10月11日(金)より公開となる是枝裕和監督最新作『真実』が、開催中の第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に選出。この度、主演のカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル、そして是枝監督が記者会見とフォトコールに参加した。本作は、ドヌーヴ演じる大女優ファビエンヌが出した自伝本をきっかけに、彼女と娘(ビノシュ)の間に隠された、ある“真実”を巡る物語を映し出すもの。そのほか、イーサン・ホークやサニエら豪華な面々がキャストに名を連ねている。レースがあしらわれた優雅なプラダのドレスでドヌーヴが登場し、赤を基調としたグッチのジャケットスタイルでスタイリッシュにビノシュも登場。さらに、プラダのシャツスタイルで爽やかな装いのクラヴェル、ミュウミュウの白いブラウスで登場したサニエ、キラキラと光沢感のあるグリーンのディオールのドレスに身を包んだグルニエ、そして、是枝監督が記者会見場に登場した。会見場は報道陣で満員となっており、豪華な面々が現れるなり、マスコミ陣からは歓声と拍手が上がった。会見で、まず映画の制作、出演のきっかけ等の質問が挙がると、「まずはこの素晴らしいキャストとともに作り上げた本作をオープニング作品に選んでいただいたヴェネチア国際映画祭の方々に、この場で感謝したいと思います」と是枝監督。続けて「元々は、楽屋のシーンだけで出来上がる舞台を考えていました。しかし、実際に映画が動き出したのは、ジュリエット・ビノシュさんから一緒に映画を作る冒険をしないかと、2011年に提案をいただいたことがきっかけです。その時点では、日本で撮るのか、フランスで撮るのかといった確たる目標があったわけではないのですが、ふと、あの話をフランスで撮ってみようかと思いつきました。戯曲の主人公は、その国の映画史を代表する女優だったので、もしかすると、そのような女優さんを撮るチャンスが生まれるのではと思ったんです。そこで、大幅に戯曲を書き直して、母と娘の話に仕上げました。脚本が完全に固まる前の段階で、何度もおふたりにお会いして、インタビューをさせていただき、女優という人生を送られている方の生の言葉を、どのように脚本に落としていくかという作業を、継続的な信頼関係のなかで、数年に渡って行っていきました。その結実したものがこの『真実』です」と述べた。主演のドヌーヴは「是枝監督が言ったように、脚本の初稿を読んだ後で会いました。それからパリ、そしてカンヌで会って、日本でも会いました。こんなことが1年以上続きました。面会や本読み、コメントを通して、彼が言ったように、作られていったのです。是枝は映画の中で演じる人物を少しずつ私たちに近づけることを考えていました。私の場合、映画に出演する時は、人物を演じるにしても、自分というものを作品に投入します。特に今回は、関係が複雑なのは分かっていました。是枝は英語もフランス語も話さないので、いつも通訳を挟んでの会話です。それも悪いことではありません。大事なことを話すように促されるからです」と語る。ビノシュは「是枝監督と仕事をすることは数年前からの夢でした。是枝は2011年と言ったかと思いますが、私はもっと前からだと思います……。京都で一緒になりました。特別な機会でした。本当に夢のようでした。是枝監督の映画に出ることは、役者が監督に対して抱く夢を実現することです。さらにカトリーヌとの共演も夢のようです。『ロバと王女』は私が子供の頃大好きな映画でした。彼女と共演できたことは光栄で夢のようです。だからこの映画は私にとって夢の実現なのです。それに未来の頼もしい才能に出会うこともできました。私にとってとても鮮烈で、貴重な経験でした」と続けた。出演のきっかけを問われたサニエは、「最初に言いたいのは、私もかなり前から是枝監督を知っているので、彼の映画に出ることは夢の実現でした。ジュリエットほど昔ではありませんが、5~6年前に是枝監督に会いました。女優の役に私を考えてくれていたことに、驚きました。カトリーヌと同じように、私もこの女優と自分とが似ているとは思いませんが、演じるのは楽しいものでした。本物らしさを追求したからです。とても軽くて無邪気に見える人物ですが、何と言うか、問題を抱えています。楽しかった。それにコメディーも追求しました。この人物において、コメディーの喜びは、本物で具体的でした。私とは最も離れたところにいる人物を演じたいという欲求もありました」と語る。そしてクラヴェルは「第一に、私にとって初めての長編映画で、人生において最も美しく偉大な経験でした。それまでの経験はとても小さなものでした。今回の人物を演じるにあたっては、キャスティングから撮影までの間、さらに撮影中においても、常に話し合いを行いました。この人物を創作するための、真の会話でした。私の場合、この人物は、私に近いところがあります。是枝監督と一緒に作り上げたのです。これは本当に面白い経験でした。私から出発し、ある種の方向性を推し進め、神経症的な要素を加え、それを引き延ばし、ある種の夢や恐怖を加える。こうして私が演じる人物が出来上がりました」と役の成り立ちについても想いを述べた。子役への演出に定評のある是枝監督は、グルニエの立ち位置と演出について「オーディションで会ったとき、とても自由奔放で、彼女なら、おばあちゃん(ファビエンヌ役)の性格が隔世遺伝で孫に伝わっているという設定にできるなと思いました。そこで彼女に合わせて、キャラクターを書き直しました。日本での撮影と同じように、事前に台本を渡さずに、おばあちゃんの家に遊びに行く話だよと言うことだけ伝えて、あとは現場では通訳を介して、「おばあちゃんにこういってごらん」「ママのいったことを繰り返してごらん」と、口伝えで台詞を渡すというやり方で全編撮影しました。彼女の存在が大人たちのお芝居にもいい風を吹かせてくれたなと思っています。そして、ここに並んでくださった女性キャスト陣のアンサンブルの一角をちゃんと担ってくれたなと思っています」と語る。とうのグルニエは、是枝監督の映画に出演してみて「撮影した時、最初は言われたことがよく分からなかったけど、途中から何を求められているか分かってきました。どこに立って、何を言えばいいかも。最初は、どこで何を言えばいいか、間違ってばかりだけど、途中から成長して、うまくなりました」と感想を述べた。是枝監督がファンからのサインの要望に快く応える姿も見受けられ、フォトコールでもたくさんのメディアが集まり、「是枝!」「カトリーヌ!」「ジュリエット!」と歓声が止まらず、昨年『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞し、今や世界中で注目を集める是枝監督の最新作である本作への注目度の高さが感じられるものとなった。■第76回ヴェネチア国際映画祭概要・正式名称:第76回ヴェネチア国際映画祭・開催期間:現地時間/8月28日(水)~9月7日(土)・実施場所:イタリア ヴェネチア リド島『真実』10月11日(金)より全国公開
2019年08月29日主演・横浜流星、飯豊まりえ共演でシリーズ累計100万部の青春ファンタジー小説を映画化した『いなくなれ、群青』。本作の監督をつとめたのは、『万引き家族』など様々な作品のエキストラとして参加しながら、映画の撮影を学んだという柳明菜監督。日本映画界に現れた、この“期待の新鋭”に迫った。謎だらけの階段島を舞台にした唯一無二の世界観と、心に深くくさびを打つような美しい文章で、広く熱く愛されている河野裕の小説「いなくなれ、群青」。「不幸じゃなければ、幸福だと言い張ることだってできる」と考える悲観的な主人公の七草を横浜さん。彼の幼なじみで「真っ直ぐで、正しく、凛々しい」真辺由宇を体現するのは飯豊さん。そのほか、黒羽麻璃央、矢作穂香、松岡広大、松本妃代、中村里帆ら、数々の舞台、映画などで注目を集める若手俳優たちが集結し幻想的な世界観を表現している。そんな原作の空気感を大切にし、その世界を見事に再現したのは、本作が初の長編デビュー作となる柳明菜監督だ。アメリカの高校に留学した際に履修した選択授業で製作した作品が、「バッカイフィルムフェスティバル」のオハイオ州優秀賞を受賞。大学進学後も映画『有限会社ひきもどし』(畑泰介監督)の撮影監督を経験し、大学の卒業発表作品として製作した映画『今日という日が最後なら、』は現実の世界と連動したクロスオーバーフィクションという手法を用いたことで注目を浴びた。同作は日本だけではなく海外の映画祭でも上映されるほど評判を集め、東京と名古屋の劇場でも上映されている。そんな柳監督が、“映画製作のいろは”を学んだのは専門的な学校ではなく、自らの足で赴き続けた現場であるという。これまでに映画『人間失格』(’10)の荒戸源次郎監督に師事し、その後、荒戸監督が亡くなるまで映画製作の多くを学んできた。さらに、柳監督にとって多くの知識と経験を得る場となったのが映画のエキストラで、これまでに生の現場を見たいという一心で園子温監督や是枝裕和監督など現在の日本映画を牽引する巨匠たちの現場にエキストラとして入り、現場のスタッフの動きや監督の撮影方法を学んだという。是枝監督『万引き家族』には我が子と一緒にエキストラとして参加していたとか。そのように経験を積んできた柳監督は本作の製作過程について、「舞台のプロジェクションマッピングのディレクターをやった時に本作のプロデューサーと出会い、その時にプロデューサーと『いなくなれ、群青』の映画化の話しになり、この原作を映画化するなら、世界観や空気感がとても大切だと思い、まずパイロット版(サンプル映像)を作りました」と打ち明ける。「本格的に動き出す際には、その映像を元に、プロデューサーと細かく話し合いながら繊細なストーリー、キャラクターを膨らませていきました」と、本作の監督を臨んだことを話す。そんな熱い気持ちを持った監督にはキャストからの信頼も厚く、横浜さんや松岡さんは「俳優の感情を優先してくれる監督」と語り、自分たちが演技のしやすい環境を監督が作ってくれていたとコメントしている。『いなくなれ、群青』は9月6日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:いなくなれ、群青 2019年9月6日より全国にて公開©河野裕/新潮社© 2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会
2019年08月25日昨年9月15日、樹木希林さんが惜しまれつつ天国へと旅立ってからまもなく1年。この度、一周忌を間近に控えた9月10日(火)に樹木さんを偲ぶ特別番組「樹木希林さん特別番組 ~おもしろうて、やがて不思議の、樹木希林~」(仮)を放送することが決定した。様々な作品で名演技を見せた唯一無二の存在樹木さん。病におかされながらも、亡くなる直前まで女優として輝き続けた。番組では、生前に樹木さんと親交のあった俳優、芸能人、友人などにインタビュー。その証言と貴重映像を通し、改めて様々な角度から樹木さんに光を当て、彼女の実像、その生き方、謎、人生に迫る。今回樹木さんについて語るのは、黒柳徹子、是枝裕和監督、リリー・フランキー、阿部寛、YOU、岸本加世子など錚々たる顔ぶれ。さらに、娘・内田也哉子にインタビューも。ひとりの人間として、女優として、妻として、母として、希林さんがどんな思いを胸に生きてきたのか。また、病との独特の向き合い方やユニークな死生観までをも、証言者のインタビューや貴重映像を見ながらにぎやかに語らう。そして、母・樹木希林を娘・也哉子さんが改めて確かめたとき、見えてきたのは樹木さんが唯一“やり残したこと”だった――!?そして、樹木さんの生涯を紐解いていくのは、落語家・立川志の輔。樹木さんとは面識はなかったが、常に気になる存在だったという志の輔さんが司会を務める。「樹木希林さん特別番組 ~おもしろうて、やがて不思議の、樹木希林~」(仮)は9月10日(火)19時~テレビ朝日にて放送。(cinemacafe.net)
2019年08月23日是枝裕和監督長編14作目となる、母と娘の愛憎渦巻くドラマを描いた最新作『真実』より、待望の特報映像が公開された。様々な家族の形を描いてきた是枝監督が、新しい家族の形を映し出す『真実』。国民的大女優のファビエンヌが、「真実」というタイトルの自伝本を発表したことから、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く”真実”が炙り出されていく物語。到着した特報映像では、カトリーヌ・ドヌーヴ演じる大女優ファビエンヌが暮らす大きな家の庭に、大きな荷物を抱えて歩くファビエンヌの娘リュミール(ジュリエット・ビノシュ)と、夫ハンク(イーサン・ホーク)、そして、本作のために是枝監督がフランスで自ら見出した孫娘のクレマンティーヌ・グルニエと、幸せそうな若い家族が映し出される。自身の自伝本「真実」の出版祝いのため、久々の娘家族との再会にファビエンヌもは喜ぶ様子を見せるが、一転、自伝本の内容を巡り、「あれは事故よ」「ママを許さない 絶対に」と母と娘のやり取りが始まる。そして物語は、母と娘の嘘と真実が徐々に明らかになっていく。映像ラストには「ママ、あなたの人生嘘だらけね」という本作のキャッチコピーが登場。ナレーションの声も相まって、重厚感溢れる特報となっている。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年08月16日2018年のカンヌ国際映画祭で日本映画21年ぶりの快挙となる最高賞“パルムドール”を受賞した、『万引き家族』の是枝裕和監督最新作『真実』から、ポスタービジュアルが解禁となった。是枝監督が初めて国際共同製作に挑戦する本作。本年度のヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品&オープニング作品に決定し、日本のみならず世界中からますます注目を集めている。今回解禁となったのは、自伝本を出版した母を祝福するように、娘家族が笑顔で寄り添う姿を捉えたポスタービジュアル。中央に置かれたソファに座るカトリーヌ・ドヌーヴ演じるファビエンヌの隣には娘役のジュリエット・ビノシュが腰かけ、その後ろに夫役のイーサン・ホーク、そしてソファの肘掛けには孫娘役のクレマンティーヌ・グルニエが座っている。一見、仲睦まじい家族写真だが、中心には「ママ、あなたの人生、嘘だらけね」というタイトルとは対照的で不穏なコピーが添えられ、家族の間に秘めらた“嘘”や“秘密”が好奇心を掻き立てる。また、世界を代表する豪華キャストが一堂に会しながらも、その絶妙な距離感や表情からは、是枝監督ならではのリアルな家族の姿が垣間見える1枚となっている。これまで、『そして父になる』では“父と息子”、『海街diary』では“四姉妹”、『万引き家族』では“血の繋がらない一家”と、様々な家族の形を描いてきた是枝監督が創り上げるカトリーヌとジュリエットの新たな母娘像からも目が離せない。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年08月08日2020年春に刷新される新パスポートや2024年度から使用される千円札のデザインに採用されるなど、いまなお愛され続ける世界的アーティスト・葛飾北斎を、柳楽優弥と田中泯がW主演で演じる映画『HOKUSAI』が2020年初夏に公開されることが決定した。常識にとらわれず、“自由”を求め走り続けた北斎の誰も知らない物語平均寿命が40歳と言われた江戸時代に、享年91歳という長寿人生を送り、72歳にして代表作となる「富嶽三十六景」を描き、生涯を通して描き残した作品は3万点以上といわれる葛飾北斎。だが、彼の“人生”に関しては残っている資料は少なく、ゆえに様々な逸話が生まれ、これまでしっかりと描かれたことはなかった。本作は構想約3年、数少ない史実をもとに独自の視点と解釈によって生まれた新たな物語。青年期の北斎を目覚めさせた稀代の版元・蔦屋重三郎と、老年期の北斎のパートナーとなる人気戯作者・柳亭種彦。この2人とのエピソードを軸に“人間・北斎”と、彼が描いた“3つの波の秘密”が生まれるに至った物語を描く。監督は『探偵はBARにいる』シリーズ、『相棒』シリーズの橋本一がつとめる。W主演の柳楽優弥&田中泯ら世界で活躍する主役級の超豪華キャストが集結!その才能は認められながらも、売れない絵師として葛藤の中で筆をとり続けた青年期の北斎を演じるのは、是枝裕和監督作『誰も知らない』で映画初出演にして第57回カンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を日本人初、史上最年少で受賞した柳楽優弥。芸術家としての情熱を失うことなく、孤独に自らの画才を磨き続けた老年期の北斎を、ルーブル美術館で海外デビューを果たすなど、俳優としてだけでなく舞踊家として世界を舞台に活躍する田中泯がそれぞれ演じる。さらに、青年期の北斎を見出した名プロデューサー・蔦屋重三郎には阿部寛、老年期の北斎とパートナーを組む人気戯作者・柳亭種彦を瑛太、青年期の北斎がライバル意識を向ける美人画の大家・喜多川歌麿を玉木宏と、全員主役級の超豪華キャストが集結。文字通り日本を代表する実力派俳優たちが紡ぎあげる、知られざる北斎の物語を世界に届ける。来年は北斎生誕260周年!<HOKUSAI2020プロジェクト>始動パリ中心部のフランス国立グランパレ美術館で2014年に開催された過去最大規模の「北斎展」では約36万人の総入場者を記録、2017年にロンドンの大英博物館で行われた「北斎展」では、英デイリーメールやオブザーバー紙が5つ星評価をつけ、前売り券が完売、連日当日券を求めて長蛇の列が発生するなど、日本国外でも愛される葛飾北斎。そして本作が公開するのは、北斎生誕260周年となる2020年。知られざる北斎の人生を伝えるべく、海外映画祭への参加や海外配給を視野に入れた全世界同時プロモーションを展開していくという。柳楽優弥「世界中にいる熱狂的なファンの方達にも観て頂きたい」僕が演じさせていただいた若い頃の北斎は、あまり情報もなく、謎に包まれていたので、初めはどの様に演じるべきかとても迷いました。様々な資料を読んだり、監督と相談していく中で、逆に知られていないからこそ、僕たちで「北斎像」を作り上げていこうと現場に臨ませていただけたことは、とても楽しくやりがいを感じました。絵を描くことが本当に好きで、数々の壁にぶち当たりながらも徹底的に追求する「好きこそものの上手なれ」ということわざを体現したような世界的スターである北斎さえも、売れない時期や苦しい時代があったということを知れて嬉しかったですし、夢を感じました。世界中にいる北斎の熱狂的なファンの方達にもぜひ観て頂きたいです。田中泯「とんでもないタイミングでこの様なお話が来た」葛飾北斎はもともと大好きでしたが、役の年頃が、ちょうど今私自身が差し掛かっている年齢でもあり、とんでもないタイミングでこの様なお話が来たな、とご縁を感じました。大勢の人の前で北斎になることができる、というチャンスをいただけたことは本当に幸せなことだと思います。おそらく僕が日常的にやろうとしてもたどり着かない“ある高み”へ引っ張り上げてもらえる、架空からまるで現実の時間のように変わっていく、起こらないことを起こしていくということが、この映画の持つ力なのだと思います。僕は、彼のような才能をこれっぽっちも持っていない人間ですが、ある種の世の中に対する、耐えられないものをずっと持ち続けて生きていることにはすごく共感しました。映画に出てくる北斎のいくつもの重要な言葉がわかると、彼が、単に絵だけで評価されているわけではないということがわかると思います。阿部寛「生き様をぜひ見てほしい」僕は、若き日の葛飾北斎を見つけ、才能を見抜きそして育てた、蔦屋重三郎という役をやらせて頂きました。今でいうプロデューサーであり、北斎や歌麿、写楽など様々な才能を集めて、自身の手で育てていくという先見の明を持ち、絶えず新しいことを作り出していった人物です。おもしろい役でした。果たしてこの人物をどうやって演じようかと、色々と調べましたが、最終的には、現場で実際に柳楽くんたちと対峙することによって作っていきました。北斎を演じた柳楽くんは、動物的というか反射神経というか、彼ならではのお芝居で、“思いのほか柔らかく、思いのほか強く”こういう感じで来るだろうという予測を大体外してきたので、一緒にやっていて楽しかったです。それぞれの絵師たちの生き様、そして僕の演じた蔦屋重三郎の生き様をぜひ見てほしいと思います。瑛太「柳楽優弥くんの葛飾北斎も心から楽しみ」時代背景問わず、今の日本でも芸術的な事に身を置く人間として何を覚悟して人前に立つのか、田中泯さん演じる、葛飾北斎から教わりました。共演は出来ませんでしたが、柳楽優弥くんの葛飾北斎も心から楽しみにしています。玉木宏「僕らの仕事とも通ずるものがある」喜多川歌麿という人物を、絵師ということを大前提にしながらも、ちょっとしたエロティシズムというか、どこかちょっと危うい感じになればと思い、いかにキャラクターのインパクトや作品のメッセージを残すか考え、演じさせていただきました。絵師たちと蔦屋重三郎との関係は、僕らの仕事とも通ずるものがあるように思います。プロデューサー的な存在が蔦屋重三郎で、僕らはアーティスト。皆それぞれに新しい芽が出てくるとそこに対して嫉妬心が生まれたり、プライドや孤独を感じながら自分と向き合っていく。それは現代にも通ずる、この作品の面白さであると思います。登場する浮世絵やセットも色彩豊かで、心に残る、心に響く、日本ならではの作品になっていると思います。橋本一監督「当代一級の出演者陣のチカラを借りての、精一杯の人間絵」葛飾北斎、という人物を、どう描く。後世に残された作品を見て観て診て魅て、想像逞しく9割創造1割事実、なれど10割真実を目指し、撮影開始。彼岸の北斎先生、如何なる思いかは、知る由も術もなく。梅雨の京都、1ヶ月半の撮影中、一度たりとも夢枕に立たざりしは、呆れての無視ではなく、好きにおやりよ、と言う励ましと勝手に解釈、当代一級の出演者陣のチカラを借りての、精一杯の人間絵巻。出来上がるのは、青春活劇か、江戸群像劇か、性と暴力の寓話か、老と妄想の夢幻劇か。そのいずれもが正体にして正体にあらずの摩訶不思議な作品に仕上がれば、齢五十の未熟者の本望。ご期待あれ!『HOKUSAI』は2020年初夏、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年08月07日俳優やタレントたちが旅人=アートトラベラーとなり、美術や建築の秘密やそれを生み出したアーティストの人生に迫っていく「新美の巨人たち」。8月3日(土)放送回では、俳優の井浦新がアニメーション監督・高畑勲の遺作『かぐや姫の物語』に迫っていく。本番組は「美術鑑賞は本来自由なもののはず」という考えのもと、旅人=アートトラベラーが毎回作品が展示されている美術館や建築物、ゆかりがある場所などへ足を運んで、作品の秘密やアーティストの人生に迫ることで、より豊かな美術鑑賞の旅に視聴者を誘い、アートトラベラーたち独自の見方・見え方にも注目していくというもの。今回のアートトラベラーは、ファッションモデルとして国内外で活動。是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』で俳優業に進出すると『ピンポン』や『20世紀少年』シリーズなどに出演。「アンナチュラル」「健康で文化的な最低限度の生活」などのドラマで注目を集めると、この春からは連続テレビ小説「なつぞら」でアニメーター役を演じている井浦さん。そんな井浦さんが『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『思い出のマーニー』など大ヒットアニメを生み続けるスタジオジブリを訪問。革新的な手法を次々と編み出し昨年逝去したアニメーションの巨人・高畑勲監督の遺作『かぐや姫の物語』の秘密に迫る。製作期間8年、作画枚数24万枚という破格の労力と時間をかけ、通常とは違う余白を残したラフな作画技法を駆使して描かれた同作で「セルアニメをもうちょっと壊したい」と考えた高畑監督の譲れない思いと、この映画で出した答えとは?井浦さんが鈴木敏夫プロデューサーにも話を聞く。今夜のアートトラベラー・井浦さんが声優を担当する『ドラゴンクエストユア・ストーリー』は全国東宝系にて公開中。「ドラゴンクエストV天空の花嫁」(1992年発売)のストーリーを原案に、山崎貴が総監督・脚本を担当したフル3DCGアニメーション作品となり、佐藤健が主人公リュカを演じるほか、“リュカの2人の運命の相手”ビアンカに有村架純、フローラに波瑠。王子・ヘンリーに坂口健太郎、リュカの父親・パパスに山田孝之。井浦さんは謎に包まれた最恐の魔王“ミルドラース”を演じる。「新美の巨人たち」は8月3日(土)22時~テレビ東京で放送。(笠緒)■関連作品:かぐや姫の物語 2013年11月23日より全国にて公開© 2013 畑事務所・GNDHDDTK
2019年08月03日『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』などの是枝裕和監督作、昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』が、7月20日(土)今夜のフジテレビ系「土曜プレミアム」枠で本編ノーカット地上波初放送される。“家族”をテーマにして多くの作品を描いてきた是枝監督が、貧困と幸せ、血縁と心の絆など社会に抱いた違和感も織り交ぜて描き出した本作。昨年6月に公開されると第42回日本アカデミー賞では作品賞をはじめ最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞など、最多計8部門で最優秀賞を受賞。さらに第71回カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞のほか、第91回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど世界中で大絶賛の嵐を巻き起こした。再開発が進むなかポツンと残された古い住宅街で、家主である老女・初枝の年金を目当てに暮らす柴田家は、足りない生活費を万引きなどで稼いでいたが、冬の日、親から虐待を受ける少女・ゆりを拾い一緒に暮らし始める。しかし、ある事件をきっかけに家族の隠された秘密が明らかになっていく――という物語。息子に教えられることといえば万引きくらいしかないという、甲斐性なしの父・治を是枝作品には常連のリリー・フランキーが演じ、家族が転がり込んだ平屋の家主である祖母・初枝には故・樹木希林。母・信代には朝ドラ「まんぷく」『DESTINY 鎌倉ものがたり』などの安藤サクラ、風俗のバイトをしている信代の妹・亜紀には『ちはやふる』『勝手にふるえてろ』の松岡茉優。そのほか亜紀が勤務する風俗の常連客役で『町田くんの世界』の池松壮亮、亜紀の本当の父親役で『散り椿』などの緒形直人、ゆりの父を朝ドラ「なつぞら」も話題の山田裕貴、ゆりの母には「科捜研の女」などの片山萌美。警察官役で『止められるか、俺たちを』などの高良健吾、同じく警察官役で「ごめん、愛してる」などの池脇千鶴、駄菓子屋の店主役で『空飛ぶタイヤ』など数々の作品で知られる柄本明といった俳優陣が出演する。なお今夜の放送では是枝監督最新作となる全編フランス撮影、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらの出演で今秋公開が予定されている『真実』の紹介と、監督からのコメントも併せて放送。注目の次回作の片鱗をチェックできる。土曜プレミアム『万引き家族』は7月20日(土)今夜21時~フジテレビ系で本編ノーカット地上波初放送。(笠緒)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年07月20日是枝裕和の最新作、映画『真実』が、2019年10月11日(金)より全国公開。また、映画 『真実』 “特別編集版”が、11月1日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で順次公開される。是枝裕和、待望の最新作映画『真実』は、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞にあたるパルムドールを受賞した是枝裕和の最新作。構想に8年をかけた本作は、全編フランスにて撮影された自身初の国際共同製作映画だ。物語は、国民的大女優ファビエンヌが出した『真実』という名の自伝本をきっかけに、彼女と娘リュミエールの間に隠された、ある“真実”を巡って展開される。あらすじ全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる――。国民的大女優ファビエンヌが自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。是枝監督コメント是枝は、映画制作のきっかけについて以下のように述べている。「元々は、楽屋のシーンだけで出来上がる舞台を考えていました。しかし、実際に映画が動き出したのは、ジュリエット・ビノシュさんから一緒に映画を作る冒険をしないかと、2011年に提案をいただいたことがきっかけです。その時点では、日本で撮るのか、フランスで撮るのかといった確たる目標があったわけではないのですが、ふと、あの話をフランスで撮ってみようかと思いつきました。戯曲の主人公は、その国の映画史を代表する女優だったので、もしかすると、そのような女優さんを撮るチャンスが生まれるのではと思ったんです。そこで、大幅に戯曲を書き直して、母と娘の話に仕上げました。脚本が完全に固まる前の段階で、何度もお二人にお会いして、インタビューをさせていただき、女優という人生を送られている方の生の言葉を、どのように脚本に落としていくかという作業を、継続的な信頼関係のなかで、数年に渡って行っていきました。その結実したものがこの『真実』です。」主演にカトリーヌ・ドヌーヴ主人公・ファビエンヌには、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などで主演を務め、映画界の至宝ともいわれるカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような「国民的大女優」役を演じる。また、彼女の娘・リュミエール役に『ポンヌフの恋人』や、アカデミー助演女優賞を受賞した『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュ、娘婿・ハンク役は、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホークが務める。日本語版キャスト日本語版吹替えには、国民的大女優ファビエンヌ役に宮本信子、その娘で脚本家のリュミ ール役に宮﨑あおいが抜擢。また、リュミールの娘シャルロット役は、『万引き家族』で注目を浴びた子役・佐々木みゆが担当する。脇にもスポットを当てた“特別編集版”なお11月1日(金)から公開される“特別編集版”では、母娘を中心とするドラマの脇を支える男性陣にもスポットライトをあてたストーリーを公開。イ ーサン・ホーク他の出演シーンも盛り沢山となるため、通常版と合わせて、異なる角度からとらえた『真実』を楽しんでみてはいかがだろう。ヴェネチア国際映画祭オープニング作品に選出2019年8月28日(水)、第76回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門 オープニング作品として公開された。“世界三大映画祭”と呼ばれる歴史深い本映画祭の中で、日本人監督作品がコンペティション部門のオープニング作品に選ばれるのは、史上初の快挙となる。是枝は、「大変光栄です。映画祭関係者の皆さんにまず感謝致します。撮影は昨年の秋に10週間パリで行いました。発表された通り、キャストは本当に華やかなのですが、物語の七割は家の中で展開していく、小さな小さな家族のお話です。その小さな宇宙の中に出来る限りの後悔や嘘や見栄や寂しさや、和解や喜びを詰め込んでみました。どうぞ、お楽しみください。」と、本作の見どころと共に、喜びの声を寄せた。映画祭当日、是枝は、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)のオーダーメイドのタキシードを着用。また、ともに登場したジュリエット・ビノシュもジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVÉ)のドレスを身にまとった。作品詳細映画『真実』公開日:2019年10月11日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開監督・脚本・編集:是枝裕和出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ撮影:エリック・ゴーティエ配給:ギャガ原題:La Vérité■ 『真実』 “特別編集版”公開日:2019年11月1日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
2019年07月20日『万引き家族』の是枝裕和監督初の国際共同製作作品『真実』が、第76回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門オープニング作品に決定。また、オープニング作品であると同時に、コンペティション部門へ正式出品されることも分かった。第76回ヴェネチア国際映画祭は、8月28日(水)~9月7日(土)までイタリアのヴェネチアにて開催。ベルリン、カンヌと並び“世界三大映画祭”と呼ばれ、世界最古の歴史を持つ。そんな同映画祭の中でも、本年度の顔として最も注目を集めるのがこのコンペティション部門のオープニング作品。昨年の第75回ではデイミアン・チャゼル監督の『ファースト・マン』、第73回は『ラ・ラ・ランド』(デイミアン・チャゼル監督)など、多くの話題作がオープニング作品となっていたが、ここに日本人監督が手掛ける作品が選ばれるのは、史上初の快挙だ。また昨年『万引き家族』で参加したカンヌ国際映画祭では最高賞を受賞した是枝監督だが、ヴェネチア国際映画祭には、監督デビュー作で金オゼッラ賞を受賞した『幻の光』(’95)、コンペティション部門に出品した『三度目の殺人』(’17)以来、3度目の参加となる。今回の決定を受け、是枝監督は「私の新作『真実』が、ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門オープニング作品に選ばれたという嬉しいお知らせを頂きました。大変光栄です」と喜び、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークら豪華キャストが出演する本作について「キャストは本当に華やかなのですが、物語の七割は家の中で展開していく、小さな小さな、家族のお話です。その小さな宇宙の中に出来る限りの後悔や嘘や見栄や寂しさや、和解や喜びを詰め込んでみました。どうぞ、お楽しみください」とコメントしている。ストーリー国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)、テレビ俳優の娘婿ハンク(イーサン・ホーク)、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書…お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年07月19日パルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督の長編14作目となる最新作にして、初の国際共同製作映画『La Verite』(原題)の邦題を『真実』として公開することが決定。併せて、メイキング写真が解禁となった。国民的大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書…お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。一体彼女はなにを綴ったのか?そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき――。監督を務めるのは、2018年のカンヌ国際映画祭で日本映画21年ぶりの快挙となる最高賞“パルムドール”を受賞し、興行収入46億を超える大ヒットとなった『万引き家族』の是枝裕和監督。本作は、構想8年の渾身作にして初の国際共同製作となる。是枝監督の元に世界トップレベルの俳優陣が集結した本作は、全編フランスにて撮影。主人公・ファビエンヌ役には映画界の至宝といわれる『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような国民的大女優役を演じる。彼女の娘・リュミール役には、ジョニー・デップとのW主演作『ショコラ』で主演女優賞にノミネート、『ポンヌフの恋人』でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュ。娘婿・ハンク役を『ビフォア・サンセット』やその続編の『ビフォア・ミッドナイト』、『パージ』などに出演し、『6才のボクが、大人になるまで。』ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたイーサン・ホークが演じる。今回、是枝監督とキャストらを写し出したメイキング写真が解禁。どのシーンの撮影風景を捉えたものなのかは、スクリーンで是非確かめてみて。『真実』は10月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年07月17日『万引き家族』で日本映画21年ぶりの快挙となる、カンヌ映画祭最高賞“パルムドール”を受賞し、興行収入46億円を超える大ヒットを記録した是枝裕和監督。世界が待ち望んだ最新作の邦題が『真実』に決定。10月11日(金)より全国公開される。ストーリーは、国民的大女優ファビエンヌが自伝本『真実』を出版したことから始まる。彼女のもとに、脚本家として活躍している娘リュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの間に生まれたシャルロット、そしてファビエンヌの現在のパートナーと元夫、長年の秘書など、次々と家族が集まってくるのだが、お祝いと称してやってきた彼らの気がかりは、ただひとつ。“ファビエンヌが何を綴ったのか”ということ。やがて自伝本をきっかけに、母と娘の間に隠された愛憎渦巻く真実が露わになっていく。ファビエンヌを演じるのは、映画界の至宝といわれるカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージとも重なるような国民的大女優を熱演。その娘役に『ポンヌフの恋人』のジュリエット・ビノシュ、娘婿役にアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされたイーサン・ホークら、世界トップレベルの俳優陣が集結した。今回、全編フランスにて撮影された現場の様子が伺えるメイキング写真も到着。構想8年という是枝裕和監督渾身作の公開が、今から待ち望まれる。『真実』10月11日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
2019年07月17日「朝ドラ後も絶好調です。今クールも『向いのバズる家族』(日テレ系)に出演するなど、今や事務所の看板を背負っている若手女優ですよ」(テレビ局関係者)平均視聴率21.4%を叩き出し、平成最後の朝ドラとして大ヒットした『まんぷく』。安藤サクラ(33)の娘役を演じ、「あの子は誰!?」と注目を集めたのが小川紗良(23)だ。業界関係者の間でも「次世代女優のトップランナー」との呼び声も高い小川。宮崎あおいの移籍問題で揺れた芸能事務所『ヒラタオフィス』の秘蔵っ子だという。「ヒラタオフィスといえば去年に宮崎あおいさん、多部未華子さん、松岡茉優さんらトップクラスの女優が一斉離脱したことでも話題になりました。そうしたなかで“ポスト宮崎あおい”として事務所を支えているのが、22歳の若き小川なのです」(芸能事務所関係者)小川紗良は早稲田大学出身の才女で、映画監督と女優を両輪で目指している“二刀流”の若手実力派。2018年の主演映画『聖なるもの』はプチョン国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞を受賞し、国内外からも高い評価を受けている。「小川は早稲田大学時代、教授を務めていた是枝裕和監督のところで監督のイロハを学んでいました。彼女が監督した『最期の星』はぴあフィルムフェスティバルにも入選した評価作で、『インディーズ映画の若き女王』なんて呼ばれているんです。もちろん本人は監督も続けたいようですが、今は女優としていろんな演出家や監督から学んでいくつもりです。その経験を将来的に監督業にも活かすつもりと言ってました。事務所も『ポスト宮崎は小川に!』と期待をかけているそうです」(映画関係者)
2019年07月10日第71回カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を受賞し、第42回日本アカデミー賞最優秀賞最多8部門受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど、世界中で大絶賛の嵐を巻き起こした是枝裕和監督の『万引き家族』が、フジテレビ土曜プレミアムにて本編ノーカットで地上波初放送。そのほか、この夏には話題作が続々と地上波放送されることになった。『そして父になる』『海街diary』『海よりもまだ深く』『三度目の殺人』など、“家族”をテーマにして多くの作品を描いてきた是枝監督が“家族を越えた絆”を描いた本作は7月20日(土)放送。息子に教えられることといえば万引きくらいしかないという、甲斐性なしの父・治に是枝作品常連のリリー・フランキー。家族が転がり込んだ平屋の家主である祖母を、是枝作品には欠かせない故・樹木希林が演じ、唯一無二の存在感をみせる。さらに母・信代役を安藤サクラ、信代の妹・亜紀役を松岡茉優が演じて是枝組初参加。また、オーディションで選出された子役の城桧吏と佐々木みゆも存在感を放つ。特に安藤さんの迫真の演技には、カンヌ審査員長のケイト・ブランシェットが大絶賛を贈ったことも話題となった。この個性的なキャストが織り成す衝撃のヒューマンストーリーを本編ノーカットで放送。さらに、是枝監督の最新作で今秋公開予定の『ラ・ヴェリテ』(仮)の紹介と監督コメントも併せて放送する。ほかにもこの夏は話題映画が続々地上波に!7月6日(土)には『ワイルド・スピードMEGA MAX』を放送。シリーズ全作の主要キャラが大集結し、史上最速のドリーム・チームを結成したアクションの常識を覆す最強のエンターテインメント。ホブス役のドウェイン・ジョンソンが初登場。今夏公開するシリーズ最新作『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』の前にぜひチェックしてほしい。7月19日(金)にはディズニー不朽の名作アニメーション『ライオン・キング』を放送。アカデミー賞オリジナル作曲賞、主題歌賞に輝き、いまもなお心に響き続ける素晴らしい音楽と、“家族”そして“生命”への限りない愛を描いた、世代を超えて語り継がれる感動のストーリー。8月に公開される“超実写版”が話題のいまこそ、オリジナルアニメでライオンの子どもシンバが、イボイノシシのプンバァ、その親友のミーアキャットのティモンなど愉快な仲間たちに励まされながら成長する姿に注目。翌週7月26日(金)に登場するのは『ペット』。『ミニオンズ』の生みの親、イルミネーションが手掛けた大ヒット作を地上波初・本編ノーカットで放送する。飼い主がいない間、愛するペットたちは何をしているのだろう…? という視点で繰り広げられる、おかしくも愛おしい、ペットたちの知られざる世界が明らかに!最新作『ペット2』は同日、全国にて公開。さらに8月10日(土)には『ONE PIECE FILM GOLD』を放送。満島ひかり、濱田岳、菜々緒、小栗旬など超豪華ゲスト声優陣を迎え、強烈なキャラクターたちが続々登場する。巨大カジノ船を舞台に“黄金帝”テゾーロが仕掛けた華やかなゲーム。史上最強のトラップがルフィたち麦わらの一味に襲い掛かる!今年はアニメ放送20周年にあたり、劇場版最新作『ONE PIECE STAMPEDE』がその前日8月9日(金)より全国公開される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ワイルド・スピード MEGA MAX 2011年10月1日より全国にて公開© 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.ペット 2016年8月11日より全国にて公開© Universal Studios.万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.ライオン・キング(2019) 2019年8月9日より全国にて公開© 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
2019年06月24日余命半年の元生徒と、“赤鬼先生”と呼ばれていた熱血教師の物語を描く映画『泣くな赤鬼』。この度、柳楽優弥と川栄李奈のキャスティングについて、兼重淳監督が明かすコメントが到着した。本作は、教師と生徒の関係を描き続けてきた作家・重松清が、“特に教師濃度の高い作品集”と語る、短編集「せんせい。」所収の「泣くな赤鬼」の映画化。柳楽さんが演じているのは、陽に焼けた赤い顔と、鬼の熱血指導から“赤鬼先生”と呼ばれていた小渕隆(堤真一)の教え子・斎藤(ゴルゴ)。川栄さんは彼の妻・雪乃を演じている。柳楽さんと兼重監督は、監督が是枝裕和監督の助監督をしていたときからの付き合いで、兼重監督は「原作を読んで、ゴルゴ役には柳楽さんしか浮かばなかった」と言い、川栄さんについても「子供を抱いている川栄さんを見たかった」と起用理由を明かしている。柳楽さん演じるゴルゴは、野球の素質を持ちながらも、挫折して高校を中退。立派に成長したが、現在病に侵され、命の期限が迫っているという役どころ。人生初の野球に挑んだ柳楽さんだったが、撮影前に野球部の練習に参加した際には「特別扱いしないでください」と全力投球したり、病に侵されていく様を演じるため、撮影期間中に1週間ほど休みを取り、5kg体重を落として撮影に臨んだり。「本当に素晴らしい方だなと感じました」とそんな役作りを行う柳楽さんに対し、兼重監督は賛辞を贈っている。さらに、主演の堤真一も「柳楽くんは芝居に入るとスイッチが入るタイプで、普段と人柄とかわる。本当に彼の演技には大泣きさせられました」と絶賛している。一方で出演者たちからは“監督からの演出は最小限”だったそうで、特に川栄さんには監督自身「申し訳なく思っている」というほど演出をしなかった。しかし、「最低限のことを伝えただけで、あんな風に演じてくれるとは思っていなかった。理屈ではなくて生理的に受け止めて役が憑依してしまう、天才と言っていい役者さんだと思います」と大絶賛した。柳楽さんと川栄さんは、監督にとってまさに理想のキャスティング。教師と元生徒との物語だけでなく、周りを固める魅力的な登場人物たちにもぜひ注目して観て欲しい。『泣くな赤鬼』は6月14日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:泣くな赤鬼 2019年6月14日より全国にて公開© 2019「泣くな赤鬼」製作委員会
2019年06月09日是枝裕和監督を中心に設立された制作者集団「分福」が手掛ける、志尊淳の主演作『潤一』から、志尊さんが6人の女優たちと絡み合う予告編が解禁された。この度解禁となった予告編は、メガホンを取った北原栄治監督自らが映像を制作。「何て言うの? 下の名前」「潤一」というセリフから始まる映像は、6人の女性たちの目の前に現れてはそれぞれを虜にしていく潤一(志尊淳)のはかなげな姿を映し出した後、寄る辺ない日常に埋もれていた女性たちの寂し気な表情を映し出す。そして潤一と出会い、刹那的に輝きを取り戻した彼女たちは潤一と口づけを交わし、一夜を共にする。自身初となるヌードに挑戦した志尊さんを中心に、蒔田彩珠が制服を脱ぐシーン、夏帆や伊藤万理華とのキスシーン、藤井美菜や江口のりことのベッドシーン、さらに未亡人を演じる原田美枝子が自転車を漕ぐ潤一の背中で笑顔を見せている。潤一と出会い、眩いひとときを取り戻す6人の女性たちの姿と、潤一の妖艶さと孤独感も浮き彫りにする観る者の心を掴む予告編となっている。併せて、志尊さんの上半身バックショットをはじめ、予告編でも印象的なシーンを映した本作の場面写真も解禁。新境地を切り開いた志尊さんに期待が高まるカットばかりとなっている。映画『潤一』は6月14日(金)より丸の内ピカデリーにて1週間限定上映。Amazonプライムビデオ、iTunesほかにて6月26日(水)よりデジタルセル先行開始。TVドラマ「潤一」は7月12日(金)25時55分~関西テレビにて放送、放送終了後国内プラットフォームにて見逃し配信予定。7月13日(土)23時~日本映画専門チャンネルにて放送。(text:cinemacafe.net)
2019年06月05日本年度ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞にて『ROMA/ローマ』や『万引き家族』と外国語映画賞を競ったレバノン代表作品『カペナウム/Capernaum』(原題)が、邦題『存在のない子供たち』として7月、日本公開されることが決定した。ストーリーわずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親。裁判長から「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった――。カンヌをはじめ映画賞を席巻した衝撃作パルム・ドールに輝いた是枝裕和監督作『万引き家族』とともにカンヌ国際映画祭を震わせ、コンペティション部門「審査員賞」「エキュメニカル審査員賞」を受賞した本作。その後もゴールデン・グローブ賞ならびにアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。メガホンをとったのは、『キャラメル』(’07)で監督・脚本・主演の一人三役を果たし、カンヌ国際映画祭の初上映で話題を集めた後も多くの映画賞を受賞したナディーン・ラバキー監督。女優としても活躍しており、5月14日より開催される第72回カンヌ国際映画祭<ある視点部門>の審査員長も務めることが先日発表されたばかり。リサーチ期間に3年を費やした本作は、主人公ゼインをはじめ出演者のほとんどは彼と似た境遇にある演技未経験の素人ばかり。感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとった結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる“物語の強さ”を観る者の心に深く刻み込むことに成功。いまも全世界へと広がり続けている絶賛の波が、ついに日本へも押し寄せる。目をそらしたくなる貧困の生々しさの中で、必死に生きようとする彼らの強いまなざしやその歩みには、胸を打たれずにはいられない。断ち切ることも抜け出すこともできなかった、ちいさな存在が起こすセンセーショナルな展開に感情を揺さぶられ、深く自身に問わずにはいられない衝撃作を目撃して。『存在のない子供たち』は7月、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年04月23日『春のワルツ』『ファンジニ』『太王四神記』『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』……と出演作を並べてみると、彼女がどれほどの実力を持った女優であるかがよく分かる。シム・ウンギョン、24歳。韓国の映画、ドラマ界を代表する彼女が、ついに日本での本格的な女優活動をスタートした。キャリア初となる舞台作品で、堤真一と橋本良亮(A.B.C-Z)が主演の『良い子はみんなご褒美がもらえる』、さらに6月には東京新聞記者・望月衣塑子氏による書籍を原案とした映画『新聞記者』で松坂桃李と共にW主演を張っている。インタビューが行われたのは『良い子はみんなご褒美がもらえる』の幕開けの4日前。ほぼ通訳を交えずに日本語で、作品への思い、そしてなぜいま、日本語を一から学んで日本で活動することを決断したのかなどを語ってくれた。初舞台作品がいきなり日本語で、しかも演出はイギリス人のウィル・タケット。かなり挑戦的な試みだが、シムは「あと4日で始まるけど、いまだに『本当にやるの?』という気持ちです」と笑う。物語はソビエトと思しき独裁国家を舞台に、精神病院に送り込まれた政治犯の男と、自分はオーケストラを連れているという妄想に囚われた男のふたりを軸に展開するが「いろんな“壁”が存在する世界を生きる人たちを描く中で、いま私たちが信じている自由は、そのままの意味の自由なのかを問いかける、いまの時代に必要な作品」と語る。シムは、堤が演じる政治犯の息子で9歳のサーシャを演じるが「サーシャは複雑なこの舞台で1番イノセントであり、ここに登場する大人たちの“原点”とも言える姿を見せる無垢な心を持った存在」。稽古期間中「経験がなくて、どう演じたらいいか?これで合っているのか?と悩んだ時期もあった」というが、そんな彼女を救ったのが堤の言葉だった。「堤さんが悩んでる私を見て『ひとつの感情を表現する方法はひとつじゃない。何を考えて芝居するかという目的、演じる時にそれがすごく大事だということをおっしゃってくださって、その言葉で気持ちが楽になって、稽古場で遊び心を持ってトライできるようになりました。みなさん、“舞台は楽しいよ”と言うんですけど、ちょっとずつそれがわかってきました」と笑顔を見せる。本作と同様、映画『新聞記者』も自由や真実の本質を問う作品。シムは国家権力がらみのある不正事件の真相を追う新聞記者を演じているが「権力とメディアというのは、日本に限らずいま、世界的にすごく大事なテーマであり、(アカデミー賞受賞の)『スポットライト』もそうですが、批判というよりは物事を考えさせられる世界的なトピックだと思います」とうなずく。官邸を追求する姿がメディアを賑わせている東京新聞記者・望月氏の著書『新聞記者』を原案にした作品で、韓国人である彼女が主演を務めるということで、政治的な色眼鏡で作品、そして彼女を見る者もいるだろう。だが、そんなリスクを意に介さず「映画は映画ですし、台本を読んで日本の映画の中で、新たなものを伝えられるエンタテインメントになると思った」と作品の仕上がりに自信をのぞかせる。そもそも、韓国で確立されたキャリアを持つにもかかわらず、なぜいま日本に?そんな問いにシムは「俳優は常にいろんな経験をし、学んでいかなくてはいけないと思っているし、機会があればいろんな世界でやってみたいとずっと思っていた」と語る。特に日本映画には中学の頃から触れ、岩井俊二、是枝裕和、中島哲也といった日本人監督の作品に衝撃を受けた。「1番好きなのは『リリイ・シュシュのすべて』で初めて見た時はショック受けて、当時は映画監督になりたいと思って、『リリィ・シュシュ』をマネしてシナリオを書いてたくらい(笑)。是枝さんの『誰も知らない』もその頃見て、日本の文化にハマるきっかけになりました」彼女の日本での活動を支える事務所は、安藤サクラが所属しているが、安藤主演の『百円の恋』も大好きな作品。「その辺にいる本物のニートを連れてきたドキュメンタリーかと思った(笑)。半端ねぇ!って(笑)。サクラちゃんの自由な動きに憧れます」と語る彼女が日本に来るのは必然だった。「これまで優しく、正義感の強いキャラを演じることが多かったんですけど、私、実はそんなに優しくはないんで(笑)。悪役とか、サクラちゃんがやっているようないい意味で変な役をやりたいです!」4月20日に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕した舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』は、5月7日(火)まで同劇場で上演された後、5月11日(土)・12日(日)に大阪・フェスティバルホールで上演。取材・文:黒豆直樹撮影:設楽光徳『新聞記者』6月28日(金)より全国公開
2019年04月22日昨年9月惜しまれつつ亡くなった樹木希林さんの世界デビュー作にして、女優として最後の出演作となったドイツ映画『Cherry Blossoms and Demons』(英題)の日本公開が、8月に決定した。■ストーリードイツ・ミュンヘンで1人暮らしをする男性カール。酒に溺れた彼は、仕事を失い、妻は幼い娘を連れ家を出てしまった。孤独に苦しみ、泥酔の末に「モノノケ」を見るようになるカール。そんなある日、彼の元を日本人女性のユウが訪れる。ユウは10年前に東京を訪れていたカールの父親ルディと親交があり、いまは亡きルディの墓と生前の家を見に来たのだと言う。しぶしぶ彼女に付き合うカールは、次第にユウに惹かれていく。2人は人生を見つめなおすため、ユウの祖母に会いに日本へと向かうが――。■小津安二郎や是枝裕和、そして樹木希林さん自身も縁ある旅館でロケ主演を務めるのは、ドイツ人俳優ゴロ・オイラーと日本人ダンサーの入月絢。この2人が、人生を取り戻すために共に旅をする物語で、樹木さんは2人が訪れる茅ヶ崎館の女将役を演じている。本作は、2018年4月にドイツで撮影がスタートし、7月6日~16日に日本での撮影を敢行。日本パートのロケは、主に神奈川県茅ケ崎市に実在する「茅ヶ崎館」で行われた。もともとは、茅ヶ崎館が1950年代に小津安二郎監督が滞在し、脚本を書いた宿であり、近年では是枝裕和監督も執筆のために宿泊する場所だと知った本作のドーリス・デリエ監督が、彼女の前作『フクシマ・モナムール』(16/桃井かおり出演)のジャパンプレミア上映後に宿泊。高齢の女将に、かつて小津監督が滞在した部屋を案内してもらった際に、本作のインスピレーションを得たという。樹木さんも茅ヶ崎館とは縁があり、訪れたのは小津監督の遺作となった『秋刀魚の味』(62)の撮影時に、女優・杉村春子の付き人として現場に参加して以来のこと。当時、樹木さんが小津監督と一緒に過ごしたまさにその部屋で、今回の撮影は行われた。また、本作のラストには、樹木さんが庭を眺めながら「ゴンドラの唄」を歌うシーンがある。「ゴンドラの唄」といえば、黒澤明監督の『生きる』(52)にも登場する有名な歌で、「いのち短し恋せよ乙女 朱き唇褪せぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に明日の月日はないものを」と歌うこのシーンが、本作撮影から2か月後、9月15日に亡くなった樹木さんの女優としての最後の映画出演シーンとなった。■ドイツ人監督からコメント到着「心温かく、オープンで、非常に情に厚い存在」愛、喪失、家族、生きることの美しさと残酷さを描いた本作において、この樹木さんの歌は、まるで彼女が私たちに遺してくれた最後のメッセージのようだったと、デリエ監督は思いを寄せる。「私は長年にわたり日本が誇る名女優・樹木希林の演技に魅了されてきました」という監督は、「『歩いても 歩いても』から始まる是枝裕和監督の作品群や、河瀬直美監督の『あん』などの彼女の演技がとても好きです。今回の役に関しては、彼女以外に考えられませんでしたので、彼女が今回の役を受けてくださった時には、深く深く光栄だと思いました。また本作で、最後の演技を見ることは、哀しくもあり、同時にとても美しさに満ちた体験となりました。本作中での樹木希林は、心温かく、オープンで、非常に情に厚い存在であり、それゆえに観客は彼女にぐっと心を掴まれ、強烈な感動を感じるのです」とコメント。さらにデリエ監督の『HANAMI』『フクシマ・モナムール』に出演し、本作でも主演を務める入月さんもまた、「今作中で忘れる事ができないのは言うまでもなく樹木希林さんの存在です。作中での存在感は勿論ですが、惜しくも遺作となってしまった事実、また日本へ紹介される大きな架け橋となって下さったこと、撮影中私達に残して下さったかけがえの無い体験や時間を思うと、感無量で言葉に詰まります。人への愛情、生きること、死ぬこと。人生という旅を深い深い部分で体験させられる映画です」とコメントを寄せている。映画『Cherry Blossoms and Demons』(英題)は8月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:Cherry Blossoms and Demons(英題) 2019年8月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開予定©Constantin Film Verleih GmbH/ Mathias Bothor
2019年03月19日米アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、日本アカデミー賞最優秀賞8部門を受賞し、凱旋上映中の『万引き家族』が、“アジア全域のアカデミー賞”と呼ばれる第13回アジア・フィルム・アワードにて、作品賞と音楽賞を受賞。是枝裕和監督、安藤サクラ、細野晴臣らが参加した。動員数380万人、興行収入46億突破(3月17日時点)という是枝監督作品最大のヒットを記録している本作。現地時間3月17日(日)に開催されたアジア・フィルム・アワードにて作品賞、監督賞、主演女優賞(安藤サクラ)、助演女優賞(松岡茉優)、音楽賞、美術賞の6部門でノミネートされていたが、作品賞と音楽賞の受賞を果たした。日本映画で作品賞を受賞したのは、黒沢清監督『トウキョウソナタ』以来10年ぶり、日本映画で音楽賞を受賞をしたのは、久石譲の『崖の上のポニョ』以来、同じく10年ぶりとなった。■是枝監督、樹木希林さんとの思い出の映画賞に「お墓まいりをして報告したい」受賞を受けて是枝監督は、「謝謝(シェイシェイ)ありがとうございます。アジア・フィルム・アワードは賞の結果よりは本当に尊敬するアジアの映画人たちと再会をして交流を深めて、そういう時間が一番の目的だと本当に思ってこの場に来ているんですけれども、やはり賞をもらうと嬉しいものですね。ここに来られなかったスタッフとキャスト、昨年の9月に亡くなられた樹木希林さん、希林さんと最初に映画祭に参加したのがこの香港の映画祭だったという思い出があって、このことをさっき思い出してました。戻ったらお墓まいりをしてこの賞を報告したいと思います。ありがとうございました」と、希林さんとの思い出に触れてコメント。また、細野さんは「ありがとうございます、驚いています」と語り、「『万引き家族』の音楽はそれほど多く作曲したわけではないですが、とてもシンプルなものなのに、『万引き家族』のおかげで僕の音楽を見つけてくれてとても幸運です。これからもいっそう頑張ります。謝謝!」と喜びを語った。■安藤サクラ「本当に華やかでなかなか味わえない場所」授賞式当日は、是枝監督、細野さんと、朝ドラ「まんぷく」が佳境となっている安藤さん、美術賞ノミネートの三ツ松けいこの4名が映画祭に出席。授賞式の前にはレッドカーペットにも登場し、現地メディアからは大量のフラッシュを、観客からは大きな歓声を浴び、アジア圏においても人気の高さをみせつけた。今回で第10回以来二度目の参加となる是枝監督は、「ノミネーションは勿論ですが、アジアを代表する、尊敬するフィルムメーカーの皆さんと、短い時間ではありますが交流を育める貴重な機会が有難く、楽しみにしております」と語り、第4回にて『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』でのノミネート以来二度目の参加となる安藤さんは「2010年のアジア・フィルム・アワードに参加させていただいたことがあり、当時の映画の助演女優賞で参加させていただきました」とふり返ってコメント。「私も20代前半でしたし、ただ会場の雰囲気に圧倒されてしまい、自分は場違いなように、その場所にマッチしていないように感じてしまい、ただすごい華やかなものを見たなという思い出があります。今日はそれから約10年経ちましたので、また違う気持ちで参加できるのかなと楽しみにしています。本当に華やかでなかなか味わえない場所なので楽しみたいと思っています。皆で海外に来れたのも嬉しいです」と喜びの様子だった。細野さんと同様、初参加となった三ツ松さんは「自分のことでないような気持ちです。『万引き家族』に連れてきてもらったという、ご褒美のような気持ちでいっぱいです。せっかくですので楽しく過ごさせていただき、一緒に頑張った美術のスタッフ、他のスタッフの方にも喜びを共有したいと思います」と語った。なお、是枝監督は、日本でも公開中の『バーニング 劇場版』にて本アワード最多8部門のノミネートを果たし、功労賞を受賞したイ・チャンドン監督のプレゼンターを、そして細野さんは、日本でも人気の高い歌手・アーティストでアジア新人賞を受賞したジェジュンのプレゼンターを務め、注目を集めていた。『万引き家族』は全国にて凱旋上映中、4月3日(水)よりブルーレイ・DVD発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年03月18日嵐の二宮和也主演、映画『浅田家!』が、2020年10月2日(金)全国東宝系にて公開。“家族とは何か?”を問う、写真集「浅田家」「アルバムのチカラ」の実写化映画『浅田家!』は、浅田政志の2つの写真集「浅田家」と「アルバムのチカラ」を原案にして描かれる。主人公は、4人家族の次男坊として育ち、幼い頃から写真を撮ることが好きで、写真家になった浅田政志。彼の家族の「愛の絆」と「過去と今」をユーモアを交えながら映し出し、“家族とは何か?”を問いかけていく。写真集「浅田家」と「アルバムのチカラ」とは?“家族でやってみたいこと”をテーマに、バンドマンや消防士などになりきって撮影するユニークな家族写真を収めた写真集「浅田家」。写真家・浅田政志が手掛けた本書は、父、母、兄、自分を被写体にした仲睦まじい家族の光景で好評を得て、写真界の芥川賞ともいわれる第34回木村伊兵衛写真賞(2008年度)を受賞した。また、「浅田家」以外に、日本写真界において独特の存在感を放つ浅田の作品で知られるのが「アルバムのチカラ」。東日本大震災の津波で汚れてしまったアルバムや写真を洗浄し、元の持ち主に返すボランティア活動をする人々を約2年間にわたって撮影した写真集だ。主演は二宮和也、共演に妻夫木聡主人公・浅田政志(二宮和也)無茶で自由奔放ながらどこか許せてしまう人間味溢れる主人公・政志を演じるのは、嵐の二宮和也。2017年公開の『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』以来の主演作となる。過去には、『母と暮せば』で第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、2018年には『検察側の罪人』で若き検事を演じ、第43回報知映画賞助演男優賞、第42回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞している。政志の兄・浅田幸宏(妻夫木聡)やんちゃな弟・政志をあたたかく見守り、政志のコスプレ写真の依頼にもいやいや付き合う心優しい兄・幸宏を演じるのは、妻夫木聡。『家族はつらいよ』シリーズ、『悪人』、『怒り』など、幅広い役を常に全身全霊で挑んできた実力派俳優が、二宮と本作で初共演を果たすこととなる。政志の父・浅田章(政志の父・浅田章)看護師の妻の代わりに家事全般を担当し、寡黙で温厚な政志の父・章は、平田満。政志の母・浅田順子(風吹ジュン)よく喋り、よく笑う、浅田家の明るいムードメーカーで政志たち家族を支える母・順子役は、是枝裕和や山田洋次など名高い名匠たちとタッグを組んできた風吹ジュンが務める。政志の幼なじみ・若奈(黒木華)政志の幼なじみの若奈役は、山田洋次監督作品『母と暮せば』で第39回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した黒木華。二宮とは『母と暮せば』以来5年ぶり2回目の共演となる。政志が出会う大学院生・小野(菅田将暉)写真洗浄のボランティアで政志が出会う東北の大学院生・小野役は、菅田将暉が担当。『共喰い』『溺れるナイフ』『帝一の國』『あゝ、荒野』などで幅広い役柄を演じる若手演技派俳優だ。その他にも渡辺真起子、野波麻帆、北村有起哉といった俳優陣が集結した。中野量太が監督彼らを率いるのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』で、その年の映画賞を総なめにした中野量太。独自の視点と脚本で、実在する家族の物語に挑む。コスプレ家族写真をリアルに再現映画本編には、原案の写真集「浅田家」のコスプレ家族写真をリアルに再現したビジュアルが全19点登場。映画『浅田家!』版コスプレ家族写真も、浅田政志本人が撮影しており、二宮をはじめとするキャスト陣も浅田のミリ単位のディレクションに従って、全力でなりきっている。あらすじ消防士、レーサー、ヒーロー、バンドマン……家族全員を巻き込んで、それぞれが“やってみたかったこと”をテーマにコスプレし、その姿を撮影したユニークすぎる≪家族写真≫で、写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞した、写真家・浅田政志。受賞をきっかけに各地の家族から撮影依頼を受け、≪家族写真家≫としてようやく軌道に乗り始めたとき、東日本大震災が起こるー。かつて撮影した家族の安否を確かめる為に向かった被災地で、政志が目にしたのは、家族も家も全てを失った人々の姿だった。「家族ってなんだろう?」「写真家の自分にできることは何か?」シャッターを切ることが出来ず、自問自答を繰り返す政志。津波で泥だらけになった写真を一枚一枚洗浄して、家族の元に返す≪写真洗浄≫の活動に参加し、そこで写真を見つけ嬉しそうに帰っていく人々の笑顔に触れることで、再び≪写真の持つチカラ≫を信じられるようになる。そんな時、一人の少女が現れる。「私も家族写真を撮って欲しい!」それは、津波で父親を失った少女の願いだった—――。【詳細】映画『浅田家!』公開日:2020年10月2日(金)全国東宝系監督:中野量太脚本:中野量太、菅野友恵出演:二宮和也、黒木華、菅田将暉、風吹ジュン、平田満、渡辺真起子、北村有起哉、野波真帆、妻夫木聡企画・プロデュース小川真司原案:浅田政志『浅田家』『アルバムのチカラ』(赤々舎刊)製作:東宝映画、ブリッジヘッド、パイプライン配給:東宝■小説版「浅田家!」発売日:2020年8月7日(金)徳間文庫より発売中野量太監督が書き下ろした小説版「浅田家!」が発売。本文中には映画『浅田家!』版コスプレ家族写真がグレースケールで5点登場する。
2019年03月03日第42回日本アカデミー賞の授賞式が1日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、様々な男性俳優がスーツ&タキシード姿で登場した。『空飛ぶタイヤ』で優秀助演男優賞を受賞したディーン・フジオカは、エンポリオ・アルマーニのスーツとシューズで決め、ジャガー・ルクルトの時計を身につける。司会の西田敏行から「非の打ち所がない」と絶賛され、照れを見せる場面もあった。『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で新人俳優賞を受賞した中川大志は、スーツ、シューズ、アクセサリー全てイブ・サンローランで固める。『孤狼の血』で最優秀主演男優賞に輝いた役所広司は、最優秀助演男優賞を受賞した昨年と同じく、スーツ・シューズ・アクセサリーをジョルジオ・アルマーニで揃えた。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『万引き家族 』監督賞…是枝裕和(『万引き家族』)主演男優賞…役所広司(『孤狼の血』)主演女優賞…安藤サクラ(『万引き家族』)助演男優賞…松坂桃李(『孤狼の血』)助演女優賞…故・樹木希林さん(『万引き家族』『日日是好日』)アニメーション作品賞…(『未来のミライ』)脚本賞…是枝裕和 (『万引き家族』)音楽賞…細野晴臣 (『万引き家族』)編集賞…上田慎一郎 (『カメラを止めるな!』)録音賞…浦田和治 (『孤狼の血』)照明賞…藤井勇(『万引き家族』)撮影賞…近藤龍人(『万引き家族』)美術賞…今村力 (『孤狼の血』)外国作品賞…『ボヘミアン・ラプソディ』
2019年03月02日第42回日本アカデミー賞の授賞式が1日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、受賞作品・受賞者が揃った。作品賞・監督賞含め、8冠に輝いたのは、第71回カンヌ国際映画祭最高賞パルムドール受賞も受賞した、是枝裕和監督の『万引き家族』。是枝監督は昨年も『三度目の殺人』で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞を受賞し、今年のプレゼンターも務めていたために、『万引き家族』と自分で読み上げるたびに笑いが上がっていた。松崎薫プロデューサーは「本当に多くの方々にご覧いただき、パルムドールからオスカーのノミネートまで評価いただき、最後締めくくりをいただきありがとうございました」と感謝。是枝監督も「長い旅をこの作品と続けてきましたけど、本当にいいラストを迎えることができました」と満足そうにしていた。優秀主演男優賞のリリー・フランキーは「知らないうちにお祭りが続いてて、いろんなことに行かせていただいて、辛いお別れもありましたけど、楽しく過ごさせていただきました」としみじみ。最優秀主演女優賞に輝いた安藤は「素敵な時間をありがとうございます。(城)桧吏、(佐々木)みゆ、やったね! ありがとう!」と、子役たちに語りかける。松岡は「こういうとき、たいていものが浮かぶタイプの人間なんですけど……」と言葉を詰まらせ、本当に良かった。ありがとうございます」と頭を下げた。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『万引き家族 』監督賞…是枝裕和(『万引き家族』)主演男優賞…役所広司(『孤狼の血』)主演女優賞…安藤サクラ(『万引き家族』)助演男優賞…松坂桃李(『孤狼の血』)助演女優賞…故・樹木希林さん(『万引き家族』『日日是好日』)アニメーション作品賞…(『未来のミライ』)脚本賞…是枝裕和 (『万引き家族』)音楽賞…細野晴臣 (『万引き家族』)編集賞…上田慎一郎 (『カメラを止めるな!』)録音賞…浦田和治 (『孤狼の血』)照明賞…藤井勇(『万引き家族』)撮影賞…近藤龍人(『万引き家族』)美術賞…今村力 (『孤狼の血』)外国作品賞…『ボヘミアン・ラプソディ』
2019年03月01日「第42回日本アカデミー賞授賞式」が3月1日(金)に開催され、『万引き家族』が最優秀作品賞を受賞した。12部門において優秀賞を受賞している『万引き家族』だが、作品賞以外にも、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞、最優秀脚本賞など、最多計8部門で最優秀賞を受賞した。なお、最優秀主演男優賞は『孤狼の血』の役所広司、最優秀助演男優賞は『孤狼の血』の松坂桃李が受賞した。『万引き家族』は、是枝裕和監督が、貧困と幸せ、血縁と心の絆など社会に抱いたある違和感に、10年間描いてきた家族に関するテーマを投入した渾身作。下町の一軒家で、家主である老女(樹木希林)の年金を目当てに暮らす柴田家。足りない生活費を万引きなどで稼いでいた彼らは、冬の日、親から虐待を受ける少女を拾い一緒に暮らし始める。しかし、ある事件をきっかけに家族の秘密は白日の下にさらされる。日本映画の頂点に立ち、抱き合って喜び合った是枝監督、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優などの“家族”たち。是枝監督は「撮影からちょうど1年、長い旅をこの作品と続けてきました。本当にいいラストを迎えることができました」と簡潔ながら気持ちのこもったコメント。優秀主演男優賞を受賞したリリーさんは、「すごく小さく始まった映画でしたけど、知らないうちにお祭りが続いて、1年間いろいろなところに行かせていただきました。つらいこと、人のおわかれもいっぱいありましたが、この映画の魔法にかかって楽しく過ごさせていただきました」と、リリーさんらしい詩的な言葉に思いを乗せた。リリーさんの妻役となった安藤さんは「素敵な時間をありがとうございます!本当にたった1年と思えない1年間でした。(城)桧吏、(佐々木)みゆ、やったね!」とステージの向こうにいるであろう子役たちにも笑顔を投げかける。終始涙をこらえられない様子の松岡さんは、「ものが浮かぶタイプですけど、本当に浮かばない…」とマイクを返す仕草をしたものの「ありがとうございます」と伝え、この日何度目かの涙を流していた。(cinamacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年03月01日映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が1日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第42回日本アカデミー賞の授賞式に出席。同作の最優秀編集賞を受け、スピーチで喜びと感謝の気持ちを伝えた。プレゼンターの是枝裕和監督からブロンズを受け取った上田監督は、「まさか優秀賞をいただけるとは思ってなかったので、考えてきたスピーチがぶっ飛んでしまいました」と照れ笑い。「ほとんどの作業を自宅で、自分一人でしました。7年前に買ったMacBook Pro1つで、まな板2つぶんぐらいのスペースで編集した作品です」と当時を回顧した。さらに、「その作品が300館以上の映画館にかかり、このような評価をいただいて」と喜びを噛み締め、「最新の機材やスタジオも必要だとは思いますが、編集は人の粘りや閃きなんだということをあらためて信じられました」と再認識。「7年前に仲間たちとお金を出し合ってMacBook Proを買ったんですけども、その仲間たちに『ありがとう』と伝えたいです」と感謝の言葉を送っていた。
2019年03月01日「第42回日本アカデミー賞」授賞式が3月1日(金)に開催され、最優秀助演女優賞部門で『万引き家族』の樹木希林が受賞。享年75、2018年9月15日に永眠した樹木さんについて、司会の名優・西田敏行が語り掛ける場面があった。優秀助演女優賞には樹木さんのほか、『北の桜守』の篠原涼子、『空飛ぶタイヤ』の深田恭子、『孤狼の血』の真木よう子、『万引き家族』の松岡茉優と人気女優陣がそろっていた。樹木さんの名前が告げられると、4人は一様に温かい笑みを広げ、名優をたたえ、しのんだ。日本を飛び越え、世界で話題になっている是枝裕和監督の『万引き家族』にて、樹木さんは、家族の中で唯一、定収入があった年金受給者の母・初枝を演じた。作中では、自身の入れ歯を外し、白髪を伸ばし、人が朽ちる様子を外見からも見せる演技を披露した。同賞において、一緒に司会をした経験もある西田さんは、樹木さんについて「あなたを真似たいんですが、あなたの真似はできません。唯一無二、本当に素晴らしい先輩でした。ありがとうございました」と心情を絞り出した。ブロンズ像は、樹木さんの娘である内田也哉子が受け取った。スピーチにて、内田さんは「6年前、最優秀(主演女優賞)をいただいた母が、この舞台で『これをいただくと来年司会でしょ、私、冗談抜きで全身がんなので約束できない』と口を滑らせました。何で、こんな祝いの場で言うのとクレームをつけましたが、本人は平然と『いつ死ぬかわからないから、ちゃんと断らないと先方にもご迷惑でしょう』と。なんてまっとうな心を持ったアナーキーストなんだろうと」と、樹木さんへの想いをとうとうと語った。さらに、「不思議だったのが、がんがわかって真っ先にしたのが父に会いに行き、それまでのすべてを謝りに行くことでした。残された時間がわずかだと知ったときに、関わった人たちに謝ってから逝きたい、と。自分勝手な謝罪ですが、実に母らしいなと」と思いを馳せた内田さん。「58年の役者人生において、映画作りという真剣勝負の現場で、彼女の言動がときに人を傷つけたりもしたと思います。すべての映画関係者に彼女に変わって深くお詫びを申し上げます。ひとつひとつの稀なる出会いに心より感謝申し上げます。長い間本当にお世話になりました。ありがとうございます」と御礼の言葉で締めると、会場からはこの日一番の盛大な拍手が送られていた。(cinamacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.
2019年03月01日「第91回アカデミー賞」の授賞式が25日(現地時間24日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ROMA/ローマ』(製作国:メキシコ)が外国語映画賞を受賞。是枝裕和監督の『万引き家族』は受賞を逃した。外国語映画賞は、『ROMA/ローマ』(製作国:メキシコ)、『万引き家族』(製作国:日本)のほか、『カペナウム(原題)』(製作国:レバノン)、『COLD WAR あの歌、2つの心』(製作国:ポーランド)、『ネヴァー・ルック・アウェイ(原題)』(製作国:ドイツ)がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月25日21時から「第91回アカデミー賞」授賞式の字幕版を放送。
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、外国語映画賞にノミネートされていた是枝裕和監督作『万引き家族』は惜しくも受賞を逃した。オスカーを獲得したのはアルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』だ。Netflixにて配信中の『ROMA/ローマ』は昨年9月にヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞。モノクロ映像でキャストも無名ながら、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞ほか、前哨戦で健闘していた。第91回アカデミー賞には作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、美術賞、外国語映画賞、音響編集賞、録音賞、オリジナル脚本賞と最多10部門でノミネートされていた。ノミネート作品の中には日本の『万引き家族』のほかにレバノンの『Capernaum』、ポーランドの『COLD WAR あの歌、2つの心』、ドイツの『Never Look Away』(原題)が候補作として挙げられていた。■受賞した『ROMA/ローマ』とは?『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督の最新作であり、脚本、撮影までを手がけた渾身の作品。キュアロン監督自身の幼少期の体験も交え、1970年代のメキシコで中産階級の家庭の使用人として働く若い女性クレオの視点から、激動の1年の出来事をモノクロの映像で描いたヒューマンドラマ。受賞コメント「わたしは幼い頃から、外国語映画から多くのことを学びました。『市民ケーン』『ジョーズ』、(黒澤明監督の)『羅生門』、(フランス映画の)『勝手にしやがれ』などです。すべての作品が、同じ海に属していると言えるでしょう」。キュアロン監督は続けて、祖国メキシコや家族、ロケ地への感謝を述べた。(text:cinemacafe.net)■関連作品:Netflixオリジナル映画「ROMA/ローマ」 2018年12月14日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング開始
2019年02月25日第91回アカデミー賞授賞式が2月25日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『万引き家族』でノミネートされている是枝裕和監督と『未来のミライ』の細田守監督がレッドカーペットに2人揃って登場し、日本の取材に応じた。アジア初のゴールデン・グローブ賞アニメーション映画賞ノミネートに加え、先日発表されたアニー賞では、日本人監督としては初の長編インディペンデント作品賞を受賞。長編映画アニメーション部門にノミネートされた細田守監督作『未来のミライ』。そして外国語映画賞でノミネートされている是枝裕和監督作『万引き家族』。今回同賞を受賞すると滝田洋二郎監督の『おくりびと』(第81回)以来10年ぶりの快挙となる。第71回カンヌ国際映画祭最高賞<パルム・ドール>受賞ほか、アカデミー賞前哨戦として注目を集める第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞で外国語映画賞に輝くなど海外からも絶賛の声が上がってる。「あまり緊張しないタイプなんで、普通です」と話す是枝監督は、アメリカのファンに評価されている、子どもたちの演出について「子供は待つこと、急かさない」と自身の演出方法を明かした。さらに「現場に樹木(希林)さんがいることで恥ずかしくない演出をしたいという思いがあった」と、語っていた。「レッドカーペットの盛り上がりがすごくって。昨日はたっぷり寝れました」と明かす細田監督は、「『Mirai』という作品はに日常的な作品でアメリカでは受けないと思っていたが、蓋を空けてみたら好意的に受け止めてもらえて感謝している」とコメントした。そんな2人はレッドカーペットに揃って登場し、WOWOWの取材に応じた。今回W受賞となるか。期待したい。(text:cinemacafe.net)
2019年02月25日『万引き家族』のリリー・フランキーが『桐島、部活やめるってよ』『美しい星』の吉田大八監督と再タッグを組み、ドラマスペシャル「離婚なふたり」に主演。小林聡美、岡田将生らと、ちょっぴりおかしくて、やっぱり切ない…熟年離婚に直面した夫婦の愛の物語を描く。■ストーリー日本で離婚する夫婦は、年間約21万組といわれている。そのうち、結婚生活20年を超えてからの“熟年離婚”は年々増加。全離婚件数のうち、約20%にも上るという。“理想の夫婦”を描かせたらナンバーワンといわれる、売れっ子脚本家の野田隆介(リリー・フランキー)は、ドラマ愛好者の間ではサバイバルロマンス、略して“サバロマ”の名手とよばれている。そんな隆介がまさに夫婦のドラマを執筆中に、23年間連れ添った妻・今日子(小林聡美)に離婚を切り出される。“夫婦とは空気のようなもの”と考えていた隆介にとって、妻からの申し出はまったくの想定外!妻と別れたくない。でも、その理由は!?世間体なのか!?それとも愛しているからなのか…!?シナリオの執筆もそっちのけで悩む隆介の前に、今日子から依頼された弁護士・堂島正義(岡田将生)が現れ、次々と要求を突きつけ、隆介はどんどん追い込まれていく。■リリー・フランキーがダメダメ夫に!『万引き家族』以来初ドラマ主演主演は、第71回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した映画『万引き家族』(監督:是枝裕和)で、万引きを繰り返す一家の“父親”を演じたリリー・フランキー。吉田監督とは『美しい星』からの再タッグ。リリーさんは「とてもよい作品ができたなと思っています。ドラマを撮っても、(吉田)大八さんは大八さんだなと感じました」と、再び“吉田組”に加わることができた喜びを語り、「ホームドラマとしては、とても斬新な作品。見終わった後、“変わったドラマを見たな”とお感じになると思います」と手ごたえをアピール。「ある程度、年齢を召した方はもちろんリアルな“あるある感”を見出してくださると思いますが、僕は逆にこれから結婚したいと思っている若い人たちにこの夫婦を見てもらいたいと思っています」と期待を込めた。■小林聡美、岡田将生ら実力派キャスト共演!また、離婚を決意した妻・今日子を演じるのは、数々の作品で独特の存在感を発揮し、吉田監督作品『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞やキネマ旬報助演女優賞を受賞した小林聡美。リリーさんとは初共演となる。「もっとバカバカしい夫婦のやりとりがあるかなと思っていたら、考えていたよりシリアス路線で、ピリピリした感じで演じました。でも撮影自体はとても楽しくて、リリーさんが織り込む“小ネタ”を見て、『またやっているな』と思っていました(笑)」と小林さん。さらに『そらのレストラン』や「昭和元禄落語心中」など映画、ドラマ、舞台と多彩なフィールドを自在に駆け抜ける岡田将生が、夫婦を離婚へと導く弁護士役で吉田演出に挑む。「いつかお仕事をしたいと思っていたので、ご一緒する機会を与えていただき、うれしかったです」と岡田さん。「先輩から『1回でOKは出ない』『1回でOKが出たら奇跡』と聞いていたので緊張はしましたが、監督の演出が楽しくて、とても濃い毎日でした」とふり返っている。■吉田大八監督、ドラマSP初演出!メガホンを取るのは2007年、長編デビュー作の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』がカンヌ国際映画祭・批評家週間部門に招待され、2013年『桐島、部活やめるってよ』で第36回日本アカデミー賞最優秀監督賞、最優秀作品賞などに輝いた奇才・吉田大八。その後も、『紙の月』『美しい星』『羊の木』などの話題作を次々と世に送り出した監督にとって、本作がドラマスペシャル初演出。脚本は、「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」や「林修の今でしょ!講座」など数々の大ヒットバラエティーを生み出してきた放送作家で、近年は「ボクの妻と結婚してください。」「天国マイレージ」(いずれも講談社刊)など小説家としての評価も高い樋口卓治が担当。様々な人間を見つめてきた樋口氏が描き出す、切なさ100%の大人の愛のカタチを、吉田監督が独自のセンスで映像化した本作。充実のキャスト陣が味わい深い演技で、どこかおかしくてどこか愛しいキャラクターたちを体現し、切なくもやさしい、なんとも不思議な温もりに満ちた夫婦の物語を綴る。ドラマスペシャル「離婚なふたり」は4月、2週連続で金曜23時15分~(一部地域を除く)テレビ朝日系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2019年02月21日