2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「かわいがっていたワンちゃん『ミルク』(ビーグル犬)を亡くしてしまいました。7年間も離れずに一緒だったのに!!亡くなって3年ですが、テレビで犬を見ると今でも悲しみに落ちてしまいます。どうしたらいいですか?」(チャンエビさん・67歳・茨城県・主婦)【A】「こらえきれない悲しみや寂しさも、他人にとってはどうでもいいこと」(蛭子能収)オレは生き物をかわいいと思ったことがありません。ペットと一緒に暮らすなんて面倒だし、そんなに動物が好きなら動物園に行けばいいんですよ。(マネージャー「蛭子さんの奥さんも、かわいがっていた猫の「マロン」が亡くなったときはショックを受けて落ち込んでいましたよね」)あ~、そうでしたね。オレは世話が大変だったから猫が死んだときに「これで気兼ねなくパチンコに行ける」とちょっと思いましたが、女房に怒られるから「かわいそうだね」と言っときました。毎月の墓参りにも付き合って一緒に行きましたが、女房の悲しみはわかりません。たとえ夫婦でも、相手の悲しみや寂しさはわからないものですよ。まして他人にとってはどうでもいいこと。よその人がどうこうできることではありません。今でも悲しいと考えているだけでも、その犬は喜んでいると思えばいいですよ。女房にもそう言いました。本心では死んだら喜ぶはずはないと思っていましたけどね……てへっ!
2021年11月29日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「40代は仕事をバリバリやって、独立して、家も建てようと目標を立てましたが、50歳を前にしてすべて実行できず……。意志が弱くて根性のない自分、50代、60代はどうなっているか心配です」(リチさん・49歳・福井県・飲食店勤務)【A】「オレの生涯の願いは『金は欲しい。自由は欲しい。でもなんにもしたくない』」(蛭子能収)オレが40代のときはどうやったろ?もうすっかり忘れてしまいました。(マネージャー「そのころ、蛭子さんが作詞したあるバンドの曲では“金があればの40代”と書いていましたよ。この前、歌詞を見たじゃないですか」)あっ、そうでしたね。歌詞には「金は欲しい。自由は欲しい。でもなんにもしたくない」と書いていました。たぶん、40代でも70代でも、認知症になってもならなくても、考えることはそんなに変わらないですよね。それに意志が弱くても、49年間も生きているんだから、これから先も真面目にやっていけばたぶん大丈夫ですよ。(マネージャー「ギャラをもらっているんだから、もっといいアドバイスをしてください!」)ヘヘヘ……、こうやって、マネージャーに怒られてもニコニコしていればいいんですよ。あまり深く考えずに笑顔でいれば、意志が弱くても、根性がなくても、なんとか生きていけると思いますけどね。
2021年11月15日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「退職後、自由に過ごしたいと思っているが、妻に『歯を磨け』『風呂に入れ』とうるさく言われ、ほとほと困っている。誰に会うわけでもない毎日、そんなに小ぎれいでいないといけないのでしょうかね?」(サトピンさん・67歳・宮城県・無職)【A】「風呂に入ったり、歯磨きしたりするのは、自分のためではなく人のため」(蛭子能収)オレは小さいときから、トイレに行ったらいつもせっけんで手を洗います。オレ自身は気をつけているつもりはありませんが、母親にうるさく言われたからだと思います。(マネージャー「蛭子さんは意外ときれい好きですよね」)えっ?意外というのがちょっと傷つくけど……、いまでも食事のあとは歯を磨くし、風呂にも毎日入ります。面倒ですが、女房に嫌がられないためにしたことが習慣になっただけです。この人も、自分のためだけだったら身ぎれいにしようと思わないはずです。気持ちいいとかスッキリするとか自分にはどうでもよくて、奥さんのために風呂と歯磨きをすればいいですよ。(マネージャー「蛭子さんにも数年前からテレビに出演するときにスタイリストをつけて小ぎれいにしたら、その後、仕事が増えました」)えっ?知りませんでした。適当な変な服を着せられていると思っていました。年をとったら、人の言うことを黙って聞いたほうがいいことがあるんですね。
2021年11月08日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「BTSとファッションや美容が大好きな18歳の女子です。いつかはインフルエンサーになって、SNSで有名になって、いっぱいお金を稼ぎたいです。インフルエンサーとして活躍するために大切なことはなんですか?」(サッチンさん・18歳・山梨県・学生)【A】「人の気持ちがわからない人はインフルエンサーになれない」(蛭子能収)あわあわ……、この相談の意味がサッパリわかりません。インフルエンザになると高熱が出て大変だと思いますけど……。(マネージャー「インフルエンサーは、一般の人でもネットでの発言で影響力があって、広告でお金をもらえるんですよ」)でも、オレに相談しているのに、相手にわからない話ばかりしているんですね。そんな発想の人は人気も出ないし金を稼げないと思いますよ。オレが影響を受けた人は横尾忠則さんですね。この前、展覧会に行ってきました。(マネージャー「蛭子さん、興奮して『すごい、すごい』と見入っていましたね」)そうなんですよね。漫画家の根本敬さんやショートステイで知り合った人に「蛭子さん、絵を描け、描け」と言われますが、ペンを持つ気持ちにはちっともなりませんでした。でも80歳を過ぎても描き続けている横尾さんの絵を見ていたら、オレも絵を描きたいと思うようになりました。人に影響を与える人は、自然にそんな力があると思いますよ。
2021年11月01日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「上司から、旅先のお土産や実家から送られてきたという野菜をよくいただきます(あまりおいしくないけど……)。そのお返しに和菓子を買って渡しています。わずらわしくて嫌……。なんとか断る方法はないのでしょうか?」(シピロンさん・35歳・千葉県・会社員)【A】「贈り物は、お返し、お返しと繰り返される迷惑なもの」(蛭子能収)えっ?これは「こんなのいりませんよ」と笑いながら言えば終わりじゃないですか。(マネージャー「上司だから言いづらいんですよ」)そうですかね、贈り物って迷惑ですよ。今年の夏の甲子園に、オレが卒業した長崎商業高校が出たみたいで、差し入れをしたほうがいいよ、と言われましたが、オレなんかから何かもらったら選手たちが困ると思ってやめました。この上司にお返しをするから、贈り物が繰り返されるんだから、今度から何かもらっても、お返しをしたら迷惑になると思って、なにもしなければいいと思いますよ。オレはお中元もお歳暮ももらったほうが面倒くさいだろうと思ってやめたら誰からも来なくなりました。(マネージャー「先日『有吉クイズ』〈テレビ朝日系〉で、有吉〈弘行〉さんに結婚祝いに、2人の似顔絵を描いてあげたら、すごく喜んでくれたじゃないですか」)あっ、15分くらいでテキトーに描いた絵ですね。あれなら有吉さんもお返しなど考えなくてもいいですよね。
2021年10月25日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私はバツイチですが、若く見られるせいか、男性のお客さんから声をかけられます。なかでもある60代半ばのおじさまは積極的。私もそばにいてホッとするような男性が欲しいなと思うことも……。勇気を出して付き合ったほうがいいですか?」(えみりんさん・49歳・宮城県・スーパー店員)【A】「恋愛をするなら他人の迷惑なんて顧みず、自己中心的に考えよう」(蛭子能収)うん!?(と、ペットボトルの飲み物を見ながら)え・び・す……、あれ?オレの名前が書いてある。(マネージャー「エビアンですよ。エビしか合っていませんよ」)な~んだ、最近、なんでも自分のものだと思うほど、ちょっと自己中心的になっています。え~と、この人の相談の手紙には「タレントの安めぐみさんみたいな癒し系のルックスです」と書いてありますが、たぶんですけど、お客さんから好意を寄せられているというのは思い込みですよ。でも、そのくらい身勝手なほうがいいと思いますよ。オレも、前の女房が亡くなってすぐに再婚を考えたのは、一緒に暮らして話したり笑ったりする女性が必要だから。(マネージャー「ファンレターを読み返して、かたっぱしから電話をかけていましたよね」)そうでしたっけ?でも結婚とかもそうだけど、誰かに自分から声をかけるなんて、他人の迷惑なんて考えていたらできませんからね。なんでも自分のものだと思う気持ちが恋愛には必要ですよ。
2021年10月18日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「異性の知人が亡くなって2年になるのに、心が苦しく死んでしまいたくなります。どうやったら、亡くなった人との楽しい日々を思い出せるのでしょうか?ああしておけば、もっと言うことを聞いてあげていれば、と考えています。」(ベンさん・?歳・愛知県・無職)【A】「笑いが止まらなくなるので深刻な相談はしないでください」(蛭子能収)オレは、こういう相談の答えはわかりません。でも自分としては、大事なときや困ったことがあるときは、とにかく笑っていればいいと思っています。オレも国語の授業でも1人だけ立って教科書を音読させられることがありましたけど、緊張するからかケタケタと笑いだして、一度も最後まで読んだことがありません。先生も笑ってるオレを見ると怒れなくなるみたいです。あと周りの同級生も面白がってくれました。ちょっと恥ずかしいけど、いじめられていたときもヘラヘラしていました。笑っていれば、なんとかなると思ったのかもしれませんね。この(相談者の)人は、悲しい顔をしていたら、よけいつらいと思いますけどね。笑うのは難しいかもしれないですけどね。(マネージャー「というか蛭子さん、この相談者の手紙を読みながら、さっきからすごくニタニタ笑っていますけど!」)いや~、こういう深刻な話を聞くと、笑いが止まらなくなるんですよ。だからこういう相談しないでくださいよ。
2021年10月11日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は競馬が大好きで、週末は馬券を買って、テレビを見るのが生きがいです。みんなは『金をどぶに捨てるようなものだ』とケチをつけます。借金しているわけでもないのに。蛭子さんはギャンブル好きですよね、どう思いますか?」(心の叫びさん・69歳・東京都・無職)【A】「認知症になっても、みんなが笑ってくれればそれでいい」(蛭子能収)借金もしないでギャンブルをしているのならまったく問題ありません。誰になんと言われても、稼げるうちに稼いでいたほうがいいと思いますよ。でも、テレビじゃなくて競馬場に行ったほうがいいと思いますよ。雰囲気や馬を見ることで馬券の買い方も変わってくると思います。(マネージャー「蛭子さんもずいぶんボートレース場に行っていませんね?」)あれ、そうやったっけ?あまり覚えていませんし、あまり競艇をやる気もないです。2〜3日前に競艇をやっている夢を見たんですが、やっぱり負けてしまいました。もうどんなときでも勝てる気がしません。(マネージャー「最近のインタビューでも、競艇をやめたいと話していますけど……」)えっ、そうなんですか?まったく覚えていません。(マネージャー「でも最後にやりたいことを聞かれて「競艇」と答えてみんなを笑わせています」)それも思い出せません。でもボケたとしても、みんなが笑ってくれればオレはそれでいいんです。
2021年10月04日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「町内のスーパーに「シニア募集」との張り紙があり、働くことにしましたが1カ月もたたないうちにイジメられて辞めてしまいました。前向きにファイトが信条。職探し中ですが、仕事がうまくいく方法を教えてください」(トッピィさん・64歳・岩手県・無職)【A】「仕事がうまくいく方法は、自分を受け入れてくれる場所で働くこと」(蛭子能収)シニアでも仕事がうまくいく方法ですか?テキトーでいいんじゃないですかね。(マネージャー「人生相談の回答も仕事ですよ、もっと真面目にやってください!」)あっ、すみません。でも、仕事は嫌なことをして金をもらうもの。よけいな信条とか持たずに、後ろ向きで頑張らないほうがいいですよ。それにしても職場で年寄りをいじめたり怒ったりする人は、すごく気の毒な人ですね、まいっか。オレは緊張するような場面で笑ってしまうクセがあります。なんか、人が真剣になっていたり泣いたりしている姿を見ると笑いが止まらなくなります。(マネージャー「笑いそうになったら、太ももをつねって、痛みでこらえたらどうですか?」)そんな痛い思いしなくちゃいけないなら、他人の目なんかどうでもいいですよ。オレはそんなクセがあるから人の葬式には行きません。でも、テレビでは面白おかしい人として受け入れてくれました。自分のクセを生かして仕事すればいいですよ。
2021年09月27日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「妻が家事をしなくなっています。今は朝ご飯作りから、弁当作り、食器洗い、ゴミ出し、洗濯、風呂&部屋掃除、晩ご飯作りまで一手に引き受けている状態。現代の旦那はどこまで家事をやるのが適切ですか?」(苦郎丸さん・45歳・静岡県・会社員)【A】「オレの得意料理はカレーライスとライスカレー」(蛭子能収)今どきの旦那がどこまで家事をやるべきかわかりませんけど、そもそも、よその家とあまり比べないほうがいいですね。モヤモヤするだけですよ。適切な家事は、その家の奥さんが怖いかどうかで決めればいいですよ。そういえば、ここ何日かのオレは、女房が誰だかわからないときがあったようで、さっき「私は誰?私は何?」と怖い顔で問い詰められました。すごく緊張しましたが、なんとか名前と「嫁さんです」と正解が言えました。家事は女房に任せきりで頭が上がらないから、もっと家事を手伝おうと思っています。(マネージャー「蛭子さん、家事できるんですか?」)昔は、オレが好きなカレーライスとかライスカレーを作っていたと思いますけど。(マネージャー「カレーライスとライスカレーは何が違うんですか?」)なんやったっけ?たしかカレーライスのほうがちょっとおいしいです。とにかくカレーライスとライスカレーを交互に毎日作れば、女房も喜んでくれるはずです。
2021年09月13日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私の彼はギャンブルが好きで、仕事が終わるとパチンコをして、休日には旅をしながら全国のボートレース場を回っています。ふだんはいい人ですが、ギャンブルになると目の色が変わります。一緒になるのが不安です」(ハチのプーさん・31歳・千葉県・OL)【A】「本当のギャンブルは結婚。たいてい予想は外れて負けるもの」(蛭子能収)目の色が変わるって、すごいですね。オレに相談するということは「大丈夫!」と断言してほしいのかもしれませんがどうでしょう?(マネージャー〈以下、マ〉「えっ?蛭子さんは前からギャンブラーは休日もお金を増やそうと努力している人だと言っていたじゃないですか?」)あれ、そうでしたっけ?でも、競艇やパチンコ以上のギャンブルは結婚だと思いますけどね。これから先、相手がギャンブルをやめるかもしれないし、もしかしたら、すごい万舟を当てて、大金持ちになるかもしれません。しっかり目の色を変えて読み切ることが大事だと思いますよ。まあ、たいていの予想は外れますけどね。オレは競艇やパチンコにつぎ込まなければ、今ごろはたくさん貯金があったはずだ、と女房に言われて反省しているんですよ。(マ「貯金がいっぱいあったら、何に使うんですか?」)それは、やっぱり賭け事をするしかないですね……。あれ、なんかおかしいですか?
2021年09月06日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】23歳の息子は、この春から東京で生活しています。私はずっと田舎で暮らしてきて、怖い都会で暮らすなんて信じられません。悪い誘惑も人も多そうなので心配です。なんとか連れ戻そうと思っていますが……」(黒い彗星さん・54歳・青森県・自営業)【A】「冷静になって先を見通せれば、どこでも負けない(競艇の話)」(蛭子能収)オレも東京はすごく怖いところだと思っています。お金を稼ぐところもいっぱいあるし、成功すればお金はたくさん入ってきますが、稼げなくなったら崖から落ちるようにダメになっていくのが東京です。オレは長崎の看板店から逃げるようにして上京しましたが、東京には平和島、江戸川、多摩川のほかに、すぐに近くに戸田(埼玉)と競艇場が4つもあって夢の世界だと思いました。ただ、オレの地元の大村競艇場は、インコースを走る1号艇が勝ちやすくて、配当金は安いけどけっこう当たっていたんです。でも東京にある競艇場ではインコースの選手でも簡単に勝てないから、予想がかなり難しいんですよね。(電話で席を外していたマネージャーが戻って来て「大丈夫ですか?」)冷静になって、しっかり先を見通す力があれば、どこでも負けないと思います。息子さんも大丈夫だと思って信じてあげたらいいですよ。(マネージャー「よくわからないけど、なんかいいこと言っていますね、蛭子さん」)
2021年08月30日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「小学生の息子は要領が悪くて、授業で絵を描いても完成できなかったり、出された課題が終わらなかったりして先生にいつも注意されています。大人になっても不器用な人生を歩むのかと思うと心配です」(光GOーさん・39歳・滋賀県・主婦)【A】「要領が悪かったら、要領のいい人と仕事をすればいい」(蛭子能収)要領が悪いって、どういう意味ですか?(マネージャー〈以下、マ〉「段取りが下手だったりうまく処理できなくて失敗しちゃったりするんじゃないですか」)そんなことでも先生は怒るんですね。なんだかかわいそうな大人ですね。どんな人でも得意なことがあるから、息子がそれを見つけられるようにしてあげたらどうですかね。オレも要領がいいとは言えなかったと思いますけど、漫画を描くことを見つけて、それで金を稼ぐことができましたから。(マ「そういえば『サンデー毎日』の連載をまとめた『おぼえていても、いなくても』の漫画がいいと評判ですよ)最初のころの漫画は背景をしっかり描いていて、自分でも丁寧に描いていましたが、今は面倒くさいからテキトーになっています。(マ「認知症になってからの漫画には味があると言われています」)そんないい加減な作品を描いても、1冊にまとめられる編集者はよほど要領がいいんでしょうね。そんな人と付き合っていきたいです。
2021年08月23日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「職場にあった雑誌を見てメールしました。社員として固定給で働いていますが、フリーになった先輩から一緒にやろうと誘われています。収入が不安定になるフリーになるのが不安で迷っています。どうしよう……」(ヤッシー春さん・26歳・宮城県・美容師)【A】「ボケていても、いなくても、フリーには稼ぎ続ける覚悟が必要」(蛭子能収)あれ〜、フリーと正社員はどちらがいいかという相談は何回も来ていませんか?雑誌に載ることがわかっているのだから、おもしろい困りごとだったり、違う角度の悩みごとだったりしたほうがいいですよ。それがわからないんだったら、フリーにならないほうがいいと思いますけどね。(マネージャー〈以下、マ〉「まあ、そう言わずに。蛭子さんが7年半勤めたダスキンを辞めたときは不安がなかったんですか?」)よく覚えていません……、というか、オレはフリーでしたっけ?(マ「漫画家として独立したから、30歳からフリーランスですよ」)あ、そっか。家族4人で暮らしていかなくちゃいけないから、覚悟を決めたら、ぽつぽつと原稿依頼が来たような気がします。(マ「フリーとして40年近く働いて『サンデー毎日』の連載をまとめた新刊『おぼえていても、いなくても』を出版するんですから、すごいですよ」)フリーには“ボケていても、いなくても”稼ぎ続ける覚悟が必要ですよ、ポリポリ……。
2021年08月16日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「働きはじめて3カ月の新入社員です♪前は友だちと会うことが楽しかったのに、今は仕事のことで頭がいっぱいで会うのが面倒くさ〜い。でも、友だち付き合いがおっくうになっていくと思うと寂しいです♪」(なっちゃんさん・22歳・群馬県・会社員)【A】「『おぼえていても、いなくても』のほうが、『認知症になった蛭子さん』より面白い」(蛭子能収)ハートマークがいっぱいで、本当に悩んでいるんですかね……ま、いいか。オレにとっては理解できないけど、仕事も友だち付き合いも優先順位が上のほうで、今は仕事がちょっと勝っているんでしょうね。(マネージャー〈以下、マ〉「何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない!いいこと言いますね」)どちらも面倒くさいものだから、テキトーにやっていればいいのに。そういえば優先順位ではないけど、最近は、オレも一応、ギャラが高い安いとかいろんな理由で重要かどうか考えて仕事しています。(マ「8月2日に出版される蛭子さんの『おぼえていても、いなくても』〈毎日新聞出版〉はエッセイだけでなく、イラストや漫画をぎっしり描いていましたね」)あ~、あれは、担当の人が、いつもアップルパイとかどら焼きとかオレの好物を買ってきてくれるので一生懸命描きました。この、どうでもいい人生相談をまとめた本(本社刊『認知症になった蛭子さん』)よりも面白いですよ♪♪♪
2021年08月02日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんが好きで、競艇やパチンコなどギャンブルもやってみたいと思っていますが、私はのめり込みやすい性格なのでどんどんドツボにはまっていく気がして……。ハマらない方法を教えてください」(オリオリさん・26歳・東京都・会社員)【A】「ギャンブラーは、休みの日にもお金を増やそうとする働き者」(蛭子能収)18歳からパチンコ、20歳から競艇をしていて、オレの人生からギャンブルをとったら何も残らないかもしれませんね。(マネージャー〈以下、マ〉「『認知症になった蛭子さん』を読んだ人が、新婚旅行で3日連続、競艇場に通った蛭子さんを“クズすぎる!”と話していました」)えっ、そんなことあったっけ?オレはギャンブルをしてお金を増やそうとしていただけ。休みの日でも競艇場に通っていたから、自分ではすごく働き者だと思っていました。気をつけていたのは、帰りの電車賃は残しておくことと、人から金を借りてギャンブルをしないこと。これさえ守っていればハマりませんよ。それにしても、認知症になってからは賭けごとに興味が湧きません。前までは、競艇でもパチンコでもギャンブルをやらない人は、いったい何が楽しくて生きているのかまったくわかりませんでしたが、今のオレはその人たちと同じです。(マ「本当ですか?」)ええ、もうギャンブルはやりません、賭けてもいいですよ。
2021年07月26日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、恋愛小説を書いています。小説家になりたくて、それを目指してがんばっています。蛭子さんにその小説を読んで感想を聞かせてほしいんです。ダメですか?それなら、何かいいアドバイスを!」(苺ベリーズさん・21歳・栃木県・専門学校生)【A】「本を書こうと思うなら人がやらないことをやるべき」(蛭子能収)恋愛なんか興味ないし、そもそも字を読むのが嫌いだし……。たぶんオレがその小説を読んでも何にも感じないと思いますよ。アドバイスですか?オレが漫画を描くときに心がけていたことってありましたっけ?(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんのデビュー作の『パチンコ』はパチンコ店に辿り着けない男の話で、パチンコ台が一切出てこない衝撃作でしたよ」)そうそう、とにかく、人がやらないことをやろうと思っていました。チリ紙交換のときも、みんなが行かないようなところで古新聞を探していましたし。あとは関係ないコマに毛沢東とかUFOの絵を入れたり、タイトルを不可解にしたりして、読んでいる人に「?」と思わせようとしていました。大事なのは、最後まで描き切ることですよ。あとはなんとかなりますよ。(マ「がんばって『認知症になった蛭子さん』も書き切りましたものね」)あ、オレ、その本、書いていないし読んでいません。(マ「著者がそれを言ってはいけません!」)
2021年07月12日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、今、とってもつらく、闇の中にいます。死ぬことすら考えています。すべて父のせいです。お金には恵まれています。でも、これから先の人生を考えると……、生きていくのが嫌になりました」(匿名希望さん・新潟県・無職)【A】「死んだことがないからわからないけど、たぶん生きているほうが楽しいはず!」(蛭子能収)これまで一度も死んだことがありませんけど、オレは、死ぬよりも生きているほうが楽しいことがあると思うんですよ。でも、チャラチャラした回答はしにくいですよね。お父さんと何があったかわかりませんが、やっぱり、生きていれば楽しいことがあると思うんです。もしかしたら楽しくないかもしれないけど、楽しいと思うしかありません。それにオレは死ぬのがすごく怖いんですよね。(マネージャー〈以下、マ〉「子どものときに流れ星を見てから死が怖くなったんですよね!」)あ、そうそう!死ぬときは、流れ星のようにフッと消えちゃうのかなと……。そういえば、オレは認知症になってから、流れ星なら、もう輝いていない状態かもしれませんね。(マ「そんなことないですよ。『認知症になった蛭子さん』も出版したし、何歳になっても仕事をしたいと思えることはすごいです」)あ、そっか。じゃあ、オレは“認知症の星”になって、もっと稼がせてもらおうかな。
2021年07月05日気になる男性との距離を縮める方法として「相談を持ちかけること」は有効的なようです。だからといって、重すぎる相談やどうでもよすぎる相談だと、かえって距離を置かれてしまう可能性があるみたい。今回は、気になる彼の「心を掴む相談」と「ガッカリさせる相談」をパターン別にご紹介します。■ 男性ウケのいい相談同じ「相談」であっても、男性との距離が縮まる相談もあれば、距離が遠くなってしまう相談もあるようです。では、男性との距離が縮まる相談とは、どのような相談なのでしょうか。仕事の話男性が自分の知識や経験からアドバイスできる悩みは、教える立場になれるという優越感を感じられるでしょう。仕事の話題なら相手に好意を持っていることもバレないので、自然と距離を縮めることができるはずです。職場の人間関係やスキルアップの方法など、彼がアドバイスしやすそうな話題をえらんで相談してみてください!引っ越しや一人暮らしの話「マンションの更新時期で……」とか「一人暮らししたいけど、どこに住もうかな」こんな相談を振ってみたとき、自分が住んでいる場所の近くをすすめてくる男性は、あなたに好感を持っている可能性が高いでしょう。引っ越しの相談は、脈あり男性を見わけるポイントにもなるようです。会話が盛り上がれば、彼の住んでいる自宅の場所を教えてくれるかもしれません。彼の近所で飲むきっかけにもつながる可能性もあるため、彼との距離を縮めるのにはおすすめの相談です。他の男性の話「今付き合っている彼と別れそう」といった悩みは、もうすぐフリーになるという宣言ともいえるはず。「このチャンスを逃したら別の男性に奪われてしまう……」という危機感を相手に与えることができるでしょう。他の男性の話題は、嫉妬心をかき立て心に火を付けてくれる可能性が高いです。しかし、くれぐれもモテ自慢だと思われないように謙虚に相談することが大事でしょう。■ ガッカリされる相談では、逆に「なんでわざわざそんな相談するの?」とガッカリされてしまう相談とは、どのような相談なのでしょうか。身内の悪い話結婚を視野に入れたお付き合いをして欲しいと彼に対して思っている人もいるでしょう。その場合は、彼に将来家族になるかもしれない身内のよくない話を相談しないようにしてください。「母親が子離れできなくて困る」とか、「人使いの荒い姉がいる」など、家族のめんどくさそうな話題はなるべく口にしないようにしましょう。この相談をすると、彼があなたとの結婚に冷めてしまう可能性が高くなるはず……。女友達の悪口友達に関するネガティブな話題は、男性にとってはたいくつな話題にすぎないでしょう。あなたからすれば、ちょっと聞いて欲しい愚痴ぐらいの話だったとしても、愚痴と悪口は紙一重ともいえるはず。悪口を言う女性に好意を持つ男性はいないでしょう。たとえあなたが被害者に思える話題でも、女性同士のゴタゴタした人間関係に関しては相談しない方が賢明です。■ 相談から生まれる恋もある!相談をすることで「今度相談に乗ってくれたお礼にでも……」と距離を縮めるきっかけが生まれるかもしれません。悩み相談から恋がはじまった……なんてなれそめも、よく聞くはずです。もし、気になる彼に相談にのってもらったのであれば、お礼の言葉は忘れずに伝えてくださいね。(阿久津沙良/ライター)(愛カツ編集部)【実際の意見】男性が会話で出されたくない話題って?presented by愛カツ ()
2021年06月28日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんと同じく熊本・天草生まれです。自分は、今、営業マンとして働いていますが、会社や上司から評価されていないことが、ずっと不満です。いくら頑張っても、働きぶりを見てくれません。どうすればいいですか?」(ヤッシーさん・26・熊本県・会社員)【A】「優しい評価をしてくれる人とだけ一緒に仕事をすればいい」(蛭子能収)わざわざ故郷が一緒だからと書いてきて、なにかいいことをしてもらえると期待している感じがして嫌ですね。(マネージャー〈以下、マ〉「厳しいですね、『甘ったれるな!』ということですか?」)そもそも評価するのは人だから、好きとか嫌いとかあって、それが結果になって出てしまうのはしょうがないと思うんですけどね。(マ「自分の評価があがらないのは他人のせいだと思ってしまう人が多いみたいです」)といっても、オレは優しく評価してくれる人としか仕事はしません。オレは「猫」を描いても、変な想像上の生き物にしか見えないことがあります。描き直しさせる人よりも、「わからないけど、おもしろいですね」と受け止めてくれる人が大好きです。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も『おもしろい』と好評ですよ」)認知症で悩んでいる人や家族が多いから、もっとたくさん売れると期待しているんですが……。(マ「『甘ったれるな!』と言われますよ」)
2021年06月28日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「2月に69歳になりました。妻も娘も『その年で誕生日も何もないでしょう、自分でメデタイと思わないでしょう』とずっと誕生祝いをくれません。私は今でも欲しいのに……」(私はだーれさん・69・東京都・無職)【A】「誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。騒ぎ立てる必要なし!」(蛭子能収)誕生日や記念日とかどうでもいいですよね。誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。別に騒ぎ立てる必要はありませんよ。ほかの人の時間を奪って、しかも何か贈り物をもらったら、お返しするのも面倒。競艇で万舟が当たって大騒ぎすると、周りの人が「おめでとう」とご祝儀を目当てに近づいてきます。ひっそりと自分で祝っていればいいだけ。オレは誰かに何か贈った記憶がありません。(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんの奥さんが誕生日プレゼントは、西友で買った1,300円のジーンズとユニクロの3割引のタグがついたセーターだけと言っていました」)あれ~そうでしたっけ?女房の誕生日は、競艇でオレがよく買う「1・2・4・6」に入っているからわりと忘れないですよ。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も出たことだし、印税で何かプレゼントを贈ったらどうですか?」)だったら、「オレの介護を休める券」なんかどうですかね。(マ「いいですね、さすが大先生!」)
2021年06月21日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第80回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】友人のメンタルが不安定で心配です。最近、私の友人の一人が大学をやめました。その子は授業にあまり出席せず、よく「大学、つまらない」と言ってアルバイトに精を出していたので、やめると聞いた時はあまり深く考えていませんでした。ただ、久しぶりにその子の家にいくと部屋の中が半ばゴミ屋敷状態で。ゴミや衣服が床に散乱して足の踏み場はなく、生ゴミを片付けていないのか悪臭が漂っていました。何でこうなったのか聞くと、返事は「なんか、どうでもよくなっちゃって」の一言。このままでは生活できなくなるのが目に見えていましたし、私だけの手には負えないと思ったので、片づけを少しして、「絶対、親にすぐ連絡しなよ」と伝えて帰りました。会った時にはすでに鬱っぽい表情や態度だったので、すでに彼の両親や医者の助けがもっとも必要で、私にできることはあまりないかもしれません。ただ大事な友人ですので、もし何かしてあげられることがあるなら、してあげたいです。こういう時、どうやってその友人と接したらいいでしょうか。(22歳・男性・学生)【回答】たぶん、あなたがアセスメントしていらっしゃる通り、ご友人にはご両親や医者の助けが早急に必要だと思います。大事なご友人のためにできることは、一刻も早くご家族や医療・福祉につなげてさしあげることでしょう。ご友人に「親にすぐ連絡しなよ」と言ってくださったとのことですが、ご自分で連絡することができない場合もあるでしょうから、しばらくは様子を見ていく必要があると思います。大事なご友人がこういう状況になってしまっているのを目の当たりして、さぞかしご心配でしょう。特にあなたのように優しい方は、なんとかして力になりたいと四苦八苦されていらっしゃることと思います。でも、「私だけの手に負えない」とご判断なさったのは賢明でした。ここであまりにもあなたが介入しすぎると、共倒れになる危険性があるからです。そうなれば、ご友人の為にも決してよいことにはなりません。ここはひとつしっかりと線を引いて、してあげられることとしてあげられないことを分けて考えていきましょう。繰返しになりますが、今できることは、まずご両親に現状をお知らせすること。ご友人が自分ではできないようでしたら、ご友人の承諾を得て、代わりにご連絡して差し上げるのもよいかもしれません。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月11日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「51歳で結婚(初婚です!)を考えています。職場にいるバツ1の女性が相手です。彼女も結婚を考えてくれていますが、独身生活が長い僕は、踏ん切りがつきません。うまくいくコツを教えてください」(シゲジイさん・51・大阪府・会社員)【A】「結婚がうまくいく秘訣は自分の本心を隠し続けること」(蛭子能収)あれ、最近、オレの知り合いの誰かが結婚したはずですが……。(マネージャー〈以下、マ〉「有吉弘行さんです。46歳でアナウンサーの夏目三久さんと結婚しました」)あ、そうだ!有吉さんは楽屋ではおとなしいし、すごく優しい顔をしているけど、毒舌キャラに路線を変更して、芸能界で生き残れたからすごいですよね。ちょっと計算高いというか……。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も発売後すぐに、ツイッターでつぶやいて宣伝してくれた恩人ですよ」)あ、そうですか。たぶん有吉さんも、結婚生活では本音を隠していると思いますよ。オレは、昔から子どもより女房が一番です。(マ「でも本当は競艇がいちばん好きなんですよね?」)そう思っていても「女房がなにより」とずっと本心を隠し続けること大事だと思いますけどね。(マ「有吉さんに会って、本を宣伝してくれたお礼を言ったほうがいいんじゃないですか?」)いや、今はちょっと、面と向かっては恥ずかしいからいいです。
2021年06月07日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第79回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、自分の将来のことをよく考えます。現在、私は55歳。結婚はしたことがなく、もちろん子どもはいません。今は実家の総菜屋を切り盛りしながら、足の不自由な父と認知症気味の母と3人で暮らしています。こんな還暦間近の私ですが、「郊外で有機栽培の野菜を育てて、それをお惣菜にして売る」という夢があります。そのために、今は野菜の育て方の勉強をしたり、新たに店を開く場所や資金繰りを考えたりしていますが、年齢を考えると今すぐにでも、本格的に動き出さなければいけない気がします。ただ、両親の介護にどうしても時間を取られてしまって……。思うように自分のやりたいことができていません。幸いにも近くに住む弟と妹が通院や介護を手伝ってくれていますが、実家にいる私の負担はどうしても大きいです。かといって両親を蔑ろにして、自分の夢ばかりに力を注ぐのは気が引けてしまいます。このまま私の将来は、目の前のことに追われて閉ざされてしまうのでしょうか。現状のやるせない状況と気持ちを打破するために何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。(55歳・女性・自営業)【回答】夢と介護の板挟み。お読みしているだけで、胸が苦しくなってくるようです。たしかに、55歳というのは、これから動ける時間が十二分にあるわけではなく、かといってすべてを諦めるほど残りの時間が短いわけでもなく、なんとも身動きのとりづらい年齢ではあります。そこで、勝手ながら、ふたつ、チェックポイントをご提案させていただきたいと思います!チェックポイント(1)「後悔を背負う覚悟で、本当にやりたいことを選んでいるか」人は、選択肢があればあるほど迷い、あげく選んだものを手にしながら選ばなかったものに思いを馳せる生きもののようです。どのみち後悔するのであれば、せめて納得できる後悔になるよう、自分の心にとことん忠実でありましょう。チェックポイント(2)「自分が言っていることは、夢を諦めることの言い訳ではないか」人間の脳は言い訳を考えるのがとても上手で、夢を諦めることを正当化するために、いかにももっともな言い訳を作り出すのが大得意です。言い訳で自分を誤魔化していないか、確認しましょう。さて、いかがでしょう。まずは、ご自分の気持ちの、本当に本当のところを見つけてください。それが見つかれば、問題は8割解決。あとの2割で、どうやって実現するかの方法を考えるだけです。お気持ちさえ定まれば、現状を打破する方法は必ず見つかるはずです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年06月04日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「将来はグラフィックデザイナーになって、ロゴや商品パッケージをデザインしたいと思っています。できればオリンピックのロゴなんかも作ってみたいです。蛭子先生、なにかアドバイスをお願いします」(勘太67号さん・21・山形県・学生)【A】「オレが描いたデジタル庁のロゴ、採用してもらえませんか?」(蛭子能収)えっ、「アドバイスしろ」と言われても……。(マネージャー〈以下、マ〉「若いときは横尾忠則さんに憧れて、グラフィックデザイナーを夢見ていましたよね」)でも長崎商業高校を卒業した後、デザイナーになろうと就職した先は看板屋さん。しかも、仕事は看板の設置でしたからオレに聞かれても困るし、そもそも「先生」って言われるようなことはしてないんだけど……。(マ「この前、出版した新刊『認知症になった蛭子さん』で20冊以上も本を出してるんだから立派に先生ですよ」)でも、そんなに売れた本がないから、やっぱり先生じゃないですよ。横尾さんのように、大きな仕事をしたこともないし……。(マ「そういえば、今年9月に設置される予定のデジタル庁が、ロゴを作成するデザイナーを募集しているようですよ。作ってみたらどうですか?蛭子先生!」)え〜……まあ、国がやってるなら、採用されたらいっぱいお金がもらえそうだから、ちょっと描いてみましょうか。
2021年05月31日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第78回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年で57歳となり定年も近づいてきた私ですが、長年、仕事で細かいミスを連発してしまいます。書類を作成すれば誤字脱字や記入漏れをどうしても見逃してしまい、エクセルにデータを入力すれば入力する位置がずれてしまい、私の書類やデータを基に作業する人に、毎回のことのように、迷惑をかけています。もちろん、私もミスをなくそうと、机のパソコンには「必ず確認」と書いた付箋を貼っていますし、確認する際は自作のチェックシート見ながら一つ一つ確認したり、声を出して確認するようにしています。ただ、どうしても客観的に自分の仕事をチェックすることができず、ミスを減らすことができません。幸いにも職場の周りの人は私のミスを修正したり、指摘したりしてくれるので大事に至るようなことはないのですが、迷惑をかけてばかりで本当に申し訳なく、情けない気持ちです。どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるでしょうか。(57歳・男性・会社員)【回答】今年で57歳になられるのですか。まあ、私たち同い年です。奇遇ですね。そして、あなたさまのご相談を拝読していて気付きました。私たち、もうあと数年で「定年」なんて年になっているのですね。はあ〜。驚いた……。さて、「どうやったら自分や自分の仕事を客観的に見つめて、ミスを減らすことができるか」ということですね。まずは、自分の現状に甘んじることなく、さらに成長しようとしている姿勢に感動です。私たちくらいの年齢になると、良い悪いは別として、もう固まっちゃってる人が多いですものね。あなたさまは、まだまだ柔らかいわあ。素晴らしい。その柔軟さを活かして、「苦手なこと」より「得意なこと」を見るようにシフトチェンジしちゃいませんか。周りの人にミスを修正してもらいながらも、長年働いてこられているということは、小さなミスをカバーして余るなにかが、あなたさまにはあるのだと思います。だから周りの人が助けてくれるのでしょう。それは、仕事ができるとかできないとかではなくて、あなたさまが醸し出すオーラのようなものかもしれません。あの人がいると、場が落ち着くんだよね〜とかね。誰にだって凸凹があると思うんです。もう、私たちこの年ですから、凹を修正しようと躍起になって落ち込むより、客観的に見つめ直して自分の凸をしっかり自覚して、それをどんどん発揮していこうじゃありませんか!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月28日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第77回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】反復性のうつ病で療養を続けています。これまでの様々な家庭や家族の諸事情から無茶な働き方をしたことが、発症の原因だと思っています。なので、治療は人生を振り返る機会かとも考え、今も続けております。ただ、ひきこもり状態が続く中では、どうしても先を明るく見ることができません。「自分の病気や生きてきた過程を通して、誰かの役に立てれば」と思えても、「やはり私なんかには無理では」とすぐに否定してしまって、葛藤の日々が続いています。こんな時、前を向くにはどうしたらよいでしょうか。(56歳・女性・無職)【回答】うつ病の治療中でいらっしゃるのですね。鬱の症状は本当に辛いと聞いています。さぞかしお辛いだろうと、案じるばかりです。さて、私たちは幼いころから、「目標を立ててそれを達成すること」を良しとして、繰り返し、繰り返し、教わってきました。目標に向かって努力して成果を手に入れれば認められ、途中で挫折すれば反省を求められ……。だから、いつの間にか、「ありのままでいる」ということができなくなってしまったようです。でも、本来、私たちはこの世に誕生したときすでに、足りないものも余るものもなく、まるっと完成しているのではないかと思うのです。看護学校で人体の仕組みについて勉強したとき、本当にそう思いました。いったいどうやって、いったい誰が、こんなすごいもの(人間の体)を作ってくれたんだろうって。だって、身体にちょこんと入っている腎臓ですら、その働きを機械で代行させようと思ったら、ちょっとした冷蔵庫くらいの大きさになってしまうんですよ。だからもう、そんな完璧な体をいただいてこの世に生まれた時点でミッション完了!!そこから続く人生に起こるあれこれは、すでにすべてを達成している上にオマケで加える彩にすぎないのではないかと思えてならないのです。「誰かの役に立ちたい」でも、「私なんかには無理」と葛藤される日々とのことですが、私のこの考え方でいけば、この世に存在しているってことだけですでに「役に立って」います。少なくとも、この体の仕組みを作ったなにかは、大満足してくれているはずです。だから、ありのままでいいんじゃないかしら。まずは、そんなふうに考え方をちょっと修正してから、次のステップに行きましょうよ!【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月21日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの”介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学、高校と陸上競技部で、目標に向かって努力すれば結果がともなうことを知りました。社会人になって先輩から、懸命に力を尽くしても報われないことばかりと言われました。努力家は損ですか?」(オリサイさん・23・愛知県・会社員)【A】「オレの好きな言葉は、印税。座右の銘は、CMです!」(蛭子能収)努力が無駄かどうかはわかりませんが、努力しているフリは大事だと思います。オレは漫画でも手を抜いていましたが、作品を編集者に出すときはすごく大変だったことをアピールしていました。それで原稿料をもらえましたから(マネージャー〈以下、マ〉「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のロケで足腰が鍛えられたから認知症になっても元気。努力は報われると思いますよ」)。ギャラが出れば頑張ります。でも基本的にオレはただで頑張りたくありません。本(蛭子さんの新著『認知症になった蛭子さん』)が出て「大変でしたね」と言われますが、「まあちょっと大変でした」と答えていますが、本自体ではオレはまったく力を尽くしていません。それでも大好きな印税が入ってくるからうれしいです。もっといいのが「ちょこっと働けば、いいギャラが入る」CMの仕事です。もっと努力して、オレをCMに起用してくれる会社を見つけてきてくださいよ。(マ「努力する気が失せました!」)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第76回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】同じ町内会に所属する年上の人たちの態度に辟易しています。私が所属する町内会は10世帯ほどの集まりで、私も含めて8割以上が高齢世帯です。こぢんまりとした会ですが、毎年春先になると、誰が役員になるかで大揉めを起こします。これまでは、それでもみんな、嫌々ながらも公平に、順番で受け持つようにしていました。ただ最近、私よりも年上の人たちが、自分の番になっても頑なに役員をやろうとしなくなったんです。もちろん、年とともに億劫になる気持ちは分かります。でも、「こういうのは若い者に任せればいい」とか、「どうしてもやれというなら町内会を抜ける」とか、受けたくないがために、言いたい放題で協力するそぶりも見せないのはどうかと思います。こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか。もしできるならどうやって接すればよいのでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】人間関係ほど面倒なものはないですね。町内会でのご苦労、本当にお疲れさまです。あなたさまよりも年上の方々というと、70代のみなさまでしょうか。町内会役員の就任拒否。人生の残り時間を考えると、役員の仕事なんかにかかずり合っている余裕はないといったところでしょうか。もしくは、寄る年波には勝てずにいらっしゃるのかもしれませんね。いずれにしても、「こういうお年寄りを動かすことはできるのでしょうか」、できません。そもそも、私たちに他人さまを自分の思い通りに動かす力は備わっていないのです。120%無理です。なので、アプローチを変えて考えてみましょう。まずは、町内会とは、なんぞや。そもそも、必要な組織なのか。10世帯がかわりばんこに役員を押し付け合って、毎年大揉めを起こしながら嫌々でも継続しなければならないほどの機能を持った組織ですか?もし、そうであるなら、日常生活に必須の組織ですから、より若い者に運営を任せるのが得策でしょう。もし、そうでないなら、毎年恒例のストレスにさらされながら無理して関わり合っている必要はありません。即刻脱会してさっぱりしましょう。「そうはいかないから、困っているんです」と言うあなたさまの声が聞こえてくるようです。そうですよね。そうなんですよ。はたから見るとものすごく単純なからくりなのですが、渦中にいる者にとってはにっちもさっちもいかない状況に見えるのが、人間関係なのです。なぜか。そこに情(感情)がからまってくるからです。「私だってやったんだから、あの人もやるべき」とか、「自分ばっかりラクしようとしてるんだわ、そうはさせないから」とかね。いったん情を捨てて考えてごらんになることをおすすめしたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年05月14日