2015年7月15日 19:00
「男らしさ」に縛られていないと男は弱くて無責任なのか? - 『フレンチアルプスで起きたこと』
と語る。
田中氏が定年退職した男性に聞き取り取材をしたところ、40年間ひたすら企業に身を捧げてきた結果、自分に何も残っていないことに気付き「残念です」と答えた人が多かった、というエピソードには愕然とさせられた。
また、旧来の男性が「金・権力・女」を原動力に生きてきたのに対して、最近の学生はそこに頓着や執着がないと田中氏は言う。湯山氏は、それ自体はいい傾向であるとしながらも、「金・権力・女」に代わるモチベーションとして、「家族」が再び理想化されていることに危惧を示した。
男性を仕事の奴隷にしてきた戦後社会は、一方で母と子の癒着状態を生み出し、子供を管理/監視したいという「母性の暴走」を許してきたという。その結果、「お母さんに心配かけたくない」という発想が蔓延し、若者が自分の責任で自立や挑戦をすることを阻害しているのではないかというのだ。
たしかに、自分も含めた「いまどき」の男性の傾向として、マッチョな「男らしさ」を手放す代わりに、自分の行動に対する「責任」も取りたくないという甘えを感じることがある。ひょっとすると男性は、「男らしさ」で縛り付けられていないと、責任や主体性を引き受けられないのではないか……そんな暗澹たる考えも頭をよぎる。