子どもに絵本を読み聞かせしたいと思っていても、たくさんの絵本があってどの本がいいのか迷ってしまうことありますよね。私自身もとても悩みました。そこで、わが子が低月齢のころから読んでいて、買ってよかったと思った絵本をご紹介します。 カラフルでかわいい世界に夢中! 『いっしょにあそぼ しましまぐるぐる』(絵:柏原晃夫/発行:学研プラス)は、わが家で最初に購入した絵本です。娘の反応がとてもよかったことを覚えています。絵本の中身はとてもカラフルで動物やお魚、食べ物も出てきてきます。穴があいているページもあり、娘は興味津々に穴を触っていました。カラフルでかわいらしい世界に興味津々の様子でした。 コンパクトサイズで外出時にも大活躍! 次におすすめしたい絵本は『ぽけっとえほんシリーズ①どうぶつ』(絵:かたおかともこ/発行:ブックオフコーポレーション)。 ページごとに動物の絵が描かれ、鳴き声や特徴が書いてあるこの絵本に、娘は低月齢のころから夢中でした。動物の鳴き声やしぐさをまねしながら読んでみせるとさらに夢中になり、読んでほしいと何度も持ってくる娘お気に入りの絵本です。今では、動物の鳴き声やしぐさをまねしたりして一緒に楽しく読んでいます。 残念ながら『どうぶつ』は現在売り切れのようですが、『たべもの』や『おでかけ』など、同シリーズの別の何冊かは在庫があるようでした。 スキンシップ&ぐずったときにも◎ もう1つおすすめしたいのが『脳科学からうまれた ゆびゆびえほん』(絵:わたなべちいこ/監修:岡田 浩之/発行:ポプラ社)。おすわり期になると手先も器用になってくるので、押したり回したり、効果音が流れるこの絵本に娘は好奇心旺盛な様子でした。 さらに、手遊び歌が3曲入っているので、娘の手をこちょこちょしたり、手をたたいてリズムをとったりと娘と楽しく遊べるので、自然とスキンシップも図れます。ぐずったときはこの手遊び歌で遊ぶとすっかりご機嫌になるなど大活躍でした! 低月齢のころから絵本の読み聞かせをしてきたことで娘とのスキンシップの時間が増え、親子の絆も深まったと感じています。これからも絵本を通じて親子で楽しい時間を過ごしたいです。 ※本記事の内容は、商品によっては変更となっている場合があります。 監修/助産師REIKO著者:佐倉美桜里女児の母。出産を機に仕事を退職。漫画を読むこと、食べること、寝ることが大好きな主婦で、夫と子どもと3人暮らし。現在二人目妊活中。
2020年05月06日編集部:学研キッズネット編集部東京都を始め、全国の小中学校で臨時休校が延長される中、全国の児童精神科クリニックで作られている「日本児童青年精神科・診療所連絡協議会」は長引く休校で子どもたちが心のバランスを崩す可能性を指摘しています。そこで、子どもたちとの会話を増やし、家族との団らんの時間を作るのにおすすめな「ほめ写」についてご紹介します。GW明けまで学校が休校に!子どもにかかるストレスに注意「日本児童青年精神科・診療所連絡協議会」によると、子どもたちは登校や友達と遊ぶことを制限され、メディアの情報に不安を感じて大きなストレスがかかっている状況で睡眠や食欲に影響が出たり、怒りっぽくなるなどの症状が出る可能性があるといいます。しかし、協議会ではこうした症状が出た場合でも「周囲の大人が適切に対応することで多くの子どもは回復する」と説明し、過度な不安を防ぐ方法として、正しい情報を公的なホームページで得ることや不安をあおりがちな情報に接する時間を家族との団らんや休息に充てることを勧めています。親子のポジティブな会話が増える「ほめ写」子どもたちとの会話を増やし、家族との団らんの時間を作るのにおすすめなのが「ほめ写」です。「ほめ写」とは、子どものプリント写真を家の中に飾り、それを見ながらほめてあげることで自己肯定感を高めようという新しい子育て習慣のことです。「ほめ写プロジェクト」では教育評論家の親野氏が小学校の教師として多くの子どもたちと接してきた中で感じた“自己肯定感の高い子どもの家庭には、写真が飾られていることが多い”ことに着目し、脳科学者の篠原菊紀氏、発達心理学者の岩立京子氏・パートナー企業の協力のもと調査をすすめ、「ほめ写」の効果を実証してきました。プロジェクトメンバーの一人である教育評論家の親野智可等氏は「臨時休校が続き、子どもがずっと家にいることで、普段のように家事や仕事を行うことができずストレスが溜まって子どもを叱りがちになってしまうパパやママもいると思います。そんな時は意識して家族のポジティブなコミュニケーションを増やすのがおすすめです。ほめ写を通して子どもをほめたり、一緒に思い出を振り返りながら写真を選んだりすることが、親子のポジティブな会話のきっかけとなります。」と語ります。【自己肯定感とは】自己肯定感とは、「自分には価値があるんだ」「自分は愛されているんだ」といったように自分の価値や存在意義を前向きに受け止める感情や感覚のこと。自分のことが好きで、今の自分に満足している子どもの心や行動のあり方を指します。2019年の内閣府による調査では日本の若者の「自己肯定感」は諸外国の若者に比べて低く、欧米など6か国との比較でもっとも低いことが明らかになるなど日本の子どもたちの自己肯定感の低さは問題となっています。How to ほめ写STEP1 “撮る”子どもが楽しそうにしている、活躍している、頑張っている時の写真や、家族といっしょのシーンなど、愛されていることを実感しやすい写真を撮影しましょう。STEP2 “飾る”リビングや子ども部屋など、子どもが日常的によく過ごす場所で子どもの目線に合わせた高さに、複数枚貼りましょう。子どもと一緒に選ぶのがおすすめです。STEP3 “ほめる”写真を見ながら「この時はがんばったね」「よくできたね」と努力や成果をほめます。また、「生まれてきてくれてありがとう」「あなたは宝物」「大好きだよ」など、子どもの存在そのものを肯定する言葉を掛けます。「ほめ写スターターキット」のご紹介これから「ほめ写」を始める方には、「お好きな写真プリント+シャコラ+デザインカード」がセットになった、「ほめ写スターターキット」がおすすめです。「ほめ写スターターキット」には、89mm正方形サイズ×5枚のセットと、127mm正方形サイズ×3枚のセットの2種類があります。「ほめ写スターターキット」は、「Shacolla(シャコラ)スターターキット」を活用した商品です。「ほめ写プロジェクト」のメインパートナーである富士フイルム社が提供しています。ほめ写スターターキットのご注文はこちらから:【キットの内容】1.写真プリント89mm×89mmサイズのキットでは5枚、127mm×127mmサイズのキットでは3枚、お好きな写真をプリントすることができます。2.Shacolla(シャコラ)壁を傷つけない弱粘着の発泡パネル「シャコラ」が、89mm×89mmサイズのキットには5枚、127mm×127mmサイズのキットには3枚入っています。3.デザインカード手書きもできる、デザインカード。パネルに貼って飾るのもよし、メッセージカードにするのもよし。89mm×89mmセットには8枚、127mm×127mmセットには6枚入っています。子どもをほめたり、一緒に思い出を振り返りながら写真を選んだり、「ほめ写」で親子のポジティブな会話のきっかけ作りをしませんか?■「学研キッズネットFor Parents」のニュース一覧はコチラ■学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2020年04月24日「笑う門には福来る」昔からのことわざにもあるように、笑顔には特別な力があります。最近では、プロゴルファー渋野日向子さんのはじけるような笑顔が話題になりましたよね。緊張した場面でも笑顔を絶やさないその姿に、笑顔の想像以上のパワーを感じた人は少なくないでしょう。今回は笑顔の効果について、改めて検証してみます。卒業アルバムで “笑顔の人” は年を取っても幸せだった笑顔の効果が、私たちの人生にどのような影響をもたらしたのかを検証した実例があります。それは、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の心理学研究チームが行なった興味深い調査です。卒業生141名の「人生の追跡調査」で、卒業アルバムに写った顔が、“笑顔の人” と “笑顔でなかった人” を比べたところ、“笑顔の人” のほうが、成績優秀で満たされた結婚生活を送り、周りに良い影響を与えるなど、健康で幸せな人生を歩んだというのです。この結果は、「笑顔はさまざまな良いことを引き寄せ、人生を豊かにする」というひとつの実証となりました。ネガティブな気持ちも「笑顔」でポジティブ変換できる笑顔が人生を好転させる仕組みについて、脳科学者の茂木健一郎先生がわかりやすく解説しています。まず、なぜ笑いが起きるのかをみてみましょう。脳の中には「扁桃体」という、感情をつかさどる神経細胞があります。喜怒哀楽のうちの「喜」や「楽」といった快感を得ると、ここが反応して、すぐ近くにある「前帯状皮質(ACC)」を刺激します。その結果として起こる現象が「笑い」です。つまり、笑うということは、その本人が幸せであるというシグナルなのです。(引用元:PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜)たしかに、よく笑っている人はハッピーオーラをまとっているように見えますよね。また茂木先生は、活躍中の若手起業家は「明るくてよく笑う」人が多いと話します。「笑い」は、脳の中に備わっている、自分自身の気分を良くしたり癒したりするための装置。ネガティブなことがあっても「笑う」ことで、気分をポジティブに変えられるのです。「笑い」は逆境への対抗策。どんなにつらく苦しいときでも、笑うことでエネルギーを補充し、失敗を糧にできるからこそ、社会で活躍できる人間力がますます育まれるのですね。前を向いて力強く人生を歩んでいくための正しい思考力とメンタル力を身につけられれば、その子の可能性は無限大に広がるでしょう。「笑い」には人生を左右する大きな力があるのです。我が子には、たくさん笑って人生を切り開いていってほしいものですね。「親が笑顔」なら子どもも笑顔になる!では、子どもが笑顔でいられるように親ができることはなんでしょう?脳科学者の西剛志先生は、「親が笑顔でいること」で子どもの笑顔を引き出せると話します。人の脳は、ミラーニューロンという神経細胞を通すことで、自分が見ている人の感情を再現します。つまり、親が笑顔なら、子どももつられて笑顔になるのです。また、子どもの笑顔を引き出す以外にも嬉しい効果がありました。「お母さんの笑顔」には子どもの能力を伸ばす力があるのだそう。子どもに笑顔で勉強を教えると学習能力が10%アップする、笑顔で育てられた子は、そうでない子に比べ、脳の海馬(記憶をつかさどる部分)の成長スピードが2倍早いなど、笑顔が子どもの能力を伸ばすことは、すでに明らかになっています。(引用元:T&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集)そして、同じものを見て笑うという感情を共有することも心の成長のためにはとても大切。楽しい体験をできるだけたくさん共有し、笑顔を心がけましょう。子どもの笑顔のためにも、子どもの能力を伸ばすためにも、親はなるべく笑顔でいたいものですね。子どもの笑顔を増やすためにできること「親の笑顔」以外にも、子どもが笑顔でいられるようにできることはあります。小児脳神経外科・発達脳科学のエキスパートである大井静雄先生と茂木先生、そして西先生の見解を中心にご紹介しましょう。■脳の成長期にできるだけ笑顔を引き出す子どもの脳の成長期は0~3歳。この時期に脳の土台をより強いものにするためには、喜びの感情を多く持つことが有効とされます。つまり、まずはこの時期に、子どもがたくさん笑える環境づくりをするのが重要です。子どもが声を発したとき、または親を見ながら何か行動をしたとき、親がニコニコ応答することで、「反応してくれた。嬉しい!」とプラスの感性が働き、子どもは笑顔になります。この「うれしい・楽しい・快い・おもしろい」などのプラスの感情を引き出すべく、親はできる限り子どもの声や行動に笑顔でこたえてあげましょう。■前向きな言葉かけが子どもを笑顔にする初めての登園や遠足のとき、子どもは緊張しますよね。親も「ひとりで大丈夫かしら」など心配していると、子どもはなおさら不安になります。これは、感情は伝染するから。アメリカ・ペンシルベニア大学ウォートン校の研究は、ミラーニューロンが感情にも及ぶことを証明しています。しかも気をつけたいのは、ネガティブな感情ほど伝染しやすいとということ。子どもにかける言葉は、意識的にポジティブを心がけて。たとえば、歌の発表会の前には、ただ「がんばってね」ではなく、「明日みんなとお歌を歌えるの楽しみだね!お母さんも楽しみで仕方ないよ」など、楽しいイメージを先行させる言葉で子どもの気持ちを緩め、笑顔を引き出してあげましょう。■たくさんの「発見と気づき体験」をさせる子どもの脳は、新しい発見や気づきに喜びを感じます。子どもの目がキラキラと輝いて嬉しそう……そんなとき、ありますよね?子どもの好奇心を育てるためにも、興味が湧いたことを自由にできるだけたくさん体験させてあげましょう。体験の幅を広げるために、親の趣味を子どもと一緒に楽しむのもいいですね。プラス体験で脳もどんどん育まれるはずです。逆に「危ない!」「汚れちゃうからダメ」などと、夢中になっている遊びを中断させられてしまうと、脳はマイナスの感情を持ってしまいます。子どもの発見や気づきを遮ってしまわないように、親は安全な遊び場を確保することに気を配りましょう。そして最後に “良い笑顔” について――。「笑い」が大事と言っても、他人を嘲笑するのは “悪い笑い” です。笑顔のパワーとして効果があるのは、自分の失敗を笑い飛ばせる強さを持った “良い笑い”。人間力を高めてくれる “良い笑顔” を子どもの人生最強の武器にするきっかけを作ってあげるのは、大人の役割なのです。***“We shall never know all the good that a simple smile can do.”(笑顔には想像もできないほどの可能性がある)マザーテレサも言っています、笑顔の力は無限大。これからさまざまな出来事に遭遇する子どもたちにも、そのことを脳と心に刻んで、笑顔で人生を歩んでいってほしいですね。(参考)PHPファミリー|よく笑う子ほど、才能が開花する!〜茂木先生が解説!笑顔の脳科学〜Hugkum|【脳科学者監修】気になる「知育」「育脳」って?喜びが脳を発達させる最新の考え方Forbes Japan|感情は伝染する?ポジティブに振る舞うべき理由Forbes|The Untapped Power Of SmilingT&Rセルフイメージデザイン|2020年3月10日 山形新聞『笑顔で子どもは伸びる』特集STUDY HACKER|“笑い”がもたらす7つの効果。究極の『笑顔トレーニング』で人生を好転させろ!
2020年04月19日「近ごろ、コロナ疲れからイライラする人が増えていますよね。そんなときは特に、自分と違う意見をもった人に対して『許せない!』という感情がわいて、SNSを中心に攻撃を始めたり……。私はこれを『正義中毒』と呼んでいます」こう指摘するのは、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)の著者で脳科学者の中野信子さんだ。「たとえば有名人の不倫問題にしても、“みんなのルール”を破るなんて許せない、と強い怒りの感情が暴走し、心ない言葉でたたきのめしてしまう。自分の生活には関係ない、見ず知らずの人に対してもです」私たちは、この正義中毒の状態に簡単に陥ってしまうという。「その根っこにあるのは“不安”です。不安が攻撃という行動に駆り立てる。今の時代、攻撃の輪はSNSによってすぐに広がり、そのなかで『それは責めすぎだ』という人が現れれば、今度は『そういうおまえこそ悪い!』と、新たな標的をつくっていくのです」100年に一度といわれる非日常にある今。「不安になって当然なの。10人いればそれぞれ意見が違うように、不安の感じ方も、対処法だって、一人ひとり違うものです」そう語るのは、精神科医のTomyさん。けっして否定しない、知恵のあるツイートが人気で、Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』は、この半年間でフォロワー数が16万人に急増。著書『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)も4万部を突破した。「日ごと、コロナウイルスの感染者が増えるこの時期、“大丈夫だと思わない”ことも大事なんです。日本の場合、『過剰に不安がるな』という人も多いですよね。でも、この状況下で自分に『大丈夫だ』と言い聞かせることは、逆にストレスにもなりえますから」近ごろ急増している“イライラ案件”。その対処法をTomyさんが教えてくれた。■有名人の不倫騒動にイライラ「本当に許せないのか、あるいは誰かを攻撃してストレス発散しているのかーーほとんどの人が『あのさわやかイケメンが不倫!最悪〜、祭りだ〜』という発散のほうだと思うの。騒ぎたい人は騒げばいい。芸能人も、それを承知のうえでその仕事をしている人が多いでしょうし。でもね、ひとつ伝えておくと、やみくもに人を攻撃していると、やがて必ず自分に返ってくる。『あいつはそういうヤツだ』と、まわりの人に避けられる日がくるかもしれない、ってことを忘れないで」(Tomyさん・以下同)■子どもの休校や自粛にイライラ「同じ場所に閉じ込められることは、私も苦手だしイライラするわ。ただ、コロナに関しては、人に感染させない、そして感染しない、が大前提です。外出が難しい今、できないことはあきらめるしかないけれど、今あるバリエーションの中から楽しむことはできるはず。ジムに行けないのなら、ユーチューブの動画を見ながらトレーニングをしてもいいし。ヨガ教室に行けないのなら、お風呂場をスタジオ代わりにホットヨガをするとか……お気に入りのアロマをたいて電気を消せば、オシャンティな気分になれるわよ。子どもが騒がしいのなら、この際、好きな動画やアニメを思う存分見せるのも手よね。子どもは好きなものへの集中力がすごいから」とはいえ、今回のコロナショックは、収束が見えないことこそが、私たちを不安で支配している。「でも、人間は環境やストレスに慣れてゆく力を持っています。さらに極論をいえば、みんないつかは死ぬんです。それがいつかわからないだけのこと。誰も明日のことはわからない。だからこそ、見えない先のことを不安に思うより、今日一日のことだけを考えませんか。今できることの中から、今日一日の楽しみ方やリラックス方法を見つけられるといいわね。久しぶりの友達に連絡をするもよし、手間ひまかけて家族と一緒に料理を作るもよし。なかでも、古典の名作を読むことはおすすめです。どんな時代にも通用してきた作品なわけだから、私たちが得られるものも多いはずよ」「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月16日「近ごろ、コロナ疲れからイライラする人が増えていますよね。そんなときは特に、自分と違う意見をもった人に対して『許せない!』という感情がわいて、SNSを中心に攻撃を始めたり……。私はこれを『正義中毒』と呼んでいます」こう指摘するのは、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)の著者で脳科学者の中野信子さんだ。「たとえば有名人の不倫問題にしても、“みんなのルール”を破るなんて許せない、と強い怒りの感情が暴走し、心ない言葉でたたきのめしてしまう。自分の生活には関係ない、見ず知らずの人に対してもです」私たちは、この正義中毒の状態に簡単に陥ってしまうという。「その根っこにあるのは“不安”です。不安が攻撃という行動に駆り立てる。今の時代、攻撃の輪はSNSによってすぐに広がり、そのなかで『それは責めすぎだ』という人が現れれば、今度は『そういうおまえこそ悪い!』と、新たな標的をつくっていくのです」この正義中毒が増えている背景には、「ネット社会」と「自然災害」、2つの要因があるのだそう。「ネット上は多様な意見があるように見えて、自分とは違う意見をスルーしやすい環境です。SNSでつながっているのは、じつは気の合う人ばかり。気の合わない人とは付き合う必要がありませんから。すると“同じ意見だけの繭”のような集団ができますよね。その繭の中では逸脱した人を発見しやすく、さらに匿名性という特徴も加わって、激しい攻撃へとつながっていくのです」そして、もうひとつ。災害時に生まれる“みんなのための正義”が、思わぬ落とし穴になっている。「危機を乗り越えるため、『みんなのために何かできないヤツは悪!』という発想ですね。個人の勝手は許されない。もちろん“一丸となって”という姿勢は美しいけれど、そこからこぼれ落ちる人を考慮できない社会です。こぼれ落ちた“異物”が自分たちの集団を台無しにする前に、“正義”であるわれらが先手必勝で攻撃しなければ、となるのです」やっかいなことに、一度“正義の制裁”を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されるという。中野さんはこれを“モグラたたきゲーム”のようだと指摘する。「悪いヤツをやっつける快感を覚えると、またそれを味わいたくなって、次なるモグラをつねに探すわけです。そして、モグラが現れると反射的に攻撃する。この攻撃はもはや、エンタメ化しています」そんな、許せない人が増える社会では、一方で「意見は言わないでおこう」という人も増えていく。「これを『コーシャスシフト』といって、意見の違いを『危険だ』と察すると、人は無難なことしか言わなくなります。やがて、新しい意見は出なくなり、膠着状態に。また、今メディアで起こっているのは『リスキーシフト』といって、これとは真逆な現象です。煽れば煽るほど注目されるので、どんどん意見が過激になっていく。この両極端の状態はセットで起こるので、攻撃的な空気はいっそう加速していくのです」中野さんは、かつて留学していたフランスで、考え方の多様性の大切さを学んだという。「議論が好きな彼らは、自分と意見が違っても、その相手を否定しきることはありません。人格否定はダサいと考えているのです。『私はこう思う』『一理あるけど、ちょっと違うわ』と、10人いれば10の異なる意見を認め、そこから新しいものが生まれてくるのです。日本には“満場一致”をよしとし、そのために根回しをしてきた文化的背景があるかもしれません。でも、そういう時代は終わりを告げているように思います。誰かを攻撃しても、いっさいの生産性はありません。さらに、非常事態が続く世の中では、“絆”を声高に叫ぶよりも、1つより2つ、2つより3つの意見が、アイデアとなって誰かの助けになるはずです」まずは、さまざまな意見や思考を否定しないことから。許し認め合うことで、精神と脳を健やかに保ち、困難な局面も乗り切ろう。「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月16日揚げ足取りや不謹慎狩りなど、SNSでの他者攻撃が問題視されるなか、コロナウイルスとともに“イライラ”も世界じゅうに蔓延し、加速度を上げている。自分の心を落ち着け、いたわるカギは不安と上手に付き合うことにあったーー。「近ごろ、コロナ疲れからイライラする人が増えていますよね。そんなときは特に、自分と違う意見をもった人に対して『許せない!』という感情がわいて、SNSを中心に攻撃を始めたり……。私はこれを『正義中毒』と呼んでいます」こう指摘するのは、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)の著者で脳科学者の中野信子さんだ。「たとえば有名人の不倫問題にしても、“みんなのルール”を破るなんて許せない、と強い怒りの感情が暴走し、心ない言葉でたたきのめしてしまう。自分の生活には関係ない、見ず知らずの人に対してもです」私たちは、この正義中毒の状態に簡単に陥ってしまうという。「その根っこにあるのは“不安”です。不安が攻撃という行動に駆り立てる。今の時代、攻撃の輪はSNSによってすぐに広がり、そのなかで『それは責めすぎだ』という人が現れれば、今度は『そういうおまえこそ悪い!』と、新たな標的をつくっていくのです」読者の多くが「私は正義中毒とは関係ない」と思うかもしれない。しかし中野さんは、現在8割の人が正義中毒化している、またはした経験があると考えているそう。「年齢によるものもあるでしょう。加齢によって脳の前頭前野が萎縮すると、考え方が偏っていき、ますます人を許せなくなる傾向が強く表れるからです」「昔はよかったのに……」「それは違う、○○に決まっているでしょ!」と、口にした覚えはないだろうか。「脳の前頭前野は、分析的な思考や客観的な思考を促す部分です。ここが衰えると考え方が保守化して、『昔はよかった』に象徴されるような固定化された観念や偏見が強くなり、“許せない”感情へとつながっていきます」“許せない”はつまり“脳の老化”でもあるのだ。ということは逆に、許せる人になることが老けない脳をつくる、ともいえないだろうか。「脳の老化抑制のためには、『メタ認知』がカギをにぎります。メタ認知とは、自分を客観的に認知する機能のことで、脳の前頭前野の働きが保たれていることが必要となります」そのためには、ふだんの習慣にないことを意識して行うのが効果的だという。「たとえば、通勤や散歩のときにいつもと違う道順で歩いたり、食事のときにふだんはあまり使わない食材を使ったり、作らないメニューに挑戦してみる。在宅時間が増えているこの時期なら、ふだんは手に取らないジャンルの本を読んでみる。また、ネットでも、まったく関心のないキーワードを検索してみると、ふだん目にしないページと出合うことができます。日常のちょっとしたことでメタ認知を働かせ、前頭前野をきたえることはできるのです」「女性自身」2020年4月28日号 掲載
2020年04月16日あらゆる悩みを解決! 超速効ストレッチ3月31日、ストレッチにより柔軟なカラダを手に入れようという新刊『カラダを柔らかくしてあらゆる悩みを解決! 超速効ストレッチ』が発売された。著者は柔軟美トレーナーで、銀座や渋谷などで指導を行っている村山巧(むらやまたくみ)氏である。128ページで価格は1,430円(税込)、マガジンハウスから発売中である。なお、この新刊は開いたままストレッチができるよう、180度開く特別な製本が行われている。肩こり・腰痛・ねこ背・むくみ・冷え性も村山巧氏はかつての自分自身について、合金なみのカラダの硬さだったと語る。その硬さは前屈しても指さえ床に届かなかったほどだったという。そんな村山氏は趣味で始めたフィギュアスケートをきっかけに、柔軟なカラダを手に入れたいという意識に目覚めることになる。現在は柔軟美トレーナーの肩書きで、全国にも出張するなど、これまでに延べ2万人を指導。フィギュアスケートの高橋大輔選手のプライベートレッスンも担当。著作『自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ』は15万部を突破している。新刊では12秒で効果を実感できるというストレッチを掲載。肩こり、腰痛、ねこ背、むくみ、冷え性、柔軟実現、代謝UP、快眠、ケガ予防などが期待でき、ストレッチには脳科学と筋膜リリースの知見が活かされているという。なお、同書には動画が見られるQRコードが記載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※『カラダを柔らかくしてあらゆる悩みを解決! 超速効ストレッチ』 - 村山巧 著 - マガジンハウスの本
2020年04月10日華やかなコスメの世界を支える科学技術を知ってほしいひとつの化粧品は、さまざまな専門家の知恵が結集した賜物である。では、化粧品にはどんな成分が入っていて、どんな働きをしているのだろうか。そんなコスメの知らない世界について答えてくれるのが、花王株式会社の化粧品開発を経て、現在大学准教授を務める、野々村美宗の「教授にきいた・・・コスメの科学」である。華やかなコスメを支える多彩な科学を教えてくれる1冊だ。販売価格は、2000円(税抜)で、Amazonや楽天で購入できる。コスメの科学を丁寧に分かりやすく解説5つの科学に分けて解説するのは、クレンジング、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、製剤についてである。「しっかりアイメイクがメイク落としでスルッと落ちるのはなぜ?」「美白化粧品がシミ・そばかすを防ぐ仕組みは?」「アンチエイジング化粧品がシワを目立たなくしたり改善したりできるのはなぜ?」など、普段何気なく使っている物だからこそ、言われてみれば気になる内容ばかりだ。これからコスメの世界を学びたいと考えている人や、化粧品販売の仕事に携わる人など、専門用語や化合物の説明も加えた丁寧で分かりやすい解説となっている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※野々村美宗公式ツイッター
2020年04月01日「どうすればいいんだ!」――。舞台は、市原隼人演じる脳内議長・吉田の悲痛な叫びから始まる。吉田が存在するのは、櫻井いちこ(蓮佛美沙子)の脳内の中。いちこが決断を迫られる場面で、彼女の脳内は様々な思考が駆け巡っていた。【チケット情報はこちら】市原隼人が主演を務める舞台『脳内ポイズンベリー』が、3月21日(土)から新国立劇場中劇場にて開幕した。原作は『失恋ショコラティエ』、『窮鼠はチーズの夢を見る』など、登場人物たちの恋に揺れ動く繊細な心情描写に定評があるマンガ家・水城せとなの同名マンガ。ふたりの男性の中でぐらつくいちこの脳内で、擬人化した5つの思考たちが「ああでもない、こうでもない」と脳内会議を繰り広げる。思考たちが会議をするのは舞台中央に佇む円卓のセット。物語冒頭から、いちこが気になる男性と再会し、混乱を極める脳内の姿が描かれた。脳内会議を仕切る議長の吉田を始め、ネガティブ思考の池田(早霧せいな)、記憶の岸(グァンス/SUPERNOVA)、ポジティブ思考の石橋(本髙克樹/7 MEN 侍/ジャニーズJr.)、瞬間の感情であるハトコ(斉藤優里)という5つの思考たちが、様々な意見を出し合うドタバタっぷり。思考が擬人化するという現実にはありえない設定だが、様々な結果を想定して、ポジティブ、ネガティブに考えたり、過去の経験を思い出したり、感情が瞬間的に動いてしまったりする場面は誰しもある。思考たちの個性が見える会話劇は、ファンタジーながら“あるある”と共感してしまう。脳内といちこが生きる現実世界とが同じ舞台上で描かれ、最初でこそ思考たちは円卓の中で会話劇を繰り広げるものの、物語が進みいちこが追い込まれていくと、脳内たちは円卓を飛び出しいちこのそばへ。脳内がより切羽詰まる状況下を現していく様子も印象的だ。ラストには舞台オリジナル要素も組み込まれ、より登場人物たちに感情移入できるだろう。誰しも失敗をしながら、その経験を糧に生きていく。いちこは、私たちの“等身大”。私たちが何か決断を迫られる場面でも、脳内の思考たちが「ああでもない、こうでもない」とワーワー脳内会議を繰り広げているのかもしれない。舞台『脳内ポイズンベリー』は、3月29日(日)まで、新国立劇場中劇場にて上演。出演者によるアフタートークイベント上演日も。詳しくは公式サイトまたは公式Twitterをチェックしてほしい。取材・文:渡邉千智
2020年03月23日どんなに子どもを愛していても、自由奔放な子どもに振り回されてイライラしてしまうこともあるのが子育てです。自分のイライラにどう対処していいかわからず、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで、「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生に、子育てでイライラせず、かつ幸せになるという欲張りな方法を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)イライラした自分を責めずに認める子育ては本当にたいへんなことの連続です。いうことを聞いてくれない子どもに対してイライラしてしまうことも少なくないでしょう。そのとき、イライラしてしまった自分を責めていませんか?それでは自分が苦しくなるばかりです。子育てにはイライラすることもあって当然なのですから、自分を責めるのではなく、「イライラしたなあ」と、イライラした自分をただ認めることが大切です。というのも、「イライラは完全に悪いものだ」といい切れるものではないからです。親のイライラというものは、子どもにも伝わり、ある程度の教育効果があります。親がイライラしていると、その事実を子どもは察して、「こういうことはしてはいけないな」と感じることもある。あるいは、場合によっては反面教師としての教育効果かもしれません。「イライラしているお母さんみたいな人にはなりたくない、穏やかな人になりたい」と、子どもが思うようなことです。しかしながら、子育てをするうえでは、やはりなるべくイライラしないほうが理想的です。ですから、イライラを抑えるためのトレーニングをしましょう。イライラしたら、まずはその事実を認める。それから、6秒間、深呼吸をしてイライラを子どもにぶつけたくなるのをぐっと我慢する。これは、怒りをコントロールするメソッドであるアンガーマネジメントの手法です。怒りは、6秒間我慢すれば消えるという研究結果があるのです。さらに、イライラしている自分を俯瞰するイメージで客観視してみてください。これら3つのことを続ければ、イライラに対して冷静に対処でき、徐々にイライラを抑えられるようになっていくはずです。子育てをめぐる夫婦の方針がちがってもいいただ、子育てにおいてイライラさせられるのは、子どもの行動だけに限りません。たとえば、どちらかといえば母親に多いことだと思いますが、「夫が子育てに協力してくれない!」ということも、イライラしてしまう大きな要因のひとつです。そういう人のなかで、パートナーに対して「あきらめ」の気持ちを持っている人はいませんか?「夫にいっても、どうせわかってくれない」と思っているようなことです。あるいは、子育てをめぐって夫婦喧嘩をしたときに、解決しないまま、「その話をするとまた喧嘩になるから」と放置してしまう。そしてまた別の理由で喧嘩をして解決しないまま放置する……。そのようにして、夫婦がわかり合えない事実をどんどん蓄積していないでしょうか。これは、子育てのためには完全にNGなことです。いや、最悪といってもいいでしょう。なぜなら、子育てをめぐる父親と母親の方針が食いちがっていると、子どもは混乱してしまうからです。ですから、やはりあきらめることなく夫婦でよく話し合うことが大切です。その場合、夫婦間で子育ての方針が一致することが理想ですが、もしちがっていたとしても、きちんと夫婦で話し合ったうえで「わたしたちは考えがちがうんだね」と認め合うことができていれば問題ありません。これは、先に挙げた、あきらめによって子育ての方針の食い違いを放置していることとはまったくちがうこと。夫婦が互いに認め合っているために、「考えはちがうけど、共存していこうよ」と前向きに子育てに向かうことができるからです。「お父さんとお母さんの考えはちがうけど、お父さんもお母さんもあなたのことをきちんと考えているんだよ」と子どもに伝えられる。そうすれば、子どもも混乱することなく両親の考えのちがいを受け止めてくれるでしょう。夜寝る前に、その日にあったいいことを3つ書き出す最後に、子育て中のみなさんがイライラせずに幸せになれる、とっておきの方法をお教えしましょう。これは、アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンが唱えているもので、「毎晩寝る前に、その日にあったいいことを3つ書き出す」という方法です。人間の脳は、同じ失敗を繰り返さないため、ポジティブなことよりネガティブなことをより強く記憶するようにできています。危機管理能力としては優秀ですが、やはり嫌なことばかり覚えていては、幸せを感じにくいですよね。でも、よく考えてみれば、ごく平凡に思える1日のなかにも見落としているいいことはたくさんあります。それこそ、子育て中の親であれば、いうことを聞いてくれない子どもにイライラさせられることがあったとしても、昼寝している子どもの寝顔を見れば「なんてかわいいんだ」と思うでしょう。親として最高に幸せな瞬間です。その事実を書き出すことで、日々のイライラは減り、幸せを感じられるようになるはずです。この方法が面白いのは、習慣化するといいことに自然に目が向くようになる点です。いいことを書き出したいがために、いいことを見つけられるようになるというわけです。いわば、「幸せ体質」になるといっていいでしょう。わたしの妻なんて、まさにその幸せ体質。朝の9時になる前に、「もういいことが3つ見つかっちゃった!」なんていっていますよ(笑)。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月14日子どもの幸せを願わない親はいません。そう考えて、子どもばかりを優先し、夫婦関係をおざなりにしている人はいませんか?「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の前野隆司先生は、「親だからこそ、子どもではなく夫婦、そして自分の幸せを追求してほしい」と語ります。そのことが「子どものためになる」というのですが、はたしてどういう意味なのでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)スキンシップをすれば幸福度が上がるみなさんは、子どもと積極的にスキンシップをしていますか?感覚的にもわかることかと思いますが、スキンシップが多いほど幸福度が上がるという研究結果があります。これは、神経伝達物質の影響によるものです。人間の脳は、他人とスキンシップすることにより、セロトニンやオキシトシンなど「愛情ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質を分泌します。その働きにより、人は安心感を得て幸せを感じられるのです。ですから、子どもに対してどんどんハグをしてください。もちろん、スキンシップであればいいのですから、握手でもいいし、肩や背中をポンポンとたたいたり、「いい子いい子」と頭をなでてあげたりすることでもいい。とにかく、親子ともども幸せになりたいのなら、スキンシップを欠かさないことです。そういう意味では、日本人はちょっと不利かもしれません。外国人と比べると、日本人のスキンシップは明らかに少ないからです。わたしの知り合いがとあるラテン系の銀行に就職したところ、「自分の席になかなかたどり着けない」と苦笑いしていました。というのも、席に着くまでのあいだ、清掃員のおばちゃんなど出会う人出会う人から、「今日も会えたね!」と、まるで1年ぶりに会ったかのように激しくスキンシップされるからだそう(笑)。そのことを思えば、文化的にスキンシップが少ない日本人、とくに子育て中の親であるみなさんは、意識的に子どもとのスキンシップを増やしていく必要がありそうです。たとえ他人とのスキンシップには抵抗がある日本人でも、親子であれば問題ないでしょう。スキンシップをすれば幸せになるように人間はできているのですから、我が子を思う親なら、スキンシップをしない理由はありません。「子どもは宝物だ」という思考は危険さて、愛情を持って子どもとスキンシップをすることはもちろん大切ですが、その愛情の中身については注意が必要です。みなさんのなかに、「愛する子どもをきちんと育てることこそがわたしの生きがいだ!」なんて考えている人はいないでしょうか?それは、ちょっと危険な思考です。子どもに依存している可能性があるからです。わたしの母の世代の女性には、そういう人が多かったように思います。そういう女性は、妻として夫に尽くし、母親として子どもを育てることが任務であり幸せだと考えていました。そして、夫に先立たれて子どもが独立すると、自分の役割がなくなったと感じ、幸せの代わりに虚脱感を感じるようになる。そういう人の予備軍が、いまの親世代の人にも見られるのです。それこそ、「かわいい子どもには、できれば大きくならないでずっとそばにいてほしい」「将来、子どもが結婚して家を出ると思うといまから憂うつ」「子どもはわたしの宝物だ」なんて考えている人は危険です。そういう思考を持っている人は、無意識のうちに子どもを自分の「持ちもの」のように思っています。いうまでもなく、子どもは持ちものなどではなく、ひとりの独立した人間です。だからこそ、「いずれ我が家を出て他人になっていく子どもを遠くから応援しよう」という気持ちを持っていなければならないのです。子どものためにも、夫婦が仲良くしておくべきそう考えると、親が持っておくべきもうひとつの大切な思考があります。それは、夫婦こそが仲良くしておくべきだということです。子どもが独立して家を出ていったとしたら、そのあとに家に残るのは夫婦ですよね?それなのに、夫よりも、妻よりも「子どもが大事!」と子どもにばかり目を向けていれば、子どもが家を出た途端に、親はそれこそ虚脱感に襲われることになってしまいます。いま、熟年離婚する夫婦も多いですよね。それも、いまお伝えしたような、子どもにばかり目を向けている親が多いことにもよるのではないでしょうか。子どもとスキンシップをしてコミュニケーションを取ることも大切ですが、夫婦のあいだでももっともっとコミュニケーションを取るべきです。もっといえば、親自身が自分の幸せを追求してほしい。「子どものことを思えば、そんな勝手なことはできない」と考える人もいるかもしれません。でも、それは勝手なことなどではありません。むしろ、親自身が自分の幸せを追求することこそが子どものためになるのです。両親がしっかりコミュニケーションを取って幸せなカップルでいられたら、そんな両親の背中を見て育った子どもは、「自分もお父さんやお母さんみたいな家庭を築こう」と思うはずです。でも、親が子どもにばかり愛情を注いでしまうと、その子が大人になり子どもを持ったときも、自分の子どもに対して同じような愛し方しかできません。いわば、依存のループを子孫につないでしまうのです。そして、親に依存された子を待っているのは、最終的に虚脱感を味わうことです。みなさんも、我が子にそんな思いをさせたくはないでしょう。親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため――。そう考えて、子どもに依存しない親子関係を築いてください。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月13日幸せになりたい――。人間の究極の願いかもしれません。それこそ子を持つ親なら、我が子には絶対に幸せな人生を送ってほしいと願うでしょう。そこで、「幸福学」の第一人者である慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生に、親子そろって幸せになる方法を教えてもらいました。まずは、そもそも幸福学とはどんな学問なのかというお話からはじめてもらいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)他人と比較できるもので得られる幸せは長続きしないわたしの専門のひとつである「幸福学」を、まだ知らない方もおられるかもしれません。幸福学が世界的に広まりはじめたのは1980年代になってからです。ただ、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」ということについては、2500年くらい前から哲学者や宗教学者が研究をしてきました。そこに科学の視点が入り、さまざまな説にエビデンスがもたらされ、幸福学という学問として確立されたのが1980年代以降ということなのです。心理学・統計学ベースの幸福学は、哲学でも宗教学でもありませんから、「人の幸せはなにか?」という根本的な問いを扱うものではありません。幸福学の研究では、その問いはさておき、研究対象の人たちにはそれぞれの主観で自分が幸せかどうかを問います。そして、「幸せだ」と答えた人たちにはどういう共通項があるのかを研究し、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」という問いに答えを導くのです。また、そういった基礎研究に加えて、応用分野もある。たとえば、基礎研究によってわかった人が幸せになる仕組みを、企業経営やそれこそ子育てなどに応用し、幸せになる方法を広めることも幸福学の範疇に含まれます。さて、その幸福学の研究が進んだことで、ひとつの大きな事実が見えてきました。その事実とは、「お金やモノ、地位など他人と比較できるもので得られる幸せは長続きしない」ということです。たとえば、ある人が昇進して給料が上がったとします。もちろん、その瞬間はうれしいし、幸せを感じるでしょう。でも、もっと給料をもらっている人は世界にはいくらでもいる。上を目指せばきりがありません。そのことに気づき、せっかく給料が上がって得た幸せも、結局は長続きしないのです。長続きする幸せを得るために必要な「幸せの4つの因子」では、長続きする幸せを得るにはどうすればいいのでしょうか?それは、「心と体をいい状態にすることで幸せになる」ということです。そのうち、心の状態に着目すると、幸せな心の状態というものは数え切れないほどあります。それらを因子分析という手法によって整理したところ、4つにわけることができました。つまり、心がその4つの状態にあれば、強い幸福感を得られるというわけです。それらを、わたしは「幸せの4つの因子」と呼んでいます。【幸せの4つの因子】「やってみよう」因子「ありがとう」因子「ありのままに」因子「なんとかなる」因子では、子育て中の親と子どもはどうすれば幸せになれるのでしょうか?4つの因子それぞれをベースにお話しましょう。まずは「やってみよう」因子から。いまの子どもたちの多くは幼いときからたくさんの習い事をしたり、塾に通ったりしています。なかには、「通わされている」といったほうがいい子どももいるでしょう。これが大問題。やりたくもないことをやったところで幸せを感じられるでしょうか?答えは考えるまでもなく「ノー」ですよね。人は、自分の意志で「やってみよう」と思うことをやることで幸せを感じられるからです。親であるみなさんに注意してほしいのは、親自身も「やってみよう」と思っていなければならないということ。「自分は英語が苦手だったから」と、子どもを英語塾に通わせているだけでは、親の「やってみよう」が足りません。「幸せは伝染する」ものですから、親も「やってみよう」ということが日常になければならない。つまり、親は親、子は子で、それぞれが好きなことをやることで互いに幸せが伝染し、親子そろって幸せになれるのです。子どもに感謝し、子どものありのままを認めるふたつ目は「ありがとう」因子です。イメージしやすいことだと思いますが、感謝の気持ちを忘れない人は周囲といい人間関係を築けるので、当然、幸せを感じることができます。ところで、みなさんは子どもに感謝していますか?あるいは、夫や妻に感謝しているでしょうか?子育ては本当に大変なものです。協力が足りないパートナーや駄々をこねる子どもに対して、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。でも、それでは幸せはあなたから逃げてしまいます。「わたしのパートナーでいてくれて、わたしの子どもに生まれてくれてありがとう」という気持ちを忘れず、日常的に「ありがとう」と口にするようにしてください。3つ目は「ありのままに」因子です。この因子を潰してしまうのは、「他人との比較」です。このことにも、「やってみよう」因子と同じように、いまの子どもがたくさんの習い事をしていることが悪影響を与えていると感じています。子どもが習い事をしていると、親としてはどうしても他の子どもと我が子の出来を比較してしまいがちです。そうして他人と比較されてばかりいる子どもが幸せを感じられるはずもありません。そもそも、子どもの生育には非常に大きな個人差がありますし、親の希望でやらせている習い事が、その子が得意なことではないかもしれません。親の勝手な理想の子ども像を我が子にあてはめるのではなく、我が子の「ありのまま」を受け入れ、また子ども自身にも「ありのままの自分でいいんだ」と思わせてあげましょう。失敗した子どもに「グッジョブ!」と声をかけるアメリカ人最後は「なんとかなる」因子です。「自信がない」「どうせ自分には無理」とネガティブ思考でチャレンジを恐れる人と、「なんとかなる」とポジティブに考えてさまざまなことにチャレンジしていく人ではどちらが幸せになれるでしょうか?答えはもちろん後者です。そして、子どもをポジティブ思考にするために重要となるのは、親の言葉かけです。ここで、わたしがアメリカに住んでいたときに妻から聞いたエピソードをお話しましょう。その日、妻はまだ幼かった子どもを公園で遊ばせていました。すると、アメリカ人の子どもが転んでしまった。その子の親は、どんな声をかけたと思いますか?日本人なら、「大丈夫?」と心配し、「だから気をつけなさいっていったじゃない」なんて小言をいってしまうかもしれません。ところが、アメリカ人のその母親は、間髪入れずに「グッジョブ!」といったのだそうです。驚きですよね。アメリカ人は、子どもがなにかにチャレンジして失敗するたび、「グッジョブ!」「ナイストライ!」と声をかける。それを何度も繰り返すのですから、仮にもともとは引っ込み思案の子どもだったとしても、どんどんポジティブになっていくはずです。民族性というところもありますから簡単ではないかもしれませんが、みなさんも、もっと前向きな言葉を子どもにかけてあげることを意識してはどうでしょうか。『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』前野隆司 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(2018)■ 慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生 インタビュー記事一覧第1回:“他人との比較”で得た幸せは長続きしない。「幸福学」で分かった、親子で幸せになる方法第2回:目的もなく東大に入っても意味はない。本当に輝けるのは、いい意味での「オタク」だ!(※近日公開)第3回:「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき(※近日公開)第4回:子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方(※近日公開)【プロフィール】前野隆司(まえの・たかし)1962年1月19日生まれ、山口県出身。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授。1984年、東京工業大学工学部機械工学科卒業。1986年、東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。同年、キヤノン株式会社に入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、慶應義塾大学理工学部教授、ハーバード大学客員教授等を経て、2008年より現職。2017年より慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。研究領域は、幸福学をはじめ、ヒューマンロボットインタラクション、認知心理学、脳科学、心の哲学、倫理学、地域活性化、イノベーション教育学、創造学と幅広い。主宰するヒューマンラボ(ヒューマンシステムデザイン研究室)では、「人間に関わる研究ならなんでもする」というスタンスで、さまざまな研究・教育活動を行っている。『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから 広大な潜在能力の世界にアクセスする“フロー”への入り口』(ワニブックス)、『幸せな職場の経営学 「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館)、『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス)、『AIが人類を支配する日』(マキノ出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年03月11日みなさんは、お子さんを褒めることが多いですか?それとも叱る回数のほうが多いですか?「子どもの自己肯定感を高めるためにも褒めてあげなきゃ」とプレッシャーを感じている親御さんも多いのではないでしょうか。「子どもは褒めて伸ばすべき」という考えにとらわれすぎて、ちょっとしたことで過剰に褒めるなど、間違った褒め方をしている親御さんが増えているいま、子どもが「褒められ依存症」になっているケースも少なくありません。今回は「褒めることのデメリット」について、詳しく解説していきます。その褒め言葉、本当に必要?近ごろでは、「褒めて伸ばす」子育てが主流になってきています。育児書やメディアなどでは、子どもを褒めることのメリットが盛んに取り沙汰され、効果的な褒め方を指南する専門書もたくさん目にするようになりました。たしかに、叱られるよりは褒められたほうが自己肯定感も上がり、毎日を前向きに過ごせそうです。特に子どもは素直で単純なので、親が上手に褒めてあげることで、本人のやる気を引き出したり、持っている能力を伸ばしてあげたりできるでしょう。しかし、心理学者の榎本博明先生は「なんでも褒めればいいと勘違いしている親が増えている」と指摘します。褒めることで自信がつき、期待に応えようと頑張るようになるというメリットがある一方で、「打たれ弱くなる」「褒めないと機嫌を悪くする」「注意や叱責を素直に受け入れられない」「見返りがないとやる気になれない」などといった弊害をもたらすかもしれないのです。榎本先生は、「褒めることと叱ることのバランスを考えることが大切」と説きます。褒めてばかりいても、子どもにとっては悪影響を及ぼすことも。次に詳しく見ていきましょう。「褒められないとモチベーションが上がらない」人間になる!?「子どもを褒めることによる弊害」には、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。タイプ別に解説していきます。■“褒められること”が目的化する医師・臨床心理士の田中茂樹先生によると、褒められてばかりいると「親に褒められること」を優先的にやろうとするそう。しかも、繊細で大人の顔色をうかがうタイプの子ほど、その傾向が強いといいます。この問題点は、「自分が本当にしたいこと」と「親に褒められるからすること」の境界が曖昧になること。つまり、子どもは「自分で選んだ」と思い込んでいても、根底には「親が喜ぶから」「親が望んでいるから」ということが選択の基準になっているのです。それは、おもちゃや食事といった小さなことから、進路や友人選び、就職や結婚など人生における大きな選択に至るまで、子どもの心を支配します。■褒められないと不安になる些細なことでもすぐに褒めてしまう親御さんは要注意です。公認心理師・産業カウンセラーの大美賀直子氏によると、たとえば「宿題できたの?えらいわね」などと、やって当たり前のことでもいちいち褒められていると、子どもは「褒められる状態」がデフォルトになるそう。すると、「褒められない状態」に不満や不安を感じるようになるといいます。さらには、社会に出てからは「褒められないとモチベーションが上がらない」「上司が命令ばかりしてくるからムカつく」というように、自分は何もしなくても褒められて当然の存在だと勘違いして周囲とぶつかるケースも見られるそう。■失敗を恐れるようになる榎本博明先生は、「褒められてばかりいると、ちょっと注意されただけで自分が全否定されたような気になってしまう」と述べています。そのため、非常に打たれ弱く、挫折することを必要以上に恐れるように。頑張ってもいないのに、むやみやたらに褒められ続けてきた結果、困難に立ち向かったり、失敗を反省したりする経験がないまま大人になってしまうのは本人のためにもなりません。■難しい課題に挑戦しなくなる褒められ続けて「失敗を恐れる」という状態からさらに発展すると、「難しい課題に挑戦しなくなる」傾向が見られるようになります。榎本先生によると、褒められ続けると、その状態を維持しなければならなくなるため、失敗するかもしれない難しい課題には最初から挑戦しなくなるそう。確実に褒められる自信がある得意な課題ばかりに取り組み、自分を成長させるための難しい課題には手をつけなくなってしまうのです。■本番に弱くなる中学受験専門塾ジーニアス代表の松本亘正さんは、「褒めて伸びる子」と「褒めて伸ばすが通用しない子」の違いについて、次のように説明しています。そもそも、聞き分けがよくてかしこい子であれば、親は自然に褒める機会が多くなります。すると本人が勝手に自信をつけて、さらに伸びるようになるそう。一方で、調子に乗ってふざけやすかったり、うっかりミスが多かったりすると、親は叱ったり小言を言ったりする機会が増えます。しかし、親が育児本などを読んで「褒めて伸ばさなきゃ」と叱ることを我慢すると、子どもはますます野放し状態に。松本さんは、「注意されるべきときに甘やかされた子どもは、ここぞというときに実力を発揮することができない」と断言します。叱られずに甘やかされた環境では、いざ勝負というときに結果を出せるタフなメンタリティーは育たないのです。■ズルをするようになる米カリフォルニア大学、カナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らによる調査で、子どもを「賢い」「頭がいい」と褒めると不正行為を働きやすくなる可能性があるという驚きの結果が出されたそうです。3歳児と5歳児を各150人ずつ、計300人の子どもたちを対象にしたこの実験では、伏せられた数字カードの数を当てるという簡単な推理ゲームを行ないました。子どもたちが数字を当てたあとに、あるグループには「賢いね」と褒め、またあるグループには「がんばったね」と褒め、さらにはまったく褒めないグループを作ります。その後、「ズルをしないでね」と約束したあとに研究者らが部屋を出て子どもたちの様子を別室で観察しました。すると、「賢いね」と褒められた子どもたちだけ、伏せられたカードを盗み見し始めたのです。研究者らはこの結果を受け、不正行為を働いてしまう原因として、「賢い」という褒め方がプレッシャーになっている可能性を示唆しています。「いいことをした場合に『素晴らしい』とその行為を褒めるのとは異なり、『賢い』というのは自身の能力への評価であることを子どもは理解しています。自分の能力だけでは達成できない問題に直面したときでも他人の期待に応え、『賢い』と評価してもらう必要があると考え、不正行為を行うようになってしまうのです」(引用元:J CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ)「頭がいい=賢い」ことを褒められた子どもは、「頭が良くない」結果が出ることを恐れ、期待に応えなければという過度なプレッシャーを感じます。そして、ズルをしてでも結果を残すことに執着してしまうのです。子どもを「褒められ依存症」にしないためにできること子どもを過剰に褒め続けた結果、子どもの人間性や将来の可能性にまで影響を及ぼしてしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。最後に、子どもが「褒められ依存症」にならないために、親ができることをお伝えします。みなさんは、無意識のうちに「100点満点なんてすごい!」「A判定ばかりでよかったね!」と、テストや成績表の結果にだけ注目する褒め方をしていませんか?認定心理士の中垣俊子さんは、このような褒め方をしていると結果重視になり、結果にこだわって手段を選ばなくなることもあるといいます。この場合、「集中して勉強してたからだね」「苦手を一生懸命克服しようとがんばったからだね」と、子どもが取り組んだことに注目して褒めてあげるといいでしょう。ほかにも「それでこそうちの息子だ」「お母さんも鼻が高いわ」と、子どもと親を一体化したような褒め方も危険です。子どもの行動によって、まるで親の価値が上がるような気持ちにさせると、「お母さんのために○◯しなければ」とプレッシャーを感じてしまいます。子どもの手柄は子どものもの。子どもの成功やいい結果に対しては、共感して一緒に喜ぶだけに留めておきましょう。脳科学者の篠原菊紀先生は、「『気が向いたときに褒める』くらいの適当さが、褒めることの効果を高め、結果的には子どものやる気を維持させることにもつながる」と話します。常に子どもを褒め続けてしまうと、子どもが「こうすれば褒められるんじゃないか」と予測したときに脳の快楽物質・ドーパミンが分泌されるようになるそう。しかし次第に、実際に褒められたときには喜びが薄れてしまうようになるのです。「いつ褒めよう」「どうやって褒めよう」と考えすぎると、親子の関係性にまで影響を及ぼしかねません。だからこそ、親は子どものテストの結果だけに注目するのではなく、ありのままの姿を見て、いい部分を見つけたら認めてあげるように心がけましょう。***わが子がいいことをしたら、めいっぱい褒めてあげたいのが親心。ただし、ここで説明したように、間違った褒め方ばかりをしていると逆効果になることも。「褒めてあげなきゃ」と考えるよりも、お子さんの普段の様子をよく観察して、「成長したな」と思える部分に着目した声かけをするといいでしょう。(参考)榎本博明(2015),『ほめると子どもはダメになる』, 新潮新書.DIAMOND online|「ほめる子育て」の問題点は「命令」が隠れていること。All About|ほめすぎは逆効果?アドラー流・よりよい声かけのコツ東洋経済オンライン|「褒めて育てる」でダメになった日本の若者PRESIDENT Online|「子を褒めて伸ばす」ブームで子が潰れるJ CAST ニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよPHPのびのび子育て 2019年12月号, PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「ほめ方」メソッド
2020年03月10日次から次へと新しい情報が入ってくる現代社会では、「このままでいいのかな」と誰しも不安になるもの。そして、子どもの将来を心配すればするほど、よりよい教育を受けさせたいと考えるのは当然の親心です。ただし、あまりにも教育熱心になりすぎるのいは逆効果かも。今回は、教育熱心な親が子どもにもたらすデメリットについて、とことん考えていきましょう。わが子をスーパーマンにしようとする親たち今の子どもたちは、小学校に上がる前から複数の習い事に通ったり、通信教育などで先取り学習をしたりと、学びの機会に恵まれています。しかし、そのほとんどは、親が選び、親が決めたものばかりなのではないでしょうか。玩具などを手がける株式会社バンダイが2019年に実施した「子どもの習い事に関する意識調査」によると、習い事を始めるきっかけは「親の意向」が全体の約6割という結果に。人気の習い事トップ3の「水泳」「学習塾」「ピアノ」にいたっては、いずれも親の意向がきっかけで始めたという回答が多いものの、「ダンス」や「サッカー」は “子どもの意向で始めた” という回答のほうが多く、子どもの興味がある習い事と、親が子どもにやらせたい習い事にはズレがあることが浮き彫りになりました。時代が進むにつれて、新しいジャンルの習い事が増えたり、多様な学習法が誕生したりと、子どもを取り巻く教育環境は変化し続けています。だからといって、親が焦って「流れに乗り遅れないように」と必死で新しいもの取り入れることは、はたして本当に「子どものため」になっているのでしょうか?教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「今の親は、子どもをスーパーマンみたいな人間に育てようとしている」と危惧しています。情報が氾濫している時代ゆえに、親はわが子に「高学歴を得たうえで、英語ができないといけない、プログラミングができないといけない、コミュニケーション能力が高くないといけない……」と、高すぎるハードルを課してしまうのです。教育熱心なのに残念な親の3タイプ教育熱心な親は年々増加傾向にあるものの、その根底にある思いや願望は人によってさまざまです。なかでも注意しなければならないのは、「教育虐待」に陥った結果、子どもの自己肯定感や親子の関係性を崩壊させてしまうこと。「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押しつける心理的虐待であり、具体的には次のようなケースが該当します。・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める・塾や習い事でスケジュール漬けにしている・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さ)子どもは決して勉強ができないわけではないのに、「わが子にはもっともっと高いレベルを目指してほしい」「今のままでは満足できない」という心理から、いきすぎた指導をしてしまうのが教育虐待をする親です。いったいなぜ、「教育熱心な親」が「教育虐待をする親」になってしまうのでしょうか。大きく3つのタイプに分けて解説していきます。タイプ1:子育てを競争だと思っている親「子どもの成功は自分の成功」だと勘違いしているのがこのタイプ。わが子がいい成績を取ることや、いい学校に進学することは、親である自分の成功だと信じているので、勝つことにこだわり、負けることが許せなくなるのです。『100万人が信頼した脳科学者の 絶対に賢い子になる子育てバイブル』(ダイヤモンド社)の著者であるジョン・メディナ博士は、親が教育一辺倒となり、厳しい指導ばかりしていると、子どもの脳の発達に影響を及ぼすといいます。親からの大きすぎる期待を感じ取った子どもは、親を喜ばせようとして理解したフリをしたり、好奇心を失って妥協するようになったりと、思考力を伸ばすことが困難に。さらに、期待に応えられないわが子に怒り、失望した親の姿を見た子どもの脳は、うつ病の引き金ともなる「学習性無力感」を引き起こす可能性もあります。タイプ2:子どもと自分を同一視している親親と子どもは違う人間だとわかってはいても、「自分の子どもなんだから同じ価値観のはず」と心のどこかで信じているのがこのタイプ。明治大学文学部教授の諸富祥彦先生は、特に母親が娘に対して「自分のコピーのようなもの」だという認識をするケースが多いといいます。このタイプは、一見すると子どもに対して理解があるように見えます。たとえば進路を決める際に、「好きな学校を選びなさい」といいながらも、子どもの志望校を聞いたとたんに「でも、その学校だとこういうところが心配だな」とつぶやくなど、「あなたのためを思っているのよ」という態度を取るのです。すると、子どもは反発しづらくなり、結果的に親の顔色ばかりうかがう「いい子症候群」になってしまいます。ありのままの自分を認めてもらえない子ども時代を過ごすと、人間関係の壁にぶつかりやすくなったり、人生自体に虚無感を抱くようになったりと、成人後に生きづらさを抱えるようになるケースも。タイプ3:間違ったほめ方をしている親「子どもを伸ばすにはとにかくほめるべき!」と信じて、知らぬ間に子どもに負担を与えているのがこのタイプです。『子どもが伸びるいいわがまま心を荒らすわるいわがまま』(PHP研究所)の著者で認定心理士の中垣俊子さんは、「親のほめ方次第で子どもに悪影響を与える危険性がある」と指摘します。たとえば、「テストの結果だけに注目してほめる」「兄弟やお友だちと比較してほめる」など間違ったほめ方を続けていると、子どもは次第に失敗を恐れるようになったり、結果重視になり手段を選ばなくなったりします。また、「この調子で次もがんばるのよ」と将来への期待を込めて圧力をかけるほめ方もよくありません。子どもにとって「いつも○○すべき」というプレッシャーにつながるので、“次回” や “未来” ではなく、「今」の姿をきちんと認めてあげましょう。どんな子どもにも備わっている「自分で伸びる力」子どものためを思うがゆえに、熱意の方向性が間違ってしまったのなら、少し立ち止まってみませんか?「百ます計算」や「陰山メソッド」でおなじみの陰山英男先生は、「将来のため」と鬼気迫る表情で子どもに勉強や習い事をさせる保護者に対して、警鐘を鳴らしています。そして、「子どもに将来幸せな人生を送ってほしいなら、幼児期に子どもが楽しい・幸せだと感じられる時間を重ねることが大事」だと断言しています。親が一歩引いて子どもを見守るように心がけると、子どもは安心して物事に向き合えます。陰山先生は、「『失敗したら怒られる』『うまくやらなくちゃ』というプレッシャーを感じていない子どもは、勉強やスポーツなど、何事に対しても楽しみながら取り組むことができる」とも。さらには、人の失敗に対しても寛容になるので、相手を思いやる気持ちも育つといいます。子どもにたくさんの習い事をさせることで、将来への安心感を手に入れている親御さんに向けて、おおたとしまささんは次のようにアドバイスしています。習い事とは、子ども自身が求めるものをすることによって、夢中になり、達成し、挫折を味わい、そして壁を乗り越えることで、「やり抜く力」を育ててくれるものであり、なんらかのスキルを得るのは副次的な成果です。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある)おおたとしまささんいわく、「あれこれ習い事させる代わりに、『ぼーっとする時間』を子どもに与えるべき」とのこと。なぜなら、「ヒマだな」「何をして過ごそうかな」という時間があって初めて、子どもは自主性を発揮するから。そこで「ヒマだから本でも読もう」「絵を描こう」などと考えて、「何をしているときに幸せを感じるのか」を知ることができるのです。それはこれから先の長い人生で、大事な決断をしなければならないときや、自分が進むべき方向を決めなければならないとき、必要となる力の基礎になるでしょう。***親の期待が大きければ大きいほど、子どもにとってはプレッシャーになります。習い事などでスケジュールをパンパンに詰め込むよりも、「ぼーっとする時間」こそが子どもの能力をぐんぐん伸ばすかもしれませんよ。(参考)株式会社バンダイ|「子どもの習い事に関する意識調査」結果StudyHackerこどもまなび☆ラボ|その習い事、子どもは本当に望んでいますか?身近すぎる「教育虐待」の怖さダイヤモンドオンライン|「子育ては競争ではない。」親の「大きな期待」が子どもの思考を奪うのはなぜ?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|“手がかからない子”ほど要注意!「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.PHPのびのび子育て 2020年1月号,PHP研究所.StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある
2020年03月09日3月1日、劇作家で演出家の野田秀樹(64)が新型コロナウイルス感染症による劇場公演中止に警鐘を鳴らした。野田は「公演中止で本当に良いのか」と題し、ウェブサイト「NODAMAP」上で意見書を発表。「感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべき」と意見を述べた。さらに野田は、劇場の閉鎖により再開が困難になることを「演劇の死」という言葉で表現。“演劇は観客の存在により成立するもので、劇場が閉鎖されるという前例を作るべきではない“と主張した。実際に流行する新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの公演が中止を余儀なくされている。倉科カナ(32)主演の舞台『お勢、断行』は2月28日に初日を迎える予定だったが、地方公演を含め全公演が中止となった。野田の意見書を受け、ネットでは様々な意見が上がっている。劇作家で演出家の平田オリザ(57)はツイッターで意見書に対し、《私も連帯を表明します。》と支持。同じく劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(57)も、ツイッター上で《俺だって連帯を表明します。》とした。脳科学者の茂木健一郎(57)も意見書に賛同。《さまざまな手段、工夫は尽くした上で、公演中止は最後の選択肢であるべきでしょう》と述べた。しかしSNS上では、感染症予防という点に重きを置いた批判の声も多い。《もし公演をして感染が広がったら、そのせいで劇場の評判が落ちるかもしれない》《命を守ることの方が大事だと思う》《感染が広がって観客がいなくなれば、それこそ「演劇の死」では?》公演を行うべきか、中止すべきか。難しい問題に議論は続きそうだ。
2020年03月02日子どもは大人と同じペースで行動することができません。何をするにも時間がかかり、上手にできなかったり間違ったやり方で遠回りしたりすることもありますよね。そんなとき、イライラしてつい「早く早く!」と急かしていませんか?あるいは先回りして「こうやったら上手にできるよ」と、手出ししたり口出ししたりしていませんか?今回は、子どもに対して「待つ」ことができなくなってしまった親御さんに向けて、「待つ」ことの大切さや、それにより子どもがどう変わっていくかについてお伝えしていきます。「早くしなさい!」は子どものため?親のため?グローバル化が進み、これからの時代はますます「自主性」や「自分で考える力」が求められます。これらの力を育むには、子どもの「やりたい」という気持ちを尊重することを心がけなければなりません。そうは言っても、なんでもかんでも好き勝手にやらせるわけにはいかず、ついあれこれ口出ししたり、先に手出ししたりしてしまいますよね。モンテッソーリ教育を掲げる幼稚園「吉祥寺こどもの家」の園長である百枝義雄先生と奥さまの百枝知亜紀先生は、「親が “待つこと”」の重要性について次のように述べています。「親がやるべきことは “待つ” ことと “共感”。楽しんでなにかを成し遂げた子どもの『できた!』『やった!』という気持ちに寄り添って『できたね!』『やったね!』と言ってあげるだけで、子どもには大きな力になる」(義雄先生)「悩んだり、迷ったり、考えたりすることも子どもの『やりたい』なのだから、親が『早くしなさい』なんて言わずに待てると、子ども自身が試行錯誤するうちに “考える力” が育つ」(知亜紀先生)親が子どもを「待つ」ことで、子ども自身の能力が伸びるのですね。でも、忙しい毎日のなか、ゆっくり待ってあげることが難しいのも事実です。スーパー保育士としてメディアなどで活躍中の原坂一郎先生は、親が子どもを「待てない」のは、「待つと自分に不都合がやってくるから」と説いています。常に効率化を考えながら行動する忙しい大人にとって、一分一秒とも無駄にはできません。原坂先生は、「時間が惜しいときに待つと、あとで大変なことがやってくると想像してしまうため、つい子どもに『早く』と言ってしまうのでは」と述べています。しかし、それは完全に親の都合でしかなく、子どものペースは考慮されていません。子どもを待つと言っても、そんなに長い時間はかかりません。たとえば靴を履くときは、2歳の子どもでも10秒もあれば片足が履けます。でもその10秒を待つことができず、5秒ほどで「早く」と言ってしまってはいないか、考えてみてください。(中略)日常の中であと10秒待ってみる習慣をつけるだけで、「ひとりでできた」という達成感を味わえるものがずいぶんと増え、子どもにとっては自分自身への自信にもつながっていきますよ。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|スーパー保育士が伝授!「待つ」ことで育つ子どもの思考力)親がほんの少し時間や気持ちに余裕を持つことで、子どもの自主性や自己肯定感を高めることにつながるのです。優しい子・賢い子の親は「待つこと」ができるでは実際に、親が「待つ」ことで子どもはどのように変化していくのでしょうか。原坂先生は、「親に待ってもらった子は、やがて自分が『待てる子』になる」と言います。自分を待ってくれた相手に対して優しさを感じ、自分自身も他者に対して待つことができるようになるのです。わが子が優しい人間に育ってほしいと願うなら、まずは親自身が待ってあげることから始めてみるといいかもしれませんね。ほかにも、親が「待つ」ことで子どもはさまざまな能力を伸ばしていきます。中学受験のプロである小川大介先生が、5,000組を超える親子と接して気づいたのは、「親に見守られて、好きなことにとことん熱中した経験のある子どもは、最後の最後で踏ん張り、自らの力でぐんぐん力を伸ばしていく」ということ。小川先生によると、親が子どもを「待つ」ことで、子どもが「自分でやりきった」という達成感を得られるそう。さらにその達成感によって自信が育まれ、ほかの課題に対する「やってみよう」という意欲にもつながっていくと言います。「早くしなさい!」は「脳を使うな」という指示!?発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家である加藤俊徳先生は、親から「早くしなさい!」「まだできないの?」といった言葉をかけられ続けることで、子どもの脳の成長の機会が奪われる危険性を指摘します。加藤先生によると、「早くしなさい!」という指示は、脳科学的な解釈では「脳をたくさん使わず、ちょっとだけ使って、今やっていることをパパッと終わらせなさい」ということを意味するそう。“脳が動いている時間” を増やすほど脳の成長につながるので、「早く!」と子どもを急かすほど、脳を使う機会が奪われ、脳の成長にも影響を及ぼすというわけです。子どもの脳の成長のためにも、「急かさず待つ」ことが重要。頭ではわかっていても、忙しくて時間がない親御さんや、せっかちで心配性な親御さんにとっては、「待つ」ことは難しいですよね。そこで加藤先生が提案するのは、まずは「話すスピードをゆっくりにする」ことだそう私のクリニックや講演会などでもよく感じるのですが、おっとりと話す親御さんのお子さんは、総じて頭がよかったり、脳の成長が早かったりします。おそらく、親御さんがゆっくり話すおかげで、子どもの脳で「考える」時間がしっかり確保されているのでしょう。(引用元:ヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|子どもの「聞く力」が伸びる親子の話し方)脳が未熟な子どもは、大人と同じことをするにも処理に時間が数倍かかると言われています。ですから、子どもの反応が遅いからといって、言葉をかけ続けたり、すぐに手を貸してしまったりしては、子どもの脳の成長を邪魔していることにつながるのです。待つ?待たない?見極めることも大事最後に、日常の「待てない」状況におけるアドバイスや、「待つこと」の注意点についてご説明します。■すぐに言い返さない!忙しいときや急いでいるときに限って、子どもがぐずりだしたり反抗的になったり……。カッとなって言い返してしまい、さらに状況が悪化することも。× NGパターン:イライラして、つい「だから、それは○○だって言ってるでしょ!」「△△だって言ったら△△なの!」と、瞬時に言い返して頭ごなしに叱ってしまう。○ OKパターン:加藤俊徳先生によると、子どもの話を最後まで聞かずに途中でさえぎったり、すぐに反論したりし続けていると、子どもの脳の “聞く力” が育たないとのこと。こういった場合、瞬発的に言い返さずに、一呼吸おいてから返答するように心がけましょう。その後、「どうやったらうまく□□できるかな?」と、子どもが困っていることのヒントになるような問いかけをしてあげるといいでしょう。■説明せずに親の都合に付き合わせない!子どもの行動が遅いため予定が狂うというストレスから「待てない」状況になっているのなら、「子どもは親の予定に合わせて動くべき」という思考になっている可能性も。× NGパターン:「8時には家を出なくちゃならないのに……(イライラ)」「ああ、もう!時間がないから早く準備しなさい!」と突然怒りだす。○ OKパターン:小川大介先生は、「誰かの予定に合わせて動くのは、とても高度なこと。子どもは自分のことで精一杯なので、親がきちんと対策するべき」といいます。わが子のペースを事前に把握して、着替えには何分かかるのか、など準備をするのに何分くらい必要なのかを計算したうえで予定を組めば、落ち着いて対処できます。また、子どもには「8時には出発しないと電車に間に合わなくなって遅刻しちゃうからね。7時50分までには準備万端にしておこうね」と理由を説明しましょう。■意地になって無理に待ち続けない!「待つことが大事」と思うがゆえに、子どものSOSを見逃してしまうケースも。手助けするタイミングも考えて、子どもの変化を敏感に察知して。× NGパターン:子どもが難しい問題を解いていて、20分も30分も手が止まっている。でもここで声をかけたらダメだと思い、自分で乗り越えるまで見守ろう。○ OKパターン:小川先生は、「ひとりで考える意味があるのは、考えれば答えにたどりつけそうな場合のみ」とし、「『どうしたらいいかわからない状態』の30分は、子どもにとって苦痛でしかない」と述べています。日ころから子どもの様子をよく観察し、助けを求めているのか、夢中になって取り組んでいるだけなのか、親だからこそわかるサインを見逃さないようにしましょう。「今の能力ではまだ対処できそうにない」と判断した場合、「どこまでわかった?」「難しいよね、一緒に考えようか」などの声かけを。***子どもに「早くしなさい!」と言ったことがない親はいません。まずはできる範囲で子どもを見守り、待つことを心がけましょう。待つことでお子さんの優しさが育まれ、脳の成長にもつながっていきますよ。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|親が待つことができれば、子どもの「考える力」は育つ。理想の家庭教育は追い求めない!ベネッセ教育情報サイト|スーパー保育士が伝授!「待つ」ことで育つ子どもの思考力レタスクラブニュース|頭がよくなる3原則プラス1③待つ◆頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て【連載】(6)ヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|「話しかけたら、ちょっと待つ」が、子どもの脳を成長させるヤマハ音楽研究所ON-KEN SCOPE|『耳育て』は『脳育て』教えて!加藤先生|子どもの「聞く力」が伸びる親子の話し方
2020年02月14日「音楽で優れた実績を残した鬼才たち、ベートーベンもビートルズもスティービー・ワンダーも特別に優れた “音楽的脳” を持っているわけではない――」元ロック音楽プロデューサーにして現・認知心理学者で神経科学者、カナダ・モントリオール、マギル大学名誉教授のダニエル・J・レヴィティン氏は、こう言っています。つまり、生まれた時の “脳力” は皆ほぼ同じ……?環境や行動が脳を育てていくということ、そのためのすばらしい方法として「音楽」がよりよく作用することが、さまざまな研究からわかってきました。今回は、特に効果的だとされる幼少期の「音楽による脳活」について、詳しくご紹介します。子どものうちに音楽を知る大切さノースカロライナ州立大学のドナルド・C・ホッジズ教授は生前、以下のように主張しています。音楽ほど脳の多くの領域を活性化するものはありません。これは後のすべての学習の基盤を築くのに役立ち、子どもが学校で、そして後年に成功するかどうかを決定します。(引用元:Wellard School Of Music|The Benefits Music Has On Your Child’s Development)なんと、「音楽」はIQなどの認知能力もアップさせてくれるというのです。また南カリフォルニア大学の研究においても、音楽は情操教育にいいだけでなく、「頭脳形成や決断力強化に有効」であることも示唆されています。特に演奏を伴う活動は有効で、「脳が筋肉であるとすれば、楽譜を読んだり楽器を演奏したりすることは、脳にとって究極のエクササイズ」なのだそう。そして大切なのは、音楽に触れ始める時期です。人の感覚の中でいちばん早く成長するのは聴覚で、2歳頃から発達し始め、幼児後期の4~5歳の頃に臨界期(最も大事な時期)を迎えるのだそう。その大切な期間に、できるだけ多様な音楽に、できるだけ多く接する機会を作ることが、音感だけでなく、人として必要な能力を伸ばすチャンスと言えそうです。音楽が脳に与える大きなメリットでは、具体的に音楽はどのような好影響を脳にもたらしてくれるのでしょうか。3大メリットを詳しく見てみましょう。■メリット1:HQ(人間性知能)が育つ音楽を学ぶことは、HQ(人間性知能)の発達にとてもいいのだそう。「HQとは、社会の中で夢や目標に向かって協調的に生きるための能力」と言っているのは、HQ提唱者である脳科学者の澤口俊之氏。脳内の、思考や創造性を担う最高中枢である前頭前野の主要神経システムが、音楽から刺激を受けて鍛えられることで、HQが発達するという仕組みです。そして音楽の中でも、ピアノを弾くことが特にいいとのこと。両手で違う動きをすること、譜面を先読みして覚えて弾くことが、脳のトレーニングにとても効果的だと考えられているのです。■メリット2:言語習得などの学習効果がある幼児期には言語能力もどんどん発達しますが、音楽も言葉も「聞く」という行為において共通しており、実際、「言語の音に関する知識と音楽能力の間には関連性がある」という研究結果で出ています。つまり、音楽で耳を育てることで、言語習得においてもいい影響が得られるということです。また、ワシントン大学の研究では、9ヶ月の赤ちゃんに1週間音楽体験をしてもらい、彼らの脳を分析したところ、情報処理と認知機能(記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力)を司る部分が活性化していることが認められました。加えて、トロント大学の調査でも、「音楽教育を受けている子どものほうが、知能テストや記憶力テストでいい成績を残しており、その影響は長期にわたって持続する」という研究結果が報告されています。ノースカロライナ大学の調査では、学習の中でも特に数学に効果的という結果が。これは、リズムを身につける際に自然と分数や比率などを学んでいるからだと言います。さまざまな研究で、音楽の学習効果は証明されているのです。■メリット3:運動能力が発達する音楽を聴くだけでなく、演奏することで、運動能力を高められることがわかっています。楽譜を見て、周りの音に合わせるために耳を澄まし、楽器を操るために指を細かに動かす――これらの複雑な行為が脳の刺激となって、運動機能を司る小脳を発達させて、運動能力の向上につながるというわけです。さらに、小さい頃から音楽を習っている子どもは、右脳と左脳をつなぐ部分が発達し、双方のコミュニケーションが強化されることで、さらなる能力アップが期待できるそう。音楽を聴く、演奏することは、さまざまな感覚や機能を駆使するため、脳のたくさんの部分を刺激するのですね。音楽には癒しの効果があり、情操教育にもいいことも周知の事実となっています。いいことづくめの音楽教育。堅苦しく考えずに、まずは「親子で楽しむ」という気軽さで、生活に音楽を取り入れたいですね。***ハーバード大学で2018年、少数民族を含めた世界のさまざまな国のさまざまな音楽をランダムに聴いてもらい、「子守唄」「鎮魂歌」「舞踊曲」など各テーマにマッチングしてもらうという調査が実施されました。すると、その文化に無知であっても、曲のテーマを正しくとらえることができるという結果が出たのです。言葉や文化を超えた普遍性が音楽には備わっていることが明らかに。言葉がわからなくても、音楽でつながることができる、共感できるーー音楽が、グローバル化が進む世界において、子どもたちにとって貴重なコミュニケーションツールになりうるなんて、とてもすてきなことですね。(参考)FRIENDS OF EL SISTEMA JAPAN|音楽教育は子どもの脳発達に好影響ON-KEN SCOPE|幼児〜児童期の音楽体験が与えるものとはWIRED|元ロックプロデューサーの神経科学者に聞く、音楽と脳の関係(1)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|絶対音感はどう養う?子どもに身につけさせたい、絶対音感と相対音感のトレーニング法FRIENDS OF EL SISTEMA JAPAN|音楽教育は子どもの脳発達に好影響Wellard School Of Music|The Benefits Music Has On Your Child’s DevelopmentGYMBOREE|幼児期の子どもに音楽に触れさせると、能力が高くなる︎Pianoseed.com|音楽がもつさまざまな効能を子どもたちへ音楽教育の重要性とはPTNA|今こそ音楽を!第3章 脳科学観点から〜澤口俊之先生インタビュー(1)
2020年02月12日「うちの子は学校の友だちがたくさんいるし、習い事をいくつもさせているから人間関係は充実しているはず」「休みの日は家族で遊んで、長期休みにはおじいちゃんおばあちゃんに会っているし、コミュニケーションはうまく取れているほう」そう信じて安心している親御さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、子どもの成長や学びの場は、家庭や学校・習い事以外にもたくさんあるのです。今回は、子どもの生きる力をぐんぐん伸ばす「多様な人間関係の大切さ」について考えていきましょう。狭い世界で生きる現代の子どもたち昔に比べて、今の子どもたちは世界中のさまざまな情報に触れることができるだけでなく、インターネットを通じてたくさんの人たちとすぐにつながることができるようになりました。しかしその反面、現実の人間関係はどんどん狭くなってきていることをご存じですか?平日も休日も習い事や塾などで予定がぎっしりと入っていて、近所の友だちと遊ぶこともままならない日々を過ごしている子どもたち。しかも、これから中学・高校に進学するにつれ、ますます自由な時間が減っていくことは明らかです。ただし、子どもの人間関係が制限されているのは、私たち親の意識が影響しているともいわれています。「今の親たちは、子どもと他人との関わりに敏感で、警戒心がすごく強い」と指摘するのは、国立青少年教育振興機構理事長の鈴木みゆきさん。たしかに、ニュースなどで子どもが巻き込まれる事件を目にするたびに不安を感じ、周囲への警戒心が増すのも無理はありません。「遊ぶことの大切さ」を子どもたちに伝える活動を行う『一般社団法人TOKYO PLAY』代表理事の嶋村仁志さんは、次のように述べています。子どものことを、邪魔なものであったり「自分には関係ない」と思ったり、あるいは子ども教育の専門家などが自分のサービスの「お客」として見る。そういうものばかりだとしたら、その社会では子どもをきちんと育てることができないのではないでしょうか。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由)親以外の近所の大人や、お友だちのお父さんやお母さんたちとの関わり合いは、子どもにとって非常に貴重な体験になるといいます。嶋村さんは、「子どものころに近所の人にかわいがられたり、逆に迷惑をかけて怒られたりしたような経験がないまま大人になってしまうと社会性が育ちにくい」ことも指摘しています。今の子どもたちは、昔に比べて確実に狭い人間関係の中で生きているのです。多様な価値観への理解とコミュニケーション能力が必要な時代次に、どうして狭い世界で生きていくのが良くないことなのか、これからの社会ではどんな能力が求められるのかについて考えていきます。脳科学者の茂木健一郎先生は、「子どもが社会に出て活躍するために育てておきたい能力はふたつある」と述べています。ひとつは、読み書きや計算といった「認知的な能力」。そしてもうひとつは、他人と円滑なコミュニケーションをとれる「社会的な能力」です。どんなに勉強ができても、人とうまく関係を築けなければ社会では活躍できません。茂木先生によると、「幼児期は特に社会的スキルを育む必要がある」とのこと。そのためにも、日常的に年齢の違う子たちと遊ぶ機会を多くもち、さまざまな考え方やたくさんの個性に触れることが大切なのです。さらに、これからはグローバル化が進み、多様な価値観や背景を持つ人たちと接する機会が格段に増えていくでしょう。教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、「さまざまな価値観への理解とコミュニケーション力は、経験からしか学べない」と話します。そのためにも重要となるのが、家庭や学校・習い事以外の “第3の居場所” なのです。子どもが “第3の居場所” で得られるものとは?家庭を “第1の居場所”、学校や習い事を “第2の居場所” としたとき、“第3の居場所” とはどのようなところを指すのでしょう。前出の中曽根さんによれば、地域で開催される自然観察会や、スポーツ、音楽、アートのイベントなど、年齢も背景もさまざまな人が集まる場所だといいます。それ以外にも、1日限りのワークショップや、子どもだけで参加するキャンプ、親の友人同士の集まりなど、出会いの機会はたくさんあります。■コミュニケーション能力が伸びる!そういった第3の居場所では、自分の知らない世界を見聞きすることができるので、子どもはぐんと視野を広げることができます。そして、コミュニケーションの点においても大きなメリットが。中曽根さんは、「心理的距離があるので、理解し合うためにはどんな切り口で話をしたらいいか、自然と相手のことを考えながら話をするようになる」といいます。それは、家族や身近な友人との会話では得られない緊張感です。相手と距離があるからこそ、自分の考えを筋道を立ててわかりやすく伝える訓練にもなるのですね。■「公私」の感覚を知り、礼儀を学べる!前出の鈴木みゆきさんは、さらに「礼儀」を学ぶにも絶好のチャンスであると述べています。親以外の大人との交流で、まず、子どもは「礼儀」を身につけます。親への甘え方とはちがう態度で接したり、あるいは親が相手なら反発するようなことも素直に聞き入れたりと、子どもなりに「公私」の感覚を持つのです。また、子どもの頃、「大人の話に子どもが口を挟むな!」なんて周囲の大人に言われた経験がある人もいるでしょう。これは、「場を知る」「立場をわきまえる」ということにつながるものです。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界)■親の心がラクになる!また、子どもに第3の居場所があることは「親にとってもメリットがある」と説くのは、東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース教授の中釜洋子先生です。中釜先生は、「最近、わが家のルールを知らず知らずのうちに細かく決めてしまって、ママ友だちや祖父母などの考えが自分に合わないと、付き合いを狭めてしまうケースも少なくありません」と述べており、親が神経質になることで他者に対して心を閉ざしたり、人付き合いを限定したりするというのです。しかし、社会に出れば臨機応変な対応を求められることが多いもの。中釜先生は、「子どもは、『おうちではダメだけど、おばちゃんの家なら甘いお菓子を食べられる』と区別して考えることができ、意外と柔軟な思考をしている」といいます。親御さんが周囲との関係を閉ざさないように心がけることで、子どもは状況に応じた対応を学べるようになるでしょう。また、親自身も子どもと1対1で向き合い続けるとストレスがたまりますが、ほかの家族の多様な子育ての方法を知ることで、子育てのヒントに気づくきっかけにもなります。みなさんも、わが子を見ては、「どうして○○ちゃんみたいにいい子にできないのかしら」とほかの子どもの良い面ばかりに目がいき、自分の子どもが劣っているように見えてしまうことはありませんか?それはどんな親でも同じです。第3の居場所では、ほかの人が「△△くん、優しいね!」「上手にできるね!」と、わが子の良いところを見つけてくれることも。そうやって、子どもだけではなく、親御さんにとっても「気づきの場」になるのです。親子で一緒に地域の集まりに参加しよう!先ほどからお伝えしているように、第3の居場所はこれからますます必要とされるでしょう。もし今、子どもの人間関係を広げたいと考えているのなら、そのような場所に足を運んでみてはいかがですか?前出の鈴木さんがおすすめするのは、一般の親子が参加できるファミリーキャンプ。全国に点在する青少年自然の家などの施設で、お互いに知らない親子同士がキャンプをするというものです。家族以外の人と一緒に自然体験するという経験をとおして、他人と協力して働くことができる「協働力」が身につくといいます。また、嶋村さんが代表を務めるTOKYO PLAYでは、都内のあちこちで「とうきょうご近所みちあそびプロジェクト」を実施しています。これは、地元地域に暮らす人たちが町会や商店街と協力し、多世代の人が楽しみ、交流する場所をつくることを支援する活動だそう。子どもは大人との交流によって、褒められたり励まされたりすることで自己肯定感を育むことができます。ほかにも、スポーツのイベントやアート系のワークショップなど、お近くの地域でも交流の場がたくさんあるはずです。ぜひ探して参加してみてくださいね。***人間関係は、親子や先生と生徒といった「タテ」の関係と、友人同士といった「ヨコ」の関係のほかに、「ナナメ」の関係もあります。じつはこの「ナナメ」の人間関係こそ、子どもにとっての逃げ場になったり、刺激を与えられる場所になったりするのです。ぜひお子さんに、豊かな人間関係を築くきっかけを作ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていくーー親以外の人との交流によって広がる子どもの視界Study Hacker こどもまなび☆ラボ|遊具なし、プログラムなし。異例だらけの“ガラクタ遊び”が欧州で大人気の理由PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.学研キッズネット|AI時代を生き抜くために~「失敗力」が育つ6つの栄養素家庭・学校以外の第3の場所が子どもの生きる力を育てるMIKU|家族の中の子どもを考えよう
2020年01月11日何かに一生懸命取り組んでいてもすぐに飽きてしまうわが子を見ては、「うちの子、ほかの子に比べて集中力がないような気がする……」と頭を悩ませている親御さんも多いのではないでしょうか。今回は、集中力がある子とない子では、生活習慣や親の接し方に違いはあるの?飽きっぽいわが子でも、集中力を身につけることはできるの?という疑問にお答えします!集中できる時間はおよそ15分。短くても集中できれば問題ナシ!そもそも集中力とはどのようなものなのでしょうか。脳科学においては、年齢や学習の習熟度に関係なく、脳が集中力を持続できるのは “15分程度” といわれています。ただし、脳科学者の篠原菊紀先生によると、「いいことが起こる予感がすれば、どんな子どもでも集中力を発揮する」そう。動物がエサを追いかけたら途中でやめないように、「いいことが起こりそう」と期待するだけでドーパミン神経系は活動し、集中力も高まるといいます。つまり、脳を集中した状態に導くには、ドーパミン神経系を活性化させる必要があるのです。そのために必要なのが、「勉強するとほめられる」「宿題が終わればゲームができる」という『報酬(ごほうび)』や、「ここなら安心して勉強できる」という『癒し』の環境です。「うちの子、集中力がなくて……」と悩んでいるのなら、勉強する環境を整えたり、適度な報酬を与えたりすることを試してみてもいいかもしれません。「子どもの集中力」について別の視点で解説するのは、全国で講演活動を行なっているスーパー保育士の早坂一郎先生です。早坂先生によると、親から見て「集中力がない、飽きっぽい」と感じる行動が多くても、必要以上に心配するべきではないとのこと。たとえば、「ライオンを見たい!」という子を動物園に連れていったところ、10秒ほどライオンを見て違う動物を見ようとするわが子に対して、「え?あんなに見たがっていたのに?」とがっかりした経験がある人も多いはず。しかし早坂先生は、「飽きっぽいのではなく、この時期(6~9歳くらい)の子は、短時間だけでも満足するのです」と指摘しています。子どもは興味をもったものには必ず集中するため、たとえ集中する時間が短かったとしても、確実に集中力は養われているそうです。子どもの集中力がなくなる原因は親の声かけ!?そうはいっても、ほかの子に比べて気が散りやすく、集中が持続しないわが子が心配……という親御さんも多いはず。ここでは、子どもの集中力がなくなる原因について考えていきましょう。脳科学者の西剛志先生は、「子どものうちは集中力を司る脳の前頭前野という部分が未発達なので、子どもの集中力はなくて当たり前」としながらも、電車好きの子が飽きずにずっと電車を眺め続けるなど、好きなことに対してものすごい集中力を発揮する子がいることも否定していません。このように、前頭前野が未発達な子どもでも自分の好きなことならしっかり集中できることから、西先生は「好きなことに集中するのが、集中力を育むのにもっとも良いトレーニングになる」と述べています。さらに、子どもの集中力を途切れさせているのは、むしろ親の声かけが関係しているとも指摘しています。たとえば、せっかく集中して何かに取り組んでいるのに、親が「おもしろそうだね」と声をかけることで、その都度子どもの集中力は遮断されるそう。『子どもの成績を決める「習慣教育」』(PHP研究所)の著者である今村暁氏も同様に、「子どもの集中力を育てたいと願うなら、何かに没頭しているときは話しかけないことです。テレビやゲームであっても熱中しているなと思ったら、放っておいたほうがいいのです。集中力を養うことこそ最も大事なことなのです」と述べています。子どもが黙りこくっていると「わからないのかな?」と気になるかもしれませんが、よかれと思って声をかけても逆効果になることもあるため、子どもが集中していたらそっと見守ってあげましょう。「今こそわが子の集中力が養われているんだ」と信じて、手助けしないことが大切です。ほかにも、親の声かけが子どもの集中力を低下させる例として、教育評論家の親野智可等先生は「あなたは集中力がない。もっと集中しなきゃダメでしょ」と叱ることを挙げています。親から「集中力がない」と言われ続けることで、子どもは「自分は集中力がないんだ」と思い込みます。そしてそう思い込むことで、実際に集中力が失われていくというのです。子ども自身が「自分は集中力がある」と思えるような前向きな言葉がけを心がけるといいですね。主体的に遊ぶ・メリハリをつける・余計なものを視界に入れない次に、集中力をつけるための生活習慣について考えていきましょう。帝京短期大学教授の宍戸洲美先生は、前提として「おなかが空いている、眠い、身体が疲れている、といった状況では、集中するどころかやる気も出ません」と指摘します。まずは規則正しい生活習慣を身につけること。そのうえで、集中できる環境づくりに着目していきます。集中力と聞くと「学習への集中力」をイメージしがちですが、宍戸先生は「夢中になってひとつのことに没頭できる力こそが集中力」だといいます。しかし、その“夢中になれるもの”を見つけられない子どもが増えているらしいのです。理由のひとつとして考えられるのが、子どもが主体的に遊ぶ環境が減っていること。宍戸先生は、「常に大人が遊びを支配していたり、禁止事項が多かったりすると、子どもは主体性を出せずに、自分が何をしていいのかわからなくなってしまう」と危惧しています。子どもの集中力を高めるにも、自分がやってみたいことに自由に挑戦できる環境を整えてあげましょう。前出の篠原菊紀先生は、「何かに集中するということは、それ以外の時間とのメリハリをつけること」だと述べています。そして、こうした頭の切り替え能力は、遊びでも鍛えられるらしいのです。じっと座って手を動かすだけでも集中力は鍛えられるので、5歳くらいまでなら、迷路や間違い探しなどのゲームを楽しむのがおすすめです。またテレビゲームも、禁止するのではなく「集中してゲームをする」「休憩する」というメリハリを繰り返すことで集中力が身につきます。『大人になってこまらない マンガで身につく自分コントロール』(金の星社)の著者で作業療法士の菅原洋平さんは、目から入ってくる誘惑の情報を振り切るのは、子どもにとって大きなストレスになるといいます。気になるものが視界に入ると途端に集中力が途切れてしまうのは、大人も同じですね。菅原さんは、勉強中に机の上に複数の教材を置いたり、机の上のビニール製のシートの下にプリントなどを入れておいたりすると、余計な情報が脳に入ってくるので避けるべきだと説いています。今取り組んでいる教材以外に、ほかにもやらなければならないことが目に入ると、精神的な負担になり集中力を下げてしまうため、極力余計なものが目に入らないようにしてあげるといいでしょう。好きなことにのめり込む「絶対的集中力」を育てよう!これまでお伝えしてきたように、「集中力」とはなにも学習の場面だけを指しているわけではありません。進学塾VAMOSの代表・富永雄輔先生は、「親が考える『集中力』は、“机に向かってじっと勉強をする” というイメージが強いため、落ち着きがないわが子を見て『集中力がない!』と思うのでは?」と疑問を呈しています。しかし、どんなに落ち着きがないように見える子でも、大好きなゲームやスポーツ、遊びなどには驚くべき集中力を発揮していることも。富永先生は、たとえゲームでも漫画でも「自ら好きなことに没頭できる時間がどれだけあるか」が大切だと説きます。なぜなら、好きなことにのめり込む経験を多く積むほど、集中できる時間が延び、「絶対的集中力」として定着するから。そして絶対的集中力が身につけば、勉強などにも転化できます。つまり、今はまだ勉強以外のことでしか集中力を発揮できていなくても、いずれは勉強の場面でも発揮できる集中力の基礎を築けているということ。前出の親野智可等先生によると、「自分には集中力がある」と信じている子どもほど、好きではないことや苦手なことをしているときも、「集中力があるから、がんばれるはずだ」という気持ちが出てくるそう。まずはスポーツでも遊びでも、お子さんが「これが好き!」「やっていて楽しい!」と思えるものに集中して取り組める環境を作ってあげるといいでしょう。***西剛志先生はインタビューで、「集中力がなく飽きっぽい子どもの中には、単純に頭がいいという可能性もある」と述べています。つまり、おもちゃにすぐ飽きるのも、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうから、とも考えられるとのこと。そう考えると、「集中力がある・ない」ことに一喜一憂して悩む必要はないのかもしれませんね。(参考)洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.JTBのMOOK(2019),『未来に役立つ8つの力が育つ週末体験あそび』,JTBパブリッシング.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?プレジデントムック(2019),『プレジデントFamily 小学生からの知育大百科 2020完全保存版』, プレジデント社.ベネッセ教育情報サイト|子どもに集中力をつけるには?[教えて!親野先生]Study Hacker こどもまなび☆ラボ|まなびの保健だより11月号|子どもの脳が集中力を発揮するメカニズム。脳がホッとする時間も必要です洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.
2020年01月10日「夫に対して“思いやりがない”“わかってくれない”と、この3日以内に感じた人は要注意です。50代以降になって、長年連れ添っている夫の言動や行動が、急に鼻につくようになるという人は多くいるんです」こう語るのは、『夫のトリセツ』(講談社+α新書)を出版したばかりの、脳科学・AI(人工知能)研究者の黒川伊保子さんだ。昔は平気だったのに……50〜60代の“更年期夫”にイライラを募らせてしまうようになるのには理由がある。「人間の脳は7年を一つの区切りと考える傾向があります。結婚7年、14年、21年目……と、離婚危機が訪れやすい。50代は子どもが独立、そして60代には定年退職と、夫と2人きりになる時間が増えます。そこに、結婚28年目や35年目が重なると、夫婦の関係が一気に悪くなってしまうことがあるんです」さまざまなタイプがいる“イラつかせ夫”だが、“男性脳”の仕組みを理解すれば傾向と対策が見えてくるという。黒川さんに夫の“操縦術”を伝授してもらった。【イラ夫1】家事を傍観しているだけ → してほしいことはルールで示す「鍋ができたよ」と声をかけても、鍋敷きなどの用意すらしないで、テーブルでただ待っているだけの夫にイラッ!「ゴール思考の男性は、たとえば鳥を狩るとき、周囲においしそうな野草や果物があっても、鳥しか見えない。つまり『鍋だよ』と聞くと、鍋しか見えなくなるんです。男性はテレビのCM中にトイレに行くときも、トイレというゴールに向かうだけです。一方で女性はプロセスを思考しながら行動するので、トイレに行く途中にコップを片付け、台拭きを持って帰ってくることができる。家事は多重タスクなので、女性よりも男性は3〜6倍もストレスを感じるものなんですね。『鍋』の日はおたま・鍋敷き・薬味を夫が用意するように求めるなど、夫に家事をさせたいなら、ルールを提示しましょう。目的をはっきりさせることで、夫を動かすことができます」(黒川さん・以下同)【イラ夫2】嫌みばかり言ってくる → 気にせず、「そうよ」で返すサケ一切れの夕食のおかずに対して「これだけ?」と言う夫。“一日家にいて。これだけしか作れないのか”という嫌みか!?「じつは嫌みではなく、単なる確認である場合が多いのです。夫はおかずの内容を確認して“どうやってご飯を2膳食べようか”というゴールを見ているだけ。だから『そうよ』『足りないなら、卵もあるけど』などと、気にせず答えてしまえばOKです」「まだできていないの?」「どうして○○がないの?」などの言葉も、嫌みに聞こえて、単なる確認の可能性が高いのだ。【イラ夫3】相談を聞き流す、しても忘れる → 名前を呼び、3秒待って、要点を先に話す大事な相談をしたいのに、真剣に話を聞いてくれない夫。どうにか相談して決めたと思っていても、あとから聞いていないと言われてしまって……。「男性の脳は“問題解決型”。とりとめもない会話には、解決すべき問題がないため、音声認識エンジンを切ってしまうんです。つまり、あなたの話を聞いているように見えても、聞き流している可能性が高い。だから、大事な話をする際は、まずは夫の視界に入って名前を呼び、3秒ほど待って音声スイッチを切る前に、ゴールと数字を簡潔に伝えましょう。たとえば『母の三回忌について相談したいことがある』とゴールを提示して、『要点は3つ。いつ、どこで、誰を呼ぶ』とポイントを絞って話してみましょう」「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月08日長年連れ添った夫なのに、好きで結婚した仲だったのに……。こんなにイライラさせられるようになったのはなぜだろう?じつは脳の違いに理由があるんです。「夫に対して“思いやりがない”“わかってくれない”と、この3日以内に感じた人は要注意です。50代以降になって、長年連れ添っている夫の言動や行動が、急に鼻につくようになるという人は多くいるんです」こう語るのは、『夫のトリセツ』(講談社+α新書)を出版したばかりの、脳科学・AI(人工知能)研究者の黒川伊保子さんだ。昔は平気だったのに……50〜60代の“更年期夫”にイライラを募らせてしまうようになるのには理由がある。「人間の脳は7年を一つの区切りと考える傾向があります。結婚7年、14年、21年目……と、離婚危機が訪れやすい。50代は子どもが独立、そして60代には定年退職と、夫と2人きりになる時間が増えます。そこに、結婚28年目や35年目が重なると、夫婦の関係が一気に悪くなってしまうことがあるんです」さまざまなタイプがいる“イラつかせ夫”だが、“男性脳”の仕組みを理解すれば傾向と対策が見えてくるという。黒川さんに夫の“操縦術”を伝授してもらった。【イラ夫1】愚痴に共感してくれない →「共感してほしい」と素直に求める近所付合いで頭にきて「隣の奥さん、こんなこと言うのよ」って愚痴ったとき、「そりゃ、ひどいね」と共感してくれると思いきや、「君も悪いんじゃないか?」と、想定外の指摘が!「古来、女性は群れの中で生きているため、周囲と共感しながらプロセスを解析して、これから起こる問題を未然に防ごうとします。一方、狩りに出ていた男性は、遠くを見ながら瞬時に危険を察知して、問題解消をはかるという脳の仕組みなんです。だから夫は、問題の早急な解決のためにできることから手をつけようとする。たとえ隣の奥さんが99%悪いと理解していても、注意できる妻だけに注意するんですね。そもそも男性に自分の気持ちを察してもらうことは無理なので、共感してほしいときは、前もって『答えはいらない。共感してほしい』と言っておきましょう」(黒川さん・以下同)【イラ夫2】“やりたいこと”に何でも反対 → “試しに”という言葉で抵抗感を減らす「パートに出たい」「習い事を始めたい」などと相談しても、いつも反対してくる夫は多い。「外敵から身を守る男性は危機意識が高く、大きな問題が起きない限り現状維持を望むためです。これまで平和な家庭だったのに、突然、パートで働くと言われると、夕食の準備や洗濯は大丈夫なのか、夫は不安になって反対してしまうのです。こういった場合『お試しで働き始めてみた』というように、『お試し』という言葉で不安を緩和させつつ、事後報告。絶対にやりたいことは、夫に相談せずに強行する覚悟も、時には必要だと思います」「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月08日気になる男性ができると、毎日がより楽しく充実したものになりますよね。しかし、先がなかなか発展しない!と悩みを抱えている人もいるかもしれません。ただそっと思いを寄せているだけじゃなく、勇気を出して距離を縮めるためにさりげないアピールから始めていきましょう。今回はさりげなく気になる彼と距離を縮めるために意識した行動について、女性たちにアドバイスをもらってきました!■ 誘いやすい状況を作る「自分から誘う勇気は無くても、キッカケだけでも作ってみる。『〇〇行ってみたいな』とか、『ちょっと飲みたい気分!』など声に出すことで、あわよくば誘ってもらえるかも」(27歳/インストラクター)こちらから誘うなんてとてもできない!という奥手女子は、せめて向こうからアプローチしてもらえるように壁を無くして、誘いやすさを演出することから始めましょう。食事のタイミングで「お腹が空きましたね」と言ったり、季節のイベントスポットの話題をふって「〇〇人気ですよね~」と言ったり、あくまで「自然に」がポイントですよ。■ 良い香りをまとって印象に残す「香りの印象づけは男性への無言のアピールになります!特にシャンプーや石鹸のような清潔感のある香りが好きな男性は多いので、彼に会う直前にはふわっと香るようにしてます」(24歳/販売職)男性は良い香りのする女性が本能的に気になってしまうそう。近づいたときに髪の毛から優しくシャンプーのような、甘い香りが漂うとそれだけでドキドキすることもあると言います。脳科学的にも嗅覚と好感度には密接な関係があるという説も。彼に会う予定がある日はフレグランスを忘れずにまといましょう。■ 彼の得意分野に関する知識を教えてもらう「彼の得意分野について上辺だけでなくちゃんと興味を持つようにします。男性は基本的に教えたがりなので、一対一でレクチャーしてもらえればグッと仲良くなれるはず!」(30歳・パート)基本的に、男性は女性に頼られると嬉しくなってしまうものです。特に自分の詳しい分野の知識を披露できる場面は、彼のプライドをくすぐることができるため、距離感を縮めるにはもってこいのシーン。グルメやスポーツから仕事の知識まで、彼の得意な畑に飛び込んで質問をしてみましょう。きっと喜んで教えてくれますよ。■ 笑顔と「ありがとう」を増やす「明るい笑顔が最強のアピール!いい子だなって思ってもらうには、ニコニコ相づちを打ったり何かしてもらったりしたときに、感謝を伝えたりすることが一番」(28歳/塾講師)好感度を上げるためには、やはり輝くような笑顔が基本。シャイだからと言って、彼の発言に塩対応では発展するものも発展しませんよね。常にしっかりとリアクションを返し、周囲への笑顔と感謝を心がければ、あなた本来の魅力も伝わりやすくなるはず。■ さりげないアピールでいつのまにか両思いに♡今回は、「気になる男性にしたい」さりげない距離の縮め方をご紹介しました。露骨なアピールは苦手!という人でも、これくらいの方法なら普段から実践できそうですよね。控えめながらも確実な恋のテクニックで、「あれ?いつの間にか好きになってる……」と思われるような女性を目指しましょう。(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年01月04日みなさんの中には、「夫婦の会話よりも親子の会話こそが重要!」と考えている人も多いのではないでしょうか。たしかに親子の会話は、子どもの内面的な成長に強い影響を及ぼします。しかし、それと同じくらい、もしくはそれ以上に子どもの心に影響するのが『夫婦の会話』なのです。親子の会話以上に夫婦の会話が大切な理由子どもに話しかけるとき、みなさんは「親として」「大人として」ふさわしい言葉を選ぶように心がけているはずです。子どもに使ってほしくない言葉は使わず、模範的な話し方になるように気をつけている人も多いのではないでしょうか。しかし、夫婦で会話をしているときはどうでしょう?心を許している相手だからこそ、リラックスして“素”が出てしまいますよね。その様子を側で見ている子どもは、会話の内容を聞いていないようで、じつはしっかり耳に入っています。そして、無意識のうちに、両親の会話から多くのことを学び、子ども自身の人間関係に反映させているのです。『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)の著者である天野ひかりさんは、親が子に言い聞かせる言葉以上に“夫婦の会話”が大切な理由を次のように説明しています。ます、直接話しかけられる言葉よりも、誰かが間接的に自分のことについて話している言葉のほうが心に響くということが理由としてあげられるそう。たとえば、友人から直接「その洋服オシャレだね」と言われた場合、嬉しいとは思いつつも「お世辞かな?」と感じることもあります。一方、「友だちの○○さんが、あなたのこといつもオシャレでセンスがいいねって褒めてたよ」と間接的に聞くほうが、より心に響くと思いませんか?このことから、天野さんは「親から直接言い聞かされた言葉以上に、親同士や親と誰かが話している言葉のほうが、子どもの心に響く」といいます。さらに、間接的な会話によって、思考力が鍛えられる効果も期待できるそう。両親の会話を客観的に聞くことで、「こんな言い方は相手を不機嫌にさせるんだ」「こういうふうに言うと相手は喜んでくれるんだ」と、知らず知らずのうちにコミュニケーションの方法を学んでいきます。つまり、第三者同士の会話を聞くことで、「これってどういうことなんだろう」と自分で考えるようになるのです。『夫婦の会話』には、私たちが考えている以上に子どもの能力を伸ばす要素が含まれていそうですね。平日は30分未満!?夫婦の会話時間は減少傾向にでは実際に、みなさんは普段どれくらい夫婦で会話していますか?ソフトブレーン・フィールド社による「夫婦のコミュニケーション」に関するアンケート調査では、平日の夫婦の会話時間は「10分~30分未満」が27.3%と一番多く、ついで「10分未満」が26.7%という結果に。なんと半数以上の夫婦が、平日に会話する時間が30分にも満たないということがわかりました。共働きで夫婦ともに忙しく、朝家を出る時間も帰宅する時間もバラバラというパターンも多いため、顔を合わせて話をする時間がないのもうなずけます。ちなみに、同調査では「会話の内容」についてもアンケートをとっており、1位は「子どものこと」で77.8%、2位は「食事や食べ物のこと」で56.4%、3位は「休日の予定」で53.9%という結果が出ました。夫婦の会話時間の短さや会話の内容について、「なんだ、どこの家庭も同じなのね」と安心した方も多いのではないでしょうか。たしかに子どもが生まれてからは、夫婦の共通の話題は、子どものことや日々の食事、休日の予定に関することばかりになりますよね。でもそれだけでは会話が続かないのも事実です。夫婦の会話から子どもが学ぶことは無限大両親の会話が少ないことで、子どもにはどのような影響があるのでしょうか。結婚生活が長くなるにつれ、「言わなくてもわかるだろう」と思い込んで、パートナーへの配慮が欠けてしまうのはよくあることです。しかし、両親の会話が減った結果、子どもは「お父さんとお母さん、ケンカしてるのかな……」「仲が悪いのかな……」と不安を感じてしまうかもしれません。「ごはん、まだ?」では思いやりの気持ちは学べない脳科学者の茂木健一郎先生は、「夫婦が意識的にお互いを思いやる会話をすることが大事」だと述べています。たとえば、お父さんがお母さんに「ごはん、まだ?」とだけ言うよりも、「そろそろごはんにしない?なにか手伝おうか?」と相手への気遣いを見せることで、子どもは「相手を思いやる」ということを学ぶのです。思いやりや感謝の気持ちは、家族間ではつい疎かになりがちです。しかし、茂木先生は「これからの時代は特に『自分の考えや気持ちをきちんと言葉にできなければ、相手に伝わらない』ことを教える必要がある」と指摘します。家庭の中に、思いやりや感謝の気持ちを表す言葉があふれていれば、きっと子どもも他者に対して思いやりの気持ちをもって接するようになるでしょう。「今日の子どもの良いニュース」で親も子も前向きに!教育・受験指導専門家の西村創氏は、「成績が良い子どもの両親は、たいてい仲が良い」と述べています。そして「夫婦の仲はコミュニケーションの量に比例する」ことも指摘しています。西村氏によると、話題が子どものことばかりになってしまうなら、その内容を見直してみるといいそう。「多くの家庭では、子どものマイナスな部分にばかり目を向けて、夫婦の会話でもそうなりがち」だとし、まずは、今日一日の「子どもの良いニュース」を夫婦の会話の軸にすることをすすめています。それは子どもの成長にも良い影響を及ぼします。この、「子どもの良いニュースを伝える」というのは、夫婦間のコミュニケーションを円滑にすること以外にも、大きなプラスがあります。日常では、子どものいたらないところに目がいきがちです。でも、夫に報告するために「我が子の今日のいいところ」を何かひとつでも見つけておこうという意識があると、子どもの良いところを見ようという前向きな視点になります。そしてそのような前向きに見守られている子どもは、いいところが伸びやすくなります。(引用元:All About|夫婦仲を良くして子どもの成績を上げる方法)親から良いところを見てもらうことで、子どもの自己肯定感も高まっていくので、ぜひ取り入れていきましょう。夫婦ゲンカを見た子どもの脳はどうなる?子どもの前で夫婦ゲンカをするのは良くないとわかっていても、つい感情的になって言い合いになることもありますよね。脳科学者の西剛志先生によると、夫婦ゲンカによる子どもへの影響は深刻なものだそう。子どもの前で両親がしょっちゅうケンカしていたら、たとえ子ども自身はケンカをしていなくても、心は常に誰かとケンカをしているときと同じ影響を受けるといいます。その結果、将来的に人間関係の問題を起こしやすくなる傾向があるのだそうです。それは、脳にある「ミラーニューロン」という神経細胞の働きが関係しています。ミラーニューロンとは、目の前の人間の行動を見て、自分も同じ行動を取っているかのように反応する働きのこと。笑顔の人を見ると嬉しい気持ちになったり、ケガをしている人を見ると「痛そう」と思ったりするのは、このミラーニューロンが作用しているからです。たとえ子どもの前で夫婦ゲンカをしてしまっても、仲直りするところまできっちり見せてあげれば問題はありません。前出の天野ひかりさんは、「ケンカを見たことがないと、子どもは正しいケンカの仕方がわからないまま成長します。すると、自分の意見を通そうとして感情的に相手を非難したり、意見を押しつける一方的な行いをしたりするのです」と述べています。正しいケンカの仕方とは、感情をぶつけ合ったとしても、相手の言い分を受け入れる努力をし、お互いに歩み寄って答えを出そうとすること。お父さんとお母さんがケンカをしているのは、お互いに分かり合いたいと思っているから。自分の気持ちを正直に相手に伝えるのはいいことで、たとえ反発し合ったとしても、相手を受け入れたり歩み寄ったりすることでより良い関係に発展することができるーー。夫婦ゲンカを仲直りの段階まで見せることで、子どもはそのことに気づかされます。実践!ありがちな夫婦のマイナス会話をプラスに変える最後に、普段無意識にしてしまっている夫婦の会話のNG例をご紹介。ちょっと気をつけるだけで、夫婦の会話は劇的に変わりますよ。「あなたは○○!」と相手を攻撃しない■NG会話妻「○○が△△でね」夫「(上の空)ふ~ん」妻「ちょっと、ちゃんと聞いてるの!?」夫「……聞いてるよ」妻「あなたっていつもそう!」どちらか一方が話しているのに、もう一方は上の空……。子どものことなど深刻な相談事であっても、これではケンカになって話が進みません。■OK会話妻「○○が△△でね」夫「(上の空)ふ~ん」妻「私はあなたに相談に乗ってほしいと思って話してるのに、真剣に聞いてくれないと悲しくなっちゃうな」東京医科大学付属女性生涯健康センターの小菅二三恵さんによると、相手を攻撃するのではなく、“自分が相手の態度をどう思ったか”を伝えるのが大事とのこと。その様子を見た子どもも、「私」を主語にした言い方をするようになり、お友だちとのトラブルでも、相手を責めずに自分の気持ちを伝えられるようになるといいます。夫婦の意見の相違は、子どもが多様な価値観を学ぶチャンス!■NG会話妻「私は○○したいんだけど」夫「△△のほうがよくない?」妻「えー、△△なんてちっともいいと思わない!」夫「……もういいよ。勝手にすれば」意見がぶつかり合ったとき、どちらも自分の意見を曲げないどころか、相手の意見を否定してしまうのはよくありませんね。■OK会話妻「私は○○したいんだけど」夫「△△のほうがよくない?」妻「なるほどね、あなたは△△がいいと思ってるんだね。じゃあお互いの意見を取り入れて、●●っていう手もあるね」夫「そうだね、それならできそうだね」どちらか一方の意見に強引に従わせるのは、夫婦だからといって許されることではありません。前出の天野ひかりさんによると、夫婦の会話を聞くことによって、子どもは「多様な価値観を受け入れる力」を育むことができるそう。お父さんとお母さんは別々の人間であり、それぞれ異なる価値観を持ち、ぶつかり合ったり尊重し合ったりしながら一緒に暮らしている、ということが理解できれば、成長してからも多様な人間関係に対応できようになります。***大人になってから必要とされる「社会的な能力」のなかで、最も重要なのは“コミュニケーション能力”です。子どもは、家族との関わり合いによって「人との付き合い方」の基礎を学んでいきます。お子さんの将来のためにも、良い影響を与えられるように、夫婦の会話にも注意を払っていきましょう。(参考)マイナビニュース|夫婦の会話時間、平日は“30分未満”が5割超ーその内容は?PHPのびのび子育て 2019年12月号,PHP研究所.All About|夫婦仲を良くして子どもの成績を上げる方法Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもを自立できる人間に育てるーー脳科学者が考える「理想の子育て」天野ひかり 著・汐見稔幸 監修(2019),『賢い子を育てる夫婦の会話』,あさ出版.NIKKEI STYLE|「言い方」を少し変えるだけで夫婦関係は改善
2020年01月04日どうもあかりです。ドキドキされたい、ドキドキさせたい。もしもあなたがいま現在お付き合いをしている彼氏のことをちゃんと「好き」と感じているのなら、きっと心の中にこの願望、欲求があるはずです。しかし、あなたが神から選ばれた生粋の小悪魔であればともかく、私を含む庶民派パンピーガールたちには、「ドキドキさせる方法」といったものがあらかじめ脳みそにプログラムされているわけではありませんので、「彼をドキドキさせたい!」以上先に思考がなかなか進みません。そこでこの記事では、男性が「彼女に対するドキドキ」を感じるパターンを大きく4つに分類したうえで、それぞれについての実践例をみていきます。■パターンその1:ラブラブ型「彼女と久々に手を繋いでデートをするだけで、めっちゃドキドキします。これが恋だよなって、思ったりする(笑)」(ウェブ系/26歳)「たまに彼女が俺のことを謎なあだ名で呼んでくるから、そうしたら俺も同じように、彼女を変なあだ名で呼び返す。で、お互いに『バカップルだね~』って言い合う。あだ名は・・・・・・内緒です!」(大学生/22歳)「私たち、今めっちゃラブラブしてる」こんなふうに感じるときには、決まって、カップルはお互いに内心ものすごくドキドキしているはずです。私は脳科学者的なアレではないので理論的なところはわかりませんが、誰でも「ラブラブしているときには、ドキドキするもの」という事実には異論を持たないはずです。そしてこれが、1つ目の「ラブラブ型」パターンです。では、ラブラブすることを通じて、彼をドキドキさせられることはわかりましたが、実際にどうやれば彼と一緒にラブラブできるか。これが問題ですよね。彼とのデートの中でなるべく狙って「ラブラブ」を生み出す方法としては、《「カップルっぽさ」を追及してみる》これに尽きるのではないかと考えています。「私たち、いまめっちゃラブラブしてる!」という感覚は、「いつも通りの感じ」でデートをしていても、得られるものではありません。むしろ「いつも通り」からもう一歩、二歩踏み込んで、「よりカップルっぽい感じ」を追及してみることが重要です。「いつもよりも、なんかカップルっぽいよね」というある種の"違和感"こそが、「ラブラブ」のカギなのです。たとえば上の「久々に手を繋ぐ」「急に変なあだ名で呼ぶ」というのは、そのカップルにとっては久々or突然という違和感がありますが、いかにもカップルらしい言動ですよね。ほかにも、「ラブラブなカップルがやってそうなこと」であればなんでも構いません。「手を繋ぐんじゃなくて、腕を組む」でもいいし「お店で対面じゃなく、隣に座ってしまう」でもいい。また勇気が許すのであれば、「人前でハグorキスする」なんかもありです。残念ながら、彼氏がたまたまこの記事を読んでくれていることを期待するのは少しおぼつかないですし、また、彼氏にこの記事を読ませて「これやってね」とお願いするのもアレですので、ぜひ、次回のデートでは、あなたの方から「カップルっぽいこと」を仕掛けてみてあげてください。■パターンその2:かわいいは正義型「シンプルに、かわいい服装でデートに彼女が現れたときにドキドキします。ただでさえ好きな人なわけだから、その人が『かわいい』を全力で作ってきたら、そりゃ敵わないよね」(研究職/26歳)次が「かわいいは正義型」のパターンです。ものすごくシンプルなように見えて、これには彼をドキドキさせられるだけの理由が2つもありますので、確認をしておきましょう。まず1つめは、すでに上の男性がお話してくれたとおりのことです。ようするに、「ただでさえ好きな人なのに、その人が『かわいい』を全力で作ってきたら、ドキドキするに決まってる」ということです。誰でも、好きな人と初めてデートをしたとき「私服ヤバー!もともとカッコいいと思っていたけど、こんなの反則過ぎる!」と感じたことがあると思いますが、これは「好き」による「カッコいい」と、ファッションによる「カッコいい」が二重に乗っかっていることの効果です。そして2つめが、「かわいく思われたい」というメッセージに、ドキドキするからです。あなたがある日のデートで突然、普段よりもキメた感じのファッションで登場するとすれば、その理由は「今日は特別かわいいって思ってもらいたいから」以外にはないでしょう。だから彼は、そんなあなたの服装やメイクを見て、その理由を察する。そして、その真意にドキドキするんです。だって、そんなのほとんど「好きだよ」と言われているのも同然なのですから。「かわいいは正義型」の実践例は、さすがに私が解説するまでもありませんよね。そうです。とにかく、「かわいい」を全力で演出してデートに向かうことに尽きます。ただし、この全力演出も、やっぱり普段のデートとのギャップがあってこそ効いてくるもの。ですから、全力の「かわいい」と、通常レベルの「かわいい」とで、適度な緩急をつけていきましょう。たとえばおうちデートとかであれば、そこまで気合いを入れず、まあまあな感じで全然いいと思います。他方、記念日とか、記念日ではないけど彼が少し奮発してイイ感じのお店を予約してくれたときなどに、とっておきの「かわいい」で臨むのです。こうやって、いざというタイミングで全力の「かわいい」を見せてあげることで、彼も「今日は精一杯紳士的に彼女をエスコートするぞ」とヤル気を出してくれますし、また、「これからも、今日みたいなめっちゃかわいい彼女を見られるように、こういうデートを企画しよ」とも思ってくれます。■パターンその3:新しい一面型「強くて周りからもちゃんと自立した大人、みたいに評価されてる彼女だったけど、付き合ってからしばらく経ったときに、俺に対してすごい弱音みたいなのを吐いてくれて、真剣に悩んでいた彼女には大変申し訳ないけど、『めっちゃ愛おしいやんけ』って愕然とした」(飲食/28歳)いままでに見たことがない一面を目の当たりにする、というのも「ドキドキ」のパターンのひとつですね。こういう「か弱さ」みたいなものに限らず、「意外とズボラ」とか「実はエロい」とか「実は真面目」とか、周りが彼女に対して抱いている評価とは異なる一面を知ることができると、自然と「ドキドキ」の感情が生まれます。では、なぜでしょうか?これにも2つ理由があります。1つは、「新鮮だから」です。単純に、「好きな人の、知らない部分」というのはそれ自体が魅力的です。実際にみんな「好きなあの人のこと、もっと知りたい、知りたい」と思うわけですが、「好きな人」を構成する要素であれば、それが意外であろうと、ギャップであろうと、「今までに知らなかった部分」というだけで嬉しいのです。そしてもう1つが、「自分だけが知ってる、という特別感」があるからです。例えば先ほどの例で言うと、きっと彼は「彼女が俺だけにか弱い部分を見せてくれた」というところにもドキドキを感じたはずです。そしてこれには、「彼女にとって、俺がそれに値するだけの信頼できる存在なんだ」という実感が乗っかっています。「好きな人の、知らない部分」というのは、漫然と付き合っていれば、そのうち勝手に知ることができるようなものじゃありません。ちゃんと恋人から「そろそろ自分のこういう部分も、見せていっていいよね?」と思ってもらう必要があるのです。だからこれを知れるというのは、それだけふたりの関係性が進展してきたこと、それだけ自分が以前よりも相手から愛されるようになったことを意味するからこそ、嬉しくてドキドキしてしまうんですよね。「新しい一面」というのは誰にでも必ずあるはずです。あなたが交際初日から全力で100%素の自分を彼に見せていっていない限りは。そしてそんなことはないはず。どんな人も、交際初期には必ずなにかしらの猫かぶりはしているものだからね。そしてその猫かぶりをやめるためには、なによりも「この人には、自分の素を見せていいんだ」と思えるようになることが大切ですが、これはなかなか一朝一夕では難しい問題かもしれません。ですが、「『本当の自分』は、隠すべきものじゃなくて、むしろ見せたほうがいいもの」ということを理解しておくだけでも違います。たとえば世の中には「ウザいと思われないように、彼氏の前でクヨクヨしないようにしなくては」「おうちの中でもきちんとしたお洋服を着ていなくては」「変態って思われないように、あまりエッチに積極的になりすぎるのは避けなくては」みたいに考えている女性が少なくありません。それは「彼が好きなのはいま私が彼に見せている自分であって、本当の自分は、魅力的ではない。お呼びじゃない」と誤解してしまっているから。ですが先ほどお話したとおり、「好きな人の、知らない部分」というのは、誰であれ必ずウェルカムなのです。だから、もしも「そろそろ見せたいけど・・・・・・」と思っているけど、ただ「でもやっぱり見せない方がいいのでは・・・・・・」というためらいがあることが素を見せられない原因になってしまっているのであれば、いますぐ今日から「『本当の自分』は、隠すべきものじゃなくて、むしろ見せた方がいいもの」と考えるようにしてくださいね。■パターンその4:セクシー型「正直、一番手っ取り早く彼氏のことをドキドキさせたいのであれば、エロで攻めてみるしかないと思う。彼女のことが好きであれば、これにドキドキしない男はいないのでは」(メーカー/28歳)これについては私も同感です。あまり下ネタに寄りすぎる内容は書きたくありませんが、実際問題、「彼女のセクシー」とドキドキ感は切っても切れない関係にある。これについては、「彼女のセクシーに、男性はドキドキしてしまうもの」という結論自体にはさほど疑問はないはずなので、早速実践例に入っていこうと思います。セクシー型のドキドキには、大きく次の2つがあります。《態度で魅せるセクシー》《服装で魅せるセクシー》です。態度の方は、文字通り、彼女の方から積極的にエッチに誘ったり、エッチのなかでいつもより大胆に行動してみる方法です。とくに多くのカップルにおいて、「彼女よりも彼氏の方がエッチに対して積極的」という構図がありますから、ときたまでも、彼女側からこうした積極的な態度を見せるだけで抜群の効果があります。「エッチしよ」と直接的でなくとも、自分からお泊りデートを持ちかけたり、ベッドイン時に彼の胸やお腹をさわさわするだけでも十分ですので、自分のできる限りで挑戦してみてほしいです。そして服装の方は、態度よりも難易度は低いです。彼がエッチな気持ちになってくれることを狙って、いつもよりセクシーなナイトウェア、下着、すっぴんじゃなくて少しだけメイクをした状態で彼を誘う、「超攻撃的な受け身」の姿勢です。だまされたと思ってぜひ試してみてほしいのですが、お泊りをするとき「おやすみ」を言う時点での服装を少しだけでいいからセクシー寄りにしてあげるだけで、彼氏の「食いつき」は劇的に変わります。今回は4つのパターンすべてについて広くご紹介しましたが、あなた自身、「もっとこういう部分で、彼をドキドキさせてみたいな」という希望もあるかもしれません。たとえば、「エッチのドキドキだけが、足りてないかも」とか。いきなりすべてを実践してみるというのはなかなか難しいと思いますから、「私はまずこれからやってみよう」と思うもの、とっつきやすいと感じるものでいいので、早速次のデートから実践してみてもらえたらと思います。(遣水あかり/ライター)(ハウコレ編集部)
2019年12月31日最近、日本の子どもの「読解力」が低下したと話題になりました。その要因のひとつとして挙げられているのは、本を読む機会が減っていることです。読書習慣は、子どもの国語力を上げる一番の近道であり、子どもにも大人にも、多大な恩恵をもたらす習慣。今回は、「親子で読書習慣を身につける」と起こる “たくさんのいいこと” と、効果的な本棚について紹介します。読書量の減少で「読解力」低下経済協力開発機構(OECD)が進めている国際学習到達度調査(PISA)では、15歳児を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに調査を実施しています。日本の読解力の順位は、2012年で4位、2015年は8位、そして最新の2018年調査では15位と急落してしまったのだそう。じつはそのなかで、読書習慣のある生徒は、ない生徒よりも読解力の平均点が高かったのだとか。そのため、今回の「読解力」低下の背景に、読書量の減少があるのではないかと考えられています。教育環境設定コンサルタントの松永暢史さんは、「賢い人は本が好き」というわけではなく、本を好きになることが賢さにつながる、と説きます。本を数多く読むと、言語的な理解力や、言語を使いこなす能力が高まるそうです。学力だけじゃない、〇〇力アップにつながる読書習慣それに、読書が影響を与えるのは学力だけではありません。『本を読む人だけが手にするもの』(日本実業出版社)の著者・藤原和博さんによれば、さまざまな人が書いた本を数多く読むことで、次に示す5つのリテラシー(理解・解釈・活用する能力)を高められるそうです。コミュニケーション(聴く・共感・伝える)力ロジック(著者の論理を理解する)力シミュレーション(先を読む、仮説を立てる)力ロールプレイング(他者の視点を得る)力プレゼンテーション(想像したり表現したりする)力日本は、経済や社会の成長がピークを迎え、精神的豊かさや生活の質の向上を重視する「成熟社会」に移行しました。これら5つのリテラシーは、「成熟社会」において必要な力なのだとか。また、仕事で成功するためには、IQ(知能指数)だけでなく、EQ(心の知能指数)がとても重要だといわれていますが、読書はそのEQを成長させてくれるそうです。EQとは、心の動きに気づいて理解し、管理する能力のこと。EQが高い人は、自己認識・自己管理・モチベーション管理・共感性・社会性などに優れているそう。先述した5つのリテラシーにも通じるところがあります。コンサルティング会社タレント・スマートの共同創業者であるトラヴィス・ブラッドベリー氏とジーン・クリーブス氏らが調査を行なったところ、仕事で高い成果を上げている人の90%はEQが高く、仕事の成果が低い人でEQが高いのは20%のみであったとのこと。脳科学者の茂木健一郎さんは、言葉が人と人をつなぎ、感情や状況の把握を可能にするからこそ、本を読むことで、自分と他者の感情をより理解できるようになる、と述べています。ちなみに、子どもの読書習慣は、親からの影響が大きいのだとか。親の読書習慣が子どもに影響厚生労働省が長年にわたって調査を行なった「第8回21世紀出生児縦断調査結果の概況」によると、親がよく本を読む家の子どもは、児童書や絵本などをたくさん読んでいるそうです。たとえば1ヵ月間、子どもの「本を読む習慣」を調べてみると――本を読んでいる母親の子どもの、本を読む割合は94.9%。本を読んでいない母親の子どもの場合は、88.0%と低くなっています。また、父親が本を読んでいる場合の、本を読む子どもは94.5%で、父親が本を読まない場合の、本を読む子どもは89.3%とのこと。そして、母親と父親が読む本の冊数が多いほど、子どもが読む本の冊数も多くなっています。先に述べたように、読書習慣は知性を高め、さまざまなリテラシーを磨き、EQ(心の知能指数)を成長させてくれます。それらの効能は、子どもだけではなく大人にも与えられるのですから、親も子どもと一緒になって積極的に読書を楽しむことを、大いにおすすめします。それに、読書がもたらす恩恵はまだあるんですよ。親も読書をはじめてみるといい理由英サセックス大学の研究によると、読書によって軽減されるストレスは68%。音楽鑑賞やコーヒーブレイク、ゲームや散歩といった、一般的な解消法のストレス軽減度を上回るそうです。そのため、英国では2013年6月に、医師が精神疾患の患者に対して「本」を処方する医療システムがはじまったそう。患者は処方箋を手に、薬局ではなく図書館へ向かうのだとか。いわゆる「ビブリオセラピー(読書療法・Bibliotherapy)」です。また、米イェール大学の研究チームが 12年間にわたって調査を行なった結果、週に3時間半以上読書をする人は、全く読まない人よりも死亡率が23%低いと結論づけられました。読書をする人は、読書をしない人に比べて2年も長生きするとのこと。臨床神経心理学者のジェニー・オグデン(Jenni Ogden)博士は、登場人物に感情移入したり、「自分ならどうするか」などと考えたりできるので、「自分自身をよりよく理解したいなら、小説を読むことだ」とアドバイスしています。なるほど、EQ(心の知能指数)を高めてくれるわけです。とはいえ、自分にも、子どもにも、読書を無理強いしてはいけません。自然に本が好きになれるように、親と子の「アラカルト本棚」を設けることをおすすめします。自然と本好きになる親子の「アラカルト本棚」偏差値35から読書習慣の改善で東大合格を果たした西岡壱誠さんは、「親が読ませたい本」を子どもに無理やり読ませることだけはしてはいけないと説きます。大人でも「この本を読みなさい!」と強引に押し付けられたら、内心では反発したり、億劫になったりするのではないでしょうか。子どもならなおさらです。それがきっかけで読書嫌いになってしまったら、元も子もありません。子どもが自分で、「読みたい本」を選べることが大切です。そこで、おすすめしたいのが「アラカルト本棚」です。“アラカルト” という呼び名どおりに、文化系、理系、雑誌、漫画、小説、絵本、世界地図など、何でも、あらゆるジャンルの「おすすめ本」を並べてしまうのです。ちなみに、子どもがたくさん本を読むご家庭の本棚の、画期的な例があります。親が子どもに「読んでくれたら嬉しいな」と思う本を図書館から借りてきた際に、まるで書店か図書館のように、面置きにするのだそう。すると、子どもが「あ、新しい本だ」とすぐに気づいてくれるのだとか。西岡壱誠さんが読書について東大生100人からアンケートをとったところ、親から本を「押し付けられる」のではなく、「さまざまな本をおすすめしてくれた」ことが良かった、と答えた東大生が多かったのだとか。「アラカルト本棚」にあった科学アドベンチャーシリーズを読んで理系に興味がわき、東大理学部に進んだ学生もいるそうです。また、約2,250件もの家庭で勉強を教えてきたという、カリスマ家庭教師の西村則康さんは、親子で本棚を共有したほうがいいと話します。子どもが、難しそうな親の本を見て、「いつか読めるようになりたい」と向上心を持つからです。その時々の興味関心に沿って、自分も子どもも自由に選べるような本棚をつくることで、子どもは自然と興味のある本に手を伸ばすようになり、ご自身も「今度はどんな本を並べてみようかな」「何を読んでみようかな」となり、親子でたくさんの恩恵にあずかることでしょう。***古代ギリシアの哲学者・アリストテレスは「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」といいました。そもそも本は、人間の “もっと知りたい” 欲求を叶えて、大いに楽しませてくれるもの。ぜひ、親子で気楽に読書を楽しんでくださいね。(参考)産経ニュース|PISA調査日本の読解力低迷、読書習慣の減少も影響か国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research|OECD生徒の学習到達度調査(PISA)日本実業出版社|「本を読むこと」で磨かれる5つのリテラシーSTUDY HACKER|本を全然読まないと「3つの超重要メリット」が逃げていく。STUDY HACKER|イギリス政府公認「読書療法」がすごい。ストレス6割減も期待できる『5分だけ読書術』PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)|“心の知能指数”を訓練で伸ばす4つの方法 仕事の成功には「ものすごく影響」厚生労働省|第8回21世紀出生児縦断調査結果の概況|2 子どもの生活の状況StudyHackerこどもまなび☆ラボ|東大生に共通する「幼少期の本の読み方」。思考力を鍛える読書法があるって本当?NEWSポストセブン|頭のいい子が育つ環境本棚は親子で共有、机は大きくHugKum【小学館公式】|「リビングに本棚」で子どもが本好きになる神話は本当だった!?【本好きキッズの本棚、見せて見せて!第6回】アリストテレス著,出隆訳(1961),『形而上学〈下〉』,岩波書店.
2019年12月28日自分自身を肯定的にとらえる感覚を表す言葉、「自己肯定感」。最近では、Twitter日本語版でトレンド入りするなど、その重要性を多くの方が実感していることがうかがえます。「我が子を自己肯定感の高い子に育てたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。実際、自己肯定感の高め方に関する情報は本やインターネットにあふれています。とはいえ、それらをひとつひとつ実践するのは簡単なことではありません。そこで今回は、自己肯定感を高めることの重要性を改めてお伝えしつつ、あらゆる方法のなかから家庭で取り入れやすいものを10個選んでご紹介します。自己肯定感の有無は人生を左右する!?「自己肯定感」は、なぜこんなにも重要視されているのでしょうか。自己肯定感の高い子と低い子の違いを踏まえて考えてみましょう。児童養護施設に勤務後、行政機関にて0~18歳の子ども相談を担当していた横山知己氏は、自己肯定感の高い子と低い子の特徴について、以下のように述べています。自己肯定感の高い子自信に満ちあふれ、何事にも前向きにチャレンジするたとえ失敗しても、その経験を次のチャレンジに生かすことができるため、ぐんぐん成長していける自分を大切にし、自己主張もしっかりするため、友人たちとも対等な関係を築くことができる 自己肯定感の低い子自分に自信がなく、失敗を恐れてしまうことから、新しいことになかなかチャレンジできない極端に人の顔色をうかがってしまう自分を抑えて我慢しすぎたり、相手の言いなりになったりしてしまい、人間関係をうまく築けないさらに、自己肯定感の高さは、学力にも影響を及ぼすことがわかっています。文部科学省が実施した「平成30年度全国学力テスト」と、児童生徒アンケートの結果によると、「自分にはよいところがあると思いますか」との質問に肯定的に回答した児童のほうが、平均正答率も高かったのだそう。つまり、子どもの自己肯定感を高めることは、その子がさまざまなチャレンジを通して成長していく力や、より良い人間関係を築いていく力、そして学力を高めていくことにもつながるといえるのです。親が子どもにしてあげられる10のことでは、どうすれば子どもの自己肯定感を高められるのでしょうか。親が子どもにしてあげられる10のことをご紹介しましょう。お手伝いをさせる国立青少年教育振興機構が行なった調査により、食器をそろえたり、片付けたりといったお手伝いをたくさんしている子ほど自己肯定感が高いことがわかりました。お手伝いをさせることによって、「家の中に役割や居場所がある」こと、「自分は必要とされている」ことを感じさせられるのです。「大好きだよ」と伝える内閣総理大臣、内閣官房長官及び文部科学大臣兼教育再生担当大臣ならびに有識者で構成される教育再生実行会議の第十次提言には、「親から理解されている、愛されているという感覚を持っている子供は自己肯定感が高い」という記述があります。自分の子どもにそのような感覚を持たせる方法のひとつは、言葉で伝えること。「大好きだよ」「生まれてきてくれてありがとう」などの言葉を日常的にかけることで、子どもは愛されていることを自覚できるのです。話を聴くビジネスコーチの石川尚子氏いわく、親が子どもの話をしっかり聴くと、子どもの存在を認めていることが伝わり、自己肯定感を高められるのだそう。ポイントは、しっかり目を見て、耳を傾けて「聴く」ということ。途中で口を挟んだり、他のことをしながら聞き流したりしないよう、意識して子どもに向き合いましょう。おこづかいの与え方を変えるマネー教育の第一人者である横浜国立大学名誉教授の西村隆男先生は、おこづかいは定額ではなく、「掃除を何回したらいくら」というように、家庭内で仕事を与え、その対価としてわたすことをすすめています。そうすると、子どもに達成感や、人の役に立つ実感を与えることができ、自己肯定感を高めることにつながるのだそう。その際、事前に親子でルールを話し合い、書面を作成するなど、子どもを「大人扱い」するとより効果が高まります。親子で一緒に外遊びする外に出て、自然のなかに身を置くと、子どもは自分で試行錯誤しながら工夫して遊びます。心理学者・石﨑一記氏いわく、自分で工夫した遊びをやり遂げることによって達成感を得られ、自己肯定感を高められるそう。その際、できれば親も一緒に外へ出て楽しみましょう。注意点は、あれこれ口出ししないこと。あくまでも、一緒になって楽しみ、子どもが誇らしげに「見て!」「こんなのできた!」と言ってきたら、「すごいねえ!」と褒めてあげることが大切です。プロセスをほめる褒めることによって自己肯定感が高まることはよく知られています。しかし、特定非営利活動法人・放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰氏いわく、「縄跳びができた」「テストで良い点数をとった」など、能力や成果ばかり褒めるのは逆効果。子どもに「成果を出さないと認めてもらえない」という焦りや不安を刷り込むことになるのだとか。子どもの自己肯定感を高めるには、「毎日、縄跳びを練習してすごいね!」「毎晩、自分から勉強してえらいね」など、成果よりプロセスを褒めましょう。写真を飾る自宅に子どもの写真を飾ると自己肯定感が高まることがわかっています。教育評論家・親野智可等氏らは、習い事や勉強など、何かを成し遂げたときの写真を飾ることをすすめています。子どもはその写真を見て、「親は自分を気にしてくれている」「自分は頑張れる」という思いを強めるのだそう。また、写真をきっかけに愛情を表現するのも効果的です。旅行の目標を立てる小さな目標を立て、それを達成する喜びは、自己肯定感を高めることにつながります。そのような機会を作りやすいのが、「旅行」です。たとえば、「新幹線では静かにしよう」「旅館の方に挨拶をしよう」といった約束事を事前に決めておきましょう。それらが達成できると、親だけでなく、旅先で出会った初対面の人から褒められることがあるのも、旅行の醍醐味です。教えすぎない日頃、子どもの行動に先回りして、「これして」「あれして」と指示していませんか?子どもは、「自分でできた!」という体験がないと、自己肯定感を高めることができません。子どもが何かやろうとしているとき、すぐにはやり方を教えず、「どうすればいいと思う?まず自分なりに考えてやってごらん」と促してみましょう。ネガティブな感情も受け入れる子どもがネガティブな感情に陥っていると、「自己肯定感が下がってしまうのではないか」と不安になってしまいませんか?脳科学者の中野信子さんは、「ネガティブな感情を無下に否定せず、しっかりと受け止めて活用していけるからこそ、健全な自己肯定感が育まれる」と述べています。親として、どんなときでもありのままの子どもを受け止めてあげましょう。***ご覧いただいたように、子どもの自己肯定感を高める方法はたくさんあります。だからこそ、そのすべてをやろうとするのではなく、家庭に取り入れやすいものからひとつずつ試してみてはいかがでしょうか。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「お手伝い」が子どもにもたらすいくつものメリット――お手伝いの習慣が高い学力につながる理由StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「『大好きだよ!』で勉強ができる子どもに☆」ゆるクス漫画家 木下晋也のマンガ Ready Study Go!【第34回】StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもに揺るぎないパワーを与える、親が子どもの話を「聴く」ということStudyHackerこどもまなび☆ラボ|「会議・交渉・契約書」で自己肯定感が育つ。子どもをぐんと伸ばす“おこづかい”のあげ方StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「外遊び」は有能感や自己肯定感を伸ばす――でも、効果のほどは「親次第」StudyHackerこどもまなび☆ラボ|無理やりポジティブにならなくていい――“ネガティブな感情”を利用して自己肯定感を育むマイナビニュース|自己肯定感、Twitterトレンドで議論 – 誰かに自分の在り方を委ねず、いかに自己を受け止めていくかAll About|子供の未来が変わる!自己肯定感を育もうベネッセ教育情報サイト|自己肯定感の向上、家庭が大きな役割ベネッセ教育情報サイト|子どもの自己肯定感を育む「教え過ぎない」子育て[やる気を引き出すコーチング]東洋経済ONLINE|「自己肯定感の低い子」に親ができる1つのこと学研キッズネット|自己肯定感を高めるには、写真をかざるのがいい!親野先生流「ほめ写」NAVITIME Travel|実践!旅育メソッド:役割や目標を設定、褒めて成功体験に文部科学省|平成30年度全国学力・学習状況調査の結果首相官邸|自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上(第十次提言)
2019年12月26日2019年ももう終わり。いろいろ頑張ってきたつもりだけど、仕事も恋愛も、いまいちパッとしなかったなぁ…。そんなふうに思っていたある日、職場のアラサー女子A子ちゃんが、妙にキラキラして見えたんです。忙しいはずなのに、なんだか毎日楽しそうだし肌ツヤもいいような。それに前と違ってため息をついてない!「何かいいことあった?」と聞いてみると、意外な答えが返ってきました。「マインドフルネス瞑想を始めたの♪」■マインドフルネス瞑想って何?日々、仕事に趣味に恋愛に……と多忙な彼女が始めた「マインドフルネス瞑想」とは?ざっくり言うと「脳科学で効果が認められた、脳と心のトレーニング方法の一つ」で、「今この瞬間を大切に生きるための心のセルフケアの手法」なのだそうです。近年、脳科学の発達によって、瞑想が脳に影響を与えることが証明され、そこに心理学の要素を取り入れて、生まれたのが「マインドフルネス瞑想」。医療や福祉の現場でも取り入れられていて、一流のスポーツ選手や経営者が実践していることでも知られていると言います。その効果は例えば、こんな感じ。・脳疲労の解消・不安レベルの低減・感情の安定・集中力の向上どれも今すぐそうなったらいいな!と思うものばかりですよね。私たちは常日頃、過去の出来事にとらわれたり、これから起こることを心配したりして、頭の中がもやもや状態になりがち。嫌なことがあると何度もそれを考えて、気持ちが落ちてしまう場合もあるでしょう。でも「マインドフルネス瞑想をすると、ストレスレベルが下がって心が落ち着く」とA子ちゃん。週一でスタジオに通うようになってから、心をフラットな状態に保ちやすくなった!らしいです。■どんなことをするの?ストレスを手放せるっていいなぁ!と思い、彼女がレッスンに行くときに連れて行ってもらうことに。表参道にあるスタジオはおしゃれで清潔感があり、なんともほっとできる空間でした。ちなみに、参加したのは、科学的なアプローチに基づいたマインドフルネスと瞑想のプログラムを開発した株式会社MELON監修のレッスンです。その日学んだのは、マインドフルネス瞑想の基本である「呼吸を観察する方法」。講師の声に誘導されて背筋を伸ばし、そっと目を閉じて呼吸を繰り返します。自分の呼吸に意識を傾けることで、過去や未来をさまよっている心を「今ここ」に呼び戻し、その一瞬一瞬を感じ続けることが大事なのだとか。最初は5分ほどの短い瞑想を行ったのですが、ゆっくり丁寧に息を吸い、吐いていたら、普段の自分の呼吸がいかに浅いかがわかりました。あと、一生懸命、呼吸に集中しようとしても、いつの間にか雑念が湧いてきて、講師の声や「チリーン」という鈴の音に「はっ!いかんいかん」と引き戻されたり。ほんの数分すらも集中力がもたない、という事実にびっくりです。でも、その気づきを得られたのはよかったなと。途中、お話を聞いたり、マインドフルネス瞑想を通して感じたことを周囲の人とシェアしたりしつつ、数分間の瞑想を何度か繰り返し…その結果!まるで仮眠した後のようなスッキリ感が。初めての体験だったので、シャキッと!まではいかなかったのですが、頭が軽くなり、少し視界が明るくなったのが印象的でした。確かにこれを続けて、心地いい状態をキープできるようになったら、日常的に集中力が高まり、ストレスとも無縁になれそうです。■マインドフルネス瞑想=開運法?ところで、なぜマインドフルネス瞑想を続けると気持ちが穏やかになるのでしょう?私たちは嫌な出来事に直面したとき、考える前に怒ったり、嘆いたりしてしまいますよね。これは「外的な刺激」に対して「脳の反応」が直結している状態です。でもマインドフルネス瞑想を続ければ、「外的な刺激」に対して「脳」がすぐに「反応」をすることなく、どのように受け止めるかを自分で選択できるようになるそう。感情のコントロールが上手になると同時に、記憶力や集中力が高まり、思考も明晰になるとも言われています。また、自律神経を整えることで、体の免疫力が上がることもわかっているとか。なんというか…いいことばかり。これって、自分でできる一種の「開運法」と言えるのではないでしょうか。しかも、掃除やパワースポット巡りをはじめ、「開運法」と呼ばれるものはたくさんあるけど、身一つでできるマインドフルネス瞑想は、その中でも最も手軽かもしれません。いつもフラットな気持ちでいられたら、何かあっても、いちいちムっとしないで済むから恋人とのケンカも減るはず。集中力が上がって仕事のパフォーマンスが上がれば、自己肯定感も高まりそうな予感も。年末ジャンボ宝くじのCMの鶴瓶師匠ではないですが、「やらないという選択肢はないやろ」と言いたくなります。■マインドフルネス瞑想を味見するならここまで読んで、マインドフルネス瞑想に興味を持ったみなさんに朗報です。試してみたいけど、いきなりスタジオに行くのはちょっと勇気が…というなら、1月11日~13日に東京・目黒で開催される「占いフェス」を覗いてみるといいかも。今回のフェスのテーマは「開運ワークショップ」。鏡リュウジさんや水晶玉子さん、島田秀平さんといった占い界の大御所たちが監修した、2020年の運を底上げする12のコンテンツのブースを巡り、自分だけの「開運ノート」を作ることをメインとしたイベントです。運気の流れや恋愛運・金運・願いを叶える方法など、開運のヒントがつまったオリジナルのノートを手に2020年をスタートさせられるのですが、そのブースの一つがマインドフルネス瞑想。呼吸を通じて「今」に集中することで、新しい気づきを得られる体験は、「占い」「開運」のメカニズムと似ている部分がある、ということから今回、特別に参加する運びになったそうです。やはりマインドフルネス瞑想は、開運法の仲間なんですね。「今この瞬間を大切に生きるための心のセルフケアの手法」=マインドフルネス瞑想は、一度だけ根をつめて行うのではなく、できるだけ毎日、少しずつやるのが大事。「占いフェス」でやり方を覚えたら、自宅でも試して、運気を上げるきっかけをつかんではいかがでしょうか?なお、「占いフェス」は他にも、人気占い師に直接鑑定してもらえる「5分占い」や「占い芸人」、“かわいい”と“幸せ”を手に入れられる「開運メイク」、前回大反響を呼んだ占い師&料理研究家がコラボした「開運レシピ」など、運気を上げるコンテンツが盛りだくさんです!イベント概要占いフェス 2020 NEW YEAR■会場:目黒EASE東京都品川区西五反田3-1-2■開催日時2020年1月11日(土)、12日(日)、13日(月・祝)11時~19時(※最終入場は17時30分)■入場料:前売 3,000円~当日 3,500円~■主催:株式会社ザッパラス
2019年12月25日私たちはよく、優秀な人に対してひとくくりに「頭がいい」と言います。頭の良さとは一般的に「テストの点数がいい」「偏差値が高い学校に通っている」といった、目に見えるかたちで表されることが多いのではないでしょうか。しかし、本当の意味で「頭がいい」とは、学校の成績だけでは判断できないものなのです。今回は専門家の見解をもとに、“頭がいい子ってどんな子?”というテーマでお送りします。知能が高くても“頭がいい”とは限らない!?私たちが考える「頭の良さ」は、勉強ができる=テストの点数が高い=良い学校に通っている、というイメージに集約されがちです。でも近頃は、少し違った視点で『頭がいい子』『賢い子』を見極めている専門家や教育関係者も増えてきています。脳科学者の西剛志先生もそのひとり。西先生は、“ただ知能が高い”ことを「頭がいい」としてもてはやすことに疑問を呈しています。その理由として、次のことが挙げられます。小さいうちからもてはやされ続けることで、本人が努力することを怠ってしまう。先々のことを予測しすぎて、リスクをともなうチャレンジをしないいわゆる「安定志向」になってしまう。相手が考えていることが聞く前からわかってしまったり、自分の考えを伝えても理解してもらえないだろう、などと考えたりすることで、人とコミュニケーションを取らなくなる。 いくら学校の成績が良いからといって、それだけで子どもの将来が明るくなるわけではないのです。むしろ、知能の高さだけを誇っていても、その他の能力を伸ばす努力をしなければ意味がありません。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、「単に成績が良い子というのは、必ずどこかで限界がくる」と述べています。そういった子は、ある程度まで伸びても、そこから先は伸びにくくなる傾向があるそう。「知りたい」「学びたい」という気持ちがともなっていないため、試験が終わったとたんに無気力になってしまうこともあるといいます。このように、知能の高さだけで「頭がいい」と判断することは、何よりも子ども自身を苦しめることにもつながるのです。では、本当の意味で「頭がいい子」「賢い子」とは、いったいどのような子なのでしょうか?専門家に聞く!頭がいい子・賢い子ってどんな子?「頭がいい子・賢い子ってどんな子?」という疑問に対して、脳科学者や心理学者、教育のプロである専門家の見解をご紹介します。■知的好奇心が旺盛である前出の瀧靖之教授は、「賢い子とは?」との問いに、「自分から『知りたい』と思える知的好奇心が旺盛な子どもです」と答えています。瀧教授によると、企業のトップや仕事ができる優秀な人は、たいてい好奇心旺盛で多趣味という共通点があるそう。反対に、何事にも無関心な人は、たとえ学力が高くて地位のある役職についていても、自分で考えたり創造したりする力に欠けていることがわかっています。瀧教授は、「好きなことに一生懸命取り組んだ子は、自分で自分の力を伸ばしていくことができる」と断言します。つまり、興味があることに対して努力とも思わず夢中になることができる子は、たとえ学校の成績に反映されなくても、いずれ必ず大きく成長できるのです。■物事を論理的に考えることができる文教大学教育学部教授で小児科専門医の成田奈緒子先生は、「親はつい学校の成績だけで頭の良し悪しを判断しがちですが、日々の生活の中で前頭葉が活性化されているかなど、脳の成長を確認することが大事です」と指摘しています。ある論文では、本当の頭の良さを「前頭葉をうまく使って、もっている知識を統合したり、何通りもの場合を考えたりして、漏れのない推論をつくり上げる論理的思考力」と定義していることから、成田先生は『論理的思考力』こそが真の頭の良さにつながっているといいます。同様に『論理的思考力』の重要性を説くのは、東進ハイスクールの現代文講師として活躍し、論理的な国語術に関する著書を多く執筆している出口汪先生。出口先生は「現代は世界中のありとあらゆる情報から、自分が本当に必要なものを選び、その真偽を確かめ、将来起こる事態を予想し、その対処法を考える力が求められる」ことから、論理的に考える力が必要不可欠だと断言しています。■自分で課題を見つける粘り強さがあるマニュアル重視の時代から、急速に「創造の時代」へと変貌を遂げた現代社会。「これからは自分で課題を見つけて、独自の解決策を編み出さないといけない」と強く主張するのは、『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』(PHP研究所)の著者・上田正仁先生です。自分で課題を見つけるには、ひとつのことをじっくり考える力が必要。つまり、粘り強く考えることができる子が、これからの「賢い子」だといえるでしょう。ほとんどの人は、人から与えられた課題をこなすことに終始します。それは、課題をもらうほうがラクだと考えているから。子どもたちの中にもそういうタイプは多く、上田先生いわく「自分で考えない回路」ができてしまっているそうです。「考える回路」を強くするには、知的に興奮する経験が欠かせません。そのためにも、たくさんの挑戦と失敗を繰り返して、自分で課題を発見できるようになりましょう。■物事を多面的にとらえる柔らかい思考をもっている心理学博士の榎本博明先生は、「本当の頭のよさって?」と聞かれて、「自分なりに思考し、物事を様々な角度からとらえることができ、認知能力、非認知能力ともに高いことです」と答えています。榎本先生によると、IQに代表される認知能力を高めるためには、「認知的複雑性」を高めることが大事だそう。認知的複雑性の低い子は、矛盾した情報を前にして混乱したり、考え方の違う相手に反発したりと、ものの見方が単純です。一方、認知的複雑性の高い子は、物事を多面的にとらえられるので、総合的な判断ができ、考え方の違う相手のことも理解できます。さらに、EQと呼ばれる非認知能力の高さも求められるとのこと。非認知能力とは、粘る力や自分の感情をコントロールする力、また人の気持ちや立場に対する共感性などを指し、この能力は勉強ではなく遊びや人間関係を通して身につくといわれています。■生きるために必要な力がしっかりと身についている脳科学者の茂木健一郎先生は、学力よりも大切なのは『地頭力』だと述べています。茂木先生いわく、地頭力とは「なにかに挑戦したり、問題を解決したり、変化に対応したりという、いわば生きるために必要な力」だそう。私たちを取り巻く環境など、変化の激しい時代だからこそ、新しいことにチャレンジしたり、柔軟な発想で変化に対応する力が求められるというわけです。また茂木先生は、「地頭力を育てずして学力だけを育てようとするのは、かなりリスクの高い戦略だということは、さまざまなデータでも明らかになっている」とも述べています。地頭力を身につけるには、早いに越したことはないのです。地頭力は、好きなものをとことん突き詰める場を与えたり、探求学習をさせたりと、日常生活でも充分鍛えることができるので、ぜひ取り入れていきたいですね。本当の「頭のよさ」ってなんだろう?最後にご紹介するのは、明治大学教授の齋藤孝先生による『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』(誠文堂新光社)という一冊。この本では、一生使えるものの考え方を身につけて、“頭のよさ” を磨いていく方法を子どもたちに伝授しています。『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』齋藤孝 著/誠文堂新光社(2019)齋藤先生はこの本の中で、「どんなに勉強ができても、人としてやっていいことといけないことの判断がつかないのは、本質的なところで頭がよくない」と述べています。さらに、子どもたちが学校を出てからの人生で求められる “頭のよさ” とは「社会的適応性」であり、現実社会の中でどう適応していくかが重要だとも説いています。そのためには、自分で考えて表現できる力や、自分の現状を把握して先を読む力、断片的な知識をつなげて考える力など、「生きるために必要な力」を身につける必要があります。本書ではより詳しく、今求められている「本当の頭のよさ」について解説しているので、ぜひお子さんと一緒に読んでみましょう。きっとこれまで思い描いてきた「頭がいい子・賢い子」のイメージが大きく変わるはずですよ。***学校の成績はもちろん大事です。しかし、テストで高得点をとることばかりに気を取られ、本当に身につけなければならない力をおろそかにすると、いずれ子ども自身が自分の道を見失ってしまうかもしれません。目先の点数や評価ではなく、もっと先の長い人生を見据えて子どもたちと向き合っていけたらいいですね。(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|家の中に生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること瀧靖之(2016),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.ベネッセ 教育情報サイト|世界最先端の脳研究が解き明かした!「賢い子」の育て方とは?洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.出口汪(2015),『子どもの頭がグンと良くなる!国語の力』,水王舎.洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.PHPファミリー|頭のいい子の土台は家庭がつくる齋藤孝(2019),『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?』,誠文堂新光社.
2019年12月23日親であれば、自分なりの「理想の子育て」というものを考えているでしょう。もちろん、それぞれにちがっていいものですが、子育てには不安がつきものです。自分の理想に自信を持てない人もいるかもしれません。そこで、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生に、先生ご自身の「理想の子育て」とはどんなものなのかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)自立するために必要な「困難を乗り越える力」脳科学をベースとして子育ての研究を続けるなかでわたしがいきついたのは、子育ての最終目標は「子どもを自立できる人間に育てること」です。どんなに勉強ができても、どんなにスポーツで優れた力を発揮できても、他人に依存しなければならない人間は、将来的にしっかり生きていくことができないからです。では、自立するためにはなにが必要なのかというと、そのひとつは「困難を乗り越える力」だと考えています。人は人生を歩むうえでいくつもの困難にぶつかります。それらを乗り越えられなければ、その先の人生を歩むことができません。ところが、いまの子育てを見ていると、その大切な「困難を乗り越える力」を育む場面をわざわざ奪っているように思えるのです。それはきっと、子どもに対する愛情からなのでしょう。子どもがつまずく前から困難を排除する――。そういう親が増えているのではないでしょうか。その場合、子どもは、親のそばにいるときには一度も挫折を味わうことなく成長していきます。でも、その子どもが親元を離れて社会に出たとしたらどうなるでしょうか。人生には困難にぶつかる場面が必ず訪れます。それが人生ではじめての困難だったとしたら……?過去に困難を乗り越えた経験が一度もないのですから、たった一度の挫折で心が折れてしまうということになりかねません。チャレンジに対してしっかり褒めることが大切子どもの「困難を乗り越える力」を育むには、大ケガをするといった本当に危険なこと以外の小さな困難を乗り越える経験を、小さい頃からどんどんさせてほしいと思います。そして、そのチャレンジに対してしっかり褒めてほしい。わたしには幼い息子がいます。わたし自身は子どもの頃からチャレンジ精神旺盛なタイプでしたが、息子は不思議なほど慎重派でした。そこで、妻とも話し合って水泳教室に通わせることにしたのです。通いはじめたばかりの頃、教室の先生は息子を抱いて5秒間くらい水のなかに潜らせました。もちろん、水から顔を出した息子はすごくびっくりしている。じつは、先生はちょっとこわもて……(笑)。でも、その先生が、息子が水から顔を出した瞬間、「すごいね!」「よく我慢できたね!」と、こわもての見た目からは考えられないくらいに褒めちぎってくれたのです。すると、息子はいまでいう「ドヤ顔」というか、まんざらでもない表情を見せました。おかげさまで、それ以降、すごく慎重派だった息子は新しいことにチャレンジしていくようになったのです。夫婦喧嘩が絶えなければ、子どもの対人スキルが育たないでも、いくら自立できる人間に育てることが大切だといっても、人はひとりでは生きていけません。他人の心がわかり、周囲といい関係を築いていけることも大切な力です。子どもをそういう人間に育てるには、なによりも夫婦関係を良好なものにすることを心がけましょう。それには、脳科学的なエビデンスがあります。どんなエビデンスかというと、人間の脳にあるミラーニューロンという神経細胞の働きです。みなさんの目の前に笑っている人がいたらどんな気持ちになるでしょうか。あるいは怒っている人ならどうでしょう。前者なら幸せな気持ちになって、後者なら嫌な気持ちになるはずです。つまり、目の前の人間の行動を見て、自分も同じ行動を取っているかのように反応するわけです。これがミラーニューロンの働きです。では、両親が子どもの前でつねに喧嘩をしていたとしたら?子ども自身は喧嘩をしていなくとも、心はつねに誰かと喧嘩をしているときと同じ影響を受けるのです。そして、その子どもは、将来的に人間関係の問題を起こしやすくなるというわけです。また、ニューヨーク大学の研究によれば、両親が暴力的な家庭に育った子どもは、他人の感情を読む力が衰えるということもわかっています。心を閉ざし、暴力的な親など他人の感情を読まないことで自分を守ろうとしているのです。これでは、大人になったときに周囲と良好な関係を築けるはずもありません。子どもの長所に目を向けて自信を持たせるそれから、夫婦喧嘩をしないことのほかに、子どもの長所に目を向けてあげることも親の大切な役割です。謙虚であることがいいとされる日本文化の影響なのか、「うちの子はなにをやらせても駄目で……」といったことをいう親も多いものです。でも、考えてみてください。あなたの目の前につねにあなたに駄目出しをする人がいたらどうでしょうか。嫌な気持ちになるし、どんどん自信を失っていくでしょう。「うちの子はなにをやらせても駄目」という親は、自分の子どもに対してそれと同じことをしているわけです。そうではなく、子どもの長所に目を向けて、その長所を子どもに伝えてあげる。それこそが、親がやるべきことです。わたしが講演会で親御さんたちによくやってもらうのが、「10分間で20個の子どもの長所を書き出す」ということ。これをやると、子どもの見方がまったく変わります。最初は、勉強やスポーツに関することなど、わかりやすいところに目が向くのですが、20個を書き出すとなると、「嫌な顔をせずにお手伝いをしてくれる」「友だちと仲良くできる」というふうに、普段はあまり意識していない点についても目を向けることになります。そして、その長所を子どもに伝えてあげるのです。直接話してもいいですし、書き出したものを子どもの目につくところに貼ってもいいでしょう。それを見た子どもは、それこそ自立して生きていくために必要な自信を身につけてくれるはずです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月12日子どもが成長するにつれ、徐々にそれぞれの性格がはっきりしてきます。でも、なかには、親からすれば「困った」と思うような性格もあるでしょう。そんな子どもの性格の「困った」に答えてくれるのは、著書の『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』(ダイヤモンド社)で注目を集める脳科学者・西剛志先生です。「集中力がない」「聞き分けがない」「内気」という3つのケースについて、親がどうするべきかというアドバイスをしてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/和知明(インタビューカットのみ)脳が未発達の子どもは集中力がなくてあたりまえ多くの親御さんから寄せられる悩みとして、「子どもの集中力がない」というものがあります。集中力を司る脳の前頭前野という部分は28歳くらいまでの長い時間をかけて発達していくものですから、子どもの前頭前野はそもそも未発達です。つまり、子どもは集中力がなくてあたりまえなのです。でも、そうはいっても、すごい集中力を発揮する子どももいますよね?電車が好きな子どもなら、飽きずにずっと電車を眺め続けます。そういう子どもがなにに集中しているかというと、間違いなく自分が好きなことなのです。つまり、たとえ前頭前野は未発達の子どもでも、自分の好きなことならしっかり集中できる。そうして集中することが、集中力を育む最適なトレーニングとなります。であるならば、親としては子どもの好きなこと、やりたいことをきちんと見つけて、没頭させてあげることが大切になります。逆にいうと、子どもがやりたくもない習い事を親のエゴで無理やりやらせるようなことはNGだということです。それから、親のNG行為としては、子どもにむやみに介入することも挙げられます。せっかく子どもが自分の好きな遊びに集中しているのに、つい「面白そうだね」なんて一緒に遊ぼうとしてはいませんか?その都度、子どもの脳の集中は途切れますから、これは、わざわざ親が子どもの集中力を育む邪魔をしているということなのです。子どもがなにかに黙々と取り組んでいるときは、親はそっと見守るように心がけてください。また、集中力がなく飽きっぽい子どものなかには、単純に頭がいいという可能性もあります。おもちゃを与えてみてもすぐに飽きてしまう。それは、頭がいいためにそのおもちゃでの遊び方をすぐに学習してしまうからということも考えられるわけです。聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすいまた、「うちの子は聞き分けがない」というのもよく寄せられる悩みです。親の立場からすれば、聞き分けがない子どもはわがままに映って困ってしまうものですよね。ですが、ちょっと意外な研究データがあります。ドイツのヘッツァーという心理学者の研究なのですが、「聞き分けがない子どもほど社会的に成功しやすい」というのです。親の目にはただのわがままに映っているような子どもも、子ども本人からすればそうではない場合もあります。それは、子どもが自分の考えをきちんと持っていて、親の話に納得していないという場合です。自分でしっかり考えることができるのですから、将来的に成功を収める可能性が高いというのも納得できる話ですよね。そういう子どもに対しては、親の考えをしっかり伝えることが大切です。なにかを禁止するにしても、「○○しちゃ駄目」というだけではなく、なぜ駄目なのか、その理由をきちんと伝える。そうすれば、自分の考えを持っているような頭のいい子なのですから、しっかり理解してくれるはずです。とにかく、「聞き分けがないことは悪いことだ」と決めつけてはいけません。ただ、そうはいっても、聞き分けがないことで家族以外の他人に迷惑をかけるようなことは問題ですから、その点だけはきちんとしつける必要があるでしょう。もうひとつの注意点は、先の話を受けて、「うちの子は聞き分けがないから成功する」と早合点してはいけないということ。聞き分けがない子どもになることの要因として、カロリー不足、睡眠不足、愛情不足の3つの不足が挙げられます。もしかしたら、自分の考えをしっかり持っているのではなく、それら3つが不足しているだけかもしれません。しっかりご飯を食べさせて、睡眠時間を確保し、親子のスキンシップを取ってください。内気な子どもほど内的なエネルギーに満ちている最後に、「内気な子ども」のケースを取り上げておきましょう。いつからか「明るいことがいい」「ポジティブであることがいい」という時代になったことで、子どもが内気なことを心配している親は意外なほど多いものです。ただ、これも聞き分けがないことと同じように、心配しすぎる必要はありません。内気な子どもは、「内面的才能」が高い可能性が考えられるからです。内面的才能とは、「自分の心を深く掘り下げる能力」のこと。そんな子どもは、幼少期のときには口数も少なくてひとりで遊ぶようなことが多いという傾向があります。そして、そのなかで高い創造力を身につけ、将来はクリエイティブな仕事で力を発揮するということもある。あるいは、自分の心を深く掘り下げられると同時に他人の気持ちもわかるので、カウンセラーなどの仕事に向いているということもあります。また、内気な子どもほど内的なエネルギーが強いという研究もあります。ひとりで遊んでも十分に楽しめるというのは、エネルギーに満ちていると見ることもできます。一方、明るく外交的な人はどうかというと、他人と会って他人からエネルギーをもらってはじめて楽しいと思える。自分自身で楽しみを生み出すような強いエネルギーを持っていないのです。たとえ内気であっても、そんなエネルギーに満ちた子どもなら、内面的才能によって自分の心を掘り下げ、「これだ!」と思う目標を見つけたときには、それに向かって力強く進んでいけるでしょう。いずれにせよ、「内気なことは良くないこと」という先入観を親はいますぐに捨てるべきです。内気な子どもには内気な子どもだからこそ持つ力があるのです。『脳科学的に正しい 一流の子育てQ&A』西剛志 著/ダイヤモンド社(2019)■ 脳科学者・西剛志先生インタビュー一覧第1回:家のなかに生活感を!子どもの「創造力」を伸ばすために親ができること第2回:お手伝いで子どもの「自制心」が育つ“脳科学的メカニズム”第3回:集中力がない、聞き分けがない、内気。子どもの性格の「困った」はどうする?第4回:子どもを自立できる人間に育てる――脳科学者が考える「理想の子育て」【プロフィール】西剛志(にし・たけゆき)1975年4月8日、鹿児島県出身。脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表。LCA教育研究所顧問。東京工業大学大学院生命情報専攻修了。2002年に博士号を取得後、(一財)知的財産研究所に入所。2003年に特許庁入庁。大学非常勤講師を兼任しながら、書籍出版、雑誌掲載、ノーベル賞受賞者との対談、世界旅行、結婚、当時日本に1100人しかいない難病の克服など、多くの夢を実現。その自身の夢をかなえてきたプロセスが心理学と脳科学の原理に基づくことに気づき、いい人生を歩むための脳科学的ノウハウを企業や個人向けに提供するT&Rセルフイメージデザインを2008年に設立。現在は、脳科学を生かした子育ての研究も行う。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年12月11日