●伊丹十三監督の「日本人とは何か?」漫画や小説をもとに実写化される「原作モノ」が全盛の中、オリジナル映画に果敢に挑んだ人々を取材する連載「オリジナル映画の担い手たち」。第6回は、日本人なら誰もが知っている「ラジオ体操」を題材にした映画『体操しようよ』(11月9日公開)、その発案者である春藤忠温プロデューサーを取材した。主演の草刈正雄が演じるのは、60歳のシングルファーザー・佐野道太郎。38年間無遅刻無欠勤だけが取り柄で無事に定年を迎えたが、会社の送別会では冷遇され、これまで家事を押し付けてきた娘・弓子(木村文乃)からは「親離れ」を宣言されてしまう。「悠々自適」とは真逆の現実に打ちのめされるが、近所のラジオ体操会がきっかけで第二の人生に変化が訪れる。この草刈にオファーしたのは、NHK大河ドラマ『真田丸』で再ブレイクした直後のこと。春藤プロデューサーは、近所でラジオ体操会の存在を知り、同世代の漠然とした悩みや不安から道太郎という主人公像が生まれ、そこに草刈を重ね合わせた。そして、主題歌のRCサクセション「体操しようよ」との出会いとは。『体操しようよ』の“種”を拾っていく。○『南極料理人』タイトルのドラマ性とは――この連載を読んでくださっていたと聞きました。『カメラを止めるな!』の社会現象は、日本の映画界で初めてのことですよね。昔、配給会社の松竹富士にいたのでよく分かるんですが、「ありえないことが起きている」というのが率直な感想でした(笑)。いろんな記事を探していたら上田慎一郎監督のインタビューを見つけて。第1回の白石和彌監督の回も読みました。――ありがとうございます。どのようなきっかけでこの業界に入ったのでしょうか?学生時代に8ミリをやっていたので、ずっと「映画を作りたい」という思いはあったんですが、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督みたいに人生を捧げて映画を作るような根性はありませんでした(笑)。松竹富士に就職して配属された宣伝部では、『ラストエンペラー』(88)など主に洋画を担当し、邦画では北野武監督のデビュー作『その男、凶暴につき』(89)、牧瀬里穂さん主演の市川準監督作『つぐみ』(90)をはじめ、数々の作品を宣伝しました。でも、やっぱり制作に携わりたい……と思うようになり、映画はハードルが高い印象があったので一時はテレビ番組やCMをやっていましたが、結局は映画が恋しくなって(笑)。日本の映画界が復活の気配があった頃……スタジオジブリや『踊る大捜査線』、『世界の中心で、愛をさけぶ』など大ヒット作がいくつも生まれていた頃の2007年から映画制作に関わり、ピクニックという会社では『天然コケッコー』(07)の企画製作に携わりました。原作は、『半分、青い。』でも話題になったくらもちふさこさんです。少女漫画原作は今では当たり前になりましたが、当時のトレンドではなかったと思います。――その後、2008年10月にパレードを設立されます。そうですね。2009年に公開した『南極料理人』は、海上保安庁の西村淳さんが書いたエッセイ『面白南極料理人』(新潮文庫)が原作。大手映画会社が映像化に動いていなかった作品でした。2013年公開の『体脂肪計タニタの社員食堂』に至っては、料理のレシピ本を原案にして画期的だと思ったんですが、ブームになってテレビが先に再現ドラマなどを流すようになって、映画公開がその後で興行的には不利な状況になりました。思えば、『南極料理人』というタイトルにはドラマ性がありますよね。「南極にいる料理人」の話なのか、「南極料理を作る人」の話なのか。当時はよく聞かれました(笑)。『体操しようよ』には原作がありません。あえて挙げるとすれば、「ラジオ体操第一・第二」をモチーフにしたものです。このように、大手さんが反応しないアンテナをいつも張っています(笑)。――そのアンテナから『体操しようよ』が生まれたわけですね。阿佐谷に30年以上住んでいます。「近所の善福寺川公園では毎朝6時半に200人ぐらいが集まってラジオ体操をしている」と聞いて、見学しに行ってみたらまさに日本の高齢化社会の縮図というか、こんなに人が集まっていることに驚きました。普段から子どもが遊んでいたり、犬の散歩に行ったり、馴染みのある公園だったんですよ。もともとラジオ体操には興味を持っていました。子どもの頃から夏休みに神社で集まってスタンプをもらうとか、ラジオ体操を通して全国各地にそれぞれの「文化」がありますよね。たくさん文献も出ていて、「ラジオ体操を題材にした映画ができないか」と、何となくずっと頭の片隅にありました。ラジオ体操を扱った作品は、これまで作られてないと思います。○「リタイア後に何をしようか」周囲の声――確かにパッと思い浮かばないですね。伊丹十三監督ならどのような作品にするか、ぼんやり考えていました。『お葬式』(84)、『マルサの女』(87)、『スーパーの女』(96)のように、日常の中にある関心事を映画化されてきた方です。そのフィルモグラフィーからは伊丹さんが考えていたこと、つまり「日本人とは何か?」が通底しているように思ったんです。その影響はすごく受けているんですが、原作がない「ラジオ体操」をどのように映画にすればいいのか分からないまま数年が経ち……2年ほど前に「自分で書いてみよう!」と思い立ちました(笑)。シナリオライターに頼むのではなく。だって、体操会のことを知っているし、ラジオ体操のことも勉強しているから。まずは第一稿を書くことにしました。僕の同世代でも50を過ぎると定年が見えてきて、リタイヤ後に何をしようか、そんなことを話す機会が増えてきました。僕は自分が立ち上げた会社だから定年はないですが、同世代の話が記憶に残っていたので「定年退職した男」を主人公にすることにしました。仕事ばかりに追われているので、地元に友達なんてほとんどいないんですよ。妻や子どもは、たくさん知り合いや友達がいるんですけどね(笑)。定年のタイミングは、子どもが独立する前後になることが僕の周りでは多くて、定年は社会的な変化だけじゃなく、家庭内にも変化が起こる一大事です。そこをより際立たせるために、菊地健雄監督、共同脚本の和田清人さんと相談して、結果的に一人娘がいて妻に先立たれた主人公像になりました。●大学生時代に聴いたRCサクセション「体操しようよ」――劇中の設定は初期の段階から決まっていたんですね。だいたいそうですね。なんとか初稿が上がりましたが、そこからはやっぱり「映画化実現」の壁が大きく立ちはだかりました。これまでご一緒した映画業界の人達に読んで貰ったのですが、「オリジナルだよね……?」と難色を示す人がほとんどで。原作がない場合は、主演を誰が務めるのかによって、そのあたりの反応は変わってきます。さて、どうしよう……そう思っていた頃に放送されていたのが『真田丸』でした。再ブレイクした草刈(正雄)さんは一躍時の人になって、ドラマ自体もすばらしいものでした。「出てくれないかな」とは思っても、きっと大手が動いているに違いない。ただ『体脂肪計タニタの社員食堂』の社長役で出てもらった縁があるので、『真田丸』が終わった頃に台本をお渡ししました。――まさかの縁!返事も早かったですよ。翌日にマネージャーさんからご連絡いただいて、「草刈が読んで、面白いと言っています」と。草刈さんは脚本を一番大切にする方なので、そうやって評価をしていただけたことが「これはいけるかもしれない!」という自信にも繋がりました。中身をもっと面白くしたいと思って、共同脚本で和田清人さんに入ってもらってブラッシュアップしていたので、そのおかげでもありました。それから去年の夏頃から菊地健雄監督、プロダクションのポリゴンマジック、配給の東急レクリエーションという具体的な部分が決まっていきました。――草刈さんの存在は大きいですね。どのあたりが気に入られたんですか?草刈さんは超二枚目で「永遠のハンサム」。かっこいい役をたくさんやってこられた方で、最近はコミカルな役もありますが、今回の「道太郎」という役はパッとしないというか、どちらかというと不器用で平凡な男。そういう役が珍しいから、やってみたいと思ってくださったんじゃないかなと。監督と草刈さんのかっこよさをどう崩していくか話し合いました。冴えない男・道太郎は物語を通して徐々に変わっていきます。「60を過ぎても変わることができる」ということが一人でも多くの人に伝わればいいなと思います。○名盤『PLEASE』への思い――主題歌はRCサクセションの「体操しようよ」。映画のタイトルと全く同じですが、どちらが最初に決まったんですか?僕は学生時代から清志郎さんの大ファンなんですが、当時から今でも清志郎さんの歌声が頭の中にずっとあって。ラジオ体操を題材にした映画を作ろうと思ったときに、当然この曲が浮かびましたがあくまで仮タイトルでした。定年後に新しい仲間ができていく話なので、「新しい友だち」「人生は60から」とかメモ帳にはたくさんタイトル案を書いていました。『南極料理人』もそうですが、やっぱり映画のタイトルってすごく重要なんですよね。『体操しようよ』からは父と娘のドラマ性は連想できないし……今でもこれでいいのかなという不安はあります(笑)。――いえいえ(笑)。とても良いタイトルだと思います。RCサクセションの「体操しようよ」は、シングルカットされてない曲で、ライブでもあまり歌われなかった曲らしいですね。そうですそうです。主題歌にするのか挿入歌にするのか、そのあたりのことは決めないまま、台本を書きながらこの曲を聴いていました。歌詞を読んでも、ラジオ体操のことを表現しているのか、全く分からないんですよね。でも、昔からこの曲が大好きで。アルバム『PLEASE』裏面の最後の曲で、その他にも「トランジスタ・ラジオ」とか名曲揃いなので、RCファンの間では『RHAPSODY』と並んで人気のアルバムだと思います。ただ「体操しようよ」はファンでもあまり知られてない曲じゃないでしょうか。――いつごろ聴いてたんですか?大学生の頃です。今でも35年前の思い出が蘇ってきます。――まさかその曲を主題歌に映画を作ることになるなんて、当時の春藤青年は想像もしなかったでしょうね。大学生の自分が知るとびっくりするでしょうね(笑)!○『ラストエンペラー』と『カメラを止めるな!』の興奮――それでは最後に。あらためて、オリジナル脚本の『体操しようよ』は、なぜ映画化できたと思いますか?映画化に重要なのは企画と脚本。そして、ビジネスの面で考えると、「どう宣伝できるか」も同じぐらい重要です。今年の11月1日、ラジオ体操が制定90周年を迎えました。1928年にかんぽ生命の前身となる逓信省簡易保険局が放送を開始しました。90周年という節目はニュース性がありますし、「健康」や「定年後」に関係する企業から協賛してもらえるのではとか、そういった狙いもありました。実際、かんぽ生命さんが特別協賛、タニタさんと長谷工シニアホールディングスさんが協賛をしてくれています。2年前になぜ自分で脚本を書こうと決断したのか。そうしないと90周年記念の映画化に間に合わなくなるというのも、理由の1つでした。『カメラを止めるな!』は前代未聞でした。空前絶後というか、これからあんなことはもう二度とないかもしれません。狙ってできるようなことではありませんが、理想ではあると思います。『ラストエンペラー』が公開された初日、今はなくなりましたが新宿のミラノ座で周りを取り囲むぐらい行列ができていて、「映画ってすごい」と興奮したのを思い出します。その一方で、宣伝部ではお客さんが入らない映画がどれだけ悲しいことなのか、何度も経験してきています。出資者にも悪いし、劇場の売店の方だって寂しそうにしているわけですよ。だからこそ、一人でも多くのお客さんに見てもらいたいという気持ちは強い。芸術性も大事ですが「商業映画」ですから、自分の主張が形になればいいというものでは決してないんですよね。『体操しようよ』は、最初に自分一人が思っていたよりも豊かで素晴らしい映画になったと思います。思いついたのは僕ですが、映画はやっぱり監督のものです。菊地監督が良い作品にしてくださいました。そして、草刈さんが主演を引き受けてくださったから、木村文乃さん、和久井映見さん、きたろうさん、渡辺大知さん、小松政夫さん……豪華キャストが集まってくださいました。映画って不思議ですよね。オリジナル作品なんて、もとは何もない。小さな種からたくさんの方の協力があって少しずつ大きくなり、こうして1つの作品にすることができました。(C)2018『体操しようよ』製作委員会
2018年11月10日三鷹の森ジブリ美術館では、新企画展示「映画を塗る仕事」展を2018年11月17日(土)から2019年11月(予定) まで開催する。入場は日時指定の完全予約制。「食べるを描く。」に続く新企画展示は、スタジオジブリ作品の“彩色”にスポットライトを当てた企画展だ。スタジオジブリ作品における“彩色”の秘密に迫る企画展「映画を塗る仕事」展は、故・高畑勲と宮崎駿が目指した豊かな画面づくりを“彩色”の面から紐解く展覧会。どのような工夫を用いたのか、また、アニメーションにおいて“色”とは何なのかを、展示パネル37枚、セル画196点を用いて紹介する。人気作品の"セル画"を実例に紹介展示内容は、『となりのトトロ』『もののけ姫』『紅の豚』など、スタジオジブリの人気作品を実例にあげながら、テーマごとに分けたパネルを使って解説するというもの。『もののけ姫』の制作まで採用されていた、実際の"セル画"を用いながら、両監督を支えた色彩設計の故・保田道世らスタッフたちの手腕を紹介していく。時刻や天候によって変わる色たとえば展示パネル「時刻によって変わる色」では、『となりのトトロ』のネコバスを例にとり、黄昏時、夕方、街灯に明かりが灯る夜と、時刻によってキャラクターを繊細に塗り分ける手法を解説。特にネコバスが街灯に照らされた図からは、透明感を出すために、画面全体を暗くするのではなく、茶系のグリーンを使って影を表現するというスタジオジブリのこだわりが見て取れる。「天候によって変わる色」パネルでは、『魔女の宅急便』のキキの塗り分け方を紹介。このように、時刻や天候、モノの質感など、現実を写し取ったかのようにリアルな表現を生み出すため、きめ細やかな彩色が重要な役割を果たしていることがよく分かる。リアリティのある「光」や「水」「光」や「水」の表現は、両監督が特にこだわった表現の1つ。展示パネル「光を塗る・5」では、登場人物たちが漆黒の闇の中で飛行石が放つ青い光に照らされている『天空の城ラピュタ』のセル画を紹介。纏っている洋服の色味を消し、青い光に染めることで、光を表現している。展示パネル『水中と空中の色を塗る』では、『もののけ姫』『紅の豚』のセル画を用いて、揺らいだ映り込みを水面に描くことで、リアリティのある水の動きを表現するテクニックを紹介する。彩色の着想源となった絵本これらのテクニックの着想源となった、イワン・ヤコヴレーヴィッチ・ビリービンの絵本を紹介している点も面白い。高畑・宮崎両監督が、『長くつ下のピッピ』の制作準備中に出会い、感銘を受けたロシア絵本の挿絵が、その後のアニメーション制作において大きな影響を与えているのだ。ショートムービーや絵の具の展示も展示物はパネルやセル画のみならず、キャラクターの色を決め、セルを完成させるまでを解説したショートムービーや、実際に使用されたセル絵具580色の瓶なども用意。今でこそ、デジタルによる着彩やCGによる画面作りが主流ではあるが、その手段がなくとも、セル絵の具による限られた色数の中で、監督からの要求に最大限に答える努力を惜しまなかった、スタッフの知恵と工夫を間近に感じることができる。多数の人気作を紹介展示に使用されたスタジオジブリ作品は、前述のほかにも『魔女の宅急便』『耳を澄ませば』『崖の上のポニョ』など14作品以上。『風の谷のナウシカ』の頃には263色だった使用色が、デジタルによる着彩により無限の色遣いとなった『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』のきめ細やかな塗り分けにも注目したい。開催概要「映画を塗る仕事」展開催期間:2018年11月17日(土)~2019年11月(予定)場所:三鷹の森ジブリ美術館住所:東京都三鷹市下連雀1-1-83※入場は日時指定の完全予約制。■チケット情報毎月10日午前10時から翌月入場分のチケットを販売。発売場所:全国のローソン公式URL:【問い合わせ先】TEL:0570-055777(ご案内ダイヤル/9:00~18:00/休館日の火曜日をのぞく)
2018年10月06日「三鷹の森ジブリ美術館」では、11月17日(土)より新企画展示「映画を塗る仕事」展を開催することが決定。期間は、来年11月までの1年間を予定している。現在、同美術館では日常を丹念に描くジブリ作品に残る数々の“食事シーン”を取り上げた「食べるを描く。」の企画展示が開催中。11月4日で終了する本展示に続く「映画を塗る仕事」展では、アニメーション制作(主にジブリ作品)における“色”に関する展示が行われる。映画の中での色の役割は、その架空の世界にリアリティを持たせることと大きな関係があり、特に動く絵に塗られた色は、限られた色数でも工夫によってキャラクターに生き生きとした実在感を与え、その心情をも伝えることが可能になる。スタジオジブリのアニメーションの礎を築いた故・高畑勲監督や宮崎駿監督は、商業アニメーションの黎明期から「登場人物とその日常を丁寧に描き、実写とは違ったリアリティをもたせることで、観客の心に訴えることができる作品」を目指してきた。本展示では、両監督が表現してきたもの、そのこだわりを「彩色」の面から解き明かしていく。特に、両監督を支えた色彩設計の故・保田道世さんの手腕を、当時のセルを用いて紹介。デジタルによる着彩やCGによる画面作りが主流になった昨今、セル絵の具による限られた色数の中で、監督からの要求に最大限に答える努力を惜しまなかったスタッフの知恵と工夫を間近に見ることで、色で何が表現されたのかを感じ取ることができるようだ。なお、三鷹の森ジブリ美術館の入場は日時指定の予約制。11月入場分のチケットは、10月10日(水)より全国のローソンにて発売開始。三鷹の森ジブリ美術館企画展示「映画を塗る仕事」展は2018年11月17日(土)~2019年11月(予定)。(cinemacafe.net)
2018年10月03日年齢の重ね方が上手で、その積み重ねてきた自分を大切にする姿が周囲にも愛される女優たちは、10月生まれが多い。“こんな大人になりたい!”と思わせてくれる、イマ旬の女性たちに注目した。石田ゆり子、“奇跡のアラフィフ”は最新映画でも健在!先日、フジテレビ系のトーク番組「ボクらの時代」に、女優・石田ゆり子と、元NHKアナウンサーで「あさイチ」のMCとしても知られ、現在はフリーとなった有働由美子、「八日目の蝉」「対岸の彼女」などで知られる直木賞作家・角田光代が出演、仕事と人生についてや更年期症状の心配などを赤裸々に語る“同世代”対談は視聴者の共感を呼んだ。同番組で「華麗に加齢したい」と語っていた、“奇跡のアラフィフ”と呼ばれる石田さんは、1969年生まれ、10月3日に49歳となる。現在、重要なキャラクターを演じている『コーヒーが冷めないうちに』が公開中だ。有村架純が主演を務める今作は、過去に戻れるとうわさの不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に、それぞれの事情を抱えた登場人物たちの人間模様をオムニバスで綴るハートフル・ファンタジー。監督は「アンナチュラル」「Nのために」など数々の人気ドラマを手掛け、今回初めて映画のメガホンをとった塚原あゆ子。石田さんは塚原監督とは「夜行観覧車」以来2度目のタッグとなり、喫茶店の過去に戻れる席にいつも座っている“謎の女”を演じている。ストーリーに関わるため詳しくは語れないが、純喫茶でひたすら読書をしながらコーヒーを飲んでいるだけで絵になる女優は、石田さんくらいだろう。加えて、そこはかとなく醸し出される温かみと包容力。石田さんに「あなたは大丈夫」と声を掛けられたなら、百人力で勇気がわいてきそう。1988年に俳優デビューし、「101回目のプロポーズ」などのドラマから、『北の零年』『サヨナライツカ』『悼む人』などの映画ほか、『平成狸合戦ぽんぽこ』や、2役の声を務めた『もののけ姫』、『コクリコ坂から』とスタジオジブリ作品では声優としても活躍。2016年にはドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で主人公(新垣結衣)の叔母であるキャリアウーマンを好演し、さらに人気を集めることとなった。「資生堂表情プロジェクト」や「Panasonicリフォーム」など、癒やしの微笑みを振りまくCMでもお馴染みだ。何かと反響を呼ぶインスタグラムは、2016年の誕生日からスタートさせた。先日は「SNSとどのような距離感で付き合って行くか、はこの時代に生きるほとんど全ての人たちの課題なのではないか」と投稿、その後も逝去した大先輩・樹木希林さんへの思いや、新しい子猫も加わった生活などについて、マイペースに投稿を続けている。その迎え入れた子猫たちとは、耳が折れ曲がっていないことから売り物にならない、と動物病院で保護されていた2匹のスコティッシュフォールド。こうした動物愛護への意識もまた、人気の秘密。2019年は、三谷幸喜監督と映画では初タッグとなる『記憶にございません』、そして、芥川賞作家・平野啓一郎の恋愛小説の映画化『マチネの終わりに』などが待機する。松嶋菜々子、“理想の芸能人ママ”がママさん弁護士に10月7日(日)に放送されるドラマスペシャル「誘拐法廷~セブンデイズ~」に主演する松嶋菜々子は、1973年生まれ、10月13日に45歳の誕生日を迎える。今年7月に発表された「イマドキのパパ・ママのくらしと子育てに関する調査2018」(メディケア生命調べ)では「理想の芸能人ママ」部門の1位に選ばれており、現在は2児の母。そんな松嶋さんが今回演じるのは、一人娘の親権をめぐって別居中の夫(杉本哲太)と対立している敏腕弁護士・天吹芽依子。ある日、最愛の娘を誘拐されてしまい、犯人から「殺人罪で起訴された被告人・国光瑛二(柄本時生)の無罪を勝ち取ること」という要求を出される。タイムリミットはわずか7日間。娘を奪還するため、弁護士としての“倫理”と母親としての“感情”の狭間に立たされる弁護士を熱演する。代役を立てることなく、炎に巻かれたり、水浸しになったり、さらには体を拘束される…といった壮絶シーンに真っ向から挑んだそうで、初共演の「関ジャニ∞」丸山隆平も舌を巻いたほど。松嶋さんは「日頃から体を動かしておいてよかったなって思いました。今回のように、全力でダッシュするシーンがある時のためにも日々ジムに通い、トレーニングをしている部分もあるので」と、コメントもさすが。被告人・国光のどこか怪しげな国選弁護人・宇津井としてバディとなる丸山さんが、「いろんな見方ができる“母の愛の物語”」と語っていたように、凜とした母の姿を見せてくれそうだ。1996年のNHK連続テレビ小説「ひまわり」や、98年の大ヒットドラマ「GTO」などで人気を得た彼女は、「やまとなでしこ」「魔女の条件」ほか、「救命病棟24時」ではシリーズの顔としても活躍。『リング』『らせん』といったジャパニーズホラーの名作にも出演した。2011年、驚異の高視聴率ドラマ「家政婦のミタ」でもその実力を見せつけた。「花より男子2(リターンズ)」の道明寺司(松本潤)の姉役でも知られ、夫の反町隆史が「花のち晴れ~花男 Next Season~」に出演していたことも記憶に新しい。近年では、スタジオジブリ『思い出のマーニー』の声優や、山崎豊子ドラマスペシャル「女の勲章」、不気味な“隣人”を演じた「砂の塔~知りすぎた隣人~」、「新参者」シリーズ完結編『祈りの幕が下りる時』など、仕事は年に1~2本程度と作品を絞り込んでいるものの、次々と新境地に挑んでいる。そして連続テレビ小説の記念すべき100作目、2019年4月スタートの「なつぞら」では、ヒロイン・なつ(広瀬すず)の養母・富士子役で“朝ドラ”に帰ってくる。永作博美、主演映画を機にカフェをプロデュースまた、おいしいコーヒーが飲みたくなる映画として名高い『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』の永作博美は、1970年10月14日生まれ。年齢不詳の美肌っぷり、童顔&小顔美人として同性からの圧倒的支持を集める永作さんも、48歳になる。1989年、アイドルグループ「ribbon」のメンバーとしてデビュー。キュートなルックスで90年代前半に高い人気を誇ったが、「劇団☆新感線」の舞台に参加したことから女優業にシフトしていき、94年にドラマデビュー。黒沢清監督『ドッペルゲンガー』で映画デビューすると、NHK大河ドラマ「功名が辻」、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『人のセックスを笑うな』などで演技派としての評価を得た。角田光代原作の『八日目の蝉』ではキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、毎日映画コンクール女優助演賞、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など映画賞を席巻。アニメ『ペット』で猫の声を務めたかと思えば、「世にも奇妙な物語」にも馴染みが深く、外見からは想像もつかない猟奇的な役柄や“魔性の女”がハマってしまうギャップが魅力。『さいはてにて』ですっかりコーヒーに魅了された永作さんは、2015年に、劇中に登場する焙煎珈琲店・ヨダカ珈琲をモチーフにしたカフェ「ヨダか」を自らプロデュースしてオープン。海辺の舟小屋とはまた趣が異なれど、喧噪から離れたカフェはメニューや内装・食器など細部へのこだわりに、永作さんの温かみを感じさせている。小西真奈美、40代“こにたん”はミュージシャンに!先月末に最終回を迎えた連続テレビ小説「半分、青い。」で、ヒロイン役の永野芽郁に「(同作)史上最強のビジュアルインパクト」といわれた“全部、緑。”の加藤恵子役を演じていた小西真奈美。“憧れの小顔美人”は、1978年生まれ、10月27日に40歳を迎える。40代で、こうした不思議系キャラができる女優は貴重かもしれない。90年代に「エリートモデルルック」日本代表となり、モデルとして活動していたが、「北区つかこうへい劇団」に入団し、98年に同氏演出の舞台「寝盗られ宗介」で女優デビュー。2001年、NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」でヒロイン(国仲涼子)の恋敵となる女医を演じ、また、バラエティ番組「ココリコミラクルタイプ」へのレギュラー出演で全国的に知名度を上げる。初出演映画『阿弥陀堂だより』(02)で日本アカデミー賞やブルーリボン賞など新人賞を受賞。『のんちゃんのり弁』は毎日映画コンクールやヨコハマ映画祭、高崎映画祭で女優賞を獲得し、高く評価された。鉄拳のパラパラ漫画を映画化した『振り子』では第6回沖縄国際映画祭主演女優賞を受賞するなど、映画、テレビ、舞台と活躍。いまや、「ファブリーズ」CMのお母さんだ。さらに今年は、音楽活動を本格化させる様子。かつて、『Sweet Rain 死神の精度』の主題歌を役名・藤木一恵の名義でリリースしたことはあるが、昨年のインデューズEPに続き、10月24日(水)にメジャー1stアルバム「Here We Go」を発売。自身で全曲の作詞作曲を手掛け、サウンドプロデューサーにKREVAを迎えている。究極の癒やしヴォイスから繰り出される等身大のラップは、唯一無二の世界観。ミュージシャンとしての活動はもちろんのこと、2019年1月公開の山田孝之プロデュース、阿部進之介主演の『デイアンドナイト』にも期待が高まる。そのほか、佐々木蔵之介主演の大人のラブストーリー「黄昏流星群」で運命の女性を演じる元タカラジェンヌの黒木瞳(10月5日)や、伝説的月9ドラマ「ロングバケーション」のブルーレイ化やマライア・キャリーの主題歌で大ヒットした「29歳のクリスマス」の地上波放送(チバテレ)がスタートするなど、現在もコンスタントに話題を提供する山口智子(10月20日)らも10月生まれ。それぞれに確固とした立ち位置をつかんできた女性たちの生き様、そして仕事ぶりに、これからも注目していて。(text:Reiko Uehara)■関連作品:コーヒーが冷めないうちに 2018年9月21日より全国東宝系にて公開©2018 映画「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会
2018年10月03日累計300万部を超える超人気児童文学が原作の『若おかみは小学生!』が映画化! 2018年9月21日から公開されます。文部科学省選定作品(少年・家庭向き)でもある本作は、子どもも大人も一緒に楽しめる内容になっています。その魅力とは?両親の死、出会い、別れ、友情、仕事…おっこの成長にきっと涙する交通事故で両親を亡くした小学6年生の少女・おっこ(関織子)は、老舗の温泉旅館「春の屋」を経営する祖母に引き取られ、若おかみの修行をすることに。ドジでおっちょこちょいなおっこは、ライバル旅館の跡取りで同級生の真月にからからかわれながらも、持ち前の明るさと頑張りで、お客様をもてなしていきます。旅館に昔から住み着いている幽霊のウリ坊と美陽、小さな子鬼の鈴鬼に励まされながら、お客様に喜んでもらえる旅館の仕事に感動し、少しずつ自信をつけていくおっこ。しかし突然訪れる別れに、おっこは――。新たな環境に身を置くことで、両親の死との向き合いかたや、新たな環境で頑張るだけでは変えられないことを学んでいくおっこ。たくさんの出会いと別れを通して成長していく彼女の姿には、子どもだけでなく大人も感動してしまうはず!300万部超えの原作を日本を代表するアニメーターが描く同名の原作は児童文学作家の令丈ヒロ子さんによる、累計発行部数300万部を誇る「講談社青い鳥」の人気シリーズ。2003年~2013年までに全20巻が刊行されており、芦田愛菜さんも愛読するなど、今なお根強い人気を誇っています。また同原作シリーズは2018年4月からTVアニメーションとしてテレビ東京6局ネットで放送中。本作の監督である高坂希太郎さんは、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』など数々のスタジオジブリ映画で作画監督として活躍。本作では監督とともにキャラクターデザインも務めており、子どもの心をグッと惹きつけるクオリティの高い世界観は必見です。さらにおっこ役に人気子役の小林星蘭さん、おっこのライバルである真月役に水樹奈々さん、おっこの両親役に薬丸裕英さんと鈴木杏樹さん、ホラン千秋さん、山寺宏一さん、設楽統さん(バナナマン)など作品を彩る豪華声優陣からも目が離せません!ファンタジー要素もありながら、1人の少女が仕事や人間関係など現実的な問題と向き合っていく姿を爽やかに描いている本作。子どもが観たら、きっとたくさんのことを吸収してくれるはずです。皆さんもぜひ、劇場に足を運んでみてください。『若おかみは小学生!』2018年9月21日全国ロードショー原作:令丈ヒロ子・亜沙美(絵)(講談社青い鳥文庫『若おかみは小学生!』シリーズ)監督:高坂希太郎、脚本:吉田玲子、音楽:鈴木慶一 他キャスト:小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、薬丸裕英、鈴木杏樹、ホラン千秋、設楽統(バナナマン)、山寺宏一 他主題歌:藤原さくら「また明日」(SPEEDSTAR RECORDS)製作:若おかみは小学生!製作委員会アニメーション制作:DLE、マッドハウス配給:ギャガアニメ公式Twitter:@anime_wakaokami©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会【参考】『若おかみは小学生!』公式サイト
2018年09月20日編集部:学研キッズネット編集部累計発行部数300万部超という大人気の児童文学『若おかみは小学生!』(令丈ヒロ子・作/亜沙美・絵講談社青い鳥文庫)が、ついにアニメ映画化され、9月21日(金)から全国ロードショーとなります。主人公・おっこ(関織子)は小6の女の子。交通事故で両親を亡くし、祖母の営む温泉旅館で若おかみの修業をしながら、少しずつ成長していく、笑いと涙の物語です。この映画を手がけた高坂希太郎監督に、作品について、そしてご自身の少年時代についての話を聞きました。高坂希太郎(こうさかきたろう) 1962年生まれ。神奈川県出身。1979年OH!プロダクション入社。アニメーターとしてのキャリアをスタートさせる。1986年にフリーとなり、多数のスタジオジブリ作品に作画監督や原画として参加(作画監督:『風立ちぬ』『耳をすませば』『千と千尋の神隠し』(共同)『崖の上のポニョ』(共同)他、原画:『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『火垂の墓』他)。2003年に『茄子アンダルシアの夏』で監督デビュー。同年カンヌ映画祭に出展され高く評価される。2014年、『風立ちぬ』で、東京アニメアワードフェスティバル・アニメーター賞受賞。監督から見た主人公“おっこ”の魅力――主人公“おっこ”は、ちょうどキッズネット世代で、この作品のファンも多いのですが、 “おっこ”の魅力は、どんなところだと思いますか?高坂:おっこは旅館のおかみの修業をするわけですが、おかみの仕事は自分の思いや感情を抑えて、お客さんのために働くことが求められるんです。そんな「他者のために我を忘れて行動する姿こそ、おっこの最大の魅力」と思いました。「もてなしの心」は、日本だけのものではなくて、英語にも「ホスピタリティー」という言葉があるように、世界共通だと思います。ところが、そんな登場人物って、最近の作品ではあまりないと思ったんです。だからこそ、もてなしの心を大切にする自然体なおっこの姿を、ていねいに描いていこうと考えました。――原作や現在放送されているテレビアニメ(TV東京系)と違う部分もあるのでしょうか?高坂:原作もテレビアニメも「死」に敢えて触れていないんです。それは児童向け原作の持ち味で良いところだと思います。でも今回の映画では、ふだんは元気なおっこが「両親の死」という、内に秘めた影の部分も描きました。――映画のオリジナルストーリーも入っているということで、ますます楽しみですね!絵を描き、自然のなかで遊んだ少年時代――ところで、今回は高坂監督の子ども時代のお話もうかがいたいのですが、どんな少年でしたか?高坂:小さいころからずっと絵を描いているような子でしたね。授業もろくすっぽ聞かないで、落書きばかりしていました(笑)。でも、絵を描くことでいろいろと発見することができたんです。それがぼくの勉強でした。――絵を描くことが勉強になったということですね。どんな絵を描かれていたんですか?高坂:花も描きましたし、マンガみたいな絵やキャラクターを描くこともありました。ところが、キャラクターだけ描いても絵の世界は成立しないわけです。キャラクターの周りにビルや家、イス、机といったいろんなものも描いていくことで、構図を考えるようになり、かなり頭がきたえられたんですよ。それから、近くの山に行って秘密基地を作ったり、自転車レースをしたり、田んぼで野球をしたり、川でフナやカエルを捕まえたり……。小6のころは、そんなことをよくしていましたね。自然と触れ合う場って勉強になると思うんですが、ぼくが子どもだったときよりも、現代は明らかに自然に触れる機会が少なくなっています。アナログ的な世界と自分を結びつけないで、スマホやデジタル機器だけで子ども時代を過ごすのはもったいないとは思います。――ゲームやスマホよりも、自然で遊ばせたいと思っている保護者の方は多いとは思うのですが、現代では難しいですよね。高坂:でも、ぼくが子どもだったときに、今のようなおもしろいゲームがあったら……きっとゲームで遊んでいたとは思いますね(笑)。ひとり娘の父でもある高坂監督。もう成人している娘さんも、この映画を楽しんで観てくれたそうです。好きなことやりたいことは、つらくてもがんばれる!――アニメは子どものころから、ずっと好きだったんですか?高坂:そうですね。テレビでアニメを観ては「今日の絵はうまく描けている」とか「今日の絵は下手だったな」とか、子どもながらにジャッジするほど真剣に観ていました(笑)。当時、宮崎駿さんや高畑勲さんのテレビアニメがよく放送されていたので、宮崎さんたちの作品はずっと観ていました。――アニメを仕事にしようと思ったのは、いつですか?高坂:高校生になり、進路を決めなくてはならなくなったとき、いろいろ悩んだんですが「アニメの仕事をしてみたい」と思ったんです。そう思ったら居ても立ってもいられなくなって、夏休みに自分で描いた絵を、とある制作会社に持っていって、「アルバイトさせてください!」って直談判したところ意外にあっさり「いいよ、やってみる?」と受け入れてくれたんです(笑)。そして、そのままアニメ業界に入りました。――好きなことを仕事にして生活していくというのは、なかなか大変ではなかったですか?高坂:どんな仕事でもつらいことがあると思います。でも、好きな仕事ならつらくてもがんばれるし、いや、がんばれないことも多いですが、悔いは残らないと思っているんです。たしかに、好きなことを仕事にして生きていくのは大変かもしれません。でも、ぼくは「子どもがやりたいことがあるならやらせる」というスタンスも大事なのではないかと思います。親がいくら助言しても、学校がいろいろ教えても、自分が気づかないと、どんなことも実は結ばないと思うんです。自分がやりたいことなら積極的に考えるでしょう?本当の勉強はそこからです。――今の子どもたちを見ていて、感じることはありますか?高坂:今は、世の中の基準からはみ出ない人を育てるような前時代的な風潮がまだあるようですが、はみ出ている人間ほど、いいアイデアを持っているような気がします。アニメ業界に身を置くぼくからしてみると「ふつうじゃない」と言われる方が価値を感じます。映画で当たり前のものを見せられてもおもしろくないわけで、「そういう見方があったんだ!」という意外性や驚きが必要なんです。世の中とは違った目線が、ぼくらにとっては大事なんですね。そういう感性を、それぞれの特性に合わせて育んでいくという世の中の方が、みんながのびのびと成長できて、結果的に社会全体が良い方向にいくのではないかと夢想しています。――わたしも、つい子どもに対して心配してしまうのですが、子どもがそうしたいのなら人と違っていても「黙って見守る」という寛容さが必要だということでしょうか。高坂:寛容さは必要でしょう。助言も必要でしょうが親のリテラシーが問われます。「ふつうは、これがルールなんだから!」などという言葉も聞きますが、ルールを作っているのは人間で、その人間は間違うことがある。ぼくは「ふつう」という言葉は、疑ってみたほうがいいと思っているんです。思春期には、超えなければいけないハードルがある――“おっこ”は事故で両親を失い、旅館でおかみの修業をするという、ある意味「ふつうではない」環境の中で成長していきますが、この映画を通して子どもたちに感じてほしいことはありますか?高坂:多感で自意識が強くなる11~12歳ごろの子どもは、成長するうえで超えなければいけないハードルがあって、そのハードルは自分の力だけでどうにかなるものと、どうにもならないものがあると思うんです。今回の映画では「両親の死」という、自分ではどうにもならないことを抱えているおっこが、温泉街で働くなかで、さまざまな人たちと接しながら社会を知り、いかに成長していくかを描きました。これから大人になり、社会をつくっていく子どもたちが、自分のためだけでなく、他者のために行動するということを考えるきっかけになったらうれしいですね。子どもたちだけでなく、大人も楽しめる映画!――最後に、この映画を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いします。高坂:映画の楽しさや美しさを大事にして制作しましたので、小さいお子さんには「楽しかった」とか「きれいだった」と、素直に思ってもらえれたらうれしいですね。また、原作を知らない方でも十分楽しんでいただけるストーリー展開にしようと、練りに練りました。大人が観ても楽しんでもらえると思います。観たあと、親子のそれぞれの視点で意見交換して、相互理解を深めてもらえたらうれしいです。――ありがとうございました。作品情報劇場版『若おかみは小学生!』2018年9月21日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー原作:令丈ヒロ子・亜沙美(絵)(講談社青い鳥文庫『若おかみは小学生!』シリーズ)監督:高坂希太郎、脚本:吉田玲子、音楽:鈴木慶一 他キャスト:小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、薬丸裕英、鈴木杏樹、ホラン千秋、設楽統(バナナマン)、山寺宏一 他劇場版『若おかみは小学生!』公式サイト©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年09月20日世界のお茶専門店「ルピシア」とスタジオジブリ作品のコラボレーション紅茶缶「となりのトトロ ルピシア茶葉缶 焙じ茶 大トトロとメイ」と「魔女の宅急便 ルピシア茶葉缶 紅茶 キキの横顔」が、2018年10月13日(土)より全国のどんぐり共和国とオンラインショップそらのうえ店限定で販売する。「ルピシア」は、世界中のお茶やオリジナルのブレンドティー、フレーバーティーなど、年間400種類以上のお茶を取り扱っているブランド。約20年にわたり、お茶の魅力を発信してきた同ブランドが、スタジオジブリの不動の名作『となりのトトロ』と『魔女の宅急便』とコラボレーションし、新たなお茶の魅力を発信する。『となりのトトロ』のデザイン缶には大トトロとメイ、小トトロ、そしてまっくろくろすけを描いた。なかには、国産大豆、黒豆とほうじ茶がベースの甘くて優しい味の豆入り茶をセット。トトロがくれた小包のどんぐりを小豆や黒豆でイメージし、アクセントでもみじを散らすことでトトロの森をイメージした。一方、一人立ちをした後のキキの切ない気持ちと新しい生活にわくわくする甘い気持ちを、バニラ・ストロベリー・ミラベル(すもも)の香りで表現した『魔女の宅急便』のデザイン缶。キキの気持ちが伝わるような横顔を花で囲んだレトロな仕上がりだ。【詳細】となりのトトロ ルピシア茶葉缶 焙じ茶 大トトロとメイ(焙じ茶、大豆、黒豆、小豆、もみじ、ストロベリーリーフ、ピンクペッパー)魔女の宅急便 ルピシア茶葉缶 紅茶 キキの横顔(ストロベリーリーフ、ヒースフラワー)発売日:2018年10月13日(土)取り扱い:全国のどんぐり共和国とオンラインショップそらのうえ店※数量限定でルピシアオンラインストアでも取り扱いを予定価格:各1,800円+税サイズ:缶 W136×H52×D100mm 内容量:40g
2018年09月15日夏も終わりに差しかかり、そろそろ秋の気配…。ハリウッド超大作やアクション映画などで盛り上がる季節から、胸にしみる感動作が観たくなる季節には、ピュアなロボットや“モジャかわ”なイエティなど、人間との垣根を超えた絆を描いた映画が目白押し!そんな心揺さぶられること間違いなしのアニメーション映画3作を紹介する。◆ピュアなロボットが大好きな少女を守るために選ぶ最後の手段とは…?『ネクスト ロボ』ロボットだらけの未来を舞台に、孤独な少女メイと勇敢でピュアなロボット“7723”の絆と冒険を描くNetflixオリジナル映画。人間とロボットの垣根を超えた友情、家族や友人とのかけがえのない“思い出”の大切さに気づかせてくれる、親子で一緒に楽しめるハートフルアニメーション。13歳の少女メイは、生活の全てをロボットに任せきりの母や友達とうまくいかず、ロボットだらけのハイテクな世界にも馴染めないまま、心を許せるのは犬のモモだけという孤独な毎日を送っていた。ある日メイは、密かにロボット会社IQロボティックに開発された戦闘用ロボット7723と出会う。メイと過ごすうちに7723は彼女を大好きになり、メイとの間に絆が芽生えていく。しかし、7723のメモリーには限度があり、メイとの“思い出”を残すため、大きな決断を迫られることに。やがて、7723を開発したIQロボティック社の共同創業者兼CEOのピンが人類滅亡を企んでいることを知ったメイたちは、街のみんなを守るため立ち上がる!主人公メイ役に山根舞、メイと心を通わせる優しい戦闘ロボット7723役に鈴木達央、世界をロボットの力で支配しようと企むピン役には藤原啓治、7723を開発したライス博士役に森久保祥太郎と、実力派の豪華人気声優陣が集結!さらに超毒舌なメイの愛犬モモ役を劇団ひとりが務める。9月7日(金)よりNetflixにて世界190か国で独占配信。◆演技力と心震わす歌唱力をあわせもつ大人気声優陣が集結!『スモールフット』『ミニオンズ』や『怪盗グルー』シリーズを手掛けた原作者と音楽スタッフが贈る、この秋一番の“モジャかわ”なミュージック・ファンタジー。舞台は、人里離れた雪深い山頂で、イエティたちだけが暮らす雪山。村でいちばん優しい主人公のイエティ・ミーゴは、ある日、偶然にも小さな足の伝説の生物“スモールフット”(=人間)と出会う。しかし、村に帰っても誰にも信じてもらえないばかりか、村から追放されてしまうミーゴ。そこで彼は、スモールフットの存在を証明するため、山の下に広がる未知の世界へ旅に出ることを決意する。旅に出たミーゴの元に現れたのは、スモールフットのパーシー。しかし、彼が偶然撮影したイエティ発見動画が瞬く間に拡散されてしまう…。イエティと人間を巻き込んだ大騒動はいったいどうなるのか?キャラクターたちの声には木村昴、宮野真守、早見沙織、立木文彦ら、演技のみならず、心震わす歌唱力をあわせもつ大人気声優陣が集結。この秋、クスッと笑えて癒される、イエティと人間の心温まる“絆の物語”に注目だ。10月12日(金)公開。◆スタジオポノックが贈る孤独な透明人間の物語『ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間』プロデューサーの西村義明がスタジオジブリ退社後に、『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』を手掛けた米林宏昌監督と立ち上げたスタジオポノック。本作は、そんなポノックの新たな短編レーベル「ポノック短編劇場」第1弾として、短編3作で構成されるオムニバスアニメ。1本目は、米林監督にとって初のオリジナルストーリーでカニの兄妹の冒険を描く『カニーニとカニーノ』。2本目は、『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョとなりの山田くん』に携わり、名匠・高畑勲の右腕といわれた百瀬義行が手掛ける『サムライエッグ』。そして3本目が、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』など、宮崎駿作品に数多く携わってきた山下明彦が監督を務める『透明人間』。主人公の青年は、ほかの人間と同じように平凡に暮らしているが、実は誰にも姿が見えず、自動ドアにすら認識されない透明人間だった。そんな彼は、自分を認識することの出来る男と出会うのだが…。主人公の透明人間の声優を務めるのはオダギリジョー、彼と出会う男には田中泯。2人の出会い、そして他人に認識されることのない透明人間の孤独な奮闘を、中田ヤスタカの音楽がさらに盛り立てる。本作はもちろんのこと、タイトルの「ちいさな英雄」をテーマに描かれる上質な短編3作から目が離せない。現在公開中。秋にぴったりの胸にしみる感動アニメーション映画に注目してみて。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リズと青い鳥 2018年4月21日より全国にて公開© 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミングスモールフット 2018年10月12日より新宿ピカデリーほかにて公開(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー 2018年8月24日より全国にて公開(C)2018 STUDIO PONOC
2018年09月06日中居正広が司会を務める「ナカイの窓」。9月5日(水)の放送では「アニメ」をテーマに、『メアリと魔女の花』の米林宏昌監督、大人気の声優・梶裕貴やアニソンアーティストのMay’nら豪華ゲストと円卓トークなどで盛り上がる。今回は代々木アニメーション学院でアニメーション業界のスペシャリストたちとの円卓トークを展開。ゲストの米林監督は、スタジオジブリで『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『ゲド戦記』などに参加、『借りぐらしのアリエッティ』で長編初監督を務めると2作目の『思い出のマーニー』が第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネート。その後スタジオポノックを設立し『メアリと魔女の花』をヒットさせた米林監督は作品に込めた思いを告白。スタジオ一同驚愕の宮崎駿監督のスゴい話も。さらに米林監督率いるスタジオポノックのアニメーション製作現場潜入も見どころだ。大ヒットとなった「進撃の巨人」シリーズの主人公・エレン・イェーガー役をはじめ「イナズマイレブン」シリーズや「青の祓魔師」など数々の人気作に出演、自身名義でCDもリリースするなど超人気声優の梶さんは、そのスケジュールを公開するほか、大人気キャラクターの名ゼリフも披露。「マクロスF」の歌唱キャストや主題歌で大人気となり、その後も50曲以上のアニメ・ゲームの主題歌や映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』などのテーマ曲も担当してきたMay’nさんは、知られざる日本のアニメソング事情をトーク、中居も衝撃を受けたアニソン業界の真実とは!?さらに『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などで知られる細田守監督の右腕、映画プロデューサーの齋藤優一郎が細田監督作品の製作裏話を明かすほか、大人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」を題材に中居さんとゲストMCのバカリズムがアフレコに挑戦する。スタジオポノックの最新作『ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー』は現在大ヒット公開中。同作はポノックの新プロジェクト「ポノック短編劇場」の第1弾で、“英雄たち”をテーマにした米林監督の手掛けた作品を含む3つの短編で構成されている。「ナカイの窓」は9月5日(木)23:59~日本テレビで放送。(笠緒)■関連作品:ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー 2018年8月24日より全国にて公開(C)2018 STUDIO PONOC
2018年09月05日クラシックのコンサートというと敷居が高かったり、じっとしていなくてはいけなかったりするので、子どもを連れて聴きに行くなんて言語両断といったイメージがありますよね。しかし、9月23日(日・祝)に横浜赤レンガパークで開催される「STAND UP CLASSIC FESTIVAL’18」は、子連れで楽しめる野外クラシック音楽フェスティバル。“クラシック”のイメージとはかけ離れた、楽しい音楽祭なので大人も子どもも皆で楽しめるんだとか。気軽にクラシックに触れさせることができるので、子どもの音楽教育としてもおすすめですよ。子どもと一緒に野外で楽しめるクラシック音楽祭♪「STAND UP CLASSIC FESTIVAL’18」は、モーツァルトやオペラ、スタジオジブリなど誰もが聴いたことのある音楽を幅広いラインナップで楽しめる音楽祭。お酒を飲んだりご飯を食べたり、また芝生に寝そべったり立ち上がったりと自由な時間を過ごすことができます。ステージには女優の松下奈緒さんやバイオリニストの宮本笑里さん、サックス奏者の上野耕平さん、ピアニストの反田恭平さん、バイオリニストNAOTOさん、ボーカルグループのLE VELVETSなど、注目の若手実力派アーティストたちが登場します。子ども、クラシック初心者向けのラインナップも当日は3つのステージが用意され、ブラスバンドが演奏する「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」などスタジオジブリのお馴染みの音楽や「のだめカンタービレ」や「四月は君の嘘」など、クラシック音楽がテーマのアニメに登場した楽曲、さらには作曲家の青島広志さんによる楽しい話とともに演奏される世界のクラシックの名曲など、子どももクラシック初心者の大人も盛り上がれるラインナップになっています。7月2日に行われた制作記者会見では多くの出演者が登壇し、「STAND UP CLASSIC FESTIVAL’18」のおすすめポイント、小さい時に演奏会や楽器に触れたことでクラシックに目覚めたという子ども時代などについて語られました。海外では珍しくない、気軽なクラシック音楽祭。生音ならではのクラシックの魅力に存分に触れることができるこのようなスタイルは、日本においてはさきがけのイベントとなります。「子どもにクラシックを聴かせてみたい」と思っているご家庭の音楽教育にもピッタリです。チケットがなくても観ることができるステージも!3歳以下の子どもはチケットが無料。ちなみにサンデーブランチクラシックステージは無料エリアになっており、チケットがなくても楽しめます。子どもと一緒に盛り上がれること間違いナシの「STAND UP CLASSIC FESTIVAL’18」。横浜の潮風を感じながら、是非ご家族でクラシック音楽を楽しんでみませんか?【参考】STAND UP CLASSIC FESTIVAL’18
2018年09月04日日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」ではこの夏休みシーズンに名作アニメを連続放送してきたが、そのトリを飾るべく8月31日(金)今夜は、スタジオジブリ出身の米林宏昌監督による『メアリと魔女の花』をテレビ初放送する。本作はスタジオジブリ出身のプロデューサー・西村義明が新たに立ち上げたアニメーション制作会社「スタジオポノック」の第1回長編アニメーション映画となり、ジブリで『借りぐらしのアリエッティ』や『思い出のマーニー』を手掛けた米林氏が監督を務め、昨年7月に公開され興行収入32.9億円という大ヒットを記録。さらにアニメーション界のアカデミー賞ともいわれる第45回アニー賞に脚本賞と美術賞でWノミネート、フランスやロシア、中国など世界各国でも公開され世界で高く評価されている。イギリスの児童文学を原作に、7年に1度しか咲かない不思議な花“夜間飛行”を偶然見つけた主人公のメアリの大冒険が描かれる。一夜限りの不思議な力を発揮し、魔法世界の最高学府であるエンドア大学への入学を許可されたメアリだが、彼女がついたうそが大切な人を大事件に巻き込んでしまう…というストーリー。主人公のメアリには『BLEACH』や「花のち晴れ~花男 Next Season~」で大きな注目を集める杉咲花。引っ越してきたメアリの近所に住む少年・ピーターには『3月のライオン』から超ヒット作となった『君の名は。』まで幅広く活躍する神木隆之介。2人をはじめ天海祐希、小日向文世、満島ひかり、佐藤二朗、遠藤憲一、渡辺えり、大竹しのぶら豪華キャストが集結。主題歌は「RPG」「SOS」など数々のヒット曲で知られる「SEKAI NO OWARI」が担当。書き下ろした「RAIN」も大きな話題を呼んだ。現在「スタジオポノック」は2作目の作品となる『ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー』も全国公開中。こちらは新プロジェクト「ポノック短編劇場」の第1弾となり“英雄たち”をテーマに3つの物語で構成されており、米林宏昌監督も1作品の監督として参加している。『メアリと魔女の花』は8月31日(金)21時~日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で放送。(笠緒)■関連作品:メアリと魔女の花 2017年7月8日より全国東宝系にて公開© 2017「メアリと魔女の花」製作委員会
2018年08月31日「3週連続夏はジブリ」企画でお届けするする日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」。ラストとなる8月24日(金)今夜は企画・宮崎駿、声優に山田孝之ら豪華メンバーを起用した2002年公開『猫の恩返し』をお届けする。同じくスタジオジブリの人気作『耳をすませば』に登場した猫の男爵バロンとムーンが登場するなど、共通点が多い本作。『耳をすませば』の主人公・月島雫が書いた物語という位置づけになっているスピンオフ的な作品である。ごくごく普通の女子高生・ハルはある日の帰り道、トラックにひかれそうになっていた美しい黒猫を助けるが、その黒猫・ルーンは突然立ち上がると丁寧なお礼をして去っていく。いきなり猫が話し出したことに驚くハルだが、母によれば幼い頃にも猫とお話をしたと言い張っていたことがあったとか。その夜、ハルの元に猫の国から来た猫王が現れる。自分の息子を助けてくれたハルに「恩返し」がしたいという猫王の宣言通り、翌朝から「猫の恩返し」がスタートするが、それはハルには少々迷惑なものばかりで、さらにはハルをルーンの妃に迎えると勝手に決めてしまう。困惑するハルにどこからか「猫の事務所に行って」という謎の声が聞こえてきて、白い猫・ムタの案内で「猫の事務所」を訪れたハル。そこで待ち受けていたのは主人のバロンと相棒のトト。バロンは自分を見失わないようハルを諭すが、その直後、ハルは猫の国に連れ去られてしまう……という物語。主人公・ハルの声に『そこのみにて光輝く』などの池脇千鶴、バロンには「高嶺の花」など数々の作品で知られる袴田吉彦、ユキに『最終兵器彼女』などの前田亜季、ルーンに『50回目のファーストキス』や『闇金ウシジマくん』シリーズの山田孝之といったキャスト。さらに佐藤仁美、濱田マリ、渡辺哲、斎藤洋介、岡江久美子、丹波哲郎ら豪華なメンバーによる声の演技も注目。金曜ロードSHOW!『猫の恩返し』は8月24日(金)21時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2018年08月24日いまの時期は、話題の夏休み映画が大集結しているだけに、どの作品を観たらいいか悩んでしまうところ。そんなときは、子ども時代を思い出すようなアニメを楽しんでみるのもオススメ。そこで、幅広い世代の心に響く最新作『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』をご紹介します。本作は、異なる短編3作品を一度に堪能できることでも注目を集めていますが、今回はエンディングテーマを務めたこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。写真・大嶋千尋(木村カエラ)歌手の木村カエラさん!【映画、ときどき私】 vol. 181子ども時代からアニメーション作品に親しんでいたという木村さんにとっては、念願の楽曲提供となった本作。そこで、曲が生まれるまでの苦労や悩める女子たちのために元気になる秘訣などを教えてもらいました。―まずはこの作品のエンディングテーマを依頼されたときのお気持ちは?木村さんこれまでドラマの主題歌などを作る際には、台本を読み込んでそこから自分でテーマを見つけていくということはありましたが、今回は3つのまったく違うテーマの短編ということで、最初は「大丈夫かな」という不安も正直ありました。―そんななか、どのようなことを意識して曲作りを始めたのですか?木村さんまず制作サイドから言われていたのは、映画を観終わったあとに観客のみなさんが曲を聞いて「楽しかったね」ってその歌を口ずさみながら映画館を後にして欲しいということ。そして、子どもが楽しんで歌えるものにしたいという要望もありました。今回のオファーを受けた際には、プロデューサーの西村(義明)さんからお手紙をいただいたんですが、そのなかに、私の歌声には明るくて元気でまっすぐさがあり、太陽と一緒にいる人みたいな感じがあるというとてもステキなお言葉をいただいたんです。なので、私のなかにある楽しさや明るさの部分を聴いた人が感じられるように、私が出せる力を精一杯出したいと思って集中して作りました。インスピレーションとなったのは、まさかのドリフ!?―とはいえ、今回はカニの兄弟が繰り広げる冒険から母と少年の感動ドラマ、そしてある男の孤独な闘いを描いた物語までの異なる3つのテーマをまとめる曲にするという難しい作業。そのなかで参考にしたものはありましたか?木村さんその手紙にも書いてあったことで一番のヒントとなったのは、実はドリフだったんです(笑)。というのも、ドリフってコントのなかにエロティックなものがあったり、ふざけたものがあったり、いろいろありますけど、結局「8時だョ! 全員集合」のテーマ曲が流れると全部持っていかれますよね?そういうまとめ方みたいなのを例としていただいたんですが、それがめちゃくちゃわかりやすいなと思って(笑)。だから、そこを意識しつつ、みんなが楽しかったと思えるようにすべてをかけてできあがったのが今回の曲なんです。―そんななかで、できあがるまでには、やはりプレッシャーもありましたか?木村さん私がひとりよがりで作っている曲ではなくて、スタジオポノックのみなさんが一生懸命作っている作品のなかのひとつとして入り込むというのは私のなかでは大きかったと思います。なので、今回はいままでにない以上にたくさん打ち合わせをして、何度も意見交換をしながら最終的な形にしていきました。期限がなければどこまでも突き詰めていけるんですけど、今回のように期限があるなかで作っていくと「これが正解でいいのかな」ということをどうしても考えちゃうんですよね。曲を聴いてひとりで泣いてしまったワケとは?―完成したときは思わず泣いてしまったということですが、そのときの心境を教えてください。木村さん特に、私が好きな作品を生み出してきている方々とのお仕事ということで、すごくうれしくて思い入れもあったので、不安と楽しみの両方がありました。それもあって、最後のほうは緊張しすぎてレコーディングの前にある程度できあがったものを家で聴きながら、ひとりで泣いちゃったんです(笑)。というのも、自分ではすごくいいと思ったんですけど、そう思ったからこそ「ダメって言われたらどうしよう」と、よくわからない感情になって涙が出てきたんですよね。―裏でそんな思いをされていたとは思えないほど、誰もが口ずさみたくなる元気があふれる曲に仕上がっていますが、歌詞でこだわったところは?木村さんまずは、子どもならではの目線で考えましたが、子どもって同じことをずっと言っていたりするので、その感覚や無邪気な部分は大事にしました。そうやって繰り返していると、どんな言葉でもゲラゲラ笑い始めちゃうような魔法があると思うんですよね。なので、サビの「あそぼあそぼ」の繰り返しでは、そういう状態の楽しさを出しています。実際、私も歌っている時は5歳児みたいなテンションで歌うことを意識しているんですよ(笑)。日常生活では、本当は誰もが英雄!―今回、映画と曲のタイトルになっているのは「ちいさな英雄」という言葉ですが、木村さんがそこから想像した英雄とはどのような姿ですか?木村さん私がこの言葉から感じたのは、「誰もがみんな英雄だ」ということ。それぞれの物語のなかに登場する子どもたちもそうですが、何でもない日常生活のなかで誰しもが英雄になる瞬間があって、みんながんばって生きているんだという印象を受けたんです。だから、いわゆる表に出ている英雄というのではなくて「みんなもそうなんだよ」みたいなイメージですね。―スタジオポノックでは、以前スタジオジブリで活躍されていたアニメーターの方々が中心となっていますが、木村さんがこれまでに影響を受けた作品はありますか?木村さん私はもともと動物が好きだったんですけど、「本当は動物もしゃべれるんじゃないか」とか「秘密基地の奥に実は宇宙人が住んでいるんじゃないか」とかそういうことを考えるのが子どもの頃からすごく好きだったんです。なので、たとえば『となりのトトロ』や『魔女の宅急便』が映像としてそういう世界を見せてくれたこともあって、より想像力が豊かになったというのはあったと思います。特に、ひとりっ子だったので、「キキのような力が私にもあるんじゃないか」みたいな遊びはよくしていましたね(笑)。そういうことを信じていたという部分では影響を受けていたと思います。原動力は、自分らしさを知りたいという欲求!―今年はご自身で絵本の制作もされるなど、幅広い創作活動をされていますが、その源になっているものがあれば教えてください。木村さん日々変わっていくものではあるんですけど、根本には「自分自身を確かめていたい」という思いですね。つまり、自分がどういうものを出したいか、どのように成長しているのかということ。おそらく、“私らしさ” みたいなものを知るために自分の中身を出していかないと落ち着かないんだと思います。そういう感覚がつねにどこかにあるので、いかに自分を吐き出して、楽しくやるかみたいなところで作品を作っていることが多いかもしれないです。あとは、絵本でも曲作りでも同じですけど、まず自分が楽しくないと、ほかの人を元気にできないですよね。それには自分がつまらないと思うことをやっていてもダメなので、そういうテンションや自分を大切にしたうえで作品が出せるようにというのは意識しています。―とはいえ、やはり生みの苦しみを感じることもありますか?木村さんもちろんありますよ!特に歌詞を書くときはずっとアドレナリンが出ているような感じで一番大変なので、1曲でも作るのはすごく苦しい作業ではありますね。それだけに、書き終えたあとは、そのことに関する記憶や思い出がすぽんと抜けてなくなってしまうんです(笑)。それは、おもしろくもあり不思議なことですが。まさに身を削って作っている感じですね。カエラ流リラックス方法を伝授!―それだけ忙しいなかで、実践している息抜き方法などはありますか?木村さんみなさんも、相性の合わない人と会ったら頭が痛くなったり、疲れたりすることって日々ありますよね?私はそういうふうに自分がマイナスに向かっていると感じた瞬間に、自分にとっていいことをたくさんするようにしています。たとえば、私は海の塩を瓶に入れたものをお風呂場に置いているんですけど、そういうときは湯船に塩をドバーッと入れるんです。そうすると発汗もよくなるし、塩で清められた感じもするので、そうやって気分を変えることはけっこう大事にしていますよ。あとは自分が好きなものを身に着けたり、朝一番にお香をたいたりとかもしていますね。とにかく、「今日はヤバいかも」とちょっとでも思ったら、そんな感じで自分にとっていいと思うことをするように心がけています。無駄なことに悩むより笑うことが大切!―最後に、ananweb読者に向けて木村さんのように前向きになれる方法を教えてください!木村さん私には悩んだときに、自分に言い聞かせる言葉があるんですけど、それは「他人に振り回されるな。自分を幸せにしなさい」というもの。たとえば彼氏とかに傷つけられたりとか、友だちとうまくいかなかったりとか、自分が悪くないことが原因で悩むときもあると思います。そういうときには、「この時間って無駄だな」と思うようにして、自分を取り戻すようにしているんです。だからみなさんにも「そういう時間はもったいないし、そのぶん笑ってたほうが楽しいよ」ということは伝えたいですね。インタビューを終えてみて……。とにかく明るいオーラ全開で、笑顔が素敵な木村カエラさん。同じ空間にいるだけで、幸せな気分に包まれてしまうほどでした。そんな木村さんが歌うエンディングテーマは、誰もが元気になれる一曲。事前に予習してから鑑賞すれば、一緒に楽しめること違いなしです。小さな奇跡が大きな感動を巻き起こす!短編という表現方法にチャレンジしたスタジオポノックから届いたのは、愛と優しさに包まれる3つの物語。この夏、新たな映画体験を期待するなら、見逃せない話題作のひとつです。ちいさな英雄たちとの出会いを求めて劇場に足を運んでみては?作品概要昨夏、『メアリと魔女の花』で一躍注目を集めたスタジオポノックが、新たに立ち上げたプロジェクト「ポノック短編劇場」。記念すべき第一弾では、「ちいさな英雄」をテーマに作られ、声優陣には木村文乃や尾野真千子、オダギリジョー、坂口健太郎、田中泯といった豪華なキャスティングが実現している。今回公開されるのは、川に消えた父を探すために旅に出るカニの兄弟の大冒険を描いた『カニーニとカニーノ』をはじめ、たまごアレルギーを抱えながらもたくましく生きる少年と母との絆を映し出した感動作『サムライエッグ』、そして誰からも姿が見えない男の孤独な闘いに迫ったスペクタクルアクション『透明人間』の3作品。世界観に引き込まれる予告編はこちら!作品情報『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』8月24日(金)全国公開配給:東宝レーベル名:ポノック短編劇場©2018 STUDIO PONOC楽曲情報2018.08.22 releaseDigital single「ちいさな英雄」映画『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』エンディングテーマ
2018年08月22日小さなころからアニメや漫画が大好きだったという木村カエラ。劇場にアニメを観に行くと、作品の内容はもちろんだが、主題歌、劇中歌、エンディングテーマなど音楽が気になり、気がつくと「自分ならこういう感じがいいな」と思いを巡らせていたという。歌手になったときから「いつか絶対にやりたい」と思っていたアニメーション映画のエンディングテーマ。そんな夢が、スタジオポノック最新作『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』で現実となった。願い続ければ夢は叶う!元スタジオジブリの西村義明プロデューサーが立ち上げたスタジオポノックの最新作は、『メアリと魔女の花』の米林宏昌、高畑勲監督の右腕として活躍した百瀬義行、宮崎駿監督作品でアニメーターを務めた山下明彦という3人の監督が「ちいさな英雄」というテーマのもと描いた3つの短編作品からなるオムニバス映画だ。本作のエンディングテーマのオファーを受けたとき「やっと来たー!」とかなりテンションがあがったことを明かした木村さん。デビュー当時からずっと、アニメーション作品に参加して歌いたいという思いは強く、今回の話を聞いたときは「願い続けていれば夢は叶うんだ」と思ったという。しかし、普通のアニメーション映画とは違い、本作は3つの短編の最後を束ねるように流れるエンディング曲。コンセプト次第では大きく曲の内容も変わってくる。西村プロデューサーと木村さんは、密に打ち合わせを重ねたという。そんななか、西村プロデューサーからは「まっすぐな声でまっすぐなものを歌える人」という褒め言葉をもらったという。この言葉の意味を、「テーマが違う作品が集まっているが、それを凌駕するまっすぐさ、力強さ、軽快さが求められている」と木村さんは解釈。さらに西村プロデューサーからもらった手紙には、コメディからエロティックなものなどごちゃまぜになったコントをまとめ上げ、すっ飛ばしてしまうドリフの「8時だョ!全員集合」のテーマ曲のようなイメージというヒントが書かれていたという。木村さんは、こうしたさまざまなヒントをしっかりイメージし具現化。「ちいさな英雄」という曲が完成した。「観終わった人が、エンディング曲を口ずさんで映画館を出ていくような……そんなイメージの曲を作ろうと思いました。しかもアニメ作品なので、子どもも歌えるようなシンプルさも兼ね備えたかったんです」。木村さんの言葉通り「あそぼあそぼちいさな英雄あそぼう」という伸びやかな声から始まる曲は、爽快感いっぱいだ。一度聴いただけで口ずさむことができるシンプルさと、心地よいフレーズは、一瞬にして人の心をつかむ。『平成狸合戦ぽんぽこ』はサントラを買ってヘビーローテーション!アニメ愛溢れる木村さんだが、特にスタジオジブリ作品は「ほとんど観ていて好きなものばっかり」と語る。そのなかでも「お気に入りの作品は?」という難しい質問を投げかけると「『平成狸合戦ぽんぽこ』や、ジブリ作品ではありませんが『パンダコパンダ』が好きです。特に『ぽんぽこ』は子どものころに映画館に観に行ってサントラを買って家でずっと聴いていました」と懐かしそうに語っていた。その後も『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』、『となりのトトロ』などいろいろな作品の名前があがったが、どれも“音楽”にまつわる思い出が付随しているところが、木村さんならではのアニメーションとの接し方なのだろう。「何度も定期的に繰り返し観ているので、好きを通り越して日常になってしまっていますよね」と笑顔を見せる。無理なく、格好つけずに子どもに対する気持ちが沸いてきた木村さんといえば今年4月に、自身初となる描きおろしの絵本「ねむとココロ」を発売するなど、近年、子どもの視点に立った作品作りが見受けられるようになった。「これまでも『Ring a Ding Dong』のような子ども目線の曲はあり、私自身も好きなのですが、最近『子どもに伸び伸び育ってほしい』とか『自由に生き生きとしている顔がみたい』という感情が無理なく自然と思うようになってきたんです」と気持ちの変化を述べると「その意味で、この作品との出会いは本当に貴重で、無理なく格好つけずに『子どもに楽しくあそんでほしい』という気持ちを表現できた。おそらく何年か前の私だったらできなかった」と、本作とのめぐり合わせに感謝していた。「早く劇場で流れるのが観たい」と公開を待ちわびている木村さん。「緊張はすると思いますが、私も劇場に行って、お客さんと一緒にドキドキしながら作品を観たいです」と目を輝かせながら語ってくれた。(text: Masakazu Isobe/photo:Yosuke Koino)■関連作品:ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー 2018年8月24日より全国にて公開(C)2018 STUDIO PONOC
2018年08月22日ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』完成披露プレミア試写会が8月19日(日)、品川ステラボールにて行なわれ、声優を務めた木村文乃、鈴木梨央(『カニーニとカニーノ』)、尾野真千子、篠原湊大、坂口健太郎(『サムライエッグ』)、田中泯(『透明人間』)、米林宏昌監督、百瀬義行監督、山下明彦監督、エンディングテーマを担当した木村カエラ、西村義明プロデューサーが出席した。■出来上がったのは6日前!本作は、長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』のスタジオポノックが贈る短編「ポノック短編劇場」第一弾。「ちいさな英雄」をテーマに、大冒険ファンタジーの『カニーニとカニーノ』、母と少年の愛と感動の人間ドラマ『サムライエッグ』、見えない男の孤独な闘いをスペクタクルアクションで描いた『透明人間』の三つの物語が描かれる。西村プロデューサーは「完成したのは6日前でした。ギリギリまでいいものを作ろうと思って」と粘りに粘って作品を完成させたことを明かすと、三篇で構成されている本作について「実は四本あったんです」と語る。その四本目とは、今年2018年4月に死去した巨匠・高畑勲監督にお願いしようと思っていたと西村プロデューサーは打ち明ける。西村プロデューサーと高畑監督は、スタジオジブリ時代『かぐや姫の物語』などでタッグを組んだ間柄。高畑監督を師匠と仰ぐ西村プロデューサーは「高畑監督に教えていただいたものは作品に入っていると思います」と自信をのぞかせると「よく高畑さんとは『人は死んだらどうなるんだろう』という話をしていました。草葉の陰ではないですが、今日もちゃんと観てくれていると思います」と力強く語っていた。■三者三様、個性的な作品が勢ぞろい!自身初となるオリジナルストーリーで挑んだ『カニーニとカニーノ』の米林監督は「全編カニ語で物語は進んでいきます」とユニークな発想の物語であることを明かすと、木村文乃の弟役・カニーノを演じた鈴木さんは「木村さんと二人でアフレコしたのですが、気づいたら2時間がたっていました」と時間を忘れるほどのめり込めたという。巨匠・高畑勲監督の右腕として活躍した鬼才・百瀬監督は『サムライエッグ』のキーワードを“歯”と語ると「生命とか成長の象徴として見えるといいなと思いました」と理由を述べる。宮崎駿監督作品の中心を担った天才アニメーターである山下監督は『透明人間』を製作。キーワードを“存在”と語ると「そこいるのに、いないも同然という扱いを受ける人を描きました」と説明する。本作で盲目の老人を演じた田中さんは、目を閉じてアフレコに臨んだというが「見えているのと見えていないのでは、まったく違う」と役作りについて語っていた。『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』は8月24日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年08月20日日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」は「3週連続夏はジブリ」と題しスタジオジブリ作品を連続で放送中。2週目となる今夜8月17日(金)は宮崎駿監督による1988年公開の『となりのトトロ』をオンエアする。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』に続いて宮崎監督とジブリが送り出した本作。公開当時すでに郷愁を誘った昭和30年代の風景、主人公のサツキとメイの2人の姉妹と父の家族愛、劇中に登場する不思議な“いきもの”であるトトロやネコバス、マックロクロスケたちのキャラクター性などの要素が相まって、キャラクター商品も多数発売されるなど、現在に至るまで非常に高い人気を誇り、スタジオジブリを代表する1作である。小学6年生の女の子・サツキは入院中のおかあさんに空気のキレイな土地で静養してもらうため、妹のメイ、おとうさんと一緒に東京の田舎に引っ越してくる。引っ越し先の家は大きなクスノキの近くに建っているおんぼろ屋敷で、到着早々メイは家に隠れていた小さくて真っ黒なオバケ“マックロクロスケ”を発見。近所のおばあちゃんからその“いきもの”が“ススワタリ”という名前だと教えてもらった2人は、ちょっと不思議でステキな出会いにドキドキする。新生活が始まったある日、庭で遊んでいたメイの前に2匹の奇妙ないきものが現れる。2匹を追いかけてクスノキの根元に転がり落ちたメイは、そこで巨大ないきもの“トトロ”と出会う。話を聞いたサツキは自分もトトロに会いに行こうとするがメイが通ったはずの根元の穴はなくなっていて…というストーリー。サツキに日高のり子、メイに坂本千夏、おとうさんには公開当時のキャッチコピーも手がけた糸井重里、おかあさんには『風の谷のナウシカ』のナウシカ役でおなじみ島本須美といった声優陣の声の演技、そして風の香りすら感じさせる草木の動き、時間の経過を丁寧に表現した美術、生き生きとしたキャラクターの表情など、宮崎監督をはじめジブリが誇るスタッフ陣が描き出すハイクオリティな映像も必見。作詞を宮崎駿が、作編曲を数々のジブリ作品のほかドラマ「この世界の片隅に」などの久石譲が手がけた主題歌も忘れられない。公開から30年を経ていまだ色褪せぬ不朽の名作が今夜再び「金ロー」に帰ってくる。『となりのトトロ』は8月17日(金)21時~日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」でオンエア。次週8月24日(金)は『猫の恩返し』をオンエア。(笠緒)■関連作品:となりのトトロ 1988年4月16日より公開
2018年08月17日『聖☆おにいさん』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『君の名は。』『君の膵臓をたべたい』など、近年人気俳優・タレントをボイスキャストに起用するケースが自然になってきたアニメ映画。主人公から脇役まで様々だが、中でも注目なのが、一部に熱狂的なファンを持つ“タレント声優によるお父さんキャラ”の存在。たとえば、『となりのトトロ』でサツキとメイの父を演じた糸井重里、『崖の上のポニョ』でポニョの父を演じた所ジョージ。そんな“素朴なお父さん演技”はかつてはスタジオジブリ作品によって数多く生み出されてきた。今回は公開中、そして近日公開されるアニメ映画から、プロ声優ではなく、有名俳優が演じる3人の“素朴なお父さん”をピックアップ!◆星野源が演じる不器用なお父さん/『未来のミライ』俳優、アーティスト、文筆家…と多彩な才能を持つ星野源。先日第2弾の放送が決定した「おげんさんといっしょ」では“お母さん”のような装いで登場しているが、そんな星野さんが演じる“素朴なお父さん”は、現在公開中の細田守監督最新作『未来のミライ』に登場している。本作は、甘えん坊の男の子・くんちゃん(上白石萌歌)を中心に、未来からやってきた成長した妹・ミライちゃん(黒木華)との時空を超えた不思議な出会いや体験を通して、成長していく姿を描いた物語。星野さんが演じるのは、くんちゃんのおとうさん。スタジオジブリ作品の“素朴なお父さん”の系譜ともいえる、黒髪メガネで地味ながらも女性ウケ必至のビジュアルが特徴。フリーの建築家で、自宅で仕事と育児の両立を目指すも、いつも失敗続き…という不器用ながらも子ども思いなお父さんを好演している。ファンからは、「優しい声に癒された!」「見た目も源ちゃんそっくりで実写化もできそう!」と反響も。そんな好評の“お父さん”星野さんを、まずはこちらからチェックしてみて。◆西島秀俊、「イメージ通り」なお父さん/『ペンギン・ハイウェイ』「チーム・バチスタ」シリーズ、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」、『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』など、様々なTVドラマや映画に出演する西島秀俊。ハードな役柄の熱演でも話題になる西島さんだが、もうすぐ公開の森見登美彦原作映画『ペンギン・ハイウェイ』では、もさっとしたヘアスタイルと白シャツでどこか“素朴なお父さん”をにおわせる、アオヤマ君のお父さんを好演。本作は、「夜は短し歩けよ乙女」で知られる作家・森見氏による日本SF大賞を受賞した同名小説のアニメ映画化。利口な小学4年生のアオヤマ君(北香那)が暮らす住宅街に、ある日突然ペンギンが現れたことからはじまる青春ファンタジー。西島さんが演じるアオヤマ君のお父さんは、アオヤマ君が毎日学んだことを記録するノートを授け、息子の研究を見守るアドバイザー的な立場でもある。公開中の予告編では、温かみのある西島さんの“お父さん”を覗くことができ、早くもSNSでは「イメージ通り」「予告だけでイケボ」と期待が高まっている。◆薬丸裕英のおっとりお父さん、物語の重要な役どころ!?/『若おかみは小学生!』累計発行部数300万部超えの児童小説を原作に、現在TVアニメも放送中の「若おかみは小学生!」の映画化作品に登場する“お父さん”は、薬丸裕英が声をあてるおっこのお父さん。本作は事故で両親を亡くし、祖母が営む温泉旅館を訪れた小学6年生の女の子・おっこ(関織子/小林星蘭)が、若おかみとして修業する姿を描いた作品だ。優しい祖母や旅館に住み着くユーレイ、ワケありな宿泊客たちとの出会いを通して成長していくおっこを、思わず涙してしまう感動エピソードと共に映し出していく。薬丸さん演じるおっこのお父さんは、夫婦そろって事故で命を落とすも、劇中で度々おっこの心の支えとして登場する重要な役どころ。スタジオジブリでの作画監督も担当してきた高坂希太郎が監督を務めており、黒髪メガネのおっとりした性格のおっこのお父さんは、正しく“素朴なお父さん”の正当な系譜?声優業は実に18年ぶりという薬丸さん。「少々、緊張しました(笑)」と語る薬丸さんの“お父さん”は、ぜひこちらの予告編から。今回ピックアップした星野さん、西島さん、薬丸さんが出演する3作品は、主人公をはじめ多くキャラクターの声をプロの声優でなく俳優が務めているのも注目どころ。3人が演じる独特の味わいがクセになる“素朴なお父さん”にも注目しながら、ぜひスクリーンで楽しんでみて欲しい。(cinemacafe.net)■関連作品:未来のミライ 2018年7月20日より全国東宝系にて公開ⓒ 2018 スタジオ地図ペンギン・ハイウェイ 2018年8月17日より全国にて公開© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
2018年08月11日8月9日(木)にジブリの魅力が満載の特別番組「ジブリのうた」がNHKで放送されることが決定。案内役は俳優の神木隆之介が務める。『となりのトトロ』と『火垂るの墓』が同時公開されてからちょうど30年――。また今年は、日本のアニメーションを牽引してきた高畑勲監督が惜しまれつつ亡くなった。今回の番組では、高畑監督と宮崎駿監督が心をこめて創り上げてきたスタジオジブリの作品にスポットをあて、中でも世代を超えて愛される音楽を主役にした内容をお届けする。多くの人たちに親しまれる名作たちの楽曲を歌うのは、バラエティに富んだアーティストたち。宮崎監督作品にまつわるエピソードや高畑監督の足跡にも触れていく。また、出演アーティストには、久石譲をはじめ、「King&Prince」、「Little Glee Monster」、横山だいすけ、新井美羽、五嶋龍、二階堂和美が参加する。番組案内の舞台は、「ジブリの大博覧会」。案内役は、2016年に社会現象をも巻き起こした『君の名は。』や、ジブリ作品『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』に声優として参加した神木隆之介。さらにナレーションは、『千と千尋の神隠し』でハクの声を担当した人気声優の入野自由が務める。「ジブリのうた」は8月9日(木)19:58~NHK総合テレビにて放送。(cinemacafe.net)
2018年07月30日こんにちは。エッセイストの鈴木かつよしです。盟友の高畑勲監督をうしなってもなお、次回作『君たちはどう生きるか』 完成への情熱は変わることのないスタジオジブリと宮崎駿監督。その長編アニメーション作品の数々はわが国が世界に誇るべき文化の代表選手ではないかと思います。ママのみなさんがお子さんにみせるジブリ作品を選ぶ際に、お子さんの年齢によって 「何をみせるか」の参考にしていただければと思い、今回は筆を執りました。『魔女の宅急便』(1989年公開作品)こちらは、小学校高学年の児童から中学生にお薦めです。主人公のキキが魔女界のしきたりにしたがって13歳の春に人間しか住んでいない街へと独り立ちの旅に出る物語。人間界の街で出会ったとんぼとの初恋は高学年の小学生ならシンパシーを感じるでしょう。また、生まれて初めて“職業実習”を体験する中学2年生 にとっても感じるところがある作品です。『となりのトトロ』(1988年公開作品)4・5歳児から小学校の全学年の児童にお薦めです。母親の療養のため引っ越してきた農村で姉妹二人きりの夏を過ごすことになった12歳の小学6年生サツキと4歳児メイの物語。日本の子どもたちにとって小学生時代の“夏休み”ほど特別なものは他にありません。このアニメは入道雲や夕立がある日本の夏の風景を鑑賞できるだけでも価値がありますが、しばし親が傍にいない時間を過ごさざるをえなくなった小さな姉妹の心理描写が観ているわたしたちの胸を打つ作品です。4・5歳児のお子さんであればメイの微笑ましい様子 を観て楽しむこともできるでしょう。『耳をすませば』(1995年公開作品)中学生みんなにお薦めです。京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺の東京の多摩地区を舞台にした中学3年生の雫と聖司の初恋物語です。高橋一生さん が聖司の声を担当していましたね。人生の早い時期から医者や公務員や大企業の会社員を目指すのもいいですが、雫と聖司のように作家やバイオリン職人を夢見て努力する中学生もいてほしいですよね。中学生のお子さんであればほとんどのみんなが共感できる作品ではないかと思います。『コクリコ坂から』(2011年公開・宮崎吾朗監督作品)中学生・高校生にお薦めです。メルという愛称で呼ばれる高校1年生の少女・海と同じ高校に通う1学年先輩の新聞部長・俊との甘く健気で美しい初恋物語。日本の青春映画の最高傑作 ではないかと筆者は思っています。海や俊と同じ高校生はもちろん、高校進学を控える中学生のお子さんたちにもぜひ観ていただきたい作品です。心から「好き」と思える異性に出会えたことが人としてどれほど幸福なことであるかをあらためて実感させられる上質のラブストーリーです。『火垂るの墓』(1988年公開・高畑勲監督作品)最後は、4歳以上の全ての子どもたちにお薦めです。わが国に生を受けた全てのお子さんに観ていただきたい作品です。4歳以上になっていれば、感覚的に「何か」を感じ取る ことができるかと思います。太平洋戦争末期の神戸大空襲で親を亡くした14歳の清太と4歳の妹・節子が、子どもだけではやはり生きて行くことができず終戦を迎えた直後に二人とも栄養失調による衰弱死をとげる物語です。この作品は、子どもたちが子どもたちだけでは生きて行けない以上いかなる理由があっても一国の指導者は「戦争」という選択肢を採ってはならないという強烈なメッセージを含んでいます。原作者の野坂昭如さんと高畑勲監督がこのアニメを子どもたちに観てもらうことによってその思いをずっと後世の子どもたちにまで伝えて行ってほしいという願いが、観る者の胸に突き刺さってくる、そんな凄いアニメ映画です。----------いかがでしたでしょうか。こうしてみるとジブリの長編アニメ作品は、いろいろな年代のそれぞれ気質の違う「少女」たちが主人公になっているので、どんな学齢のお子さんでも夢中になれる作品が必ずあるように思います。今回ご紹介しきれなかった作品についていずれまたコメントさせていただく機会があればこのうえなく幸いに存じます。●参考リンクスタジオジブリ()●ライター/鈴木かつよし
2018年07月26日やわらかなコットンとやさしい肌ざわりであらゆる世代から愛されるフランスのウェアメーカー「プチバトー」(PETIT BATEAU)と「スタジオジブリ」(STUDIO GHIBLI)がコラボレーション。ジブリ作品の世界観を再現した、ベビー、キッズ、大人のためのピュアな魅力あふれるウェアが10月26日、全国のプチバトーの店舗(アウトレット店を除く)とオンラインブティックにて発売される。フランス生まれのプチバトーが繰り広げる柔らかなコットンニットの世界と、スタジオジブリから生まれる豊かな空想の世界との間には「色」という共通言語がある。100年以上前から独自の色合いを創り、染色をしてきたプチバトーは、ジブリ作品の繊細な色づかいに以前より感銘を受けていた。一方のスタジオジブリも、プチバトーの歴史や、ものづくりに対する細やかなこだわりを知り共感を抱く。このような双方の共感が、今回のコラボレーションを実現させた。コラボレーションに使用される作品は『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『崖の上のポニョ』の4つ。これら4作品の代表的な場面からインスパイアされた特別なカラーパレットをつくり、 プチバトーのアイコニックなアイテムで再現した。『となりのトトロ』のトトロの住む森をイメージした鮮やかなグリーン、『千と千尋の神隠し』のワンシーンから切り取った対照的なピンクとグリーン、そして明るく元気なポニョをイメージした鮮やかなピンクなど、それぞれの作品らしさに溢れた色を使用した、ベビーのボディから大人のマリニエールまで幅広いコラボレーションアイテムが誕生する。色だけでなく、映画のキャラクターたちもスクリーンを飛び出し、コットンニットに。「ポニョ」、「トトロ」、そして黒い小さな煤の玉のような不思議な生き物「マックロクロスケ」がプリントや刺しゅうに登場、 茶目っ気たっぷりにコラボレーションアイテムを彩る。キッズと大人のマリニエールプルオーバーには、映画のキャラクターを描いたワッペンが付属しているので、自由にカスタマイズしてこの世に一つしかないオリジナルのプルオーバーを作ることができる。ラインナップはベビーは、マリニエール長袖ボディ、マリニエールワンピース、長袖ボディ。キッズはマリニエール長袖プルオーバー 、ワイドボーダー長袖プルオーバー 、マリニエールワンピース、ケープ、ショーツ、トランクス。大人はマリニエール長袖プルオーバー、マリニエールワンピース、ケープ、ショーツ、トランクスがラインナップ。スタジオジブリのファンには見逃せないアイテムの数々となる。
2018年06月21日『メアリと魔女の花』で知られる「スタジオポノック」の新プロジェクト「ポノック短編劇場」。その第1弾『ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー』に、木村文乃、坂口健太郎が新たに参加することが分かった。米林宏昌をはじめとするスタジオジブリ出身の3人の監督が手掛けた3作品の短編アニメーションからなる本プロジェクト。このたび、米林監督の『カニーニとカニーノ』、巨匠・高畑勲監督の右腕として活躍した百瀬義行監督の『サムライエッグ』、そして宮崎駿監督作品の中心を担ったアニメーター・山下明彦監督による『透明人間』の3作品で声の出演を果たす追加キャストとスタッフが明らかに。兄と弟の勇気、母と子の絆、そして、たったひとりの闘い。“英雄たち”の3つの物語で、奇跡のコラボレーションが実現し、ポスタービジュアルも解禁となった。■木村文乃×鈴木梨央、『メアリ』米林監督初のオリジナルストーリーに挑む!オリジナルストーリーとなるカニの兄弟の大冒険ファンタジー『カニーニとカニーノ』では、木村さんが主演カニーニ役でカニ役に初挑戦。弟のカニーノ役には鈴木梨央。音楽は『思い出のマーニー』『メアリと魔女の花』に続き、米林監督と3度目のタッグとなる村松崇継が務める。木村文乃(カニーニ役)初めてお話をいただいたとき、カニ役のお兄ちゃんということでどんな風になるのか、と思っていましたが、絵コンテで米林監督の映画の世界観に触れて想像が広がり、とてもワクワクしています。全編、カニ語!?ということで、どのように演じていくのかいまから楽しみです。鈴木梨央(カニーノ役)米林監督が、初めて男の子を主役にされた作品だと聞いて感動したこと、その作品に私も関わることが出来るとわかったときは、驚きと喜びで全身に鳥肌が立ちました。男の子の役は初めてですが、カニーノの気持ちになって、カニーニと大冒険をしていく様子をしっかりと演じきれる様に精一杯頑張りたいと思います。村松崇継(音楽)絵コンテを頂いたとき、これが短編映画?と感じるくらい、短編とは思えない展開やスケールに正直、驚かされました。そしてこの映画は、家族愛、兄弟愛、何をテーマにしているんだろうと思ったとき、あっ、この映画は、いま、この現代だからこそ届けたい全ての愛を表現しているんだということにも気づかされました。絵コンテ状態から既に感じる圧倒的な絵の美しさとスケール感。息を飲むスペクタクルな展開。この世界を自分が、音楽で表現させてもらえることにいまは、ただただ幸せを感じています。■鬼才・百瀬義行監督による『サムライエッグ』、坂口健太郎はパパ役本作は、故・高畑勲監督の右腕として活躍した鬼才・百瀬義行による実話を元に描いた母と少年の愛と感動の人間ドラマ。出演は尾野真千子、子役の篠原湊大(9歳)に坂口健太郎が参戦。たまごアレルギーをもった少年シュンとその家族が懸命に生きる姿を描く。さらに、日本ポップス界を牽引する島田昌典が映画音楽を手がける。尾野真千子(ママ役)本格的な声のお芝居は初挑戦でした!とにかく難しい。声優というお仕事を尊敬した時間でした。でもやはり伝えたいという気持ちは変わらず1つ1つ大切にお芝居させていただきました。この物語がたくさんの人に届きますように。篠原湊大(シュン役)オーディションでは関西弁に気をつけながら「ぼくはシュンだ!」と思いながら初めてのアフレコに臨みました。極度のたまごアレルギーのシュンになりきり、自分と戦う役を精一杯頑張りたいです。坂口健太郎(パパ/医者役)普段のお芝居とは違う、声でキャラクターに命を吹き込むことを大切に、現代の小さなヒーローに寄り添えるように頑張ります。ぜひ、楽しみにしていてください。島田昌典(音楽)初めての映画音楽です。それがこのような素晴らしい作品で挑戦させていただけたなんて、大変光栄です。観る方々が、スッーと映像の世界感に入っていけるような、寄り添った音になっていると嬉しいです。■オダギリジョーが『透明人間』!宮崎監督作品のアニメーター・山下明彦が監督見えない男の孤独な闘いをスペクタクルアクションで魅せる本作。透明人間はオダギリジョーが演じ、舞踊家として活躍する田中泯も出演。音楽プロデューサーの中田ヤスタカが独自のEDM的サウンドで重厚感のある音楽世界を作り上げた。オダギリジョー(透明人間役)改めて芝居というのは色々な要素で形成されるんだなということを考えさせられました。声優の仕事を通して、俳優の根源を見つめ直すことができ、良い経験になりました。アニメーションで透明人間を描く、ということがまず面白い挑戦だなと思っています。いままでにない、未知の経験をこの作品から感じて頂くことが出来たならとても嬉しく思います。田中泯(盲目の男役)見えてない、あるいは見られていなくでも人は存在できた。が、現代ではこれでは無視されることになる。見える、見られるために他者が必要なのだろうか?わからない人では駄目なのだろうか?誰のカラダの中にも、自分ですら知らない透明人間性というのが本来的にあるのではないのでしょうか。誰だって自分のカラダの中で生きているのだから。■キャスト決定に西村義明プロデューサー、3つの物語は「紛れもない挑戦」『カニーニとカニーノ』のカニの演技、『サムライエッグ』の現実の家族、『透明人間』の言葉にならない芝居。今回の3つの物語で要求される演技は、どれを1つ取っても簡単ではありません。短い映画だからこそ、台詞ひとつが作品を大きく決定づけることも起こります。出演者の方々にとって、3人の監督たちにとって、本作は紛れもない挑戦となるでしょう。実力ある映画界、音楽界の方々と、アニメーションの才能が一同に介して、この夏、まったく新しいアニメーション体験を皆さまにお届けできたら嬉しいです。『ちいさな英雄ーカニとタマゴと透明人間ー』は8月24日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月18日プチバトー(PETIT BATEAU)から、スタジオジブリとコラボレーションしたカプセルコレクションが登場。ベビー、キッズ、大人用のユニセックスアイテムが、2018年10月26日(金)に、全国のプチバトーおよびオンラインブティックにて発売される。『となりのトトロ』などに着想を得た"色"コレクションのポイントとなるのは「色」。プチバトーを代表するコットンニットなどのアイテムに、プチバトーがセレクトしたスタジオジブリ4作品『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『崖の上のポニョ』の代表的な場面を着想源としたカラーパレットを採用している。『となりのトトロ』のトトロが住む森を彷彿とさせるグリーン、『千と千尋の神隠し』のワンシーンから切り取ったピンクとグリーン、『崖の上のポニョ』の明るく元気なポニョをイメージしたピンクなど、プチバトーの自社工場で新たに開発されたオリジナルカラーが、プルオーバーや、ワンピース、ケープ、ショーツなどを彩っている。「トトロ」や「ポニョ」のワッペンもプリントや刺繍に姿を変えた、スタジオジブリ作品のキャラクターにも注目だ。プチバトーのアイコニックなボーダー柄トップス「マリニエールプルオーバー」のキッズと大人用にはワッペンがセットに。「ポニョ」「トトロ」「マックロクロスケ」などを自由にカスタマイズして、オリジナルのプルオーバーを楽しむことができる。【詳細】スタジオジブリ×プチバトー発売日:2018年10月26日(金)販売店舗:全国のプチバトー直営店(アウトレット店を除く)、オンラインブティックアイテム例:・ベビー:マリニエール長袖ボディ 全3色 12ヶ月~24ヶ月 6,000円+税~・キッズ:マリニエール長袖プルオーバー(全4色) 3~12歳 7,000円+税~・大人:マリニエール長袖プルオーバー(全3色) XS~XL/ユニセックス 15,000円+税【問い合わせ先】プチバトー・カスタマーセンターTEL:0120-190-770※営業時間9:00~18:00(土日・祝祭日も受付)
2018年06月17日スタジオジブリ映画『耳をすませば』の背景美術で知られる画家・井上直久の個展「ふしぎな国 イバラード 井上直久の世界展」が、阪急うめだ本店9階の阪急うめだギャラリーにて、5月30日から6月4日まで開催される。制作参加作品『耳をすませば』(スタジオジブリ) ©1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH1995年、映画『耳をすませば』の背景美術制作を皮切りに、2006年に宮崎駿が監督を務め、三鷹の森ジブリ美術館でしか上映されていない短編映画『星をかった日』への原作提供など、様々な形でスタジオジブリとのコラボレーションや協力を行ってきた井上直久。井上が制作していた「イバラード」が、『耳をすませば』の主人公、月島雫が生み出す空想物語の世界の元にもなっている。『イバラード 人形師の店 2018May』15変形「イバラード」とは、架空の幻想世界ではなく、今も目の前に広がる現実世界。日常の傍らにある当たり前の景色を「イバラード」と呼ぶことで、周りのすべてのものがキラキラと光りだし、この世は驚きと喜びに満ちていることに気付かされる。空の色や風の音、いつもの帰り道、何気ない日常に隠れている素敵なものがあふれ出し、そこに奇跡を見ることが出来る。すべての人にある、あたたかく懐かしい景色を井上の作品は感じさせてくれる。本展では、心の景色「イバラード」を描き続け、古希を迎えた井上の画業50年の歩みを辿る。会場では、秘蔵の初期作をはじめ、立体・陶彫、スケッチや映画『耳をすませば』などの関連作品、未発表作品から最新の大作に至るまで一堂に展示する。『古き良き友』60P また、井上の発想を育んだ茨木市も記念すべき市制施行70周年となり、福岡洋一茨木市長が記念事業として応援に来場。会期初日となる5月30日の10時からは、スペシャルイベント「福岡洋一茨木市長×井上直久 トークショー」が開催され、「イバラード」の世界観や茨木市の魅力について語る。なお、参加無料、予約不要。【展覧会情報】ふしぎな国 イバラード 井上直久の世界展会期:5月30日~6月4日会場:阪急うめだ本店9階 阪急うめだギャラリー住所:大阪府大阪市北区角田町8-7時間:10:00〜20:00(最終日は18時閉場)料金:無料
2018年05月28日画家・井上直久の個展「ふしぎな国 イバラード 井上直久の世界展」が、2018年5月30日(水)から6月4日(月)まで、大阪・阪急うめだ本店9階の阪急うめだギャラリーにて開催される。1995年公開のスタジオジブリ映画『耳をすませば』の背景美術制作を担当したことで知られる画家・井上直久。井上が絵画や漫画作品の舞台として描く架空の世界であり、代表的な作品シリーズでもある「イバラード」は、『耳をすませば』の主人公・月島雫が生み出す空想物語の世界の元にもなっている。本展では、秘蔵の初期作から、立体・陶彫、スケッチ、映画『耳をすませば』などの関連作品、未発表作品、そして最新の大作に至るまでを一堂に展示。井上の心の景色でもある「イバラード」を描き続けた、アーティスト活動50年の歩みを紹介する。【開催概要】「ふしぎな国 イバラード 井上直久の世界展」開催期間:2018年5月30日(水)〜6月4日(月)会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだギャラリー時間:日~木曜日 10:00〜20:00、金・土曜日 10:00〜21:00※最終日は18:00閉場
2018年05月28日鶴岡八幡宮をはじめ、歴史的建造物が多い神奈川県・鎌倉。お寺や神社など観光スポットのイメージが強いですが、実はメルヘン気分になれるお店がたくさんある街でもあるんです!今回は、鎌倉をお散歩しながら見つけた、かわいいお店をご紹介。お散歩が気持ちいいこの季節、鎌倉まで少し遠出をしてみましょう♪江ノ島電鉄・鎌倉駅からお散歩スタート♪鎌倉お散歩マップ今回は江ノ島電鉄・鎌倉駅からお散歩スタート!美しい景色を眺めながら、ガタゴト、ガタゴトとレトロな電車に揺られていたからか、なんだかすでにノスタルジックな気分です。まずは鎌倉の名所、鶴岡八幡宮へ鎌倉の名所といえば、なんと言っても鶴岡八幡宮。鎌倉駅から若宮大路を通って三の鳥居にたどり着きました。鶴岡八幡宮は、源氏にゆかりのある神社で、パワースポットとしても人気があります。大きな石の階段を登り、あたりを見渡すと鎌倉の街並みを一望できます♪こうして広々とした境内をまわっていると、あっという間に1時間ほど経っていました。横須賀線沿いにすてきな雑貨屋を発見!続いては、スイーツショップやお土産店が立ちならぶ、小町通りの方から駅に向かいます。JR横須賀線の方へ行き、線路を超えてみると、なにやらかわいらしい看板を発見!看板に誘われるがままにお店のある2階へ上がります。どうやらここは〔moln〕という雑貨店のようです。店内に足を踏み入れると、ダイニングをかわいく彩ってくれそうな食器類や小物類を発見。早くもワクワクがとまりません♪ハンドメイドのピアスも発見。ていねいに作られた小ぶりな装飾は、眺めているだけで楽しい気分になります。店内では招き猫もオーダーで作れるのだそう。味のある形と色、そして猫の表情がたまりません!レジ付近には、雲に乗った少女や動物たちの姿が幻想的な絵が飾ってありました。店長のさんに話を伺うと〔moln(モルン)〕はスウェーデン語で雲と言う意味なのだとか。それで雲がモチーフになっていたんですね!〔moln〕は主にクラフト雑貨を扱うお店で、日用品や洋服、アクセサリーなど暮らしをほんのり豊かにしてくれそうな商品が並びます。時期によって取り扱う商品も異なります。クラフト作品の展示だけでなく、ライブやマッサージなど、ユニークなイベントも盛りだくさん。こんな楽しい場所が鎌倉にあったなんて......!!と宝物を見つけたような嬉しい気分になりました♪小腹が減ったらコクリコのクレープをサクッと食べよう〔コクリコ〕御成通り店※小町通り店は4月より新装開店〔moln〕を出て、鎌倉駅周辺をブラブラと歩きます。御成通りへ行くと、そこで〔コクリコ〕というクレープ屋さんを発見!このクレープ屋さんは鎌倉でも定番のスイーツだそうで「鎌倉に行くたびに〔コクリコ〕のクレープを買い食いしちゃう」という長年のファンもいるほど。生クリームの入っていないシンプルなクレープが大好物な私は、迷わずお店へ向かいました。〔コクリコ〕のチョコレートのクレープ300円注文したのは、シンプルにチョコレートのクレープ。レモンシュガー味も人気のようです。具材がたくさん入っているわけではないので、お値段も300円とリーズナブル。食べると、サクサクのクレープの皮に溶けたチョコレートが染み込んでいて、ほっこり幸せになる食感と甘さです。「コクリコ」と聞くと、《コクリコ坂から》というスタジオジブリのアニメーションを思い出しますが、そもそもコクリコとはどういう意味なのでしょうか?調べてみると、コクリコはフランス語でひなげしの花を意味するそう。かわいらしい店名とおいしいクレープは、一度覚えたら忘れられません。奥深い鎌倉散歩で、あたらしい一面を見つけようクレープを食べ歩くときは、トンビに気をつけましょういつもは観光目的で行く鎌倉も、こうして街をぶらっと散歩してみると、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのような、かわいくてウキウキする魅力的なお店があることがわかりました♪暖かい季節こそ、古都・鎌倉の新しい一面を探しに、お散歩してみましょう!【moln店舗概要】●住所鎌倉市御成町13-322F●電話0467-38-6336●営業時間11:00-18:00●定休日月・火molnウェブサイトはこちら●ライター・写真・イラスト宇治田エリ
2018年05月20日今年4月5日に亡くなった高畑勲監督(享年82歳)を偲ぶ「高畑勲 お別れの会」が5月15日(火)、東京・三鷹の森ジブリ美術館で行われた。このお別れの会は、宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーの「ジブリとして盛大なお別れの会で見送りたい」という言葉に従い、高畑監督も生前大好きだった三鷹の森ジブリ美術館で開催。宮崎監督が実行委員長を務め、スタジオジブリと公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団の協力で執り行われた。「開会の辞」を担った宮崎監督は、追悼コメントとして、高畑監督の出会いや思い出を回想。時折、涙ぐみ、言葉につまる場面もあった。宮崎駿監督追悼のコメント(全文)パクさんというあだ名のいわれは定かではないんですが、だいたいがとにかく朝が苦手な男でして、東映動画に勤め始めたときも、ギリギリに駆け込むのが常でして、買ってきたパンを、タイムカードを押してから“パクパク”と食べて、水道の蛇口からそのまま水を飲んでいたという。それでパクさんになったという噂です。追悼文という形ではありませんが、今日は書いてきたものは読ませていただきます。パクさんは95歳まで生きると思い込んでいた。そのパクさんが亡くなってしまった。自分にもあんまり時間がないんだなと思った。9年前、私たちの主治医から電話が入った。「友だちなら、高畑監督のタバコをやめさせない」。真剣な怖い声だった。主治医の迫力に恐れをなして、僕と鈴木さん(鈴木敏夫プロデューサー)は、パクさんとテーブルを挟んで向かい合った。姿勢を正して話すなんて、初めてのことだった。「パクさん、タバコをやめてください」と僕。「仕事を続けるために、やめてください」。これは鈴木さんの言葉です。弁解や反論が怒涛のように噴き出てくると思ったのに、「ありがとうございます、やめます」とパクさんはきっぱり言い、頭を下げた。そして、パクさんは本当にタバコをやめてしまった。僕はわざとパクさんのそばで、タバコを吸った。「いい匂いだと思うよ。でも、全然吸いたいと思わない」とパクさん。彼のほうが、役者が上であった。やっぱり95歳まで生きる人だなと思いました。1963年、パクさんが27歳。僕が22歳のとき、僕らは初めて出会いました。初めて言葉を交わした日のことは、いまでもよく覚えています。黄昏時のバス停で、僕は練馬行きのバスを待っていた。雨上がりの水たまりの残る通りを、ひとりの青年が近づいてきた。穏やかで賢そうな表情がそこにはあった。それが高畑勲ことパクさんと出会った瞬間だった。55年前のことなのに、ハッキリ覚えているのだろう。あのときのパクさんの顔を、いまもありありと思い出す。次にパクさんに出会ったのは、東映動画の労働組合の役員に押し出されてしまったときだった。パクさんは副委員長。僕は緊張で吐き気に苦しむような日々が始まった。それでも組合事務所のプレハブに泊まり込んで、僕はパクさんと夢中で語り明かした。ありとあらゆること。僕らは仕事に満足していなかった。もっと遠く、もっと深く、誇りを持てる仕事がしたかった。何を作ればいいのか…。パクさんの教養は圧倒的だった。僕は得難い人に出会えたのだとうれしかった。(高畑監督が演出を手がけた『太陽の王子 ホルスの大冒険』の)製作は難航した。スタッフは新しい方向性に不器用だった。仕事は遅れに遅れ、会社全体を巻き込む事件になっていった。パクさんの粘りは超人的だった。会社の偉い人に脅され、泣きつかれても、踏ん張っていた。僕は夏のエアコンが止まった休日で、ひとりで大きな紙を相手に背景原画を書いたりした。会社と組合の協定で、休日出勤は許されていなくても、構っていられなかった。タイムカードを押さなければいい。初号(試写)を見終えたとき、僕は動けなかった。感動ではなく、驚愕に叩きのめされていた。会社の圧力で、“迷いの森”のシーンは削る削らないの騒ぎになっているのは知っていた。パクさんは粘り強く会社側と交渉し、ついにカットごとの作画枚数まで約束し、必要製作日数まで約束せざるを得なくなっていた。当然のごとく、約束ははみ出し、そのたびにパクさんは始末書を書いた。一体、パクさんは何枚の始末書を書いたのだろう。僕も手いっぱいの仕事を抱えて、パクさんの苦闘に寄り添う暇はなかった。僕は初号で初めて、“迷いの森”のヒルダのシーンを見た。何という圧倒的な表現だったろう。何という強い絵。何という優しさだったろう。パクさんはこれを表現したかったんだと初めてわかった。パクさんは仕事を成し遂げていた。公開から30年が経った西暦2000年に、パクさんの発案で、映画の関係者の集まりが行われた。当時の会社の責任者、重役たち、会社と現場の板挟みに苦しんだ中間管理職の人々、制作進行、作画スタッフ、背景や彩色の女性たち、撮影、録音、編集の各スタッフがたくさん集まってくれた。興行は振るわなかったが、もう誰も気にしてはいなかった。パクさん、僕らはあのとき、精いっぱい生きたんだ。パクさんの生き方は、僕らのものだったんだ。ありがとう、パクさん。55年前に、あの雨上がりのバス停で声をかけてくれたパクさんのことを、忘れない。どうも、すみません。▽高畑勲監督プロフィールアニメーション映画監督。1935年10月29日、三重県伊勢市に生まれ、岡山で育つ。1959年に東京大学仏文科卒業後、東映動画に入社し、劇場用映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)で初監督。退社後、「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」といったTVアニメの演出・監督を務めた。1985年、スタジオジブリの設立に参加し、『火垂るの墓』(1988)、『おもひでぽろぽろ』(1991)、『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)、『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)を発表。2013年には、製作に8年を費やした待望の新作『かぐや姫の物語』が公開され、米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞にノミネートされた。1998年、紫綬褒章を受章。2018年4月5日(木)午前1時19分、帝京大学医学部附属病院にて、逝去。死因は肺がんだった。(text:cinemacafe.net)
2018年05月15日4月5日に82歳で逝去した高畑勲監督の集大成にして遺作となった『かぐや姫の物語』が、5月18日(金)の「金曜ロードSHOW!」でオンエアされることになった。1935年、三重県伊勢市に生まれた高畑監督は東京大学仏文科卒業後、東映動画(現在の東映アニメーション)に入社「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」「じゃりン子チエ」などの演出、監督を担当。物語の世界のなかに生きる人々の営みを的確に捉えた繊細な日常描写でキャラクターの内面を浮かび上がらせる演出技法は、後の日本のアニメーションの表現、技術に大きな影響を与えた。東映動画の後輩でもある宮崎駿らとスタジオジブリを設立すると、『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョとなりの山田くん』といった作品を監督、プロデューサーとしても『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』などいまだに愛される名作を世に送り出した。そんな高畑監督の遺作となった『かぐや姫の物語』は、誰もが知っている日本最古の物語「竹取物語」を全く新しい解釈で映画化。水彩画がそのまま動き出したような美しさとダイナミックさを併せ持ったその映像は日本のみならず。第87回アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートされるなど、海外の多数の映画賞を席巻したのは記憶に新しい。「かぐや姫」という一人の女性が誕生し、少女時代を経て美しい姫に成長していく物語を日本の原風景ともいえる美しい景色とともに描くことで、命の輝きと“生きる喜び”というテーマを表現。感動のラストへとつながっていくこの超大作を今回完全ノーカットで放送。かぐや姫役の朝倉あきをはじめ高良健吾、宮本信子、田畑智子、宇崎竜童、上川隆也、朝丘雪路ら豪華声優陣による声の共演も注目だ。今回の放送にあたり本作のプロデューサー・西村義明(スタジオポノック)は「かぐや姫はなぜ、数ある星の中から地球を選んだのか。この地で何を思い、どう生きたのか。かぐや姫は、なぜ地球を去らねばならなかったのか…高畑勲監督の3つの問いから、映画『かぐや姫の物語』の企画が始まりました。8年間という長期の制作期間を経て完成した映画ですが、ジブリ第7スタジオのスタッフ達とともに、とても楽しそうに映画を作っていた高畑監督を思い出します。残念なことに高畑監督は亡くなってしまいましたが、最後の長編映画『かぐや姫の物語』を、この機会にぜひ日本中の皆さんに楽しんでいただければと思います」とコメントを発表。高畑監督と日本アニメ界最高のスタッフたちによる渾身の名作『かぐや姫の物語』は5月18日(金)21時~日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」枠で完全ノーカット放送。また5月15日(火)には監督を偲ぶ「お別れの会」が東京・三鷹の森ジブリ美術館にて執り行われる。(笠緒)■関連作品:かぐや姫の物語 2013年11月23日より全国にて公開© 2013 畑事務所・GNDHDDTK
2018年05月04日スタジオジブリ作品の世界観を再現したテーマパーク「ジブリパーク」が、愛知県の愛・地球博記念公園に誕生。2022年秋から2023年にかけて開業をすすめる。世界で愛されるスタジオジブリ作品の世界を再現「ジプリパーク」では、国内外で多くの人に親しまれてきたスタジオジブリ作品の世界観を表現。愛・地球博記念公園の未利用地や既存施設を再整備し、「青春の丘エリア」「ジブリの大倉庫エリア」「もののけの里エリア」「魔女の谷エリア」「どんどこ森エリア」の5つのエリアを設ける。なお、「青春の丘エリア」「ジブリの大倉庫エリア」「どんどこ森エリア」が2022年秋に開業し、その後おおむね1年の時を経て「もののけの里エリア」と「魔女の谷エリア」が2023年に開業予定だ。「青春の丘エリア」ジブリパーク北入口側に位置する「青春の丘エリア」は、来場者を迎え、“ジブリの世界”へと導いてくれる場所だ。その入口付近には、既存のエレベーター棟を映画『天空の城ラピュタ』や映画『ハウルの動く城』などのジブリ作品に代表される、19世紀末の空想科学的要素を採用した内外装へ改装し、メインゲートとしての象徴性を持たせる。『耳をすませば』の「地球屋」や映画で見た風景を再現平成初めの住宅地を感じさせるような風景が「青春の丘エリア」の最大の特徴。映画『耳をすませば』に登場する、アンティーク家具や時計の修理・販売を行う店「地球屋」を整備するほか、劇中に登場する電話ボックスや掲示板、電話機などを設置して作品世界を思う存分に味わえる空間を創出する。また、映画『猫の恩返し』に登場する「猫の事務所」は、家具や小物をミニチュアサイズで制作・再現される。「ジブリの大倉庫エリア」2018年9月末をもって営業を終了した温水プールの空間は、通年天候に左右されずに楽しめる施設「ジブリの大倉庫エリア」としてリニューアル。「倉庫」らしさとなつかしさを感じさせる和洋折衷の空間をイメージしており、ジブリ作品の保管・保存を行う展示室、遊び場、売店・喫茶、多くの展示物を収蔵する倉庫などで構成される。展示室は、常設展示室と企画展示室、約170席を設ける映像展示室の3つによって、ジブリ作品の世界を堪能できるよう構成されるという。『天空の城ラピュタ』の天空の庭&空飛ぶ巨大な船中でも注目したいのが、映画『天空の城ラピュタ』に登場する廃墟となったラピュタの庭園の再現。さらに、空飛ぶ巨大な船を全長6.3メートルのビッグスケールで設置する。『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』の世界子供たちが映画『となりのトトロ』の世界で遊べる部屋にも注目だ。“ねこバス”なども導入予定だという。さらに映画『千と千尋の神隠し』に登場する不思議の街をイメージした空間も誕生する。『借りぐらしのアリエッティ』床下の家と小人の庭の再現もうひとつ、このエリアの見どころとなるのが映画『借りぐらしのアリエッティ』の世界。アリエッティやその家族が暮らす家と、彼女たちの目線で見た植物の茂る庭が巨大なセットで再現されたこの場所では、アリエッティのように小人なったかのような気分を味わうことができる。「もののけの里エリア」「もののけの里エリア」には、映画『もののけ姫』に登場するエミシの村とタタラ場をモチーフにした、和風の里山的風景を整備する。園内には、体験学習施設となる「タタラ場」や「炭焼き小屋」、休憩処などを設ける。また、緑あふれる広場には、タタリ神や乙事主をモチーフにしたオブジェの設置も計画している。あいちサトラボと一体化された同エリアは、体験スポットとしても機能する。「魔女の谷エリア」大芝生広場近くにある未利用地は、魔法を題材とした映画『ハウルの動く城』『魔女の宅急便』の2作品にちなんで、「魔女の谷エリア」として生まれ変わる。北ヨーロッパをイメージしながら創出された空間には、物語に登場する「ハウルの城」や「オキノ邸」、遊戯施設、休憩・レストラン棟などが整備され、あらゆる用途に応える複合的空間となる。「どんどこ森エリア」ジブリパークの中でも緑に囲まれる自然たっぷりの「どんどこ森エリア」では、受付所などを「サツキとメイの家」をイメージしたデザインとし、裏山の森に散策路を再整備。ちなみに“どんどこ”とは、サツキ、メイ、トトロが、蒔いた種の発芽を願って踊ったダンス“どんどこ踊り”に由来する。昭和の田園風景をイメージしながら、映画の世界観がより身近に感じられる場所を目指す。エントランスや駐車場も整備愛・地球博記念公園の北エントランスは、ジブリパークと調和した景観や、公園の表玄関にふさわしい案内所、休憩所、飲食・物販店などの機能をもつ総合案内センターを整備する。また、公園の北駐車場も再整備が行われる。さらに公園西口の案内所および休憩所を立て替えて、「ジブリの大倉庫エリア」付近には「ジブリパーク」の各エリアをつなぐ園路を改修する。愛・地球博記念公園を撮影した写真をポスターにジブリパークのポスターは、愛・地球博記念公園で撮影された写真を使用しているという。また、ロゴについて、“ジブリ”の部分は宮崎駿が描いたもの、“パーク”の部分は鈴木がそれを真似して書き足したものを採用した。なお、ジブリパーク誕生に向け、鈴木は「テーマパークの要素も若干いれながら、公園を楽しんでいる方の邪魔はしない公園に」と構想を述べ、最後に「愛知県の皆さん、国内外の多くの皆さんに喜んでいるものになるよう、がんばります」と話している。「サツキとメイの家」の営業再開「ジブリパーク」の整備工事スタートにつき、モリコロパーク内の「サツキとメイの家」は2020年7月13日(月)より当面の間休業となっていたが営業を再開。なお、2021年11月以降は、「サツキとメイの家」の工事が再度始まることから、営業期間は2021年10月末までを予定している。施設概要「ジブリパーク」オープン時期:・青春の丘エリア・ジブリの大倉庫エリア・どんどこ森エリア:2022年秋・もののけの里エリア・魔女の谷エリア:2023年秋場所:愛・地球博記念公園住所:愛知県長久手市茨ケ廻間 乙 1533-1
2018年04月28日最後にご紹介する作品は、2013年7月に公開の宮崎駿監督作『風立ちぬ』です。宮崎駿監督は本作公開後の2013年9月に引退を発表。その後、2017年5月に引退発言を撤回しましたが、本作が宮崎駿監督の集大成的な作品であるのは間違いないでしょう。 『風立ちぬ』(宮崎駿監督/2013年公開)© 2013 Studio Ghibli・NDHDMTK “美しい飛行機を作ること”を夢見て、設計士になった主人公本作は、1920~30年代を舞台に、飛行機の設計家として活躍した主人公・二郎の半生を描いています。主人公のモデルは、零式艦上戦闘機を作った実在の人物・堀越二郎。宮崎駿監督は、そこに同時代の文学者・堀辰雄の小説「風立ちぬ」のエッセンスを交えて、大胆に脚色。幼い頃から、“美しい飛行機を作ること”を夢見て、飛行機の設計家となった二郎。しかし、彼が飛行機設計にかかわった時代は、日本が戦争へと突入し、破滅へと向かう道のりとともにありました。劇中、夢を実現しようと邁進する二郎の姿は、現代の私たちの胸にも熱く響きます。小学生の二郎は、辞書を片手に英語の航空雑誌を読み、イタリアの航空技師・カプローニ伯爵に憧れていました。そして、夢の中で尊敬するカプローニ伯爵と出会う二郎。現実と大胆に交差する、この夢の世界の描写は、本作の見どころのひとつ。異国情緒漂う風景の中をたくさんの人を乗せて飛行機が飛んでいく様子は、主人公の壮大な夢を具現化したとても素敵なシーンです。 ★印象的な名セリフ「近眼でも飛行機の設計はできますか?」空に憧れる主人公・二郎は、視力が悪いせいで、飛行機の操縦はできないと諦めます。そんな彼が、憧れの人物・カプローニ伯爵に向かって発したのがこのセリフ。カプローニ伯爵は「飛行機は美しい夢だ」と二郎に向かって語り、設計家の仕事をは夢に形を与えることだと説明します。操縦士という夢は叶わないながらも、飛行機の設計という新しい夢を見つけた二郎。幼いながらも固い決意で一歩を踏み出す、物語上のきっかけとなるセリフです。その後、戦争に向かう時代の中で、二郎は戦闘機を設計することになります。それが彼にとって幸せだったのかはさておき、子どもの頃からの夢を死ぬまで追いかけ続けた姿に、胸を熱くせずにはいられません。 ★印象的な名セリフ「あなた 生きて」本作では、主人公・二郎と、結核を患った妻・菜穂子の恋模様、短いながらも幸せだった結婚生活も描かれています。映画の終盤で、二郎の夢の中に、先に亡くなった菜穂子が姿を現します。夫をずっと待ち続けていた彼女が発した言葉は、二郎に生きてほしいと願う「あなた 生きて」というものでした。このセリフ、続いて紹介するドキュメンタリー『夢と狂気の王国』を見ると分かるのですが、当初は違うセリフが想定されていたとか。主人公に、生きて使命をまっとうするという希望を託したセリフは、本作に通底するメッセージともとれるような印象的なものです。 物語の中を吹き抜ける“風”これまでのジブリ映画がそうであるように、本作で描かれる風景の数々が美しいのは言うまでもありません。なかでも特筆すべきなのは、『風立ちぬ』というタイトルからも分かる通り、劇中の“風”の表現。二郎と妻・菜穂子との出会いのシーン。カプローニ伯爵と夢の中で飛行機に乗るシーン…多くの大事なシーンで風が吹いているのが印象的です。風は、あるときは登場人物たちの帽子を空高くまで飛ばし、あるときは、新緑の草原を勢いよく波立たせます。そんな風の描き方は本当に美しく、主人公・二郎の生きる決意を表現しているかのよう。そして、観ている私たちの心にも強い風が通り抜けるような、爽やかな感動を与えてくれます。 あわせて観たい、ドキュメンタリー『夢と狂気の王国』©2013 dwango 先述の通り、『風立ちぬ』は、宮崎駿監督が一旦は引退を決意することになった、ひとつの区切りといえる作品です。観客側も、本作にこれまでの宮崎駿作品の痕跡やテーマを感じとらずにはいられません。そういった背景を踏まえながら、もっと深く作品世界を楽しみたいという人にオススメなのが、『夢と狂気の王国』という作品。これは、映画『風立ちぬ』の制作過程をとらえたスタジオジブリのドキュメンタリーです。宮崎駿監督の創作現場はもちろん、ジブリを支える鈴木敏夫プロデューサーの仕事にもスポットが当てられています。そして、宮崎駿の先輩であり、数々の作品で一緒に仕事をしながら切磋琢磨してきた高畑勲監督のエピソードも。高畑勲、宮崎駿両監督のアニメーション映画制作を原点にスタートした、スタジオジブリの軌跡を知る貴重な映像作品となっています。また、先に『風立ちぬ』を観た人は、主人公・二郎役の声優さがしに難航し、決定にいたるまでの経緯など、映画完成までの舞台裏を知ってさらに楽しめること間違いナシです! さて、ここまで3回に分けて、大人にオススメしたいジブリ映画をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。私たちの思い出とともにあるジブリ映画ですが、大人になってからはあまり観ていない、というペルル読者もいるのでは? 今回は、大人にもオススメ、むしろ大人になって観てこそ、より深く楽しめる作品を取り上げてみましたが、『となりのトトロ』も、『魔女の宅急便』ももちろんオススメ!これをきっかけに、久々にまたジブリ映画を観てみようかなーと思っていただけると幸いです! ----------------------------------------------------------------------- 【DVD発売情報】『風立ちぬ』(宮崎駿監督/2013年製作)【発売元】 ウォルト・ディズニー・ジャパン【価格】4700円(税別)© 2013 Studio Ghibli・NDHDMTK 『夢と狂気の王国』(砂田麻美監督/2013年製作)【発売元】 ウォルト・ディズニー・ジャパン【価格】4700円(税別)©2013 dwango-----------------------------------------------------------------------
2018年04月23日続いてご紹介するのは、スタジオジブリ制作、米林宏昌監督による『思い出のマーニー』です。2014年公開の作品ですから、多くのペルル読者にとっては、大人になってから劇場公開されたジブリ映画だと思います。 舞台は北海道の田舎にある海辺の町。主人公・佐々木杏奈は、少し内気な12歳の女の子。ぜんそくの持病を持つ彼女はおとなしい性格で、学校ではクラスメイトたちから孤立しています。養母の頼子は、感情を表に出さない杏奈のことを、「あの子…いつもふつうの顔なんです」と心配し、その原因が血のつながらない親子関係にあるのではないかと悩んでいました。夏休みの間、この海辺の町にある親戚の家に、療養をかねて滞在することになった杏奈。そこで彼女は、不思議な少女・マーニーと出会うのですが…。 『思い出のマーニー』(米林宏昌監督/2014年公開)© 2014 Studio Ghibli・NDHDMTK ★印象的な名セリフ「私は私がキライ」「あんたはあんたのとおりに見えてるんだから」本作の特徴のひとつは、主人公の女の子・杏奈が、おとなしくて少し影のあるキャラクターだということ。どちらかというと、明るくて活発なヒロインが多い印象のジブリ映画のなかでは、異色です。学校では同年代の女子に上手くなじめず、家庭では養母との関係に悩む彼女。冒頭で「私は私がキライ」と語る杏奈のモノローグは、触れるものすべてを傷つけてしまいそうな、思春期の繊細な心情を表しています。そして、もうひとつのセリフ「あんたはあんたのとおりに見えてるんだから」は、杏奈が言い合いになった女子から投げ掛けられるキツイひと言。思春期の自意識過剰さから、自分を肯定できない少女の葛藤が、痛いほど伝わってくるセリフです。 夢と現実が入り混じるファンタジックなストーリー展開北海道の田舎にやって来た初日、杏奈は部屋のバルコニーから美しい湿地を見渡し、この風景をひと目で気に入ります。絵を描くのが大好きな彼女は、湿地でスケッチを楽しみます。ふと見渡す先に、古い西洋風の屋敷を見つけた杏奈。何度かスケッチに出かけるうちに、この屋敷に暮らすひとりの少女と出会います。かつて外国人の別荘だったという屋敷に、今は誰も住んではいないはずなのですが、杏奈は「マーニー」と名乗るその少女と交流を深めていきます。夢と現実の境界があいまいな展開ゆえに、杏奈とマーニーの交流シーンは、現実離れしたファンタジックな美しさに満ちています。それは、大人になる前の少女が、心の奥に深く下りて行き自分と向き合う、そんな心象風景を表現しているかのよう。夢に出てきたのとそっくりな少女=マーニーの正体とは?という問いは、杏奈の生い立ちとともに、映画の最後で明かされるため、ここで詳細に触れるのは避けておきます。しかし、結末を知った後でも、本作は観客さまざまな解釈の余地を残しているように思えます。あの夜、出会ったマーニーの姿は、こうなりたいと憧れる自分の理想像の投影でもあるのかもしれないと…。 種田陽平による映画美術が物語を彩るまた、細かいところまで描き込まれた映画美術も、見逃せない要素のひとつ。本作の映画美術を務めたのは、日本のみならず世界で活躍する美術監督・種田陽平氏。杏奈が暮らすことになった家の、手作り感あふれる内装や外観。マーニーが暮らす石造りの西洋風屋敷の造形、壁に飾られた雑貨ひとつをとっても、物語を理解する手助けとなってくれます。そして、マーニーと杏奈が出会う、夜の湿地の風景。月明りに照らされた海でふたりがボートをこぐシーンは、静謐で本当にきれいです。作品全体のテーマと世界観を凝縮したこのシーンは、まさに作品の肝。普段人には見せない心の傷や、自己の内面と向き合う作業は、時に孤独を伴う。それでも最後には明るい表情で未来を見つめる杏奈の姿は、あなたにどう映るでしょうか。 【DVD発売情報】 『思い出のマーニー』(米林宏昌監督/2014年製作)【発売元】 ウォルト・ディズニー・ジャパン【価格】4700円(税別)© 2014 Studio Ghibli・NDHDMTK
2018年04月22日