2022年3月14日に急逝していたことが分かった、俳優の宝田明さん。同月17日の報道以降、多くの人から悲しみの声が広がっています。【訃報】宝田明、急逝87歳「さびしい」「大好きでした」『ゴジラ』Twitterアカウントが宝田明さんを追悼1954年に公開された特撮映画『ゴジラ』で初主演を務めたことで知られる、宝田さん。それを皮切りに、『モスラ対ゴジラ』や『ゴジラ FINAL WARS』など、数々の『ゴジラ』シリーズに出演していました。訃報から一夜が明けた同日18日、『ゴジラ』のTwitterアカウントは、宝田さんへの追悼メッセージを公開しています。宝田明さんの突然の訃報に接し、大変驚いております。1954年11月3日公開の「ゴジラ」を皮切りに、数多くのゴジラシリーズにご出演をいただきました。晩年までゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ってしまった事は残念でなりません。心からの感謝とともにご冥福をお祈り申し上げます。— ゴジラ (@godzilla_jp) March 18, 2022 「ゴジラを愛し続けてくださったレジェンドを失ったことは残念でなりません」と、宝田さんの死を悔やむ、『ゴジラ』Twitterの運営者。その後、「心からの感謝とともに、ご冥福をお祈り申し上げます」とつづっています。宝田さんへの想いが詰まった追悼メッセージは、多くの人の心を打ちました。・同意見です。ありがとうございます…。・宝田さんのことは、決して忘れません。・物心がつく頃から、ゴジラシリーズ作品とともに生きてきた私にとって、宝田さんはなくてはならない存在でした。ご冥福をお祈りします。宝田さんは、今後も数々の作品の中で生き続けるでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年03月18日5歳上の夫と、生後半年ほどの娘さんと暮らしている、ステラ(@392cookie)さん。夫は、ステラさんが驚くほど、行動力のある人なのだとか。ステラさんは、行動力ある夫の体験談で一番好きだというエピソードをTwitterに投稿しました。映画『スター・ウォーズ』が大好きな夫は、わざわざアメリカにまで足を運んだというのですが…。夫の行動力が強火過ぎてたまに引くんだけど、20代前半の頃日本より先にアメリカで公開されるスターウォーズの新作がどうしても見たくて公開日に合わせて1人でロサンゼルスに行って念願の映画を見たら勿論英語で字幕もないから内容わからなかったっていう話が今んとこ1番好き。— ステラ☺︎ 6m9/2 (@392cookie) March 14, 2022 当時、夫は同作品で流れてくる英語を聞き取れなかったといいます。そのため、物語の内容も理解することができなかったとか。映画を見るため、アメリカに行ったにもかかわらず、作品の内容が頭に入ってこなかった夫。なんともシュールですが、アメリカに行けたことはある意味思い出になったといえますね!「この行動力を見習いたい!」「フットワークの軽さに驚き。人生が楽しそうだな」といった声が寄せられた、夫の行動。行動力があることは、仕事やプライベートなど、どんな場面でも役に立つでしょう。ですが、熱意が空回りして、「何もできなかった」というのはなくしたいですね![文・構成/grape編集部]
2022年03月16日「いくつになって生涯現役でいたい」と願う人は多いと思いますが、今回オススメする映画を制作したのは、そのロールモデルとなる一人。91歳で新作を完成させたジョージア映画界が誇る伝説的女性監督の注目作です。『金の糸』【映画、ときどき私】 vol. 461ジョージアの首都トビリシの旧市街にある古い家で、娘夫婦と暮らしている作家のエレネ。今日は彼女の79歳の誕生日だったが、家族の誰もが忘れていた。そんななか、娘はアルツハイマーの症状が出始めた姑のミランダをこの家に引っ越しさせるという。ソヴィエト時代に政府の高官だったミランダをエレネは快く思っていなかった。そこへかつての恋人アルチルから、数十年ぶりに電話がかかってくる。蘇るのは、甘い恋の思い出だけではなく、つらい記憶もあった。そして、やがて彼らの過去が明らかになり、ミランダは姿を消してしまうことに……。割れたり欠けたりした陶磁器を修復する「金継ぎ(きんつぎ)」と呼ばれる日本の技法から着想を得ているという本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。ラナ・ゴゴベリゼ監督ジョージア初の女性監督を母に持ち、自身は戦後のジョージア映画界を代表する女性監督とされているゴゴベリゼ監督。91歳で27年ぶりの新作を制作し、大きな注目を集めています。そこで、現在は93歳となった監督に、本作に込めた思いや日本文化との関わりについて語っていただきました。―まずは、これだけ長い間映画を撮らなかったのはなぜですか?監督この27年間はジョージアが激動の時代を経験していたので、映画よりも政治的な問題のほうが自分の人生のなかでより取り組むべき課題となっていたからです。実際、私は国会議員になり、与党のリーダーになり、ジョージアの欧州議会で大使になり、ユネスコでもジョージアの大使になるといった具合に政治的な活動に私のエネルギーを費やしてきました。映画を撮らなかったもうひとつの理由としては、国内が経済的に混乱していたので、映画を撮る資金も時間もなかったから。でも、だんだん社会が落ち着いてきて、その間に私の思考も蓄積されてきたので、今回はそれを久しぶりにどうしても映画として表現したかったんです。主人公たちの考えそのものが大きな役割を果たしている、そんな映画になりました。日本人はお互いを理解し、美しさを尊重する国民―本作にインスピレーションを与えたという日本の「金継ぎ」については、どういった経緯で知ったのでしょうか。監督具体的にどこの記事だったかは覚えていませんが、たまたま目にした記事に写真が載っていて、壊れた器の破片がまるで金の糸を使って繋ぎ合わせたかのように修復されていました。壊れていて存在していなかったものが、美しく元通りに復元されているのがとても印象深かったです。その記事を見たときに、人間の悲劇的な過去も同じように愛と理解と思いやりで修復して美しいものにできれば、新しくこれからを生きていく力を得ることができるんじゃないか、というふうに考えました。金継ぎのみならず、私は前々から日本人の美意識をとても素晴らしいと思っていましたし、日本文化を深く尊敬しています。―日本文化に対して、そういう印象を持たれるようになったきっかけはありますか?監督私はどこの国の文化にも興味を持っていますが、そのなかでも昔から映画や文学をはじめとする日本の文化には特別なものを感じていました。特に映画に関しては、私が黒澤明監督と個人的に知り合いで、実際に会ったこともあるというのは大きいのかなと。黒澤監督とは私の過去作である『インタビュアー』について、深く話し合ったこともあるほどです。そして、私が日本文化で素晴らしいと思うのは、日本人の美意識。この点において、日本人は特別な感覚を持っているのではないでしょうか。暴力が蔓延し、バラバラになっている世界を救う唯一の手段は“美”だと私は考えていますが、日本人のみなさんは昔からお互いに理解し合うことや美しさを尊重している国民だと感じています。過去を深く考えないと、現在も未来も築けない―劇中でエレネが発する人生や過去、死に対しての言葉は、非常にどれも印象的でしたが、さまざまな経験をしてきた監督が大事にしていることは?監督年を重ねるごとに、だんだんと人生を俯瞰して見ることができるようになってきました。そんななかで痛切に感じているのは、人生における人と人との関係性、お互いに対する思いやりや理解以上に大切なものはないということです。だからこそ、壊れた器を金継ぎで直すように人間の過去における不幸な出来事も元通りに美しく修復できたらいいなと。そういった考えをこの作品のメタファーとしてうまく表現できたと思っています。―「過去は重荷か、財産か」という言葉も、誰もが人生で抱く問いだと感じました。激動の時代を生きてきた監督が次の世代に向けて、過去との向き合い方について伝えておきたいことはありますか?監督私は過去について深く考え、きちんと理解しないことには現在も未来も築けないと思っています。ジョージアというのは大変な歴史をたどっているので、私も子どもの頃に父が処刑され、母が10年間も強制収容所に送られるというつらい経験をしました。非常に不幸な過去ではありましたが、それについてもよく考えたうえで理解しないことにはただ重荷になってしまうだけなんですよ。というのも、大きなトラウマになるような出来事ではあったものの、いろいろな人が救いの手を差し伸べ、助けてもらうことはたくさんありました。不幸な記憶ばかりでなく、人の優しさや思いやりを感じることもあったので、それらをひとつずつ思い出すことで“金の糸”が過去を美しくつなげて修復してくれるのではないかなと。そうすることで重荷が財産となり、より豊かな現在と未来を楽に生きることができるのです。大切なのは国や組織と言った大きな単位ではなく、人間ひとりひとりの関係。それを美しいものにしていく意識を持ってほしいとみなさんにも伝えたいです。内面的な老いは自分でコントロールすることができる―いつまでもやりたいことを追求している監督の姿に憧れる女性は多いと思うので、ぜひ生涯現役の秘訣を教えてください。監督年を取ることを止めることはできませんが、内面的な老いはある程度自分でコントロールすることはできると思っています。そのためには頭を働かせることが必要ですが、大事なのは私たちを取り巻く世界に対する関心と興味をつねに持ち続けること。そして、もし扉をひとつ閉めたら、別の扉を開けて新しい人々と出会ったり、新しい詩を見つけ出したりしています。それが私に大きな力を与えてくれているものです。そんなふうに、いろいろなことに興味を持っているうちは生きている実感があるので、老いのプロセスもゆっくりと進むのではないかなと。あともうひとつ付け加えるなら、誰かに必要とされている感覚を味わい、自分の存在意義を感じながら生きるというのも秘訣だと思います。―素晴らしいお言葉をありがとうございました。日本ではジョージアの文化に触れる機会は少ないので、ご自身の作品を通して日本人に知ってほしいジョージアの文化や歴史についてお聞かせください。監督ジョージアの歴史は3000年以上あるので、1本の映画だけで層の厚いジョージア文化を伝えるのは難しいかもしれません。例を挙げるなら、映画のなかにも出てくるショタ・ルスタヴェリというジョージアを代表する大詩人。14世紀頃に始まる西洋のルネサンスのアイディアも、その数百年前に先取りしていたと言われているほどなんですよ。いろいろな民族から侵略されるような大変な経験をしてきた私たちですが、そんななかでも少数派のジョージア人が生き残れたのは、生きる力や喜びを与えてくれた文化の力だったのではないかなと。建築や絵画をはじめとするジョージア文化はとても独特なので、ぜひ注目していただきたいです。過去をつなぐ“金の糸”は、よりよい未来を紡いでくれる激動の時代を生き抜いてきたからこそ、発せられる重みのある言葉の数々。さまざまな葛藤を抱えながら生きる女性たちの姿は、過去との向き合い方を学ぶことがよりよい未来へと繋がっているのだと身をもって教えてくれるはずです。取材、文・志村昌美心に響く予告編はこちら!作品情報『金の糸』2月26日(土)より岩波ホールほか全国順次公開配給:ムヴィオラ© 3003 film production, 2019
2022年02月25日いつの時代も、大きな関心を集めるものといえば、グルメに関する話題。そこで、破格の値段で取引されることもある“世界最高級食材”として注目を集めている白トリュフの知られざる真実に迫ったドキュメンタリーをご紹介します。『白いトリュフの宿る森』【映画、ときどき私】 vol. 456北イタリアのピエモンテ州でささやかれていたのは、夜になると白トリュフを探しに出かける妖精のような老人がいるという“言い伝え”。人の手によって栽培が行われたことがないアルバ産の白トリュフは、なぜそこに育つのか解明されていなかった。危険が多い森の奥深くで、訓練された犬たちとともに伝統的な方法で白トリュフを探す老人たち。まるで宝探しをするように楽しんでいたが、近年は気候変動や森林伐採によって収穫量が減少していた。トリュフが実る場所を決して誰にも明かさない彼らの“秘密”とは……。サンダンス映画祭を皮切りに、世界有数の映画祭で“異彩を放つドキュメンタリー”として大きな話題となった本作。今回は、舞台裏を知り尽くすこちらの方々にお話をうかがってきました。マイケル・ドウェック監督 & グレゴリー・カーショウ監督2018年の『THE LAST RACE(原題)』以来、2度目の共同監督を務めたドウェック監督(写真手前・右)とカーショウ監督(同・左)。謎に包まれていたトリュフハンターたちの日常に迫るため、3年もの歳月をかけたおふたりに、撮影秘話や現在取り組んでいる新たなプロジェクトについて語っていただきました。―家族にさえトリュフの場所を教えないほどの秘密主義であるトリュフハンターたち。そのコミュニティに部外者が入り込むのはかなり大変だったと思いますが、どのようにして彼らの信頼を勝ち取ることに成功したのですか?ドウェック監督まず言えるのは、ワインとエスプレッソはかなり飲んだということですね(笑)。というのも、ここではすべてのことが秘密なので、街に2軒ほどしかないレストランに通うところから始めたからです。メニューに載っているトリュフをどのハンターから仕入れているのかを尋ねても、最初は「父親の代から40年以上の付き合いだが、トリュフハンターには会ったことがない」と言われてしまうほどでした。―なかなか厳しい対応ですね。実際、彼らはどうやって取引しているのでしょうか。ドウェック監督夜中にお金を入れた木箱を外に出しておくと、朝には魔法のようにトリュフが入っているそうです。その後、店主が司祭をしているいとこなら何か知っているかもしれないからと紹介してくれました。そこで、「カルロという人が教会に来るときはいつもトリュフの匂いがするから彼がハンターじゃないかな」という情報を得て、今度はカルロを紹介してもらったのですが、彼からは「僕は違うけど、あの人が怪しいかも」と言われてしまったんです。そんな状況が3~4か月ほど続きましたが、それでも諦めずにいろいろな方に話を聞き続けました。その間はカメラを出さずに、ただ彼らから家族にまつわる思い出話を聞いたり、農場を見せてもらったりするだけ。かなり時間はかかりましたが、そんなふうに接していくなかで家族のような関係性を築くことができました。減少する白トリュフを保護する一助になりたい―その結果、実はトリュフハンターだったカルロさんはじめ、みなさんが出演してくださったのですね。ドウェック監督あとは、僕たちが滞在していたアパートの近くにお肉屋さんとチーズ屋さんがあったので、朝イチで大量のお肉とチーズを仕入れることも大事な日課。それを持って、行く先々の人たちとおみやげ交換をしていましたから。そうやって心地よい関係になってからカメラを入れたので、撮影を始めたときには彼らもカメラを意識することなく自然と進めることができたのだと思います。―ただ、そのいっぽうでトリュフハンターたちの背後に渦巻く深刻な問題の数々が映し出されており、衝撃を受ける場面もありました。カーショウ監督毎年トリュフの獲れる数が減っているにもかかわらず、世界的な需要がどんどん上がっているので、いまや白トリュフは金塊と同じくらいの値段で取引されることもるほどですからね。そういったことが大きなプレッシャーとなり、それまで起きなかった争いやライバルの犬を毒殺してしまうといったダークな部分を生み出しているのだと感じました。―それらの現実を目の当たりにして、監督たちの考え方に影響を及ぼすこともあったのでは?カーショウ監督僕たちも、白トリュフがこれほど稀有な食材となっていることを今回の撮影を通して知ったので、それがきっかけとなって始めたのが保護プログラム。集めた資金をトリュフハンターたちに渡し、彼らがトリュフハンティングしている土地を買えるようなシステムを作りました。そうすることで、危険にさらされているこの場所を永久的に保護できると考えているので、それが減少しているトリュフの問題を解決する一助になることを願っています。トリュフハンターたちから大きな影響を受けている―この伝統を守るために、消費者である私たちでもできることがあれば教えてください。ドウェック監督先ほどお話した保護プログラムとともに行っていることのひとつが、この地域で作られたトリュフハンターワインを生産すること。そこで得たすべての収益が彼らに還元されるようなシステムになっており、それによって現在までに52エーカーもの森林を守ることができました。なかなか難しいところですが、まずは森を守ることが一番だと考えています。―支援の第一歩として、トリュフハンターワインを買うことから始めるというのであればできそうですね。ドウェック監督今後は、これをお手本にしてほかの街や国がそれぞれの文化を保護する動きが活発になることを願っているところです。というのも、これらのプログラムは森林だけでなく、コミュニティなどの“文化的生態”を守るためのものでもありますからね。あとは、この映画にインスピレーションを受けて、新しい世代のトリュフハンターが生まれてくれることも願っています。―いろいろな形で広がっていくといいですね。また、個性豊かなトリュフハンターたちの“名言”も見どころですが、彼らと接するなかで感銘を受けたことといえば?ドウェック監督彼らが自然や犬と密接な関係を保ちながら過ごしているのを見て、「自分はこれからどういうふうに生きていけばいいのか」と考えるきっかけになったので、僕たち自身も大きな影響を受けました。すでにこの映画を観た方々からも、「生き方を変えようと思った」とか「自給自足の生活をしてみたい」といった意見がたくさん届いたほどです。カーショウ監督トリュフハンターのなかには、すでに90歳を過ぎている人もいますが、みんなエネルギーや喜びを持って生活している人ばかり。一緒にいると、若者と接している感じがしてとても驚きました。なかでも、カルロの奥さんが「年も取ったんだし、仕事はもう終わりにしてほしい」と言ったときに、カルロが「もしこれが人生の始まりだったらどうする?」と返した場面はすごかったですね。いくつになっても、人生のどのタイミングでも、「ここが始まりかもしれない」というのはとても美しい考え方だと思います。この作品が生活を見直すきっかけになってほしい―確かに、非常にステキな言葉だと思いました。では、まもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちかを教えてください。ドウェック監督僕が初めて東京で写真展を開催したのは20年前ですが、それからだいたい年に1回は日本を訪れているくらい本当に日本が大好きです。特に、ものづくりや伝統では高いレベルを極めようとする姿勢がすばらしいなと。それは食文化においても言えることですが、食材や生産地にこだわり、自然をリスペクトしているところには感銘を受けています。今回は、映画の写真も含めた写真展を2月16日~4月24日まで東京のブリッツ・ギャラリーで行うので、そちらにもぜひお越しいただけたらと。コロナ禍が終わったら、なるべく早く戻りたいと思っているほど、僕にとって日本は大切な場所です。実は、いま検討している企画のひとつに日本が候補地に挙がっているものがあるので、ぜひ日本で撮影できたらいいなと考えています。―楽しみにしております。それでは最後に、本作を通して伝えたい思いをお聞かせください。ドウェック監督2年以上コロナ禍でみなさんも感じているかもしれませんが、デジタルメディアよりも、もっと自然と触れ合う時間を取るべきだと考えています。この作品が、デジタルメディアに支配されている自分の生活を見直すきっかけとなり、自然との関係性についても改めて考えてもらえたらうれしいです。カーショウ監督確かに、彼らはデジタルが介入する前の世界にそのまま残っている生活を送っていたので、僕たちも1960年代にいるような感覚を味わうことができました。映画を観ていただく方々にも、僕たちと同じようなタイムトラベルのマジックを体感してほしいですし、いまの時代ではなかなか見つけることができないような幸せや喜び、そして美しさを彼らから感じてもらえたらと思っています。“白トリュフの秘密”がいま明かされる!美しい森が生み出す神秘と、その裏に渦巻く欲望の世界を垣間見ることができる本作。人々を虜にする芳醇でミステリアスな白トリュフの香りに包まれながら、無垢なトリュフハンターたちの生き様に心が刺激される1本です。取材、文・志村昌美美しさに魅了される予告編はこちら!作品情報『白いトリュフの宿る森』2月18日(金)より、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント©2020 GO GIGI GO PRODUCTIONS, LLC
2022年02月17日おみかん(@omikan_ka_san)さんがTwitterに投稿した、1枚の写真が話題となっています。おみかんさんはこの日、昔使っていたバッグを処分するため、中身を確認していました。すると、映画のチケットが3枚出てきたといいます。その写真がコチラです。昔使ってたバッグを処分しようと中を探ったら、「千と千尋の神隠し」を映画館に観に行った時の入場券が出てきた・・・20年以上前、お母さんと妹と3人で行った時のやつだ。捨てられないや・・・ pic.twitter.com/iqdbKS5a9B — おみかん (@omikan_ka_san) February 13, 2022 出てきたチケットは、2001年7月に公開された、スタジオジブリ作品の『千と千尋の神隠し』。出典:スタジオジブリおみかんさんは当時、母親と妹の3人で観に行ったそうです。日付は、同年8月2日であることが読み取れ、2022年2月現在、20年以上も前のチケットであることが分かります。おみかんさんは、思い出の品として「捨てられないや」とコメント。投稿には、「確かに、このチケットは捨てられない!」という声が寄せられました。・神隠しではないけど、過去にタイムスリップできそう!思い出が一気によみがえりますね。・『千と千尋の神隠し』に出てくる、電車の片道切符みたい!これは、捨てられないわ。・え、待って…。『千と千尋の神隠し』を映画館で観たあの日から、もう20年も経過したのですか。名作は色あせないな。・2001年8月2日!まさに僕が生まれた日です!なんだか感動。ちなみに、おみかんさんによると、これまで3枚のチケットが入っていることに気が付かないまま、何度もカバンを洗濯していたそうです。それでも、印字が消えなかった『千と千尋の神隠し』のチケット。「何か不思議な力が宿っているのでは」と、想像がふくらみますね![文・構成/grape編集部]
2022年02月14日寒さに体が震える日々が続いていますが、できれば心を震わせる体験を味わいたいもの。そこで今回ご紹介するオススメの1本は、感動の波が押し寄せると各国で絶賛されている注目作です。『クレッシェンド音楽の架け橋』【映画、ときどき私】 vol. 450紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、和平コンサートを開くという企画を引き受けた世界的指揮者のスポルク。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越えて音楽家になるチャンスを掴んだのは、20余人の若者たちだった。しかし、憎み合う2つのグループは、激しくぶつかり合ってしまう。そこで、スポルクは彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。寝食をともにし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合ううちに、少しずつ心の壁がなくなり始めていた。ところがコンサートの前日、ようやく心がひとつになった彼らに、想像もしなかった事件が起きることに……。「世界で最も解決が難しい」とも言われているほど、長年にわたって続いているパレスチナとイスラエルの紛争。本作では、両者の抱える問題を背景に、実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団から着想を得て描かれています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ドロール・ザハヴィ監督イスラエル・テルアビブの貧しい地域に生まれ育ち、現在はドイツを拠点にドラマから映画まで幅広い活動を行っているザハヴィ監督。今回は、現場で感じた苦労や相互理解に必要なことなどについて、語っていただきました。―本作では実在の管弦楽団に行った徹底的なリサーチがもとになっており、実話の要素も入れているということですが、具体的なエピソードを反映しているところはありますか?監督確かに、いくつかの管弦楽団をモデルにしているところはありますが、脚本を書き進めいくうちに、最終的には実際の彼らとは少し離れた物語になりました。ただ、そのなかでも取り込んだのは、2つのグループに分かれていた演奏者たちでも、ひとつになって音を奏でることができるという可能性。そのこと自体は、ストーリーの核となるほど大きなインスピレーションを与えてくれたものになっています。―完成までの過程で、苦労したことを挙げるとすればどんなことがありますか?監督今回、役者は3~4名ほどで、あとは実際の音楽家たちを集めましたが、キャスティングの段階で会った候補者の数は400人ほど。その際、映画と同じようにイスラエル側の数が多くてパレスチナ側の人数が足りないという事態に直面したこともありました。最終的には何とか集めることができましたが、そういう意味では劇中の指揮者と同じような苦労を味わったと言えますね。劇中のキャラクターと同じ道のりを経験した―現場では、最初は他人行儀だったキャストたちが映画同様に友情を育んでいったそうですが、そんな彼らをひとつにまとめるというのも大変だったのではないでしょうか。監督そうですね。撮影中に難しい瞬間は訪れるだろうと思ってはいましたし、人がどんなにすべてを予測したつもりでも必ず意外な展開が待っているものですから。ただ、そういったプロセスも演じたキャラクターたちが経験したのと同じような道のりだったのではないかなと思っています。今回私が意識したのは、グループ内における彼らの“力学”などを見ながら、ひとつにまとめること。私たちは3つの国をまたぎながら、同じホテルで一緒に過ごし、毎日食事をともにしながら話をする生活を7週間にわたって繰り返しました。そういった過程を経て、みんなが劇中のキャラクターと同じようにひとつのグループとして成長してくれたのです。撮影が終わったころには実際に友情を育んでいたキャストたちもいましたし、友人ができなかった人でも相手について学ぶことはできたのではないかと感じました。何よりも大事なのは、相手に敬意を持つこと―中東に限らず、さまざまな国でも対立は起きているので、劇中の彼らの姿は“世界の縮図”のようにも見えました。お互いに理解し合い、歩み寄るために必要なことは何だとお考えですか?監督映画のなかでしたのと同じように、対立しているグループの間にひもを置いて、相手に対する攻撃的な思いをお互いにすべて出し切るというエクササイズをするのがいいんじゃないかな(笑)。というのは冗談としても、僕自身がひとりの人間として経験してきたことを通して言うのであれば、何よりも大事なのは相手に対して敬意を持つこと。たとえお互いの意見が同じではなくても、敬意さえ持っていれば、問題は解決できるはずですし、相手への攻撃的な態度も消えるものと考えているからです。そういった部分は、この作品が世界のさまざまな国で公開された際にも多くの観客に強く響いていると感じました。これらの問題は中東特有のことではなく、あらゆる国でも起きていることですが、お互いの言葉に耳を傾け、リスペクトし合えれば、私たちの間にある対立や紛争といったものはなくなるのではないでしょうか。ぜひみなさんにも自分の文化や人生の視点から、自分ゴトとして観ていただけたらうれしいです。日本の料理や映画、文学がすごく好き―まもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちですか?監督やっぱり、まずはお寿司ですよね(笑)。というのも、私はいまベルリンに住んでいるのですが、家の近くにたくさん日本料理屋さんがあって、よく通っているほど好きなので。あとは、日本映画の大ファンで黒澤明監督から最近の監督まで観ていますし、日本の文学もすごく好きです。この映画と一緒に来日できずに残念ですが、いつか訪れたい国のひとつなので、必ず実現したいと思っています。日本が好きな理由として挙げるとすれば、それはイスラエルと日本には奇妙なつながりがあると感じているからです。立場は違うものの、私たちは第二次世界大戦中に強い苦しみをそれぞれ経験してきました。そして、それが国民性に与えた影響に近いものがあると私は考えています。あとは、日本が軍事力を使わずに平和主義の道を歩んでいるところもすばらしい思っているところです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督まずは、たくさんの方に観ていただき、この作品がみなさんの心のなかに届くことを願っています。中東の対立における基礎に関しては、本作を観ていただければわかっていただけると思いますが、この紛争というのは、世界に影響を与えるものでもあるので、ぜひ両者の立場というものを知っていただければと。どちらの立場もバランスよく、敬意を持って描いたつもりなので、それがみなさんにも伝わればうれしいです。琴線に触れる音楽が心に響く!音楽の力が生み出す“奇跡の瞬間”を目の当たりにする本作。憎しみを慈しみの気持ちへと変えてしまう美しいハーモニーを奏でる若者たちの姿は、言葉や文化を超えて観る者の心を大きく揺さぶるはず。いまの時代において、真の平和とは何かを改めて考えさせられる珠玉の1本です。取材、文・志村昌美美しい音楽を奏でる予告編はこちら!作品情報『クレッシェンド音楽の架け橋』1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開配給:松竹© CCC Filmkunst GmbH
2022年01月27日『パラサイト半地下の家族』で知られるポン・ジュノ監督の『母なる証明』(’09年)や、『花より男子ファイナル』(’08年/石井康晴監督)、『味園ユニバース』(’15年/山下敦弘監督)等、様々な作品に助監督として参加し、自費製作による長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』(’18年)が複数の映画賞を受賞した片山慎三監督による初の商業映画作品が『さがす』だ。主演は20年前に片山監督が制作スタッフとして参加したドラマ『アイノウタ』(’02年)に出演していた佐藤二朗。佐藤は撮影当時21歳だった片山監督に対し、「右も左もわからぬいわゆる“使い走り”だが、発想や発言がおもしろい」という印象を抱いていたという。片山監督は本作を製作するにあたり、佐藤に主演をオファーする手紙を送り、そこに添えられた脚本に惹かれた佐藤は出演を快諾したのだとか。その佐藤が演じるのは、大阪の下町で中学生の娘・楓とふたり平穏に暮らす原田智。ある日、彼は楓に「指名手配中の連続殺人犯を見た。捕まえたら懸賞金の300万円がもらえる」ということを伝える。楓は父のいつもの冗談だと思い相手にしないが、翌朝、智は姿を消す。そこから楓の父捜しが始まり、父の名前で日雇いの仕事をする指名手配中の連続殺人犯・山内照巳とおぼしき姿を見つける…。とにかく見どころの多い作品だ。『岬の兄妹』でも見せた、どこかユーモラスな人間味を漂わせながらも、現代社会の闇と人間の本質をえぐりとるようなドラマを描く片山監督の手腕。おかしみと親しみやすさを感じさせながらも何を考えているかわからない凄みを背負う智役の佐藤二朗。愛する父を捜すために、連続殺人犯かもしれない謎の男に物怖じせず向かっていく楓を演じるのは伊東蒼。『湯を沸かすほどの熱い愛』(’16年)で子役として鮮烈な印象を与え、多くのメディアで2021年の年間ベストに入った傑作映画『空白』やNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』といった作品でどんどん輝きを増している16歳だ。そして、静かな狂気を発する連続殺人犯・山内照巳を演じるのは『渇き。』(’14年)のいじめられっ子役で注目され、近年『東京リベンジャーズ』(’21年)や『おかえりモネ』といった作品で存在感を高めている清水尋也。巧みな脚本、演出、芝居…確固たる才能が集結し、死生観、親子関係、倫理観といった人が生きる上では避けて通れない問題を内包し、登場人物それぞれの正義が交錯しながら物語が進んでいく重層的な映画作品が生まれた。必死で父を捜す楓に警察官が「君はいったい誰を捜しているの?」と問いかけるシーンがあるが、視聴者自身の価値観をも問うような強烈な余韻が残る作品でもある。片山監督はポン・ジュノ監督作品等で韓国の撮影現場を経験したことで「日本の映画監督に足りないのは時間」という持論を抱くようになり、『さがす』はこの規模の作品では異例の約2か月という撮影期間が設けられた。それによりひとつひとつのシーンに多くの時間がかけられ、丁寧な作品作りができたという。そういった日本映画の現状に危機感を持ち、業界全体を底上げし未来に繋げようという気概も『さがす』には宿っている。『さがす』ある日、父は娘に「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と告げて姿を消す。監督・脚本/片山慎三出演/佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也ほか1月21日より全国順次公開。©2022『さがす』製作委員会※『anan』2022年1月26日号より。文・小松香里(by anan編集部)
2022年01月24日2022年1月14日(金)に劇場公開を控える映画『エル プラネタ』が、J-WAVE(81.3FM)のラジオ番組「JAM THE PLANET」がお届けする特別オンライン上映会JAM THE CINEMAで、先着200名限定の劇場公開直前特別オンラインプレミア上映されることが決定した。「Instagram最初の傑作!」と話題を呼んだパフォーマンス・アート<Excellences & Perfections>で時代を象徴し、その後Gucciのクリエイティヴデジタルプロジェクト#GucciGramに起用され、 Forbes 30 Under 30 「世界を変える30歳未満」30人に選出されるなど、その端正なルックスとファッションセンスを生かした作品を発表し脚光を浴びている現在注目度急上昇中のアーティスト、アマリア・ウルマン。そんな彼女が自ら主演、母親役には自身の母を起用、さらに自らの貧困体験を織り交ぜた崖っぷち母娘の現実逃避行ムービーが『エル プラネタ』だ。本作は映画界が熱視線を送るゴッサム・インディペンデント映画賞にて「ベストスクリーンプレイ」「ブレイクスルーパフォーマー」の2部門にノミネートし、その存在感に期待が寄せられている。そんな本作が今回、「JAM THE PLANET」がおすすめの映画を期間限定で特別オンライン上映するJAM THE CINEMAの第2弾として、劇場公開直前特別オンラインプレミアが決定。問題を抱えた“崖っぷち”真っ只中でも、なりふり構わず生き抜こうとする母娘の姿は、滑稽ながらもどこか身近に感じられ、最高に愛おしい。“リアル”と“虚構”の境界の狭間で生きるミレニアル世代の現代の閉塞感を見事な勇気とユーモアで描く“究極のセルフィ映画”をJAM THE CINEMAで体験しよう。【作品内容】ロンドンでの学生生活を終えた駆け出しスタイリストのレオ(アマリア・ウルマン)は、母親が暮らす故郷スペインの海辺の町・ヒホンに帰るが、母親(アレ・ウルマン)は家賃滞納でアパートも退去を迫られてるギリギリの状態だったー。母と娘はお金も仕事もない厳しい状況ながらも、身分不相応に“SNS映え”するスタイリッシュな暮らしを目指すー。視聴期間は2022年1月8日(土)から1月10日(月・祝)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年12月28日重厚な人間ドラマと歴史の悲劇を魂の演奏が彩る音楽ミステリー。映画『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』をご紹介します。1951年のロンドン。華々しいデビューコンサートの開演を控えた21歳の天才ヴァイオリニスト、ドヴィドルが忽然と姿を消す。それから35年。彼と兄弟同然に育ったマーティンは、あるコンクール会場でドヴィドルに繋がる糸口を見つけ、彼の消息を追い始める。あの日、リハーサルを終えてホールを後にしたドヴィドルに何が起きたのか。熟年にさしかかったマーティンをティム・ロスが演じるミステリーは、ヴァイオリンの調べに彩られた重厚な人間ドラマでもある。なにしろ、ドヴィドルはユダヤ人。ナチスが台頭するなか、才能を伸ばすべく、わずか9歳でワルシャワの家族と離れてロンドンのマーティンの家で暮らしていたのだ。第二次大戦後という時期の失踪に、彼のルーツが関わっていることは容易に察しがつく。やがてマーティンは、「歌を演奏しに行く」という彼の言葉を知るのだけれど、それにしてもなぜ、姿を消す必要が?深まる謎は、ユダヤの伝統のみならず、宗教の違いを超えて観る者の魂を震わせる深い思いへと繋がっていく。監督は、高名なヴァイオリン職人が妻子を悼んで作った名器の4世紀にわたる旅を描き、アカデミー賞音楽賞に輝いた『レッド・バイオリン』のフランソワ・ジラール。今作ではレイ・チェンが奏でる旋律が重厚なドラマを盛りあげる。後半ためにためて登場するドヴィドル役のクライヴ・オーウェンの演奏姿もいいけれど、少年時代を演じるルーク・ドイルがとにかくいい。自信溢れる天才少年ドヴィドルが、空襲警報下の防空壕で年上ヴァイオリニストを挑発するようにして始める競演のなんとワクワクすること!ルーク自身も8歳でヴァイオリンを始め、ウェールズ国立青年オーケストラに最年少メンバーとして所属しているのだとか。彼の今後にも期待せずにいられません。ドヴィドルの魂の演奏とともに、人間関係そのものもミステリーなのだということを浮かび上がらせるラストの大人な余韻もじっくり味わってね。『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』監督/フランソワ・ジラール出演/ティム・ロス、クライヴ・オーウェン、ジョナ・ハウアー=キング、ジェラン・ハウエル、ルーク・ドイル、ミシャ・ハンドリーほか12月3日より新宿ピカデリーほか全国公開。©2019 SPF(Songs) Productions Inc., LF(Songs) Productions Inc., and Proton Cinema Kft※『anan』2021年12月8日号より。文・杉谷伸子(by anan編集部)
2021年12月06日芥川賞作家・津村記久子のデビュー作『君は永遠にそいつらより若い』を初の映画化。佐久間由衣、奈緒をはじめ気鋭の若手俳優たちのキャストで、今回が長編3作目となる吉野竜平が監督を手掛けた。大学卒業を間近に控え、就職も決まって手持ちぶさたな日常を送るホリガイ(佐久間)が主人公。こんな自分が社会の中でちゃんとやっていけるのか。イノギ(奈緒)ら、彼女を取り巻く人間模様を通して、欠落感を抱えたまま他者や社会と関わって生きる若者の姿を描く。日常に潜む暴力や哀しみに触れながら、悩み、焦り、もがくホリガイたちの感情の機微をすくい上げ、その揺れる思いの中から独特な優しさが染みて来る作品だ。今、ドラマや映画で注目の若手女優・佐久間が来阪、今作から伝えたい思いを語った。原作の舞台は関西だが、東京に置き換えて映画化された。ホリガイの役作りは撮影前、吉野監督と一緒に「ホリガイの履歴書みたいなものを作る」ところから始まった。「好きな漫画やテレビ番組、カバンの中身や雨の日は長靴を履くかとか、細かいことを。監督の希望は必ず水筒を持ち歩いている子で、中身は紅茶に決めました」。現場では“履歴書”に縛られず、逆に「その場に集中する時間が増え、自由でいることができて。ホリガイの、その場の空気を読みすぎて空回っているような感じを自分の中で意識しようと心掛けて演じました。客観的に彼女を見て『大丈夫だよ。できるできる』と思いましたが、本人にとってはそれがすごくシリアスな問題なんですよね」。ホリガイを演じながら、撮影は佐久間にとって「昔の自分を思い出すような時間」だったようだ。ホリガイとイノギの関係性も印象に残る。「友情とか恋愛を越えた関係性というか、ふたりはソウルメイトのような奇跡に近い出会いをしたんだろうと。一緒にいて安心する、落ち着く。言葉にできないふたりの信頼関係のようなものが、演じていてすごくうらやましかったです。悩みを持ちながら生きていても、誰かと関わる中で無意識のうちに支えたり支えられたりしているんだと、この映画から私自身が感じました」。佐久間からのメッセージを。「いろいろな捉え方をしていただける映画だと思います。この作品を見た方が、それぞれの思いを重ねて、自分を見つめ直す時間や誰かを想う時間が増えるきっかけになれば。否定でも肯定でもなく、ただ寄り添うような優しい映画として、若い世代からこんな気持ちを懐かしく思う大人の世代まで、幅広い人に届いたらいいなと思っています」。映画『君は永遠にそいつらより若い』は、9月17日(金)より全国公開。取材・文:高橋晴代
2021年09月14日作品数が膨大なサービスから、セレクト眼に定評のあるものまで、多様化が進む動画配信サブスクの最新事情を徹底レポートします!観切れない作品があるという環境を、思う存分楽しんで。作品数も内容も勢いが止まらない動画配信の世界。その現状を、映画ライターの村山章さんに教えてもらいました。「最近、配信と劇場公開の両立が議論されています。新型コロナの影響もあって映画館での公開延期が続出する中、元々劇場用に作られた作品は映画館での上映を重視するのか、配信でなるべく早く作品を届けることに重きを置くか、難しい問題。ただ、劇場に足を運ぶのが難しい人にとっては、話題作をいち早く配信で観られるのは嬉しいことでしょうし、日本の作品がスピーディに世界中に届けられるというメリットもあります」サービスの種類も多様化。「膨大な作品数を誇る会社がある一方、独自のセレクトを押し出したサービスも登場しています。最近では、映画館のル・シネマが、シネフィル好みのブランド力を活かした動画配信を始めたり、JAIHOなど常時30作品とあえて配信数を絞るところも。また、U‐NEXTは、メジャーからマイナーまでライブラリーを充実させようとする意欲が凄く、レンタルビデオ店が家にやってきたような感覚を味わえます。サブスクの選択肢が増え、選べず悩む人もいますが、一生かけても観切れないほど面白い作品がある状況を楽しめればいいのでは。ふとした瞬間に思わぬ名作に出合えます」自分に合ったサービスを見つけるには?「“数を絞って節約しなきゃ”“無料期間に観終わらないと!”と損得感情に囚われず、複数でも気になったものに加入してみて、自由なタイミングで出入りするのでいいと思うんです。一つの指針としては、Amazonで買い物することが多い人はAmazon Prime Videoなど、加入しているサービスと提携した割引があるものに入ってみるなど、自分の生活圏に近いものをまず選ぶといいかもしれません」作品が多すぎて何を観ればいいか迷った時は?「よく聞くのが、Fire TV Stickで、作品リストをあれこれ見ているだけで1時間が経ってしまった…という声。でも、その選んでいる時間もすでにエンタメだと僕は思っています。もし、それがジレンマになるのならば、配信期間終了が近いものから観てみるのはいかがでしょう?ちなみに、Amazon Prime Videoは、“見放題が終了間近の作品”が、トップ画面に表示されます」動画配信作品ならではの楽しみ方って?「計画を立てるのが好きな人は、“1か月の無料期間集中まとめ観計画”を立ててみるのも面白いかもしれません。また、“マイリスト”を溜めたままにしがちな人は、一覧を眺め、ダーツでも当てる気分で気軽にポチッとしてみて。そういう時に意外といい作品に出合えたりするんです。また、最初は避けがちな、見放題でない課金作品に良作が潜んでいることも多く、その発掘も楽しみ方の一つです」【Netflix】オリジナル作品の、圧倒的なクオリティと数が強み。配信作品が米アカデミー賞にノミネートされるという快挙を成し遂げ、オリジナル映画&ドラマ、ドキュメンタリー番組の質に定評のあるNetflix。その作品数も圧倒的だ。さらに、『愛の不時着』『ヴィンチェンツォ』をはじめ、独占配信&オリジナルの韓国ドラマもヒットを連発していて、話題に事欠かない。巨匠監督たちと手を組んだ作品づくり、日本のアニメスタジオを起用したプロジェクトなど、今後も目が離せないラインナップが揃う。『海街チャチャチャ』海辺の町で開業した歯科医の女性(シン・ミナ)と、“万能ニート”の異名を持つ便利屋の青年(キム・ソンホ)。正反対の二人が衝突しながらも恋愛模様を繰り広げる、韓国のラブコメディドラマ。『KonMari ~“もっと”人生がときめく片づけの魔法~』片付けコンサルタント・近藤麻理恵が、悩みを抱える海外の家庭を訪れ、暮らしを整えるメソッドを伝えるシリーズの第2弾。片付けを通して生き方も考えさせられる作品だ。Netflixシリーズ独占配信中【Amazon Prime Video】独自の映画や番組も続々登場!作品の幅広さに磨きがかかる。Amazonプライム会員ならば追加料金なしで利用可能な動画配信サービス。新作映画や日本制作のバラエティ番組配信のイメージが強かったが、未知のエイリアンとの戦争を描いたSF大作『トゥモロー・ウォー』など、オリジナル作品も充実。さらに、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の独占配信も大きな話題となり、新作の最速配信とオリジナル、そして音楽系バラエティと、ますます幅広い視聴者層の心を掴むラインナップに。『ザ・マスクド・シンガー』世界中を熱狂させてきた音楽ライブエンターテインメントの日本版がついに登場。ユニークなマスクで正体を隠した人物のパフォーマンスと歌声から、誰なのか推理する、全く新しい発想の番組。『シンデレラ』シンデレラの物語を現代のアーティストの大ヒットソングとともに綴る、ミュージカル映画。カミラ・カベロが主演を務め、美しい歌声を披露。彼女を助けるゴッドマザー役には、ビリー・ポーターをキャスティング!【WOWOWオンデマンド】社会派からユニークな作品まで幅広いオリジナルドラマが揃う。WOWOWで放送されるドラマやスポーツの大部分を観ることができる他、ライブ配信やアーカイブ配信もあるのが嬉しい。質の高さに定評のあるドラマを中心としたオリジナル番組も、近年さらにパワーアップ。王道のサスペンスドラマだけでなく、配信中の『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』などユニークな企画も。また『山河令(さんがれい)』など日本初上陸の中国ドラマが観られる貴重な場でもある。『WOWOWオリジナルドラマ演じ屋』客から依頼された役になりきる職業、演じ屋。演じることで人々の心を救っていく様と、それぞれの“復讐”の形を描く。奈緒・磯村勇斗のW主演で贈る、なりきりエンターテインメント。『WOWOWオリジナルドラマ男コピーライター、育休をとる。』同名の書籍を瀬戸康史主演で映像化したハートフルコメディ。男性コピーライターの育児休業体験を通して会社員が直面する社会問題を考えるきっかけにも。【ザ・シネマメンバーズ】家でミニシアター気分を味わえる、珠玉の名作を目利きがセレクト。国や年代を問わず、毎月2~4本の作品を丁寧に選んで届ける、いわば、ミニシアター系配信サービス。そのセレクトには、アート系の作品にも、できるだけハードルを下げて気軽に触れてほしい、という想いが込められている。作品数と配信期間に制限を設けることで、自分好みの作品がズラリと並んだ名画座のような存在に。名匠監督の特集のほか、「映画を撮ることについての映画」など、独自のテーマ立てをした特集も行っている。『コロンバス』“そしてまた歩き出す。”というテーマでセレクトされた一作。モダニズム建築の宝庫と呼ばれる街で出会った男女の物語。韓国系アメリカ人監督・コゴナダの初長編映画。小津安二郎の構図にも通じる映像美も必見。©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED.『海辺のポーリーヌ』恋愛喜劇の巨匠、エリック・ロメール監督特集にて配信。海のある避暑地で繰り広げられる、少女のひと夏の体験を描く‘83年の作品。ロメール監督作品は、好評に応えて9月15日から再配信が決定。イチオシの新作はコレ!©1983 LES FILMS DU LOSANGE-LA C.E.R.【U‐NEXT】巨大レンタルビデオ店の棚を眺めている時の楽しさを再現。『フレンズ:ザ・リユニオン』など、米の大手TVネットワークHBOとHBO Max作品の独占配信が話題となった。それだけでなく、見放題作品の数が最も多く、レンタルビデオ店のコーナーPOPを思わせるような楽しいテーマ切りの映画や、韓国ドラマ、タイドラマなど、ジャンルは幅広い。加入すると電子書籍の利用もできるため、原作と映像化作品を併せて観る、なんていうことも可能。新作映画の視聴などに使えるポイントが毎月1200ポイント貰えるのも嬉しい!『ゴシップガール』社会現象を巻き起こした同名ドラマの制作陣が再結集、キャストを刷新して、より過激になって帰ってきた!NYに住むリッチなZ世代たちのゴージャスな日常を彩る、最新ファッションも見逃せない。©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reseved. HBO Max TM is used under license.『ホテルデルーナ』IU 演じる気難しいホテルオーナーと、ヨ・ジング演じるエリートホテリエが、幽霊だけが泊まれるホテルを舞台に繰り広げるファンタジーラブロマンスドラマ。韓国のtvNで‘19年最高視聴率を獲得した話題作。独占配信©STUDIO DRAGON CORPORATION村山 章さん映画ライター。配信系の映画作品を中心に取り上げるレビューサイト「ShortCuts」 代表も務める。最近は、ハル・ハートリー監督作品のBlu-rayの字幕監修も担当。※『anan』2021年9月15日号より。取材、文・浦本真梨子(by anan編集部)
2021年09月11日ベルリンの壁崩壊後の東ドイツにおいて、最も重要で最も有名な実在のシンガー・ソングライター、ゲアハルト・グンダーマン。彼の半生を描いた映画『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。映画『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』グンダーマンは、昼間は褐炭採掘場でパワーショベルを運転する労働者だが、仕事が終わるとステージに上がり、自ら作った曲を仲間とともに歌う。彼の希望や夢、理想に満ちた歌は、多くの人々に感動を与え人気者になっていった。その一方、当時の秘密警察(シュタージ)に協力するスパイとして友人や仲間を裏切っていた。1990年の東西ドイツ統一後、自身も友人にスパイされていたことを知り、その矛盾を自らに問うこととなる…。本作は、2つの時代から東ドイツの過去を厳しく見つめ、問い直そうとする東ドイツ独特の“ふるさと”映画でもある。分断されていた国に生きた人物の複雑な人生と、現在を生きる私たちの橋渡しをするように響く哀しくも美しい歌とともに紡がれる、新しいドイツ映画、そして音楽映画の傑作だ。監督は、現在ドイツで最も注目されている東ドイツ出身のアンドレアス・ドレーゼン。絶大な信頼をおく脚本のテイラー・シュティーラーとともに10年の歳月をかけて、私たちの知らない人間と国家の断末魔の叫びをユーモア溢れるリアルで繊細なタッチで掬い取り、ドイツで最も権威のあるドイツ映画賞(2019)で作品賞、監督賞含む全6部門で最優秀賞を獲得した。東ベルリン生まれの主演アレクサンダー・シェーアは、グンダ―マン本人と見間違うほどの神がかり的な演技を見せ、劇中で演奏される全18曲を自らカバーしている。視聴期間は8月13日(金)から8月26日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年08月16日2021年3月に公開され、興行収入100億円を突破した大ヒット映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。記憶に新しい映画ですが、同年8月13日より動画配信サービス『Amazon Prime Video』にてプライム会員向けに独占配信されることになりました!『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズが独占配信Amazon Prime Videoで配信されることになった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。日本を含む240か国以上の国と地域で独占配信される予定となっています。Amazon Prime Videoでは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』以外にも、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』といったシリーズ作品が見放題。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ4作品をすべて観ることができるのは、Amazon Prime Videoのみとなっています。世界配信を記念して、特別映像を解禁!YouTubeでは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の世界配信を記念した特別映像を公開。映像では、日本語を含めた英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ブラジル・ポルトガル語、カスティーリャ・スペイン語、ラテン・スペイン語、中国語、ヒンディー語、韓国語の11か国語で吹き替えられたエヴァンゲリオンの名シーンを観ることができます。動画では、物語の主人公である碇シンジの名台詞「逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ!」は日本語となっていますが、そのシーンに続く綾波レイの「あなたは死なないわ。わたしが守るもの」はフランス語に!さまざまな言語でエヴァンゲリオンシリーズを楽しむことができますよ。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、月会費500円、年会費4900円のAmazonプライムに入会していれば、追加料金なしで何度も視聴できます。映画館で見た人もまだ見ていない人も、ぜひ自宅でエヴァンゲリオンシリーズを楽しんでみてはいかがですか。[文・構成/grape編集部]
2021年08月16日漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で連載していた『SLAM DUNK(以下、スラムダンク)』の映画化決定のニュースに多くのファンが歓喜の声をあげた2021年1月。発表当初、映画化決定の報告のみで、公開時期などは明かされていませんでした。そんな中、同年8月15日に待望の続報が到着。公開時期や映画に携わるスタッフが明かされるとともに、30秒のプロモーションビデオ(以下、PV)も解禁されました。タイトルは未定ながら、公開時期は2022年秋。監督・脚本は原作者の井上雄彦さんが務めます。キャラクターデザイン・作画監督は劇場版『進撃の巨人』を手掛けた江原康之さんが務めるほか、PVの中では今回の映画に携わるスタッフの名前も明かされました。待ちに待ったスラムダンクの映画化に関する続報に、ファンの期待は高まるばかり。「声優は誰だろう」「楽しみすぎて1年が長い」と反響を呼んでいます。バスケットボールに青春をかける男子高校生らを描き、爆発的人気を博したスラムダンク。映画公開時には、再びスラムダンクブームが巻き起こりそうな予感です![文・構成/grape編集部]
2021年08月15日2021年6月26日、歌手の宇多田ヒカルさんがInstagramで行っている生配信番組『ヒカルパイセンに聞け!』に、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の総監督を務めた庵野秀明さんがゲスト出演。アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のテーマソングである、『One Last Kiss』の裏話などを語りました。生放送の中で、宇多田さんは「打ち合わせをしていないのに、私の歌と庵野さんの作品がなんか合ってるなって感じる」として、自分の感じた庵野さんとの共通点を語っています。私、人間ドラマとしてずっと見ていたんですよね、エヴァを。曲も作り終えてちょっとしてから、私の曲のテーマが結局は「喪失というものに対してどう向き合うか」という歌になったので。その時、パソコンのオンライン試写会を見ていたので振り返ってみたら、人間が喪失とどう向き合うのか…何か欠けてしまったり失ってしまった時に、人間がいろんな反応をするじゃないですか。否認とか怒りとか受け入れるとか。そういういろんな反応とどう向き合うのかっていうお話。おっきなテーマとして。「そういうテーマがあったから、私もすごい惹かれる作品だったのかなー」と。私もそのテーマがあったので、ずっと。hikki_staffーより引用 この投稿をInstagramで見る 宇多田ヒカルSTAFF(@hikki_staff)がシェアした投稿 『One Last Kiss』には「止められない喪失の予感」という歌詞があり、多くを失いながら葛藤する『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のストーリーと重なっています。宇多田さんの言葉は、庵野さんに響いたようで…。確かに、喪失は大きなテーマの1つですかね。(『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は)「最終的には喪失を受け入れる」っていうだけの話なんですけど。途中から逃げるのを止めて、それを受け入れて自分の中に落とし込む話なんですよね。それを描くのにちょっと時間がかかっちゃった。自分自身が受け入れるのがわりと前はできていたはずなんですけど、それを表現する方法がなかなかできなかったかなと。hikki_staffーより引用うつ状態を経験している庵野さん。だからこそ「主人公の碇シンジを再び立ち上がらせるにはどうしたらいいか」を考え、多くの観客に届くよう苦心して表現したそうです。2人の『喪失』という共通点に、多くの人がハッとしました。・改めて作品を理解できた感じ。喪失から逃げちゃダメ…。・真剣に表現と向き合ってきたアーティストたちの言葉だ。・すごくシンクロしていると私も感じていました。そうか、喪失か…。・喪失とどう向き合うかは、永遠のテーマの1つ。多くの人が、胸に喪失を抱えて生きています。宇多田さんの曲や、庵野さんの作品に私たちが惹かれるのは、喪失感にそっと触れてくれるからかもしれません。[文・構成/grape編集部]
2021年06月28日グラフィティ、ラップ、ブレイキング…1981〜83年に製作され、当時生まれたばかりの “ヒップホップ”をフィルムに捉えた貴重なドキュメンタリー映画『Style Wars』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。『Wild Style』(1982)とともに、ヒップホップヘッズのバイブルとして語り継がれ、日本でもビデオやDVDがリリースされたものの長く廃盤となっていた本作。2015年にプロデューサーで写真家のヘンリー・シャルファントらがクラウドファンディングを行い、オリジナルネガから修復したHDリマスター版が完成した。1970〜1980年代、レーガン大統領ですら視察の際に絶句したといわれるほど、がれきの山が延々と続き、貧困と犯罪が蔓延していたブロンクス地区。しかし、そんな灰色の町から全く新しいサブカルチャー、ヒップホップが生まれる。無数のグラフィティを描く少年たちはライターと呼ばれ、彼らが”グラフィティ”を街中に描くことは自身の存在を”ボム(=爆破)”することを意味していた。インターネットなど存在しない当時、閉塞感を抱えた少年たちは、地下鉄のホームに集まっては自身のタグを競うように発明し、終電後の車庫に忍び込み、NY中を駆ける地下鉄の壁に自身の証を記した。トニー・シルバー監督は本作の魅力をこう語る。「グラフィティについて、色々なパラドックスが存在する。社会にとっていいか悪いか、子どもがやるのはいいことか悪いことか、複雑にもつれてほどけないパラドックスだ。そして、そのパラドックスこそがこの作品の最も素晴らしいところになった。映画では善悪を判断することはしない。ありのままを見せるだけ。どちらか一方に偏ることはない。そこが、詩的で、美しいのだ。」”グラフィティ”を「落書き」として糾弾する大人たちの批判を受けながらも、言葉にならない衝動に突き動かされる少年たち。フィルムが捉えた彼らの瑞々しい姿と新しいムーブメントが生まれようとする時代の空気は、製作から約40年が経った今、観る者に新鮮な驚きをもたらしてくれるだろう。視聴期間は6月25日(金)から7月1日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年06月28日大人気コミックからはじまり、ドラマ、映画と着実にパワーアップしている『賭ケグルイ』シリーズ。最新作となるのは、映画版第2弾の『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』です。その舞台裏について、本シリーズには欠かせないこちらの方にお話をうかがってきました。高杉真宙さん【映画、ときどき私】 vol. 384舞台は、ギャンブルの強さで生徒の階級が決まる私立百花王学園。高杉さんは、“最狂の賭け狂い”である主人公・蛇喰夢子の親友としてつねに隣に寄り添っている鈴井涼太を演じています。今回は、役に対する思いや現場の様子、そして人生を賭けた自身の分岐点について語ってもらいました。―まずは、劇場版の続編が決まったときのお気持ちから教えてください。高杉さん3年くらいこの役をやらせていただいていますが、僕自身も鈴井ともう一度会えるんだとうれしい気持ちが強かったです。そういったなかでも、進化した鈴井と以前とは違う高杉真宙を見せられたらいいなと思って挑みました。どこまでできるかわかっているぶん、その信頼を裏切ることなく、さらに上を目指していく必要がありますが、それを超えていくところにもおもしろさがあったと思います。―前回演じたときから、2年ほど空いていると思いますが、すぐに感覚は戻りましたか?高杉さん今回は、わりと時間がかかりましたね。特に大変だったのは、『賭ケグルイ』でも大事なリズム感を思い出すこと。ラスボスのようなキャラクターがたくさんいるなかで、それぞれ異なるリズム感を持つみなさんにうまく乗っていくのが鈴井の役割でもあるので、その感覚を取り戻すのにけっこう苦労しました。―個性の強いキャラクターの方々に囲まれていますが、惹かれる女性キャラクターはいますか?高杉さんあまりにもみなさん濃い方々なので、正直なことを言うと、できることならあまり関わりたくないキャラクターばっかりですよね。実際、僕がこの学園に入ったら、生きていける気がしません(笑)。鈴井としては、浜辺美波さん演じる夢子と言いたいところですが、森川葵さん演じる早乙女芽亜里の男気があるところが意外と好きですね。ただ、芽亜里もお金にはがめついですからね……。となると、やっぱり夢子の賭け狂っている姿と普段とのギャップが素敵だなとは思います。特に今回の映画版では夢子のお茶目な部分がときどき出ていて、これまでの作品とは違う魅力が見れるところもいいかなと。とはいえ、あくまでも「強いて言えば」ですけどね。そこは強調しておきたいです(笑)。予測できないのがこの現場のおもしろいところ―(笑)。このシリーズでは、高杉さんの顔芸もすごいですが、意識していることはありますか?高杉さん『賭ケグルイ』の現場に行くと、挙動不審に思われているかもしれませんが、役作りをするうえで僕は顔の筋肉をずっと動かしていないと落ち着かないんです。普段の生活で、あんなに顔を動かしていることはありませんから。そういう意味でも顔をほぐす運動は、鈴井を演じるうえでは、すごく重要なこと。決して不審な行動ではなく、意味のあることだというのをちゃんと書いてもらえるとありがたいです(笑)。周りの方々もみなさんすごいので、それに負けないようにしたいという気持ちで演じました。―今回は、劇中でミュージカルシーンもあり、驚きましたが、ご自身で演じてみていかがでしたか?高杉さんそのシーンは、一番緊張しました。曲が送られてきたとき、『賭ケグルイ』で歌うことになるとは思わず、少し笑ってしまいましたが、本当にいろいろなことに挑戦させていただける現場だなと思います。でも、僕はあまり歌が得意なほうではないので、とにかく緊張しました。このシリーズでは、どこまで進化させられるんだろうと思いますが、予測できないのがこの現場のおもしろいところでもあるのかなと。結果的には、楽しんで演じられたと思います。―では、主演の浜辺美波さんのすごさを目の当たりにしたような瞬間があれば、教えてください。高杉さん浜辺さんは、相変わらずオンオフの切り替えが早くて本当にすごいです。一番初めに夢子が賭け狂っているシーンを撮ったときの表情は、いまでも記憶に刻まれていますが、今回新たに最凶の相手と向き合うなかで、そのときのことを思い出しました。そういう浜辺さんの姿はかっこいいんですよね。いろいろな夢子の表情が見れますが、やっぱりそこが一番魅力的だなと感じています。―素の浜辺さんはどんな方ですか?高杉さん最初は静かな方なのかなと思っていましたが、このキャストのなかでは一番年下なのに、一番しっかりしていて、みんなを守ってくれるような大人っぽいところがある方です。僕はこの現場ではいじられキャラなんですが、いつの間にか浜辺さんにもいじられるようになりました(笑)。でも、そうやって接してくださるおかげで僕は現場にいやすいので、優しい方なんだと思います。鈴井のおかげで現場での立ち振る舞い方がわかった―高杉さんは、以前からいじられキャラだったんですか?高杉さん『賭ケグルイ』の現場でいじられキャラでいることっていいなと気がついたので、僕に現場での振る舞い方を教えてくれたのは、鈴井かもしれません。最近は、自分と鈴井は意外と近いのかなと思うようになりました。ほかの現場でも、先輩からいじられることは時々ありますが、僕は自分から話しかけるのがあまり得意ではないので、コミュニケーションのきっかけにもなるいじられキャラは居心地がいいですね。いまはそれに甘えています(笑)。―今回、初参加となったのは、シリーズ史上最凶最悪のヴィランである視鬼神真玄を演じたジャニーズWESTの藤井流星さんです。どのような印象を受けましたか?高杉さん以前、僕はジャニーズWESTのメンバーの方とお仕事したことがあったので、そういったお話もできるなとすごく楽しみにしていました。女性キャストが多くて寂しかったので、男性同士でいろんなお話ができてうれしかったです。撮影中の藤井さんは、世界観もキャラクターもかなりしっかりと作り込まれていたので、すごかったですね。こちらも何かしないといけないと思うくらいの強い圧を感じて、本当に魅了されました。ダンスを踊りながら演じるシーンでは、すべての動作に色気があり、ラスボスとしての存在感もしっかりと出ていたので、これは勝てないなと思って見ていたほどです。なので、もしギャンブルでペアを組むなら、藤井さんがいいですね。最後に華麗に決めてくれそうな気がしています。大きい勝負では意外とギャンブルするタイプ―そんなふうに魅了されつつも、高杉さんも鈴井くんとして負けたくないという気持ちもあったのでは?高杉さんそれも当然ありましたが、「アットホームだけど負けないぞ!」という気持ちがみんなのなかにあるのが『賭ケグルイ』の現場。チームでありライバルでもある関係をみんなが楽しんでいるからこそ、いい意味で競争ができているのかなと。それが、この現場のいいところだと思います。何年も演じるなかで鈴井は僕しかいないという自信もありますし、愛着だけは誰にも負けません。―鈴井くんの好きなポイントはどんなところですか?高杉さんすごくバタバタしているんですけど、自分のためだけではなくて、人のためにしているところが愛らしい人だなと。こんな学園でも、こういうキャラクターが生きていけるというのは、意味のあることだと思います。今回の映画では、男気があるところも見せているので、さらに好感度が上がりました。―まだまだ高校生役は演じ続けられそうですか?高杉さん僕はいつか取材で「これが最後の高校生役なので、ぜひ見てください」と言いたいと考えていますが、そのタイミングを図っているところなので、いつになるかはわかりません(笑)。―鈴井くんは少し頼りないところがありますが、高杉さんは一発逆転を狙うギャンブラータイプですか?それとも堅実派?高杉さんどちらかというと、石橋を叩いて渡るタイプかなと思っているんですけど、おもしろければいいかなというところもあるので、大きい勝負のときは意外とギャンブルするタイプかもしれません。この仕事を始めたことは大きな決断だった―人生で一番の賭けに出たことといえば、どんなことですか?高杉さんいくつかありますが、まずはこの仕事をしようと決めたのもひとつの大きな賭けだったかなとは思います。ギャンブルは一切しませんが、人生の分岐点ではどちらを選ぶかは重要なことですよね。なので、この仕事を始めたことは大きな決断だったなと改めて感じています。ただ、普段はけっこう堅実なほうじゃないかなと。実際、ゲームセンターでUFOキャッチャーにお金を使いすぎていることに気がついて以来、UFOキャッチャーはすぐにやめました(笑)。―(笑)。本作では、それぞれのキャラクターが絶体絶命に陥りますが、人生最大のピンチがあれば、教えてください。高杉さん幼少期のできごとですが、大きなお祭りで家族とはぐれて迷子になったときのこと。けっこう小さかったのに、あのときのことはいまでもはっきりと覚えているほどです。すごく不気味で『千と千尋の神隠し』みたいな感じでした。それで、「あー、もう絶体絶命だ!」と思っていたら、近くの建物から家族が僕の名前を呼びながらのんきに僕に手を振っていたんです。母は焦っていたかもしれませんが、僕と家族の間にあまりにも温度差があることに驚いた記憶があります(笑)。―無事でよかったです。では、夢子さんのギャンブル同様に、自分もこれを奪われたら生きていけないと思うものはありますか?高杉さんゲームですね!ただ、最近はゲームを愛しすぎるあまり、自分を律するのが大変になっていてよくないなと感じているので、もう少し趣味程度に収めるのがベストかなと感じています。ゲームのために、家にも早く帰るくらいですから(笑)。ほかのことをおろそかにしてはいけないとわかってはいるんですが、本当におもしろいんですよね……。しっかりと中身のある人になりたい―2年前にananwebでインタビューさせていただいたときに、「がんばった自分へのご褒美は?」という質問にも、朝から晩までゲームしたいとおっしゃっていましたよね(笑)。いまは何をご褒美にしたいですか?高杉さんそういったこともあって、最近はもう少しほかにも趣味を作りたいなと思うようになりました。まだ出会っていないもののなかに好きなものがあるかもしれないので、「もっといろいろなことを試したほうがいいよ」と周りからも言われています。もしかしたらゲーム以上に好きなものあるかもしれないと思って探していますが、まだその域にはたどり着けていないですね。でも、いま興味があるのはひとり旅。旅行をしても大丈夫な時期になったら、ぜひやってみたいなと思っています。とはいえ、いろいろなものを試したうえで、やっぱりゲームがいいと舞い戻ってくるかもしれないですが(笑)。―新たに見つけたら、次回ぜひ教えてください。21歳になったばかりのときの取材では、「男らしさに憧れている」とおっしゃっていましたが、20代も半ばに差し掛かってきて、今後はどのようになりたいとお考えですか?高杉さんもちろん、いまでも男らしさはほしいなと思っていますが、見た目だけではなくて、精神的に男らしい存在になりたいと考えるようになりました。最近、舞台でご一緒させていただいた藤原竜也さんが先輩としても人としても素晴らしくて、本当にかっこよかったので、そういう先輩を目の当たりにすると、20代前半で考えていた男らしさに対する憧れは浅はかだったなと。自分がちゃんと成長をのぞめば、それに伴った速度で成長していけると思うので、これからもいろいろな経験を積んで、しっかりと中身のある人になりたいと改めて思っているところです。インタビューを終えてみて……。これまで高杉さんには何度も取材をさせていただいていますが、お茶目なところは変わらないまま、芯の部分ではますます強くなっているのを感じました。高校生の役もまだ最後ではないようなので、これからも幅広いキャラクターで私たちを楽しませてくれること間違いなしです。まずは、高杉さんにしか演じられない進化を遂げた鈴井くんに注目してください。一度知ったら忘れられない刺激体験!極限状態で繰り広げられる心理戦と張り詰めた緊張感、そして次々と巻き起こる罠に釘付けになってしまう本作。先が読めない命を懸けた壮絶なバトルにハマり、日常を忘れてしまうほどの興奮を味わいたい人にオススメです。写真・安田光優(高杉真宙)取材、文・志村昌美ストーリーギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。生徒会は、蛇喰夢子の脅威に危機感を募らせていた。一方、学園内では生徒会への上納金を支払えない“家畜”と呼ばれる生徒の数が爆発的に増加。「家畜の呪い」と呼ばれる現象によって、事態は混乱の一途をたどっていた。そんななか、学園に突如現れたのは、視鬼神真玄と名乗る1人の男。2年前に起こしたある事件をきっかけに、生徒会長の桃喰綺羅莉によって学園を追われた過去を持っていた視鬼神は、“共感覚”という特殊能力を持つ最凶最悪のギャンブラーだった。そして、ついに夢子vs視鬼神vs綺羅莉の戦いの火蓋が切って落とされることに……。スリリングな予告編はこちら!作品情報『映画 賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット』6月1日(火)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー配給:ギャガ©河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX ©2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会写真・安田光優(高杉真宙)
2021年05月29日“人生は、旅である”という言葉がありますが、こどもの頃『兼高かおる世界の旅』というTV番組が大好きで、毎週楽しみに見ていました。未知なる世界も魅力的でしたが、旅する兼高かおるさんもとても素敵でこんな大人になりたいと思ったものです。そんなこともあり20代の頃に縁あって福岡の旅行会社で3年ほど働いていたことがあります。旅行会社では、国内海外旅行の接客予約手配業務、パッケージツアーなどの添乗をしていましたが、旅という幸せな時間をサポートするお仕事は、直接お客様の喜ぶ顔を見ることができ、とても楽しかったのを覚えています。老若男女、様々な立場の方のお世話をさせていただいたのは、今になって思えばとても貴重な経験でした。この春、旅行を予定されている方も多いことでしょう。旅をテーマにした名作映画といえば、ベン・スティーラ監督・主演の『LIFE!』ですね!シネマの時間第4回は、ニューヨークの伝統ある雑誌社『LIFE』で働く平凡で空想癖のある主人公が、壮大な旅を経て人生を変えていくファンタスティックなヒューマン・ドラマ『LIFE!』をご紹介させていただきます!■映画『LIFE!』あらすじ - 世界を知ろう、お互いを知ろう、それが人生の目的だから©︎YUMIMOROTO主人公のウォルター・ミリーは、ニューヨークの伝統ある雑誌社『LIFE』の写真管理部で16年働いているベテラン社員。不器用な性格ゆえに人付き合いが苦手で、想いを寄せる同僚の女性シェリルにも話しかけることすらままなりません。変化のない単調な日々を過ごす彼の唯一の楽しみは、むなしい現実から逃避する刺激に満ちた空想をすることでした。空想の世界では、時にアクションヒーロー、時に勇敢な冒険者となり、シェリルに対しても情熱的な人間になることができたのです。そんなある日『LIFE』誌にもデジタル化の時代の波が押し寄せ、事業再編にともなう休刊が決定されてしまいます。『LIFE』誌代表のフォト・ジャーナリストであり冒険家のショーンは、誠実で質の高い仕事ぶりから、ウォルターのことを非常に信頼していました。世界中を飛び回る彼にとって仕事熱心なウォルターは、彼の写真を安心してゆだねることのできる志を共にしたかけがえのない存在だったのです。『LIFE』誌の休刊をいち早く知ったショーンは、ウォルターに宛ててこれまでの仕事ぶりに感謝を込めた手紙と最後の撮影フィルム、「素晴らしい仕事に感謝」という言葉と『LIFE』社のスローガンが印字された革財布の贈り物を届けます。しかし送られたはずの『LIFE』誌の最終号の表紙を飾る大切なネガが見当たりません。そこでウォルターは、一大決心をしてネガの在処を求めてショーンを探す冒険の旅へと出発するのです。ショーンを追って、北極圏のグリーンランドからアイスランドの火山地帯やヒマラヤへ。ありえないほど奇想天外な道のりは、はからずも彼の可能性を引き出し、人生を輝かしく一変させていくのでした。■この映画の主人公はあなたです!現状を抜け出して、新しい自分に変わりたい。日々の生活や仕事に追われ、それなりに充実しているけれど恋愛になかなか踏み込めない。なりたいものややりたいことが沢山あったはずなのに、夢を追いかけることを諦めてしまった主人公のウォルターは、誰もが「これって自分のことかも」と思い当たるキャラクターです。そんなウォルターが『LIFE』誌の最終号の表紙を飾る大切なネガを探すために、未知なる冒険の旅に出発。彼が、自分自身の可能性を見出し生き生きと変わっていく様子は、見る人すべてに勇気と希望を与え深い共感を覚えずにいられません。かけがえのない人生の瞬間を謳い上げた珠玉のストーリーは、あなた自身の物語でもあるのです!カメラマンのショーンからウォルターへ『LIFE』誌のための最後のフィルムとともに感謝の気持ちを込めて贈った皮財布には、映画の根底にあるメッセージでもある『LIFE』誌のスローガンが印字されており心に響きます。“世界を見よう”“壁を越える勇気を持とう”“いろんな人と出会い、お互いを知ろう”“そして感じよう”“それが人生の目的だから”そしてショーンは、「LIFE誌の最後の表紙には25番のネガを採用していただきたい。25番は俺の最高傑作だ。人生の真髄とはこれだ。いい仕事をしてくれ。信頼している。」とウォルターに宛てた手紙に書いていました。このネガが見当たらないためにウォルターは、“人生の真髄”を探す旅になるのですが、ネガに映し出された“人生の真髄”とは何だと思いますか?ただのロードムービーでないところがこの映画の素晴らしいところで、最後のシーンは何度見ても心あたたまり感動します。人生は短い。好きなこと、やりたいことがあるのなら、やってみるべきですね!■未知なる旅を彩る壮大なロケーションウォルターの旅を彩る壮大なロケーションも本作の見所のひとつです。空想の世界を抜け出し、北極圏のグリーンランドからアイスランドの火山地帯やヒマラヤへ。大自然の中に身を投じたウォルターが、ヘリコプターに飛び乗り、極寒の海にジャンプし、一日漁船員となり、荒々しい大地を駆け抜け、スケートボードで疾走し、ノシャック山を登頂し、過酷な雪山を越えていく光景は、息をのむほどの驚きと美しさに満ち溢れています。ようやくショーンを見つけたウォルターが、ふたりで幻のユキヒョウを見たり、夕暮れのなか現地の人達とサッカーをするシーンは、空想の世界以上の素晴らしさで男同士の友情にグッとくることでしょう。旅するなか素晴らしい多くの出会いを通して地味で平凡だったウォルターが、カッコ良く素敵に変わりはじめる瞬間を共有したみなさんは愛おしい幸福感でいっぱいになるに違いありません。また、ウォルターを取り巻く豪華なキャストも魅力的です。『LIFE』誌の表紙をになう冒険家のカメラマン、ショーン・オコンネルに扮するのは、『ミスティック・リバー』『ミルク』で二度のアカデミー主演男優賞に輝く名優ショーン・ペン。ウォルターが恋するヒロインのシェリルには、人気女優クリスティン・ウィグがあたたかな雰囲気で親しみやすく演じてウォルターの恋を応援せずにはいられません。また、ウォルターの母親を『アパートの鍵貸します』『愛と追憶の日々』などで伝説的な大女優シャーリー・マクレーンが存在感たっぷりに脇を引き締め安定の満足感です。■音楽とポスターの効果的な演出劇中の音楽やビジュアルも、効果的に演出されており素敵です。特に、ショーンを追ってアイスランドで酔っぱらいの運転手が操縦するヘリコプターに乗るかどうかの決断をするシーンで想いを寄せるシェリルが空想でギターを持ってDavid Bowieの名曲「Space Oddity」を歌いながら現れるのは印象的でした。まさにこの歌が、ウォルターに新しい世界へ一歩を踏み出す勇気を与えるのです。そしてオフィスのインテリアのビジュアルにも注目です。ご存知の通り、実際の『LIFE』誌はアメリカで2007年まで刊行し、写真を中心にアメリカの思想・政治・外交を世界に魅力的に伝える名グラフ雑誌ですが、現在は映画通りWEB上で事業を続けています。劇中では歴代の『LIFE』誌のカバーポスターがオフィスに飾られ、それがまた素敵なのです。特に、ウォルターがカメラマンのショーンを探すことに決めて廊下を走りだすシーンでは、モハメド・アリやジョン・レノン、宇宙飛行士などのヒーロー達が映し出されワクワク感をかき立ててくれます。是非、この機会に新しい自分へ人生観を広げてくれるヒューマン・アドベンチャー映画『LIFE!』をお楽しみください!■映画『LIFE!』作品紹介公式ホームページ:foxmovies.jp/life/movie©2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.原題:THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY製作年:2013年製作国:アメリカ映倫区分:G配給:20世紀フォックス映画上映時間:114分監督:ベン・スティラー原作:ジェームズ・サーバー脚本:スティーブ・コンラッド製作:サミュエル・ゴールドウィン・Jr.、ジョン・ゴールドウィン、スチュアート・コーンフェルド、ベン・スティラー撮影:スチュアート・ドライバーグ美術:ジェフ・マン衣装:サラ・エドワ音楽:セオドア・シャピロ編集:グレッグ・ヘイデン■『LIFE!』キャストベン・スティーラー=ウォルタ・ミティショーン・ペン=ショーン・オコンネルクリステン・ウィグ=シェリル・メルホフシャーリー・マクレーン=エドナ・ミティアダム・スコット=テッド・ヘンドリックスバットン・オズワルト=トッド・マハールキャスリン・ハーン=オデッサ・ミティアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2021年05月20日現在全国順次公開中の映画『Style Wars』が、J-WAVE(81.3FM)のラジオ番組「JAM THE PLANET」がお届けする特別オンライン上映会JAM THE CINEMAでの上映が決定した。本作『Style Wars』はNY・サウスブロンクスで生まれたスプレー・アート”グラフィティ”をテーマにラップやブレイキン(ブレイクダンス)など、のちに”ヒップホップ”として人々を魅了するカルチャーの生まれ落ちる瞬間を記録した貴重なドキュメンタリー。今回、コラボが決定したJ-WAVE(81.3FM)「JAM THE PLANET」は、「News To Table」をキーワードに様々な世界のニュースをあなたの好奇心のテーブルに届けるラジオ番組。今回、番組独自の新企画として、世界の“カルチャー”をラジオ×映画の視点で、紐解く新たな試みが始動。その名も「JAM THE PLANET」プレゼンツ特別オンライン上映会JAM THE CINEMA。その第一弾コラボ作品・映画『Style Wars』の特別オンライン上映会の開催に伴い、「JAM THE PLANET」番組内では連動して当時のヒップホップ楽曲のオンエアに加え、様々なアーティストや文化人からの作品へのコメント紹介、ニューヨークにまつわるクイズコーナー、また5/27(木)には前夜祭として「グラフィティ(ストリート)・アートと社会の関係」というテーマでのトークが放送予定など、ラジオとオンライン映画上映の新しいコラボレーションの形が実現。さらにオンライン上映ではここでしか見られない、「JAM THE PLANET」ナビゲーターのグローバーによるスペシャル特典映像「グローバーの”Style Wars”を10倍楽しむ方法!!」も付き、必見のオンライン上映会となっている。また、チケット購入者には特典としてもれなく特製デジタルパンフレット(データ)がプレゼントされる。【作品内容】1970〜1980年代のブロンクス地区はがれきの山が延々と続き、貧困と犯罪が蔓延するエリアだった。しかし、そんな灰色の町から全く新しいサブカルチャー、ヒップホップが生まれる。フィルムが捉えた新しいムーブメントが生まれようとする時代の空気は、製作から約40年が経った今、観る者に新鮮な驚きをもたらしてくれる。視聴期間は5/28(金)から6/3(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年05月17日2019年サン・セバスティアン国際映画祭に正式出品され、フランスでオープニング興収1億円以上の大ヒットを記録した映画『PLAY 25年分のラストシーン』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。本作は、1990年代から2010年代まで、25年にわたり撮り続けたホームビデオの映像をつないで振り返る手法で、当時の空気感をリアルに再現したノスタルジックな青春ドラマ。その時代のヒットソングや、フランスサッカーW杯といった1990年代の懐かしいイベント、21世紀へのカウントダウンなど、劇中の様々な出来事は今の時代を生きる我々にとっても共感度MAX!誰しも味わった経験があるだろう青春時代の“後悔”と向き合い、新たな一歩を「再生」する物語だ。本作で大きな部分を占める音楽。映画自体のコストが下がるなら、音楽著作権料は気前よく払うべきだと、監督はプロデューサーに主張したという。懐かしさを感じさせるには、どうしても当時の歌が必要だった。オアシス「ワンダーウォール」などのヒット曲に加えて、その時期に流行ったものの現在では聴かれなくなっている曲(ジャミロクワイ「ヴァーチャル・インサニティー」、ファンレイ・クアイ「サンデー・シャイニング」、デーモンVSハートブレイカー「ユー・アー・マイ・ハイ」 など)を使うことにこだわった。主演を務めるのは、人気コメディアン、マックス・ブーブリル。盟友アントニー・マルシアーノ監督のアイデアに惚れ込み、共同で脚本も手がけた。「過去の映像をつなぐということは、単なる事実の羅列ではない。観る人が同じように25年間を追体験し、当時の自分に戻るような体験をしてほしかった」と語る監督が徹底的にこだわった、各時代のパリの雰囲気や、まるで本当に成長していくかのような違和感のないキャストたちも必見。【ストーリー】両親からビデオカメラを贈られた13歳のマックスは、家族や友人たちとの日々を撮り始める。25年後、撮りためた映像を振り返り、編集する。そこには、初恋の相手エマと初めて会った日のこと、いつも一緒だった仲間たち、そして彼のすべてが記録されていた。素直になれず、大切なものを手放してしまったマックスは、新たに「映画」のラストシーンを準備する―。配信は4月23日(金)から5月6日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年04月21日みなさま、こんにちは! アートディレクターの諸戸佑美です。今月から毎月3本程コラムの連載で、話題作から名作まで魅力的な映画をイラストレーションと文でご紹介させていただきます。映画はいつ観ても必ず何かしら心に響くシーンや言葉がありますね。そんな映画を通して様々な世界をお伝えできれば幸いです。2時間後、人生が少し変わるかもしれません。■映画『バレンタインデー』Bitter&Sweetな恋愛映画2月、立春が過ぎるとバレンタインも間近となりますが、「シネマの時間」第一回目は、Bitter&Sweetな恋愛映画『バレンタインデー』という作品。恋してる人も恋してない人も、ロマンチックな気分を楽しんでみませんか。バレンタインデーを迎えたロサンゼルスを舞台に、シャーリー・マクレーンやジュリア・ロバーツ、ジェイミー・フォックス、アシュトン・カッチャー、アン・ハサウェイ他、ベテランから若手までハリウッドを代表する俳優たちの豪華共演で贈るアンサンブル・ラブ・ストーリー。監督は、「プリティ・ウーマン」「プリティ・プリンセス」で知られるキューティー映画の巨匠ゲイリー・マーシャル。年齢も職業も異なる男女15人の様々な恋愛模様とその行方に注目です!■映画『バレンタインデー』のあらすじ2月14日、舞台はバレンタインで盛り上がるロサンゼルス。15人の男女の様々な恋愛模様を、1日の時間の経過とともに様々な角度でみていきます。花屋の青年リードは、同棲中の恋人モーリーに朝一番にプロポーズする。彼女は笑顔で指輪を受け取ったのだが……。一方リードの親友の小学校教師ジュリアは、この日恋人の医師ハリソンがサンフランシスコに出張で不満顔。リードのアドバイスで彼女はハリソンを追いかけようとするが。初めて一夜を共にしたばかりの同じ会社の郵便係のジェイソンと秘書のリズ。バレンタインのディナーを約束する二人だったが、彼女には秘密があった。またエドガーとエステルは、50年以上仲睦まじく連れ添ってきた老夫婦。よりにもよってこの日妻は夫に重大な告白をする。飛行機でたまたま隣り合った洗練された物腰が魅力的な男性のホールデンと女性将校ケイト。会話をするうち意気投合するのですが。有名アメフト選手のパブリシストのカーラとスポーツキャスターのケルビンは、お互いバレンタインが大嫌いな二人。カラーに取材目的で近づいたケルビンだったが、彼女がバレンタインデーを嫌う理由を知ると……。その他、初体験を計画する高校生のカップルや母親と久しく離れ離れになっている少年など、甘く切ないバレンタインデーの恋愛群像劇が繰り広げられていきます。■恋愛なんてと落ち込んでいる人にこそ観て欲しいバレンタインデーは、日本では女性が男性に愛を告白する日で、贈るのはチョコレートということになっていますが、アメリカでは男性から女性に愛を伝える日で花束やプレゼントを贈るのが一般的だそうです。友人や家族で互いに感謝を込めて祝ったり、愛する人に贈り物をする愛の誓いの日なんですね。というわけでバレンタインデーは、花屋さんがお忙し。映画では、そんなロサンゼルスの素敵な花屋さんシエナブーゲを中心に物語が展開していきます。子供から老夫婦まで様々な世代の登場人物がいるので、誰かに共感して観ることができるでしょう。泣いたり笑ったりまさにバレンタインには、Bitter&Sweetなドラマでいっぱい! どんな辛い状況にあってもどこまでも明るくユーモアと愛が溢れておりほろっとさせる場面も。また、ロサンゼルスの風景や街並が魅力的で心をくすぐる演出やインテリア、今回俳優としても登場しているテイラー・スィフトの音楽などもピッタリで見所満載です。美男美女人気スターの演技を鑑賞するだけでも楽しめます。「恋愛なんて」と落ち込んでいる人にこそ観て欲しい、心温まり恋愛したくなる映画です。■心に響くシーンや台詞がいっぱい心に響く台詞もあらゆるシーンにちりばめられておりとても素敵です。例えば、気になった台詞をご紹介すると……「結婚を申し込まれた時、考えたすえ決めるものかな。直感でするものじゃなくて。」「恋は、落ちるものだ。真っ逆さまに。」「あなたさえいればいい。」「ただいてくれればいい。」「会うのが不安?大丈夫。顔を見れば離れていたことなんて一瞬で吹き飛ぶから。」「一つだけ教えてよ。夫婦円満の秘訣は?」「簡単さ。親友と結婚した。」「最高には、最高を。」「愛とは相手のありのままを愛すること。」「移民的思考だよ。常に最悪の事態に備えるんだ。YESなら万々歳じゃないか。」「…好みが似てるの。そういうのがきっかけで今までただの友達だと思っていた人が好きな人に変わったりする。」「バレンタインは数時間残っている。誰かと何処かでどうにかなっちまえよ!」などなど。お気に入りの台詞はありましたか?この他にも、すぐにでも真似して使いたくなるような台詞がいっぱいです。みなさまにとって幸せなバレンタインデーでありますように。■映画『バレンタインデー』作品紹介原題:Valentine’s Day製作年:2010年製作国:米国配給:ワーナー・ブラザーズ映画監督:ゲイリー・マーシャル脚本:キャサリン・ファゲイト、アビー・コーン、マーク・シルヴァースタイン製作:マイク・カーツ、ウェイン・カーツ、ウェイン・ライス撮影:チャールズ・ミンスキー美術:エイドリアン・ゴートン音楽:ジョン・デブニー編集:ブルース・グリーン衣装デザイン:ゲイリー・ジョーンズ(キャスティング)デボラ・アキュラ、トリシア・ウッド■『バレンタインデー』のキャストモーリー・クラークソン(リードの恋人)=ジェシカ・アルバスーザン・モラレス(テレビ局スタッフ)=キャシー・ベイツカーラ・モナハン(ショーンのパブリスト)=ジェシカ・ビールホールデン・ウィルソン(飛行機の乗客)=ブラッドリー・クーパーショーン・ジャクソン(NFL選手)=エリック・デインハリソン・コープランド(医者)=パトリック・デンプシーエドガー・パディントン(エステルの夫)=ヘクター・エリゾンドケルヴィン・ムーア(スポーツキャスター)=ジェイミー・フォックスジュリア・フィッツパトリック(小学校教師)=ジェニファー・ガーナージェイソン・モリス(郵便係)=トファー・グレイスリズ・カラン(秘書)=アン・ハサウェイアレックス・フランクリン(高校生)=カーター・ジェンキンスリード・ベネット(花屋の店員)=アシュトン・カッチャーポーラ・トーマス(リズの上司)=クィーン・ラティファウィリー・ハリントン(高校生)=テイラー・ロートナーアルフォンソ・ロドリゲス(花屋のオーナー)=ジョージ・ロペスエステル・パディントン(エドガーの妻)=シャーリー・マクレーングレース・スマート(高校生/エディソンの子守)=エマ・ロバーツケイト・ヘイゼルタイン(飛行機の乗客/軍人)=ジュリア・ロバーツエディソン(小学生)=ブライス・ロビンソンフェリシア・ミラー(高校生)=テイラー・スウィフトアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
2021年04月21日2021年4月16日、人気漫画『名探偵コナン』の映画作品『異次元の狙撃手(スナイパー)』が地上波で放送されました。凄腕のスナイパーによる連続狙撃事件が起こり、主人公である『江戸川コナン』が真相を追い求めるというストーリー。臨場感あふれる作品を見て、ワクワクした人もいたのではないでしょうか。映画を見た息子さんに『変化』が…大福プリン(@_o_love_o)さんが育てる、小学1年生の息子さんも同日、放送を見た1人。作品を食い入るように見ていた息子さんは、それ以降、ずっと同じ遊びに夢中だといいます。大福プリンさんが撮影した、息子さんの様子がこちらです。金曜日にコナン見てから、小1息子がずっとこうなってる pic.twitter.com/9uXpkzGF1E — 大福プリン (@_o_love_o) April 18, 2021 息子さんが夢中になったのは…スナイパーごっこ!!映画に登場する、スナイパーのキャラクターに魅了されたのでしょう。段ボールの中に身を隠し、くり抜いた場所から銃口を出して何かを狙う様子は、まるで本物のスナイパーです。静かにターゲットを待つ息子さんの姿を、大福プリンさんはTwitterに投稿。15万件以上の『いいね』と、「かわいすぎる」「映画を見てみたくなった」との声や、テレビゲーム『メタルギアソリッド』に登場する「スネークに似ている!」というコメントまで集まりました。息子さんが何を狙っていたかはわかりませんが、人々のハートは見事に撃ち抜いたようですね![文・構成/grape編集部]
2021年04月20日2020年米アカデミー賞®で国際長編映画賞ショートリスト選出、さらにハンガリーアカデミー賞4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)受賞ほか各映画祭で話題となった映画『この世界に残されて』が、PIA LIVE STREAMにて期間限定配信されることが決定した。第二次世界大戦後のハンガリー。ナチス・ドイツによるホロコーストを生き延びた16歳の少女と、42歳の寡黙な医師アルド。家族を喪い癒えることのない心の傷を抱えた二人が、痛みを分かち合いながら再び人生と向き合う姿を、節度をもって叙情的に描く名作。少女クララを演じたのは、これが映画初主演となるアビゲール・セーケ。16歳にして家族を失ったクララの悲しみや怒り、諦念をリアルに表現し、「アルドの心の翳りに寄り添い続ける彼女の演技は感動的」(バラエティ誌)「心に傷を負った思春期の少女を演じるセーケが素晴らしい」(ハリウッド・レポーター誌)と高く評される名演を披露した。ハンガリーを代表する名優カーロイ・ハイデュクが、クララを支え無償の愛を注ぐアルドに扮し、ふとした仕草やまなざしに思いやりを感じさせる繊細な演技で、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞した。これまでおもに短編映画を手がけ高い評価を受けてきたバルナバ―シュ・トートが監督を務め、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『心と体と』のモーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけ、孤独な男女の心の結びつきを丁寧に描く名作をふたたび世に送り出した。【ストーリー】ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、ある日寡黙な医師アルドと出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ欠落を感じ取ったクララは父を慕うようにアルドになつき、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、ソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱き、やがて二人の関係も時の流れとともに移り変わってゆく―。配信は4月23日(金)から5月6日(木)まで、PIA LIVE STREAMにて。チケット発売中。
2021年04月20日オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は『ワン・モア・ライフ!』です。笑いと涙の人生ゲームよ!人が死ぬ直前って、よく「それまでの人生が走馬灯のように」とか「先に亡くなった家族の姿が見える」とか、世界中で似たようなことがいろいろ語られているわよね。でも、実際のところ、そんなドラマティックなことってあるの!?って思っていたあたし。『ワン・モア・ライフ!』で描かれる死の直前の描写を観たら「これだ!」と思っちゃった。イタリアのシチリア島の港で技師として働くパオロは、普段から健康に気をつけ、妻子はいるものの恋人との火遊びもし、人生を身勝手にエンジョイしているオッサン。そんな彼が、スクーターでの仕事帰りに事故にあってあっけなくポックリ逝っちゃうの。そのとき、彼が考えたのは妻子のことでも天国の親族のことでもなく、自分のこと。事故の直前に、タクシーの客待ち車列に文句をつけたり、恋人から言われた一言のことや、まじで身勝手。そんな彼は死んだ人が通らないといけない天国の窓口へ。そこでは彼と同じように自分の予想とは違ったタイミングで死んだことにイチャモンをつける人がわんさかいるの。寿命の短さに納得いかない彼は、天国の役人に食ってかかり、「いったいいくらスムージーに金かけたと思ってんだ!」とクレームをつけるのよ。すると、なんと天国の寿命計算に前代未聞のミスが発覚。彼の寿命はもうちょっとあったの!でも、それはたったの92分間。そこで特別措置として、彼はタイムリミットつきで現世に戻されることに……。冒頭、このオッサンの身勝手さには共感できないものの、死んだときに考えることには見事にズキュン。いや、もし寿命がわかっているなら、メランコリックに人生の終わりを感じられると思うんだけど、実際のとこ人っていつ人生を終えるかなんてわからないじゃない。きっとあたしが死に直面したら、「植木の水やりしてなかったわ」とか、深いことを考える間もなく現世とオサラバということになると思ったのよね。その点だけはガチ共感よ。だってあたし、養う家族もいないし、独身ゲイだし、パオロほどじゃないけど、正直、超身勝手な人生歩んでるんだも~ん。冒頭こそハチャメチャコメディなんだけど、ここから先の物語はかなりエモい!寿命がわかった上で現世に戻されたパオロがまずすることは、それまでなおざりにしてきた家族との時間を過ごすこと。ただし、ここでパオロの思うようにはいかないってのがいいのよね。だって、それまでの彼って、家庭をかえりみずに、誘惑にまかせて遊びまくってたんだもの。そりゃ家族からは見放されてるわよ。しかも、子どもは思春期真っ盛りで、そんなパパはなつかれるどころか、キモがられる始末。やっぱり身勝手に生きるにしても、自己完結している身勝手はアリとしても、誰かを巻き込んじゃダメってことよね。だって、パオロは周囲の人にも遊びグセを知られていて、止められているのにやめなかったんだもの。自業自得だわよね。パオロに共感して、とはとても言えないけど、彼が生前にとっていた行動の愚かさが、周りの人や家族にどういう影響を与えるかってことは、この作品から教訓として学べるはずよ。さ、人生ゲームやりましょかね……(劇中にも出てくるわよ)。『ワン・モア・ライフ!』監督・脚本/ダニエーレ・ルケッティ出演/ピエールフランチェスコ・ディリベルト、トニー・エドゥアルト、レナート・カルペンティエーリほか3月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国ロードショー。©Copyright 2019 I.B.C. Movie※『anan』2021年3月17日号より。文・よしひろまさみち(オネエ系映画ライター)(by anan編集部)
2021年03月16日2021年3月8日に公開されたアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。1995〜1996年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を再構築した、映画シリーズの最新作であり、完結編となっています。サンケイスポーツによると、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は公開初日に、興行収入が8億円を突破。テレビアニメ版は、多くの伏線が回収されないまま本編が終了したとあって、多くのファンから注目を集めているようです。上映前の雰囲気が…?玉倉かひな(@suo714)さんも、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を見に行った1人。映画が上映される前に感じたことを漫画に描き、Twitterに投稿しました。シンエヴァ上映前の雰囲気こんなだった(ネタバレなし)。 pic.twitter.com/2gv9Tlio28 — 玉倉かひな (@suo714) March 10, 2021 上映前の館内にただよう、異様な空気を感じ取った玉倉さん。「完結した」とはいい難いテレビアニメの放送が20年以上も前とあって、映画館に来た人はみんな、並々ならぬ思いで座席に座っていたのでしょう。どのように完結するのかという、人々の期待や緊張感がひしひしと伝わってきます…!投稿には8万件以上の『いいね』と、「まさにこんな雰囲気」「また見に行きたくなった」「確かにほかの映画とは違う空間だったなあ」など、共感のコメントが相次ぎました。映画を見終わった人たちがどんな表情で館内を後にしたのか、気になりますね![文・構成/grape編集部]
2021年03月15日2021年3月8日、タレントの佐々木希さんがInstagramを更新。日本の有名アニメ制作会社である『スタジオジブリ』が手掛けた作品に登場する、あるキャラクターにハマっていることを明かしました。佐々木希「親子そろって…」2018年9月に男の子を出産していることで知られる、佐々木さん。最近、2歳になる息子さんと、友人に勧められたというアニメ映画『風の谷のナウシカ』を鑑賞したといいます。作中に登場したキャラクターの中で、「親子そろってハマっている」と明かしたのは…。 この投稿をInstagramで見る 佐々木希(@nozomisasaki_official)がシェアした投稿 なんと、巨大な虫に似た生き物である『王蟲(オーム)』だったのです!佐々木さんは、激昂状態の赤い目の王蟲と、通常時の王蟲のフィギュアが写る写真とともに、映画の感想を次のようにつづっています。親子揃って王蟲にハマり中。友人がきっかけでまた風の谷のナウシカを鑑賞したのだけど、大人になってから見るジブリがとても良い。環境問題を考えさせられたり生き物を大切にしたいと改めて思う。特にナウシカとラピュタは何度見てもいいですねぇ。nozomisasaki_officialーより引用作品を通して、生き物の大切さや環境問題について考えさせられたという、佐々木さん。子供の頃には気付けなかった、作品に込められたさまざまなメッセージを受け取ることができたのでしょう。投稿には「ジブリの作品は家族で見ても楽しいですよね」「年齢で見方が変わるんだよなあ」といった共感の声や、「これ欲しい!」「どこで売ってるんだろう」など、王蟲のフィギュアにも注目が集まっていました。映画を通して親子の絆を深める佐々木さんに、多くの人が心を和ませたようです![文・構成/grape編集部]
2021年03月08日2021年3月3日、俳優の大竹しのぶさんが自身のInstagramを更新。お笑いタレントで元夫の、明石家さんまさんがプロデュースするアニメ映画『漁港の肉子ちゃん』に、主人公・肉子ちゃんの声優として出演することを報告しました。 この投稿をInstagramで見る 大竹しのぶ(@shinobu717_official)がシェアした投稿 『漁港の肉子ちゃん』は、西加奈子さんの小説が原作。漁港の船に住む、肉子ちゃんとキクコが紡ぐ、感動のハートフルコメディなのだとか。YouTubeには、『漁港の肉子ちゃん』の本編映像も解禁され、大竹さんが演じる肉子ちゃんを見ることができます!その動画がこちら。大竹さんは、主人公である、肉子ちゃんを演じることについて、このように想いをつづりました。今度さんまさんがプロデューサーの映画に声で出演する事になりました。今日はその顔合わせ。知り合ってから30年以上が経ち、色んな事があり、それでもこうしてお互いに仕事ができるというのは、幸せな事だなと思います。彼が人生において一番望んでいるのは、「笑う事」「人が優しい気持ちになる事」です。そんな映画になるよう、頑張りますshinobu717_officialーより引用また『漁船の肉子ちゃん』をプロデュースするさんまさんは、主人公の声に大竹さんを抜擢したことについてこのように語っています。共同プロデューサーたちが大竹しのぶさんを肉子ちゃん役で推薦してきたので、それならオファーしてみてくださいと。そしたら大竹さんから「どうしても私に演ってほしいって言ったんでしょ」と言われたけど、それは言ってない(笑)。仕事としてお願いするからには正式なルートで依頼してねと伝えたんです。渡辺監督も肉子ちゃんと大竹さんがパチンときたとおしゃっていて、肉子ちゃん役が一番最初に決まった。今回オファーを受けてくれてありがたい。頼りにしております。漁港の肉子ちゃんーより引用2人のコメントから、互いに信頼し合っていることが伝わってきて、心が温まりますね。大竹さんが『漁港の肉子ちゃん』の主人公に選ばれたことについての報告に、ファンからはさまざまな声が上がりました。・2人のツーショットが見れるなんて。いい笑顔でとても優しい気持ちになりました!・離婚した後、こうやっていい関係を築ける人たちってなかなかいないですよね。本当に素敵だと思います。映画、絶対に見ます!・なんて素敵な写真なんだろう。ちょっと涙ぐみました。・明石家さんがやりたかった夢を叶えようと奮闘し、それを理解している大竹さん。絶対に素敵な作品になるだろうな。とても楽しみです!『漁港の肉子ちゃん』は2021年6月11日公開予定。明石家さんの熱い想いがこもった作品の公開が待ち遠しいですね![文・構成/grape編集部]
2021年03月04日新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、多くの企業が経済的にダメージを受けています。映画館も、コロナ禍でダメージを受けた施設の1つ。シアターの販売座席数を減らしたり、場合によっては飲食物の持ち込みを禁止したりといった感染対策は、売り上げに響いていることでしょう。飲食物の売り上げは、映画館にとって大切な収入源です。また、利用客が減ったことや感染対策によって、飲食物のフードロスも発生してしまうはず。イオンシネマズ株式会社の運営する映画館『イオンシネマ』が始めた、斬新な取り組みが話題になっています。イオンシネマが『ポップコーン&ドリンク食べ放題』を開催2021年2月22日、イオンシネマは同月28日まで開催予定の、緊急キャンペーンを告知。なんと、全国のイオンシネマでポップコーンとソフトドリンクが食べ放題(飲み放題)になるとのこと!【急遽、本日から2/28(日)まで開催】全国のイオンシネマ飲食売店にて、ホップコーンMサイズ(塩・バターしょうゆ) +ソフトドリンクMサイズホットドリンクSサイズ☕が600円で食べ飲み放題❗つづく pic.twitter.com/Vm6dOGkJOf — イオンシネマ【公式】 (@AEON_CINEMA) February 22, 2021 レジでレシートを提示することで、600円でポップコーンのMサイズ(塩味、バターしょうゆ味)と、ソフトドリンクのMサイズ、ホットドリンクのSサイズが何度もおかわりできる、映画館とは思えないキャンペーン。イオンシネマは同年1月29日にも、2500円で1日中映画を観ることができる『ワンデーフリーパスポート』を発表し、斬新なキャンペーンに反響が上がりました。『ワンデーフリーパスポート』を持っている場合、300円でポップコーンMサイズの食べ放題を追加可能とのことです。「正気か…?」『イオンシネマ』の取り組みに驚きの声!この食べ&飲み放題キャンペーンは映画を観なくても利用できるため、映画館のロビーで満足いくまでポップコーンを食べ続ける楽しみ方もできそうです。前回に続き、またもやネットで正気を疑われているイオンシネマ。Twitterでは「そりゃあ、正気かどうかを疑われますよね」とコメントしています。1週間限定のレアなキャンペーンなので、映画館を支援したい人や、ポップコーンが大好きな人は要チェックです!grapeでは、コロナ禍における企業や人々の奮闘を紹介する記事を、特集という形でまとめています。よろしければご覧ください。grape『日本がんばれ応援団』特集[文・構成/grape編集部]
2021年02月22日2021年2月11日、東京都港区にある『TOHOシネマズ六本木ヒルズ』で行われた、映画『ファーストラヴ』の初日舞台挨拶に、俳優の北川景子さんや木村佳乃さんら出演者が出席。そこで、映画のタイトル『ファーストラヴ』にちなんで「愛を感じたことは?」という質問が投げかけられました。サンケイスポーツによると、北川さんは質問に対し、「佳乃さんから電話がありまして、『景子ちゃん大丈夫?疲れてない?』と聞かれて。声が優しくて涙が出ました」と回答しています。木村さんは、電話で北川さんを気遣った理由についてこのように語りました。北川は昨年9月に夫で歌手、DAIGO(42)との間に第1子となる長女の誕生を発表。木村は電話の理由について「恥ずかしい。私、野太い声なのに…」と照れながら「(北川の)お子さんはまだ小さいですし、大変だろうな思って」と子育てと仕事を両立する北川を気遣っていた。サンケイスポーツーより引用木村さんは2人の子供を育てる母親でもあります。俳優であり母親である木村さんは、北川さんの大変さを誰よりも理解できるのかもしれません。このエピソードに、ネット上ではさまざまな声が上がりました。・子育てしながら映画の主演もこなして、北川さんの大変さはものすごいだろうな。・木村さんのように、北川さんの気持ちを理解してくれる先輩がいてよかった。・舞台挨拶、とても素敵でした。北川さんと木村さんが本当に仲がよさそうで癒されました。映画もとても面白かったです!大変な状況に置かれたとき、似た境遇を経験した先輩がそばにいてくれると、心強いものですね。[文・構成/grape編集部]
2021年02月12日2021年1月29日から、イオンシネマズ株式会社が運営する映画館『イオンシネマ』が驚きの取り組みを始めました。その取り組みというのが、『ワンデーフリーパスポート』。税込み2500円の『ワンデーフリーパスポート』を購入すれば、劇場オープンから最終上映時間まで映画が観放題なのだそうです!『こんな時だからこそ、沢山の映画に触れてほしい。』この想いは至って本気です(^^) #ワンデーフリーパスポート 販売中。1枚2500円で上映中の映画が #1日観放題 (※一部除外作品、別途料金が必要な作品有) 詳しくは▶️ pic.twitter.com/vhyDqRantK — イオンシネマ【公式】 (@AEON_CINEMA) January 31, 2021 さらに、このチケットを飲食売店で提示すると、対象のソフトドリンクが飲み放題なのだとか。『イオンシネマ』の太っ腹すぎる取り組みに対し、ネットからは驚きの声が上がっています。・『イオンシネマ』、正気か…?・最高じゃん!でも、売り上げは大丈夫なの?正気を失ってしまったの…?・これはありがたい!感染対策を万全にして、行きまーす!ネットから上がった数々の「正気か…?」という声に対し、『イオンシネマ』は「いたって正気でございます」とコメント。【念のため再度ご報告】各方面から正気を疑われておりますが、至って”正気”でございます。ご心配をおかけしております。お近くにイオンシネマがある皆さまはぜひ、『ワンデーフリーパスポート』 で、一日中イオンシネマにお住まいくださいませ。@AEON_CINEMAーより引用また、『イオンシネマ』は映画館を利用する際、新型コロナウイルス感染症の感染対策について動画で協力を呼び掛けています。おはようございます昨日は沢山の方がTwitter上でイオンシネマを取り上げてくださったようで…ありがとうございますイオンシネマは今日も座席の間隔空け販売やスタッフ体調管理など、新型コロナウイルス感染症対策を行い営業しております。ぜひお近くのイオンシネマへお越しください(^^) pic.twitter.com/rJ2KGtZj1Z — イオンシネマ【公式】 (@AEON_CINEMA) January 31, 2021 『ワンデーフリーパスポート』は同年3月4日までの期間限定での実施されるようです。感染対策を万全に行った上で、映画に没頭する1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2021年01月31日