明治学院大学国際平和研究所では2024年2月17日(土)に「硫黄島強制疎開80周年記念シンポジウム」を開催します。本シンポジウムでは、太平洋戦争時から80年も故郷に帰れないなかで、島民の歴史や記憶を未来にどのように受け継いでいくのか、市民社会や国がこれから何ができる/何をすべきなのか、みなさまと一緒に考えます。【シンポジウム詳細】日時 :2024年2月17日(土)14:00~17:00場所 :明治学院大学 白金キャンパス 3101教室開催方法:対面(※後日YouTubeでの配信あり)参加費 :無料申込方法:不要■おもな内容○開会挨拶渋谷正昭(小笠原村長)○第1部基調講演 「硫黄島強制疎開80周年にあたって」滝口悠生(小説家・硫黄島民3世)奥山登喜子(硫黄島民1世)○第2部島民各団体の紹介パネルディスカッション伊藤謙一(硫黄島帰還促進協議会副会長/硫黄島民2世)高橋淑子(全国硫黄島島民の会会員/硫黄島民3世)奥山登喜子滝口悠生○オーガナイザー・司会石原 俊(明治学院大学社会学部教授/全国硫黄島島民3世の会会員顧問)■問い合わせ先明治学院大学国際平和研究所E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp TEL : 03-5421-5652シンポジウムの詳細は下記のポスターをご確認ください。シンポジウム ポスター(表面)シンポジウム ポスター(裏面)□■明治学院大学について■□創設者は“ヘボン式ローマ字”の考案や和英・英和辞書『和英語林集成』の編纂、聖書の日本語訳完成などの業績があるヘボン博士。建学の精神である「キリスト教による人格教育」と学問の自由を基礎とし、ヘボン博士が貫いた“Do for Others(他者への貢献)”を教育理念としています。広く教養を培うとともに、各学部学科において専門分野に関する知識・技能および知的応用能力を身につけた人間の育成を目指します。2023年は創立160周年を迎え、2024年には本学初の理系学部「情報数理学部」を開設します。 明治学院大学 白金校舎 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月21日小学校の定番の宿題である、音読。国語の教科書を声に出して読むことで、漢字の正しい読み方などを確認でき、読解力も高められるといわれています。親は子供の音読を聞くことで、国語の授業でどんなことを勉強しているのか、知ることができるでしょう。息子の音読3人の兄妹を育てる、はんまま(hanma_ma)さんは、毎日長男の音読の宿題を確認しています。ある日、長男は教科書の新しい物語を読むことになりました。しかし、読み進めるうちに、だんだんと読むことがつらくなってきて…。親子で話の内容に号泣…!長男が読んだのは『ちいちゃんのかげおくり』という戦争文学でした。1982年に発行された、あまんきみこさんの作品で、1986年頃から小学3年生の国語の教科書に掲載されているため、知っている人も多いでしょう。あらすじは、両親と兄と幸せに暮らしていた、幼いちいちゃんが戦争により家族を失い1人ぼっちになって、悲しい結果を迎えてしまうというもの。戦争を知らない子供たちに、戦争によって起こる悲劇をやさしい言葉で伝えています。長男は主人公のちいちゃんが自分や、まだ幼い妹弟に重なり、思わず感情移入をしたのかもしれませんね。はんままさんも、長男の声がだんだんとかすれていくのを聞いて、つられて涙が滝のように流れてしまったそうです。投稿には多くのコメントが寄せられていました。・小学生の時に読みました。弟がそばで黙って聞いていたのを思い出します。・この話すごく覚えてます!今でも教科書にあるのですね。娘が読む時、私も目から滝が出そうです。・分かります…!親の立場で聞くと、ちいちゃんと自分の娘を重ねてしまい、涙が止まりませんでした。平和な日本で暮らしていると、戦争がもたらす恐怖や悲しみを想像する機会はほとんどありません。物語の音読を通して戦争について考え、家族でいろいろな話をするきっかけになるのかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2023年11月22日上海を舞台に、太平洋戦争開戦までの7日間を描く映画『サタデー・フィクション』。オダギリジョーさんは、日本海軍の暗号通信の専門家・古谷三郎を演じた。スパイ活動を行いながらも、亡き妻を想う人間味あるキャラクターだ。世界的巨匠のモノクロの映像美に浸れるスパイ映画。「役をどう解釈して、表現したのか…そうしたことを言葉にするのが恥ずかしくて。事前にロウ・イエ監督と打ち合わせを重ねていたので、そうした中で役が濃縮されていったんだろうし、現場ではそのイメージに血を通わせていく作業だったんだと思います」現場に入るまでの準備段階が重要であり、楽しいとも。「あらかじめ役や脚本の疑問点を潰しておかないと、現場で大きな問題になったり、撮影を止めてしまうこともありえますからね。オファーをいただいた時に、そのあたりがクリアにならないならお受けできないとハッキリ伝えるようにしています。この作品では、最後まで議論を重ねたシーンがあり、監督からの依頼で台本の一部を僕が書き直したこともありました。そうした監督と俳優を超えたモノ作りに、僕は楽しさを感じています」世界的に評価の高いロウ・イエ監督の撮影は独特で、複数のカメラで5~6シーンを連続で撮り、10回、20回とテイクを重ねるそう。「監督は独特の演出手法によって、自分すらも想像しなかったことが起こるのを待っていたんだと思うんです。カメラ同士が映り合うことも、コップが倒れることもある。次は何が起こるんだろうと、撮影を心から楽しんでいるようでした。ただ、演じる側は、毎回芝居を変えてくれと言われるのでやりがいを感じつつも、正直、疲れます(笑)。でも、主演のコン・リーさんは文句も言わない。あの大女優が謙虚にやってらっしゃるのに、僕が『もう十分でしょ?』なんて言うわけにはいきません(笑)。本当に素晴らしい女優さんですよ。今回はアクションでしたが、次は静かに、覗き合うような芝居がしたいですね」本作は、今では極めて珍しいモノクロ映画。カラーか白黒かで迷っていた監督に、オダギリジョーさんが「白黒のほうがいい」と言ったそう。「あの時代の空気はこの色みで合っているのかと心配するよりも、白黒の潔さを貫いたほうが、アクション映画としても画が強くなると思い、言ったのかもしれません。上海の歴史的な背景を知っているかどうかで、映画の理解度が変わるのは確かですが、白黒の美しいロウ・イエの世界を純粋に楽しみ、混沌とした上海のパワーを素直に受け取るには知識は必ずしも必要ないと思います。この時代に白黒で音楽もつけず、勝負できるというのはすごいこと。優れた監督にしかできないことですから。ぜひスクリーンで体験してもらいたいですね。僕も作品を作る人間として、一度は白黒で勝負してみたい。…と言いながら、自分の首を絞めてますね(笑)」映画『サタデー・フィクション』日中欧の諜報員が暗躍する魔都・上海。女優でスパイのユー・ジン(コン・リー)は、日本海軍少佐の古谷の亡き妻に似ていた。ユー・ジンが稽古する舞台は、横光利一の『上海』の設定が元になっている。11月3日公開。©YINGFILMSオダギリジョー1976年2月16日生まれ、岡山県出身。2021年放送の連続ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK)では脚本・監督・編集も手掛けた。現在映画『月』が公開中。主演・プロデュース作『僕の手を売ります』(全10話)がFOD/Amazon Prime Videoにて配信中。ジャンプスーツ¥85,800(ETHOSENS of white sauce TEL:03・6809・0470)シューズはスタイリスト私物※『anan』2023年11月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・西村哲也ヘア&メイク・砂原由弥シラトリユウキインタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2023年11月05日ロウ・イエ監督最新作『サタデー・フィクション』が11月3日(金・祝)より公開。太平洋戦争開戦前夜の上海を舞台にした本作から本編冒頭映像が解禁された。諜報員という裏の顔をもつミステリアスな人気女優の主人公ユー・ジン役には、ハリウッドでも活躍する中国を代表するコン・リー。日本軍の暗号通信の専門家・古谷三郎に扮するのは、中国でも高い人気を誇るオダギリジョー。さらに、オダギリさん演じる古谷の護衛・梶原には出演映画の公開が続く中島歩。そのほか、海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で知られるトム・ヴラシア、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のパスカル・グレゴリー、台湾の国民的人気俳優マーク・チャオら国際色豊かなインターナショナルキャストが名を連ねている。今回解禁となるのは本編の冒頭映像。映画は、舞台演出家のタン・ナー(マーク・チャオ)と人気女優ユー・ジンが舞台「サタデー・フィクション」のリハーサルをする場面から始まる。演出とともに、俳優も務めるタン・ナーが酒場に入ると、テーブル席で静かに佇むユー・ジン演じる主役・秋蘭を見つけ、話しかける。舞台の外では恋人同士でもあるタン・ナーとユー・ジンの2人が意味深長な会話のやりとりをしていると、そこにサングラスに葉巻をくわえた怪しい男性が登場し、タン・ナーから「もう一回やりなおし」の声がかかるところでリハーサルが中断される…、という場面。ロウ・イエ監督お馴染みの手持ちカメラで演者たちの様子を追い、さらに舞台の中で生演奏されているジャズも相まって、監督ならではの臨場感のある世界に引き込まれるようなオープニング。ちなみにこの舞台はロウ・イエ監督が「上海に関する小説のうちで、好きな作品の一つ」と語る、横光利一の「上海」が原作。ユー・ジンとタン・ナーは互いに惹かれあう中国共産党の女性闘士と日本人男性の役を演じている。『サタデー・フィクション』は11月3日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:サタデー・フィクション 2023年11月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺にて公開©YINGFILMS
2023年10月30日1941~1945年に起こった太平洋戦争は、各地で幾度となく戦闘が行われ、多くの人が命を落とした悲しい歴史。また、日本への原子爆弾(以下、原爆)の投下も、忘れてはならない出来事として刻まれています。1945年8月6日に広島県、そして同月9日に原爆によって多くの人が命を落とし、日本は実戦による唯一の被爆国となりました。終戦から78年が経過した2023年現在も、原爆が投下された日になると、各県で犠牲者を追悼し、平和を祈る式典が行われています。日本人妻が、アメリカ人夫に勇気を出して戦争の話を切り出した理由アフリカ系アメリカ人の夫であるボビさんと結婚し、2人の間に生まれたジョセフくんを育てている、日本人のチコ(chiko_0913.2022)さん。チコさんは、長崎県に原爆が投下された8月9日を迎えるたびに、あることを考えるといいます。それは、「もしかしたら、自分はこの世に生まれていなかったかもしれない」ということ。祖父らは、原爆の投下候補地であった福岡県北九州市周辺の出身でした。もし北九州市に原爆が投下されていたら、チコさんは生まれていなかった可能性があるのです。チコさんは、ある想いからボビさんに太平洋戦争、そして原爆についての話を切り出すことにしました。戦時中、チコさんの祖父とボビさんの大叔父は、軍に所属して敵対する身でした。両者ともに、戦時中は異なる信念を持っていたはず。そして、直接戦争を経験していないチコさんとボビさんも、同じ歴史を学びながらも、国によって異なる価値観を持っていることでしょう。それをよく分かっていたため、夫婦間でこの話をすることに、勇気を要したというチコさん。しかし、あえて歴史について話すことにしたのは、息子のジョセフくんのためでした。「日本とアメリカ両方の血を引くからこそ、息子にはお互いの国の歴史観を教えていかないと」まだ幼いジョセフくんも、勉強に励むことで、いつか戦争のことを知る日が来るでしょう。かつては敵対していた国に生まれた2人が結ばれ、ジョセフくんが生まれたのは、平和あってのもの。だからこそ、チコさんは祖父の想いや、こうして家族が巡り合うまでの歴史を伝えていきたいと思ったのです。国際結婚をしたチコさん一家ならではのエピソードに、漫画を読んだ人からは「涙が出た」「戦争というものについて、考えさせられる」といった声が寄せられています。「原爆だけでなく、戦争で亡くなったすべての人たちが、少しでも安らかに眠れますように」という世界平和の願いを込めて、漫画を描いたチコさん。1945年に幕を下ろした太平洋戦争以降、幸いなことに日本では戦争が起こっていません。しかし、平和な日々がいつまでも続く保証はないでしょう。過去をしっかりと学び、次の世代に語り継いでいくこと。それが、私たちにできる平和を守るための努力ではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2023年08月10日明治学院大学法学部の佐々木雄一准教授が研究成果として『近代日本外交史 幕末の開国から太平洋戦争まで』(中公新書)を刊行しました。詳細URL: 『近代日本外交史 幕末の開国から太平洋戦争まで』(中公新書)◆本リリースのポイント・研究成果をコンパクトにまとめた最新の近代日本外交史論・1850年代から1945年にわたる日本外交の歩みを、国際秩序との関わりを軸に通観・国際秩序や外交・安全保障について、その参考となる知見を歴史的視座から考察し、提供◆研究内容明治学院大学法学部の佐々木雄一准教授が、著書『近代日本外交史 幕末の開国から太平洋戦争まで』(中央公論新社)を刊行しました。明治学院大学での日頃の研究・教育の成果をふまえて、1850年代から1945年までという長期にわたる日本外交の歩みを、国際秩序との関わりを軸に通観したものです。佐々木准教授は博士学位論文を基にした初めの著書、『帝国日本の外交1894-1922 なぜ版図は拡大したのか』(東京大学出版会、2017年)が近年を代表する近代日本外交史研究の一つとして既に学界内で定着しており、以来、近代日本の外交や戦争に関する著作・論文を多数発表してきました。今回の著作は、そうした最先端の研究の知見をコンパクトにまとめ、広く世の中に伝えるべく執筆されたものです。昨今の国際情勢を受けて、国際秩序や外交・安全保障について日本でも論じられる機会が増えました。本書は、歴史的視座からその参考となる知見を提供しています。また、世界史や東アジア史の視点をふまえた近代日本外交論であり、高校で「歴史総合」科目が導入されるなど近代日本と世界の歩みをどのように総合的に理解するかが注目されるなか、現在の研究や大学教育の水準を知ることができます。◆書籍情報著者 :法学部・佐々木雄一書籍名 :『近代日本外交史 幕末の開国から太平洋戦争まで』発行日 :2022年10月20日出版社 :中央公論新社IBSNコード:ISBN978-4-12-102719-1◆研究者プロフィール東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。2022年4月より明治学院大学法学部政治学科准教授。専門分野は日本政治外交史。これまでの研究成果についての詳細は以下をご確認ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月09日太平洋戦争開戦前夜の長崎で、考古学者のカナクギ(片岡亀蔵)の助手であるオズ(大鶴佐助)が遺跡を発掘する。それは、若く美しいヒメ女が治めていたが滅亡した古代王国だった。現代と古代の世界が折り重なり、やがてとんでもない古(いにしえ)の秘密が明かされていく。野田秀樹さんが1999年に書き下ろし、これまでタブー視されてきたテーマに真っ向から切り込み、壮大なスケールで描かれた戯曲『パンドラの鐘』。今作で葵わかなさんが演じるのは古代の女王・ヒメ女。「最初に脚本を読んだとき、キャッチーな作品だなと思ったんです。時代が行き来するので、最初は少し混乱もするけれど読み進めばわかってくるし、小説のようにいろんなところに伏線が張り巡らされていて、最後にそれがわかるとすっきりする。それでいて、観る人によっていろんな捉え方ができる物語だと思います。答えがひとつじゃないというか、定まった答えを提示するのではなく、伝えたいことをニュアンスで描いて、大事なことは言葉にしきらないんです。そこがお洒落だし、明確な言葉を使わないことが逆に、そのテーマに対して敬意を払っているように感じました。今の社会情勢や人々が抱えているものに対して、いろんな角度から寄り添ってくれるような物語だと思うし、そういう側面がありながら、コメディチックなセリフやテンポ感で進んでいったりもする。そのちぐはぐ感が魅力的ですよね」演出を手がけるのは、若手の気鋭として注目を集める杉原邦生さん。初演時は、野田さんと蜷川幸雄さんが同時期に本作を上演。まるで違う演出で上演されたことで、戯曲の多面的な魅力がより浮き彫りにされた。今回の杉原演出版は、「華やかな舞台になりそう」とのこと。「セットだったりダンサーの方の動きだったりは、イメージの中に歌舞伎の要素も入っているようで、和洋がミックスされているんじゃないかと思います。かと思えば、音楽は現代がミックスされた不思議な雰囲気で、それが爆音で流れたりもして」ヒメ女は、兄・狂王の幽閉により女王に担ぎ上げられるが、次第に自分の役割を自覚していく。「14歳の女の子がどうやって成長していくのか、その過程をどう作るかが大事じゃないかと思っているんですよね。最初は14歳の少女らしく不安定さがあって無知で。でも大人になっていく中で、純粋の塊ゆえに出会うものすべてからいろんなことを吸収して、ときには間違ったりしながらも女王としての覚悟を持っていく。真っ白なものが徐々に色づいていく感じを、今はまだどう表現できるかわからないですけれど、素敵に演じられたらと思っています」3年前にミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で初舞台を踏んで以来、舞台出演がコンスタントに続く。「ミュージカルに参加できたとき、自分が知らなかった舞台に立つ楽しさを教えてもらったんですよね。その後に経験したストレートプレイの舞台では、自分が思っていた価値観が総入れ替えされるくらいの刺激をもらって、視野をものすごく広げてもらえたんです。ドラマで描かれるような身近に起こりそうな物語もすごく好きですけれど、それとはまた違う別の刺激や興奮を舞台では味わわせてもらえている気がします」COCOON PRODUCTION 2022 NINAGAWA MEMORIAL『パンドラの鐘』古代王国の女王・ヒメ女(葵)のために葬式屋のミズヲ(成田)が持ち帰った「パンドラの鐘」が、現代の長崎で掘り起こされる。鐘に記された、王国滅亡の秘密とは?古代の閃光の中に浮かび上がった〈未来〉の行方とは?6月6日(月)~28日(火)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作/野田秀樹演出/杉原邦生出演/成田凌、葵わかな、前田敦子、玉置玲央、大鶴佐助、柄本時生、片岡亀蔵、南果歩、白石加代子ほかS 席1万1000 円ほかBunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00~17:00)大阪公演あり。あおい・わかな1998年6月30日生まれ、神奈川県出身。最近の出演作にドラマ『女の戦争~バチェラー殺人事件~』『インフルエンス』『年の差婚』、舞台『冬のライオン』、ミュージカル『The PROM』など。Tシャツ¥56,100パンツ¥108,900(共にマルニ/マルニ ジャパン クライアントサービス TEL:0800・080・4502)ピアス¥11,000(マナ ローザ ジュエル/マナ ローザ TEL:011・616・0106)靴¥255,200(クリスチャン ルブタン/クリスチャン ルブタン ジャパン TEL:03・6804・2855)※『anan』2022年6月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡本純子ヘア&メイク・竹下あゆみインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月29日萩原聖人と村上淳がW主演、沖縄本土復帰50周年の節目に太平洋戦争末期の沖縄戦を舞台に描く『島守の塔』が、7月22日(金)より全国公開決定。『ハケンアニメ!』も話題の吉岡里帆、朝ドラ「ちむどんどん」に出演した池間夏海、映画『ひめゆりの塔』に出演していた香川京子らが共演する。太平洋戦争末期、県民の4人に1人、約20万人が犠牲となった日本国内唯一の地上戦「沖縄戦」。「命(ぬち)どぅ宝、生きぬけ!」と叫んだ2人の官僚と、「沖縄戦」に翻弄される沖縄県民。それぞれの苦悩と生きることへの奮闘を描いた本作。戦中最後の沖縄県知事として赴任し、軍の命令に従いながらも県民の命を守ろうとした島田叡(あきら)役には、映画やドラマへの出演だけでなくマルチに活躍している萩原聖人。職務を超えて県民の命を守ろうと努力した警察部長の荒井退造役には、日本映画界に欠かせない村上淳と、実力派俳優の共演が実現。また、島田の世話役の県職員・比嘉凛を吉岡里帆。凛の妹で看護学徒隊の比嘉由紀を池間夏海が、現代の凜を香川京子が演じ、監督・脚本は『地雷を踏んだらサヨウナラ』『長州ファイブ』などの作品で知られる五十嵐匠が手掛けた。本作は、新型コロナウィルス感染拡大により、1年8か月の撮影中断を経て満を持して公開が決定。これを受け、萩原さん、村上さんと五十嵐監督からコメントが到着した。萩原聖人コメント東日本大震災を知らない世代がいるように、時間の流れは速く、次の時代を作っていきます。この作品で語られていることは僕自身も詳しくは知らない事が多かったです。どんなに時間が早く過ぎても決して忘れてはならない事が描かれた映画です。正に今、そんな時代だからこそ、沢山の方に観ていただけたらと心から思っています。村上淳コメントこの作品が伝えるべき"核"となるメッセージはスクリーンにあります。この作品に参加できたことを誇りに思います。五十嵐監督の優しい執念のようなものに守られた作品だなと思います。画に写るすべての役者たちの"顔"がいい。フレームの外の気配。この作品がどうみなさまに写るのか。どうぞよろしくお願いいたします。五十嵐匠(監督・脚本)コメント映画『島守の塔』を監督するため、3年間沖縄に通い、数多くのガマにも入りました。ガマの暗闇の中、沖縄戦で何か月もそこで息をこらしていた多くの沖縄の人々のことを思いました。ひめゆり平和祈念資料館では修学旅行の女子生徒がひめゆり学徒隊の日記を読み、ボロボロ涙を流していました。日本兵と共に南へ下った何万人もの人々が摩文仁で命を落とし、その道々に今でもその人々が立っているような錯覚を覚えました。沖縄では「戦争が終わっていない」と思いました。現在、ウクライナで戦争が起こっていますが、製鉄所の地下で息をひそめるウクライナの人々がガマの中の沖縄の人々とダブってしまいます。過去の歴史に何一つ学んでいない人間の愚かしさと悲しさを思います。映画「島守の塔」は、コロナ禍のため、撮影途中で中止になり、完成が危ぶまれました。しかし、1年8カ月の延期の末、この作品を「必ず、世に出す」という、スタッフ・キャスト、そして製作委員会やサポーターの皆さんの強い意志が映画『島守の塔』を生み落としました。奇跡のような映画だと思っています。『島守の塔』は7月22日(金)よりシネスイッチ銀座、8月5日(金)より沖縄、兵庫、栃木に公開後、全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:島守の塔 2022年度順次公開予定
2022年05月26日太平洋戦争で国内唯一の地上戦が行われ、戦後はアメリカ統治下にあった沖縄。5月15日、’72年に本土復帰を果たしてから50年を迎えた。苦しんできた沖縄の人々に心を寄せ、訪問を望まれていた昭和天皇はご訪問直前に体調を崩され、その思いを遂げることはできなかった。昭和天皇のお気持ちを継承されたのが上皇陛下と美智子さまだ。上皇ご夫妻が初めて沖縄を訪問されたのは、本土復帰の3年後。皇太子ご夫妻として沖縄国際海洋博覧会に出席されるためだった。この訪問中、沖縄戦で犠牲になった女子学生をまつるひめゆりの塔へ拝礼された際に、潜んでいた過激派から火炎瓶が投げられるという事件が起きている。上皇ご夫妻はそれでも日程を変更なさらずご公務を完遂された。その後も、上皇ご夫妻はさまざまな形で沖縄に心を寄せられ、ご訪問は11回を数える。ご在位中、最後のご訪問となった’18年には、多くの県民がご夫妻を笑顔で迎え、感謝の気持ちを表した。上皇ご夫妻の沖縄へのお心は、天皇皇后両陛下と愛子さま、秋篠宮ご一家に引き継がれている。そんな、皇室と沖縄の“ちゅら”交流史を写真で振り返る。【’75年】ひめゆりの塔を訪問された上皇ご夫妻。供花のあと、過激派が火炎瓶を投じ、ご夫妻の前に炎が上がった。【’82年】上皇ご夫妻は’63年から沖縄の小中学生の「豆記者」を招かれ、ご一家で交流を続けてこられた。この行事は、平成は天皇皇后両陛下と愛子さま、令和になってからは秋篠宮ご一家が担われている。【’97年】天皇皇后両陛下は’97年にご夫妻そろってご訪問。沖縄戦没者墓苑や平和の礎を巡られ、戦争犠牲者を悼まれた。また、全国農業青年交換大会にご臨席。農業生産団地ではゴーヤやクルクマの花などを興味深くご覧になっていた。【’16年】両陛下、中学3年生の愛子さまでお招きになった豆記者とご歓談。【’18年】沖縄ご訪問時には必ず最初に糸満市の国立沖縄戦没者墓苑に供花される。ご拝礼を終え、遺族にお声がけを。ご訪問中、日帰りで与那国島へ。日本最西端の碑をご覧に。【’19年】皇嗣となられた秋篠宮さまは、紀子さま・悠仁さまと赤坂東邸でご交流を。
2022年05月21日太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」により、戦後美術史に大きな足跡を残した画家・香月泰男(1911-74)の全容をたどる回顧展『生誕110年 香月泰男展』が、2月5日(土)より練馬区美術館にて開催される。山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月泰男は、1931年に東京美術学校に入学。1942年に軍隊に入り、帰郷した1947年以降は、故郷にとどまって身の回りのものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返した。1950年代後半に黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、極限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立していった。同展では、「シベリア・シリーズ」をほかの作品とあわせて制作順に展示。シベリア・シリーズは入隊から復員までを時系列に並べて紹介するのが一般的だが、実際の制作の順序は、主題の時系列とはおおきく異なっていたという。敢えて制作順に並べることで、ひとりの画家が戦争のもたらした過酷な体験といかに向き合い、考え、描き続けたかを浮かびあがらせる狙いだ。戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつある今、自身の「一生のど真中」に戦争があり、その体験を個の視点から二十年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」香月泰男の創作の軌跡にあらためて迫る。《釣り床》1941年東京国立近代美術館蔵《山羊》1955年 香月泰男美術館蔵《復員〈タラップ〉》1967年 山口県立美術館蔵《青の太陽》1969年山口県立美術館蔵【開催概要】『生誕110年 香月泰男展』会場:練馬区立美術館会期:2022年2月6日(日)~3月27日(日)※会期中展示替あり(前期は3月6日まで、後期は3月8日から)休館日:月曜(3月21日は開館)、3月22日(火)時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)料金:一般1,000円、高校・大学生および65~74歳800円美術館公式サイト:
2022年02月01日主演・柳楽優弥、有村架純、三浦春馬が共演した『映画 太陽の子』のBlu-rayとDVDが2022年1月7日に発売されることが決定した。太平洋戦争末期に存在した「F研究」と呼ばれる“日本の原爆研究”。本作はその事実を基にした青春グラフィティだ。監督・脚本は『青天を衝け』の黒崎博。柳楽、有村、三浦、そして田中裕子、國村隼、イッセー尾形、山本晋也、ピーター・ストーメアがキャストとして参加している。黒崎監督の「もっとほかの国の人たちとも、たくさんこの映画を共有したい」という想いから、本作はキャストのみならず、日米スタッフのタッグが実現。音楽には『愛を読むひと』のニコ・ミューリー、サウンドデザインに『アリー / スター誕生』のマット・ヴォウレスと、ハリウッドスタッフが参加。さらに主題歌を福山雅治が担当し、バラード『彼方で』で物語を彩る。発表されたBlu-rayとDVDは豪華版を含めた4形態で発売。豪華版は本編ディスクの他、三方背ケースやフォトブックレット、特典ディスク付きの仕様でまさに永久保存版だ。特典ディスクには撮影の舞台裏やキャスト・監督のインタビューなどを収めたメイキングや貴重な各種イベント映像が収録された特典映像も多く収録されるという。また豪華版を対象とした先着予約購入特典として「オリジナル一筆箋」が用意されている。さらにAmazonや楽天ブックスなどの店舗別予約購入特典で「L判ブロマイド3枚セット」もプレゼントされるので、ぜひチェックしてほしい。■リリース情報『映画 太陽の子』豪華版Blu-ray:7,480円(税込)BIXJ-0374豪華版DVD:6,380円(税込)BIBJ-3504通常版Blu-ray:5,280円(税込)BIXJ-0373通常版DVD:4,290円(税込)BIBJ-3503<Blu-ray&DVD豪華版・共通特典>【仕様・封入特典】・三方背ケース ・ブックレット【映像特典】・メイキング・イベント映像集・予告集※特典ディスクはDVDとして付属。
2021年10月08日主演・柳楽優弥、有村架純、三浦春馬が豪華共演する太平洋戦争末期の青春グラフィティ『映画 太陽の子』。この度、本作が11月12日より全米公開決定。さらに、3人それぞれの想いを秘めた表情が胸に迫る新ビジュアルが解禁された。全米ではロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなどでの公開を予定。併せてインターナショナル版予告とビジュアルも解禁、科学の行く末にあるものが希望なのか絶望なのか、緊迫感あふれる映像になっている。全米公開が決定したことを受け、プロデューサーの森コウは「製作当初から多くのアメリカの方に見ていただきたいという気持ちがあり、今は公開が本当に待ち遠しいです。手応えは既に感じていて、賞レースに絡む可能性を高く持っていると思います。アメリカ人の原子爆弾の捉え方は日本とは全然違うものですが、意識としては同じくとても高いもので、間違いなく興味を引くものだと思っています」とコメント。「しかし、最も重要なのはその興味の部分ではなく、実際に作品をご覧いただいて、ストーリーや俳優のみなさんの演技がアメリカでどう評価されるのか。そこに期待しています」と展望を語った。また、公開2週目を迎えた本作から、新たなビジュアルが登場。激動の時代の中で、“原爆研究”の密命を受けた科学者の石村修(柳楽さん)は、研究の葛藤を秘めながら決意を感じさせる表情を見せ、石村兄弟が密かに思いを寄せる思われ人・朝倉世津(有村さん)は優しいほほえみにわずかな切なさを感じさせ、戦地から帰郷し束の間の休息に心を休める弟の石村博之(三浦さん)は、空を仰ぎ遠くを見つめる。各キャラクターそれぞれの想いと迫りくる時代のうねりが交錯し、胸に迫る新ビジュアルとなっている。なお、この新ビジュアルが使用されたA5サイズのポストカードが8月21日(土)より全国の公開劇場にて、数量限定での配布が決定している。『映画 太陽の子』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:映画 太陽の子 2021年8月6日より全国にて公開©︎2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
2021年08月17日太平洋戦争後、約30年目に生還した小野田旧陸軍少尉を描く映画『ONODA』(原題)。現地時間7月8日、本作が第74回カンヌ国際映画祭 ある視点部門でのオープニング作品として公式記者会見が行われ、小野田役の遠藤雄弥と津田寛治がリモートで参加した。昨今の状況とスケジュールの都合により、カンヌ入りが叶わなかった2人。しかし今回、カンヌ国際映画祭での特例として、日本人としては初めてのリモートで記者会見に参加することができた(2018年のジャン=リュック・ゴダール以来、カンヌ国際映画祭としては2度目)。津田さんは「日本の映画界では、撮影が始まる前に資金が調達できずに撮影までいかない企画もあり、撮影が始まったとしても途中でお金がなくなって完成できないというような映画がたくさんあります」と日本映画の現状を述べた上で、「フランスの映画の制作の現場が日本と大きく違うところは撮影の環境です。この作品の現場ではケータリングが出て、スタッフもキャストも同じ暖かい食事を一緒に食べるんです。なんと、彼らは撮影中も週休2日制なんです!そして、撮影現場に自分たちの子供や家族も連れてくるんです。最後には、彼らは2週間ごとに家族を交えて撮影現場でパーティ(みたいなもの)をしているんですよ。楽しいじゃないですか。(笑)日本もそういう映画の制作現場が増えたらいいなと思います」と日本との違いに驚いたことをユーモアを交え明かし、会場のメディアからは思わず拍手も起こった。今回会見に参加してみて、「カンヌに来られたんだなと思えて、幸せな気持ち」(津田さん)、「画面越しですがスタッフに会えてうれしい」(遠藤さん)と感想を語る2人。記者から、特に津田さんは自在した小野田さんに容姿がそっくりと賞賛され、それぞれ役作りを問われると、遠藤さんは「11キロ痩せて現場に行ったら、監督に痩せ過ぎと言われて。ピーナツバターや食パンを毎日食べて体型を調整した」と明かす。一方、幼少期、実際に小野田さんの帰還を見ていたという津田さんは「母から、戦争が終わったことを知らずにジャングルにいた人と言われた。本当にビックリした。でも、今作で資料などを読み、あの高度経済成長期時代に大和魂を持って帰ってきたと知って感動した。だから誇りをなくさないように小野田さんを演じました」と語り、約1年かけて13kgの減量をして撮影に挑んでいたことを回顧した。そして本作の監督、フランス出身であるアルチュール・アラリは、なぜ小野田さんを描こうと思ったのか、その製作理由を問われると、「彼(小野田さん)の揺るぎない信念に私は引き寄せられた」と回答していた。『ONODA』(原題)は秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ONODA(原題) 2021年秋、全国にて公開©bathysphere - To Be Continued - Ascent film - Chipangu - Frakas Productions - Pandora Film Produktion - Arte France Cinéma
2021年07月09日遠藤雄弥と津田寛治がW主演、太平洋戦争後、約30年目に生還した小野田旧陸軍少尉の人間ドラマを映画化する国際共同製作『ONODA』(原題)が今秋に日本公開が決定した。実在の人物である小野田寛郎(おのだ ひろお)旧陸軍少尉は、太平洋戦争の終戦を知らず、任務解除の命令を受けられないまま、フィリピン・ルバング島にて孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年、自身が51歳で日本に帰還した。この史実を基に、小野田が生き抜いた孤独と壮絶な日々を描いた人間ドラマが、このたび長編映画として完成。長編デビュー作『汚れたダイヤモンド』(2016)でフランス批評家協会賞・新人監督賞のほか数々の賞を総なめにし、社会派の作品を得意とする新鋭実力派監督アルチュール・アラリが全編日本語での演出にこだわり、徹底したリサーチと演出力で鬼気迫るドラマを作り上げた。フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の合作で、遠藤雄弥と津田寛治がW主演キャストを始め、全キャストを日本人俳優で固め、満身創痍の撮影に挑んだ。『ONODA』(原題)は2021年秋、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ONODA(原題) 2021年秋、全国にて公開©bathysphere - To Be Continued - Ascent film - Chipangu - Frakas Productions - Pandora Film Produktion - Arte France Cinéma
2021年06月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「総力戦研究所の教訓」です。空気に流されず、科学的根拠に基づいた政策を。80年前の12月に太平洋戦争は始まりました。ところが開戦の年の4月に当時の帝国政府は「総力戦研究所」を立ち上げ、日米開戦となった場合にどのような戦況になるのか、様々な観点から検証するよう指示を出していました。研究所に集められたのは30代前半の精鋭たち。大蔵省や商工省など省庁のエリート官僚や、陸軍省の大尉、海軍省の少佐、日本製鐵、日本郵船、日銀、同盟通信社(のちの共同通信社)の記者ら30数名で、模擬内閣を作り、徹底検証されたのです。当時の証言や資料をもとに猪瀬直樹さんがまとめたルポルタージュが、1983年に出版された『昭和16年夏の敗戦』です。総力戦研究所が引き出した結果は、序盤は日本優位に進み、中盤は産業力、物量の差が明らかになり戦況は悪化、ソ連の参戦で開戦から3~4年で負けるというものでした。ところが、すでに世の中は開戦の機運が高まっており、メディアもそれを煽るようにしており、引くに引けない状況に陥っていました。天皇はこの空気を諌めようと、東條英機に託し、日米交渉の姿勢を見せたところ、「東條弱腰」と多数の批判の投書が寄せられた。結局、東條は「日露(戦争)がそうだったように、戦争はやってみないとわからない」とエリートたちの試算を反故にし、予想通りの敗戦になってしまったのです。実は昨年、この本が再びヒットしました。それは新型コロナウイルスの対策をめぐり、同じようなことが起きたからです。科学者や医療関係者が、人々の行動規制案を提出しましたが、専門家会議は解体され、ひとつの分科会に格下げとなり、データ活用のために立ち上げた接触確認アプリCOCOAは、数か月にわたり機能していなかった事態が明らかに。人々の行動の追跡も、PCR検査もままならない状況では何も判断できません。科学的根拠のないまま、Go Toや東京オリパラなど、まあなんとかなるだろうと正常性バイアスがかかり、精神論で乗り越えようとする節がある。80年前と変わっていない体質があることを認識しなければいけません。これは僕ら一人一人に刷り込まれた感性かもしれないと、自分を疑う目線を持っていたいですね。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月2日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年05月28日終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」の放送が決定。妻夫木聡と蒼井優が夫婦役で共演し、太平洋戦争末期に行われた、生体解剖の実話を基にしたドラマを描く。1945年5月。西部帝国大学医学部・助教授の鳥居太一は、教授の指示のもと、米兵捕虜の手術を手伝うが、それは人体実験手術であった。教授に恐ろしい手術の中止を進言するが却下され、8名の捕虜が死亡。戦犯裁判で死刑判決を受けた太一は、凶行を止められなかった自分と向き合うことになる。一方、妻・房子は、裁判の中でゆがめられた真実を明らかにし、事件の首謀者にされた夫を死刑から救おうと奔走する――。本作は、熊野以素の「九州大学生体解剖事件70年目の真実」を原作としたドラマ。死刑判決を受けて自分自身と向き合う医師と、その判決に異議を唱え公正な裁きを求めて奔走する妻。苦悩の果てにたどりついたありのままの真実とは…?人間の狂気と正気を描き出すヒューマンサスペンス。主演の妻夫木聡が演じるのは、捕虜の実験手術に関わる西部帝国大学医学部助教授・鳥居太一。教授に中止を進言したが手術は続行され、終戦後に戦犯となってしまう。「"自らの責めは自らが負わねばならない" 罪とは何か、生きるとは何か、ひたすらに自分と向き合い続ける日々です。人間は愚かな生き物であります。しかし、誰かを思いやる温かい心になれるのもまた人間です。人としてあるべき姿とは何か、今一度この時代に問いかけられているような気が致します」と語る妻夫木さんは、「時代や環境が変われど、一つ一つの命の重みに変わりはありません。作品を通じて、命の尊さを感じて頂ければ」とメッセージ。太一の妻で、死刑判決を受けたことに納得せず、夫を救出するために奔走する房子を蒼井優が演じる。「胸が締め付けられるようなシーンがたくさんありますが、妻夫木さんが演じられる太一を信じ、最後の最後まで丁寧に演じて行けたら」と言い、「タイトルに見合う作品になることを期待しながら、精一杯頑張ります」と意気込んでいる。2人のほかにも、死刑囚棟の同じ房で太一と生活することになる元軍人役で永山絢斗、捕虜の実験手術を実行する西部帝国大学医学部第一外科教授役で鶴見辰吾。そして、山西惇、辻萬長、中原丈雄、若村麻由美らの出演も明らかになっている。終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」は8月13日(金)22時~NHK総合にて放送。※75分単発(cinemacafe.net)
2021年05月26日公開中の映画『スパイの妻<劇場版>』における東出昌大(32)の演技が話題だ。太平洋戦争前夜を舞台にした本作。東出が演じるのは蒼井優(35)演じる主人公の福原聡子の幼なじみで憲兵の津森泰治だ。津森は貿易会社を営む福原優作(高橋一生・39)とその妻・聡子夫婦と懇意にしていたが、国家機密を正義のため世に知らしめようとする優作たちを追い詰めていく。東出の冷徹な演技に対し《馴染みの好青年から冷徹な仮面を被った軍人へ変貌する東出さんの演技が素晴らしい》《怖い雰囲気がよく出ている》《東出の不気味さが良い》とネット上では称賛の声が上がっている。本作で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を獲得した、監督の黒沢清(65)も、東出を評価。『スパイの妻』の舞台あいさつで、東出について「僕は大好きなんです。ご本人嫌がるかもしれないんですけど、“怪しい”んです。妖の“妖しさ”もあって。あらゆる面の“あやしさ”を持っている」と語った。今年1月に唐田えりか(23)との不倫が報じられ、8月には杏(34)との離婚を連名で発表した東出。本作のほかにも、出演作の公開を控えるが、スキャンダル発覚からそれほど時間をおかず多くの作品に出演する姿勢には、まだなお疑問の声も多い。《こんなに出てこられるのは、ちょっとまだ無理》《東出昌大が復帰してるのほんと謎》《渡部は、奥さんが許しているからいいけど、普通に出ている東出は不快極まりない》「元妻の杏さんも、8月の離婚後、来秋のTBS系日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』へ出演が決定するなど徐々に活動を増やしています。しかし、杏さんは3歳の双子の女児、2歳の長男を一人で育てており、育児と芸能活動を両立していくには苦労も多いでしょう」(芸能レポーター)加えて不倫相手であった唐田もメディアには姿を見せていない。今年7月、本誌は唐田の姉に取材。「女優復帰は厳しいのではないか、という声もあります」という記者の問いに、「このまま引退ということはないはずです。それでは本人はもちろん、家族も悔しすぎます」と答えている。しかし、復帰の目途ははまだたっていなさそうだ。これについても《唐田は復帰できないのに東出は仕事がある意味が分からない、不祥事があると女性は干されるのに男性は仕事があるのか》と、当事者二人の露出の差に疑問の声が上がる。二人の女性を裏切った東出に対する世間の目はまだまだ厳しいようだ。
2020年11月27日蒼井優を主演に迎え、黒沢清監督がメガホンを取った映画『スパイの妻<劇場版>』の配信トークイベントが10月7日、渋谷ユーロライブにて開催された。本作は太平洋戦争開戦間近の日本を舞台に、時代に翻弄された夫婦の愛と正義をかけたミステリーエンタテインメント。高橋一生演じる、恐ろしい国家秘密を知った夫を支える妻・聡子を日本映画界を牽引する女優の蒼井が演じる。先日行われた第77回ヴェネチア映画祭では銀獅子賞(監督賞)を受賞し、日本人作品としては17年ぶりの快挙を達成。トークライブには、黒澤監督、蒼井、高橋の3名が参加し、現在の心境や撮影の裏側を語った。イベント当日、ヴェネチアから到着したトロフィーを掲げて登場した黒沢監督。「ヴェネチア映画祭のコンペティション部門に選ばれただけで、もう十分幸せだったんですが、おまけにこのような賞をいただけて…。そのニュースを聞いたときは『やった』と思いつつ、実感がなかったんですが、このトロフィーが届いて、なにやら映画の歴史に名前が刻まれたんだなという感慨がわいてきました」と受賞の喜びを語る。さらに、この日初めてトロフィーを目にしたという蒼井は「人生でこんな近くで(トロフィーを)見ることができるなんて……。触れる距離にあるんですけど、(おそれ多くて)全然、触ろうと思わないというか、すごい“圧”があります」とリアルな心境を明かした。今回のトークイベントは事前にファンから集められた質問や、同時進行でTwitterから寄せられた質問に3人が答える形式で開催。劇中では1940年代の衣装が登場することから、お気に入りの衣装を尋ねられた高橋は、蒼井がポスターで着用している黄色のワンピースを挙げ「かわいかった」と語った。イベントでの黒沢監督の語り口について、ライブ配信のTwitterでは「監督が優しい!」というコメントが多く寄せられたが、蒼井は「今回で(一緒に仕事をするのは)3本目なんですが、初めて監督が神戸の出身で、関西人なので笑いをなるべく大切にされていると伺って…。現場では寡黙なイメージがあったので意外でした」と黒沢監督の意外な一面を明かす。続けて、蒼井と高橋に互いの印象や魅力を尋ねると、高橋は「夫婦役は2度目だったんですが、お芝居に関しては全幅の信頼を置いているので、楽しみで仕方がなかったです」と笑顔で振り、蒼井は「尊敬してる先輩なんですが、一緒に何かを作るということをさせていただけるのがありがたいです。すごい先輩であることを知りつつ、一緒に歩んでくださることに感謝しています。できればまた共演したいです!」と再共演を熱望した。高橋は本作について「見方によっていろんな捉え方ができる映画。根幹にあるのは、人が人を思うということ、人間的に生きていくための根源的なテーマが随所にまぶされている作品だと思います」と語り、蒼井さんは「人によってはホラーよりも怖い映画だと思います。夫婦の映画でありながら、ミステリーであり、謎がたくさんあって、見る人の数だけ答えがあります。ぜひ劇場で面白さと恐ろしさを楽しんでください」とメッセージを送る。最後に黒沢監督が、改めて蒼井さん、高橋さんについて「すさまじいお芝居を見せてくれる」と絶賛。「時に剛速球を、時にはすごい変化球が見ている方に飛んでいくので覚悟してご覧ください。それはみなさんを傷つけるのではなく、必ず心の中に刺さっていくと思いますので、どうか真正面から受け止めてください」と語り、トークライブは幕を閉じた。『スパイの妻<劇場版>』10月16日(金)全国公開
2020年10月08日黒沢清監督が蒼井優を主演に迎え、スーパーハイビジョン“8K”で撮影するドラマ「スパイの妻」がこのほど完成したことが分かった。1940年、太平洋戦争前夜の神戸。福原聡子(蒼井優)は満州へ赴いていた夫・優作(高橋一生)の帰りを待ちわびていた。ところが帰国後、幼なじみの憲兵・津森泰治(東出昌大)から呼び出され、夫が満州から連れ帰った女の死を告げられる。嫉妬心に駆られた聡子は、夫の行動を疑う中、彼が持ち帰った重大な秘密を目にしてしまう――。本作は、戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンスドラマ。主演の蒼井さんと高橋一生が夫婦役で共演するほか、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史らが出演している。今回の完成を受けて、神戸の貿易商の夫をもつ福原聡子役を演じた蒼井さんは「この時代の女性を演じるのは今回が初めてだったのですが、思い描いたところに自分が行けているのか、どこか感覚が凝り固まっているのではないか、と常に自分を疑いながらの撮影でした」と慎重に撮影を行ったよう。また「黒沢監督は、立ち位置と動きを決めてくださって、そこからどうするかは、演じる側の俳優に委ねられるため、終始『正解は何だろう?』と思いながら演じていました。正解を当てに行くというよりは、不正解を知っていくことで役を形作っていくことができたように思います」とふり返っている。今回、初めての黒沢組参加となった聡子の夫役の高橋さんは「監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました」と参加した感想を語る。さらに「この時代の人間を演じるならではの、現代的な口調ではない台詞群を、どう解釈して出力するかという作業は、個人的にも面白い体験でした。また、撮影終盤には、大掛かりでクラシックなオープンセットを前に、百人以上のエキストラの皆さんが行き交う中で、1カットの非常に長いお芝居をやらせていただきましたが、各部署のスタッフの方々が動いていることを感じてここに参加させていただいていることの感謝と興奮がありました」と言い、「蒼井さんはお芝居で会話が出来る方なので、とても安心して刺激的な経験が出来たと思っています」とコメント。演出を手掛けた黒沢さんは「何より主演俳優二人が渾身の演技でこの時代のリアリティを体現してくれたこと、そして各スタッフたちがそれを支え、超濃密でどこか神秘的な8K映像が見る者をたちまち1940年代の日本へといざなってくれたこと、全てが最高のかたちで結びつきました。このような幸運な経験は、私の長いキャリアの中でも初めてのことです」と自信をみせている。「スパイの妻」は6月6日(土)14時~BS8Kにて放送。(cinemacafe.net)
2020年05月21日太平洋戦争末期、沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒222人が、沖縄戦の看護要員として動員され、123人の若い命が奪われた“ひめゆり学徒隊”。その学徒たちの遺品や資料を集めた『ひめゆり平和祈念資料館』は、いまから30年前の’89年に設立された。全国でも珍しい、戦争関連の民間による博物館だ。《いまだに、どこで亡くなったのかわからない友達が大勢いるんです。ひめゆり学徒隊として出発するときは、『生きるも死ぬも一緒よ』と言っていたのに……。水が欲しくても、一滴も飲めずに一人で死んでいったんじゃないかと思うと、何年たっても辛い。だから、戦争はどんなことがあっても絶対ダメなんです》戦争体験を語っているのは、資料館の前館長で学徒隊の生き残りの一人、島袋淑子さん(91)。現在、自らの体験を語る“証言員(戦争体験者の語り手。資料館では戦後生まれの語り手のことは説明員という)”は6人しかいない。全員が90歳を超えている。’18年までの7年間、資料館の館長を務め、自らの戦争体験を語ることで、戦争を知らない世代に平和のバトンをつないできた。この日も、島袋さんの74年前の悲惨な光景が目に浮かぶような語りに、平和学習のため資料館を訪れた宮古島市立下地小学校の児童は、ぐんぐん引き込まれていった。島袋さんは1928年(昭和3年)、沖縄県北部の本部町伊豆味に生まれる。両親の愛情を一身に受けて育った島袋さんの将来の夢は、学校の先生になることだった。島袋さんは勉強に励み、沖縄師範学校女子部に合格。太平洋戦争が勃発した翌年の’42年(昭和17年)4月、14歳で晴れて師範学校の女学生となる。「憧れていたテニス部に入部したけど、1年生は球拾いばかりだったから、すぐにやめてしまったの。楽しかったのは英語の授業。先生が大好きで、授業がある日は、前日から楽しみにしていました」青春を謳歌していた師範学校時代。しかし、戦争の影は、学生生活に色濃く影を落としていた。「セーラー服は、布がたくさんいるからという理由で、私が入学した’42年から“へちま襟”の制服に変わりました。自由だった髪形も、1年生は二つ分けのおさげ、2年生は三つ編み、と厳しく決められて。大好きだった英語の先生は、出征してしまわれ、やがて、英語授業も『敵国の言葉だから』と廃止されました。でも、すべて“お国のため”と信じて疑いもしなかった……」天皇は神様で日本国民はその子ども。日本は特別な国なのだから、そのために命をささげるのは名誉なことだ、という“軍国教育”をたたき込まれ、島袋さんも“軍国少女”になっていたからだ。’44年(昭和19年)10月、那覇は大空襲を受け、焼け野原に。沖縄戦は、すぐそこまで迫っていた。「いよいよ敵が沖縄に上陸する。今日かぎりで学校は閉鎖するので看護要員として軍に協力せよ」’45年(昭和20年)3月23日、校長は、島袋さんら学生を一堂に集め、そう訓示を述べた。島袋さんは、師範学校3年生で17歳。すでに学校では、包帯の巻き方やギプスの当て方などを教わっていた。その夜、島袋さんを含む222人の女学生は、18人の教師に引率され、一晩かけて、歩いて南風原の沖縄陸軍病院に向かった。もんぺ姿で頭巾をかぶり、肩から救急カバンをかけた。「このときは、まだ戦争の本当の恐ろしさを知りませんでした。敵も病院には攻撃しないだろうし、1週間もすれば戻れるだろう、と。林間学校に行くみたいな気分で、『いよいよ国に奉仕ができる』と意気込んでいたんです」陸軍病院といっても、土を掘って作った壕の中に、ベッドを何台も並べただけの場所だった。「はじめは、水をくみに行ったり、おにぎりを配ったりするのが仕事でしたが、4月1日、米軍が沖縄本島に上陸してしばらくすると、血や泥だらけの負傷兵が、どんどん運ばれてきて、その看護に追われました」5月25日、米軍が迫ってきたので、さらに南に下れ、という命令が。民間人を犠牲にしても、時間を稼いで本土決戦を遅らせようという日本軍の戦略だった。「自力で歩けない患者は置き去りでした。青酸カリ入りのミルクが配られたという話も、戦後、生き残った兵士から聞きました」島袋さんらも壕を出て、敵の攻撃をくぐり抜けて、沖縄本島の南にある伊原第一外科壕に移った。現在のひめゆり平和祈念資料館から歩いて5~6分の距離だ。6月17日、島袋さんらがいる伊原第一外科壕の入口に大きな爆弾が落とされた。島袋さんは、食料調達のため外に出ていて免れたが、壕の中にいた学友の多くが犠牲になった。「昨日まで一緒に働いていた学友の一人が、おなかをやられて腸が飛び出していました。みー、みー、と言って水を欲しがって……。先輩が、ガーゼに浸した水をあげたら、しばらくして『天皇陛下万歳』と言って亡くなったんです。当時の教育の力なんですね」6月18日、アメリカ軍が間近に迫り、ひめゆり学徒隊に解散命令が下った。壕から追い出された女学生にとって、ここからが本当の地獄だった。「重傷で歩けない人は置いていくから、君たちは黙って出ていけ。軍から、そう言われました。友達がいるから残りますと言っても、ダメだと言われて……。歩けない友達は、『どこ行くの?行かないで』と言っていました。だからウソをついたんです。『本部から集合命令が出たから行ってくるね』って」島袋さんらは、動けない学友のために、水筒にありったけの水を入れ、枕元に置いて数人の友達とともに壕を出た。雨のように降り注ぐ砲弾から逃げまどっているうちに、島袋さんも米軍の砲弾で手足を負傷。もう逃げられないと思った島袋さんは、同じようにケガを負った学友と2人で、手投げ用の小型爆弾“手榴弾”で自決を試みる。「捕虜になるくらいなら自決せよ」と教えられていたからだ。「友達と私の間に手榴弾を置いて爆発させるつもりでした。でも、もう手榴弾が爆発する、となった瞬間、私は怖くなって、わぁっと放り投げてしまったんです」生き延びた島袋さんは、6月26日、米軍の捕虜となる。「捕虜になったのは自分たちだけ。情けない、と思っていました。だから、米兵に名前を聞かれたら、『死ぬことなんか怖くない、私を殺せ!』と抵抗したんです。バカでした。軍国少女だったんです」6月23日に、日本軍司令官の牛島満中将の自決によって終結した沖縄戦。犠牲となった県民の数は20万人ともいわれ、4人に1人が亡くなった。戦後、島袋さんは改めて教師を養成する文教学校に通い、’46年4月、中学校の先生になった。教師として子どもたちに接するなかで、島袋さんが常に肝に銘じていたことがある。それは、「間違っていることは間違っている。正しいことは正しい」と、言える人に育てよう、ということだった。「私たちは、どんなことがあっても日本は勝つと教えられ、そこに疑問を持つことも許されませんでした。教育って、恐ろしいものなんです」島袋さんは、その後、結婚・出産を経ても教師の仕事を辞めることはなかった。しかも、その間、自らの戦争体験を、生徒に語ったことはない。「長い間、自分の子どもにも、辛くて話せなかった。亡くなった友達が、よく夢に出てきました。『あんたたち、どこに行っていたのよ!捜したのよ!』と、言おうとして言葉にならず、声を出して家族によく起こされました」心の傷を抱えながら生きていた島袋さん。転機が訪れたのは、戦後37年たった’82年のことだ。師範学校女子部と第一高女の卒業生でつくる“ひめゆり同窓会”で、資料館を作ろうという計画が持ち上がったのだ。戦後生まれの人が増え、戦争の記憶も風化し始めたことに危機感を感じてのことだった。同級生たちは、街頭に立って募金を集めたり、講演で協力を呼びかけたりして、約2億円の寄付を集めた。自ら寄付をした同窓生も続出した。資料館の敷地の購入から、壕に入っての遺品集め、そして運営まで、すべて元ひめゆり学徒の手によって行われた。’89年6月23日、ひめゆり平和祈念資料館が開館する日。島袋さんらは気が気ではなかった。「ご遺族に、『なんであんたたちだけ生き残ったのか』と、責められるのではないか。消息がわからない人のことを聞かれたら、なんて答えたらいいんだろう、って」元学徒隊のメンバーとは、「あるがままに話すしかないさー」と、事前に相談し合ったという。「でも、実際に開館したら『あなたたちが生きてくれたから、資料館ができたのよ。ありがとう』と言ってくださって。それでやっと、私たちは生きていていいんだと思えるようになったんです。戦争の夢を見ることも少なくなりました」資料館が開館してからは、元学徒隊が毎日交代で3人ずつ資料館に通い、“証言員”として説明にあたった。しかし、年月とともに証言員は減っていき、現在残っているのは、島袋さんを含めた6人。’15年からは、この6人の負担を減らすため、体験を語る回数を減らしている。資料館で島袋さんが証言に立つのは、月に2回だ。《自分たちの味方でさえも見殺しにする、それが戦争です。私自身も、目の前に転がっている死体をまたいで水をくみに行きました。よけようとして回り道すると、弾が飛んできて当たるかもしれないからです。戦争は、人間を人間でなくします。だから、みなさんは、戦争は絶対ダメ!と言える大人になってください》子どもたちを前にすると、島袋さんの口調は、自然に熱を帯びていく。学徒隊の生き残りが少なくなっていくなかで、こうした貴重な体験を、次世代にどう伝えていくのか。「いま説明員を務める方々は、学生時代から戦争と平和について研究を続け、卒業したらここで働きたいと思ってくれた。それは本当にありがたいことです。私以上に戦争について研究してくれているので心強いと感じています。戦前のことを思うと、私はただ国の言うことを信じていましたので、反省するんです。だからこそ、今度、平和憲法が変えられたりして戦争の準備が始まったら、そのときは、私は牢に入れられても、ダメだと言い続けます。それが、戦争を体験した者の責任です」
2019年06月24日NHKが、特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」の制作開始を発表。岸惠子、清原果耶、林遣都、安藤サクラら出演者も発表された。本作は、太平洋戦争の中で最も凄惨を極めたフィリピン攻防戦の渦中、辛くも生き残った女性たちが書き残した戦争体験を基に描く、終戦の日関連の特集ドラマ。凛子と綾が営む駅前の小さな写真館は、綾が亡くなり、平成の時代に入り、店をたたもうとしていた。そんなところに、昭和20年のマニラ空襲で亡くなったはずの綾の弟から一通の手紙が届く。フィリピン人社会に紛れ込み溶け込むことで生きてきた弟が、綾の住所を探し出し送ってきたのだ。そして、凛子の胸にあのルソン島の日々、そして、凛子と綾だけの秘密がよみがえってくる…というあらすじだ。「豊饒の海」「地を渡る舟」を手掛けた長田育恵が描く本作では、戦後の昭和・平成を生き抜いたヒロイン凛子を、岸惠子と清原果耶がリレー形式で演じるほか、渡辺美佐子、山口まゆ、林遣都、大東駿介、福田転球、伊東四朗が出演。さらに、連続テレビ小説「まんぷく」でヒロインを演じた安藤サクラが、同作後初のNHKドラマに出演。伊東さんの娘役を演じる。特集ドラマ「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~」は8月8日(木)22時~NHK総合テレビにて、8月中にBSプレミアムで89分版を放送予定。(cinemacafe.net)
2019年05月11日戸田恵梨香、大原櫻子W主演の話題作『あの日のオルガン』が、2月22日(金)に公開されます。時は太平洋戦争末期。迫り来る空襲から逃れるべく、日本初の「保育園児の集団疎開」に挑んだ保母たちの実話を描いた物語です。多くの困難に立ち向かう彼女たちのたったひとつの願いは“子どもの命を守ること”。そこには、現代を生きる私たちが知るべき真実や思い、葛藤が詰まっていました。■“子どもの命を守る”強い意志が生んだ疎開保育園1944年。東京・品川では、空襲警報が響けば防空壕(ぼうくうごう)に避難する生活が続いていました。政府は、子どもたちを「学童疎開」として地方へ集団疎開する措置をとりましたが、そこには保育園に通う幼児たちは含まれていませんでした。そこで立ち上がったのが、戸越保育所の主任・板倉楓(戸田)ら若き保母たち。子どもの命と、文化的な生活を守るため、日本初の「疎開保育園」を決意するのです。そうはいっても、当然、一筋縄ではいきません。「幼い子どもたちを手放したくない」という親と「子どもの命だけでも助けたい」という親の意見は真っ二つ。大切な命だからこその思いが交錯するなか、「子どもたちを守りたい」一心で、楓ら保母が、53人の幼児を連れた「保育所疎開」を実現させるところから物語は始まります。■子育てにおいて、立場の違う大人が必要となるワケ疎開先は、埼玉にある荒れ(ボロ?)寺。ふだんでも大変な子ども相手の保育。親元から離れた疎開先で暮らす、つまりは24時間休む間もなく保育するのだから、なおさらです。おねしょにトイレ、食事にお風呂と、次から次へと現実的な試練が降りかかります。それらの困難をき然とした態度で乗り越えようとリードするのが、戸田恵梨香演じる板倉楓。「怒りの乙女」と称される、後輩保母からの信頼も厚いしっかり者です。かたや大原櫻子演じる野々宮光枝は、子どもたちととにかく楽しく笑って過ごす天真爛漫(てんしんらんまん)な新人保母。物語では、2人の対比がとにかく鮮やかに描かれています。大黒柱として子どもたちを守ることに必死な楓と、オルガンを弾きながら音楽を楽しみ、子どもと同じ目線で遊ぶ光枝。同じ保母という立場でありながら、その役割は大きく違っているのです。そして、そのどちらも子どもたちにとっては欠かせない存在。楓と光枝のかみ合わないやりとりを見ていると、クスッと笑わせられると同時に、人の生き方に正解はないこと、また人はひとりでは生きられないこと、だからこそ支え合いが必要なこと…ついつい忘れてしまうたくさんの“大切なこと”を思い出させてくれます。立場が異なったとしても「子どもを守り成長させたい」と考える大人が複数存在することが子どもにとっていかに大切なことなのか、過酷な時代背景のなかに、現代にも通じる問題が提議されています。戦時中の日常を自然体で魅せる2人の表現力には驚くばかりですが、ほかの保母たちを演じるのも、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子ら、1000人を超えるオーディションで選ばれた話題性、実力ともに十分な若手女優陣。困難な時代を生きる女性たちの熱い思い、そんな彼女たちが子どもたちを見つめる柔らかなまなざしに、だれもが引き込まれることでしょう。■“心の戦い”を描くことで浮かぶ、目に見えない残酷さ本作は戦争を題材にした映画ではあるものの、いわゆる“戦闘”を描いた作品ではありません。ですが、その一方で“心の戦い”ともいえる葛藤が多く描かれています。死と隣り合わせの極限の状態で迫られる“決断”の数々。子どもの命はもちろん、その家族からの期待という重圧、さらには自身の友情、愛情など、さまざまな思いを胸に、人生の選択を下し続けた女性たちの強さが胸に刺さります。また親として考えてしまうのは、やはり子どもを疎開させるか否か。想像するだけで胸が苦しくなるテーマですが、たった75年前には、これが現実として突き付けられていたのです。戦争には人の命を奪う残酷さがある。けれども厳しい争いの裏で、目には見えない残酷さにもあふれていたことを思い知らされます。残虐な場面を描かずして、戦争の悲惨さをも伝える本作。「戦争は恐ろしいものだ」というシンプルな感情をもたらすだけでなく、今一度立ち止まり、子どもや家族との向き合い方、さらには“生きること”について、あらためて見つめ直すきっかけとなるのではないでしょうか。■戦争の実態と保母たちの思い、子どもの目にはどう映る?涙をこらえきれないつらい場面もありますが、子どもたちの純真無垢な姿に癒やされ、また光枝を中心としたコミカルな演出によって、重いストーリーの中にも軽やかさがある『あの日のオルガン』。ただただ子どもたちを守るために強く生きた保母たちの姿は、ワンオペ育児や保育所不足など、さまざまな子育て問題が蔓延る今を生きる私たちの心を大きく揺さぶります。そして、戦争のリアルを描きつつ、素晴らしい役者、スタッフが紡いだ美しく、温かい真実の物語は、ぜひとも親子で観たい作品のひとつ。今も昔も変わらない“宝”である“子ども”の心にも、きっと響くものがあるはずです。映画『あの日のオルガン』太平洋戦争末期、迫りくる空襲から防空壕に避難する生活が続く1944年。東京・品川区の戸越保育所の主任保母・板倉楓(戸田恵梨香)は園児たちの疎開を模索していた。一方、親たちは子どもを手放すことに反発。別の保育所・愛育隣保館の主任保母(夏川結衣)の助けもありなんとか親たちを説得するが、戸越保育所の所長(田中直樹)がようやく見つけてきた疎開先は埼玉の荒れ寺。そして、親から離れた幼い子どもたちとの生活は問題が山積みだった。それでも保母たちや疎開先の世話役(橋爪功)は子どもたちと向き合い、みっちゃん先生(大原櫻子)はオルガンを奏で、みんなを勇気づけていた。しかし、疎開先にも徐々に戦争の影が迫っていた―。原作:久保つぎこ『あの日のオルガン 疎開保育園物語』(朝日新聞出版)監督・脚本:平松恵美子出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、林家正蔵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功公開日:2月22日(金)新宿ピカデリーほか、全国ロードショー公式サイト:
2019年02月22日太平洋戦争末期の日本で、幼い園児たちを集団疎開させ、東京大空襲を逃れたという実話を基に作られた映画『あの日のオルガン』。本作で、子供たちを懸命に守ろうとした保母を演じたのが、戸田恵梨香と大原櫻子だ。戸田は保母のリーダー、大原は子供たちに寄り添う天真爛漫な保母という、正反対の役柄で共演したが、女優として対峙して互いにどんな印象を持ったのだろうか? 撮影を振り返ってもらった。激しい戦火のなか、命をかけて子供たちを守るという役柄。若い戸田や大原にとって、舞台となる戦中は未知の世界であり、想像力が必要となる。戸田は「私は『二十四の瞳』など、あの時代の作品をたくさん観て、役者さんのお芝居で取り入れられるものを意識しつつ、現代に生きる私たちだからこそ伝えられるものはなんだろうということを考えて臨みました。私は阪神・淡路大震災を経験していたので、被災者として見た赤い空や、子供たちが泣き叫ぶ姿など、そこで感じたことも役柄に投影しようと思っていました」と語る。大原は「私が演じた光枝は、保母さんのなかでも異色というか、能天気なところもあったので、変に歴史的なことを知り過ぎるよりは、いかに子供たちの目線に立てるかを重視しました。(戸田が演じた)楓先生とは真逆のキャラクターだったので、そのコントラストも重要かなと思っていました」と戸田との関係性に注力を注いだという。戦時中を描いた作品を数多く観てから臨んだという戸田。普段は、感情を優先した芝居を心がけているというが、本作は時代背景や実話を基にしたストーリーということで「かなり頭で考えて理屈から入っていきました」とアプローチ方法を述べる。そんななか、大原と対峙すると「サクちゃんは、とにかく感受性が豊かな人なので、向き合っているとハッとさせられることが多かった。すぐにお芝居をしている感覚がなくなりました」と述懐する。一方の大原も戸田との対峙では驚かされることが多かったという。「光枝は、とても天真爛漫でおっちょこちょいな部分のある女の子だったので、しっかり者の楓先生とのシーンでは、ほとんど怒られているんですよね。そのぶんこちらもすごくエネルギーを使ってぶつかっていくのですが、戸田さんはどんなお芝居でも、優しく受け止めてくれて、しっかり返してくれるんです。キャッチボールのキャッチがとても温かい方だなと」。互いの芝居に影響を受けながら進んでいった撮影。しかしメガホンをとった平松恵美子監督の演出には驚くことも多かったという。平松監督と言えば、巨匠・山田洋次監督作品で、脚本や助監督を長年務めてきたベテランだが、戸田はあるシーンで「歌舞伎みたいにやって」と言われたそうだ。「私自身、歌舞伎に馴染みがなく『どういう意味なんだろう』と思いつつも、つい『わかりました』と返事をしてしまったんです。その夜、ホテルに戻って歌舞伎の動画などを見たのですが、いまひとつ真意がつかめず……。『違和感が欲しい』とも言われていたので、台本の句読点を少しずらしたりして撮影に臨んだんです」。戸田の芝居に対して、平松監督は特にNGを出さなかったため「これでいいんだ」と思ったという。「すごく抽象的なことをポンと渡されました。役者にすごく課題を与える方なんだと思う一方、ある意味ですごく燃えました」と撮影を振り返っていた。大原も「リハーサルで100パーセントを出さないと本番にいけないという感覚があった」と平松演出の特徴をあげる。完全にテストの段階までに芝居を作り上げてから本番に向かうため、まるで舞台のような感覚だという。大原は、こうした感想をスタッフに投げかけると「山田組がそうなんですよ」という回答が返ってきたそうだ。「準備が大切。子役でも徹底的に追い込むんです。カメラが回るまでに役者の気持ちを極限まで持っていく方法はすごかったです」。戸田や大原が演じた女性たちの“子供たちの命を守る”という思いが、平松演出のもと高い純度で伝わってくる。だからこそ非常にシビアなテーマを扱いつつも、観賞後感はとても前向きな気持ちになれるのだろう。『あの日のオルガン』2月22日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開取材・文・撮影:磯部正和
2019年02月21日太平洋戦争末期、子どもたちのために日本で初めて保育園を疎開させることに挑んだ保母たちの実話を描いた『あの日のオルガン』。この度、本作でW主演を務めた戸田恵梨香と大原櫻子の場面写真がシネマカフェに到着した。今作で初共演となった主演の戸田さんと大原さん。東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を描く本作で戸田さんが演じるのは、責任感の強い保母たちのリーダー・板倉楓役。一方、大原さんは天真爛漫で音楽好きな保母・野々宮光枝役で出演している。空襲から逃れるため、そして豊かな感性が伸び盛りの子どもたちにはなんとか普通の日常生活を営んでほしい、という強い願いで立ち上げた疎開保育園では、戦争の陰が近づきつつも、オルガンを弾き、歌を歌い、山を駆け回り、沢山の笑顔で溢れかえっており、今回到着した場面写真でもその溢れる笑顔が覗ける。悪戦苦闘する疎開生活だが、若い保母たちの懸命な努力と明るく前向きな笑顔が、子どもたちを勇気づけているのだ。撮影では、保母役のキャストたちが子どもたちのお世話をしていたそうで、戸田さんは「振り回されることもあるけれどとにかく可愛くて、子どもたちと過ごすことで一瞬でも何も考えなくていい時間が生まれたり、笑顔に癒されながら、頑張っていました」とふり返り、大原さんも「ずっと子どもたちと関わっていると、保母という意識とお芝居に繋がりますし、自然と子どもたちを守りたくなる環境にいられました。子どもたちの笑顔を見ると、大変なことも全部吹き飛びます!」と、子どもたちに救われていた様子。また戸田さんは「保母さんたちが諦めそうになっているシーンを撮影しているとき、ひとりの男の子が『なんで戦争やってるの?アメリカから逃げたらいい!』って言っていて…。胸がギューっと締め付けられて、子どもってすごく強い存在なんだなあ、と思い知らされました」と心を揺さぶられたエピソードも告白した。撮影を通して、子どもたちと濃密な時間を過ごした保母演じるキャストたち。その子どもたちとの深い関わり合いで生まれた芝居を超えた関係性と表情は、本作の大きな魅力の一つとなるに違いない。『あの日のオルガン』は2月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:あの日のオルガン 2019年2月22日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2018「あの日のオルガン」製作委員会
2019年02月05日映画『あの日のオルガン』が、2019年2月22日(金)に公開される。日本で初めて保育園を疎開させた保母の実話『あの日のオルガン』は、太平洋戦争末期、日本で初めて保育園を疎開させることに挑んだ保母たちの実話。親元から遠く離れた荒れ寺へ、53人の園児たちと疎開生活をスタートさせ、幾多の困難を乗り越えて、託された命を守りぬこうとするヒロインたちの奮闘を描いた真実の物語が展開される。戸田恵梨香×大原櫻子がW主演保母達のリーダーで責任感の強い主人公・板倉楓役には、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』や『無限の住人』といった作品に出演し、活躍を続ける実力派女優・戸田恵梨香。そしてもう1人の主役、保母の野々宮光枝役には、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』に出演し、女優・歌手としてフィールドを広げる大原櫻子。ダブル主演の戸田と大原は本作が初共演となる。戸田・大原に加え、1000人を超えるオーディションを経て保母役に選ばれたのは、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵。その他、林家正蔵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功といったキャストも出演する。監督は平松恵美子監督は、映画『ひまわりと子犬の7日間』も手掛け、長年山田洋次監督との共同脚本、助監督を務めてきた平松恵美子が担当する。主題歌はアン・サリー「満月の夕(2018ver.)」主題歌は、アン・サリーが歌う「満月の夕(2018ver.)」に決定。『おおかみこどもの雨と雪』の主題歌でも注目を集めたシンガーソングライターのアン・サリーが、1995年の阪神・淡路大震災を題材に作られた「満月の夕」をカバーした楽曲だ。あらすじ東京も安全ではなくなっていた1944年。戸越保育所の主任保母・板倉楓は、園児たちを空襲から守るため、親元から遠く離れた疎開先を模索していた。別の保育所・愛育隣保館の主任保母の助けもあり、最初は子どもを手放すことに反発していた親たちも、なんとか子どもだけでも生き延びて欲しいという一心で我が子を保母たちに託すことを決意。しかし、戸越保育所の所長がようやく見つけてきた先は古びた荒れ寺だった。幼い子どもたちとの生活は問題が山積み。それでも保母たちは、地元の世話役の協力をえて、子どもたちと向き合い、みっちゃん先生はオルガンを奏で、みんなを勇気づけていた。戦争が終わる日を夢見て…。そんな願いをよそに、1945年3月10日、米軍の爆撃機が東京を来襲。やがて、疎開先にも徐々に戦争の影が迫っていた―。詳細映画『あの日のオルガン』公開日:2019年2月22日(金)出演:戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、林家正蔵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功監督・脚本:平松恵美子原作:久保つぎこ『あの日のオルガン 疎開保育園物語』(朝日新聞出版)音楽:村松崇継主題歌:アン・サリー「満月の夕(2018ver.)」(ソングエクス・ジャズ)配給:マンシーズエンターテインメント文部科学省特別選定作品(一般劇映画)
2018年12月09日戸田恵梨香と大原櫻子がW主演する、太平洋戦争末期の日本で初めて保育園を疎開させることに挑んだ保母たちの実話を描いた『あの日のオルガン』。この度、戸田さんや大原さんら保母が子どもたちの笑顔を守るために奮闘する、本作の本予告映像が到着した。今回到着した映像では、保母たちのリーダー・板倉楓(戸田さん)と、野々宮光枝(大原さん)ら保母たちが、子どもたちと過ごす様子が描かれる。また映像には逞しくふるまう一方、「もう疲れたんです」とうなだれる楓、そしてミュージカル作品にも出演する大原さんの美しい歌声も…。しっかり者の楓と天真爛漫の光枝、対象的な2人の姿に思わす笑みがこぼれ、子どもたちのために奮闘する姿にグッとくる映像となっている。なお本作の主題歌は、『おおかみこどもの雨と雪』の主題歌でも注目を集め、医師としての顔も持つアン・サリーが歌う「満月の夕(2018ver.)」に決定。1995年の阪神・淡路大震災を題材に制作された「満月の夕」のカバー曲だ。アン・サリーは「有史以来、戦争や自然災害、老い、病、死など繰り返される苦しみは絶えることがありません。しかし、荒れ野の中でも力強く芽吹く草花があるように、口を衝いてどうしても歌わずにはいられないうたがありました。『満月の夕』は、多くの人々の再生への支えとなっていることを、歌うたびに実感しています」とコメントを寄せている。『あの日のオルガン』は2019年2月22日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:あの日のオルガン 2019年2月、新宿ピカデリーほか全国にて公開©映画『あの日のオルガン』製作委員会
2018年12月06日太平洋戦争のさなかだった1945年に初演されて以来、劇団の節目節目に再演されてきたことなどから、文学座が“財産演目”と位置付ける『女の一生』。かつては主人公・布引けい役を足かけ46年にわたり、じつに計947回も務めた杉村春子の代名詞のような作品だったが、その後同役は平淑恵、荘田由紀を経て、2年前に山本郁子に引き継がれた。2016年の公演は各地鑑賞団体(会員制)の主催だったため、一般向けの本公演としては初となる山本主演版が本日10月23日(火)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで幕を開ける。日本がようやく近代的な資本主義国家となり始めた明治38年、天涯孤独の身の上だった布引けいは、清国との貿易で一家を成した堤家に拾われる。闊達な気性を見込まれて長男伸太郎の妻となり、名実ともに堤家の一員となったけいだが、やがて時は流れ……。森本薫が描いているのは、明治の終わりから第二次世界大戦終了までの激動の時代を生き抜いたけいの、文字通り“女の一生”。もとより普遍的なテーマを、2014年の公演から演出を手がける鵜山仁が、より現代に通じる作品に仕上げている点も見どころだ。公演は10月28日(日)まで。文: 町田麻子
2018年10月23日戸田恵梨香と大原櫻子が、長年、山田洋次監督作品で共同脚本や助監督を務めてきた平松恵美子監督のもと映画『あの日のオルガン』でW主演。太平洋戦争下、東京大空襲の戦火を逃れた“疎開保育園”の実話を映画化する。■あらすじ太平洋戦争末期、警報が鳴っては防空壕に避難する生活が続く1944年、東京・品川の戸越保育所では、保母たちが保育所の疎開を模索していた。まだ幼い園児たちを手放す不安、迫りくる空襲から子どもたちだけでも助けたい、と意見の分かれる親たちを保母たちが必死に説得する中、埼玉に受け入れ先の寺がみつかる。だが、荒れ寺での疎開生活をスタートした若い保母たちと幼い園児たちを待っていたのは、毎日わき出てくる問題との戦いの日々。それでも若き保母たちは子どもたちと向き合い、毎日ひたむきに励ましあいながら奮闘する。そんな彼女たちにも、やがて空襲の影が迫り…。戦争が激化する中、幾多の困難をたくましく前向きに乗り越え、ユーモアの力を持って突き進んだ、知られざるヒロインたちの奮闘を描いた真実の物語を描く本作。保母たちのリーダー板倉楓役には、『SPEC』シリーズや『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズといったエンターテインメント作品で幅広い役柄に挑戦してきた戸田恵梨香。等身大の年齢の重ね方が同性からの人気を集める戸田さんが、満を持して戦時中を描いた作品でメインキャストに挑戦する。また、もう1人の主人公、保母の野々宮光枝役には、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でスクリーンデビューを飾り、歌手として紅白歌合戦に出場するなど、女優として歌手としてフィールドを広げる大原櫻子。歌と演技の両方を生かせるミュージカルにも挑戦している大原さんが、天真爛漫で音楽好きな保母を演じる。メガホンを取るのは、『ひまわりと子犬の7日間』で監督を務め、山田監督の『小さいおうち』『母と暮せば』『家族はつらいよ』などで共同脚本、助監督を務めてきた平松恵美子。このたび、3月のクランクインに向け、W主演の戸田さん、大原さん、平松監督から意気込みあふれるコメントが到着している。園児を守り抜いた知られざる女性たちを「力強く懸命に演じたい」と戸田さん戸田恵梨香板倉楓役子どもたちを必死に守り抜いた保母さんたちは、いまでは考えられないほどのプレッシャーと苦労だったに違いなく…この作品に参加することを私自身大きな責任と感じています。向き合うことが大変恐ろしくも感じますが、強く生きた女性の姿を力強く懸命に演じたいと思います。大原櫻子野々宮光枝役実話をベースにした今回の題材。戦時中の話なので、その時代を勉強して撮影に臨みたいと思います。私は元々子どもが大好きで、最初お話をいただいたときは、素直に嬉しかったです。保母さんは並大抵の苦労ではできないお仕事ですが、光枝のキャラクターは楽しんで演じられると思います。平松恵美子監督・脚本太平洋戦争中の学童疎開は有名だが、未就学児の集団疎開については殆ど知られていない。しかもそれを言い出し、何十人もの子どもたちと疎開を実行したのが二十歳そこそこの若い保母たちだったことは尚更だろう。幼い子どもたちの命を守るために起こしたこの行動は、彼女たちの戦争に対する精一杯の抵抗ではなかったか。隠れた英雄である保母を戸田恵梨香さん、大原櫻子さんたちと創り上げていくことは胸躍る体験となるに違いない。『あの日のオルガン』は2019年陽春、新宿ピカデリーほか全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2018年02月13日いままでにない側面から“太平洋戦争”を描いていく、織田梨沙主演映画『STAR SAND ─星砂物語─』が、4月20日(木)より開催される「島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭」の特別招待作品に決定。織田さんと、共演する沖縄出身の満島真之介から喜びのコメントが到着した。1945年の沖縄。戦火から遠く離れた小島に渡り暮らし始めた16歳の少女・洋海(織田梨沙)は、洞窟で日本軍とアメリカ軍からの脱走兵、隆康(満島真之介)とボブ(ブランドン・マクレランド)に出会う。隆康とボブ、そして彼らの世話を焼く洋海の間には、不思議な関係が築かれてゆく。ある日、戦いで脚を負傷し、除隊を余儀なくされた隆康の兄・一(三浦貴大)が、養生のために洞窟にやって来るが、それは悲劇の幕開けだった――。2016年、東京。大学生の志保(吉岡里帆)は、卒業論文のために教授から一冊の日記を手渡される。それは、戦時中に沖縄の小島で暮らしていた少女のものだった。志保は日記を読み、そこに封印されていた過去の出来事にわれ知らず迫ってゆく…。本作は、『戦場のメリークリスマス』の助監督を務めたロジャー・パルバースが、日本の沖縄を舞台に平和への想いを込めて書いた小説を、自ら監督&脚本で映画化。ベトナム戦争に反発してアメリカを去ったパルバース監督にとって、「“戦わない”という裏切り」は生涯の主題に。そんなパルバース監督が描くのは、1945年の戦時中、戦うことを拒否した“卑怯者”の脱走兵である日本兵と米兵、そして彼らを見つめる少女の物語…。パルバース監督が、“彼女ほど演技の深さとエモーションの広さを表現する若い女優は見たことがない”と絶賛し主演に抜擢したのは、『秘密 THE TOP SECRET』のヒロイン・露口絹子役でスクリーンデビューした織田さん。彼女が少女・洋海役を演じるほか、脱走兵役に満島真之介とブランドン・マクレランド、また吉岡里帆、三浦貴大、寺島しのぶ、渡辺真起子、石橋蓮司、緑魔子ら豪華キャストたちが顔を揃えている。太平洋戦争の激戦地の一つ、沖縄県・伊江島にて行われた本作が、撮影地である沖縄で開催される「島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭」の特別招待作品にこのほど決定。上映は22日(土)、上映に合わせ、主演の織田さんとパルバース監督が沖縄入りする予定だ。今回の決定に織田さんは、「撮影中に監督、キャストの方々、伊江島のみなさんと、また沖縄に戻ってきたい、完成した作品を一緒に観たいとお話ししていたので、実現して本当に嬉しいです」と喜びのコメント。また満島さんは「目を閉じると、星砂を集めて目を輝かせていたあの頃が蘇ります。その白い砂を踏みしめたであろう数えきれないほどの方々といまを生きる我々をつなぐ映画が、故郷沖縄の映画祭に招待されたことこの上ない喜びです。沖縄の風を存分に感じながら、この映画の愛に触れてほしいです」とメッセージを寄せた。『STAR SAND ─星砂物語─』は6月21日(水)より沖縄・桜坂劇場にて先行公開、8月4日(金)より東京・ユーロライブほか順次公開。(cinemacafe.net)
2017年04月07日映画『海辺の生と死』が2017年7月29日(土)に公開。本作は、4年ぶりの満島ひかり単独主演作となる。原作は島尾ミホ作「海辺の生と死」と島尾敏雄「島の果て」。苗字が同じなので気づいている人も多いと思うが、島尾ミホは島尾敏雄の妻で、ともに作家である。映画『海辺の生と死』は、互いに執筆した鮮烈な出会いと恋の物語を原作に、奄美大島・加計呂麻島でのロケーションを敢行し、完全映画化を果たした。ストーリー・あらすじ時は太平洋戦争末期の昭和19年(1944年)12月、奄美 カゲロウ島(加計呂麻島がモデル)。国民学校教員として働く大平トエ(満島ひかり)は、新しく駐屯してきた海軍特攻艇の隊長 朔中尉(永山絢斗)と出会う。朔が兵隊の教育用に本を借りたいと言ってきたことから知り合い、互いに好意を抱き合う。島の子供たちに慕われ、軍歌よりも島唄を歌いたがる軍人らしくない朔にトエは惹かれていく。やがて、トエは朔と逢瀬を重ねるようになる。しかし、時の経過と共に敵襲は激しくなり、沖縄は陥落、広島に新型爆弾が落とされる。男はじりじりと特攻艇の出撃命令を待ち、ついに朔が出撃する日がやってきた。母の遺品の喪服を着て、短刀を胸に抱いたトエは家を飛び出し、いつもの浜辺へと無我夢中で駆けるのだった・・・。公開された予告編には、戦争という非常時のもと、惹かれあう二人の恋の始まりの日々が映し出されている。奄美の深い緑の森で初めて言葉を交わす二人の姿や、浜辺での逢瀬などが切り取られており、豊かな音で抑揚を聞かせる満島ひかりの“奄美言葉”は、まるで遠い国の物語を見ているかのような不思議な感覚をもたらしてくれる。キャスト・スタッフ島尾ミホをモデルとしたヒロイン・大平トエを演じるのは、本作が4年ぶりの単独主演となる満島ひかり。ミホが加計呂麻島で過ごした青春期と人生を決定づけることになった恋をその真っ直ぐな存在感で体現した。主演の満島ひかりは本作に関して次のようにコメント。「島に棲む、人間の姿をした狗神のような女が、内地から特攻艇に乗るため、島へやってきた男と鮮烈に出会いました。女は自然を愛する男に狂うほどの恋をし、男はその女の海ほど深い愛にのみこまれてゆきます。この作品は、「愛vs戦争」の話だと思います。自然の愛おしさと恐さ、現実のぬるさと心地よさ。みた人が何かに「気づく」映画、かな」。トエの恋人で島尾敏雄をモデルとした朔(さく)中尉を演じる永山絢斗(ながやまけんと)。現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロインの夫役を演じ、お茶の間の好感を得ている。本作では、文学三昧の生活から、突然特攻艇隊隊長に任ぜられた一人の青年の生きる姿を好演した。永山絢斗は、本作の撮影に関して次のように述べている。「瀬相(せそう)港で一人フェリーを待つ間、ワクワクを抑えきれず防波堤を走って海に飛び込んだのは紛れもなく『この、僕』でした。どの島とも異なる独特な雰囲気を持つ奄美大島加計呂麻島で送った撮影の日々に、監督・共演者・スタッ フ・出会うことの出来た全ての皆さん、海に・砂浜に・動物たちに・たくさんの緑に、 そして島尾敏雄さん島尾ミホさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。」「朔という一人の男の胸の内の葛藤に、僕自身も苦しみ、心が同じように高鳴って、幸せを感じることが不思議なまでに出来ました。 そして僕の中で朔という男は、今でも軍服を着たままの姿で、壁一枚隔てたすぐ向こう側にいるように感じるのです。」その他にも、島で慈父(うんじゅ)と慕われるトエの父親役に『かぞくのくに』の大ベテラン津嘉山正種(つかやままさね)。朔中尉の部下、大坪役に今年『帝一の國』『あゝ、荒野』と出演作の公開が控える期待の俳優 井之脇海(いのわきかい)。自分より若い上官に鬱屈した表情を見せる兵士に川瀬陽太(かわせようた)と、実力派が揃い、作品に厚みを加えている。映画情報映画『海辺の生と死』公開日:2017年7月29日(土)出演:満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、川瀬陽太、津嘉山正種脚本・監督:越川道夫原作:島尾ミホ「海辺の生と死」(第15回田村俊子賞受賞・中公文庫刊)島尾敏雄「島の果て」ほかより(C)2017島尾ミホ/島尾敏雄/株式会社ユマニテ
2017年04月01日