ザック・エフロンが主演したコメディ映画を、世界で初めてミュージカルとして上演する『17 AGAIN』。この作品で初舞台を踏み、主演を務めるのが竹内涼真だ。“負け組”としての人生を受け入れていた35歳の主人公マイクがバスケットボールのスター選手だった17歳の頃の姿に戻り、家族の絆を取り戻そうと奮起する様子を、彼はどのように立ち上げるのか──。昨年11月末に行われた製作発表を経て、カンパニーでの全体稽古に入って約2週間というタイミングで話を聞く機会に恵まれた。演出・谷賢一と二人三脚で「演劇の“筋肉”を鍛える」──製作発表の前から、歌とダンスの自主トレに励んでこられたそうですね。ドラマ撮影の合間を縫ってレッスンに取り組んでいました。そこでベースはできた気がしますけど、実践として吸収できているのはカンパニーでの稽古に入った最近ですね。初舞台ということもあって「自分がいちばんこの現場で何もできない」状況に置かれています。──演出を手がける谷賢一さんは、初舞台の竹内さんにどう働きかけてくださっているんでしょうか?役のこと、場面ごとの感情、観客への届け方……舞台に初めて出演する僕の視座に立って一緒に考えてくださるので、本当にありがたいです。まだ何も始まっていないし終わってもいないのに、谷さんにはすでに何度も感謝していますね。──映像と演劇で、お芝居のやり方に違いを感じました?全然違いますね。これまで映画やドラマでしてきた演技が、舞台だと通用しないことがよくわかりました。映像だと、セリフは”相手”に伝えるもの。でも舞台の場合、相手だけにセリフを言っても観客の皆さんに届かないんですよ。「いま相手にこんなセリフを伝えています」って状態を見せなきゃいけない。自分と相手役の方だけで完結させず、観客に届けるための意識も必要だとわかった時には一瞬パニックになりましたね。──その考え方、谷さんがツイートされていた世阿弥の能楽論「離見の見」ですね。演者が、自分から離れて観客の立場で自身の姿を捉え、演技についても客観的な視点を持つことが大切である、と。谷さんは「立ち稽古初日で“離見の見”が話題に挙がった」とおっしゃっていました。まさに! でも僕、最近ドラマで客観的に自分を捉えることをやめていたんですよ。観客の視点を取り入れて演じると、どうしても「こう見られたい」って自意識が入り込む。それってキャラクターを演じる軸がブレてしまうことでもあるんです。だから客観は監督に託そう、って。ただ、演劇の世界では役者も観客の立場から自分を捉えて表現しないと届かない。映像におけるお芝居の考え方とまったく違うことに、稽古の早い段階から気づかせてくれた谷さんにはやっぱり頭が上がりません。──具体的に、どんなシーンを稽古していて気づいたんですか?驚き、怒り、悲しみ……マイクの感情が大きく動いた瞬間ですね。映像だったらカメラがアップしてくれるから、表情でその変化を見せられる。たとえば日本人を演じる場合、喜怒哀楽や本音は“隠す”お芝居がリアルなんですよ。それでもこぼれてしまう瞬間に、ドラマがある。一方で舞台は映像と違ってカメラに“寄って”もらえないから、体全体で表現する必要があります。でも場数を踏んでいない僕には、まだその引き出しや筋肉が圧倒的に足りなくて。──演劇におけるお芝居の“筋肉”を、谷さんと二人三脚で鍛えている最中なんでしょうか?そうですね。たとえば「ここで一度立ち止まってみたら、マイクの悲しみが伝わるんじゃない?」と実際に谷さんに演じていただく場合もあります。そこからイメージを膨らませる作業を繰り返していくような。──1ヵ月半後、開幕の時にどれだけ筋肉がつくか楽しみですね!僕らしく演じるということももちろんですが、まず基本動作を徹底したいですね。そこから自分のスタイルがにじみ出ればいいな、と思っています。さえない35歳は「映画よりダサい仕上がり」──原作映画でザック・エフロンとマシュー・ペリーが二人で扮した主人公マイクを、竹内さんは一人で演じます。過去のインタビューで「それぞれの年齢でしっかり役づくりを行い、その差が大きいほどおもしろくなる」とおっしゃっていましたが、現時点でどのように取り組んでいらっしゃいますか?35歳のマイクは「こんなお父さんにハグされたくないわ……」ってイメージで清潔感がなく、映画よりかなり太っています。容姿を整えることを諦めてそんなに腹も出ていたら、そりゃマギー(娘)もアレックス(息子)もイヤだろうって人物造形。パンツ一丁でいびきかきながら寝てるんだろうな……とか、酔っ払って帰ってきて「ねぇママ〜」とか言いながらスカーレット(妻)にウザ絡みしてそうだな……とか。一度ポスター用にビジュアル撮影しましたけど、「やり直した方がいいんじゃない?」ってくらいダサい仕上がりになりそうです(笑)──映画の中年マイクは、人生と家族に疲れ果てた哀れな男に見えました。そうなんですよ。僕も、映画の大人マイクは妻との不仲と子どもたちの思春期が重なってしまった不幸な男に見えました。会社では新人の女性社員に先に昇進され、自分の席が無くなってしまって。でもミュージカルでは「うまくいかない結果を招いた原因は、すべてマイクにあった」って描き方になるかもしれません。──ミュージカル化に際して設定をアレンジするんでしょうか?いちばん最初の家族シーンで、35歳のマイクがどれだけダメな父親で、家族の抱える悩みやトラブルに気づけていないか……ということを観客に伝えておく必要があるんですよね。谷さんいわく、「その方が17歳に戻った時に『うーわ、俺って周りがこんなに見えていなかったのか』って彼のショックを強く伝えられると思うから」って。──一方で、バスケットボールのスター選手だった17歳のマイクはどのように演じますか?劇中のほとんどが17歳の姿で、冒頭の35歳と見た目も振る舞いも変わるから……それほど強く意識しなくても演じ分けができる気がしています。大切なのはコメディ要素をどこまで出すか。見た目はイケてる17歳だけど中身は35歳だから、どうしてもオヤジくさい言い回しが出てくるんですね。お客さんにも「わ、オッサンくささ全開だけど大丈夫?」って感じてもらった方がよいのか、それとももっと隠して演じた方が伝わるのか……そのバランスはこれから稽古場で見つけていきたいですね。キーをひとつ上げたら感情が乗って突き抜けられた──製作発表で披露されたミュージカルナンバーのうち、「The Greatest Prize」が印象的でした。どんな楽曲なんでしょうか?一幕ラストを飾る楽曲ですね。トラブルを抱える娘・息子を前にしたマイクが、「17歳に戻れた奇跡を無駄にせず、みんなの絆を絶対に取り戻すぞ!」と家族の“再生”を誓って一幕が終わります。──マイクの想いが炸裂するナンバーを、竹内さんはどのように歌おうとしていらっしゃいますか?実は一昨日、製作発表で披露したキーよりひとつ上げて歌ったら……ものすごい感情が乗って突き抜けられたんですよ! ピアノの伴奏がない自宅では、おのずと歌いやすいキーで発声していたようで。それを先生にお伝えして個別レッスンでも高いキーで歌ってみたら、うまく行って嬉しかったです。──製作発表の直後にお話をうかがった時も、主人公の感情を表すのに「ハンドマイクだと違和感があったからヘッドセットに変えてもらった」とおっしゃっていましたね。今回も竹内さんなりの試行錯誤が、うまく作用した?ミュージカル出演の目標として「セリフのようにメロディを紡ぎたい」、もっと言うなら「歌とセリフの境界線が曖昧になるほど融合できたら」と考えていたんですけど。でも最近、すべてセリフのようによどみなく歌ってしまってはもったいない……と感じるようになって。主人公の伝えたいメッセージが明確なナンバーではあえて“歌”を強調したパフォーマンスを繰り広げ、お客さんを圧倒する瞬間も大切なのかな、と。一幕ラスト、二幕に向けて爆発できるところはひとつ音程を上げて、体の内側から湧き出るエネルギーをすべて歌の中に詰め込んだ方が観客の皆さんに刺さる気がした。谷さんへの相談結果次第ではありますが、そんな気づきがありましたね。家族の再生を誓うオヤジから、元気を受け取ってもらえたら──ミュージカル『17 AGAIN』のテーマや発するメッセージについて、全体稽古が始まったいま改めて竹内さんが考えていることは?身近な存在の価値を再発見することで人生は好転する……という前向きなメッセージが込められた作品だけに、だいぶ明るい作品になりそうな予感がしています。稽古場のテンションがとにかく高い!──映画よりも明るい?はい! しかも映画よりだいぶ笑えるんじゃないかな。たとえば17歳に戻ったマイクが、自分を父親と思っていない息子アレックスと接するシーンはコメディ要素満載です。──映画だけ拝見すると、マイクとアレックスの場面にコメディ要素は感じられませんね。ですよね? でもミュージカルでは一線を画していて。今日やった稽古では、アレックスが歌っている背後でものすっごく僕(マイク)が応援していたり。息子に対して「もう花びら撒いちゃえ!」みたく突き抜けた親バカ精神が発揮されているシーンです。──姿かたちは17歳なのに、どうしても中の人35歳パパがにじみ出てしまう?そうそう! 映画のマイクはずっと正体を隠しているけど、ミュージカルでは父親バレバレなんですよ。演劇のおもしろさって、たとえばアレックスがメインの歌唱シーンでも、マイクが違う世界線にいる設定が同じステージ上につくれること。これが成立するから、マイクが父親を全開にしちゃっても平気になる。そこがすごく興味深いなって。だからこそ家族を再生しようと一生懸命もがくマイクに対して、お客さんも「がんばれオヤジ!」って声援を送れるんじゃないかな。彼のどうしようもなくダサい部分を惜しみなく晒け出すことで、映画より感情移入しやすくなっている気がします。マイクから元気をもらって、笑い飛ばしていただけたら。取材・文:岡山朋代撮影:渡邊明音★『17 AGAIN』インタビュー第2弾は、本作で振付を担当するダンサー・コレオグラファーのAKIHITOさんにインタビュー! 近日公開予定です。公演情報ミュージカル『17 AGAIN』劇作・脚本:マルコ・ぺネット作詞・作曲:アラン・ザッカリー&マイケル・ウェイナー翻訳・演出:谷賢一出演:竹内涼真 / ソニン / エハラマサヒロ / 桜井日奈子 / 福澤希空(WATWING) / 有澤樟太郎 / 水夏希 / 他【東京公演】2021年5月16日(日)~2021年6月6日(日)会場:東京建物Brillia HALL【兵庫公演】2021年6月11日(金)~2021年6月13日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール【佐賀公演】2021年6月18日(金)~6月20日(日)会場:鳥栖市民文化会館 大ホール【広島公演】2021年6月26日(土)会場:広島文化学園HBGホール【愛知公演】2021年7月1日(木)~2021年7月11日(日)会場:御園座チケット情報
2021年04月23日長瀬智也主演、宮藤官九郎脚本でおくる「俺の家の話」の最終話が3月26日放送。寿一が迎えた“結末”に「超展開」の声が上がるとともに、寿三郎の寿一に向けたセリフにも「クドカンさんから長瀬くんへの言葉」「とにかく凄い」など絶賛の声が殺到中だ。能楽の人間国宝の息子として生まれたものの17歳で家出、人気レスラーになるが父の介護のため引退。25年ぶりに実家に戻った主人公・観山寿一を長瀬さんが演じ、“濃すぎる家族”のホームドラマが繰り広げられきた本作。共演には、二十七世観山流宗家にして重要無形文化財「能楽」保持者、人間国宝で全国に1万人以上の門弟を持ち全日本能楽協会理事長でもあるが、認知症が進行している寿一の父・寿三郎に西田敏行。デイケア先で寿三郎から結婚を申し込まれ、その後は寿一の“恋人”となる志田さくらに戸田恵梨香。寿一の幼馴染みで寿三郎の弟子として育ち芸養子となるが、実は寿一の異母兄弟だった観山寿限無に桐谷健太。寿一を反面教師に弁護士となり、当初は敵視していたさくらに恋してしまった観山家の次男・踊介に永山絢斗。観山家の長女で進学塾の講師をしている長田舞に江口のりこ。舞の1人息子でダンスを愛する長田大州に道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)。寿一のファンで結婚したが、その後別れた元妻のユカに平岩紙。能楽の才能を発揮する寿一の息子・秀生に羽村仁成(ジャニーズJr.)。舞の夫でラッパーにしてラーメンチェーンも経営するO.S.Dに秋山竜次。寿三郎のケアマネージャーを務める末広涼一に荒川良々。寿一の後輩レスラーのプリティ原に井之脇海。覆面レスラー“スーパー世阿弥マシン”として活動を続ける寿一が所属する「さんたまプロレス」の会長・堀コタツに三宅弘城。本人役で長州力といった面々。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。最終話では危篤だった寿三郎が復活。そして迎えた新春能楽会で寿三郎は地謡として復帰するのだが、弟子たちから「ご愁傷様です」と言われることに違和感を覚え、本番直前にも関わらず寿一が来ないと騒ぎだす寿三郎に、さくらは「亡くなったの」と寿一が年越しプロレスの試合中の事故で死亡したことを告げる…という衝撃の展開に。この事態に「俺の家の話が超展開過ぎる」「急展開過ぎてついていけない」など視聴者も大混乱。その後、寿一の死が受け入れられない寿三郎と、自らの死を受け入れられない寿一の姿が、能楽の「隅田川」の物語と重ねて描かれていく。「ああそっか。だから「俺の家の話」と俯瞰した視点での語りから始まるんだ」「俺の家の話 という名の隅田川」「衝撃すぎてぼーぜんと見てたけど隅田川の伏線回収あたりから泣いてる」などの声が視聴者から上がるなか、本番中の寿三郎の眼前に洗面器を持った寿一が現れる。徐々に寿一の死を受け入れ始めた寿三郎は「みんなのことを笑顔にしてくれてさ、奮い立たせてくれて、人様の分まで戦って、舞って、ケガして、笑って…」と語り始め「国の宝にはなれなかったけど、家の宝にはなれたな。お前は観山家の人間家宝だよ」と、寿一に感謝の言葉を送る。これにも「クドカンさんから長瀬くんへの言葉じゃないか」「このドラマ、設定、寿三郎の言葉、長瀬さんに対するクドカンからの餞」などの反応が続々と寄せられ、「ちょっとこのドラマやばすぎて涙も鳥肌が止まらない」「凄まじい脚本にため息しか出てこない」「世界中が生と死を猛烈に感じた昨年からの状況とこの脚本!!クドカンさん、凄い、とにかく凄い」など宮藤さんへの絶賛も殺到している。(笠緒)
2021年03月27日長瀬智也主演、西田敏行、戸田恵梨香、桐谷健太ら共演の「俺の家の話」の9話が3月19日放送。ゲストで登場したムロツヨシと塚本高史にタイムラインが盛り上がるなか、“奇跡のラスト”にも「コメディと哀愁と感動のバランスが凄い」などの反応が集まっている。長瀬さんとともに「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」「うぬぼれ刑事」など数々の名作を生み出してきた宮藤官九郎によるオリジナルストーリーとなる本作。能楽の人間国宝の息子として生まれた主人公・観山寿一を長瀬さんが演じ、寿一の父の寿三郎に西田さん、寿一と恋人関係となった志田さくらに戸田さん、寿一の異母兄弟だと判明した寿限無に桐谷さん、観山家の次男・踊介に永山絢斗、長女の長田舞に江口のりこ、舞の1人息子・長田大州に道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、寿一の別れた妻・ユカに平岩紙、舞の夫でラッパーのO.S.Dに秋山竜次、ケアマネージャーの末広涼一に荒川良々、寿一の息子・秀生に羽村仁成(ジャニーズJr.)。井之脇海、三宅弘城、長州力らも出演。寿三郎に反抗し家を出てプロレスの道に進んだ寿一が、25年ぶりに実家に戻り兄妹たちと再会。そこには寿三郎の“婚約者”だというヘルパーのさくらもおり、当初は“後妻業”だと反発する兄妹だったが踊介がさくらに恋してしまい、一方、さくらは寿三郎の介護をしながら覆面レスラー“スーパー世阿弥マシン”としてプロレスに復帰した寿一に想いを抱いてしまう。そんな日々のなか、徐々に寿三郎の病状は悪化、要介護状態となり、前回のラストでグループホームに入居する…というのがこれまでの物語。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。それから半年後、寿限無が「自分には能しかないと気づいた」と観山家に帰ってくる。寿一は寿限無を寿三郎のいるグループホームへ連れていく。寿一はさんたまプロレスのレスラーたちとともにホームを慰問、スーパー世阿弥マシンとなって寿三郎を持ち上げる。一方、さくらは能とプロレスに夢中な寿一に不満を覚え、観山家に行かなくなっていた。さくらは寿一に「家族に囲まれて笑ってる寿一さんが好きでした。皆さんを戻してください」と告げる…というのが9話のストーリー。さらに観山家に“お家騒動”が勃発。分家の当主、観山万寿が寿一の観山流継承に異議を唱え、観山家に乗り込んでくる。この万寿を演じたのがムロさん。放送前には戸田さんのスタッフアカウントでムロさんとのツーショットも公開。この後22時~は「俺の家の話」第9話の放送です!ムロさんと是非ご覧下さい!#俺の家の話 #長瀬智也 #戸田恵梨香 #西田敏行 #桐谷健太 #永山絢斗 #江口のりこ #ムロツヨシ #俺家 #TBS pic.twitter.com/rienLOa2Jr— Erika Toda Staff (@erikatodastaff) March 19, 2021SNSには「戸田さんとムロさんといえば大恋愛を思い出します」「ムロさん今日はキツイのね。大恋愛とは違う」など、戸田さんとの共演作「大恋愛」を思い出した視聴者からのコメントが続々。その後寿三郎が脳梗塞を発症。家族会議が行われるなか、寿一が連れてきた葬儀屋の鬼塚役で塚本高史も登場。こちらにも「きゃ~!塚本高史出た~!」「めちゃくちゃうれしかったです!」と喜びの声が上がる。そして寿三郎を家族や門弟らが取り囲み、容体を見守るなか、スーパー世阿弥マシンとなった寿一はさんたまプロレスの「肝っ玉、しこったま、さんたま」をコール。すると寿三郎の手がゆっくりと上がり…。奇跡のラストにも「クドカンドラマはいつもコメディと哀愁と感動のバランスが凄い」「すっごい面白いのにちゃんと感動あるのほんと好き」「泣いたり笑ったり忙しいw」などSNSに感動の声が溢れている。(笠緒)
2021年03月19日長瀬智也×宮藤官九郎のタッグで贈る現在放送中のドラマ「俺の家の話」の第9話(3月19日放送)に、ムロツヨシと塚本高史が出演することが分かった。本作は、ピークを過ぎたプロレスラーが、能楽の人間国宝である父の介護のために現役を引退、名家の大黒柱として次々と一家に降りかかる困難に立ち向かうホームドラマ。長瀬さんとのドラマ共演は「うぬぼれ刑事」以来、11年ぶりとなるムロさんが今回演じるのは、観山流の分家当主・観山万寿。寿一(長瀬さん)が観山流を継承することに異議を唱え、寿一と真っ向から対立。丁々発止のやり取りでお家騒動を巻き起こす、今回の物語のキーパーソンだ。ムロさんは「少し前になりますが、この作品のとあるシーンのロケをしている現場にたまたま遭遇し、久しぶりに長瀬さん、戸田さん、西田さんにご挨拶させていただき、その時に出たい! 出たい! と話しておりました。今回このように出演させていただき、長瀬さんから『本当に来てくれたんだ』と言ってもらいうれしかったです」と出演を熱望していたと明かし、「この作品を初回の放送から見続けており最後がどうなるか、私自身も本当に楽しみでなりません。そして、長瀬さんと一緒にお芝居させていただいたこと、この作品に参加させていただいたことに感謝しております」とコメント。また、多くの宮藤作品に出演している塚本さんは、今回、三代目葬儀屋・鬼塚として出演。長瀬さんとは「タイガー&ドラゴン」以来、実に16年ぶりの共演だが、長瀬さんとの息の合った芝居は未だ健在。「お会いして一瞬で距離が縮まり、すんなりと現場に入れてうれしかったです。収録の合間、モニターで演技の映像をチェックさせていただいた時も、自分と2ショットで映っている長瀬さんの姿を見て感慨深かったです」と長瀬さんとの再共演を喜ぶ。鬼塚は、シリアスなシーンでの緩衝材であり、物語のスパイスとなる役どころ。「第6話の阿部サダヲさん、第8話の佐藤隆太さんに続き、いよいよ第9話で、最後の象徴的なシーンに関わる三代目葬儀屋・鬼塚として出演致します! 楽しんで観ていただけたらうれしいです」と視聴者へ呼びかけている。第9話あらすじ妹弟が去り、寿三郎(西田敏行)がグループホームへ入所し、観山家に残った寿一は、ひたすら稽古に励んでいた。そこへ、半年前に家を出た寿限無(桐谷健太)が突然帰宅。寿一は寿三郎のいるグループホームへと出かける。スーパー世阿弥マシンに扮した寿一をはじめ、慰問に来たさんたまプロレスのレスラーたちを見たお年寄りは歓声を上げる。そして、その中には寿三郎の姿もあり、寿限無は泣き笑うような気持ちでそれを見つめるのだった。一方、寿一と結婚を誓い合ったはずのさくら(戸田恵梨香)は、この2週間ほど観山家には行かなかった。能とプロレスが頭の大部分を占め、手を出してこない寿一に不満を覚えていたのだ。同じ頃、踊介(永山絢斗)は週刊誌の記者からある記事を見せられていた。そこには、グループホームの中庭で運動している寿三郎の姿が…。「俺の家の話」は毎週金曜日22時~TBSにて放送中。(cinemacafe.net)
2021年03月12日長瀬智也主演で現在放送中のホームドラマ「俺の家の話」の第8話に矢沢心が出演することが分かった。今夜放送の第8話は、ついにさくら(戸田恵梨香)へ自分の気持ちを告白した寿一(長瀬さん)は、寿三郎(西田敏行)から新しい演目の稽古をするように告げられ、同時にスーパー世阿弥マシンの新しい対戦相手が決まり、能とプロレスを同時進行で稽古していくことに。そんなある日、稽古中によろけてしまい、寿一は病院へ。とあることがきっかけとなりアキレス腱を断裂、2週間の車椅子生活を余儀なくされる…というストーリー。「コウノドリ」以来、約4年ぶりのドラマ出演となる矢沢さんが今回演じるのは、寿一に大きく関わる看護師だ。長瀬さんとのドラマ共演は、橋本千秋役で出演していた「池袋ウエストゲートパーク」以来21年ぶり。「『池袋ウエストゲートパーク』チームの現場の雰囲気が変わらずあたたかくて、心地良い空気感を味わいました。同級生に会っているような感覚で21年振りとは思えませんでした」と撮影をふり返り、「長瀬君は、ナチュラルで緊張させないよう現場の空気を作ることがとても上手です。やりづらさがある苦手なシーンでも全て拾ってくれるのでアドリブ力が必要なのですが、いつの時もとても楽しく演じさせてもらいました。こんな役者さんってあまりいないと思います。人を緊張させず、人間味を思う存分カッコつけずに出してくるもんだから『池袋ウエストゲートパーク』も、あんなに結束力が強かったのだと思います。寿一の行く末を私も楽しみにしています」とコメントしている。また、先日、佐藤隆太の出演も発表されており、今夜は「池袋ウエストゲートパーク」のメンバーが顔を揃えることとなる。「俺の家の話」は毎週金曜日22時~TBSにて放送中。(cinemacafe.net)
2021年03月12日長瀬智也主演、宮藤官九郎脚本、西田敏行、戸田恵梨香、桐谷健太らが共演する「俺の家の話」の5話が2月19日放送。戸田さん演じるさくらが寿一に告白した際の「好き」の言い方に絶賛の声が殺到、永山絢斗演じる踊介の“キャラ変”も話題となっている。本作は能楽の人間国宝の息子として生まれた主人公が、父親に反抗しプロレスラーとなって成功するも父の介護と跡を継ぐために引退、25年ぶりに実家に戻ると、そこには久々に再会した兄妹に父の“婚約者”だというヘルパーがおり、さらに幼い頃を共に過ごした芸養子が実は父の“隠し子”だったことも判明して…という本作。長瀬さんが観山流宗家の長男として生まれ神童と呼ばれるもプロレスの道へ。今は父の介護をしながら覆面レスラー“スーパー世阿弥マシン”としてプロレスにも復帰した観山寿一を演じるほか、西田さんが寿一の父で二十七世観山流宗家、重要無形文化財にして全日本能楽協会理事長でもある寿三郎を演じる。また戸田さんが寿三郎から結婚を申し込まれる介護ヘルパーの志田さくらに、桐谷さんが寿三郎の芸養子として観山家を支えてきたが、実は寿三郎の隠し子だったことが判明した観山寿限無に、永山さんが観山家の次男で能のセンスが皆無だったこともあり弁護士となった観山踊介に、江口のりこが観山家の長女で進学塾講師をしている長田舞を好演。道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)が舞の1人息子でダンス好きの長田大州に、平岩紙が寿一の元妻・ユカに、羽村仁成(ジャニーズJr.)が能の才能を持つ寿一の息子・秀生にそれぞれ扮するほか、井之脇海、荒川良々、秋山竜次らも出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。今回は自分が寿三郎の実子だと知った寿限無に“反抗期”が訪れる。そんな寿限無と口論になった寿一は「さんたまプロレス」のリングに寿限無を連れていき、好きなだけ殴れと告げる。寿限無は寿一にこれまでの怒りをぶつけ「親父の後継ぎたいなら能で俺に勝ってみろ」と言い放つ。そこにスーパー世阿弥マシンが寿一だと気づいたさくらが現れ、寿一に「…好き」と告げて走り去っていく…という展開に。さくらの“好き”に「好きの言い方めっちゃ可愛かった」「言って走り逃げる戸田恵梨香ちゃんちょーーーーーーー可愛い」「今日の「好き」 2連発は反則級」「言い方と仕草が可愛すぎる」「とてもきゅんとしてしまいました」など絶賛の声が殺到。その一方で寿一は寿三郎のエンディングノートに書かれていた“家族旅行”を実現に向け準備を進めるが、そんななか踊介がさくらに“告白”すると宣言、さくらから“告白”された寿一は複雑な心境になるのだが、“キャラ変”した踊介にも「永山絢斗がおもしろすぎた」「始まったときからキャラ変わり過ぎ」「賢いのにこじらせてる永山絢斗くん演じる踊介、意外と好き」などの反応が多数寄せられている。(笠緒)
2021年02月20日現在、第3話まで放送されている長瀬智也(42)主演の『俺の家の話』(TBS系)。長瀬演じるプロレスラー・観山寿一が能楽の人間国宝である父・寿三郎(西田敏行)を介護するため、リングを離れて実家へ戻ることから始まるホームドラマだ。本作で見どころの一つである、長瀬のプロレスシーンに圧倒される視聴者が急増しているという。「第1話から長瀬さんは、迫力あるプロレス技を披露しています。リングを離れた寿一は、父の介護と能の練習に奮闘。ところが第3話では、金策のために現役時代の所属団体に覆面レスラー『スーパー世阿弥マシン』として復帰しました。ハンドスプリング(跳ね起き)から対戦相手の頭を両脚で挟み込んで投げ飛ばすなど、長瀬さんは難易度の高い技を披露しているのです」(テレビ誌ライター)そんななか注目を集めているのは、「ガンバレ☆プロレス」所属の翔太選手(32)が2月5日に投稿したツイートだ。《これだけは一人でも多くの人に知って欲しい。スーパー世阿弥マシーンのプロレスシーンは全て長瀬さん本人です》本ドラマはDDTプロレスリングの木曽大介レフェリー(43)が監修し、翔太選手もプロレス興行シーンにおいて撮影協力している。現場を知る翔太選手のツイートに、《てっきり吹き替えかと思ってました》《長瀬智也すごいな》など反響が広がっている。■プロレス界も長瀬に熱視線そんななか「NEWSポストセブン」は9日、“ジャニーズ伝説の振付師”であるボビー吉野さん(62才)のインタビュー記事を掲載。吉野さんは「レッスンも長くやっていたし、少年隊のバックダンサーをやっていたぐらいなんで、むしろうまい」などとTOKIOのダンスのスキルを絶賛している。そんなTOKIOのメンバーである長瀬の身体能力の高さは、これまでダンス以外でも注目を浴びてきた。「長瀬さんはスケボーやサッカーも得意で、身体能力が高いことはファンの間では周知のこと。5年前に『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)で空手対決を行った際は、相手の胸元の位置までジャンプして蹴りを決めていました。ドラマ内でのパフォーマンスにも、衰えを一切感じさせません。共演した蝶野正洋(57)さんも、『プロレス業界から引っ張りだこになると思う』と熱視線です」(テレビ局関係者)本誌は昨年12月上旬、本ドラマの撮影現場をキャッチ。そこにはプロレスのコスチュームをまとい、がっちりとした体格の長瀬が佇んでいた。彼が最もこだわっているのはプロレスのシーンだというが、その熱量はドラマに説得力をもたらしているようだ。「プロレスのシーンは、主に長瀬さんの意向が取り入れられているといいます。『世阿弥マシーン』が能面を着けて登場するのも、ストーリーに添った彼のアイデアなのでしょう。なんでもこなす長瀬さんは『スーパーマンじゃない』と苦笑するそうですが、周囲の期待を大きく超えてくるとも。そんな本作のテーマは介護。脚本を書いた宮藤官九郎さん(50)は、長瀬さんに『長男の悲哀を表現できるはず』と語っていました。等身大で演じる長瀬さんから滲み出る“現実味”や家族を思う気持ちは、視聴者から共感を呼んでいます」(制作関係者)
2021年02月09日長瀬智也主演、西田敏行、戸田恵梨香、桐谷健太らが共演。宮藤官九郎脚本による「俺の家の話」の第3話が2月5日放送。今回は戸田さん演じるさくらの生い立ちを“能”で再現するシーンと、長瀬さん自身による本格的プロレスシーンに多くの視聴者が反応した。長瀬さん演じるピークを過ぎたプロレスラーが、能楽の人間国宝である父の介護のために現役を引退、久々に再会した兄妹や“後妻業”ヘルパーらとバトルの繰り広げる“濃すぎる家族”の王道ホームドラマ。長瀬さんが観山寿一を、西田さんが寿一の父・寿三郎を、戸田さんが寿三郎と結婚しようとするヘルパー・志田さくらを、桐谷さんが寿三郎の芸養子となった観山寿限無を、永山絢斗が観山家の次男で弁護士の観山踊介を、江口のりこが観山家の長女で進学塾講師の長田舞を、井之脇海が寿一の後輩レスラー・プリティ原を、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)が舞の1人息子・長田大州を、荒川良々がケアマネージャーの末広涼一を、平岩紙が寿一の別れた妻・ユカを、秋山竜次が舞の夫でラッパーのO.S.Dを、三宅弘城、羽村仁成(ジャニーズJr.)、長州力らも出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。寿一はさくらに借りた10万円を返すためリングに上がる。一方、自宅に1人になった寿三郎は廊下で転び病院へ運ばれてしまう。退院後、自分とさくらには時間がないことを痛感したとエンディングノートを作る寿三郎。そのなかに二重線で消された“家族旅行”という文字を見た寿一は、その夢を叶るべく、“スーパー世阿弥マシーン”としてプロレスに本格復帰する。が、その試合を試合会場前にたまたま居合わせた寿三郎とさくらが観戦することになり…というのが今回のストーリー。また今回のエピソードではさくらがの生い立ちも明かされたのだが、そのシーンが“能”で再現されるという趣向。さくらの母が次々とろくでもない男と付き合い、彼らに暴力を振るわれ、極貧のなか金銭感覚が研ぎ澄まされていった過程が、江口さん、道枝さんらによる能でつづられていく。「回想シーンを能でやるのドラマ史上初だろうな」「能が挟まるの斬新すぎる」「斬新だし、ありそうでなかった」など、この演出に絶賛の声多数。またプロレス復帰した寿一のプロレスシーンにも大きな反響が。能の稽古で体幹が鍛えられた寿一は圧倒的な強さを見せるのだが、本作に「さんたまプロレス」のレスラー役で出演している翔太もツイートしているように、本作のプロレスシーンはすべて長瀬さん本人によるもの。これだけは一人でも多くの人に知って欲しい。スーパー世阿弥マシーンのプロレスシーンは全て長瀬さん本人です。#俺の家の話— 翔太 (@shota0810) February 5, 2021「プロレスシーンがスタントなしの長瀬の演技とは鳥肌立った」「プロレスのフライング技で後ろ側から撮ったやつは完全に別の人だと思ってた」「こんな技までできるのかと本当にビックリ」「飛ぶシーンは違うだろーと思ってた。肉体改造からプロレスからすげーな」など、長瀬さんのレスラーぶりにも感嘆の声が数多く寄せられている。(笠緒)
2021年02月06日歌舞伎俳優の坂東玉三郎が大阪松竹座でお正月公演「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」を上演するのを前に11月20日、京都市内で取材会を行った。公演は花道の使用を避けるなど、コロナ対策を徹底する。玉三郎は「今はどこを見てもコロナの話題ばかり。舞台ではお客様に苦しい現実を忘れていただくのが何より大事。演劇とはそういうものです」と力を込める。「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」チケット情報演目は3つ。『お年賀 口上』で幕を明け、27年ぶりの上演で初役を勤める『賤の小田巻(しずのおだまき)』、18年に新作舞踊として初披露した『傾城雪吉原(けいせいゆきのよしわら)』を上演する。口上は「幸せ感溢れるものにしたい」と、目にも豪華な内掛の衣裳を披露する趣向を考えた。京都の職人が1年がかりで仕立てたという貴重な紅い鳳凰柄のものから、『天守物語』で披露した2枚、さらに『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』で特別に仕立てた1枚の計4枚を候補に挙げる。「お客様には華やかなものをお見せしたい。口上でも充実してお楽しみいただければと考えました」。『賤の小田巻』は源義経の愛妾で、今は捕らわれの身となった静御前が主人公。宿敵・頼朝とその妻政子に舞を所望され、その席で義経の身の安全を祈願したことから頼朝の不興をかった故事に由来した人気曲目のひとつ。哀愁の中にも繊細な情趣や華麗さがある。玉三郎は「静御前が現実にどれだけ悲しんだかというよりも、その風情を見せるのが大事」と極意を語る。衣裳は格調高い唐織着流し。以前『船弁慶』の静御前で着用したものが3枚あると言い、公演中はそこから「その日の気分で自由に選んで着ようと思います」。『傾城雪吉原』は、恋人を思い春を待つ傾城が、四季折々の風情と共に、古風な趣と格式で魅せる幽艶な舞踊劇だ。玉三郎は長唄の名曲『高尾懺悔』から恨みの歌詞を抜くなどして改曲、新作『傾城雪吉原』として魅力も新たに蘇らせる。「能楽でも世阿弥らがお客様に楽しんでいただくために、昔からあったものを改曲し、目新しく華やかに見せていくことがあったと思います。長唄『高尾懺悔』が名曲ながらあまり上演されなかったのは、亡霊が四季を踊るという地味なものだったから。それを華やかにしたいと『傾城雪吉原』に仕上げました。冒頭の雪景色は『鷺娘』のような雰囲気もあり、最後は「春は来にけり」の歌詞で終わらせました」。9月からコロナ渦での公演を再開させた玉三郎。改めて観客への感謝と決意を口にする。「この状況下でお客様が前売券を買って劇場に来てくださることのありがたさ、大劇場で幕を開けられることの幸せをつくづく感じます。まずはお客様を安全第一にお迎えし、その情熱に応えたい。現実を忘れていただけるような時間を提供できればと思います」。公演は1月2日(土)から19日(火)まで、大阪松竹座にて上演。チケットは12月2日(水)午前10時より一般発売。取材・文:石橋法子
2020年12月02日新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けた劇場文化の復活を祈願する『日本の劇場文化 復活祈願祭』が、11月3日に大阪・道頓堀で行われた。祈願祭に先立ち行われた記者会見では、発起人の歌舞伎俳優・市川海老蔵と、能楽師で人間国宝の大槻文藏、文楽の人形遣い・桐竹勘十郎、日本舞踊・上方舞の山村友五郎、落語家・桂米團治といった上方の伝統芸能を代表する面々が出席。今回の企画について海老蔵は「コロナ禍により、劇場文化に携わっている方々のみならず、多くの方々が大変な思いで日々生活をしており、また、劇場に足を運んでくださるお客様も少なくなっている状況で、今回の祈願祭を発足させていただきました。大阪万博が開催される予定の2025年は、道頓堀に劇場ができて400年という節目になります。そこに向けて、少しでも大阪の伝統文化がさらに豊かに、また、大阪のお客様が伝統文化を楽しんでいただけるようになることを切に願って、行わせていただくことになりました。今日を皮切りに、大阪の伝統文化のみならず、日本の伝統文化、エンタテインメントの発展につながることを願っています」と思いを語る。そんな海老蔵の思いに賛同した大槻文藏らも「世阿弥は『芸能は寿福増長のものであり、悪魔を払う力がある』と伝えております。芸能をご覧いただくことで、気持ちが和らぎ、安心していただくというような役目があると思っております」(文藏)「リモートでご覧いただく形も増えましたが、やはり舞台芸術は生で観るのが一番。皆さまの心の落ち着きが戻りましたら、ぜひ劇場に戻ってきていただきたいと切に願っております」(勘十郎)「演者だけでは劇場は成立しません。衣裳、小道具、かつらなど諸々のスタッフもですが、皆さまのお力添えが何よりも必要でございます。足をお運びいただけること、心よりお待ち申し上げております」(友五郎)「これから上方文化を盛り上げていくことによって、日本全体の舞台芸術が大きくなることを望んでおります」(米團治)などとコメントした。会見後には道頓堀の船上で市川海老蔵が演舞『迦具土之舞(かぐつちのまい)』(『SOU~創~』より 作:長田育恵)を披露。会見で「迦具土は火の神なので、復活祈願に火をつける意味を込めています」と語ったように、海老蔵演じる須佐之男命(すさのおのみこと)が、火の神々の力を得て悪神退治をする様を、迫力ある群舞で魅せた。船上式典には海老蔵の長女・市川ぼたん、長男・堀越勸玄も参加。ギャラリーに向かってひと言挨拶し、観客を沸かせた。取材・文:黒石悦子
2020年11月04日『きみと、波にのれたら』の湯浅政明が監督、「ピンポン」「鉄コン筋クリート」の松本大洋がキャラクター原案、「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子が脚本を担当する長編アニメーション映画『犬王』の製作が決定した。後世日本の文学や演劇などに大きな影響を与えた軍記物の名作「平家物語」。その現代語訳を手掛けた古川日出男により「平家物語」に連なる物語として、南北朝~室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した能楽師・犬王の実話をもとに新たに生まれた「平家物語 犬王の巻」をミュージカル・アニメーションとして映画化。犬王は、同時代を生きた観阿弥、世阿弥の父子と同様に三代将軍・足利義満の愛顧を受けて、むしろこの二者よりも贔屓にされていたと伝えられる。600年以上の歴史を誇り、現存する世界最古の舞台芸術と言われる “能楽”を題材とする本作の映像化にあたり、日本を代表するトップクリエイターたちが集結。監督を務めるのは、国内外から注目を集め、最新作『きみと、波にのれたら』が6月21日に公開されるアニメーション監督・湯浅政明。本作では自身初の“能楽”のアニメーション化に挑戦する。また、湯浅監督と「ピンポン THE ANIMATION」以来5年ぶり、2度目のタッグを組み、キャラクター原案を手掛けるのは6月12日より新連載「東京ヒゴロ」(ビッグコミックオリジナル/小学館)がスタートしたばかりの漫画家・松本大洋。原作「平家物語 犬王の巻」の装画を務めた松本氏が初めて小説原作のキャラクター原案となる。そして脚本には、数々のヒット作を世に送り出している野木亜紀子。ドラマ・映画と活躍し、今年、向田邦子賞(「獣になれない私たち」)、市川森一賞(「アンナチュラル」)をW受賞した彼女が自身初めてとなるアニメーション映画脚本に挑む。歴史に消えたポップスター・犬王が現代に再び姿を現すとき、どんな物語が謳われるのか。続報にも期待していて。原作・古川日出男コメント私が書いたのは芸能についての小説だ。芸能とは歌であり演奏であり、感情、感動である。私は文字だけでその物語化を成し遂げようと試みた。今回、それらは一冊の本の内側から解き放たれる。すなわち音が、声が、色彩が。それから感情が、もちろん感動が。その監督やその脚本家やそのキャラクターの設計家や、音楽家や、その他その他によって、それらはついに放たれるのだ。監督・湯浅政明コメント歴史にはわずかにしか書き記されていない、「犬王」という猿楽師を大胆に解釈された古川さんの物語。野木さんの脚本。松本さんのイメージ。・・・これは面白くなるしかないですね。楽しみにしててください!キャラクター原案・松本大洋コメント湯浅監督はじめ作品に関わる人間が楽しんで作ることができたら、きっとすごいアニメーションになると期待しています。僕も邪魔にならないように、少しでも力になれたら嬉しい。脚本・野木亜紀子コメント古川さんが著した『平家物語 犬王の巻』を読んだときの高揚と切なさをどう脚本に落としこむのか、地の文からどう世界をすくい上げるのか、難しくもやり甲斐のある仕事でした。アニメ表現は無限であり実写の何倍も出来上がりの予想がつきません。松本さんのキャラクターと湯浅監督が織りなす『犬王』がひたすらに楽しみです。映画『犬王』は2021年、公開予定。(text:cinemacafe.net)
2019年06月12日暖かくなってきて、外へのお出かけの機会も増えてくる季節。今ではオンラインで簡単に商品注文ができる時代ですが、店舗での買い物はオンラインには代え難い楽しみのひとつ。スキンケア、ヘアケア、ボディケア製品を展開するイソップは、そんな楽しみを倍増してくれる実用的かつ美しい容器だけではない店舗ばかり。「新たな出店先を探す時に、私たちがいつも最初に考慮するのはそこにすでにあるものと連帯することです。その場所にある「布地」に私たち自身を編み込んでいき、調和を乱す存在にならずにプラスになるような何かを与え、一貫して地元に関連した素材をデザインに使用することが私たちの意図です」。そんな想いから、店舗のデザインがストアによって違う中からおすすめの5店舗と、今季の注目アイテムをご紹介。イソップ 渋谷店新しいものと古いものを共存させた空間2018年秋に旧店舗と同じ明治通りに移転オープンした渋谷店は、12平方メートルから69.6平方メートルと面積を拡大し、広々とした空間が落ち着くストアです。建築設計だけでなく、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作など幅広く活動をするトラフ建築設計事務所とのコラボレーションで誕生した新店舗は、渋谷という「古さと新しさが共存し、常に変化し続ける街」を表すようなデザイン。既存の構造やコンクリート素材を活かしながら、スチールと日本のクリ材を繊細な構造で組み込んでいます。スチール製のひさしが目を引くエントランスを入った店内はコンクリートの壁にクリ材が覆うように使用され、そのテーブルや棚などの骨組みにもスチールが組み込まれたモダンであたたかい空間です。隅にあるクリ材のベンチで、ホッと一息つきながら美しい陳列を眺めてみては? イソップ 中之島フェスティバルプラザ店大阪を代表する劇場のような重厚で豪奢なデザイン 大阪の堂島川の面するツインタワーのひとつにフェスティバルホールという文化施設があり、このホールは、まだ日本に大きなコンサートホールがない時代に国内外のアーティストたちを呼び、芸術や音楽の文化を育くんできました。「わたしたちはこのホール、そして芸術や音楽にあふれた街「中之島」へのオマージュとして、小さな美しい劇場のようなストアを作りたいと考えた」という想いから設計事務所 CASE-REALが手がけました。大阪の中之島近郊で採掘される少し青がかった竜山石(戦前の大阪に建てられた西洋風建築にも多く使われている)を使用した陳列棚に、ブルーの床、そして豪奢で優美なゴールドのシンク。「クラシック音楽のようにエレガントで優美な、時にアヴァンギャルドで彫刻的な」店舗は、古き良き中之島の歴史を伝えています。 イソップ 銀座店前店舗の靴屋への愛と敬意が溢れる 歴史と伝統ある銀座の街に構えるイソップの店舗は、高級で豪奢かと思いきや、あたたかさ溢れるレンガの作り。スキーマ建設計画の長坂常氏が手がけた店舗は、イソップになる以前の店舗であり昭和49年から続いた靴屋のMilano Shoesに敬意を払ったという。レンガが特徴だったMilano Shoesの既存のレンガのファサードを残しながら、内装のデザインもレンガ造りを継承した。中と外のギャップを埋めることで「通りから入りやすく、いつでもお客さまをお迎えする感じ」にしたという。銅製のシンクに、レンガとツガ材の什器、そして訪れたときに見ていただきたいのが、トイレ。靴置きに使用されたトレーをソープ置きに再利用している、前店舗への細やかな敬意が垣間見えます。 イソップ 東京店昭和とモダンが融合した空間 2016年に、東京を象徴する旗艦店として「東京店」と名付けられ中目黒に誕生した店舗は、SIMPLICITYの緒方慎一郎氏とのコラボレーション。中目黒の歴史に着想を得たのだそう。昭和初期に商工業都市として栄え、活気のある住宅街として変化してきた中目黒。目黒川沿いの住宅街に溶け込むように、邸宅のような雰囲気を醸し出すチーク材と紙布を用いた商品ディスプレイ用の棚や、昭和の台所を再現したというタイルと銅素材を組み合わせたシンク、そして1950年代のリビングにヒントを得た奥のテラスにはヴィンテージの家具や古本がずらりと並んでいます。日本で唯一イソップのフェイシャルトリートメントを受けることができ、ひとりひとりに合わせたトリートメントを堪能できます。 イソップ 京都店日本の美しき伝統を讃える 京都発の直営店として2013年にオープンした京都店。東京店と同じく、SIMPLICITYの緒方慎一郎氏が店舗ディレクションを手がけました。谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」や14世紀の俳優・劇作家の世阿弥元清、京都の町屋、日本語の縦書き配置など日本の歴史と伝統、文化に着想を得たデザインは、白黒の配色、ウィンドウから覗く古びた井戸、光と影のコントラストなどに落とし込まれています。黒いメッシュのベールで仕切られた店内は、イソップのプロダクトをベール越しに見えるように計算してあるのだとか。日本の伝統的な美学が詰め込まれた店舗です。 店舗で発見するのが楽しみなプロダクトイソップの様々なデザインの店舗で、自分好みのアイテムを見つけるのは宝探しのような楽しみがあります。店舗での楽しみは残しながら、今おすすめしたいアイテムを4つご紹介します。 優しく包み込むような感触のクレンジングミルクジェントル クレンジング ミルク 100 mL 3.4 fl oz ¥3,400 / 200 mL 6.8 fl oz ¥5,300(税別)今春発売したイソップ初となるミルクベースフェイシャルクレンザーは、肌に負担の少ない新しい感触のクレンジング。肌を優しく包むような肌触りは、ほとんどの肌タイプの方におすすめです。特に、敏感肌や乾燥肌の方には相性の良いクレンザーです。洗浄の過程でも肌に負担のないように、そしてサンダルウッドやラベンダーなどバランスの良い配合でうるおいを与えながら優しく肌汚れを落としてくれます。 Tゾーンのベタつきに。肌をすっきりと整えるケアトゥーマインズ フェイシャル トナー 100ml ¥3,600 / 200ml ¥6,000 (税別)肌の肌理をバランスよく爽やかに整えてくれるトナー。モイスチャーバランスが崩れたオイリーなTゾーンが特徴のコンビネーション肌を考えてイソップが作ったプロダクトのひとつです。ナイアシンアミドやウィッチヘーゼル、ローズマリー、ラベンダーといった肌を整える成分が配合され、老廃物などにも働きかけてくれます。Tゾーンのベタつきや乾燥が気になる方やさっぱりとしたつけ心地が好みの方におすすめです。 ビタミンを贅沢に配合した美容液フェイシャル エッセンス 60 60ml ¥11,000(税別)肌を整えうるおいの膜で乾燥から肌を守る美容液。低粘度の美容液は、植物由来の成分やビタミンが配合され、クリームなどが苦手な方にもうるおい補給を叶えつつ心地よいつけ心地を実現しました。うるおいを持続させるカラギーナン Na、肌を整えるナイアシンアミドに加え、サンダルウッドやローズの花弁、フランキンセンスから抽出されたオイルも配合され、艶やかでうるおいのある肌に。 集中トリートメントはこれで決まりフェイシャル ハイドレーティング マスク 59 ¥5,700(税別)乾燥、大気汚染、そしてこれからの季節に気になる多湿が気になる方におすすめしたい保湿トリートメント。肌を浄化しながら保湿バランスを整えるブルーカモミールやうるおいを保つビサボロールとジンジャーの根、ローズマリーの葉とラベンダーのエッセンシャルオイルなどが配合され、なめらかで健やかな肌へ導きます。週に1〜2回の使用がおすすめで、週の終わりに自分へのご褒美としていかがでしょう。 デザインを通して感じるイソップの世界観ひとつひとつ店舗が違うのは、そのひとつひとつの店舗がある地域が違うから。私たちの肌も同じく1人ひとり違います。イソップの研究を重ねたこだわりの成分を使用した商品を、1人ひとりのニーズに合わせてストアのコンサルタントがアドバイスしてくれます。自分にあったスキンケアと自分好みの店舗を見つけてみてはいかがでしょうか? Aēsopwww.aesop.comtext : 和田典子
2019年05月29日数々のWEBメディアで恋愛コラムを執筆し、恋に悩める女性たちを救済してきた恋愛マイスター・ひとみしょう。独自の恋愛論で男心を解説します!■恋愛マイスター・ひとみしょうの男子学入門18ここだけの話、恋愛相談を受けていたら、読んでいて楽しい相談メールと、全然楽しくないメールとがあるんですね。相談の内容がテレビドラマをはるかに超えて壮大な不倫ものだから楽しいとか、そういうことではなくて、自分の言葉で書いてある相談メールは読んでいて楽しいです。反対に、通り一遍の言葉で書いてあるメールは、その内容がどんなにぶっ飛んでいても、ちっとも楽しくないのです。■ソフレから本命になる?たとえば、彼の家で、彼と一緒に寝ても彼が手を出してこず、わたしはどうすればいいのでしょうか?という相談の場合、「ソフレから本命になるにはどうすればいいですか?」と書かれても、相談者の人となりが立ち上がってこないんですよね。反対に、「彼には本命の彼女がいるけど、彼はわたしを自分の家にあげて、一緒に同じベッドで寝ます。彼は『俺たちがこれからどうするかは君次第だから』とズルいことを言います。わたしは彼と添い寝している時が、一番淋しいです」と書かれてあったら、相談者の人となりが立ち上がってくるんですよね。つまり、添い寝している状況を、自分の言葉でちゃんと書けない人と書ける人とがいて、ちゃんと書けている人の文章は、読んでいて楽しいのです。■一緒にいてもつまらない女恋愛もそれとまったく同じで、自分の言葉で自分を語れない人の恋愛は、味気ないものです。仮にも好きな相手に、自分の言葉で自分の正直な気持ちを語れないって、どういうことなのだろう?と思うのだけど、でも「彼の前だと緊張して自分を出せない」とか、そういう女性って、わりといるらしいです。たとえば、彼に「夕飯、何を食べたい?」と聞かれて「何でもいい」と答える女性。あれほどお母さんに「何でもいいはナシ」と言われたはずなのに、何でもいいと言う女性!もしかしたら彼女は、彼の前で軽く緊張しているのかもしれない。あるいは彼に「いい女」に見られたいので、奥ゆかしさを演出しようと思っているのかもしれない。奥ゆかしさとは、それを提唱したとされる世阿弥さんが、精神的なものであると言っているので、日ごろから精神的に豊かな暮らしをせずして、彼の前だけで奥ゆかしさをちょっと演出しても無理です。そんなことをしたら「自分の言葉で自分の気持ちを伝えることが下手な、一緒にいてもつまらない女」だと彼に思われておしまいです。■自分の言葉で語る女は飽きられない「何でもいい」「どっちでもいい」に代表される「自分の言葉で自分の気持ちを語れない」というのは、自分の気持ちに正直になっていないということを意味します。自分が食べたいものを、彼に素直に伝える――たったこれだけのことだけど、そこには、自分の気持ちに正直に生きている人かどうか、というインフォメーションがもれなく含まれていて、男はそこを見逃さないんですよね。だから、自分の言葉で自分を語れない女性は、男に飽きられるのです。よく「トークが楽しい女性は、たとえルックスがいまいちでもモテる」と言われます。ルックスがいまいち、というのは、よくない言い方だけど、ほかに端的な言葉が思いつかないので、すみません。トークが楽しいとお客さんは指名してくれるから、ルックスがいまいちでも売れっ子キャバ嬢になれます――これは夜の世界の定説です。トークが楽しいとは、自分のことを自分の言葉で語れる、ということです。トークマニュアルのとおりに会話をしていてもいいのだけど、マニュアルを自分の側に引き寄せて、自分なりの解釈で喋る――こういうことができる女性は、男に飽きられることはありません。■飽きられる女性・飽きられない女性多くの人が親しみを持てる例が浮かんでこないので、クラシック音楽を例に挙げます。ごめんなさい。クラシック音楽は、どの指揮者も楽譜どおりに指揮します。それが大原則です。でも、「学校の音楽の授業みたいなつまらない演奏」と、「地球がひっくり返りそうなくらいぶっ飛んだ演奏」とに分かれます。なぜか?楽譜を自分の側に引き寄せて、自分なりの解釈で指揮をしているから(演奏しているから)、つまり自分の気持ちに正直に演奏しているから、ぶっ飛んだ演奏になるのです。そしてお客さんは、その指揮者の、楽譜に対する解釈の仕方や感じ方から、その人らしさを見に来ているのです。そこにお金を払っているのです。楽譜どおりに演奏しました、以上終わりです、では、暴動が起きるのです。恋愛も同じです。男は、あなたに「あなたらしさ」を見たいと思っているし、それを見たいがために、デート代を払ったり、デートの時間をつくったりしているのです。それを見せないから、男は暴動を起こすのです、ではなく、飽きるのです。自分の気持ちに正直に暮らしていると、男に飽きられることは、まずありません。※毎週木曜日更新
2019年01月24日歌舞伎俳優の尾上右近が、現代劇に初挑戦。ピューリッツァー賞戯曲部門賞受賞の翻訳舞台『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~』が8月4日(土)、大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。「作品が面白かったという声が聞けてうれしかった」と充実の東京公演を終え、大阪で大千秋楽を迎える。「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~」チケット情報人生の目的を見失い、薬物中毒にあえぐ人々――。他者とつながりたい願望と切実に避けたい感情が、現実世界とネットの仮想空間を用いて表現される。薬物中毒で育児放棄した母親オデッサ(篠井英介)に代わり、伯母ジニーに育てられた主人公エリオット(右近)。今はバイトで生計を立てるが、過去に出兵したイラク戦争で負った傷を癒すため、モルヒネ中毒も経験していた。一方のオデッサは、ドラッグ中毒者の救済を目的としたサイトを運営中だ。ある日、闘病中のジニーが他界したことで、ふたつ(ふたり)の世界の均衡が崩れはじめる。現代アメリカが抱える問題に材を取った物語だが、「無理に理解しようと努めなくても大丈夫」と言う。「時代や環境が変わっても、問題に付随する人間の心の動きは変わらない。みんな弱虫でみんないいやつ。一歩を踏み出そうともがいているエリオットも完璧な人間ではないから、悲しいけど笑っていたり、黙っているけど心にはいろんな葛藤が渦巻いていたり、多面的な部分にも共感できる。焦らず見つめていただければ自然と1幕で抱いた疑問が2幕で紐解け、最後には心温まる作りになっている。そこが不思議で素敵な作品だなって」。初の現代劇。一番の収穫は演出のG2から、「役者には作品のメッセージを伝える役割がある」と学んだこと。「なぜこの場所に立つのか、なぜこのタイミングでセリフを発するのか、すべてのことに意味がある。歌舞伎では何の疑いもなく型通りに演じていましたが、型を役の心の動きと捉えると、以前とは感じ方が全然違う。役者としての心構えはどうだったのか、自分を省みて根っこを育む時間もいただけた」。迎えた本番では、世阿弥が言う『離見の見』を痛感したとも。「熱中していても客観性がないと役の本質を見せることなく、パフォーマンスで終わってしまう。小さくまとまらずに作品のコマとしての役割も果たす。冷静と情熱、そのバランスが難しい。本番になるとつい自分をアピールしたくなるので」と快活に笑う。春には、大阪松竹座にて上演されたスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』で、堂々市川猿之助とのダブル主演を勤めた尾上右近。役者兼清元というふたつの顔を持つ、気力、体力、愛嬌たっぷりの26歳がまたひと回り太くなった幹から、大千秋楽で思いの丈を花開かせる。「泣いても笑っても最後。失うものは何もない」と意気込む彼の冷静と情熱の間、見届けて。公演は、8月4日(土)13時から大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2018年08月03日桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝による落語会『くしかつの会』が3月5日(月)、大阪・ABCホールで開催される。2度目の開催となる今回の公演に向けて、3人が意気込みを語った。「吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会」チケット情報桂吉朝に入門し、桂米朝のもとで内弟子期間を過ごした吉弥、三代目桂春團治に入門した春蝶、五代目桂文枝に入門したかい枝。3人は1994年に入門した同期であり、良きライバルで「今後の上方落語を引っ張っていく存在になれるように」と、本公演が昨年初開催された。昨年は、吉弥が『百年目』、春蝶が『芝浜』、かい枝が『三十石夢の通い路』と、東西を代表する大ネタを披露した。今回も「大ネタを堪能してもらおう」と、吉弥が『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』、春蝶が『たちぎれ』、かい枝が『子はかすがい』を口演する。『地獄八景亡者戯』は、時事ネタを織り交ぜて展開する“あの世”の話。「大ネタではありますが、他愛もない、今どきのお話。3人とも“四天王”といわれる人のもとで弟子を経験し、そのエッセンスを伝えるのは僕ら世代じゃないかなと。僕らが素敵やなと思うところを、初めて聴く方にもいかに分かってもらえるか、そういうことを考えながらやっていかなあかんなと思っています」と意気込む吉弥。若旦那と芸妓の悲恋を描いた『たちぎれ』について春蝶は「いつでも繋がれる今の時代、会えない哀しさを表現できるのは、実は古典なんじゃないかなと思う。『君の名は。』で心動かされた方は、ぜひ『たちぎれ』を聴きにきていただきたいですね(笑)」。また親子の情愛を描いた『子はかすがい』を披露するかい枝は「今回は人情噺。親子にまつわる事件が多い中、いつの時代でも通じるものがあると思います」とコメント。前回公演では「初めて落語を聴きに来られた方も多かったけど、喜んでいただけた」と、3人は手応えを感じた様子。刺激し合える3人だからこそ、成功に繋がった。「いつも意識するのはお客さんだけ。でもこの同期の会はふたりに負けたくない気持ちも生まれるので、疲れました(笑)」とかい枝。また春蝶は「世阿弥の『初心忘るべからず』という言葉は、“初心(=未熟な頃)に戻ってはいけないけど、たまには戻ることも大切”という意味。このメンバーとやるとものすごく緊張するし、地に足がついていない状態になる。そういう状況を年に一度でも提供してくれるこのふたりと、僕は老後まで続けていきたいなと思うんです」としみじみ語った。チケットは発売中。
2018年02月22日歌舞伎俳優の坂東玉三郎と太鼓芸能集団・鼓童の共演作『坂東玉三郎×鼓童 特別公演幽玄』が5月に上演される。その制作発表会見が行われ、坂東玉三郎、鼓童の石塚充、中込健太、北前船代表取締役社長の青木孝夫が登壇した。『坂東玉三郎×鼓童 特別公演 幽玄』チケット情報2000年に初めて鼓童の演出を手掛け、12年からは鼓童の芸術監督も務める玉三郎。その玉三郎と鼓童の共演作は『アマテラス』(06年・13年)に次ぐ2作目。本作では世阿弥が見た世界を「羽衣」「道成寺」「石橋」などの能の代表演目を題材に表現し、不世出と評される玉三郎の優雅な舞と世界の絶賛を浴びる鼓童の太鼓に、花柳壽輔をはじめとする花柳流舞踏家の舞踏が華を添える。玉三郎が「“鼓童とも歌舞伎とも違った世界に”という意味で、『幽玄』を題材にさせていただきました」と話す本作は、鼓童創立35周年記念ツアーの締めくくりの公演でもある。「『みんなどんなものが創りたいの?』という話になったときに『“日本のもの”をやりたい』と。それからいろいろ考えて、一昨年から“日本のもの”に向かって創りはじめました。もちろん和太鼓は日本のものなのですが、日本の様式のものをやるというのは大変難しい。和太鼓の世界であればそれなりのものができますが、“日本の様式を持った美しさ”のある舞台を創るのは大変なことだと思っています」と、一つの挑戦であることを明かす。今回は鼓童のメンバーが謡(うたい)をうたうなど、今までにない演出も。玉三郎は「能楽の楽器を使うわけではなく、ひとつの様式というものを学んで、鼓童の楽器あるいは演奏法に翻訳していくわけですから、そこが大変ですね」。石塚も「演奏や音楽の形式として日本のものを扱うのは初めてです。普段、鼓童は人間が生活の中で自然に歌うように出てきた音楽を土台にすることが多かったのですが、今回はなにか人間じゃないところにいく、ということをすごく要求されている。お能のお囃子の間の取り方、声の出し方、先生方の呼吸の仕方も、人間であるというところを超えているような印象がありまして、そこを目指しているのがすごく大変なことです」、中込は「例えば音と音の間が尋常じゃないくらい長く感じたりとか、自分たちにないテンポ感とか音楽の形を耳で聴いて解読するところから始まりました。能は物語があるということで、音の出し方も違うと感じています。能の謡を合わせたとき、自分たちの太鼓の音が全然違う風に聞こえてきたところは驚きでした」と話すなど、玉三郎と鼓童の新たな姿を楽しめる公演になりそうだ。公演は5月16日(火)から20日(土)まで、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて上演後、新潟、愛知、福岡、京都を巡演。取材・文:中川實穗
2017年02月03日古典はもちろん、バレエを原作とする『ジゼル』や、人気漫画『ガラスの仮面』内の劇を能にした『紅天女』などの新作能にも積極的に取り組む、能楽観世流シテ方で人間国宝の梅若玄祥が、自身の企画する「至高の華」で能『弱法師』を上演する。讒言を鵜呑みにした父に家を追放され、天王寺で盲目の乞食になった俊徳丸が、訪ねて来た父と再会を果たす物語だ。世阿弥の長男・観世元雅によって書かれたあと上演が途絶えるも、江戸中期に復曲されて今に至るが、今回は現行版ではなく、世阿弥自筆本に基づく版で上演される。その理由を、玄祥はこう語った。「至高の華」チケット情報「30代のころ、演出家の堂本正樹さんや能楽師の大槻文蔵さんと、 “能劇の座”という会で色々な曲の発掘や演出の見直しなどをしていて、この世阿弥自筆本での上演もやりました。現行版の『弱法師』は、削って削って、ただ舞台に弱法師が座っているだけという“能的”なものになっていますが、世阿弥自筆本は、天王寺の僧たちや弱法師の妻も登場するなど“演劇的”で“現代的”。ではどちらの版がいいかというと、両方です。昔はこうだった、で終わらせず、現行版とは違う、もうひとつの『弱法師』を完成させなければならないのです」玄祥がこの版でシテの俊徳丸を勤めるのは、“能劇の座”の後、今回が恐らく4回めだという。「現行版と違ってこの版では、弱法師が妻と連れ立って登場し、天王寺のガイドをして生活しているという経済状況が見えます。その分、最初に演じた時は内面性の点で浅くなりがちだったかもしれません。だからこそ繰り返し上演することに意味があります。非常に役者の技量が問われるので、存在感が必要な俊徳丸の父・高安左衛門の役を、今回、(狂言方和泉流で人間国宝の)野村万作先生にお願いし、快くお受けいただきました」通常とは勝手が異なる部分が多く困難を伴うにもかかわらず、敢えて上演するのは、玄祥の使命感の表れだ。「僕は(2014年に)人間国宝の認定をいただいた時、伝承を作っていかなくてはいけないのだなと思ったのです。人間国宝は個人的な栄誉ではなく、伝承する仕事を承ることを意味しますから。能はずっと伝承されてきましたが、それだけに頼らず、それらを踏まえた上での自分にとっての伝承を、今後、何十年何百年と残るようにしていくことが僕の課題。できるかどうかは別として、思いは残さなくてはなりません。今回の公演は、その手始めとなりそうです」15世紀に書かれた能だが、今なお、この物語は人の心をつかむ。「俊徳丸は思いがけない不幸に見舞われますが、実際、人生では何が起きるかわかりませんよね。だからこそ、三島由紀夫も戯曲化したのでしょう。最後は親子が再会するハッピーエンドですが、そこには元雅の、父・世阿弥に対する思いが表れているのかもしれません。演劇的な分、初めて能をご覧になる方にもわかり易く、飽きずに観ていただけると思います」公演は9月22日(木・祝)東京・国立能楽堂にて。取材・文:高橋彩子
2016年09月08日狂言師・野村萬斎や歌舞伎役者・市川猿之助らが出演する、生け花に焦点を当てた初の映画『花戦さ』が2017年に公開されることが6日、発表された。萬斎と猿之助が共演するのは今回が初となる。原作は、文禄3年(1594年)に池坊専好が豊臣秀吉に前田利家邸で披露したといわれる「大砂物」(全幅7.2メートル、高さ3.5メートルに及ぶ立花)から生まれた伝説に着想を得て、新たな物語とした鬼塚忠氏の小説『花いくさ』。初代・池坊専好という花の名手と千利休の友情や、京都の町衆である六角堂にいる花僧が、権力者・豊臣秀吉の乱心に、刃でなく花をもって相手をあだ討ちするストーリーに感銘を受けた製作側が、映画化を企画し実現に至った。そんな専好を演じるのが、萬斎。劇中での専好が持つ天真らんまん、奇想天外というイメージからオファーを受けた。萬斎は演じるに当たり、クランクイン前に華道の指導も受け、細かい所作にもこだわる徹底ぶりを見せているという。専好と対立する天下人・秀吉役を務めるのが、猿之助。「温厚だった秀吉が後年、嫡男・鶴松を失って狂気に陥っていく様を演じられるのは猿之助しかいない」との理由から抜てきされた。萬斎は、専好を「戦乱の時代の中で、花で世に語りかけ、花と共に生きた人」と説明。その上で、「命あるものにさらなる命を吹き込む、純粋(ピュア)な存在として演じたい」と意気込みを話す。2度にわたったという生け花の所作の稽古から、多くを学んだようで、「特有の所作に、私なりの動きを生かせれば」と自身ならではの演技ももくろんでいる。また、専好は「伝統を受け継ぐだけではなく、常に時代の空気を感じながら、"その時々の花の美しさ"を追求する」とし、「その姿勢は世阿弥も言っていることであり、われわれの狂言の世界と相通ずるものがある」と共感も覚えている様子だ。さらに、専好と深い友情と信頼を築き共に美を追い求めた茶人・千利休役として佐藤浩市、織田信長役として中井貴一、前田利家役として佐々木蔵之介といった俳優らが出演。『山桜』(08年)や『小川の辺』(11年)などを手がけてきた篠原哲雄監督がメガホンを取り、脚本を『包帯クラブ』(07年)などの森下佳子氏が執筆。音楽は、スタジオジブリ作品などで知られる久石譲が担当する。なお本作は、時代劇の中心地として名高い京都・太秦の映画人たちの手によって製作。撮影も大覚寺、妙心寺、鹿王院、仁和寺、南禅寺、梅宮大社、随心院など京都を代表する場所でも敢行されており、4月10日クランクイン、5月下旬のクランクアップを予定している。
2016年04月06日「JIN-仁-」「ごちそうさん」「天皇の料理番」など数々の名作ドラマを生んだヒットメーカー・森下佳子と<a href="">『起終点駅 ターミナル』</a>や「山桜」「小川の辺」など、時代劇でもその手腕をみせた篠原哲雄監督がタッグを組む映画『花戦さ』の製作が決定。この度、本作のキャストが発表され、主演に野村萬斎、共演に市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市と狂言・歌舞伎・日本映画界のトップが集結していることが分かった。十六世紀。戦乱に荒れ果てた京の都に、花を生けることで世の平穏を祈り、人々に生きる希望を与えんとする、「池坊」と呼ばれる僧侶たちがいた。やがて織田信長による天下統一を前に、戦国の世も終わりを告げようとする頃、「池坊」の中でもその生ける花がひときわ異彩を放つ池坊専好は、信長の所望で「大砂物」なる大がかりな生け花を披露するため、岐阜城へと向かう。そこで専好は、千宋易という不思議な男に出会うが、巨大な松を中央に据えた大砂物は思わぬ失態を招き、信長の怒りを買う。しかしそのとき、軽妙に事態を取り繕い、専好を救ったのは、信長に仕える若き武将、木下藤吉郎だった。それから十二年。信長は本能寺の変によってすでにこの世を去り、天下はかつての木下藤吉郎、豊臣秀吉の手に委ねられていた。そんなある日、豊臣秀吉の茶頭として、利休を名乗る宋易と再会する。専好は利休によって、自らが求める「花」の心をようやくつかみ始めるのだった。しかし天下を握ってから人が変わったように驕り高ぶる秀吉に対し、諌めるように自らの茶を貫き通そうとした利休が、その頑なさゆえに、秀吉に命じられ、自害に至った。さらに秀吉の乱心は嵩じ、罪もない街の者たちまでが、次々と命を奪われていく…。時の最高権力者太閤秀吉に戦いを挑む専好。かけがえのない友、利休の仇討のため、彼が手に取ったのは、刃(やいば)ではなく「花」だった。それこそが、専好にしか成しえない「戦さ」であった…。文禄3年(1594年)、池坊専好が豊臣秀吉に前田利家邸で披露したといわれる「大砂物」(全幅7.2m、高さ3.5mに及ぶ立花)から生まれた伝説に着想を得て、新たな物語を作り上げた鬼塚忠の小説「花いくさ」(2011年発表KADOKAWA刊)を映画化した本作。音楽をスタジオジブリ作品、北野武作品などを中心に手がけてきた映画音楽界の巨匠・久石譲が担当する。花を生けることで、戦乱に生きる人々の心を救う花僧・池坊専好を演じるのは狂言界のトップスター・萬斎さん。専好と対立することになる天下人・豊臣秀吉には、歌舞伎界の若き大看板・猿之助さん。ジャンルは違えども同じ日本を代表する伝統芸能の継承者である2人が共演するのは、今回が初めてのこと。萬斎さんは今回の役柄について「池坊専好は、戦乱の時代の中で、花で世に語りかけ、花とともに生きた人。命あるものに更なる命を吹き込む、純粋(ピュア)な存在として演じたいと思っております」と意気込みを語り、“生け花”についても「二度にわたる生け花の所作の稽古では、花鋏の使い方など華道の基本はもとより、ためる(枝などを曲げた状態にする)、葉の形を変える等の細かい技術や、力技を必要とする男性的な大作に至るまで、幅広く教わりました。生け花特有の所作に、私なりの動きを活かせればと思います」と自信を覗かせた。「専好は華道において“中興の祖”とも言われていますが、伝統を受け継ぐだけではなく、常に時代の空気を感じながら、“その時々の花の美しさ”を追求する。その姿勢は世阿弥も言っていることであり、我々の狂言の世界と相通ずるものがあると思っております」と自身との共通点も明かした。そのほか萬斎さん演じる専好と深い友情と信頼を築き、美を追い求めた茶人・千利休には佐藤浩市。織田信長役には中井貴一、前田利家役には佐々木蔵之介が抜擢され、現在の日本映画界を代表する俳優陣が物語を盛り上げる。『花戦さ』は2017年、全国にて公開(text:cinemacafe.net)
2016年04月06日東京都・銀座の資生堂ギャラリーは、赤瀬川原平、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子の5名によるグループ展「椿会展 2015- 初心 -」を開催する。会期は5月24日まで(月曜休館)。開場時間は、平日は11:00~19:00、日・祝は11:00~18:00。入場無料。同展は、時代とともにメンバーを入れ替えながら、70年近くにわたり継続してきた「椿会」によるグループ展。2013年からは、赤瀬川原平、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子の5名で結成されており、同展は同メンバーによる3回目の展覧会となる。「初心」というサブタイトルは、「3.11」から復興していく過程において、初心を問い直す時期にあるのではないかと考えた同メンバーが決めたもので、「何かをやろうと思い立った当初の純真な気持」をこめている。また「初心忘るべからず」という言葉は、芸の智恵を説いた世阿弥の書に、人生の様々な段階において未経験のことに挑戦していく心構えであることと記されているということだ。なお、展覧会のロゴは、常に「初心」に立ち返る象徴として、グラフィック・デザイナーの仲條正義が毎年新たにデザインしている。また、赤瀬川氏は昨年10月に病気により急逝したが、今後の椿会展でも赤瀬川氏の作品が展示される予定となっており、今回は赤瀬川氏が1987年から1988年まで雑誌に掲載した絵日記を展示するということだ。また、畠山氏は、ドイツ各地に存在する、氷河によって運ばれた巨大石を撮影したシリーズを展示。内藤氏は、2013年から続けて出展している「color beginning」と「ひと」の最新作、伊藤氏は、昨年銀座周辺で行った生きもの調査をもとに制作した刺繍作品など、青木氏は、意識的に作品を作る傍らで、無意識的にできた小さなドローイングを数点展示する予定となっている。そのほか、関連企画として同会場にて、現在ドイツ・フランクフルトのザ・フォーサイス・カンパニーで活躍するダンサーで、新たに椿会メンバーに加わる、島地保武によるダンスパフォーマンスが開催される。開催日時は4月25日19:15~20:00。参加費は無料。そのほか、ワードホール(資生堂ビル9階)にて「伊藤存 ギャラリートーク」が開催される。開催日時は5月17日14:00~16:00。なお、いずれも参加に際しては資生堂ギャラリーのWebサイトより申し込みが必要となる。なお、申し込み多数の場合は抽選となるということだ。
2015年04月08日銀座の資生堂ギャラリーでグループ展「椿会展 2015 -初心-」が開催される。期間は4月4日から5月24日まで。今回作品を出展する第七次椿会は13年に画家の赤瀬川原平、写真家の畠山直哉、彫刻家の内藤礼、および現代美術作家の伊藤存と青木陵子の5名によって結成された。震災復興からの過程において、初心を見直す必要性を感じたことから、各展示会ではそれをサブタイトルに指定している。これにより世阿弥の書に言うところの、“人生の様々な段階において未経験のことに挑戦していく心構え”を表現した。なお、会場では14年10月に急逝した赤瀬川原平の作品のうち、87年から88年までに雑誌で掲載された絵日記を出展。そこには、日々の出来事が赤瀬川ならではの視点で記されており、文筆家と挿画家、それぞれの顔を持つ彼の姿を見ることが出来る。一方、畠山は氷河に運ばれた巨大石を収めた写真を、内藤は「color beginning」と「ひと」の最新作を、青木は無意識的にできた小さなドローイングをそれぞれ出展。伊藤は昨年から銀座周辺で行っている生き物の調査を元に、今回新たな刺繍作品を発表する。また、椿会では赤瀬川に代わる新メンバーとして、ダンサー兼振付家のウィリアム・フォーサイス(William Forsythe)率いる「フォーサイス・カンパニー」で活躍中の島地保武が参加している。今回は出展作品にインスパイアされた即興ダンスを、4月25日の19時15分から披露する予定だ。更に、5月17日には伊藤が来廊し、ギャラリートークが行われる。【イベント情報】椿会展 2015 -初心-会場:資生堂ギャラリー住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階会期:4月4日から5月24日時間:11:00から19:00(日曜日・祝日は18:00まで)休館日:月曜日料金:無料
2015年04月03日市川海老蔵が紡ぐ和の世界「JAPAN THEATER」が10月11日、日本橋三井ホールにて開幕した。近年、自主公演「ABKAI」や企画公演「古典への誘い」など、様々な形で歌舞伎の普及に努める海老蔵が、歌舞伎だけでなく、能、落語など、より幅広く日本の伝統芸能の世界を紹介する新たな試みだ。その12日昼の公演を観た。冒頭、成田屋一門の市川新十郎が現れ、企画主旨と演目の解説をしたあと、角幸二郎(シテ)、谷本健吾(地謡)による仕舞『屋島』が上演された。仕舞とは、能の曲の一部を、能面や能装束を着けず袴姿で演じるもの。平家物語に描かれた屋島の合戦の様子を、源義経の霊が語るという、世阿弥の“修羅能”の名作だ。能ならではの、時空を超えて響くような声と緊張感あふれる動きが、私達を800年前に誘う。続いて、紋付袴姿の海老蔵が登場。『勧進帳』『実盛物語』『熊谷陣屋』『義経千本桜』など、『平家物語』をもとにする歌舞伎の演目が多いことを述べた上で、『嗣信最期』と『那須与一』の現代語訳を朗読。『那須与一』は、狂言をもとに作られた、新歌舞伎十八番『素襖落』においても、太郎冠者が語る。容姿が注目されがちな海老蔵だが、見台上の本を前に座って行った朗読では、真に迫る声の力でもって、源平の男達が身命を賭して戦に臨むその真情や美学をドラマティックに浮かび上がらせた。ここまでは、武士の物語が続いたが、次の古今亭文菊は落語『江戸噺』と称して、江戸の庶民の様子を生き生きと現出させる。演目は毎回違ったようだが、この回は『時そば』。文菊のとぼけた表情やそばのすすり方に笑いが起きた。さらに、市川男寅と市川福太郎が舞踊『藤娘』を披露。町娘に扮した藤の精を、若いふたりがフレッシュに踊った。そして、最後は河竹黙阿弥の『曽我綉侠御所染』をもとにした新作舞踊『男伊達花廓』。桜咲く仲ノ町の美しい情景の前で、海老蔵扮する主人公・御所五郎蔵が、恋人であり今は傾城となっている皐月からの手紙を受け取り、刀や傘を振り回して邪魔だてする者達に、尺八で応戦しながら、廓へ会いに行くまでを踊りで表現する。コンパクトなホールの中での、床机や傘を用いた立ち廻りは、迫力満点。広げた傘4本を組み合わせて成田屋の定紋である“三升”も形作られ、場を盛り上げた。この「JAPAN THEATER」で改めて感じるのは、日本文化の多様さ。ひと口に伝統芸能と言っても、影響関係はある一方、様式や雰囲気がまるで違う。観客は多彩な“和”に目を向け、その豊かな魅力を味わうことができる。公演は10月26日(日)まで。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2014年10月15日今年も佐渡で和太鼓を中心とした芸術祭、アース・セレブレーション2012が8月17日~19日の3日間、それぞれ10:00から開催される。みどころは、城山公園で行われるメインイベント、和太鼓を中心とした音楽フループ「鼓童」のステージ。期間を通じてコンサートが行われるが、日により内容が違い変化に富んでいる。17日は「まつりはじめ」と題されたステージ。18日は坂東玉三郎演出の「打男DADAN」アース・セレブレーションスペシャル。今年2月にパリ・シャトレ劇場で4日間連続”SOLDOUT”となったステージをアース・セレブレーションのために再構成した。19日は津軽三味線の上妻宏光をゲストに迎える。太鼓と三味線の融合、「祝祭」がフィナーレを飾る。観客席は芝生の上で、まるで花火見物をするかのように気軽に見ることができる。また、ステージ両脇にはダンスエリアもある。太鼓は演奏者のノリがプリミティブに反映される楽器でもある。ノリを感じて自ら歌い、踊り、飛び跳ねるのも可能だ。佐渡は古くから流刑の地で知られている。鎌倉時代では、日蓮や、鎌倉幕府打倒を目指し承久(じょうきゅう)の乱で敗れた順徳上皇、正中の変で捕縛された日野資朝の流刑地だった。また、室町時代には能を大成させた世阿弥もこの地に配流させられた歴史がある。しかし、配流により京の上流階級の人々との間に交流が生まれ、佐渡での能を始めとする芸術文化発展の一因となった。15日と16日には、アース・セレブレーション2012のプレイベントとして、佐渡市内の能舞台で薪能の公演も行われる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月13日【名言】――それは時に新しいことにチャレンジする勇気をくれ、時には不甲斐ない自分を叱ってくれる心の栄養剤。誰しも一つぐらい好きな名言はありますよね。でもちょっと待ってください! その名言はひょっとしたら発言者の意図を間違えて我々が使用しているものもあるかもしれません! 世の中には誤解されている名言がたくさんあるんです。本日はその一部をご紹介させて頂きます。■天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず(福沢諭吉)ご存知、1万円札と慶應義塾で有名な福沢諭吉の名言です。「人はみな平等である」ということを説いた素晴らしい言葉ですね。勝ち組だ、負け組だ、と騒がしい現代にぴったりの名言ではないでしょうか?……そう思ってた時期が僕にもありました。でも実はこれ、後にこんな言葉が続いていたんです。(※斜線部原文より引用)されども今、広くこの人間世界を見渡すに、賢き人あり、愚かなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様、雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。「学問のすゝめ」1872年/福沢諭吉えーと、つまりこれは勉強しまくって勝ち組に入れっていうことですか? ぎゃー、夢も希望もない! まあ、著書名が「学問のすゝめ」だから当たり前のことではあるんですけど。これを言われちゃ「貧乏でも金持ちでも人間に差はないぜ!」みたいなことは二度と言えませんね。■初心忘るべからず(世阿弥)能を大成した世阿弥の名言です。現在は一般的に「何かを始めた時の最初の志を忘れないで」という意味で使われていましたね。僕もそう思っていました。ところが、このとき世阿弥が本当に伝えたかったのは少し違って「最初のときの芸の未熟さや失敗したときに味わった屈辱を忘れるな」ということだそうです。同じ意味のようですが、詳しい人によるとちょっと違うようです。どういうことでしょうか?例えば、入社式の日に先輩が壇上で「初心忘るべからず」というのは世阿弥さんとしてはちょっと違うようです。本来は働き出してしばらくして、様々な失敗を経験した人に対して「初心を忘れるべからず」と使う言葉だったそうです。過去の未熟な自分を思い出したり、それを補うためになにくそと頑張ったときの思いを忘れるな、という意味のようです。■健全なる精神は健全なる身体(肉体)に宿る(ユウェナリス)古代ローマ時代の風刺詩人であるユウェナリスの言葉で、身体が健全ならば精神も自ずと健全になるという意味で使われているようです。ですが、これももちろん言葉通りの意味ではありません。当時の古代ローマでは、幸せになるために人々は神に対して「お金持ちになりたい」、「才能が欲しい」、「美貌が欲しい」などと様々なことをお願いしていました(なんだかどこかの国の誰かの願いと似ていますね)。それを見た風刺詩人のユウェナリスは、そんなに多くを求めて願いを叶えたところで、身を滅ぼすだけである、と説きました。続けて、もしも神に祈るとすれば、「健やかな身体と、誘惑に負けず政治に関心を抱く健やかな精神」こそを願うべきだと考えたわけです。(※Wikipediaなどを参考)ついつい様々なことに対して欲深くなってしまう現代にこそ、本来の意味で使われるべきためになる言葉ですね。■天才は1%のひらめきと99%の努力(エジソン)発明王エジソンのとても有名な名言です。この言葉を知った人は、あの天才のエジソンでさえも惜しまぬ努力をしていたのか!とちょっと勇気づけられる言葉です。でも、これも本来のエジソンの発言の意図とは、微妙にズレているのです。この名言は本来、「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である」という意味だったんです。えー!やっぱりひらめき次第なのー!?もうちょっと掘り下げていくと、1%のひらめきがあれば、99%の努力は苦じゃない、という意味。エジソンがどれだけひらめきを大切にしていたかが分かります。実際、エジソンはアイディアが浮かぶとすぐメモを取るよう心がけていたようです。何かが浮かんだら忘れないようにメモを取るということがひょっとしたら一番大事なのかもしれません。うーん、さすが偉業を成した方々の言葉。名言って、思ってたよりずっとシビアなことを言ってたんですね……。現実は厳しいなぁ。(※ユウェナリス、エジソンはWikipediaなどを参考にしました。興味がある方はご一読ください)(永田兄弟/オモコロ)【関連リンク】漫画『ONE PIECE』大好きっ子が紹介する作品内の珠玉の名言集!『ONE PIECE』の名言は夢があって最高!最も心に残ったジブリ映画のセリフの第一位は?ジブリも名言が多いですね。最高!生誕80周年記念! 20代読者の「ベスト・オブ・手塚マンガ」は?手塚マンガも最高! とにかく最高!
2010年02月20日