岡山県倉敷市。約270坪の広大な敷地に建つO邸。建築家でありペット共生住宅の専門家として海外でも知られている、廣瀬慶二さんに設計を依頼しました。内部は贅沢なワンルームのようで、ネコが駆け回る場所と進入禁止空間とのメリハリもつけられています。大きな開口部の先にはネコが過ごせるパティオ、すなわちキャティオが。室内に張り巡らされたキャットウォークや棚に隠された迷路を、アビシニアンのココとマーシャンが優雅に歩き、瀕死状態で保護したルルも今では元気に走り回っています。■ ネコの家に人間が住まわせてもらっている家夏は日の出とともに起こしにくる彼女たちのトイレを片付け、朝食を食べさせたら出勤前にひと遊び。帰宅すると車の音に反応し、ドア前に整列してお出迎え。寝るときはもちろん一緒。足元、腕枕、お腹や背中に3匹が文字どおりOさんに寄り添って眠るのが至福の時なのです。20代の頃からいずれは猫と暮らしたいと考え、ペット共生住宅にも住んだものの、中途半端さは否めなかったといいます。以前から設計を担当した廣瀬慶二さんの著書を読んでいて、その中の「若い猫と暮らす際、年を取った猫がプライドを持って暮らせる家をつくりたい」という一文に惹かれたそう。廣瀬さんに伝えたのも「ネコ中心の家にしてほしい」とだけでした。棚からキャットウォーク、猫寝天井と縦横無尽に遊べる構成に昨年6月に入居し、キャティオでは短い秋を過ごしました。まもなく訪れる春のうららかな日のもと、彼女たちはここを駆け巡ったり、のんびりとひなたぼっこしたり、季節を告げる鳥や芽吹き始めた自然に包まれ、思い思いの時間を過ごします。それを眺めるOさんの幸せな笑顔まで目に浮かぶようです。■ 潜在能力を存分に発揮できるような猫のための設備キャティオをはじめ、爪研ぎ柱、キャットウォーク、猫寝天井、猫地窓。この家のネコのための設備は、数えあげたらキリがありません。なのに、わざとらしくないのです。廣瀬さんの言葉を借りるなら「家が猫々しくない」。でも機能はぎっしり。最近よくある既製品の家に付け足すようなやり方ではなく、そぎ落とすという方法論で構成されたO邸。自然素材が多用され、住宅の性能もよく考えらています。例えば棚の最下部に設けられたケージの窓を開け放つと、植栽のある庭から冷えた風が部屋を通り、東側の窓に抜けていきます。そして、キャティオに面した東向きの開口部は、切妻屋根が直射日光を遮りながら、心地よい光だけを運んでいます。さらに「動物行動学」の観点から、ペットとの共生のあり方を考え続けてきた建築家の廣瀬さんが目指したのは、ネコの潜在能力を引き出す家。「ネコには飼い主の知らない能力がまだまだ隠されている。それを発揮できる家をつくるのが、飼い主の義務です」。それはネコが全力で遊べる家。全力でジャンプして、全力で直線距離を走ることができて、全力で爪研ぎに立ち向かえる。それは土地面積に関係なく、縦方向に伸ばせば狭小住宅であっても可能だといいます。また室内飼いだとネコに悪いという気持ちが働いてしまいますが、それも間違いです。交通事故や病気の感染を避けるためにも、ネコは「完全室内飼育」にするべきだと廣瀬さんは語ります。「室内で引き起こす爪研ぎやマーキングといった問題行動も、こうした退屈させない空間を与えることで解消するのです」。■ 設計者が考える猫と楽しく暮らす工夫Point1. キャットウォークと爪研ぎ柱飛びつき背を伸ばして爪を研げる、サイザル麻を巻いた爪研ぎ柱。若いルルは勢いよくいちばん上まで登り、ガガガと爪を研ぎながら下りてきます。キャットウォークでは、歩いたり昼寝をしたり、隙間から下をのぞいたり。下からは人間が見上げてネコの姿を楽しみます。「キャットウォークは若いネコにとっては駆け巡る道、成猫の場合は居場所をつくるという考え方。それによって、成猫でも自然と動くようになります」(廣瀬さん)Point2. ネコ階段~吹き抜けの動線内部に猫用階段が仕込まれた棚。最下部の格子框開き戸は2か所だけガラス框の開き戸になっています。ここから風を取り入れられるようになっており、それが室内を通りロフトに設置された窓から抜ける風の流れを設計しています。こちらは、猫寝天井から3Dソフトを使って設計した棚内部。難解なルートも、スマートに移動できるのです。Point3. ロフトからの眺めとネコ穴キャットツリーやキャットウォークともつながるロフト。ルートの途中に何か所か穴を開けており、ショートカットも可能です。ネコは高いところに登って、外を眺めるのが好きなので、ロフト本棚上部の窓からも外の景色眺められるようにしています。こちらは物音がしたらのぞける、ロフトの玄関側に設置した猫地窓です。Point4. トレイの処理猫トイレと猫ダイニングを上下に重ねてコンパクトにしました。トイレのそばにはゴミシューターを設置、においがついたものを流すように捨てられ、上がってくるにおいはそばに設置された換気扇でかき消すことができます。■ いつだって好きな場所に行ける幸せバスルームはバリのリゾートホテルバスルームは、憧れだったバリのリゾートホテルのイメージで。シャワーブースとバスタブをセパレートして、タイルの一部に自然石を混ぜたり、仕上げまでリッチ。晴れた休日の昼下がりには、お湯につかりながらキャティオでまどろむネコたちと、坪庭から豊かな緑が同時に眺められ、贅沢なバスタイムに身も心も癒やされます。プライベートスペースはネコたちでも侵入禁止ウォークインクロゼット兼ワークスペースはキッチン、ホールとともにネコたちは進入禁止の場所。また、寝室とリビングもシフォンのカーテンで緩やかに仕切っています。「バリは好きだけどコテコテのリゾートというより、アンティークが似合うような洗練された感じに」というイメージ設計したそう。大きな敷地だからかなえられた平屋造り約45平米の広々キャティオ、大きな屋根部分はくり抜かれ、日光と雨が存分に入るように。細かい縦格子が目隠しの役目を果たし、風は通しても外からは見えず、ネコもキャティオからは出られない構造になっています。これだけ大きな敷地だからかなえられた平屋の造りになっています。いかがでしたか?気がすむまで散歩したり、高いところへ登ったり。室内で暮らすネコには楽しく過ごしてもらいたい。そんな姿を眺めることで、飼い主も幸せになれるO邸なのです。もっと詳しく見たい方は、ぜひ『住まいの設計2017年5-6月』も参考にしてみてくださいね。設計/ファウナプラス・デザイン撮影西岡潔住まいの設計2017年5-6月号美キッチンand 極楽バスルーム【巻頭大特集】は、美キッチンand 極楽バスルーム。家づくりでもっともこだわりたいキッチン&バス。理想とする暮らしの美しいキッチンとうっとりするようなバスルームを紹介。【第2特集】は、ネコと暮らす”ということ、イヌと暮らす”ということ。ペットも人もしあわせに暮らしている家を紹介。その他にもリノベーション連載や地元で評判の工務店など、気になる情報がま満載です!
2018年06月25日私たち設計者の仕事は、大きく分けると2つあります。ひとつは施主の要望を形にするために建物の図面を描く「設計」という業務。そしてもうひとつは、図面の指示どおりに現場が進んでいるかを確認する「監理」という業務です。それらを行ったうえで、私たちがいただく報酬、いわゆる設計料というものがあります。今回は、設計と監理の仕事についてと、その報酬についてご説明いたします。■ 意外と知られていない!設計者の仕事の「設計」「」って?監理「設計業務」は一般的にイメージしやすいと思います。さわだゆたか / PIXTA(ピクスタ)施主の要望を聞き、それを設計図に起こし、さらに詳細に見積りをとれる図面、役所に提出できる図面として精度を上げて制作する仕事です。「監理業務」はわかりにくい部分もあるかもしれません。簡単にお伝えすると設計図と現場とを照らし合わせる仕事です。YUMIK / PIXTA(ピクスタ)そして図面をもとに、どうつくっていくかを現場で考える仕事でもあります。よくドラマなどで、以下のような場面を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。設計者「こうしたいんです!」現場監督「ばっきゃろー!できるかい!!」ここまでわかりやすい会話は実際ないですが(笑)、かなり近いやりとりを行っていることは確かです。設計者は設計図をもとに図面で詳細に見えてこない部分を現場と検討します。そのなかで、こうしたいと思うことを現場に伝えます。それはお施主様の思いを技術的に代弁することにもなります。現場は、それをどうやって実現しようかを考えます。そのなかで私たち設計者もアイデアを出し合い、最終的に形となります。kou / PIXTA(ピクスタ)この連携を円滑にするのは、現場監督さんの工事管理、そして設計者の監理の仕事の一部なわけです。設計者は図面を描いて終わりではないということがご理解いただけたら幸いです。■ 「設計料」って、どのような形で支払われるものなの?上記の業務にあたって、私たち設計者は報酬をお施主様からいただいています。いわゆる「設計料」というものです。sakura / PIXTA(ピクスタ)設計事務所で家を建てることを考えたとき、設計料分を高いと考える人がいます。私たち日本人は、商品とならない知的財産へお金をかけることに躊躇しがちです。なかには設計はお金が発生するものでなく、営業としてのサービス行為と考える人もいるのです。皆さんは設計という仕事の対価について、どのくらい理解をしているでしょうか。例えば設計事務所以外の住宅会社で注文住宅のプランをサービス、つまり無料で行ってもらったとしましょう。それは施主であるあなたにとっては無料に感じるかもしれません。では、反対にプランを作成した人は無報酬でやっているのかというと、それは違います。その人も給料をもらわないと生活ができません。どこからそれを捻出しているのでしょうか。それは施主が支払う工事金額の中です。smile / PIXTA(ピクスタ)経費なのか、営業費なのか、それは会社によって違うでしょう。つまり全体としての金額は、決して設計が無料で組み込まれているというわけでなく、サービスの見せ方という点で異なるだけなのです。一生着ていたいと思うお気に入りの服を量販店で買うか、オーダーメイドで注文するかという例えで考えるとわかりやすいかと思います。家づくりにあたって、設計事務所、工務店(設計施工会社を含んだ)、ハウスメーカーで、家をつくるプロセスや、提示金額の表現が異なります。でも、家が建つ以上、設計図は存在しますし、それを作ることを仕事とし生活している人が社会にいるということは共通しています。Komaer / PIXTA(ピクスタ)その人をみつめることで、設計という仕事の意義や価値を家づくりのなかで理解していただけるとうれしいです。
2018年06月24日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ ある方のご自宅です『relife+(リライフプラス)vol.29』絶賛発売中です。今回の表紙にも使わせていただいたのは、憲法学者、大学教授でコメンテーターとしても活躍されている木村草太さんのご自宅。窓の外に豊かな緑が広がる団地をすてきにリノベしてお住まいです。開放的で、家族が自然と仲良くなれそうな優れたプランにもぜひ注目してくださいね!■ イラストの破壊力が…今号から新連載がいろいろとスタートしたのですが、個人的に気に入っているのが「人気デザイナー・建築家に聞く この建材・設備に恋してます」。記念すべき初回はブルースタジオさんの若手スタッフ3名に取材させていただきました。高垣秀雄さんによる似顔絵がめっちゃいい味出してます。こちらの想像をはるかに超えるアイテムが続々と挙げられ、とっても刺激的で楽しい取材でした。■ 偶然ですが埼玉つながり大平一枝さんの連載「東京オアシス(今回は埼玉)」では戸田市にある野の花屋さんを取材させていただきました。創業は28年前とのこと。グリーンのお花が多いのもステキですよね。連載「イサドの森」では東大宮にある人気のカフェ&ギャラリー「温々(ぬくぬく)」さんを取材させていただきました。ゆったりとした敷地に建つ築170年の納屋をリノベーションした建物はカフェというより旅館?のような佇まい。広々とした店内は天井が高くてとても居心地の良い空間でした。窓の前の棚にガラスの器がディスプレイされているのですが、キラキラしてとってもキレイですよね。
2018年06月23日小さくても、自分たちらしいカフェを開きたい――。そんな思いを抱いて、土地を探すこと5年。和田さん夫妻が見つけたのは、茅ヶ崎駅から徒歩10分、おしゃれな雑貨店や飲食店が並ぶ大通りから小道を入った静かな住宅街の一角でした。■ カフェの名前は家族のイニシャルを組み合わせてつけた完成したカフェは、庭の豊かな緑やガルバリウム鋼板を乱張りにした外壁が印象的です。店の名前は「nokka」。夫妻と両親の名前のイニシャルを組み合わせた造語ですが、「フィンランド語では『くちばし』を意味するそうです」と妻。北欧テイストにまとめた店内に、ぴったりと合うネーミングです。■ デメリットと思いがちな三角形の敷地には意外なメリットが敷地は25坪と小さく、三角形という変形地でしたが「希望どおりの環境でしたし、日当たりも風通しもよく、ここしかないと思いました」と和田さん。設計は、以前から交流のあった木津潤平建築設計事務所の木津潤平さんに依頼しました。「カフェ兼住居の建物で、カフェには緑豊かな庭があり、住居部分はなるべく狭さを感じないように」という希望を伝え、カフェハウスづくりはスタートしたそうです。夫妻の要望を受けた木津さんは、建坪9坪のコンパクトな建物で、1階はカフェ、2階は住まいというプランを提案。庭はデッドスペースとなりがちな鋭角部分を利用してつくり、両開き窓やガラス入りの扉を通して、カフェから緑を眺められるようにしました。「三角形の庭は、同じ面積の矩形の庭よりも奥行きと広がりを感じることができます」と木津さん。トネリコやオリーブなどの木々が風に葉を揺らす様を眺めていると、まるで森の中にいるように感じられ、リラックスできます。カフェ部分の高い天井は、2階の床をスキップフロアにして1段上げることで実現。2階からの光を取り込むように上部に窓をつくり、明るさと広がりを得られるようにしました。また、カフェ内の壁は漆喰、床はラフなモルタル仕上げになっていてます。「お二人の穏やかな人間性や暮らしぶりがそのまま表れるように、温かみのある素材感を楽しむ空間にしました」と木津さん。調理スペースは床を1段下げて、カウンターに座った人と目線を合わせるように配慮しています。コンパクトな調理スペースは、動線に無駄がなく作業効率がスムーズです。カフェでは、カフェインフリーの飲み物とビオワイン、おつまみなどを提供しています。地元で有名だった雑貨店「サザンアクセンツ」から譲り受けた家具を置き、ワインの空き瓶を彩りのアイテムに。営業がない日曜日、夫妻はカフェでブランチやお茶を楽しむそうです。「生活の場である2階と違って、ここは、私たちもゆっくりと過ごせるくつろぎの場所なんです」■ ふたり暮らしにちょうどいいコンパクトなワンルーム住まいの玄関は、南側に設置。階段の段差を利用して靴の収納もしています。右の写真の左側は、カフェと住居で共有するトイレの扉です。手洗いの洗面ボウルや水栓は、デザインにこだわって選んだものです。「ふたり暮らしなので、住まい部分はワンルームで十分」という夫妻。2階はワンルームとしながらも、ダイニングと寝室の床をスキップさせて空間を緩やかにゾーニングし、一室空間のあちらこちらに居場所があるプランを採用しました。寝室の床を70㎝上げてできた段差には半透明の窓を設置することで、1階に光を届けています。限られた面積でも広がりを感じられるように、南側には天井までの大きなガラス窓を設置。キッチン上部はロフト収納になっています。また、2階にもカフェと同じように温かみのある素材を採用。ダイニングの床は桜、寝室の床はサワラを使い、リラックスできる空間に整えています。敷地の南側は、ハーブ専用のミニ菜園です。ミント、フェンネル、タイム、バジルなど、カフェ用メニューに使うものを栽培しています。左の写真は、妻のお気に入りで、ぬいぐるみ作家・金森美也子さんの作品です。妻はオリジナルブランド「LOOP LOUPE」を持ち、右の写真のような手づくりアクセサリーの販売もしています。こだわりを叶えつつも予算内で収められるように、カフェの漆喰壁や2階の床のワックス塗りは、夫妻でD.I.Y.もしたそうです。こうしたコストバランスも図りながら、自分たちの“好き”をちりばめた空間を手にした和田さん夫妻でした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年3.4月号」も参考にしてみてくださいね。設計/木津潤平建築設計事務所撮影中村風詩人【巻頭特集】「快楽的!住宅設備・建材生活」「小さなお店のある家」豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン
2018年06月20日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ オシャレじゃないものがいっこもないお宅『relife+vol.29』 が6/14に発売になりました。今回「インテリアショップのリノベ」 というテーマで5軒のお宅をご紹介しています。こちらはスタンダードトレードさんの施工例。とってもオトナな雰囲気( といってもお施主さんは私より年下ですが…)で、オシャレじゃないものがいっこもない( けど無理してる訳じゃない)素敵なお宅でした。■ リノベのテーマは…「白」を使わないこと!巻頭特集の1軒めでご紹介したこちらのお宅、 高速道路が目の前なのですが、意外に視線などは気にならず、 見ていて飽きない風景でした「白」を使わないことをテーマにしていた、というだけあり、 様々な色が使われていますが、派手〜という感じではなく、 シックな中に遊び心もある、まさに「デキる」お宅でした和紙を貼った渋かっこいいキッチンも要チェックです。■ 収納王子が武者修行!?『relife+vol.29』 では4つの新連載もスタートしました。そのひとつが、将来「収納御殿」を建てたいという野望をお持ちの収納王子コジマジックさんが、いろいろなところに武者修行に行って家づくりのアレコレを学ぶ、という企画。記念すべき初回は、人気リノベーション会社・フィールドガレージ代表の原 直樹さんのご自邸にお邪魔してきました。とってもおしゃれなんですが、えっこんなところにも収納が!? という驚きがあったり、大学生のお嬢さんのお部屋の壁の色がびっくりするような色だったり(でもかっこいいんですよ)。広さは約65平米とコンパクトですが、見どころいっぱいのお宅をたっぷり6ページでご紹介していますのでぜひご覧くださいね!
2018年06月16日こんな山の上に店舗があるの!?と疑ってしまうような山梨・西八千代郡の高台に、イタリアンレストラン「イル ポッジョ」はあります。味はもちろん、甲府盆地や八ヶ岳を望むロケーションも地元で評判になっています。レストランは武井さん夫妻が営んでいるもので、夫は料理を、栄養士である妻がデザートを担当。絵本に出てきそうな三角屋根の真っ白な建物は、1階が店舗で、2階が夫妻の住宅になっています。建設にあたって夫婦が強く希望したのは、ふたりが子どもの頃から慣れ親しんできたこの雄大な景色を、店舗からも住居からも眺められることでした。設計を担当したオンタイムデザインオフィスの深澤賢治さんは、店舗も住居も窓の配置がポイントになったと言います。■ DIYも組み合わせてこだわりどころに予算を集中お店のシンボルは、入口に面した大きなドーム状の石窯です。夫は国内外で料理経験を積み、本場ナポリでピザ修業もした上で、念願のイタリアンレストランをオープンしました。レストランをつくる際にはナポリから取り寄せたピザ窯と、ナポリ式のエスプレッソマシンは外せなかったと言います。こだわりどころに惜しげなくお金をかけたぶん、ローコスト対策は必須でした。そこで、漆喰の壁は自ら塗り、テーブルや家具に至るまで、すべて手づくりしました。夫が丹精込めてニ度塗りした漆喰の壁は、エスタコウォールを使用。石灰石が主成分の自然素材で、ヨーロッパ伝統の塗り壁材です。壁に掛けられた黒板のワインリストには、厳選された山梨県産のおいしいワインが並んでいます。年代物のミゼット、きれいに重ねられた薪、エントランスボード、カウンター、さり気なく飾られたフレーム、食材まで、すべてのものから武井さんのこだわりが感じられます。ホールと厨房の一体感を出すために、厨房はオープンに。グラス、調味料、フライパンなどの調理器具も、美しくディスプレイされています。■ 最も重要なカギとなったのは景観の生かし方屋外テラスは夫妻の期待通り大人気で、景色を眺めながらのランチの、特等席になっています。そもそも夫妻が景色にこだわったのは、「ほかの土地で暮らしてみて、初めてこの地のよさを実感したから」(夫)と言います。その想いに応えた深澤さんですが、難しい面もあったそうです。「耐震のためにはどうしても壁が必要でしたが、開口のためには壁をできる限り減らしたい。そのために、木造の柱と鉄の梁を使用したハイブリッド構造を採用。耐震性を強化しつつ、大きな窓を取ることに成功しました」(深澤さん)。そうやって、1階店舗の屋外テラスからはもちろん、店舗内や、2階のキッチン、浴室からも、この絶景を眺められるプランが完成したのです。また、もとは畑だった土地を購入したため、農地転用という高いハードルもあったそうです。けれども、周りの農地を利用して、野菜の自主栽培ができるというメリットも生まれました。■ 自宅も最大限に眺望を生かしたつくりに「限られたスペースの中で、2階の自宅はリビングを中心に、各部屋を周りに配置。ゆったりできるスペースを確保できるように計画しました」と深澤さん。主役となるLDKには、北西だけでなく、南西にも大きな窓を設けて、最大限に眺望を生かした住まいを実現。ただ、年間を通して風が強く吹きつける土地柄に配慮して、リビングダイニング西側の開口部は断熱性も重視しました。家族の食事をつくる妻は、料理中も景色が眺められることを要望。店舗のテラスと同じ方向にキッチンを配置しました。さらに、キッチンの先にある広いバルコニーは、まさにアウトドアリビング!テーブルやハンモックを置き、家族のくつろぎのスペースになっています。「ここで取る朝食は最高!バルコニーで過ごすと、心に余裕ができます」と妻。夏には甲府の花火鑑賞する特等席になり、子どもがプールを楽しむスペースにもなっているそう。夫が手塩にかけて育てている野菜畑も一望できます。北側から見たダイニングとリビングです。2階のワークスペースでは、事務仕事ができるようになっています。店舗側からつながる自宅の玄関を1日に何度も通り、オンとオフの区分けなく働く夫と、子育てしながら店舗の手伝いもしている妻。そして、そんな両親の姿を見ながら成長していく子どもたち。店舗兼用住宅ならではのよさを実感し、満足げに笑顔を浮かべる武井さん夫婦でした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年3.4月号」も参考にしてみてくださいね。設計/オンタイムデザインオフィス撮影目黒伸宜【巻頭特集】「快楽的!住宅設備・建材生活」「小さなお店のある家」豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン
2018年06月14日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ 作業スペースを外に設けた反転バージョン「すわ製作所」を主宰する眞田さんのご自邸に伺いました。いろいろと見どころ満載なのですが、詳細は7月21日発売の『住まいの設計9.10月号』で。眞田さんのお宅は、眞田さんご夫婦にお子さん3人、眞田さんのお母様の6人家族。で、このキッチン。作業スペースを囲ったL型キッチンが一般的なのですが、こちらは作業スペースを外に設けた反転バージョン。楽勝で4人くらいが一緒に調理作業をできます。Lに囲われた部分は廊下側からの収納です。ものは考えようですね。■ 犬のための家。しかも平屋です翌日は、服部信康建築設計事務所さんの手がけた「犬のための家」に。広々とした平屋でたいそう気持ちのいい住宅でした。3匹のブルドッグ、フレンチブルドッグものんびりマイペースで過ごしています。実は犬にとって住みやすい家は、人にとっても住みやすい家なんですよね。こちらも7月21日発売の『住まいの設計9.10月号』でご覧ください。■ ちょっとコワいところがまた…先日お邪魔したお宅にて。ご主人が海外出張の際に蚤の市で買ってきたというシンバルモンキー。アンティークな風合いがたまりません。でも小学2年生のお嬢さんが「コワい」というので、ウォークスルーのシューズクロゼットにしまっているそうです。確かにちょっとコワいかもしれませんね。
2018年06月10日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ 6/14(木)『relife+vol.29』が発売になります!来週、6/14(木)『relife+vol.29』が発売になります。表紙は築33年の団地をリノベしたお宅。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍されているイケメンな某大学教授さんのご自宅です。収納王子・コジマジックさんの新連載「家づくり武者修行!」もスタートします。将来「収納御殿」を建てたいという野望をお持ちのコジマジックさんが、いろいろなところに武者修行?に行って家づくりのアレコレを学ぶ、という企画です。とっても楽しいページになっていますのでこちらもぜひご覧くださいね!■ 6月29日(金)18時30分~トークセッション@大阪があります6月29日(金)18時30分~パナソニックセンター大阪 1階 セミナールームにてトークセッションをします。テーマは「141平米のマンションを800万円でリノベするアイデア」豊中市在住の建築家・平野玲以さんをゲストにお迎えして、『relife+vol.23』の表紙も飾った平野さん宅のリノベのプロセスについてアレコレ聞いちゃいます。ちなみ昭和49年築の超カッコいいヴィンテージマンションです。参加費は500円程かかりますが、6/14発売の最新号『relife+vol.29』(1,250円)をプレゼントします!お申し込みはこちらから。ふるってご参加くださいね〜。■ 中2のムスメの愛読書がシブすぎる件先日、高熱で学校を休んだ中2のムスメ。帰宅すると枕元にあったのがこの2冊。確かにお金は大切ですが……。タイムマネジメント的なことに興味を持ち始めたので、私が高校生の頃熱心に読んでいた本をすすめたら、そちらはスルーされました。そ、装丁のせい?
2018年06月09日施主であるあなたは設計の依頼をして、提案プランが目の前に出されたとしましょう。それを見たとき、おそらくあなたは、ぱっと見て気に入れば「わ~い」と舞い上がってしまうでしょうし、そうでなければ「う~ん」と悩んでずっとそのプランをみつめてしまったりするでしょう。何がよくて何がだめだと感じたのでしょうか。客観的に提案されたプランのどこを見ればいいのか。今回は設計者がプランを発想する視点から追っていき、そのポイントを解説します。設計者はどのようにプランを生みだしているのか!私が建築プランをどのように発想しているのか。それは、「建物をどう配置すればいいか」「リビングからそれぞれの個室へどうつなげるか」「敷地から見える美しい風景をどう生かすか」「敷地建てることができる法的面積を有効活用できる方法から探ってみる」など、どういうアプローチがしっくりくるかを確認しながら検討しています。そして、実際にイメージをかたちにするとき、できるだけ頭の中だけでつくりこまないようにしながら手描きでスケッチを書き、さらに施主の希望や法規、構造等とどう折り合いがつくのかを捉えなおします。このとき私は「手に脳みそがある」意識をもって手を走らせています。施主様が提案をみて「いいな!」と思うのは頭だけでない感覚的な部分でもあります。それが私たちの手先によって生み出され、心地よさにもつながると考えています。■ プランは「いいな!」に対するロジック!私たちは、上記で施主様が感じた「いいな!」にきちんと意味と理由があることをお伝えし、「そうなんだ!」と理解をしてもらえるようにこころがけています。そういう案は、プランが成立しています。KY / PIXTA(ピクスタ)プランというものは、設計者が「これはいける!」と思ったイメージを論理的に施主様に説明するものでもあります。そのバランスがきちんと紙を見て、模型を見て、表現されているかということを私は大切にしています。いいなに対するロジックをプランで展開しているのです。現在、提案中のスケッチ例をひとつあげてみましょう。旦那さん奥さんと子ども1人の3人家族に提案しました。リビング・ダイニングに家族が集まってくる家がほしいと要望されて私が提案したのが、以下の案です。「いいな」をいただきました!プランでは、個室や水周りなどの空間をコア状にもうけ、そして、その他の空間をリビング、ダイニングなどのメインの空間としています。南側には要望にあった畳コーナーをもうけ、縁側から庭にアクセスできるように計画しています。施主様からは、限られた予算のなかで、家族が集まるリビング・ダイニング空間を可能な限り大きくとりたいという要望がありました。なので、彼らが「いいな」と思った部分は、メイン空間がひとつながりに大きく確保できていることであったそうです。そしてさらにプランを見てみると、無駄な廊下もなく、水回りや個室、階段などが合理的に区分され解決できているので、ご自身のなかでも整理ができたとのことでした。施主様が求める豊かな空間をつくりだすためには、解決しなければならない課題が必ず出てきます。それをプランに落とし込みます。「いいな」と感じる理由が、なんなのか。それを頭の中に入れながらプランを眺めると、建物を見るのがさらに面白くなるはずですよ!
2018年06月05日「古家つき土地」として売りに出されている物件を見たことはありませんか?家があまりにも古く傷んでいて価格をつけることができないような場合、その家が建っている土地のみを「古家つき」として売るのです。相場より安く手に入ることがメリットですが、古家の解体費用は買主が持つ必要があります。でも、もし古家をリノベーションできたら、家の購入費用がグッと抑えられるのではないでしょうか?この古家つき土地を手に入れ、そこに建っていた家を見事にリノベーションして復活させたのが横浜市内に暮らすMさん。8歳の長女、4歳の長男、0歳の次女と夫妻の5人家族です。敷地面積は約188平米、延床面積約130平米の2階建て、見晴らしのいい高台で隣は緑豊かな神社、と申し分のない好立地でした。物件価格が安く抑えられたため、リノベーション費用に1,920万円をかけました。■ 3年間売れ残っていた家を見て、妻は絶句……。多趣味な夫は、以前も築40年の家を自力でリフォームしたほどの猛者。子どもが2人になり、より広い家を求めて巡り合った横浜市内の中古住宅は、条件はぴったりだったものの廃墟寸前でした。一緒に見に行った妻が思わず絶句するほどボロボロ。それもそのはず、3年も売れ残っていたそうです。リノベをお願いしていた建築家の田井幹夫さんに、その家を見てもらったところ「これは面白くなるんじゃない」と太鼓判!妻の不安を尻目に、とんとん拍子に購入、リノベと話が進んでいったのです。■ 無機質でラフなスタジオ風の1階は、自由に使える空間コンクリートブロックを鉄筋やモルタルで補強した、今ではなかなか見られない「コンクリートブロック造」のM邸。「元々その建物が持っているポテンシャルを活かすのがリノベーション。新築だったら自分では多分やらないようなプランになった」と田井さん。なんと、1階の部屋はすべてモルタル仕上げの土間空間です。まるでスタジオのようなラフな雰囲気の1階。夫がコツコツと買い集めたアンティーク家具やスピーカーなどが置かれ、今は仕事で遅く帰った夫が寛ぐ場所となっています。妻は洗濯物の室内干しをする空間として、そして将来は引っ越してから3人に増えた子どもたちの部屋にする予定だそう。■ いいものは活かしつつ機能を一新できるのはリノベならではリノベーションの醍醐味といえば、元々あったディテールを上手に活かしたり、思い切って機能を刷新してグッと便利になったり、のバランス。M邸はそのバランスが秀逸。玄関は位置を変更せずにオープン棚を設置。ガラスブロックから漏れる光がきれいです。トイレと洗面脱衣室、バスルームなどの水回りはこんな感じ。位置はほぼそのままですが、設備機器を一新して配置を変更しました。2階へ続く階段は既存のままですが、塗装してイメージを一新。1階の居室へ続く建具も昔のままです。■ 2階は、木のぬくもりが優しいみんなの生活の場親子5人のおもな生活の場は2階。テラスだった部分を増築して、2面に大開口がある広々としたリビングに。窓を開け放つと、まるで屋外!隣接する神社の緑と高台ならではの景色が満喫できます。リビングのベランダからは、離れの屋上がよく見えます。子どもたちが自由に行き来できるよう階段を設けたことで、ハンモックで涼んだりバーベキューをしたりと、用途がぐんと広がりました。キッチンは夫婦2人で料理をするため、広めに設計。ステンレストップの作業台がほしいと、妻が要望を出しました。キッチン側は壁で閉じた空間とし、ピクチャーウインドゥを設けています。和室がひと部屋ほしいとの要望から、寝室を畳に。今は2段ベッドと布団で、家族5人が寝ています。寝室の奥には布団もしまえる大容量の収納を確保。右手の扉は階段ホールへ続く引き戸。LDKから寝室、階段ホールへ、ぐるりと回遊できる間取りです。階段ホールは、今は子どもたちの机を2つ置いて子ども部屋のように使っていますが、ユーティリティスペースとして将来様々に活用できそう。奥の小さな扉がトイレ、大きな2枚の引き戸が収納になっています。ここで宿題をしたり、しっかり者のお姉ちゃんが勉強を見てくれたりします。こちらは、おまけのようについていた離れ。屋上は子どもたちの格好の遊び場となっていますが、室内はというと、荷物を整理して夫自ら床をモルタルで塗り、物置兼作業小屋にしているそうです。いかがでしたか。「古家つき土地」を見事によみがえらせたM邸のリノベーション。立地と敷地条件が揃っていれば、お得なお買い物と言えそうです。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年11・12月号」も参考にしてみてくださいね。設計/アーキテクトカフェ・田井幹夫建築設計事務所撮影 飯貝拓司【巻頭特集】「光と風、緑を取り込む家」「みんなのシアワセキッチン&ダイニング」豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン
2018年06月04日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ 「オトナリノベーションNo.3」絶賛発売中!5月15日に発売された『オトナリノベーションNo.3』では、インテリアのイケてるお宅(本のなかはプロの撮ったもっと素敵な写真ですよ)や趣ある古民家を再生した事例、秘密基地みたいな趣味部屋などかご覧いただけます。■ 上級者の額縁使い3つ昨日取材にお邪魔したお宅は、額縁使いが如何にも上級者って感じでしたので、3点ほどご紹介しますね。珪藻土の壁に額縁を飾り、ポトスを吊るして絵のように見立てたり。この額縁は設計のこぢこぢ一級建築士事務所さんからプレゼントされたものだそうです。飾り棚にクラシカルな額縁(鏡付き)を置いてみたり。ピクチャーウインドウもひとつの額縁です。絵とみなされるのは、隣家の借景。
2018年06月03日設計者・建築士は、設計提案を施主様に行うため、まずヒアリングを行います。私の設計事務所では、そのお施主様の思いを形に結びつけるため、独自にヒアリングシートを作成してお話を伺っています。今回はいかにヒアリングが大事かについてご紹介。ヒアリングでは、施主様が要望を設計者にお伝えしたいと思っているでしょうし、私たちはそれを聞いて十分に理解しようと考えているのです。■ 施主はヒアリングにどんなふうに臨めばいい?ヒアリングシート私たち設計者にとってヒアリングという機会は、提案をよりよくするためのものであります。もっと言うと、プレゼンのなかに、提案、そしてヒアリングが含まれていると言っても過言ではないです。そのくらい私は、ヒアリングを大事に考えています。では、お施主様としては、ヒアリングにどんなふうにのぞめばいいのか。どう伝えるのがいいのか。あまりかまえる必要はありませんが、こうしたほうがコミュニケーションを取りやすいですよということを簡単に2つほどご紹介したいと思います。■ 1.あるだけ要望をすべて吐き出してみよう!これはまず、お願いしていますし、できるだけお施主様が考えていることすべてを吐き出していただくように、私も努力しています。そして、施主様には何でも言っていただいています。Rina / PIXTA(ピクスタ)そのなかで私たちは、要望と、その奥にかくされた、施主様の欲している本質を読み解き、それらから形にするヒントを得ようとしています。このようにする理由は、要望の組み合わせ次第でこれは無理だろうと思えた矛盾が、実現する可能性がでてきたりもするからです。それは提案において核になる可能性を多く秘めていたりもします。いろいろな要望が出たあと、私はお施主様にそのなかで優先順位をつけてもらい、要望の整理をします。そうすると、フィルターにかかるように、提案へむけた方針が見えてきます。■ 2.イメージや好きの共有をするために施主様がどんなイメージをもっているのか、そして何が好きなのか。これらを共有することが設計提案をするうえで私は大切にしています。ではその共有をどのように行えばいいのか。node / PIXTA(ピクスタ)例えば、雑誌の切り抜きなどでもいいでしょう。ネットで集めた画像をスマホで見せてもいいかもしれません。言葉のほかに視覚的な情報を相互で確認できることは、要望と提案のずれを少なくします。以前までは、住宅雑誌やその一部をコピーしたファイリングなどを持ってきた方が多かったです。しかし現在では、スマホから、ダウンロードした画像データを見せてくれたり、SNSツールを活用したサイトから収集した画像を見せていただいたりなど、情報共有の手段がより多彩になってきています。イメージをわかりやすく伝達する手段ができたことで、よりお施主のイメージが私たち設計者に伝わるようになりました。これはとても便利ですね!これらのやりとりは、家づくりに対し、設計者と施主様が同じ方向を見て進んでいくためのものでもあります。お互いの信頼感にもつながりますし、意志の疎通がよりスムーズになることは間違いないです。shimi / PIXTA(ピクスタ)それは、家という完成形をともに描くための大事な関係性の構築となっていくことでしょう。このプロセスを経て、私は設計者として、施主様の求めていることや敷地、法規など様々な情報を体のなかに染み渡らせて設計提案へと望みます。あとはおまかせください!と言った感じです!!
2018年05月28日下の写真右側にある大きな木製の家具、何だと思いますか?実はこれ、キッチンで本棚で収納でテレビ台で冷蔵庫でパントリーで、そして何とトイレでもあるんです。この家具があるのはT邸のLDK。敷地面積50平米弱の土地に建つ鉄骨造3階建ての家で、LDKはその2階にあたります。リノベーション費用は何と530万円!さて、どんなリノベーションなのでしょうか?■ 日当たりのいい2階をLDKに。でも、スペースも予算もない?世田谷区にお住まいのTさん一家は、フランス料理店オーナー兼シェフの夫、会社勤めの妻、3歳の長女と1歳の長男の4人家族。子どもが増えてこれまでの家が手狭になったことで、家探しを始めました。そこで出会ったのが、南北が道路に接する3階建て鉄骨造の一軒家。直感的にリノベーションできそうだと感じた夫は、建築家の竹島淳二さんに相談しました。竹島さんは同級生で建築家の檜垣幸志さんに共同設計を持ちかけます。2人が考えたのは、日当たりのいい2階に家族が過ごすLDKを持ってくるプラン。しかし、2階は31平米しかなく、キッチンに冷蔵庫、ダイニングテーブル、テレビ台など、すべてをそのまま置いたらスペースが狭くなってしまいます。しかも、もともと東側の壁の中央にトイレがあり、できれば位置変更も撤去もしたくない……。予算が限られる中で、竹島さんと檜垣さんが出した結論が、この大型家具だったのです。■ 扉の向こうは何?大型家具の中に収められているモノたちまずはもともと2部屋あった2階の壁を取り払い、大きなワンルームとします。そして、東側の壁全面に木製の家具を設置。そこに必要なものすべてを収める、というのが、2人が考えたプランでした。家具の扉をすべて閉めた状態が上の写真。扉の向こうは、左からパントリー、キッチン、冷蔵庫、トイレ、収納、テレビ台、収納です。「えっ、冷蔵庫?トイレも?」と思うでしょう。落ち着いてください。写真で詳しく解説します。右側の写真はパントリーです。食器や食料品のストックだけでなく、電子レンジも収まっているのがすごいところ。左側はオリジナルのキッチン。元は洋室があったのですが、その窓の幅にピッタリはまっていますね。下部には引き出し式の収納、上部にも吊棚があるので収納量も申し分ありません。キッチンのコンロは2口。キッチンの幅が限られていることと、作業スペースとシンクをできるだけ広く取りたいという妻の要望から、2口コンロを選択しました。キッチン右隣の扉を開けると、冷蔵庫がピッタリと収まっています。そして、冷蔵庫の横が問題のトイレ。左が扉を閉めたところ、右が開けたところです。「冷蔵庫の横にトイレってどうなんだろう?」と一瞬思ってしまっていましたが、全然違和感がありません!ドアを閉めていると、その奥にトイレがあるとはとても思えません。こちらは3階へ上がる階段からリビングを見下ろしたところ。テレビ台の様子がよくわかります。テレビの上部と下部、両隣の棚はすべて収納。かなり大容量です。書類や本、テレビ周りの機器、子どものおもちゃなどいろいろなものを収納しています。■ 大型家具が曲線を描くワケ。実はとても理にかなっていた実はこの大型家具、気づいている方も多いと思いますが少しカーブしています。特に、テレビ台の周辺は大きくへこんでいるので、わかりやすいですね。膨らんでいる部分もあり、上から見るとちょうどSの字を描いているような形をしています。これは、この大型家具に収納するものと場所をよくよく考えれば必然なのでした。キッチンや冷蔵庫、トイレにテレビと、様々な奥行きがある設備や機器が収納された家具。最も奥行きのある冷蔵庫と薄いテレビを同じ家具で収納すると、自然に曲線を描くことになるのです。「リノベ予算の6割はこの家具に充てた」という竹島さん。特に、直線である木のパネルを組み合わせてきれいな曲線に見せるための設計には苦労したと言います。でも、そのおかげでLDKは驚くほどスッキリ。階段脇、キッチン側はダイニングスペース。ガラスのテーブルは、夫の店で使っていたものを持ってきたそうです。コストカットのため床材はほとんど既存を利用していますが、家族で過ごす2階だけは全面無垢フローリングとしました。ところで1階はというと、もともとキッチンのあった場所に衣類などをしまう大型収納を設け(写真左)、階段下にはワインセラーを設置しました。右の写真は大型収納側から見た1階廊下。建具やユニットバスは既存を利用しています。洗面とトイレは新しいものに交換。規格品を利用することでコストを抑えました。和室は畳を取って長尺シートを貼り、みんなの寝室として使用しています。長尺シートは子どもたちがおねしょをしてしまってもサッと拭くだけで便利、と妻。こんな風に、1階はなるべく手を加えずに、上手に既存を利用することでコストダウンに成功しています。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年3.4月号」も参考にしてみてくださいね。設計/竹島建築設計事務所+檜垣幸志建築設計事務所撮影飯貝拓司【巻頭特集】満足度が断然違う! 快楽的! 住宅設備・建材生活【第2特集】House With Small Shop小さなお店のある家豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン
2018年05月28日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ 本日のわんこ報告本日のわんこ報告です。チワワの『アイちゃん(2歳 ・メス)』と『マコちゃん(2歳 ・メス)』。一見そっくりですが、姉妹ではありません。マコちゃんにはブラウンの眉があるので、ちょっとお公家さんのような雰囲気を醸し出しています。なおこの家にはワンちゃんの登山道があるのですが、そちらは「住まいの設計」7月21日発売号でご紹介します。■ あの東大ではありません昨日取材させていただいたお宅のそばには『東大通り』というのがありました。おかしいなあ、ここは東京農工大のシマじゃなかったっけ、と思いつつ近づいてみますと『ひがしおおどおり』とルビが。そんなしょーもない話をしていると施主さんは「近くに北大(ほくだい)通りもありますよ。もちろん『きたおおどおり』ですけどね」と。ですよね、早とちりすみませんでした。■ ハーフ断捨離を敢行しましたGWに思い切ってハーフ断捨離を敢行しました。すると出るわ出るわ、こんなものあんなもの。ピカチュウのおもちゃなんて18年くらい前のものです。自分でも「こんなもんあったんや?」と思うくらい様々なモノが発見される。大物以外は燃やせないゴミ袋LLサイズで10袋以上。客用布団類もバンバン捨てました。捨ててるうちに、ちょっとハイになってくるんですね。よっしゃ、これもこれも捨ててしまえ!と。GW前には3人掛けのソファや家具調こたつ他を処理業者さんに引き取ってもらっていたので居間の床面も広くなって清々しい。しかし不用品を処分するときって、かなり費用がかかるんですよ。物を買うときは、処分する時のことまで想像して買わないといけませんね。反省することしきりです。ちなみに着なくなった衣類やバッグなどで捨てるのが躊躇されるものは、次子がメ○カリで販売し小遣い稼ぎしています。小遣いの現物支給、助かります。
2018年05月27日栃木・宇都宮市で社会人の子ども2人と暮らすHさんは、長年暮らした家の建て替えを決意しました。南側に隣地の建物が迫り、東から北に抜ける道路は散歩者も多いため、以前は2階にLDKを設けていたそうです。しかし今回の建て替えでは、1階をLDKに。「より緑や土が身近に感じられる暮らしを望みました」とHさん。■ 暮らしのなかに自然の恵み取り込みたいなら断然!コートハウス1階でも十分に光と風を得てのびのびと暮らせるよう、設計した遊空間設計室・高野保光さんは外壁を閉じ気味にして中庭を設置しました。そして、中庭を囲むように建物をコの字型に配置することで、光と風、プライバシーを獲得。さらに自然豊かな植栽で、暮らしに四季折々の楽しみを与えました。植栽は人気の造園家・荻野寿也さんによるものです。荻野さんは中庭に自然の造形を再現し、外構に周囲と一体感ある植栽を施して原風景を思わせる仕上げとしました。Hさんも植栽の普段のメンテナンスは雑草を抜くくらいで、落ち葉も樹木のあるがままの姿として、掃除しすぎず地面に散らしているそうです。東側は壁を南方向に伸ばし、その内側に中庭をつくっています。北側の道路側には、家族3人分の駐車スペースを確保しています。アプローチの敷石には、耐久性に優れた栃木産の芦野石が使われました。玄関ドアを開けると視線が中庭に抜け、来客にサプライズを与えます。玄関土間から見えるのは、こんな中庭の風景です。■ 空間のレイアウトで暮らしやすさをサポートHさんが1階をおもな生活空間としたのは、先々キッチンへの荷物運びなどの負担を軽くする目的もあったそう。より移動しやすいよう、玄関・リビング・DKは、中庭に沿いながらつながるレイアウトになっています。なかでも、大きめのテーブルを配したダイニングは、リビング、和室ともつながる中心的な存在です。リビングは通常の1.3倍ほどの天井高があり、北側の高所窓からは、ケヤキの街路樹が借景のようにとらえられます。壁の裏側から上る階段は、踊り場からリビング脇を通り、階下と視線をつなぐ役割も果たしています。また、リビングから数段下がった位置には、自宅で仕事をするHさん用の小空間を設置しました。これは、来客時の対応をスムーズにするための配慮です。中庭を介し3方向の部屋は向き合い、内部ではひとつながりになっているため、コミュニケーションが取りやすいという利点もあります。和室からは手水(ちょうず)鉢が目に入り、対面には玄関近くのリビングが見えます。ダイニングの中庭側には、くつろげる濡れ縁があります。和室の地窓は、通風の役割も果たしています。茶室風の和室は、中庭に加え、低い位置から外庭も楽しめます。■ 2階には中庭を見下ろす贅沢なインナーテラスが!2階はプライベートルームと水回りで構成されています。さらに高野さんは、開放感をたっぷりと味わいながらくつろげるようにと、床に深岩石を敷き詰めた広いインナーテラスを設計しました。テラスは中庭を上階から囲み、太陽のまぶしさや雨、外からの視線なども気にすることなく空や緑が楽しめる、贅沢な空間となっています。2階に2つある寝室は共にテラスと接していて、リラックスできるつくりです。庭には、アオハダ、ヤマボウシなどの高木、低木、下草がバランスよく植えられています。「毎朝、ダイニングの窓のロールスクリーンをさっと開け、四季折々の風景を見るのが何よりの楽しみです」とHさん。宇都宮市には、緑化率や植栽の種類などに関する緑地協定があるそう。そうした約束ごとを守りながら完成した、かぎりなく自然体の暮らしを楽しんでいるようです。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年1・2月号」も参考にしてみてくださいね。設計 遊空間設計室撮影 桑田瑞穂【巻頭特集】「ハウスメーカーで建てる家」「平屋ハウスで暮らそう」豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン品質だけじゃない!デザインも個性的なテイスト別ハウスメーカーで建てる家を紹介。
2018年05月25日日刊Sumaiで「丁寧な暮らしを楽しむ木の家つくり」を好評連載中のaipooowさん。「シンプルに、丁寧に、暮らしを楽しみたい」と願うaipooowさん夫妻が建てた理想の家を、【住まいの設計】が取材しました。完成した住まいは、無垢のカラ松を張った床や群馬県産の無垢の杉板を使った階段のほか、水回りに用いたコルクの床、珪藻土の塗り壁など自然素材がふんだんに用いられているのが印象的です。今回は、aipooowさん夫妻が家に込めたこだわりや、住み心地などを紹介します。※憧れの「木の家」はこうして完成した!aipooow さんの家づくり・前篇を読む■ 家族が楽しく快適に過ごせるアイディアが満載!玄関から順番に見ていきましょう。かわいいデザインのポストは、グリーンの外壁に映えるように赤系を選びました。玄関土間は豆砂利を使って、自然の温もりをプラスしています。玄関収納には靴や夫の仕事道具、釣り道具などを収納。玄関収納と外のデッキを直線でつなぐことで、釣りから帰ってきた夫が玄関を抜けてデッキへ直行し、釣り竿などの道具を手入れできるようになっています。リビングとの間仕切り戸は、日差しや人の気配が伝わるように、光を通すポリカーボネートを採用しました。玄関には観葉植物や小物を飾り、季節を味わう憩いのコーナーにしています。1階には、LDKを中心とした大空間が広がります。「居酒屋風に」という夫の希望で、ダイニングとは別にキッチン側に檜のカウンターテーブルを造り付け、掘りごたつのように座れるつくりにしています。カウンターの板壁は、べんがら色に塗ってアクセントをつけました。畳スペースは子どもたちが昼寝をしたり、腰掛け代わりに使ったりと大活躍しているそう。畳の下は収納になっています。キッチンは、畳スペースに向かって立つ対面式に。オール電化の家にしたので、コンロはIH調理器を採用しています。造作した背面収納には、ゴミ箱を置けるスペースをつくってもらったので、キッチンはいつもすっきりして使いやすいそうです。床には吸水性があり掃除もしやすいコルクを貼り、天井はグレーで空間を引き締め、個性的な印象に仕上げました。木の家と馴染むように、カウンターのペンダントライトには、シェードに木をあしらったシンプルなデザインの照明を選びました。ダイニングキッチンの近くには木製のデスクや壁面収納を造り付け、aipooowさん専用のデスクコーナーにしています。LDKの一角にあるので、家事もはかどりやすいそうです。デッキは2か所にあります。玄関やダイニングから出入りするデッキは物干し用、リビングの前のデッキは遊び場用に設け、家族の団らんスペースにもなっています。脱衣室には、タオルなどをしまえる扉付き収納を造作しました。ワイドサイズの洗面台はオリジナルです。収納扉を兼ねた鏡はスライドでき、「使いたい位置で鏡が見られて便利」とaipooowさん。サニタリーの横には、家族全員の服をしまえる大きなファミリークロゼットがあります。両側の壁にパイプや棚を造り付け、家族それぞれにコーナーを分けて収納できるようにしています。■ 子どもたちが思いっきり遊べる空間がいっぱい!「圧迫感を出したくない」と、階段は蹴込み板を張らないスケルトンタイプを採用しました。階段下は子どもたちの遊び場にしていますが、階段自体も遊び場になっているそうです。手すりは子ども用と大人用に、高さの違う2種類を取り付けています。2階は子ども室など、ほとんどのドアに明かり取り用のスリットガラスをはめ込んでいます。光とともに、人の気配も廊下に伝わるので安心です。2つの窓やロフトを設けた子ども室。将来は、梁の部分に壁をつくって2部屋に区切る予定ですが、今は大空間のまま遊び場にしています。家づくりを終えたaipooowさんに、感想を聞いてみました。「2階からでも家族を迎えられる吹き抜けや、釣り道具の手入れがしやすいデッキなど、憧れの暮らしができる木の家が完成しました! ときには子どもが無垢の床にお絵描きをしてしまうけれど、それはのびのび暮らす証しと割り切って。床は、ミツロウワックスでメンテナンスするつもりです」木の家の暮らしを心から満喫している様子でした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2018年1・2月号」も参考にしてみてくださいね。山田耕司=撮影※憧れの「木の家」はこうして完成した!aipooow さんの家づくり・前篇を読む「住まいの設計2018年1・2月号」こちらの記事は、「住まいの設計2018年1・2月号」にも掲載しています。豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「ハウスメーカーで建てる家」「平屋ハウスで暮らそう」
2018年05月24日最新号の住まいの設計2018年7-8号の巻頭特集は、「私たちがハウスメーカーで家を建てたワケ」。日本のハウスメーカーの建てる住宅が優秀なことは、もう皆さんご存じですよね。でも、ハウスメーカーで家を建てる人が、それを決めるポイントってなんだと思いますか?意外に、そのポイントって知らなかったりしますよね。そこで今号ではそのポイント・ワケを解明すべく、ハウスメーカーで家を建てた人にお聞きしました。その答えには、あなたの「そこが知りたかった」が全部あります!また、第二特集では、いろんなカタチの二世帯住宅についてご紹介。その一部をのぞき見してみましょう。■ 【巻頭特集】私たちがハウスメーカーで家を建てたワケハウスメーカーで家を建てた人の声をここでちょっとだけ紹介します。三井ホーム木の温もりを感じながら高性能でいつも快適な家埼玉県・入間市のM夫妻が求めたのは、木の温もりが感じられ、インテリアも満足のいく高性能の家。そこで設計を依頼したのは、三井ホーム。選んだポイントは「引き出しが豊富」、「インテリアが高感度」……(ほかの3つは誌面で!)と教えてくれた。キッチンを中心に据え、家族がコミュニケートしやすい家が実現したと語るM夫妻のこだわりとは?キッチンセンタープランの1階。キッチンは、妻がイメージ をつかみ、三井ホームのインテリアコーディネーターに相談して製作を進めました。水晶を主素材とした硬質なワークトップは、広々として使いやすそうですリビングは木の温もりを生かしつつ、アクセントウォールが空間を引き締めています。塗装は友人なども参加し、DIYで行ったそう(撮影:中村風詩人)セキスイハイムソーラー発電+蓄電池で家事ラクの賢い暮らし夫の実家の敷地内に住まいを新築した茨城・つくば市Aさん一家。複数のハウスメーカーを検討する中で、夫妻の心を射止めたのはセキスイハイムの「スマートパワーステーション」でした。「スマートパワーステーション」とは、屋根一体型のソーラーパネルで大容量の発電が可能なうえ、蓄電池も完備したエネルギー自給自足ができる家のこと。当然セキスイハイムを選んだポイントには、「エネルギーの自給」を筆頭にあげていました。「8割を工場で生産」、他3つ・・・。共働きで忙しい夫妻の家事を、電気代を気にせず家電でサポートすることで、家事ラクの賢い暮らしを実現したというAさん。そのほか、セキスハイムにしたかったポイントを5つ伺いました。白ベースのシンプルな内装にアート作品が映えるLDKには、ポップでカラフルな家具を選んだというAさん。多忙な毎日の中でも、家電の助けを借りて家事を効率よくこなし、笑顔にあふれる家族の時間が育まれているとか(撮影:飯貝拓司)■ 【第二特集】みんなの希望を叶えましたいろんなカタチの二世帯住宅第二特集では、「みんなの希望を叶えましたいろんなカタチの二世帯住宅」。四世代が一緒に暮らす家など、現代の大家族が暮らす家をちょっとだけ見てみましょう。四世代が住む二世帯住宅家族をつなぐ街路のような路地空間神奈川・横浜市K・Nさんの家は、四世帯が住む二世帯住宅。この家の敷地の中央を走るのは、階段状の石貼りの路地(以下の写真中央部分)。この路地を囲むように小さな棟が計6棟建ち、空中の随所にブリッジがかかっている斬新な構成の二世帯住宅になっています。家族の自然な行き来を促す知恵が結集された家だというK・Nさん。四世代6人が暮らす分棟型ハウスの魅力をご紹介していきます。祖母のスペースから路地越 しに子世帯のLDKを見たところ(撮影:川辺明伸)その他にも、読み応えのある情報が満載!日本のハウスメーカーの「今」を大解剖!「知っているようで、実はよく知らない?日本のハウスメーカー大解剖」では、構造・工法はもちろん、工業化住宅の特徴、大企業ならではのメリットや住宅事業で培われたノウハウを生かした、住宅事業以外の取り組みなどもあわせて紹介します。先月号からスタートした、「住まいのあれこれ見聞録」。「住まいの設計」編集長が今気になったコトやモノを突撃取材しています。今号は、外国人も激賞する日本のトイレについて。日本のトイレの使い心地やトレンドなど、一体どこがそんなにスゴイのか?【家づくりに役立つ様々な情報が満載の住宅雑誌】「地元で評判の工務店を探せ!」では、あなたの地元にもきっとある実力派工務店の実例を紹介。ほかにも「LIVING UP」では最新のインテリア情報を「Sumaiの設備NAVI」ではデザインと機能性に優れた窓の数々を紹介。家づくりの役立つ盛りだくさんの内容をお届けします。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2018年7-8月号」をご覧ください!住まいの設計2018年7-8月号私たちがハウスメーカーで家を建てたワケ日本のハウスメーカーの建てる住宅が優秀なことは、もう皆さんご存知ですよね。でも人はなぜ、ハウスメーカーで家を建てることを決意するのでしょうか。そこで今号ではその理由を解明すべく、ハウスメーカーで家を建てた人の声を聞きに行ってきました。あなたの「そこが知りたかった」にお答えします。ちょっと試し読みする【お詫びと訂正】現在発売中の「住まいの設計7.8月号」で誤りがありました。P36「住友林業」記事の中のデータ部分で仕上げの素材を「外壁/ガルバリウム鋼板」と表記しましたが、正しくは「外壁/モルタル」です。訂正してお詫び申し上げます。
2018年05月22日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ 手作り感あふれる自宅も完備!?先日は鎌倉方面で撮影がありました。戸塚駅で乗換電車を待っている間にヤギさんに遭遇。駅前ビルの一角にお住まいのようです。手作り感あふれる自宅も完備されていました。朝のヤギさんに気を取られつつお邪魔した鎌倉の住宅です。10年ほど前に伊藤寛さんが設計した木と自然素材の家。時を経た木の家を見に行こう、という企画なのですが、詳細は『住まいの設計』7月21日発売号でご覧くださいね。その家でとりわけ面白かったのが「土地を買ったら、裏山がオマケについてきた」という話。こーゆーお宅に遭遇したのは2軒目です。個人的には、このような案件は大好きです。■ 『オトナリノベーションNo.3』絶賛発売中!5/15発売になった『オトナリノベーションNo.3』。巻頭特集は「ペットと暮らすためのリノベ」。ワンちゃんやネコちゃんと楽しく、安心して暮らすための様々な工夫をご紹介します。「オトナの趣味部屋」では、自分だけの空間を手に入れた方々を覗かせてもらいました。自分らしいインテリア空間をつくりたいなら「オトナインテリア講座」を参考にしてみては?書店はもちろんネット書店などで、お求めいただければうれしいです〜( ´∀`)
2018年05月20日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ 水栓がダブル、なんです!横浜方面にて、エムデザインさん物件の撮影でしたこの洗面、オシャレですよね。洗面ボウルがダブル、じゃなくて水栓がダブル、なんです。ニッチの中がピンクなところがまたオシャレです〜。その横浜のお宅にて。高速が目の前なんですが、不思議と静かで落ち着くのです特に夜なんかはクルマの往来を眺めてるだけでなんか癒やされそうですよね。■ ルイスポールセンのシーリング!先日は最高の行楽日和でしたが……、お宅撮影が2件ありました。午後の部は和光市にて。こちら、なんかオシャレなシーリングだなあと思ったら、ルイスポールセンのシーリングだそう。どうりでなんだかひと味違う気が……。そのお宅のリビングの一角。近ごろチラホラ見かけるようになったストリングスの収納ユニットをうまく取り入れておられます。玄関やパントリーなどにも活用されてました。この軽さが、イイですよね。
2018年05月12日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ オープンほやほやのログウェイBESS多摩へ!昭島にオープンしたぱかりのログウェイBESS多摩に行ってきました。20年近く前に昭島の駅前広場に木下大サーカスを見に行ったことがあるのですが、隔世の感がありますね。今は大型ショッピングモールやアウトドアビレッジが、ゆったりとした敷地に立ち並んでいるし、ボルダリングの競技用施設もあるし。アウトドア好きには願ってもない環境じゃないですか。BESS好きにはぴったりなお土地柄ですね。■ ダイナミックな作風に元気が出ました先日都内某所の中華料理店で宴会があったのです。安いお店でしたけど、コース料理だったんですね。で、前菜の上を羽ばたいていたのがこちら。多分、丹頂鶴だと思うんですね。頭頂に刺さっている赤いゼリーを半割にしたものから察するに。まるで一刀彫りのようなダイナミックな作風で、なんか元気が出ました。
2018年05月06日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ オーダーキッチン?いえいえ、システムキッチンなんです久しぶりにショールーム取材。オゾンにあるウッドワンさんへ。一見オーダーキッチン?と思ってしまいそうですが、フレームキッチンていうシステムキッチンなんです。かっこいいですよね〜他にも取材先で時々お見かけする人気のシステムキッチン「スイージー」について色々とお話伺いました。■ こんなコラベル見たことない!埼玉方面でもお宅撮影がありました。こちらのコラベル、見たことない配色です〜。ちなみにキッチンの背面に貼られています。キッチンもなかなかモダンな感じなので、すごくカッコよかったです。■ 鑑賞するだけが目的じゃないんですね…リライフプラスでちょくちょく可愛いイラストを描いて頂いている、うつろあきこさんの新刊『かわいいきのこ』がめっちゃマニアックで面白いのです!きのこ展にきのこ勉強会、観察会といろいろな集まりがあり、みなさん静かにアツいんです。あと意外だったのは鑑賞だけが目的ではなくて、食べることも貪欲に楽しんでおられること。オトナの趣味として、大いにアリだな〜って思いました。
2018年05月05日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ インスタでも大人気!な半練りタイプの…先日は名古屋にて、アネストワンさん物件の取材がありました。どこもかしこもキレイで、レンジフードなどもピカピカなので、カメラマンさんが「どうやって掃除してるんですか」と尋ねたところ、奥様が見せてくれたのがこちら。運が良ければドラックストアとかでも買えるそうです。中は半練りで、いかにも頼りになりそうって感じでした。さっそく近所で探してみたいと思います。そのお宅の廊下の壁にアクセント的に貼られていたタイルがとっても可愛い、と思ったら、ミナペルホネンのタイルだそうです。そういえばこの柄、椅子の張り地でも見たことあります。タイルもあるんですね。わたしも皆川明さんの本なら何冊か持ってます!■ これから家づくり武者修行?していただく予定です!リライフプラスでずっと連載していただいている収納王子コジマジックさんですが、6/14発売の号からは、コジマジックさんが将来理想の家を建てるために、様々な場所に武者修行?に行く、という内容に生まれ変わります。この日は記念すべき初回の撮影。フィールドガレージ代表の原さんのご自邸にお邪魔してきました!元押し入れだった場所を活用したソファで記念撮影。めちゃめちゃ楽しいページになりそうですので、お楽しみに〜
2018年04月28日今回ご紹介するのは、都内で約10坪の狭小地に念願の店舗付き住居を実現した塚本佳子さんの住まい。建坪わずか7坪とは思えない開放的な住まいの一角で、北欧の器と雑貨のショップを週末限定で開いています。■ オープン棚を介してつながる店と暮らし縦に長いプロポーションのファサードに呼応するように、大きな縦長の窓が開く建物。中をのぞくと、素敵な器や雑貨がにぎやかに並んでいます。オーナーの塚本佳子さんの本業は編集者兼ライターですが、北欧の器や雑貨、家具を集める長年の趣味が高じて、住まいの一角で週末限定のショップを開いています。内部には通りに面して2層半を貫く大きな吹き抜けがあり、地面より少し下がった吹き抜けの底面が店舗スペースです。面白いのが、この吹き抜けと奥のスペースを仕切る特大のオープン棚。下段に並ぶ器は半地下のお店の商品ですが、上段に見える器は、1階奥のダイニングキッチンで塚本さんが普段使っているものなのだそう。「北欧の器はヴィンテージものも扱っているので、自分が使っていた器を売ることもあるし、商品として仕入れたものを気に入ってしまい、自分で使うこともあります」空間も暮らしぶりも、店と家の境目のあいまいさが緩やかな魅力を生んでいます。北欧雑貨のある暮らしを垣間見える空間はお客さんにとっても興味深いようで、空間に興味を示す人には塚本さんが「上も見ますか?」と声をかけ、案内することもあるのだとか。■ 吹き抜けのおかげで住居スペースも開放的に実は設計を依頼した当初、「のちのちお店ができる家にしたい」という程度に考えていたという塚本さん。しかし提案されたのは、意外にも南の一等地を大きな吹き抜けのある店が占める大胆なプランでした。設計を担当したオンデザインパートナーズの一色ヒロタカさんは、「通常なら1階が店、2階が住居と分けがちですが、そうすると空間の使い方として閉店中の平日がもったいない。住宅の一部をお店としてつくることで、日常使うものも店に参加できる一方、店舗スペースも平日の生活空間を豊かにする場所になるのではないかと考えました」奥の住まいスペースに入って、その言葉に納得。1階のダイニングキッチンや2階のリビングまで吹き抜けを通じて光が入り、開放感が増し、さらに道路と住空間の間に距離ができることで落ち着きが生まれています。ダイニングキッチンは約7畳、2階のリビングは約6畳。完成間際まで「狭いのでは」と心配していたというリビングには、天窓やベランダから光がふんだんに入り、白い壁の効果もあって面積以上の広がりを感じます。図面や模型では分からなかった空間の広がりを初めて体感したときは「衝撃的でした」と笑う塚本さん。屋根の傾斜が表れたリビングは、一段上がったロフト部分を和室にして床面積を増やしています(写真下)。和室の床下は吹き抜けとつながっていて、開放感を損ないません。ちなみにこの和室は塚本さんの寝室スペース。床下には、布団も入る大型収納が。階段脇や階段下などのスペースも余すことなく収納に活用しています。下左は廊下から見た店舗スペース。右手の腰壁上部は飾り棚としていかしています。下右は地下1階の造作洗面台。既製品の鏡ともよく合います。暮らし始めてみると、通りに面して店があることで、見守られているような安心感があると実感しているそう。店が家と街をつなぐ役目も果たす、都市住宅の新しい可能性を示す住まいです。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年3.4月号」も参考にしてみてくださいね。設計/オンデザインパートナーズ撮影桑田瑞穂
2018年04月23日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ やるな〜、茶臼山恐竜公園。所用で長野に行ったんですよね。で、なぜか恐竜に会ってきた。茶臼山恐竜公園。翼竜が飛んでるんですよ。ホントに飛んだ状態で屋外展示してある。やるな〜、と。大して期待もしてなかったけど、FRPでできたほぼ実物大の恐竜が30体近く展示してある。しかもかなり完成度高い。これで入場料タダなんですよ。長野市の公園だから。やるな〜長野市、と。で、休日でいいお天気なのに混んでない。ホンワカとした家族連れが子どもを遊ばせてたり、お弁当食べてたり、制服の高校生がデート?したりしてる。すべてがのほほんとした時間のなかにある。いいですね〜。■ 誰も怖がっちゃくれません。もちろんジュラシックパークに出てくるようなティラノサウルスもいる。でも、こんなお天気のいい日に、そんなすごまれても……誰も怖がっちゃくれません。なんかちょっとトボけた目つきのこっちの方が似合ってますね。この日の風景には。■ めちゃめちゃ癒されました〜実のところ、恐竜の表皮の色ってのはわかってない、今認識されている恐竜の色は想像の産物、という論を以前本で読んだことがあります。そりゃそうですよね、骨格しかわからないんだから。で、コレ、イグアノドンらしいんですけどね(楳図かずおのマンガ「14歳」に出てくる、チキン・ジョージにも似てるような気がする)で、「この恐竜は好きに色付けしていいよー」ということで、塗り絵コンテストをやって、その入賞作品の配色にしているらしい。ちなみに、ここの恐竜には1体1体に地元の小学生が考えた名前がついてる。その名前を考えた小学生の氏名も明記されてたりする。もーなんというか、すべてがのほほんモードで、めちゃめちゃ癒されました〜(編集部Kの決めゼリフ)。■ 実はこの場所…オマケ情報ですが、ブラキオサウルス的な感じのモノが、善光寺平を見下ろす傾斜地に佇んでますが、実はこの場所は以前も大規模な土砂崩落があった場所。その後、跡地の利用方法として「土砂崩れ後の荒涼した風景には恐竜が似合うかも」という長野市関係者の発案から実現したそうな。その長野市関係者、すごいアイデアマンだと思います!
2018年04月22日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ 黒電話が現役で活躍するお宅1920〜30年代に流行した文化住宅を可能な限り再現したお宅の取材。久しぶりにゾクゾクしました〜ちなみに場所は小平です。もちろん黒電話も現役。棕櫚の木もノスタルジックで素敵ですよね。6/14発売のリライフプラスvol.29に掲載予定です!■ ウィービングタペストリーっていうんですね千葉方面にてお宅取材。こちらは奥様が作っておられる作品。ウィービングタペストリーっていうそうです。ドレスみたいで可愛い!いま結構ブームなんですね。そちら方面に疎いもので、勉強になります。同じくそのお宅で使われていたこちらの建具、ルーバーつき?引き戸なんです。これはイイですね!初めて見ました〜。しかもめっちゃ開け閉めしやすいのです。オリジナルなのかな?と思ったらナニックさんのウッドシャッターっていう商品だそうです。奥様がネットを駆使して発見したそう。インテリア偏差値高いですね!■ ホテルみたい!脚がないソファ6月14日発売のリライフプラスでは「インテリアショップのリノベ」特集を予定しています。というわけで昨日は横浜市内でスタンダードトレードさんがリノベしたお宅の撮影へ。このソファがめちゃめちゃカッコいいのです。しかも脚がないんです(壁に座面が固定されてます)。うまく撮れなかったのですが、この倍くらいのサイズなのでぜひ誌面でご覧くださいね!
2018年04月21日近くには緑豊かな公園もある、東京都中野区の閑静な住宅街に位置するM邸。Mさんが19年前に建て替えた実家を、夫の母と同居するためにさらに二世帯住宅として工事費2,300万円(外装工事費・設計料・消費税含まず)でリノベーションしました。二世帯住宅の難しい点のひとつが、同じ家族でも年代が違えば個性もニーズも違うため、ある程度の譲り合いが必要になることではないでしょうか。しかしM邸は、両世帯ともに満足度の高いリノベーションになりました。設計・施工は、雑誌で見た事例が希望する雰囲気に近かったというフィールドガレージに依頼。打ち合わせでは写真を見せてイメージを伝え、お任せにした部分も多かったそうです。■ ゾーンを分けながらも、互いの様子が分かる程よい距離感リノベーションにあたって、まず考えたのは世帯のゾーン分けです。80歳を超える母のための居住スペースは、できるだけ負担が少なくなるよう1階東側にまとめることにしました。一方のMさん世帯は、夫婦と高校生の長男の3人家族。リビングと2つの個室があった2階を再構築することで住み分けをはかりました。玄関も世帯別に設けています。以前テラスだったスペースを利用した右側が母用の玄関で、手すりを設置。左側がMさん世帯用の玄関になります。玄関は別々ですが、両世帯は玄関ホールに設けた引き戸で簡単に行き来できる形になっています。■ こだわりの家具やアイテムに囲まれる空間を実現バルコニーからの光が気持ちいい吹き抜け周辺は、既存のまま生かしました。2階のMさん世帯は、独立したリビングとゆったりとしたダイニングキッチンを実現するため、2階にあった夫妻の寝室をロフトへ移動しました。既存床のカリンや梁を出した吹き抜けは生かしつつ、キッチンの天井などには新たに節の少ないオークを選んで使用し、「ミッドセンチュリー調の家具や北欧テイストが好き」という夫こだわりの家具がピタリとはまる空間に仕上げました。アイランドキッチンは海外のインテリア写真でイメージを伝え、壁面収納も含めオリジナルで造作したものです。キッチンの側面には、手持ちの棚を組み込んでいます。コンランショップで購入した大型のダイニングテーブルは、Mさんのお気に入りです。寝室をロフトに移動させたことで生まれたゆとりある空間に、見事にフィットしています。リビングは天井を黒く塗装し、アートやMさんが大切に使ってきたソファが引き立つ空間になっています。写真奥のブルーの壁に見える場所は、実は季節外の服の専用クロゼットです。ロフトへの階段はスケルトンとし、デザイン性と採光を重視しました。ロフトは季節によっては暑くて居住には向かず、以前は納戸にしていたそうです。寝室にするために窓やエアコンを設けるなどして居住性をアップしました。ロフトならではの天井の低さ、こもり感が、寝室らしいくつろぎを演出しています。トイレットペーパーのストック用に遊び心のある雲型ホルダーを選ぶなど、Mさんのセンスのよさは至るところに生かされています。以前は3か所に分けて収納していたという洋服は、2階西側にあった子ども室を丸ごとウォークインクロゼットとすることで解決しました。内部には可動式の棚を設え、部屋干し用のレールも設置するなど、使い勝手と収納量アップを実現しました。■ 家族全員が安心して暮らせるようにハード面を整える1階は既存のキッチンなどを生かしながら、母の生活に必要なものを効率よく配置し、将来の車椅子動線にも配慮しています。内部はすべてバリアフリーにし、手すりを設置。出入り口には、開閉時の負担が少ない引き戸を採用しています。1階西側には、以前は2階にあった子ども室もあります。長男が1階にいることで、気軽に母の様子をうかがうことができ、両世帯の安心にもつながっていると言います。本をたくさん持っている長男のために、子ども室には本棚を造り付けています。1階にはほかにも、Mさん世帯用の洗面・浴室もあります。洗面カウンターはオリジナルで造作したものです。家族が一斉に使う朝の渋滞解消のため、シンクは大型のものを採用しました。「リノベーションでやりたかったことが、全部できました」と話すMさんの表情からは、満足感があふれ出ていました。もっと詳しく見たい方は、ぜひ『住まいの設計2017年7.8月』も参考にしてみてくださいね。設計・施工/フィールドガレージ撮影遠藤 宏
2018年04月19日素敵なお宅があると聞けば北海道から九州まで、どこへでも!フットワークの軽い『住まいの設計』編集長・丸(56)の取材こぼれ話や、男前なプライベートをチラ見せ!■ 松本の工芸作家さんの家へ「木の家、自然素材の家」特集の取材で松本の工芸作家さんの家へ伺った日はどしゃ降り。しかしそれがまたいい塩梅で。しっとりした風情のある写真が撮れているはずです。なんといっても素材感が抜群。自分で作った家具と一緒に暮らせるなんていいですよね。そのお宅で久々にお会いしました、ウーパールーパー。編集部Kなら「かわいすぎて癒されました〜」とか言うに違いありませんね。■ オス・メスは不明です!?帰りの列車まで時間があったので、やっぱり町をぶらぶらと。「オス・メスは不明です」ってコピーにじわじわきます。ニッパーも小首を傾げてました。なかなかいい店残ってますね。ツボります。
2018年04月15日日刊Sumaiの運営のほか、『住まいの設計』『リライフプラス』の撮影で年間70件以上のお宅撮影に飛び回る編集部・君島(46)の取材こぼれ話や、うっかり母さんなプライベートをチラ見せ!■ 刻印入りも!ヒースセラミックス社のタイル昨日はお宅撮影が2軒。午前の部は世田谷区にてプレイマウンテンさん物件ヒースセラミックス社のタイルがキッチンの壁全面に!この深みのある色合いがステキですよね。刻印入りのもあって、またこれがカッコイイのです。午後の部は埼玉県内にてnuリノベーションさん物件。玄関と寝室がコンクリートブロックと型ガラスで仕切られていてまたまたカッコイイのです。ちょいちょいハズしアイテムがあるところがデキる!って感じです。■ まだまだ続きます!ときめくタイル昨日の午前の部は品川区にて空間社さん物件。京都のコンランショップで一目惚れしたというタイルを、設計担当の方が探し出してくれたそう。独特のゆらぎと色合いがシックでかっこよかったです〜。タイルってほんとにいろんな種類があって、サンプル見てるだけで楽しくなりますよね。こちらは午後の部@荒川区にて。エコデコさん物件です。洗面所のタイル、ときめきますよね!ちょっとオリエンタルな雰囲気もあって素敵なのです。ちょっとユーモアのあるコップとディスペンサーでハズしてるところがまたおしゃれさんですね。
2018年04月14日Yさん夫妻が、妻の実家が所有していた敷地にヘアサロン兼住宅を建てたのは2015年の6月でした。妻は美容師歴20年近くで、夢はもちろん自分の店を持つことでした。「子育てしながら、ブランクなく仕事を続けさせてあげたかった」という夫の力強い応援もあって、夢を実現させました。近くに親が住み、子育ての協力を得られるのも安心だったそうです。■ クルマを運転しながらでも一目で分かる外観に敷地は155坪あって大きな家ができそうですが、夫妻が建てたのは小ぶりな平屋一戸建てでした。設計を担当した岡山森さんは、風の抜ける通路を挟む形で、住宅と店の入り口が向かい合う建物を計画。1階、2階の上下ではなく横並列の配置なので、行き来も快適そうです。外観はワインレッドのガルバリウムで、一見倉庫風です。「地元は皆さん車で移動。運転しながらチラ見で“あれやー!”と、すぐ分かる存在にしたかったんです」と妻。色は夫妻と建築家の岡山さんとで慎重に検討して決めたそうです。田園風景の中にあって、ワインレッドのガルバリウム鋼板で包み込まれた建物はなかなか目立つ存在です。あえてヘアサロンの看板を出さず、シンプルにまとめられているところが、潔くてカッコいいですよね。デッキが設置されている方が自宅です。間口をフルに生かしたデッキでは長女と岡山さんの長男が猛ダッシュ!■ サロンの大きな窓からは、光とのどかな借景も入るサロンの大開口の窓からはのどかな風景が広がり、ゲストも和めそうです。店舗は10畳ほどのコンパクトなスペースにしました。「完全予約制でマンツーマン対応。まずは自分ができる範囲で接客をこなしていきたい」と妻。店と自宅の玄関ドアは通路を挟んで斜めにずらし、あえて距離感をつくりました。サロンと自宅を区切る建物通路の床は黒っぽいレンガ敷きで、土間というより道路を思わせます。この地域特有の強い風は通路から抜けるようになっています。■ 店内はスモーキーカラーで個性をプラス妻はややスモーキーな色合いが好みなようで、店内の壁は渋めのピンク、トイレは壁を暗めのコバルトブルーで塗装しました。全体として店のイメージや個性につながっていますね。また、妻がこだわったのは、クールなトグルスイッチの採用です。オンとオフが手応えよく切り替わり、仕事に対する気持ちにもスイッチが入りそうです。■ 自宅はカラーも趣きも変えて気持ちにメリハリを自宅に入ると、玄関ホールから回り込んだ位置にLDKがあります。ドアを開けても生活の様子が直接見えない工夫が取られていました。また寝室などプライベートな空間は店側からいちばん遠い場所に置きました。店とは違い白をベースとした内装は、ほたて漆喰の壁や無垢材が生かされナチュラルな志向が伝わってきます。「店と自宅は同じ建物。気持ちを切り替えるために雰囲気を変えたかった」と妻。仕事が終わり、扉を開ければホッとできる住まいが待っています。LDKの主役は、妻の要望と趣味を存分に生かしたキッチンです。妻と建築家の岡山輝子さんとで綿密に打ち合わせし、壁面は人気のサブウェイタイルを貼り、さらに目地の色にもこだわって仕上げた空間です。木と鉄を組み合わせて見せる収納を意識した棚を造作で取り付けたことで、カフェ風に仕上がりました。長いカウンターはその半分をテーブル仕様にしてダイニングスペースに。あとの半分はソファと接し、リビングと一体化させています。キッチンからデッキにも目が届き、コミュニケーションの取りやすさは格別です。キッチンは2列配置で、カウンター下に家電などを収納しています。「できるだけ時間にゆとりを持ちたいと、前々から憧れていた大容量の食洗機も導入できて満足。わざわざ大阪のショールームに輝子さんと足を運んでチェックしたんですよ」と妻。■ 夫の書斎は外から出入りするつくりにしたことで「おこもり感」が建物の西側に突き出た部屋は、夫の小さな書斎です。内部でつなげず外から出入りする点がユニーク。「わざわざ行くことで、おこもり感が増して落ち着きます」と夫。洗面室には実験用シンクを採用。小物をたくさん置ける棚も造作しました。南東側にあるのは子ども室。一面に貼られた壁紙は輸入品をセレクトしました。プリントされたフレームに写真を貼ってディスプレイできる楽しみもあります。いかがでしたか?自宅兼ヘアサロンが同じ建物でありながら絶妙に分離し、仕事もプライベートも順調なYさん一家の素敵な暮らしでした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ『住まいの設計2017年3・4月号』も参考にしてみてくださいね。設計/a.un建築設計事務所撮影日紫喜政彦
2018年04月13日築80年の木造2階建てを二世帯住宅にリノベーションした石渡・中村邸。古い材を所々で生かしながら、家族5人が快適に暮らせるよう、驚きのアイデアがちりばめられています。改装したのは、かつて宮大工が手がけたという妻の実家。リノベーション費用は1265万円でした。1階は父と母の個室のほか、水回りとみんなが集えるリビングダイニングを配置。2階は娘夫婦とその長男のプライベートスペース、という間取りです。■ 南向きの縁側と日当たりのいいダイニングに家族全員が集うリノベーションを依頼されたショセット建築設計室の山川紋さん。1階北東にあったダイニングキッチンを、家の中で一番日当たりがよく、縁側がある南側に移動するプランを提案しました。縁側や建具など、以前の家の雰囲気を残しながらも、シンプルでモダンなテイストでまとめられたLDKは、家族全員が集まる場所です。床に座るタイプの低いダイニングテーブルは掘りごたつ式。脚を外して天板で蓋をすれば、フラットになる優れものです。大きな開口部が南を向いているため、明るく暖かいリビングとなりました。今回、予算の都合で外壁や庭には手を加えませんでした。一見すると昔ながらの普通のお宅ですね。玄関脇にあったトイレを別の場所に移動したことで、広くなった玄関。神棚も設置しました。右手奥には階段とその先に洗面室・浴室があるため、視線を遮れるようロールスクリーンを設置しています。■ 古材を上手に活用して、雰囲気のある「和モダン」な空間に!「宮大工が手がけた家ということで、とても立派なつくりだった」と山川さん。大きな柱や建具など、古い材の良さを生かしているのも今回のリノベの特徴です。こちらの写真は、リビングから玄関方向を見たところ。葦簀(よしず)を再利用してつくった建具の奥は、収納スペースです。葦簀が風を通すので、収納の中に湿気がこもらず快適。左手の扉の中には仏壇が収められています。リビングと縁側を仕切る建具や欄間は既存を利用。知り合いの建具屋さんに洗ってもらい、障子を貼り替えたらすっかりきれいになりました。キッチン横の柱につぎはぎのような跡が見えるのも、古材を再利用した証です。柱をそのまま残して、梁を補強することにしたため、柱にいくつか穴ができてしまいました。その穴に埋め木を施してあるのです。年月を経た柱のあめ色がいい雰囲気ですね。ちなみに、座って過ごすことの多い家族のため、床を中心に断熱材を入れたり、北側の窓は2重サッシにしたりと、温熱環境もしっかりと整えました。■ 刷新された水回りと、父母がそれぞれのんびり過ごせる個室構造上の問題で位置は変えられなかった洗面室とバスルームは、設備を一新して快適に。そのすぐ横に階段があるので、「遅く帰ったときでも家人に迷惑をかけずにお風呂に入れます」と夫は言います。母と娘がふたりで立てるようにと要望してできたオリジナルキッチン。キッチンの裏に部屋がある父がトイレに行くときの動線にもなるため、通路を広めに取ってあります。キッチンカウンターや吊り戸棚も造作しました。カウンターのリビング側には棚を設けて食器などを収納しています。1階の北側には父と母の個室を配置。着物のリメイクが趣味、という母の部屋には作業台を、北向きの父の部屋には大きなWICと小窓を設けました。階段が親世帯と子世帯の生活の場を分けている石渡・中村邸。階段の途中にある小さな収納が、いかにも昔ながらの家、という雰囲気です。■ 2階は10坪に3人が暮らすためのアイデアが満載!2階は中村さん親子3人が暮らすプライベートスペース。10坪(33平米)の広さしかなく、小さくてもキッチンやトイレ、子ども室もほしい、との要望だったため、山川さんは様々な工夫を凝らしました。階段を上るとそこは、親子3人のミニLDK。コンパクトなキッチンがあり、造作したダイニングテーブルは何と壁に収納できる折りたたみ式です。キッチン側からLDKを見るとこんな感じ。右手が夫婦の寝室、左手が子ども室となっています。引き戸で仕切っているので、開け放てば大きなワンルームに。奥には音楽鑑賞が趣味の妻のために、レコードが楽しめるスペースが設けられています。右手前にダイニングテーブルが折りたたんであるのも見えますね。寝室は空間を広く使えるよう畳敷きに。奥にはWICがあり、キッチン側に通り抜けできるようになっています。引き戸を開ければリビングの延長のように使え、寝転がってのんびりできるので「畳にしてよかった」と妻。ミニキッチンにはエレクトロラックス社の2口IH調理器を採用しました。窓に面しているので明るく、コンパクトながら心地よい空間となっています。階段横にあったトイレは位置をそのままに設備を一新しました。リビングには、折りたたまれたテーブルが(写真右手)。収納式にしたことで、使わないときは広々と使うことができるのがわかります。たくさんの作品が置いてあるのは、工作が大好きな長男の部屋。「いっそみんなで一緒に住んだらいいんじゃない?」という夫のひと言から始まった、二世帯住宅へのリノベーション。すぐそばに家族の気配を感じながら、3世代が仲よく暮らす家に生まれ変わりました。設計/ショセット建築設計室(山川紋、伊藤康行)撮影飯貝拓司【住まいの設計2017年7・8月号】
2018年04月11日