2020年9月14日の深夜。新宿駅の小田急線ホームには、人身事故の影響で遅れている最終列車を待つ人々の姿がありました。サックス奏者の奥野祐樹(@ojisax)さんも、電車を待っていた1人。なかなか運転が再開されず、疲労でぐったりしている人々を見て、あることを思いつきます。駅員さんの協力のもと、深夜の新宿駅で行われたのは…。午前2時人身事故で止まった小田急終電ホームでうなだれる乗客のみなさんサックス奏者の為すべきことは唯一つ pic.twitter.com/HTsz38rgDa — 奥野祐樹 / Sax (@ojisax) September 13, 2020 即席の演奏会!その時撮影された動画もTwitterに投稿すると、大きな反響が上がりました。終電ストップした新宿午前2時!!!温かく見守ってくれた、駅ホームのみなさんありがとうございました!!!そして何より駅員のみなさん、本当にお疲れ様でした楽器持って立ったらそれはもうどこだってステージってわけハイ最高 pic.twitter.com/WxvQxbYs1J — 奥野祐樹 / Sax (@ojisax) September 13, 2020 演奏を始めると、徐々に手拍子が加わり、最終的にホームはとても温かい雰囲気に包まれたといいます。ネット上では称賛のコメントが多数寄せられました。・海外で起こりそうなことが日本でも…!素晴らしい行動力です。・深夜2時の人身事故はしんどいけど、これなら待てる。音楽っていいなあ。・これはかっこいい!最後の小田急さんの対応もgood!演奏後、無事に電車は再開。奥野さんらは、駅員さんから最後にこんなお礼をもらったそうです。長時間、電車を待機して疲れていた人達にとって、深夜の演奏会は、きっと忘れられない素敵な思い出となったことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年09月14日「事故物件住みます芸人」として活動する松原タニシ氏の実体験による著書を、主演・亀梨和也、監督・中田秀夫で映画化した『事故物件 恐い間取り』が、公開初週末の興行収入ランキングで1位を獲得。この度、その撮影現場からメイキング映像が到着した。SNSなどの口コミでも、「身近に起きそうな現象で何度も鳥肌が‥」「一人では見ない方がいい」「新感覚というかホラーの最先端をひた走っていた」と若者を中心に話題を呼び、カップルやグループで恐怖を“体験”しようと訪れる観客が多く、夏の一大レジャーと化している。本作で初めてホラー作品に挑戦した主演の亀梨さん。売れない芸人役に加えて関西弁にも初挑戦。解禁された映像は、物語の発端となる亀梨さん演じる山野ヤマメに松尾(木下ほうか)が事故物件に住むことを持ちかけるシーンの撮影中、真剣な表情でモニターを覗く中田監督。1軒目の物件で初めてカメラを回すシーンでは、中田監督と細かく演技のタイミングを擦り合せをし、自らも意見を出し合う亀梨さんの姿が見られた。さらに、ヤマメの元相方で放送作家の中井を演じる瀬戸康史、ヤマメを応援しつつも事故物件に住むことを心配している梓を演じた奈緒との共演シーンも。梓の何かを感じ取っている、鬼気迫る表情も必見。芸人の友人にも相談しながら猛特訓したという関西弁や売れない芸人としての身のこなしも完璧に再現し、「観てくださる皆さんのことを常に感じながら撮影に臨んだ」と本作にかける思いを語っている亀梨さん。その熱量を込めて挑戦が伝わってくる映像となっている。『事故物件 恐い間取り』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:事故物件 恐い間取り 2020年8月28日より全国にて公開©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
2020年09月11日公開中の映画『事故物件 恐い間取り』より、話題のシーン写真が公開された。本作は、事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験によるベストセラーノンフィクション『事故物件怪談 恐い間取り』を映画化したもの。KAT-TUNのメンバーとして絶大な人気を誇り、数々のドラマ・映画にも出演する亀梨和也が売れない芸人・山野ヤマメ役として自身初のホラー映画の主演を務める。監督は『リング』で日本映画界のホラーブームを牽引し、近年では『スマホを落としただけなのに』が大ヒットしたホラー映画の巨匠・中田秀夫。亀梨の脇を固めるのは、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、瀧川英次、宇野祥平、高田純次、小手伸也ら。豪華俳優陣に加え、有野晋哉、濱口優・団長安田、クロちゃんをはじめとした松竹芸能の芸人が多数出演する。8月28日の劇場公開後「身近に起きそうな現象で何度も鳥肌が…」「一人では見ない方がいい」「新感覚というかホラーの最先端をひた走っていた」と話題になっているが、本編を観たある人の感想が物議をかもしている。それは、本編の中で演出とは思えない不可解な声が聞こえるというものだ。問題のシーンは、ヤマメ(亀梨和也)が自身の出演した怪談ライブの後、著書のサイン会が行われる場面。事故物件に住み始めブレイクしていくヤマメに恐ろしい影が忍び寄る恐怖描写が見どころだが、演出としては違和感のあるタイミングで「たすけて……」という声が聞こえるという。同じ感想は多数寄せられているが、中田監督は「映画のミックスのときに入れてないし、現場でも発してない」とコメント。さらに、不可解な現象はこれだけではない。ヤマメが住むことになる事故物件一軒目、ヤマメが自転車を取りに駐輪場に向かうシーンで一瞬白い影が映りこんでいるという。なぜ、聞こえるはずのない声、あるはずのない影が映りこんでしまったのだろうか。『事故物件 恐い間取り』公開中
2020年09月05日映画『事故物件 恐い間取り』の8月28日(金)からの全国公開に先駆け、事故物件公示サイト「大島てる」の運営者・大島てるによる事故物件の解説動画が公開された。本作は、事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験によるベストセラーノンフィクション『事故 物件怪談 恐い間取り』を映画化したもの。KAT-TUNのメンバーとして絶大な人気を誇り、数々のドラマ・映画にも出演する亀梨和也が売れない芸人・山野ヤマメ役として自身初のホラー映画の主演を務める。監督は『リング』で日本映画界のホラーブームを牽引し、近年では『スマホを落としただけなのに』が大ヒットしたホラー映画の巨匠・中田秀夫。亀梨の脇を固めるのは、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、瀧川英次、宇野祥平、高田純次、小手伸也ら。豪華俳優陣に加え、有野晋哉、濱口優・団長安田、クロちゃんをはじめとした松竹芸能の芸人が多数出演する。公開された動画の中では、大島が事故物件の種類や件数のほかに、告知義務のない事故物件にまつわる話や、隠れ事故物件の見分け方を徹底解説。さらには、ネガティブなイメージの多い事故物件の魅力まで語り尽くしている。『事故物件 恐い間取り』8月28日(金)公開
2020年08月26日「KAT-TUN」亀梨和也が、売れない芸人役を演じホラー映画初出演する『事故物件 恐い間取り』より、新たな場面写真が公開された。『リング』『スマホを落としただけなのに』などを手掛けるホラー映画の巨匠・中田秀夫が監督する本作は、“事故物件住みます芸人”松原タニシの「事故物件怪談 恐い間取り」の実写化。亀梨さんのほかにも、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか、小手伸也らが出演している。今回到着した新場面写真は、亀梨さん演じる芸人・ヤマメの鬼気迫る表情を切り取った1枚。事故物件住みます芸人として活躍する中で、さらなる怪奇現象を求めて事故物件を転々とするヤマメ。写真は劇中で“最後”に訪れる事故物件でのクライマックスシーンとなっており、恐怖で全身の毛が逆立ち、慌てふためき絶叫している様子が写し出されている。そんな主人公を演じた亀梨さんだが、中田監督は「亀梨くんは芝居に対してすごく真面目に真摯に取り組んでくれる人でした」とコメントしている。『事故物件 恐い間取り』は8月28日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:事故物件 恐い間取り 2020年8月28日より全国にて公開©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
2020年08月21日亀梨和也主演映画『事故物件 恐い間取り』が、8月28日(金)より全国公開される。この度、本作に出演するクロちゃんとコラボした特別映像が公開された。『事故物件 恐い間取り』は、“事故物件住みます芸人”として活動する松原タニシの実体験による著書で、「恐すぎて部屋に入れない」読者が続出したという、同名のベストセラーノンフィクションの実写映画化作品。亀梨は、売れない芸人・山野ヤマメ役として、ホラー映画には本作で初出演となる。脇を固めるのは奈緒、瀬戸、江口のりこ、木下ほうか、MEGUMI、真魚、瀧川英次、宇野祥平、高田純次、小手伸也ら。さらに、有野晋哉、濱口優、団長安田、クロちゃんをはじめとした松竹芸能の芸人が多数出演する。監督を務めるのは、ホラー映画の巨匠・中田秀夫。公開された特別映像には、彼女に「あーん」と顔を近づけ、一口ずつ食べさせてもらおうと執拗に接近する、恐ろしい“事故物件彼氏”の様子が切り取られている。実際に、クロちゃんが本作に出演している情報が発表された際、SNSでは「クロちゃん自身が事故物件じゃん……」と話題にもなった。そんなリアル事故物件との呼び声も高いクロちゃんが演じる「事故物件彼氏」動画は、今回公開された“あ~ん編”以外に、“タオルギネス編”、“名探偵編”、“地縛霊編”など全10パターンが収録されている。本日8月12日より公式SNSで多種多様な“事故物件クロちゃん”を見ることができる。公式サイト:映画『事故物件 恐い間取り』8月28日(金)より全国公開
2020年08月12日「KAT-TUN」亀梨和也が事故物件に住む芸人に扮する映画『事故物件 恐い間取り』より、瀬戸康史の場面写真がシネマカフェに到着した。“事故物件住みます芸人”として活動する松原タニシの実体験による著書を『リング』などの中田秀夫監督が映画化する本作。主演の亀梨さんのほか、奈緒、江口のりこ、加藤諒、木下ほうか、MEGUMIら豪華俳優陣が出演している。瀬戸さんが本作で演じているのは、主人公・ヤマメ(亀梨さん)の元相方で放送作家の中井大佐。ヤマメが住み始めた事故物件に同行したことがきっかけで、様々な怪奇現象に巻き込まれていく役どころだ。そんな中井のシーンを切り取った今回の場面写真。1枚目は、スマホを手にする中井の背景に、不気味な赤い服の女性が…。そして2枚目には、暗闇の中、目を見開いて何かに脅えている姿が切り取られている。中井は一体、何に脅えているのか…その正体が気になるカットとなっている。『事故物件 恐い間取り』は8月28日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:事故物件 恐い間取り 2020年8月28日より全国にて公開©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
2020年07月29日アメリカ・ミネソタ州に住むカルヴィン・テイラーさんはパートナーのレイチェルさんと結婚式を挙げました。式を終えて幸せいっぱいの2人が車で帰宅している途中、起きたばかりの交通事故の現場に遭遇したのです。それは3台の車による衝突事故で、2台の車の間に挟まれて負傷した女性を人々が助け出そうとしていました。その様子を見たレイチェルさんはすぐに車を降りて負傷した女性のもとに駆け寄ります。そして救急隊員が到着するまで女性を抱きかかえて励まし続けたのです。On our way back to our home after an amazing and beautiful wedding day, literally blocks from our new home, we saw a...Posted by Calvin Taylor on Monday, June 22, 2020道路にしゃがんでいるレイチェルさんはウエディングドレス姿のまま。しかし彼女はそんなことは気にもせず、約15分間ケガをした女性を落ち着かせるために話しかけていたといいます。海外メディア『PIONEER PRESS』によると、レイチェルさんは看護師で、看護学校で出産時の女性を落ち着かせる方法を学んでいたのだそう。負傷したタマラ・ピーターソンさんは、先に事故を起こした車に乗っていた息子に呼ばれて現場に駆け付けたところを、別の車に衝突されたということです。タマラさんはレイチェルさんのことを「彼女は素晴らしかった。彼女は間違いなく才能にたけた天使で、看護師になるべき人です」と話しました。レイチェルさんはその時のことをこう振り返っています。あの時はただ『看護師モード』に入っていたんです。自分でも驚きました。私はいつも自分の看護師としてのスキルに自信が持てなかったんです。だからあの状況で、自分が何をするべきかが分かっているということが知れてよかった。PIONEER PRESSーより引用(和訳)そしてそんなレイチェルさんを見たカルヴィンさんは彼女のことを『ロックスター』と呼び、改めて妻に惚れ直したようです。Posted by Calvin Taylor on Saturday, October 20, 2018Posted by Calvin Taylor on Saturday, October 20, 2018晴れやかな結婚式の日を思わぬハプニングで締めくくることになったレイチェルさんとカルヴィンさんですが、翌日から予定通りモンタナ州へのハネムーンに出発したそうです。ウエディングドレスが汚れることも気にせず、目の前の負傷者を全力で助けたレイチェルさん。彼女はきっとこれからも素晴らしい看護師として多くの命を救ってくれることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年07月13日“事故物件住みます芸人”松原タニシの実体験による著書を、亀梨和也主演で映画化する『事故物件 恐い間取り』より、本予告映像とメインビジュアルが公開された。予告編では、亀梨さん演じる売れない芸人・ヤマメが、番組プロデューサーから事故物件に住む企画を無茶ぶりされるシーンからスタート。そして、事故物件初日の夜に撮れた映像には“何か”が映っており、それから次々と謎の怪奇現象が起こる…。さらに、ヤマメが事故物件で生配信する様子も映し出され、その最中、チャイムの音も入っている。ほかにも、何かに驚き怯えるようなヤマメや、ヤマメを密かに応援するメイクアシスタント・梓(奈緒)の姿なども確認することができる。また同時に到着したメインビジュアルでは、ヤマメ、梓、中井(瀬戸康史)の3人が、事故物件の部屋の角に追い詰められている姿が切り取られている。『事故物件 恐い間取り』は8月28日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:事故物件 恐い間取り 2020年8月28日より全国にて公開©2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
2020年07月02日産後の回復が早いなどのメリットから利用者が増えている無痛分娩で、重大事故が相次いでいる。無痛分娩は局所麻酔で陣痛に伴う痛みを和らげ、出産時の疲労を軽くする出産方法だ。出産後、比較的早期に仕事に復帰できることもあり、欧米を中心に働く女性に人気で、フランスでは妊婦の6割以上、アメリカでも4割以上が無痛分娩を選択。日本の無痛分娩の実施率も’07年の2.6%から’16年の6.1%に急増している。ところが新聞で報道されているだけでも’11年以降、無痛分娩による死亡事故が5件、重い障害が残った事故が2件発生しており、その中には3度も重大事故を起こしたクリニックもある。埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科診療部長の照井克生教授は、日本の無痛分娩事情を危惧して、次のように語る。「米国では無痛分娩の麻酔の95%を麻酔科医が担当し、出産が終わるまで分娩室で立ち会います。残りの5%も、特別な資格を持つ麻酔看護師が麻酔科医の監督の下で麻酔を担当しています。硬膜外無痛分娩では全脊髄麻酔などの発生も想定されるので、産科医1人では不測の事態への対応は難しいのではないでしょうか。日本でも麻酔科医が麻酔をし、産科医ともども最後まで出産に立ち会うべきですが、そもそも日本には麻酔科医の絶対数が不足しているうえ、診療所や病院の経営面からも、実現は容易ではありません」では無痛分娩を受けたい妊婦は、どんな医療施設を選べばいいのだろう。照井教授は「無痛分娩関係学会・団体連絡協議会」(JALA)のホームページにある「無痛分娩施設検索」を閲覧し、参考にしてほしいと話す。「確認のポイントは、日本麻酔科学会認定麻酔科専門医がいるかどうか。これが最も安心できる資格です。施設に麻酔科専門医がいない場合は、麻酔科標榜医の資格を持つ医師がいるかどうかを確認してください。標榜医は麻酔科医の下で2年間の研修を積んでいるので、呼吸管理を含むトラブルに対応する基本的な技能を持っています」妊婦と家族が、医師との面談時に、事故が発生したときの対処法や安全対策を詳しく質問すべきだと照井教授は話す。「“私はベテランだから大丈夫”と安請け合いしたり、質問されて怒る医師は要注意です」だが同ホームページに掲載されている施設はごく少数。安全対策は緒についたばかりだ。「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月06日交通事故で怪我をした場合に被害者の方がまず心配になるのが、治療費を誰が負担するのかという点です。被害者としては加害者に請求すると考えるのが当然ですが、実務的なレベルで考えた場合、病院の窓口ではどのように精算するのでしょうか。また、通常の診療と同じように健康保険を使って治療を受けられるのでしょうか。そこで本記事では、交通事故の怪我治療における治療費や入院費の負担先や、健康保険の利用の可否、自己負担の有無などについて詳しく解説します。交通事故による怪我の治療費は誰が負担しなければならないのか交通事故で怪我をさせられた場合は、怪我の治療費を加害者に対して請求することになります。ここについては、皆さんご存知かと思います。ただ、事故を引き起こした相手に請求するから被害を受けた側の自己負担が何もないのかというと、必ずしもそうとは言えないところが、交通事故の損害賠償の難しいところなのです。被害者にも過失がある?停車中に追突されたなど、完全に車が走行していない状況で接触された場合であれば、被害者の過失はゼロと認定される可能性はあります。ただ、走行中の接触事故については、原則としてドライバー双方が交通事故を回避するという最低限の義務を負っているため、たとえ相手が交通標識を無視したことで事故が発生した場合でも、被害者にわずかだとしても多少の過失がつくことがあるのです。病院で負担する治療費が落ち度によって変わる被害者にも一定の過失割合があると認められる場合については、被害者の治療費満額を加害者に賠償してもらうことができなくなる可能性があります。例えば、以下のような交通事故が発生したと仮定して、治療費の負担について考えてみましょう。過失割合:加害者9、被害者1損害額:加害者40万円、被害者200万円仮に、被害者に一切過失がないようなケースであれば、被害者は200万円全額を加害者に対して請求することができます。ところが、上記のように被害者に1割でも過失割合が認められる場合は、次のように過失相殺がされてしまい、加害者に請求できる金額が減ってしまうのです。加害者が被害者に請求できる金額:40万円×0.1=4万円被害者が加害者に請求できる金額:200万円×0.9=180万円上記を相殺すると、被害者が加害者に請求できる金額は次のようになります。180万円—4万円=176万円このように、被害者に過失が1割でもついてしまうと請求できる金額が思った以上に減ってしまうのです。今回は加害者側の治療費が低額でしたが、万が一高額な治療費がかかったような場合については、過失相殺するとさらに被害者が加害者に請求できる金額が低くなってしまいます。よって、交通事故の被害者という認識だったとしても、過失割合が少しでもつく場合については、治療費満額の保証が受けられない可能性が出てくるのです。病院窓口での料金負担は自費なの?交通事故で実際に治療を受けるとなると、病院の窓口でどのように精算することになるのでしょうか。被害者としては交通事故の治療だから、加害者に支払ってもらいたいと考えると思いますが、加害者が病院までついてきてその場で財布からお金を出してくれるわけではありません。となると、被害者は一旦自分の財布から自己負担して立て替えなければならないのでしょうか。原則は被害者が一時的に費用を負担する被害者としては納得できないところかもしれませんが、病院からすると交通事故という事情はあくまで患者側の事情なので、治療費については通常通り本人に請求するというパターンが原則です。ただ、これではあまりにも被害者の方がかわいそうですよね。立て替えて支払うことができるお金があればまだいいかもしれませんが、たまたま金欠の時に交通事故の被害に遭ったとすると、一時的に立て替えることすらままならないことも十分考えられます。そこで交通事故で治療を受ける際には、次にように対応するとよいでしょう。加害者側の保険会社から直接払い交通事故の加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社が病院に直接連絡を入れて病院との間で被害者の治療費を直接精算してくれる場合があります。この流れを利用するためには、事故後加害者から加入している任意保険会社の連絡先と担当者を聞いて連絡し、治療を受ける病院を伝えた上で直接治療費を精算して欲しいと伝えましょう。また病院の窓口でも、交通事故による怪我であることと任意保険会社名を伝えることで、あとは任意保険会社とやり取りをして直接治療費を精算してくれるため、被害者が窓口でキャッシュを負担する必要がなくなります。自賠責保険に請求する方法加害者が自賠責保険に加入していない場合は、強制加入保険である自賠責保険に連絡をして相手の自賠責保険会社と病院との間で治療費の精算をしてもらうことも可能です。ただし、任意保険とは違い自賠責保険に直接請求する場合は、そのために必要な諸手続きを全て被害者自身でやらなければなりません。加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社の担当者が自賠責保険分についても手続きを行ってくれますが、任意保険に非加入の場合は被害者自身が苦労することになります。よって、加害者側が任意保険に加入していない場合は早い段階で交通事故に強い弁護士に相談しておいたほうがよいでしょう。[adsense_middle]交通事故に健康保険は使えないはウソ通常、病院で治療を受ける際には窓口で保険証を提示することで、治療費を3割負担に抑えることができます。では、交通事故の怪我の治療でも健康保険を利用できるのでしょうか。病院が健康保険の利用を拒否するわけ結論からいうと、交通事故の治療でも健康保険を適用して治療を受けることが可能です。これは旧厚労省からも次のように正式な見解が次のように示されています。「自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。」ところが交通事故の治療で健康保険を利用しようとすると、病院側が拒否するケースがあるため注意しなければなりません。では、なぜ病院は交通事故の治療による健康保険の利用を拒否したがるのでしょうか。自由診療にしたい病院側治療をする病院としては、健康保険を使わずに治療をするといわゆる自由診療扱いになるため診療報酬が非常に高額になるのです。病院側としては自由診療扱いにすると請求額が増えるので、できるだけ健康保険を使わせたくないと考えられます。事故で心と体を痛めている被害者の心理からすれば、冗談じゃないと思うかもしれませんが、病院としても窓口に来ている人が本当に被害者なのか知る術はありません。もしかすると加害者という可能性もないわけではないのです。そうなると、ややこしくなる健康保険ではなく、シンプルに手続きができる自由診療扱いにしたほうが楽なのかもしれません。ただ、ご説明した通り交通事故でも健康保険を利用することは可能なので、万が一病院の窓口で断られてもしつこく説明すればおそらく使わせてもらえるでしょう。健康保険を使わないと、賠償金がヤバイことに交通事故の損害賠償請求において注意すべきことは、できるだけ損害額を低く抑えるよう考えることです。どうしても被害者心理としては、かかった費用全てを加害者に負担させたいと考える傾向にあるため、治療費や入院費の値段を気にせずどんどん負担して後から請求しようとすることがよくあります。ところが、これをやってしまうと先ほど解説したように、過失相殺が発生した時に被害者がかなりのダメージを受けることになるため注意が必要です。[adsense_middle]治療費が高額になるとどうなる?例えば先ほどの事例で再度検証してみましょう。過失割合:加害者9、被害者1損害額:加害者40万円、被害者200万円このような交通事故の場合、被害者が請求できる金額は174万円だとお話ししました。ではもしも被害者の損害額が健康保険を使わず自由診療で治療を受けてしまったことで、1,000万円かかってしまったと仮定します。この場合に加害者に対して請求できる金額は次の通りです。加害者が被害者に請求できる金額:40万円×0.1=4万円被害者が加害者に請求できる金額:1,000万円×0.9=900万円過失相殺後の金額:900万円—4万円=896万円当初の200万円の損害額の場合、被害者の自己負担金額は24万円でしたが、今回の場合は損害額が高額になったことで1,000万円—896=104万円も自己負担しなければならないのです。過失割合が同じでも治療費で結果が変わるこのように同じ過失割合の交通事故だとしても、自分自身の治療費がいくらになるのかによって、たった1割しか過失がなかったとしても自己負担額に80万円もの差が生じてしまうのです。被害者の多くは、治療費の全額を加害者に負担させられると思い込んでいるケースが多いのですが、それはあくまで被害者の過失割合が0だった場合になります。ほとんどの交通事故で、被害者の過失割合が0になるケースは少ないので、基本的には自分にも過失割合がつくことを前提に考えて治療費を必要最低限に抑えることを考える必要があるのです。よって、交通事故の治療であればなおさら病院の窓口で健康保険証を提示して健康保険を適用し、治療費の自己負担額を減らすよう努めましょう。健康保険が加害者に請求するちなみに、健康保険を使った場合は保険組合などが治療費の7割を負担してくれますが、本来的にはこの7割を負担すべきなのは加害者です。そのため7割負担した保険組合は、独自に加害者に対して負担した治療費の求償をします。何れにしても、健康保険に負担してもらえば被害者の自己負担が大幅に減ることに間違いありません。健康保険と労災保険の関係通勤途中や業務中に交通事故の被害に遭って怪我をした場合は、労災保険を使って治療を受けることも可能です。では労災保険が使える場合において健康保険を使って治療した場合、労災保険に切り替えることはできるのでしょうか。労災保険への切り替え労災保険が使える交通事故は、基本的に労災保険を使うことをおすすめします。健康保険をすでに使っている場合は、健康保険組合などがすでに負担している7割部分を一旦返した上で再度労災保険に切り替えることが可能です。場合によっては、病院の協力が得られれば治療開始から遡って労災保険に振り替えて精算をやり直してくれる場合もあります。交通事故における健康保険の取り扱いに関するまとめ今回は交通事故における治療費の負担と健康保険の利用のポイントについて解説してきました。被害者にも過失割合がつくケースでは、健康保険を使わずに自由診療としてしまうと過失相殺によって被害者の負担額が増えてしまいます。そのため、交通事故の治療であっても病院の窓口で健康保険を提示してできるだけ自費による出費を抑えるよう注意しましょう。
2020年02月21日交通事故で受けた怪我を治療する場合は、風邪や病気になって病院にかかるのとは事情が変わってきます。交通事故による治療費や入院費は交通事故を起こした相手が負担することになるため、実際に治療に入る前に守るべき流れや注意点について知っておくことが大切です。交通事故の怪我はどこに通院すればいいのか交通事故で怪我を負った場合は、適切な治療を受ける必要があります。目に見える外傷がある場合は、事故現場での状況次第で救急車で病院へ送られることになるので、通院先に悩むなんて必要はないでしょう。問題はむち打ち症など外見を見ただけではわからない外傷が無いような症状の場合や、自覚症状が全くない場合で、念のため検査をしてほしいような場合にどこを受診すべきかが問題となります。むち打ちや腰痛の正しい受診先むち打ちや腰痛の症状が出た場合は整形外科を受診して下さい。それが一番確実です。また、総合病院が近くにある人は、受付で交通事故である旨申し出れば適切な診療科を案内してくれます。インターネットで「交通事故治療」と検索すると、病院よりも接骨院や整骨院が沢山出てきますが、できる限り医師による診察を優先すべきなので病院やクリニックを受診して下さい。通院期間の治療費を負担してもらうために交通事故の治療で医師による診察を優先させるべきなのは、次のような理由があるからです。接骨院や整骨院、鍼灸院、整体などは病院ではないため、治療内容によっては保険会社に治療と認められず、治療費や慰謝料、休業補償が支払われない場合がある。3ヶ月以上など治療が長引く場合に症状固定までの治療過程を、できる限り同じ医師に継続的に診断してもらうことが、後遺障害認定に対して有効である。誤解されている方も多いのですが、接骨院や整骨院は医師ではなく柔道整復師です。国家資格ではありますが、後遺障害診断書は医師にしか作成できませんので、その点も踏まえて注意しましょう。転院したい場合の流れと必要な説明病院での入通院治療が開始した後、症状が一向に回復に向かわなかったり、医師の診察や治療に不安を感じたりする場合もあります。そんな時、病院を転院する事は可能なのでしょうか。交通事故ではなく、通常の病気などであれば本人の意思によって病院を変える事になんら問題はありません。最近では、セカンドオピニオンが一般的になりつつあるので、カルテなども他の病院の医師に見せることも可能です。ただ交通事故の場合は、治療費について事故を引き起こした相手の保険会社に出させることになるため、転院する場合は事前に注意が必要です。[adsense_middle]保険会社に説明して同意してもらう治療費を支払う保険会社の了承を得ることができれば、転院先の治療費についても問題なく負担してもらえます。ただし、医師の対応に対するクレームや病院のランクに関する希望など、私的な事情による場合についてはそう簡単に認められません。保険会社に転院を認めてもらうには、以下のような点が重要になります。現在の医師の転院に対する見解転院先の病院の見解これまでの治療経緯と将来的な治療方針これらの要素を総合して、客観的に見て妥当だと保険会社が判断すれば認められます。例えば、通院中の病院の設備では今後適切な治療を施す事が困難な場合など、医師の指示により転院するような場合は認められる可能性が高いです。なお、交通事故による転院は、受け入れ先の病院によっては事前に保険会社から転院の了承が取れていないと受け入れ自体を拒否される場合があります。引継ぎが上手くできていないと治療自体に影響を及ぼす恐れがありますので、受け入れ先病院とのすり合わせは慎重に行いましょう。転院を認めてもらえない場合転院は必ずしも保険会社が了承しなければできない、ということではありません。忘れてはならないのは、治療において最優先すべきは少しでも早く良くなる事であり、保険会社を説得する事ではありません。保険会社の説得に時間がかかると、怪我が今よりも悪化する可能性もあります。ですから、本当に必要性があるのであれば、保険会社の説得は後回しにしてでも転院させるという判断も必要になる場合があるでしょう。万が一後から保険会社が治療費を負担しないという事になるとまずいので、この場合は必ず事前に弁護士に相談することをおすすめします。状況次第では、弁護士が間に入る事であっさり転院を了承する場合もあります。保険会社が了承を渋っている場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。適正な通院の頻度とは?交通事故で適正な賠償を受けたいと思った場合、重要になってくるのが通院の頻度です。重傷で入院している場合であれば考える必要もありませんが、むち打ちや骨折、腰痛、打撲など症状が比較的軽い場合については通院頻度を考えることがあります。素人的に考えると、より多く通院した方が慰謝料も多くもらえそうなイメージがあるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。むち打ち・骨折・腰痛等における通院日数と通院期間の関係性結論からいうとたくさん通院したからといって、それに比例して慰謝料額がどんどん増えていくわけではありません。そもそも、慰謝料計算のポイントとなるのは何回病院に行ったかではなく、どのくらいの期間治療をしていたのかです。このことを通院期間といい、通院期間が長い方が慰謝料額が高額になります。ただ、月に1回ずつ12回通院したとして通院期間が1年になるとすると、あまりにも極端です。そのため、あまりにも1月あたりの通院日数が少ない場合は、実際の通院日数の3倍程度を通院期間の目安に考えることもあります。適切な通院頻度適切な通院頻度は怪我の種類にもよりますが、基本的には週2回から3回程度、月にすると10回程度通っていれば通院期間としてカウントしてもらえる可能性が高いでしょう。ただし、慰謝料請求のために通院頻度を調整するのは本末転倒です。基本的に交通事故で怪我をしたのであれば、怪我を治すのが最優先なので、必要がないのに病院に行っても意味がありません。例えばむち打ちの方の中には、通院期間をできるだけ伸ばして慰謝料を高くしようと非常に短い頻度で通院し、その都度湿布だけ処方してもらっていたというようなケースが時々あります。いくら病院に通院していたとしても、単に湿布を処方してもらうだけでは通院として認めてもらえない可能性が高いでしょう。基本的に表面上だけ通院を装っていても最終的にはバレてしまうので、慰謝料目当てで通院期間を引き延ばそうと考えることはやめた方がいいです。治療費はいつまで負担してもらえる?交通事故の被害を受けた際、治療にかかる費用については交通事故を起こした側が任意保険に加入していれば、その保険会社が補償してくれます。ただ治療費については、いつまでも際限なく補償してもらえるというわけではありません。例えば、交通事故でむち打ち症の後遺症が残ってしまうと、最悪の場合その治療は一生続く可能性があります。このような場合、加害者にいつまで治療費を請求することができるのでしょうか。また、加害者側の保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。[adsense_middle]治療費は症状固定までが原則交通事故による怪我の治療費を、事故を起こした側が負担するのは当然ですが、いつ完治するかわからないような怪我の治療費をこの先一生負担し続けるのはあまりにも大変です。そこで、交通事故で負傷した怪我の治療にかかる費用の支払いについては、怪我が治るか、回復の見込みがないと判断されるタイミングである症状固定までという1つの基準が設けられています。症状固定とは、これ以上治療を継続しても回復の見込みがない状態のことで、この状態に達した場合は、そこで治療費の支払いは打ち切られます。症状固定以降も病院で治療したいという被害者の方は、治療費はすべて実費で自己負担になってしまうのです。交通事故関連の情報サイトで、次のような記載をよく目にします。「相手の加入していた損害保険の会社の担当者から、もうこれ以上の治療費は賠償できないといわれた」これは保険会社側が一方的に症状固定と決めつけて、治療費の支払いを拒否している状態なのです。では、そもそも症状固定は誰が決めることなのでしょうか。症状固定は誰が決めるの?症状固定が、これ以上治療を継続しても回復の見込みがない状態である以上、その判断ができるのは医学的知識のある医師(主治医)と考えるのが当然です。ですから、通常は交通事故における症状固定の判断をするのは主治医ということになります。けれども、保険会社からすると1日も早く治療費の支払いを終わらせたいため、症状固定にするタイミングを一方的に決めつけてくるのです。保険会社にはそれぞれ独自の症状固定時期の目安的基準があるといわれていて、それに達しても被害者から症状固定の連絡がないと、保険会社側から「もう治療は終わっているのでは」と一方的に決めつけて治療費打ち切りの連絡をしてくるのです。例えば、むち打ちや骨折など、比較的交通事故の中でも軽傷な怪我の場合は、3〜6ヶ月程度で形式的に治療費の打ち切りを連絡してきます。治療費が打ち切られたら被害者の負担は重くなる万が一保険会社からの治療費の支給が打ち切られると、以降の治療費は全て実費になってしまいます。本当に治療が終わっていればいいのですが、まだ回復に向けて治療を行っている場合には、その治療費は大きな出費となってのしかかります。そのため、万が一治療費の打ち切りの連絡が保険会社から入った場合は、その場ですぐに応じず、本当に治療の必要性があれば弁護士を通して話し合いをする必要があります。治療費の打ち切りを一方的に伝えられた場合、その後の流れは次の2つのパターンが想定されます。弁護士に治療費の打ち切りを阻止してもらう早い段階で弁護士に相談をすれば、弁護士が代理人となって保険会社と交渉してくれるため、適切な主張によって治療中であることを保険会社に理解させ、そのまま治療費の支払いを継続してもらうことも可能です。示談や訴訟で後から請求する弁護士への相談が遅れたり、保険会社が一切譲らなかったりするような場合は、一方的に治療費を打ち切られることもあります。ただ、このような場合でも諦める必要はありません。本当に治療中なのであれば、それを示談や訴訟で相手方に主張して証明すれば、後から被害者が立て替えた分の治療費を請求できる場合もあります。保険会社は治療費の支払いをできる限り低く抑えようとなんとか説得しようとしてくるのです。そのため実際の治療状況を無視して、3〜6ヶ月程度で一方的な打ち切りの連絡が入ることがよくありますので、十分注意しましょう。症状固定にされる期間の目安加害者側の保険会社は、常に被害者が過剰に治療費を請求してこないかを警戒しています。そのため、通院頻度が1ヶ月に1度も通院していないような場合や、通院していても湿布をもらいに行ったのみのようなことが続くと、保険会社側から治療費の支払い打ち切りを宣告されやすくなります。また、むち打ちや打撲といった怪我については概ね3ヶ月程度、骨折でも長くて6ヶ月程度で保険会社から機械的に症状固定で打ち切りの連絡が入る可能性が高いです。もしも、本当に治療が継続しているようであれば、それが客観的に見ても納得できるような形で通院と治療を行うことがとても大切です。治療と通院のポイント保険会社と治療費や慰謝料の請求について争いになった場合に、もっとも重要になってくるのが主治医の見解です。保険会社がどんなに症状固定だといったとしても、主治医がまだ治療する必要があるとはっきりとした見解を示してくれれば、治療費の打ち切りは回避できます。さすがに医師の見解に反する判断は、いくら保険会社でもできないということです。交通事故後の治療に関するまとめ交通事故後の治療については、適切な場所で適切な通院、治療を受けることが損害賠償請求の上でもとても大切です。治療費の打ち切りは、交通事故後のトラブルとして比較的よく発生します。万が一保険会社から治療費の打ち切りを宣告されても決して慌てず、まずは弁護士に相談をして今後の対策を考えることをおすすめします。適切に対処すれば、本来もらえるべきものは交通事故を起こした相手側に請求することが可能です。
2020年02月19日交通事故の損害賠償において、被害者が加害者に請求できる項目にはどのようなものがあり、およそいくらくらいの請求が可能なのでしょうか。そこで本記事では、請求できる項目や範囲そして請求する際の示談交渉のポイントなどについて詳しく解説します。損害賠償の定義と算出方法交通事故で加害者に請求できる項目は、非常に多岐にわたります。ここでは具体的な請求項目について、具体例を用いて解説していきたいと思います。損害賠償請求でよくある相談事例例えば次のような相談があったと仮定します。Q:車で走行中に交通事故に遭い、幸い大事には至りませんでしたが、長く続いた治療がようやく終わりました。加害者側の保険会社から示談に関する打診がありましたが、事故による損害額はどのように計算すれば良いのですか?損害額の算定についてですが、自動車の事故で一方的に衝突されたような場合は、加害者側の負担割合が100%に近くなります。では、どのような損害について請求が可能なのかについてですが、加害者側に請求出来る範囲は、「事故があったから、この損害が発生した」という因果関係がある事が大前提となります。そしてそれを基に考えた場合、下記のような費用について請求が可能になります。怪我の治療費の範囲交通事故のせいで治療が必要になった、という因果関係のもと治療費の請求が可能です。これは原則、全額の請求が可能ですが、医師の適切な指示のもと行なわれた事が前提となります。保険会社によっては、接骨院や整骨院などで受ける施術を治療とは認めない場合もありますので、予めよく確認してから治療を進める必要があります。もちろん、領収書も大切に保管しましょう。治療に付随して請求できる項目入院する事で一定の雑費が発生します。例えば家族の付添いが必要になった場合、付添費の請求が認められています。また、病院に来院するための交通費も損害賠償の対象になりますが、タクシー代については、よほど相当の理由がない限り保険会社は支払わない傾向にありますので、可能な場合は極力電車やバス等の公共交通機関を利用しましょう。慰謝料の種類事故によって怪我を負ったせいで通院する事になり、その結果精神的な苦痛を受ける事になった、という因果関係のもと慰謝料を請求する事が可能です。これについては算定基準がありますので、それに当てはめて計算する事になります。出典:公益財団法人日弁連交通事故相談センター赤い本より例えば、むち打ち症で他覚的所見がない場合に1ヶ月通院した場合の慰謝料の目安は19万円となります。また、これらの慰謝料とは別に、治療後も一定の後遺症が残った場合は、その後遺症に対する後遺障害慰謝料を別途請求できます。保険会社が算定して提示してくる示談金には、これらの慰謝料は考慮されていない事が多いため、安易に応じる前に必ず交通事故に強い弁護士に相談しましょう。休業損害の内容と請求できる範囲事故によって仕事を休むことになったことで収入が減少した、という因果関係のもと休業損害を請求する事ができます。算定基準等は弁護士基準に基づくと下記の通りです。会社員や自営業者の場合:事故当時の収入をベースとして、現実に失われた損害を算出します。専業主婦の場合:専業主婦には収入はありませんが、家事労働を労働として捉え、女性の平均賃金をベースに損害を算出し請求する事が可能です。学生や未成年:原則として休業損害は認められません。但し、アルバイトをしているような場合は、その分の損害を請求する事は可能です。主な損害賠償の項目としては以上となります。あとは、後遺障害が認定された場合に、事故に遭わなければ得られていたはずの利益として逸失利益についても請求が認められる場合があります。また死亡事故の場合は、死亡慰謝料や葬儀費用等も損害として請求する事が可能です。[adsense_middle]主婦の休業日数は証明できる?会社員が休業損害を請求する場合は、実際に休業して減収が発生した旨を、勤務先に書類を書いて捺印をもらうことでそれを証明します。ところが主婦の場合は、このように休業日数を客観的に証明する書類がありません。この場合は、次のようなものを証拠として利用します。医師の診断書通院時に支払った領収書通院の状況を記録したメモなど子供や家族の人数が多く、休んでいる間家政婦を雇う必要性があった場合は、家政婦を雇った実費を休業損害として請求することも可能です。ただ、請求できるのは賃金センサスを基礎とする休業損害か、家政婦を雇った場合の実費のいずれかになるため注意が必要です。ちなみに、最近では男性が家事をしていて女性が働いているというご家庭もありますが、このような場合にいわゆる主夫が交通事故の被害者となるケースもあります。この場合も、男女とも公平になるよう、賃金センサス女子全年齢平均を基礎として計算をしますので覚えておきましょう。保険会社への請求は多岐にわたるこのように、一言で損害賠償といってもその項目は多岐にわたり、算定方法についても非常に複雑です。これらの項目1つずつを適切に算定し相手方に支払わせるには、経験豊富な交通事故に強い弁護士のサポートは必要不可欠といえます。少しでも多くの賠償金を受け取りたいと考えるならば、必ず交通事故に強い弁護士に相談するべきです。損害賠償請求手続きにおける示談のポイント交通事故の損害賠償請求で示談交渉という言葉が用いられますが、そもそもこの示談とはどういう意味かご存知ですか。示談交渉をスムーズに進めて迅速に解決するためには、どのようなことに気をつけたらよいのか詳しく解説します。[adsense_middle]示談とは?示談とは言葉としては、物事を表沙汰にせずに内々に解決することをいいますが、法的にいうと裁判ではなく、任意での話し合いによって解決することをいいます。実は交通事故の多くは、この示談によって解決が図られています。示談交渉のメリットについて被害者が示談をするメリットは何でしょうか。交通事故の損害賠償請求をするためには、裁判外の示談で請求するか、裁判によって請求するかのいずれかの選択肢となります。(※ADRや調停という選択肢もあります)この際、裁判所を通じて請求をする民事訴訟の場合、問題が解決して相手方から賠償金が支払われるまで場合によっては1年以上かかるケースもあり、解決のスムーズさという部分では遅くなってしまいます。これに対し、示談の場合はお互いが合意さえすればよいので、主張が真っ向から対立していなければ示談交渉で解決したほうが圧倒的に早いです。また、裁判をするとなると弁護士費用や裁判費用など諸費用の負担が増えます。出費が増えた分以上に裁判で経済的利益が得られないと費用倒れになってしまうため、多少妥協したとしても示談で決着したほうが被害者にとってメリットが大きいことがよくあるのです。示談交渉はやり方次第でスムーズになる交通事故の示談交渉をスムーズに進めるためには、交通事故後の段階ごとに3つのポイントがあります。これらのポイントを押さえておけば、示談交渉が始まった時に交渉を有利かつスムーズに進めることが可能です。1:実況見分の重要性について人身事故が発生した場合、警察が現場に駆けつけて現場検証や実況見分を行います。警察が交通事故当事者の話をもとに、事故当時どのような状況だったのかを実況見分調書として残すために行います。実はこの時のやり取りの記録は、のちにお互いの主張が食い違った場合に重要な証拠となるため、主張すべきところははっきりと主張し、違うところははっきりと違うと伝えて記録しておく必要があります。ただ、交通事故で怪我を負っている場合は、自分自身が実況見分に立ち会えない場合があります。加害者のみの立会いで実況見分がされてしまうと、加害者側の一方的な言い分だけが記録されてしまうため、後でこちらが不利になる可能性があります。そのため、自分自身がどうしても立ち会えない状態であれば、同乗者や家族を立ち会わせるか、後日実況見分をやり直すよう伝えておくことが重要です。物損事故の場合ちなみに物損事故の場合は実況見分が行われません。事故後しばらくしてから怪我が発覚するようなケースでは、事故現場で物損事故(正確には物件事故)として処理していることが多いので、場合によっては再度警察に出向いて実況見分をやり直してもらう必要性も出てきます。そうなると加害者の協力が得られない可能性も出てくるので、現場で少しでも体に違和感を感じたらできるだけ人身事故扱いにしてもらって、その場で実況見分をしてもらった方がよいでしょう。2:医師の診察を受ける示談交渉をスムーズに進めるためには、大前提として損害額が確定している必要があります。ただ怪我の治療が継続している間は常に治療費がかかり続けているため、すぐに示談を成立させてしまうと後で治療費が思ったよりもかかった場合に、被害者自身で実費負担しなければならなくなってしまうのです。そのため、事故後はすぐに病院で検査を行い、医師の指示のもと適切な治療を開始することが大切です。人によっては接骨院や整骨院、マッサージなどに治療だといって通う人がいますが、保険会社はいわゆる東洋医学に基づく治療については、治療とは見なさない傾向があるため注意が必要です。間違った治療を受けたせいで怪我の症状が悪化したとの主張を加害者側に許すことになってしまう可能性もあるため、十分注意しましょう。基本的には医師の指示に基づくこと以外は、できる限り避けることをおすすめします。3:交通事故経験の豊富な弁護士相談する加害者側が自動車保険に加入している場合、交通事故の示談交渉の窓口はその保険会社の担当者となります。ただ、保険会社は年間で何百件もの示談交渉を行っているため、示談金を低くするための卓越したノウハウやマニュアルを持っています。そのため被害者自身が直接示談交渉しても、相手の手の内でうまく転がされてしまう可能性があります。保険会社相手の示談交渉は、被害者自身で行うのではなくプロである弁護士に任せることが得策です。自身の加入している自動車保険に弁護士費用特約が付帯されている場合は、300万円まで弁護士費用が保険金から出ます。加入していることを忘れている人がよくいるのですが、この特約は付帯することで保険料が割り増しになっていて使わないとただ損するので注意しましょう。依頼する弁護士については、保険会社指定の弁護士以外でも事前に保険会社の許可を受けていれば、自分自身で好きな弁護士に相談することが可能です。示談は合意すると修正できない示談交渉は一度示談書に署名捺印してしまうと、後でその内容を覆すことはほとんど不可能です。被害者の方だけで示談をすると、適切な慰謝料相場などを見誤ってしまう危険性もありますので、できる限り弁護士に任せることをおすすめします。損害賠償請求は弁護士に依頼すべき?交通事故の損害賠償請求は、基本的に損害額を計算して加害者に請求するだけなのでやることとしてはシンプルに聞こえますが、交通事故の場合は損害の明細が多岐にわたるため、支払いを請求する前の計算の段階でかなり苦労します。加害者側の保険会社は常に支払う保険金を低く抑えようと考えているので、被害者の知識不足がわかると保険会社は相場よりも低い金額を当然のように提示してくるため、気をつけなければなりません。このようなリスクを考えると基本的には被害者自身が損害賠償請求をするのではなく、交通事故の経験が多い弁護士に依頼したほうが安心できます。弁護士の費用対効果弁護士に依頼するとなると一番気になるのが弁護士費用でしょう。ただ、交通事故の場合は弁護士に依頼することによって増額する金額のほうが弁護士費用をはるかに上回ることがほとんどなので、基本的に依頼して損をするということはないといえます。仮に増額の可能性が低い案件の場合は、弁護士が受任する前にその旨をはっきり教えてくれるケースが多いので、まずは1人で悩まずに弁護士に相談してみることをおすすめします。交通事故の損害賠償に関するまとめ今回は損害賠償請求の基本的な項目と、加害者に請求する際のポイントとなる示談交渉について詳しく解説してきました。交通事故の損害賠償額は高額になることが多いので、できるだけ被害者自身で無理をせず専門家である弁護士に任せたほうがよいでしょう。
2020年02月17日交通事故で被害を受けた際には、加害者側の保険を利用して賠償金を請求するのが一般的なイメージですが、一定の場合には労災保険を適用して保険金を受け取ることもできます。労災保険と自賠責保険の両方が使える場合は、どちらを使うかによって損することがあるので仕組みについて正しく理解しておくことが重要です。そこで本記事では、労災保険と自賠責保険の違いや給付の種類などについて詳しく解説します。仕事中に交通事故の被害に遭われた方は、ぜひ参考にしてください。労災保険の対象とは?労災保険とは仕事中に発生した事故などについて一定の保険金が給付される保険のことで、交通事故の適用範囲は次の2種類があります。業務災害仕事中に交通事故の被害に遭った場合に適用でき、具体的には次のようなケースをいいます。トラックドライバーが運転中に事故に遭ったタクシードライバーが業務中に事故に遭った営業マンが自動車を運転して取引先に向かう途中に事故に遭ったこのようなケースは、交通事故の損害に対して労災保険を適用することが可能です。通勤災害出勤途中や帰宅途中に交通事故の被害にあった場合は、通勤災害として労災保険の対象となります。ただし、帰宅途中に居酒屋などに立ち寄ってそのあとに事故に遭ったような場合については、居酒屋に立ち寄った段階で帰宅が完了していると考えられるため、業務命令の接待などでなければ原則として労災保険は使えません。自賠責保険の対象とは?[adsense_middle]自賠責保険の補償の種類会社で加入している労災保険に対し、自賠責保険は交通事故の加害者側の加入している保険に対して保険金を請求することになります。自賠責保険は交通事故の中でも人身事故の被害者に対して最低限の補償を約束するためにある保険で、すべてのドライバーに加入が義務付けられている強制加入保険です。自賠責保険の補償の種類は主には、次のようなものがあります。治療に関する損害交通事故によって怪我をしたことに対して発生する損害に対する補償で、補償される上限金額は120万円です。ただ、この120万円の中に含まれる項目が次のように非常に多いので、治療期間が長引くと金額をオーバーして足りなくなってしまうことも少なくありません。治療費入通院交通費看護費用雑費義肢、義足の費用診断書の作成費用文書費用慰謝料治療費怪我の治療にかかった費用の実費について、自賠責保険から補償が受けられます。ただし、際限なくどんな治療でも実費を請求できるというわけではないため注意が必要です。例えば、交通事故でむち打ちになった場合、病院であれば整形外科で治療をしますが中には接骨院や整骨院、マッサージなどに通う人もいるでしょう。基本的に治療費として認められるのは医師の指示に基づく治療に限られるので、その他の治療院での治療費は自賠責保険が適用できないことがあるのです。医師の指示による場合など一定の場合なら認められることもありますが、後で解説する後遺障害認定まで考えた場合はできるだけ医師の治療を受けることをおすすめします。腕の悪い柔道整復師に当たってしまうとかえって症状を悪化させてしまうこともあり、加害者側から被害者側の治療を受ける際の過失だと指摘される可能性があるので、どこで治療するのかについては慎重に判断する必要があるのです。入通院交通費治療のために通院するための交通費や入院費用も、自賠責保険から補償を受けられます。ただし、どうせ保険が使えるからといって公共交通機関ではなくタクシーを使ってもタクシー代は補償されません。医師からタクシーの必要性を指摘されていれば別ですが、原則として公共交通機関での通院が可能な場合はその分の交通費しか支払われないので注意しましょう。また、駅から遠く自動車で通院するしかない場合はガソリン代や駐車代が補償の対象になりますが、高速道路代についてはよほどの事情がなければ認められるのは厳しいと考えらえれます。看護費用症状がひどく看護が必要な場合は看護費用も自賠責保険から補償が受けられます。看護費用はプロの看護師を雇った場合ではなく、家族が看護する場合でも請求が可能です。具体的には入院看護1日あたり4,100円、自宅看護や通院看護の場合は1日2,050円が原則です。ただし、それ以上に収入が減ったなどの立証ができれば近親者の場合で最高19,000円、近親者以外はその地域の家政婦料金の相場を限度として実費が補償されます。雑費入通院においてかかる雑費も補償の対象です。具体的には入院1日あたり1,100円で、万が一超える場合は必要かつ妥当な範囲で実費が補償されます。義肢、義足の費用怪我の影響で義肢や義足の作製が必要になる場合、必要かつ妥当な範囲で実費が補償されます。また、眼鏡が必要になった場合は50,000円を限度として補償を受けられます。診断書の作成費用医師に診断書の作成を依頼した場合にかかる費用も、自賠責保険から実費が補償されます。特に後遺障害認定をする際には後遺障害診断書が必要になるので、必ずかかる費用です。ここまでは病院関係でかかる費用ですが、以下の項目についても同じく傷害(治療)に関する損害として同じカテゴリに分類されます。文書費用保険金を請求する際に必要となる交通事故証明書(いわゆる事故証明)の取得にかかる発行手数料についても、実費が補償されます。休業損害交通事故で怪我をしたことで仕事を休まなければならなくなった場合は、それによる減収分の補償として休業損害を請求することができます。原則として1日あたり5,700円で、それ以上の損害が立証できる場合は例外的に19,000円を限度として実費が補償されます。ただし、労働としての対価ではない収入を得ている人については、たとえ交通事故で仕事を休んだとしても休業損害は請求できません。たとえば、会社役員で配当金を受け取っているような場合については、仕事を休んでも減収は発生しないので請求はできません。慰謝料交通事故で怪我をしたことによる精神的苦痛に対する損害賠償で、1日あたり4,200円で計算をします。慰謝料の対象となる期間は、原則として治療期間の範囲に限られるので、治療が終了したらそれ以降は請求できません。治療の終わりは誰が決める?怪我が完治すればそれによって治療が終わり、慰謝料の請求も終了するのですが怪我の内容によってはいくら治療を続けてもそれ以上の回復が難しい場合も出てきます。医学的には後遺症といったりしますが、交通事故の補償の範囲は医師がそう判断した時点までの治療費について加害者に請求でき、それ以降についてはいくら治療を続けても治療費は補償されないというルールがあるのです。医師が今以上の回復が難しいと判断することを症状固定といい、症状固定以降の治療費はすべて実費になります。このように傷害による損害の項目は非常に多いので、一見すると手厚い補償が受けられるように感じるかもしれませんが、実はこれらすべて含めて120万円までしか補償されないので、実際のところは自賠責保険だけでは十分な補償が受けられないことが多いです。自動車の修理費用は?ちなみに自賠責保険は人身事故に対する補償なので、基本的に物損事故つまり自動車の修理費用に対する補償は一切ありません。自動車の修理費用の補償を受けるためには、加害者側の加入している損害保険の対物賠償に請求するか、自分自身で加入している損害保険を使って補償を受けることになります。もちろん加害者本人に請求することも可能ですが、現実的には上記のいずれかの方法で自動車を修理するケースがほとんどです。労災保険の補償範囲&請求に関する疑問労災保険の補償範囲は、概ね先ほどの自賠責保険と同じですが補償される金額に違いがあります。具体的には以下の通りです。治療費は原則として全額が補償の対象休業損害は、平均賃金の80%が補償の対象このように、上限金額は違いますが補償している範囲は自賠責保険とほぼ重なっています。となるとこんな疑問が湧いてくるでしょう。両方に請求すると金額は2倍になるの?労災保険と自賠責保険を両方適用させて、より多くの補償を受けようと考える被害者の方が時々いますが、基本的に同じ損害項目について両方の保険から重ねて補償を受けることはできません。火災保険で言うところの、いわゆる焼け太りはできないので、両方適用するというよりはどちらを優先して適用するかという判断が必要になります。[adsense_middle]法的な手続きの優先順位は?労災保険を管轄する厚生労働省の通達によると、基本的には自賠責保険を使うことと示していますが強制力はありません。実際、自賠責保険を使うよりも労災保険を使ったほうが結果的に得られる金額が大きくなることもあるため、適用にあたっては慎重に判断する必要があります。労災保険を優先すべきケース労災保険最大のメリットは、治療費などが過失割合に基づく過失相殺の対象にならないという点にあります。例えば、次のような交通事故が発生したと想定します。損害総額=100万円のうち50万円が治療費過失割合=加害者7:被害者3この場合、過失相殺によって被害者が請求できるのは100万円の損害総額のうち70%に当たる70万円となります。このうち50万円が治療費として自賠責保険から支払われると、残り加害者に請求できる金額は20万円だけになってしまいます。対して、労災保険を使うと治療費については過失相殺の対象から外れるので、50万円全額を労災保険から補償を受けた上で残りの50万円に対して過失相殺が行われます。つまり、50万円の70%である35万円を加害者に請求できることになるので、自賠責保険を使った場合に比べて請求できる金額が15万円も増えることになるのです。交通事故は自分自身が被害者だと思っていても、お互いの自動車が動いている時にぶつかった場合は、被害者であっても一定の過失割合がつくことが多いので、過失相殺の影響を受けない労災保険を使ったほうがより多くの補償を受けられるケースが出てきます。後遺障害の結果が変わる?交通事故で一定の後遺症が残った場合は、後遺障害認定を受けることで後遺障害慰謝料という通常の慰謝料とは別の慰謝料を請求できるようになります。実は労災保険も自賠責保険も同じように後遺障害認定があり、基本的には基準も同じなのですが審査している組織が違うため、認定結果に違いが出てくることが多々あるのです。基本的には労災保険の方が審査が緩やかな傾向があり、自賠責保険よりも等級が認定されやすいと言われています。そのため、自賠責保険の後遺障害認定で非該当となっても労災保険で等級が認定されれば、その結果をもって再度自賠責保険の異議申し立てをすることで等級が認定される可能性が上がります。労災保険を使うデメリット労災保険を使うためには、勤務先の協力が必要不可欠です。ただ、業務中に事故を起こしたことで労災保険を使って会社に迷惑をかけたくないという方が多いという現実もあります。実際、保険金を請求するとなると会社の捺印が必要になる書類が複数あるので、諦めて自賠責保険だけ請求する人もいるようです。自賠責保険の場合は、加害者側の損害保険会社が窓口となって手続きを行ってくれるので、請求の流れとしてはとても簡単で使い易くなります。損害保険に加入していない場合加害者が損害保険に加入していない場合は、自賠責保険からしか保険金が出ないため、限られた上限金額を有効に活用する必要性が出てきます。そのため、できるだけ労災保険から補償を受けられる部分は労災保険で補償を受けて、その他の部分の補償について自賠責保険を使うといった工夫も必要です。詳しくは弁護士に確認することをおすすめします。交通事故における労災保険に関するまとめ今回は交通事故における労災保険と自賠責保険の違いなどについて詳しく解説してきました。給付の種類は非常に似ていますが、過失相殺の部分で取り扱いが大きく異なるので、もしも仕事中に交通事故の被害に遭われた場合は、どちらの保険から優先的に適用するのかについて弁護士に相談してから決めることをおすすめします。会社に気が引けて労災保険を使いにくいという場合もあるかもしれませんが、そもそも労災保険はこのような時のために保険料を支払っているので遠慮する必要はありません。特に自分自身にも過失割合がつくケースでは、労災保険を有効活用したほうが最終的に手元に残る金額が多くなるので判断は慎重にすることが大切です。
2020年02月11日交通事故で被害に遭った際には相手に対して損害賠償請求をすることになりますが、この時に悩みどころなのが弁護士に依頼するかという問題です。弁護士に依頼すれば楽なのはわかるのですが、かかる費用を考えた場合にどっちのほうが手元に残る金額は多くなるのでしょうか。そこで本記事では、交通事故の弁護士費用の相場をご紹介するとともに、具体例を用いてかかる費用が交通事故のどのような要素によって変わってくるのかについて詳しく解説します。弁護士報酬の相場交通事故を弁護士に依頼した場合にかかる費用相場を、項目ごとに細かく見ていきましょう。相談料着手金成功報酬裁判などの日当交通費など実費相談料弁護士に法律問題について相談すると、相談料がかかるケースが一般的になります。金額は統一されていないため、弁護士によって異なりますが比較的多いと思われる金額設定は、1時間1万円もしくは30分5,000円のようです。ただ、交通事故の相談料となるとちょっと変わってきます。交通事故は相談料無料が多い交通事故を得意としている法律事務所のほとんどは、相談料を無料にしているケースが非常に多い傾向があります。なぜほかの法律相談だと相談料をとるのに、交通事故だけ無料にしてくれるのでしょうか。交通事故は弁護士から見た場合、数ある法律案件の中でも喉から手が出るほど受任したい案件で、1案件当たりの利益率が非常にいいのです。個人間で生じる法律問題には交通事故以外にも、離婚、相続、債務整理などがありますがどれも損害賠償という類ではないので、扱う金額が低くなりがちです。一方で交通事故については、怪我の程度によってはかなりの損害賠償額になりますし、後遺障害が残れば総額は数千万円から億単位になることも少なくありません。弁護士報酬は勝ち取った損害賠償金の〇%という設定になっていることが多いので、損害賠償金が膨らめば膨らむほど弁護士の1案件当たりの利益がどんどん増えるのです。保険会社が支払いを担保してくれる交通事故が他の損害賠償案件と違うのは、自動車保険が使えるということです。例えば、他人から暴行を受けて損害賠償請求をする場合、仮に裁判で100万円の賠償金が認められたとしてもその金額は加害者本人から回収しなければなりません。人を殴るような人ですから、お金をほとんど持っていないことも十分考えられます。つまり、損害賠償請求は相手に認めさせることがゴールではなく、賠償金を回収してこそのゴールなのです。交通事故の場合、加害者が自動車保険に加入していれば勝ち取った賠償金は保険会社が責任を持って支払ってくれるので、弁護士としては非常に安心できますし、弁護士費用をとりっぱぐれる心配もなくなるため、こぞって交通事故案件をやりたがるのです。結論としては、交通事故の相談については相談料は無料のところを選んで相談したほうがよいでしょう。着手金弁護士に依頼して動き出す際に前もって支払う金額で、弁護士費用総額の10~30%くらいが相場のようです。ただし、こちらについても交通事故とそれ以外の法律案件で異なる部分が出てきます。被害者の着手金を無料にするケースも多い先ほどの相談料と同じで、交通事故については着手金無料で受任している弁護士がかなりいるようです。そもそも交通事故で被害を受けた方というのは、突然仕事ができなくなったうえに予期せぬ治療費や車両の修理代まで発生するので、加害者との示談がまとまるまではお金に余裕がないケースがよくあります。そのため、弁護士がサービスとして交通事故被害者については着手金を無料にしているケースが多いのです。着手金はなぜ必要?交通事故を受任すると、現場に行ったり相手と電話したりとすぐに経費が掛かってくるため、それらの費用に充てるために弁護士報酬のうち一定割合を前払いしてもらっているのです。ただ、交通事故の場合は前払いにしなくても後で確実に保険会社から賠償金が出るので、着手金無料でも弁護士が安心して受任するのです。結論としては、着手金についても交通事故が得意な弁護士に依頼すれば無料の場合が比較的多いと言えます。成功報酬弁護士がもたらした経済的利益に応じて支払う報酬のことで、交通事故の場合弁護士費用の大部分を占めることが多いです。通常、裁判によって勝ち取った賠償金は加害者側の保険会社から被害者の口座へ一括で振り込まれるので、そこから事前に取り決めしていた割合に応じて成功報酬を支払います。相場としては20~30%程度が一般的なようです。弁護士報酬の多くを成功報酬にすることで、弁護士もやる気が出ますし依頼人としても安心して依頼できるようになるというメリットがあります。完全成功報酬制とは?時々交通事故を得意としている弁護士の中に、完全成功報酬制を謳っているケースがあります。完全成功報酬制とは、成功報酬が発生した場合には報酬を支払いますが、発生しなければ報酬がかからないというような料金体系です。交通事故の場合は受任する時点において、交通事故の経験が多い弁護士であれば賠償金額の予想がつくため、思い切って完全成功報酬制にしていることが時々あります。途中から弁護士に依頼した場合例えば、自分で途中まで示談交渉をして弁護士にバトンタッチをする場合、成功報酬の金額は勝ち取った全額に対してではなく、バトンタッチしてからの伸びしろをベースに計算するのです。自分で示談交渉をして100万円が限界だったところ、弁護士に相談して900万円まで増額できたのであれば、差額の800万円から一定割合を成功報酬として支払います。裁判などの日当弁護士が事案に対応するために、事務所以外の場所に出張するなどといった場合に必要となる費用です。拘束時間が半日か丸一日なのかによっても次のように金額が変わってきます。半日:3~5万円程度1日:5~10万円程度日当は弁護士によって金額が結構違いますので、正式に依頼をする前に確認しておくことをおすすめします。交通費など実費事案の処理にかかる実費については弁護士が立て替えて支払ってくれますが、あとで精算が必要になります。例えば、交通事故現場まで行くために必要な交通費や必要書類を取得するために必要な発行手数料など、ありとあらゆる実費がかかりますので依頼する際には大体どのくらいの金額を見ておけばよいのか、弁護士に確認しておくとよいでしょう。交通事故を弁護士に依頼した場合にかかる費用は概ねこのような感じです。交通事故に関しては、勝訴すれば相手の保険会社から賠償金が支払われることが約束されているため、弁護士としても依頼人から報酬を回収不能になるリスクがなく、安心して受任できるようです。そのため、相談料や着手金など通常であれば必要になる可能性が高い初期費用について、ほとんど負担なしで受任してくれる法律事務所が数多く存在するということは、被害者にとってはとても心強いことではないでしょうか。弁護士費用を加害者に負担させたい弁護士に依頼しようか悩んでいる人の中には、かかった弁護士費用もすべて含めて加害者に請求してやると意気込んでいる人をよく見かけます。弁護士費用を相手に請求できるとなれば、正直なところ相場なんてどうでもよくなるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。交通事故なら弁護士費用を加害者に請求できる原則として弁護士に依頼した場合の裁判費用について、負けた側に負担させるという制度は日本にはありません。ただし、交通事故など相手の不法行為で損害賠償請求しているような場合については、例外的に相手に対して弁護士費用を請求することができます。ただし、請求できる金額は実費ではないため注意が必要です。加害者に対して請求できる弁護士費用は、裁判で認められた損害賠償額の10%程度と目安が決まっています。弁護士に支払った実費の領収書があったとしても、加害者に対して請求できるのはあくまで損害賠償額の10%程度が限度となりますので覚えておきましょう。[adsense_middle]慰謝料によって弁護士報酬が変わる?交通事故の弁護士費用については、賠償金を増額できた分に対する成功報酬の占める割合が非常に大きいことから、賠償金をいくら増額できるかによって金額もかなり変わってきます。さらに言えば、賠償金の項目の中でも多くの割合を占めている慰謝料については、弁護士報酬に非常に大きな影響を与えるのです。後遺障害等級別にシミュレーションここでは追突事故でよくある後遺症で、むちうちになった場合の弁護士費用についてシミュレーションしてみたいと思います。むちうちで後遺障害に認定されるとした場合、自覚症状が主体で客観的な医学的根拠が弱い場合第14級、レントゲンやCT、MRIなどでむちうちの所見が確認できる場合第12級に認定される可能性があります。裁判上認められる可能性が高い後遺障害慰謝料の金額は次の通りです。第12級:290万円第14級:110万円仮に弁護士費用の成功報酬が20%で他の賠償金を無視した場合、第14級だと22万円、第12級だと58万円と弁護士費用が大きく変化することがお分かりいただけたかと思います。弁護士に依頼した場合の費用対効果弁護士に依頼して賠償金が増額した場合と、自力でやった場合でどっちの方が得なのかと悩む人もいるかと思います。例えば、先ほどの事例の場合、自力で第14級の認定までとれたところで弁護士に依頼して第12級に上げることができたとすると、どっちの方が得になるのでしょうか。自力でやった場合に手元に残る金額は、第14級の後遺障害慰謝料である110万円です。対して、弁護士に依頼して第12級に上げることができた場合、依頼人が受ける経済的利益は次のように計算します。290万円-110万円=180万円弁護士報酬は次のようになります。180万円×20%=36万円よって、手元に残る金額は、290万円-36万円=254万円となります。実際は後遺障害慰謝料以外にも逸失利益などの項目についても比例して賠償金が増額できるため、結果的には弁護士に依頼して慰謝料の増額を狙った方が、被害者の方の手元に残る金額は弁護士費用を支払ったとしても多くなるのです。弁護士費用特約があれば負担なしで示談交渉を任せられる弁護士費用を全く気にせず弁護士に依頼したい方については、自動車保険のオプションである弁護士費用特約を付帯させることをおすすめします。弁護士費用特約とは、交通事故の被害に遭った際に弁護士に支払う費用について一定の限度額(だいたい300万円)まで保険金が下りるという保険のオプションのことで、ほとんどの自動車保険に任意で付帯させることが可能です。弁護士費用が300万円を超えることは滅多にないので、弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用を気にする必要なく迅速に弁護士に相談できます。[adsense_middle]もらい事故に威力を発揮交通事故の被害者であっても自分にも多少落ち度(過失)があるような場合については、よほど相手と争っていなければ自分が加入している保険会社の担当者が相手方と直接交渉してくれます。ところが停車中の追突事故のようなもらい事故については、自分の保険会社が保険金を支出する必要がないため示談交渉を代行してもらうことができません。そんな時に弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用を気にすることなくすぐに弁護士に示談交渉を依頼できるというメリットがあります。弁護士は自分で選べる弁護士費用特約で依頼できる弁護士は保険会社に指定されると思っている人が時々いますが、実際は本人が選んだ弁護士にも使うことができます。ただし、親族など一定の関係にある弁護士については使えませんので注意が必要です。また、利用する際には事前に保険会社の承諾をとる必要があるので覚えておきましょう。弁護士じゃなくても使える?弁護士費用特約という名称から弁護士にしか使えないように感じるかもしれませんが、実は訴訟の予定がなくて司法書士や行政書士に依頼する場合でも弁護士費用特約を利用することができます。例えば、後遺障害認定を専門にしている行政書士などに依頼したい場合でも、弁護士費用特約を使えば費用負担なしで依頼することが可能です。交通事故の弁護士費用に関するまとめ交通事故の弁護士費用は他の法律関係の事案に比べると、相談料や着手金などが優遇されていることが多いので初めての方でも依頼しやすいのではないでしょうか。費用対効果を総合的に考えると、弁護士費用がかかったとしても弁護士に依頼した方がより多くの賠償金を獲得できるでしょう。
2020年02月01日交通事故で怪我を負わされた場合、加害者に対しては治療費や入通院慰謝料などさまざまな項目について損害賠償請求することが可能です。また、怪我が完治せずに一定の後遺症が残った場合には入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料を請求できるのですが、この金額がかなり高額になることから交通事故の損害賠償請求では非常に重要なポイントとなります。そこで本記事では、交通事故の損害賠償請求における後遺障害認定の仕組みや後遺障害慰謝料の相場などについて詳しく解説します。後遺障害の定義と後遺障害認定後遺障害とは治療を続けた結果完治せずに一定の症状が残った場合で、損害保険料率算出機構(自賠責調査事務所)で後遺障害に認定された状態のことをいいます。一般的には後遺症という言葉の方が聞き慣れている方が多いと思いますが、実は後遺症と後遺障害の定義は微妙に異なる点に注意が必要です。後遺症と診断されたら後遺障害じゃないの?皆さんがよく耳にする後遺症とは、いわゆる医学的な根拠に基づく診断結果のことで基本的に医師が判断する類のものです。一方、後遺障害とは損害保険料率算出機構が診断書などの書類に基づいて行った審査の結果認定するもので、医師が診断する後遺症とは異なります。交通事故で相手に入通院慰謝料とは別に、追加で慰謝料を請求するためには、後遺症と診断されるのではなく後遺障害に認定される必要があるのです。後遺症はあくまで医師が医学的に判断して後遺症かどうか診断していますが、後遺障害は医師ではなく損害保険料率算出機構の職員が、提出された書類の内容が後遺障害の認定基準を満たしているかどうかだけで判断します。そのため、医師が後遺症と診断した症状であっても後遺障害に認定されないということはよくあるのです。後遺障害で請求できる項目後遺障害の認定が交通事故の損害賠償請求の中で重要視されるのは、後遺障害に認定されるかどうかによって加害者に請求できる項目が増えるからです。後遺障害に認定されると、次の後遺障害慰謝料を加害者に対して請求できます。後遺障害の苦痛に対する慰謝料後遺障害に認定されると等級に応じた慰謝料を加害者に対して請求可能になります。後遺障害は生活に与える影響の度合いに応じて14の等級があり、症状に応じて認定される等級が違ってくるのです。例えば、むちうちによる後遺障害でも第14級に認定されることもあれば、条件次第で第12級に認定されることもあります。後遺障害の等級による違い後遺障害で認定される等級は、そのまま加害者に請求できる後遺障害の苦痛に対する慰謝料の金額に直結してきます。後遺障害の苦痛に対する慰謝料の相場は、ある程度定型化されていて等級ごとに金額がほぼ確定しているのです。例えば先ほどの12級と14級で比較すると、次のように金額が大きく異なります。12級・・・290万円14級・・・110万円このように認定される等級が違うだけで、なんと相手に請求できる金額が3倍近く違ってくるのです。こんなに金額が違うということは、等級の認定にあたって症状の重症度がかなり影響するかに思えるかもしれませんが、実は似たような症状でも等級認定のやり方によって認定される等級に違いが出てくることがあります。つまり、後遺障害認定の等級にはその等級に認定されるための条件があり、その条件をクリアするだけの資料を提出できているかどうかで認定結果に差が出てくるのです。むちうちの後遺障害認定後遺障害認定で最も明暗が分かれやすいと言われているのがむちうちです。むちうちとは首が鞭のようにびちっとしなることで、首の付け根を捻挫してしまう怪我のことで正式には頸椎捻挫といいます。停車中に後ろから追突されると体はシートベルトに固定されているためあまり動きませんが、首から上については固定されていないので、首の付け根を起点として鞭のようにしなりむちうちの状態になるのです。[adsense_middle]むちうちの症状むちうちの症状は非常に多く、単に首が痛いというだけでなく次のような諸症状が発生すると言われています。頭が痛いめまいがする目がかすむ吐き気がする首や肩がしびれる握力が低下するとにかくだるい疲労を感じやすい一見するとむちうちに関係がなさそうなものもあるため、症状が発生してから数日間は交通事故でむちうちになっていることに気が付かないことも少なくありません。このようなむちうちの特徴が、後遺障害認定に大きな影響を与えることになります。交通事故との関連性交通事故の被害を受けた直後に病院で検査を受けて異常が発見されていれば、交通事故が原因でむちうちになったと考えられますが、事故から数日経過したあとに違和感を覚えて病院を受診したような場合では、必ずしも交通事故が原因だと認定されない可能性が出てきます。実際、事故直後に病院へ行かず数日後に病院で検査を受けたケースでは、相手方から交通事故との因果関係を否定されることが多々あり、むちうちの診断がされても相手に損害賠償請求ができないといった状況が発生することがあるため注意が必要です。特にむちうちのように外見上では異常がわからない怪我については、症状の発覚が遅れることがあるので交通事故との関連性について争いになるリスクがあります。ですので、交通事故の被害に遭った際には特に怪我がなさそうでも必ず病院を受診して記録を残しておくことがおすすめです。むちうちの治療費と症状固定交通事故でむちうちになると症状が完治する場合もありますが、中には3ヶ月以上が経過しても症状が完治せずに一定の症状が残り続けてしまうことがあります。交通事故の怪我の治療費については加害者側に請求できますが、症状がなくなるまで無期限に請求できるわけではありません。加害者に対して治療費を請求できるのは症状固定までというルールがあります。症状固定とは今後治療を継続してもこれ以上の回復が難しいと医師が判断することで、症状固定の段階で残っている症状のことを一般的に後遺症というのです。むちうちの場合は概ね治療開始から3ヶ月程度で症状固定となることが多いので、それ以降については治療を継続したとしてもすべて実費になってしまいます。その代わり症状固定時に残った症状について後遺障害認定を受けることで、等級に対応する後遺障害による苦痛に対する慰謝料を相手に対して請求できるようになるのです。第12級と第14級の基準の違い症状固定となったら後遺障害認定の手続きに進むことになるのですが、同じような症状でも後遺障害の認定結果が違ってくることがあります。むち打ちの場合、第12級と第14級で次のような基準の違いがあります。第12級:むちうちの自覚症状が他覚的所見で裏付けることができる。第14級:他覚的所見がない場合他覚的所見とは簡単に言うと症状を裏付ける医学的資料のことで、むちうちの場合は首に異常があることがわかるCT、レントゲン、MRIなどの画像検査結果のことをいいます。例えば骨折などであればレントゲンで骨折していることが一目瞭然だったりするのですが、むちうちの場合はレントゲンなどを撮っても痛みやしびれの原因となっている部分に異常が見られないことがあるのです。これについては個人差もあるので一概になんとも言えないのですが、後遺障害認定の基準に照らし合わせるとどの程度痛いのか、という症状の度合いではなく症状を裏付ける画像があるのかという点で等級が決まることになります。診断書の書き方のポイント後遺障害の認定については通常の診断書ではなく、専用の診断書を医師に書いてもらう必要があります。実はここにも後遺障害に認定されるためのポイントが潜んでいます。診断書なんて医師なら簡単に書けるだろうと思うかもしれませんが、後遺障害の認定に必要な診断書は医師が普段書いている書式とは違うので、ポイントを知らずに書くと後遺障害の認定に必要なキーワードなどを書き漏らしてしまうことがあるのです。例えばむちうちの場合、特に予備知識がない状態で医師が診断書を書くと次のような表現になることがあります。雨の日に頭が痛むことがよくある。このように診断書に記載すると、後遺障害の審査をしている人は雨の日だけ頭が痛む症状だと認識してしまいます。後遺障害は基本的に症状が常時発生していることが条件になってくるので、雨の日だけ痛むととられてしまうと後遺障害に該当しないと判定される可能性があるのです。実際に雨の日だけ頭が痛いのであれば仕方がないのですが、このようなケースではよくよく本人に話を聞いてみると雨の日だけ痛いのではなく、雨の日が特にひどいという意味でほかの日も常に痛いというケースがよくあります。となると診断書の書き方として適切なのは次のような表現です。頭が常に痛む状態で、雨の日はさらにひどく痛む。このように記載することで、後遺障害認定に必要な常時性が確認できて後遺障害に認定される可能性が一気に上がるのです。等級別の後遺障害慰謝料の基準後遺障害の苦痛に対する慰謝料は等級に応じて金額がかなり異なりますが、実は金額の違いは等級だけに関係するわけではありません。後遺障害認定で正しい慰謝料を請求するためには、弁護士基準による相場で相手に対して請求する必要があるのです。[adsense_middle]弁護士基準とは?弁護士基準とは過去の裁判で認められてきた慰謝料の算定基準のことで、最も高い基準と考えていただいて差し支えありません。対して、慰謝料を支払う側である加害者側の保険会社が提示してくるのは、被害者に対する最低限の保証を規定している自賠責基準に基づく慰謝料のため、そのまま鵜呑みにして示談書にサインをしてしまうとかなりの損失となってしまう可能性があるのです。弁護士基準と自賠責基準の違い後遺障害の苦痛に対する慰謝料について、弁護士基準と自賠責基準で一覧にしてみました。このように見比べると、どちらの基準で計算するかによって金額がかなり違うことがお分かりいただけるかと思います。後遺障害が何級で認定されるのかも非常に重要ではありますが、等級が決まったとしても弁護士基準に基づいて慰謝料を請求することが何より重要です。弁護士基準で請求するための条件弁護士基準で相手に請求するためには、自分自身で上記表を見て金額を確認して請求することもできますが、保険会社としてもできるだけ支払う保険金を低く抑えたいという考えがあるため、なかなか金額だけ弁護士基準で提示しても認めてくれないことがあります。そんな場合は弁護士を代理人に立てて弁護士基準で請求すると、手のひらを返したようにすぐ応じることがあるのです。弁護士基準はあくまで裁判になると認められる相場であることから、一般の方が弁護士基準を振りかざしても保険会社によっては全く効果がないこともあります。弁護士が弁護士基準で請求することで、応じなければ裁判になってしまうことがわかるためすんなり応じてもらいやすくなるのです。つまり、弁護士基準という武器は弁護士が用いるからこそのものなので、単に弁護士基準による慰謝料を請求すれば勝てるというほど甘くはありません。ポイントは請求することではなく、相手を納得させて支払わせることにあるのです。交通事故の後遺障害等級認定と後遺症に関するまとめ交通事故の後遺障害認定は損害賠償金全体の金額を大きく左右する、非常に重要な部分であるということがお分かりいただけたでしょうか。後遺障害の認定は医師の診断とは違い、対面で行うわけではなく書類のみで審査されるため診断書の書き方など提出する書類については細部まで細かくチェックしてから提出することがとても重要です。後遺障害認定を得意とする弁護士に依頼すると、場合によっては病院まで同行して医師と面会するところまでサポートしてくれますので不安な方はできる限り早めに依頼することをおすすめします。
2020年02月01日交通事故の被害に遭うと相手に対して損害賠償請求していくことになりますが、正当な金額を請求できていない人が多いのが休業損害です。休業損害は相手方の加入している保険会社に低く見積もられやすいため、ある程度の知識をつけておかないと丸め込まれてしまう可能性があります。また、休業損害と休業補償を混同している人もいるため、間違えないよう注意が必要です。そこで本記事では、休業損害に関する基本的な知識と休業補償との違いなどについて詳しく解説します。自動車事故で請求できる休業損害とは?交通事故で怪我をすると、入院するほどではなくても仕事ができなくなることは少なくありません。例えば肉体労働の仕事をしている人が交通事故で足を痛めてしまった場合、翌日からすぐに仕事へ復帰することはむずかしいでしょう。となると心配になってくるのが収入です。会社員の場合、たとえ交通事故で怪我をしたとしてもある程度同情してくれるかもしれませんが、かといって休んでいる間まで給与を払ってくれるわけではありません。まして自営業など個人事業主の場合であれば、仕事を休むとその間の収入は完全にゼロになってしまうため死活問題になる可能性も考えられます。そこで、交通事故の原因を作った相手方加害者に対し、交通事故によって受けた損害の一つとして、休業に追い込まれたことに対する損害として休業損害を請求する必要があるのです。生活費はどうなる?休業損害の具体例怪我の治療で仕事ができなくなると、途端に生活が大変になりますので休業損害の請求はとても重要な項目です。ここでは、休業損害の具体例についてご紹介していきたいと思います。給与の減額怪我が原因で会社に出社できなければ、たとえ月給の会社員だとしても休みが続くと給与が減額される可能性があります。本来であれば減額されるはずはなかったわけなので、交通事故に起因する損害として相手の保険会社に請求することが可能です。ボーナスカット会社員の場合は毎月の給与以外にも賞与といわれるボーナスや、皆勤手当などが支給されるケースがあります。交通事故で休んだことによってボーナス査定に影響が出たり、皆勤手当がカットされたりすると休業損害として請求することが可能です。経営者の臨時休業による損害飲食店経営者が事故によって働けなくなると、お店を臨時休業にせざるを得なくなる可能性があります。また、会社員や個人事業主以外にもアルバイトやパート、契約社員、派遣社員などさまざまな雇用形態がありますが、どの場合についても事故によって休業を余儀なくされている場合については休業損害を請求することが可能です。ただし、あくまで請求することが可能だということと、相手の保険会社に支払ってもらえるかということは別問題です。保険会社は支払う金額をできるだけ低く抑えたいと考えているため、これから解説する知識を持って適切に請求しないと実際に支払ってもらえない可能性もあります。慰謝料とは何が違う?交通事故で相手に請求できる項目として慰謝料がありますが、慰謝料と休業損害は何が違うのでしょうか。慰謝料は交通事故で被った精神的な苦痛などを金銭に見積もって相手に請求するもので、休業損害は交通事故で実際に受けた実害に対する請求という違いがあります。人が精神的に受ける苦痛は人それぞれ違いますが、交通事故の賠償請求においては慰謝料が各自バラバラになってしまうと大変なので、入院日数や通院日数などに応じて一定の目安が示されています。一方で休業損害については、慰謝料とは違い仕事を休んだことで実際に発生した損害なので、原則的には被害者の仕事内容や収入金額によって大きく異なります。例えば、年収1億円の人が1日休んだ場合と時給1,000円のアルバイトが1日休んだ場合とで実際に発生する休業損害額は違うはずなので、そこを正しく相手に対して請求していくことが重要です。保険会社によっては、被害者の収入金額に関係なく1日あたり一律いくらという見積もり方をしてくることもありますので十分注意しましょう。休業補償との違いとは?休業損害について被害者の方からご相談を受けていると、時々休業補償と混同している方がいるので、ここでは休業損害について詳しく解説する前にまずは休業補償との違いについて解説したいと思います。休業損害とはここまで解説してきた通り、交通事故で仕事を休んだことによって被った損害であるのに対し、休業補償とは仕事中や通勤中に事故に巻き込まれた際に適用できる労災保険に対して請求できる補償のことです。交通事故というと相手にばかり請求することを考えがちですが、実は仕事中や通勤途中に事故に巻き込まれた場合については、労災保険から休業補償を受け取ることができます。休業損害と休業補償の二重取りはできるの?休業補償は労災保険から受ける補償なので、加害者に対する損害賠償とは別に請求をして補償を受けることができます。ただし、休業損害と休業補償が両方請求できるからといって単純に2倍多くもらえるという意味ではありません。保険を適用する場合、基本的にはいわゆる焼け太り、つまり実際の損害よりも大きく補償を受けて得をすることができないようになっているので、労災保険から休業補償を受け取った場合については、相手に請求する休業損害から減額されることになります。なんだか納得いかない気分になる人もいるかもしれませんが、実際の交通事故では加害者側がすんなり保険金の支払いに応じなかったり、被害者側の過失が多かったりする場合については労災保険を使ったほうが結果的に被害者にとって有利になることも多いです。そのため、仕事中や通勤中に事故に遭った場合は一度労災の適用を検討することをおすすめします。傷病手当金との違いは?休業補償以外にも一定の要件を満たせば、健康保険から傷病手当金の支払いを受けられる可能性があります。ただし、傷病手当金を受け取った場合も休業補償のように休業損害からその分差し引かれますので、どの補償を使うのかについてはその時の状況に応じた判断が必要です。自賠責保険と任意保険の違い休業損害の計算方法は自賠責保険と任意保険によって異なってきます。そこで、まずは両者の保険の違いについて簡単に触れておきたいと思います。[adsense_middle]自賠責保険は強制加入自賠責保険は自動車を運転する人が強制的に加入することが義務付けられている保険のことで、人身事故の被害者に対する最低限の補償を目的としています。あくまで人身事故に対して適用できる保険なので、物損事故における車の修理代などについては補償されません。対して任意保険とは民間の損保会社がやっている自動車保険のことで、簡単にいうと自賠責保険の上乗せ保険のことです。自賠責保険は相手に対する最低限の補償しかされないため、相手に与えた損害が大きかった場合や自分自身も大きく被害を受けたような場合は、任意保険から人身傷害保険などで補償を受けることになります。任意保険はあくまで任意ですが、補償の基準が大きく違い自賠責保険だけではまかないきれないのが一般的です。加害者が任意保険に加入しているかがポイント交通事故の被害にあった場合は、相手が任意保険に加入しているかどうかが大きなポイントとなります。加入していないとなると、自賠責保険を超える部分については加害者の全額自腹ということになるため、たとえ請求したとしてもきちんと支払われない可能性があるため注意が必要です。泣き寝入りする必要はありませんが、相手が任意保険に加入していない場合については損害賠償の交渉や請求が難航する可能性がありますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。休業損害の請求方法と期間休業損害の計算方法は自賠責保険と任意保険によって異なります。自賠責保険については最低限の補償を規定しているわけなので、金額については非常に低く、本人の収入などに関係なく一律1日あたり5,700円で計算されることになります。ただし、それ以上に収入が減ったことを証明できた場合に限り、19,000円を限度として実際の額をベースに計算することが可能です。任意保険の計算方法任意保険の場合は、基本的に休業によって実際に生じた実額を請求していくイメージとなります。計算方法は被害に遭った人の就業状況によって次のように異なります。会社員の場合会社員の場合は次のいずれかの方法で計算をします。前年度の年収額÷365日×休業日数事故前3ヶ月の収入額÷90日×休業日数ただし、会社役員が受け取る役員報酬など、実際の労働をともなっている部分以外の報酬については休業損害とは認められません。同じく株主配当についても怪我の影響を受けないため、休業損害で請求することはできません。個人事業主の場合個人事業主の場合は、次のいずれかの方法で計算をします。前年度確定申告の所得額÷365日×休業日数賃金センサスの平均賃金の額÷365日×休業損害節税対策などで所得を抑えて申告しているような場合だと、休業損害まで低くなってしまう可能性があるため注意が必要です。また、年ごとの売り上げに変動がある方については、たまたま収入が減っている時に事故に遭うと休業損害を低く見積もられることがあります。その場合については、前々年の確定申告書なども用いて平均的な収入を証明していく必要がありますので、早めに弁護士に相談したほうがよいでしょう。主婦の休業損害主婦は基本的に収入がありませんが、家事労働も労働の1つであるとして次の計算式によって休業損害を請求することが可能です。賃金センサス女子労働者平均賃金÷365日×休業損害また、パートをしている主婦で上記金額よりも収入が多い場合については、パート収入をベースとして請求することもできます。保険会社によっては主婦の休業損害を示談金から除外して提示してくることもあるため、主婦であっても休業損害が請求できるということを覚えておきましょう。交通事故の休業補償に関するまとめ休業損害と休業補償は似たような言葉ですが、損害賠償においては意味が全く異なりますので混同しないよう注意が必要です。休業損害は保険会社が低く見積もってくることがとても多いので、金額が提示された際には実際の損害に見合っているのかどうか上記の計算式に当てはめて計算してみましょう。
2020年01月18日交通事故で体にケガをした場合は、病院で支払った治療にかかった費用について事故を起こした加害者に対して請求することができます。ただ、現実に相手と話し合うとなると、どこからどこまでが治療なのかについて意見が分かれてしまい争いになることがあるため注意が必要です。そこで本記事では、交通事故のケガの治療を受ける際に利用する人が多い接骨院を例に、治療費が認められる範囲について解説したいと思います。どこまでが治療なの?治療費について事故を起こした加害者の人(基本的には加害者が契約している損保会社)に請求できるというのはイメージできると思いますが、じゃあどこまでが治療費になるのかはイメージできますか?事故によって体から出血しているようなケガについては、有無を言わさず病院に搬送されるでしょうから普通に考えて治療費となるでしょう。ところが、中には事故にあっても目に見えて出血することなく、ただ首や腰が痛い気がするといったケースはとてもよくあります。このような場合では病院に搬送されずに自力で診てくれるところを探す場合もあります。接骨院に通院するケース交通事故で首や腰に痛みを感じた場合、人によっては接骨院や整骨院、もしくはマッサージなどに通院しようと考える人がいます。普通は治療というと病院やクリニック、町医者などを思い浮かべるかと思いますが、目に見えるほどの外傷がないケガの場合、医者の世話になることを面倒くさがってあえて気楽に通える接骨院などを選択するのです。では、接骨院で支払った費用についても交通事故を起こした張本人である加害者に請求できるのでしょうか。保険会社の見解は医師に相談すること賠償金の交渉をする相手になる損保会社の考え方としては、医師による治療イコール治療費という傾向があります。要するに、医学的に根拠を持って説明ができる治療については治療として認めますが、そうではないものについては認めませんというスタンスです。接骨院や整骨院については医師がやっているのではなく、柔道整復師という資格者がやっているところで医学的な根拠を持ってやっている場合もありますが、やっていることは治療ではなくて施術なので損保会社はあまり治療として認めたがりません。実際、治療でもないのに体の中で痛い場所をでっち上げて書類を書いて、不当に健康保険を使って接骨院でマッサージ的なことをやってもらおうとする人がいるため、損保会社としてもあまり接骨院での施術まで保証したくないのです。接骨院の看板には保険対応可能などと書いてあることがよくありますが、実際に保険が適用できるかどうかは損保会社に申請しなければわからないはずなので、そう言った看板の表記を鵜呑みにして施術を受けない方がよいでしょう。弁護士に相談すれば認められる場合も接骨院で受けた施術費用が一切請求できないかというとそうではありません。接骨院の中には交通事故を専門として扱っているところもあり、実際にむちうちなどに一定の効果があるところもあるようです。ただ、損保会社は被害を受けた人が直接交渉してもなかなか首を縦に振りません。専門家である弁護士を通して接骨院での治療が必要だったと主張することで、場合によっては治療費として支払ってくれる場合があります。例えば、医師が接骨院に通うよう指示を出したような場合については、損保会社が治療費として認める傾向があります。基本は医師に診てもらうべきこのように接骨院で施術を受けた場合についても、弁護士を交えて損保会社と交渉すれば治療費として認められる可能性が残されています。ただし、あくまで可能性があるというだけで、病院で治療を受ける場合に比べればはるかにハードルは高いです。言い換えれば、わざわざそこまでして接骨院で施術を受ける意味はほとんどありません。むちうちや腰痛などが交通事故によって発生したとして、あえて接骨院に行くよりも整形外科の専門医の先生にちゃんと診察してもらった方が、治りも早いはずですし何より治療費として認められます。医師ではないところに行ってしまうとそれだけでハードルが高くなってしまうので、よほどの事情がなければ接骨院や整骨院、マッサージなどはおすすめしません。接骨院が治療費に認められないと大変昔にあった事例で、接骨院での施術は治療費として認められにくいということを知らずに数ヶ月通いつめていた人が、いざ損保会社に請求したところ反対されて全て自腹になってしまったことがあります。通常、損保会社が治療費として認めたものについては、被害を受けた人がその都度窓口で高額な治療費を支払わなくてもいいように、損保会社が直接病院に支払ってくれることもあります。ですが、接骨院を使った場合は被害を受けた人自身で一度立替え払いをした上で後から請求することになるため、立て替えた後に損保会社が請求を認めないと大変なことになるのです。交通事故で被害を受けた人の多くは、事故を引き起こした加害者とされる人に対して強い怒りを感じていることから、かなり広い範囲まで治療費として請求できる、または請求してやると意気込んでいるケースが多いように感じます。ただ実際に治療費として法的に認められる範囲は、医学的な根拠に基づくものにある程度限定されてきています。ちなみに、鍼灸院でのいわゆる針治療について質問を受けることがよくありますが、法的に認められやすいのはいわゆる西洋医学に基づく治療であって、東洋医学に基づくものについてはものによっては否定されやすい傾向があるため注意が必要です。こういった原理原則を頭に入れた上で、どこで治療を受けるのかについて冷静に考えることが大切です。接骨院に通院したくなるケガ交通事故で受けるケガの中で接骨院を使おうとする人が多いのがむちうちです。むちうちは正確にいうと医師の使う用語ではなく、正しくは頚椎の捻挫(けいついねんざ)といいます。例えば、車に乗って停車している時に前方不注意の車にもろにぶつけられたような場合、被害を受けた側の人は体をシートベルトに固定していることから、首よりも上の部分が激しくしなります。このしなりがムチのようなことからむちうちというのですが、むちうちになると次のようにいろんな症状が現れるのです。頭痛めまい吐き気首の近辺に痛みを感じる首が完全に回りきらない、横を向きにくい握力が下がる体がだるく感じるこのように症状が人それぞれのため、人によっては頚椎が捻挫しているとは気が付きにくいです。実際、交通事故が起きたすぐ後に頚椎が捻挫していると自覚していない人も多く、事故が起きて一週間以上経ってから上記のような症状を感じて病院に行ったところ、頚椎が捻挫しているとわかるというケースがよくあります。頚椎の捻挫はレントゲンを撮ってもはっきりわからないことがあるため、被害者の方がしっかりと医師に自分の症状を伝えないと医師も気が付かないので注意が必要です。[adsense_middle]治療方針が慰謝料に与える仕組みとは被害を受けた人が請求できる慰謝料は、同じケガの程度だとしても治療の方向性などによって金額が変わってきます。先ほどの頚椎の捻挫のケースで考えてみましょう。頚椎の捻挫は病院で入院したり通ったりすることに対する慰謝料の他に、事故が起きる前の状態に治癒されず後遺症が残った場合の後遺障害による慰謝料を交通事故の相手に対して請求することができます。後遺障害に対する慰謝料は等級によって金額が違い、頚椎の捻挫の場合は14級か12級に割り振られることがあるのですが、弁護士に交渉をお願いした場合で考えて14級なら110万円、12級なら290万円が慰謝料の相場となり、どちらに認定されるのかによって慰謝料が大きく違ってくるのです。もっといえば、頚椎の捻挫の多くは後遺障害に認定されないケースもあるため、認定を取れるかどうかは慰謝料の金額に大きな影響を与えます。14級と12級の違い14級と12級の差は一言で言うと客観的な証拠があるかどうかです。頚椎の捻挫は「首がいつもと違って横を向いたり、下を向いたりすると痛い」と被害を受けた人が口で言うだけでも、医者が「頚椎の捻挫の可能性がありますね」とすることもあるようですが、いわゆる自覚症状しかない場合12級は認定されません。12級の基本的なポイントとしては、被害を受けた人自身の申告にプラスして客観的な裏付けとなるレントゲンやCT、MRIなどの画像によって頚椎の捻挫であることが証明できる必要があります。接骨院では証明できない接骨院や整骨院、整体、マッサージなどに通っている場合については、たとえ頚椎の捻挫という症状があったとしても医師による診察、診断がされていないことから後遺障害として認定されないことが多いです。そもそも、柔道整復師については医師ではないので診断書を書くことができません。このような事実を後で知って慌てて整形外科を受診しても、事故からの経緯がはっきり証明できないため証拠として認めてもらえない可能性もあります。頚椎の捻挫など交通事故が発生してから時間的間隔を置いてから発症する症状については、事故との因果関係(事故があったから症状が出た)について争いとなるため、症状が出たらできるだけ早く整形外科で診察を受けて、カルテに記録をつけてもらうことが重要です。接骨院では健康保険は使えても、保険会社から治療費として認めてもらえず実費を支払わされる結果となる可能性が高いので気をつけたほうがいいでしょう。保険会社との交渉のポイントすでに接骨院でマッサージや電気療法などの施術を受けている人については、できるだけ早く整形外科を受診するとともに保険会社との示談に向けて対策を考える必要があります。[adsense_middle]治療する期間、日数についてむちうちなど接骨院に通うような痛みがある場合、保険会社からは大体3ヶ月くらいで治療費の支払いを止められることが多い傾向があります。それ以上の日数で治療を続けたい場合については、まだ治療中だという医師の見解が必ず必要になるため、整形外科を受診しなければなりません。保険会社は基本的に医師の見解しかあてにしておらず、柔道整復師や整体師、鍼灸師の見解についてははねのけてしまうことが多いので注意しましょう。画像を撮る検査をする接骨院・整骨院・鍼灸院・整体などに通っていると、施術は受けられてもレントゲン・CT・MRIなどの画像検査を受けていないため頚椎の捻挫を客観的に証明することが難しくなります。そのため、まだ整形外科を受診していない場合はすぐに受診して画像検査を受けてください。客観的な証拠がないと本人の自己申告だけになってしまい、慰謝料がとっても少なくなるかもしれないので必ず整形外科に行ってカルテに記録してもらいましょう。また、その際に交通事故との関連性について触れてもらうことも忘れないようにしましょう。医師の指示は非常に有効治療費として認めてもらうためのキーワードは医師の指示です。どこに通うにしても、医師が医学的な理由をもとに指示したことであれば大体治療費として認められますので、医師が腕のいい接骨院を教授していくのであればその流れを診断書などに記録しておくことで治療の一環として認められます。過去にも交通事故の治療として温泉治療をした人がいるようですが、この際も医師の指示があったということで治療費として認められたことがあるくらいです。繰り返しますが、接骨院は医師ではなく柔道整復師なので医師の診察、診断を受けなければ示談において不利になることは頭に入れておきましょう。交通事故における整骨院・接骨院の扱いに関するまとめ今回は交通事故における整骨院・接骨院の扱いについて解説してきました。接骨院、整骨院、整体、鍼灸院、マッサージなどは看板などに交通事故対応などの看板を掲げているケースはありますが、示談において必ずしも治療費として保証されることを意味しているわけではありません。柔道整復師、整体師、鍼灸師などについては医師の資格はないので、医学的な根拠で頚椎の捻挫などの症状を証明することができません。また画像検査についても整形外科で受診する必要がありますので、事故後は料金などは気にせずできるだけ早めに病院で精密検査をしてその上で医師の指示があった場合に接骨院に通うという流れをとるようにしましょう。
2020年01月10日交通事故の被害にあった際に損賠償金の増額交渉において非常に重要なのが過失割合です。増額交渉というと、入院や通院した際の慰謝料や後遺症が残った際に請求する後遺障害慰謝料、仕事を休んだことに対する休業損害などを交渉によって増額することばかりがネット上で中心的に取り上げられていますが、実際のところ増額交渉以上に過失割合の交渉が重要になります。そこで本記事では、交通事故に遭遇した際の過失割合の交渉に関連する知識や交渉のポイント、一般的な過失割合の目安などについて詳しく解説します。過失割合の意味と被害者の責任とは政府統計の総合窓口[adsense_middle]停まっているのに追突された事故の過失の割合交通事故をケース別に統計を取ると、一番多いのが停まっているのに追突された事故です。前方不注意による追突事故は、追突された側が完全に停車している場合については過失の比率が100:0となります。ところが、追突されたドライバーに次のような責任がある場合については過失の比率が重く見られ、0ではなく一定の比率が認められる可能性があるため注意が必要です。駐停車禁止の場所に自動車を停めていた夜なのにハザードをつけていなかった自動車を端に寄せて停めていなかったこのように停車していて動いていなかったとしても、ドライバーとして最低限守らなければならないルールを守っていなかった場合については、過失割合は0ではなく一定の過失割合が認められる可能性があります。まっすぐ進む二台の車がぶつかる前方不注意でぶつかる事故の次に多い事故というと、まっすぐ進む二台の車がぶつかる事故である、いわゆる出会い頭の事故です。まっすぐ進む自動車同士が交差点でぶつかると、スピードがかなり出ているケースが多い為被害も大きくなりやすい傾向で損害額も高額になります。信号機が設置されている交差点の場合まっすぐ進む自動車同士の衝突は交差点に信号機が設置されているのか、それとも設置されていないのかという状況によって過失の比率の考え方が変わってきます。信号機が存在する交差点の場合では、原則として信号機に従って動いていたドライバーの過失割合の方が比率が低くなり、反対に信号を無視していたドライバーの過失が重くなるのです。赤信号100:青信号0赤信号80:黄色信号20赤信号50:赤信号50このように赤信号を無視して交差点にまっすぐ突き進んできたドライバーについては、責任がより重くなるようになっています。ただし、自分が青信号だとしても自分が交差点に入ろうとした時点で、すでに他の自動車が信号無視をして交差点に入ってきているのがわかるような場合については、事故を回避することができたという考え方で青信号のドライバーにも10%程度の比率で過失割合がつく可能性があります。信号機が設置されていない交差点の場合信号機が今の所では設置がされていない交差点でまっすぐ進む自動車と自動車がぶつかった場合については、ぶつかった時の道路の幅員、位置関係、速度などによって過失割合が変わってきます。方向の問題それぞれがまっすぐ走ってきて衝突した場合については、右から来た自動車の責任がより重くなります。具体的には右から来たドライバーが60に対し、左から来たドライバーは40の過失割合が認められるのです。道路の幅員の問題信号機が未だ設置されていない状態の交差点でぶつかった場合については、基本的に走ってきた道路の幅員が狭い方の過失がより重くなります。具体的には道路が広い方が30なのに対し、狭い方は70となります。まとめ:交通事故の過失割合は交渉が大切今回は示談交渉でとても重要になってくる過失割合に関係する基本的な知識について解説してきました。過失割合は原則として過失の割合をベースにして決まりますが、交通事故にはさまざまなケースがあるため全ての交通事故を過失の割合にあてはめて機械的に決めることはできません。むしろ、交通事故ごとにある事情をできる限り細部に至る部分まで過失の比率に再現できるかが重要であり、そこが弁護士の腕の見せ所でもあります。過失の割合をどこまで諦めずに踏み込んで交渉できるかが、適切な賠償金を受け取るためにとても重要です。交通事故の被害に遭われた方は、インターネットのサイトなどで基本となる過失割合を調べて、保険会社が提案してきている金額が本当に正しい金額なのかについて落ち着いて検証する必要があるでしょう。くれぐれも、保険会社の思惑通りにあっさりと納得して示談書にサインしないよう注意してください。
2020年01月10日交通事故の示談金の中で、最も増額できる可能性が高いといわれているのが慰謝料です。慰謝料は示談金のうち精神的損害に該当する項目で、治療費などの財産的損害に比べると金額について争いが起きやすい傾向があります。最近は慰謝料をたくさん請求するためのノウハウを掲載したサイトをよく目にしますが、そもそも慰謝料など交通事故の賠償問題に関する基本的な知識や情報を知っていないと相手に太刀打ちできません。そこで本記事では、交通事故の慰謝料に関する基本知識、相場、増額するためのポイントについて詳しく解説します。被害者の慰謝料金額に関する基本知識慰謝料とは交通事故によって受けた精神的苦痛に対する損害のことで、怪我の入通院によって受ける「入通院慰謝料」と後遺障害になったことで受ける「後遺障害慰謝料」の2つの種類があります。どちらの慰謝料についても交渉次第で増額する可能性があり、交通事故の示談交渉においては最も肝となる部分です。また、慰謝料のことを見舞金という人もいますが、見舞金は加害者が被害者に謝罪に行く時の手土産的な意味合いで持参するもので、損害賠償として正式に支払う慰謝料とは全く異なります。人身事故と物損事故の違い交通事故において慰謝料が請求できるのは、原則として人身事故に限られます。人身事故とは簡単にいうと人が怪我をした事故のことで、対して車などが破損したのみで人が怪我をしなかった事故のことを物損事故(物件事故)といいます。慰謝料とは怪我をしたことに対する精神的苦痛の損害賠償なので、怪我をしていない物損事故には慰謝料が発生しません。中には、「愛車を破損して精神的な苦痛を受けた」と主張する人もいますが、物損については修理費用を請求することで物理的に直すことができます。それによって精神的な苦痛はなくなると考えられるため物損事故で慰謝料は請求できないのです。人間の体は機械ではないのでたとえ軽い怪我だったとしても、事故に遭う前の状態に完璧に戻すことは不可能という部分が物損事故と違うところでもあります。事故現場で物損事故扱いにされたら実際に交通事故の被害に遭ったとしても、信号待ちの追突事故の被害だったりすると、現場に来た警察官からやたらと物損事故扱いにするよう説得してくることがあります。警察としては管轄地域の人身事故件数を減らしたいため、怪我をしていることがはっきりわかるような場合でないとできるだけ物損事故で処理しようとするのです。例えばむち打ちなどについては、警察がパッと見ただけでは本当に痛いのかどうか判断できず、被害者が保険金を請求するためにわざと痛がっているのではないか、といったことも考えるため物損事故で処理しておきましょうよ、といった感じで説得してくることがあります。人身事故となると殺人事件のように実況見分を行って実況見分調書(刑事ドラマなどでよく見るあれです)をとらなければならないため、軽い接触事故程度だとできるだけ物損事故扱いにしたいのです。物損事故として処理されてしまうと怪我がなかった事故として記録されてしまい、事故証明も物損事故のものしか出ないため、後で治療費や慰謝料請求する際に障害となります。もしも物損事故扱いで処理してしまった場合は、後で管轄の警察署に連絡して所定の手続きをすれば人身事故に切り替えられますので、できるだけ早めに対処することをおすすめします。自動車事故とバイク事故の損害賠償に違いはあるのか慰謝料が発生する人身事故でも、自動車事故とバイク事故で慰謝料の違いはあるのでしょうか。自動車よりもバイク事故の方が発生した際のダメージが大きそうなので、バイク事故の慰謝料の方が高くなりそうなイメージを持っている方がいますが、基本的には自動車とバイクで慰謝料を計算する際の基準に差はありません。入院や通院に対する慰謝料については、乗り物に関係なく入院期間と治療期間に基づいて慰謝料金額を算出するします。そのため、同じような事故でもバイクの怪我の方が重くなりやすいので結果的に慰謝料額が高くなることはありますが、怪我の程度が同じだとすれば自動車とバイクで慰謝料額は同じです。保険会社の基準である任意保険基準とは慰謝料を算定するためには、財産的損害とは違い一定の目安が必要になるため慰謝料を計算する時の基準というものが規定されています。そして示談交渉において慰謝料が増額するのは、その基準が複数存在するからです。加害者側の窓口が損害保険会社の担当者の場合、任意保険基準という損害保険会社が自主的に決めている基準を使って慰謝料を計算して提示してくるのですが、この金額が相場よりも非常に低いといわれています。自賠責基準とほぼ同じ水準損害保険が慰謝料を計算する時の基準については、基本的に損害保険会社の社内の規定に過ぎないため原則として一般には知らされていません。時々任意保険の基準としてサイトに掲載されていることもありますが、損害保険会社の基準は示談交渉においてトップシークレットといっても言い過ぎではないくらい重要なので、通常は外部に漏れることは考えにくいです。よってそのままサイトの情報を鵜呑みにすることはおすすめできませんが、過去の事例から考えると損害保険会社の基準はほとんど自賠責保険の基準と同水準と考えられます。自賠責保険の基準とは、人身事故における最低限の補償基準で入通院1日あたり一律4,200円です。一方で、最も高い基準である裁判基準(弁護士基準)については、3倍以上も高い金額になるくらい違いがあるため、この差が示談交渉で増額できる理由なのです。慰謝料をシミュレーションしてみよう損害保険会社が提示してくる入院や通院したことに対する慰謝料と裁判基準で計算した慰謝料では、具体的にどのくらい金額に差があるのでしょうか。ここでは、下記事例を想定してそれぞれの基準で慰謝料をシミュレーションしてみたいと思います。通院期間:30日実通院日数(実際に通院した日数):14日入院はしていない[adsense_middle]自賠責基準の慰謝料自賠責保険の基準では1日あたり4,200円なので、計算のポイントになるのは慰謝料の対象となる日数です。自賠責基準では、次のいずれか少ない方の日数で計算します。入院期間+通院期間入金期間+実通院日数×2よって、今回の事例では14×2=28日の方が少ないのでこの日数で計算することになり、慰謝料の金額は次のようになります。4,200円×28日=117,600円これが自賠責保険の計算で使う基準を当てはめた場合の慰謝料額です。裁判基準の慰謝料同じ条件で裁判基準の慰謝料を計算してみます。裁判基準は計算するのではなく、日弁連交通事故相談センターが発行している通称・赤い本に掲載されている、下記入通院慰謝料別表Ⅰに当てはめて該当する金額が慰謝料となります。出典:日弁連交通事故相談センター東京支部赤い本今回は通院のみなので緑のタテ軸の1ヶ月の箇所である280,000円が裁判基準に基づく慰謝料です。自賠責基準の117,600円と比較すると2倍以上の差があることがわかります。今回はわかりやすくするために通院のみで期間も最短でシミュレーションしてみましたが、通院期間や入院期間が長くなればなるほど、自賠責保険による基準と裁判基準(裁判をした場合に認められる可能性がある基準)の慰謝料額は大きく差が出ることになるのです。どうでしたか?慰謝料は難しい計算式で複雑な計算をするわけではなく表にあてはめるだけなので、金額を知るだけだったら誰でも簡単に調べることができます。後遺障害慰謝料とは交通事故の怪我が治療によって完全に治ればよいのですが、治りきらずに一定の痛みや傷などが治らないものとして残った場合については、先ほどの入院や通院に対する慰謝料とは別に、後遺障害を原因とする精神的な苦痛などに対する損害賠償という形で後遺障害慰謝料を加害者に対して請求できます。後遺障害慰謝料については、知識を誤って認識している被害者の方も少なくないため、まずは基本を押さえましょう。後遺症と後遺障害は違う怪我が完全に治らず一定の痛みや傷などが残ることを医者は後遺症と表現するため、医者から後遺症と言われれば後遺障害に対する慰謝料がもらえると思っている被害者の方がいますが、実は後遺症と後遺障害は重要な部分が違います。後遺症とは医者が医学的な知識を使って考えていうわけですが、後遺障害については後遺障害の等級を決めたりする機関である自賠責損害調査事務所が、本人が出してきた書類や資料だけを見て等級を決めています。医者が後遺症ですねと言った場合でも後遺障害の認定については結果が違ってくることがあるので、ケースによっては後遺障害に対する慰謝料を請求できない可能性があります。後遺障害で決められる等級と後遺障害の慰謝料の相場後遺障害は第1級から第14級まであり、等級に応じて後遺障害に対する慰謝料の目安となる基準が規定されています。例えば最も低い14級が認定された場合、自賠責保険の基準では32万円ですが裁判基準では110万円となんと3倍以上も金額に差があるのです。また、むち打ちの場合であれば12級に認定される可能性もあるのですが裁判基準で290万円となり、14級に認定される場合よりも3倍近く増額します。そのため、できるだけ示談金を多く欲しいという場合については、後遺障害の認定で自分自身の痛みや傷などの状況に合っている等級を確実に認定されることが第一歩だと心得てください。後遺障害認定のポイント後遺症が残った場合における後遺障害の認定で自分自身でも納得できる等級の認定を受けるためには、認定手続きの流れを知ることが重要です。後遺症を後遺障害として認定してもらうための最大のポイントは、書類審査だけであるという点にあります。医者が後遺症かどうかを判断する際には、本人を直接診察してどのような痛み、傷なのかをよく見て決めるわけですが、後遺障害なのかそうではないのかの判定については自賠責損害調査事務所の人と直接会うことはなく、提出した書類のみを以って判断されるのです。そのため、本来であれば後遺障害として等級をもらえるケースだったにもかかわらず、傷や症状の内容がわかりやすく書類に反映されていなかったせいで後遺症であっても後遺障害ではないという結果が出てしまうことがよくあります。後遺障害診断書の記載内容が重要後遺障害かどうか認定で提出する書類の中ですごく重要といわれているのが後遺障害診断書です。後遺障害診断書は担当している医者に書いてもらう書類で、医者であれば特に問題なく書けるのですが、残念ながら医者に丸投げして書いてもらうだけでは十分とはいえません。なぜなら、医師は医学のプロではありますが後遺障害の認定に関する知識、ポイント、要件などは持ち合わせていないからです。後遺障害における等級の認定基準は、自賠責独自のものなので医者は細かいことを知りません。そのため、後遺障害の等級について要件を満たしている症状でも、記載の仕方が具体的ではなかったり、肝心なことが書かれていなかったりするとそれだけで弾かれてしまう可能性があるのです。弁護士に病院まで同行してもらう交通事故に強い弁護士に相談すれば、後遺障害に認定される可能性がある被害者の方の場合、弁護士が病院まで一緒に行ってくれるケースがよくあります。弁護士が担当している医者に直接会って症状を聞いて、その上で後遺障害診断書にどこをどのように記載すべきなのかについて医者に対して直にアドバイスしてくれるのです。決してウソの記載をするよう依頼するのではなく、実際に残っている症状のどの部分についてどのように細かく記載すべきなのかといった記載する上での表現方法や記載内容についてのアドバイスをします。交通事故に強い弁護士は、後遺障害の認定の結果次第で示談金の総額が大幅に変わることを心得ているため、多少面倒な部分があったとしても病院に一緒に行ってくれるケースが多いので心配な場合は必ず相談しましょう。裁判基準で大幅増額の可能性がある後遺障害は症状が重くなるにつれて慰謝料が高額になるため、増額になる際の金額幅も非常に大きくなります。実際に、自賠責基準と裁判基準でどのくらいの差が生じるのかについて表にまとめてみました。このように高い等級になってくると、一千万円単位で慰謝料が違ってくるため後遺障害に認定された場合の慰謝料請求については、保険会社から提示された金額が上記裁判基準になっているのかどうか必ず確認しましょう。慰謝料増額最大のポイントは?入院や通院に対する慰謝料、後遺障害に対する慰謝料ともに、自賠責保険の基準と裁判における基準で金額に大きな違いがあることがお分かりいただけたかと思います。被害者の方については、裁判基準の相場について必ず頭に入れておくことで損害保険会社の言い分に騙されずに済みますが、裁判基準の金額を損害保険会社に出させるためにはそれだけでは不十分です。[adsense_middle]保険会社は損害賠償における交渉のプロ損害保険会社は利益を追求する株式会社なので、支払う保険金については交渉によってできるだけ低く抑えたいと考えているため、損害保険会社の基準もほとんど自賠責保険の基準と同じ水準なのです。そんな損害保険会社に対して、交通事故の示談交渉についてはほぼ素人である被害者本人が裁判基準の金額を提示したとしてもほとんどのケースで応じてもらえません。損害保険会社の示談交渉担当者は、年間で何十件も対応している交通事故における示談交渉のプロ中のプロです。そんなプロに対して素人がネットで調べた知識程度で交渉しても結果は見えています。裁判基準は弁護士が装備できる武器である損害保険会社に裁判基準に基づく慰謝料を認めさせるには、弁護士を窓口として交渉する必要があります。裁判基準で計算することは簡単ですが、裁判基準という武器を用いて相手を説得できるのは専門家である弁護士だけといっても過言ではありません。わかりやすくいうと、裁判基準という武器を装備できるのは弁護士だけなのです。ロールプレイングゲームなどでもそうですが、どんなにすごい武器があったとしてもその武器を装備できなければ全く意味がありません。交通事故の被害者の方は、本当は武器を持って加害者に立ち向かって交渉するのではなく、病院でしっかりと療養して怪我が早くよくなるように仕事を休むなどして集中することの方が大事です。慰謝料を増やすための話し合いについては、裁判基準という最強の武器を唯一装備できる弁護士に依頼することが一番の作戦といえるでしょう。弁護士が裁判基準を用いて交渉することで損害保険会社に対してプレッシャーをかけられるので、裁判をしなくても裁判基準による慰謝料を認めさせることができるのです。弁護士に依頼すると弁護士費用が負担になると考える人もいますが、交通事故の場合は裁判基準によって増額する金額の方が弁護士費用を上回るケースがほとんどなので、費用対効果で考えても費用倒れになる心配もほぼありません。特に後遺障害に該当する症状がある方については、早い段階で弁護士に相談することでより上の等級を狙える可能性も出てきます。交通事故の慰謝料の相場に関するまとめ交通事故の慰謝料は損害保険会社の初回提示額から増額できるケースがほとんどです。ただし、それはあくまで弁護士という専門家が窓口となって交渉することが大前提という点を忘れてはいけません。保険会社は被害者本人を非常に甘く見ている傾向があるため、単に裁判基準で請求するだけでは応じないのです。弁護士が窓口となることでプレッシャーをかけることが何より重要なので、慰謝料を増額したい場合はできるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
2019年12月26日交通事故の被害に遭われた際には、損害賠償として示談金を請求することができます。示談金の金額については交渉次第で大きく変わってくるため、被害者自身も示談金の相場や請求する際のポイントを正しく理解しておくことがとても重要です。そこで今回は交通事故に遭った際に、より多くの示談金を受け取るために必要な知識やポイントについて詳しく解説します。車の事故で被害者が請求できる示談金の内訳とはそもそもいわゆる示談金とは、交通事故における損害賠償金の総額を指していることが多いですが、交渉によって増額できる幅は項目によって異なりますので、まずは示談金の内訳について正しく理解することが大切です。示談金の主な内訳についてまとめてみました。被害者の方の中には示談金=慰謝料というイメージを持っている方が時々おられますが、上記の通り慰謝料とは示談金の中の1つの内訳に過ぎません。治療に関係する請求について治療に関連する損賠賠償については、基本的にかかった実費を確実に請求していくことがポイントになりますが、中には実費がかかっても請求が認められなかったり、制限されたりするケースがあるため注意が必要です。項目ごとに見ていきましょう。治療費交通事故によって負った怪我の治療に費やした費用について加害者側に請求します。請求する金額は基本的に治療費の実費なので、交渉によって大きく増額できる部分ではありません。ただし、治療費として認められる範囲について争いになることがあるため注意が必要です。例えば追突事故でむち打ちになった場合、本来受診すべきなのは整形外科ですが、被害者の中には病院ではなく接骨院や整骨院、場合によってはマッサージなどに通うケースがあります。整形外科での治療については基本的に治療費の対象として扱われますが、接骨院等は医師ではなく柔道整復師という別の資格者になるため、相手方から治療ではないと主張されることがよくあるのです。そのため、治療についてはできるだけ医師による診察、治療を受けることを心掛けるとともに、どうしても接骨院などを受診したい場合は医師に相談の上、医師の指示のもと紹介された接骨院等に通うようにしましょう。病院なら内訳が何でも請求できるわけではない基本的に病院やクリニックなど医師の診察、治療を受けていれば基本的に治療費として請求することが可能です。(※症状固定後については請求できません)ただし、病院なら何でも損害賠償の対象になるかというとそうとは限りません。例えば、むち打ちで整形外科で治療を受けているような場合において、病院に通院しているものの湿布を処方してもらっているだけのような場合については、治療費とは認められない可能性がありますので注意しましょう。通院交通費病院に通う際に支出した交通費についても、交通事故に起因して発生した損害なので相手方に対して請求することができます。ただし、病院に行くために支払った交通費であればどんな交通手段でも認められるのかというとそうではありません。例えば目安として、公共交通機関である電車やバスなどを利用して病院に通院した場合については、社会通念上妥当な金額として認められる可能性が高く、往復の運賃額さえ分かれば、領収書がなくても通院した日時などの記録があれば支払われるケースが多いです。問題となるのは自家用車を使って通院した場合の交通費の算出です。自家用車を使って通院した場合、交通費として浮上するのは以下のような項目です。ガソリン代実際に支払った実費が必ずしも請求できるとは限りません。例えば、自賠責保険ではガソリン代について1kmあたり15円と基準が決められているため、外車でハイオクを入れているような場合だと基準を超える可能性があります。駐車場代病院の駐車場が有料の場合については、駐車場代についても認められる可能性があります。ただし、領収書については必要になるため忘れずに保管しておく必要があります。高速道路代自動車を使って通院する場合は基本的に一般道を使いますが、高速道路を利用したい場合については合理的な理由がある場合に限られます。どうせ加害者に請求するからと考えて、近い病院にわざわざ首都高を使って通うと請求が認められない可能性がありますので注意しましょう。慰謝料だけじゃない!相手方保険会社との交渉で増額しやすい項目治療に関係する項目については、基本的に実費が上限となるため交渉によって極端に増額することはほとんどありません。そのため、示談金の総額を増額するためには、これからご紹介する項目の交渉がとても重要になってきます。休業損害入通院慰謝料後遺障害慰謝料逸失利益[adsense_middle]休業損害交通事故によって仕事を休まなければならなくなると、その分収入が減ることになるため加害者に対して請求することが可能です。請求できる金額については、被害者の勤務先状況によって異なるため、それぞれのポイントを解説します。会社員の相場事故前の給与を基準として考えて、欠勤したことによって実際に発生した減収分が休業損害となります。被害者の中には会社に気を使って有給を使うことがあり、欠勤しても減収が発生しないケースもありますが、その場合についても欠勤したと仮定して休業損害を請求することが可能です。自営業者の相場直近の確定申告書の金額を基準に考えますが、業種によっては年度によって利益の浮き沈みが激しい場合があるため、たまたま利益が落ち込んでいた時に交通事故に遭うと少ない休業損害を相手から提示される可能性があります。その場合は、過去数年間の確定申告書の控えなどを提出し、平均的な利益を主張して休業損害の増額交渉をすることが重要です。主婦の相場主婦については実質的な収入はないため、加害者側が支払いに応じないこともありますが、原則としては家事労働を労働と考えて休業損害を請求することが可能です。金額については賃金センサス女子労働者の全年齢、もしくは年齢別の平均値をベースに、家事ができなくなった日数分請求します。主婦がパートをしていて収入がある場合については、賃金センサス以上の場合はパート収入を基準に、以下の場合は賃金センサスを基準に休業損害を請求できます。無職の相場仕事をしていない場合については、原則として休業損害は請求できません。ただし、すでに就職活動していて内定が決まっていたなどの事情があれば、事故に遭わなければ収入を得ていた可能性が高いとして就職先の給与を基準に休業損害を請求できる可能性があります。入通院慰謝料交通事故の示談交渉において、最も金額が増額できると言われているのが慰謝料です。慰謝料とは精神的な苦痛による損害賠償請求で、ここまで解説してきた治療費や休業損害などの財産的損害とは性質が大きく異なります。慰謝料の算定方法精神的損害である慰謝料は、財産的損害のように実際に発生した損害を金銭的に見積もることが簡単ではありません。人の悲しみは人それぞれ違うため、金額に換算して加害者に請求することはとても大変です。そのため、慰謝料については慰謝料基準という一定の基準金額を定めており、基本的にはその中であてはめて計算することになります。3つの慰謝料基準の内容とは?慰謝料が交渉によって増額する一番の理由は、慰謝料の算定基準が3つも存在するからです。慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあり、それぞれ次のような位置付けとなっています。自賠責基準の内容自賠責保険における慰謝料の算定基準で、1日あたり4,200円という固定金額で計算します。自賠責保険は強制加入保険で最低限の保障が目的なので、基準となる金額は非常に低いです。任意保険基準の内容損保会社が設定している保険金の支払い基準で、基本的に一般には公開されていません。いわば損保会社の内規のような位置付けですが、私の経験上では自賠責基準とほとんど変わらないほど低い金額であることがほとんどです。裁判基準(弁護士基準)の内容過去の判例などをもとに作られている基準で、裁判によって認められる可能性がある最も高い慰謝料算定基準です。同じ入通院日数だとしても、自賠責基準による算定額の3倍程度になることもあるくらい非常に高い基準であり、最も正当な金額であるともいえます。慰謝料増額は弁護士の力が必要裁判基準とネットで検索すれば、すぐに算定表が出てくるので一般の被害者の方でも簡単に裁判基準による慰謝料を計算することができます。ところが慰謝料の増額はそんなに甘くはありません。基本的に裁判基準とは、実際に裁判を起こした場合に認められる可能性がある金額なので、加害者側の保険会社としてはそもそも相手が訴えそうな素振りを見せなければ、裁判基準による慰謝料を突きつけたところで支払いに応じません。簡単にいえば、弁護士を通じて裁判基準による慰謝料を提示されない限り、基本的には支払いに応じないのです。つまり、慰謝料を増額するためには裁判基準で慰謝料を計算するだけではダメで、弁護士という専門家に依頼して交渉してもらう必要があるのです。後遺障害慰謝料慰謝料は入通院慰謝料の他に、後遺障害が残った際に請求できる後遺障害慰謝料があります。後遺障害等級認定を受けることで、等級に応じた慰謝料を請求できますが、算定基準については入通院慰謝料と同じように、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つの基準があり、金額が大きく異なります。[adsense_middle]むち打ちは金額に差が出やすい後遺障害慰謝料でよく争いになるのがむち打ちです。仮に医師からむち打ちと診断されたとしても、後遺障害認定という手続きにおいて等級が認定されなければ後遺障害慰謝料は請求できません。むち打ちについては、後遺障害14級に認定される可能性があるのですが、後遺障害認定の際に提出する後遺障害診断書の書き方によっては、認定されない可能性があるため注意が必要です。例えば、いつ痛むかという点について「雨の日に痛む」などと記載すると認定されないなど細かな基準があるため、できるだけ後遺障害認定に強い弁護士や行政書士に相談してから提出したほうがよいでしょう。逸失利益交通事故によって後遺症が残ると、事故前と同じように働くことができなくなり収入が減ることがあるため、その減収を逸失利益として加害者に請求することができます。逸失利益の計算は、被害者の治療が終わった時点(症状固定時)の年齢に応じて、次のように計算します。18歳以上の有職者または就労可能者の場合逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数or新ホフマン係数ライプニッツ係数・新ホフマン係数とは、中間利息を控除するための係数のことです。逸失利益は将来得られるはずの金額を現在において加害者に支払ってもらうため、受取りが前倒しになる分の中間利息をライプニッツ係数や新ホフマン係数をかけることで控除する必要があります。18歳以下の未就労者の場合逸失利益=賃金センサス男女別全年齢平均×労働能力喪失率×67歳までのライプニッツ係数orホフマン係数-18歳になるまでのライプニッツ係数orホフマン係数18歳未満の場合は現時点で収入が発生していないため、67歳になるまでの係数から18歳になるまでの係数を差し引いて計算をします。労働能力喪失率は後遺障害の等級に応じてある程度決められており、症状が重いほど高くなります。高齢被害者は提示額が低いため注意被害者が高齢者の場合は、基礎収入を非常に低く見られるため保険会社からの提示額も低くなる傾向があります。中には逸失利益という項目自体が示談金に盛り込まれていないこともあるため、金額を提示されたら必ず内訳を確認しましょう。たとえ高齢者であっても、就労の蓋然性があれば賃金センサスを基準に逸失利益が請求できる場合がありますので、納得いかない場合は弁護士に相談しましょう。まとめ:保険会社は味方ではない?交通事故の示談金交渉のポイントとは?示談金を増額するためには、示談金の内訳を理解した上で項目ごとに適切な金額が提示されているのかを厳しくチェックすることが重要になります。その上で、項目に応じて適切な金額を計算して増額交渉していくことで、相対的に示談金の総額が増えていくのです。「大手保険会社だから弁護士に相談しなくてもきちんと補償してもらえるのでは?」そんな風に楽観的に考えている人もいますが、相手方の保険会社の顧客はあくまで加害者であり被害者ではありません。保険会社は支払う保険金をできる限り低く抑えるために、あの手この手で交渉してきますので、油断していると相場よりも低い金額で示談書を交わしてしまう恐れがあるので注意が必要です物損事故はそこまで大きな増額は見込めませんが、人身事故については慰謝料をはじめ増額できる要素が多いので、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。
2019年12月25日道路や周辺の工事などで、警察官ではない交通整理員が道路の片側を止めるなどして、行く手を阻んでくることがあります。これは工事の円滑化と、道路を安全に通行するために取られている措置ですが、不手際などで走行をストップされ「早くしてよ!」と感じた経験を持っている人もいるはず。もちろん整理員の指示に従うことは大前提ではあるのですが、不手際が明らかな場合、無視したくなることもあります。このような場合、何らかの交通違反になるのでしょうか?弁護士法人エースの竹内省吾弁護士にお聞きました。 交通整理員に従わねばならないの?竹内弁護士:「交通整理員の指示に従う法的義務はありません。ミラーやバックモニターのように、運転者が安全を確認する一手段にすぎません。逆にいうと、安全運転の責任は、運転者に委ねられているということになります。交通整理員が明らかに間違っていると感じた場合には、当然、その指示に従ってはいけません。交通整理員に似たものとして、警察官等による交通整理がありますが、これは、道路交通法上、公道を走行する際には従わなければいけないので、注意が必要です」工事など、私設と思われる交通整理員の指示については、「従わなければいけない」という法的義務はないようです。 従って事故を起こした場合は?従う法的義務がないことはわかりました。しかし、実際は殆どの人が交通整理員の指示に従っているはず。また、工事など交通事情を考えると、従うことが望ましいことは言うまでもないでしょう。仮に交通整理員に従い、事故を起こしてしまった場合、賠償などの責任を問うことはできるのでしょうか?弁護士法人エースの竹内省吾弁護士にお聞きました。竹内弁護士:「交通整理員の指示内容・方法によっては、交通整理員も賠償責任等を負うことはありますが、運転手の責任がゼロになるということは、基本的にありません。指示を受けた上でそれに従うかどうかの決定は、運転者の判断に委ねられているからです。法的に義務がないとはいえ、慣習的には、交通整理員の指示に従うことが一般的ですので、交通整理員の誤導により事故が生じた場合には、法律的には、運転手と交通整理員の過失が合わさって生じたものとして、共同不法行為として、双方責任を負います。その場合の責任の割合は、ケースバイケースとなるでしょう」 明らかに間違っている場合は運転手が判断交通整理員の指示は基本的には従ったほうが望ましいものですが、従わなくても法的には問題がありません。「明らかに間違っている」と感じた場合は、自分の判断を優先したほうがいいかもしれません。ただし、無視をして事故を起こした場合は、当然自己責任となりますので、慌てず安全運転を心がけましょう。 *取材協力弁護士:竹内 省吾(弁護士法人エース。企業法務・交通事故・不倫問題・残業代請求をはじめ、多岐分野に対応。弁護士とパラリーガルの緊密な連携により最短ルートで最善の解決へ。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)交通整理員の不手際にイライラ…無視して走行したら交通違反になる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。交通整理員の不手際にイライラ…無視して走行したら交通違反になる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年06月27日TV Broadcast news studio with many computer screens and control panels for live air broadcast.昨今凶悪事件や重大な交通事故で死亡した被害者をメディアが実名で放送することに批判が集まっています。真相は不明ですが、ある有名人が、「メディア関係者が卒業アルバムなどを提供する人間を探している。軽蔑する」と苦言を呈し、賛同者が殺到したこともありました。被害に遭った遺族としては、自分の同意なしに顔写真や実名を世間に流されることについて、否定的になるのは当然のことでしょう。メディアの実名報道は法的に許されているのでしょうか?パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解をお伺いしました。 写真・実名報道に問題はないのか?櫻町弁護士:「事件や事故が発生した場合、新聞やテレビなどのメディアで被害者の氏名や容貌(顔写真)が報道されることが一般的ですが、従来に比べて、そうした「被害者に関する報道」への批判も多くなっているように思います。もっとも、「死者」に関する法的な権利保護は限定的であり、生存している個人と同様に保護される訳ではありません。例えば、個人情報の保護に関する法律で対象となる個人情報は、「生存する個人に関する情報」(法2条1項)であり、死者に関する情報は対象とされていません。死者の権利が保護される例としては、たとえば著作権法においては「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。」と規定され、著作者が「存しなくなった後」も著作者人格権は保護されるとしています(法60条本文)。また、刑法においては「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」(法230条2項)と規定され、虚偽の事実摘示による故人の名誉を毀損する行為が処罰対象とされています。そして、この場合の保護法益は「死者自身の名誉」と考えられています」 死者のプライバシーは保護対象にならない?櫻町弁護士:「他方で、死者の「プライバシー」については、法的な保護の対象にならないと考えられています。ただし、東京高等裁判所昭和54年3月14日判決・判タ387号63頁は、「死者の名誉ないし人格権についてであるが、刑法二三〇条二項及び著作権法六〇条はこれを肯定し、法律上保護すべきものとしていることは明らかである。右のほか、一般私法に関しては直接の規定はないが、特に右と異る考え方をすベき理由は見出せないから、この分野においても、法律上保護されるべき権利ないし利益として、その侵害行為につき不法行為成立の可能性を肯定すべきである。」としており、死者についてもそのプライバシーについても法的保護の対象になり得るという考え方を示しています。しかし、上記東京高判は続けて、「しかし、この場合何人が民事上の請求権を行使しうるかについてはなんらの規定がなく、この点につき著作権法一一六条あるいは刑事訴訟法二三三条一項を類推してその行使者を定めるとすることもたやすく肯認し難い。結局その権利の行使につき実定法上の根拠を欠くというほかない。」と、「法的保護の対象となる権利あるいは利益(プライバシー)が認められるとしても、行使はできない」としているので、結局は、死者のプライバシーについては法的に保護されない、という解釈になるでしょう。したがって、事件や事故による被害者の氏名や容貌が報道されたことに対して、被害者の遺族が報道機関を訴えるとすれば、遺族自身の「権利あるいは法律上保護される利益」(民法709条)が侵害された、といえる必要があります。具体的には、「プライバシー」や「静穏に故人を悼む利益」、「敬愛追慕の情」などがあげられるでしょう。しかし、「プライバシー」として保護されるためには、一般に、公表される事柄がア私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであることイ一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立つた場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによつて心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであることウ一般の人々に未だ知られていないことがらであることという要件を満たす必要があるとされています(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決・判タ 165号184頁)。「自分の家族が事件や事故でで亡くなったこと」が報道された場合、上記のうちアとウについては満たすといえるでしょう。一方、イについては、(当該家族がどう思ったか、感じたかではなく)一般人の感受性・感覚に照らしてみた場合に「公開を欲しない」あるいは「心理的な負担、不安を覚える」か、一概には言えないように思われます(例えば、交通事故による被害者の場合と、性犯罪による被害者の場合とでは、判断は異なってくるでしょう)。さらに、プライバシーにあたる場合であっても、それを公表されない法的利益よりも、公表する理由が優越するときには、公表は違法ではなく、プライバシー侵害による不法行為責任は生じません。例えば、東京高裁平成17年5月18日判決・判時1907号50頁は、「プライバシー権の侵害については、その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合に不法行為が成立するものである」と述べています。また、「静穏に故人を悼む利益」や「敬愛追慕の情」についても、死者についての情報を入手する過程に違法がある、取材や報道の態様が社会通念上許容できる限度を超えている等の特段の事情がない限りは、その侵害が認められる可能性は低いとい思われます」 遺族が損害賠償請求した事例も櫻町弁護士:「例えば、津地裁四日市支部平成27年10月28日判決・判時 2287号87頁は、爆発事故で死亡した被災者の親が、葬儀における子(被災者)の遺影をテレビ局が同意なく撮影して報道に使用したことで、(プライバシー権としての)遺影を公表されない自由、静穏に故人を悼む利益、敬愛追慕の情が侵害されたとして、テレビ局に対して損害賠償請求をしたという事案です。裁判所は、「本件遺影は、スーツ姿のBの胸から上を撮影したもので、修正加工がされているものの、これは原告において髪の乱れを整える等見映えを良くするために行ったものであり、通常の一般人を基準とするとき、公表されることを欲しないものとはいえない。そして、前記前提事実(2)(4)のとおり、本件報道は、多数の死傷者を出し社会的関心の高かった本件事故の内容等を報道する過程で、被害者であるBの顔写真として、他の被害者と並べて本件遺影を報道したもので、本件遺影を報道することが不必要であるとか、不当な目的によるものであるということはできない。」、「本件撮影は、遺族の同意を得ずに行われたものではあるが、葬儀会場のエントランスポーチでBの妻が布をかけず遺影を持ち、参列者以外も本件遺影を見ることができる状況で行っており、原告及び他の遺族は、カメラを構えていることに気付きながらも撮影を制止するなどの明確な拒絶の意思を表示していない」との事実認定を前提として、「遺族の同意を得ず、隣地敷地から塀越しに撮影したこと等を考慮しても、本件撮影及び報道により、社会生活上受忍すべき限度を超えて原告の静穏に故人を悼む利益や、敬愛追慕の情を侵害したということはできない」と判断し、遺族の請求を認めませんでした」 認められたケースも櫻町弁護士:「一方、大阪地方裁判所平成元年12月27日判決・判時1341号53頁は、遺族の「敬愛追慕の情」が侵害されたことを認めた裁判例です。この事案では、エイズで死亡した患者の「肖像写真等を入手するため」に、写真週刊誌のカメラマンが「来訪の目的、身分等を秘して・・・虚偽の申出をし、・・・関係者以外の立入りが認められていなかった右教会の二階に無断で上がり込み、原告らが右のとおり亡春子を静かにしのんでいる最中にフラッシュを使用して祭壇に飾られてあった同女の遺影を盗み撮りし、そのまま戸外に逃走し、そのような経緯で撮影された写真とともに、患者の経歴等を「エイズ死『神戸の女性』の足どり」との見出しで写真週刊誌に掲載したという事実を認定した上で、「本件報道は、亡春子の名誉を著しく毀損し、かつ生存者の場合であればプライバシーの権利の侵害となるべき亡春子の私生活上他人に知られたくないきわめて重大な事実ないしそれらしく受け取られる事柄を暴露したものであるが、このような報道により亡春子の両親である原告らは、亡春子に対する敬愛追慕の情を著しく侵害されたものと認められる」としました。したがって、事件や事故の被害者の氏名、容貌を報道したことについて、遺族が報道機関の責任を問うことができるケースというのは、かなり限定的であろうと思われます」 日本新聞協会が留意事項を発表櫻町弁護士:「報道が遺族に対する関係で不法行為とならないのであれば、メディアに対して被害者の写真等を提供する行為は、報道の前提となる取材(に対する協力)ととらえることができますから、遺族の「静穏に故人を悼む利益」や「敬愛追慕の情」を侵害するものではない、ということになるでしょう。とはいえ、事件や事故の報道において、被害者の氏名や顔写真といった情報が本当に必要不可欠といえるのか、必要性に乏しいと感じられるケースもあるでしょう。例えば「日本新聞協会」が2001年12月、「集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解」を発表しており、その中で、「集団的過熱取材とは、「大きな事件、事故の当事者やその関係者のもとへ多数のメディアが殺到することで、当事者や関係者のプライバシーを不当に侵害し、社会生活を妨げ、あるいは多大な苦痛を与える状況を作り出してしまう取材」を言う。このような状況から保護されるべき対象は、被害者、容疑者、被告人と、その家族や、周辺住民を含む関係者である。中でも被害者に対しては、集団的取材により一層の苦痛をもたらすことがないよう、特段の配慮がなされなければならない」「すべての取材者は、最低限、以下の諸点を順守しなければならない。いやがる当事者や関係者を集団で強引に包囲した状態での取材は行うべきではない。相手が小学生や幼児の場合は、取材方法に特段の配慮を要する。通夜葬儀、遺体搬送などを取材する場合、遺族や関係者の心情を踏みにじらないよう十分配慮するとともに、服装や態度などにも留意する。住宅街や学校、病院など、静穏が求められる場所における取材では、取材車の駐車方法も含め、近隣の交通や静穏を阻害しないよう留意する」引用元:集団的過熱取材に関する日本新聞協会編集委員会の見解とされています。SNSが発達し、「個人による情報発信」が極めて容易となった今日、報道の意義、必要性などについて、改めて検証がなされるべきなのかもしれません」 考え直す時期に来ている?被害者の実名報道が批判されていることは紛れもない事実です。メディアの在り方について、考えていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。 *取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)【法的に問題は?】事件や事故の被害者を写真入りで実名報道…弁護士が解説!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【法的に問題は?】事件や事故の被害者を写真入りで実名報道…弁護士が解説!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年06月14日自動車保険に加入しますと、加入当初から補償対象となるものの中に、人身傷害保険というものがあります。人身傷害保険の説明は、本記事中で解説をしていきますが、似たような補償に搭乗者傷害保険といったものもあり、どちらがどのように違うのか、よくわからない方もおそらく多いと思います。そこで本記事では、人身傷害保険を選ぶためのポイントや搭乗者傷害保険との違いについて解説をしていきます。自動車保険の人身傷害保険とは自動車保険の人身傷害保険とは、保険契約をしている自動車に乗っている人が、交通事故などで死亡や後遺障害、傷害を被った場合に保険金が支払われる補償のことを言います。保険会社によっては、人身傷害保険や人身傷害補償特約などの名称は異なる場合もありますが、基本的な補償内容は同じで、多くの保険会社では基本補償として加入当初から自動付帯されている場合が一般的です。人身傷害保険の補償範囲自動車保険に加入契約する際、人身傷害保険は、補償範囲をご自身で選択して決定することができる仕組みとなっており、多くの保険会社では、以下のように2種類にわけて販売しています。上記はソニー損保の例ですが、保険契約している自動車内でのみ補償されるものと車内に加えて車外でも補償されるタイプにわけられ、後者の方が自動車保険料は高くなります。日常生活を考えてどちらが適しているか検討する必要があります。人身傷害保険の補償対象者人身傷害保険の補償対象者とは、自動車保険の記名被保険者(おもに保険契約をした自動車を運転する人)と、その家族が補償対象となります。なお、ここで言う家族とは、以下の方を指します。記名被保険者の配偶者記名被保険者またはその配偶者の同居の子・同居の親族記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子上記以外の家族は、家族であったとしても人身傷害保険の補償対象外となりますので注意が必要です。人身傷害保険の保険金額人身傷害保険の保険金額は、加入契約時に金額を選べる仕組みになっており、それぞれの保険会社によって加入できる金額に違いがあります。しかしながら、実際に自動車保険に加入する上で、人身傷害保険の補償は、いくら必要なのか、平均相場はどのくらいのなのかが気になる方も多いと思います。そのため、多くの保険会社では、自社のWEBサイト上で、人身傷害保険の補償目安を紹介している場合が多く見られます。人身傷害保険の保険金額は、目安通りに設定するべきなのか?こちらは筆者の個人的な主観となるのですが、人身傷害保険の保険金額は、それぞれの保険会社が公開している目安通りに設定すると、場合によっては、補償が過大になりすぎる懸念があると感じています。この理由は、それぞれの世帯によって必要補償金額が異なるほか、就いている職業や年収、他に加入している生命保険の保障にかかる重複、事故相手からの損害賠償、遺族年金や障害年金の支給の有無まで関係してくるためです。人身傷害保険の保険金額は、どのくらいにするべき?こちらも筆者の参考例となりますが、先に紹介した理由を踏まえた上で、私が加入している自動車保険の人身傷害保険は3,000万円に設定しています。多くの保険会社では、人身傷害保険の補償について、3,000万円から5,000万円を標準の目安としている印象を個人的に受けておりますが、より詳細に、人身傷害保険の保険金額は、どのくらいにするべきなのか気になる場合は、FPなどの専門家へ相談し尋ねてみるのも良いでしょう。上記イメージ図のように、夫婦でそれぞれ自動車保険に加入し、夫婦いずれも、人身傷害保険について車内外の補償に加入していた場合、上記イメージ図の黄色部分のような補償の重複が発生してしまいます。補償が重複していることによって、無駄な保険料を支払ってしまう原因になるため、夫婦いずれも自動車保険に加入している場合は、再確認をおすすめします。人身傷害保険は、事故の過失割合が問われずに保険金が支払われる人身傷害保険は、事故の過失割合が問われずに保険金が支払われる特徴があります。通常、交通事故などで事故の相手方がいる場合、その相手との過失割合によって支払われる保険金額が変わりますが、人身傷害保険は、この過失割合が問われることはなく、損害額に対して保険金が支払われます。また、次項から比較紹介する搭乗者傷害保険に比べて保険金の支払いが早いメリットもあります。人身傷害保険の保険金請求は、等級ダウンの対象外自動車保険には自動車保険等級があり、基本的に自動車保険を使った場合は、翌年度の更新の際に、自動車保険等級が下がることによって保険料が高くなります。ただし、交通事故などで、人身傷害保険のみを使った場合は、等級ダウンの対象外となり、翌年度の自動車保険等級がダウンすることはありません。自動車保険等級は、支払保険料に大きく関係するため、どのような場合に等級が上下変動するのか知っておくことはとても大切です。自動車保険の人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い自動車保険の人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いは、以下、ソニー損保で公開している説明を見るとわかりやすいと思います。人身傷害保険も搭乗者傷害保険も、基本的には保険契約している自動車に搭乗している方に対する補償である部分は共通しており、保険金の計算方法がそれぞれ異なることがわかります。また、搭乗者傷害保険は、人身傷害保険の上乗せ補償としての位置づけがあることも確認でき、人身傷害保険で補償が足りないのであれば、搭乗者傷害保険も加入するのが良いと考えることができます。人身傷害保険の保険金額をしっかりと設定していれば搭乗者傷害保険は不要搭乗者傷害保険は、人身傷害保険の保険金額をしっかりと設定していれば基本的に不要であると考えられます。この理由は、先に紹介したように、他に加入している生命保険や医療保険の保障にかかる重複、事故相手からの損害賠償、遺族年金や障害年金、傷病手当金などの公的保障まで関係してくるためです。そのため、搭乗者傷害保険に加入せずとも、十分な補償がまかなえると考えられ、補償の過大や無駄な保険料の支出防止になります。人身傷害保険まとめ人身傷害保険は、必要、不要を問わず、基本補償になっているため、仮に、不要と考えている方であれば、最小限の保険金額に設定して加入することがおすすめです。合わせて、搭乗者傷害保険は、あくまでも人身傷害保険の上乗せという位置づけであるため、人身傷害保険の保険金額をしっかりと検討し、重複加入にも注意することで、無駄な自動車保険料を節約することができる結果につながることでしょう。
2019年04月08日Bさん(30代・女性)は真剣に離婚を考えています。その理由は、夫が交通事故に遭い、高次脳機能障害になってしまったことで、すっかり性格が変わってしまったため。物覚えが悪くなってしまい仕事も辞め、現在はふさぎ込む毎日。Bさんが働いて生計を立てていますが、口から出るのは「死にたい」というネガティブな言葉や、「あと30分お前が早く起こしてくれたら事故らなかった」という愚痴ばかりなのだそうです。離婚を考えているBさんですが、「障害を持った夫を捨てる」ような形になるため、悩んでいます。このようなケースの場合、離婚は認められるのでしょうか?ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に見解を伺いました。 Q.交通事故で障害を持った夫と離婚したい…離婚事由として認められる? A.直ちに離婚は難しい森川弁護士:「法的な離婚原因はなく、直ちに離婚は難しいと思われます。脳機能障害の程度にもよると思いますが、いわゆる「性格が悪くなる」程度では、意思疎通ができないというわけでもありません。離婚が認められるためには、ある程度の長期の別居等、顕著な破綻を裏付けるような事実が必要かと思われます」 今回の場合、すぐに夫と離婚できる、というわけではないようですね。非常に難しい事案ではあります。夫を見捨てるようで罪悪感に苛まれることもあるでしょうし、事故によって辛い思いをしている夫を支えなければという気持ちとの葛藤もあるかもしれません。ですが、致し方ない障害だったとしても、結果として夫婦関係継続が難しく、長期別居など破綻してしまっていると認められる場合は離婚も不可能ではありません。妻として苦しい決断ではありますが、限界を感じるのなら、我慢して結婚生活を続ける必要はないでしょう。 *取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)【妻の葛藤】交通事故の後遺症で豹変した夫…離婚事由として認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。【妻の葛藤】交通事故の後遺症で豹変した夫…離婚事由として認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2019年03月28日子どもの送り迎えや、スーパーへのお買い物などのちょっとしたお出かけ…親にも子どもにも自転車は手軽で便利な移動手段ですよね。私もほぼ毎日乗っています!しかし、一歩間違えれば大きな事故に発展しかねないのも事実。世のママパパたちは自転車に正しく乗れているのでしょうか? 今回はウーマンエキサイトのホリカンさんの記事 「自転車で子どもが交通違反をしないために! 親子で話したい罰則のこと」 内で実施した、自転車に関するママパパたちの意識調査アンケートの結果をご紹介します。■知らずに自転車の危険運転をしている!?アンケート調査によると、「危険運転をしたことがない」と答えたママパパはたった6%! ついやってしまった交通違反について聞いてみると、最多が「右側通行」、次いで「歩道走行」 「並走」なども。Q.自転車でついやってしまった、危ない運転は?(複数回答可)1位 右側通行 62%2位 歩道走行 58%3位 並走 45%4位 傘を持ったままの運転 41%5位 スピードの出しすぎ 30%6位 イヤホンをしたままの運転 20%7位 携帯電話を使いながらの運転 19%8位 信号無視 19%9位 夜の無灯火 13%10位 危険運転をしたことはない 6%子どもが真似をしないよう、まずは私たち親世代が安全な乗り方を知り、正しく自転車を運転しなければ~!■自転車の交通事故を身近に経験したことのある人はどのくらい?また、「自身や家族が自転車で事故を起こしたこと、または相手から起こされた経験は?」という問いに対し、21%のママパパが「経験あり」と答えました。そんなにいるなんて驚き!ママパパやその家族が経験した交通事故。その内容をみてみましょう。・CASE1「一時停止を完全停止せず徐行で信号のない交差点に進入したところ、右側から同じく自転車が徐行なしで進入してきたため、こちらの自転車側面に相手が突っ込んできた事故。相手がひっくり返ってしまった」(30代女性・神奈川県)・CASE2「石の上に自転車で乗ってしまいずるっと滑り、横に停車中の車に擦れ、傷をつけてしまった」(30代女性・千葉県)・CASE3「息子が自転車の練習をしていて運転を誤り、マンションの隔壁板を破損した」(30代女性・福岡県)あらためて、自転車の交通事故は日常のふとした不注意で起きてしまうものなのだと感じました…。こ、怖い! 自分や家族がいつ加害者・被害者になってもおかしくないですよね。過去には小学生が自転車事故を起こし、1億円近い損害賠償の支払いを命じられたこともあったとか…! ひえ~!!自分や子どもたちの自転車事故に備えるためのファーストステップとして、やはり自転車保険に入っていると安心ですよね。■自転車保険に入ってる割合は?世の中のママパパたちのどのくらいが自転車保険に加入しているのでしょうか? 調査によると、現在自転車保険に加入しているのは36%でした。最近では、自転車の重大事故によって高額な賠償金を請求されることが増えているため、自治体によって自転車保険の加入の義務化が進んでいるそうです。それがこの数字に表れているのかもしれません! 実際に「小学校から保険の斡旋があった」(30代女性・兵庫県)と答えていた人も。なお、自転車保険の義務化地域があることを知っていると答えたママパパは37%でした。義務化地域は、私の住んでいる京都府をはじめ、兵庫県、埼玉県、大阪府、滋賀県、鹿児島県などがあります。お住まいの方はぜひチェックしてみてくださいね。※2018年10月現在■保険会社が示談交渉もしてくれる!?さらに「保険会社が示談交渉をやってくれることを知っていますか?」という質問に対して、53%が「知らなかった」と回答。事故が起こったとき、動揺しているなか自分自身で交渉するのは大変。育児や家事で忙しいママにとっては、心身ともに大きな負担となってしまいそう。想像しただけでぐったり…。そうしたときはプロに交渉を任せるのがベスト! 保険に入っているとこうしたサービスを受けられるのもメリットですね。■ファミリーマートで自転車保険に加入できる!保険の加入というと、担当者と対面で話すための時間を作ったり、担当者のペースで契約が進んでしまうイメージを持つママもいるのではないでしょうか? そうしたことが手間に感じるママにおすすめなのが、ファミリーマートで加入できる自転車保険です!ファミリーマートの 「自転車向け傷害保険(傷害総合保険)」 のおもな特徴は5つ。1. 賠償事故は示談代行サービス付!自転車以外の日常生活に起因する賠償責任も補償1つの契約で、ご本人以外のご家族も補償対象2. ご本人は、交通事故における入院、死亡・後遺障害などの補償もカバー3. 2018年10月1日より、3,080円だった保険料が2,980円/年 に値下げ! 賠償責任は3億円まで補償!(※)4.申込みの翌日から保険に入れる!5. Famiポートで24時間OK※「自転車向け傷害保険(傷害総合保険)」の契約内容 死亡・後遺障害:100万円 入院保険金日額:4,000円 個人賠償責任:3億円事前予約なしで思い立ったらすぐに加入できるのは、毎日忙しいママにとってはありがたいですよね!アンケートの感想でも、「私も自転車事故にあって保険の大切さを実感しました。大人でも気をつけていても事故にあってしまったのに、子どもならなおさら。小学生になると親の目が届かなくなってくるので保険は大事だと思い家族皆入っています。自転車保険、大事です!」(30代女性・大阪府)といった、子どものために保険に加入したい、または加入しているという声が多数寄せられました。自分や家族を事故から守る自転車保険。家族みんなで安心な自転車ライフを送るために、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?▼ファミリーマートでの加入方法!1. トップメニュー「申込・請求・募金」をタッチ2. 「自転車向け傷害保険加入」をタッチ3. 補償内容・保険料などの確認、契約者情報の入力4. Famiポート申込券(レシート)発行、申込券をレジへ。保険料を支払って完了!※申込券(レシート)は30分以内にレジまでお持ちください。 ファミリーマートの自転車保険 詳細はこちら>> 調査概要調査方法:インターネット調査調査地域:全国調査期間:2018/10/01〜2018/10/14調査対象者:20~70代の子どもを持つ男女サンプル数:382サンプルPR:損害保険ジャパン日本興亜株式会社
2018年10月29日昨年6月に自損事故、同年10月に人身事故を起こしたことにより、芸能活動を休止していたお笑いコンビ・インパルスの堤下敦(41)が23日、所属事務所を通じて活動を再開することを報告した。堤下は、本人の出身地である神奈川県を拠点に、「あなたの街に“住みます”プロジェクト」における住みます芸人として活動を再開。地域の人々と力を合わせて、地域活性のお手伝いや課題解決に貢献できるよう、取り組んでいくという。堤下は「関係者・ファンの方々には大変ご迷惑をおかけ致しました。申し訳ありませんでした」と謝罪した上で、「これからは、初心に戻り、自らを律しながら、一歩ずつ、活動を再開してまいります。引き続き、応援の程、宜しくお願い致します」と決意を記した。
2018年10月23日子どもが大きくなり行動範囲が広がると、事故などの心配も出てきますよね。交通ルールをきちんと教えてあげるのはもちろん、事故から身を守るグッズなども積極的に活用したいところです。代表的なのが、反射材を使用したアイテム。ウエアやステッカー、ストラップなど、様々な商品が販売されていますが、「昼間から目立ってしまうのがちょっと…」と感じているのは筆者だけではないハズです(笑)。そんなママたちに朗報! 夜はしっかり光るのに昼間は目立たないという、理想の交通安全グッズが新発売しました。黒いテープタイプで昼間は目立たない反射材と聞いて思い浮かぶのは、ちょっぴりどぎつい黄色や白! 昼間でも目立ってしまうイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか? しかし、2018年夏に新発売した「Kuropika」(1,200円【税抜き】)はちょっと違います。黒いテープタイプだから、黒い部分に貼ると昼間は反射材ということを忘れてしまうほど目立ちません。ところが周囲が暗くなると、車のライトなどの方向にピカッ! 白く、強い光をしっかりと返すんです。その秘密は、“再帰性反射”を採用していること。光の方向と反対側に反射する一般の反射材と違って、「Kuropika」は光が来た方向に反射するため、車の運転手もより気付きやすく、交通安全対策にとても効果的なのです。パパママと企画して商品化を目指す育児グッズブランド『chibito』より生まれました。曲面にも貼り付けられて、長持ち!柔らかく、ストレッチ性に優れた「Kuropika」は、曲面にも貼り付けられるのが◎。多少の凹凸や丸みのある場所にもピタリと接着するから、上でお見せしたヘルメットの外周や自転車のフレーム、ベビーカーなどにも貼り付けることができます。また、仮留めも可能。軽く留めてちょうどいい位置に合わせたら、上から強くプッシュ。不器用なママでもキレイに仕上げられますよ♪さらに、屋外耐候性に優れた素材を採用しているため、3年後でも約80%の反射性を維持できるそう! 外置きの自転車やキックバイクなどにも気兼ねなく使えて、長持ちしてくれます。これから秋、冬へと季節が変わるにつれ、日が暮れるのも早くなります。目立たないのに、夜道ではしっかり光る「Kuropika」。子どもの交通安全に一役買ってくれそうなアイテムです!【参考】『chibito』
2018年10月02日小学生になると子どもが自転車を乗り回すようになりますよね。そんなとき注意したいのが、実は親も意外としらない「自転車の道路交通法」です。今回は、特にわが子がやりそうな交通違反について調べ、小学3年生の長男と話してみることにしました。長男と話しているなかで、交通ルールに対しての認識が甘いことに気づきました。これは心配です…。■わが子がもし交通事故の加害者になってしまったら!?普段なかなか意識できない交通事故の怖さ。実際に小学生が過去に起こした交通事故と、賠償例についても伝えてみました。意外と交通事故って身近に潜んでいるんですよね。いざというときに子どもを守るためにも、そして子どもだけでなく、私たち親世代も不慮の事故を起こす可能性があることを考えると、自転車保険に入っておくといいかもしれません。■自転車保険の加入義務化が進んでいる?特に最近は自転車の重大事故で高額な賠償金を請求されるケースが多くなっていることから、各自治体で「自転車保険の加入義務化」が進んでいるようです。私の住んでいる兵庫県をはじめ、埼玉県、大阪府、京都府、滋賀県、鹿児島県などは加入を「義務」としています。「努力義務」としている自治体もあるそうなので、みなさんのお住まいの自治体についても調べてみることをおすすめします。(※2018年9月現在)何かあったら保険会社が示談交渉をしてくれる点も安心です。ちなみに、自転車保険ってコンビニでも加入できることをご存知ですか?■ファミリーマートの店頭端末「ファミポート」で手軽に加入できる!いざ加入したいと思っても、面倒な手続きがありそうだし、出来れば手軽に済ませたい…という方には、ファミリーマートの「ファミポート」で「自転車向け傷害保険」に加入するという手も!子どもとコンビニに立ち寄ったときに簡単に申込ができたり、早朝や深夜でも思い立ったらすぐ入れるのは、仕事や育児、家事にと忙しいママにはありがたいですよね。2018年10月1日からは3,080円だった保険料が2,980円に値下げされ、申込の翌日から加入できるというスピード感もうれしいポイント!親子で安心の自転車ライフを送るためにも、ぜひ一度自転車保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか?「自転車保険に関するアンケート」に答えてくださった方の中から、抽選で3名様に当たる! ママに人気の豪華商品をプレゼント。・BALMUDA(バルミューダ)「The Pot」 1名様・XROBOT 小型ロボットクリーナー 「SKIMINI」 ピンク/ブルー 2名様※色は選べませんプレゼント応募期間は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。 ファミリーマートの自転車保険 詳細はこちら>> PR:損害保険ジャパン日本興亜株式会社※2018年9月現在の情報です。
2018年10月01日多発する、高齢ドライバーの事故。それを受けて、見守り用の専用車載器付き保険や、後付けできる急発進防止装置など、事故を防ぐ見守りサービスが増えているという。それはどんなものなのか?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。最近、高齢ドライバーが起こす事故のニュースをよく目にします。5月には、90歳の女性ドライバーが4人をはね、うち1人が亡くなる痛ましい事故が起きました。交通事故自体は減っています。昨年の死者数も3,694人と過去最少でした(’18年・警視庁)。しかし、75歳以上のドライバーに限ると、死亡事故は横ばいです。人口10万人当たりに換算した死亡事故の件数は、75歳未満が3.8件に対して、75歳以上は8.9件と、2倍以上も起こっているのです(’17年・内閣府)。いっぽう、免許証を自主返納する人も増えました。昨年は約42万人。’16年より約8万人増えて、過去最多になりました(警察庁)。ですが、外出の足として車が欠かせない地域もあります。高齢者の外出が減ると、認知症が進むのではないかなど、家族は心配なことが多いでしょう。そこで、運転を見守る方法を見ていきましょう。まずは、見守りのついた自動車保険があります。三井住友海上の「GK見守るクルマの保険」です。無料レンタルの専用車載器を取り付けて、利用します。運転中に5回以上の急ブレーキやふらつきなどがあると、アラートで運転者に知らせます。高速道路の逆走などは、アラートとともに、あらかじめ指定した家族などに、メールで報告します。また、走行データから月間運転レポートを作成し、本人と家族などに届けます。保険料は、「GKクルマの保険」に、見守りのための特約料として年3,480円が加わります。あいおいニッセイ同和損保の「タフ・見守るクルマの保険」などにも、見守りが付いています。次に、見守り用の車載器をレンタルする方法があります。オリックス自動車の「エバードライブ」は、後付けできる車載器です。速度超過や急ブレーキ、急発進などを記録し、指定された連絡先にリアルタイムで知らせます。「今どこサーチ」では、車が今どこにいるかを、家族はスマホなどで確認できます。月額は2,980円(税別・以下同)です。また、シガーソケットに差し込むだけのレンタル車載器も開発されました。スマートドライブの「SmartDrive Families」です。9月末からサービス開始予定で、月2,480円。事前申し込みで2カ月無料になる特典もあるようです。国は、高齢ドライバーの事故防止のため、自動ブレーキの付いた「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の利用を呼び掛けています。とはいえ、新車への買い換えは厳しい家庭が多いと思います。オートバックスセブンの急発進防止装置「ペダルの見張り番」は、取付け工賃込みで3万9,999円。ブレーキを踏む勢いでアクセルを踏んでも発進しませんし、アクセルとブレーキの両方を踏むとブレーキがかかりますので、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を防止できます。敬老の日に、親と運転について話してみてはいかがでしょうか。
2018年09月14日