この漫画は書籍『おうち性教育はじめます』(フクチマミ著、村瀬幸浩著)の内容から一部を掲載しています(全12話)。 ■前回のあらすじ学校では詳しく教えてくれない「性教育」。子どもを守るためにきちんと教えてあげたいけど、いったいどうやって? 困惑する親の前に現れたのは…。■学校では学べない? 親が教えるメリット親世代も子どもの頃に学校・家庭でしっかり教わる機会の少なかった性教育。実は「いのち・からだ・健康」の学問であり、これからの世の中を生きていく人格を育てるのに必須の「教養・知性」だったのです。さらに、性教育が「自己肯定感の向上」につながるとは、いったいどういうことなのでしょうか。次回に続く(全12話)「おうち性教育はじめます」連載は6時更新! 『おうち性教育はじめます』 フクチマミ著、村瀬幸浩著(KADOKAWA) ¥1,430(税込) \ この後どうなる!? /書籍「おうち性教育はじめます」はこちら 「うちにも赤ちゃんはくる?」といった、突然やってくる素朴な質問への答え方から、性犯罪の被害者・加害者にならないための日々の言葉かけ、思春期に訪れる男女の心と体の変化まで、親子で一緒に学ぶことができるパパママの必読本。毎日の家族の会話で子どもを守り、これからの時代を生き抜くための力を養うための「おうち性教育」のはじめ方をわかりやすく学べる一冊。
2021年10月19日2021年10月7日の夜、最大震度5強を観測する、首都圏直下型の強い地震が発生。家具が転倒したり、飾っていたコレクションが落下したりといった、自宅での被害報告を多くの人がネットに投稿しています。たなかわいてぃー(@TanakaYT_)さんも、強い揺れによって被害を受けた1人。その詳細をTwitterに投稿したところ、なぜか笑ってしまう人が続出しました。地震による被害であるにもかかわらず、笑顔になる人が相次いだ理由は…実際の現場をご覧ください。地震のせいでバナナ全部落ちたw pic.twitter.com/cog8wy8yga — たなかわいてぃー (@TanakaYT_) October 7, 2021 投稿者さんが受けた被害。それは、吊るしていたバナナが全部落下してしまったのです…。吊るされているのは、抜け殻のようにぶらりと垂れ下がるバナナの皮と果軸(かへい)のみ。強い揺れによって、食べる部分は独りでにすべて落ちていたのだとか。ある意味『大惨事』といえる被害報告は拡散され、多くの人から反響が上がりました。・甚大な被害ですね…。っていや、こんなん笑うわ。・そもそも、バナナの保管の仕方がシュールで噴き出した。・笑ったし、なんかホッとした!まさに「そんなバナナ」。食べようとしていた投稿者さんからすると、甚大な被害といえる…のかもしれない今回の事故。しかし、この投稿を見て、地震で不安になった心を落ち着かせることができた人も多いようです![文・構成/grape編集部]
2021年10月08日加害者からは「恋愛」だと言われ、親にも誰にも話すことができず、心が凍りついていく。フォトグラファーの石田郁子さん(43)が、信頼する教師から「性暴力」を受け始めたのは、札幌市の中学に通っていた15歳のとき。ずっと「恋愛」だと思い込まされてきて、それが「犯罪」であったと気付いたときは37歳になっていた。児童・生徒への教師による性暴力が後を絶たない現状がある。文部科学省によると、19年度に性暴力やセクハラで処分された公立小中高などの教職員は273人で、過去最多だった前年度とほぼ変わらぬ多い数だった。このうち121人が、性暴力によって懲戒免職となっている。そんななか、21年5月に、教師らによる児童・生徒へのわいせつ行為や性暴力を防止する、いわゆる「教員性暴力対策法」が成立。この新法により、懲戒免職となった教職員が処分歴を隠して再び教壇に立つことなどが極めて困難となった。石田さんが、彼女の尊厳をかけて「実名・顔出し」で取り組んだ教師らを訴えた裁判は、この新法成立に大きく寄与したとされる。自らのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や時効の壁との闘いを経て、現在は性暴力に関する講演や執筆も精力的に行っている。「15歳までは、どこの学校にもいる、絵の好きな普通の女の子でした」■中学三年生のころ、教員から無理やりキスをされた美術科のある高校を目指し、美術教員だった教師Aから絵の指導を受けていた石田さん、中3の卒業式の前日に、その教師Aから突然、『チケットがあるんだ』と、美術館に誘われた。「お世話になった先生の誘いを断れずに美術館へ行き、そこで私は急におなかが痛くなるんです」その教師Aは、体を休ませるためと言って石田さんを一人暮らしの自宅に車で連れ帰った。やがて体調が戻った彼女が画集などを見ていると、「実は好きだったんだ」いったんは拒絶したものの、無理やりキスをされた。「私は頭が真っ白になり、過呼吸のような状態になって、泣きだしてしまいました」母に相談するも叱り飛ばされ、その後誰にも相談する勇気を持てなかった石田さん。戸惑いと恐怖のなかで、関係は大学2年時まで続いた。「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います。DVの構造に似ているのかもしれません。別れは突然で、大学2年の夏でした。教員に新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました。彼の相手は、新任でやってきた女性教師だったようです」■施設に通う少女に性暴力を働いた職員の裁判を偶然傍聴して気持ちが固まった教師Aと別れた石田さんは、大学3年生の1年間を休学し、京都でバイトなどをして過ごした。そして大学に戻り、4年生で行った教育実習でのこと。「高校の教壇に立ち、ハッと思うんです。私が22歳で生徒は18歳くらいで年齢差もそれ程なかったんですが、それでも、この子たちを恋愛対象にするのはおかしいと。そもそも教師にとって、子供というのは恋愛対象ではなくケアすべき対象なんだと確信しました」そこへ教師Aから、大学を卒業したタイミングで再び手紙が届き始める。「『交際中の女性と別れるかもしれない』『私は女性を尊敬しているのに、なぜ愛されないのか』などとあり、最初は無視しましたが、2回目の手紙が届くに至って、札幌市の教育委員会に、中学以来の教員との出来事を記して『厳重に処罰してほしい』と要望書を送りました。その後、教育委員会を訪ね、私は先生と生徒が恋愛すること自体がおかしいと主張しました。しかし、元は小学校校長だったという児童相談員の高齢女性は『卒業してからの恋愛は自由だから』といった対応で、『相手の教師にも告げます』とのことでしたが、結局、あとで告げられていなかったこともわかるんです。すべてをうやむやにされたような印象で、人間不信にも陥ってしまいました」その後、もっと美術の勉強をしたいと思った石田さんは、金沢美術工芸大学に入学。卒業後、29歳のときにフォトグラファーを名乗り、結婚式場の写真撮影などで生計を立てるようになる。さらに1年弱のフィンランド留学を経て、帰国後に上京。35歳になる直前の沖縄旅行で、転機となる出会いがあった。「ある高齢の男性と友人になりましたが、彼が過去に服役経験もある波瀾の人生を送ったと知るんです。えっ、服役って、傷害罪ってどんなことだろうと、そんな単純な疑問が、帰京して裁判傍聴をするきっかけでした」東京地方裁判所に傍聴に出かけたのは、37歳の5月だった。「本当に偶然に、その日、傍聴できたのが児童福祉法違反の裁判でした。被告は20代後半の男性で、被害者は16歳の少女。加害者男性は養護施設の職員で、施設に通う少女に性暴力を働いた罪を問われるんですが、その職員が供述するんです。『恋愛だった。同意があった』。そのとき初めて知るんです。私に起こったのは、裁判になるようなことだったんだ、と」裁判所からの帰り道、涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。過去をふり返り、何度も自問自答するなかで気持ちが固まっていく。裁判傍聴から7カ月後、石田さんは札幌に戻り、教師Aを呼び出す。教育委員会への申し立てに先立ち、証拠となる音声データを集めるためだった。■いまもあの教員が学校で生徒に接している。その情景を想像して黙っていられなくなった「先生、覚えてます?」「玄関でキスした。忘れるわけがありません」年末の居酒屋にやってきた教師Aは、石田さんの緊張を笑い飛ばすように饒舌だったという。「いつかあなたが、『私の人生を狂わせた』と言ってくるんじゃないかと思ってました。教育委員会にバレたら、俺は免職、クビだから。『僕はこの人を幸せにするから、この仕事を続けさせてください』と言うつもりだった」石田さんが、その場面を振り返る。「教員は、自分に都合のいいというか、こちらをなめたようなことばかりベラベラと話しました。私は、裁判について調べ始めてすぐに、刑事事件では7年という時効があって難しいけれど、地方公務員の教員の懲戒処分に関しては時効がないことを知り、かつてあった事実を証明するために、教員との会話を録りました」このときの録音記録を持参し、16年2月、石田さんは札幌市の教育委員会へ、教師Aの適切な処分を求めて申し立てを行う。「過去には無視されたりした教育委員会に出向くこと自体、私にはとても勇気のいることでした」ところが市教委の聞き取りで、教師A側は石田さんの訴えをことごとく否定。「市教委側も、『事実認定ができないから』と、加害者である教員をかばうばかりなんだと、大きな絶望感にも襲われました」この市教委訪問のころから、石田さんに、ふとしたときにイヤなことをされた記憶がよみがえるフラッシュバックなどPTSDの症状が出始める。「私の場合、当時着ていたダッフルコートの襟の感覚など、なぜか触覚的なものが多かった。なんて私はばかだったんだと深く落ち込んだりして、38歳の1年間は、人生でいちばんしんどかった」しかし、その後も鬱々とした日々を過ごしながらも、いつも頭のどこかに、諦めてはいけないという気持ちがあった。「うまく言えませんが、私自身、このまま黙って生き続けることはできないという思いです。教師が嘘をつけば懲戒処分を免れるという、加害者に有利な状況はおかしい。今もあの教師が中学校で普通に生徒と接していて、教育委員会も黙認している。その教室の情景を想像して、黙っていられなくなったのが、私が提訴に至ったいちばんの理由です」19年2月、教師Aと札幌市を相手取り、約3千万円の損害賠償を求めて提訴。こうした裁判では珍しく、自身のプライバシーをさらけ出す覚悟も決めていた。「これまで友人や、いわゆる知識人と呼ばれる人にも相談しましたが、9割が『なんでいまさら昔のことを』という対応でした。私自身は、自分は絶対に悪くないという確固とした思いがありましたから、実名・顔出しなら本気で聞いてもらえるのではないかと、迷いはなかったです」8月の一審の東京地裁では、音声データなども提出したが、不法行為から20年が経過して、民法上の損害賠償請求権が認められる期間が過ぎているとの判断で、訴えを退けられる。「一審では、こんなに長い時間が経過してからPTSDになることが本当にあるのかと。また、大学生だった私には性行為の意味を理解できていたはずなど加害者の言い分ばかりを聞き、“石田はおかしい人”と見ているかなり偏った判決で、非常に傷つきました」このまま、また被害者である自分の言い分はまともに聞いてもらえないのかと、半ば諦めとともに迎えた20年12月の東京高裁での二審。控訴は棄却となったが、ついに判決のなかでかつての教師Aによる性暴力行為が認められた。これを受け、21年1月28日、札幌市教育委員会が、教師Aを懲戒免職とする処分を発表。同時に市教委の担当部長が、「寄り添った対応ができなかったことに対して、被害に遭われた女性に心からお詫び申し上げる」と謝罪。石田さんは、「教員が懲戒免職となることを知らせる市教委からのメールを最初に見たときは、長く続いた大嵐が突然やんで、雲の隙間から光が差し込んできたような心境でした。喜びより、安心したというのが素直な気持ちです」15歳の少女が、43歳の女性になっていた。人間不信やPTSDに悩み苦しみ続けた28年もの歳月を経て、彼女は自らの意志で次のステップへと踏み出した。この4カ月後、教師等の性暴力から児童・生徒を守る新法が成立し、記者会見で石田さんは語った。「これまで置き去りにされてきた学校での性暴力の問題について、急に動きだした感じ。自分が訴えてきたことが、生かされたことはうれしいです」現在も発信を続ける彼女は言う。「『加害者にならないための教育』が大事だと思うんです。泥棒や殺人がやってはいけないことと同じように、教師の性暴力も犯罪なのだと社会全体で認識すること。また親御さんに対しては、もしお子さんが被害を受けていても、子供を責めることはしないでほしい。被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」
2021年09月13日「性犯罪では、被害に遭った人は『一生苦しむ』と言われたり、ときには『魂の殺人』という表現で語られたりします。それは一部事実だけど、本当ではありません。人には、戻る力もあります。私も一時は“先生”や“札幌”という言葉を聞くのもひどく苦痛でしたが、変われました。周囲の支えや法律に守られることによって立ち直れる事実を、私の体験を通じて知ってもらいたいのです」フォトグラファーの石田郁子さん(43)が、信頼する教師から「性暴力」を受け始めたのは、札幌市の中学に通っていた15歳のとき。ずっと「恋愛」だと思い込まされてきて、それが「犯罪」であったと気付いたときは37歳になっていた。児童・生徒への教師による性暴力が後を絶たない現状がある。文部科学省によると、’19年度に性暴力やセクハラで処分された公立小中高などの教職員は273人で、過去最多だった前年度とほぼ変わらぬ多い数だった。このうち121人が、性暴力によって懲戒免職となっている。そんななか、21年5月に、教師らによる児童・生徒へのわいせつ行為や性暴力を防止する、いわゆる「教員性暴力対策法」が成立。この新法により、懲戒免職となった教職員が処分歴を隠して再び教壇に立つことなどが極めて困難となった。石田さんが、彼女の尊厳をかけて「実名・顔出し」で取り組んだ教師らを訴えた裁判は、この新法成立に大きく寄与したとされる。自らのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や時効の壁との闘いを経て、現在は性暴力に関する講演や執筆も精力的に行っている。「15歳までは、どこの学校にもいる、絵の好きな普通の女の子でした」魂の回復までの、四半世紀に及ぶ長い道のりを語り始めた。■「実は好きだったんだ」教師に無理やりキスをされ、頭が真っ白になって……「77年、札幌市の生まれです。両親はいわゆる団塊の世代で、父は公務員、母は専業主婦でした。加害者の教員は、私が中3のときに、通っていた公立中学に赴任してきました。担当は美術で、当時28歳で独身でした。中3の卒業式の前日に、その教員から突然、『チケットがあるんだ』と、美術館に誘われました。私は美術科のある高校を目指していて、絵の指導を受けていました。お世話になった先生の誘いを断れずに美術館へ行き、そこで私は急におなかが痛くなるんです」その教師Aは、体を休ませるためと言って石田さんを一人暮らしの自宅に車で連れ帰った。やがて体調が戻った彼女が画集などを見ていると、「実は好きだったんだ」いったんは拒絶したものの、無理やりキスをされた。「私は頭が真っ白になり、過呼吸のような状態になって、泣きだしてしまいました。その後、春休み中に、言われるがまま3回ほど会いました。同じころ、私の異変を察した母に、『先生にキスされた』と初めて打ち明けました」すると母親(73)は、「15歳なのに早すぎる。そういうことは、好きな人とするもの」娘の気持ちや事情を聞くことはなく、叱りつけてきた。「もともと世間体を何より気にする母でした。その叱責を聞いて、私は子供なのにいやらしいことをしてしまったんだと思うと同時に、親に知られると頭ごなしに怒られるんだと思って、その後、教員とのことは言わなくなるんです。当時の私にとって、性的な犯罪というのは、夜道で怖い人が襲うというイメージでした。でも教員は、『好きだ』と言いながら性的なことをしてくる。彼は私の絵を褒めてくれる人であって、イコール恋愛ではけっしてない。ただ、自分が生徒として好感を持つ先生が好きと言うのなら、私も喜ばなきゃいけないかな、というのが正直な気持ちでした」その特異な関係性に気付くのは、もっとあとになってからだった。「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います」高校は、進学校として知られる地元の公立校へ。「その後も、海に車で連れていかれて車内で上半身裸にされることがあったりして、私は罪悪感を持って家に帰るんです。誰にも話せず、自分の中に不安がたまっていくだけ。その分、必死で勉強しましたね。性的な被害を受けて精神が揺らいでいたので、確実に結果の出る勉強という安心にすがっていたのだと思います」卒業後には地元の一流大学へ合格でき、美術史を専攻することとなった。しかしそのころ、教師Aとの関係性に一つの大きな変化が。「私が大学生になると、教員から直接の性行為を求められるようになるんです。私自身はずっと感情をなくしている状態ですから、怖くもないし、楽しくもない。ただ、性交がうまくいかないんです。私が受け入れる状態になれない。不感症というものじゃないかと疑ったこともありました。ただ痛いばかりで、『痛い、無理です』となっていました。のちに取材などで、『彼が痛くなくなるような工夫は?』と問われて、初めて気付くんです。向こうには、相手に対する気遣いなど一切なかったということに。その後、別の男性とは互いに思いやる感情も持てましたし、普通にそうした行為もできましたから」別れもまた、一方的だった。「大学2年の夏でした。教員に新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました。彼の相手は、新任でやってきた女性教師だったようです。私が出した手紙も、開封されずに送り返されてきたりして。これで縁が切れた、と思いました。と同時に、ひどく憂鬱な気分にもなってしまうんです。支配する、されるという異常な環境があまりに長く続いたから、それが激変するのはまた怖いという……。DVの構造に似ているのかもしれません」その後月日がたち、ほかの性被害の事例を知り、裁判傍聴などにいくにつれ、石田さんは「自分のされたことは裁判になるようなことなのだ」と自覚した。そのとき、涙が止まらなかったという。それがきっかけとなり、石田さんは札幌に戻り、教師Aを呼び出す。教育委員会への申し立てに先立ち、証拠となる音声データを集めるためだった。「うまく言えませんが、私自身、このまま黙って生き続けることはできないという思いです。今もあの教師が中学校で普通に生徒と接していて、教育委員会も黙認している。その教室の情景を想像して、黙っていられなくなったのが、私が提訴に至ったいちばんの理由です」長い長い戦いの始まりだった。そして石田さんの勇気は、冒頭に述べた通り教師Aを懲戒免職へと追いやり、多くの被害者を救う教師等の性暴力から児童・生徒を守る新法設立への大きな後押しへとなったのだ。■実名で顔もさらして戦った石田さんは、被害者の立場で発信を続けている「狭いうえに散らかっていて、ごめんなさい。これでも必死に片づけたんですが(笑)。4年前から、ずっとこの6畳一間で、ご飯も仕事の写真処理も行ってます。さあ、まずは冷たい麦茶でも」都内にある石田さんの自宅兼仕事場を訪れたのは8月の猛暑の日だった。カメラ機材や性暴力に関する書籍などがぎっしり置かれているなかから、記事で使用するアルバムや写真などを探し出してくれる。「中学の卒業アルバムは、ずっと見られなかった。ようやく最近です、見ても平気になったのは。ああ、この人が、その教員です。おかしいと思いませんか、私の写真はいろんなところに出ているのに、加害者であるAの顔は誰にも知られていないというのは」それまでにこやかに対応してくれていた石田さんの表情が一瞬、翳る。教師Aは懲戒免職となった直後、「処分は不当」としてその取り消しを求めている。彼女は言う。「『加害者にならないための教育』が大事だと思うんです。泥棒や殺人がやってはいけないことと同じように、教師の性暴力も犯罪なのだと社会全体で認識すること。また親御さんに対しては、もしお子さんが被害を受けていても、子供を責めることはしないでほしい。被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」同様に、加害者へのケアが必要と語るのは、石田さんの裁判を担当した小竹広子弁護士。「私は加害者の弁護もしますが、過去に自身も性被害を受けていた男性が意外に多い。暴力の連鎖ですね。また時効の問題も、それを理由に罪に問われないとしたら、加害者が自分の罪に向き合う機会を奪うことになり、社会全体の不幸につながると思います」フォトグラファーとして、最近は中高生のスポーツ大会の撮影の仕事が増えたという石田さん。「サッカーとバスケを撮りました。ふと気付くと、自分が被害に遭ったときと同じ年代の子たちなんですよね。でも写真を撮っていて、純粋に若い子たちのひたむきな姿と出合えてうれしかったんです。今後は、信頼できる友人や、もちろん恋人も欲しい。あと、いずれ絵にも戻りたい。あんなことがあって、遠ざけてしまったから」美術科担当でありながら、絵が好きな少女の夢まで奪ったことを教師Aは自覚しているだろうか。石田さんが、再び絵筆を手にする日が近く訪れることを切に願う。
2021年09月13日スタジオに3つの子ども部屋を用意し、幼く見える顔立ちの3人の18歳以上の女優が「12歳・女子」という設定でSNSのアカウントを開設し「友達募集」をしたところ何が起こるか――。チェコで行われたそんな“実験”の様子をカメラに収めた衝撃のドキュメンタリー『SNS-少女たちの10日間-』が公開を迎えた。10日の間に、3人にコンタクトを取り、裸の写真を送らせようとしたり、直接会おうとするなど、卑劣な誘いをかけてきた成人男性は2,458名――。子どもを持つ多くの親たちを戦慄させ、チェコ警察、さらには国家までをも動かすことになった問題作が日本に上陸する! 公開を前に共同監督のひとりであるヴィート・クルサークがリモートインタビューで本作への思いを語ってくれた。社会を動かした衝撃のドキュメンタリー本作の製作にあたり、クルサーク監督と共同監督であるバーラ・ハルポヴァーの2人が、「12歳・女子」を演じる3人の女優と事前に約束したのが以下のルール。1:自分から連絡しない2:12歳であることをハッキリと告げる3:誘惑や挑発をしない4:(チャット相手からの)露骨な性的指示は断る5:何度も頼まれた時のみ裸の写真(※映画スタッフが作成した偽の合成写真)を送る6:こちらから会う約束を持ち掛けない7:撮影中は現場にいる精神科医や弁護士などに相談する撮影はカウンセラーや性科学者が同席する中で進められていった。映画はチェコで公開されるやセンセーションを巻き起こした。「ある種の社会現象とも言える事態を引き起こしました」と語るクルサーク監督。実際、チェコ警察からは映画の内容を児童への性的搾取の犯罪の証拠とするための協力を求められ「いま取材を受けている時点で(※3月下旬)、52人の男性と1人の女性が捜査をウケており、既に8人が裁判で有罪判決を受けました」。動いたのは警察だけではない。「映画を見た政治家たちは、サイバー環境における犯罪に対する取り締まりを強化することを決めました。また映画公開後に3つの省庁から連絡があったのですが、そのうちのひとつ、文部省は子どもたちへの性教育のカリキュラムを改正し、小学3年生から性教育を取り入れることを考えているとのことでした」。少女たちを陥れる卑屈な手口とは映画を見ると、男たちが画面を通して時に言葉巧みに女性の容姿を称えたり、理解者であるように振る舞いながら、性的に搾取しようとするおぞましい姿が映し出される。映画はチェコで撮影されたが、もちろん同じことは日本でも既に起きている。時にニュースとして報じられることもあるが、それは氷山の一角に過ぎないだろう。とはいえ、大人たちの多くは、こうした「未成年の少女がチャット相手に裸の写真を送らされた」といった事件の報に接して、こんな疑問を抱くのではないだろうか? なぜ少女たちは、ネットで(大人たちから見て)安易に会ったこともない相手に裸の写真を送ってしまうのか――?クルサーク監督は本作のための取材を重ねた経験から、少女たちの心理をこう説明する。「12歳の少女たちは、いわば大人と子どもの“境目”と言える非常にデリケートな時期を生きています。親をはじめ、周りの大人たちは彼女たちに厳しいことを言う存在であり、なかなか対等と言える関係を築くことはできません。そんな時、ネットには親や教師たちと同じような年齢で、自分と対等に接してくれる存在、自分のことを理解してくれているようにふるまう存在がいるわけです。少女たちは、自分を大人として接してくれる存在、優しくしてくれる存在を求めてしまいます。そうした状況でネットでコンタクトを取ってくる男たちは、まず彼女たちと友達になろうとしてきます。彼女たちのプロフィールはオープンにされていて、それを見れば趣味やペット、好きなものが全てわかります。そうした情報をミラーリングして、彼女たちに話を合わせてくるのです。そうすることで少女たちは徐々に、彼らを“信頼できる存在”と認識していきます。ある時点で彼らがこうした関係を「終わりにしたい」と告げると、少女たちは『関係を維持したい』と願います。そうした少女たちの心理に付け込んで『じゃあ裸の写真を送ってくれるなら…』と要求し、彼女たちもそれに応じてしまうのです」。子どもたちを大人の歪んだ欲求から守るために改めていま、クルサーク監督は、子どもたちを大人の歪んだ欲求から守るために必要なこととして「正しい知識を教えること」と「親子の信頼関係を築くこと」の重要性を説く。「こんな例えがあります。“満員の地下鉄で、スリと遭遇するのを避けることはできないかもしれないが、リュックを開けっ放しにしないことで被害を防ぐことはできる”というものです。ネット環境も同じことが言えます。悪質な行為を行なう者たちを根絶やしにすることよりも、子どもたちが被害者にならないためにネットの正しい使い方を教育すること、家庭で信頼関係を築くことが重要です。専門家が指摘していますが、13~14歳の思春期の子どもたちは(チャットの)相手のプレッシャーに怯えてしまうものですが、それ以上に彼ら、彼女たちが怯えるのは『もし親にバレてしまったらどうしようか?』ということだと言います。実際、チェコでは昨年、こうしたネット上のやり取りのプレッシャーの末に14人の子どもたちが自殺しています。もし、彼らが親に相談することができていたら、こんな悲劇は起こらなかったのです。『何があっても相談しろ』と言える関係性を築くことが大切なのです」。(text:Naoki Kurozu)■関連作品:SNS少女たちの10日間 2021年4月23日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開@2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.
2021年04月24日「いつかやらなきゃ…」と頭ではわかっているものの、いざとなると構えてしまう性教育。それを、科学的にポジティブに教えてくれるのが 「サッコ先生と! からだこころ研究所 小学生と考える『性ってなに?』(リトルモア刊)」 の著者で、産婦人科医の高橋幸子先生、通称サッコ先生です。 前編 では、自分らしく生きることが本来の性であり、性教育とは自分の体を大切にすることからはじまると教えていただきました。この後編では、幼少期を過ぎてからの性教育や、我が子が性被害にあわないために親ができること、そして、性被害にあってしまったときにとるべき行動について伺いました。高橋幸子先生 プロフィール埼玉医科大学医療人育成支援センター・地域医学推進センター/産婦人科医。日本家族計画協会クリニック非常勤医師。彩の国思春期教育会西部支部会長。NHK「あさイチ」「ハートネットTV」「夏休み!ラジオ保健室〜10代の性 悩み相談〜」に出演、AbemaTVドラマ「17.3 about a sex」、ピル情報の総合サイト「ピルにゃん」、家庭でできる性教育サイト 「命育」 を監修するなど、性教育の普及や啓発に尽力する。HP: ■日本の性教育は遅れている?—— 著書のなかで、世界では5歳から性教育がはじまっていると紹介されていました。やはり日本は遅れているのでしょうか?世界の性教育の基準は、ユネスコの「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」にありますが、性教育に関しては5歳からはじまると書かれています。日本は、国際水準からはまだまだ遠いのが現状で、現在の小学校の学習指導要領(※1)では、5年生の理科で「人は母体内で成長して生まれる」ということは教えますが、受精に至る過程は取り扱わないという歯止め規定があります。しかし、2021年4月から文部科学省が「生命(いのち)の安全教育」という授業を幼稚園から大学まで段階的に導入する予定で、プライベートゾーンやデートDVについてなどが盛り込まれるそうです。性教育は、熱心な家庭とそうでない家庭で差が大きいので、家庭ですり抜けてしまう子をなくすという意味では学校でおこなうことはすごく意味があるし、期待しています。しかし、性教育は早ければ早いほどいいですし、まだ試験的な導入なので、全国に広がるのは数年かかるはず。これを見た方はぜひ今から家庭でできることをやっていただきたいです。※1:文部科学省「小学校学習指導要領」小学五年生理科「B生命・地球」「(2)動物の誕生について」「内容の取扱い」より2020年12月現在)■性教育をはじめるタイミング—— すでに幼少期を過ぎていても遅くはないでしょうか?早ければ早いほどいいというのは、性教育の入り口であるプライベートゾーンを守る=自分の体を大切にするということができないと、自己肯定感がうまく育たないまま大人になってしまうからです。すると、大人になって体を目的に近寄ってきた人に対して自分が求められていると勘違いし、性犯罪に巻き込まれたり性的なことに依存度が高くなることも。いわば性に関する知識はライフスキル、つまり生きていくために必要な知恵ともいえます。また、思春期になって自分の体に変化が起きたときに、自分の体は自分だけの大切なものという認識があれば、他人と比較して落ち込むことも軽減できます。なので、できれば思春期に入る前のタイミングまでにはじめられるといいですね。著書のなかで登場するキャラクターが小学4年生なのもそのため。ちょうど4年生の保健体育で初潮や精通について習うということもあります。—— 幼少期を過ぎて、性について話しづらくなっていたり、きっかけがない場合はどうすればいいでしょう?私の著書のほか、以下のように様々な本があるので、お子さんがひとりで読めるようにトイレや子ども部屋などの個室にそっと置いてみるといいのではないでしょうか。<おすすめの性教育本>・ サッコ先生と!からだこころ研究所 小学生と考える『性ってなに?』(リトルモア刊) ・ 子どもを守る言葉「同意」って何? YES、NOは自分が決める! (集英社刊) ・ おしえて! くもくん(東山書房刊) —— 小学生の子どもがふざけてセックスという言葉を口にしたのですが、どこで知ったのかビックリ! そんなときはどうしたらいいでしょう?どういう経路でその言葉を知ったのかを確認した方がいいですね。というのも、いまはネットでアダルトビデオなどの動画が簡単に見られる時代。歪んだカタチで性の知識を得ている可能性もあるので、責めるのではなく「どこで聞いたの?」と、仕入れ先は探るべきです。きちんと学んで理解していたならそれはそれでいいし、対策が必要なら対策を考えればよし。言葉だけを知っている場合もあるかもしれません。いずれにせよ、性について話すきっかけになります。■プライベートゾーンの知識が性犯罪から守ることにつながる—— SNSやネットをきっかけにした性犯罪が増えていると聞きます。我が子を性被害から守るために親ができることは何でしょう?性被害にあわないための意識を根づかせることが第一。それがまさしく、幼いころからプライベートゾーンを守るという知識をつけること。自分の体は大切だから他人に許可なく見せない、見られたらおかしいという意識があれば、いざというときNOといえます。じつは、性犯罪をおかした小児性愛者に犯行に及んだ理由を聞くと、「相手がイヤだといわなかったから。あのときあの子がNOといってくれたらこんな風にならなかった」と子どものせいにするのだそう。本当に許せない、おかしな話なのですが、子どもにNOといえる力をつけることが何よりなんです。そのために、プライベートゾーンについて早くから知識をもたせることがすべてにつながってきます。—— 我が子が性犯罪の加害者になる可能性もあります。加害者にならないために親が注意すべきことはありますか?これもやはり性教育の原点となる自分の体を大切にすることを幼いうちから伝えること。自分を大切にできれば、相手のことも思いやれるので、加害者となる可能性は圧倒的に軽減できます。また、大人になって性的な逸脱行動をする人の成育歴を見ると、周りから傷つけられてきたという過去がある人が多いそう。親が気づかぬうちに精神的な虐待をするといったことがないよう、子どもに寄り添うことが大事です。それと、地域や社会で性犯罪が起きにくい環境づくりをすることも大切。性犯罪をおかした小児性愛者を多く診察してきた先生によると、小児性愛は生まれつきのものではないそうです。例えば、大人と対等にコミュニケーションを取るのが苦手と感じていたとき、子どもを対象にした性的なビデオを見ることで、自分より力のない子どもなら大丈夫なのだと結びつき、小児性犯罪に走ってしまう。そもそも子どもを性の対象にすること自体がおかしなことで、そういうポルノ商品を世に出すことが犯罪行為。そのビデオに出演させられている子どもたちは完全に被害者です。徹底的に取り締まり、社会全体で許さないという姿勢をみせる必要があります。また、街頭に見守りポスターを1枚貼るだけでも、性犯罪が起きにくい環境づくりができます。地域の大人たちで協力して子どもを守ることが大切。そして、家庭内で性についてなるべくオープンに話せる関係性を築いておけるといいですね。■性被害にあった我が子に一番かけてはいけない言葉—— 万が一、我が子が性被害にあってしまった場合、親としてどのような対応をするのがいいのでしょうか?まず、あなたは何も悪くないと伝えて、寄り添うこと。絶対にいってはいけないのは、「あなたが短いスカートを履いていたから…」など、被害者側にも一因があると諭してしまうことです。いまトラウマインフォームドケアというのが注目されているのですが、子どもの頃のトラウマが後の生きづらさや問題行動に影響するというもの。親が第二の加害者にならないように、とにかく心に寄り添うことが重要です。そして、あなたのせいではないと伝えたあとは、専門家につなぐこと。私がおこなっている思春期外来では性被害にあったかどうかを診察して診断書を書くのですが、心のケアまではなかなか難しい。小児精神科の専門医にみてもらうのがいいのですが、まだ数が少ないのが現状です。専門家につなぐのに時間がかかる場合は、とにかくお子さんにあなたの味方だと伝えて、心に寄り添うようにしてください。 サッコ先生と! からだこころ研究所 小学生と考える『性ってなに?』(リトルモア刊) 小学生が自分で読んで学べる性教育の新しい教科書。サッコ先生がときどき質問を投げかけたりしながら、体のしくみや性について楽しくポイジティブに学べます。ミッションでは、“自分の脈をはかってみよう!”“自分の性器を見て見よう”などチャレンジしながら自分の体を正しく知ることができ、コラムでは“性器の洗い方”など役立つノウハウもわかりやすく解説しています。【お知らせ】サッコ先生と!みんなで学ぼう「性ってなに?」~小学生向け・はじめての性教育ワークショップ~●講師高橋幸子(産婦人科医、『サッコ先生と!からだこころ研究所』著者)●日時2021年5月9日(日) 1回目 11:00~/2回目 13:30~※1回目、2回目は同じ内容です。●会場・お申し込み詳細は リトルモア HP をご覧ください。
2021年04月01日性教育アドバイザーとして活躍し、とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事や『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)の著書を出版されている、のじまなみさんが男の子の「性教育」について教えてくれました。 親のためにも子どものためにも早めに伝えておきたい「精通」の話我が子を性犯罪の被害者にも加害者にもさせないために、そして他者を思いやれる人間になれるように親ができることが「性教育」とお伝えしてきました。しかし、とりわけお母さんにとって、男の子は謎多き生き物。体の仕組みもよくわからないし、思春期に起こる第二次性徴についてもほとんど知らない方が多いでしょう。 今回は思春期を迎える前に特に男の子に伝えておきたい「精通」「マスターベーション」「アダルトコンテンツ」についてお話しします。 お母さんにとっても子どもにとっても未知の世界、「精通」ってどんなもの?男の子が第二次性徴を迎えると、体つきの変化や声変わり、体毛が濃くなるなどの変化に加え、あるビッグイベントが起こります。それが「精通」です。しかし、経験者であるお父さんならいざ知らず、お母さんにとって「精通」はまるっきり未知の世界なのではないでしょうか。もしかしたら学校で習ったことがあるかもしれませんが、ほとんど記憶にない方も多いでしょう。そこで、この機会にぜひ「精通」について理解を深めていただければと思います。 個人差がありますが、だいたい思春期を迎える12歳頃を目安に「精通」を迎える子が多いといわれています。しかし中には、「おちんちんをいじっていたら何か出てきた」という具合に、精通とまではいえない経験をかなり早い年齢で迎えるお子さんもいます。また精通は「夢精」か「マスターベーション(自慰)」で起こることがほとんどですが、精通のことを知らないと、「性器から膿(うみ)が出た!」「自分は病気かもしれない」「エッチなことを考えていた自分は最低の人間だ」などと、ショックを受けたり自分を責めてしまったりするお子さんが少なからずいます。 しかし、精通は“大人になった証”であり、とても喜ばしいことです。そんな喜ばしいことがお子さん本人にとってショックな出来事にならないためにも、3歳頃から段階的に、男性器の働きや形について話すなかで、精通のことにも触れておきましょう。例えばお子さんから「なんでママにはおちんちんがないの?」と聞かれたとき、こんなふうに伝えてみるのはいかがでしょうか。――「女の人と男の人の体が違うことによく気が付いたね! じつはおちんちんは、男の人だけにある特別なものなんだよ。もっとお兄さんになると、おちんちんのトンネルが開通して、おしっことは違う『精液』というものがおちんちんから出てくるようになるんだ。これは『大人になった証拠』なんだよ!」 そこまで言わなくても……と思うかもしれませんが、性の話を「卑猥」と思わない幼少期のうちに、ぜひご家庭で伝えてみてください。学校の授業で教わる前にお子さんが精通を迎える可能性もありますし、どこからか言葉を覚えてきてこっそりインターネットで調べ、誤った情報にたどり着く危険性もあります。「まだ早い」と思わずに、早めに伝えておきましょう。 息子が精通を迎えたら伝えたいことと、やってはいけないこと察しの良い親御さんなら、お子さんが精通を迎えたことにすぐ気が付くかもしれません。洗濯物の下着が不自然に濡れている、洗濯物に下着が入っていない、などなど……。しかしこんなときに、「これ何?」ときいたり、「パンツはどこにやったの!」と叱ったりすることがないようにしたいものです。お子さんが精通を迎える前に、幼いうちから「もし精通があったら、下着は軽く手洗いして洗濯に出しておいてね」とさらりと伝えておけると、お互いに余計なストレスや気遣いがいりません。小さいうちから自分の下着は自分で洗う「パンツ洗い」もおすすめしています。 そして、精通を迎えた男の子がマスターベーションをするのは「普通のこと」だと、親子ともども知っておきましょう。マスターベーションは悪いことではありません。たくさんしたからといって健康に影響があったり、「ヘンタイだ」などということもまったくありません。ですから、お子さんが思春期を迎えたら、一人になれる時間と場所を用意してあげることも親の気遣いです。お風呂やトイレが少し長くなっても、小言を言わないであげてください。ましてノックもなしに部屋のドアを開けるのは絶対にNGです。 そして、マスターベーションのためにアダルトコンテンツ(エロ本やAVなど)を見るのもごく自然なことです。これも責めたり詮索したりしないでください。ただし、小学生などのまだ分別がつかない年齢であれば「善悪の区別がつくようになるまで見ないでほしい」と伝えたほうが良いでしょう。また、アダルトコンテンツの内容を鵜のみにしないこと、つまり「アダルトコンテンツは男性向けに作られたファンタジーであって、実際の女性はもっと大切にしなければならない」ということも、できれば伝えておきたいものです。そんな話ができるためにも、幼少期のうちから性教育をして、なんでも話せる親子関係を築いておくことが大切ですね。 大人の仲間入りをした息子に知ってほしい「命」のことお子さんが精通を迎えたら、親御さんから伝えていただきたいことがあります。それは「これで大人の仲間入りだね!」という祝福の言葉と、「あなたは子どもをつくれるようになった」ということです。前回、生理の話でもお伝えしましたが、小学生であれ中学生であれ、初潮と精通を迎えた男女同士であれば妊娠の可能性はゼロではありません。「うちの子にかぎって……」という気持ちはわかりますが、大切なことですので、親の口からしっかりと伝えましょう。 私は3歳からの性教育をするうえで「明るく楽しく」をモットーにしていますが、初潮と精通を迎えた子どもに「命」の話をするときばかりは、少し改まるくらいでも良いかもしれません。避妊の話、性感染症の話、中絶の話、そして不妊治療やLGBTの話……。子どもが精神的にも成長したからこそ伝えたい、命と尊厳についての大切な話がたくさんあります。詳しくはぜひ拙著『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)をお読みいただければと思います。 「精通」をはじめとした男の子の心身の成長についておわかりいただけたでしょうか? 男の子の性教育に迷ったら、ぜひ参考にしてみてください。 イラスト:おぐらなおみ(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より) 著者:カウンセラー 性教育アドバイザー のじまなみ性教育アドバイザー。とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事。著書の『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)は7万部を超える話題作となる。著書『男子は、みんな宇宙人!世界一わかりやすい男の子の性教育』(日本能率協会マネジメントセンター)、『赤ちゃんはどこから来るの?親子で学ぶはじめての性教育』(幻冬舎)、『「赤ちゃんてどうやってできるの?」にきちんと答える親になる!』(日本図書センター)。
2021年03月26日2021年3月5日、タレントの中川翔子さんがYouTubeチャンネルを更新。長年悩まされてきた、『ストーカー被害』について告白しました。2018年、中川さんをつきまとったとして、ある男性がストーカー規制法違反の疑いで逮捕。しかし、この事件以外にもストーカー被害は何度も発生しており、そのたびに引っ越しを余儀なくさせられたといいます。中川翔子「もう、つらくてどうにかなりそうだった」動画によると、中川さんの行きつけの店へ突然来て、「中川翔子を出せ」「中川翔子と約束してる」「中川翔子と結婚してる」と騒いだり、暴れたりする人がいたそうです。しかし通報をしても、警察は被害がないと逮捕ができないため、被害を受けてもほとんどが泣き寝入りになってしまうのだとか。さらに、昔住んでいたマンションでは「エレベーターの中で身体をつかまれ、盗聴・盗撮をされたこともあった」といいます。急いで引っ越しをせざるを得なくなった中川さんですが、猫を飼える物件がすぐに見つからず、愛猫と半年間も離ればなれで暮らしたことも。当時をこう振り返り、このように述べました。どうにかなりそうでした。本当につらくて。生きがいの愛猫とも離ればなれになって。めちゃくちゃ悔しかった。大切な時間やお金は、もう一生取り戻せないんです。そのゆがんだ行動が、どれほど人の人生をゆがませるか…。中川翔子の「ヲ」ーより引用中川さんは「ストーカーは人を精神的に追い込み、大切な時間も奪うもの」だと、つらい経験を思い返しながら明かしました。愛猫との時間を奪われ、数回にわたる引っ越しも余儀なくされた中川さん。しかし、加害者を簡単に逮捕することはできず、泣き寝入りになってしまう現実は、本当に苦しいものだったでしょう。そして動画の後半、中川さんはこのように呼びかけています。みなさん、SNS時代なので、距離感が分からなくなってしまう人が一定数いるみたいなんです。本当に悩んで本当につらかった。だから、こういう思いはたくさんの人にしてほしくないと思うので、くれぐれも気をつけてほしいです。今まで、そういう体験がなかったとしても全然あるんですよ。私もまだすごく怖いです。もう引っ越したくない。みんながお互いを思いやって、安全に幸せに心から笑顔で暮らせたらいいのに。これからも私は静かに暮らしたいです。だからそっとしておいてください。中川翔子の「ヲ」ーより引用「SNSの普及で、人との距離感がうまくつかめなくなってしまう人がいる」と持論を展開した上で、これ以上苦しむ人を増やさないために、注意喚起を行った中川さん。ネット上では、さまざまな声が上がっています。・悪い人は好きなことをして、被害に遭った人が我慢をするなんて、おかしい。中川さんが1日でも早く安心して過ごせる日が来てほしい…。・よく、勇気を出して打ち明けてくれたと思います。多くの人にしょこたんの想いが伝わって、苦しむ人が減ってくれたらいいな。・過去に同じような思いをしたことがあるので、話を聞いていて他人事には感じませんでした。被害者の心の傷はずっと残る。ストーカー被害を防ぐために警察庁によると、2020年のストーカー規制法に基づく警告件数は2146件にのぼり、被害者は女性が80%以上を占めるといいます。少しでも「怪しい」と感じたら、周囲の人に助けを求め、警察へ相談するようにしましょう。また、『防犯ブザー』や『催涙スプレー』などの、撃退グッズの携帯や、個人情報が記載された書類を捨てる時は、シュレッターにかけるなどの自己防衛策を心がけておくといいかもしれません。[文・構成/grape編集部]
2021年03月06日性教育アドバイザーとして活躍し、とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事や『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)の著書を出版されている、のじまなみさんが子どもを性被害から守る方法について教えてくれました。 浴場で、習い事の更衣室で……知らぬ間に悪質な盗撮被害に遭ってしまう子どもたち温泉、プールなどの温浴施設やスイミングなどの習い事の更衣室など公共の場が悪質な盗撮の現場になってしまうことが少なくありません。今の時代、綿密な計画を立てて小型カメラを仕込まずとも、いつでもだれでも盗撮ができてしまいます。しかも、盗撮された画像や映像がひとたび売買されたりインターネット上に流されると、その拡散を止めることはもはや不可能とされています。「まさかうちの子が……」。親としてはそう信じたいものですが、残念ながら「知らぬ間に」被害に遭ってしまうことがあるのです。では、我が子が盗撮の性被害に遭わないために、親として何ができるでしょうか? 低年齢でもなるべく同性の更衣室を利用して「うちの子はまだ3歳だから」「子どもだから誰も気にしないでしょ」……その認識は、少し危ないかもしれません。残念ながら小児性愛者のなかには0歳の赤ちゃんすら性の対象になってしまう人もいます。低年齢だから安心だとは思わないようにしましょう。温泉やプールなどの施設を利用する場合、私は、低年齢でもなるべく同性の親と同じ更衣室(浴場)を利用することをおすすめしています。施設によっては「10歳まで」「身長110cmまで」など、異性の更衣室の利用条件を定めているところもありますが、その基準に明確な根拠はないことがほとんどです。家庭の事情によっては、異性の更衣室を使用せざるをえない場合もあるかもしれません。私としては、心苦しいことではありますが、それなら「当面は施設の利用をあきらめる」ことも選択肢のひとつかと思います。お子さんがある程度自立して別の更衣室を利用できるようになってからでも、楽しい思い出は作ることができるでしょう。それが難しい場合は、ラップタオルを活用するなど、みだりにお子さんの肌を露出することがないように配慮して、安全に施設を利用していただければと思います。 お子さん自身に着替えを練習させてこのような配慮が必要なのは、温浴施設だけにとどまりません。更衣室などの設備が不十分な海水浴場など、オープンな場所で子どもに着替えをさせている方も多く見かけますし、スイミングの習い事での着替えなどでも同じことが言えます。親も一人の子どもに手をかけられない場合がありますから、子どもが人前で「すっぽんぽん」になってしまうことも多々あるのではないでしょうか。そういったことを避けるためには、子ども自身に着替えを練習させるようにしましょう。海水浴の計画やスイミングを始める予定があるなら、ラップタオルを用意して、なるべくその中で着替えるように子どもに伝えます。といっても、なかなか使いにくいものですから、親も一緒に練習する必要があります。最初からうまくはいきませんが、練習を重ねることで、前回お伝えした「水着ゾーン」の意識づけをすることができるでしょう。お子さんを盗撮などの性被害から守るために、外出先での着替えについては配慮と工夫をしていただければと思います。 参考書籍『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版) イラスト:おぐらなおみ(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より) ※本稿は『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)からのじまなみさんに加筆・再編集いただきました。 著者:カウンセラー 性教育アドバイザー のじまなみ性教育アドバイザー。とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事。著書の『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)は7万部を超える話題作となる。著書『男子は、みんな宇宙人!世界一わかりやすい男の子の性教育』(日本能率協会マネジメントセンター)、『赤ちゃんはどこから来るの?親子で学ぶはじめての性教育』(幻冬舎)、『「赤ちゃんてどうやってできるの?」にきちんと答える親になる!』(日本図書センター)。
2021年02月07日性犯罪の被害者に、精神的な苦痛を与える『セカンドレイプ』。具体的には、被害者の落ち度を指摘したり、被害時の苦痛を思い出させたりといったものが『セカンドレイプ』にあたります。大島薫(@OshimaKaoru)さんが描いた4コマ漫画は、そうしたセカンドレイプをする人の認識を改めさせてくれる内容のものでした。漫画『抵抗しなかったお前が悪い』をご紹介します。「抵抗しなかったお前が悪い」という四コマ漫画を描きました。 pic.twitter.com/5ML4gsVnCX — 大島薫 (@OshimaKaoru) January 8, 2021 性被害にあった女性に対し、「本気で抵抗すれば、なんとかなったはず」「その服装は乱暴してくれといっているようなもの」などと被害者の落ち度を指摘していた男性。しかし、いざ男性が強盗の被害に遭うと、周囲からは聞き覚えのある言葉が返ってきたのでした。状況こそ違えど、犯罪に遭遇した時の心理は同じはずです。力では勝てなかったり、相手が武器を持っていたりすれば、恐怖で身体が支配され、言葉すら発せなくなってしまいます。また、きらびやかに着飾る人が強盗されることを目的としてそうした服装をしているわけではないのと同じで、容姿は犯罪に遭った落ち度にはなりません。『セカンドレイプ』をなくすには、相手と近しい視点で物事を見る想像力、そして「被害者は悪くない。悪いのは加害者」という意識を持つことなのではないでしょうか。なお、世の中には、セカンドレイプを恐れて、被害を告白できない人も少なくないといいます。もちろん、性犯罪そのものがなくなることに越したことはありません。しかし、セカンドレイプがなくなることで、より被害者が事件を訴えられる環境が整うはずです。[文・構成/grape編集部]
2021年01月09日■前回のあらすじイタズラ被害にあった話をみんなの前で発表させる先生。すると、別の生徒が自分も被害にあったと訴えて…同じように被害にあった生徒を、先生は鼻で笑いました。自分が認めた子どもだけ優遇する先生の対応は、子どもたちの気持ちにふたをするようなものでした。そして突然「音楽会に参加しよう」と言い出したのです。次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2020年12月31日■前回のあらすじ上手く説明できない生徒を何度も前に立たせる先生。さらにみんなの前での「吊るし上げ行為」はエスカレートし…被害にあった話をみんなの前で発表するよう、強要した先生。するとクラス内に、もう一人被害者が…!勇気を持って告白してくれた女の子に、あつぼね先生はどう返す?次回へ続く※あくまで個人の体験談です。先生にまつわるお話になりますが、「すべての教師がそうだ」と誤解のないようお願いします。※実話をベースとしたフィクションです。登場人物はゆっぺさん含めすべてフェイクです。コミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 4人の子育て! 愉快なじゃがころ一家 この連載の全話を見る >>
2020年12月30日※今回の内容は、具体的な描写が含まれます。トラウマやフラッシュバックの可能性がある方、不快に思われる方は閲覧をお控えください。ザワッとするような性犯罪のニュースを見かけます。小さな女の子が公衆トイレに連れ込まれたとか、歯の治療中に胸を触られたりとか、ニュースを目にするたびに犯人への憎悪が沸くとともに、被害に遭った女の子はさぞかし怖かっただろうな…と同情せずにはいられません。ただその一方で、「明るみに出ているだけ凄いな」と思う気持ちも。。表面化しているのはほんの氷山の一角で、多くの事件は被害者の胸の内に秘められているのではないかと思います。何故かというと、私もかつてそうだったからです。■小学生の時、知らないお兄さんに話しかけられて…当時、小学校低学年でした。あの日は下校後、お友達と遊ぶ約束をしていて、自転車に乗って出かけているときでした。細い坂道の下に差し掛かった時、向かいの細道から男の人が自転車でこっちに向かってきたのです。低学年の私から見たら大人の男の人の年齢は正確には分からないけれど、おじさんではありませんでした。20代ぐらいのお兄さんのように見えました。てっきりすれ違うものかと思っていたら、お兄さんが私に声をかけていました。「ねぇ」「虫がついてるよ」と言ってきたのです。…虫?? どこに??自転車を停めて洋服を確認しましたが見当たりません。そして男は言いました。「取ってあげるよ。こっちへおいで」自転車を停めて死角になっている建物の影へ連れていかれました。どうしてこっちまで行かないといけないのかな?7歳の頭でも違和感は覚えました。でも、「こういう所に行かないと取れないものなのかな?」と判断がつかなかったんです。言われるままに建物の影に移動すると、今度は優しい声で、「ほら、ここについてるよ。取ってあげる。じっとしてて」と言いました。そして、スカートの中に手を入れてきました。ここでもやはりおかしいと思いました。でも、判断がつかないんです。大人になった今なら明らかにおかしいって分かるのですが、7歳の経験値では「そういうこともあるのかな?」って思うしか出来なくて、じっとしてるしかありませんでした。そして手はさらに下着の中に伸びました。痛い!痛いし怖いし、気持ち悪いし、どうしていいかわかりません。学校や幼稚園や、そして親からも、「怪しい人にはついて行かない」とか「危ない目に遭ったら大きな声を出しましょう」とか「キケンから身を守る方法」は聞いてきましたし、頭には入っていました。でもこのお兄さんは全然怖そうな人じゃないし、優しそうだし、虫を取ってくれるって言うし、でも感覚的に怖いし逃げたいしどうしたらいいかわかりません。とうとう怖くなった私は泣きだしてしまいました。すると男は「ごめんごめん!!」と言ってそそくさと立ち去っていきました。1人建物の影に残された私。しばらくは男が戻ってくるのかもしれないと思ってそこから動けませんでした。怖くて…何が起こったのかわからなくて、その場でしばらく泣いて、状況を頭の中で少し整理すると、今度は不安が襲ってきました。「どうしよう、お母さんにバレたら怒られる…」そう思うようになったんです。 「怪しい人にはついていかない」「危ない目に遭ったら大声で助けを呼ぼう」そう教えられてきたのに、自分は何も出来なかった…私がダメなんだ、私がいけないんだ。この頃、性的な知識は一切ありませんでしたが、感覚的にこれは絶対に誰にも言っちゃいけない事だと思いました。そして、服を整えて、何事もなかったかのようにお友達の家に遊びに行き、決して悟られないようにしました。ふぅ…よかった。誰にもバレずに済んだ。怖かったけど、バレたくない。平静を必死で装って次の日学校に行くと、思わぬ事態が起こりました。 ■昨日の出来事が、学校に知られている…?朝一番で担任の先生がみんなに呼び掛けてきたのです。「昨日近隣の住民の方から学校に連絡がありました。昨日の午後、○○町周辺で怪しい男の人に1・2年生ぐらいの女の子が絡まれていたそうです。心当たりのある人いませんか」すぐに私の事だと思いました。とてもじゃないけど名乗り出る勇気はありませんでした。親に絶対に知られたくないんだから、クラスメイトの前で知られるなんてとんでもありません。誰も手があがらなかったので、先生は「危ない目に遭った時の対処法」を伝えて朝の会は終わりました。・誘われてもついていかない・大声で助けを呼ぶ・逃げるあああ…やっぱり私のせいだ。私がちゃんと習った事をできなかったから、いけなかったんだ。 自分の落ち度を責める気持ちと同時に、 異変に気付いていた大人がそばにいたということに驚きました。真っ先に思ったのは「よかった! バレてなくて…」でした。が、一方で、どうして大人の人は助けてくれなかったんだろう、おかしいと思っていたのにどうして追い払ってくれなかったんだろう…という気持ちも芽生えました。結局この事は大きくなるまで誰にも言わず自分の胸にしまっておきました。■わが子が被害に遭う前に、私が子どもに伝えておきたいことそして私も子の親になり、胸が痛む性犯罪のニュースを目にするたびに、表に出ないだけで私と同じような思いをしている女の子は今もきっとどこかにいるはずだと思うんです。昔は低学年でも自転車に乗ってあちこち遊びに行っても何らおかしくない時代だったので、今とは危機管理能力がそもそも違うかもしれませんが、被害に遭った当時の私が教えてほしかったことは「危ない人に出会った時の対処法」ではなく、「危ない目に遭った時に、報告してね」っていうこと。「絶対に怒らない、あなたが悪いわけじゃない、責めたりしないから親や先生に報告してほしい」と今子どもには伝えたいです。被害に遭った女の子たちの心境が私にはどことなくわかります。自分がいけなかったんだと自分のせいにしてしまったり、なぜか「怒られてしまうんじゃないか」という気持ちになったり、また「大事になったらイヤだな」っていう気持ちもあります。ただ、誰にも報告しなかったことを今とても後悔してるんです。何故なら「私が誰かに報告していたら、同じ被害に遭う女の子を1人でも減らせたかもしれないから」。その後、またあのお兄さんに道で会ったんですよ。そしてまた同じように声をかけられました。前回の事があるので顔を見ただけで氷りつきました。そして男が言葉をかけ終わらないうちに大急ぎで逃げましたが、今思うと、かなり高い頻度で小学生が帰る時間帯にうろついて物色していたと思うんです。被害者は絶対私1人じゃないはずです。私が誰かに報告していたら、被害に遭う女の子が1人でも2人でも減っていたかもしれない…。これ以上、犯人の思い通りにさせないという意味でも、私は「おかしいな…と思う事が起きたらママに報告してね」ということ、「悪い大人に絡まれても絶対にあなたは悪くない」ということを子ども達に伝えたいです。そしてあの時「どうして誰も助けてくれないんだろう」と思っていた私と同じ思いをさせないためにも、道端で泣いている子どもを見かけた時には声をかけてあげたいし(普通に素通りする大人いっぱいいます)少しでも「?」と異変を感じたら声をかけたいと思っています。以上私の経験から思う「子どもを性被害から守る術」でした。
2020年12月08日「生理について、子どもにどう伝えればいいのか…」、悩まれている方もいらっしゃるかと思います。 前回は、生理を”「赤ちゃんベッドバイバイ」の日”と伝えていることをお話しましたが、今回は、長女のぽよ子に「妊娠っていつからできるの?」と聞かれたときのことを、マンガでご紹介します。 赤ちゃんを授かることに憧れを抱く女の子も多いと思います。 赤ちゃんを授かるって、とっても素敵なこと。うれしいこと。でも同時に、大変なこともいろいろと起きてくるもの。 6歳のちょっとおしゃまな年長さんになっていた娘に、「赤ちゃんを体で育てていくことの責任」について、ふんわり伝わったらいいな、と思いながら話しました。 そう遠くない未来に思春期へと向かっていく娘。 「気付いたら好きな子の話を親にしてくれなくなっていた」となる前に、性的なコミュニケーションの大切さと、同時に生まれる責任、そして、自分の身を守るということをじんわりじんわり伝えていけたらいいな、と思っています。 ※生理が始まる年齢については、早発月経(10歳未満で生理が始まること)の可能性も踏まえて、娘には「あと3歳くらい」と伝えています。 監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター kico
2020年11月13日「生理について、子どもにどう伝えればいいのか...」、悩まれている方もいらっしゃるかと思います。わが家での生理の伝え方について、ご紹介します。 こんな感じで、わが家では 生理 =「赤ちゃんのベッド バイバイ」の日 として認識されています。 1歳代のころのぽよ子は、私が生理再開後、割とすぐ妊娠したこともあって、経血を目にする機会があまりありませんでした。3歳になり、改めて目の当たりにしたときには 1歳のころと変わらず「衝撃!!」のようでした。 一方、ツー夫は、1歳代から毎月コンスタントに経血と対面(?)してきていたので、3歳ごろには「ママは毎月、赤ちゃんのベッドバイバイしてる」と認識していました。 たしか、3歳の半ばごろに、改めて「どうして赤ちゃんのベッドバイバイだと血が出るの?」と聞かれたので、上記のような説明をもう一度したところ、彼のなかで腑に落ちたようでした。 私は結構、生理痛が重いほうなので、最近では「今日ママベッドバイバイの日だから...」と伝えると、「今日はのんびりdayだねぇ」と2人とも納得してくれます(納得してくれない日も、もちろんありますが)。 ちなみに生理中は、わざと経血を見せてる訳ではなく(なんかイラストだとわざわざ見せてるっぽくなってしまった)、普通に排泄しているときに子どもたちが気付きます。視点が低いから目に入りやすいのかな。 子どもの興味がわいたときが一番の伝え時、と思っているので、子どもたちからの問いかけがあったタイミングを大切にしています。 監修/助産師REIKO 著者:イラストレーター kico
2020年11月10日漫画「アクタージュ」の作画者・宇佐崎しろ氏が8月24日、Twitterで同作の連載終了に関連して性被害者に配慮する文章をアップした。その内容を讃える声が上がるいっぽう、「週刊少年ジャンプ」編集部に苦言を呈す声が相次いでいる。「アクタージュ」は原作者の松木達哉氏(29)が今月9日、強制わいせつの疑いで逮捕された。各メディアによると松木容疑者は6月に路上で女子中学生の胸を触ったとされており、大筋で容疑を認めているという。そして同件の影響で、「アクタージュ」の連載は終了となった。24日、宇佐崎氏はTwitterで連載終了について投稿。さらに、こうつづった。《性犯罪によって受けた傷は自然に癒えるものではありません。この先も似た身なりの人とすれ違うたびに体が強張り、早足になり、夜道を歩くことに恐怖を覚え、被害に遭われた方の人生に本来必要なかったはずの緊張と恐怖をもたらします》連載終了は妥当な判断だと表現した宇佐崎氏。続けて被害者へのネット中傷について《その勇気と行動を軽視したり、貶めたり、辱めるような言葉でさらに傷つけることは、あってはならないことだと思います》と言及した。約1,280文字にもわたって被害者に配慮するコメントを発表した宇佐崎氏。17.3万ものリツイートと40.4万もの“いいね”を記録し、賛同する声がこう上がっている。《しろ先生がご自分もつらい思いをされ、苦境に立たされている中、誰かの心を気遣っているということにとても心を打たれています》《宇佐崎先生の仰る通り、漫画を愛しているからこそ、それを口実に中傷的な発言を看過してはならないと改めて強く思いました》《被害に遭われた方は全く悪くない。そして作品を惜しむ声がその方にとっての重圧にならないよう気をつけて参ります。良い作品をありがとうございました》いっぽう、ジャンプ編集部には厳しい声も上がっている。編集部は今月10日、Twitterで連載終了について「このような形で終了することになり、編集部としても非常に残念」などとコメント。しかし被害者への言及がなかったため、姿勢を疑問視する声が上がっていた。そんななか、再び宇佐崎氏と同じタイミングでコメントを発表。「宇佐崎しろ先生がご自身のお考えをツイッター上で発表されました」といい、性被害について触れたが、一文でこうつづられていた。《先生が、被害に遭われた方に対して二度と同じような思いをしてほしくない、とおっしゃったことについては、編集部も同じ思いです》宇佐崎氏に便乗するような形で「同じ思いです」という文言で済ませたジャンプ編集部。ネットでは「自分の言葉でなぜ言わないのか」と厳しい声が上がっている。《なにが同じ思いです、だよ。それをとばっちりくらった若い女性(今回の被害者と近い属性の人)に言わせる前に先に自分の言葉で言えよ他人の言葉に乗っかるんじゃないよ》《この素晴らしく一字一句丁寧に真摯に言葉を紡いでいる宇佐崎先生のコメントに、「同じ思いです」というあっっさいコメントしか出せない編集部なんなの???え?編集者って?表現って?思いって?自分の言葉で話せないの????》《本当に宇佐崎先生と同じ思いだったとしても、それは自分の言葉で綴るのが誠意ってもんじゃないんか》《アカウンタビリティとかコンプラとかの部分で個人に負けてどうする》
2020年08月26日子供を育てながら、子育てや日常生活についての漫画を描いている、まぼ(@yoitan_diary)さん。1児の母親になったまぼさんは、自身が高校生だった頃に体験した恐ろしい出来事について振り返りました。恐怖を味わった後、かけてほしかった言葉は…?子どもの「怖い思い」と、親の声かけについて(3/3) pic.twitter.com/qbQiwpDNwu — まぼ (@yoitan_diary) July 29, 2020 母親に悪気はなかったということは理解しながらも、あの時かけてほしかった言葉は「怖かったね」というひと言でした。自身の体験を踏まえて、我が子が危険な目に遭った時には寄り添うような言葉をかけてあげようと思ったそうです。【ネットの声】・性被害に遭い、周囲の人に「あなたに非はなかったのか」と問われ、涙が止まりませんでした。でも、この話を読んで救われた気持ちになりました。・私も怖い目にあった時、周囲の人に同じような言葉をかけられショックでした。周囲の人が被害に遭った時には「怖かったね」と声をかけてあげられるようになりたいです。・加害者が100%悪いのにね。どうして被害者にも非があるようないい方をしてしまう人がいるのかな。性被害に遭った時、周囲に責められたことで、その後被害に遭ってもなかなかいい出せなくなってしまったという人もたくさんいました。性被害を受けた人は悪くありません。悪いのは加害者です。そのことを念頭に、まずは被害者の傷ついた心に寄り添ってあげたいものですね。まぼさんはこのほかにも、さまざまな漫画をInstagramにアップしています。気になった人は、ぜひチェックしてみてください。まぼさんのInstagram[文・構成/grape編集部]
2020年07月30日フランソワ・オゾン監督が、フランスでは誰もが知る児童への性暴力事件「プレナ神父事件」を映画化した最新作『グレース・オブ・ゴッド告発の時』。この度、性被害者のひとり、フランソワ役のドゥニ・メノーシェとエマニュエル役のスワン・アルローの貴重なインタビュー映像が公開された。ひとりの勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性暴力を働いていたという事実が白日の下にさらされた。この度解禁されたインタビュー特別映像では、本作で描かれた3人の被害者のうちの2人、フランソワ役のドゥニ・メノーシェとエマニュエル役のスワン・アルローが本作への思いを語っている。メノーシェ演じるフランソワは、教会側に宣戦布告するなど闘志あふれる被害者。オゾン監督はキャスティング理由として「彼のエネルギー、目に見える力強さがフランソワにぴったり」と語る。本作で描かれた性的虐待と信仰について、「聖職者による事件が明るみになった時、別の地域や国でも同じ事例が判明した。真実が語られることを願っている。宗教を重んじる人にとって信仰はとても重要だ。信仰とは世界をよくするもの。問題があるなら議論すべきだ」とあくまで本作の意義は断罪ではなく、問題について議論していくことだという。また、『危険なプロット』に続いてのオゾン監督作への出演に「見事な脚本だった」と賛辞を惜しまない。本作の、声を上げた被害者から次の被害者へとバトンを渡していくような構成には「人から人へ物語が手渡されていく。彼らが何をやりたいのかがよく分かる。事態が変わるかはわからないが、議論の場には上がるだろう」と希望を込めて語っている。続いてオゾン監督が、『ブラッディ・ミルク』を観て「感性の豊かさと脆さがぴったりだと思った」と配役理由を語るスワン・アルローは、肉体的にも精神的にも虐待のダメージを深く負ったエマニュエルを演じている。役柄について「自分が演じる(実在の)人物には会わなかった。会えば真似をしたくなる。“脚本を元に演じてほしい”と、監督は強く願っていた」と、事実の綿密なリサーチの上に執筆した脚本を信じ、劇映画としてイマジネーションの広がりを俳優に託したオゾン監督の思惑を明かした。本作については「(事件について)テレビやラジオで聞くことは単なる情報にすぎない。当事者の人生をよく知ることで、本当の苦しみが見えてくる。その役割を本作が果たすことを願う」と、自身の願いを語った。フランスでは連日テレビやラジオで報道され、誰もが知る「プレナ神父事件」を基にした本作は、公開されるやいなや91万人を動員する大ヒットを記録した。事件のあらましだけではなく、その内部に観客を導き、心揺さぶるヒューマンドラマとして魂を吹き込んだ2人の熱演を劇場で確かめてほしい。『グレース・オブ・ゴッド告発の時』は7月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年07月03日イラストレーターの山口カエ(@yamakae)さんが描いた、ある妖怪に大きな反響が上がっています。不思議な力を持っていたり、奇妙な現象を起こしたりする妖怪。一つ目小僧や、ろくろ首など昔から語り継がれており、室町時代の『百鬼夜行絵巻』には数多くの妖怪の姿が描かれています。現代に起きる不思議な現象も、実はまだ語り継がれていないある妖怪の仕業なのかもしれません。朝、目覚まし時計が鳴ると現れるのが…。こういう妖怪もいる pic.twitter.com/xWFmCsJgrw — 山口カエ (@yamakae) June 26, 2020 アラームを消して二度寝へと誘導する悪質な妖怪!寝ぼけて姿を見ていないだけで、実はこの妖怪がアラームを消していたのかもしれません…。どうやらこの妖怪による被害者は多数いるようです。・家に住みついていて困っているんです。・毎日うちに出てます。起きられないのはこの妖怪のせいだったのか…。・お化けは信じないけどこれは信じます!・月曜日はいつもこの妖怪にやられている。大切な試験や、遅刻できない会議などの時は、どうにかこの妖怪が出ないように願いたいですね![文・構成/grape編集部]
2020年06月27日「性教育」と聞くと、敷居が高いと感じるパパやママも多いかもしれません。その背景には、パパやママたちが性についてきちんと教えてもらった経験がなく、どのように向き合えばいいかわからないという実情があるのかも。子どもが性の対象になってしまう悲しい事件が後を絶たない今、おうちでどのように「性」について教えればいいのか。先日発売されたフクチマミさんと村瀬 幸浩さんの共著、「おうち性教育はじめます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方」を元に、考えてみたいと思います!フクチマミマンガイラストレーター。日常生活で感じる難しいことをわかりやすく伝えるコミックエッセイを多数刊行している。著書に高橋基治氏と共著の『マンガでおさらい中学英語』(KADOKAWA)ほか、『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』(主婦の友社)、『マンガで読む 子育てのお金まるっとBOOK』(新潮社)などがある。村瀬 幸浩東京教育大学(現筑波大)卒業後、私立和光高等学校保健体育科教諭として25年間勤務。この間総合学習として「人間と性」を担当。1989年同校退職後、25年間一橋大学、津田塾大学等でセクソロジーを講義した。現在一般社団法人“人間と性”教育研究協議会会員、同会編集による『季刊セクシュアリティ』誌編集委員、日本思春期学会名誉会員。■性教育をすると「自己肯定感」が上がる!?「性教育」というと、「ポルノ」や「セックス」というイメージを抱いてしまい、なんとなく避けがちなパパやママもいるかもしれません。しかし、著者のお一人である村瀬先生は「性教育は『いのち・からだ・健康』の学問」だといいます。「性は知識や学習によって形づくられる『文化』であり、そのしくみの基本はまず『自然科学』」、そして「これからの世の中を生きていく人格を育てるのに必須の『教養・知性』」と、村瀬先生はいいます。少し難しく思えますが、わかりやすい「メリット」としては、以下の2つがあげられるそうです。【「性」について学ぶメリット】●性的なトラブルを避けられる →万が一トラブルにあっても解決に向かって適切に対処できる人間に育つ●「自己肯定感の高い人間」に育つ →自分の性や体に対して肯定的に捉えられるようになる性について理解することで、性的なトラブルを避けられたり、トラブルがあっても、適切に対処できるというのは、性教育の大きなメリットですよね。幼い子どもたちが性被害にあうとき、「されてはいけない」「してはいけない」行為なのかどうかさえも理解できていない可能性があります。筆者自身、7歳の長男は理解できそうだけど、4歳の次男はまだまだ理解できないかもしれないと感じます。また、「性教育」をすることで「自己肯定感の高い人間」に育つと言われており、子どもたちが自分の性や体を自ら肯定的に受け入れて、まず自分を認める一歩にできるのだといいます。村瀬先生は、「自己肯定感の高い人は自分だけでなく相手も尊重できるから、子どもが学べば幸せな人間関係を築く力の土台となる」と話しています。自分のことだけでなく相手も尊重できることはとても大切で、子どもが性犯罪の被害者にも加害者にもならないために、性教育が必要なのだと気づかされます。■性教育は「幼児期から」がベストパパやママたちは、「性」についてきちんと教えてもらったことはありますか? 筆者自身は思い返してみると、中高の保健体育の授業で、男女の体の違いについて説明を受けたくらいで、具体的な受精の仕組みや性交について学んだ記憶はありません。自分の親からも、あらためてきちんと性教育を受けたことはなく、なんとなく「恥ずかしいこと」という思いは今も根強く残っています。おそらく、同じようなパパママが多いのではないでしょうか。そんな私たち世代が親になり、急に「性教育」をしなければいけないと言われても、戸惑ってしまうのは当然なのだそうです。「『恥ずかしい』『実は親もよくわからない』『何を教えればいいの?』そう思って当然なんだよ」「だってあなたたちの世代のほとんどは、子どもの頃に大人から自信を持って教わってないんだもの」と村瀬先生は話しています。わかっていないという前提を踏まえた上で、大人が子どものために一歩踏み出すことが重要なのだと気づかされます。そして、性教育を始める時期については、「幼児期からがベスト」なのだそうです。【幼児期が性教育にベストな理由】●「おしり~うんち~」と子どもが叫んだ時の対応も性教育となる●思春期の子どもに突然「性」の話をするのはハードルが高い●学校では月経や射精は教えるが、受精のしくみや性交については取り扱わない●多くの子どもが友人や交際相手から性の知識を得ている性教育に触れる機会が少ないため、多くの子どもが友人や交際相手から性の知識を得ています。その友人や交際相手の性の知識の元はというと…アダルトビデオやアダルトサイト。こうして、アダルトビデオやアダルトサイトを「性の教科書」にせざるを得ない状況になっています。しかし、大人向けに作られたアダルトビデオやアダルトサイトは、「妄想」や「ファンタジー」も多く含む現実とは乖離した世界。これを現実と非現実の判断がつかない子どもが見ると、フィクションを現実として捉えてしまい「歪んだ人間観」が形成されてしまう危険性があるのだそうです。性教育=ポルノ・セックスではない、という認識をまずは親がアップデートし、幼い頃から正しい性の知識を教えていくことが大切なのだと痛感します。一方で、「知ると興味を持って行動に移してしまうのではないか」という懸念もあります。しかし、性教育に力を入れているオランダでは、15歳までの性交渉体験率が低いのだそうです。村瀬先生は、「リスクを含めて正しく知ることで、『しない』ということも自分で判断、主張できるようになる。正しい性の知識は子どもが幸せに生きるために必要」だといいます。「性」についてしっかりと事実を学び、リスクを知ることが重要なのだと、あらためて感じさせられます。■「性教育」で最初に教えたい大切なこと次に、最初に子どもに教えたい大切なことをご紹介したいと思います。どれも、「日常で伝えられること」なので、おうちですぐに実践することができそうですよ。▼プライベートパーツは勝手に触らない、触らせないそもそも、からだの全ての部分は自分のものですが、その中でも特に「プライベートパーツ」は、他人(親であっても)が勝手に触ったり触らせたり見ようとしたり見せたりしてはいけない部分のことをいいます。村瀬先生によると、「プライベートパーツ」は口、胸、性器、お尻の4つで、その人のいのちに直接関わる場所のことなのだそうです。【プライベートパーツについての伝え方】●あなただけのものだから、大切に扱わなくてはいけないこと●勝手に触ったり見ようとしてきた人には「嫌だ」と言って逃げること「プライベートパーツ」を触ることについては、お世話や看護で必要な場合もありますよね。ただ、親子間の楽しいコミュニケーションとして、お尻を触ったり見たりすることは、本来望ましくないのだそうです。なぜなら、子どもがスカートめくりやカンチョーなど、「プライベートパーツ」を触られたり見られたりした時に、本当はすごく嫌だったとしても、「好きだからなのかな…」と、黙ってしまうことに繋がる危険性があるからです。それがエスカレートすると、からだを触られたり見せるように欲求されても、拒否できず、取り返しのつかない犯罪被害に巻き込まれてしまったり、逆に相手が嫌がっているということに気づかず加害者になってしまう危険性もあるといいます。親子の間でも、「プライベートパーツ」には侵入しないことが重要です。▼防犯のための「NO、GO、TELL」次に、防犯のために知っておきたいのは、「NO、GO、TELL」の3つの心がけです。【子どもに伝えたい身の守り方】1、NO=ハッキリと拒否して「イヤ!」「だめ!」「やめろ!」「助けて」など2、GO=逃げることできるだけ人の多い方へ3、TELL=もし「秘密だよ」と言われても信頼できる大人に話すことこれらの3つは、普段から繰り返し伝えておくことが大切なのだそうです。そして、「NO」については、「自分がされたくないこと」や「不快なこと」についても、「嫌だ」と言ってもいい、と伝えてあげましょう。それぞれに感じ方は違いますが、自分がどう感じるかを大切にしてあげて、それは人として当然の権利なのだと教えてあげることが大切です。そして、大人も子どものNOを尊重できるようになることが必要です。「性教育」というから、いきなり特別なことをしなければいけないと構えていましたが、どれも日常の中で、子どもたちに伝えられそうなことばかりでした。子どもが小さいうちから意識していくことで、性教育について自然と話し合える家族関係を築いていけそうな気がします。まずは、一歩ずつ進んでいけると良さそうですね。■フクチマミさんからメッセージ最後に、著者のお一人であるマンガイラストレーターのフクチマミさんから、こんな素敵なイラストとメッセージをいただきました。「何からどう教えたらいいんだろう…」性教育の絵本を買って、いざ子どもに伝えようとしても、抵抗感で固まってしまう自分に悩んでいた時、共著の村瀬先生と出会い、自分たちが子ども時代にしっかり教わってこなかったこと、性に対して「いけないこと」だと不潔視をしていたことに気がつきました。そして『おうち性教育はじめます』は私のような親たちに向けて、知識のアップデートをしながら、性への偏見を取り除いていけるように、という気持ちで描きました。親自身も理解しつつ、子どもへの伝え方が具体的にわかるように、と。私は性教育を学ぶことで、自分自身の気持ちがラクになっていくのを感じました。子どもの、そして自分自身の絶対的な味方でいるために。おうち性教育、はじめてみませんか。フクチマミここまで、「性教育」のメリットや方法について、書籍を元に考えてきました。性教育は、決してタブーではなく、子どもの自己肯定感を高め、幸せな人間関係を築く力の土台なのだと、あらためて気づかされました。筆者も何からはじめていいかこれまでわからず性教育については避けがちでしたが、子どもが傷つかず、そして相手を傷つけずに、幸せな人生を歩んでいくこと、そこをゴールに、親である自分自身も向き合っていけるといいのかなと、感じています。ぜひ「おうち性教育」をはじめてみませんか? 「おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方 」 著者:フクチマミ・村瀬幸浩(KADOKAWA)1300円(税抜) 「うちにも赤ちゃんはくる?」といった、突然やってくる素朴な質問への答え方から、性犯罪の被害者・加害者にならないための日々の言葉かけ、思春期に訪れる男女の心と体の変化まで、親子で一緒に学ぶことができるパパママの必読本。毎日の家族の会話で子どもを守り、これからの時代を生き抜くための力を養うための「おうち性教育」のはじめ方をわかりやすく学べる一冊。▼ウーマンエキサイト読者アンケートにご協力ください
2020年06月12日■前回のあらすじママ友の幼稚園では性教育がある、という話を聞いていた私。少し他人事に思っていると後日一通の手紙が届き…、長男が通っている幼稚園でも性教育の授業があることを知りました。 義務教育ではないので、地域や幼稚園によって性教育があったりなかったり、教える内容も違うようです。性犯罪から子ども達を守るための授業と伝えられ、こんな小さい子たちが性犯罪なんて、まだそんなこときっとありえないし、逆にこんな知識を幼い頃から教えることで子どもたちに恐怖心を与えることにならないか、とても心配でした。そんなとき、ふと幼稚園の頃の友達のことを思い出しました。次回に続きます。5月20日15時公開予定!
2020年05月19日4コマ漫画でケースごとに学べる!『学校でできる! 性の問題行動へのケア』性の行動に対する基本的な考え方や支援者や保護者が目にすることのある性の問題行動に関するQ&Aなど、性の問題行動に関しての知識を学ぶことができる書籍です。第4章では、『すぐに使える性教育・性コミュニケーションツール』として、月経指導用グッズ、性感染症の液体実験、恥じらいやマナーの学習用カード、性器模型の作り方などを具体的に紹介しており、授業やご家庭での指導に取り入れることができます。また、支援者や保護者だけではなく、子ども自身が考えられるワークも。第1章では、4コマ漫画形式で子どもが遭遇する可能性のある危険な場面などが提示されており、どのような対応をしたらよいか考え、適切な対応について解説を読みながら学ぶことができます。場面設定も、近所のおじさんやゲームセンターで知り合ったお兄さんとの間で起きた問題など、日常的なものを取り扱っているので、お子さんが身近なできごととして考えることができそうです。支援者・保護者もお子さん自身も、性の問題行動について学び、具体的な対策を考えるときに活用できる一冊です。発達性トラウマの基礎から介入方法まで学べる専門書『レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒』発達性トラウマを抱える人たちの症状は複雑で、医学的処置と心理学的介入が必要なケースが混在しており、支援者もそれを見極めて支援していくのが非常に難しいという課題があります。この本では、発達性トラウマが子どものレジリエンスの発達に与える影響に着目し、レジリエンスを高めるために支援者が具体的にどのような介入を行っていく必要があるか、解説されています。2部構成になっており、Part1では発達性トラウマの基礎知識が解説されており、調整機能の発達が発達性トラウマによってどのように妨げられるかが説明されています。またPart2では発達性トラウマの兆候や症状を理解するための手がかりなど、発達性トラウマがある人に働きかけるときに専門家が理解しておく必要があることを網羅的に知ることができます。人生の早期の段階でトラウマを体験した人たちをいかにサポートするかを考えていく際に必要となる知識が詰まっている専門書です。子どもや家族と日々向き合う精神科医・田中康雄先生の著書『「発達障害」だけで子どもを見ないでその子の不可解を理解する』精神科医の田中康雄先生の最新刊です。田中先生が普段多くの子どもやその保護者と向き合う中で大切にしている考え方が綴られています。『かんしゃくが激しい、ひろゆきくん』『不登校気味の、ゆうきくん』『人間関係がうまく行かない、ゆいちゃん』など12人のお子さんのストーリーと、田中先生のそれぞれのお子さんや家族との向き合い方が紹介されています。また、発達障害の特徴を診断名ごとに説明した上で、障害特性の現れ方は人それぞれ違うこと、診断名ではなくその子自身を理解することの大切さや、発達を促進する環境づくりの大切さを改めて綴っています。田中先生の「診断名」に対する考え方やお子さんとその家族を理解しようとする姿勢は、発達が気になるお子さんと関わる上で大切なことを改めて考えるきっかけを与えてくれそうです。働く上での困りごと、具体的な対処方法は?『まんがでわかる 発達障害の人のためのお仕事スキル: 楽しく働くためのヒント&セルフアドボガシー』第1章から第4章にかけて、5人のキャラクターが職場で困っていることとその原因や対策のヒントが紹介されています。仕事をうまくこなす、ミスやうっかりをなくす、人づきあいを円滑にする、長く仕事を続けるといった働く上で身につけておきたい力について、「優先順位」「電話対応」「身だしなみ」など具体的なスキルごとに漫画で困っている場面が紹介され、それに対しての対処法やミスを防ぐためのポイントがまとめられています。楽しく読み進めながら、困りごとと必要な力について考えることができるので、現在就職している方だけではなく、これから就職する方やその保護者が、働く際に必要なスキルについて学んだり、自特性にあわせて想定できる困りごとについて知ったりする際にも活用できそうです。
2019年12月12日オーストラリアの山火事により、ニューサウスウェールズ州のラッセル・クロウの自宅が被害を受けたことが明らかになった。ラッセルが「私はオーストラリアにはいない。家族は友人たちと避難していて無事だ。昨日の日中遅くに家が火事に遭った。被害エリアのみなさんのことを思うと胸が痛む」と森林が燃えている写真や、家に火が迫ってきている様子が分かる写真を添えてツイート。ファンたちは「気の毒に。でもあなたや家族が無事でよかった」と深い同情を示した。しかし、ラッセルのご近所さんは違う感情を持っている模様。近所に住むデビー・ウォルドンさんは、ラッセルに対する消防局のVIP待遇に不満をあらわにしている。地元のニュース番組「Seven News」に、「私はものすごく怒っています。だって、友達の家が燃えているというのに、すべての消防車がラッセル・クロウの家に向かって行ってしまったのですから。普通の、一般の人たちはどうなるの?」と語った。このクレームを受け、同州の消防局は「消防隊員は最も必要とされる場所に優先的に送り出されており、だれが持ち主であるかということは意識していません」と“セレブ優遇”を否定している。(Hiromi Kaku)
2019年11月13日ウーマンエキサイトをご覧の皆さま、こんにちは。男子の園に身を置いているせいか(?)家庭内の放送コードが崩壊しているtomekkoです。そんなワタシが今、とても関心を持っているテーマ、それは「性教育」です。実は最近、連載している雑誌でも取り上げたのですが、本を読んだり取材したりしてみて、時代に合った性教育って本当に大切だとつくづく実感しました。インターネットの世界が当たり前の現代。ワタシたちの幼少期とは比べものにならないほど「性商業」との出会いのきっかけは身近なんですよね。最近では音声検索もできるため、文字の読み書きができない3歳ぐらいでも、簡単にアダルト動画などに行き着いてしまうことができるのだとか。それも最初に出会うものが、残酷なことをされて女性が喜んでいるかのような間違ったファンタジーだとどうなるか…考えるだに恐ろしいですよね。そんな情報が溢れかえる時代において、性の話をひた隠しにして子どもたちに出会わせないようにコントロールする、なんて無理な話。小鳥の目の前でお米ぶちまけちゃったけど一粒も食べさせるなって言われてるぐらいの絶望感ですよ…と、そんな無力感に苛まれてても仕方がない!発想を変えてみよう!今、まだ真っ白な、なんでも吸収できる子どもたちの心のキャンバスに正しい知識を伝えていけるのは、やっぱり親。男女の体の特徴や「自分と他人の体を大切にすること」自分たちが生まれてくるために「女性には男性と違う変化が起こること」女性の痛みや苦しみを代わってあげられない分「男性には労わる優しさを持っておいてほしいこと」そういう話って、話が通じない赤ちゃんのころから繰り返し言って聞かせる交通ルールと同じで自分の生命を守る大切なお約束なんですよね。ぜんぜんいやらしいことでも、恥ずかしいことでもない!わが子を加害者にも被害者にもしないために、母さん今日からちゃんと伝えていく!と決意しまして。まずは生理のことを隠すのをやめてみました。しかし…ん…?なんか思ってたんと違う。ちょっと面白がられとる…よく聞くのは、お母さんが生理の時に痛くて辛いことをちゃんと伝えると、子どもが優しく寝かしつけてくれたり、お母さんを看病しようとしてくれたり…なんてほっこりエピソードだったんですけど…?長男は、最初に聞いた時にはびっくり、次にちょっと怖がり、今はどんなふうに痛いの? など詳しく聞きたがるようになりました。次男、大丈夫? 優しさ…育ってる?不安を隠せない母ですが、こういうことは繰り返し伝えることが必要だと思うのでめげずに伝えていこうと思います。そしてもう一つ、家庭内では明るくオープンに性のことを話せるように、(もちろんTPOがあることは定期的に伝えながら)男女の体の違いや人に見せてはいけない、触ってはいけない場所などをクイズ形式で教えることも実践してみています。するとある日のこと、影響を受けたのか?長男から珍しく出題してきました。正解はもちろん「のどち○こ」(この伏せ字いる…?)なのですが…ふとすっごい視線を感じて見ると、すさまじく動揺した様子の次男が食べたものを次々に体に取り込んでいくという神秘的な勘違いをする3歳児に…母さん完敗でした。ちなみに次男は、食べたものの色のウンコが出るというカタツムリ信仰も持っており、牛乳を飲んだら白いのが出るはず!! と嬉々として毎朝トイレに向かってますがいまだに成功できていません(でも考えは曲げない…)。そんなわけで、後半伏せ字多めでお送りしたわが家の性教育事情ですが、真面目な話、何より大切なのは親自身の意識改革だと思っていて。男の子の親なので父親の方が適任だと思っていたこともあるのですが、現状ワタシたち(アラサーアラフォー)までの世代って、男性は女性よりもずっと性教育をきちんと受けていないので余計に隠すものという意識が強く、なかなか積極的には子どもに教えられないものなんだそう。わが家も子育てにはかなり協力的な夫ですが、たしかに赤ちゃんの頃の剥くor剥かない問題でさえ、相談しても話自体にあまり乗り気でなく困った記憶があります。それぞれの家庭に合ったやり方があると思いますが、わが家はまず母親から家庭内の話せる環境づくりをしてみようかな、と思っています。もちろん今後、思春期に入ってまでオープンに…ということではありません。(こっちだって聞きたくない話もある…!!)むしろ親との距離が広がる前の幼児から小学生までの間に、正しい性の知識を伝えておけたら、その先でいろいろな場面や情報に出会っても正しい判断ができるのではないかな、と思います。まだまだわが家も発展途上(そして前途多難…)ではありますが、それぞれの家庭で考えるきっかけになったらと、今後も記事や日々の投稿で伝えていきたいと思います!<2019年9月30日 修正>記事内の文言を一部修正いたしました
2019年09月29日ウーマンエキサイトをご覧の皆様こんにちは。今回は初めて特集に参加しました!「子どもの性の目覚め」…このワードを見ただけでちょっと動揺しますよね!私たち親自身がどう接したらいいか、というような踏み込んだことを習う機会はありません。子どもたちに率直に話していった、我が家の場合をまとめました。■「性」の話、子どもにどう伝えたらいい?個人的に、以前から「子どもにどう伝えたらベターなのかな?」と興味があり、海外で性教育がどう行われてるかの情報をときどき集めていました。日本と欧米の性教育は方向性が全然違います。カンタンに例えると…、※「性」を牛で表現。これくらい違う。(欧米とひとくくりにするのもどうかなと思いつつ)日本人である私はこの違いを知ってかえって「性について話すべきか」迷いが湧きました。ですが、最近では日本人にとっても「性教育にはメリットしかない」と言い切る本も出ていますよね。勇気づけられた結果、体については率直に話そうと決めていました。■幼稚園頃から徐々に関心がでてくる!?娘が年長になったころ…「ついに来た…」これ以降、機会があるごとに少しずつ体の話をするようになりました。「水着で隠れる部分は触らない&触らせない」「NOは言っていい」や、子どもから「赤ちゃんはどこから出てくるの?」といった質問があったら、素直に答えるようにしてみました。具体的に説明した結果、子どもなりに「人に見せたり触らせない場所」のことや「自分の体は自分だけのもの」と理解したようです。お着替えを覗かれるような時ははっきり「やめて!」と言えるようになりました。体という見える部分についてなので、本人が言っている「NO」を周囲がどれくらい尊重しているかも明確にわかります。このことを通じて、家族の中でもよりお互いを尊重する意識が育まれたと感じます。(4歳の息子は配慮が見え隠れしつつ…時折ふざけてしまうことがありますが…!まだ成長過程と捉えています)私が手にとった本にも「性教育の効果」として似たような話が書かれていたので、本当だー!と感心しました。■お風呂でママの「生理」に気づいたら…お風呂に入ろうとしていたとき、子どもたちが経血に気付いて騒いだときには生理のことも話しました。「赤ちゃんが来たときのためにママの体が準備してるけど、古くなったら新しいベッドに替えるから体からでるんだよ」「おなかが痛かったり、ちょっと気持ちがイライラになりやすいけど、死んだりするようなことはないよ」と説明。娘は「ふーん」という感じでしたが。息子は話よりとにかく「血がーー!」と泣いていたので、「おなかが痛いけど、ママは死なないし、そばにいられるよ~~」と説明。内心「説明するのが早すぎたかな?」とドキドキしました…。でも心配したほどではなく、意外にも泣いたりしたのはその時だけで、あとは「あーはいはい」という反応に。子どもにしてみたら「生理」はとてもショッキングなものかもしれません。現代では、子どもからできるだけショックになることを遠ざけようとする流れもあります。しかしいつまでも親が子どものことを管理できるわけではありません。側でサポートできるうちに色々な体験をしたほうが、心の受け身がとりやすいのではと、私は考えています。そしてその後、生理のときに子どもたちが気遣ってくれるという感動の体験が…! 生理を知ることで、思いやる気持ちも育まれているようです。■「生理」の知識は、男の子にこそ知ってほしいある日、私の下着についた経血の跡を見て「ママのパンツにうんちついてるー!!」と大喜びで騒いだ息子…。生理のことを話していたせいか、説明した途端、配慮のできる男っぽく話題を変えてきました。単なる偶然かもしれませんが…、ちょっとカッコよかった!女子は成長すれば、いずれ体験するから生理についてはあまり言わなくてもいいかもしれません。生理を体験することのない男子こそよく知っておいたほうがいいだろうな、と思います。社会に出てから男性に「生理で休むなんて甘え」とか「これだから女は」と言われたという話、時々聞きますが胸が痛い。息子には彼女や奥さんになる人をいたわれる知識を持っていてほしいな。ということで、これはいい傾向!と思っていたつい先日。私「お腹が痛い…今日はママひとりでお風呂入るわ…」息子「えーなんでー?」私「赤ちゃんのベッドバイバイの日だから…」忘れとる!!!毎回それなりに間が空くもんねーーー!!! だよねーーーー!!という、我が家の話でした。それではまた!
2019年08月29日前回の 「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」 では熱性けいれんについて説明しました。初めての発熱の場合、突発性発疹という病気がきっかけで熱性けいれんを起こすことはしばしばあります。突発性発疹とは、どのような病気なのでしょうか?■突発性発疹「発症時期、期間、症状」突発性発疹は生後6カ月〜2歳くらいの子に発症するもので、「初めての発熱」によくある病気です。一般的に、生後6カ月頃まではお母さんからもらった免疫で守られていますが、その時期をすぎると発熱を繰り返します。突発性発疹は、その中でも多くの子どもが通る道で、突然の発熱で発症します。まず39〜40℃くらいの高い熱で発症し、そのほかの症状は乏しいです。鼻水や下痢をともなうこともありますが、ほかの風邪症状はあまりひどくありません。数日〜5日くらい熱が続き、ストンと熱が下がって、その後、全身に斑点状の発疹が出現します。顔、首、おなか、背中に出ることが多いでしょう。発疹は広範囲に出現してとても目立ちますが、その見た目に比べ、かゆみはそれほどひどくはなりません。発疹が出てから再度発熱することはなく、発疹も数日間で自然に改善します。■突発性発疹の原因は? 2〜3割が「隠れ突発性発疹」突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型と7型が原因です。2種類のウイルスによるものなので、最大2回突発性発疹にかかる可能性があります。みんなが感染する病気ですが、感染しても全員に発熱や発疹が出るわけではありません。「うちの子、3歳になってもまだかかってないんですけど大丈夫ですか?」としばしば質問を受けますが、2〜3割の子は感染しても症状が出ないため、知らないうちにもうかかっているのでしょう。おおむね3歳までに全員が何らかの形で感染します。生後6カ月〜1歳くらいに発症する子が多いですが、ときに2歳でも感染はありえます。■突発性発疹、ほかの病気が疑われる症状は?前述した通り、生後6カ月〜1歳くらいの子で、鼻水や下痢を伴うもののそれほどひどくなく、発熱がメインの症状として数日間続き、熱が下がるとともに体幹部に斑点状の紅斑が出る、という典型的な経過をたどる子どもを、医師は突発性発疹と判断しています。厳密にはウイルスの検査をしないとわかりませんが、保険診療の範囲で検査はできませんし、特別な治療法がない病気なので細かくウイルスを特定する検査する意義もありません。経過から総合的に判断するしかなく、発疹が出ないと突発性発疹かどうかはわかりません。つまり、発熱した時点ではまだ何の病気かわからないので、まずは医師の診察を受けましょう。このまま様子を見ていいかどうか、医師の判断をあおいでください。特に、子どもが発熱して水分が取れない、顔色が悪い状態の時は、必ず受診が必要です。突発性発疹でも5日くらい熱が続くことがあり、その場合は、血液検査などでほかの重い病気の可能性を探る必要があるでしょう。ウイルスの感染ですから、発熱の割に血液の炎症反応の変化が少ないのが特徴です。血液検査の結果を参考に、突発性発疹疑いと推測することもあります。■突発性発疹「感染経路、合併症、治療法」感染している子どもや、過去にかかったことがある人の唾液から感染します。ほとんどの人が子どもの頃にかかる病気ですから、どこででも感染の機会があるため特別な予防法はありません。そのため、熱が下がり元気になれば登園も可能です。合併症としては、最初に触れたように、初めての発熱とともに、熱性けいれんを起こすことがあります。けいれん時の対策については前回の記事 「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」 を参考にしてください。また、頻度は少ないですが脳炎や肝炎を起こすこともあります。突発性発疹は、ウイルスの感染で発症するので、抗生剤は効果がなく自然に治癒するものです。特別な治療法はないため、水分をとって睡眠をとるというような一般的な対策になります。高い熱で子どもがグズグズする場合は適宜、解熱剤を使用して構いません。突発性発疹であれば、発疹が出た後は再度発熱することはなく、発疹も自然に消えていきます。経験上、発疹が出た後、子どもがとても不機嫌になることがあり、お世話をする人を悩ませるかもしれません。これも自然に改善しますが、もし水分を取らず不機嫌でしんどそうな場合は受診を考慮してください。突発性発疹は40℃以上熱が出ることもあり、とても心配になると思います。しかし、みんなが通る道で、症状が改善すれば多くの場合は1度、もしくは2度の経験で終わります(一部の例外を除く)。突発性発疹では「こんなことが起きるかも」と事前に知っていただくことで、少しでも不安感を解消できたら幸いです。
2019年08月24日父から受けた性虐待の、もっとも古い記憶は4歳当時のもの。中学の保健体育の授業で初めて、父から子どもをつくる行為をされていたと知った宮本ゆかりさん(49)。父だけではなく、幼い娘が抵抗できないのを見て見ぬふりをしてきた母の態度が、性虐待が終わった後も宮本さんを苦しめ続けた。家庭の外では言い出しにくい性被害。宮本さんは、ブログで自分の経験をさらけ出しながら、自分と同じ性虐待に苦しむ被害者を救おうと動き始めた――。「『親が問題なのだから、あなたは何も悪くない。あなたの人生は、あなたのものだから、親に気を使わずに自分の人生を生きてほしい』。親から性虐待を受けて、私のブログに連絡をくれた女子高生のAさんに会って、そんな話をしてきました」そう話す宮本ゆかりさん。香川県高松市在住の宮本さんは4歳から中学2年生まで、実父から“性虐待”を受けていた。自分と同じような被害者を出したくない。そんな思いから、’17年にブログで実名を公表し、自ら受けた性虐待とそのトラウマ(心的外傷)を克服してきた体験を公開。性虐待を受けている被害者から、メールで相談を受けている。今年3月、この活動が新聞で紹介されると、相談メールが月に20件も寄せられるようになった。冒頭のAさんもその一人だ。ゆかりさんの本業は美容師で、美容院を経営している。相談は、すべてボランティア。相談メールに返信するのは、深夜になることもある。それでも対応するのは、“性虐待”を受けた被害者の心理が、あまりにも社会に理解されていないからだ。今年に入ってからも、19歳の実の娘に性虐待を続けていた父親に対し、名古屋地方裁判所岡崎支部は、無罪判決を下した。裁判官は「抵抗できないほどの暴力や、心理的極限状況に追い込まれていたわけではない」と判断した。「幼いころから性虐待を受けていたら『抵抗してもムダ』という気持ちになるんです。しかも、彼女には2人の弟がいた。父の性虐待が世間に知られて仕事を失ったら、弟たちが生活できなくなると心配していたといいます。なぜ、そういう被害者の心理が理解できないのでしょうか」’17年7月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が厳罰化された。しかし、多くの問題が残っている。抵抗できないほどの暴力や脅迫があったと証明できないと罪に問われないなど、被害者側にとって立件のハードルが高いままだ。「被害を誰かに打ち明けたときに、『抵抗できたはず』『どうして周りに相談しなかったの?』などと言われると、<私が悪かったんだ>と、自分を責め続けてしまいます。そのことは、親から性虐待を受けたという事実以上に、被害者を苦しめます」ゆかりさんは、ときに相談者に会って話を聞くこともある。「冒頭のAさんは、義父から性虐待を受けていました。それでもしっかりと自分の進路を決め、高校卒業後は県外の大学に進学したいと言ってくれていました。でも、『やっぱり病気がちな母が気がかりだから、自分の思うように生きられない』と苦しんでいるんです。私も、彼女と同じように苦しんだから、『親にしばられなくていいよ』と伝えました」母親の対応も、被害者のトラウマを深くする。「私に寄せられる相談の9割が、父からの性虐待を母に相談したとき、『見て見ぬふりをされた』ことが心の傷になっています」ゆかりさん自身もそうだった。「性虐待を受けて傷ついても、気付いた大人が全力で守ってあげられたら、その子は早く立ち直れる。私はこれからも、その役割を果たしたいんです」
2019年07月29日「ウチの子には、どうも自主性が足りないみたいで……」という悩みをお持ちの方は多いかと思います。自主性とは、子どもが一人立ちし立派な大人になっていくため、なくてはならない要素です。できないことはすぐに親に頼ったり、なかなか自分から勉強を始めなかったりするわが子の姿を見ると、親としてはつい心配になってしまいますよね。本記事では、そもそも自主性とは何なのか、子どもの自主性を伸ばすためにはどうすればいいのか、詳しく解説していきます。自主性とは自主性とは、課題に対して自ら積極的に取り組む姿勢を指します。つまり「人から言われる前に、やるべきことをやる」力のことです。例えば「言われる前に宿題をやる」「ゲームがやりたいけれど、自分の意志で我慢する」というのが、自主性がある行動として挙げられます。自主性の獲得は、学習能力の向上や人格形成に欠かせません。教育方法などを専門に研究する井上史子教授(帝京大学高等教育開発センター)らが2004年に行った「自主性」に関する調査では、「自主性の下位尺度」として以下の10項目が挙げられました。ひとくちに「自主性」といっても、さまざまな要素で構成されていることがわかりますね。独立性:自習のときでもまじめに勉強する.主体性:やって良いことと悪いことをできるだけ自分の考えで決める.自律性:自分で発言しようと思ったら誰にいわれなくても進んで発表する.自発性:遊びやスポーツに自から友達を誘う.自己主張:自分が正しいと思えば仲良しの友達とでも口論する.判断力:自分がやろうとすることが人の迷惑になるかよく考えてからする.自己統制:おしゃべりをしてはいけない時にもついしゃべって注意される(※).責任性:皆で決めたことはどんなことがあっても守るよう努力する.役割認知:皆の役に立つことであれば進んでその仕事を引き受ける.独創性:新しいことを自分で考え出すことが不得意なので人のやったことをそのまま真似る(※).(※この行動をとる傾向が弱いほど、自主性が高いということになる)(引用元:J-STAGE|中学校における自主性尺度項目の開発)自主性と似た言葉に「主体性」があります。ほとんど同じ意味で用いられることも多いのですが、実は自主性と主体性の意味は微妙に異なります。例えば自主性が「言われなくても宿題をやる」状態を指すのに対し、主体性は「宿題がなくても自ら勉強する」状態です。つまり主体性は、自主性の次のステップであると言えます。主体性をもった子どもは、親や先生から課題を与えられなくても、自分でどんどん学びを深めていくことができるのです。とはいえ小学生以下の段階なら、ひとまず自主性を身につけられれば十分合格ラインでしょう。自主性がない子どもとは自主性がない子どもとは、どのような子どもを指すのでしょうか?具体的には以下の特徴が挙げられます。「嫌だ」と言わない「嫌だ」と言わない子は、親の目から見れば一見、いい子かもしれません。しかし「嫌だ」は大切な自己表現の一種。「嫌だ」を言えないということは、自分の意志が弱くなっているか、意志を押し込めてしまっているのかもしれません。嫌だと言えない傾向は「親からどう見られるか」を過剰に気にする優等生タイプの子どもによく見られます。親に自分の言葉を否定されたり、価値観を押し付けられたりした経験から、親が不機嫌になることを恐れるようになったのです。優等生タイプの子どもは、親の顔色をうかがっているうち、親が期待する答えを自分の本当の願望だと錯覚してしまっています。無意識に本当の思いを抑圧しているため、何かのきっかけで突然、感情を爆発させやすいという傾向もあります。言動が受け身例えば子どもに夕食に何を食べたいか聞くと「何でもいい」なんて答えが返ってくることはないでしょうか?子どもの「何でもいい」という言葉には、「(親が食べたいものなら)何でもいい」というニュアンスが含意されています。つまり、答えは人が与えてくれるものであり、自分はそれに合わせていればいい、という思考パターンが身についてしまっているのです。「良い子にしなさい!」「できるようになりなさい!」と高圧的な躾をしていると、子どもは自分の意見を発するのが怖くなり、「何でもいい」という受動性を身につけてしまいます。親の期待に応えられるよう、自己主張を抑えているのです。受け身の言動しかできない子どもに対しては、まず自分の気持ちを把握し、はっきりと主張できるよう促す必要があります。親は、子どもがストレスを感じる躾け方をしていないか、子どもの気持ちを無視してしまっていないか、見直してみましょう。感情表現が乏しい何かを嬉しいと感じたり、悔しいときに泣いたりするのは、立派な自己表現です。感情表現が乏しい子どもは、自分の好き嫌いがわからなかったり、周りの目を気にして自分の思いを抑圧したりといった可能性があります。感情は他者とのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、やる気や好奇心の源でもあるため、自主性の発達と深く関係しています。例えば、トライ&エラーを繰り返した末に何かを成し遂げたとき、「やったー!」という強い喜びの感情を覚えますよね。自分で判断し、自分の手で何かをすることによって初めて、喜怒哀楽の感性は磨かれていくのです。もし親が、子どもに試行錯誤させることなく「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」「そんなことしたらダメだよ」などと最初から手を貸してしまったら、せっかくの学びの機会が失われてしまいます。子どもの感情表現が乏しくなる原因のひとつは、親の過干渉にあるのです。「『嫌だ』と言わない」「言動が受け身」「感情表現が乏しい」という特徴が子どもに見られた場合は「自主性が弱いんじゃないか?」「自主性を妨げるような育て方をしていないか?」と少し疑ってみましょう。では、自主性のない子どもは将来どうなるのでしょうか?「指示待ち人間」になる自主性のない子どもは将来、自分から行動を起こせない「指示待ち人間」になってしまうかもしれません。判断力や実行力がない「指示待ち人間」は、世の中で活躍することが難しそうです。例えば、会社の上司や先輩は、学校のように「あれをやれ、これをやれ」といちいち指示をくれるわけではありません。一人前の大人として働くには、指示を待たずとも何をやるべきか判断できる能力が求められるのです。特に、人工知能(AI)が発達しつつある現代においてはなおさらです。「指示通りに動く」ことが求められる作業は、近い将来、ほとんどが人工知能に取って代わられてしまうでしょう。これからの時代には、自主的にやるべきことを考え、「自ら学ぶ」「自ら考える」姿勢を持つことがいっそう重要になってくるのです。自主性のない人間は、そのような時代を生き残っていけるのでしょうか。失敗を人のせいにする自主性のない子どもは、他人にばかり判断を委ねるので、すべての物事が「他人事」になっていきます。大事なことは人任せにし、言われたことしかやらないという姿勢は、学生時代にはまだ通用するかもしれませんが、社会に出るとそうはいきません。仕事においてもプライベートにおいても、自分から行動を起こし、行動の結果に責任を持つ必要があるのです。自主性がないままだと、責任感がなく、当事者意識の希薄な人になってしまう恐れがあります。失敗を他人のせいにし、チャレンジから逃げてばかりいる人にとって、社会の中で活躍することは困難です。子どもを社会で活躍させたいのなら、幼いうちから自分で選択・判断する経験を積ませて自主性を養うことが必須です。人に合わせてばかりになる社会生活を送るにあたって、自主性は欠かせません。会議で意見を述べたり、率先して仕事を進めたりなどはもちろんですし、自分から積極的にならない限り人間関係を築くこともできません。自己主張をして初めて、社会はその人の存在を認識し受け入れてくれるのです。そのため、自主性のない子どもは将来、社会から置いてけぼりにされたり、孤独感を感じたりすることになってしまいます。相手の期待に沿うコミュニケーションしかとれず、うまく自己表現ができなくなるかもしれません。自主性というものが、子どもの自立にとっていかに大切なステップか理解していただけたでしょうか。自主性を重んじる教育とは子どもの自主性を重んじた教育を施すには、なるべく子どもに対する束縛を少なくし、自分の力で物事に取り組ませましょう。かわいそう、まだ早いから、と何でもやってあげていると、いつまでも子どもの自立は促せません。あくまで、子供の意志や興味を最優先にし、親はそれを陰でサポートするだけ、という形がベストなのです。例えば、時間がかかっても服は自分の力で着てもらう、こぼしたり汚したりしてしまうとしても自分でご飯を食べさせるなど、やれることはできる限り任せるようにしましょう。子供の自主性を重んじた代表的な教育メソッドとしては、「モンテッソーリ教育」があります。モンテッソーリ教育は医師で教育者だったマリア・モンテッソーリが発案した方法論で、「子供には、自分自身を育てる力が備わっている」という教育方針のもと、子供の自発的な学びを尊重しています。モンテッソーリ教育に特徴的なのが、専用の「教具」(ブロックやタイルなど)です。教具で遊ぶことを通じて子どもの好奇心が育まれ、遊んだ後に自分で片づけさせることによって、自立心が高められます。ほかにもモンテッソーリ教育では、指導する際には決して命令口調を使わない、興味が向いたことを満足いくまでやらせてあげるなど、子どもの自主性を育てる保育を徹底しています。子どもの自主性を高める方法では、子どもの自主性を育む実践的な方法を見ていきましょう。口出しをせずに見守る自主性を育てるには、子どものやることになるべく口出ししないようにしましょう。親があれこれと先回りしてしまうと、子どものせっかくのやる気が奪われ、自主性が育ちにくくなってしまいます。わが子のためと思うとつい干渉したくなってしまいますが、ぐっとこらえてみてください。ただし、子どもに対し「無関心」になれ、というわけではありません。子どもから完全に目を離すのではなく、何か危険が迫ったときにすぐ飛び出せるよう、きちんと見ていてあげることが大切です。親の見守りがあってこそ、子どもは安心して自主性を伸ばすことができるのです。自分で考えさせ、選ばせる自主性を育む方法の2つめは、なるべく子どもに、自分で考えたり選んだりする機会を与えることです。例えばおやつの時間には、単にお菓子を渡すのではなく「どっちがいい?」とあえて複数から選ばせる。また、子どもが「わからない」「どうやればいいの?」などと頼ってきたときは、すぐ答えを教えずに「あなただったらどうする?」と思考を促す、といった小さなことを積み重ねましょう。『世界最高の子育て――「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』の著者・ボーク重子氏によると、親は子どもに決して意見を押し付けることなく、あくまでも自由に考えさせることが、自主性を伸ばすためには何より大切なことなのだそうです。ニュースについて子どもの考えを聞く子どもが自主性を持って学ぶようになる方法としては、「毎朝、ニュースについて意見を交わす」というものがあります。小学生以下の子供にはまだ早い、と思われるかもしれませんが、考え、興味を持ってもらうことそのものが重要なのです。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』の著者で教師の沼田晶弘氏は、自身が担当したクラスで毎朝、政治問題を取り上げています。「この問題はどうしたら解決できると思う?」などと問いかけると、子どもたちは知識がないなりに考え、自分なりの答えを出そうとするそうです。子どもを子どもと侮らず、対等に接することもまた、自主性を身に付けさせる秘けつなのですね。子どもの興味を肯定する自主性を育てる最後の方法は、子どもの興味を肯定してあげることです。興味を持つということは、何か特定のことをやりたい、特定の何かについて知りたいという欲求が芽生えているということ。その興味が親に肯定されると、子どもは自分自身の存在まで肯定されたような気になり、やる気はますます高まります。子どもの興味を肯定するだけでなく、「カマキリを捕まえられてすごいね。じゃあ図鑑で調べてみようよ」など、子どもの興味がさらに広がるような声掛けをしてみましょう。例えば、「図鑑に熱中するうちに漢字が覚えられた」というように、興味を追求することで、ほかの学習分野にも良い影響が及びます。自主性の向上を邪魔しないよう、子どもの興味は自由に伸ばしてあげましょう。***子どもの自主性を育む方法を解説しました。よかれと思ってやったことでも、過干渉は子どもの自主性や個性の発達を妨げてしまいます。子どもをコントロールしようとするのではなく、適切な距離感を保って接してみてくださいね。文/佐藤舜(参考)J-STAGE|中学校における自主性尺度項目の開発こどもまなび☆ラボ|心理学者が指摘する “いい子症候群” たちの未来――自主性のない子どもの特徴5つこどもまなび☆ラボ|「ママがやって」と言われたら黄色信号。子どもの考える力を奪う親のNGワードこどもまなび☆ラボ|“49” の失敗体験が子どもの挑戦力につながる!過干渉にならない会話のコツこどもまなび☆ラボ|子どもをぐんぐん伸ばす「早期教育」の意外なデメリット。危険なのは親同士の“ライバル心”!?こどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】こどもまなび☆ラボ|「モンテッソーリ」とは?子どもの才能を伸ばす教育メソッドを徹底解説こどもまなび☆ラボ|過干渉していませんか?子どもの「自主性」を伸ばすための4つの声かけこどもまなび☆ラボ|叱らなくても、子どもの「自主性」はどんどん育っていく――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart1こどもまなび☆ラボ|「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」こどもまなび☆ラボ|子どもの「やる気」と「地頭」が育つ親の言葉とは?
2019年06月28日少子化によって子ども同士のかかわりが減ったことや、情報化社会によって自ら求めなくともさまざまなコンテンツがあふれていることなどが影響し、昨今では主体性のない子どもが増えているといわれています。しかし、変化の激しいこれからの時代を強く生きるためには、自ら考えて行動することが重要です。今回は、主体性のある子どもとない子どもの特徴や、主体性を育てるためのコツについてご紹介します。活躍できるのは「聞き分けの良い子」ではないひと昔前の子どもは、「先生や親の言うことを聞きなさい」と言われながら育ってきました。自分の考えを主張することなく、大人の指示通りに動ける子どもこそが「素直でいい子」だとされていたのです。しかし、こうした考え方は時代の変化とともに変わっていきました。大人の指示を仰いで行動する子どもは確かに育てやすいですが、そのまま成長すると、社会に出たときに周りに流されてばかりだったり、指示待ち人間になったりする可能性が高いという側面があります。主体性は将来のリーダーシップに必要不可欠です。そのため、現在では自ら考えて行動することができる、主体性のある子どもこそが「できる子」だといわれるようになってきています。主体性が”ある”子どもと”ない”子どもの違いとは主体性がある子どもとない子どもには、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。いくつか例を挙げてみましょう。■自分の「やりたいこと」に取り組めるか主体性のある子ども:周りに流されずに取り組める主体性のある子どもは、周りに流されることなく、自分がやりたいと思ったことに取り組みます。周囲からの反応よりも「自分がしたいかどうか」が大切であることをきちんと理解しているためです。主体性のない子ども:些細なことでも親の指示を仰ぐ主体性のない子どもは、自分で何かを決めることが不得意で、自分の言動に自信が持てません。そのため、何をするにも「本当にこれでいいのだろうか?」と不安になり、心から楽しむことができなくなってしまいます。■自ら考えて行動できるか主体性のある子ども:想像力や思考力が高く、自ら考えて行動できる自ら考えて行動するというプロセスでは、「行動するためにはどうしたらいいのか」「どうしたら一番スムーズに行動できるのか」「この行動の先にどんな結果が待っているのか」など、考えなければならない項目がたくさんあります。主体性がある子どもは想像力や思考力が高いので、こうしたさまざまな項目を順序立てて考えながら、行動に移すことができるのです。主体性のない子ども:些細なことでも親の指示を仰ぐ主体性のない子どもは、自分で何かを決めることが不得意です。そのため、自分が食べたいものや行きたい場所を決めるといった些細なことでも、その都度親に「どうしたらいい?」と聞くことが多い傾向にあります。■チームワークがあり、きちんとコミュニケーションをとることができるか主体性のある子ども:友だちと積極的にかかわり、あらゆる活動に取り組める友だち同士で何かを協力し合って成し遂げたり、ケンカをして悔しい思いをしたりといった経験が多い子どもは、チームワークの大切さを知り、自らを省みることができるようになります。その結果、「次はこうしてみよう」と新たな活動にも主体的に取り組むことができるのです。主体性のない子ども:「周りと同じ意見かどうか」ばかりを気にする「周りと同じ意見を持っている」というのは、主体性がない子どもにとって安心感があり、楽な状況です。そのため、自分の考えを発表する際などには「自分はこう思う」ということよりも「自分の意見は周りと同じものなのかどうか」を気にしやすくなります。よって、友だちと積極的に意見を交わすなどの経験が乏しくなり、コミュニケーションが不得意になる場合が多いです。■何事にも積極的にチャレンジできるか主体性のある子ども:親との信頼関係が強い心から信頼することができる存在や、どんなときでも自分をバックアップしてくれる存在がいることは、何かに挑戦する際に大きな助けとなります。主体性がある子どもは親との信頼関係が強く、「自分は愛されている」と実感できていることから、「失敗して親に怒られたり、失望されたりしたらどうしよう」と不安になることがありません。そのため、何事にも積極的にチャレンジできるのです。主体性のない子ども:失敗を極度に恐れる失敗を極度に恐れる主体性がない子どもにとって「失敗=悪いこと」でしかありません。そのため、少しでも失敗の可能性があることには絶対に取り組もうとしなかったり、新しい環境に強い抵抗感を覚えたりすることもあります。また、「失敗したら、ママ(パパ)に怒られる」と親からの評価を気にすることも多いです。子どもの主体性を育てるためには?子どもの主体性を育てるために、以下の取り組みを実践しましょう。「失敗は成功のもと」であることを伝える主体性を育てるためには「失敗してもいいから取り組むことが大切」「失敗は成功のもと」という考え方を伝えることが大切です。『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)の著者で、進学塾VAMOSの代表である富永雄輔氏は、失敗と成功の比率の理想を「成功が51・失敗が49」と述べています。49の失敗があるから51の成功が生まれることを意識し、「失敗が成功のもとになるんだよ」「できなくてもいいからチャレンジすることが大切なんだよ」と子どもに伝えてあげましょう。失敗しても決して怒らず、まずは取り組みそのものを褒め、子どもと一緒に「うまくいくためにはどうしたらいいと思う?」と解決策を考えることが重要です。選択肢を与える脳科学者の茂木健一郎氏は、「日本の子どもは”自分で決める力”が絶対的に欠けている」と警鐘を鳴らしています。自分の意見を言えるようにすることは、自ら考えて行動することにつながるため、主体性を育てるのに不可欠です。とはいえ、はじめはなかなか難しいので、まずは選択肢を与えて子ども自身に「どっちがいい?」と決めさせることから始めましょう。食事のメニューやその日に着る洋服などの簡単な選択を積み重ねていくことで、子どもはやがて自分の意見を言うことに慣れ、自分で考えて決断し、行動することができるようになっていきます。年上の友達とのかかわりを持たせる学芸大学客員教授 藤原和博氏は、現代の子どもたちには「斜めの関係」が必要だと述べています。核家族化や地域社会の希薄化が進み、「近所のお兄ちゃん」や「親戚のお姉ちゃん」のような「上下の関係ではない斜めの関係」とかかわる機会が減ってきているのです。斜めの関係は、「親と子」「先生と生徒」のような上下の関係で代替することはできません。神奈川県の私立宮前幼稚園 亀ヶ谷忠宏園長いわく、誰かに対して「自分もあんなふうになりたい」と憧れる経験は、主体性を育てることにつながるのだそう。「ああなりたい」と強く思った瞬間にスイッチが入り、主体的に歩み始めるのだと亀ヶ谷氏は言います。子どもは年上のお友だちに対してそうした感情を抱きやすいもの。「斜めの関係」が不足している今だからこそ、年上の友だちや親戚とのかかわりを積極的に持たせるように心がけ、子どもにとって憧れの存在と出会える場を作ってあげることが大切なのです。愛情をめいっぱい伝える動物学者デズモンド・モリスは著書『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』の中で次のように述べています。子どもをほめ、たくさん抱きしめて安心させ大げさなほど愛情表現をする母親は、それより感情表現の乏しい母親に比べて、我が子が世界を探検する準備ができていることに気づくでしょう。そっけなく、ぶっきらぼうな母親は、子どもを心細くさせます。(引用元:デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)子どもが主体性を持って何かに挑戦するためには「どんなときでも自分を受け入れてくれる存在」が必要です。そのために、親は子どもへの愛情を言葉やスキンシップでめいっぱい伝えましょう。また、言葉やスキンシップ以外にもおすすめしたい愛情表現方法が「ほめ写プロジェクト」という取り組みです。ほめ写とは、子どもの写真を自宅に飾り、それを見ながら子どもを褒めてあげるというもの。その際には「生まれてきてくれてありがとう」「見ているだけで幸せな気持ちになるよ」など、子どもの存在そのものを全肯定するような言葉をかけることがポイントです。愛されている自信につながり、自己肯定感を高めるのに有効だといわれています。***子どもの主体性は、環境次第でぐんぐん伸びていきます。子どもを「指示待ち人間」にしないためにも、親ができることから始めてみましょう。文/田口るい(参考)ベネッセ教育総合研究所|集団の中で「主体性」を育むために園ができることダイヤモンドオンライン|子どもの主体性を引き出すには、どうすればいいか? 東洋経済オンライン|こうすれば子どもは「自発的」に学び始める!PHPファミリー|信じて任せて、自発性を引き出す~子どもの「やる気」のコーチングAll About|子供を「指示待ち人間」にしない育て方!言うこと聞く子ほど要注意こどもまなび☆ラボ|“49” の失敗体験が子どもの挑戦力につながる!過干渉にならない会話のコツ『これからの未来を生き抜くできる子の育て方』(2018年),洋泉社MOOK.内閣府|コミュニケーションを高めるためにほめ写プロジェクト|ほめ写プロジェクトとは?デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.
2019年05月27日出会いを求めてアプリに登録している方は多いですが、ネットを通じての出会いなので危険性もあります。簡単ですが出会い系アプリに潜む危険性をまとめてみました。メールアドレス回収業者によるだまし被害出会い系を利用していると、男性の方から連絡先の交換を求められることがあります。メールアドレスなどの個人情報を教えた相手が悪徳業者だった場合、自身のメールアドレスなどの情報を転売され、迷惑メールなどの被害に遭う可能性もあります。出会い系を使用していると、怪しい会員は何となく分かってくるので、そのような会員には教えないようにするか、思い切って連絡などはサイト内のメール機能だけを使うだとか、どんな相手であろうと連絡先の交換には絶対に応じないなどの対策をとったりして、自分の中でのルールを決めて出会い系を使用すれば被害に遭わずに済むはずです。女性のサクラ被害出会い系でサクラ被害と聞くと男性会員の方が気を付けるべきだと思う方もいるでしょうが、女性会員も一概には無いとは言い切れません。男性会員に業者がなりすまし、詐欺サイトに誘導しようとしてくるケースもあります。最初はネットを使っての交流から始まるので、いつも以上に警戒心を強くして、おかしいなと思ったら連絡を断つことをお勧めします。犯罪に巻き込まれるケースニュースなどを見ている方は耳にするかもしれませんが、「出会い系アプリを利用して知り合った男女が・・」というような流れから、あらゆる犯罪に巻き込まれているニュースが時々流れます。もちろん純粋に出会いを求めて登録している会員もいますが、基本的にネット上での繋がりがメインなので確実に安全とは言い切れません。もし出会い系アプリを利用するのであれば、いつも以上に警戒心を持って利用する事を勧めます。画像などの悪用出会い系のプロフィール欄を見てみると、自身の顔写真やプライベートの写真などを投稿している会員も多いです。それらの画像を悪用してネットに掲載したり、自身が使用していない別の出会い系アプリの顔写真に使われるなどの被害もあります。一度ネットに出てしまうと、消すことはほぼ不可能に近いので、画像を掲載するかどうかの判断は個人の考え方次第ですが、迷うのであれば掲載は控えた方がいいです。
2019年04月22日