三菱一号館美術館で『三菱創業150周年記念 三菱の至宝展』が開かれています。三菱を創業した岩崎家が4代にわたり守り育ててきた美術工芸品など約100点が一堂に集結。世界に3碗しかない“奇跡の茶碗”も登場します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 213『三菱創業150周年記念 三菱の至宝展』では、三菱を創業した初代の岩崎彌太郎(1835-1885)から4代社長の小彌太(1879-1945)までの岩崎家4代の社長たちが築き上げ、現在は静嘉堂、東洋文庫所蔵となっている国宝12点、重要文化財31点を含むコレクションと三菱経済研究所の所蔵作品をあわせた約100点を紹介。完品は世界に3碗しかない“奇跡の茶碗”、国宝《曜変天目(稲葉天目)》をはじめとした美術工芸品から、絵画、刀、歴史書に至るまでの幅広いジャンルにわたる貴重な作品を見ることができます。日本の文化を守った…!岩崎家が本格的に美術収集をはじめたのは、2代目社長、彌之助(1851-1908)のとき。彼は若いころから学問や研究、芸術文化に興味をもち、アメリカにも留学。帰国後は兄の彌太郎が築いた三菱商会に入り、事業をさらに発展させながら、芸術家や研究者たちとも交流していきます。当時、明治維新後の日本では西洋文化をさかんに取り入れ、日本や東洋の文化は軽んじられていました。廃仏毀釈の影響を受け、日本の重要な文化財が海外に流出していたのもこの時期です。芸術文化を深く愛していた彌之助は、日本の文化財が散り散りになってしまうことを防ぐため、自ら積極的に美術品を収集し、保護していきます。また、彌之助は、経済的に余裕のある人間が文化や学術を保護し、社会に還元していく使命があるという考えをもっていました。単なるお金持ちの道楽ではなく、社会貢献活動のひとつとして美術品を集めていき、それらを収蔵するために静嘉堂文庫を創設。息子の小彌太がコレクションを拡充させ美術庫を築き、財団法人静嘉堂を設立しました。現在、静嘉堂には国宝7点、重要文化財84点を含む6,500点の東洋古美術品が収蔵されています。鳥肌が立つほど美しい…!奇跡の国宝そんな彌之助父子がつくりあげた静嘉堂のなかで、もっとも有名なのが国宝《曜変天目(稲葉天目)》。茶碗の中がまるで宇宙空間のようで、鳥肌が立つほど美しい作品です。中国福建省の建窯でつくられ、焼成のとき“偶然に”青色や虹色に輝く光彩が現れた茶碗を曜変天目といいます。完全な形で存在するものは世界に3碗しかないという大変貴重な作品です。(ちなみに、3碗とも日本にあり、すべて国宝に指定されています)静嘉堂の曜変天目が「稲葉天目」と呼ばれているのは、この茶碗が3代将軍徳川家光から乳母の春日局に下賜され、その後稲葉家へ伝えられたため。歴代の所有者が超一流という点も、この作品の魅力のひとつです。アジア最大級の研究図書館もつくった…!本展には、東洋文庫の所蔵品も出展されています。東洋文庫とは、彌太郎の息子で3代社長の久彌(1865-1955)が1924年に設立した、東洋学分野の研究図書館。若いころから読書家だった久彌は、東洋の古典にも親しんでおり、美術品ではなく文献資料を収集し活用することで社会貢献する道を選んだのです。現在、東洋文庫は約100万冊を所蔵するアジア最大級の東洋学術研究図書館となっています。社会貢献活動を明治のはじめから実践してきた岩崎家。彼らが守り、現代まで大切に受け継がれてきた至宝の数々をぜひご覧になってみてください。取材・文:田代わこInformation会期: ~9月12日(日) *展示替えあり前期:8月9日(月・振休)まで/後期:8月11日(水)から会場:三菱一号館美術館開館時間: 10:00〜18:00※入館は閉館の30分前まで※夜間開館日あり。開館日、営業時間は変更の可能性があります。詳細は公式サイトをご確認ください。休館日:月曜日展示替えの8月10日(火)(ただし、祝・振休の場合、7月26日、8月30日、9月6日は開館)観覧料: 一般¥1,900、高校・大学生¥1,000、高校生¥900、小・中学生無料※マジックアワーチケット:毎月第2水曜日17:00以降に限り適用 :¥1,200
2021年07月09日東京国立近代美術館で『隈研吾展』がはじまりました。米タイム誌の「2019年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」に選出されたスコットランドの博物館《V&Aダンディー》をはじめ、多くの建築物を手がけてきた隈研吾氏。日本を代表する建築家のひとりである彼の作品が一堂に集まる注目の展覧会をご紹介!世界の隈作品が集結!【女子的アートナビ】vol. 212『隈研吾展新しい公共性をつくるためのネコの5原則』では、世界中にある隈作品から公共性の高い建築68件を建築模型や写真などで紹介。さらに、第一線で活躍するアーティストによる映像作品や、前庭に展示されたトレーラーハウスなども含め、全74件を楽しむことができます。隈研吾氏は1954年生まれ。東京大学建築学科大学院を修了し、1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立。2009年から2020年3月まで東京大学教授をつとめ、現在は東京大学特別教授・名誉教授です。これまで20か国以上の国で建築を設計し、国際的な建築の賞も数多く受賞しています。この展覧会で、まず気になるのがタイトルにある「ネコの5原則」。本来絵文字が正式表記なのですが、いったいなぜネコなのでしょう?隈氏の解説によると、コロナ禍でハコ(建築物)から外に出て町を歩くようになったとき、多くのネコたちと出会い、彼らの生態を観察するうちに人間もネコから学ぶべきことがあると思い至った、とのこと。本展後半では、ネコの視点から都市での生活を見直すリサーチプロジェクト《東京計画2020ネコちゃん建築の5656原則》も発表されています。世界で訪れるべき最も素晴らしい場所!会場内では、隈氏本人が選んだ公共性の高い建築68件を、「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」という5原則に分類して展示されています。いくつかピックアップしてご紹介します。まずは「孔」。文字をそのまま解釈すると穴の開いたデザイン?と思いそうですが、そんな単純なものではありません。隈氏は、孔を介して人と物をどうつなぐかを考えているようで、例えば中庭やアトリウムのような空間も孔となるそうです。「孔」での一番の見どころは、《V&Aダンディー》の模型。スコットランド初のデザインミュージアムとして2018年にオープンしたこの建物は、米タイム誌で「2019年世界で訪れるべき最も素晴らしい場所100選」にも選出された話題作です。川に面した土地に建てられ、しかも建築の一部が川の中にはりだしているので、角度によっては川に浮かぶ島のようにも見えます。建物の中央には、水平に貫通する大きな孔が設けられています。模型だけ見ても美しい作品ですが、ぜひ背景に映し出されているタイムラプス映像とあわせてご覧ください。この映像はアイルランドのアーティスト、マクローリン兄弟によるもの。建築と映像のコラボ、超クールです!かわいい…!やわらかい茶室「やわらかい」項目に分類されている作品のうち、もっとも目を引くのが茶室の《浮庵》。こちらは展示室内ではなく、エントランスホールに展示されています。ころんとした形がかわいく、半透明で中が透けて見える感じがおしゃれです。世界最軽量の布といわれる新素材とヘリウムガスのバルーンを組み合わせてつくられた本作は、布の下端に石を置いて床に固定されています。ワシントンの日本大使館で行われる茶会のためにデザインされたもので、日本から運ぶ際には折りたたんでトランクに詰めて持っていったそうです。日本国内に建てられている隈作品も数多く紹介されています。例えば東京なら、高輪ゲートウェイ駅や国立競技場、根津美術館など、実際に現物を見たことがある建物の模型や写真を探してみるのも楽しいですよ。会場の展示デザインは隈研吾建築都市設計事務所が手がけ、作品解説なども隈氏本人が執筆。すべての解説をじっくり読めば、隈氏の建築物についての考え方や今後の建築のあり方なども知ることができます。ぜひゆっくり時間をとって、スター建築家の作品を楽しんでみてください。取材・文:田代わこInformation会期:~9月26日(日)会場: 東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開館時間: 10:00-17:00(金・土曜は10:00-21:00)*入館は閉館30分前まで休館日: 月曜日[ただし7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館]、8月10日(火)、9月21日(火)観覧料: 一般¥1,300、大学生¥800※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料
2021年07月02日東京・上野の森美術館で『キングダム展 -信-』が開かれています。会場には、大人気漫画『キングダム』の生原稿や新作イラストなど多くの作品が集結。臨場感あふれる展示の様子や、作品を鑑賞した俳優の山﨑賢人さんのコメントもご紹介!山﨑賢人さんも鑑賞!『キングダム展 -信-』【女子的アートナビ】vol. 211この展覧会では、『週刊ヤングジャンプ』で連載中の漫画『キングダム』の直筆生原稿や描きおろしのイラストなどを紹介。本展は作者の原 泰久氏が全面監修され、原画だけでなく巨大グラフィックや音響効果も加わり、感動の名場面を全身で体感できる展示構成になっています。『キングダム』の舞台は、紀元前の中国春秋戦国時代。中華統一を目指す若き王と、「天下の大将軍」を目指す少年がさまざまな戦いを繰り広げながら夢に向かっていく物語です。テレビアニメでも放映され、劇場版実写映画も大ヒット。この映画で主人公の信(しん)を演じたのが、俳優の山﨑賢人さんです。山﨑さんは開幕前に展覧会を鑑賞し、「展示を見て何度も泣きそうになりました。美術館という空間に、漫画を読むのとはまた違う原画展ならではの世界が広がっていて、没頭してしまいました」とコメント。さらに「新たに描きおろされた作品もどれも魅力的で、信が王騎の矛を受け取る絵の前に立った瞬間、目が離せなくなって立ち尽くしてしまいました。『キングダム展 -信-』というタイトルの通り、信の成長を感じることができる構成で、信を演じた自分にとって本当に幸せな空間でした」と感想を述べました。山﨑さんと一緒に鑑賞!では、山﨑さんの鑑賞風景写真とともに主に前半部分の展示をご紹介していきます。「第0章無名の少年」では、物語の始まりの部分にフォーカス。信と漂(ひょう)が夢を語り合うシーンや別れのシーンを見ることができます。上の写真は、作品の前に立つ山﨑さん。映画の最初のシーンがよみがえってきてドキドキします。続く「第1章蛇甘(だかん)平原の戦い」では、巨大な描きおろしの戦場パノラマで臨場感あふれる場面を再現。モノクロ原画19点と描きおろし4点が展示されています。「第2章秦の怪鳥」では、物語で重要な役割を果たす天下の大将軍・王騎(おうき)の描きおろし原画が登場。高さ約3メートルもある巨大な和紙パネルを見ると、思わず「でかすぎ!」と叫びたくなります。王騎と出会ったときの信と同じ気持ちを味わえます。山﨑さんが立ち尽くした場面は…「第5章受け継ぐもの」では、王騎の最期のシーンが登場。さらに、王騎の想いを受け継ぐ信の姿が描きおろし原画で表現されています。信が王騎の矛を手にして涙する場面は感動的。山﨑さんもこの作品の前で立ち尽くしてしまったそうです。「第8章函谷関(かんこくかん)の戦い」では、楚(そ)・趙(ちょう)・魏(ぎ)・韓(かん)・燕(えん)の5国が合従軍となり、秦に侵攻する場面が出てきます。2021年6月現在、NHK総合で放映中のテレビアニメ『キングダム』第3シリーズでも、ちょうど函谷関の合戦部分を放送しています。自分の好きなアニメシーンを原画で探してみるのも楽しいですよ。会場では各国の武将同士の戦いが色で分けて展示されているので、とてもわかりやすいです。太鼓のリズムが流れるなか、名場面を原画とグラフィックで堪能できます。ほかにも、原 泰久氏の貴重な資料や、登場人物画像の一覧も展示されており、キングダムの世界を存分に味わえます。最後に、原氏のコメントをご紹介。「ようやく開幕を迎えることができたいへん嬉しく思います。この展覧会は、信の物語を“空間”で体感できる内容にしました。原画や描きおろし、巨大グラフィックを一緒に鑑賞することで、原作コミックスを読むのとはまた違う体験を楽しんでもらいたいです。展示作品の数も非常に多いので、一度と言わず、何度も足を運んでもらえたらと思います(笑)」ぜひ、美術館を訪れて物語の世界を体感してみてください。会期は7月25日まで。取材・文:田代わこInformation会期:~7月25日(日)会場: 上野の森美術館開館時間: 10:00~20:00 ※最終入館は閉館の1時間前まで休館日:会期中無休 ※全日日時指定制観覧料: 日時指定券一般¥2,500、大学生・専門学生¥2,000、小中高生¥800
2021年06月29日世界的な画家、葛飾北斎(1760~1849)と人気漫画家のしりあがり寿さんがコラボした展覧会『しりあがりサン北斎サン -クスッと笑えるSHOW TIME!-』がすみだ北斎美術館で開かれています。コロナ禍でちょっとトゲトゲした心をもみほぐしてくれる、脱力系アート満載の展覧会をご紹介!遊び心がいっぱい!【女子的アートナビ】vol. 208本展では、人気漫画家でアーティストのしりあがり寿さんと葛飾北斎が時代をこえてコラボ。しりあがりさんは、2018年に北斎の「冨嶽三十六景」のパロディ作品「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」をすみだ北斎美術館の展覧会で発表。今回はそれらの作品に新作も加え、約160点が紹介されています。北斎の浮世絵をしりあがりさんが楽しく解釈したパロディ作品は、どれも思わずニヤリとしてしまうものばかり。遊び心がいっぱいで、コロナ禍でトゲトゲしくなりがちな気分をもみほぐしてくれます。ちょっと笑える…それでは、展示作品からいくつかピックアップしてご紹介。まずは、北斎のもっとも有名な作品、《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》をご覧ください。うねる大波のなかに小舟が浮き、その奥に富士山が見えます。いっぽう、しりあがりさんのパロディ作品《ちょっと可笑しなほぼ三十六景太陽から見た富士山》では、北斎作品の「大波と富士山」を「太陽フレアと地球」に変換。太陽のフレア越しにある地球をよく見ると、日本列島のなかにちゃんと富士山も描かれています。しりあがりさんの新作、《ポテトチップス六景揚げたて》も要チェック。これはポテトチップスの作り方を浮世絵風に描く特別シリーズで、北斎の「大波」が「揚げ油」に変換され、そのなかに薄切りのポテトが浮かんでいます。ちょっと笑える、ゆるい感じが楽しいです。ちなみに、北斎生誕260年を記念して、2020年には期間限定で「すみだ北斎美術館監修 ポテトチップス うすしお味」がカルビーから発売され、しりあがりさんのパロディ作品もパッケージに採用されました。その全4パッケージも展示されています。絶叫マシーンも登場!?もうひとつ、楽しい作品をご紹介。まず、写真右側にある北斎の錦絵《諸国瀧廻り美濃ノ国養老の滝》(パネル)をご覧ください。岐阜県養老郡養老町にある有名な滝を描いたもので、垂直に流れ落ちる滝や水しぶきなど、さまざまな水の表情が表現されている名作です。しりあがりさんのパロディ作品《諸国瀧廻りアトラクション》では、滝が絶叫マシーンのアトラクションに変換されています。マシーンに乗って楽しそうに手をあげているのは、和服を着た江戸の人たち。見ているだけでほのぼのします。3階ホワイエでは、しりあがりさんのセンスで北斎作品をアレンジしたアパレルコレクションを展示。北斎の「諸国瀧廻り」シリーズをもとに作られた「瀧廻りポンチョ」や「飛沫どころか瀧マスク」など、今の時代や世相をクスッと笑い飛ばせるようなゆる~い作品が並んでいます。コロナ疲れをちょっと癒してくれる展覧会は7月10日まで。Information会期:~7月10日(土)会場: すみだ北斎美術館開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日: 月曜日観覧料: 一般¥1,000、高校・大学生¥700、65歳以上¥700、中学生¥300、小学生以下無料
2021年06月09日アメリカ国内最大級の日本美術コレクションを所蔵するミネアポリス美術館から、現在、多くの絵画作品がサントリー美術館に里帰り中です。若冲や写楽など、江戸時代の人気絵師たちによる作品はどれも一級品ばかり。アメリカ人を魅了した超ハイレベルな日本画をご紹介!アメリカ人がしびれた!【女子的アートナビ】vol. 207サントリー美術館開館60周年記念展『ミネアポリス美術館日本絵画の名品』では、アメリカ・ミネソタ州にあるミネアポリス美術館(通称Miaミア)の日本美術コレクションから約90点の名品を紹介。江戸時代の狩野派や琳派、人気の若冲や北斎、写楽など有名どころの作品が集まっています。1883年にミネアポリスの市民や実業家が美術協会を設立したことからはじまったMiaは、現在、世界各地の美術作品を約9万点所蔵。そのうちの約9,500点が日本美術です。これらのコレクションは、日本の絵画や浮世絵に魅了され作品を集めたアメリカのコレクターたちが、多数の作品を美術館に寄贈して築き上げました。本展では、その膨大なコレクションのなかから選び抜かれた名品が来日。アメリカに渡ってから、はじめて里帰りをする作品も多く展示されています。名品が続々登場!会場では、日本美術の流れがわかるような展示構成になっています。まず「第1章水墨画」では、室町時代に活躍した雪村周継(せっそん しゅうけい)の個性的な水墨画《花鳥図屛風》からスタート。一見ちょっと地味な水墨画ですが、よく見ると鳥や鯉が生き生きと描かれて、表情もユニークです。この作品は、Miaの日本絵画コレクションのなかでも名品のひとつです。続く「第2章狩野派の時代」の注目作品は、狩野山雪(かのう さんせつ)の《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》。もともとは京都の妙心寺にあった襖絵で、中国の仙人の姿が描かれています。江戸時代の初期に描かれ、由緒ある京都のお寺からアメリカに渡ったこの作品、これまでどんな人たちに愛でられてきたのか、想像するだけでわくわくします。キリギリスの恋バトル!「第3章やまと絵―景物画と物語絵―」では、ぜひ《きりぎりす絵巻》をご覧ください。やまと絵とは、中国の絵画様式を日本化したもので、優美な風景や物語などが描かれています。虫を擬人化した恋愛物語《きりぎりす絵巻》では、美しい玉虫姫をめぐり、セミの右衛門督(うえもんのかみ)、キリギリスの紀伊守、ヒグラシの備中守が恋のバトルを繰り広げます。美しい着物を身につけた虫たちが描かれているのですが、よく見ると顔はネズミのような動物顔で、なんともユニーク。優美な絵巻とゆるいストーリーのギャップに、アメリカ人もしびれたかもしれません。貴重な写楽や北斎も!続く「第4章琳派」では、酒井抱一や鈴木其一などの絵画、「第5章浮世絵」では喜多川歌麿や東洲斎写楽、葛飾北斎などの錦絵、さらに「第6章日本の文人画<南画>」では与謝蕪村の掛け軸などを展示。特に写楽の作品は保存状態のよいものがあり、見ごたえがあります。若冲や渡辺省亭もあります!また、「画壇の革新者たち」と題した第7章では、18世紀に活躍した人気絵師、伊藤若冲の質の高い作品を3点展示。最後の「第8章幕末から近代へ」に行くと、大正時代までの作品が登場し、今話題の画家、渡辺省亭の作品も展示されています。アメリカで大事に保管されてきた日本美術の里帰りとなる本展は、サントリー美術館のあと福島県立美術館、滋賀・MIHO MUSEUMほかに巡回予定です。ぜひお見逃しなく!Information会期:~6月27日(日)会場: サントリー美術館開館時間: 10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)*入館は閉館30分前まで休館日: 火曜日観覧料: 一般¥1,500、大学・高校生¥1,000
2021年06月05日東京ステーションギャラリーで『コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画』が開かれています。昭和時代、キャバレー「ハリウッド」を創業し、全国に44店舗も展開した実業家の福富太郎(1931~2018)。テレビのワイドショーなどでも活躍した彼が熱心に集め、大切にしていたハイクオリティの絵画作品をご紹介します。キャバレー王、福富太郎って?【女子的アートナビ】vol. 205本展では、福富太郎が収集したコレクションのなかから、日本画や昭和期の油彩画など約80点を展示。鏑木清方など有名な画家の美人画から、あまり知られていない画家の作品まで、さまざまな作品が紹介されています。福富太郎とは、いったいどんな人なのでしょう?東京の品川で生まれ育った福富太郎(本名:中村勇志智)は、第二次世界大戦末期の少年期、米軍の空襲にあい、家とともに父親が大切にしていた鏑木清方の掛け軸を失います。戦後、東京オリンピック景気を背景にキャバレー「ハリウッド」を全国展開させ、実業家として成功をおさめた彼は、絵の収集を開始。少年期の経験から、まず鏑木清方の作品を集め、さらに当時あまり知られていなかった作家たちの作品も収集していきました。また、福富は絵を集めるだけでなく、美術に関する文章を雑誌に連載したり、美術史家と対談をしたりと美術評論家のような活動も展開。さらに、昭和期のワイドショーや深夜番組などにもたびたび出演し、テレビやラジオなどのマスメディアでも活躍。さまざまな顔をもつ多才な人物でした。駆け落ちに失敗…では、福富太郎はどんな絵が好きだったのでしょう?美人画を多く集めたことで知られていますが、単に見た目が美しい女性の絵にはあまり興味がなかったようです。娼婦や駆け落ち、心中をはかろうとする女性の姿など、妖艶で少し陰のある女性を描いた作品を好んだようで、展示会場は一種独特のあやしげな雰囲気が漂っています。そのなかから、本記事では3点ご紹介。(所蔵はすべて福富太郎コレクション資料室)まずは駆け落ちに失敗した女性を描いた池田輝方の《お夏狂乱》。但馬屋の娘、お夏と使用人の清十郎は駆け落ちしようとしたところ捕まり、清十郎は死刑、お夏は恋しさのあまり狂乱した、という実話をもとにした物語を題材にした作品です。狂乱して座り込み、放心したようなお夏の表情が、悲しくも美しく描かれています。娼婦、心中する女…続いてご紹介するのは、娼婦を描いた秦テルヲの《妊(はら)みの祭》。この画家は、私娼(公認されていない娼婦)たちが集まる場所に出かけ、美化しないリアルな女性像を描くことを得意としていました。売春婦をモチーフにした絵を収集したいと思っていた福富は、秦テルヲの作品テーマに共感。「どっしりとした女の重みがひしと感じられる」と彼の女性像を高く評価していました。最後は北野恒富の《道行》。近松門左衛門の『心中天網島』を題材にした作品で、許されぬ恋をしている男女が死に追いやられていく物語の一場面が描かれています。この作品について、学芸員の田中晴子さんは次のように語っています。「この絵はいろいろな解釈ができます。例えば、これから死のうとして歩いて行く二人の姿は生気が失われているように見えますが、よく見ると女性の手の指がピンクで、足の指にも色っぽさのある赤みが残っており、生きている温かみも感じられます。ぜひ、この絵の前でゆっくりとイマジネーションを働かせてみてください」東京ステーションギャラリーは6月1日から再開館しています。6月27日まで無休で開かれていますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。Information会期:~6月27日(日)会場: 東京ステーションギャラリー開館時間: 10:00 - 18:00*入館は閉館30分前まで休館日: 再開館(6/1)から閉幕(6/27)まで無休観覧料: 一般¥1,200、高校・大学生¥1,000
2021年06月02日4月12日、銀座エリア最大級の商業施設「GINZA SIX」の中央吹き抜け空間に、幻想的な新作インスタレーションが登場しました。作品を手がけたのは、彫刻家の名和晃平さんです。12日に行われたアートのお披露目イベントでは、作家本人が作品について語ってくれました。残念ながら4月25日から当分の間、「GINZA SIX」は一部店舗を除き臨時休業中ですが、まずは本記事でステキな作品の雰囲気をご覧になってみてください。神秘的なアートが出現!【女子的アートナビ】vol. 205GINZA SIXの中央吹き抜け空間には、これまで草間彌生、ダニエル・ビュレン、塩田千春など世界で活躍する芸術家たちの感性を刺激するアート作品が展示されてきました。この空間に4月12日から、彫刻家・名和晃平さんの最新インスタレーション《Metamorphosis Garden(変容の庭)》が出現。美しい白色の作品が一面に浮かび、とっても神秘的な世界が広がっています。1975年生まれの名和さんは、京都を拠点に活動されている彫刻家です。京都市立芸術大学大学院博士課程を修了後、日本国内や欧米、中国などで多くの個展を開催。さらに2018年にはルーヴル美術館ピラミッド内に彫刻作品を特別展示し、大きな話題となりました。名和さんは現在、世界が注目しているスター彫刻家のひとりです。名和さんが解説!お披露目イベントでは、名和さんがご自身の作品について解説してくれました。名和さん今回のGINZA SIXでの作品は、以前、瀬戸内海の犬島で手がけたインスタレーション《Biota (Fauna/Flora》(2013)(※編集部注:上記写真)を発展させたものです。すべての生物相(Biota)はひとつのところから生まれ、動物相(Fauna)や植物相(Flora)、さらに微生物なども関係しあって生命があり、人間もその一部。人間中心ではなく、細胞をもった存在が全部つながってひとつになっている、ということを表現しています。“鹿”の正体は…?名和さん真ん中にいるのは鹿で、これは神鹿(しんろく)をイメージしています。神鹿とは日本の美術史で頻繁に登場している動物で、「神の遣い」として見立てられている存在。生命という神秘的な存在を見守っている象徴としての鹿です。鹿の足元には島々が浮かんでいます。これらの島は、日本列島の原風景や、島国である日本の「国生み」の神話にも重ねています。この島々が渦を巻いていて、この渦は6つあり、島と地球の海流を表しています。名和さんまた、この作品は地球環境の問題とも関係しています。地球の温度が上がって北極や南極の氷が減り、熱膨張などで海面が上昇するらしく、数ミリの海面上昇でも生態系に影響を大きく与えてしまいます。このような大きな視点と小さな微細なところを同時に見るような感受性が今の時代に必要なので、こういう作品になりました。また、鹿の周りにあるポールはEther(エーテル)というもので、渦の中心になっています。水がその重力にあらがいながら立ち上がろうとする、その垂直性の力が生命を象徴するエーテルというもので、細長く縦に伸びているので、植物のイメージにもつながっています。ARとのコラボも登場!名和さんのインスタレーション作品だけでもステキですが、5月上旬からAR(拡張現実)のパフォーマンスも展開される予定です。これは彫刻作品に専用のスマホアプリをかざすと見られる仕組みで、リアルな彫刻とバーチャルなパフォーマンスが変容していく世界を楽しめます。このARパフォーマンスは、ベルギーの振付家でダンサーのダミアン・ジャレ氏と名和さんの共作。ARTとARのコラボでどんな世界が広がるのか、楽しみですね。現在は緊急事態宣言の発令によりGINZA SIXは臨時休業中ですが、再開したらぜひ足を運んで、名和さんのアートをご覧になってみてください。作品は2022年4月30日まで展示予定です。
2021年05月06日カエルやウサギなどのキャラクターが超かわいい国宝「鳥獣戯画」。その全巻全場面を一挙に見ることができる注目の展覧会が4月13日、上野の東京国立博物館ではじまりました。会場では絵巻の流れを体感できる“動く歩道”も導入。展示の様子から楽しいグッズまでたっぷりご紹介!(※緊急事態宣言の発令により4月25日から当面の間、東京国立博物館は臨時休館中です)はじめての一挙公開!【女子的アートナビ】vol. 204特別展『国宝鳥獣戯画のすべて』では、日本でもっとも有名な絵巻、国宝「鳥獣戯画」の全4巻全場面を展覧会史上はじめて一挙に公開。これまで行われていた絵巻の巻き替えによる展示替えがなくなり、会期中、通期ですべての場面を見ることができます。「鳥獣戯画」とは今から800年ほど前の平安時代終わりから鎌倉時代のはじめごろにかけて描かれた白描(はくびょう)の絵巻。一般的な絵巻は「絵」と物語の筋や説明を記した「詞書(ことばがき)」で構成されていますが、鳥獣戯画では詞書がないのが特徴のひとつ。擬人化された動物や人間のさまざまな行動が躍動的に表されています。誰がどんな目的で描いたのかなど詳細については謎の部分が多いのですが、この絵巻は京都の高山寺に伝わる宝物で、1952年に国宝指定されています。また、会場では鳥獣戯画の一部が切り離され、掛け軸などに仕立て直された断簡や、原本で失われた場面を記録した模本、さらには高山寺の秘宝も展示。まさに鳥獣戯画のすべてをまとめて楽しめる展覧会です。動く歩道で絵巻体験!本展の目玉は、なんといっても絵巻を一気に見られる点です。2015年に「鳥獣戯画」が公開されたときは前期と後期にわけられて、巻の一部は複製品の展示になっていたのですが、今回は原画ですべてのストーリーを追うことができます。しかも、ウサギやカエルが登場する一番人気の甲巻部分には動く歩道が設置されています!昔の人たちが絵巻をゆっくり開きながら作品を楽しんだのと同じ感覚で、右から左へと流れるように作品を鑑賞できます。動く歩道に乗り、絵巻を一気に見られるのはうれしいのですが、じっくりストーリーを追うことは難しいかもしれません。そこで、本記事では甲巻の名場面をピックアップしてご紹介します!鼻つまみダイブ!まずはサルとウサギたちが水遊びしている名場面をチェック。ここでは、ウサギが背中からダイブする瞬間を描いた部分(画像右上)を見てください。岩の先端に後ろ向きで立ち、右手で鼻をつまみながら今にも水の中に飛び込みそうな雰囲気。実にリアルでかわいいです。カエルとウサギがサルを追いかけている部分も名場面のひとつ。「こら、待て!」と声まで聞こえてきそうなほど生き生きとした描写です。相撲で反則勝ち?!カエルとウサギが相撲をとっている場面もかなり有名です。ウサギを投げ飛ばしたカエルの口元から線が何本か引かれていて、まるでセリフのよう。ちなみに、ウサギを投げ飛ばす前、取っ組み合いの最中にカエルはウサギの耳に思いきりかみついています(上図右端参照)。この反則(?)のあと、弱ったウサギを投げ飛ばしてカエルは勝利。ちょっとズルいですね。鳥獣戯画は詞書がないので、いろいろ想像力を働かせながら見ることができます。絵を見ながらセリフを考えてみても楽しそうですね。本記事では甲巻に注目しましたが、各巻それぞれ見どころがあり、また会場に行くとパネル解説で詳細を知ることもできます。甲巻以外は動く歩道ではないので、解説なども見ながらご自分のペースでご覧になってみてください。また、展覧会の最後では、高山寺を再興した鎌倉時代の僧、明恵(みょうえ)上人の等身大木像や、かわいい子犬の像なども展示。高山寺の名宝を通して、明恵上人の魅力も伝わってきます。グッズも盛りだくさん!ミュージアムショップでは、ウサギやカエルをデザインしたさまざまなグッズが勢ぞろい!バッグやマスキングテープ、お菓子など、どれも味わいがあってかわいいです。グッズ狙いの方はお早めにお出かけください。(※会場ショップで売り切れの場合があります)なお、この展覧会は事前予約制になっています。最新情報は公式サイトでご確認ください。Information※緊急事態宣言の発令により4月25日から当面の間、東京国立博物館は臨時休館中です会期: ~5月30日(日)会場: 東京国立博物館平成館開館時間: 9:00~19:00※総合文化展は9:30~17:00※「鳥獣戯画甲巻」の待機列には18:30分以降はお並びいただけません。休館日:月曜日※ただし、5月3日(月・祝)は開館観覧料: 一般¥2,000、大学生¥1,200、高校生¥900、中学生以下無料
2021年04月30日『古代エジプト展』のオープニングイベントが4月15日に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで行われ、展覧会のオフィシャルナビゲーターをつとめる俳優の西島秀俊さんが出席。展示の見どころなどを語ってくれました。4月末現在、緊急事態宣言の再発令により美術館は臨時休館中ですが、まずはぜひ本記事にて展覧会の雰囲気をご覧になってみてください。どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 203『ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展美しき棺(ひつぎ)のメッセージ』では、ヨーロッパにおける5大エジプト・コレクションのひとつ、オランダのライデン国立古代博物館のコレクションから200点以上の遺物が来日。棺やミイラ、豪華な首飾りなどの出土品だけでなく、本展のためにCTスキャンされたミイラの最新研究成果も初公開されます。また、今回の会場にはミイラ棺が12点も並ぶ展示室が出現。国内でこれほどの棺を一堂に集めた展示は例がありません!しかも寝かせた状態ではなく、立てたままの状態で立体的に展示。棺の内部まで間近に見ることができます。そんな迫力ある展示室に、オフィシャルナビゲーターをつとめる俳優の西島秀俊さんが登場しました!展示の見どころは?西島さんは、もともとエジプトに興味があったそうで、仕事で2度現地を訪れた経験があり、ツタンカーメン王の墓内にも入ったことがあるとのこと。そんなエジプト好きな西島さんが、いろいろな質問に答えてくれました。――まず、12点の棺に囲まれていかがですか?西島さん圧巻ですね。正直、ちょっと怖いです。今の照明は明るめですけど、実際の展示では雰囲気のある展示になるらしいので、ミステリアスな空気を感じていただけると思います。――興味を引かれた展示品はありますか?西島さんこの棺もそうですが、内側や裏側などふだん隠れているところが展示されているのがおもしろいです。今回ツタンカーメンの像も展示されていますが、後ろを見てみると、「ツタンカーメン」と書いてある文字が消されていたり、首がとられていたり。後の人が歴史を修正しようとしている様子などがわかり、今まで見えなかったところがたくさん見えます。西島さんの“推し”は…――エジプトにあまり興味がない方に、おすすめの展示品はありますか?西島さん個人的には、「イクニューモン」というエジプトマングースの、アザラシみたいなかっこうをした神さまの使いがすごくかわいいので、おすすめですね。猫の神さまとか、かわいらしい像もたくさんあります。首飾りも色鮮やかできれいです。その色にも全部意味があり、例えば黄色なら太陽、黒なら肥沃な大地など。そういう何気ないものにも全部意味があり、隠された意味を丁寧に説明してあるので、エジプトに興味がない人でも楽しんでいただけると思います。――この展覧会には、誰と来たいですか?西島さん知り合いにエジプト好きの女性が多くて……なんでですかね。何に惹かれるのだろう。首飾りとかきれいだったりしますし、ミイラとかも好きなんですかね。けっこう興味をもっている知り合い、友だちがたくさんいるので、ミイラ好きの女性と来てみたいです。ミイラにはなりたくない?――会場ではCTスキャンされたミイラの映像も公開されていますが、西島さんはミイラになりたいですか?西島さんミイラにはなりたくないです(笑)。だって、CTスキャンされて、こんなものを食べていたとか、栄養状態がこうだったとか、いろいろ知られるのは個人的には嫌ですね。でも、今回のCTではミイラの中に人形が入っていたことがはじめて発見されたことがわかり、すごくおもしろいです。自分はミイラにはなりたくないですが、ミイラ自体は非常に興味深く、おもしろい発見がたくさんあるので、ぜひ会いに来てください。音声ガイドを初担当!――本展の音声ガイドナビゲーターを担当されて、いかがでしたか?西島さん音声ガイドは初めて挑戦させていただいて、みなさんと一緒に、隣で見て回っているイメージで一生懸命やりました。でも自分で聴いてみると、かなり硬かったですね。緊張感がありました。――ご自身でガイドを聴いて、点数をつけるとしたら何点ですか?西島さん50点ぐらい。僕がいろいろな展覧会で音声ガイドをいつも利用させていただいて、それを聴いていると、すごく自然と入ってくる感じとか、作品に近づく感じを体験できました。それで自分のガイドを聴くと、正直まだまだこれからがんばらなければと思いました。レベルの差を感じる…――音声ガイドは、声優の森川智之さんも一緒に担当されていますが、森川さんの声も聴かれてみていかがでしたか?西島さん本当にレベルの差を感じるというか……感じましたね。(小声で)全然違うんだよなぁ……。それも含めて、楽しんでいただければと(苦笑)。はじめて挑戦した人間と、すばらしい声優さんとの声の違いを楽しんでいただければうれしいです。西島さんからメッセージ――オフィシャルナビゲーターとして、メッセージをお願いします。西島さんなかなか今は旅行とかできませんし、海外にも行けないなかで、このエジプトという日本人がもともと好きなミステリアスなイメージのある国の美術品がこれだけ渋谷に集まっています。僕も渋谷に来てここに入ったら、本当に別世界が広がっていました。非日常の、日本と違う場所に行くような体験を味わっていただけたらいいと思います。ぜひ音声ガイドを!このイベント終了後、実際に音声ガイドを聴きながら展示品を見てみました。西島さんのガイド解説はとてもわかりやすく、優しく寄り添ってくれるような語り口で、ステキなお人柄があらわれていました。また森川さんの演じるキャラクターの存在も楽しく、ガイドを聴きながら見ると展覧会がぐっと身近に感じられました。会場を訪れたら、ぜひ音声ガイドを聴きながら、展覧会を楽しんでみてください。Information※緊急事態宣言の再発令により、4月25日(日)~5月11日(火)の期間『古代エジプト展』は臨時休館しています。最新情報はホームページでご確認ください。会期: ~ 6月27日(日)会場: Bunkamura ザ・ミュージアム開館時間: 10:00-18:00(入館は17:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)※5月8日(土)まで金・土曜日の夜間開館は20:00まで(入館は19:30まで)。それ以降はホームページで発表(4/13現在)対象日:4/16(金)、4/17(土)、4/23(金)、4/24(土)、4/30(金)、5/1(土)、5/7(金)、5/8(土)休館日: 4/27(火)、5/18(火)、6/8(火)のみ休館観覧料: 一般¥1,800、大学・高校生¥1,100、中学・小学生¥800※今後の状況により変更の可能性もあります。開館時間、入場日時予約など最新情報はBunkamura ザ・ミュージアムのホームページでご確認ください。
2021年04月28日退廃的、エロティック、グロテスク……そんな言葉がぴたりと合ってしまうアートが集まる展覧会が東京・竹橋の東京国立近代美術館で開かれています。会場には、幽霊や地獄図などグロテスクなものから、背景を知ってじわじわと感じるものなど、人間の欲望や闇を描き出した“あやしい”作品がテンコ盛り。この春注目のスポットをレポートします!「生人形」がお出迎え…【女子的アートナビ】vol. 202『あやしい絵展』では、幕末から昭和初期にかけての日本美術を中心に、広告や挿絵、西洋美術なども含めた160点の作品を紹介。美しいだけでなく、退廃的で神秘的、妖艶、エロ、グロなど、人間の欲望やディープな闇の部分を映し出した「あやしい」雰囲気をまとうアートが集まっています。展示は、まず1章のプロローグからスタート。最初の部屋に入ると、薄暗い空間のなかで赤い着物を身につけた一体の人形が待ち受けています。これは生(いき)人形と呼ばれるもの。何か怖~い人形なのかと思ってしまいそうですが、そうではありません。生人形は、幕末から明治にかけて縁日や社寺などの見世物で使われていました。本物の人間のようにリアルに作られていて、今見ると少々怖い感じもしますが、当時はとても人気があったそうです。生人形と同じ空間にいるのが、こちらの猫作品。暗い展示室で見るとけっこうギョッとします。声優の平川大輔さんがナビゲーターをつとめる音声ガイドを聞くと、この猫がときどき登場して、あやしい作品の背景なども教えてくれます。エロティックで退廃的続く2章では、明治から大正にかけての作品が展示されています。ここで注目したいのが、ラファエル前派の画家ダンテ・ガブリエル・ロセッティが描いた官能的な作品《マドンナ・ピエトラ》。マドンナ・ピエトラとは、イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの詩のなかに登場する人物で、自分に恋する者を石に閉じ込めてしまう冷酷な女性です。このような美しくあやしげな女性は、西洋でファム・ファタル(宿命の女・魔性の女性)と呼ばれ、多くの芸術作品に登場。ラファエル前派などが描いたこれらの作品は、当時の日本の芸術家たちにも影響を与え、アートや文学作品に登場するようになります。表面的な美に抵抗2章では、表面的な「美」に抵抗した作品も展示されています。例えば、北野恒富の《淀君》は、豊臣秀吉の側室であった淀君が、落城寸前の大坂城で息子の秀頼を守ろうとしている姿を描いた作品。着衣が乱れ、表情はかたく、美しい女性像として描かれていません。本作品では、表面的な美しさではなく、内面にある意志の強さなどが表現されています。最後の3章エピローグでは、大正末から昭和にかけて出版された雑誌の口絵や小説の挿絵などが展示されています。関東大震災後に大きく変化した東京では、都市文化が発展。モダンなファッションが流行し、前衛的な芸術家たちも活躍します。出版界では、エロ、グロものが人気を集め、探偵小説や怪奇小説が登場。この展示室では、当時人気だった小村雪岱や高畠華宵などが描いた“あやしい”雰囲気の挿絵や表紙絵を見ることができます。ぜひ会場で!明治期に西洋の文化や技術が急激にもたらされた日本では、芸術の分野でも、日本の古典と西洋文化が入り混じった“あやしい”雰囲気の作品が数多く生み出されました。単純に美しいだけではない、心に刺さる作品の数々を、ぜひ会場でご覧になってみてください。Information会期:~5月16日(日)会場: 東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー開館時間: 9:30-17:00(金・土曜は9:30-20:00)*入館は閉館30分前まで※本展会期中に限り9:30開館(ただし「MOMATコレクション」、コレクションによる小企画「幻視するレンズ 」は10:00開場)※臨時夜間開館日:金・土曜日以外の以下の日程も20時まで開館4月25日(日)、4月29日(木・祝)、5月2日(日)、5月3日(月・祝)、5月4日(火・祝)、5月5日(水・祝)、5月9日(日)、5月16日(日)*入館は閉館30分前まで休館日: 月曜[ただし5月3日は開館]、5月6日(木)観覧料: 一般¥1,800、大学生¥1,200、高校生¥700、中学生以下無料
2021年04月18日2022年に生誕150年を迎える抽象画の巨匠、モンドリアンの23年ぶりとなる待望の個展が東京・新宿のSOMPO美術館ではじまりました。美術だけでなく、デザインやファッションの分野にまで影響を与えたモンドリアンの作品は、今の時代に見てもとってもおしゃれ。彼の作品がどうやって生み出されていったのか、詳しくご紹介します!オランダから多数来日!【女子的アートナビ】vol. 201『生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて』では、オランダ出身の画家ピート・モンドリアン(1872-1944)の初期から晩年の作品、さらには関連作家の作品をあわせて約70点を展示。そのうち50点が、モンドリアン作品を多数収蔵するオランダのデン・ハーグ美術館から来日しています。水平垂直線と原色平面による彼の抽象画はとても有名ですが、本展ではあまり知られていない初期の風景画や静物画なども紹介。モンドリアンの画風がどのように変化していったのか、作品をとおして見て知ることができる大変貴重な機会です。小学校の先生だった!モンドリアンはオランダ中部のアメルスフォルト生まれ。父親はプロテスタント系の小学校校長で、厳格なカルヴァン主義の家庭で育ちました。この父親がアマチュア画家で、さらに叔父フリッツも画家。叔父はゴッホを指導した画家に絵を習っていたこともあるそうです。そんな身近な人たちから絵の手ほどきを受けたモンドリアンは、芸術家を目指すようになります。ただ、図画教師としても生活できるよう、教員免許の取得を父親から命じられ、まずは勉強をして資格を取得。17歳で、父の小学校で教え始めます。その後、20歳のときにアムステルダムの美術アカデミーに入学。正規コースを修了後、肖像画で生活費を稼ぎながら風景画を描いていきます。会場では、まず初期のころに描いた風景画がたくさん展示されています。オランダ・ハーグ派様式で描かれた風景画は、やや暗めでくすんだ色彩。工場や農家など、素朴な景色を写実的に描いています。色や形が変わってきた…!モンドリアンは1909年に神智学協会に入会。ドイツの哲学者、ルドルフ・シュタイナーの思想などからも影響を受け、作品の雰囲気も変わってきます。しだいに色彩が明るく豊かになり、点描を使うなど描き方も変化。ムンクや印象派のような作品もあります。1911年、ピカソやブラックなどのキュビスム作品と出会ったことが転機となり、モンドリアンはパリに転居。大都市のカフェや劇場に通って刺激を受け、作品もキュビスムとは異なる彼独自の画面構成に変化していきます。線や原色が登場!父親の病気によりパリから帰省したモンドリアンは、第一次世界大戦がはじまったため、そのままオランダに残ります。そこで同胞の画家バート・ファン・デル・レックに出会い、彼の画法に啓発されて「線と原色」による抽象的な作品の制作をはじめます。さらに、1917年には芸術家のテオ・ファン・ドゥースブルフらと一緒に、新しい芸術について論じる雑誌『デ・ステイル』を創刊。モンドリアンの造形に対する考え方は、絵画や彫刻だけでなく建築やデザイン分野の人たちにも共有されていきました。代表作が登場!戦後再びパリに移りアトリエを構えた彼は、水平垂直線と原色で構成された絵画を制作。いよいよ、モンドリアンの代名詞ともいえる「コンポジション」シリーズが登場します!1938年、66歳になっていたモンドリアンは、第二次世界大戦の戦火を避けるためロンドンに移住。しかしナチス・ドイツによるロンドン爆撃が激しくなったため、1940年、船でニューヨークに脱出します。アメリカではすでに彼の作品は評価されていたため、1942年に開かれた初個展でも成功をおさめますが、1944年に肺炎をわずらい、72歳で亡くなります。高級ブランドにも影響!モンドリアン亡き後も、彼の作品はさまざまなジャンルに影響を与え続けます。もっとも有名なのは、1965年にフランスのファッションデザイナー、イヴ・サンローランが発表した「モンドリアン・ルック」。水平垂直線と原色の組み合わせを取り入れたワンピースは、当時大変注目されました。ちなみに、モンドリアンの展示が終わり常設展示のコーナーに行くと、SOMPO美術館の至宝、ゴッホの《ひまわり》も見ることができます。モンドリアンの叔父が、ゴッホの指導者に絵を習っていたことを考えると、オランダ出身の巨匠たちのつながりが見えて興味深いです。グッズも充実!最後のミュージアムショップでは、モンドリアンのグッズが勢ぞろい。トートバッグや靴下など、どれもおしゃれです!グッズは売り切れるかもしれませんので、欲しい方は早めに行かれたほうがいいかもしれません。本展は6月6日(日)まで開催。日時指定入場制ですので、詳しくは公式サイトをご確認ください。参考文献:展覧会公式図録『モンドリアン純粋な絵画を求めて』※本記事の写真は、プレス内見会で主催者の許可を得て撮影しています。Information会期: ~6月6日(日)会場: SOMPO美術館開館時間: 10:00-18:00(入場は閉館の30分前まで)休館日: 月曜日(5月3日は開館)観覧料: 日時指定入場制※オンラインチケット:一般¥1,500、大学生¥1,100、 高校生以下無料※当日窓口チケット:一般¥1,700、大学生¥1,300、 高校生以下無料
2021年04月16日海外で高い評価を得ている日本画家、渡辺省亭(せいてい)の初の大規模な回顧展が東京藝術大学大学美術館で開かれています。明治から大正にかけて活躍した省亭は、パリでドガや印象派の画家たちとも交流。彼の美しすぎる日本画は、外国の画家たちを驚嘆させました。日本ではほとんど知られていなかった画家の作品と生涯をご紹介します。海外で高評価!【女子的アートナビ】vol. 200『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』では、日本画家、渡辺省亭(1852-1918)の知られざる全画業を紹介。近年公開されたことのない個人コレクションを中心に、アメリカのメトロポリタン美術館など海外からの里帰り作品も含めた100件以上が公開されています。省亭は没後国内でほぼ無名であったため、これまで展覧会で紹介される機会が少なかったのですが、1878年のパリ万博への出品などにより海外では高く評価。欧米の名だたる美術館に多数作品が所蔵されています。では、なぜ日本では知られていなかったのでしょう?彼の画業とともに、その疑問を解き明かしていきます。絵を教えてもらえず…省亭が生まれたのは江戸の神田。画才に目覚め、16歳のとき歴史画家の菊池容斎に入門します。住み込みで修業をはじめますが、3年間の修業期間は具体的な絵の描き方を教えてもらえず、ひたすら文字の練習ばかり。筆の扱いに慣れるための習練だったそうです。それでも師匠の作品を模写しながら絵画表現を習得。明治になってまもない1869年、19歳でイギリスのエディンバラ公への献上品制作に参加し、その後独立して画家として活動をはじめます。パリで印象派たちを魅了!1875年、25歳で起立工商(きりゅうこうしょう)会社に入社。輸出工芸品の図案制作などに従事します。1878年、省亭の描いた図案がパリ万博に出品されることになり、社員として渡仏。そのまま2~3年パリに滞在し、当時ジャポニズムが流行していたパリで印象派の画家たちとも交流します。省亭は画家の集まるサロンに行き、その場で絵を描く「席画」もしていました。早業で美しい花鳥画を描いたので、パリの画家たちは驚き魅了されたそうです。そんな実演の場で、元祖印象派の巨匠、エドガー・ドガのために描いた大変貴重な作品《鳥図(枝にとまる鳥)》も今回の展示で見ることができます。ドガは生涯この作品を手元に残しておいたそうです。多方面で活躍!フランスから帰国後、省亭は花鳥画だけでなく雑誌の挿絵や口絵など多方面で活動。さらに、七宝作家の濤川惣助(なみかわそうすけ)とともに「無線七宝」(金属線を使用しない技法)を開発し、以後、濤川の七宝作品に多くの原画を提供します。ちなみに、現在の迎賓館赤坂離宮に飾られている濤川による七宝額絵の原画も省亭が描いたもの。展覧会では、その原画を見ることができます。競争が嫌い?1892年にはロンドンのギャラリーでイギリスの水彩画家と二人展を開き、その後も同ギャラリーで個展を開くなど、海外で高く評価されていた省亭ですが、画業の後半は日本の展覧会にはほとんど出品しなくなりました。美術団体に所属もせず、画壇とは距離を置いていたとのこと。性格的に、画壇政治や競争に巻き込まれるのが好きではなかったようです。また、制作依頼は常に舞い込んでいたので、展覧会に出さなくても暮らしに困ることはありませんでした。省亭の作品は、著名な政治家や歌舞伎役者も買っていたのです。ブームが来るかも!省亭画伯の私生活も少しご紹介。パリから帰国後31歳で結婚し、浅草で新婚生活をスタート。その後は海外に行かず、国内旅行もせず、ほとんど浅草周辺で暮らしたそうです。また、本妻のほかに近くの別宅にはお妾さんもいて、どちらにも子どもがいたそうです。自宅と別宅を行き来しながら注文に応じて絵を描くという生活をし、68歳で亡くなるまで制作を続けていました。その後、画壇とつながりのなかった省亭は日本で忘れ去られてしまいますが、欧米での高い評価は続き、彼の作品が多くのコレクターや美術館にコレクションされていきます。先述したドガのために描いた作品も、現在はアメリカの美術館が所蔵。本展では、そんな海外からの貴重な作品も見ることができます。近年再評価が進み、これからブームがきそうな渡辺省亭の作品、まとまって見られるこの機会をどうぞお見逃しなく!参考文献:展覧会公式ガイドブック『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』Information会期: ~5月23日(日)※会期中展示替えあり(前期:~4/25、後期:4/27~5/23)会場: 東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3開館時間: 10:00-17:00(展示室入場は閉館の30分前まで)休館日: 月曜日(5月3日は開館)観覧料: 一般¥1,700、大学生・高校生¥1,200、 中学生以下無料※ 本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により変更及び入場制限等を実施する可能性がございます。最新情報は、ホームページでご確認ください。
2021年04月12日この人が好きだと感じても、相手が消極的だとなかなか距離は縮まらないものです。もし早く距離を縮めたいのなら、女子側も少しリードしてみましょう。今回は、消極的男子との距離の縮め方を3つご紹介します。■ 何らかのチケットを渡す「消極的な彼にしびれを切らして、ベタなんですけど、テーマパークのチケットを『懸賞で当たったから』って渡しました。そしたら、パーク内のレストランを予約していてくれたりして、びっくり。最初のリードを私からしてよかったです」(23歳女性/美容師)なかなかデートの誘いがない。そんなとき、彼はどこに行けばいいのか悩んでいるのかもしれません。「たまたま懸賞で当たったのさ」など彼に気を遣わせずに、映画鑑賞や野球観戦など、チケットを渡してみては?女子からのリードだとしても、デート先が自然に決まるので、あとは彼のエスコートに任せてデートを楽しめますよ。■ おすすめのお店の情報を共有する「中高で男子校だったので、女子との付き合い方とか分からず恋愛には消極的です。でも、ゼミで気になる女の子がいて。思い切って食事に誘ったはいいけど、お店選びで苦戦しました。見かねたのか、彼女の方から『こんなお店あったよ~』って料理屋のURLを送ってくれて正直助かりましたし、雰囲気のあるお店でデートも成功したかなって思います」(20歳男性/大学生)お店選びで悩みすぎ、困っている男子は意外と多いものです。もし彼がお店選びに困っているようなら、「こんなお店あったよ」とか「前から行ってみたいお店だったの」など、お店をさりげなく紹介してみてください。彼が選んでくれたお店がハズレだった場合でも、「いつも来ないようなお店だから楽しいかもしれない」と、フォローも忘れずに。彼もほっとして互いの距離が縮まるかもしれませんよ。■ 聞き役に徹する「女子と話すのは苦手だったんですけど、会社の飲み会の席で隣になった女の子がすごく聞き上手で。『最近週末なにしました?』とか『そのカバン素敵ですよね、どこで買ったんですか?』とか。集まりのたびに隣に座ってくれるようになって、自然な流れで交際を申し込めて、付き合うことになりました」(28歳男性/事務)会話を弾ませるためには、あなたが聞き役に徹するのが一番です!女子は質問するだけですが、2人の距離感を思ったよりも縮める効果があるんです。「学生のとき、どんな部活やってたんですか?」など、会話しやすい質問をして会話をリードしましょう。■ さりげなく彼をエスコートして距離を縮めよう恋愛では、男性が女性をエスコートする場面を想像することが多いかもしれません。でも消極的な男子が相手の場合は、その役割を女性が少し担います。するとうまくいく場合もあるのです。勇気を出して女子側からさりげなくリードをしてみたら、一気に距離が縮まること間違いなしですよ。(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年04月03日世界で活躍する現代アーティスト、マーク・マンダースの国内美術館初の個展が東京都現代美術館ではじまりました。今にも崩れそうな彫像に、言葉や家具などさまざまな組み合わせからなるオブジェなど、彼の作品はミステリアスでちょっと不気味。いったい、どんな意味があるのでしょう?今回は、作家本人の言葉と一緒に展示作品をご紹介します!国内美術館で初!【女子的アートナビ】vol. 199展覧会のタイトルは、『マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在』。国内美術館として初となる今回の個展では、彫刻やドローイングなど33点を展示。本邦初公開となる代表作《夜の庭の光景》と《マインド・スタディ》も見ることができます。また、本展では作家本人が海外からリモートで展示のディレクションを行い、展示室全体が見ごたえある空間になっています。マンダースは1968年オランダ生まれ。大学でデザインを学び、現在はベルギーを拠点に活動。欧米各地で個展を開き、現代アートの国際展『ヴェネツィア・ビエンナーレ』にも参加するなど、国際的に高い評価を得ているアーティストです。展示全体が自画像…!?マンダースの作品コンセプトは「建物としての自画像」。個々の作品だけでなく、作品を置いた展示室や建物も含めたすべてがひとつのインスタレーション作品であり、作家の大きな自画像になっています。彼は18歳のときに自伝を執筆しようとしたことがきっかけで、「建物としての自画像」という構想を思いつき、以来30年以上にわたり、このテーマで制作を続けています。プレス内覧会にリモート参加したマンダースは、このコンセプトについて次のように語りました。マンダース建物としての自画像というものは、まず想像上のフロアプランを作ります。東京の展示でも、フロアプランを作りました。展示室のサイズや天井の高さ、面積もすべてが作品の一部になります。そのなかで、自分の好きなところに作品を配置できます。私にとっては全部集めてひとつの作品で、個展そのものが大きな作品なのです。また、別のインタビューでマンダースは「作品は文章のようになる。言葉そのものよりダイレクトに語りかけてくる」とも述べています。自伝を文章で書くかわりに、彫刻作品などを含めた展覧会そのもので表現し、それが作家の自画像となっているようです。崩れた顔の意味は…マンダースの作品には、崩れたりひび割れたり、胴体が分割されていたりと、不穏な雰囲気が漂うものが多くあります。このような作品について、作家は次のように語っています。マンダース 私は制作している瞬間が大好きで、何かが完成していない、未完成な感じもすごく好きです。未完成の状態にすることによって、次に何かが起きる感じがすごく好きです。一つひとつのものを集めると、ひとつの大きな静けさを感じていただけると思います。また、いくつかの要素が対で展開している作品《夜の庭の光景》も、一見すると扱われているモチーフにギョッとしますが、マンダースの公式サイトによると、作家は暴力的なシーンとは思っていないとのこと。彼の関心は横たわる猫ではなく、緩んだロープのほうにあるようです。マンダース作品はすべてが計算され、緻密につくられています。展示室の空間は静謐さと不穏さが混ざり合い、足を踏み入れると時が止まってしまったような感覚になります。「凍結した瞬間」と作家自身が呼ぶその作品世界を、ぜひ会場で体感してみてください。Information会期: ~6月20日(日)会場: 東京都現代美術館開館時間: 10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)休館日: 月曜日(5月3日は開館)、5月6日観覧料: 一般¥1,500、大学生・専門学校生・65歳以上¥1,000、 中高生¥600、小学生以下無料
2021年04月03日2021年3月1日に107歳で亡くなられた美術家、篠田桃紅(とうこう)さんの画業をたどる展覧会が、4月3日から横浜のそごう美術館ではじまります。篠田さんは、欧米のアートシーンで高く評価され、2005年にはニューズウィーク誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選出。芸術分野だけでなく、エッセイの執筆も精力的に行うなど幅広い活動をされた方です。彼女の美しい水墨抽象画と、バイタリティあふれる人生をご紹介します。墨と寄り添い100年…【女子的アートナビ】vol. 198『篠田桃紅展とどめ得ぬもの墨のいろ心のかたち』では、墨と100年寄り添った美術家、篠田桃紅さんの初期から近年までの作品を展示。書からはじまり、次第に文字の形にとらわれなくなって抽象化していく様子を、約80点の作品と資料で見ることができます。篠田さんは1913年、中国・大連生まれ。満州で生まれたため、満州子(ますこ)と名付けられます。父の転勤に伴い2歳で日本に帰国。5歳から父の手ほどきで書を学び始めます。漢詩や和歌などの教養も身につけ、19歳のころには与謝野晶子門下の歌人から短歌の指導を受け、雑誌に自作の歌も寄稿。1935年、22歳で書を教え始めて独立します。27歳のときに初個展で書作品を発表。既存の枠にとらわれない作品は「根無し草」と評されますが、独自の創造の世界を求めて突き進んでいきます。アメリカで熱烈歓迎!戦後、日本の前衛書を紹介する海外の展覧会に出品を重ねていき、1956年、43歳のときに書家の経歴を捨てて単身渡米。ニューヨークを拠点に活動をはじめます。1950年代、ニューヨークのアートシーンでは、ジャクソン・ポロックなどの抽象表現主義が流行。書の枠を超え、墨の美しさそのものを見てほしいと思っていた篠田さんの書は、新しい「絵画作品」として熱烈に歓迎され、高い評価を受けます。欧米各地で作品を発表しながら、2年間のアメリカ滞在を終えて帰国。1970年代に入ると、作風が優美になり、日本の伝統に裏付けられた美意識が作品にあらわれはじめます。ちなみに、1966年に来日したザ・ビートルズが、宿泊したホテルに飾られていた篠田さんの作品を見て感激し、作品を書いた筆と同じものを購入したという逸話も残されています。また、名文家として知られる篠田さんは、1979年に随筆集『墨いろ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。100歳を過ぎてからも、多くのエッセイを執筆されていました。2000年代に入ると、金や銀を背景に使った作品が多くなり、画面はやわらかく変化。余分なものがすべてそぎ落とされていきます。最後まで表現世界の追求を続けられていたそうです。作家のメッセージ篠田さんは、本展の開催を楽しみにされていたそうです。今回の展示では、作家の希望により、作品名や制作年などの情報が書かれた作品キャプションのない会場構成になっているとのこと。「墨と水によって偶然生み出される美しい線や形に注目してほしい」とお考えだったようです。展覧会は4月3日からスタート。会場を訪れたら、ぜひ文字の意味や形にとらわれず、自由に想像しながら作品鑑賞を楽しんでみてください。
2021年04月02日世界の映画ファンが注目している「アカデミー映画博物館」がいよいよ2021年9月末、アメリカ・ロサンゼルスに誕生します。建物の設計を担当したのは、スター建築家のレンゾ・ピアノ。オープンに先駆けて開かれたオンラインプレス内覧会で、気になる博物館の詳細が披露されました!クール!浮いている博物館【女子的アートナビ】vol. 197まずは、アカデミー映画博物館の外観からご紹介。博物館はロサンゼルスの中心地にある広大な敷地内に、2つの建物で構成されています。ひとつは、1939年建築のビルを修復したもので、もうひとつはガラスとコンクリートからなる球形の建築物。設計者は、「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞を受賞した建築家、レンゾ・ピアノ氏です。特に目を引くのが、球形の建築物。コンクリートなのに地上からほぼ浮いています!内覧会では、ピアノ氏がこの建物について「地上に浮かせて下に広場をつくった点を気に入っている」とコメント。上部には重そうなガラスドームも乗っていますが、これらは薄板状の特注強化ガラスを使っているとのこと。さすがクールで斬新な設計です。オープニングを飾るのは…『宮崎駿展』!アカデミー映画博物館のコンセプトは、「映画の芸術と科学に特化した世界最高の施設」。単なる博物館ではなく、映画製作について体験したり学んだりできる、さまざまなプログラムが用意されています。例えば、没入型常設展『映画の物語(Stories of Cinema)』では、映画のきらびやかな歴史を紹介。脚本や衣装デザイン、特殊効果や演出など、映画製作の舞台裏についても深く知ることができます。また、常設展示のほかにも、さまざまな企画展が予定されています。9月のオープニングを飾る企画展は『宮崎駿展』。宮崎監督の全作品が日本語音声英語字幕付き、および英語吹替版で上映されるほか、絵コンテや背景画、セル画なども展示されます。作品のワンシーンを大規模上映したり、登場人物やストーリーが変容していく様子を体験できるインスタレーションがあったりと、同博物館ならではの工夫された展示空間が用意される予定。宮崎作品の世界にどっぷりとつかれそうです。4月からバーチャル・プログラムがスタート!アカデミー映画博物館では、9月のオープニングに先駆けて、4月からプレ・オープニング・プログラムがはじまります。例えば、4月22日のイベント『Breaking the Oscars Ceiling(オスカーの天井を破る)』では、オスカー受賞者のなかでも特に偉業を成し遂げた女性たち、俳優のソフィア・ローレンさんやウーピー・ゴールドバーグさんなど4名が登場します。また、4月25日に予定されている第93回アカデミー賞授賞式にあわせ、同博物館のサイトでオンライン対談や映画上映、教育プログラムも実施されます。現地にはなかなか行けませんが、オンラインなら気軽に見ることができそうです。まずはぜひ、博物館の公式サイトをチェックしてみてくださいね。
2021年03月25日2021年の春は、ちょっと趣向を変えて「アートなお花」を見に行ってみませんか。3月から4月にかけて、花や植物をテーマにした作品を展示している美術展が各地で開催されています。静かにゆっくり春を満喫できる、都内のおすすめスポットを3つご紹介!山種美術館特別展『百花繚乱 ―華麗なる花の世界―』【女子的アートナビ】vol. 197まずは、渋谷区広尾にある山種美術館で開催される『【開館55周年記念特別展】百花繚乱 ―華麗なる花の世界―』。日本初の日本画専門美術館として開館した山種美術館が、2021年に開館55周年を迎えることを記念して開かれる展覧会です。本展では、近現代の著名画家が描いた華やかな花の絵画が集結。横山大観や速水御舟、小林古径、加山又造など、巨匠たちによる花の競演を楽しめます。必見作品は、田能村直入の《百花》。花をモチーフにした作品が集う本展のなかでも、特別に華やかで美しい作品です。春から夏にかけて咲く花々の生命力が感じられ、花の香りまで漂ってきそうな雰囲気。百種類の華麗な花々をじっくりとご堪能ください。シンプルな花作品も見逃せません。速水御舟の《椿ノ花》は、赤い八重椿の凛とした姿が描かれています。硬質な椿の葉とふわりとした花びらの描き分けもすばらしく、また余白のとり方も絶妙。早世した画家の真摯な生き方までも伝わるような美しい作品です。東京国立博物館『博物館でお花見を』続いては、上野の東京国立博物館で開催される『博物館でお花見を』。毎年春に開かれている人気の企画です。本館の各展示室にて桜をモチーフにした絵画や陶磁器など、数々の日本美術の名品を見ることができます。こちらの必見作は、《源氏物語図屛風(絵合・胡蝶)》。『源氏物語』の名場面を描いた色彩豊かな作品です。金雲のあいだから白く輝く桜が見えて、春の優雅な宮廷の一場面を鑑賞できます。もう一点、《雀の発心(ほっしん)》もおすすめ作品のひとつ。この絵巻は、雀の小藤太が主人公なのですが、ストーリーがちょっと切なめ。小藤太は妻子と幸せに暮らしていましたが、ある日、子どもが蛇に食べられてしまうのです。彼は悲嘆にくれて、最後は出家します。擬人化された雀と、見事に咲き誇る桜の絵をぜひじっくりご覧ください。また、東京国立博物館では、3月16日から本館北側にある庭園が部分的に開放されています。ソメイヨシノなど約10種類の桜と美しい庭園を楽しめるという贅沢なチャンス。ぜひこちらも訪れてみてください。※写真はイメージです。東京国立近代美術館『美術館の春まつり』最後は、竹橋の東京国立近代美術館で開かれる『美術館の春まつり』。こちらの美術館は、桜の名所として有名な千鳥ヶ淵や北の丸公園のエリアにあるので、本物のお花見と館内の花作品をまとめて楽しめる贅沢なスポットです。必見作品は、年に一度、この時期だけ公開される川合玉堂の《行く春》。描かれているのは、埼玉県の長瀞あたりの風景をもとにした春の景色です。桜が川面に散りゆく様子が情感豊かに表現され、季節のうつろいや、はかない花の命などしみじみと感じられます。また、船田玉樹《花の夕》も必見作のひとつ。こちらは油彩抽象画のようにも見えますが、屏風に描かれた日本画で、とても鮮やかな色彩が魅力的です。このマゼンダ(ピンク)色を当時使いこなした日本画家は少なかったとのこと。画面いっぱいにあふれる力強い花の絵から、元気をもらえる作品です。東京国立近代美術館では、「美術館の春まつり」期間中、前庭にお休み処が用意されています。館内で花作品を見たあとに、本物の桜を見ながら一休みもできますね。アートなお花見を楽しもう!本物のお花見も楽しいですが、各時代の画家たちが精魂込めて描いた花作品を見るのも、また別の味わいがあります。美術館の静かな空間で、ぜひゆったりと春を満喫してみてください。Information山種美術館特別展『百花繚乱 ―華麗なる花の世界―』会期: 4月10日(土)~6月27日(日)会場: 山種美術館開館時間: 平日:10:00~16:00/土日祝日:10:00~17:00※入館は閉館の30分前まで休館日: 月曜日※ただし、5/3(月)、4(火)、5(水)、6(木)は開館観覧料: 一般¥1,300、大学生・高校生¥1,000、 中学生以下無料(付添者の同伴が必要)お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル)東京国立博物館『博物館でお花見を』※事前予約制(詳細は東京国立博物館ウェブサイトをご確認ください。)会期: 3月16日(火)~4月11日(日)会場: 東京国立博物館開館時間: 9:30~17:00※入館は閉館の30分前まで休館日: 月曜日※ただし、3月29日(月)は開館観覧料: 一般¥1,000、大学生¥500 ※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル)ウェブサイト: 東京国立近代美術館『美術館の春まつり』会期: 3月23日(火)~4月11日(日)会場: 東京国立近代美術館開館時間: 10:00-17:00 金曜・土曜は 20:00 まで いずれも入館は閉館の 30 分前まで休館日: 月曜日※ただし、3月29日(月)は開館観覧料: 一般¥500、大学生¥250 ※高校生以下および満18歳未満、65歳以上の方は無料。(金曜・土曜の 17 時以降は一般 ¥300 、大学生 ¥150 )お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル)ウェブサイト:
2021年03月19日東京・丸の内の三菱一号館美術館で、イギリスを代表する画家、コンスタブルの大回顧展が開かれています。日本では35年ぶりとなる本展では、イギリスのテート美術館から多くの貴重な作品が来日。見逃せない傑作と会場の様子をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 196『テート美術館所蔵コンスタブル展』では、19世紀のイギリスで活躍した画家ジョン・コンスタブル(1776-1837)の風景画や肖像画などの油彩画や水彩画、素描が集結。さらに同世代のライバル画家J.M.W.ターナー(1775-1851)や他の画家たちの作品も含め、全85点の作品が紹介されています。これらの展示作品のうち、60点がテート美術館から来日。コロナ禍の影響で、最近は海外から貸し出された作品を見る機会が少なくなっているので、本展はとっても貴重。コンスタブルとターナーが対決したといわれる展示会を再現した部屋もあり、見どころ満載の内容です。コンスタブルって?コンスタブルは、イギリス南東部にあるサフォーク州で製粉所を経営する家の第4子として誕生。16歳で家業の手伝いをはじめ、1799年、23歳のときに両親の許しを得てロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校に見習い生として入学します。ちなみに、のちにライバルとなるターナーはすでに14歳で同美術学校に入り、26歳のときにロイヤル・アカデミーの正会員になっています。コンスタブルもロイヤル・アカデミー展に出品し、正会員になることを目指しますが、なかなか高い評価を得られません。彼は故郷など自分の愛する土地を描いていたのですが、当時、絵画の格付けは歴史画や肖像画が上位レベルで、風景画は格下扱いされていました。コンスタブルは肖像画を描いて収入を得ながら、風景画の制作にこだわり続け、1829年、53歳でようやくロイヤル・アカデミーの正会員に選出されました。12歳の少女と出会い…恋に落ちる!会場に入って最初の部屋に展示されているのは、コンスタブルの自画像や家族の肖像画。ひときわ目立つのが、女性の肖像画です。小さな作品ですが、斜め45度のお顔がとにかく美しい!少しうるんだ大きな瞳とかわいらしい巻き毛、お肌はハリがあってツヤツヤしています。モデルはコンスタブルの妻、マライア。この絵は結婚する3か月前に描かれたとのこと。作品から、妻への愛情がビシビシ伝わってきます。ふたりは1800年、コンスタブル24歳、マライアが12歳のときに出会い、その後恋に落ちますが、彼女の家族に反対され、なかなか結婚できませんでした。1816年、コンスタブルが40歳のときに彼の父親が亡くなり遺産を相続。経済的に自立したことで、この年、ようやくふたりは結婚しました。ターナーと対決!本展で見逃せないのは、コンスタブルとターナーの対決を再現した展示室です。1832年に開かれたロイヤル・アカデミー展で、彼らの作品は並んで展示されました。コンスタブルの作品は、ナポレオンに勝利した「ワーテルローの戦い」を記念する橋の開通式を描いたもので、サイズも大きく、色彩も鮮やかです。いっぽうターナーの作品は、シンプルな海景画でサイズもそれほど大きくなく、寒色系ですっきりとまとめられています。このふたりの対決には、おもしろい逸話が残されています。負けず嫌いの性格で知られるターナーは、華やかなコンスタブル作品のほうが注目されるのではないかと心配し、自作をより目立たせようと画策。開幕前の最終手直し期間に、鮮やかな赤色の塊(ブイ)を絵の前景に描き加えました。後日、コンスタブルは「ターナーはここにやってきて、銃をぶっ放していったよ」とこぼしたそうです。二作品が並んで展示されるのはロンドン以外では初めてとのこと。ぜひ、この空間でふたりの作品を見比べてみてください。神々しい…! 最晩年の人気作最後にご紹介するのは、《虹が立つハムステッド・ヒース》。中央に風車が描かれ、コンスタブルが得意とした表情豊かな空に美しい虹がかかっています。この絵の主題は収集家の間でかなり人気が高かったとのこと。神々しい光が差し込む描写も美しく、作品の前に立つと心が洗われていくような感じがします。本作品は、コンスタブルが亡くなる前年に描かれました。イングランドの美しい風景を描き続け、イギリス人に最も愛された画家が最晩年に描いたこの傑作は、最後の展示室にあります。ぜひ、ゆっくりとご覧になってみてください。会期は5月30日まで。Information会期 : ~5月30日(日) 時間 : 10:00〜18:00※入館は閉館の30分前まで※緊急事態宣言発令中の夜間開館は中止休館日 : 月曜日(※ただし、祝日・振替休日の場合、会期最終週と3月29日、4月26日は開館)入館料(税込): 一般¥1,900、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料会場:三菱一号館美術館
2021年03月17日男子を振り回す女子は、なぜかモテるもの。「振り回される」女子がモテないわけではないのですが、両者を比較したとき、「振り回し系女子」のほうが好きな男子は意外に多いのです。でも、いったいどうして振り回し系の女子がモテるのでしょうか?今回は、そのモテの理由をご紹介します。振り回し系女子のおいしいところを、ちょっと取り入れてみるといいかもしれません。■ モテの理由1:単なるわがままとは違うからモテる振り回し系女子に多く見られるのが、「まずは自分、それから彼」という優先順位です。ですが、これは単なるわがままとはちょっと違います。振り回し系女子の特徴は、まずは自分の正直な気持ちを出し、次に相手のことも考えて、「2人で楽しむ」ための案を検討し、提案するというもの。自分が楽しくなければ彼も楽しくない、という考えのもとに、自分の気持ちも遠慮せずに出すのです。たしかに、相手のことをいっさい考えずに、自分のことを優先する「わがまま女子」とは違っていますね。一見振り回しているように見えますが、ただ相手に合わせるよりも、本音を主張し合ったほうが、グッと距離を縮めることができます。そこに魅力を感じる男子が多数。結果的に、モテにつながっていくのです。■ モテの理由2:不快にさせない範囲で振り回すからモテる振り回し系女子は、一方向からの偏った思考ではなく、いろんな方向から考えることが得意。そのため、無意識のうちに人の気持ちのコアをとらえ、相手の深層心理までつかんでしまいます。そして、「どこまでなら振り回せるか」「どこまでなら心地よくOKがでるか」などをわかったうえで主張するのです。そのため、いきすぎた振り回しになることもなく、男子としても不快に感じないのがポイント。それどころか、「振り回されてこそ、自分の存在意義が確認できる」という男子も……。振り回し系女子を魅力的だと感じる男子は、恋愛に「刺激」を求めるタイプが多いのです。でも実際には、振り回している当の本人には、「振り回している」という自覚がないことも多々あるよう。彼女たちに共通しているのは、「弱い自分も、貪欲な自分も彼に素直に見せる」ということ。感情を素直に出すことが、彼女たちのモテポイントのようですね。■ 「振り回さない」女子はモテない?恋愛になにを求めるかは人それぞれ。振り回されるのが嫌いだというタイプの男子も、もちろんたくさんいます。とくに、「恋愛と結婚」をイコールとして捉える人は、恋愛に安らぎと安定を求めるため、振り回し系女子の刺激は苦手だと感じるでしょう。毎日和食もいいけれど、たまに脂っこい肉も食べたくなる……というときの「たまに」の間隔で、振り回し系女子を求めるのかも。逆に、「脂っこい物ばっかり食べてても平気!」という男子には、振り回し系女子がぴったりなのかもしれませんね。■ 自分の気持ちを素直に表現してみよう振り回されたいという男子にしか通用しませんが、適度な「振り回し系女子」が魅力的なのは事実。振り回し過ぎには注意しつつ、彼に対して自分の気持ちを正直にみせていくことがモテの秘訣ですよ。ふだんからガマンしすぎなところがある人は、もっと正直な気持ちで彼にぶつかってみてもいいのではないでしょうか。(南マドカ/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年03月14日大正から昭和初期にかけて活躍した画家・デザイナー、小村雪岱(こむら せったい)の展覧会が三井記念美術館で開かれています。日本画の制作から舞台芸術まで手がけた雪岱は、今ならマルチアーティストと呼ばれるような人。彼の作品はセンス抜群で、令和の時代に見てもしびれます。どれほどステキなのか、作品と会場の様子をご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 195三井記念美術館で開かれている『特別展 小村雪岱スタイル』では、画家や装幀家、舞台美術家としても活躍した小村雪岱(1887-1940)のクールな作品が集結。肉筆画から、木版画、挿画、装幀本まで100点以上が紹介されています。さらに、彼の作品に影響を受けた現代のデザイナーやクリエイターたちの新作も展示。木彫りやガラス作品などの工芸品も見ることができます。小村雪岱って?小村雪岱は商業美術の世界で活躍した天才デザイナー。出身は埼玉県の川越で、東京美術学校(現・東京藝術大学)で日本画を学び、卒業後は美術系の出版社に入社。2年後に退職して泉鏡花の小説で装幀を担当し、評判となります。その後、資生堂意匠部に入社してデザインを担当。今でも使われている「資生堂書体」の基礎を築きました。36歳で退職したあとは装幀や新聞連載の挿絵、歌舞伎や映画などの舞台装置の原画制作など、多方面で活躍しました。センスよすぎ!会場にはたくさんの作品が並んでいますが、特にステキなのが木版画の数々。必見作品のひとつ目は木版画の《おせん雨》。1933年に東京朝日新聞で連載された邦枝完二の小説『おせん』の挿絵として描かれたものです。小説の舞台は江戸時代の明和期。三美人のひとりとして有名な茶屋の看板娘おせんをめぐる悲恋のストーリーで、この挿絵では、しつこく言い寄る若旦那から逃げる場面が描かれています。(画面右下で黒頭巾をかぶっているのがおせん)絵の半分以上が傘で埋めつくされ、その上をシャープな雨の線が走り、円と直線の配置が秀逸。モノクロームのシンプルな作品ですが、今の時代に見てもとってもおしゃれ。連載当時も雪岱の挿絵が人気となり、新聞の発行部数も増えたそうです。ちなみに、展覧会図録の裏表紙にも本作品がデザインされていて超クールです!想像力をかきたてられる!必見作ふたつ目は、雪岱が装幀を手がけた泉鏡花の小説『日本橋』の見返し絵をもとにした連作原画の版画3点。作品テーマは日本橋界隈の風景です。《青柳》では人物のいない室内の様子が高い視点から描かれ、畳の上に三味線と鼓が並んでいます。柳の葉と畳の緑がさわやかなのですが、ぽつんと置かれた和楽器がちょっと意味深。いろいろと想像力をかきたてられます。《雪の朝》も美しい作品です。降り積もった新雪と家の明かりが描かれ、凛とした空気感が伝わります。必見作三つ目は、『サンデー毎日』に連載された吉川英治の小説『遊戯菩薩』の挿絵原画。黒く塗りつぶされた背景に繊細な線で男女が描写されています。小説のストーリーを知らなくても、この登場人物たちのいる世界に引き込まれていきそうです。会場には、雪岱が装幀を手がけた本もたくさん並んでいます。どれもおしゃれなデザインで、ジャケ買いしたくなるものばかり。センスの良さが光っています。商業美術の分野で活躍した人の作品は、散逸しているケースもあり、展覧会でまとめて見られる機会はあまりありません。ぜひこの貴重なチャンスに、雪岱の多彩なアートワークをご覧になってみてください。Information会期 : ~4月18(日) ※会期中、一部展示替えあり※事前予約制時間 : 11:00~16:00 (入館は15:30まで)休館日 : 月曜日(※2月22日は開館)、2月28日入館料(税込): 一般¥1,300、大学・高校生 ¥800、中学生以下無料※70歳以上¥1,000会場:三井記念美術館
2021年02月25日精神科医のフロイトやイギリスのダイアナ妃に愛された日本人芸術家、吉田博の展覧会が上野の東京都美術館で開かれています。美しすぎる木版画で世界を魅了した吉田とは、どんな人だったのでしょう?彼の作品とその生涯をご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 194『没後70年吉田博展』では、明治から昭和にかけて活躍した吉田博(1876-1950)の初期から晩年までの木版画を中心に、水彩画や油彩画、さらに版木や写生帖も展示。前期・後期あわせて200点近い作品を見ることができます。若いころから海外に出て西洋の芸術に触れた吉田は、独自の表現と技法を確立。本展では、彼の手がけた木版画の全容が紹介されています。明治期にアメリカへ…吉田は旧久留米藩士の家で次男として生を受け、15歳のときに画才を認められて図画教師の養子になります。17歳で京都の画塾に入門、さらに上京して日本初の美術団体・明治美術会の会員になります。1899年、23歳のときに画家仲間と渡米。デトロイト美術館で開いた水彩画の素描作品展で評価されたのを機に、アメリカ各地で展覧会を開いて作品を売り、成功を手にします。その後、パリ、ロンドン、ドイツ、スイス、イタリアなどを巡ってからアメリカに戻り、1901年に帰国。おもに風景画を描き、洋画家として日本国内でも高い評価を受けました。展覧会のプロローグでは、若いころに描かれた油彩画や水彩画などを見ることができます。木版画の世界へ!1923年、47歳のときに吉田は再び渡米。現地で作品を売りますが、そのとき好評だったのが水彩画や油彩画ではなく木版画でした。帰国後、吉田は本格的に版画制作の世界に入っていきます。上の写真は、自ら版元となり監修した『米国シリーズ』の作品《エル・キャピタン》。このシリーズでは、ヨセミテ渓谷やグランドキャニオン、ナイヤガラなどの景勝地が美しい色彩で表現されています。ダイアナ妃やノラ・ジョーンズも購入!1926年になると、吉田は精力的に木版画を制作。西洋の写実的な表現と日本の伝統的な版画技法を融合させ、代表作となるシリーズ『日本アルプス十二題』と『瀬戸内海集』を生み出します。『瀬戸内海集』シリーズの《光る海》はダイアナ妃の所蔵する作品のひとつ。日没に近い時間帯に海面がキラキラと光る様子が美しく表現されています。ダイアナ妃は1986年に来日した際、自分のクレジットカードで吉田の作品《猿澤池》を購入。《光る海》と二点並べてケンジントン宮殿の執務室に飾っていたそうです。彼の作品は、精神科医のフロイトが書斎に飾っていたり、歌手のノラ・ジョーンズも収集していたりと、海外にファンが多いことでも知られています。「日本といえば浮世絵版画」のイメージが強かった欧米で、吉田は新たな日本芸術の世界を切り拓きました。ところで、浮世絵版画と吉田の木版画の違いはどこにあるのでしょう?まずは描き方。陰影のないフラットな浮世絵と比べると、吉田の作品は写実的です。しかも、対象となるモチーフをじっくりと観察し、例えば水の流れや水面に輝く光までも細かく描写。その原画を、浮世絵版画の3倍以上も手をかけ、何度も摺りを重ねて美しい版画に仕上げているのです。さらに、同じ版木を使いながら摺色を替え、時刻や光の変化を表現。こうして、浮世絵版画とは異なるオリジナルの木版画を生み出しました。世界中の風景を楽しめる!吉田は若いころから晩年まで、旅を続けながら写生をして風景を描き続けた芸術家です。また、戦時中は従軍画家として派遣されており、中国の風景を描いた作品なども残っています。終戦後の逸話もユニーク。もともと吉田の作品はアメリカで人気があったこともあり、戦後は米軍将校たちが彼の版画工房を訪れるなどアメリカ人との交流が盛んだったそうです。そして1950年、都内の自宅にて73歳で他界しました。会場には欧米だけでなく、アジア各地やインド、そして日本国内の風景を描いた版画作品も数多く展示されています。吉田の美しい木版画を見ながら旅の気分を味わってみてはいかがでしょうか。展覧会は3月28日まで。写真、文・田代わこInformation会期: ~3月28日(日)※会期中、一部展示替えあり休室日:月曜日開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)会場:東京都美術館企画展示室観覧料:一般¥1,600、大学生・専門学校生:¥1,300、高校生:¥800、65歳以上:¥1,000問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2021年02月17日これを読んでいる人の中には、「内向的な性格のせいで積極的に恋ができない……。」と悩んでいる方も多いのではないかと思います。でも、内向的であることは全く悪いことではなく、むしろ魅力がたくさんあるんです!そこで今回は、内向的な女子の魅力についてご紹介します。■ 一途な人が多い「内向的な人って、人との距離感に敏感だと思うんですよね。大勢で集まる飲み会とかも苦手な人が多い気もするし、浮気の心配も少ないのかなとは思います」(30代・広告)やっぱり付き合うのなら、浮気の心配がない女子の方が男子的には安心です。社交的でいろんな交流がある女子よりも、内向的で比較的インドアで、遊ぶとしても仲のいい子数名と遊ぶような女性の方が、ほかの男性とのかかわりも少なく、「誰かに奪われることがない」というのが本音のようです。■ 安定感・安心感がある「個人的には、破天荒とかパリピとか、楽観的で短絡的な軽い人よりはいいんじゃないかなと思います。むしろ、芯があってどっしり構えているというか、安定感と安心感があって心地良い」(20代・IT)破天荒で予想もしないような行動をする女性や、後先考えずに行動をしちゃう、どこかフワフワしている女性は男性としても心配。その点、おとなしい女性はそう破天荒なことや突発的な行動に出ることもないので、安心感も強めなんだそうです。■ お互い自分の時間を大事にできる「遊びが好きだったり、社交的な女性には惹かれるけど、実際付き合うと疲れる。自分が内向的な性格で、ひとりの時間を大事にするタイプだから、同じような女性の方がマイペースに付き合えてラク。結婚も考えられる」(30代・公務員)自分にないものを持っている人に惹かれちゃいますよね。でも、実際付き合ったら合わなくて疲れる……、ということも。結局、お互いに似たタイプと付き合った方が心地よかったりするようです。■ 無理に合わせすぎなくてOKおとなしかったり、物静かだったりするタイプの女性は、恋愛では意外と売り手市場です。無理に社交的になろうとしたり、まわりに合わせて無理にはしゃごうとしなくても大丈夫!頑張らなくてもあなたの雰囲気に合う人がきっと近づいてきてくれますよ。(美佳/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年01月27日渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』が開催中です。20世紀後半のフランスで活躍した画家の都内では10年ぶりとなる本展では、初期から晩年までの作品が集結。ナイーブな天才画家ビュフェの凄絶な人生とアートをご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 193『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』では、フランスの画家ベルナール・ビュフェ(1928‐1999)の油彩画を中心とした絵画作品約80点を紹介。展示されている作品は、すべて静岡県にあるベルナール・ビュフェ美術館のコレクションです。黒い線と暗いトーンで描かれたビュフェの具象画は、第二次世界大戦後の不安な時代の空気と共鳴し、フランスだけでなく世界の人々の心をつかみました。現在もコロナ禍で世の中が不安定になっていることから、彼の絵はまさに今の時代の空気にもあてはまり、鑑賞者の心に響きます。ナイーブなイケメン!ベルナール・ビュフェとは、どんな画家だったのでしょう。会場に写真が展示されていますが、かなりイケメンです。1928年にパリで生まれた彼は、ナチス・ドイツの占領下で名門エコール・デ・ボザール(国立高等美術学校)に通い、20歳で若手画家の登竜門といわれる「批評家賞」を受賞。その後、世界各地で個展が開かれます。ナイーブで非社交的だったビュフェは、当時パートナーだったピエール・ベルジェにマネージャー的な仕事をしてもらい、自身は絵画制作に専念。南仏プロヴァンスに滞在して、著名な小説家ジャン・ジオノや詩人ジャン・コクトーとも親交を深めていきます。ベルジェのサポートでビュフェは活躍の幅を広げていきましたが、1958年、彼と別れてファッションモデルで歌手のアナベルと結婚します。会場では、美しいアナベルをモデルにした作品も見ることができます。いっぽうベルジェは、若きデザイナーのイヴ・サン=ローランのパートナーとなり、ファッション界で活躍しました。上記画像は、ビュフェを取り巻く人々の相関図。『悲しみよこんにちは』で知られる小説家フランソワーズ・サガンとも交流がありました。必見!ピエロの絵20世紀半ば以降、美術界ではジャクソン・ポロックなどの抽象絵画が主流となっていきますが、ビュフェは人物や動物、建物などの具象画を描きつづけます。さらに1960年代に入ると、初期の地味な色調ではなく鮮やかな色を使った作品も増えていきます。そのなかのひとつ、展覧会のメインビジュアルにも使われている作品が《ピエロの顔》。真っ赤な背景に、シルクハットを被った男が描かれています。ベルナール・ビュフェ美術館の学芸員 雨宮千嘉さんによると、この絵は「画家自らピエロのメイクをして、自分の心を投影させて描いた」とのこと。楽しい道化師であるピエロのイメージとはほど遠く、見ていると少し不安になる絵です。雨宮さんの話では、この絵を見るために美術館を何度も訪れるファンもいるそうです。絵画は私の命…1973年に静岡のベルナール・ビュフェ美術館が開館し、1993年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与されるなど、経歴を見ると画家として幸せな人生を送っていたように思えますが、ビュフェは制作の苦悩を抱えていたようです。さらに、晩年になるとパーキンソン病を発症。絵筆をとることができなくなり、1999年、自ら死を選びました。最終章の解説には、「絵画は私の命です。これを取り上げられてしまったら生きていけないでしょう」という画家の重い言葉が記されています。展覧会は1月24日まで開催。お出かけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください。取材、文・田代わこInformation会期: ~2021/1/24(日)※1/16(土)・17(日)・23(土)・24(日)の4日間に限り【オンラインによる入場日時予約】が必要(当日予約枠に余裕がある場合、予約なしで入場可能)開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)会場:Bunkamuraザ・ミュージアム観覧料:一般¥1,600、高校・大学生:¥1,000、小・中学生:¥700※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2021年01月07日みんな大好きな『スイミー』の作者、レオ・レオーニの作品を集めた展覧会が、板橋区立美術館で開かれています。『あおくんときいろちゃん』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』など、絵本作家のイメージが強いレオーニですが、実は油彩画や彫刻などのアート作品、さらに強烈な風刺画も生み出していました。彼の激動の人生とともに作品をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 192『だれも知らないレオ・レオーニ展』では、おなじみの絵本原画だけでなく、大きな油彩画や彫刻、政治風刺イラスト、広告ポスターなど幅広い作品群が集結。制作スケッチなども合わせて200点以上の展示品があります。会場になっている板橋区立美術館はレオ・レオーニと深い縁があり、1996年に日本ではじめて彼の展覧会が開かれたのもこちらの美術館。しかも、今後レオーニの遺族から多数の作品が寄贈される予定になっています。今回の展覧会では、その寄贈予定作品も見ることができます。アメリカに亡命…1910年、アムステルダムにあるユダヤ系の家に生まれたレオーニは、幼いころから芸術に触れる環境で育ち、イタリアの大学に通いながら作品展に出品したり、デザインの仕事を手がけたりしていました。1931年に結婚、その後ミラノでデザイン会社を立ち上げます。会場には、1930年代に手がけた羊毛製造会社のポスターや、毛糸商品のラベルなども展示。グラフィックデザイナーとしての意外な一面を知ることができます。第二次世界大戦が近づくと、イタリアでも反ユダヤ主義的な人種法が制定され、レオーニは家族とともにアメリカへ亡命します。ニューヨークで活躍!戦後になると、ニューヨークを中心に広告デザイナーやビジネス雑誌のアートディレクターとして活躍します。そのころの作品で特に目を引くのが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の開館25周年記念ポスター。(上記写真の壁中央部にかかっている横長のポスターです。)ローマ数字で表された「25」のデザインと、原色系の色彩の組み合わせがとてもステキです。衝撃の風刺画華やかなデザインの仕事をするいっぽう、レオーニは政治風刺のイラストや水彩画も描いていました。大きな手がヒトラーを握りつぶしているような風刺画や、人種問題をテーマにした絵など、鋭い批判が込められた作品もあります。展覧会の図録『だれも知らないレオ・レオーニ』(玄光社)によると、政治風刺画は近年の調査で発見されたとのこと。今回初公開となった作品も多いようです。特にヒトラーのイラストはおぞましさが伝わり、衝撃的でした。スイミー誕生!1959年、レオーニははじめての絵本『あおくんときいろちゃん』を出版します。1961年にアメリカからイタリアに帰国すると、広告デザインの世界から絵本や油彩画、彫刻などの制作へと移行し、1963年、あの『スイミー』が誕生します。会場ではレオーニが描いたスイミー原画も展示されていますが、実は実際に絵本で使われた原画とは違うバージョンのもの。原画は現在、行方不明になっているそうです。ゾクゾクする…!平行植物最後にご紹介するのが「平行植物」のシリーズ。1970年代からレオーニが取り組んでいる幻想的な植物の作品です。油彩や鉛筆画、ブロンズ彫刻などで表現された植物たちは、生き物のようにも見えてちょっと不気味。作品に囲まれていると異世界にいるような気分になり、ゾクゾクします。デザインからアートワークまで、幅広い作品を生み出したレオーニは、1999年、イタリアのトスカーナで亡くなりました。享年89歳。限定品も…!作品を見終わったら、ぜひミュージアムショップへ。Tシャツやポーチ、バッグ、マグカップなど、多彩なグッズがそろっています。レオーニと縁の深い板橋区立美術館ならではの限定商品もあり、思わず大人買いしてしまう人も多いとか。絵本もあるので、贈り物にも使えそうです。展覧会は1月11日まで開催。入場はオンラインでの日時予約が必要です。最新情報など美術館の公式サイトをご確認してからお出かけください。文・田代わこInformation会期: ~2021年1月11日(月・祝)休館日:月曜日・年末年始(12月28日~1月4日)(ただし、1月11日は祝日のため開館)開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)会場:板橋区立美術館観覧料:一般¥650、高校・大学生¥450、小・中学生¥200*土曜日は小中高校生は無料で観覧できます*65歳以上・障がい者割引あり(要証明書)
2021年01月04日2020年ナンバー1の胸キュン韓国ドラマ『愛の不時着』が展示会として日本に上陸!年明けの1月8日から東京・渋谷で、さらに大阪・福岡・名古屋で『愛の不時着』展が順次開催されます。名シーンの再現や小道具の展示など、あのラブストーリーを全身で体感できるドキドキのイベントをご紹介!『愛の不時着』に再会!【女子的アートナビ】vol. 191『愛の不時着』は動画配信サービス『Netflix』で2020年2月から配信され、空前の大ヒットとなった韓国ドラマ。韓国の財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着し、北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)と出会って恋に落ちる、サスペンスタッチのラブストーリーです。初回からスリリングな場面が多く、中毒性の高いドラマにハマる女子が続出。クールなのに恋愛には純朴なジョンヒョクがとにかくステキで、韓国ドラマならではのロマンティックなシーンも魅力的です。SNSでは“愛の不時着ロス”や“ヒョンビン・ロス”も話題となりました。そんなロスの方にぜひ訪れてほしいのが、『愛の不時着』展。会場では、ふたりの出会いから再会までの名シーンが再現されます。パラグライダーが登場!ドラマと同じように展示会もパラグライダーのシーンからスタート。なんと、本物の木の枝にセリが実際に使ったパラグライダーが展示されます。心憎い演出ですね~。また、ジョンヒョクの家のリビングや別れの国境などのセットも登場。お気に入りの場面をいろいろ思い出しながら、映像の世界をリアルに体験できます。衣装展示も見逃せません。パラグライダーのシーンでセリが着用していた衣装や、ジョンヒョクの軍服なども日本初公開。実際に使われていた衣装なんて、想像するだけで興奮しちゃいます!自転車もピアノも!名シーンの小道具も多数登場。ロマンティックな夜のデートで2人乗りした「自転車」や、ジョンヒョクが弾いた「ピアノ」も展示。さらにフォトスポットでは、スイスでふたりが再会したシーンが再現されています。あの場面で写真が撮れるなんて、感涙ものです!写真や映像も惜しみなく公開されます。本編映像はもちろん、約250点の未公開カットを含む450点超のカットが登場。ドラマを何度もループして見たというツワモノさんでも満足できる、充実した展示内容です。グッズもすごい!『愛の不時着』展にはオリジナルグッズも多数用意されています。定番のクリアファイルやマグカップ、Tシャツのほかに、マスクやマスクケースなども販売。個人的に気になるのは、「ゆらゆらアクリルスタンド」¥1,000(税込)。パソコンの隣にジョンヒョクを置いて、仕事の合間につんつんしたいです。また、クレーンゲームもおもしろそうです。1プレイ¥500(税込)で、オリジナル缶バッチやスマホグリップなどがゲットできるかもしれません。展示会は1月8日から開催。東京会場のjingでは1時間ごとの時間指定入場となっています。詳しくは公式サイトでご確認ください。Information「愛の不時着」展【東京 jing】会期:2020年1月8日~2020年2月27日開館時間:10:00~22:00(最終入場21:30)※1時間ごとの時間指定入場会場:東京 jing観覧料:¥1,800※未就学児無料©CultureDepot. ©STUDIO DRAGON CORP.
2020年12月25日東京・竹橋の東京国立近代美術館で『眠り展:アートと生きることゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』がはじまりました。芸術家たちの創造を刺激した「眠り」にスポットをあてたユニークな展覧会のプレス内見会を取材。さらに、同時開催中の美しき『男性彫刻』もご紹介!『眠り展』とは?【女子的アートナビ】vol. 189『眠り展:アートと生きることゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』では、「眠り」をテーマにした古今東西33作家による絵画や写真、映像、インスタレーション作品など119点を展示。17世紀のバロック絵画から現代アートまで多彩な作品を見ることができます。そもそもこの展覧会は、全国各地にある国立美術館6館による合同展。幅広いコレクションのなかから作品を厳選し、紹介しています。なせ「眠り」?なぜ美術の展覧会で「眠り」をテーマにしたのでしょうか。企画者の東京国立近代美術館研究員 古舘遼さんによると、「眠りというのは、夢とうつつ(現実)をつなぐ創造の源泉である」とのこと。また、本展の象徴として使われているゴヤの作品《理性の眠りは怪物を生む》について、古舘さんは次のように解説しました。古舘さんこの絵は、眠る芸術家の周りにさまざまな動物が集まり、そのなかのフクロウが、銅版画制作に必要な針を芸術家に手渡すことにより芸術が生まれる、という趣旨の作品。眠りが芸術を生み出す原点、ということを表しています。「眠り」がいっぱい!会場は序章・終章を含む7章で構成されています。まず、シンプルにかわいいのが、幼い甥っ子たちの寝顔を描いたルーベンスの作品《眠る二人の子供》。無防備な表情やぷくぷくした赤い頬が愛らしく、見ていると自然に頬が緩みます。ルーベンスとは対照的にドキッとするのが、塩田千春の映像作品《落ちる砂》。砂ぼこりが立つ息苦しそうな部屋で、女性がベッドに横たわるシーンなどが流れています。窓からの光が不穏な室内を照らし出し、なんともいえない不安な気持ちにさせられます。河口龍夫の《関係―種子、土、水、空気》は、一見すると眠りとは関係なさそうに思えます。黒い鉛の板に埋め込まれたタマネギや麦などの種子が壁一面に掛かり、床に置いてある管には、植物に必要な土や水などが閉じ込められています。これらは「植物の種子を保護する」というメッセージが込められた作品。『目覚めを待つ』と題された第4章で見ることができます。『眠り展:アートと生きること』の会期は2021年2月23日まで。男の裸がいっぱい?!『眠り展』のチケットで入館当日に限り見られる同時開催中の展覧会が2つあります。本記事では、2階のギャラリー4で開催中の『コレクションによる小企画男性彫刻』をご紹介。小さな一室で開かれている企画展ですが、凝ったパンフレットを見るだけで並々ならぬ気合いが感じられます。この小企画では、20世紀はじめから1940年代にかけて日本で制作された男性の彫刻を展示。展示室内は「強い男」「賢い男」「弱い男」の3コーナーに分けられ、荻原守衛、朝倉文夫、平櫛田中など有名彫刻家の作品が並んでいます。「強い男」たちの彫刻は、ほぼ裸体。筋骨隆々の肉体をさらけ出しています。上の画像は、長崎にある「平和祈念像」の制作者として知られる北村西望の《怒涛》。モチーフは、荒波に立ち向かう漁師です。胸板のたくましさに見惚れますが、体と対照的に表情がゆるい感じ。これは口笛を吹いている顔とのこと。近くで見ると、妙にリアリティがあります。聖書や神話の人物をモデルにしている西洋彫刻なら全裸でも違和感ないのですが、一般東洋人のリアルな全裸彫刻は、なにか生々しくて気恥ずかしさも感じます。なぜ裸にするのでしょう?解説によると、明治時代の彫刻家は西洋彫刻を規範に全裸彫刻の日本定着をもくろんだとのこと。ただ、風紀を乱すという理由で検閲にひっかかった時代もあり、男性器を切断させられ、そもそも目立たないようにつくったりしたこともあったそうです。男性彫刻をまとめて見られる機会はめったにありません。ぜひ『眠り展』と合わせて、こちらもご覧ください。Information『眠り展:アートと生きることゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで』会期: ~2021年2月23日(火・祝)休館日:月曜[2021年1月11日(月)は開館]、12月28日(月)~2021年1月1日(金・祝)、2021年1月12日(火)開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)*入館は閉館30分前まで会場:東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー観覧料:一般¥ 1,200、大学生:¥600※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等を提示。※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、「コレクションによる小企画男性彫刻」(2F ギャラリー4)も観覧可能。※本記事の写真は、プレス内見会で主催者の許可を得て撮影しています。
2020年12月10日人気イラストレーター長場雄さんの個展『The Last Supper』が12月11日から渋谷MIYASHITA PARKのギャラリー『SAI』ではじまります。貴重なアートピースをはじめ、さまざまな限定グッズも登場!注目の個展をご紹介します!「最後の晩餐」が…!【女子的アートナビ】vol. 189まもなくスタートする長場雄さんの個展『The Last Supper』では、大小さまざまな形のキャンバスに描かれた作品や初披露の立体作品が集結。なかでも注目されているのが、4メートルのキャンバスにアクリル絵の具で描かれた代表作《The Last Supper》です。日本語にすると「最後の晩餐」となる本作品には、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの同名作品と同じように横長のテーブルについた13人の人物が描かれています。中央にいる黒い帽子を被った人物の左右にさまざまな人が配置されていますが、これらの登場人物は、音楽やファッションの世界で後世に影響を与えた有名人。テーブルに置かれている小物がヒントになっています。『anan』でもおなじみ!イラストレーターでアーティストの長場雄さんは1976年生まれ。少年期をトルコで過ごされ、現地で画家に油絵を習った経験から美術大学に進み、デザイナーとして活動したあと独立。現在は人気アパレルとのコラボや雑誌、広告、コンサートのツアーグッズなど、幅広い分野で活躍されています。雑誌『anan』でのコラム挿画でもおなじみですよね。ミニマルで無駄のない線で描かれた作品は、スタイリッシュなのにどこか懐かしい感じがします。その理由は、映画やミュージックシーンなどで見たことのある人たちが描かれているから。人物の特徴をとらえたシンプルな造形は、ポートレートやカリカチュアといった従来のジャンルを超えた、魅力的な現代アートになっています。クリスマスプレゼントに!展示会場では、作品だけでなくポスターやステッカーなどさまざまな限定グッズも登場。さらに、シルクスクリーンポスターや作品の抽選販売も予定されています。また、長場さんといえばUNIQLOやBEAMSなど有名ブランドとのコラボコレクションを思い浮かべる人も多いと思いますが、今回も展覧会限定のアパレルアイテムが登場。長場さんのグッズは男性ファンも多いので、彼へのクリスマスプレゼントが見つかるかもしれません!さらに、この12月に京都で開催されたばかりの人気アートフェア「artKYOTO 2020」で発売されたアンダーカバー(UNDERCOVER)とのコラボアパレルも販売。黒のロングスリーブTシャツは、写真で見るだけでもかっこいいです!ほかにも、ポストカードやピンズ、サコッシュなども販売予定。自分へのクリスマスプレゼントとしてもよさそうですね。会期は12月27日まで。ぜひ足を運んでみてくださいね!Information「The Last Supper」会期:2020年12月11日(金)~12月27日(日)時間:11:00~21:00会場:サイ住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 レイヤード ミヤシタパーク サウス 3階【問い合わせ先】サイTEL:03-6712-5706
2020年12月10日残虐な王さまや酒浸りの女王など、クセのある人物を多く輩出した英国王室。今なお注目を浴び続けるロイヤルファミリーの歴史を肖像画でたどれる『ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING & QUEEN展』が上野の森美術館で開催中です。描かれた人物の生きざまにドキドキしたり、華やかなドレスにうっとりしたり、さまざまな楽しみ方ができる肖像画の世界をご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 188この展覧会では、肖像専門美術館ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーから来日した肖像画・肖像写真など約90作品を展示。16世紀のテューダー朝から現在のウィンザー朝まで、5つの王朝のドラマチックな歴史を肖像画でたどることができます。会場では1階にテューダー朝からハノーヴァー朝までの油彩画を中心とした作品が並び、2階にはヴィクトリア女王の時代から現代のウィンザー朝までの写真などが展示されています。※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。展覧会日本側監修の東京藝術大学大学美術館准教授 熊澤弘さんによると、肖像画には「王室の人々の姿を記録するだけでなく、国王のイメージを紹介するという目的もあった」とのこと。古い時代には国王が雄大な姿で描かれ、近代になると親しみやすいものに変わっているそうで、時代によってイメージが変わっていく点も見どころのようです。また、本展のナビゲーターをつとめる作家・ドイツ文学者の中野京子さんは「描かれている人がどんな人かわかっていると、肖像画はおもしろい。最低限の知識をもって鑑賞すると楽しみが増す」とコメント。会場には、中野さんの視点で書かれた王さまたちのストーリーがところどころに掲示されています。肖像画と王の物語をセットで楽しむのがポイントです。妻2人を斬首!それでは、特に濃厚なストーリーをもつ国王の肖像画をピックアップしてご紹介していきます。もっとも強烈な王さまは、ヘンリー8世(在位1509-47)。この肖像画は、1536年に画家のハンス・ホルバイン(子)が描いたオリジナルの複製。服装や宝飾品がゴージャスで、権力者の貫禄が漂っています。彼は自分が離婚するために宗教改革を起こし(当時カトリックでは離婚が禁止されていた)、結局6回も結婚しました。妻たちの運命がとにかく悲惨で、男子が生まれないなど気に入らないことがあると離縁され、ひどいときには斬首。6人の妻は順に、離婚・斬首・死亡・離婚・斬首と続き、最後の妻だけ生き残りました。会場には、処刑された妻の肖像画や彼女たちの物語も展示されています。ダイアナ妃のご先祖さま!続いてご紹介するのは、チャールズ2世(在位1660-85)の肖像画。カリスマ性があり国民に愛された王さまで、たくさんの愛人がいたことでも有名です。その愛人との間にできた子どもの子孫がダイアナ元皇太子妃。あの美しい元妃のご先祖さま、と知ってから肖像画を見ると、がぜん興味がわきます。ちなみに、カミラ夫人のご先祖さまの写真も会場2階で見ることができます。酒びたりの女王さま…最後にご紹介するのは、アン女王(在位1702-14)の肖像画。1707年にイングランドとスコットランドを統合したことが功績として語られていますが、中野さんの解説によるとアルコール依存症だったとのこと。17回ほど妊娠したのに流産や死産などで子どもが育たず、その悲しみでお酒におぼれてしまったそうです。この肖像画は王位につく前に描かれたもの。きらびやかな衣装を身につけていますが、表情はあまり晴れやかではありません。未来を予見しているのかもしれません。本記事では伝統的な肖像画をピックアップしましたが、会場では近現代のロイヤルファミリーを撮った写真も数多く展示されています。美しいポートレートと、描かれた人のストーリーを一緒に楽しめる展覧会、どうぞお見逃しなく!Information会期: ~2021年1月11日(月・祝)休館日:会期中無休開館時間:10:00~17:00 ※金曜日は20:00まで。ただし、1月1日(金・祝)は17:00まで会場:上野の森美術館観覧料:平日:一般¥1,800、高校・大学生:¥1,600、小・中学生:¥1,000、土日祝:一般¥2,000、高校・大学生:¥1,800、小・中学生:¥1,200、※会場にて午前10時より当日券を販売。入場前日午後5時まで日時指定券の事前販売あり。
2020年11月24日東京・京橋のアーティゾン美術館で『琳派と印象派展』が開催中です。日本美術のなかでも人気のある琳派と、みんな大好きなフランスの印象派作品約100点が集結。あの有名すぎる国宝もご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 187『琳派と印象派東西都市文化が生んだ美術』は、17世紀~19世紀の京都、江戸、パリという大都市から生まれた多くの作品を、東西の都市文化を比較しながら楽しむことができる展覧会です。会場には、石橋財団コレクションと国内の寺院や博物館などの作品を合わせた約100点が集結。そのなかには国宝2点と重要文化財7点も含まれています。さらに、アーティゾン美術館の新収蔵作品12点も初公開。見どころ満載の企画展です。京の景色からスタート!まずは序章「都市の様子」からご紹介。ここでは、京の都市文化をテーマにした作品が展示されています。(前期は京、後期は江戸に展示替え)華やかな《洛中洛外図屛風》からはじまり、絵巻や扇絵などを見たあと第一章「the 琳派」へと進みます。琳派とは、江戸時代初期に京都ではじまった芸術様式。華やかな色彩と、装飾的で大胆な構図が特徴です。会場には、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一など、まさにthe 琳派の絵師によるゴージャスな作品が勢ぞろい!例えば、尾形光琳の《槇楓図屛風》は、木や枝がうねるように配置された大胆な構図で、金地に鮮やかな赤と緑が映え、うっとりするほど美しい作品です。琳派と印象派がコラボ?!続いて、第二章「琳派×印象派」へ。時代も文化もまるで違う2つのジャンルが一緒に展示されていますが、違和感がなく心地よい空間になっています。例えば、「水の表現」にスポットをあてた展示では、ぜひ尾形光琳の《流水図広蓋》(前期展示)とクロード・モネの《睡蓮の池》を比べてみてください。光琳の水は線で描かれたデザインのようで、モネの水は光の明るさを感じることができ、描き方の違いが際立っています。さらにおもしろいのは、人物をモチーフにした琳派と印象派のコラボ展示。手前はエドガー・ドガの《右手で右足を持つ踊り子》、奥にあるのは俵屋宗達の《舞楽図屛風》(前期展示)です。人物のリアルな動きをとらえたドガの彫刻と、舞っている人物の構図がユニークな宗達の作品。タイプの異なる作品を一緒に見ることで、新たな発見があるかもしれません。第三章「the 印象派」では、アーティゾン美術館の印象派コレクションを中心とした作品を展示。琳派の装飾的な作品を見たあと印象派の油彩画を見ると、特に光の描き方に目を引かれます。あの国宝は12月に登場!この展覧会では前期と後期で展示替えがあり、後期の12月22日から有名な国宝、俵屋宗達《風神雷神図屛風》が登場します。誰もが知っている作品ですが、描かれている風神雷神とはどんな神さまなのか、ご存じですか?展覧会を監修した美術史家の小林忠さんによると、風神雷神は「もともと仏教の千手観音の両脇で観音さまを守る鬼の神だった」とのこと。そんな鬼神を、宗達は風と雨をコントロールして、耕作の恵みを与えてくれる“人に優しい神”として描いたそうです。(小林さんの解説は、展覧会公式サイトの動画で視聴できます)前期と後期、どちらも見逃せない展覧会は2021年1月24日まで開催。Information会期:~ 2021年1月24日(日)前期2020年11月14日(土)〜2020年12月20日(日)後期2020年12月22日(火)〜2021年01月24日(日)休館日:月曜日(11月23日、1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日ー1月4日)、1月12日開館時間:10:00–18:00(最終入館時間 17:30)会場:アーティゾン美術館6階、5階展示室観覧料:日時指定予約制ウェブ予約チケット¥1,700、当日チケット(窓口販売)¥2,000、学生無料(要ウェブ予約)*ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売*中学生以下の方はウェブ予約不要*この料金で同時開催の展覧会をすべて観覧可能※同時開催:~ 2021年1月24日(日)『石橋財団コレクション選』(4階展示室)特集コーナー展示青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代 久留米をめぐる画家たち
2020年11月20日世間的にはモテないどころか、地雷臭を感じる女子っていますよね。でも、そういう「ヤバそう」な子が、案外彼氏に愛されているもの。そこで今回は「男性が一度ハマるとゾッコンになる女子の特徴」についてご紹介します。■ 自分だけを特別扱いしてくれる「俺にだけ別のお土産をくれるとか、あからさまに優しくしてくれるとか。女子からすると『そんな女やめとけ』って感じでしょうが、俺はコロッといっちゃう(笑)好意がわかりやすいのが、男からすれば安心なんです」(27歳/販売)もちろんグイグイくるアプローチを警戒する男性もいます。でも“特別扱い”となると、やはり優越感に浸れますよね。好意がわかりやすいので、男性もその子が気になりだすようです。周囲からは「そんな計算高い女やめておけ」と言われても、好きな気持ちが勝ってしまうみたいですよ。■ 軽いグチを言ってくれる「俺は根暗な部分があるので、常にポジティブな子が苦手。逆に、飲んだときに『仕事って疲れるよね(笑)』と軽くグチをこぼしてくれるような子に親近感を持っちゃう。こちらも素をさらけ出しやすいです」(33歳/営業)「笑顔でポジティブな子がモテる」なんて印象がありますが、人間なのですから常に明るくはいられません。彼のテンションを察して、ときにはダークさも出したほうが関係性も深まるみたい。もちろんずっとグチはNGなので、空気を読む力は必須でしょう。■ SNSで匂わせる「彼女は俺があげたプレゼントや二人の食事をSNSにアップする『匂わせ女子』。実は嬉しいんだよね。『プレゼント喜んでもらえてよかった。今度は何をあげよう』って思えたし。顔写真は載せたくない俺への配慮も嬉しい」(25歳/IT)女子ウケが悪い“匂わせ”がどうして減らないのか……。彼をアピールしてマウントを張りたいのはもちろんですが、その匂わせを一定数喜ぶ男性がいるからでしょう。逆で考えても、彼が自分の存在をSNSで匂わせたところで、そんなに悪い気がしない女性もいるのでは?なんなら匂わせ写真を載せることで、彼女が男性から言い寄られることも減ります。彼からするとそんなにデメリットもないのかも。■ 恋愛は常識が当てはまるわけではないみんなに平等にしましょう、グチはやめましょう、匂わせは印象が悪いなど……。どれも常識で考えればそうなのですが、恋愛で通用するかといったらまた別問題。むしろ周囲の目は関係なしに、自分が特別扱いされることに価値を見出す男性もいます。世間の常識ではなく、気になる彼には何が一番刺さるのかを知ることが、恋愛成就の秘訣かもしれませんね。(和/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年11月13日