イーサン・ホーク演じる伝説のロックスター、タッカー・クロウをめぐる腐れ縁カップルとの三角関係を描いた映画『Juliet,Naked』の邦題が、『15年後のラブソング』に決定。6月12日(金)より公開されることになった。イギリスの港町サンドクリフと、アメリカのニュージャージー州の田舎町。海を隔てた遠く離れた二つの街で、思いがけなく出会った博物館勤めのアニーと、伝説のミュージシャンといわれるタッカー・クロウ。そこにアニーの恋人ダンカンも加わって…。不思議な三角関係の行方はいかに!?新しい人生に一歩を踏み出す、悩める大人たちへのラブソングといえる本作。アニーを演じるのは、『ピーターラビット』や『ANNIE/アニー』のローズ・バーン。その腐れ縁の恋人ダンカンには、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』などのアイルランドの個性派クリス・オダウド。そして、伝説のミュージシャンを演じるイーサン・ホークは歌声も披露する。『アバウト・ア・ボーイ』をはじめ、欧米で絶大な人気を誇る小説家ニック・ホーンビィの原作を基に、人生のリアルに押し流されながらも新しい一歩を踏み出そうともがく、“大人になりきれない”男女3人をチャーミングに演じる彼らに注目だ。あらすじそれなりの仕事があり、長年一緒に暮らすパートナーがいる。周囲から見たら「安定」という言葉がふさわしい生活に、不満があるわけではないけれど…。そんな30代後半のアニーのもと、1通のメールが舞い込む。送り主は、90年代に表舞台から姿を消した伝説のロック・シンガー、タッカー・クロウ。彼こそ、腐れ縁の恋人ダンカンが心酔するミュージシャンだった――。『15年後のラブソング』は6月12日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:15年後のラブソング 2020年6月12日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開©2018 LAMF JN, Ltd. All rights reserved.
2020年02月27日映画ファンおなじみの映画祭「未体験ゾーンの映画たち」が今年もスタートした。9回目を迎える今年も海外の映画祭で話題を集めた作品や異色作が集結。何度も足を運んで自分だけの1本を見つけ出す楽しみがある映画祭だ。同特集は2002年にスタート。ざまざまな理由から日本で一般公開されていなかったり、DVDや配信スルーされそうな映画を集めてスクリーンで上映。回を重ねるごとに上映作品数は増加傾向に、会期は長期化傾向にあるが、バラエティの豊かさ、ヒット作・注目作の多さは増しており、映画ファンは見逃せない催しになっている。今年は54作品が上映される予定で、名優ニコラス・ケイジ主演の『ラスト・パニッシャー』『ザ・ビースト』をはじめ、1990年製作の名作スリラーをリメイクした『ジェイコブス・ラダー』、イーサン・ホーク、クリス・プラット、デイン・デハーンが共演する『スリー・ジャスティス 孤高のアウトロー』、総製作費50億円を投じて誕生した歴史アクション大作『ブラック・ウォリアーズ オスマン帝国騎兵隊』、ルピタ・ニョンゴが出演するゾンビ・コメディ『リトル・モンスターズ』など気になる映画が続々と公開。一部の作品は、ヒューマントラストシネマ渋谷の上映終了翌日より、青山シアターで2週間限定で配信される。未体験ゾーンの映画たち 2020ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中2月下旬よりシネ・リーブル梅田で開催青山シアターで一部の作品を2週間限定で配信中【関連リンク】 青山シアター()
2020年01月06日ジュリエット・ビノシュ、ギョーム・カネ、ヴァンサン・マケーニュなどフランスを代表するスターが出演する、名匠オリヴィエ・アサイヤス監督最新作『冬時間のパリ』。この度、パリ好き必見のロケ地写真が到着した。本作はエリック・ロメールの『木と市長と文化会館』に着想を得た、アサイヤス監督の新境地ともいえる作品。魅力的な冬のパリを背景に、二組の夫婦の愛の行方と、紙からデジタルへと移り行く出版業界の現状を巧みに共鳴させつつ、洗練された会話とユーモアで活写していく。さらに本作には、実際にパリにある文豪行きつけのビストロや、名作で使用されたカフェなど、パリ好き・映画好きにはたまらないスポットが随所にロケ地として登場する。劇中でも登場人物たちが食事をしたり、密会したりと重要なシーンに使われるロケ地ばかりとなっている。ビストロ「Le Petit Saint Benoit」最初の食事シーンで、アラン(ギョーム・カネ)とレオナール(ヴァンサン・マケーニュ)がランチミーティングしたビストロ。「愛人/ラマン」などで知られる文豪マルグリット・デュラスの行きつけの店だったことでも有名な、パリ6区にある老舗のビストロ。カフェ「Charbon cafe」セレナ(ジュリエット・ビノシュ)とレオナールが密会するバー。パリ11区のオベルカンフ地区にあり界隈でもっとも有名な人気店。19世紀の建物を改装して営業しており、店内はアンティークとモダンが調和している。カフェ「Le Pure Cafe」セレナがレオナールに別れを切り出すシーンに使われた、円形のカウンターテーブルが印象的なカフェ。リチャード・リンクレイター監督×イーサン・ホーク×ジュリー・デルピーの人気シリーズ2作目『ビフォア・サンセット』にも登場する。ホテル「La Mare Aux Oiseaux」パリ郊外に位置するサン=レジェール=イブリーヌの緑豊かな場所にある。パスカル・グレゴリー演じるアランの会社オーナー、マルク=アントワーヌの家として登場。このロケーションはまさしくグレゴリーが主演を務めた『木と市長と文化会館』のオマージュといえそう。『冬時間のパリ』は12月20日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:冬時間のパリ 2019年12月20日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開©CG CINEMA / ARTE FRANCE CINEMA / VORTEX SUTRA / PLAYTIME
2019年12月08日Netflix「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3に新たに登場したアイスクリームショップ店員・ロビン役で、“恋に落ちた”人は多いだろう。俳優イーサン・ホークを父に、女優ユマ・サーマンを母に持ち…と説明するのも不要なほど、女優やモデルとして大活躍を見せるマヤ・ホークが、今週なんと“シンガーとして”来日。日本では初となるライブを行う。両親のDNAを余すところなく受け継いだサラブレッド1998年7月8日、ニューヨーク市生まれの現在21歳のマヤ。父イーサン・ホークは、『6才のボクが、大人になるまで。』『トレーニング デイ』、さらに『ビフォア』シリーズの脚本(ジュリー・デルピーやリチャード・リンクレーター監督とともに)でもアカデミー賞ノミネート経験があり、映画監督として3作品を発表。狂気を帯びていく聖職者を演じた『魂のゆくえ』も高く評価され、最近では是枝裕和監督の『真実』にも参加した。また、母ユマ・サーマンといえば、クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』で世界的にブレイクし、アカデミー賞助演女優賞にノミネート。一時、育児のため女優を休業していたが同監督の『キル・ビル』2部作で鮮やかな復帰を果たした。最近は鬼才ラース・フォン・トリアー監督作『ニンフォマニアック』2部作などでの怪演も印象深い。傑作SF『ガタカ』の共演で知り合った両親は1998年に結婚し、おしどり夫婦と思われたが7年間の結婚生活を経て2005年に離婚が成立。それぞれ別のパートナーと結婚・交際しても両親との交流は続いており、インスタグラムには2才年下の弟レヴォンをはじめ、家族の仲睦まじい様子が度々アップされている。パッと見は母ユマ似だが、柔らかな表情の中には父イーサンの面影もあり、その凜とした美貌は前々から評判を呼んでいた。いまや、次世代女優のひとりとして大きな期待を寄せられる存在となっている。「ストレンジャー・シングス」『ワンス・アポン~』でいま最も観るべき女優に失読症を抱えているマヤは、芸術面を重視するブルックリンの私立学校に入学したことがきっかけとなり、演技に触れることになる。ロンドンの英国王立演劇学校やニューヨークのステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティングの夏期講座でも演技を学び、高校卒業後の2016年には同じくニューヨークの名門ジュリアード音楽院に入学。1年間通ったが、2017年、BBCのTVミニシリーズ「Little Women」(若草物語)のジョー役にオーディションから抜擢されて中退、女優としてデビューする。幼いころから、4姉妹で最も利発な次女ジョーに共感を抱いていたというマヤ。「Little Women」との共演者とはいまでも交流があるようで、先日ディズニー実写版『リトル・マーメイド』のエリック王子役に決定したジョナ・ハウアー=キングとも誕生日のお祝いショットをアップするほど仲よし。そして今年、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3に、元“高校の人気者”スティーブ(ジョー・キーリー)と「スターコート・モール」のアイスクリームショップで働く“ロビン”を演じてブレイク。ロシア語の暗号メッセージを解読したことで、スティーブ&ダスティン(ゲイテン・マタラッツォ)というシリーズ随一の愛されコンビと“陰謀”に巻き込まれていくことに。英語以外に4か国語を操り、抜群に頭が切れ、ファニーでエキセントリックな魅力を放つロビンは一躍人気キャラクターとなった。同作で最もファンを驚かせたのが、数々の苦労を共に乗り越えたスティーブとの関係性だろう。マヤは「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ヴァラエティ」に、撮影を進めていく中で製作のダファー兄弟らと話し合い、オーディションを受けた際にはなかった“ある特徴”をロビンというキャラクターに自ら付与したと明かしている。ちなみに父イーサンも、俳優として「彼女は本物」と断言するほどの親バカ(?)ぶり。さらに、タランティーノ監督最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも、“マンソンファミリー”のメンバーのひとり、フラワー・チャイルド役で出演。あの事件の日、実行犯たちとリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)の家の前まで行ったものの…という役どころを演じたばかりだ。ソフィア&ジア・コッポラを刺激するミューズとしての輝き一方、モデルとしては、かつての母ユマもそうだったように「ヴォーグ」誌で活動をスタート。英国ブランド「オールセインツ(ALL SAINTS)」の2016-2017コレクションにてキャンペーン用ショートフィルムに出演し、2017年にはソフィア・コッポラが手掛けた「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」の女性アンダーウェアのキャンペーンにも起用された。ニューヨークの「ザック・ポーゼン(ZAC POSEN)」2019年春夏コレクションのモデルにも起用されたが、その撮影を手掛けたのはソフィアの姪にあたるジア・コッポラ。アカデミー賞授賞式のアフターパーティにも同ブレンドのエレガントなドレスで大人な雰囲気を醸し出していた。さらに今年夏には、「ディオール(DIOR)」の2019-2020秋冬オートクチュールコレクションにも参加、ファッションアイコンとしても熱い視線を注がれている。興味深いのは、ソフィア・コッポラが監督するはずだったディズニー版とは異なる実写映画『人魚姫』で、ソフィアが希望していたアリエル役の第1候補はマヤだったこと。ソフィアに続いて、最終的に主演となったクロエ・グレース・モレッツも降板したため同プロジェクトは頓挫してしまったようだが、第一線で活躍するサラブレッド同士のタッグは、ぜひともスクリーンで目にしてみたいところ。ジア・コッポラがメガホンをとり、アンドリュー・ガーフィールドらと共演する2020年公開予定の映画『Mainstream』(原題)には否応なしに期待が高まる。父イーサン、“歌手”マヤをべた褒め「素晴らしい新曲」人魚姫といえば、今年8月、マヤは自ら作詞した楽曲「To Love a Boy」「Stay Open」をリリースしたが、「To Love a Boy」のMVでは陸に上がった“人魚”を魅惑的に演じている。この楽曲の作曲・編曲とプロデュースを担当するのは、シンガー・ソングライターでノラ・ジョーンズの「ドント・ノー・ホワイ」を手掛け、グラミー賞も受賞しているジェシー・ハリスだ。今回の来日公演も、マヤは彼とともにステージに立つ。ジェシーは、父イーサンが自伝的小説を自ら映画化した監督2作目『痛いほどきみが好きなのに』で音楽を担当し、ミュージシャン役で出演もする友人同士。もちろんイーサン自身も、『ブルーに生まれついて』でジャズトランペット奏者チェット・ベイカーを演じたり、87歳のピアノ教師を追ったドキュメンタリー『シーモアさんと、大人のための人生入門』を監督したりと、音楽への造詣は深い。ノラ・ジョーンズを彷彿とさせながらも、メロウで透明感のあるヴォーカルで聴かせるマヤに、自身のインスタで「素晴らしい新曲」とコメントしてアピール。もはや2世俳優という言葉だけでは収まらない、類稀なる才能が多方面にあふれ出るマヤ・ホーク。今後、日本上陸が待たれる出演作には、少女たちの密室スリラー『LadyWorld』(2018)、リーヴ・シュレイバー、マリサ・トメイらと共演する『Human Capital』(原題/2019)などがあり、歌手としてもアルバムをリリースする予定という。(text:Reiko Uehara)
2019年11月19日名女優ジュリエット・ビノシュが、是枝裕和監督の最新作『真実』に出演している。本作は是枝監督がフランスに渡ってビノシュやカトリーヌ・ドヌーヴ、イーサン・ホークらをキャストに迎えた作品だが、本企画はそもそもビノシュが是枝監督と一緒に映画を撮りたいと願ったところから企画がスタートした。なぜ彼女は是枝監督と共に映画をつくりたいと思ったのだろうか?彼女は是枝作品のどこに魅力を感じているのだろうか?2011年頃、来日したビノシュは是枝監督に会い、一緒に映画を撮りたいと声をかけた。ビノシュは「それも何度も何度も繰り返してお願いしたんですよ!そこは大事なことです!」と豪快に笑う。「今から振り返って思うのは、あの時は単にディナーの席を囲むとかいうのではなく、是枝さんと一緒に京都に行ったんですよ。そうすると1日ご一緒することになりますから、歩きながらじっくりと話をすることができました。その過程で私は何度も是枝さんに一緒に映画を撮りたいと言いましたし、“言葉の問題で悩んでいるのであれば、私が日本に滞在して撮影したっていいのよ”とも言いました。すると是枝さんはすぐに『撮るのであれば、絶対にフランスに行って撮影したい!』って……その段階で彼にはフランスで映画を撮ることに対する信念がしっかりとあるのだとわかりました」ビノシュはフランスの名だたる監督の作品に出演しているが、台湾のホウ・シャオシェン、イランのアッバス・キアロスタミ、英国のアンソニー・ミンゲラなど海外の映画作家とも繰り返しタッグを組んでいる。「是枝さんは人間として非常にオープンな方で、まるで磁石のように周囲の人を引き寄せる力があります。私はそういう作家の下で共に感情を分かち合いながら映画をつくりたいと思ったのです。映画は頭ではなく心でつくるものだと思っていますから」そして時は流れ、彼女の願いは、フランスで知らないものはいない大女優とその娘を主軸にしたドラマ『真実』として結実した。母と娘の間にはそれぞれの思い出や、言えなかったこと、過去の記憶、ついてきた嘘、隠し事、本音があり、ふたりは時に激しくぶつかり合う。本作はタイトルに“真実”とつけられているが、劇中ではさまざまなドラマや感情が混ざり合うことで観客が“真実とは一体、何なのか”想いを馳せるような展開になっている。「演技とは、私たちが生きている現実の外にある世界ーそこでは時間の観念すらも異なるでしょうーのリアリティに到達することだと私は考えています。俳優が考えたことや感情を基にしながら、そこで見つけたものも取り込んで、役の感情へと自分が到達するわけです。それはとてもスピリチュアルな場所ですし……言ってしまえば、私たちが現在こうしてお話をしている場所とは違う世界なわけです。つまり、この場所に真実があるように、別の世界にも真実があります。私たちは創作を通じて、そんな場所にある真実に迫っていくわけです」だからこそ彼女はいつも「自分の心は何かに囚われていないか?」と自問していると笑顔で語る。「私だけでなく誰もが自分の内面にある感情と向き合っているかどうか確かめる必要があると私は思います。自分に考える自由、感じる自由はあるのか?誰かの虜囚になっていないか?って」ビノシュがこう語るのには理由がある。是枝作品はこれまでも、そして本作でも繰り返し人間の内面に積み重なってきた歴史や記憶、時間を描いてきたからだ。時にそれらは登場人物の行動を左右し、抑圧し、彼らは自分の中に積み重なった記憶や時間と対峙するのだ。「そうですね。私もそのことはずっと感じていました。これは私の予想ですが、是枝さんは子供時代に誰かから受け継いだ“ヘリテイジ(遺産、継承されたもの)”があるのかもしれません。彼は映画づくりを通して、自分の中に蓄積されたものを理解しようとしたり、その影響から回復しようとしているのかもしれません。彼は過去のヘリテイジを持ったまま、いかに生きていくのか?を考えながら映画をつくっているのかもしれません。それゆえ、是枝さんの映画には一種の“メランコリー(ゆううつ)”があります。それは回復されたり癒されたりするようなものではありませんから、物語の中で再びメランコリーを経験して、メランコリーを生きなおすことで、何らかの境地に到達しようとしているのではないでしょうか」本作でもビノシュ演じる脚本家の娘は母や育ててくれた女性の記憶と向き合い、自分と母の、自分自身との関係を変えていく。映画『真実』はフランスの家族や母娘の複雑な関係を描きながら、さらに深いドラマを見せてくれる。ビノシュの言葉を頭の片隅に置いて作品を観ると、思いもよらない発見ができるかもしれない。『真実』公開中
2019年10月18日《取材・文:町山智浩》パリに住むベテラン女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)のもとを、アメリカで脚本家をしている娘リュミール(ジュリエット・ビノシュ)が夫(イーサン・ホーク)と娘を連れて訪れる。是枝裕和監督の『真実』は、全編パリでロケ、セリフはフランス語と英語、ワイルドバンチ製作のフランス映画だ。しかし、是枝作品のファンなら、すぐに気づくだろう。これは『歩いても、歩いても』や『海よりもまだ深く』などで是枝監督が繰り返し描いてきた「中年夫婦が実家を訪れて母親の嫌味を聞かされる」ホーム・コメディの変奏曲だ。特にカトリーヌ・ドヌーヴの「食えない」母親ぶりは、是枝作品の樹木希林を思わせる(二人は共に1943年生まれ)。「そうですね。カトリーヌ・ドヌーヴさんに樹木希林さんを感じたという感想はあちこちから聞いて、なるほどと思いました。意識していたわけじゃないんですけども、できあがって観てみると自分でもなんとなく、意地悪な、辛辣なことを言って、でも、それがウェットにならない感じが共通するなと。だからドヌーヴさんが希林さんに見える瞬間があるんですよね」。ドヌーヴ扮するファビエンヌはフランス映画界に君臨していて、誰も逆らえない。若い監督の映画に出るのだが「あなた、監督さん?」と子ども扱い。それはドヌーヴも同じだ。何しろ、フランソワ・トリュフォー、ロマン・ポランスキー、ジャック・ドゥミー、ルイス・ブニュエル…と世界の映画史上の巨匠たちと仕事をしてきたのだから。「すごいですよね。そこにラース・フォン・トリアーとレオス・カラックスまで加わるんですから」ドヌーヴは自分でトリアーに手紙を書いて、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の役を得た。「あの年齢でもチャレンジ精神旺盛なんです。彼女は会うと必ず、『あなた、あの映画観た?』って新しい映画の話をするんですよ。去年から今年にかけては、イ・チャンドン監督の『バーニング』とか、『あなた、ジャ・ジャンクーの新作は観た? あれはすごかったわよ』って、必ず彼女のほうから振ってくるんですよ。ちゃんと劇場で観てるんですよ。そのくらい新しい映画作家との出逢いをいち映画ファンとしても非常に大事にしてて、決して老いないんですよ」。最初は『真実』というタイトルではなかったファビエンヌは自伝を発表するが、それを読んだ娘リュミールは「嘘ばっかりね」と指摘する。ファビエンヌが語る映画史的記憶も、どこまでが本当かわからない。この映画のファビエンヌはドヌーヴ自身と重なる部分が多く、どこまでが事実でどこからがフィクションか、虚実皮膜で面白い。「脚本を作る段階で何度かドヌーヴさんに長いインタビューをさせてもらいました。彼女が最初にお芝居をし始めた時の話とか、娘さん(マルチェロ・マストロヤンニとの間に生まれたキアラもまた女優)との関係とかをいろいろ聞いて、もちろん、そのままではないんですが、脚本に反映させていきました。たとえば『ドヌーヴさんの俳優としてのDNAを受け継いでいる俳優はいますか?』という質問をした時に、『うーん、フランスには一人もいないわ』と答えたのがカッコよくて、セリフにして使わせてもらったり」そもそも企画段階ではドヌーヴの役はファビエンヌではなくカトリーヌで、タイトルも『カトリーヌの真実』だった。「でも、ドヌーヴさんから『役名はカトリーヌじゃなくて、私のミドルネームのファビエンヌにして』と言われたんです。『そういうスタンスなのかな』と思いました」。つまりある程度は自分自身だと。「『この役は全然あたしとは違うわ』って最初から言ってましたけどね」。演技スタイルも役そのもの娘リュミールが「嘘ばかりね」と言うのは、自伝のなかではファビエンヌはいい母親ぶっているが、実際は仕事を優先して、ロクに子育てをしなかったからだ。そのため、娘との関係は今もよくない。また、真面目な娘と、勝手気ままな母親とは性格も合わない。それは娘を演じるジュリエット・ビノシュとカトリーヌ・ドヌーヴの演技スタイルとも重なる。「ジュリエット・ビノシュは、すごく役作りに時間をかけて、その役の気持ちを理解することにとても神経をつかうのが、彼女の持ち味だと思うんです。だから変更があることに慣れてない。僕が変更点のメモを渡すと『そういうのは、私は二週間前に渡されないと無理なのに』って言われましたよ」。「でも、ドヌーヴさんはもともと台本読まないで現場来るから(笑)。その日の朝に初めて台本読むから、変更したことすらわからない(笑)。だから、いくら変えても全然OKでした。それは助かりました。ドヌーヴさんはほとんどそのまま現場に来て、その場でセリフ覚えて、瞬間的に役をつかまえるんですよ。準備しないんですよ。ただ、それが非常に的確。役のつかみ方が本当に動物的だけど、ピンポイントでつかんで、一回OK出たら、『今のがベストよ』って自分で言っちゃう(笑)。『今の以上にはできないから、これで終わり』って。仕事してみて、非常に感覚的な人で、面白かった。大変だったけど(笑)」。ドヌーヴのアイデアを物語に反映『真実』の劇中劇、ファビエンヌはSF映画を撮影している。ヒロインは持病の関係により、地球外の惑星で過ごしているため、歳を取らず、ある日地球に帰ると娘は70代になっている。その娘を演じるのがファビエンヌだ。「ファビエンヌの亡くなったライバルが若くして亡くなったことで彼女のイメージのなかではいつまでも歳を取らない、それを重ねてみようかなと」。ファビエンヌのライバルだった女優サラは若くして亡くなった。娘リュミールは「サラおばさんのほうがママよりも私に優しかった」と言う。それを見ていて思い出すのは、ドヌーヴの姉フランソワーズ・ドルレアックである。ドルレアックは『リオの男』(64年)が世界的に大ヒットし、ドヌーヴとは『ロシュフォールの恋人たち』(67年)で共演したが、その直後に交通事故で亡くなった。「いや、サラとファビエンヌには血縁関係はないんです。あれはフランス語でマレーヌと言っています(代母と訳される、両親がいない時に世話をしてくれる後見人)。ドヌーヴさんが『フランスには血縁がない叔母のようなマレーヌという存在があるので、それにしたらどうか』とアイデアをくれたんです」ファビエンヌは演技ではサラに勝てなかった。70歳を過ぎた今でもサラの存在を感じている。それは微妙で絶妙の映像で表現される。「あれを思いついたのは撮影監督のエリック・ゴーティエで、僕の指示じゃないです。脚本には書いてない。いくつかのシーンで僕はエリックに『サラが見ていることを示すカットを撮りたい』と言ったんですが、それを意識的に、あのように映像にしたのはエリック。脚本はそこまで書いてない。エリックは読み込みが本当に深くて」。是枝流の“感動”は今回も健在『真実』の母と娘の葛藤は、意外な感動を迎える。それが真実だったのか、と観客が感動の涙を流そうとすると、その感動が観客に染み入る前に、さらにひっくり返される。そのへんがいかにも是枝タッチである。「現場で撮影を続けるうちに、ビノシュが『私が演じるリュミールがどこかで能動的に動いたほうがいいと思う』と言ったんです。それで彼女が脚本家であることを活かした最後の展開を思いつきました。あれで真実というものが揺らぐというか、より重層的になっていくから。いや、曖昧にしたいわけじゃないんですが。あのセリフはリュミエールが母親を感動させるために書いただけじゃなくて、リュミエール自身の本当の気持ちだったかもしれない。そういう見え方がするといいかなと」真実には嘘があり、嘘の中に真実がある。でも、観客はもっとストレートな感動を求めているのでは?「プロデューサーには『もっと感動を引き延ばせ』と言われましたが、『いや、違う。それはそうじゃないんだ』と説得したんですよ(笑)」。(text:町山智浩)■関連作品:真実 2019年10月11日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
2019年10月17日『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭・最高賞パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督。その次作となったのは、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらをキャストに迎えた『真実』だ。パリを舞台にした本作は、実際に監督自身がフランスに渡り、海外のスタッフとともに手がけている。ドヌーヴが演じるのは、自身のイメージに近い大女優ファビエンヌ。物語は、自伝『真実』の出版を控えたファビエンヌのもとに、ビノシュ演じる娘と、ホーク演じる、その夫がアメリカからやってくるという状況が描かれる。だが、自伝出版を祝うために来た娘は、その自伝に“真実”が書かれていないと主張。それを発端に、長年わだかまっていた家族たちの想いと軋轢とが表面化していく。ドヌーヴ、ビノシュといえば、それぞれの世代でフランスを代表する俳優。そのふたりが母娘を演じ、さらに是枝演出と混じることでどのような化学変化が起きるかが、本作の大きな注目ポイントだろう。カンヌでの受賞によって、是枝監督作品は観られる機会が増え、海外の著名な俳優が出演したいと思うような状況が生まれている。フランス・日本共同制作となり、フランスで撮られた本作だが、監督は今回フランス映画だということを強く意識はせずに撮影に臨んだのだという。カンヌで最優秀主演男優賞を受賞した『誰も知らない』や、『万引き家族』に代表されるように、社会における様々な問題をテーマに、シリアスでナチュラルな雰囲気の作品を手がけることが多い是枝監督。本作でも愛憎渦巻く家族の問題を描きながら、「自分の中でも最も明るい方へ振ろうと決めて現場に入りました」とインタビューで語っているように、その軽快なアプローチにも期待だ。『真実』公開中
2019年10月13日最新作『真実』が公開される是枝裕和監督がメガホンを取り、新火曜ドラマ「まだ結婚できない男」で主演を務める俳優の阿部寛が故・樹木希林と親子役を演じた『海よりもまだ深く』が、10月11日(金)今夜、フジテレビ系で地上波初放送される。『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞に、続く『海街diary』では第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝き、2018年の『万引き家族』がカンヌの最高峰、パルム・ドールを獲得と、国内外で作品が高く評価される是枝監督が2016年に世に送り出した本作。主演には『テルマエ・ロマエ』で第36回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞に輝いたのをはじめ『ふしぎな岬の物語』『柘榴坂の仇討』といった作品で日本アカデミー賞を受賞、是枝監督の『奇跡』にも出演している阿部さん。そんな阿部さんと『奇跡』以来の親子役で共演するのが『そして父になる』『海街diary』『万引き家族』と是枝作品の常連となった樹木さん。そのほかリリー・フランキー、池松壮亮といった是枝作品で知られる面々に『モテキ』『焼肉ドラゴン』などの真木よう子、さらに小林聡美、吉沢太陽、橋爪功といった俳優陣が共演。ダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部さん)は、15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家。いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木さん)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母・淑子(樹木さん)。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多、響子、真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなり、“元家族”で一夜を共に過ごすことになるが…といったストーリー。カンヌグランプリに輝いた是枝監督がフランスを代表する名女優であるカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュやイーサン・ホークらをキャストに、オールフランスロケ、スタッフもフランス人という初の国際共同製作に挑んだ最新作『真実』は10月11日(金)本日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。阿部さん主演の新火曜ドラマ「まだ結婚できない男」は毎週火曜21時~フジテレビ系で放送中。『海よりもまだ深く』は10月11日(金)今夜21時~フジテレビ系で地上波初放送。※「FIVBワールドカップバレーボール2019」延長の際、放送時間繰り下げの場合あり(笠緒)
2019年10月11日是枝裕和監督の最新作『真実』が公開になる。本作は是枝監督がフランスに渡り、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらをキャストに迎え、初めて組む外国のスタッフと制作にあたった作品で、是枝監督がおし進めてきた“自身をオープンにして、壊して、さらに先へ進む”映画づくりの延長線上にある1作になった。1995年に映画監督として歩きだした是枝監督はある時期から自分ひとりで緻密に考えて創作にあたるのではなく、自分を開いて、予期せぬ出会いや、不安定な要素を意図的に作品に取り込んできた。そのきっかけのひとつは、2011年公開の『奇跡』だという。「あの時に“新幹線で何か映画を”って依頼を受けて(『奇跡』は同年春に九州新幹線が全線開通したことを機に企画された)、最初はこういうのもひとつの手かな、ぐらいの感覚だったんですけど、実際にやってみたらとても面白かったんですよ。もちろん惰性でつくってきたわけではないですけど、どうすれば自分が新鮮でいられるかは考えますし、ずっとオリジナルでやっていると自分が描ける人間や世界が何となくわかってくる。その状況を壊すにはどうしよう? と思ったりはします」偶然か必然か『奇跡』が完成した後に是枝監督はフランス人女優ジュリエット・ビノシュから“何か一緒に映画を撮りませんか?”と提案を受けた。「社交辞令よりはもう少し強い感じで、その頃(彼女には)日本で撮りたい企画があったみたいなんだけど、それには乗っからずにかわしつつ(笑)どうせやるならフランスに行って撮りたかった。自分の制作の環境を変えてみようかなという気持ちがありました」その後も是枝監督の“意図的な変化”は続いていった。福山雅治をキャストに迎えた『そして父になる』、吉田秋生のコミックを原作にした『海街diary』、名優・役所広司と対峙しながら完成直前まで苦しみ抜いて制作にあたった『三度目の殺人』、そして女優・安藤サクラ、撮影監督・近藤龍人から多大な刺激を受けた『万引き家族』……その間もフランスで新作を撮る構想が消えることはなかったようだ。是枝監督は「いつだったか忘れてしまいましたけど、フランス映画祭で来日していたフランソワ・オゾンに“君はフランスで撮っても成功すると思うよ”って言われて……真に受けちゃったって感じです」と笑みを浮かべる。映画『真実』の舞台はパリ。自伝『真実』の出版を控える大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)のもとに、アメリカで脚本家として活動している娘リュミール(ジュリエット・ビノシュ)、その夫でテレビ俳優のハンク(イーサン・ホーク)、ふたりの娘シャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)がやってくる。3人は自伝出版を祝うためにやってきたが、本を読んだリュミールはそこに“真実”が書かれていないことから母と衝突。さらにファビエンヌを支えていた秘書が職を辞してしまい、母と娘はいつも行動を共にすることに。長年に渡ってそれぞれが蓄積してきた不満、言えなかった想い、ウソ、演技、秘密、そして真実が家族の間を行き交う。「最初からこの映画をフランス映画にしなきゃという強迫観念はなかったので“いつもやっている形をフランスで”が基本」と是枝監督は振り返る。しかし、完成した映画はこれまでの是枝作品とリズム、語り口、映像的な視点が大きく変化している。「今回の映画ではこれまでの作品よりは人間と人間を“衝突”させているんです。日本人なら語らずに“…”だろうなという場面でも今回はセリフの数を少し多くして衝突させた方が自然だろうと考えて脚本を書いてます。それに日本語だと主語を省略したりしますけど、日本語からフランス語に翻訳する際に主語を戻して、時制も統一して……すごく言葉の数が増えるんですよ。ただ、カトリーヌ・ドヌーヴはすごく早口で、他の女優よりも同じ秒数で多くの言葉をリズミカルに音楽的にしゃべることができる。だからこのリズムは生かそうと思って撮影していきました。大変だったのは編集で、撮影中に“これがOKテイクだな”というのはほぼ間違えずにジャッジできたと思いますし、ドヌーヴとビノシュは演技の組み立て方も、どのテイクで演技のピークがくるかも違うのでその見極めは丁寧にやったつもりですけど、そのテイクを編集で切り取っていくと、これが本当にベストだったのか、カットが変わるのは本当にこのタイミングでいいのか……編集の段階で改めて全部ジャッジしなおすことになりました。日本語でも“この言葉の途中でカットが変わると気持ち悪い”ってことがあると思うんですけど、僕はフランスの文法がわからないから、監督助手と通訳の方に観てもらいながら修正していって……そこでも映画のリズムは変化したんだと思います」そして何よりも大きな変化は撮影に名手エリック・ゴーティエを招いたことだ。オリヴィエ・アサイヤス、アルノー・デプレシャン、レオス・カラックスらの作品を手がけ、近年はジャ・ジャンクーやアモス・ギタイなど海外の映画作家ともタッグを組む現代の映画界を代表する撮影監督のひとりだ。「エリック・ゴーティエの力は大きいですよね。言葉が通じないので、こちらの意図を伝えるために事前に画コンテを描いて渡してあって、彼はコピーを台本に貼って現場に来てくれたんですけど、芝居を見た後に“カメラをこうやって動かすと、この3カットはひと続きに撮れる”って。確かに日本家屋でそこまでカメラを動かしたら少し気になりそうなところが、まったくそんなことはなくて、カメラを切り返していないのに、ワンカットの中でカメラを切り返しているような画になっていて……これはすごいなと(笑)。だから、ある段階からそこは任せてしまいましたし、結果としてカット数がどんどん減っていったんです。だから今回は画家で言うなら“筆”を変えてみようという感覚ですよね」国が変わり、俳優が変わり、言語が変わって編集のリズムが変わり、撮影監督によって“映画の語り”も変わった。「自分としては変わらない自分なんてなくてもいいと思ってやっていますし、カメラマンが変わるだけでこんなにも文体が変わるのか、など新しい出会いを新鮮に受け止めている感じです。だからこの先、どうやっていくかですよね。この映画もまだ“ファミリードラマ”の枠組みはあるわけで、それをとっぱらった時に何が残るのか? どこまで行けるだろう……ってほどの道を歩いているとは思わないですけど(笑)、次に一体、何を壊したら何が残るんだろう? それでも壊しきれないものは一体、何なのだろう? ってことは考えますよね」映画監督の中にはキャリアをかけて、自覚的にひとつのテーマを追求する人もいるが、是枝監督は意図的に“縛り”や“固定化”を避け、変化し、スクラップ&ビルドを繰り返して“変化し尽くしても変化しないもの”を見つけようとしており、その流れの中に本作もある。この映画は海外で撮った“特別編”でも、外国で活動するための“足がかり”でもないのだ。「そうです。僕の中ではこの映画は『万引き家族』よりも“真ん中”にある映画で、何年か経って振り返った時に“あそこで変化があったんだな”と思えるのはこの映画なんじゃないかと思っています。次へ向かう方向性を決めている作品。でも、それがどちらに向かっているかは……まだわからないんです(笑)」『真実』公開中
2019年10月11日昨年の邦画界において、もっとも注目を集めたニュースのひとつと言えば、『万引き家族』が日本映画としては21年ぶりにカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞したこと。その是枝裕和監督の最新作ということもあり、映画『真実』が世界中で大きな注目を集めています。本作は是枝組初の海外作品にして、舞台はパリ。さらに、世界を代表する豪華キャストが集結していることでも話題となっていますが、今回は特別にこちらの方にお話をうかがってきました。フランスが誇る名女優ジュリエット・ビノシュさん!【映画、ときどき私】 vol. 266フランス国内のみならず、ハリウッドなど数多くの作品に積極的に出演しているビノシュさん。本作では、大女優カトリーヌ・ドヌーヴさんとの初共演が実現するだけでなく、なんと母娘役を演じています。そこで、女優としての在り方や映画監督との関係性などについて、語っていただきました。―通常、ビノシュさんは自分のなかに役を落とし込むのに3週間はかけているそうですが、是枝監督といえば、現場でセリフを変更したり、口頭で伝えたりする演出方法を取ることでも知られています。本作でもいつも通りの方法だったとうかがいましたが、つねに変化する現場に身を置かれてみていかがでしたか?ビノシュさんそんなによくあることではないけれど、是枝監督だけではなく、直前に脚本を変える監督はほかにもいるので、これまでも変更したものを撮影の朝に突然渡されるということがありました。でも、小さな変更だったら私も特に気にしません。そういう意味では、今回の場合も是枝監督はちょっとした変更の積み重ねだったので、まったく問題ありませんでしたよ。ただ、私のように準備をきちんとしたいタイプの俳優にとって困るのは、大幅なセリフの変更があるときです。―実際、それによって何か問題が生じてしまったこともあったのでしょうか?ビノシュさんギリギリになって大きくセリフが変わってしまうと、俳優は新しいセリフを覚えているかどうかという記憶のほうに気が取られ、結果的に感情をうまく演技に乗せることができなくなってしまうものなんです。人によっては、「監督にはこういう権限があるんだ」というのを示したい気持ちがあるのかもしれませんが、私からすると、そうすることによって監督はむしろ損をすると思っています。なぜなら、いま言ったように、記憶力に囚われている俳優は、内面の探索が十分にできなくなってしまうから。それよりも、セリフをしっかりと覚え込み、自由になっている俳優のほうが、制限のない演技ができるはずだと考えています。そういった理由から、あまりにもたくさん変更してくる監督に対しては、拒否したこともありました。すごくわかりやすい例を挙げるなら、お祈りをするときにいまさっき覚えた言葉でお祈りしようとすると、覚えているかどうかが気になってまったく没頭できないですよね?それと同じことで、俳優のセリフも何度もかみ砕き、自分に取り込んで初めて、頭で考えることのない感情になれるものであり、そうなったときが一番いい状態なんです。偉大な人ほど権力を振りかざさない―これまでに国を越えてあらゆる現場を経験されているビノシュさんですが、先ほどお話に上がったように、俳優をコントロールしようとする監督というのは多いものなのでしょうか?ビノシュさん偉大な映画監督になるほど、現場で権力を振りかざすことはありません。なぜなら、そういう賢い人たちは、最終的には編集において監督の権限を行使できることを知っているからです。結局、物を言うのは最終段階。どのシーンをカットするかとか、順番を入れ替えるかどうかといったところで監督は自由に権力を行使することができるので、本当に頭のいい監督ほど、あからさまにそういうことをしないものなんですよ。逆に、自分に自信がない若い監督ほど、そうなりがちなところがあるかもしれません。以前、撮影初日のファーストカットの1テイク目で、いきなり私のところにダーッと走ってきて、いろいろと演技指導しようとする監督がいました。最初のシーンであったことと、あまりに突然だったので、「なぜそんなにコントロールしようとするのかしら」と少し驚いてしまった覚えがあります。結局、その監督には「まだ私もリサーチしているところだから、それを探す機会として3テイクは続けてやらせて欲しい。演技指導をしたいならそのあとにしてください」と伝えました。私が思うに、俳優が自分でいろいろと試せる自由があったほうが、“俳優を活かす”という意味でも映画にとっては得だと思っています。―数々の巨匠たちとご一緒されてきたビノシュさんだけに、非常に説得力があります。ビノシュさんただし、もし現場で監督と俳優たちの権力をめぐる闘争のようなものが発生してしまった場合は、俳優のほうが“身を引く”という一種の頭の良さが求められるとは思います。なぜなら、そういった権力闘争は映画にはまったく関係ありませんし、クリエイションを一切生み出さないものなので、必要ありませんよね。私が思うに、映画作りというのは、誰が一番権力を持っているかどうかではなく、オーケストラのように各自が自分の仕事をすることが重要。そのなかで監督や助監督は、指揮者としてみんながちゃんと仕事をできるようにまとめていくことが大切なのです。現場で一番必要としているものは「沈黙」―では、ビノシュさんが現場で大事にしていることは何ですか?ビノシュさん私が一番必要としているのは、「沈黙」。つまり、「静寂である」ということですが、現場で集中するときは、それがひとつのリスペクトの表れだと私は考えています。そして、なぜそれが必要かというと、演技を始めるということは、現実とは違う空間と時間にコネクトしなければいけませんし、ミステリアスな映画の世界に俳優が接触する“神聖な時間”でもあるからです。だから、「アクション!」と声がかかったあとも周りがガヤガヤしているときは、きちんとした演技ができないので、あえて始めずにじっと待つようにしています。そうすると、みんな気がついて、ちゃんと沈黙の状況を作り出してくれるのです。―以前、ビノシュさんが出演された『Vision』で監督を務められた河瀨直美監督に取材させていただいたことがあり、そのときにビノシュさんについてもおうかがいしました。「ストイックでとにかく高い集中力があり、何に対しても逃げることなく向き合う人」とおっしゃっていましたが、実際にお会いしてみてその意味がよくわかります。ビノシュさん河瀨監督の映画の場合は、作品自体が自然をテーマにしていたこともありましたし、現実と想像の世界が混ざり合うような不思議な世界観だったこともあり、集中力の高さが必要とされました。あとは、私は日本語がわからなかったこともあり、共演者たちが何を話しているのかを想像しようとして一生懸命聞いていたというところからくる集中もあったかもしれませんね。河瀨監督は「アクション!」というかけ声を言わず、切れ目なくカメラを回すという特別で素晴らしい撮影方法を取る監督だったので、現実と映画の境目がなく、繋がっているような感覚を味わうことができました。謙虚になってから作品と向き合うようにしている―では、仕事に対してそれほどまでに高い意識を持ち続けられる原動力を教えていただけますか?ビノシュさん私にとって集中力やモチベーションを維持できるのは、それが必要だからです。特に、映画では現実と異なる空間を作らなければならないので、私はそうした世界に“下から入る”という言い方をしています。つまり、すべては内面から発生しているものであり、そのための準備をしているだけなのです。そして、一回下に行くことによって、一度謙虚になり、「これから作品に対して何を奉仕することができるか」という問いと向き合うことになりますが、そこで「私にはこういう考えがあるんです」と拳を上げることも、知識をひけらかすことも私はしません。なぜなら、最初から「私の意志はこうです」とかたくなになっていると、それ以上に感情が入ってくることもありませんし、その時点で中立的ではなくなってしまいますからね。たとえるなら、風船がパンパンの状態だとそれ以上空気は入りませんが、空にしておくと、そこに空気を入れられるのと同じこと。私はそういう状態でありたいのです。インタビューを終えてみて……。35年以上にわたって映画界の第一線を走り続けているビノシュさん。年齢を感じさせない美しさとオーラに圧倒されてしまいましたが、ひとつずつに丁寧に答えてくださる姿にも感銘を受けました。人としての表現力の高さと女性としての佇まいは、永遠の憧れです。母と娘だからこそ生まれる感情を描く!大女優の母と女優になれなかった娘との間にある愛憎を見事に描き出した本作。それぞれの女性たちの生きざまは、同じ女性として、心に響くものを感じられるはず。パリを照らす日差しのような光にあふれる感動を味わってみては?ストーリー自伝の出版を控えていた国民的大女優のファビエンヌ。パリで暮らす彼女のもとに、ニューヨークで脚本家として働く娘のリュミールが家族とともに訪れる。出版祝いをするはずだったが、「本のなかに真実はない」とリュミールは怒りをあらわにするのだった。母と娘の間に隠された嘘と真実とは……。真実に迫る予告編はこちら!作品情報『真実』10月11日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開出演:カトリーヌ・ドヌーヴ『シェルブールの雨傘』/ジュリエット・ビノシュ『ポンヌフの恋人』/イーサン・ホーク『6才のボクが、大人になるまで。』/リュディヴィーヌ・サニエ『8人の女たち』配給:ギャガ©2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMAphoto L. Champoussin ©3B-分福-Mi Movies-FR3
2019年10月10日是枝裕和監督がカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらを迎えて手掛けた『真実』が、現在開催中の第24回釜山国際映画祭Gala Presentation部門にて上映。さらに、是枝監督が同映画祭のAsian Filmmaker of the year(今年のアジア映画人賞)を受賞したことを受け、授賞式と公式会見、Q&Aに出席した。Gala Presentation部門の公式会見では、海外から訪れた記者も多数参加し、立ち見や、会場に入れない方も出てくるほど大盛況。会見がはじまると、最新作の『真実』について、監督のこれまでのキャリアについてなど、様々な質問が投げかけられ、会見終了予定の時刻となっても、挙手の手が止まることはなく、是枝監督の最新作への注目度の高さが伝わる会見となった。カトリーヌ・ドヌーヴを「いろいろな側面から光を当てて多面的に描く」是枝監督は本作について、「映画の中にいろんな母と娘の関係を登場させたいと思いました。それはある時は、立場が逆転して見えたり、ある時は演じている母親が演じることのなかったライバルにみえたり、庭から聞こえてくる言葉が娘のものだと錯覚したり、いろんな場所で母と娘、娘と母というものを重層的に描いてみたいというのは最初からコンセプトにしていました」とコメント。「それはカトリーヌ・ドヌーヴという女優をいろいろな側面から光を当てて多面的に描く一つの方法だったと思います。あとはやはり、祖母であり、女優であり、母であり、そして娘でもあるそういう事を目指しました」と語った。フランスの子役にも「いつも通り『ささやき作戦』で」また、監督の特徴ともいえるのが、フレッシュな子役への演出。本作に登場するシャルロット役のクレモンティーヌ・グルニエについて、「オーディションで選んだんですけど、日本と同じやりかたをしようと思って、事前に脚本は渡さずにおばあちゃんちに遊びに来たお話だよってことだけ伝えて、あとはいつも通り現場で僕がささやいてそれを通訳の人にささやいてもらう『ささやき作戦』で全部やりました」と明かす。「もともとの台本では学校でいじめられて不登校になっている女の子の設定だったんですけど、あのクレモンティーヌに会って、非常に勝気な女の子で、衣装合わせで夏休みあけに会った時に、『夏休みどこに遊びに行ったの』って聞いたらすごいめんどくさそうな顔して僕の事みて『あそこのおばさん(衣装担当)にさっき話したからあそこのおばさんに聞いてくれ』って(笑)」。そうしたやりとりから、「まさにおばあちゃん(ドヌーヴ)のDNAを受け継いだ孫としての存在として描いた方が面白そうだと思って、そこから脚本を随分変えました」とも語っていた。「尊敬するアジアの映画人から渡されたリレーのバトンだと思って」さらに、毎年アジア映画産業と文化発展に最も優れた業績を残したアジア映画関係者および団体に与えられる「Asian Filmmaker of the Year(今年のアジア映画人賞)」に選ばれた是枝監督。昨年は坂本龍一が受賞したことでも大きな話題となった。授賞式と公式上映に加え、上映後には直接監督に質問ができるQ&Aイベントもあることから、840席の会場がチケット発売開始後から3秒で完売し、当日券も朝一で売り切れとなったという。会場の客層は、20代~30代が圧倒的に多く、是枝監督が劇場の後方扉から客席を通って登場すると、大きな拍手と歓声が巻き起こった。ステージに上がり、トロフィーを受け取った是枝監督は、「こういう形で釜山映画祭に参加が出来て、皆さんの前で喜びの言葉を伝えられることが本当に嬉しいです」と喜びを明かし、「名誉賞をいただくことが増えてきて、そろそろキャリアの仕上げに入っていると思われるのではないかという不安がよぎっています(笑)ただ今回映画作りをご一緒したカトリーヌ・ドヌーヴさんに比べたら、まだまだ駆け出しの若造で、これからの僕の映画人としてのキャリアの道のりは、これまで過ごしてきた25年間よりもさらに長くなるだろうと、長くしたいなと、思っておりますので、これからの作品も頑張って作っていきたいと思います」と今後の抱負を語った。「このトロフィーは、尊敬するアジアの映画人から渡されたリレーのバトンだと思ってしっかり受け止めて、次の世代のアジアの作り手たちに渡したいと思います。いろんな対立や隔たりを超えて、映画と映画をつないでいく役割を担っていければいいなと今日改めて思いました」と最後に明かすと、再び盛大な拍手が巻き起こっていた。続けて、舞台挨拶として「この映画は、母と娘の物語です。いろんな母と娘が作品の中に登場します。ここ数作、重たい作品が続いたので、観終わった後に、気持ちが前向きで明るくなるような、少し遠回りして家までの道を歩きたくなるような、そんな作品を作りたいなと思いました。素直に楽しんでくださいと言える作品に仕上がっていると思います」と、これから映画を鑑賞する観客へコメントを寄せ、笑顔で会場を後にした。“家族はかけがいのないものだけど、やっかい”を描きとることを意識上映後、温かな拍手に包まれながら再びQ&Aにて出迎えられた是枝監督。劇中の登場人物のカット割りを分析して質問したり、監督の過去作からの考察を述べるような猛者が現れたり、監督の言葉に何度もうなずいたりと、熱心なファンたちによって会場はヒートアップ。急きょQ&Aの時間を延長し、最後は監督自ら壇上から観客を当てる形となる盛況ぶり。“映画を撮るときに意識していることは?”という問いについては、「『歩いても 歩いても』をという映画を撮ったときから、常にファミリードラマを撮るときは、“家族はかけがいのないものだけど、やっかいだ”という、その両面をどのように描きとるかは考えています」と返答。“監督は俳優さんたちから自然な演技、自然な雰囲気を引き出すのが素晴らしい”と指摘を受けると、「魔法は使ってないですよ(笑)」と笑顔でコメント。「ただ撮影をしながら脚本を書いていく、撮影して夜編集して、脚本を直して、翌日話してっていうやり方をしているので、現場でよく観察をしていて」と明かし、「例えばドヌーヴさんが『お疲れさま』って皆にハグをして帰るんですけど、良いお芝居ができて帰るときはキスの位置がここからここ(唇近く)に移るんです。それがすごく面白いなって思って、(娘婿の)ハンクにそういうキスをして、それを聞いた妻のリュミールが自分の母親の女の部分に苛立つ、という話は僕が現場でキスされたときの経験を書きました」と打ち明けていた。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。※韓国では12月より公開予定第24回釜山国際映画祭は10月12日(土)まで開催中。(text:cinemacafe.net)
2019年10月07日おとな向け映画ガイドオススメはこの4作品。ぴあ編集部 坂口英明19/10/07(月)イラストレーション:高松啓二今週末に公開の作品は19本。全国100スクリーン以上で拡大上映されるのは『最高の人生の見つけ方』『空の青さを知る人よ』『真実』『クロールー凶暴領域ー』の4本。ミニシアターや一部シネコンなどで上映される作品が15本です。今週は粒ぞろいです。この中から厳選して、おとなの映画ファンにオススメしたい4作をご紹介します。『真実』なにしろ、カトリーヌ・ドヌーヴが主演、その娘夫婦役にジュリエット・ビノシュとイーサン・ホーク。で、監督は是枝裕和。すごいことであります。ドヌーヴ演じるファビエンヌは、フランスの国民的大女優。『真実』というタイトルの自伝を書き終えたところ。ちょうどその本が刷り上がり、出版を祝うため、アメリカから、疎遠だった娘一家がやってきます。新作の映画も撮影中です。大女優ですから、もうすべてわたしがルールブック、言いたい放題、やりたい放題ですが、にくめない存在。役者としてはさすが、の演技をみせます。まさにドヌーヴそのものといえます。娘は、家族のことがどう書かれているか心配です。事前に原稿を読ませてもらう約束をしたのに、母は「あら、送ったわよ。いきちがいね」ととぼける。印刷部数をきくと「10万部」。でも実は5万部。できたばかりの本を一晩かかって娘がチェックをしてみると、ふせんが付く付く、ともかく嘘ばかり。「このどこに真実が?」と母をなじると「事実なんて退屈だわ」と一蹴される。長年にわたって尽くしてくれた秘書について1行も書かれていない。彼女の人生に重要な役割を果たした親友のサラについても。そんなことが、波紋をよんで…。家族のこと、親しいひとたち、女優であることも、実は、書かれなかったことの中に「真実」が隠れているのです。是枝監督作品でおなじみの樹木希林さんが演じても、すてきな映画になったと思います。希林さんに似合いそうなセリフもあります。けれど、ドヌーヴが演じるからこそ、こんなにノーブルで華やぐ作品になったのでしょう。女優を描いた映画ですが、テーマは家族について。「是枝映画」、です。『ボーダー 二つの世界』注意深く紹介をします。その結末にきっと、驚かれると思いますが、そこにふれないように。ひとことでいうと、いままで観たことのない映画です。ショッカーでもホラーでもありません。どちらかというとファンタジーです。主人公はスウェーデンで税関の仕事をしているティーナ。正直、かなり醜悪な顔をしています。違法なものだけでなく、何かを隠しているという罪悪感まで匂いで嗅ぎ取れる、という能力を持っています。税関を通るとき、彼女が怪しいと判断した旅行客はたいていアウトです。ところがある日、彼女以上に醜悪で、怪しげな男が入国してきます。別室に連れていき、仔細に調べるのですが、証拠がでません。彼に、なぜか、どこか惹かれる彼女。後日再会したふたりは…。永遠に歳をとらないバンパイアの少女を主人公にした『ぼくのエリ 200歳の少女』の原作者、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが原作と脚本を担当しています。異世界的という着想はこの映画も同じです。タイトルはそれを暗示しています。いったい彼女は何者か、なぜそういう顔をしているのか、なぜ超能力をもっているのか、そしてあのシーンとか、あれとか、あー、これ以上はとても言えない。『イエスタデイ』これはアイデアの勝利です。とても面白かったので、感想を何人にも吹聴したのですが、10人中ふたりくらいは、そんなのありえないといいます。12秒間だけ世界規模で謎の大停電がおき、そこから何かが狂う。例えば、ビートルズという存在が世界から消えてしまう。それがなぜか主人公の記憶だけに残っている、というお話です。パラレルワールドものといっていいでしょう。世の中の誰もがビートルズを知らない。自分が持っていたレコードコレクションも消えてしまった。売れないシンガーソングライターのジャックが、彼らの曲を思い出しながら、ためしに歌ってみると、もちろん誰も知らない。そして、聴いた人はみんな、なんていい曲なんだと感動してくれる。それはそうだ、ビートルズなんだから。記憶を掘り起こし、次々とレノン&マッカートニーの曲を発表するジャックはまたたく間に大スターになっていくのです。見方を変えますと、この映画、ビートルズが今デビューしたら、という仮説への答えなのかもしれません。SNS時代、音楽はレコードやCDが全盛ではありません。ジャックはビートルズが考え出したアイデアをそのままやろうとするのですが、うまくはまらないものもあります。そのあたり、逆にビートルズ好きにはたまりません。ホワイト・アルバム?、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド?、バック・イン・ザ・U.S.S.R.? なるほどと思います。ジャック役のヒメーシュ・パテルが歌う楽曲は30曲近く。観終わって一週間は曲が頭に残ります。ビートルズは偉大だ、と痛感します。『天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~』こちらもワン・コンセプトの映画です。現代を代表するクリエイターなどに「Why are you creative?あなたはなぜクリエイティブなのか」を訊いたドキュメンタリー。デヴィッド・ボウイ、タランティーノ、ヘルツォーク、ジャームッシュ、ビョーク……。日本人では、北野武、オノ・ヨーコ、山本耀司、荒木経惟。ともかく、著名人なら遠慮会釈なくマイクとカメラを突きつける。これを30年にわたって続けてきたドイツ人ハーマン・ヴァスケ監督の映像記録です。これまでにアタックした人の数は1000人以上。うち107人がこの映画に登場します。アーティストだけでなく、ホーキング博士や法王ダライ・ラマ14世、ネルソン・マンデラ元大統領などのVIP、スイスのダボス会議に現れ、経済人や政治家にも同じ質問をあびせます。突然の問いかけに、とまどいながらも、自分の発想の原点や、発想の仕方などをていねいに話してくれる人が多数。とんちんかんな返答をする政治家もいます。中国の現代美術の巨人、アイ・ウェイウェイの受け答えなんて、さすが、と思いました。アラーキーのインタビューをとるために、カラオケで朝5時まで飲み「あんなに深酒をしたこととはない」とぼやく、ヴァスケ監督の突撃ぶりもユーモラスです。アサヒビールの金のオブジェを作ったデザイナー、フィリップ・スタルクとか、デヴィッド・リンチ、ペドロ・アルモドバル、デヴィッド・ホクニー…、へーっ、こういう風に話す人なんだ、という驚きの連続でもあります。東京は10/12から新宿武蔵野館ほか、名古屋は10/19から名演小劇場、大阪は11/1からシネ・リーブル梅田ほかで上映。
2019年10月07日『ビフォア・サンライズ 恋人たちの距離』(1995)、『ビフォア・サンセット』(2004)、『ビフォア・ミッドナイト』(2013)とシリーズ3本でイーサン・ホークと主演を務めたジュリー・デルピーが、ギャラについて衝撃的な告白をした。長年、ハリウッドで監督、女優、脚本家と幅広く活躍しているジュリーが、チューリッヒ映画祭で「Variety」誌のインタビューを受け、「#Me Too」や「Time’s Up」について語った。「みんなが“平等”について声を上げるようになった。『女性を助けたい』ってね。女性は男性よりギャラが低いというのはだれでも知っていること。脚本家であっても、監督であっても、女優であっても」。これはジュリー自身も経験してきたことで、『ビフォア・サンライズ 恋人たちの距離』のギャラは「イーサンの10分の1くらいだった」と明かし、続編の『ビフォア・サンセット』でようやく「半分くらいはもらえたかな」と告白。なお、『ビフォア・サンセット』では、ジュリーはイーサン、監督のリチャード・リンクレイターとともに脚本も担当した。そして2013年、シリーズ3作目の『ビフォア・ミッドナイト』を作るにあたり、ジュリーは自身の正当な権利を主張したという。「ねえ、聞いて。もし、(イーサンと)同じ額のギャラをもらえないのなら、この映画はやらない」と。その結果、ジュリーが平等なギャラを手にし、前作と同様3人で脚本も手掛けた3作目は、アカデミー脚色賞にノミネートされた。(Hiromi Kaku)
2019年10月04日28日(現地時間)、第76回ヴェネチア国際映画祭が開幕し、是枝裕和監督の『真実』がオープニングを飾った。同作ではフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ&ジュリエット・ビノシュ、アカデミー賞にノミネート歴のあるイーサン・ホークと豪華キャストが共演。同映画祭において、日本人の監督作品がオープニング作品に選ばれるのは初めての快挙だ。コンペティション部門に出品されている作品は、『真実』を含めて21本。身近なアメリカを製作国としている作品は4本ある。木曜日に上映されるのは、ブラッド・ピット主演作『アド・アストラ』。ブラッドが宇宙飛行士に扮し、太陽系の彼方で行方不明になった父の謎に迫る。同日、ノア・バームバック監督によるNetflixオリジナル作品『マリッジ・ストーリー』も上映される。こちらは、アダム・ドライバー&スカーレット・ヨハンソン演じる夫婦の離婚劇。土曜日には、すでに「オスカー本命」との期待が高まっているホアキン・フェニックス主演作『ジョーカー』、日曜日にはスティーヴン・ソダーバーグ監督作でパナマ文書を題材とした『The Laundromat』(原題)が上映される。また、中国の作品『サタデー・フィクション』ではオダギリジョーがコン・リーと共演している。(Hiromi Kaku)
2019年08月29日是枝裕和監督長編14作目となる、母と娘の愛憎渦巻くドラマを描いた最新作『真実』より、待望の特報映像が公開された。様々な家族の形を描いてきた是枝監督が、新しい家族の形を映し出す『真実』。国民的大女優のファビエンヌが、「真実」というタイトルの自伝本を発表したことから、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く”真実”が炙り出されていく物語。到着した特報映像では、カトリーヌ・ドヌーヴ演じる大女優ファビエンヌが暮らす大きな家の庭に、大きな荷物を抱えて歩くファビエンヌの娘リュミール(ジュリエット・ビノシュ)と、夫ハンク(イーサン・ホーク)、そして、本作のために是枝監督がフランスで自ら見出した孫娘のクレマンティーヌ・グルニエと、幸せそうな若い家族が映し出される。自身の自伝本「真実」の出版祝いのため、久々の娘家族との再会にファビエンヌもは喜ぶ様子を見せるが、一転、自伝本の内容を巡り、「あれは事故よ」「ママを許さない 絶対に」と母と娘のやり取りが始まる。そして物語は、母と娘の嘘と真実が徐々に明らかになっていく。映像ラストには「ママ、あなたの人生嘘だらけね」という本作のキャッチコピーが登場。ナレーションの声も相まって、重厚感溢れる特報となっている。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年08月16日2018年のカンヌ国際映画祭で日本映画21年ぶりの快挙となる最高賞“パルムドール”を受賞した、『万引き家族』の是枝裕和監督最新作『真実』から、ポスタービジュアルが解禁となった。是枝監督が初めて国際共同製作に挑戦する本作。本年度のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品&オープニング作品に決定し、日本のみならず世界中からますます注目を集めている。今回解禁となったのは、自伝本を出版した母を祝福するように、娘家族が笑顔で寄り添う姿を捉えたポスタービジュアル。中央に置かれたソファに座るカトリーヌ・ドヌーヴ演じるファビエンヌの隣には娘役のジュリエット・ビノシュが腰かけ、その後ろに夫役のイーサン・ホーク、そしてソファの肘掛けには孫娘役のクレマンティーヌ・グルニエが座っている。一見、仲睦まじい家族写真だが、中心には「ママ、あなたの人生、嘘だらけね」というタイトルとは対照的で不穏なコピーが添えられ、家族の間に秘めらた“嘘”や“秘密”が好奇心を掻き立てる。また、世界を代表する豪華キャストが一堂に会しながらも、その絶妙な距離感や表情からは、是枝監督ならではのリアルな家族の姿が垣間見える1枚となっている。これまで、『そして父になる』では“父と息子”、『海街diary』では“四姉妹”、『万引き家族』では“血の繋がらない一家”と、様々な家族の形を描いてきた是枝監督が創り上げるカトリーヌとジュリエットの新たな母娘像からも目が離せない。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年08月08日『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』などの是枝裕和監督作、昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』が、7月20日(土)今夜のフジテレビ系「土曜プレミアム」枠で本編ノーカット地上波初放送される。“家族”をテーマにして多くの作品を描いてきた是枝監督が、貧困と幸せ、血縁と心の絆など社会に抱いた違和感も織り交ぜて描き出した本作。昨年6月に公開されると第42回日本アカデミー賞では作品賞をはじめ最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞など、最多計8部門で最優秀賞を受賞。さらに第71回カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞のほか、第91回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど世界中で大絶賛の嵐を巻き起こした。再開発が進むなかポツンと残された古い住宅街で、家主である老女・初枝の年金を目当てに暮らす柴田家は、足りない生活費を万引きなどで稼いでいたが、冬の日、親から虐待を受ける少女・ゆりを拾い一緒に暮らし始める。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――という物語。息子に教えられることといえば万引きくらいしかないという、甲斐性なしの父・治を是枝作品には常連のリリー・フランキーが演じ、家族が転がり込んだ平屋の家主である祖母・初枝には故・樹木希林。母・信代には朝ドラ「まんぷく」『DESTINY 鎌倉ものがたり』などの安藤サクラ、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀には『ちはやふる』『勝手にふるえてろ』の松岡茉優。そのほか亜紀が勤務する風俗の常連客役で『町田くんの世界』の池松壮亮、亜紀の本当の父親役で『散り椿』などの緒形直人、ゆりの父を朝ドラ「なつぞら」も話題の山田裕貴、ゆりの母には「科捜研の女」などの片山萌美。警察官役で『止められるか、俺たちを』などの高良健吾、同じく警察官役で「ごめん、愛してる」などの池脇千鶴、駄菓子屋の店主役で『空飛ぶタイヤ』など数々の作品で知られる柄本明といった俳優陣が出演する。なお今夜の放送では是枝監督最新作となる全編フランス撮影、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらの出演で今秋公開が予定されている『真実』の紹介と、監督からのコメントも併せて放送。注目の次回作の片鱗をチェックできる。土曜プレミアム『万引き家族』は7月20日(土)今夜21時~フジテレビ系で本編ノーカット地上波初放送。(笠緒)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年07月20日是枝裕和の最新作、映画『真実』が、2019年10月11日(金)より全国公開。また、映画 『真実』 “特別編集版”が、11月1日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で順次公開される。是枝裕和、待望の最新作映画『真実』は、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞にあたるパルムドールを受賞した是枝裕和の最新作。構想に8年をかけた本作は、全編フランスにて撮影された自身初の国際共同製作映画だ。物語は、国民的大女優ファビエンヌが出した『真実』という名の自伝本をきっかけに、彼女と娘リュミエールの間に隠された、ある“真実”を巡って展開される。あらすじ全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる――。国民的大女優ファビエンヌが自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。是枝監督コメント是枝は、映画制作のきっかけについて以下のように述べている。「元々は、楽屋のシーンだけで出来上がる舞台を考えていました。しかし、実際に映画が動き出したのは、ジュリエット・ビノシュさんから一緒に映画を作る冒険をしないかと、2011年に提案をいただいたことがきっかけです。その時点では、日本で撮るのか、フランスで撮るのかといった確たる目標があったわけではないのですが、ふと、あの話をフランスで撮ってみようかと思いつきました。戯曲の主人公は、その国の映画史を代表する女優だったので、もしかすると、そのような女優さんを撮るチャンスが生まれるのではと思ったんです。そこで、大幅に戯曲を書き直して、母と娘の話に仕上げました。脚本が完全に固まる前の段階で、何度もお二人にお会いして、インタビューをさせていただき、女優という人生を送られている方の生の言葉を、どのように脚本に落としていくかという作業を、継続的な信頼関係のなかで、数年に渡って行っていきました。その結実したものがこの『真実』です。」主演にカトリーヌ・ドヌーヴ主人公・ファビエンヌには、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などで主演を務め、映画界の至宝ともいわれるカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような「国民的大女優」役を演じる。また、彼女の娘・リュミエール役に『ポンヌフの恋人』や、アカデミー助演女優賞を受賞した『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュ、娘婿・ハンク役は、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホークが務める。日本語版キャスト日本語版吹替えには、国民的大女優ファビエンヌ役に宮本信子、その娘で脚本家のリュミ ール役に宮﨑あおいが抜擢。また、リュミールの娘シャルロット役は、『万引き家族』で注目を浴びた子役・佐々木みゆが担当する。脇にもスポットを当てた“特別編集版”なお11月1日(金)から公開される“特別編集版”では、母娘を中心とするドラマの脇を支える男性陣にもスポットライトをあてたストーリーを公開。イ ーサン・ホーク他の出演シーンも盛り沢山となるため、通常版と合わせて、異なる角度からとらえた『真実』を楽しんでみてはいかがだろう。ヴェネチア国際映画祭オープニング作品に選出2019年8月28日(水)、第76回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門 オープニング作品として公開された。“世界三大映画祭”と呼ばれる歴史深い本映画祭の中で、日本人監督作品がコンペティション部門のオープニング作品に選ばれるのは、史上初の快挙となる。是枝は、「大変光栄です。映画祭関係者の皆さんにまず感謝致します。撮影は昨年の秋に10週間パリで行いました。発表された通り、キャストは本当に華やかなのですが、物語の七割は家の中で展開していく、小さな小さな家族のお話です。その小さな宇宙の中に出来る限りの後悔や嘘や見栄や寂しさや、和解や喜びを詰め込んでみました。どうぞ、お楽しみください。」と、本作の見どころと共に、喜びの声を寄せた。映画祭当日、是枝は、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)のオーダーメイドのタキシードを着用。また、ともに登場したジュリエット・ビノシュもジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVÉ)のドレスを身にまとった。作品詳細映画『真実』公開日:2019年10月11日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開監督・脚本・編集:是枝裕和出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ撮影:エリック・ゴーティエ配給:ギャガ原題:La Vérité■ 『真実』 “特別編集版”公開日:2019年11月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
2019年07月20日『万引き家族』の是枝裕和監督初の国際共同製作作品『真実』が、第76回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門オープニング作品に決定。また、オープニング作品であると同時に、コンペティション部門へ正式出品されることも分かった。第76回ヴェネチア国際映画祭は、8月28日(水)~9月7日(土)までイタリアのヴェネチアにて開催。ベルリン、カンヌと並び“世界三大映画祭”と呼ばれ、世界最古の歴史を持つ。そんな同映画祭の中でも、本年度の顔として最も注目を集めるのがこのコンペティション部門のオープニング作品。昨年の第75回ではデイミアン・チャゼル監督の『ファースト・マン』、第73回は『ラ・ラ・ランド』(デイミアン・チャゼル監督)など、多くの話題作がオープニング作品となっていたが、ここに日本人監督が手掛ける作品が選ばれるのは、史上初の快挙だ。また昨年『万引き家族』で参加したカンヌ国際映画祭では最高賞を受賞した是枝監督だが、ヴェネチア国際映画祭には、監督デビュー作で金オゼッラ賞を受賞した『幻の光』(’95)、コンペティション部門に出品した『三度目の殺人』(’17)以来、3度目の参加となる。今回の決定を受け、是枝監督は「私の新作『真実』が、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門オープニング作品に選ばれたという嬉しいお知らせを頂きました。大変光栄です」と喜び、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークら豪華キャストが出演する本作について「キャストは本当に華やかなのですが、物語の七割は家の中で展開していく、小さな小さな、家族のお話です。その小さな宇宙の中に出来る限りの後悔や嘘や見栄や寂しさや、和解や喜びを詰め込んでみました。どうぞ、お楽しみください」とコメントしている。ストーリー国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書…お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年07月19日パルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督の長編14作目となる最新作にして、初の国際共同製作映画『La Verite』(原題)の邦題を『真実』として公開することが決定。併せて、メイキング写真が解禁となった。国民的大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書…お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。一体彼女はなにを綴ったのか?そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。監督を務めるのは、2018年のカンヌ国際映画祭で日本映画21年ぶりの快挙となる最高賞“パルムドール”を受賞し、興行収入46億を超える大ヒットとなった『万引き家族』の是枝裕和監督。本作は、構想8年の渾身作にして初の国際共同製作となる。是枝監督の元に世界トップレベルの俳優陣が集結した本作は、全編フランスにて撮影。主人公・ファビエンヌ役には映画界の至宝といわれる『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような国民的大女優役を演じる。彼女の娘・リュミール役には、ジョニー・デップとのW主演作『ショコラ』で主演女優賞にノミネート、『ポンヌフの恋人』でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュ。娘婿・ハンク役を『ビフォア・サンセット』やその続編の『ビフォア・ミッドナイト』、『パージ』などに出演し、『6才のボクが、大人になるまで。』ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたイーサン・ホークが演じる。今回、是枝監督とキャストらを写し出したメイキング写真が解禁。どのシーンの撮影風景を捉えたものなのかは、スクリーンで是非確かめてみて。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年07月17日『万引き家族』で日本映画21年ぶりの快挙となる、カンヌ映画祭最高賞“パルムドール”を受賞し、興行収入46億円を超える大ヒットを記録した是枝裕和監督。世界が待ち望んだ最新作の邦題が『真実』に決定。10月11日(金)より全国公開される。ストーリーは、国民的大女優ファビエンヌが自伝本『真実』を出版したことから始まる。彼女のもとに、脚本家として活躍している娘リュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの間に生まれたシャルロット、そしてファビエンヌの現在のパートナーと元夫、長年の秘書など、次々と家族が集まってくるのだが、お祝いと称してやってきた彼らの気がかりは、ただひとつ。“ファビエンヌが何を綴ったのか”ということ。やがて自伝本をきっかけに、母と娘の間に隠された愛憎渦巻く真実が露わになっていく。ファビエンヌを演じるのは、映画界の至宝といわれるカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような国民的大女優を熱演。その娘役に『ポンヌフの恋人』のジュリエット・ビノシュ、娘婿役にアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされたイーサン・ホークら、世界トップレベルの俳優陣が集結した。今回、全編フランスにて撮影された現場の様子が伺えるメイキング写真も到着。構想8年という是枝裕和監督渾身作の公開が、今から待ち望まれる。『真実』10月11日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
2019年07月17日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。ハリウッド大作などアメリカ映画は、日本でもおなじみですが、アメリカという国をより知る上で欠かせないのは宗教ですね。移民の国であるアメリカ合衆国は、国民の約80%がキリスト教徒であり、かつプロテスタントの比率が高く、多数のプロテスタント教派が存立、宗教や信仰心は日々の生活の一部となっているのだそう。日本でもキリスト教信仰に基づいた教育の学校は多いですが【シネマの時間】第63回は、現代アメリカの宗教の姿を描いたヒューマンドラマ、映画『魂のゆくえ』をご紹介します!本作は、『タクシードライバー』『レイジング・ブル』などの傑作を手がけた脚本家として知られ、監督としても『アメリカン・ジゴロ』などの映画史に残る作品を生み出してきたハリウッドの巨匠ポール・シュレイダーが、構想50年の末に完成させた話題作!戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす牧師が、自分の所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気づき、内なる怒りと葛藤を抱え、やがて狂気の淵に追い込まれていく姿を衝撃的に描いています。主人公のトラー牧師には、『6歳のボクが、大人になるまで』『しあわせの絵の具愛を描く人モード・ルイス』など名俳優として知られるイーサン・ホークが味わい深い演技で素晴らしい。彼を頼る妊婦の女性に『マンマ・ミーア!』『レ・ミゼラブル』などでスター女優のアマンダ・セイフライド。ヴェネチア映画祭でお披露目された本作は、ポール・シュレイダー最高傑作と評され、本年度の賞レースでも大きな話題を集めており、ゴッサム賞では作品賞、脚本賞、男優賞の最多3部門でノミネートされ、脚本賞と男優賞を受賞。ナショナル・ボード・オブ・レビューでは脚本賞受賞、ベスト10選出、インディペンデント・スピリット賞でも作品賞、監督賞、主演男優賞の3部門にノミネート。さらに本年度のアカデミー賞では、ポール・シュレイダー自身初となるアカデミー賞脚本賞にノミネートを果たしています。4月12日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国順次公開中!どうぞ映画館でお楽しみください。■映画『魂のゆくえ』あらすじー現代アメリカの宗教をテーマに描いた社会派ヒューマンドラマニューヨーク州北部の教会「ファースト・リフォームド」で牧師を務めるエルンスト・トラー。彼は自分自身の考えや出来事を記録した日誌を1年間書き続けることを決めました。ある日、トラーはミサに来た若い女性メアリーから、環境活動家の夫マイケルが思い悩んでいるので相談に乗ってほしいと頼まれる。仕方なく出向いたメアリーの家でマイケルと話したトラーは、彼が地球の未来に思い悩むあまり、「こんな世の中に子どもを産み落とすのは、間違いだ」。メアリーのお腹の子を産むのに反対していることを知ります。「2050年、僕らの子どもは33歳になっている。そのとき地球はどうなっていると思う?温暖化は進み、多くの地球は海に沈み、アフリカは干ばつで穀物の収穫量半分に。この事態を回避できる期限は過ぎてしまい、もう止めることはできない」とマイケルはトラーに語りかけます。「人間は、ずっと生きる意味を問いかけてきた。でもメアリーのお腹の中で育っているのは命だ。これは君だけの問題じゃない」と必死に説得を始めるトラー。「私の父も私も従軍牧師で、私は息子にもそれを勧めた。妻は強く反対していたが、息子は結局入隊することになった。そして6カ月後、彼はイラクで死んだ。私は戦争に息子を送り込み、彼を殺したんだ。妻は私のもとを離れ、私は軍を辞めた。行き場がなくて困っていたところをアバンダント・ライフ教会の牧師に助けられ、ファースト・リフォームド教会の牧師になった。マイケル、約束する。君が子どもをこの世に産み落とすことにどれだけ絶望してようとも、それは子どもをこの世から奪い去ることの絶望とは比べものにならない」と自分自身の辛い体験を通して命の大切さを語ります。しかしながら教会に戻ったトラーは、これで良かったのかと思い悩みます。心の底ではマイケルに共感し、自分の説明に納得のできないもうひとりの自分がいるのでした。一方、トラーは、ジェファーズ牧師とともに教会の250年式典の準備に追われていました。用を足すと尿は血の色で体調も思わしくありません。病院で検査を受けると病名は、癌でした。ある日、メアリーから突然携帯に連絡があります。「すぐにきて。いますぐに」メアリーの家を訪れるとガレージに案内されました。「電池のストックを探していて偶然これを見つけてしまったの。マイケルがガレージで何か作っていると思ったら……」それは、爆弾を装着した自爆テロのためのベストでした。「このままにしていてはまずい。とりあえず私が持ち帰る」警察には通報しないと約束し、トラーは教会に戻りました。そんななか、彼は自分の所属する教会が、環境汚染の原因を作る大企業から巨額の支援を受けていることを知るのです。本当の正義とは一体何なのか?トラーの心は徐々に揺らぎ始め、やがて怒りにも似た感情が彼を蝕んでいくのでした…!■映画『魂のゆくえ』作品紹介映画『魂のゆくえ』2019年4月12日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー!公式サイト:原題:『First Reformed』監督・脚本:ポール・シュレイダー製作:クリスティーン・ベイコン、ダビド・イノホサ、フランク・マーレイ、 ジャック・バインダー、グレッグ・クラーク、ヴィクトリア・ヒル、 ゲイリー・ハミルトン、ディーパック・シッカ製作総指揮:ブライアン・ベックマン、フィリップ・バージン、ブルック・リンドン=スタンフォード、 マーティン・マッケイブ、ルカ・スカリージ、ミック・サウスワース、イン・イェ撮影:アレクサンダー・ディナン編集:ベンジャミン・ロドリゲスJR.美術:グレース・ユン衣装:オルガ・ミル音楽:ラストモード製作年:2018年製作国:アメリカ・イギリス・オーストラリア合作上映時間:113分映倫区分:G字幕:亀谷奈美字幕監修:森本あんり提供:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン配給:トランスフォーマー© Ferrocyanide, Inc. 2017. All Rights Reserved■映画『魂のゆくえ』キャストイーサン・ホーク=トラー牧師アマンダ・セイフライド=メアリーセドリック・カーン=ジェファーズビクトリア・ヒル=エスターフィリップ・エッティンガー=マイケル【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2019年04月21日ミリー・ボビー・ブラウンら人気のキャストたちが帰ってくるNetflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3。この度、全世界待望のシーズン3の予告編と場面写真が解禁された。1980年代のアメリカの小さな町ホーキンスを舞台に、少年ウィルの失踪事件を巡り、彼の家族や友人たち、地元警察が不可解な事件に巻き込まれていく物語。ウィルを探す親友の少年たち、マイク、ダスティン、ルーカスの3人が出会ったのは、謎の少女「11(イレブン)」。すべての不可解な謎をつなぐ、小さな町に隠された恐ろしい秘密とは…?80年代の名作映画へのリスペクトが込められたドラマチックな展開と、息もつかせぬ緊張感あふれるスリラー描写が組み合わさった本作は、キャストたちの魅力も相まって世界中に社会現象ともいえるムーブメントを巻き起こしている。今回のシーズン3の予告編では、しばらく街を離れていたダスティンの帰りを祝福する、お馴染みの仲間たちからスタート。抜けるように青い空の下、まもなく始まる夏休みを連想させるシーンへと続いていく。変わらぬ友情も見える中で注目なのは、確実に大人へと成長した彼らの姿。それを裏付けるような「もう子どもじゃない」というマイクのひと言も印象的だ。さらに、ホーキンスに新たにオープンしたショッピングモールに驚くイレブンなど、平和を取り戻したように見える町が映し出されると共に、徐々に不気味に忍び寄る邪悪な影の姿、そして閉じられたはずの“裏側の世界”が再び開かれるのか、新たに迫るシリーズ最大の危機が感じ取れる予告となっている。同じく解禁となった場面写真には、お馴染みのメンバーたちと共に、イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘マヤ・ホークが演じる新たなキャラクター、“ロビン”の姿も。予告編でも見られたように、『スター・ウォーズ』の真似をするジャスティンとスティーブの仲のよさは今回も健在。また、すっかり髪が伸び、ちょっぴり大人っぽくなった、ミリー演じるイレブンの姿にも注目。シーズン2で仲間入りしたマックスと一緒に、オシャレをしてアイスクリームを手に微笑む姿はいままでのイメージとは違う“普通の女の子”のよう。気になるマイクとの恋は?この後、イレブンに一体何が起こるのか?夏の始まりと共に、さらに盛り上がること間違いなしの待望の映像&写真となっている。Netflixオリジナルシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3は7月4日(木)より配信開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年03月22日全世界累計興行収入450億円を超えを記録した『パージ』シリーズの“はじまり”を描く『パージ:エクスペリメント』(原題:『The First Purge』)が6月、日本公開されることが決定した。21世紀。アメリカは経済が崩壊し、“アメリカ建国の父”を名乗る新政党NFFA(the New Founding Fathers of America)が政権を握っていた。彼らは犯罪率を1%以下に抑えるためにある施策を採用。メイ・アップデール博士が考え出した1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる“パージ法”だ。反対デモが起こる中、全国での適用の前にニューヨークのスタテン島内だけに施行する“実験”が行われることが決定。島に残る島民には5000ドルの賞金が用意された。島の住民たちは不安を抱えながらパージ当日を迎える――。イーサン・ホーク主演『パージ』は、1年に一晩(12時間)、殺人を含む全ての犯罪が合法になる法律“パージ法”が施行されたアメリカで、市民たちが犯罪者たちから逃げ惑うという斬新な設定で全米初登場No.1の大ヒットを記録。その後も『パージ:アナーキー』や『パージ:大統領令』と続編が公開され、アメリカをはじめ世界で大ヒット。TVシリーズ「ザ・パージ」も放送された。そんなシリーズの最新作となる今作では、『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイと『パラノーマル・アクティビティ』シリーズのジェイソン・ブラムが製作を務め、『パージ』監督のジェームズ・デモナコが脚本を、『フルートベール駅で』の共同プロデューサーを務めたジェラード・マクマリーがメガホンをとり、“パージ法”がなぜアメリカで施行されることになったのか、そのはじまりを描く。なお、主演には新人を大抜擢。イラン・ノエルがスタテン島を縄張りにするギャングのリーダーを演じる。そのほか、“パージ法”を発案した政府の研究員を『スパイダーマン:ホームカミング』のマリサ・トメイ。レックス・スコット・デイヴィス、ジョイヴァン・ウェイド、クリステン・ソリスが出演する。『パージ:エクスペリメント』は6月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年02月15日イーサン・ホーク主演、巨匠ポール・シュレイダー監督による『魂のゆくえ』。本年度アカデミー賞脚本賞にノミネートされている問題作から、予告編とポスタービジュアルが公開された。本作は、戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす牧師が、自らの所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気づき、徐々に信仰心が揺らいでいく様子を衝撃的に描く問題作。聖職者でありながら内なる葛藤を抱える主人公トラー牧師を実力派俳優イーサン・ホークが熱演。ヴェネチア国際映画祭でお披露目された本作は、ポール・シュレイダー最高傑作と評されて批評家から絶賛を浴び、アメリカでは気鋭の配給会社「A24」による公開でスマッシュヒットとなった。この度、解禁された予告編は、美しくも物悲しい愛国歌「リパブリック讃歌」を背景に、イーサンが演じる牧師トラーが、息子をイラク戦争で失った過去を打ち明ける場面から始まる。その死によって彼は傷つき、自分を苛み続けているのだ。そんな中、礼拝で出会った女性信徒メアリー(アマンダ・セイフライド)の夫マイケルが、トラーに問いかける。「2050年の地球はどうなっていると思う?俺たちが生きているうちに最悪な時代が来るんだ」。次第にメアリーと心を通わせていくトラー。しかし、彼が自らの教会「ファースト・リフォームド」の運営に意見すると、上層部から「立場をわきまえろ」と一蹴されてしまう。ほどなくして、メアリーに耐え難い不幸が訪れる。トラーは「誰かが行動しなければいけない!」と声を張り上げ、祈りにも似た叫びが、次第にトラーを駆り立てていく。「神の意思だと思って割り切れ」と助言する司祭に背くように、トラーはある決心をする――。同時に発表されたポスタービジュアルでは、黒い背景に浮かぶトラーの静かなる意志を感じさせる横顔の上を直線状の炎が横切っている。真っ赤に縁取られた輪郭が、燃えているのは多数の木々と教会であることを明らかにしている。その意味とは一体…。イーサン演じる牧師トラーの行動の真意が気にならずにいられない映像とビジュアルに仕上がった。『魂のゆくえ』は4月12日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:魂のゆくえ 2019年4月12日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国にて順次公開© Ferrocyanide, Inc. 2017. All Rights Reserved
2019年02月14日映画『魂のゆくえ』が、2019年4月12日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国の劇場で公開される。構想50年、ポール・シュレイダー渾身の作品監督・脚本は、『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『ザ・ヤクザ』などの傑作を手がけた脚本家として知られ、『アメリカン・ジゴロ』も監督したポール・シュレイダー。構想50年の末に完成させた『魂のゆくえ』では、戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす牧師が、自分の所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気づき、徐々に信仰心が揺らぎはじめ、諦念と怒りで満ちていく様子を描いていく。トロント映画祭で披露され、”ポール・シュレイダー最高傑作”と評されるなど、批評家からの絶賛に次ぐ絶賛を浴びた渾身作だ。第91回アカデミー賞脚本賞ノミネート第91回アカデミー賞において、脚色賞(ポール・シュレイダー)にノミネート。その他、ゴッサム賞では脚本賞と男優賞を受賞、ナショナル・ボード・オブ・レビューでは脚本賞受賞、インディペンデント・スピリット賞でも作品賞、監督賞、主演男優賞の3部門にノミネートされている。『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホーク主演聖職者でありながら内なる怒りと葛藤を抱え、やがて狂気の淵に追い込まれていく主人公トラー牧師を熱演するのは、『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホーク。そして、『マンマ・ミーア!』『レ・ミゼラブル』などのスター女優アマンダ・セイフライドが、主人公を頼る若い女性を演じる。ストーリートラーは、ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師。ある日、トラーは礼拝に来た若い女性メアリーから、環境活動家の夫マイケルが思い悩んでいるので相談に乗ってほしいと頼まれる。仕方なく出向いたメアリーの家でマイケルと話したトラーは、彼が地球の未来に思い悩むあまり、メアリーのお腹の子を産むのに反対していることを知る。必死に説得を始めるトラーだが、心の底ではマイケルに共感し自分の説明に納得のできないもうひとりの自分がいる。一方、彼は自分の所属する教会が、環境汚染の原因を作る大企業から巨額の支援を受けていることを知る。本当の正義とは一体何なのか。トラーの信仰心は徐々に揺らぎはじめ、やがて怒りにも似た感情が彼を蝕んでいくのだった…。作品情報映画『魂のゆくえ』公開日:2019年4月12日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国公開監督・脚本:ポール・シュレイダー出演:イーサン・ホーク、アマンダ・セイフライド、セドリック・カーン配給:トランスフォーマー原題:『First Reformed』
2019年01月26日イーサン・ホークを主演に迎え、『タクシードライバー』の脚本家として知られる巨匠ポール・シュレイダーが構想50年の末に完成させた渾身作にして最高傑作『First Reformed』が、邦題『魂のゆくえ』として4月12日(金)より緊急公開されることが決定した。■ストーリートラーは、ニューヨーク州北部の小さな教会「ファースト・リフォームド」の牧師。ある日、ミサに来た若い女性メアリーから、環境活動家の夫マイケルが思い悩んでいるので相談に乗ってほしいと頼まれる。仕方なく出向いたメアリーの家でマイケルと話したトラーは、彼が地球の未来を憂うあまり、妊娠中のメアリーの出産に反対していることを知る。必死に説得を始めるトラーだが、心の底ではマイケルに共感し、自分の説明に納得のできないもうひとりの自分がいた。一方、彼は自分の所属する教会が、環境汚染の原因を作る大企業から巨額の支援を受けていることを知る。本当の正義とは一体何なのか。トラーの信仰心は徐々に揺らぎはじめ、やがて怒りにも似た感情が彼を蝕んでいく…。戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす牧師が、自分の所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気づき、徐々に信仰心が揺らぎはじめ、諦念と怒りで満ちていく様子を描いた本作。聖職者でありながら内なる怒りと葛藤を抱え、やがて狂気の淵に追い込まれていく主人公トラー牧師を熱演するのはイーサン・ホーク。各地の映画批評家協会賞では、ブラッドリー・クーパーやラミ・マレックなどの有力候補を上回り、最多の男優賞を受賞。今回惜しくもアカデミー賞ノミネートはならなかったものの、高く評価されている。彼を頼る女性メアリーには『マンマ・ミーア!』『レ・ミゼラブル』などのスター女優アマンダ・セイフライド。トロント映画祭でお披露目された本作は、「ポール・シュレイダー最高傑作」と評され、批評家からの絶賛に次ぐ絶賛を浴び、アメリカでは気鋭の配給会社「A24」による公開でスマッシュヒット。本年度の賞レースでも大きな話題を集め、ゴッサム賞では作品賞、脚本賞、男優賞の最多3部門でノミネートされ、脚本賞と男優賞を受賞。ナショナル・ボード・オブ・レビューでは脚本賞受賞、ベスト10に選出など、59もの映画賞を受賞し、103ノミネートを達成(1月22日現在)。日本時間1月22日22時すぎに発表されたアカデミー賞のノミネーションでは見事、脚本賞でシュレイダー初のオスカーノミネートを果たしている。『魂のゆくえ』は4月12日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:魂のゆくえ 2019年4月12日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国にて順次公開© Ferrocyanide, Inc. 2017. All Rights Reserved
2019年01月23日新キャラクター“フォーキー”の登場が明らかになっている映画『トイ・ストーリー4』から、日本版特報とポスタービジュアルが到着。さらに、ウッディとバズ・ライトイヤーの声優を、唐沢寿明と所ジョージが続投することも分かった。本作は、おもちゃたちの世界を舞台に、人とおもちゃの絆をドラマティックに描き、世界中の観客を感動の渦で包み込んだディズニー/ピクサー作品『トイ・ストーリー』シリーズの最新作。ウッディの声を務める唐沢さんは「『トイ・ストーリー』はシンプルでいて、でも決して子供向けということだけでなく、大人を納得させてしっかり感動できる作品」とシリーズについて語り、「(新しい物語は)全く想像がつかないけど、本当に世界中で愛されていて、楽しみにして下さっている方がたくさんいるので、その期待を裏切らないように、繊細にやらなければいけないと感じています」と新作への意気込みを語る。一方、バズ・ライトイヤー役の所さんは「バズ・ライトイヤーは僕にとって相棒みたいな存在」と演じるキャラクターについて思いを述べ、「最初の『トイ・ストーリー』を観た小学生がもう30歳、40歳になっているわけで、その人たちが自分の子どもたちに『トイ・ストーリー』を観せて…と、バズ・ライトイヤーは未来永劫続きます!」とコメントした。今回到着したのは、ウッディとバズのほかお馴染みのキャラクターたちが手をつないで楽し気にしているかと思いきや…、フォーキーが「僕だけ場違いだ!」と手を離し、キャラクターたちが飛んでくるコミカルなシーンが映し出された特報の吹き替え版だ。唐沢さんと所さんのほかにも、髪を三つ編みにしたカウガール人形ジェシー役の日下由美、顔のパーツをつけ替えられるジャガイモ頭のおもちゃ、ミスター・ポテトヘッド役の辻萬長、ミセス・ポテトヘッド役の松金よね子、気が弱くて臆病なティラノサウルスのおもちゃ、レックス役の三ツ矢雄二が続投。また、プラスティック製のブタの貯金箱のハム役を、イーサン・ホークやマーク・ウォールバーグなどの吹き替えを多く担当する咲野俊介が、胴体がコイルのダックスフントの形をしたおもちゃスリンキー役を、『ハリー・ポッター』シリーズのシリウス・ブラック役など数々の洋画の吹き替えを担当する辻親八が新たに担当することが決定した。『トイ・ストーリー4』は2019年7月12日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:トイ・ストーリー4 2019年7月12日より全国にて公開©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
2018年12月20日日曜朝(現地時間)、ロサンゼルス映画批評家協会賞が発表された。受賞者たちは、10月に発表された功労賞を受賞した宮崎駿監督とともに、来年1月12日にロサンゼルスのインターコンチネンタル・ホテルで表彰される。主な受賞リストは以下の通り。作品賞受賞:『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)次点:『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン監督)監督賞受賞:デブラ・グラニック監督(『Leave No Trace』)次点:アルフォンソ・キュアロン監督(『ROMA/ローマ』)主演男優賞受賞:イーサン・ホーク(『First Reformed』)次点:ベン・フォスター(『Leave No Trace』)主演女優賞受賞:オリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』)次点:トニ・コレット(『ヘレディタリー/継承』)助演男優賞受賞:スティーヴン・ユァン(『Burning』)次点:ヒュー・グラント(『パディントン2』)助演女優賞受賞:レジーナ・キング(『ビール・ストリートの恋人たち』)次点:エリザベス・デビッキ(『妻たちの落とし前』)脚本賞受賞:ニコール・ホロフセナー、ジェフ・ウィッティ(『Can You Ever Forgive Me?』)次点:デボラ・デイヴィス、トニー・マクナマラ(『女王陛下のお気に入り』)功労賞宮崎駿(Hiromi Kaku)■関連作品:パディントン2 2018年1月19日より全国にて公開© 2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved.女王陛下のお気に入り 2019年2月15日より全国にて公開(C)2018 Twentieth Century Foxへレディタリー/継承 2018年11月30日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018 Hereditary Film Productions, LLCバーニング 劇場版 2019年2月1日よりTOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開©2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reservedビール・ストリートの恋人たち 2019年2月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
2018年12月10日日本公開を間近に控える映画『リグレッション』で主人公を演じるイーサン・ホーク。この度、俳優だけでなく映画監督、脚本家としても活躍し、最近ではレコードレーベルを設立したことが明らかになるなど、多才な活躍をみせる彼のコメントがシネマカフェに到着した。1990年のアメリカ・ミネソタを舞台に、父親からの虐待を告発した少女の事件を調べはじめた刑事が、事件の真相を追ううちに、この町に秘められた恐るべき巨大な闇に迫っていくという本作。1980年から90年初頭のアメリカでは、悪魔崇拝者による儀式が次々と告発され、多くの人々がパニックと疑惑の渦に巻き込まれ社会問題に。本作は、そんな話に着想を得て作られたサスペンスだ。◆出演作選びは“監督”がポイント?アカデミー賞ノミネート作『6才のボクが、大人になるまで。』や『マグニフィセント・セブン』、是枝裕和監督の最新作『La Verita』(仮題)など、様々なジャンルの作品に出演するイーサンだが、本作で演じているのは、主人公で刑事のブルース・ケナー。そもそも、本作への出演を決めた理由は何だったのか?イーサンは「本物のフィルム・メーカーは少ないと思う。アレハンドロは本物のひとりだから、僕が必要だと言われ真剣に考えたんだ」と言い、「『アザーズ』『海を飛ぶ夢』『アレクサンドリア』も好きだったし、一緒にやりたいと思った」と、アレハンドロ・アメナーバル監督が本作のメガホンをとることが重要だったと明かしている。また、「ピーター・ウィアーや、パヴェウ・パヴリコフスキのような世界中の監督たちとの仕事も楽しんだよ」とこれまで仕事を共にしてきた世界中の才能あふれる監督をふり返り、「アレハンドロは特にヨーロッパで評価が高い。才能豊かな監督との仕事はいつも楽しめるよ」と今作も楽しんだと語っている。◆事件の真相を追う刑事役は“謎だらけ”?映画に出演して30年以上になるイーサン。今回演じたブルース・ケナーという役は、その役者人生の中でも初めての挑戦だったようで、「ミステリアスな役柄でバックグラウンドの設定がないキャラクターは初めてだったんだ。この映画で気に入ったのは、余計なところが無く、謎が多いところ。ブルース役をやることになったけれど、誰も彼をきちんと知らない。友人に会ったこともない。妻や家族もわからない、子どもがいるかどうかも。何もわからない。この事件のことしかわからない」と謎だらけだと説明し、「アレハンドロと沢山話したが、これは殺人ミステリーで、他のことは関係がない、誰も気に掛けないので表現しない」とそれは監督のあえての演出だと言い、イーサンはそれが気に入ったのだという。◆“共演”エマ・ワトソンの今後にも期待「どうやって大人の役者になっていくのか」イーサンは本作で共演するエマ・ワトソンについてもコメント。今回エマが演じているのは、父親からの虐待を告発した少女アンジェラ・グレイ。ブルース・ケナーが追うのがこの事件だ。イーサンは「僕やエマのように若い頃からキャリアをスタートした場合、40歳を超えてもなお、演じる事を愛し、引き続き映画業界に関わっていくというのは、厄介な迷路を彷徨うような事」とエマの共通点を述べ、「僕は、そこが魅力的だと思っている」とコメント。また、「彼女はとてもスマートで、演技も素晴らしかったし、そのうえ学位を取っているなんて、全くもって尊敬するね」と絶賛し、「彼女がどうやって大人の役者になっていくのかを見るのが楽しみだよ」と今後の活躍にも期待を寄せているという。謎に包まれた少女暴行事件、真実は彼女の“記憶”の中に…。イーサン・ホークとエマ・ワトソン。人気実力派が出演する傑作サスペンスは、ぜひ劇場の大スクリーンで堪能して欲しい。『リグレッション』は9月15日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:リグレッション 2018年9月15日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開© 2015 Mod Entertainment Mod Producciones Himenoptero Regresion Canada Inc Telefonia Studios Regression A.I.E
2018年09月15日