【石子と羽男 第10話 感想】その傘は、誰のために差し出すのか?
最終話、特殊詐欺に立ち向かう手立てに、『ポイ捨て』は弱いのかもしれない。
同じように、法律には限界が存在することも、綺麗事だけでは上手くいかないことも描かれてきた。
しかし法律は力の弱い人々が声を上げ、寄り添ってできた歴史だ。
未来を変えるため、まず知ろうとする者、そして一歩踏み出そうとした者に、これからも寄り添いながら変化していくのだ。
簡単に変わらないものもある。だからこそ初めから100%とはいかなくて、変わり始めようとしたその瞬間に価値があることもこの作品が描いたことだ。
暮らしの近くにある問題に直向きに寄り添ってきた作品の最後だからこそ納得する落とし所なのだ。
そして今作で何度も映し出される『足』は、暮らしを守るために歩み出す人の足だろう。
誰かに歩み出すきっかけを与えられるのは、きっと法律だけではない。
そして歩み出すきっかけを与え合った、石子と羽男。
羽男は、父親に重圧をかけられ続けた過去から、自分らしく一歩踏み出すために、ありのままの自分を告白する。
「君は優秀ではない」と厳しい言葉をかけられたが、羽男はその言葉が何よりも嬉しかった。
泰助の「頑張りなさい」