知的障害とは?どんな症状?出典 : 知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的障害とは言いません。厚生労働省は知的障害を以下のように定義しています。知的障害は精神遅滞とも表される、知的発達の障害です。知的機能や適応機能に基づいて判断され、知能指数により分類されます。様々な中枢神経系疾患が原因となるため、正しい診断を受けて、早期に治療・療育・教育を行う必要があります。本人のみならず、家族への支援もかかせない発達障害のひとつです。知的障害(ID: Intellectual Disability)は、医学領域の精神遅滞(MR: Mental Retardation)と同じものを指し、「知的発達の障害」を表します。すなわち「1. 全般的な知的機能が同年齢の子どもと比べて明らかに遅滞し」「2. 適応機能の明らかな制限が」「3. 18歳未満に生じる」と定義されるものです。中枢神経系の機能に影響を与える様々な病態で生じうるので「疾患群」とも言えます。知的障害は、染色体異常を原因とするダウン症のように出生後にすぐ診断できる疾病に合併する場合もあれば、自閉症のように、生後すぐには診断できない障害に合併することもあります。知的障害は「知的機能(IQ)」の検査のみによって診断がくだされるのではありません。「適応機能」という日常生活能力、社会生活能力、社会適応性などの能力を測る指数と併せて診断が下されます。知的障害の診断は医療機関や地域によって異なりますが、一般的に知的障害は「知的機能」と「適応機能」の評価で「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4つの等級に分類されます。出典 : この図では、横軸に日常生活能力水準をaからdで取り、縦軸にIQのレベルをIからIVに取っています。日常生活能力水準はaに近づくほど自立した生活が難しいということになり、dに近づくほど自立した生活ができるということを表します。また同様にIQが低いほどIに近づき、IQが高いほどIVに近づきます。横軸と縦軸が合わさったところから、知的障害の程度を診断します。以上の図では、知的機能が低かったとしても適応機能が高ければ、ひとつ上の等級で診断されることがわかります。知的障害は知的機能検査だけで診断されると思われがちですが、このように知的機能と適応機能の2つが評価された上で診断が下されます。小林朋佳稲垣真澄 「精神遅滞」 2011年知的障害はいつ分かる?診断の年齢は?出典 : ダウン症の場合、出生時に知的障害が合併する可能性を示唆できます。しかし、保育園や幼稚園、小学校などで周りの子と比べた発達の遅さから疑いを持ち、医療機関での検査を受け、知的障害だと判明するケースが多いのです。知的障害は発達期の間に発症するとされ、診断は18歳以下が一般的ですが、子どもの頃に症状に気づかず大人になってから知的障害だと診断された方も少なくありません。検査できる年齢等は定められていませんが、症状がわかりやすい幼児以降の診断が多いです。幼い子どもや障害が重度の場合は保護者が代わりに質問に答えたり、記入してもらう方法が適用されます。出典元:内閣府「平成25年版障害者白書(概要)」>第1章障害者の状況(基本的統計より)知的障害の診断基準出典 : 医療機関では問診と簡単なテストを行います。知的障害の診断基準にはアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)といった基準が使われており、検査結果から総合的に判断します。以下はDSM-5にある知的障害の診断基準です。以下を全て満たすと、知的障害だと診断されます。A 臨床的評価および個別化、標準化された知能検査によって確かめられる、論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、学校での学習、および経験からの学習など,知的機能の欠陥。B 個人の自立や社会的責任において発達的および社会文化的な水準を満たすことができなくなるという適応機能の欠陥。継続的な支援がなければ、適応上の欠陥は、家庭、学校、職場、および地域社会といった多岐にわたる環境において、コミュニケーション、社会参加、および自立した生活といった複数の日常生活活動における機能を限定する。C 知的および適応の欠陥は、発達期の間に発症する。(日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』2014年 医学書院/刊より引用)ほかにも使われる診断方法があります。知的障害は、知能検査と適応能力検査の2つによって総合的に診断が下されます。「田中ビネー知能検査 V(ファイブ)」、「新版K式発達検査」、「ウェクスラー式知能検査」が検査で使われることが多いです。年齢によって受ける検査が異なるものもあります。■田中ビネー知能検査 V(ファイブ)2歳から成人まで受けることができます。就学する5~6歳の年齢にフォーカスをあて、特別な配慮が必要かどうかを判断するための「就学児版田中ビネー知能検査V(ファイブ)」という検査もあります。子どもが興味を持てるように、検査に使われる道具が工夫されています。日常生活において必要な知能・学習する上において必要な知能の2つを測定します。■新版K式発達検査生後100日頃から14歳くらいまでの人が受けることができます。「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に、重点を置かれ検査します。楽しみながら検査を受けることができるので、緊張していない自然な行動から判断することができます。試験者は子どもの検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。■ウェクスラー式知能検査ウェクスラー式知能検査は、年齢ごとに3つのテストに分類されます。・幼児(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月)→WPPSI・児童(5歳から16歳11カ月)→WISC・成人(16歳〜)→WAISIQが求められるだけでなく、脳の発達具合を下位検査を用いて導出し、総合的に判断することができます。ウェクスラーにはA式検査とB式検査の2種類があり、A式が言語性検査、B式が動作性検査です。教育相談情報提供システム 「発達検査」 国立特別支援教育総合研究所田研出版 「田中ビネー知能検査V」適応能力を評価する検査は大きくわけて3つあります。■適応能力検査の種類・vineland-II(全年齢)・ASA旭出式社会適応スキル(幼児〜高)・S-M社会生活能力検査(乳幼児〜中学生)これらの検査を年齢や状況に応じて使い分け、総合的に知的障害の診断が下されます。日本文化科学社 「心理検査カタログ」 2016年専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?出典 : 言葉を習得するのが著しく遅いなどの言語能力の遅れや、運動能力の遅れ、社会性の発達の遅れなどで気になることがあるなど、子どもの知的障害を疑ったら、一度は専門機関へ相談されることをおすすめします。医療機関で診断を受けるかどうか、決めるのは本人やご両親の判断となります。ですが、適切なサポートを受けられないまま、生活する上で最も困難さを感じるのは本人です。少しでも早く症状に気づいてあげられれば、フォローして困難の乗り越え方を手助けすることも可能になりますし、できるだけ生活しやすい環境を整えてあげることもできるかもしれません。親や家族で抱え込まず、専門家や周りの人たちの協力を得ながら、その子にあったやり方で接することが大切です。いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所など【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所などその後、すすめられた場合は、医療機関に行き医師からの診断を受けましょう。診断を受けて知的障害だった場合は今後どのように対応していけばいいか聞くことができますし、仮に知的障害でなくとも普段の行動を見直すきっかけになると思います。児童相談所などは電話やファックスでの相談にも対応してくれるため、事前に気になることを聞いてもいいですし、診断に抵抗がある方はまずは相談するだけでも大丈夫です。身近な相談センターに行って相談し、知的障害の疑いがあり、診断を希望すればそこから専門医を紹介してもらえます。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談に乗ってくれることもあります。知的障害を含め、発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの法が整備されたことの影響もあり、年々増加はしています。診断を受けられれる医療機関としては、子どもの場合は小児科、大人の場合は精神科が一般的です。その他、神経科や心療内科なども挙げられます。また、保健センターなどでは知能検査や適応能力を診断する検査を受けられる可能性もあります。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」診断の流れ、必要な持ち物は?出典 : 使用する検査は病院などによって異なりますが、「WISC」・「WAIS」や「田中ビネー」など標準化された知能検査や社会適応能力検査を用いて、知的障害の診断を行います。幼児期の子どもは知能検査や発達検査を受けたり、保護者が質問の回答や記入を行ったりします。検査機関によっても異なりますが、知能検査は正確な結果を得るため、通常1年に1回など期間をあけて測定します。また、知的障害は他の障害や疾患を合併していることもあるため、様々な検査が行われることもあります。てんかんがないか脳波を調べたり、脳の器質的な異常がないか調べるためにMRIをしたりといった、生理学的な検査を行うこともあります。なお、検査のみで把握できないことも多いため、行動観察や問診などで総合的に考慮されて、知的障害と診断されます。また、一度の受診で診断されることはあまりなく、何度か経過観察を経て正式に診断を下されることが多いようです。診断に持っていかなければならない持ち物としては基本的に健康保険証とお金、小さな子どもの場合は乳幼児医療証が挙げられます。診察料は病院によってさまざまで検査によっても異なりますが、2万円以内に収まるケースがほとんどです。地域や年齢によっては診察代が無料の場合もあります。しかしながら、保険適用外の検査もあるため、事前に電話などで病院に確認しておくと安心です。知能検査や発達検査の他に問診でこれまでの生活状況について尋ねられることがあります。母子手帳や事前に子どもの行動や1日のスケジュールなどをメモしたものを持参すると質問された時に答えやすいでしょう。まとめ出典 : 軽度の知的障害の場合、本人や周囲の方が気づかないまま大人になることも少なくありません。一方、知的障害の診断を受けると、療育手帳を取得することが可能になり、社会からのサポートが受けやすくなるというメリットもあります。お子さんに知的障害の疑いがある場合、専門機関への相談も検討してみてください。専門家や支援センターの担当者、同じ悩みを抱えるご家族と相談することで、お子さんがより過ごしやすい環境やサポートを考えていくことができるでしょう。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院/刊参考書籍:栗田広・渡辺勧持/訳『知的障害定義、分類および支援体系』2004年,日本知的障害福祉連盟/刊参考書籍:有馬正高/監修『知的障害のことがよくわかる本』講談社/刊
2016年08月03日ある夏の日、水遊びをする娘の写真をとっていると…Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA自分の発した言葉が伝わっていると信じて疑わないこの感じ…本人は至って大真面目なのですが、可愛い!!来年は小学1年生。どんな毎日になるのか、今からとても楽しみです。
2016年08月03日広汎性発達障害(PDD)の主な症状出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリで、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という障害が含まれています。広汎性発達障害の症状として主に下記の3つが挙げられます。1.社会性・対人関係の障害人に関心を示さない孤立型、言われたことに何でも従う受動型、一方的に話し続ける積極・奇異型、横柄な態度を取る尊大型の主に4タイプに分かれます。孤立型の特徴としてよく言われるのが、視線を合わせない(避ける)などの症状です。2.コミュニケーションや言葉の発達の遅れ他人とのコミュニケーションや会話が苦手で、抽象的な言葉の意味や曖昧な表現、文脈を理解できていないなどの症状があります。言葉の発達が遅れる症状も見られるため、3歳になっても会話ができないということで障害を疑う親も多くいます。3.行動と興味の偏りある特定の物事に強い興味やこだわりをみせることがあります。環境の変化や予定の変更を嫌がったり、普段はできていることも初めての場所だとできないなどの症状があります。その結果パニックを起こしてしまう場合もあります。こだわりが強く偏食になったり、同じ行動を長時間続けるなども見られます。また、機械音やサイレンなど特定の音に苦痛を示したり、抱っこを嫌がったりするなど、聴覚や視覚などの感覚過敏が広汎性発達障害のある人の多くに見られると言われています。広汎性発達障害はいつ分かる?診断の年齢は?出典 : 広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの何らかの症状に気づく時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。思春期以降には、不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。まだまだ認知度が低い発達障害ですが、本人に何らかの困りごとや症状があることに気づいた段階で早めに専門機関などで相談し、医療機関を受診するなどして、療育などの必要な支援を受けることが大切と言われています。広汎性発達障害の診断基準は?出典 : 一般的に専門機関での診断はアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)や、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』による診断基準によって行われます。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』では広汎性発達障害の診断カテゴリ下にあったレット障害を除くすべての障害名が、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに統合されました。そのため今後「広汎性発達障害」という診断名は少なくなっていくと考えられますが、本記事では行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明しています。以下は『ICD-10』における広汎性発達障害の診断基準になります。以下の基準の中で当てはまる項目が多い場合や気になる場合は、専門機関で相談することをおすすめします。F84.2レット症候群Rett’s SyndromeA.胎生期・周産期は明らかに正常,および生後5カ月までの精神運動発達も明らかに正常,および生下時の頭囲も正常であった.B.生後5カ月から4歳までの間に頭囲の成長は減速し、また5~30カ月の間に目的をもった手先の運動をいったんは獲得していたのに喪失すると同時に,コミュニケーション機能不全,社会的相互関係の障害を伴い,また歩行および/または体幹の協調運動障害/不安定さがあらわれる.C.表出性および受容性言語の重度の障害があり,重度の精神運動遅滞を伴うこと.D.目的をもった手先の運動を喪失時またはそれ以後にあらわれる。正中線上での常同的な手の運動(もみ手や手洗いのようなもの)があること.F84.3他の小児期崩壊性障害Other childhood disintegrative disorderA.少なくとも2歳までの発達は明らかに正常であった.2歳時あるいはそれ以後に,コミュニケーション・社会的関係・遊び・適応行動について,年齢相応の正常な能力が存在していたことが診断に必要である。B.発症と考えられる時点において,それまでに獲得していた技能を明確に喪失していること.診断には臨床的に重要な技能について,次に挙げる領域のうち2項目以上の喪失(できなくなる場合があるだけではなく)が必要である.(1)表出性または受容性言語(2)遊び(3)社会的技能または適応行動(4)排尿または排便のコントロール(5)運動技能C.社会的機能の質的な異常が,次に挙げる領域のうち2項目以上に存在すること.(1)相互的な社会関係における質的異常(自閉症で定義した型)(2)コミュニケーションにおける質的異常(自閉症で定義した型)(3)常同運動や奇妙な運動を含む,行動や関心および活動性の,限定的・反復的・常同的なパターン(4)物や周囲に対する関心の全般的喪失D.障害は,広汎性発達障害の他の亜型,てんかんに伴う後天性失語(F80.3).選択制緘黙(F94.0),レット症候群(F84.2),統合失調症(F20.-)などによるものではない。F84.4精神遅滞[知的障害]および常同運動に関連した過動性障害Overactive disorder associated with mental retardation and stereotyped movementsA.重篤な過動が,活動性と中言い関する次の問題のうち2項目以上に明らかであること.(1)走ったり,跳んだり,全身を使った運動に示される,持続する落ち着きのなさ.(2)じっと座っていられない,常同的な活度に没頭しているときを除いて,ふつうは長くて数秒しか座っていられない(基準Bを参照).(3)静かにしていなければならない状況での強度の過動(4)めまぐるしく活動を変え,通常行動は1分未満しか続かない(時々,お気に入りの活動により長い時間を費やしても,除外しない.また,常同的な活動にひどく長い時間を費やすことがあっても,その他のときにこの問題が存在すればよい).B.行動や活動の常同的・反復的なパターンが,次のうち1項目以上に明らかであること.(1)固定して頻繁に繰り返される奇妙な運動,全身を使った複雑な運動ないし,手をひらひらとさせるような部分的な運動のいずれかがある.(2)過剰で意味のない活動の一定の形の繰り返し,単一の物体(たとえば流れる水)との遊びや,儀式的な行為(1人でしたり他人を巻き込んだり)など(3)反復する自傷行為C.IQは50以下.D.自閉的なタイプの社会機能障害はない.すなわち,次のうち3項目以上を示すこと.(1)社会的相互関係を調整するうえで,視線・表情・姿勢を発達的に適切に使用すること.(2)発達的に適切な,同世代の小児と関心や活動などを共有できる関係があること.(3)少なくとも時々は他人に慰めや情愛を求めていくこと.(4)他人の楽しみを時々は分けあうことができる.社会機能障害の他のタイプ,たとえば見知らぬ人に平気で近づくことなどは,あってもよい.E.自閉症(F84.0とF84.1),小児期崩壊性障害(F84.3)または多動性障害(F90.-)の診断基準を満たさない.F84.8他の広汎性発達障害Other pervasive developmental disordersF84.9 広汎性発達障害,特定不能のものPervasive developmetal disorder, unspecifiedこれは残遺診断カテゴリーで,広汎性発達障害の全般的記載には合致するが,十分な情報を欠く,あるいは矛盾する所見があるために,F84の他のコードのいずれの診断基準も満たさないような場合に用いるべきである。(中根允文ほか/訳『ICD-10精神および行動の障害DCR研究用診断基準』2009年,医学書院/刊p158より引用)自閉症・アスペルガー症候群の診断基準に関しては下記の記事をご参照ください。専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?出典 : 上記で述べた症状や特徴などが見受けられる場合、専門家に判断してもらうことをおすすめしますが、いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。また、1歳半や3歳児健診などの乳幼児健康診断がある場合は、医師や専門家もいるのでその際に相談してみるのもよいでしょう。子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いので、児童相談所で相談するパパ・ママも多くいます。まず身近な相談センターに行って、診断をすすめられたら、そこから専門医を紹介してもらいましょう。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。診断は、子どもの場合、小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。(大学病院や総合病院などにあります)大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科や精神科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」診断の流れ、必要な持ち物は?出典 : 本人や保護者に対する問診(面接)や行動観察、家族・学校の先生による提供情報の精査などと、専門機関によっては知能検査や発達検査などを実施する場合もあり、筆記や口頭質問などの検査が行なわれ、様々な情報を総合的に評価して診断されます。検査は複数回に分けて行なわれたり、慎重に経過を見ながら行われるため、一度の受診で診断されることはあまりありません。知能検査は、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)やウェクスラー式知能検査(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」)などの検査を受けることによって検査結果がでます。特性の現れ方や発達段階などを評価するため「CARS」や「新版K式発達検査2001」、「PEP-R」などを行う場合もあります。初診時に必要な物として保険証、子どもであれば母子手帳などがあります。服用中の薬などがあれば、お薬手帳なども持っていくとよいでしょう。また、生育や発達歴についての問診がありますので、言葉を話し始めた時期や日常生活での困りごとなどをメモして持っていくと質問に答えやすいかもしれません。発達外来などの専門機関によっては保育園や幼稚園の連絡帳、小学校の通信簿やホームビデオなどを参考にする場合もあります。事前に問診票をプリントアウトして持参する機関もありますので、専門機関の公式ホームページをチェックしたり、予約時に電話にて必要な持ち物を問い合わせてみてください。まとめ出典 : 広汎性発達障害の子どもをもつ親の中には子育ての仕方が悪いと自信をなくす方もいらっしゃいます。ですが広汎性発達障害は子育ての仕方が原因ではないことが医学的にわかっています。自信をなくすなど親がストレスを抱えていると、子どもにも気持ちが伝わってしまいます。専門機関に相談したりすることで、同じ悩みを持つ親と知り合える機会も増え、親にとっても子どもにとっても心の面でケアできる可能性があります。まずは相談や診断を受け、少しずつでも広汎性発達障害について理解し、じっくり子どもと向き合っていくことが大切です。広汎性発達障害と診断された場合、年齢に応じた療育相談や、理学療法士・作業療法士などによる個別訓練、てんかんなどに対する薬物療法などが行なわれます(専門機関によって異なる)。一般的に早期療育がよいと言われています。早めに広汎性発達障害と知ることで子どもにあった療育方法を見つけ、生活に必要なスキルを練習することで、子どもと家族にとって生きやすい環境をつくっていきましょう。
2016年08月02日医学的に広汎性発達障害(PDD)の発現時期は分かっているの?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で広汎性発達障害が起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの症状から何らかの疑いをもつ時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半検診や3歳児検診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。姫路心療内科 前田クリニック 「発達障害とうつの関係」埼玉県総合教育センター 「自閉症の理解と支援自閉症とは」広汎性発達障害の原因は?出典 : 現段階では正確な原因は解明されていませんが、脳機能の障害により症状が引き起こされるといわれています。その脳機能障害は、先天的な遺伝要因と、様々な環境要因が複雑かつ相互に影響し合って発現するというのが現在主流となっている説です。なお、広汎性発達障害という診断名は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)の診断基準では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに変更されています。以下の各症状の中には、自閉症スペクトラム障害の概念から除外されたものも含まれています。しかし、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。以下の図で広汎性発達障害に含まれている各症状の原因について、それぞれご紹介します。Upload By 発達障害のキホン自閉症は脳の機能障害が原因と考えられていて、これには複数の遺伝子が関わっており、最近では父親の高齢化で自閉症の確率が高まるという研究報告や、妊娠時の体内環境の要因などが関連すると言われることもあります。しかしながら、これらは全てはっきりしたメカニズムが分かっておらず、医学的根拠については解明されていません。アスペルガー症候群も自閉症と同様に脳の機能障害である可能性が高いとされていますが、その全てが解明されている訳ではありません。小脳や脳内物質の異常、環境ホルモンやウィルス感染、成長環境での心理的要因など国内外で様々な研究が進められており、アスペルガー症候群の原因について医学的な裏づけを研究している段階です。レット障害(レット症候群)はほとんどが女児に見られる発達障害です。レット障害についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。女性の性染色体はXX型、男性はXY型であるため、レット障害は女児に多いと考えられています。また、男児の場合、遺伝子の異常で流産や死産してしまう可能性が高いですが、男児のレット障害も少数ながら報告されています。レット症候群|難病情報センター小児期崩壊性障害(CDD)はヘラー症候群とも呼ばれますが、その原因は現段階では解明されていません。今まで話していた子どもが言葉を話さなくなるなど精神発達の退行が症状として現れますが、脳や神経系の感染症などを発現後に小児期崩壊性障害となるケースも多く、脂質代謝異常や結節性硬化症など、さまざまな疾患と関連があると考えられています。特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は特定不能とあるように、特定の原因は不明とされています。一部では遺伝要因と環境要因による相互作用ではないかと考えられています。自閉症やアスペルガー症候群の診断基準には当てはまらないが、その特徴を一部持っているという場合に診断されることが多いです。広汎性発達障害は親から子どもへ遺伝するの?出典 : 広汎性発達障害は先天的な遺伝的要因が関与している可能性が高いと言われています。双生児研究や家族間研究が盛んに行われてきました。以下のようなデータがあります。広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は70~90%であり、その遺伝率は90%とされている。よって広汎性発達障害は遺伝因子がその発症に大きな役割を果たしていると考えられている。(橋本亮太、安田由華、大井一高、福本素由己、高村明孝、山森英長、武田雅俊「モデル動物を用いた発達障害病態解析」 2009年より引用)一卵性双生児の場合、基本的な遺伝子情報は同じです。その一卵性双生児間で一人が広汎性発達障害である場合、もう一人も広汎性発達障害であるという確率が90%と高いことは、遺伝的要因が影響していると言われている根拠の一つとなっています。一方で、一致率が100%でないということは、遺伝以外の要因があることも示唆しているのです。つまり、広汎性発達障害は遺伝的要因が関係している可能性がありますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するというわけではありません。また。遺伝する確率や詳しい原因については研究段階で、発現するメカニズムなどは解明されていないのが現状です。障害のある親から障害のない子どもが産まれる場合もありますし、親族の広汎性発達障害のない場合でも障害のない親から障害のある子どもが産まれる場合もあります。きょうだい間でも上の子が広汎性発達障害だったからといって、下の子も必ず広汎性発達障害になるとは限りません。広汎性発達障害を検査する方法はあるの?出典 : 羊水検査やエコー写真などによって、出生前の妊娠中の段階で広汎性発達障害を検査する方法は今のところありません。原因遺伝子が確定されているレット障害(レット症候群)に関しては、出生後に遺伝子検査ができる場合もあります。しかし、その他の広汎性発達障害については、出生後も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な方法で検査することはできません。一般的に子どもになんらかの症状や特性が現れてから、様々な心理検査や知能検査、保護者(親)に対する問診、子ども(本人)の行動観察、学校や家族からの情報提供などによって診断が行われます。診断基準は主にDSM-5やICD-10などが用いられます。診断はさまざまな情報や検査の結果から総合的に行われ、経過を見ながら慎重に行われます。レット症候群の遺伝子異常について|NPO法人レット症候群支援機構HP広汎性発達障害の治療法はあるの?出典 : 根本的な原因が解明されていないため、薬や手術などによる根本的な治療法は存在しません。一般的には環境調整や療育(りょういく)と呼ばれるトレーニングを行い、家庭での対応や専門機関による療育などによって子どもが自立して生活できるよう支援していきます。また、パニック症状やてんかん発作、感覚過敏など一部の症状に対して薬物療法が行なわれる場合もあります。療育は何歳からでも始めることができます。コミュニケーションの取り方がわかったり、療育の遊びを通して友達ができたりする子もいます。ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所ともなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面でもサポートにもなると言えるでしょう。まとめ出典 : 広汎性発達障害の原因は遺伝的要因が有力とされていますが、必ずしも単純に遺伝するという訳ではなく、詳しい原因やメカニズムはいまだ解明されていません。一方で親の子育て方法が原因と言う心因論も誤りです。遺伝かどうか、原因は何かを探るだけではその子の生きやすさにはつながりません。その子が生きやすい環境を作ることがもっとも大切なことです。また、最近では3歳未満で診断されることも多いですが、見た目にも分かりづらいことから大人になるまで広汎性発達障害と気づかなかった方もいます。広汎性発達障害と気づき、療育などの適切なサポートを受けることは本人にとっても親にとっても大切なことです。少しでも気になることがあるようでしたら、専門機関での相談を受けてみてください。
2016年08月01日独身時代から漠然と描いていた「人をもてなしたい」という思いを形にするために、周囲の人に夢を語り続け、ママになってから形にした女性がいます。元看護師で、現在はママ向けサロンを併設したカフェのオーナー佐々木みかさん。「自分がやりたいことは、子育て中でもあきらめなければ実現できます」という佐々木さんの話を聞きました。看護師として働きながらも、「料理でおもてなし」が夢佐々木さんは、現在高校1年生と小学校6年生の男の子のお母さんです。第一子出産前は、総合病院の看護師として働いていましたが、産後は渋谷区子育て支援センターでベビーマッサージ講師を務め、自宅でもベビーマッサージ教室を開いていました。その佐々木さんがなぜカフェをオープンさせたのでしょうか。「もともと人をもてなすことが大好きで、看護師時代から友だちを自宅に招いて料理をふるまっていました。看護師を一旦退職して、ワーキングホリデーでニュージーランドに行った際も、ヨットクルーのチームメンバーのために3食を作る経験を通して、『いずれは飲食関係の仕事に就き、料理で人をもてなしたい』という思いを深めました」とのこと。自宅でのベビーマッサージ教室でも、マッサージの指導後には約30分のティータイムを設け、手作りのスイーツを出していました。夢の実現への一歩は、夢を語ることからいつかカフェをオープンしたい、という夢を実現させるために、自宅でベビーマッサージ教室を開いていたときから、旦那さんや義理のお母さん、友だちやお客さんに夢を語っていた佐々木さん。下のお子さんが小学校3年生になる年をカフェオープンの年に設定し、そこから逆算して準備を開始。カフェの内装も食器も、すべて自分で決めたそうです。「あの頃は、『全部自分でしないといけない』と肩に力が入っていたのです。だんだん肩の力が抜けて、周りの人を頼れるようになりました」とのこと。実際に、必要な場面で友だちが手をさしのべてくれたり、必要な人に出会ったり、縁に恵まれ、「感謝の気持ちでいっぱいです」。ママたちがくつろげる場を提供したい「私はカフェで過ごす一人の時間が好きなのですが、出産後はコーヒー一杯をゆっくり飲む時間さえ取れなくて。お母さんがほっと一息つける場所を作りたかったのです」。夢が叶い、2013年5月にオープンした、まきの木cafe & studioでは、「おうちスタイルのほっこり味」をテーマにオリジナルメニューを提供し、家庭でも作れるようにHPにレシピを公開しています。カフェでは、ベビーマッサージのほか、ママ向けのコラボイベントを開催していますが、こちらでも、イベント後にママたちに話をしてもらう時間を設けています。「話すことですっきりすることが多いですからね」と佐々木さん。「今までずっと家に引きこもっていた」「外に出るきっかけになった」という感想も多いそうです。いずれはママだけでなく、すべての女性や男性にも、気軽に立ち寄ってもらえるカフェにしていくことを考えています。やりたいことに向かっていくと、道は開ける第一子出産後は、自分が何をしたらいいのか、どちらに進めばいいのかわからず、模索する日々だった佐々木さん。「人に話したり、自分自身に問いかけたり、興味がある講座に通って資格を取ったり。迷いと勉強の日々でした」。そんな佐々木さんから、ママたちへメッセージ。「ママになると、自分のことは二の次になりがちです。でも、子育て中も、自分らしくいられる場所や自分時間をもつことは大切です。自分のやりたいことに向かっていくと、必ず道は開けます。お子さんもきっと、輝いているママのことは大好きです」。「当時はとにかく迷い悩み、必死だったけれど、今だからわかる」という佐々木さんの言葉が、まさに今、自分の人生を模索中のママたちの心に届きますように。取材協力まきの木cafe & studio<文:フリーランス記者鯰美紀>
2016年08月01日子どもの躾、責められるのは親。いつしか周囲の視線が怖くなった出典 : 子どもが公共の場で問題を起こしたり迷惑をかけたりすると、周囲から「躾ができていない!」と言われることがあると思います。その結果、自分の子育てを否定されて自信を失い、落ち込んでしまう人も多いのではないでしょうか。問題を起こした子どもにも理由があるとはいえ、周囲から息子のことで責められ続けた私は、心身共に参っていました。子どもに暴力は振るいたくない!と考えていた私は、手こそ上げなかったものの「どうして分からないの!?」と怒鳴りつけたり、やってはけない理由を延々聞かせたりしていたのです。家でも外でも責められ続けた息子は目つきが険しくなり、チックの症状も出始め、そしていつの間にか笑顔が消えました。まずは「落着いて」深呼吸!これだけで変化が出典 : 息子の異変に気がついた私は、「問題を責め続けることは、やはり間違っているんじゃないか…」と思い始めました。しかし、このままではいけないとわかっていても、息子にどう接していいのか悩みます。考えた末、せめて「責めること」はやめてみようと思いつきました。何か問題が起きても、まずは落ち着いてからゆっくりと話を聞いたり伝えたりしよう。息子が目の前で何かをしてしまったとき、学校から問題があったと電話があった時など、自分の感情がカーッと込み上げてくるのを感じ、私はトイレに駆け込みました。気持ちが落ち着くまで、トイレで深呼吸。落ち着いてくると、なぜ息子が問題を起こしたのか?いくつか予想を立てることが出来ました。すると、問題が起きないための対策も浮かんできました。落ち着くことで「責めずに」息子と話せるように出典 : 自分の気持ちを落ち着かせることに慣れてきた頃、息子のトラブルを前に「責めずに」対応できたことがありました。友達と公園へと出かけて行った息子、出先でゲームソフト失くし、帰ったら「無い!」と騒ぎ出したのです。「絶対アイツが盗ったんだ!」と逆上して電話をかけようとしていました。それを聞いた私は、ついいつものようにカーッとなって怒鳴り付けそうになるのをグッとこらえ、ゆっくりと深呼吸…すると、落ち着いて息子に状況を確認することができました。出典 : 私は友達にどう伝えればよいのか考え、息子に提案しました。「ソフトが見当たらないから、間違って○○君のカバンに入ってないか見てくれる? 見つからなかったら、もう外にゲームは持って行っちゃダメってお母さんが言ってる。って伝えてみたら?」この提案に息子も落ち着きを取り戻し、友達を責めることなく電話ができました。その後ソフトは公園で見つかり、事態は収まったのです。それまで自分の子育てや子どもへの対応に自信を失っていた私ですが、「叱責せずに問題解決できた」ことで少し自信を取り戻せたように感じます。主治医のアドバイスは「いつも褒めること」?出典 : 一方で、息子の診断時に起こした勘違いもありました。先生からの説明はおそらく「子どもが頑張っていることやできたことを褒めよう」という意味だったと思うのですが、私は「いついかなる時も褒めなければ」と理解していたのです。ある日息子が娘に当たり散らす姿を目撃しました。必死に褒めポイントを探した私は、息子の口達者な部分を褒めることに。「よく次から次へと言葉が出てくるね〜。息継ぎもしないで。」すると、息子はそれまでのイライラした顔から急に表情を変えキョトンとした顔で私を見て「でしょ〜。すごいでしょ〜!」と言ったのです。何でも褒めなければと必死になっていた私ですが、息子には効果があったようで自慢げなその顔からは怒りの表情が消えていました。後から学んだのですが「気を逸らす」というのは、気持ちを落ち着かせるための1つの方法なのですね。勘違いによる失敗ではありましたが苦し紛れにした対応が、息子の高ぶる感情を落ち着かせるヒントになりました。息子を叱ってばかりだった過去を振り返って思うこと出典 : これまで失敗の連続でしたが、精一杯やってきました。それでもまだまだ勉強中です。発達障害児の子育ては予想外の連続。これからも対応を間違えたり軌道修正したりの繰り返しでしょう。「間違いのない対応をしなくては!」と気を張り続けている方。「また失敗してしまった…」と自分の対応に落ち込んでしまう方。最初から上手に対応のできる方もいらっしゃるかもしれませんが、ひどい状況にいても抜け出せるキッカケはきっとあります。お伝えしたいことは、失敗してもどこからだってやり直せるということ。失敗から前に進めることもあります。深呼吸して、落ち着いて対応を考えていきましょう。
2016年07月30日発達障害の診断をきっかけに始まった、息子との信頼関係出典 : 私の息子は発達障害があります。診断が下りる前、私は息子の癇癪やパニックにいつも悩んでいました。「お願い、もう勘弁して」と私まで息子と一緒に泣いてしまったほどです。そんな私を救ったのが発達障害の診断です。息子の癇癪とパニックはこちらが適切に支援を行えば発動しないということを、そのとき初めて知ったのです。診断のおかげで、私は息子との接し方を工夫し、心地のよい時間を過ごすことができるようになりました。周囲の人に「本当に、息子さんはお母さんのことが大好きって感じだね」と言われると、密かに幸せな気持ちになりました。私は息子の安全基地になることができた!息子は私を信頼してくれている!そうです、私はとても満足していたのです。高熱を出して1週間もダウンした私。初めての「ママじゃない体験」に息子は出典 : 年、年が明けると同時に私は高熱を出して倒れました。一週間近くベッドから動けなくなってしまったのです。よくよく考えたら、息子が生まれてから、高熱で何日も寝込むようなことは一度もありませんでした。息子は生まれて初めて、私以外の人に世話をされることになったのです。その間、子どもたちの世話は夫がほとんどやってくれました。ところがその一週間は、息子にとってとても苦痛な時間となってしまいました。まず困ったのが食事。夫の作った食事に手をつけないのです。「パパのごはん嫌い。僕の嫌いな物を入れる」と言ってお弁当は手をつけなかったと聞きました。そうです、私は息子の嗜好や味覚過敏を把握していましたから、入れてはいけない具材が全部頭に入っています。でも夫にはそれが分からなかったのです。夫にしてみれば、「たかが小葱一つ」「たかが玉ねぎのみじん切り」を入れたぐらいで、息子は食事を全力で拒否します。息子は、私が作った食事でなければ何も食べられない状態になっていました。そして、お風呂、歯磨き、着替え…。何をするにつけても、息子の絶叫にも近い大泣きが聞こえてきます。普段、私は息子の触覚過敏に配慮して、息子が嫌がるような場所に触らなければならないときは、「今からここを触るけど、三秒で終わらせるよ」と言うように見通しをたてています。ところが夫は、息子が「嫌だ嫌だ」と言うのを、「じっとしていなさい」と押さえつけてしまいます。これが、息子のパニックを誘発しました。高熱のなか、息子が助けを求める声がずっと聞こえてきました。結局、一週間ずっと、息子の「ママがいいーーーーー!!!」「ママじゃなきゃダメーーー!!」という絶叫が止むことはありませんでした。息子は、私がいなければずっと癇癪やパニックを起こす状態のままだったのです。息子に必要なのは「ママ以外」との信頼関係。私が決意したこととは出典 : このとき私は初めて、息子のために頑張り続けてきたこと、息子と築いてきた強い絆は、信頼関係ではなく、依存関係だったと気づきました。当たり前の話ですが、子どもは母親がずっと側にいて支援できるわけではありません。学校に通うようになったり、社会に出て仕事をするようになったとき、息子は私以外のたくさんの人たちと関係を築いていく必要があります。その人たちが息子の特性を完璧に理解して、対応できるわけではないのです。この気づきを通して私は決意しました。「私以外にも信頼できる人がたくさんできるように働きかけよう。私が倒れたら誰にも頼れないような状況は良くない」と。今は、週末や長期休暇には、夫と息子で二人旅に行ったり、幼稚園の行事に夫が参加したり、親戚に何日か預けたりといったようなことを毎月のようにしています。「ママと違うやり方でも、なんとかなる」ということを、息子に体で覚えてもらうためです。また、上の娘と私が二人で旅行に行くこともあります。一人で頑張り過ぎているお父さんお母さんがいたら、ちょっと勇気を持って、もっと周囲に子どもを託してみませんか?
2016年07月28日作業療法士(OT)とは?出典 : 作業療法士(OT)とはOccupational-Therapistの略で、看護師、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)などとともに活躍するコ・メディカルスタッフの一員です。作業療法士は、理学療法及び作業療法士法が制定された翌年の1966年に、国家資格として認可されました。主に作業を通じた人々の身体機能回復・獲得に加えて、学校や職場、地域活動といった社会参加のサポートや、いきいきと生活していくための精神面のサポートまで行う役割を担っています。作業とは、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などの手作業から、食事や入浴などの日常生活にかかわる作業まで、すべての活動のことを指します。作業療法士は様々な機関で活動しているため、人生のあらゆるステージでかかわる可能性があります。特に発達障害に関しても、療育施設で作業療法士の作業療法を受ける人も多く、生活面の機能の発達をうながしてくれる心強いスタッフです。理学療法士及び作業療法士法作業療法士の役割出典 : 作業療法士の役割は、人々の基本動作能力、応用的動作能力、社会適応能力を維持・改善し、仕事、趣味、遊びなど元気な日常生活を送ってもらうための支援をすることです。基本動作能力とは、食事やトイレ、家事など、日常で必要となる活動をする能力のことを言います。また、応用的動作能力とは、より高度な運動や感覚・知覚、認知・精神などの心身機能のことを指します。一方社会適応能力とは、基本動作能力や応用的動作能力などの心身機能と違い、対人関係を構築し、社会性を身につける能力です。主に、地域活動への参加、就労、就学などが挙げられます。これらの能力を維持・改善するために「日常生活活動(ADL: Activities of Daily Living)」の治療や援助を行うことはもちろん、工芸、手芸、園芸、絵画、おもちゃの操作などを通して、人々が社会に適応できるように支援します。作業療法士とよく混同されやすいものに理学療法士というものがあります。両者とも国家資格をもつ専門家ですが、どのような違いがあるのでしょうか?理学療法士は、からだの基本的な機能回復・獲得をサポートします。基本的な機能回復とは、寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基礎となる動作の改善のことを言います。例えば患者が脚を骨折したとき、理学療法士は運動療法や物理療法などを用いて、その部分を曲げたり、伸ばしたりできるよう、身体の基礎的機能の回復をサポートします。一方作業療法士はまず、その人がどのような生活をしたいのかを考え、障害のない日常生活を送るために必要な機能回復・獲得を考えます。その上で、着替える、入浴をする、散歩するなどの作業を通して脚の機能回復を支援します。作業療法士になるには?どんな人が向いているの?出典 : 作業療法士になるためには、毎年1回行われる国家試験を受験し、国家資格を取得する必要があります。試験の合格率は例年約80%であり、2015年実施の試験の合格率は77.5%でした。受験には高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ぶことが必須です。養成施設として、4年制の大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があり、講義と実習を通じて学んでいきます。習得する内容は、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学、リハビリテーション医学など多岐にわたります。作業療法士には主に2つの適性が求められます。1.コミュニケーション能力: 面談を通じて患者の心身の状態や気持ちをしっかりと把握し、最適なプログラムを考えるためにコミュニケーション能力が必要です。特に、相手の話をしっかりと聞き、ちょっとした反応から相手の感情を読み取ることが求められます。2.温厚な人柄: 作業療法を行う上で大切なのは、患者に安心してもらい心を開いてもらうことです。そのためには常に温厚な気持ちで患者に寄り添う姿勢が求められます。作業療法士の支援対象と、支援の対象期間出典 : 作業療法士はこころとからだの機能回復・獲得を担当し、年代を問わず、なんらかの障害や疾病によって生活に困りごとを抱えている人すべてをサポートします。主に4つのタイプに分類されます。・身体に障害がある人: 脳卒中/パーキンソン病/リウマチ/脊髄損傷/その他・こころに障害がある人: 統合失調症/躁うつ病/アルコール依存症/認知症/その他・発達期に障害がある子ども: 脳性麻痺/ADHD/精神発達遅滞/自閉症/知的障害/その他・高齢期に障害がある人: 認知症/脳卒中/骨折/その他急性期から、回復期、生活期まで通してずっとサポートしていきます。また、支援内容はその時期によって異なります。・急性期: 病気やけがの直後から将来の生活を見越したリハビリを開始し、初期段階の支援を行います。基本的なこころとからだの機能改善、新たな機能の低下の予防が目的です。病気やけがの直後は機能訓練や日常の基本的な動作の訓練を行います。サポート内容の例として、自分で食事ができる、自分で移動できる、自分でトイレを使えるようになる練習などが挙げられます。・回復期: より具体的な生活をイメージして機能や能力の改善をしていく支援を行います。急性期を経て病気やけがの状態が安定した後、患者が生活していくために必要な能力などを人それぞれに応じて提案していきます。主に服や靴を着脱する練習、調理や掃除などの家事、買い物など外に出る練習など、日常生活において応用的な動作ができるように支援します。・生活期: 一人一人が生きがいを持ち、豊かに生きるための生活を支援します。住み慣れた場所で、その人がありのままの姿でより良い生活を送るために、散歩など外に出る練習、地域コミュニティへの参加の援助、就労支援、趣味やレジャーを楽しむ支援などを行います。作業療法士のサービスを受けるには出典 : 作業療法を受けられる場所として大きく分けて、医療機関、福祉施設、教育・療育施設、企業・就労現場が挙げられます。病院やリハビリセンターなどの医療機関では、患者の回復状態に応じた作業療法をリハビリテーションチームの一員として行います。そこでは患者が新たな生活の第一歩を踏み出す手助けを担っています。福祉施設とは主に、保健所、福祉関連相談所、老人福祉施設、障害者福祉施設のような施設を指します。老人福祉施設では高齢者が新しい疾患を発症しないように予防したり、地域生活の質の向上をサポートしたりすることで、その人が日々の暮らしを健康に送れるように支援します。作業療法士は、障害のある子どもが通う特別支援学校などの教育・療育施設にも所属します。将来的に障害がある子どもが、地域の中で自立して生活できるように、医療や福祉教育の知識を生かして必要な学びの習得をサポートします。作業療法士はすべての企業ではありませんが、様々な企業や就労現場にも存在し、病気や障害があるが働きたいと思っている人の支援をします。状況に応じて企業の人事担当者や就労支援を担当するジョブコーチ、就労支援施設担当者と協働しながら、障害がある人が職場に適応し、継続して働くことができるように支援を行います。発達障害がある人への作業療法出典 : 発達障害のある人のなかには、協調運動障害のある人も多く、手先が不器用であったり、日常の動作の獲得を苦手とする場合があります。また、他人とコミュニケーションをとることに困難があり、人との距離感をうまくつかめない場合もあります。作業療法士はそのような人困りごとのある人に対しても支援を行います。発達障害における作業療法も子どもの成長ステージごとに分かれています。■乳児期(0~1歳): はいはいや歩くなどの運動発達を遊びを通して促します。保護者に対する子育て支援も行います。子どもがかんしゃくをおこす、抱っこを嫌がる、こだわりが強いなどの育てにくさがある場合。そして、保育所で集団活動ができずすぐに席を立ってしまう、寝つきが悪いなどの問題がある場合があります。そのような問題が起こる理由として、部屋が明るすぎる・暗すぎる、テレビや話し声、エアコンなどの気になる音が耳障りになるなどの、部屋の環境に問題がある場合があります。睡眠の問題に対しては寝具の肌ざわり・重さなどが合わなかったり、睡眠前にしっかり遊べていないため、元気があり余っていたりするときがあります。そこで作業療法士は、面談や調査を通じて問題を見つけ出し、問題に応じて部屋の環境調整や寝具の適合を行います。■幼児期、学童期、思春期(1~19歳): 主に発達障害がある子どもの園や学校でのサポートをします。学生生活で発達障害がある子どもが直面する問題は主に2つあります。席にずっと座ることができない、科目の得意・不得意の差が激しいなどの“授業面での問題”、そして、友達に自分の意見を言いすぎたり、全く言えなかったりするなどの“対人関係での問題”です。なぜこのような問題が起こるのでしょうか?授業面での問題が起こる理由として、姿勢が安定していないため座り続けることが難しいということや、文字を書くのが苦手、計画を立てることが苦手であるという可能性があります。対人関係での問題においては、子ども自身の認知した考えが行動と一致するように活動できない場合が多く、相手の発言を理解したとしても、相手に誤解を与えてしまうよう行動をとってしまうことがあります。すぐに席を立ってしまう場合には、いすに滑り止めシートをはる、机やいすの高さの調整をするなどの環境を整える支援をします。文字を書くのが苦手な場合、なぜ苦手なのか原因を探りながら書きやすい筆記具に変えたり、文字の形を覚えやすくするなどの工夫をします。計画を立てることができず作業をやり続けてしまう問題に対しては、スケジュールや活動の量を口頭ではなく、図や文字などの目に見える方法で掲示し、やるべきことを明確にします。また、考えと行動が一致しないときは、子どものケース別の適切な活動をサポートします。■成人期(20歳~): 主に発達障害がある人が健やかな社会生活を送るための支援を行います。多くの発達障害がある人は、明文化されたルール以外の決まりを理解することを苦手とし、相手の表情から感情を読み取ることを困難とする場合があります。こういった問題から、本人が就職することを難しいと感じたり、就職した場合でもうまくなじめないと感じてしまう場合があります。このような場合、作業療法士は対人交流スキルを向上させるプログラムの開発、メモ・レコーダーを使用した記憶の補強などを通じて、発達障害がある人のスキル改善を支援します。また、職場の人に障害がある人の苦手な部分を理解してもらい対応方法を共有するという、周囲の人のサポートを促すジョブコーチの役割も作業療法士は果たします。出典 : 発達障害における作業療法の流れは主に5つのステップにより構成されています。1.主訴・依頼: 現在の困っていることをもとに、病院や各施設に相談し、必要と判断された場合は作業療法が始まります。2.アセスメント(評価): 対象者・保護者との面談や、活動の中で行っていき、場合によっては検査を行うこともあります。作業療法士はアセスメントで得られた情報を整理し、困りごとが起こる理由を見つけます。評価する主な内容・はしる、あるく、すわる、などの、粗大な日常的な動き・スキップ、自転車、縄とびなどの、応用的な運動・食具、はさみ、鉛筆の利用などの、手先の器用さ・触覚過敏、偏食、感覚の処理能力・知覚 認知能力・育ってきた環境、自尊感情の度合いなどの心理社会的側面・コミュニケーション能力支援プログラムの立案と実施: 困りごとを解決するために必要な方法を考えます。大きく分けて3つの対応方法があります。■本人に対する介入本人に対する理解を深めることで、発達をサポートし、能力の改善・拡大を図ります。■周囲の人に対する工夫周囲の人が本人へよりよい言葉かけができるようになる方法、接し方のコツを教えることで、本人が過ごし易くなるように支援します。■環境調整家具を変えるなどの環境を変化させたり、道具の利用を図ったりすることで、本人が気持ちよく生活できるように支援します。4.再アセスメント: 本人・保護者への面談、活動の中での再調査から支援の結果を確認し、困りごとやつまずきの変化をとらえます。5.プログラムの変更: 再アセスメントの結果、支援プログラムの変更が必要なときは変更し、3に戻ります。もしくは、日常生活を送る上で必要な機能の回復・獲得ができたと評価された場合、状況に応じて作成されたプログラムを継続・終了します。作業療法の体験談出典 : では、実際の作業療法では具体的にどのようなプログラムが行われているのでしょうか?一人ひとりの個性、得意・不得意をみてプログラムを立案していくことが作業療法の特徴です。そのため全ての人に当てはまるものではありませんが、以下に一例として、お子さんやご自身が作業療法を受けた際の体験談をご紹介します。感覚過敏がある、我が子に出された宿題はぎゅっとたっちという遊びでした。ちょっと痛いくらいの力で腕や足を握り、スライドさせていくやり方です。ポイントは、静かに集中しているときを狙ってやり、にぎってるとこに注目させることと、一回3分を限度にやることです。3分以上やると親の方が疲れるからだそうです。逆に疲れないようだと、やり方が甘いんだそうです。うちは、これで、目がいくらか合うようになりました。あと、耳かきを嫌がるのを相談したら、布団です巻きにして、耳回りを圧迫する課題がだされました。楽しくやるのがポイントです。体幹をしっかりさせるために、バランスボールの上をとぶ課題もでました。部屋のすみにバランスボールをもっていき、親の足で固定し、歌に合わせて跳ばす。大きなたいこがおすすめですが、子どもが好きな歌なら何でもいいと思います。我が家ではバランスボールを椅子やソファで固定して、いつでも跳べる状況にしたら、体幹が鍛えられた気がします。このように遊びの中で作業療法を行うことで、子どもの興味を考慮しながら、応用動作ができるよう支援します。また、パパ・ママが作業療法に関わる場合は、お互いのストレスがかからないように楽しく行うことがポイントです。折り紙がキレイに折れるようになりました。力が弱い娘です。OTの先生が真ん中が穴のあいた分度器を100均で買ってきてプレゼントをしてくれました。分度器の丸い所を使ってキレイに折ります。作業療法士としてからだのサポートをするだけではありません。発達障害がある人が社会的に適応し、いきいきと生活していけるように相談できる身近な専門家として“こころのサポート”をすることも重要な仕事のひとつです。上肢に障害がある私は、お料理の便利グッズを紹介してもらったり、工夫の仕方を教えてもらいました。日常生活で困ったことを一緒に考えてくれる仲間という感じで、なんでも相談してました。発達の面では、人との距離感や、言葉の使い方、感覚統合をサポートしてもらいました。協調運動も苦手なので、ふとした行動や遊びから、手の使い方、体幹の使い方を教えてもらいました。作業療法士と他機関の連携出典 : 作業療法士はあらゆる場所で、障害のある人の暮らしやすい生活を取り戻すための支援をしています。そのため培ってきた高い専門性をもとに、様々な専門職と協力して働いています。医療現場では理学療法士や言語聴覚士などのリハビリ専門職、医師、看護師と一緒に働きます。保健・福祉現場では、介護職員、保健士や児童相談所の職員、ケースワーカー、介護福祉士、介護支援専門家などと協働します。そして教育現場では、保育士・教師、心理専門職などと連携しながら仕事を進めていきます。まとめ出典 : 作業療法士とは作業を通じて、障害のある人がその人らしい生活を送ることを支援する専門家です。作業とは、手芸や園芸などの手作業だけではなく、食べたり、トイレに行く、などの日常生活に欠かせない行為のことも指します。発達障害の場合、一人一人特性が違ったり、コミュニケーションが苦手だったりして、困りごとがあっても援助が難しいこともあります。そんなとき、本人の気持ちに寄り添って、その子に合った解決法を見つけてくれるスペシャリストが作業療法士です。子どもの作業療法士の方によって花開く姿を見たことがあります。2歳半。保育園ではヒモにお花のビーズを通す遊びが流行っていたけれど一切やらない。教室の隅で所在無げな視線でボーッとしていました。園の先生は、「全然やりたがらないとんですよねぇ」と。その話を作業療法士さんにすると、「やりたくない訳ではなくてやり方がわからないだけだよね !」と言って丁寧に指の使い方を説明しながら教えてもらうと、なんと出来ました。その瞬間、子どもが療法士さんを見て、出来た!ニコッとした表情をしたんです。いっぱい褒めてもらえました。その後、保育園で明るい表情になり紐通しを始めた姿に園の先生もびっくりして、「私達にも出来ることを教えて下さい」と。作業療法士の方によって園での生活から全てを変えることが出来ました。今でもあの方に出会ってなかったらどうなっていたか、と思います。その後、子どもはDQ70からウィスクで平均値となりました。子どもに、自信をつけてあげる事。親でもなかなか出来ません。むしろ、他人だから喜びがあったと思います。とても感謝しています。また、日頃何気なく生活していても、突然の怪我や病気などで、いつ、どのタイミングで作業療法士を必要とするかはわかりません。社会の作業療法に対する認知・理解が深まり、からだとこころに困りごとのある人が、いつでも適切なサポートを受けられるようになることを願っています。一般社団法人日本作業療法士協会
2016年07月28日こんにちは、ライターの渦マキです。今回は発達障害児童の問題行動について、対処法をご紹介したいと思います。発達障害にはさまざまなタイプがあり、同じ障害でも特性の現れ方には個人差があります。発達障害児の多くは、 通常の学級に在籍して他の子どもたちと学習しています。ケースバイケースで子どもの行動の特徴を理解し、対処法を考えていくことが大切になってきます。おもに学校生活で多く見られる行動についての対処法を、いくつかご紹介します。●(1)教室を飛び出してしまう●教室を飛び出してしまう理由・外の様子が気になり衝動的に出て行ってしまう・他の子どもにからかわれて感情的に出て行く・与えられた課題が終わり、次に何をやるのかがわからず出て行く●ポイント一度感情的になるとなかなか収まらない傾向が強いので、それを無理に制止すると逆効果になってしまいます。気持ちが収まってから 出て行った理由を聞いてみましょう。●注意点・力づくで押さえない・教室を出て行くことを黙認しない(無視されていると勘違いする)・他の子どもたちを放って追いかけない●(2)質問に上手に答えられない●質問に答えられない理由・先生の質問を聞いていない・話したいことがうまくまとめられない・先生の話の内容を理解できない・吃音などでうまく話せない●ポイントうまく答えられない理由を把握することが大切です。質問の仕方を変えながら、子どもが質問内容をどれくらい理解しているか を把握します。長い質問をところどころで区切ってみて、「ここまでの質問がわかりましたか?」と確認します。●注意点・罰を与えない・「聞いていないのが悪い!」と叱らない・「はっきり言ってみて!」と強要しない●(3)体育が苦手●体育が苦手な理由発達障害児には、手足の強調運動 が苦手だったり、体の動かし方自体に問題のあったりする子どももいます。こんな運動が苦手です。・球技が苦手・なわとびがうまく飛べない・音楽にあわせて動作することが苦手●ポイント・できそうなところからやらせる(到達目標を下げてみる)・周りの子どもがからかったら厳しく注意する●注意点・ほかの子どもと比べたり、できないことを責めたりしない・スムーズに動けない原因をしっかり見極め、どのようなトレーニングが必要か導きだす----------発達障害の子どもたちは得意不得意に偏りがあります。まずは、その子どもがどのような特性か、どんな偏りがあるかを見極めていくことが大切です。【参考文献】・『ケース別 発達障害のある子へのサポート実例集 小学校編』上野一彦・月森久江(共著)●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年07月27日その1ボタンの掛け違いは色で解決Upload By たっくんママパジャマのボタンを上下ずらさずにはめるのが苦手だった息子のため、ボタンが色違いのパジャマを見つけると、購入して家で練習に使っていました。ボタンとボタン穴が同じ色なのでこちらも説明がしやすく、色を組み合わせるだけでボタンの掛け違いを防げるのんで、息子も「掛け違いしないでできる!」という達成感を味わうことができたようです。小2の現在も、声かけをしないと、たまにずれることがありますが、「下からかけていこうね」と声かけすれば出来るようになってきました。余談ですが、トレーナーやズボンなど前後が分からない場合には、洋服に印をつけ、一目で「こっちが前だ」と分かるようにしました。私は、目立たないように糸でバッテン印を縫い付けましたが、他の方はワッペンをつけたりと色々工夫されていましたよその2左右がわからない時「間違いに気付かせる」工夫Upload By たっくんママ靴などを左右まちがえて履くと、足の形と合わずに違和感を感じる方も多いと思います。ですが、息子はその感覚が鈍いのか逆に履いても余り気にしていませんでした。そこで、左右を間違えないよう、上履きの内側に、左右を合わせると対になる目印に笑顔マークをマジックペンで書いてみました。「絵もいいね♪」と、息子もお気に入りです。ずぼらで不器用なわたしは簡単な絵を書くのが精一杯でしたが、目印としてはシールやワッペンなど色々な方法があるようです。 息子も絵を目印にして、左右を間違わなくなりました。上履きの外側にボタンをつけるその3見えなくて忘れるなら「見せて」解決Upload By たっくんママ小学校に入ると、忘れ物の多い息子は家へ持って帰るべきモノを学校に置き忘れることが増えました。特に困ったのが、筆箱の中身!鉛筆4本、赤鉛筆1本消しゴム1個というのが基本セットで、前日の夜に必ず持ち物を確認しているのですが、学校から帰っていざ筆箱を開けてみると、いつも何かが足りない状態でした。消しゴムがない、鉛筆が少ない、そしてなぜか息子自作の紙ふぶきが入っているなど色々ありましたが、中でも1番びっくりしたのは開けたら鉛筆1本だけという日もあったこと。息子に「帰りに忘れ物が無いか、持ち物のチェックをしてみて」と話しましたが、なかなかうまくいきませんでした。Upload By たっくんママそもそも、帰りの時間に持ち物をチェックするとき、わざわざ筆箱の蓋をあけないという事に気づき、自分でチェックできないならば筆箱の中が外から見えたほうが良いのでは?と考えました。外から見えやすい透明のケースを筆箱にしてみました。Upload By たっくんママ効果はテキメン!たまに鉛筆は学校に忘れてしまいますが、入っているものが一目で分かるのがよいのか、持って帰る回数が増えてきました。前はどうして持って帰れないのか、イライラして叱っていましたが、叱る回数も減って親の私も気持ちが楽になりました。ちょっとした支援で息子の自信につながる出典 : いかがでしたか?発達障害ゆえの、苦手なことはたくさんあります。そのなかで、視覚支援の力を借りて「できないをできるに変える」こともできます。できることが増えると自信につながるようで、息子の達成感や自己肯定感も高まったように感じます。1人でなんとかしなくちゃ!と悩んでも、いろいろな方法を見つけるのに限界があると思います。そういうときには、通われている医療機関や療育センター、保育園・幼稚園の先生方に相談して、プロの力をたくさん借りてみましょう。少しでも暮らしやすくなって、どうかママとお子さんの笑顔が増えますように!
2016年07月27日■1泣いてるよUpload By SAKURA■2お友達に会ったらUpload By SAKURA■3犬との会話Upload By SAKURA私たち夫婦は、娘のちょっとズレた発言にいつも笑わされています。子どもって本当にユニークですよね♪Upload By SAKURA
2016年07月27日発達性協調運動障害とは?出典 : 協調運動とは、手と手、手と目、足と手などの個別の動きを一緒に行う運動です。例えば、私たちがキャッチボールをする時、ボールを目で追いながら、ボールをキャッチするという動作を同時にしていますよね。他にも、縄跳びをする時、ジャンプする動作と、縄を回す動作を同時にしなくてはなりません。このような運動を協調運動と言います。発達性協調運動障害とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。本人の運動能力が期待されるよりどのくらい離れているかは、通常「MABC-2」(Movement Assessment Battery for Children,2ndversion)や、「JPAN」(日本版感覚統合検査)と呼ばれる感覚処理行為機能テストなどのアセスメントテストによって評価されます。これらのテスト結果を参考に、医師が発達性協調運動障害かどうかを判断します。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)では以下のような診断基準になっています。A.協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習及び使用の機会に応じて期待されるよりも明らかに劣っている、その困難さは、不器用(例、物を落とす、またはぶつかる)、運動技能(例、物を掴む、はさみや刃物をつかう、書字、自転車に乗る、スポーツに参加する)の遂行における遅さと不正確さによって明らかになる。B.診断基準Aにおける運動技能の欠如は、生活年齢にふさわしい日常生活活動(例、自己管理、自己保全)を著明及び持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前及び就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている。C.この症状の始まりは発達障害早期である。D.この運動技能の欠如は、知的能力障害(知的発達症)や視力障害によってうまく説明されず、運動に影響を与える神経疾患(例、脳性麻痺、筋ジストロフィー、変性疾患)によるものではない。発達性協調運動障害と運動能力出典 : 人間の運動には大きく分けて、粗大運動と微細運動があります。人間は、さまざまな感覚器官から得られた情報をもとに、初めは姿勢を保つことや寝返りといった粗大運動を習得し、次第に段階を踏みながらより細かい微細運動ができるようになります。粗大運動とは、感覚器官からの情報をもとに行う、姿勢と移動に関する運動です。粗大運動には、先天的に人間に備わっている運動と、後天的に学ぶ運動があります。寝返り、這う、歩く、走るといった基本的な運動は人間が先天的に持っている粗大運動能力です。一方、泳ぐ、自転車に乗るなどの運動は、環境的な影響や学習によって身につけると言われています。微細運動とは、感覚器官や粗大運動で得られた情報をもとに、小さい筋肉(特に指先など)の調整が必要な運動です。モノをつまんだり、ひっぱったり、指先を使って細かな作業、例えば、絵を書く、ボタンをかける。字を書くなどの運動があります。成長とともに、粗大運動から、より細かい微細運動ができるようになります。発達性協調運動障害のある人は、粗大運動や微細運動、またはその両方における協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。子どもによって、乳幼児期の粗大運動には全く遅れや苦手はなかったが、幼稚園や、小学校に行くようになり微細運動を必要とする場面が増え、微細運動が顕著に困難である場合もあります。発達性協調運動障害のある子どもの年齢別の困りごと出典 : 発達性協調運動障害かどうかの判断は、協調運動が本人の年齢や知能に応じて期待されるよりも著しく不正確であったり、困難であるかどうかが重要なポイントとなります。以下で年齢別によく見られる傾向を紹介します。とはいえ、年齢が低ければ低いほど、得意な運動と困難な運動は子どもによって大きく差があり、人それぞれです。ですので、以下の例に当てはまるからといって、必ずしも発達性協調運動障害であるということではありません。子どもの様子を見つつ、気になるときは専門家に相談してみましょう。乳児期は、そもそも基本的な粗大運動を学び、獲得していく段階です。また子ども一人ひとりの運動機能獲得のスピードは違いますし、できること、できないことも個人差が大きい時期です。ですので、苦手なことがあっても心配する必要がない場合も多いと言えます。ですが、発達性協調運動障害と診断される子どもは、乳児期に以下の様な特徴が共通して見られる傾向があります。例:母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない幼児期は、特に5歳を過ぎると、運動能力の個人差が縮まってきます。そのためこの時期に発達性協調運動障害と診断される場合が比較的多いと言えます。発達性協調運動障害のある幼児は以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:はいはい、歩行、お座り、靴ひもを結ぶ、ボタンをはめる、ファスナーを上げる、平坦な場所でも転ぶ(転んだ時に手がでない)、トイレで上手にお尻をふく小学校に上がると日常生活、学習生活でより複雑で繊細な動作を求められる場面が増えます。そのため微細運動での協調運動障害が顕著に表れます。発達性協調運動障害のある子どもは以下のことが不正確であったり、習得が遅れていたり、困難な場合があります。例:パズルを組み立てる、模型を作る、ボール遊びをする、活字をますの中に入れて書く、階段の上り降りがぎこちない、靴ひもが結べない、お箸をうまく使う、文房具作業が苦手(消しゴムで消すと紙が破れる、定規をおさえられずにずれるなど)発達性協調運動障害の原因出典 : 発達性協調運動障害のはっきりとした原因は、まだわかっていませんが、いくつかの原因が検討されています。まず妊娠中、母親のアルコールを摂取、またはそれによる早産、低体重で生まれた場合、発達性協調運動障害を発症する確率が高いという研究があります。次に、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症との併発が非常に多いため、なんらかの共通する遺伝的要因があるのではないかと言われています。また、上記のような障害のある子どもは定型発達の子どもより、発達性協調運動障害を発症する可能性が高いと言われています。5歳から11歳の子どもでは、5~6%が発症します。また、女児より男児のほうが発症率が高いことが分かっています。『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)発達性協調運動障害の診断と発達障害の関係は?出典 : 現在使われている精神疾患の診断基準は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』5版テキスト改訂版)と世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準があります。現在、最新の診断基準である『DSM-5』が主流になりつつありますが、医師や医療機関によってどちらの診断基準に準拠しているかは異なります。発達性協調運動障害における診断基準の違いは、『ICD-10』と『DSM-5』で異なる点があります。『ICD-10』では発達性協調運動障害は心理発達の障害に分類されるため、精神遅滞と知能指数が重要になります。『ICD-10』の診断基準では、明らかな精神遅滞(知能指数70以下)の場合、運動の困難さ、不器用さはその精神遅滞が原因によるものと判断されます。一方で精神遅滞のない広汎性発達障害の場合、発達性協調運動障害と併発し、両方の診断が下りる場合があります。『DSM-5』の診断基準では、発達性協調運動障害は神経症群に入るため、精神遅滞や知能指数との関係ではなく、純粋に発達性協調運動障害の症状に当てはまるかどうかが重要になります。広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と発達性協調運動障害を併発することは少なくありません。『ICD-10』の診断基準では、両方の診断基準を満たしている場合、両方の診断が下ります。対人関係において、認知されたものを統合する際に混乱が起きコミュニケーションがうまくとれないというアスペルガー症候群の特徴が、運動機能面においても現れているのではないかと検討されています。『ICD-10』の診断基準では、子どもが知的能力障害を持っている場合、その知的能力障害のため運動能力が損なわれているとの見なされる場合もあります。しかし、その運動が知的能力障害を考慮してもなお、不器用であったり、不正確である場合は、知的能力障害と発達性協調運動障害の両方の診断が下ります。ADHDのある子どもがよくころんだり、物にぶつかったりしてしまうのは、ADHDによる注意散漫や衝動性に原因があるのか、それとも発達性協調運動障害によってなのかを注意深く観察する必要があります。子どもの運動に対する困難さ、不器用さは必ずしも、ADHDだけが原因、発達性協調運動障害だけが原因というわけではなく、両方が原因となっていることもあります。特にADHDの場合、発達性協調運動障害との併存確率は50%と非常に高いです。発達性協調運動障害とADHDは併存しやすいため、二つを併発している場合は、DAMP症候群(deficits in attention, motor control and preception/注意・運動制御認知における複合的障害)と呼ばれることもあります。発達性協調運動障害について相談できる機関出典 : 子どもの運動や動作の不器用さが気になったら、まず以下の3つのどれかに相談に行きましょう。市区町村ごとに設置された、地域の健康づくりの場です。保健師さんが常駐しており、子どもの発達に関する悩みの相談を受けてくれます。場合によっては医療機関や療育施設の紹介をしてくれます。子育て家庭の支援に特化している機関です。自治体運営や医療機関に委託運営されており、保健師さんまたは看護師さんが相談に乗ってくれます。中には、療育指導を実施している子育て支援センターもあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。都道府県ごとに設置されており、児童福祉を専門とした機関です。医師、児童心理士、児童福祉士がおり、相談に乗ってもらえます。必要に応じて発達検査を行ってくれる場合もあります。また、全国共通児童相談所ダイアルがあり、189番にかけると、24時間365日いつでも児童福祉に関する相談を受けてくれます。発達障害者支援全般を行っている機関であり、都道府県・政令指定都市やその他法人によって運営されており全国に設置されています。お近くの発達障害者支援センターは以下のリンクより検索できます。発達障害情報・支援センター相談窓口情報ここでは、相談支援と発達支援を行っています。相談支援では子どもの相談はもちろん、その様子に応じて医療機関、療育機関の紹介、行政サービスの利用方法を紹介してくれます。発達支援では、医療機関、療育機関との連携を図りながら、家庭での療育方法のアドバイス、発達検査、発達状態に応じた療育計画の作成や具体的な助言をしてくれます。発達性協調運動障害への支援を受けられる機関出典 : 上記の相談先で紹介してもらった医療機関を受診しましょう。小児専門や発達障害専門の医療機関では療育も行っているところがあります。上記の相談先で紹介してもらった療育機関で療育を受けましょう。療育機関では子どもの成長や自立支援のための、医療、治療、育成、保育、教育を総合的に行っています。民間の療育機関は保険が適用されないため、各施設により費用は様々です。内容や療育に当たる方との相性もあるので、あらかじめ見学に行くことをおすすめします。発達性協調運動障害の支援・治療方法出典 : 作業療法は、作業(子どもの場合、主に遊び)などをして、複合的な動作をできるようにしていくものです。運動、日常生活、学習などの動作をスムーズに行えるようにするために、基本的な動作に加え、動きと動きの統合が必要な協調運動への支援を行います。発達性協調運動障害のある子どもは、一つ一つの行動の統合が苦手であることが分かっているので、作業療法は障害の改善に効果があるといわれています。東京小児療育病院みどり愛育園広義には高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。特に運動による理学療法が発達性協調運動障害の改善に役立つとされています。別名運動療法ともいわれますが、理学療法に含まれない場合もあり、定義はあいまいです。理学療法士が行う運動を使った療育では、日常生活で必要な運動、行動を訓練し改善していきます。日本理学療法士協会家庭でもできること出典 : 家庭でもできることは多くあります。家庭で様々なサポートを行う場合は、まず、「こうするべき、こうあるべき」という先入観を捨て、子どもと一緒に楽しみながらやることが長続きの秘訣です。あくまで遊びの中で取り入れ、訓練、という位置づけにしないことも大切です。家庭で見られる困りごとの例としては、以下のような例が挙げられます。・手先がうまく使えていない・正しくお箸の使い方を何度も教えたけれど、なかなかお箸をうまく使いこなせない。・服のボタンをうまくはずしたり、かけたりすることができない。・文字を書くときに極端に筆圧が弱い、強い。上記のような困りごとに対して、考えられる不器用さの原因としては、・手の筋肉の動きをうまく制御できない・手元に注意が向いてない・手の動きと視覚の情報の連携が取れていないなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、手で何かを握る経験や、握ったあとの状態を把握する機会を増やすことにより、手の筋肉に入れる力の制御を学ぶことができ、つまむ機能や握る機能が育っていきます。具体的に家庭で出来ることとしては、以下のような取り組みが考えられます。・ブランコやアスレチックで遊び、どのくらいの力で自分の体重を支えれれるようになるのかを学ぶ。・コイン遊びを通して、コインを握る、つまむ、入れるという動作を経験する。いろんな指でコインをつかむことで指の力の入れ加減を学ぶ。・粘土で遊び、粘土の形を変形させたり、細かい作業を行うことで、感覚の加減を学ぶ。ここで紹介した方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法があります。また、家庭でできるこうした取り組みも、すぐに効果が表れるとは限りません。ゆっくり時間をかけて、楽しみながらやっていきましょう。 コラム粘土遊びは子どもの脳が活性化する!?楽しく創造力を伸ばす、3つの魅力とは?乳幼児期の感覚統合遊び発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1まとめ発達性協調運動障害は、一つ一つの運動を関連づけたり、統合することが困難な障害ですが、運動の得意不得意はどんな子どもにも見られるため、ただの「不器用な子」ですまされる場合も少なくありません。しかし、発達性協調運動障害のある子どもが見過ごされ、必要な支援を受けられないままでいると、その子どもが集団に適応することが困難になることもあります。たとえば、運動能力を中心とした遊びは、子どもたちの社会で周囲との関係を構築するために重要な役割を果たします。また授業での運動課題に取り組む場面では、その子ども自身の評価を著しく下げることがあるかもしれません。子どもが発達性協調運動障害かどうか心配な場合は、早めに相談機関に相談し、必要に応じて専門家の支援を受けながら、家庭でできる工夫を行っていきましょう。お子さんが楽しめるペースや方法で、出来ることを少しずつ増やしていけば、自信にもつながり、学校生活へも良い影響が出ることでしょう。
2016年07月27日発達障害の子は「切り替えが苦手」って、他の子と何が違うの?出典 : 発達障害児の特性として「切り替えが苦手」ということがよく言われます。たとえば、「好きなことに夢中になっていると、次の行動に移れない」といった例が挙げられますが、その程度なら「子どもは誰だってそんなものだよ」とも思いませんか?わが家の息子もそうでしたが、あらかじめ遊べる時間を予告し、タイマーをセットして終わりの合図がわかるようにしたら、克服できたように思います。では、発達障害の子における「切り替えが苦手」とは、他の子といったい何が違うのでしょうか。どうやら、息子が一番苦手で困っていたのは、活動ではなく気持ちの切り替えだったのです。気持ちの切り替えができないとき、息子の頭の中は出典 : 「友達に嫌なことを言われた、」、「先生に叱られた」そういったネガティブな経験は、誰にでもありますよね。でも、息子場合、それが頭の中にずーっと離れずに残ってしまうようなのです。嫌なことを言われてもお互い「ごめんね」と言って済ませれば良い場面でも、自分の頭の中でネガティブな気持ちがどんどん増幅してしまいます。その結果息子は、「あの子にあんなことを言われた」「どうして」「なんで」「僕は悪くない」「あ~もう腹立つ」「ああーー!」と、ブツブツブツブツと言い続けながら、体をどこかにガンガンぶつけるようになるのです。その時、周囲の人や友達が「おまえが悪いんだろ」などと言おうものなら火に油。一気にパニックに陥ります。こうなると、もう、活動も気持ちも、切り替えどころではなくなってしまうのです。以前、こんなたとえ話を聞いたことがあります。「発達障害の子どもの頭の中には、パソコンのようにいくつものウィンドウが立ち上がっている。その量に本体が悲鳴を上げているのに、×マークを押してウィンドウを消すには、ものすごい時間がかかる」息子の頭の中もまさにそんな状態なのでしょう。お友達に言われた不愉快なセリフを頭から消してしまいたい、けれども×マークを押しても押しても全然消えてくれないのです。そして、ウィンドウがいくつも立ち上がって熱くなり始めたパソコンを強制終了させようと、息子は体の一部をどこかにぶつけ始めるのです。これが子どもにとってどんなに苦痛なことか、想像に難くないでしょう。私の腕をつかみながら「助けて…」と言う息子に出典 : 切り替えができずに苦しいとき、息子は私の両腕を握りしめながら「ああもう!うぅっううううっ」と呻き続けます。息子自身も、切り替えなければならないことは理解しているのです。たまに、私の両腕を握りしめながら「助けて…」と言うことすらあります。こういうときに「納得いくまで話し合う」は、意味を成しません。子どもからすると、次々とたたみ掛けられるように感じ、頭の中で乱立するウィンドウは増えていってしまうだけです。そんな時は場所や話題を変えて、少しでも落ち着きを取り戻せるような環境をつくり、それから「大丈夫だよ」と言葉をかけ続けるようにしています。そのうちに、ふっと気持ちが変わることがあり、そこですかさず「あ、切り替えられたね。よくできたね」と伝えるのです。この経験を積み重ねながら、「気持ちを切り替える」という感覚を理解し、身体で覚えていったようでした。最近では、嫌な気持ちから解放されたとき「はあ、切り替えられた~!」と言って喜んでいます。大人が思っている以上に、「できないこと」に子ども本人が苦しんでいるから出典 : 「切り替えができるようにする」という言葉は、子どもにとってあまりにも漠然としています。こういう漠然としたものを習得させるには本人が「できた!」と実感を持てる経験を増やしていくことが大切です。切り替えが苦手という事は、私たち大人が思っている以上に子ども本人にとって苦痛なのです。うまく折り合いをつけていけるように、サポートしていけると良いですね。
2016年07月23日ずっとこのままだったらどうしよう…Upload By こころ娘が自閉症かもしれないと疑い始めた頃、「私に障害児を育てられるの?」「これから先娘はどうなってしまうのだろう…?」と考えるととても不安になりました。外出すると、娘より小さな子がお話ししたり指を差したりして自己主張している姿につい目がいってしまい、他の子の成長を目の当たりにすると、素直に喜べない自分がいました。今まではただ可愛いと思って見ていたけれど、他の子たちと比べては辛くなる毎日。こんな風に自己主張する日が、娘にもくるのだろうか?前向きに考えられるようになったと思えばまたガクッと落ち込み、私の気持ちは上がったり下がったりの繰り返しでした。娘は少しずつ成長しているけれど、自閉症の特性はどんどん濃くなっているように感じました。娘を見てずっとこのままだったらどうしよう!と急に焦り、ずっと今の状態ではないと心で分かってはいても、いつ何ができるのか全く予測のつかない先の見えない育児は心配だらけでした。呼んでも振り返らない、あまり目も合わない、ママ友の子どもと一緒に遊べない…1日中独り言を言っている娘を見て孤独を感じ、そして悲しくなってしまう私なのでした。少しずつ成長が見え始めた娘Upload By こころずっと悲しんでいても、娘から障害は消えてはくれない。だったら悲しみながらでも娘ができることを見よう。好きなことはやらせてあげよう。得意なことがあれば伸ばしてあげたい。そしてたくさん褒めてあげるんだ。そう思いながら接していくうちに娘の好きなことや得意なことを発見しました。毎日の関わりの中で娘が徐々に私を意識するようになっていくのを感じ、私と娘に笑顔が増えました。少しの成長も、噛みしめていける!Upload By こころ悩むことが多い育児だけれど、成長をゆっくり感じる分、どんな小さなことでも何倍も嬉しいことを知りました。娘の発達障害を疑い始めてから1年と少し経ちます。本人のペースで確実に成長しているし、自閉症じゃない娘は娘ではない、そう思えるようなったことで人と比べて落ち込むことはなくなり、素直に他の子どもの成長を喜べるようになってきました。今では自閉症児ならではの行動や発想が可愛くて、私はいつも娘に笑顔にさせられています。
2016年07月21日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。けれども、知識があったとしても、やっぱり発達障害の子を育てるのは大変! 最終回の今回は、私のそんな心境を綴ってみます。■「発達障害」の子育ては疲れます発達障害についての特集記事を、さもわかったように書いている私。けれども、私自身、いまだに「発達障害の子を育てること」と完全に折り合いがつけられているわけではない。発達障害の子を育てるのは、普通の子育てより疲れる。それは、紛れもない事実だ。少し息子の調子が良いと、その事実を忘れてしまう。そして、普通の子のようなつもりで接していると、ある日ドカンと現実を突き付けられ奈落の底に突き落とされる。そんなことの繰り返しだ。 ■専門家と繋がろう子どもに親が「キレる」ことが多くなったら、そろそろ限界値。赤信号が点滅していると思い、早めに周囲にSOSを出すよう心がけている。私が頼りにしている方々は、今のところこんな感じだ。・家族・保育園の園長をしている友人(専門知識のある一般人)・司馬先生(専門知識のある医師)・小学校の担任の先生・小学校の特別支援学級(通級)の先生(専門知識のある教員)最初に相談する相手は、発達障害についての知識がある人のほうが良いと思う。たとえば、ママ友に愚痴を言ってガス抜きをするのは大切なことだが(私も、よくやっている)、それはあくまで、「ガス抜き」でしかない。「うちの子、発達障害かも!?」と気になっているのであれば、 しかるべき相談窓口 に、一度行ってみたほうが回り道をすることなく、適切な対応策に辿り着けるのではないかと思う。 ■1人で抱え込まないで!「周囲に助けを求められるかどうか?」は、発達障害の子育ての肝だと思う。繰り返すようだが、「発達障害」の子育ては疲れる。「キレイごと」では、どうにもならない現実の毎日がそこにはある。「もうイヤだ!」と思うことがあるのは、当たり前だ。そんなときは「良いママでなければ!」と一人で抱え込まず、周囲に助けを求めよう。私は、夫や長男に「ママを閉店します」と言い置いてプチ家出をしたり、小学校に行って、「最近、大変です」と状況を正直に話して、担任や通級の先生に支援を仰いだりしている。月1回の司馬先生の診察は、自分を客観視できる良い機会になっている。先日、保育園の園長をしている友人にSOSを出したところ、物言いのストレートな彼女からは、「(虐待だと)通報されない程度に、頑張れ!(笑)」と言われた。「すごい励まされ方だなぁ」と笑ってしまったが、しんどいときは、うんとハードルを下げて自分の生活を眺めてみることも効果がある。「頑張りすぎないようにしよう」。そう日々、自分に言い聞かせている。頑張りすぎて、母の心が不安定になるようでは、本末転倒。お母さんの一番大切な役割は、毎日、機嫌よく過ごすこと。そして、わが子をいつくしむことだと思うから。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。今回は、私が質問されて答えに困った「発達障害の診断」について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■診断はレッテルを貼るのではなく、対処法を知るため私は息子を支援学級に通わせていたので、ママ友から子育ての相談を受けることがある。そのときに、よく聞かれることは、「発達障害の診断を受ける必要ってあるの?」ということだ。発達障害は病気ではなく、「脳の発達のかたより」。そうだとすれば、「診断は本当に必要なのか?」と思ったり、「わが子に、発達障害のレッテルなんて貼りたくない」と思ったりするのは当然のことだと思う。「診断は子どもにレッテルを貼るためのものではなく、それによってどんなことで困っているのかを教えてくれるものです」(司馬先生)診断は、いわば大きな方向つけ。「これから何をするのか?」「どんな対処方法があるのか?」を考え始めるスタート地点の指標のようなものだ。もちろん、わが子を育てる作戦(司馬先生は、よく“作戦”という言葉を使われる)を立てるのに、診断を受けるだけでは充分ではない。 ただ、ADHDといってもどんなタイプなのか、その子の能力のどんなところにどう影響しているのか、それらがわかればわかるほど作戦(対策)は立てやすくなる。また診断することによって、子どもが専門家から的確なアドバイスを受けられるほか、親が本や勉強会などから、ピンポイントで情報を得ることもできるようにもなる。■診断を受けるための一般的な経路「発達障害かどうかが気になるのだけれど、誰にどんなふうに相談すればよいかわからない」これも、よく相談される内容だ。一般的には、まずは学校の担任の先生に相談するのが良いだろう。学校には、週に1~2回ほど来て、子どもや保護者の相談に乗ってくれるスクールカウンセラーという職種の人もいる。また、自治体の教育相談所や教育センターなどで、相談業務を行なっていることもある。最近では、発達障害の診断や治療の経験がある小児科の先生も増えているので、かかりつけの医院の先生に相談してみてもよいだろう。■大切なのは、早く気づいて二次障害を防ぐこと私が相談を受けたときに必ず言っていることは、「発達障害の子を育てるのは、すごく大変だし、一緒に生活するのはしんどいよね。でも、発達障害の子を育てる上で、一番大切なのは、二次障害を防ぐことだと私は思っている。診断を受けることで、子どもの特徴に早く気づければ、必要とする支援がわかり、より二次障害を防ぎやすくなると思うよ」ということ。二次障害とは、発達障害に対する対応が十分に行われないために、二次的に起こる問題のことだ。たとえば、学校に行くのをイヤがったり、学校に行けなくなったり、うつ状態になって元気がなくなったり、親にひどく反抗したりというのが二次障害だ。発達障害の子は何かにつけて叱られることが多く、「ぼく(私)はダメなんだ…」というように自尊心が低下しがち。いったん二次障害が起きると、もともとの発達障害そのものへの対応以上に、扱いが難しいこともよくあると言われている。次回は、最終回。「発達障害の子育ては疲れます」です。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●ひとことで「発達障害」と言っても、その状態はさまざま。基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。今回はさまざまな発達障害について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。「 発達障害って、何? 」で、発達障害には、おもに以下の3つがあるとお伝えした。今回はその内容を、もう少し詳しく見ていこう 1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) ■ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?不注意・多動性・衝動性を特徴とする。たとえば、忘れっぽくて集中力が乏しく、宿題などをしているときに気が散りやすい。落ち着きがなく、いつもそわそわしていて、順番を待てずなんでも我先にとやりたい。こんなふうに、年齢に応じた「注意力や行動・衝動などのコントロール」がうまくできない。そのため、毎日の生活習慣や学校での活動を行うのに苦労をする。■「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」とは?「アスペルガー症候群」を含む「自閉症スペクトラム障害」の特徴はおもに「人との関わりの困難さ」にある。言葉やしぐさなどコミュニケーションをする力にかたよりがあり、興味を持つ範囲が狭く、興味のない活動には取り組めない。こうしたこだわりの強さがあるため、毎日の生活がスムーズに進まないこともある。「広汎性発達障害」や「自閉症」も「自閉症スペクトラム障害」に含まれ、なかでも言葉の遅れが見られないものは「アスペルガー症候群」と呼ばれている。 ■LD(学習障害)とは?LDでは特定の学習能力の困難さが見られる。全体的な知的発達に遅れがないのに、特定の学習能力での遅れが、小学校の低学年では1年程度、高学年では2年程度見られる場合に診断される。文章を読むことが困難な状態を「読字(どくじ)障害」、鏡文字が多く見られ、漢字や作文などを書くことに関する遅れを「書字(しょじ)障害」、計算または文章問題など算数の学力がほかの科目に比べて低い場合「算数障害」と言いわれる発達障害は決してまれなものではなく、多くの子どもにみられる。ADHDは5%、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の子どもは1~2%、LD(学習障害)は10%程度いると言われている。わが子に、こういった傾向を感じるとしたら、まずは本などから子どもへの対応の仕方を学んでみるのも一手だ。たとえば、『「発達障害のわが子」と向き合う本』(司馬理英子/大和出版)は、「ADHDの子どもの特徴」「ADHDの子育てのヒント」「アスペルガー症候群の子どもの特徴」「アスペルガー症候群の子どもの子育てのヒント」と、こどもの傾向別に説明と対処法の項目が分かれており、とても読みやすい。本などから得た情報で、少しでも子育てが楽になったら、ハッピーなことだと思う。また、本を読むことが、子どもへの支援を次の段階に深めるキッカケになるかもしれない。<次回は、「発達障害の診断を受けることは必要?」です。>
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで、「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は「しつけ」や「育て方」が悪いわけではないほかの子に比べ、手のかかるわが子。「やっぱり、私の育て方が悪いのかしら?」と思ってしまうママもいるだろう。「夫に『子どもを甘やかすからだ』と言われる」「忙しくて充分にかまってあげられないからかな?」など、子育てがうまくいかないと、ママは自分を責めがちだ。けれども、「発達障害は、しつけの問題ではありません。多くの場合、生まれつきのものです」と、司馬先生は言う。生まれつきといっても、もちろん、生まれてすぐわかるわけではない。たとえばADHDなら幼稚園や保育園くらいまでは「活発で元気な子」という印象で、小学校に入り、生活の中心が勉強になってくると特徴が目立つ。また、アスペルガー症候群の場合は、赤ちゃんの頃から手がかかる子もいるが、「ちょっと違和感があるな」くらいの子も多い。だからこそ、難しいのだと思う。なぜなら、早い段階から障害に気づければ、親の側も「そういうものだ」と思い、ある意味、納得して育てられる。けれども、「ちょっと変わっているかな?」くらいだと、子どもの問題なのか、親側(しつけ)の問題なのか? というあたりで、ママがひとりで問題を抱え込み、グルグルと悩んでいることも多いからだ。■発達障害は病気ではない 前回 でも話したとおり、「発達障害とは、脳の発達のかたより」だ。発達障害の子どもは、すべての能力に問題があるわけではなく、“特定のある部分の発達だけ”がほかの子どもに比べて遅れている。「発達障害は、病気というわけではありません。脳の発達にかたよりがあったとしても一生がそれで決まってしまうというものでもありません」(司馬先生) ■わが子の特徴に気づいて、必要なサポートをする一般的な発達をとげている子ども(定型発達の子ども)に比べて、ある能力の発達のかたよりが目立っていて、そのために子どもが「生きづらさ」を抱えている場合、学校や家庭での状況、発育歴などのさまざまな情報を元に、発達障害かどうか?を見てみよう。たとえば、「忘れ物」。ADHDの子によく見られる忘れ物は、どの子も多少あるものだが、毎日いくつも忘れものをしていれば、そのために困ることがたくさん出てくる。個性といって片付けてしまうには困難さが際立っている場合、発達障害の診断がつけられる。「発達のかたよりに気づき、早く対処することによって、日常において困ることをずいぶんと減らすことができます」(司馬先生)発達のかたよりは、裏を返せば長所となる場合も少なくない。かたよりに早く気がつけば、子どものいい部分を生かしたり、得意な分野をしっかり伸ばしたりすることに、親子でエネルギーを使うことができる。「だからこそ、早めにわが子の特徴に気づいて、必要としているサポートをしていくことが大切なのです」(司馬先生)次回は、「発達障害のさまざまな種類」を少し詳しくみていこう。
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害専門クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は、いわば「発達のかたより」育てにくいわが子。私の気にし過ぎかもしれないけれど、ちょっと心配。ママ友に相談すると「うちもそうよ。大丈夫」なんて言われて、「そうかな?」と安堵する。けれども、また別の日には、「これって、やっぱり普通じゃないよな」と思う。「でも、これはこの子の個性で、私の我慢が足りないのかもしれない」。そんな無限のループを、頭の血管が擦り切れるほど何年もグルグルと考え続けていた私。そうした状況にあった私に、司馬先生の発達障害の説明は、非常に腑に落ちるものだった。まず、発達障害の定義だが、「発達障害とは、いわば“発達のかたより”です。最近の考え方としては、全体的な知能の発達には問題がなく、以下のような特徴がある子どもを発達障害としています」(司馬先生)1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) 発達「障害」と書くと、「障害」という言葉から重々しい感じがするが、症状の度合いは重いものから、「診断名をつけるほどではないけれど、特徴が見られる」という軽いものまで幅がある。 ■「発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるママたちがいちばん気になるのは「うちの子が発達障害なのかどうか?」ということかもしれない。けれども、発達障害であったとしても、なかったとしても、子育てがうまくいかないのであれば、子どもの特徴を把握し、ちょっとした工夫をすることで、日々の生活は随分と楽になる。つまり、「もしかしたら発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるのだ。■子どもの特徴に合わせた丁寧な関わり方司馬先生が教えてくださった「発達障害の子育て法」は、子どもの気持ちを尊重し、子どもの特徴に合わせた、子どもへの、より丁寧な関わり方だ。発達障害のない子どもは、さほど手をかけなくても自力で成長していけるが、それでも関わり方を丁寧にしてやることに越したことはない。つまり、子どもが発達障害でなくても、ちょっと似た部分はあるけれど診断されるほどではないというレベルでも、発達障害であっても、同じように使っていける子育て法なのだ。「発達障害かもしれないと怖がってばかりいないで、その子の特徴を見極め、その子に合わせたオーダーメイドの子育てしてみては?」というのが、司馬先生からの提案なのである。<次回は、「発達障害は、“しつけ”の問題なの!?」です。>
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●息子を、発達障害専門クリニックである司馬クリニックで診てもらうことにした私。クリニックを受診するための問診票を書いて、診断日当日を迎えた。診察を受けて、いよいよ診断を「宣告」されると思っていたが…。■診断を受けたときの様子(私の場合)軽度の発達障害専門クリニックである司馬クリニックで、わが家は以下のような流れで診断を受けた。(クリニックによって違いがあると思うので、参考程度に)・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分すべての診察が終わって、親への話の時に、司馬先生は、こんなふうにおっしゃった。「湧太くんをフォローする方法は、いろいろありますよ。クリニックに通って、少しその方法をお勉強してみますか?」いよいよ診断名を宣告されると思っていた私は拍子抜けして、思わず聞いた。「あの、先生、うちの子は発達障害なんでしょうか?」「まぁ、そういうことではありますね」と、サラリと先生はおっしゃった。■診断は、対処法を知るためのもの後になって、司馬先生に聞いてみたことがある。「最初の診断時、先生は私が聞かなければ診断名をおっしゃいませんでしたよね? あれはなぜですか?」と。先生曰く、「診断名を親御さんにお伝えするかどうかは、ケースバイケース」なのだそうだ。発達障害をフォローする方法論は、かなり確立されている。診断があることで「これから何をするのか?」「どんな方法があるのか?」が見えてきやすくなる。司馬先生は言う。「診断名をお伝えするということは、たとえるならば、“ここにいけば、便利な道具がたくさん売っているよ”という○○商店というお店屋さんの名前を紹介するような感じです」けれども、診断がついた(お店の名前を教えてもらった)ということに、とてもショックを受けるお母さんも、もちろんたくさんいる。「いろいろなお母さんがいらっしゃいますから、とくに診断名をお伝えしないのが私のスタイルなんですよ」と、先生は優しく教えてくれた。 ■いちばん最初に抱いた感情は「安堵」私自身は、診断を受けてどう思ったか? それを思い出そうとすると、ある情景が思い浮かぶ。それは、診察(診断)を受ける日の朝の景色だ。司馬クリニックは、ビルの4階にある。4階分の階段を上るので、私はちょっと息切れしていた。階段を上り切って、クリニックの扉が見えた。季節柄だったのだろうか、クリニックのドアが少し、風が入るような感じで開いていた。もし、あのとき、クリニックのドアがピッチリ閉じていたら、私は扉を開く気力があっただろうか? 多分、そんな気力はなかったと思う。深い森の淵にひとりでいるような、そんな心細さがあった。「できうる限りの方法で、湧太をフォローしたい」という気持ちは芽生えていたものの、それは余りにも頼りなく柔らかい“芽”でしかなかった。 それでも、私は自分から息子の診断名を聞くことを選んだ。「思わず聞いてしまった」という方が正しかったのかもしれない。私が息子の診断を聞いたときの気持ちを、的確に表現している文章があったので、引用しておこう。人間は、大人も子どもも、自分自身の欠陥について知ると、なぜか安心する。なぜなら、生まれて初めて、自分が学校や上司などの欲求に対応できずに苦しんでいた理由と、その問題を克服するにはどうすればよいかがわかるからだ。彼らは自分を許せるようになり、(中略)自分を罪人視しなくなった。正しい自己認識は開放であり、許しなのだ。メル・レヴィーン・著/『ひとり ひとり こころを 育てる』より 正しい自己認識は開放であり、許し。まさに、そんな感じだった。ずっと、ずっと、「どうして、(この子の子育ては)上手にいかないのだろう?」と思っていた理由がわかったとき、一番、最初に感じた感情は「ああ、だから、そうだったんだ」という安堵感だった。この経験を通じて、私は正しい自己認識を持っておくこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことは、当事者(母や子ども)の気持ちを落ち着かせるためにとても重要だと思うようになった。次回以降は、司馬先生の協力を得て「発達障害の基礎知識」について書いてみる。
2016年07月15日●連載の目次は こちら から●「就学相談のお知らせ」に書いてある電話番号(市役所の教育支援課)に電話をして、市の発達相談の窓口である教育支援センターに電話をした私。支援センターで検査をし、結果と今後のサポートについて聞いたが、何となく心もとない。そこで、軽度の発達障害を専門とするクリニックである、司馬クリニックを受診することにした。■診断結果を知りたい!教育支援センターで検査を受けて、検査結果と、湧太に対してのサポートの方法はわかった。けれども、私が知りたかったのは、「湧太が発達障害かどうか?」という「診断」だということに、自分で気がついた。教育支援センターで得られる検査結果だけでは、当時の私には心もとなかったし、支援センターは医療機関ではないので「診断」ができないのも知っていた。このあたりになってくると、表現は変かもしれないが「毒を食らわば、皿まで」という気分になっていた。「この状態が何なのか知りたい。知ったうえで、私ができうる限りの方法で湧太をフォローしたい」という気持ちが芽生えていた。そこで、教育支援センターの方に、軽度の発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを紹介してもらったのだ。■「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」ここで「特別支援学級(通級)」と「発達クリニック」について、少し触れておきたい。特別支援学級の保護者会で、そこにいるママ友から、よく「発達クリニックに通っているの? どうして?」「発達クリニックに通って、何をしているの?」といったことを聞かれた。そのとき、私が思ったのは「子どもが特別支援学級に通っているからといって、発達クリニックを受診している家庭というのは、意外と少ないんだな」ということ。私は最初から発達クリニック受診まで突き進んだが、そうでないママたちもたくさんいる。「就学相談のお知らせ」に電話をすると、「発達障害の専門病院に行くのを勧められるのではないか?」と思っている人もいるかもしれない。でも、支援学級に通う子でも、必ずしも発達クリニックを受診しているわけではない。このことを知っていると、「就学相談のお知らせ」に電話をする心のハードルは、少し下がるのではないか? と思う。話を、私のクリニック受診に戻そう。 ■発達クリニックの診断の流れ(私の場合)司馬クリニックを受診するためには、診察の前に14ページにも及ぶ問診表を書いた。診断のためには、小さい頃からの発達の様子、学校での適応などを詳しく知る必要があるからだ。その資料を事前に送った上で、当日は下記のような感じで検査が進んだ。クリニックによって違いはあるだろうから、「こういった流れもあるんだな」という参考程度にして欲しい。・臨床心理士の親への聞き取り:約30分・子どもの認知力検査:約1時間~1時間半・医師と子どもの面談、診察(親が同席):約20分・親への話:約30分 <次回、「息子が発達障害の診断を受けたとき」に続きます。>
2016年07月15日「発達障害の原因分子の発見」という研究成果発表が話題に出典 : 月5日、大阪大学が「神経発達障害群の染色体重複による発症の機序を解明-注意欠如・多動症などの神経発達障害の新治療法に光-」というプレスリリースを発表し、日経新聞をはじめとしたメディア各社が報じました。ADHDや知的能力障害、自閉症スペクトラムといった発達障害は、特定の染色体が重複して存在すると引き起こされるということを、大阪大学の山下俊英先生(分子神経科学)のチームがマウス実験で突き止め、7月5日付で英科学誌「Molecular Psychiatry」に発表したニュースです。出典 : 記事を読むだけでは専門性が強く、理解が難しい部分があります。そこで、今回の研究を実施した先生方にインタビューを行い、その内容をわかりやすく解説していただきました。お話をしてくださったのは、今回の発見をした研究チームの、大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学教授兼大阪大学大学院生命機能研究科教授の山下俊英先生と、 兵庫医科大学解剖学講座神経科学部門准教授の藤谷昌司先生です。この記事では、お二人のお話を交えながら、今回の研究発見の背景や内容、今後どのように実用化されていくのかなど、噛み砕いてお伝えしていきます。発達障害の原因について、わかった事は?出典 : 今までの研究成果では、発達障害が染色体の一部分の重複により生じることがわかっており、その領域が「16番染色体の16p13.11領域」だということまでは特定されていました。ですが、詳細なメカニズムまでは解明されていませんでした。今回の山下先生・藤谷先生の研究では、マウス実験を通じてそこから大きく3つの発見がありました。①16番染色体の16p13.11領域の中に、マイクロRNA484が存在する。②16p13.11が重複することで、マイクロRNA484が増加する。③マイクロRNA484が増加すると、脳機能の発達に異常をきたす。(発達障害を引き起こしうる)発達障害の原因分子の1つである、マイクロRNA484が発見され、さらに、マイクロRNA484が要因となる発達障害の発症メカニズムが解明された、というのが今回の研究成果です。具体的な研究方法は、公共のデータベースより得られた患者情報を元に、染色体の重複部位の中の遺伝子に着目し、それらの遺伝子の発現・働きをマウスの脳内で明らかにしました。さらに、BACトランスジェニックという方法を用いて、ヒトの染色体の重複部位をマウスゲノムに組み込み観察し、神経新生異常と発達障害の症状を確認するというものです。Upload By 発達障害のキホン発達障害の発症メカニズムとは?出典 : 領域が重複することで、16p13.11領域の中にあるマイクロRNA484が増加します。すると、プロカドヘリン19蛋白(たんぱく)の機能を過度に減らしたり弱めたりしてしまい、プロカドヘリン19蛋白のバランスが崩れます。プロカドヘリン19蛋白は脳の発達に重要な役割をはたしており、そのバランスが崩れることで、異常な神経回路が構築されてしまいます。その結果、神経発達障害が発症するのです。山下先生、藤谷先生は、この一連の流れ、つまり、発症メカニズムを解明し、その過程でマイクロRNA484が原因分子であると発見したのです。Upload By 発達障害のキホンマウス実験による研究成果、人間への応用可能性は?出典 : 今回発表された研究成果は、マウスを使った実験に基づくものでしたが、人間にも同様の発症メカニズムがあると言えるのでしょうか。この質問に対する山下先生、藤谷先生のご回答ですが、①ヒトの遺伝情報を元に研究している。②ヒトの遺伝子をマウスに入れて異常がおこるか確認している。ということから、人の発達障害に対しても応用可能性が高いと考えることができるとのことです。発達障害の原因解明、気になる今後の治療法開発は?出典 : 発達障害の要因分子マイクロRNA484と発症メカニズムを解明した今回の研究ですが、原因解明は今後の治療方法開発にどの程度貢献するのでしょうか。山下先生・藤谷先生は以下のように答えてくださいました。「発達障害という病態に関わる分子はおそらくたくさんあります。それらの分子が、どのように働いて、脳の機能異常をきたすのかということを理解しなければなりません。本研究成果は、ほんの小さなピースです。膨大な数の小さなピースを組み合わせていくことで、発達障害の全貌が少しずつ明らかになり、治療開発の戦略が生まれてくるのではないかと考えます。」今回の研究成果は一つの原因分子とメカニズムの発見となりましたが、すぐに発達障害の治療に役立つというわけではないようです。しかしながら、こうした小さな発見の積み重ねが、医学のレベルを進歩させ、やがては新たな治療法の開発につながっていくと期待されます。今後の研究の展望について出典 : お二方とも、発達障害の治療に役立つであろう研究を今後も実施していく方針のようです。山下先生は、発達障害に関連する様々な分子に着目し、それらの機能を明らかにし、動物モデルで神経回路の構築と症状を検査していくという方法で、発達障害とは何かという問いに答えていくための基礎研究を進めていくご予定です。藤谷先生は、兵庫医科大学の准教授として、今後は、患者さんのiPS細胞から作った脳細胞を作成し、神経の分化異常に作用する薬剤を探索しようと計画しています。そして、発達障害のモデル動物を用いて薬剤の効果を確かめるといった研究を進めるご予定です。また、山下先生、藤谷先生から発達ナビ読者のみなさんへのメッセージもいただきました。「発達障害は、現在の神経科学の最も重要なトピックスの一つとして、急速に研究が発展しています。それらの中から、治療開発に役立つ研究が、一日も早く出てくることを祈念しています。」編集部としても、今後の先生方の研究に注目していきたいと思います。大阪大学 大学院医学系研究科/生命機能研究家 分子神経科学神経発達障害群の染色体重複による発症の機序を解明|大阪大学ADHDなどの原因、特定遺伝子の重複阪大解明|日経新聞 電子版 chromosome 16p13.11 microduplication causes hyperactivity through dysregulation of miR-484/protocadherin-19 signaling|Molecular Psychiatry
2016年07月15日「うちの子って本当に手がかかって大変!」ママをやっていれば、そう思うことは多々ある。でも、そんな気持ちが続くと「これって普通なのかな? それとも普通じゃないのかな? もしかしたら、うちの子、発達障害かも!?」そんなふうに心配になることがあるかもしれない。■「通級で良い先生に出会えて良かった!」自身の経験から語る発達障害わが家には、小学校6年生の双子の男の子がいる。双子のうちの1人、湧太(仮名)は、幼稚園の年長の秋、「広汎性発達障害」の診断を受け、小学校1年生~2年生の間、特別支援学級(通級。以下「支援学級」)に通っていた。今は通常学級のみの在籍で、楽しそうに毎日学校に通っている。そんな今、思うのは、「早い段階で、専門知識のある先生に出会えて良かった!」ということ。本気でそう思っているので、今回は自分の経験から、子どもの発達障害についてお話ししたいと思う。■「就学相談のお知らせ」がすべての始まり湧太が幼稚園の年長だった年の6月あたり。「就学相談のお知らせ」という紙が幼稚園のお便りに交じっていた。その紙を見たときに私自身、なぜだかとても引っかかった。ほかのプリントと一緒に捨てるのがためらわれ、幼稚園関係の保存用ファイルにとっておくことにした。その後、幼稚園関係の書類を探すたびに、目に入る「就学相談のお知らせ」。ここに電話してみたら、ずっと胸にモヤモヤしている「何か」の解決になるのだろうか? でも、電話をするのは怖い…。「就学相談のお知らせ」を目にするたびに、気持ちは行ったり来たりして揺れた。 ■わが子はマイペースでかんしゃく持ちその書類が気になったのは、湧太がマイペースで癇癪(かんしゃく)持ちだったからだ。幼稚園では周囲への関心が薄く、集団行動をすると、とんちんかんな動きをすることが多いと保育士さんから指摘を受けていた。輪の中に入るのが嫌いで、幼稚園に登園すると1人で絵本を読んでいることが多いので、友達はほとんどいない。そのくせ家庭では、気に入らないことがあると地団駄を踏んで大泣きし、母や兄弟が辟易(へきえき)して折れるまで我を押し通す。そんな湧太を育てることに、当時の私は疲れ切っていた。■お泊り保育で集団の輪を乱す湧太が年長時の7月、幼稚園でお泊り保育があった。園をあげての行事なので、担任以外の先生とも生活を共にしたようだった。翌朝、お迎えに行くと、副園長先生から、こんな言葉をかけられた。「湧太くん、ビックリしたわ。すごく大変ね。お母さん、彼は気をつけてあげないと学校に入ったら大変よ」■ネットで発達障害を調べてみる「やっぱり、そうか……」。長男を育てたときとは違う湧太の子育てには、ずっと不安があった。幼稚園の担任の先生にも何度か「湧太、大丈夫でしょうか? 何か、違和感があるんです。しかるべき機関に相談に行ったほうがよいでしょうか?」と相談はしていた。けれども、ベテラン保育士のその先生は、「お母さん、考えすぎよ。大丈夫、もう少し大きくなれば落ち着くわよ」と、いつも笑って受け流してくれていた。「ベテラン保育士さんが、そう言うんだもの。大丈夫」。ずっと、そうやって自分に言い聞かせていた。今から思えば、もっと早くに自分で調べることもできたと思うが、調べることが怖かった。「もしそうだったら、どうしよう」と思ったからだ。<次回に続く>
2016年07月14日2016年4月1日から、障害者差別解消法という法律が施行されたことをご存知でしょうか?この法律では、行政や事業者へ障害者に対して不当な差別を禁止し、社会のなかのバリアを取り除くべく「合理的配慮」に努めるよう定めています。障害者が必要としている「合理的配慮」とは、いったいなんなのでしょうか?また、この法律ができたことで、障害者の人たちは暮らしやすくなるのでしょうか?そんな問いに答えてくださったのは、「きこえないママ×まちプロジェクト」代表で、自身も聴覚障害があるまつもとまつりさん。耳のきこえないママたちと、地域の人たちをつなぐ活動をしていらっしゃいます。以前、お子さんが夜中に熱性けいれんを起こしたときに自力で救急車を呼べず、近所の人に助けてもらったため、日ごろから地域の人たちとつながっている必要性を感じたのだとか。今回はまつもとさんに、「聴覚障害者」の視点に立ったお話をお伺いしました。■聴覚障害者は想像以上に不便に感じているまつもとさんは以前クレジットカードを落としてしまったとき、母親にカード会社に電話をかけてもらったことがあったのだそうです。ところがカード会社の人に、「本人でないとダメ」といわれてしまったというのです。「だから、わざわざ会社を休んでカード会社に行って手続きをしなければならなかったんですよ。普通の人だったら休憩時間にちょっと電話すれば済むことなのに」(まつもとさん)また、銀行のATMに不具合があっても備えつけの電話が使えないため、窓口に行って事情を話してもう一度列に並びなおさなければならなかったこともあるといいます。それだけならまだしも、障害者割引のある駐車場に入っても出るときにモニターに障害者手帳をかざさないといけないことがわからず、結局は正規料金を払わざるを得なかった……などと不便に感じていることは多々あるそうです。健常者にとっては当たり前にできることだからこそ、聴覚障害者が不便に感じていてもなかなか気づきにくいものなのかもしれません。■行政にはその人に合った配慮をしてほしい「きこえる」人たちは、「耳がきこえない」といわれると、「じゃあ手話で通訳できる人がいればいいのね」と思いがちではないでしょうか。「でも、聴覚障害者のなかには手話を知らない人もいるんです。だから『耳がきこえない=手話通訳の用意』と考えるのではなく、筆談で対応する、ゆっくり話す、流れの決まっている手続きであればフローチャートを用意して指差ししながら説明するなど、その人に合った配慮をしてほしいと思います」(まつもとさん)まず、「聴覚障害者はみんな手話を知っている」という思い込みをなくすことが必要なのですね。■私たちにもできるちょっとした配慮とは?聴覚障害のある人だって、スキルアップのための学びの場や職場の会議、町内会の話し合いに参加する機会を望んでいるもの。しかし、話の流れがわからない、資料を読んでいると知らないうちに話が進んでいる……など、ハードルが高くてなかなか参加しづらいのだとか。そんなとき、「きこえる」人たちが「きこえない」人たちのためにできることはなんでしょうか?たとえば講座に参加するときであれば、前もって資料をもらう、隣に座った人にはいま話しているところを指差ししてもらう、資料を読むのに夢中になっているとき、講師が話しはじめたら肩を叩いて教えてもらう。そういう、ちょっとした「配慮」をしてもらえたらだいぶ助かるとまつもとさんはいいます。「手話通訳になにからなにまで依頼することはできません。でも、『ちょっと配慮がほしい』という場面は日常的にたくさんあります。ちょっとしたことでも協力してもらえたら、とてもありがたいです」(まつもとさん)■障害者差別解消法だけで社会は変わるのか最後に、障害者差別解消法ができたことで障害者が生活しやすくなっていくかどうかについて意見をきいてみたところ、「5分5分」という答えが返ってきました。法律ができたことで、いままで「予算がない」という理由でやらなかったことに対して「やらなきゃいけない」という意識が芽生えることはあるかもしれない。しかし、だからといって具体的になにをすればよいか行政や事業者の人たちにはわからないだろうから、聴覚障害者自身がもっと「こうしてほしい」と声をあげなければいけないといいます。「行政などに直接声を伝えるのはなかなか難しい。だから、まずまわりの人たちに『こういう不便がある』ということを伝えたいと考えています。その話を聞いた人からアイデアを出てくるなど、なにかいい方向につながっていくと思うから」(まつもとさん)現在、聴覚障害で障害者手帳が交付されている人は全国で45万人。でも、手帳交付に至らない軽度の方も含めると、聴覚障害者は1,000万人以上いるといわれています。障害の程度に関係なく、不便に感じる人たちへの配慮が自然にできる社会になれば、障害者もそうでない人もお互いにもっと気持ちよく暮らせるのではないでしょうか。(取材・文/あさき みえ) 【取材協力】※まつもとまつり・・・「きこえないママ×まちプロジェクト」代表。3人の男児の母。横浜市戸塚区にある親子カフェ「こまちカフェ」を拠点に、「きこえないママ」と地域の人たちとの交流会を月1回(第2火曜日10:00~12:00)おこなっている。コミュニティFMラジオ「エフエム戸塚」の番組にゲスト出演経験もあり。 【参考】※ココロもカラダもぽっかぽか※こまちカフェ※障害を理由とする差別の解消の推進-内閣府※厚生統計要覧(平成27年度)-厚生労働省※難聴者の数は、どれくらい?という事で調べてみた-L.S.B.information
2016年06月25日起きたときに身に覚えのない傷が体にできていたという経験のある人はいませんか? それはもしかしたら睡眠障害かもしれません。睡眠障害は不眠だけでなく、さまざまな症状、タイプがあることで知られています。今回は海外で大きな話題を呼んだニュースから、どのような睡眠障害があるのかを探っていきたいと思います!睡眠障害の4つのタイプ睡眠障害にはいろいろな症状があります。大別すると、以下4つのタイプがあると言われています。不眠寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまう、予定時刻よりも早く目が覚める、浅い眠りが続くなど。過眠夜にしっかり睡眠時間をとっているのに日中に眠くなる。抗えないほどの強烈な睡魔に襲われることも。リズム異常寝る時間と起きる時間が毎日バラバラになる。寝ようと思った時間に眠れず、起きようと思った時間に起きられない。違和感寝ようとしてベッドに入ると足がむず痒くなる、睡眠中に呼吸が苦しくて目が覚めることがある。一言で「睡眠障害」といっても、このようにタイプがあるということを覚えておいてくださいね。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談するようにしましょう。変わった症状もある上記に挙げたものは睡眠障害の一般的な症状ですが、なかには変わった症状が出る人もいるようです。今回はいくつかピックアップして、紹介します。自分の手を齧った!?中国で話題を呼んだのは、「睡眠中に自分の手を齧ってケガを負い、病院に担ぎ込まれた人がいる」というもの。ケガをするほど齧るとは相当の力だったんでしょうね……。このような症状の場合、考えられる睡眠障害は、睡眠中に歩きまわったりする夢遊病や異常行動をとるレム睡眠行動障害などですが、実際のところ、これだけではどの睡眠障害かは確定できないようです。きっと、この人も目が覚めたらシーツが血だらけになっていて、さぞビックリしたことでしょうね……。夢遊病とは上記症状の原因の可能性がある「夢遊病」と「レム睡眠行動障害」について詳しく説明しましょう。まずは、夢遊病から。正式名称は「睡眠時遊行症」で、本人には自覚がない状態で睡眠中に歩き出す症状がみられます。起きたときも、本人には歩きまわっていたという記憶はないそうです。この睡眠障害の怖いところは無意識で歩きまわるので、ケガをする可能性があるところです。家の中ならまだしも、着替えて外に出ていってしまうこともあるというので家族の人は心配ですよね。周囲にこの症状がみられる人がいたら、早めに病院でみてもらうようにしましょう。レム睡眠行動障害とは続いて「レム睡眠行動障害」です。この睡眠障害は浅い眠りであるレム睡眠中に、大声で話をはじめる、手足をバタバタさせる、歩きまわるなどの異常行動をとるものです。物を投げてしまうこともあるので、室内の家具が壊れてしまう場合もあると言われています。このレム睡眠行動障害も、夢遊病と同様に本人に自覚症状はありません。そのため、治療には家族の理解と協力が不可欠です。睡眠中の異常行動がみられた場合は、「いつか収まる」と安易に考えず、ケガをしたり、事故に巻き込まれたりする前に医師に相談しましょう。睡眠障害の検査は?睡眠障害の疑いで病院へ行った場合、症状のタイプによってさまざまな検査が行われます。代表的なものを紹介します。睡眠ポリグラフ検査病院に1泊して、体にセンサーをつけた状態で睡眠をとる。呼吸数や心拍数、夜間の睡眠状態を確認することで、原因を診断するために行うもの。CPAP圧設定検査睡眠中に何度か呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の疑いがあると診断された場合に行う検査。病院に1泊して、マスクを装着して眠ることで呼吸の状態を調べる。脳波検査頭に電極をつけて、脳波を検査する。これによって、てんかんなどの疾患があるかどうかを検査する。検査は他にもたくさんあります。どれも実施する前には医師からきちんと説明があるものなので、睡眠で悩みを抱えている方は一度病院へ行ってみましょう。photo by acworks
2016年06月24日全国には児童館や子育て支援センターといった、「地域子育て支援拠点」があります。保育士などの専門家に育児にまつわる相談や、ママ友づくりができるのはもちろん、子どもを遊ばせることもできるのも魅力です。子どもが生まれてから初めて施設を利用するママは多いかもしれませんね。おもに、保育園や幼稚園に入る前の子どもとともに利用するママが多いようですが、施設内でのトラブルもよく聞きます。■子どもから目を離さないで!子育て支援センターや児童館では、子どもを遊ばせることができる場所を設けているところが多いです。庭に遊具を置いて公園のような環境を作っているところもあれば、和室やマットを敷いた室内にスペースを設けているところも。子ども同士で遊んでいる間、ママたちが育児トークに花を咲かせていることは珍しくありません。しかし、話が盛り上がりすぎて子どもから目を離すのは危険です。職員が様子を見てくれてはいますが、利用者が多いとすべての子どもを見続けることは難しいでしょう。危険な行動を取ろうとしていても、離れた場所にいてすぐには止められないこともあります。子どもは予期せぬ行動を取るものです。ママ友とおしゃべりしつつも、わが子から目を離さないようにしましょう。■子ども同士のケンカに注意センターには、さまざまな年齢の子どもが集まります。年の違う子と遊ぶことはいい刺激になり、教育面でもいい影響があるようです。しかし、体力差のある年上の子とのトラブルから、ケガをしてしまうこともあるので注意しましょう。とくにオモチャの取り合いからケンカに発展することが多いのだとか。赤ちゃんはまだ「譲り合い」を知らないので、年上の子が使っているオモチャで遊びたいときには横取りしようとすることもあります。幼稚園生くらいになると譲ってくれることもあるのですが、2~3歳ではまだそれができないことも。すると、力ずくで奪い返そうとするのですが、まだ力加減ができないので、オモチャを思い切り引っ張ってしまいがち。感情をコントロールできずに全力で叩いたりすることもあるのです。こうした子ども同士のトラブルは、相手のママと揉める原因になりやすいですし、何よりも子どもに怖い思いをさせてしまいます。年の離れた子と遊び出したら、近くで様子を見ていたほうがいいですね。■プレママ期に見学へ行こう子どもだけでなく、ママたちのトラブルも多いようです。トラブルメーカーがいることもあれば、ママ友同士の派閥ができていて、利用しにくいムードができている場合もあります。たとえ子どもが楽しんでいるとしても、ママが気疲れするようでは考えものです。どのような環境か知るためにも、妊娠中に複数の施設を見学しておくといいかもしれませんね。近所に先輩ママがいれば、話を聞いてみるのもいいでしょう。人が多く集まるところでは何かとトラブルが起きやすくなりますが、そのことを覚えておけば予防することは可能です。絵本の読み聞かせやベビーマッサージなどの講座を行っているところもあるので、まずはそうしたサービスを利用して、徐々に慣れていくのがいいかもしれませんね。
2016年06月15日こんにちは、ママライターのNANARUKAです。新生活も軌道に乗り新学期のドタバタも落ち着いて、そろそろ一息つきたい時期ではないでしょうか。しばらくぶりのママ友を招いたり、学校や園の役員仲間と自宅でランチミーティングなんていかがでしょう。家庭訪問でこれから先生をお招きするという家庭もありますよね。そんな折り、家の掃除や片付けはどのようなスケジュールで行っていますか?あなたは当日朝から一気に動く派?それとも前日までに掃除を終わらせて当日はお客様をゆったりお待ちする派?おそらく前者のママは来客があるたびにドタバタと家の中をかけずり回っていることと思います。そこで今回は、お招き上手なママさん方に、来客時に慌てない事前準備の方法を取材しました。コツは、掃除箇所をリストアップすること、一度にやろうとしないこと。当日ラクできるテクニック、ぜひ参考にしてみてくださいね。●数日前にやっておくこと2つ●(1)ランプシェード、観葉植物のホコリを取る気にしない方も多いかもしれませんが、一度気付いてしまったら、うっすら積もったホコリ、結構目につきませんか?毎日は掃除しないという方も、来客前には忘れずに掃除できるようリストアップしておきましょう。『わが家のダイニングはダークカラーのランプシェードを低めにぶら下げているので、ホコリがかなり目立ちます。でも、家全体の汚れの目安にもなります 。ここにたまっているということは、床や戸棚にも同じだけたまっているのだな、と』(39歳/9歳男の子・7歳女の子のママ)『部屋に葉の大きな観葉植物が多く、しばらく放っておくと葉の上が真っ白になるほどホコリがたまります。最低でも月1回くらいは人を招いて、それをきっかけに葉の汚れもしっかり拭くようにしています』(35歳/1歳女の子のママ)●(2)玄関のドアノブ、扉を水拭きする玄関扉の外側、実は結構汚れています。家に入るときにその汚れに気付いていても、その瞬間すぐにはなかなか掃除できないもの。お客さんを招くときくらいは拭きましょう、ということで、早速ここもリストアップ!『玄関扉やドアノブの汚れは、一度気になると毎日の帰宅時に目について仕方ありません。でも、小さな子どもと常に一緒にいるので、バタバタしているうちに忘れてしまい 、気付いたときすぐに拭き取るということがなかなかできません。だからこそ、人が来る際には絶対にやるべきこととしてメモしています』(33歳/0歳男の子・3歳男の子のママ)●前日にやっておくこと3つ●(1)玄関床を水拭きするしっかり汚れていて、拭くとキレイを実感できる場所が玄関床。床の材質にもよりますが、タイルや石材、シートの場合はぜひ分厚い雑巾でゴシゴシ磨いてみてください。ピカピカの玄関の爽快感を体験したら、来客時だけでなくとも磨きたくなるはずです!『玄関なんて汚れていて当たり前だと思っていたけれど、ある日ふと雑巾掛けしてみると驚くほどキレイになってビックリ!玄関がキレイだと、こんなにも気持ちのよいものか と病みつきになり、今では週に2、3回は拭いています。子どもたちも以前ほど靴を出しっぱなしにしなくなりました』(40歳/9歳女の子・10歳女の子のママ)●(2)トイレの床を拭き上げるトイレ汚れは拭き取ることが鉄則。掃除機は使わずにゴシゴシ拭き上げましょう。脱臭機能や換気機能が付いている場合はその場所にホコリがたまりやすいので細部もこまめにチェック。トイレ汚れはため込んでしまうと厄介ですし、ニオイも気になります。来客の有無に限らず、自分が使用した後に除菌シートなどでついで掃除を習慣づけましょう。『それまでトイレ掃除は週2、3回程度でしたが、子どもがトイレトレーニングを始め、便器や床に触りまくるので、毎日の“ついで掃除” を徹底しました。急な来客時も、トイレだけは自信を持って貸してあげられます(笑)』(29歳/2歳女の子のママ)●(3)幅木の汚れを拭き取る部屋に幅木がある場合、ほんの数ミリですが、上面には必ずホコリがたまります。床面のすぐ近くなのに掃除機で汚れを吸い取るのは難しい場所でもあるので水拭きがおすすめ。一度にやろうとすると大変なので、前日までに済ませておくとよいでしょう。『たいして目に付かないけれど、放っておくと確実に汚れる場所。けれど、丹念に掃除したところでそれほど達成感も得られない場所(笑) 。だからこそ、来客があるときくらいはキレイにしようと思えます』(37歳/2歳男の子・5歳女の子・10歳男の子のママ)●当日しておくこと4つ●(1)玄関の砂を取り除く子どもがいる場合、どうしても砂・泥汚れを持ち込みやすくなりますよね。その日は気にならなかったのに、翌日になると乾いた砂が靴の底からドサッと落ちてきた、なんてこともよくある話です。せっかく前日キレイにした床がまた汚れてしまわないように、子どもの靴底のチェックも欠かさずに。『男ばかりのわが家では玄関の砂・泥汚れ専用にハンディクリーナーを用意しました。それまでは砂や泥をほうきとちりとりで集めていましたが、掃いたり捨てたりする際に砂埃になって舞い上がるのが本当にイヤでした。クリーナーなら気付いたときにすぐ取り除ける のでとても便利!』(38歳/5歳男の子・7歳男の子・10歳男の子のママ)●(2)タオル交換トイレや洗面所の手拭きタオルは来客直前にチェンジ!お客様が必ず使うとは限りませんが、いざ使いたいときに使用感のあるタオルでは使うのを躊躇してしまう というお客様側の意見もありました。来客用に上質素材のタオルを2、3本用意しておくといいでしょう。『風合いを楽しめるリネン素材も好きですが、贅沢な心地よさを感じられるのは、やっぱりふっくら厚みのあるホテルのようなタオル。準備中にうっかり自分が使って濡らしてしまわないように注意!』(28歳/1歳女の子・4歳女の子のママ)●(3)洗面所の水気拭き毎日使う水回りは、ホテルのようなピカピカをキープするのは難しいもの。極端に気にすることはないと思いますが、鏡や水栓の汚れ、目立った水気をサッと拭き取るだけでも清潔感はケタ違い。余裕があれば、グリーンや小さな切り花を飾ってみましょう。生活感の出やすい洗面所も一気にスタイリッシュになるはずです。『トイレと同様に、洗面所も汚れをためてしまうと後々の掃除が面倒なものになってしまいます。友人の中には「水回りが汚いから人を呼べない」 と言っている人も多いです。専用のクロスを用意して気付いたときに水気を拭き取れば、水アカなどのこびりつきを防げます』(40歳/9歳女の子・14歳女の子のママ)●(4)便座の汚れ拭き前日どんなに入念に磨き上げたとしても、少なからずその日の汚れはすでに付いているはず。トイレの汚れひとつで、お客様の気分が台無しになってしまう かもしれません。自分が最後に使用した際に、全体をくまなくサッと拭きましょう。『来客当日の最後の仕上げはトイレ。便座と床を拭き、香りのスプレーをしてフィニッシュ。フレグランスも狭い個室に思いきり吹いたのでは強すぎるので、ほんの少しだけ』(33歳/2歳男の子・6歳女の子のママ)----------今回の取材では、「人を招くことによって、普段やらないところまで掃除するいい機会になる」とおっしゃるママさんが非常に多かったです。掃除や整理整頓が苦手なママさんであっても、みなさん汚れや物の散乱には敏感で、雑然とし続ける状況に早く終止符を打ちたいと思っているのです。それなら、なおさら家が汚いからといって引きこもっているのではもったいない!そんなときこそ、楽しいイベントを企画して、ラクして効果的にお掃除してみませんか?お客様をお待ちしている間、キレイに変身したわが家を眺めながら、次のご招待の計画を練るのもいいかもしれませんね。●ライター/NANARUKA(フリーライター)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2016年06月12日働くママにとって、子育てと仕事を両立させることは大変です。仕事が終わって急いで保育園へ、というママも多いのでは?そんなとき、子育てと仕事どちらにも使えるマザーズバッグがあると便利です。普通のバッグに比べて収納性に優れ、子育てに不可欠なマザーズバッグ。しかし、マザーズ バッグには可愛らしいデザインのものが多く、仕事へ持っていくには不向きです。忙しいママにとって、2つ以上のバッグを使い分けつつ仕事と子育てを両立さ せるのは大変……。そこで今回は、働くママにおすすめのマザーズバッグを紹介していきます。初めてマザーズバッグ選びをする方も、今使っているものを替えたいと考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。仕事帰りにそのまま保育園へ、そんなママにオススメのバッグマザーズバッグの多くは、可愛らしいデザインなのが魅力的。トートバッグタイプやリュックタイプなど、形で選べるのはもちろん、デザインから好みのバッグを選べるというのが嬉しいですよね。しかし、子育てをしながら仕事も両立しているママにとっては、マザーズバッグと仕事用のバッグの使い分けが難しいこともあります。特に、子どもを保育園へ送ってから仕事へ行く、仕事が終わってから保育園へ迎えに行くというママであれば、毎回バッグを持ち替えるのはとても面倒です。そんなママには、仕事にも持って行けるシックなデザインのバッグをオススメします!MK MICHEL KLEINキャリアボストンバッグ淡いベージュやブラックなどをベースとした「キャリアボストンバッグ」であれば、仕事へ持って行っても違和感がありません。さらに、このバッグはフェイク レザー仕立てなので、上品なイメージを持たせることができます。持ち手は余裕のあるサイズのため、手に提げて持ち歩くことができるほか、そのまま肩にかけることもできます。子育て中に多くの手荷物を持つとき、肩にかけられるというのは嬉しいポイントですね。イタリア製本牛革の「LADIES BAG」もまた、仕事持ちと子育て両方に使えるバッグです。洗練されたデザインは、仕事場へ持って行くのにピッタリ。バッグのマチは大きく、なかにファス ナー付きのポケットがついているため、マザーズバッグとして使用するにも十分な収納性があります。広いスペースには、おむつやおしり拭き、着替え、哺乳瓶 などをしっかり収納することが可能です。こういったバッグを使えば、持ち替えの手間がなくなり、仕事と子育てを両立させやすくなります。一見するとマザーズバッグには見えないかもしれませんが、収納性や機能性のしっかりしたバッグなら、マザーズバッグとしての役割を十分に果たしてくれるのです。日々忙しいママにとって、便利なアイテムといえるのではないでしょうか?続きを読むライター:フフルルマガジン
2016年06月11日近年、義母が子育てに干渉してくることにストレスを感じるママが増えているようです。義母が子育てをしていた時代といまでは、育児に対する考え方や取りまく環境が大きく変わっていますので、世代間ギャップが生じてしまうのは仕方のないこと。問題は、どのように付きあっていくかです。そこで今回は、実際に「義母の子育て干渉」に悩んだママたちに話を聞かせてもらいました。体験談をもとに、子育てに干渉する義母とどのように付きあっていけば良いのかを考えてみましょう。■「抱きぐせがつく」と怒られた!「息子が産まれたばかりのころ、義母から頻繁に『抱きぐせがつくから、抱っこばかりしていてはダメだ』と怒られました。とりあえず義母の前ではできるだけ抱っこしないようにしてやり過ごしましたが、ストレスでした」(Hさん/29歳/主婦)たしかに、昔は赤ちゃんを抱っこしすぎると「抱きぐせがつく」とされていました。しかし、現在はむしろ、たくさん抱っこしてあげた方が良いと言われていますね。真っ向から義母の意見を否定すると、嫁姑の関係悪化につながることも。Hさんのように、義母の前では一応言うことを聞いているフリをするのは、賢い方法かもしれません。■勝手なことをしないで!「私は、半年くらいは母乳で育て、子どもが食べものに興味を持ちはじめたら離乳食を少しずつ…という考えでした。しかし、義母が『離乳食は早くはじめた方が良い!』と言って、ある日勝手に卵を食べさせようとしました。そのときに『アレルギーのこともあるし、子どもの食事には干渉しないで!』と少し強く言ってしまって…。しばらく、義母との関係がギクシャクしました」(Iさん/33歳/主婦)育児についての世代間ギャップはほかにもたくさんありますが、大切なのは「自分の子育てのやり方」について、きちんと義母に伝えておくことではないでしょうか。Iさんのケースなら、最初に「離乳食はゆっくり」と伝えて理解してもらっていれば、勝手に卵を与えようとしたり、関係が悪化したりすることは避けられたかもしれません。なかなか義母が自分の意見を受けいれてくれない場合は、育児セミナーなどで配布される資料や、最新の研究結果など、「ママ自身の意見」ではなく「専門家の意見」として伝える方法も効果的です。■心配しすぎる義母にウンザリ…「とにかく義母が心配性で、孫が産まれる前から育児書を読みあさり、産まれてからは『これ試してみて』『この症状に当てはまっている、病気では?』と、頻繁に連絡してくるので困っています」(Oさん/31歳/書店勤務)育児書を読みすぎて、結局何が良いのかわからない…という状態になるママは多いようですが、最近はその祖母バージョンもある様子。「大丈夫ですよ!」と聞きながしているだけでは、義母の不安が増してしまう可能性もあります。「じゃあ、私もその育児書を読んでみます」と一度意見を聞きいれてから、「どうやらちがうようです」と報告することで、義母を安心させてあげられると良いですね。このように、「義母の子育て干渉」が気になる場合には、まず「子育て」と「孫育て」がちがうものだということを知ってもらうことが大切です。たとえば、さいたま市が発行している「祖父母手帳」には、「昔といまの子育てのちがい」「親世代との上手な付きあい方」など、孫育てに関する情報がたくさん書かれています。こういった「孫育て」に関する資料を義母に読んでもらい、「子育て」と「孫育て」の領域のちがいを理解してもらえたら、義母の「干渉」は「心強いサポート」に変わるのではないでしょうか。
2016年06月05日こんにちは。ライターのNANARUKAです。育児に仕事に奮闘中のママさん、今日もお疲れさまです。毎日必死でママ業をこなしているのに、ちょっとしたことがキッカケでしんどくなったり、つらくなったりすることってありますよね。ささいなことなのに何日も落ち込んでしまったり……。でも、心配しないでください。同じことを世のママさんたちも一度は経験したことがあるようです。今回は、子育て中のママが体験した「育児って窮屈……」な瞬間エピソードを取材しました。今まさにどん底にいるママの叫び、笑って話せる思い出話になった先輩ママのアドバイスなど、それぞれの窮屈エピソードを第3位からどうぞ!●3歳以下の子を持つママが特に感じる、窮屈シーン第3位は「外食」『外食するときは常に窮屈な思いです。気に入らないことがあると奇声を発する1歳児、料理到着まで待てない2歳児、食べ終わったら走り出す3歳児……。年齢によって状況は変わりますが、外食中はとにかく低姿勢で近くの席の他のお客さんには謝りまくります 。トラブルが起きてしまっては後味も悪くなってしまうので、申し訳なさを全面に押し出して事前回避しています』(38歳/1歳女の子、3歳男の子、6歳男の子のママ)『たまにはラクしたいし、気分転換もしたいし……と、めったにしない外食をしたときに限って、他のお客さんから「もう少しちゃんと座らせたら?」と注意されたり、イヤな顔をされることがあったので、外食時はいつもヒヤヒヤ。まともに食べた気がしないし、かえって疲れてしまいます』(28歳/2歳男の子のママ)『外食時の周囲の目がとても気になるので、外食はランチは11時、ディナーは18時までには店に入る ようにし、一番混む時間帯には食べ終えるようにしています。この時間帯ならたいていの店はまだ空席がある状態なので、いくらかリラックスできます』(40歳/3歳男の子、4歳女の子のママ)食事をしている間はお互いに移動することができないため、どうにか工夫してトラブルを避けたいものですね。●一度は通る道? 第2位は「“母乳絶対主義”の呪縛」『上の子が1歳前後のとき、母乳信仰みたいな風潮がしんどくて産後うつになりかけました。母乳を飲ませることだけに気を取られ、ママ友からの「ミルクあげてるんだ~」という言葉に落ち込む日々。かわいい赤ちゃんと一緒にいる充実感はほとんど楽しめていませんでした。今になってみればそんなことはどうでもよかったと思えるけれど、真っただ中にいるときって「母乳があげられないといいお母さんじゃないのかな……」と不安ばかりが先行してしまう んですよね』(43歳/10歳男の子、8歳女の子のママ)『上の子が産まれたとき、「いつでも欲しがるだけ母乳を飲ませて」という指導をうのみにして心身ともに疲れていたところ、実母から「時間をあけてミルクも利用しながら授乳し、しっかり母乳をためるのがいい」とのアドバイスが。人によってやり方も意見も異なる 授乳事情に、日々悶々としていました』(33歳/1歳男の子、3歳男の子のママ)赤ちゃんに母乳を飲ませてあげたいのは誰だって同じです。とはいえ、無理は禁物。周囲の意見に流されてしまうのではなく、ママ自身の体調を考慮して母乳とミルクを使い分けましょう。●身も心も窮屈! 圧倒的多数を占めたシーン第1位は「バス・電車」『バスの中で1歳の息子が抱っこひもの中で大号泣。いくらあやしても泣き止む気配がなく、他の乗客に申し訳ない気持ちで耐えていたところ、近くに立っていた親子がこちらを気にしている様子。小学校低学年くらいの女の子とそのママはいかにも迷惑そうな面持ちで何度もこちらをジロジロ 。そのママさんだってこういう時期を過ごしてきたはずなのに。「こんなときは優しい気持ちで見守ってあげようね」。自分の娘にはことあるごとにそう教えています』(35歳/5歳女の子・2歳男の子のママ)『小さな子を連れていると席を譲ってくださる方も多いのですが、子どもはじっと座っていることがまず無理。電車やバスでは、席に着くより抱っこひもでしっかり抱っこして立って揺られている方がおとなしいので、そのときも断ったのですが、譲ってくれたその人はそれでも勧めてくるので再び断ると、最後には舌打ち。こちらにも事情があるのに…… と落ち込みました』(30歳/1歳女の子のママ)『ベビーカーに子どもを乗せたままでバスの席に着いていたところ、通路をふさいで邪魔だと注意されたことがあったので、それ以降、バスに乗るときは子どもを抱っこし、ベビーカーを畳んで隅の方に立つようにしたのですが、先日、他の乗客から「子どもを連れてるなら座れよ!」と怒鳴られました。立っても怒られるし座っても怒られる 。乗り物に乗るときは、またいつ怒られるかと常にビクビクしてしまいます』(31歳/0歳男の子のママ)『10年くらい前はバスや電車ではベビーカーは畳むのが当たり前。当時は、大きな荷物を肩に掛けて赤ちゃんを抱っこし、畳んだベビーカーを持って立つしかなかったのでとても大変でした。そんな状況なのに、他の乗客から荷物をグーパンチされたり、連れていた上の子を叱られたりもしました。当時はたまにそんな目に遭ってはどん底まで落ち込んでいましたが、最近では「申し訳ありません」と丁寧に謝って、あとは知らんぷり。引きずらないタフさも大事です(笑) 』(36歳/10歳男の子、8歳女の子、6歳男の子、3歳男の子のママ)やはり1位はバス・電車!外食よりも逃げ場のない“密室感”が強いうえ、乗客の会話も少ないため、子どもの声が響くこと響くこと……。子どもを落ち着かせるのはもちろんのこと、ママ自身も強い心を持っておく必要があります。●少数意見も見過ごせない! まだまだあるある番外編『育児に関する情報が多すぎてかえって窮屈。特にちまたにあふれる「叱らず、穏やかで、イライラしない」的な子育て法の流布 。育児なんてそんなうまくいくわけないので、これがかえってプレッシャーです。影響されやすい自分も悪いのですが……』(35歳/5歳女の子のママ)『うちの家族は意見を持った個性の強い大人たちが多いので、私は常に夫、義母、義父、実母の間で板挟み状態。正直、育児に関係のない所でも窮屈ですが、これも運命と割り切って、だいたいのことは聞き流すようにしています』(39歳/1歳女の子のママ)『どんなに女性や育児に理解のある会社だったとしても、子どもが熱を出して仕事を欠勤や早退しなければならないときはとにかく気まずいです。後々、迷惑をかけた同僚や上司にはいろんな形でおわびしています。やはり社会的には働く母親は弱い立場にあると感じてしまいます 』(40歳/5歳男の子のママ)----------同じような経験をされたママさんも多いのではないでしょうか?現在3人の子育て真っただ中の筆者も同情、共感してしまう意見が多く、何年も前のことですが、他人に突然大きな声で怒鳴られたときのことは、忘れたくても忘れられない記憶として今も記憶に残っています(泣)。世の中にはいろんな人がいます。子どもが嫌いだという方もいるでしょうし、親子のちょっとしたマナー違反を大目に見ることはできないと考えている人もいるでしょう。そういう人たちも、そうでない人たちも共存している社会。そんな社会の中でこれからも子育てをし、生きていくのです。少しばかり窮屈なことがあっても柔軟に受け止め、直すべきことは直し、反省し、感謝し、また前を見る 。そんな捉え方でよいのではないでしょうか。いつかは子どもは大きくなって、ママに寄り添ったり、ともに出かけたりすることも少なくなるはずです。そんなときに子育て中のママさんを温かい目で見られるように、この機会に親子で話し合ってみるのもいいかもしれません。●ライター/NANARUKA(フリーライター)
2016年06月04日