんなときは、「マインドフルネス呼吸法」が有効。椅子に座って背筋を軽く伸ばし、お腹はゆったりとリラックスします。次に自分の身体の感覚に意識を向けていきます。足の裏が床に触れている感覚や、手が太ももに触れている感覚を感じてみます。そして、次は呼吸に意識を向けます。深呼吸ではなく自然な呼吸で、空気が鼻を通る感覚や胸が膨らむ感覚、吸う息と吐く息で温度が違うことなど細かく注意を向けていきます。その間に、他の考えが浮かんでしまうこともありますが、それに気づいたらまた静かに呼吸に注意を戻せばOKです。なぜこんなに呼吸を意識するかというと、「いまここ」に注意を向けるため。それにより脳を休息させることができるのです。脳は習慣を好むため、これを1日5分でも毎日、同じ場所、同じ時間に行うことが大切です。■2:マルチタスクが多いときは自分の動きに注意を向ける何かをしながら、別のことをするようなマルチタスクの状態が続くと注意力や集中力が低下することがあります。莫大な仕事量を効率よくこなせる人ほど、実は集中力を1箇所に固定することができなくなっています。そういう人には「歩行瞑想」がおすすめ。歩いているときに自分の手や足の動き、地面と接触する感覚などに注意を向けていくのです。そして自分の動き一つ一つに「右」「左」や「上げる」「下げる」などラベルを貼るように意識するとさらに効果的です。このように自分の動きに注意を向けて「いまここ」を意識する方法は、Googleの社員研修プログラムでも取り入れられているそうです。歩行だけでなく、歯を磨くときや服を着るときなどにも応用することができます。毎日決めたタイミングで行いましょう。■3:自分の心は「プラットホーム」だとイメージする頭の中が様々な雑念でいっぱいの状態を「モンキーマインド」といいます。脳は莫大なエネルギーを消費するため、モンキーマインドの状態だと疲れやすくなります。反対に、この状態を脱することができれば、集中力や判断力、創造性などを高めることができるのです。そのためには、考えに対して「傍観者」であることが大切。自分の心は電車が行き交うプラットホームであり、様々な考えは電車のように一時的に駅に停車してもまたすぐに去っていくもの。そのようにイメージして「考えている自分」と「考えていること」を同一視しないようにしましょう。そうすることで心の中にスペースを持つことができるでしょう。■4:怒りが湧いてきたら4つのステップで処理する怒りは、脳が自分を守るために発動させる「緊急モード」のようなもの。アドレナリンが分泌されて脳の思考活動が抑制されるため、前後の見境がなくなることもあります。怒りや衝動を抑えられないときは、以下の4つのステップが有効。英語の頭文字をとって「RAIN」といわれています。(1)認識する[Recognize]自分の中に怒りが起きていることを認識しましょう。その際、「怒り」と「怒っている」自分は同一視しないことが大切。(2)受け入れる[Accept]怒りが起きていることをそのまま受け入れます。(3)検証する[Investigate]自分の身体にどのような変化が起きているか検証します。心拍はどうなっているか、どこが緊張しているかなど観察してみましょう。(4)距離をとる[Non-Identification]自分の感情を個人的なものとして捉えず、「他人事」のように考えてみます。この4つのステップは怒りだけでなく、甘いものを食べたいというような衝動にも有効。禁煙にも効果があるといわれています。*本書はストーリー仕立てで構成されているので、実際にレクチャーを受けているような気分になれるはず。マインドフルネスを継続すると、一時的な疲労解消ではなく、疲れづらい脳が手に入るといいます。少しの時間でも毎日の習慣に取り入れてみてください。(文/平野鞠) 【参考】※久賀谷亮(2016)『世界のエリートがやっている 最高の休息法』ダイヤモンド社
2016年09月08日日々、ポジティブな考え方で生きていければ幸せだけれど、人生にネガティブな出来事はつきもの。そんなときにポジティブ脳にスイッチする方法を、脳科学者の茂木健一郎さんに聞きました。■スイッチ1「最近、何が好き?」を口癖に。人に“聞く”行為は自分へのプレゼントストレスが溜まると誰かに愚痴を言いたくなるけれど、そこで、あえて聞き役に回ってみよう。「ネガティブな考えに支配されていると、視野はどんどん狭くなってしまいます。反対に、人の話を聞く時、私たちの心は開き、脳にも余裕が生まれます。相手の好きなこと、楽しいことを聞いているだけでも発想の転換になるし、今まで気づかなかったポジティブな視点をもらえることもあるでしょう。つまり“聞く”という行為は、視野を広げるチャンスを自分にプレゼントするようなものなのです」■スイッチ2何かが欠けててもいいんです。人と“幸せ条件”を比べない!ポジティブ脳の妨げになるのが、幸せには正解があると思ってしまうこと。「幸せは一人一人違うのに、自分に欠けているものがあり、それが満たされないと幸せになれない、と考える人は、いつまでも幸せを実感できません。結婚、子供など、欠けていると思えるものは、人と“幸せ条件”を比較しているだけ。幸せはもっと多面的で、正解なんてありません。あなたにとっての幸せは何か。世間一般の基準や物差しでは測れない、オンリーワンの幸せを見つけられれば、ポジティブ脳が開花します」■スイッチ3“脳内コスプレ”を楽しんで、いろんなキャラになってみる!ストレス知らずの茂木さんが実践しているのが“脳内コスプレ”。「自分のありのままでいることがラクで幸せな生き方なのですが、社会ではそうも言っていられない。相手や環境によって、違う自分を演じなければいけないこともあります。そこで役立つのが“脳内コスプレ”。その場その場で自分を切り替え、役者のように違うキャラを演じている、と考えること。無理して適応せず、自分自身はちゃんとキープした上で、『キャラを演じているんだ』と客観視する視点が生まれればラクになります」■スイッチ4ストレスでモヤモヤしたら、“90度の方向”へキュー出しを!誰しも、現状を受け入れられなかったり、感情をコントロールできない時はある。「感情を押さえ込もうとすると逆襲されます。脳を切り替えるならとにかく動くこと。何かをしていれば硬くなった脳はほぐれて、自然とバランスがとれていきます。そのためには現状と90度違うことをしてみる。例えばPCでの仕事に行き詰まった時、楽しいサイトを見てやり過ごすのは180度の転換。これでは負の行為の延長線上で、脳は切り替わりません。席を立つなど、全く別の行動をとってみるのが大事です」■スイッチ5相手の反応を見ながら、“心のお化粧”をしていこう!ありのままの自分を受け入れて、自分の長所を強みとして発揮できるのが、幸せな生き方。「でも、自分の長所は案外本人が一番気づいていないもの。そこは盲点なので、他人という鏡が必要なんです。人と関わって褒められたこと、相手が楽しそうにしていたことなど、反応を見ながら自分の魅力を察していく力を養っていきましょう。人間の色覚が、哺乳類の中でも特に発達しているのは、相手の顔色を窺うためだという説も。他人が発する良い反応を意識できれば“心のお化粧”ができますよ」◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月15日幸せな人は、総じてポジティブである。人は生きる上で、嫌なことやつらいこと、悩むこともたくさんあるけれど、ポジティブ脳があれば乗り越えていける。脳科学者の茂木先生に、ポジティブ脳の育て方、切り替え方を学びましょう!「くよくよしないでポジティブに考えてみよう」と自分を鼓舞したり、「やる気を出せば次は頑張れるはず」と自己暗示をかけるのは、実はニセモノのポジティブだと脳科学者の茂木健一郎さん。「いわゆる“前向きな考え方”はただの我慢。脳のエネルギーを消費するだけで、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいます。確かに、悩みや不安に直面すれば『ポジティブにならねば』と自分を奮い立たせようとするかもしれませんが、それでは一時的にモヤモヤを回避しただけ。ネガティブな感情を引き起こしている根本的な原因に向き合っていないので、ストレスは解消されません」私たちがニセモノのポジティブに陥る背景には、ネガティブな感情を悪いものと捉え、徹底的に排除しようとする思考グセがある。「無力感や自己嫌悪とか、ネガティブな感情にとらわれている自分は弱い、ダメだと烙印を押して、まるで石鹸で手を洗うかのように、心の汚れを洗い落とそうとしてしまう。こうしたネガティブ無菌志向は問題です。体と同様に、脳や心にも、善玉菌だけでなく悪玉菌のような存在が必要。ポジティブ一辺倒でなく、ネガティブな思考があることで、脳と心の免疫力がアップするものなんです」そもそも、創造的なコミュニケーションを目指し、アメリカを中心に発展してきたポジティブ心理学では、ポジティブとネガティブの心理は、切り離して考えられないものだとするのが大前提。「ネガティブな感情をきちんと受け入れた人ほど、ポジティブな感情と一体となって、ものすごいパワーを生み出している実例がたくさんあります。欠点と長所は表裏一体なので、欠点も客観視してちゃんと見つめ、受け入れられるようになれば、ネガティブな脳からポジティブ脳へとスイッチを切り替えられるはずです」ポジティブ脳に切り替えるため、重要なスイッチとなるのが、脳科学でいわれる「メタ認知」。「簡単に言えば、自分の現状を俯瞰できる、客観的に見つめる力です。感情に振り回されないで『なぜ嫌な感情に取り憑かれているのか』を客観的に分析し、自分の心の状況と原因を言葉で表せるようになると、発想の転換が生まれます。ネガティブな状況に陥っている人は、引き込み現象が起きて視野が狭まるものですが、『メタ認知』ができれば気づきがあり、脳が切り替わってくれるんです」例えば、彼氏ができたと友達に告げられて嫉妬の気持ちが芽生えたら、その感情を客観視してみる。「なぜ僻むのか。私も彼が欲しいから?だったら友達に紹介してもらえばいいかも」と、自分を俯瞰してみることで、ネガティブな感情の向こう側にあったポジティブな発想や行動につなげられる。「ポジティブ脳でいるためには、行動あるのみです。行動するのにやる気はいりません。動かず停滞していては、脳のエネルギーを無駄に消耗してしまうだけ。『自信がない』『時間がない』などと言い訳をする前に、どうして自信がないのか、時間をどう生み出すか、考える作業を続けながら、自分ができることをとにかくやってみること。目の前のことをやり続けていれば、知らないうちに脳はポジティブに変わっていきます」茂木さんに提案してもらった、具体的な脳の切り替えスイッチの入れ方を、早速実践してみよう。◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月14日音楽教育が、子供の情緒や感受性、社会性や知能の発達にとても良い影響を及ぼすことは、すでに広く知られている事実です。また、子供たちが音楽を集中して聞くことで、言語を聞き取る能力もアップし、語彙力や語学力がつきやすくなるとも言われており、昨今ますます幼児のための音楽教室の人気があがっているようです。「音楽教室に通わせたいけれど、経済的な事情や、時間的な問題で難しい」というご家庭は、ぜひ家庭で音楽教育をしてみてはいかがでしょうか。今回は、家庭でもできる音楽教育についてご紹介したいと思います。つけっぱなしのテレビを消して、良い音楽を聞かせよう音楽教育というと楽譜を読んだり、楽器を弾いたりすることを想像しますが、 幼児期の子供にはまだまだ難しいもの。さらに楽器を演奏するにも、手が小さすぎますよね。ですから、乳幼児期はよい音楽をたくさん聞かせて、「耳つくり」をしてあげることが最も重要な音楽教育なのです。普段、リビングで子供と過ごすときなど、テレビをつけっぱなしにしているママも多いかもしれませんが、これからはテレビの代わりに良い音楽を流してみませんか。では、どんな音楽が子供にとって「良い音楽」なのでしょうか。クラシック音楽やジャズ・ポピュラー・日本の伝統音楽・童謡など、音楽といってもさまざまなジャンルがあります。もちろん、どのジャンルにもすばらしい音楽は存在していますが、子供におすすめなのが、それぞれの国の歴史とともに、長く生き続けてきたような音楽です。いくら流行しているとしても、機械的な音楽では、子供の想像力や情緒を育てることは難しいのです。手始めに、ママやパパが小さいころから聞いていた日本の昔ながらの童謡や、モーツアルトのクラシックなどの歴史ある音楽を選んで、部屋でゆっくりするときや、食事中のBGMとして流してみませんか?日常生活や遊びの中に音楽に取り入れる音楽教室ではなく、家庭で音楽教育をするメリットは、遊びや生活の一部として自然に音楽に親しめる点ではないでしょうか。子供が遊んでいるときに音楽を流してあげていると、無意識に子供の心に音楽が刻まれていきます。他にも食事中、寝かしつけの際、朝起きるときなど、その状況に相応しい音楽を選んで、自然な形で生活に取り入れていきましょう。また、子供が元気のないとき、イライラしているときは、まずは静かな音楽を流し、気持ちを落ち着けてから、活発な音楽を流すようにすると、子供たちの気持ちが明るくなったり いらだちをやわらげたりする効果があるとも言われています。このように、子供の気分を変えたり、気を紛らわせたりする手段として音楽を使ってみても良いでしょう。家族で一緒に音楽を楽しもう!子供の情緒や知能の発達に役に立つからと、一方的に子供に音楽環境を与えるだけでは、家庭での音楽教育は物足りないものになってしまいます。大切なのは、ママやパパの心にも、音楽を楽しむ余裕を持ってもらうことなのです。親子一緒に、童謡を歌ったり、音楽を聞きながらリズムを取ったりして、「音楽は楽しいものだ!」と子供が思えるようにしてあげましょう。ママやパパがピアノなどの楽器が弾けるのであれば、童謡やクラシックを演奏して子供に聴かせてあげることができますが、楽器が苦手だったとしてもハーモニカや鈴など、かんたんに演奏できる楽器を用いて、家族で歌いながら合奏するのもおすすめです。また「とんとんとんとんひげじいさん」や「いとまきまき」など、子供たちが大好きな手遊び歌を一緒に歌ったり、音楽に合わせて飛んだり跳ねたりすることも、立派な音楽教育です。このように、家族で音楽に親しみ、楽しんでいるという環境こそが、子供の音楽的感受性を育ててくれるのです。いかがでしたか?音楽が子供の心や脳に良い影響を及ぼすからといって、一方的に楽器を与えたり、子供が嫌がる音楽を聞かせようとしたりするなど、やみくもに「音楽」を押しつけることはやめましょう。子供たちが音楽に親しみを感じ、楽しめるようになってこそ、音楽が子供に良い影響を与えてくれるのです。まずは、親子で音楽を楽しみながら、子供が音楽に興味が持てるような環境づくりから始めてみましょう!
2016年06月08日恋は人生の喜びである半面、道を違えると、逃れがたい苦しみも生む。いま、そんな恋に悩むあなたへ。脳科学のプロが「わかっちゃいるけどやめられない」を、卒業する術、教えます。脳科学的に分析すると、終わらせるべき恋には“2種類のツラさ”が混ざっているそう。脳科学者・中野信子さんはこう分析します。【ツラい恋に陥るメカニズム】恋をすると分泌されるドーパミンの誘惑のせい。「まず一つは、彼への思いを断つと、それまで恋愛で得られていた刺激がなくなってしまうというツラさです。もう一つは、恋愛でときめいている状態自体のツラさ。恋に落ちると、脳内にはドーパミンが分泌されますが、それはとても気持ちがいい半面、食欲がなくなり、胸が詰まる感じもして、肉体的にはしんどい。そしてその恋が困難であるほどドーパミンの分泌は促され、苦しくはあるけれど、気持ちよくて諦めづらくもなるのです」とはいえ、誰もがそんな恋に陥るかというとそうではないという。「ドーパミンの感受性が低い人は、たくさんのドーパミンが分泌されないと満足できないため、いつもときめきを感じたがります。結果、恋に依存しがち。ドーパミンの感度は生まれつきのものなので変えることはできないのですが、脳の前頭前野を鍛えることでコントロールできるようになりますよ」【ツラい恋の強制終了法】前頭前野を鍛えて恋に盲目な自分とサヨナラそうした恋を終わらせるには、自分を客観視する領域である前頭前野を鍛えることが大切です。鍛え方としては、毎日10分でいいのでその日の自分を振り返ること。『彼のことを考えちゃったな』などモニタリングして。そのうちに自分の状態を把握するのが上手になり、恋に依存しがちな自分を抑えるための、理性が強くなるはず。あとは、恋愛以外の刺激でドーパミンの分泌を促すのも有効です」【TO DO】・エクストリーム系スポーツで新たな刺激と良質なリスクを両立。・仕事にバリバリ打ち込んで、周りから認められるようになる。・山登りのように、達成感のあるレジャーでドーパミンを分泌!◇なかの・のぶこ脳科学者。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学教授。『ワイド!スクランブル』(テレ朝系)コメンテーターなどテレビでも活躍。著書は『脳はどこまでコントロールできるか?』(KKベストセラーズ)など。※『anan』2016年5月25日号より。イラスト・佐瀬麻友子文・保手濱奈美
2016年05月22日誰でも、実年齢より若く見られるとうれしいものですよね。スキンケアやダイエットなどで、アンチエイジングに励む人も多いでしょう。シニア向け宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこが50代以上の男女に行った「シニアの年齢意識に関する調査」によると、「周囲からいわれてうれしい言葉」の第1位は『若々しい』で、男性の50.2%、女性の52.3%の人がこういわれたいと思っているそう。現代では女性だけでなく、男性にとっても、「どうやって若さを保つか」は気になるテーマなのです。アンチエイジングというと見た目のケアに注目しがちですが、若さを保つには内面のケアもかなり重要。年齢を重ねても新しいことに挑戦したり、毎日イキイキ暮らしたりしている人は素敵ですよね。そんな人を目指すなら、脳を鍛えることから始めましょう! 日常にちょっとした習慣を組み込めば、脳の老化を防ぎ、意欲的に過ごすことができるのです。『生きるのが楽しくなる脳に効く言葉』(中野信子著、セブン&アイ出版)では、メディアに多数出演する脳科学者の著者が「脳の生かし方」について教えてくれます。今回はそのなかから、年齢に負けない若々しい脳を保つ方法を5つピックアップしました。まだ若いと思っている人も、いまのうちに「脳を鍛える習慣」を身につけておきましょう!■1:午前中に脳トレをする脳の前頭前野を鍛えると、若返りにつながります。特に、脳がもっとも活発に働く午前中に「音読」や「計算」を行うと効果的。最近では大人のための音読や計算の本がたくさん出版されていますよね。それらを数分でも行う習慣をつけることが、脳の活性化の鍵となるのです。脳の仕組みでは、5分間集中するとその後は30分でも1時間でも続けられるといいます。毎日の習慣にすれば、仕事や勉強もはかどるようになるでしょう。■2:他人の役に立つことをする自分がしたことが誰かの役に立ち、褒められることによって、脳からドーパミンが大量に分泌されるそうです。ドーパミンは”快楽の分子”といわれていて、チョコレートを食べることから、セックスをすることまでさまざまな行為によって分泌される物質です。そして一説では、性的快楽よりも誰かの役に立ったときに感じる「社会的快楽」の方がずっと上だといわれるほど、人に認められることは快感なのです。そして快感によって脳内のドーパミンの量が多くなると、なにかに夢中になる気持ちが高まります。これが「いつまでも意欲的で若々しい人」という印象を与えることにつながるわけです。実際に誰かから声に出して褒められなかったとしても、「自分のやっていることが人のためになっている」と考えて行動すると、些細なことでも意欲がアップするはずです。■3:記憶するときは他の情報と関連させる年齢を重ねるにつれ、「記憶力がなくなった」「人の顔と名前が一致しない」など、脳の衰えを感じることがあるでしょう。しかし、知識など、勉強して蓄積される「結晶性知能」という能力は死ぬまで向上するといわれています。記憶する際にはポイントがあります。1つ目は条件をつけて情報を覚える「緻密化」。たとえば、「美容師の鈴木さん」などと、条件をリンクさせて覚えること。2つ目は、知り合いに似ているなどのつながりで覚える「ファミリアティ」。そして3つ目はイメージした絵と一緒に情報として覚える「イメージ」です。ただやみくもに暗記しようとするのではなく、なにかと関連させることでストレスなく記憶することができます。■4:適度に難しいことにチャレンジする大人の脳内でも新しい神経細胞が生まれることが、研究によって明らかになっています。しかし、大人の脳内で生まれた神経細胞は刺激がなければすぐに死んでしまうのです。そのため、脳に適度に困難な課題を与えて刺激することが必要。適切な刺激が加われば、新しく生まれた細胞は生き残り、脳内のネットワークの一部として機能することができます。筋トレのように、毎日少しずつ適度な刺激を加えることで脳は育っていきます。自分ができるレベルより少し上を狙ってチャレンジすることを続けましょう。■5:楽しい妄想をするドーパミンは楽しい妄想でも分泌されます。特に素敵な恋愛を妄想すると、そのときめきによってドーパミンの分泌を促します。憧れの芸能人との恋愛を妄想するもよし、ドラマの主人公になりきるもよし。妄想ならお金もかからず、どこでもできるので電車の中や寝る前などにやってみては?*「最近なんだかやる気が出ない」、「記憶力が下がった」という人は、できることから脳のアンチエイジングをはじめてみてください。この本では「脳を使いこなす」「脳を喜ばせる」「脳を育てる」「脳をだます」という4つの章にわけて、脳を活用する方法が紹介されています。日常にちょっとしたポイントを取り入れて、脳を活性化させましょう!(文/平野鞠) 【参考】※中野信子(2016)『生きるのが楽しくなる脳に効く言葉』セブン&アイ出版※シニアの年齢意識に関する調査—株式会社ゆこゆこ
2016年05月18日「病気ではないけど、なんだかスッキリしない」「しっかり寝ているのに疲れが取れない」……。そんな不調は、自律神経の乱れが原因かも。自律神経は私たちの生命活動を支える重要なシステムで、その働きが乱れると疲労や不眠、偏頭痛、便秘、うつなど心身にさまざまな影響が出てしまいます。そんな深刻な症状に陥らないためには、日々のケアが大切。ぬり絵のような単純作業に集中することで自律神経が整い、リフレッシュできます。そこで注目したいのが、日本の季節をモチーフにした塗り絵が掲載された『日本の二十四節気をぬる』(小林弘幸著、アスコム)。1日15分行うだけで効果は十分。イライラや不安を感じるとき、眠れないときなどに使うのもおすすめです。■単純作業に集中すればイライラを忘れられる!人は1日5~6万回考えごとをしているといわれ、無意識のうちにストレスがたまっています。こうした心の疲れを解放するのが、ぬり絵のような単純作業。ゆっくりていねいにぬっているうちに、自然と仕事やプライベートの嫌なことを忘れることができます。花びらや葉っぱなどの規則的な模様をぬるのも、集中しやすくなるポイント。自律神経が整うと、体のすみずみに新鮮な血液が行き渡るので、新陳代謝の促進や疲労回復にもつながります。■「懐かしさ」を感じると自律神経の働きアップ自律神経の働きを高めるには「懐かしい」という感情が効果的。そもそもぬり絵は子どものころに誰もが一度は遊んだことのあるもの。それを大人になってもう一度やってみると自然に懐かしくなるはずです。そして、この本で使われている絵柄は「二十四節気」をテーマにしています。二十四節気とは、1年を二十四等分した節目に付けられた名前で、立春や立冬、冬至など耳馴染みのあるものもあります。季節の細かな変化を感じられる風景や動物、植物などの絵柄で、さらに懐かしさを盛り上げてくれるでしょう。*最近ではさまざまな種類の「大人のぬり絵」が発売されていますが、こうした日本の絵柄なら、老若男女問わず楽しむことができそうです。ぬり絵のページにはミシン目が入っているので、きれいにぬれたら、切り取って家族にプレゼントしたり、SNSにアップしたりするのもいいかもしれません。(文/平野鞠) 【参考】※小林弘幸(2016)『日本の二十四節気をぬる』アスコム
2016年05月11日厚生労働省では、原則として1日に8時間を超える労働、1週間に40時間を超える労働を禁止しています。しかし、フルタイムで働いていれば、残業などで週に50時間を超えてしまうことも少なくないのではないでしょうか。実は最新の研究から、週に25時間以上働くと脳によくないことがわかっています。さらに、週に60時間以上働いている人は、脳はなにもしていないときよりも悪い状態になるのだとか。オーストラリアのニュースサイト『the Sydney Morning Herald』でも、働きすぎが脳に与える影響について紹介されています。■週25時間以上は脳の認知能力が低下調査は、オーストラリアの40歳以上の男女65,00人を対象に行われました。分析されたのは、働いた時間と集中力、言語能力、短期記憶、情報処理能力との関係です。その結果、週に25時間までは、働けば働くほど脳の認知機能が高まったものの、逆に25時間以上は、働けば働くほど認知機能が低下することがわかったのです。男女差はありませんでした。週に25時間ということは、週5日働くとして1日5時間以上。フルタイムで働いている人は該当することになります。脳の認知機能を高めるには、フルタイムで働くよりも、パートタイムのほうがいいようです。■60時間以上は働かないより悪影響!また、働きすぎは脳の機能を著しく低下させることも明らかになっています。週に60時間以上働くと、働いていない人よりも脳の機能が低下するのだというのです。これは身体的、精神的なストレスが原因だと考えられています。ただし、40歳以下の人にとってはそれほど悪影響はありません。いままでは、中高年の脳は使わなければ衰える一方だと考えられていました。しかし働きすぎは、なにもしないよりも脳に悪いのです。リタイアしたあとも脳の機能を維持したいと考えるなら、20時間から30時間程度のパートタイムの仕事がいいようです。いずれにせよ働きすぎは体に毒です。適度な休養を取れるように、無理をしすぎないようにしましょう。(文/スケルトンワークス) 【参考】※Why you shouldn’t work more than 25 hours a week-the Sydney Morning Herald
2016年04月28日全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。いま、日本の少子高齢化はまったく歯止めのきかない状態ですよね。国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の老年人口割合は、2010年に2,948万人、2012年には3,000万人を超え、2020年には3,612万人へと増加する見込み。2013年の時点で割合は25.1%と、すでに4人に1人を上回っている状況です。ただ、高齢者のみなさんの「いつまでも若い自分でいたい」という気持ちや、アンチエイジングの技術向上などもあり、大変若く生き生きとした方が多い印象ですね。そんな高齢者で気になるのはやはり「認知症」や「ボケ」の問題。「いくら若々しくても、「脳」の老化は避けられないのでは?」と思っている方も多いと思います。そんななか、「脳は老化なんかしない。きちんと鍛えれば100歳でも成長する」と説くのは医学博士で「脳の学校」代表の加藤俊徳先生。加藤先生の『アタマがみるみるシャープになる! 脳の強化書』(あさ出版)が27万部突破の大ベストセラーとなり、“第2次脳トレブーム”が到来しました。脳を8つの番地(エリア)に分け、それぞれが自分の足りない部分を鍛えれば脳はいくらでも成長するという考え方で、思考系/感情系/運動系/聴覚系/視覚系/伝達系/理解系/記憶系の8番地に分かれます。いわゆるパズルや数式を解く従来の脳トレとは違い、「植物に話しかけてみる(感情系)」「利き手と反対の手で歯みがきをする(運動系)」など日常ですぐにできるお手軽脳トレメニューになっていて、それも大変ウケています。そこで今回は加藤先生に、「ラーメン屋でできる簡単な脳トレメニュー」を伺ってみました。ラーメンを食べながら脳トレができるなんて夢のよう!早速見ていきましょう。■1:店主さんに話しかけてみるラーメン屋さんに行っても無言でお店に入って、「ごちそうさま」もなくお店を出て行くお客さんが多く見られます。なんだか寂しいなと思いますが、店主さんに話しかけるのも伝達系脳番地を鍛える脳トレになるんだそう。「どうやって顔をおぼえてもらうか?」とか「おいしい食べ方を聞いてみよう」とか、いろいろ考えて話しかけてみては? ただし、店主さんが忙しそうなときは遠慮するようにしましょう。■2:あえて店主さんの目の前に座ってみるカウンターが空いているとどうしても端っこの方に座ってしまうものですが、たまには店主さんの目の前に座ってみましょう。プロの人がどうやってつくっているか、じっくりと見てみると観察力がつき、視覚系脳番地が鍛えられます。「この店、どんぶりを温めているな」とか「味玉をヒモで切っている!」とかいろいろ発見があって楽しいですよ!■3:トッピングを工夫してみるラーメンを自分好みの味にアレンジするのも、いい脳トレメニュー。理解系/思考系脳番地が鍛えられます。はじめはもちろんそのまま食べていただきたいですが、途中で「味変」してみるのもラーメンの楽しみ方のひとつ。横浜家系ラーメンではニンニクに豆板醤にお酢、博多ラーメンには紅ショウガにニンニク、辛子高菜など、定番の卓上トッピングもおなじみですね。ただし入れ過ぎは、味が壊れてしまう場合があるので注意してくださいね。■4:食券機でちょうど1,000円にしてみる食券機で買うときに、ちょうど1,000円になるように計算する脳トレ。思考系脳番地が鍛えられます。加藤先生も昔、アメリカでお金がなかったころ、1日ちょうど10ドルで過ごす工夫をされていたそうです。*脳トレと聞くとなんだかハードルが高そうですが、身近にできる脳トレって意外とたくさんあるんですね。脳の老化が気になる方は、ぜひ試してみてください!(文/ラーメンミュージシャン・井手隊長) 【取材協力】※加藤俊徳・・・発達脳科学・脳機能生理学・脳画像MRI・脳機能計測の専門家。小児科専門医。医学博士。株式会社脳の学校(KATOBRAIN Co.,Ltd.)の創業者。現在は、ヒトの脳研究者、医師として活動する傍ら、脳の学校の代表を務め、MRI脳個性鑑定、おとなと子どもの発達障害の診断と支援サービス、脳科学研究の支援事業、脳科学情報の提供、脳商品開発事業に従事している。『脳の強化書』シリーズほか、著書多数。 【参考】※脳の学校※加藤俊徳(2010)『アタマがみるみるシャープになる! 脳の強化書』あさ出版
2016年04月25日辞書を引くとき、目的の言葉を見つけるまでにどれくらい時間がかかっていますか?ある程度教養のある大人なら、頭のなかにだいたい3万語から5万語の語彙を持っているといわれています。そのなかから自分がいいたい単語を見つけ出すのにかかる時間は、なんと0.6秒。脳がどうやってそんなに高速な処理をしているのか、気になるところですね。そこで今回は、そんな脳の不思議なメカニズムに迫ります。■瞬時に脳が見つけ出す鍵は単語の共通点イギリスにあるバンガー大学の研究者、オッペンハイム博士によると、人間は単語の意味の間に共通する要素を見出し、体系化しているといいます。「犬」という単語と「猫」という単語には、「毛が生えている」「四足歩行」「尻尾がある」などの共通点があります。こうした共通点を見出したうえで、使用頻度に応じて自分のなかの辞書を再編成し最適化しているというのです。オッペンハイム博士は、被験者に500種類の絵を見せて、それがなんであるかを答えてもらう実験を行いました。すると最初に「犬」を見せたときには600ミリ秒で反応できたものの、次に「馬」が出てきたときは615ミリ秒、さらにその後「猫」が出てきたときには630ミリ秒と、どんどん反応速度が遅くなっていったのです。すべて同じ動物なのに、どうしてこんなことが起きるのでしょう?■使えば使うほど単語の優先順位が上がるこの秘密が、先ほど挙げた「辞書の再編成と最適化」です。「毛が生えている」「四速歩行」「尻尾がある」などの要素を持つ「犬」という単語を使うと、同じ要素を持つ「馬」「猫」といった単語に干渉が起き、優先順位が下がりすぐ出てこなくなるのです。逆に「犬」という単語を使い続ければ、どんどん優先順位が上がりより反応速度は速くなっていくだろうと予想されています。つまり、すぐに言葉が出てくるのは、常に単語の優先順位を変えて最適化しているからだといえそうです。オッペンハイム博士によると、こうした研究は事故に遭った場合の言語障害の治療などに役立てられるそうです。いつも何気なく使っている単語も、常に優先順位が上がったり下がったりしていると思うとおもしろいですね。「えーと、アレ、なんだっけ?」とすぐに出てこない単語は、ひょっとしたら日ごろ使っていないために優先順位が低いのかもしれません。いまでも脳内では、単語がどんどん最適化されているのです。(文/スケルトンワークス) 【参考】※How does your brain pick one word from 50,000 in 0.6 seconds?-BBC NEWS
2016年04月20日徹夜をしたときの頭のボーッとした感じは、明らかに脳が働いていないなと実感できるものですよね。実際に、脳と睡眠には深い関係があるので、今回はそれにまつわる研究を紹介します。最近、仕事でミスが多いなと思う人は、もしかしたら睡眠が足りていないのかもしれません。睡眠が脳に与える影響睡眠と脳には切っても切れない密接な関係があります。私たちは、仕事や勉強中の活動を始め、人の表情、駅のアナウンス、味や匂い、騒音など、五感をフル活用して、さまざまな情報感じ取っています。それらがずっと蓄積されていくと、とんでもない情報量になるので脳はパンクしてしまいます。そうならないために人間は、睡眠中に「脳にたまった情報の整理や掃除」を行うのです。脳にはそのための循環系があり、睡眠中に脳脊髄液によって老廃物を排出していると考えられています。朝起きたらスッキリしているのは気のせいではなく、実際に脳もスッキリしているからなのかもしれません。この脳内の整理や掃除は快適な生活を送るためには必要なことです。脳に余計な情報がパンパンに詰まったままだと脳がフル稼働できません。睡眠と脳の関係を調べる研究あれこれ睡眠と脳に関する研究というものがあります。どのようなものがあるのか見てみましょう。眠気を誘発するのはカルシウムイオン今年3月に東京大学の研究チームが発表した研究結果によると、脳内のカルシウムイオンが眠気を誘発していることを突き止めたそうです。これまで眠気の正体は明確にわかっておらず、睡眠物質なるものが存在すると考えられてきました。それを特定するために東京大学の研究チームはマウスを使った実験などを行った結果、脳へのカルシウムイオンの流入が睡眠に関係あるとわかったそうですこの研究結果が睡眠と関係があるとされるアルツハイマーなどの神経変性疾患の治療に役立つ可能性があると言われています。睡眠時間によって脳の効率が変わる睡眠時間と脳の働きの関係を調べた研究では、1日6時間の睡眠を続けた人は飲酒したときと同等のパフォーマンスしか発揮できないということがわかったそうです。被験者をグループ分けし、4時間・6時間・8時間と睡眠時間を違えて、2週間調査を続けたところ、8時間では問題なく脳が働くことが判明したと言われています。ちなみに4時間睡眠では、飲酒時と同等の6時間よりも脳の働きが悪く、検査を受けられないレベルの人もいたそうです。脳は本当に働き者睡眠には深い睡眠のノンレム睡眠と浅い睡眠のレム睡眠があります。これも脳と関係があり、レム睡眠時の脳の酸素消費量は起きているときよりも高い数値になると言われています。なぜかと言えば、冒頭でも紹介した、脳にたまった情報の整理や掃除をレム睡眠のときに行っているからです。私たちが寝ている間も、脳は日中より多くの酸素を使って一生懸命、整理整頓をしてくれるというわけです。瞬間睡眠を知ってる?ところでみなさんは瞬間睡眠という言葉をご存知ですか? 脳をクールダウンさせ、若返らせることができると言われているすごい睡眠法なんです。実はこの瞬間睡眠、みなさんも知らないうちに実践しているかもしれないのです。ランチ後、強烈な眠気が襲ってきた仕事中などに、一瞬だけ眠ってしまうことがありますよね。「いけない、いけない」と慌てて起きて仕事をすると、一瞬寝た前よりも頭がスッキリしていることがあると思います。それは気のせいではなく、一瞬でも脳は整理や掃除をしてくれているからです。もちろん、もう少し長く(数分~30分未満)睡眠をとれたら、もっとパフォーマンスが向上することは言うまでもありません。でも、仕事中はどうしても長く仮眠がとれないものですよね。そんなときは一瞬でも意図的にウトウトする瞬間睡眠を活用してみてはいかがでしょうか。photo by acworks
2016年04月20日『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』(山岡尚樹著、あさ出版)の著者は、「超脳トレ」全脳活性プロデューサー。そう聞いただけで活動内容をイメージすることは難しいかもしれませんが、つまりは脳をより活性化させるためのオーソリティ。具体的にいえば、人の脳に秘められた潜在能力を、音、イメージ、気の力を通じた実践ワークによって引き出しているのだそうです。つまり本書においては、これまで10万人以上に実践してきたという脳トレのノウハウを凝縮しているということ。CDも付属しているので、聴くだけで無理なく効果が望めるのだといいます。■脳は3%しか使われていない!ところで著者は脳のことを、あえて「道具」だと位置づけています。いってみれば、それはスマートフォンのようなもの。いろいろなアプリが入っていて、さまざまな使い方ができるという意味です。だとすれば、一般的に「頭がいい」「デキる」「効率がいい」といわれるような人は、総じて「道具としての脳の使い方がうまい」ということになるでしょう。ところが多くの人は現実的に、「電話をかける」「メールをする」といった程度の使い方しかできていないのだといいます。せっかくの多機能を、まったく使いこなせていないというわけです。しかも一説によると、ほとんどの人が脳をわずか3%しか使えていないというのですから驚き。だとすれば必要なのは、残り97%の「脳力」をどう引き出すかということになるはずです。■右脳・左脳・間脳・脳幹の役割そこで、まずは脳の役割をおさらいしてみましょう。ご存知のとおり、脳には大きく分けると「右脳」「左脳」「間脳」「脳幹」という部位があり、それぞれ次のような役割があります。[右脳]ひらめきやイメージ力、調和などをつかさどる脳。「芸術家肌の人は右脳優位」といわれるのは、このような理由があるからです。[左脳]計算や分析が得意な脳。言語、計算、論理、理屈といった理性的で論理的なところをつかさどるわけです。[間脳]脳内ホルモンの分泌を調整し、感情の操作をつかさどる役割。[脳幹]呼吸、体温調整といった、生きるための調整を担当。本書のトレーニングにおいては、まず「右脳」を活性化させ、多くの人のなかに眠っている未使用の脳力を引き出すのだそうです。■新しい「脳力」を目ざめさせる日常生活においてほとんどの人は、左脳が優位に働いているもの。著者によれば7~8割以上の日本人が左脳優位だというデータもあるそうですから、日本人は左脳民族であるともいえるのかもしれません。左脳優位である以上は、計算、論理、理屈など、現実的に判断・実行する力をしっかり持っているということになります。では、そんな実行力ある左脳に加え、右脳を活性化するとどうなるのでしょうか?答えは次のとおり。・与えられたことだけではなく、斬新な発想、ひらめき、イマジネーションを現実的に判断・実行できる。・ひとつのことだけでなく、同時に複数のことを実行できる(効率がよくなる)。・直感力や判断力が上がり、課題・問題に対して「検討→解決」の時間が短くなる(問題解決が格段に速くなる)・ものごとを俯瞰的に見ることができ、マネジメント脳力が上がる。つまり、一般的な「デキる人」「頭がいい人」のイメージと重なっていくということです。現代人は、もともと左脳が鍛えられているもの。だからこそ、右脳や間脳、脳幹などで眠っている“新しい脳力”を目ざめさせることにより、また異なった脳力を生かすことができるということです。■聴くだけで脳が活性化する理由よくある計算ドリルなどの脳トレは、左脳中心の訓練しかできないことが難点。一方、右脳を刺激できるのが、本書に採用されている「音」のトレーニング。なぜなら脳は「音」「イメージ」「気」という3種類のアプローチで活性化できるからだそうです。「イメージ」することは、人によってうまい・下手の差があるでしょう。「気」にしても、感じられる人と、そうでない人がいるはずです。しかし「音」は、誰にとっても、耳に届く内容は同じ。また、そもそも脳に伝わるエネルギーの約90%は、耳から入ってくるといわれているのだそうです。こうしたことから、「音」は脳を活性化させるための、もっともベーシックで優れた刺激だといえるのです。*しかも、脳は何歳からでも鍛えることができるのだとか。「脳を鍛える」という発想自体があまりなじみのあるものではありませんが、音を聴いているだけで鍛えられるならば、ぜひ試してみたいところではあります。CDに収録されている音源は、クラシック、オペラ、落語までバラエティ豊か。著者のノウハウが凝縮されているだけでなく、リラックスして聴くこともできるというわけです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※山岡尚樹(2016)『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』あさ出版
2016年04月11日忙しい毎日を過ごしていると、あたかも自分が充実した人生を送っているかのように錯覚してしまいがちです。しかし、それは大きな勘違いだと指摘するのは、精神科医・医学博士である『ぼんやり脳! 上手にボーッとできる人は仕事も人生もうまくいく』(西多昌規著、飛鳥新社)の著者。充実しているどころか、常になにかをやって忙しくしているのは、脳にとって「非常に不健康な状態」だというのです。そして、だからこそ「なにもせずにボーッとしている時間」が必要なのだということが本書の考え方。実際、ボーッとしているときには、脳内において意識的課題を行っているときの15倍にもおよぶエネルギーが使われているというのですから驚きです。ちなみに、ぼんやりしているときの脳活動システムは「デフォルト・モード・ネットワーク」(本書では「ぼんやりモード・ネットワーク」と呼ばれています)。脳をすこやかにキープしていくためには、その機能を落とさないようにしていくことが重要だというのです。■ボーッとすると脳の健康にいい!書店には、「時間術」「手帳術」などをテーマにした本や雑誌がたくさん並んでいます。しかし、その多くに書かれているのは、「ほんの数分の時間もムダにすべきではない」「すき間時間をフル活用しよう」というようなことばかり。たしかに時間は大切で、有効に使うに越したことはないでしょう。しかし、ほんのわずかな時間に対して汲々とするのは、ちょっと余裕がなさすぎると著者はいいます。すき間というすき間をすべて予定で埋めてしまったら、ほっと一息つく時間すらなくなってしまうということです。むしろ、ビジネスや自分磨きなどにおいて他人に差をつけるために重要なのは、「いかに効率的にぼんやりするか」なのだとか。脳を健やかに機能させていくためには、ボーッとする時間が不可欠。だからこそ、仕事と仕事の合間のすき間時間になるべくボーッとするようにしていれば、脳の疲れがスッキリとれて、その後の仕事に対してフレッシュな頭で臨むことができるということ。■ボーッとするといい企画が浮かぶまた、ボーッとしていると、ひらめきが湧きやすくなるのだともいいます。つまり、いい企画や、仕事上の懸案に対しても「そうか、こうすればよかったんだ」という解決策が浮かぶ可能性が高まるということ。また、ぼんやりしているときの脳内においては、過去のことを反省したり、未来に対する準備をしたりしながら、自分の現在の状況を立てなおすようなネットワークが働いているのだそうです。無意識のうちにぼんやりと頭に浮かべている反省や準備のイメージが、あとあと自分の思考や行動を修正する際に生きてくるのです。だからこそ、「時間術」を学ぶよりも「ぼんやり術」を学ぶほうが、より脳の力を引き出して自分を伸ばしていけるという考え方。■活動時の15倍もエネルギー消費ちなみに「デフォルト・モード・ネットワーク」の存在を世界で初めて明らかにしたのは、ワシントン大学のM・E・レイクル教授。その研究においては、脳の活動エネルギーの大半をデフォルト・モード・ネットワークが使っていたという点に多くの注目が集まったといいます。レイクル教授によれば、脳が消費するエネルギーのうち、本を読んだり仕事をしたりといった「意識的活動」に使われるエネルギーは、全体のわずか5%程度。約20%のエネルギーは脳細胞のメンテナンスにあてられ、残り75%のエネルギーが「なにもせずにぼんやりしているときの活動」のために使われているそうなのです。「なにもせずにボーッとしているとき」には、「意識的な活動をしているとき」の15倍ものエネルギーが使われているということです。■ボーッとする時間を大切にしようつまりエネルギー消費という側面からみれば、「なにもせずにぼんやりしているとき」の活動のほうがメインだったことになるわけです。逆に、仕事や作業に集中するなどの「意識的な活動」は、脳のエネルギー消費量からすれば“どうでもいい”という程度のものであったということ。私たちは多くの場合、「なにもせずにボーッとしていること」に価値を見出すことはなく、むしろ「意識的に働いていること」を重要視して日々の生活を送っているのではないでしょうか?事実、ぼんやりしている姿は、周囲の人から「仕事や作業をなまけている」「集中力を欠いている」と見られがちでもあります。ところが、そんな「ぼんやり時間」にこそ、脳は大量のエネルギーを投入して重要な活動を行っていたというわけです。だからこそ私たちは、これまでの先入観や価値観をいったんリセットし、「なまけモード・ネットワーク」「ぼんやりモード・ネットワーク」の大切さを見なおしていく必要があるのではないか?著者はそう提言しています。*たしかに著者がいうように考えれば、ずいぶん気が楽にもなります。精神的な負担を意識せず、最良のかたちで物事を進めるために、「ぼんやり時間」を意識してみるべきかもしれません。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※西多昌規(2016)『ぼんやり脳! 上手にボーッとできる人は仕事も人生もうまくいく』飛鳥新社
2016年04月10日小学3年生~4年生というと、年齢にすれば9歳~10歳になりますね。実はこの頃の子どもたちの脳は、あるポイント地点に到達しています。この時期を境として、その前と後とでは、脳が少し違ってくるのです。いったいどう違ってくるというのでしょうか。それを知ると、わが子への働きかけをどうしていったらよいのかが、よくわかるのです。■9歳~10歳で大人の脳へと切り替わる!生まれてから3歳くらいまでは、脳の発達の度合いはとても急激です。そして3歳過ぎになるとややゆっくりとした速度で脳は発達していきます。そのまま行くのかというとそうではなく、子どもの脳は9~10歳ころにもう一度変化をみせるのです。学校での実例から見ても、9~10歳ころ、つまり小学3~4年生の頃というのは、子どもの学習という視点から見ても変化の兆しが表れる時期です。また、発達心理学の立場からは、このころを「9歳半の節」と名付けています。つまり、この頃の子どもたちはそれまでとはどこか違った様子を見せるようになるというのです。この時期の子どもたちの脳は、大人の脳に移行していく時期を迎えているのです。■子どもの脳と大人の脳の違いでは、大人の脳と子どもの脳というのは、どう違うのでしょうか。そもそも脳にとってのエネルギーは、血液から来ています。脳を使うと血液循環のスピードが速まり、それに伴ってエネルギーもたくさん脳に取り込めるのです。エネルギーを脳に取り込むには、酸素が必要です。大人の場合、血液循環のスピードが上がったとき、それに準じて酸素もたくさん取り入れられるようになるかというと、実はそうではないのです。ですから、エネルギーが脳に取り入れられる量が一定に決まっているということになります。なぜこんな仕組みになっているのかは定かではありませんが、突然血液量が増えてしまうことによって血管に圧力がかかり、詰まりを生じたり切れたりしないようになっているとも考えられています。しかし、この仕組みは、子どもの脳には当てはまりません。子どもの場合は、血液循環のスピードが上がるに従って、取り入れられる酸素の量も増えていきます。ということはつまり、脳を使えば使うほど、脳に必要なエネルギーをどれだけでも得ることができるということになります。子どもの脳はこのような素晴らしい仕組みになっています。ですから、子どもの脳である時は、どんどんと脳を鍛える学習(漢字の書き取り、音読、計算問題など)をするのにもっともふさわしい時期と言えるのです。では、いつまでが子どもの脳と言えるのか。それがズバリ、9歳~10歳ころ、学年で言えば小学校3~4年生の頃なのです。移行の時期には男女差があり、女子は男子より6ヶ月ほど遅れてやってきます。■9歳~10歳くらいの子どもの変化に対して心の余裕を持つ方法小学校3年生~4年生のころになると、脳はもう子どもではありません。大人の脳へと移行していくのです。まだまだ子どもに思える小学校3年生~4年生ですが、脳は確実に大人へと切り替わっていくのですね。さて、この時期の子どもたちを見ていると、それまでとはちょっと違うように見えることがあります。「何だか最近、生意気な口を利くようになってきた」「どうも落ち着きがないのよね」などと、どことなく漂う不安定感に気づかれる方もいるでしょう。それはもしかしたら、大人の脳へと移行していくことから来るのかもしれません。反抗期を迎えた子どもも、今までとはちょっと違った様子を見せますが、それとこの時期の変化とは、少し異なっています。いつも一番近くで子どものことをよく見ている親であれば、きっとその違いがわかることでしょう。さあ、ここまで読んでいただければ、あなたの子どもが小学校3年生~4年生になり、今までとはちょっと違った雰囲気を見せ始めた時、「大人の脳へと変化しているのだ、確実に成長しているんだな」と、少し余裕を持って受け止めてあげられるでしょう。大人の脳へと順調に移行していけば、脳の働きはより潤滑なものとなり、ついに思春期へと向かっていくのです。
2016年04月05日人間には「男性脳」と「女性脳」の脳タイプがあるって知ってた?男女脳のメンタリスト、DaiGoさんによれば、脳タイプの判別の仕方は簡単。右手を見て、薬指と人差し指を比較して。薬指のほうが長ければ男性脳、人差し指のほうが長い、もしくはほぼ同じであれば女性脳なんだそう。「女だから、あたりまえ?いえいえ、そうではありません。女性でも男性脳の傾向が強い人は約10%、男性でも女性脳の人は約15%もいます。ただ1つ確かなのは、男性脳と女性脳では、生物学的に『脳』の仕組みに大きな違いがある、ということです」(DaiGoさん)女性脳の特徴は、「共感が大事。同時進行もOK。感覚的。プロセス重視。頷きながら聞く。シェアしたがる」。男性脳の特徴は、「競争が好き。ひとつに集中。論理的。結論重視。黙って聞く。独占したがる」とのこと。「その違いは、右脳と左脳をつなぐ『脳梁』と呼ばれる神経の太さに表れます。右脳は『直感』や『感性』を司ります。左脳は『言語』や『思考』を司ります。つまり、右脳と左脳の連絡がスムーズで両方の脳をバランスよく使えるのが、女性脳。女性は感情(右脳)を言葉(左脳)で表現する『おしゃべり』がとても得意なのです。一方、男性脳は、会話をするとき左脳しか使えません。そう、もうお分かりですね、“伝えること”は本来、女性脳の得意分野です。女同士の高度なコミュニケーションにおいては、その力が最大限に発揮されます」(DaiGoさん)ということは、男性脳相手の仕事や恋愛の場面ではどうなる?「上司や彼氏が、“典型的な男性脳”の場合、彼らは、女性脳の考え方や行動を理解することが難しいかもしれません。さらに言えば、男性脳と女性脳の発想の違いは、日常のコミュニケーションで『すれ違い』を生む原因になるでしょう。互いに全く悪気がない場合でも、です。それって残念だと思いませんか?」とDaiGoさん。まずは、男性脳と女性脳の違いを理解するところから始めてみましょう。※『anan』2016年3月30日号より。写真・土佐麻理子文・瀬尾麻美
2016年03月26日実は男女のすれ違いは「男性脳」「女性脳」の2つの脳タイプの違いが原因になっていることも。男女脳のメンタリスト、DaiGoさんによれば、脳タイプの判別の仕方は簡単。右手を見て、薬指と人差し指を比較して。薬指のほうが長ければ男性脳、人差し指のほうが長い、もしくはほぼ同じであれば女性脳なんだそう。メンタリストのDaiGoさんが具体的なシチュエーションをもとに、脳タイプによる考え方の違いを解説します!■SCENE1彼氏とのすれ違い女性脳の彼女:「Jちゃん(同僚)、彼氏と旅行したんだって。ハワイだって」男性脳の彼氏:「へーそうなんだ。いま、部署が忙しい時期だったんじゃなかったっけ?」女性脳の彼女:「……」(そのあと不機嫌に)男性脳の彼氏:「……」(Jのせいで、彼女、仕事量増えたりしてるのかな。かわいそうだな)この会話、察しのいい人なら「私もハワイに連れていってほしい」と女性側が暗に言っていることがわかるはず。でも、男性脳の人は言葉をその通りに受け取る傾向があるため、このような勘違いが起こるのも、ある意味当然。男性脳の前では直截的な表現を心がけて。■DaiGoさんの解説女性脳はダイレクトな表現をあまり好みません。本心をズバッと伝えるのはやや苦手なのです。そのため、女性脳同士の会話では、会話の中身が、気づけば“状況報告”ばかりになっているパターンが多々あります。まるでネットの“まとめサイト”のような…。会話しているにもかかわらず、いちばん伝えたいことの“核心”を絶対に明かさないまま話が進行していくという、ある意味、超高度なコミュニケーションです。これを男性脳が理解するのは至難の業。“裸の付き合い”“腹を割って話す”という言葉があるように、男性脳のコミュニケーションは女性が思う以上に直球勝負なのです。■SCENE2上司とのすれ違い男性脳の上司:(一度頓挫しかけたプロジェクトについて)「あの時はどうなるかと思ったけど、成功してよかったな!」女性脳の部下:「あ…ありがとうございます。(部長はあの時の私の失敗をやっぱり気にしているのかな。落ち込むな~)」褒められているにもかかわらず、「あの時はどうなるかと思ったけど」というネガティブな前置きのほうが気になるのは、想像力の豊かな女性脳らしい感情の読み取り方。でも残念ながら、男性脳の人にこうした高度な嫌みを言える発想はありません。ご安心を!■DaiGoさんの解説先日、とある企業の社長から、「部下を褒めるのって難しいですね」と相談されました。そうなんです、特に、男性脳の上司が女性脳の部下を褒めるのは苦労します。なぜなら、女性脳の場合、相手の言葉を、素直に“文字通り”には受け取りません。自分に対しての言葉を、すぐ拡大解釈して一喜一憂してしまう。いわゆる、深読みする、というやつです。特に女性脳は男性脳に比べて思考が広がりやすい傾向が。例えば、カップルがケンカをした時に、女性が関係のない過去の話を突然持ち出してきたりするのも、この拡大解釈が一因です。◇ダイゴ人の心を読み、操る技術“メンタリズム”を駆使するメンタリスト。テレビや雑誌で活躍するほか、外食系企業のコンサルや研修も手掛ける。※『anan』2016年3月30日号より。写真・土佐麻理子文・瀬尾麻美
2016年03月24日こんにちは。医療カウンセラーのyoshiです。みなさんは脳についてどの程度知っているでしょうか。脳というと、生き物の中心、重要な器官、体の司令塔のようなイメージがあると思います。しかし、脳というのはまだまだ解明できていない部分が多く、 非常に複雑な臓器、器官となっています。これまでも多くの研究がされてきていますが、その中でも結論というのは二転三転してしまっているのです。それくらい解釈が難しく、正確な結論に至ることができていません。逆に言ってしまうと、脳が持つ可能性というのはとても大きなものであると考えることができます。脳細胞は減り始めたら増えることはないと言われていますが、1998年の段階でスウェーデンのエリクソン博士によって、高齢になっても脳細胞は増えていく ということがわかっています。脳の持っている大きな可能性というのは日常生活でも重要になりますが、障害を負ってしまった場合、非常に大きな意味を持ってくることがあります。●大脳の半分がなくなってしまう可能性がある脳の半分がなくなってしまう、大脳の半分がなくなってしまうとなると、それは生命の維持に大きな支障をきたすのではと思ってしまいますが、大脳の半分がなくなっても人は生きていける場合が多くあります。難治性のてんかんの手術では、大脳の半分を切除する方法が効果的と言われています。小児に限定しますが、大脳を半分切除してしまっても残りの半分が適応をしていき、障害というのを非常に小さくしてしまえるのです。大人であっても、脳に関する病気によって能力を一時的に消失してしまったとしても、リハビリによって回復をしていくこともあります。なくなった分を残された脳が補うことで、苦手が得意になる ということもあるようです。まだまだ研究段階ではありますが、脳の可能性というのはとてつもなく大きいことがわかり、その可能性こそが脳の病気に対する大きな将来性につながっているとも言えます。【参考リンク】・大人でも脳細胞は新生する | 日経サイエンス()●ライター/yoshi
2016年03月15日「人生は短い」いつもそう思いながら日々暮らしてきたけれど、ある出会いをきっかけに「人生は長い」というポジティブな考えが浮かび、長いからどうしようかと真剣に考えるようになりました。先日自分の研究ワークの一部で健康な高齢者の方と多くコミュニケーションを取るチャンスがあり、これをきっかけに私の人生観やこれからの計画を考えなおすことになったのです。今回お会いしたのは60代~80代の健康な高齢者の方々。どの方も地域のため人のために働いておられる方々です。私の人生設計では60歳でリタイアしその後は仕事のことはあまり考えていなかったのが本音でした。しかし今、医学の進歩や予防医学が進み、平均寿命は世界一を誇る日本! 60代からの人生が20年以上もあるのです。さて60歳からどうする…?お会いした70代、80代の方がなんとお元気なこと。健康面だけではなく、ちゃんと自分の能力を発揮できるところに身をおき、自分らしく生きるアイデンティティを保っているのです。そして服装や身なりがとてもおしゃれで清潔感に溢れています。私は自分の仕事の内容を忘れ、話を聞くことに夢中になりました。落ち着いた貫禄と相手を優しく包む包容力。そんなに慌てなくて大丈夫ですよ、と声をかけられ、「そうですよね」と思わず涙ぐんでしまいました。 長い人生を “元気に楽しんで” 過ごすためには?ITに翻弄される毎日、スピードが命の現在。研究職もスピードがものをいいます。そんな中でふと穏やかでアナログな時の流れを感じた瞬間でした。戦後の日本を立て直し、日本の高度成長を支えてきたこの世代。乗り越え、経験してきたからこそ持つこの余裕感。今の私、現代の人たちに彼らの意見や空気感は必要であると感じました。話も自らの経験をもとに話をしてくださいました。どう感じたか、どう見てきたか、話の興味はつきません。そして最も興味を持ったのは、「どうしてこんなにお元気なのか、どうして楽しそうなのか」ということ。今も活発に活動されているが、それは今に始まったことではなく、若い頃から活動的であるということ。習慣というのは年齢を重ねてから変えるのは難しい。今でさえ、自分の生活の傾向をなんとか変えようとしてもかなりの努力が必要になります。今回お会いした高齢の方がたは、日常的に運動をすること、人とたくさんコンタクトを取り、趣味を楽しみ、おしゃれをして外へでかけることを億劫に思わず、それらは日常的なことであるようでした。シンプルな食事で人を家に招き、残りの布でさっとお裁縫をしブラウスを作る、自転車に乗り風を感じる。楽しくて仕方がないという。ゆるやかな時間を感じるけれど、次の予定を聞くと、ポケットからスマホを取り出しスケジュール表をチェックする。ちゃんと時代の波にも乗っているのです。認知症予防にも? 日々の生活で大切なこと認知症である人と健常者の脳内を比較したこんな論文(※)があります。認知症の原因としてamyloidβ(Aβ)やTau (タウ)という異常なタンパク質が脳内に沈着し、それが神経細胞を脱落させることが考えられています。その凝集は特に記憶や情動に関連した脳部位に起こるのです。しかし高齢者の中には健康で、記憶力や認知機能の低下がみられず元気に楽しく暮らしている方も多くいます。健康で認知機能を維持したまま亡くなった方の脳を剖検したところ、Aβが著しく沈着しており病理学的にはアルツハイマーと診断される状態であったといいます。アルツハイマーと診断されて亡くなった方とどこに差があったかというと海馬の体積であることがわかったのです。つまり病理学的、組織学的には差はないけれど、アルツハイマー病では海馬の体積の減少が認められたのです。海馬の体積を維持することで、予防も可能であるということを示した研究の1つです。そして海馬は唯一、神経を再生させる能力があり、それは運動や食事、日々の生活で大きく変化をします。ライフスタイルが大きく関与していることは間違いありません。人生は長い。だから健康=楽しく=一生現役でなくてはいけません。考えさせられる40代、今から準備が必要だと感じた出会いとなりました。※ 参考論文:Erten-Lyons et al., Neurology, 2009
2016年03月01日親は誰しも皆、わが子の脳の発達にとって良いことをしたい、と考えているでしょう。そのために幼い頃から子どもを塾や教室に通わせたり、学習教材を買い与えたりするのです。でも、お金を使わず、かつ、もっとも脳の発達にとって大切となることを見落としている人が多いのです。それは、「コミュニケーション」です。親子のコミュニケーションほど脳を発達させるものはない!子どもの脳の発達について書かれた本には、たいてい「コミュニケーション」という言葉がたくさん書かれてあります。赤ちゃんに対する言葉かけ、幼児に対する読み聞かせ。それらは脳の発達に欠かせないものであり、そこにはいつも「コミュニケーション」という言葉が付いて回ります。そう、脳の発達のキーワードとなるのは、コミュニケーションなのです。逆に考えてみると、コミュニケーションなしでの事柄は、どんなに脳に良いと言われていることであっても、脳をそれほど発達させないということです。特に乳幼児と呼ばれる子どもたちにとって、一番その脳を発達させてくれるものは、親によるコミュニケーションなのです。実際、たくさんの研究結果によって、「幼少期にたくさん親から声をかけてもらった子どもは、将来よい子どもになる」ということが明らかになっています。脳の発達に良いからと、多くの親が、幼稚園に通い出すころから教室や塾などで何かを習わせます。それはそれでよいでしょう。でも、他人からのアプローチよりも親からのアプローチのほうが、子どものやる気を十分に引き出せるため、「いろいろ通わせたものの、あまり子どもに変化が見られないのよね…」なんてこともあるのです。習い事で親子のコミュニケーションの時間を減らしては本末転倒さらに危惧すべきところは、まだまだ親子のコミュニケーションが必要な時期に、貴重な時間を習い事で消費してしまうということです。習い事を始めれば、そこにいる時間だけでなく、送り迎えにも時間をとられて、ゆったりとした親子のコミュニケーションの時間がかなり減ってしまうのは否めません。では何も習わず、家で親子が一緒にいるだけでよいのかというと、それもちょっと違います。一緒にいても会話をせず、ただ教育メディアを見ているだけなら、子どもの脳にはコミュニケーションによる刺激は与えられません。家族そろっての食事時も、テレビをつけ、皆がそちらを向いて黙って食べているなら、それはコミュニケーションのある風景ではないのです。< 後編 に続く>(子育ての達人)
2016年02月28日友だちとの会話で、ふとした瞬間に会話を “ど忘れ” をしてしまうことってありますよね。若い時にはなかったことが “今では当たり前” になっていたりすることも増えてきます。ですがそんな時「もう歳だから仕方ないよね!」なんて言葉をサラッと口にしているとしたら、それはちょっとナンセンスです。歳のせいにすればとっても楽チン。悪いのは加齢のせい。だから自分はもちろん周囲も許してくれる! と思っていたらそれはちょっと違います。今回は「脳の若返り」と「美しさ」をキープする簡単トレーニングをご紹介します。言ってはいけない「もう歳だから仕方ないもん」このひと言で自分は “おばさんだ” と認めたことと同じです。世の人が認識するおばさんは、いい香りを漂わせたり艶々なヘアでいたりキレイにしているイメージはありません。つまり、どんなにあなたが自分磨きに気合を入れていても「もう歳だから仕方ない!」のひと言ですべて台無しになってしまうのです。さて、ではどうしたら物忘れから脱却できるのでしょうか? 老化防止のゲームや本などが次々と登場していますが “何かを使って” というと、これまたおばさんは面倒くさいのです(笑)そこでオススメなのが、普段のライフスタイルの中で、手ぶらで何も使わず行う方法です。私はこれを『5色で若返りツヤツヤ体操』と呼んでいます。脳が若返ることで顔色がよくなり、高い美容液よりもずっとずっとキレイになるような気がしています。 残りもの食材で「5色」のレシピをこの体操はどこでもできるのですが、一番のオススメは「キッチン」です。 “冷蔵庫の中身” から記憶やイメージを膨らませていきます。お料理をしない人は少し材料が足りないかもしれませんが、ある程度される方なら何かしら入っているでしょう。料理を作った後に残った食材で、頭の中でレシピを考えます。その時に大事なのが「5色」のレシピです。5色とは緑、赤、黄色、白、黒ですが、この5色すべてを使えるようにレシピを作ります。まずは冷蔵庫の中にこの5色のものがあるかをチェックしましょう。ブロッコリー(緑)、パプリカ(黄色)、お豆腐(白)があったとします。でも赤と黒がないとしましょう。その場合には、赤を豆板醤。黒を乾燥ひじき(又は黒ゴマ)で代用します。ひじきだけでなく、きくらげ、干ししいたけといった乾物類は常備品として役にたちますので揃えておくとよいでしょう。さて、これだけの材料があったとしたら、何ができそうですか? 私なら「ひじきと野菜入のピリ辛豆腐ハンバーグ」です。刻んだひじきとパプリカを豆腐に混ぜ込み、味付けはお醤油やお酒、さらには豆板醤で辛味と赤みをプラス。ブロッコリーは添えものにすればワンディッシュで5色プレートのできあがりです。もし豆板醤も黒ゴマもひじきもなかったとしたら、ここで初めて買い物に行きます。これを機に、常備できるものを用意しておくと良いでしょう。野菜嫌いの人は、冷蔵庫の中の色が偏りがちになります。不足しやすい赤や緑は、トマトの水煮缶やトマトジュースを常備したり、万能ねぎを小口切りにして冷凍しておいたり、市販の冷凍グリンピースや冷凍いんげんでも良いでしょう。冷蔵庫や冷凍庫をあけたら「緑」のものがある! という状態を意図的につくることが大切です。 コーディネイトも「5色」で考えるそしてもう一か所のおすすめの場所は「クローゼット」です。どんな服があるか、結構忘れてしまいませんか? 大量に洋服を持っている人はこの現象に陥りやすいです。日頃からよく整理している人は自分の服は何色が多いか、が頭にインプットされています。スタイリング時に「5色」を全身に入れるのはちょっと派手では? と一瞬思いますよね。洋服の場合は同じグレーでもトーン少しが違うグレーを2つ身につければ、それは2色とカウントします。グラデーションを含め5色の色合いを作ることを目標にしましょう。意識すべきは「思い出そう」とすること献立やコーディネイトを考えるとき、もうひとつ意識したいのは「思い出そう」とすることです。人間の脳というのは無意識に大事なものを優先し記憶を残していきますので、覚えよう覚えようとしても、優先順位が低いものは後回しになります。つまり、「冷蔵庫に何が入っているか?」「どんな服を持っているか?」は、どうでもよいことになりがちで、なかなか覚えることができません。大切なのは“覚えよう”とするのではなく、“思い出そう”とすることなのです。レシピを考える際、「冷蔵庫に何が入っていたかな?」と毎回面倒でも思い出せばいいんです。朝起きて「今日は何着ようかな?」とクローゼットを開ける前にまずは自分の手持ちアイテムを思い出してみましょう。この “思い出す” という行為こそが、脳が若返っていく行為と言えます。そこにプラス「色」を意識することで思い出すのが単語だけでなく色という映像やイメージとして頭に思い浮かびます。これを繰り返すだけで若返り効果へとつながっていくのです。恋愛も仕事も趣味も、“年齢のせい” にしない「アラフォーになっても素敵だな」と思える人たちの共通点は、どんなことも無理なく素敵にマイペースでこなしている点だと感じています。たとえば運動も「自分に合うのはヨガなのか、ランニングなのか」自分自身の身体の声を聞いて適したものをチョイスし、それを無理なく楽しんでいます。恋愛についてもしかり。自分らしくいられる、素の自分で居させてくれる、そんな素敵なパートナーを見つけて一緒に楽しい時間を過ごしています。ついつい年齢のせいにしてしまいがちですが、運動も恋愛も “諦めない心” さえあれば、タイミングが来た時にふわっとその波に乗れることでしょう。その波に乗れるか乗れないかは、あなたの日頃の努力次第です。「忘れっぽいのは歳のせい」などと口に出さず、思い出すトレーニングをしていきましょう。なんでもないことのようですが、地道な作業は必ず美へと導いてくれますよ。
2016年02月22日近年「香り」は、人間の身体に多くの効果をもたらすことが科学的に実証されつつあります。そんな中、様々な香りのグッズも多く見かけるようになりました。今回は香りの中でも和の香り「お香」についてご紹介しましょう。シェイクスピアと香りと科学香りは感情や行動を司る大脳辺縁系に直接働きかけて、様々な効果を与えているということが研究によりわかってきました。ウィーン大学の研究によると、歯科医の待合室でオレンジの精油の香りを患者に嗅がせたところ、女性患者の不安感が少なくなったという結果が出たのです。また、イギリスのノーサンブリア大学の研究によるとローズマリーのアロマオイルを嗅いだグループが、そうでないグループに比べて長期的な記憶力がおよそ60%から75%ほどアップしたというから驚きです。ローズマリーと記憶の関係は古く、古代ギリシャ時代に遡ります。頭脳を明晰にし、記憶力を伸ばすはたらきがあると信じられていました。また、シェークスピアが書いた「ハムレット」の中でも、オフィーリアが、ローズマリーを持って語る場面があります。OPHELIAThere's rosemary, that's for remembrance; Pray you, love, remember.(Hamlet, Act 4. Scene 5. by William Shakespeare)オフィーリアほら、ローズマリーがあるわ 思い出のためにですって。ねえ、だからお願いあなた、わたしを忘れないで。(ウィリアム・シェイクスピア 『ハムレット』 第4幕第5場)ローズマリーの香りの効果は古くからの言い伝えでしたが、科学的にも立証されたとても良い例です。 香りはどのように世界に伝わったのか香りの文化は古く、4000年前の古代インドにも遡ることができるそうです。古代インドを中心に西に伝わった香りは「液体」、つまり「香水」になり、東に伝わった香りは「固形」、「お香」などになったそうです。どのように香りは旅をして、変化していったのかを考えるとなんだかロマンを感じますね。日本の香りの歴史飛鳥・奈良時代は隋・唐から入ってきた濃密な香りを持つ焚香料(ふんこうりょう)を仏教儀礼で使用する宗教色の強いものでした。ほかにも経本や衣服の防虫・加香に用いられたことから、実用品としても生活に取り入れられていたことが伺えます。香りの文化が花開いたのは平安時代。自分だけの香りをブレンドし身にまとった貴族たちは、姿を見なくても香りだけで誰なのかが分かったそうです。しかし高価な香木は貴族の特権であり、香りを作るためには、財力・知力・感性が備わっている必要がありました。自分の「美」を香りで演出することは、のちに香道に発展し、茶道などと並び身につける教養のひとつにまでなったのです。今ではいろいろなお香販売店などで、香道体験をすることができます。香の十徳十一世紀の北宋の詩人 黄庭堅(こうていけん)の作品。その後、一休禅師により日本に紹介された、と言われています。(一)感覚を研ぎ澄ます(二)心身を清浄する(三)汚れを取り除く(四)眠気を覚ます(五)孤独感を癒す(六)多忙時でも心を和ます(七)沢山あっても邪魔にならない(八)少量でも芳香を放つ(九)何百年をへても朽ち果てない(十)常用しても害がない偶然から生まれる神秘の香り香木で有名な「伽羅」(きゃら)は樹木の中で偶然に生成される半化石状態のもので、ほかの香りは科学的に作る事はできても伽羅だけは現代の科学を持ってしても未だに解明ができていません。それだけ貴重なものなので、発掘されるベトナムの山岳地帯では、伽羅の香木ひとつで一生食べていくことができるだとか。伽羅が取れる地域は未だに歴史的に秘密とされており、現地の住民が守っているのだそうです。 香りで時(とき)を数える最近、お香でお気に入りの使い方があります。朝、出かける前にバタバタするからこそお香を焚くのです。時計を見ながらあくせくとお化粧をするのではなくスティックなどのお香を焚いて時間を計っています。お香は燃焼時間がはっきりしているので、「時間を計りやすい」という特徴があります。例えば7cmほどのお香は15分~17分ほど。禅宗などでは、お線香1本が燃え尽きる時間で時間を計っていました。香りの力を日常で活用する香りを嗅ぐ事により、その時の記憶や感情が蘇ることを「プルースト効果」と呼びます。“プルースト”とはフランスの作家マルセル・プルーストのこと。その半生をかけて執筆した大作『失われた時を求めて』の中で、語り手が口にしたマドレーヌの味をきっかけに幼少期の家族の思い出が蘇ることから、香りによって記憶などが蘇ることを『プルースト効果』と呼ぶようになりました。 香りで記憶がフラッシュバックするということは、私たちの日常においてもよくある出来事だと思います。例えば、友人がいつも同じ香水をつけていて、街角でその香水の匂いがするとその友人をふと思い出す…など。私は、名刺入れに入れる名刺香を愛用しています。名前を忘れられても香りで印象を残せるように。いろいろな活用法がある「お香」。自分のライフスタイルに合わせて、“香りの力”を取り入れてみてはいかがでしょうか。
2016年02月06日少し気合いが入る日には、お気に入りの香水をひと吹きして出掛けます。好きな香りに包まれると、守られるような安心感があり、気分が盛り上がるような高揚感も沸く、それは香りがかけてくれる魔法のようなもの。さまざまな香水遍歴を経て、“私はこの香り!”と決めている人は多いと思いますが、新たな香りは気分が変わりワクワクするものです。そこで、南米ブエノスアイレス発のフレグランスメゾン『FUEGUIA 1833』(フェギア1833)ブランドマネージャーの武田麻美さんに、新たな香りの取り入れ方、香りの楽しみ方、などを教えていただきました。新たな香りを愉しむ、大人女子のフレグランス選びまず新たな香りを取り入れるタイミングを聞いてみると、武田さんは「香りは記憶とも直結するものなので、結婚、転職や昇進などの転機に新たな香りを取り入れるのはいいかもしれません。またご自身がと思っている時にもいいですね。日本は四季があるので、その変わり目で選ぶのもおすすめですよ」と言います。フローラル、シトラス、グリーン、フルーティ、などいくつもある香りの系統。選ぶポイントとして、好きな系統で広げていくと失敗は少ないそう。また、服選びと同じく香りも試香(しこう)が大事だとか。「必ず肌にのせて試してください。30分後には、香りが落ち着きます。試香する際は、20cmぐらい離してスプレーをし、肌にまとわせます。これは実際に使う時も同じようにしてください。近距離から肌にふきかけると、香りがつぶれてしまいます」と武田さん。オンオフや時間帯、香水で上手に気分を切り替える香りの楽しみ方について「意識的にオンオフの香水を変えると気分がガラッと変わるのでいいですね。朝と夜などの時間帯で香りを変えることもおすすめ」と武田さん。プロならではの使い方として「香水を名刺にまとわせています。お渡しした時、香りが立ち上るのが好評です。ご自身のお好きな香りで試してみてください」とのご提案も。また香りは下から立ち上ってくるものなので「自分も香りを楽しみたい時は、胸やお腹など体の前面にまとわせます。ほのかに香らせたい時には、足首や膝の後ろなどにまとわせること」とアドバイス。近しい関係だからこそ選べるのが「香水」もうすぐバレンタイン、そしてホワイトデーなどギフトマンスリーが続きます。香りをギフトとして贈る場合は、どのように選んだらよいのでしょう?「香水は、非常にパーソナルなもの。だから男女ともに贈る相手のお好みのファッションやご本人のイメージなど細かい情報をブティックでプロにお伝えいただき選んでもらうのがおすすめです。でもおふたりで一緒に香りを選ばれるのが一番ですね」(武田さん)誰にでもギフトできるのは「ルームフレグランス」香水をギフトにするのはハードルが高いと思う人は、ルームフレグランスという手も。ルームフレグランスの場合、ちょっぴり個性的な香りも喜んでもらえそう。また寒い時期には、キャンドルなどの見た目が温かいフレグランスはぴったり。キャンドルを使う場合、一度つけたら2~3時間は連続して灯し続けるとキレイに蝋がとけるそうです。暦のうえではもう春、新たな香りを取り入れてみるのもいいかもしれませんね。取材協力/FUEGUIA 1833 東京本店FUEGUIA 1833 東京本店住所:東京都港区六本木6-10-3 グランド ハイアット 東京 1Fロビー内TEL:03-3402-1833 営業時間:11:00~20:00 年中無休
2016年01月28日フロリダ州政府柑橘(かんきつ)局はこのほど、「グレープフルーツの脳機能に与える影響」についての研究結果を発表した。ホットグレープフルーツジュースを摂取すると、脳が活性化し集中力がアップすることがわかったという。同研究は、杏林大学 医学部 精神神経科学教室の古賀良彦教授に協力を依頼して行った。被験者は、22~23歳の健康な男女6名(男性4名、女性2名)。被験者には、「水(常温10℃以下)」「グレープフルーツジュース(常温10℃以下)」「ホットグレープフルーツジュース(約60℃)」の3種類を3分間かけて摂取してもらい、その後クレペリン検査用紙を用いて1桁の数字の足し算を実施した。実験の結果、計算問題達成数は、ホットグレープフルーツジュースを摂取した時が一番多くなることがわかった。常温の水と常温のグレープフルーツジュースの間には、大きな差は見られなかった。計算中は、光トポグラフィー検査装置を用いて、脳の血流量も測定。グレープフルーツジュース摂取の場合は、常温、ホットどちらでも、前頭葉の脳血流量が増え、脳が活性化する様子が観察できた。常温では、立ち上がりが速く(効果がやや弱い)、ホットではじわじわと立ち上がり効果が持続するという違いも明らかとなった。古賀教授は、常温で摂取したときの立ち上がりが早いのは「(常温ゆえに)素早く覚醒度が上がりサッパリ感を感じさせるためと考えられる」と見解を述べた。実験の終わりに、被験者に体感アンケートを実施。その結果、ホットグレープフルーツジュースは、「落ち着き」「気分」の2項目で、水や常温グレープフルーツジュースより高い評価が得られた。古賀教授はこれらの結果から、「ホットグレープフルーツジュースには、落ち着いて気持ち良く勉強できる雰囲気や状況を作るはたらきがあるのでは」と推測している。また、受験生が勉強前や勉強の合間にホットグレープフルーツジュースを飲むことは、集中力を高めて勉強の効率を上げるという点からおすすめであるという。また、「コーヒー・紅茶の場合はカフェインによる覚醒効果が期待できますが、摂(と)りすぎると眠りにくくなるなど、生活リズムが乱れる可能性もある。ビタミンCが豊富で低GI食品でもあるグレープフルーツを使ったホットジュースは、受験生の健康をサポートするという面からも有効といえるでしょう」ともコメントしている。
2015年12月17日今年もあとわずかとなってきました。今年、あなたがもっとも楽しかった記憶、もっとも嫌だった記憶は何でしょうか。記憶は、脳の海馬というところで記憶に刻む作業を行いますが、1つの細胞だけがその仕事を担うのではなくいくつかの細胞が活動し、連動してその記憶を刻みこみます。それを記憶の「エングラム(痕跡)」といいます。苦しい記憶は楽しい記憶で塗り替えられる?!例えば楽しい思いをした部屋へ行くと、その楽しさを再体験することができますが、それはその当時と同じ脳内のエングラムが活動しているからです。反対に嫌な思いをした場所へ行くだけで、その時の身体反応や不快な感覚を味わうこともありますね。その記憶を塗り替えることはできるのでしょうか?こんな興味深い研究があります。マウスをある部屋に入れて足に電気刺激を与えます。そうするとマウスはその部屋に入っただけで竦んだり、震えたりします。これはその部屋は怖いところだ、という連結が脳内で起こっているからです。逆にその部屋にかわいいメスのマウスがいたとします。オスのマウスはIt’s a small worldを歌って楽しくてしかたありません(筆者の例えです。実際には歌っていませんが)。その部屋はオスのマウスにとっては楽しい部屋、というエングラムが組まれます。そこで今度は、電気刺激により、怖い思いを体験したマウスの脳内の細胞群~エングラムに光をあてて活動をさせながら、メスのマウスを部屋に入れて遊ばせました。すると、恐怖で反応した同じエングラムでありながら、その部屋は楽しいという記憶が作られました。なんと、苦しい記憶が楽しい記憶に塗り替えられる可能性があるではありませんか。引用文献 Roger L Redondo, et al., Nature, 2014記憶を塗り替えるには、記憶に連結した「感情」が大事記憶にはその記憶に連動した情動、感情があります。記憶を脳に刻むのは海馬ですが、不快か、心地よいかは海馬の下流である扁桃体という部位が担当しています。その扁桃体にも嫌な出来事や楽しい出来事のエングラムがありますが、その扁桃体のエングラムに先ほどのような塗り替え作業を試みても、塗り替えることはできません。嫌な記憶は嫌なまま、楽しい記憶は楽しいままというのです。これはどういうことでしょうか。こんなことがあった、あんなことをした、という記憶は自分の情動や感情に強くリンクして脳内に保存してありますが、その時に感じた情緒面はかなり根強く心に残っています。逆にいえば、その時に体験する出来事に対してどのように感じ、思うか、がとても大事であるということではないでしょうか。電気ショックで嫌な思いをしたけれど、その部屋で楽しい出来事を体験して、心から楽しくできたという連携が大切なのです。記憶に連結した感情を切り離して、感情を変えようとしても変えられないということのようです。 香りの力を借りて、前向きな「快」のエングラムを作る私は嗅覚が専門なので、すぐに香りと記憶に結びつけ考えてしまいますが、香りによって思い出す記憶は、良い思い出も嫌な思い出もあります。でもなぜか、香りで思い出す記憶は心地よい出来事が多いのが特徴です。そしてその良い記憶をまた再現したい、その場所へ言ってみたい、と思うことも人間の心の不思議です。例えば、金木犀は人の心に残る香りの1つで、それに綴られるエピソードも美しい思い出が多いですが、なぜかそんな人が皆自分の庭に金木犀を植えたがります。夏に香取線香に火を付けるのも、なぜか懐かしい子供の頃を思い出すから、と言います。過去の美しい記憶が現在、そして未来に結びつく瞬間です。その香りで、また楽しく、新しい記憶が塗り替えられていく。世代を超えて、その香りが子供たちの楽しい記憶に刷り込まれていく。日々、いろいろな出来事に遭遇するけれど、そのエピソードをなるべく嫌だ、不快だと捉えるエングラムを作らず、前向きに楽しいことへ向かうエングラムへと変えられたら、と思いませんか。香りにはそのお手伝いをする力があります。心地よい香り、素敵な香りを漂わせて、前向きに快のエングラムへと結びつけていきましょう。
2015年12月09日