日米合作、リリー・フランキー15年ぶりの単独主演作『シェル・コレクター』が、現地時間21日(木)、アメリカにて開催されている「第10回JAPAN CUTS ~ジャパン・カッツ!」で上映。そしてリリーさんが、日本映画界に貢献している監督や俳優の功績をたたえる「CUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Film」を受賞したことが分かった。本作は、ピューリッツァー賞受賞作家アンソニー・ドーアの同名小説を原作に、ニューヨークでも活躍してきた坪田義史監督が、舞台を沖縄に置き換えオール沖縄ロケで撮影。厭世的生活を送る主人公、盲目の貝類学者役のリリーさんをはじめ、寺島しのぶ、橋本愛、池松壮亮といった豪華共演者が脇を固めている。今回行われた「JAPAN CUTS ~ジャパン・カッツ!」は、アメリカ・ニューヨーク・ジャパン・ソサエティーで開催される北米最大規模の日本映画祭。10回目を迎える今年は、『シェル・コレクター』をはじめ、29本の長編と21本の短編が英語字幕付きで上映された。今回リリーさんが受賞した「CUT ABOVE」賞は、4年前から日本映画界に貢献している監督や俳優の功績をたたえる賞で、昨年は『百円の恋』に出演した安藤サクラも受賞している。リリーさんは今回の受賞に「僕は幼い頃から、アメリカで生まれた映画、ロックンロール、自由に影響を受け育ったおじさんです。その憧れの国、アメリカで、文化の最先端ニューヨークで作品が公開され、このような賞を頂いたことを光栄に思い誇りに思います」と喜びのコメントを寄せていた。今年2月に日本で公開されると、アーティスティックな映像とキャストの演技が唯一無二の個性を放つ話題作として注目を集めた本作。今回が待望のアメリカ凱旋上映ということもあり、上映前から高い関心を集め会場は満席に。舞台挨拶では、リリーさんが「園子温監督に代わって駆けつけました」と直前に欠席が伝えられた園監督にちなんでマイペースに挨拶し、客席は笑いに包まれた。また、坪田監督は米文学の原作を映画化したことについて「僕のフィルターを通してアンソニー・ドーアさんの静謐な小説が映画になっていく、自分を通してインプットしたものをミックスする作業に興奮した」と語り、改めて日米合作の手ごたえをかみ締めていたようだ。さらに、本作の映画音楽を担当したメデスキ、マーティン・アンド・ウッドのビリー・マーティン、NYと京都を往復して活躍している劇中絵画を手掛けた下條ユリ、ジム・ジャームッシュ作品のプロデューサーとして知られ本作では出演も果たしているジム・スタークも北米プレミアである本上映に駆けつけていた。上映後にはアフターパーティとしてビリー・マーティンによるライブが行なわれ、観客とリリーさん、監督も交流を楽しむなど、日本と世界の一流クリエイターが集う上映となっていた。『シェル・コレクター』は9月2日(金)よりBlu-ray&DVD発売開始※DVDレンタル同時開始。(cinemacafe.net)
2016年07月22日今秋で38回目を迎える映画祭“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”で、ベルリン映画祭と香港映画祭との共同企画による特集上映“8ミリ・マッドネス!!~自主映画パンク時代~”が開催されることが決定した。本特集では“PUNK”というキーワードでセレクトされた11本の8ミリ映画が2Kでスクリーンに甦る。その他の写真1960年代から90年代初頭まで、日本映画史に燦然と輝く8ミリフィルムによる長編映画制作。日本だけに巻き起こったこの熱い映画塊を、PFFでは繰り返し紹介してきたが、その企画が海を越え、今年の2月には第66回ベルリン映画祭、3月には第40回香港映画祭で上映された。加えて台湾、中国、フランス、メキシコ、スペインの映画祭からも上映オファーが届くなど、さらに上映の機会が広がる模様だ。上映作品には、『蜜のあわれ』の石井聰亙(岳龍)監督の『1/880000の孤独』や、『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』の園子温監督の『俺は園子温だ!』と『男の花道』、『ロボジー』の矢口史靖監督の『雨女』、『鉄男』『野火』の塚本晋也監督の『電柱小僧の冒険』など、日本映画を代表する監督たちの原点とも言える、情熱と意欲に溢れた作品が揃う。ビデオがなかった1932年に家庭用の記録機器として生まれ、1960年代から80年代にかけてピークを迎えた、8ミリフィルムを使うムービーカメラ。映画監督への夢を持った若者たちが一巻10分に満たない8ミリフィルムを使って作った、映画の常識をぶち壊すような伝説のパンク映画をこの機会に体験してみてはいかがだろう。第38回PFFぴあフィルムフェスティバル9月10日(土)から23日(金)まで東京国立近代美術館フィルムセンターで開催(月曜休館)※“8ミリ・マッドネス!!~自主映画パンク時代~”は英語字幕付き上映
2016年07月04日宮藤官九郎が完全オリジナルで臨む待望の監督・脚本最新作『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』。本作の舞台となる“地獄”で、最も「原型が分からない」「素顔を想像できない」ほどに豹変している、“赤鬼”邪子を演じる清野菜名のギャップに注目した。不慮の事故で17歳にして命を失った高校生・大助(神木隆之介)を待ち受けていたのは、まさかの“地獄”!たいして悪いこともしてないのに、大好きなひろ美ちゃん(森川葵)とキスもしていないのに、このまま死ぬには早すぎる!地獄でロックバンドを率いる赤鬼キラーK(長瀬智也)と出会った大助は、彼から地獄のしくみを学び、ひろ美ちゃんとキスをするために現世へのよみがえりを目指して大奮闘する!?そんな本作で清野さんが挑むのは、なんと赤鬼役。真っ赤な顔面、ヘヴィーメタル風メイク、おでこには生えかけの角…。90分がかりの特殊メイクを施された彼女は、もとの面影は一切見られないほどの変身っぷりだ。清野さんといえば、園子温監督の『TOKYO TRIBE』、金子修介監督の『少女は異世界で戦った』、押井守監督の『東京無国籍少女』とビッグネームに愛され、さらには映画のみならず、「RIP SLYME」の最新曲「POPCORN NANCY」にも出演するなど、これまで数多くの作品に出演し活動の幅を広げてきた。しかし、もともとはローティーン向けのファッション誌でモデル活動をしていたという経歴を持っており、自身のInstagramでは私服や私物など、オシャレ好きの女子の目に留まる写真だけでなく、キレッキレなアクションからは結びつかないような可愛らしいオフショットが満載。Instagramのフォロワー数は18万人と急上昇中。また、野村周平と共演したCMでは、“Softbankの美女”としてもネットで話題に。そして、『呪怨』清水崇監督のもとでホラー映画初挑戦となった主演作『雨女』が、現在公開されている。本作では、そんな素の彼女から醸し出される、ほんわかした雰囲気からは似ても似つかないほどに変貌を遂げた清野さん。長瀬さん演じる赤鬼・キラーK率いる「地獄図」のベース担当という役どころで、これまでの彼女とはまったく結びつかない姿を見ることができる。今回、ベースは人生初挑戦だったという清野さん。撮影初日、音が出ず絶望からのスタートだったと明かしていたものの、先日は長瀬さんや神木さん、桐谷健太とともに「地獄図」メンバーとして「メトロック」に参戦、「ミュージックステーション」にも出演することが分かっている。劇中では、敵対するじゅんこ(皆川猿時)率いるガールズバンド「デビルハラスメント」のベーシスト、鬼姫(清)とのベース対決も必見だ。吉高由里子、満島ひかり、二階堂ふみに続く、“園組”出身者の清野さんのブレイクに注目していて。『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は6月25日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ 2016年6月25日より全国にて公開(C) 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. /KDDI CORPORATION / GYAO Corporation
2016年06月18日近年ではダンサーとしてのみならず、ミュージカルやストレートプレイと幅広く活躍している大野幸人が今月、solo act+dance『Angel』に出演する。作・演出は、オフオフ・ブロードウェイの国際演劇祭にて、最優秀ミュージカル作品賞をはじめ4部門を受賞し話題となった『Color of Life』を手掛けた石丸さち子。「Angel」チケット情報はこちら「僕にとって踊ることって、“踊り”じゃないんですよね。表現のつもりもない。自然なこと、なんです」と話す大野。たしかにその軽やかなダンスは、英国の鬼才マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』や、ミュージカルファンを熱狂させた『CHESS THE MUSICAL』など、名だたる作品で鮮烈な印象を残す。だが「10代の頃は、踊りだけをやっていればいいかな…って思っていたのですが、演じている役者さんを見ているうちに、自然とほかの表現にも興味を持ち始めました」と今の素直な気持ちを語る。そして今回はダンス公演というより“ひとり芝居”への挑戦だ。石丸が書き下ろした大野のセリフは、なんと60ページ以上という大ボリューム。石丸は「彼が踊っているのを見たら、たくさんの言葉が彼の中にあるのを感じました。このダンスの底には、ハートや、筋肉に指令を出している内面がある。それがそのまま声になったら、とても素敵な武器になる」と、大野の新たな表現に期待を寄せる。その石丸が大野の姿からインスピレーションを受け、作り上げたのは、かつてアイドルと呼ばれながら世間から姿を消し、“新しい世界”と呼ぶ場所に閉じこもる青年の物語。シノプシスを読むとロマンチックだが「すごく虚構性が強く、園子温さんの映画のような、ちょっと残酷な事件も起こります」(石丸)、「けっこうショッキングな話。これをおとぎ話と思う人も、すごくリアルな話だと思う人も、両方いると思います。僕は閉じこもっている主人公が、すごく愛おしい。感じるままに受け取っていただければ」(大野)。かつてないほど舞台上で喋り、「未知との遭遇です、ダンスは身体が疲れるけど、今回は頭が疲れます」と苦笑する大野だが、「でも、稽古も恐れないで飛び込んでくれている。(心の中に)壁や、躊躇する気持ちがないのがいいよね。何より彼が楽しそうなのが嬉しい」と石丸。「たぶん、僕のダンスをいつも観てくださっている方はビックリするんじゃないかな」(大野)、「ビックリしたあと、新たな大野幸人に、この1時間半の舞台の中で再び出会ってもらえると思います」(石丸)。新しい大野に出会える舞台は、まもなくだ。公演は6月24日(金)から26日(日)まで、東京・ニッポン放送イマジン・スタジオにて。チケットは発売中。(取材・文:平野祥恵)
2016年06月16日成海璃子、池松壮亮、斎藤工を迎え贈る現在公開中の映画『無伴奏』。この度、本作がニューヨークで開催される「第10回JAPAN CUTS」にて正式出品されることが決定した。1969年、日本中で学生たちが学生運動を起こす混沌とした時代。女子高校生の響子(成海璃子)は、同級生のレイコやジュリーとともに時代に流されて制服廃止闘争委員会を結成し、学園闘争を行っていた。レイコに連れられ、初めてクラシック音楽の流れる喫茶店「無伴奏」へ足を運ぶ響子。そこで偶然にも渉(池松壮亮)、祐之介(斎藤工)、エマ(遠藤新菜)と出会う。ある日、大学での集会で怪我をして自分の甘さを痛感し、学生運動から離れた響子は、逃げ込んだ「無伴奏」で、渉たちと再会。響子は、渉に逢うたびに強く惹かれていった。時に嫉妬や不安に駆られ、それでも熱い想いを渉に傾けていく。だが、いつしか見えない糸が絡み始め、どうすることもできない衝撃に包まれていく…。原作は、直木賞受賞作家・小池真理子の半自叙伝的同名小説。キャストには、主人公・響子役の成海さん、響子がのめり込む恋の相手・渉役の池松さん、渉の友人・祐之介役の斎藤さんといった人気の俳優陣をメインに、遠藤新菜、藤田朋子、光石研らが脇を固めている。すでに本作は「第39回ヨーテボリ国際映画祭」や「第17回全州国際映画祭」に正式出品され、世界からも注目を集めている。そんな中今回正式出品が決定した「JAPAN CUTS」は、北米最大の現代日本映画の映画祭で、ウォールストリートジャーナル紙から「ニューヨークで一番の日本映画のイベント」、Time Out New York誌から「その文化に特化した権威、そのラインアップの質に勝る映画祭はこの世に他にない」と評されている。10回を迎える今年は、7月14日~7月24日の期間で開催される。今回の決定を受け本作の監督を務めた矢崎仁司は、「ニューヨークの観客に私の新作を届けられて嬉しいです。思えば初めてのニューヨークで処女作『風たちの午後』を、女性のセクシュアリティーの描写がシャンタル・アッカーマンやマルグリット・デュラスに匹敵すると評価して頂いたことが、いまの私の作品を作る力になっていると思います。だから、大好きな映画祭のひとつのJAPAN CUTSで『無伴奏』を上映できることは、私にとって特別な意味があります」と喜びを語っている。矢崎監督は、中谷美紀出演の『スイートリトルライズ』で、「第4回JAPAN CUTS」クロージングフィルムとして上映され、Q&Aを行ったが、今年はプロデューサーが訪米予定だという。そして「JAPAN CUTS」プログラミングチームのJoel Neville Andersonは「新しい日本映画の祭典、JAPAN CUTSの10周年記念の正式出品作に矢崎仁司監督の『無伴奏』も加えることができ、大変嬉しいです。政治的信条と性のアイデンティティーについてのこの素晴らしい物語をニューヨークの観客と分かち合うのが待ちきれません」とコメントを寄せた。なお本映画祭には、『恋人たち』(監督:橋口亮輔)、『シェル・コレクター』(監督:坪田義史)、『ラブ&ピース』(監督:園子温)、PFFアワード2015グランプリ作品の『あるみち』(監督:杉本大地)などが正式出品されている。『無伴奏』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)
2016年06月07日アーティスト、俳優、文化人、アスリートなど著名人2人が登場し、お互いの人生の節目で出逢った“大切な歌”を10曲持ち寄り対談する番組「ミュージック・ポートレイト」の5月26日(木)と6月2日(木)放送回に、映画監督の園子温と女優の二階堂ふみが出演する。同番組は2011年からスタート。今までに槇原敬之と美輪明宏、松田聖子と藤井隆、常盤貴子と「DREAMS COME TRUE」中村正人、吉永小百合と坂本龍一、宮沢りえと野田秀樹、小室哲哉と浦沢直樹、DAIGOと「ゴールデンボンバー」鬼龍院翔などといったジャンルやフィールドを超えた共演を実現させ話題を呼んできた。この春からスタートしたSEASON6では初回と第2回に西川貴教と高橋みなみが登場。その後友近と鈴木おさむ、妻夫木聡と満島ひかりが出演し、そして今回の園監督と二階堂さんで4組目の対談となる。中学2年生で『JAWS』に魅せられ映画の道に進むと『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など注目作を世に送り出し、その後は二階堂さんをヒロインに起用した2012年公開『ヒミズ』や『地獄でなぜ悪い』をはじめ、ワイルドな世界観の『TOKYO TRIBE』や『新宿スワン』からコメディテイストの『みんな!エスパーだよ!』シリーズなど立て続けにヒット作を生み出し続けている園監督。全国公開中の最新作『ひそひそ星』も各界から絶賛を浴びている園監督だが、ビートルズに影響され始めたバンド活動や詩の創作など音楽でもその才能を発揮していた。自主製作映画に傾倒した大学時代や、なかなかチャンスに恵まれなかった若手監督時代などをふり返り、その波乱に満ちた人生に寄り添った音楽について語る。一方、4歳の時に観た『アルマゲドン』が原点の作品だという二階堂さんは、小6でスカウトされモデルデビュー。その後女優へと活躍の場を広げてきた。園監督の『ヒミズ』で第68回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞するなど世界的注目を浴びると、『ほとりの朔子』や『私の男』『蜜のあわれ』など数々の作品で主演果たす。主演最新作『オオカミ少女と黒王子』の公開を5月28日(土)に控え、着実に女優としての階段を駆け上がってきたかにみえる二階堂さんにも、知られざる苦悩の日々があったという。思春期の衝動を代弁してくれたセックス・ピストルズの「No Fun」や壮絶な撮影を乗り切る勇気をもらったデヴィッド・ボウイの「Changes」など、二階堂さんの心に寄り添った大切な10曲を番組で明かしてくれる。『ヒミズ』と『地獄でなぜ悪い』で演出家と俳優としてともに作品を作り上げた2人。親子ほど歳の差がありながらお互い映画に魅せられた両者を支えた大切な音楽にまつわるトークを存分に楽しめる「ミュージック・ポートレイト」は5月26日(木)22時~第1夜、6月2日(木)22時~第2夜がNHK・Eテレで放送される。(笠緒)
2016年05月26日園子温監督が設立したシオンプロダクションの第1作目『ひそひそ星』と、大島新監督が園監督を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』が現在公開中で、トークイベントがシネマカリテで連日開催されている。そこで園監督を直撃し、20代の時に手掛けたオリジナル脚本を映画化した『ひそひそ星』について、あふれる思いを聞いた。その他の画像『ひそひそ星』は、静謐なモノクロームの映像で綴ったSF作品。宇宙宅配便の配達員をするアンドロイド(神楽坂恵)が、宇宙船で、人間たちの思い出の品を配送していく。福島県の富岡町・南相馬市・浪江町でロケを敢行した。本作を自主制作の映画として撮った理由について園監督は「商業映画として撮るには、特に困難な映画だったから。『地獄でなぜ悪い』(13)や『ラブ&ピース』(15)は、いつか映画化できるかなと思っていたけど、『ひそひそ星』は、無理かなと思っていた」と述懐する。実際に制作が決まった時も、園監督自身、半信半疑だったようだ。「それは初恋の人の思い出みたいなもの。もう1回会いたいかと言えばどうなのかと。僕にとって『ひそひそ星』はジョーカーというか、最後の切り札みたいなもので。作らないことでモチベーションを保っていた。でも作っちゃったから、今は憑きものが落ちたみたいになってしまった。またゼロから映画を作っていきたい」。さらに「これで、ネクストステージに入った。日本で撮るものについては、慎重に撮っていきたい。そして、次は海外で撮りたい。その理由は、制作費が違うから」と今後の展望を述べる。その一方で、自主映画については「他ではひっかからない映画を撮っていきたい」と宣言。また、今後オリジナルのものしか撮らないと宣言した園監督だが「原作ものは、どうしてもやりたいと思えるものがあれば、やりたくなるかもしれない」と語った。この日のトークショーに登壇した水道橋博士は、『ひそひそ星』について「園子温監督のキャリアの中で、1000年という時を超えた時、この1本となっているかも。園監督は元々詩人で、その適性が生きている」と絶賛。また、『園子温という生きもの』の回では、大島新監督も交え、園監督のプライベートな素顔についてのクロストークで会場を沸かせた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』公開中取材・文・写真:山崎伸子
2016年05月25日5月28日(土)より全国公開される『オオカミ少女と黒王子』でW主演を務める山崎賢人と二階堂ふみが、22日(日)今夜放送の日本テレビ系法律バラエティ「行列のできる法律相談所」にゲスト出演。“思わず泣いてしまった”出来事を明かしてくれる。今夜は「“あの時だけは泣きました”スペシャル」と題し、ゲストが過去の“涙”エピソードをトークする。「ニコラ」の専属モデルなどモデルから活動を開始、2011年に『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』で映画初主演を果たすとその後は園子温監督の『ヒミズ』をはじめ『ほとりの朔子』や『この国の空』『蜜のあわれ』と主演作が立て続けに公開。今や若手女優の筆頭となった二階堂さんが、映画初めて出演した際のエピソードを披露する。役所広司監督による『ガマの油』で映画デビューを飾ったという二階堂さんは、当時は緊張のあまりうまく演技できていなかったという。そんなとき技術スタッフからかけられた一言でリラックスできその後の撮影に臨め、女優として初めて演技で涙を流したという。また、2010年にドラマで俳優デビューし2011年には『管制塔』で映画初主演を果たし、『今日、恋をはじめます』や『L・DK』に『ヒロイン失格』『orange -オレンジ-』と、胸キュンラブストーリーに続々主演。武井咲や剛力彩芽、桐谷美玲、土屋太鳳ら人気若手女優と共演してきた今、最も“旬”なイケメンのひとりである山崎さんも自身が“涙”したエピソードを語ってくれる。番組ではそのほかにも湯山玲子や西川貴教、高橋真麻らがゲスト出演。それぞれの“思わず泣いてしまった”というエピソードをトークする。今夜番組にゲスト出演した二階堂さんと山崎さんがW主演する『オオカミ少女と黒王子』は「別冊マーガレット」(集英社)連載中の八田鮎子による人気同名コミックを映画化。二階堂さん演じる見栄っ張りの“オオカミ少女”篠原エリカと、見た目は王子だが中身は超ドSな“黒王子”の同級生・恭也のドキドキなラブストーリーが描かれる。「行列のできる法律相談所」は22日(日)21時~放送。(笠緒)
2016年05月22日2015年には『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画 みんな!エスパーだよ!』と4本の新作が公開された、日本でいま最も多忙な園子温監督の最新作『ひそひそ星』、そして、376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、先週末5月14日より公開となり、それぞれの初日舞台挨拶が新宿シネマカリテにて開催された。『ひそひそ星』は、映画監督・園子温が、本当に撮りたかった“むきだしの作家性”をぶつけた全編モノクロームの野心作。この日、園監督と本作の主演とプロデューサーを務めた神楽坂恵が揃って登場。「今日はこんなに沢山の方に観に来ていただけてすごく嬉しいです」と園監督は喜びをあらわにし、神楽坂さんは「あっという間に公開を迎えた気分です。今日はどうもありがとうございます」とそれぞれ挨拶して、始まった。園監督が本作の絵コンテを作ったのは、いまから25年も前。それを実際に映画化しようとした理由について、監督は「当時、もともとこの映画で商業映画デビューをしようと考えていました。でも、地味でちょっと変わった内容で、自主映画として自分でお金を集めて作ろうと思ったけど、うまくいきませんでした」とふり返る。「ずっと家の机の奥にしまっている状態になってしまっていたんだけど、全ページ全カット、そのとき書き上げていたものをもとに作ったから、製作に25年かかったということではないんです。それが、自分の制作会社として立ちあげたシオンプロダクションの第1作として何を作ろうかと考えたときに、『これにしよう!』と」と、その経緯を語った。実生活でも監督のパートナーである神楽坂さんは、「『ひそひそ星』の絵コンテのことはずっと知っていて、家を引っ越すたび、スゴい量の絵コンテが入った段ボールを大切に持っていたんです」とコメント。「いつ、この映画を撮れるんだろう…と思っていたから、今回、主人公の鈴木洋子役をやれるのはすごく光栄でした」と、伴侶だからこそ知り得るエピソードと自身の想いを明かしてくれた。また、ロケ地が福島であることについて、「『希望の国』でも福島で撮りましたが、今回は風景論として、風景に物語を語らせたいと思っていました。そのことに風景をずっと撮っていて、“こういうものはどうすれば映画になるんだろう?”とずっと思ってたんです。そのきっかけがなかなかなかったけれど、『ひそひそ星』の台本を読み返してみたら、“これは僕のやりたかった福島にぴったり当てはまるじゃないか”と気付いたんです。福島の風景に語らせるということがこの台本ならできるな、と」と、そのきっかけを明かす。本作では、日本家屋スタイルの宇宙船も非常に印象的だが、「スタジオにセットを作ったんですが、100年の映画の歴史の中で、いままでに絶対にない宇宙船を作りたかったんです。25年前の当時はお金もなかったから絵コンテに外観までは書かれていないんですが、今回は日本家屋の宇宙船として徹底してやりました」とこだわりに触れた。さらに、「当時はすごく野心的で、とにかくそれまでに映画でやられていないことを探しまくって、それを中に入れたいと思っていました。観たこともない映画を作りたいという当時の“彼”(25年前の園監督自身のこと)の熱い想いで、なるべく彼の意向に基づいて、絵コンテもほぼ忠実にやっていこうという想いで再現しています」と、当時の自身に寄り添った映画づくりであったことを語る園監督。続けて、登場人物の声が“ひそひそ声”であることについては、「意味というよりも、音楽的な映画にしたかったという想いもあるんです。それから、大きな声で物事を言えなくなるんじゃないかと当時感じていたこと、“ひそひそ”としか話すことができなくなった世相という意味合いもあります」と、この世界観の裏側にあるテーマにも言及した。最後に、園監督は「こんな地味な映画にでも人は沢山来てくれるんだぞと証明したい気持ちもあります」と挨拶。神楽坂さんも「思い入れがあって、撮影後の編集も含めてすごく時間を使ってきた作品なので、公開を迎えた実感がないんですが、本当にありがとうございます」と感激の面持ちで締めくくった。一方、そんな園監督の姿を追ったドキュメンタリー『園子温という生きもの』初日舞台挨拶には、大島新監督が晴れやかな表情で登場、「1年以上にわたって変な珍種の生きものを追い続けました。ほとほと疲れましたが、ここまでたどり着くことができました。本日はありがとうございます」と挨拶をして観客を迎えた。本作はTBS「情熱大陸 園子温」を手掛けた後、改めてドキュメンタリー映画として園子温監督を取り上げたもので、「この“おっさん”はもうちょっと面白いんじゃないかと思ったんです。番組ではスポンサーの兼ね合いでお酒をたしなむぐらいであればよくても、泥酔しているシーンまでは出すことができません。もっとはっちゃけたシーンが撮れるはずだと思ったんです。実際始まってみるとたしなむどころか大暴れで“しめしめ”と思いました(笑)」と、手応えをふり返って語った。この日は、映画を鑑賞した観客から質問も次々と寄せられたが、「TVでも映画でも出せなかったものはあるのか」という問いには、「自主規制したり、何かに遠慮して出さなかったものはありません」と胸を張って応じた大島監督。そして、一番外せなかった場面を聞かれると、園監督の妻でもある神楽坂さんが、本作にも証言者として登場する場面を挙げ、「こういう瞬間ってあるんだなと。普通のインタビューとして始めたつもりのものが…。あの場面はすごく大事にしているし、あえて長く使っています」と見どころを紹介した。最後に、本作と『ひそひそ星』を「どちらを先に観るべきか?」という究極の質問が投げかけられると、「僕はこの映画(『ひそひそ星』)の方が先の方がいいと思ってるんですが、すでにフィルメックスで『ひそひそ星』を観ていた学生がこの映画を観て、『ひそひそ星』の方が先の方がいいのではないかと言われたんです」と反響を紹介。舞台挨拶にかけつけた回の観客は、本作を先に観てしまったことになるが、「『ひそひそ星』の後にもう1回この映画をご覧いただくといいんじゃないかと思います」と、茶目っ気を見せつつアピールしていた。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は新宿シネマカリテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年05月16日国内外で絶大な支持を集め続ける園子温監督が、自身の独立プロダクション=シオンプロダクションの第一作目として撮り上げた野心作『ひそひそ星』が、晴れて公開になる。妻・神楽坂恵を主演に迎えた同作は、自身が20代のときに書き留めたオリジナルの物語の映像化で、人間たちに届け物をするために宇宙を旅するアンドロイドの女性が主人公だ。「奥さんを使う作品は、今回で最後(笑)」と照れる園監督、そして神楽坂恵、いまの想いを尋ねた。園監督が“むきだし”の作家性をぶつけた本作は、構想25年を経て完成したモノクロームのSF作品。「第40回トロント国際映画祭」でワールドプレミアが行なわれ、過去の監督作とは異なる趣のミニマルSFの誕生と歓待を受け、「NETPAC賞」を受賞。シネフィルとしても知られる俳優の斎藤工、岩井俊二など各界の著名人が絶賛を惜しまない注目の一作だ。シオンプロダクションの第一作目という記念作だけに、伴侶である神楽坂さんが主演を務め、その門出を祝い、決意を表明することはごく自然なことだと素人は思うが、「神楽坂を出すと、少しは照れるんですよ(笑)。普通の女優さんにお願いした方がいい」と園監督。しかし、ある想いがあって神楽坂さんに決めたそうだ。「そういう個人的な感情みたいなことを越えて、神楽坂じゃないとダメでした。毎回毎回、最後と言っていますが、今回こそ本当に最後かなという感じです」。一方の神楽坂さんは、「最初は事務作業などの裏方で携わっていたんです。途中から出ることになって驚いて(笑)」と経緯を明かす。「シオンプロは少人数なので、運営もしながら撮影に入りました。撮影の準備をしながら、クラインクインの前日は振込をしていましたね(笑)」と自主映画ならではの苦労エピソードも。神楽坂さん演じる主人公・鈴木洋子“マシンナンバー722”は、アンドロイドの女性だ。昭和風のレトロフューチャーな宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、広大な宇宙空間を果てしなく旅する。それは、彼女がいくつもの寂しい星に降り立っては、人間たち一人一人にかけがいのないものを届けるため。すでに滅びゆく絶滅種と認定されている、人間たちのために届けるのだ。なるほど確かに、神楽坂さんが演じる姿を観ていてしっくりくる。なぜなら園監督の身内が演じることで、観客へ映画そのものを届けていることになるから。「実際、何人かの女優さんが手をあげていたけれど、自主映画でセールスポイントを求めてもおかしな話なんです。どこかの映画会社の仕事なら、ともかくですが、この映画の芸術性としては好きなものを撮ることなわけだから、ドライな関係の人が一人でもいると嫌じゃないですか。簡単に言っちゃうと、好きな人で撮るということなんです(笑)。それは恥ずかしいことでもあるので、それを乗り越えていく必要もあったわけです」と園監督。こうしてお金目的でなく始まった映画『ひそひそ星』の撮影は、東日本大震災の傷跡が残る福島県の富岡町・南相馬・浪江町などでロケを敢行。記憶と時間、距離への焦燥などを“ひそひそ”と声のトーンを落とした特異なセリフ回しで描く撮影は、未だ仮設住宅で生活する地元の人々たちなどの協力を得て完遂した。園監督にとって、『希望の国』に続くモチーフではあるものの、「そこに政治的なメッセージは一切ないですよ」と想いを明かす。「福島の風景の映画にしたかったんです。けれども『希望の国』の後、どうしていいかわからなかった。やがて自分のプロダクションの第一作目というときに、これがあるぞと。でも、第一作目にしては実験的すぎるけれども、逆にいろいろと今しかないんですよね。色気を出したエンタメ映画を撮る案などもあったけれど(笑)、これで良かったです。本当に。ロケ地など次に行ったときに、なかったりしますよ。きれいな更地になっていて、何もないの。そういう意味でもメモリアル、記録のためにも撮っておいて良かったと思います」。こうして完成した『ひそひそ星』は、園監督の新たな一面を観ることになるという絶賛意見が飛び交うが、大型の商業映画から先鋭的なインディペンデント作品まで縦横無尽にスクリーンを駆け回る園監督が<本当に描きたかったテーマの作品>となった様相を呈していて、興行収入を第一に考えない作家性と実験性が炸裂した内容は、必見と言えそうだ。ちなみに神楽坂さんの起用は、どうして今回で最後なのか?ご本人も、「最後にしようと何度も思っているみたいですが、私は何度も登場していますよね(笑)」と不思議がる。この点について園監督は「ただ、恥ずかしいということですね(笑)」とうつむくばかりだが、これが本当に最後の作品となると、それはそれで大変なことに!シオンプロダクションの第一作目の『ひそひそ星』は、園子温監督ファンにとって見逃し厳禁の一本だ。(text/photo:Takashi Tokita)
2016年05月11日ドイツからベルギーを目指す、ある夫婦と仲間たちの自転車旅を描く『君がくれたグッドライフ』。 “尊厳死”をテーマにした作品にもかかわらず、仲間たちの美しい旅と夫婦の愛には、涙とともに笑い声があふれ、「どのように死ぬかではなく、どう生きるかを描いた映画だ」と絶賛を受けている本作から、夫婦愛にスポットを当てた場面写真が到着。そのほかにも、5月の映画館には、さまざまな夫婦の形を描いた映画が続々と公開される。まず、そんな『君がくれたグッドライフ』で印象的なのが、気の置けない仲間たちとベルギーへの旅を選んだ、主人公ハンネスと妻キキの揺るぎない夫婦愛だ。ハンネスはALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しており、旅の中で、日に日に症状も悪化していく。キキは、そんな彼の決断を受け入れ、悲しみをこらえながら最期のときまで全力で支えようとする。長年彼と暮らし、その体調の変化や苦悩を痛いほど知るからこそ、愛する人のために悲しみをこらえ、精いっぱいの愛をぶつけていく。もちろんハンネスも、キキを愛するからこそ負担になりたくないという思いを持っている。彼らと共にベルギーへと向かう仲間にはもう一組の夫婦もいるが、彼らもまた、旅を通じてお互いの価値観と向かい合い、それを乗り越えていくことに。今回到着した場面写真では、笑顔や思い詰めた様子の表情まで、2人のさまざまな姿を捉えているが、スキンシップがとても多いのが特徴的。草食系カップルは、参考にしたいところかもしれない。さらに5月には、シェイクスピアの4大悲劇の1つを映画化した『マクベス』(5月13日公開)もある。中世スコットランドを舞台に、欲望と野心に取り憑かれたマクベス(マイケル・ファスベンダー)と夫を破滅へと向かわせてしまう妻(マリオン・コティヤール)の狂気の愛と、2人の激動の人生を壮大なロケで描く。また、鬼才・園子温監督が20代のときに書き留めていた物語をついに映画化した『ひそひそ星』(5月14日公開)は、妻で女優の神楽坂恵を主演に迎え、彼女はプロデューサーとしても参加。まさに夫婦二人三脚で作り上げた珠玉の作品となっている。そのほか、仕事ばかりで妻(ユン・ウネ)を顧みずにいた元パイロット(パク・シフ)が、彼女を亡くして初めてその想いに気づき、かけがえのないものの大切さについて描く韓中合作映画『きみの声を探して アフター・ラブ』(5月14日公開)、山口県の電気も水道もない山奥で暮らすある夫婦と彼らを支える家族の姿を足かけ25年にわたり追いかけたドキュメンタリー番組の映画化『ふたりの桃源郷』(5月14日公開)なども注目。ジャンルや製作国もバラエティに富んでいることも魅力だが、愛、信頼、共闘、友情など、とてもひと言では語り尽くせない夫婦の形。ぜひ映画館で確かめてみて。『君がくれたグッドライフ』は5月21日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月11日ワタリウム美術館(渋谷区神宮前)で7月10日まで開催中の「園子温展 ひそひそ星」では、映画本編では描ききれなかった思いを、異なる角度から空間作品へと発展させている。『ひそひそ星』の555枚にも及ぶ絵コンテのみならず、影絵によるプロジェクション作品、渋谷の忠犬ハチ公のオブジェを福島の被災地に置いたインスタレーションなど、その手法は多彩だ。映像、詩、小説、アート、音楽、パフォーマンスなど、ジャンルの垣根なく表現活動を行う園の目に、現代という時代、そこで暮らす人間像は、どのように映っているのだろう。■生の世界と死の世界は変わらないーー「園子温展 ひそひそ星」の影絵によるプロジェクション作品は、映画の最終シーンとも重なるのですが、映画とは違ったメタファーが含まれているのでしょうか?映画の方はセットですが、美術館で作品化する時に、障子紙というもののあり方を強調したいと思いました。あの世とこの世の橋渡し。そのふたつの世界が生命の糸でつながれている。しかし、どちらがこの世で、どちらがあの世なのかというのではなく、どっちも死後の世界であるという発想です。『ひそひそ星』のシナリオを書いた当時は、25年後に福島を舞台に、廃墟の町を撮影するなんて、想像もしなかった。映画に出てくれた福島の人たちだって、25年前は、無人化する前の町で、生き生きと暮らしていたはず。でもそうした福島の町は、いつか失われゆく町なんです。それは、福島だけに限らず、どの町でもそうで、今ここに存在しているこの瞬間だって、100年後には痕跡さえ残らず、われわれも全員死んで、この町も完全に変わっている。あらかじめ、なくなることが運命づけられている。つまり人間は、ある種の幻影の中で生きている。この瞬間もまた幻想、まぼろしであると。そうやって突き詰めると、今ここに存在する町、生きている僕たちと、死後の世界というのは、そんなに変わりないのではないのか。別に悲観的な考え方ではなくて、それが生命の灯火、命のつながりであり、ただ「命」というもののありようを表現してみたかった。ーー映画でも、生の世界なのか死の世界なのか、どちらかわからなくなる時があります。映画のエンディングセットも、影しかないですし、読みようによっては、黄泉の国と思えなくもない。人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの。そういう表現として影絵を選んだ。アンドロイドは何百年も生きるけど、人間は100年くらい生きて滅んでいく。そういう刹那を生きている存在なんです。■地球だって宇宙である!ーーこれまでのSF映画では、見たことのない宇宙船が登場しましたね。長いSF映画の歴史があるけど、今までにない宇宙船にしたかった。畳敷きにして、古くさい家具を揃えて、外観もフツーの平屋の日本家屋(笑)。実は地球に暮らしていても、それは宇宙に暮らしていることだって、なかなか気づかないでしょう。月に移住したら、さすがに宇宙で暮らしていることになるけれど、「地球は、地球じゃん」って、大抵の人は思っている。でも、地球だって宇宙なんです。宇宙船の中を極めて日常化することで、地球も宇宙であることを実感できるようにしたかった。宇宙船というと、だいたいハイテクの装備で敵と戦ったりするけど、『ひそひそ星』の宇宙船はいたって平凡。中で爪を切ったり、歯を磨いたり……。■異なる震災・原発の描き方ーー『ヒミズ』(2011年)、『希望の国』に続き、『ひそひそ星』でも震災後の福島を取り上げていますが、前2作とは、また違った描き方をされていましたね。切り口を変えることが大事で、『ヒミズ』は震災・原発の物語の背景に埋め込み、『希望の国』ではジャーナリスティックな視点で取り組んだ。さらに震災直後と今後では風景も変わっていくから、次の機会があれば、違う角度から映画をつくると思います。もちろん、問題は終わらせたいし、続けたいという気持ちもないし、使命も義務もないけれど、今の日本の抱えている問題の大きな比喩になっていることは確かで、やっぱりそこに辿り着いてしまう。ーーありえない風景がこの地上に現れてしまったことへの衝撃はありましたか?ふとどきな考え方かもしれないけど、あの風景が美しいと思うところもあり、同時に陰惨な気持ちにもなる。その両方が福島には存在していて、切ないですね。例えば、無人の町では、最初の1時間くらいは、意外といいな、って思うくらい快適なんです。タバコ吸って、あー、すげー静かだな、いいなーと思って、しばらくすると、だんだんおかしくなって、気が変になってくる。でもまさか、ハリウッド映画に出てくるような風景が、この世に存在してしまう時が来るなんて思ってもみなかった。映画的には既視感のある風景で、世界の終末を描いた『ウォーキング・デッド』のままだし、いろんな意味で不思議な場所だと感じます。ーージャンルの垣根なく、さまざまな表現活動を行われていますが、今後、どのような展開を考えていらっしゃいますか。このところ、たまたま個展を何度もやる機会に恵まれたけれども、アートをずっとやっていこうとは思っていない。しばらくはガッツリ映画をやりたい!という欲求を、最近ひしひしと感じています。【映画情報】園子温監督作品『ひそひそ星』2016年5月14日新宿シネマカリテほかにてロードショー(大島新監督ドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』と同時期ロードショー)【展覧会情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円前編へ戻る
2016年05月07日世界を挑発し、世の常識に疑問符を投げかけてきた、日本映画界の鬼才・園子温が、25年前に書いたオリジナルの物語『ひそひそ星』を映画化、5月14日に公開する。同作の主人公はアンドロイド。昭和風のレトロな宇宙船に乗り、絶滅種と認定された人間たちに思い出の品々を届けるために、宇宙空間を旅するストーリーである。自主映画として公開されるこのモノクロのSF映画は、最近の園子温の動的なイメージを裏切るかのように、限りなく静かな映像と、独特のポエジーが特徴的だ。元来の詩人としての園子温が『ひそひそ星』に込めた思いとは?■最初は上映する気もなかったーー『ひそひそ星』を自主映画として公開された経緯とは?25年前にシナリオを書いた時は、すぐにでも映画化したいと思っていたのですが、なにぶん資金がなくて。同じく25年くらい前に書いたシナリオですが、『地獄でなぜ悪い』(2013年)や『ラブ&ピース』(2015年)でさえも、映画会社になかなか企画が通らなくて苦戦したのに、ましてや『ひそひそ星』はとてつもなく地味な映画ですから、通るわけがないと思って、あてもなくぼんやりとしていました。そんな中、2013年に自分で独立プロダクションを設立し、自主映画を一本撮ろうと決めました。だったらどの作品を選ぼうかという時に、他にもいくつか候補はあったのですが、やっぱり最初は『ひそひそ星』以外にないんじゃないかと。ーー独立プロダクションの設立は、商業映画界にある窮屈さゆえのことでしょうか?独立プロダクションの設立は、人生の中でやってみたかったことの一つでした。もちろん、映画を撮る体制としてベストですし、自分の会社で、もっとお金をかける映画が制作できるようになれば、それこそ最高ですよね。ーー主役に私生活のパートナーでもある女優の神楽坂恵さんを起用されたのは?『ひそひそ星』は、映画として売る気が全くなかったので、有名な俳優を起用する意味を感じなかった。最初は上映する気すらなかったので、「つくって、はい終わり」という気分で、エンドロールもつけなかった。セールスポイントをつくる必要もないし、関係者やスタッフはみんな知り合いでいい。つまりファミリー感、満載なんです。『希望の国』(2012年)で取材に応じてくれた福島の人たちに出演してもらったのも、個人的な思い入れがあったからです。明らかに一般の人で、台詞も淡々としていて(笑)。でも全然それでよかった。■実は静かな映画が出発点ーー『ひそひそ星』では、「距離と時間に対する憧れは、人間にとって心臓のときめきのようなものだろう」という言葉が、映画自体のキャッチフレーズにもなっていますが、この思いは、ずっと抱き続けてきたものですか?『ひそひそ星』は、25年前に書いたシナリオに、ほとんど変更を加えていません。いろいろなものがどんどん便利になることで、ときめきが消えてなくなる。遠いからこそ、憧れているけれども、それがメッチャ近くなったら、想像力が働かなくなり、どうでもよくなる。フランスが隣町にあったら、その途端、お洒落でも何でもなくなる。よく僕のアトリエにフランス人が1ヶ月くらい泊まるのですが、「下北沢はパリよりカッコイイ!」って(笑)。お互いにそういうものなんですかね。ーー編集とダビングに1年という長い歳月をかけたそうですね?思い残すことがないようにしたかったんです。このところ、ものすごいスピードで映画をつくってきて、それはそれでよいところもあるのだけれども、いろいろと目をつむるところも多かった。自主映画はそういうものがないようにしたいと思いました。ーーこれまで「動」的な映画を数多く撮られていますが、『ひそひそ星』で限りなく「静」の世界を描いた理由とは?そもそも僕は「静」的な映画を撮りたくて、映画の世界に入りました。25年前、デビューをした頃は、静かな映画でいこうと思っていたけれども、なかなか上手くいかない。それからはからずも動的な映画主体になったけど、実は静かな映画が出発点なんです。■いつも心の中に詩を忘れたことは一度もないーー園さんは高校生の頃から詩を書かれていて、『ひそひそ星』はとりわけ詩的な作品ですね?もし詩を書いてなかったら、いまの僕はないと思うくらい、詩は欠かせないものだし、これまでの映画の中にも詩がいっぱい散りばめられている。台詞一つとっても、あの頃、詩で勉強したことが、全部役に立っているな、と思う時がありますね。10代の頃、詩を読み漁っていましたからね。日本の現代詩はもちろんですが、世界中の詩人の作品を読んで、本当に勉強になった。それが根底にあり、いつ何をやっても心の中に詩があり、詩を忘れたことは一度もありません。ーー映画の世界観にも、詩の影響は大きいですか?25年前、僕にとってよい映画とは、オリジナリティー溢れるもので、オリジナルの刻印がない映画はダメだと思っていた。すごくよくできているけど、誰の作品だかよくわからない映画よりは、駄作でもいいから、パッと見ただけで、誰の映画かわかるような作品をつくるべきで、自分もそうありたいと願っていた。その時、僕に何ができるかといえば、映画に詩を取り込むことだった。それが一番、自分のオリジナリティーが出るのではないか。「映画詩」、つまり映画で詩をやりたい。そういう思いで『ひそひそ星』のシナリオを書きました。ーー25年の時空を超えて『ひそひそ星』と対峙する時、制作に対する思いや人生観など、変わった部分、変わらない部分はありますか?全く変わってないところもあるけれど、25年前、このシナリオを書いた本人からすれば、想像もつかないほど、変わったところもある。当時、女の裸が出てくるような映画を撮るなんて、思いもよらなかっただろうし、血が噴き出たり、ゲリラ的な映画をつくる発想はこれっぽっちもなかった。当時の彼からすれば、意表をついた展開になったでしょうね。フォークシンガーでデビューしようとしていたのに、キッスみたいなメイクしてロック歌っているみたいな(笑)。そのくらいの大変化があったと思いますね。後編へ続く
2016年05月06日5月14日公開の園子温による新作映画『ひそひそ星』をもとにした、映画監督・園子温による美術館初個展「ひそひそ星」が、4月3日から7月10日まで東京・神宮前のワタリウム美術館にて開催される。映画『ひそひそ星』は、2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、25年前に園子温がアパートの一室で描いた555枚の絵コンテを忠実に再現し、撮影された映画である。物語の主人公は、園子温の妻である女優・神楽坂恵が演じるアンドロイド。昭和レトロな宇宙船に乗って、絶滅種と認定された人間たちのために思い出の品を配達しながら広大な宇宙を旅する、静寂なモノクロームのSF作品だ。今回開催される個展では、映画では描ききれなかったイメージをインスタレーション作品として展示する。また、同映画のベースとなった全555枚の絵コンテや映画に使用された小道具の他、90年代に園が行ったストリートパフォーマンス「東京ガガガ」、そこから誕生した「忠犬ハチ公プロジェクト」の新作なども登場する。会期前日の2日には、園子温、同館のキュレーター・和多利浩一、Chim↑Pomのエリイ、卯城竜太によるトークイベントが行われた。実は今回の展示に先駆けて昨年、Chim↑Pomが運営する高円寺のギャラリー「ガーター」にて同展は開催されていたという。和多利氏はその際に「何の策略もなく自由に表現する園さんのアートに感銘を受け、声をかけたことから実現に至った」と、同展の経緯を話す。園監督は自身の作品について「4階に展示した絵コンテ555枚には、僕が未来に描く映画の全てが詰まっている。今回の新作『ひそひそ星』に使ったのは6割くらい」とコメント。「『ひそひそ星』は、(昔と比べて)商業に塗れた僕が、初心に立ち返ろうと決めて自主映画化したもの。25年前に描いたシナリオだから本当は誰にも観せたくなかった(笑)」と明かした。また、映画と個展の独創的な世界を濃縮し、園子温の規格外の魅力を収めた作品集・展覧会カタログ『ひそひそ星』も4月下旬に発売。2万字を超える本人書きおろしの文章と詩の他、映画の芸術的なスチール写真と絵コンテ、「ハチ公プロジェクト」の新作、エキストラとして参加した福島県の富岡町、南相馬市、浪江町の仮設住宅に住む地元の人々の声などが収録されている。なお、映画は5月14日より新宿シネマカリテ他にて上映開始。また、「情熱大陸」で園子温を追った大島新が監督を務め、1年間長期取材を行ったドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』も同時期に公開予定。【イベント情報】「園子温 展 ひそひそ星」会場:ワタリウム美術館住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6会期:4月3日~7月10日時間:11:00~19:00(毎週水曜日は21時まで延長)休館日:月曜日料金:大人1,000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円
2016年04月06日常に時代の先端から挑発を投げかける映画監督・園子温。このほど、構想25年を経てようやく結実したモノクロームのSF作品『ひそひそ星』と、“園子温”という人物の生態に迫るべく376日に渡って彼を追い続けたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』の待望の予告編が、2作同時に解禁となった。映画『ひそひそ星』は、鬼才自ら2013年に設立したシオンプロダクションの第1回制作作品で、『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、園監督が20代のときに書き留めていたオリジナルの物語を、“いま”を映す映画としてようやく昇華させた。主人公は、アンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー722”(神楽坂恵)。昭和風のレトロな内装の宇宙船に乗り、滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに、大切な思い出の品を届けるために、宇宙を何年も旅をしている。解禁となった予告編で描かれるのは、星から星へと移動する宇宙船の中の、蛇口の水滴やマッチの点火といったさまざまな“音”や、お茶をすすり、丁寧に掃除をし、ぼんやり外を見て過ごす鈴木洋子の宇宙空間での暮らし。彼女が人間たちに届けるのは、1枚の写真やフィルムの切れ端といったささやかなものばかりだ。いくつもの星に降り立っては、かつて人々でにぎわった街や海辺に荷物を届けていく。そして、次の星は、“30デシベル以上の音を立てると人間は死ぬおそれがあります”というナレーションで紹介される“ひそひそ星”だった…。昨年のトロント映画祭で「ミニマリスト・サイファイ(Minimalist Sci-Fi)が現れた」と絶賛された本作は、“ひそひそ”声の静けさの中にどこか終末的な深い哀切を映し出し、独特の詩的表現に満ちた映像となっている。また、映像中に斎藤工、岩井俊二監督らの絶賛コメントも盛り込まれていることにも注目だ。一方、『園子温という生きもの』は、2014年にMBS「情熱大陸」で園監督を追ったドキュメンタリー監督・大島新が、テレビには収まりきらない“規格外”のその人物に魅了され、放送後から1年にわたって撮影を敢行。これまでの園監督の密着ドキュメンタリーとは期間の長さ、濃密さも一線を画すものだ。解禁となった予告編でまず映されるのは、自身のアトリエで自由奔放な絵を手に「人間っていうものは “いい”とか“悪い”じゃないんです」と熱弁をふるう姿。そのほか、目を閉じ考え込む姿、ライブハウスでのパフォーマンス、渋谷駅のハチ公像前で警官に事情聴取される姿など、映画監督にとどまらない園の活動をつぶさにとらえていく。『ひそひそ星』の撮影の舞台裏にも迫り、「いい映画になるかな…」とスタッフに不安げにつぶやく様子も確認できる。また、「若いころの園子温役とか絶対やりたい」と熱く語る『ヒミズ』に主演した染谷将太、「自分のことをよくやったなと思う」と涙ながらに語る『ひそひそ星』の主演女優で妻の神楽坂恵といった貴重な証言も収められている。まさに、描かれるのは普段は見ることのできない、“園子温という生きもの”の記録。さらに、本作のポスタービジュアルも完成し、上方を強くにらみ付ける園監督本人を大きく捉えた、情熱たぎる力強いデザインとなっている。『ひそひそ星』『園子温という生きもの』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月25日宮藤官九郎脚本の4月期ドラマ「ゆとりですがなにか」、映画『ディストラクション・ベイビーズ』などの柳楽優弥が、感情機能を持つヒト型ロボット・PepperとW主演を果たしたWEBムービー「404」が公開。柳楽さん演じる主人公が、“ある朝、目覚めるとPepperになっていた”という衝撃の展開から幕を開けることが分かった。ある朝、目覚めた田中祐介(柳楽優弥)は鏡を見て愕然とする。なんと、そこに映っていたのはPepper。パニックに陥る祐介は、部屋に残されたさまざまなヒントとわずかな記憶を頼りに部屋を飛び出し、“人間”に戻るために奔走する。記憶の中にあるのは、恋人らしき女性(真野恵里菜)の姿。やがて、充電が切れたPepperは謎の集団にトラックで運ばれてしまう…。本作は、みずほフィナンシャルグループがソフトバンクロボティクスの全面協力のもと製作した全5話からなる長編WEB限定ムービー。ある朝、突然Pepperの姿となり、元の自分を取り戻すために記憶を辿る男を柳楽さんが演じ、ヒロインには『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』など園子温監督の新たなミューズとして知られ、初ミュージカル「グランドホテル」も控える真野恵里菜。さらに、物語の鍵を握る男としてテリー伊藤が登場するなど、豪華なキャストが集っている。タイトルの「404」とは、WEBの404エラーと同様の意味を持ち、主人公・田中祐介がPepperとなり“存在しない”“見つけてもらえない”という状況とリンクしており、映像中では、404のロゴマークが「SOS」に見えるようにも工夫がなされている。シリアスでミステリアスな雰囲気の中でも、おなじみのPepperの高音ボイスはそのまま。それがかえって不思議なバランスをもたらし、思わず笑いを誘うひと幕も。実力派俳優たちの中で、彼がどんな“演技”を見せるかは注目だ。撮影では、もともと屋内専用に設計されているPepperを屋外で使用しており、直射日光を防ぐために日傘が欠かせなかったり、凹凸ある地面を安全に動いてもらうため、常に地面の状況に細心の注意を払ったりと、スタッフ総勢でPepperの“演技”をサポート。また、屋外ではさまざな電波が飛び交うため、ときには動かなくなってしまうトラブルも!しかし、そばを通りかかった少年が「あ、Pepper!」と声をかけた瞬間、なんと動き出したPepper。撮影を断念しなければならないかという瀬戸際に起こったこの奇跡に、現場は沸き返っていたという。まるで1本の短編映画とでもいうかのように、本格的に製作されている本作。果たして、祐介は人間に戻れるのか、それともPepperのままなのか…。かつてない物語の続きは、その目で確かめてみて。Pepper the Movie「404」はWEBにて公開中(全5話)。(text:cinemacafe.net)
2016年03月22日公開中の『家族はつらいよ』ほか『殿、利息でござる!』『怒り』も控える妻夫木聡と、“月9”ドラマ「いつ恋」の印象的なゲスト出演や黒柳徹子を演じる4月放送のNHK土曜ドラマ「トットてれび」などの満島ひかりが、作家・貫井徳郎による直木賞候補作の傑作ミステリー「愚行録」の映画化に出演!オフィス北野が企画・制作を務め、2017年にワーナー・ブラザース映画/オフィス北野の共同配給にて公開されることが決まった。エリートサラリーマン、その妻、そして1人の子どもが何者かによって惨殺された。犯人不明のまま、世間を騒然とさせた一家殺人事件から1年。週刊誌の記者をしている田中(妻夫木聡)が改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。関係者のインタビューを通してあぶり出されるのは、理想的な夫婦の外見からはかけ離れた実像。そして、次第に浮かび上がってくる事件の真相とは――。原作は、デビュー作「慟哭」で脚光を浴び、「乱反射」で第63回日本推理協会賞を受賞、「後悔と真実の色」で第23回山本周五郎賞を受賞した貫井徳郎のミステリー小説。第135回直木賞候補作にも選出された著者渾身の原作を映像化するのは、東北大学物理学科出身、ロマン・ポランスキーを輩出したポーランド国立映画大学で演出を学んだ異色の新鋭監督・石川慶。これまで短編作品を中心に活動しており、日本とポーランドの合作長編企画『BABY』はプチョン国際映画祭企画マーケットでグランプリにあたるプチョン賞を受賞、本作で満を持しての長編監督デビューを果たす。また、脚本を『マイ・バック・ページ』『松ヶ根乱射事件』などの向井康介が務めている。主人公の事件の真相に迫る週刊誌記者・田中には、李相日監督作『悪人』で第34回日本アカデミー賞「主演男優賞」を受賞し、いまや日本映画界に欠かせない俳優となった妻夫木さん。そして、田中の妹・光子役には、園子温監督の『愛のむきだし』以後も活躍し、先日は『駆込み女と駆出し男』で第39回日本アカデミー賞「優秀助演女優賞」を受賞、いまや海外映画祭でも評価を集める満島さん。妻夫木さんとは『悪人』やドラマ「若者たち2014」などで共演しており、お互いに深い信頼を寄せている様子だ。人間関係における秘められた羨望、嫉妬や駆け引き、日常的に積み重ねられた無意識の“愚行”が複雑に絡み合う本作。あなたの人間性が極限まで試される戦慄の群像ミステリーに期待していて。<以下、コメント>■妻夫木聡人間は愚かな生き物なのだ、ということにこんなにも真正面からぶつかった作品はなかなかありません。僕たちはこの泥沼に浸かることに決めました。追い込まれて、追い込まれて出た最後の命の一滴を最後まで見つめていただければ幸いです。何度も共演させて頂いていますが、その都度、役に全力投球してきてくれる満島ひかりという女優が僕は大好きです。全力で受け止め全力で返していければいいなと考えています。愚かさを追求すること自体、愚かな行為だと思います。ですが、この映画に期待せずにはいられないこの想いこそ、人の業というべきものか。足を踏み入れてはいけないとわかっていつつも僕はこの作品と一緒に前進したいと思っています。■満島ひかり好んでやりたいと思う役柄ではありませんが、育った環境の中で生まれてしまった独特の愛について、存在についてを、いままでと違った風に問いかけられる予感がして、参加しようと決めました。切ないきもちが押し寄せてきて、涙してしまうこともありますが、同情なんかせずに、リラックスしてやりたいです。ほんとうの兄のように慕っている妻夫木さんがいるので、とても安心です。新しい挑戦を一緒にやれる幸せも感じます。石川監督には、ココロのままに映画を作って欲しいです。監督が嬉しくなるような芝居ができたらなぁと、誠実な姿を見ていて思っています。■原作:貫井徳郎「愚行録」を映画に、というお話をいただいたのは、かなり意外でした。内容的にも構成的にも、映像化に向いていない作品だと認識していたからです。ところがプロデューサーと監督の熱意により、映画化が実現しました。それだけでも驚きなのに、妻夫木聡さん、満島ひかりさんという当代きっての人気と実力を兼ね備えた役者さんに演じていただけることになり、望外の幸せを味わっています。願わくは、この映画をご覧になった皆様の胸に、抜けない棘が深く刺さっておりますことを。■監督:石川慶複雑に入り組んだプロット、一筋縄ではいかない登場人物たち、そして全体を貫く重厚なテーマ。「こういう映画が見たい」と常々思っていたものが全部詰まっている作品です。妻夫木さん、満島さんらの繊細な芝居と、この作品のために集まってくれた最高のスタッフたちとの間に、どんな化学反応が起こるのか、規格外の映画になる予感がしています。『愚行録』は2017年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月17日2014年サン・セバスチャン国際映画祭にて「グランプリ」と「監督賞」をダブル受賞し、スペインの名匠ペドロ・アルモドバルや園子温監督などが絶賛の声を贈る映画『マジカル・ガール』。日本のアニメやサブカルに大きな影響を受けたという新鋭監督カルロス・ベルムトが手がけた本作には、文字どおり2人の“マジカル・ガール”が登場し、男たちの運命を狂わせていく。まさに“魔性の女”ともいうべき女たちが登場する映画に注目した。本作は、独創的なストーリー、全編を貫くブラックユーモア、先読みできない巧みな構成、そして想像を絶するラストが絶賛され、サン・セバスチャン国際映画祭で17年ぶりとなる「グランプリ(作品賞)」「監督賞」W受賞の快挙を成し遂げたスペインの新鋭ベルムト監督のデビュー作。白血病で余命わずかな少女・アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。失業中の父・ルイスは、アリシアの願いをかなえるため、「魔法少女ユキコ」の高額なコスチュームを手に入れることを決意する。だが、この行動が、心に闇を抱える女性バルバラと、訳ありの元教師ダミアンをも巻き込み、悲劇的な結末へと向かうことに――。本作について、ベルムト監督は「脅迫をモチーフにしたフィルム・ノワールを作りたかった」と語る。フィルム・ノワールとは、虚無的・退廃的な志向性を持つ犯罪映画を指した総称で、主に1940年代から50年代にかけてアメリカで作られた犯罪映画のこと。“ノワール”とはフランス語で黒や闇などを意味し、人間心理の暗黒の部分や犯罪の闇をあぶり出していく。そして、多くのフィルム・ノワールには、必ずといってよいほど、男を破滅させる“ファム・ファタール”(運命の女・魔性の女)が登場する。本作におけるファム・ファタールの役割を果たすのは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」ファンの余命わずかな少女・アリシア。そして、謎の過去を持つ妖艶な女性・バルバラだ。ベルムト監督が「『マジカル・ガール』とは、物語を牽引する2人の女性の存在の象徴である」と語っているように、性質の全く違う2人の「マジカル・ガール」たちは、自らの望みを叶えるため、図らずとも男たちの運命を狂わせ、想像を超える衝撃的なエンディングへと導いていく。特に興味深いのは、本作は単なる金銭目当ての“脅迫”をモチーフにしたフィルム・ノワールではなく、「余命少ない娘が欲するアニメのコスチュームを手に入れる」という、ある父親の純粋かつ奇想天外な願いに端を発しているところだ。天真爛漫な12歳の少女アリシアはもちろん、娘の夢を叶えようとするルイスと関係を持ち、元教師ダミアンに人知れない過去を負わせるほどの“魔性っぷり”を発揮しているバルバラ。設定と構成の面白さ、何と言っても近年稀にみる(?)彼女たちのファム・ファタールっぷりは、新たなるフィルム・ノワールの金字塔が誕生したと言っても過言ではないだろう。◆ファム・ファタールたちが生き生き!見逃せない映画の数々ファム・ファタール(魔性の女)の代表的存在といえば、古くは新約聖書に登場する「サロメ」。舞踏の報償として、「何が欲しい?」と聞かれて「洗礼者ヨハネの斬首!」と答える悪女っぷり。また、文学の世界でも、男を振り回して死にまで導く情熱なジプシー女「カルメン」、“ナオミズム”という言葉も生まれるほど人気を博し、美少女ナオミに溺れる男を描いた谷崎潤一郎の「痴人の愛」など、いつの時代も“魔性の女”は人々を虜にする。映画にも、そんな女性たちが生き生きと存在する作品は数多い。●『エヴァの匂い』(’62/ジョゼフ・ロージー監督)『マジカル・ガール』のバルバラも舌を巻く、魔性の女・エヴァ。寒々としたヴェネチアを舞台に、幾人もの男の身を破滅させてきたジャンヌ・モロー演じるローマの高級娼婦エヴァの姿を描く。原作は、ハドリー・チェイスの「悪女イヴ」。フィルム・ノワールの傑作として知られている。●ロリータ(’62/スタンリー・キューブリック監督)『マジカル・ガール』アリシアといい勝負!?最年少のファム・ファタールといえば、彼女だろう。未亡人シャーロットの娘・ロリータは、夏を過ごそうと田舎町で下宿していた。そこで出会った大学教授ハンバートとシャーロットはしばらくして結婚するが、ハンバートは次第に娘のロリータに心奪われていく。母シャーロットは逆上のあまり事故死。ハンバートはロリータを連れて車で旅に出るが…。衝撃のラストが待つ問題作!●『誘う女』(’96/ガス・ヴァン・サント監督)ニコール・キッドマン主演。女の武器は最大限に使い、どんなことをしてでも夢を叶える、実在したコワい女がモデルの本作。天気番組のキャスターであるスザーンは、“テレビに出て有名になる”ことが人生で最も大切であると信じている。そのためにニュース・キャスターを目指していたが、夫は全く理解を示さない。そんな夫が邪魔になってきたスザーンは、ある高校生を色仕掛けでそそのかし夫を殺害させるが…。●『ゴーン・ガール』(’14/デヴィッド・フィンチャー監督)「こんな魔性の女は嫌だ!」ともいえる、『マジカル・ガール』の女性たちとは違った計算しまくりの本作の悪女は、記憶に新しいところ。幸福だと思われていた、とある夫婦。しかし、妻・エイミーが突然失踪。警察と過激化する報道によって、世間は夫・ニックに疑いの目を向け始める。しかし、実際は、全てエイミーの狂気に満ちた用意周到な計画によるものだった…。ちょっぴりコワいけれど、男たちを虜にしながら、自らの欲望を叶えてきたファム・ファタールたち。スペイン発の本作からも、そんなファム・ファタールの魅力に溺れてみるのもいいかもしれない…。『マジカル・ガール』はヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)
2016年03月15日『愛のむきだし』『ヒミズ』『新宿スワン』などを手掛ける鬼才・園子温監督が、構想25年を経て結実させたモノクロームのSF作品『ひそひそ星』。このほど、本作をいち早く鑑賞した映画監督の岩井俊二や俳優・斎藤工、作家・羽田圭介など、各界のトップランナーたちによる賞賛コメントが到着した。主人公はアンドロイドの女性。鈴木洋子“マシンナンバー 722”は、昭和風のレトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗りこみ、静寂に包まれた宇宙を何年も旅している。いくつもの寂しい星に降り立っては、すでに滅びゆく絶滅種と認定されている人間たちに日用品などの荷物を届けるために…。2013年に園監督自らが設立したシオンプロダクションの第一回制作作品として公開される本作。『地獄でなぜ悪い』『ラブ&ピース』と同じく、監督が20代の時に書き留めていたオリジナルの物語をもとに、“いま”を映す映画として満を持して映画化された。主人公のアンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー 722”を、監督の伴侶である女優・神楽坂恵が好演。既に「第40回トロント国際映画祭」で最優秀アジア映画賞受賞し、「第16回東京フィルメックス」ではオープニング作品として日本初上映されるなど、本作への注目度の高さが伺える。このほど、いち早く本作を鑑賞した各界著名人から絶賛コメントが到着。本来ならアンドロイドがすべきでない人間的所作をするアンドロイド・鈴木洋子が劇中何度もする“くしゃみ”に着目するスタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫や詩人・谷川俊太郎をはじめ、福島県の富岡町・南相馬・浪江町にてロケが敢行された本作に、『ヒミズ』や『希望の国』と同様、監督の作品作りと切ってもきれない“被災地・福島”を見て取る美術家・会田誠や、『花とアリス』や近日公開される『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井監督、アーティスト集団「Chim↑Pom」のリーダー卯城竜太、モデル・栗原類、画家・篠原愛がコメントを寄せている。さらに、感覚的な言葉で本作への賛辞を送る「Chim↑Pom」のエリィや俳優の斎藤さんのほか、写真家の齋藤陽道、「映画秘宝」(洋泉社)の田野邉尚人、「マジンガーZ」「キューティーハニー」を代表作に持つ漫画家・永井豪、作家・羽田圭介、ワタリウム美術館代表の和多利浩一が、それぞれの言葉で本作を絶賛している。また、あわせて本作のポスタービジュアルも解禁。アーティスティックな仕上がりのビジュアルからも、園監督渾身の本作への期待感が大いに高まる。<コメント一覧(五十音順)>■会田誠(美術家)美しい、というのは普通には憚られる、福島の無人になった被災地を、馬鹿っぽいくらい大袈裟なSF的設定によるロケ地にした、この捩れを、重く受け止めました。■岩井俊二(映画監督)アンドロイドも宇宙船もサイエンスフィクションだが、そこに映っている福島の風景だけはノンフィクションである。五感に染み渡る美しく残酷な映画だ。■「Chim↑Pom」卯城竜太初めて観たとき鳥肌が立った。何気ない時間がゆっくりと進むのに、ひと時も目が離せなかった。もしかして全ての日本映画を代表するような作品を目の当たりにしてしまっているのではと興奮したが、今になってその推測は自分の中では確信になっている。本当に凄い。園さんの底なしの表現への誠意と欲望に感動したし、何よりも「SF」であるにも関わらず、些細な生活音から荒れた福島の風景、登場する人々の仕草にいたるまで、そのあまりの「リアル」に驚いたのだ。人間が生活を営むささやかさと、現実が孕んでしまったスペクタクルの恐るべき共存。それはこの世界ではごく当たり前のことだけど、人類はいつもそれを切り離して政治的な物語を歩もうとする。とにかく僕にとって今後この作品は、ポスト3.11、近年の自粛・検閲・監視社会、そして戦後日本の社会と美術を考える上での大きなひとつの指針になるだろう。今でもトラウマのように全編を思い出す。顔が見える人間たちの静けさに対し、機械と影絵だけが笑うことを覚えていた、あのモノトーンの未来を。■「Chim↑Pom」エリィ語るものではない。観て、感じるものだ!一コマ一コマにそれぞれの「感覚」が付随していて、私たちが死んでからもずっと遠くの宇宙空間に共に漂うだろう。私は夫婦という単位を感じなかったが、フィルム全てに含有されていた。この映画の神楽坂恵さんは日本女性全ての象徴・憧れをもたらす。■栗原類(モデル)今作の最大のテーマ“福島”についての園さんの思いが伝わりました。物語は宇宙船に乗って様々な星に郵便物を届けると言う設定で全編モノクロと言うかなりSFっぽい部分があるのですが、福島で撮影したシーンになったら急にカラーに変わり、その瞬間に“これは映画ではなく現実だ”と感じさせられます。劇中に出てくる廃墟の中にいる人達は実際の福島の方々なので彼らが言う言葉の説得力はプロの人達の芝居では出せない力があります。深くは語らず、“どう感じる”かを自問自答させる、今までに無い園子温映画です。■斎藤工(俳優・監督)ひそひそ声は耳を傾けなくては聴こえないひそひそ星は心を傾けなくては観えてこない五感を捧げる事で他のどの園作品よりも園子温と言う作家の核に触れた気がした同じ宇宙を描いた大作映画もいいがこれも劇場で体感すべき凄まじい作品■齋藤陽道(写真家)「おはよう」と声をかけて「さよなら」と別れる。そのあいだで煌めくものは何もおこらない、劇的な日常だった。ぼくらには記憶がある。記憶は宇宙を越える。そのことを教えてくれる。■篠原愛(画家)「忘れないで。」「覚えているよ。」福島を撮り続ける監督の思いは時空をこえて、ひそひそと語り綴られる。■鈴木敏夫(スタジオジブリプロデューサー)クシャミをするのは男ではなくて女。この映画をみながらふと谷川俊太郎のことを思い出した。傑作です。■谷川俊太郎(詩人)二十億光年の孤独にアンドロイドもくしゃみをする■田野邉尚人(映画秘宝)『ひそひそ星』は科学ですらも永遠ではないという究極のSF映画だ。園子温は詩的創造力でこの映画の原型をイメージした。それから30年近い時間が経ち、文明が寂しく終わるビジョンがリアルになった。大声で世の終わりを叫ぶのではなく、ささやくようにアンドロイドがノーフューチャーの宇宙を旅する。とても静かなパンク。■永井豪(漫画家)人類の終焉に思い出の品を届けるアンドロイド。美しいモノクロ映像が描く、時が止まったような世界。心に染み入る“名作”の誕生!!■羽田圭介(作家)10年前、『紀子の食卓』『気球クラブ、その後』を観た時の衝撃が蘇った。あの頃よりもっと自由に作られているというエネルギー感と、そして洗練された技巧。タルコフスキーっぽさは表層的なもので、本作は近年公開された中で最も進化し洗練された園子温作品だ。■和多利浩一(ワタリウム美術館代表)正反対の要素が混在する映像未来と懐かしい過去身近と遥か彼方の星での出来事そして娯楽とアートの共鳴驚きの園子温映像でした。『ひそひそ星』は5月14日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年03月11日オンリーワンの個性を活かして輝いているあの人に、転機となった出来事から将来の目標まで、どんなことを考えて行動しているのかを徹底聞き取り。モデルの池田エライザさんのお話からは、意外なコンプレックスも明らかに。■Q1自分の思う、自分の長所はどこですか?愛情。お世話になった人を一人一人丁寧に愛して、人の愛を受けてまた人を愛する。そんな自分のスタンスは、好きです。よく、疲れないのかと聞かれますが、人を大切にしない関係を築き続けるほうがきっと疲れると思います。■Q2自分では意外だけれど、他の人に褒められる点はどこですか?鼻。自分ではコンプレックスなのですが、褒められることが多い気がします。■Q3もっと伸ばしていきたいと思うところはどこですか?発信力とプロデュース力。この仕事は毎日、多くのことを吸収することができます。素敵な人に会う機会がたくさんありますし。発信することによって、それが誰かの何かにひっかかっていい連鎖が起きるといいなって思います。だから今年は連載を持ちたい!■Q4これまでで反響の大きかった仕事は何ですか?映像のお仕事。最近だと園子温監督の『みんな!エスパーだよ!』。モデルのお仕事が主でしたし、意外だったのかなと思います。パンチラなどのシーンも真剣にやっています。「エロイザ 解禁」という新聞の見出しに“あ、うまいこと言ったな”って思いました。■Q5転機となった出来事はありましたか?また、それはいつ頃ですか?高校2年生の時に、このまま地元でぬくぬくとしているなんていけない、私はもっともっと外に出て吸収して発信しなければつまらないと思い、カバンひとつで上京したこと。5畳半の部屋に住み、最低限のお金でやりくりすることで、楽しむだけじゃなく、生きるためにも責任を持って仕事をする。頂いた仕事を一つ一つ丁寧にこなそう。など、自分の考え方ががらりと変わりました。■Q65年後、どんなふうになっていたいですか?素敵な現場で素敵な作品を制作していると思います。それは映像でもスチールでも何でも。このお仕事が好きで、それ以上に執着を持ってしているので、5年後だって絶対続けてる。■Q710年後、どんなふうになっていたいですか?どんなに忙しくたって深呼吸して、人と人生を大切にしていたい。私のラッキーなところは素敵な人に恵まれているところ。今やっていることが、10年後にどうつながるかはわからないけど、きっと多忙できっと幸せなはず。◇いけだ・えらいざ1996年、福岡県生まれ。雑誌やファッションショー、映画など多方面で活躍。3/19開催の「第22回 東京ガールズコレクション2016 SPRING/SUMMER」、5月公開の映画『オオカミ少女と黒王子』などに出演。※『anan』2016年3月2日号より。
2016年02月24日主演に綾野剛、監督に園子温を迎えて和久井健の大人気ベストセラーコミックを映画化した『新宿スワン』。この度、本作の続編『新宿スワン2』(仮題)の製作が決定!綾野さんをはじめ、前作から引き続き伊勢谷友介、金子ノブアキら豪華俳優陣が大集結し、1月から撮影がスタートしているという。原作は、単行本38巻を誇る和久井氏の大人気ベストセラーコミック。『クローズZERO』シリーズなどのヒットメイカー・山本又一朗プロデューサーが園監督とタッグを組み、主演に綾野さんを迎え、伊勢谷さん、山田孝之、山田優ら豪華俳優陣が顔を揃え映画化した『新宿スワン』は、2015年5月30日に公開されると、当時5週連続で1位を記録していたディズニー『シンデレラ』を抜き去り、週末興収ランキング初登場1位を記録。最終的に興行収入13億円を超える大ヒットとなった。ファン待望の続編となる『新宿スワン2』(仮題)では、前作同様、山本プロデューサーのもと、園監督が続投。主演は、ドラマ「コウノドリ」で日本中を感動の渦に巻き込み、今年も『リップヴァンウィンクルの花嫁』『64-ロクヨン-』『怒り』『日本で一番悪い奴ら』と話題作の公開が立て続く綾野さんが務め、再びスクリーンに“白鳥龍彦”を蘇らせる。さらに、新宿バーストのお馴染みのメンバーも全員カムバック!真虎役の伊勢谷さん、葉山豊役の金子さん、関玄介役の深水元基、時正役の村上淳、そして山城神役の豊原功補が再び熾烈な闘争を繰り広げる。本作は1月27日にクランクイン。約2年ぶりに金髪姿となった綾野さんや伊勢谷さんらキャストも現場入りすると、セットの中で和気あいあいと談笑しながら撮影を待つ姿が初日の緊張感を和ませていたという。この日の撮影は、歌舞伎町最大のスカウト会社・バースト新事務所に白鳥龍彦(綾野剛)、真虎(伊勢谷友介)、関玄介(深水元基)、時正(村上淳)、葉山豊(金子ノブアキ)、山城神(豊原功補)が顔を揃えるシーンであり、新たな物語のきっかけとなる重要なくだりの撮影が行われた。脚本で6ページにわたる長いシーンだが、息のあったメンバーだけに、本番が始まると、直ぐにスワンの世界が色濃く漂った。これには綾野さんも「正直、前日までは、龍彦の感覚を戻すために前作を観たり原作を読み返したりしていましたが、現場で山城社長や真虎さん、関さん、時正さん、葉山さんに会うと、すんなり龍彦に戻りました。一緒に前作をやってきた強みだと思います」と語った。撮影前には、前日が誕生日だった綾野さんをスタッフ、キャスト一同が祝福。34歳を迎えた綾野さんの最初の一歩となる『新宿スワン2』(仮題)の、2か月にわたる撮影が良い雰囲気の中始まったようだ。綾野さんは「『新宿スワン』続編。前作『新宿スワン』が皆様に愛された結果だと自負しております。この場を借りて、各部署スタッフ、キャスト一同、感謝申し上げます。『新宿スワン2』では、新たに最凶の猛者との激しい狂乱、儚くも美しく立ち続ける女性、そして、男の友情。皆様の期待を超える続編を届けるべく、更なる頂に向かって邁進いたします。いーくぞー!」と意欲をコメント。SNS上では、続編を喜ぶ声が上がっており、「うううう新宿スワンもう一回見たくなってきた…そして2の公開も待ちきれん…」「てか新宿スワン2やんねんな!!!絶対見に行こ!!!フォー!!!」「新宿スワンの映画めっちゃ見たいーいま2の撮影やってるっぽいけど、普通に前のやつも見たいーーーあんとき何も興味なかったから映画見てないんだけど、マンガ読んでてめっちゃおもしろい!映画見ればよかったって後悔なう」と、先日から行われているエキストラを用いての撮影についてコメントが上がっており、大きな盛り上がりを見せている。『新宿スワン2』(仮題)は、現在撮影中。(text:cinemacafe.net)
2016年02月22日『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』などカルト的人気を誇る作品から、震災の影響を色濃く映した『ヒミズ』や『希望の国』、綾野剛主演の『新宿スワン』や長谷川博己×麻生久美子の『ラブ&ピース』など最近のヒット作まで、常に時代を挑発し、凝り固まった常識に疑問符を投げかけてきた映画監督・園子温。このほど、構想25年を経て結実したモノクロームSF作品となる最新作『ひそひそ星』と同じくして、園監督自身にスポットを当てたドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が5月14日(土)より公開されることが決まった。本作は、2014年にMBS「情熱大陸映画監督・園子温」を手掛けたドキュメンタリー監督・大島新が、“地上波では園子温の面白さは伝えきれない”と映画化を決断したもの。現在54歳の園子温は、50歳近くまで食うや食わず、ニッチなカルト監督だったが、『冷たい熱帯魚』(’11)、『ヒミズ』(’12)から『新宿スワン』(’15)までのわずか5年の間に大きく変容。ヒットを飛ばし、国際映画祭での賞取りの常連になり、女優の神楽坂恵と結婚し、そしてある日、敢然とメディアにも登場するようになった。テレビにも出演し、小説を書き、絵を描き、バンド活動もする。そんな園監督の姿を捉えながら、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人(別冊「映画秘宝」編集長)、安岡卓治(映画プロデューサー)、エリイ(Chim↑Pom)、さらに『ひそひそ星』で主演を務める妻の神楽坂さんといったゆかりの人物による証言も交えて、“生きもの”園子温に迫っていく本作。彼が作る映画だけでなく、彼自身の“いま”をとらえたドキュメンタリーが劇場に登場する。<監督大島新コメント>私は2014年1月から5か月間、園子温の活動を取材し、6月にMBS「情熱大陸」で放送した。番組は園の映画への熱い思いや「俺の映画」を作っているという自負、そしていたずらっ子のような素顔を映し出し、視聴者や関係者から大きな反響を呼んだ。私としても内容的に満足のいくものだったが、テレビ番組という枠組み、正味24分という尺の中では、園という人物を充分に描き切れなかったという思いも残った。そもそも「地上波でのテレビ放送は一度もない」という園映画。人間としての園も、映画同様、テレビサイズには収まりきらない魅力(と、ハチャメチャさ)に溢れていた。いま、世界基準の日本人映画監督とは誰なのか。残念ながら、かつての黒澤明、小津安二郎、今村昌平、大島渚といった作家たちと同じような存在感で語られる日本人監督はいなくなってしまった。いや、ひとりいるではないか!国内よりも海外での注目度が高い超個性派カルト監督。毀誉褒貶も多く、時にボロクソに言われることも彼にとっては褒め言葉だ。そう遠くない未来に、世界基準となる可能性を秘めた園子温。このドキュメンタリーは、稀有な才能を秘めた珍奇な生きものの記録である。『園子温という生きもの』は5月14日(土)より新宿シネマカリテにて園子温監督作品『ひそひそ星』と同時公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月16日『冷たい熱帯魚』(11年)、『自殺サークル』(01年)などで知られる映画監督・園子温氏にスポットライトを当てるドキュメンタリー映画『園子温という生きもの』が、5月14日に公開されることが15日、明らかになった。構想25年を経て結実したというモノクロームSFである最新作『ひそひそ星』の公開を本作と同日の5月14日に控える園子温監督。本作は、世間の"常識たるもの"に疑問を投げかけてきた園監督その人を捉える。メガホンを取るのは、2014年にMBS系で放送された『情熱大陸映画監督・園子温』を手掛けた大島新監督。地上波では園子温の面白さは伝えきれないと、映画化を決意したという。ニッチなカルト監督と見られていた園監督の生活は、50歳近くまで食うや食わずの状態だったが、『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』(12年)から『新宿スワン』(15年)までの5年間で大きく変容。国際映画祭での賞取りの常連にもなり、結婚も果たし、突然、メディアへの露出、小説の執筆、絵画、バンド活動をも始めるようになった。そんな生きざまを捉えながら、妻の神楽坂恵をはじめ、染谷将太、二階堂ふみ、田野邉尚人(映画誌『別冊 映画秘宝』編集長)、安岡卓治(映画プロデューサー)、エリイ(Chim↑Pom)など縁の深い人物らの証言も交えて、"生きもの"としての園監督を映し出す。大島監督は、2014年で園に迫った『情熱大陸』を「番組は園の映画への熱い思いや『俺の映画』を作っているという自負、そしていたずらっ子のような素顔を映し出し、視聴者や関係者から大きな反響を呼んだ。私としても内容的に満足のいくものだった」と回顧。しかし、同時に「テレビ番組という枠組み、正味24分という尺の中では、園という人物を充分に描き切れなかった」という思いもあったと打ち明ける。続けて、「そもそも『地上波でのテレビ放送は一度もない』」と園監督作品を振り返り、「人間としての園も、映画同様、テレビサイズには収まりきらない魅力(と、ハチャメチャさ)にあふれていた」と深い感慨を口にする。さらに、「いま、世界基準の日本人映画監督とは誰なのか」と疑問を提起しつつ「残念ながら、かつての黒澤明、小津安二郎、今村昌平、大島渚といった作家たちと同じような存在感で語られる日本人監督はいなくなってしまった」とさえ断言。その上で、「いや、ひとりいるではないか! 国内よりも海外での注目度が高い超個性派カルト監督」「毀誉褒貶(きよほうへん)も多く、時にボロクソに言われることも彼にとっては褒め言葉」「そう遠くない未来に、世界基準となる可能性」と矢継ぎ早に語りながら、園監督を形容する。その上で、本作を「稀有な才能を秘めた珍奇な生きものの記録である」と表現している。(C)2016「園子温という生きもの」製作委員会
2016年02月16日「第28回東京国際映画祭」でワールドプレミア上映され、大きな話題を呼んだ『下衆の愛』。この度、今月27日(水)より開催される「第45回ロッテルダム国際映画祭」に本作の正式出品が決定し、映画監督の園子温からのコメントが到着した。映画監督のテツオは40歳を目前にしながらも夢を諦めきれないパラサイトニート。映画祭での受賞経歴が唯一の自慢。監督とは名ばかりで、女優を自宅に連れ込む自堕落な毎日を送っていた。しかしある日、才能あふれる新人女優・ミナミとの出会いにより新たな希望が生まれ、新作映画の実現に奔走する。「裸と動物」にこだわる団塊世代のプロデューサー貴田や、枕営業に全てをかける売れない女優・響子、自らのハメ撮りで生計を立てる助監督のマモルなど、映画界の底辺に巣くう仲間たちと最後の賭けに出ようとする――。どん底のインディーズ映画業界を舞台にした本作。40歳を目前に夢を追い続けるパラサイトニートのゲス監督役を『ゴールデンスランバー』の渋川清彦が演じ、ヒロインの才能溢れる新人女優役に『図書館戦争THE LAST MISSION』に出演し注目を集めた岡野真也、ゲスプロデューサー役を園子温作品でもおなじみのでんでんが演じている。また、『きみはいい子』『恋人たち』の内田慈をはじめ、木下ほうか、津田寛治、忍成修吾ら個性豊かな俳優陣が脇を固め、監督を『グレイトフルデッド』『家族ごっこ』の内田英治が務めている。今回正式出品されることとなった「ロッテルダム国際映画祭」は、オランダ・ロッテルダムにて毎年1月下旬から開催され、「カンヌ国際映画祭」や「ベルリン国際映画祭」と並んで重要視されている国際映画祭。今年も現地時間1月27日(水)~2月7日(日)にかけて開催され、内田監督とプロデューサーのアダムがレッドカーペットに登場し、上映後ゲストとして壇上する予定だ。また今回の正式出品について内田監督は「下衆、屑、滓どもの愛と夢のお話。こんなゲス映画がなぜか伝統あるロッテルダム国際映画祭に選出された。びっくり」と驚きを語った。そして今回レッドカーペットに登場する2人と親交の深い園子温監督も「映画は地獄だ!ビターで切なく哀しくて。でもあっけらかんと明るい映画!必見だ!」と個性あふれるコメントを寄せている。昨年は三池崇史監督の『神さまの言うとおり』や、三澤拓哉監督の『3泊4日、5時の鐘』、塚本晋也監督の『野火』などが正式出品された本映画祭。世界が本作へどんな反応を示すのか、大きな注目を集めそう。『下衆の愛』は4月2日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)
2016年01月26日2月11日に開幕する第66回ベルリン映画祭のフォーラム部門で、杉本大地監督の『あるみち』が上映されることが決定した。杉本監督は現在22歳で、ベルリン映画祭に正式出品された長編映画の監督として史上最年少になる。その他の画像『あるみち』は、杉本監督が主人公も演じて、浪人生から大学生へと変化した自身の日々を描いた作品。本作は世界最大の自主映画のコンペティション“PFFアワード2015”でグランプリに輝いており、杉本監督はベルリン映画祭での一般上映に立ち会う予定だ。また本映画祭では8ミリフィルムで作られた日本映画の特集“Hachimiri Madness: Japanese Indies from the Punk Years”も開催。ベルリン映画祭、香港映画祭、PFFの共同プロジェクトで、最新作『野火』が観客から圧倒的な支持を集めている塚本晋也監督の『電柱小僧の冒険』や、矢口史靖監督の『雨女』、園子温監督の『男の花道』など、日本映画界で活躍する監督たちがキャリアの初期に8ミリフィルムで製作した作品を、デジタルバージョンで上映する。
2016年01月23日レインズインターナショナルは28日より、期間限定商品「燻製豚のしゃぶしゃぶ~薬膳オリーブ鍋で~」を、同社の運営する「しゃぶしゃぶ温野菜」で提供開始する。○燻製香が調味料となる新感覚イタリア産豚肉「ドルチェポルコ」を桜のチップで燻した「燻製ドルチェポルコ」を用意。燻製にすることで、風合いや旨みが増した豚肉を、「薬膳オリーブだし」のしゃぶしゃぶで提供する。燻製香が調味料となり、従来のしゃぶしゃぶとは異なる味わいが引き出されているという。「薬膳オリーブだし」は、桂皮、花椒、クミン、カルダモンなどが溶け込んだ薬膳ベースのだしに、オリーブの実とオリーブオイル、唐辛子が加わる。単品注文も可能で、2色S鍋は300円、1色丸鍋では600円となる。「国産野菜24種類食べ放題付きセット」は、1人前2,980円。120分制でラストオーダーは90分。販売期間は3月23日までの予定。春らしく色彩り鮮やかな6種類の「春いろ野菜盛り」を始め、24種類の国産野菜が食べ放題となる。セット内容は、燻製ドルチェポルコが2皿、バジルチーズなイタづみれが1本、国産野菜24種類、7品より選べるおつまみが2品、鍋肴(サイドメニュー)が3品、トマトの〆パスタ、5品から選べるデザートが1品となる。また、70種類以上のメニュー食べ放題も、1人前3,680円で用意している。※価格はすべて税別
2016年01月16日人気コミックやベストセラー小説、人気ドラマの映画化が相次いだ2015年。その中でも、産科医やピアニスト、刑事、探偵、青年将校から、果ては狂気のテロリストまで、「あ、この作品にも出ている!」と引っ張りだこだったイケメン俳優たちがいる。いま、もっとも多忙な俳優の1人にして、名だたる映画監督たちからご指名を受けるのが、綾野剛だろう。つい先日まで、(意外にも)初の連続ドラマ単独主演を務めた「コウノドリ」では、謎のピアニストでありながら、真摯に命と向き合う愛情深い産科医という極端な役柄を演じてみせたばかり。あらゆるジャンルの作品に出演し、役に没頭しながらも、それぞれの映画・ドラマの中でしっかりと自分の色を出す個性派ぶりを発揮しているのが魅力だ。2015年は、そんな綾野さんに代表されるような、オリジナルの魅力を持つ“マイペース”なイケメン俳優たちが数多く活躍した。■綾野剛&松坂桃李、幅広い役柄を演じた1年まず、『ソレダケ/that’s it』『新宿スワン』『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』『ピース オブ ケイク』『天空の蜂』と、実に5本の映画に出演した綾野さん。和久井健の人気漫画を鬼才・園子温が映画化した『新宿スワン』では、金髪&天然パーマ姿で歌舞伎町でスカウトマンとして生きる主人公・白鳥龍彦を熱演。堤幸彦監督の『天空の蜂』では、タイトなスケジュールの中、巨大ヘリで原発を狙うテロリストを見事に演じ切り、改めてその演技力と身体能力の高さをも見せつけた。一方、ジョージ朝倉による伝説的コミックスを原作にした、甘く切ない“紆余曲折だらけ”の恋愛映画『ピース オブ ケイク』(田口トモロヲ監督)では、ヒロインの志乃(多部未華子)が恋に落ちる“ヒゲ店”こと、ヒゲの店長・京志郎を軽妙に演じた。独特の色気を放つ、優し過ぎることが罪な“ヒゲ店”には、クラッと来た人も多いはず。2016年は、『凶悪』の白石和彌監督のもと主演を務める『日本で一番悪い奴ら』ほか、黒木華主演・岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』、佐藤浩市主演・瀬々敬久監督『64-ロクヨン-』、渡辺謙主演・李相日監督『怒り』といった話題作が控えている。『ピース オブ ケイク』といえば、オカマ役を演じてファンの間に衝撃(笑撃?)が走ったのが、松坂桃李だ。1月公開の『マエストロ!』でヴァイオリンに初挑戦し、幕を開けた2015年は、『エイプリルフールズ』『日本のいちばん長い日』『ピース オブ ケイク』、さらに『図書館戦争 THE LAST MISSION』『劇場版 MOZU』と立て続けに6作に出演した松坂さん。『図書館戦争』では手塚光(福士蒼汰)の兄で図書隊を解散させようとするクールなエリート、かと思えば『劇場版MOZU』では日本映画でもまれにみる、スタイリッシュでマッドなアクションを百舌(池松壮亮)と繰り広げた。元・戦隊“レッド”出身、これまでは王子様的な役柄が多かったが、それぞれの作品での振り切れ方はいずれもハンパではなかった。これらに共通するのは、おそらく松坂さん自身の真面目さや誠実さが、たとえ悪役といえども、スクリーンから見えてくることだろう。木村文乃、菜々緒と共演したドラマ「サイレーン」でも、最後まで視聴者を惹きつけてはなさない主人公を魅力的に演じ、話題となった松坂さん。2016年は『人生の約束』『パディントン』(日本語吹き替え)ほか、生田斗真主演・大友啓史監督の『秘密』、舞台と映画の一大プロジェクトとなる堤監督の『真田十勇士』に出演する。■2015年のブレイク俳優もマイペース派がずらり夏の“月9”ドラマ「恋仲」でブレイクした野村周平は、裸になっちゃう“ヘタレ”バンドマンの『日々ロック』の余韻を残しつつ幕を開けた2015年、『愛を積むひと』『ビリギャル』という良作で印象に残る演技を披露し、『台風のノルダ』ではアニメの声優にも挑戦、不器用で繊細な青年役を演じる姿がハマッた。特に「恋仲」では、好きな人のためにどんどん“ダークサイド”に堕ちていく彼の様子に、ヤキモキした人も多いことだろう。2016年は、長瀬智也主演の“水10”ドラマ「フラジャイル」、最旬の若手が勢ぞろいする『ライチ☆光クラブ』や広瀬すず共演『ちはやふる』、賀来賢人とW主演の『森山中教習所』などが控えている。さらに、“塩顔男子”の「メンズノンノ」モデル・坂口健太郎も大活躍。『海街diary』で話題となり、桐谷美玲を若手筆頭株の山崎賢人と取り合い、スマッシュヒットを記録した『ヒロイン失格』で、“想いはひと筋”の学校イチのイケメンを好演したことでブレイク。続く『俺物語!!』では、“どう見ても高校生に見えないイカツイ顔面&屈強な肉体”の超個性派・剛田猛男(鈴木亮平)との対比ぶりが笑いを呼んだ。今後、新“月9”の「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」に参加が決まっており、4月4日スタートの「ととねえちゃん」ではついに“朝ドラ”デビュー。“学者肌で植物が大好きな青年”という役柄は、メガネがよく似合い、読書好きな文化系男子の自身に近い役柄となりそうで、さらなる人気を獲得しそう。朝ドラといえば、土屋太鳳&山崎賢人と共演した「まれ」から再ブレイクした柳楽優弥。『誰も知らない』で一躍時の人となってから10年あまり、紆余曲折ありながらも、その演技に奥行きを身につけた柳楽さん。「まれ」で、寝起きに「おはよう」とささやかれた土屋さん演じる希が「キュ~ン」となってしまったことも話題となった。その後は『合葬』で“幕末男子”を演じ、『ピンクとグレー』から始まる2016年には一転、『ディストラクション・ベイビーズ』で破壊的な若者を演じるなど、ますます目が離せない存在だ。また、「探偵の探偵」で日本のドラマ初出演、その後、現在放送中の「あさが来た」で、ヒロイン・あさ(波瑠)に大きな影響を与える実業家・五代友厚で話題沸騰中なのが、DEAN FUJIOKA(ディーン・フジオカ)。イケメンで語学に堪能、ブローバルな視点を持つ五代はまさにディーンさんそのもので、あさとは禁断の恋愛関係となるのかと思いきや、同じ志を持つ人間同士の結びつきを感じさせている。福島県生まれ、モデルとしてキャリアをスタートさせ、香港、台湾などで映画・ドラマに出演してきた彼は、定住地を持たないという意味の“ノマド”俳優として注目を集めた。全米で放送され、準レギュラーを務めた「荒野のピンカートン探偵社」のDVDリリースが1月よりスタート、新ドラマ「ダメな私に恋してください」ではドSな元ヤンで元上司という役で深田恭子とかかわるというから見逃せない。イケメンなのにどんな役柄も演じ切り、オリジナルの光を放ち続ける彼らに、2016年も注目していて。(text:cinemacafe.net)
2015年12月31日山田悠介による累計200万部突破のベストセラーを、鬼才・園子温がオリジナル脚本で新たに映像化した『リアル鬼ごっこ 2015劇場版』が、11月に開催された「スペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭」にて、日本映画として初のグランプリを受賞したことが明らかとなった。発売以来圧倒的な支持を受け、中高生のバイブルとされる原作を映画化した本作。トリンドル玲奈&篠田麻里子&真野恵里菜がトリプルヒロインを務め、標的となる「JK=女子高生」を熱演し、かつてないオール女性キャストの中、物語のカギを握るただ一人の男として斎藤工が出演するなど、園監督ならでは演出による全く新しい作品として公開され、話題を集めた。今夏開催されたカナダ・モントリオール「第19回ファンタジア国際映画祭」において主要3部門の受賞に輝いた本作だが、このほどスペイン・アンダルシア地方最大の映画祭「スペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭」にてグランプリを受賞。スペイン国内外問わず、多くのジャンル系映画をアンダルシア地方、そして世界に広めることを目的として開催される本映画祭は、1990年にジャンル映画の見本市として初開催されて以来、今年で25周年目を迎える。本作のエントリーは、カンヌ映画祭のマーケットにて作品を観た本映画祭のスタッフが「この映画をスペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭でも上映しなくてはならない」という思いにかられ、決定したとのこと。審査団であるマラガ在住の文化人たちは、「オリジナル脚本を大変気に入った」とコメントし、漫画の美学が実写映画に取り込まれている点への高い評価が、グランプリ受賞へと繋がったようだ。また、本映画祭25年の歴史の中で日本映画が受賞に至ったのは本作品が初となる。本作の最優秀作品賞・特殊効果賞受賞の他には、最優秀監督賞に『黒衣の刺客』のホウ・シャオシェン監督、最優秀女優賞に『Office』のコ・アソン、最優秀男優賞に『Cop Car』(原題)のケヴィン・ベーコンなど、名だたるスタッフ・キャストが受賞に輝いている。『リアル鬼ごっこ 2015 劇場版』のブルーレイ&DVDは発売中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:リアル鬼ごっこ 2015年7月11日(土)より全国にて公開(C) 2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
2015年12月17日サンコーは12月16日、服や靴を温風で乾燥させるハンガー型の乾燥機「服や靴が早く乾く! 温風ハンガー乾燥機」を販売開始した。サンコーレアモノショップでの直販価格は税込5,980円。手のひらサイズの本体左右から、ボタン一つで温風を出すコンパクトな乾燥機。付属の「衣類用アタッチメント」を装着するとハンガーの形になる。衣類をハンガーに掛けてスイッチを入れることで、乾きにくい衣服内部へ温風を送る。温風だけでなく、送風モードも選択可能だ。急な雨で上着が濡れてしまったり、翌日に必要な衣服の洗濯が遅れたりといった、一着をすばやく乾燥させたい場合に役立つ。衣類用アタッチメントのほか、243~420mmで伸縮可能な「靴用アタッチメント」も付属。靴の中に靴用アタッチメントのノズル先端を挿入することで靴乾燥機としても使用できる。本体サイズはW148×D75×H117mm、重量は614g。衣類用アタッチメントのサイズはW185×D20×H45mmで、靴用アタッチメントのサイズはW243~420×D42×高さ50mm。耐荷重は5kgまで。温風モードを3時間以上連続で使用すると、自動で送風モードに切り替わる。
2015年12月17日モデルのトリンドル玲奈、元AKB48の篠田麻里子、女優の真野恵里菜がトリプルヒロインを務めた園子温監督作『リアル鬼ごっこ』(15年)が11月、スペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭で"最優秀作品賞"と"特殊効果賞"を受賞した。同映画祭で日本映画が受賞に至ったのは、本作が初となる。映画祭は、スペイン・アンダルシア地方最大で、スペイン国内外問わず、多くのジャンル系映画を世界に広めることを目的として行われている。1990年、ジャンル映画の見本市として初開催され、今年が25周年目。カンヌ映画祭のマーケットで、本作を鑑賞したスタッフが「この映画をスペイン・マラガ・ファンタスティック映画祭でも上映しなくてはならない」という強い思いを抱いたことからエントリーが決まった。グランプリ受賞の背景は、漫画の美学が実写映画に取り込まれている点が高く評価されたことから。審査員であるマラガ在住の文化人らも、「オリジナル脚本を大変気に入った」と語っているという。2015年度の映画祭は本作のほか、"最優秀監督賞"に『黒衣の刺客』(15年)のホウ・シャオシェン監督、"最優秀女優賞"に『Office』(15年)のコ・アソン、"最優秀男優賞"に『Cop Car』(15年)のケビン・ベーコンなどのキャストやスタッフが受賞に至っている。原作は、2001年に発刊され発行部数200万部を突破した山田悠介氏による同名小説。"全国の佐藤さん"が鬼に殺されるという斬新な設定のホラーで、映画化もされ、中高生を中心にブームを巻き起こした。本作では、ターゲットが"全国の佐藤さん"から"全国のJK(女子高生)"に変わっている。映画は先月20日にBlu-ray・DVDが発売され、現在レンタル中。(C)2015「リアル鬼ごっこ」学級委員会
2015年12月16日