【『VIVANT』感想4話】冷酷ささえも魅力に変える堺雅人の演技
命乞いをする山本に、言葉では条件次第では助けると応じながらも、あっさりと時間がないと自白剤に切り替える。
最初から尋問、自白剤、そして『排除』まで既定路線だったのだと思う。
「美しいだろう?この美しき我が国を汚す者は何人たりとも許せない」
山本の処刑の前にFが口にしたこの言葉。「迷いのない正義と信念」は、まるで精緻に研ぎすませて、実用するには人を過剰に傷つけてしまう長く鋭い刃物のようだ。
それでも辛うじて、公安を入れずに直接連れてきた方がよかったという黒須に、太田の命を優先させたかったからこれでいいと語るFの言葉は、温かみとともにある種の救いのように思えた。
乃木の経歴に疑念を持ち続けていた野崎にとって、この誤送金事件の決着は乃木の正体を確信する決め手になるだろう。
そして新たに大きな疑問が生じる。
山本がテロ組織『テント』の手先であると判明するきっかけのジャミーンの写真。
なぜジャミーンの家族がテントの一員を写した写真を持っているのか、ジャミーンの父親であるアディエルはテントと何らかの関係があったのか。その疑念は、父娘と家族のように親しかった薫にも及ぶ。
公安である野崎も、別班である乃木も、それを見過ごすことはないだろう。