「孤育て」について知りたいことや今話題の「孤育て」についての記事をチェック! (1/4)
「子犬が猫に育てられた場合」そんな説明がついた動画に大きな反響が上がりました。投稿したのは、7歳の猫のワッフルズくんと3歳のゴールデンレトリバーのメイプルちゃんの飼い主(thegoldenbreakfastclub)さんです。メイプルちゃんはワッフルズくんと暮らすうちに、だんだんと猫のような行動をするようになったのだそう。そこで飼い主さんは、メイプルちゃんの普段の様子を撮影して投稿しました。360万件の『いいね』が集まった動画がこちらです!@thegoldenbreakfastclub When your puppy was raised by a cat #fyp #foryou #cats #dogs #puppy #pets #animals #catsanddogs #dogsandcats #cute #funny #orangecat #goldenretriever ♬ FEEL THE GROOVE - Queens Road, Fabian Graetz「ソファの1番高いところでくつろぐ」「ケンカをする時は足を使う」「窓辺に座る」「犬用おもちゃより猫用おもちゃが好き」「ダイニングチェアの上に乗る」など、メイプルちゃんの行動は、まるで猫!ワッフルズくんと犬パンチで闘ったり、小さな猫用おもちゃを前脚でチョンチョンといじったりする姿は、まさしく猫そのものですね。この動画に大きな反響が上がったため、飼い主さんは第2弾を投稿しました!@thegoldenbreakfastclub Maple: our 70 lb cat #fyp #foryou #dogs #cats #catsoftiktok #dogsofttiktok #catsanddogs #catdog #dogsandcats #goldenretriever #onthisday ♬ Lil Boo Thang - Paul Russellダンボール箱の中に座ったり、ソファの背もたれに上ったり、ワッフルズくんが動くまで自分もフリーズしたり、一緒にかくれんぼをしたり…!猫っぽさが全開のメイプルちゃんに、見た人たちからは「猫にしか見えない」という声が上がりました。・犬がいた?2匹のオレンジ色の猫しか見えないんだけど?・窓辺に座っている姿がかわいすぎる!・うちの犬も同じ。猫と一緒にキャットタワーの上で昼寝をしているよ。飼い主さんによると、メイプルちゃんはワッフルズくんのことが大好きなのだとか。ところがワッフルズくんはメイプルちゃんのことを好きなのかどうか、たまに分からない時があるそうです。そんなやや気難しい猫のお姉さんに、メイプルちゃんは遊んでほしくて仕方がないようですね。今日も飼い主さんの家では、猫パンチと犬パンチのにぎやかな闘いが繰り広げられていることでしょう![文・構成/grape編集部]
2024年04月04日子どもが生まれてから、仕事が多忙で休日もなかなか家にいない夫との生活に孤育てを感じていた私。息子が1歳を過ぎたころにその生活に限界を感じ、夫婦で話し合いの末、私の実家近くに引っ越すことを決意しました。しかし引っ越しをしたあと、しばらくして望んでいた子育てのサポートが受けられない状況になってしまったのです……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 ワンオペに耐え切れず、引っ越しを決意私たち家族はもともと実家の隣接県に住んでいました。実家に帰るときは車で泊まりに行くという生活。日々感じる孤育ての現状に、できれば実家の近くに住み子育てのサポートをしてもらいたいという気持ちが強くなっていました。 仕事が多忙だった夫も、自分以外に私や息子が頼れる場所ができるなら……と、夫婦で話し合い引っ越しを決意。引っ越し当初は時間があれば孫との時間を作ってくれる実母に感謝をしていました。 現実は甘くなくて…理想が現実となった生活に変化が訪れたのは、私の祖父母の介護が深刻化したころでした。私は母子家庭で育ち、母には夫がいません。介護は母がひとりで引き受けることに。 実母は仕事の合間、休みも介護に追われるようになり、近くに住んでいてもなかなか会えない日々が続きました。私も自分のワンオペがつらいということを理由に、実母を頼りすぎていたのかも……と思い、頼ることを控えるようになりました。 介護も孤育ても乗り越えるために「実母には介護に専念してほしいから、甘えてはいけない」とはじめは考えていたのですが、なかなか会えない日々が続くなか、次第に、「逆に何か手伝えることはないか」と考えるようになりました。そして、「息子を連れて一緒に祖父母に会いに行けば喜んでもらえるのではないか?」と思ったのです。 母もその提案に賛同してくれて、息子を連れて会いに行くと祖父母も「ひ孫が会いに来た!」ととても喜んでくれる結果に。私も家族と一緒に子育てができることのありがたさを痛感するとともに、自分に余裕がなく受け身になっていたことに気が付きました。 特別なことは1つもなく、会えただけで双方が刺激をもらったという体験でした。その後、新型コロナの感染状況も踏まえてなかなか会えない日々が続きましたが、ひらがなを練習中の息子が手紙を書いたり、電話でおしゃべりをしたりと、家族との繋がりを工夫するように。それはこの体験がきっかけになっていると感じています。 監修/助産師 松田玲子著者:伊藤 美里3歳の男児の母。多忙な夫との3人家族で、ほぼワンオペ育児を楽しんでいる。料理と子どもが好きで、食に関する情報や自身の子育て経験を中心に執筆活動中。
2023年05月14日子育てに孤独を感じる「孤育て」。妊娠・出産・子育てに一人で向き合う多くのママたちが直面しています。長引くコロナ禍で、さらに閉塞感や孤独感が高まった人も少なくありません。そこでベビーカレンダーでは読者を対象に孤育てに関するアンケートを実施。浮き上がってきたのは、ひとりで向き合うことへの絶望感や悲しみの感情でした。それでも苦境から脱しようと立ち向かうエピソードも多数寄せられました。孤育てのリアルをお伝えします。読者から寄せられたなかで、最も目立っていたのは「夫の理解がない」と訴える声でした。夫の理解がなくても、「私が子どもを育てなくては」という使命感から、子育てに向き合うママたちの様子が伝わってきました。 ■Episode1協力すると約束したはずの夫が…近くの実母も頼れず孤独に(0歳男の子のママ)在宅夫はコーヒーおねだり&ソファでゲーム実家は車で15分の距離で、産後は里帰りする予定でした。でも、妹の子どもが学校から新型コロナウイルスを実家に持って帰るリスクなどを考え里帰りは諦めることに。夫は在宅勤務なので、夫婦で頑張って、どうしてものときは助けてもらおうとなったのです。 ところが夫は体質的に朝の目覚めが悪いせいもあって、自分のパン1枚すら焼かず、朝食が出てくるのを待つだけ。毎朝やると豪語した掃除機がけなどはたった1〜2回やっただけでした。日中はほぼ書斎から出て来ずコーヒーをねだり、暇なときはスマホゲーム。 私がお風呂の支度や家事で慌ただしく動いているときも、山のように動かずソファに座ってゲームをしている夫を見て、孤独を感じました。 近くに住む実家の母も頼れませんでした。私が夫の愚痴を言ってから「まず夫を動かせ」と手を貸してくれなくなりました。夫が会議で本当に動けないときも助けてもらえず。もうすぐ3カ月経ちますが、母は1度も助けに来てくれません。母がフリーの日にヘルプを要請したのに断られたときは、追い討ちを掛けて孤独を感じました。 諦める家事を増やし、夫に協力を要請して自分を少しラクに人に頼らないで回るよう、諦めてやらない家事をつくりました。窓のサンをきれいにする、玄関を毎日掃く、キッチンのコンロをきれいにする、洗濯物を畳むなどの家事は諦めました。 夫が唯一、食事だけは作ってくれます。というのも、夜泣きや授乳で眠れなくて、目を真っ赤にしてぼーっとしている様子の私を見て、「できることある?」って声を掛けてくれたのです。そのとき、「朝、パンを焼くだけでいいからやってほしい」と伝えました。そして同時に、寝られなくてつらいこと、それによってちょっとしたことでもつらくなることがあることを伝えました。すると夫は、元々得意な料理を頑張ると言ってくれました。 洗い物はしないし、キッチンも床も汚れるけど、大袈裟に反応して持ち上げ、常備菜も作ってもらうようにしています。 子どもが生まれたときの写真を見て活力にスマホに入っている子どもの写真を見て癒やされ、活力にしています。特に生まれたときの写真を見て、「この子は私が守り育てるんだ!」と思い返すようにしています。 ■Episode2あんたの子どもでもあるのに…!帰宅は月に数回の夫(1歳男の子のママ)ブラック企業勤めで多忙な夫は子どもに無関心夫はブラック企業で超絶忙しく、いつ帰宅するのか分からない日々でした。年度末、夫の希望で里帰り出産から戻ったのですが、その月、夫は2回しか帰って来ませんでした。 子どもの様子などLINEしても数日既読にならないのはザラ。初めての子育てにたったひとりで向き合いました。一番成長する時期に夫と感動を共有できなかったのは悲しかったです。 あんたの子どもでもあるのに……。 「あ。私を助けてくれる人はいない」洗剤がひっくり返って大泣きした日伝い歩きがじょうずになったころ、お風呂前に子どもの服を脱がし、うんち漏れの服を洗っていました。そのとき、子どもが立ち上がって洗剤が床に。洗濯機の防水パンにも広がってしまいました。洗面所では子どもが洗剤の上を立ち上がっては滑って、また滑ってを繰り返してギャン泣き。洗剤を置く位置が甘かったと反省しつつも、耳につく大きな泣き声、後片付け、うんちの付いた洗いかけの服――。目の前に広がる光景に、声を上げて大泣きしてしまいました。何かの糸が切れた瞬間でした。 夫に頼れない。結局つらくてもひとりでするしかない。現実の小さなストレスが溜まりに溜まって爆発したんだと思います。「あ。私を助けてくれる人はいないんだな」って気付きました。 夜泣きが激しくなっても知らん顔の夫。限界感じて実家へ生後6カ月ごろから急に夜泣きするようになりました。 1時間大声で泣くなんて日常茶飯事で、2時間くらい連続で泣くこともあり、それが朝まで繰り返されていました。月に数回しか帰宅していなかった夫は、夜泣きが始まると社員寮に泊まるように。あからさまな態度が腹立たしく、悲しくなりました。 私はとうとう実家に泣きつき、1カ月半ほど実家へ帰ることに。実家の両親や兄弟は在職のため、家事の量は非常に増えましたが、精神的な安定感が得られたのか、子どもも再び生活リズムが戻りました。 気晴らしをしようと支援センターに行きましたが、親しい間柄ではないので気を使って疲れます。仕事が好きなわけではないですが、今は復職が一番の楽しみです。 ■Episode3夜泣きをあやす私に背を向ける夫。諦めることで気持ちに折り合い(2歳女の子のママ)一番頼りたい人に見放されたような絶望感夫は出産当初から深夜までの残業がある上、新生児は怖くて触れず、ほぼ育児にはノータッチでした。両実家とも遠方で、コロナ禍の影響もあってママ同士の横の繋がりもなく、100%ワンオペ育児です。 強く孤独を感じたのは、娘がまだ首も座らない生後2カ月のころ。今もですが、出産時から夫は夜起こされるのを嫌がり、ひとりリビングで寝ていました。夜中に泣き止まないので、娘を抱いてリビングを通ってベランダへ出たとき、リビングで寝ていた夫はうるさいとばかりに寝返りを打って、こちらに背中を向けて再度寝たのです。 泣いている娘以上に泣きたくなりましたし、心底「育児がつらい」と思いました。首が座らない赤ちゃんを抱いたまま窓を開けるだけでも大変なのに、なぜ一番頼りにしたい人にこんな仕打ちをされなければならないのか……。そう思うとつらくてたまりませんでした。 孤独はいまだに解消されていませんが、諦めることで自分の気持ちと折り合いをつけています。 保育園への送迎はいつも私。つい、他の家庭のパパと比べてしまう…娘がまだ0歳のうちに、保育園に預けることになりました。 久しぶりの社会復帰、新しい環境というだけでもそれなりの負担がありましたが、そんな状況でも夫は一切手を貸してくれませんでした。 フレックス勤務なので、出勤はいつも午前10時過ぎ。園に送る余裕くらいあったかと思いますが、私が出勤前の午前8時に連れて行き、お迎えは駅から走って午後6時のお迎え時間に間に合わせていました。 他のご家庭と比べてはいけないと思いつつ、送迎時にパパが来ていると、なぜうちは……とつらかったです。 その後コロナの影響で夫の会社が在宅推奨となり、自宅にいるようになったため、交渉して送迎は協力してもらえるようになりました。 孤育てのつらさを共有したい…ワンオペ育児のつらさを共有できる人がなかなかおらず、寄り添ってくれる人がいないときは孤独を感じます。イライラして娘に当たってしまったり、どうしようもなくなって涙が止まらなくなることもあります。 誰かに置かれた状況を話しても、「そういう時期だからね~」と軽く流されてしまうととてもつらいです。野菜や魚が大好きなので、八百屋さんや魚屋さんに行って気晴らししています。なかなか実現できないけれど、田舎に帰って自然の風景に癒やされたいです。 育児で一番大変な時期に夫の理解がないのは、本当につらいもの。ひとりで抱え込んで倒れてしまう前に、声をあげて助けを求めてほしいと願っています。各自治体によって違いはありますが、子育て支援サービスなどを活用するのも一案です。どうか育児を頑張るすべてのママたちが笑顔になれますように。 文・編集/大楽眞衣子 著者:ライター 大楽眞衣子
2023年04月20日わが家は中学1年生の長女、小学5年生の長男、生後7カ月の次女と私と夫の5人家族。夫の仕事は24時間体制。夫は朝出勤して次の日の午前中に帰ってきます。休みの日は私と子どもたちを置いてひとりで出かけてしまうので、不在。そして育児や家事にも、非協力的……。3人の子どもたちの年齢差が大きく、生活リズムがそれぞれ異なるので、私は「孤育て(孤独な孤育て)」に疲弊していました。毎日部活の長女と、夜中に覚醒する次女長女は中学校に入学して運動部に入りました。ほぼ毎日、朝練と午後の部活動があるため、午前6時30分に家を出て、夏は午後7時に帰ってきます。小学生の長男はもともと早寝早起き体質。午前5時に起床し、午前7時30分に家を出て午後8時には夢の中です。 生後7カ月の次女はまだ生活リズムは安定していません。午後8時には寝ますが夜泣きをすることが多く、午前3時ごろから2時間くらい起きている日もよくあります。このような感じで、わが家の中学生、小学生、乳児の生活リズムはバラバラです。 長女に合わせると、長男次女が…とくに大変なのは、平日の夜です。長女が帰ってくる時間に合わせたリズムにすると、長男次女に負担がかかるのです。長女が中学に入るまで、夕食は午後6時に子どもたちみんなと私で食べていました。お風呂は夕食後に、それぞれ順番に入っていました。もちろん私と生後7カ月の次女は一緒です。 毎回長女がひとりで夕食を食べる状況になってしまっていました。そこで、長女に合わせて食事を午後7時にずらしたところ、長男、次女のどちらか後にお風呂に入る方は、眠気に負けて入れなくなってしまったのです。かといって、長男は私と一緒に入るのは恥ずかしいでしょうし、長男、次女、私が3人で一緒に入るというわけにはいきません。長女は、ひとりで夕食を食べたくないと言います。しかし、生活リズムを整えようとしている次女の生活を大きく崩すこともためらわれますし、いろいろなことがうまくいかず、とても悩みました。 考えた末…みんなのスケジュールをもとに、どうしたらいいか考えてみました。 考えた末、まずは午後5時に次女の離乳食を食べさせることにしました。食べるのが次女ひとりになってしまうので、私もテーブルについて「どんな味かな?」「おいしいね」などと声をかけるようにしています。これまでは午後6時に食べていたので、時間的にはそこまで大きく変わらず、次女の食欲にも変化はありません。 次女が食べ終わったら、私と次女が入浴します。お風呂から上がったら、夕食を準備。だいたい午後7時ごろ夕食ができあがるのですが、そのころにちょうど長女が帰ってきます。私と長女と長男で夕食を食べて、その後、長男はお風呂へ入り、私は次女を寝かしつけます。これで長女は孤食にはならず、長男も次女も、お風呂に入ってから就寝できるようになりました。 中学生と小学生と乳児ではこんなにも生活リズムが違うのだということを改めて実感した出来事でした。子どもたちには食事を楽しくとってほしいですし、入浴して体を温めてからぐっすり眠ってほしいと思っています。ただでさえ孤育てで大変なのに3人の生活リズムが違うので、私は息つく暇もなく動き回らなくてはいけません。けれど子どもたちの笑顔が見れると癒されます。これからも子どもたちの笑顔のために頑張っていきたいと思います。 著者:樋口 みき13歳と1歳の女の子、10歳の男の子を育てる母。離婚、婚活を経験し、ステップファミリーとして生活。年の差きょうだいの生活スタイルの違いに翻弄されつつ、パワフルに生きています。
2023年04月15日妊娠中に将来のことを話し合って転職した夫。慣れない職場や現場仕事で心も体も疲れているだろう……それでも余裕があるときには私の大変な状態を見て助けてくれると思い、なかなか自分から助けを求めることができませんでした。そんな私が初めて助けを求めたときの夫の態度は、想像していたものとは違っていたのでした……。育児の不安を誰とも共有できない孤独産後の入院時は看護師さんや助産師さんのアドバイスを受けて、わからないことも不安に思うこともすぐに解決できました。しかし、退院してからは周りに知り合いもおらず両親も遠方のため、誰からもアドバイスを受けることができませんでした。 小さな変化や不安を解消することができず、息をしているのか、ミルクが足りているのか、部屋の温度湿度は大丈夫か、おしっこの量は少なすぎないか、この症状はなんだろう……。そう悩んで携帯とにらめっこしながら、なんとかひとりで新生児と向き合っていました。 唯一頼れる夫へ助けを求めると……仕事をして私たちの生活を支えてくれている夫のことはわかっているけれど、自分のことはすべて後回しにして小さい命をひとりで守っている私の不安もわかってほしい。そう思いながらも、仕事から帰ってきたらまず自分のことを済ませ、私の話もそこそこに仕事の愚痴を吐いて寝てしまう夫に、疲れているだろうからと何も言えず、ワンオペ生活を繰り返す毎日でした。 また、義両親が近くにいるものの、余裕がないなかで義両親に気を遣うことにも疲れてしまい、実の両親へ甘えるように頼ることはできませんでした。 そうして過ごしていた生後1カ月ごろ。何をしても夜泣きがおさまらず、寝不足やストレスがピークになっていた私は、たまたま起きてきた夫に「助けて」とお願いしました。ところが、返ってきた言葉は「疲れているからムリ」でした……。 ひとりで育てる決心ムリと言い放ち、本当にそのまま寝てしまった夫に苛立ちと怒りと悲しさで涙が出てきました。しかし、そんなことはおかまいなしに泣き続ける子どもを見て、助けてもらえないならひとりで育てるしかないと決心し、気持ちが吹っ切れたのを覚えています。 夫はいないものとし、会話もなくなり離婚も考えましたが、子どもがなんとか繋いでくれていました。ワンオペに対する不満や、わかってもらえない苦しさを意識すると心が折れてしまいそうになります。そのため、子どもが生きていればいいという気持ちで壊れそうな新生児時期を過ごしました。 生後3カ月が過ぎるころには育児にも少し慣れ、赤ちゃんの爆発的なかわいさに癒やされながら過ごしました。夫と育児の不安や喜びを共有できないのはとてもつらいですが、子どもの笑顔も成長もちょっとした一瞬も私のもの、という意地悪な気持ちを持てたのがよかったのかもしれません。 著者:斎藤なおみ/女性・主婦。4歳のひとりっ子園児の母。知人のいない夫の地元で、義実家と敷地内同居をしながら子育てに励む。好きな言葉は「大丈夫」「しょうがない」。 ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
2023年04月05日私たち夫婦は、お互いの実家から遠いところに住んでいるので、両親を頼ることができません。また、私自身も仕事を始めてから住んでいる場所なので、ほとんど友だちもいない中での孤育て。孤独や不安を感じていた私ですが、ある出来事をきっかけに一気に世界が開けたのです……! 知り合いのいない中での孤育て私が住んでいる場所は、夫婦ともにお互いの実家から距離があり、頼るのが少し難しいところです。就職してから引っ越して暮らしている場所なので、あまり気軽に連絡できる友だちもいません。 初めてのお産は、私の実家での里帰り出産にしたのですが、産後1カ月で自宅に戻りました。平日は夫は仕事で朝から晩までいないので、まだ生後1カ月で寝ているだけの娘との2人だけで過ごす日常が始まりました。私は保育士とはいえ、初めてのわが子。ひとりで何かと不安だったのを覚えています。 ひたすら散歩する日々にモヤモヤ娘はベビーカーに乗るとよく寝てくれたので、平日は朝の家事が終わると、ベビーカーに乗せて毎日のように散歩に行っていました。スーパーで買い物をしたり、用もないのに100均をうろうろしたりして過ごす日々。昼ごろに家に帰ってから、まだおしゃべりもできない娘と過ごす時間は、とても長く感じていました。 もちろん娘はとてもかわいいし、一緒に過ごす時間は幸せでした。でも日中で大人と話す時間はスーパーのレジぐらい、という日々が続き、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが続いていたのも事実なのです。 地域の交流会に参加してみると…モヤモヤした気持ちで過ごしていたのですが、娘が生後3カ月になるころに、地域で同い年の子どもと親が集まる交流会があると知り、参加してみることにしました。そこでは、娘のこと、家のこと、いろいろとみんなで話すことができ、私の気持ちも少しすっきりしたのです。 その場で数名の方と連絡先を交換し、みんなで定期的にごはん会をしたり、児童センターに遊びに行ったりするようになり、友だちと呼べる人たちが増えていきました。お互いの家にも遊びに行くほどの仲になった人もいて、とても良い機会に巡り会えたなと思っています。 知り合いがいない中での孤育ては、はじめはとても不安で仕方なかったです。しかし、交流会に参加してみて、一気に世界が開けて孤独ではなくなった気がしています。本当は参加するのも不安で、みんなと話せるかな、大丈夫かなと思っていましたが、思い切って参加してみるとみんなフレンドリーに受け入れてくれて、本当に参加してよかったなと思っています。 作画/大福 著者:北川なつみ5歳、3歳、1歳の3姉妹の子育て真っ最中のママ。保育士として約10年認可保育園に勤務し、現在は育休中。子どもたちと毎日たくさん笑って過ごしたいと、日々子育てに奮闘中。
2023年03月30日夫の転勤で、娘が1歳3カ月のときに関西から、縁もゆかりもない関東へ引っ越すことになりました。毎日のように残業があった夫の帰宅時間は、娘の寝かしつけが終わったあと。必然的に、育児はワンオペで、私は孤育て状態に。幸い、引っ越し後にすぐに私の仕事が見つかったものの、慣れない育児、誰も知り合いがいない環境、新しい仕事……。私は孤独な気持ちに押しつぶされそうになっていました。 このままだと、私の心が先につぶれてしまう娘をこども園にお迎えに行って、食事やお風呂を済ませて寝かしつけるまで、毎日すべて私ひとりでおこなっていました。私が目を離すと、娘はすぐに泣き出してしまうため、チラチラと娘の様子を見ながら急いで晩ごはんを作り、とにかくまずは娘に食べさせる。先に娘をお風呂に入れて歯を磨き、絵本を読み聞かせます。寝かしつけが終わったあとに待っているのは、山積みの家事……。一瞬も心が休まらず、常に時間に追われ、どんどん私の心が疲弊していくのがわかりました。 転職後、ドキドキの昼休み新しい会社で働き始めて1週間ほど過ぎた日の昼休みのこと。昼食をとるために部屋を移動すると、そこには初めて会う女性がいました。ドキドキしながら話かけてみると、大学生になるお子様がいると教えてくださり、「子どもが小さいときにたくさん助けてもらったから、今度は私が頑張って働いているママのことを応援したいと思っている」と言われました。その言葉に私は、「ひとりじゃなかったんだ」と、ただただ泣きたい気持ちになったのです。 先輩ママのアドバイスは超有益だった!さっそく、忙しすぎて毎日の食事の用意に困っていた私は、「何か簡単なレシピを知りませんか」と聞いてみました。すると、「レシピというわけではないのだけれど、圧力鍋調理が絶対おすすめ。時短にもなるし、素材の味が生きておいしくできるよ」とアドバイスが。 圧力鍋は、結婚祝いにもらったものの、ほとんど使っていませんでした。そこで、この言葉をきっかけに圧力鍋で煮物を作ってみたところ、圧力がかかると火を止められることに気が付きました。火を止めている間は鍋から離れることができるので、その間にほかの家事ができるように。 大人と話をするだけで、家事や育児のヒントが得られるだけでなく、こんなにも気分が晴れやかになるんだと気がついた私は、自分から積極的に会社の人に話しかけるようになりました。誰かと話をすることで、ひとりで悩んでいたことが、どんどん解決していったからです。待っていても何も変わらない、とにかく自分から動けばいいんだと思った体験でした。 作画/Michika著者:西垣かおり7歳女児のママ。元転勤族の妻で、子どもは1人だが、3度の保活経験あり。縁もゆかりもない街で戸惑いながらも、初めての子育てを楽しんだエピソード中心に執筆中。
2023年03月29日私は結婚を機に専業主婦になりました。夫は仕事が忙しく、育児はほぼ私ひとり。近くに頼れる親戚も友だちもおらず、「孤育て」状態。誰にも頼れない中、育児書を読んでそのとおりに頑張っていたところ、ある日限界を感じる瞬間が……! そんなときふと目に入った、ある物に救われたのです。これが、私の省エネ育児の始まりでした。 孤育て中、「離乳食は手作り」にこだわっていた私夫は仕事が忙しくて、育児はほぼ私ひとり。さらに周りには頼れる親戚や友だちもいないので、私は「孤育て」状態の毎日でした。そんな中、初めてのわが子に初めての離乳食をあげる日がやってきたのです。私は離乳食のレシピ本を読んだりレシピサイトを検索したりして、栄養が偏らないように、いろいろな食材を食べられるように、好き嫌いがないようにと毎日離乳食作りに奮闘していました。 しかし、息子が2歳のとき、第二子である娘が生まれてからのことです。今までひとりで子育てを頑張っていましたが、ふとそんな自分に疲れてしまう瞬間がやってきたのです。 私の省エネ育児はこうして始まった!娘が生後10カ月になると、娘の離乳食が3回になったことに加え、夜泣きをするようになり、私の疲労はMAXに。そのため離乳食作りがとても大変と感じるようになりました。 そんなとき買い物中にスーパーでふと目にしたのは、市販のベビーフード。これまで離乳食は手作りで頑張ってきましたが、このとき初めて市販のベビーフードを使ってみることに。すると……その便利さに感動! 種類にもよりますが、そのまま食べられるものが多く、栄養バランスも良くて、自分では使わない食材も入っている。こんな便利な物があったのか……!と、この便利さに気づいてからは積極的にベビーフードを利用するようになりました。これが私の省エネ育児の始まりでした。 ベビーフードを取り入れた結果…それから3年後、第三子である次男の離乳食では市販のベビーフードを積極的に活用するようになりました。 特に上の2人の子が夏休みなど、長期休暇の時期は毎日3食作るのが大変なのでベビーフードが大活躍です。ベビーフードのストックをいくつか買っておいて、「今日は疲れたな」というときに使用します。 ベビーフードをストックしておくことで、料理が苦手な夫にも休みの日に子どもたちを任せて出かけられるようになりましたし、自分の精神的、肉体的な負担が軽減されるようになりました。 私はベビーフードは赤ちゃんのためだけではなく、自分のためのものだと思っています。子どもたち3人を育てていく中で、頑張ることも大事だけれど、頑張らずに自分の負担をじょうずに減らして省エネすることも大事だと気づきました。私にとって市販のベビーフードは、手作りの負担を軽減してくれるだけでなく、自分自身の気持ちを安定させてくれる貴重な存在でした。 イラストレーター/ライコミ著者:小山田ちよえ2男1女の母、アラフォー主婦。夫の仕事が忙しく平日はワンオペ育児に奮闘中。チョコレートとパンが大好き。復職に向けて資格取得を目指している。
2023年01月27日わが家には、小学生の娘と幼稚園児の息子がいます。もともと人の目を気にする性質であり、甘え下手の私は、家事、育児についても完璧主義に近いところがありました。妻は、母は、こうでなくてはいけない、そんな呪縛を抱えて生きていました。そこへ、突然の夫から突き付けられた「離婚」。こうして私の孤育て生活が始まったのです……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 理想の家族から一転、完全な孤育てへ約2年前まで、わが家はごく普通の4人家族でした。夫は自営業で多忙だったため、専業主婦の私が家事も育児もほぼ100%おこなっていました。 そのことで夫には多少の不満はありましたが、それを口には出さず、「夫は仕事を頑張ってくれているのだから、私は家事と育児を完璧にこなさなければ」と、必要以上に完璧を目指していたように思います。それが自分の使命であり、理想の家族の形とも思っていたのです。 ところが、ある日突然夫から、離婚をしたいと言われてしまい、そこから夫とは完全に別居することになりました。実家は遠くはないですが、父は他界し、母は仕事をしているので、簡単には頼れません。そこから完全なる孤育てが始まりました。 家事育児が放棄ぎみになると…夫と別居後しばらくは何もする気になれず、家事・育児放棄にも近い、必要最低限のことしかしない日々が続きました。ですが、そんな日々のなかで気づいたことがありました。 子どもたちがそれぞれ、今までなら当たり前のように私がおこなっていたことを、自分なりに頑張ってするようになったのです。それを見てハッとしました。子どもたちには親が思っている以上に力があり、母親の私がしてあげなければと思っておこなっていたことの多くは、ただ先回りしておこなってしまっていただけなのかもしれない……と。 そして、これまで私はいろいろやりすぎていたのかもしれない、完璧主義は自己満足に過ぎなかったのかもしれないと思うようになりました。 わが家の省エネ育児現在は、家事も育児も「無理しないを頑張る」をモットーにおこなっています。これは私の性格と事情を知っているママ友からのアドバイス。 ついつい無理してでも全部やり切ろう! となりがちなので、優先順位をつけて、今日絶対におこなわなければいけないこと以外は明日以降にまわす、もしくはおこなわない(おこないたいけれど諦める)、という選択肢を持つようにしました。 食事は大切ですが、今は自炊にはこだわらず、余裕のないときは出前をとって、料理に割く時間を家事や子どもの相手にまわします。ただし省エネは心がけていてもすべて省くのではなく、季節の行事やお誕生日などのイベントごとは大事にしたいので、張り切って飾り付けや料理もしています。 また、いざというときのためにファミリーサポートや民間のシッターサービスにも数社登録して、信頼できるママ友には事情を隠さず話しました。助け合いであれば、甘え下手の自分でもいざというときに甘えやすくなるのかな、と思って、ママ友のお子さんたちのことも積極的にお預かりしています。 省エネ孤育てのメリット省エネ孤育てにはメリットもたくさんあります。 まず、これまで夫を優先したり気をつかったりしていたことがすべて、子どもたち優先、中心にできるのです。省エネのために、朝は子どもたちと同じ時間に起きて、夜は子どもたちと同じ時間に寝てしまうこともあります。また子どもたちには、「大人はママしかいないから家族みんなで助け合わないとね」と話しているのですが、家族の一員としての自覚が強くなったようで、お手伝い、というよりも自分のこととして、主体的に動いてくれるようになったように思います。 それから、インテリアも子ども中心に変え放題です。コロナ禍では難しいけれど、平日でも週末でもいつでも家にお友だちを呼べるし、家では人目を気にせずダラダラできるし、本当に自由で気楽なのです。 現在夫とは離婚協議中なので、孤育てはこれからもずっと続いていくことになります。孤育て、がふと寂しく感じるときもありますが、私にとって子どもたちは宝物。家事・育児の省エネ化は、子どもたちと笑顔で過ごすために私に必要なことだったと感じています。もっともっと省エネを追求して、バランス良く家事育児をこなしていけるようにしていきたいと思っています。 著者:坂井香子おだやかな娘とわんぱくな息子の母。夫は別居中のため、完全ワンオペ育児奮闘中。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2023年01月11日私は里帰り出産を希望していましたが、コロナ禍の影響で実家へ帰ることを断念。また、義実家とわが家は車で1時間ほどの距離ですが、義両親も仕事をしているため頼ることが難しい状況でした。第1子となる男の子を出産しましたが、息子はよく泣く子で常に抱っこをし続ける状態……。心身ともに疲れ切っていたそんなとき、ある育児用品を活用しようと思い立ったのです!現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 夫と子育てを頑張ろうと思ったものの…私の実家は遠方にあり、義両親は2人とも仕事をしていて、育児を誰かに頼ることが難しいため、私は夫と話し合い夫婦で協力して子育てをしようと決めました。産後、私と息子が退院してから1週間、夫は仕事を休んでくれ家事と子育てのサポートを本当によくしてくれました。 しかし夫の1週間の休みが終わると、日中は誰も頼れる人がいないため私ひとりで息子のお世話と家事をすることに。夫は休んでいた分の仕事が溜まっており、残業が長引くことや、出産祝いという名の飲み会に上司や友人から連日誘われ、夜遅くに疲れて帰ってくることが多くなりました。 息子は毎日夕方の17時~22時まで何をしても泣き続けるため、産後まだ回復していない体にムチを打ち、私は何時間も息子を抱っこをしてあやしたのです。本当に誰かに頼りたい産後すぐの時期と時間帯に、誰にも頼ることができない、“孤育て”の日々が続きました。 自分の時間がまったくとれない息子はとてもよく泣く子で、抱っこが大好きな甘えん坊でした。息子の泣き声を聞くと私はどうしようもなく悲しくつらい気持ちになり、なんとか泣き止ませようと抱っこをして、必死にゆらゆら体を動かし家中を歩き回ったのです。 まだ産後のダメージが残る体で育児をすることや毎日の寝不足も大変でしたが、私は息子をずっと抱っこしていることで自分の時間がまったくとれないことが本当に嫌でした。好きなドラマを見たり、ゲームをしたり、SNSをチェックしたりする時間を諦めてからは、自分のごはんやトイレの時間さえもついつい犠牲にしてしまうように。 私は徐々に何に対しても無気力になり、気付くと息子を抱っこするのも嫌になってしまったのです。 人に頼れないから物に頼ってみた結果自分の心が死んでいくような感覚に陥り、このままではいけないと妊娠中から購入しようか悩んでいたバウンサーをついに買うことにしました。バウンサーがわが家に届き、さっそく息子を乗せてみると見事にギャン泣き。息子には合わなかったと一時はバウンサーを押し入れに封印しようかと思いましたが、何をしても泣き止まないときは使ってみることにしたのです。 息子の安全をしっかり確保したうえで、私は足でバウンサーを揺らしながら、イヤホンをして好きな音楽を聴きつつお菓子を食べたり、録画しておいたドラマを少しの間見たりしました。休憩時間ができたことで少しずつ心が生き返ったのを覚えています。 さらに息子を乗せたバウンサーごといろいろな場所へ移動できるので、安心して料理やトイレ、食事ができ、育児が少しラクになったのです。孤育て中の私にとって、バウンサーはなくてはならない相棒となりました。 いつの間にか私は、自分が思い描いていた理想のママになろうと頑張り過ぎていました。息子の安全が確保できているなら少しの間泣かせていても大丈夫、という気持ちでバウンサーに頼ったことで、私の気持ちに余裕が生まれたのです。孤育てだからこそいろいろな物に頼り、工夫をして育児を楽しもうと思えた出来事でした。 ※赤ちゃんをバウンサーに寝かせるときは、必ずシートベルトを装着して安全を確保し、目を離さないようにしましょう。 監修/助産師REIKO著者:米久 熊代1歳児男児の母。人材会社や人事の仕事を経験し、夫の転勤を機に退職。現在はフリーランスとして前職関係の仕事とライターをしながら、プレママ・新米ママ向けブログを運営中。
2022年09月26日現在5歳になる第1子を妊娠しているとき、夫の転勤で遠方に引っ越しをしました。初めての出産、育児で不安だらけ。土地勘もなく知り合いもいない場所で、頼れるのは夫だけ。その夫も海外出張などでいないことが多く、孤独を感じていました。妊娠中の引っ越しで苦労したこと、どのように乗り越えていったかをお伝えします。現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 妊娠中の引っ越しで経験した孤独感わが家は夫の転勤のため、第1子妊娠8カ月のときに遠方へ引っ越しました。そのころはおなかもかなり大きく、体を動かすのが精一杯。新しい土地のこともよくわからないため、きちんと子育てできるのか不安でした。そこで私は引っ越し先で知り合いを作るべく、マタニティヨガに申し込みました。 しかし、引っ越しのストレスなども重なって体調が優れなかったため、医師から許可がおりず、家の中で悶々と過ごしていました。引っ越し前に教わったヨガを思い出しながらやってみましたが、ふと孤独感に襲われていました。 そんななかでも、同じ時期に出産予定の旧友とSNSで情報交換することで、少しだけ不安や孤独を紛らわせることができました。 外へ出て、リフレッシュを試みると……長女を出産し、生後3カ月を過ぎたころから、お散歩をするようになって少しずつ外に出かけるようになりました。買い物など、少しでも外に出ることで親子ともにリフレッシュになっていたと思います。 長女が生後5カ月を過ぎたころから友だちが欲しくて近所の児童館にも行ってみました。しかし、周りは1歳くらいの子どもが多く、生後5カ月の長女を何で遊ばせたらよいものか悩んでしまいました。 私はもともと人見知りであるため、自分から声をかけることができませんでした。スタッフの方が親切に声をかけてくださいましたが、長女が泣いてしまい、あまり話せずに帰宅しました。子育てサロンなどでも、すでにママ友同士の輪ができていて、輪に入っていけない自分に嫌気がさしてしまい、リフレッシュにはなりませんでした。 頼りの夫が海外へ出張長女が生まれてから、夫は早く帰宅し、夕飯の支度をしてくれたり、お風呂に入れるのを手伝ってくれたり、何かと協力してくれました。話も聞いてくれて、長女の夜泣きがひどくて私がイライラしてしまっているときは、私の代わりに朝までずっと抱っこひもで長女を抱っこしてくれて、とても頼りにしていました。 しかし、月に1度、1週間から2週間ほど海外出張があり、その期間は孤独な子育てでした。ファミリーサポートの方が来てくださいましたが、朝から晩まで長女と2人きりの状態になると、不安と孤独感でいっぱいでした。 家族でのおでかけと、周囲の方の声かけが救いベビーマッサージや子育てサロンなどに参加しても周りのママたちと打ち解けられなかったため、足が遠のいたままになっていました。週末に夫がショッピングモールや動物園に連れて行ってくれることが、私の唯一の楽しみでした。 また、予防接種のときに病院のスタッフさんたちがでやさしくしてくださったり、散歩中に年配の方が声をかけてくださったりするのが救いでした。結局友だちはできずに、長女が生後7カ月になったころ。再び夫の転勤が決まり、遠方に引っ越しました。 初めての出産は期待と不安でいっぱいで、さらに引っ越しが加わってしまい、私は精神的に追い詰められていました。SNSで旧友などと情報共有することで、なんとか孤独な日々を乗り越えることができました。また、産後の健診や予防接種などで人と話すことで孤独が少しまぎれたように思います。近所を散歩していたときに声をかけてくださった方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。 監修/助産師REIKO著者:大葉香苗5歳と2歳の2児の母。転妻歴10年。慣れ親しんだ土地から離れ、アウェイ育児の真っ最中。趣味は折り紙と工作。
2022年07月11日転勤が少ない部署だと聞いていた夫からまさかの転勤の話。子どもはまだ生後半年で私は育休中の身……。長年勤めた仕事を辞めてついていくべき? 見知らぬ土地で新しい仕事は見つけられる? そもそも、子育てしながら仕事は続けるべき?家族にとって正解はどれなのかと、私は悩んでしまいました……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 突然の辞令で転勤に夫の会社は全国転勤が多い会社だったのですが、夫の部署でこれまで転勤している人はおらず、ずっと転勤はないだろうと結婚前から夫と話していました。それが、子どもが生まれて生後半年になったころ、転勤に。背景にはほかの方の人事問題があったようですが、まさかの、育児が大変な時期の転勤辞令。そして私は育児休業中というタイミングの悪さでとても悩みました。 1番気がかりなことは夫の転勤について行く場合に、一番気がかりなのは自分の仕事のことでした。長く勤めていた会社だったので、職場復帰後は時短勤務にして子どもは保育園に預け、送り迎えは私がする予定でした。しかし、新しく仕事をするとなると、いきなり時短勤務で採用してもらえるだろうか、パートで仕事を探すことになるのだろうか、周りにサポートをしてくれる人もいない土地で仕事を見つけられるのだろうか……と、不安に襲われてしまいました。 「子どもが体調を崩したときは…?」子育てママの転職事情を調べてみました。やはり子どもが小さいと体調を崩すことも多いので、子どもを誰がみるのか面接で聞かれたという話が多くありました。夫の勤務先についていくと、私が子どもをみるしかないので、採用面接で落とされるのでは? という不安がまたまたのしかかってきました。こうやって考えると育児は夫婦だけでは本当に手が足りないように感じます。調べれば調べるほど、今の仕事を辞めてついていくのが不安という気持ちに陥りました。結局、育休が終わるまでは夫には単身赴任をしてもらい、育休中にゆっくり考えることに。 子どもが生まれてから、働き方でこんなに悩むとは思いませんでした。転勤辞令がきっかけではありますが、「育児プラス仕事」の生活がそもそも自分に可能なのかも考えるように。自分に余裕がなくなると、子どもにあたってしまいます。子どもの成長とともに大変さも変わってくるのかもしれませんが、今のところ育児の大変さは子どもがいなかった会社員時代に私が想像していた以上です。子どもが手がかからくなるまで仕事をセーブすること、仕事復帰してみて様子を見ることなど、どれが正解かはわかりませんが、じっくり考えて夫婦で話し合い、自分たちが選んだ道を正解にしていけたらいいなと思います。著者:横山 洋子2歳児のアクティブな男の子ママ。ライター、動画編集者として活動中。
2022年05月26日子どもが生まれてから、仕事が多忙で休日もなかなか家にいない夫との生活に孤育てを感じていた私。息子が1歳を過ぎたころにその生活に限界を感じ、夫婦で話し合いの末、私の実家近くに引っ越すことを決意しました。しかし引っ越しをしたあと、しばらくして望んでいた子育てのサポートが受けられない状況になってしまったのです……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 ワンオペに耐え切れず、引っ越しを決意私たち家族はもともと実家の隣接県に住んでいました。実家に帰るときは車で泊まりに行くという生活。日々感じる孤育ての現状に、できれば実家の近くに住み子育てのサポートをしてもらいたいという気持ちが強くなっていました。 仕事が多忙だった夫も、自分以外に私や息子が頼れる場所ができるなら……と、夫婦で話し合い引っ越しを決意。引っ越し当初は時間があれば孫との時間を作ってくれる実母に感謝をしていました。 現実は甘くなくて…理想が現実となった生活に変化が訪れたのは、私の祖父母の介護が深刻化したころでした。私は母子家庭で育ち、母には夫がいません。介護は母がひとりで引き受けることに。 実母は仕事の合間、休みも介護に追われるようになり、近くに住んでいてもなかなか会えない日々が続きました。私も自分のワンオペがつらいということを理由に、実母を頼りすぎていたのかも……と思い、頼ることを控えるようになりました。 介護も孤育ても乗り越えるために「実母には介護に専念してほしいから、甘えてはいけない」とはじめは考えていたのですが、なかなか会えない日々が続くなか、次第に、「逆に何か手伝えることはないか」と考えるようになりました。そして、「息子を連れて一緒に祖父母に会いに行けば喜んでもらえるのではないか?」と思ったのです。 母もその提案に賛同してくれて、息子を連れて会いに行くと祖父母も「ひ孫が会いに来た!」ととても喜んでくれる結果に。私も家族と一緒に子育てができることのありがたさを痛感するとともに、自分に余裕がなく受け身になっていたことに気が付きました。 特別なことは1つもなく、会えただけで双方が刺激をもらったという体験でした。その後、新型コロナの感染状況も踏まえてなかなか会えない日々が続きましたが、ひらがなを練習中の息子が手紙を書いたり、電話でおしゃべりをしたりと、家族との繋がりを工夫するように。それはこの体験がきっかけになっていると感じています。 監修/助産師 松田玲子著者:伊藤 美里3歳の男児の母。多忙な夫との3人家族で、ほぼワンオペ育児を楽しんでいる。料理と子どもが好きで、食に関する情報や自身の子育て経験を中心に執筆活動中。
2022年05月15日子育てに孤独を感じる「孤育て」。妊娠・出産・子育てにひとりで向き合う多くのママたちが直面しています。長引くコロナ禍で、さらに閉塞感や孤独感が高まった人も少なくありません。そこでベビーカレンダーでは読者を対象に孤育てに関するアンケートを実施。浮き上がってきたのは、ひとりで向き合うことへの絶望感や悲しみの感情でした。それでも苦境から脱しようと立ち向かうエピソードも多数寄せられました。孤育てのリアルをお伝えします。周囲の助けのない育児は、ママの産後うつリスクを高める一因といわれています。ただでさえ妊娠・出産でホルモンバランスが崩れ、不安定になります。睡眠不足や疲労も蓄積します。そして、ワンオペ育児はプレッシャーと孤独感も襲ってきます。一番手を貸してほしい夫は仕事へ……。 べビーカレンダーのアンケートから、転職や出張、残業など夫の「仕事」に翻弄され、孤育てに陥いるママの実態が見えてきました。まだまだ子育てしやすい社会とは程遠い現実を、ママたちの声とともにお伝えします。 ■Episode1なんの相談もなく転職を決めた夫に翻弄され孤独に…(1歳男の子のママ)息子が生後3カ月のころ、夫が私に黙って突然転職活動を開始しました。最終面接が決まった時点で「転職するので引っ越すことになる」と事後報告されました。子どもが生まれたばかりのタイミング。慣れ親しんだ愛知から東京への突然の引っ越しは不安だったので、私は猛反発しました。何十回も話し合いを重ねましたが、結局東京の会社に転職することに……。「これから二人で子どもを育てるのに、スタートから足並みがそろわないなんて」と本当に孤独を感じました。 家事、育児を毎日頑張っても誰も褒めてくれません。寂しくなると涙もろくなります。夫に涙を見せるのが悔しいのでお風呂で泣くか、公園のブランコでよく泣いていました。離れてしまった地元の友達とLINEしたり、先輩ママに相談したりして孤独を解消しています。 ■Episode2第2子出産直後に夫が2カ月間の海外出張へ。2児を抱えた完全ワンオペ(0歳女の子、2歳男の子のママ) コロナ禍で第2子となる娘を出産し、1カ月が過ぎたころ、夫がヨーロッパに海外出張となりました。期間は2カ月間。時差もあってほとんど連絡が取れず……。息子のイヤイヤ期と娘の頻回授乳を繰り返す毎日で、産後の自分の体もつらく、心身ともにボロボロになりました。コロナ禍で外出もほとんどできず、夫不在で話し相手もない毎日。子どもが2人とも泣き止まないときもあり、八つ当たりしてしまうことも。毎日叫ぶくらいつらかったです。 そんな私を支えてくれたのは、同じくワンオペ育児をしている友人でした。たまたまLINEが来て、現状を伝えるとその日から毎日LINEでやり取りするように。お互いの子育てエピソードやたわいない話など、いろいろな話をLINEでやりとりしました。対面じゃなくても「誰かとつながっている」と感じられることで、孤独を乗り越えられました。友達がいなかったら今頃どうなっていたか……。その友人とは今も毎日LINEをしています。 ■Episode3出産予定日前後に夫が海外出張!隔離のため産後も会えず不安に(0歳女の子のママ)夫の海外出張の予定が決まったのは出産2カ月前のこと。ちょうど出産予定日前後に日程が重なってしまったのです。コロナ禍で夫の出産の立ち会いができなくなることは覚悟していましたが、まさか退院後も会えないとは予想していませんでした。 海外出張から帰国しても、10日間の隔離期間が必要で、私自身の気持ちを強く持ち続けることが大変でした。夫は臨月から退院後までの私の様子を直接知ることがなかったため、帰宅後もしばらく育児の感覚がつかめず、「本当に2人で子どもを育てていけるの?」と不安になりました。 孤独を解消するために産後ケア施設を利用しました。助産師さんに話を聞いてもらうことで心が落ち着き、家事や育児を家事代行、一時保育等のサービスに頼むことで何とかやっていける自信を持てた気がします。夫は今も休日出勤あり、月の残業時間100時程度という激務のためワンオペです。 ■Episode4朝早く夜遅い美容師の夫。1日中抱っこでワンオペ、楽しみがない日々(2歳、13歳の女の子のママ) 長女が0歳のとき、夫は美容師で朝早く夜遅い仕事なので、1日中ワンオペでした。初めての子育てということもあり、何をしても「これで合ってる?」「なんで泣いてる?」とずっと悩みっぱなし。1日中抱っこなので、自分のことは何もできず、楽しみも趣味もなくなり、ストレスが溜まる一方でした。 実家にも帰りましたが、母は職場で骨折してしまい入院。頼る人が誰もいなくなり、本当に孤独でした。孤独を解消するためにSNSなどに頼りましたが、解決策は見つからず、ただただ娘が大きくなるまで孤独な状況は続きました。1日中大人と話していないと落ち込みやすくなり、笑顔でいられなくなるので、実家の母とおしゃべりして発散していました。 ■Episode5夫が単身赴任に…育児の責任をひとりで背負う孤独感(1歳男の子、3歳女の子のママ)長女が生後11カ月のころ、夫の3カ月間の出張が決まりました。当時は誰も知り合いがいない町での賃貸暮らし。実家は祖父母の介護、義実家は遠方のため、2人っきりの生活が始まりました。 専門職の夫は出張先の後任がうまく決まらず、なんとそこから1年間帰って来ませんでした。2カ月に一度、週末だけ帰る単身赴任になりました。家族そろって一緒にいられる時間は本当に短く、泣いてお別れする娘の姿を見るのがとてもつらかったです。 夫不在の日々は育児の責任が私ひとりになり、夜は不安であまり眠れず、疲れやすくなっていました。成長を一緒に喜べる身近な人がいないのはとても寂しかったです。振り返ると、よくノイローゼにならずに乗り越えられたなと思います。賃貸の狭い部屋で、まだ会話ができない赤ちゃんの娘と2人っきりで過ごすことは私にとってもしんどかったです。 気晴らしに市の赤ちゃん広場を曜日ごとに巡っていました。そこで職員の方や一緒になったお母さんと話をすることで救われました。また、週末にはショッピングモールなどに出かけ、曜日感覚を失わないようにしていました。とにかく外出し、店員さんとでもいいので大人と話をするようにしていました。育児以外の意思決定(服の買い物など)をして、気分転換していました。 孤育ては、決して当事者だけの問題ではありません。養育者の長期出張や転勤、残業が原因でワンオペ育児になってしまわぬよう、企業側が配慮する必要もあるのではないでしょうか。2022年4月から育児・介護休業法が改正され、パパの育休の在り方も大きく変わろうとしています。企業の意識改革こそ、ママの孤独感を解消する近道なのかもしれません。 文・編集/大楽眞衣子 著者:ライター 大楽眞衣子社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
2022年04月29日わが家は中学1年生の長女、小学5年生の長男、生後7カ月の次女と私と夫の5人家族。夫の仕事は24時間体制。夫は朝出勤して次の日の午前中に帰ってきます。休みの日は私と子どもたちを置いてひとりで出かけてしまうので、不在。そして育児や家事にも、非協力的……。3人の子どもたちの年齢差が大きく、生活リズムがそれぞれ異なるので、私は孤育てに疲弊していました。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 毎日部活の長女と、夜中に覚醒する次女長女は中学校に入学して運動部に入りました。ほぼ毎日、朝練と午後の部活動があるため、午前6時30分に家を出て、夏は午後7時に帰ってきます。小学生の長男はもともと早寝早起き体質。午前5時に起床し、午前7時30分に家を出て午後8時には夢の中です。 生後7カ月の次女はまだ生活リズムは安定していません。午後8時には寝ますが夜泣きをすることが多く、午前3時ごろから2時間くらい起きている日もよくあります。このような感じで、わが家の中学生、小学生、乳児の生活リズムはバラバラです。 長女に合わせると、長男次女が…とくに大変なのは、平日の夜です。長女が帰ってくる時間に合わせたリズムにすると、長男次女に負担がかかるのです。長女が中学に入るまで、夕食は午後6時に子どもたちみんなと私で食べていました。お風呂は夕食後に、それぞれ順番に入っていました。もちろん私と生後7カ月の次女は一緒です。 毎回長女がひとりで夕食を食べる状況になってしまっていました。そこで、長女に合わせて食事を午後7時にずらしたところ、長男、次女のどちらか後にお風呂に入る方は、眠気に負けて入れなくなってしまったのです。かといって、長男は私と一緒に入るのは恥ずかしいでしょうし、長男、次女、私が3人で一緒に入るというわけにはいきません。長女は、ひとりで夕食を食べたくないと言います。しかし、生活リズムを整えようとしている次女の生活を大きく崩すこともためらわれますし、いろいろなことがうまくいかず、とても悩みました。 考えた末…みんなのスケジュールをもとに、どうしたらいいか考えてみました。 考えた末、まずは午後5時に次女の離乳食を食べさせることにしました。食べるのが次女ひとりになってしまうので、私もテーブルについて「どんな味かな?」「おいしいね」などと声をかけるようにしています。これまでは午後6時に食べていたので、時間的にはそこまで大きく変わらず、次女の食欲にも変化はありません。 次女が食べ終わったら、私と次女が入浴します。お風呂から上がったら、夕食を準備。だいたい午後7時ごろ夕食ができあがるのですが、そのころにちょうど長女が帰ってきます。私と長女と長男で夕食を食べて、その後、長男はお風呂へ入り、私は次女を寝かしつけます。これで長女は孤食にはならず、長男も次女も、お風呂に入ってから就寝できるようになりました。 中学生と小学生と乳児ではこんなにも生活リズムが違うのだということを改めて実感した出来事でした。子どもたちには食事を楽しくとってほしいですし、入浴して体を温めてからぐっすり眠ってほしいと思っています。ただでさえ孤育てで大変なのに3人の生活リズムが違うので、私は息つく暇もなく動き回らなくてはいけません。けれど子どもたちの笑顔が見れると癒されます。これからも子どもたちの笑顔のために頑張っていきたいと思います。 著者:樋口 みき13歳と1歳の女の子、10歳の男の子を育てる母。離婚、婚活を経験し、ステップファミリーとして生活。年の差きょうだいの生活スタイルの違いに翻弄されつつ、パワフルに生きています。
2022年04月27日子育てに孤独を感じる「孤育て」。妊娠・出産・子育てに一人で向き合う多くのママたちが直面しています。長引くコロナ禍で、さらに閉塞感や孤独感が高まった人も少なくありません。そこでベビーカレンダーでは読者を対象に孤育てに関するアンケートを実施。浮き上がってきたのは、ひとりで向き合うことへの絶望感や悲しみの感情でした。それでも苦境から脱しようと立ち向かうエピソードも多数寄せられました。孤育てのリアルをお伝えします。読者から寄せられたなかで、最も目立っていたのは「夫の理解がない」と訴える声でした。夫の理解がなくても、「私が子どもを育てなくては」という使命感から、子育てに向き合うママたちの様子が伝わってきました。 ■Episode1協力すると約束したはずの夫が…近くの実母も頼れず孤独に(0歳男の子のママ)在宅夫はコーヒーおねだり&ソファでゲーム実家は車で15分の距離で、産後は里帰りする予定でした。でも、妹の子どもが学校から新型コロナウイルスを実家に持って帰るリスクなどを考え里帰りは諦めることに。夫は在宅勤務なので、夫婦で頑張って、どうしてものときは助けてもらおうとなったのです。 ところが夫は体質的に朝の目覚めが悪いせいもあって、自分のパン1枚すら焼かず、朝食が出てくるのを待つだけ。毎朝やると豪語した掃除機がけなどはたった1〜2回やっただけでした。日中はほぼ書斎から出て来ずコーヒーをねだり、暇なときはスマホゲーム。 私がお風呂の支度や家事で慌ただしく動いているときも、山のように動かずソファに座ってゲームをしている夫を見て、孤独を感じました。 近くに住む実家の母も頼れませんでした。私が夫の愚痴を言ってから「まず夫を動かせ」と手を貸してくれなくなりました。夫が会議で本当に動けないときも助けてもらえず。もうすぐ3カ月経ちますが、母は1度も助けに来てくれません。母がフリーの日にヘルプを要請したのに断られたときは、追い討ちを掛けて孤独を感じました。 諦める家事を増やし、夫に協力を要請して自分を少しラクに人に頼らないで回るよう、諦めてやらない家事をつくりました。窓のサンをきれいにする、玄関を毎日掃く、キッチンのコンロをきれいにする、洗濯物を畳むなどの家事は諦めました。 夫が唯一、食事だけは作ってくれます。というのも、夜泣きや授乳で眠れなくて、目を真っ赤にしてぼーっとしている様子の私を見て、「できることある?」って声を掛けてくれたのです。そのとき、「朝、パンを焼くだけでいいからやってほしい」と伝えました。そして同時に、寝られなくてつらいこと、それによってちょっとしたことでもつらくなることがあることを伝えました。すると夫は、元々得意な料理を頑張ると言ってくれました。 洗い物はしないし、キッチンも床も汚れるけど、大袈裟に反応して持ち上げ、常備菜も作ってもらうようにしています。 子どもが生まれたときの写真を見て活力にスマホに入っている子どもの写真を見て癒やされ、活力にしています。特に生まれたときの写真を見て、「この子は私が守り育てるんだ!」と思い返すようにしています。 ■Episode2あんたの子どもでもあるのに…!帰宅は月に数回の夫(1歳男の子のママ)ブラック企業勤めで多忙な夫は子どもに無関心夫はブラック企業で超絶忙しく、いつ帰宅するのか分からない日々でした。年度末、夫の希望で里帰り出産から戻ったのですが、その月、夫は2回しか帰って来ませんでした。 子どもの様子などLINEしても数日既読にならないのはザラ。初めての子育てにたったひとりで向き合いました。一番成長する時期に夫と感動を共有できなかったのは悲しかったです。 あんたの子どもでもあるのに……。 「あ。私を助けてくれる人はいない」洗剤がひっくり返って大泣きした日伝い歩きがじょうずになったころ、お風呂前に子どもの服を脱がし、うんち漏れの服を洗っていました。そのとき、子どもが立ち上がって洗剤が床に。洗濯機の防水パンにも広がってしまいました。洗面所では子どもが洗剤の上を立ち上がっては滑って、また滑ってを繰り返してギャン泣き。洗剤を置く位置が甘かったと反省しつつも、耳につく大きな泣き声、後片付け、うんちの付いた洗いかけの服――。目の前に広がる光景に、声を上げて大泣きしてしまいました。何かの糸が切れた瞬間でした。 夫に頼れない。結局つらくてもひとりでするしかない。現実の小さなストレスが溜まりに溜まって爆発したんだと思います。「あ。私を助けてくれる人はいないんだな」って気付きました。 夜泣きが激しくなっても知らん顔の夫。限界感じて実家へ生後6カ月ごろから急に夜泣きするようになりました。 1時間大声で泣くなんて日常茶飯事で、2時間くらい連続で泣くこともあり、それが朝まで繰り返されていました。月に数回しか帰宅していなかった夫は、夜泣きが始まると社員寮に泊まるように。あからさまな態度が腹立たしく、悲しくなりました。 私はとうとう実家に泣きつき、1カ月半ほど実家へ帰ることに。実家の両親や兄弟は在職のため、家事の量は非常に増えましたが、精神的な安定感が得られたのか、子どもも再び生活リズムが戻りました。 気晴らしをしようと支援センターに行きましたが、親しい間柄ではないので気を使って疲れます。仕事が好きなわけではないですが、今は復職が一番の楽しみです。 ■Episode3夜泣きをあやす私に背を向ける夫。諦めることで気持ちに折り合い(2歳女の子のママ)一番頼りたい人に見放されたような絶望感夫は出産当初から深夜までの残業がある上、新生児は怖くて触れず、ほぼ育児にはノータッチでした。両実家とも遠方で、コロナ禍の影響もあってママ同士の横の繋がりもなく、100%ワンオペ育児です。 強く孤独を感じたのは、娘がまだ首も座らない生後2カ月のころ。今もですが、出産時から夫は夜起こされるのを嫌がり、ひとりリビングで寝ていました。夜中に泣き止まないので、娘を抱いてリビングを通ってベランダへ出たとき、リビングで寝ていた夫はうるさいとばかりに寝返りを打って、こちらに背中を向けて再度寝たのです。 泣いている娘以上に泣きたくなりましたし、心底「育児がつらい」と思いました。首が座らない赤ちゃんを抱いたまま窓を開けるだけでも大変なのに、なぜ一番頼りにしたい人にこんな仕打ちをされなければならないのか……。そう思うとつらくてたまりませんでした。 孤独はいまだに解消されていませんが、諦めることで自分の気持ちと折り合いをつけています。 保育園への送迎はいつも私。つい、他の家庭のパパと比べてしまう…娘がまだ0歳のうちに、保育園に預けることになりました。 久しぶりの社会復帰、新しい環境というだけでもそれなりの負担がありましたが、そんな状況でも夫は一切手を貸してくれませんでした。 フレックス勤務なので、出勤はいつも午前10時過ぎ。園に送る余裕くらいあったかと思いますが、私が出勤前の午前8時に連れて行き、お迎えは駅から走って午後6時のお迎え時間に間に合わせていました。 他のご家庭と比べてはいけないと思いつつ、送迎時にパパが来ていると、なぜうちは……とつらかったです。 その後コロナの影響で夫の会社が在宅推奨となり、自宅にいるようになったため、交渉して送迎は協力してもらえるようになりました。 孤育てのつらさを共有したい…ワンオペ育児のつらさを共有できる人がなかなかおらず、寄り添ってくれる人がいないときは孤独を感じます。イライラして娘に当たってしまったり、どうしようもなくなって涙が止まらなくなることもあります。 誰かに置かれた状況を話しても、「そういう時期だからね~」と軽く流されてしまうととてもつらいです。野菜や魚が大好きなので、八百屋さんや魚屋さんに行って気晴らししています。なかなか実現できないけれど、田舎に帰って自然の風景に癒やされたいです。 育児で一番大変な時期に夫の理解がないのは、本当につらいもの。ひとりで抱え込んで倒れてしまう前に、声をあげて助けを求めてほしいと願っています。各自治体によって違いはありますが、子育て支援サービスなどを活用するのも一案です。どうか育児を頑張るすべてのママたちが笑顔になれますように。 文・編集/大楽眞衣子 著者:ライター 大楽眞衣子
2022年04月26日妊娠中に将来のことを話し合って転職した夫。慣れない職場や現場仕事で心も体も疲れているだろう……それでも余裕があるときには私の大変な状態を見て助けてくれると思い、なかなか自分から助けを求めることができませんでした。そんな私が初めて助けを求めたときの夫の態度は、想像していたものとは違っていたのでした……。現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 育児の不安を誰とも共有できない孤独産後の入院時は看護師さんや助産師さんのアドバイスを受けて、わからないことも不安に思うこともすぐに解決できました。しかし、退院してからは周りに知り合いもおらず両親も遠方のため、誰からもアドバイスを受けることができませんでした。 小さな変化や不安を解消することができず、息をしているのか、ミルクが足りているのか、部屋の温度湿度は大丈夫か、おしっこの量は少なすぎないか、この症状はなんだろう……。そう悩んで携帯とにらめっこしながら、なんとかひとりで新生児と向き合っていました。 唯一頼れる夫へ助けを求めると…仕事をして私たちの生活を支えてくれている夫のことはわかっているけれど、自分のことはすべて後回しにして小さい命をひとりで守っている私の不安もわかってほしい。そう思いながらも、仕事から帰ってきたらまず自分のことを済ませ、私の話もそこそこに仕事の愚痴を吐いて寝てしまう夫に、疲れているだろうからと何も言えず、ワンオペ生活を繰り返す毎日でした。 また、義両親が近くにいるものの、余裕がないなかで義両親に気をつかうことにも疲れてしまい、実の両親へ甘えるように頼ることはできませんでした。 そうして過ごしていた生後1カ月ごろ。何をしても夜泣きがおさまらず、寝不足やストレスがピークになっていた私は、たまたま起きてきた夫に「助けて」とお願いしました。ところが、返ってきた言葉は「疲れているからムリ」でした……。 ひとりで育てる決心ムリと言い放ち、本当にそのまま寝てしまった夫に苛立ちと怒りと悲しさで涙が出てきました。しかし、そんなことはおかまいなしに泣き続ける子どもを見て、助けてもらえないならひとりで育てるしかないと決心し、気持ちが吹っ切れたのを覚えています。 夫はいないものとし、会話もなくなり離婚も考えましたが、子どもがなんとか繋いでくれていました。ワンオペに対する不満や、わかってもらえない苦しさを意識すると心が折れてしまいそうになります。そのため、子どもが生きていればいいという気持ちで壊れそうな新生児時期を過ごしました。 生後3カ月が過ぎるころには育児にも少し慣れ、赤ちゃんの爆発的なかわいさに癒やされながら過ごしました。夫と育児の不安や喜びを共有できないのはとてもつらいですが、子どもの笑顔も成長もちょっとした一瞬も私のもの、という意地悪な気持ちを持てたのがよかったのかもしれません。 著者:斎藤なおみひとりっ子園児の母。知人のいない夫の地元で、義実家と敷地内同居をしながら子育てに励む。好きな言葉は「大丈夫」「しょうがない」。
2022年04月25日夫は日本全国に転勤がある会社に勤めており、転勤族のわが家。第1子がまだ1歳で第2子の妊娠が判明したときは、夫の転勤により初めて住む県に引っ越したばかりでした。自宅で1歳児を育児しながら、妊娠中の私は積極的に外に出ることができず、新しい土地でも人脈を作ることもできず、まさに「孤育て」をしていたときの体験談です。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 「孤育て」がつらかった妊娠期私の夫は転勤が多い職種です。第2子を妊娠中に転勤になり、1歳児の子育てを新天地で始めました。それは、近くに友だちもいない、親族も遠い県外に住んでいて頼ることができない、という状況でした。 妊娠中の私は、目が離せない1歳児を連れて買い物に出るのさえおっくうで、家に引きこもるような生活。外に出るのが怖いのに、家の中で子どもと過ごすのもつらい。社会と繋がっていないということで焦りも感じていました。 孤育てを解消したい! 私がおこなったことこの状況を改善しようと考えた私は、自治体が開設している子育て支援センターに行ってみることに。そこであれば目が離せない子どもを安全に遊ばせることができるのではないかと思ったからです。 子育て支援センターには支援員さんが常駐しており、初めて施設に行った私に「困っていることはない?」と、親切に子どもが近所で遊べる場所の情報などを教えてくれました。情報を手に入れたことよりも、支援員さんと話してなんだか気分が晴れた私。夫以外の大人と会話したのが久しぶりだったのです。 私は孤育てが苦手! 人と繋がりたい!ワンオペで子育てと家事をすることはとてもつらいけれど、その大変さを共有したり助けを求めることができない状況。そこで、私にとって特に何がつらいのか、自分なりに分析してみることに。 すると子育て中に社会との繋がりがなくなることがつらかったと気づいたのです。SNSでは友人や家族と繋がっていますが、それでは私の心の隙間は埋められないのだと感じました。実際に会って話す人の言葉とあたたかさは、私に社会と繋がっているという自信と生きる活力を与えてくれたようです。 これからも転勤が多いだろうと予想されるので、今後、孤育てにならないように気を付けていることがあります。それは引っ越した先で自治体のサポートをすぐに調べること。子育て中のママが集まる場所を事前に調査して、積極的に顔を出すことです。私自身が人と繋がっていたいという思いがあるので、新しい土地の情報は出会った人に頼り、教えてもらうことにしています。 監修/助産師REIKO著者:三宅ちよこフリーランスとして働きながら一男一女を子育て中の母。ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、株や不動産投資を副業としている。ライターとして主婦のためのお得な情報や子育てに関する体験談を執筆している。
2022年04月01日母親の負担がまだまだ大きい現代の子育て。コロナ禍では親子だけで家の中で過ごすことが増え、より孤立感が高まると危惧されています。孤立する子育て「孤育て」の背景を支援団体や専門家に尋ねました。妊婦や子育て中の親を無償で訪問し、話をしながら一緒に家事や育児をするサービスサービス「ホームスタート」。NPO法人ホームスタート・ジャパンが中心となり、提携する全国の子育て支援団体などが地域でボランティア(ホームビジター)を派遣している。 NPO法人ホームスタート・ジャパン対象は妊婦、乳幼児(未就学児)がいる家庭 「すごいわよ!そんなに頑張らなくてもいいのよ」 ビジターのこの言葉に救われたのは、第一子を産んだあとにこのサービスを利用した30代の女性だ。コロナ禍の冬は、乳児を連れて外出する気にもなれず引きこもっていた。抱っこしていないと泣く状況が続き、初めての子育ては緊張感と隣り合わせの状況だった。「『赤ちゃんは泣くもんだし、大丈夫よ』と言い続けてもらえて。それが心の拠り所になりました。子どもを抱っこしてもらっている間、作りたい料理を作ることもできて、自分の気持ちに余裕ができるのを感じました。一緒におしゃべりすることも楽しみで、『一生懸命がんばってるね』と労ってくれると励みになりました」と、この女性は振り返る。 こうした利用者の声から、事務局長の山田幸恵さんはコロナ禍でも「そこにいること」の大切さを実感している。 「そこにいるから一緒に手を動かせる。上の子と手作りおもちゃで遊ぶこともできるし、離乳食を一緒に作ったり、味見したり、交代で抱っこしたり、買い物に行ったりできる。お母さんと一緒にいる支援の意味を改めて感じています」と話す。 共感だけでなく、一緒に手伝ってもらえるとより孤立感が解消「孤立感の解消には精神的なサポートと物理的なサポートがセットであることが重要」と語るのは家庭支援にくわしい明治大学文学部心理社会学科教授、加藤尚子先生だ。 「子育ての悩みを相談して『そうですよね、確かに大変ですよね』と共感的に話を聞いてもらうことも大事なのですが、それと同時にセットで子育てを手伝ってくれる物理的サポートがあることが、一番の子育て支援になるんです。そうすることで、より親の負担感も減りますし、孤立感の解消につながるのでメンタルヘルス的にも効果があります」 サービスを利用する気になれない人の支援が課題政府が目指す児童福祉法改正案では、支援対象者の家庭を訪問し、家事や育児を支援する訪問型支援サービスの新設が盛り込まれており、加藤先生はこれを「大きな前進」と評価する。 「これはまさにセットでの支援なので効果的です。児童福祉法改正案は前進といえるでしょう。しかも自分から申し込むサービスではないこともポイントです。世の中にはたくさんの子育てサービスがあります。都内の場合だと、母子健康手帳をもらうときにドサッとたくさんの資料やクーポン券をもらいます。それだけ子育て支援サービスはたくさんあるんです。 でも実際には自分から調べない人、利用する気にならない人が山ほどいる。そういう人ほど困っていることが多いんです。利用者からアクセスして探す方式ではなく、いかにサービス提供者からアクセスするアウトリーチ方式にしていくかというところが今後の課題です」 母親ひとりの子育て、人類の歴史上ではイレギュラーそもそも孤立感が問題になる現代の子育ては、長い人類の歴史から見ると「非常にイレギュラーな状態だ」と加藤先生は指摘する。 「家庭のなかでお母さんがひとりで子育てするという考え方は、決して普遍的なヒトの子育ての姿ではないんです。本来ヒトの子育ては複数の子どもを複数の手と目で育てるものです」 大きく変化したのは高度経済成長期だった。ホモサピエンスの10万年の歴史で考えるとつい最近のことだ。それまでの進化の歴史において、人びとは地縁や血縁など何らかのつながりがある集団のなかで、たくさんの手で複数の子どもを育てる形態が主流だった。そのほうがヒトにとって好都合だったからだ。ところが高度経済成長で急激に経済事情が変わり、核家族の母親がひとりで育てる形態が主流になり、子育ての孤立化が社会問題になっていった。 「心理学的に見ると、2〜3人の大人が3〜4人の子どもを育てるより、1人の大人が1人の子どもを育てるほうが不安や負担感は大きい。さらに働いている母親と専業主婦を比較調査した研究では、専業主婦のほうが圧倒的に母親としての自己効力感(※)が低いということが分かっています。いずれも『自分一人で子どものことを見なくてはいけない』というイレギュラーな状態だからこそ、しんどさが大きい。子育てを自分一人の問題にしないこと。まずはいろんな人に話を聞いてもらうことが大事です」と加藤先生はアドバイスする。(※)自己効力感:自分は目標を達成するために適切な行動をとり、遂行できる能力がある、と認知している状態。「自分ならできる」といった、自分の能力や可能性を信じる気持ちを指す。 子育てはみんなで担うもの。つい2〜3世代前までは、住み慣れた地域や大家族のもとで子育てをしてきた。誰かの手を借りることは当たり前。これを知っているだけで、サービスを利用しやすくなるかもしれない。ベビーカレンダーではいつでも無料で助産師などの専門家に個別相談ができる「専門家相談」を開設。ママ同士で相談し合える場もある。ちょっと手を伸ばせば届く支援をじょうずに活用してみては。 <取材協力>・NPO法人ホームスタート・ジャパン・明治大学文学部心理社会学科教授/臨床心理士/公認心理師加藤尚子(かとうしょうこ)先生大学院修士課程まで教育学を学んだ後、臨床心理学を専攻。臨床心理士として教育相談所、知的障害児施設のセラピストなどを経たあと、大学に職を移し現職。臨床心理学、コミュニティ心理学を専門とし、教育学、社会福祉学の学位を持つ。専門は、児童虐待を受けた子どもやさまざまな被害体験によるトラウマを受けた人の治療、子どもに関わる保育士、教師、施設職員などへの助言(コンサルテーション)など、アタッチメント・トラウマや養育に関わる臨床心理学。 著者:ライター 大楽眞衣子社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
2022年03月15日誰も悩みを聞いてくれない――。ただでさえ子育て中の母親は孤立感に陥りやすいもの。その状況にさらなる追い討ちをかけるのがコロナ禍です。今、孤立感に悩む母親たちは、どんなことに困り、どんな支援を求めているのでしょうか。行政や支援団体に寄せれる現場の声とは。「孤育て」のSOSを取材しました。 「とにかく話を聞いてほしい」 相談者から伝わる孤立の闇「毎日ワンオペで孤独なんです。仕事と家事と育児で疲れ切ってしまって……。夫は育児の話を聞いてくれません」受話器の向こうの女性は沈んだ声で語った。 子育て世帯が多い世田谷区では、夜間と休日に子育てに関する電話相談を受け付けている。相談員は臨床心理士などの有資格者たち。2021年度は881件の相談が寄せられ、そのほとんどが母親からだった。 「せたがや子育てテレフォン」電話番号 03-5451-1211(専用電話)対象は世田谷区在住の18歳未満の子ども、妊婦、子育て中の保護者ら利用時間は平日夜間(17〜22時)と土日祝日(9〜22時)※年末年始除く 前述の女性は、ワンオペ育児の大変さと、メンタルを支えてくれない夫への不満を切々と話した。相談員が丁寧に話を聞き、労いの言葉をかけるうちに女性の声は明るくなっていったという。 「またいつでもご利用くださいね」相談員のやさしい声掛けに、女性は幾度も礼を述べ電話を切った。 この相談窓口では約60%が助言により終了している。「孤立感に悩む人は電話で話すだけで気持ちがラクになるという人が多いです。聞いてもらってアドバイスを受けることで、納得して通話を終える方が多い。このテレフォンは直接的なサービスを提供するといったものではありませんが、話を聞いてもらうだけで育児に対する負担感・不安感の軽減につながっていることがわかりますし、ちょっとした不満に対しても相談者に寄り添って話を聞くことの大切さを実感しています」と担当職員は話す。 “ちょっとした不満”が吐き出せないもどかしさ子育て中は楽しいことばかりではない。誰かに吐き出したい不満もある。でもその大半は“ちょっとしたこと”なのかもしれない。ママ友や実家に聞いてもらうだけで溜飲が下がることも多い。しかし、それが誰にも言えずに鬱積すると孤独や苛立ちを覚えるようになる。 「子どもがチョコレートばかり食べる」「ワクチンで痛い腕に子どもが乗っかってくる」 相談窓口に寄せられた悩みは、一見ささいなことのようだが、内実はどれも深刻だ。電話で相談するほど誰かに聞いてもらえない状況が続いているという証拠なのだ。 世田谷区の地域特性として、「身近に頼れる親族がいない」という相談も多い。母親が一人で育児を担っている場合、こうした状況も孤立感を増幅させる。 「実家が遠くて両親や友達とすぐに会えないんです。夫は夜の仕事なので昼間は寝ていることが多くて。夫とはけんかになってしまうことが増えて、子どもには申し訳ないと思っています」 乳幼児を抱えるある母親はこう話し、「子育ての自信がなくなってしまった」と打ち明けた。相談員に胸の内を吐露するうち、落ち着きを取り戻したという。 ソーシャルディスタンスがママ友づくりの壁に「コロナ禍に入ってから、なかなか実家の応援が得られない人が増えています。お母さんたちの人恋しさが増した気がしています」と語るのは無償の訪問支援を続けるNPO法人ホームスタート・ジャパン事務局長の山田幸恵さんだ。ソーシャルディスタンスが浸透し、ママ友作りにも支障が出ているそうだ。 「妊婦さんは産科で友だちができることが多いですが、コロナ禍の現在、待合室では隣と距離を空けて座らなければいけない状況です。公園で初めて会う人には『声を掛けてはいけないような気がする』と感じるお母さんもいます。子育て広場も人数制限した時間制になっていると、気軽に話しかけづらいと感じるようです」(山田さん) ボランティアが寄り添う訪問支援。孤立感の解消に ホームスタートでは、妊婦や子育て中の親の訪問支援を続けている。現在、全国113団体がネットワークに参加。現在、全国115地域で取り組まれている。研修を受けた地域のボランティアが訪問するので利用料金はかからない。最も多い支援のニーズは「孤立感の解消」だという。 NPO法人ホームスタート・ジャパン対象は妊婦、乳幼児(未就学児)がいる家庭 シッターやヘルパーとは違うので、育児家事そのものは担わない。一緒に洗濯や料理をしながらおしゃべりしたり、上の子も連れて一緒に公園や子育て広場へ行ったりすることもある。言わば“近所のおばちゃん”的な存在だ。 「このゆるさがボランティアならではの良さだと思っています。お母さんたちを批判しない、否定しない、ありのままを受け止める、ということを大切にしていますので、話すことで気持ちが整理でき、ラクになるようです。それがお母さんの自信や意欲の回復につながっていくことが多いですね」 私を応援してくれる人がいる。そう感じるだけで孤立感はやわらぐ。コロナ禍でも母親たちを支える支援は続いている。「孤育て」に陥る前に、気負わず甘える勇気も大切なのかもしれない。 取材協力/世田谷区、NPO法人ホームスタート・ジャパン 著者:ライター 大楽眞衣子社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
2022年02月28日夫の転勤で、娘が1歳3カ月のときに関西から、縁もゆかりもない関東へ引っ越すことになりました。毎日のように残業があった夫の帰宅時間は、娘の寝かしつけが終わったあと。必然的に、育児はワンオペで、私は孤育て状態に。幸い、引っ越し後にすぐに私の仕事が見つかったものの、慣れない育児、誰も知り合いがいない環境、新しい仕事……。私は孤独な気持ちに押しつぶされそうになっていました。 このままだと、私の心が先につぶれてしまう娘をこども園にお迎えに行って、食事やお風呂を済ませて寝かしつけるまで、毎日すべて私ひとりでおこなっていました。私が目を離すと、娘はすぐに泣き出してしまうため、チラチラと娘の様子を見ながら急いで晩ごはんを作り、とにかくまずは娘に食べさせる。先に娘をお風呂に入れて歯を磨き、絵本を読み聞かせます。寝かしつけが終わったあとに待っているのは、山積みの家事……。一瞬も心が休まらず、常に時間に追われ、どんどん私の心が疲弊していくのがわかりました。 転職後、ドキドキの昼休み新しい会社で働き始めて1週間ほど過ぎた日の昼休みのこと。昼食をとるために部屋を移動すると、そこには初めて会う女性がいました。ドキドキしながら話かけてみると、大学生になるお子様がいると教えてくださり、「子どもが小さいときにたくさん助けてもらったから、今度は私が頑張って働いているママのことを応援したいと思っている」と言われました。その言葉に私は、「ひとりじゃなかったんだ」と、ただただ泣きたい気持ちになったのです。 先輩ママのアドバイスは超有益だった!さっそく、忙しすぎて毎日の食事の用意に困っていた私は、「何か簡単なレシピを知りませんか」と聞いてみました。すると、「レシピというわけではないのだけれど、圧力鍋調理が絶対おすすめ。時短にもなるし、素材の味が生きておいしくできるよ」とアドバイスが。 圧力鍋は、結婚祝いにもらったものの、ほとんど使っていませんでした。そこで、この言葉をきっかけに圧力鍋で煮物を作ってみたところ、圧力がかかると火を止められることに気が付きました。火を止めている間は鍋から離れることができるので、その間にほかの家事ができるように。 大人と話をするだけで、家事や育児のヒントが得られるだけでなく、こんなにも気分が晴れやかになるんだと気がついた私は、自分から積極的に会社の人に話しかけるようになりました。誰かと話をすることで、ひとりで悩んでいたことが、どんどん解決していったからです。待っていても何も変わらない、とにかく自分から動けばいいんだと思った体験でした。 作画/Michika著者:西垣かおり7歳女児のママ。元転勤族の妻で、子どもは1人だが、3度の保活経験あり。縁もゆかりもない街で戸惑いながらも、初めての子育てを楽しんだエピソード中心に執筆中。
2022年02月25日私の周りにいるママたちはみんな、「下の子は育てやすいよ」と言います。インターネットで検索しても、下の子は育てやすいという記述が多い印象がありました。わが家は1歳1カ月差の年子で、下の子が生まれたときには上の子もまだ手のかかる時期でした。そんな状況で生まれたわが家の下の子も、育てやすいタイプだったと感じたことをお話しします。 よく眠る新生児期次女出産時はまだまだ長女も手のかかる時期で、次女がどういったタイプの赤ちゃんなのかが今後の育児の大変さを左右すると思っていました。出産予定日を超過して生まれてきた次女は、よく眠ってくれる子でした。 育児書がまったく役に立たず、ずっと泣いていた長女の育児を経験したこともあって、なんてよく眠ってくれる子なのだと感動したのを覚えています。しっかり母乳も飲んで排便もスムーズで、よく眠る子だったので、ひとまず安心しました。 育児書通りの赤ちゃん次女は新生児期を過ぎても育児書通りに発達していきました。寝返りやハイハイ、つかまり立ちなどの発達面や普段の育児でも特に気になることもなく、順調に成長していく次女。私のなかで非常にありがたかったのが、泣いているときに抱っこすると泣き止むことでした。 長女は何をしても永遠にギャン泣きする子で、抱っこしても泣き止むことがありませんでした。そのことで育児に対するモチベーションが下がっていたことも、次女が育てやすいと感じることの大きな要因だったと思います。 1歳になった現在の次女1歳3カ月になった次女ですが、もう自我が芽生えてきていてかなり主張するようになりました。嫌なことはイヤイヤと首を横に振りますし、やりたいときは「うんうん」と言いながら首を縦に振ります。 私にとっては、そうした主張もわかりやすくて育てやすいなと感じるポイントです。また、これは個性の1つかもしれませんが、とても愛嬌があって甘えじょうずなところも育てやすさを感じます。 下の子は育てやすいという話は、わが家の場合は当てはまっていました。わが家では長女がかなり手のかかるタイプの赤ちゃんだったこともあって、次女の育てやすさをすごく感じました。ただ、これは現段階での話であって、これから先成長していくにつれてまた変わっていくかもしれないですが、何があったとしても2人の成長をあたたかく見守っていこうと思います。 監修/助産師REIKO著者:雨宮春季13カ月差の年子姉妹、1歳児と2歳児の母。前職の看護師を辞めて現在は育児に専念中。次女が重くなってきて2人を連れての外出に限界を感じてきた今日この頃。最近は家に引きこもりがち。
2022年02月23日私が5年前に長女を出産したとき、実家に帰り、里帰り出産をしました。しかし産後1カ月で自分の家に戻りました。そこから、頼る人や友だちもほとんどいない土地での「孤育て」が始まったのです。毎日過ぎていく中身のない娘との毎日に不安を感じていました。 しかしある日、その不安は、夫のある言葉で一気に解消されたのです……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 長いようで中身のない毎日生後1カ月の赤ちゃんと過ごす毎日は、本当に何もしていないのに終わってしまう感じがしていました。夫は朝早くに家を出て夜も遅くに帰ってくるので、日中はずっと娘と2人。家の掃除や洗濯を最低限やって、あとの時間はほとんど娘の隣にいました。まだほぼ寝ているだけの娘を眺めている日々。娘は本当に可愛くて愛おしかったけれど、毎日何もできていない、これでいいのかな……と思いながら過ごしていました。 娘が中心で、家事がおそろかにだんだんと娘が泣いていろんなことを訴えるようになり、生後半年頃になると寝返りもするので目が離せなくなりました。娘が寝ている時間は私も少しウトウトしてしまうことも増え、低月齢の頃にできていた、最低限の家事さえできなくなってしまいました。洗濯物がたまったり、食事が作れなかったりすることもしばしば。育児も家事もしっかりやりたいのにうまくできず、できない自分にイライラしてしまうことがありました。しかし、そんな時に夫がかけてくれた言葉でふと気持ちが軽くなったのです。 全部を全力は無理!「洗濯物はそんなにきちんとたたまなくても、さっとたためばいいよ。ごはんはかんたんでいいからさ」 その言葉を聞いて、全部を頑張らなくてもいいんだと思えました。 私は初めての子育てで、肩に力が入ってしまい、どれも頑張らなくてはと思いすぎていたようです。そのため、たまっていく洗濯ものや、思うように料理ができない自分にイライラしていましたが、その後は、家事も大事だけど、今しかない娘との時間を大切に過ごすことの方が重要だから、これでいいのだと思えるように。そう思えるようになってから精神的にかなりラクになりました。 初めての育児でいっぱいいっぱいになっていたのに、全部を頑張らなくてはと思っていた私は、自分で自分を苦しめていたようです。自分ができることを見極めて、肩肘張らずにやることが大切なんだとそのときに思いました。今では3人の娘の母親になりましたが、子どもたちと過ごす時間を大切にしつつ、そこそこ家事をこなせるようになってきています。 著者:北川なつみ5歳、3歳、1歳の3姉妹の子育て真っ最中のママ。保育士として約10年認可保育園に勤務し、現在は育休中。子どもたちと毎日たくさん笑って過ごしたいと、日々子育てに奮闘中。
2022年02月21日身近に相談する人がいない。手伝ってくれる人がいない。負のスパイラルに陥りがちな孤独な子育ては「孤育て」と呼ばれ、社会問題になっています。コロナ禍では、なかなか人に頼りづらいのも現実。そんな中、もしママが倒れてしまったら? 産後にママが突然倒れ、パパが「孤育て」を経験することに! 新生児と3歳児の子育てをパパ一人で担うことになった家族のリアルをお届けします。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 もう妻は帰ってこないのでは…不安で押しつぶされそうなパパ 「『妻はもう二度と帰ってこないのではないか?』という不安で押しつぶされそうでした」と緊迫した当時を振り返るのは山寺愛美さん(35・仮名)の夫、大輔さん(35・仮名)。 愛美さんは2020年に念願の2人目を出産。家族4人での暮らしが始まることにワクワクしていた。しかしその1週間後、授乳中に自宅のソファで倒れ、救急搬送された。 予兆はなかった。いつもと変わらない夜8時、3歳の息子と夫がゴミ捨てから帰ってきたら事態は急変していた。愛美さんが口から血を出して痙攣を起こし、ソファに倒れていた。 「気が動転していました。すぐに救急車を呼んで、妻に必死で呼び掛けました」 救急車を待つ間にも生後1週間の娘は泣き続けていた。すぐにミルクを作り、まだ3歳だった息子に哺乳瓶を預けた。非常事態を察知したのか、「パパの言う通りミルクをあげてくれた」という。 救急車を追って病院へ。普段は自分で支度ができないイヤイヤ期の3歳児。この時は自分で靴を履き替え、お気に入りのパンダのぬいぐるみとトミカの救急車を持って玄関に立っていた。 診断は脳梗塞、子どもたちに会えない17日間の入院愛美さんは意識がないまま3日経った。診断は「脳梗塞」だった。「目を覚ました時、自分がどこにいるのかさえ分かりませんでした。ただ夫が泣きそうな表情で『何でここにいるかわかる? 倒れたんだよ』って」 後遺症はなく、目覚めてから2日後には自分で歩いてトイレに行けるようになり、食事も摂れるまでに回復した。 とはいえ、退院までは17日間を要した。コロナの影響で夫との面会は荷物の受け渡し時の2、3分のみ。新生児と3歳児のわが子には会えないし何もできない。そんな状況がもどかしく、情けなく、悔しくて涙が流れた。 一方、夫の大輔さんは孤独な育児に追われていた。 1日に8回の授乳、夜中は数時間ごとにミルク、日夜問わずぐずる赤ちゃんの世話。3食手作り、お風呂に入れ、不安定な息子の心を気遣いながら家事全般をこなす……。「大変過ぎてあまり覚えていない」ほどだった。 当初は愛美さんの母の助けを借りたが、有給を使い果たし誰も頼れない状況に。なかでも一番大変だったのは自分自身と長男の精神を安定させることだったという。 「もう自分が不安で押しつぶされそうで。3歳の長男も精神的に不安定でした。倒れて救急車で運ばれたママの姿が最後だったからか、毎晩のように泣きながら寝ていました」 新生児を預かってくれる施設がない! 妻の面会に行くにも、子どもたちを連れて行くことは叶わず、新生児を預かってくれる施設探しに奔走したが、見つからなかった。「生後間もない子どもを預かってくれる施設はどこにもありませんでした。区役所にも何度か相談に行きましたが、『今の段階で利用できるサービスはありません』とはっきり言われてしまいました」 出産した病院で、新生児の娘を特別に預かってもらえることになり、なんとか退院までの日々を乗り越えた。「それが無ければどうなっていただろうと今でも思います」(大輔さん) 愛美さんが退院して帰ると、家が入院前よりきれいになっていた。毎日おかずも何種類か作ってくれていたことを知った。子どものお世話だけでも大変だっただろうに……。夫の頼もしさを知り、胸が熱くなった。脳梗塞ではなく脳腫瘍!?再び入院、手術へ退院したのも束の間、その後の検査で脳梗塞ではなく脳腫瘍だと判明した。しかも悪性のものだろうと診断された。 「初めて聞いた時、まず確認したのは余命でした。私は子どもたちが大人になるのを見られないの……と全身が冷たくなったのを覚えています」息子と2人の時間を過ごしたい脳腫瘍の摘出手術が必要となり、夫の長期休暇に合わせて手術日を決めた。次は12日間の入院だった。最も心配だったのは、上の子の心のケアと夫の負担だった。 またママと2週間近くも離れる。小さな心の大きな不安が、手に取るように伝わってきた。できるだけ2人で過ごす時間を作った。入院前日には水族館へ行き、記念にぬいぐるみも買った。帰って来るまでのカレンダーを作ってスタンプも用意した。 入院中はビデオ通話をし、毎日プチギフトを夫に託した。病院から手紙と折り紙も送った。ママだって同じくらいさみしかった。1秒でも早く帰って抱きしめたい。寄り添って寝たい。そう思うと涙が溢れた。 「退院前日の夜、息子は電話の向こうで大泣きしていました。『明日帰るよ』と伝えてもまったく落ち着かなくて……よほど不安な気持ちを我慢してたんだと思うと切なくなりました」 手術前、パパに渡した手づくりノート夫の負担も心配だった。手術が決まってからは、入院に向けてノートを作った。赤ちゃんの1日のスケジュール、離乳食のレシピ、洗濯の仕分け、家族のおかずの簡単レシピ、ストックの場所など、分かりやすく一つひとつ書いた。夫ができるだけ孤独に陥らないよう、メッセージも添えて渡した。 手術は不安だったが、医師からは後遺症があまりないことや、あったとしても半年以内には治ると言われ、落ち着いて心の準備ができた。 夫からは「家のことは任せて。自分のことだけ考えれば大丈夫。絶対うまくいく」と声を掛けられ、頼もしさが増したような気がした。子育ては「してるつもりだった」というパパの気付き無事手術は成功した。今はすっかり元気になり、笑顔で毎日を過ごす。夫の大輔さんは、今回の出来事を通して子育てに対する意識が変わったという。 「今までも子育てに協力してきたつもりでしたが、いざ自分一人で子育てすると想像以上の大変さでした。改めて自分は『子育てしてきたつもり』で、妻に甘えていた部分が大きかったのだなと思いました。それでもやらざるを得ない状況に追い込まれ、子育てスキルはかなり上がったと思います」 既に仕事にも復帰した愛美さん。保育園がコロナの影響で休園となり、家族と過ごす時間をかみしめているという。「近くの公園くらいしか行けない日々ですが、なかなか家族で過ごす時間が取れなかったので楽しんでいます。私が今、普通に生活できていることが奇跡に思えます。家族っていいですね」 「孤育て」を経験したパパはママへの感謝に気付き、手術を経験したママは、パパの頼もしさに気付いた。そして2人ともが家族の尊さを知った。 「家族みんなが元気で笑えればそれでいい」 心の底からそう思える日々を過ごしている。 取材/大楽眞衣子著者:ライター 大楽眞衣子社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
2022年01月31日私たち夫婦は、お互いの実家から遠いところに住んでいるので、両親を頼ることができません。また、私自身も仕事を始めてから住んでいる場所なので、ほとんど友だちもいない中での孤育て。孤独や不安を感じていた私ですが、ある出来事をきっかけに一気に世界が開けたのです……! 知り合いのいない中での孤育て私が住んでいる場所は、夫婦ともにお互いの実家から距離があり、頼るのが少し難しいところです。就職してから引っ越して暮らしている場所なので、あまり気軽に連絡できる友だちもいません。 初めてのお産は、私の実家での里帰り出産にしたのですが、産後1カ月で自宅に戻りました。平日は夫は仕事で朝から晩までいないので、まだ生後1カ月で寝ているだけの娘との2人だけで過ごす日常が始まりました。私は保育士とはいえ、初めてのわが子。ひとりで何かと不安だったのを覚えています。 ひたすら散歩する日々にモヤモヤ娘はベビーカーに乗るとよく寝てくれたので、平日は朝の家事が終わると、ベビーカーに乗せて毎日のように散歩に行っていました。スーパーで買い物をしたり、用もないのに100均をうろうろしたりして過ごす日々。昼ごろに家に帰ってから、まだおしゃべりもできない娘と過ごす時間は、とても長く感じていました。 もちろん娘はとてもかわいいし、一緒に過ごす時間は幸せでした。でも日中で大人と話す時間はスーパーのレジぐらい、という日々が続き、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが続いていたのも事実なのです。 地域の交流会に参加してみると…モヤモヤした気持ちで過ごしていたのですが、娘が生後3カ月になるころに、地域で同い年の子どもと親が集まる交流会があると知り、参加してみることにしました。そこでは、娘のこと、家のこと、いろいろとみんなで話すことができ、私の気持ちも少しすっきりしたのです。 その場で数名の方と連絡先を交換し、みんなで定期的にごはん会をしたり、児童センターに遊びに行ったりするようになり、友だちと呼べる人たちが増えていきました。お互いの家にも遊びに行くほどの仲になった人もいて、とても良い機会に巡り会えたなと思っています。 知り合いがいない中での孤育ては、はじめはとても不安で仕方なかったです。しかし、交流会に参加してみて、一気に世界が開けて孤独ではなくなった気がしています。本当は参加するのも不安で、みんなと話せるかな、大丈夫かなと思っていましたが、思い切って参加してみるとみんなフレンドリーに受け入れてくれて、本当に参加してよかったなと思っています。 作画/大福 著者:北川なつみ5歳、3歳、1歳の3姉妹の子育て真っ最中のママ。保育士として約10年認可保育園に勤務し、現在は育休中。子どもたちと毎日たくさん笑って過ごしたいと、日々子育てに奮闘中。
2022年01月19日わが家には、小学生の娘と幼稚園児の息子がいます。もともと人の目を気にする性質であり、甘え下手の私は、家事、育児についても完璧主義に近いところがありました。妻は、母は、こうでなくてはいけない、そんな呪縛を抱えて生きていました。そこへ、突然の夫から突き付けられた「離婚」。こうして私の孤育て生活が始まったのです……。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 理想の家族から一転、完全な孤育てへ約2年前まで、わが家はごく普通の4人家族でした。夫は自営業で多忙だったため、専業主婦の私が家事も育児もほぼ100%おこなっていました。 そのことで夫には多少の不満はありましたが、それを口には出さず、「夫は仕事を頑張ってくれているのだから、私は家事と育児を完璧にこなさなければ」と、必要以上に完璧を目指していたように思います。それが自分の使命であり、理想の家族の形とも思っていたのです。 ところが、ある日突然夫から、離婚をしたいと言われてしまい、そこから夫とは完全に別居することになりました。実家は遠くはないですが、父は他界し、母は仕事をしているので、簡単には頼れません。そこから完全なる孤育てが始まりました。 家事育児が放棄ぎみになると…夫と別居後しばらくは何もする気になれず、家事・育児放棄にも近い、必要最低限のことしかしない日々が続きました。ですが、そんな日々のなかで気づいたことがありました。 子どもたちがそれぞれ、今までなら当たり前のように私がおこなっていたことを、自分なりに頑張ってするようになったのです。それを見てハッとしました。子どもたちには親が思っている以上に力があり、母親の私がしてあげなければと思っておこなっていたことの多くは、ただ先回りしておこなってしまっていただけなのかもしれない……と。 そして、これまで私はいろいろやりすぎていたのかもしれない、完璧主義は自己満足に過ぎなかったのかもしれないと思うようになりました。 わが家の省エネ育児現在は、家事も育児も「無理しないを頑張る」をモットーにおこなっています。これは私の性格と事情を知っているママ友からのアドバイス。 ついつい無理してでも全部やり切ろう! となりがちなので、優先順位をつけて、今日絶対におこなわなければいけないこと以外は明日以降にまわす、もしくはおこなわない(おこないたいけれど諦める)、という選択肢を持つようにしました。 食事は大切ですが、今は自炊にはこだわらず、余裕のないときは出前をとって、料理に割く時間を家事や子どもの相手にまわします。ただし省エネは心がけていてもすべて省くのではなく、季節の行事やお誕生日などのイベントごとは大事にしたいので、張り切って飾り付けや料理もしています。 また、いざというときのためにファミリーサポートや民間のシッターサービスにも数社登録して、信頼できるママ友には事情を隠さず話しました。助け合いであれば、甘え下手の自分でもいざというときに甘えやすくなるのかな、と思って、ママ友のお子さんたちのことも積極的にお預かりしています。 省エネ孤育てのメリット省エネ孤育てにはメリットもたくさんあります。 まず、これまで夫を優先したり気をつかったりしていたことがすべて、子どもたち優先、中心にできるのです。省エネのために、朝は子どもたちと同じ時間に起きて、夜は子どもたちと同じ時間に寝てしまうこともあります。また子どもたちには、「大人はママしかいないから家族みんなで助け合わないとね」と話しているのですが、家族の一員としての自覚が強くなったようで、お手伝い、というよりも自分のこととして、主体的に動いてくれるようになったように思います。 それから、インテリアも子ども中心に変え放題です。コロナ禍では難しいけれど、平日でも週末でもいつでも家にお友だちを呼べるし、家では人目を気にせずダラダラできるし、本当に自由で気楽なのです。 現在夫とは離婚協議中なので、孤育てはこれからもずっと続いていくことになります。孤育て、がふと寂しく感じるときもありますが、私にとって子どもたちは宝物。家事・育児の省エネ化は、子どもたちと笑顔で過ごすために私に必要なことだったと感じています。もっともっと省エネを追求して、バランス良く家事育児をこなしていけるようにしていきたいと思っています。 著者:坂井香子おだやかな娘とわんぱくな息子の母。夫は別居中のため、完全ワンオペ育児奮闘中。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2022年01月18日私は結婚を機に専業主婦になりました。夫は仕事が忙しく、育児はほぼ私ひとり。近くに頼れる親戚も友だちもおらず、「孤育て」状態。誰にも頼れない中、育児書を読んでそのとおりに頑張っていたところ、ある日限界を感じる瞬間が……! そんなときふと目に入った、ある物に救われたのです。これが、私の省エネ育児の始まりでした。 孤育て中、「離乳食は手作り」にこだわっていた私夫は仕事が忙しくて、育児はほぼ私ひとり。さらに周りには頼れる親戚や友だちもいないので、私は「孤育て」状態の毎日でした。そんな中、初めてのわが子に初めての離乳食をあげる日がやってきたのです。私は離乳食のレシピ本を読んだりレシピサイトを検索したりして、栄養が偏らないように、いろいろな食材を食べられるように、好き嫌いがないようにと毎日離乳食作りに奮闘していました。 しかし、息子が2歳のとき、第二子である娘が生まれてからのことです。今までひとりで子育てを頑張っていましたが、ふとそんな自分に疲れてしまう瞬間がやってきたのです。 私の省エネ育児はこうして始まった!娘が生後10カ月になると、娘の離乳食が3回になったことに加え、夜泣きをするようになり、私の疲労はMAXに。そのため離乳食作りがとても大変と感じるようになりました。 そんなとき買い物中にスーパーでふと目にしたのは、市販のベビーフード。これまで離乳食は手作りで頑張ってきましたが、このとき初めて市販のベビーフードを使ってみることに。すると……その便利さに感動! 種類にもよりますが、そのまま食べられるものが多く、栄養バランスも良くて、自分では使わない食材も入っている。こんな便利な物があったのか……!と、この便利さに気づいてからは積極的にベビーフードを利用するようになりました。これが私の省エネ育児の始まりでした。 ベビーフードを取り入れた結果…それから3年後、第三子である次男の離乳食では市販のベビーフードを積極的に活用するようになりました。 特に上の2人の子が夏休みなど、長期休暇の時期は毎日3食作るのが大変なのでベビーフードが大活躍です。ベビーフードのストックをいくつか買っておいて、「今日は疲れたな」というときに使用します。 ベビーフードをストックしておくことで、料理が苦手な夫にも休みの日に子どもたちを任せて出かけられるようになりましたし、自分の精神的、肉体的な負担が軽減されるようになりました。 私はベビーフードは赤ちゃんのためだけではなく、自分のためのものだと思っています。子どもたち3人を育てていく中で、頑張ることも大事だけれど、頑張らずに自分の負担をじょうずに減らして省エネすることも大事だと気づきました。私にとって市販のベビーフードは、手作りの負担を軽減してくれるだけでなく、自分自身の気持ちを安定させてくれる貴重な存在でした。 イラストレーター/ライコミ著者:小山田ちよえ2男1女の母、アラフォー主婦。夫の仕事が忙しく平日はワンオペ育児に奮闘中。チョコレートとパンが大好き。復職に向けて資格取得を目指している。
2021年12月31日店員や業者など、サービスを提供する人々に対し、何かと文句を付けたがるクレーマー。客が店員に対し、ささいなミスを指摘し怒鳴っているのを見ると「何もそこまでいわなくても…」「大声で怒鳴らないであげて」と、同情しますよね。クレーマーは、店員など、なかなか反論することができない立場の人に怒りをぶつけてストレスを発散しているのかもしれません。日々、クスッと笑える漫画をTwitterに投稿している、ジョンソンともゆき(@tomo_yuki2525)さん。『クレーマーに話しかけられて育てられたサボテン』という漫画を描きました。クレーマーに話しかけられて育てられたサボテン pic.twitter.com/juwxdXeXHX — ジョンソンともゆき 『ゆかいなまんが』発売中 (@tomo_yuki2525) December 23, 2021 クレーマーからの罵声を浴びて育ったサボテンは、頭を下げる店員のような姿に…。「大変申し訳ございません」と心を無にして謝罪しているようで、心が痛みますね。この投稿には、さまざまな声が寄せられています。・枯れたり萎えたりしないのがタフだわ。・全身の針をクレーマーめがけて飛ばせ!!・そのサボテン、私が引き取って甘やかしてあげたい!・怒らないなんてさすが『寛容』植物。ちなみに、ジョンソンさんはイラストの続きをブログで公開しています。クレーマーが「ヒッ…!」と思わず声を上げるような、ゾッとするような展開です。ジョンソンともゆきの漫画ブログ気になった人は、ブログをチェックしてくださいね![文・構成/grape編集部]
2021年12月25日長期化するコロナ禍で、孤独な子育て「孤育て」が社会問題化しています。この約2年間で、たくさんのママたちが孤独な出産や育児に向き合ってきました。コロナ禍で実家を頼れなくなった人もたくさんいます。 そして両親に会う機会が減り、LINEや電話でやり取りすることが多くなり、気持ちがうまく伝わらなかったり、お互いの状況が理解できなかったりすることが増えたと実感する人も少なくありません。そうしたコミュニケーション不足が、ママたちのストレスに拍車を掛けることも。コロナ禍だからこそ感じたもどかしさ、両親に会えないジレンマのリアルを取材しました。 現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。 生まれた孫に会わせてあげたいけど…両親とのすれ違いから生まれた歪みコロナ禍で実家との交流の機会が減った人は多い。「感染の可能性を考えると、高齢の親が暮らす実家へ気軽に帰るわけにはいきませんでした」と語るのは30代の田中あき子さん(仮名)。感染者数が右肩上がりだった今年7月、里帰りせず第2子を出産した。医療現場は厳戒態勢が敷かれており、夫の面会すら許されない孤独な出産だった。「早く孫の顔を見せてあげたいな……」 出産で疲労と感動の中にいたあき子さんは、そんな気持ちを込めて病院のベッドから両親にLINEを送った。 「無事に出産しました」 通常であれば、あき子さんの両親も病院に駆け付けて、孫の顔を見に来るはずだった。しかしコロナ禍でそれは許されない。 「明日、面会に行きます」 と返事が来たので、夫ですら立ち会い出産も面会も許されていないことを伝えた。すると、 「ではいつなら可能なのか」 と返事が来た。あき子さんも、両親に会いに来てもらいたいのは山々だったが、その気持ちがLINEのやり取りでどれほど伝わっていたのかはわからない。気持ちがうまく伝わらない上、コロナ禍の病院の状況が理解できていなかったのかもしれない。 東京オリンピック直前の時期。いつから会えるのかなんて、誰にもわからなかった。感染拡大防止を考えると、地方に暮らす高齢の両親を気軽に自宅へ招くわけにもいかない。確実な約束ができないまま退院を迎えた。そんな最中、両親からLINEが来た。 「明日の午前中着で、差し入れのご飯を送ります」 この後、些細なすれ違いから誤解が生まれ、あき子さんと父との間に歪みが生まれた。気持ちを急かしたのは、「孫の顔が見られない」という両親のジレンマからだった。突然の電話で怒鳴り声!孫にも当たり散らして呆れ果て「受け取ったらまず電話!お礼だろ!そんな電話もできないのか!」 電話に出た途端、怒鳴り声が耳に響いた。父の声だった。 母がクール便で送ってくれた手料理を食べていた時だった。母が「会えない代わりに」と煮物や漬物、炊き込みご飯など、愛情たっぷりの手料理を送ってくれたのだ。産後のあき子さんにとって、最高のプレゼントだった。 しかし配送業者とのタイミングが合わず、午前着の荷物の受け取りが最終の夜8時に。大好きな「ばあばの手料理」を心待ちにしていた長女(3歳)はもう腹ペコ。届いた料理をすぐに温め、「たくさんあるね」「おいしいね」と家族で温かい食卓を囲んでいた矢先、父からの電話が鳴ったのだ。 謝っても父は聞く耳を持たなかった。 「さっき荷物を受け取って開けたばかりで。時間が遅いからまず食べようってことになって……」と説明しても、怒りは収まるどころか、孫にも飛び火した。「じいじ、ありがとう」と言った娘に、「ありがとうじゃねえ!」と語気を強めて言い放った。 「娘は『どうして?』と驚いた様子で、しゅんとなっていました。父は元々難しい人なんです。ちょっとしたことでへそを曲げるような。でもあそこまで頑固だとは。娘にまで怒るなんて初めてでした。普段はLINEでのやり取りだけだったので、久しぶりの電話でした。なのにいきなり怒鳴られて……とてもショックでした」とあき子さんは振り返る。壮絶な出産を経て退院、通院、子育て……置かれた現状をわかってくれないあき子さんの第2子出産は波乱万丈だった。予定日より数週間早く破水して緊急入院。そして入院先のトイレで産気づいて、個室の鍵が開けられず一人で出産した。 赤ちゃんは無事に産まれたものの、体重が思うように増えず、黄疸が出たため入院延長に。あき子さんがひと足先に退院し、すぐに母乳を届けるための通院が始まった。壮絶な出産を経ての退院、通院、そして上の子の世話にも追われる暮らし。不安と疲労が蓄積していた。 近くに頼れる親戚はおらず、コロナ禍で友人を頼るわけにもいかなかった。そんなあき子さんに向けられた父の怒鳴り声は、怒りというよりも失望感を湧き上がらせた。まるで孫に会えないことを責められているような感じがして、孤独感を助長した。せめて両親には労ってもらいたかったのに……。 「自分と両親の考え方の違いに、イライラを通り越して呆れてしまいました。正直、めんどくさいなと思っちゃいました。このタイミングでお礼を強要する?って。 もちろんうれしい気持ちを伝えることは大切ですけど、こっちのタイミングもあります。一方的に送ってきたものに対して、お礼がないと腹を立てるなんて。それどころではないことをわかってもらいたかったです」父と久しぶりに再会。オンラインでは気付かなかった両親の老い結局、緊急事態宣言もあり、しばらく両親とは会えぬまま、父とは冷戦状態が続いていた。でもこのままでは引きずると感じ、あき子さんから折れることにした。仲直りのきっかけを待っている父の気持ちが、なんとなくわかったからだ。 「会いに来てくれるのを待ってます」 コロナの感染状況が落ち着いたころ、孫たちの写真を添えて父のLINEに送った。 父からの返信はなかった。 でもその日のうちに母と会いに来た。少し年を重ねていた父は、孫を愛おしそうに抱いた。 「気難しい人はかわいいんです」とあき子さんは笑う。「自分からは素直に折れないくせに、きっかけを待っていたんですね。やっぱり会って直接話した方が、すんなりお互いの気持ちも伝わります。あの出来事も忘れて話せるのは親子だからですね」 両親との気持ちのすれ違いを通じて、あき子さんは直接会うことの大切さを再確認した。「オンラインでのメールや電話も便利ですけど、所詮オンラインはオンライン。直接会って話すのとは全然違います。家族だから会えば細かいニュアンスも伝わりますし、電話やメールで話しづらいことも話せます。 それから、画面越しだと感じなかったですけど、久しぶりに両親に会ったら老いを感じました。少し小さくなった姿にショックを感じましたが、やさしくなれる自分もいました。直接会うって大切ですね」 オンラインでは自分の気持ちや状況をすべて伝えることも、相手のすべてを理解することも難しい。会えない時間が続くと、家族でさえ縁や絆が薄れがちになる。産後、両親がすぐに孫に会えていたら、あんな感情をぶつけなかったかもしれない。 「これからどんな状況になるかわかりませんが、会えない時は大らかな気持ちで相手を労ろうと思います」 コロナによって生まれてしまった両親とのすれ違い。そして久しぶりに再会した両親の老いーー。 これらのことから多くの気づきを得たと彼女は言います。 どんな状況になっても相手をいたわり、助け合える世の中になることを願ってやみません。著者:ライター 大楽眞衣子社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
2021年12月17日初めての街で初めての育児。知り合いもいない、夫は激務で頼れない……。孤育てに苦しんでいたとき、1本の「大根」が私を救ってくれたのです。 孤育てに疲れていた私を救ってくれたのは… 誰も知らない街での孤育てに疲れ、すべてが嫌になりそうだったときの出来事でした。そんななかでも彼女のように助けてくれる人がいて、「人生って素敵なことがたくさんあるんだな」と思うことができました。 監修/助産師REIKO★♡★♡ベビカレ秋のマンガ祭り★♡★♡マンガ200連載突破を記念して『べビカレ秋のマンガ祭り』開催中!話題のマンガを毎日増量配信♪ぜひチェックしてくださいね!著者:みほ母7歳、4歳の男の子二人の母です! 子どもたちが大きくなってきて育児の寂しさや大切な想いを綴っています。
2021年11月23日