「第9回 国民的美魔女コンテスト」が募集を開始美ST編集部が主催する「第9回 国民的美魔女コンテスト」が、美魔女の募集を開始した。応募資格は、35歳以上で、年齢を感じさせない輝きを持っている女性。グランプリ及び優秀者は、オスカープロモーションと所属契約を結び、プロモートやレッスンなどが受けられる。応募締め切りは2018年5月10日まで。当日消印有効。WEBからの応募は24:00まで受け付ける。グランプリが決定する都内・最終選考会は9月に実施予定。応募方法などの詳細は、美ST ONLINEを確認。「国民的美魔女コンテスト」を通して、磨き上げてきた美を披露してみてはいかがだろうか。輝く女性を応援する「国民的美魔女コンテスト」美しさだけでなく、積み重ねてきた人生や努力が反映される「国民的美魔女コンテスト」は、今年で第9回を迎える。美魔女コンテストで求められるのは、若さではなく、輝きだ。第8回は、ケアマネジャーの村田優美さん(41歳)がグランプリに選ばれている。準グランプリには山崎麗子さん、輝く美魔女賞(DHC)には浅川加恵さん、温美魔女賞(バスクリン)には鈴木久美子さん、WEB賞には遠藤陽子さんが輝いた。(画像は美ST ONLINEより)【参考】※美ST ONLINE
2018年03月28日2月18日(日)放送の「情熱大陸」は、共に国民栄誉賞を受賞した将棋棋士の羽生善治と囲碁棋士の井山裕太に密着。国民栄誉賞受賞式の舞台裏や、羽生さんと最年少プロ棋士・藤井聡太との公式戦初対局の模様もお届けする。2018年の年明け早々、将棋界から羽生善治、囲碁界から井山裕太が国民栄誉賞を同時受賞するというビッグニュースが舞い込んだ。将棋・囲碁界共に棋士が国民栄誉賞を受賞することは初めてのことである。1985年に中学3年生でプロデビュー。史上3人目(当時)の中学生棋士となると、19歳で初のメジャータイトル(竜王)を獲得すると、26歳で将棋界で史上初の7タイトル独占(七冠)を達成。2017年には史上初の永世七冠を達成し、47歳の今も一線で活躍中の羽生さん。一方、中学1年生でプロデビューすると16歳で史上初の飛び級昇進で20歳にして名人を獲得。2016年には囲碁界初のメジャータイトル七つを制覇する七冠を達成。2017年には二度目の七冠を達成し囲碁・将棋界初の二度の七冠達成を果たした現在28歳の井山さん。共に自らの頭脳を頼りに厳しい世界で前人未踏のタイトルの数々を獲得して来た“絶対王者”を、本番組ではこれまで大一番となる戦いの前後に密着取材。羽生さんは2002年7月7日、2008年12月28日に、井山さんは2013年1月13日にそれぞれ放送してきたが、今回国民栄誉賞同時受賞を受け、改めていまの二人にカメラを向ける。13日に予定されている国民栄誉賞受賞式の舞台裏に加え、二人がお互いへの素朴な疑問や意外な本音を語り合う独占対談や、羽生さんと話題の最年少プロ棋士・藤井さんとの公式戦初対局の模様まで、2人の天才の“いまの姿”を詰めこんだオンエアとなる。「情熱大陸」は2月18日(日)23時~TBS系で放送。(笠緒)
2018年02月17日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「今、政府が検討しているのは、受給開始が70歳を超えても可能となるよう、選択の幅を広げることです。しかし受け取る側としては、受給を遅らせると、もらえない期間が長くなる一方、上乗せ分で得するために、より長生きしなければなりません。ある意味では、自分の寿命をめぐっての“賭け”ですから、特典である上乗せ率を今より引き上げないと、繰り下げを選ぶ人は少ないでしょう」(荻原さん・以下同) 政府も、70歳を超えた年齢での受給を選択した場合、上乗せ率を引き上げる方針だ。ただし、まだ具体的な年齢は決まっていない。 「仮に75歳とし、上乗せ率を引き上げた場合を考えてみましょう。65~70歳は現行どおりの上乗せ率0.7%で、70~75歳の上乗せ率を0.8%に引き上げたとします(パターンA)。すると、75歳からに繰り下げた場合の年金は90%アップ。65歳からの受給で、月額10万円とした場合、75歳からに繰り下げると、月19万円になる計算です」 パターンAの場合、長生きすると得になり、早く亡くなると損になる「損益分岐点」は86.1歳。これを超えて長生きすると得になる。 「ただし、特に男性で86.1歳より長生きする自信のある方は、どれくらいいるでしょうか。パターンAを選ぶ方は少ないと思われます。ではさらに、上乗せ率を上げてみましょう。65~70歳までは同じ0.7%で、70~75歳を0.9%とします(パターンB)。この場合、75歳からの年金は96%アップです。ただ私は、そもそも75歳からを選択する人は、あまり多くないのではと思います」 高齢となっても健康上の問題がなく、日常生活を制限なく過ごせる期間を「健康寿命」という。男性が71.19歳で女性が74.21歳(’13年・厚生労働省)だ。 「つまり、受給年齢75歳とは、男女とも健康寿命を超えてから。たとえ多めに年金をもらっても、楽しく使えないのでは、意味が薄れてしまうのではないでしょうか。しかし、年金財政の悪化を食い止めたい政府としては、受給開始年齢自体を、現行の65歳から67、68歳へと引き上げたい思惑があるのでしょう。今回の選択制の検討は、その布石ではないかと思います。今後の政府の動きには、ますます注意が必要です」
2018年02月02日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「たとえば、現行制度で70歳からの受給に繰り下げたとします。すると、65歳から70歳の5年間は年金がもらえませんが、70歳からの受給額は、上乗せ0.7%×60カ月(5年)=42%アップになります。このように受給開始を繰り下げた場合、上乗せ金額と、もらえない期間の金額を比べて、何歳まで生きれば特になるのか、試算してみましょう」(荻原さん・以下同) Pさんの年金は、原則どおり65歳からの受給で、月額10万円とする。これを70歳からに繰り下げると、5年分の10万円×60カ月=600万円はもらえない。だが、70歳以降は10万円×42%=4万2,000円が上乗せされ、毎月14万2,000円を受け取れる」 「もらえなかった600万円を、上乗せ分で回収するには、600万円÷4万2,000円=142.9カ月=11.9年かかります。つまり70歳からの受給に繰り下げた場合、Pさんは81.9歳より長く生きると得、早く亡くなると損になります。この損得の分かれ目を『損益分岐点』といいます」 現在、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省)だ。 「これを参考に、先ほどの損益分岐点と、自分の健康状態から「私なら損益分岐点より長生きできるはず!」と思える方が、繰り下げを選ぶことになります」
2018年02月02日「今後、年金の受給開始を70歳に引き上げることが予想されます。一人あたりの医療や介護費は年々増加しています。国を頼りにすることはできないのかもしれません。シニアの生活防衛を考えると、働くことは最善の手段でしょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。医療や介護費などの負担増の結果、手取り収入はここ数年、減り続けている。老後のための貯蓄もままならない状況で、いまや死ぬまで働くことが求められているようだ……。 「そんな時代には働くことを前向きに考えることが大切です。シニアには時間がたっぷりあります。女性の平均寿命は87歳。60歳から25年以上の時間を余暇だけで持て余してしまわないでしょうか。働くことで“幸福度”が上がるという研究データもあります。そもそも人間には周りに認められたい、どこかに属していたいという願望があるのです。自分の幸せのためにも、60歳を過ぎてからも、働くことを積極的に考えてみては」 老後の資金に不安を抱える人は少なくない。そんな人も働くことで心配は軽減していくと八ツ井さん。 「老後の資金がいくら必要かよく問われますが、いくら足りないかと考えて不安を感じるよりも、働けるうちはしっかり仕事をして、生活費や老後資金を稼ぐほうが前向きになれます。長く働くことで、完全にリタイアしたあとの生活がラクになります」 年金がもらえる年齢が後ろ倒しになることも予想されるし、さまざまな負担増があることを見越すと月8万円は稼いだほうが安心できると考えられているという。 肝心の求人だが、60歳以上の女性に関しては、先行きは明るいようだ。 「団塊世代が定年退職し、働く現場は人手不足。仕事が円滑に回らないなか、シニアの求人が増えています。とくにコンビニ、ファストフード、飲食店などのサービス業は、シニア女性の“仕事力”が求められているのです」 そう話すのは、シニアライフアドバイザーの松本すみこさんだ。 「お金を稼げるだけでなく社会に出て人と接することで元気になるし、さまざまな刺激があるので認知症にもなりにくくなる。第二の人生として生きがいを見つけている人も多い。シニアの男性の場合はプライドが邪魔をして“こんな仕事できるか”と選びすぎてなかなか就職できなかったり、コミュニケーションが取れずに、職場で苦労したりすることもあります。その点、女性の場合は、柔軟で協調性もあるので、60歳以降の女性が活躍できる職場は増えているのです」
2017年12月20日年金の支給額が引き下げられるなかで、老後を支える役割が増している退職金。ところが、退職金の平均支給額が、大企業の場合、10年間で500万円以上も減少している。『退職金貧乏』(祥伝社新書)の著者で、久留米大学の塚崎公義教授が解説する。 「バブル崩壊後、不況に陥っていた20年ほど前に、日本の会社の体質が大きく変わりました。それまで“従業員の共同体”だった会社が、欧米のように“株主のもの”というグローバルスタンダードになっていったのです。つまり会社の利益は従業員へ分配されるより、株主への配当が重視されるようになった。結果として、従業員の長期雇用や、退職後の生計を支える目的で、当たり前のように定着していた退職金制度も、その額も、見直されるようになりました」(塚崎教授) グローバル化により、勤続年数で給料が上がっていく賃金制度が見直され、成果主義が導入された。退職金についても、その成果主義が浸透しているという。老後の暮らしを大きく左右する退職金。その受け取り方は会社によっても違うがーー。 「“まとめて一時金としてもらう”“分割して年金方式で受け取る”“一時金と年金の併用でもらう”の3通りから選べることが多いので、どのようにして受け取ると有利なのか知っておきましょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで「生活設計塾クルー」の取締役・深田晶恵さん。退職金2,000万円を《一時金》とした場合と、2%で運用される《年金》として10年間で受け取る場合では、どんな違いがあるのだろう?退職金2,000万円を《一時金》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合と、退職金2,000万円を期間10年の《年金(運用利率2%)》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合を試算した深田さんが解説する。 「税金を引く前の額面収入では《年金》のほうが多いのですが、所得税や住民税、国民健康保険料や介護保険料も高くなります。《一時金》だと、この場合、非課税枠の範囲内で、所得税と住民税はかかりません。結果、手取り収入では130万円も、《一時金》で受け取るほうがお得ということになります」(深田さん) 試算はあくまで一例で、企業年金の運用率、年金額、住んでいる自治体の社会保険料率によって変わってくる。 「それでも、社会保険料が多くの自治体で毎年のように引き上げられている現状、《年金》の額が多くなるほど、税金と社会保険料の負担が重くなり、《一時金》のほうが有利になる傾向です」(深田さん) そして深田さんは、退職金を受け取った夫を見守る妻にアドバイスを送る。 「《一時金》にした場合、無駄遣いには注意が必要です。多額の出費をしてしまい、老後資金を大きく減らしてしまう人が少なくありません。定年後の旅行、子どもの結婚資金や住宅購入資金の援助などは、老後の生活に影響がない程度にしましょう。一方、《年金》には定期的な安定収入になるというメリットがあります。しかし、終身年金でない場合、70歳ないしは75歳で公的年金だけになり、その後、年収収支が大幅に赤字になることも。会社が運用する『確定給付年金』の場合は、その会社の業績によって《年金》が減額されることもあるので注意が必要です」(深田さん) さらに深田さんが続ける。 「退職金を使って、住宅ローンの残りを返済してしまおうと考える人も多いですよね。でも、たとえば退職金が2,000万円なのに、住宅ローンの残高1,700万円を一括返済してしまうと、老後資金は300万円しか残りません。一方で、団体信用生命保険に加入していることで“死ねばローンもゼロ。慌てて返済しなくても……”と考える人もいますが、死亡する時期は誰にもわかりません。“長生きリスク”に備えるためにも、退職金の使い方は家族でよく話し合って決めるのがいいでしょう」(深田さん)
2017年11月16日再び“消えた年金”が明るみに出た。今回、問題となっているのは「振替加算」といわれるもの。支給漏れの96パーセントが元公務員の妻で、10万6千人にものぼる。まずは聞き慣れない「振替加算」について、厚生省担当記者が説明してくれた。 「現在、65歳から老齢厚生年金の支給が始まりますが、そのときに生計を維持されている年下の妻(65歳未満)がいる場合、夫の年金に『加給年金』が上乗せされます。企業でいうところの家族手当のようなイメージです」 支給額は年額にして25万~38万円(月額約2~3万円)ほど。独身者よりも妻帯者を優遇するための制度だという。 「ところがこの加給年金は、妻が年金受給資格を得る65歳になると消滅します。それに代わり、新たに支給される妻の基礎年金に、加給年金よりも減額された毎月6千~1万9千円程度がプラスされます。これが『振替加算』という制度です。一時期、メディアで“熟年離婚するなら65歳を越えてから”と報じられたのは、この制度のためです」 今回“消えた”のは、加給年金が消滅後、「振替加算」に移行されず、正しく支給されていなかったケース。年金に詳しいフィナンシャルプランナーはこのように注意を呼びかける。 「公務員の共済年金を管理する共済組合と、基礎年金を管理する年金機構の情報共有がうまく行われていなかったのが、公務員の配偶者に不払いが集中した理由です。夫が貰う共済年金から妻の加給年金が消えても、妻が貰う基礎年金に振替加算が正しく反映されていなかったのです」 厚生労働省によると、未払い額の平均は一人当たり約56万円。最高額は約590万円にも上るという。 「退職公務員の妻の8人に1人に未払いが生じています。独身時代に妻が会社員や公務員であっても、勤務期間が20年未満であれば振替加算の対象者です。まずは年金受給時に一度だけ発送される『年金決定通知書』がお手元にある人は、裏面をチェックしてください。自分は対象のはずなのに、《加算額》の欄に、振替加算の金額の記載がなければ、未払いかもしれません」(前出・フィナンシャルプランナー) さらに前出の記者によると、 「支給漏れの人のうち、約4千人がすでに亡くなっていることも判明しています。三親等内で同一生計の遺族は、未払い分を受け取る事ができるので、遺族の方も確認をしてください」 日本年金機構は専用電話を設置し、個別対応するとともに、対象者に通知し、11月中旬までに支給する予定だ。信頼こそが年金制度を支えるのだ。
2017年09月21日「’84年から年金記録はコンピューターで管理されるようになりましたが、’51年4月以前の厚生年金記録の一部は紙の台帳に記されたままで、統合されていなかった。さらにコンピューターにデータを移行する際に多くの入力ミスがあり、今も見つからない年金は約2,000万件もあります。あなたにも、もらえる年金があるかもしれないのです」 そう語るのは、年金コンサルタントで社会保険労務士の柴田友都さん。「年金探偵」と呼ばれ、これまでに5,000件もの“消えた年金”を捜しあてたという。 「もらえる可能性が高いのは、会社員の夫が亡くなった場合の遺族厚生年金です。これは夫が他界したあとでも、納付記録が見つかればさかのぼって受け取ることができます。亡くなった夫が『柴田式年金チェックリスト』に当てはまるかをチェックしてください。とくに夫が戦時中に軍需工場に勤めていた、または戦前から民間会社で働いていたという人に、見つかるケースが多いですね。納付者が父親でも、妻である母が遺族厚生年金を受け取っていない場合は、子が受け取ることもできます」(柴田さん・以下同) 遺族厚生年金の受給資格は、夫の基礎年金と厚生年金を合わせた納付期間が300カ月以上あること。戦争前後に会社勤めをして支払っていた厚生年金の記録が失われたことで、この300カ月に満たなくなっているケースが多いという。つまり、この納付記録を発見できれば、受給資格を得られるのだ。 『柴田式年金チェックリスト』は次の通り。亡くなった夫または両親が次に当てはまる場合は取り返せるチャンスあり! □戦時中に軍事工場、挺身隊、陸軍造幣廠、海軍工廠などに勤めたことがある。□戦前から戦後、民間会社に勤めたことがある。□配給品を扱う商店、組合に勤めたことがある。□米軍キャンプで働いたことがある。□昭和34年1月以前に農業会(現・農協)に勤めたことがある。□転職が多かった。□公務員になる前後に民間会社に勤めたことがある。□勤めていた会社が倒産、閉鎖、合併、社名変更したことがある。□パート、アルバイト、夏や冬だけの期間労働者として働いたことがある。□家族や親せきが経営する合資、合名、有限、株式会社で働いたことがある。□自営業を始める前に会社に勤めたことがある。□夜間学校に通いながら会社に勤めたことがある。□日本年金機構から「あなたのものと思われる年金記録があります」という通知をもらったが、そのままになっている。 リストを詳しく見てみよう。亡くなった夫や両親が転職を繰り返していた、パートやアルバイト、夏や冬だけの職場で働いたことがあるなどの場合は、年金記録が見つかる可能性がある。 「かつては年金記録が見つかっても、直近の5年分しか受け取れませんでしたが、’07年7月に年金時効特例法ができてから、それ以前の年金もさかのぼって受給できるようになっています」 “消えた年金”を捜すには、まず最寄りの年金事務所に行き「加入期間が抜けている部分」を確認する。次に請求漏れになっている年金記録を尋ねる、という手順だ。 しかし、年金事務所、市区町村役場の国民年金課に相談に行っても年金記録が見つからず、たらい回しにされるケースも多い。そんな苦い経験がある人でも、もし「柴田式年金チェックリスト」に両親や夫が当てはまるなら、諦めず自分に相談してほしいと柴田さんは言う。 「’07年に大きな問題となった“消えた年金”5,000万件のうち、まだ2,000万件が該当者不明のままです。そして、年金事務所に『記録がない』『もらえない』と言われた方の年金を、私はこれまでに約5,000件も見つけています。諦めていた人の年金も、見つけられるかもしれませんよ」
2017年09月14日低年金で暮らす高齢者やその家族に、8月1日からスタートした「10年短縮年金」は、まさに朗報だ。今までゼロだった老齢基礎年金が、少しでも受け取れる可能性が出てきたのだから!制度変更に伴い、10月からは新たに約64万人が年金を受け取れるという。これまで国民年金を受け取るためには25年以上の納付期間が必要だったが、8月以降、それが10年に短縮されるのだ。 国民年金の受給額は保険料を納めた期間によって異なる。20歳から60歳まで40年間納付した人は、満額の年間78万円受け取れる。保険料を10年間納めただけだと、受け取る年金額は満額の4分の1程度、約19万5,000円しか受け取れないことになるが、たとえ約月1万6,000円だとしても、ないよりあったほうがずっとありがたい。 対象者には「大切な書類です」と書かれたA4サイズの黄色い封筒が、日本年金機構から届く。しかし、なかには待てど暮らせど、手元に来ない人も……。 「納付期間が10年以上の人は無条件に年金を受け取れますが、黄色い封筒が届かなくても『10年短縮年金』に該当する人はいるので、あきらめてはいけません!」 こうアドバイスするのは、“年金博士”こと、社会保険労務士でブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾さん。 「’86年3月以前に会社員の妻だった期間がある人、’91年3月以前に学生だった期間がある人などは、年金が受け取れる可能性があるのです」(北村さん・以下同) 日本の年金は、’61年に国民年金制度がスタートしてから、時代のニーズに応じて制度を変えてきた。’85年の制度改正で「第3号被保険者制度」がつくられ、これまで任意加入だった会社員の妻も’86年4月から強制的に加入することになった(保険料の負担は課せられず、夫の勤め先の保険に加入できる仕組み)。 さらには、’86年3月以前の国民年金は任意加入だったので、会社員の妻であれば、この期間は年金の受け取りに必要な「受給資格期間」としてカウントされることになった。同じく、’91年3月以前は、20歳以上の学生も任意加入だったので社会人になるまでの期間を「受給資格期間」に含めることができる。 「つまり、任意加入の期間は、保険料を納めていなくても、年金を受け取るために必要な『受給資格期間』として含まれるようになったのです。その期間のことを『カラ期間』(合算対象期間)といい、今回10年短縮年金に該当しなかった方でも、カラ期間をプラスすることで、受給に必要な『10年』をクリアできます。日本年金機構はカラ期間までは把握していませんので、今回黄色い封筒が届かなかった人も、会社員の妻だった期間などがあれば、年金を受け取れる可能性が出てくるのです」 また、「黄色い封筒」が届かない人で、次に当てはまる人は、すぐに年金事務所に確認しよう。 【1】日本年金機構に住所移転お届を出していない 引っ越しや施設への入所などで住民票を移した場合、日本年金機構にも届け出を出してあるかを確認しよう。 【2】カラ期間(合算対象期間)がある 特に’86年3月以前に会社員の妻だった人は、この期間を年金の受け取りに必要な期間にカウントできるので要確認だ。 【3】転職を繰り返していた かつて、年金記録が手動打ち込みだったため、職場を転々としていた人は、移った先での加入が反映されていないこともありうるという。 「年金については無頓着な人が多いので、高齢の親御さんに代わって、お子さんが年金事務所で確認されることをお勧めします」
2017年08月04日「8月から、収入に応じて介護保険料の負担が変わる『総報酬割』制度が始まります。この制度が’20年度に全面導入されると、40歳から60歳では、公務員が加入する共済組合の保険料負担は、一人あたり平均1,972円増加し、7,097円に。大企業社員などが加入する健保組合は平均727円増加し、5,852円。中小企業などの協会けんぽは減額に。平均241円減って4,043円になります」 そう語るのは生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。’20年度の全面導入に向け、この8月から、大手企業の会社員は一人あたり月額平均200円以上の負担増になる見通しだ。 「それだけではありません。この8月から、高額療養費制度も変更されます。患者が支払う医療費には、負担が重くなりすぎないように限度額があります。外来の場合、年収が156万円〜約370万円の70歳以上の人の限度額は1万2,000円でした。しかし、8月からは1万4,000円に引き上げられてしまいます。年収が370万円以上あるなら、4万4,400円から5万7,600円に限度額が引き上げに。医療費がかさんでいる人には、金銭的にも精神的にも負担になりそうです」(柏木さん) 社会保険料の値上げが進む理由について、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんはこう話す。 「’00年4月に始まった介護保険制度ですが、想定より早く高齢化が進み、後期高齢者が爆発的に増えました。医療が発達して寿命が延びた半面、認知症患者などにより、介護が必要な人も増加。脳以外は元気という方も多いので、介護の長期化も深刻です。これらが原因となり、医療と介護の財政が圧迫されています」(加藤さん・以下同) さらに今年9月には、厚生年金の保険料率も引き上げに!月収30万円の場合、月354円支払い額が増える計算だ。 「年金制度は、’04年の改正で段階的に引き上げていましたが、’17年以降は水準を固定することが決まっていました。国民年金保険料は、今年4月に引き上げられた1万6,490円を最後に、賃金の変動に合わせて来年は逆に“引き下げ”の予定なのですが……」 少子高齢化で財源は厳しく、「保険料負担を増やす」か「受取額を下げる」しか道はない。改正時では、’18年以降は受取額を下げるのみ、ということになっていた。だが、国民年金保険料は、今後も値上がりする可能性があるという。 「昨年末、次世代育成支援のため、20歳以上60歳未満の学生や自営業者、フリーターなど国民年金に加入している人の保険料を、産前産後の期間中は免除とする改正が成立しました。その分の財源を、保険料の値上げでまかなう予定なんです。実施された場合、まず’19年4月から月100円程度上乗せされることになります」 児童手当をより手厚くし、保育や幼児教育を無償にする「こども保険」の創設も検討されている。必要な財源を、年金などの社会保険料に上乗せすることでまかなうプランが進行中だ。 「国民年金保険料を月160円程度、厚生年金保険料を月0.1%ほど引き上げれば、これまでの児童手当の額に5,000円プラスできるようです。さらに値上げ幅を増やして、児童手当を月2万5,000円に引き上げる案もあり、その場合は最終的に国民年金保険料が月830円程度、厚生年金保険料が月0.5%まで引き上げられる試算になっています」 年金の受取額自体も、今年は0.1%減らされている。 「来年4月からは、労働力人口と物価、賃金に応じた年金受取額の調整が厳しくなり、受取額の抑制がさらに厳しくなる可能性が高いです」
2017年07月27日こんにちは、金融ライターの齋藤惠です。平成29年8月から年金のルールが変わります。今回は、具体的にどの点が変わるのか?また、変更によって私たちのもらえる年金はどうなるのか?について解説します。将来の年金額を増やすために今からできるポイントもご紹介していきますよ!●平成29年8月から年金の受給期間が変わります!今回変更されるのは老齢年金の受給期間です。受給期間とは、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間のことをいいます。これまでは25年以上でしたが、改定後は10年以上になり年金の受給資格の幅が大きく広がることになるようです。中には「10年間保険料を納めたら、後は納めなくていいのでは?」と感じる人もいるかもしれませんが、最低限の受給期間では将来もらえる年金の年金額はごくわずかです。具体的な額は期間により変わりますが、10年ほどでは生活するために十分な額はもらえない でしょう。そこで、少しでも年金額を増やすためにできることは、先手を打ってどんどんやってしまいましょう!●後納制度で過去の納め忘れをカバー後納制度といって、過去5年以内であれば保険料の納め忘れ分をさかのぼって納めることができるという制度があります(未加入期間があっても、さかのぼって納めることができます)。この手続きを行うことで年金の受給期間が増え、年金額の増加にもつながる ので、未加入や未納の期間がある人は漏れなく申告されることをおすすめします。ただし手続きの期限は平成30年9月までです!●年金種類の切り替え遅れも、特定期間該当届でカバー特定期間該当届というものもあります。これは会社を退職などして厚生年金から国民年金になったときや、収入が増えて扶養から外れたときなどに、速やかに切り替え手続きを行えなかった人を対象としたものです。過去2年以内であれば保険料の未納期間をカバーできます 。こちらも手続きには期限があり、平成30年3月まで(後納制度よりも半年早いです!)なので、該当する人は早めに行動を起こしましょう!●ネットで将来の年金額がチェックできる!?最後に、あなたは自分が将来どれほどの年金額をもらうことができるか知っていますか?現時点での概算であれば、日本年金機構のサイト『ねんきんネット』でチェックすることができます。基礎年金番号とメールアドレスを入力し利用者登録をすることで、年金見込額 や未納の確認 もできますから、今後の資産形成の参考にもなりますね。ねんきんネットを積極的に利用して将来の年金額を少しでも多くもらえるよう対策をしてみましょう!【参考リンク】・必要な資格期間が25年から10年に短縮されます | 日本年金機構()・新たに年金を受けとれる方が増えます | 厚生労働省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2017年07月10日知的障害のある人を支える年金制度、障害年金とは出典 : 障害年金とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働いたり、日常生活を送ったりする上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。この記事では、知的障害のある人が受給できる障害年金について説明します。(広義の障害年金について知りたい方は下の関連記事をご覧下さい)障害年金は、就労していても受給資格があります。国のデータによれば65歳未満の障害年金受給者のうち、3割以上の方が障害年金を受給しながら働いています。出典:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年|政府統計の総合窓口出典:中井宏ほか『誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント』p.33参考:『国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定及び実施について |報道発表資料|厚生労働省知的障害における障害年金の種類と等級出典 : 障害年金を理解するためには、公的年金の種類を知る必要があります。公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上、60歳未満のすべての人が加入するものです。国民年金には、第1号(自営業者、学生、無職の人など)、第2号(会社員など、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人)、第3号被保険者(専業主婦など、第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人)の3種類があります。厚生年金とは、会社(法人)に勤める70歳未満の会社員や公務員などが加入するものです。国民年金に加入中の人は障害基礎年金を受給することができ、厚生年金に加入中の人は障害厚生年金を障害基礎年金に加算するかたちで受給することができます。知的障害がある人が障害年金を受給する際には、一定の障害の状態であることを示す「障害等級」に該当している必要があります。障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。障害の等級については以下のようにまとめられ、障害基礎年金の人は1級、2級まで、障害厚生年金の人は1級、2級、3級まで障害年金が給付されます。等級に応じて受給金額も変わってきます。・1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの・2級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに一部援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの・3級知的障害があり、労働が著しい制限をうけるものここで注意しなければならないのは、障害基礎年金の場合は、3級と判定されると年金を受給することができないということです。一方、障害厚生年金の場合、3級でも受給できます。知的障害のある人が取得できる障害者手帳である療育手帳にも等級が定められていますが、療育手帳と障害年金とは全く別の制度で、療育手帳と障害年金の等級は必ずしも一致するわけではないことにも、注意が必要です。また、年金とは一般的には65歳以上の方が受給対象ですが、障害年金に関しては20歳の誕生日になった時点で受給対象者に含まれます。参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」知的障害の等級判定のガイドライン出典 : 先に述べた障害等級の審査主体は、障害基礎年金、障害厚生年金それぞれの場合で異なります。まず、障害厚生年金の場合は、日本年金機構の本部が一括して申請書類の審査を行います。そのため、等級判定の基準に関する地域差は生じていませんでした。一方、国民年金に加入している受給者は、障害年金のなかでも障害基礎年金に申請するのですが、都道府県別に各地の日本年金機構が申請書類を審査します。その審査には全国共通のガイドラインがなく、地域によって支給・不支給の差が出ており、格差が大きいという問題が指摘されていました。こういった障害基礎年金審査の地域格差問題を受けて、平成27年2月に「精神・知的障害に関わる障害年金の認定の地域差に関する専門委員会」が厚生労働省内に設置され、都道府県別の地域差を改善しようと動き出しました。合計8回の専門家委員会における議論を踏まえて、平成28年6月に地域差を是正する目的で「等級判定のガイドライン」を制定し、運用を開始しました。平成28年9月から運用が始まり現在、日本年金機構は、障害基礎年金の認定において、ガイドラインを活用しながら支給・不支給の是非、等級を決定しています。これにより、国民年金における地域差は改善の方向に向かっています。参考:国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」参考:青木聖久「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」に至る背景と今後」障害年金の支給金額出典 : 日本年金機構によると、障害年金は以下のように計算され毎月支給されますが、支給額はその年度の経済状況で変動があります。また、子どもの数による加算額は児童手当との兼ね合いで支給額が調整されます。下記は2017年度の金額です。現段階でいくら支給されるのか、目安として参考にしてください。■障害基礎年金1級の場合の年額:779,300円(老齢年金の満額)×1.25(=974,125)+子の加算2級の場合の年額:779,300円(老齢年金の満額)+子の加算※子の加算…第1子・2子は一人につき224,300円。第3子以降は一人につき74,800円。この時の子どもは下記の要件を満たしている必要があります。・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子Upload By 発達障害のキホン出典:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構■障害厚生年金1級の場合:(自分の老齢年金) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕2級の場合:(自分の老齢年金) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕3級の場合:自分の老齢年金額または最低保障額 584,500円※1級・2級の場合障害基礎年金も加わるUpload By 発達障害のキホン出典:障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構知的障害における障害年金受給のための要件出典 : 知的障害のある人が障害年金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。■初診日要件は無し年金に加入している間に初診日があること(20歳未満、60~65歳未満で国民年金に加入していない場合を含む)。ただし、知的障害に関しては先天的な障害とされているので、初診日の証明は必要はありません。■保険料納付要件◇初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間において、保険料が納付または免除されていること。◇初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。■障害状態要件一定の障害の状態にあること(初診日から1年6か月経過した後に障害の程度が定められた基準以上である)。参考:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」厚生労働省の報告によると、平成26年度の国民年金保険料の納付率が63.1%とのことから、4割近い人が年金を納付していないことになります。年金を払っていないと、障害年金が必要な時に受給要件を満たせなくなるため注意が必要です。出典:平成26年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について|厚生労働省・日本年金機構障害年金の手続き出典 : 国民年金の場合は、市町村区の年金課の窓口で、厚生年金の場合は、日本年金機構の窓口で申請書類を入手します。申請書類には、年金請求書、診断書、受診状況等証明書、受診状況等証明書が添付できない申立書、病歴・就労状況等申立書といったものがあります。申請書類や手続きの詳細は以下の関連記事をご参照ください。知的障害における障害年金の受給認定更新出典 : 知的障害における障害年金の新規申請では、永続的な障害年金の受給認定がでるとは限らず、数年単位の認定となることが多いようです。これを有期認定と言います。また、最初と2回目以降の審査で有期認定の年数が変わることがあります。傾向としては、短期の有期認定から長期の有期認定になることが多いようです。しかしながら、手足の切断、完全盲目など、症状が固定しているといえる障害に関しては、永久認定となる可能性が高く、知的障害においても、重度なものに関しては永久認定になる可能性があります。原則としては、障害年金は有期認定であり、更新年度に合わせて、「障害状態確認届」が日本年金機構から郵送で送付されてきます。医師の診断を受け、これを郵送にて返送し、更新する必要があります。知的障害における障害年金の遡及請求出典 : 障害年金を請求するときの診断書から、障害認定日の障害状態が判断できる場合は、20歳のときに遡って障害年金を請求することができます。これを遡及請求といいます。しかしながら、20歳から相当な期間が経ったのちに、障害年金の制度を知って申請、請求をする場合、障害認定日の診断書を取得できないことがあります。とくに知的障害の場合、継続的に医療機関に通院する必要がないため、通院していないときの診断書を医師に作成してもらうことができないケースがあるようです。そこで厚生労働省は、平成27年に「障害年金制度の運用に関する対応状況」を再確認し、仮に障害認定日以後3ヵ月以内の診断書が得られなくても、障害認定日の障害の状態が確認できると判断した過去の事例を整理し、申請者に対応することにしました。現状においては、現症状から障害認定日の障害の状態等が明らかに判断できる場合にあたっては、遡及請求して差支えない、とされています。参考:障害年金制度の運用に関する対応状況 | 厚生労働省障害年金の申請で困ったら出典 : 障害年金を利用したくても、申請などの手続きが大変なことから申請を諦めてしまう人もいます。その複雑さを軽減してくれる人が、社会保険労務士(通称、社労士)です。社労士とは、労働・社会保険に関する法律や人事・労務管理の専門家として、私たちの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる人のことです。障害年金についての無料相談や申請書作成の代行も行っています。まずは各地域の社労士会に無料相談をしてみましょう。参考:社労士会リスト|全国社会保険労務士会連合会まとめ出典 : 障害年金の申請には、障害年金に理解のある医師を探すことが、はじめの作業となります。申請書類の作成は専門知識のない人にとっては大変な作業です。何かわからないことがあったり、挫折しそうになったら、社労士の無料相談などを活用し、相談するといいでしょう。今までは都道府県別の地域差や遡及請求に関する問題などがありましたが、ガイドラインの制定や、専門家会議の設置などにより、それも改善の方向に向かっていっています。複雑な制度ではありますが、この制度を積極的に活用しましょう。
2017年06月30日「今年8月から『10年短縮年金』が始まります。これまで、公的年金を受給するには25年以上の納付期間が必要でしたが、8月以降は10年に短縮されます。昨年11月に改正法が制定されました。実際に、年金が受給できるのは9月分からで、入金は10月です。対象者の約74万人には、順次、手続き書類が郵送されています。受給には、年金事務所などでの手続きが必要ですから、早めに済ませましょう」 こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。これまで年金をもらえなかった人でも、要件を満たせば年金を受け取れるようになる、10年短縮年金。ただし、「国の思惑は、年金問題の解消とはまた別のところにある」と荻原さんは言う。そこで荻原さんが、10年短縮年金を解説してくれた。 「国民年金の受給額は、年金保険料を納めた期間によります。40年間保険料を納めた人は、現在、満額の月約6万5,000円を受け取っています。これに対し、納付期間が10年の方は、満額の4分の1、月約1万6,000円の受給となります。存命中はずっと受給できますから、まったくないよりはいいでしょうか。もちろん、納付期間が15年、20年などと長い方は、納付した期間に応じて年金額が増えます。さらに、厚生年金に加入していれば、その分、上乗せされます」 反対に、納付期間内に免除や猶予があった人は、もっと少額になることも。加えて、納付期間が10年に満たない人でも、未納分の後納や免除分の追納など、今からでも納付期間を増やして受給できる方法が見つかる場合もあるので、年金事務所に相談を。 「今回の年金改正は一部で『無年金対策法』と呼ばれてきました。まさに今、“無年金”が問題になっています。昨年末時点で、国民年金の納付率は61.5%(厚生労働省)。約4割の未納者には、“無年金予備軍”も含まれるでしょう。また将来、『118万人が無年金になる』との推測もあります(’08年・厚生労働省)。無年金で老後資金が尽きると、生活保護を受給するしかないケースも多いと思います」 現在、生活保護を受けているのは約164世帯だが、その半数以上は高齢世帯だ(’17年2月・厚生労働省)。 「政府は、多少なりとも年金を支給することで、生活保護の増加に歯止めをかけたいのでしょう。というのも、生活保護にかかる国の予算は’16年度で約3兆8,000億円と大きいものだからです。財政が厳しいなか、支出を抑えたい気持ちはわかりますが、切り詰めるべき予算は、ほかにあるのではないでしょうか。生活保護費は、命や生活に直結するお金ですから、むちゃな締め付けを見逃してはいけないと思います」 年金財政の逼迫を受け、これまで(1)年金保険料の引き上げ、(2)受け取る年金額の引き下げ、(3)社会保険加入者の増員、(4)支給年齢の引き上げなどの対策が取られてきた。 「先週、自民党は、年金支給を遅らせて受給額を増やす『繰り下げ』を、現行の70歳までから、71歳以降も可能にするよう提言しました。また、今年初めには、日本老年学会が、現在『65歳以降』とする高齢者の定義を、75歳以上とするよう求めたことも話題になりました。外堀から埋めて、年金の支給年齢を現行の65歳から67歳、あるいは68歳へと引き上げたい、という政府の思惑が見え隠れしています」
2017年05月26日「最近、『トンチン年金』と呼ばれる新しい年金保険が登場しています。考案したイタリアのトンティ氏にちなんで、こう名付けられています。トンチン年金とは、契約時に決めた支給開始年齢を超えて存命の場合に保険金が受け取れ、長生きするほど多くの保険金が得られる年金です。反対に、支給開始年齢までに亡くなると、払い込んだ保険料より少ない金額しか受け取れません。残った保険料は、長生きした方の年金支払いに回し、加入者全体の保険金をやり繰りする仕組みです」 そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今、日本の平均寿命は女性が87.05歳、男性が80.79歳。女性の2人に1人、男性の4人に1人は90歳まで生きる時代(’15年・厚生労働省)。いっぽう、老後の生活費は公的年金だけでまかなえない人が多く、『長生きしたら貯金が底をつくかも……』と不安になる人も。そこで、荻原さんが「トンチン年金」について解説してくれた。 「こうした『長生きリスク』を解消しようと、トンチン年金の考え方を活用して設計されたのが、日本生命の『GranAge(グランエイジ)』や、第一生命の『ながいき物語』です。たとえば、50歳女性が『ながいき物語』(10年保証期間付終身年金)に加入、70歳まで保険料を月3万円支払い、70歳から年金を受け取る契約をしたとします。この場合、20年分の保険料総額は720万円です。いっぽう、受け取る年金は毎年30万4,300円なので、94歳になれば払い込んだ保険料の元が取れます。95歳以降は長生きするほど得になり、100歳まで生きると、払った保険料の1.3倍を受け取れるというのがポイントです」 ただし、70歳までに亡くなったり、中途解約した場合は、支払った保険料の70%以下しか戻ってこない。保険料を70歳まで払い続けられるか、よく検討を。荻原さんは、“トンチン性”を高め、長生きリスクに備えることは公的年金でも可能だと語る。 「公的年金は65歳からの受給ですが、受給開始を66歳以降に『繰り下げ』ると、1カ月につき0.7%受給額が上乗せされます。最長の70歳まで繰り下げると、42%の上乗せになります。公的年金の受給額が年200万円の方が、70歳からの受給とした場合、年金額は年284万円になります。しかし、本来受け取れるはずの70歳までの年金5年分、1,000万円は受け取れません。どちらが得かを計算すると、82歳以上の長生きだと70歳からの受給に繰り下げると得になり、82歳までに亡くなる場合は通常どおり65歳からの受給が得です。また、公的年会は66歳以降なら月単位で繰り下げを終了し、受給を始めることも可能です。寿命は予測できませんが、65歳を過ぎても年金に頼らずに生活できる方は、考えてみてもいいと思います」
2017年05月24日定年から生涯を終えるまでに、どのくらいの資金が必要かご存知ですか?退職後の主な収入源となる「年金」は先行きが不透明で、今後受給年齢の先延ばしや支給額の減少が見込まれます。その一方で高齢になると医療や介護に関する支出が増え、まとまった資金がなければ安心して生活することができません。そんな老後への経済的不安を解消するべく、必要な老後資金についてまとめてみました。実際に老後を迎えてから慌てることがないよう、今からできる準備を考えてみましょう。■老後資金とは?定年後に必要となる支出をチェック近年よく耳にする「老後資金」という言葉。高齢化社会が年々深刻化してきている中、年金など公的制度によって手厚く老後を保障してもらえる可能性は低くなってきています。そのため若いうちから老後を意識して資金を確保していく「老後資金」の重要性が問われています。しかし一口に老後資金と言っても漠然としていて、何のためのお金が必要なのかイメージしづらいですよね。まずは定年後に実際どのような支出が想定されるのか、具体的な内容や金額について知っておくことが大切です。【毎月かかる支出の内訳】・生活費(食費・光熱費・雑費):80,000~100,000円・医療費(外来):3割負担で20,000円程度、1割負担で10,000円程度・医療費(介護):要介護3、在宅介護の場合で40,000~50,000円程度・娯楽費:1人につき20,000~30,000円(夫婦で50,000円程度)・老人ホーム利用料:50,000~150,000円程度毎月このような使い道でお金が必要となりますが、もちろん年齢や健康度によって大きく異なります。娯楽費については「必要ない」と考える人がいるかもしれませんが、老後の生活を楽しむために準備しておくべき金額です。夫婦の場合、平均すると月に220,000円程度、住宅ローンが残っていたり娯楽への支出が多かったりする場合は250,000~350,000円程度必要になってきます。独身の場合も夫婦とさほど差はなく、150,000~250,000円程度は必要と言えるでしょう。【年間にかかる支出の内訳】・固定資産税など税制面における支出:50,000~200,000円程度・車関係の支出(ガソリン代・車検代):200,000円程度・旅行関係の支出:300,000円程度・子供や孫への支出や交際費:200,000円程度年間にかかるお金は住まいの状況や車の有無、人付き合いの程度などによって大きく変わります。平均すると夫婦2人の場合で、年間3,000,000~4,000,000円程度、独身の場合で2,000,000~3,000,000円程度見積もっておく必要があります。【特別なときの支出】・家のリフォーム費用:1,000,000~2,000,000円・入院時の医療費:3割負担で50,000~100,000円程度、1割負担で40,000~50,000円程度・介護サービスを利用するための費用(自己負担額):20,000円程度・老人ホームへの入居費用:入居一時金として200,000~10,000,000円住宅購入する人の平均年齢が30代後半~40代前半頃なので、ちょうど定年頃にリフォームやリノベーションの必要性が出てきます。また入院時や介護サービスの利用などまとまったお金が必要になるケースを想定し、特別なときの支出用に資金を確保しておくと安心です。夫婦2人で10,000,000円程度、独身の場合は7,000,000円程度見ておきましょう。■夫婦の場合に必要な老後資金はいくら?老後にかかる具体的な支出がわかったところで、実際にどのくらいの老後資金が必要なのか算出してみましょう。まずは夫婦2人で生活している場合に必要な老後資金を求めてみます。求め方は定年後に予想される年間支出から年間で得られる収入を引き、そこに残された寿命(年数)をかけて計算します。例えば65歳の夫婦の例を見てみましょう。まず年間支出としては毎月かかる費用が220,000円程度のため、年間で2,640,000円程度、その他医療や娯楽などにかかる特別な年間費用を1,000,000円と見積もると、年間支出は2人でおよそ3,600,000円となります。次に年間収入の見込みを考えてみましょう。会社員の夫と専業主婦の妻の場合、夫が月に147,000円の厚生年金、妻が54,000円の国民年金を受け取ることができると想定でき、年間収入はおよそ2,400,000円となります。残された寿命を割り出すには、現在の平均寿命を使います。日本人の場合は男性が80歳、女性が86歳となっています。よって現時点で65歳ですから、残りおよそ20年間分の資金を蓄えておくと安心であることがわかります。上記を参考に、夫婦2人に必要な貯金額を算出してみましょう。【夫婦2人(どちらも65歳)の場合に必要な老後資金額の例】年間支出3,600,000円-年間収入2,400,000円×残りの寿命20年=およそ24,000,000円また老人ホームに入居した場合など特別な支出が増えるケースを考慮すると、さらに資金はプラスされます。そう考えると、最低でも夫婦で30,000,000円程度の資金を貯蓄しておく必要があると言えるでしょう。ただし人によって収入や支出の額が異なるため、自分たち夫婦のライフスタイルを念頭に置いて老後資金を考えてみましょう。■独身の場合に必要な老後資金はいくら?続いては独身のケースを考えてみます。夫婦の場合と同様に、年間で必要な支出や得られる収入、残された年数から老後資金の平均的な必要額を算出してみましょう。同じように65歳の例で考えてみると、支出が毎月180,000円程度かかったと仮定して、年間で2,160,000円、そこに固定資産税や車検といった年間支出を足して2,860,000円程度となります。また老人ホームや介護サービスを利用した場合の特別な支出は7,000,000円程度で見ておきます。次に年間収入ですが、仮に会社員とした場合は厚生年金として月に147,000円支給されるため、年間で1,760,000円が見込まれます。残された年数については、夫婦の場合と同様に20年、85歳まで生きると仮定して計算してみましょう。【65歳の独身者の場合に必要な老後資金額の例】年間支出2,860,000円-年間収入1,760,000円×20年=22,000,000円+特別な支出7,000,000円=29,000,000円仮に退職金が10,000,000円程度ある場合は、最低でも19,000,000円程度貯金から切り崩す必要があることになります。ゆとりある生活を送るためにはさらに大きな資金が必要となるでしょう。必要貯蓄額は求める生活レベルや必要となる医療・介護費用によって異なるため、自分自身のケースに当てはめて算出しておくと安心です。■老後資金はこうやって貯めておこうこうして見てみると、老後資金の想像以上の額にびっくりした人も多いでしょう。老後は収入が減ってしまうにもかかわらず、支出は増える一方であることがわかってもらえたと思います。もし老後までに必要な資金を準備できなかったら、どのような生活をすることになるのでしょうか。家賃が払えなくなったり、病気になっても医療機関を受診できなかったりなど、さまざまなリスクが予想されます。そういった生活苦に見舞われてしまうと、健全で楽しい老後生活を送ることができないだけでなく、長生きすることも難しくなってしまうでしょう。このような心配がないように、今から老後のことをしっかりと考えて備えておく必要があります。実際どのように老後資金を増やせばいいのか、今からできることをまとめてみました。【貯蓄方法1】貯蓄まずは、日々の貯蓄に対する意識を高めることが大切です。例えば30代の場合は子育てへの支出が多い時期ですが、収入のほとんどを子育てに注ぎ込んでしまうと老後資金を増やすことができません。収入から「子育て+老後資金」の両方を差し引き、それ以外のお金で生活費を賄うことが理想的です。銀行に定期預金をしたり、保険を利用したり、自分たちに合う方法でコツコツと老後資金を確保していきましょう。40代になると子供の入園や入学などで子育てが一段落、妻がパートあるいはフルタイムで働くことで、それまで以上の収入が確保できるようになります。一方で子供の受験・進学によって養育費がかさみ、支出が増えることも事実です。子供が成人するまでにかかる養育費を算出した上で、月々にかかる生活費や保険内容を見直してみましょう。節約と貯蓄をバランスよくやりくりすることが大切です。50代になると子供の独立によって子育てにかけるお金がグンと減るため、老後資金を増やす大きなチャンスです。ただし生活習慣病や持病のリスクが増える時期でもあり、健康面における大きな支出が懸念されます。定期検診をしっかり受けて健康に留意しつつ、これまで以上に貯蓄に回す額をプラスして、着実に老後資金を増やしていきましょう。【貯蓄方法2】資産運用資産運用はうまく行けば一気に資産を増やせますが、一方で元本割れのリスクもあります。運用期間や商品によっては手数料が高額になる場合もあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。ローリスクでできる資産運用としては、個人向け国債がおすすめです。個人向け国債は国が発行する債券のため、国が破綻しない限りは安全です。商品は固定金利3年・5年と変動金利10年があり、1年を経過すれば中途解約できます。債権は10,000円から購入できるため、始めやすいでしょう。銀行に預けておくよりも利率が高いため、使う予定のない貯金がある場合にお得に資産運用できます。また2014年からスタートした少額投資非課税制度(NISA)もおすすめの資産運用です。投資によって出た利益がまるまる非課税になるというお得な運用法で、年間100万円を限度として自由に投資金額を決めることができます。投資期限は5年間ですが「ロールオーバー」という非課税の期間が延長されるシステムを利用すると、最長10年まで非課税扱いになります。こういったローリスクの資産運用法を実践し、長期間コツコツと老後資金を増やしていきましょう。初めは右も左もわからず不安かもしれませんが、知識と経験を積むほどにコツが掴めてきます。資産運用の仕方に不安がある場合は、資産運用のプロに相談する方法もあります。身近なのはファイナンシャルプランナーでしょう。現時点での貯蓄額や資産運用の目的などを考慮し、1人1人に合った運用方法をアドバイスしてもらうことができます。まずは少額から始めて、ローリスクの投資商品や非課税扱いの投資商品を利用し、焦らずじっくりお金を増やしていきましょう。【貯蓄方法3】保険の見直し今加入している保険をよく見直してみることも大切です。見直しすることで、月に数千円安くなる場合があります。ほんの少しの違いでも、年間あるいは長期間で考えると大きな金額。今契約している保険に無駄がないかどうか確認しましょう。【貯蓄方法4】定年後も働く健康状態がよければ、再雇用などを利用して引き続き働くという選択肢もあります。今まで働いていた会社でなくても、ハローワークなどで新しく職を探すことは可能です。これまでに得た資格や特技を活かせる職を探してみると、意外と見つけやすいでしょう。働くことで貯蓄に頼らずに済むのと同時に、生活にメリハリが生まれるといったメリットもあります。実際に定年後に働いている人はたくさんいるため「定年=隠居生活」と決めつけずに生き生きした生活を目指すことをおすすめします。■おわりにいかがでしたか?老後は意外と必要なお金が多いことがわかりましたね。また老後に求める生活水準やそのときの健康状態によっても必要資金は大きく変わるため、今からある程度シミュレーションをして、気持ち的にも物理的にも備えておくことが必要です。確実に言えることは、健全な老後生活のためには今からコツコツ貯蓄しておくことが大切だということ。理想としては老後を迎えるまでに30,000,000円は貯めておきたいところでしょう。年金だけをあてにして今の生活を楽しむのではなく、老後のことを考えて日々の生活やお金のやりくりを見直すことから始めましょう。
2017年05月12日「13年間も続いた年金保険料の段階的引き上げですが、やっと今年で終わります。国民年金は当初予定の1万6,900円、厚生年金は保険料率18.3%で固定。つまり、これ以上は上げないと法律に明記されています」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。また、’18年度からは年金額の改定ルールが変わる。昨年12月に成立した“年金カット法”によるもので、変更点は2つ。1つ目は「マクロ経済スライド」の強化だ。 「マクロ経済スライドとは、支え手である現役世代の減少と受給世代の寿命の伸びを加味して、物価が上がったときに年金額の上昇幅を抑えるものです。ただ、逆に物価が下がった場合に発動すると年金受給額は減ってしまうため、実際に実施されたのは’15年度だけです。来年度からは、物価下落時には減額分をためておき、物価が上がった年にまとめて年金の上昇分から差し引くことになります」(荻原さん・以下同) 2つ目は「物価・賃金スライド」の見直し。 「現行では、物価も現役世代の賃金も下がった場合、物価に合わせて年金額が決まります。しかし’21年度以降は、年金額は賃金の動きに合わせます。たとえ物価が上がっても賃金が減ると、年金は減額されるのです。もう年金は増えない時代になったといえるでしょう」 年金財政のひっ迫が叫ばれてから、政府は主に4つの策、『年金保険料の引き上げ』、『年金カット法などによる年金額の抑制』、『年収106万円以上のパートを社会保険に加入させるなど支え手を増やすこと』、『支給年齢の引き上げ』を講じてきた。 最近は、国民年金未納者への徴収も強化されている。強制徴収の対象は、’14年度には年所得400万円以上で13カ月以上の未納者だったが、’16年度には年所得350万円以上で7カ月以上の未納者になり、さらに今年度からは、年所得300万円以上で13カ月以上の未納者へと広げる方針だ。 「こうした性急な取り立て強化にもかかわらず、『これ以上保険料を上げない』という説明は、たいへん疑わしいものです。いずれ支給年齢の引き上げも議論されるでしょう」 それほど年金資金が苦しいなら、「年金資金をもっと大切に扱ってほしいものです。積立金をリスクの大きな株で運用するなどもってのほか」と荻原さん。 「ですが、すでに株式市場は多大な年金資金が流入しています。これをやめると、日本株の大暴落につながる恐れもあり、年金の株運用は残念ながら引き返せません。年金そのものは、破綻することはないでしょう。ただ、安心できる老後を約束してはくれません。現在の年金額は、現役世代の賃金の約60%です。政府は安定的な年金制度を継続するために、50%水準を目指していますが、今の30〜40代の方の年金は40%程度になるかもしれません」 ’18年度の年金保険料は今年度より150円引き上げられる。物価下落、デフレの影響だ。 「ならば現金第一、コツコツ貯金に励みましょう。私たちは自助努力で、老後資金を作るしかありません」
2017年04月13日*画像はイメージです:先日、孫が年金支給日を狙って祖父の家に勝手に上がり込み、パチンコ代をせびるのが常態化。孫ということで大目に見ていた祖父が「おまえは孫じゃない」と拒否したところ殺害されてしまう事件がありました。年金額は年々減っていますが、それでも現在の高齢者は、若者が将来もらうよりもはるかに高額の年金を受け取っています。生活が安定しない非正規雇用や無職の若年世代からすれば、近く、もしくは同居する年金生活者の財布はあてになる定期収入というわけです。しかし、祖父・祖母が家族に対して年金を好意的に贈与したり貸したりしていない場合、高齢者が生活に困窮してしまいます。その場合、家族でも訴えて年金せびりを強制的にやめさせることはできるのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士にお訊きしました。「まずは、弁護士に相談し、内容証明で止めるよう警告するのが大切かと思います。また、認知症だったりする場合には、成年後見人を付けることを検討されると良いかと思います」(小野弁護士)成年後見人というのは、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人に変わって不動産や預金管理、その他の契約を結ぶ代理人を、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官の申し立てにより家庭裁判所で決定するものです。この後見人がきっちりお金を管理することで、せびりを防ごうというわけです。 ■恫喝すれば恐喝、勝手に持っていけば窃盗に!成年後見人をつけていない状況で暴力的に恫喝したり、留守や、認知症をいいことに身内が勝手にお金を保っていってしまった場合、どんな刑事罰になるのでしょう?「恫喝の場合は恐喝罪、認知症を良いことに勝手に持っていく場合は窃盗罪になります」(小野弁護士)しかし、相手が家族となると、ことはそう簡単ではないようです。「基本的に、配偶者、直系血族又は同居の親族との間でこれらの罪を犯した場合は、刑が免除されることになっています(刑法244条1項)」(小野弁護士)なんということでしょう!家族の間でも金銭せびりや巻き上げが常態化、悪質化していれば罪に問われてもおかしくないように思えますが、家族間の問題として罰することができないなんて。小野弁護士によれば、実際、このようなケースで親族間で裁判になるケースは少ないそうです。 ■老人にたかる家族には自衛策をとるほかない「この問題は今に始まったことではありません。刑法上も特に処罰されるわけでもないので、自衛するしかありません。おじいちゃん、おばあちゃんの財産は、その親族がしっかりと管理するか、認知症だったりした場合には、法的に成年後見人を付けてもらうなどした方がよろしいかと思います」(小野弁護士)加えて家族会議でしっかり話し合ってことを明らかにし、このようなことを二度としないよう誓わせる、見張らせることも必要でしょう。とはいえ、ろくに働きもせず、いい年して祖父や父に金をせびりにくるような怠惰な性格は、そう簡単に治るとも思えません。そのあげくの殺人事件だったわけです。こうなるとさすがに逮捕されます。また、暴力で傷を負ったりすれば話は別です。暴力を用いて金を持ち逃げすれば、立派な強盗罪です!躊躇せず、警察を呼びましょう。 *取材協力弁護士:小野智彦(銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)【画像】イメージです*和尚 / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月07日第8回 国民的美魔女コンテストの募集がスタート!自分ファーストな40代を応援する美魔女コンテストが、今年も開催される。光文社 美STは、「第8回 国民的美魔女コンテスト」の募集を開始した。応募資格は、年齢を感じさせない輝きを持っている35歳以上の女性。応募方法は、美ST ONLINEのフォームから応募する方法と、応募用紙(PDFファイル)をダウンロードして、郵送する方法の2種類。締め切りは、2017年5月16日(当日消印有効)までとなっている。グランプリ、優秀者は、オスカープロモーションと所属契約。美STの誌面で活躍できる他、同社にて、育成、プロモート、レッスンを受けることができる。グランプリに選ばれるための5ステップ編集部による書類選考の通過者は、6月に東京、大阪で開催される2次選考に進むことができる。3次選考は、7月に東京で写真撮影が行われ、8月から9月にかけて、美魔女サイトによる人気投票を通じて、ファイナリストが決定。9月に開催される都内・最終選考会で、グランプリが決定する。第7回 国民的美魔女コンテストグランプリには、山形県出身のフラダンスインストラクター田中恵さん(37歳)が選ばれている。40年間大切に育んできた美しさを、披露するチャンスだ。(画像は美ST ONLINEより)【参考】※美ST ONLINE
2017年03月23日「個人年金保険は、20年、30年かけて積み立て、60歳以降に受け取るという老後のための商品です。以前、予定利率の高かったときに加入した人はせっかく積み立ててきた“お宝保険”のため解約は勧められません。ただ、低金利の現在は、新規加入者は減っています」 そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん。個人年金保険はまず、「定期」と「終身」の2種類に大きくわけることができる。 「定期の場合、積み立てたお金を10年、20年という決まった期間、年金として受け取るもの。定期は固定と変額に分かれており、固定は元本が保証されているタイプです。変額は外資系の生保が力を入れています。『積極的な運用によって大きな利益を出すこともある』とスマートな説明を受けて加入を決める人がいますが、結果的に利回りが低い商品も少なくなく、元本割れするリスクも。しっかり検討する必要があります」(風呂内さん) そこで、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが、大手生保の「定期」型の個人年金保険(固定)をシミュレーションしてくれた。 「40歳から65歳まで月2万円を25歳払い込んだ場合、65歳から月5万円あまり(年間67万円)を年金として受け取ることができます。年金受給期間は10年という定期です、満期の74歳で払込み金額に対して112%の年金を受け取れる計算になります。ただし、75歳以降は受け取れません」(柏木さん) 一方、終身の個人年金保険は、生きている限り、ずっと年金を受け取れるメリットがあるが、月額保険料はヘビー。“元を取る”には時間がかかるデメリットも。 「大手生保の終身型の個人年金保険ですが、50歳女性が20年間、月々5万9,000円を支払った場合、70歳以降に受け取ることができるお金は年額60万円です。90歳まで生きて返戻率が85.2%、元が取れるのは95歳くらいになってようやく、100歳まで生きれば返戻率120%と、得をすることになります」(風呂内さん) かつてのように“30年積み立てたら、払った金額の150%が戻ってくる”という商品は、もはや売り止めになっているのだ。低利率であるなら、むしろ個人年金保険よりも優先すべき商品があるというのは、ファイナンシャルプランナーの加藤梨里さんだ。 「今年から専業主婦も加入できるようになった、個人型確定拠出年金です。同じ積み立てなら、より大きなメリットがあります」(加藤さん) 個人型確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする年金のこと。国の制度の一つだが、生保や銀行で口座開設をして行う。 「パート主婦含む専業主婦の掛金の上限額は、月2万3,000円、年間27万6,000円までです。大きなメリットは、その全額が所得控除されることですね」(加藤さん) 年収130万円の場合、年間27万6,000円を確定拠出年金で積み立てることにより、その年の所得税と住民税2つ合わせて約4万1,000円お得になる計算だ。 「一方、生保の個人年金保険は年間4万円の所得控除しか受けられません」(加藤さん) さらに運用益に対して、通常の株式投資や預金金利では利益の20.315%が課税されるが、確定拠出年金で得られた利益は非課税。 「ただし、年金目的なので60歳まで引き出せないため要注意です」(加藤さん) 公的年金すら財政難で将来の不安を抱えている。老後のお金は、自分でしっかり貯めていこう。
2017年03月22日フリーアナウンサーの加藤綾子が、国民年金基金連合会の新CMに出演することが7日、明らかになった。あす8日から全国で放送される。加藤が出演するのは、個人型確定拠出年金「iDeCo」のCM。撮影スタッフたちと定食屋で昼食をとっている中、加藤が「老後のお金、不安ですよね」と心配顔で打ち明けると、突然iDeCoのキャラクターであるシロイルカが登場し、iDeCoの特長をプレゼンするという内容だ。撮影は先月、都内にある実際の定食屋で行われ、加藤は「よろしくお願いします!」と現場に入ると、テーブルを囲む架空のテレビ番組スタッフとすぐに打ち解けた。当然シロイルカはその場にいなかったが、加藤は掛け合いの演技を見事にこなし、予定を大幅に上回るスピードで撮影を終えた。
2017年03月07日こんにちは。ファイナンシャルプランナーの小澤美奈子です。2017年1月から個人型確定拠出年金の枠が拡大され、今まで加入できなかった専業主婦や公務員なども利用できるようになりました。そもそも確定拠出年金(iDeCo)とは、自分で出したお金を自分が選んだ金融機関(運営管理機関)の商品で運用する年金制度のこと。つまり、自己責任が生じる年金 なのです。そして自分で運用して行く中で、とりわけ重要なのが、「どこの運営管理機関を選んだらいいのか」ということです。そこで今回は、個人型確定拠出年金を始める際の運営管理機関の選び方のコツ をご紹介したいと思います。●(1)手数料の低い金融機関を選ぼう個人型確定拠出年金の手数料には、新規加入時に国民基金年金連合会へ支払う2,777円、収納手数料の103円/月、事務委託手数料の64円/月などがあります。その他に大切なのが毎月運営管理機関に支払うことになる「口座管理手数料 」の比較。例えば、A社では無料、B社では205円/月、C社では450円/月というように、運営管理機関によって大きく異なります。一見大した差ではなく見えますが、比較してみると、A社とC社では年間あたり5,400円もコストで差が付くことになり、これが20年30年の運用となると、その差は開くばかり。もちろん、利益にも影響してきますよね。つまり、より多くのリターンを得るためには、手数料の低い運営管理機関を選ぶ ことがポイントとなるわけです。●(2)商品の幅広さを確かめる確定拠出年金の商品を大別すると、元本確保型商品 と元本変動型商品 に分けられます。そして運営管理機関ごとに、扱う商品の種類や数は大きく異なるという特徴があるのです。例を挙げると、A社で扱う商品数は49本だけれども、B社は全体で14本、さらにC社では商品の半分くらいは元本確保型商品で占められているのに対し、D社は商品のほとんどが元本変動のリスク型商品であるというように。もちろん扱っている商品が多いほど、選択肢が増え、自分に合った商品が見つかりやすくなるかもしれません。しかし品数が多すぎると、逆にどれを選んだらよいかわからなくなる可能性もありますよね。そのようなときは、一体何を基準に決めれば良いのでしょうか?まずは、資産ごとにバランスの良い品揃えがあるか をチェックしてみましょう。例えば、元本確保型はもちろんのこと、国内外の株や債券、RIETやバランス型など、異なる特性を持つ商品を幅広く揃えているのが理想。また、運用時にかかるコストの比較も重要です。ここで述べているコストとは、投資信託でかかる信託報酬などのことで、これらは自動的に差し引かれて行くため、低いに越したことはありません。意外かもしれませんが、商品数の多い運営管理機関だからといって、手数料が低い商品を多く取り扱っているとは限りません。つまり、品数だけではなく商品一覧表などを実際に取り寄せて、内容を吟味する ことも重要なのです。●(3)その他チェックポイント運営管理機関を選ぶ際には、わからないことがあった場合に、気軽に相談できる場所があるかどうかも、気になるところではないでしょうか。多くの運営管理機関では、確定拠出年金に関する相談はコールセンターでの電話対応となるのが一般的です。しかし数は少ないながらも、店頭で相談を受け付けている 運営管理機関もあります。もし対面での相談を希望するなら、それらを考慮して運営管理機関を選ぶと良いでしょう。----------いかがでしたでしょうか。取り扱う機関がますます増えている、個人型確定拠出年金。自分に合った運営管理機関を選んで、制度を上手に活用しましょう。【参考リンク】・個人型確定拠出年金()●ライター/小澤美奈子(ファイナンシャルプランナー)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年01月10日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 専業主婦はメリットあるの? 確定拠出年金を始める3つのポイント の続きです。「30代から考え始める『自分年金』」特集も、今回は最終回。それでは現実的に確定拠出年金に加入しようと思う人はどれくらいいるのか、率直なところをフィナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに質問してみた。投資デビューをするなら個人型確定拠出年金で本特集の冒頭で、「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことが命取りになります。」と書いた。私自身は、この「計画を立てて、準備をすること」の中に、「投資をすること」はマストだと思っている。なぜなら月額7万円(「 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うとは【30代から考える「自分年金」 第2回】 」)という金額は、貯蓄だけではためることはとても難しいからだ。だからこそ、投資が必要だと考えている。そのうえで、私自身が、ひとつだけ提案できることといえば、「投資を始めるのであれば、個人型確定拠出年金から手をつけたら良いのでは?」という思いだ。なぜ、投資デビューに個人型確定拠出年金?1.個人型確定拠出年金は選びやすい個人型確定拠出年金としてラインアップされている投資商品は、多くて10数本(金融機関によって違う)。普通の投資信託だけでも5、000本あるといわれているほかの投資商品より、目移りせずに選びやすい。2.販売手数料が原則無料個人型確定拠出年金として扱っている商品は、販売手数料が原則無料だ。同じ証券会社の投資商品が販売手数料3%だとしても、個人型確定拠出年金は販売手数料が無料となる。3運用手数料が安く設定されている投資信託の運用手数料である「信託報酬」も、比較的安く設定されている商品が多い。つまり、投資コストを低く抑えることができるのだ。すぐさま始める人は100人に2人それでも個人型確定拠出年金への気持ち的なハードルは、すごく高いのではないだろうか? 今回、特集を担当してみたものの、「やっぱり、よくわからない」。これが2016年現在の多くの人の感覚だろう。山中さんは言う。「個人型確定拠出年金についてお話をして、『じゃあ始めよう!』とすぐさま思う人は、100人に2人くらいですね。」少し、ホッとした。いや、かなりホッとした。1対1の対面で伝えても、そのくらいのヒット数なのか、と。山中さんは、個人型確定拠出年金への加入をためらうお客様にこんなふうに伝えることもあると言う。「大丈夫ですよ。今日、決められないのであれば、今日はそういうタイミングなんだと思います。そのかわり、どこかのタイミングで、『やっぱり、やってみようかな』と思ったら、また、いらしてくださいね」すこしとっぴな例えかもしれないが、個人型確定拠出年金を始めるための気持ち的な階段が10段あるとしたら、本特集は、その1段になれば良い。また、何かのキッカケで1段あがる、次は3段あがる…。堂々巡りも意味があるし、なにも無駄にはならないのだ。出遅れを心配する必要はない個人型確定拠出年金について、出遅れを心配する必要はまだない。「現段階(2016年11月取材時)では、商品構成が発表されていない金融機関もあります。まだ、まだ、これから商品のラインナップなどには動きがあるでしょう」。(山中さん)ちなみに、個人型確定拠出年金は「投資」商品だけ扱っている訳ではない。「投資」商品以外のもの、たとえば、「預貯金」や「年金保険」などもある。2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになった。この事実を知り、「個人向け確定拠出年金には、どんな商品があるのだろうか?」と、商品のラインアップについて、興味を持ってみる。そんなところから、「自分年金」づくりを始めてみてはどうだろうか?※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月20日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 節税力がスゴい! 確定拠出年金の3つの「おトク」大公開 の続きです。前回までに「確定拠出年金」が節税効果が高いことを説明したが、実際に始めるためにはどうすればいいのか? ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんにお話を聞いた。ポイント1 個人型確定拠出年金の対象者と限度額2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになる。。だからもちろん専業主婦も加入できるようになったわけだが、正直なところ、専業主婦にはそれほどメリットはない。なぜなら確定拠出年金のメリットは前回話したように、所得控除にある。しかし所得がない専業主婦の場合、夫の所得からの掛け金控除は受けられない。こういった家庭の場合は、専業主婦が確定拠出年金に加入するよりは、夫の確定拠出年金の枠を広げた方が世帯としての税金は安くなる。税金が安くなるからといって、確定拠出年金はいくらでもかけることができるわけではない。「対象者」によって、積立できる金額が異なってくるのだ。積み立てる掛け金は毎年4月~翌年3月までの間に、1回だけ変更ができる●個人型確定拠出年金の対象者と限度額掛け金は、月額5,000円以上 1,000円単位※1 企業年金の種類によって違ってくる※2 国民年金基金、付加保険料と合わせて6万8000円が限度ポイント2 個人型確定拠出年金を始める場合の流れ個人型確定拠出年金を始める場合の流れはを簡単に説明する。<事前に確認するポイント>・選択する金融機関(運営管理機関)によって用意されている金融商品が違う金融機関選ぶ際には、商品のラインアップをチェックしよう。・投資信託の信託報酬など、手数料をチェック長期に渡っての運用となるので、手数料の違いがのちのち大きく響いてくる。<確定拠出年金を始めるときの流れ> ポイント3 原則60歳まで引きだせない確定拠出年金は、節税というメリットがあり、良いことづくめのようにみえる。ではデメリットはないのだろうか。最大のデメリットとしては、原則として60歳まで引きだせないということだ。「原則」と書いたが、ほとんど引きだせないと思っておいた方が良い。過去には東日本大震災のときでさえも、かなり限定された場合だけしか引き出しに応じなかったという事例がある。ただしこれをデメリットととらえるか、メリットととらえるか…、これこそが老後プランを考える上での分岐点となるかもしれない。なぜなら確定拠出年金は、引き出しが厳格に制限されているからこそ、「老後資金を確実にためる方法」といえるのだ。加入期間中に自己破産になっても確定拠出年金の資産は差し押さえの対象とならないほど、特権的な扱いを持っている。だからこそ確定拠出年金とは、これらのことを心して、ためていくお金だということ覚えておきたい。※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月19日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには マネー業界大トピック発動! 知っている人だけトクする制度 の続きです。知っている人だけがトクをする「確定拠出年金」という制度。「どうしてトクをするのか?」を「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんに聞いた。■国が用意した老後資金貯蓄方法確定拠出年金とは、税制優遇を受けた国の「老後資金専用貯蓄制度」である。つまり、確定拠出年金とは、国が用意してくれている老後資金の貯蓄方法で、それを使うメリットは、税金が安くなることだ。では、どんなときに、どれくらいの税金が安くなるのだろう? これこそが確定拠出年金の「肝」である。■おトク1 個人年金より上! 所得控除のすごさひとつめのメリットは、積立時の掛け金が全額所得控除となる点。これは、すごく大きい。なぜなら所得税というものは、収入に課せられるわけではなく、そこから必要経緯、医療保険を引いた額に課税される。その控除できる中に、確定拠出年金も入ってくる。所得控除の額が大きければ、税金で引かれる金額が小さくなる。ようするに、節税になるわけだ。節税できる具体的な金額をイメージしたい場合は、「 個人型確定拠出年金ナビ 」でザックリとした計算ができる。節税できる「老後資金の積立て」という意味では、生命保険会社の個人年金保険がメジャーだ。しかし確定拠出年金とこの金融商品を比べても、差は歴然としている。仮に毎月2万円を1年間24万円積立てしたとして、次の試算表のように、節税メリットは、圧倒的に確定拠出年金の方が上だ。●個人年金保険と確定拠出年金の節税メリット比較<年収500万円で所得税率10%、住民税率10%で試算>※控除額:税金を計算する金額から差し引いてもらえる金額のこと。控除額が大きいほど、税金は安くなる。出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク2 元本保証商品も! 運用益も自分のものふたつめのメリットは、運用益(※)が非課税となる点。投資などを行ったときに得られた利益にも税金はかかってくる。そもそも、いま、運用益にかかる税金は何%かご存じだろうか? 答えは、20%! たとえば10万円の運用益が出たとしたら、2万円が税金として差し引かれてしまう。けれども非課税であれば、この2万円が、まるまる自分のものとなる。運用益が非課税となる制度として、「NISA(少額投資非課税制度)」もある。NISAとの違いを表にまとめると、次のようになる。確定拠出年金だと、元本確保型の商品も非課税の対象になる点がポイント。投資にアレルギーがあるという人でも元本保証の商品であれば、「とりあえず、預貯金を確定拠出年金で始めてみる」だけでも、節税効果という「実」は受け取ることができるのだ。※運用益 : 資産の運用によって得られた収益のこと。たとえば預貯金に金利が100円ついた場合、運用益は100円。このうちの20%が税金で差し引かれる計算。2037年までは復興増税が加算され20.315%となっている。●NISA(少額投資非課税制度)と確定拠出年金の違い比較出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋■おトク3 年金は受取時に税金が!でも確定拠出年金は控除みっつめのメリットは、確定拠出年金を受け取るときにある。あまりに未来すぎて、イメージが沸かないと思うが、実際に受け取るときには、これの効果が実感できるはず。そもそも、年金は支給額をまるまるもらえると思っている人も多いようだが、じつは年金も収入なので、所得税が発生し源泉徴収される。確定拠出年金は60歳時点で10年以上の加入期間があれば、60歳から70歳までの10年間で、好きなときに引き出すことができる。受け取りかたの選択肢は次の3つ。それぞれにメリットがある。●確定拠出年金の受け取りかた出典:『こう変わった確定拠出年金』(山中伸枝/株式会社 税経)より抜粋長々と解説したが、要するに、下記だけは覚えておいて欲しい。確定拠出年金をすると、節税ができる「老後資金なら、しのごの言わずに、まずは確定拠出年金から始めましょう」(山中さん)次回は、確定拠出年金制度の「ポイント」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月18日30代がもらえる年金で老後は大丈夫? 毎月いくら足りない? 年老いた自分を養うには の続きです。老後資金を考えるのなら、「確定拠出年金」がキーワードとなる。引き続き、ファイナンシャル・プランナーで「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは、「マネー業界大トピックが起こる!」と話す。■確定拠出年金という言葉を知っている?そもそも、「確定拠出年金」という言葉は、ご存じだろうか?じつは、わが家自体は、数年前から夫が会社の確定拠出年金制度に入っている。夫の会社が確定拠出年金を導入したとき、妻である私は、「何か難しそう…」と、夫がもらってきた書類一式を放置していた。そんなあるとき、私が参加したファイナンシャル・プランナー向けの確定拠出年金の勉強会で、もっとも具体的に切りこんで質問していたのが、今回取材させていただいた山中さんだ。「いま、確定拠出年金が注目されているのは、2017年1月1日から、個人型確定拠出年金の加入資格者が拡大し、『だれでも』加入できるようになったからです」と、このことがマネー業界の大トピックであると、山中さんは話す。ひと口に確定拠出年金といっても、「企業型」と「個人型」がある。これまで確定拠出年金に入ることができたのは、「会社が制度を導入したから」自動的に入っていた「企業型」の加入者だ。しかし2017年1月からは、「個人型」の確定拠出年金に加入できる人の範囲が広がるのだ。■確定拠出年金のメリットって?「だれでも個人型確定拠出年金の加入できるようになったことが、そんなに大トピックなの?」と、多くの人は素朴な疑問が沸くことだろう。最大のメリットは、確定拠出年金に加入すると、節税ができるけれども、「節税!? それが、そんなに良いことなの」と、思う人も多いだろう。■節税とは、根にある「実」!? 「『金利』はわかるけれど、『節税』はわからないという方は多いみたいですね。たとえるならば、『金利』は木に花が咲いて実がなるイメージ。『節税』は、お芋みたいに土を掘ってみないとわからないものなんです」(山中さん)実がなる(お金が殖える)という意味では、「金利」も「節税」も両方とも同じ。けれども、目に見える形で殖えないので、主婦にとって節税は遠い話になりがちだ。「でも、節税の方が、じつは確実なんですよ。市場の動向によっては、金利(木の上になっている実)は、嵐がくれば落ちてしまうこともあります。けれども節税(木の下にある実)は、大丈夫。この目に見えない部分を意識していくことは、お金を殖やす上で、とても大切なことなんです」(山中さん)。貯蓄をしようと考えたときに、節約やら収入を殖やすなどは考えるのに、税金を節約することは抜け落ちがち。でもじつは、節税というものをしっかり考えていくことも、老後の準備をする上では、とても大切なことだ。次回は、節税というメリットがある確定拠出年金制度の「おトク」3つを解説!※この記事は2016年11月の取材を基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月17日昨日12月6日、年金制度の新ルール化を盛り込んだ「年金制度改革関連法案」が参議院厚生労働委員会で審議入りしました。11月末、衆議院の本会議で賛成多数によって可決となっており、いよいよ大詰め段階に入っています。この法案は「現役世代の負担減・年金制度そのものの安定化に繋がる」という声もある一方、「現在もしくはこれから年金を受給する高齢者の年金減額に繋がる『年金カット法案』だ」という批判の声もあります。とはいえ、そもそも年金の金額というのはどのような仕組みで決まっているのでしょうか?また、どうしてこの法案は「年金カット法案」だとして批判を浴びているのでしょうか?Q.「年金カット法案」と言われている理由は?*画像はイメージです:.物価が上昇しても、賃金が下落すれば年金額が下がってしまうため現在の制度でも年金額は「賃金・物価」の影響を受けるため、実はこれらの増減によって年金額は毎年微妙に変動しています。ただ、今の制度では「特例措置」として、物価が上昇していても賃金が下がっている場合は、年金額は「減らさない」というものが採用されています。しかし、今回の改革法案ではこの特例措置を無くすようになっているため、物価上昇時に賃金が下がる場合、年金額も下がることになってしまうのです。その場合、当然年金生活者にとっては生活が厳しくなることが想定され、この部分が「年金カット法案だ」と言われる理由なのですね。一方、賃金の情勢はいわば年金制度の「財源(収入)」にあたるため、この部分を優先させることは、年金制度の継続性を重視した改正案だと見ることもできるのです。 *取材・文:ライター松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。【画像】イメージです*和尚 / PIXTA(ピクスタ)
2016年12月07日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。少しずつその名前が浸透している『個人型確定拠出年金 』。みなさんはこの制度の特徴やメリットを正しく理解できていますか?将来に備えて、税金対策にと、使い方次第であなたの資産形成に大いに役立つかもしれませんよ。●個人型確定拠出年金とは?まず初めに確認から。個人型確定拠出年金とは、自営業者や企業年金に加入していない会社員を対象とした、運用型の年金制度 です。今後は公務員や専業主婦も利用できる予定で、ますます利用者が増えるものと思われます。昔からある受取金額が決まった年金制度と違い、個人型確定拠出年金は自らが資産を運用して将来に備える ものです。このような新たな資産形成の方法に、導入当初は戸惑う人も多かったようですが、現在では他の運用商品に関する制度(NISAなど)の後押しも受けて、確実に「自分の資産は自分で増やす」という風潮が高まっていることから、若い世代を中心に個人型確定拠出年金のニーズも上がっているようです。また、その人気にともない、個人型確定拠出年金を取り扱う機関の数や、運用商品の種類も増えています。●個人型確定拠出年金のメリット3つ運用することだけが目的であれば、一般的な株や投資信託を売買すればよい話です。しかし、個人型確定拠出年金にはそれだけではなく、税金面などでもメリットがあります。●(1)掛金が所得控除される毎月の支払金額が全額所得控除の対象となり、所得税や住民税を軽減する ことができます。また、受け取りの際にも、年金で受け取るときには『公的年金等控除』、一括で受け取るときには『退職所得課税』として税制上の優遇措置を受けることができます。一般的な株や投資信託では利益が出たら必ずそこから税金が引かれてしまいますから、個人型確定拠出年金によって運用の利益をすべて自分のものにできたら嬉しいですよね。●(2)自分で選んだ商品を運用できる一般の年金も、専門の機関によって株や債券などに投資され日々運用されています。しかしその銘柄は自分で決めることはできず、すべてが専門機関におまかせの状態です。一方で、個人型確定拠出年金ならば自分で選んだ銘柄によって資産運用ができます。これなら自分の将来設計に合わせて銘柄や運用スタイルを決めることができるので、より自分にあった資産運用ができそうですね。●(3)60歳まで確実に貯まる個人型確定拠出年金の特徴として、60歳までは解約できません 。しかしその点が功を奏し、預貯金よりも確実に毎月一定額を将来のために蓄えることが可能です。銘柄はハイリスク・ハイリターンのものだけではありませんから、資産の安全性を重視したい人にとっても十分に対応できるはずです。●最後に個人型確定拠出年金を賢く利用するためには、事前の下調べが重要です。取扱機関によって銘柄や運用商品は変わってきますし、運用リスクもあり得ます。また、取扱機関の違いで手数料なども変わってくる ようです。このように少々面倒な点もある個人型確定拠出年金ですが、これこそが「自分の資産は自分で増やす」ことにつながっているのです。従来のおまかせ型年金のままでは安心とは言い難い昨今、早くからお金について自分で考え、積極的に行動する姿勢が、数十年先の生活に大きく影響してくるのです。【参考リンク】・個人型確定拠出年金()・個人型確定拠出年金()ナビ「iDeCoナビ(イデコナビ)」 | 特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2016年10月24日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国民投票」です***国民投票とは、国の重要事項の決定に際し、国民の意見を投票を通して聞く制度のこと。日本で国民投票法が制定されたのは2007年、第一次安倍内閣時代。18歳以上の日本国民が国民投票の投票権を有します。日本で国民投票が行われるのは、日本国憲法を改正する時だけです。衆議院・参議院それぞれで、総議員の3分の2以上の賛成を得たのち、国民投票で過半数の賛成を得られれば、改憲案は可決されます。改憲問題は、近年急に盛り上がっているように感じるかもしれませんが、憲法改正は自由民主党の結党当時からの悲願で、60年越しのプロジェクトなんですね。7月の参議院選挙で与党が多くの議席を取ったので、おそらく近い将来、私たちは国民投票を経験することになるでしょう。国民投票は、イエスかノーかの2択になります。簡単に投票できてしまう危険もあるんですね。まさか通らないだろうと思いながら、軽い気持ちで入れて、予想外の結果になってしまったり。イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票がまさにそうでした。なので、慎重に投票する必要があります。国民投票に関わる宣伝は、基本は国費ですが、通常の選挙と違って、有料の広告を出すことに規制がありません。なので、お金を持っている巨大政党がバンバン広告を出して強く主張すれば、世論が流される可能性もあります。もう一つ問題なのは、日本の場合、「過半数の賛成」とは、投票率にかかわらず、投票総数の2分の1を超えればいいんですね。つまり、投票者数が少なければ、1票が重くなる。投票率が低いと、限られた人の手で決定がなされてしまうかもしれないんです。海外では国民投票の最低投票率を決め、ある程度の投票率がないと有効にはならないラインを決めています。日本にはそれがないので、極端な話、投票率が20%でも決まってしまう。日本弁護士連合会は「日本にも最低投票率制度を取り入れるべきだ」と提言しています。憲法は法律と違い、国民が国家権力を縛るためのもの。改憲条文が上がってきたらしっかり考え、国民一人一人が決めるものだということを認識しておきましょう。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年10月12日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月11日障害年金とは?出典 : 「障害年金」とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働く上で、あるいは日常生活を送る上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。業務時や通勤時による障害を補償する労災保険の障害年金もありますが、今回は、国民年金法、厚生年金保険法等に基づき日本年金機構が運営業務を行っている障害年金について紹介します。障害年金の種類出典 : 日本年金機構の障害年金には2つの種類があります。1.障害基礎年金障害基礎年金とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、すでに国民年金に加入していた人が受給することができる障害年金です。また、国民年金に加入前、20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも給付されます。2.障害厚生年金障害厚生年金とは、初診日にすでに厚生年金に加入していた人に支給され、障害基礎年金に上乗せするものとして給付される報酬比例の年金です。障害年金を受けるための条件出典 : 障害年金を受給するためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。病気やけがにおいての初診日であり、その病院での初診日ということではないので注意してください。障害年金の受給希望となったきっかけである病気やけがの初診日が、いつ、どこの病院だったかを特定する必要があります。その際、診断書などの裏付けができるものも必要です。ただし、知的障害に関しては先天的な障害とされているので、初診日の証明は必要はありません。アスペルガー症候群や自閉症にもこの例外は広がりつつありますが、まだ発達障害全般には保障されていません。初診日に国民年金や厚生年金保険などの年金制度に加入している必要があります。しかし、初診日に住所が日本国内にあったならば、初診日に20歳未満、あるいは60歳以上65歳未満でも国民年金に加入していたのと同じ扱いになります。20歳未満は国民年金に加入できないことから、20歳に達した時に障害等級に該当していれば加入要件は必要ありません。つまり、20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも年金制度の対象となります。以下の2つのどちらかに当てはまっている必要があります。1.初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が保険料納付済みか免除されている月であるとき2.初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料納付済みか免除を受けた月であるとき障害等級に該当している必要があります。障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。1~2級は国民年金法施行令で、3級および3級より軽度の障害状態は厚生年金保険法施行令で定められています。この場合の障害等級は労災保険の障害年金のものとは違うものです。厚生年金に加入している場合は1級~3級のいずれかに該当しているならば障害厚生年金を受給することができます。また、障害等級が3級に達していなくても条件に該当しているならば、障害手当金という一時金が支払われます。国民年金に加入している場合は、1級と2級に該当しているならば障害基礎年金を受給することができます。しかし、障害基礎年金には障害手当金はありません。障害年金を受けるための障害認定基準出典 : 障害年金に関わる(年金額の)等級も、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳も「1級、2級」と、等級の表し方は同じのため混同しやすいのですが、障害年金の障害認定基準は障害者手帳の障害認定基準と異なります。そのため障害者手帳で1級でも、障害年金では異なる場合があります。精神障害における障害認定基準は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて認定されていました。しかし、精神障害と知的障害の認定において、地域でその基準に違いがあるという状況が明らかになってきました。こうした、認定における地域差を改善するため、厚生労働省は新しいガイドライン(『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』)を作成し、2016年9月1日より実施しています。精神障害と知的障害においての等級は、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の評価の平均をもとに認定されるようになりました。等級目安などの詳細は下記のリンク先にあります。ただし、てんかんにおいては、発作の重症度や頻度などを踏まえて等級判定を行うことを障害認定基準で規定しています。そのため、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて、等級認定を行います。『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』|日本年金機構身体障害の障害認定基準についても下記のリンク先でも紹介しています。平成28年6月1日に、障害基礎年金、障害厚生年金の障害認定基準の一部が改正されているので確認してみてください。国民年金・厚生年金保険|日本年金機構障害認定基準|横浜障害年金申請サポート不安なことやわからないことがあったら、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。全国の相談・手続き窓口|日本年金機構障害年金はいくら支給されるの?出典 : 日本年金機構によると、障害年金は以下のように計算され毎月支給されますが、支給額はその年度の経済状況で変動があります。また、子どもの数による加算額は児童手当との兼ね合いで支給額が調整されます。下記は2016年度の金額です。現段階でいくら支給されるのか、目安として参考にしてください。1級の場合の年額:780,100円(老齢年金の満額)×1.25+子の加算2級の場合の年額:780,100円(老齢年金の満額)+子の加算※子の加算…第1子・2子は一人につき224,500円。第3子以降は一人につき74,800円。この時の子どもは下記の要件を満たしている必要があります。・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子Upload By 発達障害のキホン障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構1級の場合:(自分の老齢年金) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕2級の場合:(自分の老齢年金) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕3級の場合:自分の老齢年金額または最低保障額 585,100円※1級・2級の場合障害基礎年金も加わるUpload By 発達障害のキホン障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構障害基礎年金と障害厚生年金を比較した図が以下のものになります。Upload By 発達障害のキホン障害年金の支給が停止する場合出典 : 障害年金は支給が停止する場合があります。たとえば、1年ごとや3年ごとなどに提出する診断書をもとに障害の状態が要件に当てはまらないとされたときなどがあります。一方、複数回診断を受けても障害の状態変化があまりなく、固定状態が証明されている身体障害においては、診断書の提出の必要がない場合もあります。障害厚生年金においては、業務上の病気やけがでも障害年金を請求することはできますが、労働基準法の規定による障害給付を受け取る権利があるときは、6年間障害厚生年金を受け取ることができません。また、労働者災害補償保険法の規定による障害給付を受け取るときは、労働者災害補償保険法の給付の一部が減額されます。1世帯(扶養親族なし)の所得額が360万4千円を超える場合には年金支給額の2分の1が支給停止となり、462万1千円を超えると年金支給額の全額が支給停止になることがあります。障害年金の申し込み方法出典 : 障害年金請求方法として主に以下の2つがあります。障害認定日とは障害の程度を認定する日で、初診日から1年6カ月経過した日、あるいはその病気やけがが治った場合は病状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を指します。何らかの理由で請求が遅れてしまっても、障害認定日の時点から3カ月以内の診断書の添付ができます。その際に症状が障害等級に該当するものだとしたら、さかのぼって過去の分の年金を請求することもできます。基本的に、障害年金受給の権利は条件を満たしてればいつでも得ることができますが、実際にさかのぼって請求できるのは過去5年分のみです。障害認定日時点の診断書の取得や当時の症状を証明できるものが必要なため、複雑に感じる人もいます。しかし、申請が受理されると、障害認定日の翌月分から障害年金を受給することができることは大きな利点であると言えます。Upload By 発達障害のキホン事後重症請求は、障害認定日の障害の程度が障害等級に該当していなくても、その後症状が悪化し、その症状が1級~3級に該当した場合に適用します。しかし、65歳までに障害認定基準に該当している必要があり、請求書は65歳前に提出しなければなりません。請求が受理されると、認定日の翌月分から受給できますが、障害認定日請求とは違い、さかのぼって過去の分を請求することはできないものになっています。Upload By 発達障害のキホン一人の人に複数の障害があった場合ですが、日本年金機構によると、特別、複数の障害があった場合の請求方法はないそうです。ただし、請求する際にはすべての障害に関する診断書が必要なため、手続き過程において複数の障害があることは確認されます。その人の障害の状態や重なりによって、その後の対応は変わるため、まずは窓口で相談するか、診断書を提出して審査をしてもらいましょう。障害年金の申請に必要な書類出典 : まずは、初診日や障害の状態を証明できる診断書や障害者手帳を持って年金事務所や市役所の国民年金窓口へ行くことをおすすめします。そこで必要な書類などの相談ができます。下記は参考として見てみてください。・年金請求書(居住地の市区町村役場、または近くの年金事務所または街角の年金総合センター窓口に備え付けられています)・年金手帳・戸籍抄本・医師の診断書・受診状況等診断書・病歴・就労状況等申立書・受取先の金融機関の通帳等・印鑑※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害のある子どもを含む)がいる場合・戸籍謄本・世帯全員の住民票・子の収入が確認できる書類・医師、または歯科医師の診断書障害基礎年金を受けられるとき|日本年金機構・年金請求書・年金手帳・戸籍抄本・医師の診断書・受診状況等診断書・病歴、就労状況等申立書・受取先金融機関の通帳等・印鑑※18歳到達年度末までの子ども(20歳未満で障害のある子どもを含む)がいる場合・戸籍謄本・世帯全員の住民票・配偶者の収入が確認できる書類(これは障害厚生年金のみです)・子の収入が確認できる書類・医師、または歯科医師の診断書障害厚生年金を受けられるとき|日本年金機構困ったら社労士に相談を出典 : 障害年金を利用したくても、申請などの手続きが大変なことから申請を諦めてしまう人もいます。その複雑さを軽減してくれる人が、社会保険労務士(通称、社労士)です。社労士とは、労働・社会保険に関する法律や人事・労務管理の専門家として、私たちの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる人のことです。障害年金についての無料相談や申請書作成の代行も行っています。まずは各地域の社労士会に無料相談をしてみましょう。社労士会リスト|全国社会保険労務士会連合会まとめ出典 : 以上、障害年金について制度の概要を解説しました。障害年金を受け取るためには、年金を納めていることが必要である点に注意してください。また、納めていても申請が複雑で面倒ということから申請を諦めてしまう方もいます。もし手続きに不安を抱えていたら社労士に早めに相談し、申請のサポートを受けることをおすすめします。
2016年09月08日こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。2016年の下半期は資産運用に興味があるママさんへ朗報です!今まで一部のサラリーマンだけのものだった確定拠出年金が、今年から専業主婦でも利用できるようになります!そこで今回は、この制度を賢く活用するためにその仕組みを説明します。●どこが変わったの?確定拠出年金(401Kとも言います)は今まで自営業者や会社員の一部が利用できる運用型の資産運用の方法でした。ところが、2016年5月24日の法案可決によって、公務員や専業主婦も利用できるようになった のです。確定拠出年金は掛金を自分で決めて、普通預金や保険・投資信託などのさまざまな商品を選び運用することができます。また、そのお金は60歳以降に年金または一時金として受け取れるので、老後資産の備えになります 。では、普通の貯金や投資信託ではなく、あえて確定拠出年金を行うことにどんなメリットがあるのでしょうか?●確定拠出年金を行うメリット確定拠出年金は、・(a)毎回の所得税・(b)毎回の運用益・(c)年金や一時金として受け取ったときの所得税などが非課税または少なくなるという点が最大のメリットです。(a)は全額が所得控除の対象になりますので、パートやアルバイトをしていて所得のあるママさんなら対象となります。また、一般の投資信託などの運用商品の場合は、利益が出たらそこから税金が引かれてしまいますが、確定拠出年金を選べば(b)でも書いたように、すべて自分のものになります。(c)においては、税制優遇に限度額などが設けられているものの、特に専業主婦のママさんなどはほとんどが非課税対象となる仕組み になっています。そのため、老後資金としてお金を貯金・運用するのであれば、他の商品よりも確定拠出年金を選んだ方が税金のメリットは多い内容となっています。●確定拠出年金を行うデメリット一方、当然デメリットになり得る点もあります。それは主に3つ、(1)60歳までおろせない(2)管理手数料などがかかる(3)運用商品によっては元本割れのリスクがある確定拠出年金は税制面の優遇がある分、時間的な束縛が長い制度となっています。掛け金はいつでも降ろせるものではありません。そのため毎月の掛け金は生活する上で支障のない金額 にしましょう。また、非課税となるものの毎年または資産を移すたびに手数料が発生することも忘れてはいけません。この手数料は確定拠出年金を管理してくれる金融機関によって幅がありますから、加入前に必ずチェックするようにしてください!さらに、運用商品はローリスク&ローリターンなものからハイリスク&ハイリターンなものまでさまざまあります。自分の資産形成の理想に合った商品を選ぶために、事前の資料集めや商品比較を行うことが大切ですよ!●まとめ法案の改正によって確定拠出年金はますますメジャーな存在になっていくことでしょう。もはや年金を運用するのは一部の富裕層のみではありません。国や銀行にお金を預けても安心できない現代、私たちは確定拠出年金などを通して、より積極的に資産運用と関わっていかなければいけないのです。【参考リンク】・個人型確定拠出年金制度の概要 | 野村証券()・確定拠出年金制度 | 厚生労働省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)
2016年07月11日