いくつになっても青春の楽しさを味わいたいものですが、そんな欲求に応えてくれる1本といえば、アニメ映画『ブルーサーマル』。上昇気流に乗って空を飛ぶ航空機・グライダーというスポーツを通じて成長し、恋愛や友情に悩む若者たちの姿が幅広い層から共感を集めています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。堀田真由さん【映画、ときどき私】 vol. 463“ネクストブレイク必至”として注目を集め、現在は女優、モデルとして活躍している堀田さん。本作では、キラキラな大学生活を夢見ている一生懸命な主人公の都留たまきを演じ、声優に初挑戦しています。今回は、声優として味わった苦労や学生時代の思い出、そしてこれからのことについて語っていただきました。―以前から声のお仕事をやってみたいと思われていたそうですが、そう考えるようになったきっかけはありましたか?堀田さん自分ではあまり意識していませんでしたが、周りの方から声をほめていただくことが多く、自分の声に対する“気づき”があったのがはじまりでした。そこからいつかアニメーションやナレーションといった声のお仕事ができたらいいなと。そんななかで、この作品のことを知り、ぜひ私も参加したいと思ってオーディションを受けることにしました。―オーディションの前に、特別な準備などもしましたか?堀田さん家でセリフの練習はしましたが、ほかに何をしたらいいのかまったくわからなかったので、とにかくフラットでいることを意識しました。あとは、『ブルーサーマル』のタイトルに合わせて、願掛けでブルーのセーターを着ていったくらいですね(笑)。全部にぶつかっていく思いで挑んだ―実際、手ごたえを感じる瞬間もありました?堀田さんそこで自分ができることは精一杯できたかなとは思います。ただ、役が決まってからは周りが声優の方々ばかりだったので、「私で大丈夫なんだろうか」と不安になったことも。でも、やり始めたらすごく楽しかったので、いまはまたぜひやりたいという気持ちでいっぱいです。―演じるうえで苦労したのは、どのあたりでしょうか。堀田さん普段、私は関西弁を使っていますが、長崎弁は話したことがなかったので、本当に大変でした。声優が初めてなうえに、方言も初めてでまさにダブルパンチ。そんななかでも、いろいろな練習をしたり、現場で教えていただいたりしながらできるようになっていった感じです。あとは、テクニック的なことよりも、一生懸命なたまきの気持ちがしっかりと伝わればいいなと。わからないことだらけでしたが、「全部にぶつかっていこう!」くらいの思いで挑みました。―初めてのアフレコ現場ということで、驚いたこともあったのではないかと思いますが。堀田さんそうですね。いつもはすべてのセリフを頭に入れた状態で現場に行くので、台本を見ながらお芝居をする感覚は不思議でした。台本の持ち方から立ち方、ページをめくるタイミングまでびっくりすることはたくさんありましたが、いろいろと学ぶことは多かったです。努力していれば、無駄になることはない―ご自身もたまきと同じように、10代で滋賀から単身で上京を経験されています。演じるうえで、当時のことを思い出すこともあったのでは?堀田さん私の場合は、夢を叶えるために出てきたので、そのとき抱えていた思いはたまきとは少し違うかもしれませんが、「人生は何があるかわからないな」という気持ちは近いと感じました。―たまきは偶然の出会いから思いがけない方向へと人生が進んで行きますが、ご自身にも似た経験があったということですか?堀田さん私は自分の意志でこの仕事を選びましたが、最初は受かると思っていなかったので、「とりあえずオーディションに行ってみよう」くらいの感覚でした。ただ、そのときにいまのマネージャーさんが私を見つけてくれたおかげで、人生が大きく変わったと感じています。―とはいえ、その過程でくじけそうになったことはないのでしょうか。堀田さんいまはいろいろなことを考えてしまいますが、10代のときのほうが怖いもの知らずでしたね(笑)。ただ、たとえ夢が叶わなかったとしてもちゃんと努力をしていれば、絶対に無駄になることはないと昔から思っていたので、ダメ元でもオーディションに向けて準備することが大事だといつも考えていました。おいしいご飯を食べているときが一番幸せ―そういう積み重ねがいまに繋がっているんですね。では、青春の思い出といえば?堀田さん昔は美容にもあまり興味がなかったので、日焼けで真っ黒な“スポーツ女子”みたいな感じでした(笑)。高校生になってからは、学業とレッスンと現場をかけ持っていたので、いま思うとある意味あのときが青春だったなと思います。―本作では、空の映像も圧巻でしたが、実際にグライダーで飛んでみたい場所はありますか?堀田さん地元である琵琶湖や自分が住んでいた街の上を飛んでみたいですね。とはいえ、実は高いところが苦手で、飛行機もあまり得意ではないんですけど……。ただ、映像として完成したものを観たときは、乗ってみたいなと思いました。―劇中でブルーサーマルをつかまえると幸せになれると言われていましたが、いま堀田さんが幸せを感じる瞬間は?堀田さん仕事をしているときやクランクアップの瞬間は幸せですが、やっぱり一番は、そのあとにおいしいご飯を食べているときです(笑)。最近は、韓国料理にハマっています。大切なのは、疲れを次の日に持ち込まないこと―とはいえ、やはり体のことを気遣った食生活などを送っているのでしょうか。堀田さんモデルのお仕事もしているので、「ちゃんとしなきゃ」とは思うんですけど、実はまったく何も意識していなくて……。とにかくいまを楽しみたいという気持ちのほうが強いので、ついいっぱい食べてしまいます(笑)。―では、その代わりに美容法として毎日していることがあるとか?堀田さんどれだけ忙しくても、湯船にはちゃんと浸かるようにしています。その日の疲れはその日のうちに取りたいので、湯船でしっかりとリラックスするというのは続けていることです。というのも、なるべく次の日に持ち込まないというのは大事だなと思うので。悩みを抱え込んでしまいそうなときは、ドラマや映画を観たり、小説を読んだりして、一旦違う世界に行くように心がけています。あとは、なるべくひとりの時間を作ること。自分自身と対話しながら、いまどういうコンディションなのかをチェックするように意識しています。寝る前にその日あったいいことを考えることもありますが、そんなふうに前向きな気持ちで寝るのもオススメです。この作品が何かのきっかけになってほしい―それなら誰でもすぐに実践できそうですね。今回は声優に初挑戦しましたが、これから挑戦したいことを教えてください。堀田さん長く仕事を続けていると、だんだん初めてのことが少なくなってきますが、最近楽しかったのは、ラジオのゲストに初めて呼んでいただいたときのこと。「やっぱり私は声のお仕事が好きなんだなぁ」と改めて感じたので、これからも声を使ったお仕事をもっとしていけたらいいなと思っています。―それでは最後に、ananweb読者へのメッセージをお願いします。堀田さんいまは前向きな気持ちになれないときもあるかもしれませんが、エンターテインメントに救われることもあるので、この作品がみなさんにとって何かのきっかけになってもらえたらいいなと思っています。映像もとてもキレイなので、ぜひ映画館でご覧いただきたいです。インタビューを終えてみて……。たまき同様に笑顔がステキで、何事にも一生懸命なところが伝わってくる堀田さん。劇中では、声優初挑戦とは思えない見事なハマりっぷりを見せています。透明感がありながら、お茶目さもある魅力的な声にぜひ注目です。どこまでも飛んでいける可能性を感じる!「スポーツ・恋愛・青春」の三拍子に加え、まるで空を飛んでいるかのような美しい映像も満喫できる本作。もがきながらも前に進もうとする主人公たちから、自分を信じて飛び出す勇気をもらえるはず。あなたも幸せになれる風に乗って、どこまでも遠くへ飛んでみては?写真・山本嵩(堀田真由)取材、文・志村昌美ドレス¥148,500、ジャケット¥137,500、シューズ¥80,300/すべてPlan C(パラグラフ03-5734-1247)ストーリー「キラキラな恋がしたい!」と普通の大学生活に憧れて長崎から上京した都留たまき。ひょんなことから体育会航空部の雑用係をすることになってしまう。思い描いていた大学生活とかけ離れた環境に不満を抱いていたが、主将の倉持が操縦するグライダーで空に飛び立った瞬間から、その世界に魅了されていく。気がつけば、ともに練習に励む先輩や同期との間にも固い絆が生まれていた。そんななか、仲たがいしていた姉や強力なライバルがたまきの前に現れる。果たしてたまきは“幸せになれる風=ブルーサーマル”を捕まえることができるのか……。吸い込まれるような予告編はこちら!作品情報『ブルーサーマル』出演:堀田真由島﨑信長榎木淳弥小松未可子小野大輔白石晴香大地葉村瀬歩古川慎高橋李依八代拓河西健吾寺田農原作:小沢かな『ブルーサーマル―青凪大学体育会航空部―』(新潮社バンチコミックス)監督:橘正紀脚本:橘正紀高橋ナツコ主題歌:「Blue Thermal」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)挿入歌:「Beautiful Bird」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム製作:「ブルーサーマル」製作委員会3月4日(金)全国公開配給:東映映画公式Twitter/Instagram:@eigabluethermal© 2022「ブルーサーマル」製作委員会写真・山本嵩(堀田真由)
2022年03月03日TVアニメをきっかけに一躍国民的人気作となった、呪術師の物語『呪術廻戦』。アニメの前日譚『劇場版 呪術廻戦 0』が絶賛公開中。同じ呪術高専を舞台にしながらも、異なる時間軸や主人公によって描かれているTVアニメシリーズと劇場版――。ここでは2作品の相関関係を解説します。TVを見てから『劇場版 呪術廻戦 0』を観る人も、映画を観てからTVを見る人も、これさえ見れば一気にそれぞれの世界観を把握できるはず!劇場版の世界TVアニメシリーズ『呪術廻戦』の約1年前を描き、今作の主人公・乙骨憂太はTV版の主人公・虎杖悠仁の先輩にあたる。敵である夏油傑、高専の教師・五条悟ほか、共通のキャラが多数登場。呪詛師夏油と、彼が「家族」と呼ぶ夏油一派に属する呪詛師たち。非術師を大量虐殺しようと百鬼夜行を企て、呪術高専に宣戦布告する。仲間の呪詛師は、外国人から学生まで個性様々。呪術高専東京校五条の導きで呪術高専に編入した乙骨は、同級生である真希、棘、パンダと共に五条のもとで学ぶ。そこに現れた夏油たち呪詛師の計画を止めるべく命がけの戦いを行うことに。『劇場版 呪術廻戦 0』強大な力を持った特級過呪怨霊・里香に憑りつかれ、苦しんでいる高校生の乙骨憂太。教師である五条 悟は、自身が教鞭を執る東京都立呪術高等専門学校に彼を編入させるが…。大人気TVアニメ『呪術廻戦』の前日譚であり原点となる、愛と呪いの物語。©2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会©芥見下々/集英社©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会全国東宝系にて絶賛公開中。原作:「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)監督:朴 性厚脚本:瀬古浩司キャラクターデザイン:平松禎史副監督:梅本 唯制作:MAPPATVアニメの世界平凡な高校生ながら、特級呪物である「両面宿儺の指」を食べたことをきっかけに、呪術師の道を歩むことになった虎杖悠仁が主人公。彼の呪いをめぐる戦い、成長する姿を中心に描く。呪詛師+呪霊呪詛師呪霊と結託して呪術高専を襲撃したり、両面宿儺および虎杖を仲間に引き込もうとするなど、暗躍する夏油。その目的は不明。額に傷痕がある。呪霊「人間は滅ぶべき、この世から排除すべき」という共通の思想を持ち、夏油と行動を共にしている個性的な呪霊たち。真人、漏瑚、花御は、いずれも特級呪霊である。呪術高専東京校1年生虎杖は、五条が受け持つ1年生のクラスに編入する。善人救済に重きを置く優秀な伏黒や、排他的な地元から上京してきた勝ち気な性格の野薔薇が同級生となる。2年生真希、棘、パンダは、TVアニメシリーズでは2年生に。京都姉妹校交流会をはじめ、1年生と共に戦い、時にサポートをすることも。なお、乙骨は海外にいる。教師&引率五条は呪術高専東京校1年の担任。七海は、呪術高専を卒業後、一般企業に勤めるものの呪術界に出戻った呪術師。五条に頼りにされ、生徒たちのフォローも行う。TVアニメ『呪術廻戦』呪いを祓うべく呪いを宿すことを選んだ虎杖悠仁の戦いと、壮絶な物語を描く。TVアニメシリーズは現在24話まで放送。ABEMA、Amazon Prime Video、dTV、FOD、Hulu、Netflix、U‐NEXTをはじめ、各動画配信サービスで配信中。劇場版を理解するための、必須用語をざっくり復習。呪いにまつわる用語など、耳慣れない言葉が飛び交う今作。ここでは、最低限押さえておきたい12個の頻出ワードを解説します。作品の世界にスムーズに入り込むために役立つはず。呪術高等専門学校じゅじゅつこうとうせんもんがっこう呪術師を育成することを目的とした4年制の対呪い専門機関で、呪いのことや呪いを祓う方法などを学ぶ場所。東京校と京都校があり、多くの呪術師が卒業後も活動の拠点としている。呪いのろい辛酸、後悔、恥辱といった人間の負の感情から誕生したもの。形を成した呪いは「呪霊」と呼ばれる。日常に存在し、人間を攻撃して死に追いやるケースも。呪いは呪いでしか祓うことができない。呪言師じゅごんし呪力を込めた言葉を放ち、相手に言葉通りの行動を強制的にとらせる術式「呪言」を使う人。狗巻棘がこれに当たり、不用意に呪わないよう、おにぎりの具で会話する。呪言の強さに応じて自身に反動がある。呪具じゅぐ呪いの力が込められた武具の総称。禪院真希は呪具を操って戦う「呪具使い」である。呪術師と同様、威力や効果によって等級がある。劇場版では、真希が使う大刀が該当する。等級とうきゅう呪いの威力や効果によってつけられたランクのことで、呪術師や呪霊、呪具の力を表している。通常は1~4級だが、特殊な効果が付与されたり絶大な威力を誇るものは、特級に分類される。秘匿死刑ひとくしけい秘密裏に行われる処刑のこと。乙骨は秘匿死刑の判決を受けているが、五条の力により即時執行を免れている。帳とばり呪術師や呪霊を外から見えなくして呪いをあぶり出す、ドーム状の黒い結界。非術師には認知できない。「闇より出でて闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え」と唱え発動。呪術師じゅじゅつし呪術を使い呪霊を祓う役割を担う者たちの総称。使用する呪術は人によってさまざま。その力の大きさで等級に分けられ、最高位は1級である。五条をはじめとする特級は異常事態とされている。呪詛師じゅそし事件を起こしたり、人を殺めるなど、呪術を使って非術師に危害を加える者のことを指す。呪術師と対立しており、なかには呪術界に対して反旗を翻す者もいる。呪骸じゅがい内側に呪いを宿して自立できる、無生物の総称。人工的に誕生した呪骸は、「核」という心臓のようなものを持つ。特定の術式はなく、戦闘の場面では、呪骸としてもともと備わった力を駆使している。術式じゅつしき呪いを祓うために呪術師が使うスキル。内容は人によりさまざまだが、基本的に生まれながらにして体に刻まれた先天的なもので、後から会得することは不可能。そのため呪術師の実力は才能が8割といわれる。御三家ごさんけ呪術界で高い地位と権力を誇る歴史ある3つの名門家系のことで、禪院家・加茂家・五条家を指す。代々、血筋によって伝わる術式を受け継ぎ、才能がない者は冷遇されてしまう場合も。※『anan』2022年2月2日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2022年01月30日TVアニメ『呪術廻戦』の前日譚にあたる『劇場版 呪術廻戦 0』。主人公は、TVアニメでは謎に包まれている乙骨憂太。さらに、乙骨が編入した呪術高専で共に学ぶことになる禪院真希や狗巻棘、パンダの、戦いぶりや人となりも多く描かれている。また、圧倒的な強さを誇り、ファンから熱い支持を集める五条悟はもちろん、敵役の夏油傑も本作ではがっつり登場し、存在感を放っている。ここでは、彼らのプロフィールや戦い方、関係性などを解説!劇場版で活躍する主要キャラクターをご紹介!『呪術廻戦』シリーズの人気を支えるのは、個性豊かで複雑な登場人物たち。劇場版の物語の核を担う、6人をまずはレクチャーします。(右)パンダパンダだけどパンダじゃない!?仲間を思う優しき突然変異呪骸。呪術高専1年。見た目はパンダだが本物のパンダではなく、実は呪術高専東京校の夜蛾学長が作り出した“突然変異呪骸”。紹介される際は「パンダ」とだけ説明されがち。仲間のフォローをすることも多い面倒見のいい性格。※呪骸(じゅがい)…内側に呪いを宿して自立できる、無生物の総称。人工的に誕生した呪骸は、「核」という心臓のようなものを持つ。特定の術式はなく、戦闘の場面では、呪骸としてもともと備わった力を駆使している。(中央)狗巻 棘/いぬまき とげ発する言葉が呪いの武器に。おにぎりの具で会話します。呪術高専1年。己の言葉が武器になる“呪言師”の末裔。周りの人を不用意に呪わないよう、普段は口元を隠し、おにぎりの具だけで会話を行う。そのためボキャブラリーには乏しいが、真希やパンダなど、近しい人とは、きちんと意思疎通ができている。(左)禪院真希/ぜんいん まき高い身体能力で呪具を操る。クールに見えて熱い努力家。呪術高専1年。呪いを祓う特別な武具である呪具を使う。エリート呪術師の家系の一つである、名門「禪院家」の血を引く存在ながら、呪力を持たず、呪いを見ることもできない。一族を見返すために、日々奮闘し、禪院家の当主の座を狙っている。(右)乙骨憂太/おっこつ ゆうた好きな幼なじみに憑りつかれた悲しき運命を背負う特級被呪者。呪術高専1年。不慮の事故で亡くなり、怨霊となった幼なじみの祈本里香に憑りつかれて絶望していたところを五条に導かれ、呪術高専に編入。そこで呪いや、呪いを祓う方法を学んでいる。入学時からすでに、呪術師の階級では別格となる“特級”を所持している。(中央)五条 悟/ごじょう さとる次世代の育成に力を注ぐ、他と一線を画す最強呪術師。呪術高専の教師であり、数少ない特級呪術師の一人として名を知られた存在。次世代を担う強い呪術師を育てることを信条に教鞭を執る。飄々としており、つかみどころのない性格で謎も多い。包帯を巻いたりサングラスをかけるなど、基本的に目を隠している。(左)夏油 傑/げとう すぐる非術師を殲滅し、呪術師の楽園を標榜する最悪の呪詛師。4人の特級の一人で、100を超える一般人を呪い殺して呪術高専を追放された過去があり、呪霊たちによる非術師の大量虐殺「百鬼夜行」を企てている。袈裟がトレードマークで、五条とは呪術高専の同級生。特級過呪怨霊に憑りつかれた乙骨に興味を持っている。『劇場版 呪術廻戦 0』強大な力を持った特級過呪怨霊・里香に憑りつかれ、苦しんでいる高校生の乙骨憂太。教師である五条 悟は、自身が教鞭を執る東京都立呪術高等専門学校に彼を編入させるが…。大人気TVアニメ『呪術廻戦』の前日譚であり原点となる、愛と呪いの物語。©2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会©芥見下々/集英社©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会全国東宝系にて絶賛公開中。原作:「呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)監督:朴 性厚脚本:瀬古浩司キャラクターデザイン:平松禎史副監督:梅本 唯制作:MAPPA※『anan』2022年2月2日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2022年01月30日2020年に公開され、キモカワで人気を博したアニメーション映画『アダムス・ファミリー』。その第二弾となる『アダムス・ファミリー2アメリカ横断旅行!』が、まもなく日本にも上陸します。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。吹替版キャストの杏さん【映画、ときどき私】 vol. 451前作に引き続き、アダムス家のクールビューティな母モーティシア役を演じた杏さん。今回は、本作の見どころや同じ母親として意識していること、そして悩みの乗り越え方などについて、語っていただきました。―モーティシアの声を担当するのは約1年振り2度目となりますが、ふたたび演じてみていかがでしたか?杏さん最初は戻れるか心配しましたが、わりとすぐに感覚をつかむことができました。前作のときは、すべてが手探りのようなところがありましたが、今回はモーティシアとしてこの世界を楽しむことができたのでよかったです。―同じ母親として、共感されるようなこともありましたか?杏さん 娘のウェンズデーは人間で言うと中学生くらいなので、まだ幼い私の子どもたちとは年齢が違いますが、「こうやって親離れして行くのかな?」とか「きっとこれから私もモーティシアと同じ悩みをリアルに体感するんだろうな」と考えることも。ただ、この映画で描かれているということは、万国共通で起きている証でもあるので、そう思ったら心が少し軽くなりました。親としてときにはこらえることも必要だと感じる―ウェンズデー役の二階堂ふみさんをはじめ吹替版キャストでご一緒されている方々とは、何かやりとりできたのでしょうか。杏さんできていないですね。これまでだったら作品の打ち上げがありましたが、そういうこともコロナ禍でこの2年くらいは一切ありませんから。ということで、ぜひ3作目も作っていただけたらと(笑)。実際、まだ広がりがありそうな感じはあるので、どんどんシリーズを続けて行って欲しいと思っています。―続編も期待したいですね。実写版も昔から人気ですが、杏さんが思う『アダムス・ファミリー』の魅力とは?杏さんこんなに突飛な家族なのに、世界中どこにでもある悩みや普遍性を感じられるところですね。人と違うどころか、逆のことをしているのに共感を覚えてしまうギャップは魅力的だと思います。―モーティシアに関しては、「何もせず優しく見守ることができる女性」とコメントされていますが、ご自身はお子さんと向き合ううえで意識していることはありますか?杏さん私は自分の経験から、このまま行くと失敗しちゃうだろうなと予測できたときに、先に伝えてしまうことがありますが、実はモーティシアのようにあえて失敗を見守るというのも大事なのではないかなと。何も起こらないほうが親としては楽なところもありますが、最近は子どもたちもしっかりとしゃべるようになり、自分の考えを持つようになってきたので、親としてグッとこらえることもときには必要だと考えています。私が気づいてないことを教えてくれるのは子供たち―なるほど。そんななかで、逆にお子さんから学ぶこともありますか?杏さんたとえば、私が全然気がついていない景色や通りすがりの匂いとか、ちょっとしたことも全部教えてくれるのは子どもたち。いま、こういうことを感じているんだなと知れることはうれしいですし、独立したひとりの人間に育ってきたんだなとより実感するようになりました。―劇中では、家族旅行をしているシーンがありましたが、もしいまお子さんと一緒に旅行できるとしたら?杏さん子どもたちは鹿がものすごく好きなので、北海道と奈良に行けたらいいですね。鹿島神社には行ったことがありますが、ぜひエゾシカや奈良の鹿も見せてあげたいです。―杏さん的に本作の見どころを挙げるとすれば、どんなところでしょうか。杏さん今回は、ロードトリップのような感覚で、いろんな景色をアダムス・ファミリーと楽しんでいただきたいですね。子ども向けの作品のようで、実は親世代、さらにその上の世代も知っているような往年の洋楽ヒットナンバーが歌われているので、世代を超えて楽しめる内容だと思います。いまはなかなか旅行をするのが難しい時期ですが、そんなときだからこそ、この映画で旅行気分を味わっていただきたいです。悩んでいるときは、広い視点を持つようにしている―ご自身にもウェンズデーのように思春期に反抗していたような経験があれば、お聞かせください。杏さん私は15歳のときから仕事を始めていて、反抗期とされる時期にはすでに社会に出ていたので、“人生におけるモラトリアム”みたいな鬱屈とした思いを経験することなくここまで来てしまったような気がしています。ただ、こんなふうに反抗したり、ぶつかり合えたりするのは信頼関係があるからこそなので、それはアダムス・ファミリーの良さとも言えるでしょうね。―とはいえ、お仕事を続けるなかで、悩みを抱えることもあると思いますが。杏さんそういうときは、まず広い視点を持つようにしています。たとえば、「戦国時代よりはマシだよな」とか(笑)。実際、いまの日本や私が置かれている環境は恵まれたものですからね。あとは、「よくあることだから、そんなに考え過ぎなくてもいいのかな」とか「歴史で考えたら、自分の一生なんて短い点のような存在なんだろうな」というところまで意識を飛ばすと、けっこう消化できることもあると思います。―確かに、戦国時代と比べたら、悩みも吹き飛びそうです(笑)。杏さんは、現在語学の勉強もされているそうですが、仕事と育児だけでもかなりお忙しいのではないかなと。どのようにタイムマネジメントされているのか、コツがあれば教えてください。杏さんたとえば、語学の場合だと、とりあえず先にレッスンを組んでしまうようにしています。そうすると、その時間は向き合わざるを得ないですからね。語学の勉強は一人でするのがけっこうつらいところもあるので、そういうときはなるべく対人のレッスンをするように意識しています。達成感を味わえるのがモチベーションになる―そのモチベーションを支えているものといえば?杏さん一番は、達成感ですね。気になることはとことん調べたいほうですし、探求心も強いので、知識欲を満たしてくれる勉強がもともと好きというのはありますが。特に、これだけやったという数字が見えたりすると、山を登っているような達成感が味わえてうれしいです。―そんななかで、いま一番達成させたい目標といえば?杏さん語学のアプリを全クリしたいです!いま、フランス語や英語を学ぶために毎日続けているアプリがあって、500日以上続けているんですが、どんどん新しいものがアップロードされてものすごい分量なので……。あと2~3年くらいはかかりそうですが、それが達成できるころにはきっと自分の語学レベルも上がっていると思うので、何とか全部埋めたいですね。私はウサギとカメで言うと、カメのタイプ。最短でゴールには行けませんが、進んでいる一歩一歩が楽しいので、毎日地道に続けるのが好きです。―ぜひとも見習いたいところです。では、そんな忙しい生活のなかで、癒しとなる時間についても教えてください。杏さんソファーでゴロゴロしながら、映画やドラマを観ているときですね。最近だと、大河ドラマやアニメを観ています。自分を褒める気持ちがもっと浸透してほしい―また、昨年からはYouTubeも始められ、さらに活動の場を広げられています。杏さん以前からアウトプットはしたいと考えていたので、SNSでは自分がやりたいと思ったことを思いつく限りできたらいいかなと。響くものと響かないものとあるかもしれませんが、みなさんにおもしろいと思っていただけるものをこれからも共有していきたいです。―杏さんのような素敵な女性を目指せるように、ananweb読者にアドバイスがあれば、お願いします。杏さん日本人は自己肯定感が低いという統計が出ていると言われていますが、私はみんながんばっていて、みんなすごいと思っています。なので、そんな自分を褒める気持ちがもっと浸透してほしいですね。そうすれば、世代や性別に関係なく、自分を見直すきっかけになると思うので。まずは、自分が楽しんでいること、そしてがんばっていることを自覚できることが大切なのかなと。私自身も、そういう心がけを持つようにしています。インタビューを終えてみて……。「まさに才色兼備」という言葉がふさわしいほど、知的で美しい杏さん。悩みの乗り越え方や語学の勉強法など、参考にさせていただきたいお話ばかりでした。本作では、杏さんの魅力的な声にもぜひ注目してください。待っていたあの家族が帰ってくる!今回も期待を裏切らないブラックユーモア全開でありながら、家族愛や人と違うことの素晴らしさも教えてくれる本作。これを観たら、あなたもアダムス家の一員に加わりたいと思うかも写真・北尾渉(杏)取材、文・志村昌美ストーリー思春期を迎え、家族の食卓に顔を見せなくなったのは、アダムス家の長女ウェンズデー。そんな娘を心配した父ゴメズは、絆を深めようと妻のモーティシアをはじめ家族みんなをキャンピングカーに乗せてドライブ旅行に出る。愉快な騒動を巻き起こしながらも、ナイアガラの滝、マイアミビーチ、グランドキャニオンなど、観光名所をめぐる旅を続けていた。しかし、そんな一家を“ある事件”が待ち受けていることに……。胸が高まる予告編はこちら!作品情報『アダムス・ファミリー2アメリカ横断旅行!』1月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国ロードショー配給:パルコユニバーサル映画© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.写真・北尾渉(杏)
2022年01月27日独自の世界観を音楽とストーリーでより深く味わわせてくれる、アニメ『ヴィジュアルプリズン』。音楽と物語がシンクロする世界と『LOS†EDEN』について、シリーズ構成・菅原雪絵さんが語ってくれました。シリーズ構成・菅原雪絵さんが語る、『ヴィジュアルプリズン』に潜む美学。『ヴィジュアルプリズン』は音楽をテーマに掲げている作品なだけに、劇中では原作の上松範康さんの曲が大切なシーンで効果的に使われている。そのため、脚本を書く方法が普段とは異なっていたと、本作のシリーズ構成を手がけた菅原雪絵さんは語る。「本来、物語の一番大事なシーンやセリフは当然、脚本家が書くべきところですが、今回はそういうシーンをすべて“上松さんの音楽が入る”という指定でおまかせしました。脚本と音楽を同時並行で作っていくのが“ヴィジュプリ”の主題でもあったので、上松さんには脚本会議にもご参加いただいて、都度ご意見をいただきました」音楽と物語が同時に紡がれることで、より深い感動が生まれる。それこそが“ヴィジュプリ”ならではの魅力を生み出しているのだけれど、時には物語と音楽が、制作陣の意図を超えてシンクロするという奇跡も。「例えば、LOS†EDENのゲリラライブが機材トラブルにより中断される7話のシーンは、自分のマイクだけが生きていると知ったミストがソロで繋ぎ、そこにサガがギターで合流します。この流れはあらかじめ相談して作ったものですが、上松さんの音楽はセリフや感情だけでなく、芝居の段取りにも不思議とぴったり合うんです。もちろん演出・作画陣の尽力があります。それでもこのように物語と音楽がシンクロすることは初めてで、脚本家として非常に面白い体験をさせていただきました」1話につき必ず1曲流れるのも、“ヴィジュプリ”の楽しみ。「ただ、毎回曲が入る分、脚本が通常の7割ぐらいしか書けないんです。早々に説明は最低限にしてドラマに集中しました。『きっと感じてくれる!』という思いですね(笑)。“ヴィジュプリ”は歌が全部語ってくれるので」ヴァンパイアたちが紅い月の下、音楽で競い合う『ヴィジュアルプリズン』。現代を生きるヴァンパイアたちに上松さんと菅原さんが見出したのが“美学”だった。「ヴァンパイアって基本的に精神的な生き物なんですよね。食べ物を摂らなくていい、老いない、死なない。だからこそ、何をよしとするかが大事なんです。ヴァンパイアは長く生きる分、それがどんどん研ぎ澄まされていくんじゃないかと思うんですよ。同時に美学とは、ヴィジュアル系にも繋がります。自分がいいと思うもの、美しいと思うもの、好ましいと思うもの、そういうものを選びに選んで、さらに全部積み重ねていく、そういうゴテゴテで濃厚な世界はとても美しく人を惹きつけるのだと思います。つまり、本作のヴァンパイアも同様の魅力を持った存在なんです」なかでも、とりわけLOS†EDENのメンバーはそれがわかりやすいそう。「エリザベスの美学は美しいものを追い求め、それを肯定すること。ただ、それに至るまでに苦しんできたと思うんですよ。今でも美を求め続けてるということは、現状の美に満足してないんですよね。そこには深い劣等感があると思います。でもエリザベスは、自分が求める美は、永遠に追い続けるものだっていうことを覚悟した上で、今の余裕があるんです。そういう想いを抱えながら美しくあり続けるエリザベスを、私は一番美しいと思います。ジャックは3話で露呈しましたけど、ロビンに対するコンプレックスの塊ですよね。ただ、サガたちと出会い、そしてロビンと再会したことで少しずつ克服しつつあります。彼の心はまだ幼くて、成長過程なんです。だから彼なりの美学を持つのはこれからですね。それはヴァンパイアになったことで失ったもの、得たものを改めて知る苦しい道のりになると思います。ミストは叶わない想いを抱えていて、それが誇りでもあり、各方面へのコンプレックスにもなっています。サガは、ミストの愛を受け入れないと同時に決して否定はしません。ミストにとって絶対に手に入らない人のそばに居続けることは、茨の道かもしれませんが、私はその関係性に美しさと羨ましさを感じます。何かを欲する想いは、コンプレックスや劣等感と表裏一体で。他人にぶつけず、その想いで自分を磨くことによって美学になるのだと思うんです」そしてサガは“ヴィジュプリ”の中で唯一、劣等感を持たないヴァンパイアなのだそう。「サガだって欲しくても手に入れられないものはあるんです。ギルなんですが。でもサガは、それを嘆いても自ら立ち上がり、ならば自分はどう生きるか、戦うかを考えるタイプ。貴族的なヴァンパイアが多い中で、サガだけは強い生命力を持つ獣みたいだし、ある意味、すごく人間くさい。いまだ食欲旺盛で肉やラーメン好きですしね(笑)。サガは『楽園がないなら俺たちで作ればいい』と堂々と言える人で。そんなサガだから、ミストたちは惹かれるし、サガの野望を叶えようとします。物語はいよいよ佳境ですが、最後までぜひ見届けてください!」『ヴィジュアルプリズン』放送情報・TOKYO MXなどで、毎週金曜24:00~放送中。©Noriyasu Agematsu,Afredes/Project VPすがわら・ゆきえ数々のアニメで、シリーズ構成や脚本を手掛ける。シリーズ構成を務めるアニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』もTOKYO MXなどで毎週月曜23:00~放送中。※『anan』2021年12月22日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月21日占いアプリ「タロット男子」で“悪魔”をモチーフにしたキャラクターの声を演じる、梅原裕一郎さん。梅原さん本人は果たして、悪魔なのか天使なのか――。いいことも、悪いことも、受け入れるしかない。今月リリースされる占いアプリ「タロット男子」で“悪魔”のカードをモチーフにしたキャラクター、アイン・バフォメットを演じている梅原裕一郎さん。占いは「いいことも、悪いことも、結果はあまり気にしないタイプ」だけど、運命は信じているのだそう。「天命というか、人間ができる範囲を超えた何か、というものはあると思います。人や仕事のご縁もそうですけど、自分ではどうしようもない大きな力や、流れみたいなものはあるんじゃないかな」梅原さんがそのことを一番感じたのは、声優の仕事を始めた時。「当時はまだ名古屋に住む大学生だったんですけど、想定していたよりずっと早く上京することになったんですよね。上京した年の末のオーディションで初めてアニメ作品の役をいただいたので、もし卒業を待って上京していたら、そのオーディションに参加することはできなかったので、あの時、無理をしてでも上京する決断をしてよかったなと、今でも思います」2013年にデビューしてから順調にキャリアを重ねるも、’18年には病気療養のため、一時休業を余儀なくされる。だが、この休養が転機に。「2~3か月くらいお休みをいただいたんですけど、そこから復帰したら、気持ち的にすごく楽になりました。当時はやらなきゃいけないことも、やりたいことも多すぎて、そこで一回キャパオーバーしちゃって。復帰してからはすごく身軽になりました。あんまり気負わず、気楽に、流れに任せようっていうのは、多分そこから来てるんじゃないかな。いい意味で力が抜けたと思いますね」声優になるために予定より早く上京することを選んだ時も、「やること自体に悩みはなかったし、親の説得に時間がかかっただけ」と言う梅原さん。仕事に限らず、思い悩むタイプではないそうで…。「悩みがゼロというわけではないんですけどね(笑)。でも、どういう結果になろうと、どうとでもなるというか。いいことも、悪いことも、受け入れるしかないですから。だから、どちらを選ぶべきか、ということではあまり悩まないです。流れに任せるというか、身を委ねるほうかもしれません」占いの中で、よく観るという姓名判断でご自身の名前を占ってみると、思い当たる節が。「僕の名前ではあんまり良い結果は出ないんですけど、『自分でどうこうするよりも、周りが動いてくれるタイプ』というのはたしかに当たってるなと(笑)。名前ってずっと背負っていくものなので、それによって性格が変わったり、影響を受けるというのはあるのかもしれないですよね。なので、姓名判断を観るのはけっこう好きです。自分の名前に限らず、知り合いの方の名前をインターネットで姓名判断してみたりします」アプリ「タロット男子」で梅原さんが演じているアイン・バフォメットは、欲望や誘惑などの意味を持つ“悪魔”のカードが元になっている。「最初に“悪魔”役ですと言われた時は、筋骨隆々ないかにもな悪役をイメージしていたんですけど、イラストを見てみたらかわいいんですよね。人を困らせるのが大好きで、自分の欲望に正直な、悪魔というより小悪魔的なキャラクターです。僕自身、あまのじゃくなところがあるので、根底では似ている部分が多いと思いますし、いい意味のカードを演じるより、悪役ではないけれど、そういう雰囲気を持ったバフォメットにキャスティングされるというのはなんだか嬉しいです」個人的に好きなタロットカードは“隠者”のカード。「『タロット男子』の番組で占っていただいた時に出たんですけど、悟りを意味するカードだそうです。僕も悟りを開きたいという欲求があるので、気になりますね」そんな梅原さんが唯一、占いで知りたいことは?「死ぬタイミングだけは知りたいんですよね。ここで終わりですってあらかじめ言われないと、計画が立てられないじゃないですか。急に人生終わられたら困るし、逆に想像以上に長生きしても…。この日が最後ですって言われたほうがいろいろ考えられるので。もし明日死ぬって言われたら、じゃあ明日の準備はしなくていいやとか、その程度のことですけどね(笑)」うめはら・ゆういちろう3月8日生まれ。静岡県出身。主な出演作に『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』ウェザー・リポート役、『ディズニー ツイステッドワンダーランド』レオナ・キングスカラー役など。※『anan』2021年12月15日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・久芳俊夫ヘア&メイク・時田ユースケ(ECLAT)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)タロット男子~22人の見習い占い師~タロットカードの大アルカナ22枚をモチーフにしたキャラクターから好きな占い師を指名して育てる占いアプリ。毎日完全無料で占いができる他、占い師との親密度をアップさせることで、占える分野を広げていく。
2021年12月14日2012年に『anan』で連載スタート。そして2022年5月、ついに実写映画化となった、辻村深月さんによる『ハケンアニメ!』。アニメ制作に携わる人たちに取材し、現場の空気や熱量をリアルに描きます。ここでは、映画化に寄せて辻村さんと吉野耕平監督のインタビューをお届け。“働く人”として、“作り手”として、同世代の2人が作品に込めた想いとは?辻村さんスペシャルインタビュー:世界が変わるほどのアニメとの出合い。高校生の時、『少女革命ウテナ』で受けた衝撃を今もよく覚えています。何にも似ていない新しさがあって、これがオリジナリティというものかと度肝を抜かれました。高校生という多感な時期にこの作品に出合えたことは幸せだったと思います。他にも『新世紀エヴァンゲリオン』や『絶対無敵ライジンオー』など、成長過程で寄り添ってもらった名作がたくさんあります。『ハケンアニメ!』でも一生モノのアニメとの出合いを通じてこの業界に入ったという話がありますが、私自身そういう出合いをしたから今も小説家をやっているのだろうと思うし、そういう人たちをこの作品で描きたかったんだろうなと思います。映画化のお話をいただいた時、プロデューサー・須藤泰司さんの「ものづくりに関わる人間として、この小説を映画にしたい」という気持ちをすごく感じたんですよ。その熱量に打たれておまかせしますとお返事したんですけど、その後も何かが決まるごとに、まるで身内のような熱量で報告してくれて、原作者のことも一緒に映画を作る仲間として引き入れてくださって、あたたかい現場だなと感じました。私はといえば、俳優さん、声優さんが決まるたびに悶絶していました(笑)。子どものころから憧れていた声優さんもキャストにいらして、しばらくしてから涙が出てきました。アニメに関しては、ここまで作ってくださったことに対する感謝しかないです。劇中でも言っているように、覇権をとるようなアニメであるということを大事にしてくださって。スタッフのお名前を見た時は、なんて贅沢なんだろう!って。しかもみなさんそれぞれ自分の色がある方たちなのに、王子や瞳だったらどう作るだろうと創造性を寄せてくださったところも、プロのクリエイターだなあと感動しました。『ハケンアニメ!』を書いた時、アニメ監督さんやプロデューサーさん、アニメーターさんに取材させてもらったんです。今回、映画化にあたり吉野監督が同じ取材先にも行かれたと伺って、10年ぶりの里帰りみたいで、感激しました。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。吉野さんスペシャルインタビュー:監督とはなんだろうと考えた作品。『ハケンアニメ!』は、実は映画化のお話をいただく前から好きで、映像化してみたいと思っていた作品でした。『エンドローラーズ』という作品で葬儀業界を取り上げてから仕事ものに興味を持ち始めたんですが、アニメが好きなのでアニメの現場を描いた作品って何があるのかなと思って探していた時、『ハケンアニメ!』に出合ったんです。この作品はいろんなことがすごくニュートラルに描かれているところがいいですよね。アニメ業界って特別な世界だと思われがちだけど、実はすぐ近くでがんばって働いている人たちなんだということがわかるというか。上司やクライアントの急な指示に振り回されるとか、そういう“あるある”が働く人目線で書かれているのが面白いなと思いました。映画化にあたって気をつけたのは、特別な仕事の人々の物語にはしないということ。疲れたらコンビニ菓子をかじって乗り切って、帰ったらまた洗濯物洗えてなくて、みたいな。帰りの電車ですぐ横に座ってる人の話、くらいの空気を大事にしたいなと思いました。業種は違えど僕も映像業界の人間なので、映画版の瞳監督には経験がかなり込められています。編集画面を見ながらブツブツ言うけど、言葉足らずでいまいち伝わらずキーッてなるところとか(笑)。監督としては、誰よりもその作品に長い時間をかけるということを一つの拠り所にしています。映画の現場って、監督を立ててくれるんですよ。だけど「監督だから従う」ではなくて、この人はここまで考えてるんだなと信頼してもらえるようになりたいんですよね。それに、監督がスタッフに無理をさせるために普段やさしくするとか、そういうのって一見魅力的に映るけど、どこかズルいなと思っていて。作品のために必要だからやる、それをスタッフに命じるのは監督の責任なので。だから瞳がぎりぎりで変更をかけるシーンも、スタッフを囲い込むのではなく、あくまで瞳がそうしたいからやる、という形にこだわりました。そこは吉岡里帆さんとも「監督ってなんだろうね」と深く話し合いました。よしの・こうへい映画監督、脚本家、CM ディレクター、CG アーティスト。『君の名は。』では回想パートのCGと空間デザインを担当。昨年、初の長編作品『水曜日が消えた』が公開。ミュージックビデオやCM、アニメなど幅広く活動中。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月03日アニメ業界を舞台とした、辻村深月さんによる『ハケンアニメ!』。2012年に『anan』で連載がスタートした本作が、2022年5月についに実写映画化!監督をはじめ、キャラクターデザイン、メカデザインと人気実力ともに兼ね備えたメンバーが集合しました!ものづくりの現場の熱が伝わるアニメが完成。2作のアニメが覇権を争う『ハケンアニメ!』のキモはなんといってもアニメの出来。「劇中のアニメが面白く見えるようにというのは原作でもかなりこだわって書いたので、アニメのクオリティに関しては映画化にあたって一番期待したい部分でした」と辻村さん。映画の中でアニメの映像が登場するのはほんの5分程度。とはいえ、その数分の映像のために監督からキャラクターデザイン、音楽に至るまで、シリーズアニメを立ち上げるのと同じくらいの労力が必要だった。そこで、アニメの映像を作るためにはプロットがあったほうがやりやすいだろうと、映画で全編使われるわけではない全12話分のプロットを辻村さん自ら書き下ろした。それだけの熱い想いを受け取って、映画およびアニメ制作スタッフが燃えないわけがない。しかも今回、2本のアニメを作るのは原作同様カラーの違う2つのアニメスタジオ。社のプライドを懸けて映像作品を作り上げる様は、まさに『ハケンアニメ!』で描かれるトウケイ動画とスタジオえっじのバトルそのもの。アニメの制作現場を舞台にした物語なだけに、登場人物と重なる部分もあったとか。「アニメ監督は美しくていいものを誰かに届けたいと思ってアニメを作っているような気がするのですが、瞳もそうなのだと思います。『サバク』を作りながら、自分も瞳とシンクロして奮闘したような気がしました。アニメは大勢のクリエイターや制作陣が関わって作るところが難しいところでもあり、面白いところでもあり…。その大勢が、ひとつの方向を向いて突き進むと奇跡のような作品が生まれる、そんなふうに思うんです」(監督・谷 東さん)【トウケイ動画】敏腕プロデューサー行城が新人・瞳監督を抜擢。『サウンドバック 奏の石』(通称サバク)を制作。吉岡里帆/監督:斎藤 瞳、柄本 佑/プロデューサー:行城 理【スタジオえっじ】香屋子の念願だった王子監督とのタッグ。『運命戦線 リデルライト』(通称リデル)は7年ぶりの新作。中村倫也/監督:王子千晴、尾野真千子/プロデューサー:有科香屋子『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』(トウケイ動画)監督:谷 東、キャラクター原案:窪之内英策、メカデザイン:柳瀬敬之瞳監督のこだわりをリアリティある画で。『サウンドバック 奏の石』、通称サバクは窪之内英策さんが描く写実的な描写の中に、メカデザインの柳瀬敬之さんによる巨大ロボットが映り込む、異質の組み合わせが絶妙なコントラストを見せるアニメ。「サバクはレイアウトと密度と今人気がある写実に近いキャラが鍵だと思って制作しました。窪之内さんとは前に『アニ×パラ』で組ませていただいていて、その時に近い体制で画作りを考えました。劇中アニメなのに辻村先生から全12話分のプロットが届いて、あまりの分量に笑ってしまったほど。どうしようと思っていたら今度は実写の監督である吉野監督からサバクの1話脚本と大量のイメージボードが届いて、お二人の熱意に背を押されました」(谷さん)辻村さんが考えたプロットは、単独でアニメシリーズになりうるほどの企画だったそう。「とはいえ、今回はあくまで『ハケンアニメ!』の劇中内アニメ。映画に必要な要素は何かを第一に考えることを心がけました。音を生み出すことではなく、失うことを代償にパワーを得るというのがサバクの大きな特徴。代償、喪失といったテーマ性に、作り手であるトウケイ動画の制作陣がどう立ち向かい、葛藤するのか、その結果をぜひ見たいと思いました」(アニメ『サウンドバック 奏の石』プロデューサー・原田拓朗さん)STORYのどかな田舎町を突如襲った巨大ロボット。少年少女たちは平和を取り戻すために、奏の石を叩き戦いに身を投じる。「なんでも、あげる!」と誓って。その戦いが、トワコから何を奪っていくのかも知らずに――。斎藤瞳が初監督を務める、誰しもが一度は夢中になった、王道ジュブナイルロボットアニメーション。たに・あづまアニメ監督・演出家。主な監督作品に『テルマエ・ロマエ』『若おかみは小学生!』など。NHK『アニ×パラ』第2弾「パラ陸上競技」も手掛けた。くぼのうち・えいさく漫画家、アーティスト。主な著作に『ツルモク独身寮』『ワタナベ』『ショコラ』など。イラストやキャラクター原案など多岐にわたり活躍中。やなせ・たかゆきメカニックデザイナー。『機動戦士ガンダム00』『DEATH STRANDING』等に参加。アニメ、ゲーム、模型を中心に幅広いデザインを手掛ける。『運命戦線 リデルライト』(スタジオえっじ)監督:大塚隆史、キャラクター原案:岸田隆宏天才・王子監督らしく表現方法に工夫を。伝説のアニメ『光のヨスガ』でアニメの常識を塗り替え、天才と謳われた王子千晴監督の7年ぶりの復帰作という劇中内設定。魔法少女・充莉が自らの魂の力で乗るバイクを変形させて戦い、ライバルたちとレースで競い合っていく。1話ごとに1歳年を取るという驚きのストーリー設定がある。写実的なサバクとは対照的に、アニメ的なキャラクターデザインと表現、そして何より王子監督が「今度こそヒロインを殺したい」と宣言していたラストの展開に注目を。「リデルのプロットを読んで、辻村先生のアニメ愛を感じました。もしこれを実際のシリーズとして制作するとしたらと考えて、お腹が痛くなりました(笑)。とにかくサバクに負けないようにと闘志を燃やしましたね。期待を裏切らない、ではなく期待を超えること、100%ではなく120%であること、それを再認識しました」(アニメ『運命戦線 リデルライト』プロデューサー・松下慶子さん)リデルは天才と謳われた王子監督の最新作にふさわしい映像でなければいけないという課題があった。そんな高いハードルを越えたのが大塚隆史監督。「正攻法のサバクに対して奇想天外な表現で攻める天才・王子監督らしく、あまり普通では見られない表現を心がけました。天才の特異性が伝わればいいなと思います」(大塚さん)STORY主人公・充莉は、行方不明になった妹を探す最中に、この世をそして大切なものを守るための戦いに参加することに。6歳で始まり、1話ごとに、1年ずつ時が経過していく。バイクレースでの激しいバトルが見どころの王子千晴監督7年ぶりの新作魔法少女アニメ。「責任もって、愛してよ」の流行語を生む。おおつか・たかしアニメ監督・演出家。『プリキュア』シリーズほか、映画『ONE PIECE STAMPEDE』など多数の作品で監督を務める。きしだ・たかひろアニメーター、キャラクターデザイナー。『ハイキュー!!』『魔法少女まどかマギカ』など多数の作品でキャラクターデザインを担当。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月03日2012年に本誌『anan』で連載がスタートした『ハケンアニメ!』。アニメを愛する辻村深月さんが、アニメ業界で働く人々を描いた本作は、創作に関わる人たちの苦悩と幸せ、働くことの大変さと喜びが丁寧に描かれ、おおいに共感を呼びました。2022年5月、ついに実写映画版が公開!創作と仕事のリアル…。見事に詰め込まれた作品。企画スタートから足掛け7年、『ハケンアニメ!』の実写映画化がついに実現!大勢の人が関わるアニメ制作の現場は、監督といえども思い通りにいかないことばかり。そんな『ハケンアニメ!』の物語を、『水曜日が消えた』の吉野耕平監督が映画という形で新たに表現。実は吉野監督は、映画『君の名は。』にCGアーティストとして参加した経験を持つ。同世代でもある辻村さんと吉野さん、2人のクリエイターがアニメ制作の現場を取材し、アニメと本気で向き合って誕生した『ハケンアニメ!』。劇中アニメのすごすぎるクオリティとともに、公開を楽しみにしてください!アニメ制作現場の熱量をこの4人が体現!作品のすべての責任を担う監督と、監督を支えるプロデューサー。何もかも異なる2組の激突を熱く、生きいきと演じる4人をご紹介します。トウケイ動画敏腕プロデューサー行城が新人・瞳監督を抜擢。『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』(通称サバク)を制作。吉岡里帆/監督斎藤 瞳天才・王子監督との覇権争いだが負けるつもりは毛頭ない。内なる闘志を秘めた凛々しさと、新人らしい初々しさの対比に注目を。柄本 佑/プロデューサー行城 理敵に回すと憎らしいほど手強く、味方にいると頼もしいけど何を考えているのかよくわからない、つかみどころのない行城を好演。スタジオえっじ香屋子の念願だった王子監督とのタッグ。『運命戦線 リデルライト』(通称リデル)は7年ぶりの新作。中村倫也/監督王子千晴天才ではあるものの、実は自分で天才っぽさを演出している泥くさい一面を持つ。そんな王子の独特なかわいさを見事に表現。尾野真千子/プロデューサー有科香屋子「自分の尊敬するクリエイターを守る」という気概を持つ香屋子は包容力の塊。王子を見守るやさしい眼差しは、香屋子そのもの。辻村深月さんが撮影を見学。スタジオ、絵コンテ、作画風景…。物語が現実に動きだしています。見学日当日、撮影現場の入り口には、リデルとサバクの美術さんが作ってくれたリアルな垂れ幕とポスターが。それに迎えられた辻村さんは、「あれを見た時、『あ、これ、私が書いた!』と興奮しました。私の頭の中にだけあったものを、こんなにもたくさんの人たちが形にしようとしてくれて、頭の中にあった姿以上のものを再現してくださっていて、すごく幸せだなと感じました」映画を撮影するにあたって、東映アニメーション所属の梅澤淳稔(あつとし)さんが監修を務め、アニメ制作現場のリアルな再現にこだわった。「それぞれの場面での登場人物の心の動きや作業している仕草が現実に沿っているか。また机や棚などの配置や作業道具の置き方など、アニメ業界を知らない方にも登場人物たちが今何をしているのかわかりやすく、かつ業界の方にも『あれなら納得』と言っていただけるように心がけました。アニメ制作の工程で、『なぜ今この作業をしているのか』『この時点で何を思っているのか』や、専門的な道具の使い方などはレクチャーしましたが、出演者のみなさんの理解力と呑み込みの早さには本当に驚きました」(梅澤さん)最近はアニメ業界にもデジタル化の波が。王子監督は手描きで、瞳監督はデジタルで、という対照的な2人の制作スタイルがセットでも表現されている。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月02日まだまだ海外旅行が気軽にできないなか、せめて異国の風を感じたい人にオススメのイベントと言えば、11月18日から21日まで開催される「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」。厳選された注目のラインナップから、オープニングを飾る話題作をご紹介します。『未来は私たちのもの』【映画、ときどき私】 vol. 430イラン系移民の両親を持つミレニアル世代の青年パーヴィスは、両親がドイツで築いた安定した環境のもとで暮らしていた。しかし、地方での生活に退屈さを感じ、出会い系アプリのデート、レイヴやパーティで暇つぶしをする日々を送ることに。ある日、万引きがバレて、社会奉仕活動を命じられたパーヴィス。難民施設で通訳として働くなかで、イランからやってきた兄妹バナフシェとアモンに出会う。微妙なバランスを取りながら絆を深める3人は、ドイツにおけるそれぞれの未来が平等でないことに気づき始めるのだった……。昨年のベルリン国際映画祭では2部門で受賞に輝くなど、高い評価を得ている本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ファラズ・シャリアット監督本作で長編デビューを飾ったシャリアット監督。映画の主人公同様に、性的マイノリティであることを公表しており、挑戦的で過激な描写でも話題となっています。今回は、自伝的要素の強い物語を描いた理由や日本のアニメから受けた影響などについて、語っていただきました。―まずは、映画祭のオープニング作品に選ばれたお気持ちからお聞かせください。監督本当にうれしく思っています。ただ、以前からずっと行きたかった日本に行けないことは、非常に残念ですね。とはいえ、私の作品が実際に映画館で上映されるのは喜ばしいことなので、そのことからはパワーをもらっています。いまはとにかくドキドキな気持ちでいっぱいです。―監督デビュー作にして、ここまで注目を集めることは想像していましたか?監督この作品はアートマネジメントや文化論を学んでいる仲間たちとDIYのような感じで作ったので、私たちにとっては本当に大きなサプライズでした。誰ひとりとして映画を勉強した者はいませんでしたし、お金もないなかで「とにかく作ってみよう!」という感じで始めたので。完成させられるか最後までわからないほどの状況だったにもかかわらず、国内外で大きな注目を集めたことはうれしいです。―ご自身のキャリアにとっては、非常に意味のある作品になったのではないかなと。監督確かに、私たちに新たな可能性をもたらしてくれたので、この映画が与えてくれたものは大きかったですね。しかも、上映を続けるなかで、観た方から「自分にとって非常に重要な意味を持つ作品になった」という声もたくさん上がったので、この映画自体がみんなの“扉”を開いてくれるものになったと思います。この作品では、家族の歴史の一部が語られている―監督はこれまでにいろいろな芸術を学んできたそうですが、今回映画を作ろうと思ったのはなぜでしょうか?監督もともと私はメディアと演劇と美術にまたがった勉強を大学でしていたので、映画に特化して勉強していたわけではありませんが、この題材に関しては映画という手法を使いたいと考えて、作ることにしました。ただ、昔から演劇にはずっと関心があったので、劇中でも演劇的な構成は意識しています。映画に関して言えば、今回の制作過程のなかでいろいろな技術を身に着けることができたのは、とてもラッキーだったなと。今後も映画作りは続けていくつもりですが、それだけにとどまらずアクティビスト的なアプローチを含めて幅広く活動していきたいと思っています。―本作では移民や性的マイノリティの描写に関して、自伝的な要素が含まれているということですが、ご自身のことを赤裸々に語ることに対する抵抗はなかったのでしょうか。監督実は、これまで何年にもわたって私は自分の家族と一緒に短編のドキュメンタリーやミュージックビデオなどの作品を制作してきました。そういった経験があったので、今回の映画を作るためのベースはすでにできていたと言っても過言ではありません。劇中で、主人公の両親役は実際に私の両親が演じてくれましたし、この作品に対してもポジティブにとらえて、サポートしてくれました。なぜなら、これは私たち家族の歴史の一部が語られている作品でもあるからです。ドイツでは移民の経験がきちんと語られてこなかった―そういった背景があったのですね。監督私の両親は第一世代としてイランからドイツに移住し、私が第二世代になりますが、これまでドイツでは私たちのような移民の経験がきちんと語られることはありませんでした。そういう意味でも、両親はこの映画を作ることの重要性を理解してくれたんだと思います。だからこそ、映画のなかに自伝的なことを取り入れることにもあまり抵抗がなかったのかもしれませんね。それよりも、重要だったのは、ただ自伝を映画化するのではなく、フィクションを入れるうえで、社会を変えるようなポテンシャルを持った作品にすること。そのあたりは、意識していた部分です。―劇中では、日本のキャラクターである「美少女戦士セーラームーン」のコスプレシーンが印象的でした。監督は日本のアニメファンでもあるそうですが、セーラームーンとの出会いについて教えてください。監督私が初めてセーラームーンを見たのは、幼稚園の頃。ドイツのテレビで放映されていたのですが、それ以来、私の青少年時代において、もっとも偉大な番組と位置づけています。なぜなら、セーラームーンは私にとって自分のアイデンティティを作っていく過程で、大きな助けとなったものだから。セーラームーンは金髪で青い目をしているので、見た目は私と全然違いますが、ほかの番組で私のアイデンティティに訴えかけてくるものはひとつもなかったので、非常に衝撃的な出会いでした。セーラームーンは、ミレニアル世代にとって“事件”―どのあたりが、そう感じさせたのでしょうか?監督もちろんスーパーパワーの持ち主であることも惹かれた理由でしたが、セーラームーンが変身したり、何か秘めたところを持っていたりする姿は、ゲイである私や性的指向が定まっていないクィアの人たちには、ピンとくるものがあるんです。これはドイツ国内だけでなく、国外でも特にクィアの間でセーラームーンの人気は高く、共感する部分があると言われています。あとは、ビジュアル面においても美的感覚を豊かにさせてくれますし、変身のプロセスも興味深いですよね。そういったところも、クィアの文化とつながるところがあるのかなと。セーラームーンは、ミレニアル世代のポップカルチャーにおいて、ある種の“事件”でもあったので、この作品でセーラームーンを使うことによって、自分たちの一部が映画のなかにあると感じてくれる人がいるのではないかと考えて入れました。―興味深いですね。冒頭では実際に監督が子どものころにセーラームーンの衣装を着て踊っている映像が流れ、とてもかわいかったです。ただ、イランでは性的マイノリティに厳しいと言われているそうですが、そのあたりについてはいかがでしょうか。監督確かに、イランではホモセクシュアルやクィアに対して、非常に厳しく、いまだに弾圧されることもあります。ただ、私の両親はドイツに住んですでに30年。「どんな人も排除せずに、みんなで一緒のコミュニティに暮らしていきましょう」という考えを持っています。だから、あのセーラームーンの衣装も、両親が買ってプレゼントしてくれたんですよ。そんなふうに、クィアの私と両親がとてもオープンで親しい関係であるということを最初に示すためにも、父が撮ってくれた映像を使うことは、私にとってすごく重要なことでした。フィクションの世界だけで起きていること、という思い込みを観客にさせないためにも、必要なシーンだったと思っています。世界は思ったよりも、早く変えられると気がついた―なるほど。ちなみに、そのほかにも日本の文化で好きなものはありますか?監督劇中でもお寿司を食べるシーンがいくつかありますが、私だけでなく、ドイツに住む多くの人たちが日本のファンだと言えるでしょう。ジブリをはじめ、多くのアニメ作品が人気ですし、料理や音楽、ゲームといった幅広い分野に渡って、影響を受けているはずです。そういったものに子どもの頃から触れているだけに、私たちにとって日本は重要な文化的経験を与えてくれる国と言えるのではないかなと。私は幼少期からのいろんな経験を通して、芸術の道を選ぶことにしましたが、日本の文化もたくさん蓄積されているインスピレーションのひとつとなっています。―それでは最後に、この映画を通して観客に伝えたいことがあれば、メッセージをお願いします!監督この映画では、3人の主人公とともに、3つの世代も出てきますが、出身や年齢や過去に関係なく、ともに共通の未来を構築しよう、という強い願いを込めています。私がコロナ禍で気がついたのは、「世界というのは、実は思ったよりも早く変わることができるんだ」ということ。以前は人種やジェンダー、LGBTQに対する差別は、どんなに努力してもすぐに変えることはできないだろうと諦めていたこともありましたが、パンデミックを経験したことによって、みんなで世界を変えることが可能であるとわかりました。そういう意味で、いま私は未来に対して希望を抱けるようになったので、みなさんにも同じように希望を感じてほしいです。ポップでスタイリッシュな移民映画が新たに誕生!観る者の心を動かすのは、過酷な状況のなかでも、自らの手で未来をつかもうともがき続ける若者たちの姿。ときには先が見えずに苦しむことがあっても、長いトンネルを抜ければ、誰もが「未来は自分たちのもの」と感じられる瞬間に出会えるはずだと背中を押してくれる1本です。取材、文・志村昌美作品情報「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」11月18日(木)~21日(日)渋谷ユーロライブにて開催© Juenglinge Film
2021年11月16日日本の文化の発信拠点として海外からも注目される渋谷。そんな渋谷を描いたエンタメが話題になった2021年。物語の舞台としての渋谷について深く探っていきます。さまざまな文化を受け入れ日本のにぎわいの象徴に。主宰するストリーミングチャンネル「DOMMUNE」のスタジオを渋谷PARCO9階に構え、渋谷の街を3DCGで再現するオンラインスペース「バーチャル渋谷」にも携わる宇川直宏さん。コロナ禍をきっかけに渋谷について改めて考え、街の変遷をたどりながら、未来について考えていたのだとか。「ワイドショーの定点カメラで映し出されることも多く、通行人の数や交通量によって、その時の曜日や天気までもが想像できてしまうほど、街の“記号”としての役割を担うスクランブル交差点。僕は、あの場所は世界で最も有名な交差点のひとつだと確信しています。東京を訪れたことがない人は東京をイメージした時にまずあそこを思い浮かべるはずだし、海外の人たちにとっては、あの渋谷の人混みと竹下通りのにぎわい、そして山手線の満員電車が“東京=人が多い街”という印象を作っていますよね。つまり、渋谷は“日本のにぎわいの象徴”なわけです。東京オリンピックでインバウンドの方々がたくさん訪れることを想定し、渋谷の夜を活性化するための『ナイトタイムエコノミー構想』をはじめさまざまな計画が動いていましたが、コロナのせいで予定通りに進まなかったこともあり、2021年の渋谷にはポッカリと空洞化してしまっている部分が多かったのではないかと感じています」1970年代以降、気鋭のアパレルブランドが原宿エリアで活動し始めたことがアクセルとなって、最先端のファッションとカルチャーの街として急速に発展した渋谷。’80年代後半からは日本で最も豊富に中古レコードが集まる場所として国内外の音楽マニアを魅了し、その豊かな土壌から生まれた“渋谷系”と呼ばれる音楽ジャンルが一躍人気に。その後も、チーマーやギャル、原宿発の“カワイイ”イットガールなど、それぞれの時代を象徴するようなトレンドを形成してきた。「’70年代後半には、今のように若者でにぎわう以前の渋谷を舞台にした『赤い絆』というドラマが放送され話題に。’90年以降は『ガメラ3』や『凶気の桜』といったトレンドフィルムがたくさん渋谷で撮影されました。援助交際をする女子高生を描いた『ラブ&ポップ』やコインロッカーベイビーがテーマの『渋谷怪談2』など、当時の社会現象を取り入れている作品が多いのも特徴ですね。『凶気の桜』はセンター街にチーマーが主となった時代を描いていますが、その前後にはガングロギャルやパラパラを踊るギャル男たちの時代もあったりと、新たな文化圏の人が入り込んでは離れ、そのたびに街の印象が変わっているのを感じます。こんなにさまざまなカルチャーを担う人がコロコロと入り乱れて、その時どきのユースカルチャーの象徴となる場所って、他にないと思うんです。例えば、京都には歴史と伝統を背負った個性があるし、新宿も’60年代にはアングラな街のイメージが成立し、そこから現在まで大きく変わらずにいます。これは、他の都市は生活者によってイメージが形作られていく中、渋谷は観光客によって作られてきたから。海外や地方、都内の他の沿線から訪れる、渋谷を観光地としてリスペクトする人たちの欲望が渋谷という街を作ってきたんじゃないかなと思っています。つまり、観光客が求めるものがあるからこそ成立していたため、その人たちが来なくなると、渋谷は空のメディアになってしまうという…。でも、これは決してネガティブな意味ではなくて、渋谷はそうやって街に入ってくるものをどんどん吸収し、新たなカルチャーにしてきたんです。戦後に日本に集まったエンターテインメントのニューウェイブを常に塗り替えながら、最先端のものに更新してきたわけで。そういう入れ替え可能なメディアだからこそ、どんな物語の作品にも取り入れやすいのではないでしょうか」訪れた人々の記憶がこの街を形作っている。15年に公開されたヒット作『バケモノの子』はもちろん、今年話題となった『呪術廻戦』や『オッドタクシー』ではコロナ以前の渋谷のにぎわいが描かれているのも特徴で、いま見るとノスタルジーすら感じてしまう。「『呪術廻戦』で描かれた“渋谷事変”の舞台となる’18年は、オリンピックを控えた東京が再開発を最も頑張っていた時代です。『オッドタクシー』ではハロウィンの仮装やアイドルのライブなど、人が集まって楽しめる時代を描いていて。また、今年の夏にリリースされた『新すばらしきこのせかい』ではスクランブル交差点が舞台の象徴になっています。ゲームの中ではとにかく渋谷にたくさん人がいて、その雑踏の中で物語が展開されていくのですが、これは物理的に人が集まれなくなった渋谷をゲーム空間として体感できるようになっているんじゃないかなと。『バーチャル渋谷』に参加した時にも感じたのですが、渋谷は実際に訪れた人やこの街に憧れる人の“空間記憶”によって成り立っていると思うんです。その記憶の内容は人それぞれ違うけれど、なぜかみんなが渋谷への幻想を共有できてしまう。例えば、僕は『バーチャル渋谷』の世界を歩いていると、いまだに無意識のうちに’90年代に通っていたレコード屋へ行こうとしてしまう(笑)。そういう人々が持つ街への記憶が、渋谷を支えているんじゃないかなと思うんです。それに加えて、渋谷を舞台にした作品がたくさん作られたことによって、他の人が体験した記憶も共有しやすくなりました。そうやって、都市が持っている文化のアーカイブにアクセスしやすいところが、他にはないこの街のパワーだと思います。ただ、今後は観光客だけでなく生活者の文化をもっと取り込んでいく必要もあるのかなとも感じていて。コロナ以降の、人が集まれなくなってしまった渋谷がどのように作品の中で描かれていくのかをとても楽しみにしています」うかわ・なおひろ現代美術家、映像作家、VJ。映像やデザイン、文筆業や大学教授など、さまざまな領域で活動。2010年に日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を開局。1枚目写真:『ラブ&ポップ』村上龍が1996年に発表した原作小説を、庵野秀明が実写映画化。トパーズの指輪に心惹かれたコギャルが、それを手に入れるために援助交際に走る様子を追う。監督が『新世紀エヴァンゲリオン』を完結させた直後に初めて制作した長編映画としても知られる。©1998ラブ&ポップ製作機構2枚目写真:『バケモノの子』2015年に公開された、細田守監督による長編アニメーション。人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」という2つの世界を交錯させながら、孤独な少年とバケモノの交流や絆を描く。第39回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞を受賞。©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS※『anan』2021年11月17日号より。取材、文・大場桃果(by anan編集部)
2021年11月14日気鋭のイラストレーターloundraw(ラウンドロー)監督による短編アニメーション『サマーゴースト』より、本編冒頭5分映像が解禁された。本作は、透明感・空気感のある色彩と被写界深度を用いた緻密な空間設計を得意とし、小説「君の膵臓をたべたい」「君は月夜に光り輝く」などの装画から、近年は劇場版「名探偵コナン」、劇場アニメ「ジョゼと虎と魚たち」をはじめとするアニメーション作品へのクリエイター参加も行うなど、マルチな活躍をみせるloundrawの初監督映画作品。このたび解禁となった本編冒頭5分の映像では、ネットを通じて知り合った高校生、杉崎友也(CV.小林千晃)・春川あおい(CV.島袋美由利)・小林涼(CV.島崎信長)の3人が友也の誘いで「サマーゴースト探し」に向かい、その姿を目撃する衝撃のシーンまでが描かれている。都市伝説として囁かれる、通称「サマーゴースト」・佐藤絢音(CV.川栄李奈)は、花火をすることで現れるとされている女性の幽霊。本作では、それぞれに悩みを抱え“生きる意味”を見出すことができない3人が絢音との出逢いにより少しずつ変化していく様子が描かれるが、絢音の死にもまた誰も知らない秘密が隠されていた。忘れられない“ひと夏の出逢い”の始まりの瞬間を切り取った本編映像となっている。また、本作の入場者特典が「loundraw監督描き下ろしイラストA4クリアファイル」に決定し、イラストも解禁。 loundraw監督自らが描き下ろしたイラストには優しく微笑む絢音の姿が描かれているが、本イラストは作中の“とある大切なシーン”にも登場するものとなっている。このイラストがどのような意味を持つのかにも注目したい。『サマーゴースト』は11月12日(金)より全国にて公開。※島崎信長の「崎」は、正しくは「たつさき」(text:cinemacafe.net)■関連作品:サマーゴースト 2021年11月12日より公開©サマーゴースト
2021年11月02日これまでに多くの子どもたちを虜にしてきた人気のテレビアニメから、劇場版最新作となる『映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』が待望の公開を迎えます。そこで、ゲスト声優を務めたこちらの方に、お話をうかがってきました。松本まりかさん【映画、ときどき私】 vol. 423今回、プリキュアが初めて訪れる雪の王国シャンティアのプリンセスであるシャロンの声を担当しているのは、話題作への出演が続き、ブレイク中の女優・松本まりかさん。気持ちの上がる瞬間やコンプレックスとの向き合い方、そして現在の心境などについて語っていただきました。―まずは、本作のオファーがあったときのお気持ちから教えてください。松本さん子どもたちの夢や憧れが詰まった作品に呼んでいただけたことが、とにかくうれしかったです。これまで私が演じてきたのは、子どもたちにはあまり見せられない悪女のような役が多かったですからね(笑)。とはいえ、私が子どもたちに何かを与えるというよりは、私自身が子どもたちとつながりを持てることに喜びを感じました。―今回は声優のお仕事ですが、以前はご自身の声がコンプレックスだったこともあったとか。そんななかで、ご自身の声を求められるようになってからその意識は変わったのでしょうか。松本さんこれまでも声優業界には私の声を認めてくださる方がいたので、自分の存在意義を感じられずにいた時間を過ごすなかでそういった意見に救われることはありました。自分がコンプレックスだと思っている部分を面白いと言っていただけていたのは、ありがたかったですね。実際、「声優に転向したほうがいいんじゃない?」と言っていただいたこともあったくらいです。―そこで声優という道を選ばず、女優を貫いた理由は?松本さん声優というお仕事のすごさを理解していたので、そこに自分が肩を並べるのは違うのかなと。あとは、私は表情や体を使って全身で演技をしたいという気持ちのほうが純粋に強かったので、「女優でいきたい」という気持ちを貫きました。それを続けた結果、女優として少しずつ求められていくようになっていくなかで、声優のお仕事もいただけるのは、自分が望んでいた形でもあるので本当にうれしく思っています。「これが私だ」と開き直れるまでがんばりたい―周りから認められることで、いまではコンプレックスが武器に変わったような感覚もあるのでしょうか。松本さん正直言って、「完全に武器になりました」とはなりきれていないかもしれませんね。ただ、私の声を求めてくださる方がいることによって、いまは「コンプレックスと共存できている」という感じにはなっているのかなと。コンプレックスがゼロになることはないですが、そんなふうに変わりきれていないところも受け入れることが大切なんだと感じています。そのなかで「自分の感覚だけがすべてではない」ということも学びました。自分ではダメだと思い込んでいたことが、周りから見たらそうではないこともあるんですよね。コンプレックスは変わらなかったとしても、それを生かした方法で進んで行ったら、その先に面白い世界が広がっていることもありますから。女優としてはいまだにこの声でなかったらと思うこともありますけど、「これが私なんだ」と開き直れるまでがんばっていけたらと。だから、あくまでもいまはまだ成長の途中であって、「自分には“のびしろ”がある」と考えるようにしています。―コンプレックスがのびしろにもなりえるという考えには、救われる方も多いと思います。松本さんとはいえ、私もまだコンプレックスを捨てきれていないし、その思いを100%変えることは簡単ではないですが……。でも、共存していくことで、コンプレックスのなかにあるプラスの部分を好きになるチャンスをもらうことができる。そう考えると、がんばろうと思えるんですよね。大切なのは、自分を甘やかさないこと―ちなみに、声以外にもコンプレックスはあったりしますか?松本さん私は自分の外見にずっとコンプレックスがありました。声と見た目が甘く見えてしまうのが、理想としている女性像ではなかったので……。ただ、そういった負荷があるからこそ、自分自身を切磋琢磨しようとするので、これはこれで良しとしようかなといまは思っています。そんなふうに、私は自己肯定感がとても低いほうなので、どうやって自分を立て直していくかということを考え、戦う毎日です。―では、自己肯定感を高めるために、意識的にしていることもあるのでしょうか。松本さん身近で簡単なことで言うなら、毎日掃除をすること。掃除がすごく苦手だとしても、嫌いだからこそ毎日続けることで「自分はできている」という成功体験を増やしていくことができるんです。自分が一番苦手なことをする。こういった小さな習慣を続けることによって、自己肯定感を上げられている気がします。実際、お風呂の排水溝には髪の毛1本も残さない、お風呂場はバスタオルで拭けるくらいきれい。家のなかも、基本きれいです!―成功体験を増やすというのは、誰にとっても大事なことですね。ちなみに、美容のために欠かさず続けていることはありますか?松本さん身体にいいものを食べ、運動をして汗をかき、お風呂でデトックスすることですね。いい物を入れるだけでなく、ちゃんと出すことも意識しています。あとは、自分を甘やかさないこと。なるべく自分の力で修復するというのが、大事なんですよね。最近は肌も甘やかさないようにしています。夏なので、たくさん塗っていた保湿化粧品はやめて、化粧水だけになりました(取材当時は夏)。これは美容以外のことにも言えることであって、そういう意識を持っていると若くいられるような気がしています。ようやく地に足がつけられていると感じる―なるほど、勉強になります。本作の主人公であるまなつの口癖といえば、幸せな気持ちが湧き上がってキラキラすることを意味する「トロピカってる~!」ですが、最近松本さんがトロピカってると感じた出来事といえば?松本さんやっぱりまずは芝居をしている瞬間ですね。芝居を通して、人とつながれたり、心と心でわかりあえたりしたときは、本当に幸せな気持ちになります。特にいまは、人とコミュニケーションを取るのが難しい時期ですし。才能があるそれぞれのプロの方々と一緒に何かを作る現場は楽しいですし、自分も高まるのを感じられてうれしいです。プライベートでは、オシャレをしたり、緑と空が見えるベランダでひなたぼっこをしたり、おいしいものを食べているとき。それから、BTSや『愛の不時着』のヒョンビンにもトロピカりますね(笑)。―お気持ちわかります。先日、「2021年上半期ブレイク女優ランキング」で1位に輝きました。18年間の下積みを経てブレイクするというのは、どんなお気持ちですか?松本さんありがたいですね。こうなることは想像していませんでしたが、いまようやく地に足をつけられているように感じています。というのも、昔のほうがフワフワしている感覚で、「自分は何で存在しているんだろう?」と思ったこともあったので……。なので、もちろんうれしいですが、それ以上にプレッシャーと責任も感じています。「1位を獲ってうれしい。」というよりも、「ちゃんとやらなきゃ!」という思いのほうが強いです。本来なら、10代や20代の子が獲るべきものを36歳の私がいただいたわけですから。でも、そこには意味があるのかなとも感じています。自分を信じて、夢をつかんでいってほしい―その意味をご自身ではどのように受け止めているのでしょうか。松本さん女性は30代、40代と年を重ねていくことに悲観的になりがちなところがあるので、若い方ではなくこの年齢の私が賞をいただくことによって、同世代の女性たちにとって何かの希望になれたらいいのかなと。そう考えると、ここから落ちることはできないなと思いますね。とはいえ、もちろん“旬”というのはあるので、ここからどうやって自分を確立して生きていくのか、というのが問われているのかなとは感じています。―いろいろなことを乗り越えて夢をつかんだ松本さんの生き方から勇気をもらっている人も多いので、ananweb読者にもアドバイスがあればお願いします。松本さん人に依存してしまうと、自立するのに時間がかかるので、「早く自分ひとりの力で何者かになりたい」と思って生きてきました。でも、ようやく自立できるようになってきたと感じた途端、人を頼ることができるようになったんです。この気づきは、すごく重要なことだと思っています。なぜなら、自立をしていないときに人に頼ろうとするとそれはただの依存になってしまうんですが、自分が自立していると、ちゃんと他人を信頼できるようになるからです。そうすることで、「ひとりで生きていかなきゃ」というよりも、お互いに足りないところを補い合いながら生きていけるようになるので、人との付き合い方も変わりましたし、何より生きている実感があるんですよね。あと大事なのは、いくつになっても自分の好きなものを守って、突き進んでいくこと。そのために必要なのは、自分を信じることだと私は思っています。ただ、それにはまず自分に自信を持たなければいけないですし、自信を持つためには日々の努力や成功体験の積み重ねから始めないといけないですけどね。実は、私自身もこの構造は最近ようやくわかったことであって、理解するまでに20年かかってしまいました。でも、みなさんにはそういったことをもっと早くに知って、すぐに夢をつかんでほしいです。その先も長いと感じるかもしれないですが、悲観することなく希望を持ち、「私はできる。幸せになれるんだ」と自分を信じきってもらえたらと願っています。インタビューを終えてみて……。柔らかい雰囲気でありながら、力強い言葉が印象的な松本さん。コンプレックスとの向き合い方や自立に必要なことなど、見習いたいと思うことばかりで心に響く取材となりました。今後も女優として、女性としてどのように突き進んでいかれるのかが楽しみです。ドキドキとワクワクが止まらない!子どもも大人も夢中になってしまうキラキラとした映像はもちろん、夢や友情の大切さを教えてくれるストーリーも満喫できる本作。プリキュアと一緒に、雪の世界へとひと足先に飛び込んでみては?写真・山本嵩(松本まりか)取材、文・志村昌美ヘアメイク・ 秋山 瞳 (PEACE MONKEY)スタイリスト・コギソマナ (io)ニット¥57,200(エムエスジーエム/アオイ 03-3239-0341) 肩にかけたニットカーディガン¥20,900(バーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター 0120-137-007) スカート¥30,800(ダブルスタンダードクロージング/フィルム 03-5413-4141) ダブルイヤリング[左耳上]¥15,400、イヤリング[左耳下]¥13,200(ジュエッテ 0120-10-6616) リング[右手人差し指]¥29,700、リング[右手中指]¥38,500(アガット 0800-300-3314) ブーツ¥28,600(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店 03-3573-4005) リング[右手小指]は劇場来館付録ストーリーある日、雪の王国シャンティアから素敵な招待状を受け取った夏海まなつ。新しく女王になるシャロンのお祝いの式に出席するため、みんなで王国へと出発することに。そんななか、人魚の国の女王を目指しているローラは、シャロンと仲良くなり、ある約束をする。ところが、謎の怪物が突然現れ、みんなを王国に閉じ込めてしまうのだった。大ピンチのまなつたちのもとに、「ハートキャッチプリキュア!」のみんなが駆けつけてくれたが……。トロピカってる予告編はこちら!作品情報『映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』10月23日(土)より、 全国ロードショー配給:東映©2021 映画トロピカル~ジュ!プリキュア製作委員会写真・山本嵩(松本まりか)
2021年10月22日最新作『シン・エヴァンゲリオン 劇場版』が興行収入100億円を超える大ヒットとなった映画監督・庵野秀明氏。2016年には『シン・ゴジラ』が大ヒット。アニメはもちろん実写映画でも大きな実績を残し、今や国民的映画監督となったのはご存じの通り。そんな彼の仕事を網羅した初の展覧会『庵野秀明展』が好評だ。「『エヴァンゲリオン展』を主催していた朝日新聞社と、『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』を主催していた日本テレビから、偶然にもほぼ同じタイミングで展覧会のオファーをいただきました。ならば共催しようと、今回はかつてない規模の展覧会が実現したのです」(株式会社カラー文化事業担当学芸員・三好寛さん)本展では、庵野氏がアニメーター時代に参加した過去作品から、監督&プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅し、その創作の本質に迫る。アマチュア時代から現在までの作品の原画やミニチュア、直筆のメモやイラスト、脚本、イメージスケッチ、画コンテに至るまで膨大な制作資料を余すところなく展示しているのが本展の大きな特徴だ。「今回は、彼がこれまで敬愛してきた作品の資料が一堂に会しました。これが庵野に影響を与えたという、いわば“庵野秀明をつくったもの”も紹介しようという趣向です」会場では『ウルトラマン』『仮面ライダー』『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』など、庵野氏が幼少期から敬愛する漫画、アニメ、特撮作品にまつわる貴重な資料の展示のほか、縦3m×横15mの巨大LEDスクリーンを駆使した映像作品を公開。また、これまで門外不出とされてきた関連資料だけでなく、「僕らがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい」と庵野氏が立ち上げたATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)をはじめ、未来へ向けたプロジェクトも紹介。さらに『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』の大型立像など、最新の仕事も紹介している。「注目はコンテや模型などの中間制作物。作品が完成するまでに作られた膨大な中間制作物を目撃できるのは展覧会ならでは。映像の魅力を探るヒントとなる存在ですし、一枚の絵、一つのオブジェとして見ても非常に面白いものが多いんですよ」『シン・エヴァンゲリオン劇場版』2021年公開 ©カラー2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から14年を経て今年3月公開された完結編。モーションキャプチャやミニチュア&ロケーション撮影などで作った素材を基に構図を決める技法も採用している。『ふしぎの海のナディア』1990年放送 ©NHK・NEPジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万里』と『神秘の島』を原案に、庵野氏が総監督を務めたテレビアニメ。少年ジャンとナディアの冒険物語は1990年から1年間NHKで放送された。『式日』2000年公開 ©2000 F&A・STUDIO KAJINO2000年に公開された実写映画。スタジオジブリの実写作品レーベル「スタジオカジノ」第1回作品。原作は、主演でもある藤谷文子の小説「逃避夢」。映画監督の岩井俊二が、“カントク”を演じている。『庵野秀明展』国立新美術館 企画展示室1E東京都港区六本木7‐22‐2開催中~12月19日(日)10時~18時(金・土曜は~20時。入場は閉館の30分前まで)火曜(11/23は開館)休一般2100円ほか事前予約制TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※『anan』2021年10月20日号より。取材、文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年10月19日オリジナルTVアニメ『ヴィジュアルプリズン』が、先日ついにスタート。ここでは、主要キャストである蒼井翔太さんと増田俊樹さんにインタビュー!孤独を抱える少年・結希アンジュ。故郷を離れ“ハラジュク”を訪れると、ヴィジュアル系ユニット「LOST EDEN(ロストエデン)」「ECLIPSE(イクリプス)」のライブバトルに遭遇する。実は彼らはヴァンパイアで…。アンジュ自身も「OZ(オズ)」を結成し、3ユニットは激しいライブバトルを展開する。“ヴィジュアル系”と“ヴァンパイア”、2つの要素がどう絡むかに注目!ECLIPSE:圧倒的な華とミステリアスさを内包。二人だけが成せる、気高いサウンド。蒼井翔太 plays ハイド・ジャイエ優雅だが、実は毒舌。歌では主旋律を担当。ギルがフロントマンを務めていた「ECLIPSE(初代)」からのメンバー。物腰は優雅だが、ディミトリや知人に対しては毒舌な一面も。「ディミトリが炎なら、ハイドは氷。普段は明るくポジティブなディミトリに寄り添って、冷静さを保っているのですが、楽曲になるとそれが逆転!ハイドが主旋律を歌うことが多く、それをディミトリが低音のハモリで支えてくれます。二人だからこそ広がる、美しいハーモニーが聴きどころです」(蒼井さん)message to 増田俊樹レコーディング、アフレコ、いろいろ助けてもらってばかりでございます。いつかしっかり恩返しさせてください!あおい・しょうた8月11日生まれ。福井県出身。代表作に『うたのプリンスさまっ』『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』など。好きな名作は『ミザリー』『最高の人生の見つけ方』。「『ミザリー』は人間の狂気を描いたサイコホラーの傑作です。『最高の~』はやりたいことをやれる自分になれます」増田俊樹 plays ディミトリ・ロマネ常人離れした佇まいで世界観を担う。世界的に活躍する「ECLIPSE」の一人で破天荒な完璧主義者、ディミトリ・ロマネを演じている増田俊樹さん。「ディミトリ・ロマネはエネルギッシュな人で、ちょっと常人離れした存在です。この世界に新しく入ってきたアンジュや視聴者のみなさんに、この世界のルールやマナーをわかりやすく伝える役目を担っています。ECLIPSEはもともと4人いましたが今はハイドと2人だけ。この二人については余白が多い部分でもあります」(増田さん)message to 蒼井翔太こんなご時世でもありますので、お互い健康には気をつけていきましょう!ますだ・としき1990年3月8日生まれ。広島県出身。出演作に『アイドリッシュセブン』『刀剣乱舞‐花丸‐』『あんさんぶるスターズ!』など。好きな名作は「役者の演技と監督の演出脚本が素晴らしい『青天の霹靂』、きれいすぎない部分が描かれていて好きな『紅の豚』、飽きるシーンが1秒もない『ルパン三世 カリオストロの城』ですね」。ジャケット¥55,000ストール¥13,200シアーシャツ¥41,800パンツ¥33,000(以上キリュウキリュウ/キリュウ TEL:03・5728・4048)レイヤードベスト 参考商品(NaNo Art TEL:080・5157・7234)イヤーカフ¥19,800リング¥83,600(共にジャスティン デイビス/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム TEL:03・3401・5001)シューズ¥25,300(ドクターマーチン/ドクターマーチン・エアウエア ジャパン TEL:03・6746・4860)いま巷で話題となっている、オリジナルTVアニメ『ヴィジュアルプリズン』がついにスタート。“10人のヴァンパイアたちによるライブバトル”という謎めいたストーリーはもちろん、豪華スタッフ&キャスト陣にも注目が集中!原作/上松範康、Afredes、制作/A‐1 Pictures、キャラクター原案/片桐いくみ、放送情報/TOKYO MXなどにて、毎週金曜24:00~放送中。©Noriyasu Agematsu,Afredes/Project VP※『anan』2021年10月20日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・藤長祥平ヨシダミホ(蒼井さん)ヘア&メイク・北原由梨(e‐mu/増田さん)高橋 忍(蒼井さん)取材、文・鈴木恵美尹 秀姫(by anan編集部)
2021年10月19日先日ついにスタートした、オリジナルTVアニメ『ヴィジュアルプリズン』。ここでは、主要キャストである江口拓也さんと島﨑信長さんにお話を伺いました!孤独を抱える少年・結希アンジュ。故郷を離れ“ハラジュク”を訪れると、ヴィジュアル系ユニット「LOST EDEN(ロストエデン)」「ECLIPSE(イクリプス)」のライブバトルに遭遇する。実は彼らはヴァンパイアで…。アンジュ自身も「OZ(オズ)」を結成し、3ユニットは激しいライブバトルを展開する。“ヴィジュアル系”と“ヴァンパイア”、2つの要素がどう絡むかに注目!LOST EDEN:激しい怒りを、音に乗せて…。独自のダークな世界観を表現。江口拓也 plays サガ・ラトゥール常に怒りを抱えている、破壊的なキャラクター。4人で構成される「LOST EDEN」のメインヴォーカル兼リーダー、サガ。多くの者を惹きつけるカリスマだが、「OZ」のギルとは深い確執がある。「『LOST EDEN』は、3つのユニットの中でメイクもいちばん派手だし、楽曲も荒々しくて、ザ・ヴィジュアル系感が最も強い。サガは、怒りと激情に溢れた人物で、いつも『ぶっ壊してやる!』と言っている、過激な思想の持ち主。その怒りのエネルギーが、そのまま歌声に表れています」(江口さん)message to 島﨑信長信長とは長い付き合い。作品に対する姿勢が常にストイックで、信頼感は絶大。落ち着いたら、また飯行きたいね。えぐち・たくや5月22日生まれ。茨城県出身。『機動戦士ガンダムAGE』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『アイドリッシュセブン』など出演作多数。最近観た名作は『羊たちの沈黙』『となりのトトロ』『アイアンマン』。「映画って思い出と紐づいているから、いま欲しい感情から観る作品を選ぶことが多いです」ジャケット¥946,000シャツ¥143,000シューズ¥88,000(以上アクオド バイ チャヌ TEL:03・5776・3679)パンツ¥39,600(キリュウキリュウ/キリュウ TEL:03・5728・4048)ネックレス(短)¥37,400ネックレス(長)[モチーフ]¥53,900[チェーン]¥36,300リング¥38,500(以上ジャスティン デイビス/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム TEL:03・3401・5001)タンクトップはスタイリスト私物島﨑信長 plays ミスト・フレーヴ理屈より感情で動くユニットのナンバー2。LOST EDENの“大番頭”、ミスト・フレーヴを演じる島﨑信長さん。冷静沈着で頭脳明晰といわれるミストだが、島﨑さんから見たミストは「よくプリプリ怒ってる苦労人(笑)。わりとパッションで動く人です。でもミストの心には常にサガがいるので、そんなサガを支えられて幸せなんじゃないかな。カリスマ的存在のサガを中心にミストとエリザベス、ジャックから成るLOST EDENはファミリーであり、お互いを高め合える同志です」(島﨑さん)message to 江口拓也ミストの行動原理の基本はサガですが、僕から拓也に言えることは「頼りにしてます!」に尽きます(笑)しまざき・のぶなが1988年12月6日生まれ。宮城県出身。『Free!』『斉木楠雄のΨ難』『ダイヤのA』など出演作多数。好きな名作は『バタフライ・エフェクト』と『ゲーム』。「前者は後世にも影響を与えたタイムリープ作品の金字塔。後者はどんでん返し作品が好きで見つけたのですが、ラストのいい意味での驚きが印象に残ってます」ブルゾン¥242,000シャツ¥154,000シャツにつけたチェーンネックレス¥6,380パンツ¥88,000(以上アクオド バイ チャヌ)リング¥64,900(ジャスティン デイビス/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)シューズ¥28,600(ドクターマーチン/ドクターマーチン・エアウエアジャパン TEL:03・6746・4860)タンクトップはスタイリスト私物いま巷で話題となっている、オリジナルTVアニメ『ヴィジュアルプリズン』がついにスタート。“10人のヴァンパイアたちによるライブバトル”という謎めいたストーリーはもちろん、豪華スタッフ&キャスト陣にも注目が集中!原作/上松範康、Afredes、制作/A‐1 Pictures、キャラクター原案/片桐いくみ、放送情報/TOKYO MXなどにて、毎週金曜24:00~放送中。©Noriyasu Agematsu,Afredes/Project VP※『anan』2021年10月20日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・紀本静香(江口さん)瓜本美鈴(島﨑さん)取材、文・鈴木恵美尹 秀姫(by anan編集部)
2021年10月19日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ジブリ」です。先日、急に観たくなってアニメ映画『ホーホケキョ となりの山田くん』を観ました。みなさん、スタジオジブリお好きですか?僕は大好きです。そして、僕はジブリでは完全に高畑勲派です。宮崎駿監督作品ももちろん大好きですが、どちらか選ばないといけないとしたら高畑監督作品がより好きです。『ホーホケキョ となりの山田くん』をはじめ『おもひでぽろぽろ』『かぐや姫の物語』など、いつでもゆっくり観られる感じがいいんです。こだわりはめちゃくちゃあるのですが、描いていることは日常に寄り添っていたり、キャラクターをとても自然に描いていたり。なんか無理がないんですよね。だから熱が39℃あって観てもツラくない感じがして好きなんです。『ホーホケキョ となりの山田くん』なんてどっから観てもいい。原作が4コマ漫画なのでいろんなエピソードが入っている。デパートで子どもが迷子になった話とか、駅についたら雨が降ってたから迎えにきてもらう話とか、本当に誰でも経験したことあるようなごく普通のエピソードが、とても優しく楽しく描かれている。ほっとします。『おもひでぽろぽろ』も大好きで、何度観たかわからないくらいです。今年、32歳になった記念にブルーレイも買いました。初めて観たのは大学生くらいのときでしょうか。そのとき観た印象よりさらに良かった。歳を重ねるごとに登場人物の心理だとかいろんなことが深く理解でき、どんどん面白くなる。これはどういうことやねんと思いました。作った当時の勲さんの年齢に近づけば近づくほど、わかることが増えるんじゃないかなと思っていて、観るたびに発見がありそうで、これからも繰り返し観るのが楽しみです。三鷹の森ジブリ美術館も行ってみたいです。常設展示室の「映画の生まれる場所(ところ)」では制作現場を覗けると聞いて、ぜひ見てみたいなと思いました。クリエイターの端くれとして違う世界のクリエイティブの現場を見るのが大好きなんです。メイキング映像を観るのも好きだし刺激を受けます。違う世界のクリエイティブを見ると単純にワクワクしますし、自分にも大きな影響をもらえます。アイデアを必死で出しているところは共感するし、いろんな工夫をされていると知ると凝り固まった自分の考え方をほぐしてもらえる。他のジャンルであってもいろんな人の作品作りを覗いてみるのは大事なことだなって思っています。おかざきたいいく10月20日に約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』を発売。11月23日(火・祝)、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催。※『anan』2021年10月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年10月16日日本でも人気の高い世界的キャラクターのひとつとして挙げられるのは、フィンランドで誕生したムーミン。かわいらしいキャラクターの数々と心温まる物語は、長年にわたって愛され続けています。そこで、生みの親である画家トーベ・ヤンソンの知られざる波乱に満ちた半生に迫る映画『TOVE/トーベ』をご紹介します。今回は、主演を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。アルマ・ポウスティさん【映画、ときどき私】 vol. 415本作だけでなく、舞台でもトーベ役を演じたり、劇場版のムーミンでフローレン(スノークのおじょうさん)の声を担当したり、まさに適役とも言えるアルマさん。本国フィンランドではロングランとなる大ヒットを記録した本作の見どころやムーミンの魅力、そして自身の原動力について、語っていただきました。―トーベ・ヤンソンさんといえば、フィンランドでは大きな存在だと思います。演じるうえで、プレッシャーなども大きかったのではないでしょうか?アルマさんもちろん、それはありましたね。これだけ多くの人に愛され、重要な存在であるトーベの伝記映画を作るというのは、決して簡単なことではありませんから。私だけでなく、作品に関わるみんなのなかに、多少の怖さはあったと思います。―それをどう乗り越えましたか?アルマさん救いとなったのは、監督のある言葉。「私たちにとって、これは“ミッションインポッシブル”だから、どうせ失敗をするなら一番おもしろい形で失敗しましょう」と言ってくれたんです。そのおかげでみんなのマインドが解放され、私たちなりのトーベを自由に追求していけばいいのだと考えることができたと思います。そもそも、他人の人生における真実を知るのは難しいことですからね。そこで、私たちは彼女の作品のなかに没入し、彼女が残してくれた“ヒント”をもとに制作していくことにしたのです。トーベのご家族からも「みなさんの解釈で、できる限り美しくて強いものを作ってください」と言っていただいたので、そういった応援をいただけたことも非常に重要でした。あらゆる形で共感できなければ、演じられなかった―役作りをしていくなかで、意識していたことはありますか?アルマさんあらゆる形で彼女に共感できなければ、おそらくこの役は演じられなかったと思っています。トーベは、知的でユーモアがあり、生きる喜びや冒険心に満ちていましたが、同時に悲しみや自己批判といったダークな一面も持ち合わせていた複雑な人物。だからこそ、彼女は一体どんな人間なのか、彼女の人生とはどういったものなのかについて考えさせられました。そして気がついたのは、彼女を動かしているのはアートであること。芸術こそ、トーベがもっとも愛したものであり、彼女にとっては“聖なるもの”だったと思います。そしてもうひとつは、たくさんのステキな出会い。たとえ恋愛関係が終わっても友情を深めることができた彼らの姿に、私はインスピレーションをもらいました。―当時のフィンランドは同性愛が犯罪とされていたそうですが、そんななかでも恐れることなく女性舞台演出家のヴィヴィカをまっすぐに愛する姿が印象的でした。アルマさん私もいい意味で自分を見失うことができる愛には圧倒されますし、それこそが生きる力を与えてくれるものだと考えています。トーベは人に対しても、生きることに対しても好奇心を持っている女性ですが、それでもヴィヴィカとの恋愛は彼女にとっては驚きだったのではないかなと。でも、彼女にとっては“ハッピーなサプライズ”だったとは思います。戦後のフィンランドは非常に保守的だったので、同性愛は違法とされていましたが、トーベにとってはどの恋愛も自然に起きたこと。「私が好きになったのは人間であって、男性か女性かは関係ない」というのが彼女の哲学の礎でもあるのです。私は「サイレントレボリューション」と呼んでいますが、彼女のしたことは後世の人たちのために、静かにドアを開けていたのと同じだと思っています。ラブシーンでは興味深い体験をすることができた―まさにその通りですね。では、撮影中の忘れられない出来事などについても教えてください。アルマさん本当にステキなことがたくさんありましたが、そのなかでも素晴らしかったのは、ザイダ・バリルート監督と撮影監督であるリンダ・ワシュベリのコラボレーション。フィンランドでは、女性の撮影監督はあまり多くないので、どうしても“男性の眼差し”で撮られることが大半ですが、今回は監督も撮影監督も女性だったので、“女性の眼差し”を通して撮ることができました。そのおかげで、特にラブシーンでは興味深い体験をすることができたと思います。これはヴィヴィカ役のクリスタ・コソネンとも話していたことですが、2人の女性がベッドにいる様子を女性の目線で切り取ることで、そこにある情熱や理解に対する新しい解釈が加わったように感じることができたのです。それはいままでにない経験でしたね。恥ずかしさやぎこちなさも一切なく、自由に演じることができたので、私たち俳優にとっても、うれしい発見となりました。―そのあたりも注目ですね。いまや世界的なキャラクターとなった「ムーミン」についてもおうかがしますが、フィンランドの方々にとっては、どのような存在ですか?アルマさん私は本のなかにいるムーミンと一緒に育ちましたが、いまの子どもたちはテレビシリーズやゲームなど、本当にそれぞれのムーミンとともに冒険をしながら大きくなっています。そういう様子を見ていると、トーベは私たちがずっと持つことのできる“宝物”を作ってくれたんだなと感じますね。誕生してからこれだけ時間が経っていても愛されているのは、本当にすごいこと。おそらくそれは、トーベの価値観と私たちが大事にしているものが同じだからここまで響くんでしょうね。その価値観とは、他人との連帯や友情、冒険心、愛、つねにオープンであること、好奇心、そしてすべてのなかにあるユーモアのことだと私は思っています。ムーミンにとって、2番目のホームは日本―そういった普遍的なところが、日本でも多くの人を惹きつけてやまない理由かもしれません。アルマさんそうですね。フィンランドと日本は、地理的には非常に遠い国同士。にもかかわらず、日本のみなさんが心のなかにムーミンを持ち、これだけつながりを感じてくださっていることは興味深いことだと思います。おそらく日本はムーミンにとって2番目のホームと言えるのではないでしょうか。―うれしいです。ちなみに、アルマさんは日本のアニメやキャラクターでお好きなものがあれば、教えていただけますか?アルマさん私は子どものときに、あまり日本のアニメに触れる機会がありませんでした。なので、残念ながら挙げられるものがないのですが、実は俳優になってから日本には親しみを感じています。というのも、日本で生まれた俳優訓練法である「スズキ・トレーニング・メソッド」を学んだことがあるからです。私はまだすべてを習得できているわけではありませんが、身体的な感覚を意識したり、自分のなかにある“演技の源”をしっかりと根付かせたりする必要があるので、いまでも時折このメソッドに立ち返って訓練することはあります。日本で練習したことはありませんが、いつか日本に行ってみたいです。―ぜひ、お待ちしております!では、アルマさんにとってモチベーションの源となっているものとは?アルマさん私も彼女と同じように、好奇心に突き動かされるタイプだと思います。そして、何よりも芸術を愛しているので、演劇も私にとっては大きな存在です。言うならば、哲学的で身体的なアドベンチャーをしているような感覚なのかもしれません。この仕事は、「人間とは一体何なのか」ということを模索する終わりのない旅をしているようなものですが、これこそが私の人生において一番好きなもの。なので、いまは俳優でいられること、そして恵まれた環境にいることにとても感謝しています。感情は抑えるものではなく、出すべきもの―今回お会いするのは初めてですが、劇中のアルマさんとは違った溢れるような明るい笑顔に魅了されています。ステキな女性でいられる秘訣があれば、教えてください。アルマさん(日本語で)わあ、ありがとう!そうですね、私は自分の感情を抑えることをやめたので、幸せなときは笑っていいし、悲しいときには泣けばいいと思っています。感情というのは抑え込むものではなく、出すべきものですからね。私はそうしていないと落ち込んでしまうので、いまでは自分の心で感じているものは流れ出るままにしています。もしかしたら、それがつねに笑顔でいられる理由のひとつかもしれません。―ありがとうございます。それでは最後に、アルマさんから日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。アルマさん何の理由がなかったとしても、私たちは自分に制限をかけてしまうことってありますよね?私はそういう部分に関しては、トーベの時代よりもいまのほうが保守的になってきているのではないか、とさえ感じることがあります。でも、人生で自分自身をしっかりと模索し、好奇心と冒険心を持ち、作られたルールに縛られることなく、つねに自由であるために戦い、そして愛を持って相手をリスペクトすることが大事なのです。ぜひ、トーベからそういったインスピレーションを感じていただけたらと思います。インタビューを終えてみて……。一問一問に対して丁寧に答えてくださるいっぽうで、劇中とは異なるチャーミングな表情をのぞかせるアルマさん。オンライン取材であったため、画面越しではありましたが、それでもこちらまで笑顔にさせてしまう魅力には、一瞬で虜となってしまいました。本作では、アルマさんの見事な熱演に、ぜひ釘付けになってください。自由に生きる美しさを教えてくれる!世界的なアーティストとなったトーベ・ヤンソンが成功の裏側で味わった葛藤や苦悩、そして激しい恋愛感情に触れることができる本作。どんな状況のなかでも、自分を信じ、自由と信念を貫いて生きる姿は、時を超えて現代の女性たちにも勇気を与えてくれるはずです。取材、文・志村昌美ストーリー第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキで、画家のトーベ・ヤンソンは自分を慰めるように、不思議な「ムーミントロール」の物語を描き始めていた。戦争が終わりを迎えると、彼女はほとんど廃墟と化したアトリエを借り、本業である絵画制作に打ち込んでいくことに。しかし、著名な彫刻家である厳格な父との軋轢、さらには保守的な美術界との葛藤のなかで満たされない日々を送っていた。そんなある日、トーベは舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い、激しい恋に落ちる。それこそが、ムーミンの物語と彼女自身の運命の歯車を大きく動かすものとなるのだった……。情熱の詰まった予告編はこちら!作品情報『TOVE/トーベ』10月1日(金)より、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか 全国ロードショー配給:クロックワークス© 2020 Helsinki-filmi, all rights reservedCopyright Marica Rosengard
2021年09月30日クラスメイト36人が、学校ごと異次元に漂流する。“令和の『漂流教室』”ともいえるアニメ『Sonny Boy』が放送中。監督・脚本は『ワンパンマン』などの人気作で期待を集める夏目真悟さん。自身でも「自分の全部、空っぽになるくらい詰め込んで作った」という本作。モノローグは一切なし、そして第1話ではBGMを使わない、勇気ある演出が話題になった。夏目監督に直撃すると「まさに“勇気がいる”っていうのが的確な表現ですね」と一言。中高生と、中高生だった全ての人に送る青春SFアニメ。「登場人物に心情を説明させず、起きた現象を切り取ることにこだわりました。36人全員に背景があって、育った環境も違えば、同じ制服でも着方が少しずつ変わる。そういう差異を積み重ねていけば、モノローグがなくても“あぁ、この子ってこういう子なんだ”と伝わるものがあると思うんです。自分としては、必要な情報は映像に入っているかなと。だから、彼らがどう行動していくか注目してもらえたら…。とはいえ自分でもなかなか怖くて、冷静に見られなかったりするんですが(笑)。プロデューサーに『好きなように』と言ってもらえたので、ありがたくわがままにやらせてもらってます」挑戦するのは、言語化しにくいものを言葉にせずに表現すること。「例えば“悲しい”という感情一つとっても、実は一言で表せるほどシンプルじゃない。登場人物の外見も一見テンプレート的でわかりやすいんですが、中身は乖離していたり倒錯していたりする部分も。そこに奥深さや共感が生まれるんじゃないかと」注目は銀杏BOYZ書き下ろしの主題歌。ほかにも楽曲制作には、ミツメやtoeなど豪華な顔ぶれが。「好きだから主題歌を銀杏BOYZにお願いしたい、って最初はおこがましい気がして(笑)。でも、スタッフに相談したら『受けてもらえるかどうかは別だけど、好きならお願いしたらいいじゃん』と言ってくれたので、思い切ってオファーしたら、快諾していただけました」「少年少女」を初めて聴いた感想は。「ど真ん中を突いてくれるぴったりの曲でした。峯田和伸さんをはじめにアーティストのみなさんは感受性が豊かで、むしろ自分が“この話って、こうだったんだ”と気づかされたりも。原作がないからこその醍醐味を感じました」最後に、どんな人に見てもらいたいか尋ねると。「中高生と、中高生を経験してきた全員ですね。とにかく今っぽいアニメじゃないということに尽きます。変わった作品になったので、先入観なく見てもらえたら嬉しいです」長い夏休みの半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生の長良(ながら)たちは、学校ごと異次元に漂流するという、思いもよらない事態に巻き込まれる。突如始まったサバイバルから、元の世界に戻れるのだろうか…。『Sonny Boy』中学3年生のひとクラス36 人が突然異次元に漂流する“SF青春群像劇”アニメ。毎週木曜24:30~TOKYO MXで放送中。サブスクリプションや配信など各サイトでも配信中。詳しくは公式HP をチェック。©Sonny Boy committee※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。(by anan編集部)
2021年08月17日画家ジュゼップ・バルトリは1910年生まれのスペイン人。風刺漫画家でありながらスペイン内戦時代の20代の頃は共和国軍の一員として戦う。’45年にはNYに渡り、マーク・ロスコやウィレム・デ・クーニングらとも交流。雑誌『ホリデイ』『サタデー・イブニング・ポスト』のイラストを手掛け、芸術家としての名声を確立した人物だ。そんな彼が30代の頃に体験したフランスの強制収容所での実話をアニメ化した映画『ジュゼップ 戦場の画家』が今、話題を呼んでいる。1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れようと、隣国フランスには大勢の難民が押し寄せていた。しかしフランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境のもとで寒さや飢え、病気に苦しむことに。難民の一人だったジュゼップは、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けた。若きフランス人憲兵セルジュは、そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、二人は固い友情で結ばれていくが……。フランス人憲兵の監視下に置かれ、理不尽な暴力を受けていた難民の姿を描くとともに、ジュゼップと心優しき新米憲兵セルジュが織りなす友情が胸を打つ。また実際にジュゼップが描いた絵は、収容所の凄惨な日常を後世へと伝える貴重な記録にもなった。フランス出身のイラストレーターである監督のオーレル氏は、ジュゼップのスケッチに衝撃を受け、彼を「レジスタンスとジャーナリストの精神を持ち合わせた人物」と心からの賛辞を送る。人間の尊厳が容赦なく踏みにじられる極限状態の中でも希望を捨てず、ペンを執り続けたアーティストの生き様を伝えるには、動きやリズム、音響を備えたアニメーションが必要だと、自らの手で10年をかけて映画化した。世界中に祖国を失った難民があふれ、人権問題もクローズアップされている現代社会を映しているともいえる本作は、映画ファンはもちろん、ジャーナリストや美術関係者、アニメファンからも称賛の声が。“生きる”という本質的なテーマを肉筆感溢れるスケッチで紹介した映像は、私たちの心に迫ってくるはずだ。『ジュゼップ 戦場の画家』監督/オーレル脚本/ジャン=ルイ・ミレシ。2020年、カンヌ国際映画祭正式出品。アテネ国際映画祭観客賞、脚本賞ほか、数多くの賞を受賞。8月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。©Les Films d’Ici Mediterranee – France 3 Cinema – Imagic Telecom – Les Films du Poisson Rouge – Lunanime – Promenons – nous dans les bois – Tchack – Les Fees Speciales – In Efecto – Le Memorial du Camp de Rivesaltes – Les Films d’Ici – Upside Films 2020※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2021年08月16日東京アニメアワードフェスティバル2021でグランプリと東京都知事賞を受賞した注目のアニメーションが、ついにフランスから日本に上陸。アニメ好きのみならず、世界各国の観客を魅了している話題作をご紹介します。『ジュゼップ 戦場の画家』【映画、ときどき私】 vol. 4021939年2月、スペイン内戦から逃れた大勢の難民が隣国フランスに押し寄せた。しかし、フランス政府によって収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境で苦しむこととなる。そのなかでも、難民のひとりである画家のジュゼップ・バルトリは人間らしさを保つ唯一の手段であるかのように、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けていた。そんなジュゼップに鉛筆と紙を与えたのは、若きフランス人憲兵セルジュ。いつしか2人は固い友情で結ばれていくことに。そして、ジュゼップが消息不明の婚約者マリアとの再会を夢見ていることを知ったセルジュは、密かにマリアの捜索を行うのだが……。画家ジュゼップ・バルトリの波乱に満ちた人生と知られざる真実をもとに描かれた感動の実話。今回は、『この世界の片隅に』の片渕須直監督も絶賛する本作について、こちらの方にお話をうかがってきました。オーレル監督フランスの全国紙でイラストやグラフィックを手掛け、イラストレーターとしても活躍しているオーレル監督。本作が長編アニメーションデビュー作にもかかわらず、カンヌ国際映画祭への正式出品をはじめ、ヨーロッパの映画賞を総ナメにする快挙を成し遂げています。そこで、作品に込めた思いや日本のアニメーションに惹かれる理由について語っていただきました。―本作は、あるブックフェアでジュゼップ・バルトリの作品を偶然目にしたことから始まり、そこから10年もの歳月をかけて完成させたそうですね。改めて、この作品とともに歩んだ道のりを振り返ってみていかがですか?監督確かに10年は長かったですね……。でも、10年も経った気がしないのは、その間にも本当にいろんなことがあり、山あり谷ありだったからかもしれません。資金調達などが思い通りに進まなくて苦しいときもありましたが、制作過程は非常にエキサイティングでワクワクしましたし、素晴らしい冒険ができたと思います。大変なことが95%を占めていたとしても、残り5%で味わった芸術的な喜びがつらいこともすべて忘れさせてくれました。―監督は「ジュゼップ・バルトリの想いを理解し、引き継ぎ、自分のペンによって現代によみがえらせたい」という衝動に突き動かされたそうですが、この題材をいまの時代に作品として発表する意味についてはどうお考えでしたか?監督彼が生きていたのは1939年ですが、僕はあまり時代的なものは関係ないと思っています。なぜなら、当時の強制収容所で起きていたことは、現在のヨーロッパが抱えている難民の問題とつながっているところがあるからです。実際、制作している最中にシリア戦争が原因で難民がヨーロッパへと入ってきたので、僕たちにとってはよりリアルで、より現実的な問題となりました。そういったこともこの作品が大きな反響を呼ぶことになった要因だと思います。日本のアニメーションからも影響を受けている―確かに、現代社会が抱える問題についても考えさせられました。監督ただ、最初からそういったことを打ち出そうと意図していたわけではありません。もともとは彼のデッサンと出会い、彼の人生を知ったことが始まりでしたから。以前から映画が好きでしたし、スペイン戦争といまの難民問題についても関心があったので、すべてを一緒に映画として語りたいと思うようになったのです。―監督のキャリアにおいても、本当に大きな意味を持つ作品になったのではないでしょうか。監督そうですね。「イラストは自分にとってどんな意味があるのか」「イラストレーターの仕事とは何か」といったさまざまな自問自答をし続ける濃密な時間を過ごすことができました。そんななかで、まず気がついたのは、イラストとアニメーションでは表現方法も制約も違うということ。それゆえにより深く考察し、核心を突き詰めていく作業をしました。あとは、いままで1人で仕事していた僕にとってはグループで仕事をするのも初めてだったので、人間としてもイラストレーターとしてもすごく成長できたのではないかなと思っています。この10年でいろいろな変化がありましたし、新しい経験をたくさん重ねることができました。―アニメーションを制作するうえで、影響を受けている方や作品について教えてください。監督アニメーションだけではなく、映画や絵画、音楽、文学といった本当にさまざま表現様式から影響を受けていると感じています。なので、ひとつを選ぶことはできないのですが、今回の作品で言うと、スペイン内戦について知る機会を与えてくれたケン・ローチ監督の『大地と自由』や本作の脚本を務めてくれたジャン=ルイ・ミレシの存在は大きかったかなと。それから、僕自身はアーティストとして1980年代にテレビで見ていた日本のアニメシリーズからもたくさんの影響を受けていると思います。普遍的な物語であることを感じてほしい―たとえば、どのようなアニメシリーズがお好きでしたか?監督子どもの頃に大好きだったのは、まず『キャプテン翼』と『シティーハンター』。あとは『めぞん一刻』、『ハイスクール!奇面組』、『キャッツ・アイ』、『鉄腕アトム』も好きでしたね。そのほかに興味深いと思ったのは、フランスの文学作品をアニメ化した『三銃士』や『家なき子』。キャラクターが動物に変わっていたりするところとか、外国人の目がすごく大きく描かれていたりしたのがおもしろくて(笑)。いまは、僕の息子が日本のアニメが大好きですごくハマっているようです。―では、監督という立場になってから、いまの日本のアニメーションについてはどのようにご覧になっていますか?監督日本のアニメーションに惹かれる理由は、やはり普段僕たちが日常的に見慣れているものとはかけ離れたものを見せてくれるところではないかなと。おそらくそれは日本だけでなく、アジア映画全体に言えることかもしれませんが、ヨーロッパの作品にはないようなものをいつも提示してくれますよね。あとは、日本のアニメーションはまだまだ僕たちが到達できないほど凝った作業や異なるアプローチをしているので、そういった新しい息吹というか、新鮮さを味わわせてくれるのが魅力だと思います。―最後に、作品を通して日本の観客に伝えたい思いをお願いします。監督本作で描いた物語や歴史的背景は、日本から見れば遠く離れたものと感じるかもしれません。しかし、戦争や政治による難民に関しては、歴史のどの時代でも、現代でも全世界的な問題であり、普遍性のある話だということは伝えたいです。時を超えて訴えかけるメッセージが胸に響く戦争が引き起こした悲惨な現実を知るだけでなく、現代の私たちがすべきこと、そして「生きるとは何か」を突きつけられる本作。ジュゼップ・バルトリが実際に描いた力強いスケッチと、その想いを引き継いだオーレル監督の描くイラストが共鳴して生み出される圧倒的な画力に、誰もが心を揺さぶられるはずです。取材、文・志村昌美真に迫る予告編はこちら!作品情報『ジュゼップ 戦場の画家』8月13日(金)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:ロングライド©Les Films d’Ici Méditerranée - France 3 Cinéma - Imagic Telecom - Les Films du Poisson Rouge - Lunanime - Promenons - nous dans les bois - Tchack - Les Fées Spéciales - In Efecto - Le Mémorial du Camp de Rivesaltes - Les Films d’Ici - Upside Films 2020
2021年08月11日毎年、幅広い層が待ち望んでいる映画のひとつといえば、『クレヨンしんちゃん』シリーズの劇場版。そこで、いよいよ公開を迎えた最新作『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』について、ゲスト声優を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。仲里依紗さん【映画、ときどき私】 vol. 401しんちゃんとその友達で構成されている“カスカベ防衛隊”が全員で超エリート校に体験入学するところから始まる本作で、素行は悪いが多様な才能を持つエリートギャル・アゲハを演じている仲さん。今回は、しんちゃんの魅力や育児で大切にしていることなどについて、語っていただきました。―子どもの頃からしんちゃんの大ファンだったそうですが、オファーがあったときはどのようなお気持ちでしたか?仲さんしんちゃんのことは本当に大好きで、ゲスト声優を務めている方々を毎回うらやましいと思いながら映画館で観ていたので、やっと念願が叶ったという感じですね。夢が実現して、恵まれていると思います。―しかも、仲さんは「ギャルになりたい!」とずっと公言してきたほどのギャル好きですよね。今回のギャル役はまさにハマり役だったのでは?仲さん自分でも、きてるなと思いましたね(笑)。声だけではありますが、ギャルはやりたい役だったので、ここまで待っていた甲斐がありました。―ギャルを演じるうえで意識したことはありますか?仲さんとりあえず私がいま出せるすべての“ギャルパワー”を声に注ぎ込んでいます(笑)。あとは、昔しんちゃんの真似をして「うぇーい!」とか言っていたので、そのころを思い出しながら意識して演じました。ただ、私はもともとしゃべり方がしんちゃんみたいで、声がハスキーだったこともあって、子どものころには、「クレヨンしんちゃんみたいにしゃべらないで、もう少しハキハキ話しなさい」とよく母に怒られていたんです。でも、こうやってお仕事につながって、『クレヨンしんちゃん』にも出演できたので、あのときの母に「声優やりますから。役作りですよ!」と言いたいですね(笑)。今回の出演には、家族がすごく喜んでくれた―ご家族のみなさんも『クレヨンしんちゃん』シリーズのファンだということですが、出演を伝えたときの反応はいかがでしたか?仲さんみんなすごく喜んでくれましたね。特に、妹はうらやましいと。そういう家族の姿を見て、しんちゃんはやっぱり人気者なんだなと改めて感じました。毎週楽しみに観ていたので、しんちゃんとの思い出はたくさんありますね。―ただ、それだけ長年にわたって多くの人に愛され続けている人気アニメへ出演することに対して、プレッシャーもあったのでは?仲さんこれまでゲスト声優として出演された方々も錚々たるメンバーでしたから、「私で大丈夫かな?」と思うこともありました。でも、今回一緒に声優を務めるフワちゃんやチョコレートプラネットさんを含め、みんなで一緒にしんちゃんを盛り上げていけたらいいなといまは考えています。―では、最新作の見どころはどんなところですか?仲さん今回は、いままでにはない謎解きというかミステリーっぽいところがある作品なので、そのあたりが注目ですね。そんなふうに、劇場版の『クレヨンしんちゃん』には、通常のシリーズとは違うおもしろさがあるところが、魅力だと思います。理想の男性像は、頭はいいけど天然の人―息子さんも大好きで、よく一緒にご覧になっているそうですが、母親になってから響くポイントが変わったところもありますか?仲さんそうですね。大人になってから見ると、みさえやひろしの言っていることや親子の掛け合いがより刺さるようになりました。そこが小さいときとは、見るポイントが変わったところですね。それから、結婚してお母さんになってから思うのは、みさえみたいなお母さんっていいなということ。もし、実写化するなら、絶対にみさえを演じたいので、立候補したいです!あと、ミッチー&ヨシりんも昔はただのラブラブな若い夫婦だと思ってましたけど、日本を代表するくらいめちゃくちゃ迷惑な人なんだと、大人になってから気がつきました(笑)。でも、そうやって前とは違う楽しさを新たに探しながら映画を見返したりするのがいいんですよね。―これまでゲスト声優を務めた女性陣から、「ひろしが理想の男性」という声も上がっているようですが、仲さんはいかがですか?理想の男性像に欠かせない要素があれば、教えてください。仲さん私の理想は、頭はいいけどちょっと天然な人なので、どちらかというと、ひろしよりもしんちゃんが大人になった感じの人がいいかもしれないですね。天才的に抜けてるところなんかは、「もうっ!」ってなると思いますが、一緒にいたらきっと笑いが絶えないんだろうなと思うからです。子どもみたいなところがある人には母性本能をくすぐられるので、しんちゃんのような人がいいですね。息子にとって、かっこいい存在でありたい―仲さんといえば、ご家族が仲良しである姿に多くの人が憧れていると思います。ご自身が母として、妻として意識していることはありますか?仲さんまずは「みんなが幸せじゃないと楽しくない」という考えがあるので、私はしたいことがあれば、我慢せずにちゃんと相手に伝えるようにしています。それは息子と遊ぶときでも同じこと。「これに付き合ってあげるからママのしたいことにも付き合ってね」と言っています。なので、意識していることといえば、「家族全員が平等に楽しめる家庭であること」ですね。誰かだけが楽しいのでは、きっとほかから不満が出てきてしまいますから。そうならないように、つねにフェアであることを心がけていますし、自分がされて嫌なことは相手にもしないようにしています。あとは、「母親だからこうしなきゃいけない」みたいなこともあまり考えないようにしていて、大切にしてるのは、子どもとも対等な目線でいることです。―なるほど。とはいえ、家事、育児、女優、YouTubeとお忙しいなかで、嫌になることもあるかと思います。どうやって乗り越えていますか?仲さんいまは、子どもがいるからがんばれるというのが大きいと思います。やっぱり息子にとって自慢の母親でいたいので。私はどちらかというと、優しいお母さんと思われるよりも、かっこいい存在でありたいですね。―YouTubeを見ていても、息子さんがお母さんを大好きなのが伝わってきます。仲さんそうなんです!本当にラブラブなんですよ(笑)!好きな人に好きと言えるようになった―ステキですね。では、オススメのストレス発散方法があれば、教えてください。仲さん爆買いもそのひとつですが、やっぱり心も体も一番元気になるのは、きちんと睡眠をとることだと思います。若いときはあまり気がつかなかったですが、寝不足が続くと、精神的にもきつくなってくるので、最近は睡眠の大切さを実感するようになりました。ちゃんと寝た日はいろいろなことがうまくいく気がしています。でも、やっぱり金曜日は疲れが溜まってきて、一番つらいですね(笑)。―みなさん、同じなんですね。仲さんといえば、ご自分で撮影・編集をしているYouTubeチャンネルが非常に人気です。YouTubeを始めてから変わったことはありますか?仲さん自分の好きなことを表現できる場を初めて持ったことによって、好きな人に自分から好きと言えるようになりました。しかもそれをみなさんに伝えることができるのも、うれしいですね。もちろん大変な部分もありますが、やりがいを感じているからこそ続けることができているんだろうなと。いまは、それによってストレスが発散されている部分もあるかもしれないですね。まだまだ1年しか経っていないので、これからもがんばりたいです。―すでにYouTubeでもさまざまなことに挑戦されていると思いますが、次にやってみたいことは何ですか?仲さんいまは、YouTubeで作った映像を見ていただいていますが、映像だけではなく、今後は実際に物を作ってみたいなと考えています。自分でいろいろとプロデュースしながら、それを形にしていけたらいいなと。新しくておもしろいことをしていけたらいいですね。つらいときは、誰かと話して笑うことが大事―最後に、いつも笑顔で明るい仲さんからananweb読者へ向けて、元気でいられる秘訣を教えてください。仲さんみなさんも「あー、疲れたー。本当に無理!」と感じるときはあると思いますが、そういうときは誰かとしゃべれば底力が出ると言うか、なんとかなるものです。おそらくこれは女の人に多い特徴かもしれないですが、人と話して笑ってスッキリすることってありますよね?でも、それはすごく大事なことだと思うんです。だまっていると、どんどん気持ちが落ちていってしまいますから。いまの時期は、大勢で食事に行ったりすることはできないかもしれないですが、電話でもいいと思うので、つらいときは家族や友達に聞いてもらうのが一番。それは私がYouTubeでやっていることに近いかもしれませんね。でも、それを見て共感してくれる方がいたり、元気になりましたと言ってくださったりする方がいるので、YouTubeを始めてよかったなと思っています。なので、みなさんも、何かあればどんどん口に出していくというのがオススメです!インタビューを終えてみて……。最初から最後まで、とにかくエネルギッシュで笑顔が絶えない仲さん。同じ部屋にいるだけで、こちらまで明るい気持ちになるのを感じました。しんちゃんに対する熱い思いであふれている仲さんが見せる全力のギャルにも、ぜひ注目してみてください。汗と涙の青春から目が離せない!これまで、さまざまな人気作を生み出してきた劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズ。29作目となる今回は、シリーズ史上初となる本格(風)学園ミステリーとしても注目です。青春あり、友情あり、そして予想を超える衝撃の“ケツ末”を見逃しなく!写真・大内香織(仲里依紗)取材、文・志村昌美ストーリーある日、超エリート校「私立天下統一カスカベ学園」に体験入学することとなった“カスカベ防衛隊”。風間くんは、体験入学で優秀な成績をおさめ、天カス学園に入学することを密かに夢見ていたが、そんな想いを知らないしんのすけは足を引っ張ってばかりだった。我慢の限界を超えた風間くんは、しんのすけと大ゲンカになり、「お前とは絶交だ!」と寮を飛び出してしまう。心配になってみんなで探しにいくと、お尻に奇妙な噛み跡がついたまま倒れている風間くんを発見。目を覚ました風間くんは究極のおバカに変貌していた。正体不明の「吸ケツ鬼」による怪事件が多発している学園で、しんのすけたちが繰り広げる迷推理の先に見つけたものとは?ケッ作の予告編はこちら!作品情報『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』7 月 30 日(金)全国東宝系公開配給:東宝©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2021写真・大内香織(仲里依紗)
2021年07月25日今回ご紹介するのは、映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』。少年少女たちの青春グラフィティを描いた劇場オリジナルアニメーションです。主人公のチェリー役で初映画、初声優、初主演を果たした、八代目 市川染五郎さんにお話をうかがいました。【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 86「声のお芝居の難しさを改めて感じました」『サイダーのように言葉が湧き上がる』の主人公・チェリーは、コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着用している少年。彼は、口に出せない気持ちを趣味の俳句で表現していました。彼は17回目の夏、郊外のショッピングモールで、矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少女・スマイルに出会います。彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信する、人気ユーチューバーでした。俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルは、SNSを通じて少しずつ言葉を交わし、言葉と音楽で距離を縮めていきます。チェリー役を歌舞伎界の超新星・八代目 市川染五郎、ヒロインのスマイル役を若手随一の表現力を誇る女優・杉咲花が担当。フレッシュな競演が、ひと夏の青春をよりいっそう輝かせています。ーー本作で、初映画、初声優、初主演すると決まったとき、どう思いましたか?染五郎さんオファーをいただいたことは、父(十代目 松本幸四郎)からの電話で知りました。「勉強になるから、やってみたほうが良いよ」と薦められまして。初めての映画出演がアニメ作品だということに驚きましたが、父(※1)や叔母の松たか子が声優を経験しています。自分も挑戦してみたいと思いました。※1映画『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ』(2016年)でボルケニオン役を担当ーー実際に、声優に挑戦して、感じたことを教えてください。染五郎さん声だけで感情を表現する難しさは、以前行った朗読劇(※2)で感じたことがありました。不安やプレッシャーはありましたが、本作で声優に挑戦したことにより、声のお芝居の難しさを改めて感じました。※22018年に、イベント『染五郎13歳、ハムレットを読む』にて、シェイクスピアの『ハムレット』の一部を朗読ーーチェリーをどういう男の子だととらえて演じましたか?染五郎さん初めて台本を読んだとき、人見知りなところが自分に似ているなと思いました。だからこそ、この役はあまり作り込まないほうが良いと直感しました。彼は俳句で気持ちを表現しますが、それを外部に発信しようとしていません。小学校高学年の頃、僕は自分で台本を書き、妹と一緒にぬいぐるみ(※3ボン吉)を使って人形劇をやっていたんです。誰かに見せるためではなく、自分と妹が楽しむためにやっていました。そんなところも彼と共通するものを感じました。※3市川染五郎さんのファンには有名な、犬のぬいぐるみ。3歳の時に、祖母にあたる松本白鸚さんの妻からプレゼントされたもので、現在もお守り代わりに、控室や楽屋などにも連れてきているそう。ちなみに、この日も持参されていました!ーー人形劇はどのような内容だったのか、教えてください。染五郎さん悪役の歌舞伎役者が、悪役が好きすぎて、現実の世界でも同じことをしてしまうというお話です。自宅にスモークマシンがあるので、それを使ったり、雪を降らせたり、ぬいぐるみに宙乗りをさせたり、衣裳を作ったりと、人形劇とはいえ、将来、自分が新作歌舞伎を作るための予行演習のつもりでやっていました。ーー『サイダーのように言葉が湧き上がる』の、完成した本編をご覧になって、どのような印象を受けましたか?染五郎さん恋愛ものだけでなく、俳句や歌詞、セリフなどに日本語の美しさが表現されているところに魅力を感じました。ーーお父さまも本編をご覧になった?染五郎さん観てくれて、「良かったよ」と言ってくれましたが、作品自体に関する感想であって、僕の演技ではないと思います(笑)。ーー今後、どのような活動を行いたいですか?染五郎さん学業と両立しながら、歌舞伎や歌舞伎以外の表現にも挑戦させていただけたらと思っています。常々、父は「何ができるかより、何をしたいかを考えなさい」と言っていて。実際、父が妄想していた歌舞伎フェイスパックは形になり、商品化されています。「何ができるか」を考えると、やることが限られてしまいます。これからも自分がしたいことを実現するために、いろいろな挑戦をしていきたいですね。インタビューのこぼれ話人見知りなチェリーが、自分で発信する存在・ユーチューバーに惹かれていくところに触れると、「僕はあまりテンションの高い人間ではないので、自分だったら、ユーチューバーの方のテンションについていけないかもしれません(笑)」と言って場を和ませてくれた染五郎さん。インタビュー中、シャイな表情を見せていた染五郎さんが、カメラを向けると艶っぽい表情に!魅力たっぷりのグラビアにご注目ください。※インタビュー収録は、2020年に行われました。Information映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』7月22日(祝・木)より全国公開声の出演:市川染五郎、杉咲花ほか配給:松竹©2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会衣装協力:ジャケット、パンツ(カズユキ クマガイ/アタッチメント代官山店03-3770-5090)そのほかのアイテムは、スタイリスト私物写真・大内香織文・田嶋真理 スタイリスト・中西ナオヘアメイク・AKANE写真・大内香織 文・田嶋真理 スタイリスト・中西ナオ ヘアメイク・AKANE
2021年07月21日もしもモルモットが車だったら…。そんな自由な発想から、誕生したストップモーションアニメ『PUI PUI モルカー』。今年の1~3月、日本のみならず台湾など世界をも魅了しましたが、この素敵な作品を作ったのが、見里朝希監督。編集部からのラブコールに応えていただき、貴重なインタビューが実現しました!車でもあり生き物でもある。だからモルカーはおもしろい。幼い頃に「カートゥーンネットワーク」を通じて海外のアニメーションに触れ、美大で2D(作画)のアニメを制作。その後ストップモーションアニメに魅了され、大学院の修了制作のアニメ作品が、さまざまな映画賞で高評価を受けました。それがきっかけで『PUI PUI モルカー』の制作につながったという監督の見里朝希さん。「コマ撮りのアニメは、“感覚的に作れる”から、自分に合っている」と語る監督に、アニメのこと、大好きなモルモットのことなどを、根掘り葉掘り伺いました。――ストップモーションアニメに興味を持ったのは、いつですか?もともと絵を描くのが好きで、その勉強をするために美大に行ったんですが、徐々にアニメに関心を持つようになり、在学中に友達と企画したグループ展で、自分のくせ毛の苦労をテーマにした2Dのアニメを制作したんです。そこで、映像を通して思いを伝えるという方法論に感動し、もっとアニメを作りたい、という気持ちになりました。ちょうどその頃、大学の友人にスタジオライカの『コララインとボタンの魔女』というストップモーションアニメ映画を観せてもらい、めちゃくちゃ感銘を受け、本当に何度も何度も観たんです。同時期にティム・バートンの『フランケンウィニー』の公開などもあり、徐々にコマ撮りに興味が出てきて。大学在学中に1作くらい作ってみたいという気になり、3年生のときに初めてコマ撮りアニメを作りました。そのときに使ったのが、自作の羊毛フェルトの人形で。――その頃から、素材として羊毛フェルトを使っていたんですね。そうなんです。大学生でお金もなかったので、安い素材で理想のキャラを作るなら、これだな、と。もともとぬいぐるみ好きだったというのもあります(笑)。――コマ撮りアニメは、静止画を24枚撮影し、やっと1秒間の動画が完成するそうですね。とても大変そうな気がするのですが…。確かに、人形を作る過程とか、一コマ一コマ撮影する手間とか、大変ではあるんですが、絵を描いて作るアニメも、線からキャラを作り上げ、1枚ずつ絵を描いて色を塗ったりとか、それはそれで手がかかると思うんです。コマ撮りの場合はセットやキャラクターなどを置いて撮影すれば、その時点で色もついていますし、かなり完成に近い画像が出来上がる。なので僕的にはですが、コマ撮りアニメのほうが気楽かな、と。あと、カメラで覗いたときに背景が寂しいとなったら、その場で何かをプラスすることもできるし、動きを変えることもできる。自分の感覚に合わせて映像を撮影しながらコントロールできる感じも、僕に向いている気がします。とはいえ、モルカーはさすがにカットが多くて、撮影に追われているときは、心が無になりましたが(笑)。――改めてですが、モルカーのモデルはモルモットです。見里監督はモルモット好きとして知られていますが、いつから好きですか?元は姉がモルモット好きで、僕が大学生のときに家で飼い始めたんです。それから僕も、そのかわいさに夢中になりまして…。「いったいどんな顔なんだ」とツッコみたくなるような“ツン顔”と、動きの先が読めないところが好きです。落ち着いてる…と思うと、突然全速力で走りだしたりするんです。さらに走っているとき横に揺れる感じもかわいい。『PUI PUI モルカー』はそんなモルモットを見ながら、「モルモットが車だったら、渋滞してもイライラしないな…」と思ったのがきっかけで生まれた企画です。――普段かわいいと思うモルモットの動きは、モルカーにもかなり生かされているのでしょうか?はい。モルカーは車なのでタイヤがついているのですが、それが回転するだけだとモルモットのかわいさは表現できないと思ったので、タイヤだけど四足歩行の動きにしたのは、かなりのこだわりポイントです。あと、常時鼻をヒクヒクさせたところも。その動きがあることでかなりアニメーターさんを苦労させてしまいました(笑)。――今回のモルカーも、監督の手作りと聞いていますが、一体何台作ったのでしょうか?全部で65台です。さすがに一人では無理だったので、美術スタッフの方に入ってもらい、みんなで作りました。というのも、今回は僕を含めて4人のアニメーターがいたので、4人分のセット&モルカーが必要で、主要キャストの5台のモルカーはもちろん、それ以外も…となると、65台という数に。モルカーを作るだけで、半年くらいかかった気がします。――今、そのモルカーたちはどこにいるのですか?スタジオに大切に置いてあります。ダイソーで買った330円のボックス、通称モルカーボックスにぎっしり収納されています(笑)。――学生時代はいわゆるアートとしての映像作品を制作されていたと思うのですが、テレビで放送される作品ということで、特に意識したことはありますか?映画祭などで上映される作品とテレビで流れる作品では、見る人の数が圧倒的に違います。そこで思い出したのが、大学のときに習った、“映像は、悪く言えば見ている人の時間を奪うものでもある”ということ。だからこそ僕は、エンタメ性はもちろん、“見てよかった、ためになった”というメッセージ性もある作品にしたかった。モルカーは、モルモットなので生き物でもあり、そして車でもある。車も生き物も、人間との関わりによってあり方を大きく左右される存在ですよね。でもモルカーは、ただの車と違ってモルモットとしての意思がある。危険を感じたら逃げ出すこともできるし、例えば強盗に乗っ取られたシロモが強盗団が奪ったお金を排出しながら走ったように、自分で行動を起こすこともできる。人間社会に流されず、やりたいことをやり通す大切さを伝えられたらいいな、と思っていました。あと意識したのは、テンポですね。――2分40秒という短い尺の中で、どうテンポを考えましたか?小さい頃「カートゥーンネットワーク」で見ていた海外のアニメは、10分程度の中でちゃんと起承転結があって、さらに素早い展開で全然飽きなかった。聞いた話によると、人間が集中して映像を見られるのは、3秒程度という説もあるそうなんです。なので僕は3秒以上の静止画を作らないようにしていますし、6秒の中に必ず物語が動くような動作や展開を入れることにしています。立ち上がるとか、手が動くとか、さりげないことでいいんですが、それがあることで、見ている人を飽きさせないようにできると思うので。――確かに言われてみると、モルカーのお話は、たった2分40秒なので、ある意味あっという間に終わりますが、実は意外とお話が展開していますよね。そうなんです。そこはすごく意識していたところです。――放送と同時にツイッターなどで大騒ぎになりました。この人気ぶりはどう感じましたか?こんなに見てくれる人がいるとは…と、とにかくびっくりしました。朝7時半の幼児向けの番組の中の1コーナーでしたから、大人が見てくれるなんて想像もしていなかった。たぶん放送直後にYouTubeなどで配信もしていたのが大きかったのかな、と思っています。あと、ファンアートがたくさん生まれたので、子供でも描きやすいキャラクターデザインにしてよかったなぁと思いました。内容に関しては、嬉しいところに気がついてくれているコメントや、逆に僕らが想像しなかった解釈をしてくれる人もいたりして、そこは驚きました。――例えばどんなことですか?僕らとしては、モルカーと運転手の絆といったところは、そんなに深掘りしているつもりはなかったんですが、「人間がやってることって愚かだ」みたいなところを突いてくる方もいて、なるほどな、と思わされたり。――あとは、名作映画へのオマージュがちりばめられていることも、かなり話題になりましたね。そうなんです!そこに気がついてもらえたのは、めちゃくちゃ嬉しかったです。『ワイルド・スピード』『インディ・ジョーンズ』、そして『ミッション:インポッシブル』。あとタイムトラベルをする車は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュです。他にもいろいろありますが、特に嬉しかったのは『メガ・シャークVSメカ・シャーク』へのオマージュ部分をサメ映画好きの方々から評価してもらったことです(笑)。――『午後のロードショー』でおなじみの、サメ映画ですね(笑)。もともと見里監督は、映画がお好きなんですか?はい。マニアと言えるほどではありませんが、暇なときは映画を観るか、ゲームをするか、という感じの毎日です(笑)。――さて、やはり気になるのは、モルカーの続編はあるのか、というところなのですが…。今回作った12話のお話の中では、とてもモルカーの魅力は表現しきれなかったので、続けていけたらいいなと思っています。あと、今回はストップモーションアニメで作りましたが、次は別の手法で撮ってみるのもおもしろいかも、ともちょっと思います。例えば映画『名探偵ピカチュウ』みたいなCGとか。テーマ的にも、もっといろんな種類の役割を持つモルカーも登場させてみたい。モルカーにはいろんな可能性があると思うので、いつか続きを作りたいですね。みさと・ともき東京都出身。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を経て東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。大学院修了作品の『マイリトルゴート』で、国内外の映画祭にて複数の賞を受賞。(1枚目写真)パトモルカーと、体を寄せて、ひっくり返って泣いているアビー。こちらも見里監督による蔵出しカット。ananをご覧のみなさまだけに、今回特別にお披露目です!NEWS1:3DやMX4Dになって映画館にやってくる!全12話を一挙上映する『とびだせ! ならせ! PUI PUI モルカー』が、7月22日より2週間限定で劇場公開が決定。モルカーの世界を大きなスクリーンで体感できる、映画館ならではの上映をお楽しみに。3Dってことは、モルカーたちが飛び出したりしちゃうの…?!気になる~。※一部の劇場では2D上映となります。NEWS2:またテレビで楽しめる!全12話、再放送決定。なんとテレビでもまたまた放送!7月6日より、朝7時半から放送の『きんだーてれび』(テレビ東京系)内にて、毎週火曜日の再放送も決定。配信で見るのも楽しいけれど、きちんと朝起きて、リアタイ視聴するのも健康的で素敵!SNSで実況しながら見るのもまた楽しい。お寝坊さんは、録画必須です。NEWS3:Blu‐ray・DVDは7月28日発売。手元に置いておいて、好きなときに見たい!そんなあなたは“盤”をどうぞ。監督と制作スタッフの対談や、ぬいぐるみマルチスタンド、そしてオーディオコメンタリーなどがついたBlu‐ray(受注限定生産)、DVDには予告編やPV集、ミニチュアポスターカレンダーなどの特典が。7月28日発売。※『anan』2021年6月23日号より。(by anan編集部)
2021年06月21日今年の1~3月、日本のみならず台湾など世界をも魅了した、ストップモーションアニメ『PUI PUI モルカー』。モルモットが車になったら、世界はこんなに愛らしい!「もしモルモットが車だったら、道路で渋滞が起きても、イライラしないのでは…」。とあるクリエイターのそんな思いつきから生まれたのが、モルモットが車になった“モルカー”。そしてその世界を描いたアニメ、『PUI PUIモルカー』。つぶらな瞳と、トコトコと足のように動くタイヤを持つモルカーたちは、羊毛フェルトでできたぬいぐるみ。このアニメは、そのぬいぐるみを1コマずつ動かし撮影し、その画像をつなげて映像にする“ストップモーションアニメーション”という手法で作られた作品。実写なのに動きにどこか味がある、そんなアナログ感あふれる温かい作風はもちろん、何よりモルカーたちの姿&動きの愛らしさが、世界をノックアウト!実は子供番組内の、1話たったの2分40秒、しかも朝7時半からの放送だったにもかかわらず、SNSを筆頭にさまざまなメディアで「癒される!」「たまらん」と大いに話題になりました。そんなモルカーたち、7月には再放送や、映画館での公開が決定!この夏、再びモルカー旋風が巻き起こる予感~!かわいさ、愛らしさ、そしてシュールさなど、さまざまな魅力が詰め込まれたこの作品。世代を超えて人気になったその秘密を、6つのポイントから解き明かしてみます。1モルカーが“プイプイ”と動く、「ストップモーションアニメ」がすごい!この作品の制作は、“ストップモーションアニメ”という方法。これは、静止画像を1枚撮影し、パペットを少し動かしまた撮影、少し動かし撮影…と繰り返していき、24枚の画像をつなげてやっと1秒の動画が出来上がる…という、途方もなく大変な方法なのです。1日に平均4秒分程度の撮影しか終わらないそうで、難しいシーンの場合は1日で1秒分、なんてこともあったそう。しかし、ストップモーションアニメだからこそ生まれるアナログ感や、作画のアニメにはない奥行きや立体感が、このデジタル全盛の時代には、むしろとっても魅力的。本当にモルカーがこんなふうに動くのでは…と思ってしまいます。2造形のかわいさがたまらない!手のひらサイズの「羊毛フェルト」。ふわふわの羊毛フェルトをニードルでチクチクと突いて圧縮していき、形を整えればモルカーが完成。実は登場するモルカーたちは、脚本も担当する見里朝希監督をはじめ、スタッフのみなさんの手作り!全部で65台あるそうで、作るのになかなか時間がかかったとのこと。顔や耳はもちろん、タイヤのような足も動くところがたまりません。放送中から、Twitterなどネットには、羊毛フェルトでモルカーを作った人たちの、力作の写真が多数。また現在は「ニードルフェルトでつくる PUI PUI モルカー」が、毛糸などを扱う会社のハマナカから絶賛発売中。自分でモルカーを作ってみたい人は、ぜひ検索してみてね。3顔ぶれ、性格もいろいろ。個性あふれる「レアモルカー」も。メインキャストを務めるモルカーは、ポテトをはじめとした5台。でもその他にもユニークなモルカーがたくさん登場。特に注目は、個性がありすぎる系のキャラ強めモルカー!タイムマシンみたいだったり、DJだったり、冒険家みたいなモルカーだったり…。他にも結婚したカップルを乗せていく真っ白で花を飾ったモルカー、海老を背負った“寿司モルカー(海老)”に、ハンバーガーを上に載せた移動販売車の“ハンバーガーモルカー”なども登場。いずれも、装備はもちろん、顔つきや動きも異なるので、好みのモルカーを見つけるのも楽しみのひとつ。本当にこんなモルカーがいる世界に住んでみたい~!4言葉がなくてもしっかり伝わる、モルカーの「喜怒哀楽にきゅん」。モルカーたちの、鼻と口を常にヒクヒクと動かしている様子は、本物のモルモットのようでなんともリアル。モルカーたちが集まり顔を突き合わせているのを見ていると、本当にコソコソとおしゃべりをしているみたいです。さらに食べるときには口がもぐもぐ、驚いたときには口が開き、暑いときには汗をかきながら耳を垂らす、といった表情豊かな様子には、ストップモーションアニメならではのキュートさがあふれています。特にファンからの人気が高いシロモちゃんの、目に涙を浮かべてウルウルする様子の愛らしさは格別。それぞれのモルカーの性格が異なるのと同様、表情もみんな微妙に違います。その違いを楽しんでみて!52分40秒にぎゅっと詰まった、「シュールなストーリー」に夢中。モルカーの1話はたったの2分40秒。いずれもおもしろくてあっという間に見終わってしまいますが、たくさんの展開と、驚くべきストーリーが隠されています。スピード&テンポが絶妙で、どのお話も「どうなるの?どうなるの??」とついついワクワク。そもそもモルモットが車である、というだけでもかなりシュールな世界線ですが、そこに身勝手な人間が絡んだり、そんな人間にモルカーが反旗を翻したり…といった展開に、さらなるシュールが上積みされていきます。加えてユニークなのが、モルカーの中にいる人は“実写”なのに、モルカーに乗っていない人は人形で描写されていること。そのあたりの塩梅も絶妙です。6細かく作り込まれた「ミニチュアの街並み」に釘付け。羊毛フェルトで作られたモルカーたちがかわいいのはもちろんですが、この作品は彼らが住む世界のセットも素晴らしい!家や建物、道路に加え、街路樹、街に飾られた看板まで、制作陣のこだわりと愛情がたっぷり詰まっていて、何度見ても飽きません。作るのがとても大変そう…と思うと同時に、でも絶対作業は楽しいだろうな、とも思わせられる、そんな夢があふれる世界。ちなみにフレーベル館から出ている絵本『PUI PUI モルカー ストーリーブック PUI PUI モルカー 渋滞はだれのせい?』では、動画では一瞬しか映らなかったセットが隅々まで見えると大好評。セットや背景が気になる人は、ぜひそちらもチェックを。※『anan』2021年6月23日号より。(by anan編集部)
2021年06月20日北朝鮮で起きていることは、ニュース報道で知る程度よね。国交がないからだけでなく、国を挙げての秘密主義という鋼鉄のベールに包まれて、実態を知る人は日本にはわずか。でもさ、朝鮮半島にルーツを持つ在日コミュニティへの差別問題や、日本人の拉致事件をはじめ、あたしたちの生活にも直結することは山盛りじゃない。だからこそ、能動的に知るべきなんだと思うのよね。とくに、彼の地で暮らす人たちが、どういう状況にあって、どんな人たちなのかってことを。そこでこの作品『トゥルーノース』をオススメしますわ。主人公のヨハンとミヒの兄妹は、在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡った両親とともに平壌で幸せに暮らしていたの。ところがある日、父親が政治犯の疑いをかけられて逮捕されちゃう。それだけじゃなく、兄妹と母親は連帯責任を負わされて、政治犯が収容される強制収容所にぶち込まれちゃうの。大人のみならず小さい子どもも強制労働させられて、食料はほんの少し。極寒の地で暖房やお風呂のないボロ小屋生活。おまけに収容者のなかには、看守に密告することで地位を得ている者もいて、いつ何時貶められるかわからない四面楚歌。最凶最悪の状況で、兄妹は育っていくのよ……。もう、これだけでも胸が苦しくなるってのに、なんとこれ、序盤なの。物語のメインとなるのは、その後のヨハン。このスチール写真のように可愛いヨハンは、収容所の荒んだ生活ですっかり別人に。密告しまくりのグループに入って闇落ちしてるのよ。心の底では、闇落ちしていることを「食料確保のため、母と妹のため」と言い聞かせているけど、実際は仲が良かった収容者にも暴力的に。そんなある日、彼のしでかしたことをきっかけに事件が勃発し、最愛のお母さんに危険が……。ううう、もうコレ以上は言えませんわ、つらすぎて……。こうしてストーリーを語るだけでも悲劇に次ぐ悲劇なんだけど、実際に作品を観ると、観終わるまではかなりスルスルとのみ込めちゃうのよ。なぜって?それはアニメーションだから。この物語をもしも実写で、役者さんのお芝居で描いていたら、途中で退席しちゃってたかもしれないほどよ。お見事としか言いようのない最良の方法・アニメーションで、人権とはなに?人間の生きる意味ってなに?ってことを教えてくれる良作。ただ悲惨な収容所の現実を描いているだけでなく、ユーモアのセンスがちりばめられているのも驚きよ。だって、にっちもさっちもいかない厳しい状況下にあったら、思い浮かべるのは「生への希望」だものね。だからこそ、登場人物ひとりひとりが、めちゃキャラ立ちしているし、訴えかけるメッセージも強烈。そうやって「人として正しく生きるにはどうするか」ってことまで言及しているのが素晴らしいの。ちなみにこれはフィクションだけど空想の産物じゃないの。無数の資料と証言はもちろん、韓国や日本、アメリカなどに散り散りになった収容所を体験した脱北者や元看守へのインタビューも参考にしているんですって。誰か一人をモデルにするんじゃなくて、あらゆる人のエピソードを織り交ぜたみんなの物語。生きる意味と人権を学ぶチャンスよ。ぜひスクリーンで!『トゥルーノース』2012年のドキュメンタリー映画『happy‐しあわせを探すあなたへ』のプロデューサーの初監督作。監督・脚本/清水ハン栄治声の出演/ジョエル・サットンほかTOHOシネマズ シャンテほかにて上映中。©2020 sumimasen※『anan』2021年6月16日号より。文・よしひろまさみち(by anan編集部)
2021年06月14日今年の3月よりNetflixにて配信されている『ワッフルとモチ』。日本人としてはまず、“モチ”?それってお餅?ていうかなんでアメリカで餅なの?と思うはず。“かわいい”と“おいしい”が好きな人なら、絶対ハマります!アメリカで“モチ”といえばお餅ではなく、アイスクリームを米粉を使った餅風の生地で包んだ、一口サイズのアイスのこと。スーパーなどでは定番商品として扱われていて、ものすごーく人気なのだとか。そんなモチとワッフルのパペットが主役のこの作品は、ふたりがショッピングカート型の飛行機(?!)で世界に飛び出し、食にまつわるあれこれを、体験したり、学んだりするという、子供向けの食育プログラムです。作っているのは、元アメリカ大統領のバラク・オバマ氏と、奥様のミシェルさんが立ち上げた制作会社。実はミシェルさんはファーストレディ時代から食育問題に取り組んでおり、このプログラムはまさにその延長にあるといえます。内容はさすがオバマ夫妻、大人が見ても勉強になる&楽しめるものなのですが、とにもかくにもワッフルとモチがかわいすぎる!!特に行く先々で料理を試食する姿が、なんともキュート(モチもモグモグするのです…)。アメリカでの報道によると、当初はロボットを使いSFX的に表現することも考えたそうですが、最終的には『セサミストリート』のようなパペットに。どこか昔の日本の人形劇的で、それもわたしたちが親近感を覚える理由の一つかも。某モルモットのストップモーションアニメが終わり、ロスっている皆さん、これも絶対気に入りますよ!!製作総指揮はミシェル・オバマ!スーパーマーケットのオーナー役で登場。作っているのは、オバマ夫妻が立ち上げた制作会社「ハイヤー・グラウンド・プロダクションズ」。物語はとあるスーパーマーケットを中心に繰り広げられ、ミシェルさんはスーパーのオーナー。いつも屋上で野菜の仕分けなどの仕事をしており、そこに突然やって来たワッフルとモチを温かく受け入れ、従業員として雇います。主役は冷凍食品の国からやって来た“ワッフル”と“モチ”。かつては冷凍食品の国で、1日3食氷を食べて過ごしていたふたり。いつかフレッシュな食材を使った料理のシェフになりたいという夢のため、彼らは偶然止まったトラックに飛び乗り、新しい世界へ飛び出します!ちなみにワッフルのパパは冷凍ワッフルで、ママはイエティだとか。一方モチの家族は「お米」の回で明らかに?!食材や食文化を学ぶため、ふたりは世界中に旅に出ます!初回はトマト、第2回は塩など、毎回1つの食材がテーマ。ルーツや食文化を知るために、世界中を大冒険するワッフルとモチ。さまざまな価値観や歴史、料理や生活を知ることを通し、食の魅力はもちろん社会の多様性についても学べます。有名シェフも登場。そしてふたりは我が国にもやって来て、日本ならではの食を体験!オリジナルソングやアニメも見どころ。素敵なゲストも登場します。実写に加えアニメなどの手法も利用し、わかりやすく食の世界を解説。加えて、Siaやライオネル・リッチーが歌ったり、ジャック・ブラックなど俳優も登場。また、同じNetflix『クィア・アイ』のタン・フランスが食材をスタイリングする(!!)といったサプライズも。学びもありますが、単純にエンタメ作品としても楽しめます。『ワッフルとモチ』知りたがりのパペット、ワッフルとモチが、オバマ夫人のサポートを得て、アメリカはもちろん日本、ペルー、イタリアなど世界中を大冒険。さまざまな食材や料理、いろいろな文化に触れていく。1エピソード約30分。全10回。Netflixオリジナルシリーズ『ワッフルとモチ』独占配信中。※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。(by anan編集部)
2021年05月03日1年間の公開延期を経て、現在絶賛上映中の劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』。物語の中心となる“赤井一家”赤井秀一のもう一つの姿である沖矢昴を演じる置鮎龍太郎さんにインタビューしました。出来上がった作品を観て、改めて、昴くんの活躍に感動しました(笑)。沖矢 昴 as 置鮎龍太郎さん――今回、赤井秀一と、そして沖矢昴が重要な役どころになると聞いたときの感想を聞かせてください。最初は、「またまたご冗談を~。赤井さんがメインでも、『純黒の悪夢(ナイトメア)』みたいに昴くんの出番はない映画があったことを、僕は知ってますよ~!」と思っていたのですが。シナリオを読み、収録台本を受け取り、そこでやっと信じられました(笑)。今年になって出来上がった作品を拝見しまして、改めて、昴くん、めっちゃ活躍してたんだと感動しました。――沖矢昴をどういうキャラクターだと理解され、役作りをされていますか?正体が明かされる前は、ミステリアスな雰囲気にひたすら重点を置いて、演技をしていました。中身が赤井さんだと明らかになった後は、探偵団の子供たちの前で見せる普段とのギャップや、素をさらしてもいいコナンくんとの会話など、出番の度に、やれることが確実に増えてきている気はしますね。――沖矢さんのカッコよさ、魅力的に感じているところがあれば教えてください!やはり、“中身が赤井秀一である”ところになるのでしょうか?蘭役の山崎和佳奈さんと私だけは、“沖矢昴の姿をしたまったくの別人がいる、あるいはいた”という説を提唱しているんです。何かまだ明かされていない謎があるのでは…と思っています。――別の顔がある(しかもその顔を演じるのは別のキャストさん)キャラを演じるのは、難しいですか?こんなに堂々と先輩のお芝居を盗んで皆さんの前で披露する役は、正直、精神的疲労が過ぎます(笑)。少しでも池田秀一さん演じる赤井秀一のニュアンスが出せるように必死ですが、楽しんでもやれているので、多少は成長した…いや、まだまだ修業中です。そういえば試写を観ながら、今回の劇場版に関して「いつもよりかなり(赤井要素を)マシマシで」と収録序盤にオーダーを受けたことを思い出したのですが、どう見えるかは、皆さんに判断を仰ぎたいところです。――待ち望んでいるファンへ、メッセージを!お客様はもちろんですが、演者をはじめ関係者も、いつ公開できるんだろう?と、当初は不安だったに違いありませんから、僕も公開は素直に嬉しいです。先んじて劇場公開された『緋色の不在証明』や、配信やTVでの緋色シリーズの放送などで、きっと皆さん予習復習万端だと思います。1年間の想いと努力を、劇場でぜひ昇華させてくださいませ!おきあゆ・りょうたろう声優、ナレーター。出演作に『テニスの王子様』手塚国光、『地獄先生ぬ~べ~』鵺野鳴介、『スラムダンク』三井寿など。『名探偵コナン 緋色の弾丸』4年に一度の祭典〈WSG〉が開かれる東京。開会式にはリニアの開通も。スポンサーを集めたパーティで企業のトップが相次いで拉致される。コナンの推理により、15年前米国で起きた拉致事件との関連性が浮かび上がり…。原作/青山剛昌監督/永岡智佳脚本/櫻井武晴音楽/大野克夫主題歌/「永遠の不在証明」東京事変©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。作画監督・須藤昌朋レイアウト・山本泰一郎原画・かわむらあきお仕上げ・藤原優実背景・福島孝喜(石垣プロダクション)(by anan編集部)
2021年05月01日全国のコナンファン、そして赤井秀一ファンの皆さま、お待たせしました!1年間の公開延期を経て、現在絶賛上映中の劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』。物語の中心となる、赤井秀一をはじめとした“赤井一家”より、赤井秀一役の池田秀一さんからスペシャルメッセージが到着しました!作画とセリフで描かれる赤井の魅力。僕は流れに乗って、演じるだけです。赤井秀一 as 池田秀一さん――今回の映画で赤井さんが重要な役どころになる、と聞いたときの感想は?安室が大活躍している昨今、やっと出番が来たかと思いました(笑)。しかも蓋を開けてみると、赤井一家総結集とのこと。赤井家を代表して御礼申し上げます。このところ右肩上がりの“劇場版コナン”の勢いを止めてはならぬと、身の引き締まる思いでした。――赤井秀一は誰もが恐れる頭脳とフィジカルの持ち主です。そんなスーパーな役を演じるにあたり、いつもどのような意識をしていますか?特別な意識は持ちません。セリフが、映像が、もう赤井を描き出してくれていますから…。特に今回は丁寧に描かれていてとても感謝しています。流れに乗ればいい。それが基本です。――赤井さんは沖矢昴というペルソナを持っているわけですが、演じる上でそこはどう考えていますか?これもあまり意識していません。沖矢の人格は置鮎(龍太郎)さんにお任せしています。甘えっ放し。僕はその変化を楽しませていただいてます。「了解!」してもらえますか…?――普段のTVシリーズやこれまでの映画などを含め、同じシーンに登場することが少ないファミリーの皆さんとの掛け合いはいかがでしたか?それぞれキャストの皆さんとは別の作品や番組を通して知っているわけで、それなりにまぁ仲は良い方でしょう。しかし「ファミリー」ということに関しては、若干違和感をおぼえます。その、少したどたどしい感じが、今のところちょうどいいのかなと思っています。――コナンくんとの息の合った掛け合いやバディ感にもワクワクしました。収録はいかがでしたか?コナンとの距離感がテーマでした。相手の顔も見えないスマホ越しの会話の中にも漂う二人の信頼感、近くにいるというだけで、安心しなさんな!ってね。そういう意味でも、今回もとても勉強になりました。高山みなみさんとは、スタジオでもそういう距離感を心がけています。――待ち望んでいる方々へ、メッセージを!本当にお待たせしました。待つ身は辛いと申しますが、待たせる方も結構不安なものなんですねぇ…。そんな中、『緋色の不在証明』という副産物を作ることができたのは救いでした。ここまでお待たせした皆さんの期待に沿うことができるのか…。あとは天命を待つのみ!!スタッフ・キャストの想いがはるか彼方まで届きますよう、深く願う次第です!!いけだ・しゅういち声優、ナレーター。代表作に、『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブル、『ONE PIECE』のシャンクスなどがある。『名探偵コナン 緋色の弾丸』4年に一度の祭典〈WSG〉が開かれる東京。開会式にはリニアの開通も。スポンサーを集めたパーティで企業のトップが相次いで拉致される。コナンの推理により、15年前米国で起きた拉致事件との関連性が浮かび上がり…。原作/青山剛昌監督/永岡智佳脚本/櫻井武晴音楽/大野克夫主題歌/「永遠の不在証明」東京事変©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。作画監督・須藤昌朋レイアウト・山本泰一郎原画・かわむらあきお仕上げ・藤原優実背景・福島孝喜(石垣プロダクション)(by anan編集部)
2021年04月30日公開延期から1年を経て、現在絶賛上映中の劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』が、アンアンに再登場。世代だけでなく、今や国境を超えて愛される『名探偵コナン』の世界。主要キャラを解説しつつ、『緋色の弾丸』の見どころもチェック。POINT1主人公であるコナンは小学生。でも本当の姿は、17歳の高校生探偵!主人公の江戸川コナンの正体は、頭脳明晰な高校生探偵。〈黒ずくめの組織〉の取引を目撃したことで、口封じのために毒薬〈APTX4869〉を飲まされてしまい、その結果、今の姿&名前に。そんなコナンが元の正体を隠しながら、さまざまな難事件を解決していく物語。原作のマンガは’94年にスタート。全世界累計発行は2億3000万冊以上!主人公・コナン子供らしく振る舞うときと、大人びた態度をとるとき。そのギャップがキュート。現在は蘭の父・毛利小五郎が営む探偵事務所に居候中。ちゃんと小学校にも通ってます!工藤新一世界的推理作家の父、元女優の母の間に生まれたイケメン高校生。サッカーは全国レベル、推理力は大人顔負け。コナンになって以降、基本的には姿は現さず、連絡は声のみ。毛利 蘭新一の幼馴染みであり、めでたく彼女になった同級生の蘭。空手が得意で、関東大会で優勝経験も。なかなか姿を現さず、電話でしか連絡をくれない新一を一途に想い続ける。POINT2まるでジェットコースター!ハラハラのスピード感やアクションに鳥肌。劇場版の大きな魅力といえば派手なアクション!ハリウッド映画をも凌ぐといわれる迫力で、これまでもたくさんの爆破やバトルが描かれてきました。今回ももちろん、そこは大いに期待してください!アニメだからこその驚きのアクションは、さすがコナンシリーズ。息を呑む、あるいは口があんぐりと開く瞬間が何度も訪れます。POINT3大人も子供もみな考察。緊張が走る本格サイエンス・サスペンス。30分のテレビアニメも、劇場版も、「これ、本当に子供向け?!」と疑いたくなるほど、奥深いミステリーとおもしろい謎解きを提供してくれるコナンシリーズ。複雑に構築され、あちこちに伏線が隠されたストーリーは、推理小説好きの大人も舌を巻くほど。今回はそこに科学知識も加わり、ますます難解に!一度で理解できるかな…?POINT4本物と創造のハイブリッド芸術。ご当地再現度の高さとオリジナルの共演にも注目!劇場版ごとに、舞台になる街のご当地感も見どころの一つ。実在の建物や街並みの緻密な再現度には、毎作驚かされます。前作はシンガポールの描写が話題になりました。実在の街並みと、物語オリジナルの建物がミックスされた世界を、コナンなどキャラクターが疾走!それだけでワクワク。今回は東京と名古屋を中心に物語が展開。POINT5孤高のブレーン、赤井秀一とその仮の姿・沖矢昴が登場。コナンの世界では1位2位を争う色男の赤井秀一。現FBI捜査官で狙撃の名手。〈黒ずくめの組織〉への潜入捜査も経験しており、その際のコードネームは〈ライ〉。ミステリアスさでも群を抜いており、そこが女性ファンを引きつける秘密かも。特技はブルース・リーでおなじみの截拳道(ジークンドー)、好物はタバコとバーボン。大人!!『名探偵コナン 緋色の弾丸』4年に一度の祭典〈WSG〉が開かれる東京。開会式にはリニアの開通も。スポンサーを集めたパーティで企業のトップが相次いで拉致される。コナンの推理により、15年前米国で起きた拉致事件との関連性が浮かび上がり…。原作/青山剛昌監督/永岡智佳脚本/櫻井武晴音楽/大野克夫主題歌/「永遠の不在証明」東京事変©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。作画監督・須藤昌朋レイアウト・山本泰一郎原画・かわむらあきお仕上げ・藤原優実背景・福島孝喜(石垣プロダクション)(by anan編集部)
2021年04月29日