意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参院選ふり返り」です。新たな政治のスタート。ふり返りは必須。7月に行われた参議院議員通常選挙は、人々の不平や不満を一手に引き受けた2つの政党が注目を集めました。一つは、「消費税廃止。税金は稼いでいる人から取る」と、反貧困をテーマにした、れいわ新選組。もう一つは、集金方法や報道体制などNHKに対する不満を訴えた、NHKから国民を守る党(N国)です。どちらの代表もこれまで、地道な政治活動を続けてきました。れいわ新選組代表の山本太郎さんは、当選はしませんでしたが、個人名票を99万票集め、賛同者から4億円の寄付を集めました。それだけ大勢支える人がいることは与党に対するプレッシャーにもなっています。今回の選挙では、立憲民主党や共産党が比例選挙区の票数を減らしており、れいわやN国に流れたといわれています。この状況について、「人々が飛びつきやすいテーマを掲げたポピュリズムだ」と言う人もいますが、そう捉えるのは早計でしょう。既存の政党が、漠然とした理想を掲げるにとどまり、市民のリアルな声を聞いてこなかった結果の表れではないかと思います。また、48.8%という、過去2番目の投票率の低さも問題になりました。僕は街に出て、20~30代の若者に取材をしましたが、投票に行かない理由は、政治に対する諦めや不信感からではなく、「国の政策と自分の生活につながりがあると思えない」という、接点のなさからだと気付きました。しかし、「日々の生活をするのに精一杯」のあなたの状況は、社会の制度を変えることで改善できるかもしれません。なにも発言しないまま選挙にも行かず、社会のルールづくりに参加しなければ、不利益な状況を打破できず、搾取され続けることになるかもしれません。また、世界に目を向け、他の国の暮らしや制度と比べて日本の現状を知ることも大事だと思います。いままでの日本は豊かでしたが、働く人口はますます減り、日本企業は、いつの間にか世界から後れをとっています。教育レベルも思うようには伸びていません。参院選が終わったいまこそ、当選した新しい議員がどんな働きをしてくれるのか、注目の2党は期待に応えてくれるのか、目を離してはいけません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年9月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年08月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「骨太の方針」です。掲げられた案件はスピーディに実行されます。「骨太の方針」とは、政府が毎年発表している「経済財政運営と改革の基本方針」の通称です。これが始まったのは2001年、小泉政権のときです。当時、官僚たちに利権が集中し、汚職などが問題になっていました。また、官僚主導の仕組みでは、思い切った政策をとろうとしても時間がかかり、抜本的な改革が実現しづらかったのです。そこで、政治家主導の流れを作っていこうと、骨太の方針を掲げました。当時はバブルが崩壊し、長引く平成不況のど真ん中。社会保障や税制の一体改革を柱とし、スピーディに大胆に実行していく新しい仕組みづくりをしようとしました。総理を議長とし、各大臣、学者や民間企業のトップ、有識者などから構成された経済財政諮問会議で検討された、国の税財政や経済政策の基本方針がまとめられます。小泉政権下では、郵政民営化や、不良債権をなくし、地方分権をどう進めていくかなどが話し合われました。安倍政権になってからは、法人税率の引き下げ、働き方改革、外国人の労働者の受け入れ拡大、プライマリーバランス(国の基礎的財政収支)の黒字化などが進められました。6月に決定した最新の「骨太方針2019」は内閣府のホームページに公開されています。「第4次産業革命による高度な経済、便利で豊かな生活が送れる社会の実現」「人生100年時代の到来を見据え、誰もがいくつになっても活躍できる社会の構築」と、最低賃金の引き上げ、男性の育休取得、ロストジェネレーションや65歳以上の雇用など、多岐にわたる案件が掲げられています。骨太の方針に盛り込まれたことは、次の国会の大きな焦点になり、そこで決定されれば、着実に法制度化され、国の構造が変わっていきます。スピード感を持って進められるのは良いことですが、官邸にそこまでハンドルを任せて大丈夫なのだろうか?という意識も大事です。また、今年のような選挙イヤーでは、政治家は目先の成果を求められ、骨太の方針に盛り込んでいいはずの難しい問題は先送りにされる節もあります。年金問題や雇用の問題など、もっと切り込んでほしいところなのですが、悩ましいですね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年8月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年08月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「戦争遺跡」です。戦争の恐ろしさを忘れず次世代に伝える努力を。8月15日に74回目の終戦記念日を迎えますが、戦争体験者が高齢となり年々減っていき、戦争を後世に伝えていくことが難しくなってきています。戦争遺跡をどうやって残していくかがいま、ひとつの焦点になっています。広島県の原爆ドームは、核兵器の脅威を伝えるものとして、1996年に世界文化遺産に登録されました。また、同県の大久野島には旧陸軍の毒ガス製造所がありました。自治体はその歴史を残そうとしています。鹿児島県奄美諸島にはトーチカや高射砲台の跡が残り、地元の人々が戦争の記憶を残すための観光資源として守ろうと、掘り起こし作業を進めています。しかし、東京には、戦争の歴史に触れられる施設がけっして多くはありません。ドイツのベルリンには、街の中心にナチスドイツの秘密警察「ゲシュタポ」の本部だった建物が残され、写真資料館になっています。また、ブランデンブルク門の隣には、ユダヤ人を虐殺した証に石棺をイメージしたモニュメントが建てられ、過去の過ちを忘れぬようにしています。それでも、ドイツ人の知人は「私たち30~40代は、まだ祖父母や両親から直接戦争の体験談を聞けたから伝えられます。でも、次の若い世代は聞く機会もないため実感が持てず、戦争はひとつの物語にすぎなくなるでしょう」と話していました。2012年にドイツで『帰ってきたヒトラー』という小説がベストセラーとなりました。’15年には映画化され大ヒット。ヒトラーが現代にタイムスリップするというコメディなのですが、街頭で民衆と接する場面は実はノンフィクション。まだドイツにシリア難民が流入する前ですが、そのときすでに移民に対する不満の声が上がっていました。この作品は、国民がまた英雄的な存在を望む状況に陥っていることに、警鐘を鳴らしたのです。イタリアでリメイクされ、日本では9月に『帰ってきたムッソリーニ』というタイトルで公開されます。生活に不満が募れば、排外主義やナショナリズムの台頭に火がつきかねません。戦争遺跡を残し、その惨禍を伝えない限り、あっという間に時代が後戻りしかねないことに、危機感を抱いたほうがよいと思います。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年8月14日‐21日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年08月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「香港大規模デモ」です。自由か経済発展か。香港内でも分かれる意見。6月より、香港では「逃亡犯条例」の改正案に抗議を唱え、若者らを中心に大規模なデモが続いています。香港で身柄を拘束した犯罪容疑者を、中国本土へ引き渡すことができるという内容に対して、強く反発しているのです。香港は150年にわたり、イギリスの植民地でした。1997年に中国本土に返還されますが、返還後も台湾やマカオと同様に、香港は「特別行政区」として、資本主義制度のもと、言論や報道の自由が認められてきました。当時の香港は、世界レベルにまで経済が成長していました。経済発展を目指したかった中国にとって、大事なエンジンだったのです。しかし、この20年の間に中国は急成長をし、深セン(※)や上海などの都市が発展。香港は経済的に失速していきました。中国は一つの国のなかに、社会主義と資本主義が共存する「一国二制度」をとっていますが、ゆくゆくは一本化して国を強固なものにしたい。2014年には、香港の行政長官を選ぶ選挙の候補者を、中国本土の共産党が選んだ人から出す仕組みがとられました。それは民主的な選挙ではないと、香港の若者たちが傘をさして繁華街を占拠する抗議デモを行った。それが「雨傘運動」でした。中国と香港の司法制度は違いますから、改正した逃亡犯条例の乱用により、香港の民主化運動のリーダーたちが、本土に引き渡されたのち、どういう目に遭うかわかりません。自由を奪われることを恐れて、香港ではデモが行われているのです。これを受け、香港政府は改正を延期することにしましたが、市民は「完全撤回」を求め、デモは続いています。この模様は、中国本土では一切報道されず、SNSも規制がかけられています。香港ではいま起きていることを世界に向けて発信し民主主義を守ろうとしています。その行動から私たちは目を背けてはならないと思います。しかし、その一方で香港のなかでも実業家などデモに対して冷ややかな目で見ている人もいます。商売をしたい人にとっては、中国本土は大事な市場だからです。すべての情報を国に管理されても経済的利益を優先させたいか、自由に発言できる民主的な社会を求めるか。香港は揺れています。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※センは土へんに川※『anan』2019年8月7日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月30日複数の本業を同時に持つ働き方“パラレルキャリア”を始めるには、まず、本当にやりたいと感じるものを見つけることが第一歩。そのために不可欠な考え方や視点、やるべきことを紹介。また、実際にスタートしたキャリアを成功へと導くためのテクニックもピックアップ。早速、実践してみよう!新しい居場所を見つける8つのTIPS1:自分のことを棚卸しする。「新しいことを始めたいと思ったら、まずは自分自身と対話をする、棚卸し作業をしましょう。“こんなキラキラした考えを持っていたんだ”“昔、こういうことをしたいと思っていたな”と、自分が好きなものを再認識でき、モチベーションも刺激されて、一歩を踏み出しやすくなります。また、“大勢で飲むことは苦手だけど、サシ飲みには向いているタイプ”のように自分を細かく分析することで、これまで気づいていなかった得意分野や、自分が楽に取り組める方法も見えてくる。それは、新しい居場所を選ぶ時の、大事な指針となります」(ジャーナリスト・堀潤さん)2:WILLとCANを整理する。「『WILL』は、今はできていないけど自分がやりたいこと。『CAN』は、過去の経験や得意分野からわかる、自分の持つスキルです。その両方を書き出し、重なるところをもとに新しく始めることを決めましょう。というのも、『WILL』は、やりたいことゆえにモチベーションを高く維持しやすい半面、スキルアップが必要となる。また、『CAN』は今できることだからすぐ始められるけれど、モチベーションが上がりづらい。そんな、両者のネガティブな面を補い合える部分にこそ、楽しく取り組めるテーマのヒントが隠れています」(パラレルワーカーの三原菜央さん)3:NEEDの視点で見る。「『WILL』と『CAN』を整理して、自分が取り組むことが明確になったとしても、それが世の中から必要とされていなければ新しい居場所は生まれづらく、仕事であれば報酬に繋がりません。“世の中にどんな需要があるか?”を書き出してみるなど、一度、必要とされていること=『NEED』の視点から考えてみる。それを忘れないようにするのがポイントです。『WILL』『CAN』『NEED』の3つが重なる部分が見つかることが理想ですし、それを複業にすることができたら、きっと、天職になるのではないでしょうか」(三原さん)4:キーワードを3つ持つ。「“私といえばこれ”というキーワードや肩書を決めて発信することで、“このテーマといえばさんだよね”と、声をかけられやすい状況が生まれます。周りの人に対して、“察して”と受け身で待つのではなく、自発的に伝えていくようにしましょう。キーワードが3つあると、その掛け合わせによって代わりのきかない人材になりやすいです。でも、最初は1つでも構わないので、決めて発信しましょう。また、キーワードを決めることで、そのキーワードに関連する情報が目に留まり、スキルアップにもつながります」(三原さん)5:尊敬できる人を手伝う。「どうしてもやりたいことがすぐには見つからない、という人もいると思います。そんな時は、尊敬できたり、共感ができる人、企業、団体などを探してみましょう。見つかったら、その活動のお手伝いをすることから始めてみてください。応援したいとか一緒に何かをしたいと思える人たちの行動の中には、自分がやりたいことのヒントが隠されていることが多く、お手伝いを通じてそれが見つかることがあります。たとえ、求める居場所が明確になっていなくても、少しでもいいから、アクションを起こすことが大切なのです」(三原さん)6:時間管理をしっかりする。「パラレルキャリアを始める人に気をつけてほしいことの一つが、時間の管理です。本業に加えて新しいことを始めるわけですから、当然忙しくなるし、そのためにバーンアウトを起こして挫折する人も少なくありません。防止策として、一度、自身の時間の使い方を書き出し、見直してみてください。これまで無駄に過ごしていた時間がきっと見つかるはずです」(三原さん)「好きなものなら歩きながらでも何かが生まれるし、隙間時間での作業も頑張れる。そういう意味でも、自分にとって無理のないテーマを選ぶことが大切」(堀さん)7:描写力を磨く。「自分のビジョンを実現するには、人を巻き込むことがカギになります。その時に大事なのが、思いを人に伝える表現力と、言語化できる能力です。ふんわりとしたイメージで話しても人は共感してくれません。たとえば、『キラキラした社会にしたい』と言うより、『困っている人に“大丈夫?”と声をかけられる、温かい社会にしたい』と具体的に伝える方が、描くものが共有しやすいですよね。まずは、見えているものや音、匂い、感触などを素直に言葉にしてみてください。それだけでも情景を可視化することができ、描写力も磨けます」(堀さん)8:いろいろなコミュニティに参加する。「なんとなく生活をしていると、職業や年齢などバックグラウンドが似ている、属性の近い人たちが集まりやすく、環境がタコツボ化する傾向が。新しい自分の居場所を見つけたいなら、人の流動性が高い場所に身を置きましょう。普段の生活では出会えない人が集うコミュニティに参加して話すことで、新しい着想や刺激を得られる可能性は高くなります。また、自分では当たり前だと思っていたことが、知り合った相手にとっては求めていたスキルであることも。思ってもいなかったような、自分の得意分野を知るためにも有効な方法です」(堀さん)みはら・なお2016年からパラレルワーカーとなり、今では本業であるPRのほか、3つの肩書を持つ。著書に『自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方』(秀和システム)。ほり・じゅんジャーナリスト。NPO法人「8bitNews」代表。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)ではMCを担当。小誌にて「堀潤の社会のじかん」を連載している。※『anan』2019年7月31日号より。イラスト・そで山かほ子取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年07月28日今いる場所で努力するのも大切だけど、モヤモヤした現状を打破するためには一度、居場所を変えてみるのも手。たとえば、今注目されているのが“パラレルキャリア”という、複数の本業を同時に持つ働き方。メリットや始め方を詳しく紹介します!もう一つの新しい居場所を見つける。パラレルキャリアという生き方。今の会社や職種で行き詰まりを感じている人の中には、転職すべきか迷っている人も多いはず…。「状況を変えるには、職場や働き方を変えてみることも選択肢の一つ。その一つとして最近増えているのが、私も実践している“パラレルキャリア”という働き方です。本業を持ちながら、自分の好きなことに関係のあるコミュニティや非営利活動に参加したり、本当にやりたいことを複業として始めるなど、新しい居場所を見つける、もしくは作るというもの。今までにない経験や知識を手に入れることでスキルアップでき、その結果、ほかの人にはない魅力や、代わりのきかない人材になれます」と、パラレルワーカーの三原菜央さん。これからの時代を生き抜く上でも、パラレルキャリアは役立つ。「今は、AIに仕事を代替されたり、人生100年時代といわれて定年後の暮らしもシビアに考える必要がある。だから、自分にしかできないことや価値を作ることが大事になります。複業をよしとする企業も増えているし、SNSの普及によって自己の発信や多くの人とつながることは、すごく簡単になりました。二兎を追って二兎を得る生き方は、より主流になっていくはずです」(三原さん)パラレルキャリアを始めるには、本当にやりたいものを選ぶことが一番のカギになると言うのは、ジャーナリストの堀潤さん。「誰かが作ったシステムの中で生きる本業とは違うので、本当に好きだったり、無理なくできるものを選びましょう。そのためには、自分自身と対話をして、何をするのが楽しいのか、本当に興味があるものは何かなどを考え、見つけることが不可欠になります」実際にパラレルキャリアを成功させた2人が、そのメリットと始め方を伝授します!新しい居場所を持つメリットって?これまでとは違う居場所を持つパラレルキャリアを実践することで生まれる、ポジティブな影響を解説!スキルアップや、より良い未来を切り開けるなど、今の自分をアップデートできるものばかり。現状に不満を抱えていたり、モヤモヤしている人は挑戦を。【1】“選択肢にあふれた未来”を作ることができる「自分で一から始めたパラレルキャリアで得た成果は、すべてが個人としての成果になります。そうしてキャリアや成功体験を積み重ねていくと、不確かな未来に立ち向かう自信が芽生え、自分の武器となる強みが手に入る。結果、将来に持てる選択肢が広がります」(三原さん)「本業という幹があるうちに、新しい取り組みや複業といった枝葉を広げておくことが大切です。というのは、本業をやめたいと思った時に、ほかに何もないと怖くて動きづらいもの。あらかじめ、セーフティネットをいくつか作っておくと思い切って行動できます」(堀さん)【2】新しく得た知識や経験を生かし“スキルアップできる”「複業や新しいコミュニティでの活動を始めることで得た経験や知識は、自分の新たなスキルとなり、また、本業にフィードバックされることも少なくありません。私の場合は、イベントを主催することで得た集客の知見が、本業のPRの仕事に生かせました。パラレルキャリアは、それぞれの仕事のパフォーマンスが上がるという、うれしい相乗効果も期待できるのです」(三原さん)「新たなコミュニティでの出会いから想像もしていなかった人脈が広がり、自分を高めるために必要な、求めていた人材やツールに出会えることもあります」(堀さん)【3】本当にやりたいことができて、“好奇心が満たされる”「“本当はこんなことやりたくない”“挑戦したいことがあるけど、部署が違うから私にはやらせてもらえない”といった不満は、閉塞感を生み、精神的にも健全ではないですよね。自分がやりたいことは何かを見極めて、実践することが大切です。その点、パラレルキャリアは生計のかかった本業ではなく、自分一人のために始めるもの。だからこそ、やりたくないことを我慢してやる必要は一切ありません。本来やりたかったことや、興味のあるものをとことん追求して、好奇心を満たすことができる、そんな素晴らしい体験を得られます」(堀さん)【4】ほかを知ることで“今いる場所の良さを再確認できる”「“他を見て己を知る”ではないですが、本業とは違う環境に身を置くことで、本業の良さがわかるということも。また、離れたところから見ると、現状の何が嫌かということに気づきやすい。それを改善し、今の環境を居心地のいいものに変えることもできます(三原さん)「ずっと同じ環境にいると、知らないうちに幸福の価値を押し付けられていたり、思考が凝り固まりやすくなる。大切なのは、さまざまなコミュニティに参加し、いろいろな人に会って多様な視点を持つこと。現状の見方が変わり、いい発見ができるかもしれません」(堀さん)【5】時代が変化しても“代わりのきかない人になれる”「複業やコミュニティに参加することで、“私はこういう人です”“これが好きです”という、新しいキーワードを持つことができます。すると、自分を象徴するキーワードが1つしかない時にくらべ、世の中に必要とされるシーンが増えます。また、キーワードをいくつか持ち、掛け合わせることによって、“その人だからできること”が生まれるのも大きなメリット。たとえば、“北欧が好き”と“PRに詳しい”が掛け合わさり、北欧に関する仕事が舞い込むことも。自分にしかできないことを身につけると、代わりのきかない存在に」(三原さん)みはら・なお2016年からパラレルワーカーとなり、今では本業であるPRのほか、3つの肩書を持つ。著書に『自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方』(秀和システム)。ほり・じゅんジャーナリスト。NPO法人「8bitNews」代表。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)ではMCを担当。小誌にて「堀潤の社会のじかん」を連載している。※『anan』2019年7月31日号より。イラスト・そで山かほ子取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年07月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「東京五輪まであと1年」です。五輪のあり方も転換期。楽しく盛り上げるために。いよいよ、東京オリンピック・パラリンピック開催まであと1年となりました。観戦チケットの購入にはID登録が必要ですが、約750万人の登録者に対して、購入できたチケットは約322万枚。大会組織委員会は、落選者を対象にした「セカンドチャンス」抽選を行うことを発表しました。ID登録にあたり、物議を醸したのは規約の第33条3~5項です。撮影禁止区域以外での撮影は可能だが、写真や映像の著作権は大会組織委員会に譲渡するという内容。個人的に撮影をしてもいいけれども、インターネット上にあげてはいけない。それは多額を支払い、放映権を取得したテレビ局の利益を侵害するから、という理由です。それはやりすぎなんじゃないかという意見に対して、大会側は、平昌オリンピック・パラリンピックのときも同様の規定を入れていたので、問題があるとは思っていないとコメントしました。しかし、選手は写さず、会場で応援している自分の姿でもSNSにアップできないとなると、なんだか残念ですね。特定の企業にスポンサー料を払ってもらい、権利をガチガチにしばり、それでも資金が集まらずに苦労しているのであれば、オリンピックの従来のビジネスモデルに問題があるということ。それならば、個人の力を利用して、SNSに広告的なものを付加するなど、観客もネット上で参加できる仕組みを作ってもいいのではないでしょうか?現状では、街の商店街も「オリンピック歓迎!」というような看板は出せません。オリパラを利用して利益を得ることが禁じられているからです。スポンサーやテレビ局の声が大きくなり、放送時間に合わせて競技が深夜になるなど、選手にも負荷がかかる有り様は本末転倒な気がします。いま、商業オリンピックは本格的な方向転換を迫られています。実際にオリンピックが始まれば、現場はとてもハッピーなお祭りムードに包まれるでしょう。怖いのはトラブルやテロ。交通インフラを整えるためにも、オリンピック期間は会社を休みにしようという動きも。改元の10連休のように、オリンピックの期間が働き方改革や、外国人との共生を試してみる場になるとよいですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月31日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ゲーム障害」です。世界的な問題。依存症患者対策をきちんと考えて。世界保健機関(WHO)は5月、国際的な疾患に、「ゲーム障害」を加えることを決めました。ギャンブル依存症などと同じ精神疾患に分類され、治療が必要なものと位置付けられたのです。具体的には、「ゲームをする時間や頻度などを自分で制御できない」「ほかの日常の活動よりもゲームを優先する」「その結果、家族や仕事など日常生活に支障をきたし、それがわかっていてもゲームをやめられない」。そんな状態が12か月続くと、「ゲーム障害(依存症)」と診断されます。ゲーム依存症が注目されるようになったのは、ゲームがオンライン化されて常時接続ができるようになったからです。世界中のプレイヤーが同時に参加し、ゲームのなかに一つの世界を作るようになり、ゲームをし続けられるようになりました。中国や韓国では、長時間ゲームを続けたあまり下半身がうっ血して死に至った事例などが出ています。日本でも親がゲームに熱中するあまり、乳児を衰弱死に至らせた事件が起きました。世界的に社会問題化しており、体調悪化や死に至るケースが各地で報告されるようになったことをうけ、WHOは新しく疾病に分類したのです。これにより、治療や予防、患者の社会復帰などの対策を決める際の基準にしてほしいと促しています。しかし、依存症対策は追いついていないのが現状です。薬物と同じように、ゲーム障害でも互助グループが最近、オンライン上に立ち上がりました。治療はそこを入り口にしますが、ゆくゆくは専門家などと引き合わせ、最終的にはネットを離れて、家族や第三者とリアルワールドで人間関係を築けるようになるまでケアが必要になりますから、とても長い時間がかかります。「ゲーム障害」という病名がつくと、人生の落伍者のようなレッテルを貼られがちです。でも、逆に病名がついたからこそ、どうしたら抜けられるのか、皆で考えようとする意識が大切です。依存症患者を生む背景には、生きづらさを生んでしまう社会の問題もあります。ゲーム障害の患者を「厄介な人」と斬り捨てるのではなく、本人が社会生活にちゃんと戻れるように、寛容さをもって向き合いたいですね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「1人当たりGDP」です。国のGDPは世界3位でも、個人は下がる一方。GDP(国内総生産)は、その年にどれくらいの経済成長をしたかを見るための指標。経済成長は、新しい付加価値をどれほど生み出せたかによって測られます。それはたとえば、今まで100円で売っていた飲料に、技術革新で新しい機能性を加えて商品価値を上げ、150円で販売するというようなこと。そんなふうに「昨日よりもちょっと違う何か」を積み重ねていったものが経済成長なんです。2019年1~3月期のGDP成長率は、実質0.6%上方となりました。しかし、上向きを手放しでは喜べません。なぜなら内情は、輸出が増えただけで、内需(国内の需要)は増えていない。付加価値のついたものは高くて買えないくらい、日本の国民生活が弱っているからです。日本の、国のGDPは世界第3位にとどまっていますが、1人当たりのGDPは下がり続けて26位。国民一人一人の稼ぐ力、新しい価値を生み出す力が落ちているんですね。秋には消費税の増税を予定しており、今月の参院選では、増税に賛成か反対かが争点になると予想されます。しかし、仮に増税しなかったとしても、個人が付加価値を作り出して稼ぎが増えないことには、国の借金はいつまでたっても減りません。もっと根本的な解決策が必要です。副業・兼業について規定が新設され、働き方改革の流れもあり、一企業に一生を委ねる社会ではなくなりました。ならば、個人がもっと稼ぎ出す力をつけなければいけない。それには、どういう社会の仕組みが必要なのか。政治家のみなさんには具体策を打ち出していただきたいです。大学で職業訓練を受けたり、専門技術を学べる教育プログラムを作ることかもしれませんし、ロストジェネレーションと呼ばれる30代後半~40代の人材活用や再教育が必要なのかもしれません。みなさんも、自分ならどんな「昨日とは違う何か」を生み出せるか、考えてみてください。経験や特技を生かして、きっと何か新しい価値を見いだせるはずです。それは、ワクワクする創造的なことなのだと思います。1人当たりのGDPを伸ばして、生きやすい社会にしましょう。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「政党の広告戦略」です。SNSを使った政党の広告手法。気軽に流されないで。今年は選挙イヤー。春に統一地方選挙があり、夏には参議院議員通常選挙が予定されています。投票可能な年齢が20歳から18歳に下がり、いずれ行われるかもしれない国民投票も視野に入れながら、各政党は若年層をとりこもうと広告戦略に余念がありません。まず3月に共産党がTikTokに公式アカウントを開設したことがニュースになりました。自民党は令和が始まると同時に「#自民党2019」プロジェクトの特設サイトをオープン。安倍首相ら自民党の7人を描いた屋外広告を街中に展開。動画CMでは10代のアーティストらを登場させ、話題を呼びました。与党の自民党は予算があるため、クオリティの高い広告を大量に作っていますが、どの政党も様々な手法で宣伝しています。皆が話題にあげ、SNSで拡散されることを狙っているのです。ただ、イメージの良い政党=自分の希望する社会を作る政党、とは限りません。広告では具体的な政策は語られず、スローガンを謳うだけです。「現実的な政策を広告で述べたところで、国民は耳を傾けてはくれないだろう」というのが政党側の意見です。イデオロギーを人の心に植え付けるとき、声高にメッセージを掲げるのではなく、美しい、かっこいい、悲しいなど、感情に訴え、知らず知らずにそう思わせるのがプロパガンダ(大衆操作)です。戦時中、ナチスはワーグナーの音楽やかっこいい映像を使い、ドイツが特別な国家だと国民に思わせましたし、アメリカはディズニーのドナルドダックを反ナチス映画に使いました。政治家がアートやスポーツをプロパガンダに利用する歴史は連綿と続いています。ですから、「なんとなくいいな」と思ったときには、誰かがそう思うように感情に訴えたのかもしれないと肝に銘じてください。そして、「なぜ、自分はよいと思ったのだろう?」と冷静に自問することが大事です。10年後20年後、どんな社会であってほしいですか?自分はどうありたいですか?具体的なビジョンを描けなければ、政策の是非も判断できません。イメージで選んだ政治の、その先の民主主義は足元が脆いと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月10日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年07月08日ひらり、ひらりとギンガムチェックのワンピースが初夏の風に踊る。まもなく公開の映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』で、映画初出演ながらヒロインに抜擢された堀未央奈さんだ。乃木坂46きっての映画好き。その軽やかな身のこなしには、念願を叶えた彼女の高揚感があふれていた。――これまでのアンアンの取材でも「女優が目標」と語っていた堀さん、今はどんな気持ちですか。素直にうれしいです。山戸結希監督には乃木坂46のミュージックビデオでもお世話になったのですが、そこで私を見てオファーしてくださったそうなんです。日頃から目標を口に出すようにしてきたんですけど、それが実を結んだのかな。――初めての映画の現場はいかがでしたか。最初は緊張したけれど、日を追うごとに楽しくなって。やっぱりお芝居が好きだと実感しました。――劇中では、清水尋也さん演じるクールな秀才、板垣瑞生さん演じるキラキラ男子、間宮祥太朗さん演じるやさしいお兄ちゃんに同時に想われる羨ましい役で。ですよね。私もこんなシチュエーションはもちろん未体験なので、ヒロインの初(はつみ)ちゃんそのままに、どきどきしっぱなしでしたよ。――注目の若手俳優陣との共演で刺激になった部分はありますか。皆さんのプロフェッショナルな姿勢に圧倒されました。清水さんは普段はみんなを巻き込んでふざけているのに、本番になると瞬時に変わるんです。あの切り替え力は見習いたい!板垣さんは歌もお芝居もこなす同世代で、負けていられないぞと思ったり。間宮さんとは…家具やお店の情報交換とか、おもに主婦トーク仲間(笑)。――堀さん演じるヒロインの初は、自分に自信のない高校生。快活で行動的な堀さんとは…?真逆ですね(笑)。でも私も10代の頃は、お仕事がうまくいかなくて初ちゃんみたいに自信のない子でした。だから演じる上で一番参考になったのは、過去の私かも。山戸監督は乃木坂46の撮影を通して当時の私をよくご存じだったので、一緒にその時の感情を掘り起こしてくださって。だからこそリアルに演じられました。――一番思い出したのは、いつのことですか。「別れ際、もっと好きになる」という曲でアンダーのセンターをさせてもらった時のことですね。あの時は自分の“立ち位置”がわからなくて、このまま続けていいのか悩んで…。でも「続けると決めたなら、気を引き締めてやりなおす!」と覚悟を決めた時。あの経験は今回の演技にすごく生きたんじゃないかな。――そんなことが…。まさに「堀未央奈は一日にしてならず」?あはは。今の堀は、わりと最近できあがりました(笑)。――でもそういう青春の不安定さって誰しも通る道ですよね。だからこの作品は若い方だけでなく大人にも観てほしいと思っています。10代のあやふやな自分を受け入れて、初めて大人になれる。私は乃木坂46に入ったから、こんなに自分に対して悩めたし、その経験をこの作品に生かせた。それってありがたいことです。――なんと大人な…。ちなみに今回、作中に出てくる男子の中で、堀さんなら誰を選びますか?うーん、現在リアルの「堀さん」は、お兄ちゃんタイプ。私は今お仕事をすごく大事にしているし、やりたいこともたくさんある。それを制限せずにやさしく見守ってくれる包容力は必要です(笑)。ほり・みおな1996年10月15日生まれ、岐阜県出身。乃木坂46の2期生。黒髪ボブがトレードマークの清楚なルックスと、映画鑑賞や茶道など多趣味な内的魅力の両面で人気を集める、グループの中核メンバー。ファッションなど、トレンドへのアンテナの高さもグループ屈指で、女性誌のレギュラーモデルも務める。愛称ほりちゃん、みおな。伝説の人気少女漫画を原作とした映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』。2019年の東京らしい景色の中で、堀さん演じる奥手な女子高生・初と3人の男子の切ない恋が繰り広げられる。みずみずしい恋模様と同時に、大人になることの切なさに胸が締め付けられる作品。6月28日、東映系全国ロードショー。※『anan』2019年7月3日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・菅野 悠ヘア&メイク・吉田真佐美インタビュー、文・大澤千穂(by anan編集部)
2019年06月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中貿易摩擦」です。アメリカも中国も譲らない状態がまだまだ続きそう。先日福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議で、多くの国から、アメリカと中国の貿易摩擦が激化すれば、世界経済に大きなリスクを負わせるのではという意見が出ました。関税を巡る米中の貿易摩擦が表面化したのは昨年からです。トランプ大統領は就任前から、アメリカの貿易赤字を問題視しており、輸入品に高い関税をかけ、自国製品が売れるようにしたいと考えていました。昨年7月、中国製品に高い関税をかけ始めたところ、中国は反発。アメリカからの大豆や牛肉などに高い関税をかけ、対立が加速したのです。今年になり、アメリカは、「中国製の携帯電話はアメリカの技術を盗み取ったもの」と、中国の特定企業との取引を停止させました。対する中国は、半導体の元となる「レアアース」のアメリカへの輸出制限を示唆。アメリカは中国からの輸入品のほとんどの関税を引き上げましたが、さらに3000億ドルに相当する品目も、最大で25%まで引き上げるかどうか、6月末に決めると発表しました。『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記者は、両者の勝負はしばらく膠着状態だろうと見立てており、中国研究の第一人者・遠藤誉さんは、「GDPで世界1位になるまで中国は退かないだろう」と話していました。中国外務省は先日、「米国が貿易摩擦を激化させたいのであれば、断固たる決意で対応する」と強い態度を示しました。いま中国は一帯一路構想により、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカまでの巨大貿易ルートを確保しようとしています。各国に巨額の支援や融資を施し、中国側に引き入れようと画策。例えばカンボジアのフンセン政権は、中国の支援に対し、プノンペンに中国人のための街を建設。強制退去させられた地元の人々の不満が募っています。アメリカもまた、中東地域の戦争や、自国内でも不法移民問題で人権を抑圧。人々の不満が積もれば、いつかほころびを見せるのではないでしょうか。いまこそ日本には、目先の利益にとらわれず、人権を守る協調体制が求められます。アメリカや中国、その他の国々との橋渡し役になることが、長期的には自国を守る術にもなるでしょう。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年7月3日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年06月28日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「5G」です。生活はますます便利に。データの預け先が問題。「5G」とは「第五世代移動通信システム」のことで、2020年春から導入される予定です。Gはgenerationの略。通信システムは技術の進歩とともに計算速度が上がり、5Gになると現在の4Gよりも通信速度が20~100倍速くなり、高精細動画や大容量の情報をリアルタイムに送ることが可能に。2時間の映画が3秒でダウンロードできるといわれています。5Gの導入により、車の自動運転の精度が上がります。障害物の検知および処理にかかっていた時間が短縮されるので、スムーズな運転ができるようになるでしょう。また、スポーツ中継なども、複数台のカメラで同時に撮ったものを立体映像としてVRで見せる、目の前にホログラム化して見せることなどが可能になります。さらに、体温や触感など、「感触」を加えることも研究されています。また、モノとインターネットをつなぐIoTも進みます。商品とメーカーが通信でつながっているため、家庭に常備している食料品などがなくなれば、わざわざ注文をしなくても、自動的に補充されるようになります。ただ、問題は5Gをどこが牽引するのかということです。2018年通年のスマホの世界市場で、最もシェアが高かったのはサムスンで、約2割を占めていました。2位が14.9%のアップル。中国企業のファーウェイは3位で14.7%でした。翌年にもファーウェイが世界1位になるとみられていたのですが、トランプ大統領が、中国製の携帯電話は個人情報、アメリカの機密情報を盗みとると断定し、アメリカ企業とファーウェイとの取引を禁止させました。日本もパナソニックがファーウェイとの取引から退きました。しかし、中国はグーグルのアンドロイドを使わない独自のOSを開発中です。国内に13億人の市場を持ち、一帯一路構想により、アジア、アフリカ、ヨーロッパまで中国の通信網が敷かれると、逆にアメリカと日本の通信網が孤立する可能性も。5Gにより、日常生活のすべてがインターネットに接続され、消費行動や生活水準もデータ化されます。大切な情報を預ける先は中国かアメリカか、選択を迫られています。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年6月26日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年06月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「Brexit(ブレグジット)」です。「Brexit」とは、「Britain」と「Exit」を組み合わせた造語で、「イギリスのEU離脱」を指します。イギリスでは2016年6月の国民投票によってEUからの離脱が決まりました。しかし、EUに提示する具体的な離脱協定案がイギリス国内の議会で承認されず、混迷を極めています。当初の離脱期限は今年の3月でしたが、イギリス政府は2度にわたり、期限延長を申し出て、最大で今年の10月まで延期されることになりました。EU圏内から出るということは、欧州諸国に対して再び国境を作るということです。外国のモノには関税がかかります。これまで企業はEU圏内から優秀な人材を自由に雇えていましたが、ビザが必要になります。「Hard Brexit(合意なき離脱)」といい、条件が整わないまま離脱期限を迎えると、イギリスへの飛行機の乗り入れができなくなる事態も起こりえます。Brexitを受け、いま様々な外国企業がイギリスから撤退を表明しています。日本企業では、ホンダは2021年中にイギリス工場を閉鎖。日産はSUVの次期モデル生産計画を撤回。イギリス工場での高級ブランド車の生産も今年半ばに終了することに。トヨタは合意なき離脱の場合は撤退するとイギリス政府に伝えています。ソニーやパナソニックは欧州拠点をイギリスからオランダへ、みずほ証券や大和証券はドイツに構えることにしました。EU離脱を訴えた人々の中心は白人の貧困層。「移民のせいで、自分たちの仕事は奪われ、生活が苦しくなった。イギリス国内ですべてをまかなえば再び豊かな生活を取り戻せる」という主張です。しかし、現実にはイギリス経済は世界と切り離せない状態にありました。EU離脱が決まり、外国企業が撤退し、働き口はますます減少。モノは高くなり、この先、イギリス経済が落ち込むことは必至。国の財政が困窮すれば、貧困層を支える余力も失います。これは日本の未来像でもあります。ケアをしなければいけない国民の声に耳を傾けず、目先の利益追求を求めると、国民の不満の矛先は外国人に。しかし、どの国も、自国だけですべてまかなえる時代ではないのです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年06月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「令和の時代」です。空気は変わっても、社会を変えるのは私たち自身の力で。元号が「令和」に変わり、約1か月がたちました。新しい元号発表のとき、予想以上に、気持ちが前に突き動かされるのを感じました。平成から令和に変わるときも、世間は年末年始のような盛り上がりでした。改元とともに、ガラリと空気が変わる。これが1300年以上続けられた元号の力なのだとあらためて思います。日本で最初に元号が定められたのは、645年の大化です。以降247回、改元されてきました。そもそも元号は、中国で、その国を治める権力の象徴として使われはじめ、中国の覇権拡張とともに、朝鮮半島や東南アジアの国々に広がりました。日本でも南北朝時代には、南朝と北朝が正統性の証としてそれぞれの元号を用いたことがあります。また、社会の空気を変えるために、災害や飢饉、良いことが続いたときにも改元してきました。明治維新以降は、一世一元。ひとりの天皇につきひとつの元号を用いることになりました。過去に一番長く使われた元号は「昭和」の64年。敗戦の折には、改元論や元号廃止論が起きました。ところが朝鮮戦争が勃発し、議論は立ち消え。昭和54年に初めて、元号についてのルールが法制度化されました。平成から令和への変化も、ほとんどの民間企業では西暦が使われているので、生活の実務には影響はなかったようですが、人々の気持ちをつなぐキーワードにはなっていると思います。令和になり、これから私たちはどういう時代を作っていくべきか?昭和は国民が政府の暴走を防げず、戦争を引き起こしてしまいました。平成は、経済成長一辺倒で、「人」を切り捨てていってしまいました。オウムなど凶悪な事件を生んだのも、個々人の居場所を失わせた社会背景があります。平成最後の統一地方選挙。女性議員が多く誕生したのは良いことですが、投票率は過去最低が相次ぎ、選挙が成り立たない無投票の自治体も多数ありました。「自分たちが社会を作る」という意識はまだ薄いです。時代が変われば自然と景気が良くなるという幻想は、改革に失敗した平成で打ち砕かれました。昭和や平成で積み残した課題を、令和でこそ取り戻したいですね。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年6月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「留学生失踪」です。留学生を経営難の私大の水増し要員にしてよいのか?東京福祉大学では、昨年度だけで約700人の留学生が所在不明となり、この3年間で不明者はおよそ1400人に上ることがわかり、問題になりました。正規の留学生には定員があり、試験に合格することが必須です。ところが同大学では2016年度から「研究生」という枠組みで募集、3年間に留学生の定員の約6倍、5700人が入学していました。なかには日本語が全くできない学生も。これにより学費収益は12億円増加。収益を上げるために、受け入れを拡大していた可能性があり、文科省で調査を進めています。少子化により、厳しい経営状態に追いやられている私立学校は増えています。日本私立学校振興・共済事業団によると、大学・短大を運営する660法人の17%・112法人が経営困難な状態であることが判明。そのうち21法人は経営改善をしないと2019年度末までに破綻する恐れが出てきています。昨年から、18歳人口が減少期に入っており、経営環境の悪化が懸念されています。これに対し留学生の数はうなぎ上り。日本学生支援機構によると、2018年5月時点で大学院、大学・短大、専門学校、日本語学校などの留学生は29万8980人。10年前と比べ約2.5倍に膨らんでいます。東京福祉大学の研究生枠は、日本に出稼ぎに来たい外国人にとって、簡単に受け入れてもらえる受け皿になっていたともいえます。ここまで極端でなくても、ほかの私学でも似たケースはあり得ると思います。最初は学ぶつもりで日本に来た留学生も、学費と生活費を稼ぐためにアルバイトに明け暮れ、そのうちに勉強する意欲を失い、学費も支払えなくなり、失踪してしまう。もしかしたら、人手不足のコンビニを支えているのは、こういう学生たちなのかもしれません。しかし、単に労働力のみを求めるのではなく、外国人の若者たちをどのように教育し、コミュニティの一員として機能してもらうかを真剣に考えなければなりません。政府はいま、大学教育の無償化を掲げていますが、経営能力もなく外国人で水増ししているような学校まで無償化となると、大学行政も根本から考え直す必要があると思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月29日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「景気回復」です。景気実感を得るには、新しい仕事を自分で生み出さないと。政府は、4月の月例経済報告にて、「輸出や生産の一部に弱さも見られるが、緩やかに回復している」と発表。日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の業況判断指数が、大企業・製造業でプラス12。昨年12月から7ポイント悪化しています。景気の問題が頻繁に取り上げられている理由は、豊かさがなかなか実感できず、不安感が広がっているからです。実質賃金は横ばいかやや下降が続いています。安倍政権はデフレから脱却するため、物価を上げたいと思っていますが、日銀が設定した2%の物価上昇率は達成されず、賃金は下降。世界的に、原材料や資材価格は高騰。人手不足で人件費も上がり、企業は収益を給与に反映できずにいます。このまま進むと、賃金は上がらないにもかかわらず、物価は上昇する「スタグフレーション」という最悪の事態を引き起こしかねません。しかし、企業からすれば、リーマンショックのように突発的に景気が悪くなることに備え、資金を会社に留保しておきたいのです。空前の人手不足だから、そのうち賃金も上がるだろうと楽観視する人もいますが、日本はこの春から外国人材の受け入れを拡大しています。日本に働きに来る外国人が増えれば、賃金が抑えられた状況は続くでしょう。いま、景気を底上げしているのは、株や為替など金融資産を持つ人たちです。金融取引により蓄財を増やしていますが、それができる人は一部。SMBCコンシューマーファイナンスの意識調査によると、30~40代で貯蓄額が0万円の人は23.1%。1万~50万円の人が24.6%。約半数の人たちが、投資を始める余裕がありません。与野党も、納めた税金が社会保障として還元される仕組みを作ろうと言っていますが、具体策は見えてきません。私たちが実感を得られるような景気回復は、待っていても起こりません。誰も気づいていないニーズを掘り起こし、新しい仕事を開拓していかないと厳しいでしょう。一つの勤め先だけに頼るのではなく、あちらこちらで仕事をしていく。一人一人が自分自身で新たな付加価値を生み出す、創造的な働き方が求められています。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「薬物依存症」です。徹底した警鐘と、依存症者には支援。この両輪が必要。著名人が麻薬取締法違反容疑で逮捕、起訴されるニュースが流れました。最も急務なのは、どういう経路でコカインや大麻を入手したのかを解き明かすことでしょう。また、社会的責任を負う立場であるのに、やめられなかったのはなぜか?どんな気持ちで続けていたのか?そこに目を向けることが大事だと思います。主に南米で採取されているコカインの原料は、希少性が高いことから、世界的に高価で取引されており、セレブのドラッグと呼ばれています。アメリカでは、トランプ大統領が不法移民を入国させないために壁の建設に固執したり、すでに入国している不法移民の子供を本国に強制送還するなど、厳しい措置をとっていますが、アメリカを目指す移民のほとんどは中南米からです。麻薬カルテルが横行して自国の治安が悪化し、安定した職を得られない、安心して暮らせないので、やむを得ずアメリカに逃げようとしているのです。その麻薬を実際に買っているのは先進国の人たち。つまり、日本でコカインや大麻を使用することは、中南米の人たちの平和な生活を脅かす一因になっているかもしれないのです。売人は心の隙間を狙い、日常に簡単に入り込もうとします。パチンコ店の入り口で張り込み声をかけ、主婦が軽い気持ちで使ってしまい抜けられなくなるというケースも多くあります。誰にも相談できず、金もなく困っているところに、「客を連れてきたら分けてやる」と、芋づる式に団地ごと汚染させようとした売人も。依存性の高い薬物は、自分を傷つけるだけでなく、家族や友人、周囲にも影響を及ぼしますから、絶対に手を出してはいけません。違法薬物の怖さを徹底的に伝える一方で、依存症になってしまった人に対しては糾弾ではなく、立ち直りの支援が必要です。各都道府県には、「精神保健福祉センター」があり、ここでは警察に通報することなく、薬物依存症の人や家族の相談に乗ってくれます。また、NPO法人「東京ダルク」では、薬物依存に苦しむ人の回復支援を行っています。他人事ではありませんから、違法薬物に対する正しい知識を持つことも必要なのかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「コンビニの時短営業」です。コンビニの問題から自身の働き方もぜひ振り返ってみて。セブン‐イレブンの東大阪南上小阪店が、スタッフを確保できず夜中の営業を中断したところ、本部から契約解除と違約金1700万円を請求されました。メディアで問題視され、請求はすぐに取り下げられましたが、コンビニエンスストアの時短営業について、各所で議論されるようになりました。現在、コンビニスタッフの人手不足は深刻な問題になっています。結果、オーナー家族に負荷がかかり、心身を壊すという事態が起きているのです。いまやコンビニは、モノを売るだけの場所ではありません。ATMがあり、公共料金の支払いや宅配便の窓口でもあり、各種チケットの発券、コピーやプリンターなど行えることは多岐にわたります。地方では、夜間の町の防犯の意味でも大事な存在になっています。とても便利で私たちの生活は助けられていますが、本当に24時間営業が必要なのかどうか。ヨーロッパなどで、ほとんどの店が日が暮れたら閉まる光景を目にすると、日本の経済活動の過剰さを痛感します。24時間店を開けるということは、商品や電力、資源もそのぶん消費しているということです。ローソンの統計によると、2017年度の売れ残り食品は1店舗あたり1日9.2kgでした。食品廃棄物のうち40%以上はリサイクルをしているそうですが、それでも少なくはない数字です。コンビニ大手も人手不足対策を相次いで打ち出しています。セブン-イレブンとローソンでは、「セルフレジ」を年内に全店で導入することにしました。時短営業もセブンの一部の店舗で実験的に行われています。ただ、「24時間営業」が前提の経営スタイルなので、簡単には時短営業店舗が広がっていくという流れにはならない模様です。4月5日には経済産業省がコンビニ8社に対し、オーナーの不満を解消する行動計画を出すよう指示。今回の件は、オーナーによる訴えに対してメディアが反応し、企業側も反応し、社会が問題を注視するようになった、示唆に富む出来事でした。無理を強いられているのはコンビニに限りません。働き方改革は様々な形があります。自分の働き方を見直し、権利を守ることに意識が向けばいいなと思います。堀潤ジャーナリスト。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月02日堀未央奈(乃木坂46)の女優デビューにして初主演作『ホットギミック ガールミーツボーイ』。この度、堀さんが清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗といった若手実力派俳優たちと繰り広げる3つの初恋を映し出した予告編が解禁。さらに主題歌を“次世代バーチャルシンガー・花譜(かふ)”が手掛けることが分かった。今回解禁となった予告編は、“誰が私の初恋なのか――”という印象的なメッセージから幕を開ける。映像前半で映し出されるのは、“3つの初恋”によって自分に自信が持てない主人公・成田初(堀さん)の平凡な日常が変化していく様子。初が恋をするのは同じマンションに住む3人だ。初の弱みを握る同級生・橘亮輝(清水さん)、数年ぶりに帰ってきた幼なじみ・小田切梓(板垣さん)、初の兄・成田凌(間宮さん)。初は恋に落ち、空虚な日常は彩りを得て幸せな時を過ごすも、「なんで…」と涙を流す場面を皮切りに、物語は急展開。「私の初恋は消えちゃったんだね」と初の切なくこぼすセリフに続き、亮輝、梓、凌らの想いが交差し、それぞれの悩みもがくシーンが連続していく。「見ていたいと今は思ってる、絶対に今は思ってる」「今この気持ちを大切にしたい――」不器用ながらも純粋な想いを寄せる亮輝、昔から憧れの存在だった梓、優しく見守り寄り添う凌…。初が3人の男性に揺れ動きながら、どこまでも透明で儚い初恋の先にたどり着く1つの答えとは――?恋にもがく不安定な初を瑞々しく体現した堀さん、そして清水さん、板垣さん、間宮さんたちの繊細な演技に加え、桜田ひより、上村海成、反町隆史、吉岡里帆といった各世代実力派の本編映像も初お披露目。女の子が恋をして初めて知った喜び、痛み、迷いの先にある“自分”の意志として歩むべき道を探す「ガールミーツボーイ」の新たな物語となる本作。“不器用な恋”“溶けるような恋”“秘められた恋”、3つの初恋がもたらす10代のアンバランスで儚く尊いリアルな感情を独特の視点で描く山戸結希監督により、“新時代の青春恋愛映画”誕生を思わせる予告編となっている。また、予告編をさらに盛り上げる主題歌「夜が降り止む前に」の作詞・作曲・編曲を手掛けたのは、新世代を代表するボカロPのカンザキイオリ。歌うのは、2018年10月、当時14歳にして突如YouTubeに登場し、話題上昇中の次世代バーチャルシンガー・花譜。YouTubeデビュー後、その類まれな歌声やSNSにアップされるリアルとバーチャルが融合した映像や写真が話題を呼び、フォロワーが急増。現在YouTubeチャンネル登録者は5万人を超え、12月に公開した「心臓と絡繰」は130万再生を記録している。この2人に白羽の矢を立てた山戸監督は、「花譜さんとカンザキさんの芽吹くような才気に、心打たれました。エンドロールの暗闇に、歌声と物語と聴く人の心が、交わる主題歌でした」と感激のコメントを寄せている。『ホットギミック ガールミーツボーイ』は6月28日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ホットギミック ガールミーツボーイ 2019年6月28日より全国にて公開Ⓒ 相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会
2019年04月30日自分に厳しく、相手にも自分の理想を押し付けてしまう「完璧主義」な人、周りにいませんか?ジャニーズ・嵐の松本潤さんこと松潤も「完璧主義」なんてよく言われているようで…。コンサートなどでの力の入れよう、妥協を許さない姿勢はまさにプロフェッショナル。そんな「完璧主義者」の松潤。今回はその名前から恋愛傾向や噂されている結婚を読み解くべく、モバイルサイト『開運姓名鑑定』で占ってみました。国民的アイドルグループの恋愛事情も、由緒正しい「姓名鑑定」でみれば新しい発見があるかも?◆外格「9画」は神経質?自分勝手?名前からみた松潤は…熊﨑式の姓名鑑定は、人の姓名を構成する文字の画数を使ってあらわす「五格」と五行の相性などで、全体の運勢や恋愛・仕事運などを導きます。松本潤さんの姓名画数表※熊﨑式では姓または名が1文字の方は、仮数「一」を加えて画数を計算します。松本潤さん(以降松潤)の、外格の「9画」は字数的に「大凶」を表しており、性格的には神経質で、情緒性が濃く感情的になる傾向になるとか。また何でも賢く進めていこうとする性質をもっているとのことで、自分なりの「こだわりの強さ」が出てしまうのがうかがえます。他にも、---地格が17の名前には「衝突、成功、固執」といった意味があります。競争心を発揮してしまうので、人との意見の対立も少なくないでしょう。…(中略)…あまり自分の考えを相手に押しつけてしまうことが無いように意識すべきでしょう。---「超完璧主義」とか「思ったことをすぐに口にしてしまう」なんて言われている松潤。こだわりのために、ぶつかる…そんなところが名前からあらわれているようです。ちなみに、『開運姓名鑑定』では、名前の運勢を数値化している棒グラフもありました。これをみると松潤、「仕事運はすごく高いのに、結婚運・恋愛運…低っ!ろくな恋愛してなさそう!」と思わずつぶやいてしまうような結果です。確かに、本命(といわれる)相手とも別れたのではなんて噂もあったり、フライデーのあの人ともごたごたしているし…と、松潤の恋愛状況が頭によぎってしまいますね。この表だけで読み解くならば、「仕事は超できるけど、痛い恋愛をしがちなオトコ」といった感じです。(あくまで表から読み解くと…ですよ!)◆松潤の「運命の人」は…やっぱりあの人?恋愛運は残念な感じの松潤。彼の「運命の人」はどんな人なのかも占ってみたところ…---◎あなたの運命の人、その「容姿」についてあなたの運命の人は顔立ちそのものには、ほとんどクセがなく、…いわゆる万人受けするような容姿の持ち主で…(略)…初対面では、無難にまとまりすぎていて、あまり強い印象に残らないかもしれません。その人柄を知れば知るほど、魅力的に見えてくるでしょう。------◎あなたの運命の人、その「人柄」についてあなたの運命の人は、気さくで、親しみやすい人柄をお持ちでのようです。気軽に声をかけやすいタイプを想像していただければと思います。また、あまり周りの意見に左右されず、何事に対しても、地道にこつこつと自分のペースで進めようとされる面が見受けられます。…---容姿は美人だけどあまり印象に残らないタイプ。親しみやすそうな人柄で周りの意見に左右されずしっかりとした人のようです。これはもしかしたら?---◎あなたの運命の人、その「周囲からの評価」についてあなたの運命の人の周囲からの評価は、おおむね一定していて、好ましいものとなっているようです。特にその人の気さくで親しみやすい人柄に関しては、周囲の人に好感を持たれていることでしょう。…---松潤の相手といえば、もうすぐ結婚?と噂されている女優の井上真央さん。イメージとしては運命の人にぴったりとあてはまりそうです。少なくとも、フライデーで騒がせてしまった彼女の方ではなさそうなイメージですね。◆噂の彼女と結婚するの?外格9画同士の結婚は…?ではそのお相手、井上真央さんを姓名鑑定で見てみましょう。松潤と同じ外格9画をもっていることがわかります。井上真央さんの姓名画数表そんな二人の相性はというと、---(松潤は)何事も積極的にきっちりやっていかないと気が済まない性格なので、彼女のルーズな面に耐えられないこともあるようです。一方的に責めてしまい、そのまま破局という可能性も…(略)…厳しくしめつけるのではなく、お互いを尊重して、ゆっくりと時間をかけて距離を縮めていくことが長続きの秘訣になるでしょう。---「運命の人」のイメージは強かったのに、相性はあまり良くなさそうですね。先ほど外格の9画は「大凶」と紹介しましたが、その影響で家庭運があまり良くないようです。---二人は外格に9をもっていることで、家庭運があまりよくありません。感情をぶつけ合うこともあるので結婚まで進むかは微妙です。結婚まで進んだとしても松本さんの指導力が家庭内で強引さとなって表れたり、逆に井上さんから束縛されるようになって二人の間に溝ができ、長続きしない心配がありますので、あまり良くないでしょう。---結婚までの道のりも長そうですが、結婚後もなんだか茨の道といった感じです。---もっとおおらかで、寛大な心を保つように努力する必要があるでしょう。(略)…絆を深め合えるように努力することで、お互い、理想の夫婦の姿に一歩ずつ近寄っていけるのです。---仕事は完璧主義だけれど、その完璧さが恋愛では裏目に出ているような松潤。そんな彼が結婚に踏み切るのは「余裕」が生まれてからが濃厚そう。2020年までは嵐メンバーとして多忙な日々を送るため、結婚へのステップを踏みだすのはその後になりそうですね。◆ライター:akkyu◆占い監修:五聖閣創業90年の歴史を持つ姓名判断の宗家「熊﨑式姓名学」。日本の姓名学の始祖である熊﨑健翁が昭和3年に東京・大森に設立。運命学の分野において姓名鑑定という領域を初めて切り拓いた、いわば姓名学の宗家として、命名、改名、社名、芸名など名前を中心に鑑定を行っている。●モバイルサイト『開運姓名鑑定』
2019年04月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「頻発するデモ活動」です。世界各地で不満が爆発。格差を是正することが必須。いま、世界各地で政権への不満を訴えるデモが起きています。ベネズエラでは、マドゥロ政権が経済政策に失敗し、国内のインフレ率が229万%に。物価が上がりすぎて、国民の生活がままならなくなりました。マドゥロ大統領に反対するデモが続き、野党指導者のグアイド国会議長が自ら暫定大統領に就任すると宣言。大統領が2人という異常事態が続いています。欧米諸国はグアイド氏を支持していますが、中国やロシアはマドゥロ大統領を支持。シリアのように、国を分断する状態に陥らないか、不安が高まっています。スーダンでは、昨年12月に政府がパンの価格を3倍に引き上げ。スーダン貨幣は大きく下落し、現金が底を尽き、給料が振り込まれても引き出せなくなりました。闇マーケットでは現金貨幣が倍以上の価格で取引され、混乱を来しています。人々は30年間圧政を続けるバシル大統領の辞任を求め、反政府デモが行われました。大統領は非常事態宣言を発令し、緊迫した状態が続いています。アルジェリアでは、長期政権による腐敗政治への不満から、5期目を目指した82歳のブーテフリカ大統領の退陣を求めて大規模デモが頻発。大統領周辺の企業や政府要人に富が偏り、若者たちの失業率は29.1%に。多くの国民が貧困に喘いでいました。そして先日、ついに大統領は辞任しました。これらのデモの頻発は、2010年暮れから中東~北アフリカ諸国に広がった民主化運動「アラブの春」の延長にあるともいわれています。長期独裁政権により富が偏り、苦しむ国民が事態を打開する唯一の術がデモだったのです。長期政権ではありませんが、デモは先進国のフランスでも起きています。昨年11月から続く、マクロン大統領への抗議デモ、「黄色いベスト運動」が最近再び活発になりました。市民デモに便乗した過激派グループが暴力行為を起こし、観光名所が一時閉鎖される事態にも。すべての根源は経済格差です。それは日本にも広がりつつある深刻な問題。シリアのような悲劇を二度と起こさないためにも、いま世界各地で起きているデモの背景を、正しく知ってほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年04月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「震災への備え」です。熊本地震から3年。震災への備えはできていますか?4月14日で熊本地震から丸3年になります。政府の地震調査委員会によると、今後30年以内のM7~7.5規模の地震の発生率は、青森県東方沖・岩手県沖北部で90%以上、宮城県沖が90%、茨城県沖は80%。M7の地震が発生する確率が50%以上の海域には、房総半島沖や相模湾も含まれます。また、南海トラフではM8~9の地震が起きる確率が70~80%といわれています。日本全国北から南まで、大地震が起こる可能性が高いのですが、みなさん備えはできていますか?東京都は、直下型地震が起きた際は、会社にとどまるようにという「帰宅困難者対策条例」を出しています。交通インフラが止まり、多くの人が移動すると混乱が起き、二次災害が起きたり、緊急車両が通れなくなるのを防ぐためです。しかし、東京商工会議所が会員企業を対象に調査したところ、1127社から回答があり、この条例を認知している企業は62.9%、従業員数10~29人の会社では43.9%でした。会社にとどまるからには、全従業員分の3日以上の備蓄が必要になりますが、それを備えている企業は半分にも満たないことがわかりました。東日本大震災時の数から推定すると、約380万~490万人の帰宅困難者が発生するといわれています。現状では、帰宅はできず、会社にとどまっても備蓄がないケースがほとんどになるでしょう。自分の身は自分で守るしかありません。水や非常食、充電器などは通勤時にも常備しておいたほうが安心です。リサーチ会社によると、災害の備えについて、20代の女性の3割は何もしておらず、逆に60代女性では準備をしていないのは1割のみでした。とにかく、自宅には1週間分の食料と飲料水、電気(電池や電源)、トイレの確保が必須です。また、家族や大切な人との連絡手段、落ちあう場所を決めておきましょう。携帯はしばらく繋がらなくなると思っておいたほうがいいです。直接落ちあえる場所を必ず確認しておきましょう。また、自宅からだけではなく、職場からの避難場所も確認しましょう。普段使っている道が使えなくなる可能性もあるので、3つくらいのプランを考えておくことも大事です。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年4月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年04月16日乾燥肌や敏感肌は砂糖スクラブでケアかゆみ肌や乾燥肌、敏感肌を改善する「みんなの肌潤糖~アトケアタイプ~」が4月4日、リニューアル発売された。「みんなの肌潤糖~アトケアタイプ~」は、砂糖と植物性オイルを主原料としたスクラブ。優れた浸透力と高保水力を持つ「砂糖」に着目した商品である。砂糖には肌本来の成分であるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促し、ダメージ肌を改善する作用がある。砂糖を肌に浸透させるため、均一なパウダーに粉砕し、一粒一粒を植物性オイルでコーティングして、より一層肌になじみやすくした。角質層から潤いを与えることで、肌のバリア効果を修復。かゆみを抑えて、しっとりとした肌へと導いてくれる。肌成分に近い植物性オイルで浸透力アップ今回のリニューアルでは、砂糖の浸透力を高めるために、植物性オイルの配合を改良した。人間の皮膚の成分に近い「ホホバオイル」。そして体内で作られる物質と同質の、サトウキビから抽出した「シュガースクワランオイルを、独自技術で配合しているのが特徴だ。植物性オイルの作用で肌に素早く浸透すると同時に保湿力を高め、肌の皮脂膜の再生を強力にサポートする。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社北の達人コーポレーションのプレスリリース※株式会社北の達人コーポレーションのホームページ
2019年04月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新聞読者減少」です。進むウェブ移行。海外への発信を期待したい。毎年10月に日本新聞協会は新聞の発行部数を発表しています。2018年は約3990万部で、前年よりも約223万部減り、14年連続の減少となりました。電子版の契約者数を公表している大手新聞社は2社のみで、全体でどのくらいウェブに移行したのかは不明ですが、日経新聞電子版の有料会員数は昨年60万人を超えました。紙の新聞はコンパクトにまとまっていて、情報を端的に得るのには便利です。ただ、紙面が限られているため情報量は少なく、深く知りたい場合は電子版のほうが適しています。読者が減ることで新聞が衰退すると、ジャーナリズムの力が弱まるのではと懸念する声も。なぜなら紙と電子版では広告料金に大きな差があり、それが取材者の原稿料にも反映し、ウェブは紙の1/3~1/4とか。その結果、深く掘り下げた取材ができず、情報の質や多様性に影響を与えるのではというのです。そんななか、ニューヨーク・タイムズでは、数年前に購読料収入が広告収入を上回ったことがあります。デジタルプロパーを経営陣に入れ、大規模な経営改革をしたからです。電子版なら世界で読まれます。英語ということもありますが、ニューヨーク・タイムズもウォール・ストリート・ジャーナルもワシントン・ポストもローカルメディアにもかかわらず、世界中で読まれています。これは、記者が世界中の読者に向けて記事を書いているからです。日本の新聞をそのまま英訳しても、日本国内の読者を対象に取材・執筆しているため、海外の人は関心を示しません。新聞に限らず放送も含めて、日本のメディアはグローバル化が必要だと思います。ジャーナリズムとして生き残り、自分たちの言論で世界を変えたいのなら、海外と日本をシームレスにつなぐ、そんな目線をもった取材者の育成が急務なのではないでしょうか。多言語化対応も必須です。ロイター、AP、AFPなどの通信社やCNN、BBCなどの放送局は既に日本語でも発信しています。それらのニュースが日本に関係ないかというと、そんなことはありません。世界の政治や経済、最新科学の情報も、将来の私たちの生活に関わってくる大事な事柄なんです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月25日元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏が18日、都内で行われた映画『バイス』(4月5日公開)スペシャルトークイベントに出席した。同作は、ジョージ・W・ブッシュ政権で、アメリカ史上最も権力を握ったといわれる副大統領ディック・チェイニーの裏側を、実話を基に描く社会派エンターテイメント。クリスチャン・ベールが約20キロの体重増量と特殊メイクでチェイニーに扮し、プランB率いるブラッド・ピットがプロデューサーとして加わった。本年度の第91回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞部門を受賞した。クリスチャン・ベール扮するチェイニーのお面を手に登壇した堀氏は、「さすがアカデミー賞をとったメイクアップ技術。そっくりでした。ライスさんとか、あまりにも似すぎて悶絶しました」と驚きを伝え、「最近見た政治系の映画の中では一番起伏に富んでいて面白かったです」と称賛。「映画の投げかけるメッセージとしてはものすごく大切」「ジャーナリズムが窒息しそうな状況の中で、われわれは何を失ってはいけないのかという問題提起がすごくよかった」と要点を挙げ、「感情を揺さぶられるシーンが多かったので、監督含め構成はさすがだなと思いました」と感想を述べた。司会を務めた映画評論家の松崎健夫氏は、作品見どころを振り返りつつ、「この映画の中でフェイクは重要なポイント」とし、「われわれの生活のレベルで見破れる方法。何を心得ていたらできるものなんですか?」とフェイクニュースの見極め方に話題を振る。堀氏は、「僕は極めてシンプルで」と前置きし、「自分が見た世界でさえ物語だと思っています」「物語だから、いつも『本当はどうなのかな』というのを頭の片隅に置いています。僕の話にも“僕”というフィルターがかかっている。人の話も、『なるほどね』と言いながら、『あなたも気づいていない何かがあるのでは?』と思いながら向き合っています」と明かす。原発事故後、周囲からは「どのメディアを信じていいのか分からない。どの情報を信じればいいのか」と問われたこともあったそうで、「信じるという行為はある意味、目をつぶって手を合わせる行為。そんなのおっかなくてできないです。自分の身を無防備に委ねる。苦しいから信じたいというのは分かりますが、本当に自分の身を守るためだったら、もっと興味を持って関わってほしい」と呼びかけつつ、「だから、われわれメディアが頑張らないといけない」と自らにも言い聞かせていた。
2019年03月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「原発輸出政策」です。輸出は実質ゼロに。今後は中露が、世界に広げる?イギリスで日立製作所が進めてきた原発建設計画が中断されることになり、日本の海外への原発輸出計画は実質、すべてストップすることになりました。原子力発電の輸出政策は民主党政権のころから推し進めていました。水道や鉄道(超高速鉄道)など、インフラ技術を売ることが輸出の重要な鍵になるといわれており、そのひとつが原発だったのです。当時の鳩山首相は、温室効果ガスを2020年までに25%削減すると国際的に公約。そのためのクリーンなエネルギーとして、原発を増やそうとしていました。新興国では、しばしば電力が足りなくなり工場で停電が起きます。アジアや南米などに原発を輸出しようとしていた矢先、2011年に福島で原発事故が起きました。それ以降、安全対策にコストがかかり、原発の建設費用が1基5000億円以下だったのが、1兆円以上に跳ね上がりました。また、原発は、稼働し続けて初めて利益が回収できるもの。トラブルや災害で止めなければならない状況になると、収益も見込めません。これまでにも1979年にアメリカ・スリーマイル島、1986年にチェルノブイリ、2011年に福島と10数年に一度、世界で大きな事故が起きていますし、小さなトラブルは無数にあります。輸出先で事故が起きると、その損害賠償はメーカーが負わなければいけません。これはとても大きなリスクです。さらにいまは風や熱、光、潮など再生可能なエネルギーが増えました。信用を落とした日本の原発に、投資家たちはなかなか投資をしてくれません。福島第一原発事故が起きたのは、日本の技術が劣っていたからではなく、耐用年数が40年だったにもかかわらず、1960年代の古い型の原子炉を使い続けていたからです。最新型の原発ではそんなことにはなりません。そんななか、いま、原発の開発に力を注いでいるのは、ロシアと中国。国が開発資金をつぎ込み、輸出後のトラブルも国が補償。アメリカやフランス、イギリスなどが原発に後ろ向きになっているのに対し、ロシアや中国など強権な国が、アジアやアフリカに輸出をし、核を扱うアライアンスを世界中に広げていくというのは脅威でもあるのです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ザータリ難民キャンプ」です。内戦が終結しても難民キャンプの課題は山積みです。今年の初めに僕はヨルダンにあるザータリ難民キャンプに行ってきました。シリア国境に近い広大な敷地に、8万人近い人が暮らしています。2011年から始まったシリアの内戦。昨年、トランプ政権は、シリアからアメリカ軍を撤退させると決め、軍事的には現アサド政権の勝利で終わろうとしています。内戦後の復興の話も出てきており、中国の企業が名乗りを上げているとか、海外から投資を呼び込んでいるなどと報道されていますが、「戦争が終わってよかった」という単純な話ではありません。反政府軍の拠点である北西部のイドリブではまだ激しい戦いが続いていますし、ザータリ難民キャンプのシリア人難民はさまざまな理由で行き場を失っています。難民キャンプは難民の一時的な保護の場なので、内戦が収束に向かっているのであれば自国に帰るよう促すことが、難民条約には書かれています。しかし、シリアの内戦は、政府が反政府側の市民を弾圧して激化しました。難民として国外へ逃げた人の中には、国に戻れば不当に逮捕される恐れのある人もいます。また、現政権は徴兵制を敷いているため、男性は帰国すると兵にとられ、参加したくもない戦争に駆り出され、同胞に銃口を向けなければいけない状態になるかもしれません。アメリカからの国連への拠出金も引き下げられ、予算は縮減。キャンプ内の学校でも資金が打ち切りになり、シリア人の先生は解雇されていきました。子どもたちの教育の機会は縮小され、診療所も閉鎖。遊んでいて額から血を流した子どもが、救急箱目当てにNGO「国境なき子どもたち」に集まってきているのを目の当たりにしました。日本では中東のニュースはほとんど流れません。シリアも難民キャンプも遠い存在です。でも、現地で僕は「ヤバーニ(日本人)!」と大歓迎されました。アメリカと戦い、原爆を落とされた不幸な歴史を背負っているが、中東のために経済力を役立ててくれる尊敬する国、という意識でいるのです。日本政府や民間がこれまでODAで積み重ねてきた功績の結果です。絶え間ない支援活動が、日本の安全保障につながることを改めて感じました。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月11日“愛を仕事にする”とは、どういうことなのか。連載「社会のじかん」でお馴染み、ジャーナリストの堀潤さんが、これまで取材で出会った数多くの人から、若くして今の社会の問題に気づいた人物に再取材しました!紛争や貧困、あらゆる社会の歪みは真っ先に子どもに向かっていく。フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん、31歳。激しい内戦や紛争の渦中にあるシリアやイラクをはじめ、中東、アジア、アフリカ、東北の被災地など、困難と向き合う地域で生きる人々の日常を記録し続けています。穏やかで冗談交じりの笑顔を絶やさない安田さんの人柄そのままに、彼女の写真は体温を感じさせます。両手で包み込んだろうそくの灯りのように、ほのかな明かりが破壊された街や荒涼とした大地に道しるべを添えるような写真です。そんな安田さんはつい先日も、シリアの取材に行ってきたばかり。絶えずどこかの現場に足を運んでいます。何度も、何度も。何年も、何年も。なぜ彼女は通い続けるのでしょうか。「避難生活を送っている方々の生活が厳しいことに変わりはないですし、故郷の町というのは戦闘が続いていたりする。でもシリアの方にかけていただいた言葉の中で忘れられないのは、『自分たちのことを本当に苦しめている、追いつめているのは、爆弾を落とすような勢力でもないし、IS(イスラム国)のような過激派の勢力でもない。これだけのことが起きているのに自分たちに関心を寄せない世界だ。無視している。それが自分たちを追い詰めるんだ』という訴えです。それって、東北の被災地でかけられる言葉にも似ていて。例えば、どうしても大きなメディアの中では、節目という言葉で語られがちです。3年目の節目、5年目の節目。じゃあ節目というものが通り過ぎてしまったら、自分たちのことって伝わらなくなるのか、という不安の声をいただくようになって。忘れるはずがないですよと、震災でお世話になった方々に意思表示ができるには、多くの方々に関心を持ってもらっているという、その土壌が必要だなと思ったんですよね」安田さんが初めて現場で取材をしたのは16歳の夏休み。NGO「国境なき子どもたち」がカンボジアに派遣する「友情のレポーター」の募集に応募したことがきっかけでした。安田さんは、中学2~3年の時に父親と兄を相次いで亡くし、強い喪失感を抱いていたといいます。家族の結びつきとは何なのか、自問自答する日々でした。そうした中、初めて訪ねたカンボジア。人身売買の被害にあった子どもへのインタビューは価値観を大きく揺さぶるものでした。「騙されてお金で売り買いされたり、虐待を受けながら働かされていたということも衝撃的だったんですが、やっぱりそれでも家族を支えるために仕事に就きたい、自分以外に『この人を守りたい』っていうものを持っているカンボジアの子どもたちの姿勢に、とにかく驚かされたんですよね。自分は今まで自分しか守るものがなかったからモヤモヤしていたんだなということに気がついて。どうして友達はもっと優しくしてくれないんだとか、家族はどうしてもっと理解してくれないんだろうとか、自分しか守ろうとしてこなかったんだなと思って。だから私も彼らみたいに自分から誰かを守りたいっていう、そういう姿勢を持てる人になりたいと教えてもらいました」帰国後、安田さんは高校、大学時代を通じ写真や文章での発信を本格的にスタートさせます。2010年にカンボジアを取材しHIVと共に生きる子どもたちを記録した初の個展を開催。震災後は、夫の両親が暮らしていた岩手県陸前高田町で被災地の記録を続けている。初めての取材から15年。安田さんに気持ちの変化はあるのでしょうか。「軸は変わっていないと思うんです。カンボジアに初めてお邪魔した時、子どもって社会の指標みたいなものなんだなっていうことに気がついたんですね。紛争だったり貧困だったり、あらゆる社会の歪みって、真っ先に子どもに向かっていくんだなと。子どもの表情を見ると社会の実相がわかるし、子どもが笑えていない社会ってやっぱり豊かな社会とはいえない。だから、子どもたちの尊厳が傷つけられる現場があれば、それは憤りを持ってシャッターを切りますし。逆に子どもたちの命や魂が輝く現場があるのであれば、それは本当に喜びを持ってシャッターを切っていきます。その軸は変わっていないように思います」やすだ・なつき1987年生まれ。「Dialogue for People」所属。16歳の時、「国境なき子どもたち」のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。その後、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の現場を取材。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』(日本写真企画)ほか。(2枚目写真)取材の合間に、シリア北部の集落の子どもたちと。2018年5月。滞在していた集落で、近所の子どもたちとカメラを通してコミュニケーション。ほり・じゅんジャーナリスト。「GARDEN」CEO。NPO法人「8bitNews」代表理事。様々な社会問題や、国、地域、そして人を精力的に取材、発信している。※『anan』2019年3月13日号より。写真(人物)、取材、文・堀 潤(by anan編集部)
2019年03月08日想像以上に幅広いボランティアの世界。踏み込んでみると、自分の新たな世界もぐんと広がっていきそう!「自分に何ができるか」を考えた後は、「どこで活動できるか」「ボランティアについて理解する」にすすみましょう。【どこで活動できるか探す。】ボランティア活動の募集先を見つけるなら、まず各地のボランティアセンターへ!ボランティア情報を探すなら、まずは全国各地にある「ボランティア(市民活動)センター」にアクセスしてみよう。センターには、ボランティアの募集やイベントなどのチラシがたくさん置かれている。地域によって情報量に差はあるが、都市部は比較的種類も豊富。「定年退職された方や主婦向けの、平日の活動が多めなのですが、受け入れ側は常にボランティアを歓迎しています。興味のあるところが見つかれば、『週末なら行けるのですが』『こういうことならできるのですが』と提案してみると、募集が出ていなくても、ぜひ!ということが」と、東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)の河村暁子さん。また、ボランティアには相性があるので、一度見学や体験をしてから始めるといい。募集先が安心できるところかどうか、HPなどをよくチェックしてか ら参加を決めるように。また、年間数百円で加入できるので、対人対物の賠償責任が付加されているボランティア保険には入っておくと安心。「イベントやセミナーなどに参加して、興味のある団体を見つけるのもひとつの方法です」民間のポータルサイトでも見つけられる。Yahoo! ボランティア3万件以上の全国のボランティア情報を掲載。環境、地域・人権、医療・介護など9つのカテゴリーや地域から選べて便利。ボランティアプラットフォーム海外支援活動をしているNGOが運営する、海外のボランティアプログラムを紹介するサイト。短期から長期、国や予算で選べる。「東京ボランティア・市民活動センター」ボランティアや市民活動に関する相談事業を行う。夏には体験ボランティアのキャンペーンを開催。東京都新宿区神楽河岸1-1飯田橋セントラルプラザ10FTEL:03・3235・11719:00~21:00(日曜~17:00)月・祝日休河村暁子さん東京都社会福祉協議会東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)主任。多様な団体の活動を知るエキスパート!CSRの一環で、企業からのボランティア研修の相談も増えているとか。【ボランティアについて理解する。】ボランティアとは?詳しい2人に聞きました。「知ることだけでもボランティアです。」特定非営利活動法人「両育わーるど」理事長・星野勝太さん線維筋痛症って聞いたことありますか?原因不明の激しい痛みが起こる難病で、日本では59人に1人いるといわれていますが、あまり知られていません。ボランティアって、まずこういうことを“知る”ことからスタートするのだと思います。僕は8年ほど知的・発達障がい児の福祉施設でボランティアをしています。障がいのある子どもたちは、様々な人と接することが成長に繋がる。でも実は、出会う機会は少ない。健常者には、“福祉ボラ”って縁遠いですよね?だから、“障がいってこんなに身近なんだよ”と知ってほしくて、〈THINK UNIVERSAL〉という活動を始めました。みんなにとって居心地のいい社会にするために、興味を持ってくれたらうれしいです。星野勝太さん知的・発達障がい児と育成者が共に学び合える社会作りを目指す、特定非営利活動法人「両育わーるど」理事長。「ボランティアに参加する動機って?」ジャーナリスト・堀 潤さんボランティアを始めるきっかけや目的は、有名になりたい、実績を積みたい、評価されたい、そんなエゴまみれでも何でもいいんです。なぜなら、例えばそういうモチベーションで災害ボランティアに参加して、成果を上げるためにすごく頑張ったとしますよね。その結果、被災地では誰かが救われるんですから。要は“ウィンウィン”の関係です。僕はこれができる。君は僕にこれをくれた。お互いにとっていい関係ができあがることに意味があるんです。自発的に関わるということをボランティアと呼んでいるだけで、決して無償の愛ではないですから。だから、誰かの役に立つことも重要かもしれませんが、自分のためになる、成長に繋がるアクションを大切にしてください。堀 潤さんジャーナリスト。「GARDEN」CEO。NPO法人「8bitNews」代表理事。TOKYO MX『モーニングCROSS』キャスターほか、様々なメディアで活躍中。ウェブサイト「GARDEN Journalism」でもボランティア情報を発信中。※『anan』2019年3月13日号より。写真・大澤千尋(by anan編集部)
2019年03月08日