見通し不安に関する悩みは、発達段階や特性で千差万別丸山さとこさんの中学1年生の息子・コウ君には自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあります。コウ君が不安からパニックを起こしてしまう原因は、イベントや初めての場所などの『非日常的な状況』よりも、むしろ日常の中に多く存在していたそうです。成長につれて変化してきた見通しにまつわる「困りごと」の中身についても、教えていただきました。自閉スペクトラム症(ASD)のある宇樹義子さん。実は、高校時代までは「見通し不安」による困りごとはあまり感じなかったと言います。自分でスケジュール管理をしなければならない大学・社会人になってから、困ってしまう場面がぐっと増えてきたそうです。苦しかったころの思い出と、さまざまな工夫を重ねて困難を乗り越えてきた過程を書いていただきました。吉田いらこさんの小学6年生の長女・ゆいちゃんには、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断が下りています。不安をとても強く感じる特性があり、多くの子どもにとって楽しみなイベントである遠足や校外学習などの学校行事が近づいてくると、とても気が重くなってしまうそうです。どうしたらゆいちゃんの不安を軽減できるのか、吉田さんが実際に活用しているという方法をご紹介くださいました。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレ―ゾーンの小学5年生。未就学児のころは特に、ちょっとしたお出かけから食事の献立にいたるまで、前もって伝えていた予定が変わることが苦手で、よく癇癪を起こしていたそうです。「見通し」が崩れることで不安が高まり、癇癪につながってしまうタイプのお子さんとの関わり方について、臨床心理士の初川先生からのアドバイスも必見です!さいごに今回の「見通し不安」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子と似ているかも!」「わが子もこんなふうに感じているのかな」「同じように対応方法を工夫してみよう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の癇癪やパニックも、「見通し不安」からくるものなのかも…と考えられると、関わり方にも少し余裕が持てるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月10日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!新学期が始まり、環境の変化で不安定になっているお子さんもいらっしゃる時期かと思います。特にこの春、小学校に入学した新1年生の保護者の方々は、これまでお子さんの就学先についてたくさん悩み、いまも不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。就学先選びについて、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。どんな就学先を選んだのか、気になるアンケート結果も発表いたします。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます通常学級、通級利用、特別支援学級…進学先はどこを選んでいる?今回発達ナビでは、お子さんの就学先として選んだ進路についてアンケートを取りました。Upload By 発達ナビ編集部結果は通常学級(通級含む)が50%、特別支援学級が40%、特別支援学校が5%、フリースクール2%、その他2%となりました。以前発達ナビニュースでも取り上げましたが、「通常学級在籍の小中学生の8.8%に発達の特性がある」という2022年の文部科学省の調査結果が示す通り、発達に特性がある多くの子どもたちが、通常学級(通級含む)に在籍している状況が分かりました。続いて、お子さんの就学先選びについてお寄せいただいたエピソードをご紹介していきます。違和感を感じるも、学区の小学校に特別支援学級がなく通常学級に進学…現在中1の息子のことです。幼稚園での様子を見ていて「ちょっとほかの子どもと違う?」と感じるところがありましたが、幼稚園の先生に何も言われなかったのと、学区の小学校に特別支援学級がなかったので、学区の小学校の通常学級に入りました。小2の冬に不登校になったことから、小3のときにWISCを受けました。その結果から通級を勧められて週1回通級を利用するようになりました。小5になるときに弟が入学し、学校には特別支援学級ができました。その年のコロナ休校明けに再び不登校になりました。弟も兄を追うように不登校になったのでメンタルクリニックを受診。二人とも「診断をつけるならASD」とのことでした。その後、特別支援学級に抵抗のなかった弟を校内で転籍させました。兄は特別支援学級ができた当初「あそこは保育園」と言っていましたが、卒業間際、弟が過ごす特別支援学級を見て「おれも初めからこのクラスならよかった」と言いました。違和感を無視しないで、学区を越えてでも入学のときから特別支援学級に入れた方がよかったのかな、と考えさせられる出来事でした。(ひろとしさん、通常学級)ご長男・ご次男共に不登校を経験し、ご長男については「就学時から学区を越えて特別支援学級に入れたほうが良かったのかも…」と思っていらっしゃるひろとしさん。特別支援学級の設置状況は地域によって大きく異なり、特別支援学級がないという学校も多く存在しています。そして、たとえ就学予定の学校に特別支援学級があったとしても、ひろとしさんのお子さんのように、子ども自身が途中からの転籍を拒む場合もあり、在籍クラスをどうするか決断するのは難しいものです。発達ナビに寄せられた会員のみなさんの体験談コラムから、学校の環境が合わず、発達障害のある息子さんがストレスから体調を崩してしまったことがきっかけで、息子さんの特性を受け止め、しっかりと向き合うようになったというエピソードをご紹介します。誰にも正解は分からないものですが、問題にしっかりと向き合い前へ進んでいらっしゃる様子に、励まされる方も多いのではないでしょうか。おとなしい子は「通常学級」判定!?入学後登校渋りに長男…通常学級入学、1ヵ月で登校渋り。通級に行きはじめて、小3まで順調に見えたものの、小4になってすぐ不登校。特別支援学級に移って、登校できるようになり、表情も良くなってきました。次男…入学時から特別支援学級で、課題はあるものの順調に成長しているようです。大人があまり困らないおとなしい子は、通常学級判定になってしまう。通常学級で一度傷ついてしまうと、その後まっすぐ成長するのが難しい。学校と支援の話をするのにも、幼少期から、医療福祉その他繋がりを持つことが大切だと思いました。いろいろあった長男は、今もいろいろありますが、本当にたくさんの方に支えられて、今は特別支援学級で頑張っています。(ゆみこさん、特別支援学級)大人にとって手のかからない子どもは、困っていることに気づかれにくいという話をよく耳にします。今は医療や福祉の支援に繋がり、特別支援学級で頑張っているというゆみこさんの息子さん。発達ナビライター・吉田いらこさんの娘ゆいちゃんも、おとなしいタイプで、小学5年生になるまで障害に気づかなかったそうです。吉田さんの「療育に早く繋げられなかった」という後悔、そして周囲の「どうして気づかなかったの?」という何気ない声に傷ついたというエピソードに寄せられた、臨床心理士の初川先生からの温かなアドバイスも、ぜひご覧ください。多動ありの新1年生。情緒学級がなく通常学級(通級)に就学で不安…4月から小1です。多動です。情緒学級のない地域。就学相談では、知的障害なしという事で通常学級を勧められましたが、なんとか通級をお願いしました。就学校の校長先生からは、子どもの様子を見て保護者付き添いをと言われました。4月から私も一緒に通います。今年に入ってから内服も始めましたが余計に酷くなる一方で、行きしぶりもあり…特別支援学級を強く希望すれば良かったです(療育の先生や医師からは通級を勧められて、それで何とかなると思ってしまって)。不安しかありません。不登校になる気しかしません。(AAAさん、通常学級(通級))今まさに大きな不安を抱えていらっしゃるAAAさん。ついこの前まで保育園・幼稚園に通っていた子どもが、小学校の通常学級でやっていけるのか…とても心配になりますね。発達ナビライターの荒木まち子さんも、発達障害のある娘さんの小学校入学と引越し・妊娠の時期が重なり、思うように身動きが取れない状況になってしまったと言います。当時のことを振り返り、つらいこと、大変なことがさまざま重なった中、23年の子育てのご経験から今感じることをコラムに書いてくださいました。また、つらいとき心の支えになった仲間の存在も大きかったと言います。荒木さんの「いま子育てに悩み苦しんでいる保護者さんにも、ぜひまず『動いてみてほしい』」というメッセージが、心に沁みます!就学準備は年中から。入学までほぼ月一回小学校に!年中から通い始めた児童福祉センターの療育(併行通園)で、動くなら早い方が良いと言われ、講演会などに積極的に参加しましたね。年長に上がる前の2月には、通う予定の小学校へ連絡を入れ、行事などが落ち着く6月くらいから校長先生にお会いして面談しました。幸い、特別支援に力を入れている小学校なのもあり、参観日の見学や行事の参加など積極的に声をかけていただき、入学までにほぼ月イチで息子も連れて小学校へ行ってました。言葉が遅いなどがあり、当初から特別支援学級希望ではあったのですが、授業参観の時にとりあえず通常学級も…と思ったのですが、教室に近づくにつれ息子の拒否が凄かったので、あぁ、やっぱりね…と思ったものです。そんな息子も、4年生から増えた交流授業(理科と時々体育)に楽しんで参加するようになっています。そろそろ、中学をどうするか頭を抱える時期になってきました…。(あきっちさん、特別支援学級)お子さんが年中のころから、綿密な準備を進められたあきっちさん。就学予定だった小学校が、特別支援教育に力を入れている学校ということで、とても協力的だったのですね。学校での息子さんの様子を実際に確認できたことも、就学先決定のポイントだったのではと思います。また、そろそろ中学校の進学先について考える時期とのこと。連載ライターSAKURAさんの娘さんは、小学校では特別支援学級に在籍していましたが、中学校でも特別支援学級に…とは、当初あまり考えていなかったそうです。しかし、娘さん本人に中学校から在籍クラスをどうするか聞いてみると、意外な答えが…?ぜひご参考になさってみてください。将来は「特別支援学級の先生」になりたい!小学校は、通常学級に在籍しての入学。入学してから、皆と動きが同じにできず…。先生の勧めで検査し、アスペルガーと診断。さらには聴覚過敏症や偏食も。低学年のころは言葉で伝えるのが難しく、教室のガヤガヤ感が耐えられず暴れると先生2人がかりで連れ出される始末。イヤーマフが本当に役に立ちました。特別支援学級の先生の勧めで2学期から特別支援学級に通級すると、少人数で静かな環境が本人には合っていたのか、授業も集中できるし、分からない部分は少人数の良いところで、細かく教えてもらうことができ、通常学級よりも進んで教わっていました。あまりにも進行速度が違うと、調節するためにご褒美時間(内緒のお茶会やDVD鑑賞)がありました。特別支援学級の先生は、発達障害児がどこにつまづきやすいのかを分かっていて、掛け算九九をパソコンやCDで目と耳を使って早めに教えてくれたり、コンパスの使い方を早めに教えてくれたりと、至れり尽くせりでした。おかげさまで、小、中と不登校もなく来れました。高校も無事に合格し、将来は特別支援学級の先生になりたいって言ってます。(しのっぺさん、通常学級(通級))しのっぺさん、息子さんの高校合格おめでとうございます!自分に合った少人数の落ち着いた環境で学べたことで、不登校もなく学校に通うことができ、将来の夢は『特別支援学級の先生』とのこと、素晴らしいですね!すべての子どもたちがしのっぺさんの息子さんのように、自分に合った環境でのびのびと学んでいける世の中になることを願ってやみません。発達ナビライター鈴木希望さんの息子さんは、不登校を経験した後、特別支援学級に転籍したことで、再び学校に楽しく通うことができるようになりました。改めて自分に合った環境で学ぶことの重要さを感じます。おわりに発達の気になる子どもの就学先については、就学時には子ども自身の意思が確認できない場合も多く、保護者が決断しなくてはならないことから、誰しも大いに悩むことだと思います。たくさん調べ、悩んだ末に選んだ道が果たして正しかったのか?正解は分かりませんが、大切なのは、学校や医療機関、支援者と連携する体制を作ること、そして状況の変化に臨機応変に対応できるようにしておくことではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもさまざまな企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月08日障害児向けの絵本作家として活動しているしょうじあいかは、2023年3月に「全国の障害児施設へ自作絵本を配るクラウドファンディング」を実施し、初期の目標金額389%を達成。この度、クラウドファンディング成功を足がかりに、4月1日に障害児支援を目的とした絵本屋サイト『絵本屋だっこ』をオープンしました。URL: 絵本屋だっこに掲載中の絵本■絵本作家しょうじあいかとは・北海道在住の3児の母で、長男が重症心身障害児・保育士、幼稚園教諭、教員免許、カウンセラー資格等を保有・言語理解が難しい息子でも楽しめる絵本をつくりたいと、2022年から障害児向けの絵本づくりをスタート「自作絵本を障害児施設に配りたい」という夢のため2023年2月~3月に挑戦したクラウドファンディングは、400%に迫る達成率で成功をおさめました。4月より全国の施設へ絵本約2,000冊を配布していきます。実施した絵本クラファンまた「絵本づくりを少しでも障害児支援につなげたい」という思いから、クラウドファンディングと同時進行でサイト『絵本屋だっこ』の立ち上げ準備をしてきました。しょうじあいかの絵本の売り上げは、全額、障害児支援のための寄付にします。■絵本屋だっこの取り組み・絵本の売り上げを障害児のための寄付に・障害者アーティストのイラストを絵本にし、売り上げはアーティストに全額還元・一部絵本の売り上げをもとに障害児施設等へ絵本を配布絵本づくりをとおして、インクルーシブな社会の実現へ寄与できればと考えています。■絵本屋だっこの絵本ジャンル・重い障害があっても楽しめる絵本・障害があってもなくても楽しめるインクルーシブ絵本・障害者アーティストの作品を使用した絵本・障害への理解を広める絵本・英語版絵本■絵本の購入はAmazonから絵本屋だっこ制作の絵本はすべてAmazonからご購入いただけます。(AmazonのKDPにより出版)※HPの購入ボタンを押していただくと、それぞれの絵本のAmazon販売ページに遷移します。■読み聞かせ動画も無料公開絵本の内容を知っていただくため、絵本屋だっこでは全作品の読み聞かせ動画を公開中です。▼しょうじあいか【障害児向け絵本作家】絵本屋だっこ ■今後は法人化も検討現在は個人事業として運営していますが、書店への絵本流通や図書館や海外への絵本寄付など、より幅広い活動のため、今後は法人化(出版社化)も検討しています。・公式サイト ・絵本屋だっこInstagram ・公式LINE ・しょうじあいかInstagram 絵本屋だっこチラシ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年04月07日児童発達支援施設フォレストキッズ(運営:合同会社EverGreen、本社:愛知県名古屋市、代表:撹上 理恵)は、2023年4月16日(日)に名古屋市・吹上ホールにて発達障害・グレーゾーン児、ギフテッド児童とその保護者様に向けて「2024年春入学対策 小学校入学のための進路相談会」を開催いたします。発達障害児教育の専門家・撹上 雅彦氏、食育専門家・撹上 理恵氏を迎え、来春の小学校進学を控える発達障害・グレーゾーン児、ギフテッド児童などの個性あるお子様方に、最適な環境を準備するためのポイントをお伝えします。参加費は無料です。【イベント申込ページ】 2024年春入学対策 小学校入学のための進路相談会■発達障害・グレーゾーン児、ギフテッド児童の進路選択の難しさとは?児童発達支援施設フォレストキッズでは、毎年春になると、翌春に小学校進学を控えるお子様の保護者様から、進路選択に関するご相談をいただきます。「小学校進学時の進路選択」といわれても、多くの方にはピンとこないかもしれませんが、発達障害を持つお子様と、診断はおりていないもののその可能性が高いお子様(グレーゾーン児)、そして突出した才能を持つギフテッド児童は、その成長発達のアンバランスさから、一般のクラス(普通級)に通うべきか、障害のある児童のための少人数クラス(特別支援学級)に通うべきか、あるいはそうした児童のための専門の学校(特別支援学校)に通うべきかを迷うことがあります。しかし、そうしたお子様は少数派のため、実際にそれぞれの環境に通っている人のリアルな声を聞ける機会は少ないことから、保護者様は「何を基準に我が子の学習・成長の環境を選択していくべきか」と大きな不安を抱えていることが多いのです。そのため、フォレストキッズでは積極的に利用者様のご相談に乗ってまいりましたが、この度、専門家2名と当社スタッフであり特別支援学級の担任を5年間務めた宮田による、施設利用者様以外も参加可能な進路相談会を開催することにいたしました。当社顧問であり発達障害児教育の専門家である撹上 雅彦からは、「就学時検診では問題ないと言われて普通級に入ったが、その後支援学級に移ることになった事例」「IQ157の天才児ですら、環境にうまく適応できず、不登校になってしまった事例」など、お子様に合った環境を選択することの大切さを、事例を通じてお話しいたします。当社代表であり食育専門家である撹上 理恵からは、発達障害・グレーゾーン児の多くが食の好みに偏りがあることから、「給食との付き合い方」についてお話しいたします。当社スタッフ宮田からは、元支援学級担任という経験をもとにした進路選択のポイントを解説させていただきます。当社は発達障害・グレーゾーン児・ギフテッド児童などの個性ある子供たちの才能と可能性を開花させることに、幅広い領域で取り組んでおり、その活動の一環として、本会を企画いたしました。■「2024年春入学対策 小学校入学のための進路相談会」について【開催概要】イベント名: 「2024年春入学対策 小学校入学のための進路相談会」開催日時 : 2023年4月16日(日)10:00~11:30場所 : 吹上ホール9階展望ホール(愛知県名古屋市千種区吹上2-6-3)参加費 : 無料定員 : 100名主催 : 児童発達支援施設フォレストキッズ詳細 : 【プログラム】10:00~10:05 開会・来賓挨拶 前豊橋市長・佐原 光一様10:05~10:25 トークセッション(1)「元支援学級担任による進路選択のポイント解説」10:25~10:45 トークセッション(2)「環境にうまく馴染めず、実際に起きたこと」10:45~10:55 トークセッション(3)「栄養アドバイザーによる給食との付き合い方」10:55~11:25 質疑応答11:25~11:30 閉会・各種ご案内※プログラムの内容は予告なく変更となる可能性がございます。【お申し込み方法】イベント詳細ページ( )より必要事項を記入しお申し込みください。■トークセッション登壇者撹上 雅彦発達障害児教育専門家フォレストグループ顧問・フォレスト個別指導塾塾長群馬大学教育学部 障害児教育専攻卒。2014年に小学生の長男が自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、知的障害の一歩手前の広汎性発達障害であることが判明し、20年以上経営した学習塾を閉鎖。障害児教育の専攻経験も踏まえ、大阪医大LDセンターで研修を受けて学習アプローチを学び直し、発達障害向け放課後等デイサービスと個性ある子のための個別指導塾、児童発達支援施設をオープンする。小学校低学年で漢字が書けなかった長男は、小学校在学中に英検3級に合格し、私立大学付属中学校に合格。自らの実体験に基づいた的確な指導には多くの保護者からも定評がある。著書『かくあげ先生の 発達障害・グレーゾーン 子育て 新ベストテクニック54』はAmazon・楽天ブックスの児童福祉部門にてNo.1を獲得。発達障害児教育専門家・撹上 雅彦撹上 理恵フォレストグループ代表発達障害児向け教育事業グループの代表として、放課後等デイサービスを5事業所、児童発達支援、個性ある子のための個別指導塾、算数オリンピックをめざす子のための塾を運営。小学生の長男が広汎性発達障害と判明後、専門機関の指導により栄養療法を実践。医療関係者向けオーソモレキュラー療法や医師主催の栄養療法を学び、食事の栄養バランスの変更で体質や行動を大きく改善させる。オーソモレキュラー協会代表の溝口 徹医師著『発達障害は食事でよくなる』(青春出版社刊)では、改善事例として紹介され、グループ内でも栄養的アプローチを適用した改善実績がある。食育専門家・撹上 理恵■児童発達支援施設フォレストキッズについてフォレストキッズは、発達障害を抱える我が息子への想いがきっかけで誕生した児童発達支援施設です。療育の質はもちろん、ご家庭での接し方や食事面など、きめ細やかな部分までサポートしています。また、フォレストキッズでは決まったカリキュラムはなく、教材も個々の課題に合わせて手作りしています。一人ひとりの個性に着目し、お子さんに合わせた「オーダーメイド」の療育プログラムをつくり上げています。運営企業は合同会社EverGreenです。児童発達支援施設フォレストキッズ■合同会社EverGreenについて【会社概要】社名 : 合同会社EverGreen本社所在地: 〒461-0004 愛知県名古屋市千種区池下1ー4ー15 川辺318ビル5A代表取締役: 撹上 理恵事業内容 : 児童発達支援施設および個性ある子のための個別指導塾の運営設立 : 2019年6月HP : 児童発達支援施設フォレストキッズ( )フォレスト個別指導塾( ) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年04月04日過去の自分と重なった後輩ママさんUpload By ぼさ子2023年が明けたころ、私の住む地域にも次年度小学校入学予定のお子さんに向けて入学決定通知書が届けられました。そして間もなく療育の先生から「ほぺろう君と同じ学校に入学する事が決定したお子さんを育てるお母さんがいるのですが、その方とお話してくれませんか?」という依頼が。過去に私も、身近に同じ境遇の方がいなくて「誰か先輩を紹介してほしい」と療育先にお願いした経験があったので、私でお役に立てるなら…と引き受けさせていただきました。お会いしたママさん(以下、後輩ママさん)のお子さんもほぺろうと同じく自閉スペクトラム症の診断。後輩ママさんの「私は今まで同じ境遇の人に会ったことがなかったんです」という言葉にハッとさせられました。この後輩ママさんは過去の私だと。不安感・疎外感…。「頑張らなきゃ」と感情を押し殺して毎日を乗り越える育児。自分と重なるほかの人に会ったことで「本当はいろんな感情があったんだよな…」とあふれてくるものがありました。私の居住地ではまだペアレント・メンターなどの地域内での繋がりが整備されていないので、後輩ママさんの依頼を受けたとき「よくぞ勇気を出して誰か紹介してほしいと相談してくれた」と思いました。同じ地域の先輩だからこそできる話Upload By ぼさ子後輩ママさんは進学についての不安を持っている様子で、主にほぺろうが通う特別支援学校のことや準備についての話をさせていただきました。大半の子どもたちとは違う進路に行くことによる情報の少なさ・不安感を一年前の私も抱えていたよなぁ…としみじみ。この日は、以前に私もお世話になった先輩ママさんも同席してくださっていたので、一緒に「この特別支援学校で準備する物、放課後等デイサービス、移動支援サービス、病院、この地域での療育手帳の使い方」などなどの情報を伝えました。私が話した内容はすべて かつて先輩ママさんから聞いた話の受け売りですが、過去の私は先輩ママさんにすごく救われたので同じ話をせずにはいられませんでした。先輩ママさんからもらった大切なものUpload By ぼさ子過去、それまで同じ境遇の方に会ったことのなかった私が初めて先輩ママさんにお会いしたとき、育児についてや地域ならではの情報を聞けたことももちろんすごくためになったのですが、一番良かったと思えたのが「先輩ママさんの表情を見られたこと」。このとき、先輩ママさんが不幸そうな顔をしていたら今の私とは違っていたでしょう。お子さんはほぺろうと状況が似ていたので大変な思いもたくさんしてきただろうと容易に想像できましたが、先輩ママさんの穏やかな空気から「ああ、この人は今 幸せなんだな…」と希望をもらえたことを憶えています。私は今でもここが自分のターニングポイントだったと思っています。今回後輩ママさんとお話したとき、同じ進路の子どもを持つ親として私もそんな空気感を出せていたらいいな~なんてチョッピリ意識してしまいました。後輩もいつか先輩へ。つながるバトンUpload By ぼさ子ほぺろうの人生はまだまだこれからだし、障害児育児の先輩と言うには早い私(むしろまだまだ後輩)ですが、今回自分の経験を誰かの役に立てるという機会をいただけたのは、私でも少しは成長した?次のステージに立てた?そして何より、ほぺろうの存在が意味のあるものになったという気がして感慨深かったです。闇の中にいる感覚だった時代の自分に「そんな日が来るよ」と教えてあげたい。月日を経ながら先輩ママさんと後輩ママさん両方と接することができて「これはバトンなんだ」と感じました。最後に、新しい進路を行くお子さんたち、ご入園ご入学おめでとうございます!そして ここまで頑張って育ててきた親御さんたちを褒め称えたい!みなさんにとって希望いっぱいの未来になりますように。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)特別支援学校に通う子どもを持つ先輩ママとして後輩ママさんとお話をされたのですね。情報の少なさもそうですが、保護者としての心がまえやありようについてのモデルとして、以前ぼさ子さんが助けられたように、今度はぼさ子さんが助ける側になる。ただ助けるというだけではなく、ご自身のこの1年を振り返り、ほぺろうくんやぼさ子さんの成長を感じる機会でもあり、以前お話を聞いた先輩ママの素敵だった笑顔を思い出す。なんと素敵な循環だろう、なんと素敵な機会・ご縁なのだろうと思います。いい意味での「持ちつ持たれつ」が機能しているように感じました。「あのころは私も不安だった」「後輩ママさんは過去の私だ」。日々子育てでみなさん奮闘されていることと思いますが、立ち止まって振り返ってみると、実は結構たくましく成長していたりしますよね。不安の内容や質も以前とは変わっていたり。いろいろな意味で、とても素敵なメンター経験になられたことと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月28日発達障害のある子どもの不登校。特性のふまえ方は?不登校の小中学生は年々増加傾向にあります。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があり、困りごとを抱えている中で不登校につながることがあります。そこでLITALICO発達ナビでは2023年1月に「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」を開催し、臨床心理士・公認心理師であり、東京都内でスクールカウンセラーも務めていらっしゃる初川久美子先生に、不登校サポートに関してお話いただきました。このコラムでは不登校生セミナーでの講演から一部を紹介し、さらにあらたな質問と回答を加え「発達障害のある子どもの特性のふまえ方、自宅での過ごし方、学習のすすめ方」を中心にご紹介します。子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときは、子ども自身がさんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」であり、問題を解決するよりも先に、まず休養をとることが最優先と考えましょう。保護者の方自身も悩み、サポートしていくうちに疲れてしまうという声も多く耳にします。大人自身が不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今や将来への情報を集めてみる(想像より選択肢は多く不安が少し解消されるかもしれません)、そして保護者が自分自身を休める時間をつくることが大切です。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があります。能力として「できる/できない」以前に、学校生活を送るだけで消耗しやすい状態になりやすく、自分自身のコンディションによって思うような行動ができずに困りごとを抱えてしまうことも多く、不登校や行き渋りにつながることがあります。では、発達障害のある子どもの特性のふまえ方はどう考えたらよいのでしょうか。発達障害には主に3つのグループがあります。Upload By 発達障害のキホンしかし、「自閉スペクトラム症のある子どもの不登校には○○をしたら正解」「ADHDのある子どもの不登校は、このようにサポートしたらうまくいく」「学習障害のある子どもの不登校の対応はこれ」などといった、型の決まった解決方法というものは、残念ながら存在しません。発達障害は、その子の一部分でしかないため、お子さんの状態は「特性によるもの、性格によるもの、環境によるもの」などさまざまです。そのため特性にだけ焦点をあてて対応するのではなく、特性による対応は「大まかな方針」として考えるとよいと思います。では、以下でそれぞれの特性のふまえ方の例をご紹介します。例1、ルーティンがあるほうがよいかルーティンを取り入れられるのであれば、家での過ごし方の”大まかなスケジュール”をお子さんとの話し合いで決めてもよいと思います。例えば「午前中は本を読んで、ゲームは午後からにしよう」「1日1ページは漢字ドリルをやろう」など。また、何をしていいかわからないと困ってしまい「ルーティンがあったほうが過ごしやすい」というお子さんもいるので、その場合は何かルーティンがあることで、「今日も一日中何もしなかった」「つまらなかった」などとなることを防ぐことができるかもしれません。例2、学校を休むことに罪悪感が強い場合学校に行くのはつらいけれど、休むことへの罪悪感が強いお子さんもいます。その場合は、学校との関わり方を模索するとよいでしょう。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。例3、どこでどう過ごすか「家で静かに過ごすだけなのは苦痛」というお子さんもいらっしゃると思います。例えば「放課後の校庭開放に行ってみよう」「放課後は友達と遊ぼう」「朝など、保護者と一緒にジョギングしよう」など、少し広い場所などで活動する時間をつくるとよい場合があります。自治体の適応指導教室の利用を考えてもいいかもしれません。例4、最低限、守ることを決めたほうがよい場合自分がやりたいことに対して制御できないというお子さんもいると思います。保護者の方もこのままではルールがなし崩しになってしまって危険と感じるようなとき、最低限のルールを決めることは必要だと思います。例えば「ゲームを始めると歯止めが利かず、いつまでもやり続けてしまう」などの場合は「ゲームの終わりの時間を決める」「夜はゲームをしない」「寝る時間を決める」「夕食は家族と一緒に食べる」など、(すべてを制限するのではなく)ルールを厳選して持つことが必要かもしれません。ここからは、子どもが不登校になったとき保護者はどうしたらよいのか、学校との連携についてなど寄せられた質問に初川先生に具体例を交えてご回答いただきます。Q.不登校になり家でゲームをずっとやっている息子。依存症にならないか心配【質問】不登校の小4の息子(自閉スペクトラム症/ADHD)がいます。ゲームが大好きで延々やっていても楽しそうです。無制限で徹夜でやりたがります。それでも許可してよいのでしょうか。依存にならないか心配です【回答】許可しない方がいいと思います。息子さんの特性的な面を考えると、ゲームのような楽しいものから離れづらい(自らおしまいにすることが苦手な)面があるのではと感じます。子どもは、好きなものには飛びつきやすく、生活リズムや体調管理、そして家族との生活(一人で生きているわけではない)を考慮して自らの行動をコントロールすることについては、まだまだ未熟、未発達な面があります。そういった意味で、家庭としてルールは設定してあげたほうがよい場合があります。息子さんの場合はそうだと思います。その設定の仕方はお子さんの特性や状態と家庭の考え方によるとは思います。終わりの時間を定めるだけにするか、始まりの時間も定めるか(不登校のお子さんのご家庭でよくあるのは「ゲームは午後から」や「ゲームは学校が終わった時間から」ですね)、食事は家族と一緒に取ることも追加するか、そのあたりはお子さんとも話し合ってご家庭の方針でと思います。不登校なり始めの際に、「学校に行っていないのだから、ゲームは禁止」とされるご家庭があると思います。また、「学校を休んでいるなら、寝ているか勉強しているか、あるいはお手伝いするかのどれかじゃないとだめ」と考える保護者の方もいらっしゃるように感じます。学校に行けないことの罰として、お子さんの好きなものを取り上げてしまうような対応をすると、お子さんは学校に行けないのもよくないと分かっているのに、さらに家でも苦しい状況に陥ってしまいます。また、休みはじめは疲れ切っていたり、好きなことすらやる気が湧かないような状態のこともあります。そういう場合は、お子さんの好きな活動や遊びをする時間をうまく取り入れていくことはとても意味のある大事なことになります。子どもは遊びから元気をもらう場合が多くあります。ただ、だからといって、際限なくさせるというのはまた違う話です。結果としてお子さんが一時的に昼夜逆転になることは多くのケースでありますが、昼夜逆転を引き起こすような設定をする(際限なく動画やゲームを許可する)のはちょっと違うと感じます。お子さんが落ち着いて話せそうなときに、生活のルールについて話し合うことは大切です。ただ、それがあまりにも細かすぎるとそこにもお子さんが疲弊してしまうので、ざっくりとしたルール(消灯時間やゲーム・動画の終わり時間を定めるなど)でよいように感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.ルーティンがあるほうが安心して過ごせるようだが、時間の感覚が苦手な場合、どうしたらいい?【質問】子どもは「ルーティン」は好きなのですが、 時間感覚に少し苦手があるのか、 時間で決めるとうまくいかない場合が多く、親子共に困ることがあります。 時間感覚に少し苦手な場合のルーティンづくりのコツがありましたら教えていただけると幸いです【回答】ここはぜひご本人とも話し合っていただきたいのですが、時間管理を細かく決めすぎるとせっかくの過ごしやすいはずのルーティンがそうではなくなってしまいます。まずは親子で工夫を考えていただければと思います。私は基本的には時間は決めすぎない方がよいと思っていて、日によって多少ずれるのは自然なことだと思います(コンディションがいいからたくさん何かをやる日もあれば、やる気がどうにも出なくて少しゆるく過ごしたくなる日もあるのは自然です)。そういう意味で、帳尻を合わせるところをむしろ考えたらよいのではと思います。夕食は何時から(多少幅を持たせておいた方が苦しくはならないと思います)、寝る時間は何時といったざっくりさ。あるいは、午前中の間にこれとこれをする、くらいのざっくりさ。本人とどこで帳尻を合わせるか、つまり、優先順位の高い時間のルールはどこかを定めるという話し合いをぜひしていただければと思います。保護者が声をかけるのはその決めたところだけでいいのか、そのほかもリマインダーとして声をかけてほしいのか、そのあたりも相談できるといいと思います。ルーティンによって安心がもらえるタイプの方は、ぜひルーティンによって心穏やかに過ごせることを受け取ってほしいと思うので、だからこそルーティンに振り回されないことが大事になります。また、大人になってゆくことを考えると、ルーティンと自分自身のコンディションとを考慮できるようになっていくことも大事なことにはなります。例えば今日は疲れているから今日はこれはやらない、という多少の臨機応変さです。今そこまでできずとも、ゆくゆくそうした臨機応変を入れても大丈夫なだけの余白は残しておきたいという意味で、ゆるめのルーティンを一緒に検討しておくという準備が今からできるのではと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.発達障害があり、服薬をしている娘が最近になりこだわりも増え毎日学校に遅刻。薬の増量をお願いしたほうがいい?思春期特有のパワー不足?【質問】自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあり、服薬をしている小学6年生の娘がいます。最近、こだわりも増え、学校に行きたくないと言い出し、理由は自分でも分からないと言いますが、毎日遅刻して登校しています。薬の増量をお願いするのか、思春期でよく起こるパワー不足による不登校が起きているのか、どうやって判断をしたらいいでしょうか?【回答】まずは、遅刻してでも毎日通っているのは娘さんはとても頑張っているのだと感じます。娘さんに限らず、学校に行きたくないと感じる子どもは、その理由をしっかりと語れることはあまり多くありません。学校あるいはそのほかの場面で、何らか苦戦している・つらいことがあると理解しておきましょう。自閉スペクトラム症とADHDがあるとのことですが、その場合、学校生活や集団生活ではさまざまに困難があることが考えられます。予期せぬ展開に戸惑ったり、注意集中が困難で頑張ろうとしているのに気がそれてしまったり。クラスの仲間との関係も気になるところです。そして小6だと授業がとても難しく、進みも速いかもしれません。遅刻によって参加できない授業があると、飛び飛びに受講することとなり、都度戸惑っている可能性もあります。授業はまだ参加さえしていれば過ごしやすいと感じるものの、休み時間をどう過ごしたらいいか分からない、誰かと一緒にいたいのにひとりぼっちになる。こうしたことが学校のつらさの要因になっているお子さんもいます。このように、さまざまな可能性が考えられます。まずは、担任の先生に、娘さんが学校で過ごしているときの様子(授業場面、生活場面、人間関係についてなど)を聞いてみるのがよいのではないでしょうか。また、娘さんにも学校で楽しい時間や授業があるか、困っていることはないかなど聞いてみるといいと思います。思春期になると、学習がどんどん難しくなり、ある程度の意欲がないとつらくなりやすいです。自分のことも多少客観視できるようになる中で、学校という環境(学習、友達、先生などさまざまありますが)にしっくりくるかどうかというところに自覚的になってくる面があります(これは成長の一つとも考えられます)。「思春期でよく起こるパワー不足による不登校」が何を指すのか私には分かりませんが、ともあれ、型にはめすぎることなく、お子さん本人がどう困っているのか、意欲などのコンディションはどうかなどを多角的に見ていただければと思います。親が学校に行ってほしい思いが強く、それが子どもにも伝わっている場合だと、子どもが学校の何がどうつらいのかをより一層言いづらくなることもあります。言ったところで反論されることが目に見えると言わないでおく子どももいます。思春期だとそうした面が強く出ることもあるので、そういう場合は親子で話し合うというよりも、担任の先生やスクールカウンセラー、養護の先生など、お子さん本人が話しやすい相手と話をするセッティングを取ることも工夫として考えられます。そして、もう一つ考えておきたいのは、本人がうまく言葉で説明できずとも、何となく学校が嫌だと感じている場合に、そこに無理に行かせることがよいことかということです。(本人にとっては)耐え難い環境に身を置いてどんないいことがあるのだろうか…と考えてしまいます。もちろんそれがゼロ(全く登校しない)か100(朝から最後までずっと登校している)かという話ではないので、無理なく、学習やさまざまな活動にそれなりに参加できる登校スタイルはどんなものかを考えてみるのは一つ大事なことかもしれません。場合によっては、登校することと併せて、自治体の適応指導教室や教育相談室、あるいはフリースクールの併用なども検討してもいいでしょう。学校のことに限らず、本人にとって意欲的に取り組めること、好きなこと、楽しめることなども同じように一度振り返っておくとよいでしょう。意欲を削がれる局面が多すぎると、好きなことすら楽しめなくなり、いよいよ調子が悪くなってしまうこともあります。薬については、主治医の先生にご相談をと思います。いかなる薬も、薬で得られることは限定的です。よく言われるのは、イイコになる薬や学校に行けるようになる薬はないということです。ご自身のコントロールの範疇を超えてイライラが止まらない、集中が難しい…そうした場合に服薬の検討が入るのだと理解しています。娘さんにとって学校がどんな場所か、どんなふうだったらもっといやすい場所になるか。学習に取り組みやすいか。そうした本人の心と、それを取り巻く外枠との調整をまずご検討いただければと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.不登校の息子は自分の気持ちを表現するのが苦手、思春期で接し方も難しい。関わり方のコツは?【質問】中学1年生の息子は、二学期から不登校です。自分の訴えが中々うまく表現できません。また、思春期、反抗期ということもあり、関わりが難しいです。約束事も少なく厳選していますが、守るのが難しいです。関わり方にコツがあれば教えてください。【回答】話すのが得意な子どももいれば苦手な子どももいます。自分の思いがなかなかうまく伝えられないのは本人にとってもつらかろうと思います。伝えたいこと、分かってほしいことはあっても、うまくそこがうまく表現できないと苛立ち、あきらめなどの気持ちがわいてきてしまうかもしれません。そんな中で、不登校があり、家の中でも守るべき約束事があり…保護者の方へ反抗が向くのは自然な流れのようにも感じます。そういう意味では、無理に語らせるというよりも、まずは他愛もない話がお互い窮屈でなくできる関係でいることが大事かなと思います。昔からよく言われることではありますが、話をするときは同じ方向を向いている方が話しやすいです。面と向かって座ると実は話しにくいのです。散歩をしながら、一緒に料理をしながら。そのほか、何もしない時間を一緒に味わうこともとても良きことなので、おすすめは釣りです。ともあれ、同じ方向を見て、話しても話さなくてもいい時間で、その中で散歩なら目についたものを話す、料理だったら一緒に作業をする。釣りなら釣り糸を眺める。大人は、状況を前に進めるために話をして聞き出したり説得したりしたくなってしまいますが、そうではない時間を大切にしていく。親と話すのは、学校どうするの?勉強どうするの?だけになってしまうと、ますます話さなくなるだろうことは想像できると思うのですが、だからこそ、逆説的にただ一緒に過ごす。そんな時間を大切にしていくことが大事なのではと感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.きょうだいそろって不登校。対応の注意点やアドバイスは?【質問】中学2年生の娘と、小学4年生の息子が不登校です。姉弟そろって不登校の場合の注意点やアドバイスなどもあればお聞きしたいです。【回答】きょうだい揃って不登校だと保護者の方のご心配や焦りはいかほどかと思います。きょうだいで徒党を組んで保護者の決めたルールを壊しにかかったり、どちらかが何かに意欲的に取り組もうとするともう一人の方が足を引っ張ろうとしたり、そうした難しさがあるのではと想像します。家の生活上のルールに関しては、2人からとやかく言われたとしても、守るべき線がある場合はどうにか守っていただきたいと思います。一度緩めてしまうとそこを立て直すのはなかなか難しいだろうと感じます。また、娘さんと息子さんの不登校の理由や学校の状況はそれぞれ違うはずです。おそらく、学習に関しての得意不得意や同世代の人間関係の築き方も違う。好きなものや楽しめることも(同じものもあるかもしれませんが)違うことがあるはずです。2人は不登校という広い括りでは似ていますが、違う状況にあると思います。2人がそれぞれ自分の人生を歩めるように、それぞれと話す時間を設けたり、「あなたのいいところはこういうところだね」「こういうことをしているときのあなたはとてもいい表情をしているよ」とそれぞれに伝えていったり。そうして、それぞれが自分のことを自分のこととして考えられるように支えることができたらよさそうだと感じます。きょうだいでお互いがお互いに重ねて理解したり、片方がこうだから自分も…と考えてしまったり、2人の中でそうしたときもあるにしても、そうでない時間や場面を大切にしていただけたらと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.小5息子の休んだ分の勉強のフォローはどうしたらいい?無理にやらせないほうがいい?【質問】小学5年生の息子(自閉スペクトラム症)が11月から行き渋りが始まり、午前中の途中から登校しています。勉強が分からない、授業がつまらないと言うので、休んだ分家で勉強のフォローをしようと思うのですが、あまりやりたがりません。今は無理に勉強させないほうがよいのでしょうか?【回答】午前中の途中から登校しているとのこと、本人にとって良きペースであれば何よりです。小学5年生の勉強は難しいですね。授業を毎回出ていても難しいと感じるお子さんが増え始めるのが小学4年生の後半以降だなと感じるので、小学5年生はなおのこと難しいと思います。授業が飛び飛びになると、より一層難しく感じられる(抜けた分を想像しながら聞かないといけない)のはありそうですね。ただ、その前からもしかしたらつまずきがあり、1日6時間分の授業を受けることがつらいから朝から学校行く元気が湧かない…というお子さんもいるようにも感じます。「勉強が分からないなら、その分を家でフォローしたらいいのでは」とおっしゃるのは、ごもっともだと思います。分からない授業を聞くのは「つまらない」ので授業が分かるようにしよう。ただ、それがうまくいくのは、そこにコミットして解決してまで学校の授業に参加したいという強い気持ちがある場合だけだろうなと感じます。また、家で保護者と学習をする際には、保護者が一生懸命になるあまり、子どもと喧嘩になることが多いように感じます。小学校高学年以降の親子での学習は、保護者が熱くなりすぎないよう注意も必要です。「無理に勉強させて」いいことはあまりありません。「勉強したくなったら一緒にやるよ、分からないところは教えるよ」くらいのスタンスでいいように思います。ここから先はお子さんの学習意欲にもよりますが、親子で喧嘩しながら勉強したいとは思わないけれど、少しは取り組んでみたいと思うなら、通信教材の活用や、今は動画で単元ごとに配信されているものもあります。そういうものを使って取り組んでみる。分からないところは保護者やあるいは担任の先生に聞くということができるといいでしょう。今まさに授業でやっている内容につまずきがある場合に、その前の内容からつまずいていたらそちらの復習が先になるでしょう。小数のかけ算でつまずいているなら、まず簡単なかけ算からやって、「そうだった」「できるできる」を取り戻しながら取り組めるといいでしょう。昔のドリルや問題集をやってみたり、ネットで無料の問題もシェアされています。学校から配布されているタブレットにもタブレットで回答できるドリルが入っている場合もあります。本人に合っていて、やってみたいと思うものをやってみてもいいかもしれません。あまり多くはないですが、勉強は保護者や学校の先生ではない、勉強を教えてくれる専門の人に教わりたいと思うお子さんもいます。塾や家庭教師の先生とだとできる場合もあるので、そうしたことも検討してみてもいいかもしれません。さまざま書いてきましたが、大事なのは本人がどうしたいかです。こうしたいという気持ちがあれば、それに合わせてさまざま提案することはできると思います。ただ、何もしたくないというときはそれを尊重するのも1つです。午前中の途中から登校することの、本人にとっての良さはなんでしょうか。誰かと会える、給食が食べられる、休み時間遊べる、勉強ができる、放課後に遊ぶ約束ができる、家でゲームができる。いろいろあると思いますが、それと登校スタイルと、そして学習と。負荷がかかりすぎず、それなりにどれも得られるバランスを探っていただければと思います。そしてそのバランスはときどき変わってくると思います。一度決めたやり方にとらわれすぎず、本人の気持ちとコンディションに合わせて、適宜変更を加えながら進めていただければと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.長期化した不登校。親はどこまで関わっていいもの?【質問】不登校が長期になってきた場合の家での過ごし方(中学生)どこまで親が関わればいいのか知りたいです【回答】中学生で、しかも長期にわたると生活リズムを一定に保つことも難しいことが多くなります。多くの子どもたちが学校で過ごす時間帯、明るい時間帯にたとえ家であっても心穏やかに過ごすことが(自覚の有無は人それぞれですが)つらく感じられたり、家族が寝静まった夜中だと過ごしやすい気がしたり。日中動かないがゆえに自然と眠くなることも少なく、寝ようと思ってもあまりすぐに寝つけなくなっていたり。ネット上などに友達がいる場合は、そうした仲間たちがネットに集まるのが夜間であることも多く、生活時間帯が後ろ倒しになりやすいです。ネットやスマホは○時までとルールを定めたり、あるいは家庭全体夜間はWi-fiを切ったりなどさまざま工夫される保護者の方もいらっしゃいます。そうしたルールや枠組みでうまくいく場合はそれでいいと思いますが、そこで喧嘩したり、ぎすぎすしたりといったこともよくある話ではあります。どこで折り合いをつけるかはケースバイケースだと感じます(単にそうしたものを取り上げるだけだと、お子さんにとって心のよりどころも失うことになる可能性もあるので、ゼロか100かというよりも、折り合いのつけ方なのだと感じます)。ただ、家族として同じ家で生活をしているので、お子さんの過ごし方が目に余ると保護者としてイライラしてくるのも自然なことだと思います。そういう意味でも、お子さんと家での過ごし方や学習の仕方、あるいは家庭以外での過ごし方(学校に部分登校できるか、適応指導教室やフリースクールに通えるか、相談機関に通えるか)を話し合い、大方の過ごし方について決めて、そこが維持されていればそれ以上は口は出さないという線を決めたいところです。実際のところでいえば、「高校に(は)行きたい」と考えているお子さんが多く、中学3年生の春夏ごろから高校の見学や説明会に出向くなど動き始めるお子さんは結構います。逆に言うと、そこまでは動きが見られない場合も多いです。動き出す時期のために、進路情報を保護者が集めておく(集めた情報を本人に知らせるかどうかは慎重にと思います。機が熟すのを待つほうがいい気がします)ことなどをしておきましょう。中学3年の秋以降は志望校に合わせた準備に取り組むこともよく見られます。どのような高校の種類があり、お子さんにはどんな学校が合っていそうかということは、担任の先生や進路の先生、地域のそうした情報に詳しい適応指導教室や教育支援センター、教育相談室などで聞いてみるのもいいと思います。情報は集めつつも、あくまでも本人が通いたいという意志を見せた学校に進学すること、そのために何校か見学すること。保護者はその手伝いをするということ。それを本人にも折々に伝えていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの不登校。特性はおおまかな指針であり、大切なのは子どもの状態に合わせた対応発達障害がある子どもが不登校になったとき、その子どもの特性に焦点をあてて解決の糸口を探ることは多くあると思います。しかし、発達障害はその子どもの一部にしかすぎず、特性だけに焦点をあてても状況がよくならないことも多くあります。特性のふまえ方を大まかな指針として、それぞれのお子さんの特性、性格、環境、こころの状態などを見ながら対応しましょう。そして何より、子どもも保護者も学校の先生も途中で疲れ切ってしまわないように持続可能なペースでサポートしていくことが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月26日不登校は子どものSOS。子どもの「こころ」の状態は?家で過ごす子どもへの対応、学校との連携はどうすればいい?2021年度の文部科学省の調査で、不登校の小中学生は約24.5万人いることが分かりました。不登校の児童生徒数は年々増加傾向にあり、ここ数年はコロナ禍などによる生活環境の変化なども背景と考えられています。令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について |文部科学省LITALICO発達ナビでは2023年1月に「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」を開催しました。臨床心理士・公認心理師の初川久美子先生の特別講演では、子どもが不登校になったときの保護者の対応や、学校との連携の考え方についてお話いただきました。このコラムでは、講演から一部を抜粋して紹介します。また、当日答えきれなかった質問についてもご回答いただきました。子どもは学校が行った方がいい場所だと分かっていることがほとんどです。それでも子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、それは子どもからの「SOS」であると思ってください。子どもが不登校になったとき、周りの大人はその「きっかけ」や「原因」は何だろうと探ろうとすると思います。しかし、きっかけは思い当たることがある場合もありますが、不登校の原因は、子ども自身も「うまく言葉にできない」「実は1つではない」ということがとても多くあります。子どもたちは、学校でのさまざまな「楽しいこと」「嫌なこと・つらいこと」を持ち合わせています。「学校に行きたくない」と言い出すときは「楽しいこと」と「嫌なこと・つらいこと」を天秤にかけたときに、「嫌なこと・つらいこと」の方に大きく傾いてしまっている状態と考えると分かりやすいかもしれません。そして、その「嫌なこと・つらいこと」は1つとは限らず、「嫌なこと・つらいこと」を取り除いていくことだけでは解決しない状態なのです。Upload By 発達障害のキホンその中でも発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があります。能力として「できる/できない」以前に、学校生活を送るだけで消耗しやすい状態になりやすく、自分自身のコンディションによって思うような行動ができずに困りごとを抱えてしまうことも多いと考えられます。参考:『学校の中の発達障害「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』SBクリエイティブ/本田秀夫(著)子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、それは子ども自身これまで我慢したり、解決しようとしたり、さんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」です。あらゆるエネルギーを使い果たしているような状態ですので「学校に行きたくない」と休みはじめたとき、まずは「休養」が大切になります。具体的には、家でのんびり過ごす、好きなことができるならやる、などしながら休養できるとよいでしょう。この時点では、学校に行くことや勉強のことを考える段階ではなく、まずは回復するために休むことが必要です。休養しているうちに「ひま」「つまんない」などの言葉が出てくるようになれば、回復してきた1つのサインと考えるとよいでしょう。その際に大切にしたいのは「子どものエネルギーチャージの方法」です。大人にとっての休養というのは「ベッドで寝ている」などを想像するかもしれません。たしかに身体を休めるためには大切ですが、心が疲れ切ってしまっている子どもの休養のためには「遊ぶ」ということが必要になることもあります。「休んでいるのに家でゲームばかりしている」「動画ばかり観ている」「1日中ブロックで遊んでいる」…など学校に行かずに家で遊んでいるだけのように見えるお子さんの様子を不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、休養のためにそれは必要なことかもしれません。そこで注意したいのが「楽しそうにやっているか」ということ。「休養」の段階で楽しくやれているならいいと思います。しかし、ゲームや動画視聴をしているのは、学校を休んでいることの罪悪感を覚えないようにするため、余計なことを考えないようにするために漫然とやっているような状態の場合ではないか、少し気にしてみておくとよいでしょう。そして、もう1つ大切なのは「家の居心地を悪くしない」ということです。お子さんが少し元気になってきたように見えると「学校は行かないの?」「勉強はどうするの?」など保護者の方は心配になるかもしれません。しかし、お子さんは「SOS」を出さなければいられなかったほどつらい状態です。家の中では安心して過ごせるように、小言は控え、まずは心の休養を優先しましょう。学校とは、まずは保護者が情報共有をできるとよいでしょう。学校はお子さんのことを心配し、良かれと思って学校へ誘ってくれたり、さまざま手立てを提案したりしてくださると思います。ただ、それをそのままお子さん本人に伝えると場合によっては負担に感じる場合もあります。そこで、連携を取る際に共有しておきたいことは子どもの状態です。保護者の目から見て、お子さんがどんな状況・様子なのかを学校と折々に共有できるといいでしょう。例えば、心の休養ができて「ちょっと学校行ってみようかな」と思い始めている、「休むと罪悪感」があると思っている、などであれば学校と本人とがつながることを先生と一緒に模索することを検討してみるとよいと思います。その段階でまず大人が知っておきたいのは学校とのつながりは「教室に行くこと」だけではないということです。例えば、配布物、学習プリントなどをポストに入れておいてもらうなど、実際に会わなくてもそれは学校とのつながりの1つと考えましょう。また放課後に先生に会う、タブレットを使って授業に参加する、家庭で行った学習を担任などにみてもらったり質問したりする、行事や社会科見学などに合わせて参加するなど、学校とのつながりは1つではなく、グラデーションがあるのです。ただ、先生方もお忙しいので何をどこまでできるかはぜひご相談していただければと思います。■学校との関わりで大切にしたいこと授業には参加できないけれど、先生には放課後会ってみる、配布物だけもらいに行ける。そうしたことをやってみたときに大切にしたいのは、毎回「ハッピーエンドで終わる」ことです。子どもが疲れ切ってもう行きたくないと思うような状態にならないように、十分に余力を残してつながるということが重要です。「もうちょっとできるな」と本人が思うようなところで終える。それがポイントです。また、「先生にちょっと会いに行こう」と約束していたのに、調子がよさそうだからと予定外に授業に出席させたりすると、子どもからすると「無理やり授業に出席させられた」と感じてしまうかもしれません。結果としてであっても、子どもに嘘をついたり、騙すようなことになると子どもを傷つけてしまうため、絶対にしてはいけません。また、担任と子どもが話す場合は、(初期の段階では特に)話題については担任と保護者で事前によく話し合っておきましょう。特に「学習」についての話をするかどうかは、子どもにとってプレッシャーになる可能性もあるため、担任と保護者の間で子どもの心の状態について認識を共有連携することは大切です。ハッピーエンドで終わるために、「メンタルが消耗しない」関わりをすることが大切です。それはお子さん本人だけのことではありません。関わる保護者や先生が無理をしないことが大事です。関わりは一過性のものではなく、細々とでも長く続く方法を検討したいところ。子ども、保護者、先生のみんなが無理をしないやり方で持続可能な関わり方を模索していきましょう。ここからは、子どもが不登校になったとき保護者はどうしたらよいのか、学校との連携についてなど寄せられた質問に初川先生に具体例を交えてご回答いただきます。Q.子どもが不登校になった場合、学校とはどのように連携したらいい?■学校との面談で当座の方針を確認まずは、担任の先生と、お子さんの状態について面談などを設定してもらってお話できるといいですね。学校の先生は良かれと思って授業や行事に誘ってくださったり、頻繁にお電話くださったりすることもあります。お子さんの状態によっては、そうした働きかけが負担に感じてしまうような段階もあります。また、保護者の方の事情や心持ちによっても、学校との程よい距離感は変わってきます(お仕事されていると対応できる時間が限られたり、あるいは、保護者の方がお子さんの状況をどう考えているか・どうなってほしいかによっても学校との話の方向は変わるかもしれません)。お子さんが直接学校に出向く、担任の先生と話すかどうかはさておき、お子さんの状態やお子さんの今の思いと保護者としての思いなどを学校に伝え、今後どのようにお子さんの不登校という状態に学校・家庭が対応するか、そのためにどのように連絡を取り合うかといった当座の方針を検討できるとよいと思います。お子さんの状態や思いは時間の経過によって変化しますし、保護者の方の気持ちも変化していくものです。永続的な方針というよりも、まずどのようにしてみるかの当座の方針を確認できるとよいでしょう。■第三者からの提案をもらう担任の先生もお忙しいですし、保護者の方も時間的にも気持ち的にも落ち着いて話しづらい面もあるかもしれません。そうした場合は、例えばスクールカウンセラーや自治体の教育支援センターなどの教育相談室で心理などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。保護者の方ご自身の気持ちや、お子さんの気持ちをどう受け止めるかといったことを整理して聞いてもらい、学校とのよい連絡・協働のあり方について提案がもらえるのではと思います。Upload 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発達障害のキホンQ.不登校の子どもが毎日ダラダラしているように見える。規則正しい生活を求めてはいけないの?学校へ行けないなら、みんなと同じように、学校へ行く時間に起きて、時間割にそってお勉強、お給食の時間にお昼…の様な生活を送ってほしいのですが、これを望んではいけないんでしょうか?遅くまで携帯をいじり、遅く起きて、お菓子を食べて、一日中ダラダラして過ごす子どもをみているとイライラしてしまいます■日中活動することが苦しい場合もあるお気持ちお察しします。だらだらして、遊んでいるだけのように見え、たださぼるために休んでいるのではないか。学校を休むのは百歩譲って許しても、学習に取り組み、規律ある生活を家で送ってほしい。そう願うのは自然なことだと思います。しかしながら、私が不登校のお子さんたちと話す中で聞くのは次のようなことです。何も予定がないのに朝起きるのはつらい。明るい中で何かちゃんとしたことに取り組めればいいけれどその意欲がわかない。みんなが学校で勉強したり友達と遊んだりしているのは分かる、でもなぜか自分にはそうしたことがつらい。勉強を一人でやろうとしてもなかなか集中できないし、教科書を読んでも全然分からない。スマホやネット、ゲームがそばにあれば手を伸ばしたくなる、だって時間があっという間に過ぎるから。夜、みんなが寝静まると心が落ち着く。こんな自分でもいていいんだと思うのは夜だけ。寝る時間が来たからといって寝ようと思っても、昼間活動的なこともしていないし、全然眠くならない。眠くなるのを待って時間をつぶしていたら朝方になってしまった。だから朝は起きづらい…。実際、自分にとって意欲的に取り組める予定があれば朝しっかり起きる子はいます。また、一人で学習をするのはとても難しいことで、あれは学校という装置があってこそ成立している面もあると感じます(今はオンライン教育や通信教育などさまざまな方法で多少一人でも取り組みやすいですが、学校ほどの教科数を一人で毎日こなすのは至難の業だと思います。誰かに教わらずに学習内容を理解することもなかなかの困難です)。■保護者が相談できる場や人を見つけるただ、だからといって、お子さんに対して何も働きかけないのは保護者の方の不安が増すだけでしょうし、不安とイライラを抑えて接するにも限界があり、いずれ爆発してしまうでしょう。そういう意味で、私はまずは保護者の方はそうしたイライラや不安を話す場を確保していただきたいと思います。子どもが思うように動いてくれないイライラ、将来どうなるのかという不安。そうした気持ちを話せる場・人を見つけてほしいのです。もちろんお子さんも一緒に相談機関につながれると何よりですが、お子さんが相談機関に出向くことはなかなかハードルが高いこともあります。そうした場合はまずは保護者の方だけでも相談に行っていただきたいと思います。相談に行き、少し軽やかな気持ちで帰宅できたなら、その変化はきっとお子さんにも伝わります。保護者のイライラが少し落ち着いたら、お子さんも過ごしやすくなるはずで、そうしたことに気づいてきたら、自分も相談に行ってみようかなと思うかもしれません。保護者の方が行ったこともない機関に、行ってみようと言われても乗りづらいお子さんも、「その相談室にはこんな先生たちがいてね」「子どもは話すだけでもいいし、オセロとかやりながら話したりもするらしいよ」「趣味の話にも付き合ってくれるって。あなたの好きなアニメ、知ってる先生っているかな?」など誘い方にバリエーションも出るはずです。保護者の方ご自身をまず支えるためにはどうしたらいいか、それがひいてはお子さんを支えることにつながります。私は保護者の方ご自身を支える方法の1つとして、「相談する」をおすすめします。Upload 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発達障害のキホンQ.不登校が長期間にわたっている。保護者側もサポートに疲弊、このまま学校に行かなくていいのか、ひきこもりになるのではと将来が不安です子どもが不登校になり始めは積極的にサポートしようと頑張っていましたが、疲れてきてしまいました。これから先、どうしていったらいいのか不安でしかたありませんお子さんがのびのびと過ごせるように、あるいは、学習で遅れてしまわないように、よき体験活動ができるように…とさまざまご尽力されてこられたのかなと想像します。すべての働きかけに、お子さんがうまく乗ってくれるとも限らず、家庭だとどうしても枠組みをつくりにくいので行き詰ってしまう、親子関係がぎすぎすしてしまうことはよくあります。不登校という状態はおそらく想像していたよりも長期にわたると感じる方も多くいらっしゃり、そういう意味で頑張りすぎることなく「持続可能性のあること」を細々と続けていくことが案外とても大事なことにはなります。将来のことを考えると不安になられるのは自然なことです。このままずっと家にひきこもってしまったらどうしよう…例えばそんな不安がおありになるかなと思います。そうした不安をお子さんにぶつけてしまっても何もいいことはありません。お子さんも、学校に行ったほうがいいと分かっていることも多く、しかし行けなくて苦しいのかもしれません。そこに、家族が自分のせいで不安でいっぱいになっているというのが重なるとますます苦しくなってしまうこともあります。そういう意味で、私は大人の不安は大人の間で抱えてゆくことが大切だと思います。大人の間で不安を抱えることには、大きく2つの軸があると考えています。■保護者が感じる不安を聞いてくれる人を見つけるお子さんの不登校で不安になるのは自然なことで、その不安について、まず聞いてくれる人を探す。パートナー(配偶者など)でも、昔からの親友でも、基本的にはどなたでもいいと思います。話しやすくて、よく聞いてくれる人。スクールカウンセラーや自治体の心理などの専門家ももちろんおすすめです。不安を聞いてもらうだけでも、その不安が完全にはなくならずとも、心の空き容量が少し増えることがあります。心の空き容量が増えると、また新たな気持ちでお子さんに向き合えるかもしれません。場合によっては、その聞いてくださった方が保護者の方の対応やお子さんの過ごし方について助言を下さることもあると思います。それが保護者の方やお子さんにとって無理なくやれそうなら、あるいは、助言自体が「しっくりくる」なら試してみてもいいかもしれません。私が上で書いた「持続可能性のあること」について、何らかヒントを下さることもあると思います。そうして「誰かと」不安を抱えるという軸が1つあります。■将来についての情報を集めるもう1つの不安を抱える軸は、「今や将来についての情報を集める」というものです。家にいるだけで精一杯のお子さんもいますが、もう少し元気があると、家にいながらにして誰かとつながりたい(オンラインなど)、あるいは、興味関心のあるイベントなどへ行ってみたいという気持ちが湧く場合もあります。また、同世代の友達がほしいと思うお子さんもいます。同じ「不登校」仲間がいると心強いと感じるお子さんもいます。そうした単発・継続のイベントや公的・民間の居場所についての情報を集めておく。将来的な面でいうと、義務教育を終えた後どうするかというのが1つ大きなターニングポイントにはなります。今の高校にはさまざまなタイプの学校があり、不登校の生徒を積極的に受け入れる高校もあります。入試も学科試験を課す学校から作文・面接などで入れる学校などさまざまです。そうした情報をまず集めておく。そうすると、思っていたよりも選択肢も可能性もたくさんあることにまず気づかれるのではと思います。ただ、お子さんにその情報をいつ知らせるかは慎重にと思います。機が熟すまで知らせない方がよいことが多いです。どれだけ素敵な情報でも、お子さん自身の心がいっぱいいっぱいのときや、全く興味のないときに聞くと、負担やプレッシャーにしかなりません。まずは、保護者の方ご自身の不安の対処として情報収集をしてみてください。■保護者自身が自分をケアする時間を持つ最後に、お子さんの不登校に懸命に向き合ってこられたからこそ、疲れてしまいますし、そうして疲れてくると不安も増してくると思います。人は、何であれ何かに一生懸命になると視野が狭くなってしまいます(心理的視野狭窄と言います)。視野が広がれば大らかに捉えられたり、柔軟な対応が可能になったりすることも、視野が狭くなってしまったがゆえにそうしたことには目が向かず、ネガティブなことばかり目についてしまうことがあります。上記2つの軸を走らせると共におすすめしたいのは、保護者の方がご自身のための時間を取ることです。セルフケアの時間。日々お忙しいことと思いますので、長く取る・頻回に取ることは実際には難しいかもしれません。しかし、買い物帰りにちょっと遠回りして帰ってみよう、30分だけカフェでコーヒー飲んでみよう、夜、好きな映画を見てから寝てみよう、こっそり高いチョコレートを食べちゃおう。ちょっとしたことでいいので、ご自身のための時間を取ってみてください。保護者の方が元気だと家庭の雰囲気も明るくなります。そのために…というと打算的な感じがしてあまり好きではありませんが、しかし事実として“保護者の方が元気だと~”はあるとは思います。ご自身のための時間を取る。「不登校の子の親」という役割や鎧をいったん脇に置いて、ふっと力を抜く。もしかしたら頭の中ではお子さんのことが離れないかもしれませんが、それでも今は自分のための時間と思ってみる。ぜひやってみていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン不登校サポートで大切にしたい「子どものこころを知ること」「保護者も頑張りすぎないこと」子どもが不登校になったとき、周りの大人はなんとかして問題を解決したいと思うかもしれません。しかし子どもが「行きたくない」と言い出したときは、子ども自身がさんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」であり、問題を解決するよりも先に、まず休養をとることが最優先と考えましょう。そのうえで、お子さんが安心して過ごせるように、学習で遅れてしまわないように、よき体験活動ができるように、あるいは学校との連携などさまざまなサポートをしているうちに保護者の方が疲れてきてしまうということも多く耳にします。不登校サポートで大切なことは「保護者も頑張りすぎないこと」です。大人自身が不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今や将来への情報を集めてみる(想像より選択肢は多く、不安が少し解消されるかもしれません)、そして保護者が自分自身を休める時間をつくってみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月19日ビジョントレーニングをどこでも手軽にーー『発達支援ポスター 1日5分! いつでもビジョントレーニング』ビジョントレーニングについて、なんとなく聞いたことがあるけれどどんなことをするのかよく分からない、興味はあるけれど何から始めたらいいのか分からない…そんな方でも、手軽にビジョントレーニングを取り入れられるポスターセットが発売されました。ビジョントレーニングとは、視覚機能(見る力)を高めるトレーニングであり、「板書が苦手」「球技が苦手」「文字を覚えるのが苦手」など、見えにくさがある子どもの視覚機能の向上や学習・運動・生活動作の苦手の改善につながることが期待されています。本書では、6枚のポスターを用いたトレーニング方法が紹介されています。準備運動から始まり、それぞれ、眼球運動、眼と体のチームワーク、視空間認知能力を高められるポスターが含まれています。またトレーニングには、鉛筆や紙を必要としないため、どこでも手軽にトレーニングを行うことができるようになっています。裏表紙には、ポスターの使い方や各トレーニングの解説がついているため、初めてビジョントレーニングに取り組む方でも、簡単に日常に取り入れることができます。スキマ時間に、親子で楽しみながら、トレーニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。こころとからだの大切さをどう伝えればいい?ーー『発達が気になる子の性の話 みんなでいっしょに学びたい』「性教育」について子どもにいつか伝えなければと思いながらも、なんとなく会話の中でタブーになってしまっているというご家庭もあるのではないでしょうか。性や人間関係について、いざ子どもに質問されると大人自身が戸惑ってしまったり、答えにくいと思うこともあるかもしれません。本書では、小学校高学年くらいから高校を卒業するころぐらいまでに悩みがちな「からだの成長の変化での悩み」「恋愛や性行為への疑問」「性情報の選び方」「SNSの危険」についてなど、イラストと分かりやすい文章で解説しています。お子さんが一人で読んでも理解できるような内容にまとまっていますが、可能であれば、まずは大人の方が学び、できれば、お子さんと一緒に読むことをおすすめします。「大人の方へ」という解説では、子どもにどのように「性について」伝えていけばいいのか、今まで大人自身も悩んでいたことの答えが見つかるかもしれません。子どもたちが正しい性の知識を学び、自分自身や相手を大切にできるために、読んでおきたい一冊です。自分の特性とどう向き合う?「みんなと違う」に悩む10代へのエールーー『10代からのメンタルケア 「みんなと違う」自分を大切にする方法』「友達に合わせられない」「ほかの人と同じようにできない」自分には周囲の人と少し違う特性があることをなんとなく自覚し始めた時とき、その特性とどのように向き合い、「自分」をどのように受け入れていけば良いのでしょうか?本書は、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・本田秀夫先生によって、悩みを抱く10代へのアドバイスがまとめられています。1章では、まず自分がどのようなタイプの人間なのか、自分自身を理解するところから始まり、続く2章では「友だち」の定義や友情の形について、3章では「努力」に対する考え方について、4章では「普通」についての考え方や自分自身を受け入れる方法について解説されています。そして、最後の5章では、「みんなと違う」自分との向き合い方についてのアドバイスが紹介されています。全体を通して、10代が抱えやすい悩みや日常生活で直面しやすい問題に対する具体的なアドバイスが数多く示された1冊となっています。また、本書はマンガや図を交えてわかりやすく解説されており、ふりがなもふられているため、どんな方でも気軽に読み進めることができるようになっています。「周囲の違い」に悩み、時に深刻なメンタルヘルスの問題に陥ってしまいやすい10代の時期に、周りの雑音に惑わされずに自分自身を正しく理解し受け入れるための方法を知っておくことはとても大切です。保護者や教育関係者にとっても、10代のリアルな悩みを理解するための一助となるかもしれません。豊かなスポーツライフを通して日常に彩りをーー『知的障害・発達障害のある子どもの心と体を育む運動・ゲーム75』知的障害や発達障害のある子どもたちは、運動場面やスポーツ参加においてほかの子どもたちと比べ困難が生じやすいことが指摘されています。また、運動経験の未熟さによる健康への悪影響や気力の低下も懸念されています。本書では、知的障害や発達障害のある子どもたちが、豊かなスポーツライフを送ることができるよう、体つくり運動や走・跳の運動、ボールを使った運動、パラリンピックに関係する運動など、75種類の運動・ゲームが紹介されています。子どもたちの心身の発達を促すため、「遊び」や「ゲーム」の要素を取り入れ、大人や友達と関わり合う場面を通して、体を動かすことそのものに楽しさや喜びを感じられるよう工夫されています。各運動プログラムは、知的障害や発達障害のある子どもたちの体育やスポーツ指導を行っている先生方を中心に執筆されています。分かりやすいイラストとともに「動きのポイント」や「つまずきへの支援」などの項目が添えられているため、どんなことをするのかが一目でわかることも特徴です。運動に課題がある知的障害や発達障害がある子どもたちが、楽しみながら取り組めるゲームを提案してくれる本書は、保護者、特別支援教育に関わる専門職などさまざまな方におすすめです。発達障害がある保護者の困りごとにーー『発達障害ママの子育てハック』発達障害がある子どもの支援に関する情報はさまざまな媒体を通して得られるようになりましたが、発達障害がある保護者がどのように子育てを行っていくかに関しての情報はまだまだ少ないのが現状です。本書では、発達障害がある「ママ」たちが子育てをより楽しく行えるようにするためにはどうしたらいいのか、についてのヒントが紹介されています。著者は、自身も発達障害があるママ・綾瀬ゆうこさん。自身の経験をもとに編み出してきたライフハックがたくさん紹介されています。子どもの書類を整理する方法やママ友との付き合い方、コミュニケーションの改善方法など、発達障害のある保護者が直面しやすいお悩みについて、85の具体的なアドバイスが紹介されています。本書では、公認心理士であり産業医である森しほ先生が監修を担当されているため、子育てと仕事を両立する方でも実践しやすい内容が詰まっています。子育ては大変なことばかり。日常の細かいミスや大きな失敗が積み重なり自信をなくしてしまったとき、自分のことを責めてしまう前に、この本を手に取ってみてはいかがでしょうか?コミュニケーション、片づけ、スケジュール管理などに苦手意識のある保護者の方におすすめの一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月18日こだわり、絶対音感、集団指導はムリ…発達障害があるわが子の「習い事」体験談ゆきみさんの息子さんのけんと君は、数字、アルファベット、地図など、3歳になるころから興味があるものには一直線!しかし、構音障害があり、集団行動や人の話を聞くのも苦手だったため、習い事に興味はあっても、どんな習い事を選べばいいのか全くイメージがわかなかったそうです。しかし、けんと君本人の強い希望でそろばん教室に通うことになり…。寺島ヒロさんの二人のお子さんには自閉スペクトラム症(ASD)があります。妹のいっちゃんは3歳のとき、まだうまく言葉を話せなかったにもかかわらず、どうしても「やりたい!」と猛アピールの末、ピアノを習い始めました。周囲から将来を期待されながらも、9年間通ったピアノ教室をあっさりと辞めてしまった理由、そして今になってその経験がどう役立っているかなどについて、書いていただきました。まりまりさんの次女は現在小学5年生。2年生の3学期のときに場面緘黙(選択性緘黙)の診断を受けています。小学2年生のとき、大好きな工作や絵を学べる習い事をお姉さんと一緒に始めたそうですが、1年後お姉さんがその習い事を辞めることになり…。吉田いらこさんの長女、ゆいちゃんは小学6年生。小学5年生のときに軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断を受けています。まだ障害に気づいていなかった幼児期から小学校低学年にかけて、ゆいちゃんはいろいろな習い事に挑戦していましたが、1ヶ月ほど経つと行くのを嫌がるようになり、なかなか続けることができなかったそうです。そんな中、ゆいちゃんが今度は「バイオリンをやりたい」と言い始めて…。丸山さとこさんの息子、コウ君は中学1年生。学習塾には通っていませんが、コウ君のひとことがきっかけで、タブレット用の勉強アプリを家庭学習に取り入れることになりました。タブレット学習を始めてみて分かった、発達に凸凹のある子どもならではの「学習アプリ」のメリット・デメリットを、母目線で書いていただきました。さいごに今回の「習い事」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「今はこんな習い事があるのか!」「わが子にもこんな習い事なら合っていそう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。親子とも無理なく、楽しく続けられる習い事が見つかるといいですね!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月11日保育園の行事に参加できなかった息子しのくんは現在4歳11ヶ月、発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんは保育園に通っていますが、参観日や運動会などの保育園の行事では、私を発見するなり駆け寄ってきてしまうので、2歳ごろからずっと行事に参加することができていませんでした。私は、その度にほかのお友達としのくんを比べてしまったり、保護者の目も気になってしまい、「しのくんは、どうしてできないんだろう?」と真剣に悩んだ時期がありました。そんなしのくんですが、4歳直前のころにあった生活発表会では、私の方に来ることなく(来ようとしたが途中で踏みとどまった)、最後まで舞台で演技をすることができて、とても感動したのを覚えています。しかし…成長したと喜んだのもつかの間、次の参観日で…4歳2ヶ月ころにあった保育園の参観日では、しのくんは私を発見するなり教室を出て、またもや私のほうに来てしまいました。教室へ戻るよう促しても、私の近くを離れようとしません…。最終的にはそのまま教室の外で、加配の先生と私としのくんの3人で、参観の時間が終わるまでおしゃべりをして過ごしました。もう、みんなと同じように行事に参加できるようになったと思っていたので、この出来事に私はとてもショックを受けました…。Upload By keikoまたこっちに来たらどうしよう!怖くなった母は…このことがきっかけで、私はその参加日から約2週間後にあった保育園の行事、音楽会に参加するのが怖くなりました。しのくんがこっちに来て、音楽会を台無しにしてしまったらどうしよう!?と思いましたし、カメラに写るのが大好きなので、ほかの保護者のカメラに写りにいって、迷惑をかけたらどうしよう!?という不安が私を襲います…。Upload By keikoたくさん悩んだ末、私は音楽会へ行くのをあきらめました。代わりに、しのくんが言うことを聞く、夫と義父の2人に行ってもらうことにしたのです。2人は「(私が行っても)大丈夫じゃないの?」と言いながらも、快く「行く」と言ってくれて、私は心からホッとしました。保育園の先生からは、私が音楽会に行かないことを伝えると…「お母さん、大丈夫よ。お母さんのところに行ってもいいじゃない。見に行ってあげたら?」と、とても温かいお言葉をいただきました。しかし…当時の私は「もし○○になったら」ばかり考えて、一人で勝手に不安になってしまい…結局音楽会には行くことができませんでした。音楽会は、夫が動画を撮ってきてくれたので見てみると…しのくんは最初から最後まで客席に来ることなく、きちんと参加することができていました。私は、「しのくん凄い…!」とその動画を見て感動しました。Upload By keiko当時を振り返って今思うこと当時を振り返ってみると、やっぱり保育園の先生の言うとおり、ちゃんと見に行ってあげればよかったなぁと思います…。周囲の目を気にするあまり、しのくんの気持ちを第一に考えてあげられなかったことを今は後悔しています。現在、4歳11ヶ月になったしのくんは、もう私のほうに来ることはなく、しっかり行事に最初から最後まで参加できるようになりました。もちろん、行事を見に行くときの不安は今もあります。ですが、不安な気持ちはしのくんにもあると思うので、お互いの不安を和らげるためにも、今日は○○なことがあるからね。と状況を先に伝えておくようになりました。この件を忘れずに、親子で見通し不安に負けないように事前にできる準備はしつつ、そして何より、しのくんの気持ちを第一に考えて行動していきたいと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)自分のところに来てしまうかもという不安から音楽会の参観を見送られたエピソードをありがとうございます。その判断はさぞ葛藤されたことだろうと思います。自分のせいで、子どもが発表を抜けて、台無しにしてしまったらどうしよう。そして、そんなわが子の姿を見てしまったら、ほかの子どもとの違いにいたたまれない気持ちになるに違いない。さまざまな思いがあったことと思います。さて、思うには、未就学児の子どもたちにとって、保護者参観日は特別なものでありつつも、一方で、日常の延長でもあるんだろうと感じます。つまり、本番だからちゃんとやる、そういう気持ちや理解はいつごろ育つんだろうかということです。本番だから頑張る、お母さんやお父さんが見ているから頑張る、そういう意識が育つのは結構個人差があるのではないのでしょうか。例えば、「明日はお母さんが見に行くから、一番かっこいい演奏聞かせてね!」という約束をしたとして、それが実行されるのだとしたら、それはそれで約束を覚えていて、不安緊張興奮さまざまありつつも実際そう振舞えるというなかなかのマルチタスクだと思うのです。親のところに来ずとも、気分が乗らずに、あるいは普段との違いから緊張するなどして練習通りにはできない子どもは少なくないでしょう。本番を本番として、最高のものをと思うのは実は大人だけで、子どもはもっとのびやかに、あるいは自分の不安などの気持ちに正直に過ごしているのかもしれないと感じます。子どもによっては、(より日常に近い)リハーサルの方が得意なお子さんもいます。本番にだけ特別な価値を置くのはやっぱりちょっともったいないなと感じてしまいます。非日常でありつつも、やっていることは子どもたちからしたら練習や日常と同じことで、そこに大好きなお母さんお父さんがいたらそこに惹かれるのは自然な反応だろうと思うのです。そういう意味で参観日におけるお子さんの発達がどんなものかを知るという意味で、「また(まだ)お母さんのところに来ちゃったね」で本来はいいのだろうと思います。いずれそのあたりが育ち、「もうお母さんのところに来なくなったね」の日が来るでしょう。しのくんは、お母さんが音楽会に来なかったことをどう思っているのか、そこがちょっと気がかりです。どんな姿であれ、お母さんに見ててほしかったんじゃないかなと思います。大人は子どもが立派にやっていると自然と褒める言葉が出てきたり、笑顔になったりしますが、でもその際の「立派」とは結構相対的なものではないか(ほかの子どもと比較していないか)というところは気を付けておきたいところですね。難しいのは行事だと練習の成果の場として設定されがちなので、どうしてもまなざしが評価的になびいてしまいます。もちろんよきことはよきとしても、でも、どちらかというと、子どもがぐんぐん日々育ちゆく中の一端を見ているにすぎないので、まだお子さんが「本番だから」を真に理解し自分のモチベーションもそこに持っていけるまでは、あくまでも行事設定の日常場面を参観しているという心持ちでもいいのではと思います。そうは言っても、周りのお子さんや保護者の目が気になったりするのはあるだろうなというのも分かります(なので、多かれ少なかれ葛藤されるのはあるだろうなと思いつつ…)。そして、親がわが子の振る舞いや言動に不安になるのはよくあることですが、それをお子さんにぶつけないことは大事なことだなと感じます。保育園の先生に「行かない」ことを話せたのはよかったですね。行くか行かないか迷う、うちの子ちゃんとやれるか不安。そうした気持ちはお子さんとの間で話し合うよりも、園の先生にお知らせしたり、パートナーと話し合ったり、大人の間で抱えていくとよいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月10日娘の食事中の姿勢の悪さが気になる!自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)の診断を受けている小6の娘。食事中、テーブルに近すぎてよくコップを倒してしまうので食事中の姿勢が気になっているのですが、アドバイスをしてもこだわりからか聞いてくれず…。そんな悩みを児童精神科医の三木崇弘先生に聞いてみました!――SAKURA(以下、――)夫が気になっているということで、食事中の姿勢について質問です。娘は普段特別姿勢が悪いということではないのですが…食事をするときに、ものすごく机に近づいてしまいます。三木先生:具体的に、どういう感じですか?――えーっと…椅子、娘、机のそれぞれの距離が、全くないぐらいですね。Upload By SAKURA――私は、そこまで気になっていないのですが、夫は、明らかに違和感のある姿勢を、どうにかしたいということでした。三木先生:その姿勢でなにか生活に支障はありますか?――机に近すぎるので、手が動かしにくいようで…よく食べ物をこぼしたり、コップを倒してしまったりしてます。あまりに近すぎるので、「机とお腹を拳一個分離して」と具体的に指示してますが、どうにも落ち着かないようで、結局、元の姿勢にすぐ戻ってしまいます。本人のこだわりなのか「これじゃ無理!やりにくい!できない!」と言ってます。でも、その状態だと一つひとつの動きが遅くなります。Upload By SAKURA三木先生:例えば、食器を離してみるなどはどうでしょうか?――やってみましたが、食器を離すと、結局気になるようで、すぐに近づけてしまいます。Upload By SAKURA三木先生:ASDの特性的に、お腹に机がくっついている状態、全部が近い状態が、安心するのかもしれませんね。コップを倒したりするのも、たまになら許容範囲と言うことでよい気がしますが…――あ、結構頻繁です(笑)三木先生:なるほど(笑)マナー的な部分を教えていくと良いかもしれませんね。どんな場所とか、どんな相手とか、「そういうときにはちゃんとしようね」と話していくのもいいかもしれません。相手があーさんの姿勢の悪い状態を見たり、頻繁にものをこぼしたり、倒したりしたら、どう思うかとか、自分の姿勢優先じゃなくて、そのシーンによって臨機応変に対応しないといけないことがあるという部分を教えていくとか。今、小学6年生ということなので、「中学生になったら、大人の仲間入りだから、素敵な姿勢がかっこいいよ」といった声かけで、姿勢も意識させたらいいのかもしれません。Upload By SAKURA――あ、たしかに!今、大人と同じ扱いをしてほしいって気持ちがあるみたいなので、いいかも…!姿勢の悪さは体幹も関係してるかも?三木先生:あと…姿勢が悪いのは、体幹が弱いのかもしれません。――体幹!たぶん弱いです…運動も嫌いで、筋力もないので(笑)Upload By SAKURA三木先生:体幹が弱いと、姿勢を維持できないので。バランスをとることが重要なスポーツにチャレンジしてもいいかもしれませんね。乗馬や、サーフィンなどが姿勢にいいと言われていますが、なかなかチャレンジさせるのは難しいので、バランスボールなども家で手軽にできてオススメです。Upload By SAKURA運動で体幹を鍛えれば少しずつ姿勢なども変わっていくかもしれません。あとは本人の試行錯誤ですね。原因として怪しいものからトライしていくといいです。――なるほど!やってみます!Upload By SAKURA執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月08日障害児通所支援事業を運営するアース・キッズ株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:高見 裕一、以下:当社)は、2月20日(月)に当社初の書籍『発達が気になる子の笑顔と「できた!」が増える スタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編』(出版社:主婦の友社)を出版しました。本書は、当社が運営する児童発達支援・放課後等デイサービス「スタジオそら」が、2012年から約3,500人に対し現場で行ってきたケーススタディを基にした書籍です。(「スタジオそら」は、2023年1月より放送中の発達障害をテーマにしたテレビドラマ『リエゾン』の取材協力をしています。)『スタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編』表紙書籍案内ページ: ■書籍出版の背景文部科学省の調査によると、通常の学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があると言われています(※1)。10年前に実施された前回調査の6.5%から2.3%増加していたり、発達障害をテーマにしたテレビドラマが放送されたりと、発達障害や発達の遅れが気になるグレーゾーンの子どもについての関心は高まっていると言えます。2023年4月にはこども家庭庁の設置、2024年4月には児童福祉法改正の施行も迫っています。当社の療育(発達支援)施設「スタジオそら」は、全国に15拠点あり、合計約1,100人の子どもたちが通っています(2023年2月時点)。一方、入所待ちの子どもたちは約1,500人にものぼり、なかなか入所できない状態でもあります。その理由の一つには、日本における放課後等デイサービスのほとんどが「お預かり」にとどまり、当社のような「療育施設」は限られることから社会的ニーズに応えきれていないことが挙げられます。この背景には、これまで「療育」に関するガイドラインが不明確だったことが挙げられます。当社はこうした社会環境の改善を行うため、2019年より本格的に「療育」のガイドライン作成に向けて「SORA DESIGN PROJECT」を発足。桜美林大学 小関 俊祐 准教授に監修いただきながら、3年の歳月をかけて療育メソッドを構築しました。その成果物としてまずは当社社員専用の教科書「療育士の手引き」を作成し、実際に現場で子どもたちに提供しています。この療育メソッドを、家庭や児童保育の現場でも実践できるように落とし込んだのが本書になります。※1 文部科学省|通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(令和4年12月13日) <文部科学省が提唱する「発達障害」>文部科学省「発達障害者支援法」によれば、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢に於いて発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。代表的な分類に、ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(限局性学習症)があります。詳しくは以下をご参照ください。文部科学省が提唱する「発達障害」: ■本書の内容発達の気になる子が、くらしの中で苦手なことをトレーニングするために、家庭でできるプログラムを集めました。1対1を基本とした、子どもが楽しみながらチャレンジできる「スタジオそら」の発達支援プログラムを、家庭でも親子で実践できるように、わかりやすくオールカラーで紹介しています。バランスをくずしやすい、走ると急に止まれない、知っている言葉が少ない、友だちと一緒に遊ぶことが難しい、自分で着替えられない、自分で手洗いできない……など、子どもの「苦手なこと」別にトレーニングを親子の遊びとして行うプログラムを掲載。本書内で使用している絵カードなどの教具を無料ダウンロードできる二次元コード付き。また、行動に着目して問題行動をサポートする方法など、難しい内容もストーリーマンガでわかりやすく学べます。<本書のポイント>発達障害児向けの手法で知られる「ABA」(応用行動分析)に着目した内容に加え、「スタジオそら」独自の以下の4点を非常にクリアにまとめてあることが本書のポイントです。1.「見立て」(アセスメント):子どもの現在の発達状況を確認する2.「目標立て」:その子どもに合わせた支援を計画する3.「手立て」:何をしたら効果が高まるのか手立てを考える4.「実行」:手立てを実行するためのポイントを考える書籍内図表の例(1)書籍内図表の例(2)■書籍概要タイトル : 発達が気になる子の笑顔と「できた!」が増えるスタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編定価 : 1,540円(税込)著者 : スタジオそら/発達障害療育研究所 著カテゴリ : 育児・しつけ・教育発売日 : 2023年2月20日(月)判型・ページ数: B5変 ・ 112ページ出版社 : 主婦の友社URL : 目次■今後の展開本書を以て、入所を待つ家族へ早期に療育メソッドを届けるとともに、「家庭でなんとかしないと」とお悩みの家族、あるいは保育園や幼稚園の先生など、障害児へのアプローチに悩みを抱える多くの方にも寄与したいと考えています。2023年夏には、2冊目の書籍「スタジオそら式 おうち療育メソッド2構造化編」も出版を予定しています。■「スタジオそら」について「スタジオそら」は児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービスです。子どもたちが晴れた大空の太陽のような気持ちで育って欲しい…、そんな願いをこめて「スタジオそら」と名付けました。1対1を基本とし、子どもが楽しみながら課題にチャレンジできる発達支援療育を提供しています。「スタジオそら」公式サイト: 「スタジオそら」でのレッスン風景(1)「スタジオそら」でのレッスン風景(2)■会社概要商号 : アース・キッズ株式会社代表者 : 代表取締役 高見 裕一所在地 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-51-6 原宿MOA 2F設立 : 2000年1月28日資本金 : 5,000万円事業内容: 児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービスURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月06日私には現在小学3年生の長男がいるのですが、発達障害であるADHD(注意欠陥・多動性障害)の診断が下りたのは小学校2年生のときでした。さらに3年生になった今年、自閉症スペクトラムの診断が下りたのです。私は、小学生になるまで長男の障害を見つけてあげられなかったことを後悔。乳幼児健診のとき、こうしておけばよかった! と思ったことをお話しします。 1歳半健診では育てにくさを伝えられずハイハイをし始めたころから活発な長男でしたが、1歳になるころには多動が目立ち始めていました。他の子とちょっと違うなと感じつつも、気にするほどでもないと思う中で、1歳半健診の日を迎えました。 1歳半健診の質問項目に「育てにくさを感じますか?」とあったのを見て、一瞬戸惑う私……。買い物先や支援センターでよく脱走し、かんしゃくがひどいことに悩んでいたからです。 しかし育てにくいレベルに入るのかわからず、悩みながらも「いいえ」にマルをしたのです。このとき「はい」または「わからない」にマルをしていれば、支援に繋がったのかなと思います。 3歳児健診でも育てにくさを伝えられず!その後長女が生まれ、育児に奮闘しているうちに年月が経ち、長男の3歳児健診の日を迎えました。3歳になるころにはお喋りもじょうずになり、手先も器用になってきていた長男。一方で相変わらずかんしゃくが酷く、2歳下の妹を叩いてしまうこともしばしば……。 しかし私は3歳児健診での問診票でも、「育てにくいですか」の質問に悩み、「いいえ」にマルを付けてしまったのです。さらにあらかじめ相談内容を固めていなかったため、悩みをどう伝えたらいいのかわからず健診は終了。私はまたもや悩みを伝えられないまま、健診をスルーしてしまったのです。 次男のおかげで保健師さんに相談でき…3歳児健診を過ぎると、市の乳幼児健診の場はありません。仕事が忙しくなったこともあり、日々の家事、育児をこなすだけで精一杯の私……。そして長男が小学校に入るころ、転機が訪れました。わが家に次男が生まれたのです。 育てやすい次男ですが体が小さく、4カ月健診で経過観察となってしまいました。おかげで市の保健センターから、よく電話がかかってくるようになりました。長男のかんしゃくに悩んでいた私は、すがるように保健師さんに相談することに! すぐに専門的な相談施設を紹介され、小学2年生になったころにADHDの診断が、さらに1年後に自閉症スペクトラムの診断が下りました。 長男の幼児期を振り返ると、後悔するのはやはり乳幼児健診で悩みを伝えられなかったことです。伝えるべきか迷う程度の悩みでも、困っているなら相談するべきだと思いました。今では主治医や臨床心理士さんに相談しています。次男が3歳児健診を迎えるときには事前に悩みをリストアップし、細かく相談したいと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子イラストレーター/みいの著者:河津明香2男1女の母。旅行代理店勤務をしながらの育児を経て、フリーランスのライターへ転身。現在は発達障害の長男のサポートをおこないながら、旅行・育児・生活雑貨などの記事を中心に執筆。
2023年03月02日私は現在、4歳と1歳の2児のママです。次女が1歳になる前、精神科を受診して「適応障害」と診断を受け、服薬を開始しました。今は子どもの成長とともに育児も少し落ち着いてきて、かつ自分自身の仕事も安定しているので、服薬しなくてもある程度余裕を持って子どもたちを見られるほどにメンタル面が安定しています。そんな、今の私だからこそ言える、長女に対しての反省と後悔の念を体験談としてお伝えします。 長女の甘えを受け入れられなかった今だからこそ理解できるのですが、次女が生まれたときは長女はまだ3歳にもなっていないころだったので、当然、ママに甘えたい気持ちがまだまだあります。そこに次女のお世話のタイミングなど、私の事情は関係ありません。 次女が生まれたばかりのころは、「ママ、着替えられない!」「ママ、お外行きたい!」などといった欲求すら、洗濯や料理する家事の時間などの私の日常ルーティンと噛み合っていなければ、すべてイライラして「今忙しいから!」とバッサリ切り捨てていたように思います。 一番私が暗かった時期は「長女はなんでこんなにわがままなんだ」とイライラしていましたが、今思えば月齢に沿った自然な行動をしていただけだと思います。私が自分勝手だと解釈してしまったのは、自分自身のゆとりのなさからくるものでした。 ゆとりが持てる環境は「自らが作り上げて得られるもの」と「時間の経過で自然に得られるもの」と2つあるのだな、と実感しています。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日になりますように! 監修/助産師 松田玲子著者:石塚みよ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2023年03月01日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!発達が気になるお子さんを日々育てている中、「子どもの癇癪に困ってしまった…」そんな経験はないでしょうか?発達ナビ会員のみなさんをはじめ、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます息子の癇癪、理不尽に思えることにも理由があるから癇癪と暴言・問題行動と長年向き合っています。困った事だらけで…。大変だったエピソードが多すぎ…(笑)雪が降ったからイライラする。雨が降ったからイライラする。TVを付けたからイライラする。ご飯のタイミングが遅いからイライラする。こどもの声が嫌だからイライラする等々…。こちらからしたら理不尽に思える事も息子からしたらちゃんと理由があるんですよね…。言葉で上手く伝えられないもどかしさ。ストレスが溜まってもうまくガス抜きができない。感情のコントロールを上手くできない。折り合いの付け方が難しい。上手くクールダウンできない。本人が一番きつい。でも、対応する周りもきつい。癇癪が出る前に上手くコントロールできるようになれば理想的です。でもそれが難しい。そしてそれが息子の特性。(HARUKAさん)息子さんの癇癪やイライラなどに長年向き合っているというHARUKAさん。一見理不尽に思えることでも、本人には本人なりの理由がある…。理解できても、日々対応しなければならないのは大変ですね。一人で悩まずに、医療機関、療育機関など、第3者へ相談することも選択肢の一つかもしれません。発達ナビには、癇癪にまつわる疑問を小児科医の藤井先生にお答えいただいたコラムもありますので、ぜひご覧になってみてください。スーパーでの買い物中に癇癪!レジで後ろに並んでいた人の言葉が胸に刺さり…3歳の自閉スペクトラム娘は、視覚的な記憶が強く、いつもと違う状況にひどく戸惑います。例えば、スーパーでの買い物。一度行くとスーパーの売場の地図のようなものが頭に入り、棚に並んでいるものの位置も覚えてしまうようです。そのため、次に行ったときに陳列が変化しているとたちまちパニックに。元のとおりに戻そうと勝手に品物を動かし始めます。本人は正しいことをしていると言わんばかりのドヤ顔で…先日もスーパーのレジ前のお菓子が引き金に。いつもと違っていたようで、せっせと動かし始め、ほかのお客さんにもお店にも迷惑だからやめさせようとするも、おさまらない。そしてレジの順番がきて強制終了となり、床に転がりバタバタしながら泣き騒ぎ始めました。後ろのおばさんの「お菓子買ってあげたらいいのに」という一言が私に刺さる刺さる…「買っておさまるならいくらでも買うよ」とぼやきたいのを我慢しながらレジ通過。棚の並べ方が気に入らずパニックになっているのであって、何か1つ買ったところでおさまらない。そしてそもそも娘は偏食でお菓子は一切食べない…。なかなか一般の方々には伝わらないよなぁ。欲しいお菓子買ってもらえてないって映るんだなぁ。そして会計を終えても癇癪は続き、袋詰めのところでカゴの中身を投げ始め、床にヨーグルトをぶちまけ、ポテトサラダは容器から飛び出し…ほかのお客さんに当たらなかったのが不幸中の幸い。本人も生きづらくつらいんだろうと思うけれど、日常の買い物も癇癪の種にあふれ、いつも緊張状態でいなきゃいけないのは正直つらい!(プラムさん)「いつもと違うといや」で並べ替えたい――お子さん本人がつらいのはもちろんですが、日々の買い物にも神経を使う状況のプラムさん、おつらいですね…。買い物など外出中での癇癪・パニックは、たまたま居合わせた事情を知らない方には、一見「ただのわがまま」に思われてしまうということも、保護者のみなさんが困ってしまう原因の一つだと思います。発達ナビライターのSAKURAさんも、お子さんが小さいころ、外出時の癇癪に悩んでいたそうです。しかし、子どもが癇癪を起こしたときの自分の中の「ルール」を作ったことで、少し気持ちが楽になったとのこと!ぜひ参考にしてみてください。癇癪中に虐待だと思われて児童相談所に通報今は中学1年の息子。癇癪がとにかくひどい子で未だにあります。自分の思い通りにならないときなど酷く、テレビを破壊されたり壁に穴を開けられたりドアが凹んだり、コンセント部分も凹んだり時計を投げつけて壊されたり(涙)ギャーという声がまた全力…。最悪なのは、窓が開いてるのに気づかず癇癪中にこちらも怒鳴っていたら、虐待だと思われて児童相談所に通報されました。ちゃんと話をして納得して同情されましたが、通報までされたことがあまりにも悲しくて相談員の方の前で泣いてしまいました。癇癪中はその場から離れるというアドバイスをドクターからしてもらい実行しましたが、その場を離れている間も暴れて壁に大きな穴を開けられました(泣)息子からしてみると見捨てられたと感じたようです。ドクターからのアドバイスでもその子によって効かない事もあるんだと身をもって感じた瞬間でした。少しづつ良くはなってきましたが、ゼロになる日がくるのかはわかりません。段々と成長してもうすぐ私の身長を抜かします。そうなったときにまだ続いていたらもう止められないので、そのときは警察や児童相談所のお世話になることを覚悟していますし、本人にもいざとなったら警察に通報するから、とは伝えています。そうならない事を祈るばかりです…。(空色さん)虐待を疑われて児童相談所に通報されてしまい、悲しみのあまり涙してしまったという空色さん。さらに「癇癪中はその場を離れる」というお医者さんからのアドバイスに従ったら、壁に大きな穴が開いてしまったとのこと…。保護者としてどのように接したら良いのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。また、ご近所さんとの関わり方も、気になるところだと思います。空色さんと同じように、癇癪中のお子さんとの向き合い方や、ご近所との関わり方に悩んだというユーザー体験談をご紹介します。お友達を嚙んでしまった!頭を下げ続ける日々1人目が軽度発達障害と言われ落ち込んでいたころ(20年以上前です)、2人目(3歳ぐらい?)を近所にできたショッピングモールに連れて行きました。よくテレビとかで見る、これ買ってくれないと嫌だ~!と地面に寝っ転がって地団駄踏むことを30分近くしてくれました…。1人目とは違う特性だったので、この子どもたちは一体何なんだろう?と本当に悩み疲れ果てていました。そのショッピングセンターには半年行きませんでした。(行けませんでした?)遠いところまで買い物に行ったことを思い出します。2人目を連れて行ったのは3年後のことです。あと、幼稚園でのべ6人のお友達をかみました!(一度にじゃないですよ)自分は人様に迷惑をかけたこともないし、謝ったこともなく、子どものためにどれだけ頭を下げまくったか…(遠い目…)。そんな子どもたちも、まだまだ特性がありますが、もう自立できる歳になりました。まだ、3人目が中学生、3人ともそれぞれ違う特性で、いろいろ私にたくさんの経験をさせてくれました。いい思い出とは言えませんが、20年以上たつと親もあきらめることができるようになります(笑)(ゆうママさん)3人のお子さんそれぞれの特性に違いがあり、癇癪だけではなく他害にも悩まれたというゆうママさん。乗り越えられてきた数々の苦労も、いまは思い出となり、お子さんたちも自立できる年齢まで成長されたとのこと。現在進行形で悩んでいらっしゃる方々の励みにもなるエピソードをありがとうございました!発達ナビライターのかなしろにゃんこ。さんの息子・リュウ太くんも、中学生のころまで癇癪が激しかったそうです。そんな「怒りモード」を鎮めるために、リュウ太くん本人が考え出したイライラとの向き合い方とは…?「自分のお金で」ゲームができず癇癪!息子が小3のとき、アーケードゲームをやりたくて自分のお財布を持って行ったはずが、お財布を家に忘れてきてしまいました。「お金貸してあげるから」と、私がお金を出してゲームをやり、一件落着…のはずだったのですが、食料品売り場で買い物をしようとしたら、どうも息子の様子が怪しい。仕方なく買い物を諦めて帰ろうとしたら、暴れながら私の服を掴んで何度も連れ戻すので、大急ぎで買い物をして車に乗り込みました。そこから家までの10分余り、息子は車の中で全力で泣き叫び、私はうるさくて耳が痛い中、とにかく事故を起こさないように必死でした。家に帰ったら、今度は走って家から逃げるし。自分のお金でゲームをしたかったのに、それができなかったこと、買い物をするはずなのに、買い物をせずに帰ろうとしたことが、自分の予定と違っちゃったんでしょうね。その後もゲームセンターへ行くのに忘れ物をして、何度かパニックになったりしましたが、徐々に自分で折り合いをつけられるようになりました。(なまちゃんさん)自分の予定や見通しがかなわなかったことでパニック、癇癪に繋がってしまった、なまちゃんさんの息子さん。少しずつ折り合いをつけられるようになってきたとのこと、良かったですね。発達ナビライターのウチノコさんの息子、ADHDと自閉スペクトラム症のあるむっくんも、小さなころから今から何をするのか分からない状況や急な予定変更が苦手でした。しかし、「見通し」を伝えることを学んでからはずいぶんと過ごしやすくなったそうです。おわりにわが子の癇癪に「困った!」となってしまう場面にも、子どもなりの理由を理解しながら対処されている保護者のみなさまに、頭が下がるエピソードばかりでした!ご紹介したエピソードの中に、みなさんも、共感したり気づいたりしたことがあったのではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもみなさんに楽しんでいただけるような企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月01日リバランス株式会社(所在地:沖縄県那覇市、代表取締役:津嘉山 晋弥、以下 当社)は、特別支援教育における格差是正を目的に、発達障害・グレーゾーン(以下 発達凸凹)およびギフテッドの小中学生を対象としたオンライン個別指導塾「リバランス」を2023年3月1日に開校します。開校前にすでに多くのお問い合わせをいただいており、受け入れ体制を万全にするためのプロジェクトを2023年2月20日より株式会社CAMPFIRE運営のクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて開始しました。プロジェクトページURL: CAMPFIRE1. プロジェクトを開始する理由教育基本法では「教育の機会均等」が掲げられていますが、発達凸凹のお子さんの特別支援教育については確実に「地域による教育格差」が生じており、またギフテッドの支援は皆無と言っていい状態です。このような現実を踏まえ、全国の教育格差を解消するオンライン個別指導塾を開校したいという考えに至りました。当社は2月1日にプレオープンしておりますが、想定以上のお問い合わせをいただいており、受け入れ体制を万全にするために「CAMPFIRE」にてこのプロジェクトを開始しました。全国の悩める生徒の受け入れ態勢を万全にするためにご協力をお願いします。2. プロジェクトの内容<概要>プロジェクト名: 発達凸凹のオンライン個別指導塾によって全国の教育格差を無くしたい!期間 : 2023年2月20日~3月31日URL : 目標金額 : 720,000円(生徒の受け入れ態勢を万全にするための拡充費用)<リターン>リターンは以下の5種類を用意しております。●お礼メール●パンフレット贈呈●個別指導提案書の作成●授業料割引権●スポンサー掲載3. 今後の見通し当初120名の発達凸凹・ギフテッドのお子さんを受け入れる体制を想定しておりましたが、今回の資金を活用し、こちらを180名まで拡張します。【会社概要】商号 : リバランス株式会社所在地 : 沖縄県那覇市安謝2-22-27 The天てらす304代表者 : 津嘉山 晋弥事業概要: 発達凸凹・ギフテッドのオンライン個別指導塾・の運営URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年02月27日ひきこもりとは?ひきこもりとは、長い期間社会活動に参加せず、自宅などに閉じこもり続ける状態像を示す言葉です。厚生労働省より公表されている「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている場合としてひきこもりの定義がなされています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりに至った理由や要因は人によってさまざまですが、上記のガイドラインによる定義では、統合失調症などの精神疾患によって家にこもっている状態とは区別されています。ただし実際には確定診断がなされる前の統合失調症などの精神疾患や発達障害がある人が含まれている可能性もあると考えられています。ひきこもりによって社会参加の回避が長期化すると、社会生活への復帰のハードルも高くなってしまいます。ご両親だけでなくご本人も大きな不安を抱えている場合もあります。しかし、社会の偏見や無理解、近所の目や、家族内の意見相違があることも少なくないといわれています。そのため支援を受けられずに家庭内で解決しようとするあまり、状況がさらに長期化し解決が難しくなる場合があるのです。平成25(2013)年の15~34歳(若年層)を対象にした調査によると、日本には推計でほとんど家からでないひきこもり状態にある人が約23.6万人、自分の用事のときだけ外出する準ひきこもり状態の人が約46.0万人、合わせて約69.6万人もの人が広義のひきこもり状態にあるそうです。平成30(2018)年には満40歳から満64歳(中高年層)を対象にした調査が行われ、ひきこもりの推計数は61.3万人であることが分かりました。若年層と中高年層を合わせると約115万人がひきこもりの状況であると推測されます。この事態を受け、厚生労働省をはじめ、行政もひきこもりへの支援を推進しています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン参考:『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』|厚生労働省参考:平成26年版子ども・若者白書(全体版)|内閣府Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの原因単純に本人の性格や甘え、子育てのせいと結びつけられがちですが、ひきこもりのきっかけや要因はさまざまです。『平成26年版子ども・若者白書(全体版)』による調査では、病気や仕事・学業でのつまずきがきっかけとして多いことが分かります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン子どもは成長するに従い、自立とスキルを求められるようになります。他者と折り合いをつけ、円滑にコミュニケーションをとることや、勉強や将来に向けての進学・就職に成功することなど。それらのさまざまなプレッシャーのなかで、外=社会での居場所を失い外に出られなくなった場合、家の中にひきこもらざるを得なくなってしまうことがあるのです。つまり、誰でもひきこもりになる可能性はあるということです。きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験・就職活動の失敗などの経験が挙げられますが、きっかけがよく分からない場合も少なくありません。一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に関係しているケースもみられます。不登校が長期化してひきこもりになることもあります。最近は、背景に発達障害が関係していることもあるという報告もあります。参考:令和元年版子供・若者白書(概要版) > 特集2長期化するひきこもりの実態|内閣府ASD(自閉スペクトラム症)を背景とする場合、他者の意図や会話を理解したり、状況をくみ取ることが苦手なために、違和感や被害感など抱きやすく、社会参加や他者と関わることに対する不安や恐怖を感じてしまうことがあります。また生活習慣を変えることや、予期せぬ事態に直面することへの抵抗感が強いことも関連して、ひきこもりが長期化する場合があることが分かっています。家族としては、どうしても「なぜひきこもりになったのか」が気になり、突き止めたくなるでしょう。ですが、「どうしてひきこもりになったのか」「何のせいでひきこもっているのか」と原因探しをすることは、ひきこもり状態の解決にはあまり意味がないかもしれません。ひきこもりの解決のためには「なった要因」よりも「ひきこもり状態からどうたら抜け出せるのか」を考え、支援する必要があるといわれています。ひきこもりと精神疾患の関係は?定義上ではひきこもりは精神疾患が原因ではありません。ですが、ひきこもり状態の中には、精神疾患と何らかの関連がある場合も考えられます。この場合、いくらひきこもりを脱しようと頑張っても、根本にある精神疾患の治療や支援をしないと、解決できないことがあります。そこで、ひきこもり状態の裏になんらかの精神疾患や障害が隠れていないかどうか注意することが非常に重要です。精神疾患とひきこもり状態の関係にはいくつかのパターンが考えられます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの人の中には、精神疾患の症状のために家から出られないのに、そのことに気づかず、見過ごされている状態の人も少なからずいるのではないかと考えられています。つまり、『精神疾患からひきこもり状態をひき起こしているが未診断』という状態です。不安障害や統合失調症、双極性障害、うつ病などの症状とひきこもりとの関連が指摘されています。精神疾患の診断がある場合、それ自体の治療が必要な場合もあります。これらの症状がある場合は早めに精神科の受診を検討しましょう。なかでも統合失調症は鑑別が難しい精神疾患です。統合失調症の陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれてほかの人とのコミュニケーションが難しくなり、ひきこもり状態になることがあります。この状態を単なるひきこもりと誤解されてしまうことがあります。統合失調症の主な症状としては、幻覚や妄想、幻聴なども挙げられます。これらの様子が見られる際には、精神科の受診をおすすめします。ただし、引きこもり状態でも妄想などがあらわれる場合もありますので、統合失調症かどうかは医師による慎重な判断が必要です。参考:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス|厚生労働強迫性障害とは、強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です。自分でもささいなことだと分かっていても何度も確認を繰り返し、日常生活に支障が出てきてしまいます。例えば「戸締まりを何度も確認してしまう」「不潔に思い、手を何回も過剰に洗ってしまう」などです。世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つにあげられています。もともとの強迫性障害が原因で外出などが困難になり、ひきこもりにつながる場合もあります。例えば「自分は酷いことを周りの人にしてしまうかもしれない」などの強い思い込み(強迫観念)により外出が困難になる場合などです。また、ひきこもり状態から強迫性障害が生じる場合があります。強迫性障害には薬物療法と認知行動療法などの併用が回復には有効だといわれています。参考:強迫性障害|みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)参考:「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について|厚生労働省精神疾患の症状から、人間関係のトラブルや強いストレスをひき起こし、二次的な障害としてひきこもり状態になる場合もあります。近年、発達障害とひきこもりの因果関係が指摘されることが多くあります。発達障害のある人が特性を理解されないまま不適切な環境にいることで、環境との不適応を起こし、二次障害としてひきこもり状態になる場合が少なくないのです。ASD(自閉スペクトラム症)のある人はコミュニケーションの困難のため思春期以降、複雑化する学校生活や人間関係などがうまくいかず、ひきこもり状態になる場合があります。また感覚過敏がある場合も多いため、学校生活でのさまざまな音やにおい、刺激などへの対応に困難を感じ、次第に登校しにくくなることがひきこもり状態につながることもあります。ADHD(注意欠如・多動症)のある人も、不注意や衝動性といった特性が社会適応を困難にしたり、叱責を受けてしまうことで自己肯定感が低くなってしまうことが、引きこもりにつながることがあるといわれています。また、LD(学習障害/限局性学習症)のある人は、学習でのつまずきによって学校に行きたくないと感じてしまったり、自己肯定感の低下を引き起こすことでひきこもりにつながる場合があります。発達障害の根本的な治療法は現代の医学では確立していませんが、周りの理解や環境調整、スキルトレーニングなどによって困りごとが軽減するといわれています。それらの適切な対応をすることで、二次障害としてのひきこもり状態になることを予防したり、ひきこもり状態から早期に抜け出せるようにすることができるかもしれません。また、ひきこもりの状態にある人の中にも、その背景に発達障害が隠れていることに気がついていない人も一定数いると考えられます。発達障害がある場合、さまざまな社会的支援が受けられる場合もあります。幼少期の生育歴などに発達障害に該当する様子がなかったかなど、一度専門機関に相談してみるとよいでしょう。参考:ひきこもりと発達障害|星野仁彦長期間にわたるひきこもり状態や孤立から、しばしば二次障害的に精神疾患の症状が出現することもあります。ひきこもり状態にある人のなかには、引きこもりをやめたいのにやめられなかったり、家族とぶつかったり、近所の人の目を気にしたりなど、「ひきこもっていること」そのものに対して強いストレスを感じている場合があります。これらが心身に影響を及ぼし、対人恐怖症状や強迫症状、被害念慮(妄想)、うつ状態などがあらわることがあり、しばしばそれらがひきこもりから抜け出すことをより困難にすることがあります。しかし、家庭の中だけで解決することは難しいことが多いため、早期に専門機関に相談することが重要です。参考:第1章ひきこもりの心理状態への理解と対応 斎藤環(爽風会佐々木病院診療部長)|内閣府イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月25日「頭が大きい?」1歳半健診で指摘されて…Upload By べっこうあめアマミ妊娠中から出産時まで、何の異常もなくこの世に生まれた息子は、1歳までは何の発達の遅れも不安もなく、すくすく成長していきました。「あれ?」と思ったのは1歳を過ぎたころ。1歳半健診のチェック項目のほとんどに〇がつかないという事態に陥りました。そしてこのころから息子の発達の遅れが目立つようになっていき、私は大きな不安にかられるようになっていきました。そして迎えた1歳半健診。身体面に異常はなく、分かりやすい困りごともないけれど、明らかな発達の遅れがある息子。そして、頭位(頭の大きさ)が大きいことが気になるという指摘を受けたのです。そこで初めて聞いたのが、「水頭症の可能性」でした。水頭症は、脳脊髄液が頭の内側に過剰に溜まってしまう病気です。まだ頭蓋骨がやわらかく組み合わさっている状態の幼児期に水頭症があるお子さんは、内側からの圧力で頭蓋骨が押し広げられ、頭が大きくなるそうです。ただ、あくまで可能性というだけで、検査しなければ分からないとのことだったので、1歳児の脳のMRI検査ができる大きな病院に紹介状を書いてもらうことになりました。発達の遅れの理由は、発達障害や知的障害だけではないUpload By べっこうあめアマミ大人ならすぐに済ませられるMRI検査ですが、ずっと動きを止めていられない1歳児が受けるとなるとそうはいきません。親子で日帰り入院し、息子が自然に眠っているときか、眠らなければ薬で眠らせて検査する、少し大がかりな検査になります。当日うまく寝てくれるように睡眠時間を少なめにして連れて行ったため、息子は不機嫌で何度も大泣きしました。しかし幸い疲れて寝てしまい、無事に検査を受けることができました。そして検査の結果は異常なし。ここで、息子の発達の遅れの理由から、「水頭症」の可能性が消えました。しかし、発達の遅れの理由として考えられるものは、それだけではありません。耳が聞こえていなくてコミュニケーションがとれない可能性もありますし、主治医はほかの病気の可能性も考えてくれていたようです。脳のMRIのほかに、聞こえの検査と、全身の代謝の検査などをしました。しかしどの検査でも、息子に異常は見つかりませんでした。それでも目の前にいる息子には明らかな発達の遅れがある。そのため、息子の通院は、ここから「様子見」というような形で始まりました。ショックだけれど納得もできた、障害の診断Upload By べっこうあめアマミそれから2年と少し経った4歳のとき、息子に知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断が出ました。そのころには私もさすがに、「何もないということはないだろう」とは思っていましたが、いざ診断を告げられると大きなショックを受けました。何度も泣きましたし、すぐに障害を受容できたわけでもありません。しかし、2年間という長い期間息子を診続けてくれた主治医による診断であること。そして、発達障害や知的障害以外のあらゆる可能性を潰した上での診断ということで、障害名に対しての納得感はありました。もちろん、診断の直接的な材料となったのは発達検査です。しかし、最初から発達障害、知的障害という方向だけで発達の遅れを見る前に、それ以外の病気や聞こえの問題などがないか検査するのは大切なことだと思ったのです。万が一、治療可能な病気などがあったとしたら、早期に手を打たなかったことを後悔したでしょう。ところが息子の場合、身体のどこにも異常はないから治療はできない。それが息子の障害、「知的障害を伴う自閉症」だということに、大きなショックの中でも納得はできました。病院だけでなく、息子は2歳から療育にも通っていましたし、「診断までにやれることはやった感」が、後の私の心の整理には大事だったと思います。通い続けて6年、長く診てもらっている病院がある安心感Upload By べっこうあめアマミ息子のように、服薬がなく身体障害や病気などもないお子さんは、病院にかかるべき明確な理由がないかもしれません。もちろん、必要性がなければ特に通院しなくても全く問題ありません。しかし、息子のように発語がなくて、本人との意思疎通が難しい子どもの場合、定期的に通う病院があると、体調の変化なども相談できて親としては安心です。今後何か病気が見つかったり、服薬の必要性が出てきたときにも病院探しに困らずにすみます。そして、障害がある子どもを育てていると、何かと診断書が必要になる機会がありますが、かかりつけ医があると、診断書のお願いもスムーズです。息子の通院の期間は長いですが、頻度は3、4ヶ月に1回程度です。そんなに低頻度の通院に意味はあるのかと思われるかもしれませんが、長く通い続けている病院は、親にとって頼りになる存在です。きっかけがないとなかなか難しいかもしれませんが、子育てをする上でかかりつけ医があるメリットは大きいと感じています。病院も、できれば自分の子どもと同じような障害がある子どもが多く通っていて、さまざまな検査が可能な設備が整った病院が安心かもしれません。きっかけが脳の検査だったこともあり、息子が通っているのは精神科ではありませんが、発達障害による困りごとをより具体的に相談したい場合、児童精神科を受診するのも良いと思います。地域ごとに評判の良い病院などもあると思いますので、気になる方は、情報を集めて受診してみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)べっこうあめアマミさんの息子さんが、3−4ヶ月に1回定期的に通院しているのはとても良いと思います。私の勤めているクリニックにも、服薬などは必要ないけれど定期的に通院しているお子さんがたくさんいます。状態が安定している小学生や中学生は、長期休みに受診してくれています。そのたびに、お子さんの成長を一緒に楽しみ喜んでいます。当初はクリニックの診察室に入るのも嫌がっていたお子さんが、診察室に入れるようになり、一人で椅子に座れるように、聴診器も嫌がらずに当てられるようになり、と低頻度の受診でも徐々に慣れてきます。年度変わりで、学校の先生が変わっても、いつもと同じ病院やクリニックに同じ先生やスタッフがいるということで、安心して通えるというお声を聞くこともあります。お子さんの年齢が上がってくると、主治医が見つからないという声を聞くこともあります。べっこうあめアマミさんのように小児神経科に相談するのも良いですが、発達外来のある小児科、児童精神科、精神科などに相談してみましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月23日子どもの寝つきが悪い…これって睡眠障害?睡眠にまつわるギモン自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることがあります。睡眠の問題の背景には、何かしらの障害が関係していることがありますが、睡眠の相談を医療機関ですることを知らず、長年悩みを抱えてしまう方もいるという現状があります。発達ナビQ&Aコーナーでも、子どもの睡眠に関する心配や、睡眠障害へのギモンが数多く寄せられています。「赤ちゃんのときから寝つきが悪く、朝起きられません。来年には中学生になりますが、どのようにサポートしたらいいでしょうか」「5歳すぎてもまとまって寝ないのは、発達障害が関係しているのでしょうか」「みなさんは眠れていますか?眠れないときはどうしたらいいのでしょうか」「日中に寝てばかりの息子がいます。服薬をしていますが効果がありません」これらは、発達ナビのQ&Aコーナーに実際に書き込まれた、睡眠にまつわる悩みです。このコラムでは、睡眠のなぜ?から、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬についてなど、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。睡眠障害とは、眠りに何らかの問題がある状態のことをいいます。子どもの睡眠障害にはいくつか種類があります。・不眠症…寝つきが悪い、眠りが浅く途中で何度も目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう、眠りの質が悪いなど、睡眠が十分でない状態・過眠症…夜ちゃんと寝ているはずなのに、日中あらがえないほど眠い状態・概日リズム睡眠障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態・いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)…子どもの場合、いびき、無呼吸の主な原因は、鼻づまりやアデノイド・口蓋扁桃(こうがいへんとう)といったのどや鼻の奥のリンパ組織の肥大で、物理的に気道が狭まること。また、肥満で気道が狭くなることも・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)…脚などの下肢がむずむずするなど動かしたい強い衝動がある状態・睡眠関連律動性運動異常症…乳幼児期から4歳くらいまでの時期で発症する睡眠障害。頭を左右に振ったり、前後に強く動かすなどする。9ヶ月の子どもでは59%に見られるほど、乳児期には非常に多い症状だが、5歳前後には5%以下に・睡眠時随伴症…睡眠中に生じるねぼけ、夜尿、歯ぎしり、悪夢などの身体的現象の総称子どもは、新生児期には昼夜を問わず短い睡眠・覚醒を繰り返しますが、乳児期から夜間睡眠が中心になり、3歳から6歳になるころには昼寝をとらなくなるなど睡眠リズムが徐々に確立していきます。赤ちゃんの眠りはまだ眠りが浅く、夜泣きをすることも多くあります。幼児期(3歳から6 歳ごろ)までに浅い眠りと深い眠りのサイクルが大人と同様のリズムに移行していきます。そのため、幼児期になっても睡眠に何らかの問題がある場合、改善の必要があるといえます。発達障害と睡眠障害の関連は?睡眠障害は、発達障害の併存症として認められることが多いといわれています。睡眠障害が発達障害を引き起こすという意味ではありませんが、発達障害の特性により、睡眠になんらかの問題が出てしまうことが主な原因です。乳幼児期の睡眠は脳の発育にも関わるため、睡眠障害が長引くこと自体が睡眠不足や生活リズムが乱れて悪循環を生み、子どもの心身の発育に影響している可能性も否定できません。自閉スペクトラム症がある子どもは音や光などに対する感覚が過敏なため、覚醒しやすいといわれています。また、睡眠に関係するメラトニン生成や、セロトニンからメラトニンにいたる代謝経路の障害が関係しているのではないかと考えられています。そのため、自閉スペクトラム症のある子どもの睡眠の問題には、なかなか寝つけない、入眠することができない、 夜中に起きて騒いでしまう、ちょっとしたことで起きてしまうなどが多くあります。ADHDの特徴には不注意・多動性・衝動性があります。ある調査ではADHDのある子どもの入床への抵抗、入眠の困難、中途覚醒、起床の困難、日中の過剰な眠気がある子どもが多い傾向があるという結果があります。また、ADHDのある人の脳には脳内の神経伝達物質であるセロトニンに偏りが生じているともいわれています。そのため、セロトニンを原料としてつくられるメラトニンという体内時計をコントロールするホルモンにも偏りがでてしまうため、不眠や概日リズム睡眠障害に陥りやすいのではないかと考えられています。参考:子どもの睡眠亀井雄一、岩垂喜貴 |保健医療科学2012 Vol.61 No.1 p.11-17Q:来月から6年生になる男の子の母です。ADHDの子は寝ない子・寝付きが悪い子が多いと言われていますが例にもれずうちも小さい頃から寝付きが非常に悪く、そして寝ると朝本当に起きられません少し前までおやすみをした後隠れてタブレットで動画見てたりしていたので没収しました・・・携帯は夜間ロックをかけています。普段は自分の携帯のアラームをかけさせていますが、全く起きず叩いても起きず、ベッドから引きずり降ろしてようやく起きます体も大きくなってきたので正直この起こし方が最近本当に大変です・・・。(中略)同じようなお子さんお持ちの親御さん、どのような対策とられてますか?病院にかかってみた方がいいのかな?と思ったこともありますこちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A:息子もADHDとASDです。赤ちゃん時代は、眠りが浅い子でした。幼少期も夜驚や寝言が多かったです。それほど深刻には考えていなかったのですが、高学年になっても寝相がかなり悪く、主治医に相談し、メラトベルと言う睡眠ホルモンの薬を試してみました。(中略)朝起きられない問題は、コロナ禍で生活リズムが不規則になった頃からです。やはり、就寝前の電子機器の使用で就寝時間は徐々に遅くなり、22時半頃になることもあります。朝は休日でも8時起床にしていますが、息子もなかなか起きられません。自分の力で起床することが、自立の一歩だと思っているので、スマホのアラームやAlexaなど工夫して平日は一人で起きるようにしています。寝坊した場合は、就寝時間を早めるように促しています。熟睡できている事が前提だと思うので、1度主治医に相談してみては?違う切り口からの回答なんですが、職場で専門機関監修の睡眠改善セミナーを受けた中で使えそうなテクニックをいくつか。・睡眠環境を整える→寝室に光源を極力置かない。ダウンライトなどを活用。就寝中は家電のランプも塞ぐ(専用シールとかあります)→窓の隙間も塞ぐ。暗幕の活用→温度湿度の管理、寝具、パジャマの見直し(大人もついでにやってみては)・寝る前のスマホテレビ、照明→理想は1時間前にやめる。→リビングが調光できるならば、夕食前あたりから外に合わせて光量も落とす。・朝起きた時の楽しみを作る→朝飲む飲み物を少しリッチにする、朝ごはんへの投資、早起きして好きな映画を見るなど。(弟はゲーム時間確保のために早起きしてました)環境改善は一緒に寝てるのであれば親御さんの睡眠にも作用するのでおすすめです。年齢的にもう別々でしょうか?個人的には「朝起きる目的」があるパターンが学童期は一番効いたなと思います。私自身も見たいアニメがある、夏のラジオ体操でコンプリートして記念品もらいたい、という俗物的な目標があった方が起きてました。参考になれば幸いです。このように発達ナビQ&Aコーナーでは、疑問を投稿すると、ほかのユーザーの方が実体験をもとに回答してくれます。聞いてみたい質問があれば、ぜひ投稿してみてください!【小児科医に聞く】睡眠の大切さ、子どもの睡眠問題、何科を受診すればいい?、発達障害と睡眠障害の関わり、服薬のギモン、睡眠障害がある子どもへの対応などここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に子どもの睡眠の重要性、受診のタイミング、睡眠障害がある子どもへの対応、服薬のギモンについてお答えいただきます。A:睡眠には「脳を休める」ノンレム睡眠と、「体を休める」レム睡眠があります。ノンレム睡眠時には、大脳を休めるだけでなく、成長ホルモンが分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復、骨・筋肉形成が行われます。また、免疫機能・代謝機能が増強され、疲労の回復に役立っています。レム睡眠時には、脳は活発に活動し夢を見ることが多いですが、全身の筋肉は緩んで、体は休んでいます。睡眠の時間が短い、質が悪いなどで、睡眠の役割が十分に果たされないと、子どもの心身の成長や発達に影響が及ぶとされています。Upload By 発達障害のキホンA:かかりつけの小児科でまずは相談してみましょう。小児科医は、病気のことだけでなく、お子さんの生活全般、生活習慣についてのお困りごとにも対応することが可能です。すでに寝る前の工夫をとられていることもあるかと思いますが、お子さんが寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊していることもあります。少しでも工夫できることがないか、一緒に小児科医と考えていけると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:いろいろ対策をしても寝つきが悪いようなら、受診して相談してみても良いでしょう。1〜2歳のお子さんの寝つきの悪さなら時間と共に改善する可能性もありますが、5歳であると睡眠覚醒リズムが確立される年齢なので、睡眠障害があるのかもしれません。ASDの特性もあるような気がするとのことなので、併せて相談されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンA:受診すると、必ず薬が処方されるというわけではありません。まずは、睡眠リズムを作るための生活習慣の見直しをおこなっていきます。例えば、布団に入る1時間前のテレビ・インターネットなどは控える。休日・平日関わらず一定の時間に起きる、入眠までにすることの手順を同じ手順で同じ時刻に行うなどです。生活習慣の見直しをおこなっても改善しない場合に、薬の内服も検討します。発達障害に伴う入眠困難なお子さんへは、メラトニン受容体作動性入眠改善薬(一般名:メラトベル)を使用することがあります。メラトニンは、体内時計に働きかけ、睡眠と覚醒を切り替えて、眠りを促す作用があります。Upload By 発達障害のキホンA:易刺激性の薬とは、ASDに対するかんしゃくや、それに伴う暴言・暴力に対する薬のことだと思います。睡眠障害があるお子さんで、易刺激性に対する薬を使用することはあります。薬を使うことで、気持ちが安定し、入眠しやすくなることがあります。副作用として、眠気・だるさ、食欲増進を認めることがあります。主治医の先生と相談しながら、適切な効果のある量を調整していく必要があります。薬は、副作用と効果のバランスを見て、効果がある場合には続けていくと良いでしょう。長期に飲み続けて、依存性のでる薬ではないので、効果がある場合には続けて、適切な睡眠習慣をつくることができると良いと思います。Upload By 発達障害のキホンA:生活リズムの乱れは、抑うつやイライラといった気分の悪さと関連していることが指摘されています。睡眠リズムを取り戻すためには、朝に起きて光を浴びることから始めましょう。ベットを日当たり良い場所に移動し、毎日同じ朝の同じ時間にカーテンを開けて日光が入るようにして、刺激を多くしましょう。朝ごはんを食べることも、リズムをつくる上で大切です。食事が食べられなくても、少量のお湯などを経口摂取することから始めても良いです。午前中の生活を正してから、入眠前の工夫をしていきましょう。テレビや携帯電話、パソコンの使用は、入眠前1〜2時間は控えていきましょう。Upload By 発達障害のキホンA:ナルコレプシーは過眠症の一つで、オレキシン神経系の機能障害が原因です。日中の居眠りだけでナルコレプシーと診断できず、睡眠日誌をつけ、終夜睡眠ポリグラフィ、反復入眠潜時検査を受ける必要があると思います。ナルコレプシーを積極的に疑う場合には、睡眠外来を受診することをお勧めします。しかし、睡眠外来に受診すべきがどうか迷われる場合には、かかりつけの小児科に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホンA:起立性調節障害は、自律神経機能不全により、立ちくらみ、朝起き不良、だるさ、動悸、頭痛を認める病気です。朝起き不良だけでなく、だるさのために午前中の活動がしにくい状態になることもあり、そのため入眠困難になり、睡眠リズムの乱れにつながることもあります。起立性調節障害の治療と加えて、入眠をサポートする薬を使うこともあります。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの睡眠にまつわるエピソード発達ナビライターの方々の睡眠にまつわるエピソードをご紹介します。子どもの成長に欠かせない「睡眠」。睡眠に関する悩みが解消しないときは抱え込まず、医療機関へ子どもの心身の成長や発達に大切だといわれる「睡眠」。しかし、いろいろと工夫してもなかなか子どもが思うように寝てくれず悩みを抱えている方も多いかもしれません。発達障害がある場合、睡眠障害を併存していることも多く、睡眠の問題は、単純に生活習慣の乱れではなく、何かしらの原因が背景にある可能性もあります。また、わが子が寝ないと、保護者も眠れず、親子共に疲弊してしまうこともあります。小児科医では、病気のことだけでなく、子どもの生活全般、生活習慣について相談することも可能ですので、心配なことがあれば、かかりつけ医に相談してみましょう。発達ナビ「Q&Aコーナー」にあなたのギモンをぜひ投稿してください今回は発達ナビQ&Aコーナーに寄せられた睡眠にまつわるギモンと小児科医の藤井先生からのアドバイスをご紹介しました。発達ナビのQ&Aコーナーに気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!ぜひチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月21日株式会社voice and peaceが運営するギフテッド・発達障害の支援者向け動画メディアincluvox《インクルボックス》は、子育て支援最大手JPホールディングスのグループ企業、株式会社日本保育総合研究所が運営する子育て支援プラットフォーム「コドメル」の会員向けに、2023年2月22日から割引キャンペーンを開始します。コドメル×インクルボックス【キャンペーン概要】キャンペーン期間:2023年2月22日(水)~2023年3月12日(日)キャンペーン対象:子育て支援プラットフォーム「コドメル」の会員(会員登録は無料)キャンペーン内容:上記期間中に子育て支援プラットフォーム「コドメル」からインクルボックスの利用を申し込むと月額利用料770円が10%OFF■コドメルとは?「家族みんなの笑顔のために」をコンセプトに、ベビー用品・衣料品などの子育て関連用品を主としたリユース品を、WEB上でユーザー同士が個々に出品・購入し合うマッチングサービスおよび子育て世代にとってお得なクーポンや子育てに関する情報・サービスを提供している子育て支援プラットフォームです。URL: ■コドメル運営会社 株式会社日本保育総合研究所代表取締役社長 田中 信一郎氏のコメント当社グループは、保育園や学童クラブ・児童館を運営する上で、インクルーシブな保育を目指しており、お子さまに障害があることや、文化の違いがあることなど、すべてにおいて「1人ひとりを理解し、発達を支援する」ということを大切にしています。日本保育総合研究所には、心理職や療育職・福祉職等の専門スタッフが所属し、当社グループが運営する子育て支援施設を巡回、お子さまが集団生活に適応できるための支援について保育士や放課後児童支援員からの相談対応や研修を行うなど、約15年にわたって保育現場を支援してきました。また、2022年4月より子育て世代の困りごとの解決を目指して、子育て支援プラットフォーム「コドメル」を展開しております。そうした中で、インクルボックスと出会いました。インクルボックスは「支援方法」「専門家の知見」「関連書籍の解説」など非常にわかりやすく、ワンストップで情報を収集できるメディアであると感じています。保護者や先生方に正しい知識を取得していただくため、このインクルボックスをご紹介させていただき、それぞれのご家庭・保育・育成現場の状況や保護者・先生方の気持ちに寄り添った支援を継続して行ってまいります。■インクルボックスとは?インクルボックスは、ギフテッドや発達障害の支援方法や支援情報などをワンストップで視聴できる動画メディアです。「専門家の最新知見」「発達障害のニュース番組」「発達障害の基本知識」「関連書籍の要約動画」「支援企業やイベント団体情報」「支援グッズ紹介」など10分程度の動画を配信しています。また支援に悩んだ時には「1分で分かる支援動画」を300本の動画から検索して視聴できます。インクルボックスはマルチデバイスで視聴可能工藤 勇一校長入山 章栄教授アニメーションでわかりやすく豊富な動画カテゴリー■インクルボックスが解決する課題は?インクルボックスは発達障害を巡る以下2点の課題を解決します。(1) 発達障害の対面型研修は効果が出ない2010年代、発達障害に関する学術論文で「教育者は発達障害の対応が不十分」「対面型研修の効果が出ていない」という内容が頻出します。文科省も「対面型研修の効果が低いことは喫緊の課題」と回答しています。また2022年にいわゆる「ギフテッド支援」有識者会議の中で、「教育者研修には動画コンテンツが適切」と明記されました。参考p24 (2) 日本は発達障害人材の未活用で損失2兆3,000億円ニューロダイバーシティの概念が進む海外で、発達障害は周辺社員の知見を高めることでイノベーション人材として活躍しています。日本では一般社員の発達障害の知見が向上しておらず発達障害人材の有効活用が出来ていません。企業内で知見を高めることで、イノベーションが促進され業績が向上します。参考: また改正差別解消法による2024年の「合理的配慮の義務化」にも対応可能です。インクルボックスはテレビクオリティの動画をスキマ時間で視聴し効率的に発達障害のリテラシーを向上させます。■インクルボックスの対象は?インクルボックスは動画を週に2本配信しています。(2023年1月段階で動画は430本以上配信済)保護者や教育者、人材活用や合理的配慮でお悩みのビジネスパーソンが、スキマ時間に「時短・ながら聴き・ながら見」でご利用いただいています。■インクルボックスの運営は?インクルボックスは現役アナウンサー(元テレビ東京)でギフテッドと発達障害の子供を持つ代表の赤平と、現役テレビスタッフ、発達障害支援有識者たちが運営しています。会員登録後は全ての動画を見放題。無料サンプル動画あり、登録後1カ月間は全動画視聴無料、いつでも解約可能。初期手数料や解約手数料は0円です。代表 赤平の略歴■代表:赤平 大(あかひら まさる)略歴元テレビ東京アナウンサー。現在はフリーアナとしてWOWOW「エキサイトマッチ」「ラグビーシックスネーションズ」ジェイ・スポーツ「フィギュアスケート」など実況、ナレーターとしてテレビ東京「モーニングサテライト」、NHK BS「晴れ、ときどきファーム!」「ザ少年倶楽部プレミアム」など担当。2015年から工藤 勇一校長(当時)のもと千代田区立麹町中学校でアドバイザー。2022年から工藤 勇一校長の横浜創英中学・高等学校でサイエンスコース講師を担当。2E(発達障害とギフテッドを併せ持つ)の子供の親。■《incluvox~インクルボックス~》サービス概要《価格》 : 月額770円(税込)※初期費用0円、いつでも解約可能、契約後1カ月無料※法人契約は割引料金でご利用いただけます《販売方法》: インクルボックスサイトで「新規登録」 ※法人契約の際はお問い合わせください 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年02月21日パニック障害の治し方、治療期間の目安、処方される薬は?パニック障害(パニック症)は、突然理由もなく動悸やめまい、発汗、息苦しさ、吐き気、手足の震えなどのパニック発作を起こし、自分ではコントロールできないほどの恐怖を感じる精神疾患で、完治までには数ヶ月~数年ほどかかると言われています。パニック障害の治療を受けるまでの流れと対処法、治療期間の目安を解説します。1.問診など不安の度合い、日常生活や仕事など、またどのように育ってきたか(成育歴)を質問し、情報はカウンセリングなどの治療に生かします(守秘義務に基づく)。2.体の病気がないか調べる内科的な検査をして異常がないか、脳波や脳の画像検査を行う場合もあります。3.問診・パニック発作の確定発作ではどんな症状があらわれたか、どんな状況で起こったか、発作の前後の状況などを詳しく聞いて「パニック発作の診断基準」と照らし合わせ、確定診断を行います。4.パニック障害の診断パニック発作の確定診断があれば、次は「パニック障害の診断基準」と照らし合わせます。「症状が1ヶ月以上ある」「予期不安がある」などを調べ、場合によってはほかの不安障害などによらないか調べることも必要になります。5.広場恐怖の有無「広場恐怖の診断基準」に照らして、広場恐怖があるかどうか調べ、あれば治療法を検討します。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンカウンセリングなどを中心とした精神療法と共にストレスへの対処を中心に治療します。特に、支持療法を中心に行うことが多いです。支持療法とは、医師や心理士が本人の話を聞いて、医師や心理士と信頼関係を築きながら、自尊心や自信、適応力を身につけていくことを目指す治療法です。そのほかにも補助的に認知行動療法などを取り入れる場合があります。パニック障害に処方される薬にはパニック発作を抑える抗うつ剤と精神を安定させる抗不安剤があります。パニック障害の症状には、ほとんどの種類の抗うつ薬が有効であると言われています。アルプラゾラムなどの抗不安剤(ベンゾジアゼピン系薬剤)は、抗うつ薬と比べてすぐに効果があらわれやすい特徴がありますが、薬物依存になる可能性があるほか、副作用として眠気、協調運動障害、記憶障害、反応の鈍化などが起こりやすくなると言われています。薬物療法により発作が起こらなくなったり、発作が起こる回数をかなり抑えられることがあります。しかし、平行して精神療法を行わず服薬のみになってしまうと「薬があると安心(逆にいえば、薬がないと不安)」で薬が手放せない状況に陥り、根本的な改善を妨げることがあります。また服薬を止めてしまうとパニック発作が再発することも多く、長期間の服用と平行して精神療法を行うことが必要になります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の症状は理由がなく不意に起こることから、すぐさま救急車を呼ばなければならないという気持ちになってしまうかもしれません。しかし、一般的に発作は10分以内にピークになり、数分で治まります。■パニック発作が起きたときの対処法・ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐くことを意識して呼吸を整える・衣類が窮屈な場合は緩める・室内や車内のときは、窓を開けるなどして外の空気を入れるなど自分に合っている対応を見つけることが重要です。リラックスしたイメージをする、飴を舐めるなど落ち着くことができる方法を見つけられるとよいでしょう。周囲の人は突然の発作に驚くかもしれませんが、慌てずに本人がゆっくりと呼吸ができるように安心させ、症状が落ち着くのを待つことが大切です。■日常生活で気をつけることパニック障害と付き合う上では、生活上のストレスをなるべく減らし、規則正しい生活を送ることが大切です。人間関係だけではなく、過労や睡眠不足もストレスの原因となります。回復をあせらないようにしましょう。また、コーヒーなどのカフェインを摂取しすぎることも悪化の要因になることがあります。適度な量にとどめておくとよいでしょう。発作が治まってもすぐに治療が終了するわけではありません。また服薬をしている場合、急に服薬などを止めると、再発する可能性もあります。治療をどのように、どの程度継続していくかは、必ずかかりつけの医師に相談し、独断で治療を中止しないようにしましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害と併存症パニック障害は、不安障害(特に広場恐怖症)、双極性障害、うつ病などと併存することがあります。この章では、広場恐怖症、双極性障害、うつ病との関わりを解説します。広場恐怖症とは、大きな不安に襲われたときに「すぐに逃げられないかもしれない」「誰も助けてくれないかもしれない」と強い恐怖を抱き、その状況を回避しようとする精神疾患です。広場恐怖症を発症する前にパニック障害を発症している人が多くいることが分かっています。双極性障害とそのほかの精神疾患が併存することは多く、特にパニック発作を併発することが多くあります。調査によって併存する割合にばらつきはありますが、パニック障害とうつ病を併存することがあることが分かっています。パニック障害と発達障害との関わりASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の併存症としてパニック障害を含む不安障害の症状があらわれる場合があります。また、厚労省の調査では、大人になってから発達障害があることが分かったという人が多くいることが分かりました。自身に発達障害があることに気がつかないまま生きづらさを抱え、二次障害としてパニック障害を併発することがあります。参考:成人期発達障害者の生活実態に関する調査 〜全国の発達障害者支援センターの新規相談者の1202例の分析〜|厚生労働省パニック障害は完治する?自力で治せる?医師に聞いてみましたA:パニック障害は早期に適切な治療を行えば完治することも多いので、心療内科、精神科などに相談することが大切です。薬物治療に加えて精神療法の併用が重要だということが分かっています。A:パニック障害は医師にかからずそのまま放置をして完治するものではありません。そのまま放置をしたり、気合いで乗り越えようという対応は、逆に症状の悪化や慢性化を引き起こしてしまいます。パニック障害は治療が遅れやすいので「もしかして…」と思ったら早期の専門家への相談をしてみましょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンパニック障害の治療には周囲の理解も必要ですパニック障害とは、突然の動悸やめまい、発汗と共に恐怖を感じ、いつ次の発作が起きるかという不安を伴う精神疾患です。ほかの精神疾患との併存や、発達障害の二次障害として発症することもあります。パニック障害は適切な治療をすれば完治することが分かっています。もしかしてパニック障害かもしれないと思ったら、医療機関などに相談しましょう。また、パニック障害の治療には周囲の理解も必要です。周囲の人たちは、完治を焦らせずに、長い目で見守りながらサポートしていきましょう。参考:パニック障害・不安障害 | 厚生労働省イラスト/にれコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月19日「なんでうちの子が発達障害なんだろう……」。息子の発達障害という現実をなかなか受け入れることができずに苦しむばよさんでしたが、ひとまず療育相談センターへタロちゃんを連れて行き、検査やトレーニングをおこないました。その後、小学校入学するにあたって「通常級」か「支援級」か、葛藤することに。ばよさんの答えは……?! 「誰のため…?」 療育相談センターは市の施設で、平日しかやっていませんでした。もし仕事が平日休みじゃなかったら、どうしていたんだろう……。会社辞めていたのかな??などとたまに過去の自分に思いをはせます。 ひとたび気持ちがストンと決まり、ご近所の仲良いママたちに何もかもすっかり打ち明けたら、気持ちが軽くなってオープンマインドになれました。何をあんなに私は悩んでいたんだ?とすら思えます。 市の教育委員会による就学相談会が開催され、特別支援級が望ましいとの通知を受けます。 「できれば通常級に入れてやりたい……」と悩みましたが、「一番大事なことはなんだ?」と改めて考え直したばよさん。 「タロに合ってるんだからいいじゃん」 ストンと気持ちが決まりました。 仲の良いママたちにも打ち明けることができ、気持ちが軽くなってよかったですね! 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年02月17日Instagramで人気のイラストレーター、星河ばよ(@bayo_fantasy)さん。2人の男の子のママです。長男タロちゃんの発達障害の判明、小学校の就学までの葛藤などのお話をご紹介します。長男タロちゃんが保育園に通っていたころ、主任保育士さんにつきつけられた事実!初めて聞く保育園でのタロちゃんの様子にショックを受け……? 保育士との面談では…※発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)などが含まれます。(厚生労働省 「知ることはじめよう みんなのメンタルヘルス 総合サイト」より) 当時は次男の育休中で、長男は日中保育園に通っていました。 「わが子は他のお友だちができていることが、できない」 思いもよらなくて、いきなり辻斬りに遭ったようにとてもショックでした。 現実を受け止めるのが私にはやっとでしたが、主任保育士は私たち夫婦にグイグイ迫ってきました。 ◇◇◇ 「療育相談センターに行ってみますか? それともセンターの方に保育園まで巡回にきてもらいますか?」 保育園での他の子と違うタロちゃんの様子を聞かされ、ただでさえショックを受けているのに、主任保育士にこれからどうするのか、その場で判断を迫られ困ってしまうばよさんでした。 監修/助産師 松田玲子 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年02月14日ママ友がほしいけれど、同じ境遇の人を探すのが難しくて…SAKURA(以下、――)娘の通う小学校には、娘と同じ学年で、特別支援学級在籍の子がほかにいなくて、6年生の中で、特別支援学級に在籍しているのは娘一人なんです。1年生から今まで、娘の同級生の保護者の方の中で、他愛のない話ができる人はいたんですが…特別仲のいい関係になることはありませんでした。娘と同級生の子だと、年齢ならではの悩みごとの内容が全く違うので、聞いても共有できないし、自分の本音で話をすることはないし…。Upload By SAKURA正直、一人に慣れてしまった感もあるので、悩む・・・というほどでもないのですが、たまに、本音で、聞いてほしい話ができる相手が欲しいなーと思うことはあります。こういうママさん、もしかしたら結構いるのかな?Upload By SAKURA三木先生:発達の度合いの違う人と話すのは難しいですよね。人間は同じ属性の人と集まるのがラクですし共感もできますから。――発達障害のある子どもがいる保護者の方となら・・・とは思うのですが、やはり困りごとが異なることもありますし、自分の子どもの状況より、大変な思いをされている方だったとしたら、私が「大変でさ~」なんて愚痴をいうのは駄目なのかなーと、ごちゃごちゃ考えてしまいますし、逆に相手の子どもが娘よりできることが多いと、勝手に凹んで焦ってしまいます。Upload By SAKURA三木先生:会話をするときは、ある程度の覚悟と理解が必要ですね。障害の度合いや困りごとがぴったり一致することはないですから、かみ合わないのは仕方がないと思います。――そうですよね~…実は…娘の困りごとを、定型発達の子どもの保護者の方に話してみたことはあるんですが、やはり娘のような発達障害がある子どもを知らない方だと、してくれるアドバイス的なものが、娘が参考にするにはちょっと難しい~ってなってしまい…。でも、せっかく話を聞いてくれたので、そんなことも言えませんし…。うーん…ってなって終わっちゃうんですよね。だから私も、発達障害のある子どもがいるママさんとお話や話の流れでアドバイスなどをしても、「うちの困りとは少し違うんだよなー」って思われるかもしれないと思うと、「うちの場合はこうだった…」っていう経験談しかできないし。Upload By SAKURA三木先生:それでも良いと思います。「自分にできる精一杯のアドバイス」という意味ではそれも誠実な態度なわけですし。あるいは、仕事の内容は違うけど、「仕事が大変」って抽象的な話は、まあまあできますよね。仕事の話じゃなくて、言われたこと、嫌だと思った気持ちや骨組みの話がメインになりますから。Upload By SAKURA三木先生:でも、社会的な立場が違う人と実際の仕事の内容の話をするとかみ合わなくなってきますよね。仕事が大変なのは分かりますが、仕事の内容自体には共感はできない訳ですから。だから結局、同じ目線や感性で話ができる人と集まるのがいいんですよね。Upload By SAKURA日常生活のもやもや、みんなどうしてる?三木先生:日常生活でのもやもやを誰かに話したりして完結できていれば良いのですが、きっとみなさんできていないからこそ発達ナビやSNSなどでコラムとかを読むのかもしれませんよね。そこには同じ悩みをもった人がいる可能性が大きいので。――あっ!なるほど!三木先生:現状、知り合う人、付き合っている人は、同じエリアに住んでる、というだけで集まってる部分が多いですから、「分かる~」と共感できる人に出会えたらラッキーと思う感じでいいのかもしれません。私と同じような人は、今どこにいるのかな?自分だったらどうしているかな?と考えて、そこから探すと同じ気持ちの保護者を探しやすいかもしれませんね。Upload By SAKURA――娘の困りごとの悩みは、自己完結しちゃうことが多いので、あきらめちゃってたんですが、これからそういう人に出会えることもあるかもしれませんもんね!頑張ります!執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月08日障害児通所支援事業を運営するアース・キッズ株式会社(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:高見 裕一、以下:当社)は、2月20日(月)に当社初の書籍『発達が気になる子の笑顔と「できた!」が増える スタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編』(出版社:主婦の友社)を出版します。本書は、当社が運営する児童発達支援・放課後等デイサービス「スタジオそら」が、2012年から約3,500人に対し現場で行ってきたケーススダディーを基にした書籍です。(「スタジオそら」は、2023年1月より放送中の発達障害をテーマにしたテレビドラマ『リエゾン』の取材協力をしています。)『スタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編』表紙書籍案内ページ: ■書籍出版の背景文部科学省の調査によると、通常の学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があると言われています(※1)。10年前に実施された前回調査の6.5%から2.3%増加していたり、発達障害をテーマにしたテレビドラマが放送されたりと、発達障害や発達の遅れが気になるグレーゾーンの子どもについての関心は高まっていると言えます。2023年4月にはこども家庭庁の設置、2024年4月には児童福祉法改正の施行も迫っています。当社の療育(発達支援)施設「スタジオそら」は、全国に15拠点あり、合計約1,100人の子どもたちが通っています(2023年2月現在)。一方、入所待ちの子どもたちは約1,500人にものぼり、なかなか入所できない状態でもあります。その理由の一つには、日本における放課後等デイサービスのほとんどが「お預かり」にとどまり、当社のような「療育施設」は限られることから社会的ニーズに応えきれていないことが挙げられます。この背景には、これまで「療育」に関するガイドラインが不明確だったことが挙げられます。当社はこうした社会環境の改善を行うため、2019年より本格的に「療育」のガイドライン作成に向けて「SORA DESIGN PROJECT」を発足。桜美林大学 小関俊祐 准教授に監修いただきながら、3年の歳月をかけて療育メソッドを構築しました。その成果物としてまずは当社社員専用の教科書「療育士の手引き」を作成し、実際に現場で子どもたちに提供しています。この療育メソッドを、家庭や児童保育の現場でも実践できるように落とし込んだのが本書になります。※1 文部科学省|通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(令和4年12月13日) <文部科学省が提唱する「発達障害」>文部科学省「発達障害者支援法」によれば、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢に於いて発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。代表的な分類に、ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如・多動症)・LD(限局性学習症)があります。詳しくは以下をご参照ください。文部科学省が提唱する「発達障害」: ■本書の内容発達の気になる子が、くらしの中で苦手なことをトレーニングするために、家庭でできるプログラムを集めました。1対1を基本とした、子どもが楽しみながらチャレンジできる「スタジオそら」の発達支援プログラムを、家庭でも親子で実践できるように、わかりやすくオールカラーで紹介しています。バランスをくずしやすい、走ると急に止まれない、知っている言葉が少ない、友だちと一緒に遊ぶことが難しい、自分で着替えられない、自分で手洗いできない……など、子どもの「苦手なこと」別にトレーニングを親子の遊びとして行うプログラムを掲載。本書内で使用している絵カードなどの教具を無料ダウンロードできる二次元コード付き。また、行動に着目して問題行動をサポートする方法など、難しい内容もストーリーマンガでわかりやすく学べます。<本書のポイント>発達障害児向けの手法で知られる「ABA」(応用行動分析)に着目した内容に加え、「スタジオそら」独自の以下の4点を非常にクリアにまとめてあることが本書のポイントです。1.「見立て」(アセスメント):子どもの現在の発達状況を確認する2.「目標立て」:その子どもに合わせた支援を計画する3.「手立て」:何をしたら効果が高まるのか手立てを考える4.「実行」:手立てを実行するためのポイントを考える本書を読むと、「療養」(発達支援)の概要を掴むことができます。書籍内図表の例■書籍概要タイトル : 発達が気になる子の笑顔と「できた!」が増えるスタジオそら式 おうち療育メソッド1 行動編定価 : 1,540円(税込)著者 : スタジオそら/発達障害療育研究所 著カテゴリ : 育児・しつけ・教育発売日 : 2023年2月20日(月)判型・ページ数: B5変・112ページ出版社 : 主婦の友社URL : 目次■今後の展開本書を以て、入所を待つ家族へ早期に療育メソッドを届けるとともに、「家庭でなんとかしないと」とお悩みの家族、あるいは保育園や幼稚園の先生など、障害児へのアプローチに悩みを抱える多くの方にも寄与したいと考えています。2023年夏には、2冊目の書籍「スタジオそら式 おうち療育メソッド2構造化編」も出版を予定しています。■「スタジオそら」について「スタジオそら」は児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービスです。子どもたちが晴れた大空の太陽のような気持ちで育って欲しい…、そんな願いをこめて「スタジオそら」と名付けました。1対1を基本とし、子どもが楽しみながら課題にチャレンジできる発達支援療育を提供しています。「スタジオそら」公式サイト: 「スタジオそら」でのレッスン風景■会社概要商号 : アース・キッズ株式会社代表者 : 代表取締役 高見 裕一所在地 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-51-6 原宿MOA 2F設立 : 2000年1月28日資本金 : 5,000万円事業内容: 児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービスURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年02月07日「二次障害の理解と対応」において大切なのは、子どもの“本当の声”に耳を傾けること発達障害のある子どもを育てる保護者の方は、二次障害に関心のある方も多いのではないでしょうか。二次障害とは、発達障害の特徴を理解されない環境にいることや、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどが重なり、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどの問題に至ってしまう症状が発生している状態を示します。その症状は人によりさまざまですが、二次障害が起こっている子どもとどのように関わっていったら良いのか?、将来のことが不安…など悩みはつきないと思います。2022年12月にオンラインで開催されたセミナー「二次障害の理解と対応」も大きな反響がありました。セミナー当日は、特別講演として、代官山やまびこクリニックの院長である児童精神科医の千村浩先生が二次障害発症のきっかけや治療、各家庭でできることなどを解説。質疑応答のコーナーでは、参加された保護者の方から具体的な質問がたくさん寄せられました。セミナー後には、「対応方法を知れたことで不安が減った」「またこのようなテーマの勉強会があるとうれしい」などの声をいただきました。今回の記事でも、二次障害について、またその対応方法などを千村先生に改めてお伺いしました。また、当日時間の都合で答えきれなかった保護者の方から寄せられた質問に対して千村先生からのご回答をいただいています。ぜひ参考にしてください。Upload By 専門家インタビュー・本来備わっている資質(発達障害)・子どもを取り巻くさまざまな環境(家庭環境・そのほかの社会、気候など)この2つの相互作用によって二次障害になり得ることがあります。発達障害の二次障害による症状を発達障害そのものの症状と区別すること、治療やそのほかの対処についても別々に考えることは困難な場合も多くあります。二次障害としてあらわれる症状そのものだけに焦点をあてるのではなく、その背景に子どもからのどんなメッセージがあるのかを探ることが重要です。児童精神医のKanner(1974)は子どもの症状からのメッセージとして5つの意味を述べています。1.入場券としての症状症状があることで医療機関を受診することになるなど。子どもがサポート機関へとつなぐ入場券の役目を持つ2. 危険信号としての症状問題の解決を急いでいたり、これ以上誤った対応が続けられたり、放置されることに対する警告3. 安全弁としての症状養育環境や生活状況がよくない場合、自分がつぶれてしまわないように自身をその危機から守る、最悪の事態を回避する4. 問題解決手段としての症状あえて乱暴な行動を取るなど、子どもの心理的葛藤の要因となっている問題5. 厄介者としての症状周囲の寛容さが乏しいために、怒りを買うように大げさに訴えられている参考文献:Kanner L.:Child Psychiatry,4th ed.(1972)-黒丸正四郎、牧田清志(訳):カナー児童精神医学、第2版 医学書院(1974)|CiNii(国立情報学研究所)ADHDの特徴である「不注意」「多動性・衝動性」が悪循環につながってしまうことがあります。◇不注意優勢タイプの例頻繁に遅刻するなどの失敗→叱られる→自信を失う→「自分はダメなやつ」だと思いこむ→不安やパニック、うつ状態に陥る→失敗し、また叱られる(悪循環に陥る)◇多動・衝動優勢タイプの例感情が爆発し、周囲とトラブルになる→周りから避けられる→疎外感を抱く→「自分はみんなから嫌われている」と思いこむ→大人への反抗、非行など→周囲とトラブルになる(悪循環に陥る)このような悪循環は実例でも多くありますが、起きている問題だけに目を向けるのではなく、どうして最初のその行動が起こってしまったのか、本人の気持ちによく耳を傾けることで悪化を防ぐことや、悪循環を止められる場合があります。【Q&A】子どもの症状の背景を理解することはどうして大切なの?子どもに本当の気持ちを話してもらうにはどうしたらいい?A:たとえば、「ときどき混乱して騒いでしまう」という言葉にすると同じ症状のある子どもでも、その原因は全く違うというケースはよくあることです。原因が違えば、するべき治療も対応も異なります。学校へ行き渋る、不登校になってしまったという場合も、なぜその子どもが学校に適応できなくなってしまったのか、その理由は一人ひとり異なるので、その背景を理解することが大切になるのです。Upload By 専門家インタビューA:基本は、子どもの声に耳を傾けることです。大人が気をきかせて「こうなんじゃない?」と言ったりすると、それに誘導される形で「うん」と言ってしまう子どもは少なくありません。大人が「こうだろう」と決めつけてしまうことで、子どもが余計に萎縮してしまうこともあるのです。まずは子どもの本当の声に耳を傾けてみてください。小学校1年生くらいになれば、こちらが聞けば子どもは自分の体験、思いや考えを語ってくれるものです。Upload By 専門家インタビューA:1つ例をあげます。小学校低学年の子どもがお友達を叩いてしまいました。その場面を見ていた先生からは叱られ、仕方なく謝ったようです。でも、理由もなく人を叩く子どもはほとんどいません。実はそのお友達からずっと嫌なことをされていて我慢できなくて叩いてしまったようなのです。そのようなときもまずは、「あなたに何があったの?」と聞いてあげると良いでしょう。大人の目で見ると、叩くということが発達障害が背景にある症状のように感じられることもありますが、理由があることがほとんどです。Upload By 専門家インタビューA:その1つは「こだわり」です。1つ前の質問で挙げた例でも、そもそも叩いてしまった友達からずっと嫌なことをされていたのに、「叩いた」という一場面だけしか見ずに叱る先生を信用できなくなってしまうことがあります。「でも、まぁしょうがないな」という切り替えが難しく、「もう絶対に嫌だ」というこだわりが行き渋りや不登校につながってしまうケースです。Upload By 専門家インタビューA:ADHDの特性で落ち着きがないということがありますが、そのことで先生に叱られることが多かったり、よく注意されるのを見ている周りの友達からも同様の指摘をされたりして学校に居づらくなるケースもあります。Upload By 専門家インタビュー【Q&A】「子どもの二次障害」それぞれの事例に千村先生が回答二次障害セミナー当日は参加者の方からチャットでたくさんの質問が寄せられ、千村先生にはそれらに真摯にご回答いただきました。しかし、時間の都合上すべての質問にご回答いただくことは難しい状況に…。今回チャットに寄せられた質問について新たにご回答いただきました。A:そのお子さんがどういう特性を持っているか、どういう特徴が強いかによって対応は変わります。落ち着いていられない、気が散ってしまうなどが原因で、もしかしたら学校に居づらい状況になってしまっているのかもしれません。関わり方でいうとやはりお子さんの話をしっかり聞くことが大切だと思います。小学校2年生ならしっかり聞けば話をしてくれる年齢です。関わり方というのはまず話を聞くことから始まるのだと思います。Upload By 専門家インタビューA:「対人恐怖症」と言っても、「学校の教室にいるのが怖い」というお子さんもいれば、「人混みのなかにいるのが苦手」というお子さんもいます。それによって環境の整え方は変わるものです。このお子さんは不登校ということなので、たとえば「まわりがうるさいから嫌」というケースや、「いろいろな物がある教室が落ち着かない」ということもあり得るかもしれません。具体的な本人の気持ちをしっかりと汲み取って、先生と連携することも大事です。でも、どうしても学校が難しい場合にはオンラインで勉強する場を探す…などの環境整備が必要になることもあるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:もしお子さんが前の晩は「明日は行く」と言っているのに、当日の朝になると頭痛や腹痛を訴えるような状態だとしたら、あまり無理はしない方が良いかもしれません。毎日この葛藤を続けていると疲れすぎて、学校に全く行けなくなってしまうケースもあるからです。私は子どもに「学校に行くときは、すごく頑張らなきゃいけない?それとも、まぁ大丈夫そう?」と聞くんです。前者なら無理して行かなくても良いのではないかと考えています。それに加えて毎日「今日はどうする?」を繰り返すと、親も子も毎日悩まないといけなくなるんです。「しばらく行かなくてもいいか」と思えたら親も子も楽になると思います。「そんなことをして全く行けなくなったらどうしよう」と考える方もいるでしょう。でも、学校に行くことはとても大事だけれど、行かないと絶対にだめなわけではありません。どんなときでもお子さんを信じることが大事です。Upload By 専門家インタビュー私が診療のなかで出会うお子さんとは「学校に行かなくても、規則正しい生活をしよう」と約束をします。睡眠障害がある場合はきちんと治療をして、睡眠覚醒リズムを整えるところからです。そして、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんの時間を決めて、そのあいだに勉強したり、外に遊びに行ったり…という時間を設定するイメージ。そのなかにスマホやテレビ、ゲームの時間があってもいいと思います。スケジュールは本人と相談して決めるのがベストです。スマホやテレビ、ゲームも禁止するのではなく、「これくらいの時間ならいいけど、一日中はダメだよ」などと約束するのが良いのではないでしょうか。Upload By 専門家インタビューA:ADHDが背景にあり統合失調症という診断というのは、実際診察をしていないので分からない点も多いのですが、「頑張りすぎ」ということをより具体的に考えていった方が良いでしょう。勉強を徹夜してやっているが、エネルギーが切れると突然寝てしまうのか、部活などで期待に応えるためにがむしゃらに練習をしているが自分のなかに葛藤があるなどが考えられます。ただ、中学2年生は思春期なので、なかなか親の言葉を素直に受け入れられない時期です。思春期の心の問題なども起こってくる時期なので、カウンセラーなどの専門家に介入してもらう必要があるかもしれません。Upload By 専門家インタビューA:本人が受診しないと診断や治療はできないので、とても難しい問題ですね。そこで大切なのは、やはり本人の気持ちです。病院に行きたがらないということの裏側には「今までうまくいかなかったからもうどうなってもいい」だとか「病院に行ってもどうせ話を聞いてもらえない」などの考えがあることもあります。でもさらにもっと深いところでは「今のままは嫌だ」「本当はなんとかしたいと考えていることも。思春期の子どもの『本当の気持ち』を家族が引き出すことは難しいので、第三者の介入が必要かもしれません。学校の先生やカウンセラー、もしくは信頼できる大人が導くのが良いでしょう。この場合の第三者は、専門家でなくても良いと思います。Upload By 専門家インタビュー大切なのは失敗しても「大丈夫だった」と思えることUpload By 専門家インタビュー千村先生のお話には一貫して「子どもの話を聞く」「子どもを信じる」ということがベースになっていました。加えて大切なのが、「今のままでいいよ」と子どもに伝え続けることだと言います。「よく”成功体験”という言葉を耳にします。成功体験も大切ですが、もっと大切なのは『失敗しても大丈夫だった』体験ではないでしょうか。成功体験を追求しても得られなかった体験より、失敗しても大丈夫だった体験から自己肯定感が得られると思います」。今回はセミナー当日に寄せられた質問の回答をメインにお届けしました。当日参加された方はもちろん、参加できなかった方にも子どもと向き合ううえでのヒントとなれば幸いです。発達ナビには「Q&Aコーナー」も発達ナビにはQ&Aコーナーもあります。気になることを質問するとユーザーの方が経験をもとに答えてくれます。また、話題の質問に専門家からアドバイスともらえることも!子育てに関する疑問や知りたいこと、身近な人には相談しにくいこともあるかもしれません。ぜひ発達ナビのQ&Aコーナーも参考にしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的能力障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月07日4年生のときの担任に、標的にされて私は身体が小さくひょろひょろで、運動も苦手。それでいて口が立つし座学の成績はいいし、コミュニケーション障害のせいで周囲から浮くしで、もともと幼稚園のころからいじめられがちな子でした。でもときどきいじめられるだけで、クラスの中に多少の居場所はあったと思います。私が完全に「いじめられっ子」になったのは4年生のとき。担任の教師が反抗的な(に見える)私を目の敵にするようになったのです。体育の集合のときに一瞬遅れただけで「何をもたもたしている! 馬鹿にしてるのか!」と叫んで髪をひっ掴み、引きずり回す。アゲハチョウの幼虫にそっと触っただけで、まるで私が悪意を持って乱暴に扱ったかのように、「そうするっていうことは、こうすることだ!」と叫んで、腕を痣ができるほどつねる。学級会の多数決で皆が伏せているときに私だけ覗き見をしていたという濡れ衣を着せ、冬の廊下に締め出して謝るまで入れないと言う…。エスカレートしていくいじめ濡れ衣事件が決定的となって、「宇樹は人をバカにしており、悪意があり、不正までもするような非常に悪い子で、先生も懲らしめているから何をしてもいい」という感覚が児童の間で共有されてしまったようです。この感覚はクラス内だけでなく学年全体に及び、やがて「いじめられっ子」の印象は下級生にまで共有されるようになりました。班や下校グループをつくるときにクラス中でたらい回しにされる。バイキン扱いをされる。遠足で一緒になったグループ全員から走って逃げられ続ける(私は身体が小さく足も遅いので、全速力でも皆に追いつけませんでした)。クスクスと噂話をされ、近くに行くとピタッと話をやめられる。私は社交不安症のような症状が出て、学校に行くのがとても憂鬱でした。一度両親に訴えましたが、父は「学校に行かなければ将来路頭に迷う」と脅し、母はショックで泣いて寝込んでしまったので、それ以降は観念して死ぬ気で学校に通い続けました。5,6年時の担任からも受けた不適切な対応5年に上がるクラス替えのとき、4年のときに私を積極的にいじめていた子とは同じクラスにならないよう、また4年のときの担任がまた担任にならないように配慮してもらいましたが、状況は変わらないばかりか悪化していきました。給食を私にだけ配ってもらえない。買ってもらったばかりの服を着ていったら、体育のときに体操服に着替えていた間に隠され、最終的に出てこなかった(たぶん校内の焼却炉に投げ込まれたんだと思います)。体育や休み時間のドッジボールでは、身体の大きな男子が明らかな悪意を持って力いっぱいの球をぶつけてくる。クラス対抗の球技や縄跳びなどでうまくできないと、お前のせいで負けたんだと男子から罵られ、突き倒される。部活で下級生にさえいじめられる。父に相談したところ、学級会で「憲法違反だ、加害者についてはいずれ実名で訴えてやる」などと訴え出ろとアドバイスされ、そのとおりにしたところ、クラス中から非難轟々でした。「ひどいじゃないか、宇樹にも悪いところがある、みんなが宇樹から嫌な思いをさせられてるんだからいろいろされても当然だ」といったことを口々に言うのです。担任はこうしたクラスの反応に対し、「けんか両成敗ってことだね」とまとめました。私はこの流れを見ていて、あまりのショックに脱力してしまいました。今となっては、父のアドバイスも、そのとおりにした私も方向がずれていた、もっとほかのやりかたがあったのでは、とは思います。ですが、だからといって壮絶ないじめの被害者がいじめをやめてくれと訴え出たことについて、クラスの担任が「けんか両成敗」はないだろうと思います。担任は、いじめられっ子の側に立たずクラスの空気に迎合するばかりか、いじめられるのをニヤニヤして見ていたり、いじめを肯定するような発言をしたり、ときには率先してからかったりする人でした。3つ年上で地元の公立中学に通っていた兄が「このまま(ほぼ持ち上がりで進学する)公立中に上がったら義子はいじめ殺されるか、いじめを苦に自殺する」と両親に進言してくれたこともあり、私は中学は受験をして私立に進学しました。教師の不適切な対応はなぜ起こったのか ―虐待事件から考えたことこうした教師からの不適切な対応は思い出すたび腹が立ちます。その一方で、なぜあの人たちが私を虐待するに至ったのか ―私のような扱いにくい子どもを前にしたときに加害に至ってしまうような加害者マインドに陥ったのかを考えてしまいます。先日、保育園において保育士が園児に対して凄惨な虐待を行っていたというニュースが複数流れました。そのときにはやはり、自分の小学生時代のことを思い出しました。私が小学生だった30年前当時、女性のフルタイムで働けるキャリアといえば看護師と小学校教師、保育士ぐらいしかなかったのではないかと思います。当時女性ながらキャリアを築きたいと考えている女性で、学業成績も優秀だった人は、職業に教師を選ぶことも多かったのかもしれません。小学4年から6年のころの担任は、女性でした。ここで私が邪推するのは、彼女らがそのキャリアを歩む中で、男性優位の社会で能力を低く見積もられたり、ハラスメントを受けたり、悔しい思いを抱えていたのではないかということです。※これは決して、女の敵は女だとか、女性は感情の制御において劣っているとか言う意図ではありません。必ず最後までよく読んでください。社会の歪みは常により弱いほうに受け継がれます。不適切な対応をした担任は、まず彼女ら自身に社会の中で悔しい場面がたくさんあり、その傷が私のような扱いにくい子どもを前に反応したのではないか。ほかの児童のように従順に振る舞わない私に「バカにしている!」と腹が立ったのではないか―間違っているかもしれませんが、私はそう考えます。今回の保育園での虐待事件でも同様の構造が見えるように思います。保育士の仕事は、子どもの命にもかかわるハードなものであるにもかかわらず低く見積もられがちです。その専門性の高さに対する給与の低さは常に指摘されていますし、1人の保育士に割り当てられる子どもの数があまりに多く、仕事が非常にきついことも、保育士たちを追い詰める大きな一因となったと報じられています。男性教師による虐待もあるでしょうが、かつて、あるいは生活のほかの場面で被害者である人がより弱い相手に加害する構造はよくあるものだと思います。彼らの加害は決して許すことができません。しかし私は、その加害の裏にある彼らの痛みや社会の歪みに目を向け、根治に向けて何かしらの動きをしていければなと願っています。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)もともと神経発達症(発達障がい)のあるお子さんは「不思議ちゃん」と言われることも多く、いじめのターゲットにされやすい傾向があります。私立を含めどこの学校であってもいじめはあり、例外ではありません。それは社会に出てからも継続することがよくあります。いじめる側は周りを見てやるので発覚することが少なく、いじめられる側は徐々にストレスが溜まっていきます。今日いじめていた子が明日はいじめられる子になることもしばしばあります。その逆も然り。いじめるグループに入ると周りが見えにくくなり、記憶に残っていないのです。一方、いじめられた側は一生記憶に残っています。神経発達症のあるお子さんは、もともと友達が少なくて頼れる人がいないということもあり、そのことがいじめを助長する一因にもなっています。唯一頼れる人が担任でなければならないのですが、その担任に暴力を振るわれ、いじめられていては元も子もありません。社会全体で神経発達症の理解&支援が必要なのです。
2023年02月02日もしかして夫も発達グレーゾーン?娘と夫は感覚過敏?娘が初めて単語を言い始めたのは2歳3ヶ月。2語文を話し始めたのは3歳過ぎでした。言葉の発達がゆっくりだったり癇癪がひどかったので、この時期、本やネットで発達障害についてたくさん調べていました。その中で、発達障害の特性がある人は感覚が過敏、もしくは鈍感な場合がある、ということを知りました。娘は赤ちゃんのころから感覚に過敏なところがありました。入園するまでは帽子は絶対に被ってくれず。麦わら帽子はチクチクすると言って、5歳の今も嫌がります。幼稚園に通うまではマスクなんてもってのほか。コロナが流行り始めてすぐのころは世の中のマスクのルールが厳しく、遊び場によって2歳からマスクが必須のところもありました。2、3歳でマスクをつけることは娘には絶対に無理だったので、遊園地などの遊び場をあきらめることも度々ありました。Upload By とまぱんそんな娘ですが、実は夫も感覚過敏のようなところがあります。でも娘とはまたちょっと違い、夫は洋服のタグが苦手です。タグの中でも痛いものとそうでないものがあるらしく、痛いものは取るそう。私はタグを痛いと感じたことが今まで一度もないのですが、それを夫に言うと「信じられない」と言われます。また、夫はセーターや毛糸の帽子もチクチクしてて苦手だそう。以前、夫が自分用に毛糸の靴下を買ってきたのですがやっぱりチクチクして履けなかったらしく、私に流れてきました。Upload By とまぱん肌に触れるものに敏感な娘と夫ですが、娘は音にも敏感です。お店に流れるBGM、自転車のブレーキ音、赤ちゃんの泣き声などが苦手。よく「耳が痛い」と言って耳を塞いでいます。夫と娘は声が大きすぎる?状況を読むのが苦手?声が大きいお子さんはたくさんいるし、大きい声は元気な印象ですよね。しかし特性のあるお子さんの中には声のボリュームの調整が難しい場合がある、という記事を読み、娘と一緒だ!と思いました。静かな場所でも構わず大きな声で話してしまい、「もう少し小さい声でね」と伝えてもすぐ忘れてしまい大きい声に戻ってしまいます。周囲の人にチラチラ見られ、怖そうなおじさんに咳払いされてしまうことも。娘のお友達の話し声を聞いていると改めて娘の声って大きいなと実感します。ちなみに娘は産まれたときから声が大きく、看護師さんにも驚かれるほど。ほかの病室にも泣き声が響き渡っていたらしく、看護師さんに「ほかの部屋からクレームきちゃうわ~」と冗談っぽく言われてしまいました。確かにほかの赤ちゃんは「ホンニャア…」と可愛らしく泣いていて。赤ちゃんの泣き声って大きいイメージですが、産まれたての赤ちゃんは、本来まだこんなに弱々しい泣き声なんだ、と衝撃を受けた記憶があります。Upload By とまぱん夫も娘と同じように声が大きく、職場では「耳がよくないから声が大きいのでは」と噂されていたようです(笑)。もしかすると耳に何か詰まっているかも、ということで耳鼻科に行きゴミをとってもらったこともあるようですが、結局声量は変わりませんでした。まだ幼いうちは状況を読んで声量を調節するのは難しかったりしますが、夫は大人でありながらも状況を読むのが少し苦手だったりします。静かなところでも大きい声でしゃべってしまい、周囲の人が振り返ることも。しかし夫は自分の声が大きいせいで周囲が振り返っているのも気づいてない様子。その際は私が「もう少し小さい声で」と伝えています。Upload By とまぱん今まで夫もグレーゾーン?と思うことを伝えてきましたが、私自身ももしかして?と思うところはたくさんあります。特性なのかは分かりませんが、初対面の人と話すときに緊張してしまうとすぐに手が震えてしまったり顔が赤面してしまいます。たまに何度も会っている友人にもそうなることもあります。なので、話したあとは汗がすごく、ひどい疲労感を感じたりも。昔から緊張しやすいところがあり、そのせいか分かりませんが、母いわく私が幼少期のころはほかの子どもたちと遊んだりお話ししたりしなかったそうです。ずっと一人でいたので母はよく心配していたようでした。娘は人見知りは全然しないので母には「あなたと正反対ね〜」なんてよく言われます。そんな私も人生経験を積んで、今はそこそこ社交的になりました。誰しもが私も特性がある?と思うことはよくあると思いますが、今回は私たち家族の場合を紹介させていただきました。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)感覚過敏の困難さは目に見えないため、周囲の理解を得ることが難しい場合もあります。旦那さんも娘さんと同じような過敏なところがあるとのこと、その点つらい気持ちは理解してもらえるのではないでしょうか。親自身も子どものころを思い出すと、苦手だったことの共通点などもいくつか思い当たると思います。自分自身と全く同じ方法が子どもにも役立つとは限りませんが、親自身も苦手なことがあったことや、解決方法についていろいろ考えたことなどを話すことができると、お子さんとの関係も少し変わってくるかもしれませんね。
2023年01月31日子どもたちは日中の刺激、やりたいことが気になって寝ない…私は悪戦苦闘Upload By スガカズわが家の長男(ASD、ADHD)と次男(ADHD)は、小さいころからなかなか寝ない子どもでした。日中受けた刺激から夜遅くまで脳が覚醒していたり、過集中でやりたいことを見つけると、1〜2時間は要します。加えて長男と次男は仲が良いので、お互いが次の行動の妨げになることが多いです。ただでさえ日常生活(ごはん、お風呂、歯磨きなど)がスムーズにいかないなかで、やりたいことを始めて過集中に陥ってしまうと、満足するころには日をまたいでしまいがちに。かといって、時間を守らせて22時に布団に入れたとしても、その日やりたいことが積み残された状態だと子どもたちは眠りません。また、次男は情緒不安定になることが多く、次男が情緒不安定になると一緒にいる長男にも影響します。他者から感じた「見えない圧力」Upload By スガカズまた、学校や病院などからときどき子どもたちの睡眠時間を質問されることがあるのですが、質問に答えるたび、ストレスを感じていました。答えたあとは「睡眠時間が平均よりも少ないこと」や「睡眠時間が少ないことがもたらす影響」について指摘されるからです。児童精神科の先生からもよく指摘されていました。先生は、医師として子どもたちのことを考えて発言されていることは重々承知しています。ですが、当時の私は他者から子どもたちの睡眠時間をうまく確保できていないことを指摘されるたびに、自分が「母親失格」の烙印を押されたような気がしていました。次男がチック症になってから気づいたこと次男が小1のころ、私と次男の関係はよくありませんでした。当時次男は小1の壁にぶちあたっており、私はどうしても次男の悪目立ちするところばかり気になってしまい、次男に怒ってばかりでした。もちろん怒る原因の一つに、「夜寝ないこと」もありました。そんな日々を送っていたある日、次男はストレスから「チック症」を起こしました(こわばった表情でモゴモゴと口元を頻繁にゆがませていました)。そのときの周囲や本人の意見、家庭環境から、「子どもたちをコントロールすること」ではなく、「子どもたちと気持ちよい時間を過ごすこと」のほうが重要だと気づきました。Upload By スガカズ私が子どもの睡眠時間を確保したいと思うのはなぜか?私はなぜそこまで躍起になって子どもたちに眠ってほしいと思ったのでしょうか?それにはこのようなことが挙げられます。【子ども】・生活のリズムが安定しやすいから・就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから・成長の遅れ、集中力、疲労感などに影響があるとされているから【私】・子どもたちが早く寝ることで、親がほかの仕事(家事、育児、仕事)をこなせるから・親の自由時間、睡眠時間も確保できるから・他人から指摘されて自分が落ち込むことが減るからこうして振り返ってみると、眠ってほしい理由は、よくも悪くも自分本位であるということが分かりました。「どうやら世の中的にはそういうことが良いとされているから」「他者から指摘されるのがいやだから」「自分の体が楽になるから」という理由が大半になります(「自分の体が楽になるから」という理由は、自分のメンタルに影響するので大事だと思います)。当時の次男は学校生活を送ることがそもそも難しく、情緒不安定になっていました。そんな中で、「就寝時間が決まっていることで、物事の始まりや終わりを知ることができ、社会生活を送る上での『決まり』も学べるから」と思って無理に寝かせようとしても意味がありません。子どもたちが気持ちのよい日々を送れるようにすること。それが一番大事だと気づきました(当たり前のことなのかもしれませんが、当時の私は余裕がなく、目の前のことしか見えていませんでした…)。個々の入眠しやすいパターンは利用するとはいえ、「そろそろ寝たほうがいいよ」と子どもたちに伝える必要はあります。また、子どもたちそれぞれが入眠しやすいパターンを知り、最低限対応することだけはしようと思いました。Upload By スガカズいろいろと模索する中で、入眠しやすいパターンが分かってきました。長男はオルゴール、次男は家庭用プラネタリウムといったふうに、それぞれの特性で有効なものが違っていることが分かりました。そのほかに、「部屋を予め暖める」、「寝る前に手足をマッサージする」、「寝る1時間前は照明を暗くする」なども試しました。手足をマッサージするのは子どもたちも気持ちよさそうにしてはいましたが、子どもが4人いて、毎日することは難しかったので「お母さんが大変になってきたからやめるね」と伝えました。Upload By スガカズまた、子どもたちは寝室に行ってからも騒がしくしていることが多いのですが、「お布団の中では寝て」「しゃべらないで」など難しくて曖昧な指示ではなく、「お布団の中で話すときは”アリさんの声”にして」など、具体的で実行しやすい指示になるように気をつけました。私は2人に「おやすみ」と言ってしばらくしてから別室で寝ます。別室であれば子どもたちが起きていてもイライラせずに済みます。「他者の意見は気にしないでいい」と、今なら思える無理に寝かせようと躍起にならなくなってからは、私自身、育児が楽になったような気がします。そんな私の様子を見て、「遅くまで起きていても注意しない」「ルールに無頓着」だとパパは思うらしく「もっと厳しくしたほうがいい」と指摘することがありますが、私はこのままでいいと思います。昔から他者から「見えない圧」を感じていたけど、実際子どもたちと一緒にいるのは自分なのだから、自分たちが楽な方法がよいですし、他者の意見はあまり気にしないでいいと思っています。執筆/スガカズ(監修:藤井先生より)スガカズさんが長男さん、次男さんの睡眠がうまく進まないことで、睡眠時間を確保したい理由を書き出されたのはとても良いですね。そのことを通じて、お子さんが気持ちよく過ごせることが第一と思うに至ったのですね。発達障害であっても、なくても、子どもは親の思い通りにならないことが多々あります。発達障害の特性があればなおのことです。「子どものため…」と思う声かけや、良かれと思った行動も、実は親自身が周りからどう見られるかなど気にされての行動だったという場合もよくあります。もちろん、親御さんの気持ちが安定するのも大事ではありますが、お子さんが気持ちよく過ごせることを第一にという視点は、今後の子育てにおいても大切な指標になりますね。
2023年01月31日子どもの発達特性の告知についてこれはあくまで私の個人的な考えですが、周囲の人に必ずしも子どもの発達特性について告知しなければいけないとは思いません。言うのがつらいなら無理をすることはないし、言って気持ちが少しでも楽になる、あるいは周囲の理解を得たい場合には言ってもいいと思います。ただし、心から信頼する相手がいいのかなとは思います。Upload By 星河ばよ私は、長男に発達特性があるかもしれないと保育園から指摘されたとき、母や夫の母にその事実を伝えました。ただそれは長男のことを理解してほしい、というよりは、今は自分一人ではとても持てそうにないこの”現実”を、一緒に持ってほしい(分かち合ってほしい)という精一杯な気持ちからでした。長男の「発達障害かも」二人の祖母の反応母とは3ヶ月に1回ほど会っています。ある日、母が私の家に来たときに、以下のことを伝えました。・保育園の先生に療育センターをすすめられたこと・長男は周りの子どもたちとは様子が違うこと・長男に発達障害があるかもしれないということUpload By 星河ばよUpload By 星河ばよ言いながら私は母の顔色をうかがっていました。伝え終わると母は冷静にこう言いました。「それは療育センターに行った方がいいんじゃないの?」母は保育園に勤めています。そのため保育園での長男の様子がなんとなく想像できたのかも。母の表情からも長男を否定するような気持ちはなさそうで、ホッとしました。ただその後も続けて母は何か言っていたけど、私はもう耳が閉じてしまい何も聞こえてきませんでした…。Upload By 星河ばよ夫の母にも同じように長男のことを伝えたところ、私の母と全く同じ反応でした。「そうなの。それは療育センターに連れて行ってあげた方がいいんじゃないの?」と義母は言いました。アドバイスのような言葉はつらかった今思えば実母と義母の反応はありがたいものだったかもしれません。なかなか長男の発達障害を受け入れられない私に反して、否定せずスッと受け入れてくれた二人の祖母。けれどもそのときの私はいっぱいいっぱいで、「療育センターに連れて行った方がいい」というアドバイスのような言葉はただただつらいものでした。言われなくても十分に分かっていたから。できればただ「そうだったんだね」とだけ言ってもらえれば私は救われたと思います。実母と義母にはそれきり長男のことを相談しませんでした。二人からも特に長男のことをそれ以上聞かれることはなく、そっとしておいてくれたのは私にとってよかったです。もし会いに行くたびに「その後どうなの?」などと聞かれていたら足が遠のいたかもしれません。当時の私はそのくらいふさぎ込んでしまっていました。気にしていたのは私だけだった結局、長男の発達特性のことで右往左往していたのは私一人だけでした。受け入れるまで2年かかってしまいましたが、今ではなんであんなに気にしていたのだろうなーと思います。自分の中の固定観念や価値観が問われたのかなと、振り返って思います。長男にはごめんねとありがとう、両方伝えたいような気持ちです。今でこそ、実母と義母には感謝しています。でも、当時の経験から、もし何かつらいことで心を痛めている人がいたら、アドバイスではなくただ気持ちに寄り添ってあげられたら、と思うようになりました。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:鈴木先生より)周囲の人に告知してもその方がどのくらい知識をもって理解してくれるかによって対応は違ってきます。療育センター内の職員との相性やそこで何をやるかでも違います。自閉スペクトラム症に対して感覚統合訓練や音楽療法などをやっている所もあればやっていない所もあります。療育センターで働いている職員は、保育園や幼稚園の職員よりも病気などの領域に詳しいため、保育園の先生や、実母や義母も療育センターに行くことをすすめられたのではないでしょうか。一般的に「発達障がい」と周りの人に告知してもイコール「障がい児」と捉えられてしまい、周りの人の持つ偏見の中で見られてしまうこともあります。今は「発達障がい」とは言わず、「神経発達症」と言われることも増えてきました。「特性」と考えて周りが優しく、具体的に接してくれればいいのではないでしょうか。
2023年01月25日