今月5日、厚生年金の加入条件をクリアしているのに加入せず、国民年金のままになっている“加入漏れ”が推計で156万人いるとわかった(厚生労働省)。厚生年金の加入漏れについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。そもそも公的年金には国民年金と厚生年金があります。国民年金は、20歳になると全国民が加入する基礎年金で、厚生年金は基礎年金に上乗せする構造です。厚生年金に加入すると、老後の年金額が多いなど有利な点があります。厚生年金の加入条件は、会社の労働時間の4分の3以上働くことです。たとえば社員が週40時間働く会社で、週30時間以上働く方は全員、パートでも加入できます。また’16年10月からは、従業員501人以上の会社で、週20時間以上、月収8万8,000円以上などの方も加入対象になりました。年収に換算し“106万円の壁”と呼ばれます。さらに’18年4月からは、従業員500人以下の会社でも労使で合意すれば、加入できます。国は年金を支える加入者を増やしたいのでしょうが、厚生年金の保険料は労使折半。経営が厳しい、保険料負担を抑えたいなどの理由で、加入逃れの疑いのある事業所は約40万件に及ぶといいます。加入漏れには、おおよそ2つの事情が絡んでいます。1つは、会社員の妻がパートで働く場合(男女を入れ替えても同様)。もともと、夫に扶養される会社員の妻は、保険料を払わなくても国民年金の第3号被保険者です。それが月収8万8,000円で厚生年金に加入すると、保険料は月約8,000円。老後の年金が増えるより、今の手取りが減ることのほうが困ると考える方もいるでしょう。もう1つは悪質です。給与明細では年金保険料が天引きされ、働く方は厚生年金に加入済みと認識。でも実際は、会社が届けを出さず加入していないケースです。保険料は会社がネコババすることも。被害者が会社員の妻なら、第3号被保険者のままで老後の年金は増えません。また、自営業の妻が会社に入り厚生年金に加入したと思って、それまで納めていた国民年金保険料をやめてしまうと、未納になり老後の年金が減ってしまう危険性もあります。不安な方は年金事務所などにお問い合わせを。いっぽうで最近は人手不足。パートの待遇改善も進んでいます。たとえば、外食大手の「ワタミ」は今年10月から、パートにもボーナスを支給します。イオンのプライベートブランド商品を作る「イオントップバリュ」は、子ども向け教育手当を時間給に上乗せします。また、カラオケの「シダックス」はパートの定年制を廃止。70歳超でも働けるようにしました。今後、国は501人以上の企業の加入条件を中小企業にも広げ、今秋以降には、月収を8万8,000円から6万8,000円に引き下げる議論を始めるといわれています。加入対象はますます広がっていくでしょう。だったら保険料負担を避けず、106万円の壁を超え、しっかり稼いではいかがでしょう。売り手市場のうちに、条件のよい職場を探してみるのもいいと思います。
2019年04月19日「厚生労働省は6月にも、年金の将来的な給付の予測を、令和になって初めて発表する予定です。最悪のシナリオだと、およそ15年後に、年金額が20%も減額される可能性があるんです」こう話すのは、財政制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金財政は、人口の減少や構成比率、経済情勢などによって不安定化する恐れがある。そのため、日本の年金制度では「5年に1度」、最新のデータを基に、給付される水準を検証することが法律で定められている。「これを『年金財政検証』と呼び、前回は『平成26(’14)年』に実施されています。その最新版となる『令和元年財政検証』が、厚労省の社会保障審議会年金部会で行われていて、前回までの例にならえば、この6月をめどに公表される見通しです」(加谷さん・以下同)「財政検証」の柱となるのが、将来の年金予想。これを理解するには、まず「所得代替率」という言葉を理解しなければならない。所得代替率とは、「現役男子の平均手取り収入の額」に対する「夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金(=世帯の年金受給額)」のこと。「まず、厚労省は年金のモデル世帯を、夫が元会社員で厚生年金を受給している夫婦と設定しています。この世帯の年金受給額は、国民年金(=老齢基礎年金)月額6万4,000円が、夫婦2人分で12万8,000円。加えて夫の厚生年金(=老齢厚生年金)が月額9万円で、世帯では月額21万8,000円となります」一方、現役男子の平均手取り月収は34万8,000円。これは税引き前の年収でいうと、およそ510万円に相当する。「この34万8,000円に対する21万8,000円の割合を計算すると、所得代替率は62.7%という水準になります(いずれも前回の「財政検証」時の値)」「国民年金法」の原則では、所得代替率が50%を上回るような給付水準を将来にわたり確保するとされている。一方、厚労省は年金制度を維持するために、段階的に所得代替率をこの50%に近づけていくと、明言している。「『財政検証』で、いつ50%に至るかというのが、複数のケースにおいて、試算されています。しかし、ほとんどのケースは、日本経済が順調に成長するという前提のもとに作られているんです」前回の「財政検証」では、A~Hまで8つのケースが試算されている。そのうち、最悪の試算はケースH。2036年(令和18年)には所得代替率が50%に達し、2055年には年金積立金が枯渇。以降は、所得代替率35~37%という水準にしなければ、年金制度が維持できなくなる。次の「財政検証」でも、同様のケースが試算される見込みだ。これから、年金をもらう世代を襲うのは、受給額の減少だけではない。政府が1億総活躍社会の目標として、定年を「将来的に70歳とする」方向で検討に入っている。「70歳まで継続雇用をしてもらえるという意味では、5年分収入を確保できると考えられましが、裏を返せば、『70歳まで年金は支給しない』と政府が公言するための、格好の大義名分となります。まず、政府は年金支給開始年齢を68歳に引き上げるでしょう」仮に引き上げられた場合、現在50歳の人が年金を受給するのは、2036年(令和18年)となる。最悪のシナリオが重なれば、68歳になって、初めてもらう年金額は、現在よりも20%も少なくなっていることになる。政府は、仮に支給年齢を引き上げた場合には、月当たりの支給額を増やすとしているが。「現在の経済状況を見るに、そうなる可能性は極めて低いでしょう。将来的には、年金は70歳支給開始、支給額2割減となるでしょう。大事なのは、いまのうちに、10年後、20年後の生活規模をシミュレーションして、縮小した生活設計を立てていくことです」
2019年04月18日5年に1度、『令和』初めての年金制度の見直し時期がやってきた。政府は「年金は100年安心」と繰り返すが、実際は我々の生活を脅かすまでに、制度は疲弊していた――。「厚生労働省は6月にも、年金の将来的な給付の予測を、令和になって初めて発表する予定です。最悪のシナリオだと、およそ15年後に、年金額が20%も減額される可能性があるんです」こう話すのは、財政制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金財政は、人口の減少や構成比率、経済情勢などによって不安定化する恐れがある。そのため、日本の年金制度では「5年に1度」、最新のデータを基に、給付される水準を検証することが法律で定められている。「これを『年金財政検証』と呼び、前回は『平成26(’14)年』に実施されています。その最新版となる『令和元年財政検証』が、厚労省の社会保障審議会年金部会で行われていて、前回までの例にならえば、この6月をめどに公表される見通しです」(加谷さん・以下同)「財政検証」の柱となるのが、将来の年金予想。これを理解するには、まず「所得代替率」という言葉を理解しなければならない。所得代替率とは、「現役男子の平均手取り収入の額」に対する「夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金(=世帯の年金受給額)」のこと。「まず、厚労省は年金のモデル世帯を、夫が元会社員で厚生年金を受給している夫婦と設定しています。この世帯の年金受給額は、国民年金(=老齢基礎年金)月額6万4,000円が、夫婦2人分で12万8,000円。加えて夫の厚生年金(=老齢厚生年金)が月額9万円で、世帯では月額21万8,000円となります」一方、現役男子の平均手取り月収は34万8,000円。これは税引き前の年収でいうと、およそ510万円に相当する。「この34万8,000円に対する21万8,000円の割合を計算すると、所得代替率は62.7%という水準になります(いずれも前回の「財政検証」時の値)」「国民年金法」の原則では、所得代替率が50%を上回るような給付水準を将来にわたり確保するとされている。一方、厚労省は年金制度を維持するために、段階的に所得代替率をこの50%に近づけていくと、明言している。「『財政検証』で、いつ50%に至るかというのが、複数のケースにおいて、試算されています。しかし、ほとんどのケースは、日本経済が順調に成長するという前提のもとに作られているんです」前回の「財政検証」では、A~Hまで8つのケースが試算されている。そのうち、6つのケースでは、所得代替率がおよそ50%に達するのは、2040年以降という甘い見通しになっている。「しかし、現時点ですでに、政府が目標としてきた経済成長率の数値は未達成。さらに、世界的不況の兆しも見え始めている。今後、日本の経済は、右肩下がりになっていくことが、容易に予測できてしまいます。となると、財政検証でもっとも参考になるのは、いちばん悲観的なケースになるでしょう」前回の財政検証で、最悪の試算はケースH。2036年(令和18年)には所得代替率が50%に達し、2055年には年金積立金が枯渇。以降は、所得代替率35~37%という水準にしなければ、年金制度が維持できなくなる。次の「財政検証」でも、同様のケースが試算される見込みだ。現在の約63%の所得代替率よりも13%も低い、50%というのは、どの程度の水準なのか。仮に、現在の現役世代のモデルケースから試算すると、夫婦の年金は208万円、月の受給額は17万4,000円となる。現在の水準よりも20%減、年額で約53万円も減ってしまうことになる。’17年の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の月々の支出額の平均は約26万4,000円だから、毎月9万円もの赤字が出る計算だ。「この『50%』という水準を想定して、今後の生活を設計していくべきです」
2019年04月18日年金のことは「会社員の夫におまかせ」と考える主婦もいるだろうが、家族の状況や制度改正によってその“計算”は大きく変わる。しかも自分で申請しなければ支給されないものがあって、知らぬ間に大損していることも――。「日本年金機構は、年金の受給対象となる人に毎年、受給に必要な手続きの通知を送りますが、おおよそ1割くらいの受給対象者からは反応がないといわれます。つまり10人に1人が手続きをしていない=年金をもらっていないことになるんです。また、年金事務所に相談に来る人も、約1割が手続きや申請に不備があるケースです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金はいま、支給開始が65歳に引き上げられているが、政府は、さらに70歳までの引き上げを検討しているという。そんな状況だからこそ、自分の認識不足で年金が減ってしまうようなミスはおかしたくない。「65歳になる人の数は、例年180万人ほどいるので、毎年18万人ずつ、年金を『とりっぱぐれている』ことになります。ですから、私は大丈夫とか“主人の勤める会社が管理しているから安心”などと思い込まず、記入漏れや単純ミスが、あるはずだと思って、過去の記録をすべて見直すべきです」(加谷さん)制度が難解なうえに、受給資格があっても、自分から申し出て初めて受け取れるお金も多くあるという、いわば「申請主義」の年金システム。加谷さんの言うように、最初から「漏れがあるかもしれない」と疑ってかかっても損はない。そこで、ファイナンシャルプランナーの中村薫さん、社会保険労務士の石田周平さんに陥りがちな「年金の申請漏れ」のケースについて、解説と対策アドバイスをお願いした。【ケース1】はじめての妊娠・出産だったのでおっかなびっくり。年金免除の制度が新しくできたことを知ったのは、2月の出産後でした(30代・主婦)「自営業やフリーランスの人などが出産するとき、予定日または出産月の『前月から4カ月間』は国民年金が免除される制度が4月1日から施行されます。対象は『’19年2月1日以降に出産した人』で、彼女は2月に出産したので、4月の1カ月分の保険料を納めなくても納付したと見なされ、『1万6,000円』ほどお得になります。期間は最長4カ月ですが、双子など多胎児の場合は、最長6カ月免除となります」(中村さん)【ケース2】会社員の夫と離婚した際、ショックで第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更を忘れてしまいました(50代・自営業)「結婚、離婚、就職、退職など、人生の節目には、『種別変更』の届け出が必要です。会社員の夫(第2号被保険者)と離婚すると第3号から第1号へと種別変更し、国民年金保険料を納めるようにしなければなりません。それを忘れると、『未納』期間となり、受給可能な加入期間10年に不足してしまうこともありますので、注意しましょう。しかし、’61年4月から’86年3月までに20歳から59歳だった専業主婦は、この期間が、保険料を納めていないが加入期間には含まれるという『カラ期間』に該当します。受け取れる金額は増えませんが、加入期間が足りない人は補える場合がありますので、ねんきんネットなどで確認し、日本年金機構へ問い合わせてください」(石田さん)日本年金機構のHPトップページ「ねんきんネット」で必要情報入力などの手続きをして登録。「各月の年金記録の情報」ページでは国民年金=「国年」、厚生年金=「厚年」、未加=「未加入」、赤字は「未納」など、過去の年金の全記録を把握できる。「加入期間の情報」では国民年金、厚生年金ごと、および合計の加入月数と未納月数などがわかる。さらに今後の収入などの入力をしてシミュレーションし、年金見込額も算定可能だ。【ケース3】シングルマザーとして、子育てしながら仕事をしてきました。生活はキツかったのですが、意地で国民年金は支払い続けてきました(40代・自営業)「国民年金は、支払いが困難な人が申請をすると、免除される制度があります。これは、第1号被保険者だけが適用されます。この申請免除は、所得によって4段階の免除に分かれていて、『全額』『4分の3』『半額』『4分の1』となります。たとえば世帯主の年間所得が約120万円だとすると、半額免除の対象となり、その免除期間は加入期間と見なされるのに加え、保険料の半額を支払ったことにしてくれるんです。この期間の残りの保険料(=半額免除の場合は半額)は、10年以内に後から支払うことができます」(石田さん)さまざまなケースで大損とならないよう、アドバイスを参考に難解な年金パズルに取り組もう。
2019年03月06日年金のことは「会社員の夫におまかせ」と考える主婦もいるだろうが、家族の状況や制度改正によってその“計算”は大きく変わる。しかも自分で申請しなければ支給されないものがあって、知らぬ間に大損していることも――。「日本年金機構は、年金の受給対象となる人に毎年、受給に必要な手続きの通知を送りますが、おおよそ1割くらいの受給対象者からは反応がないといわれます。つまり10人に1人が手続きをしていない=年金をもらっていないことになるんです。また、年金事務所に相談に来る人も、約1割が手続きや申請に不備があるケースです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金はいま、支給開始が65歳に引き上げられているが、政府は、さらに70歳までの引き上げを検討しているという。そんな状況だからこそ、自分の認識不足で年金が減ってしまうようなミスはおかしたくない。「65歳になる人の数は、例年180万人ほどいるので、毎年18万人ずつ、年金を『とりっぱぐれている』ことになります。ですから、私は大丈夫とか“主人の勤める会社が管理しているから安心”などと思い込まず、記入漏れや単純ミスが、あるはずだと思って、過去の記録をすべて見直すべきです」(加谷さん)制度が難解なうえに、受給資格があっても、自分から申し出て初めて受け取れるお金も多くあるという、いわば「申請主義」の年金システム。加谷さんの言うように、最初から「漏れがあるかもしれない」と疑ってかかっても損はない。そこで、加谷さんに加え、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、陥りがちな「年金の申請漏れ」のケースについて、解説と対策アドバイスをお願いした。【ケース1】国民年金を受給できる加入期間が10年に短縮されたと聞き、計算してみたのですが、私は丸8年にしかならず、あきらめていました(60歳・主婦)「60歳以上65歳未満で、『10年』の年金受給資格に満たない人は、任意加入して最大で60カ月(=5年)分支払うことで、受給資格を得ることができます。60カ月では足りない場合、さらに65歳以上70歳までの60カ月(5年)分を、特例任意加入で支払うことができます。65歳以降は、受給資格の120カ月を満たした時点で終了です。120カ月分フルに支払う場合は、次の(A)と(B)のパターンがあります。(A)後納できる最大の25カ月(約2年)+任意加入60カ月(5年)=85カ月分を任意加入で支払い、残りの35カ月(約3年)分を特例任意加入で支払う(=67歳11カ月で120カ月を満たした翌月より年額19万4,825円を月割で受け取れる)、(B)60歳から任意加入で60カ月支払い、65歳以降は70歳まで特例任意加入で60カ月支払う(=70歳の誕生月翌月より年額19万4,825円を受け取れる)」(中村さん)【ケース2】60歳で再就職し、月収28万円を超えたんですが、厚生年金が減額されてしまい……(60代・会社員)「働きながら老齢厚生年金を受け取ると、年金と給料の合計が28万円を超える場合は、減額されてしまいます。これを『在職老齢年金』と言いますが、会社との交渉次第で減額を回避することもできます。雇用形態を業務委託に切り替えてもらうなどすれば、本人は国民年金加入者になり、厚生年金は減額されずにすむんです」(加谷さん)【ケース3】年金は65歳にならないともらえないとばかり思い込んでいました(64歳・会社員)「年金が支給開始となる65歳までの段階的措置として、国民年金の受給資格期間10年を満たしていて厚生年金の加入期間が1年以上ある場合、60~64歳まで『特別支給の老齢厚生年金』を受け取れます。これは手続きすれば、働いた期間と平均給与額に応じて決まる金額を受け取れますが、日本年金機構から送付される『年金の請求手続きのご案内』(「年金請求書」封入)を、『繰上げ支給の案内』と勘違いして手続きしない人がいる。年金機構から来た通知に不明点があれば、気兼ねなく問い合わせるべきです」(加谷さん)【ケース4】主人より先に65歳を過ぎたのですが、加給年金の振替加算を申請し忘れてしまいました(66歳・主婦)「夫が65歳になって年金を受給するようになると妻子に加算される『加給年金』は、妻が65歳に到達すると支給されなくなります。そのかわりに妻の年金に一定額が加算されることを『振替加算』と呼びます(’66年4月2日生まれ以降の人は国民年金に40年加入できるため、振替加算はなし)。しかし、妻が年上の場合は先に国民年金を受給し始めているため、夫が65歳になる前日以降に手続きしなければ『振替加算』を受け取れません。妻が66歳だとすると、年額で6万2,804円が受け取れないことになりますので、申請を忘れないように」(中村さん)さまざまなケースで大損とならないよう、アドバイスを参考に難解な年金パズルに取り組もう。
2019年03月06日「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。今回の“大損失”は私たちの年金にどのような影響を与えるのだろうか。今後、保険料率が引き上げられたり、厚生年金の加入義務対象者が拡大されたりするなどの可能性が考えられる。さらに影響は保険料率だけにとどまらない。まず考えられるのは、受給開始年齢の繰り下げだ。北村さんは、現在50歳で今年の4月1日までに誕生日を迎えない女性、そして49歳以下の女性は年金の受給開始年齢が68歳に引き上げられるだろうと考えている。すでに、実質的な受給額のカットは進行している。今年、マクロ経済スライドが4年ぶりに発動された。「かつては物価が上昇した場合、年金額も同じように上昇する決まりでした。しかし、それでは受給額がどんどん増大し、年金制度が持ちません。そこで、マクロ経済スライドという仕組みが誕生しました。物価が上昇しても、年金の上昇率を抑える仕組みです。物価の伸び率から、調整率0.9%を引いた値しか年金額は増えないのです」物価の上昇に対して、年金額の上昇が抑えられるので、実質的な年金受給額カットになる。「たとえば、物価が1%上がった年でも、年金額は調整率を引いた0.1%ほどしか上昇しません。仮にこうした状況が10年続けば、物価の上昇に追いていかれて、もらえる年金の価値が10%ほど減ったのと同じ状態になるのです」年金受給開始年齢の繰り下げや、マクロ経済スライドなどによって、北村さんは生涯もらえる年金の価値は、現在よりも15%ほど下がると予測している。有効な対策はあるのだろうか。「もはや公的年金だけを当てにして人生設計をするのは危険な時代です。個人型確定拠出年金(iDeCo)などで、節税をしながら、受け取れる年金額を増やすなどの努力が必要になるでしょう」時の政権や、国の都合で、どんどん消えていく私たちの年金。もはや自己防衛するしか策はないようだ。
2019年02月21日「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。「しかも、株式市場に明るい材料はありません。相場は1年先を見て動くもの。現在はオリンピック特需のおかげで、建設事業が活況ですが、今年の秋にはすでにオリンピック後を見据えて、相場が冷え込むと予想されています。それならば、株価が下がる前に売り切ってしまえばいいと思うでしょうが、GPIFの株の保有数は莫大なため、日本全体の株価にも影響を与えてしまう。つまり、株価の暴落を招きかねないので、軽々に売ることもできないのです」アベノミクスの株高演出のために使われた結果、わずか3カ月で15兆円が消失してしまった公的年金。時の政権や、国の都合で、私たちの年金がどんどん消えていく――。
2019年02月21日将来の年金制度を支える積立金。アベノミクスの株価演出のために使われた結果、15兆円がわずか3カ月のうちに消失してしまった。その果てに待っているのは――。「公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、’18年10月~12月期の運用実績で、14兆8,000億円もの運用損を出していたことがわかりました。これは現在の方式で運用を開始した’01年以降で、最大の“赤字額”です。それまで165兆円あった積立金が、150兆円まで目減りしてしまいました。積立金は、保険料、国庫負担に次ぐ、年金の原資です。年金の危機といっても過言ではありません」そう警鐘を鳴らすのは、年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。私たちの老後を支える大事な年金積立が“大溶解”している。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う独立行政法人で、年金基金のなかでは世界最大の資産を持つ。現在、公的年金は現役世代の払う保険料を、高齢者に分配する“賦課方式”を取っているが、少子高齢化がより進むと、現役世代の負担が大きくなりすぎてしまう。そこで、将来的には積立金を少しずつ取り崩して制度を維持する予定になっている。GPIFはそのための積立金を運用し、少しでも増やすという役割がある。GPIFがリスクの高い運用制度となったのは、第2次安倍政権になってからだという。「もともと、GPIFはリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきました。ところが、’14年10月から、株式投資の割合を大幅に引き上げたのです」(北村さん、以下「」内は同)国内債券での運用割合を60%から35%に半減させて、高い運用益が見込まれるがリスクも高い株式での運用割合を24%から50%に倍増させた。現在は超低金利時代。国内債券では運用益を見込めないために、株式の割合を増やしたというのが建前だが……。「GPIFの豊富な資金を株式市場に投入することで、株高を演出しようとする狙いもありました。つまり、アベノミクスの成長戦略として、年金積立金に手をつけたということです」もくろみは成功し、当時1万4,000~1万5,000円台を推移していた日経平均株価は2万円を超えた。「株高には誘導できましたが、年金資金は株価や為替変動のリスクに今まで以上さらされるようになったのです。’15年度には中国株の暴落の影響もあって、GPIFは5兆円の運用損を出しました。そして今回、昨年10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの運用損を出していたことが発覚しました。多くの国では、基礎年金の積立金は、安全性の高い国債で運用されています。こんな“ギャンブル”みたいなやり方には、問題があると言わざるをえません」それでもGPIFは’01年からの累積の黒字額が56兆6,745億円あると喧伝している。だが、実は’14年10月以降に積み上げた黒字額は、この“大損失”で半減し、現在15兆4,000億円になった。ふたたび今回のような損失を引き起こせば、すべて消し飛んでしまうことになる。今回の“大損失”は私たちの年金にどのような影響を与えるのだろうか。「積立金は100年かけて、少しずつ取り崩していって、現役世代の保険料アップの抑制に役立てることになっています。少子高齢化によって、現役世代が毎月支払う厚生年金の保険料率は上がり続け、’17年には給与額の18.3%という水準になりました。しかし、厚労省は、保険料率を26%まで上げないと、将来的に年金を維持できないと試算しています。積立金は、その差額を埋めるという役割があるのです」今後、保険料率が引き上げられたり、厚生年金の加入義務対象者が拡大されたりするなどの可能性が考えられる。さらに影響は保険料率だけにとどまらない。’16年2月の衆院予算委員会で、GPIFが’15年に出した巨額の損失について問われた安倍晋三首相は、「想定の利益が出ないなら、当然、支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と答えた。アベノミクスのための“ギャンブル”の失敗のツケは、私たちの年金で払わされるのだ。まず考えられるのは、受給開始年齢の繰り下げだ。「選挙に影響が出るので、参院選後の秋の通常国会で、法案が提出される可能性が高い。現在の受給開始年齢である65歳が、68歳まで上げられるのは、まず間違いないと思います。過去に受給開始年齢が引き上げられた例からみると、’64年4月1日よりも前に生まれた女性は現状の65歳のままです。しかし、そこから段階的に年齢が引き上げられ、’68年4月2日より後に生まれた方は受給開始年齢が68歳になると予想しています」北村さんは、現在50歳で今年の4月1日までに誕生日を迎えない女性、そして49歳以下の女性は年金の受給開始年齢が68歳に引き上げられるだろうと考えている。
2019年02月21日iDeCo (イデコ)をするなら、ひふみ年金に入るべき?運用成績が良い?本記事では、iDeCo (イデコ)のラインナップの一つ、「ひふみ年金」というアクティブ型投資信託(後述)について考察します。iDeCo (イデコ)では、窓口となる金融機関ごとに取扱商品が異なります。そのため、A証券では「ひふみ年金」を扱っているけど、B証券では扱っていない、ということがあります。また、最近では株式市場が急上昇、急下降した場合に、ネット上で「ひふみ年金を選んでて良かった・ダメだった」「さっさと売っておいて良かった・今こそ買うべきだ」などという正反対の意見も飛び交います。このような場合、どのように考えるべきなのでしょうか?考察していきたいと思います。※本記事は特定の銘柄に触れていますが、勧誘・斡旋・推奨をする意図はありません。SBI証券・マネックス証券・イオン銀行・野村證券などの大手でも取り扱っているiDeCo(イデコ)の金融商品「ひふみ年金」ってどんなもの?まず、ひふみ年金とはどのようなものなのでしょうか。ひふみ年金を運用するレオスキャピタルワークスのHPによると、次のようになっています。ひふみ年金は確定拠出年金制度を通じて「ひふみ」をご購入いただける投資信託です。出典:レオスキャピタルワークスなるほど、「ひふみ」という名前の投資信託があり、それがiDeCo (イデコ)のラインナップに入ると、「ひふみ年金」という名前の投資信託になるのですね。投資信託とは、投資家から集めた資金を、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資し、その収益を投資家に分配する金融商品です。では、その「ひふみ年金」とはどのような内容なのでしょうか?「ひふみ年金」の投資信託説明書(交付目論見書)を参考にポイントをまとめてみましょう。投資対象:国内外の株式投資対象地域:グローバル(日本を含む)投資信託のスタイル:アクティブ型投資信託国内外の上場株式が主要な投資対象市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資する株式の組み入れ比率は状況に応じて変化すると、このようになっています。ポイントは、株式主体のアクティブ型投資信託である、ということです。楽天証券のiDeCo (イデコ)ラインナップには「ひふみ年金」は入っている?ちなみに、楽天証券のiDeCo (イデコ)ラインナップには「ひふみ年金」は確認できませんでした(執筆時点)。大手証券会社でもラインナップに入っていないところはあるのですね。「ひふみ年金」について、もう少し詳しく見てみましょう。iDeCo (イデコ)ひふみ年金のようなアクティブ型投資信託とはどんなもの?それでは、「ひふみ年金」の特徴の一つである、アクティブ型投資信託とは、どのようなものでしょうか?アクティブ型投資信託とは、「積極的」な投資信託です。何が積極的なのでしょうか?それは市場平均を超えることに対して積極的なのです。さて、市場平均とは何でしょうか?国内株式の市場平均として代表的なモノはこちらです。日経平均株価(225社の平均のようなもの)トピックス(国内株式市場の平均のようなもの)どちらも、毎日のニュースなどで発表されるので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これらの株式市場の「平均」を「頑張って超えることを目標としている」のがアクティブ型投資信託です。あくまでも「目標としているの」ですから、「市場平均を超えないものも、もちろんアクティブ型投資信託」です。ちなみに毎年全体の10分の7くらいのアクティブ型投資信託は市場平均を下回ります。上回った10分の3も毎年のように入れ替わります。そのため、積極的に投資信託内部の銘柄を入れ替えたり、積極的に株式銘柄などを分析します。アクティブ型投資信託:市場「平均」を超えることを目標とする。しかし、アクティブ型投資信託の平均こそが市場平均に酷似してしまう。長期で見ると、理論上はコスト分だけ市場「平均」に劣る。市場の「平均」とは、私たちの身近な「平均」のイメージをしていると、ミステイクを犯しやすいかも。iDeCo(イデコ)ひふみ年金の中身の割合は?そんな「ひふみ年金」の中身は何でしょうか?「ひふみ年金」の投資信託説明書(交付目論見書)(内容は2018/10/31時点)によりますと、このようになっています。※表は資料を参考に筆者作成国内株式が85%と大半を占めています。そのためかどうかわかりませんが、金融機関によっては、「ひふみ年金」の分類を「国内株式」に分類しているところもあります。また、筆者のおぼろげな記憶では「ひふみ年金」の運用成績が「日経平均株価やトピックスなどの市場平均より良かった」という表をどこかのサイトで見た記憶がありますが、これは一概に事実とは言えないかもしれません。確かに、運用利回りがそれらの市場平均を超えていたとします。ですが、「ひふみ年金」の中身は、海外株式も入っていれば、それらの平均に入っていない小型株も入っています。それらは一般的にリスクが「高い」です。つまり、リターンも「高い」ということになります(と同時に、理論上は下がり幅も大きいですが)。そのため、単純にその市場で扱っていないものが入っているので、「市場平均を超える投資信託」とは言えない一面もあります。株式主体:株式はハイリスク・ハイリターン。そのため、株式主体の投資信託は、短期的に見ると1年間で5割上昇したり、6割下落したりすることもある。しかし、長期分散投資では短期的なリスクに賭けるのではなく、高いリターンを期待するものなので、ハイリスク・ハイリターンの株式を投資対象の主体にすることは、合理的であると考えられる。結局、iDeCo (イデコ)で「ひふみ年金」を買うべき?不況時はどう考えたらいいの?iDeCo (イデコ)を「する・しない」を含めて、資産運用でどの投資信託を選ぶべきかは、結局のところ、個人が判断を下すことです。という点をふまえた上で、「ひふみ年金」をiDeCo (イデコ)口座で積み立て投資の対象に「するべきかどうか」を考察してみます。また、不況時や株価急落時にネットをにぎわす「下がる前に売っておいて良かった」や「○○(投資信託の名前)はダメ・良い」はどう考えたら良いのかについて根本的なところを見てみましょう。iDeCo(イデコ)口座でひふみ年金を選んだらマイナスになっちゃう?2018年末に大きく国内の株式市場が下落しました。その時に決まって出てくるのが次のような意見です。①「○○投資信託を買っていて大損した」②「さっさと売っておいて良かった」③「○○投資信託は大きく値下がりしたからダメ」というものです。それと同時に、大きく国内の株式市場が上昇した時には次の意見が増えます。④「いまが買い時」⑤「大きく上がっている○○投資信託を買えば正解」⑥「○○投資信託は急上昇しているから良い投資信託」このような意見です。私たちの日常生活では、前者と後者はそもそもの対象が違うことが多いです。例えば、映画でいえば前者は「面白くない映画」で後者は「面白い映画」でそれぞれ異なるタイトルの映画です。しかし、投資の世界では、前者と後者はしばしば「全く同じ投資信託」であります。どういうことでしょうか。投資信託は大きな風呂敷袋にたくさんの株式などを入れたような金融商品です。そのため、対象が(例えば)国内株式であれば「大体同じような値動き」になってしまいます。そのため、株式市場が大きく下がった場合は同じ投資信託でも①②③の意見が多く出やすいです。また、株式市場が大きく上がった場合は先ほどと同投資信託で合っても④⑤⑥の意見が出てきます。ここで重要なのは「投資信託には基本的に良い・悪いはない」ということです。ただ、コスト(※1)だけは実質的な運用成績を押し下げる存在ですので、信託報酬と呼ばれるものは低い方がより良いとなります(0.5%以下が望ましい。)ということは、当然ながら「ひふみ年金」を選んでも同様です。株式市場が好調なら良くなります。株式市場が不調なら悪くなります。これは「ひふみ年金」が「良い・悪い」投資信託であるかどうかとは、まったくの別問題です。(※1)コスト:コストはただのマイナス要因なので年率0.5%以下が望ましい。もちろんより低い方が良い。ちなみに前述の投資信託説明書(交付目論見書)によれば「ひふみ年金」の信託報酬は年率0.82%また、先ほどの①~⑥の考え方は、典型的な「お金が増えにくい考え方」です。添削してみましょう。①「○○投資信託を買っていて大損した」→値下がりするとは「売ると大損だが、安く買うチャンスが来たということ」、そのまま積み立て投資をするのが「吉」②「さっさと売っておいて良かった」→さっさと売ると、安く買うチャンスが得られない。積み立て投資は「いじらない」ことが重要③「○○投資信託は大きく値下がりしたからダメ」→どれを買っても投資対象クラスが同じならどれも大きく値下がりする、良い・悪いはない④「いまが買い時」→高くなった時が買い時ではない。投資の正解は「安く買って高く売る」⑤「大きく上がっている○○投資信託を買えば正解」→大きく上がっている投資信託を買うということは、高く買って安く売るということの要因になる。積み立て投資なら別にタイミングを読む必要は何もない、ただ積み立てるのが長期的には良い成績になりやすい⑥「○○投資信託は急上昇しているから良い投資信託」→どれを買っても投資対象クラスが同じなら、どれも大きく値上がりする、良い・悪いはない普通の考え方とはおよそ反対の意見になってしまいました。これには参照点依存症(※2)が大きく関与していると思われます。大きく値動きがあった時こそ、冷静に判断するようにしてはいかがでしょうか。(※2)参照点依存症:行動経済学の用語ですが、これはどういうことでしょうか。例えば、Aさんが1万円で買って、5千円に値下がりすると「これはダメなモノを選んでしまった」と錯覚しがちです。しかし、Bさんがその5千円に下がった時に買って、1万円に戻った時には「これは良いものを選んだ」とやはり錯覚しがちです。どちらも「同じモノを選んだ」のに、感情が異なります。その原因は基準点(参照点)に依存しているからです。この場合は、買った時のお値段がその基準です。Aさんにとっての基準点は1万円ですので、がっかりする。Bさんにとっての基準点は5千円なので、うれしい。ということですね。ただこの基準点には、まったく売買の根拠がありません。しかし、このように「感情・感覚・気分」で投資をしてしまうのが人です。それゆえに「損をしやすい」のだと考えられます。iDeCo(イデコ)をするなら、ひふみ年金を選ぶべき?では、iDeCo (イデコ)をする際に「ひふみ年金」を選ぶかどうか?ですが、どうでしょうか。前述のように株式主体の投資信託ですから、リスク(値動きの幅)は大きいですが、長期ではリターンも期待できそうです。ただ、以下2点気になります。コストが高いアクティブ型投資信託理論上は「アクティブ型投資信託の平均≒市場平均」となります。つまり、アクティブ型投資信託が優秀で「ひふみ年金」の特徴にもあったように市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資するということをしています。これは、世界中の賢いファンドマネジャーも行っています。もちろん「ひふみ年金」のファンドマネジャーも大変に優秀でしょう。同時に、割高だと思われる銘柄を選別して売っています。世界中の賢い人々が行っています。すると、どうなるでしょうか?結果として「平均」がとても効率的になっていきます。これは「賢い人々が真剣に頑張るほど、皮肉なことにコストの安い「平均」が良くなる」ということを意味します。そのため、投資をするなら、コストの安い市場平均ということになります。それはインデックス型投資信託と呼ばれます。ですから、理論上は長期分散投資での合理的な投資対象は市場平均と安全資産ということになります。現代投資理論:ModernPortfolioTheory1952年(ハリー・マックス・マーコウィッツ1990年ノーベル経済学受賞)では、合理的な投資対象は市場平均と安全資産となる。私たちに当てはめると「インデックス型投資信託と預貯金・国債」がそれに当たる。当然ながら、iDeCo(イデコ)はもちろん、つみたてNISAでも買える(つみたてNISAには預貯金タイプはない)。iDeCo(イデコ)ひふみ年金まとめiDeCo (イデコ)で人気のある「ひふみ年金」はアクティブ型投資信託iDeCo (イデコ)で買える「ひふみ年金」の主な投資対象は株式iDeCo (イデコ)で「ひふみ年金を買って、値下がりしたのは「失敗」ではない今回は「ひふみ年金」について考察してみました。同じようなアクティブ型投資信託はたくさんあります。それらに対して、こっちが「良い・悪い」というのは、事前に判断が付きません。また、去年良かった投資信託が今年も良いかどうかは分かりません。(あてになりません)高いコストを考慮したうえで、さらに市場平均を長期で上回れるかもわかりません。人気があるのと、運用成績が市場平均と同程度になるかどうかは関連性がありません。資産運用では「何を買うか」は個人の自由責任です。だからこそ、じっくりと考えてみたいところです。
2019年02月11日住宅ローン控除と個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、どちらも節税メリットがあります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは、簡単にいうと、自分でつくる年金制度のこと。しかし、控除の金額と拠出金額のバランスで、住宅ローン控除のメリットがフルにいかせなくなる場合があります。あなたの場合は実際どうなのか、調べてみましょう。■ 1.まずは2つの控除の仕組みを知るfreeangle / PIXTA(ピクスタ)2つの控除は「どの段階で控除するか」が異なります。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)では、課税所得から年間に支払った拠出金額全額分を差し引きます。そこから税金計算を行い、算出した税額から住宅ローン控除を差し引きます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)とは?個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、老後の資金を作るため積立投資を行うものです。拠出金が全額控除になることから節税効果があります。運用益も非課税になり、受け取り時も税制優遇されお得です。r.s / PIXTA(ピクスタ)また、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用になります。運用にあたっては、運営管理機関の手数料などがかかり、その額は運用機関によって異なります。掛け金には限度額があります。・自営業者などの「国民年金第1号保険者」 は国民年金基金と合算で6万8,000円/月(付加保険納付者は6万7,000円/月)・会社員が加入できる「国民年金第2号保険者」は1)企業年金なし、企業型確定拠出年金なし 2万3,000円/月2)企業年金なし、企業型確定拠出年金あり 2万円/月3)企業年金あり 企業型確定拠出年金あり、なしにかかわらず一律1万2,000円/月4)公務員 1万2,000円/月・専業主婦などの「国民年金第3号保険者」は2万3,000円/月となっています。住宅ローン控除とは住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が税額から10年間または13年間控除される制度です。控除を受けるためには、年収が3,000万以下である、住宅ローンの返済期間が10年以上あるなどの要件を満たす必要があります。対象者は2009年から2021年12月末までの間に入居した人なら、所得税額から住宅ローン控除しきれないとき、住民税から残りの額を差し引くことができます(上限あり)。住民税からの控除は手続きを必要とせず、自動的に手続きされます。■ 2. 計算の仕方は?freeangle / PIXTA(ピクスタ)モデルケースの世帯の税額計算を実際にしてみましょう。・新築住宅を購入して、年末に2,500万円の残高あり・住宅ローン控除額25万円・世帯主は会社員の場合を考えます。最初に課税所得を算出します(図1参照)。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で拠出していない場合、所得税額は300万円×10%-9万7,500円、つまり20万2,500円です。ここから住宅ローン控除で25万円をさらに引こうとすると、4万7,500円が引ききれなくなります。しかしこれは、住民税からは13.65万円までなら引けますので、このケースでは控除枠をすべて使うことができます。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)で月2万円拠出しているとしたら、年額は24万円なので20万2,500円-24万円=-3万7,500円となります。住宅ローン控除を加味すると-28万7,500円となり、住民税から引いても住宅ローン控除枠を使いきれなくなってしまいます。図1※平成27年分以降参考/国税庁■ 3.両方のメリットをいかすには?【IWJ】Image Works Japan / PIXTA(ピクスタ)住宅ローン控除の枠をすべて使いきれない人は、高所得ではないが、借入額が多い人です。両方のメリットをフル活用できないなら、住宅ローン控除を優先さるべきです。そして、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)ではなく、つみたてNISAを利用したらいかがでしょうか。個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と異なり、好きな時に引き出しができるので、いざという時にも役立ちます。Sqback / PIXTA(ピクスタ)住宅ローンを組む前ならば、夫婦二人に分けてローンが組める「ペアローン」にするという選択肢もあります。それぞれに住宅ローン控除が使えるために、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)と併用しても住宅ローン控除のメリットがいかせます。まずは、自分がどんなパターンに当てはまるかを知るために試算してみてください。税金のしくみは、国の政策で、ここに挙げた税率から変更になる、制度が新設されるなど、各制度が複雑に絡み合い、とても複雑です。専門家に相談し、自分がメリットを十分に受けられるよう検討することが大事です。
2019年02月09日1月18日、来年度の公的年金の受給額が発表された。’19年度は0.1%の引き上げ。この決定は物価の上昇に比べると実質目減りになるという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。’19年度は0.1%の引き上げです。厚生年金は、40年間夫が会社員で妻が専業主婦だったモデル夫婦が今年度より227円増えて、月22万1,504円。国民年金は、40年間保険料をかけ続けた満額の方1人分が、67円増えて月6万5,008円です。景気のよいニュースも聞こえるなか、年金額が今年度とあまり変わらないのは、「マクロ経済スライド」が発動されたからです。どういう仕組みか、見ていきましょう。もともと年金は、物価に合わせて受給額が変わるものでした。しかし少子高齢化が進み、年金を支える現役世代が減って、年金をもらう高齢者が増加。年金財政はご存じのとおり、ひっ迫しています。そこで、’04年に導入されたのがマクロ経済スライドです。現役世代の賃金と物価を基準として、人口構成の変化などから算出する「調整率」を差し引き、年金額を抑えようとするものです。ただし、マクロ経済スライドは、賃金も物価も前年より上昇した年に限って発動されます。’19年度は両方上昇したので、4年ぶりの発動となりました。具体的には、指標となる賃金上昇率が0.6%なので、本来なら年金も0.6%アップとなるところですが、調整率の0.5%が差し引かれることになりました。マクロ経済スライドは導入から15年たちますが、デフレ下では発動されないため、今回が2回目の発動です。政府のもくろみより年金額の抑制が遅れているため、’18年度から、マクロ経済スライドが発動されない年の調整率を翌年以降に持ち越す「キャリーオーバー制」が導入されました。’19年度の調整率である0.5%は、’19年度分の0.2%と、’18年度から持ち越された0.3%を合算したものです。そのため、0.5%という大きな減額になり、来年度の年金額は0.1%アップにとどまったのです。とはいえ、年金額自体は今より若干増えるため、危機感はそれほどないかもしれません。ですが、物価は1%上昇しています。年金は実質的に目減りしているのです。今後も年金は抑制されます。経済状況によりますが、約25年後には今より年金額を2割減らす試算もあります(’14年・厚生労働省)。たとえデフレでも、調整率がキャリーオーバーされ、マクロ経済スライドの発動時にまとめて引かれますから、年金の実質目減りは、ずっと続くと覚悟してください。私は、しっかり家計をやり繰りすれば、年金だけで暮らせると考えています。ただ、今までどおりの暮らしを続けるのは危険。年金だけでの暮らしを守るには、家計のスリム化が不可欠です。特に、よくわからないことにお金をかけないこと。たとえば保険は手厚い特約を付けても、請求を忘れるようなら保険料がムダです。また、投資も、銀行窓口で投資信託を買った人の46%が損をしているというデータがあります(’18年7月・金融庁)。よくわからない投資で損するなどムダ。ムダはとことん、なくしましょう。
2019年02月01日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■国民年金のまとめ払い国民年金の保険料は現在、毎月払いだと1万6,340円です(’18年度・厚生労働省)。これを6カ月分まとめて口座振替で払うと、毎月払いより1,110円安くなります。まとめ払いは6カ月のほか、1年、2年とあり、長期ほど割引額は大きくなります。2年払いの口座振替は、毎月払いより1万5,650円安くなります。2年払いの保険料は1人分で約38万円と高額ですが、一度目だけ貯金からねん出し、それ以降は毎月払いの保険料を払ったつもりで貯めておきます。2年後、保険料貯金から2年払い保険料を払うと、手元に1万5,650円が残る計算です。夫婦2人とも2年払いにすると3万1,300円残りますから、これを老後貯金に回しましょう。今40歳の国民年金夫婦が、これから20年間2年払いにすると、割引総額は1人分で15万6,500円、2人分なら31万3,000円です。まとめ払いの申し込みは、毎年2月末までです。国民年金の方は、今が切り替えのチャンスです。■付加年金国民年金には、保険料に月額400円を上乗せして払う「付加年金」という制度があります。これを利用すると、将来年金をもらうときに、200円×付加年金を払った月数分がプラスして支給されます。たとえば、40歳の方が60歳まで、付加年金を払ったとします。付加年金分の保険料総額は、400円×12カ月×20年間=9万6,000円です。年金をもらうときには、200円×12カ月×20年間=4万8,000円が毎年、国民年金に加算されます。毎月の年金額にするとわずか月4,000円ですが、月400円の付加年金保険料からすると10倍です。付加年金でもらえる年金額は、保険料を払う月数に比例しますから、できるだけ早く手続きすることをお勧めします。さらに、付加年金の上乗せは一生続きます。先の40歳で付加年金を始めた方は、年金をもらい始めて2年たつと、付加年金分として4万8,000円×2年間=9万6,000円受け取れ、支払った保険料の元が取れます。3年目以降はずっと“もらい得”が続くことになります。女性の平均寿命は87.26歳です(’17年・厚生労働省)。88歳まで生きた方がもらえる付加年金は、23年間で約110万円。払った保険料を差し引くと約100万円お得です。これは1人分ですから、国民年金夫婦の方は、ぜひ夫婦2人そろって早めに手続きしてください。■年金の繰下げ受給年金は、国民年金も厚生年金も、65歳からの支給が原則です。ですが希望すれば、60~70歳の間の好きなタイミングでもらい始めることができます。65歳より早くもらい始めることを「繰上げ受給」、65歳より遅くもらい始めることを「繰下げ受給」といいます。65歳より早くもらい始めると、0.5%×早くもらった月数分が減額されます。たとえば60歳からもらい始めると、0.5%×12カ月×5年=30%の減額です。国民年金満額の方の年金額は月約6万5,000円ですが、5年繰り上げて60歳からもらい始めると30%減額され、月約4万5,000円になります。早くからもらえるのはメリットですが、76歳以上長生きすると、一生に受け取る年金総額で損になります。反対に、65歳より遅くもらい始めると、0.7%×受給を遅らせた月数分が増額されます。たとえば70歳からもらい始めると、0.7%×12カ月×5年=42%アップです。今40歳の厚生年金モデル夫婦は、65歳からの年金額が月約18万円でした。2人とも70歳からもらう5年繰り下げを行うと、月18万円×42%=約7万6,000円増額され、月約25万6,000円になります。国民年金夫婦も2人とも70歳からの受給に繰り下げると、月約9万円の年金が42%アップで月約12万8,000円になります。どちらの夫婦も81歳以上長生きすると、年金総額でお得になります。特に自営業の方は定年がありませんから元気で長く働いて、年金を遅くもらい始める繰り下げを活用するといいと思います。
2019年01月25日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■厚生年金の加給年金厚生年金に20年以上加入している夫が年金をもらい始めるとき、年下の妻を扶養していたら、妻が65歳になるまで「加給年金」がもらえます。加給年金は18歳未満の子がいる場合などにも支給されますが、妻の場合は、年22万4,300円。妻の年齢による特別加算も付きます。先の厚生年金モデル夫婦の妻が夫より年下だった場合は、特別加算も合わせて年約39万円もらえます。月約3万3,000円ですから、忘れずに年金事務所にお届けを。1つ注意点があります。加給年金をもらえる方が、年金を65歳より遅くもらい始める「繰下げ受給」を行い、実際に年金をもらおうというときに、妻が65歳を過ぎていたら加給年金は一切もらえません。そういう方は、厚生年金部分と国民年金に当たる基礎年金部分とを分けて、基礎年金だけ繰り下げる手もあります。夫と妻との年齢差などで、加給年金を何年もらえるか、厚生年金を繰り下げたほうが得かが変わります。よく比べて考えてみてください。■企業年金などもらい忘れをチェック読者の皆さんには、若いころは会社勤めをしていた方もいるでしょう。そのとき働いていた会社で企業年金や厚生年金基金に加入していれば、たとえ1カ月だけの加入でも企業年金が一生もらえます。ただ企業が独自に行う企業年金は、結婚して名字や住所が変わってしまうと、本人が申し出ない限り支給するのがむずかしく、もらい忘れている方が130万人もいるそうです(’12年度末・厚生労働省)。心当たりのある方は勤めていた会社か、企業年金の加入期間が10年未満と短い方などは、企業年金連合会に問い合わせてください。
2019年01月25日20歳になると生じる義務のひとつが国民年金への加入。わが子が学生で収入がなくても保険料は納めなければいけません。決して安いとはいえないその保険料、みなさんはどうしてるんでしょうか?■ 国民年金は誰が加入するの?保険料は?akiyoko / PIXTA(ピクスタ)日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入することが法律で義務付けられています。会社員や公務員など「第2号被保険者」は、お給料からひかれる厚生年金保険料に国民年金保険料が含まれています。第2号被保険者に扶養(社会保険上の)されている専業主婦など「第3号被保険者」は保険料の負担がありません。収入のない大学生や専門学校生は、20歳になったら国民年金の第1号被保険者として保険料を納めなければいけません。第1号被保険者の保険料は月額16,410円(平成31年度)年間で約20万弱、家計への負担を考えると親が払うべきなのか悩みますよね。■ 学生の66%が「学生納付特例制度」を利用Graphs / PIXTA(ピクスタ)学生納付特例制度は、学生本人の所得が一定以下の場合に、申請により在学中の保険料の納付が猶予される制度です。厚生労働省の「国民年金被保険者実態調査」によると、学生のうち66%が学生納付特例制度を利用しています。国民年金からは老後の年金だけでなく、病気やケガで障害が残ったときに障害基礎年金が受け取れます。未納のままでは受け取れない場合がありますが、この制度を利用して納付を猶予されている間は、保険料を納めていなくても未納扱いとはなりません。■ 将来の年金額への影響は?Mugimaki / PIXTA(ピクスタ)学生納付特例制度で猶予された期間は、10年以内であれば遡って保険料を納めることが可能です(追納)。筆者は普段、ファイナンシャル・プランナーとしてご相談者の年金加入状況も確認していますが、実際に追納している方は少ない印象です。老齢基礎年金は、保険料の納付期間によってもらえる年金額が変わります。20歳から60歳まで40年間フルに納めてもらえる年金は年間約78万円(平成30年度)。kuro3 / PIXTA(ピクスタ)例えば、大学2年生の4月で20歳を迎え、卒業まで猶予を受ければ3年間。さらに大学院へ進学して2年間、計5年間猶予を受ければ、老齢基礎年金の年金額は満額で受けとるより12.5%(5年÷40年)少なくなります。学生納付特例を利用する場合は、年金額への影響や追納についても知っておきましょう。■ 親が払うと税金が安くなる!Graphs / PIXTA(ピクスタ)親が子どもの国民年金保険料を支払ったら、税金を計算するときに社会保険料控除として親の所得から控除できます。仮に所得税率が10%だとすると、住民税と合わせて、支払った保険料の20%が節税になります。また、国民年金保険料は、毎月納付する以外に6か月・1年・2年の前納制度があります。2年前納の場合、毎月納めるよりも保険料は2年間で約15,000円ほど割引になります。平成30年度の2年前納の保険料(口座振替の場合)は377,350円でした。所得税+住民税が20%だとすると、75,470円の節税になります。(注)節税効果や前納による割引があれば、親の負担感も少しは軽くなりますね。2年前納の申込期限は毎年2月末です。子どもの国民年金保険料を払ってあげようと思っているなら検討してみてはいかがですか?(こころFP事務所)※注節税効果はその他の所得控除や税額控除の状況によって変わります。【参考】※国民年金被保険者実態調査(平成26年度)- 厚生労働省※学生納付特例制度・前納について – 日本年金機構
2019年01月12日老後の資金としてまず確保しておきたいのが年金です。サラリーマン家庭で夫の方が妻よりも収入が多い場合、妻は離婚時に年金分割を受けることにより、将来の年金受取額を増やせます。本記事では、年金分割のしくみについてわかりやすく説明します。年金分割の手続きの大まかな流れについても知っておきましょう。離婚時年金分割制度って何?離婚時年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金保険料納付記録(納付実績)を離婚時に分け合う制度です。年金分割では、年金そのものを分けるのではなく、分けるのはあくまで保険料の納付実績になります。公的年金(国民年金・厚生年金)は、保険料の納付実績に応じて給付額が決まります。たとえば、夫が会社員(国民年金第2号被保険者)、妻が専業主婦(国民年金第3号被保険者)の場合、妻は保険料を負担していないため、婚姻期間中の納付実績がありません。このようなケースでは、妻は離婚すると、将来の年金受取額が少なくなってしまいます。離婚時に年金分割により夫の保険料納付実績を分割してもらえば、専業主婦の妻も、将来の年金受取額を増やすことが可能です。離婚時の年金分割の対象となる年金は?離婚時年金分割は、国が運営・管理している公的年金に関する制度です。「年金」と名の付くものがすべて対象になるわけではありません。公的年金でも国民年金は対象外離婚時年金分割制度の対象となるのは、公的年金のうち、厚生年金(旧共済年金含む)のみです。自営業などで婚姻期間中夫婦共ずっと国民年金の第1号被保険者だった場合には、年金分割はできません。私的年金は年金分割ではなく財産分与をする私的年金(公的年金に上乗せする目的で加入する年金)も、年金分割の対象外です。企業年金(確定給付年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金など)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、国民年金基金、民間の保険会社の個人年金などは私的年金なので、年金分割はできません。私的年金のうち、結婚している間に夫婦で保険料を払った部分については、財産分与ができる可能性があります。私的年金を財産分与する場合には、将来私的年金を受け取った時点で受け渡しするか、受取見込額を計算して離婚時に清算する方法などを検討しましょう。離婚時の年金分割の種類とは?年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。手続きする前に、どちらに該当するのかを把握しておきましょう。①合意分割夫婦が合意することにより、婚姻期間中の納付実績を多い側から少ない側へ分割する方法が「合意分割」です。合意分割は、婚姻期間全体が対象になります。共働き夫婦の場合でも、夫の方が収入が多いなら、合意分割をして妻の年金受取額を増やすことが可能です。②3号分割平成20年4月1日以降に国民年金の第3号被保険者だった人(専業主婦)は、平成20年4月1日以降の納付実績については、相手との合意なしに分割が受けられます。これを「3号分割」といいます。3号分割ができる人も、平成20年3月31日以前の納付実績については、合意分割によらなければ分割が受けられません。なお、合意分割の対象期間に3号分割の対象となる期間が含まれているときには、合意分割を請求した時点で、3号分割の請求があったものとみなされます。離婚の際の年金分割に相場はある?年金分割では、年金そのものを分けるのではありませんから、分割してもらう金額の相場というのはありません。年金分割で分けるのは保険料の納付実績で、割合を指定して分けることになります。※以下、夫婦のうち夫の方が収入が多いと仮定して説明します。年金分割の按分割合とは?年金分割で保険料の納付実績を分けるときには、「按分割合」を指定します。按分割合とは、夫と妻の納付実績の合計を100%と仮定した場合の、年金分割後の妻の持分です。「夫の納付実績の○%をもらえる」という意味ではありません。婚姻期間中、妻に保険料の納付実績がない場合(専業主婦の場合)、按分割合50%とすると、夫の納付実績の半分をもらうことになります。一方、妻にも保険料納付実績がある場合(共働きの場合)、按分割合50%は、妻が元々持っている持分と夫から受け取る分を合わせて50%ということです。合意分割の按分割合年金分割では、妻の持分が夫の持分を超える指定はできません。そのため、合意分割で定めることができる按分割合の上限は、どの夫婦でも50%(2分の1)となります。按分割合の下限については、妻が元々持っている持分によって変わります。年金分割をしても、妻は元々持っている持分を奪われることはないからです。按分割合の範囲妻が婚姻期間中ずっと専業主婦だった場合には、妻が元々持っている持分は0%なので、0~50%の範囲内で按分割合を指定します。共働きで妻が元々25%の持分を持っている場合には、妻の25%は確保されるので、指定できる按分割合の範囲は25~50%です。合意分割の按分割合に相場はある?合意分割では、当事者同士で按分割合を決められますから、50%以外の割合にすることも可能です。しかし、当事者間の話し合いで合意できず、裁判所の審判や調停になった場合には、通常は50%の割合に指定されます。相手が按分割合50%の合意分割に応じてくれない場合には、裁判所に申し立てをした方がよいでしょう。3号分割の按分割合3号分割の場合には、按分割合は50%と決まっています。3号分割の対象期間については、年金事務所で年金分割の請求をすれば、妻は自動的に50%の持分の分割を受けられます。別居期間のある場合の年金分割婚姻期間中に別居期間があっても、年金分割は原則どおり上限50%の按分割合でできます。年金分割では、特別な事情がない限り、按分割合の上限50%が減らされることはありません。長期間別居していても、特別な事情には該当しないとされるのが通常です。離婚時の年金分割はどうやって手続きする?年金分割をするときには、事前に準備をした上で、離婚後に年金事務所で請求手続きをする必要があります。年金分割の手続きの流れ1. 「年金分割のための情報提供請求書」の提出年金事務所に行き、「年金分割のための情報提供請求書」を書いて提出します。2. 「年金分割のための情報通知書」の受け取り日本年金機構から「年金分割のための情報通知書」が自宅に郵送されてきます。3. 夫婦間の合意または調停・審判申立て(合意分割の場合)合意分割をする場合には、夫婦間の合意が必要です。話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に審判または調停を申し立てて、按分割合を決めます。4. 「標準報酬改定請求書」の提出(年金分割の請求)年金事務所で「標準報酬改定請求書」を提出し、年金分割の請求手続きを行います。合意分割の場合には原則として当事者2人で年金事務所に行かなければなりませんが、年金分割の合意について記載された公正証書や公証人の認証を受けた年金分割合意書、裁判所の調停調書や審判書を持参すれば、分割を受ける側だけで手続きできます。5. 「標準報酬改定通知書」の受け取り年金機構から「標準報酬改定通知書」が届いたら、年金分割の手続きは完了です。年金の受給時には、分割された納付実績にもとづき年金が支払われます。年金分割の期限は?年金分割で最も気を付けておかなければならないのが請求期限です。たとえ夫婦間で年金分割の合意をしても、期限までに年金事務所で請求手続きをしなければ、年金分割は受けられません。離婚後2年以内に年金事務所での手続きが必要年金分割の手続きは、離婚した日の翌日から2年を経過すると、それ以降はできません。離婚後に年金分割の合意をすることも可能ですが、離婚後2年以内に必ず年金事務所に行って、標準報酬改定請求書を提出する必要があります。なお、離婚届を出す前に年金分割の請求をすることはできません。相手の死亡後1か月を経過すれば請求できない離婚から2年経っていなくても、相手が死亡して1か月を経過すると、年金分割の請求はできなくなります。離婚すれば、相手が亡くなっても連絡が来ないこともあるでしょう。年金分割の手続きを先延ばしにしていると、相手が知らない間に亡くなっていて、年金分割が受けられないこともあります。年金分割の手続きは、離婚後速やかにすませておきましょう。まとめ年金分割で年金を増やせるのは、専業主婦だけではありません。共働きでも、年金分割をしておけば、年金受給額が増えることがあります。熟年離婚でなくても、多少は年金が増えるメリットがありますから、離婚の際には年金分割を検討しましょう。
2019年01月03日年末調整で、1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金保険料は、社会保険料控除として所得控除の対象になります。そのため、勤務先から年末調整の時期になると渡される、給与所得者の保険料控除申告書へ記入し、控除証明書などを添付することで、1年間に支払った国民年金の全額を所得控除することができます。一般に、会社員や公務員などのように、厚生年金保険へ加入している方であれば、直接、国民年金保険料を支払うことはありませんが、実のところ、子供をはじめとした生計を同一にしている方の国民年金を代わりに支払ったとしても、控除の対象になります。そこで本記事では、年末調整と国民年金の関係性を中心に、絶対に押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。そもそも社会保険料控除とは何か社会保険料控除について、国税庁のWEBサイトでは、以下のように記述しています。納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除ざっくりポイントをまとめますと、自分や配偶者、子供、両親など、生計を同一にしている方が負担しなければならない社会保険料を支払った場合は、支払った金額の全額を所得控除できるとしています。なお、社会保険料控除の対象となるものには、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料といった給料から天引きされる社会保険料をはじめ、国民年金、国民健康保険料(税)、国民年金基金や厚生年金基金の掛金などがあります。大切なポイントは、社会保険料控除の適用を受けられる方は、社会保険料を納めなければならない本人のみに限定されていない部分です。そのため、たとえば、20歳以上の大学生や短大生などといった学生が納めなければならない国民年金を親が代わりに支払った場合、その支払った国民年金について、親が年末調整で社会保険料控除を受けられることを意味します。年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには国税庁平成30年分給与所得者の保険料控除申告書年末調整で支払った国民年金の控除を受けるためには、給与所得者の保険料控除申告書(上記イメージ図の赤枠部分)に必要事項を記入し、併せて、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より郵送される社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を添付することで適用が受けられます。具体的な書き方の一例として、以下の前提条件で国民年金を支払った場合をイメージ図と共に紹介しておきます。平成30年の1月1日から12月31日までの1年間において、国税太郎さんは、国税一郎さん(20歳以上の大学生)の国民年金を代わりに納付した平成30年1月から3月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,490円平成30年4月から12月までの1ヶ月あたりの国民年金は、月額16,340円これだけ記入すれば完了となりますので、とても簡単に手続きが行えます。もしも、国民年金の控除証明書が年末調整に間に合わない場合は国民年金を支払ったのにも関わらず、時として、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を紛失してしまった場合や破棄してしまったなどの理由で年末調整の際に、控除証明書の添付が間に合わない場合があるかもしれません。このような場合は、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書でなくても、実際に国民年金を納めた時の控えなど、支払ったことを証明する書類を添付しても差し支えありません。(この方法を活用する場合は、控えの写しを手元に残しておきましょう)国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料又は掛金の金額を証する書類を、確定申告書又は年末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要があります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除1年間に支払った国民年金について、社会保険料控除の適用を受けるためには、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要とは書かれておらず、保険料又は掛金の金額を証する書類と書かれています。なお、筆者自身も過去に社会保険料(国民年金保険料)控除証明書に代えて、国民年金を支払った際に受け取った控えを添付して控除の適用を受けたことがありますが、何ら問題はありませんでしたので、極度の心配をする必要はないでしょう。確定申告でも社会保険料控除は適用できる国民年金の控除証明書が、年末調整に間に合わない場合のほか、すでに年末調整が終わった後に社会保険料控除の適用ができることに気が付いた場合は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をすることで控除の適用も可能です。会社員や公務員といった普段から確定申告をしない方にとってみますと、確定申告をすることは、時間と手間がかかってしまい面倒だと思われるかもしれませんが、社会保険料控除は、支払った全額が所得控除の対象となるため、節税効果は高めです。ちなみに、確定申告で社会保険料控除の適用を受けますと、所得税の還付に加え、翌年、給料から天引きされる住民税の金額にも好影響を及ぼすことになるため、控除が適用できる場合は、率先して忘れずに手続きされることをおすすめします。国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になる国民年金を納めることによって、社会保険料控除の対象になることがわかりましたが、これは、あくまでも、実際に国民年金を納めた年の控除対象になるため、未納や免除期間分の国民年金は、社会保険料控除の対象外となります。たとえば、先の例で、国税太郎さんは、国税一郎さんが納めるべき平成30年の国民年金を実際に納めたからこそ、社会保険料控除の対象となっていることを意味しており、これが未納である場合や学生納付の特例を活用した免除申請を受けた場合は、社会保険料控除の対象外となるわけです。逆に言えば、平成29年分の国民年金が未納の状態であったものの、平成30年中に未納の国民年金を納めた場合は、平成30年中に支払った国民年金の全額について社会保険料控除の対象となることになります。同じく、免除申請を受けていた国民年金を実際に納めた場合も同様の取り扱いとなります。Q1生計を一にしている子供の国民年金保険料を過去3年分まとめて支払いましたが、その支払った全額を私の本年分の社会保険料控除の対象としてよいでしょうか。A1本年中に支払ったものであれば、過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。出典:国税庁No.1130 社会保険料控除国民年金は、未納や免除分も含めて、支払った年の社会保険料控除になるため、年末調整や確定申告で控除の適用を忘れないように心掛けておきたいものです。夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることも夫婦共働き世帯が多い現在において、夫婦のいずれかが自営業者で、もう一方は会社員や公務員といったケースも考えられます。仮に、このような場合で事業の所得(儲け)が少ない場合や赤字の場合は、会社員や公務員である方へ国民年金を支払った社会保険料控除を適用した方が、世帯にとって有利になる場合も十分に予測できます。仮に、このような特殊な事情がある場合は、一度、専門家を通じて再確認されてみるのをおすすめします。まとめ年末調整と国民年金の関係性を中心に解説を進めてきましたが、絶対に押さえておきたいポイントは、以下の通りです。1月1日から12月31日までの1年間に支払った国民年金は、社会保険料控除の対象支払った国民年金は、本人だけではなく、配偶者や子供など生計同一の方が負担するべきものであれば、年末調整や確定申告で控除が可能国民年金は、あくまでも納めた年の控除対象になるため、過去に未納や免除を受けたものを納めることで控除金額が増加し、納めるべき税金が少なくなる夫婦のいずれかが自営業者で、事業所得が少ない場合は節税になることもあるため、社会保険料控除の適用が適切か再確認する押さえておきたいポイントは、決して難しいものではありませんので、いま一度確認していただきまして、今後に活かしてもらえればと思います。
2018年12月28日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】老後に働くと年金は減らされるの?60歳以降に、会社員として厚生年金に加入して、年金をもらいながら働いていると、受け取れるはずの年金が一部減額されることがある。「60歳から65歳未満までは、給料と厚生年金を足した金額が月28万円以上、65歳以降は月46万円以上となる人が対象です」(山中さん)たとえば60歳で給料20万円、厚生年金の受給額が10万円で合計額が30万円の人の場合、28万円を超えた2万円の半分の1万円がカットされる。つまり厚生年金の受給額が、9万円に減額されてしまうのだ。働き損を防ぐには、月収を28万円以下に抑える必要がある。【Q】将来、物価が上がっても、年金だけで足りる?年金受給が一定の場合、物価が上がれば実質的な収入が減ってしまう。それを防ぐため、物価などの上昇に合わせ、本来は年金支給額を増加させるのだが……。「ところが、マクロ経済スライドというものがあります。年金制度を維持するため、物価が上昇しても、年金額の上昇を抑制するという制度です」(山中さん)’15年、過去に一度だけ発動されたとき、本来2.3%の予定だった年金の上昇が0.9%に抑制された。’19年にも発動される見通しだ。【Q】年金が破たんして、丸損にならない?「少なくとも年金制度がなくなることはないでしょう。ただし、現在検討されているように、受給開始年齢の70歳への引き上げや、支給額の減額ということはありえます。60歳から65歳に受給開始年齢を引き上げるのに約20年時間がかかっているので、現在50代くらいの人は、現行のシステムが適用されると思います」(拝野さん)もっと視野を広げるべきと言うのは、山中さんだ。「年金保険料を払えば、老後の年金の受給だけではなく、病気を負った場合の障害年金や死亡したときの遺族年金などの保障を受けることができます。つまり、保険の機能があるのです。“どうせ減額されるから、払わない”と考えるのは、大きな間違いです」
2018年12月07日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】夫と離婚しても、厚生年金はもらえるの?離婚の際、夫の年金を半分もらえると誤解している人は多い。「分割できるのは、国民年金に上乗せされる厚生年金だけ。しかも、請求できるのは婚姻期間分のみです」(山中さん)実際に、離婚後の女性がもらっている年金の平均額は月約8万円にすぎない。「しかも、離婚が成立して2年以内に分割の請求をしなければ、権利を失ってしまうので注意が必要です」(山中さん)【Q】夫と死別したら、年金は減ってしまうの?死別した夫が厚生年金を受給していれば、妻は遺族厚生年金として、受給額の75%を生涯もらえる。夫が在職中に亡くなっても、18歳以下の子どもがいる場合、高校卒業までは支給が。「年額77万9,300円と子1人あたり22万4,300円(3人目から7万4,800円)の遺族基礎年金に加え、夫が会社員などであれば、収入から推計した厚生年金の75%が支給されます」(拝野さん)
2018年12月07日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】もっともお得な繰下げ受給の方法は?年金受給開始年齢は原則65歳からだが、5年以内の範囲で、繰り上げ、繰り下げができる。「1カ月早めると、0.5%支給額が減額されます。60歳で受給開始すると65歳の場合と比べ、3割減となります。一方、繰り下げは1カ月遅らせると、0.7%の増額。最長の70歳まで待つと、本来の支給額より42%増に」(拝野さん)年金は個人のものなので、妻だけ年金の受給時期を変えることも可能。だが、早く小遣いが欲しいからと“繰り上げ”すると、長い目で見ると損となる。一方、必ずしも繰下げ受給=得ではない。「妻が年下の専業主婦で、夫が厚生年金を受給しているなどの場合、年間約39万円の加給年金が支給されます。妻が65歳になるまでもらえますが、夫の厚生年金受給が条件なので、繰り下げるともらえる期間が減ります。それを避けるため、厚生年金は65歳で、夫の基礎年金の部分だけを繰り下げるという方法も」(山中さん)【Q】夫は退職と就職を繰り返しているけど、年金はどうなるの?会社員として、厚生年金に入っていた期間が無駄になることはない。受給年齢になれば、基礎年金に、厚生年金を上乗せして受給することができる。ただし受給には手続きが必要なので、忘れずに。掛金を積み立て、社員がそれを運用して老後に受け取る「企業型確定拠出年金」に加入していた場合は、注意が必要だ。「退職後、それを忘れて手続きをしない人がいます。積み立てていたお金は国民年金基金連合会に預けられますが、そこに放置されたままのお金は1,500億円にもなるといわれています。年金事務所などで、年金支払い状況を確認しましょう」(拝野さん)
2018年12月06日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】専業主婦は何の年金に入っているの?「自営業や無職の人は第1号被保険者で、国民年金(基礎年金)に加入します。会社員は第2号被保険者。掛金の半分を企業が負担してくれるうえ、収入に応じて厚生年金が、国民年金に上乗せされます。会社員の夫をもつ専業主婦は、第3号被保険者です。掛金の負担がなく、国民年金をもらえます。主婦の方でも、パートなどで年収130万円以上となると、国民年金などの社会保険料を支払う義務が出てくるので、注意しましょう」(拝野さん)【Q】どうやったらもらえる年金が増えるの?「国民年金、厚生年金だけでは老後が心配という人は、公的年金に加入しながら、証券会社など金融機関で加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)で“上乗せ”をすることができます」(山中さん)拝野さんがiDeCoの利点を解説してくれた。「毎月、一定額の掛金(専業主婦の場合、月5000~2万3,000円の範囲内)を支払います。元本割れのない定期預金や国内株式の投資信託商品などの中から、あらかじめ決めておいた割合で、積み立てた掛金を運用することになります」積み立てた年金は60歳以降に受け取ることができるが、その際、退職所得控除や公的年金等控除を利用することができる。「さらに、通常、投資などの運用利益の20%が課税されますが、iDeCoでは非課税です。税制面でも、大きなメリットがあるといえます」(拝野さん)【Q】未納期間が長いけど、どれくらい減額される?国民年金は、加入期間は最大40年間。個人で支払うため、未納期間ができている人も多いはず。「1年間の未納があれば、将来もらえる基礎年金が、1カ月あたり1,620円、年間1万9,440円の減額。これが生涯続くことになります」(拝野さん)未納で減る年金の計算法は、1万9,440円/年(1,620円/月)×未納年数。だが、60歳から65歳も年金を払い続けることで、年金を増やせる「任意加入制度」がある。未納期間が長い人は検討しよう。【Q】掛金が払えなくなったら?「経済的に年金の支払いが困難な場合、“免除”が認められることがあります。所得や家族の有無で基準が変わりますが、全額免除が認められれば、保険料を払わなくても、全額払った場合の半分の年金を将来受給できます。半額免除の場合は75%です」(山中さん)滞納だけは避けたい。「老齢年金が減るばかりか、大病しても障害年金が下りなかったりする弊害も」(山中さん)
2018年12月06日年金の支給開始は65歳が原則だが、現在は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能に。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにする案が、今の国会で検討中だという。そのメリット、デメリットとは?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。10月23日、自民党の小泉進次郎議員が、「生産年齢人口」の見直しについて発言しました。生産年齢人口とは、生産活動ができる現役世代のことで、今は15~64歳とされています。小泉氏は「18~74歳にしたほうが現状とマッチする」と述べました。ですが、生産年齢はさまざまな統計に使われる指標です。むやみに変えると、以前のデータと比較できなくなります。私は、軽々しく変えるものではないと思います。こうした年齢に関する定義の変更が持ち出される背景には、年金問題があるからでしょう。ひっ迫する年金財政をなんとか改善したい国は、今の国会で、次の2点を検討したいようです。1点目は、年金の支給開始は65歳が原則ですが、今は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能です。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにすることです。年金を繰り下げるためには、高齢者も収入が必要です。そこで2点目。今は、60歳以降も働きたい会社員は、全員65歳まで働くことができます。これを70歳まで延長することです。1点目の年金繰り下げは、老後資金を増やすための選択肢として、メリットのある制度だと思います。受給を1カ月先延ばしするごとに0.7%ずつ年金額が増えますから、1年先延ばしすれば8.4%、現状では最高の70歳からの受給にすれば、42%アップです。たとえば、国民年金の満額を受給するAさんだと、65歳からの年金額は年約78万円(’18年度)ですが、70歳まで先延ばしすると、年約111万円に増えます。今後、この制度が70歳以降に広がり、仮に75歳まで10年間の繰り下げが可能になったとすると、Aさんは75歳から、84%アップで年約144万円受給できることになるかもしれません。ただし、75歳までは年金がもらえないので、87歳より長生きしないと損になります。年金の繰り下げには、デメリットもあります。まずは、健康寿命との関係です。介護を受けず自立した生活ができる健康寿命は、女性が74.79歳、男性は72.14歳です(’16年・厚生労働省)。年金を元気なうちにもらって、有意義に使いたいという方が多いのではないでしょうか。また、厚生年金などで年金額が多い方が繰り下げると、課税対象になることがあります。せっかく増額されても、税金のほか、社会保険料などの負担も増えるので、課税ラインには注意しましょう。さらに、70歳まで働けたとしても、給与は定年前の半額以下になる方がほとんどです。自分の収入と年金額、健康状態などを考えて、選択してください。私は、70歳以降の年金繰り下げを選べる方は、それほど多くないと思います。それでも国が検討するのは、その先に、年金受給そのものを、現行の65歳から68歳などへと引き上げたいもくろみがあるからでしょう。人生100年時代などの言葉にまどわされず、政府の動きを注視しておきたいものです。
2018年11月09日韓国の国民的コスメ「クッションファンデ」。2つの名作クッションファンデを比べて使用感をレビューします。クッションファンデ選びの参考にしてくださいね。アンニュイな魅力を放つ韓国人女性出典:byBirth韓国人女性のメイクやファッションは、どこかアンニュイな雰囲気が漂っていてかわいいですよね。特に光沢感のあるたまごのような陶器肌に憧れる方も多いのではないでしょうか。キムチやマッコリなど、美肌をつくる発酵食品を日常的に摂取しているため、ツヤとハリのある肌を保つことができます。そこにプラスしてカバー力の高いファンデを乗せるため、さらに陶器肌を極めることができているのです。韓国人の美肌をつくるクッションファンデの存在出典:byBirth韓国発祥の「クッションファンデーション」は、コンパクトの中にリキッドファンデが仕込まれたコスメです。下地やUVケア、うるおい成分などが含まれていることが多く、スキンケアのあとにこれ一つでベースメイクが完成することで時短コスメとしても話題を集めています。韓国は日本に比べて空気が乾燥しているので、保湿成分がしっかりと入っていることもうれしいポイントです。韓国のクッションファンデ2種を使い比べ!出典:byBirth同量のクッションファンデを左右でつけ比べてみました。今回は、韓国のコスメブランド「ミシャ」と「クリオ」の国民的クッションファンデを試してみて感じた、実際の使用感をレビューしていきます。1:CLIO出典:byBirthプチプラなのにとにかくカバー力がすごい!と韓国で人気のクッションファンデ「CLIO(クリオ)キルカバーファンウェアアンプルクッション」。3つのキルカバーシリーズの中では最もツヤがでるタイプです。精製水ではなくココナッツウォーターをベースに使用しているため、保湿力が高くなっています。第一印象パッケージは黒×ゴールドでいかつめ。フェミニンよりはクールなデザインのポーチに映えそう!明るい色から「ランジェリー」「リネン」「ジンジャー」「サンド」のベージュカラー4色値段はネットショップで税込み2,500円。セールや購入先によって変動しそう香りは、ミシャよりは強めだけど気にならない程度硬めのパフはファンデーションを吸い込みにくいので、ファンデーションが少量で済むし汚れにくい!使用感少量で全顔に使えるほどたっぷり出るので、気をつける必要があるほおに一度おさえた瞬間にぴったりフィット!ツヤというよりは、セミマット?コンシーラーいらずなほど、とにかくカバー力がある!ティッシュオフしても従来のクッションファンデのようにべったりつくことはない朝8:00にメイクをして、夜19:00になっても目立ったよれはない使用してみてほおのあたり、鼻まわりは乾燥を感じることも皮脂分泌の多い夏にぴったりのファンデーションだと感じた2:MISSHA出典:byBirth日本でも人気の高い「MISSHA(ミシャ)」のクッションファンデ「M クッション ファンデーション」。マットとモイスチャー(ツヤ)の2種類がありますが、今回はモイスチャーを使用していきます。もともと私はアトピーもちの乾燥肌で、夏でも皮がめくれることもあるので、しっとり感の強い「ミシャ」のツヤクッションはすでに何度かリピートしています。第一印象白×ゴールドのシンプルなパッケージ。どんなデザインのポーチにもなじみそう「明るい肌色」と「自然な肌色」の2色。自然な肌色でも色黒の私には少し明るかったですコスメショップにだいたい置いてある手軽さと、1,080円のプチプラがうれしい香りはほとんど気にならない程度パフは柔らかくてファンデーションを吸いやすく、減りが早い使用感ほおにのせるとツヤがでて光沢肌になる!カバー力は少なめ。一度でカバーできない箇所には重ね塗りする必要があるティッシュオフするとファンデーションが結構ついて、顔にのせているファンデーションも崩れる朝8:00にメイクをして、14:00のランチには結構よれている。昼休みに上から重ねて化粧直しをして、夜の19:00にはまたよれている使用してみて冬に使用したときは鼻まわりの皮のめくれが目立ってしまうこともあった皮脂分泌の多い方や、逆に乾燥しすぎる方にはむいていないかも付属のパフではなく濡らして使用するスポンジ「ビューティーブレンダー」で付けたところ、ぴったりと肌に密着してメイク崩れも少なく、ファンデーションの減り方もゆるやかだった「ミシャ」から、よりカバー力に優れた「プロカバー(1,500円)」も登場しています。カバー力が欲しい方はそちらを試した方がいいかも結論!どっちも捨てがたい!出典:byBirth2つの韓国の国民的クッションファンデには、それぞれうれしいポイントがあります。ミシャは「乾燥肌~普通肌で気軽に陶器肌を手に入れたい人」向け、クリオは「オールスキンOKでとにかくカバー力のあるベルベットマット肌を手に入れたい人」向けだと感じました。すっぴん風の薄付きファンデをしたいシーンではミシャ、長時間化粧直しをできないシーンではクリオが活躍しそう。あくまでも個人の感想なので、実際にタッチアップしてから購入することを強くおすすめしますが、購入に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
2018年09月20日「iDeCoは、もともと’01年にスタートした制度ですが、’17年1月から公務員や専業主婦まで加入対象者が広がり、誰でも入れる個人年金に。加入者は毎月、コンスタントに約3万人ずつ増え、’18年6月時点では94万人ですので、現在では100万人を突破しているでしょう」そう語るのは、確定拠出年金アナリストの大江加代さん。自営業ばかりでなく会社員であっても、かつてのような十分な企業年金は期待できないいま。老後資金のため、個人型確定拠出年金iDeCoを始めている人が増えてきているという。50代にさしかかり、“年金をいまから作るなんて、無理かも”……と諦めている人も多いだろう。それでも、いまからiDeCoをはじめることにメリットはあるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに解説してもらった。「iDeCoは、扱う金融機関が用意する投資信託などを、毎月定額で購入し、運用するかたち。最終的に積み立てたお金を、60歳以降に年金や一時金として受け取るしくみです」(風呂内さん)証券会社で投資信託を購入するケースとは違い、iDeCoの場合は「拠出金は全額所得控除の対象」「利益も非課税」という大きなメリットがある。こうしたメリットを踏まえ、iDeCoを始めるのにいちばんお得な年齢や職業を見ていこう。■開始目安の分岐点は45歳だが、50代以降でも意味はある!60歳以降に給付となるiDeCo。“開始目安の分岐点”となる年齢は45歳だと風呂内さんは語る。「45歳を超えると、いよいよ老後の資金作りが大事になってきます。残っている教育費などのめどをつけ、iDeCoを積極的に検討したいところ。減税効果を得るためにも、可能な限り積み立てることを目指しましょう」(風呂内さん)では、加入期間10年を満たせない50代以降は始めてもメリットはないのだろうか。「そんなことはありません。支払った分の年金が作れますし、減税効果も得られます。ただし、受給開始年齢が遅れますので、慎重な判断が必要です。たとえば加入期間が4年以上6年未満の場合は63歳、1カ月以上2年未満の場合は65歳からとなり、60歳以降も各金融機関によって定められている手数料が差し引かれるので、注意してください」(風呂内さん)■収入に合わせた無理のない「拠出金」設定を!「拠出金の最低額は月5,000円で、1,000円単位で上乗せできますが、会社員や専業主婦など立場によって上限額が変わります。もっともメリットを期待できるのは自営業・フリーランスの人で、上限額は6万8,000円です」(風呂内さん)実際にiDeCoを始めた50代の女性自営業者はこう語る。「将来、自分のやりたい仕事の資格を得るために、30代後半で留学したり専門学校に通っていたら、貯金がゼロになって。株の運用に関してはまったくの素人ですが、iDeCoだと、毎月定額で積み立てられるのでありがたいです。利益も出ている状態ですが、自営業者として確定申告の際、減税効果を非常に感じています」拠出額は、年に1度変更することができるが、原則、加入期間は10年以上、さらに60歳になるまで受給できないので、計画的に拠出額を算出することが大事だ。
2018年09月05日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんに、夫との死別における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:死別】受け取れるはずだった未受給の年金は必ず請求を!夫が70歳に繰り下げて年金を受け取るつもりだったのに、待機中の69歳で死亡してしまったとする。この場合、「65歳からもらえるはずだったぶんの年金を請求できる」と加谷さんは話す。「4年間分の夫の年金は『未支給年金』となりますので、妻が年金機構に申請すれば、さかのぼって受給することが可能です。さかのぼれるのは、年金受給日の翌月初日から起算して5年間。たとえば69歳10カ月で夫が亡くなった場合、あと2カ月で時効になってしまうケースも出てきますので、急がなければなりません。また、未支給年金を妻が受け取る場合は相続財産ではなく、一時所得となりますので、50万円を超える場合は確定申告が必要です。50万円を超える部分の2分の1の金額が、課税対象となります」
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫の定年や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんとファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、そのような「老後の不安ケース」ごとに、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:夫の定年、再就職】“在職中の年金”、その減額のボーダーラインを把握しておこう!「年金の支給開始年齢に達していれば、再就職をしても年金は受け取ることができますが、一定以上の収入があった場合、年金受給額は減額されます」(加谷さん)夫が定年後の65歳でも、家計のために再雇用や再就職を選択する家庭も多いだろう。その場合、年金月額と給料を合わせて46万円を超えると、年金が減額されることに。「超えた分の2分の1が、年金支給額から減額されることになります。年金月額が25万円+再就職先からの給料が25万円だとすると計50万円ですので、4万円が超過分となり、2分の1の2万円が減額されることになります」(加谷さん)年金とは別に夫の収入を確保するためには、「46万円の壁」があるといってもいいだろう。【ケース:親の介護】介護費用を「前倒し受給」でまかなうのは×。数々の年金を失う場合も!「夫が定年、夫婦とも無職だが、老いた両親の介護により家計が苦しくなってくる人もいます。しかし、生活が苦しいとしても、『前倒し受給』はデメリットが大きいのであまりおススメしません。繰り上げると実際より前に65歳になったと仮定されますので、もしも65歳までのあいだに事故や病気などで障害を負っても、障害年金の請求もできなくなるんです」(中村さん)妻が前倒しで年金を受給していた場合、夫が死んだときに給付される遺族年金等も不利になることがある。ライフイベントごとで、「受け取れるはずだった年金」が受け取れなくなってしまうのはあまりにもったいない。賢く制度を利用して、“人生の危機”に備えよう。
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこでファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、夫との離婚における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:離婚】「年金分割」はマスト!できれば自分の「厚生年金」を確保しよう25歳で結婚し、婚姻期間は25年間、その間の夫の平均年収が400万円だった場合について、中村さんが解説する。「貯蓄も、離婚時に折半する共有財産も多くないかもしれませんので、『年金分割』を考えるはずです。年金分割とは、婚姻期間の夫の全報酬から割り出される年金額の『最大2分の1』を妻が65歳から受け取れる制度です。このケースで試算しますと、年額27万円ほどが受け取れる額です。これに国民年金の年額約77万円を足しても、100万円ちょっとですので、これだけで暮らしていくのは難しいでしょうね」では、60歳になるまで待って離婚した場合、分割の額はどれだけ増えるのだろう?「夫の60歳までの10年間の平均年収が600万円だったとすると、年額約43万円になりますので、10年我慢して増えるのは年額15.6万円ほどです」まだまだ老後のための額としては心もとない……。そこで中村さんが提案するのが50歳で離婚してからの就職だ。「月収20万円、手取り14万円の会社に就職して60歳で退職した場合は、年額168万円以上の収入があります。さらに自身でも厚生年金を10年間納めることになりますから、65歳からの厚生年金受給額は年額約12万円。こちらのほうが前向きとも言えますね」就職によって得た厚生年金年額は12万円。10年間働いた年収の総額は約1,700万円になる。
2018年08月22日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態——この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」厚生年金、国民年金の受給年齢を繰り上げた「前倒し」受給は果たして正しい手段なのか、加谷さんに解説してもらおう。「前倒しの場合は、支給額は減りますが、早く受給できる。反対に、後ろ倒しの場合は、額が増えますが、死亡するまでに受給できる年数は減るんです」加谷さんの試算をもとに、厚生年金、国民年金における、「60歳前倒し」と「70歳後ろ倒し」の場合の、死亡年齢(60〜100歳の範囲として)までの「生涯受給額」を折れ線グラフで表し比較してみた。真ん中を通る「現行65歳」の線を軸に比較すると、まず前倒しの場合は76歳時点で同額となり、以降は年ごとに減っていく。「後ろ倒し受給を選択したとすると、81歳まで生きれば、本来の65歳で受け取る額より多くもらえます。しかし、人はいつ自分が死ぬのかわからない、ということを念頭に置く必要があるでしょう」一方、「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。この制度を利用できなくなるのだ。また前倒し受給には次のデメリットも。【1】夫が前倒し受給した場合、実際より前に65歳になったと仮定されるので、65歳までのあいだに事故や病気で障害を負っても、「障害年金」の請求ができなくなる(障害年金は障害の度合いによって支給額がかわる)。【2】夫が定年後の65歳で復職する場合、年金の支給停止期間中は厚生、国民どちらかの年金がもらえない。【3】妻が前倒し受給した場合、夫が自営業で死別した場合に支給される「寡婦年金」ももらえなくなる。前倒し、後ろ倒しそれぞれの受給方法はメリット、デメリットがはっきり存在しているので、しっかりと把握しておきたい。
2018年08月22日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…Upload By 立石美津子障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。参考:日本年金機構小児科・児童精神科には年齢制限がある出典 : 私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。主治医探しの旅へ出典 : 現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…出典 : 障害基礎年金の申請支援までして引き継いでもらうことができたら…小児科で診られる年齢と、年金申請までの期間があることなどによって、このような問題が出てきてしまいます。せめて、小児科・児童精神科医が、患者の状態を要約して書面にして成人期の病院へ引き継いでくれたら、精神科医も対応しやすくなると思います。「障害のある人が月に6.5万円(※)を稼ぐことはとても大変です。障害基礎年金があることで、無理なく働くことができるのです」と、知人の社会保険労務士は言います。私もそう思います。ライフラインともいえる障害基礎年金の申請がままならない、制度のはざまでもがく、わが家のような家族はたくさんいると思います。障害基礎年金の申請にも関わる社会の仕組みが、改善されてほしいと強く願っています。そしてまた、わが家のように路頭に迷わないよう、発達障害のある子どもを育てている保護者のみなさんには、中学生になるぐらいから、成人期を見据えた主治医探しをはじめておいてほしいとも思います。(※)「障害基礎年金」年額より算出。障害基礎年金は1級で年額974,125円、2級で779,300円(2018年度)
2018年05月26日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日「今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 こう語るのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう」 もし、支給開始がほんとうに引き上げられたら……。いずれ来るものならば、その対策はしておかなければならないはず。そこで、知っておきたい「年金対策術」を考えてみたい。 【1】「年金納め忘れ」していないか確認を! 「転職活動をしていたり、年金手続きをいい加減に行っていた“ブラック企業”に勤めていたりすると年金を納め忘れている可能性があります」(加谷さん) しっかりと自分が年金を納め続けているか、それを確認できるのが自宅に届く「ねんきん定期便」だ。ファイナンシャルプランナーで「元気が出るお金の相談所」所長の安田まゆみさんが解説する。 「国民年金も厚生年金も、加入記録や年金の見込み額が記載されたはがき『ねんきん定期便』が毎年の誕生月に日本年金機構から送られてきます。誤配送されていて何年も届いていなかった方で、じつは納め漏れがあったというケースもありますから、毎年キチンと受け取っているかは確認しましょう」 この「ねんきん定期便」、見方がわからなければ年金機構に電話すると教えてくれるが、「時間があれば年金機構の窓口を訪ねるのがいい」と安田さんは話す。 「もし納め漏れがあった場合、5年間さかのぼって納められる後納制度がありますが、今年の9月いっぱいで打ち切られてしまいます。でも、それまでに全部納めようとすると多額になってしまう場合もありますね。そんな場合には、60歳から70歳までも納められる『国民年金の任意加入制度』があります。これも年金機構に問い合わせてみるといいでしょう」 年金の納付状態は、年金機構のホームページ「ねんきんネット」でも確認することができる。利用するには年金手帳に記載されている「基礎年金番号」が必要なので、年金手帳も定期便といっしょにわかりやすい場所に保管しておこう。 【2】「前倒し」「後ろ倒し」受給は使うべき? 現行では、支給開始年齢は65歳。しかし、60歳から前倒して受給できることが可能だ。「早く年金が欲しい!」と手を出してしまいそうになるが……。 「たとえば60歳から受給すると、65歳から受け取れる額の30%減となってしまいます。そして、その減額率は亡くなるまで変わらないんです。逆に、1年後ろ倒しするごとに、受給できる比率は上がっていきます。でも、どんどん年を重ねていくわけですから、亡くなってしまう日が確実に近づいていく。受給前に死亡してしまえば、年金は受給額ゼロなんです。この制度は、特別な事情がない限り、手を出す必要はないでしょうね」(加谷さん) 【3】やはり「生涯労働」は考えておこう 「年金受給引き上げも含め、安倍政権が“一億総活躍社会”を掲げてもくろんでいるのは、国民の『生涯労働』だというのは明白です。高齢者の雇用としては、介護、接客、サービス業、メンテナンスなどの軽作業を伴う労働などが考えられます。元気な限り働き続けることは考えておくべきでしょう」(加谷さん) 【4】いまや資産運用は「マスト」です! 安田さんは、老後の資産難への対策として「投資はマスト」と語る。 「投資などの資産運用は、バリバリ働ける50歳ごろまでには始めたほうがいいですね。月5万円貯金できるとすれば、そのうち1万円をiDECO(個人型確定拠出年金)のような、所得控除の対象となるものや、つみたてNISA(非課税の小額投資)など、毎月コツコツと分散投資できるものから始めるのがいいと思います。65歳までの15年も続けていれば、そのときどきで投資資産の増減はあるにしても、長期による積立投資で資産全体が増える可能性は大いにあります。しかし、投資はキチンと勉強してから。いろんな金融機関で勉強会が開かれていますが、いつのまにか高い商品を買わされてしまうという例もあります。金融機関がついていないNPO『確定拠出年金教育協会』などの団体の運営サイトをのぞいてみることから始めるのもいいでしょう」 理不尽な国策でも、自分の身は自分で守らなければいけない時代。しっかりと対策を立てて損はないだろう。
2018年05月04日