『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』で知られるスタジオジブリが、5月19日(金)、公式サイトにて宮崎駿監督の新作長編アニメーション映画制作のためのスタッフ(新人)募集を開始した。2013年公開の長編アニメーション『風立ちぬ』で、長編映画の制作から引退することを正式に発表した宮崎監督。だがその後も、ジブリ美術館用の新作短編アニメ「毛虫のボロ」を制作するなど現場に立ち続け、2016年には、NHKで放送された特別番組「終わらない人 宮崎駿」の番組内で長編映画制作の企画があることが放送され話題を呼んでいた。また「Oscar Week 2017」では鈴木敏夫プロデューサーが、宮崎監督の長編映画制作復帰に言及し、本格的な復帰が期待されていた。そして本日、公式サイトにて宮崎監督の新作長編アニメーション映画制作のためのスタッフ募集が公表。サイトでは「すでにテレビ等でご存じかと思いますが、宮崎駿監督は最後の長編アニメーション映画に取り組み始めました」と明言され、新作が本格始動することが決まった。「『風立ちぬ』から4年、三鷹の森ジブリ美術館のための短編映画『毛虫のボロ』で、若いスタッフと共に苦手なCG技術にも野心的に向き合い、ついに完成させました。一方、この間、昔からの大切な仲間を何人も亡くし、自分自身の終焉に関してより深く考える日々が続きました」「ここに至り、宮崎監督は『引退撤回』を決断し、長編アニメーション映画の制作を決めました。作るに値する題材を見出したからにほかなりません。年齢的には、今度こそ、本当に最後の監督作品になるでしょう」と、今回の経緯が報告されている。さらに「この映画制作完遂のために、若い力を貸して下さい。期間は3年間です。一緒に制作に加わってくださる方を募集します」と熱い想いが綴られている。今夏には、スタジオジブリ出身の米林宏昌監督&西村義明プロデューサーで贈る『メアリと魔女の花』が公開予定であり、今後も日本のアニメーション作品が世界中のファンを魅了してやまないだろう。(text:cinemacafe.net)
2017年05月19日去る2月27日、第89回アカデミー賞授賞式の終了直後に『レッドタートル ある島の物語』が長編アニメーション映画賞にノミネートされていた「スタジオジブリ」鈴木敏夫プロデューサーに、ライブ配信サービス「LINE LIVE(ラインライブ)」が現地で直撃。そのインタビューと記者懇談会の模様が配信された。まさかのハプニングで幕を閉じた第89回アカデミー賞授賞式。「スタジオジブリ」初の海外共同制作作品『レッドタートル ある島の物語』は長編アニメーション映画賞にノミネートされ注目を集めていたが、栄冠は『ズートピア』に。授賞式終了後、「LINE LIVE」で生配信された記者懇談会&独占インタビューで、鈴木プロデューサーは「今回は期待していた」と残念がった。「ジブリでプロデュースして、制作現場はフランス、スタッフはヨーロッパの方々。その組み合わせも面白いし、近ごろ騒がしい映画が多い中、こういう静かな映画っていうのは人の目をひくんじゃないかなと思っていた」と悔しさをにじませながらも、「僕自身は英語ができないんですけど、発表の直前まで、どうやってしゃべろうかなって考えてたんですよ(笑)」と明るく答えた。そして、長編アニメーション映画賞を受賞したディズニーの『ズートピア』については「大好きな映画」と明かし、「ディズニーの方からのお願いで日本公開前に作品を観たら、すごくいい映画だなって感動しちゃってね。だから戦わなきゃいけなくなったのは、つらかったよね」と正直な気持ちを激白。「『レッドタートル』に獲ってほしかったけど、好きな映画だったから納得した」と語った。2年ぶりの授賞式への出席については、「結構楽しめた」とのこと。「ハリウッドがトランプさんのことをどう思っているか、政治的メッセージもところどころにあったし、若いころのすごく大事な映画だった『俺たちに明日はない』のウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが出てきたときはグッときた」とうれしそう。ファンだったというスカーレット・ヨハンソンを生で見た感想は、「パッと見てびっくりした。映画のイメージと実際の彼女の間にギャップがあった。会わないほうがよかったかな(笑)」と語り、授賞式については満喫した様子だ。また、宮崎駿監督の復帰について質問があがると、「それはわからない。引退を発表してからもいろんな企画を出す人なんですよ。最近もね。だから延々続くんですよね」と返答。三鷹の森ジブリ美術館の上映用に宮崎監督が制作中のショートフィルムについては「まもなく完成する」と明かし、「最初は10分と言ってたけど、もう少し長くなる予定。さすがおもしろいものになっている」と太鼓判!この作品で宮崎監督がCGを取り入れたことについては、「CGがあがってくると、それはダメだって手で描いちゃう。CGでできないことを要求しちゃうんだよね。でも、短編の中には結構CGが入ってますよ」と言及。その完成が楽しみになる言葉を寄せている。(text:cinemacafe.net)
2017年03月02日昨年9月に公開されたスタジオジブリ作品、">『レッドタートルある島の物語』。この度、本作が米国アカデミー賞・長編アニメーション映画部門(Animated Feature Film)にノミネートされたことを記念して、全国5都市5劇場で1週間限定の再上映が決定した。嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れた――。スタジオジブリの長編作品の最新作として製作された本作品は、『岸辺のふたり』で米国アカデミー賞短編アニメーション映画賞を始め、高い評価を得たマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の長編初監督作品。本作はそんなわずか8分30秒で丹念に父娘の絆を描ききった短編『父と娘』(旧邦題『岸辺のふたり』)を観たスタジオジブリ・プロデューサー鈴木敏夫の「同監督の長編を観てみたい」という気持ちが本作の出発点となり、ヴィット監督は尊敬する高畑勲監督から助言を受けることを条件に快諾。そして高畑監督のもとスタジオジブリとシナリオ・絵コンテつくり、また音楽にいたるまで打ち合せを重ね、アニメーション製作の作業はフランス中心に行い構想10年、製作8年をかけ完成に至った。本作は、すでに第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞、第44回アニー賞でインディペンデント長編アニメーション映画賞を受賞。スタジオジブリとしては『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』に続き4年連続のノミネートとなっており、今回の米国アカデミー賞にもますます期待がかかる。『レッドタートルある島の物語』米アカデミー賞ノミネート記念上映は2月25日(土)~3月3日(金)の期間で札幌シネマフロンティア、TOHOシネマズ 日本橋、TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ、TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ 天神にて上映。(cinemacafe.net)
2017年02月15日仕事をしているなかで、「自分なりの意見」や「自分らしさ」「自分にしかできないこと」にこだわっていませんか?実はそれは、自分を苦しめる原因かもしれません。今回ご紹介する『自分を捨てる仕事術』(石井朋彦著、WAVE出版)の著者は、現在アニメーションのプロデューサーとして第一線で活躍する人物。21歳のときスタジオジブリに入社し、鈴木敏夫氏のもとでプロデューサー補をつとめていました。鈴木氏といえば、スタジオジブリでいくつもの映画をヒットさせた名プロデューサーです。鈴木氏は著者に対し、繰り返し「自分を捨てろ」と言ったそう。自分を捨ててひたすら他人の真似をすることで、人生における学びがあり、仕事を楽しむこともできるといいます。そして、どうしても真似できないと思うところが、その人の個性になるのです。きょうは本書の中から、著者が鈴木氏から教わった実践的な仕事メソッドをピックアップしました。■1:人に伝える文章はテーマを明確にする文章を書くときは、「何が言いたいのか」というテーマを明確にする必要があるといいます。これは当たり前のように感じるかもしれませんが、鈴木氏の手法は具体的です。まず今自分が考えていることや言いたいことを紙に書き出します。その後で並べた要素を客観的に見直し、その要素のなかでひとまとまりにできるものをまとめていきます。一番要素が多かったものが自分の一番言いたいことでありテーマということ。そのため、テーマ以外のものは思い切って外してしまいます。そして、文章は「当たり前のまとめ」をしないこと。たとえば『天空の城ラピュタ』を「夢と冒険の物語」と書いたら、どんな映画にも当てはまるものになってしまいます。ところが、「バスーとシータは、天空に浮かぶ城・ラピュタへ向かった」としたら、読む人が想像を膨らませることができるでしょう。そして、結果として『夢と冒険の物語』であるということは伝えられるのです。人に伝える文章にするためには、とにかく具体的に、そして固有の表現や言葉を積み重ねることが大切です。■2:スケジュールには余白をつくる著者は鈴木氏のスケジュール管理を任されていました。先方から鈴木氏へのアポ依頼があったときは、複数のスケジュールを出さず、都合のいい時間を1カ所だけ指定していたそう。それによって自分の思い通りにスケジュールを組むことができるのです。これは鈴木氏だからできることだという見方もありますが、極力自分の都合で予定を出した方が先方も対応しやすくなるといえるでしょう。著者自身も現在この方法を実践しているといいます。また、予定を立てるときには必ず「余白」を作っているそう。毎朝業務が始まるまでの1時間のほか、月曜の午後と水曜の午後に2時間ほどスケジュール表に「空けておく」と書いて予定を入れないようにします。月曜はその週にやるべき仕事について考え、水曜は煩雑になった思考を整理するために充てているといいます。じっくりと考える時間を作ることで対策を練ったり、問題を解決することができるのです。忙しいというのは仕事の量というより、精神的にキャパオーバーになっている状態。毎朝課題を種類別に分けて、あまり時間のかからないことならどんどん片付けていくと、頭の中にも余白が生まれます。それによって集中して考えたり、正しい判断を行ったりすることができるのです。■3:話すときは全体像を明確に伝える鈴木氏の話は、ものすごく論理的でも独創的な発想を語るわけでもないのに、その場にいる人を引き込む魅力があるといいます。鈴木氏は話の前に必ず「大きく3つあります」と言います。これによって聞く人がこの話はどれくらいの分量なのかと理解できます。全体像がわからないで聞いていると人はイライラしてしまうのです。事前に話すことをまとめておくのはいいことですが、丸暗記はNG。丸暗記をするとひとつ忘れた時にその後を完全に見失ってしまいます。8割くらい覚えたらなんとなく頭の上に小分けした記憶を放り投げておくというのが鈴木氏流。相手の反応を見て次に話すことを考えればいいのです。忘れてしまうことはむしろその場では必要なかったものです。また、本題に入る前には必ず場をあたためるために話す雑談「枕」が必要。枕が仕事の話につながったり、言いにくい話でもいい反応を得られたりすることもあります。打ち合わせなどがあるときは、事前にいくつかネタを考えておくとよいでしょう。*本書には著者が記録した鈴木氏の言葉がふんだんに盛り込まれています。そのなかのひとつに、「自分のモチベーションとか、成功とか、自己実現とか、そういうものにこだわりすぎる人は、どんどん心が狭くなる」という言葉があります。自分を捨てて、誰かのために仕事をすることで今までとは違う世界が見えてくるかもしれません。(文/平野鞠) 【参考】※石井朋彦(2016)『自分を捨てる仕事術』WAVE出版
2016年09月23日スタジオジブリ待望の最新作『レッドタートル ある島の物語』は同スタジオにとって、初の海外共同制作。米アカデミー賞短編アニメーション映画賞に輝いた『岸辺のふたり』にほれ込んだ鈴木敏夫氏が、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督に長編制作をオファーしたのは10年前のことだ。長編制作の経験がないヴィット監督は「尊敬する高畑勲監督から助言を受けること」を条件にオファーを快諾。「人生最大の感激でした。私自身は短編アニメーションを独立したアートだと捉えていました。これまでに長編の話はほかからもありましたが、ジブリだからこそ、一緒に長編を作りたいと思ったのです」(ヴィット監督)シナリオや絵コンテ作り、効果音や音楽に至るまでジブリ側との濃密な打ち合わせを経て制作を進めていき「結果的には高畑さんの『かぐや姫の物語』がもつ8年という記録を更新して(笑)、10年かかりましたけど。僕は待つのは苦ではない。週刊誌出身の人間だから、長い時間をかける映画に憧れていましたし」(鈴木氏)2010年にはヴィット監督が来日し、小金井市のスタジオジブリ近くに部屋を借りた。約4週間の滞在で、高畑氏と直接やりとりを交わし、作品の世界観を深めていったのだ。本編が完成したのは今年の3月。無人島に漂着した男の孤独なサバイバル、そして突然目の前に現れた女性との愛の軌跡を81分間、全編セリフなしで描く本作について、ヴィット監督は「自然と人間が向き合う姿を通し、自然への尊重と人間の尊厳を伝えたかった」という。今月はじめに行われた完成披露試写会の席では、高畑氏も「優れた作品ができて安心している」と太鼓判を押した本作。「たった1人で制作を進める短編とは違い、今回は個性あふれるアーティストたちを束ねて、実力を発揮してもらう過程に不慣れさも感じつつ、人と人との信頼関係の大切さを改めて学びました。それはジブリとの関係性にもあてはまります。当初、私たちの間には契約書もなく、ただ信頼の念があったのです」(ヴィット監督)男はどこから来たのか?突然現れた女性の正体は?そしてレッドタートル=赤い亀が意味することとは?謎は謎のままに、観客の想像力に委ねるスタイルは「実は宮崎駿の作品に似ているんじゃない?一見、わかりやすくても非常に複雑な構造で、すべてを説明するわけじゃないですから」と鈴木氏。結果的に『思い出のマーニー』以来2年ぶりのジブリ作品となり「いいタイミングでマイケルが作品を完成させてくれた」と本音を語る。「宮崎さんは長編を引退しましたが、現在は(三鷹の森ジブリ)美術館で上映する短編を作っていますし、スタジオにはスタッフもいて、企画も出てきている。いまはそれをどう進めるか考えている段階です。時代が手描きからCGに移行するなか、大きな転換期にあるのは事実ですが、どんな手法であれ面白い作品をつくっていきたいですよ」(鈴木氏)(photo / text:Ryo Uchida)
2016年09月15日現在、第38回PFFぴあフィルムフェスティバルが開催中の東京国立近代美術館フィルムセンターで9月13日、「PFF講座シリーズ 映画のコツ~こうすればもっと映画が輝く~」が行われ、スタジオジブリの鈴木敏夫氏と、昨年『恋人たち』が絶賛を浴びた橋口亮輔監督が“新しい表現”をテーマに対談。鈴木氏は「今の日本映画は表現が説明過多で、うんざりしちゃう」と苦言を呈した。その他の写真また、2年前に公開された『思い出のマーニー』に関しては、「誇張して言えば、決定稿の厚さが初稿の3倍くらいになっていて、がく然とした。あらゆることを説明していて、心の声もセリフにしてしゃべっている。なんで、いちいち説明するのかなと思った」と振り返った。ジブリにとって、初の海外共同製作となる最新作『レッドタートルある島の物語』(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)に話題が及ぶと、橋口監督は「過剰な表現をしておらず、セリフもない。シンプルだからこそ勇気が要ったはず。よくジブリでお作りになったと思うし、話題になっているヒット作の対極にある、ストイックな美しさがある」と同作を絶賛。「よく東宝が150館で公開しますね」(橋口監督)、「僕もびっくりしている。そもそもはマイケル監督の長編が心の底から見てみたいという出来心だったんだけど」(鈴木氏)と話していた。この日はアンドリュー・ヘイ監督(『さざなみ』)が2011年に製作し、ゲイクラブで出会った青年2人の奇跡の週末を描いた『ウィークエンド』が上映され、橋口監督は「この作品と『さざなみ』を見比べると、表現のレベルアップを感じる。やはり、作家としての根っこがある人はグーンと飛躍する」と感嘆の声。鈴木氏も「すごくいいラブストーリー」と高く評価していた。第38回PFFぴあフィルムフェスティバル9月10日(土)から23日(金)まで東京国立近代美術館フィルムセンター(月曜休館)10月29日(土)から11月4日(金) まで京都シネマ11月3日(木・祝)から6日(日) まで神戸アートビレッジセンター11月11日(金)から13日(日) まで愛知芸術文化センター2017年4月福岡市総合図書館取材・文・写真:内田 涼
2016年09月13日スタジオジブリの設立から30年の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」が、9月11日に67日間の会期を終え、盛況裡に閉幕。この度、入場者数が502,854人にものぼり、六本木ヒルズ展望台東京シティビューの展示で過去最高記録を樹立したことが分かった。本展は、『風の谷のナウシカ』から9月17日(土)公開の最新作『レッドタートル ある島の物語』まで、これまでのジブリ作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料を展示。名作たちがどのように生み出され、世に出て行ったのかをふり返ることができ、また、六本木会場ならではの眺望を活かした構成。さらに、開催直前にはプロデューサー・鈴木敏夫の意向で本企画展の入場料が値下げされるなど、注目を集めた。7月7日に開幕すると、世界中で愛されるジブリの歩みを見ようと、国内外から多くの人が来場。ポスターやコピーが出来上がる過程の資料や、フォトスポットとして人気を博した「猫バス」、東京シティビューならではの眺望を生かしたダイナミックな展示など、様々な年代の心を魅了した。東京シティビューに隣接するカフェ&レストラン「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOON」の Cafe Area 「THE SUN」では、本展の開催を記念し、ジブリの世界観を表現したオリジナルメニューを展開。『魔女の宅急便』を思い起こさせる「ニシンとカボチャのパイ」は発売と同時に話題となり連日ファンの人気を博した。この度、大盛況のうちに閉幕した本企画の入場者数が発表。502,854人が来場し、一日当たりの平均入場者数は約7,500人と、東京シティビューで開催された展覧会では過去最高の入場者数を記録。ファン待望の長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』に向けて、“スタジオジブリ熱”が大きく盛り上がった結果となった。『レッドタートル ある島の物語』は9月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月12日スタジオジブリの最新作『レッドタートル ある島の物語』の試写会が9月10日(土)に開催され、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーが上映前に講演を行い、本作の製作過程に加え、過去のジブリ作品における宮崎駿監督とのエピソードを次々と暴露し会場を沸かせた。本作はジブリにとって初めての海外のスタジオとの共同作品で、オランダ在住で、『岸辺のふたり』でアカデミー賞最優秀短編映画賞を受賞した経験を持つマイケル・デュドゥク・ドゥ・ヴィット監督を迎えて製作。ある無人島に流れ着いた男性とそこに現れた女性の物語をセリフなしで紡ぎ出していく。鈴木さんは、本作について講演の序盤からネタバレを恐れぬトークを展開。男性、女性、そして亀が何を表しているのかなどについて、映画を見る前の観客に説明しようし、司会者から慌てて制止される。それでも、「みなさん、薄々わかってますよね?なんとなくわかりますよね?」とどこ吹く風で奔放なトークを展開し、会場は笑いに包まれる。話は本作だけでなく、スタジオジブリの設立の秘密、数々の過去の名作の製作の秘話にも及ぶ。現在、小金井市にある同スタジオだが、なぜ小金井に設立されることになったのか?鈴木さんは宮崎監督との物件探しの思い出を述懐。「宮さんが、そこ(※小金井の現在のジブリのある場所の近く)に僕を連れてきて、ある家を指して『ここ、初恋の人の家』って言うんですよ。しかもその人にはフラれたそうで、武蔵境の駅までトボトボ歩いて帰ったんだって(笑)。宮さんは『鈴木さん、その道を2人で歩こうよ』って言うんです。バカじゃないかと思ったけど、本人はあの日に帰って思い出に浸ってるの(笑)。その近くに空き地があり、そこをジブリにしようかってなった」と宮崎監督の初恋がジブリの移転先に大きく影響を及ぼしたことが明かされた。このほか、『魔女の宅急便』は当初の脚本では、クライマックスの飛行船が墜落しかけ、トンボをキキが救うというシーンはなかったそうで、鈴木さんが、経営者の視点から観客をより多く動員すべく入れさせたのだと告白。「最初は全スタッフから『なんでそんなシーンを宮さんに描かせるのか?』と総スカンでしたよ」とふり返る。また『となりのトトロ』でも、宮崎監督の最初の構想では「冒頭からいきなりトトロが登場して大活躍するってことになってた(笑)」とのこと。「宮さんが『どうかな?』と言うから『ダメです』と言いました(苦笑)。サービス精神が過剰なんですよ。そこで『E.T.』だと真ん中くらいから(E.T.が)出てくるし、それまではチラ見せだって言いました。そうしたら、『じゃあ真ん中からだ』って(笑)」と豪快すぎる(?)作品作りの過程を明かす。また鈴木さんは、そうした2人のやり取りに関して「スタッフ全員が聞いてるんですよ。それを全く意に介さないところがすごい!創作に関してはすべてオープンなんです」と宮崎監督の製作のスタンスについて明かし「誇張して面白く言ってるように思われそうですが本当なんです!」と強調。「ホントの天才ですよ。長い付き合いだけど、いまだに飽きない」と改めて、その人間性も含めた宮崎監督の凄まじさについて改めて語っていた。。『レッドタートル ある島の物語』は9月17日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月11日映画『レッドタートル ある島の物語』の公開記念して実施されている「スタジオジブリ総選挙」。この度、本日9月5日(月)にもう一度スクリーンで観たい作品1位を、視聴者のコメントと一緒に予想する番組「みんなで予想しよう!『スタジオジブリ総選挙SP』」がライブ配信サービス「LINE LIVE」にて配信される。スタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』は、わずか8分間という短編にもかかわらず、父娘の愛おしい絆を丹念に描き世界中を静かな感動で包み込み、アカデミー賞短編アニメーション映画賞など世界各国の賞を多数受賞した『岸辺のふたり』(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)を観たスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫 の、「この監督の長編を観てみたい」という想いが本作の出発点となった。本作は、マイケル監督が尊敬する高畑勲監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまでやり取りをしながら、実に8年の歳月をかけて完成させ、スタジオジブリとしては初めてカンヌ国際映画祭へ出品、特別賞を受賞した。そして、そんな本作の公開を記念して行われる『風の谷のナウシカ』から『思い出のマーニー』までの21作品からスクリーンで観たい作品を投票し、投票数が最も多かった1作品を劇場で上映する「スタジオジブリ総選挙」。現在8月13日~20日までの中間発表では上位5作品は『風の谷のナウシカ』を始め、『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』といったお馴染みの作品がラインナップされている(公開年順)。今回配信される番組では、20代、30代、40代の年代別出演者の色々なマイ・ベスト・ジブリも発表! 自分のお気に入り作品は登場するのか予想しながら楽しんでみて欲しい。また、スタジオジブリプロデューサー・鈴木氏がスペシャルゲストで登場。ユーザーのコメント次第でジブリ作品の裏話も聞ける…かも!?「みんなで予想しよう!『スタジオジブリ総選挙SP』」は9月5日(月)22時15分~LINELIVEにて配信。(cinemacafe.net)
2016年09月05日アニメーション監督の高畑勲氏が9月1日(木)、都内で行われたスタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』の完成披露試写会に、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督、プロデューサーの鈴木敏夫氏とともに出席した。ジブリにとって初の海外共同製作作品である本作で、アーティスティック・プロデューサーを務めた高畑氏。およそ10年前にジブリ側から長編製作のオファーを受けたヴィット監督が、「尊敬する高畑勲監督から長編映画の制作全般について助言を受けること」を条件に快諾したことがきっかけだ。実際に制作中には、高畑監督が参加し、シナリオ、絵コンテ作りから効果音や音楽に至るまで何度も打ち合わせを重ねて、8年もの歳月をかけて完成させた。挨拶に立った高畑氏は、「こんな立派な役職…。それほどの役割は果たしていませんし」とアーティスティック・プロデューサーという肩書に少々居心地が悪い様子。それでも「初めての経験で、面白さもあった。あくまでマイケル監督の考えを尊重すべきだと思ったし、(結果的に)優れた作品ができて安心している」と本作に太鼓判を押した。そんな高畑氏の言葉に、ヴィット監督は「私自身も、この映画を誇りに思っている」と感無量の面持ち。「現場は主にフランスやベルギーのスタッフでしたが、思いは常に高畑さんや鈴木さんにあった。初めての長編で多くのことを学びましたし、ジブリの皆さんがインスピレーションの源だった」と感謝を伝えた。企画の発端となった鈴木氏は、「あれから10年。こんな大ごとになるなんて」と時の流れをしみじみふり返っていた。『レッドタートル ある島の物語』は、9月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月01日スタジオジブリにとって初の海外共同製作映画となった『レッドタートル ある島の物語』の完成報告会見が9月1日(木)、都内で行われ、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督とプロデューサーの鈴木敏夫氏が出席した。短編作品『岸辺のふたり』でオスカーに輝いたヴィット監督に対し、鈴木氏が「どうしても長編を観たい」と熱烈オファーし、構想から完成までに10年を費やした本作。無人島に漂着した男の孤独と再生を、謎めいた赤いカメとの出会いを通して、幻想的に描き、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」の特別賞を受賞した。今月開催される第41回トロント国際映画祭の「ディスカバリー部門」への出品も決定している。シブリからのオファーについて、「人生最大の感激でした。有頂天になり、地上1mを浮いて、歩いているようだった」とふり返るヴィット監督。「主人公が自然を受け入れ、どうその一部になるかという物語を通して、自然に対する敬意を感じてもらえる作品にしたかった。同時にシンプルなラブストーリーになればと思った」と本作に込めたメッセージを語った。鈴木氏によると、宮崎駿監督が本作を鑑賞しているといい「マイケルにねぎらいの言葉をかけると同時に、日本のアニメに一切影響を受けていない点が見事だと言っていた。何よりすばらしいスタッフで、すばらしい作品を作っている。『おれもこのスタッフが欲しい』と言っていましたね。もう(長編を)引退したのにね(笑)」と作品を絶賛していると明かした。同時に、スタジオジブリの現状について「デジタルの波が押し寄せるなか、スタジオとしても厳しい選択肢を迫られている」と説明し、「現在、宮崎駿が短編で挑戦している手描きとCGの融合や、今回のように企画にだけ参加するなど、今後しばらくは流動的な製作が続くことになる」と語っていた。『レッドタートル ある島の物語』は、9月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月01日スタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』を手がけたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が8月31日(水)、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。5月に開催された第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に正式出品され、特別賞を受賞した本作。短編作品『岸辺のふたり』で第73回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞したヴィット監督に対し、2006年秋にジブリ側が長編製作をオファーし、構想10年、制作に8年を費やし完成した。高畑勲氏がアーティスティック・プロデューサーとして携わっているが、「ジブリ作品に共通するのは、繊細さと大人っぽさ。ただ、仮に“ジブリの美学”というものがあるとしても、それを模倣しようとは思わなかった」とヴィット監督。それでもシナリオ作りの過程では、当時住んでいたイギリスから日本の土を踏み、高畑氏と直接やりとりを交わしており「高畑監督の『ホーホケキョとなりの山田くん』は俳句のような作品、自分が目指すべきものに近かった。自然に対する敬愛や、人間のあり様というテーマも(高畑作品と)通底していると思う」と語った。映画は荒れ狂う海に放り出され、無人島にたどり着いた男のサバイバルと、突如目の前に現れた女性と交わす愛の軌跡を描いた81分間の作品。叫び声などを除き、明確なセリフは一切なく「当初は少しだけセリフがありましたが、ジブリとの話し合いで『むしろセリフがないほうが、強い作品になるはず』という結論に至りました。監督として怖さもありましたが、最終的にはベストな判断だった」と意図を説明した。記者席の最後列では、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが会見の様子を見守っていたが、外国人記者から「今後も海外の監督を招いて、作品を製作する予定はあるか」と質問が飛ぶと、マイクを握り「今回は、純粋にマイケルは特別だったという気がします。もともと彼の短編が大好きだったし、そのマイケルが長編を作ったらどうなるんだろうとう好奇心があった。今後についてはだから『出会いがあるかどうか』だと思います」と展望を語っていた。『レッドタートル ある島の物語』は、9月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月01日米「Variety」誌が選ぶ「2016年に注目すべきアニメーター10人」の1人に日本人で唯一選ばれた映画監督・新海誠の最新作『君の名は。』。公開を8月26日(金)の目前に控え、映画をひと足早く観たスタジオジブリ・プロデューサー鈴木敏夫、映画監督・岩井俊二ほか各界の著名人から絶賛のコメントが届いた。千年ぶりとなる彗星の来訪を1か月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。戸惑いながらも、念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。「不思議な夢…」。一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。彼らが体験した夢の秘密とは。出会うことのない2人の出逢い。少女と少年の奇跡の物語がいま動き出す――。夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語を、圧倒的な映像美とスケールで描く本作。『千と千尋の神隠し』など数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた安藤雅司が作画監督を務め、キャラクターデザインを『心が叫びたがってるんだ。』のアニメーター・田中将賀、主題歌を含む音楽を、唯一無二の世界観と旋律で熱狂的な支持を集めるロックバンド「RADWIMPS」が担当し、日本最高峰のスタッフが集結。キャスト陣にも、神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、島崎信長、石川界人、悠木碧と豪華キャスティングが実現した。映画完成後、試写会に訪れた人からも、映画公式サイトや公式Twitterに絶賛の声が続々と寄せらる中、本作をひと足早く観賞した著名人からも絶賛の声が上がっている。<以下、コメント>■秋元康(作詞家)心が震えた。風が木々を揺らすように、心の奥底がざわざわした。人は、誰かを探している。人は、誰かを待っている。運命はいつだってもどかしい。新海誠が描く世界は、”それでも”希望に満ちている。■鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)人類が最後にかかるのは、希望という名の病気である。――映画を見ながら、サン=テグジュペリのこの言葉が何度も脳裏を過った。■岩井俊二(映画監督)新海作品はマグリットの『ピレネーの城』に似ている。大胆不敵にして不朽の説得力。『君の名は。』はそんな彼の集大成だと言いたい。けど彼の『ピレネーの城』はもっともっと高みにあるような気もするのだ。■秦基博(シンガーソングライター)『君の名は。』、どれほどの思いを巡らせばこんな物語を結べるのだろうかと打ち震えました。それは感動と畏怖とが綯い交ぜになったような、なんとも言い表わせない複雑な感情で、鑑賞後、僕はしばらく言葉を失ってしまいました。このピュアネスとリアリティ、そしてスケール感。あまりにも圧倒的です。『君の名は。』は8月26日(金)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月24日第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、“特別賞”を受賞したスタジオジブリ長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』。この度、本作の公開を記念して、『風の谷のナウシカ』から『思い出のマーニー』までスタジオジブリ長編劇場用映画全21作品の中から、最も投票数の多かった1作品を劇場で上映する「スタジオジブリ総選挙」の開催が決定した。嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、ひとりの女が現れた――。『思い出のマーニー』から約2年、ファン待望のスタジオジブリ最新作となる本作は、鈴木敏夫プロデューサーが、父娘の愛おしい絆を丹念に描いた短編『岸辺のふたり』を見て、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督に長編制作の話を持ちかけたことがきっかけで製作。マイケル監督が尊敬する高畑勲監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまでやり取りをしながら、実に8年の歳月をかけて完成させ、スタジオジブリとしては初めてカンヌ国際映画祭へ出品、特別賞を受賞した。国内外から高い注目を集める本作の公開を記念し、スタジオジブリ史上“初”の投票企画による劇場上映の実施が決定。「スタジオジブリ総選挙」と題し、『レッドタートル ある島の物語』公式サイト内の特設ページにて投票を受け付け、最も投票数の多い一作品が全国5都市の5劇場(札幌シネマフロンティア、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ、TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ 天神)で上映される。対象作品は全部で21作品。1984年公開の『風の谷のナウシカ』をはじめ、『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『火垂るの墓』『魔女の宅急便』『おもひでぽろぽろ』『紅の豚』『平成狸合戦ぽんぽこ』『耳をすませば』『もののけ姫』『ホーホケキョ となりの山田くん』『千と千尋の神隠し』『猫の恩返し』『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』、そして2014年公開の『思い出のマーニー』まで、珠玉の名作が並ぶ。結果発表は9月6日(火)頃を予定しており、9月10日(土)~9月16日(金)に上映予定。この夏は、六本木ヒルズ展望台・東京シティビューにて「ジブリの大博覧会」が開催され、本日8月12日(金)の「金曜ロードSHOW!」枠では“2週連続 夏はジブリ”と題して岡田准一&長澤まさみを声優に迎えた『コクリコ坂から』が放送されるされるなど、ファン歓喜のイベントが続くスタジオジブリ。本企画も、ファンならずとも参加必至の注目イベントとなりそうだ。「スタジオジブリ総選挙」は『レッドタートル ある島の物語』公式サイト内・特設ページにて8月13日(土)0時00分~8月28日(日)23時59分までの期間に受付(※投票は1人1回)。(text:cinemacafe.net)
2016年08月12日“最後の浮世絵師”と呼ばれることもあり、小説の挿絵から責め絵まで多種多様な作品を手がけた伊藤晴雨。今回、落語家の五代目柳家小さんの手元に残された晴雨の幽霊画たち、通称“五代目柳家小さんコレクション”が東京都江戸東京博物館にて展示。また特設コーナーでは、晴雨の幽霊画に魅了されたスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーによるコメントとともに見る「幽霊が美しい―スタジオジブリ鈴木敏夫の眼―」が開催されることが分かった。伊藤晴雨は、明治15年浅草生まれ向島育ち。看板絵描きとなった彼は25歳で新聞社に入社し、講談や小説の挿絵、演劇評を担当して評判を得、挿絵画家として認められるようになる。時代考証や風俗研究を行うかたわら、30代半ば頃から責め絵を描くようになると、その名は一気に広まり、昭和36年に78歳で没するまで多様な制作を続けた。今回展示される伊藤晴雨の幽霊画は、落語家五代目柳家小さんの手元に残された“五代目柳家小さんコレクション”。歌舞伎や落語でおなじみの怪談の一場面、よく知られた妖怪などが、のびやかな線で描かれており、舞台芸術や演芸界とも関わりの深かった伊藤晴雨ならではの作品が並ぶ。また同時に、「この世のものではないもの」を描くことによって成し得た、伊藤晴雨の芸術的世界観が見て取れる。さらに本展では、晴雨の出版物や絵画資料のほか、晴雨が行った江戸時代考証や風俗研究についての緻密な江戸風俗図などを展示し、彼の観察眼と筆力に迫るという。また、伊藤晴雨の幽霊画との出会いをふり返り「まるで夢のような一日で、強烈な印象をぼくに残した」と語るほど心惹かれたというスタジオジブリの鈴木プロデューサー。今回、「幽霊が美しい―スタジオジブリ鈴木敏夫の眼―」と題した特設コーナーにて、柳家小さんコレクションの複製画を和室をイメージした空間に展示し、自身のコメントとともに掲示するという。鈴木プロデューサーは伊藤晴雨の幽霊画に心惹かれる理由をこう語る。「晴雨の巧みな筆捌きに魅了された。真っ白な紙に筆を置いて、すっと書き下ろす。濃い薄い、速いゆっくりは書きながら瞬時に判断する。その思い切りの良さ。見ているだけで、何物にも代え難い快感がある。それは鳥獣戯画の実物を初めて見たときの興奮に似ていた。印刷物だと、微妙に再現できないのがその筆捌きだ。身体中を快感が走る。比べるのもおこがましいが、ぼくにしても、下手を承知で筆を執り書と画を描く。ゆえに、その捌きの見事さに圧倒された。手練でなければ、ああは書けない」。責め絵や縛り絵で知られる伊藤晴雨だが、鈴木プロデューサーは「晴雨に対する世間の評価を引っ繰り返したい。ぼくのささやかな野心」との思い立ち、今回の展示を提案。さらに、伊藤晴雨の幽霊画を寄贈した五代目柳家小さん師匠との縁についても「ぼくは、小さん師匠の最期の高座に立ち会っている」「小さん師匠が晴雨に引き合わせてくれた。そう信じている」と明かし、今回の展示への想い入れの強さを伺わせた。鈴木プロデューサーが心底惚れ、絶賛する伊藤晴雨の幽霊画で、この夏を涼しく過ごしてみては。企画展「伊藤晴雨 幽霊画展」は8月11日(木・祝)から9月25日(日)まで東京都江戸東京博物館にて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年08月09日夏休み本番を迎え、連日多くの来場者で賑わっている「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」にて、ジブリの世界観を表現したオリジナルメニューが展開中だが、このたび第2弾として、「ニシンとカボチャのパイ」、「天空のかき氷」、「ドロップソーダ」の3品が新たに登場する。ファン待望の長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞するなど、永く世界中から愛されるスタジオジブリ。本展示では、同スタジオ設立30年間の歩みを、作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料からふり返る。会場となる六本木ヒルズ展望台・東京シティビューからの眺望を活かした4つの構成で楽しむことができ、開催直前にプロデューサー・鈴木敏夫の意向で本企画展の入場料の値下げが実施されるなど、話題を集めた。現在、六本木ヒルズ展望台東京シティビューに隣接するカフェ&レストラン「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOON」のCafe Area「THE SUN」では、“まっくろ”なハンバーガーや、“目玉焼きトースト”などジブリ作品をイメージしたオリジナルメニューを提供中。そして第2弾として新メニューが8月10日(水)より登場する。『魔女の宅急便』でもお馴染みの「ニシンとカボチャのパイ」はうま味たっぷりのニシンとホクホクのカボチャ、ブロッコリーをアツアツのホワイトソースで仕上げたパイ。1日50食限定なのでお早めに。「天空のかき氷」は下の層はレモン、上の層はメロン味と2種類のシロップを使用。トッピングされた宝石のようなブルーハワイゼリーが、“飛行石”を髣髴とさせる、涼し気なデザートだ。そして、昔懐かしいドロップ飴のドリンクにミント風味とトニックソーダで爽やかな大人の味に仕上げた「ドロップソーダ」。中にはドロップに見立てたカラフルなグミも。本メニューは「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOONCafe Area THE SUN (六本木ヒルズ森タワー52F)」にて9月11日(日)まで、11時から22時(FOOD L.O. 21時/DRINK L.O. 21時30分)で提供。入場料は無料ですが、展望台入館料、もしくは、「ジブリの大博覧会」の入場券が必要。「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」は六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー内スカイギャラリーにて7月7日から9月11日(日)まで開催(会期中無休)。(text:cinemacafe.net)
2016年08月09日今夏開催されるスタジオ設立30年間の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会」。この度、開催前日である7月6日(水)に、展示物の紹介や、スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫とウォルト・ディズニー・ジャパン高橋良太による対談の様子を、「LINE LIVE」で独占生配信することが分かった。六本木ヒルズ展望台東京シティビューにて、7月7日(木)から9月11日(日)まで開催される「ジブリの大博覧会」。今回の企画は、『風の谷のナウシカ』から、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞し、9月公開となる最新作『レッドタートル ある島の物語』まで、これまでのジブリ作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料を展示される。この開催を記念して、今回「LINE LIVE」にて配信が決定したのは、開催前日に会場内の展示物を特別大公開するというもの。スタジオジブリの鈴木氏やウォルト・ディズニー・ジャパン高橋氏、日本テレビプロデューサー・依田謙一が出演し、これまでのジブリ作品がどのように生み出され、世に出て行ったのかなど、秘蔵資料とあわせて披露されるとのこと。誰もが知る『風の谷のナウシカ』から、世界で注目を集めている最新作『レッドタートル ある島の物語』まで…これを見たらジブリの全てが分かるかも!?「ジブリの大博覧会 独占LIVE全部見せちゃう!? SP」は7月6日(水)19時~LINE LIVEにて配信。「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」は六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー内スカイギャラリーにて7月7日(木)から9月11日(日)まで開催。(会期中無休)(cinemacafe.net)
2016年07月05日この夏、スタジオジブリ設立30年間の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」の開催を記念して、“まっくろ”なハンバーガーや、“目玉焼きトースト”などジブリ作品をイメージしたオリジナルメニューが展示会場の隣接するカフェ&レストランにて登場することが分かった。ファン待望の長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞するなど、永く世界中から愛されるスタジオジブリの歩みを、作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料からふり返る本展示。会場となる六本木ヒルズ展望台・東京シティビューからの眺望を活かした4つの構成で楽しむことができ、先日にはプロデューサー・鈴木敏夫の意向で本企画展の入場料の値下げが実施されるなど、大きな注目を集めている。今回、本展示を記念したオリジナルメニューが東京シティビューに隣接するカフェ「THE SUN」にて登場。どれもジブリ作品をイメージさせるメニューばかり!「まっくろバーガー」は、竹炭を使用したフォッカッチャ生地のバンズなど全て黒の食材を重ねたインパクトあるバーガー。その“まっくろ”さとバンズからはみ出すゲジゲジ感に、あるキャラクターを思い出すかも…?また、多くの人が一度は憧れたことがあるであろう“トースト×目玉焼き”のクロックマダムは、ボリューム満点の仕上がりで「目玉焼きトースト&肉団子のスープ」として登場。そのほか、「抹茶の雨傘かき氷」「大博覧会記念パフェ」など想像力をかきたてる11種類の魅力的なメニューがジブリの世界観を表現するという。本メニューは「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOONCafe Area THE SUN (六本木ヒルズ森タワー52F)」にて7月7日(木)~9月11日(日)、11時から22時(FOOD L.O. 21時/DRINK L.O. 21時30分)で提供。入場料は無料ですが、展望台入館料、もしくは、「ジブリの大博覧会」の入場券が必要。「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」は六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー内スカイギャラリーにて7月7日(木)から9月11日(日)まで開催。(会期中無休)(text:cinemacafe.net)
2016年07月05日ファン待望の長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』が第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞するなど、国内外から熱い支持を得るスタジオジブリ。この夏、スタジオ設立30年間の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会」の開催に注目が集まる中、プロデューサー・鈴木敏夫の意向で本企画展の入場料が値下げされることとなった。本企画では、「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」と題し、『風の谷のナウシカ』から、9月17日(土)公開の最新作『レッドタートル ある島の物語』まで、これまでのジブリ作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料を展示。名作たちがどのように生み出され、世に出て行ったのかをふり返ることができ、また、六本木会場ならではの眺望を活かして4つの構成で展覧会を楽しむことがでいるという。当初、入場料は一般2,300円と公表されていたが、このほど、全券種(一般、高校・大学生、4歳~中学生、シニア)の入場料で500円の値下げが実施。今回の経緯について、鈴木プロデューサーは「わがままでごめんなさい」で始まるコメントを寄せ、「この展覧会がいよいよ東京にやってくる。沢山のお客様に見てもらいたいと思っていた。しかし、入場料が2,300円だということがとても気になった。開幕直前のある日、ジブリのプロデューサー青木と話した。入場料を映画と同じにできないか。主催者や関係者には多大な迷惑を掛けたが、そのご理解を頂いた」と明かした。「多くの人に見て頂きたい。その一心で、入場料を1,800円に!スタジオジブリの汗と涙の30年間を、是非見てください」と、熱い想いを傾ける鈴木プロデューサー、そしてスタジオジブリの本気を、ぜひ本展示で体感したい。また、既に前売券を購入した場合には、会場のチケットカウンターにて当日入館券へ引換の際、500円が返金される。「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」は六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー内スカイギャラリーにて7月7日(木)から9月11日(日)まで開催。(会期中無休)(text:cinemacafe.net)
2016年06月23日第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されたスタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』。公式上映後には登壇した鈴木敏夫プロデューサーとマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督らに向け、5分間を超えるスタンディングオベーションが起きたほど高い評価を得た本作が、“「ある視点」部門特別賞”を受賞したことが分かった。嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、ひとりの女が現れた――。わずか8分間という短編の中で、父娘の愛おしい絆を丹念に描いたマイケル監督の感動作『岸辺のふたり』を見たスタジオジブリ鈴木プロデューサーが、長編制作の話を持ちかけたことがきっかけで製作された本作。マイケル監督が尊敬する高畑勲監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまでやり取りをしながら、実に8年の歳月をかけて完成。スタジオジブリとしては初めて、カンヌ国際映画祭へ出品されることとなった。公式上映の会場は、1,000席が満席状態。上映中は、観客たちは圧倒的なアニメーション力に息を呑み、時に笑いも起きたという。そして上映後には、登壇していたマイケル監督と鈴木プロデューサーをはじめとするスタッフに向け、5分間を超えるスタンディングオベーション!会場は拍手喝采に包まれ、その後も、地元紙をはじめとする各メディアに絶賛を以て取り上げられ、受賞が有力視されていた。そしてこの度、“「ある視点」部門特別賞”を受賞。映像と音の詩情が高く評価され、映画そのものが特別なもの、ということで受賞が決定した。マイケル監督は「この映画をまだ見ていない人はいつか見てください。これはスタッフと私の努力の結晶です。高畑さん、ありがとう!」と、本作の製作には欠かせなかった高畑監督への感謝をコメント。また鈴木プロデューサーは「メルシーボクゥ(ありがとう)、マイケルさん。そして、おめでとう。完成までの10年間は長かったけれど、カンヌ映画祭で賞に選ばれて、僕も本当にうれしいです」と喜びを表し、「高畑さんはじめ、制作にかかわったスタジオジブリのスタッフ一同も喜んでいます。この受賞をきっかけに、フランス、日本、そして世界中で一人でも多くの人に見てもらいたいです」と、世界中での公開に期待を寄せた。『レッドタートル ある島の物語』は9月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月22日第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の授賞式が現地時間21日に行われ、スタジオジブリの長編最新作『レッドタートル ある島の物語』(9月17日公開)が特別賞を受賞した。オランダ生まれのマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は「この映画をまだ見ていない人はいつか見てください。これはスタッフと私の努力の結晶です」と呼びかけ、「高畑さん、ありがとう!」とアーティスティック・プロデューサーを務めた高畑勲監督に感謝した。本作は、嵐の中、荒れ狂う海に放り出され、ある無人島にたどり着いた男の物語。2000年に公開されたマイケル監督の『岸辺のふたり』を見たジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、この監督の長編を見てみたいという気持ちが出発点となった。初の長編制作となるマイケル監督は、尊敬する高畑勲監督から長編映画の制作全般について助言を受けることを条件に快諾。高畑監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまで、ある時は直接会って話し合い、ある時は海を越えてやりとりし、8年もの歳月をかけて完成させた。受賞を受け、鈴木プロデューサーも「メルシーボクゥ(ありがとう)、マイケルさん。そして、おめでとう。完成までの10年間は長かったけれど、カンヌ映画祭で賞に選ばれて、僕も本当にうれしいです。高畑さんはじめ、制作にかかわったスタジオジブリのスタッフ一同も喜んでいます」と喜びのコメントを発表。「この受賞をきっかけに、フランス、日本、そして世界中で一人でも多くの人に見てもらいたいです」と期待している。「ある視点」部門では、『レッドタートル ある島の物語』が特別賞を受賞したほか、深田晃司監督作『淵に立つ』が審査員賞を受賞した。(C) Kazuko Wakayama
2016年05月22日押井守監督が実写とアニメを組み合わせて製作した最新作『ガルム・ウォーズ』が5月20日(金)に公開を迎え、押井監督、日本語版で主人公の声を担当した朴ロ美、宣伝コピーを担当した虚淵玄が舞台挨拶に登壇した。押井監督が自身の脚本を英訳し、海外キャストで北米ロケを敢行し、日本語版プロデューサーをジブリの鈴木敏夫が務めたことでも話題の本作。戦争に明け暮れる星アンヌンを舞台に神話のような物語が展開する。夜の9時台の舞台挨拶となったが、会場は熱い押井ファンであふれ、これには押井監督も朴さんも感激しきり。押井監督は「いつも(笑)!お世話になっております」と挨拶し笑いを誘う。実は、朴さんと押井監督はこの日がほぼ初対面。押井監督曰く「日本語版は鈴木敏夫に任せていて、互いに口出ししない紳士協定があった」とのことで、声優のキャスティング、アフレコなどにも全く関わってないという。朴さんは、アフレコを「アットホームだった」とふり返り、スタジオで鈴木プロデューサーとも対面したことを明かしたが「(顔を)存じ上げず、作務衣を着た方に『きみの鼻にかかった声もいいね』と言われて『ありがとうございます』と言ったんですが、あとからそれが鈴木さんと知り、ヒイッ!っとなりました」と冷や汗体験を告白。すると押井監督は「鈴木敏夫は服を着てましたか?あの男、アフレコ現場でよくパンツ一丁になるから」「(鈴木氏の朴さんへの発言は)偉そうだけど、たぶん、遠慮があったと思う。女優に弱いし好かれようというヨコシマな心を持ってるから」「朴さんがいなかったら脱いでる。チンパンジーと一緒」などと鈴木プロデューサーの悪口を吐き続ける!この日、鈴木プロデューサーはカンヌ国際映画祭に赴いていたために欠席したが、出会って30年以上になる2人の複雑な(?)関係性に観客は爆笑!それでも押井監督は日本語吹き替え版の出来栄えについて「鈴木敏夫が言っていたことを認めるのはシャクだけど、日本語版になって情緒みたいなものが出て、優しく柔らかくなっている」と鈴木版日本語吹き替えに納得の表情を見せていた。日本での公開に、カラを演じた新鋭メラニー・サンピエールから祝福の手紙が届き、朴さんが代読したが、押井監督は朴さんから「目が潤んでますよ」と指摘され、慌てて「ライトがまぶしいだけ!」と否定。それでも、おかっぱに黒髪で臨んだオーディションを経ての抜擢から、体を絞っての過酷な撮影、肺炎の身をおしての執念を称え「孫みたいなものです」と満足そうに笑みを浮かべていた。本作は17年前に構想するも、中断し、今回やっとの思いで実現にこぎつけた作品。押井監督は「断念したことはなかったけど、中止命令が出て、全員が解雇されたんです。でもしつこくやろうと思ってたし、(契約上)捨てなきゃいけない資料も隠し持ってました。こういう形で実現するとは」と感慨深げ。「いつものことですが、(興行で)パッとしない結果が出ても僕はめげない!10年後もこの作品がスクリーンにかかっていることを信じてます」と力強く語り、ファンから喝采を浴びていた。『ガルム・ウォーズ』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月21日「第69回カンヌ国際映画祭」ある視点部門に正式出品されたスタジオジブリ長編最新作『レッドタートル ある島の物語』。これを受け、鈴木敏夫プロデューサーとマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督がカンヌ入りし、 5月18日(水)には公式上映を実施、上映後はスタンディングオベーションが起きた。嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、ひとりの女が現れた――。始まりは1本のアニメーション映画。2000年に発表公開された『岸辺のふたり』(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット) は、わずか8分間という短編にもかかわらず、父娘の愛おしい絆を丹念に描き世界中を静かな感動で包み込み、アカデミー賞短編アニメーション映画賞など世界各国の賞を多数受賞。同作を観たスタジオジブリ鈴木プロデューサーの、 この監督の長編を観てみたいという気持ちが本作の出発点となった。はじめての長編製作の打診を受けたマイケル監督は、尊敬する高畑勲監督から、長編映画の製作全般について助言を受けることを条件にこれを快諾。高畑監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまで、あるときは直接会って話し合い、あるときはデータをやりとりしながら、何度も打ち合わせを重ね実に8年もの歳月をかけて遂に完成させたのだ。同映画祭「ある視点部門」は、スタジオジブリ作品としては今回が初めての試みということで、各方面から注目を集める中、1,000席全て埋まった会場、ドビュッシーホールにて上映はスタートした。上映前には、マイケル監督が登壇したスタッフを代表してあいさつするも、「メルシーボクー(ありがとう)」を3度繰り返す長編新人監督らしいシンプルかつ誠実な挨拶が、観客から大きな声援を呼んでいた。それを受け、当初挨拶の予定のなかった鈴木プロデューサーは英語で「私はフランス語も英語も話せませんが、日本語でメルシーボクーは“ありがとう”です」と挨拶し、会場から大きな喝采を集めた。そして上映中は、圧倒的なアニメーション力に観客たちは息を呑み、ときに愛らしいキャラクターたちには笑いも起きていた。また上映後には、スタッフに向け5分を超えるスタンディングオベーションが起き、マイケル監督と鈴木プロデューサーは、とても感激した様子をみせていた。さらに公式上映後の囲み取材にて、マイケル監督は「本当に感謝の気持ちでいっぱいです。スタジオジブリのアニメーション製作の豊かな経験から生まれる様々なアイディアはこの作品を作るうえで、とても素晴らしいものでした」と述べ、鈴木プロデューサーもまた「スタンディングオベーションを受けて、本当にカンヌに来てよかった」と公式上映での感想を語り、「ジブリ作品は5月前に完成したことがなかったので、今回初めてカンヌ映画祭に来られて光栄です」と改めて想いを話していた。『レッドタートル ある島の物語』は9月17日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年05月19日押井守が原作・脚本・監督と一人3役を務める最新作『ガルム・ウォーズ』。このほど、本作に色濃く映るケルト文化のきっかけとなった、「スタジオジブリ」鈴木敏夫プロデューサーとの30年前のアイルランド旅行の超貴重なオフショットが解禁となった。押井守監督が構想15年、製作費20億円をかけ、カナダでオールロケを敢行した実写とアニメが融合するハイブリットアニメーションとなる本作。遙かなる古代、戦いの星・アンヌンを舞台に、空の部族・コルンバの女性飛行士「カラ」、陸の部族・ブリガの兵士「スケリグ」、情報操作に長けた部族・クムタクの老人「ウィド」が出会い、敵同士でありながら、創造主・ダナンがつくったクローン戦士・ガルムの真実を探る旅に出る物語だ。本作は、1990年代後半、幻のプロジェクト『G.R.M.』(=通称「ガルム戦記」)が立ち上げられた当初から、ケルト文化の影響を色濃く受けて構想されてきた。ケルトとは、キリスト教文化が広まる以前に、中部ヨーロッパから現在のアイルランド島を含むイギリス諸島にかけて文明を築いた民族。その伝承や文化には、現代のファンタジー映画・ドラマ・アニメなどは少なからず影響を受けており、今回『ガルム・ウォーズ』として具現化された本作の映像中にも、ケルト由来の渦巻文様や登場するキャラクターの呼称(神の名ほか)、そしてケルト語を祖とするゲール語によって歌われた主題歌など、押井監督によるケルトへのこだわりがいたるところに散りばめられている。実は、押井監督がケルトに惹かれたきっかけには、いまから30年前、鈴木プロデューサーと宮崎駿監督が大きくかかわっている。『天空の城ラピュタ』が公開された1986年、鈴木氏と宮崎監督は、両氏がその才能を高く評価していた若き日の押井監督をともなって、ケルト文化の遺跡が多く残るアイルランド地方へ旅をしていたのだ。アイルランドで目にした荒涼とした光景に、押井監督は自身の原風景を感じたという。「とにかく、その風景に目を奪われた。この世の果てみたいに寂寞としていてさ。いつかここで映画を撮ってみたいと思ったんだ」と、監督は述懐している。今回解禁となった貴重なオフショットは、そのときの模様をとらえたもので、アイルランドの情景から広がった押井監督の空想世界が、『G.R.M.』、そして『ガルム・ウォーズ』へと結実、ついにスクリーンに映し出されることになる。『ガルム・ウォーズ』は5月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月18日『思い出のマーニー』から約2年、ファン待望の長編アニメーション最新作『レッドタートル ある島の物語』がカンヌ国際映画祭「ある視点部門」にて上映されるなど、永く国民から愛されるスタジオジブリ。この度、スタジオ設立30年間の歩みを体感できる特別企画「ジブリの大博覧会」が六本木ヒルズ展望台・東京シティビューにて開催されることが決定した。今回の展示では、「風の谷のナウシカ」から、9月17日(土)公開の最新作『レッドタートル』まで、これまでのジブリ作品のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料を展示。名作たちがどのように生み出され、世に出て行ったのかをふり返ることができ、また、六本木会場ならではの眺望を活かして4つの構成で展覧会を楽しむことがでいるという。「ジブリの大博覧会展」では、ジブリ作品を世に出すべく、試行錯誤して生み出された宣伝の軌跡を、膨大な未公開資料とともに読解。それぞれの作品の公開当時が鮮やかに蘇る、ジブリのもう1つの物語が明らかになる。そして「空とぶ飛行機展」は、スタジオジブリ作品のイメージのひとつ、「空への憧れ」を表現した本邦初公開の特別企画。海抜250mの会場ならでは、まさに天空からの眺望をバックにスタジオジブリと展望台東京シティビューがコラボを果たす。そして、『岸辺のふたり』で米国アカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞するなど、数々の作品で高い評価を得たマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が初の長編作品に挑戦した『レッドタートル ある島の物語展』の紹介展示も実施。物販ショップでは、大博覧会限定のグッズや、多くのジブリグッズが勢揃いし、ファン必携のアイテムが見つかるかも。スタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫は、「汗と涙の30年間を、是非見てください」と本展示へコメント。観る側も手に汗握り、感動で涙するスタジオジブリ作品の数々を、この夏は天空で体感してみては。「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作「レッドタートル」まで~」は六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー内スカイギャラリーにて7月7日(木)から9月11日(日)まで開催。(会期中無休)(text:cinemacafe.net)
2016年05月10日4月23日に公開され大ヒット上映中のディズニー最新作『ズートピア』が、公開3週目にして週末興行ランキングで1位を獲得した。『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニーの最新作とあって、公開前から注目を集め大ヒットの予感を感じさせていた本作。実際、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「ディズニー映画の中でもすば抜けた傑作」と太鼓判。公開されるなり各界からの称賛の声が上がり、劇場に足を運んだ観客たちによる口コミでも絶賛声が広まっていった。話題作が数々上映された今年のGW期間中も動員を伸ばし、5月8日には興行収入が29億8776万4,600円、動員は235万6,413人を記録。可愛らしくユニークな動物たちのファンタジー・アドベンチャーに、週を追うごとに熱狂的なリピーターも後を絶たたない。しかし、可愛らしいキャラクターたちの魅力だけでなく、偏見や差別といった深層にあるテーマに大人や男性たちの心もつかんでいることが、長期的なヒット要因のひとつでもあるようだ。すでに公開中の全米では、ディズニー・アニメーション史上No.1のオープニング興行収入と、異例の3週連続1位を達成。また、今年公開した全作品の中でも世界No.1(5月9日現在956,424,990ドル/Mojo調べ)の成績を収めている。動物が人間のように暮らす大都会、ズートピア。誰もが夢を叶えられる人間も顔負けの超ハイテク文明社会に、史上最大の危機が訪れていた。立ち上がったのは、世の中をより良い場所にしたいと夢見る新米警官、ウサギのジュディ。夢を忘れたサギ師のニックを相棒に、彼女は奇跡を起こすことができるのか…?ディズニーが“夢を信じる勇気”にエールを贈る、感動のファンタジー・アドベンチャーが、まだまだ盛り上がりを見せそうだ。『ズートピア』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月09日『攻殻機動隊』シリーズの押井守監督が、構想15年をかけてアニメーションと実写の境界線を越えた新しい映像を作り上げた『ガルム・ウォーズ』。先日、本作の世界観映す場面写真が公開されたが、本作の主人公・カラ役のメラニー・サンピエールの素顔が明らかになる劇中写真がこのほど到着した。遙かなる古代、戦いの星・アンヌン。ここには創造主・ダナンがつくったクローン戦士・ガルムと彼らから神聖視される犬・グラと、鳥が生息している。ガルムはたとえ命を落としても、その個体の記憶をクローンの脳に転写することで、幾世代も生き延びてきた。ダナンが星を去った後、覇権をめぐり3部族の抗争が続いていた。ある日、空の部族・コルンバの女性飛行士「カラ」は、陸の部族・ブリガの兵士「スケリグ」との戦闘の最中、情報操作に長けた部族・クムタクの老人「ウィド」と出会う。我々は何処から来て何処へ行くのか。ウィドが投げかける不可思議な問いによって、敵同士である彼らの間に奇妙な連帯が生じ、3人は「ガルムの真実」を探る旅に出る。しかし、それは神の怒りに触れる行為だった――。押井氏の監督デビューから30余年。構想15年、製作費20億円をかけて異国の地・カナダで全身全霊を捧げて撮影した本作。言葉も通じぬ異国の地で、日本人は監督含めスタッフ7人。そんな中、キャストには外国人俳優を起用して撮影に挑んだという。また、日本語版プロデューサーには、スタジオジブリの鈴木敏夫が就任し、『イノセンス』以来12年ぶりのタッグを組んでいる。キャストにはウィド役に『エイリアン』シリーズのランス・ヘンリクセン、スケリグ役に『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のケヴィン・デュランド、そして主人公・カラ役として、新人女優のメラニーが抜擢された。当時カラ役の候補は数名いて、モントリオールでのオーディションを経て彼女に決定。しかし実は彼女、書類選考のタイミングで最も可能性が低いとされていたのだという。メラニーは、オーディションに黒髪のおかっぱで登場。押井監督のアニメが大好きで、半ばコスプレのように『攻殻機動隊』シリーズの主人公・素子になりきってオーディションに臨んできたのだ。もちろんその小細工が功を奏したわけではなく、実際に目の前でポージングをしてもらい、カメラのレンズを通したときの被写体としての存在感が際立っていたため、最終的にカラ役に大抜擢となった。彼女が演じるどこか不安げで揺らぎのある女戦士・カラ。今回初解禁された場面写真からも新人女優とは思えないような存在感が見て取れるようだ。これまで圧倒的に強い女性像を好んで描いてきた押井監督の作品では、異色のキャラクターであるといえるカラ。もしカラが超人的に強いキャラクター像だったら成り立たなかったであろうシーンが、映画の終盤に散見される様子も見逃せない!『ガルム・ウォーズ』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年04月25日新米警官ウサギのジュディをはじめ、かわいらしい姿の動物たちがポスターの中で所狭しとひしめきあっているディズニー映画『ズートピア』(4月23日公開)。その癒やし全開のビジュアルの印象を受け、『マダガスカル』みたいな人畜無害なアニマル映画を想像して観に行くと、立ち上がれないほどの衝撃を食らうはず!スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、「動物たちが主人公なので子ども向けかと思ったら大間違い。この作品は、資本主義の果てに、どういう社会が生まれるのかを暗示している」と言っているように『ズートピア』はズバリ! 動物ではなく、人間社会を描いている感動作! そして、「ディズニー映画の中でもずば抜けた傑作です!」と言い切っているように、傑作すぎるディズニー映画が誕生した。物語の舞台は、動物がまるで人間のように暮らす大都会のズートピア。人類顔負けの超ハイテク文明社会ズートピアは誰もが夢を叶えられる場所で、立派な警察官なることを夢見て、ウサギのジュディが上京する。ところが、"ウサギはニンジンを作る役割でしょ?"という常識もまた妥当している世界で、ジュディは厳しい現実に直面。程なくキツネのサギ師ニックと出会ったジュディは、ズートピア史上最大の危機に立ち向かっていく――。それこそ映画の前半は、我々が思っているようなディズニー映画と、ほぼ変わらないような様相、かもしれない。ジュディが悪戦苦闘していると言っても、数々の挫折をなんとか乗り越えて、程なくあからさまな悪党が登場して、やっつけてめでたし、みたいな。また、しょせん動物が主人公なんで人間みたいな心情表現をウサギの表情に出すことは無理だし、実際の人間が演じるほど感情移入するキャラクター性も薄いんじゃ? みたいな。ところが、本作のメガホンをブン回している監督たちは、日本でも根強い人気を誇る『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと、大ヒット作『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアという賢人たち。ディズニー・アニメーション"第3黄金期"の勢いを加速させたとも評される実力派の制作陣は、そんな淡い予定調和をブチ破る刺激的な展開と設定を用意。表面的には楽園めいたズートピアを人間世界の縮図に仕立て上げ、性別・年齢・学歴・出身地などの違いから生じる偏見や差別について、超どストーレートに描いていく。このジュディやニックが経験・直面する問題は、今の時代を生きる我々自身の問題であって、そのひずみが過度に進行してしまった後の悲劇的な事態まで想定して描くガチな内容。新卒して社会に出たての若者たちはジュディの奮闘に背中を押され、キツネとして生きることに甘んじているニックの姿に思わずむせび泣くお父さん方も続出するに違いない。先日来日したプロデューサーのクラーク・スペンサー氏は、「『ズートピア』のスケールは、これまでのディズニー映画の中でもっともスケールの大きなものになっています」と断言していたが、おそらく同発言の真意は、アクションや動物たちの毛並みとか見た目でわかる派手な規模感のことだけでなく、人間世界が内包する社会問題をズバズバと斬っているというメッセージ性のスケールのことだと理解した。およそ差別や偏見はなくなることはないにしても、少しでも個の差を認め合うことが叶うならば、我々の人生や暮らしは格段に豊かなものになるだろう、という愛いっぱいの語りかけ。すでに世界中で大旋風を巻き起こしている背景には、世界のあちこちにズートピアがあることの裏返しでもある。そして日本でも来たるゴールデンウィーク、いよいよ公開だ。見逃し厳禁の超絶感動作、ディズニー映画『ズートピア』を観て、連休明けの人生をポジティブに生きようじゃないか!(C)2016 Disney. All Rights Reserved.
2016年04月22日『攻殻機動隊』シリーズ 、『イノセンス』などを手がける押井守監督が、構想15年をかけて異国の地・カナダで全身全霊を捧げて撮影してきた『ガルム・ウォーズ』。この度、本作の世界観を映し出した場面写真が解禁となった。遙かなる古代、戦いの星・アンヌン。ここには創造主・ダナンがつくったクローン戦士・ガルムと彼らから神聖視される犬・グラと、鳥が生息している。ガルムはたとえ命を落としても、その個体の記憶をクローンの脳に転写することで、幾世代も生き延びてきた。ダナンが星を去った後、覇権をめぐり3部族の抗争が続いていた。ある日、空の部族・コルンバの女性飛行士「カラ」は、陸の部族・ブリガの兵士「スケリグ」との戦闘の最中、情報操作に長けた部族・クムタクの老人「ウィド」と出会う。我々は何処から来て何処へ行くのか。ウィドが投げかける不可思議な問いによって、敵同士である彼らの間に奇妙な連帯が生じ、3人は「ガルムの真実」を探る旅に出る。しかし、それは神の怒りに触れる行為だった――。かねてより「実写とアニメーションは融合して区別がつかなくなる」と提唱してきた押井監督は、『イノセンス』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など数々の作品を共にしてきた世界的アニメーション製作会社「Production I.G」とオール北米ロケを敢行。言葉も通じぬ異国の地で、日本人は監督含めスタッフ7人。外国人俳優を起用して撮影に挑み、アニメーションと実写の境界線を越えた新しい映像を作り上げた。また、スタジオジブリ・鈴木敏夫が、盟友・押井監督を支えるため、本作の日本語版プロデューサーに就任。『イノセンス』以来、12年ぶりの強力タッグとなっている。これまで実写とアニメを交互に作り続けるという監督人生を送ってきた押井監督。本作はアニメーションの手法で作られた実写作品であり、そんな押井監督の集大成となる作品ともいえる。アニメ作品では、絵を描くスタッフが実際の画面を描き始める前に、絵コンテやイメージボードと呼ばれる準備段階にしか使用しないグラフィックを大量に作り、映画のイメージをじっくりと練り上げるのだが、本作でも、アニメ同様の入念な準備をして撮影に臨んでいる。さらに、撮影後の画面加工についても通常の実写作品とは異なり、動画を構成する画像の1枚1枚を、加工専門のスタッフが極限まで美しく仕上げる方法を採っている。その結果、今回公開された場面写真からも分かるように、映画の1コマ1コマが絵画の作品であるかのような高品質なクオリティーとなっている。このコマ同士がつながったときに一体どんな映像がスクリーンに映し出されるのか、公開を楽しみに待ちたい。『ガルム・ウォーズ』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年04月20日押井守監督が、構想15年、製作費20億円を投じて完成させた最新作『ガルム・ウォーズ』。日本語版プロデューサーを鈴木敏夫が務めたことでも注目される本作の公開に先駆け、押井監督と鈴木さんの2人が、早稲田大学・伝統の講義「映画のすべてマスターズ・オブ・シネマ」に登場し、現役早大生500人に向け白熱教室を行った。遙かなる古代、戦いの星・アンヌン。ここには創造主・ダナンがつくったクローン戦士・ガルムと彼らから神聖視される犬・グラと、鳥が生息している。ガルムはたとえ命を落としても、その個体の記憶をクローンの脳に転写することで、幾世代も生き延びてきた。ダナンが星を去った後、覇権をめぐり3部族の抗争が続いていた。ある日、空の部族・コルンバの女性飛行士「カラ」は、陸の部族・ブリガの兵士「スケリグ」との戦闘の最中、情報操作に長けた部族・クムタクの老人「ウィド」と出会う。我々は何処から来て何処へ行くのか。ウィドが投げかける不可思議な問いによって、敵同士である彼らの間に奇妙な連帯が生じ、3人は「ガルムの真実」を探る旅に出る。しかし、それは神の怒りに触れる行為だった――。去る4月16日、早稲田大学の大隈記念講堂大講堂にて、本作の公開を記念した早稲田大学特別講義「映画のすべてマスターズ・オブ・シネマ」が開催。本講義は、今年で12年目を迎える人気講義とあって、講堂には早稲田大学の全学部生から500人が詰めかけた。登壇した押井監督と鈴木さんは30年以上の付き合いとなるが、「(鈴木さんとは)腐れ縁の典型例みたいな付き合いです」(押井さん)、「なんだかんだ言って、(押井監督は)僕を必要なんでしょうね~」(鈴木さん)と、友情溢れるトークを展開した。押井監督が本作を作ったきっかけについて「僕らの若い時代は、戦後の革命の時代だった。この世界を作ったのは誰か。戦争というものを背景にもった世界にずっと興味があった。それをベースに、ファンタジーを作ろうと考えて作った」と明かすと、鈴木さんは「押井さんは、人間が生み出したモノが好き。この映画の主人公(カラ)もそう。それが滅びゆく美しさを描いたのが、この『ガルム・ウォーズ』という作品です。それをふまえて観ると、ものすごく面白い作品だと思う」と、長年の付き合いで培った押井監督の考察を踏まえてコメント。押井監督は「作ったことというよりも、失われてゆく過程に興味がある。人間がいなくなっても、世界は変わらない。人間というのは、本来要らないものだから。生まれる過程よりも、壊れる過程を考える方が、ずっと本質が見えてくる」と、本作の根幹に触れた。また、学生からは多くの熱い質問が投げかけられ、「日本の邦画実写映画をどうしたらもっと盛り上げられるか、未来の予想図を教えてください」という問いには、鈴木さんは「日本にこだわる必要って本当にあるのだろうかって思います。僕はいま、タイって国に非常に注目している。日本映画の10倍の予算をかけて、アジア全域で観られる映画を作っている。日本人が面白い映画をつくりたかったら、まずは盛り上がっている現場に行っちゃったらいいと思います!」と回答。押井監督は「僕はまず、現場に入れと言いたい。映画の仕事をしたいと思っている人の大半が監督になりたいと思っていると思うけど、映画の仕事の中で監督の仕事はあくまで全体の一部でしかない。映画の仕事がしたいなら、まずは現場の人間になりなさい。どんな仕事でもいい。映画をつくるには色んな職種があります。自分は何をしたいか、何が向いているか、そういうことは現場に入らないとわからない。監督になりたいって考えを捨てた方がはるかに可能性は広がると思う」とアドバイス。そして「どうしても監督になりたい人には、とっておきの手があります。小説、音楽とか漫画とか違うジャンルで偉い人になりなさい、そうすれば映画が撮れます、間違いなく。一本だけはね(笑)」と、監督になるための近道(?)を披露し、会場を沸かせた。『ガルム・ウォーズ』日本版は5月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年04月19日