沖縄市より移転した那覇市田原の本店(写真/藤井千加)沖縄県がアメリカから日本に返還されたのは1972年5月15日、ちょうど50年前のこと─。戦後のスーツは高級品だったその本土復帰に伴い、大きな変化を遂げたアイテムのひとつに男性たちの『背広』がある。「戦後の沖縄県は貧しく、スーツを着て出かける場所や仕事も限られており、高級品でした。そのため、復帰前の仕立て屋(テーラー)の主な顧客は駐留するアメリカの兵隊でした」そう説明するのは同県那覇市田原でオーダースーツの仕立て屋を営む『フェローズ』の佐久本要さん(50)。「『佐久本洋服店』という屋号で父の進(2000年逝去)がコザ市(現在の沖縄市)に店を構えたのが始まりです」(佐久本さん、以下同)復帰10年前の1962年は、ベトナム戦争が激しさを増していたころだった。「今よりもアメリカ兵の数は多く、うちの店の辺りはいわゆる『黒人街』でした」その当時、アメリカ本国で人種差別は根強く、沖縄でも『白人』と『黒人』は区別され、利用できる飲食店や商店も分けられていたのだ。進さんの店があった銀天街(沖縄市照屋)周辺には49軒の仕立て屋があった。アメリカ兵たちはいずれ沖縄からベトナムに派遣され、明日をも知れぬ命。“宵越しの金は持たない”と、特に給料日(ペイデイ)になると金遣いが荒くなったという。スーツは飛ぶように売れるも経営難飲食店では高い酒が次々に注文され、オーダースーツも飛ぶように売れた─。「ですが父はアメリカ兵からの注文は頑なに受けていなかったんです。アメリカ人はずっとここにいるわけじゃないですし、兵隊を中心に商売をすれば先がないと思っていました。だからほかの店は儲けていたんですがうちの経営は厳しかったようです」そして沖縄は日本本土復帰を迎える─。復帰後、進さんに転機が訪れた。本土系の百貨店『三越』(’70年に大越より改名)で紳士服やスーツのデザイナーとして採用され、社員として入社した。さらに’74年には三越内に佐久本洋服店の出店も果たしたのだ。復帰直後、コザ市の佐久本洋服店周辺の仕立て屋は13軒まで減っており、現在で残るのは同店のみ。進さんの見込みは当たっていた。ベトナム戦争の終結とともに多くの米兵は去り、多くの仕立て屋でアメリカ人からのオーダースーツの注文が減った。その代わりに米兵と一線を画していた佐久本洋服店には県民からの注文が増えた。本土系の有名百貨店・三越への出店も後押しとなり、地元でも人気の店になった。「父は三越の支店で働いた後、コザの店でも毎晩遅くまで仕事をしていました。私たち兄弟はその背中を見て育ちました」要さんは5人兄弟。現在、同店の社長を務める兄の学さん(56)と要さん、ほか2人の男兄弟は父の影響もあり、服飾関係の仕事についた。学さんは高校卒業後、東京のテーラーに住み込みで7年間修業をし、帰沖。父とともに店を盛り上げた。要さんは高校卒業後、県外の服飾系専門学校で学んだ後、短期間渡英。帰国後、三越内の店舗に立った。2001年まで同店内の店舗に勤めた。「かりゆしウェア」台頭による危機変化したのは顧客の層だけではない。スーツのデザインやスタイルも、だ。1980年代。時代はバブルの真っただ中。「主流はソフトスーツという、肩幅が広いいわゆるバブルスーツが主流でした。背広もズボンもサイズは大きめで丈も長い。背広のボタンはダブル。一方、2022年現在のスーツのスタイルは背広もズボンも細身で丈は短めです。ボタン位置も高いんです。ただ、ファッションは周期です。微妙に形を変えながら流行を繰り返しているので、もしかしたらゆったりめのスーツが再び流行るかもしれない」バブルのころにはすでに既製品のスーツが紳士服売り場を占めるようになっていった。そして県内の仕立て屋に危機的な状況が訪れる。『かりゆしウェア』の台頭だ。転機は2000年に行われた九州・沖縄サミットだった。出席した各国の首相らがかりゆしウェアを着用、その影響もあり、一気に県民に定着した。かりゆしウェアとは、沖縄を想像させる色柄の生地を使ったシャツのこと。さらに沖縄県縫製業組合に加盟している業者により縫製されたシャツを指す。「私たちは背広の仕立て屋です。かりゆしウェアがカッコいいとは思えなかった。いくら商売とはいえ、自分たちがよい、と思えない商品をお客様には売れない。そのためスーツやシャツ、ネクタイの仕立てにこだわり続けたんです」だが国が推奨する『クールビズ』も追い打ちをかけ、夏場のビジネスシーンはかりゆしウェア一色に。葛藤したまま歳月は流れていった。「私たちが引っかかっていたのは既存のかりゆしウェアで主流だったアロハシャツ的なデザイン。ですがそれに似せる必要はない。仕立て屋がプロデュースして自分たちがカッコいいと思う、夏場に着られるシャツを作ればいいんじゃないか、と考えを切り替えたんです」『紅型夏シャツ』で挽回そこで2014年に考案されたのが『紅型夏シャツ』だ。特徴は高い襟と襟元のボタン。さらに紅型をボタンの下の生地にあしらい、さりげない沖縄らしさを演出。洗練されたデザインと、製造枚数も限られているためほかの人とかぶることも少ないことからおしゃれな男性たちが注目。県内外から注文が相次ぎ、リピーターも少なくない。だが一方で、スーツを取り巻く環境は依然として厳しい。沖縄県はスーツ着用率が全国で最も低く、このコロナ禍は向かい風になり、仕立て屋の数も減少している。しかし、希望は残る。新成人たちがオーダースーツに注目していることだ。「沖縄の成人式は仲間と一緒におそろいの袴をレンタルする、という動きが根強かった。それが最近ではおそろいのオーダースーツを着よう、という若者たちも増えているんです、自分でバイトをして資金を貯め、注文する子もいるんです。成人式後でも、その仲間の誰かの結婚式にはほかの仲間とみんなで合わせて着るのもよい思い出になります」同店では2002年からインターネットでのオーダーも受ける。「スーツをカッコよく着こなすためには自分のサイズに合うものを着ることが大前提なんです。身体に合っていないとスーツに着られてしまう。色柄やブランドも大事ですが、まずは身体に合ったものを選ぶことが大切。自分の体形に合ったスーツを着る姿はカッコいい。周囲から褒められた、とうれしそうに話す人も多いんですよ」歴史に翻弄されてきた沖縄県。米軍統治から日本へ、仕立て屋が見てきた50年。おしゃれを楽しむ男性たちの笑顔はいつの時代も変わらない。教えてくれた人は……オーダースーツの「フェローズ」佐久本要さん●佐久本洋服店取締役。進さんと同じ日本メンズアパレルアカデミーで学ぶ。兄の学さん、要さんは共にデザインと縫製も担当。<取材・文・写真/藤井千加>
2022年05月14日2022年2月から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、ウクライナでは多くの人が家を失い、住み慣れた町からの避難を余儀なくされています。それは人間だけでなく、動物たちも同じ。その中には、飼い主とはぐれ、戦地に取り残されてしまったペットも多いのです。破壊されたアパートに取り残された猫ウクライナの首都であるキーウ郊外の都市・ボロディアンカも、ロシア軍の攻撃を受けました。そのボロディアンカで破壊されたアパートの写真を見た人たちが、あることに気付きます。壁が壊れてむき出しになったアパートの7階部分に、1匹の猫の姿があったのです。SNSでは「あの猫を救出してほしい!」という声が上がります。しかし、猫がいるアパートはいつ崩れるか分からない状態で、人が立ち入るのは危険。そこで、ウクライナで動物保護活動をしているユージン・キベッツさんが、地元の消防隊員らに協力を求めて、猫の救出作戦が行われました。※動画はInstagram上で再生できます。 View this post on Instagram A post shared by Eugene Kibets (@eugene_hmg) ドローンで猫がいる場所を確認した後、消防隊員らがはしご車を使って猫を助け出すことに成功!猫はやせ細っていましたが、命に別状はありませんでした。この猫の救出作戦には、多くの称賛の声が寄せられています。・言葉にならない。ただ、涙と感謝の気持ちがあふれているよ。・すごく感動した。あなたたちはヒーローだ。・この猫の命を救ってくれて、本当にありがとう!猫はメスで、助け出された後すぐに動物病院へ連れて行かれました。そこではキャットフードをもりもりと食べていたそうです。今では元気になり、新しい家族と暮らしています。海外メディア『Dailymail』によると、猫は1か月近くもこの破壊されたアパートに取り残されていたのだそう。住んでいる人がおらず、食べる物もない状況で猫が生き延びられたのは、奇跡としかいいようがありません。ウクライナにはこの猫のように、ある日突然、飼い主との穏やかな生活が奪われてしまったペットたちがたくさんいます。1日も早く、ウクライナに平和な日常が戻ってくることを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年05月11日アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表の話題作『戦争と女の顔』より、日本版予告とポスターが解禁された。日本でも大きな注目を集めた証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案とした本作。戦後のレニングラードを舞台に、PTSDを抱えた元女性兵士の葛藤と過酷な運命を描き出す。カンヌ国際映画祭をはじめ多くの各国映画祭で賞を受賞するなど、世界的に高い評価を受けている。今回解禁となった日本版予告編では、PTSDを抱える元女性兵士のイーヤとマーシャが、厳しい環境下でお互いを支えながら生きていく様子が描かれている。戦地を知らぬ人々や男たちからの心無い言葉、彼女たちが心と体に負った深い傷をとらえていく映像に胸が痛む。イーヤとマーシャがそれぞれ身に着けている赤褐色と緑の対比的な衣装も印象的だ。戦争による後遺症を抱えた2人は、戦後の生活で希望を見出すことができるのか…。緊迫感のある展開も予感させる予告編となっている。また、各誌の賞賛レビューが畳み掛けるように表示され、本作が痛ましく、強く、そして美しさも感じる作品であることが想起される。さらに、同時に解禁されたポスターでは、主人公・イーヤが誰かの手で口元を塞がれている様子が切り取られており、不穏さを漂わせている。「“わたしたち”の戦争は終わっていない」のコピーからは、戦争が終わっても彼女たちの闘いがいまも続いていることを察することができ、その過酷さを物語るようなビジュアルになっている。『戦争と女の顔』は7月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:戦争と女の顔 2022年7月15日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© Non-Stop Production, LLC, 2019
2022年05月06日2022年2月24日にロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事作戦を宣言してから、約2か月が経とうとしています。ウクライナのゼレンスキー大統領の発表によると、国内の死者数は把握できているだけでも2千500~3千人。また、1万人もの負傷兵が出ているといいます。世界中から批判の声が寄せられ、また、各国が厳しい制裁を打ち出すも、いまだなお侵攻を止めないロシア。同年4月19日放送の情報番組『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)では、プーチン大統領がロシア軍の部隊に名誉称号を授与したニュースを報じました。テレ朝・松尾由美子アナが悔し涙プーチン大統領は、ウクライナのキーウ州にあるブチャで活動したロシア軍の部隊に対し、「偉大な英雄的行動」と称え、名誉称号を授与しました。ブチャでは、多数の民間人の遺体が見つかっており、集団殺害を意味する『ジェノサイド』とする動きが世界で強まっています。また、同番組の松尾由美子アナウンサーは、ウクライナの状況を伝える際、途中涙で言葉をつまらせる一幕も。その後、すぐにニュースに戻ろうとするも、声はふるえ、謝罪の言葉を述べました。ごめんなさい、さっきの…授与のニュースが悔しい思いで読んでしまいました。すみません、冷静さを保ちます。スーパーJチャンネルーより引用冷静さが求められるアナウンサーにとって、ロシアの軍事侵攻に対し感情を表に出した松尾アナの行動は、異例と受け取られかねないものかもしれません。しかし、視聴者からは松尾アナの涙に共感する声が目立ち「みんな同じ思い」「自分ももらい泣きをしてしまった」などのコメントが寄せられています。・罪のない犠牲者の人たちや、彼らの家族のことを考えると、悲しいし悔しい。・松尾アナが、ニュースの途中で涙してしまったけれど、それが人間の感情として普通だと思う。・松尾アナの涙によって、ウクライナの悲惨な状況がより伝わってきた。いまだ終結の兆しが見えない今回の戦争。命を犠牲にしてまで得るものとは、一体なんなのかと疑問を抱かずにはいられません。先の見えない戦争に多くの人が心を痛め、また、1日も早い終結を願っています。[文・構成/grape編集部]
2022年04月20日2022年2月にロシア軍が、ウクライナへの侵攻を開始。同年4月現在も、ウクライナの各地に攻撃が行われ、多くの死傷者が報告されています。また、爆撃などを受け、家屋を含む建築物が倒壊。命からがらウクライナから脱出した避難民は、世界各国に助けを求めています。日本でもつらい目に遭っている避難民を受け入れるべく、相談窓口を設置したり、住む場所を提供したりといった支援を実施しました。ウクライナ避難民の、犬への『狂犬病』特例措置が議論に同月18日、避難民が連れてきたペットの犬に対する、狂犬病予防法に基づく防疫体制で特例措置を適用すると、農林水産省が決定したことが報じられました。狂犬病とは、狂犬病ウイルスを保有する犬や猫、コウモリなどの動物に咬まれたり、引っかかれたりしてできた傷口から侵入することで発症する、感染症。2022年4月現在も治療法が確立されていないため、人間が感染した場合はほぼ100%命を落とすといわれています。従来は、外国で飼われているペットが日本に入国する場合、狂犬病予防法に基づき、出国地政府が発行する防疫書類が必要です。※写真はイメージしかし今回は特例として、必要書類がない状態でも、予防状態を確認後に条件付きで、動物検疫所での係留措置を短縮するといいます。産経ニュースによると、1日2回の健康観察と動物検査所への週1回の報告を条件に、2回の狂犬病ワクチン接種歴と、血液検査で基準値以上の抗体価が確認できれば、飼い主の滞在先に飼い犬の同行が可能になるとのこと。特例にネットからは不安の声も厚生労働省によると、1950年以前の日本では、犬や人間が狂犬病で命を落としていたといいます。飼い犬の登録やワクチンの接種が義務付けられたり、野犬の抑留が行われたりといった狂犬病予防法の施行によって、国内の狂犬病を撲滅することができたのです。しかし万が一、世界各国で発生している狂犬病ウイルスが生き物の身体を経由して国内に侵入した場合、再び感染が広まってしまう可能性はゼロではありません。特例措置が報道されると、ネットからは狂犬病の発生に対する不安の声が上がりました。・ペットを想う気持ちは痛いほど分かる。でも、これは緩めてはいけないと思う。・可能性が低いとしても、一度広まったら取り返しがつかなくなる。死亡率を考えると、賛成できない。・特例を作るなら、費用の補助ではダメなんだろうか…。ペットは飼い主にとって、大切な家族の一員。そして日本の誰もが、一刻も早く避難民に笑顔が戻ることを祈っているでしょう。また先述したように、特例でもワクチンの接種歴や抗体価の確認は必須です。そのため、狂犬病ウイルスを保有した動物が入国する可能性は低いと思われます。しかし、日本が過去に努力の末、清浄国となった経緯があるからこそ、特例措置に対して獣医を含む多くの人から「審査を緩めるのは悪手ではないか」という疑問の声が上がっています。不特定多数の命が関係する、今回の問題。非常時だからこそ、慎重な判断を多くの人が求めているようです。[文・構成/grape編集部]
2022年04月19日2022年4月16日現在、ロシアによるウクライナへの軍事進攻は続いています。多くのウクライナの人たちが、住み慣れた町からの避難を余儀なくされ、犠牲者の数も日に日に増していますが、被害に遭っているのは人間だけではありません。たくさんの動物たちも、攻撃によってケガをしたり、飼い主とはぐれたりして、命の危機に直面しています。「動物たちを救いたい」隣国の獣医師が立ち上がるポーランドで獣医師をしているヤクブ・コトビツさんは、隣国で起きている惨状を見て見ぬふりはできませんでした。「ウクライナの動物たちは、助けを必要としている」そう思ったヤクブさんは、ウクライナに取り残された動物たちを救出しに行くことにしたのです。車に大量の物資とキャリーケースを積み、ヤクブさんは数人のボランティア仲間と戦禍のウクライナに向かいました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by Fundacja ADA (@fundacja.ada) ウクライナには砲撃によってケガをした動物がいるため、ヤクブさんたちはその動物たちを病院へ運んで治療を行っています。例えば、アランという名前の犬は、頭に鉄のパイプが刺さった状態で発見されました。ヤクブさんたちは、アランの頭に刺さったパイプを取り除き、傷を治療。もしヤクブさんたちに出会えなかったら、アランは今頃どうなっていたでしょう。海外メディア『Bored Panda』によると、保護した動物たちの中には、目が恐怖に怯えていた子も多いのだとか。精神的にトラウマを抱えてしまった動物たちは、心のケアを必要としているのです。そんな心身ともに傷付いた動物たちを1匹でも多く救うため、ヤクブさんたちは寝る間も惜しんで活動を続けています。Posted by Centrum Adopcyjne "Ada" on Thursday, March 10, 2022Posted by Centrum Adopcyjne "Ada" on Thursday, March 10, 2022Posted by Centrum Adopcyjne "Ada" on Saturday, April 2, 2022Posted by Centrum Adopcyjne "Ada" on Saturday, April 2, 2022これまでに保護された動物たちはヨーロッパ各国の里親に引き取られ、中にはウクライナの家族と再会できたペットもいるそう。ただ、助けを必要としている動物の数は予想以上に多く、仮設病院や保護施設がまったく足りないのだとか。そのためヤクブさんたちはSNSで寄付を募り、支援の輪は世界中に広がっています。また、今ではアイルランドやデンマークなどの動物保護団体も、ヤクブさんたちの活動に参加しているということです。動物たちはウクライナで何が起きているのかも、どこへ逃げたらいいのかも分かりません。ロシアの侵攻が続く限り、命の危険にさらされ、飢えと闘う動物は後を絶たないでしょう。ヤクブさんたちは今日も、自分たちの身の危険を顧みず、そんな動物たちを助けるために奮闘しています。ウクライナに平和が戻り、彼らが活動しなくてよくなる日がやってくることを願います。[文・構成/grape編集部]
2022年04月18日ウクライナでは2022年2月24日以降、ロシアによる軍事侵攻が続いています。多くの人たちが犠牲になっているというニュースが連日報道される中、現地で撮影されたある動画が話題になりました。がれきの下から助け出されたのは同年4月13日、ウクライナ非常事態庁のFacebookに1本の動画が投稿されました。東部ドネツク地方の村で、高齢の男性が暮らす家がロシア軍の砲撃によって破壊されてしまいます。幸い男性は逃げ出すことができて無事でした。しかし、男性の愛犬が、がれきの下敷きになってしまったのです。現場に駆け付けた警察官とレスキュー隊員たちは、子犬が埋まっている場所を手で掘り始めます。果たして子犬は助かったのでしょうか。Донеччина. Після нещодавнього обстрілу одного з населених пунктів області.Дідусь, який ледь не загинув від снарядів...Posted by ДСНС України on Wednesday, April 13, 2022Донеччина. Після нещодавнього обстрілу одного з населених пунктів області.Дідусь, який ледь не загинув від снарядів...Posted by ДСНС України on Wednesday, April 13, 2022子犬は生きていました!子犬は助け出された直後は混乱した様子で、ぐったりとしていましたが、最後に飼い主の男性の腕に抱かれている時には脚が震えているのが分かります。突然、目の前が真っ暗になり、がれきの下敷きになった子犬はとても怖かったのでしょう。海外メディア『Newsweek』によると、男性と子犬は病院で手当てを受けて、命に別状はないということです。救出する前、がれきの下から子犬の鳴き声が聞こえたのだそう。子犬が生きていることを確信した警察官とレスキュー隊員たちは、「絶対に助け出す」と決めたのだとか。この動画には、「涙が出た」「命を救ってくれてありがとう」「早く平和が戻りますように」などの声が上がりました。子犬を抱きながら「本当にありがとうございます」と感謝をしている男性の顔には、いくつもの傷が見えます。文字通り命を落としかけた男性と子犬がともに助かったのは、奇跡としかいいようがないでしょう。尊い命がこれ以上失われないように、ウクライナに平和な日常が戻ってくることを願わずにいられません。[文・構成/grape編集部]
2022年04月18日ウクライナの首都キーウ近郊の町、ブチャ。2022年2月23日に始まったロシア軍の侵攻後、約1か月に渡って占領された後、ウクライナ軍によって奪還されました。そのブチャで、ベラルーシのボランティア兵士たちが、1匹のメスのシベリアンハスキーを発見しました。#чалавечай_дабрыні_постАтрад Батальёна вярнуўся з Бучы. Падчас выязду не змаглі прайсьці міма – выратавалі сабаку....Posted by Батальён Кастуся Каліноўскага on Sunday, April 3, 2022#чалавечай_дабрыні_постАтрад Батальёна вярнуўся з Бучы. Падчас выязду не змаглі прайсьці міма – выратавалі сабаку....Posted by Батальён Кастуся Каліноўскага on Sunday, April 3, 2022海外メディア『Express』によると、ハスキーの名前はネッシーといい、3週間ほど前に飼い主とはぐれてしまったのだそう。ブチャは、ロシア軍の撤退後に多くの民間人の犠牲が発覚した町です。おそらく飼い主は、やむを得ない事情でネッシーを連れて逃げることができなかったと思われます。しかし、ネッシーを保護した兵士たちが探したところ、なんと飼い主が見つかったのです。こうして数週間ぶりに、ネッシーは飼い主の男性と再会することができました。Трошкі пазытыву ў гэтыя цяжкія часы.Падчас вызваленьня Бучы мы знайшлі сабаку Нэссі, якая засталася адна. Але...Posted by Батальён Кастуся Каліноўскага on Monday, April 4, 2022Трошкі пазытыву ў гэтыя цяжкія часы.Падчас вызваленьня Бучы мы знайшлі сабаку Нэссі, якая засталася адна. Але...Posted by Батальён Кастуся Каліноўскага on Monday, April 4, 2022男性の姿を見つけたとたん、たまらず駆け寄ったネッシー。その鳴き声は「怖かったよ!さびしかったよ!」と叫んでいるようにも聞こえます。SNSに投稿されたこの動画には、たくさんのコメントが寄せられています。・感動した。嬉し涙が止まらない。・鳴き声から、この犬の魂が引き裂かれたのが分かる。・あなたたちは真のヒーローだ。本当にありがとう。飼い主とはぐれたネッシーが、戦火の中で数週間も無事に生き延びられたことは奇跡としかいいようがありません。連日、ウクライナに関する痛ましいニュースが流れる中で、ネッシーと飼い主の再会は、人々にひと時の希望と癒しを与えてくれたことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年04月11日世界で起きていることを考えると、改めて戦争の恐ろしさや平和であることのありがたみを感じますよね。なぜ戦争が恐いのか。なぜ平和でならなければならないのか。絵本を通して、今、子どもに伝えてみるのはどうでしょう? モデルで絵本ソムリエのアンヌさんが「戦争・平和」をテーマにした絵本を8冊セレクトしてくれました。小さな子でもわかりやすい内容で、年齢を重ねてから読むとまた感じ方が変わるというおもしろさもあります。ぜひこの機会に親子で読んでみてはいかがでしょうか。戦争・平和がテーマの絵本 #01作者である少年の目線で“平和”について描かれたおはなし『へいわってすてきだね』 「与那国島に住む6歳の少年の詩に長谷川さんが絵を添えて出来上がった作品。子どもの目線から、“平和ってなんだろう”と純粋に考え、素直に答えていきます。のどかな景色、家族、友人、やさしい心。その言葉のひとつひとつが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さに改めて気付かされます。平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので小さい子にもおすすめです。すぐに理解できなくても、何度も繰り返し読んで聞かせていくうちに、あるいは何年かのときを経たときに、本当に大切なことへの理解が深まるはずです」『へいわってすてきだね』文:安里有生 絵:長谷川義史(ブロンズ新社)対象年齢:5歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #02いがみあいを続けた末に待っていたのは……?!『もっと おおきな たいほうを』 「王様は立派な大砲を持っていました。でも戦争がないので打てません。そこへ、川の向こうのキツネたちがサカナを取り始めます。王様は自分の好物を勝手に取られたと憤り、大砲を打ち上げます。するとキツネも負けてはいられません。双方はもっと大きな大砲をと競い合い、いがみあいはエスカレートしていきます。そのうちに突拍子もない展開に。戦争のおろかさを滑稽に描いたおはなし。ホッとする結末には、平和について改めて考えるきっかけになるでしょう」『もっと おおきな たいほうを』文・絵:二見正直(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #03平和と戦争をひと目で比較できる『へいわとせんそう』 「Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした言葉を合わせた作品。『へいわのぼく、せんそうのぼく』、『へいわのうみ、せんそうのうみ』というように、同じテーマを扱い、左ページには平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっているつくりです。違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすく、そのシンプルさがすばらしい。それでは、敵と味方の違いはなんでしょう? 年齢を重ねればさらに心に強く響くはずです」『へいわとせんそう』文:たにかわ しゅんたろう 絵:Noritake(ブロンズ新社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #04実話をもとに描かれたストーリー『タケノコごはん』 「日本が戦争をしていたころ、主人公の男の子の学校には、けんかの強いさかいくんがいました。ある日、さかいくんのお父さんが戦場に行くことになり、そのうちに帰らぬ人となりますが、強いさかいくんは泣きません。でも、以前より意地悪になりました。しばらくすると、みんなが大好きな先生も出征することになります。お別れに、みんなでほかほかのタケノコごはんを食べます。みんなの想いは? そしてさかいくんは? 子どもながらに感じる、悲しみや怒りの入り混ざったやるせない想いと、ごはんのあたたかさのコントラストが身につまされます。何度も読むうちに子どもは、戦争の惨さをより深く理解していくことでしょう。映画監督の大島渚さんがご自身の体験から書かれたお話です」『タケノコごはん』文:大島 渚 絵:伊藤秀男(ポプラ社)対象年齢:6歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #05小さな子でも理解できるやさしい絵と文『おひさまとおつきさまのけんか』 「ある日、おひさまとおつきさまはけんかをしてしまいます。おつきさまの遅刻をちょっと叱ったおひさま。それに対しておつきさまは……。そのやりとりが次第にエスカレートし、周囲を巻き込んで、とうとう本当の戦争になってしまう、といった世界で起こっていることの縮尺図のような作品。結局、苦しむのは小さきもの。きっかけはほんとうに小さなことだったのに。馴染みのあるせなせいこさんの絵で、小さな子でもわかりやすいです。平和の大切さや戦争の悲しさを理解する導入本にぴったりの一冊」『おひさまとおつきさまのけんか』絵・文:せなけいこ(ポプラ社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #06世界で起きていることを想像してみよう『ぼくがラーメンたべてるとき』 「ぼくがラーメンをいつものように食べているとき。その同じときに、おとなりでは? 地球の向こうでは? いったい何が起こっているでしょう。同じように穏やかに昼食をとっているでしょうか。いいえ。ある子は、子守りをし、ある子は働き、ある子は……。自分と同じ子どもでも、さまざまな状況がある。共感から、世界のさまざまな人や状況への想いを育み、想像力を広げ、平和を考えるきっかけとなるような作品。長谷川さんの短い文と元気のいい絵で、重たくなりがちなテーマも親しみやすくなっています」『ぼくがラーメンたべてるとき』作・絵:長谷川義史(教育画劇)対象年齢:4歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #07ウクライナへ想いを馳せて読んでみよう『てぶくろ』 「多くの子どもたちが親しんだ絵本。実はウクライナの昔話です。雪の積もる寒い森で、おじいさんがてぶくろを片方落としてしまいます。それを見つけた一匹のネズミは、中に潜り込みます。そこへカエルがやってきて、一緒に入れてもらい、つぎにウサギ、そのつぎにはキツネ、という具合にどんどん大きな動物たちがやってきて、てぶくろはぎゅうぎゅうになっていきます。いまにも弾けそうなてぶくろに、読み手もハラハラドキドキ。寒い外の空気とぬくぬくのてぶくろの中を想像すると楽しいです。こんなお話に親しんで、遠い国へと思いを馳せ、心を寄り添わせることができるといいですね」『てぶくろ』絵・文:エウゲーニ・M・ラチョフ 訳:うちだ りさこ(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #08けんかのデメリットがわかる『みんな なかよし けんかばし』 「とある村を東西に分ける川には、人々が行き来する橋がかかっています。そこでは大人も子どももいつもけんかばかり。それでもパン屋、鍛冶屋、靴屋、仕立て屋など、村にひとつしかない専門店に行くには、その橋を渡るしかありません。ところがある日、嵐で橋が流されて……。もうけんかをしなくて済むと人々は肩を撫で下ろしますが、ふと気付けばとんでもなく不便なことに。慌てふためいた人々はてんやわんや。愉快なドタバタ劇ですが、同時に争いの馬鹿馬鹿しさも痛感する作品です」『みんな なかよし けんかばし』文:ジョーン・オッペンハイム 絵:アリキ 訳:みき たく(童話館出版)※「童話館ぶっくくらぶ」という絵本の定期便を行っています。対象年齢:5歳くらいから▼こちらの記事もチェック!< LGBT & 多様性が描かれた絵本8選 >親子で読みたい!<環境問題がテーマの絵本> 親子でSDGsについて考えよう!教えてくれた人Anne(アンヌ)さんモデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆を手がける。出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。息子が6歳になるまでに読んで聞かせた本は793冊1202話。現在所持する絵本は約1000冊。photography/Chiharu Fukutomi、Text/Anne
2022年04月10日戦争・平和がテーマの絵本 #01作者である少年の目線で“平和”について描かれたおはなし『へいわってすてきだね』「与那国島に住む6歳の少年の詩に長谷川さんが絵を添えて出来上がった作品。子どもの目線から、“平和ってなんだろう”と純粋に考え、素直に答えていきます。のどかな景色、家族、友人、やさしい心。その言葉のひとつひとつが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さに改めて気付かされます。平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので小さい子にもおすすめです。すぐに理解できなくても、何度も繰り返し読んで聞かせていくうちに、あるいは何年かのときを経たときに、本当に大切なことへの理解が深まるはずです」『へいわってすてきだね』文:安里有生 絵:長谷川義史(ブロンズ新社)対象年齢:5歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #02いがみあいを続けた末に待っていたのは……?!『もっと おおきなたいほうを』「王様は立派な大砲を持っていました。でも戦争がないので打てません。そこへ、川の向こうのキツネたちがサカナを取り始めます。王様は自分の好物を勝手に取られたと憤り、大砲を打ち上げます。するとキツネも負けてはいられません。双方はもっと大きな大砲をと競い合い、いがみあいはエスカレートしていきます。そのうちに突拍子もない展開に。戦争のおろかさを滑稽に描いたおはなし。ホッとする結末には、平和について改めて考えるきっかけになるでしょう」『もっと おおきなたいほうを』文・絵:二見正直(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #03平和と戦争をひと目で比較できる『へいわとせんそう』「Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした言葉を合わせた作品。『へいわのぼく、せんそうのぼく』、『へいわのうみ、せんそうのうみ』というように、同じテーマを扱い、左ページには平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっているつくりです。違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすく、そのシンプルさがすばらしい。それでは、敵と味方の違いはなんでしょう? 年齢を重ねればさらに心に強く響くはずです」『へいわとせんそう』文:たにかわ しゅんたろう 絵:Noritake(ブロンズ新社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #04実話をもとに描かれたストーリー『タケノコごはん』「日本が戦争をしていたころ、主人公の男の子の学校には、けんかの強いさかいくんがいました。ある日、さかいくんのお父さんが戦場に行くことになり、そのうちに帰らぬ人となりますが、強いさかいくんは泣きません。でも、以前より意地悪になりました。しばらくすると、みんなが大好きな先生も出征することになります。お別れに、みんなでほかほかのタケノコごはんを食べます。みんなの想いは? そしてさかいくんは? 子どもながらに感じる、悲しみや怒りの入り混ざったやるせない想いと、ごはんのあたたかさのコントラストが身につまされます。何度も読むうちに子どもは、戦争の惨さをより深く理解していくことでしょう。映画監督の大島渚さんがご自身の体験から書かれたお話です」『タケノコごはん』文:大島 渚 絵:伊藤秀男(ポプラ社)対象年齢:6歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #05小さな子でも理解できるやさしい絵と文『おひさまとおつきさまのけんか』「ある日、おひさまとおつきさまはけんかをしてしまいます。おつきさまの遅刻をちょっと叱ったおひさま。それに対しておつきさまは……。そのやりとりが次第にエスカレートし、周囲を巻き込んで、とうとう本当の戦争になってしまう、といった世界で起こっていることの縮尺図のような作品。結局、苦しむのは小さきもの。きっかけはほんとうに小さなことだったのに。馴染みのあるせなせいこさんの絵で、小さな子でもわかりやすいです。平和の大切さや戦争の悲しさを理解する導入本にぴったりの一冊」『おひさまとおつきさまのけんか』絵・文:せなけいこ(ポプラ社)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #06世界で起きていることを想像してみよう『ぼくがラーメンたべてるとき』「ぼくがラーメンをいつものように食べているとき。その同じときに、おとなりでは? 地球の向こうでは? いったい何が起こっているでしょう。同じように穏やかに昼食をとっているでしょうか。いいえ。ある子は、子守りをし、ある子は働き、ある子は……。自分と同じ子どもでも、さまざまな状況がある。共感から、世界のさまざまな人や状況への想いを育み、想像力を広げ、平和を考えるきっかけとなるような作品。長谷川さんの短い文と元気のいい絵で、重たくなりがちなテーマも親しみやすくなっています」『ぼくがラーメンたべてるとき』絵・文:長谷川数史(教育画劇)対象年齢:4歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #07ウクライナへ想いを馳せて読んでみよう『てぶくろ』「多くの子どもたちが親しんだ絵本。実はウクライナの昔話です。雪の積もる寒い森で、おじいさんがてぶくろを片方落としてしまいます。それを見つけた一匹のネズミは、中に潜り込みます。そこへカエルがやってきて、一緒に入れてもらい、つぎにウサギ、そのつぎにはキツネ、という具合にどんどん大きな動物たちがやってきて、てぶくろはぎゅうぎゅうになっていきます。いまにも弾けそうなてぶくろに、読み手もハラハラドキドキ。寒い外の空気とぬくぬくのてぶくろの中を想像すると楽しいです。こんなお話に親しんで、遠い国へと思いを馳せ、心を寄り添わせることができるといいですね」『てぶくろ』絵・文:エヴゲーニ・Mラチョフ 訳:うちだ りさこ(福音館書店)対象年齢:3歳くらいから戦争・平和がテーマの絵本 #08けんかのデメリットがわかる『みんな なかよし けんかばし』「とある村を東西に分ける川には、人々が行き来する橋がかかっています。そこでは大人も子どももいつもけんかばかり。それでもパン屋、鍛冶屋、靴屋、仕立て屋など、村にひとつしかない専門店に行くには、その橋を渡るしかありません。ところがある日、嵐で橋が流されて……。もうけんかをしなくて済むと人々は肩を撫で下ろしますが、ふと気付けばとんでもなく不便なことに。慌てふためいた人々はてんやわんや。愉快なドタバタ劇ですが、同時に争いの馬鹿馬鹿しさも痛感する作品です」『みんな なかよし けんかばし』文:ジョーン・オッペンハイム 絵:アリキ 訳:みき たく(童話館出版)※「童話館ぶっくくらぶ」という絵本の定期便を行っています。対象年齢:5歳くらいから▼こちらの記事もチェック!< LGBT & 多様性が描かれた絵本8選 >親子で読みたい!<環境問題がテーマの絵本> 親子でSDGsについて考えよう!教えてくれたひとAnne(アンヌ)さんモデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆を手がける。出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。息子が6歳になるまでに読んで聞かせた本は793冊1202話。現在所持する絵本は約1000冊。
2022年04月10日カンヌ国際映画祭で監督賞・国際批評家連盟賞のW受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表作品にも選出されたロシア映画『戦争と女の顔』(原題:Beanpole)が7月15日(金)より公開決定、本作の監督とプロデューサーから反戦のメッセージが到着した。1945年、終戦直後のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)。荒廃した街の病院で、PTSDを抱えながら働く看護師のイーヤ(ヴィクトリア・ミロシニチェンコ)は、ある日、後遺症の発作のせいで面倒をみていた子どもを死なせてしまう。そこに子どもの母親で、戦友のマーシャ(ヴァシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還。彼女もまた後遺症を抱えていた。心身ともにボロボロの2人の元女性兵士は、なんとか自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望を見いだすが...。本作は、ノーベル文学賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの証言集「戦争は女の顔をしていない」を原案に、巨匠アレクサンドル・ソクーロフの下に学んだ新鋭カンテミール・バラーゴフ監督が戦後の女性の運命を描いた。プロデューサーは、『チェルノブイリ1986』(20)『ラブレス』(17)『裁かれるは善人のみ』(14)をはじめ、ハリウッドでも実績のあるウクライナ出身のアレクサンドル・ロドニャンスキー。主演の2人は、新人のヴィクトリア・ミロシニチェンコとヴァシリサ・ペレリギナが見事に複雑な心理状態を演じきった。第2次世界大戦から77年。その戦争を知らない世代のスタッフ、キャストらが、現在も起こっている戦争の恐ろしさを伝える作品である。監督&プロデューサーの反戦メッセージ現在、ロシアによるウクライナ侵攻によって、ロシアのカバルダ・バルカル共和国出身のバラーゴフ監督は、侵攻後すぐに国外へ脱出。また、ウクライナ出身のプロデューサーで、息子がゼレンスキー大統領の経済顧問をしているロドニャンスキーは、ロシア政府から名指しで彼の作品がロシア国内での放映が禁止され、SNSで反戦のコメントを連日投稿している。『戦争と女の顔』の日本公開に際し、2人から反戦のメッセージが届いた。カンテミール・パラーゴフ(監督)戦争と、それを招いたロシア政府の政治的決断に強く反対している。だから私はロシアを去らなければならないと感じた。この戦争は、ただ普通に人生を送りたい何百万という人々にとっての悲劇だ。彼らの多くにとっては、この戦争を乗り越えること、これからの人生を送ることが難しくなるかもしれない。ましてや、不可能になるかもしれない。これは、『Beanpole』で描かれていることと一緒だ。戦争より悪は存在しない。アレクサンドル・ロドニャンスキー(プロデューサー)私は今までロシア大統領選で投票をしたことがないが(ウクライナのパスポートを持っているので)、耐え難いほど恥じている。そして、とてつもなく深い悲しみにいる。戦争に言い訳などはない。どんな主張があったとしても。私はよく覚えている。ソ連が私たちにアフガニスタン戦争の絶対的な必要性を説明した時のことを。それが悲劇的な間違いだったと認めるまで、10年の月日を費やし、15,000人のソ連兵士と100万人近くのアフガニスタン人の命を犠牲にしたことも。今日、ベトナム、イラク、アフガニスタン戦争など自国の戦争について言い訳できるアメリカ人はほとんどいない。そして、またしてもこの戦争は痛ましい過ちだ。国家の経済が崩壊し、私たちの国が世界的な孤立の中停滞し、かつてないテクノロジーの格差が深まるから、という理由ではなく、この過ちにおける恥は消え去ることがないからだ。これは私たちの子供や孫の代にも残る。私たちは黙ってはいられない。戦争に「NO」を。『戦争と女の顔』は7月15日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:戦争と女の顔 2022年7月15日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© Non-Stop Production, LLC, 2019
2022年04月07日2022年2月からロシア軍によって開始された、ウクライナへの侵攻。停戦交渉は困難を極め、多くの死傷者が出ています。日本でも連日、戦況が報道され、多くの人たちが現地の被害に胸を痛めているでしょう。そんな中、ユニセフ親善大使であるタレントの黒柳徹子さんが、Instagramに動画を投稿しました。黒柳徹子が募金窓口開設を発表黒柳さんはウクライナの子供たちを支援する募金窓口を開設。同年4月5日に、全額をウクライナ支援のために使うことを発表しました。ウクライナの国旗カラーである黄色と青色に身を包んだ黒柳さんは、動画で人々に募金を呼びかけています。 この投稿をInstagramで見る Tetsuko Kuroyanagi(@tetsukokuroyanagi)がシェアした投稿 また、黒柳さんは自身の戦争体験を振り返りながら、文章でも想いをつづりました。私が子どもの頃、戦時下でも小学校に通っていました。学校にいる間はいつも「家が空襲で焼けてないかな、両親は無事でいるのかな」と不安に思いながら過ごして、学校が終わると一目散に走って家に帰りました。私は、運よくそれから青森のほうに疎開しましたが、疎開先が見つからず、東京に残った友達はどうしているだろうと、毎日心配でした。ウクライナの子どもたちはどうしてるのでしょうか。戦禍から逃げ惑ったり、遠い道のりを歩いて行ったり、一人ぼっちになったり、そういったウクライナの子どもたちを見ると、他人事とは思えません。tetsukokuroyanagiーより引用太平洋戦争の時に悲惨な体験をした黒柳さんにとって、戦争は『遠い国の話』ではありません。命の危険と隣り合わせだった日々は、ウクライナの子供たちと重なる部分が多いのでしょう。黒柳さんと似た経験をした人たちも、同じ思いでウクライナの報道を見てきたのではないでしょうか。理不尽な状況で苦しむ子供たちのために、発信力のある黒柳さんが率先して立ち上がることには大きな意味があります。戦争で危機的状況にある子供たちが、元の生活を1日でも早く取り戻すことができますように。[文・構成/grape編集部]
2022年04月07日カテリーナさん「とても忙しくて、朝から夜まで毎日仕事をしています。お仕事の依頼や、支援の方法の相談、ウクライナにいる人たちからなど、たくさん連絡があるのですべてに返事をするのも大変です。でも今は、気持ちは少し落ち着いています。少し前、お母さんが日本に到着するまでは、心配で2週間くらいほとんど眠れませんでしたから」こう語るのは、在日ウクライナ人で民族楽器「バンドゥーラ」奏者のカテリーナさん(36)だ。多忙でも仕事を続ける理由は「使命感」ロシアがカテリーナさんの故郷であるウクライナを侵攻して、1か月ほどがたった。終結の出口は残念ながらまだ見えていない。現地の痛ましい現状が報道されるにつれ、あまりなじみのなかった東欧の国ウクライナは、日本国内でも急激に関心が高まった。カテリーナさんへの演奏やメディア出演の依頼は急増。また現在では、本来のアーティストとしての職だけでなく、ウクライナ語の同時翻訳者としても仕事が引きも切らない状態だ。3月21日には、ウクライナの首都キーウに暮らしていた母マリヤさん(68)が、ポーランド経由で日本に到着した。衰弱し、戦場下でのPTSD的な症状に悩まされていた母の体調も気がかりだ。回復しだい、難民申請の手続きが待っている。「とても忙しいけれども、仕事は断りたくない。私の使命は、祖国の現状はもちろんのこと、そもそもウクライナという国はどんな国なのかということを発信し続けることですから」そんな彼女のこれまでをたどり、決意を聞いた。カテリーナさんは1986年、旧ソ連領であったウクライナ北部のプリピャチで生まれた。チェルノブイリ原発から約2.5キロの場所だ。生後まもなく、世界に衝撃を与えたあの原発事故が発生。一家は故郷を強制退去となり、キーウに建設された原発避難民用の団地に暮らすことになった。「母はその団地にずっと暮らしていました。10年ほど前に父が亡くなってからはひとり暮らしになりました。私の姉たちはそれぞれの家族とともにまだウクライナに残っているのですが、彼女たちが暮らしているのはウクライナでも田舎のほうなので、今はまだ脱出は考えていないようです」(カテリーナさん、以下同)母のすすめもあり、6歳で民族音楽団に入団し、本格的にバンドゥーラを始める。演奏ツアーで10歳のときに初来日。その後ウクライナ国内の音楽専門学校で音楽理論などを学び、縁あって19歳のときに日本に移住した。「子どものころは、友達と遊ぶ時間が欲しくてバンドゥーラの練習が嫌になったものでした。そのたびに母から『あなたは才能があるのだから、頑張りなさい』とたしなめられました。日本に移住を決めたのは、10歳のころツアーで訪れて、どこの国よりも親しみやすさを感じたからです。母に決意を伝えると『あなたが決めた道なのだから』と賛成してくれました。母がバンドゥーラを続けるように言ってくれて、日本へ来ることも応援してくれて本当によかった。そのおかげで今の私がいるし、今回は母を安全な日本に避難させることができたのですから」バンドゥーラ奏者として活動する傍ら、日本人男性と結婚。1男の母となった。すっかり日本になじんだものの、いつも残念だったのは、日本人があまりにも祖国・ウクライナについて知らなすぎるということ。「『え?どこ?』『ロシアの地方なの?』などと言われてしまう。ヨーロッパのほぼ中心にあって、歴史も古く、広くて資源も豊かな国なのに。バンドゥーラの演奏を聴いてもらうのも大切だけど、日本の人たちにウクライナをもっと知ってもらおうと心に決めました」カテリーナさんの決意は、このような現状になった今、みなが求めるものとなった。11時間も車内で立ち続けてロシアとウクライナに緊張の糸が張りつめ始め、同時翻訳の仕事が増えてきた。その関係もあり、早めに不穏な空気を感じ取っていたカテリーナさんは、姉たちにも相談し、キーウでひとり暮らしをするマリヤさんを日本へ呼び寄せることを考える。「でも母は、『そこまで大事にはならないと思うし、家から出たくない』とまったく乗り気ではありませんでした」しかし、カテリーナさんの悪い予感は当たった。「戦争が始まってしまいました。それからは毎日、いや数時間おきに、飛行機や爆撃の音におびえる母から連絡が来るようになりました。母の住む場所から車で10分ほどのところにあるマンションがロシア軍の標的となり、周囲の車が爆撃されたと聞いたときには、絶望を感じました」母をなんとしてでも守りたいと思ったカテリーナさんは、実家の近くに住む旧友の男性に、母を祖国から脱出させるための手助けを頼んだ。「彼は男性だから戦うためにキーウに残っていますが、奥さんと子どもたちをすでにポーランドへ行かせていたので、脱出のルートを知っていたのです。彼にお願いして、最後まで乗り気ではなかった母を列車に乗せてもらいました」ポーランドへの道のりは険しかった。満員状態のため、飲食はおろか座ることができない状態で、到着まで11時間以上かかったという。そのうえ、到着した駅から避難所まで5時間歩くことに。高齢女性には過酷すぎる行程だ。「避難所も狭く、食べ物もあまりなくてとても心細かったそうです。母は来日歴があったのでパスポートを持っていたから国外へ行くという選択肢がありましたが、多くの人たちはそういった避難所で今後どうするかを不安に思いながら過ごしているのです」なんとかポーランドの空港までたどり着いたマリヤさんは、日本から迎えにやってきたカテリーナさんの夫と落ち合うことができ、共に日本へ渡った。来日した際は衰弱しきっていたマリヤさんだったが、現在はかなり落ち着いてきたという。「この前、私の息子の小学校の卒業式に参加して、とても感激していました。桜が好きなので、お花見も楽しみましたね」ウクライナを伝え続けたいマリヤさんの難民申請が受理され、落ち着いたら、一緒にウクライナを伝える活動をしていきたいと語る。「母と一緒に、ウクライナに親しみを持ってもらうためのイベントをしていきたいです。母は歌もお料理も得意なので。そうやって、ウクライナのことを、日本はもちろん、世界のたくさんの人たちの心に刻みたいのです。本当なら、私もウクライナに戻ってみんなと一緒に戦いたい。私が通っていた音楽学校があった周辺は、爆撃で大きなダメージを受けてしまいました。私が使用しているバンドゥーラの製作工房も、連絡がとれないので無事かどうかわかりません。でも気づいたのですけど、私がこうやって、ウクライナという存在をみんなに知ってもらって、支持してくれる人を増やすことが、ロシアへの大きな反撃にもなるんですよね。だから私は国外から、ウクライナについて発信し続けたいのです」ロシア・プーチン大統領の独裁によって、苦しんでいるのはウクライナの人たちだけではない。いわれなき誹謗中傷に悩まされている在日ロシアの人々もいる。日本・ロシア協会の常任理事であり、外国人が多く所属する芸能事務所・稲川素子事務所の稲川素子社長(88)はこう話す。「私はロシア人にもウクライナ人にも知り合いがいますから、今回の戦争には本当に心を痛めています。私が長年面倒を見ているロシア人は、家の前にゴミをまかれ、ポストに『ロシアへ帰れ』と書かれた紙を入れられたそうです。ほかにも、道で『ロシア人のバカ野郎』という言葉を投げかけられたという人もいます。また、ウクライナの激戦地帯であるマリウポリには、もともとウクライナ人だけでなくロシア人も多く住んでいて、双方たくさんの戦死者が出ていると聞きます。50年以上国際交流に尽力してきた身として、とても悲しいです」「知る」「関心を持つ」ということが、平和への第一歩だということを、決して忘れてはならない。PROFILE●カテリーナ●1986年3月28日、旧ソ連(現ウクライナ)のプリピャチ生まれ。生後1か月のときにチェルノブイリ原発事故が発生し、一家で首都キーウへ避難。6歳のときにウクライナの民族楽器バンドゥーラを始める。海外公演で訪れた際に気に入った日本へ19歳のときに移住。1男の母でもある。(取材・文/木原みぎわ)
2022年04月06日2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻を始めてから、多くの記者やリポーターが現地で取材をしています。海外メディア『FOX NEWS』の外国特派員であるトレイ・イングストさんも、その1人。彼は連日、破壊された町の様子や、避難する人々の声など、戦場と化したウクライナの現状を伝え続けています。外国特派員が思わずカメラを回した光景同年3月14日、首都キエフで取材をしていたトレイさんは、2本の動画をTwitterに投稿しました。それらの動画は約2千回もリツイートされ、大きな反響を呼んだのです。映っているのは、激しい戦闘の様子でもなければ、苦しむウクライナの人たちの姿でもありません。トレイさんが思わずカメラを回した、窓から見えた光景とは…こちらをご覧ください。Woman holds her cat as air raid sirens sound across Kyiv. pic.twitter.com/ibkowTtBb9 — Trey Yingst (@TreyYingst) March 14, 2022 As Russian forces shell the outskirts of his city, an elderly man feeds the birds in Kyiv. Humanity continues. pic.twitter.com/B6tJeuK4B3 — Trey Yingst (@TreyYingst) March 14, 2022 腕に猫を抱いて歩く女性。すると、大きな音で空襲警報が鳴り響きます。女性は動揺することなく、猫をしっかりと抱きしめます。まるで「大丈夫よ。怖くないよ」と猫に話しかけているようです。また、もう1つの動画では、男性がハトにエサをあげています。いつミサイルが飛んで来るか分からない状況でも、ハトがお腹を空かせたりしないように、気にかけているのです。きっとこの男性は、ロシアによる侵攻が始まる前から、いつもこうしてハトにエサをあげていたのでしょう。これらの動画は、見た人たちの心を大きく揺さぶったようです。・涙が出た。ウクライナの人たちは、想像しうる最悪の状況下でも、慈悲深さを見せてくれた。・なんて優しく、美しい魂を持った人たち。胸が張り裂けそう。・ウクライナの人たちの優しさと強さが分かる動画。些細なことで動揺している自分が愚かに思えるよ。猫は大きな音が苦手だといわれます。特に普段聞きなれない、空襲警報のサイレンなどは、猫にとっては恐怖でしかないでしょう。猫を抱いた女性も、ハトにエサをあげている男性も、いつ我が身に危険が及ぶか分からない状況にもかかわらず、動物を守ろうとする優しさに心打たれます。ウクライナの人たちが愛する動物たちと安心して暮らせる日々が、1日も早く戻ってくることを願います。[文・構成/grape編集部]
2022年03月28日2022年3月23日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の国会演説が行われました。ゼレンスキー大統領は、演説の冒頭で「日本がすぐに援助の手を差し伸べてくれました。心から感謝しています」と述べ、続けてこのように訴えています。チェルノブイリ原発事故を、みなさまもご存知だと思います。1986年に大きな事故がありました。その周りの30kmゾーンは、未だに危険なものでありまして、その森の中には、事故収束当時から、多くのガレキ、機械、資材などが埋められました。土の中に。2月24日に、その土の上をロシア軍の走行車両が通りました。そして放射性物質のダストを空気に上げました。チェルノブイリ原発が支配されました。事故があった原発を想像してみてください。破壊された原子炉の上にあるコンファインメント、つまり、現役の核物質の処理場をロシアが戦場に変えました。また、30kmの閉鎖された区域をウクライナに対する攻撃の準備のために使っています。ウクライナでの戦争が終わってから、どれだけ大きな環境被害があったかを、調査するのに何年もかかるでしょう。ウクライナには、現役の原子力発電所が4か所、15の原子炉があり、すべて非常に危険な状況にあります。すでに、ザポリージャ原発というヨーロッパ最大の原発が攻撃を受けています。また、工業施設の多くが被害を受け、環境に対するリスクになっています。ガス、石油パイプライン、および炭鉱もそうです。先日スームィ州における化学工場においてアンモニアの漏れが発生しました。また、サリンなどの化学兵器を使った攻撃も、ロシアが準備しているという報告を受けています。シリアと同じように。また、核兵器も使用された場合の世界の反応はどうなるかが、今世界中で話題となっています。将来への自信、確信というのが今、誰にもないはずです。ウクライナ大統領国会演説(オンライン) (29分)ーより引用ゼレンスキー大統領は、ウクライナでは現在、家族が亡くなっても、きちんと埋葬ができない状況であるほか、数千人が亡くなり、そのうち121人の子供が犠牲になっているとも訴えました。また、国際機関が機能せず、ウクライナが攻撃され続けていることも指摘し、改革が必要であるとも訴えています。さらに、これからも侵略行為に対し非常に強い注意や、「平和を壊してはいけない」という強いメッセージが必要とも語りました。ゼレンスキー大統領は、「アジアで初めて、ロシアに圧力をかけ始めたのが日本」と感謝を述べ、引き続き、協力を呼びかけました。ロシア軍のウクライナ侵攻により、誰もが、「今ある平和は、簡単に崩れてしまうのではないか」と感じているでしょう。一人ひとりが、平和を維持するためには何ができるのか、考えなければなりませんね。[文・構成/grape編集部]
2022年03月23日ウクライナに、InstagramやTikTokで100万人を超えるフォロワーを持つ人気の猫がいます。名前はステパン。ステパンはまるで人間のようなポーズや、愛嬌たっぷりの表情で世界中のファンから愛されています。@annaolala♬ оригинальный звук - user548075332261ウクライナに住む猫の安否を気遣う声2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始しました。この日、ステパンのInstagramには、「ウクライナは平和を望んでいます」というメッセージが投稿されました。また2月28日には、愛らしいステパンの写真とともに「ウクライナは戦争を望んでいません!」という言葉がつづられます。ところがこの日以降、投稿がストップ。多くの人たちがステパンと家族の身を案じ始めます。すると3月3日に、「私たちは生きています!」と投稿が。さらにその2週間後、ステパンと家族の身に起きたことの詳細が報告されました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by Степан (@loveyoustepan) View this post on Instagram A post shared by Степан (@loveyoustepan) ステパンの自宅があるのは、ウクライナ第2の都市ハリコフの北サルトフカ地区。ロシア軍による攻撃で甚大な被害を受けた場所です。ステパンの飼い主であるアンナさんの家も、ロシアの侵攻開始から8日目に損傷しました。電気のない地下室に避難していた彼女は、「もうここにはいられない」とステパンと一緒に命からがら逃げ出して、西部の都市リヴィウに向かいます。さらにリヴィウから隣国のポーランドへ行き、そこからフランスへ移動。彼女たちのフランス行きを助けてくれたのは、モナコにある『World Influencers and Bloggers Association』という組織だということです。 View this post on Instagram A post shared by Степан (@loveyoustepan) これらの投稿には、「すごく心配していたよ」「きみたちが無事でよかった」「かわいそうに。ステパンも怖かっただろうね」「心が痛む」などのコメントが寄せられています。3月16日現在、ステパンとアンナさんはフランスで安全に過ごしているといいます。ハリコフにあるアンナさんの自宅周辺は、ロシアの侵攻初日から爆撃が始まったのだそう。近所の家に次々と砲弾が落ちて、目の前で燃える様子を見ていたのだとか。それがどれほど恐ろしいことか…ステパンもきっと恐怖で震えていたことでしょう。移動の列車の窓から外を見つめるステパンの表情は、どこか悲しげに見えます。これがただの旅行ではないことを、ステパンも分かっているのかもしれません。1日も早くウクライナに平和な日常が戻って来て、ステパンが再び住み慣れた町で暮らせる日が来ることを願わずにいられません。[文・構成/grape編集部]
2022年03月23日愛らしい猫たちを見ると、猫好きの人は思わず頬がゆるんでしまうことでしょう。20匹の個性豊かな猫がいる猫カフェ『キャットカフェ・リヴィウ』は、2016年にオープンして以来、多くのお客さんを楽しませてきました。そして2022年3月現在、『キャットカフェ・リヴィウ』は今までにないほど、人々に大きな癒しを与えてくれる場所となっています。なぜならこの店が、ロシアによる軍事侵攻が行われているウクライナにあるからです。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram A post shared by Cat Cafe Lviv (@catcafelviv) ロシア侵攻後も、営業を続ける猫カフェ『キャットカフェ・リヴィウ』があるのは、ウクライナ西部の都市リヴィウです。リヴィウはポーランドとの国境に近く、国外へ避難しようとする人たちが集まってくる場所でもあります。多くのウクライナの人たちが国外へ脱出している中、店のオーナーであるセルヒー・オリニクさんは、家族とともにリヴィウに留まることを決意。『キャットカフェ・リヴィウ』は同年3月22日現在も、毎日9時から21時まで営業を続けています。 View this post on Instagram A post shared by Cat Cafe Lviv (@catcafelviv) ウェブメディア『The Dodo』によると、『キャットカフェ・リヴィウ』には3つの部屋があり、そのうちの2つは地下にあるため、空襲警報が出た場合はお客さんと猫たちが安全に避難できるといいます。今は常連客は少ないそうですが、温かい食事とポジティブな気持ちを求めて、ほかの都市から来店するお客さんもいるのだとか。『キャットカフェ・リヴィウ』のInstagramには、世界中から励ましと称賛の声が寄せられています。・素晴らしい決断だと思う。どうかみなさん、無事でいてください。・こんな世界でも笑顔にできる猫さんたちは、最強です。・なんてかわいい猫たち。この子たちを守ってくれてありがとう。 View this post on Instagram A post shared by Cat Cafe Lviv (@catcafelviv) ウクライナでは多くの人がペットを連れて避難していますが、20匹の猫を連れて国外へ脱出するのはやはり難しいと思われます。セルヒーさんは『The Dodo』にこう語っています。私たちの猫は生後4か月の頃から、この猫カフェに住んでいます。彼らは家族同然です。私たちは決して自分の国を離れることはないでしょう。ここは、将来の私たちを見ることができる唯一の場所だと気付いたのです。The Dodoーより引用(和訳) View this post on Instagram A post shared by Cat Cafe Lviv (@catcafelviv) 『キャットカフェ・リヴィウ』のInstagramの写真には、猫たちを見て笑顔になっているお客さんの様子が写っています。その光景は、そこが今まさに戦時下であることを忘れてしまいそうなほど穏やかです。こんな状況だからこそ、猫たちは不安な毎日を過ごす人たちに、ひと時の癒しを与えているのでしょう。このまま『キャットカフェ・リヴィウ』の20匹の猫たちが元気に過ごし、安全に営業を続けられることを心から願います。[文・構成/grape編集部]
2022年03月23日SNSにあふれる、たくさんの料理動画。料理が得意な一般の人からプロのシェフが投稿するものまで、さまざまです。そんな中、ある女性がTikTokに載せた料理の動画が世界中で話題になっています。それは、写真家のヴァレリア・シャシーノックさん。陽気な音楽とともに、母親が料理をしている様子などを投稿しています。@valerisssh Professional cooker! #ukraine #stopwar #russiastop ♬ original sound - pradasaint完成したのはウクライナの伝統料理、ボルシチ。野菜たっぷりで、とてもおいしそうです。一見すると普通の料理動画に見えますが、この動画は400万回以上再生されています。なぜヴァレリアさんの動画に、大きな反響が上がっているのでしょうか。それは、この動画が撮影されている場所がウクライナの防空壕の中だからです。防空壕でのリアルな過ごし方を紹介する女性ウクライナ北部のチェルニーヒウに住むヴァレリアさんは、2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻後、家族とともに防空壕での避難生活を始めます。そこで彼女は、防空壕の中で食べているものや、母親が笑顔で食事を作る様子を投稿。すると、命の危機にさらされている状況下でありながら、ユーモアを交えて防空壕での過ごし方を紹介する姿に、「あなたたちの強さに感動した」「どうか無事でいてほしい」など励ましの声が殺到しました。@valerisssh Ukrainian blinchiki in a bomb shelter✨ #ukraine #stopwar #russiastop ♬ Ice Dance (From "Edward Scissorhands") - Ashton Gleckmanまたヴァレリアさんは自ら町へ出て、破壊された建物の様子なども撮影しています。その映像はニュースなどで見るものとは違い、この惨状がウクライナの人たちにとっては、まさに目の前で起きている現実なのだということを強く訴えているようです。@valerisssh Putin, I wait u in Chernihiv #ukraine #stopwar ♬ original sound - ratherbe.anyoneelseこれらの動画には、ヴァレリアさんと家族の無事を祈る声や、戦時下でも前向きに生きようとする彼女の強さを称賛するコメントが寄せられています。なお、投稿によるとヴァレリアさんは2週間ほど防空壕で過ごした後、隣国のポーランドに避難し、3月21日現在はイタリアにいるそうです。彼女はウクライナを脱出した後も、避難所での様子などの動画を投稿し続けており、TikTokのフォロワーは95万人を超えています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、3月19日の時点でヴァレリアさんのように国外へ脱出したウクライナの人たちは約339万人に上るということです。愛する母国での日常を、突然奪われてしまったウクライナの人たち。ヴァレリアさんのTikTokに、彼女が再びウクライナに戻って笑顔で生活をしている動画が投稿される日が、1日も早く来ることを願います。[文・構成/grape編集部]
2022年03月23日2022年2月24日に、ロシアがウクライナ国内に侵攻したことを機に始まった戦争。同年3月18日現在も、停戦していません。世界中の人々が、1日でも早い停戦を祈り続けています。そんな中、映画『ターミネーター』シリーズの主演などで知られる、俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーさんが、ロシアの人々への想いを語りました。子供の頃からあった、ロシアとの接点シュワルツェネッガーさんは、「私はロシアの人々が大好きだ。ぜひ動画を見て、多くの人に共有してほしい」とTwitterで呼びかけ、動画を投稿。I love the Russian people. That is why I have to tell you the truth. Please watch and share. pic.twitter.com/6gyVRhgpFV — Arnold (@Schwarzenegger) March 17, 2022 オーストリア系アメリカ人であるシュワルツェネッガーさんの、ロシアとの接点は子供の頃からありました。それは、「自分にとってヒーローとなる、ロシア人との出会いだった」といいます。14歳の時、ウィーンで開催されたウエイトリフティングの世界選手権を見に行ったシュワルツェネッガーさん。そこで優勝した、ソビエトとロシアの選手だったユーリ・ウラソフさんと握手した時、力強さに感銘を受けたといいます。以来、シュワルツェネッガーさんは自宅のベッドにウラソフさんの写真を飾っていました。ですが、シュワルツェネッガーさんの父親は、その写真を下すようにいったとのこと。父親は、第二次世界大戦中、ロシアで被害を受けた経験から、ロシア人が嫌いだったのです。それでも、「ウラソフさんがあげていた旗がどこの国であるかは、重要ではない」と思い、写真を下すことはなかったといいます。シュワルツェネッガーさんがウエイトリフティングを始めてから、その写真を見ては自分を鼓舞していたとも話しました。大人になってからも持ち続けていた接点シュワルツェネッガーさんとロシアとの接点は、これだけにとどまりません。ボディビルディングや映画の撮影のため、頻繁にロシアを訪れていたシュワルツェネッガーさん。撮影中、再びウラソフさんと会い、コーヒーカップをくれたり、1日を過ごしたりするなど、優しさに感銘を受けたといいます。シュワルツェネッガーさんは、子供の頃から俳優になった大人になるまで、ロシア人が持つ力強さと温かさに鼓舞されてきたそうです。シュワルツェネッガーさんがロシア国民に伝えたいこと2021年1月、アメリカ国内では、大統領の選挙結果をめぐり、抗議デモが行われました。デモに参加した人々は、「選挙結果に不正があった」として、意思を表明。シュワルツェネッガーさんは、この時のように、「おかしいと思うことは、声を上げてほしい」とロシア国民に訴えました。ですが、戦争に反対しているロシア国民が、拘束されるといった事態も起きているのです。拘束された人々に対し、シュワルツェネッガーさんは「私にとって、あなたがたは新たなヒーローだ。ウラソフさんと同じ強さを持っている」とたたえました。シュワルツェネッガーさんのメッセージに、多くの人から称賛の声が上がっています。・こんなにも知的で優しい人だったのか、と胸が熱くなった。・やはりシュワルツェネッガーさんは、本物のヒーローだ。ロシア国民だけでなく、多くの人に見てもらいたい。・心底、ロシアを愛しているからこそ、語らずにはいられなかったのだろう。残念なことに、SNSでロシア人への差別的表現や嫌悪する声が見られたり、ロシア料理を提供するお店を非難したりする動きが起きています。ですが、誰かを攻撃するのではなく、平和への声を上げていくことが必要です。シュワルツェネッガーさんは、ロシアを愛しているからこそ、国民をはじめ多くの人々にこのメッセージを知ってもらいたかったのでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年03月18日ウクライナのゼレンスキー大統領。国民を鼓舞する発言が注目される2月24日、ロシアが隣国ウクライナに武力侵攻を開始。3月11日までに3回の停戦協定が行われたが具体的な進展はなかった。民間人への攻撃も激しさを増し、多くのウクライナ人が住み慣れた土地を追われ、日常を奪われ子どもたちも犠牲になっている。世界中から戦争反対と早期終結を求める声があがり、ロシア、プーチン大統領への非難が高まる。ロシアの侵攻を止められなかったワケ「プーチン氏が目指すのは“大ロシア復活と栄光復帰”。かねて、ソ連崩壊は間違いだった、旧ソ連の国々を取り戻したいと訴えていました」そう話すのは軍事ジャーナリストの黒井文太郎さん。理不尽な開戦理由を掲げ、武力で他国を侵略するロシアを国際社会は止めることはできなかったのだろうか。「米ソ冷戦終結後、アメリカは“世界の警察”として有事の際に国連安保理を通して武力介入してきました。ですが、イラク戦争で多くの犠牲を出したこともあり、2010年代初期にアメリカはその役割から降りた。それ以降、紛争を和解に導き、秩序をコントロールする国がなくなった」(黒井さん、以下同)よくも悪くもアメリカの軍事力が抑止力になっていた。それが機能しなくなったことで世界の均衡が崩れたのだ。最初に行動に移したのがプーチン氏だった。「’14年のクリミア侵攻などでアメリカが軍事介入しなかったことをプーチン氏はチャンスと捉え、野望を叶えるための行動に出たのです」国際安全保障に詳しい立命館大学の宮脇昇教授(国際政治学)も欧米など、民主主義の国が弱くなったと指摘する。「1990年代のロシアは非常に自由な国でした。しかし、プーチン氏が大統領になってから国家権力が強くなり、情報統制が行われるようになって同国の民主主義も弱くなっていった。’10年から’12年にかけて中東、北アフリカの各国で『アラブの春』と呼ばれる民主化運動が起きました。ですが、その後失敗に終わりました。ミャンマーやタイでも軍事クーデターが起きています」今回の戦争を通し、私たちの生活は大きく変わろうとしている。宮脇教授が説明する。「’14年ごろからの国際社会の状況を『第二次冷戦』と考えています。情報も経済も戦争状態です。さらに今回のロシア・ウクライナの武力侵攻をきっかけに世界の国々は再び西側と東側に二分される冷戦に戻っていくでしょう」戦争は各地で起きている現状前出の黒井さんも危機感を募らせる。「国際連合の本来の目的であるはずの戦争を止めるというメカニズムが完全に破綻しています。東西冷戦の様相を持ちながら力あるものが勝つといった第二次世界大戦時代に戻ってしまう危険があります。非民主主義が連携して領土的野心や人権抑圧を推し進め中南米やアフリカなど各地で起きる紛争に国連が動けないことを誰も止められない」世界に目を向けたとき、火種がくすぶり続けている国や地域はいくつもある。戦争は日本の周辺諸国で起きていないだけで、イラク戦争以降も各地で起きている。「ロシア・グルジア戦争や昨年はアゼルバイジャンとアルメニアの戦争もありました。今回のように戦争が私たちの肌感覚に近くなってきた背景にはSNSを通し、情報が入ってきて戦争がリアルタイムで伝わってくるようになったからです」(宮脇教授)では次に危険な地域はどこか。識者に聞いてみると─。最も危険性が高いのが中国と台湾の台湾海峡問題だ。黒井さんは「実はここ1か月くらいでガラッと状況が変わりました」と前置きをしたうえで説明する。「ロシアのウクライナ侵攻前は台湾海峡や南シナ海の情勢は非常に危うかった。中国をどう封じるかというのがアメリカを含め各国にとっての大きな問題でした」前述の理由からアメリカの抑止力が効かないとなれば中国が実力行使に出る可能性は十分に考えられた。中国はロシアとタッグを組み、連合としてアメリカらと対峙するというシナリオを考えていたとみられる。「今回のウクライナ侵攻でその動きは一時的に止まったと推測できます。ロシアは大義名分もなく犯罪的に侵攻をしたことで世界中から非難を浴びています。これでは中国の習近平国家主席もかばいきれない。今ロシアと手を組めば自分たちも世界中から非難されるだろう、と」(黒井さん)在日米軍基地が攻撃される可能性も一方、宮脇教授の見解は、「ウクライナの行く末に左右されます。もし、ロシアの思いどおりかつ被害が少ない状態で戦争が終結すれば、中国が動く可能性は高まる」侵攻が失敗に終わり、軍がクリミアを残して撤退することになれば、台湾海峡問題について中国も慎重にならざるをえなくなる。「ベトナム戦争でアメリカが撤退した後や、ソ連のアフガニスタン侵攻の失敗後のような状況になりうるからです。戦争を起こさない、という意味ではいいと思います。今回、国際世論の感情を動かしたのはSNSでした。発信者にはロシア兵もおり、現場の兵隊がリアルタイムで情報を発信するというありえないことが起きている。情報漏れや人道被害が流れれば戦意も下がる。同じような事態が今後、ほかの国でも起きる可能性はあります」(宮脇教授)もっとも台湾海峡の有事が起きれば日本も無関係ではいられなくなるのだ。「日本には在日米軍がいますので台湾有事は、同時に日本の有事です。在日米軍が台湾を支援すれば日本が戦争に直接加担しなくても沖縄や日本国内の米軍基地は攻撃されるでしょう。攻撃を受ければ日本有事なので、自衛隊が防衛出動します」(黒井さん、以下同)ロシア、北朝鮮の脅威と第三次世界大戦7日、習近平氏は中国軍を海外に派遣して活動させる根拠法の整備を進める意向を示した。「ロシアも脅威です。戦闘機や潜水艦といったロシア軍による牽制は増えると思います。日本だけでなく、ヨーロッパも国境が接する北欧でロシア軍が牽制する頻度が増えました。日本とロシアは敵対していないと思っていてもロシアから見た日本は敵国です」現にロシア政府は日本を「非友好国」に指定している。「もし戦争にNATO軍が介入すればロシアとの第三次世界大戦になるかもしれない。日本は直接、戦闘に参加しなくても援助はするでしょう。在日米軍も戦争準備態勢に入ります。そうなると東アジアも緊張感は高まります。ロシアは遠くない国なんです」(宮脇教授)もうひとつの脅威は北朝鮮。「北朝鮮は何をやっても国連安保理が機能しないのはわかっていますからミサイルは撃つでしょうし、核実験もやると思います。ICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験もするでしょう」(黒井さん)中東・アフリカの深刻な情勢そしてより深刻になっていくのは中東問題だ。危険視されているのはイラン。出方次第ではイスラエルと戦争になるリスクも指摘される。特定非営利活動法人アクセプト・インターナショナルの代表理事でテロリストとの交渉や中東・アフリカ事情に詳しい永井陽右さんも指摘する。 「イランがサポートしているとみられるイエメンのフーシ派は国連安保理でテロ組織と認定されました。サウジアラビアやアラブ首長国連邦に対してドローンを使ったり、ミサイルなどで攻撃しており、状況は緊迫しています」そしてアフリカの情勢はかなり深刻なのだ。「特に内戦が続くエチオピアも状況は改善されていません。そしてサハラ砂漠あたりの国々は現地の武装勢力により国内の治安は悪化し、死者数も増えています。ソマリアやモザンビーク、コンゴでもイスラム過激派によるテロや攻撃が依然として続いています。アフリカの紛争地の多くは軍事面でも欧米諸国の支援があってどうにか武装勢力に対処できている状況ですが、この2年間は新型コロナの影響で欧米の支援予算が減少したりもしています」(永井さん、以下同)例えばソマリア。現在アフリカ連合の部隊が治安維持を行っており、例えば給料などをEUが負担しているが、継続は簡単ではない。「ロシア・ウクライナを優先し、アフリカへの予算が後回しになれば部隊が縮小・撤退する可能性だってあります。専門家筋はアフリカ連合の部隊が完全撤退したら、昨年8月にアメリカが完全撤退後にタリバンがアフガニスタンを取ったようなことがソマリアでも起こるのではないかとかなり懸念されています」今後は国家間の戦争もテロとの戦争も両方が残っていく、と専門家らは懸念する。「今後、世界的に原油や物資の価格が高騰するので紛争地や経済が脆弱なところにはより顕著に影響が及ぼされます。さらに生活が困窮し、経済がガタガタになり、不満からの問題が起こりえます」そこから武装勢力やテロリスト集団が生まれる可能性も十分に考えられる。「難民の問題も当然出てきます。ウクライナからの避難民やロシア人も難民になる可能性は高い。避難民と難民それぞれへの支援について、日本として何ができるのか議論も必要です。そして今、国際社会が問われているのは武力に対して、武力でない形でどう対応し、戦争を止めることができるかなんです。それができなければ人類は1つ前の時代に戻る」これまで人類の歴史では武力に武力で対抗した結果、多くの血が流され続けてきた。「SNSやデモなどで戦争反対を訴えることも必要です。ただ、そこではこうした惨状に至るまでの歴史や背景、そしてそれらをめぐる欧米や国際社会の対応などについても、しっかりと考える必要があります。感情的にならず、冷静になってそれを考えることが大切だと思うのです。そしてどんな未来を進みたいか、ひとりひとりが考える必要が今こそあります。絶望せず、私たちは人類が望む明るい未来に向かっていければと思います」21世紀も戦争の世紀にしないためにも、改めて向き合っていかなければならない。話してくれた人は…●NPO法人アクセプト・インターナショナル 永井陽右代表理事ソマリアやイエメンを中心にアフリカ、中東問題に詳しい。専門はテロ、紛争解決、人道的交渉、平和構築。テロリストとの交渉や脱過激化、武力解除などにも尽力する。●NPO軍事ジャーナリスト 黒井文太郎さんモスクワ、ニューヨーク、カイロを拠点に紛争地帯にて多くの取材経験を持つ。専門は日本の外交、安全保障や国際紛争やテロの研究。メディアの出演も多数。●NPO国際政治学者 宮脇昇教授立命館大学政策科学部教授。専門は安全保障論。ヨーロッパ問題に詳しく、日露戦争などの研究も行う。著書に『戦争と民主主義の国際政治学』(日本経済評論社)などがある。
2022年03月17日2011年3月11日に起きた『東日本大震災』。多くの尊い命が奪われ、各地に甚大な被害をもたらしました。震災から11年が経った、2022年3月11日に、有働由美子アナウンサーがInstagramを更新。有働アナウンサーといえば、Instagramで『うどばあちゃん』という独自のキャラクターを使い、さまざまな情報を発信しています。緊急事態宣言の一部解除に有働由美子アナ「違いが出る時には…」続く言葉に、絶賛の声有働アナウンサーは、岩手県の鵜住居(うのすまい)町にある民宿を訪れたことを明かしました。震災時の津波で娘さんを亡くした、前川さんという被災者が営む民宿で、おいしい魚をたくさん食べてきたという有働さん。そこで、被災者と交わした会話を振り返りました。 この投稿をInstagramで見る 有働由美子(@udoyumiko)がシェアした投稿 その鵜住居で、今日青色と黄色の風船があがる。「ウクライナの人たちを励ましてぇ」という想いだ。前川さんがいうんだ。おらたちは人間の手でどうにもなんねぇ津波で亡くしちまったのに。11年経ってもさ、こんなに悔しくてつれぇのに、ウクライナの人たちの気持ち考えっと、かわいそうでなんねえ。すごく心が痛む、って。できることはなんでもしてあげてぇって。udoyumikoーより引用有働アナウンサーが訪れた鵜住居町では、3月11日に青色と黄色の風船が上がったのだそうです。黄色と青色といえば、ウクライナの国旗。同月12日現在、ロシアから侵攻を受けているウクライナの情勢が、連日のように報道されています。有働アナウンサーは、訪れた被災地で、多くの犠牲者のことを想って心を痛める被災者の姿を目の当たりにしたのです。動画とともに、有働アナウンサーは「傷みを知っている人たちが、誰より一番、今痛んでいる人たちを想っている。それを感じた11年目の現地でした」と、つづっています。【ネットの声】・うどばあちゃんの声を聞いたら、涙が止まらなくなった。・被災地の人が、ウクライナを想う気持ちに感動した。想いが届いてほしい。・有働さん、ありがとうございます。1日でも早く世界に平和が戻りますように。・震災から11年が経っても、まだ痛みは消えません。今はニュースを見るたびに、心が締め付けられます。災害や戦争は、私たちの日常や大切なものを奪い去ります。痛ましい現状から目を背けず、「自分たちに今できることは何か」を考えさせられますね。[文・構成/grape編集部]
2022年03月12日2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部ドンバス地方の住民を保護するためとして、特別軍事活動を開始しました。ウクライナでは全土に戦時体制が導入され、各都市で戦いが勃発。攻撃によって家屋が破壊されるほか、多くの死傷者が出ています。自衛隊、ウクライナに物資と装備品を提供同年3月9日、防衛相は各SNSにウクライナへの支援についての概要を投稿しました。自衛隊は、防弾チョッキやヘルメットなどの装備品や、支援物資を輸送機に搭載。一刻も早くウクライナに物資を届けるため、輸送機は愛知県小牧市にある小牧基地を出発したといいます。防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省(Japan Ministry of Defense)さんの投稿 2022年3月8日火曜日防衛省は『#ウクライナのために』のハッシュタグとともに、「初めての装備品の提供任務となりますが、ウクライナのために全力を尽くします」とコメント。政府による同月8日の発表によると、日本は防具や衛生資材、非常食や発電機などをウクライナに提供し、国際機関を通じて人道支援を行うといいます。また、日本で生活するウクライナ人の在留延長期間を許可するほか、避難民の受け入れを推進することを明かしました。自衛隊の提供任務に対し、ネットからは感謝をする声が上がっています。・自衛隊のみなさんが、どうか無事に任務を遂行されますように!・防具を提供することで、1人でも多くの人の命が助かるといいな…。・日本らしい支援の仕方だと思う。本当にありがとうございます。今回の件を受け、攻撃を受けているウクライナだけでなく、ロシアや世界各国で反戦運動が起こっています。世界の平和を願うのは、日本人も同じ。ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆(しさ)したこともあり、多くの人がウクライナの現状に心を痛めているようです。自衛隊の支援によって、より多くの人が平和を維持するためにはどうすればいいかを考えたことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年03月09日『カップヌードル』『日清のどん兵衛』などのインスタント麺を製造、販売している日清食品ホールディングス株式会社(以下、日清)。2022年3月9日、同社はロシアから侵攻を受けているウクライナの避難民に対し、インスタントラーメンの寄付を行うと発表しました。日清、ウクライナの避難民にラーメン10万食を無償提供同年2月24日から続いている、ロシアによるウクライナ侵攻。ウクライナの各地で戦闘が行われ、家屋が破壊されるほか、多数の死傷者が出ています。日清食品グループでは、欧州の中央に位置するハンガリー日清がいち早くインスタントラーメンの10万食を無償提供。また、日清の社長は、国際連合世界食糧計画WFP協会に1億1500万円の寄付を行うといいます。食品や寄付金は、国連や赤十字などの信頼できる団体を通して、避難民を支援するために活用されるとのことです。同社は今回の支援にあたり、会社が掲げる信念をこのように明かしています。日清食品グループは、創業者・安藤 百福 (あんどう ももふく) から受け継ぐ「食為聖職 (しょくいせいしょく)」(食の仕事は聖職である) の精神に基づき、人々の生命の根源を支える「食」を通じて、人々の健康と世界の平和に貢献することを使命としています。ウクライナや近隣諸国で困難に直面している多くの方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早く平穏な日々が戻ることを祈念しています。今後も動向を注視しながら、厳しい状況の中で苦しんでいる方々への支援に努めていきます。日清食品グループーより引用日清の発表に対し、ネットからは「インスタント食品は日持ちもいいし、素晴らしいチョイスだ」「こういう取り組みができるのは本当にかっこいい」といった称賛の声が上がっています。食べ物がなければ、生きていくことはできません。空腹によって、さらにつらい状況に立たされている人も多く発生しているでしょう。日清の支援が困っている人たちに届き、この戦いが一刻も早く終わることを多くの日本人が祈っています。[文・構成/grape編集部]
2022年03月09日2022年2月24日から続いている、ロシアによるウクライナ侵攻。ウクライナの各地で戦闘が行われ、両国の公表する数値に違いはありますが、合わせて数千人の死者が出ているとされています。今回の戦いを受け、日本を含む世界各国から平和を願う声が上がりました。ロシアとウクライナの情報戦を受け、藤井貴彦アナが思いを明かす同年3月3日に放送された、報道番組『news every.』(日本テレビ系)でも、ロシアのウクライナの情勢について特集。ウクライナでは都市部を中心に、家屋が破壊されるなど大きな被害を受けているといいます。そして、戦いが起こっているのは戦地だけではありません。インターネット上でも、情報戦が行われているのだとか。戦いを有利に進めるため、SNSではフェイクニュースが流れることも。また、士気に影響が出るとして、各国では自軍の被害についての情報を規制しているといいます。繰り広げられる情報戦について、藤井アナウンサーは視聴者に向かって、このように思いを伝えました。ロシアのみなさんには直接は届かないのかもしれませんけども、遠くにいる日本で私たちがこういう情報をみなさんにお伝えし続けていることによって、日本の中にもロシアの方はいらっしゃるでしょうし、ウクライナの方もいらっしゃると思います。その人たちが、もしかするとロシアなりウクライナなりに「こういうふうに伝えられてるよ」っていうのを、伝えることもできると思うんですよね。ですから私たちは、遠くの国にいますけども、これ(ニュース)を知ることによって、「無駄だ」って思わないで、知り続けること、関心を持ち続けることがとても大切だと思います。news every.ーより引用ネットの情報規制によって、自国の現状を知ることができずにいる人が多く存在している、ロシアとウクライナ。日本でも、今回の戦いに関するフェイクニュースが拡散され、問題視されています。インターネットというツールがあれば、どれだけ戦地から離れた場所にいても、フェイクニュースによって加担してしまう可能性があるでしょう。藤井アナは、「そんな現状だからこそ、日本では正しい情報を発信し続け、多くの人が関心を持ち続けることが重要である」と、視聴者に向かって説きました。番組を見ていた人からは、藤井アナのコメントに共感する声が上がっています。・藤井さんの誠実な人柄がよく出ているコメント。心に響きました。・報道に携わる人として、本当に素晴らしい考えだと思う。・「自分に何ができるのか」と無力さをなげいていたけど、関心を持ち続けるのが大事なのだとハッとした。海外の出来事のため、関心のない人もいるかもしれません。また、つらい気持ちになってしまうため、あえて情報を遮断している人もいるでしょう。しかし、1人でも多くの人が今起こっている出来事から目をそらさずに考えることで、きっと未来につながるはず。藤井アナのメッセージは、多くの人に「今、自分がすべきことはなんなのか」と考えさせてくれたようです。[文・構成/grape編集部]
2022年03月03日2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、同年3月3日現在も激しい戦争が繰り広げられています。国際連合の機関である『国連難民高等弁務官事務所』によると、同日現在でおよそ100万人が難民となり、国外に避難しているとのことです。事態を受けて、総合ディスカウントストアの『ドン・キホーテ』を運営する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは同日、ウクライナの難民支援を行うと発表しました。ドン・キホーテ、難民100世帯を支援日本政府は同月2日、ウクライナに対する人道支援の一環として、避難する人々への受け入れを行うと表明。表明を受け、同社は政府の認定を受けた難民100世帯を受け入れ、経済や生活、就業機会といったサポートを行うとのことです。同社は発表文の中で、今回の支援についてコメントしています。多くの皆様に、本主旨をご理解いただくと共に、今後、ウクライナの避難民に対する更なる支援の輪が広がることを祈念いたします。ご賛同をいただければ幸いです。当社グループは、長期的な視点に立ち、今後も積極的に人道支援を行ってまいります。株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスーより引用同社がウクライナの難民支援を行うことに、多くの人が賛同しています。・素晴らしい企業姿勢だ。言語や文化、習慣などの違いから、日本での生活に苦労するかもしれないけど、「来てよかった!」と思ってもらえる状況になればいいね。・いろいろと辛いことはあるだろうけど、まずは安心して寝る場所があって食事ができれば、それだけでも救われた気持ちになるんじゃないかな。・なかなかできることじゃない…。涙がこぼれてくる。ほかの企業も、ぜひともやってほしい。戦争が起きると、いつ終戦するのか、安心して暮らせる日は来るのだろうかと国民は不安の渦に巻き込まれます。また、世界中で同様の戦争が起きるのではないかと不安になるでしょう。1日でも早く戦争が終結し、ロシアとウクライナの国民が安心して生活できる日が訪れることを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年03月03日2022年2月28日、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、ロシアから侵攻を受けているウクライナへ10億円の寄付をしたと発表しました。僕達にできることは本当に限られていますが、家族と相談し10億円をウクライナに寄付することにしました。Consulting with my family, we Mikitani family have decided to donate 1 billion yen to Ukraine. Attached is my letter to President Zaranskyy. Our hearts are with you. pic.twitter.com/w4LAPs7nt7 — 三木谷浩史 Hiroshi (Mickey) Mikitani (@hmikitani) February 26, 2022 投稿では、三木谷会長からウクライナのゼレンスキー大統領への手紙も添えており、そこには「被害を受けるウクライナの人々を助ける人道活動のため、10億円を寄付することを決めた」とつづっています。三木谷会長「数がメッセージになり、力になります」別の投稿では「数がメッセージになり、力になります」と、ウクライナへの寄付を呼びかけた三木谷会長。三木谷会長同様、実業家の前澤友作さんもまた、Twitterを通して「人道支援や医療支援に限定して活動している団体に寄付させていただきました」と発表するなど、日本国内でもウクライナへの支援の輪が広がっています。こうした動きは注目を集め、「自分もできる限りの支援をしたい」「これ以上の被害者を出してほしくない」といったコメントも。自分たちとは関係ないこととは思わず、現状を変えるため、またこれ以上犠牲者を出さないためにできることは何か、私たち一人ひとりが考えて行動に移していかなければなりません。[文・構成/grape編集部]
2022年02月28日2022年2月24日に、ロシアのプーチン大統領が特別軍事活動を承認したことによって、ウクライナで戦いが勃発。ウクライナ全土では戦時体制が導入され、各地がロシア軍による攻撃を受けています。また、プーチン大統領は緊急演説で「ロシアは世界でもっとも強力な核保有国の1つであり、ロシアを攻撃した者は敗北と恐るべき結果を引き起こす」と、核兵器の使用を示唆(しさ)する発言をしました。ロシアの核兵器示唆に、長崎市長が声明プーチン大統領の発言を受け、同月25日、長崎市はウェブサイトに田上富久市長のコメントを掲載。そこにつづられていたのは、第二次世界大戦で核兵器を投下された歴史を持つ長崎市の、代表としての想いと願いでした。ロシアによるウクライナへの軍事的侵攻に際し、プーチン大統領による核兵器の使用を示唆する発言がなされたことについて、被爆地長崎は強い憤りを感じています。今年1月にロシアを含む核保有5か国が発出した共同声明の中で、「核戦争に勝者はなく、決して核戦争をしてはならない」と世界に発信した矢先の発言であり、「世界中の誰にも二度と同じ体験をさせてはならない」と懸命に訴えてきた被爆者の切なる思いを踏みにじる言動です。地球上に、第三の戦争被爆地を生むことは絶対にあってはなりません。不信感から不安へ、不安から武力へ、という戦争につながる心理の連鎖を断ち切り、理性に基づいた対話により緊張関係を緩和し、平和的解決への道を探ることを強く求めます。長崎市ーより引用1945年8月9日に原子爆弾を投下され、甚大な被害を受けた長崎市。1発の核爆弾によって多くの命が奪われ、街は破壊されました。2022年現在も、被爆による後遺症で苦しんでいる人が存在しており、多くの市民が非人道的な核兵器の根絶を願っています。市長のメッセージは、その歴史を深く知っているからこそ抱く、世界に対する怒りと悲しみなのでしょう。※画像はイメージネットでは、ロシアとウクライナの現状に心を痛めている日本人から、市長のメッセージを支持する声が相次いでいます。・このメッセ―ジを世界中の人に読んでほしい。1日も早く事態が収束しますように。・長崎市が『最後の被爆地』であり続けるために、ずっと核根絶を訴えていかなくては。・つらいニュースばかりで涙が出る。心の中で思うだけではなく、こうしてちゃんと声にして主張していくべき。ロシアとウクライナ以外の世界各国でも反戦デモが行われ、平和を願う声が相次いでいる、同月28日現在。日本は戦争による唯一の被爆国です。原爆投下の悲劇は、終戦から70年以上経つ現在も、世代を超えて多くの人に語り継がれています。これ以上多くの人が傷付かないよう、そしてあの悲しみを二度と繰り返さないよう、日本でも声を上げていかなくてはなりません。[文・構成/grape編集部]
2022年02月28日2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部ドンバス地方の住民を保護するためとして、ロシア軍に特別軍事活動を承認することを表明しました。それと同時に、ウクライナ軍に撤退を呼びかけたプーチン大統領。対してウクライナのゼレンスキー大統領は、全土に戦時体制を導入しました。同月25日現在、ロシアの侵攻を受けたウクライナでは、複数の都市が攻撃を受けています。メドベージェワ選手、反戦のメッセージで抗議軍事活動の表明が行われた同月24日、ロシアのフィギュアスケート選手であるエフゲニア・メドベージェワ選手が、Instagramのストーリー機能で投稿。黒い背景につづられたメッセージは、メドベージェワ選手の優しい性格が伝わる、心からの願いでした。jmedvedevaj スクリーンショット何かの悪夢のように、一刻も早く終わりますように。jmedvedevajーより引用(和訳)戦いが起これば多くの人が傷付き、命を落とします。メドベージェワ選手が投稿したのは、この『悪夢』が終わることを願った平和を祈るメッセージでした。また、『平和の象徴』とされるハトの絵文字が使用されている点からも、メドベージェワ選手の想いが伝わってきます。投稿は日本でも話題になり、メドベージェワ選手の勇気ある行動に多くの人から称賛の声が上がりました。・メドベージェワ選手の勇気に、心からの拍手を送りたい。・恐れずに声を上げていて、本当に素晴らしい。ロシア国内からの批判は大切だと思う。・反戦の意思表明をするメドベージェワ選手に感動して、涙が出た。産経ニュースによると、同月25日現在、ロシア各地でウクライナ侵攻へのデモが行われているといいます。デモを受け、モスクワでは少なくとも956人が治安当局に拘束。ほか、全国44都市で1745人以上の拘束が確認されています。参加者からは「ウクライナ人の前に立つのが恥ずかしい。謝りたい」「経済制裁、国際的孤立…ロシアはこれで終わりだと思う」という声が出ているという、ロシア国内でのデモ。きっとメドベージェワ選手だけでなく、多くのロシア人が平和を願っているのでしょう。平和を守るために私たちは何をすべきかを考え、1日も早くこの『悪夢』が終わることを祈るばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年02月25日2022年2月4日、東京建物Brillia HALLにて舞台「ぼくらの七日間戦争」が開幕した。原作は累計発行部数は2000万部を突破、1985年に宗田理により書き下ろされた「ぼくらの七日間戦争」(角川文庫・角川つばさ文庫 刊)である。本作は大人による管理教育に反抗した主人公たちが廃工場に立てこもり、爽快な逆襲劇を繰り広げるストーリー。思いがけず起こる事件や難題に立ち向かう子どもたちの勇気と知恵と行動力も本作の魅力の一つである。彼らの成長や冒険心に、観るもの全てが青春時代に胸を熱くした思いを蘇らせるような名作であり、登場する大人たちも子どものためを思うがあまり、衝突してしまったり、中には理解を示すものがいたりと、誰もが現在の自分に置き換えられるような作品だ。また、本作では原作に描かれていない、“ぼくら”が大人になった姿にも心注目である。今回、開幕にあたり、主役となる菊地英治役の校條拳太朗、相原徹役の瀬戸啓太、ヒロインとなる中山ひとみ役の北澤早紀、そして、教頭役の渡辺裕之からコメントが到着!菊地英治役:校條拳太朗「ぼくらの七日間戦争原作の小説から、映画やアニメなど様々な形で、沢山の方々に愛されて来たこの作品に出演させて頂けてとても嬉しいです。作中で解放区から中学生が訴えかける言葉の中には、今のぼくらにも言えることがあると思います。胸を張って「生きている」と言える様なそんな人生を送れているのだろうか、菊地たちと同じようには出来なくとも、自分を見つめ直し納得出来たら良いなと自分自身思います。観て下さった方の小さなきっかけになれたら嬉しいです。」相原徹役:瀬戸啓太「相原徹役の瀬戸啓太です。子供の頃抱えてた悩みや疑問って、大人になっても思ってる部分があるかと思います。大人になればなるほど誰かにぶつけづらくなっていくものだと思いますし、それをこの作品では仲間がいる事で子供達がぶつけていく様が描かれています。やってる僕自身どこか爽快感もあったり、皆さんにも共感が得られる事も多いと思います!大人側からの視点でも共感する部分も多いはずです。色んな見方で楽しんでいただけたら嬉しいです!!」中山ひとみ役:北澤早紀「はじめまして!中山ひとみ役を務めさせていただきます、北澤早紀と申します!中学3年生の役ということで、フレッシュさを心がけて稽古してきました。仲間意識、ひたむきさ、威勢の良さ、正義感など、中学生ならではの我武者羅さをたくさん感じることができました。クラスの仲間達と、私たちを取り巻く大人達と共にこの作品を精一杯お届けします!!」教頭役:渡辺裕之「どんな人も通り過ぎた、10代のきらめきに満ちた時。稽古の度 いつの間にか忘れてしまっていた 感情が疼き出す。この感動を 是非劇場で味わって頂きたいと思います。」舞台「ぼくらの七日間戦争」【原作】宗田理「ぼくらの七日間戦争」(角川文庫・角川つばさ文庫 刊)【脚本・演出】久保田唱(企画演劇集団ボクラ団義)【出演】●菊地英治 役校條拳太朗●相原徹 役瀬戸啓太●安永宏 役毎熊宏介●天野司朗 役 東井隆希●谷本聡 役高橋晴輝●宇野秀明 役結城 伽寿也●立石剛 役弓木大和●中尾和人 役鈴木祐大●柿沼直樹 役安藤優●佐竹哲郎 役春斗(CUBERS)●佐竹俊郎 役優(CUBERS)●中山ひとみ 役北澤早紀(AKB48)●堀場久美子 役彩木咲良●橋口純子 役樋渡結依●矢場勇 役 溝呂木賢●田中康弘 役吉田宗洋●柿沼靖樹 役緑川睦●八代謙一 役田中孝宗(劇団俳優座)●菊地詩乃役若井なおみ(劇団俳優座)●榎本勝也 役志村史人(劇団俳優座)●堀場千吉 役河内浩(劇団俳優座)●杉崎警部 役コウガシノブ●酒井敦 役森山栄治●西脇由布子 役根岸愛●柿沼奈津子 役遠山景織子●橋口暁子 役月影瞳●瀬川卓蔵 役石橋保●丹羽満 役 渡辺裕之【日程】2022年2月4日〜6日(※2月2日・3日は中止となりました。)【会場】東京建物Brillia HALL 豊島区東池袋1丁目19−1【料金】東京公演 : 全席指定(税込)S席特典付き 8,800円 / 特典無し 7,700円1階席A席5,500円 2階席B席(学生席)4,400円 3階席※当日学生証を提示※未就学児入場不可【公式HP】 【公式Twitter】@2022bokura7【問い合わせ】キョードー東京0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)【共催】豊島区/公益財団法人としま未来文化財団【主催】舞台「ぼくらの七日間戦争」製作委員会【権利表記】©️2022宗田理 /舞台「ぼくらの七日間戦争」製作委員会 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月05日嵐・櫻井翔12月6日放送の日本テレビ系情報番組『news zero』でキャスターを務める嵐・櫻井翔(39)が大炎上している。■櫻井翔が大炎上も背景にある「遺族の気持ち」「今月8日、太平洋戦争から80年が経過するということで、その発端となったアメリカ・ハワイの真珠湾攻撃で魚雷を投下する電撃機の搭乗員として参加した男性に櫻井さんが取材することになりました。特集冒頭、櫻井さんは『戦争は絶対にしてはいけない……太平洋戦争を経験した方を取材するたびに必ず出てくる言葉です』とも話した上で、今回の取材VTRが流れました」(テレビ局関係者)この放送で櫻井は現在103歳の元搭乗員・吉岡政光氏へ直接取材を敢行した。吉岡氏とともに茨城県の日本立体を見学し、攻撃機のレプリカに櫻井が乗り込む様子なども放送された。そして吉岡氏の自宅で当時の話をインタビューする流れに。櫻井が「出撃のときの気持ちは覚えていらっしゃいますか?」と問いかけると、吉岡氏はハワイで「全軍出撃」となるまでの流れを説明。「(アメリカの)白い洋服を着た兵隊がたくさん乗っていた。それをちらっと見ながら操縦員が“よーい、撃て”」と吉岡氏は続ける。そして「私が持っている魚雷を落とす投下索を引っ張って」と魚雷投下寸前までを詳細に語った。すると櫻井は「そういうときはどういう気持ちなんですか?」と質問。吉岡氏は「魚雷が当たったということで非常に安心しましたけど」と答えた。その後、吉岡氏が放った魚雷で米軍艦ユタが沈没し、真珠湾攻撃ではアメリカ戦艦など6隻が沈没し、民間人含む約2400人が死亡したという櫻井のナレーションのもと、その当時の映像が差し込まれる。インタビュー映像に戻り、櫻井は「戦時中ということはもちろんなんですけど」と前置きした上で、「アメリカ兵を殺してしまったという感覚は、当時は?」という質問を投げかけるが、吉岡氏は「いや……」としばらく言葉を詰まらせてこう答えたのだ。「……私は『航空母艦と戦艦を沈めてこい』という命令を受けているんですね。……『人を殺してこい』ってことは聞いてないです。従って、命令どおりの仕事をしたんだ。もちろん人が乗っかっていることはよくわかっていますけど、しかし、その環境というのは私も同じ条件です」すると、櫻井の「アメリカ兵を殺してしまった……」という質問にネット上は批判の声が殺到する。《櫻井翔が元日本兵の方を人殺し扱い。もし自分がこういう無神経な質問されたらその場でブチ切れそう》《自分で考えたのか台本なのか。温室育ちのアイドルにインタビューさせるからこんな質問でるんだろうが。とりあえずドン引き》《正直キャスターとしてもアイドルとしてもゴミだということが周知されればいいのに》櫻井のこの発言で傷ついた人が多くいるのは事実かもしれない。加えてアイドルがキャスターの真似事をしたと思う人もいるだろう。ただ、櫻井を中傷する多くのネット上の声は、彼があまりに無知で、軽い気持ちで質問したと捉えているものが大半だ。しかし、彼の戦争への思い入れは尋常ではない。12月7日発売の『Newsweek日本版』では「櫻井翔と『戦争』戦没した家族の記憶」と題し、約2万5000字のレポートを記している。■思い入れの強い2万5000字国内外、訪れた先で必ず戦争資料館に赴いているという彼は、冒頭でこう綴っている。《なぜ私が戦争について取材をし、伝えなければならないと思っているのか。それは、私が遺族だからです》そう始まった櫻井のレポートは、26歳の若さで戦死した大伯父について多くの証言や資料、写真などを用い、徹底的に調べ上げた内容だ。大伯父がどんな覚悟で戦地へ赴き、家族やあったはずの青春に想いをめぐらせ「死にたくない」という恐怖を振り切って戦い、どのように散っていったのかまでを刻銘に書き下ろしている。櫻井が抱いている喪失感は間違いなく遺族のそれと言えるだろう。これまでにも櫻井はキャスターとして「戦争」をテーマに多くの取材をしてきた。約19万人の日本兵が亡くなった戦地・パプアニューギニアでは“少しでもご遺骨を日本に帰す手伝いができたら”と、這いつくばるように日本兵の遺骨を収集。韓国でも軍事境界線の北緯38度線に赴いたり、ハワイでは真珠湾攻撃について退役米軍兵から当時の話を聞いている。たしかに『news zero』での櫻井の言葉選びは間違っていたのかもしれない。しかし、アイドルとして、キャスターとして長年発信してきた櫻井が、自分の放つ言葉の影響力を理解していなかったとは考えづらい。戦争を経験した人も少なくなり、直接話を聞けず後悔している遺族も多い中、櫻井は103歳の吉岡氏に取材することができた。直接的な言い回しでも、本音を引き出し、戦争を風化させてはいけないという目的意識があったはずだ。吉岡氏は、櫻井からの踏み込んだ質問に、前述のように「命令どおりの仕事をした」と答え、たまらない表情でこう続けた。「ですけれども、……後からはですね。それとは切り離すと、『戦争はしちゃいけない』ということをですね、一番身をもって知っているのは、私たちだと思っています」これこそが、櫻井が最も引き出したかった言葉で、戦争を知らない世代に伝えたかったことなのかもしれない。
2021年12月10日