【石子と羽男 第10話 感想】その傘は、誰のために差し出すのか?
たかがポイ捨てだけで自分は負けないと笑う御子神に、石子は物申す。
「力が弱い者も、強い者も、同じ世界で平等に生きてくために必要なルール。法律はそのためにできていくんだと思うんです」
しかし「弱い人間は所詮その程度だ」と御子神に強く返され、後退りする石子。代わりに一歩前に出たのは、羽男だった。
「あなたが弱者と呼ぶ人たちは、強くなりたいって思ってないんじゃないですかね?」
初めての依頼の時、フリーズした羽男に代わり一歩前に出たのは石子だった。それとは逆の構図である。
支え合った時間を思い、胸が熱くなる瞬間だ。
弁護士資格のないパラリーガルの石子。
臨機応変さに欠ける頼りない弁護士の羽男。そんな相棒コンビはこれまでお互いの『足りない』を補い合ってきた。
弱い者が群れることは情けないことではない。誰かに頼ることは素敵なことだ。
そして御子神は世間の批判の声を浴び、理事を退任させられる。
たかがポイ捨てだと笑い、切り捨てた小さな中ある、捨てられるべきではない、沢山の人の訴えだった。
羽男が言う通り、権力とは無縁に、ただ普通の日常を送りたいと願う者たちの救いとなるのが法律である。