「どーでもいいーですよー」の枕詞とともに淡々と毒をはく芸風で、一世を風靡したピン芸人のだいたひかるさん。乳がんの経験を経て2021年5月に45歳で妊娠を発表し、現在は片づけを通して自身の人生を見つめるエッセイ『生きるために、捨ててみた。』の出版が話題を呼んでいます。2回目の今回は、乳がんの治療や病気をきっかけにはじめた片づけについてお話をうかがいました。★前回:38歳で不妊治療を開始。だいたひかるさんインタビュー「前向きに取り組めたのは夫のおかげです」#12016年に乳がんが見つかった――ご著書の中では2016年1月に乳がんが見つかったことにも触れています。だいたさん以前から自治体の乳がん検診と子宮頸がん検診を受けていたんです。うちはがん家系ではないのですが、ラジオ体操のハンコをもらうような感覚で毎年、検診に行っていました。でも、不妊治療を優先していたこともあり、2015年は乳がん検診を受けていなかったんですね。不正出血で不妊治療の予約をキャンセルし、「予定が空いたから乳がん検診に行ってこよう」と軽い気持ちで検診を受けたら乳がんが見つかったんです。――その場で乳がんがわかったのでしょうか?だいたさんそうです。触診で胸を開いた途端、先生が早押しクイズに答えるみたいに右胸をサッと触って「右、しこり」と言ったんです。自分で触ってみても、たしかにしこりが確認できました。――そのときの心境はどのようなものだったのでしょうか?だいたさんサッと触っただけで乳がんの可能性が高いと言われるなんて、「ヤブ医者なんじゃないかな」って思いましたね。「先生が間違ってるんじゃないのかな?」って自分の都合のいいほうへと考えようとしていました。――その後の精密検査で乳がんが確定したということでしょうか?だいたさんエコー検査で右乳房のしこりの大きさは27mmとわかり、組織検査の結果ステージⅡAと診断されました。先生が手術や治療法について説明をしてくださったのですが、まるでお経を聞いているような感覚でした。「おすすめの治療法は何ですか?」と訊ねたところ「全摘です」とのことだったので、夫とも話し合って2016年2月に右乳房の全摘出手術を受けることになりました。手術と抗がん剤治療を受けたものの2019年に乳がんが再発――乳がんの告知から手術まで怒涛の1カ月だったのではないかと思います。だいたさんがんイコール死というイメージがあったので、人生お先真っ暗だなと思いました。どうしていいかわからないし、何が起きているのかもよくわからないし、冬の暗い海にひとり放り投げられたような気持ちでしたね。――暗い海の中で光は見えたのでしょうか?だいたさん夫から、がんに関する本やネットの情報は見ないようにと言われたんですね。代わりに鳥越俊太郎さんや登山家の田部井淳子さんなど、がんを克服して元気に過ごしていらっしゃる方の本を買ってきてくれました。そうした本を読むうちに「私もこちら側の人間になれるように頑張ろう」と思えるようになりました。――手術の際にリンパ節への転移が見つかり大出術になったと著書に書かれています。だいたさん脇の下のリンパ節を切除し、周囲の組織もあわせて45mmの塊を摘出する大きな手術になりました。転移が見つかったので、2016年4月から半年ほど抗がん剤治療を受けることになりました。――抗がん剤治療にはつらい副作用が生じるイメージがあります。だいたさん脱毛でハゲ散らかしましたし、痛みやだるさもありました。ただ、体って慣れてくるものなんですよね。私の場合、抗がん剤を投与して2~3日はつらくても、4日目くらいからはスーパーに買い物に出かけたりしていました。あと、乳がん患者は太るのはよくないと言われているので、体調のいい日はサウナスーツを着て走ってレンタルDVDを借りに行ったりしていました(笑)。――2019年3月には乳がんが再発したことがニュースになりました。だいたさん術後に定期的に受けている検査で、右乳房に4mmの腫瘍が見つかったんです。私は右乳房を全摘しているのですが、稀に再発が見られることもあるらしいんです。手術で腫瘍を摘出して、その後は放射線治療を受けました。乳がんを患ってから片づけを始めた――乳がんをきっかけに片づけに目覚めたそうですが、そこにはどんな思いがあったのでしょうか?だいたさん病気になったことで夫にはいろいろと迷惑をかけています。それに加えて、自分の過去のモノたちの尻ぬぐいをさせるのは申し訳ないと思ったんですよね。それまでは人生がいつまでも続くような気がしていたのですが、乳がんになってからは自分の時間に限りがあることがわかったんです。だから、自分が動けるうちに片づけられるものは片づけよう、人の悪口が多めの日記とかは自分で捨てておかなくちゃって(笑)。――ご自身が少しずつ変わられていったということですよね。だいたさん過去は変えることはできないですけど、自分は変えられますから。モノを通して自分の過去と決別して気持ちを新たにするという意味では、片づけは自分自身を変える大きなきっかけになるのだなぁと実感しています。次回は、不妊治療の再開と妊娠、今後の目標などについてお話をうかがいます。<だいたひかるさんプロフィール>1975年埼玉県生まれ。「どーでもいいですよー」の持ちネタで大ブレイクし、2002年R-1ぐらんぷり初代チャンピオン。バラエティ番組やCMなど多方面で活躍中。文房具大好き芸人として文房具のプロデュースなどにも携わっている。著書に『生きるために、捨ててみた。』(幻冬舎)<著書>『生きるために、捨ててみた。』だいたひかる著/幻冬舎1320円(税込)★関連記事:室井佑月さんインタビュー「乳がんが見つかったことはいろいろな意味でラッキーでした」#3★関連記事:「行ってよかった!」初めての全額自己負担の乳がん検査コース【体験談】★関連記事:「お金、どうなる?」がんにかかった費用を計算してみたら… #43歳で腎がんになった話 24著者/熊谷 あづさライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。
2021年12月27日女性が最もなりやすいがんといわれる乳がん。早期発見すれば助かる可能性が高いとされるが、コロナ禍の自粛によって、検診受診率が激減しているという。危機感を募らせる現場の医師に、実情を聞いた--。「乳がんの進行度合いはステージ0~4に分けられ、数字が大きくなるほど進行していることを表しています。今年の4月に受診した50代の女性は、ステージ4と診断されました。ほかの臓器への転移がある状態です。彼女は’19年の終わりごろから胸のしこりが気になっていました。けれど、コロナ禍になり、親の介護もしていたので外出を控えた結果、受診するのを1年半も先延ばしにしてしまったんです」そう話すのは、ときわ会常磐病院・乳腺外科の尾崎章彦医師。尾崎医師は、何かしらの症状や違和感があってから初回受診するまでの期間と、その際にステージ3、4と診断される割合を独自に調査している。「3カ月以内に初回受診した乳がん患者で、ステージ3、4だったケースは68人中7人で10.3%。3~12カ月を要した患者は、11人中2人で18.2%とがんが進行した人が増加しました。さらに12カ月以上を要した患者に至っては、18人中12人、66.7%がステージ3、4と診断されるという結果となりました。自覚症状に気づいてから初回受診までの期間が長引くほど、がんが進行してしまうのです」一方、早く見つければ見つけるほど生存率は上がる。【乳がんのステージ別生存率】〈1期〉2cm以下のしこりで、リンパ節への転移がないと思われるもの5年生存率:100%/10年生存率:98%〈2期〉2cmを超える5cm以下のしこりがある、もしくはリンパ節への転移が疑われるもの5年生存率:95.8%/10年生存率:88.4%〈3期〉しこりが5cmを超えるものや、しこりが皮膚などに及んでいるものなど5年生存率:80.8%/10年生存率:63.8%〈4期〉しこりの大きさを問わず、ほかの臓器に移転がみられるもの5年生存率:39.8%/10年生存率:19.2%※がんの統計2021 全国がんセンター協議会加盟施設における5年、10年総相対生存率より。ステージの説明は、日本乳癌学会の定義をもとに本誌作成。治療開始時のステージが1もしくは2と診断された患者では、5年生存率はともに90%を超えている。さらに進行度合いによって、治療法も変わると昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門・明石定子教授。「早期に発見できれば、術後の抗がん剤が不要な場合もあります。一方で、がんが進行すればするほど治療による体への負担、そして金銭的な負担も大きくなっていきますから、早期発見は本当に大切なことなんです」■乳がん検診では超音波とマンモを併用乳がんの早期発見のため、活用したい定期検診。乳がんを見落とさないためには検診の受け方にもコツがいると明石教授は語る。「日本人に多い高濃度乳房(乳腺と靱帯が密集している乳房)だと、X線マンモグラフィーでは乳房画像が白く写るため、発見しにくい場合があります。そのため、マンモグラフィーと超音波(エコー)検査を併用するのがおすすめです」明石教授によると、7万人超の40代日本人女性が参加した臨床試験では、X線マンモグラフィーと超音波検査を併用することで、1.5倍も多く乳がんを検出できたというデータがあるという。また、日ごろから自分の乳房に関心を持つことも大事だと、明石教授は強く主張する。「自分で触ってみてしこりなどを見つけたり、何か少しでも変化を感じたら必ず受診する。そして定期検診も受ける。それが、乳がんの早期発見につながります」
2021年11月10日学習障害(LD)/ 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))の治療法・療育法Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン学習障害って治療できるの?治療と聞くと薬物治療を思い浮かべる方もいますが、今のところ手術や薬物などで医学的な方法による根本的な治療法はありません。学習障害における治療とは子どもの将来を広げるための手助けのようなものです。学習障害のある人は多くの場合、教育面・生活面での環境調整や療育といった支援で困難さが軽減されます。学習障害のある人は脳機能の偏りのため特有の見え方・感じ方をしており、生活上や学習上、努力だけで乗り越えづらい困難があります。そのため日々過ごしていく上で、周りからのサポートが必要になってきます。まずは学校や地域の専門機関などの力を借りて専門家チームの検査・評価のもと、子どもの特性を理解しましょう。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。学習障害なのではと感じたらどこへ相談すればいい?専門機関とは子どもの場合、発達障害者支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所などを指します。大人の場合は発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所へ行ってみましょう。まずは身近な相談できる専門機関に行ってみて、障害の疑いがある場合には専門医を紹介してもらうこともできます。また、家庭での対応も重要となります。子どもへの接し方は、子どものやる気や達成感を養い、うつ病や引きこもりなどのいわゆる二次障害を防ぐ上で大切な役割を担います。学習障害の発見が遅くなったり、誤った障害の理解により「自分は何をやってもできない」と子どもが思い込んでしまうことが原因となり、勉強意欲の低下、不登校などの二次障害と総称される症状や状態を引き起こしてしまう可能性も少なくありません。やる気、達成感を育てることは学習障害の子どもにとって最良の対応法といえるでしょう。学習障害の治療の判断基準は?いつから始めるべきなの?学習障害は知的発達に遅れがみられないことから、発見が難しくなります。そのため、実際に読み書きや算数などの学習が開始される小学校入学後に気づくケースが多くなっています。また英語だけに現れる学習障害の場合もあり、中学進学後に分かることもあります。このように特性のタイプや障害の程度によって症状に気づく時期が異なります。どのような症状があれば治療を行うべきなの?文部科学省の定義によると、学習障害(LD)とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、診断名が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD)」になっています。限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」の3つに限定されます。このように読みに困難さがある人もいれば、読むことはできても、書くことに困難さがある人もいます。「学習障害」の状態や特性の現れ方は人によって異なります。子ども本人が学習に困難を感じていたり、同年齢の子どもと比べて著しく習得に遅れが見られるなど、子どもの様子から学習障害があるかもしれないと感じた場合は、まず学校や発達障害者支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所などで相談してみましょう。その後、専門家の検査により学習障害と判断されてから治療を行うのが一般的ではありますが、医師による診断がつかなかった場合や検査を受ける前であっても、その子に合った環境を整え、学習方法を見つけてあげることが大切です。治療を始める年齢は何歳?治療を終える判断基準は?学習障害があることに気づいたら、すぐにその子にあったサポートを進めることが望ましいです。学習障害にはいくつかタイプがあり、さらに一人ひとり、学習に得意不得意の偏りがあります。また、その人の現在の年齢によっても学ぶ内容は変わってきます。そのため、一人ひとりに適している治療や支援方法は異なると考えることができます。同様に、治療を終える判断もそれぞれです。通常学級で勉強をしながら、理解できなかった部分だけ通級指導教室で個別に指導を受ける方法もあります。学習障害の治療法・療育法早期発見・早期療育が望ましいとされる学習障害ですが、一体どのような治療法、療育法があるのでしょうか。今回はその方法についてご紹介していきます。◆学習障害の療育方法療育とは、社会的な自立をめざしてスキルを習得したり、環境を整えるアプローチのことです。このような療育は、発達障害を専門とする病院や公立・民間の児童発達支援事業所などで行われています。学習障害はその子の認知特性や苦手な部分によって、それぞれ直面する困難や課題が変わってきます。そのため、その子の特性に合わせた学習方法を獲得することが目的となります。療育法にはさまざまなものがありますが、学習障害の療育で最も大切なのは、その人に合った学び方や環境をつくることで、その人が困難を感じている分野に対する苦手意識を解消することです。苦手意識を持ってしまうと、その分野の学習に対して取り組む意欲がなくなり、困難は改善されないまま育ってしまいます。そのため、一人ひとりの子どもの成長速度や学び方に合わせて、できるだけ成功体験を増やしてあげることが大切です。つまり、子ども自身が「これなら学びやすい・学ぶことができる」という方法を探すということです。学校や療育施設などと連携し、学習方法を変えたり、環境を整えたりといった工夫を組み合わせ、さまざまな方法を試しながら、その子に合った学習方法を探していきます。・その子にあった覚え方や学び方を工夫する…クイズにして覚える、漢字のパーツを分けてパズルを作るなど・環境的な配慮をする…プリントはゴシック文字を使う、文字の色を変えるなど・代替手段を使用する…タブレットの音声読み上げ機能を使う、計算機を使うなど言葉や社会性など、それぞれの能力を習得する時期に近い段階で早期に療育を開始することで、障害による困難さが軽減されやすくなると考えられています。一般的に年齢が低い段階で、その子にあった療育を始めると、その後の社会適応力も高くなるといわれています。イラスト/かなしろにゃんこ。
2021年11月06日ファイナンシャルプランナーの大野先生が、2022年4月から始まる不妊治療の保険適用について教えてくれました。特定不妊治療に対しても保険適用となり、不妊治療の自己負担額が軽減されることになりました。 2022年4月から何が変わる?2021年9月時点では、不妊治療の保険適用(健康保険の対象)は一般不妊治療(タイミング指導、卵巣刺激法、人工授精等)に限定され、特定不妊治療(体外受精、顕微授精)は助成制度があるのもの、保険適用ではありません。しかし、2022年4月から特定不妊治療も保険適用となる予定です。今回は、2021年9月時点で決まっている2022年4月からはじまる特定不妊治療の保険適用の概要と民間の医療保険についてお伝えします。 2022年4月から保険適用される内容は?2021年9月時点では、特定不妊治療(体外受精・顕微授精)は健康保険の適用とはならず、原則全額が自己負担となります。厚生労働省の調査(日本産科婦人科学会に不妊治療実施機関として登録されている医療機関622施設・2021年10月~11月)によると、体外受精の1回あたりの費用の中央値は37万円~58万円でした。 2021年1月からの支援制度では、妻の年齢が43歳未満で6回までの特定不妊治療では、1回あたり30万円の助成が出ますが、費用が高額になった場合にはこの助成があったとしても、自己負担額は決して少ない額ではありません。そのため、2020年9月の閣議決定により、2022年4月から特定不妊治療に対しても、保険適用となり3割負担または高額療養費の範囲内の負担とされ、不妊治療の自己負担額が軽減されることになりました。詳細は、今後発表される予定ですが、衆議院選挙の結果等によっては内容が変わる可能性もありますので、特定不妊治療を保険適用後に受けたい場合には、厚生労働省や健康保険組合等のサイトを確認するといいでしょう。 なお、独自の不妊治療の助成制度を設けている自治体もあり、金額の増額や対象年齢の拡大、諸費用の負担など全国一律の助成にプラスして助成金を受け取れることもありますので、お住まいの自治体に独自の不妊治療の助成制度がないかも確認するといいでしょう。 保険会社の医療保険で不妊治療の費用が出るものも上記では、2021年9月時点では自己負担である特定不妊治療が、2022年4月からは保険適用になり自己負担額が減る可能性がある内容についてお伝えしましたが、ご自身で備える場合については、保険会社の医療保険等で対応できるものもあります。不妊治療を始める前に加入して、保険会社指定の期間を経過する必要がありますが、不妊治療に対応している医療保険について、主なものを簡単にご紹介します。 なお、保険商品については、筆者やベビーカレンダーが推奨するものではありませんので、詳細は各保険会社・保険代理店等にお問い合わせください。 日本生命(ニッセイ 出産サポート給付金付3大疾病保障保険 ChouChou!)三大疾病・死亡・出産・特定不妊治療の際に保険金が支給される保険です。特定不妊治療は加入後2年を過ぎると支給対象となり、採卵または胚移植1回につき1回目~6回目は1回あたり5万円、7回目~12回目は1回あたり10万円支給されます。また、満期を迎えると満期一時金が受け取れます。 三井住友海上あいおい生命(女性サポート給付金付ガン診断給付特約)医療保険の特約(オプション)です。ガン・出産・特定不妊治療の際に保険金が支給される保険です。特定不妊治療は加入後2年を過ぎると対象となり、採卵または胚移植1回につき1回目~6回目は1回あたり2.5万円、7回目~12回目は1回あたり5万円支給されます。また、満期を迎えると満期一時金が受け取れます。 その他、アクサ生命の医療保険(スマート・ケア)やはなさく生命の医療保険(はなさく医療・女性医療特約)では、1回限りですが、採卵・胚移植等を対象に保険金が支給されます。いずれも現在不妊治療している人ではなく、今後の不妊治療に備えて加入・活用するものとお考え下さい。これらの保険が気になる方は情報収集をしたうえで、保険会社や保険代理店に確認しましょう。 少子化を踏まえ、保育料の無償化や子ども医療費の負担軽減など、十分ではないかもしれませんが、様々な子育ての政策・助成制度があり、今回の不妊治療の保険適用もその一環です。不妊治療を希望する人は、全国一律の制度と都道府県・市区町村独自の制度を確認しながら、最大限助成が受けられるように情報収集をすることをおすすめします。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2021年09月19日若いころに治療した銀歯が取れてしまった、あるいは歯茎が腫れてしまったので歯医者に行ったのはいいが、保険診療か自由診療か、治療法に選択肢があって決められないという人が増えている。「歯科医院で提示された治療法に納得がいかず、『この方法でいいのでしょうか』と私たちのところに相談に来る人も多いです。人生100年時代、ご自身に合った治療法を選ぶことは、歯を守るだけでなく、長生きすることにもつながりますので、後悔しない歯の治療法を選びましょう」そうアドバイスするのは、ジャパンデンタルクリニックの田名網宏樹院長。残った歯が少なく、噛む力が弱い人ほど認知症の発症リスクが高くなることは数々の研究でわかっている。50代以降、若いころに治療した歯を再び治療する機会が増えてくるので、放っておかずにしっかり治しておきたい。「かぶせた銀歯など保険診療で治療した歯の耐用年数は2年ほどといわれています。少し痛みがあってもそのままにしていませんか?銀歯の下でじわじわ虫歯が進行して、根の先に膿がたまってしまうこともあります。また、中高年に多い歯周病になると、歯周ポケットが4ミリメートルより深い中度で歯槽骨が半分近く溶け始め、7ミリメートル以上溶けると歯を支えられなくなります。まずは、しっかりと虫歯と歯周病を治したうえで、歯がなくなった場合は人工物で覆う義歯を選びます。いくつか種類があるので、費用面だけでなく、治療期間や適しているかどうか総合的に判断します」(田名網院長、以下同)■失った歯をカバーする3つの方法とは?失った歯をカバーするにはブリッジ、入れ歯、インプラントの3つの方法がある。それぞれの特徴、メリット・デメリットを教えてもらった。【ブリッジ】失った歯のスペースに“ブリッジ(橋)”をかけるように連結した人工歯をかぶせる治療法。ブリッジをかけるために、失った歯の隣の歯を削る必要がある。〈特徴〉抜けた歯の両隣の歯を土台にして、連結した人工歯をかぶせる。人工歯の材質によって保険診療と自由診療のどちらかを選択できる。〈メリット〉固定式なので義歯でも違和感なく噛むことができる。〈デメリット〉ブリッジをかける位置によって、片側、または両側の歯を削る必要がある。〈治療費の目安〉保険診療:1本・2万円〜。自由診療:1本・8万円〜。「固定式なので違和感なく噛むことができますが、虫歯がなくても隣の歯を削らなければならないので、抵抗感を抱く人もいます。治療費は保険適用で2万円から。保険診療で使える素材は限られていて、銀歯か銀歯の外側を白い素材で覆うハイブリッドなどの方法がありますが、ハイブリッドは強度が低く、隣の歯を削る量が多くなるというデメリットがあります。見た目が気になるという人は、自由診療でセラミック素材のものを選ぶこともできます」【入れ歯】隣の歯に金属のフックをかけて、歯を補う「部分入れ歯」と、すべての歯を補う「総入れ歯」があり、部分入れ歯は1本からでも作ることができる。〈特徴〉保険診療と自由診療のどちらかを選択できる。〈メリット〉ほかの歯を削る必要はなく、一度で多くの義歯を入れることができる。〈デメリット〉毎日取り外して手入れをしなければならないので、手間がかかる。噛む力が弱く、違和感を覚えることがある。〈治療費の目安〉保険診療:1本・1万5,000円〜。自由診療:1本・16万円〜。「健康な歯を削るのでブリッジは抵抗がある、という方には入れ歯、インプラントの選択肢がありますが、インプラントよりも治療費が安いのは入れ歯です。毎日就寝前には入れ歯を外して、洗浄剤で洗うといったお手入れが必要なので手間はかかりますが、手術や健康な歯を削る必要がないので、当院で選択する人は多いです」金属製のフックが引っかかるのが気になるという人には、ノンクラスプデンチャーという歯茎に装着するタイプの入れ歯がある。自由診療で1本約16万円から。【インプラント】インプラントは、歯の根元から顎の骨に、ネジのような器具を使い人工歯を埋め込む方法。顎の形など骨格によってこの方法が適さない人もいる。〈特徴〉失った歯の根元にある顎の骨に、ネジのような器具を使い、人工歯を埋め込む。プラスチックやセラミックの素材があるが、一般的には自由診療。〈メリット〉隣の歯を削らずに歯を固定できる。しっかりと強く噛むことができ、見た目も自然な仕上がりになる。〈デメリット〉手術が必要で治療期間が長い。多くは自由診療なので治療費は高額になる。〈治療費の目安〉自由診療:1本・50万円〜。「自由診療なので1本約50万円以上かかります。安さを売りにしている歯科医院は大事な工程を省いている可能性があるので気をつけましょう。インプラントは隣の歯を削らなくても単独で歯を固定できますが、手術が必要で、治療期間は3カ月〜最長3年かかることもあります。また治療後は、インプラント周囲炎にかからないように定期的なクリーニングと検診が必要になります」一度、歯の治療を始めたら元に戻すことは難しいので、事前に医師の説明をよく聞き、納得がいかないときはセカンドオピニオンを受けてもいいという。健康で過ごすためにも、適切な治療をし、しっかり噛める歯をキープしよう。
2021年09月09日公益社団法人 日本放射線腫瘍学会事務局(JASTRO)は、日本人のがんに関する知識や放射線治療に関するイメージの変化を明らかにすることを目的に、健康成人を対象とした調査を昨年に引き続き実施しました。調査の背景には、がんの3大治療の一つとされる放射線治療の施行件数が他の治療法より少なく、諸外国と比較しても大きな隔たりを認める日本の現状があります。そこで人々のがん治療に関する知識量や情報量、治療に関するイメージを明らかにするために本調査を実施しました。また、同時期に乳がん患者に対しては、これまで患者目線に立った治療の印象や放射線治療の認知度などについての報告が少なく、国内の実状を明らかにするために調査を行いました。<調査結果の主なポイント>【健康成人調査】◆放射線治療に関する正しい知識がまだまだ不十分であることが明らかに。◆がんの3大治療のイメージ、放射線治療はわずかだが全体的に良い方へ推移。◆中でも『治療後も生活の質が保たれる』が昨年と比較して10.1ポイント上昇。◆「治療期間が短い」や「治療と就労の両立が可能」も5ポイント以上アップ。【乳がん患者調査】◆乳房温存手術後に本来必要な放射線治療を受けていない人が1割超。◆放射線治療で「髪が抜ける」「入院が必要」など誤ったイメージを持つ人が多い。◆放射線治療を実際に受けると、治療前に思っていたより楽だったと感じる人が4割超。◆手術・化学療法に比べて、放射線治療は勤務状況に変更をきたしにくい。〔調査概要〕■調査方法 :インターネット調査■調査実施期間 :2021年5月10日(月)~5月11日(火)■調査実施委託先:株式会社マクロミルケアネット■監修 :東京大学医学部附属病院放射線科中川恵一、扇田真美、南谷優成、向井智哉〔健康成人調査 対象〕■調査対象 :がんと診断されたことがない20歳以上80歳未満の日本人男女■解析サンプル数:3,090(男性1,570、女性1,520)〔健康成人調査 回答者属性〕男性20代 :249名 8.1%男性30代 :312名 10.1%男性40代 :316名 10.2%男性50代 :349名 11.3%男性60代以上:344名 11.1%計 1,570名女性20代 :290名 9.4%女性30代 :300名 9.7%女性40代 :296名 9.6%女性50代 :321名 10.4%女性60代以上:313名 10.1%計 1,520名〔乳がん患者調査 対象〕■調査対象 :乳がん患者※初発の乳がん診断後1年以上5年未満の女性患者■解析サンプル数:309名〔乳がん患者調査 概要〕■回答者属性女性20代 :1名 0.3%女性30代 :13名 4.2%女性40代 :105名 34.0%女性50代 :120名 38.8%女性60代以上:70名 22.7%■乳がんステージ0期 :6名 14.9%1期 :122名 39.5%2期 :90名 29.1%3期 :31名 10.0%4期 :9名 2.9%正確なステージ不明:11名 3.6%【健康成人調査】■健康成人調査:がんの放射線治療、正しく認識されていない現状明らかに問いの文章内容が「正しい」、「誤り」か「わからない」のいずれかで回答。3,090人の参加者の中から、「全てわからない」と回答した284人を抜いた2,806人の正答率は図1の通りです(正答率が高い順)。今回の調査から、放射線治療ががん治療に使われているという事実はおおよそ理解されていますが、その詳細に関しては知らない人が大半であるという実情が明らかになりました。放射線治療はテクノロジーの進歩とも結びついており、治療技術の進歩も目覚ましいものがあります。また、治療費も手術・化学療法と比べて安い場合が多く、通院で治療ができるため、仕事や生活との両立も可能です。しかし、欧米と比べると、まだまだ放射線治療が行われる割合は少ないのが現実です。図1■健康成人調査:がんの3大治療のイメージがん治療のイメージに関して昨年と同じ設問で回答してもらい、その結果を比較しました(2020年調査条件「がんと診断されたことがない20歳以上70歳未満」サンプル数3,094)。以下の結果は2020年調査に合わせ、2021年は20歳以上70歳未満のデータ2,885人を対象としています。双方を比較したところほとんど変化が見られない手術や薬物療法に比べ、放射線治療ではわずかながらもそのイメージに有意な向上(p値図2年代別に放射線治療のイメージの変化をみると、図3のように20代から60代まですべての年代で肯定的に受け止めています。中でも50代(p値図3詳細なイメージの変化をみると、「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合が、『治療後も生活の質が保たれる』が34.3%から44.4%と10.1ポイントも上昇しました。『他の治療法と比べて治療期間が短い』が19.1%から26.0%とこちらも6.9ポイント上昇しています。また『治療と就労の両立が可能』は33.8%から39.3%に5.5ポイント上昇しました。一方で、「イメージがつかなくて怖い」と回答した割合が今年は「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせて54.7%で、昨年の51.5%から3.2ポイント上昇する結果となりました。また、放射線治療の正しい知識の設問と合わせて比べると、放射線治療に関する正しい知識を持っている人ほど、放射線治療に対して全般的に肯定的な意見を持っており、『完治率が高い』『昔と比べて治療技術が進歩している』など個々の項目に対してもより肯定的であることが明らかになりました(図4-1、図4-2)。図4-1、図4-2【乳がん患者調査】■乳房温存手術患者の13.6%が放射線治療を受けていなかった乳がん初回治療において、乳がん患者309人のうち乳房温存手術を実施した人は49.8%(154人)、全切除術を実施した人は46.3%(143人)でした。乳房温存手術後には原則的に放射線治療を追加することが必要ですが、乳房温存手術を受けた患者154人のうち、放射線治療を受けていない人の割合は13.6%でした*(図5)。図5■乳房温存手術後に放射線治療が必要であることを知った時期「診断から手術までの間」が最多乳房温存手術後は標準治療として放射線治療が必要であることを知った時期は、「乳がん診断から手術までの間に知った」が72.1%と最多で、「乳がんになる前から知っていた」は11.7%に留まりました。また、「乳がん手術後に知った」が9.7%いたほか、「今まで知らなかった」は6.5%いました(図6)。図6■乳房温存手術後に放射線治療が必要であることの情報源、乳腺外科医からが80.3%と最多乳房温存手術後に放射線治療が必要であることを知っていた人を対象にどのように情報を得たのか訊いたところ、一番多かったのが「乳腺外科医から聞いた」80.3%で、次いで「テレビ・インターネット・本・新聞などの医療機関以外の情報」22.9%、「放射線治療医から聞いた」は9.2%でした。広報活動などを通じて、患者の放射線治療のリテラシー向上を図る必要があると思われます(図7)。図7■放射線治療前後の印象の変化、治療後に「大変」と感じた割合は22.7ポイント減少乳がん治療を受ける前のそれぞれの治療に対する印象と、実際に治療を受けた後の印象について尋ねたところ、放射線治療では治療前に「とても大変」「どちらかと言えば大変」を合わせた割合が83.4%でしたが、治療後では60.7%と22.7ポイントも減少。治療前のイメージと違い大変ではないが7.4%から23.9%と16.5ポイント増えました。他の治療法と比較しても治療後に大変だったという人の割合は放射線治療が一番少ないことが明らかになりました(図8)。図8■放射線治療で「髪が抜ける」「入院が必要」など誤ったイメージを持つ人が多い治療前の放射線治療のイメージについて聞いたところ、「髪が抜ける」13.3%、「入院が必要」8.7%など誤ったイメージを持っている割合が多いことが分かりました(図9)。図9■放射線治療を実際に受けると、治療前に思っていたより楽だったと感じる人が4割超治療後の印象において「手術、放射線医療、抗がん剤・分子標的薬」いずれの治療法も実施した回答者に絞ってみたところ、「治療前に思っていたより楽だった」と回答した割合は放射線治療が41.4%と他の治療法よりも高い結果が出ました(図10)。図10■標準的な放射線治療の治療回数を約7割が許容できると回答乳がんの術後の放射線治療の標準的治療回数は15-30回ですが、放射線治療を受けた回答者に許容実施回数について尋ねたところ、一番多かったのが「25-29回」で30.1%、次いで「10-14回」19.6%、「30回以上」17.2%の割合の順となり、7割以上の人が標準的な治療回数は許容できると考えていることが分かりました(図11)。図11■放射線治療は満足度の割合が高いことが明らかに「手術、放射線治療、抗がん剤・分子標的薬」いずれの治療法も実施した人では「放射線治療」の満足度が85.7%と他の治療法よりも高い結果となりました(図12)。図12■手術・化学療法に比べて、放射線治療は勤務状況に変更をきたしにくい診断時に働いていたかどうか尋ねたところ、全体の62.5%が働いていたと回答。そのうち、65.8%が勤務状況の変化があったことが分かりました。具体的には「休職した」が28.0%で最多、次いで「退職した」20.2%、「時短勤務した」15.0%の順となりました(図13)。図13勤務状況の変更理由となった治療法を見ると手術が54.1%と最も多く、次いで抗がん剤・分子標的薬22.6%で、放射線治療は16.5%と3大治療法の中では最も少ないことが分かりました。これにより、放射線治療は仕事に影響を及ぼしにくいことが明らかになりました。■個人年収の変化、30.6%が減収と回答治療前と治療後の個人年収の変化について尋ねたところ、最も多かったのは「変わらない(50万円未満の増加または減少)」で67.9%でしたが、30.6%が50万円以上の減収になったことが明らかになりました(図14)。図14〈放射線治療を受けて治療前後で異なっていた点の患者の声(抜粋)〉・治療前はメディアからのイメージが先入観として不安が大きかったが、関係者にカミングアウトしたり、医療者や体験者の話が大きく参考になり、思っていたより負担が少なかった。メディアの情報も基準となっていて、負担が少ない分自信につながった。(東京都 53歳 会社員)・放射線治療自体は想像していたよりも楽だったが、毎日通院しなければならないのが大変でした。(神奈川県 53歳 専業主婦)・放射線治療に毎日通うので体力的に大変だったが、短時間で終わるので最後まで通うことができた、治療前はすごく嫌だと思っていた。(東京都 44歳 専業主婦)〈放射線治療に対する意見や要望(抜粋)〉・しょうがないことですが、男性が対応してくれていたこと。やはり女性のほうが嬉しいです。(群馬県 48歳 パート・アルバイト)・体中に放射線を当てるための線を描かれるのが嫌だった。(京都府 47歳 専業主婦)・放射線治療は特に苦痛だと思わなかったが、毎日通うのが面倒であった。コロナ禍だったので、治療が中断するのではないかと不安だった。(兵庫県 50歳 自営業)・私は職場の理解を得られたので問題なく行えましたが、毎日通院するのは仕事をしていると辛いと思いました。ですが、診察と違って予約時間通りに行われるので、スケジュール調整はしやすいと感じます。(兵庫県 48歳 パート・アルバイト)・放射線治療は大変でしたが、女性スタッフの方がとても親切で、痛々しい胸のケアを親身になって治療法を教えてくれたのが嬉しかったです。(兵庫県 43歳 会社員)・できれば女性技師の方にやってもらいたい。(千葉県 46歳 会社員)・この治療でがんが死滅するのなら、絶対にやるべき。(広島県 51歳 専業主婦)〈今回のアンケート調査結果から〉■東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授中川恵一放射線治療は、臓器の形態や機能を温存できることが最大の特徴です。また、体への負担も少ないため、通院が原則です。費用も99%近くのケースで健康保険が利きますから、高額な自己負担は不要です。手術と放射線治療が同等の治療効果を示すがんは少なくありませんが、日本では欧米ほど行われていません。アメリカでは新規のがん患者の約半数が放射線治療を受けていますが、日本ではその半分程度と考えられています。公益社団法人 日本放射線腫瘍学会では、昨年度に引き続き一般人を対象に、がん治療に関する知識や放射線治療に関するイメージについてアンケート調査を実施しました。その結果、まだまだ、誤解が多いことが分かりましたが、全体的なイメージとしては、前年よりも肯定的となり、特に、50代、60代では、有意なイメージの改善が見られました。放射線治療の個別のイメージについては、『治療後も生活の質が保たれる』が34.3%から44.4%と10.1ポイントも上昇しました。『他の治療法と比べて治療期間が短い』も6.9ポイント、『治療と就労の両立が可能』も、5.5ポイント上昇していました。一方で、「イメージがつかなくて怖い」と回答した割合が今年は54.7%で、昨年より3.2ポイント増える結果となり、放射線治療の普及に向けたさらなる啓発活動の必要性も明らかになりました。■東京大学医学部附属病院 放射線科助教 放射線治療専門医扇田真美乳がんは日本人女性で最も多いがんで、放射線治療を受ける患者さんの大きな割合を占めます。乳房温存手術後は原則として放射線治療を行うことが標準治療なのですが、そのことを事前に知らない方が多いことが今回の調査で明らかになりました。放射線治療が必要なことを知ったきっかけは乳腺外科医からという回答が多く、一般の方への周知や放射線治療医の関与が低いことが分かりました。アメリカでは放射線治療を行うかどうかに関わらず、乳がんの治療前に放射線治療医からも話を聞くそうです。日本では放射線治療医の人数も少なく同様の体制をすぐに整えるのは難しいかもしれません。しかしながら今回の調査の結果、放射線治療について誤ったイメージをもっていたり、実際に治療を受けてみると思ったよりも楽だったと感じる方が多いことから、もっと放射線治療について皆様に知ってもらうよう我々放射線治療医は努めていかなくていけないと感じました。乳がんは他のがんと比べて就労・子育て世代が多く、治療と仕事や家事育児の両立が問題となることもあります。就労状況の変化以外にも治療のために様々な影響がでていることと思います。患者さんの状況に応じた治療ができるよう努めていきます。今回の調査結果が多くの方々に放射線治療について興味をもっていただくきっかけとなることを願います。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年08月31日がんになってから、命に限りがあることを重々感じた――。だいたひかるさん(46)は、不妊治療中に乳がんが発覚し、全摘手術を経てまさかの再発。もうわが子は望めない、と一時は絶望した。そんなさなかで、支えたのは夫の小泉貴之さん(44)だった。年齢という現実と、がん治療中断のリスク。けれど、2人は、命を懸けて最後の受精卵に賭けると決めた。そんな2人に奇跡が起きた。取材当時、妊娠14週目。3人目の家族は、来年誕生する予定だ。今年の5月、体外受精で妊娠したことをブログで公開。だいたさんは45歳で、“超高齢出産”といわれる年齢になっていた。「ここまで来るのに、手こずりまくりでした。今日はブログに書ききれなかったことも、お話ししますね」■「不妊治療当時、自分は彼女への配慮が足りなかった」だいたさんが38歳、小泉さんが36歳のときのゴールインだった。だいたさんの年齢のこともあり、結婚してすぐに子どもを作ろうと、仕事をセーブして妊活に励んだ。翌年には婦人科へ行き、排卵日にタイミングを合わせる方法で1度目で妊娠できた。しかし、超初期での流産が続いてしまう。「当時の自分を思い返すと、すごく甘く考えていたし、彼女への配慮が足りなかったなと思います。仕事が忙しいということもありましたけど、もっと夫婦で話し合って、妻に寄り添う形をとるべきだったなと、今は特に思いますね」申し訳なさそうに話す小泉さんに、「夫婦関係、あのころがいちばんピリついてたよね。確かに私はカリカリしてたと思う」とだいたさんは懐かしそうに答える。人工授精を8回繰り返すが着床せず、体外受精専門のクリニックへ。だいたさんは40歳目前。長時間並ぶ必要があるほどに患者が多く、時間をやりくりして通った。しかし、最新医療の力を借りても妊娠しない。手を尽くしてもかなわないことがあると、2人は痛感させられたという。そして湧き上がってくる、後悔の気持ち……。「年齢って怖いなって思いました。人工授精とかすっ飛ばして、体外受精をやるべきだったと、すごく後悔しました。専門のクリニックだと、39歳11カ月とか、月齢までカルテに書かれます。タイムリミットまであと何カ月?って焦りました」そのうえ、採卵、移植は、1回で約30万円かかる高額な治療だ。リミットへの不安に追い打ちをかけるように、費用面も大きな負担となっていった。凍結している受精卵はこの時点でたった1つだけ。「受精卵の評価があるんですが、かなりよいグレードだと言われていました。次は採卵じゃなくてその受精卵を移植しよう!ってなったんです」ところが、移植する当日に不正出血があり、中止になってしまったのだ。「当時は不妊治療の日程に合わせて生活してました。移植がなくなり、急に暇になったので、乳がん検診に行ったんですね。そこで右胸にがんが見つかりました」急転直下、病気に翻弄される生活が始まった。結果は悪性。全摘も視野に入れるという診断だった。ぼうぜんとするだいたさんの顔を「見られなかった」と小泉さん。再発リスクを減らすため、2人は、右胸全摘手術を決めた。その一方で、不妊治療がやはり気になる。絶対に、あきらめたくない。小泉さんは、がん治療の前にもう一回採卵して受精卵を凍結しようと提案するのだ。「私、がんになってから不妊治療してる人がキラキラして見えて、ああもうあのステージに立てないんだな。って思ったことが本当につらかったんです」とだいたさん。もう一つ、凍結できればと希望をつなげたが、採卵は失敗に終わった。空胞……針を刺したが、卵子が取れなかったのだ。「地獄に際限ないなと思いました。空胞って言葉のとおり、私、空っぽだって感じました。いちばん涙が出ましたね。あ、もうここで不妊治療は強制終了なんだと」■わが子が欲しいという思いと、母体の命。せめぎ合うなかで、2人は覚悟を決めた不妊治療への未練を残したままの2人に、全摘手術後も残酷な診断が待っていた。リンパ節に転移していたため、脇の下を切除し、45mmの塊を取り出した。抗がん剤治療も必要になると医師に告げられたのだ。さらに3年後、19年にまたも右胸に乳がんが再発。4mm大の腫瘍を日帰り手術で切除し、放射線治療を25回受けた。全摘後の再発は1割未満といわれている珍しいケースだ。当時の取材で、小泉さんは記者に「目標は不妊治療の再開」と話していた。対するだいたさんは、「何言っちゃってるのかな?」と思っていたそう。「2人でまだそういう話をしていなかったんですよ。再発してるのに危なくない?死んじゃうかもよ?って取材中に思っていました。でも、私ががんや不妊治療の不安で頭がごちゃごちゃしていたときに、彼に道を舗装してもらったような気がしました。悪いものができたら取る。その後なら不妊治療に戻れるかもしれないと」常に「次の手を打つ準備を」の心構えでいた小泉さんの支えもあり、再発後にはたいていのことなら乗り越える力がついていた。「イボ取るようなものかなって。まあそういう気持ちになれました」と言う妻に、「歯石取るようなもんだよ」と夫。理想は女性ホルモンを抑えるがん治療をあと3年続けることなのだが、45歳を迎えてすぐ、だいたさんは決意した。「私の乳がんが遺伝性かどうか調べる検査を勧められたんです。もし遺伝性だったら、卵巣でもがんが再発する恐れがある。でも結果、私は遺伝性じゃなかった。それならまたチャレンジしたいと思ったんです」 がんの治療を中断し、不妊治療を再開することにしたのだ。小泉さんは、少し眉間にしわを寄せて「実は複雑な心境だった」と話す。大事なのは、妻の命。「もし結果がよくなかったら、2人でいるだけで楽しいから、それでいいじゃんっていうふうに持っていこうとしていました」だいたさんが乳がんになってから5年、2人だけでも僕は幸せだと、伝えられていた「自信がある」。がんの再発のことは頭から離れず、葛藤はあるが子どもは欲しい。悩んだ揚げ句、これが最後と割り切り、腹をくくったのだ。「自分ががんになって、夫には申し訳ないという気持ちがあります。だけどがんになってから、命に限りがあることを重々感じたので、人生やり残したことがないようにしたいという思いが大きかったですね。凍結した受精卵の保存について、年に1回、更新手続きがあるんですが、その日だけ親になった気持ちになっていました。あのままだと70、80歳になっても凍結していて、絶対に後悔すると思ったんですよね」だいたさんは移植に向けて、半年かけて体調を整えた。小泉さんも全力でサポートした。移植後、1週間で結果が出る。夫婦でクリニックに聞きに行ったが、だいたさんは緊張して医師の顔を見られなかった。妊娠してる?それとも……?判定結果は陽性。2人はそろって「お~!」と歓喜の声を上げた。当日の状況そのままに、小泉さんは片手を高らかに上げて「お~!」と再現してくれる。その瞬間のうれしさと驚き、感動が伝わってくる。「僕は夢みたいだと思いました。妻はボ~ッとしていましたね」「第1段階を突破できたんだ!と思いました。うれしいですけどやっぱり流産など次の不安のほうが大きくて……。でも昔に比べて私は体が温かく感じるし、なんだかいけそうだなっていうことが多かったんですよね。すごくよい状態かもしれないって」珍しく目を潤ませるだいたさんに、全身からハッピーオーラを放つ小泉さん。不妊治療では、“43歳以上が12週の壁を越えるのは奇跡”という通説があるが、現在14週。つわりが落ち着き、胎児の健康を気遣って細心の注意を払って毎日を過ごしている。長い闘いの末、ようやく実感が湧いてきた2人がほほ笑んでいた――。
2021年08月16日■前回のあらすじ病院での検査の結果、バセドウ病だと判明し、適切な治療を受ければ、回復していくと分かった…。ウーマンエキサイトのみなさまこんにちは。まつざきしおりです。■授乳中だったので、薬で治療することになった※当時、筆者が受けた治療を元に描いており、個人の症状によって方法は異なります。バセドウ病の治療は3種ありました。授乳中はアイソトープ治療(一種の放射線を使う治療)ができず、また、手術を受ける場合は入院する必要があったので、薬での治療となりました。薬服用後、ほどなくして体調が落ち着いたので、薬って素晴らしいと感動したのを覚えています。ただ、治療開始後も体調に波があり、うまくコントロールできず寝たきりで「もーーっ!!」と思うことはありました。 ■無理をしなくなり、気持ちにも余裕が出てきたしばらくすると、身体が動かない日がきたら、「ああ〜今日はダメな日だ…無理しないで休むモードで行こう」と思うようになり、気持ちの面でも少しずつ楽になっていきました。最初は周りに頼るのも、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、家事育児のサポートをしてもらえたのは本当にありがたかったです。※この記事に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。次回に続く(全6話)毎日9時更新!
2021年07月09日私は不妊治療をこなすだけでもメンタル的、肉体的、経済的にもつらい日々が続いていました。不妊治療もなかなかうまくいかず、不妊治療を始めてから4年目、4軒目の病院で妊娠することができましたが、喜んでいたのも束の間、流産がわかります。その後も、私は流産を繰り返して不育症の治療をおこなうことに。結果、不妊症と不育症を乗り越えて元気な赤ちゃんを授かることができました。困難を乗り越えて出産した経験をお伝えしたいと思います。 4度目の流産で不育症の可能性を意識するように長い不妊治療を経て、私はやっとのことで妊娠することができたのですが、赤ちゃんの心拍確認後に流産したことがわかりました。言葉では表すことのできないショックが私を襲い、不妊治療をやめることにしました。 けれども、私は自分の妊娠をあきらめることができない気持ちに気づき、2年後に不妊治療の再開を決意。しかし、待っていたのは3度目・4度目の流産でした。「もしかして、妊娠しても出産できない?」。そのとき、初めて不育症の可能性を意識するようになり、私はパニックを起こしてしまいました。 不妊治療と不育症の治療を開始私はパニック状態から抜け出すことは難しく、時間もかかりましたが、自分の目的を考えると耐えて進むほかに道はないのだと気づきました。そんななか、5回目の妊娠を確認。私は不妊治療でお世話になっている病院の先生にアドバイスをいただいて病院を選び、不育症の治療も始めることに。 原因不明の不育症と経過観察不育症の治療は、初回の診察で不育症の治療のために、問診とは別にアンケートと採血をおこないました。私は不育症の検査結果に問題がなかったため、安心した反面、原因が見つからないことに不安も感じました。不育症の原因が特に見当たらない場合は、経過観察をすることを聞き、不妊治療(妊娠を継続させるための投薬)と不育症の経過観察をおこなうことになりました。 私は不妊治療の病院へ指定された日時に通院しながら、不育症の病院へも指定された日時に通うことに。不妊治療は妊娠7週目まで通い、不育症の病院へは妊娠8週(妊娠3カ月)まで通院。その後、私は不妊治療と不育症治療とは別の出産病院へ転院し、無事に出産することができたのです。 不妊治療と不育症の治療を経て、無事に健康な赤ちゃんを出産できたことをとてもうれしく思っています。生まれた瞬間、赤ちゃんを愛おしく思う感情は、今でも忘れることができません。けれど、私の場合は結果がついてきたからこそある幸せなのだと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラストレーター/みいの 著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2021年06月29日結婚後、1年経過しても妊娠しなかったので、不妊治療専門の病院に通いました。実際に通ってみてつらかったこと、でも治療してよかったなと思うことをお伝えします。 まずは検査を受けることに結婚して1年。夫婦で妊娠を待ち望んでいましたが、なかなか妊娠できないので、不妊治療専門の病院へ。まずは夫婦ともに、不妊の原因になりうる感染症や体質的に妊娠しやすいかどうか、各種検査を受けました。 その中でも特につらかったのが、卵管造影検査。「生理痛がひどい場合はちょっと痛いかも」と主治医に言われ、実際、生理痛がひどい私には激痛でした。 次に各種検査の結果を聞きにいき、私はとある感染症にかかっていることが、そして夫は精子の運動率が低いことが判明。お互いに自覚がなく、なんだかとてもショックを受けたことを覚えています。 タイミング療法と人工授精にトライ各種検査の結果がわかり、主治医と治療方針を立てることに。まずは3回、タイミング療法にトライしましたが、うまくいかず。早めの妊娠を希望し、人工授精に切り替えました。しかし、2回人工授精をおこなっても、妊娠しませんでした。 当時はフルタイムで働いており、職場の上司には不妊治療中であることを伝え、理解を得ていました。しかし、私が通った病院は、院長がひとりで治療方針を立てるところだったため、予約しても待ち時間が長い! 仕事を休んだり、時間休を取りつつ、長いときは受付から会計まで6時間……という状況。 また、人工授精の実費負担もあり、大変な割に妊娠しない……。次のステップに進めば体外受精で、さらに実費負担がかさむな……と、うまくいかないことがつらく、先々の不安が重なって、ついに通うことを中断してしまいました。 なんと自然妊娠!ところが中断してすぐ、念のためタイミングだけ取っていたのですが、なんと自然妊娠! 主治医にも驚かれました。思えば、検査結果がわかってから、夫は主治医に相談して、すすめられたサプリメントを摂取し、私は感染症の治療をしたことや、行き詰まったときに思いきって治療を中断したことが気分転換になり、よかったように思います。 不妊治療は、精神的・経済的な負担が大きく、今思い出しても、とにかくつらく大変でした。ただ、不妊の原因がちゃんとわかり、現実的に必要な治療ができたことは、本当によかったなと思っています。 それから、あまりにつらいと感じたときは治療を中断し、気持ちをラクにすることも必要なことだったのだと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 作画/しおみなおこ監修/助産師REIKO 著者:野田 理恵もうすぐ2歳になる女の子の母。福祉関係の仕事に従事するかたわら、記事執筆をおこなう。
2021年06月29日20代前半の私は生理が疎ましく、生理不順で生理が規則的にこないことを“これ幸い”と思っていました。一応、婦人科を受診してもすぐに放置。真面目に生理不順と向き合ってこなかったのですが……。 生理不順の自分を「ラクでいいや…」と思っていた20代前半まだ結婚や出産が現実的ではなかった20代前半の私は、生理のことを疎ましく感じていました。むしろ、生理不順で、生理がちゃんとこない自分をラクだと思っていたぐらいです。 時折、婦人科を受診して生理不順の治療をしようとしたこともありましたが、当時は仕事が不安定だったことと、「生理がちゃんとくるのも煩わしいんだよな……」という思いがあり、勝手に中断。真面目に治療する気がないのに、それを医師に悟られたくないという思いもあり、あちこちの婦人科に通院してはやめ、通院してはやめを繰り返していました。 病院で婦人科系疾患を診断されるもそのまま放置そんな不真面目な気持ちで受診していたある婦人科でのことです。 その婦人科では、多嚢胞性卵巣症候群であると診断され、「ちゃんと排卵ができていないようです。妊娠したいと思ったときは苦労するかもしれませんよ」と、医師に言われたのです。 しかし、将来のことなど頭になく、当時パートナーもいなかった私は、そう言われても真剣に治療するには至らず、「そうなんですね」と気のない返事をするだけ。その日のうちに生理と思われる出血がみられたこともあって、処方された薬も飲まずに放置し、また不順な日々を過ごしてしまいました。 20代後半でようやく生理不順と向き合う仕事が安定してきた20代後半、ようやく将来のことを考えられるようになった私は、やっと真面目に生理不順の治療に取り組む気になりました。 漢方治療に2~3年、病院を替えて低用量ピルの服用を1年続けましたが、生理不順は改善しません。気づけば30歳過ぎ。このころには結婚をしており、出産も考えていました。 よくなる兆候がみられないなか、思い出したのが、以前診断を受けた多嚢胞性卵巣症候群のこと。「もしかして……」と生理不順の治療をやめて、不妊治療をおこなっている病院を受診。やはり多嚢胞性卵巣症候群であったことがわかり、すぐに治療を開始しました。 いろいろな婦人科を受診しましたが、多嚢胞性卵巣症候群と診断されたのはあのときだけ。結果的に、この診断が治療への足掛かりとなりましたが、多嚢胞性卵巣症候群と診断されたときにちゃんと治療をしていれば、その後、生理不順で苦労せずに過ごせただろうと思うと、放置してしまったことを後悔しました。 若いときは煩わしく思える生理も、子どもを産むためには大切なもの。出産にはどうしても年齢制限があるので、生理不順の場合は、面倒くさがらずにしっかりと治療をすることの大切さを知りました。 私と同じような過ちや苦労をする人が少しでも減ればと、今は職場の若い子に自分の経験を話しながら、検診を積極的にすすめています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように! 監修/助産師REIKO----------文/加藤まなびさん
2021年05月28日この漫画は書籍『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』(原作・藍原育子/漫画・内野こめこ)の内容から一部を掲載していきます(全8話)。■前回のあらすじがんは、粘液がんという乳がん全体の約3%ほどしかない珍しいものであるということがわかりました。先生からは温存手術を勧められたのですが…。乳がん再建の会に参加し、目の当たりにした現実。夫婦で治療法を話し合うも、がんは自分だけの問題ではなく、家族の進む道さえも変えてしまう病気なのだと痛感したのでした。次回へ続く 『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』 原作・藍原育子/漫画・内野こめこ(KADOKAWA)¥1,320(税込) 健康系記事を書くライターが乳がんに罹患。婦人科系の病気について多数の記事を取材・執筆してきたが、いざ自分が患者になってみるとまったく違う世界が待っていた。その戸惑いと苦しみ、そして家族と共に元の生活を再生していく姿を、包み隠さず明らかにした一冊。乳がんは退院すれば終わりではなく、患者とその家族にとっては「退院こそが始まり」、育児・仕事・闘病、戦いつづけた 5年間の軌跡を、患者本人の原作&内野こめこさんの作画でコミックエッセイ化した注目の書籍。
2021年03月04日この漫画は書籍『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』(原作・藍原育子/漫画・内野こめこ)の内容から一部を掲載していきます(全8話)。どんな人でも罹患する可能性があるがん。健康系雑誌ライターとして知識もあり、人一倍気を使い、毎年検診も欠かさなかったのに…。これからどうなっていくのか、不安ばかりが募ります。次回へ続く 『がんの記事を書いてきた私が乳がんに!? 育児があるのにがんもきた』 原作・藍原育子/漫画・内野こめこ(KADOKAWA)¥1,320(税込) 健康系記事を書くライターが乳がんに罹患。婦人科系の病気について多数の記事を取材・執筆してきたが、いざ自分が患者になってみるとまったく違う世界が待っていた。その戸惑いと苦しみ、そして家族と共に元の生活を再生していく姿を、包み隠さず明らかにした一冊。乳がんは退院すれば終わりではなく、患者とその家族にとっては「退院こそが始まり」、育児・仕事・闘病、戦いつづけた 5年間の軌跡を、患者本人の原作&内野こめこさんの作画でコミックエッセイ化した注目の書籍。
2021年03月02日日本は世界で最も体外受精の実施件数が多いのに、1回の採卵あたりの出産率は世界最下位―2016年に国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉が世界60ヵ国を調査したレポートからわかったのは、衝撃的な現実でした。そうしたなか、2020年の菅内閣誕生で不妊治療の保険適用が動き出すなど、不妊治療への世間の注目はますます高まっています。 しかしショッキングな現実が明らかになったものの、決して日本の不妊治療の技術すべてが劣っているわけではありません。赤ちゃんを望む人が赤ちゃんと出会える世の中になるために、日本の不妊治療の仕組みは、一人ひとりの意識はどうすべきなのか? 日本における顕微授精の草分け的存在の浅田レディースクリニック理事長・浅田医師にお話を伺いました。 出産率6.2%、日本の不妊治療の実態日本の体外受精の出産率は世界最下位―その裏付けとなるのは、ICMARTが発表した下記のレポートです。 ※ICMARTが2016年に発表したレポートより、2010年の60ヵ国・地域のデータから抜粋して作成。顕微授精、体外受精を合わせた数値。参考:『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(講談社ブルーバックス 著:浅田 義正、河合 蘭) 浅田医師(以下、カギカッコはすべて浅田医師の発言):「日本の体外受精からの出産率は、世界でダントツの最下位なんです。採卵件数に対しての出産率が非常に低く、1回の採卵あたりでは出産率6.2%。これは、世界平均20.1%の3分の1にも満たない数値です」 なぜ、日本の不妊治療はこんなにも成績が悪いのでしょうか。その理由は2つ考えられると、浅田医師は語ります。 「まずはそもそも晩婚化が進み、不妊治療を始めるタイミングが遅く、卵子の老化が進んでしまっているからです。もうひとつ、世界では推奨されていない『自然周期採卵』を推奨する風潮も原因だと考えられます」 自然周期採卵とは、体外受精において排卵誘発剤を使わずに採卵する方法。日本ではこの自然周期採卵を“体にやさしい”として推奨するクリニックも多いのです。 しかし浅田医師は「体外受精で自然周期採卵を推奨するのは日本だけ」だと語ります。 「イギリスの不妊治療に関するガイドラインでは、自然周期採卵を患者に勧めてはいけない、とはっきり書いてあるんです。統計的に排卵誘発剤を使って複数の卵子を採卵したほうが妊娠しやすいことは明らかな一方、自然に排卵する卵子はたった1個しかないんですから」 こうした現状を招いてしまうのも、「クリニックごとにバラバラな治療実態」が問題だと浅田医師は指摘。「医師としては、クオリティや品質が統一された生殖医療システムを作っていかなければならない」と語ります。 菅内閣が打ち出す不妊治療の保険適用の課題とは世界と比べ不妊治療の成績が芳しくない現状があるなか、2020年には菅内閣が誕生し「不妊治療の保険適用」が表明された日本。このことについて浅田医師はどう考えているのでしょうか。 「患者さんの費用負担が減ることについては、私は大賛成です」としながらも、課題は多いと語ります。 「まずは不妊治療で現状使用している薬剤や機械を保険適用にするために、治験や手続きのための莫大な時間と費用がかかる点です。 保険適用にするためには使用する薬剤の承認を得ることが必要で、たとえ『明日から体外受精を保険適用にします』ということになっても、保険適用で使用できる薬剤がほとんどなく、事実上治療ができない非常事態になってしまうんです」 さらに、現状の薬が無事に保険適用の承認を得られても、「今後新しい薬が出るたびに承認を得なければならず、不妊治療の技術の進歩に保険が追いつかなくなる可能性もある」と指摘します。 しかし課題がある一方、先ほど問題点として挙げられた「クリニックごとのバラバラな治療実態」については改善が期待されると言います。 「保険適用の過程で、クリニックごとの成績開示の必要性が生じれば、施設のレベル統一につながる可能性もあります。アメリカではクリニックごとの妊娠率・出産率はすべて公開されていますが、日本では日本産婦人科学会に登録して成績を全部出しているクリニックもあれば、登録すらしていないクリニックもある。 今まではこうした現状を議論する場もなかったので、実態が明らかになったのは一歩前進だと思います」 家族を考える、すべての人に伝えたいこと体外受精の成功率が世界最下位というショッキングな現状がありつつも、不妊治療の保険適用をきっかけに制度が見直されつつある日本。枠組みが変わろうとするなか、個人としてはどのような意識を持てばよいのでしょうか。 実際に不妊治療をおこなうカップルはもちろん、不妊治療についてあまり知らない方も含め、将来的に赤ちゃんを迎えたいと願うすべての人に対し、浅田医師からこのようなメッセージがありました。 「まずは正しい知識を持ってほしいですね。妊娠するための女性の体の仕組みや、卵子の老化について。また、今回お話した世界と比較した日本の体外受精の成績や、自然周期採卵を推奨しているのは日本だけ、といったことを知っていれば、どういった方針を持つクリニックに行くべきなのかも判断でき、誤った情報にもまどわされないと思います」 不妊治療というものが日本でも制度から見直され始め、大きな一歩を歩み始めた今。 この時代のうねりのなかで、不妊治療に関する正しい知識を男女問わず世の中の人が当たり前に持ち、制度と意識の両方が変われば日本の不妊治療の成功率も大きく変わるはず。そして赤ちゃんを望む人が赤ちゃんと出会える、そんな世の中になっていけると願っています。 監修者:医師 浅田レディース品川クリニック院長 浅田義正先生名古屋大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として「不妊外来」および、「健康外来(更年期障害・ホルモン補充療法)」の専門外来を担当後、米国初の体外受精施設に留学。主に顕微授精(卵細胞質内精子注入法:ICSI)の基礎的研究に従事。95年に名古屋大学医学部附属病院分院にてICSIによる治療開始。顕微授精症例の全症例を担当し、同年5月、精巣精子を用いたICSIによる日本初の妊娠例を報告。98年ナカジマクリニック不妊センター開設。2004年浅田レディースクリニック(現・浅田レディース勝川クリニック)開院。10年に浅田レディース名古屋駅前クリニック、18年には浅田レディース品川クリニックを開院。多くの不妊に悩む女性と日々向き合っている。『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』(ブルーバックス、講談社)など著書も多数。著者:ライター 平 理沙子Webライター。ITスタートアップ企業での広報なども経験あり。東京大学卒業後、新卒で娘を出産した一児の母。フェムテックやジェンダー、現在在住するシンガポール情報などを中心に執筆活動をしている。
2021年03月01日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2021年02月14日何もかも手探り状態で始めた不妊治療ですが、小さな疑問や不安が少しずつ大きくなっていきました。自分たちに合う治療・病院とはなんだろうと考え続けても、答えが見つかりそうにない時期が続き、約2年が経過していました。 最初の転院原因が特定されないままに始めた不妊治療のため、タイミング療法をずっと続けていました。ただ、時間が経つにつれ、通院当初は気にならなかった片道約1時間の通院時間も負担に感じ始めました。今までの生活リズムも徐々に狂い、夫婦間の衝突も次第に増えていった結果、自宅から15分くらいで通院できる病院に転院することにしました。 次の病院は、地元では有名な不妊治療専門院に決めました。そこは院長先生がメディアにも度々露出して有名なので人気もあり、治療費も今までの病院と比べて割高でした。 毎週診察があり、1回の診察で約1万円、人工授精で約2万円、何かイレギュラーな診察があると、また数万円といった費用がかかりました。しかし、通院時間短縮や妊娠確率が上がるならと思い、その病院へ通院することにしました。 精神的な余裕がなくなっていった有名な病院だけあって、事前に大きな会場でいろいろな分野の先生から説明があり、大学のセミナーのような規模でした。ただ、ここでの説明は、私の予想と反して確率やリスクといった現実的な話ばかりでした。 私は、妊娠・出産は非常に神秘的で尊いものだと考えていたので、先生たちの生物学的な話が妊娠に対する神秘から離れていくように感じてどうしても受け入れられませんでした。うれしいはずの妊娠を前に、どんどん自分のなかに暗く不安なものを感じ始めました。 今思えば、2年続いた不妊治療でのストレスの結果、私は精神的に余裕がほとんどなく、自分本位の考え方になっていたのかもしれません。 ゴールが見えない不安の連続の毎日精神的な不安に加え、なかなか結果が伴わない状態が続いたため、この病院での治療は順調には進みませんでした。それでも、なんとか子どもを授かりたいという思いから通い続けていたのですが、2年の通院期間が過ぎたあたりから、この病院に対して不信感が芽生え始めました。 治療費だけがかさんでいき、いつまで経っても結果が出ないため、「病院側はきちんと治療しているのか?」と、病院に責任があるようにも感じ始めていました。さらに私自信の被害妄想は膨れ上がり、院内で笑い声が聞こえるたびに自分が笑われているのではないかと感じるほど、精神的に滅入っていました。 次の段階の治療へ治療内容は、この病院をきっかけにタイミング療法から人工授精へと変わっていました。医師の説明だと、治療法で飛躍的に確率が上がるわけではないと念を押されていたのですが、現状を変えたい、少しでも確率が上がるのでは、という思いで挑戦しました。 人工授精は、私の負担もさらに増大します。その病院では、朝6時に精子を病院に持ち込まなくてはなりません。そのため、不妊治療にかける時間も一気に増えました。病院によると思いますが、禁欲はもちろん、食生活から運動まで、いろいろと指示があり、妊娠のためと理解しているつもりでしたが、毎日が楽しめなくなってきていました。 自分たちが若くないため、育児できる体力や経済力を考慮すると、時間がないことが一層焦りを生んでいました。さらに、治療に時間がかかるほど経済的負担も大きくなっていくことも不安要素の原因にもなっていきました。 次回は2回目の転院・抱えていたプレッシャーについてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama監修/助産師REIKO 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2021年02月12日昨年、40歳のときに初期の乳がんが見つかり、部分切除の手術をしました。術後の検診で、私の場合は女性ホルモンが影響してがん細胞が増殖することが判明。薬で女性ホルモンを抑える治療をおこなうことになりました。しかし、急に女性ホルモンを抑えたことから、更年期障害が始まったのです。乳がんの治療として始まったホルモン療法私の乳がんは、女性ホルモンを栄養源として増殖するタイプのがんでした。そのため、医師に「がん細胞の増殖を防ぐには女性ホルモンを抑える治療が有効です。しかし、この治療をすると子どもを授かることはできなくなります。お子さん、もっと欲しいという希望はありますか? 」と聞かれました。そのとき私にはすでに2人の子どもがいたので、ホルモン剤での治療をおこなうことに迷いはなく、治療を開始しました。現在は3カ月に1度下腹部への注射を受け、毎日1錠の薬を飲んでいます。10年スパンの治療で、その間に閉経したら注射は必要なくなり飲み薬だけの治療に切り替わるとのことでした。予期しなかった更年期障害の始まり治療を開始して3カ月ほどたったころから、体に違和感を覚えるように。はじめは手の関節の痛みだけでしたが、首の痛み、膝の痛みと徐々にあちこちの関節が痛むようになりました。また、体がだるくて思うように動けなかったり、夜眠れなかったり、ほてりを感じたりすることも増えてきました。がん治療をおこなってくれている医師に相談したところ、女性ホルモンを抑える治療により更年期障害が急に出たのだろうとのこと。薬の副作用ではあるけれどもがんのことを考えると治療をやめるわけにはいかないので、少しでも痛みを緩和させるために整形外科を受診するようにと促されました。しかし、紹介を受け整形外科で治療してもらっても、痛みは一向に良くなりません。痛み止めを飲んだり湿布を貼ったりしているときだけは痛みから解放されるものの、時間がたつとまた痛みが戻ってしまい、その場しのぎでしかありませんでした。まとめ更年期障害は加齢による仕方のないものと思っていましたが、実際自分の身に起こるとあまりの不調に驚くほどでした。特に私の場合はホルモン療法のせいで予想以上に早く更年期障害が起こってしまったので、本当に戸惑いました。更年期障害の症状を和らげるサプリメントや漢方薬などもあるようなので服用について医師に相談しながら、更年期障害を乗り切っていきたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※がんの治療中、サプリメントの使用は主治医に確認してください。
2020年12月17日不妊治療は、精神的にも時間的にも経済的にも大変なもの。私の場合、まずは地元の産婦人科に通い、そこから大きな病院に転院しました。通院自体も大変なうえに服薬に複数の検査……。しかし、その終わりが来たのは突然でした。そんな私の不妊治療体験談をお伝えします。 赤ちゃんはそのうち授かるものだと思っていた…結婚3年目にして赤ちゃんを授からない私に、母が「それは不妊だよ」と言いました。当時、恥ずかしながら私自身は焦ってもおらず、のんびりと構えていたのですが、このことを機に少し考えるようになりました。 そこで、地元の産婦人科へ行ったのが不妊治療の始まりでした。最初はタイミング療法で「問題がなければすぐにできる」と言われたものの、結局半年経っても赤ちゃんを授かりませんでした。そして、医師に「うちよりも検査が充実した病院に行ったほうがいいね」と、地元で一番大きな病院を紹介されたのです。 通院と検査と服薬の日々不妊治療専門の病院に毎月車で通い、タイミング療法に加えて、私と夫の生殖機能検査、毎月の服薬に卵巣の確認、人工授精……。これらを何度か実施しましたが、半年以上経っても、一向に赤ちゃんを授かる気配がなく、少し疲れてきたころでした。 医師から「子宮卵管造影検査をしてみないか」と打診を受けて、これを実施。しかし、その直後も妊娠はできず、ゴールの見えない治療にあきらめかけ、熱心に取り組めなくなってしまいました。 久しぶりの“治療をしなかった”月に通院している病院が諸事情で1週間ほど休診になったことがあるのですが、折しも私のスケジュールとぴったり合致してしまい、そこで久々の「服薬も検査も何もしない月」ができてしまいました。 次の通院のために記していた基礎体温がなかなか下がらず、まさかと思って妊娠検査薬を用いてみたところ、なんと陽性! そのときに宿ってくれた赤ちゃんは、結果、私たちの子どもとして生まれてきてくれることになったのです。 とはいえ、私としては治療が無意味だったわけでなく、服薬や基礎体温の管理で「妊娠しやすい体」になっていたのかもという印象でした。そして、久々の「服薬も検査も何もしない月」に、気負わずリラックスしていたこともよかったのかもしれません。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:半田あきら一児の母で専業主婦。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2020年11月02日今年の初め、全額自己負担の乳がん検査を受けました。昨年母に乳がんが見つかって手術を受けたとき、医師に「娘さんも一度しっかりと調べると良いかもしれませんね」と言われたのがきっかけです。終わったあとで受けてよかったと思ったので、そのときの様子をご紹介します。医師やスタッフもすべて女性という安心感母に乳がんが見つかったことで、もうすぐ50歳になる私も医師から総合的な乳がん検診をすすめられました。私は企業に属しているわけではなく、普段は住んでいる自治体の乳がん検診を受けています。ただ、そこでは問診とマンモグラフィのみで少し不安だったので、一度全額自己負担で個別の総合検査を受けることに決めました。事前になんの情報も持っていなかったので、まずはネットで検索を開始。すると、すぐに「医師やスタッフもすべて女性」という文言が多く目に入ってきました。乳がん検診という特別なシチュエーションのなかで、自分にとってこれは安心できる要素の1つだと感じました。また、検診する場所について病院や個人クリニックのような場所を想像していたのですが、総合健診センターが多いようでした。母のこともあり、最初は病気の発見や手術のことばかりが頭に浮かんで怖さを感じていましたが、掲載画像を見るととても明るくてリラックスできそうな印象の場所が多く「これなら行ってみたいかも!」と興味がわいてきました。申し込みはオンラインで手軽に完結最終的に決めたのは、乳がん対象の腫瘍マーカー検査(血液検査)、マンモグラフィ検査、超音波検査(エコー検査)、視診、触診という検査内容で、費用が16,500円のコースです。オプションで骨粗しょう症検査や甲状腺検査などをプラスすることも可能でした。氏名・住所・電話番号等の連絡先を記入して、申し込みは終了。すべてオンラインで完結できる手軽さがよかったです。その後は、申し込み時に記入したメールアドレスに問診票サイトのアドレスが届き、自分と家族の婦人科系の既往歴や質問したいことなどを書き込みました。問診票に関してもすべてオンラインでおこなえるので本当にラクでした。特に今回の場合、申し込みが年末で、検診日が年始という特に忙しい時期でしたので、こうした煩わしさの少ない方法はとても助かりました。明るく、落ち着いた空間でリラックス検診当日、受付を済ませると、更衣室のロッカーの鍵が付いたバーコードと自分の番号を受け取り、そこからは常にバーコードと番号での管理が続きました。通された待合室はとても広い空間で、所々に観葉植物やアクアリウムがあったり、さまざまな雑誌が置いてあったりして、まるでエステサロンの待合室のようでした。また、その待合室にはいくつもの電光掲示板があり、自分の番号とともに次に行くべき部屋が掲示されています。検査室に入るとバーコードをスキャン後に検査が始まり、1つが終わると再び待合室で待機です。各検査室は待合室をぐるっと囲むように配置してあるので動線に無駄がなく、とても合理的だと思いました。すべてがスムーズに進行することと、どのスタッフも非常に親切でゆっくりわかりやすく説明してくださっていたことがとても印象的でした。すべての検査が終わると今度は待合室の一角にあるテーブル席に呼ばれ、お茶とお菓子をいただきました。最後にその日の検査結果や気になった箇所などを医師が伝えてくださるので、その順番を待つためです。最終的に、今回は無事なんの問題も見つからなかったと告げられ、私の初めての全額自己負担の乳がん検査が終わりました。まとめ検診ということで意味もなく怖さを感じていた私でしたが、今回のことでそのイメージが覆されました。何より清潔で落ち着いた雰囲気と、スタッフの方々の丁寧な対応がよかったです。1時間半ほどかかりましたが、終了後には美容院帰りのような、エステに行ったあとのような、ポジティブでウキウキするような気持ちになっていました。費用はかかりましたが、なんの問題もなかったことで母も安心してくれましたし、もちろん私の不安も取り除かれたので、本当に行ってよかったと思いました。1週間後に送られてきた結果報告書をお守り代わりに、今後もきちんと検診を受けながら自分の体を大切にしていきたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2020年09月23日いつかは受けるものだとわかっているけど、まだいいかと思いがちな乳がん検診。どんな人が、どんなときに必要なの?自分でもチェックしたほうがいいって本当?検診デビューの前に予習しておくと安心です。9人に1人がかかる、実は身近な病気。早期発見で治るからこそ検診がいちばん大切。私たち女性がかかる可能性の高いがんといえば乳がん。割合にすると、がんを患った女性のうち、約2割が乳がんに罹患している(2014年の全国がん罹患モニタリング集計より)。「年々増加傾向にあり、最新の統計によれば、日本人女性の9人に1人が生涯のあいだに乳がんを発症するというデータも」こう話すのは、個人診療の乳がん検診にも対応している乳腺専門医の尹玲花先生。乳がんは、乳房の中にある乳腺に発生する悪性腫瘍。比較的進行がゆっくりなので、早期に発見できれば治る確率が高くなる。となると、なんといっても検診が頼みの綱だ。乳がんや検診についての基本的な知識は、もはや知っていて当然、現代女性に必須の常識といえそう。まだ検診を受けたことがない人も、実はよくわからないまま受けてきた人も、正しくアップデートしていこう。若いときに検査をしても発見されない家族歴がなければ30歳までは検査不要!若いうちはマンモグラフィなどの検診を受けなくていい、という噂は本当だろうか?「はい。一般的には30歳までは検診の必要がありません。理由としては、そもそも発症リスクが低いこと、乳腺が発達しているためマンモグラフィでがんを見つけにくいこと、若い人ほど放射線による被曝の影響を受けやすいことなどがあります」もちろん例外もある。母、姉妹、祖母、おば、従姉妹で乳がんにかかった人が1人でもいる=家族歴がある場合は、20代であっても検診を受け始めよう。「遺伝性乳癌卵巣癌症候群という遺伝子の異常によって、乳がんになりやすい体質の人が日本にも一定数いることがわかってきました。該当する人は、一生のうちに乳がんを経験する可能性が約80%あるといわれるので、もし家族歴があれば、若くてもぜひ受診してください」費用は受ける方法によって変わる。若いうちに受けるなら個人検診の一択。費用が安いのは自治体が行う住民検診や会社での職域検診。住民検診は40歳以上の女性が2年に一回受けられるもので、職域検診も、会社によって異なるが原則40歳以上が対象。つまり、20~30代は個人検診を受けることになる。個人検診は費用がかかる分、気になる症状について個別に専門医に相談しつつ診察してもらえるのがメリット。マンモグラフィと超音波、触診というすべての検査を1日で受けられ、その場で結果がわかるのもうれしい。すでに何らかの自覚症状がある場合は個別に受診しよう。住民検診市区町村が行う検診。40歳以上の症状のない女性が、2年に一度マンモグラフィ検査を受診できる。自治体ごとに費用や期間などが異なるので、自分の住んでいる市区町村のHPなどで確認しよう。無料~3000円ほどと費用面のメリットはあるが、超音波検査は受けられないので注意。職域検診事業者(会社)が行う検診。健康診断の一つとして、40歳以上の女性が原則として2年に一度受診できる。マンモグラフィ、超音波検査の両方を受けられる会社もあれば、どちらか一方を選ぶ会社も。オプションとして費用の一部を自己負担する場合など、充実度はまちまち。個人検診自分で施設を選んで受診する検診。健康保険が使えないため費用は全額自己負担になり、マンモグラフィと超音波検査のどちらか一方で5000~1万円弱。両方では1万円台が目安。年齢やタイミングにかかわらず受診でき、気になる症状があれば専門医に個別に相談できる。尹 玲花先生乳腺専門クリニック「mammaria tsukiji」院長。聖路加国際病院で10年にわたり乳腺診療に携わり、クリニックを開業。※『anan』2020年9月16日号より。イラスト・中根ゆたか取材、文・黒澤 彩(by anan編集部)
2020年09月09日「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」と診断され、不妊治療を開始しました。仕事と不妊治療の両立はとてもストレスがかかるものでしたが半年で妊娠確定、しかし……。 不妊治療の末、妊娠検査薬で陽性反応!私は結婚したのが34歳だったので、年齢的にすぐに妊娠できるか不安がありました。不妊治療をしていた友人の助言を受け、不妊検査を受けてみると「多嚢胞性卵巣症候群」と診断されました。不妊の原因にもなる病気なので、そこから不妊治療を開始することに。 治療開始から半年、通院している私と受け身な夫との感覚の差にイライラし、仕事と不妊治療の両立に限界を感じていました。そんなときに妊娠検査薬で陽性反応が! 夫婦で手を取り合って喜びました。 喜んだのも束の間…妊娠検査薬で陽性反応が出たのでさっそく病院へ。ところがまだ妊娠4週目。胎嚢は確認できましたが、胎児心拍は妊娠6週目ころになってからとのこと。このときは何の不安もありませんでした。しかし、妊娠6週目になっても妊娠7週目になっても胎児心拍が確認できず……。 妊娠9週目まで様子を見てもらいましたが、残念ながら稽留流産と診断されました。喜びから1カ月も経たないうちに、地獄に突き落とされた気分でいっぱいに。痛みもまったくなく、なぜダメだったのか?ばかり考えて泣いて過ごす日々でした。 悲しみと不安だらけの掻爬手術次の妊娠を少しでも早く考えているなら、掻爬手術(そうはしゅじゅつ)をしたほうがよいと先生からすすめられました。悲しみと手術の不安で当日はボロボロ涙が出るばかり……。夫も心配してくれて仕事を休んで付き添ってくれました。 手術をする前は、痛さや怖さを想像して不安だらけ。しかし、麻酔で眠っているので痛さは感じず、いつ終わったかもわからないうちに終了していました。目が覚めたときには、病室のベッドの上。術後の痛みもあるのかと不安でしたが、特に痛みはなかったです。 子どもが欲しくてつらい不妊治療に通っていたので、流産を知ったときは絶望的でした。引き続き、不妊治療に通いながらも自分を責めて泣いて過ごす日々でしたが、掻爬手術から2カ月半後、新たな命が私のおなかに戻ってきてくれました。あの経験があったから、戻ってきてくれたわが子がより愛おしく大切にしたいと感じられるんだと感謝しています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:桜井りこ1女の母。服飾パタンナーを経て、現在は化粧品会社時短勤務。不妊治療からの妊娠。美容・コスメ・健康系と合わせ、自身の体験をもとに、妊娠・子育てに関するライターとしても活動中。
2020年08月30日◆SPLASH DESIGN MEDICAL WIG◆「SPLASH DESIGN MEDICAL WIG」は、ご予算やご希望に合うウィッグ選びをお手伝いし、確かな技術でファッション性の高いものに仕上げます。ウィッグの価格帯に関係なく、自分らしく輝くデザインをご提案。治療後のヘアケアなどのアフターサービスもいたします。あなたも周りも「いいね」と感じ、ウィッグでいつもと変わらず心地良く過ごせるように◆治療後のアフターケアについて◆似合うウィッグをおつくりするだけでなく、健康な自毛で生活できるまで日まで安心しておまかせ下さい。出来るだけ早い期間で自毛デビュー出来るお手伝いをさせて頂きます。●知識が豊富な現役美容師による再生毛カット生え始めは髪質が以前と違う事が多いです。クルクルのくせ毛になったり、一部分だけ伸び方が遅いことや早いこともあります。普通では少し難しい髪でも、今一番素敵な髪型へ、バランスをみながらデザインしてしていきます。●頭皮に優しい薬剤で叶える安心・安全カラーヘアカラーを楽しんで頂けるように、低刺激の優しい薬剤を使用し、地肌に薬剤が触れないような、特殊な塗布方法で染め上げます。髪質に合わせ薬剤を調合。最後は治療後の敏感な頭皮に薬剤を残さないよう、特殊なシャワーヘッドで洗浄します。●髪質に合わせてレシピを調合する縮毛矯正トリートメント成分が多く入ったストレートの薬剤でくせの強さによって薬の強さを変えていき、細くクルクルなくせ毛を傷ませることなく、ペタンとなりすぎることなく、自然なスタイルに仕上げていきます。◆外見ケア(アピアランスケア)も行っております◆SPLASHは、美容のプロとして培った技術と実績を持ち、外見ケアをきちんと理解したスタッフがいるサロンです。脱毛、肌や爪のケア、シミや色素沈着のカバー、メイクアップの施術はもちろん、ご自宅で行うケアのアドバイスもします。外見ケアに精通した美容のプロが寄り添い、ケア方法を伝え、メイクアップもいたします。▼幅広いお悩みに対応します・スキンケア(乾燥・シミ・色素沈着・紫外線対策)・ネイル(変形・変色・乾燥)・脱毛(眉毛・まつげ・頭髪・自毛デビュー)・ウィッグ(選び方・つけ方・お手入れ方法)がんと闘うなかで、外見の変化と向き合うあなた。治療で変わった見た目に自信をなくしたなら、どうケアしていいか悩んでいるなら、SPLASHにご相談ください。◆個室もご用意しております◆当店では個室をご用意しております。【SPLASHのHPも是非ご覧くださいませ】◆医療用ウィッグ◆アピアランスケア名古屋市北区の美容室SPLASH(スプラッシュ)【SPLASH】〒462-0807愛知県名古屋市北区御成通2-18 クレド御成通1F地下鉄名城線「平安通駅」徒歩3分■営業時間平日 10:00~18:30(パーマ・カラー)10:00~19:00(カット)土日祝 9:00~17:00(パーマ・カラー)9:00~18:00(カット)■TEL予約専用: 050-3759-1883■定休日月曜日 第2、第3火曜日■駐車場店舗前3台有り
2020年08月25日「標準治療を敬遠する人は多い。しかし標準治療こそ最善のがん療法なのです」。がん治療の権威はそう語る。まったくアテにならない治療に飛びつく前に、ご一読をーー。「免疫細胞療法やビタミンC療法といった自由診療での療法、そして健康食品やサプリメントによる民間療法……。これらの療法には、がんを縮小させたり延命効果を示したりする効果はありません。ところが日本では、医師さえも、民間療法や自由診療を“効果抜群”とうたっている人がいるのです。そのような“トンデモ療法”を選択してしまい、適切な治療のタイミングを逃す患者さんが後を絶ちません」そう語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんだ。抗がん剤治療のパイオニアとして知られる勝俣さんは、“トンデモ療法”を信じたため、治療が手遅れになってしまった患者を多く見てきたという。「がんの治療法を、インターネットでやみくもに検索することは、そういった被害に遭うリスクを高めることにもなります。とくに日本では、標準治療を否定して、特定の商品を薦めるような怪しいウェブサイトが上位に表示されるケースが多い。私が5種類のがんを検索し、それぞれ上位20のウェブサイトを調べたところ、信頼できるサイトは1割しかありませんでした」(勝俣さん・以下同)がん治療についての情報はたくさんあるが、効果が期待できる正しい情報とそうでない情報が混在している。これを見分けることができれば、誰も騙されないことはわかりきっているのだが……。「がんと診断されれば、誰でも大きなショックを受け冷静さを失ってしまいます。ゆえに、まったく治療効果がない“トンデモ療法”に飛びつきやすいのです。“自分は大丈夫だろう”と思い込んでいる、教育レベルや収入が高い人ほどこの傾向が見られます」そこで、“トンデモ療法”を見分けるポイントを勝俣さんに解説してもらった。■保険が利かない、高額な治療法を勧めている「まず言っておきたいのは、がんと診断されたら“標準治療”を受けることが最善だということ。これは3大治療といわれる『手術』『放射線治療』『抗がん剤治療』のいずれかです。標準治療は、世界中で最も効果が確認されている最高の治療法だからこそ、保険適用によりコストが抑えられているのです。いっぽう、自由診療は有効性が証明されていない不確かな治療法がほとんどであることが問題です」“○○療法は保険適用外の自由診療となりますので、治療費は自費負担です”という文言が載っていたら注意。「一般的に自由診療や民間療法は標準治療より高額ですが、“料金が高いほどよい治療が受けられる”というのは問題です」■「どのがんにも効きます」とうたっている「がんの3大治療は、世界中で使われている治療法ですが、どれか1つの治療法がすべてのがんに効くというわけではありません」例を挙げると、放射線治療は前立腺がんにはよく効くが、胃がんにはあまり効き目がないと勝俣さんは語る。「抗がん剤治療でも、1つの薬がすべてのがんをやっつけることはありません。がんといっても、それぞれ性質が違います。すべてのがんに効く治療法など、“ありえない”のです」がんは、2人に1人がなる病気。“トンデモ療法”によってかえってがんが進行し、手遅れになることは人ごとでない、と勝俣さん。「抗がん剤治療は、いまだに『効かない』『体がボロボロになる』という誤った情報を信じて、拒否する人が少なくありません。それでみすみす命を失っている人も、たくさんいるのです」「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年07月01日「5月7日、『レムデシビル』が新型コロナウイルスの治療薬として厚生労働省から承認されました。同薬は、日本国内で初めての承認治療薬になります」こう話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。安倍晋三首相は4日、かねてより治療薬の候補として注目されていた抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、「今月(5月)中の承認を目指す」と言及した。それに先んじて、レムデシビルが承認されることとなった。「アビガンは日本の富士フイルム富山化学が、レムデシビルはアメリカのギリアド・サイエンシズ社が開発したもの。アメリカ発のレムデシビルが先に日本で承認されたのは、アメリカが急ピッチで治験を進め、5月1日には同国で治療薬として承認された影響が大きいと思われます」(村田さん)ゆくゆくアビガンが承認されたとしても、薬としての違いや効果、副作用などわからないことも多い。そこで、感染抑制の専門的知識を有する高知大学名誉教授で高知総合リハビリテーション病院院長の小川恭弘さんに、アビガンとレムデシビルについて解説してもらった。【アビガン】「もともとは『新型または再興型インフルエンザウイルス感染症』の治療薬です。日本で開発されたうえに、臨床研究で使用した患者さんの『8割が改善した』とされています」(小川さん・以下同)同薬については、開発者である富山大学名誉教授・白木公康さんが本誌(5月5日号)に『中国で行われた臨床試験では、“発症6日目まで”に使用することで重症化を阻止できた』と強く解説した。つまり、この薬は感染の初期症状への投薬によって効果を発揮するものだという。小川さんは同薬の治験の現状についてこう続ける。「薬の安全性を判定する『フェーズ1』に続いて、アビガンを使う患者さんのグループを無作為に分けて治療薬効果を比べる『フェーズ2』の治験が始まったばかり。データはまだまだ集めるべきです」【レムデシビル】今回承認されたレムデシビルは、もともと「エボラ出血熱」の特効薬として研究されていたが、アメリカを含め各国で新型コロナウイルスの症状にも有効性を示すとするデータが多く出ている。「しかし、この薬は腎不全などの副作用を起こす頻度が高いため、まだまだ発症初期の患者さんに処方される薬とはならないでしょう。国内ではあくまで『人工呼吸器の装着が必要な重症患者』などに限って使用されるはずです」前出の村田さんは、これらの“期待の治療薬”について、次のように話す。「いずれも、コロナへの治療薬として服用するには、PCR検査を経て感染が判明していることが大前提です。“あ、コロナに感染したかも”と思っても、検査を受けなければ容易に手に入るものではありません。まずはPCR検査の拡充が求められますが、いまの時点で私たちにできることは、落ち着いて電話相談できる“かかりつけ医”を持つことです」「女性自身」2020年5月26日号 掲載
2020年05月14日「5月7日、『レムデシビル』が新型コロナウイルスの治療薬として厚生労働省から承認されました。同薬は、日本国内で初めての承認治療薬になります」こう話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。安倍晋三首相は4日、かねてより治療薬の候補として注目されていた抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、「今月(5月)中の承認を目指す」と言及した。それに先んじて、レムデシビルが承認されることとなった。「アビガンは日本の富士フイルム富山化学が、レムデシビルはアメリカのギリアド・サイエンシズ社が開発したもの。アメリカ発のレムデシビルが先に日本で承認されたのは、アメリカが急ピッチで治験を進め、5月1日には同国で治療薬として承認された影響が大きいと思われます」(村田さん)承認を待つ新型コロナウイルスの治療薬候補はまだまだある。そこで、感染抑制の専門的知識を有する高知大学名誉教授で高知総合リハビリテーション病院院長の小川恭弘さんに、アビガンとレムデシビル以外の「新型コロナの治療薬」候補について解説してもらった。【イベルメクチン】「北里大学の大村智特別栄誉教授が、’15年にノーベル医学生理学賞を受賞した“虫下し”の薬。アメリカのユタ大学で新型コロナウイルス感染症の患者さんに使用したところ、使用しない場合に比べて死亡率が6分の1に低下したとされています」ウイルスの増殖を抑える効果も報告されているイベルメクチン。しかし、治験は本格化したばかりで、北里大学側は1年以内の承認を目指しているという。コロナの治療薬として安心して使用できるのは、まだまだ先になりそうだ。【オルベスコ】今年3月、神奈川県立足利上病院らの研究チームが新型コロナ患者3人に使用。3人ともオルベスコ吸入から2日程度で症状が改善し、うち2人は人工呼吸器をつけていた状態から持ち直したということで注目された。気管支ぜんそくに効能効果があるとされ、’07年にぜんそくの薬として日本で承認されている。「つまり、気管支ぜんそくの薬として国内では処方されている薬ですが、対コロナとしてのデータはまだまだ集めるべきでしょう」前出の村田さんは、これらの“期待の治療薬”について、次のように話す。「いずれも、コロナへの治療薬として服用するには、PCR検査を経て感染が判明していることが大前提です。“あ、コロナに感染したかも”と思っても、検査を受けなければ容易に手に入るものではありません。まずはPCR検査の拡充が求められますが、いまの時点で私たちにできることは、落ち着いて電話相談できる“かかりつけ医”を持つことです」アビガンはもちろんのこと、イベルメクチンやオルベスコが治験を経て、じゅうぶんに安全な治療薬であることが判明したら、一刻も早い“承認”を国に期待したいところだ。「女性自身」2020年5月26日号 掲載
2020年05月14日山内英子ブレストセンター長監修乳がんの治療後のダイエットについて解説している新刊『聖路加国際病院の乳がん術後の心と体を守るダイエット』が女子栄養大学出版部から発売された。女子栄養大学出版部は学校法人香川栄養学園の事業部のひとつであり、『栄養と料理』や『食品成分表』などの刊行、イベントの開催などを行っている。この新刊は聖路加国際病院乳腺外科部長で、ブレストセンター長の山内英子(やまうちひでこ)氏が監修を務め、B5変型判で112ページ、価格は1,600円(税別)である。簡単で続けやすいダイエットレシピなど全ての女性にとって他人事ではない乳がん。女性がかかるがんの中では最も多く、女性のうち約11人に1人が生涯のうちに乳がんにかかるとされている。乳がんの治療では体重が増加しやすいが、乳がん治療後の体重コントロールについての情報は少ない。山内英子氏らのチームは、乳がん治療後も安心して生活できるようサバイバーのための運動と食事による体重、体調のコントールについて研究し実践。新刊では、研究と実践の中で得られたノウハウを楽しく学べるよう解説している。肥満もがんのリスクであること、再発防止には食事と運動が重要であることなどを解説し、しっかり食べつつ、ゆっくりやせるダイエットについて紹介。簡単で続けやすいダイエットレシピ、無理せずに楽しくできる術後のエクササイズも紹介している。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※聖路加国際病院の乳がん術後の心と体を守るダイエット - 女子栄養大学出版部
2020年05月04日世界中で終息の時期が見いだせない新型コロナウイルス感染症。政府は4月7日、新型コロナウイルス感染症対策として、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪県、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発令しました。これに先駆け、不妊治療に関する情報として、4月1日に日本生殖医学会が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明」を発表し、医師に対して、不妊治療を延期する選択肢を提示するよう推奨しました。これらの発表によって、各地の不妊治療施設でも新型コロナウイルスへの対策や今後の治療方針が打ち出され、妊活・不妊当事者の困惑と混乱は広がりを見せています。 そんななか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における方針を発表しました。 不妊治療の延期、助成金の年齢制限はどうなる?体外受精や顕微授精などの高度生殖医療(ART)を受ける夫婦には、特定不妊治療助成制度による助成金が支給されています。助成金の支給には、治療を開始したときの妻の年齢や受給の回数、夫婦の合算年収制限などの条件があります。 晩婚化・晩産化が進むなか、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴って出された日本生殖医学会の声明に従うことが、助成金を受ける際に大きな壁となってしまうことが危惧されています。 例えば、声明に従って不妊治療を1年延期したために、治療期間初日の妻の年齢 「43歳未満」という条件を超えてしまった場合には、助成事業対象外となってしまいます。不妊治療を延期することで、助成金が受け取れないという事態が発生してしまうのです。 厚労省が不妊治療助成における対応について方針を発表妊活・不妊当事者の不安の声が高まるなか、厚生労働省は4月9日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療助成における対応について方針を発表しました。 具体的な内容は下記のとおりです。 【新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、時限的に、 年齢要件を緩和】 ①対象者について療期間初日の妻の年齢「43歳未満」↓「44歳未満」 ②通算助成回数について初回助成時の治療期間初日の妻の年齢「40歳未満」の場合は通算6回まで(40歳以上43歳未満の場合は通算3回まで)助成↓「41歳未満」の場合は通算6回まで(41歳以上44歳未満の場合は通算3回まで)助成 このように、年齢の上限が1歳引き上げられました。医師や看護師、パートナーとの丁寧なコミュニケーションが必要報道では、不要不急という言葉が繰り返されています。世界各国のARTのデータ収集・分析・普及をおこなう非営利国際機関のICMART( International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technology)の声明文の和訳には、「新規治療の開始を見合わせること、不妊治療に関連するその他の非緊急処置をすべて延期することを推奨する」との一文もありました。 妊婦さんや胎児に対する影響等が不明な状況では、患者の安心・安全を考えると、それも致し方ないことでしょう。しかし、妊活・不妊当事者にとって不妊治療は不要で不急ではありません。不妊治療施設のなかには、この状況において、一律に治療を延期するのではなく、個々の状況や希望に沿って治療方針を決めていく、または治療を継続できるような仕組み、対策を取っているところもあります。 不妊治療当事者は、自身が通院している施設の情報をホームページなどで確認し、また先生とよく話し合い、治療方針を決めていくことが大切です。 著者:ライター NPO法人Fine 理事准ファンドレイザー 野曽原誉枝(のそはらやすえ)福島県郡山市出身。NECに管理職として勤務しながら6年間の不妊治療を経て、2012年12月に男児を出産。自らの不妊治療と仕事の両立での経験、高齢出産の経験から、今の妊活、多様な家族形態を認め合う社会を作るために2013年よりNPO法人Fineに参画、2014年9月同法人理事に就任。主にFine妊活プロジェクト~みらいAction~の推進と企業や自治体向け啓発活動に力を入れている。
2020年04月10日不妊治療を始めて3年過ぎたあたりから、子どもを授かりたいと思う願望が義務のように変化していき、妊娠に対する感覚が徐々に麻痺し始めていました。ついに、私たちは精神的な余裕が完全になくなってしまいました。そして、治療へ真剣に向き合うことが怖くなり、できなくなってしまいました。 治療法を変えても、結果は出ず一度転院して新たに通い始めた病院で3年近く人工授精を続け、不妊治療期間が約5年過ぎていました。しかし、毎月決まった時期に儀式のように病院へ行き、医師から妊娠していない事実を聞くと、妻だけでなく自分の努力が無駄に感じてしまい、夫婦共々どんどん落ち込んでいきました。 さらに、医師のすすめで体外受精・顕微受精を数回試しましたが、1回につき約40万円の出費になるため、長期的に継続して治療することは断念せざるを得ませんでした。そして、医師と会話することすら嫌気がさしてしまって、また転院することにしました。 2度目の転院にして、最後の病院次の病院でできなかったらあきらめよう、と夫婦で決めていました。年齢と負担だけが増えていって、本来の目標を失いかけていたからです。 次に決めた病院では、お金も精神的負担もかけたくなかったので、タイミング療法のみで治療を再開しました。ここの診療方針は、上の子どもが一緒に行くことも自由、なんとなく決められた日程での診察というのんびりとした環境で、私たちはそのおかげである程度平常心を取り戻していきました。 しかし同時に、妊娠することへのこだわりも徐々に薄れていきました。もうここが私たちの不妊治療の限界だと感じていたからです。 ストレスが減り、そして…最後の病院は、負担を感じることがほとんどなく、通院することができました。電車でひと駅の距離にあることや、繁華街にあるため、寄り道して気を紛らわすこともできたことなども要因だったと思います。 あまりストレスを感じずに治療を続けた結果、最後の病院へ通院して半年、不妊治療開始から約6年目でようやく妊娠することができました。正直、喜びよりも驚きのほうが大きかったです。 今思えば私も妻も、経済的な不安も含む精神的な不安が赤ちゃんを授かることができなかった1番の原因だったように思います。自分が頑張りすぎると、妻にとって負担になります。逆の場合も同じです。妻のため、夫のためと思ってしている行動が、かえって相手を苦しめていたのかもしれません。 改めて感じること次女が無事生まれ、今、冷静に振り返って考えると、私たちは不妊治療を体験できて本当によかったと思います。 真剣に家族揃って同じ目標に向かって取り組み、家族の結束が一層深まりました。さらに、不妊治療に予想外に時間がかかったおかげで8歳差の姉妹になりましたが、長女が本当によくかわいがってくれており、楽しんで子育てに参加してくれています。 妻はもちろんですが長女も頑張って協力してくれたおかげで、子どもを授かることができたのだと私は感じています。 ゴールが見えないまま、どこまで続ければいいのか不安を感じながら治療を続けることが、ここまでつらいとは正直思っていませんでした。ただ、子どもを授かることができ、さらに家族で苦難を乗り越えることができたという充実感も得ることができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト:(c)chicchimama 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月15日何もかも手探り状態で始めた不妊治療ですが、小さな疑問や不安が少しずつ大きくなっていきました。自分たちに合う治療・病院とはなんだろうと考え続けても、答えが見つかりそうにない時期が続き、約2年が経過していました。 最初の転院原因が特定されないままに始めた不妊治療のため、タイミング療法をずっと続けていました。ただ、時間が経つにつれ、通院当初は気にならなかった片道約1時間の通院時間も負担に感じ始めました。今までの生活リズムも徐々に狂い、夫婦間の衝突も次第に増えていった結果、自宅から15分くらいで通院できる病院に転院することにしました。 次の病院は、地元では有名な不妊治療専門院に決めました。そこは院長先生がメディアにも度々露出して有名なので人気もあり、治療費も今までの病院と比べて割高でした。 毎週診察があり、1回の診察で約1万円、人工授精で約2万円、何かイレギュラーな診察があると、また数万円といった費用がかかりました。しかし、通院時間短縮や妊娠確率が上がるならと思い、その病院へ通院することにしました。 精神的な余裕がなくなっていった有名な病院だけあって、事前に大きな会場でいろいろな分野の先生から説明があり、大学のセミナーのような規模でした。ただ、ここでの説明は、私の予想と反して確率やリスクといった現実的な話ばかりでした。 私は、妊娠・出産は非常に神秘的で尊いものだと考えていたので、先生たちの生物学的な話が妊娠に対する神秘から離れていくように感じてどうしても受け入れられませんでした。うれしいはずの妊娠を前に、どんどん自分のなかに暗く不安なものを感じ始めました。 今思えば、2年続いた不妊治療でのストレスの結果、私は精神的に余裕がほとんどなく、自分本位の考え方になっていたのかもしれません。 ゴールが見えない不安の連続の毎日精神的な不安に加え、なかなか結果が伴わない状態が続いたため、この病院での治療は順調には進みませんでした。それでも、なんとか子どもを授かりたいという思いから通い続けていたのですが、2年の通院期間が過ぎたあたりから、この病院に対して不信感が芽生え始めました。 治療費だけがかさんでいき、いつまで経っても結果が出ないため、「病院側はきちんと治療しているのか?」と、病院に責任があるようにも感じ始めていました。さらに私自信の被害妄想は膨れ上がり、院内で笑い声が聞こえるたびに自分が笑われているのではないかと感じるほど、精神的に滅入っていました。 次の段階の治療へ治療内容は、この病院をきっかけにタイミング療法から人工授精へと変わっていました。医師の説明だと、治療法で飛躍的に確率が上がるわけではないと念を押されていたのですが、現状を変えたい、少しでも確率が上がるのでは、という思いで挑戦しました。 人工授精は、私の負担もさらに増大します。その病院では、朝6時に精子を病院に持ち込まなくてはなりません。そのため、不妊治療にかける時間も一気に増えました。病院によると思いますが、禁欲はもちろん、食生活から運動まで、いろいろと指示があり、妊娠のためと理解しているつもりでしたが、毎日が楽しめなくなってきていました。 自分たちが若くないため、育児できる体力や経済力を考慮すると、時間がないことが一層焦りを生んでいました。さらに、治療に時間がかかるほど経済的負担も大きくなっていくことも不安要素の原因にもなっていきました。 次回は2回目の転院・抱えていたプレッシャーについてお話しします。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。検査の内容などは病院によって異なります。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama監修/助産師REIKO 著者:ライター 吉田直樹二児の父。原因不明の続発性不妊症のため、夫婦揃って不妊治療を数年おこない授かる。グラフィック・Webデザイン事務所を経て、現在グラフィックデザイン・Webデザインのフリーランスとして活動中。
2020年02月14日今回は、妊娠中に親知らずの治療は可能かについてお話しします。 妊娠中に親知らずの治療は可能?妊娠中は基本的にどのような歯科治療でも受けることは可能ですが、赤ちゃんの器官や臓器が作られる妊娠初期は、緊急性の高い歯科治療のみに限定されます。 歯科医院や歯科医によっては、妊娠中の親知らずの痛みに対して治療を控える方針にしているところもありますが、治療をしないで痛みやそれに伴う感染などをそのまま放置しておくほうが妊娠経過に与える影響は大きいでしょう。 親知らずは奥歯やあごの痛みで気づくことが多いです。歯ブラシが届きにくい部分に萌えるため、周囲の歯を虫歯にしたり、横や斜めの方向に萌えて歯並びを乱すことあります。また、歯ぐきにの中に埋まった状態で痛みが生じることもあります。親知らずの状態によっては歯科医院ではなく、大学病院などの口腔外科での治療が必要なこともあります。 妊娠中の親知らずの治療については、応急処置のみにするか、抜歯するかについて、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、まず歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。また、歯科医院を受診する際には妊娠していること、妊娠週数や妊娠経過、産婦人科の担当医の意見などを歯科医へ伝えることが大切です。 妊娠中は口腔環境が変化しやすい妊娠中は女性ホルモンの増加に伴って、歯ぐきの出血や発赤、腫れが起こる歯肉炎など歯周病が起こりやすくなります。妊娠をきっかけに歯周病や虫歯、親知らずの痛みが生じることもあります。受診しない限り、応急処置だけで大丈夫か、妊娠経過に影響を与えない状態かについて判断はできません。妊娠中だから歯科治療を受けてはいけないということはありません。口腔内の出血や痛みなどがあれば、早めに歯科医院を受診して相談しましょう。 妊娠中にあお向けの姿勢になったときは、大きくなった子宮が体の右側にある下大静脈を圧迫して、急激に低血圧を起こす「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」に注意が必要です。歯科医院での治療中に仰臥位低血圧症候群が起こることがあるので、治療当日の体調に合わせて無理のない範囲で治療を受けることが大切です。 妊娠中の歯科治療に麻酔を使っても大丈夫?歯科治療で使う局所麻酔薬は、主に2%塩酸リドカイン(歯科用キシロカイン®、オーラ注®)です。妊娠中に局所麻酔薬を使っても、おなかの中の赤ちゃんへの影響はほとんどありません。痛みを伴う歯科治療の場合、痛みをひたすら耐えるよりも局所麻酔を使用したほうがストレスを軽減できるでしょう。 妊娠中に抜歯しても大丈夫?抜歯時に使用する局所麻酔薬や抜歯後に服用する抗菌剤や痛み止めの薬(解熱鎮痛薬)について、おなかの中の赤ちゃんに影響が少ない薬を選択することで抜歯することは可能です。抜歯しないことで起こる感染や炎症、持続する痛みを放置することのほうが妊娠に与える影響は大きいといえます。妊娠中の抜歯に対して戸惑いやためらいがある場合は、担当医と十分に話し合いましょう。 妊娠中に歯科でエックス線撮影(レントゲン検査)を受けても大丈夫?エックス線撮影(レントゲン検査)は、歯の口腔内の状態を確認し、診断や治療方法を決めるために必要に応じておこなわれる検査です。歯科医院でおこなうエックス線検査(レントゲン検査)は、赤ちゃんのいるおなかから離れている歯とその周りの口腔部分のみに微量の放射線を照射して撮影します。また、撮影時には腹部を覆うように防護用エプロンを着ることで、放射線被ばくを軽減するため、おなかの赤ちゃんへの影響はほとんどありません。 赤ちゃんの健康状態への影響はありませんが、妊娠中のエックス線検査(レントゲン検査)について心配なことがあれば、担当医に相談してみましょう。 妊娠中の歯科治療後に痛み止めなどの薬を飲んでも大丈夫?妊娠初期は胎児の器官や臓器が作られる時期に重なるため、妊婦さんは使用した薬による影響が心配になるかもしれませんが、実際には薬の影響で奇形が生じることは稀なことです。 薬を使用しなければ妊婦さん本人に悪影響があると考えられる場合は、おなかの中の赤ちゃんに対して安全性の高い痛み止めの薬である、アセトアミノフェン(商品名:カロナール®)や抗菌薬(セフェム系・ペニシリン系)が処方されます。 歯科治療に使用した薬について心配な場合は、妊娠と薬について専門的な相談を受けてくれる「妊娠と薬情報センター」(厚生労働省事業)などの相談窓口を利用しましょう。まとめ妊娠中の親知らずの治療については、妊娠週数や親知らずの状態に合わせて、応急処置のみにするか、抜歯するかなどを歯科医が総合的に判断します。妊娠週数に関係なく、親知らずによる痛みがあるときは、我慢せずに歯科医院を受診しましょう。妊娠経過や赤ちゃんへの影響が心配な場合は、歯科医院を受診する前に、産婦人科の担当医へ相談しましょう。 <参考>・日本歯科医師会 母子健康手帳活用ガイド 作成:平成24年3月・日本小児歯科学会・日本放射線技術学会・妊娠と薬情報センター 監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。著者:助産師 古谷真紀一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。
2020年02月11日