2018年6月11日 11:30
ヒット作連発・池井戸潤、執筆最大のピンチ&初映画化の感想は?
そういう意味で記念碑的な作品かな。それまではずっとミステリーのつもりで書いていたのに、書店では企業小説の棚にしか置いてもらえず、頭にきて、だったらと企業小説のつもりでこれを書いたら、今度は文芸の棚に入って。世の中わからないなと思いました(笑)。
――実際に起こり得そうな事件を、フィクションとして書くというのは、難しいところもたくさんあるのかと思いますが……。
これは、リコール隠しという事件をモチーフにして、エンタテインメントとして組み直したものです。「形は違っても、どこにでも起きそうな事件だ」と思っていただければ。なぜそういうことが起きてしまうのか、通底する構造があるのではないでしょうか。
●もし、池井戸潤が転職するなら行きたい企業は?
○不祥事が起きると引き合いに出される
――正義や希望が描かれることも多いのかな、と思っていますが、そういうテーマを伝えたいという思いは強いのですか?
正義とか、実はあまり考えたことはないんです。
念頭においてはいるけれど、それよりもはるかにエンタテインメントとして楽しんでいただきたい。それが僕が小説を書く最大の目的です。いろんな事件が起きた時に、「あの会社の内部にもいろいろあるんだろうな」