映画やドラマの作品の成功を大きく左右するのがキャスティングの力。俳優と作品との出会いが傑作を生むこともあれば、当たり役との出会いによって、俳優がスターに成長することも。映画の現場で、そんな“出会い”のきっかけ作りをしているのが、キャスティングディレクターの杉野剛さん。「映画の配役の最終的な決定権は監督にありますから、僕の役割は、監督の好みや作品のテイストを理解して、オーダーに的確に応えていくこと。ただ、それだけでは新味に欠けたりもしますから、監督が想像する以上の人材、キャスティングのアイデアを提案するのも、自分の仕事だと思っています」例えば三池崇史監督の映画『極道大戦争』で、最強伝説を持つヤクザの組長役にリリー・フランキーさんをと提案したのも杉野さん。「ご本人も、イメージから懸け離れた役でのオファーに驚かれたくらい。ただ、三池監督は意外性のあるキャスティングを面白がってくださるタイプの方だし、作品自体もヤクザだけどヴァンパイアという荒唐無稽な物語でしたから、そういう冒険的な提案も積極的にさせていただいたんですよ」メインキャストにとどまらず、出番はごくわずかだけれどキラリと光る脇役を発掘するのも杉野さんの役割。そのため、日夜、膨大な数の俳優や芸能事務所のスタッフと積極的に会う機会を持つほか、こまめに舞台や映画をチェックし、情報のストックに努めている。「市川由衣さんが大胆なラブシーンを演じた『海を感じる時』という映画がありますよね。あれは、以前から大人の女優として脱皮を図りたいという話を事務所さんから伺っていたことが、オファーのきっかけになりました。従来のイメージに固執せず、あらゆる作品のどんな役も面白がって取り組んでくださる俳優さんには、作り手側も、こんな役もやらせてみたいと想像力を刺激されるんです」杉野さんの考える、いい作品との出会いを引き寄せる俳優とは、「積極的に行動する人」。「たくさんのオーディションを受けるのもそうですし、好きな監督がいれば、その監督の目に留まるようなアピールをすることも大切。要は、見える形でやる気を伝えることが大事なんです」◇すぎの・つよしシネバザール・キャスティング分室所属。映画『乱』より黒澤明監督に師事し、助監督として活動。その後、キャスティングに転向。『硫黄島からの手紙』『ノルウェイの森』など数々の作品に携わり、監督や芸能事務所からの信頼も厚い。4/1公開の『あやしい彼女』、来年公開の『無限の住人』などにも参加している。※『anan』2016年3月23日号より。写真・菅原景子取材、文・望月リサ
2016年03月20日『スティーブ・ジョブズ』で本年度アカデミー賞「主演男優賞」にノミネートされたマイケル・ファスベンダーと、『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』で第80回アカデミー賞「主演女優賞」を受賞したマリオン・コティヤールにより、W・シェイクスピア最高傑作と呼ばれる悲劇を映画化した『マクベス』。このほど、演技派2人が描く狂気的な夫婦愛が映し出された予告編が解禁、公開日が5月13日(金)に決定した。舞台は中世スコットランド。仁徳が高く慈悲深いダンカン王(デビッド・シューリス)に仕える将軍マクベス(マイケル・ファスベンダー)は、反乱軍との激しい戦闘の末、勝利を収める。その岐路、謎めいた魔女が現れ、“マクベスは領主になり、そして王になるだろう”という不可解な予言を囁く。ともに行動していた将軍バンクォー(パディ・コンシダイン)には、“子孫が王になる”と告げた。謎めいた予言を残し霧のように消えた魔女にとまどうマクベスたちの元に、王の使いが到着する。なんとコーダの領主が死亡し、マクベスが領主となるよう勅命が下ったのだ。魔女の囁きによって、忠誠心とは裏腹に王座への野望という炎を心に灯してしまったマクベスを、言葉巧みにマクベス夫人(マリオン・コティヤール)が夫の良心を消し去ろうと画策する。そんなとき、ダンカン王がマクベスの城に宿泊する日がやってくる。マクベス夫婦の野心は、人間の奥底に潜む魔性のごとき“狂気”をむき出しにさせ…。シェイクスピアの四大悲劇の1つといわれる本作は、世界中、そして日本の数々のクリエイターに多大な影響を与えてきた、言わずと知れた至高の名作。その原作は日本でも毎年約10万部の増刷があるといわれ、これまで黒澤明、手塚治虫、蜷川幸雄らも翻案作品を発表。昨年は佐々木蔵之介が1人舞台で演じ、シェイクスピア没後400年のメモリアルイヤーとなる今年2016年は、本作だけでなく、現在公演中の宝塚宙組公演「Shakespeare ~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~」、6月には野村萬斎主演の舞台などが予定されている。今回、本邦初解禁される予告編では、圧倒的な映像美の中で、野心と欲望に苛まれながら次第に狂気に満ちていくマクベス夫婦が描き出されていく。特に、マイケルが「私の心はサソリでいっぱいだ」と語るその姿は、人相がすっかり変貌し、これまでに見たこともないほどの狂気を漂わせている。また、マリオン演じるマクベス夫人の「もう元には戻れない」という決意を秘めたような言葉からも、狂気の果てに堕ちてしまった夫婦の“地獄”へ通じるような愛を予感させている。ハリウッド界屈指の演技派俳優の2人が迫真の演技で、映画史上かつてない狂気と愛に満ちた作品に仕上げた本作。21世紀の『マクベス』を、まずはここから目撃してみて。『マクベス』は5月13日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月10日第39回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した細田守監督の『バケモノの子』。そのBlu-ray&DVDの発売を記念して、本作の音楽を担当した高木正勝氏(音楽家/映像作家)と「スタジオ地図」プロデューサー・齋藤優一郎氏によるトークショーが、2016年3月6日、HMV&BOOKS TOKYOにて行われた。登壇した齋藤プロデューサーは、4日に行われた日本アカデミー賞で、細田作品が『時をかける少女』に始まり、4作品連続で最優秀アニメーション作品賞を受賞したことに賛辞が贈られたことへの礼を返しながら、「映画は1回失敗したら次がありません。沢山のお客様に観て頂けたからこそ、これまで4本の映画を作らせて頂くことができました。本当にうれしく、ありがたいことと思っています」と笑顔で挨拶。続いて『おおかみこどもの雨と雪』に続いて細田作品の音楽を手がけた高木氏が、オファー時の状況について「2014年の春にキャラクター表と熊徹の家、街の雰囲気がだいたい分かるくらいの状態のときにお話をいただきました。『おおかみこどもの雨と雪』ではピアノを使ったので、今回はパーカッションのみ、ピアノを一切使わないというのはどうでしょうと言われました。太鼓で行きたいと。僕が唯一弾ける楽器はピアノなのに」と苦笑いを浮かべると、齋藤プロデューサーは「企画段階に観ていた黒澤明監督作品などの話を始め、細田監督は思いつくままにイメージを伝えていました。それから、ピアノとメロディを封印してみてはどうでしょうかと(笑)。ただ結局、ピアノもほしいですねと変わっていきました。映画は完成に向けて変化していくものですから。監督自身も映画の正解に辿り着くために、死のものぐるいでそれににじりよっているんです」と振り返る。ここで高木氏が細田作品の特徴を分析。「最初は熊徹に三船敏郎さんが演じたキャラクターのような野性味を見ていて、そこに引きずられちゃったんです。ちょっと昭和的だったというか。でも細田さんの作品って、ちゃんと現代的に描かれるんですよね。だから音楽も今に対応できる形にアップデートしなきゃと方向転換しました」。齋藤プロデューサーも「細田監督作品にはいくつか特徴がありますが、そのひとつに時代は常に現代であり舞台は日本。そして、その主人公は特殊な能力を持っていたり、何か特別な一族の末裔であったりするのではなく、僕らの隣に住んでいるかもしれない、職場や学校にだっているかもしれない、日常を一生懸命生きている"人"が主人公。音楽もそれに即してるんです」と同意する。また『バケモノの子』における音楽はユニゾンがテーマになっていると高木氏は告白。「『おおかみ~』には弦楽器が合いました。そこから奏でられる和音やハーモニーが。今回はユニゾンでいっています。ピアノもクラリネットもユニゾン。たとえばこの楽器が鳴ったら中国っぽくなるとか、そういったことを、いくつかの楽器を同時に鳴らすことによって消したんです。それから、今回の場合は、細田監督が描いた絵コンテの映像に合わせて、即興で弾いていったものが基になっています」と、絵コンテの映像を観ながら、そのまま弾いて作るスタイルだったことが明かされた。続いて、来場者からのアンケートに両氏が回答。高木氏に向けられた「曲が生まれるときのシチュエーションはどういうときが多いですか?」との質問には、「ぱっと浮かぶときもありますが、1日中考えても浮かばないことが多い。そういうときは、これだけ考えたのだから、明日起きて一発目に弾いたものにするぞと決めます。実際にそうやって作ったものがベースになっています。難しく考えているときほどできないですね」と作曲家の生の答えを伝えた。また壇上の端に用意されていたキーボードで、高木氏が生演奏を披露。「『おおかみ~』の場合は、声で作っていく感じだったので、すべて口ずさめる曲になっています。『バケモノの子』の場合は、打楽器的に成り立っています」とキーボードを叩きながらそれぞれの曲調を実演する。「もう少し弾いて!」とのリクエストがかかると、『おおかみ~』からCM曲としてもおなじみの「きときと」を1曲まるまる生演奏。しかも高木さんアドバイスのもと、齋藤プロデューサーも参加しての連弾に! 演奏後にはイベントを通じて一番の拍手が沸き起こった。そして最後に高木氏がこの作品に関わって感じたこと、齋藤プロデューサーが細田監督の次回作について触れてイベントは盛況のうちに幕を閉じた。「人が誰かを応援するというのは、やっぱりいいなと。児童文学やいろんな物語の名作には、人が誰かを応援するという部分が絶対条件のように入っているんですよね。最近、本作を観直してみて改めて感じるのですが、『あなたの一番いい部分を使ってがんばりなさい』と言ってくれているなと感じました」(高木)、「細田監督は今、また新しい映画を作り始めています。『おおかみこどもの雨と雪』があったからこそ『バケモノの子』は生まれた。だからこそ、きっと次の物語も、『バケモノの子』があったからこそ作り得る、新しいチャレンジに満ちあふれた作品になるのではないかと思っています」(齋藤P)。
2016年03月09日トミー・リー・ジョーンズ扮する宇宙人ジョーンズが、「この星の~」と地球調査する人気CMシリーズの第53弾「プレミアム城跡篇」が、3月1日(火)からオンエア開始。今回は、おなじみのタモリと女優の満島ひかりとともに、“天空の城”として有名な竹田城の上で戦国時代にタイムスリップ!?甲冑姿を披露していることが分かった。新CM「プレミアム城跡」篇は、宇宙人ジョーンズがハリウッド俳優トミー・リー・ジョーンズそっくりの地球人になりすまし、さまざまな職業を転々としながら未知なる惑星・地球の実態調査を行う、という大人気シリーズの最新作。「プレミアムボス」のシリーズでは、毎回、宇宙人ジョーンズがタモリさんに夢のように“プレミアム”なひとときをプレゼントすることで知られているが、今回の舞台となるのは“雲海に浮かぶ城”として国内外で話題を集めている兵庫県・竹田城跡。「この惑星の竹田城跡という場所は、天空の城と呼ばれているらしい」というナレーションをバックに、石段を上る現地ガイドのジョーンズとタモリさん。「この石垣は野面(のづら)積み?」という“城通”タモリさんの質問に答えず、「敵を防ぐためとはいえ、すごい段差だね」と言いながら懸命に上るタモリさんを尻目に、ジョーンズは「コチラデス」とどんどん先へ進んでいく。やがて、天守閣跡では雲海に囲まれた絶景が目の前に広がり、思わず「お~。こりゃ絶景だね」「いや~。こんなとこあったんだ」と歓声を上げるタモリさん。すると、その隣でカメラを構えていたカメラマンの満島さんが「つい最近なんですよ。知られるようになったの。ずっとここにあったのに」と話しかけてくる。「あなたは?」というタモリさんの質問を遮って、「コチラデス」とまた声をかけるジョーンズ。すると、ジョーンズはいつの間にか雲の上に立ってタモリさんを手招き。タモリさんが恐る恐る雲の上に立つと、突然目の前が真っ白になり、いつの間にか戦国時代にタイムスリップ!すっかり戦国時代の武将の格好をしたジョーンズと、凛々しい女武者姿の満島さんに「あれ、どうしちゃったの?」と驚くタモリさん。軍配で静かに前方を指したジョーンズに続いて、満島さんもまた同じく前方を指差す。「ただ、この惑星のプレミアムな風景は、新鮮だ」というジョーンズのナレーションに続いて現れたのは、雲に浮かぶ戦国時代の竹田城!幻想的なその風景に、タモリさんも「夢見てんのかね」と思わず呟く。最後に、タモリさんが「またお会いできますか?」と満島さんに声を掛けると、ジョーンズが先に「スケジュール、パンパンデス」。タモリさんは「あんたじゃないんだけど」とツッコミを入れるのだった――。竹田城跡を舞台にした今回の設定について、タモリさんは、「いつか行ってみたいと思っていたけど、まさかこんな形で実現するとは」。野面積み(=自然の石をそのまま積み上げた石垣)や、敵の侵入を防ぐためにわざと大きな段差をつけた石段、そして竹田城の天守閣跡から眺める雲海に囲まれた絶景など、日常では見られないさまざまな裏話に関心を寄せ、何度も「すごいね」と発していた。そしてCM後半、戦国武将の姿で登場するシーンでは、ジョーンズがどんなときも冷静沈着な宇宙人らしく、「僕にとっては、ただの衣装に過ぎないよ」と終始、落ち着いた様子。それでも、大の親日家で黒澤明監督の映画をこよなく愛するベテラン俳優だけに、専門のスタッフの手を借りて、飾りのついた兜や両肩、胴回り、腰回りの鎧、篭手、すね当て、足袋など、戦国武将のフル装備が完了した際には、自然と表情を緩め、思わず「黒澤映画のようだ」と呟き、つかの間の戦国武将姿を楽しんでいた。また、今回、ボスのCMシリーズ初登場の満島さんの役どころは、竹田城跡の魅力に取り憑かれた女性カメラマン。三脚にセットしたカメラのレンズを覗いてポーズを取ると、スチールを撮影する本物のカメラマンに向かって、「私、ちゃんとカメラマンに見えますか?」と訊ね、プロからお墨付きをもらっていた。タモリさんとは、一緒のお芝居は初めてながら、息の合った見事な掛け合いでOKテイクを連発。休憩中もタモリさんが出演中のテレビ番組の裏話を披露して笑いを取り、盛り上がっていたという。そんな満島さんの武将姿は、ジョーンズさんの赤備えの甲冑に対して、全身ブルー系で統一した鎧兜で、さながら青備えといったところ。黄金色の鉢金に、長い黒髪をなびかせて颯爽と現場入りする、その凛々しい姿にはタモリさんはじめ一同、すっかり見惚れてしまうほど。監督の「もっと侍っぽく」というリクエストにも、即座に対応していたという。現代ドラマではもちろん、時代劇ですらなかなか着ることのない衣装と髪型の満島さんと、 すっかりご満悦の“サムライ”ジョーンズさん、“歴史好き”のタモリさんをぜひチェックしてみて。サントリーコーヒー「プレミアムボス ザ・ラテ」新TV-CM「プレミアム城跡」篇は3月1日(火)より全国にてオンエア。(text:cinemacafe.net)
2016年02月28日『冷たい熱帯魚』(11年)、『自殺サークル』(01年)などで知られる映画監督・園子温氏にスポットライトを当てるドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、5月14日に公開されることが15日、明らかになった。構想25年を経て結実したというモノクロームSFである最新作『ひそひそ星』の公開を本作と同日の5月14日に控える園子温監督。本作は、世間の"常識たるもの"に疑問を投げかけてきた園監督その人を捉える。メガホンを取るのは、2014年にMBS系で放送された『情熱大陸映画監督・園子温』を手掛けた大島新監督。地上波では園子温の面白さは伝えきれないと、映画化を決意したという。ニッチなカルト監督と見られていた園監督の生活は、50歳近くまで食うや食わずの状態だったが、『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』(12年)から『新宿スワン』(15年)までの5年間で大きく変容。国際映画祭での賞取りの常連にもなり、結婚も果たし、突然、メディアへの露出、小説の執筆、絵画、バンド活動をも始めるようになった。そんな生きざまを捉えながら、妻の神楽坂恵をはじめ、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人(映画誌『別冊 映画秘宝』編集長)、安岡卓治(映画プロデューサー)、エリイ(Chim↑Pom)など縁の深い人物らの証言も交えて、"生きもの"としての園監督を映し出す。大島監督は、2014年で園に迫った『情熱大陸』を「番組は園の映画への熱い思いや『俺の映画』を作っているという自負、そしていたずらっ子のような素顔を映し出し、視聴者や関係者から大きな反響を呼んだ。私としても内容的に満足のいくものだった」と回顧。しかし、同時に「テレビ番組という枠組み、正味24分という尺の中では、園という人物を充分に描き切れなかった」という思いもあったと打ち明ける。続けて、「そもそも『地上波でのテレビ放送は一度もない』」と園監督作品を振り返り、「人間としての園も、映画同様、テレビサイズには収まりきらない魅力(と、ハチャメチャさ)にあふれていた」と深い感慨を口にする。さらに、「いま、世界基準の日本人映画監督とは誰なのか」と疑問を提起しつつ「残念ながら、かつての黒澤明、小津安二郎、今村昌平、大島渚といった作家たちと同じような存在感で語られる日本人監督はいなくなってしまった」とさえ断言。その上で、「いや、ひとりいるではないか! 国内よりも海外での注目度が高い超個性派カルト監督」「毀誉褒貶(きよほうへん)も多く、時にボロクソに言われることも彼にとっては褒め言葉」「そう遠くない未来に、世界基準となる可能性」と矢継ぎ早に語りながら、園監督を形容する。その上で、本作を「稀有な才能を秘めた珍奇な生きものの記録である」と表現している。(C)2016「園子温という生きもの」製作委員会
2016年02月16日マイケル・ファスベンダーとマリオン・コティヤールを迎え、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲を映画化する『マクベス』。吉本興業が初の洋画配給を手がけることでも話題となった本作からこの度、ポスタービジュアルが解禁された。舞台は中世スコットランド。仁徳が高く慈悲深いダンカン王に仕える将軍・マクベスは、反乱軍との激しい戦闘の末、勝利を収める。その岐路、謎めいた魔女が現れ、“マクベスは領主になり、そして王になるだろう”という不可解な予言を囁く。ともに行動していた将軍・バンクォーには、“子孫が王になる”と告げた。謎めいた予言を残し霧のように消えた魔女にとまどうマクベスたちの元に、王の使いが到着。なんとコーダの領主が死亡し、マクベスが領主となるよう勅命が下ったのだ。魔女の囁きによって、忠誠心とは裏腹に王座への野望という炎を心に灯してしまったマクベスを、言葉巧みにマクベス夫人が夫の良心を消し去ろうと画策する。そんなとき、ダンカン王がマクベスの城に宿泊する日がやってきたのだが――。人類史上最も偉大な作家・シェイクスピアが没後400年にあたる2016年初夏公開される本作。何世紀もの時を超えて現代人の心を激しく揺さぶり続け、「ハムレット」「オセロー」「リア王」と並ぶシェイクスピアの四大悲劇の1つで、王座をめぐり野心に取り憑かれた将軍・マクベスと、夫の野心を操る妻の心理をリアルに探究しされ、手を血に染め野心と欲望に苛まれながら次第に狂気に満ちていくマクベス夫婦の姿が、まざまざと描かれている。『スティーブ・ジョブズ』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、その卓越した演技力が注目を集めているマイケルと、『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたマリオンが、マクベス夫妻の狂気にも似た愛の形を鮮烈に体現。そして監督には、オーストラリア出身のアーティスティックな映像に定評のある気鋭ジャスティン・カーゼルが務めている。今回解禁されたポスタービジュアルは、マイケル演じるマクベスの前に、マリオン演じるマクベス夫人が跪いて顔に手を添えるポスター。夫婦の“地獄に近い愛”と、濃密な関係性を的確に表現する仕上がりとなっており、また「夫が王になった時、2人の運命が狂い出す。」という強烈なストーリー性を感じさせるコピーが、さらに物語の想像掻き立てる一枚となっている。世界中のクリエーターに多大な影響を与え、黒澤明、手塚治虫、蜷川幸雄らも翻案作品を発表してきた至高の名作を映画化した本作。迫真の演技と破格の映像美に彩られ、まさに誰も観たことのない21世紀の『マクベス』に注目が集まる。『マクベス』は初夏、TOHOシネマズシャンテほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2016年02月12日『絶望は神さまからの贈りもの』(ひすいこたろう、柴田エリー著、SBクリエイティブ)の著者は、「不幸」は「幸せ」の前触れだと断言しています。だから、あらゆる「ピンチ」は「チャンス」に変わるとも。人生には、悩み、落ち込み、どうすればいいのかわからなくなるときがあるもの。でも、それこそがチャンスなのだということです。■状況が変えられないなら心を変えるべし!人の気持ちや行動は、次のような流れのなかで生じていくのだそうです。(1)「出来事」→(2)「意味づけ」→(3)「感情」→(4)「行動」の順。「ピンチはチャンスである」という意味づけができたら、そのあとに生まれる「感情」も「行動」も変わり、人生は確実に変わっていくということ。それは、(1)「ピンチ(出来事)」→(2)「困った(意味づけ)」→(3)「ヤダな(感情)」→(4)「逃げよう(行動)」という流れから、(1)「ピンチ」→(2)「これはなんのチャンスだろう?」→(3)「このときを待っていたんだ」→(4)「俺の出番だ」というように、気持ちも行動も全く変わるということ。人は、外側(状況)を変えられないときに絶望するものです。しかし、外側を変えられないときこそ、本当の意味でのチャンス。なぜならそういう場合には、外側ではなく、自分の内側(心)を変えざるを得ないから。私たちの生きる真の目的は、内側(心)に変容を起こすことだという考え方です。内側の変化こそ、本質的な変容(トランジッション)をもたらすもの。たとえばそれは、過去の偉人たちも同じ。そこで本書では、彼らが絶望からどう復活したのかを明らかにしているのです。■本田宗一郎は99%の失敗をして成功した「私のやったことの99%は失敗だが、1%の成功のおかげで、いまの私がある」これは、世界のHONDA(本田技研工業)の創設者である本田宗一郎の言葉。「世界一でなければ日本一じゃない」と、宗一郎が率いるHONDAが世界を目指したのは、日本に不景気の波が押し寄せていた1954年のこと。たった1台のバイクを輸出しはじめたばかりの段階であったにもかかわらず、世界一のバイクレースとして知られる、イギリスのマン島TT(ツーリスト・トロフィ)レースに出場すると宣言したのです。このとき、宗一郎は47歳。本田技術研究所として操業して8年目のこと。世界のトップメーカーが出場するこのレースに優勝することは、世界一のバイクメーカーであることの証明になります。小さな会社だったHONDAには無茶な挑戦でしたが、宗一郎の頭のなかにあるのは、「世界一こそ日本一」だという考え方。ただ、TTレースは予想以上にハードルが高く、宗一郎は「これは考えたこともないレベルだ」と弱音を吐いたのだとか。とはいえ、「できない」「ムリ」「不可能」といわれると、逆にワクワクしてしまう彼に、「あきらめる」という選択肢はなかったといいます。ところがレース出場までの道は予想以上に険しく、1年目も2年目も、3年目も4年目もダメ。そして5年目にようやくレース出場を果たすことに。■日本一を目指すなら世界一を目指すべし!しかし注目すべきは、世界一を目指すその間に、いつの間にかHONDAはバイクの生産台数日本一に輝いていたという事実。世界一を目指していたら、あっさり日本一になってしまったわけです。そしてTTレースでも、出場から2年目で優勝を果たすことに。海外のマスコミからは、「東洋の奇跡」と絶賛されたのだそうです。これこそが夢の力。夢に向かって進むときには、トラブルなどトラブルではなくなるということです。経営不振だろうが、あらゆる難関は、燃え上がる炎にくべる巻きになるという考え方。「日本一を目指したいのなら、世界一を目指せばいい」夢をいつかたどり着きたい最終地点にするのではなく、通過点にしてしまえば、夢は一気に加速するもの。HONDAのエピソードは、そんなことを教えてくれるのです。「新しいことをやれば、必ず、しくじる。腹が立つ。だから、寝る時間、食う時間を削って、何度も何度もやる」本田宗一郎のこの言葉は、すべての人の人生にあてはまるものではないでしょうか?*自分のつくった会社から追放されたアップルのスティーブ・ジョブズ、ツイてないことばかり起きる男だった坂本龍馬、自殺未遂をした過去を持つ「世界のクロサワ」こと黒澤明監督など、他にもピンチを乗り越えてきた多くの偉人のエピソードが掲載されています。力を与えてくれる話ばかりなので、逆境から立ち直りたいという方はぜひ手にとってみてください。(文/印南敦史)【参考】※ひすいこたろう・柴田エリー(2015)『絶望は神さまからの贈りもの』SBクリエイティブ
2016年02月02日第70回毎日映画コンクールの各賞が決定し、『海街diary』(15年)に出演した綾瀬はるかと長澤まさみがそれぞれ、女優主演賞と女優助演賞を受賞したことが20日、明らかになった。毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が主催する同賞は、1946年から続く映画賞で毎年2月に開催。作品部門、俳優部門、スタッフ部門、映画ファンによる投票で日本映画部門と外国語映画部門の2賞を決定する「ファン賞」(これらの部門もしくは賞は、1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された映画が対象)、諮問委員会が映画人の功績をたたえる「特別賞」などで表彰される。綾瀬と長澤が受賞に至った『海街diary』は、漫画家・吉田秋生氏による同名コミックを原作に、是枝裕和監督がメガホンを取った作品。神奈川・鎌倉の祖母が残した家を舞台に、"異母妹"を加えた4姉妹のリアルな家族の絆を描いた。綾瀬はその4姉妹の長女でしっかり者の香田幸役を、長澤は自由奔放な次女の佳乃役を、それぞれ演じた。日本映画大賞に選ばれたのは、『ぐるりのこと。』(08年)以来、7年ぶりとなった橋口亮輔監督の長編作『恋人たち』。監督が今撮りたい題材で、新人俳優を起用して自由につくるというオリジナルプロジェクトから生まれたことでも話題を呼んだ。監督賞および男優主演賞を獲得したのは、『野火』で1人6役をこなした塚本晋也。このほか、音楽賞は『母と暮せば』の坂本龍一、特別賞は『羅生門』(50年)などの黒澤明監督作品や『日本沈没』(73年) 、『砂の器』(74年)などの大作を手がけてきた脚本家の橋本忍氏が受賞した。○監督賞、脚本賞○スタッフ部門○アニメーション部門
2016年01月21日東京・汐留の日本テレビ(2階日テレホール)で17日、12月18日~29日に開催されるアート展「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開記念~スター・ウォーズの世界~フォース・フォー・ジャパン」の内覧会が行われ、今年日本各地でお披露目された"スター・ウォーズ"アートや、著名人が新キャラクター・BB-8をデザインした世界初公開となる"BB-8 アート"などが公開された。「スター・ウォーズ・イヤー」ブースでは、日本各地で開催された『スター・ウォーズ』イベントで登場したアートが東京初上陸。注目は、8月に「青森ねぶたまつり」に登場したルーカスフィルム公認の"スター・ウォーズねぶた"で、C-3POとR2-D2が描かれた"ドロイドねぶた"、ルーク・スカイウォーカーやヨーダの"ジェダイねぶた"、ダース・ベイダーやダース・モールの"シスねぶた"、そして、最新作に登場するレイ、BB-8、カイロ・レンが描かれた"フォースの覚醒ねぶた"の4台が光を放っている。また、11月30日に京都・清水寺でお披露目された「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神雷神図屏風」と「覚醒の書」も展示。優雅なタッチで風神として描かれた新ヒロインのレイと、威圧感あふれる雷神となった悪役カイロ・レン、そして、毎年恒例の"今年の漢字"で知られる清水寺の森清範貫主が書き上げた"覚醒"を見ることができる。さらに、"砂のスター・ウォーズ"ミニ砂像も注目だ。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ブースでは、ヒロインのレイ、悪役カイロ・レン、新ドロイドのBB-8、ストームトルーパーの脱走兵であるフィン、ファースト・オーダー率いる女性将校キャプテン・ファズマという新キャラクターの等身大フィギュア5体が登場。劇中のパネルや、過去6作品のポスターも見逃せない。そして、「『スター・ウォーズ』アーティスト・プロジェクト」ブースでは、約20人の著名人がデザインした"BB-8アート"を初お披露目。俳優・画家・書家の片岡鶴太郎は、BB-8を鏡餅に変身させ、歌手・タレントの中川翔子は、ダース・ベイダーをはじめ多彩なキャラクターを描いて"SWプラネタリウム"を表現し、モデルのマギーはかわいらしいピンクのBB-8を完成させた。俳優の田辺誠一は、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』をイメージして侍風に仕上げ、俳優の速水もこみちは、『スター・ウォーズ』のダークサイドとライトサイドをカラーリングと光で表現。そのほか、切り師の長屋明は細密な切り絵でキャラクターたちを生み出し、東京大学レゴ部は、レゴでBB-8を制作するなど、思い思いのBB-8が並ぶ。さらに、日本各地の伝統芸能のアーティストが制作した"スター・ウォーズ"アートも登場。悪役カイロ・レンをモチーフにした羽子板や、山形・天童市の伝統技術を用いてキャラクターが彫られた将棋駒、富山の伝統工芸"井波彫刻"の技術を用いて再現された本作のポスター、重要無形文化財の久留米絣(くるめがすり)を使ってBB-8とロゴを配したもんぺと法被などが飾られている。「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開記念~スター・ウォーズの世界~フォース・フォー・ジャパン」は12月18日~29日(11:00~20:00)、汐留・日本テレビ 2階日テレホールにて開催。入場無料。(C) 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved
2015年12月18日映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(12月18日公開)のジャパンプレミアが10日、東京・六本木ヒルズアリーナで行われ、来日したJ.J.エイブラムス監督、新キャストのデイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、さらに、BB-8、R2-D2、ストームトルーパーが登場した。会場には、キャラクターに扮したファンなど、観客1,000人が集結。オーケストラによる生演奏で『スター・ウォーズ』の音楽が流れると、一気に熱気が高まった。そして、レッドカーペットにJ.J.エイブラムス監督、デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガが順番に姿を現すと歓声が沸き起こり、「デイジ~!」「アダム~!」などと声援が飛び交う中、4人はサインや記念撮影に応じながらカーペットを歩いた。その後、ステージに4人が登壇し、過去6作品すべてに登場する人気ドロイド・R2-D2、新型ドロイド・BB-8、ストームトルーパーも登場。ジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ』を引き継いだJ.J.エイブラムス監督は、「ハロー! トウキョウ! ジャパン!」と大きな声であいさつし、「温かい歓迎、感謝します」と日本のファンに呼びかけた。今年4月に初来日し、今回が2回目となるヒロイン・レイ役のデイジー・リドリーは「また日本に来られてうれしいです!」と笑顔で日本語を披露。ジョンも「コンニチハ!」と日本語であいさつし、赤い十字型のライトセーバーを操る悪役カイロ・レン役のアダム・ドライバーは「ここに来られてうれしい」と感激していた。BB-8も球体ボディをコロコロ回転させながら"ピピポパパピ"などとあいさつすると、J.J.エイブラムス監督が「『もう少し暖かくしてくれないか、ちょっと寒いよ』と言っていると思います」と通訳。そんなBB-8について、デイジーは「とにかくキュート」と話し、「ものすごい人間的なところもあって、今回のストーリーの鍵を握っている」と紹介した。また、監督は「黒澤明監督はジョージ・ルーカスに影響を与えた方ですし、黒澤作品は世界で最も秀でている作品。再度、黒澤作品を見て、今回いろいろ影響を受けています」と本作も黒澤監督の影響を受けていると告白。そして、「まったく新しいストーリー。アクション、アドベンチャー、コメディ、大きなハートがある作品」と熱くアピールした。最後に、ジョンは青、アダムは赤のライトセーバーを持ち、デイジーが「フォースと共にあらんことを!」と名フレーズを披露すると、再びオーケストラによる『スター・ウォーズ』の生演奏が響き渡り、ステージ中央が開いて巨大な十字型ライトセーバーが登場。会場はさらなる熱気に包まれた。
2015年12月10日12月18日の全国一斉公開を間近に控える『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のプレミアイベントが12月10日に、東京・六本木ヒルズアリーナで開催された。来日中のJ.J.エイブラムス監督、レイ役のデイジー・リドリー、フィン役のジョン・ボイエガ、カイロ・レン役のアダム・ドライバーが駆けつけ、日本のファン約1000人が熱烈歓迎。リドリーは流ちょうな日本語で、「フォースと共にあらんことを」と挨拶し、数日後に迫った“覚醒”に胸を高鳴らせた。『スター・ウォーズ』プレミアイベントその他の写真「ハロー、トウキョウ。暖かい歓迎をありがとう」とファンに感謝を述べたエイブラムス監督は、「僕らが大好きなスター・ウォーズの“ユニバース”を舞台に、まったく新しい物語を描いたんだ。アクションや冒険、コミカルな場面もあるし、何より熱いハートをこめた作品。今日ここにいるキャストたちも、素晴らしい仕事をしてくれた」と誰よりも公開が待ちきれない様子だった。また、“創造主”であるジョージ・ルーカスについて「黒澤明監督に影響を受けていた」と語ると、「それは僕も同じなんだ。今回、映画を撮るにあたって、過去の黒澤作品を見返したほど。少なからず影響は受けている」と日本文化の影響を“受け継いだ”と語った。今年春に行われたキックオフイベントに続き、2度目の来日を果たしたリドリーは、「また日本に来られて嬉しいです」と再び日本語を披露。相棒となるドロイド“BB-8”について、「とにかくキュートで、マシンとは思えないほど人間的。もちろん、物語の重要なカギを握っている」とベタ惚れだ。一方、ボイエガとドライバーにとっては、初の来日キャンペーンで「コンニチハ!東京に来ることができて、とても嬉しい」(ボイエガ)、「作品に影響を与えた日本に来られるなんて、とてもエキサイティングだね。運命を感じるよ」(ドライバー)と感激していた。この日はファン1000人に加えて、テレビカメラ100台、スチールカメラ120台、記者50人を含めた総勢500人のマスコミが取材に駆けつけ、新たな『スター・ウォーズ』現象の過熱ぶりを証明した。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』12月18日(金) 全国ロードショー取材・文・写真:内田 涼
2015年12月10日初日チケット争奪戦で劇場サイトのサーバーダウンも相次いだという、シリーズ最新作にして新たなる3部作の1作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。その公開直前12月10日(木)、11日(金)に、ジョージ・ルーカスから“フォース”を受け継いだJ.J.エイブラムス監督と、新3部作を牽引するレイ、フィン、カイロ・レンのキャストとなるデイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、そしてアダム・ドライバーの緊急来日が決定した。全人類が待ち望んだといっても過言ではないSF映画の金字塔にして、映画を超えた史上空前のエンターテイメントの新たなる幕開けとなる本作。登場するキャラクターたちの中で、最も注目され、物語の中心人物となるとうわさされているのは、レイ、カイロ・レン、フィンの3名だ。家族を知らず砂漠の惑星で孤独に生きるヒロイン、レイの運命が、BB-8、フィン、カイロ・レンらと関わるとき、銀河の命運をかけた戦いの渦中へと彼らは導かれる。すでに公開された映像では「私は何者でもない」「私は家族を待っている」と語り、その孤独なキャラクター像の一端が明らかになっているレイ。そんな新ヒロインに大抜擢され、今年4月以来2回目の来日となるデイジー・リドリーは、先月、予告編を見たリアクションをwebで公開しており、感動のあまり泣き出してしまうキュートな素顔を覗かせる。また、なぜか青いライトセーバーを持っていることで様々な憶測を呼んでいるストームトルーパーの脱走兵フィン。演じるのは、今回が初めての来日となるジョン・ボイエガ。彼もまた予告編公開時に自身のリアクションをwebで公開しており、いまにも涙をこぼしそうな表情で見守りながら、自身の姿が映し出されるとソファーから転げ落ちるほど大はしゃぎ。その素直すぎるリアクションは、世界中のファンから絶賛を受けている。さらに大注目なのは、赤くいびつな光を放つ十字型のライトセーバーを握り、おそらく“ダース・ベイダー”を受け継ぐ男であろうカイロ・レン。史上最も人気のある“悪役”の1人を演じるアダム・ドライバーは、「マスクをつけている彼、またはマスクをつけていないときの彼が、一体どういう男なのか?とても興味深いね」と意味深な発言をしており、本作では象徴的なマスクを被っているときと、マスクを被らないときのそれぞれの顔で演技をしたことを匂わせている。この3名を引き連れて来日するのは、「ジョージ・ルーカスが創り出した世界のパワーを、もう一度、皆さんに信じてもらいたい。『善』VS『悪』のパワー、そして、フォースのパワーを」と語り、ジョージ・ルーカスから『スター・ウォーズ』を受け継いだエイブラムス監督だ。彼は過去の来日時にアイドルグループ「AKB48」やミュージシャンの中田ヤスタカらと対面したり、最近覚えた日本語として自身の名前と掛けて「じぇじぇ!」とあの方言を披露するなど、日本文化やポップカルチャーにも造詣が深く、秋葉原も大好き。最も印象的な思い出として、東宝のスタジオを訪れた際に黒澤明作品やゴジラに使われたセットを見学したことと明かす彼は、「機会があれば日本に引っ越したい」とも話しているほど大の親日家としても知られている。創造主ルーカスが敬愛する黒澤作品を始め、数え切れないほどの日本的要素が盛り込まれている『スター・ウォーズ』。その世界を引き継いだ親日家エイブラムス監督が、この公開直前来日で何を語ってくれるのか?彼らは2日間の滞在中、ジャパンプレミアや特別映像上映会、シークレットイベント、そして記者会見と来日プロモーションをこなす予定という。はるか彼方の銀河系で繰り広げられる “家族の愛と喪失”の壮大な物語に、出会えるのはもうまもなくだ。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は12月18日(金)18時30分より全国一斉公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スター・ウォーズ/フォースの覚醒 2015年12月18日より全国にて公開(C) 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights
2015年11月25日公開まで1か月を切り、18日(水)午前0時から前売り券が販売開始され、ますます盛り上がりを見せている『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。本作の公開を記念して、作品世界を体感できる展示会が開催されることが決定した。世界中に多くのファンを持つ『スター・ウォーズ』シリーズの最新作となる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。18日午前0時には、記念すべき日本全国“同時刻”特別上映回のチケットを求めるファンが各劇場のサイトに一斉にアクセスを開始し、各劇場のWEBサイトにはアクセスが集中し、サーバーダウンする劇場が続出!またたくまに、日劇、六本木、新宿をはじめとする各劇場で12月18日18時30分の初回が売り切れ、さらに同じく18日午前0時より発売開始となったムビチケオンライン券も、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の最終販売枚数である3,001枚を上回る、4,000枚を超えるの異例の売り上げを記録した。今回、開催される展示は“スター・ウォーズ・イヤー”ブース、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ブース、『スター・ウォーズ』アーティスト・プロジェクトブースの3つ。“スター・ウォーズ・イヤー”ブースでは、2015年“STAR WARS YEAR”を盛り上げ、様々なイベントに登場した青森ねぶた祭りでの<スター・ウォーズねぶた>や、鳥取砂丘の砂像“砂のスター・ウォーズ”など、日本列島を駆け巡ったアート作品が東京にやってくることになる。『スター・ウォーズ』シリーズの創造主、ジョージ・ルーカスは、同作に数えきれないほどの日本的要素を盛り込んでいる。映画を学んでいたUSC(南カリフォルニア大学)で日本映画、とりわけ黒澤明の諸作品に触れ、多大な影響を受けていたからだ。数ある黒澤作品の中でも、『隠し砦の三悪人』(’58)からの影響を強く受けており、太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は、シリーズの道先案内人的存在であるドロイド・コンビ、C-3POとR2-D2の誕生に大きな影響を与え、同作品のお転婆で男勝りなお姫さま雪姫(上原美佐)からインスパイアされてレイア姫を創り出したという。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の最後、レイアがルークたちに褒美を取らすというシチュエーションも『隠し砦の三悪人』とよく似ており、“ジェダイ”も日本の“時代劇”という響きから生まれたものだとも言われている。『スター・ウォーズ』の誕生に日本文化が多大な影響を与えている事を考えると、2015年の日本列島の盛り上がりも納得!?日本文化とのつながりを再確認しながら、本作の世界観を体感してみてはいかがだろうか。「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開記念~スター・ウォーズの世界~フォース・フォー・ジャパン~」は12月18日(金)~12月29日(火)、汐留・日本テレビにて開催。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は12月18日(金)18時30分より全国一斉公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:スター・ウォーズ/フォースの覚醒 2015年12月18日より全国にて公開(C) 2015 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights
2015年11月19日第28回東京国際映画祭“パノラマ部門”に出品されている『の・ようなもの のようなもの』が10月29日に、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで公式上映され、松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、杉山泰一監督が舞台あいさつに立った。その他の画像2011年に急逝した森田芳光監督のデビュー作である『の・ようなもの』の35年後を描いた“続編”的な完全オリジナルストーリー。30歳で脱サラし、落語家になった主人公・出船亭志ん田(松山)と、彼を取り巻く個性豊かな面々の人間模様を軽妙に描く。『の・ようなもの』をはじめ、数々の“森田組”で助監督を務めてきた杉山監督は、「お世話になって森田監督への恩返しのつもり」と本作への思いを明かし、「最初は尻込みしたが、『やっちゃえ』って森田監督の声が聞こえた気がして。なんせ、自分でも黒澤明監督の作品(『椿三十郎』)をリメイクしちゃう人でしたから。森田組の遺産であるスタッフ、出演者をふんだんに使った作品にしようと思った」と語った。杉山監督の言葉通り、登壇した松山、北川、伊藤は森田作品への出演経験がある。主人公・志ん田は、森田監督の遺作となった『僕達急行 A列車で行こう』で松山が演じた“こまち”役を踏襲しており、「森田監督へのオマージュであり、ラブレターのような感覚で、自分でも感動した」。一方、北川は10年前に出演した『間宮兄弟』と同じ“夕美 ”というヒロインを演じ、「今回、成長した夕美をお見せできれば。現場にも森田組に参加した方々がたくさんいて、すごくアットホーム。私もすっと役に入り込めた」と振り返った。伊藤は『の・ようなもの』で主人公・志ん魚(しんとと)を演じており、「まさか35年後に、同じ役を演じるとは。まるで同窓会のような雰囲気で、楽しい現場だった」と感無量の面持ち。「悪い人がひとりも出てこない映画。見れば、元気に生きてみようと思える」とアピールした。『の・ようなもの のようなもの』2016年1月16日(土)より、新宿ピカデリーほか全国公開取材・文・写真:内田 涼
2015年10月29日4年前に急逝した森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』の続編として監督ゆかりのスタッフ、キャストで製作した『の・ようなもの のようなもの』が10月29日(木)に東京国際映画祭でお披露目。松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、杉山泰一監督が舞台挨拶に登壇した。『の・ようなもの」から35年の時を経て製作された本作。生真面目でサエない落語家の志ん田(しんでん)が落語を捨てて気ままに生きる兄弟子の志ん魚(しんとと)との出会いをきっかけに、自分らしくを生きる術を知っていくさまを描く。松山さんが演じた志ん田は、森田監督の遺作『僕達急行 A列車で行こう』で松山さんが演じた役を作品の枠を超えてベースにしている。松山さんは「台本では“志ん田”としか書いてないんですが、衣裳合わせに行ったら、どこかで見た衣裳があって…(笑)。でも、現場に入ったら、(過去の森田作品の)いろんな役を引きずっている人ばかりで『こういうことか!』とこれもひとつのオマージュ、ラブレターかと感動しました」と語る。北川さんが演じたのは役も名前も全くそのまま、北川さんにとっては記念すべき映画初出演作となった『間宮兄弟』で演じた夕美!「台本を読んで“夕美”とあって『そういうことなんだ!』と森田組のシャレなんだと思ってフィッティング(衣裳合わせ)に行ったら、10年前と同じ衣裳がありました」と嬉しそうに振り返る。伊藤さんは35年前の『の・ようなもの』で演じた志ん魚の35年後をそのまま演じているが「35年経っての続編というのが普通はあり得ないしビックリしました。尾藤イサオ、でんでんなど、全員が生きていたからこそ!一人でも亡くなってたらなかったと思うので、長生きに感謝です」と語った。杉山監督は35年前からずっと森田作品の助監督を務めてきたが、最初に今回の話を聞いた時「尻込みしました」と明かす。それでも「森田監督ならこんな時に何て言うか?黒澤明監督のリメイク(『椿三十郎』)をやるくらいだから、自分の作品の続編くらい『やっちゃえ!』と言うだろうと、居直って撮ってみようと決意しました」と明かした。志ん田が北川さん演じる師匠の娘・夕美に背中を叩かれつつ…という恋模様のようなもの(?)が展開するが、松山さんは「『サウスバウンド』で監督と景子ちゃんと3人で舞台挨拶した時、次は『(松山さんと北川さんの)2人でラブストーリーを撮りたい』と言ってて、それがこういう形で実現したのかな?」としみじみ。北川さんも感慨深げにうなずいていた。『の・ようなもの のようなもの』は1月16日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:の・ようなもの のようなもの 2016年1月16日より新宿ピカデリーほか全国にて公開2016,日本,松竹
2015年10月29日東京国際映画祭パノラマ部門作品『ラスト・ナイツ』(11月14日公開)の舞台挨拶が28日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、紀里谷和明監督と俳優の伊原剛志が出席した。『CASSHERN』『GOEMON』で知られる紀里谷監督のハリウッド進出作となる本作は、モーガン・フリーマンとクライヴ・オーウェンを主演に迎え、不当な死をとげた主君の仇をとるために戦う騎士たちの"サムライ魂"を描いた作品。舞台挨拶で監督は「脚本をいただいたのは6年前。実際に制作にとりかかり完成まで5年かかった」と語り、客席を見渡しながら「この光景を思い浮かべながら、そして、全世界30カ国で公開、日本で11月14日公開というこの日を夢見て頑張って来たと言っても過言ではありません」とあいさつすると、客席から拍手が起こった。また、本作について「ベースは日本の『忠臣蔵』。それをどのようにしてインターナショナルなマーケットで展開するのか考え、黒澤明監督の『乱』がシェイクスピアの『リア王』を戦国時代に置き換えてやってらっしゃったことを思い出し、その逆ができるのではないかと思った」と説明。「もう1つステップを進めようと、ありとあらゆる国籍の方と仕事をしたいと思った」と続け、その理由について「映画の作り方の可能性が広がるのではないかと思った」と語った。そして、映画は「自分の子供」であり、「子供を多くの優秀な方々と作って育てていく作業」と表現し、「今回、3人目の子供。マイナス20度、30度の中で1日12時間、雪の中で一生懸命戦って作り上げた子供です。この子を好きになってもらえればそれに越したことはありません」と切望。さらに、「命をかけてこの映画を作ったつもりです」と並々ならぬ思いを伝え、最後に「日本映画、世界映画が一つになっていけたら」と今後の日本映画の発展を願った。日本人で唯一出演した伊原は、紀里谷監督のことを「現場で戦っている戦士に見えた」と言い、「現場で役者たちとディスカッションもしていましたし、ほかのキャストも監督をリスペクトしていた」と説明。「日本人の監督で世界に出ていろんな役者を使ってできる監督はなかなかいない。紀里谷さんはきっと今後も、いろんな世界で活躍する監督。ぜひついていきたい」と絶賛すると、監督は「ありがたいお言葉」と感激し、「単純にものすごい優秀な方々に囲まれた。自分の力はささいなもので、どれだけ優秀な方に囲まれるかだと思う」と語った。
2015年10月28日紀里谷和明監督がハリウッドで製作した最新作『ラスト・ナイツ』が10月28日(水)、「第28回東京国際映画祭」にて上映され、紀里谷監督と、日本から本作に出演している伊原剛志が舞台挨拶に臨んだ。クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマンらハリウッドスターが参加した本作は日本の「忠臣蔵」をベースに製作。理不尽に主君を殺された騎士たちが誇りを取り戻すべく戦いに身を投じるさまをスタイリッシュな映像で描き出す。紀里谷監督と伊原さんは劇場の客席通路を歩き、観客に名刺(ビジネスカード)を配布しながら壇上へ。多くの観客で埋まった客席を見渡し、紀里谷監督は「脚本をいただいたのが6年前で、5年をかけて映画を作りましたが、その間、いまのこの光景を思い浮かべてここまで頑張ってきました」と感慨深げ。「忠臣蔵」をベースにしている点について、当初は日本人キャストで作る予定だったと明かし「黒澤明監督の映画で『リア王』をベースにした『乱』という作品がありますが、その逆ができるのではないかと思った」と説明。「架空の国、架空の時代の(設定の)中で、ありとあらゆる国籍、人種の人と仕事をしたかった。これからの映画の可能性が広がると思った」と映画作りの未来をも見据えた決断について語った。完成した映画は自身にとっての「子ども」であると語り「自分ではひいき目に見てしまいますが(笑)、みなさんの目で確かめてほしいと思います。命懸けで作りました!」とこれから初めて映画を鑑賞する観客にゆだねた。伊原さんは11月から1月のチェコでの撮影について「だんだん寒くなっていって大変でした」と述懐。「映画の中の雪も本当の雪です。過酷な状況で、日本人は僕と監督だけで、そんな中でいつも僕に声を掛けてくださる姿は、この映画の中で戦っている戦士たちに見えました。紀里谷さんはいつもキャストやスタッフとディスカッションをしていて、キャスト陣はみんな、監督をリスペクトしていました」と現場の様子を明かし「今後も世界で活躍する監督だと思っていますし、ぜひ付いて行きたい!」と最大限の賛辞と敬意を口にした。また、モーガン・フリーマンやクライヴ・オーウェンといったスターたちとの共演について、伊原さんは「一緒の画面にいて、存在で負けないようにと心がけましたが、(完成したシーンを)見て、大丈夫だな、おれもイケてるんだと(笑)、自画自賛ですが思いました」と自信のコメント。「機会があればもっと海外の作品に出たいと思いました」とさらなる海外挑戦に意欲を燃やしていた。『ラスト・ナイツ』は11月14日(土)より公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月28日『ゴジラVSキングギドラ』などで知られる大森一樹監督が23日、東京・六本木のTOHOシネマズ六本木で行われた東京国際映画祭コンペティション部門審査員記者会見に出席した。会見では、『X-MEN』シリーズで知られる審査委員長のブライアン・シンガーをはじめ、トラン・アン・ユン、ベント・ハーメル、ナンサン・シー、スサンネ・ビアも出席し、審査員が全員集合。日本人監督の代表として審査員を務める大森監督は、「日本を代表する映画祭で、代表として審査員をすることに光栄に思っております。同時にものすごく緊張してプレッシャーが高まっています」と心境を語った。そして、「映画祭が始まって30年。映画にとって産業革命と言われるくらい映画の形が変わってきた。フィルムからデジタルに変わり、映画館がシネコンという形になってきた」と映画業界の変化を語り、「日本でさまがわりをずっと見て来ましたが、私としてもまだ混乱の中にいるような感じ」とコメント。「今回、世界中の映画を見て、世界がどのように産業革命に対応しているのか答えが出ればいいなと。その中で、これから30年とつながるヒントを与えてくれる映画があればベストな映画にしたい」と期待を寄せた。また、外国人審査員全員が影響を受けた日本の映画として黒澤明監督の名前を挙げると、「黒澤監督が世界のフィルムメーカーに影響を与えたことことにすごい感激しています」と感慨深げな表情を見せ、「私自身、高校時代に黒澤監督の『赤ひげ』を見て、医者の話だったので大学は医学部に行き、医学を勉強しながら黒澤映画を見ているうちに、『医者じゃなくて映画監督だ』と気づいて映画監督になった」と自身も多大な影響を受けたことを告白。「その選択が正しかったと、みなさんの発言を聞いてうれしく思います」と喜んだ。さらに、『インファナル・アフェア』のナンサン・シープロデューサーが、「私が影響を受けたのは、あの音楽…日本のゴジラ! そういう意味で、大森監督にも影響を受けている」と言うと、ブライアン・シンガー監督も「確かにそうです! アメリカの3,000万人以上の人たちがだれに影響を受けているかというと、ゴジラ! 日本のゴジラに非常に大きな影響を受けています」と賛同。それを聞き、大森監督は「とても光栄です」と思わず笑みがこぼれた。
2015年10月23日東京国際映画祭のコンペティション部門審査員記者会見が23日、東京・六本木のTOHOシネマズ六本木で行われ、審査委員長のブライアン・シンガーをはじめ、審査委員のトラン・アン・ユン、ベント・ハーメル、ナンサン・シー、スサンネ・ビア、大森一樹が出席した。『X-MEN』シリーズで知られるブライアン・シンガー監督は「東京国際映画祭の審査員長として、そしてすばらしい審査員団と仕事ができることを光栄に思っています」とあいさつ。審査の基準について「いろんな国々からの映画、ジャンルもホラーからコメディ、ドラマと広い。国の文化の違い、その上にジャンルの違いということは、審査員の私たちにとって課題になる」と審査の難しさを語った。『卵の番人』『キッチン・ストーリー』で知られるノルウェーのベント・ハ-メル監督は「物語がどれだけ上手に語られているかが一つの審査基準」、『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督は「最終的にすばらしい作品というのは、言葉が万国共通に物語をうまく語っているもの。そういう基準で見ていきたい」とコメント。『ゴジラVSキングギドラ』の大森一樹監督は、「映画祭が始まって30年。産業革命と言われるくらい映画の形が変わってきた」と言い、「どのように産業革命に対応しているのかを見られたら、ヒントを与えてくれる映画があればベストな映画にしたい」と伝えた。日本の映画で影響を受けた作品を聞かれると、外国人審査員全員から黒澤明監督の名前が挙がり、ブライアン・シンガー監督は「スピルバーグ、ルーカスでさえ黒澤さんの影響を受けているという。ほとんど映画を見る時は、スピルバーグを見て黒澤さん、ルーカスを見て黒澤さんというくらい、黒澤さんは自分の映画作り、映画業界に非常に大きな影響を与えた」と話し、「三船敏郎さんがアメリカに来られた時に会うすばらしい経験があった」ということも明かした。トラン・アン・ユン監督は「溝口(健二)、小津(安二郎)、成瀬(巳喜男)、柳町(光男)、橋口(亮輔)、是枝(裕和)」と名前を挙げ、「日本映画から学ぶことはたくさんある」と語った。イギリスに留学していた時に黒澤監督の話を聞く機会があったという『インファナル・アフェア』のナンサン・シープロデューサーは、「お年を召しているにも関わらず『毎日学ぶことがいっぱいある』と話された言葉はいまだに心に残っている」と言い、黒澤作品は「今でも新しく何か学ぶものがある」とコメント。『未来を生きる君たちへ』のスサンネ・ビア監督も「若い時から黒澤監督の影響を非常に受けている」と言い、ベント・ハーメル監督は「小津監督、黒澤監督が好き。『羅生門』を南米の友人に見せたばかり」と明かした。
2015年10月23日“マンガの神様”手塚治虫や“世界のNINAGAWA”こと演出家の蜷川幸雄、そして“映画界の巨匠”黒澤明も題材として取り上げ、今年は佐々木蔵之介の舞台でも話題になったウィリアム・シェイクスピアの戯曲「マクベス」。このほど、マイケル・ファスベンダーとマリオン・コティヤールの競演により映画化されたシェイクスピア没後400周年の記念作『マクベス』が、2016年初夏、日本公開されることが決定。本作で、吉本興業が初の洋画配給を手がけることになった。「ハムレット」「オセロー」「リア王」と並ぶシェイクスピア4大悲劇の1つとして知られ、中世のスコットランドに、欲望と野心にとらわれた勇敢で有能な戦士・マクベスが、最愛の妻“レディ”マクベスと共に歩んだ激動の生涯を描いた本作。今年5月に開催された第68回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門のクロージング作品として上映された際には、その圧倒的な映像美とドラマ性の高さが絶賛され、約10分間にもおよぶスタンディングオベーションが起こった。マクベスを演じるのは、主演作『SHAME-シェイム-』にて第68回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で「俳優賞」を受賞、また、ブラッド・ピット製作で話題となった『それでも夜は明ける』では2013年の第86回アカデミー賞「助演男優賞」にノミネートされたマイケル・ファスベンダー。米映画サイト「TC Candler」による 「世界で最もハンサムな顔」第1位(2013年)のセクシーな容姿とともに、“世界最高の演技派”の一人として注目されており、ダニー・ボイル監督のもとでアップル創業者スティーブ・ジョブズを演じることでも話題となっている。また、物語のカギを握るマクベスの妻を演じるのは、マリオン・コティヤール。主演映画『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』で第80回アカデミー賞「主演女優賞」受賞をはじめ、第65回ゴールデングローブ賞、第33回セザール賞などを受賞、『サンドラの週末』でも再びアカデミー賞にノミネートされたフランスを代表する女優。彼女もまた、「世界で最も美しい顔100人」第1位に選出された美貌と実力を兼ね備え、本作ではファスベンダーと共に、手を血に染め、野心と欲望に苛まれながら次第に狂気に満ちていく夫婦を演じている。「シェイクスピア史上最高傑作」とも言われる原作に忠実な解釈を行いながらも、そんな夫婦の心情を圧倒的かつ繊細な映像表現で描き出したのは、オーストラリア出身のジャスティン・カーゼル監督。共演には、『コードネーム U.N.C.L.E』のエリザベス・デビッキ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネーション』で悪役を演じたショーン・ハリス。また、全米での配給を行うのは、『英国王のスピーチ』などアカデミー賞常連作品を多数製作し、ハリウッドで絶大な影響力をもつザ・ワインスタイン・カンパニー。日本では、吉本興業が『るろうに剣心』3部作や『許されざる者』の製作アイアトン・エンタテインメントとタッグを組み、初めての洋画配給に乗り出す。本作の製作スタジオStudioCanalからは、「吉本興業及びアイアトン・エンタテインメントの新しい事業である洋画の映画配給に関して、喜びをもって協力いたします」とコメントが寄せられており、作品の高評価とともに日本公開に期待が寄せられている。『マクベス』は2016年初夏、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月19日10月23日(金)に公開を控えたM・ナイト・シャマラン監督&脚本の最新作『ヴィジット』。『ハプニング』以来、実に7年ぶりに自身のルーツである“スリラー映画”へと原点回帰したシャマラン監督は親日家としても知られているが、大きな影響を受けたという日本の映画監督について語っていることが分かった。本作は、『パラノーマル・アクティビティ』や『インシディアス』などの大ヒットホラーシリーズをプロデュースしたジェイソン・ブラムとシャマラン監督の初タッグで、これまで以上の不気味な雰囲気に包まれた世界観を表現。9月11日(金)に全米公開されるや、週末3日間で2,542万7,560ドル(約30億円、1ドル=120円計算)を記録、シャマラン監督作品史上初の大ヒットスタートを切った。今年5月には、製作総指揮を務める海外ドラマ「ウェイワード・パインズ 出口のない街」のPRのため緊急来日したり、新作の公開のたびに日本を訪れているシャマラン監督。「もちろん、いままで、日本の映画監督から影響は受けているよ」と明かす。「黒澤明と宮崎駿には多大な影響を受けている。自分の中から引きだそうとしている二つの要素はそれぞれの監督から受け継いでいるのかもしれない」と偉大な名監督2人の名前を挙げ、「一つは“驚き”を子どもの様な感性で表現する一面で、特に『レディ・イン・ザ・ウォーター』は宮崎監督の影響を強く受けているんだ。そして、黒沢監督の品格に満ちた作品と構成に感銘を受け、それが自分の手掛けるスリラー物に影響を与えている。形式にこだわったシーンの撮り方、ある程度の時間が経過したときのカメラの動き方、カメラに向かって横顔になっている人物とカメラに向かっている人物ショット。こういう肖像画的な撮り方が大好きなんだ」と、どれほどの影響を受けてきたかを詳細に語る。また、来日についてたずねると、「自分が手掛けた映画やドラマのプロモーションで来日することが多いけれど、もっと日本の文化に浸ってみたいよ。以前、京都旅行をしたことがあったけど、そのとき素晴らしい体験が出来たんだ。著名な陶芸家やそば職人と会うこともできたしね。日本の文化を心からリスペクトしているよ。最近では日本食への興味が深まっている。いつかは田舎へ行って山の景色とかを楽しみたいね。とにかく日本は美しい国だよ!」と熱いほどの日本愛を語り、「日本での滞在時間が長ければ長いほど、僕はご機嫌なんだ!」と喜びのコメントを寄せた。『ヴィジット』は10月23日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月18日女優の樹木希林と原田眞人監督が9日(金)、都内の日本外国特派員協会で「Japan Now 監督特集<原田眞人の世界>」のPR記者会見を行い、3度目のタッグ作となる新作映画の構想を明かした。「Japan Now」は、10月22日(木)から31日(土)まで都内で行われる第28回東京国際映画で新たに設立された部門。近年の日本映画界の多様性を象徴する作品および監督を選んで上映するもので、映画『ラブ&ピース』『恋人たち』『野火』などを紹介するほか、特集上映<原田眞人の世界>では『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』『日本のいちばん長い日』など5本の原田監督作品を上映する。『わが母の記』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど原田監督とはゆかりの深い樹木さんは「今日は原田監督を持ち上げながら、時々足を引っ張りにやってきました」と笑わせながら「原田監督は、黒澤明監督、小津安二郎監督、岡本喜八監督の作品の話をするときは満面の笑みでずっと語っている。その喜びのようなものが映画作りに反映されている。それを乗り越えようとして色々頑張るんです。時には失敗する事もあるけれど……。でもやはり腕がある。そんな事を一俳優が言ってはいけないけれど、上手いのよ」と絶賛と共に紹介した。樹木さんと原田監督は映画『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』と2度タッグを組んでいるが、「3度目の構想は?」と聞かれると、樹木さんは「まったくありません」と即答。すると原田監督は「一応あるけれど、オフィシャルには言えないんです」とフォローしながら「とりあえず樹木さんには歴史上の重要な人物で、まさか樹木さんがやるとは誰も思わないような役をやってもらいます」と時代劇映画の構想を明かした。またトム・クルーズ主演の映画『ラストサムライ』(2003)などで俳優としても活動している原田監督は、イギリス人記者から「俳優と監督、どちらが楽しい?」と聞かれると「もちろん監督。セリフを覚えなくて済むから」とジョーク交じりに答えつつ「『ラストサムライ』の時は前日にセリフを変えられてパニックになりました。普段から自分も役者に対してやっているけれど、それはいけない事だと思いましたね」と苦笑いで当時を振り返った。第28回東京国際映画祭は10月22日(木)~10月31日(土)開催。(text:cinemacafe.net)
2015年10月09日10月8日(木)、藤沢周平原作の時代劇「果し合い」の完成披露試写会が開催され、主演の仲代達也をはじめ、桜庭ななみ、柳下大、原田美枝子、杉田成道監督、司会のえなりかずきが舞台挨拶に登壇した。10月よりBSスカパー!にて、藤沢周平原作のドラマが4作品の放送される「藤沢周平 新ドラマシリーズ」。一作目となる「果し合い」では、仲代さん演じる厄介者の庄司佐之助が、桜庭さんが演じる唯一彼の相手をし、面倒をみる甥の娘・美也の窮地を救うために刀を抜く姿が描かれる。試写会終了後、司会のえなりさんの進行のもと桜庭さん、柳下さん、原田さん、杉田監督が登場。仲代さんは会場後方の扉から登場し、多くの来場者に求められた握手や声援にこたえていた。試写の間、会場の2階で作品を鑑賞していたという仲代さんは、思わず涙を流してしまったと述懐。「このようなすばらしい作品の大事な役をさせていただいて、幸せ者だと思います」と、監督とキャストに感謝を述べていた。1985年の黒澤明監督作『乱』以来、30年ぶりに仲代さんと共演した原田さんは、「同じ黒澤組の仲間に会えて嬉しかった」と感慨を語る一方で、本作での仲代さんに対しての、意地悪な役どころを苦笑まじりに話すと、仲代さんは『乱』の際も原田さんの役どころには散々いじめられた事実を話し、会場からは笑いが沸き起こった。公開中の『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』にも出演している桜庭さんは、今回の役どころである美也の女性としての強さへの憧れを吐露。桜庭さんについて杉田監督は「子守をしてるようなもの(笑)」と冗談を飛ばすも、杉田監督作の『最後の忠臣蔵』出演時には17歳だった桜庭さんが、「竹林での立ち姿は、遠目から見ても美しいなあと、いつのまにこんな鶴のようになってしまったんだろう」と、桜庭さんの美しさを讃えていた。「果し合い」は、BSスカパー!にて10月31日(土)15時・19時放送。11月7日(土)から13日(金)東京劇場にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年10月09日NHKの放送開始から90年。このたび、NHKに保存されていない「幻の名作」を発掘し、“テレビも、日本も、熱かった時代”に迫る「幻の名作発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる~」の放送が決定した。1960年~70年代は、多くの名番組が生まれた「TVの青春時代」。しかし、当時は放送用テープが高価で繰り返し再利用していたため、ほとんどの番組の記録が残されていない「失われた時代」でもある。そこで、2013年からNHKにて始まったのが「番組発掘プロジェクト」だ。NHKに保存されていない「幻の名作」を、家庭用ビデオで録画した人がいないか調べ、出演者や制作者、さらには一般視聴者にも広く呼びかけ、徹底的に調査をした結果、この2年間で発掘された番組は全部で4,000本にのぼるという。25日に放送される「幻の名作発掘大作戦!」では、歌番組にあまり出なかった石原裕次郎が全11曲を熱唱する「ビッグショー」(1975)。昭和を代表する喜劇役者・三波伸介の「お笑いオンステージ」(1972-82)、黒澤明、つかこうへい、伊丹十三など巨匠たちの貴重なインタビュー映像などが初公開される。そして漫画界の巨匠、手塚治虫の幻の名作「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」(1969)も発掘!アポロ月面着陸に先駆けて、アニメと実写の融合で宇宙旅行を描いた実験作となる。しかし見つかったのは映像のみ。そこで「完全版」を再現するために、当時のスタッフが集結。主人公の声は、連続テレビ小説「まれ」でヒロイン・希の同級生役を演じた清水富美加が“人生初のアフレコ”に挑戦する。「これまでに自分の演技に声をあてた経験はあるけれど、自分ではないキャラクターへのアテレコは初めて」と話す清水さんだが、「年下の、しかも男の子の役ということで難しかったけれど、やってみたら思ったより自分の素に近い形で演じることができました」とふりかえる。清水さんと“謎のモグラ”がナビゲーターを務め、ゲストに石坂浩二、ロバート・キャンベル、渡辺満里奈を迎えて贈る同番組。本番組を通して60年代~70年代の番組を見た清水さんは「昔は生放送でドラマを演じたり、映像を保存できなかったり、『そんな風に作っていたんだ!』という発見と驚きばかり。でも、今より制約が多い時代だからこそ、今の時代にない熱量があるように思います」と語る。果たしてそれぞれの発掘映像の裏側には、どんなドラマがあるのだろうか?「幻の名作発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる~」は9月25日(金)NHK総合にて19:30~放送。(text:cinemacafe.net)
2015年09月24日第28回東京国際映画祭内にて、来る10月26日(月)、「歌舞伎座スペシャルナイト」として黒澤明監督作『虎の尾を踏む男達』のニュープリント上映と、歌舞伎俳優・片岡愛之助による歌舞伎舞踊が披露されることがこのほど決定した。今年も10月22日(木)~31日(土)に開催される東京国際映画祭。今回決定した「歌舞伎座スペシャルナイト」は、昨年より映画祭の新たな試みとして実施され好評を博し、今年も実施される運びとなった。2回目となる今年は、日本映画の巨匠・黒澤明監督が歌舞伎十八番の内「勧進帳」を題材に、第二次世界大戦前後に企画・撮影した『虎の尾を踏む男達』を、ニュープリント、英語字幕付きで上映。終戦の年1945年に完成された本作は、日本の検閲官により7年もの間封印されていたが、一部のGHQ担当官たちの政治を超えた芸術に対する理解によって、上映禁止を解除された経緯をもつ作品である。本作の上映前には、歌舞伎のみならずテレビや映画、舞台で幅広く活躍する片岡さんによる歌舞伎舞踊「雨の五郎」を上演。「雨の五郎」は、歌舞伎ならではの艶やかな口説きや、豪快な立ち廻りなどの見所満載の演目として、歌舞伎通からはじめて歌舞伎を観る人でも楽しむことができる。また、当日は江戸時代から歌舞伎鑑賞での楽しみの一つであるお弁当が、「歌舞伎座スペシャルナイト」特製のスペシャルメニューとして提供される。戦後70年の今年、国境を越えて愛された日本映画の名作と歌舞伎舞踏が堪能できる一夜をぜひチェックしてみて。「歌舞伎座スペシャルナイト」は10月26日(月)、第28回東京国際映画祭内にて開催。(text:cinemacafe.net)
2015年09月14日『マクベス』と『ドン・ジョヴァンニ』を携え「英国ロイヤル・オペラ」の5年ぶり5度目の来日が実現。開幕を前に9月11日(金)に記者会見が開催され、支配人のアレックス・ベアード、音楽監督のアントニオ・パッパーノ、『ドン・ジョヴァンニ』の演出を務めるオペラ・ディレクターのカスパー・ホルテン、キャスト陣では『マクベス』からサイモン・キーンリサイドにリュドミラ・モナスティルスカ、『ドン・ジョヴァンニ』からイルデブランド・ダルカンジェロ、ジョイス・ディドナート、ローランド・ヴィラゾンが出席した。【チケット情報はこちら】両作品で指揮棒を振るパッパーノは「5年前がまるで昨日のようです」と再来日の喜びを語る。同カンパニーにとって歴史ある『マクベス』と新たに作りあげた『ドン・ジョヴァンニ』という2作を上演することに「大きな挑戦であり、いずれもミステリー、死者の再来というスーパーナチュラルな要素が描き出されます。才能あふれる音楽家が顔を揃えており、この仲間たち、劇場からエネルギーをもらっています」と意気込みを語った。ダルカンジェロは「さっき起きたばかりで、コーヒーなしでうまく話せるかな…?でも日本で寿司が食べられて嬉しいよ」とユーモアたっぷりに挨拶。自らが演じるドン・ジョヴァンニについて「ホルテンのアイディアを具現化するのが自分の課題ですが、簡単ではありません。過去に演じてきたドン・ジョヴァンニを打ち壊し、新たな役作りをしなくてはなりません。今回、特に“マエストロ”パッパーノの指揮で、素晴らしい劇場で歌えることを幸せに思います」と笑顔で語った。マクベス役のキーンリサイドは黒澤明が『マクベス』を原案に作った「蜘蛛巣城」を10代で見て深い感銘を受けたと明かし「今回、日本のみなさまの趣向に合った『マクベス』をお見せできると思います」と自信をのぞかせる。マクベス、さらにはドン・ジョヴァンニにも共通する要素としてキーンリサイドは「己の確立」を挙げ「神が決めた運命ではなく、自らの力で運命を切り拓こうとした人間を表現できれば」と力強く語った。パッパーノの指揮の下、英国、イタリア、メキシコ、ロシアなど国境を越えて集った歌手たちが響かせる歌声、プロジェクションマッピングなどの最新技術を取り入れた演出など期待が高まる。『マクベス』は9月12日(土)より東京・東京文化会館にて、『ドン・ジョヴァンニ』は9月13日(日)より東京・NHKホールにて開幕。撮影・文:黒豆直樹
2015年09月11日『七人の侍』と『おくりびと』に影響を受けたというイスラエル映画『ハッピーエンドの選び方』(英題:THE FAREWELL PARTY)が11月、日本公開されることが決定。ポスタービジュアルの解禁とともに、メガホンを取ったイスラエル映画界の新進気鋭、シャロン・マイモンとタル・グラニット両監督の来日も決定した。エルサレムの老人ホームに暮らすヨヘスケルは、ユニークなアイディアでみんなの生活を少しだけ楽にするような発明が趣味。ある日、彼は望まぬ延命治療に苦しむ親友マックスから、「発明で安らかに死なせてほしい」と頼まれる。妻レバ―ナは猛反対するが、お人よしのヨヘスケルは親友を助けたい一心で、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置を発明する。同じホームの仲間たちの助けも借りて計画を準備し、数々の困難を乗り越え、彼は自らの意思で安らかに旅立つマックスを見送ることに。しかし、秘密だったはずのその発明の評判は瞬く間に広がり、彼らのもとに依頼が殺到!そんな中、愛するレバーナに認知症の兆候があらわれ始め…。人には、自分らしい最期を選ぶ自由はないのだろうか…?人生の最期の選び方というシリアスなテーマながら、世界中の映画祭の上映会場がたびたび笑いに包まれるほどにユーモラスな作品として話題を呼んだ『ハッピーエンドの選び方』。ヴェネチア国際映画祭(ヴェネチア・デイズ)「観客賞」受賞、ロッテルダム国際映画祭「観客賞」ノミネートほか、各映画祭で高い評価を得てきたイスラエル発の感動作がついに日本にも上陸。初公開されたポスタービジュアルでは、趣味の発明に没頭する主人公ヨヘスケルの姿が。“人生の最期を選ぶ”というテーマを軽快に描く本作にぴったりの、すっきりした青空が背景となり、ヨヘスケルの愛する妻・レバーナや娘や孫、仲間たちの写真もちりばめられている。また、本作の監督シャロン・マイモンとタル・グラニットが10月に来日することが決定。来日についての喜びのコメントも到着している。<監督コメント>私たちの作品が日本で公開されると聞いたときは、あまりに嬉しくて本当にジャンプしてしまいました。黒澤明、小津安二郎、大島渚から北野武、是枝裕和、三池崇史まで…日本の文化、特に映画を尊敬しています。『ハッピーエンドの選び方』に影響を与えた日本映画を挙げるならば、『七人の侍』と滝田洋二郎監督の『おくりびと』が挙げられます。シャロンの初監督作『A Matter of Size』(2009年にイスラエルで大ヒット)はイスラエルに相撲を持ち込み、太った人たちがスポーツを通じて如何に自分自身を受け入れていくかを描きました。日本の皆様にも、笑いながら、泣きながら、私たちのこの作品を愛して頂けたら幸いです。残された時間と向き合って見えてくる、人とのつながり、人生の輝き。ユーモアを忘れず、仲間のために奮闘するヨヘスケルたちの姿は、前向きに生きることの大切さを教えてくれ、愛する妻レバーナの認知症という問題に直面した夫婦の絆の深さが胸を打つ。それぞれが自分らしく、自ら選び取った旅立ちを目にしたときに見えてくるものとは…。自分の最期を自分で選ぶ発明の裏には、どんな物語が繰り広げられていくのか、期待して待っていて。『ハッピーエンドの選び方』は11月、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2015年08月21日戦後70年という節目の今年。映画「七人の侍」など黒澤明監督作品の常連としても知られた俳優・加東大介の戦争体験に基づく物語「南の島に雪が降る」が舞台化される。その主演を務める落語家・柳家花緑に舞台の話を聴いた。舞台『南の島に雪が降る』チケット情報太平洋戦争末期、ニューギニアの首都・マノクワリ。俳優だった加東軍曹(花緑)が従軍していた事から、兵士の士気高揚のため演劇慰問部隊が作られる事に。故郷に思いをはせる兵士たちで舞台は大盛況。ある日、瀕死の兵士が「東北の雪がみたい」とつぶやき…。1961年には、加東自らの主演で映画化。その後も何度も映像化されてきた名作だ。今回、初主演となる花緑は「舞台には何度か出演させて頂いてますが、やはり落語がホームであれば舞台はまだアウェイ感。そんな中で芯をとらせて頂くとは、画期的な事。チラシを見るとこの時代に溶け込んでますね。そこが良かったのでしょうか(笑)。戦後70年という節目の企画でもあり、その意識も自分の中にきちんとあります。良い舞台にしたいですね」と笑わせつつ、きっちり意気込みも。これまでの同作品は全て男性のみの出演だったが、今回は現地の女性リリーと、加東の妻の二役として大和悠河が出演。また一風変わった演出となりそうだ。「作、演出の中島(淳彦)さんは『リリーを通して祖国を感じる』というイメージを持たれている様子ですね。せっかくだから、ミュージカルのようなシーンも作ろうか、という話も出てまして危機は感じてます(笑)。自分の祖父(五代目 柳家小さん)も、戦争体験をしたひとり。祖父からもいろいろ戦争について聞いたこともあったので、体験はしてないけれど何となくその極限状態は想像ができます。戦場で演劇部を作る。そこまでしないと日々を暮らせない兵隊たちの気持ち。劇中に雪が降るシーンがあるんですが、誰も舞台に出ていない。観客は背景に感激し、どよめくんです。その様子を見て舞台裏も感激する…。こんな事実を伝えてくれた加東さんに感謝ですし、ちゃんと次の世代に伝えていかねばという思いがあります。僕流にやります、では済まないですよね」戦争という重い史実の舞台だが、その悲惨さだけでなく「真剣に生きる」大切さを伝えたいとも語る。「もちろん戦時下とは違うかもしれなけど、今は今の問題がある。どんな時代でも生きる為の知恵を身につけ、強く生きていくことが必要。それには『笑い』も大切な事だと改めて気づいた。この舞台の経験は落語家としての僕にも新たな影響を与えてくれそうです」懸命に生きようとする男たちの生き様を、涙と笑いと感動を織り交ぜて描く舞台、8月6日(木)から9日(日)東京・浅草公会堂、14日(金)から23日(日)愛知・中日劇場、25日(火)福岡・キャナルシティ劇場、27日(木)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。
2015年08月05日10月22日~31日に開催される第28回東京国際映画祭の記者会見が28日、都内で行われ、開催概要やオープニング作品&クロージング作品、各特集などが発表された。今年は開催期間が10日間と1日長くなり、会場も拡大。従来の六本木ヒルズに加え、新たに新宿の映画館を利用し、上映本数を増やす。また、部門の再編成を行い、「コンペティション部門」、「特別招待作品部門」といった従来の部門に加え、日本公開前の個性的な最新作をプレミア上映する「パノラマ部門」、過去1年の日本映画を振り返って現在の日本を代表する作品をセレクションする「Japan Now部門」、デジタル・リストアされた日本映画を上映する「日本映画クラシックス部門」の3部門を新設。より日本映画に重点を置いた9部門構成となる。ディレクター・ジェネラルの椎名保氏は「広く一般の方にも楽しんでいただけるよう映画祭を目指して企画をしています。楽しみにしていただきたいし、期待していただきたい」とアピールし、日本映画の強化について「世界の中における映画祭として考えると、日本を含むアジアにフォーカスした映画祭にしていきたい」と発言。事務局長の都島信成氏も今年のラインナップに関して、「より幅の広い作品をやっていきたい。映画祭としての幅を出していきたい」と語った。オープニング作品は、1974年にニューヨークのワールド・トレード・センターの間をワイヤーロープ1本でつなぎ、命綱なしで高さ411メートルの空中闊歩に挑んだ実話を描いたロバート・ゼメキス監督作『ザ・ウォーク』。クロージング作品は、直木賞作家・桜木紫乃原作、佐藤浩市と本田翼初共演の『起終点駅 ターミナル』に決定した。そして、国際交流基金アジアセンターとの共催で、日本を含むアジアの気鋭監督3人がオムニバス映画を共同製作するプロジェクト「アジア三面鏡」についても発表。日本からは『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督、そして、『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督、初監督作『遺されたフィルム』で第27回東京国際映画祭「アジアの未来部門」国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞したカンボジアのソト・クォーリーカー監督の3人が参加し、来年の東京国際映画祭での上映を目指す。記者会見には3人の監督も登場。それぞれ自分の国ではないアジアの異国で作品作りを行う予定とのことで、行定監督は「すごく刺激的なこと」と語り、「異国の監督が、自分の情緒を大切にしながら作品に取り組めば、新しい角度で事実が見えてくるんじゃないか」と期待感を表した。メンドーサ監督も「興奮しています」と言い、「3人の作品がリンクし、1本の映画としてつながる。全体として1本に見てほしい」とコメント。クォーリーカー監督は「日本とカンボジアはルーツに共通点が多い。文化的なルーツをつなげるような作品を作りたい」と伝えた。また、特集上映としては、昨年11月に逝去した高倉健さんの出演作を上映する追悼特集「高倉健と生きた時代」や、アニメーション特集『機動戦士ガンダム』、1985年の第1回東京国際映画祭でオープニングを飾った黒澤明監督の『乱』の4Kデジタル復元版のジャパンプレミアなどが行われる。
2015年07月28日「おぉっ、マジか?」。市原隼人が出演のオファーを快諾したと聞いて、三池崇史監督は驚愕した。オファー出した本人が驚くっておかしいだろっ!とツッコミたいところだが、なぜか納得してしまう。そして市原さんは、自らが主演を務め、完成したこの映画をこんな言葉で評する。「これまでの映画、これから先に公開される映画、その全てが“過去”になってしまうような新たなジャンルの映画だと思います」。ここまでで『極道大戦争』がどれくらいブッ飛んだ映画なのか十分に想像がつくと思う。一応、どんな映画なのかを説明するとタイトルの通り、やくざ映画である。だが、出てくるのはただのやくざではない。“ヤクザヴァンパイア”である。彼らに噛まれると、カタギの人間もやくざになってしまう。そして街には(文字通り)血に飢えたヤクザヴァンパイアがあふれる…。もちろん、原作小説などない。こんな、とんでもない話を思いつき、実際に映画にしてしまうのは三池監督だけだ。そこに市原さんは一寸の迷いもなく飛び乗った。そして撮影を、現場を心の底から楽しんだ。セオリーも常識も超えた戦場に身を投じる、やんちゃな男たちに話を聞いた。人気漫画やベストセラー小説の映画化が主体の邦画界にあって、本作の始まりは、三池監督によると「飲み屋での無駄話」だという。そんな奇跡のような本作が成立したという事実について監督は感慨と意義を口にする。「いま、ヒットしそうだから映画を作るとかそういう流れ、見る側というより、われわれ作る側のモヤモヤっとしたところ――そんな闇に向かってデカい石を思いっきり、筋肉が切れてもいいやって感じで、全力で投げた快感があった。そういう快感が意外とエンターテイメントの観客に必要なんじゃないかと思うんです。なかなかいま、闇に向かって石投げるのは歓迎されないけど(笑)」。ちなみに出てくるのはヤクザヴァンパイアだけではない。最強のKAERUくん、カッパなどワケのわからないものだらけなのだが…。市原さんはそんな奇想天外なストーリー展開に驚きつつ「演じていて繊細な感情と大胆な部分と凄い振り幅を持ってるんです。お客さんにとってもいろんな見方ができる作品だと思う」とその魅力を語る。特に、演じる上で印象深かったのは『ザ・レイド』でその名をとどろかせたインドネシアが誇るアクション俳優ヤヤン・ルヒアンとの1対1のアクション。「楽しかったですね。(ヤヤンさんは)もう、目が獲物を狩るような感じで(笑)。アクショントレーニングに始まって、息遣いやモーションを確認し合っていくんですけど、三池組って“生もの”だから、どんどん変わっていくんです。そうした中でのアクションはすごく刺激的でした。撮影中も次にどうなって、何が来るのかわからない楽しみがあって、子供の頃に『あそこには行っちゃダメ』と言われている場所に毎日、通っているような気分でした」。三池監督と市原さんのタッグは『神様のパズル』以来、実に7年ぶり。だが、三池監督が前作の頃から抱いてきた市原さんの印象は、7年を経ても何ら変わることはなかった。「とんがっているところは相変わらずで、その鋭さは変わらないままにより太くなったと思う。何かの覚悟を決めたんだな、この人は…という印象がある。役者というのは仕事が来れば役者だし、逆に自分が乗り気じゃなくてもやらなければいけなかったり、いろんな要素があるワイルドな生き方だと思いますそこで、どっちかを選んだり、何かを選ばないといけない時があるけど、それを全くあきらめずに『おれはこうなんだ』という強いものを持ってる。でもね、それは7年前からあったよね。役作りについて何を言われても『役作り?自分はしないんで』って言えちゃってた(笑)。そこはカッコいいと思うし、この先も変わらないんだろうなって思う」。さらに三池監督は、市原さんの“素顔”について、ハリウッドのあの名優を引き合いにこんな言葉も漏らす。「意外とね、市原隼人って役としての人間は知ってても、彼自身はどこか別の国のやんちゃな王子様って感じで実態がつかめないの。タイプは違うけど、同じ匂いを感じるのがデ・ニーロ。よくこの世界でああいう生き方していけるなと思いますよ」。そんな三池監督の言葉に「いやいやいや」とかぶりを振りつつ、市原さんは「職人でいたいんです」と自身の俳優という仕事へのスタンスを口にする。「芝居で会話したいし、現場で遊びたい。現場が終わってからじゃなくて。やらされるのは嫌だし、そういう人を見るのも好きじゃないんです」。決して多くを言葉で語ろうとはしないが、そのひと言ひと言に信念が見える。「物の捉え方が多少変わってくるし、それは必ず芝居の中にも出てくると思います。知識も増えていろんなことが見えてくると、裏ではこんな風に物事が動いているのか、こう進んでいるのか、というのが分かってくる。その中で、変に芝居をしなくていいのかな?気持ちだけそこにあればいいのかな?と思えてくるようになりましたね。基本的なことは変わらないし、がむしゃらでいたい。誰がおっしゃっていたか忘れてしまいましたが『努力はしてないけど、ポイントを押さえてきただけだ』と。それがなかなかできないんですが、そうなれたらいいなと思いつつ、年食っている最中です」。三池監督は「この映画がこんな風になったのはおれのせいじゃないよ。市原隼人がスタッフ全員を、映画を加速させたから(笑)」とおどけつつ「ひとつだけ絶対に真実として言えるのは、現場に何十人といる中で、彼が一番集中してるということ。一瞬がもったいない、真剣に生きないと…という迫力がある」と市原さんを称え、そしてこんな思いをも口にする。「いま、みんながイメージしてる“自由”というものがずいぶん小さい気がするんです。自分が自由でいられる場で自由でいようとしているような感じがして、自分が作り手となったことで、下に若い人たちが来るけど、迫力や熱を感じないんです。実際、30代の面白そうな監督がゴロゴロ出てこないといけないのに『極道大戦争』を撮ってもまだ次のオファーが来るからね(笑)。個人的に嬉しいことだけど、大丈夫かよ?とも思っちゃう。ガツガツ来る下からの熱があるからこそもっとやれるのになぁ…とも感じます」。それは若い世代に向けての叱咤激励であると同時に54歳の己を鼓舞するための刃でもある。「周りからとやかく言われなくなったら終わりが近いのかなって思います。そういう意味でカズ(=三浦知良)に学ぶことって多いです。あの張本(勲/野球評論家)さんとのやり取り(※張本氏の『もうおやめなさい』という引退勧告にカズは『“もっと活躍しろ”って言われているんだなと思う。光栄です』と返した)は本音だと思うんです。非難されることで悔しさも出てくる。あのTVでのひと言が意図せずしてカズにゴールを量産させる――そんな結果が起きてほしい。映画監督って守りに入りがちで、作品のイメージで“そういう監督”と見られがちで、それは単なる虚像なんだけど、でもいつのまにかそれが理想の生き方みたいになっちゃってる。そうやって“ポジション”“ブランド”を築いた瞬間に終わりは始まってるんです。だから、黒澤明が晩年に『ゴジラ』を撮ったらよかったんだけど(笑)、それはなかなかできないんですよ。その存在を知らしめるような代表作を超える作品を撮れる監督ってなかなかいない。イーストウッドくらいが唯一、異様な気配を持って常識を崩してる。そういうことをなんとなく考えてしまう年齢ですね。いまだに企画会議で三池崇史が土俵に上がる。ありがたいと思いつつ、ヤバい感触を持っています」。50代半ばの鬼才の原点回帰、それに呼応し見事なまでに踊り狂う若き才能の咆哮をとくと味わってほしい。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:極道大戦争 2015年6月20日より TOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開(C) 2015「極道大戦争」製作委員会
2015年06月19日