舞台『黒蜥蜴』の公開ゲネプロが8日、東京・日生劇場で行われ、中谷美紀、井上芳雄、相楽樹、朝海ひかる、たかお鷹、成河が登場した。同作は、江戸川乱歩の探偵小説を三島由紀夫が1961年に戯曲化し、以来様々な俳優によって上演されている。稀代の女盗賊・黒蜥蜴と、名探偵・明智小五郎の勝負と愛の行方を描く。今回はデヴィット・ルヴォーが演出を務めた。体の線に沿った数々のドレスを身にまとった中谷の黒蜥蜴は、妖艶でありながらどこか可憐な佇まい。清廉さと大人の男性の色気を併せ持つ井上の明智小五郎、神経質で美しい部下・雨宮を演じた成河とともに『黒蜥蜴』の世界を創り上げた。「ルヴォーさん主催の演劇学校に、出演料を頂戴して通わせていただいたような、充実したお稽古」と振り返る中谷は、9日の初日を前に「少々緊張している」という。「井上芳雄さんをはじめとする共演者の皆さんの言葉に耳を傾け、表情を見逃さず、心と心の対話を最も大切に演じたいと思います」と意気込んだ。さらに中谷は「高尚なものと低俗なもの、喜劇と悲劇、美しいものと醜いもの、愛と憎しみ、エロスとタナトス、相反する2つの世界が混じり合い、拮抗し合う三島ワールドをぜひご覧いただきたいです」と語った。井上は「悲しいほどに美しい美紀さんの黒蜥蜴とご一緒できるのも光栄です」と喜びを表す。「きっと今まで見たことのない、でも、心の奥ではどこか知っていた愛の世界がそこにあるはずです!」とアピールした。「不思議と緊張もなく穏やかな気持ちです」という成河は、「想像力を刺激するシンプルで力強い演出」が見所と明かす。「デヴィット・ルヴォーの美意識が行き届いた、演劇ならではの『空間の使い方』に是非注目して欲しいと思います」とコメントを寄せた。東京公演は日生劇場にて9日〜28日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて2月1日〜5日。
2018年01月08日俳優の中村蒼が、BSジャパンの新ドラマ『命売ります』(2018年1月スタート 毎週土曜21:00~)の主演を務めることが18日、わかった。同作は、三島由紀夫の小説を初の実写化。昨年「隠れた怪作小説発見」と銘打たれ重版が進み、30代~50代を中心に26万部という異例の大ヒットを記録した。広告代理店に勤め、経歴、収入など何不自由ない生活を送る山田羽仁男(中村)は、突然自殺を決行したが失敗し、「命を売る」ビジネスをスタートさせる。「お母さんに殺されてください」と羽仁男に依頼をしてくる高校生・井上薫役に前田旺志郎、羽仁男がよく行く喫茶店の常連客・宮本役に田口浩正、喫茶店のマスター・杏子役にYOU、「裏社会の男と不倫する妻と、寝てほしい」と依頼してきた実業家・岸宗一郎役に田中泯と、実力派キャストが集結する。同局 森田昇プロデューサーは「三島由紀夫作品とい うことで文芸作品のようなイメージを持たれる方もいると思いますが、非常に観念的でありまた難しいテーマを扱いつつも、極上のエンターテイメント作品であります」と同作について説明。「『命を売り買いする』というショッキングな内容ですが、生と死について臆せず向き合い考えながらストーリーを楽しんでいただければと考えています」と語り、「中村蒼さんのセクシーな魅力とともに毎回登場する強力なゲストにも注目ください」とアピールした。○中村蒼コメント多くの人から愛されている三島由紀夫さん作品で、主人公を演じられて光栄です。独特な三島ワールドが映像化されることでどうなるのか楽しみです。命を売る、命を捨てる覚悟が出来ている男はどんな人生を送るのか。“死ぬこと"に対して前向きで、それが周りの幸せに繋がるというのは不思議な感覚ですが、どうやってストーリーが進んでいくのか楽しみですし、この作品が僕にとって転機になる予感がします。色々な人を魅了する羽仁男の様に、この作品に多くの人が引き込まれる様に皆で頑張っていきます。(C)「命売ります」製作委員会
2017年11月18日映画『花筐/HANAGATAMI』が2017年12月16日(土)より、有楽町スバル座ほか全国で公開される。監督を務めるのは尾道三部作をはじめ数多くの“古里映画”を撮り続けてきた大林宣彦。戦争の時代に生きる若者たちを主軸に、青春群像劇を圧倒的な映像力で描く。原作は三島由紀夫がこの一冊を読み、小説家を志したという檀一雄の純文学「花筐」。1941年の春、佐賀県唐津に暮らすことになった17歳の榊山俊彦が、学友たちと青春を謳歌する中でいつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。主人公・榊山俊彦を演じるのは窪塚俊介。俊彦が憧れを抱く、たくましい美少年の鵜飼役には、『三度目の殺人』など話題作に出演が相次ぐ満島真之介。病に苦しむヒロイン・美那には若手女優の矢作穂香。他にも、常盤貴子、長塚圭史、柄本時生、山崎紘菜、門脇麦などの個性溢れる実力派が揃い踏みだ。詳細『花筐/HANAGATAMI』公開日:2017年12月16日(土)有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー監督:大林宣彦キャスト:窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子©唐津映画製作委員会/PSC 2017【あらすじ】1941年の春、アムステルダムに住む両親の元を離れ、佐賀県唐津に暮らす叔母の元に身を寄せることになった17歳の榊山俊彦の新学期は、アポロ神のように雄々しい鵜飼、虚無僧のような吉良、お調子者の阿蘇ら学友を得て“勇気を試す冒険”に興じる日々。肺病を患う従妹の美那に恋心を抱きながらも、女友達のあきねや千歳と“不良”なる青春を謳歌している。しかし、我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。「殺されないぞ、戦争なんかに!」__俊彦はひとり、仲間たちの間を浮き草のように漂いながら、自らの魂に火をつけようとするが……。
2017年11月03日左から、井上芳雄、成河撮影:源 賀津己ヘアメイク:高橋幸子スタイリング:吉田ナオキ、市川みどり(ルミナス)江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化、これまで何度も映像化・舞台化されてきた『黒蜥蜴』。その世界観に惹かれ続けてきた英国人演出家のデヴィッド・ルヴォーが、長年の演出プランをもって、ついに舞台化に着手する。黒蜥蜴を演じるのは、舞台活動でも高い評価を得ている中谷美紀、また彼女と対峙する名探偵・明智小五郎に井上芳雄、緑川夫人の部下・雨宮には成河と、華も実力も兼ね備えたキャスティングが実現した。本作への想いを井上と成河に聞いた。舞台『黒蜥蜴』 チケット情報大阪の宝石商・岩瀬(たかお鷹)は、娘の早苗(相楽樹)を誘拐するという脅迫状に怯え、私立探偵の明智小五郎(井上)を呼び寄せる。宿泊中のホテルには岩瀬の上得意である緑川夫人(中谷)もいたが、実は彼女こそ脅迫状を送った女賊の黒蜥蜴その人であった。互いに尋常ならざるものを感じとる明智と緑川夫人。そんな中、緑川夫人は早苗に、部下の美青年・雨宮(成河)を紹介し……。2012年の舞台『ルドルフ ザ・ラスト・キス』でルヴォーの演出を受けている井上は、「ルヴォーさんは、とにかく人たらし。スタッフ一人ひとりにまで声をかけてくださるから、誰もが彼のファンになってしまうんです(笑)。僕もルヴォーさんの作品にまた出たかったので、こんな素晴らしい作品でご一緒できるなんて二重の喜びですね」と語る。一方、今回が“ルヴォー組”初参加となる成河からは「当初、もっとフレッシュな俳優さんが雨宮役に相応しいのではと思っていたので、そうルヴォーさんにお伝えしたんですよ」と驚きの発言が。「でも実際に彼と演劇について話しているうちに、段々と考えが変わってきて。『成河が蓄えてきた、フィジカルな部分も引き出して舞台を作りたい』と言っていただいたことが、出演の決め手となりました」と、絶妙な配役に至る一端を明かしてくれた。インタビュー中も互いに茶々を入れるなど、仲の良い様子がうかがえるふたり。井上は成河について、「オン・オフ含めて『いま何を考えてるの?』と、つい聞きたくなる人。自然と本音を漏らしてしまう相手でもありますね」と話す。成河はそれを「井上くんはミュージカル出身で、僕は泥臭い小劇場演劇から始めた人間。守備範囲が微妙に異なるから、他では言えない話もできるんじゃないかな」と分析する。「それでも、根本的なところで話が合うのは事実。僕は彼のことを、輸入品である“ミュージカル”を日本に浸透させることができる人だと思ってますから」と盟友への言葉は止まらず、思わず井上が笑いだすひと幕も。信頼で結ばれた井上と成河が響き合い、共に作り出す『黒蜥蜴』の世界。それがどんな様相を示してくれるのか、本番が楽しみだ。舞台『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文佐藤さくら
2017年10月13日~この上もない花やかな虚偽〜私は男だけれど女の格好をして、舞台上では、エディット・ピアフになったり、「椿姫」のマルグリットになったり、舞台を降りればひとりの美輪明宏という人間になったりと、私は虚と実の間を行ったり来たりしながら生きて来ました。三島由紀夫さんは本当は女ではない私を称し「この上もない花やかな虚偽」と呼びました。しかし、私だけではなく、世の中の人は殆どが虚偽で成り立っています。例えば、おしゃれをしてメイクを施し、生まれたままの自分を装い違うものにすることも一種の嘘。逆にいえば、男も女も髪型や服装で嘘のない人間なんていません。たくさんの嘘を知れば知る程、人は賢くなり洗練されて行く。ただし、嘘も良し悪し、上手下手もあります。「嘘も方便」という言葉もあるように、世に有益な嘘をついてこそ、認められるのです。
2017年10月05日デヴィッド・ルヴォー演出の舞台『黒蜥蜴』製作発表が、東京モード学園にて開かれた。学園の生徒たちも集まった会場には、主演の中谷美紀、井上芳雄をはじめ、キャストが役をイメージした衣裳で登場。ランウェイを活かしたパフォーマンスからスタートして、『黒蜥蜴』の世界の一端を見せた。舞台『黒蜥蜴』チケット情報江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化し、これまで何度も様々な座組で上演されてきた『黒蜥蜴』。レザーで仕上げられた美しいドレスに身を包んだ中谷美紀を中心に、ダンスを盛り込んだ妖艶な世界を表現した冒頭のパフォーマンスは、美貌の女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が繰り広げるこの物語が、これまでと違う様相をまとうことを予感させる。続いて質疑応答では、黒蜥蜴を演じる中谷が、「黒蜥蜴は美に執着し、美のためなら手段も問わないという人物。その執着ぶりをおぞましく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私も、朽ちていく美も含め美しいものが大好きなので、共感がありました。黒蜥蜴と明智小五郎、犯罪に取り憑かれたふたりのロマンチックなラブストーリーでもあります。ワークショップをしていても、追いかけているのか追われているのかわからなくなる瞬間がありました。美しく残酷な物語です」と語れば、明智小五郎を演じる井上芳雄が、「犯罪に恋をしてる、犯罪からも愛されているというような不思議な役。真逆の立場にいる黒蜥蜴に惹かれ、ワークショップを通して、見たことのないような愛の形が生まれるのではないかという予感がしました」と意気込む。「素敵なキャストの皆さんに刺激を受けて、たくさんへこたれて、たくさん立ち上がって、本番までに精度を上げたい」というのは、黒蜥蜴に誘拐される早苗役の相楽樹だ。早苗の家の家政婦に扮する朝海ひかるは、「今までに演じたことのない役をいただけたことをうれしく思います。自分がどうなってしまうのか、楽しみです」と話す。そして、黒蜥蜴を慕う雨宮役の成河が、「若くてフレッシュな役なので、最初はお断りしようとしたんですが、ルヴォーさんのこの作品にかける思いに胸を打たれ出演を決めました。誰も見たことのない三島由紀夫の世界を作るその一助になればと思います」と力強く語った。演出のルヴォーは、「まるで夢のように、不思議な人物や光景、シチュエーションが突如浮かび上がる」イメージを目論んでいるという。想像力を刺激する新たな『黒蜥蜴』の誕生である。舞台『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文:大内弓子
2017年10月04日~読書から何を学ぶのか?読書の意義〜読書の秋です。読書は異空間に瞬間移動する想像力を養うとともに、読む本によっては表現力や美しい日本語を学ぶことができます。例えば、泉鏡花や三島由紀夫さんの作品からは美しい日本語を学ぶことができ、竹久夢二、寺山修二、中原中也、石川啄木、ヴェルレーヌ、ランボー、コクトーらの詩人からは面白く、楽しく、美しい空想の世界と言葉使いを習得できます。詩や美しい言葉や表現法になれたら次は小説です。樋口一葉、夏目漱石、芥川龍之介など“文豪”と呼ばれる作家の作品からも日本語の上手な表現方法を学ぶことができます。表現力を数多く学んでいくうちに、実は想像力も養われていく。そして読書から学んだ美しい日本語や語彙、表現方法を日常生活の中で活用すれば、自分自身の人生が楽しいだけでなく、周囲をもユーモアで包み込み、一目置かれ敬愛されるようになります。皆様も読書を通じ多くのことを習得して、日常生活を楽しくしましょう。
2017年10月02日NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』小橋鞠子役も記憶に新しい注目の若手女優、相楽樹。2018年は江戸川乱歩と三島由紀夫、ふたりの文豪が手掛けた名作『黒蜥蜴』でスタートを切る。演出は三島作品を敬愛する英国人演出家、デヴィッド・ルヴォー。美貌の女盗賊・黒蜥蜴を中谷美紀、好敵手にして運命の恋人、探偵の明智小五郎を井上芳雄が演じる究極のエンターテインメント作品だ。本作で相楽は、黒蜥蜴の標的となった宝石商・岩瀬の娘、早苗を演じる。「物語の鍵を握る大事な役」と意気込んでいる。「黒蜥蜴」チケット情報出演が決まる直前、偶然にも美輪明宏が手掛けた同戯曲の舞台『黒蜥蜴』を観劇していたという。「不思議な巡り合わせを感じました。早苗はお金持ちで育ちがいい本物のお嬢さん。じつは物語の後半で明かされる、ちょっとした秘密がある役です」。今回の脚本では緑川夫人(黒蜥蜴)と早苗との掛け合いが多く、美輪の舞台よりも早苗の存在が増した印象だと話す。「演出のルヴォーさんがどこまで早苗の役割を私に任せてくれるかによりますが、最後には『早苗って、実はこうだったの!?』となると思います」。また、セット案についてルヴォーは古き良き時代のハリウッドの撮影スタジオを構想しているとか。「今は生バンドの演奏も想定中と仰っていました。そこに中谷美紀さん、井上芳雄さんの芝居が加わったら相当すごい舞台になるんじゃないかなと。美輪さんの舞台ではゴージャスさに目を奪われたので、ルヴォーさんがセットを含めどう演出されるのか楽しみです」主演の中谷美紀の印象は「唯一無二の魅力があり、女性としても憧れの存在です。中谷さんとご一緒するシーンでは圧倒されることなく、負けずに舞台に立っていなくては」と気合い十分。井上芳雄は舞台『陥没』での演技が衝撃的だったという。「コメディ要素もある役柄で、歌だけじゃなくストレートプレイでもこんなに表情豊かで振り幅のある方なんだと知って、なおさら緊張してきました(笑)」。最後に「同世代にも楽しんで欲しい」と、本作の見所について語ってくれた。「緑川夫人と明智小五郎の恋愛は、物凄く情熱がある。誰かを愛することは年齢に関係なく誰にでも共通することですし、男性は中谷美紀さんの妖艶さにクラクラし、女性は井上芳雄さんのカッコよさにメロメロになると思います。ここまで大きな劇場で古典の名作を演じることは、私にとって初めての挑戦なので、みなさんも一緒に作品世界にどっぷりと浸り、早苗がどういう方法で“いなくなった”のか、推理しながら楽しんで頂ければと思います」。『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。一般発売日は9月30日(土)10:00より。一般発売に先駆け、9月28日(木)23:59まで東京公演の2次プリセールを、9月29日(金)9:30まで大阪公演の一般発売直前プリセールを受付中。取材・文:石橋法子
2017年09月28日原作・江戸川乱歩、脚本・三島由紀夫の『黒蜥蜴』。美輪明宏の映画や舞台はもとより、何度も上演されてきた名作だ。“美”に執着する女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が繰り広げるスリリングな勝負の中、ふたりの惹かれあう想いと共に繰り広げる耽美と闇の世界の物語。今回の演出はデヴィッド・ルヴォー。歌舞伎と三島由紀夫を敬愛し、初来日から30年を経た彼が、長年夢に描いてきた演出プランでついにその舞台を実現させる。「黒蜥蜴」チケット情報出演は、黒蜥蜴に中谷美紀、明智小五郎に井上芳雄ほか実力派が出演。井上は2012年に上演された『ルドルフ・ザ・ラストキス』でルヴォーと出会って以来、その演出に魅了され、再度やりたいと言い続けてきた。今回の機会を知り、過密なスケジュールの中で「是が非でも出たい!」と事務所に訴え、出演を叶えた。7月、ミュージカル『グレート・ギャツビー』の主演で来阪中の井上が、その熱い想いと作品への魅力を語った。「ルヴォーは大好きな演出家です。『ルドルフ・ザ・ラストキス』でしかご一緒していないんですけど、その印象が強烈で。日本だと、演出家の要求するところに自分を高めていくというイメージですが、彼は気づいたらそこに連れて行ってくれるような、まるで魔法をかけられてるような感じの導き方なんです」。井上の語り口に、いつもとは違う熱さがこもる。「どんな作品のどんな役でも一緒にやりたいと思って来て、それが今回形になって、ほんとにうれしいです」。明智小五郎は「ハードボイルドな役」とルヴォー。井上は「ハードボイルドには疎くて。どういう方向かまだ分からないけど、喜んでそこに飛び込みたい」。『黒蜥蜴』は、1968年公開の美輪明宏(当時は丸山明宏)主演の映画を見て、戯曲も読んだ。「映画を見て、日本であって日本でないようなにおいがあるなと。すごく屈折したラブ・ストーリーだと思う。黒蜥蜴も明智小五郎も、美しさを純粋すぎるほどに追い求めている人たち。だから惹かれ合うのは必然だけど、立場が真逆で結ばれない。だからこそとても悲しいし、だからこそ美しい。魅力的な作品ですね」。初めての三島作品は「確かに日本語が美しい。セリフなのか詩なのか、リアルだけじゃないところに惹かれますね、とても演劇的でもあるし。でも、ルヴォーは誰にも負けないぐらい三島作品が好きで詳しいから、教えてもらおうと思っています。ものすごく楽しみです」。井上にとって、この舞台は超特別なのだ。「全作品、同じ熱量で一生懸命やっています。でもこれは、何年かに1度、ごくたまにあるご褒美みたいな作品。ひと公演5000円ずつ払えって言われても出るかなというぐらい(笑)。他の作品には申し訳ないけど、もうほんとに、ご褒美を一生懸命楽しませてもらいます!」。公演は、2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは9月30日(土)10時より発売。一般発売に先駆け、8月3日(木)11時まで最速抽選先行(いち早プレリザーブ)を受付中。取材・文:高橋晴代
2017年07月31日井浦新と瑛太ら出演、映画『光』が2017年11月25日(土)より新宿武蔵野館、有楽町スバル座ほか全国ロードショー。三浦しをんの同名小説が原作、徹底的に人間の闇を描く原作は、『舟を編む』で本屋大賞を受賞した三浦しをんの同名小説。徹底的に人間の闇を描き、ファンの中で評価を得ている一作だ。映画『セトウツミ』、『さよなら渓谷』、『まほろ駅前』シリーズの監督・大森立嗣の手により待望の映画化が実現した。物語の主人公は、東京の離島で暮らす中学生の信之。彼には、父親から激しい虐待を受けている、信之を慕う年下の輔(たすく)と同級生であり恋人の美花という2人の幼馴染がいる。ある日、信之は美花を救うために男を殺してしまう。しかし、そのとき津波が島に襲いかかり全てを消滅させてしまった。それから25年後、生まれ育った東京の離島・美浜島を離れ、幸せな家庭を手にし平穏に暮らしている信之の前に、過去の影を背負った輔が現れ、止まったはずの歯車が動き出す。島を出てバラバラになった彼らのもとに、過去の罪が迫ってくる。井浦新と瑛太が競演苛烈な人間ドラマを表現するのは、豪華なキャスト陣だ。信之役には映画のみならず、美術やファッション分野でも活躍を見せる井浦新、その幼馴染である輔役は『64-ロクヨン-』『ミックス。』などに出演する瑛太が演じる。また、島で暮らしていたころ信之と交際し、大人になって東京で女優として成功を収めている美花は長谷川京子、夫・信之にある秘密を抱える妻・南海子は橋本マナミが演じる。2人の色気と母性は、スクリーンに吸い込まれるような熱情を放つ。井浦新と瑛太にインタビュー『光』で初共演を果たす井浦新と瑛太。彼らはかねてから競演を熱望していたという。本作では、2人の芝居の重なりが、一時も目を話せられないほどの緊迫感あるストーリーをもたらしている。このインタビューでは、そんな彼らが今回の役を経て感じたことを聞くと同時に、役を通して見えたそれぞれの演技へのこだわりに迫る。小説からの実写化ですが、映画だからこそできたことは何でしょうか?井浦:人間を通すことで、小説の時に文字から感じた世界観とはだいぶ変わっていると思います。原作で大事にするところは大事にしつつ、人間の心の奥底の部分などは原作からの質感が変わって大森監督の作品になっている。具体的になかったシーンがあったりします。瑛太:小説はストーリーを文字から追ってしまう。今回の作品の場合はどうしてもダークな方向に気持ちが向いてしまいがちです。ストーリーそのものだけじゃなくて、抽象的な場面カットが入ることで、観る人と作品の間に余白を作り、観る人それぞれに違う角度の考えを持たせる作品になったと思います。井浦:軸となる苛烈な人間ドラマは、原作同様きちんと描かれていますよね。三浦さんが作品を通しての問いかけたものに、大森監督のアンサーが加わった。そんなイメージです。映画の中で、井浦さんと瑛太さんは幼馴染の役ですよね。井浦:そうです。ただ、幼馴染と言っても、何か一線を超えてしまった2人というような雰囲気がありますね。伸之を演じながら、時間を重ねるごとに輔への愛情が大きくなりすぎるのを感じていました。そこにはもちろん、小さな頃からいつも付き纏ってきた輔に対する怒りや憎しみもあるのでしょうけど、彼が25年ぶりに目の前に現れたからこそ、動き出した伸之の時間があったり、そこへの喜びがあったり。言葉には出ないけど、彼への愛情をいろんな形で返しているんじゃないかなとは思いました。憎しみではなくてすべてが愛情なのです。輔はいかがでしょうか。瑛太:輔は伸之に一貫して執拗な執着を抱いています。幼い頃から虐待を受けていて、島の中ではいつも“ゆきにい(伸之)”が守ってくれていた。それが25年経っても変わっていません。人間として神だとしか感じていない。その考えがずっと変わっていなくて。じゃあ、僕は輔としてその上で何ができるかなって。2人の間には複雑な“感情”がありますね。井浦:人間の愛情もそうですが、大人になっても鬼ごっこのようなことを続けているような喜び、人生の時計の針が再び動き出し、生きていると実感した。その生命観。彼らがもつこのような感情、内側からこみ上げてくる見えない“何か”が、内面的な『光』なのだと思います。瑛太:『光』というタイトルの意味合いは、三浦しおんさんも原作を読んでも見あたらなかったと話してます。「なんで光ってタイトルにしたんだろう?」そこが面白いと思ました。きっと観たお客さんにも光があって、みんな違った風に受け取れる。余白を与えてくれる作品なんです。演じるのは難しくなかったですか。瑛太:僕はこの作品の中で、ただ輔としているだけだったので。難しさを感じる云々でなく、輔としていたら結果的にああなった、という感じです。現場では細かい演出があるわけではないし、ただ現場で感じるまま「とにかく“ゆきにい(伸之)”を動かしたいんだ」という気持ちで演じ続けていました。井浦:僕は、本能的に芝居をしている感覚。でも本能的とはいっても、自分と伸之が重なる部分は見当たらないし、本来、自分の中にあるものではないと思う。伸之でいる時間は、ほとんど理性を捨ててしまっていました。井浦さんも瑛太さんも、演技をされるときは、どこか感覚的な部分があるのでしょうか。瑛太:僕は基本的に、前段階でそのシーンをイメージすることはなくて、現場に行ったときに、何が生まれるかなって思いながら役に向き合っています。例えば、『光』のなかでは、「新さんに対して僕は何ができるんだろう」って。それをずっと考えながら新さんを観察したり、「僕が何か違うアクションを起こしたら、新さんは一体どういった風に心や体が動くのかな」というのをチャレンジしてみたり。井浦:瑛太君はその通りで、常に変化球なしの真向勝負。どのシーンもどこに向かうのか、何がおこるのか、演じている僕自身も予測ができませんでした。その真向勝負に応えた井浦さん、演じる上で大切にされていることってありますか。井浦:僕は、演じる技術はどこかにいってしまってもいいから、とにかく「心」を掴んでいられるようにしています。テレビでも映画でも、何かを演じるということにおいて、それだけは僕の中で変わらずにありますね。「心」ですか?井浦:役としてではなくて、人間としての「心」。なぜなら、“役として”という概念を越えていかなければ、「心」は掴むことができないから。現場も監督も違えば、求められることもその都度変わってくる。どんな役でも場面でも、本番では監督に“役”をみせるのではなく、「心」を見せるようにすることを意識しています。そうすれば「心」のある技術的な芝居に繋がる。でも、それがなかなかできなくて落ち込んだりもしますけどね(笑)。瑛太さんはいかがですか。瑛太: 相手の方の一挙手一投足すべてを感じることですね。相手の演者さんが、「今、何を考えてるんだろう」「今、どこに意識して声だしてるかな」「今、まばたきしたな」……とか。今であれば「新さん隣で足組んだな」とか(笑)。 もし、相手がいない一人の芝居なら、その空間を感じる。「この空間なら、人間はどうする?」「この空間でどうなる?」みたいな風に。だって、基本的にどんな時もなにかしら感じ取る相手がいるわけですから。何気ないことを察して感じ取ること。それに尽きる気がします。プロフィール■井浦新1974年9月15日生まれ、東京都出身。映画『ワンダフルライフ』(98/是枝裕和監督)に初出演。以降、映画、を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。主な出演作は『ピンポン』(02/曽利文彦監督)、『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』(08/若松孝二監督)、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(12/若松孝二監督)、『かぞくのくに』(12/ヤン・ヨンヒ監督)などに出演。今後、『ニワトリ☆スター』、『赤い雪 RED SNOW』などの公開を控える。現在、NHK-Eテレ『日曜美術館』のキャスターを担当しているほか、「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターを務めている。■瑛太1982年12月13日生まれ、東京都出身。『青い春』(02/豊田利晃監督)で映画デビューし、『サマータイムマシン・ブルース』で映画初主演。近年の主な映画出演作は、『余命1ヶ月の花嫁』(09/廣木隆一)、『ガマの油』(09/役所広司監督)、『まほろ駅前多田便利軒』(11/大森立嗣監督)、『一命』(11/三池崇史監督)、『64-ロクヨン-』(16/瀬々敬久監督)など。なお、2017年10月には主演作『ミックス。』(石川淳一監督)が公開された。また、ドラマではTBSドラマ「ハロー張りネズミ」に主演、2018年NHK大河「西郷どん」と出演作が続く。ストーリー東京の離島、美浜島。中学生の信之は、閉塞感のある日々を過ごしている。信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けている。ある夜、恋人の美花と待ち合わせをした場所で信之は美花が男に犯されている姿を見る。そして彼は美花を救うために男を殺してしまう。 その夜、津波が島に襲いかかり全てを消滅させた。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。それから25年後、妻子とともによき父として暮らしている信之、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花。誰からも愛されずに育った輔が過去の秘密を携え、信之と美花の前にやってくる。島をでてバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる―。【詳細】映画『光』公開日:2017年11月25日(土) 新宿武蔵野館、有楽町スバル座 ほか全国ロードショー監督・脚本:大森立嗣キャスト:井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、南果歩、平田満原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊)音楽:ジェフ・ミルズ配給:ファントム・フィルム©三浦しをん/集英社・©2017『光』製作委員会
2017年07月23日今年のコンサートは、『美輪明宏の世界~シャンソンとおしゃべり~』と題して開かれる。フランス生まれのシャンソンは、これまでも、自作の曲、日本の抒情歌などとともに長く歌ってきたもの。しかし、今こそ、その歌が持つ魅力を届けたいのだという。新しいプログラムに込めた思いを美輪明宏に聞いた。美輪明宏の世界 チケット情報美輪が今年のコンサートで全面的にシャンソンを取り上げたいと思ったのは、危機感が発端だった。「最近は若い方の中に“シャンソン”という言葉自体がわからないという人がいらして、化粧品か何かのことだと思っていたとおっしゃるので(笑)、私、シャンソンはそこまで衰退しているのかと唖然としたんです」。国立音楽大学付属高校を中退後、16歳にしてプロの歌手として活動を始めたときから、クラシック、タンゴ、ラテン、ジャズと、様々な音楽を歌ってきた美輪だが、中でもシャンソンは得意とするところ。甘い愛を歌う魅惑的なもの、失恋を歌うセンチメンタルなもの、人生の現実的な問題を歌うリアリスティックなものなど、シャンソンはいくつものジャンルに分かれており、歌われるその世界の豊かさに、美輪の表現力が活かされるのだ。「私のコンサートに来ると映画を何本も観たような気分になると言ってくださる方もいらっしゃいます。お芝居のようにいろんな物語や感情が描かれた、こういうドラマチックな大人の歌もあるのよと、聞いたことのない方にもぜひ知っていただきたいんです」さらに美輪には、かつて自身が歌ってきた場所の熱を届けたいという思いもある。たとえば、江戸川乱歩や三島由紀夫、川端康成などが集った伝説のライブハウス“銀巴里”。「ジャン=ポール・サルトルやボーヴォワール、ジャン・コクトーが集まったパリのカフェのように、銀巴里を文化の発信地にしていったんです。その後の渋谷の“ジァンジァン”もそうでしたが、そういう大人のロマンを楽しめる場所と時間を、せめてこのコンサートで再現できたらなと思っています」。原曲の壮大さを伝える美輪ならではの「愛の讃歌」ももちろん歌われる。ほか、最初の大ヒットとなった「メケメケ」、美輪の訳詞がより深く人間の生き方を問う「愛する権利」など、珠玉のシャンソンが並ぶ予定だ。合間のおしゃべりでは、シャンソンにまつわる話も聞ける。「いろんなケースの人生の歌がありますから、身の上相談をするつもりで来ていただければなと思います(笑)」と冗談めかしたが、美輪は歌でもまた、生きる力をくれる。公演は9月8日(金)から24日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、10月13日(金)愛知県芸術劇場 大ホールにて。チケット発売中。取材・文:大内弓子※曲目は変更になる場合がございます。ご了承くださいませ。
2017年07月05日映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』(入江悠監督)が人気だ。公開から3週連続で動員ランキング1位となった。私は新宿の劇場に観に行ったが、若い男子や女子がグループでわいわい観に来ていて賑わっていた。95年に起こった連続殺人事件がいよいよ時効を迎えた2017年、「私が殺人犯です」というサブタイトルままに、ぬけぬけと犯人(藤原竜也)が公衆の面前に現れる。一連の殺人事件の手記を書籍化した犯人は、自己プロデュース能力に長け、世間からカリスマのように扱われていく。当時、事件を追っていた刑事(伊藤英明)は、自分の代わりに先輩刑事を殺され、妹まで、事件を機に行方不明になっていた。22年目に表れた犯人に、言いようのない憤りを感じるものの、法の元、手をだすことはできない。そんな時、この事件を追っていたジャーナリスト(仲村トオル)が、犯人を報道番組のゲストに迎えることになった。そこで明かされた意外な真実とは……。○中庸なしに振り切る藤原導入部からラストまで、緊張が途切れることのない117分。95年に起きた殺人事件の謎と、それに巻き込まれたたくさんの人々のやりきれない義憤の作り出す渦に、目がそらせない。なんといっても、「私が犯人です」と大衆の前に悪びれず表れる藤原竜也の圧倒的な、異能感。常軌を逸した存在(殺人の方法も酷い)でありながら、それでも人々が魅入られてしまう、まさに天使と悪魔の両面をもった人物として、彼を追う者たちを翻弄していく様が圧倒的だ。とりわけ、大衆に長いメッセージを語るところなどが、なんとも怜悧で、説得力がある。藤原竜也というと、近年、『カイジ 人生逆転ゲーム』(09年)に代表される、“クズ”キャラ(ちょっとダメな人)が似合うというイメージで、庶民から愛されているが、『I‘M FLASH!』(12年)という映画では、新興宗教の教祖役をやっていたこともあるし、彼の映画での出世作『バトル・ロワイアル』(00年)の続編『バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】』(03年)では、革命グループを率いるリーダーを演じていた。また、彼がデビューした舞台の世界では、かの三島由紀夫が能の『弱法師』を下敷きに書いた『近代能楽集~弱法師~』(蜷川幸雄演出)で、戦争によって「この世の終わりを見た」と言い、その炎で目を灼かれて失明した凄絶な半生を生きる少年を演じたとき、クレバーな頭脳で大人を言いくるめる天才の狂気のようなもので観客を圧倒させたこともある。という点から見て、藤原竜也は、天使と悪魔、クズとエリートという、中庸なし、どっちかにとことん振り切るという極端さが、最大の魅力かと思う。その激しさ、勢いについていける者はいない。そんな藤原を、『22年目の告白』では、伊藤英明と仲村トオルが全力で追い詰めていく。『海猿』の伊藤、『あぶない刑事』『ビー・バップ・ハイスクール』の仲村と、愚直なまでに肉体班である彼らが本気出して藤原に挑みかかる三つ巴の闘いが、かなりスリリング。しかも、一見、昭和の刑事もののように、執念と肉体をつかって謎を解決していくのかとおもいきや、巧妙な仕掛けが施されているところが、今日的だ。その展開に生きてくるのが、藤原竜也の、上昇と落下を物凄いスピードで繰り返す絶叫マシーンのような唯一無二の才能だ。藤原竜也とは、凄絶なエンタテインメントマシーンなのだ。○同時期の作品でありながら両極端な『リバース』ところで、『22年目の告白』が公開された時、藤原は、テレビドラマ『リバース』(TBS)に出演中だった。そこでの藤原は、冴えない男の役を、衣裳や髪型だけでなく、顔の肉感や姿勢に至るまで、人に見られることがあまりない地味な男として演じきった。同時期に発表される作品で、これほど極端なのも、さすがである。大学時代に雪山で、友人を亡くした4人の男たちが、数年後、友人の死の真相を突きつけられるという湊かなえのミステリー小説を原作にしたドラマは、藤原演じる主人公の行く末が、心底愕然となるもので、ネタバレ厳重注意。だから、以下は『リバース』の結末を知っている人だけ読んでほしい。○以下、『リバース』ネタバレあり『22年目の告白』のサブタイトル「私が殺人犯です」というのを観ると、『リバース』のネタバレを堂々としているみたいで、ちょっと面白い。偶然、2作が近い時期に発表されたのか、それとも狙ったのか、そう考えることもエンタテインメントとして、ひととき楽しめた。■著者プロフィール木俣冬文筆業。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中。ドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書『挑戦者たちトップアクターズ・ルポルタージュ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』、構成した書籍に『庵野秀明のフタリシバイ』『堤っ』『蜷川幸雄の稽古場から』などがある。最近のテーマは朝ドラと京都のエンタメ。
2017年07月02日芥川龍之介の世界を、イスラエルの演出家、インバル・ピント&アブシャロム・ポラックが舞台化する『羅生門』。柄本佑、満島ひかりといった個性的なキャストに混じって、若手注目俳優の吉沢亮が出演する。ドラマや映画で活躍するほか、昨年の舞台『ライ王のテラス』でも、確かな立ち姿を見せた吉沢。身体表現や音楽を自在に駆使するインバルたちの作品づくりの中で、自身のさらなる可能性を引き出そうとしている。舞台『羅生門』チケット情報「僕でいいんですか」。『羅生門』への出演依頼があったとき、吉沢はまずそう思ったという。コンテンポラリーダンスに挑むことにも、実力ある共演者の中に入ることにも、不安を覚えずにはいられなかったのである。しかし、インバル&アブシャロムが演出し、大きな話題となった『100万回生きたねこ』を資料として目にしたとき、心が震えた。「カラフルな美術に、セットの大胆な使い方、台詞以上に身体で感情を表現する役者さんたち。観たことも、もちろん演じたこともないその世界観がすばらしくて、『やってみたい!』と思ったんです。挑戦したら、役者として表現の幅が絶対に広がるだろうなって」。ダンスレッスンでは、早くも自分の広がりを感じた。「振付のような決められた動きをするのではなく、ストレッチしながらだんだん身体が乗ってきて感情で動いていくんです。僕は身体が固いのでまだまだ自由に動けないんですけど(笑)、これができるようになったら相当楽しいんだろうなと。稽古が始まったら、表現力のある共演者の方たちからもたくさん学びたいと思っています。自分のどういう部分をどう出しているのか、そのスイッチみたいなものをそばで見てみたいですね」。作品は、芥川龍之介が書いた短編小説「藪の中」「羅生門」の2作を中心としながら、羅生門にまつわる伝説や芥川の人生を絡ませた、“芥川ワールド”を描くことになる。「『ライ王のテラス』で演じた三島由紀夫の世界もそうでしたけど、芥川龍之介の世界もきっと、人間の本質的なもの、根源的なものを描くことになるんだと思います。それが、インバルさん、アブシャロムさんの世界観とどう融合するのか。絶対に観たことのない楽しいものになると確信しています」。そしてこうも付け加える。「僕自身についても、観たことのない吉沢亮しか舞台上にはいないはずなので(笑)、楽しみにしていただければ」。まさしく何もかもが初挑戦。役者にとってそんな機会、めったにあるものではない。公演は9月8日(金)から25日(月)まで東京・シアターコクーンにて。その後、兵庫、愛知、静岡を巡演。取材・文:大内弓子
2017年06月23日日本最大のオペラ団体である東京二期会は近年、ヨーロッパの歌劇場との提携公演や共同制作を積極的に行なって、世界のオペラ・シーンを見据えた活動を展開しているが、来シーズンはフランス国立ラン歌劇場と共同で、黛敏郎(1929-1997)のオペラ《金閣寺》(三島由紀夫原作)を新制作上演する。6月19日、都内で制作発表会見が行なわれた。【チケット情報はこちら】黛敏郎の《金閣寺》はベルリン・ドイツ・オペラの委嘱により作曲、1976年6月にベルリンで世界初演された。だから歌詞はドイツ語。日本では1991年にようやく初演され、その後1997年、1999年、2015年にも国内上演されている。けっして上演回数が多いとは言えないかもしれないが、20世紀オペラ屈指の名作だ。今回の演出を委ねられたのは宮本亜門。ミュージカルからスタートした彼だが、2002年の《フィガロの結婚》以来、二期会とも多くの名オペラ演出を生んできた。「(黛の《金閣寺》は)いつかもし演出できれば、とずっと待ち望んでいた。音楽がなんと力強いことか。ストラヴィンスキーやラヴェルのようにエネルギーが生々しく迫ってくる」(宮本)この原作を舞台化する際、金閣寺という存在をどう扱うかがポイントになるだろうが、黛と宮本は、その方向性において共鳴し合っているようだ。2011年、神奈川芸術劇場(KAAT)こけら落とし公演で宮本亜門が手がけた演劇版《金閣寺》は、現時点での彼の代表作筆頭。そこでは金閣を象徴する「鳳凰」役を創出して演じさせたのが注目された。「(鳳凰は)主人公・溝口の深層心理を対比する役だった。(黛オペラでは)それを合唱が代弁して、溝口の心情を合唱がどんどん深く広げてゆく。合唱を中心に、闇の中で、光や色で常に脈打つ舞台が彼を追い詰めたり広げたりすることを考えている」(宮本)ラン歌劇場は、かつてはもっぱらストラスブール歌劇場と呼ばれていたが、そのストラスブールとミュルーズ、コルマールの3都市に劇場を持つ。演出家の人選がハイセンスで、「面白そうな演出家ばっかり」(宮本)。たとえば今シーズンならロバート・カーセン、ペーター・コンヴィチュニーが名を連ね、来シーズンの《金閣寺》の前後にはタチヤナ・ギュルバカやデイヴィッド・パウントニーが並ぶ。ヨーロッパを代表する演出家が揃う劇場だ。その列に加わる宮本も、「負けていられない。唸らせるぐらいの演出を」と力強く抱負を語った。また今回、海外の上演に二期会の所属歌手を派遣するのが、共同制作としては新たな試みで、フランス公演での「女」役に嘉目真木子(ソプラノ)、道詮和尚役に志村文彦(バス)の出演が決まっている。《金閣寺》は、2018年3~4月にストラスブールとミュルーズで計7公演が行なわれ、日本への凱旋公演は2019年2月予定。まずはフランス・プレミアのニュースを待とう!取材・文:宮本 明
2017年06月23日映画『美しい星』公開記念舞台挨拶が27日(土)に都内で行われ、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督が登壇した。本作は、三島由紀夫の異色SF小説を現代設定に脚色し、ある日突然、宇宙人として覚醒し、“美しい星・地球”を救う使命を託された大杉一家の悲喜劇を描いた、新感覚エンターテインメント。火星人に覚醒する“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎を演じたリリーは、撮影前に監督から「(役は)天気予報士で火星人で、不倫していて末期がん」と言われたことを挙げ、「情報が多過ぎて役作りも何もあったもんじゃない」と苦笑い。しかし、そのせいで「逆にフラットな状態で入れました」と安堵の表情も見せると、「監督に『俺なりの火星人を考えてきたんで~』って言ったら超ウザいじゃないですか」とぶっちゃけ。また、「普段、ホームレスと殺人鬼とシャブ中(の役)ばかりやっていますから、堅気のお父さんっていう役はなかなかないですよ」とアピールし、笑いを誘った。野心溢れるフリーターから水星人に覚醒する息子・一雄を演じた亀梨は、“使命”に話が及ぶと、「グループ(KAT-TUN)活動をちゃんと潤すことが自分の使命だと感じています」と明言。役者としての理想については、「こういう役をやりたい!と掲げるより、巡り合わせの中で自分が何を返せるか?という段階なので、やったことのないジャンルや役に興味はありますけど、今は与えてもらったものにしっかり向き合いたい」と真面目にコメント。そして、「普段、“ジャニーズ感”強めに生きているんで、作品によって(ジャニーズ感を)自在に出したり消したりできるようになりたい」とアイドルらしい今後の目標も語った。クランクアップから1年以上経過しているが、プライベートや撮影時のエピソードを和気あいあいとした雰囲気の中で話す面々を見て、吉田監督は「こんなに気持ちよく一緒の時間を過ごせることは凄い。僕の人を呼ぶセンスは褒めて貰いたい」と誇らしげ。そんな吉田監督のもと、主演を務めたリリーは「自分で観て、本当に面白くて格好いい、好きと思える映画に出られて凄く嬉しいです」と喜ぶと、「友達に『あの映画なんか面白いよ』と言いやすいけど、何が面白いかは説明しにくい」と笑いつつ、「いろいろよろしくお願いします」と頭を下げ、本作を観客にゆだねた。映画『美しい星』は公開中(text:cinemacafe.net)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年05月27日女優の橋本愛が27日、都内で行われた映画『美しい星』(5月26日公開)の公開記念舞台挨拶に、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督とともに登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本が金星人、母親役の中嶋が地球人となる。リリーが橋本について「まだ20歳なのにすごく神秘的な雰囲気を持ってる女優さんですけど、髪の毛切ってさらにUFO呼べそうな感じが増しましたね」と語りかけると、橋本は「UFOはいると思います。呼べます」と宣言した。さらにリリーが橋本の神秘的な衣装に「素材もね、裏は別珍なのに表は薄い。裏は冬で表が春」とつっこむと、橋本は「えっ、かわいいでしょ」と少し不満そうな様子に。亀梨が「かわいい、かわいい」と同意し、「油断すると右手が隠れちゃう」と指摘すると、橋本は右手を袖に隠して見せた。また、亀梨は橋本が「牛にびっくりするくらい反応していて」と、エピソードを披露。中嶋も「大興奮だったよね」と同意すると、橋本は「牛大好きで。人間より大きい動物が大好きなんです。すごくないですか?」と問いかけた。亀梨は「スッとしてる女優さんだな、素敵だなと思ってたんですけど、牛と出会った時のはしゃぎっぷりというのは。ロケバスを降りて誰よりも走っていく」と振り返り、「『牛~!!』みたいな」と、橋本の様子を再現した。一方リリーは「あの牛はしっかりお芝居する牛でしたね」と牛にしみじみ。亀梨が「2頭いたんですけど、本番に選ばれなかった牛が、端の方でふてくされてる」と撮影中の状況を思い出すと、リリーは「選ばれた方の牛は絶対公開後、仕事増えますよ」と太鼓判を押した。フォトセッション後の挨拶では、リリーが「蔵之介さんが袖で『あの牛CGだと思ってた……』って」と暴露。「生なんです。生だと思ってもう1回見てください。牛の芝居がどれくらい素晴らしいのか」とアピールした。
2017年05月27日映画『美しい星』(5月26日公開)の公開記念舞台挨拶が27日に都内で行われ、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督が登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本が金星人、母親役の中嶋が地球人となる。作品に合わせて、自分の“使命”を聞かれた亀梨は「グループ活動をさせてもらっているので、そこを潤すというところが使命かなと思います」ときっぱり。役者としては「こういう役がやりたいと掲げるよりは、巡り合わせや出会いの中で、何を返せるかという段階」と表し、「与えていただけたものにしっかりと向き合える自分でいたいと思います」と真摯に答えた。フリーター役で、普段とは違う雰囲気の役どころに、亀梨は「最初『わからないくらい』とおっしゃっていただいて。わりかし普段ジャニーズ感、強目に生きてるので」とお茶目に回答する。「お芝居や作品によって出したり消したりしたいなと思ってます」と役者活動について語った。
2017年05月27日映画『美しい星』(5月26日公開)の特別授業が24日に東京・明治大学で行われ、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、吉田大八監督が登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本愛が金星人、母親役の中嶋朋子が地球人となる。今回は特別授業として、学生たちは事前に同作を鑑賞した上で臨んだ。通常時は1年かけて同性愛文学を学んでいる授業で、女子も多数受講しているが、リリーは「女の子の方がやおいもののマンガとか、ボーイズラブとか好きですよね」と最初から飛ばしている様子を見せた。ポスターで自身の"火星人"ポーズを見たリリーが「俺のこのポスターのポーズが、お客さんを遠ざけてる気がする」と危惧すると、亀梨も「『オラに力を!』ってことですよね」と苦笑。リリーは「客が入るポスターじゃないですよ! GAGAはラ・ラ・ランドで当てたあとですから。その儲けを補填してもらおう」と"リリー節"で笑わせた。学生からの質問コーナーでは、手を挙げた学生に「信州の子?」と話しかけたところ、相手は「東京です」と否定されたリリー。他の学生にも「お兄ちゃんがいそうな顔してるよね」と聞くと、「一人っ子です」と返され、「最近若い子と接してないから。銀座のクラブだったら大体当たる」と自由に発言し、場を盛り上げていた。さらに「童貞に話を聞きたい。童貞は信頼できる」と言い出したリリーは、挙手した学生に「童貞ですか?」と質問する。空気を読んだ学生が「童貞です」と答えると、「44歳まで童貞を守ったら魔法使いになれて、女子なら妖精になります」と説明。リリーが「もし魔法が使えるようになったらどうする?」と聞くと、男子学生は「童貞を卒業したい」と回答し、リリーは学生の頭の回転の速さに感心していた。
2017年05月24日リリー・フランキーが5月24日(水)、東京・千代田区の明治大学駿河台キャンパスで行われた主演作『美しい星』のPRイベントに出席。「将来の目標がない」と悩む学生に対し、「家でおでんのイラスト描いてる男が、お芝居している違和感はまだある」と本音を語った。文豪・三島由紀夫の異色SF小説を原作に、ある日突然、火星人に“覚醒”した気象予報士の重一郎(リリーさん)、水星人、金星人にそれぞれ覚醒した長男、長女の奮闘と、それを見守る地球人の母が織りなす新感覚のヒューマンドラマ。イベントには水星人を演じる亀梨和也、メガホンをとった吉田大八監督(『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』)が出席した。役作りについて質問されたリリーさんは、「自分なりの“火星人”イメージを現場に持っていっても、超ウザイじゃないですか(笑)。役作りのしようがない」とふり返り、「でも、覚醒してからのほうが、(言動が)まっとうになるんですよ。そこは(人間に対する)皮肉を込めている」とコメント。映画のポスターには、主演として、火星人のポーズを決めるリリーさんがフィーチャーされているが、「もうちょっと亀梨くんを大きくしたほうがいいと思う。これじゃ、完全にお客さんを遠ざけている」と自虐的に語った。水星人を演じる亀梨さんも、「監督に身をゆだねて、監督の脳みそにある映像をしっかり再現することを意識した」と前例のない難役に体当たり。「セリフの音や目線を繊細に細かく演出してくださった」と明かすと、リリーさんは「どうかと思うほど、神経質な演出だった」と笑いを誘った。学生時代に原作を読んで以来30年越しで、今回の映画化を実現させた吉田監督は「もし三島さんが観たら?ふり切ってチャレンジしたので、その姿勢だけは評価してくれると思う。原作の精神の部分に近づくことを意識しました」と強い手応え。この発言に、リリーさんも「きっと、面白いと言ってくれるはず」と太鼓判を押していた。『美しい星』は5月26日(金)から全国で公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年05月24日映画『美しい星』(5月26日公開)の特別授業が24日に東京・明治大学で行われ、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、吉田大八監督が登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本愛が金星人、母親役の中嶋朋子が地球人となる。今回は明治大学文学部文芸メディア専攻 伊藤氏貴准教授の特別授業”三島由紀夫と映画『美しい星』”に、リリーと亀梨がサプライズ登場し、学生たちは声をあげて驚いた。リリーが「亀梨くん、女子大生がいっぱいいますよ」と話しかけ「亀梨くんは今日の授業、全員男子だと思ってたから」と明かすと、学生からも笑いが。亀梨は「山下(智久)くんの母校で、僕の親戚の子も明治でした」と、同大学に親近感を持っている様子だった。学生からの「ドラマ『ボク、運命の人です。』と映画『美しい星』の役柄がどちらも野心家で、亀梨さんも野心家なんですか?」という質問に、亀梨は「一番に掲げてやってるわけではないですが、子供の頃に裕福じゃなかったので、プロ野球選手になって大きいお家建てたいという気持ちはありました」と真摯に答える。亀梨はジャニーズに入ってからも「何百人もいる中で後ろになって、前の方の人を見て、ああいう衣装着たいなとか、マイク持ちたいなという感情の中でお仕事させてもらっていた」と振り返り、今でも「どういう自分でありたいかは、常に自分の頭の中にある」と明かした。自分を「昭和寄りのタイプの男」と評した亀梨。「いい車に乗りたいとか、かわいい恋人が欲しいとか、いい時計が欲しいとか、大きいお家を建てたいとか、濃いほうかもしれないですね」と答えた。リリーは亀梨の言葉を聞いて「野心家というより、男らしいんですよね」と説明し、「男の子としてすごいたくましい人」と太鼓判を押した。また、学生からの「どうやってやりたいことを見つけたか」という質問に、亀梨は「巡り合わせや出会いに、常に全力で向かっている段階」と自身を表す。「ジャニーズに入るまではプロ野球選手になりたかったけど、社長から『YOU、ジャニーズで野球やっちゃいなよ』という言葉に誘われて通い始めて」とキャリアを振り返りつつ、「絶対こうでなきゃダメだなと言う自分はないし、いまだに何屋さんなのかわからない」と心境を吐露。「その瞬間を楽しんで全うできる自分でいることが、今の状況です」と説明した。さらに男子学生から「リリーさんのお尻がキュートだった」という感想が飛び出すと、リリーは「出演した作品で、お尻、3回に1ぺんは出してる」と苦笑。亀梨が「綺麗なお尻ですよね」と褒めると、リリーは「お尻の評判だけはいいんですけど」と告白し、教室を笑わせていた。
2017年05月24日リリー・フランキーが火星人に覚醒したお父さんを演じる、三島由紀夫原作、吉田大八監督の『美しい星』。5月26日(金)に迫った公開を前に、リリーさんの娘役で美しすぎる“金星人”を演じた橋本愛が、UFOを呼ぶシーンの本編映像がシネマカフェに到着した。“当たらない”お天気キャスターの父・重一郎(リリー・フランキー)、野心溢れるフリーターの息子・一雄(亀梨和也)、美人すぎて周りから浮いている女子大生の娘・暁子(橋本愛)、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子(中嶋朋子)。そんな大杉一家が、ある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人(?)として覚醒。“美しい星・地球”を救う使命を託される。ひとたび目覚めた彼らは生き生きと奮闘を重ねるが、やがて世間を巻き込む騒動を引き起こし、それぞれに傷ついていく。なぜ、彼らは目覚めたのか。本当に、目覚めたのか。そんな一家の前に1人の男(佐々木蔵之介)が現れ、地球に救う価値などあるのかと問いかける…。三島文学の中でも異色のSF小説を、舞台を現代に設定し、大胆に脚色した本作。ある日突然“覚醒”した宇宙人視点で、鋭く世界を切り取ってみせるのは、『紙の月』『桐島、部活やめるってよ』の吉田監督。その予測不可能な三島×吉田ワールドに、リリーさんや亀梨さんをはじめ、個性豊かなキャストが勢揃いした。そんな本作から今回届いたのは、劇中で火星人に覚醒した父に続いて、金星人として覚醒する娘・暁子が海辺で宇宙人を呼ぶシーン。両手を天に向ける一連の動きは、胸の前で両手を交差した後、くるりとひっくり返して逆三角形を作ることがポイントなのだとか。これを何度か繰り返しているうちに、UFOがやってくるのか、否か…。演じた橋本さんは、「UFOを呼んだりしてますけど、宇宙人というよりちょっと変わった人を演っていたという気持ちが一番近いです。変わっているっていうのも客観的な話だけで、主観では全然そうではなく、ただ、ひと目惚れして裏切られて傷ついて、お父さんに嘘つかれて傷ついて、本当に普通の、すごく純粋な女の子だなと思いました」と明かしている。この宇宙の片隅で生きるちっぽけな「人間」が、その“覚醒”の先に見たものとは…?続きは劇場で確かめてみて。『美しい星』は5月26日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年05月23日「Kis-My-Ft2」の7人が様々なセンスを競い合うバラエティ「キスマイBUSAIKU!?」の5月22日(月)放送回に、映画最新作『美しい星』の公開を控える亀梨和也がゲストで登場。藤ヶ谷太輔らと“ジャニーズ同期”対決を繰り広げる。今夜は「女性をキュンとさせるジムインストラクター」というテーマで、亀梨さんのほか“ジャニーズの筋肉番長”こと「A.B.C-Z」の塚田僚一も参戦。ヨガやピラティス、フィットネスクラブなどが働く女性の間で人気ということで、今回はスポーツジムを舞台にインストラクターとしてお客さんのトレーニングをサポート。「また来たいな」と思わせるキュンとする一言に挑戦する。「Kis-My-Ft2」の藤ヶ谷さんと亀梨さん、塚田さんはジャニーズの同期で、3人でのバラエティー番組共演は今回が初。“同期対決”の結果やいかに。さらに最新トレーニングアイテムが続々登場。週3回はジムに通うという塚田さんが「キスマイ」のメンバーも驚愕する“塚田流”トレーニング方法を紹介。果たしてどんなトレーニングなのか?こちらも注目だ。亀梨さんが出演している『美しい星』は三島由紀夫の異色のSF小説の映画化作品。主演にリリー・フランキー、亀梨さんはじめ橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介ら個性的なキャストで、天気キャスターの父、メッセンジャーの息子、美貌ゆえに孤独を抱える娘がそれぞれ“宇宙人”として覚醒し、地球のために使命を果たすべく奮闘するという型破りな物語を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督がメガホンを取って描き出す本作。亀梨さんは“水星人”に覚醒する長男・一雄を演じている。『美しい星』は5月26日(金)より全国にて公開。「キスマイBUSAIKU!?」は5月22日(月)23時~フジテレビ系で放送。(笠緒)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年05月22日●亀梨くんみたいな息子がいたら小説家・三島由紀夫が1962年に発表した「美しい星」が、55年の歳月を経て映画化された。同作は三島作品の中でも異色とされるSF要素を取り入れた作品で、ある日自分たちが宇宙人であると覚醒した家族の姿を通し、宇宙という目線から地球の問題を切り取っていく。『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』を手がけた吉田大八監督により舞台を現代に移し、大胆に翻案された形で製作されることになった。今回は一家の父で火星人に目覚めた気象予報士・大杉重一郎を演じるリリー・フランキーと、水星人に目覚めた重一郎の息子・一雄役の亀梨和也の"父子対談"を実施。映画『美しい星』作中で描かれるテーマを紐解いていく。○「面白いものを観たな」という感覚――父子役で初共演とのことですが、まずはお互いの印象を教えてください。リリー:単純に自分がもし親になって、亀梨くんみたいな息子がいたらいいなと思います。亀梨:嬉しいですね。リリー:すごくちゃんとしているんですよ。優しいし、男気があるし。亀梨:今回お仕事させていただく以前に、プライベートでお会いする機会が1~2度あったんです。リリーさんって、圧倒的に"リリーさん"じゃないですか(笑)。お仕事でお会いする時もその雰囲気は変わらず存在感があって、現場で主役の立ち方がすごいな、と思いました。ナチュラルでいながら、強さを持ち合わせるというのはなかなか……僕にはまだまだできないことです。リリー:亀梨くんは男らしい部分もあるし、目ヂカラが強い、初対面だと「強い人なのかな」と誤解されやすいのかもしれないけど、すごくいいお兄さんですよ。僕以外の先輩にも「あいつ元気かなあ」と思い出させる人なんですよね。あと、ちゃんと酔っぱらうところも信用できる(笑)。亀梨:ちゃんと酔っちゃいますね(笑)。1回、P(山下智久)と飲んでいて、リリーさんのお知り合いのお店に2人で行こうと言ったんですが、2人とも酔っ払っているから全然お店の暗証番号が思い出せなくて、リリーさんに電話しました(笑)。リリー:「お父さーん! お父さん!!」と電話が来て、「何があったんだ」と迎えに行ったらもう帰っちゃってた(笑)。亀梨:本当に申し訳ないです(笑)。――今回はかなり原作から翻案されている点もあり、かなり大胆な作品になっていると思いましたが、お二人は観た後にどう受けとられましたか?リリー:取材をたくさん受けているんですが、この映画、しゃべればしゃべるほど、お客さんが来づらくなるんじゃないかと(笑)。あえて言うなら、感動するとか、泣けるとか、すごく笑えるとかではなく、映画を観た後に「面白いもの観たな」という感覚になる作品ですかね。亀梨:「これだけを受け取ってほしい」という答えを提示してるものではないので、僕も監督に身を委ねて、やらせていただきました。僕は完成した作品を観たとき、すごく心拍数が上がったんですよ。脅される演出があるわけでもないのに、詰められているところもあり、映画との距離感がすごく面白かったというか。この感覚、DVDでも楽しんでもらえるとは思いますが、すごく映画館で観てもらうことを意識している作品だと思います。リリー:それは本当にそうだよね。亀梨:映画としての贅沢なものが、すごく詰まっているみたいな感覚がありましたよね。リリー:「イケてるものを観た」みたいな感じだった。亀梨:「俺、観たよ、『美しい星』」と得意げになってしまうみたいな。本当に。●タイムスリップしたのかというくらい、リアリティがある○大きいテーマを扱いながら、家族の問題でもある――今回かなり印象的なリリーさんの「火星人ポーズ」ですが、亀梨さんは最初にどこで見たんですか?亀梨:中華屋でご飯を食べているときに、TVでお父さんの様子を見てしまうシーンだったんですが「これ、こういう映画なの!?」と思いました(笑)。リリー:俺もスタジオで「こういう映画なの!?」と思った(笑)。亀梨:台本から、あそこまで想像できなかったですよね(笑)。リリー:火星人ポーズの最後に「上を向いて、クレーンカメラを指し棒で指してください」と言われて、なぜか俺の中ではセーラームーンがイメージにあった(笑)。何かしら俺の中の宇宙的なものにセーラームーンがあったんだろうね。ただ三島由紀夫のSF的な部分はすごく、お茶の間SFな気がするし、自分の生活に置き換えて考えられることも多いよね。亀梨:それはすごくありますよね。一見すると大きなテーマを扱っているようなんですが、誰しも家族のことは経験するわけじゃないですか。絶対に誰かの息子であり娘なわけだから、みんなが共感できるテーマも含まれている。リリー:本当に、このテーマで映画になるといったら、普通はテアトル単館ですよ(笑)。亀梨:わかります(笑)。リリー:だから志が高いというか、これは配給会社もいい博打を打った(笑)。こういう映画を商業映画として成立させるバランスが良いですよね。――ポーズのお話がありましたが、撮影現場でも他に監督から色々な指示があったんでしょうか。リリー:指示ばかりですよね。語尾の音の抜き方とか、イントネーションとか、そもそも1テイクで終わるなんて思ってないですから。だから逆に1テイク目の力の抜け方はハンパない(笑)。探り探りですよ。亀梨:(笑)リリー:平均で絶対に7~8テイクは撮りますから、もう吉田大八監督の無重力にはまってました。でもやっていくうちに、どんどん「監督とはこうあるべき」というのがわかってきました。意外とOKじゃないテイクが使われてることも多いと思うし、撮ったシーンもバッサバサと切っているから、監督には全てが見えてたんでしょうね。亀梨:自分が指示をいただいているときは必死に考えているんですけど、他の方の撮影を客観的に見ると面白くて。中嶋(朋子)さんも監督から「あそこの間が0コンマで、この音が……」と説明されて「ああ~」と頷いている(笑)。リリー:もう、オーケストラのちょっとのピッチを直す指揮者ですよね。だから、すごく音楽的になっていると思います。あと、俺は気象予報士で病気で宇宙人で、と情報が多すぎるくらいの役なのに、クランクインのときに用意されてたのがはバスローブと前貼りだけ(笑)。亀梨:激しいですね(笑)。家族全員に性を感じさせるシーンはありますもんね。リリー:お母さんもぽーっとした顔、してたもんね。亀梨:(佐々木)蔵之介さんに。リリー:あれが1番腹立ちました(笑)。○今に提示するべきテーマ――そうして撮られていたシーンが最後につながって、観られた時に自分の中で覚醒したことはありますか?リリー:よく夕方のニュースでゴミ屋敷の住人を紹介しているじゃないですか。でも、もしかしたら宇宙人みたいな人が本当にいて、ああいう風に俺らからはちょっと変わった人に見えてるだけなのかもしれないと思いました。みんなが想像で書いたSFも、いくつか本当のところはあるかもしれない。亀梨:三島さんが書いた時代も、冷戦を含め政治的な動きがすごく大きい時代じゃないですか。今この時代に、また原作のテーマに近づいているように感じるというか……そういうことを考えないで生きていられた世代だったのに、と思いますよね。タイムスリップしているのかなというくらい。この作品をやらせてもらってから、そういうニュースも自分の中に入ってくるようになりました。リリー:本当に、リアリティがある。亀梨:今に提示するものとして、すごくハマっているテーマのひとつだと思うんです。それを何十年の前に三島さんが書かれていることも、今この作品が公開されるということも、どこかリンクしているようだと、勝手に感じていました。リリー:本当のことを言ってるのにみんなが笑っちゃうという空気になるのは、聞く側にまだ笑うくらいの認識しかないからなのかもしれないし、歴史はそういうことの繰り返しなのかもしれない。全然面白いところでもないのに笑えてしまうのは、こっちにリアリティがないからなんですよね。そこに原作のもともと持っている、皮肉があるのだと思いました。○『美しい星』情報"当たらない"お天気キャスターの父・重一郎(リリー・フランキー)、野心溢れるフリーターの息子・一雄(亀梨和也)、美人すぎて周囲から浮いている女子大生の娘・暁子(橋本愛)、心の空虚をもて余す主婦の母・伊余子(中嶋朋子)。そんな大杉一家が、ある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人として覚醒。“美しい星・地球”を救う使命を託される。ひとたび目覚めた彼らは生き生きと奮闘を重ねるが、やがて世間を巻き込む騒動を引き起こし、それぞれに傷ついていく。そんな一家の前に一人の男が現れ、地球に救う価値などあるのかと問いかける。5月26日公開。(C)2017「美しい星」製作委員会
2017年05月20日5月19日(金)今夜放送の「A-Studio」はリリー・フランキーをゲストに迎えてのオンエア。俳優、イラストレーター、文筆家…多彩な顔を持ちマルチに活躍するリリーさんの素顔に迫るべく番組は今回も徹底取材を敢行。そこから見えるリリーさんの“素顔”とは!?同番組は笑福亭鶴瓶と「ViVi」モデルのemmaの司会で、友人や関係者への徹底取材からゲストの素顔に迫るバラエティー。先述の俳優、イラストレーター、文筆家としての顔だけでなく、デザイナーやミュージシャン、作詞・作曲家、演出家、フォトグラファーなど、非常に幅広い活躍をみせる今回のゲストのリリーさん。自身初の長編小説「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」が200万部を突破する大ベストセラーとなり「本屋大賞2006」で大賞を受賞。ドラマ、映画、舞台化されると、安めぐみとの音楽ユニット「リリメグ」で自らもCDデビュー。2000年代後半からは本格的に俳優業にも進出。2011年公開の映画『モテキ』や『そして父になる』『海街diary』『バクマン。』など数々の作品で独特の味わいを醸し出す演技をみせ、昨年2016年は映画だけで8本もの作品に出演を果たすなど、いまや日本映画界に欠かすことのできない存在となった。そんなリリーさんだが同番組には斉藤和義、山下智久、優香のゲスト回で取材相手として何度か出演しており、今回満を持して(?)のゲストでの登場となる。今夜もリリーさんの実像に迫るべく鶴瓶さんが毎度おなじみ関係者への徹底取材を敢行。リリーさんと親交の深い大根仁監督に極秘取材するなど“謎多き男”にせまっていく。俳優として大活躍中のリリーさんだが、映画最新作にして主演作でもある『美しい星』が5月26日(金)より全国にて公開となる。三島由紀夫の異色のSF小説を、『パーマネント野ばら』『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が大胆にアレンジして映像化。リリーさん演じる“当たらない”お天気キャスターである重一郎をはじめとして、その息子・一雄(亀梨和也)、娘・暁子(橋本愛)、妻・伊余子(中嶋朋子)が“宇宙人一家”として覚醒し、それぞれに行動を起こす様を描く作品になっており、重一郎を追い詰める謎の男として佐々木蔵之介も出演。佐々木さん演じる謎の男に追い詰められ倒れた重一郎を支え一丸となって行動に出る一家の絆など「人間賛歌」のメッセージが込められた型破りな物語が展開する。新たに“火星人”という肩書が加わったリリーさん、その多才ぶりの神髄はどこにあるのか…「A-Studio」は5月19日(金)23時~TBS系で放送。(笠緒)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年05月19日今年2月に中谷美紀と井上芳雄の共演で上演が発表されて以来、その続報が待たれていた舞台『黒蜥蜴』。ついに全キャストが明らかになった。新たに発表になったのは、相楽樹と成河。江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化した傑作を、英国人演出家、デヴィッド・ルヴォーの演出によって立ち上げるこの公演。新鮮な顔合わせに期待が高まる。『黒蜥蜴』は、美貌の女盗賊“黒蜥蜴”と名探偵“明智小五郎”が繰り広げる究極のエンターテインメント。その魅力を演出のルヴォーはこう語る。「社会的規範の外と内という相反する立ち位置にいながらお互いに惹かれ合う盗賊と探偵。しかしその恋は成就しない。三島は理想を追い求めながらそこに達し得ないことへの恐怖や怒りを描いたアーティストだと思いますが、私自身もそこに興味を持っています。しかも三島は、その報われない恋をロマンチックに描くのではなくグロテスクな美しさにこだわった。演出もナチュラリズムな世界に閉じこもらず、“狂ったエンターテインメント”にしていきたいと思っています」。ルヴォーが求めるそんな世界の住人にまず抜擢されたのは、黒蜥蜴を演じる中谷美紀と明智に扮する井上芳雄だ。作品については、「耽美的でありながら、毒も含んでいて、きちんとエンターテインメントになっている、わかりやすい物語であることが、この作品の魅力」(中谷)、「黒蜥蜴が魅力的で、不思議な話ではありますが、ずっとすごく好きな作品でした」(井上)と語るふたり。かつて『ルドルフ~ザ・ラスト・キス~』でルヴォーの演出を受けた井上が「ルヴォーさんの演出は魔法にかけられているよう」と言えば、「“言葉の魔術師”という感じでご自分の世界に引き込む力がある方だと思うので、ぜひ私にも魔法をかけていただきたい」と中谷も意欲的だ。そして、黒蜥蜴の部下・雨宮を演じる成河と、黒蜥蜴に誘拐される早苗を演じる相楽樹。「直接演出家とお話する機会をいただき、何よりもまず、“デヴィッド・ルヴォーの黒蜥蜴”というものを立ち上げることに興味を覚えました」(成河)、「ルヴォーさんの演出でどんなところへ連れて行ってもらえるか、想像もしなかった早苗に会えるのではないかと、楽しみな気持ちが強いです」(相楽)と、ふたりからも気持ちの高鳴りが伝わってくる。ほか、黒蜥蜴の家政婦・ひな役に朝海ひかる、早苗の父親役にたかお鷹も決まった。この多様な顔ぶれなら、まさに思いもかけない世界を作り出してくれるだろう。公演は2018年1月東京・日生劇場、2月大阪梅田芸術劇場メインホールにて。取材・文:大内弓子
2017年04月26日女優の橋本愛が24日、都内で行われた映画『美しい星』(5月26日公開)の完成披露試写会に、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督とともに登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本が金星人、母親役の中嶋が地球人となる。金星人に目覚め、美しさを研ぎ澄ませていく娘・暁子を演じた橋本は、吉田監督から「『暁子の存在を持って、美を正したい』という言葉があって」と明かした。橋本は「美しくないかもしれない、正しくないかもしれないという迷いを捨てるように『自分は絶対に美しい』という自己暗示をかけ続けた1か月でした」と述懐。吉田監督は「今日、久しぶりに聞いて思い出しました」と苦笑しつつ、「彼女は応えてくれたと思ってます」と作品への自信を見せた。また、作中でリリー演じる重一郎が見せる「火星人のポーズ」が話題となったが、橋本は「私も金星人の、円盤を呼ぶポーズをさせていただいて」と告白。「そのポーズをやっぱり客観的に見るとめちゃくちゃ面白いので、真面目に真剣な顔をしてやるというのが難しかったですね」と撮影を振り返った。
2017年04月24日映画『美しい星』(5月26日公開)の完成披露試写会が24日に行われ、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督が登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本が金星人、母親役の中嶋が地球人となる。リリーが演じた重一郎は、自身を火星人と称し地球の危機を訴える。リリーは重一郎について「真っ当に近々起きること言ってるんだけど」と前置きしつつ、「正しいことを言ってる人が変な人に見えるというのが物の見方じゃないですか」と語った。そして「『これから大変なことになりますよ地球が!』って、駅前で言ってる人を見たら危ない人として処理するのに、本当はそうなんですよ」と続け、「真面目なことを声高に言うというのは、これくらい人に宇宙人だと思われるのか」と疑問を提示した。さらにリリーは「なるべく人は問題を先送りにしたい」と持論を展開し、「今日言われたくないことを声高に言うことを、変な人として処理するというのが、この映画を見るとよくわかる」と触れる。作中で佐々木が言った「本当に美しい自然に人間は存在しない」というセリフを挙げ、「今俺が言ったら羽毛布団を売りつけそうな空気になってるけど、この映画の脈絡であのセリフにたどり着いていくと確かになあって。自分たちがいることで起きたことが改めてわかったりとか」と作品から得た認識を明かした。亀梨も「はっとさせられましたね」と同意し、同作を「地球人として新たな角度をもらえた作品」と表現。リリーは「(話を)すればするほどネズミ講のセミナーみたいになる」と苦笑しつつも、「(映画を)観ていただければわかる」と改めて作品をアピールした。
2017年04月24日『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が、三島由紀夫の異色のSF小説を映画化した『美しい星』の完成披露試写会が4月24日(月)に開催。主演のリリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介が舞台挨拶に臨み、異様な(?)撮影現場について語った。天気キャスターの父、メッセンジャーの息子、美貌ゆえに孤独を抱える娘がそれぞれ、“宇宙人”として覚醒し、地球のために使命を果たすべく奮闘するという型破りな物語が展開する。リリーさんを中心に、現場でも役名で“家族”として過ごしていたというが、この日もそんな雰囲気そのまま。リリーさんは亀梨さんの衣装について「みんなの前に出る日だっていうのに一雄(亀梨さん)はパジャマで来て…(笑)」とイジリ、さらに「さっきまで、衣装さんと裏で、シャツを中に入れるかどうか悩んでた」と暴露。亀梨さんもノリノリで「お腹が冷えるバージョンで…(笑)」と返し、会場からはそんなやりとりに「キャー!」っと歓声が上がる。亀梨さんは、外でのシーンが多く、なかなか一家4人が揃うことがなかったそうだが「いつも一雄が帰ってこないから…」と不服そうなリリーさんに、亀梨さんは「プレイボーイなんで、すいません(笑)」と語り、再び会場は笑いに包まれる。現場では、監督の微妙なさじ加減を求める演出に戸惑いの声が続出したそう。“謎の宇宙人”を演じた佐々木さんは「監督に『いまのセリフ、日本語みたいに聞こえました』とダメ出しが出て…」と困惑を告白。さらに「監督に『宇宙人ということでいいんですよね?』と聞いたら『宇宙人だと思っている人だと思ってください』と言われ…」と苦笑。そのやり取りを、そばで見ていたというリリーさんは「監督が『いまのはちょっと宇宙人過ぎますね』と言ってた(笑)」と明かし、亀梨さんも「不思議な会話を聞いてる感じでした…(笑)」と楽しそうにふり返っていた。シュールな会話のやりとりが、何とも言えないおかしみ、ユーモアを生み出していると言える本作。リリーさん演じるお天気キャスターは、火星人として覚醒すると、真面目な顔で地球の環境破壊の現状を訴え続け、変人扱いされるようになる。リリーさんは「真面目なことを声高に言えば言うほど、変な人=“宇宙人”のように思われるところは現代にもある。街で、おかしなこと言ってると思われてるような人は、実は宇宙人で、一生懸命に何かを訴えているのかもしれない」と現代社会を鋭く言い当てているような本作の描写に言及。亀梨さんも「この作品を観て、ハッとさせられました。当たり前に自分が“地球人”として思ってることについて、改めて考えさせられて、ゾクッとしました」とうなずいていた。『美しい星』は5月26日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:美しい星 2017年5月26日より全国にて公開(C) 2017「美しい星」製作委員会
2017年04月24日映画『美しい星』(5月26日公開)の完成披露試写会が24日に行われ、リリー・フランキー、亀梨和也(KAT-TUN)、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、吉田大八監督が登場した。同作は三島由紀夫の同名小説を原作に、舞台を現代に移し大胆に脚色して映画化。ある日突然「宇宙人」に覚醒した家族と、世界の関わり合いを描く。父親役のリリーが火星人、息子役の亀梨が水星人、娘役の橋本が金星人、母親役の中嶋が地球人となる。リラックスしたシルエットの衣装に、リリーから「パジャマか」と突っ込まれた亀梨は「今日のテーマはパジャマということで、ラフに来させていただきました」と冗談交じりに答えつつ照れ笑い。スタイリストとシャツを出すかどうか議論していたことをバラされた亀梨だが、実際にシャツインした姿を見せ「お腹冷えてるバージョンにしました」と茶目っ気たっぷりに答えると、客席からは「かわいい!」と大歓声が上がり、リリーは「キャーのポイントがわからない!」と驚いていた。また4人家族の役となったが、なかなか家のシーンがなかった亀梨は「プレイボーイ(役)なもんで」とクールに決めてみせた。リリーが「一雄(亀梨)が野球の練習してる間、俺らはずっと家族でね」と語ると、「これちょっと、亀梨の方入っててきちゃうんで」と苦笑。亀梨は「実際にリリーさんがお父さんだったら、すごい楽しい息子生活が送れるんだろうなって」と想像し、現場でも「リリーさんが役名で呼んでくれて、ナチュラルな空気感を出してくれた」と感謝した。最後のフォトセッションでは、作中でリリーが何度も行う「火星人ポーズ」を全員で披露。トコトコと小走りに現れた亀梨は、屈伸をしたり、シャドーボクシングをしたりと入念に準備を行い、キレのある動きを見せていた。
2017年04月24日3月26日、近代能楽集より『葵上・卒塔婆小町』が東京で幕を開けた。三島由紀夫作、美輪明宏が、演出・美術・衣裳・音楽・振付・主演を担うこの舞台。7年ぶりとなる上演には、その才がすべて注ぎ込まれ、時空を超えたドラマが、妖しくも確かな手応えを持って届けられた。近代能楽集より『葵上・卒塔婆小町』チケット情報<葵上>の幕が上がると、まず目に飛び込んでくるのは、シュール・リアリズムを代表する画家、サルバドール・ダリの絵画が飛び出してきたようなセットだ。中央には、尾形光琳の筆を思わせるカバーのかかったベッドが置かれ、その奥には室町風の巨大な着物がかかる。そこは病院なのだが、どこかこの世ならざる気配を漂わせ、観客は一瞬にして異界に入り込む。しかも時は深夜。美貌の青年・若林光(木村彰吾)が病に伏せる妻の葵を見舞うと、そこに、かつて恋仲にあった六条康子(美輪)が現れ、ふたりが心を通わせた過去へと連れて行く。長い黒髪に、黒のイブニングドレスとコートを纏って登場する美輪は、立っているだけで妖しく恐ろしい。が、再び光を取り戻そうとすがる姿に、女の情念が生々しく表れたりもする。『源氏物語』を元にした能から三島が描きたかったであろう、生霊となってまでも執着せずにはいられない人間の愚かさと愛おしさが、全身から伝わってくる。<卒塔婆小町>が描くのは、小野小町を題材にした能・謡曲を元にした物語である。夜の公園。酔っ払った詩人(木村)がみすぼらしい老婆(美輪)に話しかけると、自分はかつて小町と呼ばれていたと言う。やがて、公園は明治時代の鹿鳴館の庭となり、詩人は深草少将に、そして老婆は美しい小町に変わり、ワルツを踊り始めるのだが、まずは美輪のその変身ぶりに驚かされることだろう。詩人も目の前いるのが本当は老婆だということを忘れその美しさに心奪われる。そして、小野小町と深草少将の百夜通い伝説を下敷きにしたこの物語は、美しい女を自分のものにしようとした途端、男に死を与えるのである。美を表現できる美輪だからこそ、美の空虚さがリアリティを持つ。難解なイメージのある三島作品だが、美輪の力がその意味を紐解いてくれるのだ。三島の真髄と美輪の真髄の両方を、この舞台は感じさせてくれるだろう。また、客席がずっと、やわらかな香の匂いに包まれていたことも印象的だった。観る人への美輪の思いは、隅々にまで行き渡っている。公演は4月16日(日)まで、新国立劇場 中劇場にて。その後、宮城、静岡、愛知、長野、福岡、大阪、神奈川を巡演。取材・文:大内弓子
2017年04月06日