自身のユーザーアカウントを明示するユーザーアカウントの画像は、Windowsに限らず多くのOSやアプリケーションで用いられてきた。Windows 10はそれまでの角々しいデザインから円形に変更したが、その動作は不確かな部分が多い。今回はユーザーアカウントの画像に関する動作と削除方法を紹介する。○各所で使われるユーザーアカウントの画像Windowsは以前から、ユーザーアカウントの画像を自由に選択できた。既存の画像ファイルを選択する以外にも、ユニバーサルWindowsアプリの「カメラ」と、PCに内蔵もしくは接続したカメラで撮った、自身の顔写真やペットの写真なども使用できる。指定したユーザーアカウントの画像は、スタートメニューや一部のユニバーサルWindowsアプリ上で使用されるが、こちらは「設定」の「プライバシー\アカウント情報」で制御可能だ。ユーザーアカウント情報を使用するアプリケーションを列挙する仕組みだが、執筆時点では制御対象となるアプリケーションは確認できない。○「アカウントの画像」ファイルを直接削除する使用する画像が決まっている場合、ユーザーアカウントの画像は履歴機能を用意している。以前選択していた画像は右端に移動し、最大3つまで保持するという動作だ。だが、再び使用しない画像が残っているのは、ちょっと気になる。Windows 10 ビルド10240の時点では、クリック/タップで画像を切り替えることはできても、右クリック/長押しで削除する機能は用意されていない。これらの情報は「%APPDATA%\Microsoft\Windows\AccountPictures」フォルダーに格納されており、直接「アカウントの画像(拡張子「.accountpicture-ms」)」ファイルを削除することで、ユーザーアカウントの画像履歴を削除できる。今後、Windows 10がアップデートすることで、「お使いのアカウント」から直接削除するUIが設けられるかも知れないが、当面はこの方法で削除するのが一番簡単だ。阿久津良和(Cactus)
2015年10月09日Windows 10は我々のPC使用情報の多くを送信する。これは今に始まった話ではなく、Windows XP時代もOSやアプリケーション上で発生したエラー情報をMicrosoftに送信するテレメトリ設定が存在していた。同社は収集した情報を元に修正プログラムの作成などを行ってきたが、ユーザーはもちろんオプトアウトすることも可能である。しかし、Windows 10も同様に診断データや使用状況データを収集し、Microsoftのサーバーへ送信しているが、現時点ではオプトアウトできない。これを元に「プライバシー情報が……」という見方をする人もいが、話はそう単純ではない。Microsoftはサービス規約をWindows 10のリリースに伴って改定し、Microsoftアカウント使用環境においてはプライバシー情報を収集することを明確にしている。例えばWindows 10のアクティベーション時は、プロダクトキーやデバイスに関するデータをMicrosoftに送信しているが、これらのデータは主に不正防止のために用いられ、PCの電源投入時に位置情報の送信も行う仕組みだ。その他にもMicrosoftアカウントごとにユニークな広告IDを作成し、その情報はアプリケーション開発者および広告ネットワークプロバイダーによって共有され、リターゲティング広告やインタレストベース広告に利用されるが、こちらはオプトアウト可能だ。このような仕組みは、Windows 10無償アップグレード開始直後から話題になっていたが、情報収集を行っているのはWindows 10だけではない。例えばGoogleは検索情報、Gmailはメールの内容などを元にインタレストベース広告を配信している。iOSやAndroidも例外ではないが、いずれもWindows 10と同じくオプトアウトの仕組みを用意してきた。プライバシー情報に敏感なユーザーは上図のように「設定」の「プライバシー」から各種設定を変更すれば済む話だ。また、Windows 10 ビルド10240の「設定」の「診断データと使用状況データ」には、<基本><拡張><完全>の3項目を選択肢として用意している。その3項目で「何を誰に送信するか」については、こちらで明確にされている。そのような理由から筆者はこれまでWindows 10の情報収集に関する話題を取り上げてこなかったが、Microsoft Windows and Devices Group担当CVPのTerry Myerson氏は9月28日に「Privacy and Windows 10」という記事を公式ブログに掲載した。Myerson氏によると、Windows 10は「情報収集によるOSの機能改善」、そして「収集情報の選択権はユーザーが保持する」ことを確保しながら設計したという。これはMicrosoftがユーザーデータの収集や行動監視を行っている、という批判を避けるためのアピールだろう。Myerson氏はWindows 10が収集しているのは「匿名のデバイスID、デバイスの種類、アプリケーションのクラッシュ情報などを含む最小限のテレメトリ情報」とし、そこに「メールアドレスやアカウントIDなど、個人を特定する情報は含まれていない」と説明している。さらに、エンタープライズ向けの機能として、テレメトリ情報収集を無効にするオプションを年内に提供する予定だが、個人向けエディションは対象外だという。プライバシー情報に関してもMyerson氏は言及している。Windows 10はユーザーが許可した情報を用いて、「レアルマドリードの試合結果を提供したり、アプリケーションをお薦めするが、メールの内容をのぞき見したり、個人ファイルをスキャンするようなことはしない」と断言している。Windows 10は「Windows as a Service」というキーワードからもわかるように、スタンドアローンのOSからSaaS(Software-as-a-Service)的な存在に一歩ずつ歩みを進めている。そこに旧来のスタンドアローン型ソフトウェアが合致するのは難しい。Windowsが変わったように、我々も新たなスタンスで利用すべきなのだろう。もちろん広告IDなどのオプトアウトは忘れずに。阿久津良和(Cactus)
2015年10月05日前回に続いて、Windows 10の「Windows Update」を最適な設定にするために、各設定項目の内容について説明しよう。○「複数の場所から更新する」とは?Windows 10のアップデートシステムにおいて、過去と比べてもっとも変化が生じているのは、「複数の場所から更新する」という項目だ。更新プログラムの配信を最適化するために組み込まれた機能だが、更新プログラムをダウンロードしたPCは、「ネットワーク的に近い」PCへと更新プログラムのキャッシュを送信し、これからアップデートする場合は逆に他のPCから更新プログラムを受信する。一見するとセキュリティ的な不安を覚えるかもしれないが、Microsoftは「Windows Updateと同じ検証方法を用いているため問題はない」と説明している。ローカルキャッシュは細かく分割され、必要に応じて配信もしくは受信する仕組みだ。さらに、インストール前にもファイルの信頼性チェックを行っているという。ネットワークに詳しい方なら、P2P(Pear to Pear)のBitTorrentを連想すると分かりやすいだろう。P2Pの実装は今に始まったことではなく、Windows Vista以降、グループウェアの「Groove 2007」はP2P技術を用いている。更新プログラムの配信側に回ったPCは、必然的に一定のI/O負荷とネットワークトラフィックが発生するが、筆者は今のところ負荷を実感するような場面に出くわしていない。また、タブレットなど外出先でインターネットに接続するとき、従量制課金接続を選択していても、Windows Updateは自動実行される。ただし、ローカルキャッシュの配信は行われないので安心してほしい。○取得&配信範囲はどちらを選択すべきか「複数の場所から更新する」設定のポイントは、「ローカルネットワーク上のPC」「ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC」のどちらを選択するのが賢いか、という点だ。Windows 10 HomeとWindows 10 Proの既定値は後者となり、必然的に外部のWindows 10搭載PCに対して、更新プログラムのキャッシュデータ取得&配信を行っている。例えば、複数台のWindows 10搭載PCを併用している場合、いずれの設定を選択しても更新プログラムのダウンロードは高速化する可能性は高いだろう。だが、Windows 10搭載PCが2~3台程度であれば、取得&配信範囲をLAN内に限定し、1台の場合は本機能自体を無効にしてもさほど大きな差は生じない。なぜならWindows Updateの更新プログラムは、大手CDNのAkamai Technologiesから配信している。そのためAkamaiが帯域を大幅に絞らない限り、他のPCからキャッシュデータを取得するより高速だ。このように、Windows 10搭載PCのパフォーマンスや、お使いのネットワーク環境に応じてオプションを選択することで、快適な更新環境となるだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年10月03日Windows 10においても、更新プログラムをWindows Update経由で取得し、セキュリティホールを塞ぐ仕組みは従来と変わりない。だが、Windows 10は以前と異なり、複雑なオプションが増えている。今回は個人ユーザーにとって快適な環境を目指すため、各設定項目の内容について説明しよう。○「アップグレードを延期する」とは?Windows Updateは、Windows 10 HomeとWindows 10 Proでわずかに動作が異なる。「詳細オプション」を開くと、Windows 10 Proにのみ「アップグレードを延期する」が見つかると思う。この設定項目を有効にすると、「Windows Updateのブランチ(枝)がCBからCBBに切り替わる」のだ。Windows 10のブランチは、CB(Current Branch)、CBB(Current Branch for Business)、LTSB(Long Term Servicing Branch)という3種類に加えて、Insider Preview用のIPB(Insider Preview Branch)の計4種類がある。「CB」は従来のWindows Updateによるアップデートを示し、Insider Previewで検証された更新プログラムを年に数回の頻度で配布する。これが標準的なブランチだ。「CBB」はビジネスユーザーなど、大幅な変化を避けつつも新機能を享受できるブランチとなる。「LTSB」は、金融機関などミッションクリティカルなシステムでWindows 10を用いる際に選択するブランチだ。基本的にホームユーザー向けのWindows 10 Homeは「CBB」を選べず、Windows 10 Proは「CB」と「CBB」を選択できる。「LTSB」を選択できるのはWindows 10 Enterpriseエディションのみだ。ただし、セキュリティ更新プログラムは選択したブランチに関係なく、すべてのブランチに提供されるため、特段の理由がなければ「アップグレードを延期する」を有効にする必要はない。○更新プログラムの確認方法は?更新プログラムは自動および手動で導入するが、気になるのは「どのような更新プログラムを適用しているのか」という点。ダウンロード中であれば、更新プログラムの内容は確認できる。インストール済み更新プログラムは「更新履歴を表示する」から確認。もし、特定の更新プログラムに起因する不具合が発生した場合、ここから「更新プログラムをアンインストールする」を選択し、続けて開く「インストールされた更新プログラム」からアンインストールを実行すればよい。なお、「最新のプレビュービルドをアンインストールする」を選択すると、「更新とセキュリティ」の「回復」が開く仕組みだ。項目名を読む限りInsider Previewのアンインストールのようにとらえがちだが、「PCのリフレッシュ」機能を呼び出す項目であることに気を付けてほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年10月02日●永続ライセンス版は健在すでに公式ブログで発表済みのとおり、米Microsoftは2015年9月23日(現地時間)の時点で「Office 2016」を「Office 365」ユーザー向けに提供開始した。日本でも同時刻からMSDN経由などで提供を始めたが、我々が気になるのはサブスクリプション版ではなくスタンドアローン版のOfficeである。日本マイクロソフトは、その声に応える形で2014年9月29日に都内で「Microsoft Office Press Conference」を開催。日本国内でOffice 2016の提供を発表し、新たな販売形態や参考価格などを明らかにした。本稿では同カンファレンスの内容を整理し、本誌読者にご報告する。○ビジネスにも使える「Office Mobile」が登場最初に登壇した日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏は「社長就任後、弊社の重要なタイトルであるWindows 10に並ぶのがOffice」と切り出し、Office 365の市場成長率を説明した。企業の半数以上は、Officeスイート導入時にパッケージのOffice 2013ではなく、Office 365を選択。この1年を振り返ると、コンシューマー市場でも同様の展開が見えてくるという。日本政府や日本マイクロソフトが強く推奨するワークスタイル&ライフスタイルの変革が明確になった結果だと平野氏は語る。Office 2016は、すでにOffice 365ユーザーには提供済みだが、気になる一般向けは2015年9月30日から提供開始。法人向けVL(ボリュームライセンス)も10月1日より提供を始める。ここで一度整理しよう。今回、日本で発売するOfficeスイートは「Office Personal 2016」「Office Home&Business 2016」「Office Professional Academic 2016」「Office Professional 2016」の4エディション。ちなみにOffice Academic 2016は教育関係者向けのエディションだ。このほかにも「Word 2016」や「Excel 2016」といった製品単体版も用意している。ポイントはPOSA(Point Of Sales Activation)版を用意している点だ。POSAはカードは量販店やコンビニエンスストアなどでは、プリペイドカードとして度々見かけるが、我々が量販店などでOffice 2016を購入する際は、パッケージではなくPOSAカードとなる。長らく重厚感のあるパッケージやマニュアルに慣れ親しんだユーザーは意外に思われるかもしれないが、マニュアルのPDF化やクラウドの普及に伴い、近年は多くのメーカーが本スタイルを採用するようになった。今回のカンファレンスで注目すべきはもう1つある。それが「Office Mobile」の存在だ。すでに10.1インチ以上のPCには「Office Premium(1年間のOffice 365サービス)」を提供しているが、Offic Mobileは10.1インチ以下のWinodwsデバイスに、グローバルで標準搭載する。ポイントは日本独自の施策として、Offic MobileにOffice 365サービスを提供し、商用利用権を新たに付加可能にしている点だ。実際のところOffice Mobile単独では、ビジネス用途に使うのはライセンス違反だが、Office 365サービスを付加することで、10.1インチ以下のデバイスもビジネスシーンで利用可能になる。「Office 365サービスを10.1インチ以下のデバイスにも広げた」と述べると分かりやすいだろう。ちなみに本施策はOSを制限するものではなく、あくまでもデバイスサイズで統一している。そのため、9.7インチのiPad Air 2は問題にならないが、2015年11月リリース予定のiPad Pro(12.9インチ)は対象外だ。日本マイクロソフトは、この点について「商用利用に関しては今のiPadでも有料(=Offic 365サービスが必要)。10.1インチ以上はOSを問わず有料」と説明している。また、10.1インチの境目だが、グローバルでは「10.1より大きい」「10.1以下」と明確に線を引いている。だが、日本は10.1インチデバイスは操作性も高く、キーボード付きが多いため、10.1インチデバイスは、OEMパートナーがOffice Premiumか、Office Mobileを選択可能にしているという。Microsoftおよび日本マイクロソフトは、マルチデバイス時代に即しつつ、世界でもユニークな日本市場に合致するため、このような仕組みを用意したのだろう。●Office 2016の新機能多くの方は「Office 2016」はどんな製品なのか、どのような新機能を備えたのか、という点がもっとも気になるだろう。だが、Office 2016はOffice 365で常に新機能の実装や改善してきた現時点の集大成となるため、一概に説明するのは難しい。そこで、日本マイクロソフトが披露したデモンストレーションを元に、Office 2016の注目ポイントを紹介していこう。最初は共同編集機能。クラウド上のOfficeファイルに対して、参加しているユーザーが同時に編集するというもの。従来であれば他のユーザーが文章作成や編集を終えるのを待たなければならず、時間がかかっていた。さらに参加人数が増えれば増えるほど無駄なファイルも増えてしまう。だが、本機能の実装により場所や時間に妨げられずに、作業が進むこととなる。また、共同編集に参加しているユーザー同士はSkype for Businessで直接会話することも可能だ。仮に相手がWord 2016を所有していなくとも、Webブラウザー経由で参加、共同編集が可能になるという。なお、本機能はWord 2016特有機能ではなく、Excelなど他のOfficeアプリケーションでも利用可能だ。次はデータの挿入。他のOfficeアプリケーションからデータを挿入するのは以前のOfficeも備えているが、ポイントはクラウド型分析ツールである「Microsoft Delve」を活用している点だ。挿入するデータがどこにあるのか分からない場合、Microsoft Delveが社員同士のコミュニケーションを分析し、最適なデータをリストアップするため、そのまま挿入可能になる。さらにExcel 2016には、一連のデータに基づいて予測を行う「操作アシスト」機能を新たに備えた。たとえば一定の売り上げデータを作成済みの場合、「予測シート」を使えば過去のデータから予測し、推移データを提示できる。これらはMicrosoft Azureの分析機能を用いて実現する仕組みだ。作成した文書をメールに添付する場面でも機能改善が役立つだろう。「Outlook 2016」にはOneDriveとの連携により、通常のファイルと同じ感覚で添付可能になった。また、ファイル添付機能には「最近使ったアイテム」が加わり、直近まで編集していたファイルを優先的にリストアップするという。5年ぶりのバージョンアップとなった「Office 2016 for Mac」も紹介しておこう。Windows版と同じくリボンUIを採用し、基本的なUIはすべて同じだが、RetinaディスプレイやOS Xのフルスクリーンモードにも対応する。また、One Driveとの連携も可能だ。たとえば「Word 2016 for Mac」はスレッド形式のコメント機能などを備え、「Excel 2016 for Mac」はWindowsユーザーにはおなじみの「おすすめグラフ」を実装するなど、Windows版で実装済みの機能を備え、順当なバージョンアップ版という印象を持った。興味深いのはBingと連携した「スマート検索」機能だ。任意のキーワードを同機能で検索すれば、Wikipediaなどの内容をOfficeアプリケーション内で検索し、各種情報をWeb上から取得できる。また、ワンクリックでWebブラウザーによる閲覧も可能だ。このようにOffice 2016は、各アプリケーションが相互的に「ユーザーのやりたいことをサポート」する機能を実装したのが特徴的といえる。Office 2016とは関係ないが、今回のデモンストレーションで注目したいのが「Continuum(コンティニアム)」である。以前から「Continuum for Mobile」「Continuum for Phones」と呼ばれていた、Windows 10 Mobileにディスプレイやキーボードなどをつなげると簡易的なPCとして使用可能になるというものだ。本来ContinuumはWindows 10開発時にキーボード着脱時にデスクトップとタブレットモードを切り替える機能を指していたが、浸透しなかったため省略したのだろう。会場に用意した40インチのディスプレイには、確かにContinuumの特徴であるWindows 10 Mobileのスタート画面とデスクトップが描かれている。だが、Windows 10 Mobileは開発中ためか本来行う予定のPowerPointは起動せず、失敗に終わった。年内の開発完了を目指しているWindows 10 Mobileリリース後のデモンストレーションに期待したい。今回、日本マイクロソフトはOffice 2016を全面に押し出すような施策は行っていない。冒頭から述べてきたようにスタンドアローン版ではなく、サブスクリプション版のOffice 365が主力製品と捉えているからだろう。平野氏の言葉を借りれば「(IT市場の)スピード感に対応するためには、3年に1度のバージョンアップでは間に合わない」という説明どおり、バージョンアップごとに買い換えるという時代は終わった。保守的なOffice 2016を選ぶか、常に最新機能を提供するOffice 365を選ぶか、ユーザーは選択を迫られているのだ。阿久津良和(Cactus)
2015年09月29日MicrosoftはWindows 10において、PCに対してもスマートフォンなどモバイル端末に対しても、同一のOSとアプリケーションプラットフォームを提供することを目指している。これは、ゲームコンソール機の「Xbox One」に対しても例外ではない。日本マイクロソフトは9月26日、日本市場でXbox Oneを盛り上げるため、「Xbox One 大感謝祭 2015 in Tokyo」なるプライベートイベントをプレス向けに開催した(大阪は10月4日開催)。今回はWindows 10との連携を中心に、同イベントの内容を報告する。最初に登壇したのは日本マイクロソフト Xboxマーケティング戦略本部 グループシニアマネージャーの井上正之氏だ。XboxといえばFPSゲームのHaloシリーズが有名だが、井上氏によればXbox LIVE経由で計上した同シリーズの総プレイ時間は60億時間を超えるという。さらに10月29日リリース予定の「Halo 5: Guardians」を紹介しつつ、Xbox Oneの盛り上がりに期待を寄せていると述べた。さらにゲストとしてCrystal DynamicsのChris Johnston氏も登壇。同社は映画にもなった「トゥームレイダー」シリーズ最新作の開発を手がけており、11月12日リリース予定の「Rise of the Tomb Raider」のデモンストレーションプレイを披露した。前作と比べると様々な仕掛けを追加したという。その他にも、ユービーアイソフト アジア代表取締役社長のSteve MILLER氏によるタイトルのアピール。Xbox OneやWindows向けゲームタイトルのデジタル配信を支援するセルフパブリッシングプログラム「ID@Xbox」の例として、NINJA EGGの「Kyub」の紹介などが行われた。だが、本イベントで注目すべきは、Microsoft StudiosでCVPを務めるKudo Tsunoda氏のスピーチだ。同氏はThe 3DO CompanyやElectronic Artsを経て2008年からMicrosoftに入社し、2011年から現職に就いている。Xboxといえば部門トップのPhil Spencer氏が有名だが、Tsunoda氏は2015年3月から米国や欧州に点在するLionhead StudiosやRareといった開発スタジオを取りまとめる役割を担うようになった。Tsunoda氏は「コンソールゲームデバイスが生まれた日本を尊敬している。我々の目標はゲーマーを活動の中心に据えること。ゲーマーと開発者が安心できるプラットフォームを築いて、創造性や革新性、"楽しさの限界"に挑戦することだ」と語った。さらにTsunoda氏は具体的な目標として、「ゲーマーが好きなタイトルを、好きな人と好きなデバイスで楽しめること」と説明している。これはユニバーサルWindowsアプリ「Xbox」を介したXbox Oneとの同時プレイや、Xbox OneのタイトルをWindows 10搭載PCでストリーミングプレイするといった機能を意味しているのだろう。同氏は「Xbox Oneのタイトルを家庭の大型TVで楽しみ、職場ではWindows 10 PCで同タイトルを楽しんでいる」という。他にも「(Xbox LIVEで)購入したタイトルや獲得した実績は2つのデバイス間でシームレスにアップデートできる。このようなゲーム環境は2016年に向けて拡充していく」と未来のゲーム環境について説明した。残念ながら「Kinect for Xbox One」や「HoloLens」などを活用したシナリオは披露されず、Windows 10とXbox Oneの連係も既存情報に留まっている。気になるのはWindows 10プラットフォームの統合化がいつから始まるのか、という点だ。Microsoftのアナウンス通りであれば、ユニバーサルWindowsアプリはWindows 10でもXbox Oneでも同じように動作するはずである。既にWindows 10 Mobile(Insider Preview版)を見る限り、この説明は間違いではない。「Xbox One版Windows 10」のリリース時期は非ゲーマーであっても興深いだろう。Spencer氏は2015年5月の時点でXbox Oneの新OSベータテストを開始するとTwitter上で発言し、Microsoftは今年のE3で、Cortanaなど新機能を搭載したアップデートを2015年のホリデーシーズン(11月末から年末年始)に行うことを明らかにしている。ただ、今回のアップデートはパフォーマンスやゲーム体験の向上、SNS連動の拡張などOSレベルのアップデートには至らない予定だ。日本マイクロソフトは、1TBのSSHDを内蔵し、ワイヤレスコントローラーを同梱した「Xbox One Elite」の発売や5,000円引きキャンペーンを実施する。だが、我々が意識せずにPC上でXbox Oneタイトルを楽しみ、リビングに設置したXbox Oneが情報ハブになるような世界は、まだしばらく先の話になりそうだ。Tsunoda氏が述べたように、「Windows 10はゲーマーコミュニティにとって最上のプラットフォームになる」ことを期待したい。阿久津良和(Cactus)
2015年09月28日Windowsが備えるセーフモードは、読み込むデバイスドライバーなどを最小限にして起動する、トラブルシューティング向けの機能(状態)だ。Windowsがバージョンを重ねるたびに使う機会は減っているものの(Windowsの安定性が高まっている証だろう)、残念ながらWindows 10でもセーフモードを使用する場面は存在する。そこで今回は、Windows 10におけるセーフモードの起動方法を紹介しよう。○「msconfig.exe」からセーフモードを起動する最初は一番簡単と思われる「システム構成(msconfig.exe)」を使用する方法。システム構成の「ブート」タブに用意された「ブートオプション」セクションで、「セーフブート」を有効にするだけだ。ここで選択できるオプションだが、「最小」は通常のセーフモード。「代替シェル」はコマンドプロンプトを使用したセーフモード、「Acive Directory修復」はLAN上にAcive Directoryサーバーがある場合にのみ使用可能。「ネットワーク」はネットワークアクセスを有効にしたセーフモードとなる。ただし、この方法は次回の再起動時もセーフモードになってしまうため、通常の再起動ではなく「セーフブート」の設定を変更してPCを再起動した方が安全だ。○「設定」からセーフモードを起動する次はWindows 8から導入された、UXからセーフモードを起動する方法。多くの場面で一般的な手順となるため、こちらも紹介しておこう。○セーフモードを呼び出す他の方法先のセーフモードを呼び出す方法は他にもいくつか用意されている。「電源」のメニューに並ぶ「再起動」を「Shift」キーをしながら選択する方法や、コマンドラインから電源操作を行うコマンド「shutdown.exe」にオプション「/o」を追加する方法も便利だ。だが、何らかの理由でデスクトップ描画が乱れ、これらの方法が選択できない場合もある。その際はセキュリティ画面を呼び出し、右下に並ぶ電源ボタンから「Shift」キー+「再起動」を選択すれば、オプションの選択画面に移行できる。阿久津良和(Cactus)
2015年09月26日ダイアログからコマンドを実行する「ファイル名を指定して実行」は、Windows 10でも使いたい場面がある。だが、スタートメニューを見ても機能を呼び出す項目やタイルは見当たらず、不便に感じている方もおられるだろう。今回はWindows 10における「ファイル名を指定して実行」の開き方をいくつか紹介する。○検索ボックスとどちらが便利?Windows 10は、タスクバーに加わった「クイック検索」の使用を推奨している。例えば「Microsoft Edge」を起動する際も、アプリケーション名を入力するだけで済むからだ。しかし、本記事の執筆時点では柔軟性がいまひとつで、「えっじ」と入力しても起動することはできない。他方で「フォト」は、アプリケーション名はもちろん「Photo」や「foto」でも起動できる。では「ファイル名を指定して実行」が万能かといえば、ユニバーサルWindowsアプリの起動は難しい。Microsoft Edgeの実体は「%Windir%\SystemApps\Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe\MicrosoftEdge.exe」なのだが、Explorer.exeからShellスキームを利用して起動できるものの、現実的ではないだろう。ショートカットファイルを作れば……という見方もあるが、それなら最初からスタートメニューやタスクバーにピン留めすればよい。そのためWindows 10において「ファイル名を指定して実行」は万能ではないのだ。○「ファイル名を指定して実行」をピン留めするそれでも、筆者のようにマウス操作よりもキーを叩く頻度が高いユーザーにとって、コマンドライン型ランチャーとなる「ファイル名を指定して実行」は便利な存在。Windows 10でも従来と同じく、「Win」+「R」キーによる直接呼び出しや、「Win」+「X」キーもしくはスタートボタンの右クリックで現れるクイックアクセスメニューから、「ファイル名を指定して実行」を開ける「ファイル名を指定して実行」を割と頻繁に使う場合は、スタートメニューやタスクバーにピン留めするのが簡単だ。このような方法で「ファイル名を指定して実行」をGUIから参照できる。○「ファイル名を指定して実行」のショートカットファイルを作成するピン留めしたタイル(アイコン)をショートカットファイル化する場合は、タイルのコンテキストメニューから元となるファイルを参照し、もともとあるショートカットファイルをデスクトップなどにコピーすればよい。なお、コマンドラインとして「%windir%\explorer.exe shell:::{2559a1f3-21d7-11d4-bdaf-00c04f60b9f0}」を指定すれば、同じ動作を行うショートカットファイルを作成できる。阿久津良和(Cactus)
2015年09月25日ここしばらくの間、インターネット上にはWindows 10 Insider Preview ビルド10537や、ビルド10540のスクリーンショット、ISOイメージファイルが合い続いてリークされていた。想見するにOEMパートナー向けにMicrosoftが提供したものを何らかの手法で入手し、インターネット上に公開したと思われるが、これはCB(Current Branch)のアップデートが近いことの裏返しでもある。そんな中Microsoftは、2015年9月18日(現地時間)にWindows 10 Insider Preview ビルド10547をFastリング向けリリースした。公式ブログによれば、スタートメニューやタブレットモードを改善し、多数の標準アプリケーションを更新したという。今回もビルド10532と比較しながら、ビルド10547の新機能を精査していく。それでは順番に、ビルド10547に加わった新機能を確認しよう。1つめはスタートメニューの改善だ。Windows 10のスタートメニューに用意されたタイルグリッドは中サイズが3カラム(小サイズなら6カラム)並んでいるが、多くのアプリケーションをピン留めする場合、表示領域が足りないという問題が発生していた。もちろんスクロールさせれば済む話とだが、MicrosoftのGabriel Aul氏は「スタートメニューの表示領域拡大を求めるフィードバックを多数受け取った」と公式ブログで述べているように、より中サイズのタイル表示数を3カラムから4カラムに増やしている。具体的には「設定」の「パーソナル設定\スタート」に「Show more tiles」という項目を追加し、カラム数を変更するようだ。さらに表示可能なタイル数を512アイテムから2048アイテムまで拡張している。また、タイルに対するコンテキストメニューも整理し、ビルド10532では上位レベルに並んでいたライブタイル機能の有無などを<More>なるサブメニューに移動させた。<共有とレビュー>は「ストア」でユニバーサルWindowsアプリのページを開いてユーザーに評価をうながし、<共有>もストアが起動するが、「お探しのものはここにはありません」というメッセージとエラーコードが示されるのみに留まる。これらのことから、今後新たな機能がストアに加わるのだろう。ただし、1,080×1,920ピクセルのディスプレイを縦方向にローテートしている場合、スタートメニューを横方向に拡大できず、さらに表示領域が狭まってしまうため、注意が必要だ。タブレットモードもわずかながら変更が加わった。ビルド10532は3つめのアプリケーションを起動する際はそのまま全画面表示として起動していたが、ビルド10547ではサムネイル状態で起動し、Aul氏の言葉を借りれば"シーソーのように"各フィルに対して動き出す。そしてタップした時点で一方のアプリケーションが置き換わる仕組みだ。Aul氏の説明によれば、標準ユニバーサルWindowsアプリも更新されたという。こちらはビルド10547限定ではなく、ビルド10532でもダウンロード可能だが、「メール」や「カレンダー」は背景画像が変化し、新たなカスタマイズ機能が加わった。「フォト」の<フォルダー>もOneDriveを正しく表示するようになるなど、細かい改良を確認できる。ただし、「マップ」に関しては未だ及第点に達していない。前述のとおり新たな機能は「設定」と連動しており、ビルド10532とビルド10547を比較すると、いくつかの変更点を確認できた。前述したタブレットモード時のスナップ動作は「システム\マルチタスク」の<When I resize snapped window simultaneously resize any adjacent snapped window>と連動しているが、気になるのは「パーソナル設定\スタート」と「パーソナル設定\ロック画面」だ。前者はプレビュー画面が加わったことも変更点に数えられるが、<ときどきスタート画面におすすめを表示する>が加わり、後者は<ロック画面にトリビアやヒントなどの情報を表示する>が加わっている。そもそも無償アップグレード開始以前のWindows 10 Insider Previewでは、ロック画面の画像をランダムに切り替え、ユニバーサルWindowsアプリのリコメンドやWindows 10の新機能を紹介する「Windowsスポットライト」という機能が用意されていた。しかし、無償アップグレード直前にProエディションからは同機能が取り除かれ、Homeエディションに限定している。日本マイクロソフトの関係者に理由を尋ねたところ、ビジネスユーザーに対しては不評だったという本社の考えがあったという。だが、各設定項目や上図をご覧になるとお分かりのようにWindows 10 ProでもWindowsスポットライトが使用可能になった。筆者は個人的にロック画面画像のランダム切り替えは有用な機能と評価していただけに、今回の改善を大きく歓迎したい。この他にも「パーソナル設定\ロック画面」に加わった<Show Windows background picture on he sign-in screen>で、サインイン画面の背景画像を無効可能になり、「デバイス\USB」には<Notify me if there are any issues with the USB devices connected to my PC>が加わっている。意訳すると「PCに接続したUSBデバイスに問題が発生した場合は通知する」というものだが、動作が確認できなかったため分かり次第改めてご報告したい。なお、Aul氏の説明によればスタートメニュー周りの安定性向上や、アクションセンターに新たな通知がなくとも点灯してしまう問題、Realtekオーディオデバイスに起因するトラブルなどを改善している。この他にも多くのバグが残っているため、やはり常用OSにするのは不安が残るところだが、着実に前進していることを感じられるビルドだった。阿久津良和(Cactus)
2015年09月21日Windows RTを搭載したタブレットデバイス「Surface RT」は、筆者が改めて述べるまでもなく商業的な失敗に至った。2013年10月にはWindows RT 8.1を搭載したSurface 2をリリースしたが、その後続モデルのSurface 3はOSにWindows 8.1を採用した。Microsoftは2015年1月の時点で、Windows RT 8.1からWindows 10へのアップグレードは提供しない方針を表明していた。だが7月に、MicrosoftのGabriel Aul氏がTwitterで「Windows 8.1 RT Update 3のリリースを9月に予定している」とツイート。そして、9月15日にMicrosoftは「Windows RT 8.1 Update 3」をリリースした。まずは更新箇所を確認していくが、何をおいても紹介すべきは復活したスタートメニューだ。ただし、Windows 10が採用したXAMLベースではない。そもそも本アップデートを適用しても、Windows RT 8.1はWindows 10互換とはならない。Windows 10で加わった新たなAPIを使用できないからだ。Windows RT 8.1のスタートメニューは、Windows 8.1のコードをベースにしているため、「DirectUIスタートメニュー」と呼ばれている。上図のとおりWindows 10のスタートメニューとは構成が異なり、左上からユーザー名、ピン留めしたリスト、MFU(もっとも頻繁に使用する)アプリケーションリスト、すべてのアプリケーション、検索ボックス、そして右側にWindowsストアアプリをピン留めする領域を用意した。Windows 10がTechnical Previewだった時代のスタートメニューに近い構成だ。また、<すべてのアプリケーション>を開くと、スタートメニューの左側部分がそのままアプリケーション一覧に切り替わる。Windows 10のスタートメニューと異なりセマンテックズームのようなアプリケーション名の頭文字は現れないが、Windows RT 8.1でも検索ボックスを使用すれば大きな問題にならないだろう。「タスクバーとスタートメニューのプロパティ」の<スタートメニュー>タブには、新たに<カスタマイズ>が確認できる。これは、ピン留めしたリストの内容を変更するためのボタンだ。<開く>ボタンからはタイルのキャッシュデータサイズの変更が可能だ。他にもサインイン画面やスタートメニューのユーザーアイコンが丸くなるなど、いくつかの変化を確認できるが、Windowsストアアプリはウィンドウ表示に切り替えることができず、キーボード着脱時にタブレットモードに切り替わるContinuumも未実装だ。当初から「小規模なアップデートに留まる」というアナウンスがあったものの肩透かしを食った気分は否めない。さて、スタートメニューの復活でWindows RT 8.1は使いやすくなるかという点に自問自答してみる。確かにエクスプローラーやExcelに代表されるOfficeスイートはウィンドウ表示できるため、スタートメニューとの親和性は高い。だが、Windowsストアアプリ起動時の違和感は上図を見れば明らかだろう。また、Windows RTはARMアーキテクチャ上で動作するOSのため、IA-32アーキテクチャ専用のWindowsストアアプリも動作しない。今後増えて行くであろうユニバーサルWindowsアプリも動作しないはずだ。これらを鑑みると、状況は変化していないと述べるのが正しいだろう。ちなみにMicrosoftは再びIntel系プロセッサのみに傾倒した訳ではない。現在開発中のWindows 10 MobileやWindows 10 IoT Editionは、IA-32アーキテクチャの他にARMアーキテクチャ(v7/v8)もサポートしている。そのため、Windows RT 8.1からWindows 10 Mobileへアップグレードというシナリオも考えられるが、Microsoftのスタンスや戦略を俯瞰すると、その可能性も皆無と言わざるを得ない。所有者としては悲しい事実だが、ARM搭載デバイスであるSurface RTとSurface 2は袋小路に入り込み、PCの歴史から忘れ去られてしまう存在になるのだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年09月21日Windows 10は新たに「設定」を加えて、Windows 3.x時代から続いたコントロールパネルからの移行を進めている。だが、整合性に欠ける部分が見受けられるのが現状だ。その1つがWindows Vistaから加わった「場所」と、Windows 10の「場所の保存」である。○「場所の保存」は既定の保存先を変更する機能前回に引き続いて「場所の保存」について解説しよう。設定方法は下図に示したとおりだが、最新のWindows 10 Insider Preview ビルド10532に動作を確認したところ、設定内容を反映するための「Apply」ボタンが現れるようになった。今後の公式アップデートでも追加されるだろう。だが、「場所」のように、既存フォルダーを別ストレージへ移動するか否かといったメッセージは現れない。既存のドキュメントフォルダーなどの格納ファイルもそのままだ。では「場所の保存」とはどのような機能なのだろうか。この疑問に対する回答は、「アプリケーションのコモンダイアログが参照する保存先を変更する機能」と述べるのが正しいようだ。もっとも、各アプリケーションにはコモンダイアログに対するパスを記憶する機能が備わっているため、必ずしもすべてのアプリケーションが一斉に切り替わる訳ではない。例えば、設定を変更する前に任意のアプリケーション(ここではメモ帳)でドキュメントフォルダーを使用した際、その情報はレジストリに保存される。よって「場所の保存」を変更しても変化は生じない。他方で、設定後に起動したアプリケーション(ここではワードパッド)のコモンダイアログ参照先は「場所の保存」で移動したフォルダーが既定となる。○「場所」「場所の保存」両者を上手に活用するつまり、「場所」はレジストリエントリーでフォルダーをリダイレクトし、「場所の保存」は既定の参照・保存先を変更する仕組みだ。Windows 10無償アップグレード前のWindows 10 Insider Previewでは変更可能だった「新しいアプリの保存先」はグレーアウトしているため、具体的な動作を解説できないものの、察するに「%ProgramFiles%」および「%ProgramFiles(x86)%」フォルダーの既定値を変更するのではないだろうか。以上から、一見すると競合機能に見える「場所」と「場所の保存」は、似て非なる存在であることがわかる。この先、「場所」で行ってきた機能は「場所の保存」に統合されることだろう。少なくとも現時点でストレージを効率良く管理するのは、両機能を上手に活用するのが得策だ。阿久津良和(Cactus)
2015年09月19日Windows 10は新たに「設定」を加えて、Windows 3.x時代から続いたコントロールパネルからの移行を進めている。だが、整合性に欠ける部分が見受けられるのが現状だ。その1つがWindows Vistaから加わった「場所」と、Windows 10の「場所の保存」である。○Windows 10から加わった「場所の保存」PCが個人の道具となってからというもの、常に悩ましいのがストレージの管理方法だ。当初はユーザー自身がすべて管理していたものの(保存フォルダやその分類方法、ツリー構造などをユーザーが決める)、Windows時代に入るとドキュメントフォルダーなど特定の役割を持つフォルダーが固定されるようになった。データ管理の一部をWindowsが手助けしていると考えられるだろう。この仕組みは、PC初心者でもファイルを整理しやすくすると同時に、冒頭で述べたストレージ管理の制約を生み出すこととなる。多くのアプリケーションは既定の保存先としてドキュメントフォルダーを選択するため(Windows 8.x以降はOneDriveフォルダーが指定される場合も増えた)、必然的にシステムドライブの空き容量をひっ迫する原因となった。この問題を解決したのが、Windows Vistaから実装した「場所」である。特定のフォルダーを別ドライブに移動(リダイレクト)することで、システムドライブの空き容量確保やファイルサイズを気にすることなく、ユーザーファイルを保存できるようになった。「場所」はWindows 10にも引き継がれているが、他方で似た役割に見えるのが「場所の保存」である。こちらは「設定」の「システム\ストレージ」に用意されたドロップダウンリストから、PCに接続したドライブを選択するだけのシンプルな仕組みだ。○移動できるフォルダーの種類Windows 10の「場所の保存」について述べる前に、「場所」について触れておこう。基本的な操作方法は下図のとおり、ダイアログの操作に慣れたユーザーであれば難しくないが、冗長であることは確かだ。ちなみに、これらの結果は、レジストリの「HKEYCURRENTUSER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Shell Folders」キーに保存される。そのためエクスプローラー上で移動したフォルダーを見ると、いかにもそこに存在する様に見えるものの、実体は存在しない。Windows 10では、以下のフォルダーが移動可能だ。タブレットなどシステムの空き容量が小さく、SDカードで容量不足を補っている環境では、下記にフォルダーに対して移動操作を行うとよい。誌面が尽きてきたので、続きとなる「場所の保存」については次回述べることにしよう。○Windows 10の移動可能なフォルダーAppData(Local)AppData(LocalLow)AppData(Roaming)LibrariesNetwork ShortcutsPrinter ShortcutsSendToTemplatesお気に入りスタートアップスタートメニューダウンロードデスクトップドキュメントビデオピクチャミュージックリンク検索最近使った項目保存したゲーム連絡先阿久津良和(Cactus)
2015年09月18日MicrosoftはWindows Phone向けアプリケーションとして、「Messaging Skype Beta」をリリースした。このアプリケーションの特徴を述べるには昔話が欠かせない。1990年代中頃は多数のIM(インスタントメッセンジャー)が登場し、中でも世界的にヒットしたのはICQだった。それを横目で見ていたMicrosoftは1999年にMSN Messengerをリリースする。後にWindows XP標準搭載のWindows Messengerや、MicrosoftのLiveブランド戦略に沿ったWindows Live Messengerをリリースするが、最終的に2011年に買収したSkypeを主軸に置いた。だが、そのSkypeは迷走の気配を見せている。Windowsストアアプリ版を2015年7月に終了し、Windows 10無償アップグレード登場後もユニバーサルWindowsアプリ版をリリースせず、デスクトップアプリ版は32bit対応のままだ。アクションセンターとの連動も行われず、普段から仕事の連絡をSkype経由で行っている筆者としては違和感を覚えることが多い。確かにWindows 10が過渡期にあるため、アプリケーションにまで手が回らない状況は理解できるが、後手に回った印象を受ける。このような状況では、快適な環境を作り上げたWindows 7ユーザーが、Windows 10への移行を決心できないのも仕方ないだろう。さて、Windows 10 Mobileは2015年内のリリースに向けて鋭意開発中だが、先頃、公式ブログの記事でMicrosoftのGabriel Aul氏は「我々は高速リング向けリリースでも、スマートフォンでメッセージや通話、アプリケーションのインストールなど日々の活動を行えるようにしたい」と述べていた。その片鱗を感じ取れるのが冒頭で紹介したMessaging Skype Betaである。そもそもWindows Phone 8.xやWindows 10 Mobile Insider PreviewにもSkypeや「Messaging(メッセージング)」というアプリケーションが用意されている。Messaging Skypeは、MessagingのSMSとSkypeのメッセージ会話や通話履歴機能を統合した存在だ。端的に述べれば「Skypeを統合した新Messaging」と言えるだろう。Windows 10 Mobile Insider Previewビルド10512にMessaging Skype Betaをインストールし、起動してみると最初に「SMS送信に使用しますか?」という確認メッセージが現れる。SMS機能を既存のアプリケーションから切り替えるように促すメッセージだ。続いてアプリケーションの主な使い方を示した図が現れる。基本的なレイアウトは既存のSkypeと同じためボタンをタップして進むと、ようやくメイン画面が現れる仕組みだ。Messaging Skype Betaの外観は、Windows Phone向けSkypeのテーマを黒色に切り替えた様に見えるが、基本機能も現時点では同じだ。ただし、Messaging Skype Betaから通話やビデオサービスを使おうとすると、一度Skypeを起動するが、すぐに元の状態に戻ってしまう。ユーザープロフィールやアプリケーションのインストール履歴を確認すると、筆者の環境ではMessaging Skype Betaとともに「Skype vireo Preview」というアプリケーションがインストールされていた。アイコンをタップしても起動しないことから、何らかの不具合が発生しているのだろう。アプリケーション名に「Beta」、説明にも「Preview」とあるように本アプリケーションは開発途上にある。だが、Messaging Skype Betaの存在は、Microsoftがデスクトップアプリ版のSkypeを改良していくのではなく、別プラットフォームで再構築するという意思を示したと言える。筆者としてはIM環境の改善に光明を見い出した気分だ。ユニバーサルWindowsアプリとして、Windows 10上で動作する日を気長に待ちたい。阿久津良和(Cactus)
2015年09月14日デスクトップ環境を核としたWindows 10において、タスクバーは重要な存在だ。タブレットモードでもタスクバーは残り、設定でボタン表示の有無を切り替えるように、Windows 10を使う上で避けて通れない。しかし、環境によっては表示領域が狭まり、使いにくさを感じる場合もあるだろう。そこで今回はタスクバーに関するカスタマイズポイントを紹介する。○どちらの環境でも「検索ボックス」はアイコン化通常のデスクトップ環境では、スタートボタンを筆頭に、検索ボックス、「タスクビュー」ボタンが画面左下に並んでいる。タブレットモードに切り替えると、スタートボタンの横に「戻る」ボタンが加わるものの、検索ボックスはアイコン化する仕組みだ。例えば複数のディスプレイを接続し、マルチディスプレイ環境でPCをお使いの場合、タスクバーの位置に悩まされることだろう。筆者はディスプレイを縦にして並べて、タスクバーを1枚のディスプレイにのみ表示させている。初期状態のまま使用すると、ピン留めしたボタン数の関係から、複数のアプリケーションを起動すると"あっという間"にアイコンが縮小表示に切り替わってしまう。このような環境では検索ボックスをアイコンに切り替えるとよい。これで検索ボックスが占めていた320ピクセルが40ピクセル程度に軽減される。○アイコンをオフしても検索機能は使用できるユーザーによっては「もっと広げたい」という方もおられるはずだ。その際は"非表示"という選択肢を選んでみよう。先ほどと同じ手順でコンテキストメニューから「表示しない」を選択すれば、タスクバーから「検索」アイコンを取り除ける。一見すると検索機能を呼び出せないように思えるが、「Win」+「S」キーを押せば検索ウィンドウが開くので安心してほしい。ちなみに、Windows 10 Insider Previewビルド10532など、Cortanaを使用する場合は「Win」+「C」キーも使用できる。同じように「タスクビュー」ボタンも"非表示&ショートカットキーによる起動"が可能だ。こちらもタスクバーのコンテキストメニューに並ぶ「[タスクビュー]ボタンを表示」のチェックを外せばよい。タスクビューが必要な場合は「Win」+「Tab」キーを押して呼び出そう。阿久津良和(Cactus)
2015年09月12日Windows 8.xから加わったチャームバーは、Windows 10では"お役御免"となり、使わなくなった(一部のWindowsストアアプリ/ユニバーサルWindowsアプリは、共有チャームを使用する)。その代わりに登場したのが「アクションセンター」だ。今回は機能的に異なるアクションセンターの使い方や活用例を紹介しよう。○アクションセンターで通知される内容とはWindows 10の「アクションセンター」は、Windows 8から加わったトースト通知や、それ以前のバルーン通知など、ユーザーに対する通知を行う機能である。Microsoftは"アプリケーションへの玄関口"と称している様に、「メール」などのコミュニケーション系ツールによる新着情報の通知もアクションセンターを介して行う仕組みだ。これらの通知に関しては「設定」の「システム\通知と操作」から動作を選択する。「通知」セクションには5つの設定項目が並び、既定では「プレゼンテーション中は通知を非表示にする」以外はすべてオンが選択されているはずだ。各設定項目は読んで字のごとく、Windows 10に関するヒントやアプリケーションによる通知許可の有無を選ぶ。また、アクションセンターに限らず、ロック画面に対する通知設定も各設定項目から選択する。さらに下方向には「次のアプリから通知を表示する」カテゴリが用意され、各アプリケーションによる通知設定が並ぶ。例えば「メール」は通知してもよいが、ゲーム関係となる「Xbox」の通知はサウンドを鳴らしたくない場合は、ここから選択すればよい。○クイックアクションを変更するアクションセンター下部に並ぶボタンは「クイックアクション」と呼ばれる機能で、特定の機能を素早く実行するために用意された。スマートフォン向けOSではお馴染みの機能だが、Windows 10はモバイル向けOSとなる「Windows 10 Mobile」とUIを共通化しているため、このような仕組みが加わっている。こちらのボタンも「設定」の「システム\通知と操作」から入れ替え可能だ。「クイックアクション」セクションに並ぶアイコンを選択すると開くリストから、表示させる項目を選択すればよい。なお、折りたたんだ状態では4つ、展開時はすべてのボタンがクイックアクションに表示される。デスクトップPCの場合はクイックアクションから機能の有無を選択する機会が少ないため、「すべての設定」「接続」「ノート(OneNote)」「通知オフ」といった項目を選択することをおすすめしたい。タブレットの場合は、BluetoothのオンオフやWi-Fiアクセスポイントの選択など多用する機会が多いため、常に展開しておいたほうが筆者は使いやすく感じた。通知の表示領域は狭まるため、このあたりは好みに応じて選択してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年09月11日Microsoftが過去の閉鎖的な姿勢を捨てて、他のプラットフォームに対しても寛容になったのは筆者が改めて述べるまでもない。日本マイクロソフトが3月にリリースした「Universal Mobile Keyboard (ユニバーサル モバイル キーボード)」は、WindowsにとどまらずiOSやAndroidにも対応し、[Win]キーを用意しない点にも注目が集まった製品だ([ホーム]キーで代替可能)。だが、同時期に米Microsoftは「Universal Foldable Keyboard (ユニバーサル フォルダブル キーボード)」を発表していた。こちらは接続デバイスが2台に減り、サイズもUniversal Mobile Keyboardの約109×242×12mmに対して、約125×295×5.3mmとわずかに大きくなっているが、折りたためるという大きなアドバンテージを備えていた。そして、9月24日から待望の日本語版が発売される。以下、Universal Foldable Keyboardについて、まずはスペックから紹介しよう。サイズに関しては前述のとおりだが、折りたたんだ状態ではCDケース程度の大きさとなる。重量が約180gと大幅に軽量化されているのも嬉しい限りだ。タブレットやスマートフォンとの接続にはBluetooth 4.0を使用する。OSの切り替えはUniversal Mobile Keyboardのメカニカルスイッチから、1段列に並ぶ[OS]キーで接続先を切り替える仕組みだ。キーボードを開いて数秒間は、Windows/Android/iOSいずれかのランプが点灯するため、OSの選択状態を把握しやすい。筆者は普段から89キー構成のBluetoothキーボードと8インチタブレットで取材を行っているが、電車内で広げるのは難しかったので、昔使っていた「ポメラ」を引っ張り出そうか日々悩んでいた。しかし、非力な筆者としては持ち歩くデバイスは必要最小限に抑えたい。そこで、発表前から2週間ほどUniversal Foldable Keyboardを借用して持ち歩いてみた。未使用時は折りたたんでバックに入れてもかさばることもない。さらにマルチOSのため、スマートフォンにUniversal Foldable Keyboardを接続して予稿を書いてみたが十分使える。もっともiOSの日本語IMEはATOKに慣れた筆者には厳しく、購入したiOS用ATOKも外部キーボードで使用できないなど、いくつかの問題は残っているが、キーボードの話とは関係ないためここでは割愛しよう。ちなみに入力方式の変更は[Fn(Command)]+[スペース]キーで切り替える。実際にキー入力した感想は、通常のキーボードと比べるとストロークの浅さは気になるものの、打鍵感は見た目以上にしっかりしている。そのため、キー一つひとつが打ちやすい。SurfaceのTypeCoverを想像するとイメージがつかみやすいだろう。ただ、開閉式のため膝の上では不安定なため、机上などしっかりとした土台がある場所での使用をお薦めしたい。ちなみに筆者は先の8インチタブレットの上にUniversal Foldable Keyboardを乗せてキーを叩くことで車内執筆を行っている。Universal Foldable Keyboardを使う上で有用な機能の一つが防滴設計だ。例えば、喫茶店でグラスの周りに付いた水滴がキーボードにしたたり落ちるようなことがあるが、その水滴も少量であればUniversal Foldable Keyboardにかかっても問題ないという。さすがにガムシロップ入りのアイスコーヒーなどは厳しいと思われるが、水滴程度はティッシュペーパーで拭けば難なく動作した。モバイルデバイスとしてはバッテリーの持ちも気になる。スペックには「約3カ月」とあり、筆者の試用期間で充電を要する場面は皆無だった。充電は付属のマイクロUSBケーブルを本体右側にあるポートに接続する仕組みだが、バッテリー残量が少なくなるとキーボード左上にあるランプが赤くなるという。筆者個人としては前述した理由により、持ち歩くキーボードをUniversal Foldable Keyboardのみに絞ることはできないが、今では携帯アイテムの一つに加えている。Universal Mobile Keyboardと異なり、スマートフォンを差し込む溝は用意していないが、別途スタンドを用意するか、同様の仕組みを持つケースを使えば問題はないだろう。参考価格は9,980円と、一般的なモバイル用キーボードと比べると安価とはいえないが、持ち歩くデバイスの重量に日々悩まされているユーザーには、Universal Foldable Keyboardの導入を一考していただきたい。阿久津良和(Cactus)
2015年09月09日Windows 10を操作する「入り口」となるスタートメニューの活用方法は、OSとしての利便性に直結する。今回もWindows 10のスタートメニューに関するカスタマイズポイントを紹介しよう。○あふれたタイルの参照方法は?スタートメニューの表示領域は有限だ。そのため、ピン留めするアプリケーションが増えるとスクロールバーが加わり、下方向にスクロールして参照することになる。筆者が疑問だったのは、タイル数が増えた場合のタブレットモードは「Windows 8.xのように右方向へスクロールするのか」という点である。そこで多くのアプリケーションをピン留めし、タブレットモードの画面(および全画面表示のスタートメニュー)で動作を検証したところ、Windows 8.xとは異なり、下方向にスクロールする仕組みだった。特に深い意味はないのかもしれないが、想見するにWindows 10の開発チームは、仮想デスクトップが左右に切り替えるアニメーション効果を加えたため、横ではなく縦方向を選んだのではないだろうか。○タイルサイズの変更とライブタイルの無効化お使いの環境によってスタートメニューの表示領域は異なるため、デスクトップ外に表示されるタイルがライブタイルを供えている場合、せっかくの機能が無駄になってしまう。この問題に対するアプローチは2つ。タイルを小さくするか、ライブタイルを無効にするかだ。上図はタイルサイズの変更だが、メニューの「ライブラタイルをオフにする」をクリック/タップすれば、同じように状態を変更できる。また、タイルの位置はドラッグ&ドロップで気軽に入れ替えられるため、好みに応じたレイアウトに変更するといいだろう。○すべてのアプリを確認するWindows 10でもアプリケーションをリストアップするロジックは変わりがなく、インストーラーなどが作成したショートカットファイルが「%ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs」フォルダー(もしくは「%AppData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs」フォルダー)にあるものを、「すべてのアプリ」から参照する仕組みである。上図のように、Windows 8.1にあった「アプリビュー」のセマンテックズームライクなメニューに切り替わるため、スクロールさせずにアプリケーションを探し出すことが可能だ。もっとも筆者は「すべてのアプリ」自体が使いにくい機能と考えているため、検索ボックスによる検索、もしくは任意のランチャーツールの導入をおすすめしたい。ちなみに「すべてのアプリ」も検索ボックスも、インデックス情報を元に列挙している。インストーラーがないアプリケーションをWindows 10で使用する場合は、前述したフォルダーにショートカットファイルを作成して行う。各フォルダーは、「shell:Programs」「shell:Common Programs」を「ファイル名を指定して実行」などから実行すれば簡単に呼び出せる。阿久津良和(Cactus)
2015年09月05日●Officeチームが主眼に置くのは……?2015年前半は「Windows 10」一色だったが、後半にはOffice 2016が控えている。9月4日からはWindows 10パッケージ版のリリースも始まり、最新動向や今後の展開が気になるところだろう。日本マイクロソフトのプライベートイベント「FEST2015」にて、2日めの基調講演に登壇したMicrosoft Apps and Services Marketing担当CVPのJohn Case氏と、Microsoft Windows Brand & Product Marketing担当ジェネラルマネージャーのJeremy Korst氏にお話を伺うことができた。今後の動向や、次期Officeの情報を紹介しよう。○アプリ&サービス責任者が語る「時は既にOffice 365」最初にCase氏が強調したのは、「ミレニアム世代の登場(*)」とワークスタイルの変革である。FEST2015初日の基調講演でも日本マイクロソフトのテレワーク週間を取り上げたが、Case氏は「2020年までに企業はミレニアム世代で構成される。彼らは我々と異なったツールやモバイルデバイスに慣れているため、これまでとは違うアプローチが必要だ」と語った。日本の少子高齢化についても触れ、「日本の人口構造はユニークだ。労働人口の高齢化も相まってワークスタイルを変えなければならない」と強調する。※ミレニアム世代 : 主に米国で1980-2000年初頭に生まれた若者。デジタルネイティブとも称される。このような背景から、プロダクティビティの向上やモダンなワークスタイルが重要だというCase氏は、Office 365とOffice 2016についても次のように語った。「新しいコミュニケーションスタイルをOffice 365に提供する。(2015年7月に発表した)Skype for Businessを筆頭に、PSTN(公衆交換電話網)回線を用いた会議やクラウドPBX(構内交換機)など、次々と新機能を投入する予定」という。また、ミレニアム世代に対するアプローチとして、2012年にMicrosoftが買収したSNS「yammer」の活用を推奨した。「ミレニアム世代が慣れ親しみやすいSNSとして、メールやSkypeよりもスムーズに話し合いが進む。私が好きな事例の1つが、英国のブリティッシュ航空だ」と説明し、「IT部門以外の社員が話し合いに参加し、コックピットの変化や自社サービスの提供方法を話題にしている」という。このコミュニケーションをフィードバックとして生かせば、活用や情報共有にも使えるはずだ。日本マイクロソフトの担当者によれば、国内でも伊藤忠商事がyammerを導入し、報告や情報のキャッチボールに活用しているという。話の主軸はOffice 365であり、日本で根強い人気を持つパッケージ版のOffice 2016に関する話は多く出なかった。その理由としてCase氏は「Microsoftの開発モデルが変わった」ことを理由に挙げている。Office 365ユーザーならお気付きかもしれないが、新機能は最初にOffice 365へ投入し、将来的にユーザーから需要があればOffice 365の機能を「Office 20XX」としてリリースする可能性があると語った。Officeチームが主眼に置くのは、Office 2016ではなくOffice 365なのである。パッケージに慣れてきた我々としては寂しい気持ちが残るものの、時代の趨勢としてはしかたないだろう。ただCase氏は「日本がOfficeにおけるユニークな市場であることは理解している。PIPC(プレインストール)版の人気が高いため、昨年展開したOffice PremiumおよびOffice 365 Soloは、PIPCを考慮したモデルとして用意した」と個人向けOffice 365の日本市場展開の仕組みを説明した。ワールドワイドの業績結果を訪ねると、Case氏は「コンシューマー向けOffice 365は1,500万人、月あたりの増加数は100万人。ビジネスユーザー数は約5,000万人、過去1年間に対する成長率は75パーセント。このような結果から、コンシューマー向けOffice 365ユーザー数とパッケージ版の比率は、前者が50パーセント以上になることを目標に掲げている」という。●Windowsを核としたビジネスモデルは揺るがない○Windowsを核としたビジネスモデルは揺るがないKorst氏は役職からも分かるように、Windowsというブランドとマーケティングを担当しており、主にエンタープライズ向けの話が中心となった。そのため、企業などでWindows 10を使うユーザーが、興味を持ちそうな点をピックアップして紹介する。Windows 10はインプレースアップグレード(*)を推奨している※インプレースアップグレード : 以前のWindowsから新しいWindowsへと直接アップグレードする方法。対語の1つにクリーンインストールがある。だが、Korst氏は「Windows 10はクリーンインストールも可能だ。ユーザーにはインプレースアップグレードと2つの選択肢がある」と説明した。インプレースアップグレードならば、ユーザー設定やアプリケーションコンテンツはそのまま引き継がれるため、環境移行のコストが抑制できる。ビジネス現場のWindowsは個人環境と異なり、必要以上の設定変更やカスタマイズを行っていないことも多い。このような環境であれば、インプレースアップグレードは現実的な選択肢といるだろう。興味深いのが、Windows 10のアップデート提供モデルだ。下図は日本マイクロソフトの報道向け資料から抜粋したものだが、CB(Current Branch)、CBB(Current Branch for Business)、LTSB(Long Term Servicing Branch)と、3つの選択肢が用意されている。この点について質問がおよぶと、Korst氏は「CB/CBBなどのモデル選択数は公表していないが、大半の企業ユーザーは各モデルの選択を検討している」という。企業トップや開発現場など部署によって意向は異なるものの、日本国内では「LTSBは1割、残りの9割はCBもしくはCBBを望んでいる」と、日本マイクロソフト Windows本部長の三上智子氏は説明した。現在開発中のWindows 10 Mobileについて質問がおよぶと、「マウスコンピューターを筆頭にWindows Phone製品が登場し、日本市場で展開する分岐点になる。日本法人もWindows 10 Mobileデバイスを根付かせるために注力する」と三上氏が回答。続けてKorst氏も「日本は世界第2位のWindows市場であるからこそ、PC、タブレット、スマートフォンと、Windows 10をリリースしたこのタイミングで市場拡大を狙う」と述べた。Microsoftは、Windows 10が今後進む世界を示している。だが、ユーザー視点ではいまひとつはっきりしない部分もあるそうだ。企業ユーザーからは「長期ロードマップを見せてほしい」という意見も寄せられているとのこと。その回答として、Windows 10 Insider Previewを提案し、IT担当者による検証を薦めているとKorst氏は語っていた。我々にとってWindows 10は、「無償アップグレード」が大きく目に映るが、基本的なWindowsのビジネスモデルは変わっていない。OEMメーカーに対する有償ライセンスやボリュームライセンスビジネスも継続している。さらに、Windows 10の無償アップグレードに伴ってWindowsストアの価値も向上し、Microsoftを含めたパートナーや開発者のビジネスチャンスが広がる可能性が高い。大胆な変革ばかり目立ってきたが、よい意味で質実剛健なMicrosoftのスタンスは今後も持続し、Windowsという名のもとに市場を広げていきそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年09月04日前回も述べたようにWindows 10 Insider Previewビルド10532は、日本語版Cortanaが新たに加わっている。Cortanaは単なる音声認識システムとしてだけではなく、情報検索や個人のスケジュール管理などパーソナルアシスタントとして活躍する予定の注目株だ。そもそもCortanaは使用結果を機械学習し、その結果を基に自己能力を高めていく。そのためリリースしたばかりのCortanaをAppleのSiriやGoogleの音声認識システムと比較するのは公平ではないだろう。そこで今回はCortanaのみに焦点を当て、Windowsの未来を担えるか検証する。○まだまだ頼りない部分もあるが今後に期待冒頭から関係ない話で恐縮だが、筆者はビルド10532の登場に合わせてメインPCをInsider Previewに切り替えた。現在はデスクトップPCに4枚のディスプレイを接続し、内半分を縦置きに並べてWebブラウザーやテキストエディターを開いている。この様な変形レイアウトのせいか、インプレースアップグレード時はディスプレイレイアウトがリセットされてしまう。そのたびに再調整するのを疎んでいたのと同時に、仕事に使うPCをInsider Previewに切り替えてよいか決断しあぐねていたが、当初からInsider Previewの検証に用いていたサブマシン(Surface Pro)の安定性を鑑みて切り替えることにした。その際、Hyper-Vがインストールされた環境だとシステムファイルのコピープロセスでロールバックする問題に出くわしたが、Hyper-V無効化後にアップグレードを実行することで無事ビルド10532に移行できる。さて、Cortanaを使う上で重要になるのがマイクである。Surface Proの場合、ディスプレイ上部にあるマイクに向かって話しかけていたが、デスクトップPCの場合、ヘッドセットマイクやデスクトップマイクなどが必要だ。今回は以前購入したLifeCam StudioをUSB接続し、改めて「マイクのセットアップ」ウィザードを実行したが、筆者の発音が悪いのか何度も文章の読み取りを繰り返さなければならない。最終的にはディスプレイの上に置いたLifeCam Studioを目の前に置き、顔を近づけて話しかける必要があった。前回同様、音声入力で予定の登録を試みると、今回はスムーズに進む。MicrosoftのGabriel Aul氏は公式ブログで「9月末に音声を改良する」と述べている。この音声(Voice)が音声認識なのか音声合成を指すのか不明だが、体感レベルではリリース直後よりも認識率が高まったように感じた。ただ、不安定な部分は本ビルドでも見つかっている。上図ではスケジュールの競合が発生し、再調整を行うために「イベントをタップ~」というメッセージが現れるものの、こちらをクリックすると「カレンダー」が一瞬起動するものの、そのまま終了してしまう。下図は別途起動した「カレンダー」だが、他のアプリケーションとの連動に関しては、まだまだ作り込みが必要なようだ。例えばMicrosoft Edgeには文字列選択時に、<Cortanaに質問>という項目がコンテキストメニューに加わる。しかし、こちらの機能は日本対象外らしく「お住まいの地域はサポート対象外です」というメッセージが現れるにとどまった。さて、クリックやタップ、[Win]+[S]キーでCortanaを開くと、ビルド10532リリース直後とは異なり、ニュースや株価、指定地域の週間天気予報が表示されるようになった。ハンバーガーメニューを開くと英語版Cortanaと同じく、<ホーム><ノートブック><リマインダー><フィードバック>と4項目が並ぶ。この<ノートブック>を開くとCortanaのホーム画面に表示するコンテンツが並んでいることを確認できた。一見するとドラッグ&ドロップによる順番の入れ替えができそうだが、本ビルドでは実装していない。表示内容に関してはコンテンツ名をクリックすると現れる画面で設定を行う。例えば「ニュース」ならトピックやカテゴリー表示の有無、ニュース項目自体の有無も選択できる。ちなみにホーム画面に並ぶコンテンツは「カード」と称するようだ。<リマインダー>は文字どおり自身に通知を行うメモ機能だが、「リマインダー」と話しかけることで登録が可能になる。今のところスケジューラーで事足りているため、よい使い方は思いつかないが、Windows 10 MobileでもCortanaが使用可能になり、外出中に思いついた要件をメモして帰宅後や出社後にリマインダーを確認する場合は便利そうだ。今回Cortanaで様々な単語を試してみたものの、使っているデバイス(マイク)の問題か、「コルタナさん」と呼び掛けても応答を確認できなかった。現時点では機能が限定されているため試せる範囲も狭かったが、今後もCortanaが成長した際は何らかの形でご報告したい。今回の試用でハッキリしたのは、Windows Helloの顔認証機能などを踏まえると、2-in-1 PCであればWindows Hello対応カメラと高精度マイクの搭載、デスクトップPCは両者を供えた周辺機器が、Windows 10利用者には欠かせい存在になりそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年09月04日Windows 10を操作する「入り口」となるスタートメニューの活用方法は、OSとしての利便性に直結する。今回から何回かにわたって、Windows 10のスタートメニューに関するカスタマイズポイントを紹介しよう。○「よく使うアプリ」を整理するスタートメニュー左上に並ぶ「よく使うアプリ」は、文字どおり使用頻度の高いアプリケーションを列挙するスペースだ。Windows XP以来の機能と同じため、ユニバーサルWindowsアプリやデスクトップアプリを問わず、順番に並ぶ仕組みだ。スタートメニューのサイズを変更しても、表示可能なアイコンは最大6つ。ピン留めや一覧から削除しない限り、その順番が変わることはない。なお、スタートメニューやタスクバーにピン留めしたアプリは「よく使うアプリ」から消えるが、ピン留めを外すと、再び「よく使うアプリ」に列挙される。以前のWindowsと同じく、自身が利用しないであろうアプリケーションを気軽に削除したほうが、「よく使うアプリ」は使いやすくなるはずだ。また、絶対に使わないと思う標準アプリケーションは、メニューの「アンインストール」を選択して削除しても構わない。具体的には、すでにOfficeをインストール済みの場合は「新しいOfficeを始めよう」、Skypeインストール後の「Skypeを手に入れよう」などだ。○「エクスプローラー」などのフォルダーを取捨選択する「よく使うアプリ」の下には、デフォルトで「エクスプローラー」や「設定」などの項目が並ぶ。Windows 10では「フォルダー」と呼んでいるようだが、ダウンロードやミュージックといった特殊フォルダーが対象となるため、このような呼称を用いてるのだろう。これらは「設定」の「パーソナル設定\スタート」から呼び出す「スタート画面に表示するフォルダーを選ぶ」で、表示の有無を選択できる。スタートメニューに表示できるフォルダーエクスプローラー設定ドキュメントダウンロードミュージックピクチャビデオホームグループネットワーク個人用フォルダー上記のとおり「電源」「すべてのアプリ」は対象外。これらの項目に用意されたスイッチをオン/オフすればよい。なお、「エクスプローラー」のようにフォルダーによってはサブフォルダー(ジャンプリスト)を表示できるものもある。阿久津良和(Cactus)
2015年09月04日海外のIT系ニュースサイト「Nokia Power User」は、Microsoftが10月19日にLumiaシリーズの新作を明らかにするという記事を掲載した。Windows 10 Mobileを搭載するスマートフォンとして、Microsoftがフラグシップモデルをリリースするのは既定路線と言えるだろう。ニュースサイトによって、その名称を「Lumia 940」とするか、「Lumia 950」とするか意見が分かれているが、本稿ではLumia 950の名称で統一する。なお、開発コード名は「Talkman(950)」「Cityman(950XL)」のまま、2機種のラインナップに変更はない。漏れ聞こえてくるLumia 950/950XLのスペックをまとめると、5.2/5.7インチの有機ELディスプレイを採用し、解像度は2,560×1,440ドット。SoCはSnapdragon 808/810を搭載する。両機ともとも3GBのメモリと32GBのストレージ、脱着可能な3000mAhクラスのバッテリを備える。海外のフリージャーナリストであるEvan Blass氏が8月末にツイートした写真を見る限り、背面カメラは凸状に飛び出すようだ。さて、Lumia 950/950XLもさることながら、個人的に気になるのは「Surface Phone(仮)」の存在だ。Microsoftは2014年の時点で、7インチクラスのタブレット「Surface mini(仮)」を開発していたようだが、フタを開けてみればWindows 10がローンチしてもデバイスが登場するような気配はみじんも感じられない。それだけならタブレット市場が飽和状態になりつつあるため、スケジュールをキャンセルしたのだろうと想像できる。だが、これだけ認知された「Surface」というブランドを2-in-1 PCにとどめる理由はない。何度となく述べているように、Windows 10 Mobileはクラウド経由の連係や同じ操作性など、個人はもちろんビジネスユーザーにも使い勝手のよいスマートフォン向けOSとなるはずである。MVNOの普及と相まって、文字どおり「どこでもデータを共有」できる環境に一歩近づくだろう。そこで問題となるのが「Lumia」の存在だ。Nokiaのスマートフォンブランドとして、お膝元である北欧での認知度は高いが、国内未発売のせいか日本においては今一つ。前述した「Surface」ブランドの方が十分な存在感を持っているだろう。関係者は、日本国内の展開について2015年8月時点で話せる内容は何もないと言う。日本マイクロソフトが公言しているように、今は下地を固めつつ、Windows 10 Mobileローンチ時に何らかの対応を図るのだろう。現時点で日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏はLumiaの日本市場投入を否定しているが、Windows 10とWindows 10 Mobileの存在や、ビジネス市場におけるWindowsのシェアを踏まえると何らかの形で国内展開にチャレンジする可能性は高い。そこで出てくるのが前述のSurface Phone(仮)である。2015年10月に米国で開催される発表会では、Lumia 950/950XL以外にもSurface Pro 4(仮)の登場に期待が集まっている。こちらは開発コード名「Skylake」こと第6世代Intel Coreプロセッサのモバイル版のリリース時期と重なるため、容易に想像がつくだろう。海外ベースだが、2013年2月に初代Surface Pro、同年10月にSurface Pro 2、2014年6月にSurface Pro 3をリリースしてきた。Windows 10リリース後であることを踏まえれば、今年Surface Pro 4をローンチするのは妥当な線と言える。冒頭で紹介したLumia 950/950XLのプレス向け画像の流出や、Surface miniのキャンセルといった事象を踏まえると、今回の発表会でMicrosoftがSurface Phone(仮)を何らかの形で発表する可能性は皆無に等しい。だが、平野氏の発言や今後も同社の主力デバイスとなるであろうSurfaceシリーズの存在を目にする度にSurface Phone(仮)の存在を否定できないのだ。Windows 10 Mobileローンチの暁には技適マークを取ったデバイスを購入し、Windows 10との連係をあらゆる角度から検証するつもりだが、普段使いのスマートフォンとして日本マイクロソフトがリリースするフラグシップモデルに期待を寄せるのは筆者だけではないだろう。現時点で国内市場に対するアプローチは法人向けが中心となっているが、そこで今以上のシェアを確保すれば、コンシューマー向けWindows 10スマートフォンの可能性もさらに高まるはずだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月31日Windows 10無償アップグレード開始後、Microsoftは初のInsider Previewとして8月18日(現地時間、以下同様)に、Fastリングを選択中のWindows Insider Program参加者にビルド10525をリリースしたが、約10日後となる8月27日昼頃にビルド10532を同リング向けにリリースした。MicrosoftのGabriel Aul氏はビルド10532における既知の問題として、Windows Helloと64ビット版Google Chromeの動作異常に関して注意を呼び掛けている。前者は一部のデバイスでWindows Helloによる顔認証が正しく動作しないため、PINやパスワード、指紋認証でロック解除してほしいと公式ブログで述べていた。ちなみに虹彩認証に関しては言及していない。後者はビルド10525で加わったメモリー管理機能に関する弊害と思われるが、対策としてGoogle Chromeを「--nosandbox」オプションを付けて起動するか、開発途中版であるCanaryビルドの使用を薦めている。なお、32ビット版Google Chromeにこのような問題は発生していない。○コンテキストメニューの整合性を改善Aul氏は多くのフィードバックを受けたことで、各コンテキストメニューを改善したと公式ブログで述べている。これだけでは、どのような変更が加わったか分からないため、下図をご覧頂きたい。以前よりも広い行間を取り、見やすくなったことがひと目でお分かり頂けるだろう。デスクトップのコンテキストメニューでサイズを確認したところ、以前のメニュー(8項目)は236×238ピクセルだが、ビルド10532では347×405ピクセルに広がっている。このように描画スペースを多く必要とするため、低い解像度のPC環境ではデスクトップ全体が狭くなった印象を持つかもしれない。ちなみにタッチ操作時のコンテキストメニューは371×577ピクセルと更に広いが、新ビルドにおける変更は確認できなかった。このようにメニュー周りの微調整やバグフィックスを行っているビルド10532だが、エクスプローラーのリボンから開くと「エクスプローラーのオプション」が「フォルダーオプション」と名称が以前のままとなるバグは修正されていない。このような変化は各所に加わっているが、顕著なのはクイックアクセスメニューの改善だ。背景色を白色から黒色に変更し、文字色も逆の白色に変更。こちらも行間調整を行うことで、各項目がひと目で分かるのは大きな変化に数えていいだろう。○日本語版Cortanaがやってきた!ビルド10532最大のポイントは音声パーソナルアシスタント「Cortana(コルタナ)」の日本語対応である。2015年7月にMicrosoftが発表したとおり、日本語版CortanaはInsider Previewから使用可能になった。ただし、筆者が確認したところ、そのままでは使用できなかった。あらかじめ「設定」の「時刻と言語\音声認識」で「日本語」を選択し、検索ボックスの設定からスイッチをオンに切り替える必要がある。続いてマイクのセットアップを行う。詳しい手順は確認できなかったが音声認識に失敗すると自動的にセットアップウィザードが起動する仕組みだが、「時刻と言語\音声認識」の<セットアップする>ボタンをクリックすれば再度実行できる。Skypeのマイク調整ウィザードと同じく、自動的にマイクボリュームを調整するロジックが用意されているため、できれば静かな場所で顔をマイク部分に近づけて文書を読み上げた方が確実だろう。筆者が試した範囲ではテレビ音声が流れる環境では正しく認識せず、テレビを消してからマイクに口を近づけてようやく音声入力が可能になった。残念ながら発表会などで見てきた英語版Cortanaのデモンストレーションと同等とは言えず、筆者の発音が悪いのか「こんにちは」といった単純な単語も認識できない。他方で「天気」「予定」といったキーワードの認識率は高く、スケジュール管理に使えそうだったが、続く選択肢の部分で詰まってしまった。日本語版Cortanaの精度に関しては、日本マイクロソフトも公式ブログも認めており、「成長を手助けしてほしい」と訴えている。そもそもCortanaは、入力した音声データをDictation(口述筆記)でテキストに変換し、その内容を元に次のアクションへ移る仕組みだ。その際の判断はサーバー側で行うらしく、インターネット接続環境が必要となる。このサーバー上で蓄積したデータが増える、つまりCortanaを使うユーザーが増えれば増えるほど精度の向上につながるのだ。いずれにせよCortanaに関しては稿を改め、もう少し使い込んだ結果を踏まえてご報告したい。○フィードバック共有やMicrosoft Edgeの機能拡張も追加Windows 10 Insider Previewに対して我々が意見や要望を述べる「Windows Feedback」にも改良が加わった。自身が投稿したフィードバックに共有機能を加え、TwitterなどSNSとの連動を可能にしている。以前関係者から「Windows FeedbackにSNS的な機能を加えることで、フィードバック数の増加や品質向上を目指したい」と意見を聞いたが、手始めとして共有機能を加えるに至ったのだろう。その他の変更点としては「Microsoft Edge」も同様にバージョンアップしている。ビルド10240のバージョンは「20.10240.16384」だったが、ビルド10532は「20.150532.0.0」とマイナーバージョンをリセットしていることを確認できた。具体的な機能差を確認するため「about:flags」を開くと、<マウス、キーボード、スクロールバーで独立したスクロールを使う><asm.jsを有効にする>といった項目がなくなっている。これらは既定で有効になったようだ。また、新たに「Encrypted Media Extensions」というカテゴリと<Enable Experimental EME features>という設定項目も加わっている。そもそもEME(Encrypt Media Extensions)は暗号メディア拡張と訳され、Webアプリケーションが暗号化された音声や映像を再生するための仕組みだ。EMEに関しては賛成・反対の意見が対立し、この数年は暗礁に乗り上げるかのような印象を持つ方も少なくないだろう。コンテンツ著作権に関しては複雑すぎて本稿で扱うのが難しいものの、セキュリティと大きく連動する部分のため、まずは実装して様子を見ていくのが正しいのではないだろうか。現在筆者はメインPCは通常ビルド(10240)、サブマシンにInsider Previewビルドをインストールしているが、ビルド10525で加わったウィンドウタイトルの配色機能や今回の改善や日本語版Cortanaの存在を目にすると、メインPCもInsider Preview版に変更したくなってくる。もちろん仕事用PCのためリスクを抱えるのは避けたいところだが、サブマシンでの動作を鑑みると、不安定な部分は累積的な更新プログラムでかなり改善されている印象を持った。現在Windows 10を使用し、何らかの不満を抱えている方はWindows Insider Programに参加して、最新ビルドを試しながら様々な意見を送ってほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年08月28日Windows 7やWindows 8.xのユーザーがWindows 10に移行して、意外と面食らうのがスタートメニューではないだろうか。新しいスタートメニューは、かつてのような階層型のプログラムメニューが存在せず、Windows 8.xユーザーから見れば「スタート画面」が小さくなって違和感を覚えるかもしれない。そこで何回かに分けて、Windows 10のスタートメニューの機能やカスタマイズを紹介していく。○デスクトップ環境とタブレットモードで異なるスタートメニューWindows 10のスタートメニューで最初に覚えたいのは、デスクトップ環境のスタートメニューと、タブレットモードのスタート画面における違いだ。一般的なPCであれば前者が選択されるが、タッチ機能を備えキーボードが着脱式のPCでは後者となる。スタートメニュー(デスクトップ環境とタブレットモード)の切り替えは、Windows 10がデバイスの状態を認識して自動的に切り替わる「Continuum(コンティニュアム)」以外にも、アクションセンターや「設定」から可能だ。ちなみに、Windows 10 Mobileを外部ディスプレイにつないでデスクトップPC化する機能は、執筆時点で「Continuum for Phones」と呼ばれている。いずれも連続体を意味するので混合しがちだが、似て非なる機能を指すので注意してほしい。さて、「システム\タブレットモード」の動作は少々煩雑なため、ここで説明しておこう。「デバイスをタブレットとして使用すると~」のスイッチは、Continuumによるスタートメニュー/スタート画面の切り替えを行うか否かを選択するものだ。デスクトップPCであれば「オフ」、タブレットの場合は使用スタイルに応じて「オン」に切り替えて構わないだろう。なお、Windows 10がPCのタッチ機能を検出していない場合、この項目はグレーアウトする。「サインイン時の動作」は文字どおり、ドロップダウンリストからサインイン時の動作を選択する項目だ。前述のスイッチと重複するように思えるが、前者はContinuumの有無に応じたスタートメニュー/スタート画面の切り替え設定。「サインイン時の動作」は、PCの機能とは関係なくサインイン時の動作を選択できる。リストの項目は「自動的にタブレットモードに切り替わる」「デスクトップに移動」「最後に使用した内容を記憶する」の3つだ。もう1つのドロップダウンリスト項目、「デバイスがタブレットモードのオンとオフを自動的に切り替えるとき」は、「確認せず、切り替えも行わない」「切り替える前に常に確認する」「確認せず、常に切り替える」という3つからアクションを選ぶ。こちらはContinuumが発する通知と連動する設定項目だ。「切り替える前に常に確認する」を選択している場合は、上図のように通知が現れる。やはり、使用スタイルに応じて項目を選択すべきだろう。タッチ機能を備えていないデスクトップPCの場合、「確認せず、切り替えも行わない」を選択するとよい。阿久津良和(Cactus)
2015年08月28日「Windows Insider Program (WIP)」に参加することで、ユーザーは不具合や機能に関する意見をMicrosoftへ送信できる。だが、そのフィードバックを送信しても「自分の意見がWindows 10に反映されているのか」と疑問に思うユーザーもいるだろう。MicrosoftはWindows 10以前から診断データを収集しているが、Windows 10はそれに加えて、使用状況を分析したデータやWIPのフィードバックをもとに改良や新機能の実装について判断している。○フィードバックはどのように反映されるか具体的には、我々が登録したWindowsフィードバックを専用のデータベースに格納。翻訳機能を使って、各国のWindows開発関係者が共有しているという。そして、開発メンバーがすべてのフィードバックに目を通して修正に値するか、優先度が高いかなどを判断し、実際の修正・開発が始まる。その開発陣もかなりの数に上る。関係者に尋ねてみたところ「数千~数万人」と把握しきれない規模であるようだ。純粋なOS開発チームだけでなく、アプリケーション開発チームやファンダメンタルチームなども含まれるため、特定するのが難しいのだろう。ちなみに、日本の開発チームが集まるマイクロソフトディベロップメントのWindows 10関係者は50~60人。開発は世界中のメンバーと常に共同作業を行うため、この数字が少ないと判断するのは早計だ。話をフィードバックに戻そう。例えばWindows 10の開発段階では、MS-IMEの単語登録機能は「単語」と「読み」のテキストボックスのいずれかが空欄のままでも登録できたという。関係者によれば、正しく単語が登録できないというフィードバックを受けて調査し、UIデザインを変更したそうだ。さらに「クラウド候補」の実装にあたり、当初は同機能をアピールする通知を表示していたが、やはりユーザーからフィードバックを受けてUIデザインの変更を行っている。このようにユーザーからのフィードバックで完成度を高めてきたWindows 10 Insider Previewは、今後もWIPBで進化するため、Microsoftは多くのフィードバックをユーザーに切願しているという。では、どのようなフィードバックが受け付けられやすいのか関係者に訪ねたところ、「バグに関しては再現性のあるフィードバックがありがたい」という。Windows開発陣はフィードバックに目を通した際、バグを再現するための操作を必ず試しているが、その手順があれば再現に失敗することも少なくなるそうだ。確かに再現プロセスを明確に記述するのは難しく、筆者も気付かないうちに問題が発生するようになった経験はWindows 10リリース以降、何度も経験している。だが、そのまま放置していても改善する可能性は乏しいため、可能であれば「Windowsフィードバック」経由で問題を報告して自身のメリットにつなげてほしい。○Insider Hubを使用可能にするWindows 10 Insider Previewユーザーには見慣れた「Insider Hub」は、Windows 10にアップグレードしても標準ではインストールされていない。そもそも同ツールはWIPBの最新ニュースやバグフィックスの結果を確認するためのクエストを実行するためのものだ。WIPに参加したなら、下記の手順でインストールしておくと何かと便利だ。スタートメニューや検索ボックスからInsider Hubを起動すると最初に「クエスト」が現れる。こちらはWindows 10の機能やアプリケーションを指示どおり操作して、その結果が意図どおりになるか否かを判断するものだ。大半のクエストはメッセージや画面が英語だが、ステップ操作の内容は単語を拾っていけば何となくわかるだろう。またプロフィールには、フィードバックやクエスト件数といった実績(アーチブメント)を示すバッジを確認できる。当初のInsider Hubには実装していなかった機能だが、ゲーミフィケーション的な要素を楽しむことで、わずかながらでもフィードバックの励みとなるだろう。MicrosoftはRTM(Release To Manufacturing version)、GA(General Availability version)といった開発プロセスを捨て去り、WIPのようなスタイルに移行した。そのため我々のフィードバックは製品品質の向上に大きな影響を与える存在となった。過去を振り返れば、Windowsに不満があっても掲示板などで愚痴をこぼすのが関の山。だが、新たなスタイルに移行したMicrosoftには、我々の意見が確実に伝わる。阿久津良和(Cactus)
2015年08月24日かつてのWindowsは、パスワードリセットディスクをあらかじめ作成し、サインイン(当時はログイン)できなくなった際にユーザーアカウントのパスワードをリセットしていた。Windows 8.x以降は、Microsoftアカウント使用時にパスワードリセットディスクの作成ウィザードを無効にし、Web上でリセット操作を行うようにしている。今回は各アカウントによるパスワードのリセット手順を紹介しよう。○ローカル/Microsoftアカウント使用時で動作が異なるWindows XP時代からPCを使ってきた方なら、パスワードリセットディスクはコントロールパネルの「ユーザーアカウント」から作成するをご存じかもしれない。しかし、ローカルアカウント使用中かMicrosoftアカウント使用中かで、その動作は異なる。上図はMicrosoftアカウント使用時とローカルアカウント使用時の「ユーザーアカウント」だが、前者はナビゲーションウィンドウに「パスワードリセットディスクの作成」が現れず、後者はWindows 7以前のように「パスワードリセットディスクの作成」項目が並ぶ。タスクバーの検索ボックスで「パスワードリセット」を検索すると「パスワードリセットディスクの作成」が候補として示されるが、Microsoftアカウント使用時は選択しても警告音のみで具体的な動作はない。基本的にはWindows 8.xと同じ動作なのだが、改めて確認すると少々不親切である。○パスワードリセットディスクの作成Windows 10をローカルアカウントで使用中の場合、いつでもパスワードをリセット可能にするため、パスワードリセットディスクを用意しておくべきだ。名前は「ディスク」でも、実際に使用するのはUSBメモリーである。ただし、使用する容量は数Kバイト程度のため、最小限の容量を持つUSBメモリーで構わない。○パスワードリセットディスクの使用方法パスワードリセットディスクは、サインイン画面でパスワードによるサインインに失敗すると使用可能になる。先ほど作成したUSBメモリーをPCに接続し、ウィザードの指示に従ってパスワードを再設定すればよい。○Microsoftアカウントのパスワードを再設定するMicrosoftアカウントをお使いの場合、Microsoftが用意しているWebページから、パスワードをリセットする。以前と同じパスワードは設定できず、執筆時点では8文字以上の英数字を用いなければならなかった。PCが使えない場合は、スマートフォンや別のPCを使ってリセットを実行するとよいだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年08月22日Windows 10では通常のパスワードではなく、PIN(暗証番号)によるサインインを推奨している。Microsoftによれば、Windows 10アカウントに用いるパスワードと、各種Webサイトの認証パスワードを共通化するケースが多いという。パスワード漏えい時のセキュリティリスクを鑑みた結果、必要最小限でもパスワードおよびPINの設定、デバイスが対応していればWindows Helloによるサインインを推奨する結果となった。しかし、何らかの理由でPINによるサインインが動作しなくなるケースも決してゼロとは言えない。今回はPINによるサインインが動作しなくなった場合の対処法を紹介する。○「パスワードは時代遅れ」とは?Windows 10のインストール時やローカルアカウントからMicrosoftアカウントに切り替える際、PINの設定をうながしてくる。このPINはWindows 8.xから導入されたもので、4桁の数字を用いてサインインする機能だ(Microsoftアカウントもしくはローカルアカウントのパスワードを使わない)。Windows 10ではPINの桁制限を取り除いているが、気になるのは「パスワードは時代遅れです」というメッセージだろう。パスワードの安全性を高めるには、「長く」「複雑に」「定期的に変更」といった欠点が多く、MicrosoftはPINやWindows Helloといった認証方法を推奨するようになった。そのため「パスワードは時代遅れです」と表示して、一般的な環境ではパスワードとPINの併用を推奨している。PINはPC側で管理するため、何らかのサーバーがハックされた場合でも漏えいする可能性は少ない。○PINをリセットする問題は肝心のPINを忘れてしまった場合だ。Windows 10のPINは5桁以上の数字も使用できるため、忘れてしまうこともあるはず。その際は、サインインオプションを「パスワード」に切り替えれば難なくサインインできるだろう。さて、その後、PINを再設定すれば簡単に済むと思いがちだが、PINのリセット(再設定)時は各サイトにサインインし直さなければならない。これはハックされた場合のセキュリティリスクを最小限に抑えるための措置だ。PINをリセットするには以下の手順を実行する。これでPINのリセットが完了した。問題はWindows 10に何らかの問題が発生し、PINをリセットできないケースだ。少々難しいため本連載では推奨しないが、PIN情報は「C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc」フォルダーに格納されている。こちらのフォルダー所有者をAdministratorsグループに変更し、アクセス権もフルアクセスを付与してから、フォルダー内のファイルをすべて削除する。なお、それでも削除できないフォルダーやファイルが残る場合はスキップして構わない。その後「サインインオプション」を開くと、「PINを忘れた場合」が表示されず、「変更」ボタンで再設定が可能になる。ただし本操作によってどのような悪影響が発生するか確認しきれないため、あくまでも最後の手段として試してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年08月21日2015年7月29日、Windows 10無償アップグレードが無事始まった。多くのユーザーはWindows 10へ移行し、新たな環境を楽しんでいる方もいれば、互換性の問題などから四苦八苦している方もおられるだろう。無償アップグレードから約2週間経った8月18日(現地時間)、Microsoftは無償アップグレード初のInsider Previewとなるビルド10525をリリースしたことを公式ブログで発表した。新たに配色やメモリー管理の強化が加わっている。○タイトルバーの背景色と新メモリー管理機能を実装したビルド10525多くの場面で語られているように、Windows 10は7月29日の無償アップグレードが完成ではない。「Windows as a Service」というキーワードを元に常に進化するOSとして、多くの新機能や仕様変更が今後も続いていく。その先陣を切るのがWindows Insider Programに参加ユーザー向けに早期提供を行うInsider Previewだ。MicrosoftはWindows Insider Program参加者にWindows 10 Insider Previewを試してもらい、機能的な問題や意見など幅広いフィードバックを求めている。だが、既にWindows 10 Insider Previewを試している本誌読者の場合、これ以上の説明は不要だろう。早速2015年8月18日(現地時間: 日本時間は8月19日早朝)にリリースしたビルド10525の特徴を紹介する。公式ブログの説明によれば、多くの期待を集めていた音声パーソナルアシスタント「Cortana」の日本語版は未実装だ。さらにモバイルデバイス向けのホットスポット機能はDHCPサーバーからのIPアドレス割り当てに失敗するため、正しく動作しない。その他にもユニバーサルWindowsアプリの「映画&テレビ」は動画再生の問題が発生し、オプションの言語パックもインストールできないと言う。ただし、後者の問題は今週後半以降に改善する予定だ。Windows 10 Insider Previewを普段使いのPCにインストールすることは推奨されていないが、前述した機能が必要な場合はあらかじめ注意してほしい。ちなみにビルド10525への更新プログラム名は「th2_release Professional 10525(Professional部分はお使いのエディションによって異なる)」。ビルド10240と同じく「th(Threshold?)」を名称を使用し、番号も増加した。また、インストールプロセスは以前のInsider Previewと同じく「Windowsをアップグレードしています」のメッセージが現れるアップグレード型。そのため、お使いのPCによっては30分から1時間以上の時間を要するだろう。さて、ビルド10525に加わった新機能を大別すると1つめは配色、2つめはメモリー管理と、OSG(Operating Systems Group)FundamentalsチームのエンジニアリングジェネラルマネージャーGabriel Aul氏は、「圧縮ストアと呼ばれる新しい概念を追加した」と前述の公式ブログで説明している。そもそもタイトルバーの背景色は、Windows 10で白色に固定されていることは改めて述べるまでもない。筆者はWindows 10無償アップグレード以前に別の連載コラムで、テーマファイルを編集してタイトルバーの配色を変更する記事を寄稿したが、初心者には難しいらしく何名かの読者から手順の説明を求められた。このことからWindows 10のタイトルバーに対する配色は、一部ユーザーの間で不評であることが分かる。Windows 10開発チームにも同様のフィードバックが集まったらしく、ビルド10525には「設定」の「パーソナル設定\色」を開くと項目名自体に変化はないものの、「スタート、タスクバー、アクションセンターに色を付ける」のスイッチをオンに切り替えると、エクスプローラーなどのタイトルバーにアクセントカラーが背景色として加わる仕組みだ。これは実に分かりやすい。文字色は黒色のままのため、自動選択されたアクセントカラーによっては見にくくなるものの、白色のタイトルバーに違和感を覚える方には好評を得るだろう。もう1つはメモリー管理方法の変更。Aul氏は「圧縮ストア(Compression Store)と呼ばれる新しい概念を追加した」と前述の公式ブログで説明している。通常であればWindows 10は物理メモリーが足りなくなった場合、ページファイルにメモリー上のデータ(ページ)を待避し、新たなアプリケーションなどのために空き領域を確保してきた。だが、圧縮ストアは同様の状況になると、プロセスごとに存在する未使用ページを圧縮することで、空き領域を確保する仕組みを備えている。その結果タスクマネージャー上でプライベートワーキングセットを確認すると、以前よりも多くのリソースを消費しているように見えるそうだ。最近はJavaScriptも実装しているガベージコレクターを連想すると分かりやすい。こちらの効果は長期間使用しないと何とも言えないが、筆者の環境では64ビット版Google Chromeがクラッシュする現象に遭遇した。圧縮ストアの影響かGoogle Chrome側のメモリー管理の問題か判断できないが、32ビット版Google Chromeであれば動作するので、同Webブラウザー愛用者は一時的に32ビット版をインストールすることで問題を回避できるだろう。この他にも「エクスプローラーのオプション」ダイアログに違和感を覚える動作を確認できた。そもそもビルド10240でも、コントロールパネルではなくエクスプローラーのリボンが起動すると名称が以前の「フォルダーのオプション」になるバグが残っているが、ビルド10525ではアイコンの位置がずれている。これはビルド10240で(キーボード&マウス操作でも)タッチ操作向けの行間設定が有効になる問題が残っていたが、ビルド10525で改善したもののアイコンの位置を表示するコードまで修正できなかったのだろう。動作自体は問題はないものの、軽微なバグが残っていることを踏まえると、早い時期に新ビルドが現れそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月20日日本マイクロソフトは品川本社オフィスにて、社員の家族を呼び、父親や母親の働く姿を見せる「品川オフィスファミリーデー」を開催。2011年から数えて5回目となり、1,382人(369家族)が訪れた。このような取り組みは既に珍しくなっているが、日本マイクロソフトがここ数年力を入れている「テレワークスタイル」を体現した姿も実際に垣間見られた。○お祭りのような参加型プログラムが盛りだくさん2015年8月17日開催の品川オフィスファミリーデーは、1階のイベントスペースで来場受付を行い、20階~22階、24階~29階で社員が働いている姿を目にしながら、19階のカフェテリア「One Microsoft Cafe」で食事したり、各フロアでイベントに参加したりする。最初に訪れたOne Microsoft Cafeでは、Microsoft Azureなどを駆使して栽培された富士通の「キレイヤサイ」試食会、性別や国籍などの垣根をなくすダイバーシティを推進する虹色フィンガープリントペインティング、一部で話題の「How Old Do I Look」を実際に試せるブースを設けていた。ランチスペースには、日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も訪れ、社員の家族と楽しそうに会話していた。そのときの話を平野氏に聞くと、「(社員の)奥様などは緊張していたらしく挨拶程度だった。でも実際に顔を合わせて話をできるのは大きい」と述べていた。その平野氏が働く社長室は、実にシンプルなたたずまいである。社長就任から一カ月半しかたってないが、社長室に持って来たのは段ボール半分だけ。卓上に並んでいたのも、ノートPC、Surface Pro 3、電話機、大きめの液晶ディスプレイといった程度。プリンターの設置を断るほど、ペーパーレスを実践しているそうだ。続いて同じフロアにある新設の会長室も取材したが、平野氏の社長室と同じ様にシンプル。違いを挙げるなら、以前から使っている冷蔵庫とプリンターがある程度。ただ、代表執行役会長の樋口泰行氏はアイディアを壁に書き留める習慣があるため、一部の壁面を白紙で隠していた。Microsoftの動向という意味で非常に興味深いが、最後まで目にすることはできなかった(これはしかたない)。もともと「品川オフィスファミリーデー」は、樋口氏が社長の時代から、コーポレートオペレーションズ(旧社長室など各部署が統合)が中心となって始めたものだが、その様子は年々変わっているようだ。日本マイクロソフトは、数年前から社員の席などを決めないフリースタイルを導入しており、Skype for Buisinessで簡単なコミュニケーションや打ち合わせを済ませるといったように、社内での働き方が大きく変化したという。さらに「日本マイクロソフト社内で行っていたフリースタイルを社外に広げたのが、我々が推進するテレワークの形」とも。技術革新で働き方が変わり、それを誇りと思える文化が社内に芽生えてきた。そんな自分の姿を家族に見てもらえるは嬉しいという。話を戻して、品川オフィスファミリーデーの会場で人気を博していたのが、「マイクロソフトのIDカードを作ろう」だ。社員が使っているIDカードに、子どもの写真を印刷するというサービス。取材関係者が訪れたときは、何十人も列を作って撮影や印刷を待っていた。「楽しもう! Officeライフ」は、Microsoft Officeのテンプレートを使ってさまざまなグッズを実際に作れる体験プログラムを開催。数年前から日本マイクロソフトはOfficeテンプレートに力を入れているが、正直なところこれほど多様なグッズを作れるのかと、恥ずかしながら驚かされた。「天体観測ワークショップ」を題した体験プログラムは、Surface Pro 3と宇宙の美しい画像を閲覧できるプラネタリウムソフト「WorldWide Telescope」で構成している。「お絵かき水族館」は、チームラボと日本マイクロソフトが共同で開催した体験プログラム。お子さんが塗り絵した魚の画を立体スキャナーで読み取り、バーチャル水族館に映し出すというものだ。これらのアプリケーションはWindows 10上で動作している。実際に参加したお子さんに感想を聞いたところ「ワクワクした」と嬉しそうに語っていた。この他にも記者向けとして、社内に設置してあったSurface HUBを披露。ちょうどMicrosoftは2015年7月に予想以上の注文件数が集まった結果、出荷時期を2016年1月以降に延期すると発表したばかりだが、筆者も本体を目にするのはこれが初めてだった。普段はすれ違う人もまばらな社内の廊下だが、この日ばかりは家族連れがところ狭しとあふれんばかりの盛況ぶり。まるでお祭りのようだった。平野氏は自身のお子さんから仕事内容を問われ、口頭で説明すると「メールを打って人と話すのが仕事なの?」といわたと苦笑していた。職場でどのように働いているかを家族に見てもらう品川オフィスファミリーデー、日本マイクロソフトは来年以降も続ける予定とのことだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月18日○開発に参加できるWindows Insider ProgramMicrosoftはWindows 10リリースに至るまで、「Windows Insider Program」(以下、WIP)を実施してきた。プレビュービルドで発生した問題や機能に対する意見を収集し、Windows 10の開発に大きく役立てているのは、同プログラム参加者やプレビュービルドの変化を見てきた方なら理解できるだろう。WIPの目的を語るうえで欠かせないのが「Windows as a Service」というキーワードだ。Windows 8.x以前のように数年に一回進化するプロセスを改め、Windows 10は常に更新・進化するOSとなることを意味する。だが、必ずしも変化を求めるユーザーばかりではないため、MicrosoftはCB(Current Branch)やCBB(Current Branch for Business)といったアップデート提供モデルを生み出した。そこで重要になるのがCBよりも前に位置する「WIPB(Windows Insider Preview Branch)」である。Windows 10に新機能やセキュリティホールを塞ぐ更新プログラムを適用し、安定性やユーザー評価を得るためのモデルだ。例えば、Linuxディストリビューションの一つ「Debian GNU/Linux」は、安定版(stable)以外にもテスト版(testing)、不安定版(unstable)と3つのリリースを用意している。テスト版は次期安定版に取り入れる予定のパッケージを含むもの。不安定版は大規模な変更やライブラリレベルのアップデートが行われる。Debian Projectは不安定版を「プログラム開発者や、多少の危険を厭わない方向け」と説明している。Windows 10 Insider Previewは、Debian GNU/Linuxのテスト版に相当するものと言える。一方、Microsoft社員数万人がテスターとなるベータテストは、Debian GNU/Linuxの不安定版に該当する。ベータテストは米国本社以外にも、日本マイクロソフトを含む各国でも行わているという。WIPBはCBやCBBの基礎となるため、WIPはWindows 10リリース後も続く。例えば、今後数カ月のうちに音声パーソナルアシスタント「Cortana(コルタナ)」の日本語版がいち早くWIPBで使用可能になる。このようにWIPでは常に最新のWindows 10を使用できるが、いいことばかりではないのも事実だ。WIPBは必ずしも安定性を担保しないため、何らかのトラブルが発生した際は、自身で解決できる能力が必要となる。また、意図せぬトラブルやアプリケーションやデバイスとの互換性問題が発生しないとも限らないため、常用PCへのインストールもお薦めできない。だが、WIPに参加するメリットとデメリットは表裏一体だ。誤解を恐れずに述べれば、Windowsに限らず、バグのないプログラムは世に存在せず、完全な堅牢性を得ることは基本的に難しい。見方を変えればWIPに参加することで、自身が"Windows 10の開発に参加できる"ことを最大のメリットと考えていいだろう。○Windows Insider Programに参加するすでにWindows 10に移行したユーザーがWIPに参加するのは簡単だ。「設定」の「更新とセキュリティ\Windows Update」の<詳細オプション>を開き、「Insiderビルドの入手」の<開始する>ボタンをクリックするだけでよい。また、サブマシンにWIPBを新規インストールする場合は、「Windows 10のダウンロード」からMedia Creation Toolをダウンロードし、インストール用のUSBメモリーやISOファイルを作成する。OSの新規インストール手順などは拙著記事をご覧いただきたい。なお、執筆時点ではWIPBは製品版と何ら変わりはないが、WIPの説明によれば2015年9月15日より次のビルドへアップグレードする通知が送られるという。つまり同日からWIPBが始まり、新機能が試せるという具合だ。ちなみにMicrosoftはその間遊んでいる訳ではない。関係者によればWindows 10はもちろんWindows 10 Mobileの開発を続けている。日本でもフィードバックの整理やMS-IMEに加わった「クラウド候補」のチューニングを行っているそうだ。WIPへの参加をためらうユーザーが気になるのはプライバシー情報の保護についてだろう。この点に関してMicrosoftは収集情報を明確にしており、こちらのページで内容を確認できる。かいつまんで紹介すると、接続したデバイスやインストールしたアプリケーション、ファイルを開く際に使用したアプリケーションや所要時間などを収集するという(後編へ続く)。阿久津良和(Cactus)
2015年08月17日8月7日からWindows 10のパッケージ版およびダウンロード版の予約受け付けが始まった(発売は9月4日)。既報のとおり、米Amazonは8月30日から販売を開始するので、日本国内は数日遅れのスタートとなる。パッケージ版の価格は、Windows 10 Homeが13,800円、Windows 10 Proが25,800円(ともに税別)。PCパーツとセットで販売されるDSP版よりも若干安い。なお、パッケージ版のメディアはUSBメモリのみ。光学ドライブを備えていないPCやタブレットが増えていることからDVD-ROM版の提供を見送ったのだろう。Microsoft Storeではダウンロード版も選択できるが、原稿執筆時点では「近日公開」となっており、予約を受け付けていない。Windows 10の販売開始に伴い、現行のWindows 8.1やWindows 8.1 Pro、Windows 8.1 Pro Packのパッケージ版およびダウンロード版は8月31日をもって出荷を終了する。ちなみに、Windows 8.1のパッケージ版は2013年10月18日に発売され、Windows 7は同月31日に出荷を終了した。そのWindows 10だが、Microsoftは更新プログラム「Service Release 1」として「Cumulative Update for Windows 10」を8月5日(現地時間)にリリースした。変更が加わるファイル数は3,912アイテムにもおよぶ。文字どおり、累積したアップデートだ。あくまでも噂レベルだが、10月には「Service Release 2」も予定しており、Microsoft EdgeへJavaScriptベースの拡張機能追加や、新たなメッセンジャーが搭載されると、多くの海外メディアが報じている。The Vergeの記事によると、iOSのメッセージとFaceTimeに似たサービスとしてSkypeの統合を目指すそうだ。さらにバッテリー寿命の延長もService Release 2では実現する予定である。Windows 10は、Windows 7の使い勝手のよさとWinodws 8.xで加わった新機能を備えたOSながらも、一部に不安定さが見受けられるのは実に残念だ。筆者が体験した限りでは、2年間使い込んだWindows 8.1からアップグレードした際はコンテキストメニューの「設定」から「ディスプレイ」を起動すると「このオペレーティングシステムではms-settings:displayは実行されません」というエラーダイアログが出るトラブルに悩まされた。関連付け設定の修正などいくつかの方法を試みたが解決せず、Windows 8.1の新規インストール環境からアップグレードしたところ前述のトラブルは改善したが、Cumulative Update for Windows 10を適用したところ、今度は本稿執筆中に「設定」が起動せず、スタートメニューも開けなくなってしまった。イベントログによると「CortanaUI のライセンス認証がエラー」で動作しないという。この他にもレジストリにキー名が理由でアクセスできないエントリーが加わるトラブルに出くわした。後者はインストールしたアプリケーションとの相性で発生したと思われるが、前者はInsider PreviewはもちろんTechnical Preview時代にも現れなかったトラブルである。ネット上ではPowerShell経由で修正を行うという情報も見かけたが、筆者の環境では改善しなかった。前述した新機能も興味深いが、まずはモジュール間の整合性などリソース管理向上をMicrosoft開発陣には強くお願いしたい。阿久津良和(Cactus)
2015年08月10日