【『VIVANT』感想4話】冷酷ささえも魅力に変える堺雅人の演技
だと判明するものの、公安の野崎(阿部寛)は他に太田に指示を出した黒幕がいるはずだと考えていた。
野崎と乃木は協力してあぶり出し工作を試みるも、その黒幕は意外なところから判明する。
薫(二階堂ふみ)がバルカから呼び寄せた少女・ジャミーンが持ってきた写真に写っていたのは、バルカに行ったことがないはずの乃木の同僚・山本(迫田孝也)だった。
3話まで出ていないことで話題をさらっていた松坂桃李が、この回ついに別班の一員・黒須として登場する。
NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(2012年)『わろてんか』(2017年)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系・2016年)と、どちらかというと素直な好青年役の印象が強い松坂桃李だが、過去に『劇場版MOZU』(2015年)で見せた、狂気と暴力を煙のように纏わせた演技も印象深かった。今作では乃木を先輩と呼び、別班の一員として、他人を騙すことも暴力も、殺人までも、まるで遊びの延長のような醒めた目の青年を演じている。
おそらく今作の黒須は、三十代半ばの松坂桃李にとって俳優として更なるキャリアを切り開く転機の役になるだろう。
黒須と、別人格のFが出現した乃木が山本を尋問し裁くシーンは、山本を演じる迫田孝也の怪演も加わって鳥肌の立つような数分間だった。