本記事では投資信託の解約手続きと上手な解約方法について考察します。投資信託の解約手続きをわかりやすく解説投資信託は様々な金融商品の入った「入れ物」のようなものです。基本的に安く買ったものを、高い時期に解約・換金することで差額を利益とすることができます。※図解は筆者作成【質問】投資信託の解約とは何のことですか?本記事での解約とは、個人投資家が一度購入した投資信託を「手放す・売却する」ことを指しています。また、解約のことを換金と呼んだりもします。投資信託の解約方法(わかりやすい手続き方法)換金の流れは、一般的に次のような流れです。換金を申し込む(個人投資家がインターネットや電話で取引をしている証券会社などへ連絡をします)換金の申し込みから原則として4営業日目以降に投資家本人の証券口座などに支払われます。営業日とは何のこと?投資信託はすぐに解約できる?どのくらいの期間がかかる?投資信託は基本的にクローズド期間(後述)のないものなら、いつでも解約できます。ただ、上記のように基本的に4営業日後に換金されます。営業日とは、一般的な投資信託の場合、国内の証券取引所で取引が行われている日を指します。つまり、土日や祝祭日は営業日にカウントされない、土日などを挟むとさらに先になる、ということです。インターネット証券ならいつでも解約できますか?換金の「当日」となる受付時間は基本的に、営業時間の午後三時までです。※一部投資信託によって異なることがあります。投資信託の解約ができないなどのトラブルはありますか?投資信託によっては、一定期間解約できないものがあります。この解約できない期間のことを「クローズド期間」と呼びます。クローズド期間とは、一般的に解約による資金の流出を防いで安定的な運用をするために設定されることがある。ただ、現在ではクローズド期間のないオープン型(いつでも解約できる)ものが主流。購入前に「目論見書」などで確認をしておきましょう。解約したけど、いつ値段が確定するの?基本的に、投資信託は解約手続きをした時の金額(基準価額)がいくらなのかが、すぐには、はっきりと分かりません。これは投資信託が「入れ物」のようなものですので、その中にたくさん入っている株式・債券などのお値段を算出するのに時間がかかるからです。基本的に国内に投資している投資信託の場合、解約・換金の申し込みを(営業日の3時までに)した場合、その後計算されます。値段が確定するのは、翌日の朝です。※外国に投資している投資信託の場合は、さらに翌営業日に決まることが一般的です。投資信託の場合、値段が決まるまで少し時間がかかるので、解約した時の値段(基準価額)とは少しずれるのが普通。投資信託の上手な解約方法とは?それでは、投資信託の上手な解約方法について見てみましょう。【質問】投資信託の解約には手数料がかかりますか?投資信託を解約する時に「信託財産留保額」というお金がかかるものがあります。また、「信託財産留保額」がかからないものもあります。信託財産留保額とは:解約時の投資信託の基準価額に対してX%という形で引かれてしまう手数料(コスト)。注意をしていただきたいのは、この「信託財産留保額」という手数料には運用成績を押し上げる効果がない、ということです。つまり、「信託財産留保額」という手数料が高くても、何一つとして良いことが起こらないということです。購入する前に目論見書などで「信託財産留保額」が「かかりません・なし」などの表記のものから選ぶことで無料のものを選ぶことができます。解約に手数料がかかる投資信託があるが、購入前に手数料がかかるものを選択肢から外すだけでゼロにすることができる。投資信託の頻繁な解約・換金にはデメリットがありますか?多くの初心者の方がおかしてしまう間違いに「頻繁に投資信託を解約・換金する」というものが挙げられます。しかし、これは経験則的に運用成績を押し下げることが知られています。つまり、投資信託において頻繁な解約・換金はデメリットと言えます。下の図は、投資信託を売買した場合と、ほぼ何もしなかった場合の運用成績を比較したものの一例です。※図表は日本経済新聞2018/8/2を参考に筆者作成青い線は、投資信託の基準価額の期間10年の平均上昇率です。そして、左のグラフのオレンジの線が頻繁に解約・換金をした投資家の平均利益率です。2%ちょっとというところです。一方、何もしない(ほったらかし)投資家の平均利益率が右のオレンジの線です。確定拠出年金では売却することができますが、多くの人は何もしていないことが知られています。何もしないので、分配金が再投資され、雪だるま式に増えていますので、基準価額の平均上昇率5%を大きく超えています。これは、特定の人に起こるラッキーなことではなく、同じ投資対象を持って「ほったらかし」にしたすべての人に共通して起こった良いことです。じつは投資信託では、なにもしない(ほったらかし)にした方が(統計的に見ると)運用成績が良くなることが経験則的にわかる。短期的に売買をすると、運用成果が押し下げられることが知られている(損切りはデメリットを誘因する)しばしば、人は投資信託の基準価額が買った時の値段を下回ると損切りをしたくなります。しかし損切りをするということは、とりもなおさず、「頻繁に解約・換金をする」ということになります。上記で見ましたが、これはデメリットです。全人類共通のクセとして、利得に対して損失を1.5倍~2.5倍怖がる、という性質があります。そのため、(根拠のない)損得ラインに対して、下回ると損切りをしたくなります。そして、そのほかの好調な投資信託に乗り換えたくなります。しかし、これは単純に「高く買って安く売る」を繰り返すだけです。売り手側にとっては手数料が稼げるので良いかもしれませんが、個人投資家としては損失を招く行為です。投資で利益を得るにはどうしたら良いのかを、もう一度再確認することが必要ではないでしょうか。投資で利益を得る基本:安く買って、高く売る(積み立て投資でも一括投資でも、同じ)。基本的に投資信託を解約する時は「いつでも」ではなく「お金が必要な時」だと考えておく投資信託の上手な解約方法とは、基本的にお金が必要な時に解約する、ということです。もちろん、売買のタイミングが正確に読める人間はこの地球上に存在しません。そのため、上手な解約方法はどのようなものか?と問われると、「老後などのお金が必要な時期に、毎年、X%やX万円という決まった率や金額を機械的に取り崩していく」という無味乾燥な考え方が出てきます。取り崩す:しばしば一気に儲けたい・売りたい、という感情があるが、合理的な資産運用を考えると、一気に解約するよりも、運用を継続しつつ、定期的に「取り崩す」ことが資産を大きくしつつ長く使える可能性がある。これは、定率法や定額法などと呼ばれます。定率法とは、毎年5%と決めたら、資産から5%分の資産を解約・換金し取り崩すもの。景気状況により多く取り崩せる年と少なくなる年が出てくるというデメリットがある。メリットとしては定額法よりも資産が長く存続するという可能性がある。定額法とは、毎年百万円と決めたら、資産から毎年百万円分を解約・換金するもの。景気状況に関係なく定額を取り崩すので生活設計が立てやすいというメリットがある。反面、景気悪化時には資産が大きく目減りしやすい、というデメリットもある。一概にどちらが有利とは言えません。その時の経済状況やご自身の資産状況により、有利になる方を選ぶことが良いと思います。上手な解約方法とは、解約・換金しないと生活ができないときに、取り崩していくことだと考えられる。投資信託の解約手続きまとめ投資信託の解約は申し込み日から基本的に4営業日後に支払われる投資信託の解約・換金には「信託財産留保額」がかかることがあるので、かからないものを事前に選んでおく投資信託を頻繁に解約・換金すると運用成績が悪くなる、というデメリットがついてくる今回は、投資信託の解約手続きや上手な解約方法について見てみました。解約というと、ついつい目先の利益を追いたくなります。しかし本記事で見てきましたように、経験則的には短期的に利益を確定して解約しない方が良いことが分かります。解約においても「長期」という考え方がとても重要だと筆者は考えます。本記事が皆様の合理的な資産形成の一助になればさいわいです。
2019年05月22日投資信託で資産運用をする際に悩むのが「適切な売り時・買い時がいつなのかわからない」ということではないでしょうか。本記事では、この「適切な売り時・買い時がいつなのか?」について考察します。また、理論上合理的だと考えられる「売り時・買い時」に対する考え方も見てみましょう。投資信託の売り時・買い時のタイミングはいつ?じつは、どのような専門家でもわからない結論から先に申しますと「適切な売り時・買い時がいつなのか?」がわかる人はこの地球上のどこにもいません。残念ですが、どのような専門家・金融機関であっても、適切な売り時・買い時がわからないのが現実です。【質問】チャート分析などであれば投資信託の売り時・買い時のタイミングがわかるのではないですか?チャート分析で売り時・買い時が分かることはありません。チャート分析などで売り時・買い時がわかる、などの解説も巷には溢れていますが、現実にはわかることはありませんのでご注意ください。チャート分析:テクニカル分析とも呼ばれる。株価などの値動きを表にしたものをチャートという。半世紀以上前などでは、チャートを分析することで、未来の値動きを予測できる、という考え方もあったらしい。しかし、現在のようにスーパーコンピューターなどで検証できる世界では、チャート分析で言われていたような「法則性」は値動きにはないと思われる。現在では、値動きなどは不規則であると考えられる。これをランダム・ウォーカーとも言う。株式に限らず、仮想通貨・FX・金など、どの世界においてもチャート分析は通用しないと考えられる。当たっているように見えることもあるがそれは錯誤相関(たまたま当たったことを法則だと勘違い)。※図表は筆者作成投資信託の売り時・買い時のタイミングは誰にもわからない。チャート分析でわかることはない(たまたま当たることはあるが、それは結果論&後知恵バイアス)参加者がおおむね賢い世界だからこそ、売り時・買い時のタイミングは誰にもわからなくなってしまうなぜ誰にも適切な売り時・買い時のタイミングがわからないのでしょうか?これは市場が効率的だと考えられるからです。効率的市場仮説とは:大変乱暴に言うと、市場の参加者がおおむね賢い、という世界。現在の各市場はおおむねプロ(年金機構や金融機関など)が多数を占めているので、有効な情報はあらかじめ株価などに織り込まれていると考えられる。つまり、誰でも入手できる公表された情報に基づいて追加的な利益を得ることができないと考えられる。よくある市場に対するイメージは、下の図表のように、秘密の情報に対してプロや優れた個人投資家が、いち早く入手したりして、売り時・買い時のタイミングを判断する世界ではないでしょうか。しかし、現実の市場は、多数の金融機関などのプロによって占められていると考えられます。そうなると、誰もが賢く売り時・買い時のタイミングを読もうとします。しかしそれにより、より一層ランダム・ウォーカーになっていきます。このように、みんなが賢い現在の市場では、誰にも売り時・買い時のタイミングはわからなくなってしまいます。市場がおおむね賢い(効率的な)からこそ、誰にも売り時・買い時のタイミングはわからない。【質問】ファンダメンタル分析を極めれば、投資信託の売り時・買い時のタイミングがわかりますか?このように、どのような専門家・金融機関であっても未来はわかりません。市場の参加者にできることは、現在の「適正な価格」を推測するくらいだと考えられます。また、ファンダメンタル分析というものは理論上は有効だと考えられます。ファンダメンタル分析とは、各種の公表されている情報(例えば企業の将来の予想利益など)をもとに適正な株価を探るもの。基本的に割高なら売り、割安なら買う。ファンダメンタル分析は有効だからこそ、売り時・買い時のタイミングはわからないしかし、先ほどのように市場の参加者の多数が賢いと考えられる現在の市場では、ファンダメンタル分析は有効なので通用しません。ナゾナゾみたいですが、どういうことでしょうか。つまり、市場がおおむね賢いので、それはすでに市場に情報が反映されている(あらかじめ織り込まれている)ということです。別の言い方をすると、割高なものはすでに売られ、割安なものはすでに買われている、というイメージです。また、世界中のプロたちによって適正な状態の価格にされた状態が「市場平均」と酷似します。この市場平均と連動することを目標とする投資信託をインデックス型投資信託と言います。ファンダメンタル分析は有効だが、有効であるがゆえに、それを極めても市場平均を超える追加的なリターンを得ることはできないと考えられる。【質問】買った時よりも基準価格(価額)がマイナスになってしまいました。このタイミングで売って損切りすべきでしょうか?基準価格(価額):正確には投資信託の値段は基準価額という。投資信託は「入れ物」のようなもの。入れ物の中身の株式や債券の価格変動によって、基準価額は変化する。結論を先に言いますと、長期分散投資では基本的に損切りは「不正解」です。理由は、将来の期待収益率が下がる(儲からない)からです。どういうことでしょうか。詳しく見てみましょう。投資信託による長期分散投資の資産形成・運用においてよくある誤解の一つが「損切り」という考え方です。損切り:投機的な「上がるか・下がるか」「丁か半か」の見通しが外れた場合に行う。これ以上損失が拡大しないように、売る行為。ゲームからいったん降りる行為。投機では正解の行動。図は損切りのイメージです。損切りは長期分散投資ではなく、短期的な投機で用いられます。投資信託での長期分散投資では損切りは「不正解」な売り時投資信託の場合、「損切り」を買った時の基準価格(価額)を下回ったタイミングなどで行う人もいます。しかし、長期分散投資では長期的に「安く買って、高く売ること」で将来の期待収益率が上昇します。そのため、安くなった時に損切りするのは「高く買って、安く売ること」であり、「不正解」です。このように長期分散投資では「損切り」は未来の期待収益率を下げる(損する)行為です。損切りは、投資信託での長期分散投資では「不正解」。損切りが正解なのは一か八かの投機的(丁半博打)な運用ちなみに投機的な運用では、基準価格(価額)が下がった時は売り時であって、買い時ではありません。丁半博打のように、「上か下か」を当てっこするだけだからです。外れた場合はすぐに撤収(損切り)することが重要です。ただ、前述のようにチャート分析は有効ではなく、市場が効率的なので値動きはランダム・ウォーカーですので「当たるか外れるかどうかは不透明」です。初心者の方にもわかりやすい!投資信託の売り時・買い時の考え方一例それでは投資信託初心者の方にもわかりやすい、利益確定や損切り、などの売り時・買い時のタイミングについて具体的な一例を見てみましょう。一例:インデックス型投資信託やリート(不動産投資信託・REIT)の売り時・買い時とは?インデックス型投資信託:市場の平均に連動することを目標とするタイプの投資信託。世界中のプロが分析をした結果が市場平均に酷似していると考えられる。コストも安く、合理的な投資対象と考えられる。リート(不動産投資信託・REIT):投資信託は入れ物のような物。そのため、不動産市場も入れることができる。国内外の不動産市場の投資信託がある。REITとはReal Estate Investment Trustで不動産投資信託のこと。ここでは、投資信託の基準価格(価額)が上がった時と下がった時のケースをそれぞれ見てみましょう。投資信託には、インデックス型投資信託やリートなど多くの種類があります。本数だけ見ると、国内では6千本ほどあるともいわれています。ただ、基本的にすることと考え方は同じです。投資信託の基準価格(価額)が上昇した!利益確定のタイミングはいつ?投資信託の基準価格(価額)が上昇しても、基本的には積み立て投資を継続します。一括投資をしている場合は「ほったらかし」にします。これは、値動きがランダム・ウォーカーで誰にも読めないからです。株式主体の投資信託は将来の期待リターンがプラスだと考えられますので、長期間「ほったらかし」にしておくことは有効だと考えられます(投資対象が適切な場合)。もちろん「高く売って、安い時に買い戻せば良い」と誰でも思いますし、合理的な考えです。しかし、ランダム・ウォーカーですので、世界中のプロでもそのように都合の良いことができないのが現実です。投資信託の基準価格(価額)が下落した!損切り?売り時・買い時?投資信託の基準価格(価額)が下落しても、基本的には積み立て投資を継続します。一括投資をしている場合は「ほったらかし」にします。これもやはり値動きがランダム・ウォーカーだからです。また、基準価格(価額)が下がっている、ということは「安く買うチャンス到来!将来の期待収益率が上がる(儲かる)」ということです。長期分散投資ではいつ投資信託を売るの?基本的に長期分散投資では「お金に困って、いま売らないと生活が成り立たない」時以外は売りません。基本的には、働けなくなったシニア時代に「一気に売る」のではなく「運用を継続しながら定期的に取り崩すことが挙げられます。投資信託の売り時・買い時のタイミングはいつ?まとめ投資信託の売り時・買い時がわかる人はどこにもいない長期分散投資では利益確定の「売り」は基本的に行わない。売る(取り崩す)のは「お金が必要な時」だけ長期分散投資では投資信託の基準価格(価額)が下がった時が比較的「買い時」と言える今回は投資信託の売り時・買い時、利益確定・損切りについて考察してみました。私たち人間共通のクセとして「損をしたときは過度に怖がる」(損失回避性:利得より損失が)1.5倍から2.5倍イヤ)「目先の利益をすぐ欲しがる」(双曲割引:ダイエットの重要性はわかるが、目の前のケーキやビールの誘惑には勝てない)というものがあります。資産運用では、私たちの思考のクセと合理的な投資の理論の二つときちんと向き合うことが重要かもしれません。本記事が皆様の合理的な資産形成の一助になれば幸いです。
2019年05月13日本記事では、投資信託の税金について解説します。税金と聞くと難しい印象をいだきます。ですが、ポイントを抑えればとても簡単です。また、税金がかからないようして、より有利に資産運用を行う方法についても紹介します。本記事では初心者の方にわかりやすいように、極力簡単な表現でお伝えしていきます。投資信託の収益にかかる税金はいくら?まずは、投資信託の税金の基本からです。税金は投資信託から生じる「利益」に対して20.315%かかります。別の言い方にしますと、損をしたときには税金がからない、ということです。税金は基本的に、投資信託で利益が出たときに20.315%かかる。税金がかかる投資信託の利益ってなに?2種類の利益【譲渡益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)】その投資信託から生じる利益は、大きく二種類に分けられます。投資信託を売って儲かった時投資信託を持っていて普通分配金が入ってきた時少し詳しく見てみましょう。①投資信託を売って儲かるとは?投資信託のキャピタルゲイン(売却差益)に税金がかかる例えば、ある投資信託を1万円で買って、1.5万円に値上がりした時に売ったとします(手数料無視)。このように「安く買って、高く売る」と売却差益が生じます。※図表は筆者作成この場合は、五千円が売却差益、つまり利益です。そのため、この五千円に20.315%の税金がかかります。この売却差益のことをキャピタルゲインや譲渡益とも呼ぶこともあります。先に触れましたが、損をしたときには税金は発生しません。つまり、「高く買って、安く売った」時には税金が発生しません。投資信託を買った時よりも高い値段で売ると、売却差益が生じる。これは利益なので税金が20.315%かかる。②持っていて分配金が入ってきた時とは?インカムゲイン(分配金)に税金がかかる投資信託によっては、分配金が出るものがあります。利益としての普通分配金に対しては、税金がやはり20.315%かかります。この普通分配金のように、持っている間に入ってくる利益をインカムゲインと呼ぶこともあります。投資信託の普通分配金は利益なので税金が20.315%かかる。投資信託から出るお金であっても税金がかからない特別分配金(元本払戻金)とは?ちなみに、投資信託の分配金には特別分配金(元本払戻金)というのもありますが、こちらには税金がかかりません。それは、特別分配金(元本払戻金)とは利益ではないからです。自分の出したお金が返ってくるだけです。そのため税金はかかりません。ただ、持っている間にかかるお金(信託報酬)が発生しているので、実質的にはお金が減っていることになり、運用上は困った存在だと考えられます。図はタコが自分の足を食べて、次第に体が小さくなるイメージです。正式な用語ではありませんが、特別分配金(元本払戻金)はタコ足配当などとも呼ばれます。しばしば「分配金が多い方がお得だろう・毎月または隔月などで分配金が出る方がお得な気がする」というのは、単純に誤解です。なぜそうなのか?につきましては、以下の記事に詳しく解説がしてあります。ご興味のある方はご覧いただければ幸いです。投資信託の特別分配金(元本払戻金)は利益ではないので税金はかからない投資信託にかかる税金の計算式は?どうやって出すの?おさらいです。税金は利益に対して20.315%かかります。ですから、税金を求める基本的な計算式は「利益×20.315%=税金」です。でも、これだけだとちょっと具体的な金額がイメージしにくいですね。一例を交えながら見てみましょう。利益×20.315%=税金投資信託にかかる税金の計算式一例売却差益の場合例えば、投資信託の売却差益が百万円だったとします。この場合の税金はいくらでしょうか?百万円の利益×20.315%=20万3150円つまり、投資信託で百万円の売却差益が出た場合は、20万3150円を税金として納めることになります。普通分配金の場合普通分配金が十万円出たとします。この場合の税金はいくらでしょうか?十万円の利益×20.315%=およそ2万315円となります。つまり、投資信託で十万円の普通分配金が出た場合は、およそ2万315円を税金として納めることになります。あれ?投資信託の収益にかかる税金っていつ引かれているの?とはいえ、投資信託で資産運用をされている方のほとんどは「税金を支払った感覚がない」のではないでしょうか。じつは、証券会社などに投資用の口座を開いた際に、「特定口座源泉徴収あり」を選択しておくと、納税・確定申告を証券会社側が自動的に行ってくれます。源泉徴収とは?:さっくり言うと、「税金を天引きします」ということです。そのため「税金を支払った感覚がない」かと思います。特定口座・一般口座、源泉徴収あり・なしとかって何のこと?証券会社などで口座を開く際に、選択肢は基本的に三つあります。特定口座(源泉徴収あり)特定口座(源泉徴収なし)一般口座一般的には1の特定口座(源泉徴収あり)を選択することが多いかと思います。1の特定口座(源泉徴収あり)を選択すると、基本的に投資家は何もしなくてもかまいません。上記3種類以外にも、iDeCo(イデコ)やつみたてニーサの口座があります。後述します。投資信託の収益にかかる税金、年間ではいくら?40年間やったらどうなる?一例を交えて考察それでは、より具体的に1年間や長期分散投資で40年間など投資をしたら、どのくらいの税金がかかるのか、見てみましょう。投資資金1千万円、平均リターン5%の投資信託の場合、1年間でいくら税金がかかるのか?仮に投資資金1千万円で投資信託を購入し、平均利益が5%だったとします。現実には価格が変動しますが、解説のため、簡略化しています。この場合の税金はいくらでしょうか?(手数料無視)1千万円×5%の利益=50万円の利益50万円の利益×20.315%の税率=10万1575円が税金中々大きな金額です。仮に40年間行ったら、投資信託での税金はいくらかかるのか?上記の条件で、仮に40年間続いた場合の税金は合計でいくらでしょうか?年間で10万1575円の税金×40年間=406万3000円の税金となり、非常に大きな額となります。投資信託に税金がかからないようにする方法できれば、上記のような高額の税金がかからない方が嬉しいのが心情です。現在では、特定口座・一般口座以外にも、税制上優遇されているiDeCo(イデコ)やつみたてニーサの口座などがあります。特に、iDeCo(イデコ)では、利益に対してかかる税金以外にも、所得税控除というものがあり、現状での口座の中では最も節税効果が高いと考えられます。iDeCo(イデコ)と節税に関してご興味のある方は、下記の関連記事をご覧いただければ幸いです。投資信託の利益から収めた税金はどこへ向かう?どうしても効率的な資産運用を考えた場合には、税金が少し邪魔な存在となりがちです。そのため本記事では、税金について、ネガティブな意見が主体となってしまいました。ただ、税金は富の再分配の仕組みとしては必要な存在です。投資で大きく利益を得た人は、より多くの税金を支払います。そしてそのお金は社会に還元されます。誰でも、橋や道路・トンネルを無料で利用できますし。警察や消防も無料で利用できます。学校や病院だって税金で建てられているものがあります。誰しも税金の恩恵を受けています。投資信託の利益にかかる税金の中身は?所得税と住民税と復興特別所得税税金とは、いわばこの社会の利用料金のようなものかもしれません。前述のように投資信託からの利益には20.315%がかかります。その内訳は次のようになっています。投資信託の利益での税金には、復興特別所得税も入っている2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興には膨大なお金がかかります。そのため、現在では、復興特別所得税というものが、投資信託の利益にもかかります。資産運用とは直接的には関係はありませんが、投資で利益を得て、税金を納めるという意義を考えると、投資というものがまた少し違う見方もできるかもしれません。投資信託と税金まとめ投資信託の利益に対する税金は基本的に20.315%がかかる効率の良い投資を考える場合は、税制上優遇されているiDeCo(イデコ)やつみたてニーサを優先的に使う方が良い税金は社会の役に立つものだし、投資家にとっては利益が出ている状態なので基本的に良い本記事では、投資信託にかかる税金について考察しました。長期での資産形成では、いかに税金を非課税にし、そのお金を再投資に回せるかということも重要なポイントです。本記事が皆様の資産運用の一助になれば幸いです。
2019年05月07日本記事では、投資信託の利回りについて、初心者の方にも直感的にわかりやすい図解を交えながらやさしく解説します。しばしば個人投資家は「分配金の利回りが高い投資信託が欲しい」と考えたり「投資信託の利回りランキングからファンドを選択する」という行為をしがちです。しかし、それらは合理的な投資から遠ざかることになる行為です。なぜでしょうか。詳しく見てみましょう。投資信託の利回りとは?投資信託の利回りとはなんのことでしょうか。それは、「分配金の利回り」を指すことがあります。分配金:平たく言うと、投資信託から受け取れるお金のこと。ただ、自分のお金が返ってくるだけの元本払戻金(特別分配金)も分配金なので注意が必要。そのため、多くの投資家は分配金の利回りが高い(多い)ものが良い投資信託だと誤解をしがちです。ただ、結論から言いますと、分配金の存在は、資産運用において効率が悪い存在だと考えられます。また、値上がりによる売却差益を含めたトータルでの見返りを「リターン」と呼ぶこともあります。この売却差益を含めた利回りが、本質的な利回りであるとも考えられます。ただ、投資信託の場合、利回りと言えば、前述のように分配金利回りを指すことの方が一般的かもしれません。見返り:運用の世界においてはしばしばリターンと呼ばれる。リターンは過去二十年間などの平均リターンを指す場合や、これから期待できる期待リターン(期待収益率)を指す場合などがある。ただ、未来は不透明なのでリターンは「あまりあてにならない」存在だと考えられる。※図解は筆者作成投資信託の分配金利回りとはどんな意味なの?計算方法は?一般的に投資信託の分配金利回りとは、一年間で得られた分配金を現在のお値段(基準価額)で割ったものを指します。一例を挙げましょう。Xファンドから、分配金が年間で600円出た。いまのXファンドの価格が1万円だ。600÷10000=0.060.06×100=6%この場合、Xファンドの過去一年間の分配金利回りは6%だった、ということです(税・手数料無視)。ここだけを見ると「分配金利回りが高いファンドが儲かる・良いファンド」と思い込みがちです。分配金利回りとは、一年間で得られた分配金を現在のお値段で割ったもの。投資信託の利回りとなる利益にはどんな種類があるの?先ほど少し触れましたが、投資信託の利回りを構成しているモノには、インカムゲイン→保有していて得られる分配金などキャピタルゲイン→売却差益があります。ここではひとまず「2種類の利益の得方があるのだな」という認識で構いません。ちなみに、利率と利回りはどう違うの?利率と利回りの違いは以下のような内容です。※図表は筆者作成利回りは、投資信託のように、お値段(基準価額)が変わるものに用いられます。気を付けたいのは、価格変動リスクのある投資信託の利回りとは、あらかじめ確定しているものではなく、未来においては不透明だということです。投資信託の分配金利回りはどのくらいが良いの?見方の目安を教えて!それでは、投資信託での分配金利回りはどのくらいが良いのでしょうか。分配金ランキングなどを見ますと、高いもので利回り40%や30%というものがあります。または、10%台のものもあります。どれが適切でしょうか?見方の目安をズバリ言いますと、「分配金利回りがあるものはすべて無視してかまわない」です。分配金利回りはゼロが効率が良いと考えられる。分配金利回りランキングはすべて無視してかまわない。なぜ分配金の利回りがゼロの方がいいのか?投資信託の利回りの誤解。分配金の仕組みはどうなっているの?分配金の仕組みはどのようになっているのでしょうか?初心者の方イメージしていただきたいのは、「良くも悪くも、分配金は投資信託の中から出る」ということです。図で言うと、袋(基準価額)の中から分配金が出てきています。上段の絵のように、分配金が出ると、投資信託自体のお金が小さくなります、(当然ですが)。ただ、分配金を10万円受け取っているので、総額は100のままです。下段の絵のように、分配金がない場合は、総額が100のままです。つまり、分配金をもらっても、もらわなくても、その時点のお金の総額は、同じです(より正確に言うと、利益である分配金をもらうと税金がかかるので、分配金をもらう方が、より損です)。ここだけを見ても、分配金には意味がないことがわかります。また、分配金の利回りが高い方が良い、というのも誤解であることがわかります。投資信託の利回りが高いということは、それだけたくさん投資信託がしぼみやすい、ということ。また、分配金をもらっても、もらわなくても、お金の総和は変わっていない(税引き後は分配金をもらった方が損になる)。つまり、合理的な複利効果(雪だるま式)が発揮されにくく、不利になりやすい。投資信託の利回り 毎月多くの分配金がもらえる方が良い?また、投資信託利回りランキングなどを見た場合、上位を占めるのは、毎月分配型と呼ばれる投資信託です。こちらは文字通り「毎月」分配金がもらえます。しかし、毎月利益が出る投資信託など存在しません。運用成果は基本的に景気次第だからです。そのため、利益が出ないときは、自分の身を切って分配金を出さないといけません(特別分配金などと呼ばれます)。ザックリ言うと、自分の出したお金を「特別分配金(元本払戻金)」と称して受け取ることになります。もちろんコストがかかりますから、高い手数料を支払いながら、銀行のATMでお金を引き出しているようなものです。非常に効率の悪い行為です。このように、毎月分配型は、タコがおなかを減らして、自分の足を食べてしまうようなタイプの投資信託です。次第に、タコ(お金)は小さくなりやすくなります。利回りの高い毎月分配型は、次第に元本が小さくなっていきやすいので、長期での資産形成において不利になりやすい。※投資信託の分配金について、より詳しくお知りになりたい方はこちらの関連記事をご覧いただければ幸いです。利回りの高い投資信託の注意点利益である分配金には税金がかかるこちらも先ほど少し触れましたが、利益である分配金(普通分配金)には、税金がかかります。そのため、分配金のある投資信託と、分配金のない投資信託(内部で再投資される)ものを比べると、同じ中身であれば、分配金がないほうが有利になります。つまり、分配金の利回りの高い投資信託よりも、分配金がないほうが良い、ということです。再投資による複利効果を最大限に発揮するのにも、分配金を受け取る方が不利になる。そうはいっても、投資信託の分配金は、利回りが高い方がうれしいんですけど・・・?このように説明しても、多くの人は「分配金があるものが欲しい」という「感情」が捨てきれません。それが「普通(ノーマル)」かもしれません。人には双曲割引というクセがあります。双曲割引とは:行動経済学などの用語。遠い未来にもらえる大きなお金より、先にもらえる少ないお金の方がより重いように感じてしまうなどの、人間のクセのようなもの。身近な例で言うと、ダイエットをした方がトータルでは良いのだが、目先のケーキの誘惑には勝てない、というもの。ザックリ言うと、目先の利益が大きく見えて、将来の大きなお金が魅力的に見えない、という人類共通のクセのようなものです。そのため、理論上は無分配型がお金を大きくするのには向いているのですが、しばしば人は自らが不利になるような分配金の高いものを選びがちです。投資信託の利回りに対する合理的な考え方結論を先に言いますと、分配金利回りと売却差益を分けて考えないことが重要です。前述の双曲割引が私たち人間にはありますので、ついつい分配金利回りに目が行きがちです。しかし、大切なのは、いかに合理的にお金を増やせるように考えるか、ではないでしょうか。目先の分配金を受け取らずに、複利効果を活かして、お金を大きくしてから売却し、トータルでお金を大きくすることが重要だと考えられます。投資信託の利回りってどう考えたらいいの?まずそもそも、投資信託の利回りはあてになりません。未来の分配金の利回りもあてになりません。平たく言うと、いくらカタログなどに利回りや期待リターンがX%と書いてあっても「あてにならない」ということです。以下、よくある誤解や質問について、見てみましょう。投資信託利回りが高いおすすめファンドはなんですか?トータルでのリターンが高い投資信託とは、基本的にハイリスクの株式主体の投資信託になると、理論上は考えられます。それは、投資の世界では、リスクとリターンはおおむね比例する、と考えられるからです。つまり、ハイリスク・ハイリターンという関係です。毎月分配型などの利回りの高い投資信託では、債券主体であることが多いです。しかし、債券主体では、一般的に株式よりもローリスクです。そのため、長期間投資を行っても、思うようなリターンがついてこない可能性があります。株式主体の投資信託を保有しても、将来的なリターン(または利回り)がいくらになるかはわかりません。ただ、お金の増やし方においては、できるだけ大きく増える場所に「お金を置く」のが合理的だと考えられます。投資信託って利回りランキング以外の、運用成績ランキング上位を買えばいいですよね?残念ながら、去年運用成績の良かったファンドが、「将来も運用成績が良い」という相関性はありません。大げさなことを言うと、去年運用成績が一位だったファンドが良い、ということがお金の世界ではありません。また反対に、去年運用成績が悪かったファンドが、今年も悪い、ということも言えません。そして、誠に残念ですが、今年運用成績が良いファンドを事前に見つける方法は誰にもわかりません。つまり、過去のランキングや成績は将来を判断するうえで材料にならないのです。私たちができるのは、手数料の安いファンドを選んで保有することくらいです。※手数料について、詳しくお知りになりたい方は、下記の関連記事をご覧いただければ幸いです。投資信託の利回りについてまとめ一般的に投資信託の利回りは分配金利回りを指すことが多い資産形成においては、利回りよりも「期待リターン」が重要投資信託の利回りランキングは無視して良い今回は、投資信託の利回りについて、考察しました。まとめます。分配金の利回りに固執すると、本来の合理的な投資から離れやすくなります。投資信託の分配金は、「ない」方がより効率の良い資産形成になります。また、投資信託の利回りランキングもあてになりません。投資信託での資産形成において重要なのは、(非常に退屈ですが)長期×積み立て×分散投資です。分配金利回りの高い(多い)投資信託は一見すると魅力的です。しかし、資産運用の専門家は誰も自分では買わないのではないか、ということを考えるきっかけになれば幸いです。
2019年04月12日インデックス型投資信託を使えば、低コストで合理的な資産運用をしやすくなります。今回は、初心者の方にも良くわかるようにかみ砕いて、インデックス型投資信託の基本から解説していきます。初心者のためのインデックス投資講座インデックスと聞くと難しい印象を受けますが、ポイントを理解するととても合理的な投資に近づきます。図解を交えながら見てみましょう。投資信託のインデックスファンドって何ですか?投資信託の種類の中に、インデックス型と呼ばれるものがあります。大変乱暴に言いますと、インデックスファンドとは、各種指標に連動することを目的とする投資信託のことです。ファンドと投資信託:本記事内のファンドとは、投資信託を指しています。より広義の意味ではみんなから集めたお金を運用する機関を指すこともあります。投資信託とは、複数の金融商品を入れた「大きな入れ物」のようなものだと直感的にイメージしていただければ、まずは良いかと思います。※図表は筆者作成インデックスってどんな意味?そのインデックスというのは日本語にすると「指標(しひょう)・指数(しすう)」などとも呼ばれます。指標というと、身近ではあまり聞かないので、少しわかりにくいかと思います。指標をイメージ的にとらえると「平均」のような存在が近いかと思います。例えば、株式には株式の市場があります。ということは、その株式市場の値動きの平均のようなものが存在することになります。これが指標です。世の中には様々な投資信託がありますが、多くはこの各種指標を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げています。そのため、インデックスのことをベンチマークなどとも呼んだりします。ベンチマークとは:測量の世界で使われる「基準」のようなもの。転じて、投資の世界では、「インデックス(指標)」を指すことが一般的。インデックスとは、市場の平均のような存在。投資信託のアクティブ型とインデックス型の違いはなに?先ほど述べましたように、投資信託には、各種指標(インデックス)を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げているものに大別できます。以下の図のようなイメージです。※図表は筆者作成結論を先に言えば、理論上、投資において合理的だと考えられるものは目標としている指標(インデックス)に連動しようとするインデックス型投資信託だと考えられます。合理的なのはインデックス型投資信託だと考えられる。なぜ平均に連動するインデックスが合理的なの?世界中の人が賢いならどうなるの?なぜ、インデックスに連動するスタイルのインデックス型投資信託が理論上、合理的だと考えられるのでしょうか?例えば、ここにお金の神様がいるとします。神様が「世界中の投資家よ、頭が良くなれー」と魔法をかけたとします。途端にみんなが賢くなりました。するとどうでしょう。世界中の投資家は、世界中の株式市場などで「割安な株式を買って、割高な株式を売る」という賢い行為を行います。そうすると、それぞれの市場の平均であるインデックスが非常に効率的になります。※図解は筆者作成現実の市場もおおむね効率的であると考えられる。インデックス型はアクティブ型が頑張る限り、常に優位になると考えられるこのように「市場の参加者がおおむね賢い」世界においては、平均を超えようとするアクティブ型よりも、平均に連動することを目的とするインデックス型の方が合理的になると考えられます。なぜなら、みんなが賢いから、効率の良い平均点を超えにくいのです。直感的なイメージとしては、みんなが頑張るから、自然と平均が良く(効率的に)なるイメージです。※図表は筆者作成先ほどの神様のお話はあくまでも例えですが、現実の各市場も、世界中の金融機関の賢い人々によって見張られているので、「おおむね効率的であるだろう」と考えられます。このような考え方を効率的市場仮説と呼んだりもします。効率的市場仮説:市場の参加者(機関投資家など)はみな賢いので、割安な株式などを買い、割高なものを売るはず。そして、彼ら機関投資家が優れていればいるほどに、それは市場平均(インデックス)が効率的になる、という考え方。市場の参加者が賢い(あるいは同じような能力)の場合、市場の平均は効率的になる。つまり、アクティブ型が優れていればいるほど、それらの投資手法は通用しない、とも考えられる。つまり、現代の投資における最善策とは市場の平均に連動することではないか。投資信託のインデックスファンドにはどんな種類(指標・指数)があるの?では、そんなインデックスには、どのような種類があるのでしょうか。国内株式市場で代表的な指標と言えば、トピックスと日経平均株価が挙げられます。また、先進国株式のインデックスと言えば、MSCIコクサイインデックスが挙げられます。どのような内容なのでしょうか。見てみましょう。インデックス型の国内株式のトピックスまたは日経平均株価って何のこと?テレビやラジオのニュースの最後の方で「今日のトピックスと日経平均株価の数値」が発表されていますので、耳馴染みもあるかと思います。トピックスも日経平均株価も、いずれも国内株式市場のインデックスの一種です。特徴だけをまとめてみましょう(表現は初心者向けであり、厳密には異なります)。おすすめのインデックスはトピックスと日経平均株価、どっちなの?トピックスがおよそ二千社近い株式の市場平均であるのに対して、日経平均株価は、225社です。しかし、およそ二百社にも分散をすると、理論上は分散投資がされているので、トピックスも日経平均株価も同じように推移することが知られています(もちろん、差はあります)。世界に分散投資ができるインデックス型投資信託種類(一例)もちろん、世界各国の株式市場にもそれぞれの市場平均があります。ということは、それらの各市場にインデックスがあります。また、それらのインデックスに対応する形のインデックス型投資信託もあります。ここでは、重要な先進国株式のインデックスについて見てみましょう。いわゆる外国(先進国)株式の投資信託と言えば、上記のMSCIコクサイインデックスに連動する(または超えようとする)投資信託を指すことが一般的です。株式主体のインデックス型で投資をするメリットとおすすめの組み合わせは?では、インデックス型の投資信託で投資をするメリットとは何でしょうか。また、おすすめの組み合わせ(ポートフォリオ)とはどのようなものだと考えられるでしょうか。ポートフォリオ:金融商品の組み合わせを指すことが一般的。金融資産の組み合わせはアセットアロケーションと呼ぶが、本文内では混乱を防ぐために、ポートフォリオで統一します。インデックス投資と株式投資との違いとメリットはどこなの?インデックス型投資信託での投資と、個別の株式投資の違いは、分散がしやすいかどうかです。前述のように、インデックス型投資信託を選択すれば、多くの株式を保有したのと同じような効果が得られます。もちろん、個別の株式を個人で数百銘柄ほど保有すれば同じような効果が得られるのですが、その場合は、大変に高額な資金が必要になってしまいます。その点、インデックス型投資信託であれば、証券会社によっては数百円から分散投資が容易にできます。インデックス型投資信託を選択すれば、個別の株式にピンポイント投資をするよりは理論上は合理的な分散投資ができていることになる。ところで、インデックス投資で利益を上げるにはどうしたらいいの?基本的な利益の上げ方はシンプルです。安い時に買って、高い時に売ると、その差額が利益になる(数十年積み立てる、積み立て投資であっても同様です)または、利益を内部で再投資する(あるいは非効率でお勧めできないが、分配金を受け取り、課税後の少なくなった利益を再投資する)ちなみに、株式市場の値動きはランダム・ウォーカーですので、残念ながら、機動的に「タイミングを読んで、安く買って高く売る」ことで勝ち続けることは、できないと考えられます。ランダム・ウォーカー:効率的な市場においては、みんながそれぞれに分析をして、効率的に売買を繰り返している。その結果として、通用する分析方法や運用手法があれば、皮肉なことに通用しなくなる。結果として、株式などの金融商品の値動きは「なにもない原っぱを酔っ払いがフラフラ歩く」ように、法則性がないものになってしまう、と考えられる。そのため合理的な資産運用において大切なのは、短期的にタイミングを読んで「丁か半か」のバクチ的な行為をするのではありません。タイミングを読まずに、ひたすらに「長期×分散×積み立て投資」に徹することです。インデックス型投資信託での投資において重要なことは、「長期分散積み立て投資」まだあるメリット!インデックス型のコストはどうなの?インデックス型投資信託の大きなメリットの一つに「アクティブ型と比較するとコストが安い」ということが挙げられます。具体的な数字としては、保有している間にかかる信託報酬と呼ばれるコストがモノにもよりますが、平均的には1%程度違う、と言われています。※図表は筆者作成1%違う:運用において1%というのは、大変に大きな数値です。ここをきちんと下げられるかどうかが、長期では大きな差になると考えられます。ランダム・ウォーカーな市場では個人の頑張りで運用成績を上げることはできないと考えられます。私たち個人投資家にできることは、コストを下げることくらいです。インデックス型を選べば、初心者もプロと同じ成績になるのも大きなメリット前述のように、インデックスというものは、市場平均です。そのためインデックス型投資信託を選ぶということは、世界中の機関投資家の採点の終わったテストをカンニングするようなものです。しかも、それを格安で。インデックス型投資信託を選択すると、世界中のプロの運用成果を安いコストで拝借できるのと同じような効果が得られる。インデックス型投資信託のデメリットはどんなものがあるのか?デメリットとは少し違いますが、インデックス型投資信託は魔法ではないので、経済状態が悪い時はインデックス型投資信託であっても、長期間運用成績が悪くなります。仮に私たちが今日からインデックス型投資信託で投資を初めても、数年間運用成績がマイナスかもしれません。また、長期間行っても、数十年後に大きく株価などが下落した時(金融危機時など)に、慌てて売却をすると、マイナスになったり、それほど大きなリターンが結果として望めないことも十分に予想されます。インデックス型投資信託の筆者おすすめの組み合わせは?インデックス型投資信託でポートフォリオを組む際には、株式主体のインデックス型投資信託を選択することが理論上は重要だと考えられます。一例を挙げると次のような感じです。※図表は筆者作成上記のような組み合わせはいわゆる、「株式が100%」の組み合わせです。そして、この特徴はハイリスク・ハイリターンです。なぜこれがおすすめなのでしょうか。それは、資産形成が目的だからです。長期×分散×積み立て投資でできるだけ「お金を大きくすること」を目指すためです。ただ、あくまでも理論の上でのお話であり、未来は不透明です。そのため、これで絶対儲かる、とは言えません。インデックス型投資信託の株式や債券をバランスよく組んで、リスクを低減することは、理論上、優れているけれど?確かに、債券の入った投資信託を主体にすると、リスクは下がります。また、バランス型と呼ばれる投資信託のように、株式や債券を入れた投資信託の場合、リターンは平均化され、リスクはより低減されます。一見すると良いですし、理論上も優れていま。しかし、果たして本当に良いのでしょうか。考え方によるので正解はありませんが、数十年間という、長期間お金を使う必要がない資産形成期(老後に備える期間)においてはできるだけお金を大きくすることこそが重要ではないでしょうか。この点においては、正解はありません(ちなみにつみたてNISAでは株式主体のインデックス型投資信託がメイン)。ローリスク・ローリターンが良いか、ハイリスク・ハイリターンが良いかを決められるのは、投資家その人しかいないのではないでしょうか。初心者のためのインデックス投資講座:まとめインデックスとは、市場の賢い人々の平均のことインデックス型投資信託のメリットは、世界中のプロの分析結果を低コストで利用できることインデックス型投資信託のおすすめの組み合わせは、株式主体であることインデックス型投資信託を選択すると、自然と合理的な分散投資に近づきます。また、コストも安いので比較的「マシ」な資産運用に近づきます。インデックス型投資信託の中でも、長期×分散×積み立て投資において、より重要なのは国内外の株式のインデックス型投資信託だと考えられます。本記事が皆様の資産形成の一助になれば幸いです。
2019年04月04日本記事では、初心者の方でも簡単にできる、わかりやすい投資信託選びのポイントについて解説します。結論を先に申し上げます。コストは運用成績に寄与しないので、0.3%以下(より低い方が良い)などから選ぶ市場はおおむね効率的だと考えられるので、市場平均に連動するだけのインデックス型投資信託を選ぶ毎月分配型は資産形成に適していないので避けるだけでよいバランス型を選ぶ際は、株式比率が何%なのか理解してから選ぶ本記事では上記4点に焦点を当てます。どういうことでしょうか。それでは見てみましょう。初心者の方でもできる投資信託の銘柄選び方2ポイント!最低限ここをチェック!初心者の方が投資信託選びで迷った際は、まず次の2点を最低限チェックしてみてください。コストは運用成績に寄与しないので、0.3%以下(より低い方が良い)などから選ぶ市場はおおむね効率的だと考えられるので、市場平均に連動するだけのインデックス型投資信託を選ぶ投資信託は国内に5千本とも6千本ともいわれる本数があります。しかし、それらを一つずつチェックしていては大変です。そこで、証券会社のHPや各種カタログなどで迷った時は、上記2つの項目をチェックしてみてください。多くの場合、選択肢は激減し、数本だけに絞られます。それにしても、どうして投資信託を選ぶ際に、上記2点が重要なのでしょうか。投資信託の選び方ポイント①手数料が低い方が良いワケまず、投資信託を保有する時には手数料(コスト)がかかります。この手数料は金融機関などで働く方のお給料などになります。つまり、金融機関は手数料ビジネスの一面も持っているのですね。もちろん悪いことではありません。手数料は金融機関などの売り手側にとっては収益ですが、私たち個人の投資家にとってはただの手数料(コスト)です。そのため、手数料をかければかけるほどに、私たちの利益が減っていきます。損失が出ている場合は、損失がより大きくなるだけです。ちょっと下の図表を見てみましょう。上記は、仮に過去数十年間の平均リターンが2.5%の投資信託が過去に存在していたら、利益を再投資する複利効果(雪だるま式)に増えた場合、何年間でお金が2倍に増えたか?というシミュレーション一例です(税金など無視した場合)。複利効果について:72で実質的な運用成果を割ると、何年間で元本が2倍になるかが、分かります。ご覧のように「まったく同じ運用成績」の投資信託の場合、手数料が高いだけで、元本が大きく増えるまでに数十年間も余計にかかってしまうことが確認できました。ここからも、手数料が成績に寄与しないことが分かります。投資信託では、手数料は純然たるマイナス要因なので0.3%以下などから選ぶだけで良い。それより高いのは無視して良い。投資信託の選び方ポイント②インデックス型投資信託のワケ次に投資信託を選ぶポイントのインデックス型投資信託について、わかりやすく説明します。インデックス型投資信託とは、株式や債券などの市場平均に連動するだけの投資信託のことを指しています(基本的に手数料分だけ市場平均を下回ります)。わかりやすくいうと、「平均」を狙うものです。多くの初心者の方は「プロの運用する、手数料の高い特別な投資信託の方が良い成績を残せるに違いない」という勘違いをしています。残念ながら、現代の市場では正解は次のようなものだと考えられます。「プロの運用する、手数料の高い特別な投資信託の方が良い成績を残せるのなら、市場の平均が効率的になるので、市場平均に連動するだけのインデックス型投資信託がコストの安い分、良いと考えられる」というものです。下の図表をご覧ください。一般的な初心者の方の「賢いプロが運用する投資信託」のイメージは上側のようなイメージだと思います。しかし、現実的には、現代の市場は「賢いプロが運用する投資信託」や機関投資家などのプロだらけのイメージです。このような世界(おおむね効率的な市場)においては、市場の平均が大変に効率的になります。つまり、「賢いプロが運用する投資信託」が優れていればいるほど、平均が良くなります。また、手数料が高いほど、市場平均に劣ることになります。そのため、結論としては、手数料の安い、インデックス型投資信託を選ぶことが、理論上は良いと考えられます。投資信託を選ぶ際に重要なことは、手数料が低いこと&市場平均に連動すること積立投資に向いている投資信託銘柄の選び方は?積立投資に向いている投資信託の選び方も、基本的に上記と同様です。積立投資における投資信託選び方より大事なポイントの一つは、長期でできるかどうか積立投資における投資信託の選び方も、やはりコストは運用成績に寄与しないので、0.3%以下(より低い方が良い)などから選ぶ市場はおおむね効率的だと考えられるので、市場平均に連動するだけのインデックス型投資信託を選ぶということになります。そして、より重要なのは、長期でその「自分の選んだ投資信託」を売らずに買い続けることができるのか?という問題です。なぜここが重要なのでしょうか?投資信託で短期間に売買すると、平均よりも成績が悪くなる?初心者の方がやってしまいがちなミステイクの一つとして、3年以内に投資信託を売買してしまう。つまり、買い替えてしまう、ということが挙げられます。なぜ、頻繁な売買がいけないのでしょうか?下の図をご覧ください。(※図表は筆者作成参考文献:敗者のゲームチャールズ・エリス)図表は、米国の1984年から1998年までの14年間における、ある市場平均の株価の伸びと、投資家の実際の成績を表しています。青い方が市場平均です。オレンジが投資家の実際の成績です。どちらがいいか、と言えば、明らかに市場平均の方が良いですね。もうその理由はお分かりですね。「賢いプロが運用する投資信託」のコストを引く前の成績こそが市場平均と近似していると考えられるからです(別の言い方をすると、賢いプロの運用するコストの高い投資信託は多くの場合、青の成績より劣る)。そして、仮に私たち個人が、彼らより賢くないとした場合、市場平均に劣るのは当然です。それにしても、成績がひどく悪いです。なぜでしょうか。それは、多くの個人投資家が3年以内に投資信託を売却してしまうからです。短期的に売買をするということは、市場の平均ではなく、自分たちで変な運用をすることを意味し、それは市場の平均(賢いプロの平均)より悪い成果になることをこのデータは意味しているのかもしれませんね。市場平均で長期的に積立投資に徹すれば、青い方の成績になるのは統計的なデータからも明らかです。しかし、私たちはついついミステイクをしてしまいます。統計的には、長期で積立投資に徹することが良い結果になることを示している初心者の方でもできる、投資信託のタイプ別選び方。それでは、初心者の方でもできる、投資信託のタイプ別の選び方を見てみましょう。本記事では、毎月分配型投資信託とバランス型投資信託にスポットを当てます。初心者に人気の毎月分配投資信託のメリット・デメリットとは?結論から言うと、毎月分配型投資信託は資産形成に適していないので、無視してかまいません。そもそも手数料が高いので効率が悪いです。人は目先の利益が欲しい、という人類共通のクセのようなものがあります。しかし、資産形成においては、利益を再投資して雪だるま式に資産を増やす(複利効果)が重要です。ただ、これには「長い時間」をかけることも重要です。毎月分配型投資信託は初心者に人気があります。しかし、専門家は買いません(効率が悪いから)。毎月分配型にメリットがあるとしたら、毎月お金がもらえるところです。しかし、長期で見るとデメリットです。なぜでしょうか。整理してみましょう。どうするかは個人の自由ですが、2018年から始まった金融庁管轄の「つみたてNISA」という制度には、運用商品選別の要件として「毎月分配型投資信託ではないこと」というものがしっかりと明記してあります。ですから、「つみたてNISA」には毎月分配型投資信託は入っていません。初心者に人気のバランス型投資信託の選び方は?バランス型投資信託を選ぶポイントは信託報酬と呼ばれる手数料が0.3%程度であること(低い方が良い)バランス型の中身が各種市場平均で構成されていること株式比率が何%か一目でわかること(株式比率が何%かわからないものは無視するだけでよい)この3点です。3つ目が新しいポイントですね。初心者の方がバランス型投資信託を選ぶ際は、株式比率で見分けるバランス型投資信託を選ぶ際は、株式比率が何%入っているのか、チェックして、希望の割合を示しているモノを選びましょう。よくある種類としては次のような割合があります。バランス型投資信託 株式比率40%バランス型投資信託 株式比率60%バランス型投資信託 株式比率80%この中から、希望の株式比率のものを選びます。ちなみに、理論上は株式比率が高い方がハイリスク・ハイリターンです。長期的に見て、数十年後などにお金を大きくしたい(途中でお金が必要にならない)のなら、株式比率が高い方が選択肢になると考えられます。【初心者向け】投資信託でファンドや銘柄の選び方のポイントをFPが解説まとめ初心者の方でもできる投資信託の選び方は①手数料が安い②インデックス型投資信託であること投資信託の選び方がどれだけ適切でも、短期的に売買していると運用成績は悪化しやすい毎月分配型投資信託を選ぶのは避ける。バランス型投資信託は好みの株式比率を選ぶ本記事では、初心者の方でもすぐにわかる投資信託の選び方を見ました。途中で意外な内容もあったかもしれません。ですが、それらのポイントを一つ一つひも解いていくことが、私たち個人の資産形成をより合理的なものにするのかもしれません。
2019年03月27日本記事では投資信託で投資をする際のリスクやデメリットについて解説をします。そして株式投資と投資信託の違いについてもわかりやすく説明します。まず、結論から申します。投資信託のリスクには各種ありますが、投資では基本的に値動きがぶれる幅などのことをリスクと申します。本記事では誰でもできるリスクの対処方法についても考察します。こちらの結論は「なにもしない(ほったらかし)」ということです。投資信託のデメリットは、手数料(コスト)が高いものがある、途中で償還される(運用が終わってその時価で売却される)ことなどがあります。また、株式投資と投資信託の大きな違いは、分散の程度(あまり分散されていないか、すごく分散されているか)という違いが個人投資家にとっては大きなところです。それでは、詳しく・わかりやすく見ていきましょう。投資信託での投資におけるリスクや危険性とはどのようなもの?まず、投資信託には各種のリスクがあります。投資のリスクとは一般的に値動きの幅のことを指します。つまり、投資信託で投資を行った場合、買った時のお値段よりも高くなったり・低くなったりする、という可能性のことをリスク(値動きの幅)と申します。リスク(値動きの幅):一般的にはリスクとはマイナスなイメージで語られることが多い。しかし、投資の世界ではリターンの振れ幅のことなので、プラス(もちろんマイナスも)に大きく値動きがぶれることも「リスクが大きい」と表現される。そのため、投資信託での投資で特に重要なリスクは「価格変動リスク」と呼ばれるものです。ちなみに、リスクとリターンの効率を考えた場合、同じリスクの度合いなら、よりリターンが高い方が「効率が良い」という風に考えることが一般的です。効率が良い:長期的に見て同じような期待リターンなら、値動きの幅が小さい(リスクが低い)方が運用としては安定していることになるので、効率が良い、ということ。そして、その価格変動に影響を与える要因にはさらにいろいろとあります。どのようなものでしょうか。投資信託の各種リスクとは代表的な投資信託でのリスクには次のようなものが挙げられます。このような各種リスクが挙げられます。いずれも、未来のことですので、現時点では、はっきりといつ・どこで・どのくらい影響するのかが、不透明な状況です。投資信託のデメリットは手数料投資信託のデメリットは、先ほどのリスク(値動きの幅)のことではありません。確かに、一般的にはリスクは嫌われる存在です。しかし、投資においてはリスクがなければリターンが補償されないと考えられる世界です。リスクによってリターンが補償されるという考え方:リスク(値動きの幅)があるからこそ、世界中の金融機関などのお金の専門家は、リスク(値動きの幅)の大きさに応じてリターンがつくように現在の株価などの適正価格を求めると考えられます。つまり、預貯金のようにリスク(値動きの幅)がないなら、リターンは大変に低いものになります。また、株式のようにリスク(値動きの幅)が大きいからこそ、リターンが長期的・統計的には高くなる、と考えられます。これが、リスクによってリターンが補償される、という考え方です。つまり、投資信託を含む投資において、リスクは必ずしもデメリットではなく、重要なカギなのですね。それでは、投資信託のデメリットとは何でしょうか?それは手数料です。手数料は運用成果を押し下げるだけの存在です。そのため、手数料の高い投資信託を保有する、ということは資産形成においてデメリットとなります。どういうことでしょうか。下の図をご覧ください。※図表は筆者作成図表左端の運用成績は投資信託で分散投資をしている場合、誰に任せても上げたり下げたりすることが意図的にできません。統計的には「市場平均に連動するタイプのインデックス投資信託」と呼ばれるものが合理的だと考えられます。誰に任せても運用成果は変わらない:運用成果は、これまでに見た各種リスクや景気などによって、価格が変動することによって起こった結果です。勘違い(錯誤相関)してはいけないのが、誰かスゴイプロに高い手数料(コスト)を支払っても、運用成果は向上しない、ということです。一例:読者の方が筆者に年間十万円の手数料で、例えば日経平均株価に連動する投資信託を任せても、株価の動き(上がっても下がっても)は全く無関係であり、単に十万円を損するだけです。このような世界(おおむね効率的な市場)においては、手数料とは、単純に実質的な運用成果を押し下げるだけのものだと考えられます。ところで繰り上げ償還になったり、投資信託を解約するとどうなる?ちなみに、先ほど「繰り上げ償還リスクというものが出てきました。これは一般的には金融機関がその投資信託の運用を途中でやめてしまうことを意味しています。運用を途中でやめる理由としては、投資家の資金があまり集まらず、採算が合わない場合や、運用成績が振るわない、などがあるようです。繰り上げ償還されると、その時の時価で払い戻されることになっています。いわば投資信託を解約したことになるのですね。投資信託を解約すると、その時の時価の値段で損得が決まります。ここまで見てきましたように、価格変動リスクがあります。そのため、自分が買った時よりも高くなっていれば利益になります。反対に値下がりしていれば損失となります。買った時よりも安い値段で売ると、損失となる簡単で初心者の誰にでもできる!投資信託における「わかりやすい」リスクの対処方法の説明ここまでで、投資信託には価格が変動するリスクとその要因などについて理解をしてきました。それでは、投資信託のリスク対処方法について見てみましょう。わかりやすく結論を先に言うと「なにもしない(ほったらかし)」です。投資信託のリスクに対する対処法「なにもしない(ほったらかし)」投資信託のリスクに対する対処方法は「なにもしない(ほったらかし)」です。どういうことでしょうか。じつは、リスクには「中央回帰性」と呼ばれるクセのようなものがあります。※図表は筆者作成参考文献:敗者のゲームチャールズ・エリス上の図はリスクをイメージ化したものだと思ってください。左側の図を見ると、マイナスとプラスの幅(リターンの散らばり・値動きの幅)が同じようになっています。そして、ゼロ付近・中央がもっとも多く発生することが分かります。ここは「なんとなくそうかな」くらいの認識で構いません。また、左の図を値動きのイメージにしますと、右の図のようなイメージです。ゼロ付近がもっと多く発生し、プラスとマイナスの幅も同じようになっています。これは、平均があれば、振れ幅が上下同じようになる、というようなイメージでまずは構いません。これは、リスクには中央回帰性がある、ということを意味しています。ということは、どういうことでしょうか?長期で見ると、リスク(値動きの幅)のプラスとマイナスはほぼ等しいと考えられる。リスクには中央回帰性があるので、投資信託のリスクに対する対処方法は「なにもしない(ほったらかし)」ことで初心者でも自然に対処される可能性がある「中央回帰性がある」をもう少し分かりやすく表現します。次のような感じです。大きく値上がりするほどに、中央に戻る(値下がりする)力が強くなる大きく値下がりするほどに、中央に戻る(値上がりする)力が強くなるちょっと難しいですね。わかりやすく身近な例で例えますと、気温です。平均気温がそれぞれの都市にあります。ですが温度差があります(投資ではこの気温差がリスク(値動きの幅)です)。夏に気温が高く上がるほどに、中央に戻る(平均気温に近づく)冬に気温が低く下がるほどに、中央に戻る(平均気温に近づく)誰でも経験がありますね。また、平均気温(投資では過去の平均リターン)があるからこそ、気温差(リスク(値動きの幅))があります。平均気温は気温差からできています。投資のリスク(値動きの幅)は過去のリターンからできています。リスクには中央回帰性があると考えられる。つまり、なにもしない(ほったらかし)と、元に戻りやすいということ。事実、「なにもしない(ほったらかし)」方が運用成果は良くなりやすいリスクには中央回帰性があるとした場合、どのようにしたら、対処できるでしょうか。一つの答えは「なにもしない(ほったらかし)」です。おさらいですが、リスクとは値動きの幅でした。そしてリスクには中央回帰性があるのですから、どんどん下がっていっても「投資対象が合理的に分散されているなら」長期的に見て・過去からの統計的に見ても、中央に戻ると考えられます。ということは?そうです。なにもしないことで、自然とリスク(値動きの幅)の対処は完了します。これは初心者でもプロでも、どなたにでも簡単にできるリスクの対処方法です。実際になにもしない(ほったらかし)にした場合の運用成績を見てみましょう。※図表は筆者作成参考文献:日本経済新聞2018/8/2上記の図をご覧ください。通常の投資信託(左側)の青い棒が投資信託全体の期間10年の平均上昇率です。4%くらいありますね。つまり、なにもしない(ほったらかし)と、4%くらいの運用成績になるはずです。しかし、通常の投資信託のオレンジの棒が投資家の平均利益率です。なにもしない(ほったらかし)場合の半分の2%くらいしか成果が上がっていません。不思議ですね?なぜでしょうか。これはリスク(値動きの幅)に対処しようと慌てて(しかし多くの場合、賢く考えたつもりで)売買をしたがゆえに、こうなってしまいました。残念ながら、賢いはずの私たちはそれほど運用が上手くないのです。一方、右側がなにもしない(ほったらかし)運用の成果です。正確には確定拠出年金(iDeCo・イデコ)での運用成績です。確定拠出年金(iDeCo・イデコ)では、多くの人(一説にはほぼ99%近くの人)がなにもしない(ほったらかし)のです。これは普通の証券会社の口座で投資信託(ファンド)を保有しても投資対象が同じなら、同じ成績です。その結果は、ご覧のとおり、平均上昇率(右側の青い棒)を投資家の平均利益率(オレンジの棒)が超えています。なぜ同等ではなく、平均を超えているのでしょうか?それは、確定拠出年金(iDeCo・イデコ)では自動的に利益を非課税で再投資してくれるからです。そのため、平均を超えています。つまり、雪だるま式(複利効果が発生)にお金が増えているのですね。ですから、リスク(値動きの幅)に対処して慌てて下がった時に売り、高い時に買うよりも、なにもしない(ほったらかし)の方が「多くの人にとっては」良くなる、ということが見て取れます。これは、初心者の人でも、専門家でも、等しく起こることです。統計的に見ると、リスクに対する対処方法は「なにもしない(ほったらかし)」がベターになりやすい。それは、中央回帰性あることも関係している。投資信託と株式投資との違い、リスクとメリットについて最後に、株式投資と投資信託の違いやメリットそしてリスクについて見てみましょう。投資信託で国内・海外の株式投資を行うことの違いとメリットとは?リスクはどうなる?株式投資とは、一般的に個別の株式数社に投資をすることを指します。そして、投資信託でも株式投資ができます。投資信託はいわば入れ物です。この入れ物に株式を数十~数千社いれたようなものが株式主体の投資信託です。では、投資信託で株式投資をすることの違いとメリットはどのようなものでしょうか。それは分散投資がしやすいことです。個人で株式を数千保有することは、資金的に無理があります。しかし、分散したほうがリスク(値動きの幅)が小さくなります。分散とリスクに対する詳細は下記関連記事をご確認ください。投資信託で株式投資をすることで、リスクは個別の株式投資より小さくなります。これが投資信託で株式投資を行うことのメリットです。投資信託のリスクをFPが解説!株とは何が違う?まとめ投資信託のリスクとは、一般的に各種要因によって「価格が変動する」こと投資信託のデメリットとは、手数料が高いものがあること株式投資と投資信託の違いは、対象が広く分散されているか、そうでないか今回は、投資信託のリスクや対処方法、株式投資との違いを見てみました。リスクの対処方法については、「まさか、なにもしない(ほったらかし)方が良い成績になるなんて」と意外な結果に驚かれた人もいるかもしれません。しかし、ここに人と投資の本質が隠されているように筆者は感じます。この点を突き詰めて、理論的に考察していくと、結論としては「市場平均に連動するインデックス型投資信託を長期×分散×積み立て投資に徹して、なにもしない(ほったらかし)」という、非常に退屈な、しかし、大変に効率の良い答えに行きつくのではないでしょうか。
2019年03月26日本記事では投資信託の基準価格(価額)とは?について記しています。基準価格(価額):正確には投資信託の価格は基準価「額」(格ではなく額)なのですが、本記事では初心者の方にもわかりやすく、読みやすくするために、基準価格(価額)と表記させていただきます。投資信託の基準価格(価額)とは、それぞれの投資信託のお値段のようなものです。しばしば以下のよう誤解もあります。「基準価格(価額)が高い方がいい」「基準価格(価額)が低いのが割安だ」「基準価格(価額)が上がり続けているのが良い投資信託」結論から言いますと、そのようなことはありません。やさしく・詳しく見ていきましょう。投資信託の基準価格(価額)とは?どんな意味?上がる仕組みは?そもそも、投資信託の基準価格(価額)とは、どのような意味なのでしょうか。投資信託の基準価格(価額)とはいわゆるお値段のようなものです。投資信託の基準価格(価額)とは、いわゆるお値段という意味投資信託は「入れ物」のような存在です。国内外の株式や債券などの金融商品を「入れ物」に入れて、みんなでお金を出し合って購入する、というようなイメージです。これによって、個人でも少額で分散投資ができやすくなります。分散投資:投資対象を分散することで、分散していない状態よりもリスク(値動きの幅)を小さくすることが、誰にでも簡単にできる(自然に発生する)。ということは、この「入れ物」に入っている株式や債券などの金融商品の値動きが変動すると、投資信託のお値段である基準価格(価額)も変動する、ということになります。投資信託の基準価格(価額)はどう決まる?純資産総額÷口数=基準価格(価額)投資信託の基準価格(価額)は基本的に純資産総額÷口数で算出されます。純資産総額:投資信託のいまの価値のようなもの。「入れ物」に入っている金融商品の値動きによって変わる。口数:投資信託の受益権の単位。株式でいうと、一株に当たるイメージ。しかし、これは覚えなくても、理解していなくても特に運用や選び方には困りません。むしろ、これを難しく考えすぎて次のような誤解が生まれることの方が困ります。「基準価格(価額)が高い方がいい」「基準価格(価額)が低いのが割安だ」「基準価格(価額)が上がり続けているのが良い投資信託」これらについては、後半で解説します。ちなみに更新時間は当日ではなく、「入れ物」の中のお値段が確定した後日が一般的です。投資信託の基準価格(価額)が上がる仕組み投資信託の基準価格(価額)が上がる仕組みを身近な例で例えましょう。例えば、異なるアイドルユニットのコンサートチケットをカゴ(入れ物)に複数入れて、ネットオークション(市場)に出したとします。このように「入れ物」に複数の商品が入っているのが投資信託のイメージです。ネットオークション(市場)に公開されていますので、カゴ(入れ物)の価格は変動します。価格が上がる仕組みを見てみましょう。カゴ(入れ物)に入っているアイドルユニットの人気が全体的に上がれば値上がります(欲しい人が増えるため)。下がる仕組みも単純です。カゴ(入れ物)に入っているアイドルユニットの人気が全体的に下がれば、お値段は下がります(高いままだと買い手がつかないため)。仮に台風直撃(金融危機)などになればカゴ(入れ物)全体の価格は急落します。このようなイメージで投資信託の基準価格(価額)も中身の金融商品の値動きにより、変動していきます。ただ、前述のように分散してありますので、単品のアイドルユニットのチケットだけの値動きよりはマイルドになります(これが分散によりリスクが下がる、ということです)。投資信託の基準価格(価額)と手数料の関係は?投資信託の基準価格(価額)は、前述のような仕組みで上がったり・下がったりします。では、この基準価格(価額)からいつ手数料が引かれているのでしょうか?手数料:ここでは「持っている間」ずっと引かれていく「信託報酬」と呼ばれる手数料のことです。これは基準価格(価額)が更新されたときにはすでに引かれています。じつは、手数料がすでに引かれた状態が、私たちが目にする基準価格(価額)です。多くの人は「持っている間」ずっとかかる手数料については「お知らせ」が来ないので無頓着です。しかし、手数料は運用成果に直接関わる重要な問題です。投資信託の基準価格(価額)は分配金(株の配当のようなもの)が出るとどうなる?初心者の方に人気のある分配金ですが、これが出ると基準価格(価額)はどうなるのでしょうか?分配金:投資信託から受け取れるお金のこと。普通と特別の2種類がある。分配金が出ると、その分基準価格(価額)は下がります。つまり、その時点だけで見ると、損も得もしていません。非常に乱暴な表現をしますと、次のような感じです。Ⓐ分配金がない投資信:基準価格(価額)が1万円の場合→基準価格(価額)は1万円そのままですね。今度は分配金が百円あった場合です。Ⓑ分配金が百円の投資信託:基準価格(価額)が1万円の場合→分配後の基準価格(価額)は9900円分配金は百円合計は1万円このようになり、分配金「なし・あり」で全体的な金額は、この時点では、どちらも同じです。投資信託は分配金が出ないタイプの方が、長期では基準価格(価額)は大きくなりやすい?ただし、現実にはⒶの方が利益を内部で再投資するので雪だるま式にお金が大きくなりやすく、資産形成上は有利だと考えられます。一方、Ⓑの分配金がある方は、現実には利益としての分配金には税金がおよそ2割かかりますので、現実にはおよそ9980円となります。複利効果も得られず資産形成には不利だと考えられます。分配金が出ると、得をしたような気がするが、価値自体は得も損もしていない。税金と複利効果を考えると、分配金がないほうが有利。投資信託の基準価格(価額)は分配金の利回りの高さに影響する?また、分配金の利回りランキングなどで利回りが高いものが上位に上がることがあります。ただ、それらを見ると、基準価格(価額)が低いものが目立つことがあります。どうしてでしょうか?じつは、分配金の利回りは、基準価格(価額)が下がるほどに大きく「見える」という特徴があります。一例を挙げてみましょう。基準価格(価額)が1万円で分配金が百円→表面的な利回りは1%基準価格(価額)が5千円で分配金が百円→表面的な利回りは2%というように、基準価格(価額)が小さいほど、利回りが大きく「見える」ということになります。ただ、これは現実には、次第に私たちの出したお金が小さくなることを意味しています。資産運用で、ご自分の資産を次第に大きくしたい方にとっては、分配金の利回りが大きく「見える」ものに固執するのはよくありません。基準価格(価額)が小さくなるほど、分配金の利回りは大きく「見える」。しかし、特に意味はありません。投資信託の運用に基準価格(価額)は関係ある?高い方がいい?どう生かす?結論から言いますと、運用や投資信託選びにおいて基準価格(価額)はそれほど重要ではありません。それどころか投資信託の基準価格(価額)にとらわれ過ぎると、投資信託での資産運用が大変に間違った方向に行きやすくなります。わかりやすく見てみましょう。投資信託の基準価格(価額)と運用・選び方には基本的には関係がない下の図表をご覧ください。※図表は筆者作成時系列ごとに、同じ投資対象(例えば国内株式の市場平均に投資をする投資信託)が3種類あるとします。それぞれⒶⒷⒸです。中身は同じですが、それぞれ誕生した(設定された)時期が違います。そして、大切なのは、どれも基本的に1万円からスタートしている、ということです。投資信託の基準価格(価額)は高い方がいいは間違いな理由上記の図を見ると、「基準価格(価額)が高い方がいい」「基準価格(価額)が低いのが割安だ」「基準価格(価額)が上がり続けているのが良い投資信託」という考え方が誤りであることがわかります。わかりやすく解説します。まず、Ⓐは景気・株価が上がり始めてから誕生したので1万円から始まります。その後、Ⓑは景気・株価がかなり良い時期に生まれたのですが、やはり1万円から始まります。このとき、Ⓐは2万円で、Ⓑは1万円です。この時に、「ⒶとⒷどちらがお買い得か?」「どちらが優れているか?」と言われても、スタート時期が違うだけですので、「どっちでも一緒」と答えざるを得ません。しいて言えば手数料が低い方が「マシ」なだけです。投資信託の基準価格(価額)が低いのが割安だ、も間違い上記のような状況では、「いやいや、Ⓑの方が1万円で割安でしょう」と思われる人もいるかもしれません。しかし、そのようなことはありません。同じ種類のリンゴを1個1万円で買うのと、リンゴ2個を2万円で買うのと同じです。どちらを選んでも本質的には同じのと、一緒のようなものです。さらに時間が進み、景気が悪くなった場合に、Ⓒが生まれました。Ⓒはやはり1万円から始まります。このとき、Ⓐは0.7万円でⒷは0.3万円に基準価格(価額)が下がっています。この時に「ⒶとⒷとⒸどれがお買い得か?」「どれが優れているか?」と言われても、やはりスタート時期が異なるだけですので、「どれでも一緒」と答えざるを得ません。やはり、手数料が低い方が「マシ」なだけです。そして、上記のⒸが設定されたような時期になると、「基準価格(価額)が低いのが割安だ」と言っていた人々は「Ⓑは運用成績が悪いからダメだ。損切りだ」「ⒶよりⒷより、Ⓒが良い。乗り換えだ」などと思うかもしれません(先ほどの「低いのが割安」とは矛盾していますが、しばしば人はそう思います)。しかし、同じ中身(この場合は国内株の市場平均)なのですからどちらでも同じです。投資信託の基準価格(価額)が上がり続けることってある?また、ⒶⒷⒸいずれを保有していたにせよ、投資対象の値動きが悪くなってくると、「基準価格(価額)が上がり続けているのが良い投資信託」という勘違いもしがちです。仮にⒹのような値動きをする投資信託(対象が債券など)があったとします。※図表は筆者作成このとき、Ⓓはやはり1万円から始まります。そして、債券価格が上がっている状態などでは2万円になったとします。このとき、多くの人は近視眼的に「ⒶⒷⒸは下がっていてダメだが、Ⓓは上がり続けていて良い投資信託だ」と勘違いをしがちです。その結果、「よし、ⒶⒷⒸを売って、調子の良いⒹに買い替えよう」などと思ってしまいがちです。ただ、このような行動は単純に「高く買って・安く売る」という損をする行動を自ら実現しただけです。このように言語や図表で解説すると誰でも「高く買って・安く売る」のは「変な行動」だと思いますが、実際には「変な行動」に気が付かずに真面目に「変な行動」をしてしまうのが、普通の状態かもしれません。要注意です。投資信託の「基準価格(価額)は高い方がいい」は大間違い:まとめ投資信託の基準価格(価額)とは「入れ物」の中に入っている金融商品のお値段のようなもの投資信託の運用に、基本的に基準価格(価額)は関係ないのでとらわれ過ぎに注意!投資信託の基準価格(価額)が「安いのが割安」で「高いのが割高」ということではまったくない本記事では投資信託の基準価格(価額)について見てまいりました。本記事内で触れましたように、投資信託の基準価格(価額)にはそれほど大きな意味はありません。投資信託の運用で大切なのは、長期×分散×積み立て投資です。安い時ほど、損切りせずに「安く買う」ことが最終的に「高く売る(より現実的には取り崩すというニュアンスになるかと思います)」ことにつながるのではないでしょうか。
2019年03月22日本記事では投資信託の3種類の手数料と、それに対する「得するための初心者の方でもできる1ポイント」についてやさしく解説します。本記事の結論を先に言いますと、まず投資信託の手数料には「買う時・持っている間・売る時」の3種類があります。そして投資信託の手数料のポイントはたった一つ、低い方が良い、ということです。それではわかりやすく見てみましょう。投資信託の手数料3種類を解説します投資信託の手数料には、大きく次の3種類があります。買う時(購入時手数料)持っている間(信託報酬という名の手数料)売る時(信託財産留保額)どのようなものでしょうか。もう少し詳しく見てみましょう。1. 投資信託を購入する時にかかる手数料(購入時手数料)まず、投資信託を買う時には、購入時手数料と呼ばれる手数料がかかることがあります。下の図表は投資信託をわかりやすく図解したものです。左端にいる私たちがお金を出し合って、株式や債券などの入った投資信託(図の黄色い袋)を購入する、という図です。そして、先ほどの購入時手数料は、私たち投資家が投資信託を購入する際に、銀行や郵便局、証券会社の売り手側に支払うお金のことを指しています。これが購入時手数料です。購入時手数料とは、買う時に発生することのある手数料のこと。投資信託を買う時にかかるお金は売っている場所によって異なる?さて、まったく同様・あるいはほぼ同様の投資信託であっても、売っている場所によってこの購入時手数料が異なることがあります。なぜでしょうか?その理由を身近な例で言いますと、百貨店とネットでのお買い物のようなものです。例えば同じ商品であっても、百貨店では少し高いお値段がついていることがあります。また、同じ商品でも、ネットショップで買えば少し安い値段で買えることがあります。同じ、あるいはほぼ同様の投資信託であっても、売っている場所によって購入時手数料が異なることがある。②投資信託を購入後、運用してもらっている間にかかる手数料次に、投資信託を買って持っている間にかかる手数料について解説します。これは信託報酬と呼ばれます。上の図で言いますと黄色い袋の下にいる3人(現実には複数)の人々(機関)に支払うお金です。ザックリと言いますと、「企画する人・運用する人・管理する人」といったイメージの人々です。私たちは彼らに運用を任せているのですから、報酬(私たちにとっては手数料)を支払わなければなりません。それが信託報酬です。投資信託を運用してもらっている間にかかる手数料の平均は?一般的には、年率で0.1%程度から1.7%程度まで、持っている間にかかる手数料には幅があります。例えば、信託報酬が1.5%で、ずっとお値段が百万円の投資信託があった場合(現実には毎日変動する)、年間ではおよそ1万5千円の信託報酬がかかる、というイメージです。それでは平均ではどのくらいの信託報酬がかかるものでしょうか。見てみましょう。※図表は筆者作成参考:QUICK研究所調べ2018年2月末インデックス型投資信託:いわゆる市場平に連動するこ目標とした投資信託アクティブ型投資信託:いわゆる市場平均を超えることを目標とした投資信託③投資信託を売る時にかかる手数料また、売る時に信託財産留保額という手数料がかかることもあります。これは、投資信託を売ると、残っている投資家が不利益を被らないようにするための手数料と言われています。得する1ポイントレッスン!いくらが適切?高いのと無料、どっちが得する?ここまで「買う時・持っている間・売る時」の3種類の手数料について見てきました。それでは手数料で得する1ポイント解説です。結論から言いますと、手数料がいくら高くても、得をすることはありません。ですから、ゼロまたは低い方から選ぶことが得するポイントです。すなわち、投資信託の手数料で得をするためには、高いものを選ばずに「買うときは0・持っている間は0.3%以下・売る時は0」という点を守ることです。手数料で得する:より正確には、手数料は運用成績に寄与しないので得はしません。ここでは、高いものを選ぶより低いほうを選んだ方が計算上得をする、という意味合いです。投資信託の手数料で得する方法は?高いより低い方が良い理由手数料は上記で見ましたように、場所によっても異なりますし、投資信託の種類によっても、大きく違っていました。ただ、結論からいうと、手数料は高いより低い方を選ぶ方が得をしやすい、ということです。次のような観点で見ることが重要です。このようなものです。なぜでしょうか?投資信託の手数料は高いほどリターンを下げて儲からなくしてしまう?投資信託によくある誤解として、各種手数料が高いほどに良いことがありそう、という勘違いをしてしまうことです。しかし、現実には株価などの金融商品の値動きは法則性はありません。専門家の誰にも何を買えば良いのかがわからないのが現実です。また、投資信託は、投資信託という「入れ物」に複数の金融商品がたくさん入っていますので、テーマやジャンル、投資対象が同じようなものであれば、どれも似たような値動きになってきます。そして、手数料と国内外の株価・債券などの値動きは関連性がありません。そのため、投資信託に対して手数料が高いほど、実質的な運用成果を押し下げてしまうことになります。投資信託の手数料で実質リターンが下がる計算例住宅などを建てる場合は「コストをかければかけるほど」良い家ができます。しかし、資産運用(お金を増やす)においては、「手数料をかければかけるほど」私たちの実質的な運用成果は下がります。投資信託の手数料の計算式のイメージは次のようなものです。投資信託の成績 - 手数料=実質的な運用成果ちなみに、上記計算式の運用成果は、投資の世界では誰かが頑張っても意図的に上げることはできません。それは、投資信託を運用する専門家が優れていないのではなく、世界中の専門家が優れているからこそ、差が出せないと考えられます。一例を挙げましょう。投資信託の成績5% - 手数料0.5%=実質的な運用成果4.5%投資信託の成績5% - 手数料1.5%=実質的な運用成果3.5%このように、手数料が高いだけで運用成果が押し下げられます。投資信託の手数料で得するたった1つのポイント、それは手数料が低いものを選ぶこと。銀行や楽天証券・SBI証券などの販売会社で手数料は異なる?先ほども少し触れましたが、投資信託の各種手数料は、銀行・郵便局・楽天証券やSBI証券などの売る場所で異なることがあります。同様の投資信託であっても、異なることがあります。ただ、投資信託という「入れ物」の中身が同様であれば、どこで購入しても運用成績は基本的に同じようなものです。中身が同様:例えば、国内の株式が入っている投資信託なら、基本的に同じように値動きが推移します。手数料分だけ運用成績は押し下げられます。そのため、あくまでも理論上のお話ではありますが、投資の効率を突き詰めると、手数料の比較的高い銀行や郵便局は選択肢から外れます。手数料の安さを考えるなら、オンラインで売買ができるものが有利になると考えられます。投資信託にかかる手数料の目安おさらいでは、投資信託の手数料の目安をもう一度おさらいします。投資信託にかかる3種類の手数料とは?得する1ポイントレッスン:まとめ投資信託の手数料には「買う時・持っている間・売る時」の3種類がある投資信託の手数料の目安は「0・0.3%以下・0」手数料が高いほど、実質的なリターンが下がってしまう、ということを知らないままでは損しやすい本記事では投資信託の3種類の手数料と、それに対する得するための初心者の方でもできる1ポイントについて解説しました。おさらいをしますと、まず投資信託の手数料には「買う時・持っている間・売る時」の3種類がありました。そして投資信託の手数料の目安はたった一つ、低い方が良い、ということでした。初心者の方でも手数料を「0・0.3%・0」から選ぶと、高いものを選ぶよりは得をしやすくなりますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
2019年03月19日本記事では、投資信託のリスクや種類、その対処法についてわかりやすく解説します。結論から言いますと、投資信託のリスクとは、値動きの幅を指すことが一般的です。また、そのリスクの種類には、価格変動リスク・為替リスクなどがあります。それらリスクに対する対処方法は「分散」することです。値動きの異なる投資対象に分散投資をするだけで、初心者の方にも、プロにも、同じくリスクが下がるという「少し良いこと」が起こります。それでは、詳しく見てみましょう。投資におけるリスクとは?まず、リスクとは何でしょうか?日常生活においては、しばしば「危険性」などと表現されます。しかし、投資におけるリスクとは「標準偏差・リターンの散らばり・リターンのバラツキ」のことを意味します。標準偏差≒リスク:ここでの標準偏差とは、リターン(収益率)の散らばりのこと。1標準偏差・2標準偏差・3標準偏差とある(本記事においてはここはまだ理解しなくても構いません)。初心者の方にとって重要なことは、リターン(収益率)の散らばりがリスク(値動きの幅)であるということ。つまり、リスクはリターン(収益率)からできている。また、リターン(収益率)はリスク(値動きの幅)からできている、ということ。標準偏差というと難しい印象を抱きます。どういう内容でしょうか。私たちの日常生活の気温で例えると、リスク(値動きの幅)とは、気温の振れ幅のことです。寒い日・暑い日、色々とありますが、およそ統計的にはしばしばその範囲(振れ幅)に収まります。この温度の散らばりこそが投資で言うところのリスク(値動きの幅)です。そして、リターン(収益率)とは、気温でいうところの平均気温のようなものです。つまり、平均気温(投資でのリターン)は気温の振れ幅(投資でのリスク・値動きの幅)からできています。また、気温の振れ幅(投資でのリスク・値動きの幅)があるので、平均気温(投資でのリターン)が存在します。もちろん、気温と投資の値動きは異なりますが、初心者の方向けの最初の理解としては、このイメージをまずは持っておいていただければ話が分かりやすくなると思います。投資の世界では、リスクが大きいということは、短期的(1年間など)に見た場合、大きく損得する可能性がある、ということを意味しています。リスクとはマイナスだけでなく、プラスの振れ幅も指すことが一般的です。すなわち「リスクが大きい」ということは、「価格の振れ幅が大きい」ことを意味しています。ですから、短期的に見ると、大きく得をしたり、損をしたりすることも意味しています。リスクとは、値動きの振れ幅のこと。プラスになってもマイナスになっても、どちらもリスクと表現されることが一般的。投資信託のリスクの種類それでは、投資信託には、どのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。大きくは以下4つございます。順に詳しくみていきましょう。価格変動リスク金利変動リスク為替リスクカントリーリスク1. 価格変動リスク代表的なリスクとして挙げられるものが価格変動リスクです。これは、文字通り基準価額が変動するリスクを指しています。基準価額:いわゆる投資信託の価格のこと。投資信託という入れ物に入っている金融商品の値動きに応じて、基準価額も変動するつまり、投資信託を持つ(投資をする)ということは、元本保証ではなく、常に価格が変動し、元本が割れてしまう(損する)可能性を背負う、ということを意味しています。イヤなことに思えますが、イヤなことを背負うからこそ、リターンという見返りが得られるということです。これがリスクによってリターンが補償(保証ではない)される、という考え方です。そうでなければ、世界中の年金機構や金融機関の誰もリスクを背負わず投資などしないことになります。2. 金利変動リスク金利変動リスクとは、文字通り金利が変動してしまうことにより、価格が変動するリスクを指しています。金利とは、一般的には十年国債利回りを指します。乱暴に言いますと、金利が低いと、住宅ローンなどの借金がしやすいですし、高いと借金がしにくいものです。一例ですが、そんな金利が変化すると投資信託の価格はどうなるでしょうか?一般的には次のようになるだろうと考えられます(現実にはこの通りにならないこともあります)。※近年では、このようにはならず、債券も株式も同時に下がったり、上がったりすることもあります。金利が上昇すると、なぜ債権の価格が下落して、利回りが上昇すると考えられるのか?初心者の方には「なんでそうなるの?逆じゃないの?」という疑問が浮かぶかと思います。しかし、中身は簡単です。日常生活のお買い物で例えます。夕方のスーパーで出来立てのおいしいお惣菜が300円で売っています。その場合、誰でも前日に作られた売れ残りのお惣菜を同じ300円では買おうとしません。古いお惣菜を売るには、価格を下げないといけません。同様に、金利が上昇した世界では、新しい債券は普通のお値段で金利が高い状態です。その世界では、すでにあった債券は金利が低いので、そのままのお値段では売れません。そのため、金利が上がると価格は下落します。また、価格が下落するということは、(少し難しいですが分母が小さくなったので)金利が上がることになります。3. 為替リスク為替変動リスクというものもあります。これはどういうことでしょうか。一例ですが、私たちは日本に住んでいますので、日本円に換金して普段のお買い物をします。しかし、投資信託を通じて、海外の株式・債券などにも投資をすることができます。その際、私たちが投資をしたお金は、現地の通貨で働きます。ザックリ言うと、外貨で運用をしていることになります。ということは、それを円に換算した場合には、為替というものの影響を受けることになります。為替の話をすると、非常に難しくなりますので、話をシンプルにさせていただきます。ザックリ言うと、円安という状況になると有利になりやすく、円高という状況になると不利になりやすくなります。そのため、海外の株式や債券主体の投資信託(ファンド)自体の運用成績が良いとしても、大きく円高になっていると、全体ではマイナスになっていたりもします。これが為替リスクです。この「円安になるか、円高になるか?」というのは、未来のことなので分かりません。為替リスクの性質に関しては、丁半博打のように、「丁か半か」「円安か円高か」というどちらかの状況に賭けている面が強くなります。その為、為替リスクを背負う場合は、その点を理解して行うことが重要です。また、為替リスクを背負うなら、外貨預金などのように、生産に積極的に参加していない資産ではなく、外国株式・外国債券などのように、生産に積極的に参加している資産に投資を行うことも理論上は重要だと考えられます。4. カントリーリスクカントリーリスクとは、その国における出来事に対するリスクです。例えば、ある特定の国の株式や債券に投資をする投資信託があったとします。そうすると、その国の政情や自然災害・景気などの影響を大きく受けてしまいます。株式主体の投資信託のリスクは大きいけどそこが逆に利益(期待収益率)においては魅力的?投資信託においては、株式と債券の2種類がいわゆる「伝統的資産」です。この株式と債券は、どちらがリスク(値動きの幅)が大きいでしょうか。一般的には次のように考えられています。つまり、次のような認識が一般的です。株式主体の投資信託(ファンド)はハイリスク・ハイリターン債券主体の投資信託(ファンド)はローリスク・ローリターンただ、上記はあくまでも、一般的な株式と債券に対するザックリとした認識です。実際には、債券であっても、ハイリスクな投資対象ばかりを組み入れている投資信託もありますので、一概には言えません。国内株式・外国株式・国内債券・外国債券のそれぞれのリスクと利益(期待収益率)のイメージ図それぞれの資産クラスのリスクとリターンを大雑把にイメージ化すると、次の図表のようになります。資産クラス:国内株式・外国株式・国内債券・外国債券などのように、資産を組み分けしたもの。投資信託での投資を考える際は、この資産クラスをどのように組み合わせるかがとても重要だと考えられる。ちなみに、資産クラスの組み合わせにより、運用成果の8割が決まる、とも言われている。※図表はあくまでもイメージです。この図からも見て取れるように、おおむねリスクとリターンは比例すると、考えられています。※必ずいつでも比例するわけではありません。初心者の方でも簡単にできる、投資信託のリスクの対処方法は【リスク分散】このように、魅力的な投資信託であっても、常にリスク(値動きの幅)があります。ただ、できればリスクは小さくしたいものです。どのようにしたらリスクを小さくできて効率の良い投資になるでしょうか。効率の良い投資:一般的に同じリスク(値動きの幅)なら、期待リターン(将来の期待収益率)が大きい方が効率が良い投資と捉えられる。しかし、投資のリターンは未来のことなので、そもそもの数字があまりあてにならないと考えられる。過信は禁物。投資の非市場リスクは、分散することで簡単に初心者でも低減できる【リスク分散】じつは、投資におけるリスク(値動きの幅)は、初心者の方でも簡単に小さくできます。その方法は投資対象を「分散」する「だけ」で良いのです。つまり、分散投資をする「だけ」でリスク(値動きの幅)が小さくなります。なぜでしょうか?例えばコンビニエンスストアです。もしもコンビニで「食パン」しか売っていないと、売り上げはどうなるでしょうか?一般的に夏は食パンが売れませんので、夏には売り上げが小さくなり、冬には上がります。投資でいうところの値動きの幅(リスク)(この場合は売り上げの幅)が大きい状態です。リスク(値動きの幅)を小さくするにはどうしたらいいでしょうか?答えは、「サンドイッチを置けばいい」です。つまり、対象を分散したのですね。こうすることで、夏と冬との売り上げ差が小さくなりました。つまりリスク(値動きの幅)が小さくなりました。※図表は筆者作成さらに小さくするにはどうしたらいいでしょうか?答えは、「文房具・乾電池・肉まん・ジュース・おでん・お茶・ストッキング・ライター・雑誌などなど、とにかく品数を増やせばいい」だけです。こうすることで、年間を通じての売り上げ差、つまりリスク(値動きの幅)を小さくすることができます。すなわち、投資の場合も同様です。投資対象を分散する「だけ」で初心者の方でもリスク(値動きの幅)を小さくできます。そして、投資信託は、それ自体が一軒のコンビニのようにあらかじめ分散されている存在です。ということは、後はカンタンですね。理論上は、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券などの資産クラスが異なる4種類程度に分散投資をすると、リスク(値動きの幅)がより小さくなることになります。コンビニでいうと、地域の違う4店舗のコンビニオーナーになるイメージです。ただ、どんなに分散をしても、リスク(値動きの幅)は残ります。台風(金融危機)が来れば、どこのコンビニの売り上げも下がります。こればかりはどうしようもありません。ただ、分散していないよりは被害が小さくなります。リスクに対する対処方法:投資対象を分散するだけでリスク(値動きの幅)は下がる。この点において初心者とプロの差はない。また、プロが運用して効率よく分散投資をしてくれている金融商品、それこそが投資信託。投資信託での投資では初心者でも長期保有が重要このように、投資信託で投資を行えば、初心者の方でも簡単にリスクを小さくすることができます。しかし、どの投資信託でも同様ですが、短期間(1年や5年程度の短期間内)に投資信託を売買した場合には、この分散によるリスク低減効果があまり望めないこともあります。そのため、投資信託では長期保有が重要です。この長期という期間は、20年30年、あるいは一生涯という長い期間です。つまり、長期保有とは短期間のリスク(値動きの幅)で利益を得る投資スタイルではありません。長期的にリスク(値動きの幅)を背負うことで、期待リターン(将来の期待収益率)を追うものです。ただ、それでも確実にうまく行く、という保証はありません。投資信託のリスクまとめ投資信託のリスクとは、値動きの幅のことを指すことが一般的「どうでもいいリスク」は「分散」するだけで、誰でも簡単に打ち消せるから、「どうでもいいリスク」は背負わない方が良い理論上は分散するとリスク(値動きの幅)は低減できるけど、短期では丁半博打になるので「長期×分散×積み立て」が大切本記事では、投資信託のリスクとはどのようなものなのか、種類や対処方法について見てみました。おさらいですが、リスクとは値動きの幅からできています。つまり、リスクはリターンのバラツキ(散らばり)からできています。これを難しく言うと標準偏差と言いました。投資信託のリスクには、いろいろありますが、基本的には諸要因によって価格が変動する幅のことです。債券主体の投資信託よりも株式主体の投資信託の方がリスクは高い傾向にあります。そして、リスクとリターンはおおむね比例すると考えられます。そして、効率の良い投資を求めると、投資対象を分散することが重要でした。それは、分散するとリスク(値動きの幅)が小さくなるからです。初心者の方でも専門家でも、同様のことが起こります。そして、あらかじめある程度分散投資がされている金融商品が投資信託です。リスク(値動きの幅)は普段、頭ごなしに嫌われる存在だと思います。ですが、その中身をよく見てみると、意外な姿だったのではないでしょうか。リスクと仲良くなって、きちんと理解をしてあげると、新しい気づきがあるかもしれません。
2019年03月12日本記事では、「投資信託の分配金とは?」「分配金の種類(普通分配金・特別分配金)」「分配金の受け取り方法(受け取りコース・再投資コース)のメリット・デメリット」そして「受取と再投資、どちらを選ぶのが得?」という点について、わかりやすく解説していきます。先に結論を記します。現役時代の資産形成期には再投資が重要と考えられる毎月分配型は理論上は資産形成において不利と考えられる一体、どういうことでしょうか。なんだか、意外な気もします。その理由をわかりやすく解説します。投資信託(ファンド)の分配金とは?2種類の分配金について、基本をわかりやすく解説します投資信託(ファンド)とは様々な金融商品を入れることができる、入れ物のようなものです。私たちは投資信託を通して、誰でも簡単に少額から分散投資をすることができます。そして、投資信託の中身の金融商品によっては、分配金と呼ばれるお金が受け取れることがあります。投資信託によっては、分配金と呼ばれるお金が受け取れるものがある投資信託(ファンド)の分配金の種類は、普通分配金と特別分配金の2種類。見方をわかりやすく解説この、投資信託(ファンド)の分配金には以下の2種類があります。普通分配金特別分配金(元本払戻金)お金が受け取れるのですから、どちらでもとてもうれしい気がします。それぞれどのようなものでしょうか。詳しく見てみましょう。分配金には「普通」と「特別」の2種類がある投資信託の普通分配金。利益だから基本的に税金がおよそ20%かかりますまず、普通分配金です。これは私たちにとっては「利益」にあたります。どのような時に受け取れるのでしょうか?例えば、投資信託(ファンド)の運用成績が良い時には利益としての普通分配金が受け取れます。利益ですから、基本的に税金がかかります。20.315%かかります。例えば、1万円の普通分配金が出たなら、税金としておよそ2031円引かれるのですね。そして、私たちの手元に受け取れるお金(手数料(コスト)など無視)はおよそ7969円です。これは、利益ですから仕方がありません。ちなみに税制優遇されているiDeCo(イデコ)やつみたてNISAでは基本的に非課税です。iDeCo(イデコ)とは?わかりやすく簡単に解説!知って得する税制優遇制度!投資信託の「特別分配金」は手数料(コスト)の高いATM?では、もう一つの特別分配金とは、どのようなものでしょうか。iDeCo(イデコ)とは?わかりやすく簡単に解説!知って得する税制優遇制度!「特別」とついていますので、なんとなく良いイメージを抱きがちですが、そうではありません。特別分配金は別名「元本払戻金(がんぽんはらいもどしきん)」と呼ばれています。何でしょうか。それはつまり、「私たちの出したお金(元本)が払い戻されるだけ」のお金なのです。利益ではありません。利益ではないのですから、当然ながら税金もかかりません。この特別分配金(元本払戻金)について、以下のように勘違いをすることが良くあります。税金がかからなくてラッキー(毎月分配型などの場合)毎月お金がもらえてお徳だこれは本当にそうでしょうか。例えば、銀行預金なら、税金はもちろん、手数料もかからずに自分のお金を引き出すことができます。しかし、投資信託では、毎日「信託報酬と呼ばれる手数料(コスト)」が発生しています。つまり、高い手数料を支払いながら自分のお金を引き出しているATM状態、によく似ています。とてもお得とは思えません。特別分配金(元本払戻金)は、一見するとお得な気がしますが、意味はありません。むしろ、元本が痩せやすい種類ですので、注意が必要です。投資信託の分配金の受け取り方法2種類(受け取りコース・再投資コース)メリット・デメリットを解説&比較今度は、投資信託の分配金の受け取り方法について見てみましょう。分配金の設定がある投資信託の場合、分配金の受け取り方法を選択できる場合があります。分配金の設定がある投資信託:分配金の設定がない投資信託もあります。本記事では、次の2種類について見てみます。分配金受け取りコース分配金再投資コースなんとなく直感的には「受け取りコース」の方がお得感が感じられるかもしれません。それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。分配金受取コースとは?投資信託の分配金受け取りコースとは、文字通り分配金を受け取る方式です。メリット目先の利益が手に入る(普通分配金の場合)デメリット分配金を受け取るたびに、基準価額が下がる(資産が痩せていき、複利効果を活かした資産形成になりにくい)特別分配金(元本払戻金)の場合、高い手数料を支払って、自分のお金を受け取っただけになる(やはり資産が痩せる)基準価額:いわゆる投資信託の価格のこと。例えば、基準価額1万円の投資信託があり、分配金を100円出したとする。基準価額は9900円になる。投資家のその時点の総額は、分配後の基準価額9900円+普通分配金100円=分配前の基準価額1万円となり、ここだけ見ると、得も損もしていない。しかし、多くの人は分配金を受け取ると「得をしたような気持ち」になりやすい。上記のように、分配金と分配後の基準価額の総額は分配前の基準価額と同様であり、基本的に損得をしていません。しかし、このように、「分配金」というお金の名前がついてしまうと、人は「まるで違うお金・得をした」と感じてしまいやすくなります。行動経済学ではメンタル・アカウンティング(心の会計)などと呼ばれます。メンタル・アカウンティング:例えば、初めてのアルバイトで手にした1万円と、重役になってから手に入れたお給料の中の1万円では、重みが違うように感じる。しかし、両者はあくまで同じ1万円であり、その人がお金に色(想い)を付けただけに過ぎない。分配金再投資コースとは?投資信託の分配金再投資コースについて見てみましょう。こちらは、分配金が出た場合、同じ投資信託に再投資をしてくれるものです。メリット:複利効果が働きやすくなる(お金を大きくしやすくなる効果が見込める)デメリット:普通分配金の場合、利益なので税金がかかる特に重要なのが、複利効果が働きやすくなる、ということです。どういうことでしょうか。これはつまり、お金を雪だるま式に増やす形式ですよ、ということです。20年、40年などの長期での資産形成を行う場合は、とても重要な考え方です。分配金再投資コースを選ぶなら、内部で自動的に再投資してくれる投資信託を選んだ方がお得?上記のように、分配金再投資コースを選ぶということは、複利効果を得やすくする、というものです。しかし、分配金再投資コースでは、一度外部に利益を支払った形になりますので税金がおよそ20%もかかります。合理的に考えるのであれば、税金が2割も引かれた状態で再投資をするのは、効率が悪いことです。それなら、分配金の設定がない投資信託(内部で自動的に再投してくれる)を選択しておけば、2割もの税金を引かれることなく、より効率的に資産形成ができます。ちなみにiDeCo(イデコ)と呼ばれる税制優遇制度で投資信託を買えば、分配金などの利益は自動で再投資してくれます。これが複利効果を発揮するには一番有利です。つまり、理論上はお金をもっとも大きくしやすい、ということです。投資信託の分配金の2種類のメリット・デメリットまとめ少し難しくなってきましたので、まとめておきましょう。分配金の受け取り方法とは異なりますが、分配金のない(内部で再投資をしてくれる)投資信託も比較のため、まとめます。資産運用では、「効率の良い・悪い」「合理的・非合理的」というレベルでの差はありますが、どの方法が良いかというのは、個人が好きなように決められます。ただ、それでも理論上、効率の良いものはどのようなものだと考えられるのか、について知っておくと良いかもしれません。結局、投資信託の分配金は「受取と再投資」どちらを選ぶのが得?それでは、投資信託の分配金に関しては「受け取りと再投資」、理論上はどちらが良いのでしょうか。結論から言いますと、再投資コースが、資産形成においては有利だと考えられます。どうしてでしょうか。投資信託での資産形成の方法は、ニワトリたちを増やすのと同じ?少し、話がそれるように感じるかもしませんが、あなたがニワトリをたくさん買っているとします。あなたは、ニワトリが大好きなので、たくさん増やさないといけません。次のうち、どちらがより効率よくニワトリを増やせるでしょうか?ニワトリが産んだ卵を片っ端から食べるニワトリが産んだ卵を孵化させて、大きく育てる正解は2ですね。話を資産運用に戻します。1は「受け取り」です。そして、2が「再投資」です。資産形成においては「再投資」が効率が良いと考えられる。投資信託の分配金に対しては双曲割引が働くので、分配金を受け取りたくなるのは自然なこと。しかし、お金は増えにくい単純なお話ですが、理論上は、利益を再投資して長期(数十年)でお金を大きくした方が有利になりやすくなります。しかし、私たちはついつい、双曲割引が働き、目先の利益である分配金を受け取りたくなります。双曲割引:近いものは、遠くの魅力的なモノよりも、より魅力的に見えやすい現象。例えば、ダイエットや適度な運動をすれば将来的に健康に過ごせるのは、頭では分かっている。しかし、目の前のお菓子の誘惑には勝てない、のと同じこと。資産運用でも、再投資をした将来の大きなお金よりも、目先の分配金を受け取る誘惑に負けてしまいやすい。毎月分配型投資信託は資産形成においては手数料も高くて不利になる?また、投資信託の中には、毎月分配型投資信託というものもあります。文字通り、毎月、分配金(普通・特別)が受け取れる種類のものです。前述の双曲割引がありますので、多くの人はこのタイプが魅力的に思えます。しかし、ここまで見てきましたように、複利効果がうまく発揮できません。ニワトリで例えると、ニワトリが少なくなるので増えにくい、ということです。金融庁の方からも、以下のように情報を発信しています。分配金を出している投資信託の場合、元本の払戻し(特別分配金の支払い)や運用成果の悪化により基準価額が下がると、分配金利回りが上昇することになる。このように、分配金利回りランキングの上位は、必ずしも運用成果の良い投資信託とは限らない。毎月分配型投資信託は、分配頻度の少ない投資信託よりも、信託報酬が高くなる場合があるほか、毎月分配型投資信託を再投資した場合、分配金にかかる税金の分、複利効果が悪くなる。出典:金融庁 平成27事務年度金融レポート投資信託の分配金の仕組み:まとめ投資信託の分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があるじつは特別分配金はもらうだけ損になりやすい受取と再投資、選ぶなら理論上は再投資の方が合理的今回は、投資信託の分配金の仕組み・受け取り・再投資などについて見てみました。また、直感的に考えた場合と、理論的に考えた場合では、多くの人にとっては正解が異なることになることもしばしばあります。結局のところ、選ぶのは投資家自身です。しかし、ほんの少しの考え方の差が、長期投資では大きな差になることがあります。納得のいくまでじっくりと考えても良いポイントかもしれません。
2019年03月10日本記事では、投資初心者の方に向けた、投資信託の始め方と、おすすめファンドの選び方をわかりやすく解説します。投資信託とファンド:投資信託とは、複数の金融商品が入った分散投資に適した金融商品のこと。投資信託のことをファンドと呼ぶこともある。広義のファンドとは運用する機関などを指すこともあるが、本記事内では、投資信託=ファンドとする。結論を先に言いますと、投資信託初心者の方に気を付けていただきたいおすすめファンドの選び方・見方は以下の4点です。よくわからないものは無視する長期投資では株式主体にするコストが0.3%より高いものは選ばないインデックス型投資信託を選ぶそれでは、詳しく見ていきましょう。そもそも、投資信託とは?わかりやすく簡単に解説しますまず、投資信託とはザックリ言うと「みんなでお金を出し合って、運用は運用者に任せる」という金融商品です。みんなでお金を出し合いますので、投資信託を利用すると、少額でも投資を行うことができます。現在では、百円から世界数十か国の数千の株式や債券に分散投資をすることもできます。投資信託の仕組み:運用者はファンドマネージャーと呼ばれる、個人やチームを指すことが一般的。その他に、販売・企画する機関や財産を分別管理する信託銀行などが投資信託を構成している。投資信託をさらに簡単に言うと「なんでも包める風呂敷」みたいなものさらに投資信託をイメージ的に表現します。投資信託とは、大きな風呂敷の中に複数の金融商品を入れたようなものです。投資信託とは、分散投資に適した金融商品投資信託について、よりわかりやすく詳細に記した記事は、こちらです。ご興味のある方はご一読いただければ幸いです。投資信託に関する大切なメリット・デメリットについてわかりやすく解説しています。投資信託と株式投資との違いをわかりやすく解説します投資信託を行ったことがない初心者の方の頭の中に浮かぶ疑問としては「投資信託は株式投資や債券投資とは別物なの?」という疑問ではないでしょうか。この疑問の答えは、「イエスでもあり、ノーでもある」です。どういうことでしょうか。投資信託は前記の通り、イメージ的には大きな風呂敷の中に複数の金融商品を入れたようなものです。ですので、株式ばっかりをたくさん入れることもできます。もし、個人投資家(私たち)がその「株式ばっかり入った投資信託」を買えば、それは投資信託で株式投資をしていることになります。また、債券ばっかりをたくさん入れることもできます。それを買えば、私たちは投資信託で債券投資をしていることになります。その他にも、不動産投資をすることもできますし、金(ゴールド)投資を行うこともできます。さらにそれ以外にも、海外の株式・債券・不動産などにも誰でも手軽に分散投資が少額からできます。別の言い方をしますと「投資信託という中身の金融商品はなく、投資信託は、いろいろな投資商品を包み込める入れ物」という言い方もできます。投資信託と使うと、株式投資や債券投資ができる。しかも、合理的に分散投資した状態で行える。投資信託の始め方を3ステップで説明それでは、投資信託の始め方をわかりやすく3ステップで見ていきましょう。証券会社に口座を開く自分の口座にお金を入れる投資信託を選んで、買う1. 証券会社に口座を開く最初のステップは、証券会社に投資用のあなた専用の口座を開くことです。証券会社:銀行や郵便局や、対面形式の証券会社もある。しかし、これらは一般的に人件費や家賃が高いため、自然と私たちが負担する手数料(コスト)が高くなりがち。手数料(コスト)が高いと、その分だけ運用成績が押し下げられる。そのため、手数料(コスト)の低い大手のオンライン証券会社を選ぶことが、理論上は望ましいと考えられる。この口座は、投資信託を買うための「お財布」のようなものです。お財布ですから、その口座にお金がないと、基本的に投資信託を買うことができません。現在では、インターネット上で口座開設のための資料請求ができます。届いた資料に記入などして、必要書類とともに返送すると、口座を開設できることが一般的です(証券会社により異なります)。また、残念ながら特定の○○証券で買えばいわゆる「平均」を上回るスゴイ成績が出せる、ということはありません。証券会社はオンライン証券会社が手数料(コスト)が安い傾向にあり、結果としてお得になりやすい。2. 自分の口座にお金を入金する証券会社などの自分専用の口座が開設できたら、お金を入金します。基本的にこの入金したお金の範囲内で取引を行います。現物取引などと呼ばれます。入金額は少額でも問題ありません。投資初心者の方こそ、最初のうちは数百円などの少額で行ってみるのが良いでしょう。金額が高額でも少額でも、金融商品の値動きのパーセンテージ(%)は変わりません。つまり、少額でも高額の投資と同じ経験を積むことができます。これを保有効果と言います。保有効果:行動経済学などでは、自分の持ち物は価値が高い、などと感じてしまう効果を指す用語。しかし、同じ用語で「投資信託などを持っているだけでも、経験がたまり、理解が深まること」などを表すこともある。一例:アイドルの曲を聴いていると、自然と生活の中でもアイドルの情報が入ってきて、いつの間にかメンバーの詳しい情報が頭の中に入っている。投資においても同様で、少額でも投資をしていると、自然と金融知識が増えやすくなる傾向にある。3. 投資信託を選んで買うお金が入金できたら、投資信託を購入することができます。購入したい銘柄(ファンド)を選んで、投資信託を購入します。もちろん売ることもできます。投資全般に言えることですが、基本的に利益を上げるには「安く買って、高く売る」ことが重要です。その差益が売却益となります。投資信託を始めたい、初心者でもできる、投資信託(ファンド)の見方・選び方を説明しますそれでは、初心者の方にもわかりやすい投資信託(ファンド)の見方・選び方を見てみましょう。初心者の方に気を付けていただきたい、投資信託の見方・選び方結論を先に言いますと、以下の4点です。よくわからないものは無視する長期投資では株式主体にするコストが0.3%以下より選ぶインデックス型投資信託を選ぶ1. よくわからないものは選ばない投資信託は国内だけでも五千本とも六千本ともいわれる商品数があります。これだけあると目を通すだけでも一苦労です。しかも、名前もカッコいいものやら、星(☆)がたくさんついているものなどたくさんあり、思わず目移りしてしまいます。しかし、どのように名前がカッコよくても、星がたくさんついていても、ランキングが上位でも、前年(または過去)の運用成績が良くても、それらはじつは、あてになりません。また、どれを買っても、長期的に見れば「ほぼ確実に買った時よりも値下がりする時がくる」のが普通です。その時に慌てて売ると、「高く買ったものを安く売る」という損をする行動に結びつきます。大事なのは中身です。普段の私たちの洋服選びと同じ感覚で良いのです。大切なのは、中身です。誰だって、洋服を買う時に、黒い袋の中に入っているサイズや色、デザインが不明の謎の服を買う人はいませんよね。もし、中身が「よくわからない」ものがあったら、それらは「全て無視」して構いません。まずはこれを覚えておいてください。中身がよくわからないものは選ばなくていい。焦って買う必要はどこにもない。焦って「買いたい」という気持ちが強い場合は、心理的にバイアス(歪み)が生じていて損をしやすい行動をとりやすいので、いったん落ち着きましょう。投資信託のリスクとは?初心者の方にも分かりやすく投資信託は、基本的に「どれを買ってもいつか損する時はきます」という金融商品です。このようにいうと、驚かれるかもしれませんが、そういうものです。損をしている状態、買った時よりも値下がりしている状態を「含み損」と言います。これは、どのような投資信託を買っても、基本的に「いつか必ず含み損」になる時が来ます。これを価格変動リスクと言います。もちろん、値上がりした状態「含み益」にもなります。一般的に、リターンが高い投資信託ほど、この価格変動リスクは大きいです。投資の世界では、基本的にリスクとリターンはおおむね比例する2. 長期でできる人はリスクが高い株式主体にする投資信託を買う目的は何でしょうか?それは、資産形成のためです。そして資産を形成するためには、リターンとリスクの大きな金融商品を長期で保有することが理論上は大切です。リターン:収益率ともいう。未来のことは分からないので、投資の場合は「期待リターン」と呼ばれることも一般的。基本的に「期待リターン」は未来のことなのであまりあてにならない。過信には注意。では、リターンとリスクが大きい金融商品とは何でしょうか。それは株式です。参考文献:「敗者のゲーム原著第6版」チャールズ・エリス著上記の表を見てみますと、およそ86年間での年率リターンでは、リスクの高い株式の方が高くなっています。そのため、ここだけを見ると、長期投資ができる人にとっては、リスクとリターンはおおむね比例すると考えられるので、株式を保有することが重要だ、と考えられます。しかし、現実的には、すべての人が長期投資ができるとは言えません。そのため「近々お金が必要だ」という人は預貯金を重視すべきです。また、「大きく減るのはイヤだし、お金を将来あまり大きくしたくない」という人がいた場合には債券の比率を増やすことも選択肢として挙げられます。しかし、20年間や40年間など、いますぐ使わないお金がある場合は、できるだけ大きくした方が良いのではないか、と合理的な投資では考えることもできます。ちなみに「つみたてNISA」と呼ばれる投資制度では、基本的に株式主体の投資信託しかありません(一部バランス型あり)。この理由をじっくり考えてみることが、長期投資では重要ではないでしょうか。長期間投資ができる人にとっては、ハイリスク・ハイリターンの株式が効率が良いと考えられる。しかし、実際には、人によりやはり異なる。投資信託は貯金代わりになる?ならない?投資信託は価格変動リスクがあります。そのため、投資信託は貯金代わりになりません。投資信託を貯金として使うのは、あまり合理的とは言えないかもしれません。資産が減ると困る人は、安全資産(預貯金・個人向け国債)をメインに考えることが重要です。3. 手数料(コスト)が高いものは選ばない投資信託には、手数料(コスト)がかかります。とりわけ、信託報酬と呼ばれる手数料(コスト)は0.3%以下から選ぶことが重要です。その理由は、手数料(コスト)は、運用成果に寄与しないからです。投資信託は複数の金融商品を入れているものですから、投資初心者の方からすると手数料(コスト)が高いということは、特別な運用をしているのだから、その手数料(コスト)分だけ、運用成績が良いだろうという誤解をしてしまいがちです。しかし、現代の市場では手数料(コスト)をかけると、その分だけマイナスになってしまうだろうと考えられます。その理由は、どの金融機関の運用者も賢いからです。全員が賢い世界では、コストを多くかけた方が不利になってしまいます。信託報酬と呼ばれる手数料(コスト)は0.3%以下から選ぶ投資信託の2つの種類、アクティブ型とインデックス型投資信託には大きく分けて2種類があります。スタイル内容コスト現実の運用成果アクティブ型投資信託市場平均を超えることを目標とする高い傾向連続しては市場平均を上回りにくいインデックス型投資信託市場平均と連動することを目標とする低い傾向コスト分だけ市場平均を下回る非常に乱暴に書きますと、この2種類です。アクティブ型とインデックス型、どちらが良いと思いますか?4. インデックス型を選ぶ初心者・プロ問わず、投資信託を選ぶ際には、インデックス型投資信託を選ぶことが合理的だと考えられます。インデックス型投資信託:大きな風呂敷に「市場の平均」を入れたようなイメージの投資信託。これを選ぶことで、市場平均に投資をしたのと同じような効果が得られる。ただし、手数料(コスト)分だけ市場平均を下回る。投資初心者の方が前記の表を見ると、「アクティブ型投資信託と呼ばれるものが、市場平均を超えるし、手数料(コスト)も高いし、良さそうだ」とやはり誤解をしがちです。しかし、現代の市場では金融機関などのいわゆるプロ(おりこうさん)が9割のお金を運用している、と言われています。結論から言えば、「市場平均」と呼ばれるものは「世界中のお金のプロが知恵を出し尽くした結果」と酷似しています。別の言い方をすれば、「アクティブ型の(効率的な)平均、かつコストが低いもの、それがインデックス型」です。ですから、長期間投資を行い、資産形成を合理的に行うには、コストが安く、アクティブ型の(大変に効率的な)市場平均である、インデックス型投資信託を選ぶことが重要です。理論上合理的だと思われる投資対象はインデックス型投資信託。それはアクティブ型が優れていればいるほどに、効率的になる存在。初心者向けの投資信託の運用のコツは?それでは、投資信託の初心者(そしてプロでも)おすすめの運用のコツをわかりやすく見てみましょう。投資額は毎月、少額でも良い。資産形成のカギは「長期×分散×積み立て」まず、積み立て投資が合理的です。じつは、プロでも投資のタイミングは読めないからです。そして、投資対象を世界中に分散します。これがいまでは数百円から誰でもできます。そして、投資期間は1年や2年ではありません。20年・30年という長期で行うことが重要です。その理由は、1年や2年では、どのように分散投資をしても「丁か半か」のように、値動きが投機的になってしまうからです。木を育てるように、長く大きな目で見守ります。短期的に見れば、木は冬には枯れます。しかし、枯れたときに「この木はダメな木だった」と言って、伐採しては元も子もありません。投資信託も同様です。価格変動リスクや景気の良し悪しがありますので、冬に木が枯れるように、ほぼ確実に元本割れします。その時に「これはダメな投資信託だった」と言って売却すると、含み損が現実の損になります。これでは、いつまでたっても資産運用は合理的になりません。資産形成で重要なのは、長期×分散×積み立て。株価などが低い時にも、積み立て投資に徹することが、「安く買う」ことにつながり、資産形成においては重要。むしろ、株価などが上がっている状態では収益率が下がる要因になるので、イヤな気持ちになってもおかしくないのだが、そのような合理的な人は稀有な存在。多くの人は株価などが下がると(収益率が上がるにも関わらず)イヤな気持ちになって売りたくなる、という不思議な性質が私たち人間には備わっている。心のエラーに要注意。投資信託では、ほったらかしが多くの人にとってはより良い成績になりやすいそして、意外かもしれませんが、統計的なデータを見ますと、「ほったらかし」にした方が運用成績が良くなる傾向にあります。この理由は、先ほども触れましたが「プロでもタイミングが分からない」からです。そうである以上、プロの英知の結晶である市場平均の入ったインデックス型投資信託を「ほったらかし」にすることこそが多くの人にとっては重要です。ほったらかし運用:いわゆる積み立てるだけの投資。買うだけで売らない。売る(取り崩す)のは、老後などの「お金が要る時」だけというもの。投資信託の始め方やおすすめファンドの選び方:まとめ初心者の方の投資信託の始め方:まずは証券会社に口座を開設するおすすめファンドの選び方は4ポイント①良く分からないものは無視②長期では株式型重視③コストが安い④インデックス型であること投資信託の運用のコツは「ほったらかし」でなにもしないこと本記事では、投資信託の始め方やおすすめファンドの選び方について初心者の方にもわかりやすいように解説をしてみました。資産形成や資産運用というと、大変に難しいという印象を抱かれるかもしれません。しかし、ポイントだけを抑えれば、中身は非常にシンプルになっていきます。それは、世界中の金融機関・ファンドマネージャーなどの「お金のプロ」が優秀だからです。私たちは、そんな彼らの知恵を低い手数料(コスト)で拝借することができます。そして、運用方法自体も、彼らが素晴らしいからこそ、シンプルな「ほったらかし」へとなっていくものです。資産運用はポイントをしっかりと押さえておけば、未来のあなたを助ける心強い存在になるかもしれません。
2019年03月09日投資信託とは金融商品の一種です。投資信託のことをファンドなどと呼んだりもします。元本は確保されていません。つまり、損をする可能性があります。投資信託とファンド:広い意味では、ファンドとは運用する金融機関などを指す場合にも使われる。本記事ではファンドとは投資信託のことを指す。損をする可能性:基本的にどの投資信託を選んでも、損をする可能性がある。何を選んでも、ずっと運用成績が良い、ということはない。投資信託の大まかな仕組みを言葉で表すと、次のようなものです。投資信託は、多数の投資家から資金を集め、第三者である専門家がその資金を運用・管理し、その運用による利益を出資割合に応じて投資家に還元する仕組みである。出典:金融商品ガイドブック2018年度版投資信託とは何かをかみ砕いて言いますと、「みんなから集めたお金をプロが運用する」わけですね。そして、景気が良かった場合などには、利益をくれることがある、というものです(分配金の設定がない投資信託もあります。この場合は最終的な売却差益が利益となります)。投資信託とは?その意味をもう少しわかりやすく説明しますそれでは、もう少しわかりやすく投資信託とは何か、について見てみましょう。投資信託を大変に乱暴にイメージで表現しますと「大きな風呂敷」のようなものです。投資信託とは「大きな風呂敷」ですから、いろいろなものを包むことができます。日本国内の二千社程度の株式や、日本国内の1万種類程度の債券すらも投資信託という「大きな風呂敷」に入れることができます。一例ですが、日本国内の株式を入れた投資信託なら「国内株式の投資信託」と呼ばれます。また、日本国内の債券を入れた投資信託なら「国内債券の投資信託」と呼ばれます。株式と債券:どちらも私たちが購入することで、いわゆる「会社にお金を働きに出す」ことができる仕組み。一般的に投資の「伝統的資産」とは株式と債券の2種類を指すことが多い。その他の「代替資産」には不動産・金(ゴールド)・商品(石油や大豆)などがある。筆者はしばしば「株式と投資信託とは違うものですよね?」という質問をいただきますが、このように、同じものもありますし、違うものもあります。まだ少しわかりづらいですね。さらにかみ砕いていきましょう。投資信託とは?何でも入れられる便利な風呂敷このように投資信託という「大きな風呂敷」には、たくさんの金融商品を入れられます。そのため、「投資信託とは?」という質問には色々な答え方をすることができます。つまり、投資信託を購入することで、株式投資もできれば、債券投資もできる、さらには金投資や不動産投資できる、ということになります。もちろん、海外の株式・債券・不動産などにも投資ができます。また、種類も様々なモノがあります。ほんの少しですが、一例を挙げてみましょう。※表は筆者作成名称中身・スタイル・特徴インデックス型投資信託市場の平均に連動することを目指すものアクティブ型投資信託市場の平均を超えることを目指すものターゲットイヤー型投資信託退職時期などに合わせて運用が変化するものバランス型投資信託国内外の株式・債券など複数の「資産群」が入っているもの毎月分配型投資信託分配金と呼ばれるお金が毎月受け取れるもの上場投資信託(ETF)株式市場に上場している投資信託不動産投資信託少額から不動産投資ができるものファンド・オブ・ファンズ複数の投資信託を組み入れた投資信託このように、たくさんの種類があり、その他にもたくさんあります。現在国内で流通している投資信託は5千本とも6千本ともいわれています。ただ、これらのたくさんの種類を把握・理解する必要はありません。重要なところだけ押さえておけば十分です。投資信託の仕組みをわかりやすく図解で解説しますそれでは、投資信託の仕組みをわかりやすく図解しましょう。※図解は筆者作成まず、上記の図で左端にいるのが私たちです。私たちは証券会社などを通して、投資信託を購入することができます。電卓を持っているのが証券会社の人です。真ん中の黄色い袋のイメージが投資信託です。投資信託とは風呂敷のようなものですので、中には国内外の株式や債券などを入れることができます。大きな黄色の袋のところにいる人たちが投資信託を管理・運用・販売などする人たちです。そして、前述のように、その種類はたくさんあります。私たちが投資信託を購入するということは、私たちのお金が投資信託という「大きな風呂敷」の中身の株式や債券を通じて、世界中の会社などで働くことも意味しています。投資信託のメリット・デメリットをわかりやすく解説ここまでで、ザックリと投資信託とはなにか?が見えてきました。ここからは、投資信託のメリット・デメリットについてわかりやすく見てみましょう。投資信託のメリット「分散」とその意味をわかりやすく説明します投資信託のメリットをわかりやすく言うと「分散投資がしやすい」ところです。分散投資と言いますと、有名すぎる格言の一つに「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。どういうことでしょうか。これは、「大切な卵を一つのカゴに盛っていると、卵を落とした場合、多数の卵が割れてしまって大変だから、カゴを分けましょう」という意味合いです。お金に置き換えますと、こうなります。「資産を分散して投資していないと、金融危機時などで暴落した場合には、(慌てて売却した場合)大損してしまって大変だから、投資対象を分散しましょう」ということになります。これが一般的な分散投資のイメージです。投資信託で簡単にできる、分散投資とは?上記のような事態を避けるためには、分散投資が必要です。つまり、投資対象を分けるのです。これは現代ポートフォリオ理論でも重要な考え方です。現代ポートフォリオ理論:1952年ハリー・マーコウィッツ。同氏は1990年「資産運用の安全性を高めるための一般理論形成」においてノーベル経済学賞を受賞。もう少し、踏み込んで説明しますと、投資対象を分散すると、リスク(値動きの幅)が小さくなります。少しむつかしいように感じますが、これは「少し良いこと」を意味しています。これは、特別な分析や経験がなくても、誰にでも起こる現象です。大切なことですので、もう一度言います。誰でも、投資対象を分散することで「少し良いこと」が起こるのです。いくらで買える?投資信託を使えば、2億円かかる株式投資も100円程度からできるつまり、投資をする上では、株式や債券を一種類だけに集中して買うと、「卵を一つのカゴに盛った状態」になるので、あまり合理的とは言えません。そこで、分散投資が必要です。そして、上記のように、分散すると誰でもリスク(値動きの幅)が小さくなる、という「少し良いこと」が起こるので、できるだけ分散投資をした方が良いことになります。ただ、私たち個人が株式を千社・二千社買うとなると、とても大変です。仮に一社平均十万円とした場合、一億円・二億円が必要です。そんな大金はありません。さらに海外にまで分散投資をしようとしてはより大変です。そこで便利なのが投資信託です。風呂敷ですから、千社・二千社など簡単に入れられます。そして、基本的に1万円程度で買えます。証券会社によっては、百円から買えます。今では本当に、数百円あれば、誰でも世界中に合理的な分散投資ができる時代になっているのです。このように便利ですので、「もう一つの年金」とも呼ばれるiDeCo(イデコ)や、つみたてNISAでも、投資信託が運用商品として採用されています(つまり、個別の株式や債券は買えません)。投資信託のメリットは、少額で誰でも分散投資ができること。つまり、リスクを抑えた運用がしやすい、ということ。投資信託のデメリットである手数料(コスト)とその意味を説明しますそんな分散投資に向いている投資信託ですが、当然ながらデメリットがあります。それは、手数料(コスト)が高いものがあるということです。わかりやすく見てみましょう。投資信託のデメリットのコストとは?投資信託のデメリットの手数料(コスト)は、大きく3種類が挙げられます。買う時持っている間売る時基本的にこの3種類の手数料(コスト)がかかります。もう少し詳しく見てみましょう。投資信託を買う時にかかる購入時手数料の意味を説明しますまず、買う時にかかるお金(手数料)です。購入時手数料などと呼ばれます。下の図ですと、電卓を持っている女性(金融機関)に支払うお金です。ただ、この購入時手数料には運用成績との相関性はありません。つまり、どれだけたくさんの購入時手数料を支払っても、運用成績は良くなりません。単純に、その手数料(コスト)の金額分だけ目減りした資産で運用が始まるだけです(ただし、金融機関は儲かります)。例えば、購入時手数料が3%で投資額が100万円なら、3万円が引かれて、97万円から始まる、というイメージです。私たちには何のメリットもありません。まったく同じ中身の投資信託で購入時手数料が無料(ノーロードともいう)のものがあることが一般的ですので、そちらから選ぶ方が賢明です。購入時手数料:現在では無料(ノーロード)の投資信託が販売されている。選ぶ場合は無料の中から選ぶことが重要。投資信託を持っている間にかかる信託報酬の意味を説明します次は投資信託を持っている間にかかる、信託報酬と呼ばれるものです。上の図解で言いますと、風呂敷袋の下の人たちの手間賃のようなものです。投資信託(ファンド)を運用する人たちはボランティア活動ではありませんので、お給料が必要です。そのため、投資信託を持っている間には、この信託報酬と呼ばれるものが毎日かかります。年率1.5%などで表記されていますが、毎日引かれます。例えば(現実には値動きは毎日変わりますが)ずっと元本が100万円の投資信託があるとして、それを持っていれば、年間1.5%の信託報酬なら、1万五千円÷365日=一日あたり40円くらいが引かれるイメージです(現実とは異なります、あくまでも直感的なイメージとしてお考え下さい)。ただ、現実には引かれた後の金額が表示されているので、投資家の中には引かれていることを知らない人もいます。また、「信託報酬を○○円もらいました」という旨のお知らせも来ません。基本的に、「買う時」の選ぶ際にチラッと目にするだけです。そのため、軽く扱われてしまうこともあります。しかし、信託報酬が高いと、それだけ確実に実質運用成果が押し下げられます。長期投資では数百万円も手数料(コスト)だけでかかることが現実にあります。そして、こちらの信託報酬も運用成績との相関性はありません。たくさんの信託報酬を支払っても、特に良いことは起こりません。私たちが損をしやすいだけです。そのため、信託報酬は0.3%以下から選ぶようにしましょう(より低い方が良いです)。信託報酬:単純にマイナスに作用するだけなので、0.3%以下から選ぶ。例えば運用成績が平均・年2%の投資信託があっても、信託報酬が年1.5%なら、2―1.5=0.5%の実質運用成果になるだけ。そして、信託報酬が年0.1%なら、2―0.1=1.9%になるだけ。合理的に考えるなら、低い方が良い。投資信託を手放すときにかかる「信託財産留保額」の意味を説明します最後に、投資信託を手放すときにかかる手数料(コスト)について見てみましょう。それは信託財産留保額と呼ばれます。冒頭で投資信託は「みんなでお金を出し合う仕組み」というお話をしました。ということは、見方を変えれば、途中で抜けられると困るという一面もあることになります。そこで信託財産留保額がかかることがあります。日常生活で例えるなら「職場のみんなで忘年会を予約したけど、当日参加できないメンバーがいるとお店が困る。だから、途中で抜ける場合は、ある程度のキャンセル料を支払わないといけない」そんなイメージが近いかもしれません。ただ、やはりこの信託財産留保額もただの手数料(コスト)です。運用成績向上には寄与しません。また、信託財産留保額の設定がない投資信託がやはり多くあります。飲食店の予約でいうと、キャンセル料金なし、というイメージです。当然ながら、信託財産留保額も「ない」方が良いです。信託財産留保額:信託財産留保額の設定が「ない」方から選ぶ投資信託のメリットの分散投資とデメリットである手数料(コスト)に対する合理的な考え方少しむつかしくなったかもしれませんので、投資信託のメリットの「分散」とデメリットである手数料(コスト)について、おさらいします。※表は筆者作成内容理由メリット分散投資がしやすい分散すると「リスク(値動きの幅)」が下がるというちょっと良いことが誰にでも起こる投資信託なら、数百円で世界中に分散投資が誰にでも可能デメリット手数料(コスト)が高いものがある手数料(コスト)と運用成績(世界の景気など)には相関性がない手数料(コスト)が高いと、その分だけ運用成績が確実に押し下げられるこのような内容でした。ついつい、投資経験が浅いうちは「誰かに高い手数料(コスト)を支払って、運用を任せると良いことが起こりそう」と勘違いを起こしそうになります。しかし、合理的に投資を考えてみますと、そのように「手数料をかければ運用成績が上がる」ということは起こりません。手数料(コスト)は純粋に運用成績を押し下げるだけのもの手数料(コスト)は純粋に「運用成績を押し下げるだけのもの」です。そして、分散投資は理論的に正しいことです。そうである以上、投資信託は分散投資の重要な選択肢です。だからこそ、手数料(コスト)には厳しい目を向けていかなくてはいけないのではないでしょうか。投資信託のデメリットは手数料(コスト)が高いものがあること。手数料(コスト)は、理論上、運用成績を押し下げるだけの存在。投資信託とは?:まとめ投資信託とは、複数の金融商品が入った金融商品投資信託のメリットは分散投資が容易な点投資信託のデメリットはコストが高いものがある点本記事では、投資信託とは?に焦点を当てて記しました。投資信託の本数が国内だけで六千本くらいありますが、途方に暮れることはありません。今回の手数料(コスト)のポイントなど、一つ一つ抑えていけば、本当に驚くほど合理的な投資対象の本数は絞られてきます。大切な資産運用だからこそ、合理的な投資対象がどのようなものなのかを理論的に把握しておくと良いのではないでしょうか。投資信託は分散投資に適しているが、手数料(コスト)の高いものには気を付ける
2019年03月06日今回は積立NISAの何を選んだら良いのか?という所にスポットを当てて解説していきたいと思います。と言うのも、投資信託商品より厳選された銘柄(商品数)ではありますが、約160本もの商品数の中から選ぶのは大変ですよね。そこで、初心者の方でも選ぶ際のチェックポイント等、分かり易く解説していきますので、選び方の参考にされて下さい。積立NISAを選ぶ前に知っておくべき事今回積立NISAを選ぶに前に知っておきたい事、もう少し言うと憶えておいて損はありませんという事をいくつかお伝えします。何故かと言いますと、運用の結果はもちろんですが、ご自身の受け取るべきリターンに影響が出るからです。では早速解説していきますね。投資信託はアクティブファンドとインデックスファンドの2種類より成り立っているこれは当たり前の話ですが、初心者の方には??となるかもしれませんね。それぞれを詳しく解説します。インデックスファンドとは、日経平均株価やNYダウ等の株式指標と同じような値動きをする様に構成された投資信託の事。特徴としてはリスク分散し易く、またかかるコストが低く設定されている。またパッシブファンドと呼ばれる事もある。アクティブファンドとはインデックスファンドと対照的に市場平均よりも上の投資成果を目指す為に構成された投資信託の事。特徴としてファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロの考えや意向が最も強く反映され、かかるコストも高い。以上の2種類のファンドで構成されている訳です。アクティブファンドとインデックスファンドどちらが良いの?では積立NISAで投資信託を選ぶ時にどっちを選べば良いの?となりますよね。ここからは筆者の見解でお話していきます。私はインデックスファンドをお勧めします。理由はいくつかあります。インデックスファンドをお勧めする理由① コストが違うかかるコストの違いです。過去記事でも書いてきましたが、長く腰を据えてやらなければ長期積立投資は結果が見えてきません。つまり、長い事積立てる事をやっていく訳ですが、それに伴いコストもかかります。何の費用か?それは運用する方への支払う手数料です。これを信託報酬と呼びます。このコストが高いのがアクティブファンドです。市場平均より高いリターンを追い求めるとなれば、それなりに調査等にお金(費用)がかかりますよね。だから高く設定されているのです。でも毎月この費用が掛かっているので、長い目で見れば結構な費用負担になります。インデックスファンドをお勧めする理由② どっちが結果を出しているか次にどちらのファンドが利益を出しているのか?です。言ってみれば「勝ち負け」のような表現になりますが、過去のアクティブファンド、インデックスファンドの統計を取った結果、インデックスファンドが圧倒的に「勝っている」という事実があります。おそらくネットで調べても同じ様に記述はあると思いますが、投資の世界を語る上で誰もが知っている事実でもあります。ではアクティブファンドはダメなんですね?というと決してそうとも言い切れません。中にはインデックスファンドに負けなかったファンドもある訳です。しかしながら、数多くの投資信託の中から負けないファンドを探すのは、初心者にとって限りなく難しい作業ではないでしょうか?ですので、初心者にとって「負けない確率を上げる為のファンド選び」はインデックスファンドで十分だと私は思います。FPが教える、初心者向け投資信託の選び方(必須チェックポイント)ではここまでの話を纏めたいと思います。投資信託は2種類。アクティブファンド、インデックスファンド。コストが高いのがアクティブファンドで低いのはインデックスファンド。勝ち負けで言えばインデックスファンドが勝つ確率は極めて高い(過去の統計より)。私の所にも、どの投資信託を選べば良いか?というご相談もありますが、上記の事をお伝えし、高いコストを払って負ける確率が高い商品を買うか安いコストを払って負けない確率が高い商品を買うかと投げかけます。当然後者を選択します。初心者の皆さんは「インデックスファンド」を選択して頂ければ、期待は出来るのではないでしょうか?何を選ぶのかは「インデックスファンド」である事。これがまず第一歩でしょう。FPが積立NISAでおすすめする商品は?先程までは選び方について解説してきました。では次におすすめファンドについて触れていきたいと思います。あれこれ悩みたくない方向け商品ならコレ!投資信託と言ってもかなりの数があります。どれを選ぼうかな?選んだファンドはちゃんと増えてくれるかな?株式の割合?債券?何それ????と始めたいけど、ちんぷんかんぷん。こんな時、株式にも債券にも均等に投資できるパッケージ商品があります。それが「バランスファンド(バランス型)」と呼ばれるものです。代表的な商品名を挙げますと、eMAXISバランス型(8資産均等型)でしょうか。取引の多い楽天証券やSBI証券で取り扱われています。どんな内容かと言いますと次の図をご覧頂ければと思います。図の様に、8つの投資先にそれぞれ12.5%ずつ投資されていますので、あれこれ悩まずにコレ1つで沢山の分野に投資できる優れものです。折角時間を要して口座まで解説したのに、商品選びで二の足を踏んでしまっては意味がありません。この様な初心者の方向けの分かり易い商品はオススメだと言えます。できる限り増やしたいなという方にはコレ!ある程度はリスクを許容でき、出来る限り資産を増やしたいなという方は次の2つをオススメしたいと思います。楽天・全米株式インデックスファンド(楽天・バンガード・ファンド全米株式)eMAXISSlim米国株式(S&P500)楽天・全米株式インデックスファンド、通称バンガードファンドこのファンドをオススメする理由ですが、何と言っても「バンガード社」の運用するファンドが日本で購入できる点に尽きます。このバンガード何が凄いのかを掻い摘んでご説明しますと、全米トップシェアを誇る運用会社の一角を担っています。(2019年現在はNo2だそうですが、2020年にはNo1になるとも予想されております)また低コスト運用がウリでもあり、コストが低くしかも大きな運用会社で運用してくれる。且つ全米株式ですので、アメリカの名立たる企業に分散して投資してくれるという商品です。良く考えると世界経済の中心はアメリカにあります。皆さん身近なもので利用した事あるものありませんか?例えばフェイスブック、アマゾン、ウィンドウズ、アップルといった生活に密着している企業の殆どがアメリカにありますよね。ここに投資出来れば絶対とは言い切れませんが、安泰ではないでしょうか?私は個人的にそう思っていますので、このファンドをオススメしています。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)こちらも同じくアメリカの株式市場に投資するものになりますが、このS&P500って聞いた事ありますか?簡単に解説します。S&P500とはNYダウと並ぶ代表的な株価指数の事です。多くの投資信託やETFがベンチマークとして採用しています。S&P500はその名の通り500銘柄を対象としており、分散性を考える指標としても適しています。1941年より開始され今に至るまでほぼ右肩上がりで上昇していて、年間収益率も約6%を超えるなど、約2%前後を推移する日経平均と比べても高い。冒頭にも書きましたが、インデックスファンドはこの指標に従って運用成果を求めていきます。つまりこの商品はS&P500の指標に従って運用成果を求めるファンドという事になります。もうお気づきですよね。先程ご説明したように、日本株に投じるのとアメリカ株に投じるのとでは収益が異なってきます。(何度も言いますが確実や絶対ではありません)長期に渡って資産を増やす事に関して言えば、この様に歴史ある指標に沿って右肩上がりに堅調に運用して貰えると非常に心強いですよね。積立nisaでおすすめ商品まとめ今回は積立NISAのどんな商品を選べば良いのかを解説してきました。本日書いた事はあくまで私の見解です。よって絶対や確実とは言えませんが、私なりに考察した事を皆さんに知って頂ければと思います。そして今回の記事が皆さんにとって背中を押すようなものになれば幸いです。
2019年03月04日投資を始めるのに代表的な金融商品が、株(株式)と投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金をファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資し、その収益を投資家に分配する金融商品です。投資を始めるにあたって、「株式と投資信託どちらから始めたらいいの?」と迷う人もいるかもしれません。そこで、株式と投資信託を比較しながら初心者がどのように投資を始めたらいいのかを解説していきます。まずは、株式と投資信託のそれぞれのメリットを見ていきましょう。株式投資のメリットまずは、株式のメリットから解説します。①リアルタイムで取引できる株式は取引所が開いている時間なら、いつでも好きな値段で売買できます。注文方法も指値注文(値段を指定)、成行注文(値段を指定しない)など複数の方法があります。一方、投資信託は1日1回算出される基準価格での取引になります。いくらの基準価格で買えたかという正確な値段は翌日以降にならないとわかりません。②コストが安い株式の現物株取引の場合のコストは売買手数料だけです。一方、投資信託は購入時の手数料の他に、信託報酬などの保有コストがかかります。信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうコストとして、保有している間は投資家が毎日支払い続ける費用のことです。信託報酬は年0.5~2.0%程度が一般的です。③自分で銘柄を選べる投資信託は国や地域、テーマなどを選ぶことができますが、どの銘柄を買うかというのは運用のプロであるファンドマネージャーに任せます。一方、株式投資では自分で銘柄を選ぶことができます。どの程度のリスクを取ってリターンを取りたいのかを自分で決めることができる投資家は、株式投資の方が向いているでしょう。うまくいけば短期間で2~3倍になる銘柄を見つけることもできます。ただし、大きく下落するリスクもあります。株式の方がよりハイリスク・ハイリターンであるということを理解しておくようにしましょう。④株主優待を受け取れる株式投資では、株主優待を受け取ることができます。株主優待とは、企業が株主に自社製品や優待券、カタログギフトやお米などのモノやサービスを送るモノです。お中元やお歳暮に近いもので、株式を保有しているだけで毎年もらえます。株主優待を導入している企業数は1,368社(2017年9月現在:大和インベスター・リレーションズ調べ)で、上場企業の約36%が導入しています。投資信託のメリット続いて、投資信託のメリットを見ていきましょう。①少額から購入できる株式の最低購入代金は下がってきているとはいえ、数万円以上の資金が必要になります。銘柄によっては数百万円も必要になることもあります。一方、投資信託はネット証券なら100円から購入することができます。投資信託は、株式に比べて資金的なハードルははるかに低いです。さらに、5,000円など金額指定で購入することができます。毎月、決まった額を投資したい場合も投資信託は便利です。②分散投資が可能ひとつの株式に投資していると、その企業の業績が悪化したり不祥事が起こったりすると、大きな損失になります。そこで、複数の企業に投資しておけば、ひとつの企業の株価が下がっても他の銘柄でカバーすることができます。しかし、株式投資で分散投資しようとすると、複数の銘柄を買う必要があります。特に、少額から投資を始めたい初心者にとっては、銘柄選択の手間もかかり、分散投資のハードルは高くなります。しかし、投資信託を購入すれば、複数の銘柄に投資しているので、簡単に分散投資することができます。③個人では投資しにくい国や地域に投資できる外国株に挑戦しようと思っても、初心者では情報も知識も不足しています。外国株式取引口座が必要になったり、円をドルやユーロなど外貨に交換したりする必要があります。新興国株などは、取り扱っている証券会社も限られます。しかし、投資信託なら先進国や新興国など国や地域に関して特別な知識がなくても簡単に投資することができます。株式投資と投資信託の比較表初心者は投資信託から始めることをオススメ初心者の方には投資信託から始めることをオススメします。その理由は以下の2つです。①運用をプロにまかせることができる株式投資は自分で銘柄を決める必要がありますが、投資信託なら運用のプロであるファンドマネージャーに任せることができます。株式投資についての知識を学ぶには時間がかかります。投資信託ならテーマや国・地域をおおまかに決めるだけで始めることができます。②少額から分散投資することができるネット証券なら100円から購入でき、複数の銘柄に分散投資することができます。また、新興国など自分では手がだせないような国への投資も可能です。ただし、投資信託では株式のように短期間で大きな利益を狙うことは難しいですし、信託報酬などの保有コストもかかるので、投資信託を選ぶ際はしっかり中身を調べるようにしましょう。投資信託の種類をご紹介投資信託は運用方針によって、次の3つに分類されます。公社債投資信託:主として、国債などの公社債を中心に運用され、株式を一切組入れない投資信託です。株式投資信託:株式を組み入れることができる投資信託です。ただし、公社債の組み入れも可能で、債券型投資信託など、株式を組み入れていなくても株式投資信託に分類されるものもあります。不動産投資信託:主に不動産を中心に運用するもの投資信託です。一般に投資信託といえば、「株式投資信託」に分類されることが多くなります。株式投資信託の種類を確認しておきましょう。株式投資信託の種類①国内株式型投資信託国内の株式を中心に運用を行うファンド(投資信託)です。日経平均株価やTOPIXなど株価指数に連動する「インデックスファンド」と、企業の調査を行い、株価指数を上回る運用成果を目指す「アクティブファンド」の2種類があります。②海外株式型投資信託外国の株式に投資するファンドです。米国や欧州などの先進国や中国、ブラジル、インドなど新興国に投資するものや、医療やハイテクなど業種ごとに投資するファンドもあります。③債券型投資信託債券へと投資するファンドです。国内型(国内債券)と海外型(外国債券)に投資するタイプに分類できます。日本は低金利が続いているので、外国債券に投資するタイプが人気です。④バランス型投資信託国内外の株式だけでなく、債券や不動産など幅広い商品に分散投資できるファンドです。国際分散投資を簡単に行うことができるので、初心者の方にもオススメです。⑤テーマ型投資信託「AI」や「フィンテック」など、特定のテーマに関連した株式を買い付けるファンドです。テーマ株は人気がでると大きく上昇することが期待できる反面、銘柄を絞り込んでいるので、下落した時の損失も大きくなるリスクがあります。上場している投資信託「ETF」とは?ETF(上場投資信託)は、日経平均株価やTOIX(東証株価指数)などの特定の指数に連動する運用成果を目指して運用される、インデックス型の投資信託です。投資信託の特徴に加えて、株式のように取引所でリアルタイムに取引することができます。株式と投資信託の特徴をあわせ持った金融商品といえるでしょう。ETFと投資信託の違いは保有コストにもあります。保有コストは信託報酬ですが、ETFは通常の投資信託よりもさらに保有コストが安くなっています。投資信託は、販売会社(証券会社など)、受託会社(信託銀行)、運用会社の3社に対して信託報酬が払う必要があります。ETFは市場で購入するので、販売会社に信託報酬支払う必要はありません。その分、保有コストが安くなるのです。ただ、買付金額に関しては、投資信託が100円から購入できるネット証券もあるのに対し、数万円かかるのが通常です。少額から始めたい投資家は、投資信託からチャレンジしましょう。株式投資/投資信託/ETFの比較表最後に、ETFを加えた比較表を見てみましょう。株式と投資信託の違いまとめ今回は、株式と投資信託の違いについて見てきました。株式のメリットは次の4つです。リアルタイムで取引できるコストが安い自分で銘柄を選べる株主優待を受け取れる投資信託のメリットは以下の3点です。少額から購入できる分散投資が可能投資しにくい国や地域に投資できるといった7つの違いがありました。初心者の方には少額から分散投資できる投資信託から始めることをオススメします。さらに、株式の特徴を持った投資信託であるETF(上場投資信託)もリアルタイムで取引したい投資家にオススメです。自分の投資スタイルに合わせて資産運用を始めるようにしましょう。
2019年02月06日iDeCo(イデコ)マネックス証券 おすすめ商品本記事では、マネックス証券でiDeCo(イデコ)を行うなら、どの商品がおすすめか?について考察します。※本記事でのおすすめ商品とは、理論上「マシな投資信託」のことです。おすすめ商品は「運用成績が市場平均よりも良い」わけでも、「ずっと運用成績が良い」わけでもありません。また、現実にも「ずっと運用成績が良い」金融商品はありません。※本記事は、個別の銘柄に言及していますが、何かしらの勧誘・斡旋・推奨を促すものではありません。合理的な投資を考察することが本旨です。投資信託:様々な金融商品が袋詰めされたような金融商品。分散投資に便利。ただし、理論上「マシでない」と考えられるモノは、全体の95~99%くらいを占める、とも言われている。市場平均:ザックリ言うと、株式市場などの市場の平均のこと。日常生活では「平均はプロが頑張れば超えられる存在」のようなイメージ。しかし、投資の世界では市場のおよそ9割はプロ(金融機関等のおりこうさん)によって占められている。よって投資の世界では「平均はプロが頑張った結果の集大成」。ゆえに「プロがいくら頑張っても連続して市場平均を上回ることはできない」となる。また、進化したAIや天才数学者が現れても、それは優れているほど「おりこうさんたち」によって模倣され、結果として「市場平均がより効率的になるだけ」と考えられる。今後も、どこまで行っても長期で見れば市場平均こそが合理的な投資対象となりうると考えられる。iDeCo(イデコ)マネックス証券 元本確保型についてマネックス証券のiDeCo(イデコ)ラインナップには、「みずほDC定期預金(1年)」がありますが、こちらは元本確保型です。イメージ的に従来の預貯金とほぼ同様です。たいていの金融機関でのiDeCo(イデコ)ラインナップにはこの元本確保型が入っています。元本確保型でも所得税控除などのメリットはありますが、ローリスクなので、ローリターンです。現状では金利が低いので、ほとんど増えません。ただ、絶対にお金を減らしたくない方にとっては重要な商品です。また、少し難しい話になりますが、金融商品の組み合わせ(ポートフォリオ)全体のリスクをコントロールする際にも重要な存在です。ローリスク・ローリターン:金融商品では、リスクとリターンはおおむね比例する、と考えられる。そのため、ある程度のリターンを望む場合は、ある程度のリスクを背負わないといけない。ちなみに、投資のリスクとは「危険」ではなく、「リターンの振れ幅(プラスもマイナスも含む)=値段の振れ幅」を意味する。投資効率の悪い場合には、期待されるリターンが低いが、コストが高く、儲かりにくい状態になっていることもある。ポートフォリオ:金融商品の組み合わせのこと。例えば、株式100%の組み合わせで組むと、(人によるが)リスクが高すぎる場合、リスク(値動きの幅)のない元本確保型の預貯金などを組み入れると、リスク(値動きの幅)のコントロールがしやすい。イメージとしては、カルピスの原液(株式)を、自分好みの飲みやすさに水(預貯金)で割るようなもの。投資というと、株式・債券・不動産などだけをイメージするが、預貯金も重要な役割を果たす。マネックス証券のiDeCo(イデコ)の投資信託ラインナップはこちらマネックス証券のiDeCo(イデコ)ラインナップは以下のようになっています(前述の元本確保型は除く)。合計で投資信託は24本ありました。かなり多いと感じます。マネックス証券iDeCo(イデコ)ラインナップの理論上おすすめ商品それでは、見極めポイントにそって理論上「マシな」投資信託を見てみましょう。ポイントは次の2つでした。信託報酬は0.5%以下(低い方がより良い)インデックス型投資信託であること重要なのは「なぜ」そうなのか?という点です。ここが分かっていませんと、何を買っても値下がりした場合に「これはダメだった。・・・損切りしよう」となります。現実問題として、どの投資信託を買っても、いつか必ず値下がり(損)します。永遠に運用成績が良い投資信託はありません。そのため、値下がりするたびに売っていては、どんどん資産が小さくなります。重要なのは「なぜ」です。長期分散投資においては、非常に重要な考え方ですので、ご興味のある方は、下記関連記事をご覧いただければ幸いです。損切り:一般的に買った金融商品が買った時の値段(参照点)より下がった場合に、これ以上損失が広がらないようにする行為。これは「投機的」な場合は、正しい行為。しかし、「長期分散投資」においては、単純に「高く買ったものを、安く売る」という損をする行為である。投資で重要なのは「安く買って、高く売る」ということ。そして、市場はランダム・ウォーカーなので、株価などの値段は誰にも読めない。統計的なデータを見ると「積み立て投資」こそが「多くの人にとって」合理的な投資方法になる、と考えられる。当然、iDeCo(イデコ)は積み立て投資が基本。上記2つのポイントで絞りますと、こうなりました。ここで重要なのは、どの資産クラスをどれだけの割合で、毎月積み立てていくか?です。ありがちなこととして、国内株式の3種類を積み立てることがあります。気持ちとしては「国内株式は安全そうだから、それを3種類にも分散(※注1)していれば、良いでしょう」という思いがあるのかもしれません。(※注1)分散:投資対象を分散することで、リスク(値動きの幅)が下がるというのが現代投資理論の重要な考え方の一つ。もちろん、インデックス型投資信託の中で国内株式に関しては十分に分散投資されています。この場合の不十分とは、資産全体で見た場合に分散が不十分、という意味合いです。しかし、同じ国内株式を買っても、それほど分散効果によるリスク低減効果がありません。日々の食事に例えると、「ご飯を盛ったお茶碗が食卓に3つ並んでいる」状態です。とてもバランスが悪いです。炭水化物ばかりで分散できていません。組み合わせを考える場合は、日々の食事のように「ごはん・おかず・味噌汁・サラダ」のように、異なるもの(資産クラス)を組み合わせることが重要です。それは、組み合わせることで、資産クラスの分散が行われ、「ちょっと良いこと」が誰にでも起こるからです。ちょっと良いこと:投資では「期待されるリターンが同じなら、リスクが低い方がより良い」と考えることが一般的。そして、分散投資の基本的な考え方として、異なる値動きの金融商品を組み合わせると、期待されるリターンは平均に落ち着くが、リスクは平均よりも小さくなる、という「ちょっと良いこと」が起こる。そのため、分散投資が大切。ここで重要なのは、「完全に値動きが異なっていなくても、少し異なっていてもいいことが起こる」ということ。例えば、同じ株式クラスでも、国内株式と外国株式に資金を分散すると「ちょっと良いこと」が起こる。資産クラスの異なるものを、自分のリスク許容度の範囲内で組み、その中で期待リターンが高い組み合わせになるように考えるのが基本筆者がiDeCo(イデコ)マネックス証券 おすすめ商品を選ぶならコレを選ぶ筆者がマネックス証券でiDeCo(イデコ)口座を開いて積み立てるなら、この組み合わせを選びます。例によりまして、組み合わせは人それぞれです。この組み合わせは執筆時点の筆者用です。最悪の場合、資産が半分以下に減ります。大切なのは、自分にあった組み合わせにして、長期間積み立てることです。悪くなるたびに「損切り」していては、資産形成は大変に難しいものになります。iDeCo(イデコ)マネックス証券 おすすめ商品 まとめiDeCo(イデコ)では、人によっては安全資産(元本確保型の預貯金タイプ)も重要iDeCo(イデコ)でも、金融商品は組み合わせることによって、お互いのリスク(値動きの幅)を下げることができるiDeCo(イデコ)口座で投資信託を選ぶ際は、組み合わせにも注意を払う今回は、マネックス証券のiDeCo(イデコ)口座での理論上のおすすめ商品を考察しました。長期分散投資では、スタートが少し遅れたくらいでは、大きな差にはなりません。時間のある時に、じっくりと考えると良いかもしれません。
2019年02月05日信託とは、財産の管理を第三者に信じて託すこと出典 : 信託とは、自身の財産を、自分または他人のために管理・処分してもらうよう、人や機関に託す制度です。信託と一口にいっても、目的やニーズによってさまざまな商品があります。運用の専門家にお金を託して、株式や債券などに投資・運用する投資信託のほか、財産の継承をスムーズに行うための相続信託などは、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。自分以外の誰かに財産の運用を任せることを信託と言いますが、この制度を活用することで、親なきあとの子どものために資産を適切に管理し、必要な生活費などを定期的に交付することができます。ここでは、障害のある子の資産管理に信託を活用する方法について紹介します。信託制度では、財産を託す人を委託者、託され管理する人を受託者、その財産から利益を受ける人を受益者と呼びます。信託契約の形は、委託者と受託者が話し合って契約を結び、その契約に基づいて受託者がお金を管理しながら受益者に定期的に金銭を交付します。信託制度は、受託者の性質によって大きく2つに分けられます。1. 商事信託信託業の資格を持っている人や機関が受託者となる信託制度のことを言います。商事信託は報酬が発生します。2. 民事信託受託者に信託業の免許が不要で、受託者は主に家族や知人になります。報酬は必ずしも払わなくてもよいことになっています。また、民事信託の中でも受託者が家族である信託契約を家族信託、受益者が障害者や老人である契約を福祉型信託と呼ぶこともあります。信託制度の特徴出典 : 財産の管理方法の中でも、信託にはいくつかの特徴があります。管理をするのが第三者であること、契約が柔軟であること、です。たとえば、障害がある子どもに財産を遺した場合、第三者が適切に管理・運用してくれるのかが心配だという方もおられるかもしれません。信託契約を結ぶと、託された財産の所有権は委託者から受託者に移ります。ですが、この財産は受益者(この場合は障害のある子ども)のものなので、受託者が勝手に使うことはできません。信託した財産は契約に基づいた使い方しかできないのです。また、仮に受託者が破産してしまったとしても、この財産は債権者から守られます。また委託者が死亡しても、契約が終了することはありません。信託契約は委託者と受託者の間で財産の管理方法などが決められます。財産委任契約などと違い、比較的一人ひとりのニーズに沿った管理方法を選択できるのです。例えば、「子どもが亡くなった後は、残った財産はお世話になった施設に寄付したい」など、受益者の死後のお金の行方までも、事前に決めることができます。「遺産は子どもに遺したいけど、その子が亡くなったら面倒を見てくれた知人に贈りたい」など、生前お世話になった人や施設に感謝の気持ちを伝えたい人にとっては嬉しい特徴だと言えるでしょう。障害のある子どもの家族が、信託制度を活用するメリット出典 : 障害がある子どもの保護者にとって、親なきあとの子どもの生活についての大きな心配事のひとつに「お金の管理の問題」があげられます。障害がある人の場合、収入が障害のない人よりも少なくなる場合が多く、できるだけ多くのお金を遺しておきたいと考える保護者の方も多いでしょう。親なきあとのお金の問題においては、どれだけ多くの財産を遺せるかだけでなく、子どものために遺したお金をどのように管理するのかも重要な要素となります。まとまったお金が手元にあったとしても、だまし取られたり、浪費してしまったりと、トラブルが生じる可能性があります。特に、ある程度認知能力があり、施設などで暮らさず一人で生活できる場合は、より財産管理におけるリスクが高くなるでしょう。そのため、本人を財産管理の面からサポートする仕組みを作っておく必要があるのです。契約の下に第三者が責任を持って管理する信託制度を利用することで、財産管理における心配事を解消することができます。信託にもさまざまな種類があります。次の章から、障害のある子どもを育てる家族に活用してほしい信託を紹介していきます。特定贈与信託出典 : 特定贈与信託は、特別障害者(重度の心身障害者)や、それ以外の特定障害者(中軽度の知的障害者および障害等級2級または3級の精神障害者など)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。信託銀行などの受託者が、親族などから信託された財産を管理・運用し、受益者へ定期的にお金を交付します。この信託制度の最大の特徴は、節税と財産の定期交付が同時に叶うことです。一定額まで贈与税が非課税になり、受託者である信託銀行などが、障害のある子へ生活費や医療費などを定期的に交付してくれます。特別障害者(重度の心身障害者)は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者(中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等)は3,000万円を限度として贈与税が非課税になります。以前は、特別障害者だけがこの制度の対象でしたが、2013年の法改正によって特定障害者も利用できるようになり、利用できる人の幅が広がりました。通常、贈与税は年間110万円以上の贈与から課税されるため、節税という意味でもメリットがあります。出典:障害者と税|国税庁・金銭・有価証券・金銭債権・立木および立木の生立する土地(立木とともに信託されるものに限る)・継続的に相当の対価を得て他人に使用させる不動産・受益者の居住の用に供する不動産(上記の財産のいずれかとともに信託されるものに限ります。)信託できる財産は、受託者の管理できる能力によって異なりますので、いくつかの機関や専門家に相談してみましょう。・ 委託者信託する財産、印鑑・受益者障害者非課税信託申告書、特定障害者の区分に応じた証明書、住民票、 印鑑等以上のほか、後見人等が選任されている場合には、後見人等の届出書、印鑑証明書等が必要となります。これらは一例であり、利用する信託銀行によって多少の違いがあります。利用を考えている信託銀行の相談窓口で聞いてみましょう。特定贈与信託│一般社団法人 信託協会特定贈与信託│三井住友信託銀行特定贈与信託│三菱UFJ信託銀行生命保険信託出典 : 生命保険信託とは、保険の受取人を信託銀行や信託会社にして、受託者である信託銀行などが受益者である障害のある子のために、学費や生活費を一括、または分割で交付する、という制度です。生命保険信託の一番の特徴は手続きが比較的簡単なことです。先の特別贈与信託や次の後見制度支援信託は、利用するための条件や手続きがいくつかある一方、生命保険信託は保険契約に信託契約を付加するだけなので、比較的取り入れやすいと言えます。保険金いくつかの費用が保険金から支払われます。主に契約金、委託者死亡時の保険金受領時報酬、信託中の管理手数料がかかります。これらの費用は商品によって数万円~十数万円と大きく変わり、また死亡保険金額の最低ラインを設けている場合もあるので、どの商品がご家庭の状況に合うのか、いくつかの商品を比較検討することをおすすめします。生命保険信託とは│プルデンシャル信託株式会社生命保険信託「想いの定期便」│第一生命生命保険信託型│三井住友信託銀行『生命保険信託(未来あんしんサポート型)』の取扱開始について│みずほ信託銀行株式会社、FWD富士生命保険株式会社、株式会社ジェイアイシー後見制度支援信託出典 : 後見制度支援信託は、後見人制度を財産面から支援する信託制度です。後見人とは、障害や加齢のため判断能力が十分でない人を支援する役割を持つ人のことです。生活費など日常使う分のお金は後見人が管理をし、その他の日常では使わない分のお金を信託銀行が管理をする仕組みを言います。後見制度支援信託を利用することで、財産の管理が後見人と家庭裁判所という2段階制になるため、より安全に財産を守れるようになります。そのため、被後見人に500万円を超える財産がある場合に、家庭裁判所がこの制度を利用すべきという判断をすることがあります。金銭のみ家庭裁判所からの指示書のほか、成年後見人や被後見人についての確認書類などが必要です。必要なものは取り扱う信託銀行などによって異なるので、各社の相談窓口にて詳細を確認する必要があります。後見制度において利用する信託の概要│家庭裁判所後見制度支援信託│信託協会後見制度支援信託│三井住友信託銀行後見制度支援信託のしくみ│三菱UFJ信託銀行まとめ出典 : 信託制度は、自分自身や大切な人のために、第三者に財産の管理を託す制度です。これは、障害がある子どもの親なきあとの生活をサポートする際にも有効な制度と言えるでしょう。委託者と受託者間の話し合いによって契約内容を決めることができるので、一人ひとりに合った財産管理方法を結ぶことができることも利点です。現在、こうした福祉型信託をめぐる法的な環境は、法制度が変わるなど過渡期にあり、今後より活用しやすい制度になっていくことが期待されています。今はまだ契約を結ぶ段階ではなくても、まずは信託制度について理解を深め、将来に向けて相談できる専門家や機関を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。
2017年12月20日「政府が期待するように投資をする人が増えないためか、あの手この手の投資商品が登場します。なかには初心者向けのものもあります」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。「貯蓄から投資へ」といわれ始めたのは、’00年前半。それから15年ほどたったが、今も、投資は伸び悩んでいる。投資を敬遠する人たちも多いが、理由の1つは「元本割れがイヤだから」ではないだろうか。そんな中、初心者に向けた「元本防衛型」ともいえる新しい投資信託の販売受付けが開始。荻原さんが解説してくれた。 「三井住友銀行の『あんしんスイッチ』も初心者向けの1つです。今月3日から販売受付けが始まりました。大きな特徴は『プロテクトライン』を設けたことです。投資信託が元本保証ではないので、買った時点より値下がりすることもあります。そこであんしんスイッチは当初の基準価格(投資信託の値段)・1万円に対して、9,000円をプロテクトラインと設定しています。値下がりして9,000円を下回ったときは、即時売却されます。つまり、損が一定以上、膨らまないので、安心だというのです」 また、値上がり基準価格が1万600円になったら、プロテクトラインは1万円に。さらに1万1,111円以上になると、最高額を更新するたび、プロテクトラインは最高額の90%に上昇する。 「いったん上がったプロテクトラインは下がりません。ですから、基準価格がある程度、上昇すると『元本保証』状態になることもあるでしょう。そのため『元本防衛型』といわれることもあります。実際には、手数料がかかり、100万円を投資すると90万円になる可能性もあります。注意してください。プロテクトラインを導入した仕組みは、実は、むずかしいものではありません。投資する人が『損はいくらまで』『○円より下がったら売る』と自分で決めて、実行するのと同じだからです。とはいえ、人間は迷いが生じ、タイミングを逸することがありますが、先のあんしんスイッチは、コンピュータによる自動売却なのでプロテクトラインは必ず守られます」 しかし、自動売却がよくないケースも。 「たとえば1万円で買った投資信託が値上がりして、1万5,000円になったとします。プロテクトラインは、その90%、1万3,500円まで上昇します。その後、値下がりし1万3,000円になったら、プロテクトラインを下回ったということで、自動的に売却されます。でも、元々は1万円で買った投資信託です。まだ3,000円の儲けがありますから、売らずに様子見を続けたほうが得だと考える方も多いのではないでしょうか。こういった投資信託は、値動きをチェックする暇もないほど忙しく、大きく損はしたくない方には向いているかもしれません。ですが、根本的には、誰でもできる防衛策を、システム化しただけです」
2017年07月13日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。今回は皆さんに、“家族信託”という財産管理の仕方をご紹介します。財産管理、というと富裕層や資産家が行っているイメージが色濃いですが、ごく一般的な年収と貯金で生活する人にとっても大切な問題なのです。ぜひともご自分の10年後、20年後を想像し、家族とお金との関わり方を考えながらご覧ください。●もしも認知症になってしまったら想像してみてください。万が一、あなたが知らず知らずのうちに認知症に侵されていたら?さらにあなたにはパートナーや子どもたちがいて、将来は自分が望む形で財産を残したいと考えていたら?パピマミ世代にとってはずいぶんと先の話になるかも知れませんが、若年性の病気も増えている今の時代、のんびり構えていると後が心配です。さらに、認知症になる可能性は低くても、重い脳の病気などを患えば意識の回復に時間がかかることもあります。そんな状態になってしまったら、自分で財産管理を行うことが難しくなってしまいますよね 。そこで、よりスムーズな相続や財産管理を行うための方法として、家族信託に注目する人が増えているようなのです。●家族信託とは、資産を信頼できる家族に託すこと一般社団法人家族信託普及協会によると、家族信託とは**********『資産を持つ方が、特定の目的(例えば“自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付”等)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです』**********だそうです。これに補足すると、本人が健康で判断能力に問題がなければもちろん財産は本人が管理できます。しかし、あらかじめ財産の管理・処分について家族と取り決めをしておけば、後に判断能力に問題が生じても本人の意思が反映される というわけです。●家族信託のメリット(1)成年後見制度よりも制約や負担が少ない(2)法定相続のルールにとらわれない(3)不動産などの相続が難しい財産の管理・処分がスムーズにできる家族信託は他の相続に関わる制度に比べて、非常に本人の意思が反映されやすく柔軟な対応ができる仕組みとなっています。また、場合によっては面倒な手続きや費用負担が軽減できる こともあります。●注意すべき点家族信託にもデメリットになり得る点があります。それは“税制の優遇措置がない”ことです。家族内で資産を管理・処分するわけですから、相続税や贈与税は相当分に払わなければいけません 。----------いかがでしたか?相続などの問題は、気になり出した年頃になると既にスムーズにいかないこともあります。常日頃から家族と相談するなどして、早めに意思を固めておくことが重要ですよ。また、家族信託を活用するには専門的な手続きを要する場合がありますから、具体的なやり方については専門家にアドバイスを求めると確実でしょう。【参考リンク】・制度の概要 | 一般社団法人家族信託普及協会()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年02月13日宮城県仙台市に本店を置く七十七銀行は3月9日、投資信託を購入した個人顧客向けに「<七十七>投資信託キャンペーン~お申込手数料、半分お返ししますよ~」を開始した。期間は3月31日まで。○投資信託を100万円以上購入した個人が対象キャンペーンの内容は、七十七銀行で投資信託を累計100万円以上購入した個人顧客を対象に、投資信託申込手数料(消費税込)の50%をキャッシュバックするというもの。通常の申込手数料は買い付け金額に対し最大3.24%(税込)。投資信託は、東北地区の同行全営業店(一部の出張所を除く)及び札幌支店で取り扱っている。キャンペーンは自動エントリーのため申し込みは不要、キャッシュバック分は4月下旬に口座に振り込み予定。ただし、既に実施されている「<七十七>運用スタート!! Wキャンペーン」でキャッシュバックの対象となる手数料は対象外となる。
2016年03月11日新生銀行は4月1日より、「新生総合口座パワーフレックス」の顧客を対象にしたTポイントプログラムを拡充する。○投資信託や外貨預金の取引でTポイントがもらえる新生銀行は、2013年9月からTポイント・ジャパンと業務提携をスタート。新生総合口座パワーフレックスの口座開設時や、商品・サービスを利用する際にTポイントを付与するプログラムやキャンペーンを実施してきた。このたびのリニューアルでは、現在のTポイントプログラムに、新しくポイントサービスを追加。投資信託や外貨預金の取引の際にもTポイントを進呈するなど、ポイント付与の機会を拡充する。あわせて、これまで郵送やスマートフォンアプリでの口座開設に付与していたポイントを店頭で口座開設した顧客も対象となるように拡大する。具体的には、(1)Tポイントプログラムへのエントリーで毎月1P付与、(2)投資信託口座の開設月を含む3カ月後の月末までの対象となる投資信託の合計取引金額に応じて最大2万ポイント付与、(3)毎月の外貨預金の取引に応じて毎月最大200P付与、(4)投信積み立てによる引き落としが1件以上で毎月5P付与、(5)外貨積み立てによる引き落としが1件以上で毎月5P付与の5つのサービスを4月1日より追加する。「Tポイント」とは、Tポイント・ジャパンが展開する日本最大の共通共通ポイントサービス。会員数は5,707万人、提携企業はTSUTAYA、ファミリーマート、ENEOS、ガスト、Yahoo!ショッピング、ソフトバンク携帯電話など全国132社約49万店舗に達する(いずれも2016年1月末現在)。
2016年03月10日三井住友信託銀行は3月1日、円普通預金金利と住宅ローン金利を引き下げ、外貨定期預金の金利を引き上げる。円普通預金金利は年0.001%とする。○住宅ローンの固定プランは年0.05%~年0.25%引き下げこのたびの円普通預金金利と住宅ローン金利の引き下げは、2月16日に開始された、日本銀行によるマイナス金利政策導入以降の市場動向を踏まえて実施されるもの。円普通預金金利は、現行の年0.02%を年0.001%に引き下げる。取引残高に応じて優遇サービスを提供するトラストプレミアムサービス普通預金金利は年0.025%から年0.002%とする。住宅ローンの固定プランにおける店頭表示金利は、現行水準から年0.05%~年0.25%引き下げる。変動プランについて変更はない。外貨定期預金では、米ドル・豪ドルの金利を引き上げる。例えば、「米ドル1カ月定期(ネットバンキング)」は年0.10%の金利を年12.00%に、「米ドル1カ月定期(窓口またはテレフォンバンキング)」は年0.10%を年0.50%に引き上げる。「米ドル1年定期(ネットバンキング)」は年0.65%を年1.50%に、「米ドル1年定期(窓口またはテレフォンバンキング)」は年0.35%を年1.20%にする。同様に「豪ドル1カ月定期(ネットバンキング)」の金利は年0.70%から年13.00%に、「豪ドル1カ月定期(窓口とテレフォンバンキング)」は年0.70%を年1.00%に引き上げる。また、「豪ドル1年定期(ネットバンキング)」は年1.55%から年2.10%に、「豪ドル1年定期(窓口とテレフォンバンキング)」は年1.05%を年1.60%とする。三井住友信託銀行は、外貨定期預金の金利を引き上げたことについて「マーケット環境をふまえた結果」としている。
2016年02月29日運用を始めようとする人から、よく受ける質問があります。それは、「今、人気があるのはどういう商品ですか?」というものです。この質問を言い換えると、「みんなが買っているものを私も買いたい」ということになるでしょうか。「今、みんなが買っている人気のある商品」や、「今、値上がりしている(成績のよい)商品」を、選べばきっと安心だ、と考えているようです。しかし、残念ながら、そういう人気の商品は、すでに過熱状態で、基準価額(投資信託の値段)が、さらに上がる余地がないことも多いのです。営業マン任せはいけません「売れていますよ」「人気がありますよ」というのは、セールス側から言えば、とても都合のいいものです。買い手側も、「それならば私も」という気持ちになりやすいものですが、ここで買ってはいけません。あなたが買うのは、自分の運用目的に合った商品であるべきです。 前回の記事 でお伝えしたように、購入までのステップを踏んで商品選びをしましょう。勧められたものを買うのではなく、あくまで自分で選択することが大切です。儲かる投資信託を買いたい?もう1つ、ご相談の中で多いのは、「分配金」についてです。投資信託を買うと、期待できる収益は、「キャピタルゲイン」と「分配金」があります。「キャピタルゲイン」とは、基準価額が値上がりすることによって得られる利益です。詳しくは、 こちら でおさらいしてください。「分配金」というのは、株式で言うところの配当金に相当するものです。分配金が支払われる頻度は、商品によっていろいろです。年に1~2回のものもあれば、毎月支払われるものもあります。毎月支払われるものを、「毎月分配型ファンド」といいます。ご質問で多いのは、「分配金が毎月もらえる毎月分配型の投資信託のほうが得ですよね?」というものです。たしかに、毎月、支払われるもののほうがお得に思えるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。まずは、分配金のしくみについて知りましょう。分配金のしくみたとえば、毎年12月1日が決算日(分配金が支払われる日)のファンドを、基準価額1万円で購入したとしましょう。基準価額は、その後、上がったり下がったりしながら、11月1日時点で、1万2,000円になりました。もし、ここで解約したら、1万2,000円−1万円=2,000円2,000円のキャピタルゲインが得られます。あなたは、解約しないで持ち続け、12月1日の決算日を迎えました。基準価額はさらに上がって、1万2,500円になっていました。このとき、投資信託会社が、「2,000円の分配金を出しましょう」ということになると、2,000円の分配金がもらえることになります。収益分配を行ったこの投資信託の基準価額は、1万2,500円−2,000円=1万500円となります。(1のケース)では逆に、12月1日の決算日の基準価額が下がって、1万500円になっていたとしましょう。2,000円の収益分配を行えば、この投資信託の基準価額は、1万500円−2,000円=9,500円となります。(2のケース)このように、分配金は、運用によって得られた収益(組み入れられた株式や債権などの値上がり益や配当金など)の一部が、支払われるものなのです。1のケースの場合、2,500円の運用益の中から、その一部の2,000円が支払われました。これを「普通分配金」といいます。一方、2のケースの場合は、運用益は500円なのに、それ以上の2,000円を支払いました。1,500円は自分が投資した元本の一部から支払われたのですね。これは、「元本払戻金」といいます。かつては「特別分配金」と言われていましたが、いかにもお得なイメージがあるので(実際にはただの元本の払い戻しですね)、改められました。しかし、このしくみを知らない人が多く、毎月分配金型の投資信託は非常に人気があります。「毎月、分配金が入るからお得ですよ」などと勧められて購入し、うきうきしながら毎月、分配金を受け取っていたのですが、解約するとき、元金がやせ細っていることに初めて気づくというわけです。老後資金を作っていくなど、長期的な運用の結果に大きな影響のある「分配金」について、次回、さらに学んでいきましょう。(岩城みずほ)
2016年02月22日投資信託協会は27日、投資信託に関するアンケート調査結果を発表した。調査期間は2015年9月10日~29日、対象は20歳以上の男女で有効回答数は1,523件。○投資信託保有率は35.2%「投資信託の保有状況」を尋ねたところ、「現在持っている」は35.2%、「以前持っていたが今は持っていない」は13.0%、「今まで持ったことがない」は51.1%だった。年代別にみると、保有率が最も高いのは70代以上で54.4%、最も低いのは30代以下で19.3%だった。年収別では「年収100万円~300万円未満」が最多の38.9%、「年収100万円未満」が28.7%となった。「保有している投資信託の種類」を尋ねたところ、最も保有率が高いのは「株式投資信託」(63.1%)、ついで「外国で作られた投資信託」(29.3%)、「公社債投資信託」(28.0%)、「不動産投信」(17.7%)、「ETF」(7.3%)となった。「投資信託購入の際の運用会社の重視点」については「運用力」が43.4%で最多。以下「資本力」(25.5%)、「知名度」(25.3%)、「運用体制」(16.7%)だった。○投資信託のメリット・デメリットは?「他の金融商品と比較して投資信託に特に魅力を感じる点」では「定期的に分配金が受け取れる」が17.8%で1位。以下「専門知識がなくても投資できる」(16.9%)、「比較的高い利回りが期待できる」(12.1%)が続いた。一方、「不満を感じる点」の1位は「元本保証がない」(33.1%)。2位は「手数料が高い」(17.6%)、3位は「仕組みや運用実績がわかりにくい」(10.4%)だった。「投資信託の償還・売却で得た資金の流出先」の1位は「預貯金に回した」(32.6%)。2位は「生活資金に回した」(24.0%)、3位は「他の投資信託を購入した」(20.7%)、4位は「株式・債券を購入した」(17.7%)、5位は「売却・償還したことはない」(13.9%)となった。
2016年01月28日日本で購入できる投資信託は約5,800本(2015年10月末時点)もあるそうです。莫大な数のファンドの中から、どうやって選べばいいのか、困ってしまいますね。でも大丈夫。選ぶ際のポイントをお話ししましょう。運用手法で分けると2つに分類できるファンドマネジャーという投資信託の運用担当者がどのように運用しているのか、その運用スタイルから眺めると、この莫大な数のファンドも大きく2つに分類することができます。(もちろん、ファンドをどのように運用していくのか、その運用方針を決めるのは、ファンドマネジャーだけの権限ではなく、経済環境の分析や企業のリサーチなどで情報を得て、運用会議を経て決められます。)投資信託の運用スタイルは、アクティブ運用とインデックス運用(パッシブ運用ともいいます)に分けることができます。アクティブ運用とはざっくり言うと、アクティブ運用というのは、市場よりも高いリスクをとって、市場以上のリターンをあげることを目的にするものです。投資信託の運用には、指標(ベンチマーク)が設けられます。たとえば、日本株式を組み入れたファンドなら、「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの指標(インデックス)がベンチマークとなります。アクティブファンドというのは、一般的にはこのベンチマークを上回るリターンを目指して運用するものです。ベンチマークを平均点と考えるなら、平均点以上の成績を目指すものなのですね。そういう意味では、運用者の手腕に託されているというわけです。インデックス運用とは一方、インデックス運用というのは、市場の動きと同じような動きでよいと考える運用です。市場が良い時は同じように上昇し、悪ければベンチマークと同じくらいのリターンで良いとするものです。インデックス運用は、市場並みのリスクをとって市場並みのリターンをなるべく安いコストで実現しようという考え方です。インデックスかアクティブかインデックスがよいか、アクティブがよいのかについては、よく議論されるポイントです。それぞれの運用スタイルを知って、市場平均を上回る運用を目指すアクティブファンドのほうがいい!と思った人も多いかもしれません。しかし、ちゃんと目標を上回った実績を出せているかと言うと、なかなかそううまくはいかないようです。過去の実績を見ると、アクティブファンドの平均パフォーマンスは、インデックスファンドのそれを下回っているという現実もなるのです。なぜでしょう。それは、アクティブファンドには大きなコストがかかるためです。コスト以上の運用成績を上げればいいじゃないと思うかもしれませんが、毎年毎年長く勝ち続けるのは至難の業なのでしょう。中には、よい成績を上げているアクティブファンドもありますので、結果的に、お金を十分増やせたということももちろんあります。また、インデックスファンドの中にもベンチマークと乖離(かいり)してしまうものもありますので、どちらが良い、悪いということではないのです。大切なのは、それぞれの特性を知り、きちんと使い分けることです。長期で保有し、老後資金などのためにゆっくりお金を増やしていきたい場合は、やはり、コストの安いインデックスファンドを選ぶのがいいでしょう。その上で、余裕があれば、運用方針やコストなど、自分で納得した上で、アクティブファンドを買ってみるとよいでしょう。次回は、どんなインデックスファンドを選べばいいのかをお話します。(岩城みずほ)
2016年01月25日広島銀行は18日、個人インターネットバンキングスマートフォン版での投資信託メニューの取扱いを開始した。○手軽に資産運用を始めてもらう機会を提供するこのたびの取組みは、NISA(少額投資非課税制度)や職場積立NISAをきっかけに、幅広い世代で「投資信託を活用した資産運用」への関心が高まっていることをふまえ、手軽に資産運用を始めてもらう機会を提供する目的として実施するものだという。個人インターネットバンキング投資信託の全メニュー(購入、売却、積立投信契約、預り資産の状況等)がスマートフォンで使用可能になる。広島銀行によると「スマートフォンでも使いやすいよう、文字やボタンサイズを大きくし、操作性と視認性を高めています」としている。
2016年01月20日投資に回せるお金が少額の場合、投資信託を利用するのがいいでしょう。投資信託とは、簡単に言うと、たくさんの個人投資家(受益者)から集めたお金をまとまった資金にして、ファンドマネジャーと言う専門の人が運用するものです。今回は投資信託のしくみを、もう少し詳しく解説していきましょう。 前回 、「投資信託というのは、大きな袋の中に、たくさんの会社の株式が入っているイメージです」とお話ししました。ファンドマネジャーは、たくさんの銘柄に分散投資をして、利益が出たら、リターンを皆で分けます。投資信託のメリット専門家が運用してくれるので、「今、株価がどうなっているか」とか、「どこの会社が儲かりそうか」などを調べたりする必要がありません。少額から投資ができることも大きなメリットでしょう。個別銘柄に投資をする場合、数十万円の資金が必要ですし、相当大きなお金がないと買えない銘柄もたくさんあります。でも、投資信託なら、1万円でさまざまな銘柄に分散投資をすることができるのです。そう、投資信託なら、分散投資が簡単にできるのですね。ネット証券なら、500円から積立投資ができます。積立投資というのは、給料から毎月決まった日に決まった金額で、決まった投資信託をコツコツ買い増していくことです。積立預金(貯金)や財形などをしたことがある人も多いと思いますが、同じようなイメージです。資金の安全性も確保されているもう1つ、投資信託には、個人投資家の資産が守られるという安全性が確保されているという特徴があります。投資信託は、・証券会社や銀行など投資信託を販売する金融機関・ファンドを運用する投資信託会社(委託者)・資金を保管、管理する信託銀行(受託者)に分かれています(中には、投資信託会社自身が販売する「直販」と呼ばれる会社もあります)。役割が3つに分かれているので(分別管理といいます)、万一、銀行や証券会社が倒産したとしても、個人投資家の資産は安全に守られるのです。投資信託の値段と手数料投資信託の価格は、「基準価額(きじゅんかがく)」といいます。運用の状況は公開されていますし、今、いくらになっているのかもわかります。非上場の投資信託の場合、ファンドに組み入れられている株式などの時価総額を受益権口数で割って、一口当たりの価格=「基準価額」が算出されます。購入、解約(換金)はいつでもできますが、当然ながら、元本や利回りは保証されていませんし、保有には手数料がかかります。手数料は、商品によって違うので、注意が必要です。手数料は、販売手数料、信託報酬、信託報酬留保額の3つがあります。販売手数料というのは、スポーツクラブの入会金のように、購入時に一度だけかかります。販売会社に支払うものです。商品や販売会社によって違っていて、とても高いものもあれば、無料(販売手数料のかからないもの。ノー・ロードといいます)のものもあります。たとえば、3%の販売手数料のかかる投資信託を、購入手数料込みで100万円分の買った場合、販売手数料が差し引かれ、97万円からの運用スタートとなるわけですから、販売手数料のかからない、ノー・ロードの商品を選ぶほうがよいわけです。信託報酬(運用管理費用)というのは、スポーツクラブの毎月の会費のようなもので、投資信託を保有している間、ずっとかかる手数料です。毎日、ファンドの信託財産から差し引かれます。たとえば、信託報酬が年1%だとすると、その365分の1ずつ差し引かれていきます。こちらも商品よって高いもの安いものまで、さまざまです。ファンドによってかかる「信託財産留保額」は(かからないものもあります)、解約する人が支払うコストです。解約金を受け取るためには、ファンドに組み入れている株式などを一部売却しなければなりません。そのとき発生する手数料が、ファンドにとどまる人の負担にならないように支払うものです。コストを下げることは最終的なリターンをあげる上で大切です。たとえば、3%のリターンを上げても、手数料が2%もかかっていたら、実質リターンは1%にしかなりません。コストは小さいほうがいいのです。手数料の安い商品を選ぶことがリターンを上げるコツなのです。次回は、コストに大きな差を生む、投資信託の運用方法についてお話しします。(岩城みずほ)
2016年01月11日前回 、「長期的なパフォーマンスは、株式と債券にどのくらいずつ投資をするかによって決まるので、資産配分(アセットアロケーション)がとても重要です」とお話ししました。投資において大切なのは資産配分と聞くと、「え? 何を買うかのほうが大切ではないの?」と思われるかもしれません。でも、実はそうなんです。つまり、銀行や証券会社で、「この商品がおススメですよ」と言われても、即座に買ってはいけないということです。もしかしたら、あなたの対応をしてくれた人は、あなたにとってよい商品を勧めてくれたかもしれませんが、おそらくは、その人(銀行や証券会社)がもっとも売りたいものを勧めていると考えるのが妥当ではないでしょうか?商品を選ぶ前に、まず、株式にどのくらい、債券にどのくらい投資をするか決めます。商品を選ぶのはそれからです。「トータルで上がればOK」と考えるのが投資の鉄則さて、リスクとリターンについてもう少し考えてみましょう。株式の比率が高いとリターンも高くなりますが、リスクも高くなります。損失を被った時のことを想定しておくことが大切なのです。少し難しくなりますが、投資ではリスク、つまりリターンの変動幅を「標準偏差(ひょうじゅんへんさ)」というもので表します。標準偏差というのは、「平均値から上下にどのくらいバラつきがあるか」を示すものです。リターン5%の商品は、毎年必ずリターン5%が得られるわけではなく、−15%まで下がるかもしれないし、+25%くらい上がるかもしれないということです。上がったり下がったりしながら、平均で5%のリターンになるということです。単に銘柄をバラして買うだけでは、真の分散投資にならない投資初心者の皆さんは、株式市場や債券市場に近い動きをする金融商品を選ぶのがよいでしょう。株式や債券は市場価格に応じて上がったり下がったりします。それはつまり、すでに十分にリスクが分散されているものだということです。分散投資には、リターンを高めてリスクを下げる効果があります。そして、分散投資において大切なのは「値動きの違うものを組み合わせて持つこと」です。これによりリスクを軽減できるというお話も 前回 しました。では今回は「値動きの違う組み合わせ」について、株式を例にして具体的に考えてみましょう。たとえば、平成27年4月から「 子ども・子育て支援新制度 」がスタートしました。これは、「量」と「質」の両面から子育てを社会全体で支えるというものです。それならば、民間の保育やベビー・子ども用品など、いわゆる子育てに関連する会社が儲かりそう…と、あなたは思うかもしれません。こども服を作る会社、幼児教育の会社、民間保育の会社など、子どもに関係する会社の株をいくつか買いました。そう、あなたは「分散」して株式を買ったわけです。さて、でもこれって、本当に「分散」になっているのでしょうか?結論から言うと、これは十分に分散しているとは言えません。よく分散の好例としてたとえられるのは、「傘を作る会社とサングラスを作る会社」の関係です。晴れの多い年はサングラスがよく売れ、雨の多い日は傘がよく売れます。このように、一方がプラスに動く時、もう一方がマイナスになるというように、値動きが反対の物を選ぶとよい、というわけです。つまり、特定の分野に偏らず、関連性の低い業種や銘柄を選ぶ。これが正しい「分散」であり、運用の基本なのです。少額からでも効率よく分散投資ができる投資信託でも、そんなにきれいに値動きが反対になるものってあるでしょうか?見つけるのは、なかなか難しいですよね。じゃあ、いろんな会社の株をたくさんもてばいいじゃない!と、思いますが、現実問題、多くの株式を持つのも大変です。そこで、おススメしたいのは、少額からでも効率よく分散投資ができる「投資信託」です。「ファンド」とも言います。投資信託というのは、大きな袋の中にたくさんの会社の株式が入っているイメージです。もちろん、中身に何が入っているのかはわかります。そして、中身の種類もさまざまです。たとえば、世界中の株式に投資をするもの、日本の上場企業すべてに投資するもの、世界のさまざまな国の債券が入っているもの、あるいは、株式と債券の両方が入っているものなど、たくさんあります。今、日本で購入できる投資信託は5,000本以上(2015年5月末時点)あるそうです。え? そんなにたくさんの中から、投資信託をどう選べばいいの?またもや難問ですね。でもご安心ください。このコラムを読んでいただければ、選び方もご理解いただけると思います。次回は、投資信託のしくみについてお話します。(岩城みずほ)
2015年12月22日Finatextは12月18日、三菱東京UFJ銀行とパートナーシップを組み、投資信託選びをサポートするスマートフォンアプリ「Fundect(ファンデクト)」を公開した。三菱東京UFJ銀行がベンチャー企業と組み、新サービスを提供するのは今回の取り組みが初めてだという。同アプリでは、投資信託の「適性チェック」や「口コミ」「スクール」の3つの機能が提供される。「適性チェック」では、アプリから出される15個の質問に答えることで、自分の適性に合った投資信託がリスト形式で表示される。投資に関わる質問から、投資とは関係ない質問まで幅広い質問が用意されており、ユーザーは楽しみながら投資を学べる。「口コミ」機能は、アプリ内に登録されている数多くの投資信託について、ユーザーが口コミを書き込み、閲覧できる。適性チェックで出てきた投資信託以外にも、値上がり率の大きなものや、閲覧数の多いものなど、さまざまな投資信託の口コミを見ることで、投資信託選びの参考にできる。最後の「スクール」機能は、投資信託について学べる教科書コンテンツとなる。ストーリー仕立てで展開されるため、少しずつ読み進めていくことで、「投資信託に触れてこなかった初心者でも気軽に学習できる」としている。
2015年12月21日広島銀行はこのたび、2016年1月4日に高齢化社会の進展や、相続税制変更により高まる生前贈与ニーズに応えるため、全国の地方銀行で初めてという、信託機能を活用した個人の顧客向け新商品「〈ひろぎん〉想いつづく信託」(暦年贈与信託)の取扱いを開始すると発表した。○「〈ひろぎん〉想いつづく信託」(暦年贈与信託)の特徴贈与手続きの負担軽減:贈与の意思確認や振込等の贈与手続きを広島銀行がサポートする相続人以外にも贈与可能:相続人だけでなく3親等以内の親族へ、最大5名まで贈与が可能毎年の贈与記録が残る:長期にわたり複数の受贈者に贈与する場合でも、贈与取引の記録が残る○商品概要対象となる人:個人の顧客信託金額:500万円以上(1万円単位)追加信託:追加信託可(100万円以上、1万円単位)信託期間:5年以上30年以内(1年刻み)、中途解約は原則不可受贈者:3親等以内の親族残余財産の受取:指定可(推定相続のうち1名のみ)元本補填:あり預金保険:適用信託報酬:管理報酬/信託設定時、追加信託設定時に申込金額の1.62%(消費税込み)、運用報酬/信託期間中に運用報酬(信託金の0.01%程度)
2015年12月08日