企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」が、東京・上野の国立西洋美術館にて、2023年3月18日(土)から6月11日(日)まで開催される。日仏の画家が描いたブルターニュ19世紀後半から20世紀にかけて、各国の画家たちはフランス北西端のブルターニュ地方を訪れ、この地を題材に数多くの作品を手がけた。企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」では、画家たちが描いたブルターニュを一堂に集めて紹介する。ブルターニュ地方は、雄大な自然、先史時代の巨石遺構、宗教的モニュメント、あるいはケルト系言語を話す人びとの素朴な生活様式などに見るように、古来より特異な文化圏を形成していた。フランスの内なる異郷ともいえるブルターニュは、19世紀になると人びとの関心を集めるようになる。美術の領域においても新しい画題を求める画家たちを受け入れ、19世紀末には、ポール・ゴーガンが率いるポン゠タヴェン派やナビ派といった画家グループの誕生を促した。また、黒田清輝や藤田嗣治など、日本から渡仏した画家たちもブルターニュを訪れ、この地を作品に描いている。本展では、国立西洋美術館の「松方コレクション」などから、フランスを中心とする画家によるブルターニュを題材とした作品約160点を一堂に集めて紹介。ゴーガンの作品を10点以上集めてその造形様式の変遷をたどるとともに、クロード・モネやポール・シニャック、アルフォンス・ミュシャのほか、黒田清輝や藤田嗣治、長谷川潔、山本鼎など、日本から渡仏した画家の作品も展示する。展覧会概要企画展「憧憬の地 ブルターニュ─モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」会期:2023年3月18日(土)〜6月11日(日)会場:国立西洋美術館住所:東京都台東区上野公園7-7※詳細については追って告知【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2022年11月04日日本一高いビル「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2023年度は4月22日(土)から6月18日(日)まで「恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師絵金」を開催予定です。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記の展覧会に続き、7月1日(土)から9月3日(日)まで「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」、9月16日(土)から11月12日(日)まで「安野光雅展」の開催が新たに決定しましたのでお知らせいたします。今後もより魅力的な都市型美術館として多くのお客様にお越しいただけるよう運営してまいります。「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」会 期 :2023年7月1日(土)~2023年9月3日(日)共 催:MBSテレビ開催趣旨:2019年に当館で開催し、多くの観客を魅了した「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代 アートへ」。本展はそれをさらに発展させ、明治工芸のDNAを継承しつつ多様な素材と技法を駆使して、新たな領域に挑む現代作家の新作を中心に紹介します。進化し続ける作家たちが繰り出す驚きと感動の超絶技巧を、明治工芸の逸品とあわせて、今回もぜひご体感ください。「安野光雅展」会 期 :2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)共 催:朝日新聞社、関西テレビ放送開催趣旨:島根県津和野町に生まれた安野光雅(1926―2020)は、半世紀以上にわたり画家、絵本作家、装丁家として多彩な活躍を続けました。その独創的な作品は国内外の高い人気 を得ています。本展では、絵本のデビュー作『ふしぎなえ』から、近年の大作『繪本三國志』まで、やさしく、美しく、ユーモアと不思議にあふれた安野ワールドを紹介します。別紙: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月02日アムステルダム国立美術館は、2023年2月10日から6月4日まで開催されるフェルメール展に出品される作品リストを公表しました。「牛乳を注ぐ女」国立美術館■全出品リスト(アルファベット順) オランダ国内外からの出品作品からなるフェルメール展は史上最大規模となります。特別展に先立ち、学芸員、修復家、科学者などから構成されるチームが最先端技術を用いてフェルメールの最新研究を行なっています。それにより、フェルメールの人生と作品、芸術性、構成の動機、そしてその手法などが明らかになってきました。オンラインでのチケット販売は始まっています。アムステルダム国立美術館タコ・ディビッツ館長は、「この展覧会は、こんなにも多くのフェルメール作品を一度に見ることができる絶好の機会です。フェルメールファンだけでなく、科学者、修復家、歴史学者などにとってもまたとないチャンスです。この展覧会のために、貴重なフェルメール作品を貸与してくださった世界中の美術館、機関に心から感謝いたします。」と述べました。■フェルメール展フェルメール展に出品される作品数は、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本から貸し出される28作品あまりです。特に、フリックコレクションからは、「中断された音楽の稽古」、「士官と笑う娘」、「婦人と召使い」の貴重な3点が出品されます。フリックコレクションのあるニューヨーク以外の場所で、この3点が同時に展示されるのは初めてのこととなります。3点の内、2点は展覧会に先立ち、アムステルダム国立美術館で詳細な調査が行われました。他にも、ハーグのマウリッツハウス王立美術館から「真珠の耳飾りの少女」、フランクフルトのシュテーデル美術館から「地理学者」、ダブリンのアイルランド国立ギャラリーから「手紙を書く女と召使い」、ワシントン・ナショナルギャラリーから「天秤を持つ女」、ベルリンの絵画館から「紳士とワインを飲む女」、ニューヨークのメトロポリタン美術館から「リュートを持つ若い女」、パリのルーヴル美術館から「レースを編む女」などの作品が出品されます。ドレスデン絵画館の「窓辺で手紙を読む女」も、修復後オランダ初公開となります。国立美術館では、「牛乳を注ぐ女」、「小路」、「手紙を読む女」、「恋文」の4点を所蔵しています。フェルメール展は、アムステルダム国立美術館での単館開催で、2023年2月10日から6月4日まで。■新しい調査研究最新の調査研究により、彼の社会的地位、住環境、他の画家や住民との接点など、フェルメール自身と彼を取り巻く環境に関する新しい発見がありました。最新の画像解析技術によりフェルメール作品の詳細な調査も進んでいます。国立美術館、マウリッツハウス王立美術館、アントワープ大学の学芸員、修復家、科学者などからなるチームがフェルメール作品の調査を行なっています。この調査には、高精度なMacro-XRF、RISスキャン技術などが使われています。最新の調査によると「牛乳を注ぐ女」には、新しく、瓶ホルダーと火鉢の二つが発見されました。これらはフェルメール自身により、塗りつぶされたオブジェです。また、最新のスキャンでは、ワシントン・ナショナルギャラリーの「天秤を持つ女」にも、新しい下絵部分が発見されています。フェルメールは絵を描く時に熟考を重ね、遅筆の画家と一般的には思われていましたが、その考えは覆されました。彼の作品は内向きで熟慮の結果のように見えるかもしれませんが、実際の彼の制作方法は技巧的で厳密であったと言えます。フェルメール展担当学芸員でアムステルダム国立美術館のグレゴールJ.M.ウェーバー絵画部門部長は、「フェルメールの制作技術は謎に満ちていました。あのような神秘的な光と色彩はどのようにして描かれたのだろうか?調査によって明らかになった、黒い絵の具で描かれた最初のスケッチを見ると、彼の制作方法がよく理解できるようになりました」と述べています。■ヨハネス・フェルメールヨハネス・フェルメール(1632-1675)はデルフトで生まれ生涯、この町で過ごしました。その静寂に包まれた室内画、類い稀な光と影、色彩の使い方、そして散りばめられた寓意など多くの人を惹きつけてきました。同時代の画家レンブラントと対照的に、現存する作品数はたったの37点です。フェルメール展担当学芸員でアムステルダム国立美術館のピーター・ルーロフ絵画彫刻部門部長は、「デルフトのスフィンクスとも称されるフェルメールの神秘性は、150年もの間、彼の名声と共に画家に代名詞とも言われてきました。彼の人生を紐解くことにより、フェルメールの神秘に一歩ずつ近づくことができます。」と述べました。■フェルメール展チケットチケットは国立美術館のウェブサイトから購入できます。Rijksmuseum website: ■出版物フェルメール Vermeer展覧会に合わせてフェルメールの新発見を紹介した図録が出版されます。フェルメールの全作品が掲載されます。著者 :グレゴールJ.M.ウェーバー、ピーター・ルーロフ、他デザイン:イルマ・ボーム320ページ、オランダ語・英語。ドイツ語、フランス語版も準備中。Hannibal Booksとの共同出版ヨハネス・フェルメール - 信念、光とリフレクションJohannes Vermeer. Faith, Light and Reflection著者 :グレゴールJ.M.ウェーバーデザイン:イルマ・ボーム168ページ、オランダ語・英語版出版 :国立美術館ミッフィー×フェルメール Miffy×Vermeerデザイン:イルマ・ボーム40ページ、オランダ語、英語出版 :国立美術館、メルシス社■オンライン・エクスピリエンスフェルメール作品の美しいディテール、そこに秘められた物語、彼の人生や制作方法などを網羅したオンライン・エクスピリエンスが、国立美術館のウェブサイトに2023年1月完成予定です。■シンポジウムマウリッツハウスと共同で、2023年3月に最新の研究結果の発表の場として、2日間にわたりシンポジウムが開催されます。フェルメール展は、Ammodo社とRijksmuseum International Circleの協力で開催されます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月02日東京・上野の国立西洋美術館で『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』が開催中です。ベルリン出身のコレクターが選び抜いた究極の20世紀美術コレクションがドイツから来日。そのうち、半数以上が日本初公開作品という今秋必見の展覧会をご紹介します!超豪華!世界遺産でピカソを満喫!【女子的アートナビ】vol. 266『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』では、ピカソやクレー、マティス、ジャコメッティという4巨匠の作品を中心に、ベルクグリューン美術館が所蔵する20世紀美術の作品群を展示。同館コレクション97点に、日本の国立美術館が所蔵する作品を加えた合計108点が紹介されます。特にピカソは、有名な「青の時代」をはじめ、各時代を代表する名作が集結。なんと40点以上ものピカソ作品をひとつの展覧会で見ることができます。この展覧会は、ベルクグリューン美術館が大規模改修を行うなかで企画された世界巡回展。その最初の地として、日本が選ばれました。プレス内覧会に登壇した本展キュレーターのヨアヒム・イェーガー博士は、「ヨーロッパの近代芸術は、日本から大きな影響を受けている」とコメント。さらに、「世界遺産にも認定されている国立西洋美術館で、最初の世界巡回展をスタートできることをうれしく思う」と語っていました。ベルクグリューンって?『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』展示風景作品を見る前に、コレクターのベルクグリューンをご紹介。ベルリンのユダヤ人家庭に生まれたハインツ・ベルクグリューン(1914-2007)は、ナチス政権時代に政治的事情でドイツを追われてアメリカへ移住。そこで美術館勤務などをしていましたが、戦後はパリに渡り画廊を経営。ピカソやマティスなどの芸術家や作家、詩人と交流を深め、自らのコレクションを築き上げました。ベルクグリューンが集めた作品は、1996年に故郷ベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に面した由緒ある建物「シュテーラー館」で公開され、その後ドイツが彼の所蔵品をまとめて購入。2004年、コレクターの90歳の誕生日を記念して、彼のコレクションを展示していたシュテーラー館が「ベルクグリューン美術館」と改名されました。見たことないピカソがいっぱい!『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』展示風景本展の見どころは、何といってもピカソ。コレクターのベルクグリューンがピカソに心酔し、また画家本人と親交も深かったので、かなり質の高い作品が揃っています。しかも、展示されているピカソ作品のうち35点が日本初公開です。特に圧巻なのは、女性をモデルにした作品が集まる展示室。展覧会のメインヴィジュアルに使われている《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》をはじめ、ベルクグリューン美術館の顔ともいえる作品《黄色のセーター》、2メートル近くある大作《大きな横たわる裸婦》など、素晴らしい作品が並んでいます。著作権の関係でアップの写真は載せられませんが、名コレクターが厳選して購入したピカソの絵はどれも見ごたえ抜群。しかも、ベルクグリューンは絵を入れる「額」にもこだわり、自分で絵に合った額を選んでいました。あえて、アンティークの額をピカソの斬新な絵に合わせており、例えば《黄色のセーター》には、17世紀前半につくられた金塗りのスペイン製額が使われています。会場では、作品と一緒にぜひ額もご覧になってみてください。クレーやマティスも充実!『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』展示風景ベルクグリューンは、画商としてさまざまな画家の作品を扱っていましたが、コレクターとして自分のために購入したのは敬愛する少数のアーティストたちの作品でした。ピカソのほか、クレー、マティス、ジャコメッティの作品を多く収集。本展でも、彼らの作品が多数展示されています。『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』展示風景ピカソやマティスらは、伝統的な表現形式を壊してから作品を創造する革新的なアーティストでした。そのため、古典的な美術様式を好むヒトラーから嫌われ、ナチス政権時代、彼らの作品は「退廃芸術」として迫害されていました。特に、占領下のパリにいたピカソは要注意人物としてゲシュタポ(ナチスドイツの秘密国家警察)から監視を受け、当時は作品発表も禁じられていました。そんな芸術家たちの作品が、過酷な時代を乗り越えたユダヤ人の名コレクターによって集められ、今ではドイツを代表する20世紀美術コレクションのひとつになっています。ベルクグリューンや芸術家たちの軌跡に思いをはせながら作品を見ると、また違う味わいを感じられるかもしれません。本展は、2023年1月22日まで開催。その後、大阪に巡回します。Information会期:~2023年1月22日(日)休館日:月曜日、12月30日(金)~2023年1月1日(日)、1月10日(火)※ただし、2023年1月2日(月・休)、1月9日(月・祝)は開館会場:国立西洋美術館開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料:一般 ¥2,100、大学生 ¥1,500、高校生¥1,100※日時指定予約制
2022年10月26日青森県立美術館開館当初より毎年開催35ミリフィルムでの映画上映会青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会、青森県立美術館、国立映画アーカイブ主催、県立美術館映画上映会『熱狂の時代劇~35ミリフィルムで蘇る時代劇スターの競演~』が2022年12月3日(土)~12月4日(日)に青森県立美術館シアター(青森県青森市安田字近野185)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて10月20日(木)10:00より発売開始です。カンフェティにて10月20日(木)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 『熱狂の時代劇~35ミリフィルムで蘇る時代劇スターの競演~』青森県立美術館での映画上映会は、35ミリフィルムでの上映を中心に、開館当初より、毎年開催してきました。平成26年度からは、文化庁・国立映画アーカイブの「優秀映画鑑賞推進事業」制度を活用し、上映会を開催しています。※令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止。今年度も同制度を活用し、昭和の時代劇スター映画を中心とした上映会を開催いたします。戦前戦後の映画全盛期の時代劇スターが、世間にはびこる悪を痛快にやっつけるチャンバラ劇で競演。貴重な35ミリフィルム上映も見どころです。【上映作品・プログラム】12月3日(土)10:00~11:26『銭形平次捕物控からくり屋敷』(1953年・86分)監督:森一生/主演:長谷川一夫13:00~15:12『大江戸五人男』(1951年・132分)監督:伊藤大輔/主演:阪東妻三郎12月4日(日)10:00~11:48『旗本退屈男』(1958年・108分)監督:松田定次/主演:市川右太衛門13:00~15:31『赤穂浪士』(1961年・151分)監督:松田定次/主演:片岡千恵蔵開催概要県立美術館映画上映会『熱狂の時代劇~35ミリフィルムで蘇る時代劇スターの競演~』開催期間:2022年12月3日(土)~12月4日(日)会場:青森県立美術館シアター(青森県青森市安田字近野185)■チケット料金一日券:800円(全席指定、事前購入のみ)※上記に加え、1枚毎に別途購入手数料330円が必要。(手数料込み1,130円)主催:青森県立美術館パフォーミングアーツ推進実行委員会、青森県立美術館、国立映画アーカイブ特別協力:文化庁、(一社)日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月20日ベルリン国立ベルクグリューン美術館が所蔵する20世紀美術の名品が紹介される展覧会『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』が、国立西洋美術館で10月8日(土)に開幕した。ドイツからやってきた97点の作品のうち、76点が日本初公開となる注目の展覧会だ。ドイツ生まれの美術商、ハインツ・ベルクグリューン(1914〜2007)は、パリで画廊を経営する傍ら、自分の気にいった作品を集め、世界有数の個人コレクションを作り上げていた。彼のコレクションを収蔵・展示しているのがベルリン国立ベルクグリューン美術館だ。同展はベルクグリューンが重点的に収集していたピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティを中心に、国立美術館所蔵の作品や資料も合わせて展示するものだ。見どころは、なんといっても第一級のピカソコレクションが鑑賞できる点だ。ベルクグリューンは画家本人とも交流を深め、コレクションを拡大させてきた。同展出品作も約半数がピカソの作品で、日本初公開の作品は35点に及ぶ。また、展覧会を構成する全7章のうち、3つの章がピカソを紹介する内容となっている。ベルググリューン画廊展覧会カタログ国立西洋美術館研究資料センター蔵1章「セザンヌ──近代芸術家たちの師」では、ポール・セザンヌに着目する。ベルクグリューンは、1990年代までセザンヌをはじめとするポスト印象派の画家たちの作品をコレクションしていた。晩年、コレクションの対象を20世紀美術に特化するために売却されたものの、20世紀美術の祖となるセザンヌの数点の作品は最後まで留められていたという。《セザンヌ夫人の肖像》もベルクグリューンが手放さなかった作品の一つ。実は、この作品をジャコメッティはかつて模写していた。同展では2つの作品を並べることで、画家同士の個性に着目することができる。セザンヌ夫人の顔立ちは若干面長になっているところにジャコメッティの特長が現れている。左:ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885〜86年頃油彩・キャンヴァスベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右 アルベルト・ジャコメッティ《左:セザンヌの模写―セザンヌ夫人の肖像、右:レンブラントの模写ー窓辺で描く自画像》1956年国立西洋美術館蔵(皆川清彦氏より寄贈)続く2章から4章まではピカソにスポットを当てた章となる。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」では、青の時代に描いた親友の肖像画《ジャウメ・サバルテスの肖像》や、バラ色の時代に好んで描いたアルルカンを描いた《座るアルルカン》など、ピカソのその当時の特徴がよくわかる作品を揃え、キュビスムに向かうピカソを追っていく。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」展示風景続く3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」では、第一次世界大戦末期から1920年代初頭にかけて古典主義に回帰していったピカソが、シュルレアリストたちの刺激を受け、画風をさらに変化していく過程について、素描を中心にたどっていく。3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」展示風景4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」では、1936年に描かれた《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》、1939年に作られた《黄色のセーター》、1942年制作の《大きな横たわる裸婦》と、2つの世界大戦の間で激しく変遷を重ねたピカソの女性像について着目していく。4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」展示風景5章、6章ではクレーとマティスを紹介展覧会の後半は、クレーやマティスの作品を紹介していく。5章「クレーの宇宙」では、ベルクグリューン美術館が所蔵する約70点のパウル・クレーの作品のうち34点を展示する。作品ごとにタッチやモチーフを大きく変えるクレーの作品は、ピカソからも大きく影響を受けているという。5章「クレーの宇宙」展示風景左:パウル・クレー《植物と窓のある静物》1927年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右:パウル・クレー《ネクロポリス》1929年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:パウル・クレー《暗い扉のある部屋の透視図法》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:パウル・クレー《夢の都市》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンはマティスの蒐集も非常に重要視した。6章「マティス──安息と活力」では躍動感や生命力に満ち溢れたマティスの作品を見ていく。デッサンや油絵、晩年の切り絵など、その展示作品はバラエティ豊かだ。6章「マティス──安息と活力」展示風景左:アンリ・マティス《レースの襟の絵馬》1915年国立西洋美術館蔵右:アンリ・マティス《家に住まう沈黙》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:アンリ・マティス《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託中央:アンリ・マティス《植物的要素》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:アンリ・マティス《ドラゴン》1943-44年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託最終章となる7章「空間の中の人物像―第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」では、第二次世界大戦後に評価を確立したピカソとマティス、そしてこの時代に円熟期を迎えることとなったジャコメッティの作品で空間を構成する。ベルクグリューンが直接交流を持った3人の作品が一堂に会する空間を体験することで、彼の追求した美がどのようなものかを感じ取れるはずだ。7章「空間の中の人物像 ― 第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」展示風景より左:アンリ・マティス《ロンドン、テートギャラリ−の展覧会(1953年)のためのポスター図案》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵 右:アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンの審美眼で選びぬかれた良作ばかりが並ぶ同展は、日本初公開の作品も多く、新しい発見と感動に満ちている。芸術の秋にぜひ訪れてみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)、国立西洋美術館にて開催()
2022年10月12日ガラスメーカー「ハリオ(HARIO)」の直営カフェ「ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店」が、軽井沢の美術館「軽井沢安東美術館」内に、2022年10月8日(土)にオープン。ハリオ ランプワークファクトリー(HARIO Lampwork Factory)のサテライトショップとして、アクセサリーなども販売する。「ハリオ カフェ」軽井沢安東美術館内にオープン1921年の創業より多くのコーヒー器具を作ってきたガラスメーカー「ハリオ」の直営カフェが新オープン。画家・藤田嗣治の作品だけを常設展示する日本初の美術館「軽井沢安東美術館」の中に併設される。カフェでは、「ハリオ」の器具で淹れたスペシャリティコーヒーや紅茶を味わえる他、コーヒー・ティー器具を直に手に取って購入することも可能。「ハリオ カフェ」オリジナルアイテムも店頭に並ぶ。限定ガラスアクセサリーも販売また、「ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店」はハリオ ランプワークファクトリー(HARIO Lampwork Factory)のサテライトショップとして、ガラスアクセサリーも販売。職人の手仕事で仕上げた、表情豊かなガラスアクセサリーが揃う。乳白色のブラック、ホワイトカラーが上品なフープピアスやイヤリング、澄んだフラワーモチーフのネックレス、ピアス、メガネを象ったユニークなデザインのブローチなど、限定アクセサリーが展開される。【詳細】ハリオ カフェ 軽井沢安東美術館店※ハリオ ランプワークファクトリー サテライトショップオープン日:2022年10月8日(土)場所:軽井沢安東美術館 館内住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東43-10TEL:0267-46-8066営業時間:4月~10月 10:00~17:00/11月~3月 10:00~16:00休日:年末年始※オープン記念として、会計が税込2,200円以上の人にオリジナルグラスをプレゼント。■限定アクセサリー・フジタのフープピアス 乳白色ブラック(ピアス/イヤリング) 各10,780円・フジタのフープピアス 乳白色ホワイト(ピアス/イヤリング) 各10,780円・ネックレス 平和の聖母礼拝堂 フラワー 6,270円・ピアス 平和の聖母礼拝堂 フラワー 8,360円・イヤリング 平和の聖母礼拝堂 フラワー 8,360円・ブローチ フジタのメガネ ゴールド 4,950円・ブローチ フジタのメガネ ロジウムカラー 4,950円
2022年10月10日企画展「鹿児島市立美術館 名品展」が、長野の松本市美術館にて、2022年10月8日(土)から11月27日(日)まで開催される。鹿児島市立美術館所蔵の名品を一挙紹介「鹿児島ゆかりの画家たちの作品」、「19世紀末から現代につながる西洋美術」、そして「郷土の風土に取材した作品(桜島コレクション)」などの収集方針のもと、約4,350点の作品を所蔵している鹿児島市立美術館。企画展「鹿児島市立美術館名品展」では、鹿児島市立美術館が所蔵する日本や西洋の近代美術の名品を紹介する。日本の近代美術では、黒田清輝や藤島武二、和田英作をはじめ、東郷青児、海老原喜之助などの洋画家の作品を展示。また、夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』(初版本)の装幀を手がけた橋口五葉の多方面にわたる画業も紹介する。一方、西洋美術では、黒田清輝などの洋画家がパリで師事した画家ラファエル・コランに始まり、モネ、セザンヌ、ピカソ、マチス、そしてダリなどの作品を通して、印象派の時代から現代に至る流れを通覧する。展覧会概要企画展「鹿児島市立美術館 名品展」会期:2022年10月8日(土)〜11月27日(日)会場:松本市美術館 企画展示室住所:長野県松本市中央4-2-22開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)観覧料:大人 1,200円、高校生・大学生・70歳以上の松本市民 800円、中学生以下 無料※障がい者手帳の携帯者およびその介助者1名無料※20名以上の団体は各200円引き※高校生、大学生・70歳以上の松本市民は、観覧当日、証明書(学生証、免許証など)の呈示が必要※画像の無断転載を禁ずる。【問い合わせ先】松本市美術館TEL:0263-39-7400
2022年10月09日10月8日(土)より、国立新美術館では、『国立新美術館所蔵資料に見る1970年代の美術—— Do it! わたしの日常が美術になる』が開催される。『国立新美術館開館15周年記念李禹煥』の連動企画として開催される同展では、写真家・安齊重男(1939-2020)のアート・ドキュメントをもとに、国立新美術館のアーカイブに所蔵されている美術関連資料を公開し、1970年代日本の現代美術の諸相を読み解いていく。1964年の東京オリンピックや、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)を経て、高度経済成長を遂げた60年代後半以降、日本の芸術は、世界の現代アートの動向と呼応して、写真、映像、印刷物、通信、イベント、パフォーマンスなどと多様化していった。そうしたなか、展覧会が終われば解体されるその場限りの作品や、パフォーマンスなど追い、シャッターを切り続けたのが写真家・安齊重男だ。そんなANZAIフォトアーカイブから約100点を公開し、1970年代のパフォーマンスやコレクティヴ(集団制作)の系譜を時系列で展観。写真から伝わる当時のアート・シーンの熱気に圧倒されるに違いない。そのほか、チラシやポスター、冊子などで、自分たちの芸術活動の記録を流通させた関西拠点の美術家集団「THE PLAY」、各個人がそれぞれの場所で記録したデータを青焼きやゼロックスなどでコピーして郵送する一連の行為を不可視的美術館と想定した「精神生理学研究所」など、印刷物など複製できるメディアをたくみに使い、距離を超えて展開した美術家たちの活動や、自宅といった作家個人が日常生活を送る空間を舞台にして同時多発的に行われた展示を指示書や写真によって記録した「点展」なども紹介する。1970年代を代表するアーティストたちの興味深い活動とともに、彼らの制作意識や発表方法の広がりに着目しながら資料を読むことの重要性も感じることができるだろう。国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ 「リチャード・セラ 《To Encircle Base Plate Hexagram, Right Angles Inverted》設営風景 東京都美術館 」1970年 (c)Estate of Shigeo Anzaï国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ 「菅木志雄 《状為論(為相)》 常盤公園、東京」1977年(c)Estate of Shigeo Anzaï第6回「精神生理学研究所」原本 1970年島州一《南側》記録写真 「点展」戸塚、神奈川 1973年【開催概要】『国立新美術館所蔵資料に見る1970年代の美術—— Do it! わたしの日常が美術になる』会期:2022年10月8日(土)~11月7日(月)会場:国立新美術館企画展示室2E時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)休館日:火曜料金:無料公式サイト:
2022年10月05日「もの派」を代表する作家として活躍し、国内外で注目を集める作家、李禹煥(リ・ウファン)。彼の東京では初めて、国内でも17年ぶりとなる大規模回顧展『国立新美術館開館15周年記念 李禹煥』が、11月7日(月)まで国立新美術館で開催されている。李禹煥は、韓国の慶尚南道生まれ。ソウル大学校美術大学に入学後、1956年に来日、日本大学文学部で哲学を学んだ後、60年代後半より本格的に制作活動を開始する。2010年代以降はニューヨークのグッゲンハイム美術館や、フランスのヴェルサイユ宮殿、ポンピドゥー・センタなどで個展も開催し、国際的にその動きが注目されている作家だ。同展は、李禹煥本人が自ら展示構成を考案。彼の仕事やその歩みが網羅的に紹介されている。壁面左:《第四の構成B》1968/2022年 作家蔵、中央手前:《関係項》1968/2019年 森美術館蔵 壁面右:《第四の構成A》1968年作家蔵展覧会は、彫刻作品と絵画作品の2セクションにおおまかに分かれ、それぞれが時系列的に展示される。1968年頃から制作されている「関係項」は、石や鉄、ガラスを組み合わせた立体作品のシリーズ。これらの作品にはほとんど手が加えられておらず、ものと空間の関係、ものともの同士の関係、ものとイメージの関係に着目したものだ。5枚の鉄板で構成された《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》は、それぞれの置かれた状況により、その形状が異なっている。床にそのまま置かれたもの、立てかけられ、たわみが生じたもの、それぞれの状況から鉄がもつ硬質さ、剛性などを感じ取れる。《現象と知覚B 改題 関係項》は、ひびの入ったガラスの上に岩があることで、それぞれの素材の強さやもろさ、不透明なもの、透明なものなど素材の特性を対比的に提示している。奥:《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》1970/2022年 作家蔵手前:《関係項(於いてある場所II)改題 関係項》(部分) 1970/2022年作家蔵手前:《現象と知覚B 改題 関係項》1968/2022年作家蔵年代が進むにつれ、李の作品は、サイトスペシフィック(建物や地理的状況など、作品が置かれる場所の特性や環境を考慮に入れること)的な傾向を強めている。《関係項―棲処(B)》は、2017年にル・コルビュジェの設計したフランスの修道院、ラ・トゥーレット修道院で発表されたもの。《関係項―鏡の道》は、もともとは同じくフランスのアルル、アリスカン墓地で発表された屋外作品だ。鑑賞者は中央の鏡張りの道を歩き、足元の変わりゆく風景を眺めながら移動する。《関係項―棲処(B)》2017/2022年 作家蔵《関係項―鏡の道》2021/2022年 作家蔵野外展示場に展示された新作《関係項―アーチ》は2014年にヴェルサイユ宮殿で公開された作品を原型としたもの。アーチをくぐりぬけると、それまで見えていた日常の空間が新鮮な非日常への空間へと変わるという、鑑賞者の見えるものの変化を狙った作品だ。《関係項—アーチ》2014/2022年 作家蔵70年代からの取り組んだ絵画作品の変遷絵画作品の展示も、李の意識の変化と時間の流れをつぶさに感じ取れる構成となっている。ヨーロッパ、アメリカへの旅行を経て1970年代から絵画作品に取り組み始めた李は、たっぷりと絵の具をのせた筆を規則的にキャンバスに載せていく「点より」、「線より」のシリーズで、作品のなかに時間を表現することを試みた。左:《点より》1973年 いわき市立美術館蔵 中央:《点より》1977年 東京国立近代美術館蔵右:《点より》1975年 国立国際美術館蔵左:《線より》1977年東京国立近代美術館蔵右:《線より》1973年 東京都現代美術館蔵そして、李の絵画作品は彫刻作品と同様に、時代を経て大きく幅を広げていく。80年代からスタートした「風より」シリーズなどでは李の筆致は荒々しくなり、対して2000年代からの「照応」のシリーズなどでは、ストロークはわずかにとどまり大きな余白を見せる作品となる。左 :《風より》1985年 豊田市美術館蔵右:《風より》1983年 神奈川県立近代美術館蔵左:《照応》1992年 神奈川県立近代美術館蔵右:《照応》1992年 神奈川県立近代美術館蔵展覧会の最後に展示されているのは、展示室の壁に直接描かれた「対話」シリーズの新作《対話─ウォールペインティング》だ。繊細なグラデーションや、近づいて見ないとわからない筆のタッチなどを、実際に見て楽しんでみよう。《対話─ウォールペインティング》2022年作家蔵ちなみに、国立新美術館のエントランス近くにも李禹煥の作品が展示されている。《関係項─エスカルゴ》は作品の中心部分まで足を踏み入れることができる作品。中がどのようになっているか、こちらも実際に訪れて実感してみよう。《関係項─エスカルゴ》2022年作家蔵1960年代より、50年以上にわたり「もの派」を牽引し、ものともの、ものと人との関係を問い続けてきた李禹煥。その代表的な作品を網羅した貴重な展覧会をぜひとも体験してほしい。取材・文:浦島茂世【開催情報】『国立新美術館開館15周年記念 李禹煥』2022年8月10日(水)~11月7日(月)、国立新美術館にて開催
2022年08月18日株式会社カンゼン(本社:東京都千代田区)は、新刊『図解 西洋魔術大全』を2022年8月19日に発売します。「図解 西洋魔術大全」詳細URL: 図解西洋魔術大全西洋魔術の正体と真髄を知る!召喚魔術、典礼魔術、自然魔術、ドルイド魔術、魔法陣、五芒星、ソロモン王、安倍晴明、マーリン、…etc豊富な図版とイラストで詳細に解説!人類が誕生したころから、魔術というものは存在していた。 長い時間をかけて変化していった魔術は、今では娯楽のなかにも頻繁に登場している。本書は西洋魔術の深淵を探る最強のバイブルです。■ページサンプル世界各地の魔術体系西洋占星術(アストロロジー)召喚術(サモニング)カバラ/ゲマトリアソロモン72柱の魔人一覧■内容紹介魔術と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?ほうきにまたがって空を飛ぶ魔女、地面に描いた幾何学模様の図形からこの世ならざるものを呼び出す老人、はたまた制服の上からマントを羽織った少年少女が小型の杖を振るっている姿かもしれません。痛みのある場所に手をかざし「痛いの痛いの飛んでいけ」と唱えるおまじないも魔術の仲間といっていいでしょう。こうした魔術ははるか昔からありました。狩猟民族が豊猟を祈り、動物に扮して倒される様子を演じたり、動物の内臓や骨、天体を用いた占いなどが行なわれていました。また、古代エジプトのミイラづくりも、死者の復活という魔術的要素があったことは想像に難くありません。いわゆる呪いも古代からありました。人形を作ってそれを傷つけたり、爪や髪の毛など体の一部を燃やすなどして、対象を傷つけようとしたのです。紀元前1700年ごろに制定された『ハンムラビ法典』には、「他者に呪いをかけた者は、死をもって償わせる」という文言があり、少なくともこのころには呪いの概念が充分に広まっていたことが伺えます。やがて、各地に文明が発生し、宗教や哲学といったものも生まれていきます。魔術はこうしたものや、ほかの地域の文化などが流入することで変化、発展していきました。とくに西洋の魔術は、各地の古代宗教やエジプトで発生した錬金術、天体を見て占う占星術、ヨーロッパ各地に広まったキリスト教など、多種多様な影響を受けています。■もくじ第1章 世界の魔術史第2章 私たちと魔術の関わり第3章 魔術の種類第4章 魔術に関連する人物第5章 魔術関連付録■監修者健部伸明( たけるべ のぶあき)1966年、青森県に生まれる。1980年代半ばに株式会社オーアールジーに参加し、新和版ダンジョンズ&ドラゴンズの翻訳を手がける。また、同時期に有限会社CB’sプロジェクトの立ち上げメンバーとなり、数多くのゲーム攻略本やゲームブックの執筆・編纂に関わる。現在は、コンピュータおよびボードゲームに関わる書籍の執筆、ゲームデザイン、神話やファンタジー関係の著作や翻訳など、さまざまな分野で活躍している。専門は北欧神話、ケルト神話、悪魔学、モンスター学、日本古代史、SF、ファンタジー、宇宙論、生物学、映画評論など。主な著書は『幻獣大全Ⅰモンスター』( 新紀元社)、『幻想世界の住人たち』『幻想世界の住人たち2 』(共著・新紀元社)、『幻獣最強王図鑑』『神話最強王図鑑』( 監修・学研)、『幻想ドラゴン大図鑑』( 監修・カンゼン)など多数。書名:図解西洋魔術大全監修:健部伸明出版年月日:2022/8/19ISBN:9784862556561判型:A5判 ページ数:208ページ定価:1,980円(税込)詳細URL: ■本書に関するお問い合わせ株式会社カンゼン営業部担当:宇佐美光洋TEL:03-5295-7723MAIL:[ k-usami@kanzen.jp ]{mailto: k-usami@kanzen.jp } 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年08月17日千葉市美術館は、企画展「とある美術館の夏休み」を2022年7月16日(土)から9月4日(日)まで開催する。“日常と非日常のあわい”という視点から美術館を捉え直す誰にとってもいつもと少し違う時間に出会い、ささやかで特別な経験ができる「夏休み」。企画展「とある美術館の夏休み」は、まるで夏休みのような“日常と非日常のあわい”という視点から美術館そのものを捉え直していく展覧会だ。現代美術家の作品と所蔵作品を一緒に展示会場では、“美術館をときほぐす”“作品と出会い直す”“日常で表現する”という3つのテーマのもと、現代美術家やクリエイターなどの作品と、彼らが選んだ千葉市美術館の所蔵作品を展示。伊藤若冲、田中一村、河原温、杉本博司などの所蔵作品を、現代美術家、編集者、デザイナー、雑貨店などさまざまな表現者たちの目を通して紹介していく。中﨑透、ミヤケマイ、清水裕貴、津田道子も参加たとえば、中﨑透、ミヤケマイ、清水裕貴、津田道子の4名の現代美術家は、展示ケースや学芸員、監視員といった普段展覧会であまり意識されることのない存在を新作インスタレーションに組み込みつつ、千葉市美術館の所蔵作品と一緒に展示。作品そのものだけでなく、美術館をとりまく要素に着目し、美術館という場所を捉え直す。小川信治や目[mé]の新作インスタレーションまた、2017年と2019年に千葉市美術館で個展を開いた小川信治と現代アートチーム目[mé]は、その際に美術館に所蔵された自身の作品と再び対面。自身の作品と向き合いながら、新たなインスタレーションを制作する。日常生活の中で生まれる表現にも注目さらに、企画展「とある美術館の夏休み」では、日常生活の中でも多様な表現が生まれていることに注目して作品を紹介。日々の生活や感覚を日記で表現するきぐう編集室や、毎日決まった時間にコピー機に自分の顔や手を押し付けてプリントする井口直人、場所・時間・記憶を匂いという切り口で捉えて表現する井上尚子、長谷川義太郎が手掛ける雑貨店・文化屋雑貨店が参加し、日常の表現を見つめ直すことに繋がるような展示を実施する。展覧会概要企画展「とある美術館の夏休み」会期:2022年7月16日(土)~9月4日(日)休館日:8月1日(月)※休室日は7月25日(月)、8月15日(月)開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)※入場受付は閉館の30分前まで会場:千葉市美術館住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8観覧料:一般 1,200円(960円)、大学生 700円(560円)、小・中学生、高校生無料※障害者手帳所持者とその介護者1名は無料※( )内は前売り、市内在住65歳以上の料金※ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料半額※本展チケットで5階常設展示室「千葉市美術館コレクション選」も鑑賞できる【問い合わせ先】千葉市美術館TEL:043-221-2311 (代表)
2022年08月01日東京・白金にある松岡美術館では、4月より「出会い」をテーマに、中国陶磁、中国絵画、日本画、西洋画、能面などの館のコレクションを再構成し3会期連続で紹介する『松岡コレクション めぐりあうものたち』を開催。8月2日(火)より第二期となる『松岡コレクション めぐりあうものたち Vol.2』が開催される。松岡美術館の創設者・松岡清次郎は自らオークションや公募展に出向き、約2400点の作品を蒐集。清次郎が愛した美術も、さまざまな人やモノ同士のめぐりあいの上成り立っている。Vol.2となる同展ではそのコレクションから、「霊獣の文様(しるし)」「西洋絵画展 -東洋のかおり」「中国青銅器文様」という3つの企画展示を展開。それぞれ、龍や鳳凰などのモチーフが用いられた陶磁器・銅鏡・翡翠作品、中国や日本からの影響がみられる西洋絵画、文様に着目した中国青銅器を公開する。特に注目したいのは、「西洋絵画展 -東洋のかおり」で紹介される、ポルティーリエ、クロード・モネ、モディリアーニ、シャガール、ローランサンなど、4年ぶりに公開される同館所蔵の西洋絵画の数々だ。松岡清次郎は、自らのインスピレーションを第一に、サロン派、印象派、エコール・ド・パリの画家たちなど、約 130 点の西洋画を収集している。今回は、オリエント風の装束を身に着けた少女の姿を描いたポルティーリエの《オリエントの少女像》や、もとは四面の衝立仕立てであったローランサンの《帽子をかぶった少女》など、東洋からの影響を感じられる作品をセレクトして紹介する。中国陶磁をはじめとする東洋の美の虜になった清次郎が、その直観力で蒐集した西洋絵画に「東洋のかおり」を感じてみたい。アメデオ・モディリアーニ《若い女の胸像(マーサ嬢)》1916年~1917年頃マリー・ローランサン《帽子をかぶった少女》1924年頃青花麒麟文面盆「大明萬暦年製」銘 景徳鎮窯虁龍百乳文方鼎商時代晩期【開催概要】『松岡コレクションめぐりあうものたち Vol.2』会期:2022年8月2日(火)〜2022年10月23日(日)会場:松岡美術館時間:10:00〜17:00、毎月第1金曜は19:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜日(祝日の場合翌平日)観覧料:一般1,200 円 25 歳以下 500 円美術館公式サイト:
2022年07月28日東京都美術館で7月23日(金)より『ボストン美術館展芸術×力』が開幕、10月2日(日)まで開催されている。芸術を自らの力を示すため利用してきた、古今東西の権力者たち。「力」とともにあった芸術の歴史を約60点で振り返る。新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年に中止となっていた展覧会だが、このたびようやく開催の運びとなった。第1章展示風景より左:アンソニー・ヴァン・ダイク《メアリー王女、チャールズ1世の娘》1637年頃右:ロベール・ルフェーヴェルと工房による《戴冠式の正装をしたナポレオン1世の肖像》1812年第1章展示風景より、左:長船長光《太刀 銘長光》13-14世紀右:来国俊《短刀 銘来国俊》13世紀後半第5章展示風景より狩野山雪《老子・西王母図屏風》17世紀前半ボストン美術館は50万点以上もの作品を有する世界有数の美術館。同展では、約10万点と膨大なコレクション数をほこる日本美術のほか、エジプトやヨーロッパ、インド、中国など世界各地の作品から「芸術と力」をテーマに約60点をセレクトし展示。その半数以上が日本初公開の作品となる。ロベール・ルフェーヴェルと工房 《戴冠式の正装をしたナポレオン1世の肖像》1812年ボストン美術館蔵展覧会は5章構成。第1章「姿を見せる、力を示す」では、権力者の力を誇示するために制作された作品が展示される。《戴冠式の正装をしたナポレオン1世の肖像》は、マントを羽織い、月桂樹の冠をかぶるナポレオンを描いた肖像画。その身にまとった服やポーズ、周囲に描かれた調度品など、すべてが権威を示す物だ。《ホルス神のレリーフ》 紀元前1971-紀元前1926年ボストン美術館蔵権威を示す手法は地域や時代によって大きく異る。ホルス神はエジプトの最も重要な神のひとりで、ハヤブサやハヤブサの頭部を持った男性の姿で表される。そして、現世に生きるエジプト王はホルスの化身とされていた。《ホルス神のレリーフ》はカイロから50キロほどはなれた場所にあるピラミッド複合体で見つかったものだ。《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》部分 13世紀後半ボストン美術館蔵《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》部分 13世紀後半ボストン美術館蔵同展のハイライトともいえる二大絵巻のひとつが《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》。平安時代末期、上皇と天皇の対立から巻き起こった「平治の乱」を描いた本作は、日本に残されていれば国宝に指定されていただろうと考えられている。注目点は、この動乱で重要な役割を担う後白河院が画面には一切登場せず、牛車でその存在を暗示するにとどまっていることだ。権力者の姿を威風堂々と描くヨーロッパとは異なり、天皇を描かない日本ならではの慣習によるものといえる。地上の統治者たちは、しばしば「神の代理人」としての役割を果たした。また、宗教的な儀式を行うことや、その地の宗教の支援を行う事もあった。第2章の「聖なる世界」では、権力者たちと宗教美術とのかかわりを扱う。ブオナッコルソの《玉座の聖母子と聖司教、洗礼者聖ヨハネ、四天使》は、金箔をふんだんに使い、照度を落とした展示室でも光り輝く祭壇画だ。ニッコロ・ディ・ブオナッコルソ《玉座の聖母子と聖司教、洗礼者聖ヨハネ、四天使》1380年頃ボストン美術館蔵エル・グレコの《祈る聖ドミニクス》はドミニコ会を創設した修道士聖ドミニクスを描いた作品。聖ドミニクスの敬虔さがドラマティックな構図で描かれている。エル・グレコ《祈る聖ドミニクス》1605年頃ボストン美術館蔵《大日如来坐像》は平安時代に制作されたもの。当時、権力者たちに広く受け入れられていた仏師、定朝の様式を踏襲して作られている。様式は、権威を表す機能も果たしていたのだ。《大日如来坐像》1105年ボストン美術館蔵続く第3章「宮廷の暮らし」では、統治者たちの暮らしぶりが垣間見える絵画や宝飾品などを紹介する。《灰色の枢機卿》は、現在もパレ=ロワイヤルとして現存するパリの宮殿の大階段が舞台の作品。カラフルな服を身にまとい、うやうやしくお辞儀をする貴族たちを、修道士は気にもとめず読書をしている様子が描かれている。修道士は、当時フランスの大権力者であったリシュリュー枢機卿のブレーンの一人。フランス王国の力関係がドラマティックな構図で描かれている。ジャン=レオン・ジェローム《灰色の枢機卿》1873年 ボストン美術館蔵《モンスーンを楽しむマハーラージャ、サングラーム・シング》は、統治者であるサングラーム・シングが郊外の宮殿を訪れたときの様子が描かれている。サングラーム・シングは画面上部と下部に描かれており、上部の屋上から妻とともに広大な領土を眺める様子や、下部の侍女を従えながら宮殿に入っていく描写から、その絶大な権威を見てとることができる。《モンスーンを楽しむマハーラージャ、サングラーム・シング》1720-1725年頃ボストン美術館蔵第4章「「貢ぐ、与える」、第5章「たしなむ、はぐくむ」へ統治者は、ときに他の統治者や家臣に贈り物をすることもある。第4章「貢ぐ、与える」では、権力者たちによる贈答品、あるいは権力者への貢物などを紹介していく。狩野永徳によるものと伝わる《韃靼人朝貢図屏風》は、韃靼人(モンゴル系騎馬民族)の一行が、位の高い人物に謁見するために、貢物を持って向かう様子が描かれている。この画題は中国の皇帝に謁見するために様々な民族が貢物を持って向かう「王会図」という画題に傚ったものだ。伝狩野永徳《韃靼人朝貢図屏風》16世紀後半 ボストン美術館蔵《銀の水差しと水盤》はイングランドの女王、エリザベス1世への贈り物、あるいは女王からの贈り物であったと考えられている。水差しと水盤の両方に歴代国王の略系図が彫り込まれ、水差しにはさら旧約聖書の物語も表されている。《銀の水差しと水盤》1567−68年ボストン美術館蔵そして、クライマックスとなる第5章「たしなむ、はぐくむ」では、芸術家のパトロンとしての権力者に焦点を当てる。同展で里帰りを果たした二大絵巻のひとつ、《吉備大臣入唐絵巻》は、全期を通して4巻揃って展示。奈良時代を代表する学者で官僚、遣唐使だった吉備真備と、唐で亡くなり、鬼となって現れた阿倍仲麻呂との物語が描かれる。現代の感覚ではかわいらしくユーモラスにも感じる内容だ。《吉備大臣入唐絵巻》展示風景《吉備大臣入唐絵巻》(部分)12世紀末ボストン美術館蔵《吉備大臣入唐絵巻》(部分)12世紀末ボストン美術館蔵展覧会の最後を飾るのは、同展のために修復が施され初の里帰りを果たした増山雪斎の《孔雀図》。雪斎は江戸時代に伊勢長島藩を治めた大名でありながら、画技にも秀でた文人大名だった。修復を経て色鮮やかに蘇った精緻な表現をじっくりと鑑賞して欲しい。増山雪斎《孔雀図》1801年ボストン美術館蔵はるか昔から密接に関わり合ってきた「芸術」と「力」。時代や国によって異なるさまざまな「力」の表現に注目しながら、権力とは何か、ということについて改めて考える機会ともなりそうだ。構成・文:浦島茂世【開催情報】『ボストン美術館展芸術×力』7月23日(土)~10月2日(日)、東京都美術館にて開催※日時指定予約制
2022年07月26日上野の国立西洋美術館で、リニューアルオープン記念となる展覧会『自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』が開催中です。本展では、自然と向き合った芸術家たちのさまざまな作品を展示。プレス内覧会で取材したおもな見どころや展示風景をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 251『自然と人のダイアローグ』では、ドイツ・ルール地方の都市エッセンにあるフォルクヴァング美術館と国立西洋美術館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にした作品100点超を展示。ドイツロマン主義の画家フリードリヒをはじめ、モネ、セザンヌ、ゴッホや20世紀絵画、そして現代ドイツを代表する画家リヒターの作品まで見ることができます。二人のコレクターが受けた苦難…フォルクヴァング美術館と国立西洋美術館は、いくつか共通点があります。まずは、設立者の熱い思い。両美術館とも、同時代を生きたコレクターのカール・エルンスト・オストハウス(1874-1921)と松方幸次郎(1866-1950)の個人コレクションをもとに設立されました。オストハウスは、地元の人々に美を提供するため美術館を建設したいと願い、松方も日本の画学生たちに本物の西洋画を見せてあげたいという熱い思いから作品を収集していました。また、第二次世界大戦により苦難を受けた点も似ています。フォルクヴァング美術館は、ナチス政権時代、「退廃芸術キャンペーン」により1,400点以上の近代美術作品が押収されました。いっぽう、松方のコレクションも戦争末期、フランス政府に多くの作品を接収され、1951年にそれらはフランスの国有財産となってしまいました。しかしその後、フランス政府は多くの作品を日本に返還することを決定。寄贈返還された松方コレクションを基礎に誕生したのが、国立西洋美術館です。1959年に完成した国立西洋美術館・本館の建物はル・コルビュジエの設計によるもので、2016年には国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献 ―」が世界文化遺産に登録されました。リヒターとモネ、夢のコラボでは、本展の見どころ作品をいくつかご紹介します。まずは、現代ドイツを代表するアーティスト、ゲルハルト・リヒターの《雲》と、印象派の巨匠クロード・モネ《舟遊び》のコラボ。リヒターの作品は写真をもとに描いたもので、一見するとリアルなのですが、じっと見つめていると写真とは違う独特の空気が漂っているように感じられます。一緒に展示されているモネの絵にも空が描かれていますが、こちらは水面に反射した空と雲です。同じ空でも、画家によって表現の仕方はさまざま。この二人の作品を隣り合わせで見られる機会はほとんどないと思いますので、かなり貴重な鑑賞体験ができます。ゴッホ初来日の代表作も!本展では、ゴッホが最晩年に取り組んだ風景画の代表作、《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》が初来日。こちらは、展覧会のメインビジュアルにもなっている注目作品です。ゴッホは、麦を刈る人物に「死」を、刈り取られる麦のなかに「人間」のイメージを見たといわれています。本作品が描かれたのは、1889年。当時サン=レミの精神療養院に入院していたゴッホは、その翌年の1890年に麦畑で自分の腹をピストルで撃ち、亡くなりました。リニューアルした美術館にも注目!本展で美術館を訪れたら、ぜひリニューアルした国立西洋美術館もご覧ください。同館は1年半の休館中に、創建した当時の姿に近づける工事を行っていました。前庭にある目地や西門の位置、囲障など、デザイン上も大きな意味をもつ部分が変化しています。世界遺産の美術館に足を運んで、ぜひ巨匠たちの名画を楽しんでみてください。Information会期:~9月11日(日)※休館日は毎週月曜日 (ただし、8月15日(月)は開館)会場:国立西洋美術館開館時間:9:30〜17:30毎週金・土曜日:9:30〜20:00※入館は閉館の30分前まで※日時指定制※最新情報などの詳細は展覧会特設サイトをご覧ください。お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年07月24日日本一高いビル「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」では、日本美術や西洋美術、現代アートなど多彩な展覧会を開催しています。2022年度後半は9月より「楳図かずお大美術展」、12月より「アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー」の開催を予定しています。(既報のとおり。詳細は別紙参照)上記の展覧会に続き、新たに2023年度に開催する展覧会が決定しましたのでお知らせします。「幕末土佐の天才絵師 絵金」会 期:2023年4月22日(土)~2023年6月18日(日)共 催:読売新聞社開催趣旨:謎の天才絵師とも呼ばれる土佐の絵師・金蔵は、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風などを残し、「絵金さん」の愛称で、地元高知で長年親しまれてきました。同時代のどの絵師とも異なる画風で描かれた屏風絵は、今も変わらず夏祭りの数日間、高知各所の神社等で飾られ、闇の中に蝋燭の灯りで浮かび上がるおどろおどろしい芝居の場面は、見るものに鮮烈な印象を残しています。本展は、高知県外の美術館で開催する初の大規模展です。幕末の土佐に生き、異彩を放つ屏風絵・絵馬提灯などを残した「絵金」の類稀なる個性と、その魅力について、代表作の数々で紹介します。※上記1~3の画像データは貸出が可能です。ご希望の方はお問合せください。また、事前に原稿の確認が必要になります。(画像の使用は、本展覧会をご紹介いただく媒体に限ります。ご使用後は破棄をお願いします。)※画像掲載の際は、作品名と所蔵者を必ずご掲載ください。(スペースがあれば「二曲一隻屏風 紙本彩色」もご掲載ください。)※開催1ヶ月前を目処に詳細なプレスリリースを皆様のもとへお送りします。別紙: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月28日アクティビティサービス提供を行っているsoobox~想箱~(所在地:秋田県鹿角市、代表:川又 伸文)は、「十和田国立公園、八幡平国立公園での体験型観光拠点づくり事業」をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて2022年6月11日(土)より開始しています。「CAMPFIRE」クラウドファンディングサイト 十和田湖でSUP(サップ)■開発背景私が起業をしたきっかけの一つが、地元での新しい仕事のカタチづくりと地方観光地の課題解決です。バブル期に避暑地として人気があり賑わっていた十和田国立公園と八幡平国立公園でしたが、現在では以前の賑わいには程遠いのが現状です。そんな賑わいがなくなった十和田八幡平国立公園を地元の個人事業ではありますが、アクティビティ事業を中心としたコンテンツや予約システム体制を整え「体験する観光」の拠点を創り、新しい観光のかたちとして、地元の新しい働き方として地域のために事業を通じて、貢献したいと日々奮闘しています。■特徴*大型観光バスなどの観光客ではなくマイカーやレンタカー、トレッキング、サイクリング個人観光客をターゲットとしたお手軽にアクティビティ体験を提供*国立公園の十和田湖、八幡平の四季折々の景色と大自然を体感できる体験プログラム*地元生まれ地元育ちのスタッフが、個人事業での地元初アクティビティ事業チャレンジ*昨年のプレオープンから徐々にお客様やお問い合わせが増え、7月~9月まで北東北三県大型観光キャンペーンに事業提供■リターンについて・10,000円:soobox ECサイトで掲載予定のコーヒー豆セット!sooboxのアクティビティ事業の拠点になっている十和田ふるさとセンター内にあるcafe「kotoriusagi(コトリウサギ)」で販売しているエチオピア産豆のセットになります。・25,000円:カヤック体験(1名分)十和田ふるさとセンター桟橋をスタートにして十和田湖の大自然を感じながらのカヤック体験になります。サポートスタッフ付きで体験時間は90分。・1,000,000円:アクティビティ(カヤック、サップ、トレッキング)5年間ペア体験提供。十和田湖西湖岸の大自然をアクティビティを通して体感してください。(サポート、ガイドスタッフ付)■プロジェクト概要プロジェクト名: 「十和田国立公園、八幡平国立公園での体験型観光拠点づくり事業」期間 : 2022年6月11日(土)~8月25日(木)23:59URL : ■会社概要商号 : soobox~想箱~(ソウボックス)代表者 : 代表 川又 伸文所在地 : 〒018-5334 秋田県鹿角市十和田毛馬内字中陣場117-3設立 : 2022年5月事業内容: アクティビティ提供事業サービス、ふるさと納税自治体サポートサービス、ECセレクトショップ(準備中)資本金 : 10万円【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】soobox~想箱~(ソウボックス) お客様相談窓口TEL:090-6627-7231 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月25日東京・上野の国立西洋美術館のリニューアルオープンを記念して先日より「自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」がスタートした。国立西洋美術館とドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館の共同企画によるもので、ゴッホ、モネ、セザンヌ、ゴーガン、フリードリヒといった19世紀から20世紀にかけて活躍した西洋美術の巨匠たちが、自然と対話(ダイアローグ)しながら生み出した100点以上に及ぶ傑作が展示されている。4つの章で構成されており「I章 空を流れる時間」は“空の王者”と称されたブーダンの「トルーヴィルの浜」、「引き潮のドーヴィルの浜」、「海浜」という海辺と空を捉えた3点で始まり、彼に影響を受けたモネ(「雲の習作」、「波立つプールヴィルの海」、「雪のアルジャントゥイユ」、「セーヌ河の朝」ほか)、さらにマネ(「嵐の海」、「ブラン氏の肖像」)、ルノワール、マティスなど印象派の画家たちの作品を中心に展開する。リヒターの「雲」(1970年制作)とモネの「舟遊び」(1887年)が並んで展示されているのがひときわ目を引く。「II章 〈彼方〉への旅」では自然に自らの感情を託した作家たちの作品が並ぶ。フリードリヒの「夕日の前に立つ女性」、生涯に100点以上の波の絵を描いたクールベの「波」、ゴーガンの「海辺に立つブルターニュの少女たち」、「扇を持つ娘」、「『ノア・ノア』より マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)」などが目を引く。「Ⅲ章 光の建築」では自然を観察・分析し、独自の絵画空間を生み出した画家たちの作品――セザンヌの「ベルヴュの館と鳩小屋」、シニャックの「サン=トロペの港」、カンディンスキーの「小さな世界」、ミロの「絵画」、クレーの「月の出(サン=ジェルマン界隈)」、ル・コルビュジエの「三人の人物(モデュロール)」などが展示されている。そして「IV章 天と地のあいだ、循環する時間」と銘打たれた最後の章では、そのタイトル通り、自然の中での循環する時間と人生を重ね合わせて表現された作品の数々が並ぶ。ゴッホの「刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン・ポール病院の麦畑)」の来日はこれが初めて。同じくゴッホの「ばら」、モネの「睡蓮」、ミレーの「春(ダフニスとクロエ)」、ムンクの「雪の中の労働者たち」、「アルファとオメガ」、「眼鏡を掛けた自画像」などの名画が連なる。声優の駒田航がナビゲーターを務めている音声ガイドもオススメ。ピアニストの福間洸太朗の選曲および演奏によるBGM(バッハ、ベートーヴェン、ラヴェルなど6曲を収録)とあわせて、それぞれの作品の背景や画家に関する解説がやさしく、心地よくに染み入ってくる。ドイツ・ロマン主義から印象派、ポスト印象派に20世紀絵画まで、西洋絵画の巨匠たちの“競演”を楽しめる貴重な展示となっている。
2022年06月10日リニューアルのため休館していた国立西洋美術館が1年半振りに企画展を開催している。6月4日(土)より9月11日(日)までの会期で行われる『国立西洋美術館リニューアルオープン記念自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』は、自然と人をテーマに近代の絵画の変遷をたどる展覧会だ。開館当初の佇まいに近づける工事のため、2022年4月まで約1年半のあいだ休館していた国立西洋美術館。リニューアル後、初となる企画展は、ドイツはエッセンにあるフォルクヴァング美術館の協力を得て開催される。フォルクヴァング美術館は、実業家のカール・エルンスト・オストハウスの個人コレクションを核とした美術館。オストハウスと同時代を生きた実業家、松方幸次郎のコレクションを元に誕生した国立西洋美術館との共通点も多い。同展では2つの美術館のコレクションから、「自然との対話」を画家たちがどのように行い、作品として作り上げていったのかについて4章構成で取り上げる。印象派やポスト印象派を軸に、20世紀絵画まで100点以上の作品が展示されている。左:ウジェーヌ・ブーダン《トルーヴィルの浜》1867年国立西洋美術館蔵右:エドゥアール・マネ《嵐の海》1873年国立西洋美術館蔵第1章は「空を流れる時間」。技術革新が進み、携行できる絵の具が普及した19世紀、画家たちは盛んに戸外に出て、変化する光の姿を捉えようとした。モネの師匠でもあり、海辺の風景を描き続けたブーダンの作品をスタートに自然をさまざまな形で捉えようとする画家たちを取り上げる。左:マックス・リーバーマン《ラーレンの通学路》1898年 フォルクヴァング美術館蔵 右:エドゥアール・マネ《ブラン氏の肖像》1879年頃 国立西洋美術館蔵ドイツの画家マックス・リーバーマンやマネは、木漏れ日と人々をモチーフに、光のきらめきを描いた。それぞれ画家ごとに個性が出ているのが興味深い。この章で一番の盛り上がりを見せるのは印象派の巨匠として知られるクロード・モネと現在、世界でもっとも人気のある画家のひとり、ゲルハルト・リヒターの共演だ。小舟にのって川で遊ぶ少女たちと、きらめく水面のコントラストが美しいモネの作品とソフトフォーカスで撮影された写真にも見える、青空と雲を描いたリヒターの作品が隣り合う。二つの作品の間には110年の年月が流れているが、光のあり方を追求しようとする画家たちの姿勢は変わらない。左:クロード・モネ《舟遊び》1887年国立西洋美術館蔵右:ゲルハルト・リヒター《雲》1970年 《雲》フォルクヴァング美術館蔵第2章は「〈彼方〉への旅」と題し、自分の心象や観念を自然の風景と結びつけた画家たちの作品を紹介する。ロマン派を代表するドイツの画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒは夕日を見つめる後ろ姿の女性像を描くことで、ヨハン・クリスティアン・クラウゼン・ダールは窓とその向こうの神秘的な風景を描くことで、人間の理想を追求することを試みた。左:カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ《夕日の前に立つ女性》1818年 フォルクヴァング美術館蔵 右:ヨハン・クリスティアン・クラウゼン・ダール《ビルニッツ城の眺め》1823年 フォルクヴァング美術館蔵ゴーガンはブルターニュ地方にあるポン=タヴェンやタヒチなど、あえて都会から離れて制作することで、自らの芸術を追求していた。左:ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》1902年 フォルクヴァング美術館蔵 右:ポール・ゴーガン《海辺に立つブルターニュの少女たち》1889年 国立西洋美術館蔵第3章「光の建築」は、自然のなかに普遍的な秩序や法則、本質的な構造を見出し、表現のなかに織り込もうと試みた画家たちの作品を紹介する。スーラの点描技法に強く影響を受けたベルギーの画家、レイセルベルへは水面と月の光を丹念に点描で描き、フィンランドの国民的画家、ガッレン=カッレラは、静かな湖面にさざなみが立つ場面を装飾的に描いている。点描技法をスーラとともに実践し、後の画家たちに大きな影響を与えたシニャックは、パリや南仏などさまざまな場所の風景を描いた。左:テオ・ファン・レイセルベルへ《ブローニュ=シュル=メールの月光》1900年 フォルクヴァング美術館蔵 右:アクセリ・ガッレン=カッレラ《ケイテレ湖》1906年 国立西洋美術館蔵左:ポール・シニャック《ポン・デ・ザール橋》1912/1913年右:ポール・シニャック《サン=トロペの港》1901〜1902年 国立西洋美術館蔵最終章となる「天と地のあいだ、循環する時間」では、めぐる季節や生と死など自然のなかにおける「循環」を描いた作品を展示する。ゴッホの《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》は、ドイツから初来日。ゴッホの死の12年後にオストハウスが購入し、フォルクヴァング美術館の開館を飾った記念碑的な作品だ。左:カミーユ・ピサロ《収穫》1882年 国立西洋美術館蔵 右:フィンセント・ファン・ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》1889年フォルクヴァング美術館蔵ドニとモネの作品は、どちらも縦に伸びる木々が画面を分断する印象的な作品。ドニの作品が制作されたのは、モネの作品が描かれてからわずか15年後。その当時の芸術のあり方、価値観が大きく変化していたことも伺える。左:モーリス・ドニ《踊る女たち》1905年 国立西洋美術館蔵 右:クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館蔵そして、展覧会は国立西洋美術館の所蔵するモネの2点、《睡蓮、柳の反映》《睡蓮》を中心にノルデやゴッホの絵画作品、ドイツの写真家、エンネ・ビアマン写真など、花の作品で締めくくられる。クロード・モネ左:《睡蓮、柳の反映》右:《睡蓮》 いずれも1916年国立西洋美術館蔵国立西洋美術館、フォルクヴァング美術館の珠玉の作品を通して、芸術家と自然との関わり方とを知ることができる展覧会。リニューアルしてまもない国立西洋美術館でぜひ鑑賞してみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】国立西洋美術館リニューアルオープン記念『自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』6月4日(土)~9月11日(日)、国立西洋美術館にて開催()
2022年06月08日東京都美術館で『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が開催中です。本展では、世界最高峰の美術館のひとつ、スコットランド国立美術館から上質な西洋絵画が集結。展示の様子や学芸員さんの解説、おすすめ作品をご紹介します!巨匠たちの作品に会える!【女子的アートナビ】vol. 244『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』では、スコットランドが誇る美術品のなかから、ラファエロやレンブラント、ルノワールなど、巨匠たちの作品や、ターナーやミレイなどイングランド出身の画家たちの作品なども含め、約90点が集結。西洋美術の流れを名画とともに楽しめます。スコットランド国立美術館が開館したのは、1859年。ヨーロッパの他国のように、王室コレクションからスタートした美術館ではなく、購入や地元の名士たちによる寄贈や寄託などによってコレクションを増やしていき、世界有数の美術館となりました。本展では、コレクションのエピソードを楽しめる作品も見ることができます。あだ名が有名!では、おすすめ作品を数点ピックアップしていきます。まずは、第1章「ルネサンス」から、巨匠エル・グレコの《祝福するキリスト(「世界の救い主)」》にフォーカス。イタリアやスペインで活躍したエル・グレコは、ギリシャ出身の画家。本名は、ドメニコス・テオトコプーロスですが、あだ名のエル・グレコ(ギリシャ人)として知られています。故郷のクレタ島で美術の修業をし、その後ヴェネツィアに移住、さらにローマでも働き、最後はスペインに永住しました。本作は、表現力豊かな筆遣いと、赤と青のコントラストが目を引く美しい作品です。学芸員さんのおすすめは…?続いて、第2章「バロック」では、スペインの画家、ディエゴ・ベラスケスの描いた《卵を料理する老婆》をご紹介。ベラスケスは、国王フェリペ4世付きの画家に任命され、「画家の中の画家」と呼ばれた巨匠。国王に信頼され、王室の肖像画を数多く描いたほか、王宮配室長も任されるほど出世した人です。本展担当の東京都美術館学芸員・髙城靖之さんによると、この作品は、ベラスケスがまだ若いころに、自分の力量を知らしめるために描いた野心作。本作の注目ポイントについて、次のように語っています。髙城さん作品の手前には静物を描いている部分があり、金属などの質感をたくみに描き分けています。なかでも一番の注目ポイントは、調理中の卵。素揚げにしているところですが、白身が固まっている最中のものと、すでに固まっている状態のものとがきちんと描き分けられています。卵が固まっていく様子を絵画で見事に表現しているので、ぜひご覧になってみてください。7度も夫を殺された…!?もう一点、バロック絵画で筆者のおすすめ作品をご紹介。オランダ絵画の黄金期に活躍した巨匠、レンブラント・ファン・レインの《ベッドの中の女性》です。一見すると、ふつうに美しい絵画ですが、解説を読んで作品の背景を知ると、あまりに残酷なストーリーに驚愕します。本作品の女性は、聖書の登場人物であるサラと考えられています。彼女は、過去7度も結婚初夜に夫を悪魔に殺されており、この絵は、8人目の夫が悪魔を追い払うところをサラが見守っている場面。この絵を見て、聖書の物語を読み解ける教養や見識が鑑賞者に求められているそうです。絵の背景にあるストーリーを知ると、作品の見え方ががらりと変わります。絵は表面的な美しさだけを見ても十分満足できますが、解説を読むとさらに別の楽しみ方もできます。スコットランド人の故郷愛が伝わる…!最後は、スコットランド国立美術館のステキなエピソードがある絵画をご紹介。本作品は、アメリカの風景画家フレデリック・エドウィン・チャーチの作品です。なぜ、アメリカ絵画が最後に展示されているのでしょう?髙城さんによると、この絵は、スコットランドの貧しい家庭に生まれた人がアメリカに移住し、実業家として成功したあと故郷に寄贈した作品。スコットランド国立美術館は、市民らの寄付などによりコレクションを増やしていった美術館なので、その象徴として最後にこの作品を展示したそうです。巨匠たちの競演を楽しんで!巨匠たちの名画、いかがでしたか?本展は7月3日まで開催。幅広い西洋美術の名品を、まとめて見られる貴重なチャンスです。ぜひ美術館で楽しんでみてくださいね!Information会期:~7月3日(日)※休室日は月曜日会場:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)※金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)※夜間開室については、展覧会公式サイトでご確認ください。観覧料:※本展は日時指定予約制一般¥1,900、大学生・専門学校生¥1,300、65歳以上¥1,400高校生以下無料(日時指定予約必要)※最新情報は展覧会公式サイトでご確認ください問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2022年05月14日『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が東京都美術館(台東区)で開催中だ。1859年に開館したスコットランド国立美術館は、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する。本展は、そのコレクションの中から、ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、ルノワールなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品を展示。そのほか、ゲインズバラ、レノルズ、ブレイク、コンスタブル、ターナー、ミレイといったイングランド出身の画家に加え、日本ではなかなか見ることのできないレイバーン、ラムジー、ウィルキー、ダイスなどスコットランド出身の代表的な画家たちの名品も。油彩画・水彩画・素描約90点を通じ、西洋美術の流れとともに、ヨーロッパ大陸と英国との文化交流から、英国美術がはぐくまれた様子を紹介している。展示構成は、スコットランド国立美術館の建物や館内の様子を描いた作品を紹介する「プロローグ」から始まり、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(帰属)《幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》やエル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》などが並ぶ「ルネサンス」、ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》、レンブラント・ファン・レイン《ベッドの中の女性》といった「バロック」と続く。英国のコレクターたちが美術品の購入や文化的教養を深めるために大規模なヨーロッパ旅行をした「グランド・ツアーの時代」では、フランソワ・ブーシェの晩年の作である《田園の情景》やジョシュア・レノルズ《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》などが見られる。「19世紀の開拓者たち」では、フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》、クロード・モネ《エプト川沿いのポプラ並木》などを紹介。「エピローグ」では、フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》という圧巻の作品で締め括られる。本展は7月3日(日)まで(休室日は月曜日)。開室時間は午前9時30分〜午後5時30分※金曜日は午前9時30分~午後8時(入室は閉室の30分前まで)。展示室の混雑を避けるため、日時指定予約制。一般1900円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1400円。天海祐希がナビゲーターを務める音声ガイドとのセット券は2400円(5月8日入場分までの期間限定)。なお、7月16日(土)〜9月25日(日)は神戸市立博物館、10月4日(火)〜11月20日(日)は北九州市立美術館 本館でも開催される予定だ。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年05月06日上質で、幅広い西洋絵画コレクションを持つことで知られるスコットランド国立美術館から、巨匠と呼ばれる画家たちの作品が数多くやってくる展覧会『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が4月22日(金)に東京都美術館で開幕した。7月3日(日)まで開催の後、神戸市立博物館、北九州市立美術館へも巡回予定だ。スコットランド国立美術館は、スコットランドの首都、エディンバラに1859年に設立された美術館。ヨーロッパで最も壮大な景観を持ち、世界遺産にも登録されているエディンバラは、毎年夏に芸術祭「エディンバラ・フェスティバル」が開催されることで知られる芸術の都市だ。そんな芸術色豊かな都市エディンバラにある美術館ではあるが、設立当初は作品の購入予算がなく、地元の名士たちの寄贈や寄託により上質なコレクションを築き上げてきたという。同展は、そんなスコットランド国立美術館が持つ、ラファエロやエル・グレコからスーラ、ルノワール、ゴーガンまで、「巨匠」と呼ばれる画家たちの作品を中心に紹介するものだ。また、スコットランドやイングランドの作家たちによる作品も合わせて紹介される。展覧会は時代順に4章で構成されている。第1章「ルネサンス」ではラファエロの素描や、エル・グレコのキリスト像など、誰もが知る巨匠の作品を展示する。展示風景よりエル・グレコ《祝福するキリスト》1600年頃 スコットランド国立美術館蔵ヴェロッキオ(帰属)の《小児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》は、19世紀の批評家で画家のジョン・ラスキンが所有していたことで知られた作品。ラスキンはラファエル前派らに多大な影響を与え、ホイッスラーと裁判で争うなどイギリス美術史のなかで大きな存在感を持つ人物だ。アンドレア・デル・ヴェロッキオ《幼児キリストを礼拝する聖母「ラスキンの聖母」》1470年 スコットランド国立美術館蔵第2章の「バロック」では、17世紀に活躍したレンブラントやベラスケスなどの油彩画や素描を展示する。ベラスケスの《卵を料理する老婆》は台所や酒場の情景を描いた、ボデゴン(厨房画)と呼ばれる作品。老婆は熱した油のなかに生卵をそっと流しいれて揚げ焼きにするスペイン式目玉焼きを作っている。陶器、金属の器、ガラスのフラスコなど様々な物質の質感が見事に描き分けられている。ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》1618年スコットランド国立美術館蔵ルーベンスに学んだ画家ヴァン・ダイクは、イングランドの宮廷画家として招聘され、当地で多くの肖像画を残した。彼は、後のレノルズらに大きな影響を与え、英国で一大ジャンルとなった肖像画の世界に絶大な影響を与えている。アンソニー・ヴァン・ダイク《アンブロージョ・スピノーラ侯爵(1569-1630)の肖像》1627年スコットランド国立美術館蔵レンブラント・ファン・レイン《ベッドの中の女性》1647年スコットランド国立美術館蔵続く第3章は「グランド・ツアーの時代」。17世紀から19世紀にかけて、イギリスの裕福な貴族の子弟やコレクターらは、文化的教養を深めるため、長期間かけてヨーロッパを旅するグランド・ツアーを行っていた。このグランド・ツアーが流行していた時代、フランスではブーシェらによる華やかな絵画を、イタリアではグアルディらが美しい風景画をそれぞれ描き、イギリスからの旅行者たちは熱心に収集していた。フランソワ・ブーシェ《田園の情景》 1762年スコットランド国立美術館そして、それまで画家を排出してこなかったイギリスから、レノルズやゲインズバラ、ラムジーらが肖像画家として台頭、活躍を開始する。この時期からようやくイギリスならではの絵画が芽吹き始めたのだ。ジョシュア・レノルズ《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》1780-81年スコットランド国立美術館トマス・ゲインズバラ《ノーマン・コートのセリーナ・シスルスウェイトの肖像》1778年スコットランド国立美術館蔵そして、第4章「19世紀の開拓者たち」では、ターナーやコンスタブル、ミレイやブレイクなどイングランド、スコットランドで活躍する画家たちが占める割合が増えていく。左:フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》1857年右:ヘンリー・レイバーン《ウィリアム・クルーンズ少佐(1830年没)》1809-11年頃いずれもスコットランド国立美術館蔵左:ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《トンブリッジ・ソマー・ヒル》1811年 右:ジョン・コンスタブル《デダムの谷》1828年 いずれもスコットランド国立美術館蔵ジョン・エヴァレット・ミレイ《古来比類なき甘美な瞳》1881年スコットランド国立美術館蔵そして、モネやゴーガンなどの印象派やポスト印象派の画家なども合わせて展示。時代が進めば進むほど題材や画風、価値観に多様性が現れてくるのも興味深い。左:ポール・ゴーガン《三人のタヒチ人》1899年右:クロード・モネ《エプト川沿いのポプラ並木》1871年いずれもスコットランド国立美術館蔵そして、展覧会の最後はフレデリック・エドウィン・チャーチの記念碑的な作品《アメリカ側から見たナイアガラの滝》で締めくくられる。この作品は、スコットランド出身の実業家によって美術館に寄贈されたもの。寄付や寄贈の作品を核に成長を続けた同館を象徴する一枚となっている。フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》1867年スコットランド国立美術館蔵各時代の著名な巨匠の作品を楽しみつつ、そしてイギリス美術史の流れも辿ることができる展覧会、さまざまな楽しみ方ができるはずだ。【開催情報】『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』4月22日(金)~7月3日(日)、東京都美術館にて開催※日時指定予約制
2022年04月30日優れた近代美術の個人コレクターとして知られる、松方幸次郎(1866-1950)とカール・エルンスト・オストハウス(1874-1921)。それぞれのコレクションを礎に設立された、国立西洋美術館と、ドイツ・エッセンにあるフォルクヴァング美術館による初のコラボレーション企画『国立西洋美術館リニューアルオープン記念自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』が6月4日(土)より国立西洋美術館にて開催される。産業や社会、科学など多くの分野で急速な近代化が進んだ19世紀から20世紀にかけて、芸術家たちは新たな知識とまなざしで自然と向き合い、多彩な作品を生みだしていった。同展では、ゴッホをはじめ、マネ、モネ、セザンヌ、ゴーガン、シニャック、ノルデ、ホドラー、エルンストなど100点を超える絵画や素描、版画、写真で、近代絵画史を代表する巨匠たちの自然に対する芸術表現を紹介。ファン・ゴッホが晩年に取り組んだ風景画の代表作《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》のほか、ドイツ・ロマン派の巨匠フリードリヒ、現代アートからはリヒターなど、日本ではなかなか見られない作品も多数来日。また国立西洋美術館の新規収蔵品からは、世界的に注目を浴びている北欧作家ガッレン=カッレラによる作品が初公開される。コルビジュエが意図した創建当時の姿に近づけ、リニューアルオープンした国立西洋美術館にて開催される最初の大型企画展。デザイン上も大きな意味を持つ前庭の目地、西門や野外彫刻の位置、囲障など、生まれ変わった美術館にも注目したい。ポール・ゴーガン《扇を持つ娘》1902年フォルクヴァング美術館(c) Museum Folkwang, Essenアクセリ・ガッレン=カッレラ《ケイテレ湖》1906年国立西洋美術館クロード・モネ《睡蓮》1916年国立西洋美術館松方コレクションエンネ・ビアマン《睡蓮》1927年頃フォルクヴァング美術館 (c) Museum Folkwang, Essenカール・エルンスト・オストハウス Albert Renger-Patzsch, Karl Ernst Osthaus, before 1921 (c) Museum Folkwang, Essen株式会社川崎造船所(現川崎重工業株式会社) 初代社長松方幸次郎 写真提供:川崎重工業株式会社【開催概要】『国立西洋美術館リニューアルオープン記念自然と人のダイアローグ-フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』会期:2022年6月4日(土)~9月11日(日)会場:国立西洋美術館時間:9:30~17:30、金土は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜(7月18日、8月15日開館)、7月19日(火)料金:一般2,000円、大学1,200円、高校800円※日時指定制展覧会公式サイト
2022年04月26日展覧会「ワニがまわるタムラサトル」が、東京・六本木の国立新美術館にて、2022年6月15日(水)から7月18日(月・祝)まで開催される。現代美術家・タムラサトルの個展タムラサトルは、1972年生まれの現代美術家だ。「ワニがまわるタムラサトル」では、代表作である「まわるワニ」のカラフルな彫刻を、約12mの巨大なワニを中心に、大型インスタレーション作品として展開する。タムラサトルが「まわるワニ」の作品を手がけるようになったのは、大学3年の秋のこと。「電気を使った芸術装置」という課題に対して、電気に関する知識のなかったタムラは、プランを発表する前夜、朝起きて最初に思いついたものを作ると決めて就寝、そして翌朝、「ワニがまわる」というイメージが浮かび、それを作るようにしたのだった。その際に制作されたのは、4.5mのワニが毎分30回転をするという作品であり、タムラ自身そのわけのわからなさに強烈な興奮を覚えたという。その後、「ワニがまわる」意味を考えながら作品制作を続けるが、「ワニがまわる」ことに意味があるのではなく、「よくわからないが、なぜかワニがまわっている」という状況こそが作品の面白さの本質をなしているのだと気づくに至った。本展では、そのようにユーモアに満ちたタムラの作品を通して、新しい視点から「アートとは何か」という問いについて考えることができそうだ。展覧会概要展覧会「ワニがまわるタムラサトル」会期:2022年6月15日(水)〜7月18日(月・祝)会場:国立新美術館 企画展示室1E住所:東京都港区六本木7-22-2開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで休館日:火曜日観覧料:無料【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2022年04月16日2020年10月より休館していた国立西洋美術館が、4月2日(土)より約1年半ぶりに再開館した。開館当時の姿に近づけ、設計者であるル・コルビュジエの思い描いた美術館像がイメージしやすくなっている。1959年に完成した国立西洋美術館は、20世紀建築や都市計画に多大な影響を与えたル・コルビュジエの設計。彼が提唱した「近代建築の5つの要点」を表現した建築は、ほかの16の建築とあわせて「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献 ―」として2016年に世界遺産に登録された。ちなみに、近代建築5つの要点とは、ピロティ、屋上庭園、自由な間取り、水平に連続する窓、自由な立面(ファザード)のこと。現在ではどの要点もとりたてて新鮮さはないが、コルビュジエが子供のころの建物には存在しない、斬新なものであった。アントワーヌ・ブールデル《弓をひくヘラクレス》1909年今回のリニューアルにおいて一番の注目ポイントは前庭。本館と外の道路の境界線上に配置されていた植栽を最小限にとどめ、柵を透過性のあるものに変更、道路と広場に繋がりが感じられるようになり、大きな開放感が生まれた。オーギュスト・ロダンの《考える人》や《カレーの市民》などの野外彫刻は、当初置かれていた配置に近づけた。その結果、建物の正面が見えるようになり、また、あみだくじのような床面の目地がしっかりと目に飛び込んでくるようになった。この目地の寸法はル・コルビュジエが人間の身長を基準にして編み出した尺度「モデュロール」に基づいた寸法で作られている。ちなみに、この床の目地は、ル・コルビュジエの弟子であり、国立西洋美術館新館の設計を担当した前川國男が手掛けた、国立西洋美術館のすぐ前にある東京文化会館の窓のサッシの割付と幅や位置が呼応しているという。また、床面には来館者を誘導するためのグレーのラインがリニューアルに合わせて復活している。オーギュスト・ロダン《考える人(拡大作)》1881〜82年(原型)、1902年〜03年(拡大)、1926年(鋳造)国立西洋美術館 外観 床面の長方形は「モデュロール」に基づいた寸法で作られている床面には、鑑賞者を誘導するためのラインも引かれているリニューアルオープンにあたり、これまで有料だった本館中央の吹き抜け空間「19世紀ホール」は、当面の間無料で開放される。建物を支える柱と梁、ゆるやかなスロープなど、ル・コルビュジエの作品のエッセンスが詰まった場所だ。三角形の天窓からは、優しい光が降り注いでいる。19世紀ホール19世紀ホール天井常設展 展示風景19世紀ホールのスロープを登ると常設展となる。国立西洋美術館は、第二次世界大戦中にフランスに接収されていた実業家・松方幸次郎のコレクションの日本返還にともなって誕生した。常設展では、この松方コレクションのほか、新収蔵作品やピックアップ作品を交えた展示となっている。右:ピエール=オーギュスト・ルノワール《横たわる浴女》1906年左:モネ《睡蓮、柳の反映》 1916年モネの《睡蓮、柳の反映》は、画面の上半分が大きく損傷を受けている作品。第二次世界大戦中の疎開時に強いダメージを受け、あまりの破損の大きさにフランス政府の返還リストに含まれず、長い間忘れられていた存在だった。2016年にフランス政府から松方家に返還され、2017年に国立西洋美術館に寄贈されている。痛ましい佇まいであるものの、松方コレクションの存在や、この美術館の設立理由などさまざまなことを気づかせてくれる。リニューアル後の企画展の第一弾は、6月4日(土)からはじまる『自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』であるが、それまでの間、常設展スペースで小企画展『調和に向かって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジー大成建設コレクションより』が、版画素描展示室では『新収蔵版画コレクション展』が開催されている。そのなかでも、『調和に向かって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジー大成建設コレクションより』は、世界有数のコルビュジエのコレクションを所蔵する大成建設の寄託作品を中心に展示されており、画家としてのル・コルビュジエの側面を見ることができる貴重な機会だ。ル・コルビュジエ《奇妙な鳥と牡牛》1957年左:ル・コルビュジエ《静物》1953年 右:《牡牛XVⅢ》1959年ル・コルビュジエのイメージにより近づいた国立西洋美術館、その姿をゆっくりと眺めておこう。取材・文:浦島茂世
2022年04月14日世界的に名高い西洋絵画コレクションを誇るスコットランド国立美術館の名品が多数来日する『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が、4月22日(金)より東京都美術館にて開催される。ヨーロッパで最も壮大な景観をもつ首都のひとつともいわれ、世界遺産に登録されたエディンバラに位置するスコットランド国立美術館は、上質で幅広い、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有し、美の殿堂といわれている。同展では、そんなスコットランド国立美術館が所蔵するラファエロ、エル・グレコ、ルーベンス、ベラスケス、レンブラント、ヴァトー、ブーシェ、コロー、スーラ、ルノワールなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品を展示する。さらに、ゲインズバラ、レノルズ、ブレイク、コンスタブル、ターナー、ミレイといったイングランド出身の画家、レイバーン、ラムジー、ウィルキー、ダイスなど日本ではなかなか見ることのできないスコットランド出身の代表的な画家たちの名品も紹介。約90点の油彩画・水彩画・素描作品で西洋美術史をたどる。日本初公開となるベラスケス初期の傑作《卵を料理する老婆》など、スコットランドが誇る至宝の数々を日本で鑑賞することができる貴重な機会となりそうだ。アーサー・エルウェル・モファット《スコットランド国立美術館の内部》 1885年 (C) Trustees of the National Galleries of Scotlandエル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》 1600年頃 (C) Trustees of the National Galleries of Scotlandクロード・モネ《エプト川沿いのポプラ並木》 1891年(C) Trustees of the National Galleries of Scotland ※東京会場のみ展示ポール・ゴーガン《三人のタヒチ人》 1899年(C) Trustees of the National Galleries of Scotland ※東京会場のみ展示フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》 1867年 (C) Trustees of the National Galleries of Scotlandスコットランド国立美術館内観 Photograph by Keith Hunter【開催概要】『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』会期:2022年4月22日(金)~7月3日(日)会場:東京都美術館 企画展示室休室日:月曜(5月2日は開室)時間:9:30~17:30(入室は17:00まで)※入場には日時指定予約が必要料金:一般 1,900円、大学1,300円、65歳以上1,400円展覧会公式サイト:
2022年04月12日4月23日(土)より目黒区美術館にて、板橋区立美術館、渋谷区立松濤美術館、練馬区立美術館など都内区立美術館10館が所蔵する、猫をモチーフとした作品を紹介する『東京・区立美術館ネットワーク連携事業東京の猫たち』が開催される。2018年から都内の区立美術館11館が協働し、「東京・区立美術館ネットワーク」として連携活動を続けている。その活動の一環として開催される同展には、木下晋《シロ 1》、柴田是真《猫鼠を覗う図》や朝倉文夫《たま(好日)》といった各館自慢の猫たちが集結。猫は、単に可愛らしいだけでなく、画家にとっては繊細な毛を、彫刻家にとってはしなやかな身体のラインを表現できるモテーフ。また、多くの芸術家にとって、猫は社会にとらわれない自由な存在としての憧れや共感の対象でもある。各館のコレクションの特徴を反映した、身近で親しみやすい猫を取り上げることで、展示をとおして、多彩な東京の区立美術館の活動についても紹介する。朝倉文夫《たま(好日)》1930年台東区立朝倉彫塑館川端龍子《眠猫》1933年大田区立龍子記念館柴田是真《猫鼠を覗う図》1884年板橋区立美術館木下晋《シロ 1》1988年 目黒区美術館【開催概要】『東京・区立美術館ネットワーク連携事業東京の猫たち』会期:2022年4月23日(土)~2022年6月12日(日)会場:目黒区美術館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)休館日:月曜料金:一般800円、大高・65歳以上600円美術館公式サイト:
2022年04月07日2020年10月より、館内施設整備のため休館していた国立西洋美術館が、4月9日(土)にリニューアルオープン。ル・コルビュジエの設計をもとに、デザイン上も大きな意味を持つ目地や、西門の位置、柵などを、1959年に創建した当時の姿に近づけた前庭もいよいよ完成する。4月9日(土)からは小企画展として、国立西洋美術館本館を設計したモダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの芸術を紹介する『調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ―― 大成建設コレクションより』が開催される。同展は、世界有数のル・コルビュジエのコレクションを所蔵する大成建設株式会社からの寄託作品を中心に、《牡牛XVIII》のような大作と、制作の過程を示す約10点の素描による合計約20点(展示替含め約30点)から構成。ル・コルビュジエの円熟期の絵画制作の展開を辿ることができる、貴重な機会となる。リニューアルオープン後初の企画展は、6月4日(土)から。ドイツ・フォルクヴァング美術館と国立西洋美術館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までを紹介する『国立西洋美術館リニューアルオープン記念自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』が開催される。【開催概要】小企画展『調和にむかって:ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ ―― 大成建設コレクションより』会期:2022年4月9日(土)~9月19日(月・祝)※会期中展示替えあり会場: 国立西洋美術館新館1階第1展示室時間:9:30~17:30、金土は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜(5月2日、7月18日、8月15日、9月19日は開館)、5月30日(月)~6月3日(金)、7月19日(火)料金:一般500円、大学250円※5月18日(水)は国際博物館の日のため観覧無料
2022年03月28日国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2022年度事業の実施対象館が決定いたしました。これにより国立博物館が所蔵する地域ゆかりの文化財113件が、愛知、島根、栃木、鹿児島、滋賀、沖縄の6つの施設で順次公開される予定です。■2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)美術館・博物館名:刈谷市歴史博物館(愛知県)展覧会名 :伊勢物語とかきつばた会期(予定) :2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)貸与予定件数 :3件美術館・博物館名:島根県立古代出雲歴史博物館(島根県)展覧会名 :ハニワの世界へようこそ会期(予定) :2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)貸与予定件数 :9件美術館・博物館名:足利市立美術館(栃木県)展覧会名 :あしかがの歴史と文化再発見!会期(予定) :2022年7月30日(土)~2022年10月10日(月・祝)貸与予定件数 :16件美術館・博物館名:鹿児島県歴史・美術センター黎明館(鹿児島県)展覧会名 :茶の湯と薩摩会期(予定) :2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)貸与予定件数 :30件美術館・博物館名:滋賀県立安土城考古博物館(滋賀県)展覧会名 :大岩山銅鐸里帰り展(仮称)会期(予定) :2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)貸与予定件数 :6件美術館・博物館名:沖縄県立博物館・美術館(沖縄県)展覧会名 :琉球 ―美とその背景―会期(予定) :2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)貸与予定件数 :49件注目は、本土復帰50年の節目を迎える沖縄県で開催予定の「琉球 ―美とその背景―」展(会場:沖縄県立博物館・美術館)。東京国立博物館からは、「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件、九州国立博物館からは、「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件、合計49件の文化財を貸し出します。左:黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙 沖縄本島 第二尚氏時代・18世紀末~19世紀 東京国立博物館蔵、右:浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳 第二尚氏時代・19世紀 九州国立博物館蔵(沖縄県立博物館・美術館で展示予定)また、開館30周年を記念する滋賀県立安土城考古博物館では「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」が開催されます。滋賀県野洲市の大岩山遺跡から出土した、現存する日本最大の銅鐸(重要文化財、総高 約135cm)をはじめ、竜王町高塚山出土の銅鐸など、東京国立博物館から6件の考古資料を貸し出します。さらに2021年に市制100年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みのひとつとして、足利市立美術館において「あしかがの歴史と文化再発見!」展が開催されます。東京国立博物館から、 熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料16件を貸し出します。■2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)◆刈谷市歴史博物館「伊勢物語とかきつばた」 貸与予定件数:3件「伊勢物語」に登場する三河の「かきつばた」が広く受容された歴史を紹介する展覧会会期 : 2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 愛知県刈谷市をはじめとする西三河地域は、かきつばたの名所として知られます。これは、平安時代の歌物語「伊勢物語」第九段の「東下り」で、在原業平といわれる主人公が八橋(現・愛知県知立市)で「かきつばた」を歌に詠んだことに由来します。公家の教養であった「伊勢物語」は、江戸時代には尾形光琳(1658~1716)や乾山(1663~1743)といった琳派によって八橋のかきつばたが描かれ、出版文化の隆盛とともに庶民にも活字で読まれるようになりました。本展では、「伊勢物語絵巻(模本)」などを東京国立博物館から、「伊勢物語絵巻 上巻」を京都国立博物館から貸し出し、江戸時代に焦点をあて、伊勢物語やかきつばたが広く受容された歴史を紹介します。伊勢物語絵巻(模本) 巻第一(部分) 古藤養成(他)模 江戸時代・天保9年(1838) 東京国立博物館蔵◆島根県立古代出雲歴史博物館「ハニワの世界へようこそ」 貸与予定件数:9件山陰地域出土品を中心に、形象埴輪の魅力に迫る展覧会会期 : 2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)URL : みどころ: 古墳上に埴輪を立て並べる習慣は、前方後円墳が全国的に築造されはじめるのにあわせて各地に広まりました。古墳時代後期には、古墳の一角を区切り、人物や動物、武具等の様々な器物を表現した埴輪を並べ、被葬者の生前の活躍や首長継承のまつりを再現するようになります。こうして埴輪は、より表情豊かで多彩なものへと変化していきました。本展では、東京国立博物館から「馬形埴輪」(重要文化財)をはじめとする考古資料を貸し出し、そのほか山陰地域出土の形象埴輪を中心に、人物や動物をかたどった様々な埴輪を展示します。制作時期や地域ごとの特徴や違いといった考古学的な比較だけでなく、個々のハニワが持つデフォルメの妙や豊かな表情など、形象埴輪の魅力を紹介します。重要文化財 馬形埴輪 古墳時代・6世紀 埼玉県熊谷市上中条出土 東京国立博物館蔵◆足利市立美術館「あしかがの歴史と文化再発見!」 貸与予定件数:16件足利ゆかりの文化財から市の歴史と文化を辿る展覧会会期 : 2022年4年7月30日(土)~2022年4年10月10日(月・祝)URL : 公式Twitter: みどころ : 2021年に市制100周年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みとして、郷土を見つめ直す企画展を開催します。本展では、東京国立博物館が所蔵する、熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料を貸し出します。そのほか、足利ゆかりの文化財等を一堂に集め、これらを受け継いでゆく子どもたちにもわかりやすく、足利市の歴史と文化の源流を紹介します。埴輪 童女 古墳時代・6世紀 栃木県足利市 熊野山古墳群出土 山田宗治氏他寄贈 東京国立博物館蔵◆鹿児島県歴史・美術センター黎明館「茶の湯と薩摩」 貸与予定件数:30件薩摩の茶の湯文化の歴史について紹介する展覧会会期 : 2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 日本の伝統文化のひとつである茶の湯は、中国から伝来した喫茶法をもとに育まれました。室町時代には将軍家を中心に権威の象徴となり「唐物」が愛好されましたが、安土桃山時代に千利休(1522~1591)が侘茶を大成すると、新たに価値づけされた「和物」が登場し、政権者から大名、町衆へと広がりました。本展では、東京国立博物館から、薩摩焼を代表する文琳形茶入として名高い「黒釉文琳茶入 銘 望月」をはじめとする23件、九州国立博物館からは「油滴天目」(重要文化財)を含む7件を貸し出し、侘茶との出会いや大名茶への展開など、歴史の動向や様々な文化交流によって拡がる薩摩の茶の湯文化の歴史について人的交流を軸に紹介します。左:黒釉文琳茶入 銘 望月 薩摩 江戸時代・17世紀 松永安左エ門氏寄贈 東京国立博物館蔵、右:重要文化財 油滴天目 中国・建窯 南宋時代 九州国立博物館蔵◆滋賀県立安土城考古博物館「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」 貸与予定件数:6件開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りする展覧会会期 : 2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)URL : みどころ: 開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りをします。弥生時代後期の大岩山銅鐸は、滋賀県野洲市の大岩山遺跡から明治14年(1881)、昭和37年(1962)の調査によって計24個が出土しました。本展では、東京国立博物館所蔵の、大岩山遺跡から出土した現存する日本最大の銅鐸(重要文化財)をはじめ、「扁平鈕式銅鐸」や「三角縁二神二獣鏡」など、地域ゆかりの考古資料6件を貸し出します。重要文化財 突線鈕5式銅鐸 弥生時代(後期)・1~3世紀 滋賀県野洲市小篠原字大岩山出土 東京国立博物館蔵◆沖縄県立博物館・美術館「琉球 ―美とその背景― 」 貸与予定件数:49件王都・首里や村々で花開いた琉球文化の美を紹介する展覧会会期 : 2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 2022年に本土復帰50年を迎える沖縄県は、古くから海を通じて様々な国と交流し、独自の文化を発展させてきました。王都・首里を中心として発展したもの、島々で花開いたもの、各地域によって多様な文化を見ることができます。本展では、東京国立博物館から「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件を、九州国立博物館からは「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件を貸し出します。島々・村々で享受された「美」を地理的・歴史的な視点のみならず、民俗的な視点も含めて紹介します。キンカブ 奄美大島 第二尚氏時代・18世紀 東京国立博物館蔵※上記6つの展覧会の概要・貸与予定作品は2022年3月22日現在のものです。今後、変更になる場合があります。最新情報は各美術館・博物館の公式ウェブサイトなどでご確認ください。■2023年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」募集予定2022年4月1日(金)から、2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付が開始されます。申請受付期間:2022年4月1日(金)~6月30日(木) [17時必着]貸与促進事業の申請、展覧会情報に関する詳細は、以下の〈ぶんかつ〉公式ウェブサイトでご確認いただけます。URL: 全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしています。2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 募集チラシ■国立博物館収蔵品貸与促進事業とは国内各地の美術館・博物館に対し、〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出すこの事業は、各地ゆかりの文化財を展示に活用し、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信ならびに地方創生・観光振興、次世代への文化財の継承に寄与することを目的としています。■文化財活用センターとは文化財活用センターは、国内外のさまざまな人が日本の文化財に親しむ機会を拡大するため、2018年7月、国立文化財機構のもとに設置された組織です。愛称は〈ぶんかつ〉。貸与促進事業のほか、文化財を通じて豊かな体験と学びを得ることができるよう、文化財を活用した新たなコンテンツやプログラムの開発、文化財のデジタル情報の公開、また文化財の保存環境に関する相談窓口を開設、文化財の保存と活用を目的とした寄付金の募集を行っています。▼ぶんかつSNSYouTubeチャンネル : Instagram @cpcp_nich: Twitter @cpcp_nich : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月22日展覧会「国立国際美術館コレクション 現代アートの100年」が、2022年4月2日(土)から5月29日(日)まで、広島県立美術館にて開催される。20世紀から現在まで“現代アートの100年”を辿る名品「国立国際美術館コレクション 現代アートの100年」は、20世紀の絵画に多大な影響を与えたポール・セザンヌや、西洋美術の価値観を大きく変化させたマルセル・デュシャンから、アンディ・ウォーホルや草間彌生、森村泰昌、奈良美智に至るまで、国内外の現代美術作家達の名品約70点を、国立国際美術館収蔵のコレクションから紹介する展覧会。従来の美術の見方や価値観を揺るがし、常識を覆すアートが次々と登場した20世紀は、美術界が大きく変容した時代。近代から現代をめぐる100年のアートの動向を、作品の数々を通して辿っていく。“近代絵画の父”セザンヌなど20世紀美術のはじまり会場には、近代絵画から2000年代、現在にかけてのアート作品まで、多彩なアートが集結。「すべての自然は球、円筒、円錐に基づいて肉付けされている」という考えた“近代絵画の父”ポール・セザンヌの、後のキュビスムに通じる表現が見て取れる《宴の準備》や、抽象絵画を生み出したヴァシリー・カンディンスキーの《絵の中の絵》などは、“20世紀美術のはじまり”を感じさせる作品だ。ポップアートやミニマリズムなど戦後美術また、第二次世界大戦以後の“戦後美術”にもフォーカス。アートの中心地がパリからニューヨークへと移動し、1950年代後半には「ネオ・ダダ」、1960年代以降は、アンディ・ウォーホルを筆頭としたポップ・アートが一世を風靡する。一方で、ドナルド・ジャドらによる「ミニマリズム」の気運も高まり、コンセプチュアル・アートの誕生へと繋がっていく。さらに、写真や映像といったメディアの登場以降における「絵画」「写真」といったジャンルを横断した表現や、その反対に絵画や彫刻の独自性を追求する動き、1980年代以降の、歴史や伝統を踏まえつつ不特定の人物や物語、個人的な体験や感情に訴えかける傾向などについても、その流れを辿る。奈良美智や森村泰昌など日本の現代作家もさらに、現代にかけて活躍する日本の現代美術作家による作品にも注目だ。時代の空気をまとったポップな感覚で、ユニークな佇まいの少女を描く奈良美智や、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト《肖像(ゴッホ)》をはじめ、“自画像的作品”を追求する森村泰昌などによる、バリエーション豊かな表現を間近に目にすることができる。【詳細】国立国際美術館コレクション 現代アートの100年会期:2022年4月2日(土)~5月29日(日)会場:広島県立美術館住所:広島県広島市中区上幟町2-22休館日:月曜日(5月2日は開館)開館時間 : 9:00~17:00(金曜日は20:00まで)※4月2日(土)は10:00開館 ※入場は閉館30分前まで料金:一般 1,400円、高・大学生 1,000円、小・中学生 700円※前売り・20名以上の団体は当日料金より200円引き。※学生券を購入・入場の際は学生証の提示が必要。※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳及び戦傷病者手帳の所持者と介助者(1名まで)の当日料金は半額。手帳の提示が必要。前売券販売所:広島県立美術館、セブンチケット(セブンコード:093-024)、ローソンチケット(Lコード:61416)、チケットひあ(Pコード:685-953)、広島市・呉市内の主なプレイガイド、画廊・画材店、ゆめタウン広島、中国新聞社読者広報部など※開館情報に変更が生じる場合あり。最新情報は広島県立美術館ホームページなどにて告知。※来館者が多い場合は、入場制限を行う場合あり。※本展入館券の提示により、100円で縮景園に入園可能。【問い合わせ先】広島県立美術館TEL:082-221-6246
2022年03月14日