通常、生命保険に加入するためには、健康状態が良好なほか、過去に大きな病気や治療歴などが無い必要があります。ちなみに、妊娠は、病気にはあたらないため、問題なく生命保険に加入できそうですが、実のところ、妊娠の時期や申し込みのタイミングによっては、生命保険に加入できないことがあるのは確かです。そこで本記事では、妊娠中における生命保険の加入を中心に、押さえておきたいポイントを解説していきます。妊娠におけるタイミングと医療保険の加入条件について上記図は、協会けんぽの健康保険証の例ですが、被扶養者となっているため、この場合、仮に、協会花子さんが出産したとしても、出産手当金が支給されることはありません。上記図では、任意継続被保険者が健保太郎さんの例ですが、ポイントは、女性の方で健康保険証に任意継続被保険者という文言が記載されている部分にあります。健康保険の任意継続被保険者は、出産手当金の支給対象外です。被扶養者および任意継続被扶養者は、いずれも出産手当金の支給対象外です。なお、出産手当金が支給対象となる、健康保険の被保険者の確認方法は、以下の通りです。上記図は、男性である協会太郎さんの例ですが、ポイントは、出産する女性が被保険者である部分となりますので、女性の方で、ご自身の健康保険証に本人(被保険者)という文言が記載されていれば、出産手当金の支給対象と簡単に判別することができます。出産手当金は、産前産後休暇中に対して支給される出産手当金は、健康保険の被保険者が、出産をするために仕事を休んだ場合に支給されるお金ですが、支給対象となる期間は、産前産後休暇中になります。なお、出産手当金が支給されるためには、本記事で紹介した大まかな解説のほかにも細かな条件もあることから、出産手当金について気になる方は、以下、同サイト内で公開している記事に一通り目通ししてみるのが望ましいでしょう。高額療養費制度高額療養費制度とは、医療費が高額となった場合に一定の自己負担金額まで医療費負担を減らすことができる制度のことを言いますが、出産の場合、正常分娩なのか異常分娩なのかによって取り扱いが全く異なります。なお、正常分娩の場合は、高額療養費制度を適用することはありませんので、以下、異常分娩の場合について触れておきます。異常分娩は、高額療養費制度の対象になる厚生労働省では、異常分娩について、分娩に係る異常が発生し、鉗子娩出術、吸引娩出術、帝王切開術などの産科手術または処置などが行われるものとしています。ポイントは、異常分娩によって出産した場合、健康保険や国民健康保険といった公的保険の保障対象(保険適用)となるほか、異常分娩に要した高額な医療費は、高額療養費制度の対象になるところにあります。異常分娩による出産の場合、限度額適用認定証の交付を受けておく異常分娩による出産の場合、産科医からあらかじめ産科手術による旨を告げられることも多く、そのような場合は、事前に限度額適用認定証の交付を受けておくと良いでしょう。限度額適用認定証の交付を受けることで、先に解説をした高額療養費について後日請求手続きをする必要もなく、かつ、まとまったお金を一時的に負担する必要がないため、出産後で時間的な余裕を持ちにくい多くの女性にとって便利な制度です。医療費控除医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間において、支払った医療費が多額になった場合に、所得税や住民税など納めるべき税金を軽減させられる制度のことを言います。医療費控除は、出産をする時期的なタイミングが大きく影響することになりますが、出産するために定期的に産科などの医療機関に通い、出産も同じ年に行った場合などは、特に、医療費控除が適用しやすい傾向にあります。医療費控除の適用を受けるためのポイント医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間において、世帯全員の支払った医療費をすべて合算して適用することが可能です。また、医療費控除を適用するには、確定申告を行わなければならないほか、所得によって適用できる医療費控除の金額が異なる特徴もあります。なお、医療費控除の詳細については、以下、同サイト内で公開している記事に一通り目通しいただくことで、ポイントや手続方法を確認することができます。妊婦さんは、妊娠中に保険加入するべきなのか?これまでの各種制度を踏まえますと、あくまでも筆者個人の主観となりますが、妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対です。この理由について、2つの理由を上げ、合わせて、それでも保障が必要な妊婦さんを対象に妊娠中でも加入できる保険について触れていきます。[adsense_middle]理由① 妊娠中の保険加入は、保障内容と加入目的がかけ離れる可能性が高い妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対の1つ目の理由は、妊娠中の保険加入は、保障内容と加入目的がかけ離れる可能性が高いためです。仮に、医療保険に加入する場合、妊婦さんが求めている出産にかかる医療保障が不担保となる場合がほとんどであるため、そもそも求めている保障が一時的に得られないことがあります。そのため、本来の保険加入の目的から外れているのではないかと考えられることが1つ目の反対理由です。理由② 正常分娩も異常分娩も極端に大きな自己負担を強いられにくく、貯金でカバーできる妊婦さんが、妊娠中に保険加入することに反対の2つ目の理由は、正常分娩も異常分娩も極端に大きな自己負担を強いられにくく、貯金でカバーできるためです。たとえば、正常分娩で50万円のお金がかかった場合、出産育児一時金から42万円支給されるため、差し引きすると8万円の自己負担金額です。異常分娩で高額な医療費がかかった場合、高額療養費制度が適用でき、かつ、出産育児一時金も支給されるため極端に大きな自己負担を強いられにくいと考えられます。とにかく保障が無いと不安という妊婦さんは、少額短期保険を検討妊婦さんの中には、とにかく保障が無いと不安という方もおられると思います。そのような方の場合、妊娠中の一時的な保障の準備として、少額短期保険(ミニ保険)を検討してみるのも良いでしょう。少額短期保険は、保険期間が1年間と短く保険料が掛け捨てとなりますが、妊娠中の一時的な保障をどうしても欲しいという方にとっては加入検討してみる価値はあると思われます。少額短期保険の手続きは、いつまで行う必要がある?妊婦さんが、少額短期保険に加入する場合、妊娠10ヶ月まで、妊娠27週までなど少額短期保険によって加入できる時期が異なるほか、保障がされない免責期間や医療保険のように不担保扱いとなる場合もあります。そのため、妊娠が分かり、少額短期保険の一時的な保障が必要な場合は、できる限り早く加入手続きを済ませておくのが望ましいと考えられます。医療保険と少額短期保険の主なポイントを比較本記事の最後に、保険会社が販売している医療保険と少額短期保険の主なポイントを比較した表を紹介しておきます。なお、妊婦さんが、それぞれに加入するものとした場合の比較とします。まとめ妊娠中に生命保険に加入することはできるものの、十分な保障が確保できている保険契約とは言い切れない場合があります。そのため、妊婦さんは、公的保険の制度を踏まえた上でもなお、保障が必要なのか、その必要性について再検討してみるべきでしょう。また、将来において妊婦になる予定がある場合、すべり込みで生命保険の加入や見直しを検討するのではなく、先々のことも考えて余裕を持った保険対策をしておきたいものです。
2019年08月15日妊娠すると、味の好みや味の感じ方が変わることがあります。実際、多くの妊婦さんが妊娠中に何らかの嗜好の変化を経験したと言います。それによって、これまで食べられていたものが食べられなくなったり、特定のものばかり食べたくなったりします。また、そうした嗜好の変化だけではなく、味を感じにくくなって、つい濃い味付けを求めるようになるなどの味覚の異常がみられることもあります。このような味覚の変化はどのような原因で起こり、いつごろまで続くのでしょうか。 妊娠中に味覚変化が起こりやすい理由妊娠中に味覚が変わりやすい理由については、以下のようにいくつかの説がありますが、はっきりした原因は明らかになっていないというのが現状です。・妊娠によるホルモン分泌の変動や体の急激な変化多くのママが経験する「むかつき(つわり)」は、早ければ妊娠5~6週ごろから始まり、遅くても妊娠12~16週ごろにはおさまります。味覚の変化はこの「つわり」と同時期に起こる傾向があるようです。 つわりについても詳しい原因は明らかになっていませんが、妊娠初期に起こるホルモンバランスの急激な変化、環境の変化などにママの体が付いていけなくなることが原因ではないかと考えられています。なかでもプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経前や妊娠初期に増えるホルモンで、つわりと深い関係があると考えられている物質のひとつですが、これが味覚の変化(味がわかりにくくなる)にも影響している可能性があります。・口の渇き妊娠中はホルモンバランスの変化によって、口の中が渇きやすくなります。この口の渇きが味覚の変化に関係しているという考えがあります。 ・口内炎、舌炎口の中や舌の炎症が起こって、舌の表面にある乳頭という部分が萎縮したり消失したりすることにより、乳頭の中にある味蕾(みらい)と呼ばれる味を感じる部分に影響が及び、味覚に異常が起こることがあります。つわりで食事がとれなくなることで、ビタミンB2やB6が不足すると、このような炎症が起こることがあります。そのほかに、ビタミンB12や葉酸が不足する貧血や鉄欠乏性貧血でも、重症になると同様の炎症が起こることがあります。・亜鉛不足亜鉛は血液中に存在する血清微量元素で、タンパク質やDNAの合成などに必要な栄養素として、人間の体を維持するためには欠かせない必須ミネラルのひとつです。また、味覚のセンサーとして働く味蕾の味細胞をつくるときにも必要になるので、亜鉛が不足すると味覚に変化が起こる可能性があります。さらに、日本人は「亜鉛が不足しがち」といった指摘もあり、特に妊娠中は胎児に亜鉛を供給するため必要量が増え、亜鉛不足になりやすいです。 ・塩分の必要量が増える妊娠中は、ママの体を循環する血しょう(血液から血球などを取り除いて残った成分)の量が増えていきます。とくに妊娠中期ごろから加速的に増え、妊娠32週ごろにピークになります。この血しょうの増加にともない塩分の必要量も増加し、それが妊娠中の塩味に関する味覚機能に影響を及ぼしている可能性があるという考えがあります。ただし、その影響は主に妊娠の中期以後が中心で、妊娠初期の味覚異常の原因としては考えにくいと思われます。 妊娠中の味覚の変化は時期によっても変わる?同じ妊婦さんの味覚の変化について、妊娠初期から後期まで継続して調査した研究があります。その結果は以下のようなものでした。 1)酸味の強いものや、塩味を好むようになる人が多かった2)濃い味を好むようになった人も1/3ほどいた3)ほとんどの場合、1)や2)のような変化が起こるのは妊娠前期(初期)で、中期以後に始まることはまれであった4)味覚機能検査を実施した結果、妊娠前期には明らかに味覚機能が低下していたが、妊娠中期以降は、さほど低下していなかった5)味覚異常と亜鉛不足の関係に注目し、妊婦さんの血液中の亜鉛を測ってみたところ、妊娠中期以後には亜鉛が不足する傾向がみられたものの、妊娠初期は正常範囲であったまた、味覚障害の程度と亜鉛の濃度には相関がみられなかった6)「口の中が乾きやすくなった」と訴える妊婦さんは多かったが、実際に診察してみると、口内乾燥の症状が認められた人は1人もいなかった 妊婦さんにみられる味覚の変化や異常の原因は、いろいろな要素が関係している可能性があるものの、はっきりわかっていません。しかし、妊娠の初期に始まって5カ月ごろまでには明らかでなくなる場合がほとんどであることから、妊娠したことによってホルモンが急激に変動し、その結果体にさまざまな変化をもたらす…。そうした反応のひとつと考えられます。それに加えて、つわりが続くことによるビタミンや栄養素の不足なども関係している可能性があります。 まとめ妊娠中の味覚機能の低下はごくありふれた変化で、とくに心配することはありませんが、もし味覚の異常が強く出たり、長く続くようであれば、口腔内の異常や栄養素の不足などが起こっている可能性もありますので、産科ドクターや専門医に一度相談してみたほうがよいかもしれません。 また、妊娠初期から濃い味付けに慣れてしまうと、妊娠中期以後も塩分の多い食生活が続いてしまうことがあります。そうなると、むくみが出てきたり、妊娠高血圧症候群を発症しやすくなる可能性がありますので、気を付けましょう。 参考:久我むつみ 「妊娠による味覚機能の変化に関する検討」日本耳鼻咽喉科学会雑誌 99巻 (1996) 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年08月09日妊娠中は日に日におなかが大きくなり、運動不足になりがちです。運動不足になると、体重が過度に増えたり、関節の柔軟性が低下したりして、お産のときに弊害が出ることもあります。妊娠中の運動としておすすめなのが、自宅でも手軽に取り組める妊婦体操です。ここでは妊婦体操をどのようにおこなうと効果的なのか、妊婦体操の注意点などについてお話ししていきます。 妊婦体操とは?妊婦体操はストレッチや、呼吸法、軽い筋力トレーニングなどが主なものです。正しい姿勢・リラックス・呼吸を3つの主な要素として、運動不足解消とお産に備えてからだを柔軟にするという目的があります。とくに道具などは必要なく、スペースがあればどこででもおこなうことができます。 妊婦体操の4つの効果妊婦体操に限らず、妊婦が運動をおこなった場合、以下のような4つの効果があるといわれています。1)理想的な体重の保持運動不足を解消し、体重の急激な増加を予防することで、妊娠糖尿病の予防や血圧のコントロールにも効果的です。また筋力をつけることで基礎代謝が向上し、カロリーの消費が可能となります。 2)マイナートラブルの予防・軽減妊娠中には、腰痛や頭痛、倦怠感、しびれ、むくみ、静脈瘤などのマイナートラブルが発生することがありますが、体を動かすことでこれらの症状を予防・軽減します。 3)出産準備の一環呼吸法や骨盤底筋のリラックス方法の習得など、分娩時の緊張やストレス緩和のための練習にもなります。また腹式呼吸は、分娩時のいきみや痛みを逃したりすることに役立ちます。 4)精神的安定妊娠中の情緒不安定に対し、体を動かすことでストレス発散や爽快感を得ることができ、気分転換にもなります。 妊婦体操の方法では具体的な妊婦体操の方法についてお話ししていくことにしましょう。これから紹介する体操はすべておこなわなければいけないというものではありませんので、妊娠初期は軽い体操にとどめ、妊娠16週以降は、毎日、無理なく、少しずつでも習慣的におこなえるようにしましょう。 腹式呼吸妊婦体操をおこなうときに基本となる呼吸法です。お産のときの呼吸法としても役立ちます。①あぐらをかいて座ります。(妊娠初期で仰向けの姿勢を取れるなら仰向けで膝を立てます)②おなかに手を当て、鼻から息をゆっくり吸い、手を当てたおなかが膨らむようにしましょう。③口をすぼめてゆっくり息を吐きながら、おなかを引っ込めるようにします。 ストレッチ1)首のストレッチ朝晩各5回首のまわりの筋肉を動かすことで、血行をよくし、肩こりや頭痛を緩和する効果が期待できます。①背筋を伸ばしてすわる②息を吐きながら頭を前に倒す③息を吸いながら元に戻す④同様に、後ろ、左、右に頭を倒し、元に戻す⑤息を吐きながら、ゆっくりと頭をまわす2)腰背部のストレッチ猫のポーズ朝晩各5回大きくなったおなかによって負荷がかかっている背中や腰の痛みを軽減する効果が期待できます。①肩幅にあわせて手足を開き、四つん這いになる②息を吐きながら、背中を丸めて首を腕の間に入れる。顎は引き、視線はお臍へ③大きく深呼吸④息を吸いながら四つん這いの姿勢にもどる⑤息を吐きながら、背中を少しそらし上を向く。顎を挙げ、視線は天井へ⑥深呼吸⑦軽く息を吸いながら元の四つん這いにもどる 3)足首のストレッチ朝晩各5回足先の血行をよくし、足のむくみを軽減する効果が期待できます。①椅子に座るか、仰向けになる。※おなかが大きくなってあおむけの状態を続けていると、仰臥位高血圧症候群を発症する恐れがありますので、少し上半身を高くして横になりましょう。②息を吐きながらつま先を伸ばす③息を吸い、再度息を吐きながらつま先を引き上げる④足首をぐるぐる回す⑤息を吐きながら、足の指をグー・パーする 4)太もものストレッチ朝晩各5回ふとももを動かして、骨盤の関節と筋肉を緩め、ふとももの付け根周辺の血行も促す効果が期待できます。①横向きになって寝ます②下側の腕を伸ばし、頭をのせます。あるいは肘をついて頭を支えます③上側の手で、上側の足首あたりを持ちます④上側の股関節を前に出すように、ひざを後ろに引く⑤体の向きを変え、反対側の足もおなじようにおこなう 5)股関節のストレッチバタフライのポーズ朝晩各10回股関節の周りの筋肉を緩め、やわらかくし、血行をよくする効果が期待できます。①背筋をまっすくに伸ばしたあぐらの姿勢をとる②足の裏をあわせるようにして座る③足首をもち、ひざをパタパタ上下に揺らす④手を膝の内側に置き、息を吐きながら下に力を加え、息を吸いながら元に戻す 6)骨盤底筋群の体操キーゲル体操・滑り台の体操朝晩各5回まで骨盤底筋群やおしりの筋肉をストレッチ・トレーニングする運動です。妊娠中・産後の尿漏れにも効果が期待できます。①仰向けになり、少し開いた状態で膝を立てる。手のひらは床につけ、腕はからだの横におく②息を吐きながら肛門を引き締め、ゆっくりと腰を上に持ち上げる③一度息を吸い、吐きながら腰をおろす④一呼吸して全身の力を抜き、リラックスする 7)腰回しの運動朝晩各1回腰を回すことによって全身の筋肉を緩めます。お産のときの痛みを和らげたり、赤ちゃんの頭が下がってくるのを助ける効果も期待できます。①足を軽く開いて立つ。手は腰にあてる②ゆっくりと腰を左右に揺らす③ゆっくりと腰を前後に揺らす④ゆっくりと円を書くように腰をまわす※腰を揺らしている間は、ゆっくりと呼吸する 妊婦体操をおこなうときの注意点妊婦体操をおこなうときには以下のような点に注意しましょう。1)運動を始める前に、医師に相談してからおこなう2)その日の体調と相談し、無理のない範囲でおこなう3)おなかが張ったり、気分が悪くなるようなら運動を中止する4)徐々に体操の種類や回数を増やしていく5)ストレッチは無理なく、痛みのない範囲でおこない、ゆっくりのばしていく。 まとめ妊婦体操は妊娠初期から手軽におこなえる運動のひとつです。日常生活の中に取り入れられる体操もあります。毎日、無理なく、少しずつ習慣化できるようにしていきましょう。今回、紹介した以外にも、さまざまな妊婦体操があります。助産師さんに相談すると教えてくれますよ。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2019年08月01日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【管理栄養士に相談】。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、妊娠中のしょうがの摂取に関するご相談です。 Q.妊娠中にしょうがを食べても大丈夫でしょうか?妊娠11週なのですが、漬け物のしょうがや牛丼屋さんにあるしょうがなど、食べても大丈夫でしょうか? 矢部まり子管理栄養士からの回答刺激物になることを懸念されてのご質問かと思いますが、常識の範囲内の摂取量であれば特に食べてはいけないものではありません。※参考:ベビーカレンダー「管理栄養士に相談」コーナーより しょうがの効果一般的に、しょうがは冷えを改善する効果がある、風邪を予防する、胃腸の働きを助けるなどの効果があるとして重宝されています。これらの効果は、しょうがの辛味成分のジンゲオールとショウガオールによるものと考えられています。生のしょうがに多く含まれるジンゲオールは、鎮痛・解熱・消炎・発汗効果があり、体温を下げようとする効果があります。生のしょうがを加熱や乾燥させるとショウガオールという成分に変化します。ショウガオールは代謝を良くして、深部から熱を作り出し、体の芯から温めて持続させる効果があります。 しょうがの摂取量の目安しょうがは食品なので、摂取量に決まりはありません。食べる人の体質によって1g食べただけで効果を感じる人もいれば、20g食べても効果を感じない人もいます。しょうがの種類や調理方法によって得られる効果は異なるので、自分にとって健康的においしく食べたり飲んだりできる量を目安に、大量に食べることは避けたほうがいいでしょう。 妊娠中にしょうがを食べるときの注意点・妊娠中に、しょうがを食品として、あるいは薬味やスパイスとして使用してもかまいません。大量に摂取することは避けましょう。 ・妊娠中にしょうがを食べることで、妊娠経過やおなかの中の赤ちゃんへ悪影響があることを証明する研究は今のところありません。 ・しょうがは、妊娠中の吐き気や嘔吐などのつわりの症状を緩和させる可能性があることが研究で明らかになっています。つわり(重症悪阻を含む)のために処方される漢方薬の半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリュウトウ)には、生姜(ショウキョウ)が含まれています。これらの漢方薬の処方を受けている間は、しょうがの成分の過剰摂取によって漢方薬の効果が弱まることを防ぐため、しょうがを食品として摂取するのは控えましょう。 ・しょうがは、妊娠中の冷えを必ず改善するという報告は今のところありません。しょうがを過剰摂取することでさらに冷えが起きている妊婦さんもいます。冷えを改善したい場合は、まずは医師や助産師へ相談しましょう。 ・妊娠中に下記の治療薬を使用している場合は、しょうがの成分によって治療効果を妨げる可能性があるため注意が必要です。治療中の妊婦さんが、しょうがの摂取について気になる場合は、医師や薬剤師へ相談しましょう。血糖値を下げる治療薬:インスリン(ヒューマリンR®ヒューマログ®ノボラピッド®等)血液の凝固を防ぐ治療薬:ヘパリン(ヘパリンCa®)低用量アスピリン(バイアスピリン®バファリン配合錠A81)血圧を下げる治療薬:カルシウム拮抗薬ニフェジピン(アダラート®) ・しょうがは妊娠中に必ず摂取しなければならない食品ではありません。しょうがが苦手、あるいはしょうがを摂ることで体調が悪くなる妊婦さんは、摂取を控えましょう。また、妊娠中にしょうがの成分を含むサプリメントや健康食品を摂る必要はありません。妊婦さんをターゲットにした製品の情報や広告に惑わされないように気をつけましょう。※参考:基礎知識(妊娠中)「【医師監修】妊娠中にしょうがを食べることで得られる効果と注意点」【監修:医師 太田 篤之 先生 | おおたレディースクリニック院長】
2019年07月31日妊婦健診では出産までに最低でも3回行われる血液検査。採血は痛いので、できれば回数が少ないといいなと感じる妊婦さんもいるかもしれませんね。妊婦健診での血液検査では、どのようなことがわかるのでしょうか。どうして必要なのでしょうか。今回は、そんな妊娠中の血液検査についてまとめました。 妊婦健診の血液検査の目的妊娠中の血液検査は、妊娠の経過が正常であることの確認と、異常の早期発見や予防を目的に、妊娠週数に応じて定期的な妊婦健診の際におこないます。血液検査に異常があれば、妊婦健診の間隔を短くしたり、必要に応じて治療や入院管理をします。状況によっては、健診先の産院からその異常に対応可能な施設へ紹介、あるいは転院、母体搬送をすることもあります。 妊娠中の血液検査の項目と週数について日本では妊婦健診を妊娠23週までは4週間に1回、24~35週は2週間に1回、36週以降は1週間に1回受診することを基準の回数としています。その妊婦健診での一般的な血液検査の項目とタイミングは次の通りです。 末梢血液検査:初期、妊娠中期(24~35週)、妊娠後期(36週以降出産まで)各1回主に、貧血や血小板数減少がないかどうかを確認します。妊娠28週以前の貧血は、母体の鉄分・葉酸・ビタミンB12などの不足によるものが大部分ですが、妊娠中期以降血液中の水分(血漿)量がふえるために「見かけ上の貧血」も現れやすくなります。出産時の出血に備えるためにも、あきらかな貧血は改善しておく必要があります。また血小板数減少は妊娠高血圧症候群やHELLP症候群との関わりがあるため、とくに妊娠中期以降では大事な検査となります。 血液型に関する検査(ABO血液型、Rh血液型):初期に1回母親の血液型を調べる検査です。ABO式血液型とRh式血液型を調べます。Rh型では一般的にRh(+)が多い(日本人は99%以上)のですが、まれにRh(−)の場合があります。母親がRh(−)で父親がRh(+)ときには、胎児との血液型不適合の可能性があるために、抗体価の測定など特別な検査が必要になってきます。また、ABO型は緊急手術や出血の可能性がある場合の輸血準備のために検査します。 不規則抗体検査:妊娠中に1回前項の血液型不適合の原因はRh型だけとは限りません。不規則抗体と呼ばれるこれらの検査のスクリーニングをして陽性であった場合、どの種類の抗体であるかさらに調べます。胎児に影響を及ぼす抗体は抗Rh抗体(抗D抗体)以外にはほとんどないのですが、種類によっては輸血をおこなう際にABO型だけではなく、特殊な血液の選別が必要になることがあります。 血糖:初期に1回、24~35週の間に1回妊娠中は血糖値が高くなりやすいため、糖尿病の早期発見のために血糖値を確認します。1回の検査で血糖値が高い場合は、さらにグルコース負荷試験を行って糖尿病や妊娠糖尿病の可能性がないか調べる必要があります。 風疹ウィルス抗体:初期に1回妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群になる可能性があるため、風疹ウィルスに対する抗体があるかどうかを確認します。もし抗体がない場合は妊娠中に風疹に感染しないように注意が必要です。ご主人やお子さんに予防接種を受けてもらうことも勧められています。 B型肝炎抗原/C型肝炎抗体/HIV抗体/梅毒:初期に1回それぞれの感染症の有無を確認します。もし感染がある場合は、赤ちゃんへの感染が起こらないための対応や処置をおこないます。 HTLV-1抗体:初期~30週頃までの間に1回母体がHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウィルス1型)に感染している場合、母乳を介して赤ちゃんへも感染する可能性があります。妊娠中に感染を確認し、産後の授乳方法を予め検討することで、赤ちゃんが感染する可能性を下げることができます。 参考:“妊婦健診”を受けましょう(リーフレット)|厚生労働省 妊婦健診の血液検査の費用は?健診の助成について妊婦健診の全体の負担額は約5万円とされていて、高額なものと感じるかもしれません。妊婦健診のときの血液検査は平均1回に約1万円とされ、任意の検査をおこなうともう少し高くなることもあります。検査項目は、中期や後期と比較して、感染症検査が多数行われる妊娠初期には多くなり当然検査料も高くなります。 しかし、なるべく費用を抑えたいというところは本音。検査の回数や費用を減らすことはできませんが、住民登録のある市区町村へ妊娠届を提出すると、母子健康手帳と一緒に妊婦健康診査助成券を受け取ることができます。この助成券を妊婦健診のときに医療機関へ提出すると費用の一部が助成され、自己負担額を抑えることができます。妊婦健診にかかる全額が助成されるわけではないので、助成券の金額を超えた差額分は、自己負担することになります。 助成券の使用は、各市区町村が妊婦健診について委託契約をしている医療機関に限られています。その医療機関は、助成券を受け取った時に配布される資料や各市区町村のホームページに掲載されているのでチェックしましょう。 助成券には、検査項目が記載されている受診券タイプと補助金額が記載されている補助券タイプがあり、市区町村によって配布するタイプは異なります。そのため、市区町村によって助成券、受診券、受診票、補助券など呼び方が違います。 妊娠中に引っ越し等で住所を異動した場合は、転入前の助成券をそのまま使用できませんので、転入先の市区町村へ必ず確認しましょう。また、里帰り出産などで委託医療機関以外で助成券を使用せず、自費で支払った場合は、住民登録のある市区町村へ償還払い(申請した口座へ返金される)の手続きをすることで健診費用の一部助成が受けられます。詳しくは、住民登録のある市区町村のホームページ、役所もしくは保健センターで確認しましょう。 血液検査を受けるときに気を付けること血液検査で血糖値以外の検査項目は、直前に飲食しても検査結果には特に問題はありません。しかし、妊婦健診には血糖値の検査はつきものです。そのため、検査前日~当日の飲食について指示がある場合があります。妊婦健診後に次回の健診について説明があるので、しっかり確認するようにしましょう。 検査前日や当日だけ甘いものや脂っこいものを避けたり、鉄分を多く含む食材を摂ったり、食事を抜いたとしても、検査結果には普段の食生活の影響が現れます。妊婦健診前に極端な食事制限をするのではなく、日頃から栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。また、健診や検査の待ち時間に、糖分を含むお菓子や飲み物を摂ると、普段は食事に気をつけていても血糖値が高いと判断される可能性もありますので気をつけましょう。 いつも服用しているお薬がある場合は、基本的には内服してかまいません。内服薬については、妊娠がわかったら必ず医師に相談しましょう。もし、検査の方法や結果などについてわからないことがあれば、遠慮せずに担当の医師やスタッフへ相談するようにしましょう。 まとめ妊婦健診での血液検査の必要性や内容についてお話ししました。採血が苦手な方は、血液検査が憂鬱に感じられることもあると思いますが、母体と胎児を守るためにはとても大切な検査です。検査項目の内容を知って、適切なタイミングで検査や治療を受けられるように備えましょう。 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年07月30日妊娠期間は何事もなく過ごし、いよいよ出産!でも、なかなか生まれてこなくて……私が体験した出産までのエピソードをお話しします。 楽しかった妊婦期間妊娠期間はつわりもなく、体調不良もなく、すこぶる健康妊婦でした。妊娠期間はのんびり過ごすことができ、夫と2人きりの最後の旅行にも行き、楽しんで生活していました。このまま、何事もなく出産して、子育てしていくんだろうな〜と当然のように思っていました。 おなかの張りは陣痛だった出産予定日が近づいてきたある日、今日はやけにおなかが張るなぁと感じました。そのまま夜になり、夕食を食べ終えたころから、おなかの張りが収まらなくなり、これは何か変だぞ? と思い、病院に電話。状況を説明しても陣痛ではないようでしたが、少し心配だったので、夜間に病院へ。 診てもらうと、なんと子宮口が5cm開いていると言われ、驚き! 感じていたおなかの張りは、どうやら陣痛だったようです。 深夜からは痛みを感じるようになり、このままだと早ければ朝方に生まれそうと言われ、痛みを感じながらもいよいよ赤ちゃんに会えるのが楽しみでした。 緊急帝王切開、そして無事出産!陣痛の痛みがだんだん強くなっていく一方、朝になっても子宮口が5cmのまま開かず、帝王切開を提案されました。当然、普通分娩できると思っていた私は大ショック。普通分娩で産んであげられないことへの申し訳なさから、涙が……。なかなか決断ができず、陣痛が始まってから12時間後、このままでは赤ちゃんも苦しいよという助産師さんの言葉に背中を押され、緊急帝王切開をすることにしました。 手術中、麻酔で動けませんでしたが、赤ちゃんの産声を聞くことができ、思わず感動して、涙が溢れました。 今はどんな形であれ、赤ちゃんが健康で無事に生まれてきてくれたことに感謝しています。著者:塩澤 萌華初めての子育てに奮闘中の30代ママ。子どもの昼寝中におやつを食べるのが至福の時間。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ◆関連動画出産ドキュメンタリー(通常分娩)
2019年07月29日海藻類の中でもだしをとるなど、和食に広く使われる昆布は、日本人の食生活に欠かせないものの1つです。ミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、健康食品としても人気があります。また、「よろこぶ」に通じるとして、昔から縁起物としても重宝されてきました。しかし、妊婦さんは昆布を食べ過ぎないよう注意する必要があります。その理由と対策についてまとめました。 妊娠中の昆布の摂取について。食べ過ぎに注意しなければいけない理由は?昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類には、ヨウ素がたくさん含まれています。ヨウ素は食品中に存在するミネラルで、体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものです。甲状腺ホルモンには、体の発育や新陳代謝を促進させるという重要な役割があり、妊娠中は胎児の骨や脳の発育のためにも欠かせません。妊娠中にヨウ素が不足してしまうと、最悪の場合は流産や死産といった結果を招いてしまうこともあります。 しかし、日本人は日常的にヨウ素を摂取しているため、平均的な食生活をしていれば不足することはほとんどありません。妊婦さんが注意しなくてはいけないのは、栄養素が足りないことではなく摂り過ぎることなのです。妊娠中にヨウ素を過剰摂取すると、それが赤ちゃんの体内にたまり、胎児に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまう可能性があります。 甲状腺機能低下症とは、脳神経などの発達に必要不可欠な甲状腺ホルモンの分泌量が、不足してしまう病気です。甲状腺機能低下症は適切な投薬によって治療することができますが、病気の発見が遅れてしまうと、赤ちゃんの体や精神の発達に支障をきたすおそれがあります。こういった病気のリスクを回避するために、ヨウ素の摂取量に注意する必要があるのです。 1日にどれだけの昆布を摂取できる? 厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」(2015年版)には、必要なヨウ素の量が掲載されています。これによると、18歳以上の女性は1日で130μgを摂取することが推奨されています。この数値は、標準的な日本人の食生活をしていればめったに下回ることはありません。 ただし、妊婦の場合は1日あたりの摂取推奨量が240μgで、かつ上限量は2,000μgという基準が設けられています。昆布に含まれているヨウ素は、100gあたり230,000μgです。昆布に関していえば、1g摂取するだけで2,300μgのヨウ素を摂取することになるわけです。さらに、昆布はだしの材料としてもよく使われますが、ヨウ素はだしにも溶け出します。昆布に含まれているヨウ素のうち、約80%以上がだしに溶け出しているというデータもあります。 ヨウ素を摂り過ぎないために、まずヨウ素をたくさん含む食品について知っておきましょう。昆布のみを避けていればいいわけではありません。ヨウ素の多い代表的な食べ物は海藻類です。以下に示しているのはそれぞれ100gあたりに含まれるヨウ素の量です。 ・干しひじき45,000μg・カットわかめ8,500μg・焼きのり2,100μg ヨウ素を含む食品とその食べ方で気を付けたいことは?ヨウ素を含む食品はほかにもあります。まずは海産物です。たらやまぐろ、さば、いわしといった魚、かにやえびなどの甲殻類、アワビなどの貝類が挙げられます。肉類ではレバー、ホルモンなどの内臓部分にヨウ素が多く含まれているため注意が必要です。さらに、市販の複合調味料やインスタント食品などの加工食品にも、昆布だしや昆布エキスが使われているものが多いため、使う前に表示をよく確認する必要があります。 飲み物にも昆布エキスが入っているものがあります。食品以外で注意したいのは、マルチビタミンやミネラルのサプリメントです。こういったサプリメントには、ミネラルの1種としてヨウ素が含まれているものがたいへん多いので、飲む前に栄養素に関する表記を確認する必要があります。 ヨウ素を摂り過ぎないために気をつけたいのは、まず、昆布の佃煮や昆布巻き、とろろ昆布など、昆布そのものを食べる食品は、食べ過ぎに注意することです。多くの塩分を使用し調理するものも多いため、少量で抑えておきましょう。 さらに、だしをとる際には、昆布以外でもしいたけやかつおぶしなどを使うこともできます。どうしても昆布だしを使いたいときは、だしのみで、昆布そのものは摂取しないなどの工夫が必要になってきます。 また、大豆食品はヨウ素の過剰摂取による悪い影響を防ぐ働きがあるともいわれており、ヨウ素を多く含む食品を食べるときには同時に大豆食品も摂取するとよいでしょう。普段から昆布だしを使った和食が中心という人や、日常的に海藻を食べているという人は、食生活を変える必要を感じるかもしれません。しかし、日本人が1日に摂取するヨウ素は平均で1,500μgというデータもあります。少し注意することで、上限量を超えずにじょうずに摂取することができるのではないでしょうか。 まとめヨウ素は、人が体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものであると同時に、過剰摂取することも防がなくてはいけないものです。とくに、胎児が影響を受けやすい妊娠12〜20週の時期には、摂取上限量に注意する必要があります。しかし、ヨウ素の過剰摂取に気をつかうあまり、必要な量を下回ってしまっては流産や死産のリスクが高まってしまいます。バランスのいい食事を心がけながら、摂り過ぎに注意をして、昆布やヨウ素ともじょうずにつきあっていきましょう。 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年07月28日1人目の出産のときは陣痛開始から4時間で生まれたため、医師から「2人目はもっと早く生まれるだろうから、陣痛が始まったらすぐに病院に来てください」と言われていました。そして、妊娠37週の妊婦健診に行くと子宮口がすでに開いており、陣痛の前触れもないまま即入院に! そんな慌ただしい入院~出産までのお話をご紹介します。 妊娠37週の妊婦健診で⋯妊娠37週0日に妊婦健診を受けました。お産の気配がするような自覚症状はなく、腹部エコーで赤ちゃんを見てもらうと「元気で特に問題ない」とのことでした。 「1人目の出産時、陣痛を感じて病院に着いたときにはすでに子宮口が7cm開いていたので、今回も子宮口が一気に開かないか気になっています」と医師に伝えました。すると、「自覚症状が特にないなら大丈夫だとは思うけれど、内診してみましょう」ということに。 子宮口が4cm開いていた!内診で子宮口の開きを見てもらうと、医師の表情が一転! 「子宮口がすでに4cm開いている。このまま陣痛が来れば一気にお産が進んで生まれるかもしれない。家から病院まで遠いし、病院外で生まれてしまうと大変です。このままの状態で家に帰すことはできません。今から入院して様子をみましょう」と言われました。 出産準備はしていたものの、予定日まであと3週間あったので、当然何も持って来ていませんでした。まさかの手ぶらのまま即入院になってしまったのです。 一時退院…しかし自宅には帰れず健診後そのまま病室に案内され、陣痛を待つことに。急な展開で一気に出産の現実味が湧き、期待と不安を抱きながら病室で過ごしました。しばらくしておなかが張ってきましたが、間隔がばらばらでそのまま遠のいてしまい……。 入院している必要がなくなったものの、自宅は遠くて混雑時は1時間かかるということもあり、結局自宅への許可はおりませんでした。陣痛時にすぐ病院に来られる範囲で待機しておくように言われ、病院から5分のところに住む妹の家で、次の健診までの1週間を過ごすことになったのでした。 妊娠38週妊婦健診後、再入院~出産退院後は正期産の時期に入っていたため特に安静指示はなく、通常の生活を送っていいとのことでした。妹の家では、いつ陣痛が来るか怖くて最低限の身の回りのことだけをしていました。しかし一向に陣痛が来る気配がないので、3日目からは1時間程度歩いたり、家事洗濯をしたりと、普通の生活を過ごしていました。 そして陣痛が来ないまま妊娠38週の健診になり、子宮口の開きは変わらず4cm。しかし、このとき1週間離れて暮らしていたため長女の精神面が不安定になってしまっていたのです。これ以上は離れて過ごせないため、内診で陣痛を促すことに。内診を受けた後30分ほどで一気に陣痛が来て、1時間半で無事出産しました。 まさか妊娠37週で自宅に帰れなくなるとは思ってもいませんでした。改めて、出産はいつ、何が起こるかわからないなと感じました。2人目の出産時は長女のこともありますし、何を優先すべきか判断がとても難しかったです。想定外のことが多々あった出産でしたが、無事に生まれてきてくれてやっと安心することができました。 著者:福山あかね一男一女の母。元幼稚園教諭、元保育園勤務。第二子出産を機に退職。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年07月24日私は妊娠30週のときに、妊婦健診で逆子を指摘されました。どうにか逆子を治したいと、逆子体操などを自宅で毎日実践していましたが、治りませんでした。そこで、妊娠36週のときに鍼灸治療を受けてみたら逆子が治ったのです! そのときの体験談をお話ししたいと思います。 初めての鍼灸治療体操などをおこなっても逆子が治らず、聞いたことがあった鍼灸治療はどうかと考えました。かかりつけの産科の先生に聞くと「受けてもいいですよ」と言われたので試してみることに。 私はそのとき妊娠36週で、生まれて初めての鍼灸院受診でした。30代前半の女性の先生で、鍼が少し怖いと言った私に、丁寧に説明してくれて安心できました。見せてもらった鍼は、髪の毛よりも細くて柔らかく、しなるくらいでした。 お灸も、直接肌に燃えている部分が触れないので火傷などはしません。想像していたほど怖くない⋯…! と感じました。それでも初めて受診に行く前はドキドキでした。 初めての治療は気持ちがよかった赤ちゃんの位置を診察してもらったあと、実際に鍼やお灸を受けました。横向きになっていると先生は背中やお尻、足のツボに治療を手早くおこなっていきます。鍼も時々ツンと刺された感覚はあるもののほとんど痛みは感じず、お灸もじんわり温かい気持ちのいい治療で、怖さはまったく感じませんでした。 治療中はおなかの中で赤ちゃんがよく動いているのを実感できました。30分くらいで治療は終わり、なんと逆子の赤ちゃんが横向きに90度移動していたのです。 私の場合、鍼灸治療2回目で逆子が治った1回目の治療から2日後、2回目の治療を受けました。初めての治療後、リラックスしたのか体もラクになったので2回目の治療を楽しみにしていました。 同じような流れで、背中やお尻・足に鍼とお灸をしてもらい、とても気持ちがよかったです。治療後、先生に赤ちゃんの位置を確認してもらったら「逆子が直っていると思いますよ」と言われ、2回で効果があるなんて!と、びっくりしました。 そして、3日後の妊婦健診のエコーで、赤ちゃんの頭が下になっているのが確認でき、その後、希望していた自然分娩で無事に出産できたのです。 初めての鍼灸治療でしたので、受ける前は怖いと思っていました。しかし実際は鍼もお灸も気持ちのいいものでした。行く前は半信半疑に思うところもありましたし、初めてで緊張もしていましたが、思い切って鍼灸治療を受けてみて私はよかったです。治療を受けたら必ずしも逆子が治るとは言い切れませんが、私の場合は効果があり無事出産に臨むことができ、ホッとしました。 著者:山下 ひいこ一児の母。看護師・鍼灸師の資格を持ち、逆子治療やマタニティケアなどを行っている。自身の経験を生かし、不妊や妊娠・育児に関する体験談を中心に執筆活動を行う。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年07月23日妊娠したことがわかると、そのまま順調に出産ができるものと思いたくなるのも当然ですが、残念ながら統計的には15%ほどの確率で流産は起こります。流産は、誰にでも起こる可能性があり、決して珍しいことではありません。今回は自然流産の原因や症状、予防法などについてお話ししていきたいと思います。 流産とは妊娠22週未満で起こる妊娠の終了を「流産」と言います。流産は、妊娠12週未満に起こるものを早期流産、妊娠12週以降に起こるものを後期流産と言います。また、自然に妊娠が終わることを自然流産、人工的に妊娠を終わらせることを人工流産といいます。 自然流産は、経過や子宮の中の状況により、次のように分類されます。 切迫流産少量の性器出血や軽度の腹痛、腰痛などの症状があり、流産となる可能性があるものの、症状が治まれば妊娠の継続が期待できる状態のことです。この段階では、子宮内の袋(胎のう)や胎児には異常をみとめません。 進行流産切迫流産とはちがい、流産が進行してしまっている状態です。出血が多くなり、陣痛のようなお腹の痛みが出てきます。胎のうや胎児の一部または全部が出血とともに子宮の外に押し出されてきます。 完全流産進行流産のうち、胎のう・胎児などが完全に子宮から押し出されてしまった状態です。今まであった出血や腹痛は軽くなる、又はなくなります。 不全流産進行流産のうち、胎のうや胎児、あるいはそれを包んでいる子宮の組織が完全に押し出されず、子宮の中に一部が残っている状態です。出血や腹痛が続きます。 稽留(けいりゅう)流産出血や腹痛などの症状がないのに、胎児の成長が止まって心拍が確認できなくなっている状態です。ある程度時間がたつと出血が始まることもあります。 不全流産の場合は、胎のうや胎児などを子宮の中から出す、「子宮内容除去術」と呼ばれる手術が必要になることもあります。稽留流産の場合も、胎のうが大きい場合には大量出血の可能性があるので、出血が始まる前に同様の手術が必要となることがあります。 妊娠時期別の流産の割合と確率、原因とは?自然妊娠では、約15%の割合で流産が起こります。そのうち早期流産が13.3%で、後期流産が1.6%と妊娠初期に流産が起こりやすいです。 早期流産の原因としては、胎児の染色体異常が最も多いです。男女共に年齢が上がると精子や卵子が老化するため、受精卵に染色体異常が起こる確率が上がります。また、お母さんの年齢が上がるにつれて流産する確率は上がり、特に40歳以上では流産が起こる確率は40%になります。 妊娠初期に起こる流産は、胎児側に原因がある場合がほとんどですので、流産となってしまった場合でもお母さんは自分を責めないであげてください。 流産の症状、兆候は?性器出血や腹痛、腰痛、おなかが張る、基礎体温が下がる、つわりが突然なくなるなどの症状が見られることもありますが、稽留流産のように何も症状のない流産もあります。 また、妊娠初期には流産とは無関係に、着床出血や妊娠月経と呼ばれる性器からの出血がみられることがあります。またホルモンの状態が変化することで、腰痛や軽度の腹痛が起こりやすくなります。こうした症状があっても必ずしも流産とは限りませんので、取り越し苦労はしない方がよいですが、気になる場合はかかりつけの産婦人科で相談しましょう。まずは定期的に妊婦健診を受けることが大切です。 流産の予防法は?妊娠12週未満の流産は、染色体異常が原因で起こる可能性が高く、予防法は今のところありません。しかし、お母さんが気をつけられることもありますので、紹介していきたいと思います。 ●無理な運動をしないようにする下腹部に力が入る運動は、おなかが張りやすいので避けた方が良いです。日常生活では、階段の上り下りや重い荷物を持たない、車の運転や自転車に乗らないようにするなどの場面に注意しましょう。また仕事や家事をするときも無理をせず、周りの力を借りるようにしましょう。 ●体を冷やさない妊娠中は、体が冷えると子宮の筋肉が収縮し、おなかが張りやすくなります。そのため、温かい飲み物を飲んだり、おなかを温めるために使い捨てカイロや腹巻の活用、足首にレッグウォーマーや靴下を履くなどして体を温められると良いですね。 ●ストレスをためないようにする妊娠中はホルモンのバランスが崩れ、いつもよりストレスを感じやすくなります。ストレスが溜まると子宮の収縮を促すホルモンが出るため、おなかが張りやすくなります。ストレスを感じたら、好きな音楽を聴いたり、本を読んだりと体の負担がかからないようなストレス発散をしていくといいでしょう。 ●性生活について性交についてですが、切迫流産の兆候がない方も妊娠初期には控えたほうが良いとされています。性交は、子宮の収縮などを促しやすいため、回数が多いと流産の原因となることもあります。早産の兆候がある方や、以前早産の経験がある方も控えるべきです。とくに気をつけるべき点は、不潔な性行為は、炎症や流早産の原因となる細菌感染を起こす可能性があるということです。 その他にも妊娠中期での流産の原因として、子宮の入り口が開きやすい子宮頸管無力症や子宮筋腫などがあり、妊娠を希望する方は早めに産婦人科に受診して相談すると良いでしょう。 まとめ流産は、誰にでも起こる可能性があります。流産された方は、気分が落ち込んだり、次の妊娠をするときも心配になる方が多いと思いますが、不安に思いすぎず、穏やかな気持ちで次の妊娠を過ごせるとことを祈っております。 参考文献・杉浦真弓;【産婦人科救急治療ガイド】産科救急疾患とその初期治療母体流産(解説/特集)・岡庭 豊;産婦人科治療(0558-471X)84巻増刊Page738-740(2002.05)・病気が見えるvol10産科第2版メディックメディアPage80-83(2009.09) 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年07月18日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。今回は卵巣が腫れていると指摘された妊婦さんからのご質問です。 Q.卵巣が腫れていると言われました初めての妊娠で、妊娠7週目です。昨日病院に行くと卵巣が腫れていると言われました。縦23.5mm横44.0mmです。経過を見ましょうと言われたのですが、不安しかありません。ネットで調べたのですが、妊娠の影響で卵巣が腫れているだけなら妊娠10週以降には小さくなるとありました。手術したら流産の確率も上がるということも書いてあったのでどうしたらいいかわからないです。妊娠中に手術をしても大丈夫でしょうか? また卵巣を小さくする薬などあるのでしょうか? 高塚あきこ助産師からの回答ご妊娠され、卵巣の腫れや卵巣嚢腫を指摘される方もいらっしゃいますよ。どのような嚢腫のタイプかによっても治療法などは異なったりしますが、ご妊娠中に卵巣嚢腫の手術をされる方もいらっしゃいます。私の知っている限りですと、妊娠16週前後に卵巣嚢腫の手術をされている方がほとんどです。基本的には、治療方針などは医師や病院の考え方によるところが大きく、また、嚢腫の大きさやタイプによってもさまざまです。治療や診断については、私からははっきりしたことは明言できませんが、かかりつけの産婦人科でよくご説明を受けられ、医師と相談して治療を受けられてくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 卵巣嚢腫(卵巣嚢腫)の種類は?卵巣嚢腫の種類はたくさんあります。組織型(発生起源)による分類だとわかりずらいため、卵巣嚢腫の内溶液(中の液体)の種類により分類してみます。 ①漿液性腺腫(しょうえきせいせんしゅ)サラサラした水のような液体が卵巣の中にたまるタイプの嚢腫です。年齢を問わず一番頻度の高い卵巣嚢腫です。②粘液性腺腫ゼラチンのようにねばねばした液体が卵巣の中にたまるタイプの嚢腫です。別名「偽ムチン嚢腫」と呼ばれています。閉経後の女性に多いと言われています。なかには人の頭くらいの大きさになることもあります。 ③成熟奇形腫(皮様嚢腫)髪の毛や歯、皮膚、脂肪などの組織含まれたドロドロした物質が卵巣の中にたまるタイプの嚢腫です。20~30代の成熟期の女性に多くみられます。 ④チョコレートのう腫(子宮内膜症性嚢胞)子宮内膜症が卵巣内にできて、それが産生する月経血がたまるタイプの嚢腫です。嚢腫内の血液が変色してチョコレートのようにみえるので、そう呼ばれています。20代〜30代の女性に多くみられます。 卵巣嚢腫の妊娠への影響は?妊娠前に卵巣嚢腫があることがわかっているなら、手術を先行した方がよい場合もあります。 妊娠中に卵巣嚢腫が発見された場合、非妊娠時と同じで卵巣嚢腫の大きさが6cm以下の場合は経過観察となりますが、6cm以上10cm以下の場合は嚢腫の状態により手術をおこなうかどうかを判断します。一般的には妊娠14週から16週前後に予定手術をおこないます。それ以前に嚢腫が縮小すれば手術はおこないません。また、手術後も経腟分娩は可能で、卵巣嚢腫の手術後だからという理由で帝王切開にする必要はありません。※参考:基礎知識(妊娠中)「卵巣嚢腫・卵巣腫瘍とは?妊娠への影響は?原因と症状、治療方法について」【監修:産婦人科医師 YUKO先生】
2019年07月17日7月14日、矢口真里(36)がインスタグラムとブログを更新。義母から揖保乃糸素麺が6kg届いたことを報告した。その量に驚きつつも、《皆さんのそうめんの食べ方教えてください》とアドバイスを求めた。すると、妊婦である矢口におすすめのレシピが続々とよせられた。《めんつゆ、黄身、ラー油、ネギ…おすすめです 妊婦の時ちゅるちゅるってあっさり食べれるのでよく食べてました》《茹でたお素麺の上に薄卵焼きやハム、きゅうりなどを乗せてから、麺つゆとゴマ、刻み海苔をかけて食べますよー♪妊婦の時に、母親から教わった食べ方です!》《そうめんチャンプルー 冬はにゅうめん 離乳食にも使えますよ》矢口といえば、4月3日にラジオやSNSで第1子懐妊を発表。13日には、ふっくらしたお腹のマタニティフォトを公開。幸せそうな笑顔の写真と共に、「感無量です」とブログにつづった。家族に支えられながらも、マタニティライフを満喫している矢口。そんな矢口に多くの声援がよせられた。《残りのマタニティライフを楽しみながら無理せず好きな事、やりたい事は今の内にやる事をオススメします》《お互い元気な赤ちゃんに会いましょう》《まりっぺも頑張ってくださいませ》
2019年07月16日妊娠中に下腹部痛を訴えるケースが多く、不安を感じる妊婦さんが多いといわれています。何が原因で、どのような症状を感じやすいのかを対処法と合わせてご紹介します。注意が必要な下腹部痛の特徴についても一緒にお話ししたいと思います。 妊娠中に起こる下腹部痛の原因多くの妊婦さんが妊娠中に経験する下腹部痛は、さまざまな原因が考えられるため、下腹部痛が起こるタイミングもさまざまですが、妊娠初期に下腹部痛を感じる人が多いといわれています。器質的疾患がない妊婦さんが妊娠初期に下腹部痛を感じやすい原因としては、次の3つがあげられます。 1.ホルモンバランスの乱れによる便秘や下痢女性の子宮では妊娠成立のために、子宮内膜を増殖させて受精卵を着床しやすくさせる働きのあるエストロゲンや、妊娠が継続しやすい環境に整える働きのあるプロゲステロンが持続的に分泌されるようになります。 また、妊娠が成立すると、胎盤からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)やhPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)も分泌されるようになり、ホルモンバランスが大きく変化します。ホルモンバランスが乱れると、腸の機能低下を引き起こすケースが多く、つわりによる食生活の乱れと重なって便秘や下痢を起こし、それにともなう症状として下腹部痛を感じやすい傾向があります。 2.子宮の成長非妊娠時の子宮は、鶏卵大程度の大きさです。しかし、妊娠すると、妊娠11週にはこぶし大程度になり、妊娠20週になるころには子どもの頭くらいの大きさに急成長するため、人によっては、子宮の大きさの変化による違和感や痛みを覚えることがあります。 3.靱帯のつれ妊娠をすると、赤ちゃんが産まれやすくなるように骨盤が広がります。子宮は、円靱帯(えんじんたい)で骨盤とつながっていますが、妊娠によって靱帯がゆるみ、骨盤が広がることで、体をひねったときに靱帯が引っ張られて下腹部に痛みを感じることがあります。 妊娠中の下腹部痛はどんな痛み?いつまで続く?妊娠中に起こる下腹部痛は、妊娠初期から起こりやすいといわれていますが、いつごろまで感じるものなのか、心配される方も少なくありません。妊娠中の下腹部の痛みの特徴とともに見ていきましょう。 【妊娠中に感じやすい3つの下腹部痛】下腹部痛の症状は、人によって感じ方が違いますが、痛みを表現すると、概ね次のような痛みを感じやすい傾向があります。・針などでつつかれているようなチクチクした痛み・締め付けられるような痛み・おなかが引っ張られるような痛み 妊娠中に起こる下腹部痛は、妊娠初期にみられることが多く、痛みを感じてから1カ月ほどで痛みに慣れて気にならなくなるといわれています。ただ、子宮の成長にともなって子宮周辺の臓器や筋肉が圧迫されたり、刺激を受けたりするため、妊娠中期や後期になっても下腹部の不快感や痛みが続く人もいます。 下腹部痛の対処法妊娠中の下腹部痛の主な対処法としては、次の2つがあります。 ・体を冷やさないようにして安静にする妊娠すると胎児の血液も確保する必要があり、循環血液量がアップしますが、体が冷えていると血液循環がスムーズにおこなえません。体が冷えないように対策しながら安静にすることも大切です。 ・ストレスをため込まない人間の体は、自律神経系や内分泌系などの絶妙なバランスによって、心と体の健康を維持していると考えられています。しかし、妊娠中は、これまでのような生活ができず、制限されることも多くなってストレスを感じてしまう人が多い傾向があります。ストレスは、心と体のバランスを崩して、下腹部痛を招く可能性があるため、妊娠中でも楽しめる趣味などでうまくストレスを発散することも大事です。 注意が必要な下腹部痛とは妊娠中の下腹部痛には、注意が必要なケースがあります。それは、流産や早産、子宮や卵巣などの病気が関連した下腹部痛です。 流産や早産が関連した下腹部痛妊娠22週未満で妊娠が中断してしまう「流産」や、妊娠22週以降から37週未満の出産の「早産」の症状として下腹部痛が起こっている可能性があります。流産の場合、少量の性器出血を伴うことが多く、早産では、周期的な陣痛や分娩を一気に進行させる破水が起こりやすいです。また、切迫流産や切迫早産の場合、下腹部に触れたとき、子宮が固く収縮していることが多いため、下腹部痛以外に気になる症状がある場合は、かかりつけの病院へ連絡して、すぐに病院へ向かうようにしましょう。 子宮や卵巣などの病気が関連した下腹部痛妊娠中に下腹部痛を引き起こす可能性がある病気は、以下のようなものがあります。・子宮筋腫・子宮腺筋腫(子宮内膜症)・卵巣腫瘍・胃腸炎・膀胱炎・尿路結石安静にしていてもよくならないケースは、病気が原因の可能性が考えられるため、一度病院で診てもらうとよいでしょう。 まとめ下腹部痛を感じると不安に思う妊婦さんが多いですが、下腹部痛の原因や対処法、注意が必要な下腹部痛のポイントを押さえておけば、いざというときに冷静な判断ができ、不安から来るストレスの軽減も期待できます。ただ、知識を過信しすぎないことも大切です。下腹部痛以外にも気になる症状がある場合は、迷わずかかりつけの病院を受診するようにしましょう。 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年07月14日毎日3食、きちんと食べていますか? 妊婦さんの体はさまざまな栄養を必要としています。おなかの赤ちゃんを健やかに育むために、栄養バランスを考えた食事を摂りましょう。今回は朝食に着目し、妊婦さんにおすすめの朝食例や、栄養バランスのポイントをご説明します。朝は食欲があまりない人にも、対処法をご紹介しますので、ぜひチェックしてみてくださいね。 妊娠中の食事で気を付けること妊婦さんの体は、赤ちゃんを育てるためにさまざまな栄養を必要としています。とはいっても体調の変化や食欲の変化などで、つい食事を疎かにしてしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。まずは妊娠中の食事について、心がけるべきポイントをご説明します。 妊娠中は必要なエネルギー量がアップ厚生労働省では妊娠中の女性に必要なエネルギー量を公開しています。それによると、妊娠中は非妊娠時に比べて、必要なエネルギー量がアップしていることが分かります。 ・妊娠初期(~妊娠15週)+50kcal・妊娠中期(妊娠16週~27週)+250kcal・妊娠末期(妊娠28週~)+500kcal 妊娠中の栄養不足は危険!妊娠中といえば体重増加を気にして、“食べ過ぎてはいけない”というイメージがありますよね。確かに妊娠中に体重が増えすぎると妊娠高血圧症候群や巨大児、分娩時の出血多量などを引き起こす恐れがあります。しかし、体重増加が少なすぎてもリスクがあることをご存知ですか? 妊娠前のBMIでやせ型~標準体格であった女性に関しては、妊娠中の体重増加が7kg未満の場合、低出生体重児を出産するリスクが高いと指摘されています。また、貧血や早産のリスクも高まるため、妊婦さんと赤ちゃんの健康のためには、栄養バランスをきちんと考えた食事をし、適正体重まで増やしていくことが大切なのです。 1日の基本は3食+間食で「1日3食きちんと摂る」ことは生涯にわたり大切にしたい食生活の基本です。時間がないから、太りたくないからと食事を抜くと栄養不足になってしまいます。妊娠中は赤ちゃんの発育にも影響を及ぼす恐れがありますので、3食しっかり摂るようにしましょう。 献立の基本は主食・主菜・副菜「主食」に「主菜」「副菜」そして汁物を組み合わせると、バランスの良い食事になります。 ・「主食」はご飯を中心にご飯は味が淡白で、いろいろなおかずともよく調和し、主菜、副菜が揃えやすくなります。また、満腹感がある割に、エネルギーとして消費されやすいので、体の脂肪になりにくく、塩分を含まないので、食事全体の塩分量も控えることができます。 ・「主菜」は脂質を控えて適量を肉料理は脂肪の少ない赤身の肉を選びます。魚介類には良質なたんぱく質に加え、EPAやDHAなどの必須脂肪酸が含まれているので、妊娠中の方や授乳中の方におすすめです。 ・「副菜」は野菜などをたっぷりときのこや海藻類は低エネルギーで食物繊維が豊富。切り干し大根や高野豆腐などの乾物も利用し、副菜のレパートリーを増やしましょう。 妊婦さんにおすすめ! 朝食メニュー例次に朝食に着目してみましょう。しっかり栄養を摂りたい朝食。どのようなメニューを取り入れればよいのでしょうか? 妊娠中に必要な食品の種類と量の目安、おすすめの献立をご紹介します。 ●定番の和食は栄養バランスもいい・メニュー例ごはん、目玉焼き、味噌汁、きのこソテー、牛乳、りんご・ポイント和食は作るのに手間がかかるイメージですが、朝食ならさほど難しくはありません。味噌汁を作っている間に卵ときのこを調理すれば、ものの10分でできてしまいます。味噌汁に使用されている味噌は、大豆を発酵させて作られており、アミノ酸やビタミンが豊富。野菜、わかめなど、具をたくさん入れれば食物繊維やミネラルをたっぷり摂ることができます。 ●パン派の人もタンパク質と野菜を採り入れて・メニュー例食パン、オムレツ、サラダ、チーズ、みかん・ポイント朝はパン派という人におすすめなのが、オムレツを組み合わせた献立です。オムレツは炒めたにんじんやマッシュルームなどを具にして作れば、食べ応えも十分。パンを食べる際はジャムやシロップをかけるのは控え、オムレツやチーズを挟んで食べるなど、甘味料に頼らないようにしましょう。 ●休日はカフェ風パンケーキ朝食で贅沢に・メニュー例パンケーキ、ブルーベリー、バナナ、温野菜サラダ・ポイントたまには特別なメニューで気分転換を。そんなときは、パンケーキを使った朝食メニューにチャレンジしてみましょう。パンケーキには小麦、卵、牛乳が使用されているため、野菜と果物を組み合わせましょう。サラダを作る際は温野菜サラダがおすすめです。加熱によってかさが減るため、一度にたっぷりの野菜を食べることができます。彩り豊かな温野菜サラダに、ブルーベリーとスライスしたバナナを添えれば、見た目も華やか。パンケーキは市販の粉を使えば手軽にできますが、米粉を使って自家製のものを作ってもいいですね。 朝が弱い妊婦さんにおすすめの対処法朝食をしっかり食べたいとは思っていても、朝は眠いし食欲もない……。そんな妊婦さんも多いことでしょう。朝が弱い妊婦さんは、ぜひ次の2つの対処法を実践してみましょう。 ●習慣作りが大切! まずは2品からそもそも朝食を摂る習慣がない、という人の場合、いきなり栄養満点な朝食を摂るのは大変です。まずは2品からスタートして、朝食の習慣作りを始めましょう。 <朝が苦手な人におすすめのスタート食品>・パンと果物・おにぎりとゆで卵ポイントは、できるだけ主食を取り入れることです。たとえば、主食(ご飯・パン・麺など)と果物、あるいはタンパク質(卵や大豆製品)といった具合に。まずは自分にとって食べやすいものから始めて、少しずつ品数を増やしていきましょう。 ●朝食づくりのポイント・便利な調理器具を使う・前夜に準備する・冷凍ご飯の活用・常備菜を取り入れる・市販の便利な食品も利用する 忙しい朝は、できるだけ手間がかからず、すぐに食べられる食品を取り入れて、時短しましょう。洗い物が少なくて済むことなども、ポイントです。 まとめ朝ごはんはおなかの赤ちゃんを育むために、そして妊婦さん自身が元気でいるために、大切な食事です。朝が苦手な人も、市販品を上手に活用して、少しでも多くの栄養を摂る工夫をしましょう。少しずつ朝食の改善や、習慣作りに取り組み、栄養バランスのいい朝食を摂れるようになるといいですね。 ◆関連動画出産ドキュメンタリー(通常分娩) 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年07月04日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。今回は妊娠中の性行為に関するご相談です。 Q.妊娠中のオーガズムは問題ないのでしょうか?妊娠16週になる初産婦です。先日友人から妊娠中も性行為をしていたという話を聞きました。妊娠中のオーガズムは問題ないのでしょうか? また、妊娠中の性行為や自慰行為は妊娠何週目までにやめたほうがよいということはありますか? 在本祐子助産師からの回答妊娠中は、性衝動が減って来る方がほとんどです。ですが、妊娠中の性行為は自慰も含めて経過が順調に進んでいれば問題ないとされています。清潔には留意なさってくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 妊娠中に性行為をしても大丈夫?妊娠経過が順調で妊婦さん本人の体調が良く、担当医から性行為を控えるように注意を受けていなければ、性行為をしても問題ありませんが、次のような状況では性行為を控えるようにしましょう。 ・おなかの張りがある・出血がある・子宮頸管が短くなっていると診断されている・前置胎盤もしくは低置胎盤と診断されている・赤ちゃんが逆子(骨盤位)と診断されている・医師から安静にするように指示されている・その他、医師から性行為を控えるように注意されている 妊娠中に性行為をするときの体位と注意点について妊婦さんが心身共に負担にならない体位であれば、どのような体位でも問題ありません。腹部を圧迫しない、浅い結合で子宮を刺激しない対位が望ましいです。 パートナーは両手で自分の身体を支えるなど、妊婦さんのおなかを圧迫しないように工夫しましょう。また、感染症を防ぐためにも、コンドームを装着して、ペニスを深く挿入しないように注意しましょう。 妊婦さんが性行為中におなかの張りを感じた場合は、中断するようにしましょう。また性行為後に、おなかの張りや出血、破水など異常を感じたら、必ず受診しましょう。 ※参考:基礎知識(妊娠中)「妊娠中の性行為はあり?してもいい時期・控えた方がいい時期と注意点」【監修:医師 天神尚子 先生|三鷹レディースクリニック院長】
2019年07月01日妊娠すると食べ物に気を使うようになる人は多いものです。あれは食べていいの? これは食べてはいけないの? と、敏感になってしまうこともあり、その中で香辛料をつかった辛いものの摂取も悩みの1つかもしれません。この記事では、妊娠中に香辛料を摂っても大丈夫なのか、母体への影響やメリットについて詳しく説明していきます。 辛いものに使われる香辛料の妊婦への影響は?妊娠中は行動だけではなく、食事も気にしなければならなくなります。香辛料を使った辛いものの摂取は、妊娠前から食べている場合は特に問題ありません。しかし、妊娠中は妊娠前とは体調も違うので注意が必要です。 激辛料理は消化器への刺激が強いため、胃痛や胃もたれ、下痢などを引き起こす可能性があります。また、香辛料が入っている料理には、塩分も多く含まれていることが多いです。塩分を多く含む食べ物を摂ることによって、塩分の過剰摂取にもつながりますし、ご飯などの主食も多く摂ることになり、カロリーオーバーになってしまう可能性もあります。 辛いものを食べると胎児には影響はある?妊娠初期に辛いものを食べると流産のおそれがあるという話もあるようですが、妊娠初期の流産の原因の多くは胎児の先天異常によるものです。また、辛いものと流産との関連を裏付ける医学的根拠は今のところありません。 しかし、ママが辛いものを食べすぎることで、塩分の過剰摂取や体重増加につながり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こす可能性があります。そうすると、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。 辛くはないけど、注意が必要なのが「ハーブ」香辛料というとスパイスをイメージする方も多いかと思いますが、スパイスと同じような使い方をするのがハーブです。 国立健康・栄養研究所では、妊娠中の自己判断によるハーブ製品摂取に対する注意喚起をおこなっており、妊娠中に摂取することを避けるべき、あるいは慎重に利用すべきハーブ素材について提示しています。 たとえば、カキドウシ、セイヨウネズ、パセリ、ペニーロイヤル、セージ、エゾヨモギギク、セイヨウノコギリソウなどに含まれる成分には流産を誘発する作用があることが知られています。そして、ゴボウ、コロハ、フェネグリーク、ゴールデンシール、サンザシ、ジャマイカハナミズキ、マザーワート、イラクサ、ラズベリー、バーベナなどは、子宮筋への作用が報告されています。また、センナ、フラングラ、カスカラなどは下痢を引き起こすことがあり、妊娠中の摂取はすすめられません。 辛いものにはメリットも!香辛料やハーブはじょうずにつかえば母体に対してたくさんの良い影響があります。ここでは香辛料が母体にもたらすメリットをご紹介します。 ●食欲増進香辛料には食欲増進の効果があります。香辛料の入った料理は食べるだけではなく、香りを嗅ぐだけでも食欲は高められます。つわりや夏の暑い時期など、食欲がないときに香辛料を取り入れてみてもよいのではないでしょうか。 ●消化を良くしてくれる妊娠中は、ホルモンや大きくなった子宮の影響で便秘傾向になることがあります。香辛料には、消化を促す効果があり、便秘解消にも効果的です。たとえば、キムチには、香辛料と乳酸菌が含まれており、便秘解消にも美容にも効果が期待できます。 ●減塩効果さきほど、香辛料が入っている料理には、塩分も多く含まれていることが多いといいましたが、じょうずに使えば減塩効果も期待できます。香辛料の風味で食材の味を引き出すように工夫してみましょう。 ●冷え性対策妊娠中は体の冷えを感じやすくなります。今流行りの「温活」という言葉がある通り、体温を上げることで体には良いことがたくさんあります。香辛料をうまく取り入れて、冷え対策をおこなうものいいかもしれません。 まとめ妊娠中に辛いものを摂取すること自体は、必ずしも母体に悪影響を及ぼすという訳ではありません。しかし、多量に摂取することによってリスクとなる可能性があり、バランス良く摂取する必要があります。香辛料には、メリットもたくさんあり健康にも良いとされてるものもあります。妊娠中に食欲や冷えなどの対策のために工夫してじょうずに香辛料を摂っていきましょう。 ◆関連動画出産ドキュメンタリー(通常分娩) 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年06月30日夏になると乳幼児を中心に流行する病気のひとつである手足口病ですが、今年、2019年は6月3日~9日の間に全国の医療機関から報告された発生件数が、全国で西日本を中心に8823件。これは過去5年間の同時期と比較してかなり多く、都道府県によってはすでに警報が発令された地域もあるそうです。妊婦さんや赤ちゃんのいる家庭は気になるところですね。さて、妊婦さん本人が手足口病にかかってしまった場合は、どうなるのでしょうか。今回は手足口病が妊婦さんに与える影響があるのか、予防法や治療法などについてを解説します。 手足口病とは?手足口病は、ウイルスに感染して「手」「足」「口」に米粒大の赤い発疹や水疱(水ぶくれ)が発生する感染症のひとつです。日本国内では、5歳以下の子どもを中心に、夏に流行のピークを迎えますが、秋から冬に発生することもあります。 手足口病の原因は?手足口病の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71と言われるウイルスです。これらのウイルスに感染して3~5日後に、発疹や水疱が発生しますが、通常は数日間のうちに治ります。 エンテロウイルスはいわゆる“夏かぜ”の原因となるウイルスであり、夏かぜの代表的な病態のひとつが手足口病です。比較的軽い症状のみで3~7日間のうちに治ることから、日常的に流行しやすく、かかってはいけない特殊な感染症ではありませんが、時に髄膜炎などを引き起こして重症化するケースがあります。 また、原因となるウイルスが1種類ではないため、一度手足口病を経験しても、別のウイルスが原因となって再び手足口病を発症することがあります。しかし、一度感染したウイルスに対しては免疫ができるため、同じ種類のウイルスによって再び発症することはありません。ほとんどは症状の有無に関わらず、子どものときに感染して免疫をつけてきた感染症ですが、今までに感染したことのないウイルスが原因の場合は、大人も感染して手足口病を発症することがあります。 手足口病の原因となるウイルスは、感染した人の咳やくしゃみ、会話中のつばに含まれるウイルスを、別の人が口や鼻から吸い込んで体内へ入り込む飛沫感染、感染した人の皮膚や粘膜に直接触れてウイルスをもらう接触感染、感染した人の便の中に排泄されたウイルスが何かしらの経路で口の中に入る糞口感染で、人から人へ感染します。 手足口病の症状は?発疹や水疱は、口腔粘膜、手指や手のひら、足の甲や足の裏などの四肢の末端に発生しやすいですが、肘や膝、おしりなどに発生することもあります。 発疹にかゆみや痛みがあることは稀です。ただし、口の中に水疱が発生して破れた場合、びらんや潰瘍(粘膜が荒れてただれた状態)となって痛みを感じることがあります。子どもの場合、発熱を伴うのは2~3人に1人で、通常は38℃以上の高熱が続くことはありません。大人の場合は40℃以上の高熱が出ることがあります。 妊婦さんが手足口病になった場合、おなかの赤ちゃんへの影響は?日本産婦人科医会によると、妊婦さんが手足口病を発症するケースは少なく、まれに流産や死産、胎児水腫などの報告はありますが、現段階では、手足口病と胎児異常を結びつける因果関係を証明する報告はありません。 ですが、母親が出産直前に感染した場合は、生まれた赤ちゃんに感染する可能性はあります。通常、感染しても無症状あるいは軽い症状のみと考えられていますが、重篤な状況を引き起こすケースもあります。いずれにしても、出産前後の母親や生まれた赤ちゃんに対しては、症状に合わせた治療と慎重な経過観察がおこなわれます。 妊婦の手足口病の治療方法手足口病を予防するワクチンも、特別な治療も今のところありません。妊娠中や出産直前に感染した可能性がある場合は、次の健診日を待たずに、すぐにかかりつけの産婦人科へ相談、受診しましょう。 発熱や頭痛などの症状を伴う場合は、受診前に自己判断で市販薬は内服せず、必ず医師へ相談してください。発疹や水疱への対処方法も、医師の指示に従いましょう。もし、やむを得ず産婦人科以外を受診する場合は、妊娠中であることを必ず医師へ伝えて治療を受けましょう。 その際、ほかの妊婦さんや産後の女性、赤ちゃんへの感染を防ぐため、受診前に病院へ電話連絡してから行くと、病院側も対応がスムーズでしょう。また、上のお子さんが発症している場合は、産婦人科のなかで感染を広げないために、付き添いや面会の際に連れて行かないようにしましょう。 妊娠中に手足口病にかからないための予防策手足口病の原因となるウイルスは、感染していても無症状なことがあります。発症した後に症状が消えて元気になってからも、約1カ月は便の中に排泄されるため、ウイルスをまき散らすことを完全に防ぐことは困難です。 手足口病に限らず、妊娠中に感染症にかかることを予防するために、・外から帰宅したらうがいや手洗いをする・電車などの人混みではマスク着用・上のお子さんのおむつ交換や排泄介助の後は必ず手洗いをする・トイレ掃除後には手洗いをする・外出先ではタオルは共用しない・家庭内で感染者がいる場合もタオルを共用しないなど、対策をして感染を防ぎましょう。 まとめ妊娠中に手足口病を起こさないために、他者との接触を避けることや集団生活をやめることは現実的な対策とはいえません。日頃から清潔を保つこと、こまめな手洗いを心がけて感染予防していきましょう。 ※参考:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」厚生労働省・国立感染症研究所「感染症発生動向調査・感染症週報/2019年第23週(6月3日〜 6月9日):通巻第21巻第23号」 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年06月26日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。今回は、妊娠中のお口のケアに関するご相談です。 Q.歯磨きをすると出血します妊娠中です。朝と夜に歯磨きをするのですが、歯茎から出血し血だらけになってしまいます。次の仕事の休みまで時間があるためそれまで歯医者に行けません。何か対処法はありますか? 高塚あきこ助産師からの回答妊娠中は、妊娠によるホルモンの変化やつわりなどによる食生活・歯みがき等の生活習慣の変化により、歯ぐきが腫れやすくなります。そのほか、出血しやすい、口の中がネバネバする気がする、歯がしみる、食べ物がはさまりやすいなどの症状が出やすいようです。妊娠して女性ホルモンが急増すると、歯肉の炎症が起こりやすくなったり、唾液が酸性になって口の中がネバネバしやすくなります。また、つわりで食事の好みが変化したり、空腹を避けるためにお食事や間食の回数が増えたり、吐きやすいので歯みがきが十分にできなかったりすると、口の中の衛生状態も不良になります。このように、妊娠中はむし歯や歯周病になりやすく、口の中にいろいろな症状が出てくると言われています。 緊急性はないと思いますが、歯磨きをきちんとなさることと、やはり定期的に歯科医師の診察を受けられたほうが望ましいようです。行政でおこなっている妊婦歯科健診などを利用して口の中の状態をチェックしてもらったり、かかりつけの歯科に相談して、歯のクリーニングや歯石をとってもらうことなどもおすすめですよ。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 虫歯や歯周病はそのままにしないほうがいい?妊娠中は女性ホルモンの増加に伴い、歯ぐきの出血や腫れなどの妊娠性歯肉炎が起こりやすい状態です。また、つわりなどを理由に十分な歯みがきができない状態が続き、歯と歯の隙間や歯と歯ぐきの間に食べかすやプラーク(歯垢)が残っていると、虫歯や歯周病の原因となります。 口腔内が清潔に保たれていれば、妊娠性歯肉炎は起こらず、起きても軽い症状で治まり、本格的な歯周病へ移行せずに済みます。 特に、虫歯の原因となるミュータンス菌は親から赤ちゃんへ伝播することが多いこと、歯周病は早産(妊娠22~36週)や低出生体重児(出生児体重2500g未満)の誘因となるといわれていることから、症状の有無に関わらず、妊娠中に一度は歯科受診をしたほうが良いでしょう。 歯科の受診のタイミングはいつ?妊娠前から治療や歯列矯正などで通院している場合は、かかりつけの歯科医師へ妊娠したことを伝えましょう。基本的に必要な治療や歯列矯正は継続可能ですが、妊娠週数や口腔内の状況によるため、まずは歯科医師へ相談しましょう。自己判断で通院を中断することは止めましょう。 妊娠中に新たに受診する場合は、つわりがひと段落する妊娠16週以降を目安にすると良いとされています。妊娠16週未満は、胎児の器官形成期と重なり、赤ちゃんの身体が作られる段階にあります。不要な検査や処置、薬剤の使用を避けることを理由に「妊婦歯科健康診査」の場合は、妊娠16週以降の利用を推奨する自治体や歯科医院が多いです。 また、妊娠30週以降はおなかが徐々に大きくなり、仰向けなどの同じ姿勢を維持することが難しくなります。妊娠中に体調が良いタイミングを選んで、早めに歯科健診へ行きましょう。また、歯の痛みや歯ぐきの腫れ、出血など症状のある場合は、週数関係なく躊躇しないで受診して、適切な治療を受けましょう。 ※参考:基礎知識(妊娠中)「妊娠中は歯医者に行っても大丈夫?妊婦さんの歯の治療について」【監修:助産師 REIKO】
2019年06月25日Instagramでフォロワー5万人を超える「ニシカタ」さんの出産エピソードをご紹介! 妊娠39週、妊婦健診当日におしるし、陣痛が開始しそのまま入院することになり…?! 腰とか肛門を旦那様に押してもらったんですが、力加減もポイントも角度も全部違う旦那様のグググは、想像以上につらかったです(泣)! でも頑張ってくれたのでありがたい!そう考えると、どんな妊婦にもジャストなグググができる助産師さんは、ほんとテクニシャンだなぁ、と改めて尊敬しました! わ…わかるー!!! 助産師さんの押し方が的確すぎて、ほかの人に代わってもらったときの、この「そうじゃない感」。この瞬間、助産師さんが神に見えて、お願いだから私の元から去らないで…と叫びたくなります。 このほかにも、ニシカタさんのInstagramでは育児エピソードが更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪ この投稿をInstagramで見る ニシカタさん(@c_nishikata)がシェアした投稿 - 2018年 6月月12日午後2時22分PDT著者:イラストレーター ニシカタ2018年1月、長女を出産。インスタで出産、産後、育児レポートマンガを更新し、フォロワー5万人超。ゲームと海外ドラマとデパ地下が好き。Instagram:@c_nishikata
2019年06月21日今回は、妊娠中に気軽に始められる散歩やウォーキングについてお話しします。 妊婦さんにおすすめの運動は?妊娠中に適度な運動をおこなうことは、心肺機能や筋力、体力の維持ができるため、妊娠中を快適に過ごすことに役立てることができます。また、妊娠中から体力を養うことで、出産を乗り越え、産後の赤ちゃんのいる生活に疲れにくい体を準備することができます。 妊娠12週以降で正常な妊娠経過であること、妊婦健診で医師、助産師から運動を禁止されていなければ、運動をしても大丈夫です。妊娠中の運動については、医師や助産師、運動指導をするトレーナーから専門的な指導と助言を受けましょう。特に高血圧、糖尿病、肥満などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動については、自己判断で進めず、主治医と相談して十分に注意しておこないましょう。 妊娠中におこなう運動は、母子にとって安全で、全身運動かつ有酸素運動で楽しく継続できるものが適しています。有酸素運動とは、酸素を使い、筋肉を動かすエネルギー源である脂肪を燃焼させる運動で、過剰な体重増加の予防を期待できます。妊婦さんに適している有酸素運動は、ウォーキング、水泳、エアロビクス(マタニティービクス)ですが、妊娠中に運動する時間を確保できない、妊娠前から運動習慣がない、運動が苦手という妊婦さんもいることでしょう。 そこで、おすすめの運動は歩くことです。妊娠中のライフスタイルの変化に合わせて取り入れやすい運動ですので、散歩やウォーキングなど歩くことを意識しましょう。 妊娠中の運動には散歩やウォーキングなど歩くことがおすすめ!歩いて移動するときや散歩に出かけるときに、歩くことをウォーキングとして意識するだけでも、妊婦さんに適した運動になります。ウォーキングするときは以下の点を参考にしてください。 ・ウォーキング開始前の確認妊婦さん本人の体調が優れない、あるいはおなかが張っていると感じたら無理に歩くことはやめましょう。天候や季節によっては、屋外にこだわらず、ショッピングモール内など屋内を歩いても良いでしょう。 ・ウォーキングのための準備歩きやすい服装や靴を着用しましょう。妊娠中は足がむくみやすいので、多少サイズを調整できるタイプの靴が良いでしょう。転んだときに両手が使えるように、母子健康手帳、保険証、タオル、水分補給用の飲み物などはリュックに入れて持ち歩きましょう。 ・ウォーキング前後のストレッチ運動効果を上げてけがを防ぐために、ウォーキング前にストレッチをして体を慣らしましょう。ウォーキング中は急な動きはしないで、ペースを上げるときも、落とすときも、徐々におこないましょう。ウォーキング後にもストレッチをして、筋肉をほぐしましょう。①ふくらはぎのストレッチ:手を壁や椅子などにおいて体を支える。足を前後に開いて、後ろ足のかかとは床につけたまま、体重を前にかけて、後ろ足のふくらはぎを伸ばす。②太もも(後面)のストレッチ:足を前後に開き、両膝を軽く曲げて、腰を後ろに引いて、前側の足の太ももの後面を伸ばす。③太もも(前面)のストレッチ:手を壁や椅子などにおいて体を支える。片足に体重をのせてバランスをとり、反対側のつま先をもって、おしりの方へ引き寄せ、太もも前面を伸ばす。 ・ウォーキングは楽しみながら続ける運動は楽しく継続することが大切です。妊娠前から運動習慣がない、運動が苦手という妊婦さんの場合は、週1回のペースから開始して、週2~3回を限度にしても良いです。もともと運動習慣があった妊婦さんは、妊娠経過が順調であれば毎日ウォーキングしてもかまいません。 1回の運動時間は心地よいと思える範囲から開始して、無理のない程度に徐々に増やしましょう。有酸素運動として効果が表れるのは20~30分間続けることが必要ですが、妊娠中の運動は長くても60分以内を目安にすることが望ましいです。普段の歩き方よりも速めに、歩幅は大きめを心がけましょう。歩き始めは人と会話できる程度からスタートして、最後の5~10分はクールダウンするつもりで徐々にスピードを落として終了しましょう。慣れてきたら1日数回おこなうのも良いでしょう。 ・ウォーキング中の事故に要注意音楽などを聴きたい、通話しながら歩きたいという妊婦さんもいるかと思いますが、音楽や通話、端末機器の操作に気をとられると、周囲への注意力が低下します。妊娠中は体型の変化によってバランスが不安定になり、瞬発的な動きが鈍くなることから、他の歩行者や自転車と接触しそうになっても避けられず、転倒したり、おなかをぶつけたりする可能性があります。 自分と赤ちゃんを思わぬケガや事故から守るために、ウォーキング中はイヤホンやヘッドホンの装着やスマートフォンなどの端末機器の操作はやめましょう。 妊娠中にたくさん歩かないと安産できないの?時に、「たくさん歩かないと安産できない」「安産のために1日1万歩は歩きましょう」という助言する医師や助産師がいます。また、書籍や雑誌、webの情報に「毎日〇万歩歩いたおかげで安産だった」「毎日〇時間散歩したら安産だった」というような個人的な体験が綴られていることもあります。このような助言や情報を見聞きすると、歩けば歩くほど安産に近づくと受け取ってしまいますが、歩いた距離や歩数が安産と必ず関連しているという科学的根拠は今のところありません。 そもそも、安産や難産という言葉は医学用語ではなく、明確な定義がありません。医師や助産師も、出産を前向きにイメージしてほしいという気持ちから安産という言葉を用いることはありますが、安産か難産かについては、出産を終えたママの気持ち次第で決まることです。「安産のために!」と1日何時間も、何万歩も歩くことだけに時間を費やして、体力を消耗したら意味がありません。しかし、出産には体力が必要ですので、満足のいくお産のために、妊娠中に運動をして、筋力や体力を維持することはとても大切です。 妊娠中の散歩やウォーキングは、歩数や距離を稼ぐことにこだわらず、1回当たりの時間や1週間に行うペースに気をつけて、楽しみながら続けましょう。 まとめ妊娠中は、切迫早産などの診断を受けず、体調が万全な状態であれば、体力づくりと気分転換を兼ねて、日常生活に無理のない程度に歩くことを習慣にしましょう。ただし、妊婦であることを自覚し、安全面にも注意する必要があります。散歩やウォーキングをした後、体調に変化が起きたとき、胎動がいつもより少ないとき、転倒したときなどは、自己判断で経過をみず、必ずかかりつけの産婦人科へ相談・受診するようにしましょう。 ■参考文献・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」・日本臨床スポーツ医学会「妊婦スポーツの安全管理基準(日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 13 Suppl., 2005)」・『マタニティ・エクササイズ・マニュアル(2010年初版)』(監修:進 純郎/発行:社団法人全国保健センター連合会)・『マタニティ・エクササイズ・マニュアル』(監修:藤田麻里/発行:社団法人全国保健センター連合会) 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年06月18日お外あそびも楽しいけれど、そろそろ蚊が出てくる季節。既に我が家の子どもたちも何箇所か刺されてしまいました。今回は、意外と知られてない蚊の生態について調べてみました。虫に刺されにくい服装や、我が家の虫除けアイテムも合わせてご紹介します。今年こそは、“虫刺され知らず”に、元気に夏を過ごしましょう。意外に知らない、蚊の生態まずは蚊の生態を知ることが大事!ということで、蚊についていろいろ調べてみると、今まで知らなかった新たな発見が。皆さん、血を吸うのはメスの蚊だけだって知っていましたか?しかも、血は卵を産むための栄養源なんだそう。普段は花の蜜などを食料にしているんだとか。調べてびっくり! てっきり私たちから吸った血を食料にしているかと思っていました。卵を産む場所に近づかない蚊は深さ1センチくらいの水たまりがある、日陰の場所が好き。ここに卵を産んで成虫へと成長していきます。なので、お家ですと庭や植木鉢の受け皿などは注意が必要です。なるべく植木鉢などは陽のあたる場所や、2階や3階のベランダなど高い場所に移動すると、産卵しないよう。1週間に一度くらいは、こういった水たまりがないかチェックしましょう。蚊の寿命は、どれくらい?メスの蚊の寿命は成虫になってから半年~1ヶ月くらいで、その間に10~50個もの卵を2.3回産むそうです。卵は2.3日でかえり→幼虫→さなぎ→成虫へと成長します。メスの蚊は寿命が近づいてくると、産む卵の数も少なくなるようですが、1回に50個ってものすごい数ですよね…。口には6本の針が!? 血の吸い方蚊の口には6本の針がついて、皮膚を切り裂いたり、血液を通したり、蚊の唾液を注入したりと、それぞれ役割がちがいます。蚊に刺されると痒くなるのは、蚊の唾液によるアレルギー反応がでるからだそうです。妊婦は刺されやすい?蚊に刺されやすい人の特徴としては、汗をかきやすい人や、黒っぽい服を着た人、妊娠中の人…などが挙げられているそう。特に体温が高い人に寄り付く傾向があるようで、そのため子供や妊婦は刺されやすいとされています。外遊びの服装と、オススメ虫除けアイテムまずは、虫除けに適した服装をするのが大事。蚊だけでなく、他の虫も、赤やショッキングピンクなど鮮やかな色を嫌うので、遊ぶときはパステルカラーよりも原色がおススメ。逆に、黒っぽい服や、茶色や緑のようなアースカラーは虫が近寄りやすい色なので、避けるようにしましょう。できたら、上下長袖で手足の露出を控えるのが良いでしょう。…とはいっても子どもは汗かきだから、どうしてもTシャツとなるので、その時はしっかり虫除けスプレーやクリーム、その他の虫除けグッズはマスト。我が家の3兄姉もいろいろと虫除けアイテムを試した結果、普段使いではこんなものを使っています。スニーカーやベビーカー、帽子やランドセルになどに簡単装着するだけの、虫よけリキッド「クリップモンスター」。イヤ~な虫をひと夏まるごと見張ってくれる優れものなんです。天然シトロネラオイルを使用で、直接肌に触れない構造だから小さなお子さんや肌が弱い方にも安心。持続時間は、なんと約3ヶ月だからとっても長持ち。ひと夏に1個で十分ですね!取り付けが楽で、外れにくいクリップ式だから、動きが激しい我が家の子どもたちにも安心。我が家の三男はまだ興味深いものを口に入れたりするので、Tシャツや帽子に付けていますが、靴にも付けられます。見た目も可愛くて、すっごく優れもの。もう一つは、パーフェクトポーションの「アウトドアボディスプレー」は我が家の毎年の定番アイテム。サイズも2種類を購入し、持ち運び用とお家用と使い分けています。成分はシトロネラやペパーミント、ユーカリ、ティートリー、シダーウッドなどのエッセンシャルオイルとベジタブルオイル配合。とっても爽やかな香りだから家族みんなのお気に入りです。赤ちゃんも使える、常備薬は?我が家の常備薬は、オーストラリアのパパイアから作った天然成分の「ルーカスポーポークリーム」。パパイヤに含まれるパパイン酵素には消毒作用があって、虫刺されをはじめ、おむつのかぶれ、やけど、かゆみ、あざ、日焼け後のケアにもオススメなんです。一年を通して、いつもポーチに入れて持ち歩いています。リップバームとして使っても◎。今年こそは早めの虫除け対策で、子どもたちに思いっきり外で楽しんで欲しいですね。
2019年06月15日訃報というものは突然ですので、妊娠中にお通夜やお葬式に参列することがあるかもしれません。もし妊娠中にお通夜やお葬式に参列することになったら、どのような服装で参列し、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。今回は、妊娠中のお通夜やお葬式の注意点やマナーなどについて解説します。 妊婦さんは、お通夜・お葬式に参列してもいい?訃報の連絡が入れば、お別れの挨拶をしたいと考える方は多いと思います。特に、亡くなった方がよくお世話になった方であったり、よく交流のあった方や親しい友人であったりした場合はなおさらでしょう。ただ、妊婦さんは妊娠前のときと違い、大丈夫だと思っても葬儀場での環境や雰囲気で疲れてしまったり突然体調を崩したりする可能性もあります。 体調がすぐれない場合には知人や身内など、参列するほかの方に連絡し、参列をやめるのも一つの方法です。参列しない場合、お香典は参列する方に一緒に出していただくようにお願いするか、弔電やお悔やみのお手紙とともに郵送するなど、できる方法で送るようにしましょう。 お通夜・お葬式に参列することになった場合も、参列するための移動が長時間・長距離である場合は、家族に相談し、医師の指示を仰ぎましょう。特に、飛行機での移動が必要な場合や出産予定日が近い場合は注意が必要です。 亡くなった方を偲び、お別れするお通夜・お葬式には、日本ならでは、地域ならではの風習やマナーがあります。地域によっては、妊婦さんは参列しなくてもよいというところもあるようですので、事前に確認しておくと安心です。 妊婦さんがお通夜・お葬式に参列する際に注意したいことお通夜・お葬式では、やはり気持ちも沈みますし、お線香やご焼香のにおいや会場の気温などによって妊娠中は体調を崩すことがあるかもしれません。 お葬式では会場から火葬場への移動もあり、火葬場ではお経をあげ、最後のお別れをし、お骨揚げが終わるまで2時間ほどかかります。夏は暑く、冬は寒い中での移動を繰り返すことになりますから、体にも負担がかかることもあるでしょう。火葬場への移動は遠慮させていただき、葬儀場の控え室で待たせていただくようにするのも一つの方法です。 もし、式の途中で具合が悪くなってしまった場合には、周りの方や葬儀場のスタッフに声をかけ、別室で休むようにしましょう。 妊婦さんがお通夜・お葬式に参列する場合のマナー特に、近年はお通夜・お葬式のスタイルが多様になってきています。マナーを守らず参列すると、ご遺族や同じ参列者側の方々に不快な思いを与えてしまう可能性があるので、注意する必要があります。 葬祭に関する風習やマナーはなかなかわかりにくいものなので、お通夜・お葬式に参列することになった場合には、親や祖父母、親族でも年配の方に聞いて、教えてもらうようにするのがよいでしょう。 妊婦さんがお通夜・お葬式に参列する場合の服装って?妊娠中に限らず、お通夜・お葬式に参列する際にふさわしい服装というものがあります。しかし、妊娠中はおなかが大きくなったり、体調が変化しやすいということもあるため、服装選びも重要になってきます。 ●服お通夜・お葬式に参列するときは、服装は黒が基本ですが、お通夜では略式として薄い紫やグレーなど薄い色でも構わないとされています。 一般的には、ほとんどの方が黒の喪服を着用します。喪服はワンピース・スーツスタイルどちらでも構いませんが、妊婦さんの場合は、つわりの時期やお腹が大きくなっている時期に無理して着ると、具合が悪くなってしまう可能性があります。妊娠中は黒でゆったりとしたシンプルなワンピースなどがいいでしょう。妊婦用の喪服もあり、レンタルで取り扱っているところもあります。 また、妊婦さんがお通夜・お葬式に参列する場合には、夏でも念のため羽織りものを用意し、冷える場合に備えておきましょう。冬場は重ね着、タイツや腹巻き、カイロなどで工夫しましょう。 ●靴靴はパンプスやローヒール、フラットシューズなどがよいでしょう。黒の皮素材のもの、金具や装飾が付いていないもの、つま先があいていない靴を選びましょう。 ●アクセサリーなど特に気をつけたいものはアクセサリーやバッグです。身につけるアクセサリーは、基本的に結婚指輪のみとするのが正式ですが、真珠のネックレスやイヤリング、ピアスも問題ありません。NGなのは宝石などの光りもの、そしてアクセサリーの重ねづけです。重ねることは「繰り返す」を意味し、タブーとされるので注意しましょう。バッグは金具が見えないものにし、シンプルな黒を選びましょう。 ●メイクメイクは、濃いチークや、赤い口紅はせず、あくまでも控えめにします。ヘアスタイルも、長い場合は一つにまとめるようにしておきましょう。 お通夜・お葬式にまつわる迷信お通夜・お葬式の参列や式中のことなど、巷で耳にする風習やマナーの中には根拠のある正しいものなのかどうかわからないものもあります。 妊婦さんがお通夜・お葬式に参列するかどうかでよく耳にする迷信には、次のようなものがあります。 ・お通夜やお葬式にはできるだけ参列しない・どうしても参列するときにはおなかに鏡を入れる・お葬式に参列するとあざのある赤ちゃんが生まれる・亡くなった方の顔を見てはいけない 「お通夜やお葬式に参列しない」「亡くなった方の顔を見ないようにする」というのは亡くなった方の霊が赤ちゃんを連れて行こうとするからという話があります。鏡は古来では魔除けとして使われていたこともあるため、霊を寄せ付けないようにという思いから生まれたものだと考えられます。そのほか、参列してくださった方へのお茶出しや食事の準備は女性がするため、妊婦さんへの気遣いからに生まれた迷信であるともいわれています。 これらは、すべて医学的根拠はないものです。しかし、これらの迷信が気になる場合は、参列せず香典などを送るようにし、参列した場合も故人を送るために失礼のないように、また、最期を温かく見送ってあげられるようにしたいものです。 まとめ妊婦さんは疲れやすく、体調も崩しやすいものです。最期のお別れとなるので、参列するかどうかは周りの方とよく相談し、参列する場合には無理のない範囲でさせていただくようにしましょう。服装は、装飾のない地味めの黒のゆったりとした洋服やマタニティ用の喪服を選ぶとよいでしょう。季節に関係なく、体が冷えないような工夫も必要です。お通夜・お葬式での妊婦さんに関するいわれは迷信で、根拠はないとされていますが、気になる場合は失礼にないように工夫するようにしましょう。 監修者:看護師 看護師・予防医学指導士 和田路子国立大学医学部看護学科卒業後、公立病院周産期センターにて勤務。ハイリスク事例やNICUにて多くの実務経験を経る。自身の不調の経験から、予防医学のに出会い、予防医学指導士の資格を取得。女性の看護経験から多くの女性にセルフケアの重要性を伝えたいと感じ、布ナプキン専門店レメディガーデンによる「子宮から地球を変えようプロジェクト」のプロジェクトリーダーに就任。生理用の布ナプキンのプロデュースと普及活動、女性の体について知るためのセミナーや子宮ケアについての講座を行っている。海の街でのライフスタイルを楽しみながら、不妊や生理による不調などの記事執筆とともにベビーカレンダーでの記事監修にも携わる。
2019年06月10日妊娠高血圧症候群と診断された人に起こる子癇(しかん)について、あまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。子癇は妊娠中や出産の際に、お母さんや赤ちゃんの健康状態に深く関わりがあります。今回は、子癇がお母さんと赤ちゃんにどのような影響を及ぼすのか、子癇の治療や出産について解説します。 子癇(しかん)とは?子癇は妊娠高血圧症候群を発症した妊婦さんに多く起こる全身痙攣(けいれん)です。てんかんや過呼吸、脳出血と症状が似ていますが、妊娠20週以降に初めて痙攣発作を起こしたものをいいます。妊娠中や出産時、出産直後に発症することが多く、1万人のうち4人程度が発症します。子癇が起こる理由として、血圧が高いと脳の血流が増え、脳がむくんで痙攣発作を起こすと考えられていますが、ハッキリとしたことは分かっていません。子癇が発症するリスクが上がる要因としては、妊娠高血圧症候群以外に10代の妊娠、初産婦、双胎(ふたご)、極端な体重増加、以前の分娩で子癇を起こしたことがある、などがあります。当てはまる条件が多いほど発症のリスクも高くなります。子癇の痙攣発作の直接的な誘因となるのは、分娩室のライトによる光刺激や浣腸、尿を管で出す時、手足の冷えなどです。身体的刺激が多いですが、精神的ストレスも子癇を誘発します。 子癇がお母さんと赤ちゃんへに与える影響子癇の痙攣発作が起こると、お母さんは体のいろいろな場所で血液が固まり、固まるべき場所では出血が止まらなくなったり、脳出血、臓器不全を起こしやすくなるなど、命にも関わる状態となります。また、痙攣発作がおさまらない場合には、意識が戻らず亡くなってしまうこともあります。 おなかの赤ちゃんも非常に危険な状態となります。もともと子癇のほとんどの人が発症している妊娠高血圧症候群では、おなかの赤ちゃんへ十分な量の血液が届かないことがあります。成長発達や生きるために必要な酸素や栄養が足りないと、低体重児の出産やおなかの赤ちゃんの心拍に異常をきたすことがあります。子癇発作が起こると、おなかの赤ちゃんにはさらに血液や酸素が送られにくい状態となるため、すぐに子宮から出してあげないといけない、命の危険を伴う状態(胎児機能不全)に陥る可能性が高くなります。 子癇になったらどうすればいいのか分娩中には血圧測定などの検査が適宜行われます。血圧が上昇して160/110mmHg以上になったり、子癇の前兆がおきた場合には、子癇が起こる可能性が高いです。子癇になったら、痙攣で分娩台から落ちる危険があるので、手や足を固定されます。また、できるだけ刺激が少なくなるように、ライトを暗くした環境で出産となります。痙攣発作が起きないように、点滴によって血圧を下げる薬や痙攣を予防する薬が持続的に注入されます。もしも、痙攣発作が起きたときには、酸素吸入や唾液の吸引が必要です。発症してもお母さんの状態が安定すれば、速やかに出産できるよう最適な方法が考慮されます。子宮口の広がり方が十分でないときは、緊急帝王切開となることもあります。 子癇の前兆症状子癇を起こす方の多くは、妊娠中からもしくは出産の時に血圧が上昇し、同時に尿蛋白や浮腫もみられます。妊婦健診の際に血圧測定や尿検査をするので、出産までに子癇のリスクである妊娠高血圧症候群は発見されているはずです。子癇の痙攣発作が起こる前には、目のカスミやチカチカと光が見えたり、みぞおちのあたりが痛くなったり、強い頭痛が続いたりといった症状が多くみられます。そのため、出産の時や出産直後に、子癇の前兆症状があったら医師もしくは助産師さんに必ず伝えてください。 子癇は予防できる?子癇を起こさないようにするには、妊娠期間中に高血圧にならないことです。食生活や1日の過ごし方など、血圧が高くならないように気をつけることで、子癇を予防できる可能性があります。急激に体重が増えると血圧が高くなるので、体重管理が必要になります。過剰なカロリー摂取だけではなく、必要以上の塩分も摂らないように食事には注意しましょう。また、睡眠不足や疲労、ストレスも自立神経のバランスを崩すため、血圧が高くなる可能性があります。昼寝などで睡眠時間を確保して、疲れを残さないように心がけることも大切です。好きな音楽を聞くことや適度な運動、趣味を行える時間をつくって、リラックスして楽しい時間を過ごすのもよいでしょう。 まとめ妊娠中に妊娠高血圧症候群と指摘されたことがある方は、子癇を起こすリスクがあります。子癇が起きた場合は、お母さんと赤ちゃん共に危険を伴う可能性があるため、高血圧にならないように予防方法を試してみると良いでしょう。 監修者:医師 産科婦人科福岡医院院長 福岡 正恒 先生京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士
2019年06月08日「妊娠中につい走ってしまった」「運動不足だから走りたい」という妊婦さんのために、妊娠中に走ることを控えたほうがいい理由と妊娠中によくあるケースをお話しします。 妊娠中に走ることを控えたほうが良い理由妊娠中に走ることを控えたほうが良い理由は以下のようなものがあります。 転倒しやすく、頭やおなかをぶつける可能性がある。母体には、妊娠前に経験したことのない体重や体型の変化、体の重心の変化が起こります。妊娠後期(妊娠28週以降)には、立ったときに自分の足元が見えづらいほどにおなかが大きくなります。 また、妊娠中は骨格を支える靭帯が緩むため、体全体のバランスが不安定になりやすいです。靭帯が緩むことは、大きくなる子宮のサイズに合わせて骨盤がクッション性のある動きをするため、妊娠中や出産時に役立ちます。しかし、足の裏の靭帯も緩むため、妊娠前よりも偏平足に近づくことで、体重を支える足のバランスも悪くなります。そして、妊娠中の生理的な体の変化によって、体全体のバランスが不安定になり、瞬発的な動きが鈍くなることから転倒しやすく、思わぬケガをする可能性があります。特に、おなかを強くぶつけた場合、常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)を起こすことがあります。常位胎盤早期剥離は、胎児に栄養や酸素を供給している胎盤が剥がれることで、胎児の脳性麻痺を引き起こしてしまうことや、死亡に至ることもあります。また、子宮内に大量出血することで、母体の生命も危険な状態となることがあります。もし、走って転んでおなかをぶつけた場合は、必ず産婦人科を受診しましょう。振動による腹部への刺激で子宮収縮の増加が起こる可能性がある。妊婦さん本人は、子宮収縮をおなかの張り(おなかが固くなる)やおなかや腰の痛みとして感じます。子宮収縮に伴い、性器出血や破水が起こることもあり、流産や早産を引き起こす可能性があります。もし、走ってしまった後におなかの張りや性器出血、破水があれば、早めに産婦人科へ受診しましょう。子宮への血流量が低下して、結果的に胎児が酸素不足になる可能性がある。息が上がるほどに走り続けると、全身の筋肉への血流量が増加するために、子宮への血流量が低下して、結果的に胎児への酸素供給が滞る可能性があります。 胎動が感じられる週数に入っていれば、妊婦さん本人は走り終えた後に、胎動が減少したことで気づくかもしれません。走った後の30分間で1~2回以上の胎動が出現すれば正常と判断してよいでしょう。もし、胎動が少ない気がするときは、早めに産婦人科へ受診しましょう。 妊娠前から走る習慣がなかった方は、自身の体への負担も大きくなるため、妊娠中の運動不足の解消を目的として走ることを取り入れるのはやめましょう。 妊婦さんがうっかり走ってしまったときは?【ケース1】妊娠に気づかず走ってしまったけど大丈夫?妊娠していることに気づかず、うっかり走ってしまったことを思い出して妊娠への影響を心配される妊婦さんもいますが、正式に妊娠していると判明した後の経過が順調であれば、特に気にする必要はありません。 産婦人科診療を専門としない人が作成した書籍や雑誌、webの情報のなかには、「妊娠初期に走ると流産の原因となる」と書かれていることがありますが、このような情報も気にする必要はありません。妊娠初期(妊娠0~15週)に起こる流産の最も多い原因は、受精卵の染色体異常です。妊娠初期の流産は、走ったことが直接の原因ではありません。 【ケース2】体重コントロールのためのジョギングやランニングは大丈夫?妊娠中の万が一の事故やケガを未然に防ぐため、腹部に振動が加わるもの、転びやすく外傷を受けやすい運動は避けたほうが良いため、大丈夫とは断言できません。 妊娠中に運動したい場合は、まず担当の医師や助産師へ相談しましょう。妊娠中に運動して良い条件は、妊娠12週以降で正常な妊娠経過であること、妊婦健診で医師や助産師から運動を禁止されていないことです。 妊娠前から運動習慣がある場合は、基本的には中止する必要はありませんが、妊娠前よりも運動量の制限は必要です。また、運動習慣のない妊婦さんが、体重管理のために突如負荷のかかる運動をし始める必要もありません。 全身運動として、走るのと同じような効果がある歩行がおすすめです。走ることが得意な妊婦さんは、走るよりもペースダウンしてウォーキングを。運動習慣がない妊婦さんは、少しずつ散歩程度から始め、歩く習慣を続けるだけでも十分な運動になります。妊娠中の運動については、医師や助産師、運動指導をするトレーナーから専門的な指導と助言を受けましょう。特に高血圧、糖尿病、肥満などの妊娠中の合併症の予防と治療を目的とする運動については、主治医と相談して十分に注意しておこないましょう。 【ケース3】上の子どもを追いかけるのに、つい走ってしまうけど大丈夫?走ることで思わぬ転倒やケガをする可能性があります。「つい走ってしまう」状況をなるべく減らしましょう。「つい走ってしまった」直後は、おなかの張りや胎動が普段と変わりないかを確認しましょう。 まとめ走ることが妊娠へ影響するかどうかは、走った前後の妊娠経過や走った状況、運動能力などによって異なります。走った後、体調に変化が起きたとき、胎動がいつもより少ないとき、転倒したときは必ず受診しましょう。そして運動したいという方は、全身運動としては効果が同じである歩行で、スピードを調整しつつ対応していきましょう。 【参考】日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」日本臨床スポーツ医学会『日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 13 Suppl., 2005』日本医療機能評価機構・再発防止委員会リーフレット ◆関連動画出産ドキュメンタリー(通常分娩) 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年06月04日妊婦さんが食べることを控えるべき食品はいくつかありますが、そのうちの1つに生のお肉があります。ユッケなどの生肉やレアな焼き加減が好きという妊婦さんにとっては、赤ちゃんを産むまでの約10カ月我慢しなければならないのはつらいものでしょう。それでは、妊婦さんがなぜ生肉を食べてはいけないのか、お肉を食べる時の注意点について解説します。 妊婦さんが生のお肉を食べてはいけない理由生のお肉には、寄生虫によるトキソプラズマ症や大腸菌のO-157などに感染する恐れがあります。妊娠中はホルモンバランスの乱れやつわりで食事が思うように摂れず栄養不足となる、睡眠不足になりやすい、ストレスがたまるなどさまざまな理由によって免疫力が低下する傾向にあり、感染症にかかりやすくなっています。特にトキソプラズマ症は、妊婦さんだけではなく、おなかの赤ちゃんにも影響がありますので、注意が必要です。 妊娠中に起こしやすい食中毒や感染症妊娠中に起こしやすい食中毒にはトキソプラズマとリステリアがあります。 トキソプラズマとは前述したように生肉など加熱が不十分なお肉を食べることで感染します。リステリアとは、リステリア菌によって感染する感染症で、加熱していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン等で感染します。 食中毒がおなかの赤ちゃんに与える影響トキソプラズマやリステリアに感染することで、共におなかの赤ちゃんに対して流産や早産の可能性が高まります。 トキソプラズマは、妊娠中に初めて感染すると先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があります。症状として、脳症やけいれん、水頭症、頭の中が石灰化することや視力の障害、黄疸、肝臓・脾臓の腫れなど脳や目、臓器に先天的な障害を残す場合があります。この感染症はお母さんが感染する時期によっておなかの赤ちゃんへの影響は異なります。 妊娠する6カ月以上前の感染ではおなかの赤ちゃんへの影響は及ぼしませんが、妊娠初期の場合はおなかの赤ちゃんへ感染するリスクは低いものの感染すると重症化します。 妊娠後期ではおなかの赤ちゃんへ感染する可能性は高いものの軽症で済むことが多いようですが、生まれたときに何の症状がなくても成長していく過程で症状が見られることもあります。 リステリアは、お母さんよりもおなかの赤ちゃんへの影響の方が大きく、感染することで早産や新生児の髄膜脳炎・敗血症などを起こすことがあります。 妊婦さんがお肉を食べるときの注意点妊娠中は、生のお肉の摂取を避け、十分に加熱されたお肉を食べるようにしましょう。特にリステリア菌は冷蔵庫の中であっても増殖する菌なので、冷蔵庫に保管しているから安全ではありません。 加熱の目安は、中心部分の温度が75℃以上で1分間とされています。また、家で調理をする際に電子レンジを活用する場合には全体的に火が通るようにすることも大切です。さらに、生のお肉を調理する場合には清潔な調理器具や調理環境を整え、使い終わったら洗剤で洗い、熱湯消毒をすると良いでしょう。 まとめ妊婦さんはストレスやホルモンバランスの乱れ、妊娠による免疫機能の変化などさまざまな要因によって免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすくなっています。特に食中毒には注意が必要で、胎児に有害な食中毒としてトキソプラズマ、リステリアがあります。 トキソプラズマは十分加熱されていない肉を食べることによって感染しやすく、早産や流産の可能性が高まります。また食中毒はおなかの赤ちゃんへも影響を及ぼし、生まれた後にもさまざまなリスクがあります。そのため、お肉を食べる場合には十分に加熱したものを食べ、食中毒を予防していきましょう。 監修者:医師 医療法人至誠会 梅田病院院長 北川 博之 先生昭和56年愛媛大学医学部卒業。その後愛媛大学付属病院にて産婦人科講師、助教授として勤務。愛媛県立医療技術大学教授を経て、平成20年より現職の梅田病院に院長として就任。現在も愛媛大学、広島大学などで非常勤講師として教育にも従事。
2019年05月29日妊娠後に母子手帳を交付してもらうには、自治体の役所にて妊娠届を出すことが必要です。妊娠届はいつどこでもらい、何を記入して提出するのでしょうか?この記事では、妊娠届の発行方法や記入する内容や提出する場所などをまとめて解説していきます。妊娠届は妊娠後に母子手帳を交付してもらうために必要な書類です。この記事では、初めて出産を迎える方のために、妊娠届の発行方法や提出する場所をまとめて解説していきます。妊娠届とは妊娠していることが分かったら母子手帳を交付してもらうために、自治体の役所で妊娠届を提出する必要があります。妊娠届を提出すると自治体に妊娠している事実が認められるので、母子手帳や妊婦健診の補助券などをもらうことが可能です。妊娠したと分かったら、早めに自治体に訪れましょう。妊娠届の発行方法妊娠届がもらえる場所は自治体によって異なり、産婦人科などの医療機関にてもらうケースと自治体の役所でもらうケースがあります。自分が住んでいる地域の自治体のホームページ、または産婦人科で確認することができます。●産婦人科で発行してもらう産婦人科で妊娠届を発行されるタイミングは一定ではありませんが、だいたい心拍が確認される妊娠11週頃が多いようです。●自治体の窓口で直接記入する自治体の役所が受け取り窓口である場合は、いつでも妊娠届をもらうことができます。妊妊娠届の記入を終えて提出すれば、無事に母子手帳が交付されます。妊娠届は自治体の役所へ取りに行くほかに、ホームページから用紙をダウンロードすることも可能です。妊娠届の提出は義務? 妊娠届には必ず提出しなけらばならないという義務はありません。しかし妊娠届を提出しなければ自分が妊娠したことが認められず、母子手帳(母子健康手帳)や妊婦健診の補助券をもらえなくなります。母子手帳は、妊娠から子育てまで、妊婦の健康状態や出産後の赤ちゃんの発育などを記録する大切な記録です。必ず取得しましょう。妊娠届を自治体へ提出すると、母子手帳と一緒に、妊婦健診にかかる費用が助成される補助券(妊婦健康診査受診票)が交付されます。そのほかにも妊婦さんや乳幼児向けの検査やサービスが受けられます。妊娠届はいつまでどこに届け出ればよい?厚生労働省は、妊娠11週以内に妊娠届を提出することを推奨しています。妊娠届を提出する場所は、お住まいの市区町村の役所・保健センターです。医師から妊娠を診断された後ならいつでも提出してかまいません。妊娠届を提出する際に必要なものは自治体によって異なるため、ホームページで確認して準備しておきましょう。自治体によっては印鑑が必要なところもあり、また提出できる曜日が決まっているところもあるようです。妊娠届を提出すると、両親学級、健診、予防接種の簡単な説明や指導がある場合もあります。前もって書類に記入しておき準備をして、時間ががある時に提出すると良いでしょう。つわりがある場合は、体調が落ち着いてから提出すれば問題ありません。妊娠届の記入項目ここからは、妊娠届に記入する項目について見ていきましょう。妊娠届は、氏名・住所・出産予定日・職業などを指示通りに記入すれば問題ありません。妊娠届は自治体ごとに記入項目が異なるので、詳しくはお住まいの自治体に相談しましょう。妊娠届は未婚、入籍前でも提出することができます。結婚する予定の方、夫となる人がいる場合はその人の名前を記入しますが、いない場合は空欄のままで大丈夫です。「職業」欄は会社員、自営業、公務員など職種を書けば問題ありません。アルバイトやパートの場合はそのまま職業欄に書けば大丈夫です。子どもが生まれた後は出生届を提出子どもが生まれた後は自分が住んでいる自治体へ出生届を提出する必要があります。出生届を提出することは法律で定められており、提出して初めて赤ちゃんは戸籍を得ることができます。つまり出生届を提出しなければ戸籍に記入されず、無国籍の状態になってしまうので要注意です。産後の健診、予防接種、児童手当の案内も届かず健康保険証さえも交付されません。それだけでなく、今後の医療費は全額負担となります。赤ちゃんが生まれたら必ず出生届を提出しましょう。出生届と同時に提出するもの 出生届を提出するのに必要な書類は多くあるので、出産前から準備しておくとスムーズです。▼出生届の必要書類出生届出生証明書届け出をする人の身分証明書届出人の印鑑(シャチハタは不可)母子手帳出生証明書は、出産後に産婦人科の医師から渡される書類です。それ以外は赤ちゃんが生まれる前から用意できるものです。出生届の提出は平日の昼間に行うと、そのほかの手続きも同日に行うことができるので便利です。まとめ妊娠届の発行方法は自治体でもらうケースと病院からもらうケースがあるので、自治体のホームページで確認しておきましょう。記入する事項も自治体のフォームによって異なるので詳しくは自治体に問い合わせてみてください。ミスのないように記入したい方は、自治体の窓口で職員の指導を受けながら記入すると良いでしょう。妊娠届を提出すると母子手帳や妊婦健診の補助券をもらえて、より一層ママになる実感が湧くと思います。ぜひ、今後の参考にしてみてください。●ライター/高須 亮
2019年05月27日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。今回は、唐辛子が入っているのに気づかず豚汁を食べてしまった妊婦さんからのご相談です。 Q.唐辛子に気づかず豚汁を飲んでしまいました妊娠16週になります。先ほど、お店で豚汁を飲みました。何か舌先にピリピリきたので具の薄い大根を4〜5枚、汁を4〜5回すすってやめました。お椀の汁は2cmほど減っていたと思います。後でお店の店長さんに聞くと、「唐辛子が混ざったかもしれないですね」と言われました。 汁も赤くなかったので、大量には入っていなかったと思いますが、もし大量に入っていたらどうしようと思い、不安になりました。ピリピリする程度であれば特に問題ないでしょうか? 心配です。 宮川めぐみ助産師からの回答お店で食べた豚汁に唐辛子が入っていたのですね。大量であれば、ピリピリ程度では済まなかったかと思います。混ざったかもしれないという程度、大量でなければ問題はありませんよ。赤ちゃんにも特に影響はありませんので、安心してくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 辛いものに使われる香辛料の妊婦さんへの影響は?妊娠中は行動だけではなく、食事も気にしなければならなくなります。香辛料を使った辛いもの摂取は、妊娠前から食べている場合は特に問題ありません。しかし、妊娠中は妊娠前とは体調も違うので注意が必要です。 激辛料理は消化器への刺激が強いため、胃痛や胃もたれ、下痢などを引き起こす可能性があります。また、香辛料が入っている料理には、塩分も多く含まれていることが多いです。塩分を多く含む食べ物を摂ることによって、塩分の過剰摂取にもつながりますし、ご飯などの主食も多く摂ることになり、カロリーオーバーになってしまう可能性もあります。 辛いものを食べると胎児には影響はある?妊娠初期に辛いものを食べると流産のおそれがあるという話もあるようですが、妊娠初期の流産の原因の多くは胎児の先天異常によるものです。また、辛いものと流産との関連を裏付ける医学的根拠は今のところありません。 しかし、ママが辛いものを食べすぎることで、塩分の過剰摂取や体重増加につながり、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こす可能性があります。そうすると、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。※参考:基礎知識(妊娠中)「【医師監修】妊娠中に辛いものはダメ? 妊婦さんの体への影響や胎児への影響はある?」
2019年05月26日妊娠中に美容院の利用を検討している妊婦さんのために、美容院に行く前に知っておいてほしいことをお話しします。 妊娠中に美容院に行っても大丈夫?妊娠経過が順調で利用当日の体調が良ければ、美容院に行っても大丈夫ですが、妊娠中は、においや香りに敏感になる、長時間同じ体勢で過ごすことをきつく感じる、こまめにトイレに行きたくなるなど、妊婦さんならではの体の変化が起こります。つわり症状が落ち着かない時期や出産予定日近くは体調の変化をきたしやすいので美容院に行くのは避けたほうが無難です。 また施術が長時間になるとおなかに負担がかかったり、足元から冷えておなかが張ってくることがあります。利用当日の困りごとを減らすために、美容院の予約をするときや利用当日には、妊娠中であることをスタッフへ伝えましょう。 妊娠中にヘアカラーやパーマは大丈夫?美容院で使用する製品が赤ちゃんに何らかの影響を及ぼすのではないかと不安になる妊婦さんもいますが、ヘアケア製品は、医薬部外品あるいは化粧品に分類されていて、皮膚から吸収できるような成分は配合されていません。 妊娠経過が順調で利用当日の体調が良く、カラーリングやパーマをしてもかまいません。しかし、妊娠中は生理的な変化で皮膚が敏感になります。ヘアカラーリングやパーマに使用する薬剤が、頭皮や顔、首筋などに付着すると、赤みや痛みなど刺激性のかぶれが起こりやすい状態のため、どの妊婦さんにおいてもヘアカラーやパーマをしても大丈夫とは断言できません。そのため、美容院によって妊婦さんへのカラーリングやパーマはしないように自主規制している店舗があります。 また、先程お話ししたように施術が長時間になるような場合は、おすすめできません。パーマをかけたいときはカットは別の日にするなどの工夫が必要です。 カラーリングに使用する製品には、染毛剤と染毛料があります。・染毛剤:医薬部外品ヘアカラー白髪染めなど・染毛料:化粧品ヘアマニキュアカラートリートメントなど 毛髪の色を変える、白髪染めるという目的でおこなう一般的なヘアカラーリングは、染毛剤を使用します。染毛剤には、髪色を明るくするのに必要不可欠なパラフェニレンジアミン(以下ジアミン)という染料が含まれており、アレルギー性のかぶれを起こすことがあります。頭皮や顔、首筋などに薬剤による赤みやかゆみ、腫れなどの症状が起こります。アレルギーを起こした場合、妊娠中に使用できる治療薬はありますが、重症な場合は呼吸困難や意識障害などアナフィラキシーショックを引き起こし、母子ともに生命の危険が迫ることになります。 ジアミンに対するアレルギーは突然現れるため、妊娠前にカラーリング時にかぶれたり長期間カラーリングを繰り返している場合には、特に注意が必要です。 妊娠中に、毛髪の色を変えたいという場合には、ジアミンを含まない染毛料(ヘアマニキュア、カラートリートメント)を選んでくれる美容院もあります。また、事前にパッチテストをしたり、髪の根元や生え際を避けて薬剤を塗布するなどの対応をしてくれる美容院もあります。妊婦さんへの対応は美容院の方針によって異なりますので、まずは相談してみましょう。 市販のカラーリングに使用する製品にも同じようにジアミンは含まれていますので、妊娠中にカラーリングをしてくれる美容院がない、美容院へ行く時間がないという理由があっても市販の製品を使うことは避けたほうがいいでしょう。市販の製品を使用するときも、ジアミンが含まれていないヘアマニキュアやカラートリートメントを選びましょう。 【参考】日本ヘアカラー工業会HP日本パーマネントウェーブ液工業組合HP 妊娠中に美容院を利用するときに注意すること妊娠中期(妊娠16週以降)は、仰向けになったときに、大きくなった子宮が体の右側にある下大静脈を圧迫して、急激に低血圧を起こす仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)に注意が必要です。心臓に戻る血液が不足して、心臓から送り出す血液が不足することから、全身に血液によって運ばれる酸素が少なくなり、気分不快、意識が薄れるなどの症状を引き起こします。 美容院でシャンプーやトリートメントをおこなう際に、仰向けでこのような症状があらわれたら、直ちに母体の左側を下にして横向きになりましょう。症状を予防するために、右側の脇腹部分にタオルやクッションを置いて、子宮による下大静脈への圧迫をやわらげましょう。 妊娠後期(妊娠28週以降)は、長時間同じ姿勢でいると、おなかの張りや腰痛が生じやすくなります。「きつい」「つらい」となる前に、リクライニングチェアの角度を変えたり、施術の途中で立ち上がるなど、無理のない姿勢で過ごすために、ひと休憩入れるようにしましょう。可能であれば、タオルやクッション、フットレストを活用しましょう。座ったまま足首をぐるぐる回すなど可能な範囲でストレッチするのもいいでしょう。 妊婦さんの体調の変化は外見ではわかりにくいので、トイレまでの動線を確認したり、施術の途中で姿勢を変えたい、少しでも体調の変化があれば休憩したいなど、妊婦さんの気持ちを美容師さんへ伝えることも大切です。妊娠中は何が起こるかわかりません。必ず母子手帳と保険証を携帯するようにしましょう。 産後はいつ美容院に行ける?産後の心身の回復や、赤ちゃんへの授乳や睡眠などの生活リズム、パパや家族のサポートによって個々に異なりますが、産後3カ月を経過しても美容院へ行けないこともあります。産後、赤ちゃんとの生活に慣れてきたころに、授乳の合間の数時間を利用して美容院へ行くママも多いです。 美容院を利用する合間の赤ちゃんのお世話は、パパや家族がサポートしたり、自治体の一時保育や民間のベビーシッターを利用するママもいます。最近は託児付きの美容院もありますので、妊娠中から産後に利用できるサービスについて調べておくと安心です。 まとめ妊娠経過が順調で、利用当日に体調が良ければ美容院を利用してかまいませんが、利用する週数やメニューによって妊婦さんの心構えも必要です。利用する際に気になることは美容師へ相談しましょう。もし美容院の利用後に体調の変化があれば産婦人科へ、皮膚のかぶれが起きたら皮膚科へ早めに受診しましょう。 ◆関連動画出産ドキュメンタリー(通常分娩) 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2019年05月25日妊娠中は、お酒やたばこ、生ものやカフェインなど控えたほうが良いものがいろいろありますよね。卵かけご飯やすき焼きを食べるときに使う生卵は、妊娠中に食べて良いのか心配な妊婦さんもいると思います。ここでは、妊娠中に生卵を食べても大丈夫なのか、食べるときのリスクや注意点についてお話ししていきます。 妊婦さんは生卵を食べても大丈夫?卵は、完全栄養食品と称されるほどタンパク質、脂質が多く含まれているほか、リン、カルシウム、鉄分や各種ビタミンも摂取できます。妊娠中、特につわりの時期には食が進まず、さらっと食べられ、栄養価の高い卵かけご飯が食べたくなる方もいると思います。妊娠中に生卵を食べることは、禁止されているわけではありません。しかし、控えたほうがよい理由や食べるときの注意点などがありますので、次に説明していきます。 妊娠中に生卵を控えたほうがよい理由生卵を食べることを控えたほうがよい理由として、サルモネラ菌による食中毒の発症があります。この菌は、卵の殻に付着していることがあり、卵を割ったときに菌が中に入り、加熱せずに食べることで菌を体内に入れてしまうことになります。サルモネラ菌が増殖しやすい状態ですので、生卵の摂取を避けたほうがいいというのはこのためです。 妊娠中にサルモネラ菌に感染をすると直接おなかの赤ちゃんに影響があるわけではないですが、腹痛や下痢、嘔吐などの症状がでることがあります。そのときに薬が使えない場合がありますので、感染しないように注意しましょう。 卵を食べるときの注意点生卵の摂取は控えたほうがよいですが、十分加熱した卵でしたら問題なく食べることができます。サルモネラ菌は、75度以上の温度で1分以上加熱することで死滅します。必ず、中心部まで十分加熱し、できるだけ早めに食べるようにしましょう。お弁当に半熟状態の卵焼きを持っていくのは非常に危険ですので、しっかり焼くか、別のメニューにすることをおすすめします。 また、生卵の付いた調理器具は必ずきれいに洗ってから別の料理に使うようにしましょう。過去に生卵を割ったボウルを洗わずに、ポテトサラダを作るのに使用して食中毒を起こした事故が発生しています。生卵にはサルモネラ菌がいるかもしれないということを十分知って調理するようにしましょう。 その他控えたほうがよい生もの妊娠中は、卵を始め、加熱が不十分な肉類・乳製品は避けましょう。生肉はもちろん、レアステーキ、ユッケ、馬刺し、鶏刺し、生ハム、サラミ、スモークサーモン、生乳、加熱していないチーズなどに感染源となる菌やウイルスが含まれることがあります。 特に注意すべきなのが、トキソプラズマとリステリアです。トキソプラズマは、妊娠中にお母さんが初めて感染することで、おなかの赤ちゃんにも感染し、死産や流産、水頭症、精神運動機能障害などの先天性トキソプラズマ症を起こす可能性があります。リステリアは、妊娠中に感染することで、流産や早産の原因となることがわかっています。 また、食中毒を起こす菌やウイルスは数多く存在します。黄色ブドウ球菌、大腸菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、カンピロバクター、ノロウイルスなど挙げればきりがありません。これらの菌やウイルスの感染を避けるには、手洗いをしっかりおこない、調理場所や調理器具は清潔な状態を保ち、調理の際に食品は十分加熱することが重要になります。特に夏場は、菌の繁殖が活発になりますので、こまめに調理場所や調理器具の消毒をおこなうようにしましょう。 まとめ妊娠中に生卵を控えることで、赤ちゃんの卵アレルギーの発症を予防できるわけではないことがわかっています。アレルギーに関する面では問題ありませんが、生卵にはサルモネラ菌が入っている可能性があるため、妊娠中の生卵の摂取は控えておくほうがよいでしょう。生卵以外にも、生の食材は控えておいたほうが安全です。特に、流産や早産、赤ちゃんにさまざまなリスクを残す可能性のあるトキソプラズマやリステリアは、生のお肉や生ハム、加熱されていないチーズなどにも含まれています。そういった食材は避け、十分加熱した食材やメニューにするようにしましょう。また、食中毒の原因となる菌やウイルスを避けるためにも、食品は十分加熱したものを摂取するようにしましょう。 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
2019年05月23日妊娠中に、貧血と言われたことがある妊婦さんも多いのではないでしょうか。妊婦さんにとって重要な栄養素の一つに鉄分があります。妊娠中は、鉄分が不足しやすいため、サプリや鉄剤などを飲まれる方もいると思います。今回は、鉄分の働きや1日にどのぐらいの鉄分を摂れば良いのか、サプリや鉄剤の他に効果的に鉄分を摂る方法などについて解説します。 妊婦さんが鉄分不足になりやすい理由妊娠をするとおなかの赤ちゃんの発育のために、多くの鉄分を優先的に赤ちゃんへと送る必要があります。また、体を循環している血液の量が増えるため、赤血球を作るのに鉄分が必要になります。そのため、妊婦さんは鉄分不足から、貧血となる可能性があります。貧血は、妊娠中はもちろんのこと、産後の生活にも影響がありますので、妊娠前から意識的に鉄分を摂ることが大切です。 鉄分の働きと鉄分不足・過剰摂取時の症状鉄分は、赤血球をつくっているヘモグロビンを生成しています。ヘモグロビンは、肺の中で酸素と結びつき、全身に酸素を届けています。 ■鉄分が不足しているとき鉄分が不足すると動機、息切れ、めまいなどの症状が現れます。この状態は、体内の酸素が足りない状態で、心臓が酸素不足を補おうと働きが活発になるためです。 ■鉄分が過剰なとき鉄分は、不足することが多い栄養素ですが、鉄剤やサプリから過剰に鉄分を摂ると、鉄中毒になる可能性があります。症状は、便秘や下痢、嘔吐、腹痛、亜鉛の吸収が妨げられることなどです。鉄分を過剰に摂ってからだいたい6時間以内に症状が現れます。鉄中毒が重症化すると、肝不全や肝硬変となる可能性があります。 鉄分の1日摂取量について厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると推奨されている量は、妊娠初期で約8~9mg、妊娠中期から後期では約21mgとなっています。 日本人の妊娠可能な女性の平均的な鉄の摂取量は、厚生労働省の国民健康・栄養調査(2015年版)によると約6mgとなっており、推奨されている量よりも不足していることが分かります。そのため、食事で足りない分は鉄剤やサプリ、鉄分入りのお菓子などで補うようにしましょう。ただし、お菓子は糖分が多く含まれていることもあるので、食べ過ぎないようにしましょう。 サプリは、1粒あたりの含有量が非常に多いものもあるので、用法用量を守って利用しましょう。また、普段の食事からも鉄分は摂れているので、そのことを計算してサプリの1日の服用量を決めることが大切です。1日の鉄分を摂れる上限は、妊娠前と変わらず40mgとなっています。 その他に薬を飲んでいる方は、鉄剤やサプリとの飲み合わせが悪いものもありますので、医師に相談してから摂るようにしましょう おすすめの食べ物と摂取方法鉄分には、吸収されやすいヘム鉄と吸収されにくい非ヘム鉄があります。それぞれ次のような食材に含まれています。 ・ヘム鉄豚レバーや鶏レバー、牛モモ赤身肉、あさりやしじみ、かつおなどの動物性食品に多く含まれています。 ・非ヘム鉄ほうれん草や小松菜、大豆、卵黄や油揚げなどの植物性食品に多く含まれています。このうち、日本人は非ヘム鉄を摂ることが多く、十分に鉄分を摂っているつもりでも不足している可能性があります。ヘム鉄の吸収率は非ヘム鉄の5~6倍ともいわれているので、ヘム鉄を含む食材を意識的に摂ることが大切です。また、良質な動物性タンパク質、ビタミンB2・B6・B12、ビタミンC、葉酸、銅などは鉄の吸収に必要な栄養素なので、1日3食規則正しく様々な食材を使った食事を摂ることが大切です。 鉄分の吸収を抑える働きがあるもの鉄分の吸収を抑える食べ物や飲み物があるので、鉄分を摂るときには注意が必要です。コーヒーや緑茶、紅茶などには、鉄の吸収を抑えるタンニンやカフェインが含まれています。そのため、食事の1時間前後は、飲むのを避けた方がよいとされています。その他にも、玄米や豆類などに含まれているフィチン酸が鉄の吸収を妨げる可能性があるので、食べ過ぎに注意しましょう。 まとめ妊娠中はおなかの中の赤ちゃんに鉄分を送るため、お母さんの鉄分が不足しやすいです。そのため、バランスのとれた食事から鉄分を摂るようにしましょう。また、各種ビタミンや良質なタンパク質など鉄分の吸収を高める栄養と一緒に摂ることが大切です。妊娠中だけではなく、分娩での出血や産後の授乳、睡眠不足などで貧血が悪化することもあるので、妊娠中から意識して鉄分を摂れるようにできるとよいですね。 監修者:管理栄養士 井上 わかこ京都女子大学 食物栄養学科卒業 管理栄養士 一女の母外食産業での勤務経験(オーガニックレストラン勤務) が長く、その経験から素材や調味料も健康に大きく関係すると考えている。現在はクリニックやスポーツジムで、定期的に栄養カウンセリングやセミナー活動を行っている。 監修者:看護師 しらいし ゆみか総合病院附属看護専門学校卒業後、総合病院小児科、保育園看護師として勤務、現在はフリーランスとして看護師として働きながら看護系の記事執筆・監修を行っている。
2019年05月21日