西川美和監督の最新作『夢売るふたり』が8日に全国で封切られ、東京・新宿ピカデリーで西川監督をはじめ、主演の松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、江原由夏、木村多江、笑福亭鶴瓶が初日舞台あいさつを行った。その他の写真火災ですべてを失った夫婦(松、阿部)が、再起をかけて“結婚詐欺”に手を染めていくという男女の愛憎を描いたヒューマンドラマ。すでに第37回トロント国際映画祭(6日開幕)のスペシャル・プレゼンテーション部門への出品が決定しており、壇上にて第31回バンクーバー国際映画祭、第56回ロンドン映画祭、シカゴ国際映画祭、オーストラリア日本映画祭に出品されることも発表された。舞台あいさつの翌日に、トロント入りするため日本を発つ予定の西川監督は「国境を超えていける映画という文化は、やはりいいものだと感じています。日本の恋愛事情や結婚観、女の生き方を海外の人々にも観てもらえれば。これを機会にもっと遠い国の皆さんにも観てほしい」と意気込みを語った。ちなみに、海外上映の際の英語タイトルは『Dreams for Sale』になるとのこと。夫に結婚詐欺をけしかける妻を演じた松は、役作りのためにフォークリフトの運転免許を取得し、「たまには勉強もいいもんですね。それに免許がなくてもいい西川監督が一緒に受験してくれました。ありがとうございます」と感謝しきり。学科教習の際、居眠りしてしまう瞬間もあったといい、「居眠りする松たか子を初めて見ました」と西川監督。一方、次々と女性を手玉に取る夫を演じた阿部は「いろいろな表情を引き出してくれた。自分でも『あんな顔するんだ、おれ』と思ったほど」と西川演出に舌を巻いた。そんな阿部に対し、西川監督は「いやあ、阿部さんのこと、私も好きになりそうでした。現場の女性スタッフもみんなそう言ってましたよ」とにやけ顔。すかさず、西川監督の前作『ディア・ドクター』に主演した鶴瓶が「僕のときは、どうだったの?」とツッコミを入れ、会場を笑いに包んでいた。『夢売るふたり』公開中
2012年09月10日映画『夢売るふたり』が9月8日(土)に公開を迎え、都内劇場で初回上映前に行われた舞台挨拶に主演の松たか子に阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江、江原由夏、笑福亭鶴瓶、西川美和監督が登壇。また本作が、すでに発表された第37回トロント国際映画祭に続き、第31回バンクーバー国際映画祭、第56回ロンドン映画祭、第48回シカゴ国際映画祭など各国の映画祭に出品されることが明らかになった。『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川監督の最新作で松さんと阿部さんは夫婦役で初共演。火事で全てを失った2人が再起のために結婚詐欺で女性たちから金を巻き上げていく姿を描く。この日は「いまだから言いたいこと」をテーマに、登壇陣がフリップに書いた答えを一斉に発表。ほんの数秒のあるシーンのために松さんはとある特殊技能の免許を取らなくてはならなかったが、監督やスタッフも松さんに付き合って一緒に講習、試験を受けたそう。松さんのフリップには「一緒に受験してくれてありがとう」と感謝の言葉が綴られた。監督が講習をふり返り「授業中に居眠りする松たか子を初めて見ました(笑)」と明かすと、松さんは「私も人間なので…」と苦笑いを浮かべていた。阿部さんも監督に向けて「いろんな表情を引き出してくれてありがとう」と感謝の言葉。「火をつけられたり、何かをかけられたり、ひっぱたかれたり、セックスしたり…。『あんな顔するんだ?おれ』と思いました」と嬉しそうに語る。監督のフリップの下の方には小さく「アベさん本当はスキでした」との告白が。監督は「カメラの横で見ていて本当に阿部さんを好きになりそうになりました。女性スタッフに話したらみんなそう言ってました」と阿部さんの名演に、監督・スタッフまでもが劇中の女たちさながらに心奪われたよう。それを聞いた前作『ディア・ドクター』で主演を務めた鶴瓶さんが「『ディア・ドクター』のときは主演俳優を好きになることはなかったんですか?」と心外そうに突っ込むと、監督は「それは…」と口ごもり客席は笑いに包まれた。ウェイトリフティングに全てを懸ける女性を演じた江原さんは、4か月にわたってトレーニングを積んで撮影に臨んだ。実際に関東大会に出場し2位に輝くなど関係者から本物の選手としてやっていけるというお墨付きをもらったというが、そんな江原さんはフリップに「もうムリ…」とトレーニング中に感じたという本音を綴った。「本当に苦しくて1日に総量で6~7トンを上げて体はボロボロでした」とふり返る。そんな江原さんの答えを予測したかのように監督のフリップの中央には「江原さん、がんばってくれてどうもありがとう」という感謝の言葉が綴られていた。田中さんと鈴木さんはそれぞれ阿部さんとのシーンでの“やり過ぎ”を謝罪。特に田中さんは阿部さんをボコボコに殴るが、鶴瓶さんは「あれはひどかったで…。『私こんなのできるかしら?』って言ってたのに、次の瞬間にやってましたから(笑)」と田中さんのバイオレンスな一面(?)を暴露。阿部さんも「男性も含めて一生のうちであんなにやられたことはないです」と語り、監督も「カットが掛かった瞬間に鶴瓶師匠が『やめたれ!』って言ってましたからね」とうなづく。田中さんは「顔が赤くなって紫になって…顔ってこんな風に腫れるんだ?って思いました(苦笑)」と申し訳なさそうに阿部さんに頭を下げていた。西川監督は明日9日(日)にトロントに向けて旅立つが「日本の結婚観などが外国でどう見られるか楽しみです」(西川監督)、「海外の方がどこに共感し、どこに違和感を持つのか?楽しみです」(松さん)と海外映画ファンの反応への期待に胸を膨らませていた。また舞台挨拶の冒頭に松さんは、先日の舞台出演中に転落して現在治療中の実兄・市川染五郎の事故に触れ、心配をかけたことを詫びると共に「順調に回復しています」と報告。「彼に少し時間をやってください」と語った。『夢売るふたり』は新宿ピカデリーほか全国にて公開中。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月08日『ゆれる』『ディア・ドクター』と観る者の心を静かに揺さぶる物語を世におくり出してきた西川美和監督の最新作『夢売るふたり』。火事で全てを失った夫婦(松たか子&阿部サダヲ)が結婚詐欺を繰り返すという、どこかファンタジーのようにも思える奇妙な設定の下、“愛とは何か? 結婚とは何か?”を生々しく問いかける。その他の写真初めて“女を描く”というテーマに臨んだ西川監督。「ダメな男のどうしようもない、でも魅力的なところを描いた映画はたくさんあるけれど、女のキャラクターというのは常にそれの引き立て役であり続けた気がするんですよね。だから私の知るかぎりの女の“ダメ”を描きたかった。結末が見えないまま発車して、いろんな角度から女を描き、日々実験を繰り返した感じです。阿部さんと松さんを見ながら『こういうふたりだったのか』と分かる部分がたくさんありました」と振り返る。金もなければイケメンでもない(失礼!)貫也に女たちは驚くほど簡単に騙されていく。阿部は彼女たちの気持ちについて「分からないですねぇ(笑)」と言いつつ、「理解できないからこそ演じるのが難しいし、面白かった」とも。「田中麗奈さんの涙を指で拭うシーンがあるけれど、現場の誰も、そんなことやったこともやられたこともないんですから(笑)」と照れくさそうに語る。本作は、女たちのセリフのひとつひとつが底知れぬ“深み”を帯びている。例えば愛人として生きてきた玲子(鈴木砂羽)が漏らす「すごいですね、奥さんて」というひと言。何気ない口調で放たれた言葉がなぜか脳裏にこびりつく。西川監督は「30年以上女として生きてるので、いろんな人の言葉が私の中に残ってます。妻子ある男の人を好きになった女性が発する『奥さん』という言葉に普通とは違う響きがあったりね」と静かに笑みを浮かべる。騙される女たち以上に女という生き物の生々しさをさらけ出すのが、夫の結婚詐欺を斡旋する妻・里子。唯一無二の存在感でもって演じた松たか子について「現場で見たときは怖さを感じなかった」という西川監督だが、「積み重ねてきたカットを編集で繋いだときに怖いと思いました。松さんが映ってるカットには『もう1秒だけ』とのばしたくなる吸引力があるんです」と明かす。夫として彼女と共に歩き、対峙した阿部は言う。「松さんは普段があまりに穏やかなので、スイッチが入ったときの怖さが倍増するんです。お風呂で浮気を問い詰められるシーンは、にらまれた瞬間に心から『申し訳ない』って思いましたね。電車でのシーンでも台本のト書きに『目が三角になる』とあったけど、本当になってましたから(笑)」。『夢売るふたり』9月8日(土)より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹阿部サダヲ:ヘアメイク・荒川英亮スタイリング・チヨ(コラソン)
2012年09月07日笑いを生業とするこの男の瞳の奥の“哀しい光”に惹かれて、熊切和嘉監督は主演をオファーしたという。「僕は元々決して明るい方ではなく、どちらかというとネクラ。それを監督に見抜かれたのかな?」。お笑いコンビ「チュートリアル」として活躍する徳井義実は少し自虐的な笑みを浮かべる。映画は『莫逆家族 バクギャグファミーリア』、役柄はかつては関東一の暴走族のアタマを張り、いまは家族のために建設作業員として働く男・鉄。中学、高校とヤンキー的な要素が全くなかったという徳井さんはオファーに戸惑い、一度は断ろうとしたが「監督の人柄」を理由に出演を決める。この決断がこれまで思いもよらなかった自身の中の様々な思いや感情を発見させることになった。撮影を通して芽生えた「父親」の思い「正直、ヤバいな」――。元・不良という設定に加え、玉山鉄二、阿部サダヲ、大森南朋に倍賞美津子といった実力派の共演陣。オファーを受けた当初の徳井さんの偽らざる心情である。さらに、人気漫画が原作であるということも「オレでホンマに大丈夫か?」という不安を増幅させた。「(原作者の)田中宏先生には現場でも何度かお会いしましたが、『僕で大丈夫ですか?』という言葉が出かかりましたよ。その段階で聞いて『本当は…』とか言われたらシャレにならないんで聞けませんでしたが(苦笑)。僕もレベルは違えどモノを作る人間。僕らは自分が書いたネタを自分でやるけど、もし他人がやることになったら『この人じゃないのに』とか『こんな言い方じゃない』っていう思いは絶対にあると思うんです。あとから先生に聞いたら(徳井さんが主演ということに)最初は『えっ?』って思ったらしいです。そりゃそうだと思います(笑)。出来上がった映画を観て『よかった』と言ってくださいましたけど」。「メンタルの部分での役作りというのもなく、ワンシーンワンシーンを積み重ねていった」と徳井さん。これまで体験したことのない不良の世界に身を置く中で「自分はこういうとき、こんな声を出すのか?とか、自分で感じたことのない感情を初めて体験することが多い作品だった」とも。特に“父親”を演じることで強く感じる部分があったという。「どちらかというと役になりきるというよりも冷静に演じてる感じだったんですが、父親ということに関しては、撮影が進むにつれて自分の中に“父”としての感情が徐々に芽生えてくるのを感じました。林(遣都)くんのことが本当に息子のように思えてきて…。ラストの遊園地での林くんとの2人きりのシーンはグッとくるものがありましたね。あれは撮影の最初の頃だったらできなかっただろうと思います」。演じながら自身の10代の頃の父親との関係に思いを馳せることも。「何となくコミュニケーションがうまくいかなかったり、ピリピリしたものがあるという意味では、うちのオヤジとの関係に近かったです。演じながら“中1のときにタバコ吸ってどつかれたとき、親父はこんな気持ちだったのかな?”なんて思いながらやっていた部分もありますね」。父とのギクシャクした関係は20歳を超えても続いた。当初、徳井さんの父は息子がお笑いの道を志すことに対し、あまりいい顔をしなかったという。「面と向かって『お前、そんなのやめろ』とか言うわけではないんですよ(笑)。オカンを通して『やめさせた方がええぞ』とか言ってたらしいです。こっちも黙って続けてたんですがあるとき、オヤジが僕らの舞台を見に来たらしくて、それを見て納得してそこから何も言わなくなりましたね。それも後からオカンに聞いたんですが」。ちょっとした父と息子の感動の和解のドラマだが、それを語る徳井さんの口調は淡々としている。「僕自身、割と冷静な方であまり感情的になることがないんですよ。だから『あのオヤジに認めさせてやろう』みたいな気持ちもなかったし(笑)。どちらかと言えば、当時から『オヤジもそりゃ反対するよな』と当然のような気持ちでいたので」と何だか申し訳なさそうに語る。俳優・徳井義実の次なる野望は?しかし、それだけ冷静に自分も周りも見渡せる男が、決して“カタギな世界”とは言えないお笑いの道をなぜ選んだのか?そう尋ねると「友達に誘われて…(笑)」とまたも申し訳なさそうに、しかしあっさりと答えが返ってきた。「でも素人なりに自信があったんですよ、『おれは面白い』って。ただ、まさかプロになろうとは思ってなかったし、浪人することも決まってたんです。なのに友達がNSC(吉本総合芸能学院)の願書を持ってきて『あとはお前の名前とハンコだけや』って(笑)。浪人しながらでいいからと言われてNSCに行くことになったんです。でもその後で、僕を誘ったその友達がお笑いをやめてしまって(苦笑)、僕もお笑いをやめて大学に行ったんです。『何なんやろうな、おれは?どうせ大したとこに就職もできんやろうな』って思ってたときに、やっぱり俺はお笑いが好きなんだって思えたんです。そこから福田(充徳)と組んでようやくやり始めて、それが僕らにとっての就活でしたね」。劇中の鉄は時の流れの中でいつの間にか熱いものを失っていた自分に気づき忸怩たる思いを抱くが、徳井さん自身は一度は手放し、再びつかんだ大切なものの大きさを自覚しているだけに「僕は『あの頃はああだったのに』という思いや後悔、『いつから俺はこんな風になったんだ』と思うことがないように生きてきた」と力強くうなずく。俳優の仕事もきっとこの男の確固たる選択の結果なのだ。では“俳優”徳井義実としての野望は?「そうですね…大河ドラマとかはカツラつけるの嫌だし待ち時間もエグそうですしね…(笑)。オカマの役とかやってみたいかな」。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:莫逆家族バクギャクファミーリア 2012年9月8日より全国にて公開© 2011「莫逆家族」製作委員会
2012年09月06日『夢売るふたり』は、とにかく考えたくなる映画だ。火事ですべてを失った小料理屋の夫婦が、もう一度自分たちの店を持ちたいと願い、その夢の実現のために結婚詐欺に手を染める。板前の貫也は妻の里子が目をつけた標的――東京の片隅で孤独を抱えた女性たち――の懐に入り込み、金を引き出して行く。『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督が今回もオリジナル脚本を手がけ、松たか子と阿部サダヲを初共演に迎えた本作は、夢とお金と愛に翻弄される人々の姿を通して、男について、女について、自分自身についても考えたくなる作品だ。「夢を諦めるところも含めて、好きなんです」(西川監督)結婚願望の強いOLにスポーツ選手、風俗嬢、シングルマザー、と様々な女性が登場する。彼女たちの王子さまが貫也なわけだが、演じる阿部さん自身は同性として、「貫也はダメな男だなぁ…って思いました」と言う。「途中で自分の夢を諦めちゃってるんです。それで他人の夢、例えばウエイトリフティング選手のひとみちゃんの夢に乗っかっちゃって。それはだめでしょう、男として。そういうところは、自分とはちょっと違うなと思ったんですよね」。夢を諦めるのは、やはり駄目なことかと尋ねると「諦めなきゃいけないこともあるんでしょうけど。僕もプロ野球の選手になりたかった夢を諦めて、いま俳優やってるんですけどね(笑)」と答える。「ただ僕は、向いていないと気づいて、プロの選手にはなれないなと思ってやめたので。貫也はなんとなくやめてるから。そこはちょっとな、と思う」。西川監督は「だめなところなのかな…」と考え込みながら、「自分が男だったら、厳しく見ちゃうかもしれませんね。でも、なんとなく、しょうがないのかなとも思っちゃうな」。貫也という男は面白い。店が焼失し、失意のどん底にいた彼は、成り行きで一夜を共にした店の常連客に里子がいかに立派な妻か、熱心に語る。そして、大金をもらって喜び勇んで帰っていく。無邪気というか、天真爛漫というか。「走っちゃってるんだもんな…」と阿部さんは笑いながら呟く。「脚本にはなかったんですけど、監督が『松さんを抱きしめて、歌ってくれ』と言ったんですよ。オペラっぽくやってくれって。どんな男だ!?と思いました(笑)」。西川監督はにっこり笑って「そうお願いしました。見て下さいね。オペラ声で歌ってくださってますから」と答える。そのオペラの直後、物語は一気に加速する。滑稽さをまといながら、人の心の奥底まで深く深く分け入って、そこに隠されているものを白日のもとに曝してしまう。それが西川作品の特色だ。何気ない風で、人が一番触られたくない部分を鋭く突く。貫也のみならず、ラーメン屋店主や風俗嬢のDV夫、探偵など、登場する男たちも、騙す里子も騙される女たちも、誰もが少しずるいし、ばかでもある。「でも、ばかだけど、そこがいい。だから、夢を諦めるところも含めて、好きなんです。私は貫也っていうキャラクターが好きなんで、ついつい脚本を書いてても、貫也の話ばっかり膨らんでいくんですよね。だから、里子が物語の軸なんだって、振り戻すのにすごく苦労するぐらい。貫也は結婚詐欺をするのに外を歩くので、面白いんですよね」。貫也は女性から見た、理想の男性像?外に出て、いろいろな女性と対面しながら、貫也は変化していく。もう一度夫婦で店を始めたいという夢がブレない里子とは差が出てくる。「結構別人みたいになりますよね。監督からも別人でいいって言われました(笑)」(阿部さん)。西川監督は「貫也のいいところは、生き生きしてるんですよ、いつも」と言う。「もう、目の前にしたものが好きになり、それに心底没頭する」。確かに、どの女性といるときも貫也は楽しそうだ。家で夫を待つ里子が内に暗いものを抱えているのは明白だが、貫也にはどす黒いところはない。それとも見せていないだけ?「僕は、ない気がしますけどね。初めて会った子供とチャンバラやるっていう男は、どす黒くないでしょう」と阿部さん。西川監督は「ある意味、貫也は理想ですから、女の人から見た」と言う。「本当は男の人だっていろいろあると思いますけど、その暗い面、見たくない面は押さえて、だめだけど、人間の明るい面を寄せ集めた、かわいいキャラクターに書いたつもりです」。阿部さんは西川監督の男性の描き方について「面白がってるんだろうなって思いますね」と言う。「面白い男が多いなと思って。いろいろタイプが違う人がいっぱい出てきますけど、見方によっては笑えるっていうか、男の滑稽さが出てる。女性にしかできないような描き方だと思います。男が描くと、多分、貫也はもうちょっとかっこつけちゃったりするのかもしれない。もしくは、笑いに逃がしたりとか。西川さんの脚本はそれがないんです」。話を聞いていて頭に浮かんだのは、物語後半、すれ違い始めた夫婦が口論するシーンだ。里子に言われるまま動いてきた貫也が、彼女をやり込める。相手に逃げ場を与えない追いつめ方は、女性的にも思える。「そうですね、ああいう言い合いのシーンって、やっぱりね、男の人は描かなそうですよね」と阿部さん。「なるほどね。でも、私の周りの男の人は結構口が立つんだけどな」と言いながら、西川監督は阿部さんに「どうするんだろう、男の人。黙っちゃう?」と質問。阿部さんは「黙っちゃう。『逃げてくでしょう? 出かけちゃうでしょう?待ちなさいよ』って言われちゃう」と返答。監督は「煮物を容器に詰めて出ちゃう」と劇中の1シーンを引き合いに出して笑う。「自分じゃ知らない表情が映し出されていた」(阿部さん)阿部さんは「完成した映画には自分自身じゃ知らない表情が映し出されていました」と言う。「うれしいですよ。引き出してくれた監督に感謝しなきゃいけないですね」。自分でも未知の領域に連れていってくれる。俳優はそんな期待をもって監督との仕事に臨むのかもしれない。だが、監督本人は「いやいや、全然。そういうことのできるタイプの演出家じゃないです」と謙遜する。「松さんと阿部さんは、現場での有りさまが、私から見れば、すごく近い。2人とも歩調がちょっと似てるんです。だから、とてもバランスのいい現場でした」。みっちり話し合いを重ねて撮るようなこともない。「あんまり喋らないですよね(笑)。ちょっと解釈がずれてると思えば、言わせてもらうけど、ほとんどもうできてるんですよ。だから、目線の位置を決めるとか、その程度です」。「リハーサルをやってみて、あ、こいつ分かってないなって思うと来てくれるんです」と言う阿部さんの言葉に困ったような笑顔になる西川監督。「でも、阿部さんも松さんも、私の想定とは違う芝居のときが、いいことが多いんです。まあ、ほとんどずれないんですけど、基本は。でも、あ、元々の狙いよりも2人の出してきてくれたもののほうがいいって思うことがあった。だから、何にも言わないことが多かったですね」。「何も監督が言わないと、『もう諦められたのかな』って松さんと話してました」(阿部さん)「(笑)そんなことない。逆にこっちはなんにも言うことがなくて、申し訳ない、不甲斐ないって思うことが多かったですね。『まあ、この程度だな、この演出家も』って思われてるんだろうなって」(西川監督)お互いにそんなことを思いながらの撮影現場。互いへの愛情と尊敬、畏れと自意識の闘い合いは、『夢売るふたり』の世界観と重なるように思えて、何かストンと腹に落ちた。(text:Yuki Tominaga)Hairmake:Eisuke Arakawa/Stylist:Chiyo■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月05日人を騙す生き物と言えば、昔からキツネとタヌキが有名ですが、彼らよりもよほど始末に負えない動物がいます。それはもちろん、人間。残酷なほど狡猾に、人の心を弄ぶ…。その極悪非道ぶりといったら、昔ばなしに登場するキツネやタヌキの比ではありません。手を変え品を変え、お年寄りを騙す振り込め詐欺、訪問販売詐欺なんて、ニュースでやり口を知るたびに、胸がムカムカ。人は、ここまで下品になれるものかと驚きすら生まれます。人間の想像力は素晴らしいものなのに、こんな風に悪用するなんて…と。ただ、映画や小説などで意外な結末に驚愕させられる、そんな“騙し”は「ああ、やられた!」と爽快感すら覚えます。想像力を駆使し、人を騙す――。テクニックは同じでも、人の心を傷つける詐欺とは大違いです。意外な結末へと導かれていく『夢売るふたり』も、一種の楽しい詐欺に会うようなものかもしれません。というか、主人公たちは夫婦で詐欺師。映画を観れば、実際に詐欺に出会っちゃうわけですが。それにしても、詐欺の話なのに、“夢を売る”とはけしからんと思う方もいるかもしれませんが、映画を観るとなぜか納得できるはず。あらすじはこんな感じです。東京の片隅で、小さいながらも評判の日本料理店を営んでいる、貫也と里子。やっとの思いで開いた小料理屋でしたが、ある日、火事ですべてを失ってしまいます。落胆した夫を気丈に支える妻でしたが、完全にふてくされてしまった夫が妻に要らぬ言いがかりばかりつけるので2人の仲はぎくしゃく。そんな折、貫也はかつて店の常連だった女性に偶然再会し、彼女が不倫の末に失恋をしたことを知ります。そして、傷心の彼女を慰めるうちに一晩を共に過ごすことになり、なぜか彼女が得た手切れ金をそっくりそのままもらうことに。翌日、大金を持ち帰った夫から事情を聞き出し、怒りを覚える妻でしたが、そのとき、彼女にはあるアイディアがひらめくのです。それは、再び店を持ちたいという夫婦の夢を再び叶えるために、夫婦で結婚詐欺を働くこと。そして、里子が都会に暮らす寂しい女性を見つけては、貫也が懐に入り込み、お金を巧みに巻き上げるという段取りで、着々と資金を集めていくのです。ところが、嘘の繰り返しは、思わぬ事態を生み出して…。夫婦で詐欺なんて、とんでもない悪者たちのようにも聞こえますが、彼らはある時期までは正直に生きていた普通の人々。とある不幸をきっかけに、それまで眠っていた潜在的な悪意が心の中心を占めてしまうのです。ただ、物語が上手く流れているせいか、元々極悪人ではないせいか、見ていても、2人にひどい嫌悪感は覚えません。むしろ滑稽で面白く感じるのです。人を騙すと言う卑劣な行為の中にも、詐欺師たちの人間臭さが見事に描写されているのもその原因。阿部サダヲ演じる夫は、騙す相手にもどこか愛情のようなものを寄せてしまうほどに優しい人情派。一方、たちが悪いのは松たか子演じる妻の方です。相手選びなどを率先して行うほど自分主導で詐欺をしているにもかかわらず、夫が女に優しくしているのを、冷ややかな目で見ています。夫がターゲットに優しくするのは当然ですが、その優しさには詐欺を成功させようという計算高さからくるもの以外に、彼自身の人間性から来る優しさが大いに混ざっていることを、妻は敏感に感じ取っているのです。そこで、夫が騙す女たちを、とことん意地悪な目線で見つめ続ける妻。やがて夫も、健気で明るいばかりだと思っていた妻の邪気に気づき始めるのです。夫婦は、詐欺をすることでしか見えてこなかった相手の一面、互いに知らなかった自分たちの本質にまで気づいていきます。詐欺はとことん計画的だったはずなのに、計算しきれなかったのは、自分たちの心の動きや心情の変化。それに戸惑い、それを受け入れられなくなっていく2人。本作は、「騙す」ということが、騙される側だけでなく、いかに騙す側にもリスキーであることかを、見事な語り口で描いていくのです。他人を思い通りに動かせたとしても、自分の心が思い通りに動かせない。人間はますます不思議な生き物です。ここまで描ききれるところが、西川美和監督の凄いところ。さらには、女が持つ意地悪な視点を包み隠さず描けるところもさすがです。個人的には、これが最高レベルでできるのは映画監督ならフランソワ・オゾン、作家なら桐野夏生くらいだと思っていたのですが、この方もなかなか。あの上品な松たか子から、何とも意地悪な女性の性を引き出すあたりにも、恐れを知らぬ作家性が見えてきます。そしてもちろん、それに応えた松たか子の女優魂もあっぱれ。実は、裸になったり、派手な濡れ場を演じたりするよりも、よほどこういう演技の方が、女優にとって勇気がいるのではないかと同性ながらに思うのですが、いかがでしょう。とんでもないどんでん返しが待っているわけではありません。でも、心は翻弄され続け、物語に引き込まれ続ける『夢売るふたり』。そこが劇場であることを忘れ、嘘の世界に浸ることのできる137分です。騙されたと思って、ぜひ。(text:June Makiguchi)■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月05日映画『夢売るふたり』のカップルを招待しての試写会が8月27日(月)に都内で開催され、午前中に行なわれたヒット祈願イベントに引き続き、西川美和監督に松たか子、阿部サダヲ、さらに笑福亭鶴瓶が登壇。事前に観客から寄せられた男女の謎にまつわる質問に答えた。『ゆれる』、『ディア・ドクター』に続く新作で西川監督が描くのは夫婦による結婚詐欺。火事で全てを失った夫婦が次々と女性を騙して金を巻き上げるも、やがて彼らの間には溝が…。生々しい男女の姿を通じて愛や結婚について問いかける。客席は様々な年齢層のカップル、夫婦で埋め尽くされたが、映画のあまりの生々しさに鶴瓶さんは「うちも夫婦で観て、エライことになりました。カップルで観るのは避けた方が…」と心配そう。「観た後に監督がうちの嫁はんに質問してまして、オレは答えを聞きたなかったけど『女ってあんなもんよ』とか聞こえてきた」と苦笑していたが、西川監督は「いい夫婦がこの映画をどう観るのか?実験台になってもらいました」とイタズラっぽい笑顔を浮かべていた。本作を撮るにあたって西川監督は、鶴瓶さんの知人だという結婚詐欺の被害者に話を聞いたそう。鶴瓶さんによると、その結婚詐欺師は「この前、捕まった」とのことだが、西川監督は「被害者の感情は複雑で、単に『許せない』じゃ済まされないものがあった。周りから見たらバカだなと思うかもしれないけど、話を聞いたら『これはお金出すな』と思うような話も多く、それは(劇中の)騙される女性に投影したつもり」と明かす。その上で、夫に結婚詐欺を実行させる妻・里子を演じた松さんを絶賛。「内面を言葉に出さずに腹に抱えて孤軍奮闘する姿をどう描くかが勝負でしたが、松さんの芝居を見ていたら『この人についていけばいい』と思えた」と最大限の賛辞を送る。一方、松さんは阿部さんとの初共演に触れ「素敵な俳優さんでいつかご一緒したいと思ってましたが、夫婦役で出会うとは…。掴みどころがないようで、でもとてもシンプルな方のようにも思えて、一緒に仕事をしていて楽しかったです」と笑顔でふり返った。観客から寄せられた相談に答えるコーナーでは、「7年付き合っている彼が結婚に乗り気ではなく、実家への挨拶にも行ってくれない」という悩みに、鶴瓶さんが「行ったれや!」とガツンと一撃。「結婚はいいですよ」と言いつつ「でも男は文句言うときは隠して言うように!絶対にケンカしたらアカン!」と熱弁をふるっていた。また21歳の学生の「どうやって好きな女性にアプローチしたらよいか?」という相談には、「絶対大丈夫。誘えば来ますよ」とかなり楽観的なアドバイス。さらに「ずっと自分で温めてきた一発ギャグとかしてみたら?」という無責任な後押しで会場の笑いを誘ったが、松さんは「相手が引くかもしれないってくらいのことを全部試して、それでも大丈夫そうな人と付き合うといいんじゃないでしょうか?」と現実的な助言を送っていた。最後にこれから映画を観る観客に向け、松さんは「どの部分がみなさんの心に響くのか私たちも分かりません。この2人が幸せなのかどうか?最後まで見守ってください」と挨拶。阿部さんも「2人で観られて、その後にいっぱい話し合ってもらえたら」と呼びかけた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月28日映画『莫逆家族 バクギャクファミーリア』に出演する林遣都、阿部サダヲ、玉山鉄二、大森南朋、中村達也、村上淳が、本作で主演を務めるお笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実とのエピソードを語る映像が届いた。『莫逆家族 バクギャクファミーリア』コメント動画本作は、不良のその後の人生に焦点をあて、愛する家族や仲間を守るために再び集結して立ち上がる男たちの姿を描いたヒューマン・アクションドラマ。徳井は、かつて関東一の暴走族のトップに君臨していた主人公・鉄として出演している。普段はお笑い芸人として活躍している徳井。このほど届いた映像で、鉄の息子・周平役を演じる林は、「相当なプレッシャーがあると思う。そのプレッシャーの中で鉄としてみんなを引っ張っていってる感じがする。アクションの練習をしていた時に、普段見ない鬼のような表情とかを垣間見たりしたので、強い思いが伝わってくる」と、俳優としての徳井の印象をコメント。また、鉄の当時の仲間・横田役を演じる阿部は、「実際役を演じている中で、自然と鉄っていう人間になってる。(普段は関西弁なのに)セリフが関西弁じゃないのに違和感がない。いい役者さんだと思う」と述べ、もうひとりの仲間・川崎に扮する玉山は、「今後楽しみになるような芝居だった。今後すごく楽しみにしています」、かつては暴走族だったものの、現在は刑事の前田役を務める大森は、「芸人さんとしてもすごい人。共演していると鉄にしか見えない瞬間もいっぱいある。すごいなという印象です」と絶賛している。本職である“お笑い”では見られない、徳井の新たな顔に注目したい。『莫逆家族 バクギャクファミーリア』9月8日(土)全国ロードショー
2012年08月27日『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作『夢売るふたり』のヒット祈願イベントが神田明神(東京・神田)で行われ、西川監督を始め、劇中で夫婦を演じた松たか子&阿部サダヲに田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江らが出席した。夫婦による結婚詐欺を描いた本作。妻が計画し夫が実行に移して女性から金を巻き上げていく姿を通じて愛や結婚、女性の本性を描き出していく。この日、キャスト陣は西川監督が事前に伝えたという劇中でのイメージカラーにちなんだ浴衣姿で登場。ただひとり男性の阿部さんは「みなさん、美しいのでじっくり見たい。神聖な場所でいやらしいことを考えてしまいました」と満面の笑み。「土日は休むとして、月曜日は…って感じで、(日替わりで)愛人を連れて歩いたらカッコいいですね」とよからぬ妄想まで口にしていた。これまでの人生における良縁を尋ねられると松さん、阿部さん、そして昨秋、結婚したばかりの鈴木さんは夫および妻との縁を挙げた。田中さんは「私も『夫』と言ってみたい」とうらやましそうに語りつつ、本作で共演している笑福亭鶴瓶について「短い期間で共演したり、近所で会ってお茶させていただいたりと縁がある気がしています」と微笑んだ。木村さんは、西川監督が助監督だった十数年前からの付き合いだそうで「監督はまだ大学生で『お互い頑張っていきましょう』って話してました。こうしてまたご一緒できて、良い縁を感じています」と運命を明かす。西川監督も「まだカチンコを叩いていた時期ですね。ギュウギュウのロケバスで隣に座って一緒に話してました」と懐かしそうに語った。松さんは改めて“夫”阿部さんの魅力を尋ねられると、「得意なところで売ってないところが『やるなぁ』って思います」と語る。これに阿部さんは「この着物、買い取りになるんじゃないかってくらい汗かいてます」と本気で照れていた。またこれまでの人生でつかれた最大の嘘は?という問いに女性陣はしばし思案。松さんは「思い当たらないんですが、気づいてないのかも。夫には嘘はつかれたことはないと思います」と苦笑交じりに語っていた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月27日阿部サダヲ×松たか子が結婚詐欺で女性から金を巻き上げる夫婦役を演じることで話題の映画『夢売るふたり』。本作の学生限定試写会が8月23日(木)に青山学院アスタジオで行われ、メガホンを握った西川美和監督が学生たちとの座談会に出席した。2人で営んでいた小料理屋を火事で失った夫婦が、店の再建のために心に隙間を抱えた女性をターゲットに結婚詐欺を実行。愛とは何か?夫婦とは何かを刺激とユーモアたっぷりに描き出す。青山学院の学生を中心に、会場にはおよそ150名の学生が来場。西川監督は「結婚適齢期を過ぎた女性を中心に描いた作品なので、まだそこに至っていない若いみなさんがどう観たのか?楽しみです」と語る。映画を鑑賞したばかりの学生からは様々な感想が寄せられたが、“女の強さ”という点について監督は「妻の強さ、母の強さというのは私も母を見ながら感じていました。女はひとりでいるよりも家を持った方がこれまでにない強さを持つのかもしれません」と分析。一方で“男の単純さ”という声が学生から挙がると「私は決して男は単純だと思いません。男の人も単純だと言われて否定しない側面がありますよね。男と女で“単純さ”について認識のズレがあるのかな?興味深いところですね」と語るなど、学生の意見に触発された様子だった。話題が「浮気」「好きな男性に騙されたとき許せるか?」といったテーマになると俄然、話し合いは活発に。自らの浮気経験を告白する男子学生、「騙されているとしても好きな人との時間はほかに代えがたいもの」と語る女子学生など生々しい声が続出。監督は学生の声に耳を傾け、熱心にメモを取っていた。若い学生に比べ、大人の立場になると浮気を許せるようになるものか?という問いには監督は「そんなことないですよ。人間の根っこは年取っても変わらない。50歳の人でも恋する瞬間は14歳の顔するって言います」と否定しつつ「ただ、年を取ると守らないといけないものが変わってきて感情に流されまいとするようになるかもしれません」とも語った。また、質疑応答の時間には、西川監督は若い世代がシネコンで上映される大作以外の独立系の作品、ミニシアターの映画を観に行かなくなったと言われている現状に触れ「情報をみなさんに与えられていない部分もある」と自省しつつ「大学生のみなさんが分かりやすいものしか見ないのは寂しい。学生時代は何をやってもいい期間。分かりにくいものを柔軟に頭に叩き込んでほしい。解釈する力や幅が広がるので、どんどん映画館に行ってほしい」と呼びかけた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月23日阿部寛の最新主演映画『つやのよる』(行定勲監督)の伊豆大島ロケの模様がついに解禁! 真木よう子、永山絢斗も参加した7月4日の島での撮影初日で早くも、阿部の俳優としてのスゴさを目の当たりにすることができた。その他の写真映画は、不貞の妻・艶に苦悩し続けてきた阿部の演じる松生が、ガンで艶が危篤状態にあることを、彼女が過去に関係した男たちに伝えにいくストーリー。だが、その日撮影されたのは、かつて艶がストーカーをしていた若い男・優(永山)とその息子が海辺で石を投げて遊んでいるところを、上の道を自転車で通りかかった松生が見つけ、彼らに石を何粒も投げて走り去るコミカルなシーン。思いきり石を投げる松生の頬がこけ、真っ黒に日焼けしている様に思わず笑ってしまう。行定監督は、「(阿部さんに)最初にお会いしたときに『何キロ痩せればいいんですかね?』ってそれが一言目で、その後、自分で『11キロだな』と言ってたんです。そしたら撮影初日から目がギラついていて、俺の想像していた松生像を身体で凌駕していたんだよね」と教えてくれる。だが減量することだけで、クソ真面目で、真っ直ぐ妻のことだけを思っている松生像を作り上げたわけではない。それが分かったのは、阿部のちょっとした行動から。石を投げた後、自転車で緩やかな坂を猛スピードで駆け下りていく一連を例によって何テイクも撮ったのだが、普通はスタッフがスタート位置まで戻す自転車に阿部が跨り、上り坂を毎回必死に漕いで上がってきたのだ。すると「松生もしょっちゅう自転車に乗っているから、痩せているけど、下半身は筋肉質じゃないのかなと思って」と阿部。永山も「以前『トリック』のスペシャルに出させてもらったことがあるんですけど、そのときの阿部さんとまた印象が違って。いまも、走り去っていくときに俺に向ける顔が毎回微妙に違うんですよ」と証言する。一方、優の恋人・百々子に扮した真木は「なぜ私が百々子なの? と思ったぐらい自分とは真逆の女性」と言いつつ、初めての行定組に充実の表情を浮かべる。「監督にずっとやりたかったと言ってもらえたし、自分の素を出さないように頑張ります」。そんな俳優陣の新たな顔が見られるのも本作の魅力。期待は高まるばかりだ。『つやのよる』2013年新春全国ロードショー取材・文・写真:イソガイ マサト
2012年08月08日松たか子と阿部サダヲが初めて夫婦役で共演していることで話題の『夢売るふたり』が、このほど第37回トロント国際映画祭に正式出品されることが決定!前2作に続いて3度目の世界への挑戦となる西川美和監督から喜びのコメントが到着した。営んでいた小料理屋を火災で失った夫婦が、再出発の手段として選んだ稼ぎ口は、結婚詐欺。真っ当ではないと知りつつも、金のためにうそを重ねるが、やがて夫婦、騙した女たちとの間にひずみが生まれる…。『蛇イチゴ』や『ゆれる』、『ディア・ドクター』など、女性ならではの鋭い視点と繊細な描写が高い支持を集める、西川監督の待望の最新作。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭に次ぐ規模とアカデミー賞を占う重要な映画祭として、毎年数多くの映画ファンが参加するトロント国際映画祭。昨年は日本から『ヒミズ』や『CUT』などが出品され喝采を浴びた。今回、『夢売るふたり』が出品されるのは「スペシャル・プレゼンテーション」という本映画祭の目玉となる部門。近年では2010年に公開された『ノルウェイの森』が同部門にて上映されたが、日本映画が出品されるのは極めて稀とのこと。映画祭プログラミング・ディレクターも「とにかくこの映画が好きなので、ワールドプレミアとして招待することができて嬉しい!」と喜びの声を上げている。この吉報に西川監督は「トロントは師匠の是枝(裕和)監督も常連で、とてもいい映画祭だと聞いていましたから、ずっとこの機を待っていました。たくさんの外国映画に憧れて育ったので、こういう機会をいただけることは自分も作品で世界にお返しができるような気がして何より嬉しいです」と、是枝チルドレンらしい映画愛にあふれたコメントを寄せている。さらに、「東京に生きる夫婦と女たちの話を、海外の人がどのように受け止めるのか、理解されるのか、されないのか、とても知りたい。苦労を重ねてくれたスタッフの仕事、キャストの仕事を世界に紹介できることも嬉しい」と喜びと期待に胸膨らませる。尚、西川美和監督も映画祭に参加する予定。西川監督にとって、第59回カンヌ国際映画祭での『ゆれる』、第33回モントリオール世界映画祭での『ディア・ドクター』に続いて3度目となる世界への挑戦。3度目の正直で初の受賞に期待したい。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:第37回トロント国際映画祭[映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年07月25日サマーシーズンと言えば、海にプール、そして解放感に満ちたバケーション!どれも魅力的だけれど、楽しいことはいつだって危険と隣り合わせ。ブログ上で語られるキーワードを参考に、映画の“いま”を分析する「ブログ話題度ランキング」ではいま、夏にぴったり(?)の“危険なバカンス”ムービーが高い注目を集めている。夏休み大作が続々と公開される中、圧倒的なリードで1位に躍り出たのは『BRAVE HEARTS海猿』ではなく、映画『シャーク・ナイト』!舞台となるのは、美しい水と深い緑に囲まれた絶景を誇るクロスビー湖。都会の裕福な若者たちがひと夏を過ごすべくやってくるのだが、世にも恐ろしいショーが彼らを待ち受ける。その恐怖とは、46種類もの鮫!拷問ホラーのジャンルを確立した『ホステル』シリーズのプロデューサー、クリス・ブリッグスと死の運命が巻き起こす衝撃的な描写が回を追うごとにエスカレートする『ファイナル・デスティネーション』シリーズのデヴィッド・R・エリス監督による強力タッグが実現した本作、その衝撃は言わずもがな。『ジョーズ』を超える“鮫映画”となりえるか?そして、2位には2011年の夏を賑わせ、伝説となった“パニック・ムービー”『ピラニア3D』の続編となる『ピラニア リターンズ』が堂々ランクイン。こちらの舞台は、ピチピチのギャルとメンズがはしゃぐプール。だが、前作と同じく、ピラニアたちが容赦なく彼らに襲い掛かる!ネットを中心に口コミで「おもしろい!」と話題になった前作を上回る衝撃を放つ本作だが、魚くん以上に(?)語尾に「ギョ」を付けて情報を発信する公式ツイッターも盛り上がりを見せている様子。本編では恐怖の対象であるピラニアだが、ツイッター上でのつぶやきは案外かわいらしいところが人気の秘密?そして、7位にはこちらも夏の海を舞台にした、阿部サダヲ主演のサバイバル・ムービー『ぱいかじ南海作戦』が浮上。先週の初日舞台挨拶で、同日公開となった沢尻エリカの主演作『ヘルタースケルター』を意識しての阿部さんの発言も話題を集めていたのは記憶に新しい。先に挙げた2作とは違い、ほのぼのとした雰囲気が魅力の本作。気分転換のために南の果てに訪れた阿部さん扮する主人公・佐々木。この世のパラダイスかと思いきや、そこで4人のキャンプ生活者に出会ったが運の尽きで酒に酔いつぶれた翌朝、目を覚ますと、持ち物の一切合財と共に4人組は失踪。“全てを盗られる”という絶体絶命の危機に陥りながらも島を訪れた若者たちとその状況を楽しみながら乗り切る姿は心を和ませてくれる。視覚的な涼しさもあるのか、「夏」を連想させる海辺やプール、リゾートを舞台にした映画が混戦模様。どれもバカンス中に起こる事件を題材にしているが、その中でもほかを大差で引き離した上位2作品がいわゆる大作映画ではなく、ミニシアター公開のパニック・ムービーというのが興味深いところ。次から次へと訪れる、逃れることのできない恐怖は、きっと夏の暑さを忘れさせてくれるはず。ブログ話題度ランキング■ブログ話題度とは?ブログで話題の情報を提供する「kizasi.jp」独自のブログ解析エンジンにより、シネマカフェに掲載されている映画作品名がブログ上に掲載されている“話題度”をポイント化。いまブログ上で最も話題の映画作品のランキングを掲載しています。また、映画作品に関連する言葉も抽出して掲載。その作品がブログで、どのような言葉で語られているかを知ることができます。興行成績やDVD売上だけでは知ることの出来ない、映画ファンが“いま”話題にしている映画はどの作品か?ヒットの“kizasi”が見えてくるオリジナルランキングです。■関連作品:シャーク・ナイト 2012年7月14日よりTOHOシネマズ日劇にて公開© 2011 INCENTIVE FILM PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.ピラニア リターンズ 2012年7月14日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2011 PDOUBLED FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVEDぱいかじ南海作戦 2012年7月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012 「ぱいかじ南海作戦」製作委員会ヘルタースケルター 2012年7月14日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会
2012年07月20日妻が企て、夫が女を騙す!松たか子×阿部サダヲが、夫婦で結婚詐欺。 衝撃の≪ラブストーリー≫、『夢売るふたり』。今回、キャストの松たか子、阿部サダオ、監督の西川美和に行った試写会の模様をお届けする。舞台上の紐を引くと、松、阿部、監督がそれぞれ「男とは」「女とは」「愛とは」について考えた内容が登場する垂れ幕トークも実施した。●松さん、阿部さんをキャスティングしたきっかけは?監督:映画賞か何かに(作品が)かかった時に初めてご挨拶させていただいたのですが。そこでは女優さんたちがキラキラしている中で、松さんはひっそりと座っていらっしゃって。その時、こういう言い方するの失礼かもしれないんですが、“あ、この人普通だなぁ”と思って。完全なサラブレッドなのに、普通、って、女優さんでは珍しいなと思って。今回は“普通の人”、市井の人を描きたくて、松さんがそういう役を演じられるのかなと。あとは、内容がグロテスクな話なので、これを演じてもらう女優さんには、“品”というものが絶対必要だな、そうでないとグチャグチャになっちゃうな、と思っていたので。今回は松さんにお願いしようと思いました。阿部さんは、ずっと一緒にお仕事をさせていただきたいな、何かきっかけさえあれば…と思って狙ってたんです(笑)。お二人の組み合わせを、私も見たことないし、どういう雰囲気になるのかイメージがつかない部分もあったので。そこが化学反応を起こしてくれるとおもしろいなと思いました。お二人とも好きな役者さんだったので、このたびキャスティングしたという次第です。●松さんと阿部さんの初共演について松:とても楽しかったです。お芝居をしていることを“楽しい”と思えるのは幸せだな、と思えましたので、好きな俳優さん(が共演)でよかったなと。自分の目が確かだったな(笑)、狂いはなかったと思いました。阿部:共演する前の松さんのイメージは、ほんと完璧な人、欠点の無い人、という女優さんで。監督が「OK!」って言ったら「うん、わかってる」「そうでしょ」みたいな(笑)。そういう人かなと思っていたのですが、お会いしたら全然そんなことはなくて。監督からOK がかかっても「今ので良いでしょうか」と。普通…というか、さっきも入場時に転びかけてたり。普通より…下でもいいぐらい?(笑)でも芝居は本当に素晴らしい女優さんです。●『ゆれる』『ディア・ドクター』は男性目線の映画でしたが。今回女性目線で描きたかったものは?監督:女性のみっともないところ。誰も見たことのないというか、厳密にはそんなことないんだろうけど、なかなかスポットを当てられない、女の、同性からもスポットライトを当ててもらえないような、都会の片隅で一人、自分の生きる道を模索している女性というのを描いてみたいなと思いました。女の人の生活ってどんどん多様になっている、それだけに悩みも複雑で。30 代とかになってくると、色んな複雑な思いを抱き、あがきながら、歩んで行くしかない、っていう。そういう、大人の女性の“生きづらさ”を描いてみようかなというのが今回ありました。●撮影中、印象に残っているエピソード松:最初のシーンの撮影が夜のパートだったので、撮影は夜になってから明るくなるまでの勝負だったんです。普通の人が寝静まった頃に働き出して、普通の人が働き出す頃に終わる、みたいな。こう、昼夜逆転みたいな生活をしてみて、夜のお仕事の人たちの生活が少しわかった気がしました。●本当にたくさんの女優さんとの絡みがありましたが。阿部:絡み…(笑)。それぞれの個性がおもしろかったですね。みなさんそれぞれ、(劇中では)職業がバラバラで、松さん(里子)が見つけてきた人もいれば、僕(貫也)が見つけてきた人もいるんですけれど、その人たちの役への入り方がすばらしいと思いました。上映前なのでどこまで言っていいかわからなかったので、また今度…(笑)。監督:阿部さんはどの女の人と一緒にいても楽しそうでした。松さんは―…なんだろう、この人(笑)。阿部:たぶん、間違いなく言えるのは“お蕎麦が好き”なことですね。監督:何人ものスタッフが「松さんと蕎麦に行った」と自慢していましたね。しかも蕎麦、食べるの早いんですよ。阿部:蕎麦食べる以外も、現場入りも、着替えも、何でも早かった。歌舞伎の早着替えかっていうくらい(笑)。松:好きです、ええ。浅草など下町がロケ地だったので、蕎麦屋を見つけては一人で入ったりしていました。(ここで、「男とは」「女とは」「愛とは」のそれぞれの回答を書いた垂れ幕が下がる)松:【男とは。と聞かれても答えに困るものである】本当に思いつかなくて…。あまりにも困っていたら夫が考えてくれたんですが、その内容が「(男とは)歌舞伎の家の娘に聞くな」っていうもので、ちょっと波紋を呼びそうだったので(笑)。本当にわからなくて、白旗を上げてしまいました!すみません!阿部:【女とは。うちのネコみたいである】僕も松さんみたいに書きたかった。その勇気がなかった。いいなぁ…。そのとおりだと思う。だから、こんな答えになってしまったんですが(笑)。わかんない、ってことです。飼ってるんだか飼っていないんだか、なついているんだかいないんだかもわからない。なついていると思ったら、急にいなくなるし、なんだかよくわからないけど怒ってるっぽいときもあるし…。女の人っぽいなと思って。まぁうちのネコ、オスなんだけど。(会場笑い)監督:【愛とは。と、語るやつほど、我愛(いと)しなり】まぁ、そんなもんです。むつかしいというか、色んな愛の形のひとつです、この二人が演じたのは。こういうつながり方でも、夫婦ってあるんだな、と。●これから観るみなさんへ一言ずつ監督:お二人いつもゆったりと、全然緊張していないような雰囲気で現場にもいらしていたんですけれども。お芝居は…完璧でしたね。もう何も言うことがないぐらい、二人とも素晴らしいお芝居をしてくださって。それ(芝居)に対しての心構えも、しっかり準備されてきたなぁと感じました。全力で役に対して向き合ってくれて、非常に血の通った作品になったと思いました。是非楽しんでいってください。阿部:自分がこれまで役者をやってきて、今までやったことがない役、やったことがない表情を引き出していただいたと思います。初めてなんです、こういう役。観終わった後に話したいんですが、観た後に色んな意見があっていいというか、一人一人全員違うんじゃないかっていうぐらいで。本当におもしろいですよね。今日、一緒に観に来た人と、三夜ぐらい話し合っていただけるんじゃないかっていうぐらい(笑)不思議な映画だと思います。また二、三回観て意見が変わってもいいなとも思います。松:色んな見方ができる作品だと思います。自分以外の人の意見に寛容な気持ちで物語を楽しんでいってください。作品情報『夢売るふたり』R-15作品 公式サイト 主演:松たか子、阿部サダヲ監督:西川美和配給:アスミック・エース(C)2012「夢売るふたり」製作委員会9月8日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2012年07月18日「ぴあ」調査による7月13日、14日公開の映画・満足度ランキングは、伊藤英明主演のシリーズ最新作『BRAVE HEARTS 海猿』がトップに輝いた。2位に椎名誠の同名小説を阿部サダヲ主演で映画化した『ぱいかじ南海作戦』が、3位にテレビアニメ『魔法少女リリカルなのはA’s』をベースにした劇場版『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A’s』が入った。その他の写真1位の『BRAVE HEARTS 海猿』は、東京湾で起こったジャンボジェット機事故の人命救助に挑む海上保安庁の潜水士・仙崎大輔(伊藤)ら“海猿”たちの活躍を描く。劇場には作品ファンが多く足を運び「シリーズに一貫して描かれている“あきらめない”“信じる”が随所に表れていてよかった」「展開が新しい。俳優の演技がワイルドでカッコイイ!」「その場にいるかのような臨場感が味わえた。泣ける部分もあって充分楽しめた」「皆が一丸となることの大切さ、助け合う姿が心に響く」「メンバーの成長を感じることができて、シリーズで一番よかった」など、世代をこえて熱いコメントが寄せられた。2位の『ぱいかじ南海作戦』は、離婚と失業が同時にやってきた男が、気分転換に訪れた南の島でサバイバル生活をする様を描く。出口調査では「元気が出る映画。主人公の生き方が気に入った」「全体を通してゆるくて、笑えるシーンが多くて大満足」「阿部サダヲとピエール瀧の絡みがおもしろい」など、女性を中心に好評だった。(本ランキングは、2012年7月13日(金)、14日(土)に公開された新作映画11本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年07月17日“現代版ロビンソン・クルーソー”と評された椎名誠の小説を映画化した『ぱいかじ南海作戦』が7月14日(土)に初日を迎え、都内劇場にて行われた舞台挨拶に主演の阿部サダヲを始め、永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木希、細川徹監督が登壇し、爆笑トークを繰り広げた。失業と離婚を同時に迎え南の島に旅行で訪れた男・佐々木(阿部さん)が、ホームレスに騙され持ち物を全て奪われたことをきっかけに、バックパッカーのオッコチ(永山さん)に関西弁の女子2人組アパ&キミ(貫地谷さん&佐々木さん)らとの島での共同生活を始めるという奇妙な冒険物語。阿部さんは登壇早々、「朝からず~っともう2時間くらいほぼ僕が(映画に)出てて、すみません(笑)。お腹いっぱいでしょう?」と、恐縮ぎみに挨拶。本作の撮影は沖縄・西表島で行われ、阿部さんは海辺での全裸シーンにも臨んだが、「ホントにふわ~っとした、いい撮影現場でしたね。同じヌードになるにしても、気持ちよく脱げました!脱ぎごたえが違う(笑)」と満足げにふり返った。永山さんは阿部さんと行った魚の追い込み漁のシーンが思い出深いものとなったようだが「ホントに長く(カメラを)回していて、ずっとやっている間に面白くなってきてしまって、海に潜って誤魔化したりして大変でした」と島での思い出を語った。一方、南の島が舞台ということで、貫地谷さんと佐々木さんの女優陣は日焼け対策が大変だったそう。「頑張って対策をしてたつもりだったんですけど、結構焼けましたね」という貫地谷さんの言葉に佐々木さんも「うん、もう帰ったら真っ黒でした」と乗っかるも、貫地谷さんと監督からすかさず「いや、それは嘘でしょ(笑)!」とツッコまれていた。これには「うそでした…(笑)」と素直に認める佐々木さん、姐御・貫地谷しほりに「希ちゃんはそういうところがあるんですよ」とたしなめられる一幕も。ちなみに、意外にも(?)阿部さんは美肌パックに勤しんでいたとの暴露も。本作には「一歩踏み出せば、人生は変えられる」というメッセージが込められているが、ハイテンションな雰囲気から一転、「俳優になる前はずっとボ~っとしてましたけど、一歩踏み出して役者になって、主演で出させていただいてありがたいです」と、真面目なトーンで話す阿部さん。ただ奇しくも同日に沢尻エリカ主演の『ヘルタースケルター』や森山未來主演の『苦役列車』などの強豪作が公開を迎えたことを意識しているのか、「今日はほかにもいろいろやってるんでしょ?そういう中でこういう作品を選んでもらってホント嬉しいです」と恐縮モードに。MCから今後挑戦したいことを聞かれると、沢尻さんを意識して「別に…」と即答し、客席を大いに沸かせた。これに火が付いたのか、細田監督も最後の挨拶では「『ヘルタースケルター』に対抗し、阿部さんに全裸になっていただきまして、そして『苦役列車』に対抗して森山未來にちょっと似ている僕が監督を務めました(笑)。よろしくお願いします!」と熱烈アピール。さらに負けじと阿部さんが「この夏、話題作がいっぱいありますけど、こういう『アベンジャーズ』もあるぞってことをみなさんに伝えてもらえれば」と、最後まで強豪作を意識してのアプローチで、爆笑を巻き起こしていた。『ぱいかじ南海作戦』は新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:ぱいかじ南海作戦 2012年7月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012 「ぱいかじ南海作戦」製作委員会
2012年07月16日椎名誠の人気小説を西表島完全ロケで映画化した『ぱいかじ南海作戦』。公開を前に、主演の阿部サダヲと本作で初めて長編映画のメガホンを執った細川徹監督に話を聞いた。離婚と失業を同時に味わった中年男が、心地よい“ぱいかじ(沖縄の方言で南の風)”が吹く南の島で繰り広げるサバイバル生活を描く。共に「大人計画」事務所の所属だが、本格的に仕事を共にするのは初めて。監督は当初、主役の佐々木にはもっと年配の俳優を考えていたそうで「僕の中では岩松了さんのイメージでした」と明かす。だが阿部の名が挙がった時点で「阿部さん以外に考えられなくなった」という。原作の一人称による独特の世界観を重視し、語りを含め阿部は2時間出ずっぱり。「それで退屈させないところがすごい。サモ・ハン・キンポーで2時間はキツいしユンピョウでも無理だけど、ジャッキー(・チェン)やブルース・リーならイケる。阿部さんも2時間見ていたいと思わせる俳優」と信頼を口にする。一方の阿部は「舞台はいつも観に行ってるけど『何で出してくれないのかな?』と思ってました。だから今回、初めての映画で呼んでもらって嬉しかったです」と喜びを語った。阿部単独で撮影が始まり、共演陣が徐々にやって来るという、映画と同じ流れで撮影は進行。特に永山絢斗とのやり取りが楽しかったそうで「永山くんが来て、佐々木のキャラクターを自然と壊していくことができた。逆に僕も永山くんを崩したかった。ああいうイイ男がウンコを我慢したりするのは素晴らしい」(阿部)。「最初は『ちょっと我慢し過ぎ』って注文付けたけど、東京帰って観たらそれがよくて永山プランを採用した(笑)」(細川監督)と揃って絶賛。また、雨による待ち時間もかなり長かったようだが、阿部は「雨が打ちつける音が都会にはない感じで待つのが苦にならなかった」と、都会とは異なる時間の流れに身を任せていたよう。さらに「島を出るときはお世話になった人たちに見送られて、そんなにってくらい大泣きしちゃいました」と告白。1か月におよぶ島での生活が、作品にもたらしたものの大きさをうかがわせた。『ぱいかじ南海作戦』7月14日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹
2012年07月12日髪をバッサリと切ったり衣裳を大きく変えることで作品ごとにガラリと印象を変えてしまう俳優は数多くいるが、貫地谷しほりはそうしたタイプとはひと味違う。過去の出演作を見れば分かるが、多少の髪型の変化くらいはあっても大きく見た目が変化することはなく、パッと見でどの作品なのかが分からないくらいだ。その実、演じている役柄は強気の姉御肌からおっとりした美人、ちょっぴり抜けたヒロインまで多種多様。外見ではなくオーラによって存在感を醸し出す何とも不思議なタイプの女優である。そんな彼女の最新作『ぱいかじ南海作戦』で演じているのは“はっちゃけた”という表現がふさわしいハイテンションの関西弁ガール。都会の喧騒を離れての南の島での撮影のことから、女優として進むべき道まで率直な思いを語ってもらった。南の島でのキャンプに女子が飛び込み!職を失い、妻とも別れた中年男が南の島で繰り広げるサバイバル生活を描く本作。椎名誠による原作小説では主人公の一人称で島の情景やそこで起こる様々な事件が事細かに描写されるが、最初に脚本を読んだとき、貫地谷さんは「どんな映画になるのか全く予想できなかった」と明かす。彼女が演じたアパは、友人のキミ(佐々木希)と共に島を訪れ、主人公の佐々木(阿部サダヲ)とオッコチ(永山絢斗)と浜辺で共同生活を送ることになるが、役のイメージも演じていく中で当初に抱いていたものとは全く違ったものになっていったという。「最初、アパはハジケた感じというよりもドスの効いた感じの関西人をイメージしてたんです。そうしたら細川(徹)監督に『男だけでキャンプ生活を送ってる中に女の子が飛び込んできたという雰囲気を出したいので、キャピキャピした感じで』と言われました。撮影しながらどんどん自分が思ってたものと離れていくので、正直どうしていいか分からなくなっていったんですが、そのうち“ええいっ、もうやってやれ!”って感じになって(笑)。キャラの濃い方々の中でワイワイやってました。改めて完成した映画を観たときは『こんな映画だったのか!』って感動しましたよ」。撮影はまず阿部さんがクランクイン。そこに永山さんが加わり、さらに貫地谷さんと佐々木さんが入っていくというほぼ物語の流れに沿った形で進行していった。東京から南の島(西表島)へと渡り、撮影に加わったときの心境は?「佐々木希ちゃんとは以前、ドラマで一緒になったことがあったので、安心してました。だからわりと緊張感を抱かずにすんなりと入れたんですが、むしろ阿部さんと永山くんの方が、突然の女子来訪にどうしていいか分からないって感じだったと思います(笑)。しかも、のぞみん(=佐々木さん)が阿部さんの大ファンだっていうことが途中で発覚して。阿部さんはなぜかマジ照れで“おいおい、おっちゃん(笑)!”って思いつつも、うらやましかったりしましたね」。冒頭でも述べたように、作品ごとに全く違うキャラクターを作り上げてしまうところが貫地谷さんの魅力。誤解を恐れずに言えば“貫地谷しほり”を感じさせず、まず何より役柄として存在感を発揮しているのだ。そんなこちらの言葉に貫地谷さんはほんの一瞬、複雑そうな表情を見せる。「そう言っていただけるのは嬉しい反面、少し前まで悩みでもあったんです。私は存在感が薄いんじゃないかって(苦笑)。でもあるとき、道で役名で呼ばれたことがあって、それがすごく嬉しかったんです。もちろん、私の名前で呼んでもらっても嬉しいんですが、役名で呼んでもらえる、役として見てもらえるって幸せなことなんだなと感じました」。素の「貫地谷しほり」を出していくこと素の自分は「メチャクチャなお調子者」だという。「悲壮感がある役のときに素の貫地谷しほりが頭をよぎったら終わりだなと思うくらい」と苦笑する。「少し前まで、バラエティ番組に出るときもあまりしゃべらずに自分を出さないようにしてたんです。素の貫地谷しほりがどういう人かというイメージを持たれると、観る人が素直に入れないんじゃないかと思って。そのとき、共演者の松重豊さんに『いい加減にその仮面取れよ』って言われて(笑)、それからしゃべるようになったんですが、当時はそれぐらいシビアに考えてたんです。でも、そもそも観る人にそんなことを感じさせるようなレベルの芝居をしてることが問題なんだって思うようになって、いまは自分を納得させながらやってます」。2007年にはNHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」のヒロイン役を務め、その後も映画にドラマ、舞台とキャリアを積んできた。単発ドラマも含め、今年だけでも出演作は10近くにおよぶが、役に臨む姿勢など「自分の中で確実に変化を感じている」とも。「どうすれば伝えられるか?最近は自分の役を好きになることが一番早い、それが一番大事だなと感じてます。これまでは自分の気持ちの中で理解できない行動を脚本で読んだとき、心の中で引っ掛かりを感じながら演じてたんですね。だから最終的に胸を張って『やりきった!』と言えない瞬間があって…。でも観る人は本当に頭がいいんです。私に迷いがあったときは反応もそれなりだし、大好きだと感じながら演じると反響も大きい。自分が入り込まないと観る人は付いてきてくれないということを如実に感じながら、どんな異端児のキャラクターでも好きになれる部分をまず探すようにしています」。演じながら悩むことも多い。「選択肢を自分でいっぱい作ってしまい、“ああかな?こうかな?でもこうもできるな”って。キリがないんですが…。監督に相談して『うーん、悩むなぁ』なんて言われちゃうと、一緒に悩んじゃって決まらないんですよ」。苦笑を浮かべてそう語るが、その顔はどこか楽しげだ。悩み、もがきつつ作品の中に溶けてゆく。この不思議な存在感から目が離せない。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:ぱいかじ南海作戦 2012年7月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012 「ぱいかじ南海作戦」製作委員会
2012年07月12日お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実が伝説のヤンキーを演じたことで、製作発表時から話題を集めてきた『莫逆家族 バクギャクファミーリア』。度肝を抜くバイオレンス・シーンなど、その異色の尽くしで注目を浴びてきた本作だが、中でも目を引くのが、金髪ヘアに染め上げた徳井さんの変貌ぶり。役作りのため、人生初の金髪ヘアに挑戦した徳井さんの“ビビリまくり”の様子をとらえた貴重な映像がシネマカフェだけに到着した。「ヤングマガジン」で連載された田中宏の同名コミック(講談社刊)を原作に、30代を迎えた“元”伝説の不良少年たちがある事件をきっかけに愛する家族や仲間を守るため、闘いに身を投じていく姿を描く本作。徳井さんは、17歳にして関東トップの暴走族の総会長を襲名した荒くれ者、火野鉄を演じている。映像冒頭から、美容師さんたちに「痛いですよ」と脅され、「マジっすか?」とビビりまくる徳井さん。「すぐ(痛みに)慣れますよ」と美容師さんたちにフォローされるも、早くも意気消沈?その後も染料が染み込んでいくのを感じながら「周りに不幸があった場合は、どうしたら…」と、これから暴走族の総会長を演じる男とは思えぬ、こちらを不安にさせるネガティブ発言を連発…。しかし、いざ金髪になった自分を鏡で確認すると雄叫びを上げるや、まんざらでもない表情で「若返りました(笑)」。先ほどまでの不安が吹っ飛んだのか、ハイテンションで本作に賭ける意気込みを語っている。初金髪でさらに男を上げ、見た目も気持ちも族長モードに突入した徳井さんが、阿部サダヲや林遣都、玉山鉄二ら俳優陣にぶどうぶつかっていくのか、その破天荒ぶりに期待しつつ公開を待ちたい。『莫逆家族バクギャクファミーリア』は9月8日(土)より全国にて公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:莫逆家族バクギャクファミーリア 2012年9月8日より全国にて公開© 2011「莫逆家族」製作委員会
2012年07月06日『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作『夢売るふたり』の完成披露試写会が行われ、西川監督と主演の松たか子、阿部サダヲが登壇しての舞台挨拶が行われた。その他の写真本作は、営んでいた小料理屋が火事で全焼し、再出発のための資金集めをすべく結婚詐欺に手を染めていく夫婦の物語。これまでの作品でも一貫して人間同士の密な関係性を描いてきた西川監督は、本作を作るにあたり、「女性のみっともないところを描きたかった」と語る。「女の人の生活はどんどん多様になっていて、悩みも複雑。30代になってくるといろんな思いを抱き、あがきながら人生を歩んでいくしかない。そういう大人の女性の生きづらさ、都会の片隅でひっそり自分の生きる道を模索しているような女性を描いてみたいと思いました」。実は、松と阿部は今回が初共演。現場での様子について監督は、「阿部さんはどの女の人と一緒にいても楽しそうだった(笑)」と証言。一方松については「完全なサラブレッドなのに、そういう女優さんには珍しく雰囲気がフツーっぽかった」と語る。それを立証するかのように阿部が「松さん、おソバ好きですよね」と一言。実は現場では何人もの男性スタッフが、松と一緒におソバを食べたことを自慢していたのだとか。さらには「食べるのも早いし、着替えもすごく早い。歌舞伎かって思うくらい(笑)」と、意外な一面が次々に明かされ、松がタジタジになる場面も。しかしそんな松も、「昼夜逆転のスケジュールでしたが、楽しく幸せな時間でした」と撮影中を振り返るなど、シリアスな物語とは打って変わって、現場は和やかな雰囲気だったようだ。「全員が全力で役に向き合ってくれたおかげで、血の通った作品になった」と、手ごたえのほどを感じさせる西川監督のコメントには、役者たちもそれぞれ感慨深げに。阿部は「今までやったことのない役で、出したことのない表情が出せた。観終わった後の感想がそれぞれ違うんじゃないかな。3~4日くらい話せると思うので、たくさん話し合ってください」と映画をアピール。松も「いろんな見方が出来る作品。どうか寛容な気持ちで楽しんでほしい」とコメントし、舞台挨拶を締めくくった。『夢売るふたり』9月8日(土)より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
2012年06月29日結婚詐欺に手を染める夫婦の愛憎を描いた話題作『夢売るふたり』の完成披露試写会が6月28日(木)、東京・千代田区の日経ホールで行われ、初共演で夫婦役に挑んだ松たか子と阿部サダヲ、メガホンをとった西川美和監督が舞台挨拶に登壇した。営んでいた小料理屋を火災で失った夫婦(松さん&阿部さん)が、再出発の手段として選んだのは結婚詐欺!真っ当ではないと知りつつも、金のために嘘をつき続けるが、やがて夫婦の間、騙した女たちとの間にさざ波が立ち始め、歯車が狂っていく…。松さん、阿部さんを始め、田中麗奈、鈴木砂羽、伊勢谷友介、香川照之に笑福亭鶴瓶と個性派キャストが集結した。松さんは「とても楽しかった。阿部さんはもともと好きな俳優さんだったので、私の目に狂いはなかったなと(笑)」と今回の初共演に手応え十分。一方の阿部さんは、「完璧で欠点がない女優さんというイメージ。監督さんが『OK』って言えば、『そうでしょ』って感じの(笑)。でも実際にお会いしたら、とても普通な方で…」と印象をコメント。さらにステージ登場時に松さんがつまずいたと明かし、「普通より下かも」と茶化して笑いを誘っていた。西川監督は「物語がグロテスクなので、松さんの“品”が必要だった」、「阿部さんとはずっとお仕事したくって、何かチャンスがあればと狙っていた」と2人を起用した理由を説明し、「おふたりの化学反応に期待したし、実際言うことのない完ぺきな演技だった」と大満足。さらに劇中で次々と美女を手玉に取る阿部さんの様子を「どの女性と一緒にしても楽しそうでしたよ」と暴露し、阿部さんは照れくさそうな表情だ。これまで男性を主人公に据え、さらに“騙す”という一貫したテーマで長編映画を撮り続けている西川監督。今回は初めての“女性目線”映画となり「描きたかったのは、女性のみっともなさや生きづらさ。女性の人生が多様になった時代、30歳を超えると悩みも複雑になるもの。あがきながら、生きる道を模索する女性の姿を見てほしい」と自信を込めて最新作をアピールしていた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年06月28日“現代版ロビンソン・クルーソー”と評された椎名誠のコメディ小説を映画化した『ぱいかじ南海作戦』の完成披露試写会が21日、東京・新宿バルト9で開催され、主演の阿部サダヲをはじめ、永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木希、長編監督デビューを飾る細川徹(劇団「男子はだまってなさいよ!」主宰)が舞台挨拶を行った。その他の写真リストラ&離婚を同時に経験した主人公(阿部)が失意の中訪れた西表島で、奇想天外なサバイバル生活をおくる姿をコミカルに描く。旅先で出会う仲間たちを永山、貫地谷、佐々木が演じ、それぞれ悩みを抱えながらも団結し、タイトルにある“作戦”を遂行すべく力を合わせて奮闘する。昨年11月から約1か月間、西表島でのオールロケを敢行し「のんびりした映画だから、のんびり撮ろうと。1か月間、同じ島にいるので仲が悪い人がいると大変じゃないですか(笑)。とにかくピリピリしないように意識した」(細川監督)。阿部は、もともと細川が演出を手掛ける舞台の大ファンだったといい「昔から『好きだな』『出たいな』と思っていたので、本当に嬉しかった。台本も面白かった」。共演する永山は「終始笑いをこらえるのに必死でした」と阿部との共演を振り返る。貫地谷は「撮影が終わった後も、徒歩で行けるお店が1軒しかないので、みんな自然と集まって楽しくご飯を食べました。絢斗君と希ちゃんが、ずっとヤドカリを観察していて(笑)」と西表島ならではのエピソードを披露した。佐々木は普段から「阿部のファン」と公言しており、今回の初共演に「緊張して、どんな方なのか妄想した。いざ会うと気さくで、イメージと違いました。本当はもっと暗い人かと思っていたので(笑)」とニッコリ。さらに「大好きです。ますます好きになりました」と告白し、阿部をメロメロに…。阿部は「映画の冒頭で全裸になっています。舞い上がっちゃって(笑)。別に(沢尻エリカが主演する)『ヘルタースケルター』を意識したわけじゃありません」と照れ隠ししていた。『ぱいかじ南海作戦』7月14日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
2012年06月22日椎名誠の同名小説を映画化した『ぱいかじ南海作戦』の完成披露試写会が6月21日(木)、都内で開催され、主演の阿部サダヲを始め永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木希に細川徹監督が舞台挨拶に登壇した。失業と離婚を同時に迎えた男性(阿部さん)が、旅先の南の島で怪しいホームレス4人組に騙され、持ち物を全て奪われてサバイバル生活を強いられることに。旅人の若者(永山さん)や関西弁の女子2人組(貫地谷さん&佐々木さん)などが加わり共同生活を送る中で、ホームレス4人組に復讐するチャンスが巡ってくるのだが…。撮影は全編、沖縄の離島・西表島で行われたが、阿部さんは映画に協力してくれた地元の人々とかなり仲良くなったそうで、いまでも交流が続いているとか。「昼ごはんや映画の中の料理を作ってくださったり、親睦会を開いてくださいました。子供たちが『マルマル、モリモリ…』をやったりして『阿部さんも上がんなきゃ』って言われてステージに上がりました。おうちに行って鍋をごちそうになったりもしました」と明かした。永山さんは好きなシーンとして「一度やってみたかった(笑)」と砂浜での阿部さんとの巨大棒倒しのシーンをチョイス。最初は砂が乾いていたため、すぐに棒が倒れてしまう状態だったが、スコールのおかげで地面が固まり、なかなか倒れない状態になってしまったそうで、一発勝負の本番で阿部さんと永山さんが数分にわたって奮闘するハメに…。「阿部さんのドロップキックが決まってます」と笑顔で明かした。貫地谷さんによると、待ち時間はみんなでヤドカリを眺めて、のんびり過ごしていたとか。「絢斗くんと希ちゃんが大量にとってきたので観察してました。貴重な体験でした」とニッコリ。阿部さんも「ヤドカリの引っ越しが見れるんですよ!」と熱弁するも、監督から「ヤドカリの話はいいですから!貫地谷さん、いま映画の話全くしてない(苦笑)」とストップがかかり、会場は笑いに包まれた。佐々木さんは以前よりことあるごとに好きな芸能人として阿部さんの名を挙げていたが、ついに念願叶って共演を果たした。「始まるまで緊張して『どんな方なんだろう?』と妄想してました。イメージではもっと暗い人かと思ってたら(笑)、とても気さくでますます好きになりました。大好きです!」と公衆の面前で愛の告白。撮影時にそのことを知った阿部さんは佐々木さんとまともに口がきけなくなるほど照れていたそうだが、この日も体をくねらせながら「顔が見れない」と照れ笑いを浮かべていた。そんな阿部さんだが、舞台挨拶終了が近づくと「みなさんに言っておかないといけないことがある」と前置きし、劇中で自身が裸を披露していることを告白。「舞い上がって全裸になるので気をつけてください!決して『ヘルタースケルター』に対抗したわけではなくて、テンションが上がって真っ裸になっちゃったんです」と沢尻エリカの大胆シーンが話題を呼んでいるライバル作(?)の名を挙げて、言い訳を交えつつ“警告”。会場は笑いに包まれた。『ぱいかじ南海作戦』は7月14日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:ぱいかじ南海作戦 2012年7月14日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012 「ぱいかじ南海作戦」製作委員会
2012年06月21日松たか子、阿部サダヲを夫婦役として迎えた最新監督作『夢売るふたり』の公開を9月に控える西川美和監督が初めて挑むスポーツ・ドキュメンタリーが、6月10日(日)、NHK−BS1にて放送されることが決定した。自ら手掛けた原案と脚本をもって、結婚詐欺を仕掛ける夫婦と、騙される女たちの愛の物語を描いた西川監督。阿部サダヲ演じる男による詐欺に遭う数々の女性の中でも異彩を放つのが、江原由夏扮する女子ウェイトリフティングの選手である。同役を描くにあたり、2年前にウェイトリフティング選手の取材で金沢学院大学に訪れた西川監督は、一途に競技に取り組む選手たちと絶妙な駆け引きの織りなす力比べの虜となり、今回、企画・構成そして聞き手として、初めてのスポーツ・ドキュメンタリーに挑むこととなった。ナレーションは連続テレビ小説「カーネーション」で脚光を浴びた尾野真千子が担当する。今回この設定を考えた理由について、「私は身体の大きな女性アスリートががむしゃらに健闘する様子が、好きなのです。柔道は花形だけれど、もっとひっそりと黙々と生きている勝負師。『どうしてそれを選んだんです?』と不思議がられるような世界で汗をかく女の人を探して、出会ったのがウェイトリフティングという競技でした」と語る西川監督。ロンドン五輪を前に、日本映画界の女性監督として新たな領域に挑み続ける彼女が見た、女子ウェイトリフティングの世界とは?女性ならではの視点で描く、女性の強さに注目したい。「重力に逆らってまで~映画監督・西川美和が見た女子ウェイトリフティング~」はNHK−BS1にて6月10日(日)21:00~放送。『夢売るふたり』は9月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年06月09日松たか子と阿部サダヲが主演し、『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和が監督を務める『夢売るふたり』の予告編がこのほど公開になり、騙し騙される男女の緊迫した関係をとらえた本作の一部が明らかになった。『夢売るふたり』予告動画本作の主人公は、東京の片隅で小料理屋を営んでいた夫婦。穏やかに暮らしていたふたりは店の火災ですべてを失い、人生の再出発のために、夫婦で“結婚詐欺”をはたらくことに。このほど公開された予告編も、仲睦まじい主人公夫婦の姿を捉えた場面で幕を開けるも映像は一転、ダークなトーンで借金を抱えて途方にくれるふたりを映し出す。その後の映像に登場するのは、夫婦の周到な計画によって、心を奪われ、金も奪われてしまう女たち。結婚できない独身の会社員を田中麗奈が、不倫で大金を手にした女性を鈴木砂羽が、家計を支えるシングルマザーを木村多江が演じており、その他に伊勢谷友介、香川照之、笑福亭鶴瓶らが出演する。予告編は、夫婦が結婚詐欺を働き、次々と金を巻き上げていく過程を描いた後に、相手を騙しても騙しても精神的にも金銭的にも満たされることのない夫婦の心象を描く。金を得たことで夫婦は何を売り渡してしまったのか? 騙された者たちは泣き寝入りするだけなのか? 『ゆれる』で緊迫した家族関係を描き高い評価を得た西川監督の新作だけに、本作がどんなカタチで“男と女の真実”を描き出すのか気になるところだ。『夢売るふたり』9月8日(土)全国ロードショー
2012年06月06日1991年に悪人会議プロデュースとして上演され、1998年には日本総合悲劇協会公演として再演、演劇界を超えてカルチャーシーンに衝撃を与えた松尾スズキ(作・演出)の『ふくすけ』。薬剤被害や宗教ビジネス、テロ行為に没入する人々など、世紀の変わり目を経てなお“今の物語”であり続け、生温かいヒューマニズムをも笑いつくす伝説的作品だ。実に14年ぶりの再々演となる今回は、古田新太や多部未華子、大竹しのぶら豪華メンバーに、阿部サダヲ、皆川猿時、平岩紙ら大人計画の劇団員も出演する最強のキャスティング。某日、宣伝写真撮影中の都内のスタジオで松尾の話を訊いた。『ふくすけ』チケット情報スタジオに到着すると、ちょうど古田が撮影中。劇中ではさえない中年男を演じる古田だが、撮影は作品自体のビジュアルイメージということで、ネックレスを胸元にチャラチャラと光らせた服装で不敵に立つ。見ている松尾から思わず「脂が乗ってるよね」という言葉が漏れ、その圧倒的な存在感にスタッフ全員が引き込まれる。次に衣裳を身につけた阿部がフラリと現れ、スタジオの中央へ。指の爪をかじりながらカメラに視線を向ける様子はどこまでが阿部自身で、どこからが阿部が演じるフクスケなのか分からないほど。キュッと細められた阿部の瞳を見ているうちに、本番で見られるであろうフクスケの物語が俄然楽しみになってきた。今回のキャストについて松尾に訊くと、「あえての地味な男の役を見たかった古田さんに、絆と尊敬を感じている大竹さん。毒々しい舞台に透明感を放ってくれるであろう多部さんと、理想のキャスティング。あとは、フクスケの哀しみを出せるのはこいつしかいねぇな、と阿部(笑)」との答えが返ってきた。その最強キャストで迎える14年ぶりの上演については「初演はバブル景気の頃で、世の中の浮かれ気分に対する20代の自分の“怒り”を込めて作っていたんです。でも今は状況が違う。日本全体が不景気だし、発散しきれない怒りや諦めとかで覆われてるでしょう。実は前回、30代後半で再演した時に、初演とは別の手応えを客席から感じたんです。“怒り”って人間の根源的な部分だと思うし、年代によっても感じ方は違ってくる。だから40代最後に演出する今回、『ふくすけ』を通して感じられる怒りを普遍的なものとして受け止めてもらえるかどうか。それを見極めたいという思いがあります」と語った。生の舞台はリアルと地続きだからこそ、そのときどきに形を変える。本作が常に“事件”であり続ける理由を、ぜひ劇場で確かめてほしい。公演は8月1日(水)から9月2日(日)まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、9月6日(木)から13日(木)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて上演される。なお、チケットは東京・大阪とも6月3日(日)10:00より一般発売開始。また、チケットぴあではWEB先行抽選を東京公演は5月24日(木)11:00まで、大阪公演は5月23日(水)11:00まで受付中。取材・文佐藤さくら
2012年05月22日フォルクス ワーゲン ジャパンは20~22日の3日間にわたり、東京・丸の内ビルディング「MARUCUBE(マルキューブ)」にて、「The Beetle PARADE」を開催している。20日に行われたオープニングイベントでは、俳優・クリエイターの井浦新さんが登場した。日本における「The Beetle」デビュー(4月20日受注開始、6月1日発売)を前に開催されたこのイベントでは、会場に実車を展示したほか、9mの巨大モニターで多彩な映像演出も展開。さらに、半年間にわたって実施されたデザインコンテスト「THE HEART BEETLE」の応募作品の中から、井浦さんが選んだデザインが実車となり、オープニングイベントで披露された。井浦さんらによるアンベールとともに、葛飾北斎の「富嶽百景」をほうふつとさせるデザインのラッピングカーが姿を現した。「波をファイヤーパターンで表現したところが好きでした。数ある作品の中でもデザインが個性的で、展示用として『見る楽しさ』という点で一番光っていました」と井浦さん。ビートルは幼少期から間近に見てきたとのことで、「フォルムやデザインの美しさに魅せられ、僕にとって”好きなクルマの象徴”のような存在。『ザ・ビートル』はさらに進化していて、重厚さが増しながら現代的でもあり、男らしいデザインになったと思います。本当にかっこいい」と語った。井浦さんは現在、NHK大河ドラマ『平清盛』に崇徳上皇役で出演中。これにちなみ、「『平清盛』出演者を『ザ・ビートル』にたとえるなら誰?」との質問も。しばらく考えた後、井浦さんは「信西役の阿部サダヲさん」と答え、「阿部さんが持つ唯一無二の個性と、ビートルの唯一無二のデザイン、あとはギュッと詰まったサイズ感も、両方重なるものがあるかも……」と理由を述べていた。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月21日田中宏原作のコミック『莫逆家族』を、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実主演で実写化した映画『莫逆家族〈バクギャクファミーリア〉』の予告編が公開され、本作の主題歌をロックバンドの10-FEETが担当することが分かった。予告編動画本作は、少年時代は暴走族のトップだったものの、現在は家族を養うために現場作業員として働く主人公・火野(徳井)が、かつての仲間・横田(阿部サダヲ)の娘が不良たちに暴行されたことをきっかけに再び立ち上がっていく姿を描いた物語。監督は『海炭市叙景』の熊切和嘉が務める。役作りのために、肉体を鍛え上げ、金髪に染めた徳井。今回公開された予告編には、リーゼント頭で特攻服の徳井が、“家族”と呼び合った不良仲間たちとバイクを乗り回すシーンをはじめ、その後更正して家族と仲睦まじく過ごす場面や、かつての因縁の敵と思われる存在と対峙し、再び暴力の世界に巻き込まれていく様子が映し出されている。「ストレートで解放感があるバンドの雰囲気がぴったり」という理由で起用された10-FEET。彼らが書き下ろした主題歌『コハクノソラ』についてプロデューサーの岡田真氏は、「歌詞にある“ああ間に合えば…”というフレーズを聴いて、来た! と思った。この曲を聴いて私たちは“間に合わなかった”男たちの物語を描いていたんだと再認識しました」と明かしている。物語のテーマとリンクする主題歌が流れる予告編を、いち早くチェックしてみてはいかがだろうか。『莫逆家族〈バクギャクファミーリア〉』9月8日(土)全国ロードショー
2012年04月20日“現代版ロビンソン・クルーソー”と評される椎名誠の小説を、阿部サダヲ主演で映画化した『ぱいかじ南海作戦』が、7月14日(土)より公開されることが決定し、主題歌を担当することになった星野源からコメントが届いた。その他の写真本作は、同時にやってきたリストラと離婚に失望した佐々木(阿部)が、気分転換に訪れた南の島で繰り広げるサバイバル生活や、島で出会った仲間たちとの結束をコミカルに描く。昨年11月から約1か月間、西表島でのオールロケを敢行し、いよいよ7月に公開が決定。主演の阿部のほか、旅先で出会う仲間たちを永山絢斗、貫地谷しほり、佐々木希が演じ、それぞれ悩みを抱えながらも、タイトルにある“作戦”を遂行すべく力を合わせて奮闘する姿を体現している。そして今回、阿部サダヲが所属する人気劇団・大人計画の俳優であり、シンガーソングライターでもある星野源が、細川徹監督から直々にオファーを受け、本作のために書き下ろした新曲『パロディ』が主題歌に。沖縄料理屋で4年間働いた経験を持つという星野は、「お店では、沖縄の素晴らしさや日々を笑い飛ばすことの大切さを学びました。だから今回、主題歌のオファーをいただけてすごく嬉しい。ずっとやりたかったおっちゃんのリズム。チャンキー・ミュージック。日々の中にあるパロディについての歌ができたと思います」とコメントを寄せている。『ぱいかじ南海作戦』7月14日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
2012年04月18日絶対不可能と言われていた“リンゴの無農薬栽培”を実現させたリンゴ農家・木村秋則氏の挑戦を描いた著書『奇跡のリンゴ』が、阿部サダヲと菅野美穂主演で映画化されることが決定した。その他の写真日本最大のリンゴ生産地である青森県を舞台に、一人の農家の挑戦を描いた本作。『ゴールデンスランバー』『チーム・バチスタの栄光』で知られる中村義洋が監督を務め、阿部と菅野が夫婦役を演じる。極貧に耐え、自殺に追い込まれるほど過酷な状況になっても、11年もの年月をかけてリンゴの無農薬栽培を実現させた木村氏。今回キャスティングされた阿部は、「『世界で初めて(リンゴの無農薬栽培)』を成功させて今現在もご活躍中の方を演じるなんて、今までそんな経験はなかった。ステキな秋則を作りたいと思っています」と意気込みを見せている。両親が岩手県のリンゴ生産地の出身ということもあり縁を感じているという菅野は、「農薬アレルギーのある妻を苦しみから解放してあげたいという愛情が(無農薬リンゴ栽培の)きっかけだなんて、なんと素直で優しいんでしょう。猪突猛進の主人を温かく見つめるのが妻の務めでは」と、その献身的な役柄を振り返った。また中村監督は、「あらゆる仕事においてチャレンジを続ける人々の普遍的な物語。今まさに何かを諦めかけている人が見て、この家族に比べたら自分の方が恵まれているな、もう少し頑張れるな、なんて思っていただければ」と語っている。木村氏本人の、「一つのものに狂えばいつか答えは見つかる。とにかく諦めないで」という強いメッセージが込められた本作は、弘前市全面協力のもと、4月中旬からオール弘前ロケを敢行し、2013年に公開される予定だ。『奇跡のリンゴ』2013年ロードショー
2012年04月06日